令和3年9月定例会 決算特別委員会会議録

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令和3年10月20日(水)

1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 枝   修
主任主査 藤 平 貴 一
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 鈴 木 貴 博
主査 阿 部 真 人
主査 刈 屋 江美子
1説明員
保健福祉部長 野 原   勝
副部長兼
保健福祉企画室長 村 上 宏 治
理事心得 工 藤 啓一郎
参事兼障がい保健
福祉課総括課長 菊 池 優 幸
医療政策室長 佐々木   亨
子ども子育て
支援室長 中 里 裕 美
保健福祉企画室
企画課長 畠 山 直 人
保健福祉企画室
管理課長 田 澤 清 孝
健康国保課
総括課長 竹 澤   智
医療情報課長 大 内   毅
地域福祉課
総括課長 阿 部 真 治
長寿社会課
総括課長 前 川 貴美子
医務課長 中 田 浩 一
特命参事兼
地域医療推進課長 鎌 田 泰 行
感染症課長 三 浦 節 夫
特命参事兼
次世代育成課長 日 向 秀 樹

医療局長 小 原   勝
次長 小 原 重 幸
経営管理課
総括課長 鈴 木   優
職員課総括課長 宮   好 和
医事企画課
総括課長 久 慈 一 広
業務支援課
総括課長 千 葉 直 樹
薬事指導監 勝馬田 康 昭
看護指導監 冨 山   香
医師支援推進室長 植 野 歩 未
医師支援推進監 菊 地 健 治
医師支援推進監 千 田 真 広

会計管理者 永 井 榮 一
会計課総括課長兼
会計指導監 大 塚 貴 弘

監査委員 寺 沢   剛
監査委員 沼 田 由 子
監査委員事務局長 小 畑   真
参事兼監査第一課
総括課長 小 守 健 一
監査第二課
総括課長 佐々木 昭 司

財政課総括課長 山 田 翔 平


〇小西和子委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、議案第28号及び議案第29号の以上17件を一括議題といたします。
 本日は、保健福祉部及び医療局関係について、延べ20人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしましたので、議事進行に御協力をお願いします。
 なお、関連質疑については、その日の質疑の目安時間にかかわらず、目安時間を10分とすることにしておりますので、あらかじめ御了承願います。
 また、換気のため、これまでと同様に休憩いたしますので、御協力をお願いします。
 初めに、保健福祉部長に保健福祉部関係の説明を求めます。
〇野原保健福祉部長 令和2年度の保健福祉部関係の決算について、御説明いたします。
 初めに、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策の着実な推進に向けた、当部所管の事務事業に係る取り組み状況等について御説明いたします。
 まず、復興推進関係についてでありますが、岩手県こころのケアセンター及びいわてこどもケアセンターなどによるこころのケアの支援のほか、生活支援相談員による見守り活動などの被災者支援に取り組んでまいりました。
 続いて、政策推進関係でありますが、まず、健康・余暇分野では、特定健診などの受診率向上の取り組みを初め、自殺リスクが高い方への支援体制の充実強化、奨学金による医師養成や、即戦力医師の招聘、周産期医療提供体制の強化などのほか、生活困窮者の自立支援や、介護職員及び保育士の育成、確保などに取り組んでまいりました。
 次に、家族・子育て分野では、結婚、出産、子育てなどのライフステージに応じた切れ目のない取り組みの総合的な推進のほか、子供の貧困対策などに取り組んでまいりました。
 また、安全分野においては、新型コロナウイルス感染症対策として、検査体制や医療体制の整備、ワクチン接種体制の確保などに取り組んでまいりました。
 今後とも、各政策の着実な推進のため、新型コロナウイルス感染症対策、被災者のこころのケア、自殺対策や、医療提供体制の充実、結婚、家庭、子育てに希望を持てる環境づくりなどに取り組んでまいります。
 続きまして、令和2年度保健福祉部関係の決算について御説明いたします。
 お手元の令和2年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開き願います。
 当部関係の一般会計歳出決算は、3款民生費のうち、1項社会福祉費、3項児童福祉費、4項生活保護費、4款衛生費のうち、1項公衆衛生費、3項保健所費、4項医薬費、16ページに参りまして、11款災害復旧費のうち、7項保健福祉施設災害復旧費、13款諸支出金のうち、1項公営企業貸付金、2項公営企業負担金の一部であり、予算現額の総額は1、714億6、920万円余、これに対する支出済額の総額は1、600億5、369万円余であり、令和3年度への繰越額の総額は22億7、017万円余であります。
 続きまして、特別会計について御説明いたします。
 26ページをお開き願います。
 母子父子寡婦福祉資金特別会計の決算状況でありますが、予算現額4億6、639万円余に対しまして、支出済額は1億4、282万円余であります。
 国民健康保険特別会計の決算状況でありますが、予算現額1、135億1、011万円余に対し、支出済額は1、121億5、754万円余であります。
 決算の内容につきましては、令和2年度歳入歳出決算事項別明細書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で、保健福祉部関係の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇小西和子委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔、明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇佐藤ケイ子委員 保健福祉部の皆様におかれましては、新型コロナウイルス感染症の関係で、大変御苦労されていると思います。本当に敬意を表したいと思います。少し落ち着いてきたので、少し休めればいいなと思っておりますが、いわてで家族になろうよ未来応援事業について、生活保護の状況について、生活福祉資金貸付事業推進費補助について、不妊治療助成について、4項目を通告しております。
 それでは1項目目、いわてで家族になろうよ未来応援事業についてでございます。これは、結婚新生活支援事業ということで、市町村の婚活事業の補助や、新生活に伴う引っ越し費用、新居費用などのについて、令和元年度と令和2年度は、10市町村が実施、令和3年度は、18市町村が実施予定と聞いております。
 令和2年度は、600万円余の決算でありますけれども、支援件数などの実績はどうなっているでしょうか。
 それから、令和3年度は、夫婦への支援の上限額が、30万円から60万円になっているのですけれども、市町村の裁量で上限を下げたりしているということもあります。どのような状況で実施されているのかをお伺いいたします。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 まず、支援件数などの実績についてでございますけれども、本事業は、市町村が国の交付金を活用いたしまして、新婚世帯の住宅費用や引っ越し費用等を支援する結婚新生活支援事業と、広報や、子育て支援情報の発信など、市町村が少子化対策に取り組む地域少子化対策重点推進事業で構成されております。
 当該交付金の令和2年度につきましては、国2分の1、市町村2分の1の負担となっておりまして、県は、市町村事業への情報提供や取り組み支援を行うほか、国の交付金を市町村に交付する役割を担っております。
 令和2年度の実績につきまして、結婚新生活支援事業が8市町村46件、地域少子化対策重点事業は1市で取り組まれたところでございます。
 それから、令和3年度の状況でございますけれども、委員から御紹介がありましたとおり、29歳以下の場合、支給上限額が30万円から60万円に、それから、国の補助率が2分の1から3分の2に引き上げられたところでございまして、本年度は、15市町村で実施をされているところでございます。
 事業実施市町村のうち、矢巾町では、全ての年齢への交付上限を30万円まで、九戸村では、全ての年齢の交付上限を60万円までとして運用しておりますけれども、それ以外の市町村は、29歳以下の場合は、交付上限60万円で運用されております。
 新婚夫婦がこの交付金を受けるために、受講が必須とされております県主催のセミナーにつきまして、コロナ禍でも安心して受講できるよう、オンラインを導入したほか、チラシを作成し、関係機関に配布するなどの支援を行っておりまして、令和3年9月現在、84人が受講しているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 矢巾町は30万円の上限にして、多くの方々に交付しようと。他の市町村は、60万円と高い金額を出して、結婚を支援しようと、こういった事業に取り組むに当たって、県のセミナーなどのそういう運営に参加しなければならないわけですけれども、この事業の運営や、イベント、セミナー開催は、いきいき岩手結婚サポートセンターと連携しているわけですが、コロナ禍で、イベントの運営に支障が出たのではないでしょうか。最近の婚活イベントはどのように行われているのかお伺いいたします。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 最近の婚活イベントの状況についてでございますけれども、いきいき岩手支援財団が、民間団体等の婚活イベントに助成をしております事業では、今年度、15団体への助成中、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止などの理由により、2団体のイベントが延期をされたところでございますが、残る13団体につきましては、飲食や参加人数の制限、広い会場の確保などの感染防止措置を講じた上で、予定どおり開催されていると聞いております。
〇佐藤ケイ子委員 それぞれ工夫しながらもやられているということで、たくさんの新しい運営の仕方が出ているのだろうと思います。オンライン開催とか、本当に工夫していると思います。こういったものの実績が上がればいいと思っております。
 次に、生活保護の状況についてでございます。令和2年度の生活保護の実績はどうでしょうか。
 それから、令和3年度の申請件数が増加傾向ということで、新聞にも大きく報道をされております。岩手日報などでも、ことし4月から7月までの県内申請件数は523件で、前年同期比15%増といった報道がありまして、受給者は、7月末現在で、1万426世帯がありました。これから、また、状況が変わってきているのだろうと思いますが、その状況をお知らせください。
〇阿部地域福祉課総括課長 まず、令和2年度の実績でございますが、保護申請件数は1、500件、令和元年度の1、583件より83件減少しました。
 また、保護受給世帯数は、令和2年度平均は、10、474世帯、令和元年度平均は10、561世帯で、87世帯減少しました。
 次に、令和3年度の状況でございますが、生活保護の申請件数は、令和2年度の後半から、対前年同月比で増加傾向が続いております。令和3年度におきましても、4月を除き、対前年同月比で増加しております。
 さきのリーマンショックの際も、生活福祉資金の特例貸付が行われましたが、その後、増加傾向がしばらく続きましたので、今般のコロナ禍におきましても、同様の傾向があると考えられ、今後、この傾向は続くものと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 令和2年度の後半から増加してきて、ことしも、増加しているということで、だんだんに深刻化しているのだろうと見ておりました。
 生活保護を申請するときに、いつも問題になっておりますのは、扶養照会です。親族に扶養できる人がいないかということで、全然連絡をとってもいない人にも扶養照会がされ、扶養照会してもいいですかと確認するわけですけれども、それが嫌で諦めるという人も出ています。この扶養照会のあり方については、国会でも問題になりまして、これを緩和するように、扶養照会を限定するべきだということがあったのですけれども、運用的には、余り変わってないように思っているのですが、どうなっているのでしょうか。
 それから、自動車保有です。岩手県内は、交通事情がなかなか厳しいということで、車がなければ生活できないエリアがたくさんあるわけです。そんな中で、車がなかったら、生活するのは本当に大変なので、生活保護を我慢しても、車は持ちたいという方々は、それで生活保護を諦め、大変苦しい生活をしているという実態があると思いますが、その自動車保有についても、その地域事情によって柔軟にさせるべきだと国にどんどん言ってほしいと思っているのですけれども、このことについては変わりないのでしょうか。自動車保有の状況、柔軟に運用できないかお伺いいたします。
〇阿部地域福祉課総括課長 扶養照会につきましては、これまでも、申請される方に、扶養照会は保護の要件ではないということを、丁寧に説明し、適正な保護の実施に努めてまいりました。本年2月に、国から、現在の状況や実態に沿った形で運用するように、取り扱いの見直しが行われました。
 県としましても、その趣旨を踏まえ、扶養照会が壁となって、保護の申請をためらわせることがないように、申請者から丁寧に生活歴などを聞き取って、個々の申請者に寄り添った対応がなされるよう努めているところでございます。
 次に、自動車の保有につきましては、通勤困難など、国が定める一定の要件を満たす場合には、これまでも容認してまいりましたが、今般の新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、一時的に収入が減少し、保護が必要となる方の通勤用自動車など、現下の状況が収束した後に、生活保護が必要なくなる場合も出てきます。その際に車がないと、非常に大変なことになりますので、弾力的に運用するように、国からも示されておりまして、県としましても、その趣旨を踏まえて対応しているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 国からは、弾力的な運用も示されたということですけれども、特に本県は、もっと弾力的にやらないと、本当に生活できない状況ですので、ぜひ、柔軟に対応していただきたいと思います。
 次に、生活福祉資金貸付事業推進費補助についてでございます。新型コロナウイルス感染症の影響で、収入減世帯の生活福祉資金の特例貸付、緊急小口資金と総合支援金は、岩手県社会福祉協議会が貸し付けを行って、その経費を補助しているわけですけれども、令和2年度の実績はどうでしょうか。
〇阿部地域福祉課総括課長 緊急小口資金が3、954件、6億9、900万円余、総合支援資金が1、505件、9億6、400万円余、合わせて5、459件、16億6、400万円余の貸し付けの実績がございます。
〇佐藤ケイ子委員 それでは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況が9月初めまで大変だったわけですけれども、令和3年度の状況はどのように推移していますか。
〇阿部地域福祉課総括課長 令和3年9月末時点での実績では、緊急小口資金が1、157件、2億1、400万円余、総合支援資金が1、471件、8億6、800万円余、合わせて2、628件、10億8、200万円余となっております。
 令和2年度に比較しまして、緊急小口資金の貸し付け件数は減少していますが、令和3年2月から、総合支援資金の再貸し付けが実施された影響もございまして、総合支援資金の貸し付け件数は増加しております。
〇佐藤ケイ子委員 これが大変増加しているわけであります。新型コロナウイルス感染症が収まってきつつはあるわけですけれども、その生活状況がすぐ改善するわけではありませんので、こういった貸し付け事業は、新型コロナウイルス感染症が収まってもあるということは、周知を続けていただきたいと思います。それから、この返済について、その住民税課税状況にもよりますけれども、そのときの所得の状況で、返済が免除されるとか猶予されるというのもあるわけですが、それをしっかりと周知してほしいわけです。借りたら絶対返すということを強調し過ぎると、本当に困っている方々は立ち直れない状況ですので、柔軟な対応があるわけですから、ぜひお願いしたいと思います。
 次に、不妊治療の助成についてでございます。特定不妊治療の申請件数、助成額などの実績はどうでしょうか。令和3年1月の改正で、所得制限の廃止、それから、事実婚も対象になっておりますけれども、それによって、申請の変化はあるのかどうか伺いたいと思います。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 特定不妊治療の状況についてでございますけれども、まず、令和2年度は、中核市である盛岡市を含む県全体の申請件数は750件、助成額は1億5、122万4、000円となっております。
 それから、令和3年1月の制度改正に伴う影響についてでございますけれども、令和3年1月から6月までの県に対する申請件数で申し上げますと、前年同期比で、82件増加しているところでございます。
 この増加要因としましては、制度改正に伴いまして、先ほど御紹介がありました事実婚にある方を新たに対象としたほか、所得制限の撤廃、助成額の30万円の引き上げ、助成回数の拡大というところが影響したものと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 以前は、県内で、その治療を受けられる機関が1カ所しかなかったわけですけれども、2カ所になって、通院の苦労も少しは緩和されたと思いますし、さまざまな制度運用が柔軟になってきたので、増加しているということだと思います。
 それから、令和4年度からは、保険適用になるということで、今、厚生労働省などで、保険適用の範囲などを盛んに進めているようでありますけれども、どの程度まで保険が適用されるような制度になっていくのかお伺いいたします。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 令和4年度からの制度改正についてでございますけれども、現在、厚生労働省の諮問機関であります中央社会保険医療協議会におきまして、検討が進められておりまして、年明けには、保険適用の対象範囲等が示される予定と聞いております。
 現時点では、具体的な内容はまだ明らかになっていないところでございますので、県といたしましては、今後の保険適用の状況を踏まえ、治療費助成制度や、支援のあり方につきまして、検討していく考えでございます。
〇佐藤ケイ子委員 県には、保険適用の情報があまり入っていないというのは、公式には入っていないということでしょうけれども、方向性はわかっているのだと思います。この保険適用で、これから必ず対象になると思うのは、体外受精、男性不妊への薬剤治療、胚、受精卵の培養など、そういったものもどんどん保険適用になっていくのだろうと思います。
 また、そのほかにも、35歳以上、または、胚移植で2回以上続けて妊娠しなかった女性に、一度に二つ移植するなど、医療の発達で、体外受精などの保険適用がどんどん広まっていくわけですけれども、そうなった場合に、それを推進していく中にあって、県の不妊治療助成もどんどん変わっていくのだろうと思いますけれども、どういう方針でこの不妊治療を応援していくのか、保健福祉部長にその方針などについてお考えを伺います。
〇野原保健福祉部長 不妊治療の支援については、子供を産みたいという女性、夫婦、また、パートナーの方にとっての成果に結びつく事業を進めなくてはならないと、私どもは考えております。
 今、委員から御紹介いただきましたように、国の中央社会保険医療協議会で、今、どこまで範囲を広げるのかといったような議論が進められております。国で、毎日のように審議されておりますけれども、中央社会保険医療協議会の協議の状況を注視いたしまして、県として、円滑な助成につながるように支援に努めてまいりたいと思いますし、また、不妊治療を受けられる医療体制、これは、県土が広い中では、どうしても盛岡市等になってしまうというところですけれども、議会等でもさまざま御指摘されている課題等についても、関係機関とも協議をしながら、今後に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。
〇岩崎友一委員 特定不妊治療の関係で、関連質問をさせていただきたいと思います。
 先ほどの答弁で、昨年度よりも実績がふえ、政府の支援の効果があったという評価であったかと思いますけれども、数がふえているのは非常にいいことであります。
 現在、特定不妊治療の指定医療機関が、盛岡市に2カ所ということで、広い県内を考えれば、もっとふやさなければならないと思うのですが、二機関で、例えば問い合わせだったり、受診は滞りなく、断ることなく行われてきたのかどうか、確認をさせてください。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 指定医療機関の関係でございますけれども、岩手県は二つしかないということで、受診状況は大丈夫かというお声は聞いておりますけれども、医療機関からは、特段の支障は生じてないとお聞きしているところでございます。
〇岩崎友一委員 先ほど、保健福祉部長からも答弁がありましたけれども、来年4月からの保険適用に関して、中央社会保険医療協議会で、議論が行われている最中であります。オプション的な処置なども含めてさまざま保険適用の内容について議論が行われていると認識しております。
 保険適用になった場合に、その受診者の問い合わせがさらに増加するのかどうか、また、増加した場合に、この2機関でしっかり対応できるのかどうか、その辺の見通しを、どのように捉えているのかお知らせください。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 保険適用後の状況についてでございますけれども、先ほどから、各委員から御紹介いただいているとおり、保険適用の範囲がどの範囲になるのか、どこまでを保険サービスとして提供するのか、それを外すのかというところが、まだ見えてない状況でございますので、国の動き、それから、議論の様子等も踏まえまして、県としては対応をしていきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 先ほどの保健福祉部長の答弁で、特定不妊治療の指定医療機関が2カ所だけれども、課題等について検討を進めたいという話もありましたが、仮に、保険適用になって、その受診者や問い合わせ等がふえて、この二つの機関だけでは足りないといった場合に、今、県では新たな策をお持ちなのでしょうか。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 現時点におきましては、新たな医療機関設置等の動きはないという状況ではございますけれども、特定不妊治療を実施できる医療機関が、かなり高度で、専門性が高いということでございますので、県のみで設置することがなかなか難しいというのが現状だと、認識しております。
 こういう課題につきましては、国レベルで対応をしていただくことも必要かと考えておりまして、国に対しては要望をしているところでございますけれども、その治療体制が円滑にできるような支援について、引き続き要望していきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 その国レベルというのは、医師の問題なのか、また、その機材等に対する財源的な問題なのか、その辺は具体的にどういった部分でしょうか。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 まず、特定不妊治療を行うためには、医師のほかにも、例えば、胚培養士等の人材が必要になってまいります。施設設備を導入することについては、特段の問題はないかと思いますけれども、専門人材を育成していくというのが、かなり難しい部分でございますので、こういう部分につきまして、国に支援を働きかけていきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 この指定機関が、岩手県は2カ所ということで、全国的にも少ないわけでありますけれども、他県は、そういった人材等をどうやって確保しているのかがわかれば、お知らせをいただきたいと思います。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 詳しいところは、大変申しわけございませんけれども、把握できておりません。
〇岩崎友一委員 ぜひ、その辺も把握しながら、国としての支援も当然必要でありますし、県としての努力も必要であると思っております。特に、広い県内で盛岡市の2カ所のみでありますから、ぜひ、県南、沿岸、県北地域も、これから考えていただきたいと思います。
 今、2カ所という中で、通院される方の経済的な不安という声を聞いておりまして、交通費等の助成の状況について、おわかりになれば、お知らせをいただきたいと思います。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 交通費等の支援でございますけれども、これから保険適用になるということになりますと、一定程度の治療費が減額され、負担が軽減されるということもございますので、そういう状況も見きわめながら、研究していきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 これは、市町村単独で支援している市町村はありますか。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 通院交通費につきましては、市町村では実施していないと思いますが、治療費については、市町村の単独事業で実施されている例があります。
〇岩崎友一委員 来年4月から適用されれば、さまざまな支援のあり方、方向性も、恐らく変わってくると思うわけでありますけれども、県内で特定不妊治療を受けたいという方々が、しっかりと受けられるように、県においても、少子化対策の重要な政策の柱の一つでありますから、さまざまな観点から、よろしくお願いをしたいと思います。
〇工藤勝子委員 自殺対策についてお伺いいたします。2020年の県の自殺死亡率、10万人当たり21.2人、全国第47位という結果になりました。幸福を守り育てる希望郷いわてとして、こういう目標を掲げる中で、大変不名誉なことではないかと思っているところであります。この結果を、まず、どのように受けとめているのかお伺いいたします。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 自殺死亡率の受けとめについてでございますが、本県では、自殺対策に係る介入効果の研究結果を踏まえまして、普及啓発や相談支援、うつスクリーニングなどの包括的な自殺対策プログラム、久慈モデルを推進の柱として、岩手医科大学や県精神保健福祉センター、保健所が、市町村や民間団体と連携し、全県での実施に、継続的に取り組んできたところでございますが、本県の自殺死亡率が、6年ぶりに全国で最も高くなったことを重く受けとめ、自殺予防対策は喫緊の課題であると認識しております。
〇工藤勝子委員 官民一体となって、総合的に対策をしているということであります。その対策の効果と課題についてお伺いしたいと思います。
 全国自治体においても、同じようなことをされているわけですけれども、岩手県として、全国のレベルになかなか上がっていけない、そういう状況を捉えながら、課題についてもお伺いいたします。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 官民一体となった総合的な対策の効果と課題についてでありますが、自殺は、さまざまな要因が関係し、幅広い分野における包括的な取り組みが重要でありますことから、本県では、岩手県自殺対策推進協議会を中心に多様な主体が連携し、官民一体となって取り組んできたところ、自殺者数は、ピーク時から半分以下に減少するなど、一定の成果があらわれていると認識をしております。
