令和3年9月定例会 決算特別委員会会議録

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令和3年10月21日(木)

1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 枝   修
主任主査 藤 平 貴 一
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 鈴 木 貴 博
主査 阿 部 真 人
主査 刈 屋 江美子
1説明員
企画理事兼
環境生活部長 石 田 知 子
副部長兼
環境生活企画室長 菊 池 正 勝
環境担当技監兼
廃棄物特別
対策室長 佐々木 健 司
若者女性協働
推進室長 高 橋 久 代
環境生活企画室
企画課長 尾 形 憲 一
環境生活企画室
管理課長 及 川 博 英
温暖化・エネルギー
対策課長 高 橋 ゆかり
特命参事兼
ジオパーク
推進課長 菊 池   学
環境保全課
総括課長 黒 田   農
資源循環推進課
総括課長 佐々木 秀 幸
自然保護課
総括課長 藤 原 由喜江
県民くらしの
安全課総括課長 新 沼   司
食の安全安心課長 佐 藤   敦
消費生活課長 藤 本 さとえ
特命参事兼
再生・整備課長 田 村 良 彦
廃棄物施設
整備課長 古 澤   勉
特命参事兼
青少年・男女
共同参画課長 前 田 敬 之
特命参事兼
連携協働課長 高 田   聡

労働委員会
事務局長 藤 田 芳 男
審査調整課
総括課長 谷 藤 親 史

商工労働観光部長 岩 渕 伸 也
副部長兼
商工企画室長 木 村   久
参事兼
産業経済交流課
総括課長 橋 場 友 司
定住推進・雇用
労働室長 安 藤 知 行
ものづくり自動車
産業振興室長 十良澤 福 志
観光・プロ
モーション室長 高 橋 孝 政
商工企画室
企画課長 伊五澤   敬
商工企画室
管理課長 星 野 俊 一
新産業育成課長 藤 村 真 一
経営支援課
総括課長 阿 部   博
地域産業課長 竹 花 光 弘
雇用推進課長 田 中   聡
特命参事兼
労働課長 四 戸 克 枝
特命参事兼
ものづくり産業
振興課長 小 野 和 紀
自動車産業
振興課長 小笠原   徳
産業集積推進課長 金 野 拓 美
プロモーション
課長 千 葉 敬 仁

会計管理者 永 井 榮 一
会計課総括課長兼
会計指導監 大 塚 貴 弘

監査委員 寺 沢   剛
監査委員 沼 田 由 子
監査委員事務局長 小 畑   真
参事兼監査第一課
総括課長 小 守 健 一
監査第二課
総括課長 佐々木 昭 司

財政課総括課長 山 田 翔 平


〇小西和子委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、議案第28号及び議案第29号の以上17件を一括議題といたします。
 本日は、環境生活部、労働委員会及び商工労働観光部関係について延べ17人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は21分といたしましたので、議事進行に御協力をお願いします。
 なお、関連質疑については、その日の質疑の目安時間にかかわらず、関連質疑の目安時間を10分とすることにしておりますので、あらかじめ御了承願います。
 また、換気のため、これまでと同様に休憩いたしますので、御協力をお願いします。
 初めに、環境生活部長に環境生活部関係の説明を求めます。
〇石田企画理事兼環境生活部長 それでは、令和2年度の環境生活部の決算について御説明申し上げます。
 なお、本年4月から、市町村交通指導員設置費補助ほか5事業を復興防災部へ移管しておりますので、これから御説明いたしますものは、現在、当部が所管している内容であることを御了承願います。
 初めに、当部所管の事務事業に係る取り組みと成果及び今後の取り組み方針について、総括的に御説明いたします。
 当部では、東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを目指し、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策の着実な推進に取り組んでまいりました。
 まず、復興推進関係についてでございますが、防災拠点等への再生可能エネルギーの積極的な導入を進めるとともに、観光資源の再生への支援と新たな魅力の創造に向け、三陸ジオパークの魅力を発信できる人材の育成などに取り組みました。
 続きまして、政策推進関係でありますが、自然環境の分野では、鹿等の野生動物による被害防止対策を推進するとともに、廃棄物の発生抑制や再使用、再生利用の推進や公共関与による新たな産業廃棄物最終処分場の整備に取り組みました。
 参画の分野では、男女共同参画センターを拠点とした学習機会の提供や、若者や女性が活躍できる環境づくりに取り組みました。
 今後におきましても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策に取り組みながら、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策の着実な推進を図ってまいります。
 続きまして、令和2年度の当部関係の決算の概要について御説明申し上げます。まず、お手元の令和2年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開き願います。
 環境生活部関係の決算は、本年度から復興防災部へ移管した市町村交通指導員設置費補助ほか5事業を除く、3款民生費2項県民生活費と4款衛生費2項環境衛生費、16ページに参りまして、12款公債費1項公債費の一部と13款諸支出金2項公営企業負担金の一部であり、予算現額の総額は122億3、859万円余、これに対する支出済額の総額は106億4、200万円余であります。
 12ページにお戻りいただきまして、令和3年度への繰越額は、県民生活費と環境衛生費を合わせまして12億9、390万円余であります。
 決算の内容につきましては、令和2年度歳入歳出決算事項別明細書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で環境生活部関係の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇小西和子委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇佐藤ケイ子委員 今、衆議院議員総選挙の真っ最中でございますけれども、男女共同参画の取り組みの中で、女性の進出がなかなか進まないというのが、この選挙でもあらわれていると思って見ております。報道されておりますけれども、男女共同参画を進めなければならないという議員にあっても、その候補者の女性の比率が非常に低いのが問題と思っておりまして、これは各党とも取り組みを進めなければならないと、私どもも思うところでございます。
 それで、コロナ禍の男女共同参画の取り組みについてですけれども、内閣府の男女共同参画白書の中でも、このコロナ禍で男女共同参画のおくれがはっきりあらわれたと記載されております。非正規雇用労働者の雇用が悪化した、それから、DV、ひとり親世帯、女性の貧困が可視化され、改めて、この男女共同参画の進展状況について疑問の声が上がった。この20年何をやってきたのだろうかというのが、国も改めて反省しなければならないということであります。また、逆に、こうした問題点が明らかになったことで、この男女共同参画を強力に進めていかなければならないのだということも記載されております。
 それで、本県においてですけれども、なかなか本県でも数値が上がってこないこともそうですが、このコロナ禍の影響を示す数値があるのかどうか。例えば、雇用情勢、ひとり親世帯の窮状、DVの相談件数がどうだったとか、女性の自殺者が増加したとか、家事分担の時間が増加したとかというのが全国的な統計では出ているのですけれども、本県の中でこういうことを示すデータは持っているのでしょうか。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 コロナ禍における男女共同参画への影響を数値についてのお尋ねでございます。新型コロナウイルス感染症が感染拡大状況にありまして、本県の女性が直面した困難の状況を示す数値といたしましては、生活困窮者自立支援相談の女性からの相談件数が、令和2年度は1、970件、県の配偶者暴力相談支援センターが受けたDV相談件数が、令和2年度は1、872件、女性の自殺者数が、令和2年1月から12月までに94人などが挙げられます。
〇佐藤ケイ子委員 やはり本県でも大きな影響があるということが改めてわかるわけですけれども、こういう状況の中で、今までやってきた事業が本当にこれでいいのかということも、やっぱり見直す時期になってきているのだろうと思います。
 このコロナ禍で計画されていた事業がなかなか開催できなかったとする指標がいろいろあって、達成度がゼロとか、そういったものも結構あるわけですけれども、その中で教訓はあるのでしょうか。
 私は、いろいろなイベントに参加できなかった、集まれなかったというのもそうですけれども、オンラインでの開催方法なども確立されてきて、これはまた新しい動きになっていくかと思うのですが、このコロナ禍の教訓というものをどのように考えていらっしゃるかお伺いします。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 男女共同参画に関する講座やイベントの開催についてでありますが、県の男女共同参画に関する学習や普及啓発を行っている岩手県男女共同参画センターでは、例年、いわて男女共同参画フェスティバルや男女共同参画サポーター養成講座等を開催しておりますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、令和2年度は、一部の内容をオンライン配信するとするなど変更して実施したところです。
 こうした方法の変更によりまして、県内で男女共同参画に取り組む方々同士の対面での交流の制限を余儀なくされた面がございます。一方で、オンライン開催としたことで、参加を希望する方々の距離や時間の制約がなくなり、また、新たに若い世代を中心に多くの方に参加いただいたと認識しております。
 今年度につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を見据えて、参集型とオンラインによる実施ができるよう準備を進め、一部の内容をオンライン配信により実施しているところでございます。
 オンラインにもいろいろ長所等ございますが、今後も、県内各地におきまして、男女共同参画に関する学習や普及啓発の機会が失われることのないよう、関係者等の意向を確認しながら、適切な方法での普及啓発に努めてまいります。
〇佐藤ケイ子委員 私が思っていたとおりなのですけれども、これからの取り組み方は、多様な手法も考えていかなければならないことだろうと思っております。
 それで、男女共同参画の取り組みについては、なかなか進まないのもそのとおりで、世界のジェンダーギャップ指数は120位とかです。本当にずっと低い、ますます低いということで、結局は意識の改革ができないという話になるわけです。国全体の取り組みの中で、この制度自体に罰則規定もないですし、全く努力義務だけという中で、進んでいかないというのはそのとおりだと思って見ております。本当に、この制度自体を進めさせる必要があると思っています。
 具体的に進めるには、仕事と家庭の両立支援ということで女性の活躍支援が出ておりまして、えるぼし認定企業というものを進めているわけですけれども、これでいわて女性活躍認定企業数は、昨年度の実績は99社でAの評価がある。それから、いわて男女共同参画認定企業などは6社でAという評価になっておりますので、女性活躍推進員の訪問などで成果を上げていると思って見ました。
 その訪問した事業所全てが認定されたわけではないと推察いたしますけれども、訪問する中での課題も示していただけないでしょうか。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 いわて女性活躍企業等認定制度についてでありますが、平成30年度に配置したいわて女性活躍推進員による企業、団体への直接訪問において認定制度の働きかけを行ってきた結果、制度そのものや認定手続、認定のメリットについての理解が進み、建設業を中心に、近年認定企業数が着実に増加している一方で、義務ではないことや女性活躍の必要性を感じないことから、認定に消極的な企業もあることが課題であると認識しております。
 さらなる認定企業数の増加に向けて、引き続き、企業訪問により女性活躍の必要性と認定のメリットを丁寧に説明するとともに、経営者向けセミナーの開催や女性活躍推進員等による講演など、さまざまな機会を捉えて企業経営者等への働きかけを行ってまいります。
〇佐藤ケイ子委員 企業経営者への働きかけも大事なことですけれども、それは後にしまして、来年度からは、101人以上の中小企業に対しても一般事業主行動計画の策定、届け出が義務化されるわけですが、今までのような訪問での取り組みのやり方でいいのかと思います。かなりの数の企業を、今までだと本当に一つ一つ丁寧に説明しないと行動していただけない、計画策定していただけないわけですけれども、もう物すごい数の企業が対象になってくるのに、今までの取り組み方でいいのだろうかと思っていますが、どのようにお考えでしょうか。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 一般事業主行動計画についてでありますが、改正女性活躍推進法におきましては、令和4年4月から計画策定等の義務が常時雇用101人以上の事業主まで拡大されることとなっておりますが、この内容については、岩手労働局から、官民連携組織であるいわて女性の活躍促進連携会議において、各地域経済団体等に対して説明を行っております。
 また、県においても、女性活躍企業等認定制度では、これまでも企業の規模にかかわらず、計画策定を認定基準に置いていることから、女性活躍推進員の企業訪問において、改正内容を説明するなど対応してございます。
 岩手労働局におきましては、今回対象となる県内の事業所を個別に訪問し計画の策定を働きかけると聞いておりまして、県としても、国と連携して周知を図ってまいります。
〇佐藤ケイ子委員 個別に訪問しなければ進まないというのも、私は、経営者の皆さんの意識としてどうなのかと思うのです。
 いわて女性の活躍促進連携会議で女性の就業促進部会がありまして、そこも経済団体、産業団体の方々が入って活動している。その女性の就業促進部会で、本県の男女ともに働きやすい職場環境づくりを目指して提言を取りまとめているわけです。
 その概要版を見ましても、その部会に入っている方が、経営者の方も入っているのですけれども、経営者自身の意識が問題だということも指摘しております。無意識の偏見というものがやっぱりある。それから、女性活躍のメリットをまだ理解していない、経営者のポジティブアクションを支援しなければならないということなども指摘しています。
 経営者への提言と行政への提言という形で細かく提言しているのですけれども、これをどう具体的に生かしていくのかということをお伺いいたします。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 女性の就業促進部会の提言についてでありますが、部会におきましては、これまで、女性の就業促進と女性が企業等で活躍するための支援をテーマといたしまして、活発な検討が行われてきたところでございます。
 部会の取りまとめでは、岩手県の現状、課題として、労働力人口が減少していく中、女性の登用を推進し人材の維持、確保を図ることが必要であること、県民意識調査によると、女性が働きやすい状況にあるとの回答は4割に達しないこと等が述べられております。
 また、提言においては、経営者の意識改革と実践や男女ともに働きやすい企業文化の醸成等に向けて、行政に対するものとして、女性活躍のメリットの情報発信など経営者の取り組みの支援、男性の家事、育児、介護への参加を推奨する取り組みの推進、好取り組み事例の情報発信や女性の意欲を引き出すセミナーの実施等が挙げられております。
 県といたしましては、これまでも経営者の意識改革セミナー等を開催してきたところでございますが、提言内容も踏まえまして、いわて女性活躍企業等認定制度の普及を通じて経営トップへの一層の働きかけを行うほか、関係部局とも連携しながら、企業における男性のワーク・ライフ・バランスモデル事例の創出と情報発信、女性のエンパワーメント研修の実施、ウエブ上のいわて女性の活躍応援サイトにおいて、企業の優良取り組み事例の情報発信をさらに行うこと等によりまして、男女ともに働きやすい職場環境づくりを進め、女性の一層の活躍につなげるよう取り組んでまいります。
〇佐藤ケイ子委員 例えば、女性活躍認定企業の認定を受けている企業などでも、建設業が多いわけです。これは、入札とか契約などにインセンティブがあるということでありましょう。そういった意味からすると、一般の企業においては、余り取り組んだメリットを感じられないということのようです。
 でも、それではだめなのです。女性の活躍支援というものを本当に前面に出していかないと、ますます若い女性の人口減少といったものにもつながってきますし、岩手県は女性が働きやすい県だということをみんなで進める、そのことを本当に強力に進めてもらいたい。情報発信も本当に大事だと思います。
 そういうことで、企画理事に所見をお伺いしたいのですけれども、この取り組みは、企画理事になる方も数が少ないわけですが、そういう中でもロールモデルとして頑張っていらっしゃると思いますし、そうした方々をこれからも広めていただきたいと思いますので、この男女共同参画の取り組みについて、御所見、決意をいただきたいと思います。
〇石田企画理事兼環境生活部長 この男女共同参画、そして女性の活躍についてでございますけれども、これまでは、ややもすると行政が中心となって呼びかけてきたところもございます。今回、この女性の就業促進部会では、実際に経営をされている方、また、企業に働いている女性の方々から具体的にいただいたということで、非常に貴重な提言であると思っております。
 やはり、この提言内容につきましては、我々はずっと呼びかけてきたのですけれども、実態として、もう少し何とかならないのかというジレンマもずっと抱えながら取り組みを進めてきたところもございます。
 この提言内容を受けとめて、きちんと庁内で情報共有するとともに、具体的な提言内容は皆様の声であるとも感じておりますから、これがどう実行されるか、これを働きかけていきたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 私は、カーボンニュートラルに関して伺っていきたいと思います。
 令和3年9月3日に、2018年度の温室効果ガス排出量について岩手県のデータが取りまとまったというものが出ております。実排出量が1、417万3、000トンというところで、まず、この数字は誰がどのような形で計算したものかというところ、積み上げて計算しているのかということを伺いたいと思います。
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 温室効果ガス排出量についてでありますけれども、この排出量は、国の総合エネルギー統計等の資料をもとに、県において部門ごとのエネルギー消費量を推計いたしまして、これに二酸化炭素排出係数を乗じて部門ごとの排出量を算定しております。これを合算したものを全体の排出量として計算しております。
 例えば、本県の二酸化炭素排出量の約4割を占めます産業部門のうち製造業につきましては、2001年度の製造業の排出量の推計値に化石燃料や電力のエネルギー消費量と製造品等出荷額についての2001年度と2018年度の比率を乗じて算出しているものでございます。
〇佐々木宣和委員 統計的な数字で算出している、予測して積み上げて計算している、その変数を掛けてこの数字を出しているということだと思います。
 排出削減割合について、家庭、産業、業務、運輸等の割合は示されているところでありますけれども、これの数字の出し方と取り組みの関係性、こういった取り組みをするからこのぐらい削減されるということをどうはかっているのか伺いたいと思います。
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 排出削減割合についてでありますが、国の地球温暖化対策計画で示されております2030年度の部門ごとの排出削減量を、県の産業構造や人口などの地域特性をあらわす指標により按分して、県の排出削減可能量を算定しております。
 このように算定した部門別の排出削減可能量に、国の計画数値には含まれていない県独自施策による排出削減可能量を合算いたしまして県全体の部門別の排出削減可能量としまして、2013年度排出量とこの排出削減可能量との割合から部門別の排出削減割合を算定しているものでございます。
 部門別の削減率は、大きい順に、民生業務部門38%、民生家庭部門37%、産業部門23%、運輸部門21%としております。
〇佐々木宣和委員 端的に、2018年の実排出量が1990年、これは京都議定書の基準年だと思いますが、これよりも上がっているところであります。2020年の目標実排出量が1、229万7、000トンで、13%減らさなければいけないということですけれども、これはこの2年で達成できるような話でしょうか。非常に厳しいのは見ればわかるような話ですが、その辺は政策的にどのぐらい厚くして効果がどのぐらい上がったのか、これはどう捉えているのか。2020年度の目標は達成できるような状態なのかということを伺いたいと思います。
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 2020年度の目標ということでございますが、このデータにつきましては、毎年度積み上げて把握するようにしております。
〇佐々木宣和委員 毎年度積み上げていって、まず、ずっと実排出量は横ばいだというのが現状なのかと。これは見ればわかる話ですが、この横ばいの状態で2050年までのカーボンニュートラルを目指しましょうと。それで、具体的な数字が示されています。
 県としてもさまざまな取り組みをされていると思うのですが、なかなか削減されていないような現状で、では、何かもう少し力を入れてやることは考えているのか伺います。
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 ことしの3月に第2次岩手県地球温暖化対策実行計画を立てておりまして、これによりまして、取り組みといたしましては、省エネルギー対策を推進して、再生可能エネルギーの導入を促進しますし、多様な手法による地球温暖化対策の推進ということで各種対策をとって、実行計画を強力に進めていくこととしております。
〇佐々木宣和委員 まず、この2018年で発表されたものが私的には衝撃的と思っていて、実際に排出もふえ、ずっと横ばいの形です。森林吸収源も、これからちょっと読めないというか減っていくのではないかというところで、再生エネルギーの導入で2020年度は4%、2030年度のところが7%かと思いますけれども、それを達成したところでこのマイナスがふえる形にはならないので、ではどうしましょうかというのは考えなければいけないと思っているところでございます。
 国のほうの数字感を見ると、2018年が12億4、400万トン、2013年が14億1、000万トンで、マイナス11.8%というところなので、これは人口割みたいなことで考えると、岩手県も1、240万トンぐらいまで減らしているのが、ならった形だとそのぐらいの数字感になっていくのかなみたいな予測ですが、1、417万3、000トンとなかなか厳しいなとは見えるわけです。
 計画を立ててはいるけれども、なかなか達成できない。さまざまな取り組みをされているということは見えていますし、新聞報道によると、その要因は、世帯数がふえているとかというところもあったり、いろいろな要因はあるけれども、なかなか予測的には厳しいのではないかということは言われてもいる。メディアにも言われているし、実際の数字でもこう出ているというところかと思います。
 もう一つ伺いたいのは、斉藤信委員も言われていましたけれども、国の目標値が46%ということになっています。現状が、県の計画では2030年41%。その5%分というところで71万8、000トンぐらい削減しなければいけないという形ですが、これから県の計画としてはこのまま走らせるということで考えているのか、国の計画に合わせるのかどうか伺いたいと思います。
〇菊池副部長兼環境生活企画室長 委員御指摘のとおり、国の掲げる削減割合目標と県の実行計画で定める目標に差があるわけでございますが、現在、国で地球温暖化対策計画の改定を進めており、その計画の中で具体的な削減量の内容等も示されるところでございますので、それらの状況も見きわめながら、本県の削減目標の見直し等も含めまして検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 先ほど言ったように、今はなかなか厳しい状態ですが、例えば、国の削減目標に合わせるといっても、5%分をどうやってつくるのかという話も出てくると思いますので、そういったところを考えていただきたいと思っております。
 次に行きたいと思います。再生可能エネルギーを導入していくことによって、削減、マイナスの部分をつくっていきましょうというところですが、コロナ禍で、改めて域内経済循環ということが考えられていると思います。
 エネルギーに関して言えば、域外にお金を投じて、域外からサービスを受けている状態と思われている首長もいるところですし、財政的に苦しい自治体では、この再生可能エネルギーに投資して、そのリターンを使って住民サービスに充てるような発想の方もいるかと考えておりますけれども、これに対する取り組みを伺いたいと思います。
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 域内経済循環に資する再生可能エネルギーの取り組みについてでございますが、県では、地元企業が再生可能エネルギーを導入する際、地元金融機関からの資金調達を促進することにより地域に資金を循環させるため、再生可能エネルギー等立地促進資金貸付金事業による低利融資を行っているところでございます。
 また、地域新電力の創設など地域資源を活用してエネルギー供給体制を構築しようとする市町村等に対しましては、補助金を交付するなど、その取り組みを支援してきたところでございます。支援を行った久慈市や陸前高田市では、地域新電力が設立されております。
 引き続き、市町村と連携、協働しながら、地域に根差した再生可能エネルギーの導入促進に努めてまいります。
〇佐々木宣和委員 具体的に取り組みをされている自治体もあるところですけれども、岩手県は、震災も台風も経験しているところでございます。スマートグリッドや蓄電池の導入など、災害時に強い電力提供体制を整えることについて、この再生可能エネルギーと新たな技術の連動の取り組みをどう進めていくのか伺いたいと思います。
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 災害に強い電力供給体制に対する取り組みについてでございますが、県では、スマートグリッドなど災害時においても地域で一定のエネルギーを賄う自立・分散型エネルギー供給システムの整備に関しまして、市町村等の構想、計画等の実現を後押しするため、事業化を前提とした設計等を進めようとする県内市町村等の取り組みを支援しているところでございます。
 本補助制度により、令和2年度は、久慈市のバイオマスを利用した自立・分散型エネルギー導入に向けた調査や、雫石町の再生可能エネルギーの推進と災害時の自立・分散型システム構築に向けた調査が行われたところでございます。
 引き続き、本事業により市町村の取り組みを支援してまいります。
〇佐々木宣和委員 自立・分散型というのは一つのキーワードと思っておりますけれども、再生可能エネルギーの安定的な供給というところで言えば、それぞれの枠の中でうまく回せるような形をこれから考えていく必要があるかとも思っているところでございます。
 市町村との連携という話がありましたので、これからカーボンニュートラルを考える上で、地域でその収支を見える化するというのは一つの重要なキーワードになるかと思っております。
 それは、枠が小さければ小さいほど収支ゼロにするにはどうすればいいかを考えやすいような話と思うのですけれども、市町村ごとにこの収支というのは、勘定を出しているのかどうなのかを把握されているか、どういった状態なのか、通告していませんけれども、お伺いいたします。
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 現在、手元にデータがございませんので、後ほど答弁いたします。
〇佐々木宣和委員 後でいいです。
 私が一つ見たのは、一関市のデータなどがあって、ただこれは、排出するほうは勘定されているのですけれども、吸収源のほうは数字が入っておらず、プラスとマイナスが出ていないような形でした。これをゼロにするというのは一つ大きな目標ですので、それぞれの主体で考えられるような形を進めていくのがいいかと思っているところでございます。
 最後、森林吸収量の現状について伺いたいと思います。
 県の計画の中にも入っていますけれども、過去データを見ますと、2014年が200万トン、2017年は100万トンに半減していると。これはどういう理由でこうなっているのか、これを受けて森林、林業政策への反映、関係性はどう取り組んでいるのか伺いたいと思います。