 しかし、令和2年の本県の自殺者数、自殺死亡率は、全国と同様、前年比で増加したところでありまして、コロナ禍が長期化する中にあって、自殺リスクが高まることが懸念されますことから、こうした状況を踏まえ、さらなる対策を講じていくことが、課題と考えております。
〇工藤勝子委員 秋田県の例ですけれども、秋田県もかなり高く、全国でワーストワンというときが続きました。特に北東北3県でお互いに1番になったり、2番になったり、3番になったりというようなことが続いているわけです。そういう中において、秋田県が、3月1日を秋田県いのちの日と設定されているという情報もありました。ゲートキーパー養成講座で、毎年1、000人以上が受講されているということもございます。
 そして、秋田モデル、岩手県は久慈モデルというお話もございます。民間団体の顔の見えるような関係をつくっていかなければならないのではないかということであります。その結果として、前年比2.8ポイント、171人の減少で、10万人当たり18人という結果になったようであります。
 それから、昨年からの新型コロナウイルス感染症の広がりの中で、県内の経済に与えた影響も非常に大きく、全国的には、男性がまだまだ多いわけですけれども、女性とか高校生が多くなってきている現状が見えてまいりました。コロナ禍における、県内の自殺動向をどのように調査されているのかお伺いいたします。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 コロナ禍における県内の自殺動向についてでありますが、住所地ベースの統計である人口動態統計は、令和2年に係る年代別、地域別などの確定値がまだ公表されておりませんので、発見地ベースで集計する警察庁統計によりますと、本県の令和2年の自殺者数は278人で、前年比2人の増となっております。この警察庁統計で、男女別では、男性が184人、女性が94人で、前年比では、女性が14人増となっております。19歳未満の自殺者は、前年比2人の減となっております。
〇工藤勝子委員 次に、ひとり親への相談窓口はどのようにされているのかお伺いします。特に、全国的には、ひとり親家庭も多くなってきています。つまり、子供を抱えて、雇いどめ等で、生活が非常に困窮してきているということです。それから、いろいろな状況の中で、妊産婦もコロナ禍の中で自分の体もおなかにいる赤ちゃんのことも非常に心配されているようですが、どのように相談窓口を充実されているのかをお伺いいたします。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 ただいま、ひとり親家庭と妊産婦への支援ということでのお話がございました。
 まず、ひとり親家庭につきましては、県では、ひとり親家庭への支援を強化するために、昨年度、ひとり親家庭等応援サポートセンターを設置いたしましたほか、広域振興局等に配置しております母子父子自立支援員や、市町村、母子福祉関係団体等が、相談に応じているところでございます。
 県といたしましては、新型コロナウイルス感染症の長期化に伴う影響が懸念されますことから、こうした窓口におきまして、きめ細かく相談に応じながら、関係機関と連携いたしまして、支援をしていく考えでございます。
 また、妊産婦につきましては、妊娠、出産直後には、心身の変化が大きくなるということもございますので、医療機関における産前、産後健診の機会に、スクリーニングを実施いたしまして、ハイリスク者の早期発見に取り組んでおりまして、産科医療機関と市町村において情報を共有し、早期支援につなげているところでございます。
 また、スクリーニングの結果、支援が必要な妊産婦につきましては、市町村保健師等が状況を確認の上、産前・産後サポート事業や産後ケア事業などにより、きめ細かく支援をしているというところでございます。
〇工藤勝子委員 まず、相談体制の関係ですけれども、相談を電話で受けるだけではなく、今や、SNSなどいろいろな形がございますが、その相談を受けた人たちが、心の扉を開いてくれるようなことをしていたのではないかと思うのです。
 当たり前のことを当たり前に聞いて、自分の持っている知識をそのまま与えるのではなくて、悩みの電話を受けたことを、しっかりと聞き取りながら、親切、丁寧に応対しているとは思うのですけれども、そういう相談員の研修もあるものでしょうか。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 先ほど御紹介いたしました、振興局等に配置をしております母子父子自立支援員につきましては、定期的な研修を行っているほか、状況に応じて、事例検討のような研修会など、これまで実施してきているところでございます。
 また、昨年度設置をいたしました、ひとり親家庭等応援サポートセンターでは、さまざまな研修機会も設けておりますし、相談があった方には、寄り添って支援していこうという姿勢で、対応していると聞いております。
〇工藤勝子委員 地域のネットワークも活用しなければならないのではないかと思っています。そして、全体的に、包括的に支援体制の構築が大事になってくるだろうと思っています。
 そういう中において、国も、この自殺対策に非常に危機を持って、令和2年度の第3次補正予算を措置しました。約140億円、これは令和3年1月28日に成立しております。コロナ禍の影響から、自殺の要因となりかねない経済、雇用、暮らし、健康問題悪化等、自殺のリスクの高まりを抑えるために、対策を強化するための予算と聞いております。実施主体は各都道府県、補助率4分の3、この予算の有効的な活用について、繰り越しできるとも聞いておりますが、いかがでしょうか。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 令和2年度第3次補正予算の活用についてでありますが、繰り越しということで、県では、令和3年度の予算にも活用しているところでございます。
 この予算のうち、国の自殺予防対策の推進については、自殺防止対策に係る相談支援の体制強化等を目的として、措置をされました。
 このうち、新型コロナウイルス感染症セーフティネット強化交付金について、県事業として、精神保健福祉センターの相談対応の充実経費や、民間4団体の電話相談事業等が対象とされたところであります。
 市町村事業としては、二戸市など5市町村における相談対応事業が対象とされ、県と市町村事業の総事業費は1、253万円、国庫補助金が939万5、000円となっております。
 また、この予算の中には、国が直接行う事業も含まれておりまして、全国を対象として、電話やSNSを活用した相談事業が実施され、県では、こうした国の取り組みと連携しながら、国の補正予算を活用した対策の強化などを通じ、悩みを抱えた人が、地域で必要な支援を受けられるように取り組んでいるところでございます。
〇工藤勝子委員 岩手県は、自殺する人を少なくするような目標を令和4年度、10万人当たり21.2から16.0に大幅に下げていますけれども、これは、具体的に、どこに、どのような対策をとって、このように数字を下げられるのかお聞きいたします。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 自殺対策の計画目標値を令和4年に16.0とする対策についてでございます。
 自殺は、さまざまな要因が関係し、幅広い分野における包括的な取り組みが重要でありますことから、引き続き、包括的な自殺対策プログラム久慈モデルの実践や、ハイリスク者対策などに、継続的に取り組むほか、今年度から新たに取り組んでいる、メンタルヘルス対策などに取り組んでまいります。
 また、令和2年の本県の動向として、警察庁統計では、年代別では、男性は40歳代の働き盛り世代、女性は80歳以上が最も多くなっています。それから、原因、動機別で見ますと、男性は経済、生活問題、女性は健康問題が最も多くなっております。前年との比較では、経済、生活問題が最も増加していることも踏まえまして、働き盛り世代に向けた、相談体制の充実など、きめ細かく、取り組みを一層強化し、今後も多様な主体が連携して、官民一体となって取り組みを推進していきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 ぜひ、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 次に、県庁内の部局横断的な取り組みについてお伺いいたします。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 部局横断的な取り組みの強化についてでございますが、県では、全庁一体となった取り組みを推進するため、平成23年度に、知事を本部長とする岩手県自殺総合対策本部を設置し、全部局長等の出席のもと、自殺の状況、自殺対策に係る情報共有を行うとともに、自殺対策の各般の取り組みを、部局横断体制により推進しているところでございます。
 今年度は、本年7月に、岩手県自殺対策推進協議会におきまして、岩手県自殺防止宣言を改定し、取り組みの強化が図られたところでございますので、県においても、これに呼応する対策の充実を図り、部局横断による取り組みを、一層推進していきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 では、情報発信をどのようにされているのかお聞きいたします。例えば、3月と9月、長期的な休みがあった後に自殺者が多いということもありまして、強化月間と定めていると聞いておりますが、どのような情報発信をされているのかお聞きいたします。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 3月と9月が、それぞれの強化の月間ということでございまして、自殺防止などについて、新聞広告とか、それから、ラジオ、こういった媒体を通じまして、普及啓発をしているところでございます。
〇工藤勝子委員 自殺対策とありましたけれども、直接的には、こういうことをケアする必要があると思います。そうではなくて、岩手県が守り育てるということをいわて県民計画で掲げているわけです。ですから、そこの月間に、例えば、命を大切に守るとか、守りましょうとか、寄り添う月間とか、こういうネーミングみたいな発信はできないものでしょうか。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 自殺対策におきましては、悩みを抱えた人が周囲のサポートを得られるかどうか、こういったことが非常に重要でございます。
 こういった視点で、ゲートキーパーの養成等を進めているところでございますが、県民運動として取り組んでいくという視点からいたしますと、委員御指摘のとおり、住民の方に浸透しやすいといったような点も踏まえる必要があるというところもございますので、岩手県自殺対策推進協議会の意見等も聞きながら、研究をしていきたいと思います。
〇工藤勝子委員 令和3年度の結果は、1月から12月までの表だと聞いております。コロナ禍の中でも、たくましく生きていく、そういう人たちを皆さんで多く守り育てていってほしいと思っております。ぜひ、もう少しソフトに、丁寧にやっていく必要があるのではないかと思っていますけれども、最後に、保健福祉部長の所感を聞いて、終わりたいと思います。
〇野原保健福祉部長 官民共同の岩手県自殺対策推進協議会で、岩手県自殺予防宣言というのを出しておりまして、ことし、それを改定いたしました。
 三つのポイントがありまして、一つは、理解の輪を広げる。周りの方々が心の不調に気づいて、寄り添いながら専門機関につなぐなど、県民全体の理解の輪を広げる。また、連携の輪を広げる。これは、我々精神保健福祉センターの立場だけでなくて、経済団体、雇用、学校、本当にさまざまな関係機関の連携が必要ですので、この連携の輪を広げる。そして、行動の輪を広げるという、この三つのポイントで、自殺予防宣言を改定いたしました。
 非常に重要な視点だと思っています。自殺対策は、何かあれば、一気に解決できるという簡単な問題ではないのですけれども、引き続き、この宣言に基づいた三つの視点にのっとって、取り組みを進めてまいりたいと思います。
〇小西和子委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午前10時55分 休 憩

午前11時12分 再開
〇小西和子委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇中平均委員 最初に、岩手県こころのケアセンターについてお伺いいたします。
 皆様御承知のとおり、東日本大震災津波の被災者の精神的負担を軽減するために設置された、こころのケアセンターでございます。昨年度が、被災地こころのケア対策事業費3億9、400万円余というところが、この運営経費かなと見ております。そして、昨年新型コロナウイルス感染症の関係もございました。とりあえず先に、相談件数と実績等をお知らせ願います。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 岩手県こころのケアセンターの令和2年度の実績についてでございますが、令和2年度における、延べ相談支援件数は5、353件で、前年度比マイナス2、258件、29.7%の減となっておりますが、これは、新型コロナウイルス感染症対策として、相談者と支援者の接触機会を減らすため、訪問や来所の間隔をあけるなどの対策を講じたことによるものでございます。
 こうした対策によりまして、直接的な相談支援件数は減少しておりますが、市町村の保健師等と連携をしまして、訪問による支援にかえて、電話による状況確認などを継続して実施したことから、被災者に対する必要な支援は、適切に行われたものと認識をしております。
〇中平均委員 新型コロナウイルス感染症の関係で、直接的な相対しての相談等の業務がどうしても滞ってきていると。その中で、さまざま手法を変えながら、相談のレベル等を落とさないで、対策をしてきているということでございます。恐らく、ことしも同じような状況で動いているのだと思いますので、その点、対策を含めて、しっかり行っていただきたいと思います。
 先ほどの工藤勝子委員からの質疑にもありましたが、自殺率等の数値等もなかなか厳しい状況であると、答弁にもございましたので、その点を踏まえて、続けていかなければならないのだろうなと考えております。
 被災地こころのケア対策事業費、先ほど言った3億9、400万円余で維持、運営していると思っておりますが、この予算は、国費が100%と認識しておりましたけれども、確認させてください。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 委員から、今、お話のありましたとおり、こころのケアセンターの運営費については、全額国庫負担で対応しております。
〇中平均委員 設置当初から国庫負担でということです。東日本大震災津波から10年を経過して、これからは、ハード面の事業が終わってきている中だということでございますけれども、予算をどのようにして確保していくかということも、また、非常に求められているところなのだろうと思います。
 次の質問です。新型コロナウイルス感染症関係でも、いろいろと国のほうでも政策を打っていくという中で、被災地におけるこころのケアセンターの維持をしていく中で、予算確保をどのようにしていくか。国に対して、どのように要望等をしていって、予算を確保していくのかということが非常に重要なのだと考えています。
 10年たっている中で、国のほうだと、このまま維持していくのかどうかという、そこら辺の折衝もなかなか大変だという話も伺っておりますが、その点について、来年度以降、どのような形で予算確保等を図っていく考えであるのかもお伺いしたいと思います。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 岩手県こころのケアセンターに係る令和4年度の予算の確保についてでございますが、被災地においては、時間の経過に従って、被災者が抱える問題が、複雑化、多様化しており、被災者は、震災そのものによるストレスに加え、その後の転居など環境の変化が、精神的な負担になっているものと考えられますことから、こころのケアに中長期的に取り組む必要があると認識をしております。
 このため、県では国に対し、こころのケアセンターの運営経費について、引き続き、所要額の確保と、全額国庫による財政措置を継続するよう要望してきたところでございます。先般、公表された国の令和4年度予算の概算要求において、財源となる被災者支援総合交付金の要求額は、前年度比5億円の減の120億円で、おおむね前年度並みとなっているところでございます。
 県としては、今後も、被災者一人一人に寄り添った支援を継続するとともに、専門スタッフの確保や、スキルアップ等により支援の質を高め、中長期的なこころのケアに取り組んでいくため、国に対する要望などを通じ、引き続き、予算の確保に努めてまいります。
〇中平均委員 予算確保は非常に難しい点もあるかと思いますが、被災地として、ぜひ続けていかなければならない事業だということで、国のほうにも理解をいただきながら、これを進めていく必要性を、改めて確認させていただきました。よろしくお願いしたいと思います。
 次に、傾聴ボランティアとか、自殺予防対策についてでございますけれども、先ほどのこころのケアセンターのほうでもそうですが、新型コロナウイルス感染症対策で、今までの活動がしづらくなってきているというところはありますけれども、そういった中で、傾聴ボランティア、または、いのちの電話等、さまざまな団体で動いていただいておりますけれども、その運営は、どのような形で行っているのかという点をお聞かせいただければと思います。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 傾聴ボランティアの活動についてでございます。傾聴ボランティア団体は、市町村が事務局となっている団体、それから、民間団体等が運営している団体がございます。
 市町村が事務局となっている団体は、市町村の補助事業、それから、民間団体等が運営している団体は、寄附金とか、市町村、県の補助事業等を活用し、活動を行っているものと承知をしております。
 県では、こうした団体に対しまして、保健所や県精神保健福祉センターが、運営費の支援となる各種の助成事業の情報提供を行うほか、資質向上を図るためのスキルアップ研修等を行い、支援をしているところでございます。
 今後においても、そうした団体の方々の声などを丁寧に伺いながら、傾聴ボランティアの活動が一層促進されるよう、育成や活動支援に努めてまいります。
〇中平均委員 ボランティアベースでというところがどうしても多くなってきているとも聞いておりますので、そういった点で、行政側のサポートは非常に大切なのだろうと思っております。
 引き続き続けていっていただきたいと思います。あとは、いわゆるSNSの対応というところで、新型コロナウイルス感染症対策のため、相対の相談がしづらいという中において、先ほどの工藤勝子委員への答弁の中にも、国の令和2年度第3次補正予算で、SNS媒体を活用した対応をしているという話もございました。岩手県として、どのような形でSNS媒体を活用した対応をしているのかをお伺いしたいと思います。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 SNS媒体を活用した相談事業等の実態についてでございます。SNSは、時間や場所の制約がなく利用できることや、コミュニケーションが苦手な人にとっては、電話や面談よりも利用しやすいことなどから、若年層を中心に、相談につながりやすいというメリットがございます。
 国では、コロナ禍にあって、経済情勢の悪化などの社会的要因により、自殺リスクの高まりが懸念されることから、相談支援体制を強化することとし、令和3年度に、全国規模でSNSによる相談受付が可能となる体制を構築するとともに、相談内容に応じて、地方自治体や地域の支援団体等と連携した支援を行うために、全国6カ所程度に、地域拠点機関を設置することとしております。
 県においても、こうした国の取り組みに呼応し、SNS相談において、具体の支援につなげる必要があるケースなどについて、相談支援を行う体制を整えており、県の相談窓口一覧に、このSNS相談窓口を掲載しまして、広く周知し、悩みを抱えた人が、地域で必要な支援を受けられるよう取り組んでいるところでございます。
〇中平均委員 今のお話ですと、国において、いわゆるLINEであったり、SNSの相談体制が全国的にあると。そこに、例えば岩手県の人が相談しますよね。LINEで相談した場合に、それがLINEで、岩手県の誰々さんがこういうことで相談されたという事例があった場合は、今の話では、それが県のほうに情報が来て、それで対応をしていくという形になるのでしょうか。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 SNS相談についてでございますが、SNS相談だけで完結するものと、地域で支援をする必要があるケースとあると聞いております。
 地域で、電話なり対面により支援が必要というケースにつきましては、現在のところは、国の委託機関から、県の精神保健福祉センターにつないでいただいて、それから、現在、自殺対策の相談窓口は市町村にもありますので、必要によって市町村と連携して、地域で相談をするというような形にしていきたいと考えております。
〇中平均委員 そうすると、岩手県の対策として、今まで、従前やっている傾聴ボランティアとか、各地域の自殺対策のところのほかに、国でやっている大きなSNSのシステムの中で、直接相談を受けた中で、フォローアップをしていかなければならないとか、そういう場合の個別の事例については、その必要に応じて、県に情報が来て、市町村にも行って、フォローアップをしていきながら、対応していくという形でいいのですよね。
 となると、さまざま手段がある中で、SNSも活用しながらやっていくというシステムは、自殺予防対策については、国のシステムに載りながらできているという認識でいいと思うのですが、これは、いつから運用されているのでしょうか。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 国に確認をいたしましたところ、地域拠点機関等も、最近動き出したと聞いておりますので、県の精神保健福祉センターにも対応するようにという話をしているところでございます。
〇中平均委員 今、実際動いているという形でいいのですね。国の令和2年度第3次補正予算で国が構築したシステムが、今は動き始めていると。
 そして、あとは、これの周知だと思うのですけれども、今、ちょっとお話があったと思うのですけれども、どうやって周知しているのか、これから、こういう制度やシステムがあるので、直接電話しづらい人は、このLINE等を使って、どういうふうに相談してくれというのを周知していかなければいけないと思うのですけれども、それはどのような形で考えているのでしょうか。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 この新しい国の動向を踏まえまして、県では、県のホームページの相談窓口の一覧がありますので、そこに掲載をして、周知をしているところでございます。
 なお、厚生労働省のSNS相談、地域拠点機関を設置した全国展開は、今年度からということですが、厚生労働省自体、そのSNS相談は、平成30年度から幾つかの団体に委託をしておりまして、それについても、これまで、県のホームページにおいて紹介してきたところであります。
〇中平均委員 平成30年度から進めていたとしても、それが具体に、各相談者の方をフォローアップする体制が、ことし動き始めたということですので、より周知といいますか、知っていただいて、また、さまざまな処理をやっておかないと、本当に困ったり、どうしようと悩んだり、いざというときに相談できるところを知らないと、せっかくあるシステムも稼働しないので、そこは、周知等をより徹底していただきたいと思います。
 もう一点、こころのサポーター養成事業ということでお伺いしたいのですが、新型コロナウイルス感染症対策を含めて、厚生労働省で、心のサポーター養成事業を行うと先般の報道で出ておりましたけれども、この点について、現段階での情報等がありましたら、教えていただきたいと思います。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 心のサポーター養成事業についてであります。実施主体である国では、本事業について、メンタルヘルスの問題に関する正しい知識を学ぶことで、精神疾患への偏見や差別をなくし、メンタルヘルスの問題を抱える人への初期対応ができるようになることを目的としている、メンタルヘルス・ファーストエイドの考え方を活用した事業としております。
 令和3年度から令和5年度までの3年間、全国8カ所程度の都道府県等をモデルとして、試行的に事業を実施することとされておりますが、今年度は、7月に厚生労働省において、実施希望自治体の募集が行われたところであります。
 厚生労働省では、これらの自治体を対象に、11月をめどに、養成研修を実施する見込みであり、令和6年度からは、全国での事業展開を予定していると聞いております。
〇中平均委員 そうすると、心のサポーター制度も、実質は、全国展開は令和6年度からと、ちょっと先でありますけれども、今、内閣府でやっているのは、ゲートキーパー養成ですよね。
 私、ちょっと心配したのが、ゲートキーパーも皆さんにお願いして、先ほどの答弁でも、年間1、000人育成しているということでありました。心のサポーターの養成もそれなりの人数を目標にやっていく中で、重複してしまわないかと。重複してもいいのですけれども、やっていくところで、片方は内閣府の事業で、片方は厚生労働省の事業で、目的とするところは、基本は一緒なのでしょうけれども、そこを上手に活用しながら、岩手県のメンタルヘルスを含めた自殺予防対策を進めていくということが、必要になってくるのだと思うのです。
 そういった点を踏まえて、全国展開は令和6年からとなっていますけれども、今後の両制度をどういうふうに活用していきながら、この岩手県の自殺予防対策、また、メンタルヘルス対策を進めていく予定なのか、今段階で結構ですので、教えていただければと思います。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 今、委員から、ゲートキーパー制度との違いについてお話もありました。ゲートキーパーと心のサポーター、両者とも、家族や友人、同僚などの身近な人を対象とし、傾聴を行うなど、共通点も多いところでありますが、心のサポーターは、精神疾患のある人への偏見や差別をなくすこと、ゲートキーパーは、悩んでいる人に寄り添った支援といった、その目的や対象には違いがあると認識をしております。
 こうしたことを踏まえまして、両制度の活用方針についてでありますが、本県は、心のサポーター研修において、指導者となるメンタルヘルス・ファーストエイドのインストラクター、それから、実施者であるエイダーが養成されているところでございます。他県に比較し、心のサポーター養成事業に取り組みやすい環境にあります。
 心のサポーターとゲートキーパーはともに、メンタルヘルスに問題を抱えている人や悩んでいる人を支える重要な人材であります。その特性を生かしながら、活用していく必要があるものと考えておりますが、国の心のサポーター養成事業は、今年度始まったところでありまして、その実施状況等を見据えながら、今後の対応を検討していきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 周産期医療体制の充実について。この委員会でも、何度か、将来に向けた周産期医療体制の充実について、保健福祉部長とも議論をさせていただきました。大変難しい問題だと私も思っています。
 令和2年度主要施策の成果に関する説明書・いわて県民計画(2019〜2028)実施状況報告書の中で、小児救急医師の研修事業の開催というのが、コロナ禍にもう既に入っていて、予定されていた予算案件だったのですけれども、令和2年度で、9回のうち3回、350人の予定が63人ということで、ほとんど開催ができなかったと。判定もDということになっていますが、この要因について、わかったら後で教えてください。
 10月7日に、私も一般質問をしたのですけれども、その後半辺りから、知事も随分スウィングしたり、スウェーしたりして、ちょっと状況がおかしかったのかと思っていたのですけれども、10月7日の千田美津子議員の一般質問の再質問に対して、大変重要な知事答弁がありました。共通認識を図るために、私、何度も再生をして書きとめていますので、皆さんとともに共有したいと思います。
 この周産期医療に関しては、保健福祉部以外との調整にまで踏み込んでいませんでしたので、今この場で、この男女共同参画、若者支援、そして、産業経済、農林水産業もそうですし、建設関係もそうですし、あと、教育の現場、警察もよろしくお願いします。出産、子育てに関して、県全体で総力を挙げて、子供を産み、育てられる、安心できる岩手県にすることを決定させていただきますと、こういう答弁でした。
 私は、政策形成過程において、この場で決定するということは、とても大変なことだと思うし、会議録にも載るわけですから、これは伏線があったと思うのです。私は非常に唐突な答弁だと受けとめましたので、その伏線について、庁議等で何かお話があって、県全体で行うということになったのか。いわば、これは知事のトップのプロジェクトでやるのだという宣言にも受けとめられますから、その点についてどういう経過があったのか。私は、そういう経過状況によっては、大変問題な発言だと思っていますが、保健福祉部長、いかがですか。
〇野原保健福祉部長 県議会における知事の答弁については、知事、副知事、政策企画部長、総務部長等々と答弁担当部局が出席する知事答弁検討の場で、検討をし、最終的に、答弁当日の庁議において、その内容を決定しているものでございます。
 千田美津子議員の一般質問に対する答弁についても、通告のなかった再質問部分を除き、他の知事答弁と同様、知事答弁検討の場で、答弁担当部局である保健福祉部と知事以下、出席者で検討したところでございます。その上で、全部局長が出席した答弁当日の10月7日の庁議において、内容を決定したものでございます。
 御指摘がありました再質問に対する答弁については、事前の通告がなされていなかったものでありますが、再質問制度の趣旨に鑑み、知事が庁議での確認内容を踏まえて、その場で工夫されて、答弁されたものと理解しております。
〇飯澤匡委員 大変練られた答弁だと思います。警察本部長と言った段階で、これは信憑性がないなと私は判断しました。要は、みずから、周産期医療については問題意識はなかったよと、それから、庁議の議題でもなかったということが、あの場で露呈したのですね。だから、みんなに呼びかけたのですよ。
 これは、政策体系の中で、私の質問に対しては、財源の問題等については、これから事業をどうやって考えていくかということに対して、今までどおりやっていれば大丈夫だという答えだったのですけれども、全くその趣旨と違うわけです。この話はいきなり出てきたのです。こういうことでいいのかと思うのですが、保健福祉部長は随分整理された答弁だったのですけれども、きょうは、保健福祉部長をどうしようというつもりはないのです。後で言いますけれども。政策体系として、いかがなものかという問題提起です。いかがでしょうか。
〇野原保健福祉部長 周産期医療、重要な課題でございます。基本的に、県行政のトップとして、改めて、周産期医療という課題の重要性に鑑み、庁議での確認事項を踏まえながら、その趣旨を逸脱しない範囲で、部局横断、全庁を挙げた体制で、取り組みを進めていくことが必要という認識を示されたものと、受けとめております。
〇飯澤匡委員 実は、これは、ふだんからやっていれば、本当はそんなに難しくないのです。部長を集めて、環境生活部長も、保健福祉部長も、それから、雇用も関係してくる。そして、農林水産業の女性活躍、これは、関係部局がみんなで知恵を出し合って、少し何とかしようやと、ふだんからやっていれば、別にあの場で言わなくていいのです。あの場で言うということは、私が、さっき言ったように、ふだんから問題意識はなかったのが露呈したと思っています。
 いわば、あれを株主総会に例えて言うと、我々は県民の代表で、株主として出ていたと。知事は会長兼社長です。その部下に対して、お願いしますと言ったのです。株主の前でお願いしますと言うのは、社長は経営能力がないということを証明したに等しいのですよ。いわば、株主総会で、解任動議が出てもおかしくない状況だ。
 私は、こういう政策の形成プロセスが非常に脆弱なことについて、大変危惧しています。ましてや、周産期医療というのは大変デリケートな問題で、何回も保健福祉部長とも議論をしましたけれども、大変な問題だと思っています。
 もう一つ指摘をしますと、知事は、周産期医療に関してはという主語だったのですが、いつの間にか子育てまで入っているのですよね。主語と述語が違っているのです。これは本当ですよ。いわば、その場の勢いで、何か言ってみたというだけでね。その後、その信憑性を確かなものにするために、プロジェクトとして、これが成立するような動きがあったのかどうか、その点について保健福祉部長に聞きます。
〇野原保健福祉部長 これまでの岩手県ふるさと振興総合戦略のもとで、妊娠、出産支援について、関係部局間で、必要な施策の調整を行いながら、戦略に基づいた取り組みを部局横断的に進めてまいりました。こうした取り組みの中、周産期医療については、これまで担当部局であります保健福祉部が中心となって、その政策のあり方を検討したところでございますが、インフラや産業など、幅広い分野の施策も少なくないかかわりを有していることから、知事が答弁申し上げましたとおり、全庁を挙げて取り組むことが必要であり、施策の進捗状況や対策を、全庁で協議しながら対応をしていくような体制を講じ、安心して、子供を産み、育てられる岩手県を実現するため、全庁を挙げて取り組んでいく考えでございます。
〇飯澤匡委員 いつまでたっても、これはかみ合わないというのはわかっていたのですけれども、いいですか。もう一つ指摘します。大事なところは、今、この場でという表現です。それから、最後、決定させていただきますと言うわけですよ。これは、県の最高の執行権者たる人が、あの本会議の場で決定させていただきますと言った、この言葉は非常に重いです。
 ですから、今後、どのようなことになっていくのか、これは予算編成の時点で、今までと全く変わりなかったら、これはえらいことです。決定させていただきますと言ったわけだから。財政課総括課長、この間、予算編成に関して、何か指示はありましたか。
〇山田財政課総括課長 予算編成に関係するお話でございますので答弁させていただきますけれども、先ほど、保健福祉部長からもありましたとおり、庁議を踏まえて、それこそ行政のトップとして、周産期医療の重要性に鑑み、あのような答弁をさせていただいたと認識しておりますし、我々、各部局、もちろん、ふだんから連携しておりますし、それに当たってどのように予算化していくのかということは、具体に、知事から直接的にお話があるかどうかにかかわらず、不断に検討をしております。
 その上で、今後においても、令和4年度当初予算の編成をしてまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 答弁が大変上手ですね。
 いずれ、やっているということなのですけれども、もう一回繰り返します。執行権者が、今、この場でというこの発言と、そして、決定させていただきますと言うのだから、これは、政策体系として、ちょっとおかしいですよね。
 その証拠に、医療局長は名前も呼ばれない。警察本部長は呼ばれている。こういうことですよ。どういうことなのかと。これは、一般の人が聞けば、あれはおかしいなと思うのは、当たり前ですよね。
 ただ、これ以上言ってもかみ合わないから、保健福祉部長が、知事の答弁の流れに乗らないで、しっかりした答弁を最終的にしました。立派だと思っています。地域の医師の事情とかそういうことを踏まえて、自分たちの立場はしっかり進めていくという決意を述べられたと。私は、それがあるべき姿だと思います。
 このように、本会議を混乱に―何が目的かわからないけれども、何回も言いますけれども、政策の決定、その体系の決定は、かなり練られて言うべきであって、皆さん方はサポートする立場だから、そういうような答弁になるだろうと思うけれども、これは、県民にとっては非常に疑念を持たざるを得ない答弁だったと、私はこのように思っております。
 保健福祉部長、これからの周産期医療に対して、私も東北大学の八重樫医学部長とも大変濃密なお話をさせていただいて、提案もしましたけれども、これも大変難しいという話は重々わかっていて、お話をしているのですが、ただ、どこかで風穴をあけていかないと、今のままの延長上では、なかなか見えてこないという点も、保健福祉部長もおわかりのことだと思うのですが、改めて、今後の体制づくりについて、御所見があれば、お伺いして終わります。
〇野原保健福祉部長 本会議の場でも御答弁申し上げましたけれども、この10年以上にわたりまして、周産期医療提供体制は、本当に岩手県の重要課題として、さまざまな取り組みをしてまいりました。医師確保に関しては、奨学金制度も、産科、小児科にかなり誘導するような施策も進めていること、あとは、産科医院へのさまざまな支援、ICTを活用した連携、行政と医療機関等の連携の周産期医療情報ネットワークシステムいーはとーぶ、これは、全国的にも、かなり先駆けてやった事業もございます。
 一方で、産科、周産期医療について、充実というのはまだまだ難しいのは、御指摘のとおりかと思います。いずれ、この取り組みについては、医療提供者側からの医療安全の面、医師の働き方改革の面、そういった点での議論、一方で、地域にお住まいの妊産婦の方、住民の方々からすれば、身近なところに、分娩を取り扱う医療機関があることの重要性、これは非常に重要な視点です。子供を産み、育てやすい環境づくりを我々は進めています。
 また、市町村においては、移住、定住対策などもさまざましていく中にあって、医療機関、特に分娩を取り扱う医療機関、また、産前、産後ケアといった施策を進める上でも、重要な施設です。そういった意味で、さまざまな視点で取り組みをしていかなくてはなりません。
 したがいまして、この場で、こうすれば、すぐ解決するという問題ではないのですけれども、岩手県の中で、今もそうですが、今後、5年後、10年後を見据えて、どうしたらこういった安定した体制ができるかという視点に立って、さまざまな関係者から御意見を伺いながら、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 野原さんが保健福祉部長でよかったなと非常に思っています。
 私は、今回の再質問の答弁で、知事の発言は信憑性がかなり薄くなったなと。これから、一般質問も、知事に聞かないで、部長の方々に聞いたほうがいいのかなという印象を持っています。
 岩手県というのは、今は、人口減少の中で、非常に厳しい状況にある中で、本当に腰の座った政策をしていかないとだめだということは、常々、我が会派でもいろいろ議論していますし、そうありたいと思っていますので、今後も、部長には頑張っていただきたいと思います。ありがとうございました。
〇鎌田特命参事兼地域医療推進課長 先ほどお話がありました、小児救急医師研修事業の件についてでございます。
 こちらにつきましては、毎年度、岩手県医師会に託しまして、各医療圏で実施している事業でございますけれども、昨年度は、新型コロナウイルス感染症の状況がございましたので、3医療圏に縮小して実施したものでございます。そのため、受講者人数も、計画350人に対して63名という状況になっていたものでございます。
〇菅野ひろのり委員 私からは、里親委託促進事業費について伺います。端的に、この事業で、どのような取り組みと成果があったのかを、まず伺います。
〇中里子ども子育て支援室長 里親委託促進事業の取り組みについてでございますが、児童相談所におります、里親支援を担当する児童福祉司に加えまして、福祉総合相談センターに、里親委託推進員を1名配置しまして、子供に最も適合する里親の選定、調整等の業務を行ったほか、里親の資質向上のための研修の実施とか、パネル展など、里親制度に関する広報啓発活動に取り組んだところでございます。
 令和2年度は、新型コロナウイルス感染症対策のため、里親登録のために必要とされる、里親認定前研修の上半期の開催を見送ったことや、施設実習の実施が困難だったことなどから、新規里親登録者数が8組にとどまったものでございます。
 また、高校卒業等により委託が解除となった里親が36組と、例年と比較して多かったことなどによりまして、里親へ委託している児童数も、令和元年度の102人から84人へと18人減少しまして、社会的養護を必要とする児童に占める里親委託率は22.8%にとどまったところでございます。
 今年度は、感染対策を講じた上で、里親認定前研修等を予定どおり開催しておりまして、新規里親登録者数は昨年度を上回る見込みでございますが、引き続き、子供の養育の受け皿となる里親をふやすとともに、質の高い里親養育の提供に向け、取り組んでまいりたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 私も、紫波町で行われた里親制度の説明会等に参加しながら、里親養育をどういうふうに進めていくのか、さまざま関心持って伺ってきたところでありますが、岩手県社会的養育推進計画(2020〜2029)で里親委託率の目標を立てているわけでありますが、今回、達成度はDということで、新型コロナウイルス感染症の影響があったと。この計画を見ますと、令和3年度は133人で、約30%の目標を立てていて、8年後、令和11年250人で、約50%と、感覚ではありますが、受けとめとして、非常に高い目標を掲げながら進めていると思っています。
 里親の委託率を、今後、どのようにして上げて目標に近づけていこうと考えているのか、取り組み、今後の方針をお伺いします。
〇中里子ども子育て支援室長 里親委託率の向上に向けた今後の方針でございますけれども、委託率の向上のためには、専門職員の体制強化が必要と考えておりまして、今年度、福祉総合相談センターに配置しております里親委託推進員を、1名から2名に増員しましたほか、今後は、国の児童虐待防止体制対策総合強化プランに基づきまして、各児童相談所に、里親支援を担う児童福祉司を配置するとともに、研修派遣などによる専門能力の向上を図りまして、里親支援を適切に行える人的体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
 また、先ほど委員からも御紹介をいただきましたが、岩手県社会的養育推進計画におきまして、令和11年度の里親委託率を48.4%とする目標を設定をしております。市町村ごとの里親登録状況について見ますと、内陸と比較しまして、沿岸とか県北地域が少ない状況にありますことから、県内各地における里親説明会とか、出前講座の開催などを通じまして、引き続き、里親制度の周知を行い、里親委託が必要な児童が住みなれた地域から離れずに生活することができるよう、県内各地域におけるバランスのとれた里親登録者の養成に努めてまいりたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 先ほど、子ども子育て支援室長から、住みなれた地域から離れずにという答弁をいただきましたが、私も全くそのとおりだなと思っています。
 今、児童養護施設とかを見ますと、盛岡市を中心に配置になっていて、あとは一関市という状況にあります。里親制度の説明会も、この国道4号沿いというか、内陸部が中心で、県北、沿岸地域も含めた広域に、里親の登録の説明会、あるいはそういった登録者数の配置が、まだできていないのではないかと思っています。
 今、そういった説明会が開催されている中で、市町村ごとに、マッチングという言葉でいいのかですが、状況を見ながら里親制度の説明会、あと、登録者数をふやして、結果、先ほどの計画の目標にする母数に登録者数がふえていかなければ、例えば、盛岡市だけふえたとしても、住みなれた地から離れずにということにならないのだろうと思っています。
 その辺、市町村の状況を踏まえて、どのように考えているか伺います。
〇中里子ども子育て支援室長 市町村ごとの里親登録状況を見ますと、令和2年度の状況では、6町村に登録者がいないという状況で、沿岸や県北地域では、内陸部に比べて登録者が少ない状況となっております。
 説明会の実施につきましては、児童相談所の里親支援担当者が、市町村を訪問しまして、まずは市町村担当者の理解が深まるよう里親制度についての説明を行い、里親説明会等の開催に当たって、市町村と連携して開催するなど、地域の実情に合わせた取り組みを進めているところでございます。
 なお、マッチングにつきましては、住みなれた地域から離れずにということが非常に大事ではございますが、例えば、虐待被害により、保護が必要な場合などは、加害親からの接触を避けるために、別の生活圏域に里親を求めるということもございます。そういったことからも、県内全域に、バランスよく里親の登録者がいるということが大事だと思いますので、今後、そういったことも考慮しながら進めてまいりたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 引き続き、お願いしたいと思います。
 そして、里親とマッチングできたお子さんは、言葉は悪いですが、まだ幸せというか、いいのだろうなと思っています。肝心なのは、大人になったときに、自立して生活できる、そういった環境を継続して維持できるのか、その支援を、行政としてどうできるのかということなのだろうと思っています。
 そこで次に、児童養護施設退所者等自立支援事業費補助が令和2年度もありましたが、この活用状況はどのようになっているのかお願いします。
〇中里子ども子育て支援室長 児童養護施設退所者等自立支援資金貸付事業になります。こちらの活用状況でございますが、この事業は、児童養護施設の退所者等が、進学や就職後も、安定した生活を送ることができるよう、在学期間中や就職後2年間の家賃とか生活費の貸し付けを行うものでございまして、生活支援費と家賃支援費は5年間、資格取得支援費は2年間就業を継続することによりまして、返還を免除するものとなっております。
 令和2年度は、生活支援費が16件で480万円、家賃支援費は19件で312万円余、資格取得支援費は2件で44万円余の貸し付けを行ったところでございます。
〇菅野ひろのり委員 退所者の方のその後の生活を見てみると、進学というよりも、就職している方のほうが多く、71%が就職しているようでありました。
 これは一般の人ですが、県内の3年以内の離職率が4割となったとき、5年勤めないと免除にならないという中で、この期間を、それに合わせながらと言っていいのかちょっと難しいのですが、制度の改善を考えていってもいいのではないかなと思っています。これは指摘というか、検討をお願いしたいと思っています。
 その中で、退所者について、今後のサポートをどうやっていくかというのが、非常に重要なのだろうと思っています。専門のコーディネーターを配置しているところもありますし、窓口の充実ということも必要なのだろうと思います。どのように考えていますでしょうか。
〇中里子ども子育て支援室長 施設退所者等へのサポートについてでございますが、先ほど申し上げました、家賃等の貸し付けのほか、特定非営利活動法人もりおかユースポートに委託して、実施しております、社会的養育自立支援事業におきまして、事業全体を統括する支援コーディネーターを配置し、進学や就職を控える子供がいる施設等を訪問の上、施設を退所する子供には、全て行き渡るように、この支援があるということをお伝えしまして、必要に応じて、施設等退所後の継続支援計画を策定するとともに、生活相談支援員も置いておりますことから、この支援員が、施設の措置解除後の子供が、必要な生活上の相談に乗るなどの退所後のサポートを行っているところでございます。
 今後も、こうした取り組みによりまして、児童養護施設等の退所者が、安定した生活基盤を築き、円滑に自立できるよう、支援に努めてまいりたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 サポートを特定非営利活動法人もりおかユースポートがされていると伺っています。お電話ですが、いろいろ話をすると、自立した後、その後は、もう個人個人ですから、困ったときは連絡する、あるいは連絡がない、県外に行ってしまうと、県内の事業でありますから、対象外になってしまうと。そうなったときに、他県との連携をもう少し強化するような、つなげるような動きをしてもらいたいという要望をいただきましたので、それをお伝えして、午前中の質問は終わりたいと思います。
〇小西和子委員長 この際、菅野ひろのり委員の質疑の途中ではありますが、昼食のため、午後1時まで休憩いたします。菅野ひろのり委員、御了承願います。
午後0時1分 休 憩

午後1時2分 再開
〇田村勝則副委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇菅野ひろのり委員 家族といる重要性というのは、里親もそうだと思います。
 それと、今、社会的な課題になっているのが、別居している親と交流できない、そういった機会も増加しているということでありました。会派でも勉強会を開催して、学びを深めさせていただいたわけですが、面会交流事業について、県内の実態について、どのように把握しているかお伺いいたします。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 面会交流の状況についてでございますけれども、面会交流は、離婚時等に、当事者間で取り決めをするという背景もございまして、なかなか実態把握をすることが難しいというところでございます。
 県では、調査等は行っていないところでございますけれども、県が委託設置をしております、ひとり親家庭等就業・自立センターが開催いたします無料法律相談において、離婚前の事前取り決め方法であったり、面会交流を求められた場合の応諾義務などについて、年数件の相談事例があると聞いております。
 また、県内では、公益社団法人家庭問題情報センターが、面会交流支援や養育費相談等を有償で実施しておりまして、県内公共施設のプレイルームなどを利用して、面会交流の支援を行っている事例があると聞いているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 そうすると、県は、実際に、どの程度の面会交流の状況や、あるいはそういったトラブルを抱えているかという実態は把握できていないという状況でしょうか。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 先ほども答弁したとおり、実態についての調査は実施しておりませんので、詳細については把握できておりません。
〇菅野ひろのり委員 この必要性というのは、県としてはどういう認識でいらっしゃいますか。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 別れた後であっても、子供にとっては、どちらも親ということでの変わりはございませんので、子供の利益という点からは、重要な面会交流になるかと思います。
 一方で、別れた親同士が、交流する機会を望まない場合というような課題も、一方ではあるかと思いますので、そういう点ではなかなか難しいと感じているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 その中で、先ほど、次世代育成課長からも紹介いただきました公益社団法人家庭問題情報相談センターですが、これは、全国で11番目に設立されて、東北地方では初めてのファミリー相談だということを認識しています。ほかには、山形県が取り組みを行っているようです。また、課題として、財政基盤が脆弱だということで、盛岡市では安定的な相談会の実施もなかなか難しいということを伺っています。
 それで、山形県の面会交流支援事業は、業務委託として、県は年間180万円の委託料を支払い、また、建物も県の施設を間借りするような形で、全面的な支援体制を組みながら進めています。さらに踏み込んだやり方をしていると思っております。
 県としては、今後、そういう取り組みの支援も私は必要ではないかと思っていますが、県の所見を伺いたいと思います。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 面会交流事業に活用できる国庫補助事業としまして、母子家庭等就業・自立支援事業がございまして、これはさまざまなメニューの中から、面会交流支援事業も選択をして実施することができるとされているところでございます。
 実際に、この事業に取り組むことができる主体としましては、県、中核市、それから、一般市と規定をされておりますが、県内で、取り組まれた事例はまだないというところでございます。
 実際に、どのような取り組みが行われているかというところでございますけれども、全国の大都市、政令市のようなところでは、事業を実施している例はございますけれども、これらの事例におきまして、年間の交流実施件数は、数件から20件程度という実態にあるようでございますので、本県の事業の取り組みにつきましては、こういった先行事例や地域の支援ニーズの把握に努めながら、研究していくということを考えております。
〇菅野ひろのり委員 最後、保健福祉部長に総括的にお伺いしたいと思いますが、先ほど、件数が少ないということもありました。実際に、県費でありますから、費用対効果という面もあると思いますが、子供の成長は、お金の価値ではなかなか測れない部分もあると思っています。保健福祉部長から、今後の取り組みの必要性や、どのようにサポートをしていったらいいとお考えか、お伺いして、終わりたいと思います。
〇野原保健福祉部長 面会交流事業については、先ほども次世代育成課長から答弁したとおり、子供にとって必要な事業だろうと我々も認識しております。
 一方で、先ほど次世代育成課長が答弁したとおり、この活用については、全国的に、わずかな自治体にとどまっているという実態もございます。県内のニーズや状況、また、他県の事例、どのような形で工夫してやっているのか等々、委員から山形県の事例を御紹介いただきましたけれど、そういったものもしっかりと収集して、研究して、必要な取り組みに向けて、検討を進めてまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 看護師の状況についてお伺いしたいと思います。
 県立高等看護学院の進路の状況、あわせて、看護師等の奨学金給付事業を利用される方の状況についてお伺いしたいと思います。
〇中田医務課長 初めに、県立高等看護学院の進路の状況でございます。
 県内に3カ所ございます県立高等看護学院でございますが、令和2年度の卒業者数は、全体で97名となっておりまして、そのうち、県内の就業者は76人、県外の就業者は18人、大学等への進学など未就業者は3名となっております。就業者94名に占める県内就業率については、80.9%で、前年度72.3%に対しまして、8.6%増加しているところでございます。
 県立高等看護学院につきましては、県内医療機関の看護人材確保の役割が期待されているところでございます。県としましては、学生に対しまして、修学資金の貸し付けや、病院での就業体験、就職説明会の参加等を通じまして、県内医療機関の魅力などを伝えるほか、引き続き、県立高等看護学院の教員とも連携を図りまして、本県地域医療に貢献する看護職員の育成に取り組んでまいりたいと考えております。
 続きまして、看護師等修学資金の貸し付け状況でございます。毎年度、被災者枠10名を含む110名の貸し付け枠を設けておりますが、令和2年度は、申請者132名に対しまして、新規113名、継続207名、合計320名に対しまして貸し付けを行っております。令和3年度につきましては、132名の申請者に対しまして、新規108名、継続204名、合計312名の学生に貸し付けを行ったところでございます。
 県では、看護職員を目指す中高生の進学セミナーの場で、制度の周知に努めてきております。今後も、看護職を目指す学生の意識づけ、動機づけとなるよう、制度の浸透を図り、県内就業の定着につなげてまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 県内の就労がふえてきたのは大変いいことだと思っていますし、この間、先生方の学生たちに対する接触の仕方が大分変わってきたのかと思っています。ぜひ、県立高等看護学院を卒業した方々は、なるべく岩手県に残っていただけるようにお願いをしたいと思いますし、そういったことをしっかりと続けていってほしいと思います。
 次に移ります。看護師の充足状況についてをお伺いしたいと思います。
 コロナ禍において、岩手県内の医療機関、そして、医療機関に従事する方々におかれては、大変な御苦労をされてこられたと思っています。まさにその結果が、今日の新型コロナウイルス感染症の鎮静化につながっているのではないかと感謝をするところであります。その中で、その充足状況はどのようになっているのかをお伺いしたいと思います。