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 森林吸収源対策についてでございますが、森林吸収量の算定は林野庁で行っているものでございまして、林野庁では、森林の拡大、縮小の変化や再造林、間伐等の森林整備の状況などについて調査を行うとともに、各都道府県や森林管理局から提出された民有林及び国有林の森林資源に関するデータをもとに、1年間の樹木の増加量を推計し、森林吸収量を算定していると聞いております。
 森林吸収量の増減につきましては、民有林のほか、国有林における間伐等の森林整備の実施状況や森林の伐採及び伐採後の再造林の状況、樹齢の変化など、さまざまな要因が影響しているものと考えられます。
 第2次地球温暖化対策実行計画では、2030年度の森林吸収量を133万9、000トンと見込んでおりまして、この森林吸収量を達成するために、所管する農林水産部では、間伐や再造林などの森林整備を促進するとともに、県産木材や木質バイオマスの利用促進などに取り組むこととしております。
〇佐々木宣和委員 大枠ではそういう形なのかと思っておりますけれども、林業の関係でいいますと、カーボンクレジットだったり、森林吸収源対策でこのぐらい森林整備しているから取引がありますという話というのは、結構昔から取り組みをされているような気がするのですが、広がっているような感覚はないわけです。何がネックだと感じられているのか伺いたいと思います。
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 J−クレジット制度などのカーボンクレジットにつきましては、温室効果ガス排出削減の重要な取り組みの一つと認識しております。本県に立地する大手企業からも、カーボンクレジットの導入についての要望があるところです。
 本県は広大な森林を有しておりまして、CO2の吸収源対策を進める上でも非常に有意性があるものの、委員御指摘のとおり、J−クレジット制度などが十分に活用されていない状況にあると思われます。
 こうした中、本年9月、農林水産部の所管ではございますが、県内金融機関と連携して、県有林を活用したクレジットを、購入を希望する企業へ紹介する取り組みを始めたところでございます。
 現在、庁内のワーキンググループにおきまして、商工労働観光部や農林水産部も交えまして、カーボンクレジットの導入について研究を始めておりまして、広く意見を聞きながら取り組みを進めるとともに、企業向けの説明会を開催するなど、J−クレジット制度が広く活用されるように取り組んでいくこととしております。
〇佐々木宣和委員 最後に企画理事に伺いたいと思いますけれども、計画も、いろいろなところから引っ張ってきて数字をつくっているようなところもありまして、これは取りまとめるのもすごく大変だろうとは思っています。
 私は、総括質疑のときにもゾーンプロジェクトなどの話をさせていただいているのですが、計画を立てることが目的になってしまっては困ると。計画を立てるのは手段であって、その姿が目的として示されなければいけない、達成しなければいけないというところで、カーボンニュートラルに関しては、具体的な数字を上げているわけです。ただ、なかなか達成が難しいので、では、政策実行力をどう上げようかという、そのサイクルをどんどん早くしていかなければいけない。
 全国的にも、菅前総理が、このカーボンニュートラルを目指しましょうということを言ってから、自治体でもカーボンニュートラルを目指しますという話になっています。どこでもカーボンニュートラルを目指すということになると、それこそ計画ではなくて、質が高い取り組みをしているところが、さっき言ったスマートグリッドの話なんかは、企業のデータセンターなどに来てもらう理由にもなり得ると期待もしているところですが、本当に、どうにかして取り組まなければいけないですし、部局横断で取り組まなければいけないことだと思います。数字感も本当に具体的に出てくるものというところでございます。
 どうやって目標達成していくおつもりなのか伺って、終わりたいと思います。
〇石田企画理事兼環境生活部長 カーボンニュートラルゼロに向けた取り組みについてでございます。
 先ほど温暖化・エネルギー対策課長が答弁いたしましたとおり、2018年度の本県の排出量は、やはり北上川流域の企業の製造品出荷額が伸びておりまして、約4割に達しております。
 本県の場合は企業の活動が非常に活発であるので、そちらの排出量がやはり大きくなっておりまして、例えば半導体の企業も拡充するということで、CO2は、恐らくこの産業部門においてはふえるのではないかと考えております。そこで、それをどうするのかというお話になるかと思います。
 一方で、本県の場合は、やはり再生可能エネルギーの宝庫であると思っております。例えば、地熱であったり、風力であったり、海洋を利用したこういう賦存するエネルギーが多いということでございまして、やはりそれをどう生かすかというのが大事かと思っております。
 各県によって部門ごとに排出量が違いますから、取り組みというのは違うと思っております。また、県内の市町村によっても、例えば、北上川流域の市町村、それから、県北のようにエネルギーが豊富なところは、多分エネルギーのほうが多いと考えております。
 そこで、では県としてどうするのかということでございますけれども、まず、やはり森林のJ−クレジット、カーボンクレジットというのは、非常に魅力的な手法だと思っています。これは企業からも要望をいただいておりますので、これを何とか商品化したいと考えております。
 また、今回横軸でグリーン社会の実現ということを進めさせておりまして、その中で具体的に進めていきたいと思います。
 それで、本県の理想は、本県の有する再生可能エネルギーを本県の人が安価に利用できる、そういう仕組みをつくっていきたいと考えております。
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 先ほど排出量削減の内訳は後ほど答弁すると申し上げましたけれども、市町村ごとのデータは持ち合わせておりません。
〇千葉盛委員 まず、太陽光発電事業について質問いたします。一般質問でも取り上げられておりましたけれども、全国的に大規模な太陽光発電事業により土砂の流出や景観への配慮、そして、自然環境の悪化などの問題が発生していることから、令和2年3月31日と令和2年4月1日では、何がどのように変わったのかお伺いいたします。
〇黒田環境保全課総括課長 大規模な太陽光発電、いわゆるメガソーラーの導入が全国的に進む中、委員がおっしゃるとおり、さまざまな環境への問題が増加している。こういった状況を踏まえまして、国では、令和2年4月1日から、出力3万キロワット以上の大規模な太陽光発電事業について、法に基づく環境影響評価制度の対象事業として追加しております。
 県におきましても、国の動きを踏まえまして、法対象以下で一定規模以上の太陽光発電事業を、法と同日の令和2年4月1日から、条例に基づく環境影響評価制度の対象事業として追加しております。
 これによりまして、太陽光発電について、環境影響評価を通じて、事業者に対し適切な環境配慮を求める仕組みができたところでございます。
〇千葉盛委員 本当に、1日違うだけで制度やルール、条件が大きく変わってしまって、私の地元の大船渡市でも、発電事業をめぐって、その日付がポイントでさまざまな議論を呼んでおりましたので、あえて日付を細かく聞かせていただきました。
 そこで、一つの事例として質問いたしますけれども、大船渡市の吉浜地区では太陽光発電事業が計画されておりまして、今おっしゃったように、景観保全や土砂の流出など災害リスクを心配する多くの地元住民の反対があり、住民理解が進んでおりません。また、市議会においても、市と事業者の土地契約のあり方や事業の進め方など、さまざまな事柄について問題提起されている状況です。
 そういった中で事業が進められようとしておりますけれども、太陽光発電事業を進めるに当たって、住民の合意形成は非常に重要だと思いますが、県としてどのように捉えているのかお伺いいたします。
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 住民の合意形成についてでございますが、県内には、委員御指摘の地区を含めまして、大規模な太陽光発電事業の導入に際し、地域住民の不安を払拭できない事案があると聞いております。
 太陽光発電事業に当たり、国の事業計画策定ガイドラインによりますと、事業者は、景観保全への対応や地域住民への説明会の実施などを求められているところでございます。
 また、昨年3月には、環境アセスメントの対象とならない太陽光発電についても、地域とのコミュニケーションや濁水、景観などに係る環境配慮の取り組みなどを定めたガイドラインが公表され、事業者に周知を図ってきたところです。
 特に、自然公園内の開発につきましては、自然公園法や県立自然公園条例に基づく許可、また届け出が必要となっておりまして、景観との調和や土砂等の流出防止などの審査基準を設けて、地域住民が大事に受け継いだ自然環境を損なわないような対応が求められるところでございます。
 太陽光発電を行おうとする事業者は、地域住民の理解が進むように丁寧に説明すべきであると考えております。
〇千葉盛委員 わかりました。県としてもしっかりと注視していただきたいと思っておりますので、この件に関しまして、最後の質問にいたしますけれども、地球温暖化対策に取り組む中で、今後さらに再生可能エネルギーの普及は重要な施策となっていくと思いますが、太陽光発電事業のあり方について、岩手県としてどのように考えているものなのか、企画理事に所見をお伺いいたします。
〇石田企画理事兼環境生活部長 太陽光発電事業のあり方、特にメガソーラーのあり方についての所感ということでございますけれども、メガソーラーは、東日本大震災津波後、FIT制度の導入を機に、本県でも大規模事業者が実施しております。それで、メガソーラーは日照量の大小によって発電量が関係するということがございまして、積雪量の多い本県のような寒冷地では、設置する地域もある程度限定されると。それから、そういうことで、例えば、景観豊かな場所であったり、場合によっては国立公園、国定公園などの自然公園内も有力な箇所となっていると考えております。
 一方で、自然公園内での開発に当たりましては、水源の涵養、それからCO2の吸収という森林が持つ役割に影響を及ぼすだろうということで、やはり留意すべきであると考えております。また、これまで県民が大事にしてきたこの豊かな自然環境を次世代に引き継ぐためにも、地域住民から理解と共感が得られるよう開発すべきであると考えております。
 また、温暖化・エネルギー対策課長が答弁したとおり、昨年4月以降、国の環境アセスメントの対象とならない規模の太陽光発電につきましては、県の環境アセスメントの対象にして、発電事業者には、この開発に伴うガイドラインを遵守するよう指導しております。
 県として、改めて、県内市町村に対しまして、自然環境と調和し、共生する再生可能エネルギーの導入を図るといった県の基本的な考え方を伝え、共有するとともに、地元市町村を通じて、事業者が地域住民と適切なコミュニケーションを行い、地域に受け入れられる太陽光発電施設の設置運用に取り組むよう指導してまいりたいと考えております。
〇千葉盛委員 次に、ニホンザルの対策についてお伺いいたします。
 県への要望も出ておりますけれども、県内でも主な生息地域である大船渡市や住田町においては、猿による被害拡大が懸念されていますが、県としてどのように捉えているのかお伺いいたします。
〇藤原自然保護課総括課長 委員から御紹介がありましたとおり、大船渡市と住田町から、農業被害が拡大していることから、県において生息状況を調査して計画的に管理するように要望をいただいておりました。これを受けまして、生息状況や農業被害、生活被害の発生状況を注視しているところでございます。
 なお、本県のニホンザルの群れにつきましては、五葉山周辺に集中しておりまして、特に釜石市、大船渡市、住田町において、人里周辺に群れであらわれまして被害を及ぼしているところでございます。全県での被害額は、令和元年度の農業被害額として87万8、000円、令和2年度は49万6、000円となっているところでございます。
 一方で、ニホンザルにつきましては、北奥羽及び北上山系における希少な個体群となっており、捕獲に当たっては慎重に検討する必要がありますが、実際、繰り返し被害を生じさせている有害個体につきましては、市町村からの要望を受けまして捕獲許可を行っております。令和元年度及び令和2年度は、各1頭ずつ捕獲しているような状況でございます。
〇千葉盛委員 猿の出没する地域というのは、そんなに大きい農業地域ではないので、農業被害額も金額的には少ないように見えますけれども、いろいろな場所で、各家庭の農地を荒らされたり、また、多く出没する地域に保育所や小学校もありまして、人的被害も危惧されております。何匹いるのだろうというぐらい多くの群れでやってきますので、本当に危惧されております。
 そこで、先ほどもおっしゃっていただきましたけれども、本当に鳥獣被害対策には県と市町村の強力な連携が重要だと思いますので、鹿やイノシシのように被害が大きくなっていかないように、大船渡市だったり住田町だったり、釜石市もですか、さまざまな自治体と連携して、県としても猿に対する早目の対策に取り組んでいくことが重要と考えますけれども、見解をお伺いいたします。
〇藤原自然保護課総括課長 早目の被害拡大防止のための対策ということでございますけれども、県では、令和元年度から農業集落の代表者を対象としまして、野生鳥獣の生息状況のアンケート調査を行っており、全県におけるニホンザルの生息状況をそちらで把握しております。
 また、本年7月に、釜石市におきまして、大船渡市、釜石市、住田町及び有識者と県によりまして、ニホンザル対策連絡会議を開催しました。ここにおきまして、被害状況とか対策について情報共有しておりますし、また、有識者から効果的な対策につきまして助言を受けたところでございます。
 今後につきましても、引き続き、ニホンザルの生息状況の把握に努めますとともに、農林水産部局で行っている防除対策とあわせまして、市町村と連携して迅速な捕獲許可を行いまして、農業被害拡大の防止に努めてまいります。
〇小西和子委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午前11時1分 休 憩

午前11時22分 再開
〇小西和子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行します。
〇飯澤匡委員 私は、1点だけお伺いします。いわての水を守り育てる条例の活用状況についてお伺いします。この守り育てるというのは、幸福を守り育てるより先にこれを使っているので、そこは皆さん、よく御理解いただきたい。
 これは議員発議の条例で、平成21年7月に制定された水資源の涵養と管理等も含めて、部局横断的に岩手県の水資源を守っていこうという観点でつくられた条例でございます。既に制定から12年たっておりまして、大体部長がかわるごとに私のほうで中間管理をさせていただいているということでございまして、その一環でございます。
 まず、前提で、今懸念される状況として、最近はコロナ禍によって余り報道されなくなりましたけれども、隣国の中華人民共和国において日本の土地を買い求める事例があり、水源等に猛毒などを流されてしまったら、我が国にとって大変なことになってしまいます。したがって、この状況については、本県としてもしっかりと把握していかなければならないということなのですが、これは水資源を乱獲することにもつながっていくと私は思っています。
 その脅威に対する本県の認識、そしてまた、これに対する本県の状況をどのように把握されているのかお知らせください。
〇尾形環境生活企画室企画課長 中華人民共和国の水資源乱獲の脅威に対する県の認識についてですが、水資源は、本県の地域産業、地域社会の持続的な発展や県民生活の向上にとって重要でございまして、県としては、水の安定した利用が損なわれることがないよう、中華人民共和国を初めとした外国資本による水源地域の土地取引の動向について注視していく必要があると認識しております。
 中華人民共和国の水資源の乱獲に関する本県の状況についてですが、中華人民共和国が本県の水源地域を買収しているという具体的な動きは見られていないところですが、県内において、中華人民共和国に限ったものではございませんが、国内に本社のある外資系企業が森林を取得している事例がございまして、平成24年度以降で14件確認しているところでございます。
〇飯澤匡委員 中華人民共和国は今、とんでもない覇権主義を発揮して、2050年までには世界のナンバーワンになろうということで動いているわけです。私は非常に脅威だと思っていますし、中華人民共和国国内では土地を取得できないのです。そういう体制の国でありますので、投資目的ではありますけれども、海外に行って取得するような状況にあるということです。先ほどの答弁の中で中華人民共和国だけではないという話でしたので、本県もその辺はしっかり監視をしていただきたいと思います。
 そこで、質問に入りますけれども、令和2年度のこの条例を生かした取り組み、施策の実施状況についてお伺いします。
 毎年、報告書も私にお届けいただいて感謝しておりますが、年次ごとに大体予算も同じぐらいの規模で投下されているわけですけれども、令和2年度の取り組みはどうだったのかお知らせください。
〇尾形環境生活企画室企画課長 いわての水を守り育てる条例の活用状況ということで、令和2年度の取り組み、施策の実施状況について、県では、生態系の維持に配慮した河川整備や森林の環境の保全、農業水利施設を活用した小水力発電の導入など、水環境の保全や水資源の確保に向けた取り組みを実施しておりますほか、水生生物調査や環境学習など、水の価値を再認識するための取り組みなどを進めているところでございます。
〇飯澤匡委員 参考までに、令和元年度については、70事業について、予算がついている事業は53事業で154億円となっていますが、令和2年度はどのようになっていますか。
〇尾形環境生活企画室企画課長 令和2年度の予算事業は182億円でございます。
〇飯澤匡委員 先ほど答弁の中にありましたが、例年と違った活動状況等、報告するような事項があったならば、事業効果と課題についてお知らせいただきたいと思います。
〇尾形環境生活企画室企画課長 事業効果と課題についてですが、これまでの取り組みによりまして、公共用水域の水質汚濁の指標であるBOD等環境基準達成率は、全国平均を上回る状況が続いております。県内の水環境は良好な状態が保たれていると考えておりますが、このほか、令和3年度県の施策に関する県民意識調査では、自然に恵まれていると感じる割合は76.8%と高い割合を示しておりますので、これらの事業の成果があらわれていると考えております。
 一方で、小中学生の体験型学習の支援や指導などを行う環境アドバイザーの高齢化ですとか、率先して地域の水環境の保全を行う方々の固定化などが見られておりますので、若い世代や多様な主体による参加を促進していく必要があると考えております。
〇飯澤匡委員 私も大体同じような課題認識でございました。
 ホームページで確認しますと、予算的には大体200億円から150億円ぐらいで推移しているのですが、実はこれは農業土木予算です。ほとんど農林水産業に関する予算です。そういうことも関連して、合わせてこういう予算規模になっていると思うのですけれども、この条例の意図するところは、予算は多ければ多いほどいいということではなくて、やはり事業効果をうまく次世代に引き継ぐ形でやっていくというのが本意でございます。
 特に、今行っている水生生物の調査については、これは、報告書によれば参加者が全国でも2位から3位ぐらいの状況にあるわけで、ぜひともこのようなソフト事業をさらに展開していただいて、先ほど申し上げました、次世代に続く水のいとおしさであるとか、そういうものを肌で感じて、大人になっても、岩手県は非常にいいねと思ってもらう、そういう学習効果をあらわしていくというのがこの条例の本意でもありますので、その点についてはどのようなお考えでしょうか。
〇尾形環境生活企画室企画課長 先ほど申し上げたような課題に対して、県がどのように取り組むかということでございます。
 県では、地域で活動する環境人材の発掘と育成を行うためのいわて環境塾を開催しておりまして、将来の環境アドバイザーの候補にもなり得る若い世代の参加を図っておりますほか、環境学習交流センターによる出前講座等を開催しまして、学校や地域における環境学習を支援するなど、環境保全活動の活性化を図るとともに、県民に水の価値を再認識していただくような取り組みを進めているところでございます。
〇飯澤匡委員 毎年報告書をいただいているわけですが、報告書の中身自体もだんだんと定型化しているわけです。職員の方も二、三年で異動するわけでございますので、引継ぎの中で、前例でこうやっているということで、最低限といいますか、その点については報告書をつくるということですが、私は、10年も経過して、こういう管理型よりも創造型にしていくという工夫を、ぜひとも主管である環境生活部には求めたいと思います。
 具体的に申しますと、先ほど申し上げました水生生物の調査については、ぜひ全国で一番を目指して頑張っていただきたい。二番ではだめなのです。二番でいいなんてあり得ないですから。一番を目指して、こういうソフト事業を大きく展開することによって、岩手県の環境に対する意識がますます強くなるのではないかと思うのですが、その点、企画理事、いかがでしょうか。
〇石田企画理事兼環境生活部長 委員御指摘のとおり、水というのは本当に大事だと私も改めて感じているところでございます。それで、創造型の取り組み、全国で一番になるような取り組みというお話もございました。
 やはり我々県だけではできないところもございます。そこで、改めて、岩手が持つ森林であったり、そして、なぜこのように水をきれいに保全していかなければならないか、先人の苦労がわかるようなことをもう一度再認識した形で、それから、これからは再生可能エネルギーということで、水であったり森林というのは非常に強みであると思いますので、これらのことを市町村に伝えるとともに、意識を共有して、連携して、さらに頑張って取り組んでいきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 県教育委員会とも連携をして、ぜひとも来年の報告書には、新しい形での取り組みが発表できるように大いに期待しています。
 人口が減っていく中で、環境というワードは大変大事だと思っていまして、先ほどの太陽光発電のアセスメント問題も水資源とも密接にかかわってくるわけです。そういうこともあって、ぜひとも守り育てるということを主眼にした議員発議の条例ですので、その点をもう一度認識いただいて、新しい取り組みを期待したいと思います。
〇米内紘正委員 私からは、熊の人身被害の状況とその対策についてお聞きいたします。
 令和2年度は、全国でもかなり熊の出没情報がふえておりまして、統計開始以来最多となる熊の出没情報となりましたが、岩手県における令和2年度と今年度の出没情報、あと、人身被害の状況が昨年度、今年度どうなっているのか、それは全国の数値と比べてどういう状況かということをお聞かせください。
〇藤原自然保護課総括課長 熊の出没状況でございますけれども、令和2年度が3、316件でございました。本年度につきましては、9月末の状況としまして2、393件でございます。前年同期よりも476件減ということにはなっておりました。
 人身被害でございますけれども、御紹介のとおり、令和2年度は27件、29人という状況でございましたけれども、10月11日現在で、今年度につきましては14件、14名で、前年度比では10件少なく、被害の方も12件少ない状況でございます。
〇米内紘正委員 令和2年度、3、000件を超えるということで、お隣の秋田県が900件程度なので、比べると3倍以上ということです。岩手県における熊の出没状況、そして人身被害の状況も、昨年度で見ると全国でトップの被害が出ているということで、これはまさにハインリッヒの法則ではないですけれども、1件の重大事故の裏には30件の軽微な事故、そして、300件のヒヤリハットがあると言われております。このまま放置しておくと、本当に死亡事故が近いうちに起きかねない状況にあると思います。
 その中で、ツキノワグマの管理に当たっては、きちんと個体管理もしながら被害も食いとめていくという、大変難しいというか繊細なかじ取りが求められるわけです。
 現在、この個体数ですけれども、岩手県における推定個体数の推移と捕獲上限の推移についてはどのようになっているかお聞かせください。
〇藤原自然保護課総括課長 現在の推定生息数でござますけれども、令和3年度としまして、先般、熊の管理委員会を開きまして、全県で3、700頭いると推定しております。これは、前回が3、400頭と推定しておりましたので、300頭増加している状況でございます。
 あと、御紹介のありました保護管理の視点からの全県の捕獲上限数でございますけれども、こちらにつきましては、被害の状況等を踏まえまして、年々上乗せしているような状況でございます。
 それで、令和2年度で508頭と捕獲上限を定めておりまして、令和3年度は546頭とやはり上乗せしております。
〇米内紘正委員 この3、700頭、そして捕獲上限のところですけれども、その数値は、例えば3、700頭というのは、岩手県で安定した個体数を維持できる数値なのか、また、捕獲上限というのは、どう設定されているのか教えていただきたいと思います。
〇藤原自然保護課総括課長 3、700頭につきましては、前回から比較しまして300頭ふえている状況でございますので、やはり繁殖しているような状況でございますから、全体的に見て安定しているというかふえているような状況ではあると思っております。
 あと、捕獲上限数でございますけれども、こちらは委員会に諮って評価していただいているものでございますけれども、捕獲の頭数と繁殖率とか、あと、熊が維持できるような頭数であると判断をしまして、それに、専門的なことでございますけれども、係数を掛けて算出しているものでございます。
〇米内紘正委員 多分、捕獲上限は環境省からもいろいろあって、生息数の12%から15%という数字が上がっているのかと思います。
 もしわかればでいいのですけれども、他県の状況、例えば秋田県とかの推定個体数だったりは把握されていますでしょうか。
〇藤原自然保護課総括課長 秋田県から聞き取りしたところでございますけれども、令和2年度で4、400頭と報告を受けております。それに御紹介ありました12%を掛けますと、528頭が上限数となるかと思います。
〇米内紘正委員 ここで最初の数値に戻るのですけれども、昨年度も、岩手県は、秋田県の出没、目撃数の3倍以上です。秋田県の推定個体数が4、400頭、岩手県が、面積も広い中で3、700頭ということで、どうしてかと。人身被害の状況も秋田県の3倍以上です。秋田県より熊が少ないと推定されているのに。
 そこで、推定個体数の調査の仕方ですけれども、これはツキノワグマ管理検討委員会の中でもいろいろ議論があると思います。県では、今、小規模なヘアトラップを設置してというところですが、その数が足りないとか、あるいは10年に1回やっている大規模なヘアトラップをもうちょっと頻繁にやったほうがいいのではないかという議論があると思うのですけれども、この推定個体数の出し方、数値の取り方については現状のままでいいのかと。
 3、700頭が本当のところなのか、そこから捕獲上限が計算されるわけですから、この推定個体数を誤ってしまうと、全く、どんどんふえていってしまって現状と全く違う数字になってしまう。この辺は、今、来年度以降に向けて調査の仕方は何か考えていらっしゃったりしますか。
〇藤原自然保護課総括課長 秋田県と岩手県の推定個体数の出し方の違いですけれども、秋田県にお聞きしたところ、カメラトラップということで、熊の写真を撮って、ツキノワグマの月の形態によって個体が同じものかとか同系統かを判断されていると伺っております。
 本県の場合は、御紹介ありましたヘアトラップということで、有刺鉄線に熊の体毛がつくのですけれども、そちらをDNA鑑定いたしまして、系統などで推定頭数を出している状況でございます。
 このヘアトラップは、御紹介ありましたとおり、大規模と小規模がございまして、今回3、700頭を出しました大規模というのは、平成30年度から3カ年で実施したものです。箇所につきましても県内59地点です。延べ31基のトラップをつけてやっている大規模なものでございますので、信頼に足りるものかという御指摘もございますけれども、そのように科学的に検証して出した数字になっております。
 また、出没件数でございますけれども、秋田県と岩手県は少し違いまして、岩手県のものは、市町村から通報があったものですけれども、秋田県の場合は、警察に通報があった、届けがあったものだけとなっておりますので、単純には比較できないと考えております。
〇米内紘正委員 出没件数はそうですけれども、人身被害の状況といったところで、3倍以上の差が出ております。出没件数も結局推定個体数も、今、秋田県の例を出しましたけれども、秋田県と、前提もいろいろ違う、結果のところも違うというところで、ただ、そこの最初の前提のところを間違ってしまうと本当におかしな方向に、現実と全く違うところに行ってしまいます。
 もし、例えば、科学的に3、700頭が正しい、秋田県のカメラトラップによる推定個体数4、400頭も正しいということであれば、では、今度は、なぜ岩手県で人身被害が多いのかという議論になってくるわけです。
 そこにおいて、では、対策のほうに入ってまいりますけれども、人身被害の状況に、どういった対策を今考えてとっているか教えていただけたらと思います。
〇藤原自然保護課総括課長 人身被害の対策ということになりますけれども、まず、防除ですね。農家被害も結構多いものですので、農林水産部で所管しておりますけれども、電気柵でしたり、あと誘因物と申しまして、残渣みたいなものを除去する取り組みを進めているような状況でございます。