〇中田医務課長 看護師の充足状況でございます。
 県で実施をしております病院看護指導調査によりますと、県内の病院における看護職員の充足状況は、全ての病院におきまして、医療法で定めます基準を満たしております。全体平均で、基準の約2倍程度の看護職員が配置されているところでございます。
 一方で、職員の出産や育児などによる代替職員の確保や、高度、先進医療に対応した手厚い看護体制を維持する上で、十分な看護職員数を確保できていないケースもございます。医療現場や地域からは、依然として、看護職員の確保が厳しいといった声が寄せられているほか、今後も、働き方改革の推進に伴う対応も必要になってくると認識しております。
〇城内よしひこ委員 この間、看護師確保事業については、ずっと取り上げてきたところであります。潜在的看護職員と言われる方々が、まだ県内にいらっしゃるようでありますので、引き続き、ナースアクションであったり、いろいろな形でアプローチをしてほしいと思います。
 コロナ禍において、第6波が発生するかもしれない状況を考えた中で、医療体制は大事だと思っています。このコロナ禍で、看護師の皆さんも風評被害等に大分遭われて、大変な状況が続きました。そういう中にあって、働く環境を県としてもしっかりと整えていってほしいと思うのですが、その辺、保健福祉部長いかがでしょうか。
〇野原保健福祉部長 このコロナ禍にあって、入院対応などを行っている医療機関の看護師は、個人用防護服を着脱しながら、大変な看護業務に当たられています。その間、例えば、家庭内感染を避けるために、うちに帰らないで、ホテルにお泊まりになるとか、本当に大変な努力の中で勤務されておりますので、そういった方々に報いるためにも、看護職員の方々の業務改善、また、さらなる確保、育成が必要だと思っています。
 一方で、また、コロナ禍にあって、全国的にですけれども、ワクチン接種業務や、宿泊療養施設の看護業務について、かなりの潜在看護職員の方々が、この職を生かして、担い手として頑張ろうという機運も少し高まってきたと感じておりますので、コロナ禍で大変ではあるのですけれど、看護職員の方々、潜在の方々の活躍する場という視点も含めて、ぜひ、看護職員の確保に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 ぜひ、第6波が来ないことを祈りつつも、その医療現場にしっかりと温かい目で応援をしていただくようにお願いして、終わります。
〇ハクセル美穂子委員 私のほうからは、2点質問させていただきます。
 1点目は、いわてで家族になろうよ未来応援事業に関する質問でございます。佐藤ケイ子委員が質問されていましたので、この事業の事業効果等については割愛させていただきますが、その結果について、ちょっと深掘りして質問をさせていただきます。
 この事業については、結婚された方への支援金ということで、国の事業を活用しての事業だと理解しております。こういった事業を行ってきたにもかかわらず、去年の合計特殊出生率は、皆さん御存じのように1.33に下がっております。とても残念なことだと思っています。
 令和2年度主要施策の成果に関する説明書の中の特記事項には、この合計特殊出生率が、さまざまな要因で、経済的な不安定さとか、出会いの機会の減少、男女の仕事と子育ての両立の難しさ、家事、育児の負担が依然として女性に偏っている状況にあり、子育ての孤立感や負担感、また、子育てや教育にかかる費用負担の重さ、年齢や健康上の理由などで、この数字になったと書かれておりまして、課題に関しては、非常によくわかっていらっしゃるのだと思いました。
 ただ、その隣の具体的推進方策指標の達成度に関しましては、達成度AとBが73%と、7割は達成しているということです。いつも指標についての乖離みたいなものは、いろいろな委員が指摘されているとおりで、今回、これも乖離していると思います。7割達成しているにもかかわらず成果が出ないということは、事業を見直す時期というか、考え方を根本的に変えて、成果の出る事業に変えていく時期であると、私はこの説明書を見まして、そう思ったのですけれど、その点についてはどのようにお考えでしょうか。お伺いいたします。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 これまで結婚から妊娠、出産、子育てに至るまでの事業をさまざま展開をしてきているところでございますが、結果といたしまして、合計特殊出生率が低下をしているということでございますので、さまざまな取り組みをこれからも強化をしていかなければいけないと考えております。
 まず、その要因も、これから分析をさらに進めていかなければいけないと考えておりまして、データ等を活用しながら、来年度に向けて取り組みを進めていきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 御答弁の中で、要因等を、これからさらに深掘りして考えていくという御答弁がありましたけれど、これまでもかなりの委員、それから、答弁の中でも、深掘りするし、要因についても考えていくと言った上で、今の結果が出ていると思うのです。今さら、今やっている事業を強化したとしても、私は、抜本的な改革には、改善にはならないのではないかという感じがあります。
 今ここに、特記事項として出されている要因と事業をひもづけした結果、それが本当にうまく機能しているのかという、細かいところですけれど、そういった分析をした上で、事業を改良していくのか。どういうふうに事業を見直していくのか、その考え方について、再度、お伺いいたします。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 まず、データ面からというところでございますが、本県では、全国と同様に、過去10年間の女性人口が減少していることに伴いまして、出生数が減少したことが、まず、この合計特殊出生率の低下要因と考えております。
 特に20代女性の減少数が多く、それに伴って、出生数も減少していることが、要因の一つと考えております。
 また、これに加えまして、本県は、30歳以上の有配偶出生率が全国下位となっておりますことから、年間総実労働時間が、全国に比べて長い中にあって、共働き世帯の妻に家事労働が集中しないよう、さらに、男性の家事、育児への参画の促進、こういう視点から、これから事業を考えていきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 今の答弁ですと、これまでやってきた事業ではない事業を新たにやらないと、これは改善しないということです。その10年前からわかっていることも改善しないで、10年間やってきて、結果、こういうふうになったので、これから考えていくというようなことでよろしいのでしょうか。ちょっと足りない気がしますけれど、男性の家事への参画や、家事時間の改善など、実際に、県の事業で改善できるようなものなのでしょうか。そこについてもう一度御答弁お願いいたします。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 共働き世帯への支援という部分でございますけれども、今年度におきましては、部局連携によりまして、いわて女性の活躍セミナーを開催しておりまして、その中で、男性社員のワーク・ライフ・バランスの事例発表などを取り入れまして、女性活躍、働き方改革の取り組み等と連携しながら、取り組みを進めているところでございます。
 県としましても、これまでやってきたものも当然必要な事業もたくさんあると考えておりますけれども、今申し上げたような視点も踏まえて、これから取り組みを進めていきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 平行線の議論になりそうなので、ここで締めたいと思いますけれど、これまでも同じような質問を、私はずっとしてきた一人でございますので、これまでの事業をきちんと見直して、調査するべきだと思います。合計特殊出生率が上がらないということは、結婚しない方もいる、それから、一人のお子さんで、もうお子さんを持つのはやめることにしたとか、2人目、3人目、4人目、5人目と、5人目まで行くかはあれですが、そういった多くのお子さんを持つことを諦めている方もいるということです。実際は、3人ぐらい持ちたくても、やはり2人でやめておこうと考えている家族の数が多いこともあると思います。
 結婚支援の事業も、今、やり始めていて、令和3年度では、いわてで家族になろうよ未来応援事業についても、参画する市町村がふえているということでしたので、これと同時並行で、いろいろな事業を、どういう成果が出るのか見ながらしっかりとやっていかないと、この1.33を上げていくことはできないと思います。若年女性がもう減っているので、かなりV字回復させるためには、保健福祉部だけではなく、先ほどから連携という話をしていますけれど、私は、一体どこがイニシアチブをとって引っ張っているのか、全然見えないと思っております。ここの改善を本当にしていかないといけないと思います。
 先ほどの答弁では、保健福祉部関係の事業ではなくて、働き方のところの改善となってしまうと、もう保健福祉部の事業では改善しないのかと捉えてしまいます。クロスファンクショナルチームでやっているという話も聞きますけれど、かなり力を入れてやっていただきたいと思っております。どこが引っ張っていくのかというのは、部局間で話し合っていかなくてはいけないところだと思いますけれど、まだ、どこが引っ張るというのがはっきりとしてないのであれば、ぜひ保健福祉部のほうでイニシアチブをとって、この問題について引っ張っていただきたいと私は考えますが、その点について、保健福祉部長の見解をお伺いしたいと思います。
〇野原保健福祉部長 今、人口減少対策については、いわゆる自然減対策は、保健福祉部が中心となっておりますし、社会減対策については、ふるさと振興部などが中心になって、岩手県ふるさと振興総合戦略のもとで、施策体系としては進めています。
 委員から御指摘いただいたとおり、いわゆる結婚、妊娠、出産、子育て支援施策という部分について、さまざま事業をやっていて、それぞれについての女性のライフステージごとに、主に母子保健とか周産期医療とか児童福祉とか、保健福祉部として所管している事業についての評価や、どういうふうにやっているかということは、我々も十分分析はしているのですが、先ほど次世代育成課長からも答弁したとおり、いわゆる子供を産み、育てやすい環境にとどまらず、男女共同参画や働き方改革に伴った労働環境の整備を進めていかないと、これはもう進まないだろうというのは、我々以外の関係している部局も共通した認識だと思うのです。
 ただ、それが本当に有機的にといいますか、総合的な体系として、また、指標評価として、少子化対策に結びついているかというのは、国でもさまざま検討していますし、全国でもやっています。我々もこれから不断に検討を進めて、総合的な施策、従来の施策に、プラス施策の取り組み、これは従来の施策も、プラスアルファもやっているのですけれど、さらにその部分強化をしていかなくてはならないという意識のもとに、これも、部局連携で、特に社会減とも関係してきますので、取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 私は、新型コロナウイルス感染症対策で、保健福祉部の中に、緊急事態にどのように対応していくかという知見が、かなり培われてきたのではないかと思っております。短期間のうちに、さまざまな政策をやっていかなくてはいけなかったこの1年半の中で、県庁内の各部局から人を集めてきて、そこで、仕事をどんどんこなしていく、こういう経験を持たれていると思っておりますので、ぜひとも、そういった新型コロナウイルス感染症対策の中で培われた、実際にきちんと成果が出る職員の働き方というか、連携の仕方というものを、合計特殊出生率を上げていくなど、子供施策の大きな課題の中でも、生かしていっていただきたいと思いますので、その点についてお願いをして、次の質問に移りたいと思います。
 次は、発達障がい児の診療体制の現状に関して質問をさせていただきたいと思います。発達障がい児の診療をする際には、臨床心理士などの医師以外の方の検査体制等々も重要になってくるのですけれど、県内では、臨床心理士の方はどれぐらいいらっしゃるのか、もしわかれば、お願いいたします。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 ただいま、手元に資料がございませんので、わかれば、後ほど回答したいと思います。
〇ハクセル美穂子委員 岩手県の臨床心理士会には、私が調べた数字でいきますと、令和2年度時点で192名が登録になっているようです。そのうち、今、学校教育室のほうで数えているスクールカウンセラーの数が115人だということです。もともと岩手県内の臨床心理士の数は限られておりまして、その大多数の方が、スクールカウンセラーとして入られている状況にあると私は考えております。今、発達障害の診療体制の中で、県立療育センターに、たくさんの子供が診療しに行くために、待機期間がすごく長いという課題がありました。それを補完するために、岩手県医師会で、民間医療機関のかかりつけの小児科医の方が、発達障害の診察ができるような、そういった体制をとるために、かかりつけ医等発達障害対応力向上研修を行っております。
 この研修を通して、このかかりつけ医の皆さんから、この取り組みを進めていく上で、課題や問題点についてどのような意見が出ているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 かかりつけ医等発達障害対応力向上研修でございますが、こちらの研修は、県内の医師の方が国の研修に参加いたしまして、それを伝達するというものでありまして、この研修については、医師のほか、教育関係者であったり、保育関係者、さまざまな職種の方が受講しているということで、県といたしますと、さらに医師向けに、もっと専門的な内容にすべきだとか、そういったような意見もあると承知をしております。
〇ハクセル美穂子委員 国の研修の中なので、あまり意見交換を活発にするような感じの研修ではないのだということが、今わかりましたけれど、私のほうには、そのかかりつけ医の方々から、臨床心理士しかできない検査をしてもらうことがなかなか難しいとの話があります。地元で自分の診ているお子さんの中でも、こういった障害をお持ちになって、そのお子さんの初期診療だけで、県立療育センターでは6カ月とか4カ月という待ち時間を何とか短縮するために、助けてあげたいという気持ちがあって、こういった検査をしてもらう臨床心理士の確保や、そういった検査の内容を、どうやって確保するかということがとても大変だというのです。
 そこで、スクールカウンセラーがいますので、学校によっては、きちんと検査してくれたりするところもありますし、その対応がまちまちで、全てのお子さんに対応できていないというお話がありました。
 これについては、県内でも臨床心理士はあまり多くないので、保健福祉部や県教育委員会のほうで、この連携のあり方について、県内統一的に活用できるような仕組みをぜひつくっていただきたいと思っているのですけれど、その点について、どのようにお考えかお伺いしたいと思います。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 医療機関と学校との連携、そういった知能検査の活用といったところと思いますけれど、この件につきましては、今年度は、書面での開催ではございましたが、関係機関で構成します、岩手県発達障がい者支援体制整備検討委員会、広域特別支援連携協議会におきまして、県内の小児科の先生が、学校において実施する児童用知能検査の結果を、学校、保護者と連携し、情報共有するという事例を紹介したところでございます。
 これに関して、委員の方からの意見は、まだ、まとまっていないところでございますけれど、こういった場で、関係する皆さんの意見も聞きながら、どういったやり方が、子供の早期診断につながるかといったところを検討していきたいと思います。
〇ハクセル美穂子委員 着実に、そういった形で取り組みを進めていただいていることに、感謝を申し上げます。
 ただ、きのう、教育委員会の審査でも、同じ課題についてお聞きしましたら、そういった答弁がなかったというのが、とても残念だと思っています。書面開催なので、どこまで、どういうふうに注目して見ているかにもよると思いますので、ぜひ、書面もですが、書面ではない開催ができるようになりましたら、きちんとそういうことも何度かお伝えしていただいて、県内の発達障害を持ちつつも、元気に学校に行って、教育を受けられるような体制づくりに御尽力いただければと思っております。
 これは、意見として終わりたいと思います。
〇岩城元委員 介護人材確保事業について、何点かお伺いしたいと思います。
 数年前ですけれど、新しい介護施設が開所しても、職員が足りず、利用者を受け入れられないとか、最近は、求人票を見ると、介護関係の仕事しか出てないとか、そういう状況がございますが、それについての状況と認識をお知らせください。
〇前川長寿社会課総括課長 介護人材不足の状況と認識についてでありますが、本年8月の県内介護職の有効求人数は2、421人、有効求人倍率は2.6倍と、依然と高い状況にございます。
 また、公益財団法人介護労働安定センターが実施しました、令和2年度の介護労働実態調査によれば、約7割の事業所が、介護従事者の不足を感じていることからも、介護人材の不足は顕著な状況にあり、介護サービスを安定的に提供するためにも、人材確保対策が重要な課題と認識しております。
〇岩城元委員 7割が職員不足を感じているということであります。御承知のとおり、2025年、こちらは、団塊の世代が75歳を迎えるという問題でありますが、東京都や大阪府などはそういった年代の方が一気にふえるということで、介護施設や職員の不足が問題視されておりますが、これに対する、県としての対策をお知らせください。
〇前川長寿社会課総括課長 介護人材の不足に対する県の取り組みについてでございます。県では、参入促進、資質の向上及び専門性の確保の三つの視点から、介護の仕事のイメージアップに向けた情報発信、介護人材キャリア支援員による求人、求職のマッチング支援、労働環境の整備、改善を促進するセミナーの開催等に取り組み、人材確保対策を総合的に進めてきているところです。
 引き続き、これまでの取り組みに加えまして、新たな介護人材として期待される外国人介護人材の受け入れ支援とか、介護ロボット、ICTを活用した労働環境改善などにも取り組み、関係団体と連携しながら、引き続き、人材確保に総合的に取り組んでまいりたいと考えております。
〇岩城元委員 後半に聞こうと思っていたのですが、いろいろ答弁いただきましたので、ありがとうございます。
 ちなみに、外国人介護人材は、県内で、どれぐらい就業されているのかお知らせください。
〇前川長寿社会課総括課長 県内の外国人介護人材について、令和3年5月末時点の県で実施した調査の結果でございます。全ての事業所から確認できているわけではございませんが、介護人材につきましては、少なくとも合計で101名従事しているという状況にございます。そのうち、日本人の配偶者等の在留資格を持つ方々も33名おりますので、EPA─経済連携協定とか、あとは、在留資格介護を持つ方々などを合わせますと、68名になっております。
〇岩城元委員 101名の方が県内で就業されているということです。昨年よりコロナ禍ということで、いろいろ制約もあったわけですが、この間、現地から来られない方もあったと思うのですけれど、そういう影響はおわかりでしょうか。
〇前川長寿社会課総括課長 新型コロナウイルス感染症の影響によるものですけれど、こちらで把握しているものは、経済連携協定─EPAに基づきまして、インドネシアからの介護福祉士候補生の方が、予定より半年から1年近くおくれて入国した事例とか、令和2年度に、介護福祉士養成施設に入学予定であった留学生が、入国できずに、1年間の休学扱いとなったという事例があると聞いております。
〇岩城元委員 そうしますと、現状は、もう回復しているというか、通常どおりということですか。
〇前川長寿社会課総括課長 そのとおりでございます。
〇岩城元委員 このように介護人材の不足ということで、ずっと慢性的に来ているわけですが、介護ロボットの導入補助という事業がございますけれども、実績と内容を教えてください。
〇前川長寿社会課総括課長 介護ロボットの導入実績についてであります。
 令和2年度の介護ロボットの補助台数は396台、補助額は2、189万円余となっております。導入された介護ロボットのうち、見守り機器が365台と、約9割を占めております。
 また、見守り機器の導入に伴うWi−Fi等の通信環境整備に係る補助の実績は、18事業所で1、021万円余であるほか、ICTの導入に係る補助は39事業所、補助額で2、213万円となっております。
〇岩城元委員 そういった形で、ロボットなり、AIなりを駆使して、利用者の見守りをしっかりしていただきたいと思います。
 令和2年度予算額で、1億700万円余に対して、決算額が5、400万円になっておりますが、この執行できなかった要因はありますか。
〇前川長寿社会課総括課長 介護ロボットの関係につきまして、差額のうち、3、378万円余につきましては、介護ロボットの納品の遅延等により、次年度に繰り越しをしているものでございます。
〇岩城元委員 さらに、今後は、ロボットの導入が進められるべきだと思いますけれども、介護事業者への周知であったり、事例の紹介、または、直接提案されるとか、導入フローの紹介といったものが必要と思いますけれど、どのように行っていきますか。
〇前川長寿社会課総括課長 介護ロボットの導入につきましては、かなり関心も高く、県のほうで、補助要綱等をお示ししましたところ、かなりお問い合わせ等もいただいております。
 今後は、介護ロボットの導入に当たって、それぞれの施設や課題に適したロボットを導入するということが大事でございますので、そのような取り組み事例などを、できるだけ横展開を図れるように取り組んでまいりたいと思います。
〇岩城元委員 ぜひ、そういった導入を進めていただいて、介護する職員の方が介護に集中できる働き方ができるようにお願いをして、終わります。
〇高橋穏至委員 私から通告していた内容が、岩城元委員と全く同じでございましたので、ダブらないような形で質問させていただきます。
 令和2年度の実績と、今後の課題については、今、お話があったのですが、介護人材確保事業全体で、7、281万2、000円の決算でございました。その中に五つほどの事業があるわけですが、新型コロナウイルス感染症の影響によって、低評価も結構あるのですが、新型コロナウイルス感染症の影響によって、どういう結果となったのかということについて、まずお伺いしたいと思います。
〇前川長寿社会課総括課長 今、御指摘ありましたとおり、活動指標がD評価となっているものも幾つかございますが、こちらに関しましては、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、一部事業を縮小や見合わせとしたもの等もございました。そのためにD評価となっているものでございます。
 一方で、求職者に対します支援につきましては、継続して実施しておりまして、一般求職者2、215人に対し、介護人材キャリア支援員が、相談対応を行いましたほか、介護分野への就職に関心を有する方への、職業体験、介護施設を見学するバスツアー、潜在有資格者に対する再就業支援、離職した介護福祉士等の復職を支援するための介護カフェ等の開催について、取り組んできているところでございます。
 こうした取り組みによりまして、令和2年度も、介護人材キャリア支援員が介在して就職した人数は、前年度比で、50人増の259人となっているところでございます。
〇高橋穏至委員 先ほどの質疑の中でも出ましたが、外国人の介護人材のための支援事業ですけれども、金額的には、余り大きくはないのですが、実際、外国人就業支援のために使われている事業の中身はどうなっていますでしょうか。
〇前川長寿社会課総括課長 県で実施しているものにつきましては、外国人留学生の奨学金等に対する補助の実施とか、あとは、実施できなかったものもありますけれど、外国人介護人材に係るセミナーとか、指導者向け研修会等を実施しております。
〇高橋穏至委員 修学支援という部分がありましたが、外国人ではない、要は、地元の方への修学支援で、これは、ことし3月に予算特別委員会でも質問をしたのですけれども、国の制度で、返還免除の制度ができて、県の事業が予定より少なかったという説明がございました。
 そういった形で、国も充実させながら、その支援制度がふえることによって、その影響として、実際、3月にお話ししたとおり、募集定員に満たないという修学状況だったのですけれど、修学者はふえていますでしょうか。
〇畠山保健福祉企画室企画課長 県内の介護福祉士養成施設の入学者数でございますけれども、令和元年度から3カ年で見ますと、令和元年度が69人、令和2年度が71人、令和3年度が62人となっております。この入学者のうち、修学資金等の貸し付けを受けた人数でございますけれど、令和元年度が43人、令和2年度が40人、令和3年度は8月末現在でございますが、35人という状況になっております。
〇高橋穏至委員 結局、なかなか介護の道に進んでくれないということです。ここは、介護の職業としての魅力をどうPRするかということで、事業の予定としては、中学2年生のアプローチを予定するということだったのですけれど、多分、ことしも新型コロナウイルス感染症の影響で、そういったアプローチがなかなかできていないのではないかと思っております。
 そのアプローチのほかに、なかなかきつい仕事の割に給料が少ないという体系が、一番問題ではないかと思うのですが、その処遇の面で、令和2年度は、新型コロナウイルス感染症対応慰労金給付事業が17億円ばかりあったのですが、これは、大体1人当たりどれくらいになって支援されたのか、そして、ことしはどうだったのかということについてお伺いします。
〇前川長寿社会課総括課長 慰労金についてでございます。
 令和2年度は、感染防止対策を講じながら、サービスの継続に努めた職員に対する慰労金を給付しております。3万5、000人を対象に、1人当たり5万円の給付を行っております。
 今年度は、慰労金はございませんが、介護報酬改定におきまして、新型コロナウイルス感染症への対応を含め、介護職員の人材確保処遇改善にも配慮しつつ、介護事業者の経営をめぐる状況等も踏まえた改定が行われております。全体で、0.7のプラス改定が行われております。令和3年9月末までの間、全てのサービスについて、基本報酬に0.1%の上乗せがなされております。
〇高橋穏至委員 この処遇改善で、大体1人当たりどれくらいのアップになるのかということですけれど、決算から言うと、全体で処遇改善という名前で出ている事業が550万円しかないのです。そう考えると、どこにも足りない。基本的な部分については、制度設計の部分で改定がされたということですが、どれくらいのアップになるのかということをお示しいただければと思います。
〇前川長寿社会課総括課長 済みません。今、具体的な数字を持ち合わせておりませんが、令和2年度に国が実施しました介護従事者処遇状況等調査の全国結果によりますと、介護職員処遇改善加算の届け出をした事業所における介護職員の平均給与額は、月給制の常勤者で、平成29年度が29万120円、令和2年度が31万5、800円となっており、2万5、730円の増となっていると聞いております。
〇高橋穏至委員 そうしますと、これはいろいろな制度ですので、事業者から加算の申請がないと、実際には、給与に反映されないということになると、全部の事業所がきちんと申請されているかどうかというのは、つかめていらっしゃいますでしょうか。
〇前川長寿社会課総括課長 長寿社会課が独自に行った集計になりますが、県内の令和3年4月1日現在の介護職員処遇改善加算の届出状況になりますが、対象事業所2、612事業所のうち、2、360事業所が届け出を行っております。届出率90.5%となっております。
〇高橋穏至委員 そうすると、1割は処遇改善に取り組んでいないということになるわけでして、いずれ、こういった職場環境をしっかりと整えていかないと、将来の職業を決めるときの大きな要素になりますので、ぜひ、その辺は、事業所に対して、制度を使っていただくように、どんどん指導をしていただきたいです。あと、先ほど出ました介護ロボットについて、職場環境がよくなっていますというPRをしていただかないと、この求職者の状況や問題解決にはつながらないと思いますので、ぜひ、それをさらに進めていただくことを要望して、終わります。
〇千葉絢子委員 私からは、奨学金養成医師について、何点かお伺いしていきたいと思います。
 昨年度の病院事業会計決算を見ますと、昨年度は、継続95人、新規25人、合わせて120人に対して、3億8、850万円が貸し付けをされているということで、医師確保にかかわることですので、医療政策室の担当にもなると思ってお伺いをするのですが、本県の地域枠制度を含めた医学部進学者に対する奨学金制度は貸与型で、返済免除のための義務履行期間が設けられており、日本では、一般的な制度だと理解をしております。
 ただ、本県のみならず、各地で、同様の貸与型奨学金により、卒業後の義務履行に困難を抱え、奨学金を返還するケースが見られております。本県では、どの程度の奨学金返還ケースが出ているのか、また、その主な理由はどうなっているか伺います。
〇中田医務課長 医師奨学金の辞退者についてでございます。
 現行の制度を開始しました平成20年度以降、昨年度までの間に、岩手県、それから、医療局、市町村の三つの制度の貸与者590名でございますが、これらのうち、在学中、途中廃止となった者が33名となっております。また、医学部卒業後に返還した者が29名ということで、合わせて62名となっております。
 返還の主な理由でございますが、在学中の途中廃止につきましては、退学等によりまして、修学の見込みがなくなったり、死亡等によるものでございます。また、卒業後の返還につきましては、卒業後のキャリア形成の理由によるものが最も多くなっているところでございます。
〇千葉絢子委員 この内訳については、後ほど、また触れたいと思いますが、私、地域枠は本県の医師不足や標榜診療科の偏在対策には大変有効なことばかりで、途中で返還をしたり、卒業後に県内に残っていただけない医師は全額返還するのは当然だと、道徳的な遺憾を持っていたわけです。何で残ってくれないのだろうと思っていたのですが、それは、この返還をした方のわがままではないということがわかったのです。
 2015年の日本プライマリー連合学会誌に寄せられた奨学金付き地域枠のキャリアへの影響を考えると題した報告では、医学生に対する、地域枠関連の自治体奨学金制度の横断研究の結果が示されているのです。それによりますと、平成29年度から始まった新しい専門医制度では、希望する専門医の取得と就労義務の両立が難しくなる可能性が出てくることが、かねてから指摘されていたことがわかりました。
 例えば、本県の場合は、岩手医科大学の地域枠で入学した場合、卒業後の義務履行において、当初は基幹病院のみ回るはずだったのが、制度の改正に伴って、途中から、小規模病院も回る必要性が出てまいりました。この改正の前に、奨学金養成医師になった方にさかのぼって、小規模病院を回る改正が適用されたということが、一つ問題になっていると思うのですが、小規模病院の場合、認定教育施設に認定されていないということもあるのです。
 例えば日本内科学会の認定教育病院は、本県では、県立中央病院と県立胆沢病院です。これに対して、関連病院は、盛岡市の川久保病院と盛岡赤十字病院、県立病院では磐井病院、中部病院、宮古病院、二戸病院、久慈病院のみで、これ以外の病院に配属された場合は、幾ら症例を経験しても、研修期間には含まれないということがわかりました。
 また、病院によりましては、東北大学の管轄、また、岩手医科大学の管轄と分かれていますので、例えば、岩手医科大学の地域枠出身者では、東北大学の医局が入っている病院での研修を9年も受けるというのは、現実的ではないということです。そのため、自分の希望する分野での専門医の資格取得を、結局は、諦めてしまうケースがあると聞きます。
 その場合、取るべき道は、自分の進路をメジャーな科に変更するか、もしくは奨学金を返還して、県外に出るかという選択しかないということですが、奨学金を辞退する場合の利子、また、返済スケジュール、どうなっていますでしょうか。
〇中田医務課長 済みません。利息につきましては、後ほどお答えをしたいと思います。
 返済のスケジュールでございますが、一括返還を原則としておりますが、一部、貸与者の都合によりまして、分轄での返還も、話し合いによって認めているところでございます。
〇千葉絢子委員 これは、年利ですが、9%なのです。一般的な学資ローンの返済利率、独立行政法人日本学生支援機構の第二種奨学金は大体1%です。日本政策金融公庫、民間の教育ローンで、固定金利1.66%、民間の銀行などでの教育ローンは大体3%程度なのに対し、医師に対しての奨学金の利率、年9%と大変高いのです。これは、なぜ9%なのか。また、その借り入れ総額に対して、その借りていた年数に9%を掛けて、合計金額を返済するのか、ここをちょっとはっきりしたいのです。
〇中田医務課長 利率につきましては、委員御指摘のとおりでございます。こちらにつきましては、医師の免許取得後を起算としまして、利率を掛けているものでございますので、高いという御指摘はございますが、基本的には、これは返還を前提とした制度ではございません。奨学金をお貸しすることで、岩手県内の各地域に勤務をしていただくという前提のもとに、貸し付けをしておりまして、義務履行をしていただき、その後、返還を免除するという、医師として岩手県に勤務していただくことを前提としていることもございまして、そのような考え方のもと9%の設定をさせていただいているところでございます。
〇千葉絢子委員 先ほど紹介した報告によると、大体奨学金を返済する一番の出現率の高い額というのが1、440万円です。大体4年ぐらい借りた計算になるのかと思いますけれど、これに年利9%ということで考えますと、1、800万円から1、900万円ぐらい返さなければいけない。それを一括で、その返済期限は10日です。これを払える方は、私はいないと思うのですが、途中でやめる方は33件で、卒業後に返還する方は29件、62件が返還している。これは、590人に対して貸与しているのに対し、62件という割合です。全体の10.5%がこの奨学金を返還しているという計算になります。
 これは、平成28年度に、同じような制度を利用しているところの全国調査を行ったところ、平成20年から平成27年の入学生で、地域枠を考えると、制度全体では、大体1.1%から1.3%が奨学金辞退をしているのですが、それに比べると、岩手県のこの割合は10倍になってしまうのです。
 ただ、それを57人は一括で返している。特に分轄とい規定はなく、相談に応じてと答弁がありましたけれど、免除が4人、この4人の免除の理由には、先ほど、亡くなったということも言及があったと思いますけれど、本当に残念ながら、この4人の免除の中には、自殺の方も含まれているのです。万が一、辞退した場合の話などはほぼされずに、奨学金を受けて、入学することになってしまったと、後から嘆く声も聞かれていますけれど、地域枠での受験や、金銭借款契約の際の説明、十分にされているでしょうか。確認のため伺います。
〇中田医務課長 貸付金に関する説明でございますが、募集時点におきまして、当該貸与者は、基本的に、高校3年生になろうかと思いますので、保護者に、詳細を説明しているところでございます。あわせて、義務履行につきましても、内容を説明しているところでございまして、今後も、こういった誤解といいますか、理解していなかったということがないないよう、丁寧に説明を尽くしてまいりたいと考えております。
〇千葉絢子委員 私が相談を受けた医師は、一括で返せるような医師の家庭の出身の方ではありませんでした。それで、奨学金4年間借りたものの、自分の進みたい呼吸器外科に入局したところ、県内の診療科は、県立中央病院にしかなくて、そこは東北医科薬科大学の医局が入っていますので、岩手医科大学の医局では入れないということです。
 このままでは、県内での義務履行が困難だとして、早期の返還を決めましたが、10日間の返済期限を過ぎると、さらに利息がつくという通知を受けて、1、440万円の利率年9%の合計1、800万円を一括で返すために、融資してくれる銀行を10日間で探すのに大変苦慮したと言っております。実際、返済に困難を覚える人は、本当に進みたい科には進まず、岩手医科大学の医局が管轄している診療科にしか、実質的に進めないのではないかと思うのです。
 これは、義務履行を前提とし、岩手県に残ってもらうということを前提にした制度ですが、逆に、岩手医科大学の地域枠で合格する医師が輩出されているのに、本県の抱える診療科の偏在や、医師不足が解消しない理由になっていないだろうかということをお伺いしたいのですが、これは、保健福祉部長にお聞きしたいと思います。
〇野原保健福祉部長 この奨学金制度を設計するに当たり、キャリア形成の部分と、地域偏在のためのいわゆる義務履行についてですが、これをどう両立させるかということは、いまだに続いている議論なのです。永遠のテーマかもしれません。医師には、きちんとキャリア形成を支援したい。そのためには、大学等できちんと研修する期間が必要です。
 岩手県は、診療科の偏在はあるのですが、全ての診療科が、今は不足しているので、どの診療科を選んでもいいですよとしています。おっしゃるとおり、専門医制度が始まって、専門研修を選んだ科によっては、行く病院等が限られてくる。義務履行先の公的医療機関というのも、その中でしなければならない。キャリア形成と専門医取得、義務履行のルールというところが、本当に難しい課題だと、当初から、それは想定して、議論を進めていましたが、今でもその議論はございます。
 おっしゃるとおり、呼吸器外科とか、さらに極端な例で言うと、病理とか、心臓血管外科とか、本当のスペシャリストを目指す方々は、本当に専門病院で研修しなければならないのですが、一方では、県民のお金をいただいて、少なからぬ額の貸与をいただいて医師になっていますので、沿岸地域とか、小規模病院というルールでやっています。そこはやはり公平にしなければならないということです。
 あとは、我々の説明責任です。制度設計について、きちんと丁寧に説明する。後から解約にならないようにする。途中で制度を変えるということはありますけれど、それは、制度改正前の学生には適用はしません。あとは、新しい選択肢を設けるという制度改正をしています。そこは丁寧に説明しながらやっています。
 そういった意味で、専門医制度については、例えば、カリキュラム制と言って、認定施設以外のところでも、症例をやったところも認めてもらうように、柔軟な運用をしてもらえないかという要望とか、専門医機構のほうも、この奨学金制度のキャリアアップというのは、問題意識を持っていまして、その県内でできるようにという形での議論も行われていると承知しています。
 一方で、トレードオフではないのですが、キャリア形成と、医師が目指したいところを突き進めることについて、地域に勤務するというのを両立ということは、どうしても相入れない部分が一方で出てくる。ただ、公平にやらなければならない。ここの中で、今でも、さまざま御意見をいただきながら、実際は、岩手県奨学金養成医師配置調整会議の中で、学生、医師の意見、医局の意見などを伺いながら、どうしたら一番いい形になるかという議論を重ねながら、配置調整を進めています。
 いずれ、本人が、きちんと県民の付託に応えて、キャリア形成もしながらできる姿を目指したいと思っていますので、いろいろ課題はあるのですけれども、それは、一歩一歩対応しながら、円滑な制度運営に努めてまいりたいと考えております。
〇千葉絢子委員 大変真摯な答弁を頂戴いたしました。
 実は、平成20年度に地域枠の運用を立ててから、今まで6回の卒業生を出してきていますけれども、地域枠出身医師の県内勤務による義務履行を果たすために、今度は、非奨学金養成医師、奨学金を受けない一般入学の医師が、小規模病院や県外の病院を回らざるを得ない状況が生まれていて、今度は、そちらの専門医取得に時間がかかるため、やはりキャリア形成に問題があるということです。特に女性医師の場合は、ライフイベントとの両立がしにくいという問題もあるようです。
 そういった現場の医師の声、大分高まってきております。ことしの3月ぐらいに、医療政策室のほうにお伺いしたところ、そういった不便をなかなか聞く機会がないというお話もあったのですが、これは、運用してしばらくたちますので、現場の医師とか女性医師とかそういう方の声を吸い上げてほしいと思っているところです。
 この問題につきましては、地域医療に対する貢献や理解よりも、例えば、医師になりやすいから地域枠を使うとか、私立大学の地域枠とか、あと、就労義務によるストレスが多いといった要因から、奨学金返還につながる可能性が研究されております。
 私が読んだのは2017年の医学教育ですが、この中の筑波大学医学医療系地域医療教育学の研究論文ですけれども、地域枠の医学生のうち、およそ30%が、返還の選択肢をかなり高い可能性で持っているという調査結果が出ています。今後の地域医療を担う医師の養成や確保については、今後も取り上げていきたいと考えておりますので、ぜひ、執行部におかれましては、地域枠医学生の奨学金返還の可能性と、関連する要因について、ちょっと分析、考察してみてはいかがかと申し上げて、終わります。
〇高橋こうすけ委員 私からは、端的に1点だけ質問させていただきます。
 新型コロナウイルス感染症への対応に伴う就労継続支援事業所や就労移行支援事業所の取り扱いについてお伺いいたします。厚生労働省から、令和2年2月20日付の発表で、就労継続支援事業所や就労移行支援事業所の在宅でのサービス利用についても認めるという文書が出されているのですが、これに対して、どのような認識、また、どのように対応しているかをお伺いいたします。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 就労継続支援事業所等におけるコロナ禍のサービス提供についてでございますが、今、委員から御紹介のありましたとおり、国では、新型コロナウイルス感染症への対応に伴う就労継続支援事業の取り扱い等といたしまして、在宅での効果的なサービス提供が可能である場合には、在宅勤務など、在宅でのサービス利用を検討するように示しております。
 この具体的な要件といたしましては、在宅でのサービス利用を希望する者であって、在宅でのサービス利用による支援効果が認められると、市町村が判断した利用者とされておりまして、県といたしましても、コロナ禍において、在宅サービス等を利用した効果的な支援は、非常に重要と考えておりますので、利用者の状況等に応じて、こうした取り組みが行われるよう、市町村や事業所等に通知をしているところでございます。
〇高橋こうすけ委員 リモートでできるというところ、この時節柄、大変重要な部分かと思っております。
 その中でも、障がい福祉サービスの事業所とか、障がい者の方々に対して、一般の方とは違うリスクがさまざまある方もいるかと思います。そういった方々に対しての配慮も、どんどん必要になってくるかと私は思っておりまして、実は、在宅でのサービスに関して、盛岡市では認めておりませんと、お断りされたというお話をお伺いいたしました。
 今、新型コロナウイルス感染症が少し収まってきたという状況の中で、こういったことは、改めて見直して、県のほうで周知を徹底していくべきことかと思っておりますが、その辺の所感をお伺いいたします。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 就労継続支援事業所におけるサービスというのは、多くの場合は、障がいのある利用者の方が、組み立て作業や、あるいは、その事業所独自の菓子類の製造といったものに多く従事をされていると思っております。
 そういったものがサービスの内容となっている方に対して、在宅で支援というのがなかなか難しい面もあるということで、その支援効果という点で難しいというところはあろうかと思いますが、改めて、通知等の徹底はしていきたいと思います。
〇高橋こうすけ委員 厚生労働省のほうでも、ガイドラインといいますか、こういうことはできますよということを記してありますので、いま一度、お目通しいただいて、ぜひ、市町村のほうに、周知徹底、それから、柔軟な対応をお願いしたいと思います。
〇斉藤信委員 先ほど、我が日本共産党の千田美津子議員の一般質問に対する知事答弁が取り上げられました。私から、どういう質問で、どういう答弁だったか、正確にお話をしておきます。
 千田美津子議員はこういうふうに質問しました。若い人たちが岩手県に住み、そして、岩手県で子供を産み、そして、岩手県で安心して暮らす、そういう部分でも、この産科復活のプロジェクトは、非常に大事だし、取り組んでいただきたいと思うわけですが、その点、お聞きして終わります。最後の質問です。
 知事答弁。この周産期医療に関しては、この保健福祉部以外の調整にまで踏み込んでいませんでしたので、今この場で、男女共同参画、若者支援、そして、産業経済、農林水産業もそうですし、建設関係もそうですし、あと、教育の現場、警察もよろしくお願いします。
 ここからが結論です。出産、子育てに関して、県全体で総力を挙げて、子供を産み、育てられる、安心できる岩手県にすることを、この場で決定させていただきますと。前向きの答弁ですけれど、特に踏み込んだものではないということを、率直に言っておきます。
 本論に入ります。新型コロナウイルス感染症対策について、今まで触れてないところを触れておきます。透析患者、妊婦等の新型コロナウイルス感染症の感染者に対応できる病床は、何病院、何床確保されているでしょうか。実際の活用実績を含めて示していただきたい。
〇工藤理事心得 まず、透析患者につきましては、県内において、受け入れ可能な病院は10病院、これまでに13人の入院患者に対応してきたところでございます。
 次に、妊婦である感染患者につきましては、受け入れ可能な病院は10病院、これまでに、17人の入院患者に対応してきたところでございます。
 なお、病床につきましては、陰圧病床の設置とか、病棟のゾーニング、動線確保等の観点から、透析患者や妊婦など、特定の分野別に確保しているものではなく、新型コロナウイルス感染症対応として確保している病床の中で、医療機器やスタッフを調整しているものでございます。
〇斉藤信委員 透析や妊婦の対応は、大変特殊なところですから、10病院で対応されたと、私は評価しておきたいと思います。
 重症病床は、何病院、何床確保されているのか、実際の稼働病床はどうだったか、あわせて、県内のICU─集中治療室は、何病院、何床確保されているでしょうか。
〇工藤理事心得 まず、重症者用病床でございますが、県内におきまして、新型コロナウイルス感染症の重症患者を受け入れ可能な病院は、感染蔓延期のフェーズ3におきまして、13病院、45床となっております。
 実際の稼働病床につきましては、これまでのピーク時で申し上げますと、3病院、4床となっております。
 次に、県内のICUの確保病床でございますが、県内には、新型コロナウイルス感染症患者用のICUの確保病床はございませんが、HCU─高度治療室を2病院において28床確保しているところでございます。
〇斉藤信委員 ICUではなくて、HCUだということですけれども、世界的に見ますと、ICUは、欧米関係では、かなりしっかり整備されているのです。日本では、本当にこれが少ない。そして、今、それを減らしている。今、2病院、28床になりましたけれど、県内に、岩手医科大学、県立中央病院、さらに、県立の久慈病院、大船渡病院は救命救急ですよね。こういうところにも、ICUなりHCUが確保されないのか。そのことをお聞きします。
〇工藤理事心得 本県のICUにつきましては、主に救急医療とか高度救命救急センターにおける一般医療の高度医療に対応するという方向でございまして、HCUにつきましては、医療機関と調整の上、一部の病床を新型コロナウイルス感染症患者用に運用するということとしておりますので、そういった機能分担を図りながら、一般医療と新型コロナウイルス感染症との両立を図っているところでございます。
〇斉藤信委員 医療崩壊が起きた一つの要因は、こうした重症病床に対応できなかったということだったと思います。岩手県は、感染爆発まで行きませんでしたから、しっかり対応されたと思いますけれど、こういう時期にこそ見直して、ICUやHCUを、できれば基幹病院ぐらいに設置するということが必要なのではないかと思います。これは指摘にとどめておきます。
 次に、介護保険20年の検証を含めてお聞きをします。当面の緊急課題として、実は、この8月から補足給付の改悪によって、負担増が発生しています。資産要件が変えられて、補足給付の対象外になった。食費負担の見直しで、負担増になった。
 私は、盛岡市内の特別養護老人ホームの実態をお聞きしましたけれども、4割以上の入所者が負担増になったということです。その中には、資産要件で、そもそも補足給付の対象外になる方もいます。食費の場合は、いわゆる年収120万円を超えた場合に、食費負担が倍になるのです。それだけでも2万2、000円の負担になる。私が聞いたのは、最高額で9万円、これは月です。そういう負担増しになったという入所者がいて、これなら、今入っている特養を出なければならないのではないか。もう一つは、これから入りたいと言っても、入れなくなってしまうのではないか。大変な危機感でありました。
 資産要件、諸経費負担の見直しは、どういう仕組みになったのか、その実態、影響をどう把握しているでしょうか。
〇前川長寿社会課総括課長 介護保険の補足給付の見直しによる負担増についてであります。今、御紹介いただきましたように、低所得の施設入所者等に対し、食費及び居住費の補助を行う補足給付でございますが、所得に応じて自己負担額が設定されております。こちらの自己負担額が、令和3年8月から、住民税非課税世帯のうち、所得が120万円を超える者の自己負担額が引き上げとなっております。
 例えば、特別養護老人ホームの多床室に入所されている方の場合、食費及び居住費の自己負担限度額の合計額が、日額では710円増の1、730円、一月当たりでは2万1、584円増の5万2、592円となっております。
 また、一定以上の預貯金のある方につきましては、補足給付の対象とはなりませんので、例えば、所得が120万円を超える方については、預貯金が1、000万円以下とされていたものが、8月以降は500万円以下に引き下げられております。
 なお、負担増による影響等につきましては、今後、市町村から報告されます、8月以降の介護保険給付費の分析や、関係団体等からの聞き取りによりまして、実態の把握に努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 この補足給付というのは、そもそも低所得者、住民税非課税世帯の方が対象だったのです。その低所得者にこういう負担増を押しつける、本当にこんな冷たい政治はないと思います。私は実態を把握して、この改善、撤回を、国に求めるべきだということを指摘をしておきたいと思います。
 そこで、昨年度で、介護保険20年経過をいたしました。保険料はどれだけ引き上がったのでしょうか。
〇前川長寿社会課総括課長 介護保険料につきましては、本県も全国と同様に上昇傾向にございます。介護保険制度開始の平成12年における県内市町村の保険料平均は、2、868円でございました。今年度から令和5年度までの第8期介護保険事業計画期間においては、6、033円に上昇しているところでございます。
 なお、全国の第8期保険料の平均額は6、014円となっております。
〇斉藤信委員 この20年で、保険料は岩手県の場合は2.1倍ですよ。倍以上に上がって、高い保険料を払っても、先ほど言ったように、高い利用料を強いられるということです。まさに、保険あって介護なしということではないかと思います。
 そこで、この20年間、どのような介護サービスの削減、縮小が行われてきたのでしょうか。
〇前川長寿社会課総括課長 介護保険制度のこれまでの主な見直しについてでございます。
 まず、施行5年後、平成17年に居住費、食費につきましては、保険給付の対象外となりまして、先ほど説明がありましたが、その分、所得の低い利用者への補足給付が設けられております。
 その次の年、平成18年には、要支援1及び2の軽度者へのサービスの一部を地域支援事業へ移行するなどが行われてきております。先ほども御質問があったとおり、令和3年─ことしの8月からは補足給付及び高額介護サービス費の見直しがございまして、利用者の負担限度額の改正が行われたところでございます。
〇斉藤信委員 20年間で、保険料は2倍になった。ところが介護サービスは、削減に次ぐ削減なのです。必要なサービスが受けられない。特別養護老人ホームにも入れない。特別養護老人ホームの待機者は、今どうなっていますか。
〇前川長寿社会課総括課長 済みません。後ほどお答えします。
〇斉藤信委員 以前にもらった資料ですけれども、いいです。
 待機者が全然減っていないということです。保険料を払っても、入りたい特別養護老人ホームへ入れなかったら、これは契約違反なのです。
 なぜ、こんなことになったかというと、介護報酬がこの間どんどん下げられてきた。消費税分の手当て、さらには、処遇改善加算は、別枠で措置されていますから、それを除くと、この20年間で、介護報酬はマイナス6.44%、いわば社会保障削減路線のもとで、介護保険は、介護の社会化どころか、まさに、介護あって保険なし、こういうふうになってしまった。
 一つ紹介をしますと、堤修三さんという、これは、初代の厚生労働省の老健局長、介護保険制度をつくったときの老健局長です。団塊以降の世代にとって、介護保険は国家的詐欺になりつつあると思うと介護保険をつくった人が言っているのです。本当に、私は異常な事態だと思います。
 そこで、介護保険事業者の倒産、廃業はどうなっているでしょうか。
〇前川長寿社会課総括課長 令和2年度の介護サービス事業所の廃止及び休止の状況についてでございます。廃止が70事業所、休止が48事業所となっております。
 また、廃止、休止の理由につきましては、人材不足によるものが70事業所、経営難によるものが8事業所となっております。
〇斉藤信委員 廃止が72、休止が48ということです。その理由も、人材不足が70ですよ。先ほど来、介護人材の議論がされました。本当に大変な時代になっている。介護人材がいないというのは、介護人材の給与水準が余りにも低いからです。全産業と比べて、月9万円違う。それでいて、夜勤もある。本当に高齢者一人一人に専門性が問われる、そういう仕事で、しかし、待遇が悪い。このことを抜本的に改善しなかったら、介護保険はまさに成り立たない。
 去年、読売新聞が特集を組みました。県庁所在地と、そして、中核市、政令市の自治体を調査したものですけれど、今後10年間で、9割の自治体が、現行のままでは、維持することは困難だということです。その理由の第一は、人材、事業所が不足する。二つ目は、保険料の上昇に住民が耐えられない。今、これがまさに介護保険の実態だと思います。
 そこで、最後ですけれど、今、介護保険で何が問題になっているか。この介護人材の不足については、私は本当に、今、手を打たなかったら、もう5年後、10年後では遅過ぎると、こういうふうに思いますが、県とすれば、どうやって介護人材を確保しようとしているかを示していただきたい。
〇前川長寿社会課総括課長 今、御指摘のありましたとおり、介護人材の確保については、非常に重要な、喫緊の課題と認識をしております。
 県としましては、先ほどもお話をさせていただきましたけれども、参入の促進、労働環境、処遇の改善及び専門性の向上という三つの視点で取り組んでまいりたいと考えております。
 これまでも、イメージアップのための情報発信とか、求職者に対するマッチング支援等々を行っておりましたが、これまでの取り組みに加えまして、今後は、新たな介護人材として期待される外国人人材の受け入れや、介護ロボット、ICTを活用した労働環境の改善にも、力を入れて取り組んでまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 根本的に、給与をそれこそ10万円ぐらい上げないとだめですよ。そうでないと最初から、もう職業として選択されない。介護専門学校に入らない最大の理由は、将来が見えないからです。そこはもちろん国の問題だと、私は思います。
 あわせて、今、新型コロナウイルス感染症で、介護施設の利用が減ったり、衛生用品の確保で、去年は若干手当てがありました。ことしはないのです。こういう介護施設の減収対策はどうなっているか。新型コロナウイルス感染症対策に対する支援はどうなっていますか。
〇前川長寿社会課総括課長 新型コロナウイルス感染症対策のかかり増し経費につきましては、基本報酬へのプラス0.1%の上乗せが行われているところでございます。