 また、やはり朝、普通に散歩されていても、出会って被害に遭うという偶発的なものもございましたので、そちらの部分につきましては、市町村でも広報で働きかけておりますし、当県でも、ホームページで、被害に遭われた場合には、その箇所とかも明記した形で情報発信に努めている状況でございます。
〇米内紘正委員 今年度の目玉といいますか、先月、9月、10月で行われたキャンペーンのお話もしていただけたらと思ったのですけれども。私も聞きました、ツキノワグマのRock‘n’Rollですね。すばらしい歌だと思いました。県職員の方がやっているということでちょっと感動したのですけれども、私も最後の、死んだふりも効き目はないぜ熊の顔から目を離すな。顔をそむけず後ずさりしろ。そうは言ってもまともに熊の顔を見ること出来るもんか。勇気のあるやつどれだけいるんだ。俺様だって怖くてできない。大変正直な歌で、おもしろいと思ったのですが、別に私はこれを否定するわけではないです。おもしろいので好きなので。
 ただ、ツキノワグマ管理検討委員会の中でも話に出ていたと思いますけれども、昨年度、令和2年7月に秋田県で設置されたツキノワグマ被害対策支援センター、これはまさに市町村からの相談をワンストップで受けて、しかも専門知識を持った方が、科学的知見に基づいて取り組み、対策を行うというのが効果を上げていると管理検討委員会の中で話があったと思います。
 そのキャンペーンもいいのですけれども、やはりデータ、エビデンスに基づく対策はとりやすい分野なのかと思うのです。しかも、今は熊だけ言っていますが、鹿だったりイノシシだったり、そのノウハウというか、展開できるところで、ここはやっぱり統計処理、統計解析しながら手を打っていけるところだと思います。
 だから、先ほどのどうして人身被害が出ているかというところもですけれども、もう分析されているかどうかですが、例えば、それが山菜をとりに行った方、キノコをとりに行った方がほとんどなのか。そうしたら、その方々に啓蒙啓発するしかありませんし、それがもし生活圏で起こっている事案なのであれば、それはもう有害捕獲という形で進めていくしかない。それがどの地域で起きているのか。単に推定個体数を上げて、捕獲上限を上げて、では、その捕獲上限を目標にしたところで、全然熊の被害が出ていないところとか山の奥のほうに入っていって熊を捕獲するというのは全く意味がありません。
 やはり科学的なところ、専門的なところをやっていかないと、本当に、むやみに捕獲するのは絶対によくないことですから必要だと思うのですけれども、その辺は今、どうやって県全体の状況を、誰がといいますか、どうなっているのか教えてください。
〇藤原自然保護課総括課長 捕獲上限のお話をいただいておりましたけれども、その部分につきまして、本県で特例許可と申しまして、市町村に迅速に対応できるように枠配分をしております。
 昨年度になりますけれども、374の頭数配分を行ったのですけれども、実際は、特例は273と活用されている部分もございますし、あと、狩猟も進めております。あとは、春季捕獲ということで、西和賀町とか八幡平市で、人の怖さを熊に教えるという形のものも伝統的にやっております。
 今回、次期計画を策定しておりましたが、それらの状況も踏まえまして、どのような対策を打てば被害を低減させることができるのかという部分について、検討していくこととしております。
〇米内紘正委員 最後に企画理事にお聞きしますけれども、私も、おとといから、しかもきょうは朝から、批判ばかりしてはいけないのだ、前に進まないのだということで街頭などにおいてお話ししているので、しっかりと提案いたします。
 やはり本当にこれは高度な専門知識が求められるところだと思いますので、2年交代で部署の異動があるなど、熊の生息数も10年、20年単位で動いていくものですから、秋田県ではないですけれども、そういった専門的知識を持った方が、市町村からの相談に乗って考えていくという体制が必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
〇石田企画理事兼環境生活部長 御提言ありがとうございます。今回、熊に関するそういう専門的な知識を持った方をというお話でございまして、実は、この熊と鹿については内部で議論しておりまして、ただいまのようなやりとりとか内容についても議論しております。
 これだけ市町村から要望があって、これだけ全国で被害が多いという中で、このままではないのではないかというお話。何も山の中に入って熊をとってくるということではないと。環境生活部とすれば、今まではどうしても熊は保護だということで、有害になると、どちらかと言えば農林水産部ということだったのですけれども、いずれ、熊については前に戻そうという話をしています。
 秋田県は、実際、委員のお話のとおり、対策強化をしております。それは、熊による被害が非常に甚大だということで秋田県はやっております。
 今回の管理計画の中では、まず、前に戻そうということで、これは個体数管理ということで捕獲を強化してまいりたいと思います。
 また、委員からお話のありました専門人材の育成について、もちろん育成はしていきたいと思いますし、その配置についても他県の例とかいろいろ参考にしながら研究してまいりたいと考えております。
〇小西和子委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時54分 休 憩

午後1時3分 再開
〇田村勝則副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 最初に、気候危機打開、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画についてお聞きいたします。今の気候危機と呼ぶべき非常事態の認識について、最初にお聞きします。
 国連IPPC─気候変動に関する政府間パネル、これは8月20日に報告書を出していますけれども、どのように受けとめているでしょうか。
〇菊池副部長兼環境生活企画室長 本年8月に公表されましたIPCC第6次評価報告書におきましては、人間活動が及ぼす影響が、大気、海洋及び陸地を温暖化させてきたことには疑いの余地がないと初めて断定しております。
 また、向こう数十年の間に温室効果ガスの排出が大幅に減少しない限り、21世紀中に地球温暖化は1.5度Cを超えることや、極端な高温、大雨の頻度の増加等が、地球温暖化の進行に直接関係して拡大することなど、科学的な知見を踏まえた報告がなされておりまして、改めて温室効果ガス排出削減は、喫緊の課題であると認識したところでございます。
〇斉藤信委員 第6次評価報告書の中には、こういう指摘があります。気候システム全般にわたる最近の変化の規模と気候システムの側面の現在の状態は、何世紀も、何千年もの間、前例のなかったものであると。まさに今、本当に非常事態だと。地球のいわゆる未来、人類の未来にかかわる重大問題。当然、国政の最重要課題でありますし、総選挙の争点にもなっていると思います。
 そこで、こうした気候危機というべき状況は、日本と県内にどのような深刻な影響を与えているか示してください。
〇菊池副部長兼環境生活企画室長 気象庁の報告書によりますと、日本の気候変動の状況は、年平均気温は100年当たり1.24度Cの割合で上昇しており、真夏日、猛暑日及び熱帯夜の日数が増加する一方で、冬日が減少している状況にございます。また、大雨、短時間での強雨の発生頻度は増加しております。それから、海面水温は100年当たり1.14度Cの割合で上昇するなど、さまざまな影響が見られるようになっているところでございます。
 本県におきましても、御案内のとおり、平成28年の台風第10号、令和元年の台風第19号による甚大な被害、それから、海水温の上昇によりまして秋サケの漁獲量が極端に減少するなど、県民生活や農林水産物にも深刻な影響を及ぼしていると受けとめております。
〇斉藤信委員 県議会の請願も踏まえて、達増知事が2月17日に、いわて気候非常事態宣言を発しました。私は時宜に適した宣言だと思います。ただ、宣言には、県民とともにこれまで以上に積極的に取り組むと、県民一人一人が、気候変動が差し迫った危機であることを認識して、ともに行動していくために宣言を発する、こうなっているのです。
 私は、まだまだ非常事態としての危機意識というのは県民に浸透していないのではないか、気候危機の非常事態に対して、県民、事業者に対する啓発の取り組みを抜本的に強化すべきと思いますが、どのように取り組まれているでしょうか。
〇菊池副部長兼環境生活企画室長 委員御指摘のとおり、本年2月にいわて気候非常事態宣言を行っております。県では、先ほど答弁申し上げましたとおり、気候が危機的な状況にあることを、県民が、人ごとではなくて自分ごととして捉えていただけるように、そして、県民一人一人が自主的に行動いただけるようにということで、例えば、いわて環境塾ですとか出前授業といったさまざまな機会を捉えまして、普及啓発に取り組んでおります。
 今後、非常事態宣言から1年を迎えることになりますが、改めまして、宣言の趣旨を県民の皆さんに浸透させて、できる限り多くの県民の皆さんを巻き込んでいくことができるよう知事からメッセージを発したいと考えておりますし、引き続き、温暖化防止県民会議などとの連携を図りながら、この危機的な状況にあることを自分のこととして考えていただけるように、県民への啓発に努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 それで、昨年、菅政権も遅まきながらカーボンニュートラルを発しました。しかし、自公政権の対策には、残念ながら四つの問題点があります。一つは、2030年までの削減目標が低過ぎる。これは、2013年比で46%削減。国連は、2010年比で45%以上削減、先進国は5割、6割削減を求めています。2010年比でいいますと42%になるのです。国連の目標よりも低いものになっている。二つ目の問題は、石炭火力の新増設、輸出を進めている。国連は、2030年までに石炭火力ゼロと提起をしています。そして三つ目は、原発依存。四つ目は、実用化のめどがない新技術を前提にしていると。こういう点では、2030年までの取り組みは全く不十分にとどまってしまうのではないかと私は危惧しますが、いかが受けとめていますか。
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 国の2030年度までの削減目標でございますが、国では、本年4月に、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指すことと、さらに、50%の高みに向け挑戦を続けるということを表明したところでございます。
 また、国では、これらの目標達成や2050年カーボンニュートラルの実現に向けたエネルギー政策の道筋を示すため、現在、エネルギー基本計画の改定を進めているところでありまして、計画素案において示された政策対応や電源構成につきましては、国の総合資源エネルギー調査会などにおけるさまざまな議論を経て出された結論であると承知しております。
〇斉藤信委員 日本共産党は、気候危機打開2030戦略を3年かけて、国内外の専門家の提言を踏まえて打ち出しました。2030年までに最大60%のCO2を削減すると。省エネルギーで40%、再生可能エネルギーは全体の50%に2030年までに引き上げるための具体的な提起も行いました。それを踏まえて岩手県の実行計画についてお聞きします。
 岩手県の2030年に目指す目標は、先ほども議論になりましたが、2013年比で41%削減、これは国の目標よりも低くなってしまった。私は、これは早急に見直すべきだと思いますが、いかがですか。
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 2030年度の県の削減目標につきましては、お話にありましたとおり、2030年度までに2013年度比で温室効果ガス排出量を41%削減することを目標として掲げております。この目標につきましては、国の施策と県独自の施策による削減可能量に森林吸収と再生可能エネルギー導入による削減効果を合わせて設定したものでございます。
 国では、本年度、温室効果ガス排出量46%削減の目標達成のために、地球温暖化対策計画の改定を進めているところでございますが、この計画で示される具体的な削減量の内容を精査し、本県の削減目標の見直し等を検討していきたいということでございます。
〇斉藤信委員 時間がないので、私が聞いた質問に簡潔に答えてください。前段は要らないから。
 見直しを検討するということで、わかりました。そこで、今の41%削減の目標達成に向けた具体的取り組みですが、省エネルギー削減の目標と具体的な計画、対策はどうなっていますか。
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 省エネルギー削減の目標と具体的な取り組みということでございますが、温室効果ガス排出削減割合41%の中で、排出削減対策25%がございます。再生可能エネルギー導入による削減効果7%、森林吸収削減効果9%を合わせての41%でございまして、排出削減対策25%、この中に省エネルギー削減の部分が入っております。この中では、省エネルギー対策の推進ということで、暮らし、産業、地域における省エネルギー化に取り組むこととしております。具体的には、家庭向けの取り組みといたしまして、住宅用の太陽光パネルや蓄電池設備の共同購入に対する支援など、あるいは事業者向けの取り組みといたしまして、中小事業者等を対象といたしましたLED照明、空調設備等の高効率省エネルギー設備の導入への補助などに取り組んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 省エネルギーは25%だと。これが高いか低いかという議論は、きょうはしませんけれども、私はちょっと不十分なのではないかと。
 そして、この気候危機は、努力目標ではだめなのです。2030年までの目標というのは必ずやらなくてはならない、そういう目標です。そうだとすれば、裏づけのある具体的計画でなくてはならない。
 例えば、私は施策の推進指標を見たのですけれども、省エネ住宅ストック率、これは省エネ住宅の基準がはっきりしないのです。もう一つは、長期優良住宅の割合、これは2025年までしか出ていませんけれども、9.3%から15.0%。住宅用の太陽光発電設備導入件数、これは基準が2万9、145件から2025年は3万8、500件です。しかしながら、2022年というのは全然変わらない2万9、700件なのです。どこまでやったらどれだけのCO2排出量になるのか。あなた方が言う41%の削減、省エネで25%の削減になるのか。これは、具体的にどこでどれだけやるとして県民の協力を得なければだめです。
 例えば長期優良住宅、これは国土交通省もやっています。そして、実はもっと新しい、国土交通省が最近、これは10月20日に出したのですけれども、2030年までに新築される住宅、建築物について、ZEH、ZEB基準の水準の省エネ性能新築戸建て住宅は6割にするということになっています。これは新しい提案だと思いますけれども、そういうものを一つ一つ積み上げて、そして、それを実行するための必要な支援策も示すことが大事だと思うのです。
 もう一つは、何よりもCO2削減の一番大きなのは産業です。では、県内の産業でそれぞれの企業はどういう目標を持ってやるのか。イギリスでは国と企業が協定を結んでいるのです。自治体と企業も協定を結ぶぐらいのことをやって、どれだけのCO2削減を2030年までにやるのか。それで裏づけをとらなかったら、これは努力目標にしかならない。そういう目標を私はしっかりと定めるべきだと思いますけれども、いかがですか。
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 目標につきましては、実行計画で立てている目標でございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、現在、国でも策定しております計画の内容を踏まえまして、今後、検討していきたいと思っております。
〇斉藤信委員 私が注目しているのは、再生可能エネルギーには、電力自給率が現在は34.4%ですけれども、これは2030年に65%まで引き上げると、大変意欲的な目標です。この説明は、事業計画を踏まえて、2025年には53%、2030年には65%となっています。この事業計画の根拠を示してください。
〇田村勝則副委員長 執行部は答弁できますか。
〇菊池副部長兼環境生活企画室長 再生可能エネルギーの導入目標でございますけれども、2019年の現状を押さえまして、以降、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスと、実用化が見込まれるものについて積み上げたということでございます。
〇斉藤信委員 だから、ここには事業計画を踏まえこの目標を設定したとなっているのです。その事業計画を聞いたのですけれども、すぐ出なかったら、もう時間がないのでね。きちんと水力、そして太陽光、地熱と示していただきたい。
 そして、私は、このところの最後ですけれども、一つは、全庁的な推進体制をつくる必要があると。住宅であれば県土整備部、そして企業局もかかわります。全庁的な推進体制。もう一つは、事業者や県民の協力が必要です。いわば啓発のための県民会議ではなくて、実行計画を推進する県民会議。宣言を出した知事を本部長にした推進体制が必要だと思いますが、いかがですか。
〇菊池副部長兼環境生活企画室長 委員御指摘のとおり、気候変動に対する取り組みは、当部に限らず、省エネ住宅であれば県土整備部、産業部門での導入に関しては商工労働観光部と、関係部局と連携して取り組むべき内容でございます。県では、現在、地球温暖化対策推進本部を設けておりますが、これまでの今定例会での議論でも、来年度の重点施策のテーマとしてグリーン社会の実現を一つ掲げております。その取り組みに向かいまして、現在も関係部局で来年度どういった取り組みをするかを詰めておりますので、そういった中で具体の施策を検討してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 気候危機打開は、岩手県が全国に先駆けて取り組む、そういう課題だと私は思いますので、ぜひ私の提案を正面から受けとめて体制を構築していただきたい。
 もう時間がないので、最後、県央ブロック広域ごみ処理計画について。進捗状況はどうなっているか。そして、実はこの間、新たな焼却場の予定地が決められました。しかし、その根拠になったのは地元住民の意見書でした。ところが、地元の町内会で議論した形跡が全くないのです。そして、この地元、これは土淵地域活動推進協議会ですけれども、こういうことを言っているのです。ごみ焼却施設の焼却方式は、溶融炉方式とすることを絶対的条件に掲げていますと。住民団体が焼却施設のこんな内容まで踏み込んで提案すること自身、異常だと思いますけれども、溶融炉では私は金がかかり過ぎる。そして老朽化が早いのです。そういうことについてお答えいただきたい。
〇佐々木資源循環推進課総括課長 まず、お尋ねの進捗状況でございますが、令和3年3月24日に開催された県央ブロックごみ・し尿処理広域化推進協議会において、盛岡インターチェンジ付近を整備予定地として選定し、地域住民や関係者に対して、地域振興、まちづくりなどを進めていくことを説明していると承知しております。
 続きまして、地域住民の同意についてでありますが、委員御指摘の点については、詳しくは盛岡市から聞いておりませんが、地域への説明は、事業主体の盛岡市などが丁寧に説明すると考えております。また、溶融炉方式、施設の規模等については、今後、6市町で協議して決められていくものだと認識しております。
〇斉藤信委員 残念ながら、地元の町内会に問い合わせをしても、どんな議論をしたかという回答がなかった。本当に一部の人たちで合意をつくって、その文書を見て私はびっくりしましたけれども、溶融炉が絶対条件だと。これは変な何かがかかわっているのではないかと思われるぐらいの中身ですよ。私は、ごみの減量、リサイクルにも逆行すると思うので、これは県も環境アセスメントをやってしっかり対応するようにしていただきたい。
〇柳村一委員 地球温暖化対策について、私からも関連してお聞きします。
 今、副部長から、グリーン社会への取り組みということで庁内横断的に取り組んでいるということでしたけれども、内容的にどういう議論がなされているのかお伺いします。
〇菊池副部長兼環境生活企画室長 来年度当初予算の編成に向けまして、三つの重点テーマが設定されております。その中の一つがグリーン社会の実現でございまして、それを来年度どういった施策をやるのかというものについて、関係部局の職員が集まって現在詰めている、検討を進めているものでございます。
〇柳村一委員 これは、地球温暖化対策という枠組みの中で横断的にやっていることなのでしょうか。
〇菊池副部長兼環境生活企画室長 地球温暖化対策、もっと広い意味でのグリーン社会の実現ということのテーマのもとに、現在、検討を進めております。
〇柳村一委員 もっと広い意味でと。温暖化対策だけに注力すると、どうしても狭い、できることは何かということになるので、横断的な意見はもっともっとやられるべきことだと思うのですけれども、令和3年3月29日に更新された、環境省の地方公共団体における地球温暖化対策の推進に関する法律の施行状況調査で岩手県を見てみると、県は、それこそ第2次の計画を立てて一生懸命やってはいるのですけれども、ほかの市町村の取り組みがいいところと悪いところがあるのです。県が音頭を取ったとしても、今度、市町村がついてこなければ県全体の温暖化対策が進まないと思うのですけれども、その辺、環境生活部としては市町村に対してどのような形のアプローチをしているのでしょうか。
〇菊池副部長兼環境生活企画室長 委員御指摘のとおり、県だけが旗振りをしても、市町村、それから県民の皆さん、先ほど来の議論の中でございましたが、県民一人一人の意識に訴えることが必要だと考えております。市町村に対しては、市町村がつくる計画策定の際、我々がお手伝いといいますか支援する。その検討会議に入るとか、あるいは、具体の例といたしましては、毎年度、市町村自立・分散型システムの構築などについて検討する場合に、補助金をことしも1市町村にお出ししておりますが、そういった形で、市町村も一緒にやっていけるようにということでのお手伝いをしているところでございます。
〇柳村一委員 県としては、県民に対して周知活動とかいろいろな啓蒙活動をしているのですけれども、やはりそこに住んでいる住民の方々からすれば、市町村が身近な自治体であります。そこでこういう具体的なことをやってくれとか、そういう啓蒙活動をしない限りは、住民全体の地球温暖化対策に対する意識が上がってこないと思います。ですので、県で立派な計画をまとめるのもいいですけれども、市町村と一生懸命連携して、もっともっと対策を構築してもらいたいのですけれども、その辺の考えをお伺いして、終わります。
〇菊池副部長兼環境生活企画室長 委員の御指摘はまさにそのとおりでございまして、住民にとって最も身近なのはやはり市町村でございますので、市町村も県とともに一緒にやる。それから、先ほど答弁で申し上げました県民運動の県民会議がございますが、そういったことで、あらゆる産業、事業者、教育など、行政を含めて一体的に総合的に取り組むことが必要でございますので、県だけではなく、市町村を含めまして、一緒になって取り組んでまいりたいと思っております。
〇木村幸弘委員 私からは、まず、水道施設の管理についてお伺いしたいと思います。
 今般の決算において、水道施設耐震化等推進事業費でございますけれども、市町村等への補助金によって、耐震化対策として実施された事業内容について伺いたいと思います。また、現在までの耐震化率と管路更新率についてもお示しください。
〇新沼県民くらしの安全課総括課長 耐震化に係る補助事業の内容等でございますが、水道水の安定供給及び水道事業の経営安定化を図るため、令和2年度は、盛岡市など13市町村等が実施する浄水施設や配水池、管路の耐震化といった33事業に対し、国の交付金を活用し補助したところでございます。
 耐震化率について、水道水の安定供給を確保する上で重要な役割を果たす水道の基幹管路の耐震適合状況をあらわす耐震適合率は、令和元年度、本県は49.5%となっており、全国平均の40.9%を上回っている状況でございます。
 水道管路の総延長に対する当該年度に更新した水道管路延長の割合をあらわします管路更新率については、令和元年度、本県は0.93%となっており、全国平均の直近数値は、平成30年度でございますが、0.68%となっているところでございます。
 なお、水道管の法定耐用年数である40年で全ての水道管を1回更新するケースを想定し、さまざまな状況を考慮せず、必要な更新率を機械的に計算した場合は、年2.5%となるところでございます。
〇木村幸弘委員 更新に向けて中長期的な計画的な取り組みが大変重要になってくるわけでありますけれども、全体としての耐震化率や管路更新率、目標的には、この数値がどのように評価されているのでしょうか。先ほど、耐用年数40年の計算で更新率は年2.5%というお話がありましたけれども、その方向から言うとどのような評価をされているのかお伺いします。
〇新沼県民くらしの安全課総括課長 耐震化の適合率の関係でございますが、耐震化の適合率につきましては、年々、県でも市町村に対しまして補助事業を実施して、着実に伸びているところでございます。
 また、管路の更新でございますが、管路の耐用年数は40年でございますが、40年たったところで全てがだめになるわけではない状況でございますので、その辺の状況を見きわめながら、更新が必要なところに適切に手当てをして更新を行って、重大な漏水事故等が起こらないようにしていくところが大事だと認識しております。
 先ほど、計算上2.5%というところでお話をさせていただきましたが、全国的な統計を見ても、1%とか、そういったところが全国的な上位の更新率になっておりますので、繰り返しになりますが、管路の状況を見きわめて、使えるものは使いながら必要な手当てをしていくことが重要と考えております。
〇木村幸弘委員 まず、いろいろと具体的な取り組みが本当に中長期的な視点から必要だということがよくわかりました。
 次に、去る10月3日ですけれども、和歌山市の六十谷において水管橋の崩落事故が発生しました。厚生労働省は、水管橋の点検、修繕等の通知を発しまして、都道府県に対して、和歌山市の事例のつり材などの補強による補剛形式というのですか、この形式の水管橋の設置状況をまとめ報告することを通知しております。
 改めて、本県における水管橋について、水道事業者、市町村等を含めて、その管理をしている箇所、そして、安全点検の状況がどのようになっているのかについてお伺いします。
〇新沼県民くらしの安全課総括課長 水管橋の安全点検の状況でございますが、今月3日に発生しました和歌山市の水管橋破損を受けまして、委員御紹介のとおり、国が全国の上水道事業者を対象に緊急調査を実施したところでございます。この調査の対象となった補剛形式―水道管単体では強度が不足するために、つり材等の補強材を用いて強さを補う形式―の水管橋でございますが、県内に64カ所と把握しております。
 国は、今後、水管橋の設置年度や点検状況などについても追加調査を行う予定であり、県としましては、この調査を通じて県内の水管橋の詳細な状況を把握するとともに、大臣認可事業者に対する国の対応を注視しつつ、知事認可事業者に対する指導等を適切に行ってまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 水道事業者については、いずれ、国の認可によるものと県の認可によって管理、監督指導を行う部分があるわけですけれども、今、御答弁いただいたように、国の認可に関連する事業者を含めて、十分に各事業団体と県とでこの状況については把握しながら、そして、安全管理の徹底等については、ぜひ取り組みを進めていただきたいと思っております。
 あと、今回の事故を受けて、これは厚生労働省でも対策としていろいろと推奨してきたという意味で、複数保持を意味いたしますリダンダンシーという取り組み、いわゆる、一つの水管橋ではなくて、複数保持によって片方が何らかの支障を来した場合でも、それを補うことができるようにするという考え方に立った取り組みなどが厚生労働省でも推奨されてきたと聞いております。そうした対策について、本県の場合にはどのような状況や、あるいはその取り組み方針があるのか、あわせてお聞かせください。
〇新沼県民くらしの安全課総括課長 まず、和歌山市の水管橋破損を受けて、県としての今後の対応でございますが、令和元年10月の水道法改正によりまして、水道事業者等が行うべき水道施設の維持及び修繕に関する規定が設けられたところでございます。また、水道法施行規則にもその基準が定められたところでございます。
 法改正の趣旨や、今般、和歌山市で発生した水道橋破損の状況を踏まえまして、今後は、知事認可事業者に対しても、立入調査等を通じて水道施設の適切な管理を働きかけてまいりたいと思っております。
 また、万が一、断水した場合、複数ルートを確保しておいて、一方がだめになっても別のルートを使ってというようなところは、水道の安定供給を図る上では重要なことだと考えております。補助事業等の相談が市町村からあった際には、そういった点も含めながら、適切にアドバイスをしていきたいと考えているところでございます。
〇木村幸弘委員 いずれ、ライフラインとして何か事故があった場合に非常に大きな影響を与えるものですから、ぜひ、しっかりと取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、動物愛護管理法に基づく立入検査と指導についてであります。