 9月までは0.1%の基本報酬への上乗せという形になりますが、10月以降は補助金の形で、上限額おおむね6万円程度ということで、国のほうからは連絡が来ておりますが、具体的に詳しい情報はまだ入っておりません。
〇斉藤信委員 本当に、新型コロナウイルス感染症対策は、事業者の支援も、こうした医療、介護施設に対しても、去年はやったのです。持続化給付金も、家賃支援給付金もやった。ことし感染が爆発して、もっと大変だったときに、8月、9月で打ち切ってしまった。診療報酬もそうです。介護報酬もそうです。本当にこんな姿勢で、新型コロナウイルス感染症対策をやっていると言えるのかと、私は率直に思います。感染が拡大したら、それなりに対策を強化するというのが、本道ではないか。
 これは、最後の最後ですけれど、先ほどの特別養護老人ホームの待機者数もわかったでしょうから、答えてください。
 そして、もう一つ、この間、県内における介護離職は、どのようになっていますか、どう推移していますか。
〇前川長寿社会課総括課長 先ほどは失礼いたしました。特別養護老人ホームの待機者数は833人となっております。
 本県の介護労働者の離職率につきましては、令和2年度で13.4%となっております。
〇田村勝則副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後2時39分 休 憩

午後2時57分 再開
〇田村勝則副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇高田一郎委員 最初に、障がい者の就労支援事業所への支援についてお聞きいたします。
 就労継続支援事業所は、この間のコロナ禍の影響によって、経営が大変になっていると思います。工賃や賃金、生産活動への影響を、県はどのように把握されているでしょうか。
 また、この減収対策として、国の就労継続支援事業所生産活動活性化事業補助が導入されていますが、この実績はどのようになっているのか、まず示してください。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 障がい者就労支援事業所の工賃、賃金、生産活動への影響についてでありますが、障がい者就労支援事業所における令和2年度の工賃は、就労継続支援A型事業所の平均賃金では、82、534円で前年度比998円の増となっておりますが、B型事業所では、平均工賃が1万9、253円で、167円の減となっております。
 また、岩手県社会福祉協議会が実施しております、新型コロナウイルス感染症の影響調査によりますと、本年6月の事業収入と前年同月との比較で、回答があった70の就労継続支援事業所のうち、増収が62.9%、減収が37.1%となっており、受注の減少やイベントの中止による販売機会の減少等、一定の影響が出ているものと認識をしております。
 それから、就労継続支援事業所生産活動活性化事業補助、これは昨年度の事業でありますが、令和2年度の実績は、補助対象事業所が8事業所、補助金額が304万9、000円となっております。
〇高田一郎委員 岩手県社会福祉協議会が行った影響調査について、今、紹介がありました。70の事業所の調査に対して、6割程度が増収になっているという結果ですけれども、しかし、この資料をよく見てみますと、昨年同期と比べて増収なのです。昨年は大幅に落ち込んだにもかかわらず、さらにことしは、4割近い事業所が減収になっているという状況なのです。決して、事業が好転しているという状況ではないと私は思います。事業所からは、1年以上も続くコロナ禍の影響で、生産活動がなかなか上がらず、事業所だけでは対応できないという声も聞こえております。
 県は、このような就労支援事業所に対する厳しい現実をどのように受けとめ、また、県として、さらなる支援を考える必要があると私は思いますけれども、その点についてお伺いしたいと思います。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 就労継続支援事業所の状況、先ほど、工賃の状況等については御紹介したところでございます。我々も、事業所の団体の意見をいろいろ伺いながら取り組んでいるところであります。工賃は、障がい者の方の収入に直結するものでありますので、県としますと、障がい者就労支援センターなどを通じまして、支援を行っていきたいと考えているところであります。
 それから、この間の支援についてでありますが、感染防止のための防護用品等に係る費用を補助するなどの財政支援を行ってまいりました。
 それから、減収となっている事業所もありますが、新商品の生産、販売、受注業務の新規開拓など、増収となっている事業所もあるということで、工賃の引き上げ、支援セミナー等の開催により、さまざまな支援を行ってきたところでございます。
 県では、こうした取り組みに加え、新たな生産活動への転換、販路拡大に向けた取り組みに対する継続的な財政支援について、国に要望をしているところであります。今後も、事業所での生産活動、利用者の賃金、工賃の確保を図るため、引き続き、官公需の発注促進や共同受注センターの利用促進、農福連携の推進、障がい者就労支援センターを通じた、各種支援などに取り組むとともに、財政支援についても、国に要望していきたいと考えております。
〇高田一郎委員 先ほど紹介があった就労継続支援事業所生産活動活性化事業補助は、わずか8事業所が対象になったということであります。これは、前年度と比べて、50%以上の減収がある場合、あるいは30%が3カ月続いた場合に対象となるということで、この間、わずか8事業所だけなのです。この数字から見ても、多くの事業所が厳しい経営の中で、いろいろ聞いてみますと、工賃を下げるのは大変なので、内部留保などを活用して、そして、工賃を抑えているという状況にありますので、ぜひ、支援をさらに進めていただきたいと思います。
 心配するのは、障がい者施設における感染対策でありますけれども、感染者は減っているとは言え、特に障がい者施設は、基礎疾患などを抱えている方々が通う事業所でありますので、感染対策をさらに継続、強化していく必要があると思います。
 先ほどの介護施設での議論もありましたけれども、障がい者施設についても、感染対策についての基本報酬0.1%が、これも介護施設と同じようになくなって、10月からは、わずか数万円の補助金で対応しようとしているということはやはり問題だと思います。
 令和2年度は、岩手県全体で、障がい者施設の感染対策として、いわゆるかかり増し経費ですね。641事業所、2億2、000万円程度の予算が措置をされました。国に要請していくことも大事ですけれども、県として、さらなる感染対策の強化を行うべきだと思いますが、この点はいかがでしょうか。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 障がい者支援施設の感染対策については、委員から御紹介のありましたとおり、介護保険施設と同様、今年度前半までは報酬に換算されていました。いずれ、今後については、国のほうの支援がどういったものになるか、そういったところも把握をしながら、検討していきたいと思います。
〇高田一郎委員 介護現場からもそういう声が強く出ていますので、ぜひ、しっかりと対応をしていただきたいと思います。
 最後に、高過ぎる国民健康保険税についてお聞きいたします。一つは、標準世帯のモデル、標準家庭での国保は、協会けんぽと比べてどれだけの状況になっているのでしょうか。以前もお聞きしましたけれども、同じ収入がありながら2倍の開きがあったということも、1年前にも指摘したところでありますけれども、現在、そのような状況はどうなっているのか、まずお聞きいたします。
 そして、新型コロナウイルス感染症によって収入が減少した被保険者への減免について、新型コロナウイルス感染症対策として国が財政支援を行っております。この減免実績はどのようになっているのでしょうか。
〇竹澤健康国保課総括課長 初めに、協会けんぽとの比較でございますけれども、夫婦とも39歳以下、就労者が1人、子供が2人の4人世帯で、年収400万円の場合の盛岡市の国民健康保険税と協会けんぽの保険料の年額を試算いたしますと、盛岡市の国保税が40万円、協会けんぽの保険料が19万8、696円となり、国保税が20万1、304円高い状況となっております。
 次に、新型コロナウイルス感染症による保険料減免の実績についてでございますが、令和元年度は、500世帯、1、102万5、000円、令和2年度は、1、123世帯、1億4、880万1、000円、令和3年度につきましては、8月末時点での実績でございますが、126世帯、2、140万4、000円の実績となっております。
〇高田一郎委員 協会けんぽとの違いについては、標準世帯で盛岡市の場合、協会けんぽ19万8、696円に対して、国保は40万円と、もう2倍以上の開きがあると。これは昨年聞いたときと比べて、さらなる開きがあるのではないかなと思います。同じ所得でありながら、税金は2倍になるという不公平です。国保というのは、御承知のように、非正規労働者とか、年金生活者とか、自営業者とか、本当に低所得者が加入をする制度であります。本来、それを踏まえて国庫補助をふやしていかなければならないにもかかわらず、この間、政府はどんどん国庫補助を削減して、そのしわ寄せを国保加入者に押しつけてきたと。払わなければ滞納処分ということをやってきました。私は、この状況がずっと続いているということは大問題であり、喫緊の課題だと思います。
 そこで、県も、全国知事会を通じて国に対して強力に働きかけているという答弁でありましたけれども、この間、全国知事会と厚生労働省が、ワーキンググループを立ち上げて議論をされていると伺っています。現在、どのような議論が行われているのでしょうか。
〇竹澤健康国保課総括課長 全国知事会と厚生労働省の議論の状況についてでありますけれども、国と地方による国保基盤強化協議会の事務レベルワーキンググループにつきましては、厚生労働省と全国知事会、市長会、町村会から成るメンバーが参加しておりますが、ワーキンググループの議事は非公開とされておりまして、県としては、内容は承知していないところでございます。
〇高田一郎委員 非公開での議論というのは、非常に残念ですけれど、いずれ、新型コロナウイルス感染症対策では、全国知事会はさまざま提言をして、大変大きな役割を果たしてきたと思います。
 この国保の問題でも、もう何年と同じ状況が続いています。同じ所得でありながら払う税金は2倍になっているという状況を改善していくために、もっと情報発信をして、強力に働きかけていただきたいと思っております。これは要望です。
 国保税の減免についても、先ほど答弁をいただきました。私も資料をいただきましたけれども、各市町村の税の減免について、令和2年度の場合は、全額国庫で対応してきたということですけれども、余りにも市町村格差があるのではないかと資料を見て感じました。制度の徹底とか、十分対応されていたのだろうかとか、いろいろな疑問を持つわけですけれども、この点については、どう分析されているのでしょうか。
 昨年は、今、紹介したように、この減免財源は特別調整交付金で財政支援をしました。今年度の減免は、自治体によって異なりますけれども、4割とか、あるいは6割とか10割とか、非常に自治体に負担を求めるような内容になっていますが、今年度はどのような状況になっているのでしょうか。きちんと減免はされているのかどうか、この辺りについてもお伺いします。
〇竹澤健康国保課総括課長 まず、減免に係る市町村への周知でございますけれども、県におきましては、毎月、減免等の実績を市町村からの報告により確認しておりまして、その都度、市町村の担当者の皆様には、制度の周知の徹底を行っているところでございます。
 また、国保税を減免した際の減免割合といいますか、減免した際の国からの財政措置ですが、特別調整交付金によりまして、全市町村に、減免額の10分の4相当額が今年度は措置される見込みでございますけれども、残りの部分につきましては、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金が活用できるということで、国から連絡をいただいているところでございますし、市町村のほうにも通知はしているところでございます。
〇高田一郎委員 減免については詳しく申し上げませんが、市町村でも随分格差がある状況です。ぜひ、制度の徹底を市町村にお願いしたいと思いますし、税の減免については、恐らく新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用して、どの自治体でも継続してやっていると思うのですけれども、本来、これは国の新型コロナウイルス感染症対策での減収ですから、国の責任で、財政措置をするべきだし、こういったものは、今の国保の現状からすれば、恒久的な制度にしていくべきだと申し上げたいと思います。
 次に、国保の問題で、解決しなければならないのは、今のコロナ禍の現状から見たときに、国保に加入している方々の傷病手当が、大変大事だと思います。
 あるいは、これもかねてから要望しておきましたけれども、子供の均等割の対応ですね。これは、今、傷病手当あるいは子供の均等割の県内市町村の実施状況についてどうなっているのかお伺いいたします。
〇竹澤健康国保課総括課長 傷病手当の実績でございますけれども、令和2年度から本年8月末時点までで、6件29万5、434円の支給が決定されております。国の支給基準内であれば、これは全額国庫負担となっております。
 次に、子供の均等割減免の状況でございますが、現在、県内におきましては、宮古市及び陸前高田市において、18歳以下の子供に対する均等割を全額免除しているところでございます。
 なお、国民健康保険法の改正によりまして、来年度から、未就学児の被保険者に対して均等割5割が減額されることになっております。
〇高田一郎委員 傷病手当についてはわずか6件、約29万円のわずかな実績になっています。傷病手当は、実は、国の財政支援は、被保険者に限定されています。だから、例えばフリーランスとか、あるいは個人事業主、自営業者、こういった方々は対象にならない。熱が出ても仕事を休めない、病院に行かないと。あるいは、新型コロナウイルス感染症に感染にして休んでも、その収入補償がないという状況になっています。これは改善していくべきだと思いますし、子供の均等割についても、ぜひ、全県に広げるように、さらに取り組んでいただきたいと思います。
〇木村幸弘委員 私からは、まず、第一次産業と福祉の連携についてお伺いいたします。
 農福連携マッチング支援の令和2年度の実績と、これまでの成果及び課題について、お伺いしたいと思います。
 また、本事業の目的としております、障がい者の就労の場の拡充、そして、工賃の向上、こうした取り組みの状況等についても、具体的に示していただきたいと思います。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 農福連携についてでございます。まず、マッチング支援についてでありますが、この取り組みは、平成29年度から岩手県社会福祉協議会に委託して実施をしております。令和2年度のマッチング支援件数は21件で、前年度比較では、8件の増となっております。
 一方、農福連携に取り組む事業所数は、前年から1事業所増の122カ所となっており、さらなる取り組みの拡大が課題と、認識をしております。
 令和2年度の平均工賃については、先ほども申し上げましたが、A型事業所の平均工賃は8万2、534円で、前年度比998円の増でありますが、B型事業所の平均工賃は1万9、253円で、167円の減少となっております。
 県といたしましては、農福連携の取り組みがさらに拡大するよう、農業関係者向けに、障がい特性の理解を深めるための研修や、障がい福祉関係者向けのセミナーの開催など、関係者が相互理解を深めるための取り組みを引き続き行ってまいります。
 また、岩手県社会福祉協議会に設置しました、いわて障がい者就労支援センターにおきまして、農福連携に向けた取り組みを行い、多様な就労の場の確保と工賃向上につながるよう、取り組みを進めてまいります。
〇木村幸弘委員 マッチング支援事業の関係で、ことし3月の予算特別委員会の際に、令和2年度のマッチング件数が21件であるということで答弁いただいており、その後、変わってないなということで確認をさせてもらいましたけれども、あわせて、このマッチングによって、いわゆる雇用者がどれだけ生まれて、どういった作業等が具体的に行われているのか。事業所数が122カ所ということでしたけれども、その辺のところを押さえていれば、お答えをいただきたいと思います。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 この取り組みについては、事業所を利用する方が農作業等に従事するという形でありまして、具体的に、何人利用者がふえたといったところは把握をしていないところでございます。
 また、これによる工賃も、事業所の全体の中の収入という形で把握をしておりまして、内訳等も把握ができていないところでございます。
〇木村幸弘委員 次に、農福ではなくて、水福の関係です。水福の連携マッチング事業について、これは、復興防災部の事業でありますけれども、保健福祉部としての連携、そして、その実績はどのように把握をされているのか。さらに、保健福祉部として、この水福連携のマッチング事業について、どのように評価をし、対応しているのかについて、あわせてお伺いしたいと思います。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 水福連携マッチング事業についてでありますが、本事業は、令和元年度から復興防災部が担当部局となり、岩手県社会福祉協議会に委託し実施しておりますが、これとは別に、保健福祉部におきましては、沿岸被災地の就労継続支援事業所の支援事業を同協議会に委託をしておりまして、これらの事業が相互に連携し、一体的に取り組みが進められております。復興防災部の事業のほうは、マッチング件数は6件、それから、59名の雇用機会の創出になったと聞いているところであります。
 障がい者の就労の場を拡充し、工賃を向上させていくためには、農業を初め、水産業などの第一次産業の連携は重要であると認識しておりまして、いわて障がい者就労支援センターにおいて、農業分野のみならず、水産分野の取り組み支援を含め、継続的に取り組むこととしております。
 今後においても、農水福連携に関連のある復興防災部や農林水産部初め、部局横断的な取り組みを進めて、障がい者の就労の場の拡充と、工賃の向上につなげてまいります。
〇木村幸弘委員 今、お答えいただいたように、水福の関係について、これは予算特別委員会のときに工藤勝子委員が質問されて、その状況について明らかにされている部分があるのですけれども、私が先ほどお伺いをしたとおり、農福のほうについてのマッチング件数が21件ありますが、作業従事者等がどのようになっているのかということについては把握をしていないと。しかし、水福のほうについては、6件のマッチングに対して、59人が作業従事者としてカウントされているということで、この農福について、なぜ従事者等の人数が把握をされないのか、その辺の違いといいますか、対応の仕方がどうなっているのかお伺いしたいのです。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 農福連携の人数の把握について、特に何か大きな理由があるわけではないと認識をしておりますので、今後、そういったところも把握に努めてまいりたいと思います。
〇木村幸弘委員 農業も水産業も、同じ第一次産業として、福祉とのマッチング支援については、まさに保健福祉部も、あるいは復興防災部や農林水産部との連携という中でしっかりと対応してほしいですし、その実績をきちんと押さえて、その上で、これからどのような課題を持ってこの事業などの取り組みを進めるかということが、大変重要だと思うのです。
 そういう意味で、今お答えいただいたので、理由がないけれども把握していなかったということについては、ちょっと残念な答えだったと思います。何か特別に理由があって確認されなかったというのであれば、理由によっては考えようもあるのかと思ったのですけれども、そういう意味で言えば、保健福祉部サイドとして、こういった障がい者の福祉にかかわるさまざまな事業展開をする上で、きちんと把握すべきだと思いますけれども、保健福祉部長、その辺のところの答弁をお願いしたいと思います。
〇野原保健福祉部長 委員から御指摘いただいたとおり、農福連携は21件あって、例えば、それぞれの業態であるとか、どういったマッチングかというのはきちんと押さえているのですが、個々の人数の把握にまではまだ至ってないということで、今後の展開等を図る上でも、全体像の把握は必要だと思いますので、把握に努めてまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 それでは、2点目ですけれども、新型コロナウイルス感染症対策についてですが、まず一つは、第6波に備えまして、厚生労働省が今月の1日付で通知を発しました。これに基づいた対策を進めることになるわけですが、令和2年度から今日の第5波に至る本県の対策を踏まえて、この通知で求められている保健・医療提供体制確保計画の策定、これも今月末に策定をしなさいという内容になっているのですけれども、それぞれの掲げられた各項目へのポイントとなる具体的な対応方針について、県としては、どのように考えているのかお伺いしたいと思います。
〇工藤理事心得 保健・医療提供体制確保計画についてでございますが、今般、10月1日付の国の事務連絡におきまして、各地域における、この夏の最大の感染拡大時と同程度の感染拡大が生じることを前提に、健康観察、診察等の体制、それから、宿泊療養における治療体制、入院時の体制等につきまして、保健・医療提供体制確保計画のことでありますが、都道府県病床等確保計画の再検討等を求める通知があったところでございます。
 また、10月15日に開催されました、国の第79回新型コロナウイルス感染症対策本部におきまして、この夏の2倍程度の感染力を想定し、入院患者の受け入れの2割増強等の方針が示されたところでございます。
 医療提供体制につきましては、県の新型コロナウイルス感染症医療提供体制検討委員会におきまして、昨年5月、岩手県における新型コロナウイルス感染症に係る医療体制についての方針を決定いたしまして、これは、いわゆる病状等確保計画に当たりますけれども、これを4次にわたって改定しながら、体制強化を図ってきたところでございます。
 今後の計画策定に向けましては、重症者向けの病床と、中等症までの患者を受け入れる病床の確保、そして、ワクチン接種や中和抗体薬により無症状、軽症者が多くなることも想定した宿泊療養施設の確保など、医療が必要な方と、比較的症状が軽い方への対応の両面作戦で検討を進めていく必要があるものと認識しております。こうした点につきまして、新型コロナウイルス感染症医療提供体制検討委員会での議論を踏まえて検討をし、本県の病床等確保計画の見直しを行っていく考えでございます。
〇木村幸弘委員 今、お答えいただいた今回の計画策定の中で、私もここら辺が考え方としてどうなのかなということで、ちょっとお聞きしたいのですけれども、一つは、健康観察、診療等の体制の中の2で、感染拡大時の自宅療養者の健康観察、診療体制の強化が求められているわけであります。それから、各国の自宅療養者等の治療体制、急変の対応の発生割合、あるいはその対応に必要な人数を推計しながら計画することということになっています。
 考え方として、今、自宅療養と重症、中等症対策の両面の取り組みを考えていく必要があるというお答えでしたけれども、今回の第5波の大きな教訓は、自宅療養という問題の中で、あれだけ亡くなる方が出て、しかも、急変したときに、救急搬送で混乱を来し、本来であれば、入院、宿泊療養を原則とし、あるいは、この間、国会が開かれない中で、野党からも散々に求められてまいりましたけれども、緊急の医療機関や施設を整備して、そうした受け入れ体制を整えるとか、そういった課題が、実は、第5波では大きく注目をされ、あるいは国民の関心がそこに向けられたと私は思っています。
 そういう観点から言うと、今回の厚生労働省通知のこの考え方は、相変わらず自宅療養も前提の中に加えて、その中で軽症対策として、カクテル療法とかいろいろなことについて対策を練りなさいということになっているのですけれども、根本的に、そもそも岩手県は、入院、宿泊療養を基本とした取り組みを進めてきたということを考えてみても、自宅療養という考え方ではなくて、健康観察あるいは必要な治療が行えるような環境を、しっかりと計画の中に整えていくという方向で、本県の計画を明確にするべきだと思うのですけれども、その点についての御意見をお伺いしたいと思います。
〇工藤理事心得 委員御指摘のとおり、今回の対策強化のポイントの中には、入院治療に加えまして、自宅と宿泊療養者のこの夏の最大時を基本として、それを次の第6波に向けた推計に活用するとされております。
 岩手県におきましては、御承知のとおり、入院、そして、宿泊療養を基本としておりましたし、今後とも、その方針は変わらないと考えておりまして、そういった条件の中で、より適切な推計をしていって、きちんと健康観察ができるような体制を構築した入院体制、病床等確保計画といったものを構築していきたいと考えております。
〇木村幸弘委員 それでは最後に、3点目の質問ですが、この質問に入る前に、実はきょう、私のスマートフォンを改めて確認してきました。スマートフォンのあるアプリです。2020年8月1日に登録をしました。442日目となりますという表示であります。接触はありませんでしたという通知です。皆さん御承知だと思います。今や、一体これは何だったのかと。皆さんも率先して登録し、感染症予防対策に協力されていると思います。新型コロナウイルス接触確認アプリ─COCOAであります。
 その活用効果が一体どうなっているのかがわからない、見えない。そういう意味で、これは、県で評価のしようがないのかどうかはちょっとあれですけれども、どのように評価しているかお伺いしたいと思います。
〇三浦感染症課長 新型コロナウイルス接触確認アプリ─COCOAの活用と評価についてでございますけれども、利用者数等につきましては、国によれば、本年10月5日現在(後刻、「10月15日現在」と訂正)で、ダウンロード数として3、063万件、陽性者登録件数が39、870件となっておりますが、都道府県ごとの件数は公表されておらず、また、アプリの使用に当たって、個人情報は収集しない仕様となっていることから、県内の利用者数は把握できていないところでございます。
 COCOAは、全国の陽性者に対する陽性者登録件数の割合が2.3%と低いものの、接触者の把握等により、保健所による積極的疫学調査の補完ツールの一つとして利用されているものと承知しているところでございます。
〇木村幸弘委員 積極的疫学調査に多少なりとも貢献しているという評価であれば、それはそれでよろしいかと思いますけれども、ただいかんせん、自分でも、正直不安になりますよね。本当にこのアプリが機能しているのだろうかと不安になったり、あるいは、さまざまな実例というか、何らかの中間的な積極的疫学調査に、このような形で貢献していますよと、今、御答弁いただいたような中身でも結構ですけれども、一般的にはなかなか見えない情報なものですから、そういう意味で、この効果をしっかりと考えていく必要があるのではないかと思っていますけれども、今後、引き続きこれらを推奨していくということであれば、そういった点について、何らかの工夫と検討対応をする必要がないのかどうか、その辺について、お考えをお聞きして終わりたいと思います。
〇三浦感染症課長 済みません。先ほどの御説明で、10月5日と申しましたけれども、10月15日の間違いですので、訂正させていただきます。
 新型コロナウイルス接触確認アプリにつきましては、当初は、保健所への相談件数も結構多かったところですけれども、最近は、COCOAから通知がありましたという相談件数も下がってきていて、全国的に言っても、県内においても、興味がちょっと薄れているかと思っておりますけれども、先ほども御説明申し上げましたとおり、あくまでも、積極的疫学調査の補助的なものという認識でございますので、今後とも、相談があったら、適切に対応してまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 がん、心疾患の血管疾患の数値において、幸福関連指標では達成度が男性でC、女性でDとなっておりまして、幸福を保つ上で最も重要な健康についての達成度が、このまま最低の状況が続けば、幸福を守り育てる希望郷の達成はいつまでたってもおぼつかないものと思います。まず、令和2年度のがん、脳血管疾患対策について、取り組み状況についてお伺いしたいと思います。