 6月定例会の一般質問において、動物取扱業者に対する令和元年度の立入検査の実績を伺いました。その結果は、255の事業者に対して、延べ268回の立入検査を行い、勧告や措置命令等の行政処分事案はないということでありました。まずは、令和2年度においては、動物取扱業者に対する立入検査の実績と検査方法について、具体的にどのような手順により実施しているのかお伺いします。
〇佐藤食の安全安心課長 動物取扱業者に対する立入検査の実績と立入検査方法についてでありますが、令和2年度は、259の事業者に対し、延べ177回立入検査をしたところでございます。
 県が実施する動物取扱業者への立入検査については、通常、事前連絡を行い、事業者の立ち会いを求めた上で、個体の管理状況であるとか業種に応じた飼養環境、施設基準への対応状況といったものを確認して、必要に応じ、改善を求めるなどにより指導を行っているところでございます。
〇木村幸弘委員 そこで、令和2年度については259事業所に対して177回ですから、1回平均にならないわけです。そして、通常の検査ということで、事前通告制に基づいて立ち会いを求めるということで、業者にすると、ある程度準備を整えて迎え入れるという対応が可能になるわけです。
 今回、一般質問で取り上げた後、いろいろな関係者から御意見や声が寄せられました。立入検査がそもそも事前通告に基づくもので、果たして日常の実態把握に資する対応と言えるのかということで疑問の声が寄せられました。場合によっては事前通告なしでの検査を行うなど、さらに適切な実態の把握に努める必要があるのではないかと考えます。そういった意味での指導や改善方法を検討する必要があると思いますけれども、今後の対応方針についてお伺いします。
〇佐藤食の安全安心課長 事前通告によらない立入検査についての考え方と今後の対応方針についてでありますが、昨年施行されました改正法では、不適正飼養に対する指導の拡充措置などについても規定が設けられたところであり、県では、基準を満たさない不適切な状態を放置し、速やかに改善する意思がないような悪質な事業者に対しては、検査の実効性を高めるために、事前連絡なしに立入検査を実施し、勧告、命令、取り消し処分といったものを行っていく、厳格に対応していくというところで考えております。
〇木村幸弘委員 今の答弁だと、では、最初にどうやって悪質な事業者を特定するのかということになります。つまり、悪質な事業者をどういう形で把握して、そして、事前通告なしの立入検査につなげるのかと考えたときに、最初のプロセスとして、立入検査を事前に通知して、向こうは十分それを迎え入れられるような状態の中で検査を受けるわけですから、正直言って、悪質かどうか、なかなかきちんと押さえることができない。したがって、後に、さらに事前通告なしでという判断基準にそもそもつながらないのではないかと思いますけれども、その辺が手順として、全体の中で抜き打ちを含めてそういった対応が必要ではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
〇佐藤食の安全安心課長 悪質な事業者というくくりで御説明いたしましたが、例えば、事前連絡によらず立ち入ったケースといたしまして、苦情に基づいて事業者に立ち入ったケースは実際にございます。
 それから、今回の法改正は、数値規制が設けられたことが一つ目玉になっておりますが、これが、現在営業している事業者に関しましては、来年の6月から完全施行されるという状況です。その中身は、ケージであったり、従業員の数、これは来年を見据えて既に指導を徐々に行っていくべきものとなりますので、そういった指導にどのように対応するかという意味では、そこに前向きに取り組む事業者もあれば、なかなか改善ができない事業者がいますので、そういったところで、場合によっては、実効性を高めるために事前通告なしの立ち入りなども実施していきたいという趣旨でございます。
〇木村幸弘委員 わかりました。いずれ、改正法に基づく取り組みをしっかりと履行できるように、今後も万全の対応をぜひお願いしたいと要望して、終わります。
 それから、追加で通告しておりました質問を最後にお尋ねします。
 NUMO、いわゆる原子力発電環境整備機構の主催で、高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する対話型の説明会を全国各地で行っているわけでありますが、先般、私もインターネットで知ったわけですけれども、今月27日に盛岡市のアイーナで対応型全国説明会が開催されると聞きました。県では、この開催についてどのように承知をし、あるいはどのような対応をしておられるのかお伺いしたいと思います。
 それから、あわせて、この間にもこういった説明会等が本県の中でも行われていると記憶しておりますけれども、改めて、本県における開催の経過についてもお示しください。
〇黒田環境保全課総括課長 お尋ねの高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する対話型全国説明会ですが、原子力発電環境整備機構―NUMOと資源エネルギー庁が、平成29年より全都道府県において開催しているものでございます。開催場所につきましてはNUMOが独自に選定しております。令和3年度につきましては、5月の名古屋市を皮切りに全国16カ所で順次開催中でございまして、その中に盛岡市が含まれているという状況でございます。
 我々としましては、こちらの説明会について、特に県としてタッチしている部分はございません。独自に行われているものでございます。
 なお、本県におきましては、過去、今月を含めると3回開催されております。1回目が平成29年11月に盛岡市、平成30年10月に釜石市、そして、今回が3回目ということでございます。
 なお、本県では、こうした岩手県議会の場、そのほかさまざまな機会におきまして、この高レベル放射性廃棄物最終処分場を受け入れる意思がないことを説明してきております。
〇木村幸弘委員 この件については、2017年の7月に公表されました、いわゆる科学的特性マップに基づいて、全国で説明会が行われております。昨年10月、北海道の寿都町、神恵内村ですか、全国で初めて文献調査の受け入れ表明がされて、住民と道を巻き込んで物議を呼びました。いずれにしても、今、御答弁いただいたように、本県の対応については明確になっているわけでありますけれども、改めて部長に、県としての姿勢を再度確認させていただいて、質問を終わりたいと思います。
〇石田企画理事兼環境生活部長 本県ではこれまで、さまざまな機会を通じまして高レベル放射性廃棄物最終処分場の受け入れについては明確に拒否をしておりまして、今後もこの姿勢は変わらないと考えております。
〇小林正信委員 私からは、NPOに関する支援、特に被災地で活動されるNPOの支援は、復興防災部の審査でもお聞きしましたが、環境生活部でも行っていると伺っておりまして、NPOの支援の状況について、まずお伺いします。
〇高田特命参事兼連携協働課長 被災地で活動するNPO支援の状況でございますが、県では、多様化する被災地ニーズに対応するため、内閣府の交付金を活用しまして、NPO法人や一般社団法人等が行う、行政では手の届きにくいきめ細やかな復興、被災者支援の取り組みに対し、平成23年度から活動費の補助を行っており、令和2年度までに188件、約7億800万円を補助しているところでございます。
 また、活動資金や人材の確保など運営基盤の強化に課題を抱える団体が多いことから、県のNPO活動交流センターを中心としまして、被災地で活動するNPO法人等を対象に、会計、労務管理などの組織運営に関する講座や、クラウドファンディングなど資金調達に関するセミナーの開催等により支援を行ってきたところでございます。
 今後も、NPOが被災地において復興支援活動や、多様化、複雑化する地域課題の解決に向けた活動に継続的に取り組めるよう、NPOや被災地のニーズの把握に努め、支援を行っていくこととしてございます。
〇小林正信委員 復興も年月がたって、少しずつNPOの活動も減ってきているという気もしておりまして、令和2年度は、被災地におけるNPOの補助件数が令和元年の11件よりも4件減って7件と落ちておりますけれども、この要因についてはどのようにお考えなのかお伺いしたいと思います。
〇高田特命参事兼連携協働課長 これまでの補助事業の内容を見ますと、時間の経過とともに少しずつ変わっていると思っております。例えば、心のケアの面では、直接被災者の悩みや相談を受け付ける傾聴活動、被災者同士が語り合うサロン活動など、地域単位の比較的狭いエリアでの事業を多く実施されてきていたものですが、被災地の施設整備も進みまして、近年では、ミュージカルなど市民参加型の舞台とか、または学生が企画運営する地域映像祭といった文化芸術に通じた心のケアなど、より広域的な活動となる例が多くなりまして、活動の幅が厚みを増している分、応募件数等も減ってきていると推測しているところでございます。
〇小林正信委員 わかりました。先ほどのお話でもNPOを支えていく取り組みをお伺いいたしましたので、安心いたしました。
 そして、来年から施行される労働者協同組合法ですが、宮城県の被災地では既に協同労働の取り組みが行われていると。6月定例会での名須川晋議員への答弁では、NPOから協同労働への移行が見込まれるというお話がありました。被災地支援においては協同労働の推進が有効と考えておりますけれども、御所見についてお伺いしたいと思います。
〇高田特命参事兼連携協働課長 被災地におけるNPOから協同労働への移行でございますが、令和2年12月11日に公布されました労働者協同組合法により、組合員が出資し、それぞれの意見を反映して組合の事業を行う新たな法人形態としまして、労働者協同組合が法制化されたところでございます。
 同法は、令和4年10月1日に施行予定でございますが、主務官庁が厚生労働省、県の所管部局は商工労働観光部でございますが、被災地で復旧、復興の担い手としまして、また、地域ニーズに応じた課題解決に取り組む新しい組織体の一つとしまして活動が期待されているところでございまして、NPO法人から移行する団体も想定されるところでございます。
 今後、商工労働観光部と連携しまして、県内のNPO法人に対しまして、労働者協同組合法制度の周知を図るとともに、国から示されている予定の移行に係る事務手続の研修会等を実施するなど、NPO法人から移行する場合に支援を行ってまいりたいと思っております。
〇小林正信委員 ぜひ、この取り組みについても、移行や支援について庁内連携でやっていただきたい。
 次に、子供、若者支援についてですが、子ども・若者育成支援推進法に基づいて、岩手県においても子ども・若者自立支援ネットワーク会議を設置し、年に数回開催していると承知しております。令和2年度の取り組みとこれまでの成果、また、コロナ禍によって今後の取り組みも変化してくるかと思いますけれども、今後の取り組みについてのお考えをお伺いします。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 子ども・若者自立支援ネットワーク会議についてでありますが、社会生活を円滑に営む上での困難を有する子供、若者への支援を効果的に実施することを目的に、平成28年12月に、子ども・若者自立支援ネットワーク会議を設置しております。
 この会議では、毎年度、青少年育成にかかわる県内の教育、福祉、保健、医療、雇用、更生保護等の機関に加え、民間の青少年支援団体が参加しており、令和2年度におきましては、会議の中で、各機関、団体の取り組み状況に関する情報交換を行ったほか、研修会を年に4回行い、各機関、団体における取り組みの充実を図っております。
 近年の子供、若者をめぐる状況といたしましては、情報メディアに起因するトラブル、若年無業者―ニート、ひきこもりなど、問題が複雑化、多様化していることから、今後もこの会議を初めとした顔の見える関係づくりの中で情報交換をしてまいりたい。また、新型コロナウイルス感染症などで子供、若者が受ける影響というようなものに関しましても、ここの会議の中で情報交換をいたしまして、引き続き、本県の子供、若者支援の充実を図ってまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 このネットワーク会議と連携して、県でも子ども・若者総合相談センター事業がございまして、困難を抱える若い世代に対する相談体制を敷いております。令和2年度のセンターの取り組み状況とこれまでの成果について、あと、コロナ禍で子供、若者を取り巻く環境が厳しさを増して、相談支援の重要性もますます大きくなるものと感じています。
 佐賀県の子ども・若者総合相談センターでは、相談を受ける県民の立場から、困難を抱える子供や若者に対し、アウトリーチ、訪問支援を実施して、子供や若者だけでなく、その家族もあわせて包括的に支援する取り組みを行って大きな成果を出しています。
 今後、複合化、複雑化する子供、若者の悩み、生きにくさなどに対し、相談センターの取り組みも拡充、充実させなければならないのではないかと考えておりますけれども、そのあたりの御所見をお伺いします。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 子ども・若者総合相談センターでございますけれども、こちらは、アイーナの青少年活動交流センター内の青少年悩み相談室を、子ども若者育成支援推進法に基づく子ども・若者総合相談センターとして位置づけておりまして、青少年やその保護者等からの相談に対応しているところでございます。
 この活動内容として、相談内容によっては、相談者からの同意を得た上で、各種相談機関につなぐことにより問題解決を図るなどしております。
 子ども・若者自立支援ネットワーク会議による研修は、相談対応に関する知識の習得などを行っているところですが、関係機関の参加などを通じまして、支援者、相談員の資質向上等に努めているところでございます。
 子供、若者を取り巻く情勢が刻々と変化しているようなところもございます。先ほどのネットワーク会議の中でも、若年無業者、ひきこもりであるとか、さまざまな問題はございます。一方で、若者サポートステーションであるとか、そういった青少年の自立支援などを行っているような事業、これも雇用関係であるとか教育関係、さまざまなところと連携しながら取り組んできているところでございます。
 この子ども・若者総合相談センターの拡充などについて委員から御提案ございましたけれども、お話のありました例なども参考にしまして、今後、研究してまいりまして、子供の関係機関と連携して、子供、家族の支援に取り組んでまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 よろしくお願いします。
 次に、LGBTの理解促進についてですが、社会における認知度は進んでおりますけれども、日本での法整備はまだ進まないという中で、早稲田大学特命教授のロバート・キャンベルさんは、当事者として、LGBTの権利保護が単にマイノリティーの問題だけでなく、社会全体にかかわる視座を忘れないでほしいと。自分と異なる特徴を持つ人を排除せず、穏やかに一緒に過ごせる社会を築くことは、不登校やひきこもりといった問題の解決にも通じると述べており、LGBTの理解の促進は、多様性を認める社会の構築に重要なものと思っております。
 県の理解促進の取り組み、これまでの取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 性的マイノリティー─LGBT等の理解に関する取り組みについての御質問でございますが、本県では、岩手県男女共同参画センターにおいてLGBT相談を設けております。現に県内でお困りの方、悩みを抱えている方の相談に対応するということを行っております。
 また、LGBT─性的マイノリティーの状況やニーズに対する理解を深めるため、昨年、令和2年度に、多様な性のあり方を尊重するための職員ガイドラインを策定いたしました。これを基に、行政及び関係機関の職員を対象とした研修に使えるものと考えています。
 いずれにせよ、男女共同参画センターであるとかLGBTの支援に携わっている方々の御意見なども聞きながら、今後も取り組んでまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 性的マイノリティーの方々の生きづらさは、例えば、性的少数者のパートナーが事故などで病院に運ばれた際、これは、パートナーだけれども家族ではないという理由で連絡が来ないなど、すぐに状況を知ることができなかった、そういった事例とか、そういうことで性的指向や性自認の違いで、さまざまな場面で対応の差が生じているという状況があると思います。こうしたことのないように、同性パートナーシップ制度が群馬県や茨城県、佐賀県などで導入されております。
 岩手県におけるパートナーシップ制度の導入について、御所見をお伺いしたいと思います。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 同性パートナーシップ制度でございますけれども、全国の基礎自治体など、同性のカップルを公的に認めるパートナーシップ制度の導入がされているところもございます。都道府県単位では、今のところ把握している範囲で、五つの道県がパートナーシップ制度等を導入していると認識しています。これも、お困りの方、生きづらさを抱える方を支援していくという趣旨で取り組まれている制度と考えております。
 本県におきましても、そういった生きづらさを抱えている方の支援につながるような支援のあり方などにつきまして、このパートナーシップ制度は、結構、市町村、基礎自治体というようなところで、取り扱い等についてもいろいろ苦慮、検討しているところもあると聞いておりますので、そういったところとも連携しながら、今後研究してまいりたいと思っております。
〇小林正信委員 五つの道県では、県がパートナーシップ制度を導入したことによって、市町村にも波及していくといったところが見受けられますので、ぜひ、県としての判断というかリーダーシップも発揮していっていただきたいと思っております。
 次に、先ほど木村委員から動物愛護について質問がございましたが、私は、動物愛護センターについてお伺いしたいと思います。
 平成29年11月に盛岡市との共同整備の方向を打ち出した。その後、動物愛護センター整備検討協議会が設置されて、平成30年4月には基本構想を策定、公表しました。その後さっぱり動きがなくなってしまった。
 協議会はこれまで何回開かれたのか、令和2年度はどういった話し合いがなされたのかというところをお伺いしたいと思います。
〇佐藤食の安全安心課長 動物愛護センター整備の検討に係る協議会の開催ですが、令和2年度におきましては1回開催しております。ただ、検討に関しましては、その下部組織のワーキンググループを複数回開催し、検討を進めているところでございます。
 令和2年度の整備検討協議会の内容につきましては、現在も検討を進めている候補地に係る内容ということで開催したところでございます。
〇小林正信委員 その候補地ですけれども、基本構想には、交通アクセスがよい場所で、鳴き声や臭気等、周辺環境への影響が少ない場所であることという点が示されております。アクセスがよくて周辺に気を使わなくていい場所というのは、なかなか都合のいい場所がないのではないかということで、基本構想の中でこれは矛盾していますね。それで話が進まないのではないかと思っておりますけれども、必要な施設面積は3、500平方メートル、1、000坪ぐらい。そして、整備費は5億円から6億円。
 県は、整備の候補地の目星はもうつけているのか。盛岡市はどこにしたいと言っているのか。盛岡市の考え、また、予算の確保について、予算の確保という点で話が進まないのか、そのあたりのことをお伺いしたいと思います。
〇佐藤食の安全安心課長 整備候補地につきましては、県、盛岡市におきまして、県、盛岡市が保有している未利用資産といったものを中心に掘り起こし作業を行っているところで、まだ検討中という段階ですので、明確にどこが候補地、どこが有力、そういったところも含めて検討している最中でございます。
 県、盛岡市におきましても、まだ検討中ということなので、具体的な場所まではお示しすることは困難ですけれども、いずれ、基本構想に沿った形での候補地選定に向けて検討をさせていただいております。
〇小林正信委員 動物愛護センターができるとなったとき、動物愛護にかかわる皆さんは、やってくれるのだという思いで本当に喜ばれて、それ以来、3年、4年ぐらい、一体どうなっているのかという状況でございます。これは、いつまでにやるという目安とか目標をしっかり持ってやっていただかないと、いつまでたっても、候補地はどこなのだ、静かでアクセスがいいところというのは一体どこになるのかですけれども、それが全然進まないのではないかと思うのです。県としては、いつまでにやる考えでいらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
〇新沼県民くらしの安全課総括課長 動物愛護センターの今後の見通しでございます。先ほど食の安全安心課長から答弁申し上げましたが、候補地を含め、全体の費用とか、さまざまな問題があるところでございます。我々としても、平成30年に基本構想をつくりまして進めているところでございますが、委員御指摘のように、アクセスがよくて、でも、周りに迷惑をかけない場所は、では、どこなのだというところもございます。
 そういったところを念頭に、課題を解決するために盛岡市といろいろ知恵を出しているところですが、なかなかそこの最適解を見つけられないような状況でございます。基本構想をなるべく早目にとは思っておりますが、現実的なところも考えると難しい状況があり、今の時点で明確にいつを目標にということはお答えできかねるところでございます。
〇田村勝則副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇田村勝則副委員長 質疑がないようでありますので、これで環境生活部関係の質疑を終わります。
 環境生活部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、労働委員会事務局長に労働委員会関係の説明を求めます。
〇藤田労働委員会事務局長 労働委員会関係の決算につきまして御説明申し上げます。
 お手元の歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げますので、恐縮でございます、258ページをお開きください。
 第5款労働費のうち、3項労働委員会費が当委員会が所管するものでございます。予算現額の計1億1、656万円余に対しまして、支出済額は1億1、457万円余でございます。
 支出の内訳でございますが、1目委員会費の支出済額の2、849万円余は、委員15名分の報酬及び旅費など、労使紛争の解決を図るための労働委員会の運営に要した経費でございます。2目事務局費の支出済額の8、607万円余は、事務局職員の人件費及び旅費など、事務局の管理運営に要した経費であります。
 以上で労働委員会関係の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇田村勝則副委員長 ただいま説明に対し質疑はありませんか。
〇名須川晋委員 それでは、質問をさせていただきます。
 労働相談の現状と課題についてということで、特に昨年来から新型コロナウイルス感染症が非常に猛威を振るっておりますけれども、これについて、その内容等も変わってきたのではないかと思いますし、また、現実として、その相談のあり方についても、なかなか対面の相談ができない状況にあるかと思いますが、その点について状況をお知らせください。
〇谷藤審査調整課総括課長 コロナ禍における労働相談でございますけれども、労働相談は、先般の岩手緊急事態宣言の際は、対面する労働相談を控えて、電話のフリーダイヤルによる相談に一時切りかえてございますが、一月ほど一時休止したことはございますが、それ以外は通常どおり労働相談に対応させていただいているところでございます。
〇名須川晋委員 そこで、業種別とか雇用形態別、年齢別、地域別等々あるかと思いますが、これに、今、通告はしていないのですが、男女別とかまでおわかりであれば、その状況等をお知らせいただければと思います。
〇谷藤審査調整課総括課長 労働相談の現状につきまして御説明させていただきたいと思います。
 令和2年度に労働委員会が受け付けた労働相談は406件で、令和元年度の350件に比べて16%増となっているところでございます。
 雇用形態別の件数で申し上げますと、正規雇用が111件、非正規雇用が161件で、非正規雇用からの相談件数が令和元年度に比べ49%増となっているところでございます。
 年齢別でいきますと、40代から60代の相談者が多い結果となってございます。
 地域別では、県央広域振興圏、それから県南広域振興圏が多く、全体の9割を占めている状況でございます。
 なお、業種別で申しますと、具体的に相談では詳細の業種まではなかなか把握することが困難でございますけれども、把握できた範囲で申し上げますと、飲食、生活関連を含めたサービス業が最も多く、次いで医療、福祉関係の相談が多いという形になってございます。
 男女別につきましては、男性が44%ほど、女性が54%ほど、その他組合等が2%ほどという割合になってございます。
〇名須川晋委員 やはり非正規雇用の部分が多くなっているということと、前年比16%増ということで、かなりコロナの影響が労働委員会にもあらわれている実態なのかと思います。
 また、個別労働紛争とか労働争議の状況について、もし状況が手元にありましたら、お知らせいただきたいと思います。
〇谷藤審査調整課総括課長 昨年度の紛争関係の処理件数でございますけれども、昨年度は、個々の労働者と事業主との紛争の新規受け付けの件数が5件、令和元年度からの繰り越しとなっていた案件が1件ございまして、計6件について対応したところでございます。
〇名須川晋委員 件数が非常にふえているということで、しかも、1カ月ほどは電話による相談、対面できない状況ということで、相談する側ももどかしい状況にあったのではないかと思いますが、関係団体との解決に向けた取り組み、連携についてはどのようになっておりますでしょうか。
〇谷藤審査調整課総括課長 関係団体との連携についてでございます。
 平成14年度から、岩手労働局が事務局となりまして、労働委員会、それから、岩手弁護士会、法テラス、岩手県社会保険労務士会等の関係機関で構成いたします岩手労働相談・個別労働紛争解決制度関係機関連絡協議会を組織しておりまして、各制度の運用状況について情報交換をしながら、労働相談やあっせん制度の周知等で連携しているところでございます。
 平成25年度からは、当委員会が予約の窓口となりまして、同協議会の構成機関と連携した合同労働相談会なども実施しておりまして、今年度も10月に盛岡市で開催したところでございます。
〇名須川晋委員 ちょっと質問が戻りますけれども、非正規雇用の方も多くなってきていると。新型コロナウイルス感染症関係ということで、具体的にその中身について何点か挙げていただければと思います。
〇谷藤審査調整課総括課長 新型コロナウイルス感染症関連の相談の事例といいますか、そちらで御説明させていただきたいと思います。
 例といたしまして、賃金、手当であれば、従業員の家族が新型コロナウイルスに感染したため、当面休業するよう事業者から指示があったが、休業手当の支払いが滞っているというような内容。それから、これは休日、休業関係でございますが、PCR検査の対象となったが、保健所から仕事復帰について問題がないと言われ、会社に報告したところ、しばらく休むよう有給休暇の取得を強要され、それについて納得できないなどの相談が来ているところでございます。
〇名須川晋委員 50件ほどふえているということですから、そういう事例が多々、先ほどの米内紘正委員がおっしゃった何とかの法則、一つの事故の中には30の小さい何とかがあって、300のヒヤリがあったという、まさに氷山の一角であったと思います。
 実際、昨年2月に事務所を県庁外に移動して、朝日生命盛岡中央通ビル、前の岩手復興局が入っていたビルに移っておりますけれども、ここに対する評価はどういうものなのか。働く人にとっては、何となくきれいなオフィスで働きやすいとは思うのですけれども、3階ですか、一般の相談に来る方にとっては、そこで相談するかどうか、ちょっと私、勉強不足であれなのですが、なかなか敷居が高いのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
〇谷藤審査調整課総括課長 事務所を県庁外に移動したことに対する評価でございますけれども、県では、東日本大震災津波の発災以降、県庁舎内の人員増と組織体制の整備に伴う執務室の再配置が行われたことに伴いまして、独立性の高い労働委員会については、令和2年2月から盛岡市中央通の朝日生命盛岡中央通ビルに移転し、執務を行っているところでございます。
 執務室自体の機能は県庁舎と大きく異なるものではございませんが、現ビル内には医薬品、飲料などの民間企業や行政機関も入居していることから、事業活動を通じた県民の往来もあり、紛争の解決支援を行う機関として、そういった意味では広く認知されやすくなっているかと感じているところでございます。
 また、労働相談で御利用いただく方々については、原則として予約制で対応させていただいておりますので、そういった点では問題がないかと考えております。
〇名須川晋委員 岩手県は広大な県でございますけれども、県全域をカバーするための取り組みについてお知らせいただきたいと思います。
〇谷藤審査調整課総括課長 労働問題の解決に向けた全県域をカバーするための取り組みでございますけれども、労働委員会では、県内各地域における労働問題の解決支援を行うため、事務局職員によるフリーダイヤルによる労働相談のほか、県北・沿岸地域を含めた県内11市町村に委員が出向いて行う出前無料労働相談会を年13回ほど実施しております。そのほか、ホームページ、市町村広報、ツイッター等の多様な媒体で周知を図りながら相談会を実施しているところでございます。