〇竹澤健康国保課総括課長 がん、脳血管疾患などの生活習慣病の予防に対する令和2年度の県の取り組みでございますが、こうした生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底を図るために、食生活とか運動習慣といった生活習慣の改善の取り組みを強化するとともに、がん検診、特定健診受診率及び特定保健指導実施率の向上によって、疾病の早期発見と重症化予防といった健康対策に、総合的に取り組んできたところでございます。
 具体的には、健康経営の取り組みを推進するため、いわて健康健康経営事業所認定制度による、264事業所の認定や、優良な5事業所への表彰の実施とか、市町村のがん検診や特定健康診査、特定保健指導の従事者を対象とした受診率向上のための研修の実施、また、民間団体、企業と連携いたしまして、がん検診受診率向上プロジェクト協定に基づく受診勧奨リーフレットの共同作成、配布による普及啓発などの取り組みを進めてきたところでございます。
〇小林正信委員 今、がん検診の取り組み、特に受診勧奨の取り組みについてお伺いしましたけれども、この数値がなかなか上がらないというところで、もう一歩踏み込んだ、受診勧奨、受診促進の取り組みが必要なのではないかと考えます。
 特に胃がんについては、リスク検査によって発生を完全になくすことができると言われておりまして、県内でも、一関市などでピロリ菌の検査に助成を行っております。岩手県としても、ピロリ菌検査の受診勧奨の取り組みを行うことで、県内の胃がん発生を抑えることができると考えますけれども、御所見をお伺いします。
〇竹澤健康国保課総括課長 胃がんリスク検査でありますピロリ菌感染検査につきましては、県内で実施している医療機関もあり、また、一部の市町村でその経費について補助していることも承知しております。
 高校生のピロリ菌感染検査の実施については、有識者の意見を伺っておりましたけれども、学会等の意見等がまだまとまっていないということもございまして、本県での結論は、いまだ出ていない状況でございます。
 県といたしましては、国の動向や他の都道府県の動向なども踏まえながら、引き続き研究していきたいと考えております。
〇小林正信委員 続いて、重粒子線治療について、がんの病巣に集中してダメージを与えることができ、周りの正常な細胞を傷つけないため副作用が少なく、通院しての治療が可能で、がん患者の負担を大幅に減らすことが期待されております。東北地方でも山形県で導入されたと伺いましたけれども、県としても導入を目指して検討を進めるべきと考えますけれども、御所見をお伺いします。
〇竹澤健康国保課総括課長 がんの重粒子線治療は、保険適用となるがんの種類が限られており、治療費が高額であること、また、施設整備費が非常に高額であること、医学物理士などの専門人材の確保が必要であることなどが課題とされているところであり、本県においては提供されていないところでございます。
 県といたしましては、県内の医療関係団体などの意見を伺いながら、国や他県の動向も踏まえて研究していく課題であると認識しております。
〇小林正信委員 続いて、脳血管疾患について、先日も質問させていただきましたけれども、ここ数年、10万人当たりの死亡率が150人前後で高どまりとなっており、全国平均の83人と比べても、倍近い数値については、何らかの具体的な施策を行わなければならないと考えますけれども、今後、数値の改善のために、どう取り組んでいくのかお伺いします。
〇竹澤健康国保課総括課長 生活習慣病全般にかかわる問題ということで、生活習慣の改善の必要性について、働き世代の方々を中心にさらに広く訴えていきたいと考えております。また、特定健診、がん検診の受診率は、本県は全国平均よりも高い数値ではございますけれども、いまだ、国が目標としている数値には届いていない、政策評価上の評価も高い評価にはなっておりせんので、こういった数値を上げられるように、引き続き取り組んでいきたいと考えております。
〇小林正信委員 脳ドックの受診勧奨について、先日、知事から他自治体の取り組みを研究していくとの答弁がありましたけれども、脳血管疾患の死亡率がここ数年全く改善されていない状況で、いつまでも研究している場合ではないのではないかと思います。花巻市などでは、脳ドックへの補助を行っておりますけれども、県としても、こうした市町村の取り組みを後押しし、脳血管疾患の対策を推進すべきと考えますけれども、御所見をお伺いします。
〇竹澤健康国保課総括課長 一般質問での知事の答弁と同じような答弁になって、大変申しわけないのですけれども、本県において、岩手県予防医学協会や、民間の医療機関において実施されていること。あと、一部市町村で助成事業を実施していることは承知しておりますけれども、脳ドックについて、厚生労働省のほうで、今のところ推奨するというスタンスではないと伺っておりまして、今後の国の動向とか、他の都道府県の動向なども参考にしながら、引き続き研究していきたいと考えております。
〇小林正信委員 岩手県の大きい課題の一つだと思いますので、国に先んじて取り組みを行うべきではないかと考えるところなので、できる限り具体的な政策を実施していただくようお願いいたします。
 さまざまな困難や悩みを包括的に対応する重層的支援体制について、今年度からのスタートですけれども、県内では、既に包括的支援、複合的な困難への支援を行っている市町村があります。
 また、支援体制を支える地域福祉活動コーディネーターの育成も、これまでになされてきたと思います。コーディネーターの育成、活動状況、また、市町村の取り組み状況をお伺いします。
〇阿部地域福祉課総括課長 地域福祉活動コーディネーターについてでありますが、地域の多様な福祉ニーズに対応して、地域の社会資源を活用、調整し、必要な支援を構築する活動を行う人材の育成と確保を図るために、県では、これまで、岩手県社会福祉協議会が行うコーディネーターの養成を支援してきました。令和2年度末現在、421人が養成され、市町村社会福祉協議会を中心として、全市町村に配置されており、住民同士のつながりや支え合いの身近な推進役として活動しています。
 なお、このコーディネーターは、本年度創設されました重層的支援体制整備事業におきましても、さまざまな福祉課題に対応し、支援の調整を行う専門人材として、事業の中核を担うことが期待されていますことから、従来の岩手県社会福祉協議会事業への補助を、今年度からは、県の事業としてその養成を行っているところでございます。
〇小林正信委員 了解いたしました。
 今年度から、市町村への重層的支援体制についてのアドバイザー派遣をしておりますけれども、この事業の詳細と効果について、教えていただきたいと思います。
〇阿部地域福祉課総括課長 この重層的支援体制整備事業は、実施主体が市町村になりますが、体制構築や具体の運用など、ノウハウの不足が課題とされております。県では、今年度から専門的な見地から助言などを行うアドバイザーの派遣により、市町村の取り組みを支援しています。
 アドバイザーは、市町村に対し職員などを対象とした研修や、事業実施に関する助言などを行うこととしておりまして、包括的支援体制の構築、そして、市町村福祉行政に関し、専門的な知識及び経験を有する学識経験者にことしの6月から委嘱して、依頼に応じて派遣を行っております。これまでも何件か実績がございますが、包括的な支援体制、どこが音頭を取ってやるべきかとか、そういった基本的なところから具体的なアドバイスをして、市町村の業務の参考にしていただいているところでございます。
〇小林正信委員 わかりました。よろしくお願いいたします。
 重層的支援もそうですが、今後は、コロナ禍によってさまざまな不安、困難を抱える方がふえていくことが予想され、十分な相談支援体制の充実が必要と考えます。岩手県福祉総合相談センターは、児童相談所を初めさまざまな状況に対応できる相談拠点としての機能を有していると思います。
 岩手県福祉総合相談センターの相談拠点としての機能強化について、また、以前、センターについて伺った際、児童相談所の環境改善、職員の事務室の狭隘化等の課題があったかと思いますが、改善がなされたのか。また、相談拠点としての機能強化と並行して、センター自体も、県民がより訪れやすいセンター、相談しやすいセンターとして、リニューアルも必要と考えます。センターの建てかえの見通しについてお伺いします。
〇田澤保健福祉企画室管理課長 岩手県福祉総合相談センターの機能強化についてでございますが、委員御指摘のとおり、総合的な相談拠点ということで、これまで、必要な人員体制の確保や機能強化に努めているところでございます。
 令和2年度の取り組みについて申し上げますと、児童相談部門では、年々増加する児童虐待相談に対応するため、児童福祉司を5人増員し29人、児童心理司を2人増員し13人の配置としたところでございます。
 障がい部門では、センター内に設置しております岩手県ひきこもり支援センターの相談支援員を1人増員いたしまして、3人の配置といたしましたほか、令和2年9月からは、アルコール健康障害、薬物依存症、ギャンブル等依存症に関する相談支援拠点として位置づけているところでございます。
 また、令和2年4月から、身体障がい者更生相談所の機能を岩手県立療育センター内に移転いたしまして、身体障がいに関する相談、手帳交付、補助装具判定等の一連のサービスを、一体的に提供する体制を構築したところでございます。
 続いて、岩手県福祉総合相談センターのリニューアルの関係でございます。岩手県福祉総合相談センターは、建築から48年が経過しておりまして、委員御指摘のような課題がさまざま生じてきていると認識しております。
 このため、令和元年度には、虐待被害を受けた児童などへの個別的なケアに対応するため、一時保護所の環境改善を行っているところでございます。
 今年度につきましては、宮古児童相談所の改築工事を進めているところでありますけれども、引き続き、全体的な施設の整備、更新の状況を踏まえながら、福祉総合相談センターの整備についても、検討してまいります。
〇小林正信委員 ひきこもり支援センターも増員されたということですけれども、県では、ひこもり対策の実施のため、ひきこもり支援センターを設置して、たしかサロンなども行ってきたかと思いますけれども、今以上の取り組みが必要ではないかなと思います。
 宮城県のNPOわたげの会の秋田敦子理事長は、ひきこもりから脱するには人との交流が不可欠で、そのためには、自宅の外に安心して過ごせる居場所が必要とおっしゃっており、これを受けて、宮城県では、宮城県ひきこもり居場所支援モデル事業を創設しました。この居場所事業からせんだいサポステ─地域若者サポートステーション等に広がって、自立できた方もおられると伺っております。
 岩手県においても、こうした居場所の充実やその先の就労支援の充実が、ひきこもり支援にとって重要と考えますが、御所見をお伺いします。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 ひきこもり児らの居場所支援、それから、就労支援についてでございますが、居場所支援につきましては、ひきこもり支援センター及び各保健所において、ひきこもり当事者の方や御家族を対象としまして、フリースペースの設置やミーティング等を実施しております。
 このほか、市町村や民間団体においても実施をしておりまして、令和2年度は、14市町において、こうしたフリースペースの設置、ミーティング、レクリエーション、野外活動を実施しております。
 それから、就労支援につきましては、ひきこもり支援センター及び保健所において、自立相談支援機関や地域若者サポートステーション、就労支援事業所等との連携により実施をしておりまして、アルバイト等の短時間のものも含め、毎年度、数件程度、一般就労に結びついているところでございます。
〇小林正信委員 市町村等の取り組みもあるということでしたので、県としても支援をして、保健所や福祉総合相談センターは、くつろいだりフリーに行けるような雰囲気もなかなかないのかなという気もいたしますので、そういった市町村の取り組みを支援しながらも、県としても、そういうNPO等への支援も行っていただきたいと思います。
 次に、医療介護情報連携システムについて、本会議でも、佐藤ケイ子議員、高橋穏至議員から御質問がありました。県として、まだ導入がなされていない市町村から相談が来ているとの答弁があったと思いますけれども、県からアプローチをしていったことはあったのかどうか、その辺りをお伺いします。
〇鎌田特命参事兼地域医療推進課長 医療介護情報連携システムの県内における取り組みの状況でございますが、委員からお話のあった県のほうからのアプローチですけれども、ここ数年は、県のほうからということはなく、各圏域のほうから、何件か御相談をいただいているところでございます。
〇小林正信委員 県内全域におけるシステムの導入は、県としても今後積極的に取り組んでいただきたいと思いますし、大きな人口を抱える盛岡医療圏、特に盛岡市の導入が重要なのではないのかと考えております。
 盛岡市の担当の方にお話を伺いましたけれども、まずモデル的に、小さなレベルで取り組むのが現実的ではないかとの所見でありました。私もそのとおりだと思いましたけれども、県としても、市町村に対して積極的に声をかけるというかアプローチをして、県内全域でのシステムの運用に向け取り組むべきと思います。今後の市町村との連携について、積極的に行っていくお考えはあるのかどうかをお伺いいたします。
〇鎌田特命参事兼地域医療推進課長 このシステムの導入に当たりましては、県は、これまで地域における協議の場に参画しまして、先行事例の紹介などの助言を行うとともに、多額となる導入経費の補助を行うなど、技術的、財政的な支援を行ってきたところでございます。
 一方、医療機関とか、介護施設などの地域の利用機関におかれましては、システム整備後の運営費を負担するという役割分担を通じまして、県と地域が連携して取り組んできたところでございます。
 県といたしましては、引き続き、役割分担と連携によりまして、未導入の圏域でのシステム構築に向けて、地域の主体的な取り組みを支援していきたいと考えております。
〇小林正信委員 積極的な働きかけという部分を、ぜひお願いしたい。県内全域のシステム構築というところの責任は、やはり県が負うべきではないかと考えますので、その辺りのところをぜひ考えていただきたい。
 最後に、人工透析について、令和2年度の人工透析の患者数はどうなっているか。また、人工透析を受けている方は移動が大変で、週何回も通院しなければなりませんが、これについて、山形県や福島県では、市町村が実施した交通費助成に対して補助金を交付しておりました。患者の経済的負担を軽減する観点から、岩手県においても同様の支援を行うべきと考えますけれども、御所見をお伺いして終わります。
〇竹澤健康国保課総括課長 県内の透析患者の状況についてでございますが、昨年9月1日現在の県内の透析患者数は3、244人となっております。内訳といたしましては、人工透析が3、173人、腹膜灌流が71人となっております。
 次に、移動支援についてでございますが、透析患者の方々の交通費支援につきましては、県内の27市町村において、身体障害者手帳を保持していらっしゃる方々に、タクシー代等の補助を行っていると承知しております。
 県としての補助ということでございましたけれども、現在、県内の市町村でこれだけ進んでいることも踏まえながら、他県の動向等も勘案して、また、患者の団体もございますので、そちらの団体との意見交換も通じて、引き続き研究していきたいと考えております。
〇田村勝則副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇田村勝則副委員長 質疑がないようでありますので、これで、保健福祉部関係の質疑を終わります。
 保健福祉部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ちください。
 次に、医療局長に医療局関係の説明を求めます。
〇小原医療局長 認定第12号令和2年度岩手県立病院等事業会計決算につきまして御説明申し上げます。
 県立病院等事業の運営に当たりましては、事業の効率的な運営と経営の健全性に配慮しながら、公的医療機関としての使命である地域医療の確保と、保健衛生の向上に努めてきたところです。
 令和2年度におきましても、新型コロナウイルス感染症に係るPCR検査や、患者の入院治療などにしっかりと対応するとともに、良質で効率的な医療提供体制と、これを支える持続可能な経営基盤の確立のため、岩手県立病院等経営計画(2019〜2024)のもと、多様な取り組みを展開してきたところです。
 しかしながら、医師の絶対数の不足はもとより、地域偏在、診療科偏在が依然解消されていない状況であり、また、今般の新型コロナウイルス感染症の影響により、患者数の減少が顕著であるなど、厳しい経営環境に置かれているところです。
 こうした状況ではありますが、今後におきましても、新型コロナウイルス感染症への対応に万全を期すとともに、あわせて、通常診療との両立に取り組むことにより、県民に良質な医療を持続的に提供できるよう努めてまいります。
 それでは、お手元の決算書に基づきまして、その概要を御説明いたします。
 決算書の1ページをお開き願います。まず、決算報告書の収益的収入及び支出ですが、収入の第1款病院事業収益の決算額は、表の右側から3列目1、147億3、600万円余、支出の第1款病院事業費用の決算額は、表の右から4列目1、122億3、900万円余です。
 2ページをお開き願いまして、資本的収入及び支出ですが、収入の第1款資本的収入の決算額は、表の右から3列目147億5、000万円余。
 3ページに参りまして、支出の第1款資本的支出の決算額は、表の右から6列目212億6、200万円余、繰越額は7億9、000万円余でございます。
 なお、資本的収入が資本的支出に不足する額68億9、600万円余につきましては、過年度分損益勘定留保資金などで措置するものです。
 次に、損益計算書について御説明申し上げます。
 5ページをお開き願います。5ページの上から5行目、経常利益では26億2、500万円余、純利益では24億9、100万円余となり、黒字決算となったものです。このことにより、当年度累積欠損金は459億3、700万円余となりました。
 なお、6ページ以降の剰余金計算書等につきましては、説明を省略させていただきます。
 以上で、医療局関係の説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇田村勝則副委員長 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。
〇千葉伝委員 旧県立軽米病院の問題で、最近、いろいろと聞こえてきている分があると、こういうことで、確認を含めて、質問をしたいと思います。
 そもそも認識を共有するという部分もありますので、旧県立軽米病院から医療系の廃棄物が出たということで、その処分、処理ということの問題です。これにつきましては、軽米町が、町立の中央公民館あるいは町立図書館等を建てかえをしたいということから、旧県立軽米病院の跡地に、コミュニティーの中心的施設を建設しようということで事業化して、整備をしようと工事に着手したということですが、その場面で、この建設予定地、いわゆる旧県立軽米病院跡地から、医療系廃棄物が出土というのは、表現がちょっと、いいものが出れば出土ということですが、負の遺産的な意味での出土と、こういうことでありますけれども、出土したわけで、撤去処分等の費用が当然かかるわけで、その費用負担も含めて、現在、軽米町と県の医療局が協議をしている最中だと聞いております。
 まず、この件に関して、これまで協議に入った段階からの推移と状況を、お知らせ願いたいと思います。
〇鈴木経営管理課総括課長 これまでの経緯でございますけれども、県立病院に移管前に使用していたときからの土地で、大分古い土地でございますので、若干お時間をいただきまして、その土地の経緯から説明をさせていただきたいと思います。
 まず、当該土地の経緯でございますけれども、軽米町が発注いたしました交流施設工事予定地であります、当該旧県立軽米病院跡地につきましては、昭和21年に、岩手県農業会が、土地所有者から賃借をして、岩手県農業会軽米病院を開設したものでございます。
 その後、昭和25年に医療局に移管した際に、土地につきましても、医療局が、引き続き土地所有者から賃借をして、病院事業を引き継ぎまして、その後、昭和44年に、県立軽米病院は町役場の隣接地に新築移転しているというものでございます。
 その病院移転後の当該土地につきましては、軽米町が引き続き所有者から賃借して、医療局から譲渡を受けた旧病院建物を活用して、幼稚園や貸し工場として、利活用を続けたというものでございます。
 その後、平成17年に、軽米町が旧病院などの建物を全て撤去いたしまして、土地所有者に土地を返還いたしましたけれども、平成29年に、軽米町が交流施設の建設予定地として、土地所有者から購入いたしまして、令和2年10月に、交流施設の建設工事に着手したところ、11月に、当該土地から廃棄物が出土したというものでございます。
 続きまして、廃棄物が出土した後の経緯でございますけれども、廃棄物の出土が判明した後、令和2年12月に、軽米町から、費用の負担に関しまして要望がございました。さらに、令和3年4月には、出土した廃棄物の撤去費用のほか、試掘調査費、土壌分析費、工期延長に伴い増加となる工事請負費、工事遅延により生ずる補償金について、医療局に、費用負担を求める陳情書の提出があったところでございます。
 さらに、その後、土壌分析調査の結果、基準値を超える鉛成分が検出されたということで、9月には、鉛汚染土壌撤去費を含めました、総額約1億6、000万円余の全額を医療局で負担してほしいという陳情書の提出をいただいたところでございます。
 医療局といたしましては、廃棄物が出土しました後の昨年12月以降、職員が現地に赴きまして、注射器や薬品の瓶などの医療廃棄物のほかに、コンクリート瓦れきや陶器の皿、茶碗、酒瓶など、出土した廃棄物や箇所等を確認するとともに、今後の進め方につきまして、軽米町と、これまで10回にわたり協議を重ねてきているところでございまして、直近では、今月中旬にも、軽米町の担当者と医療局の担当者で打ち合わせを行ったところでございます。
〇千葉伝委員 詳しくお話をしていただきましたけれども、私も、軽米町から資料をいただいているわけでありますけれども、いずれにしても、県立病院のものであると確認できた場合という前提があるのですが、町で処分をするという分については、費用を県が負担するという考えの分を、先に町で処分した後で、県が費用負担する方法ということで、話をされたということが、一つあるようであります。
 その次の段階では、令和2年12月には、県のほうから、経費の負担については、いずれ、前向きに検討するということの回答があったと、こういうことで、これまで、10回ほどいろいろ協議を進めている中で、県のほうで、だんだん何かきつい言い方をしてきていると、私もそう見ているのですが、本当に旧県立軽米病院から出たものかどうかの証明が必要だとか何とかという話まで出てきたと、こういうことも言われたというのですが、先ほど、医療廃棄物だというのは、前の段階で確認されていますよね。そこが、私からすれば、県立軽米病院の体温計が一つ見つかっているということ、それから、先ほどは、注射針等々も見つかっていると、こういうことからすれば、やはり病院で使われたものだというのは、証明される話だと思います。それを、後で、医療系の廃棄物とほかの廃棄物と何か分別とか、きちんとわかるように、その量とか内容を示せとかという話も、現在されていると。
 ところが、県北広域振興局保健福祉環境部二戸保健福祉環境センターと医療局と軽米町が協議して、こういうふうなやり方で進めましょうということをずっと話をしてきているわけです。ただ、そこの部分で、私が解せないのは、先ほど言った、中身をきちんとわかるように資料を出せという話です。ところが、これまでの協議の中で、もう既に、こういうやり方をして処分しますということを決めていて、ほとんどのものは処分されているということで、物がもうないわけです。そこの部分で、前に戻って、その関係のことを出せと言われても、ちょっと理不尽ではないのかなと、私はこういう思いが一つあります。
 それから、鉛の部分も、県のほうから、地下水の利用状況も調べろとか、そういうことから調べたならば、旧県立軽米病院で使われた、そして、埋設物のあったちょうど真下からその鉛が見つかったと、こういう表現になっていますよね。その鉛というのも、恐らく、私の推定ですが、旧県立軽米病院で、何らかの形で使われたものではないのかと、そういったものの処理に当たって、どんどん進めているのを、現在、その分の物事が、昨年12月あるいは3月辺りから協議をしているのに、遅々として進まないということを聞いているのですが、その進まない理由は何なのでしょうか。
〇鈴木経営管理課総括課長 その廃棄物が、医療廃棄物も出ておりますし、それ以外に、先ほど申し上げましたように、陶器とかコンクリート瓦れきとかそういったものも出ているところでございます。
 医療局といたしましては、現地に赴いて、何度か軽米町の職員と現地確認をさせていただいております。その際に、内容がわかるようなものを取っておいてほしいということにつきましては、内容とか量とか、どういったものがどれぐらいどこに埋まっていたのかといったようなものがわかるようにしてほしいと、その際にもお話をしているところでございます。
 処理については、いずれ、工事も急ぐということでございますし、まとめて処理をしなければいけないという町の意向でございましたので、まとめて処理するということについては、だめだと我々が言うようなあれもございませんので、いずれ、どういったものがどれくらい出ているのかわかるようにしておいてほしいということについては、お話をしていたところでございます。
〇千葉伝委員 分別するような形での資料をと、こういう話だけれども、過去に、旧県立福岡病院や旧県立沼宮内病院でも、医療廃棄物を含めた一般廃棄物も見つかっているわけです。その場合は、一括して全部処理しているという話で、そこが、何で今回は、量から内容物からわかるように分別をきちんとしてくださいと、そんなことは私は無理ではないかなと思うのです。
 そういうことも含めて、これから進める場合の大きな問題になっているのは、何でおくれているのかといったらば、医療局、県北広域振興局保健福祉環境部二戸保健福祉環境センターと軽米町等も入った令和3年3月の協議の際に、県民、県議会議員から、医療局の支出根拠がないのではないかということで、医療局側から、費用を出す必要がないのではないかという発言をしたとされていると、県が、こういうことを軽米町に言ったという話ですが、そういう事実があるのですか。
〇鈴木経営管理課総括課長 その打ち合わせの内容につきまして、私は参加しておらず、その復命についても見ておりませんので、確認できないところでございます。
〇千葉伝委員 当時の出席した人から聞けば、もちろんわかるのだろうけれども、よもや、地元の県議会議員がそういうことを言ったのではないと、私は思うのですが。
   〔「誰がそう言ったのか」と呼ぶ者あり〕
〇千葉伝委員 あと、県民というのは、よその県民という話ではなくて、地元の町民ではないかと思うのですが、そういった人が出す必要はないのではないかという発言をしたと、こういうことからすると、このことは、私はちょっと問題があるなという思いでおります。何の権限とか根拠があって、出す必要がないと県のほうに言ったのかどうかと、そのことがずっと尾を引いていて、今も、協議がなかなか前に進まないとか、そんなことがあっては、私はおかしいのではないかと思います。
 むしろ、県議会議員が入るのであれば、もっときちんと物事を進めていただいて、円滑に協議が進む。そして、平和的に解決する。そういったことでの発言であれば、私はさすがだなと思うのですけれども、いずれ、協議のおくれという分については、軽米町のほうも、工事がかなりおくれているわけでありますので、そういった辺りの分も含めて、医療局が、今回の事案について、費用を出す用意があるのかどうか、もう一度確認します。
〇小原医療局長 これまでの経緯につきましては、今、経営管理課総括課長から御説明したとおりでありまして、病院跡地の中に、実際に、旧県立軽米病院の廃棄物と思われるものが一部でも出ていますから、医療局としては、もちろん協力をしていく考えでございます。