 また、各広域振興局に配置している就業支援員にも、労働相談のフリーダイヤルやあっせん制度等を周知しておりまして、労働委員会制度の活用を促すとともに、相談事案の内容に応じ、最寄りの労働局を案内し、相談をつなぐなど、関係機関とも連携し、労働問題の解決につながるよう配慮しながら相談の対応に努めているところでございます。
 また、個別の労働者からのあっせん申請があった場合においても、申請者や事業者の要請に基づきまして、委員が現地に赴いてあっせんを行う現地あっせん、それから、必要に応じて夜間あっせんなどの取り組みなども行っているところでございます。
〇名須川晋委員 個別の相談内容を追求すると、大きな行政の県政の課題にも、ほかの部署にもかかわる課題なのかなということで、そこも連携をする必要があるかとは思いましたが、労働委員会は、なかなかかた苦しいイメージがあると思われます。行政委員会の中でも、人事委員会とか労働委員会というのはちょっと難しい、とっつきにくいようなところがあるのではないかなと思いまして、永遠の課題だとは思いますが、相談をしたい、不満があるということが県民にあっても、どこに相談したらいいのかわからない方が多数いると思うのです。
 そこで、もうちょっと敷居を低くするような、親しまれやすいと言ったらちょっと違うかもしれませんけれども、PRもやわらかく、敷居の低い組織としてもうちょっとアピール方法を検討されてはいかがかと思います。そろそろ状況はよくなってきたかもしれませんが、特に、こういうコロナ禍で、相談されたい方はまだまだ多数いらっしゃるはずですので、その辺のPR方法、今後の体制についてお伺いいたします。
〇谷藤審査調整課総括課長 労働委員会のPRについてでございますけれども、労働委員会では、各委員が労働法やワークルールなどを県内の高校や大学に出向いて啓発を図る出前講座という取り組みも行ってございまして、それに合わせて、労働委員会の制度の周知ですとか労働相談の機会ですとかを活用するような、そういった出前講座などの取り組みも行っているところでございます。
 また、あわせてホームページやSNSなども使って情報発信をしているところでございまして、こういった取り組みを今後についても強化してまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 多くの方々が非常に大変な状況に陥っている、その氷山の一角がたまたま労働委員会に相談をされたということだと思いますので、ぜひとも、しっかりとそういう県民の状況を把握されて日常業務に取り組んでいただきたいと思いますが、藤田事務局長に伺ってもよろしいですか。
〇藤田労働委員会事務局長 御案内のとおり、私ども労働委員会は、中立、公正な立場で仕事を進めているということでございまして、また、別の言い方をすると、県民の皆様にとりましては、公益委員、労働者委員、使用者委員という三者の構成で、それぞれのお立場で、相談された方に対していろいろとアドバイスをするという特性と申しますか特長がございます。
 県民の皆さんにとりましては、労使─労働者、使用者のどちらにも偏りがなく、中立、公正が担保されて、それぞれの立場を理解して、専門的な知識を持った委員の皆様が15名いらっしゃいますが、アドバイスをして、当事者に寄り添って話をしていると我々も感じておりますし、これが県民の方が労働委員会制度を利用する最大のメリットだと考えております。
 今、委員御指摘のございました敷居が高いでありますとか県民の皆様が相談しやすい環境ということにつきましては、委員の皆様も私ども事務局も同じ問題意識でございまして、今、検討を進めているところでもございます。
 今後につきましては、身近で利用しやすい労働委員会となるように、15名の委員の皆様方をサポートしながら、県民の皆様のニーズに応えるような労働相談、そしてまた紛争の解決等に努めてまいりたいと考えてございます。
〇田村勝則副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇田村勝則副委員長 質疑がないようでありますので、これで労働委員会関係の質疑を終わります。
 労働委員会事務局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
〇田村勝則副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時31分 休 憩

午後2時52分 再開
〇田村勝則副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、商工労働観光部長に商工労働観光部関係の説明を求めます。
〇岩渕商工労働観光部長 令和2年度の商工労働観光部関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、総括的な取り組みと今後の取り組み方向についてでございますが、当部では、いわて県民計画(2019〜2028)に基づき、東日本大震災津波で被災した中小企業の本設移行を初めとした復旧、復興の支援などに取り組むとともに、活力ある産業のもとで、安定した雇用が確保され、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事につくことができる岩手の実現に向けまして、ものづくり産業の一層の集積促進や人材確保の取り組みの充実、移住、定住の取り組みの推進などに取り組んでまいりました。
 今後も、人口減少の進行やDXの進展といった状況を十分に踏まえつつ、計画の着実な進捗に努めてまいります。
 また、新型コロナウイルス感染症対策につきましては、市町村と連携して実施した家賃補助を初め、新型コロナウイルス感染症対策資金や地域企業経営支援金などの資金繰り支援、また、買うなら岩手のものバーチャル物産展や、地元の宿応援割などの需要喚起策を展開してまいりました。
 ワクチン接種が進み、現在は全国的にも感染状況が落ちついておりますが、第6波の到来も危惧されており、今後におきましても、感染状況の変化等に的確に対応しつつ、関係団体等と連携し、また、現場の声を対策に反映するよう努めながら、引き続き中小企業者の事業の継続と雇用の維持に向けて、資金繰り支援や需要喚起策、新しい生活様式に対応した本業支援を連動しながら進めてまいります。
 以上、令和2年度の総括的な取り組みと今後の方向についてでございます。
 続きまして、決算の概要について御説明申し上げます。
 令和2年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開き願います。
 一般会計歳出における商工労働観光部の決算は、2款総務費のうち4項地域振興費の一部、5款労働費のうち1項労政費、2項職業訓練費、14ページに参りまして、7款商工費1項商工業費、2項観光費、16ページに参りまして、11款災害復旧費のうち2項商工労働観光施設災害復旧費でありますが、これらの予算現額は2、379億6、376万円余、これに対する支出済額は1、941億1、828万円余、翌年度繰越額は62億3、908万円余、不用額は376億639万円余であります。
 次に、38ページをお開き願います。中小企業振興資金特別会計でありますが、予算現額は、歳入歳出それぞれ37億353万円余であり、これに対する収入済額は36億4、086万円余、支出済額は35億1、221万円余であります。
 以上で商工労働観光部関係の決算についての説明を終わります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇田村勝則副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇高橋はじめ委員 ただいま、商工労働観光部長からも報告がありましたが、令和2年度商工費歳出におきましては、新型コロナウイルス感染症対策貸付金169億8、900万円余、同感染症対応資金貸付金661億6、700万円余、このほか、地域企業経営継続支援事業費補助23億267万円余等と、1、000億円ぐらいに上る支出が行われております。
 しかし、新型コロナウイルス感染症がこれまでおよそ2カ月サイクルで山あり谷ありの波を形成し、ようやく現在は第5波が谷を迎えているという状況であります。また、年末年始にかけて第6波が来るのではないかと、今、部長の話ではありましたが、そういう予測もされております。
 これまで、全国的に緊急事態宣言あるいはまん延防止等重点措置などにより、外出自粛あるいは活動自粛、県境を越えての移動自粛などが行われ、サービス産業、飲食業、宿泊業、旅行業、運送業などのほか、第3次産業を中心に経済的な大打撃に襲われ、第1次産業、第2次産業にも波及している状況にあります。
 そのような中、冒頭で述べたような経済支援策が実行されてまいりました。それらを検証しながら、つなぎで補正予算等がこれからも組まれていくものと思われますし、また、令和4年度の予算編成へと向かうものと思っております。
 そこで、何点か現状の分析と今後の取り組みについて伺いたいと思います。
 まず初めに、県内の景況を知る上で、事業者の現状についての調査について伺います。
 9月分の新型コロナウイルス感染症に伴う事業者の影響調査が10月18日に手元に届きました。その内容は、景況調査540者、回答539者中、影響が継続している425者、78.8%、前年9月比売り上げ41%以上減が32.3%。中でも81%から100%減のほぼ売り上げがない事業者も4%発生しているということであります。
 中の2ページに真っ赤っかのグラフがありますね。赤は危険信号と言われておりますので、かなりの業種で危険信号の域にあるのではないかと思っております。この調査結果について、まずは、岩渕部長の所感を伺いたいと思います。
〇岩渕商工労働観光部長 県内の新型コロナウイルス感染症に伴う事業者の影響調査の結果でございますけれども、これは、昨年3月から継続して実施しておりまして、これまでの傾向を見ますと、前年あるいは前々年と比較して40%以上売り上げ減少しているというのを、41%減を我々は大きな減少と思って見ておりましたけれども、去年からずっと20%台で推移しておりまして、全国的な感染拡大があると30%を超えていくというように非常に大きな影響があって、これがもう1年半を超えて継続しております。
 こういう中で、事業者の置かれている状況は極めて厳しいと思っておりますし、また、この調査のほかにも、新型コロナウイルス感染症に係る経済金融連絡会議などを開催いたしまして、金融機関等や商工指導団体からも話を聞いております。当初は資金借り入れによって何とか賄っていたのですけれども、それが手元に残らない、残高がなくなっている事業者もふえているような話を伺いまして、そこの資金的な支援、条件変更とか償還猶予みたいなこともやっていかなければいけないということで、その辺も金融関係と意識を統一して積極的にやっていこうということにしております。実際、今置かれている状況は、緊急事態宣言とかがあった首都圏とかと同じくらいに厳しいものと認識しております。
〇高橋はじめ委員 まさに真っ赤っかのグラフの状況と同じ認識ということでございます。
 この調査でありますけれども、この表紙には、商工会議所及び商工会の会員の2%を調査対象に調査票を配布、それから聞き取りにより実施したとあります。調査対象が2%、ちょっと少ないと思っておりましたが、岩手の飲食業界を守る会から県議会の議長宛てに、ことしの2月19日に、新型コロナウイルス感染症対策の強化を求める要望書が来ておりました。県に対しても多分要望書が届いているのではないかと思っております。
 この中には3項目の要望が記載されております。内容は、減収、時短、休業等に対する補償。雇用維持に対する給付金等の支援。真水による大規模な支援を国に強く要望をと。そして、数%程度を対象としたアンケート形式の調査ではなくて、事業の現場を実査しての実態把握について鋭意取り組み、刻々と変化する状況に即した対応策を打ち出してもらいたいとの悲痛な声も記載されております。
 そこで伺いたいのですが、現在の商工会議所及び商工会の会員の2%調査に加えまして、影響の大きい業種における細部調査を実施すべきではないかと思うところでございます。例にしますと、飲食業、宿泊業、旅行業、小売、卸売業、あるいはサービス業、こういったものについて、2%と言わずに少なくとも10%ぐらい、できれば3分の1ぐらいの調査ができればいいのですけれども、そしてまた、事業委託の調査だけではなくて、直接県も調査に加わって年に数回やるべきではないかと思っております。
 事業現場の実態把握、実態調査は大変重要でありますので、これについてどのように取り組みをされているのか。以上2点について、まとめてお伺いしたいと思います。
〇阿部経営支援課総括課長 二つのお尋ねをいただきました。新型コロナウイルス感染症に伴う事業者の影響調査のことについて、まずお話をいたします。
 毎月行っている新型コロナウイルス感染症に伴う事業者の影響調査でございますが、必要な支援策を適時適切に立案するため、県内事業者への影響を定点観測的に把握することを目的として実施しております。
 一月の中で調査結果を取りまとめ分析、そして報告書作成まで速やかに行う必要がありますことから、業種が偏らないように配慮した上で、会員の2%に当たります500社程度を抽出し、アンケート調査をさせていただいているものであります。
 委員から今御指摘のありました飲食業や宿泊業など、特に影響が大きい業種の方々につきましては、それぞれ事業者や団体などから、個別にその時点の業況や意見などを聞き取りいたしまして、施策に反映させているところでございます。
 また、これらの実態調査、実態把握をどのようにということでございますが、やはり現場の生の声をお聞きし、施策に反映することが大変重要でございます。我々も商工会議所、商工会等の商工指導団体が行います窓口相談あるいは巡回指導等に要する経費を増額して措置しておりますし、また、商工指導団体におきましても、事業者の個別の課題に応じて専門家を派遣するなど、きめ細かに対応しているところであります。
 こういった現場の生の声につきましては、定期的に報告を受けるとともに、商工指導団体や金融機関等で構成します、先ほど部長も答弁いたしました経済金融連絡会議などの場を通じまして情報共有を図り、施策立案の参考とさせていただいております。
 加えて、各地域の状況につきましては、広域振興局を通じ、また、業種ごとの状況につきましては、各組合を所掌しております岩手県中小企業団体中央会などを通じて、業種ごとのいろいろ厳しい状況などの把握に努めているところでございます。
〇高橋はじめ委員 きめ細かな調査をしているようにお見受けいたしますが、いずれ現場の生の声を聞かなければならないということであれば、そういう調査をする段階に、政策立案する側の方々も同行していただいて、そこで実際の生の声を意見交換しながら聞いていく必要もあるのではないかと。又聞きの又聞きの又聞きでありますと、現場の実態が少しずつ欠けていって本当の実態がわからないということもありますので、大変でしょうが、今月はこの業種、来月はこの業種とか、そのところを手分けしながら実態を把握して、政策立案に役立てていただければと思っております。
 次に、県内事業者への経営支援についてでありますが、国の経済対策も、残念ながら通常国会は1月から6月ということで、どちらかというと国会開会中の単発的な予算みたいな感じがするわけです。できれば、秋にも臨時国会を開催して、半年単位ぐらいの体制でさまざまな状況に応じた予算を編成していただければいいわけでありますが、このような予算の編成のあり方で、新型コロナウイルス感染症も収束すればいいわけですが、今のところはずっと継続して起きているということでありまして、この収束しない状況に鑑みまして、事務の煩雑さもありますけれども、半年単位あるいは1年単位で支援を考えていく必要があるのではないかと強く思うところであります。
 そしてまた、現状での支援策は果たして成果が出ているのか。それから、特に真水と言われる支援が求められておりますので、そういった面では、支援策が生きているのかどうかということを、事業者からの声を吸い上げていかなければならないと思うところであります。
 そこでお伺いしますが、令和2年度内における国及び県の経営支援事業について、どのような成果があり、どう評価をしているのか。それから、同様に年度途中でありますけれども、令和3年度における現状での成果と評価についてお尋ねしたいと思います。
〇伊五澤商工企画室企画課長 令和2年度の経営支援状況について、まず御説明させていただきます。
 令和2年度につきましては、事業者の事業継続と雇用の維持を図るため、資金繰り支援や感染症対策に要する経費の補助、県産品の消費拡大、観光需要の喚起など、感染防止を徹底しながら経済社会活動を支える取り組みを進めてきたところでございます。
 例えば、資金繰り支援として行っていた新型コロナウイルス感染症対応資金の融資実績は1万1、817件、1、894億円余、それから、市町村と連携して実施した家賃補助の補助実績は、支給件数が7、863件、市町村への補助額が8億円余りとなっておるところでございます。
 また、需要喚起策として行っていた岩手県民を対象とした泊まるなら地元割クーポンのトータルでの利用実績は約20万枚、5億円余、それから、専門のオンラインショップで県産品の消費拡大を図る、買うなら岩手のものバーチャル物産展には、192社が出店し、1億7、000万円余の売り上げがあったところでございます。
 これらの支援策は、県内事業者の影響調査や現場の声を聞きつつ、国の支援事業の実施状況も踏まえながら制度設計しまして、市町村や商工指導団体等と連携しながら展開してきたところでございます。事業者の事業継続に一定の効果があったものと考えているところでございます。
 次に、令和3年度の経営支援事業についてでございますが、今御説明したような令和2年度の経営支援事業の実施結果を踏まえつつ、商工指導団体等を通じて、現場の声を聞きながら制度をさらに設計し、資金繰り支援や需要喚起などの取り組みを進めているところでございます。
 例えば、資金繰り支援として行っている新型コロナウイルス感染症対策資金の融資実績は、9月末現在で441件、額にして47億円余となっております。あと、真水の支援ということで、地域企業経営支援金につきましては、令和2年度岩手県一般会計補正予算(第7号)で措置したものの支給実績が、7、460事業者、8、479店舗に対して30億9、000万円余、令和3年度岩手県一般会計補正予算(第2号)及び令和3年度岩手県一般会計補正予算(第6号)で措置したものの支給実績が、10月1日現在でございますが、2、810事業者、3、144店舗に対して9億円余の支給となっているところでございます。
 また、需要喚起策として行っている、いわて旅応援プロジェクトにつきましては、4月16日から8月14日宿泊分まで実施しまして、その利用実績は延べ約45万1、000人、執行額については約28億円となっているところでございます。
 いわての食応援プロジェクトにつきましては8月2日から第2弾を始めまして、10月19日現在で、参加店舗数が1、941店、販売数が約12万冊、額にして6億円余となっているところでございます。
 飲食業や観光産業を初めとする事業者を取り巻く環境は、今もって厳しい状況が続いているところでございます。こうした経営支援事業は、いわて飲食店安心認証制度などの感染対策施策とあわせて実施することで、感染症の影響が長期化する中での事業者の事業継続に寄与しているものと考えております。
〇高橋はじめ委員 さまざまな事業の現状についてお尋ねしました。
 もう少しで年末を迎えるわけでありますが、1年で最後の書き入れどきという年末でありますけれども、昨年も大変厳しい状況で、ことしもこのままではまた厳しい状況が続くと。ちょっと早いのですが、これに対する対応策を何か検討されているのかどうか、現状での内容をお伺いしたいと思います。
〇阿部経営支援課総括課長 年末に向けた経営支援につきましては、先ほど部長からも御答弁申し上げましたとおり、金融機関等が参加しました会議の中で、飲食、宿泊業で特に手元資金が減少しておりまして、今後の資金繰りが懸念されるという声が寄せられたところであり、我々としましても、改めて、償還猶予等の条件変更に柔軟に対応することを確認するとともに、年末に向けましては、岩手県信用保証協会や商工指導団体を含め、関係機関が連携して取り組んでいくこととしたところであります。
 加えて、厳しい経営環境に置かれていらっしゃいます県内事業者の方々の年末の資金繰りを支援するために、県が相談窓口として毎年12月に設置しております年末商工金融110番につきまして、今年度は、例年より1カ月早く11月1日から開設することで、資金繰りに不安のある事業者の方々に早目早目の相談を促してまいりたいと考えております。
 また、先ほど委員からもお話がありましたけれども、国におきまして、新たな経済対策の策定に着手していると伺っております。その動向を注視するとともに、可能な限り県独自の対策も早急に行いながら、国に対しましては、引き続き、持続化給付金や家賃支援給付金の再度の支給のほか、ゼロゼロ融資の再開など、必要な財政支援を並行して強く働きかけていきたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 次に、雇用維持、再就職への支援についてお尋ねします。
 コロナ禍による売り上げ減少に伴い、事業の縮小あるいは閉鎖も出てきているようであります。コロナ禍における事業縮小や閉鎖、雇用調整、希望退職等はどのような現状にあるのか、また、今後の推移をどう捉えているのかがまず1点。2点目には、退職者の生活支援、再就職支援はどうなっているのか。以上、まとめてお伺いいたします。
〇田中雇用推進課長 コロナ禍における事業縮小等についてでございますけれども、令和3年9月に県が実施しました、新型コロナウイルス感染症に伴う事業者の影響調査によりますと、通常どおり営業が77%、営業時間を短縮が21.7%、休業が1.3%ということで、約23%が時短営業なり休業をしているという状況でございます。
 また、厚生労働省が公表しております新型コロナウイルスに関連した雇用調整の状況については、令和2年5月から令和3年10月15日までの累計で、本県の雇用調整の可能性のある事業所数は1、906事業所、解雇等見込み労働者数は1、024人となっております。
 これまで全国的な感染拡大に伴いまして、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化しておりますことから、県内企業の事業縮小や従業員の解雇、雇いどめ等の情報につきましても注意深く見ながら、必要な対策等は検討してまいりたいと考えております。
 あと、退職者の生活支援についてでございます。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、退職された場合には、雇用保険の求職者給付を受給することができるほか、休業等により収入の減少があり、緊急かつ一時的な生計を維持する場合には緊急小口資金、失業等により生活に困窮し、日常生活の維持が困難な場合には総合支援資金の借り入れが岩手県社会福祉協議会から受けられ、さらに、償還時において、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯については、償還が免除できることとなっております。
 また、解雇や雇いどめとなった労働者等の早期の再就職に向けて、ジョブカフェいわてや県内9カ所の地域ジョブカフェにおきまして、カウンセリングやセミナーの開催により、きめ細かな個別支援を行っていくほか、各地区のハローワークと連携して就職相談会や全県を対象とした就職マッチングフェア等を開催するなど、再就職支援に取り組んでまいりたいと考えております。
〇田村勝則副委員長 この後、7名の方が予定されております。質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
〇高橋穏至委員 私からは2点ですが、まず、移住、定住促進についてお伺いします。
 令和2年度、新型コロナウイルス感染症拡大による影響はどうだったのか。この件に関しては、2月の予算特別委員会のときに質問しておりまして、この影響でなかなか目標達成が難しいようだということに対して、その対策を講じながら取り組んでいくという答弁がありました。その取り組み状況、そして、今年度の取り組み状況についてお伺いします。
〇安藤定住推進・雇用労働室長 まず、令和2年度の新型コロナウイルス感染症の拡大による影響についてでございますが、県及び市町村の相談窓口の移住相談件数は3、643件と令和元年度と同程度ではあったものの、全国規模の移住相談会やイベントの中止などの影響を受けまして、市町村において移住相談件数が減少している状況にございます。
 また、移住、定住者数につきましては1、318人と、令和元年度より128人増加したものの、県内の有効求人数が令和元年度比マイナス20.9ポイント、7万人以上減少したことの影響ですとか、県境をまたぎ住居を移動することを控えるといったこともございまして、いわて県民計画(2019〜2028)の政策推進プランの目標値を下回ったところでございます。
 こういった状況に対しての対応ということでございます。基本的に、コロナ禍ということで、オンラインも活用しました移住相談会の実施ですとか、岩手県の暮らしに関する情報発信の強化に取り組んできたわけでございます。それに加えまして、まず、相談体制の充実が必要だろうと考えておりまして、東京都のいわて銀河プラザの中に設置しております岩手県U・Iターンセンターでは、これまでの電話、メール、対面、オンラインでの相談対応に加えまして、毎週土曜日にいわてU・Iターン就職相談会in東京の開催、それから、毎月第3水曜日にいわてU・Iターンお仕事帰りの相談会、時間延長しての対応でございますが、こういったものを開催するなどしまして相談機会の拡大を図っているところでございます。
 また、県内でU・Iターン就職相談に対応しておりますいわてU・Iターンサポートデスクの相談員を1名増員いたしまして、就職相談や職業紹介の体制強化を図っております。
 さらに、市町村と連携して実施いたします県主催の移住イベントにつきましては、新型コロナウイルス感染症の状況を見ながら、オンラインと対面とを組み合わせて実施するといった工夫を行っております。
 それから、移住者に対する支援ということでございますけれども、これまで、東京23区に居住、通勤していた方に対しまして、移住支援金制度によりまして、引っ越しなどの移住に係る初期費用を支援してきたところでございますが、これに加えまして、東京23区以外の東京圏から移住した39歳以下の若者に対する、いわて若者移住支援金制度を本県独自で創設いたしまして、移住、定住者及びU・Iターン就職者の増加に向けた取り組みを進めてきているところでございます。
〇高橋穏至委員 そういった対策を講じて、今のところ、予定していたような形で相談件数が伸びているか、あるいは実際の実績につながっているか、特に、お盆中は、岩手緊急事態宣言によって、また、もっと困難な状況になってきたわけですが、その辺はどうなのでしょうか。
〇安藤定住推進・雇用労働室長 8月末現在の数字でございますけれども、県への移住相談件数は約1、000件ということで、前年度の同時期と比べますと約3倍、それから、市町村への相談件数は、6月末現在の数字でございますけれども、約497件、これは前年度の同時期に比べますと1.5倍を超える相談件数となっております。
 また、就職支援機関を通じてU・Iターン就職した方が581名、これも前年度を上回るペースとなっております。
〇高橋穏至委員 前年より成果を上げているということで、その点については安心したわけです。
 次の項目に移るのですけれども、実は、U・Iターン相談とか、そういった受け入れ体制の支援で数字を上げていこうという取り組みはいいのですけれども、肝心の岩手県内の働き先の問題があるのではないかというのは、別の委員からもこれまで指摘がありました。
 その働き先の部分について関係するのですが、3月の予算特別委員会で、高校生、大学生等の県内就職について取り上げたのですが、特に、千葉絢子委員もお話ししていたとおり、女性の働き先がしっかりあるのか、その状況はどうなのかということで、岩手労働局とかハローワークでは、高校生については男女別の統計をとっていないということで、これは、やはり戦略的には調べる必要があるのではないかという質問をさせていただいたのです。市町村と連携しながら調査するという答弁があったわけですが、今、どうなっているでしょうか。
〇田中雇用推進課長 県内高校生の県内就職状況の調査についてでございますけれども、その後、いろいろ確認いたしまして、文部科学省が実施した令和3年3月新規高等学校卒業者の就職状況に関する調査の中で、本県の令和3年3月に就職した高校生の状況が掲載されております。本県の令和3年3月に就職した高校生は2、747人、うち、男性が1、662人、女性が1、085人となっております。
 男性のうち、県内就職者は1、119人、67.3%で、県外就職者が543人、女性のうち、県内就職者が826人、76.1%で、県外就職者が259人となっており、男性より女性のほうが県内就職の割合が高くなっている状況でございます。
〇高橋穏至委員 こういう数字が出てきたわけですけれども、女性のほうが高かったということでちょっと意外だったのですが、あと、これをさらに県内に定着させるために、高校生の希望調査といいますか、どういう職種につきたいか、例えば、私の住んでいる県南地域では、ものづくりを中心に雇用の場というか就職の場を展開しているわけですけれども、そういった高校生のニーズ、あるいは大学生もそうですけれども、そういった希望みたいなものはとっていますでしょうか。
〇田中雇用推進課長 高校生の就職に関するニーズでございますけれども、直接の職種ではございませんが、就職先を決める上で重視することで聞いております。高校生につきましては、一番大きいのが労働時間、休日、休暇の条件がよい、続きまして、企業の雰囲気がよい、3番目として仕事の内容、職種という状況でございます。また、大学生につきましては、同様に、労働環境、労働時間、休日、休暇の条件がよい、あとは賃金の条件がよいと、高校生と同様の傾向になっております。
〇高橋穏至委員 そうしますと、高校卒業段階では、女性もしっかり男子生徒よりも県内に残っているという、このデータですとそうなっているのですが、では、なぜこの年代で女性のほうが県内から県外に出ているのか。就職ではないとすると、これは進学の部分で出ているのかなとか、今度また総合的に調査して対策を考えていかなければならないのかなと。てっきり私は、高校から出る段階でもう既に若い女性が出てしまっているかと思ったのですが、そうでもなかったようでございます。
 ですから、その辺の戦略については、担当外になるのかもしれませんけれども、今後さらに、ほかの課と連携しながら、特に政策の部分の政策企画部、その他、ふるさと振興部とか、みんな関連してきますので、しっかりと連携していただければと思います。
〇吉田敬子委員 女性の雇用労働環境と産業振興についてお伺いいたします。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の長期化に伴う先行き不透明感から求人を手控える動きが広がったことや、求職者の再就職がなかなか進まず求職活動期間が長引く状況となったことなどから、有効求人倍率が減少に転じたことを背景に、完全失業率が現状値2.1%に対して、実績値2.4%に上昇したことから、達成度はDとなっております。
 また、パート、アルバイトなどの非正規職員、社員も増加傾向にありまして、平成14年の21.6%、これは5人に1人から、平成29年は35.7%、2.5人に1人が非正規雇用であるという現実であります。
 失業者については、全国的傾向として、男性の失業者は35歳から54歳を中心に全年齢で増加しているということです。女性の失業者は、飲食、宿泊業の非正規雇用を中心に増加傾向にあるとのことです。
 正規、非正規雇用については、同一労働同一賃金が、大企業は2020年4月、そして中小企業はことし4月から導入されたことに伴って、女性の正規雇用化の動きが顕在化して、全国的には女性の正規雇用がふえているという統計を確認しておりますが、新型コロナウイルス感染症の拡大は、とりわけ女性への影響が深刻で女性不況とも言われている現状です。
 県内の女性の雇用環境について、非正規雇用者率、完全失業率の推移をどのように捉えているか、お伺いいたします。
〇田中雇用推進課長 県内女性の非正規雇用者数等の推移についてでございますが、毎月勤労統計調査によりますと、常用雇用者のうち、女性のパートタイム労働者は令和3年1月において7万7、868人と、令和2年1月の7万8、006人と比較しまして減少している状況でございます。
 なお、パート、アルバイト以外の非正規雇用者数や完全失業者数は、公表されていないものでございます。
 また、厚生労働省の統計データによりますと、令和2年度の女性雇用者数は前年に比べて17万人減少しており、男性よりも女性のほうが減少幅が大きくなっているという全国のデータではありますが、県内でもおおむね同様の傾向にあるものと推察されます。
〇吉田敬子委員 完全失業率については公表されていないということではありますけれども、非正規雇用については減少しているということで、正規雇用がふえているという現状ではあるかと思います。
 そこで伺いますが、県が進めるものづくり産業における女性の労働者について、正規、非正規全体に占める割合、また、報告書では、企業誘致の取り組み自体は達成度Aということであります。私はそれの中で、企業誘致をすることによってどのくらい女性労働者数がふえているかが重要だと思っておりますけれども、その割合をどう捉えているのかお伺いしたいと思います。
〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 ものづくり産業における女性従業員の正規、非正規の割合についてでございますけれども、令和3年7月分の毎月勤労統計調査によりますと、製造業全体では、女性従業員2万6、912人のうち、パートタイム労働者が7、783人で28.9%となっております。このうち、本県ものづくり産業の中核である自動車関連産業を構成する、産業分類でいいますと輸送用機械器具製造業になりますけれども、率で申し上げますと、21%がパートタイム労働者、女性でございます。それから、半導体関連産業を構成する電子部品・デバイス・電子回路製造業、それから生産用機械器具製造業では51.1%となっているところでございます。
 また、誘致企業における女性従業員数につきましては、委員から御紹介のありました達成度Aという評価につきまして、令和2年度の企業誘致の取り組み実績でございますけれども、令和2年度に立地した企業が全て操業開始しているわけではないということでございますので、必ずしも立地件数と雇用数がリンクしていないということになります。大変申しわけございませんが、これまで立地した全企業のうち、主な誘致企業およそ20社程度になりますけれども、この全従業員数は約1万5、000人でございます。このうち、女性従業員数は約2、800人、率にして約18%となっているところでございます。
〇吉田敬子委員 総括質疑で工藤大輔委員も取り上げた件でありますけれども、企業誘致は進んでおりますが、一方で、先ほど御答弁いただきましたとおり、女性労働者の割合は、これまでの統計で18%というところで、企業立地は進んでいるけれども、女性の雇用の受け皿としてはなかなか少ないのかなという現状です。
 人口減少対策、特に就学、就職期の転出増、そして、若年女性に対する就業環境整備にもっと踏み込んでいく必要があるという議論が議会でされている中で、ものづくり産業の企業誘致にしっかり取り組んでいくことは重要です。女性の労働雇用の場をいかに創出していくかというところをこれまでも取り上げさせていただいておりますけれども、18%という現状について、まずは、先ほどの御答弁では、雇用人数を計画値として上げていらっしゃると。ただ一方で、実際の雇用者の人数はどのくらいで、男性と女性の割合はとっていないと伺いましたので、できれば今後は、男性、女性を含めた実際の雇用者数、雇用の現状の推移をとっていただきたいと思います。
 その御所見を伺いたいことと、この18%という現状を捉えて、県が目指す産業育成の方向性について、どのように捉えているのかお伺いしたいと思います。
〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 まず、誘致企業の雇用の実態ということですけれども、県ではこれまで、自動車関連であったり、あるいは一定規模を有する誘致企業の雇用状況については、定点的に観測しまして把握してきたところでございます。今後においては、委員から御指摘のありました各年度の誘致企業についても、雇用の実態の把握に努めてまいりたいと考えております。
 それから、今後の企業誘致にどう取り組むかという話でございます。県ではこれまで、ものづくり企業で活躍する女性を、例えば動画で紹介するであったり、女性活躍に積極的なものづくり企業の認知の向上に向けて、さまざまな取り組みを行っているところでございます。
 また、近年では、技術革新や就労環境の改善に取り組む企業などの努力によりまして、事務職以外でも女性が活躍できる分野は徐々に広まってきていると認識しております。
 ものづくり産業全体における女性割合の傾向は先ほど申し上げたとおりでございますけれども、企業個々に見ると、女性従業員の割合が高い企業、低い企業ももちろんありますが、また、女性の採用意欲の高い企業もあると認識しております。
 県では、地域経済や雇用への波及効果が大きいというところで、ものづくり産業の振興を中心としつつ、女性や若者が生き生きと活躍できるような企業にも意を用いながら、配慮しながら、企業誘致を初めとする産業振興に取り組んでまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 ぜひお願いいたします。
 また、その中で、食産業や地場産業、伝統工芸、漆、アパレル等における女性労働者は多いと思っているのですけれども、その割合について、そして県の地域産業育成についての御所見をお伺いしたいと思います。
〇橋場参事兼産業経済交流課総括課長 食産業や地場産業における女性労働者の割合についてですが、令和3年7月分の毎月勤労統計調査によると、食産業については、食料品製造業でありますが、常用労働者数1万7、464人のうち、女性は1万388人で、その割合は59.5%、アパレル産業を含む繊維工業では、常用労働者数4、750人のうち、女性は3、696人で、その割合は77.8%となっております。
 伝統工芸産業につきましては、当課の独自調査となりますが、従業者数1、040人のうち、女性は471人、その割合は45.3%となっております。
 食産業や地場産業は女性の割合が高い産業でございますが、今後は、食産業では、例えば商品開発や品質管理業務を担当するスタッフとして、アパレル産業では、自社商品開発のデザイナーやパタンナーなどとして、こうした分野で女性の活躍がさらに広がるものと考えております。
〇吉田敬子委員 女性労働者が多いという現状ですけれども、ぜひ引き続き、環境整備も含めて取り組んでいただきたいと思っております。
 次に、いわて産業人材奨学金返還支援制度について、これまで203名の認定者がおります。その中で、男性は164人、女性が39人と、女性は4分の1の状況です。県内大学、県外大学出身の割合を見ると、大体同じ程度で推移しているかと思っております。
 私は、この認定者をまず積極的にふやしていっていただきたいことと、現在、認定企業が66社、令和2年度から開始して66社なのですけれども、最新の情報もいただきましたが、今年度も66社ということで変わりない現状です。この認定企業もふやしていっていただきたいと考えておりますけれども、この取り組みの評価についてお伺いしたいと思います。
〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 いわて産業人材奨学金返還支援制度についてでございますが、これまでの認定者につきましては、今御紹介をいただいたとおりで、計203名ということで、男女別にも、男性が164名、女性が39名という状況でございます。県内、県外は、ほぼ同数ということであります。
 この実績に対する評価ということでありますけれども、まず、平成29年度から令和元年度までの3年間、各年度の定員を50名に設定しておりまして、これに対してはほぼ同数を認定してまいりました。順調に推移してきたかと考えてございますが、その後、制度の見直しを図りまして、定員を120名に拡大いたしました。そうして迎えた令和2年度でございますが、多くの就職イベントが中止になったり、移動や訪問の制限の影響もございまして、認定者の大きな増加には至らなかったという状況でございます。
 一方で、制度を利用しました企業や学生へのアンケートの結果からは、いずれも高い評価を頂戴しておりまして、本制度は、学生の県内就職を促進するための手段として極めて有効と認識しております。
 まだまだ制度が浸透していない部分が大きいかと思いますので、企業、それから学生に対しても、これまで以上にしっかりPRをしていきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 ぜひ、PRと周知に努めていただきたいですけれども、女性の認定者が男性に比べて少ないということで、この認定企業はふやしていただきたいのですが、最近では理科系女子─リケジョへの積極的支援があるわけですが、そういった受け皿の支援もあってもいいのではないかと私自身は思っております。その所感についてお伺いしたいと思います。
〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 この制度を活用する就職先の企業の多くは、ものづくり企業でございます。いわゆる理系女子の就職先の企業ともなり得るところでございます。一方で、学生の側から見ると、就職したい企業あるいは採用してくれる企業が認定されていなければ、本制度の利用ができないわけでありまして、認定企業をふやしていくことが必要かと考えております。
 まずは、認定対象となる産業分野の中で、女性の採用に積極的な企業、例えば、いわて女性活躍認定企業等制度の認定企業などに積極的にPRして、制度の理解を十分に深めていただくような取り組みをこれからしっかりとやっていきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 ぜひお願いいたします。
 次に、プロフェッショナル人材還流促進事業についてお伺いいたします。
 2016年から開始しまして、これまで計216名の方がプロフェッショナル人材として利用実績がありますけれども、そのうち、事業を活用して岩手県に移住した人数も61名ということで、この事業を通じてU・Iターンにもなっていると拝察しました。
 移住された方は30代から40代、全て男性とお伺いしたのですけれども、この事業について、ぜひこれからも積極的に取り組んでいただきたいですし、人材確保の意味でも大変重要な事業だと認識しておりますが、県の御所見についてお伺いしたいと思います。
〇田中雇用推進課長 プロフェッショナル人材還流促進事業についてでございますけれども、これまで、委員から御紹介がありました216件のマッチング実績、また、副業、兼業人材のマッチングにつきましても、9月末現在で7件と増加傾向にございます。これは、県内への移住、定住、関係人口の増加にもつながる取り組みだと認識しております。
 今後におきましても、県内各企業のニーズを把握しながら、企業の経営課題の解決、移住、定住につながるよう取り組んでいきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 そしてもう一つ、副業、兼業の支援がありますけれども、これについても積極的に取り組んでいただきたいと思っておりますが、実績として、プロフェッショナル人材戦略拠点による副業、兼業人材のマッチング支援は、令和2年度から開始して、これまで8件ということで、U・Iターン中核人材等就業支援事業費補助金については、これまで1件の交付ということであります。
 鳥取県では、同じように副業、兼業の人材確保に取り組んでいるのですけれども、2019年度から、とっとり副業兼業プロジェクトをスタートして、月3万円から5万円というプロを招くには安価な報酬で、県外から多くのビジネスパーソンを集めているということです。14社16求人に対して1、363件もの応募があり、23人の採用へつなげて、倍率として59倍にもなったという人気の高さだと伺っている中で、岩手県の現状は8件、1件というような、まだまだ伸び代があるなと思っております。
 U・Iターン促進は、人材確保の意味で大変重要な事業で、せっかくこういう事業があるのですけれども、それが実際には岩手県は人材確保につながっていないと私は認識しております。県の認識、今後の取り組みについてお伺いいたします。
〇田中雇用推進課長 今、委員御指摘のとおり、副業、兼業につきましても件数がまだまだ上がっていない状況でございます。私どもも、新型コロナウイルス感染症の影響で企業訪問を十分にできていなかったところもございますけれども、今後、きっちり企業のニーズ調査を行いながら、副業、兼業につなげていけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 私からは、サテライトオフィスに関する質問と、関連して、地方創生移住支援事業についてお聞きしたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症が拡大しまして、全国各地で企業がテレワークに取り組んできました。全国各地に654を超える企業がサテライトオフィスを構えたということが総務省の調査結果にありました。人口が密な都市部から逃れて、まず地方で仕事をしてみようという流れができてきたと私は感じております。
 令和元年度末で岩手県には五つサテライトオフィスがありました。令和2年度末では県内にどれくらいの企業がサテライトオフィスを構えられたのか、まずお伺いしたいと思います。
〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 サテライトオフィスの企業数でございますけれども、国が実施しております地方公共団体が誘致又は関与したサテライトオフィスの開設状況調査によりますと、県内に設置されているサテライトオフィスは、令和2年度末時点で7社となっております。
〇ハクセル美穂子委員 関連するのですけれども、それでは次に、地方創生移住支援事業です。こちらの事業は、令和2年度はどういった状況だったでしょうか。成果もあわせてお聞きしたいと思います。
〇安藤定住推進・雇用労働室長 地方創生移住支援事業の実施状況についてでございますけれども、令和2年度の移住支援金の支給実績は13件でございました。市町村とともに制度の周知を図ったほか、事業者にも働きかけを行いまして、移住支援金対象法人の登録事業の拡大に努めたことなどから、令和元年度の2件と比較しますと、支給件数が増加しております。
 それから、令和3年4月からは、要件を拡充いたしまして、テレワーカーの移住、それから、それぞれの市町村が関係人口と認めた方が移住した場合にも対象を広げたことによりまして、9月末現在でございますけれども、交付決定数は6件といった状況になっております。
〇ハクセル美穂子委員 地方創生移住支援事業のほうは順調に市町村と取り組みを進めていって、徐々に徐々にふえてきていますし、東京23区在住というのが国の要件ですが、それよりも拡大して、県でも単独で支援策をするというような、こちらのほうにはしっかりと力を入れていると感じております。
 ただ一方で、サテライトオフィスは残念ながら2件の増。令和元年度末で全国に654件ある中で、令和2年度末で岩手県には7件ということで、非常に残念だなと思っております。企業が地元にないと、移住する先の選択肢が広がらないということもあると思うのです。ですから、私は、地方創生移住支援事業が伸びているのであれば、それに関係するような、どういった方々が岩手に移住してくることを希望しているかといった調査もした上で、どういった企業が岩手県内にサテライトオフィスを開いてくれるのかとかといった可能性も研究していくべきだと思っています。
 この二つの事業はリンクしながら進めていくと効果が出ると私は思うんですけれども、そういった点についての県の御見解を伺います。
〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 今、委員御指摘のサテライトオフィスと移住、定住のリンクということだと思います。確かに、サテライトオフィスは、我々の観点からしますとサテライトオフィスということになるのですけれども、単に仕事場をつくるということだけではなくて、仕事と生活の環境の充実ということは非常に有効だと思っております。これまでも連携していないというわけではないのですけれども、なお一層連携を深め、課題も整理しながら、市町村等と相談しながら取り組んでまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 サテライトオフィスですけれども、県と市町村と取り組んでいる先進的な県の一つに島根県があるのです。島根県全体ではサテライトオフィスが45設置されていて、そのうち松江市に32あるのです。松江市は、2006年ぐらいからRubyというコンピューター言語ですかね、これを開発した方が松江市の出身だということで、いろいろとサテライトオフィスとかソフトウエア企業との連携に取り組んできているところでもあるのでこうなっていると思うのですけれども、松江市は2006年ですね。
 岩手県内には、滝沢市というIT関係で一生懸命頑張っている市があります。滝沢市がIPUイノベーションセンターをつくったのは2011年ごろだったと私は記憶しているのですけれども、それから、近年では八幡平市でスパルタキャンプin八幡平とか、そういったプログラミング系の取り組みをして、八幡平市起業家支援センターができるとか、いろいろ市町村レベルでは取り組みをしているにもかかわらず、サテライトオフィスの設置はなかなかふえていない。これは何でなのかと私は思っているのですけれども、その点についてどのようにお考えでしょうか。
 また、もう一つ、総務省の事業でサテライトオフィスマッチング支援事業というものがあって、これは特別交付税措置もあるのですけれども、これは活用されていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 まず、サテライトオフィスがふえない現状でございますけれども、委員から冒頭にお話しいただいたとおり、コロナ禍においてという切り口はあるのですけれども、それ以前からサテライトオフィスというのは、たしか2000年代の一桁のあたりから取り組んできたと思っております。ただ、岩手県でサテライトオフィスに取り組み始めたのは、主に市町村が設置しているのですけれども、最近になってからかと感じております。
 先ほどの交付金の話もそうですけれども、その交付金はまず活用していないのですが、県とすれば、先ほど御紹介いただいた徳島県の例、あとは島根県とか和歌山県とか、先進的なところもございますので、そういうところを研究しながら、今後、市町村と相談になりますけれども、考えていきたいと思います。
〇ハクセル美穂子委員 せっかく総務省がわざわざ特別交付税まで措置しているものがあるにもかかわらず、使っていないというのは、本当に残念だと私は思っています。
 それから、岩手県ふるさと振興総合戦略でいろいろ掲げている県が目指している姿に近づいていくためには、サテライトオフィスの導入は結構有効だと私は考えております。
 総務省でサテライトオフィス設置に係る民間企業等のニーズ調査をやっているのですけれども、その中に、企業に対して、サテライトオフィス導入に当たり重要視するポイントという質問があります。回答した企業の58.6%で、社員やその家族にとっての魅力がある地域にサテライトオフィスを構えてみようかと考える企業が多いというような調査結果があるのです。ということは、人口流出も食いとめるため、家族で住みやすい県を目指している岩手県としては、こういった企業に選んでもらえるようになることは、もともとの戦略の目標も達成できるということで、私は、両方進めていくべき事業ではないかと考えているのです。
 その点について、岩手県ふるさと振興総合戦略の中で県が目指している姿とどうリンクするのか、これまでは考えていなかったかもしれませんが、今聞いてみてどういう感想をお持ちなのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 サテライトオフィスという切り口からお話しいただいておりますけれども、先ほど申し上げたとおり、仕事だけではなくて、住みやすさであったり、当然そういうものも加味していかなければならないと考えております。そういうことから言えば、単純にオフィスを用意するということ以外にも、さまざま取り組むべき、やるべきことがあるかと考えております。
 仕事と家庭、家庭といいますか、住む上で大事なことは何なのかということ、それから、先ほど企業のアンケートもありましたけれども、我々も企業訪問をやっております。残念ながら、コロナ禍において、なかなか首都圏の企業など県外の企業は歩けていないのですけれども、いずれ、新型コロナウイルス感染症の収束状況を見ながら、個別にもそういう聞き取りをしていきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 まず、考えていなかったし、やっていなかったということなのかと捉えました。また、今後、コロナ禍の後は、このサテライトオフィスの必要性も多分低下してしまうと思うのです。今だからこそという政策だったのではないか、今がチャンスだったのではないかと思っているのですけれども、やっていないのはしようがないので、これから、まず、ワーケーションとサテライトオフィスを順序立ててストーリー性を持ってやっていくのが私は重要だと思っています。
 ワーケーションでまず地域のよさをわかってもらう。その上で、気に入った方がサテライトオフィスをつくろうということで、循環型と、あと定着型とあるので、やってもらう。それで、社員の皆さんも気に入ったら本設移転というようなストーリー性もつくっていけるのではないかと思いますので、ぜひとも、この取り組みをやっていただきたいと思います。
 あと、サテライトオフィスがすばらしい点は、工場が立地できる用地がない地域でも、オフィスというか企業誘致に取り組むことができるという点だと思います。また、岩手県、私の地元もそうですけれども、工場はもともとないし、連れてくることもできない。けれども、関係人口とか交流人口をもっとふやしていかなくてはいけないということで取り組めるところだと思います。
 特に、総務省の調査の中でも、観光地が結構たくさん誘致しているのです。ですので、そういった多面的な点をしっかりと―ものづくりは、もちろんたくさんの雇用を生みますのでそれが大切なのは私もわかりますが、どうしても1カ所に集中してしまう。それ以外の市町村は何をしていったらいいのかと考えたときに、こういったことにも積極的に取り組んでいっていただきたい。
 他県では優遇制度もつくっているようです。島根県とかですね。それはこれから研究してのことだとは思いますけれども、ぜひ、チャンスを逃さない形でやっていっていただきたいと思います。
 最後に、商工労働観光部長の御見解をお聞きして、終わりたいと思います。
〇岩渕商工労働観光部長 サテライトオフィスとワーケーションについてでございますけれども、まず一つ、前段としてですが、岩手県ふるさと振興総合戦略の話を委員おっしゃいましたが、岩手県ふるさと振興総合戦略もそうですが、いわて県民計画(2019〜2028)自体がそのような、岩手県に住むことによる幸福度を高めることによって、県民の皆様も幸福になるし、そういうものが伝われば、県外からも注目されて、また住みよい県ということで来ていただくことにつながるという考えのもとにつくった計画ですので、その部分は、今取り組んでいることと決してずれていることではないと思っております。
 その上で、サテライトオフィスとワーケーションをどうやっていくかということになりますけれども、これらにつきましても、今、非常にチャンスというのはそのとおりでございます。それで、チャンスなのはうちの県だけではないと思っています。全ての地方がチャンスになっています。そこをどう本県が生かしていくかということが問題になっていくと思っております。
 本県の強みの一つとして、今ものづくり産業が集積していて、関連企業がどんどんふえておりますので、誘致までいかなくても、つながりがある企業にまずはいろいろな、サテライトオフィスなどもつくってもらうというようなことがございます。あともう一つ、環境的には三陸地域があると思います。復興教育とか、復興の現場とかが見られる場所がありますので、こういうところはワーケーションとか、特に、復興現場を見ながら企業で人材育成をしていくという強みを持っていると思います。
 あとは、例えば、包括連携協定とかも、いろいろな県外企業からも申し込みがありますので、協定を結ぶ際にいろいろワーケーションの話などもしながらやっていくのも一つの方法だと思います。
 そういう何か―支援金も大事だと思います。ただ、支援金でよその県と競争するにはなかなか厳しいものがありますけれども、岩手県の強みが何なのかということをきちんと理解した上で進めたいと思います。また、先行県の島根県のお話がありましたけれども、きっかけがあると思います。そういうところをきちんと勉強しながら、しっかりと成果に結びつくような形で進めていきたいと思っております。
〇佐々木朋和委員 私からは、高卒者の県内就職率について伺いたいと思います。
 この幸福関連指標については、令和2年度実績値が、目標84.5%に対して71.4%と、達成度はBとなっております。教育の分野に載せられておりますが、仕事、収入分野にも再掲されておりますので、当部ではどのように評価分析を行っているのか、初めに伺いたいと思います。
〇田中雇用推進課長 令和2年度の高卒者の県内就職率の実績への評価分析についてでございます。
 いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる高卒者の県内就職率84.5%は、近年の産業集積に伴いこれまでにない雇用拡大が見込まれ、本県ものづくり産業を中心に大きく飛躍するチャンスと捉え、設定したものでございます。
 現在、ものづくり産業を中心に人材のニーズがさらに高まってきておりまして、これに対応するためにも、高校生の県内就職率をより高めていく必要がありますが、県内企業の魅力が十分に伝わっていないことなどが、目標値に満たない要因と考えております。
 このため、高校生の県内企業の理解促進に向けて、小学校から高校までの各段階に応じた工場見学とか出前授業、インターンシップ、企業ガイダンスなどに取り組んでおりまして、今年度から、県内就業・キャリア教育コーディネーターを広域振興局に配置して、学校との連携によるキャリア教育の支援の強化を図っているところでございます。
 コロナ禍におきまして、高校生の地元志向も高まってきており、オンラインも活用しながら、県内企業の認知度向上や岩手県内で働く魅力を伝える取り組みを一層強化し、県内就職率をさらに高めていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今、分析をお聞きしました。ほかの指標を見れば、数%及ばなくてもBとか、概ね達成なのですけれども、これは13%ぐらい足りていなくてもBとなっているのはどのような状況なのでしょうか。
〇田中雇用推進課長 指標設定の考え方により評価の手法が違いまして、私どもの84.5%は、ここを目指して毎年頑張るという目標でございまして、84.5%に対して何%の割合かというところでABCDの評価を判断することとなります。
〇佐々木朋和委員 了解しました。事前に聞いていたのですけれども、ちょっと聞いてみました。済みません。概ね達成というのはちょっとどうかと思います。
 それで、県は、具体的推進方策指標として高校生の県内企業の認知割合を掲げております。先ほど雇用推進課長から説明がありましたとおり、県のスタンスを見ると、企業を十分に知っていないからだ、魅力さえ伝わればというようなスタンスなのですけれども、それだけで足りるのだろうかというのが私の問題意識です。就業支援員を配置したり、県内就職情報誌の作成等を行って認知度アップ、県内企業の理解促進に努めておりますが、これから84.5%という高い目標を達成するために、企業を知る、理解するだけで県内の就職率がアップしていくのか疑問です。
 県は、令和2年度、就業支援員配置事業等によって相談対応を行っておりますが、その活動を通してどのような課題感を持っているのか伺いたいと思います。
〇田中雇用推進課長 就業支援員配置事業等における課題感についてでございますが、就業支援員の活動によりまして、高校生の県内企業の認知度は、令和元年度調査では67%だったものが、令和3年度調査では72.8%に上昇しており、また、高卒者の県内就職率は、令和元年3月卒の69%から令和3年3月卒は71.4%に上昇していて、さらに、令和4年3月卒業予定の高校生の直近の県内就職希望割合ですが76.6%と、前年度同期70.7%と比較して5.9ポイント上昇しているところでございます。
 また、就業支援員からもヒアリングしておりまして、企業見学会や出前講座等を通じて、高校生が県内企業への理解を深め、就職を決めたという声が多くなっております。県内企業へのさらなる理解の促進が、高卒者の県内就職率向上のために重要であると考えております。
 また、就業支援員は、県内企業に興味を持った高校生に対し、企業の具体的業務を示すなど県内企業への就職の選択肢を示し、一人一人の生徒にきめ細かな就職支援を行うとともに、働き方改革に取り組む県内企業の優良事例などについても情報提供するなど、企業の労働環境の整備を促す等の業務を行っているところであります。
 今後も、そうした取り組みによりまして、県内就職率をさらに高めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 結果というか、いい傾向が出ているということは評価させていただきたいと思います。
 一方で、県内と全国の労働環境の差や、県内企業でも誘致企業と地場企業の差、賃金や労働時間だけではなくて、さまざまな取り組みを含めて県内の特徴をお示しいただきたいのと、もう一つ聞いてしまいますけれども、県内就職が上がっているといううち、誘致企業と地場企業の割合とか、あるいは圏域内の就職率の状況もわかれば、お示しいただきたいと思います。
〇四戸特命参事兼労働課長 まず、私からは、県内企業の労働環境についてでございますけれども、本県は、全国に比べまして労働時間が長く、賃金水準も低い状況にございます。
 しかしながら、本県の地場企業の中には、職員による提案制度の導入ですとか連続休暇の取得、時差出勤の導入、業務終了時間の繰り上げなど、働きやすい職場づくりに向けて、社員の声を積極的に取り入れまして、社員のモチベーションを高める取り組みを進めている企業もたくさんございます。県では、そうしたすぐれた企業の取り組みを働き方改革アワードで表彰しているところでございます。
 こうした優良事例をセミナーやウエブ等で広く紹介しまして、ほかの地場企業に波及させていくことにより地場企業の魅力を高めまして、全国や誘致企業との差を少しでも縮めてまいりたいと思っております。
〇田中雇用推進課長 続きまして、誘致企業と地場企業の就職者の割合、圏域内就職率の状況でございますけれども、高卒者の県内就職における誘致企業と地場企業の割合につきましては、誘致企業と地場企業を明確に区分することが難しく、国においても、そうした統計は行っていないところでございます。
 また、圏域内就職率についてですが、令和3年3月高卒者について、盛岡広域振興局管内が56.6%、県南広域振興局管内が67.8%、沿岸広域振興局管内が56.5%、県北広域振興局管内が38.0%となっております。
〇佐々木朋和委員 データがないということでしたけれども、当部では中小企業振興をうたっているわけで、また、今、中小企業の主な倒産の原因も、経済的というよりも人材不足ということも顕著になってきているというデータもございます。
 そういった中にあって、地域を担う人材を地域に残すのだといったときに、県内就職で残ればいいではなくて、企業を誘致して、しっかりとした雇用をつくっていく、地場企業の労働環境もしっかりと上げていく、その支援と両方やっていかないとバランスのとれた施策にはなっていかないのだろうと思います。
 そういった中で、就業支援員の話もありましたけれども、就職者をとれなかった企業に対しての改善のフィードバックとか、そういったものはやっているのですか。
〇田中雇用推進課長 地場企業に対する採用についてでございますけれども、人材不足というものがありまして、広域振興局におきまして、採用力強化の勉強会であったり、ジョブカフェにおきましても、企業からの相談に応じて採用に関する相談対応を行っているところでございます。
〇佐々木朋和委員 私も、前に人口減少対策調査特別委員会で視察に行ったときに、大学でしたけれども、もう少し生徒に対してだけではなく、企業へのフィードバックであったり、都会に負けないような求人のやり方とか、あとは、どういったところに働き方改革をやればいいかということをもっと積極的にやっていたという印象があるのです。やはり、その部分をしっかりやっていただきたいと思います。
 また、こういった指標を見ても、先ほど四戸特命参事兼労働課長からさまざまな取り組みも教えていただきましたけれども、具体的推進指標を見れば、いわて働き方改革推進運動参加事業所数とか、あとは、いわて健康経営事業所認定数ということで、この4年間の取り組みの指標が、まさに入り口の部分をふやすことだけで、では、何か、みんなで時短に向けてやっていきましょうとか、そういった部分の見える化、働き方改革が進んでいるのだという見える化がなっていないと。
 あと、高校生の県内企業の認知度割合も、これは県内の高校生が1社でも地元企業をわかっていれば上がっていくものですね。それを4年間やっていくのかと。私は、それは入り口であって、もっと企業のことを深くわかっていく、あるいは企業が働き方を改善していくところに、もう少し指標を見直していくべきではないかと思います。特に、コロナ禍においてさまざまな指標を見直すと言っているので、その件の所見を伺いたいと思います。
〇田中雇用推進課長 指標の見直しについてでございますが、現在、高卒者の県内就職率の向上に係る指標としまして、高校生の県内企業の認知度割合、あとはいわて働き方改革推進運動参加事業者数ということで、委員お話しのとおり設定しているわけでございますが、これは、毎年成果を測定できるものであることというこの一定の要件のもとに設定しているものでございます。
 今後、高卒者の県内就職率向上のためにより適切な指標があると判断した場合には、4年ごとにいわて県民計画(2019〜2028)アクションプランの見直しを行いますので、その中で検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 ぜひ、我々議員、県民はもとより、子供たちにも、岩手県内の企業はこうよくなっているのだとわかりやすい指標を検討していただきたいと思います。
 今、コロナ禍において、各企業とも経営は大変ですけれども、労働移動も起こっていまして、コロナ禍後に今の地場企業が残っていくためには、人材の確保をしっかり支援していかなければいけないというところを指摘させていただきたいと思います。
 最後になるかならないか、先ほど高橋穏至委員の質疑でも、高校卒業者の女性が多く残っているのになぜという話もありましたけれども、恐らく進学率の上昇に伴って、高卒者の県内就職率、あとは県内の大学生の県内就職率というところで、人を残そうとしても、県外への進学者というところで漏れが多くあるのだろうと思います。
 そういった中にあっては、これからは指標だけではなくて、普通科、専門学科ともに、進学者へのキャリア教育であるとか情報発信についても、Iターン者、Uターン者をU・I・Jターンみたいな形で一緒くたにせずに、県内の子供たちが外に学びに行って帰ってくる、そういった流れをつくるための指標を設けて取り組むべきと思いますけれども、所見を伺って、終わりたいと思います。
〇田中雇用推進課長 進学者を意識した指標の設定ということでございますけれども、今年度から広域振興局に配置しました、先ほど申し上げました県内就業・キャリア教育コーディネーターでございますが、このコーディネーターは、高校等が実施するキャリア教育支援を後押しするために今年度新たに設置したものですが、これは、県内外を問わず、進学する生徒の県内就職を促進したいということから設置したものでございます。
 このコーディネーターにつきましては、今年度から全ての県立高校においてキャリア教育支援を行うことを目標にしております。行うという目標ですので、その具体的な中身まではまだ入れない学校もございますけれども、これをきっかけにしまして、全ての高校で、岩手県で学んだ生徒が、また外で学んで、岩手県に帰ってきて活躍してもらう、そういう流れをつくっていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 それは何か継続的に見ていけそうな指標ですね。ぜひお願いします。
〇田中雇用推進課長 継続的にチェックしてまいります。
〇田村勝則副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後4時23分 休 憩

午後4時42分 再開
〇小西和子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
〇千葉絢子委員 それでは、私からはたった二つだけお伺いしたいと思います。
 まず、いわてで働こう推進協議会についてお伺いいたします。
 いわてで働こう推進協議会は、岩手県経済・雇用対策本部会議を経て平成28年に発足しました。設置の目的は、人手不足の解決を図り、地域経済を活性化させるためには、1人当たりの労働生産性の向上などにより、企業収益の向上を雇用の質の向上につなげ、企業の魅力を高めていくことが必要であること、また、若者や女性の県内就職及び創業支援の充実を図り、県内就業者の拡大を通じて、本県の産業振興と人口減少の歯どめに資するため、平成28年2月に、いわてで働こう推進協議会が設立され、産業界や教育機関等、関係機関が一体となって、オール岩手での取り組みが進められてきたと理解しております。
 毎年6月と翌年2月の2回会議を開き、6月には昨年度の事業報告と今年度の取り組み方針が示され、2月には当該年度の取り組み状況の中間報告と次年度の取り組み方針が示されています。
 初めに、令和2年度までの発足から5年間の取り組みにおいて、県内への若者や女性の就業がどの程度促進されたのか、成果をお示しいただくとともに、若者、女性、それぞれの県外流出がとまらないことに関して、会議の構成員からはどんな声が挙がっているか伺います。
〇田中雇用推進課長 これまでの取り組みの成果についてでありますが、委員お話しのとおり、平成28年2月から設置いたしまして、いろいろ取り組んできたところでございますが、協議会設置当初、高校生の県内就職率が64.1%だったものが、令和3年3月卒業生は71.4%まで上昇しておりまして、一定の成果が出ているものと考えておりますが、大学生については、43.7%が43.4%と横ばい傾向が続いております。
 いわてで働こう推進協議会の委員の声としましては、学生だけではなく、教員、保護者も対象として、地元企業を知る機会をふやすことや職業観、岩手県で働くこと、暮らすことのよさを伝えること、また、企業に対しては、学生等が魅力を感じるような情報発信や労働時間、休暇等の労働環境の整備の必要性に関する意見が出されております。
〇千葉絢子委員 労働環境の整備というところで、この定例会を通じていろいろ話題に上って、各委員も取り上げている女性の労働施策についてお伺いしたいと思います。
 私は、女性の労働環境に非常に注目をしてこの任期ずっと質疑させていただいておりますが、昨年度設置された県庁内のいわてで働こう推進協議会のワーキンググループでは、女性活躍に関するどのような労働施策が検討されたのか、また、昨年度実施された事業で、このワーキンググループ内の検討結果に由来する女性の労働施策にはどのようなものがあるか、お聞きしたいと思います。
〇田中雇用推進課長 女性活躍推進に向けたワーキンググループについてでありますが、女性活躍推進・人口減少ワーキンググループは、人口の社会減ゼロや合計特殊出生率の向上のため、女性の活躍促進の観点から、特に就職期の女性の地元定着のための取り組みを検討するため、県庁内の関係部局により設置したものでございます。
 本ワーキングにおきまして、解決すべき課題として取り上げたテーマは、主に20代女性の県内就職、定着の促進、働きながら子供を産み育てることができる環境づくりで、検討した労働施策は、女性の就業ニーズの高い職種、事業等の情報発信による県内企業とのマッチングの促進、女性が働きやすい環境づくりを推進するため、ワーク・ライフ・バランスの推進に取り組む企業への支援や、すぐれた取り組み事例の情報発信、子育て支援に関するポータルサイトの構築及びアプリの導入によるプッシュ型の情報発信などでございます。
 上記を踏まえまして、就職マッチングフェアの実施や、岩手県の子育て支援情報発信事業、いわてワーク・ライフ・バランス促進強化事業などを実施しております。
〇千葉絢子委員 今聞いたところでは、新しい事業というのはなかなかないのかなと感じたところでありますが、このうち、県も問題視しております若年女性の流出については、どのような問題意識が共有され、また、取り組み方とか改善が求められる事項などについて、推進協議会の本体ではどんな発言が委員からあったのでしょうか。要は、会議のメンバーから具体的な政策提言などは寄せられているのか、会議の活発度についてお伺いしたいのです。それを受けて、今年度、方針転換、改善などが行われた事業があったら教えてください。
〇田中雇用推進課長 若年女性の流出についての意見交換でございますけれども、ワーキンググループの議論を踏まえまして、いわてで働こう推進協議会におきまして、女性の県内定着の課題として出されたものは、女性が働きやすい、活躍できる職種、職場が知られていないこと、企業の職場環境、待遇の改善などでございます。
 また、今後新たに取り組むべき施策や強化すべき施策として、企業や働く女性に関する情報発信の充実、学校等におけるキャリア教育の充実、待遇改善、子育て支援など女性が働きやすい職場環境の整備などの意見が出されております。
〇千葉絢子委員 出席している構成委員の方々に聞き取りをしてみますと、協議会のほとんどは、中身が報告と説明に費やされて、その場での議論はほとんどないと。また、資料が多過ぎて読み解くだけで精いっぱいという現象が、私はこの間、議会でもそうなっているのではないかとふるさと振興部の審査で質疑をさせていただきましたが、全く同じ現象がここでも起きているという印象を持っております。
 それで、待遇改善の話が出てまいりました。五つの部会がありますけれども、女性の就業促進部会において、女性の労働施策が弱いという岩手労働局の雇用環境・均等室の指摘に対する検討はこれまでどのくらい行われているのか伺います。
〇田中雇用推進課長 いわて女性の活躍促進連携会議のもとに設置された女性の就業促進部会では、民間企業の経営者を初めとしたメンバーが、令和2年度に男女ともに働きやすい職場環境づくりを目指す提言を取りまとめまして、令和3年度には外部団体との事例共有会や、SNSでの情報発信といった取り組みを行っているところでございます。
〇千葉絢子委員 具体的な政策展開というのではなくて、普及啓発の施策に力を入れているというような理解でよろしいかと思いますが、いわてで働こう推進協議会において、女性の就業促進、また、30代の女性の賃金が低いことについて問題視はされていないのでしょうか。
〇田中雇用推進課長 30代の女性の賃金についてでございますが、いわてで働こう推進協議会におきましては、女性の県内定着の課題として、年代までは特定しておりませんが、女性の賃金の改善のための給与体系の見直しなどの意見が出されたところでございます。
 また、同協議会が実施しました若年者雇用動向調査によりますと、学生が就職先を決める上で、労働環境や企業の雰囲気、仕事内容に次いで賃金の条件がよいことを重視しております。
 このことから、賃金水準の向上に向けましては、商工指導団体や産業支援機関との連携のもと、中小企業者の収益力の向上のため、中小企業が行う経営力の強化や生産性の向上、新たな事業活動などを支援していくこととしております。
〇千葉絢子委員 では、具体的に伺ってまいります。出典も明らかにいたします。数値は私は聞きません。調べてありますので、現状を私からお話ししたいと思います。
 県内の女性労働者の収入について、私がたびたび取り上げてきています。20代女性労働者の賃金のボリューム層は150万円から199万円なのです。30代になりますと100万円から149万円がボリュームゾーンになって、20代の平均の賃金のボリューム層より50万円低くなるのですね。知事も部長たちも、岩手県の20代の有配偶率は高いが、30代の有配偶出生率は全国でも下位ということはよく認識していらっしゃると思いますが、女性の初婚、第一子の出産の平均年齢が30歳前後になっておりますので、今、子育て世代の適齢期の収入が激減しているということが、女性や夫婦の出産動向に大きな影響を与えるということが、ここから見えてくるのではないかと。それは商工労働観光部でも十分御承知かと思います。
 政府統計の同居をやめたときの年齢別に見た年次別離婚件数、離婚率を見ますと、離婚が最も多いのが30歳から34歳、次に多いのが35歳から39歳。女性の収入が激減する年代で離婚率が高いことが政府統計で出ています。100万円から149万円の所得をボリュームゾーンに持っている30代の経済的な不安が、少子化の本当の原因だと私は確信しています。
 これは、保育環境や周産期医療を整えただけでは子供がふえない大変大きな理由になっていると私は分析をしているのですが、なぜ、いわてで働こう推進協議会で女性の収入に関するこの大きな問題を取り上げないのか、私には理解しがたいのです。なぜ改善のために本腰を入れないのでしょうか。
〇岩渕商工労働観光部長 今、委員がおっしゃいました30代の所得が低いという話ですけれども、昨日の全国知事会の関係で野村総合研究所の女性の方、転職をなさって、今そういう立場にある方のお話を聞きました。そういう中でも、全国的に30代、40代の所得が低いということが非常に問題であって、そこが―ちょっと話はずれてしまうのですけれども、今後、労働市場もデジタル化とかが進んでいったときに、また転職とか、さまざまな機会でそれが不利になる。子育て世代にきちんとした仕事に応じた収入が確保されないといけないので、そういう形に構造を変えていく必要が強くあるのだという話を伺っております。
 まさにそのとおりだと思っておりまして、なぜそういう話がいわてで働こう推進協議会で出ないのかということですけれども、具体的に、問題意識としては皆さん当然持っていると思います。我々にしても、育ってきた中で一番そのころが大変だったということも経験からわかっております。
 そういう中で、実際に企業でそこにどうアプローチしていくのかという、賃金体系とか、そのあたりをどう転換していくのかという道筋は、御参加している企業の方々も問題意識としてはありながら、こうすればすぐできるというような具体的な意見までなかなか出にくいかと私は思っております。意識としては、皆さん強く持っていると考えております。
〇千葉絢子委員 そうだとしたら、その委員の方々が議論できるような会議の中身にしていくべきだと思うのです。報告と、あとは説明だけというのをもっと短くする。何をやりますかというのを、もっと具体的に中身を議論するようないわてで働こう推進協議会に、5年たったというのをきっかけに切りかえていったらいいと思います。
 ちなみに、先ほどお話しした離婚についてですが、離婚理由の最多は性格の不一致と言われていますが、その中でも最も高いのが、生活費を夫が妻に渡さない割合が、2007年以降増加しています。28.5%がこれを理由に挙げているのです。つまり、離婚しても女性が活躍できる社会を実現しないと、貧困はますます進んでいくと見ております。
 岩手労働局雇用環境・均等室が去年8月に作成したいわての働く女性という統計データを見ると、本県の20歳から59歳までの女性の労働力率は70%を超えていますが、先ほど引用されていました毎月勤労統計調査のことし7月の産業別就業状況を見ると、岩手県内で37%余り、人数にして7万6、460人が非正規雇用なのです。総務省統計局のデータによると、令和2年の数字で、女性の非正規雇用のうち42.6%に当たる方が、年収100万円未満であることがわかっています。
 県内の非正規雇用の割合を見ていきましょう。資料は、ことし7月の毎月勤労統計調査です。宿泊業、飲食サービス業に従事する女性労働者の78%が非正規雇用なのですね。次に割合が高いのが生活関連サービス業、娯楽業の71.3%、3番目が卸売・小売業の57.8%となっていて、これは昨年からの新型コロナウイルス感染症の流行により最も影響を受けた産業と完全に合致しているのです。
 この産業別就業状況について、非正規雇用の女性がいかに不安定な業界、身分に置かれているかがわかります。特に、感染症流行下や経済低迷期に影響を受けやすいかも、これで露呈されているわけです。
 先ほど挙げた非正規雇用率トップ3の業界には、ことし7月時点で県内のおよそ12万人の女性が従事しています。ひとり親の割合もほかの産業に比べて多いということが優に想像できるわけですが、正社員化の特に無期転換ルールが必要な産業がここに集中しているのではないかと考察できるわけですけれども、商工労働観光部は、ここへの政策的アプローチをどのように考えているのか伺います。
〇田中雇用推進課長 非正規職員の正職員、正社員化についてでございますけれども、これまで、岩手労働局等と連携しまして、各経済団体等への要請活動等を行いまして、非正規から正規への転換を経済団体を通じまして企業にもお願いしてきたところでございます。あとは、国等で助成金等を準備しておりますので、その助成金等を周知しながら、非正規職社員の正規転換を支援してきたところでございます。
〇千葉絢子委員 では、新型コロナウイルス感染症の第6波が来たらまた切られてしまいますねということですね。よくわかりました。
 次に、大学生の就職に関する意識について伺います。
 県内の産業別就業状況を見ますと、確かに女性の就業者数が一番多いのが医療、福祉で8万5、000人余りです。去年10月、いわてで働こう推進協議会の県内の短大生と大学生の就職に関する意識調査の結果が公表され、その中で、学生の就職希望職種についての興味深い結果が明らかになりました。
 それによると、医療、介護、福祉、保育などを希望する学生の割合は確かに28.1%。これによって、県では女性は医療、介護、福祉の就業ニーズが高いという根拠にしているようですが、このアンケート調査には看護学部を擁する岩手県立大学、保育士養成機関である盛岡大学短期大学部も含まれているために高い数字が出ているものと思われます。一方で、それらより学生の希望が多い業種は、実は事務、管理と企画、マーケティング、経営の2分野で、合計すると28.3%になっているのです。しかし、そこを強化するような労働施策はとられていない。
 では、県が進めるものづくりの機械、電気、電子、半導体、制御分野に進みたいと考えている学生はどの程度かというと、わずか3.3%なのですね。見事なミスマッチ。これは数字がしっかり物語っています。
 これでは県内の大学生の就業ニーズとマッチングしないので若者の県外流出は当然だと思いますが、商工労働観光部長ならてこ入れが必要だということは御理解いただけると思いますが、いかがでしょうか。
〇岩渕商工労働観光部長 医療、介護、福祉のニーズにつきましては、調査結果を見ておりまして、委員がおっしゃったとおり、看護学部を抱えている岩手県立大学あるいは盛岡大学の結果は、保育士の希望が高いとか福祉分野とか、そういう結果になることは私も承知しております。
 それで、我々の今の取り組みですけれども、一つは、ものづくりの産業集積を進めてきた背景には、女性の働く場を決して考えなかったというわけではなく、人口減少の問題がありますので、産業集積をしなければ、今度、人口減少が進んでしまえば元も子もないと申しますか、ますます働く場がなくなります。産業集積を行いまして、そこで働く場をつくる。そこに県外からも今入ってきておりますけれども、そういう中で、まず、人口減少を抑えて、人が動く中で働く場が生まれてまいります。それがないとますます女性の働く場がなくなるということになりますので、とにかく人口減少を防ぐ、そして、ものづくり産業を集積するということで進めてきております。
 一方で、委員が問題視しております、進学した、一回県外に出て強した、特に文系の女子が戻ってくる働き場がないという問題、これについても常々課題意識を強く持っております。ただ、そういう意味でできることとして、もちろんものづくりだけではなく、幅広い産業の集積を図るということは一つあります。
 ただ、根本的に解決するためには、いわてで働こう推進協議会の成果が出ているかという質問がさきにありましたけれども、数字で言えば、社会減が少なくなっていませんので、そういう意味では、なかなか成果が出ていないということが正しい言い方かとも思います。
 その背景には、東京一極集中に歯どめがかからないという状況があります。今、コロナ禍で地方が注目されておりますので、そういう中で、本県でも上場企業の本社移転の動きとかもありますので、事務系の採用規模が大きい会社の地方への本社機能の移転、そういうことも進めていかなければ、そこの課題を解決するのは難しい問題だと思っております。
 なかなか県だけで解決できるものではありませんけれども、分散型社会の必要性とか、そういうことも国全体で議論しながら、そこに働きかけながらやっていくことが、私は重要なことだと考えております。
〇斉藤信委員 それでは、最初に、新型コロナウイルス感染症による影響と対策についてお聞きいたします。
 新型コロナウイルス感染症の感染による事業者の影響、売り上げの減少の状況と課題はどうなっているでしょうか。
〇阿部経営支援課総括課長 新型コロナウイルス感染症の感染によります事業者の影響等につきまして、毎月県が行っております新型コロナウイルス感染症に伴う事業者の影響調査の直近6カ月の推移を見ますと、影響が継続していると回答した割合は一貫して70%を超えており、特に8月、9月は約79%と高い状況にございます。
 また、売り上げ実績について、同じく6カ月の推移を見ますと、コロナ禍前との比較で41%以上減少の割合が、4月から6月は20%台にあったのに対しまして、7月から9月は30%台となっており、売り上げの減少幅が大きくなっている状況であります。
 国、県へ求める支援策に関する設問では、景気回復策への要望が最も高く、次いで、資金繰り支援、雇用維持支援の順に高くなっており、特に、売り上げの回復が事業者の抱える最大の課題と認識しております。
〇斉藤信委員 これまでの対策の実績をお聞きしたいのですが、たくさんあるでしょうから、融資、資金繰り、事業者に対する直接支援、ホテル、旅館等への支援策の実績を示してください。
〇伊五澤商工企画室企画課長 まず、令和2年度に行った支援策等の実績についてでございますが、資金繰り支援の関係につきまして、新型コロナウイルス感染症対策資金は1、279件、512億4、555万円余、新型コロナウイルス感染症対応資金につきましては1万1、817件、1、894億126万円余となっております。
 また、直接的支援としまして実施しました家賃補助につきましては、支給件数が7、863件、補助額が8億3、413万円余、感染症対策補助につきましては、補助件数が1万6、291件、補助額が13億9、616万円余となっているところでございます。
 次に、需要喚起策についてでございますが、岩手県民を対象としました泊まるなら地元割クーポン、2、000円割引の利用実績についてでございますが、9万5、588枚、金額で1億9、117万円余、3、000円割引の利用実績につきましては10万4、322枚、3億1、296万円余、岩手県民以外の東北地方各県及び新潟県の県民を対象としました割引のおでんせ岩手券の実績につきましては3万3、427枚、1億28万円余となっているところでございます。
〇斉藤信委員 新型コロナウイルス感染症に伴う事業者の影響調査の最新結果である9月分を見ますと、ここでは、国、県、市町村の支援策のうち活用したものは何かというので、一番活用されたのは県の地域企業経営支援金で24.6%、2番目が市町村の補助金、助成金で24.3%、3番目が制度融資等の金融支援策で21.5%、そして、4番目が雇用調整助成金で20.2%。だから、県と市町村の支援策が、厳しい中でも、中小企業、ホテル、旅館等の経営をぎりぎりのところで支えてきたのではないかと思います。その点では、国は何をやっているのかと。持続化給付金も家賃支援給付金も去年だけですからね。本当に国の出番がなかったのではないかということも指摘しておきたいと思います。
 そこで、次の質問ですけれども、いわて旅応援プロジェクトについて、第2弾の取り組み状況はどうなっているでしょうか。私は決算特別委員会の総括質疑でも取り上げましたが、今後の追加が必要だという指摘をしておきました。今後の追加対策の見通しについて示してください。
〇高橋観光・プロモーション室長 いわて旅応援プロジェクト第2弾の取り組み状況でございますけれども、こちらは、御案内のとおり、第1弾の予算残額8億5、000万円を活用いたしまして、10月1日から開始したところでございますけれども、予算の執行管理を適切に行っていく必要がございましたので、宿泊施設や旅行業者への配分方式といたしまして、第1弾の利用実績に応じて割引原資を配分したところでございます。
 現在、新型コロナウイルス感染症が急速に落ちついたこともございますし、事業者によっては既に配分額に達したところも出ておりまして、いわて旅応援プロジェクトの事務局からは、10月19日現在、登録している宿泊施設416のうち、14の宿泊施設で割引適用の受け付けが終了しているという報告を受けているところでございますが、実際には、これ以上に多いものと思慮しているところでございます。
 今後の追加の対策についてでございますけれども、全国的にも感染状況が落ちつきまして、先般の報道等によりますと、国におきましては地域観光事業支援の対象エリアを拡大する動きも見られますことから、まず、国の動向を注視いたしますとともに、国に対しましては、引き続き事業費の拡大を要望しながら、県としての支援方法について検討を進めています。
〇斉藤信委員 私は、本委員会の総括質疑でも紹介しましたけれども、主なところは10月数日で割り当てが終了してしまった。それでこうなっているのです。問い合わせが来て、終了しましたと言うと、予約をしないで、ああ、そうですかとなってしまう。これが今の主なところの実態です。大体、予算額も1カ月分程度でしたので。
 だから、私は、ここで途切れるのではなくて、11月以降もこれを継続しないと、せっかくやっとお客さんが戻ってきた、県民もやっと安心して旅ができるという状況で、恐らく具体的な検討をされて、今月中にも、この定例会中にもきちんとした対応をやると思うのだけれども、いかがですか。そういうスケジュール感で考えていますね。
〇高橋観光・プロモーション室長 第2弾の予算が大分少なくて、早くもそういった原資がなくなっているという状況がございますので、先ほど御答弁申しましたとおり、支援方法については検討しているところでございます。
〇斉藤信委員 私はいつも言うのだけれども、いいことは早く。本当はあすにでも公表されるのでしょうけれどもね。私は、そういう機敏な対応を県が考えているということは高く評価したい。いいことは、はっきり言わなくてもわかるように答えるということもあるのではないでしょうか。商工労働観光部長、どうですか。
〇岩渕商工労働観光部長 本当に宿泊施設は大変だということで、私どもにも直接声が届いておりまして、また第2弾を何とかしてほしいという声を受けております。
 観光・プロモーション室長が答弁いたしましたけれども、今後の国の動きによっては、使っていないところはこれからできるわけですので、これまでに事業を順調に進めていたところが少し不利になってしまうような、そういう状況が危惧されますので、必要なものにつきましては、速やかに対応できるように努めております。
〇斉藤信委員 ホテル、旅館関係は、仕入れからクリーニングから何から裾野の広い業界なのです。同時に、ホテル関係者はどう頑張っているかといいますと、雇用調整助成金を最大限活用して雇用を守っているのです。簡単に首切りなんかしていないのです。私は、そのこともしっかり伝えていく必要があると思います。そういう裾野の広い産業だけに、しっかりした手だてをとっていただきたい。
 次に、雇用対策についてお聞きしますが、コロナ禍のもとで、今紹介した雇用調整助成金の活用、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の活用はどうなっているか。それと、これは一部だと思いますけれども、コロナ禍で解雇せざるを得ない状況はどうなっていますか。
〇田中雇用推進課長 岩手労働局によりますと、雇用調整助成金については、10月15日現在で支給申請受理は2、855事業所から延べ2万3、151件、支給決定は2、834事業所の延べ2万2、783件、また、休業者本人に支給される新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金については、同じく10月15日現在で支給申請は延べ3、122名から8、640件、支給決定は7、694件で4億7、200万円余となっております。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響により解雇が見込まれるとされました労働者数については、1、024人と伺っております。
〇斉藤信委員 雇用調整助成金は一応11月まで延期となっていますが、今、感染者が本当に減少しているのだけれども、まだまだもとに戻っているわけではないのです。ですから、一つは、この継続を国に求める。あと、解雇の数では、140事業所、1、024人というのが、いわゆるハローワークに相談した件数なのです。ある意味、氷山の一角だと言ってもいいと思いますから、事態はもっと深刻だと思いますけれども、これについてもしっかりした対応をしていただきたい。
 先ほど、高卒者の就職率の話があったので、私も関連して一言お聞きしたい。
 高卒者の就職率をせめて8割まで上げるべきだと思います。東北地方で高いところが、宮城県、山形県は8割だったのです。だから、せめてそこまでは上げられるはずだということを一貫して提起をしてきました。それを受けて、いわて県民計画(2019〜2028)は一気に84.5%という目標を掲げたのです。この目標は努力目標であってはだめなのです。達成すべき目標なのです。本来なら年次計画で70%、75%、80%と引き上げていくのが合理的な計画だったと私は思います。常識的に考えても、突然、60%台から80%なんて行かないのだから。私は、設定の仕方に合理性が欠けていたのではないかと思いますよ。しかし、あなた方は、掲げたら本気になって取り組むと。本気になって84.5%に取り組むとね。
 実は、リーマンショックのときに県内就職率が高まったのです。今、コロナ禍のもとでそういう傾向があります。あの当時まで行かないけれども、そういうふるさと回帰。私は、だから今、ある意味、チャンスなのだと思います。思い切って高卒者も大卒者も県内就職率を高めるという、今までの延長線上ではない対策を今とるべきだと思いますけれども、いかがですか。
〇岩渕商工労働観光部長 今、私も県内の企業を回って話を受けるのは、人を確保してくれという、そのことがどこからも言われております。そういう意味でも、この目標を達成するようにしっかりとやっていきたいと思います。
〇斉藤信委員 一言だけ注文しておくと、実は高校の就職担当の現場は、首都圏等の大企業からの求人が多いものだから、悩んでいないのです。困っていない。そこの頭を変えないと、どんなに県内に魅力ある企業があっても本気で進まない。私は、そこを思い切って打開していくことが必要だと思います。その点で、この間、知事は県立産業技術短期大学校で講演をしましたけれども、知事や部長が先頭に立って、高校でも、そういう場で訴えていただきたいと思います。
 最後の質問ですけれども、東日本大震災津波から10年ということで、なりわい再生の現状のポイントをお聞きしたい。被災市町村の商工団体会員事業所による被害状況調査の最新の結果はどうなっているか。これが私は一番正確なデータだと思います。あわせて、グループ補助金の実績と売り上げ等再建の状況、倒産、廃止の状況、今年度以降の見込み、フォローアップの取り組みと体制についてもあわせてお答えください。
〇阿部経営支援課総括課長 まず、商工団体会員事業所の被害状況調査、令和3年9月1日現在が最新結果でございます。被災事業者4、341者のうち、営業継続、再開が2、956者、営業未再開が20者、休業が26者、転出が77者、廃業が1、251者となっております。前年、令和2年9月1日現在と比較しますと、営業継続、再開が31者減少した一方、廃業が27者増加しており、営業を一旦再開しても、さまざまな要因で、残念ながら廃業に至っている事業者がいらっしゃるものと認識しております。
 また、グループ補助金の状況でございます。これまで、令和3年9月末現在で延べ1、571事業者に対し918億円を交付決定しております。
 売り上げの状況でございますが、経済産業省東北経済産業局が昨年6月に実施しましたグループ補助金交付先アンケート調査によりますと、震災直前の水準まで売り上げが回復している事業者の割合は、岩手県では44.6%と、まだまだ低い状況でございます。
 グループ補助金を交付した後に倒産に至りました事業者の数は、令和3年9月末現在で17者、また、事業を廃止した事業者の方は25者となっております。
 今年度以降の見込みでございます。市町村や商工指導団体と連携して需要把握に努めておりまして、来年度は新規申請4件の要望を確認しております。
 グループ補助の事業者の方々に対するフォローアップでございますが、県、商工指導団体、産業支援機関が連携しまして訪問調査を重ねております。経営が厳しい状況にある事業者の方には、例えば、高度化スキーム貸し付けの条件変更や、専門家派遣などの経営支援を行っているほか、販路開拓のための専門家派遣などを行ってきているところでございます。
〇斉藤信委員 商工関係者の再建状況は、私はこの調査が一番正確だと思うので、復興防災部も頭を切りかえる必要があるのだと思いますけれども、全体では68.1%の営業再開なのです。ただ、市町村別に見ると、津波の被害が大きかったところは、陸前高田市で48.7%、大槌町が54%、山田町が53.7%ということで、半分前後は、もう津波で再開に至らないところもあるわけで、頑張っているところに今、本当に継続的な支援が必要だと思います。東日本大震災津波、コロナ禍、特に沿岸部は、水産加工業を中心に、大不漁、さらには、東京電力福島第一原子力発電所の汚染水の海洋放出という新たな問題も出てきて、現場では四重苦と言っていますよ。この四重苦の中で、こうした中小企業をしっかり支援していくことが私は大事だと思います。
 あわせて、グループ補助金については44.6%が震災前の水準を回復している、これは立派なことだと思います。今のような条件の中でですから。ただ、本当にぎりぎりで今経営を継続しているところも少なくないので、その点、最後にお答えいただいたフォローアップの体制、これはしっかり強化をしていただきたい。
 特に水産加工業については、もう聞きませんけれども、しっかりした設備は整備したけれども、原料高ですね。原料難、さらには販売先が途切れているという形で、一番困っているのは水産加工業ではないかと私は思います。その点で、従来の延長線上ではない、災害を受けたようなこういう状況の中で、新たな抜本的な対策をしっかりとっていただきたい。一言だけ回答をいただきましょう。
〇橋場参事兼産業経済交流課総括課長 水産加工業の復興に関しては、これまで種々進めてきた取り組みに加えまして、インターネットを活用して、直接消費者向けの販売を開始しようとする事業者もありますことから、今年度から大手エレクトロニックコマースサイトへの新規参入ですとか、各事業者の通販サイトへの集客などに取り組んでおりますほか、いわての食応援プロジェクトによりまして、外食向けの水産加工品の需要拡大などにも取り組んでいるところでございます。
〇佐々木朋和委員 先ほど、観光・プロモーション室長の答弁の中で、観光支援でようやく国から地域限定がとれる方針が出されたということでしたけれども、残念ながら、数年間準備を重ねて、また、各年でそれなりの予算を投じた、いわて東北デスティネーションキャンペーンが、その解除を待たずに9月30日に終わってしまいました。
 その中で、令和2年度は9、600万円余の予算をつけて、活動内容指標、成果指標を見ると、なかなか動きもできなかったというんですけれども、執行額は、決算で9、600万円余、満額に近い形で消費されている。そういった部分についてはどのような意味合いなのか。また、本年度なかなか思うような活動ができなかったと思うのですけれども、正確な数字は要りませんので、予算の執行状況と費用対効果をどのように感じていらっしゃるか伺いたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 東北デスティネーションキャンペーンの件でございまして、こちらのほうは、昨年度も、今、委員御指摘のとおり、9、000万円という予算でございますけれども、昨年度は、ことし4月から東北DCが始まるということで、PRの部分ですとか、それから、令和2年度4月からいろいろ特別企画を始めるための現地での調整ですとか、あと、旅行代理店に対してのプロモーションとか、そういった前向きの準備が多くなりました。あと、PR資材も非常にコストをかけながらやったというところがございまして、実は、令和2年度のほうが事業費としては多く動いている状況でございます。
 特に、先ほど申し上げた新型コロナウイルス感染症の影響がございまして、本来、全国の旅行代理店がやる販売会があるのですが、それも中止になったというところがございまして、それらについてはなかなか厳しい状況でありました。ただ、PRですとか、そういった東北6県連携での取り組みを進めてきた経緯がございまして、数字的にどういう成果というのはなかなか申し上げにくいところはあるのですけれども、そういった部分での執行という内容でございます。
〇佐々木朋和委員 今回の東北DCは、9年前、10年前、岩手県単独のDCも、震災直後ということで、事業者あるいは被災地は助かったのですけれども、本当に万全の状態でできたというわけではなかった。その後に来た復興から10年というDCだったわけです。それをまたこのままの状況で終わらせていいのか。せっかく費用もかけきましたし、ホームページ等も残っている。そういった中にあって、私は、東北地方全体で連携して、コロナ禍明けにまたもう一回こういったキャンペーンをしていくのだというような、JRとともにそういった企画もぜひ発信をしていっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇高橋観光・プロモーション室長 委員御指摘のとおりでございまして、東北DCは9月で終了いたしましたけれども、実は東北DC後も、10月から12月までの3カ月間というところで、JR東日本の重点販売地域ということで、東北6県が連携したプロモーションを継続して展開しているところでございます。県としても、この取り組みと連動した、いわて秋冬キャンペーンを10月からスタートして連携を図っているところであります。
 それから、お話しがありましたとおり、これまでいろいろなコンテンツをつくり、いろいろなホームページのコンテンツ、動画も含めて、今そういったものがございますので、それらを引き続き、東北地方の連携した発信というところと、受け入れ態勢も東北6県の中でつくってきましたので、そういった部分はレガシーとして引き続くというところがございます。
 あと、地域で磨き上げてきた観光コンテンツですとかDCに向けた付加価値の高い旅行商品、こういったものもつくってまいりましたので、今後も、東北6県、観光事業者と一体となって、観光需要の回復に努めてまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 私からは、先ほど千葉絢子委員からも非正規雇用の女性の方の大変さについて御質問がありましたけれども、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少した非正規雇用の方々、特に女性の非正規雇用の方々を支援するために、給付金を受給しながら無料の職業訓練が受けられる求職者支援制度、これは国の制度ですけれども、収入要件等を緩和する特例措置が来年3月まで延長されました。これの県内における利用状況をお知らせいただきたいと思います。
〇四戸特命参事兼労働課長 求職者支援制度についてのお尋ねでございます。本制度は、先ほどお話がありましたとおり、岩手労働局が所管している制度でございまして、雇用保険が受給できない方を対象として、給付金と職業訓練と就職サポートをセットで支援する制度でございます。岩手労働局に確認しましたところ、令和2年度における県内の利用状況は85名と伺っているところです。
〇小林正信委員 85名というのは、例えば、他の東北地方5県と比べて多いものなのか少ないものなのか、そのあたりをお伺いします。
〇四戸特命参事兼労働課長 各県のデータはいただいていないところですけれども、全国では1万400件ぐらいということで伺っています。
 失礼いたしました。東北6県の中では、青森県が140件、宮城県が164件、秋田県が67件、山形県が55件、福島県は103件ということで、真ん中ぐらい、下から3番目ということでございます。
〇小林正信委員 この制度については、特に不足していると言われるIT分野とか介護、福祉のスキルアップの講座も無料で受講できて、人材が不足する分野と非正規雇用の女性とのマッチングの効果も大きいと。県として、さらなる周知の取り組み、また、より多くの方に制度を利用していただくための県の役割について、どのようにお考えなのかお伺いします。
〇四戸特命参事兼労働課長 この制度につきましてですけれども、求職者の方々の状況に応じまして、雇用保険がもらえるとか、もらえないとか、さまざまな状況がございます。ですので、ハローワークで求職者の状況に応じまして、どのメニューがその方に合っているかを御紹介していただいているところでございます。
 県では、主に雇用保険を受給する方を対象としまして離職者等の再就職訓練を行っておりまして、就職サポートを進めております。そういうことで、個々の状況に合わせたきめ細かい支援を行いながら、岩手労働局、ハローワークと役割分担しながら進めているところでございます。
〇小林正信委員 了解しました。
 この制度は国の制度ということで、政府としてもこうした小さな細かい事業を積み上げて、たくさん準備して、大変な状況の方をサポートしてきたと考えております。こうした政府の地道な取り組みによって、日本のコロナ禍での失業率は先進国で最も低く抑えられているというデータもあります。政府もこうした取り組みを通じてしっかり結果を出してきたかと。
 県としても、政府がさまざま打ち出してきた取り組み、高等職業訓練促進給付金とかもありますけれども、県が、先ほどの課題と捉えていながら行っていないような国の取り組みをしっかり把握していただいて、もっと周知をしていただきたい。必要としている方へのアプローチをもっと行っていただきたいと思います。
 次に、テレワークの導入についてですけれども、人流抑制の手段としてテレワークの導入が大きく進みました。課題はあるものの、企業の5割が実施したとの報告もあります。令和2年度における行政または企業の取り組み状況についてお知らせください。
〇四戸特命参事兼労働課長 私からは、まず、企業の取り組み状況につきまして御説明させていただきます。
 株式会社東京商工リサーチが実施いたしました令和3年3月のアンケート調査によりますと、本県においては、在宅勤務やリモートワークを実施している企業は、対象企業が142社中、実施企業は16社、11.3%というデータでございました。
 直近6月の時点におきましても、回答した157社のうち18社、11.5%とほぼ横ばいとなっておりまして、全国平均の38.3%を下回っている状況でございます。
 こうした中でございますけれども、県では、令和2年度からテレワーク導入推進事業費補助金を導入いたしまして、テレワーク機器の導入ですとか、テレワーク導入に伴います就業規則の改正に要する経費などを支援しております。昨年度は80事業者の取り組みを支援しております。
 引き続き、ウイズコロナ、ポストコロナを見据えまして、テレワークを初めとした時間や場所にとらわれない、柔軟で多様な労働環境の整備を応援してまいりたいと思っております。
〇小林正信委員 テレワークは、さまざま便利だというところと、従業員の生産性を高める手段としても効果が期待されておりまして、県内でもテレワークの拠点整備に取り組んでいる自治体も見受けられます。その整備状況についてお知らせいただきたいことと、また、今後、新たな働き方であるテレワークについて、十分な検証も行いながら定着させていくべきであり、その上で、休日や観光と組み合わせたワーケーションの取り組み、先ほどハクセル美穂子委員からもお話がありましたけれども、関係人口の増という観点からも重要だと考えています。県内のワーケーションの推進状況についてもお伺いしたいと思います。
〇安藤定住推進・雇用労働室長 私からは、テレワーク拠点について御答弁を申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、県内企業において働く場所を選ばずに仕事ができる環境が整いつつありますことから、県では、令和2年10月から、移住定住ポータルサイト、イーハトー部に入ろう!におきまして、県内のコワーキングスペース、シェアオフィス、ワーケーション対応可能な宿泊施設の情報を発信しているところでございます。
 また、令和3年3月には、県内テレワーク施設のオンラインツアーを実施いたしまして、20社25名に参加いただきましたほか、ツアーで紹介した施設の動画をポータルサイトにも掲載いたしまして、施設内の様子や施設周辺の状況を発信しております。
 県内の市町村におきましても、普代村や野田村、洋野町におきまして、国の地方創生テレワーク交付金を活用いたしまして、サテライトオフィス等の整備に加えて、施設の利活用に向けた企業とのマッチングやオフィス開設支援などの取り組みを進めているところでございます。
 今後とも、新たな拠点の整備やテレワーク施設情報の発信などに取り組む市町村と連携いたしますとともに、企業ニーズの把握にも努めながら、本県におけるテレワークの促進に取り組んでまいります。
〇高橋観光・プロモーション室長 ワーケーションの推進状況についてでございます。
 県ではこれまで、新型コロナウイルス感染症対策整備事業によりまして、宿泊施設が行うワーケーション受け入れ環境整備の補助を行っていますほか、ワーケーションに対応できる宿泊施設の情報をホームページで発信、先ほど答弁がありました、イーハトー部に入ろう!の中ですが、こちらでもワーケーションについての紹介をしているところであります。
 また、観光地域づくり法人、いわゆるDMOとか市町村観光協会などが中心となりまして、ワーケーションの体験プログラム開発や、地域資源を活用した企業研修型のワーケーション等の取り組みを支援しているほか、10月から実施しています、いわてに泊まって巡って、癒し旅キャンペーンにおきまして、県内の宿泊施設のワーケーションプランを利用された方などに、抽選で県産品をプレゼントするなどのキャンペーンも展開しているところでございます。
 今後におきましても、市町村や関係事業者と連携を図りながら、本県の豊かな自然や食、歴史文化や温泉などの情報を積極的に発信いたしまして、周遊、滞在型観光の一つの形として、ワーケーションの取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 観光とテレワークの組み合わせは非常に有用なものだと思うので、ぜひ取り組みを進めていただきたいと思います。
 次に、東北デスティネーションキャンペーン事業費については、私が用意してきた質問を先ほど佐々木朋和委員に質問していただきました。多分私のために用意した質問を佐々木朋和委員に答えたのかなという、そんな気が。悪気はございません。今のは失言でした。済みません。恨みはございません。
 スマート盛岡プロジェクト推進事業費について、まず、概要についてお伺いしたい。
〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 スマートもりおかプロジェクト推進事業費についてでございますが、この事業は、盛岡広域振興局が、学術研究機関や産業支援機関、IT企業が集積をしております盛岡広域の特性を生かしまして、管内の8市町におけるITやものづくり産業の振興、スマート農業の推進、産業人材の確保などの事業を行っているものでございます。
 具体的に、令和2年度におきましては、IT連携コーディネーターの活動によりまして、IoTの普及啓発の取り組み、そして、産学官連携の支援、業界団体と連携しましたIT企業と県内大学等の学生のマッチングガイダンス等の取り組みを行ってきたところでございます。
 今年度でございますが、デジタルトランスフォーメーションの推進、あるいは新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いますデジタル需要の拡大というような背景を受けて、デジタル化の流れがより一層加速していることを踏まえまして、引き続き、デジタル技術の普及啓発活動や産学官連携の支援を行いますとともに、ニーズの高まるIT人材の確保、育成など、盛岡広域の強みを生かした産業振興に向けて取り組んでいるところでございます。
〇小林正信委員 この事業費360万円余ということで、これはIT連携コーディネーターのお給金なのでしょうか。
〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 その人件費も含まれておりますが、その他の事業の活動費、開催費、推進費も含んでいるものでございます。
〇小林正信委員 わかりました。IT連携コーディネーターの存在は非常に重要かと私も思いますので、もう少し人件費を上げていただいて、あるいは人員の増加とかを図っていただいてやっていただきたいと思います。
 この事業については、デジタル化とかスマートシティの推進という点で大いに有意義な事業だと考えます。さまざまな取り組みがある中で、しかしながら、目指すべき目標がいまいちはっきりしないのかとも感じました。事業を行う上で明確な目標、目指すべき姿がはっきりしていることが重要で、それがないと、いろいろな取り組みをやってみたけれども、いまいち何も残らなかったというような結果になってしまうような気もします。このプロジェクトが最終的に目指すべき姿、目標について、御所見をお伺いしたいと思います。
〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 この事業の目指すべきところということでございます。
 まず、国の統計調査によりますと、県内のソフトウエア情報処理関連の事業所数は合計で206事業所あるということでございますが、このうち盛岡広域地域に立地する事業所が127でございます。全体の約6割を占めているという状況でありまして、先ほども申し上げましたが、学術研究機関あるいは開発型企業の集積とともに、この地域の大きな強みでございます。この強みを生かすという発想で、盛岡広域の8市町におきましては、連携の上で、かねてよりIT、システム関連産業等の振興に取り組んできたところでございます。
 一方で、近年の急激な技術革新あるいは社会環境の変化のもとで、IT産業振興は、一つの産業の振興にとどまりませんで、さまざまな地域課題の解決あるいは社会経済の発展につながる基盤づくりといった意義が高まってきております。
 こうした視点を踏まえまして、スマートもりおかプロジェクト推進事業におきましては、8市町と県が連携いたしまして、管内のさまざまな産業や分野へのデジタル技術の導入の促進と、その基盤となります人材の確保、定着、次代を担う人材の育成などに取り組んでいるものでございます。
 県といたしましては、引き続き、市や町、関係機関と連携を強化いたしまして、この地域でさまざまな成功モデルをつくり出しまして、その成果を県内の他地域にも横展開していきたいと考えているところでございます。
〇小林正信委員 すばらしい目指すべき姿だなと思いました。私は、このプロジェクトは、国の骨太の方針にも明記されたスマートシティの推進が最終的な目標なのかとも思っておりました。例えば、人口減少対策調査特別委員会でお招きしたアクセンチュア株式会社の中村さんは、会津若松市のスマートシティ化を推進されまして、これがもとになってデジタル庁を福島県に持ってこようという意見も出たくらいでありました。
 これは盛岡広域振興局の事業ということで、しかしながら、予算が360万円くらいということで、あまりぱっとしない額なのかなと思います。盛岡広域地域には、先ほどもおっしゃったように、さまざまなIT、デジタル資源が多い。これを連携させて充実を図るには、もうちょっと選択と集中といいますか、ぜひ盛岡広域振興局には、この事業に力を入れていただいて、会津若松市にできて盛岡広域振興局にできないわけがないと私は思いますので、デジタル庁の地方支分部局か何かあるのかわかりませんけれども、それを引っ張ってくるぐらいの思いで取り組みを進めていただきたいと私は思っています。私の期待が大き過ぎるかとも思うんですけれども、期待に関する所感があれば、何か教えていただきたいと思います。
〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 現在、デジタル技術は、非常に重要なキーワードとなっております。県でもさまざまな取り組みをしております。国の動向等もございます。全国各地の先進事例等もさまざま学んでいるところでございますが、会津若松市にも負けないようなしっかりした取り組みをしていきたいと思いますので、応援をよろしくお願いいたします。
〇小西和子委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇小西和子委員長 質疑がないようでありますので、これで商工労働観光部関係の質疑を終わります。
 商工労働観光部の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時50分 散 会



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