 ただ、今回、注意しなければならないことは、例えば、先ほどありましたように、病院として使っていた後も、建物が譲渡されて、その後も使われていたという期間が長くあったということが、まず一つ注意しなければならないことかなと思っております。コンクリート瓦れきも埋まっていたということ。
 それから、鉛については、どこから出たのか、我々もちょっと心当たりが難しいなという状況でございます。これらを含めて、どの辺りにどんなものがどれくらい埋まっていたかということを確認して、負担を決めていくということは、当然やらなければならないことだと思っておりまして、これは、12月に、町長がお見えになって、この話をいただいたときにも、例えば、だんだん証拠が必要になってくるだろうから、そういうものは残しておきましょうというお願いを私が直接していたものでございます。
 例えば、無理のないようにサンプリングするという方法とかで比率を出すといったようなことも、我々からは提案しておりまして、そういうふうに誠意を持って、現場に立ち会うなどもして、対応してきたところでございます。
 軽米町にとっても、医療局にとっても、公金でございますので、負担の根拠や考え方は、きちんと整理をして進めなければならないと思っております。かるまい交流駅(仮称)整備事業が重要な事業だということは十分承知しておりますので、引き続き、その考えのもととなる根拠をしっかりと確認をして、軽米町と医療局双方で、そうだなというところまで、よく協議をして詰めて、その負担の額は決めてまいりたいと考えております。
〇千葉伝委員 この件については、私は、常任委員会でも医療局長に確認した経緯があります。法的根拠がないのは重々わかっている。それは軽米町もわかっている。問題は、旧県立軽米病院の跡地からそういうものが出たと、これについての道義的責任はあるので、費用を出す用意はあると、これは、前回、医療局長も話しているわけなので、そこも踏まえながら、これからの協議を誠意をもって進めていただいて、早く解決できるように、ぜひお願いしたい。以上です。
〇工藤大輔委員 私も、この旧県立軽米病院の関係で質問をするのですが、その前に、議会資料で、県立病院の医師の数の件を確認したいなと思い、お伺いしたいと思います。
 県立病院の医師の数、最近は701名ということで、令和2年度医師の数、これは常勤なのですね。記載があります。5年前は820名ということで、これは平成30年度以前の医師については、短時間勤務職員を含むということで、820名ということのようですけれども、これは、実際に119名の差があるわけですけれども、その119名の差というのは、今であれば、応援の医師分でカウントされているという認識でよろしいのかどうか。
 あと、直近で見れば、令和2年度701名の医師数となっていますが、現在では、どのようになっているのかお伺いしたいと思います。
〇菊地医師支援推進監 議会資料の医師数のことについてでございますが、実は、会計年度任用職員の制度が令和2年度から始まっているわけですけれども、その時点で、統計のとり方がちょっと変わっておりまして、平成30年度までは、週1回の診療応援とか、当直応援とかの医師の方を、正規職員の時間換算で人数化しまして、それを計上しておりました。そのために、800人以上ということでの人数が計上されております。
 令和2年度からは、実際の正規職員と、あとは、会計年度任用職員でも、正規職員と同じ時間勤務するドクターについて、計上しております。先ほど、委員からお話がありました診療応援の医師の方でございますが、こちらは、令和2年度からは入っていないということになります。
〇工藤大輔委員 ということは、その分は先ほど申し上げましたが、人数には入っていないけれども、応援職員としてトータルの数で見れば、カウントされていたり、あとは、ここで見れば、県立釜石病院でマイナス14名、県立久慈病院もマイナス14名、県立中部病院であればマイナス19名、県立二戸病院もマイナス9名とか、人数的にかなり減って見える病院もあるわけですが、その点についても、配置については、しっかり適切に、前のような形で、欠けることなくされているということでよろしいのか、その辺についてもお答えください。
〇菊地医師支援推進監 今、委員がおっしゃったとおり、その十何名減っていると見えておりますけれども、実際の診療応援はいただいておりまして、体制としては、見込んでいるというものでございます。
〇工藤大輔委員 わかりました。医師数がふえていると聞いていたもので、皆さんそういう認識であったわけですが、この議会資料で見ると、これはかなり大幅減ではないかというところと、その補充分のところの数値が見えなかったので、その確認ということで、質問をさせてもらいました。いずれ、恐らく毎年20名ぐらいずつふえていくのではないかと思うのですが、これからも引き続き、医師養成の件、よろしくお願いしたいと思います。
 そして、旧県立軽米病院の関係、私もお伺いをしたいと思います。今、千葉伝委員のほうから、さまざま質問があり、そして、協議状況等についても、説明があったところです。
 実際に、旧県立軽米病院跡地から見つかった医療廃棄物、通常であれば、当時も、通常の処理をやっていたと思うのです。法律上は埋めてもいいことになっていたかもしれないけれども、通常の処理というのは、別処理があったと思うのです。なのに、穴を掘られて埋まっていた。これはどういう経緯で、こういう処理をされていたのか、どのように推察されるかお伺いします。
〇鈴木経営管理課総括課長 当時の法規制の中で、ごみを埋めるということが、特に規制をされていなかった時代でございまして、今の法体系で考えれば、あり得ない話だと思いますけれども、当時は、それが常態となっておりました。実際に、県立病院の跡地から、今、掘れば、さまざま医療系の廃棄物が出ているということを考えますと、それが日常的であったといいますか、常態となっていったということだと、認識しております。
〇工藤大輔委員 旧県立福岡病院跡地から医療廃棄物が出たとき、医療局のほうでは、恐らくこれは聞き取りの調査だったと思うのですが、全病院の調査をしたと記憶をしています。その際は、恐らく、旧県立軽米病院については、未認知であったこと、そして、既に返してあったことということで、調査がなされなかったのかと思うのですが、法律も変わって、当時、そういうような処理の仕方というか、投棄をしていた可能性があるものを、自分たちのほうでも、そういう投棄をしたという可能性があると認識をしていれば、借りていたところも含めて調査すべきだったと思うのですが、その調査をしたのかどうか、また、調査しなかったとしたら、その認識についてお伺いします。
〇鈴木経営管理課総括課長 旧県立福岡病院跡地から廃棄物が出土した際に、県立病院跡地についての廃棄物の状況について、調査をしたということでございましたけれども、委員からお話ありましたとおり、今回の土地につきましては、旧のものであったということで、そこまで調査はちょっと及んでいないところでございます。
 調査につきましては、埋め立ての現在の状況がどうかということで、当時の職員等への聞き取り調査等により行ったものでございまして、その調査後に、旧県立沼宮内病院の跡地から出たりということで、聞き取り調査で行った調査の限界があったのではないかと思っているところでございます。
〇工藤大輔委員 そうすれば、最初の調査で聞き取り調査をして、内部での調査結果は、何もなかったという報告がなされ、その後、旧県立沼宮内病院でも、実際には出てしまったと。そうなれば、病院の調査を、過去に使用していたものについても、本来、調べるとか、もう少し調査を踏み込むような考えはなかったのですか。
〇鈴木経営管理課総括課長 跡地につきまして、医療局がそのまま所有をしていて、仮に、売却をするということになった際には、当然、改正前の民法で言うところの瑕疵担保責任といったようなものも問われることになりますので、そういった場合には、事前に調査をしなければならないと考えているところでございます。
〇工藤大輔委員 瑕疵担保責任ですけれども、民法第559条では、賃貸借契約についても準用されるということもあるのですけれども、これは、まさに賃貸借契約として、その土地を借りていたわけですけれども、この辺についてはどのように考えますか。
〇鈴木経営管理課総括課長 瑕疵担保責任の賃貸借契約の準用につきましては、今、私として、正確な認識がありませんので、ちょっとお答えできないような状況でございます。
〇工藤大輔委員 今回の旧県立軽米病院の件と旧県立沼宮内病院の違いは、医療局が持っていた県の土地を、岩手町に直接売却したところから出てきたか。あるいは、旧県立軽米病院がやっていたように、民地を借りて、使っていたというところから出てきたかということで、現在の所有は軽米町ということになるのですけれども、これは、民地だから、埋めたまま返してもいいというような、何か免責的な事項等の契約等も交わされていたのかどうか。
 通常は、その後の法律等で、特に、医療廃棄物が出てくるのではないかということの感覚を持っていれば、その排出事業者としての責任は、排出事業者にあるのだと思うのですけれども、その辺のところが、今回の軽米町との協議の中で、軽米町が県に要望した際に、県の回答で、かなり厳しい回答が返ってきたのですよね。ほぼゼロ回答に近いような文書の回答が県からあった。そういったところからも、当初は県から払ってもらえると思っていたのが、全くそうではない感触に変わったという転換期でもあったと思うのです。そういうようなことだと思うのですけれども、排出事業者として、どういった責任があるとか、どういった思いを持っているのか、お伺いします。
〇鈴木経営管理課総括課長 当時の賃貸借契約についての状況ですけれども、大分古い、昭和21年に、岩手県農業会が最初に賃借をしたということで、それから、医療局に移管されたということで、その契約書等々、一応文書として残っているかというところの確認をしたのですけれども、岩手県農業会がお借りしている段階から、契約書等々は作成していないと思われる状況でございました。
 軽米町への回答のところでございますけれども、まず、御要望をいただきまして、我々といたしまして、まず最初に、こういった問題があるのではないかと認識をしているということで、軽米町のお考えをこれからお聞きしながら、協議をさせていただきたいという形での回答をさせていただいたところでございまして、我々として、課題として認識しているところをまず挙げさせていただいたという趣旨で、回答したものでございます。
〇工藤大輔委員 旧県立沼宮内病院の際にも、廃棄物に起因するものについては、廃棄物の処理の延長で、処理するべき経費と見るべきだというようなやりとりが、当時ありました。
 また、資源循環推進課からも、廃棄物の処理及び清掃に関する法律は昭和45年の制定であり、それ以前の問題なので、法令的には刑事罰とか何かの罰は問えないと。ただ、その当時、立証することができないということもあるので、本来、これは医療局自身の責任で処理を行うべき立場にあるのだということを、資源循環推進課もそういう指摘をし、医療局も同様の認識をし、医療局で全面処理をしたということなのですね。
 今回は、民地だから、それは借りていたところだから、それをしなくてもいいのだということには、今の状況から考えれば、成り立たないのかなと思うのです。医療局でも、埋めたもの、それが出てきて、それを処理するに当たって、かかった経費とかというのはやはり見ていかなければならないと思いますし、県北広域振興局保健福祉環境部二戸保健福祉環境センターからも、土壌汚染対策法では調査しなくてもいいところについても、さまざま指摘もあるから、一応やっておいたほうがいいですよというアドバイスももらいながら、その土地の調査をしっかりとしたということは、それについても、しっかり見ながらしていくべきではないかと。
 それについても、医療局にもきちんと相談をしながら今日まで進めてきたのではないかと思うのですが、先ほどは局長から、以前よりもしっかりとそこを見ながらやっていくという答弁もあったわけですけれども、いま一度、これらの件も踏まえて、今後、どのように進めていくのか。そして、利用者が一定程度納得できるような解決方法を早期に見出していかなければならないと思うのですが、それについて、双方とそごがないような形、しっかり信頼関係を持った形で、今後、進めていかなければならないと思うのですが、改めて、局長から考え方をお伺いしたいと思います。
〇小原医療局長 そのとおり、我々も責任の一端はあるのだろうということで、廃棄物の処分費用を負担することについて、否定するものでは全くございません。
 その中身を詰めていくというところで、一緒に協議をしてやっていかなければいけないなというところは思っているところでございまして、先ほど申し上げましたが、病院として使っていたのは、昭和21年から昭和44年まででございます。それ以降の期間は、町が貸すなどして、利活用していた期間もあるので、多分、我々も埋めたのは当然あったわけですけれども、その部分は当然ですし、もしかすると、ほかの事業で埋まったものがあるかもしれない。そこをきちんとしておかないと、手戻りになるのではないかといったようなことで、この作業を進めているつもりでございます。
 ですので、引き続き、我々も誠意を持って対応していきますし、例えば、法律の専門家などのさまざまな御助言をいただきながら進めてまいりたいと思っておりますので、できるだけ早く詰まるように、進めてまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 その際、先ほど千葉伝委員からも指摘がありました、旧県立福岡病院や旧県立沼宮内病院でも、その他の出てきたものについても、医療局が、適正な処分等もしっかりされていたということで、今回、旧県立軽米病院だけはそうではないというダブルスタンダードにならないようにですね。
 もし、必要であれば、当時利用していた保育園とか、企業用地とか、その会社に貸していた時期、どういう状況だったかということも、医療局も、ばっさりそうではないよというのではなくて、どうだったか、地域にも聞き取りをしながら、どういった経緯だったのかということも確認しながら進めていくべき案件だと思います。
 いずれ、町の考え方もしっかり聞いていただきながら、いい方向で結論を見出せるようにやっていただきますようにお願い申し上げ、質問を終えたいと思います。
〇田村勝則副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後4時46分 休 憩

午後5時7分 再開
〇小西和子委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇千葉盛委員 まず、子供の付き添い入院についてお伺いしたいと思います。コロナ禍で全国的にもいろいろな課題が出ているということで、県立病院の状況についてお伺いしたいと思いますが、10月13日の岩手日報の記事によると、親の付き添い入院は本来不要であるところ、基本的にほとんどの場合、親の希望で子供と一緒に入院しているようでありまして、付き添い入院する親には食事が提供されず、寝る場所は簡易ベッドか子供の病床で添い寝が一般的であり、まともな食事や睡眠がとれず体調を崩す親が多いと問題視されているようであります。
 コロナ禍で、親が病棟に缶詰状態となり、さらに負担がふえているようでありますが、県立病院の付き添い入院の状況についてお伺いいたします。
〇久慈医事企画課総括課長 子供の付き添い入院についてでございます。小児科の入院診療に対応している県立病院の一般病棟におきましては、これまでも、患者や親御さんなどの家族が希望する場合に、医師の許可によりまして付き添いを認めてきたところでございます。
 そうした中で、昨年度来、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた対応としまして、付き添い者の体調や行動歴など、感染のおそれ、感染のリスクがないということを確認の上、付き添いの許可の判断を行っているところでございまして、一部の病院では、可能な限り付き添いされる方、そして、交代される方の人数が最小限となるよう、協力をお願いしているところでございます。
 なお、委員から御指摘のありました新聞記事の内容にあるような、例えば、付き添いを病院側から強制したりとか、また、付き添いされる方の交代や外出を禁止するといった、付き添い者の行動が著しく制限するような措置は講じていないところでございます。
 これまでも、付き添いされる方が食事や休息をとるなど病室を離れる際には、病棟の看護職員等が病室内で見守りを行うなどの対応をしてしきたところです。引き続き、感染症対策の万全を期すとともに、付き添われる方の様子、体調を伺うなど、患者や付き添い者に寄り添った対応に努めてまいります。
〇千葉盛委員 県立病院では、記事にあるようなさまざまな課題については、できるだけないように運営されていたということですけれども、実際、子供が入院するとなれば、親が付き添いを希望しないということは、まずほとんど考えられないと思います。その中で、コロナ禍によって負担がふえているということで、先ほど、最初にちょっと言いましたけれども、食事とか睡眠がなかなかとれず、体調を崩す親がいるということなのですけれども、県立病院で実際、どのくらい付き添い入院をされている方々がいるのか。
 あと、その長期的なスパン、県立病院だと1年、2年とかではなくて、もうちょっと短い期間だと思うのですけれども、長期で言えば、大体どのくらいなものなのか、その辺をお伺いできればと思います。
〇久慈医事企画課総括課長 付き添いの実際の状況につきましては、件数等はちょっと把握していないところですけれども、今、委員から御質問がありました長期入院は、県立病院における過去1年の状況を見ますと、大体1年に180日、つまり6カ月程度を超えるような入院が四、五名程度ということで、長期にわたる付き添いを伴う入院はないものと認識しております。
〇千葉盛委員 私も一部の方のお話で、コロナ禍で、交代できなかったとか、ふだんであれば差し入れできたけれども、そういったものを受け取ってもらえなかったとか、コロナ禍の中で、患者のほうも気を使ってできるだけ外出しなかったりとか、さまざまあったように聞いておりますので、病院側の意見とともに、患者のいろいろな意見や実態も、何かもう少し把握できるようなことをしていただければと思います。
 県立病院を通して、岩手県で言えば、恐らく岩手医科大学附属病院のほうに行かれて、1年以上の長期的なスパンで、長い人であれば、4年くらいいましたという話も聞いたことはありますけれども、そちらのほうがもう少し課題が大きいのかもしれませんけれども、県立病院としても、少し注視していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 もう一つ、患者の待ち時間についてお伺いします。県立病院において、待ち時間が長く、負担になっているという声を多く聞きますが、その患者の待ち時間についてどのように捉えているか。また、予約や診療のあり方など、どのように効率化が図られているのか、お伺いいたします。
〇久慈医事企画課総括課長 患者の待ち時間についてでございます。県立病院におきまして、毎年、患者満足度調査を実施しておりますが、そういったところでの患者の御意見、そして、ふれあいポストという各病棟等に設置している御意見や投書をいただくポストがございますが、そういったところの御意見等の中に、外来の待ち時間に関する不満等の声も寄せられていると把握をしているところでございます。
 これまでも、待ち時間の短縮につきましては、窓口の混雑解消とともに、受付や会計のシステム化、そして、予約制の導入による患者数の調整、そして、待ち時間の表示による診察の目安時間のお知らせといったところの取り組みを進めてきたところでございます。
 外来診察時間中は、医師が、例えば救急患者の受け入れ、あるいは入院患者の容体急変など、優先して対応しなければならない場合がございます。また、外来患者数は、全体とし減少傾向にはございますが、医師一人当たりの受け持ち患者数が多いという状況がございまして、待ち時間が長引く場合がありますことから、その際は、やむなくお待ちいただくことにつきまして、職員からお知らせや説明等を行っている状況でございます。
 その中で、新たな取り組みとしましては、診察の順番が近づいたときに、患者のスマートフォンにメッセージを通知するシステムの構築を計画しておりまして、今年度末を目途に、外来診療で混雑の目立つ病院から、順次、運用を開始する予定としております。この運用によりまして、外来の混雑解消、待ち時間中の行動の制限の緩和を図りたいと考えております。
 なお、待ち時間の短縮の一番の方策としましては、やはり医師の確保ということでございまして、引き続き、さまざまな手段を講じて医師の確保に努めるなど、患者の待ち時間の短縮、そして、効率的な外来診療の体制の構築に向けて、取り組んでまいりたいと考えております。
〇千葉盛委員 待ち時間の見える化とか、いろいろ工夫されているということで、スマートフォンを活用して順番がわかるようにするということは、非常にいいシステムだと思いますし、患者の心理的なストレスの解消にもつながると思いますので、今年度末ということですけれども、できるだけ急いで導入してほしいと思います。順次、病院に導入するということですけれども、どのくらいの病院で導入される予定なのか、もしわかればお伺いして終わります。
〇久慈医事企画課総括課長 患者待ち時間の通知サービスにつきましては、全ての病院でそうした機能を持つように、システム改修、装備をしたいと考えております。
 先ほど答弁申し上げたとおり、比較的混雑している病院等で試験運用を行いまして、年度末までにそういった機能を装備したいと考えております。
〇斉藤信委員 新型コロナウイルス感染症に対する県立病院の対応についてお聞きします。
 新型コロナウイルス感染症病床の確保、病院数と病床数、入院患者を受け入れた実績、重症患者受け入れの実績について、昨年度、今年度、それぞれ示していただきたい。
〇鈴木経営管理課総括課長 私からは、病床数につきまして答弁させていただきます。
 県立病院におきましては、新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れるため、6病院に22床設置しております感染症病床を含め、16病院、約250床の病床を確保しているところでございます。
〇久慈医事企画課総括課長 続いて、入院患者、重症患者の受け入れの状況でございます。県立病院におきまして、令和2年度は、11病院におきまして224人。この224人のうち、重症者、いわゆる人口呼吸器等を装着した患者は6人となっております。令和3年度9月末累計では、15病院におきまして1、067人、このうち重症者は20人を受け入れてきたところでございます。
〇斉藤信委員 県立病院は、新型コロナウイルス感染症対策で、大変重要な役割を果たしてきたと思います。
 病棟を転換して、感染症病床を確保した病院数と病床数はいかがでしょうか。
〇鈴木経営管理課総括課長 県立病院において、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる場合につきましては、原則として、六つの県立病院に配置している感染症病床22床において受け入れることとしておりますが、圏域における感染者の発生状況によっては、六つの県立病院に配置している結核病床64床を活用することとしております。
 さらに感染が拡大した場合には、簡易陰圧装置などによる感染対策を講じた上で、一般病床に新型コロナウイルス感染症患者を受け入れることとしておりまして、15病院に約160床の一般病床を確保しているところでございます。
〇斉藤信委員 昨年度と今年度の慰労金の対象者数と実績、危険手当の対象者数と実績も示してください。
〇鈴木経営管理課総括課長 新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金についてでございますが、この慰労金の対象となります職員につきましては、患者の診察に従事する医師や看護師などの職員のほか、診療には直接かかわらないものの、受付、会計などの窓口対応を行う職員とか、院内の案内など、さまざまな場面で、患者に何らかの対応を行う事務職員や調理職員などについても、広く給付の対象とされているところでございます。
 令和2年度の県立病院、地域診療センターにおける給付者数は、在職者、退職者等を合わせて全体で7、170人となっております。慰労金の対象となる病院職員は、漏れなく給付が完了しているところでございます。また、委託事業者の従業員につきましても、各委託事業者を介して、給付を完了しているところでございます。
職員と委託事業者の従業員数を合わせた県立病院全体の給付額につきましては、16億8、800万円余となっているところでございます。
〇宮職員課総括課長 新型コロナウイルス感染症に係る防疫等作業手当の対象者数と実績についてでございますが、令和2年度全体での支給者数は延べ2万6、012人、総支給額は9、234万5、000円となっており、令和3年度は8月までの実績となりますが、支給者数は延べ3万20人、総支給額は1億999万9、000円となっております。
〇斉藤信委員 慰労金は昨年度だけで、感染拡大で大変な状況になっている今年度は、そういう措置がなかったと。これは大変残念なことだと、指摘をしておきます。
 決算状況について、外来入院が減少しています。その収入減と、新型コロナウイルス感染症に係る補助金の状況はどうなのか。消費税が10%増税になっておりますが、この消費税の増税の影響、累積負担額はどうなっているでしょうか。
〇鈴木経営管理課総括課長 まず、令和2年度決算についてでございます。入院、外来収入につきましては、前年度と比較して、入院患者数で8.8%の減、外来患者数で8.3%の減と大きく減少しておりまして、患者減による減収額は、約75億円余と試算しているところでございます。
 一方で、診療報酬の改定や上位施設基準の取得などによりまして、診療単価が増加したことによる増収額は、約45億円余と試算しておりまして、差し引きで、入院、外来を合わせた収入額の合計は、前年度と比較して、約30億円余減少となったところでございます。
 次に、補助金の状況でございますが、令和2年度の補助金収入は66億6、100万円余で、前年度と比較しまして、61億7、300万円余の増加となったところでございます。この66億円余のうち、新型コロナウイルス感染症に関連する補助金は、感染対策で支出した経費に対する補助金や、クラスター発生に備えて、受け入れ病床を空床にして確保したことによる減収分に対する補助金などにより、62億1、600万円余となっているところでございます。
 続きまして、消費税の影響等でございますけれども、令和2年度の決算額をもとに、消費税負担額を試算いたしますと、仕入控除できない消費税の負担額などの合計は43億8、900万円余となっておりまして、消費税率が、1年を通じて8%だった平成30年度決算における消費税負担額の合計が35億5、900万円余でありましたので、差し引き8億3、000万円余増加したところでございます。
 また、消費税が導入されました平成元年度から令和2年度までの消費税負担額の累計額は、総額725億円余となっているところでございます。
〇斉藤信委員 入院、外来の減少、新型コロナウイルス感染症で受診抑制もあったし、通常の患者の減少分もあると思いますけれども、新型コロナウイルス感染症の補助金、とりわけ空床確保の補助金で、今年度は20億円を超える黒字になったということだと思います。
 そして、特に、消費税の新たな負担分が8億3、000万円ですよね。消費税というのは、国民にとっても、県立病院、医療機関にとっても、これは本当に経営を圧迫していということは、指摘をしておきたいと思います。
 次に、医師確保について。岩手県立病院等の経営計画(2019〜2024)に対し、医師の増員、病院への配置状況はどうなっているでしょうか。
 あわせて、県立釜石病院の分娩中止に伴う具体的な対策、支援策はどうなっているでしょうか。
〇菊地医師支援推進監 現行の岩手県立病院等の経営計画(2019〜2024)では、令和元年度から令和6年度までの6カ年で、81名の増員を計画しております。令和2年度につきましては、常勤医師11名の増員計画に対し、配置実績は10名の増員となっているところでございます。
 また、今年度─令和3年度でございますが、常勤医師11名の増員計画に対し、9月1日現在で、22名の増員となっているところでございます。
 医師数が増加している主な要因といたしましては、県立病院で義務履行を行う奨学金養成医師の配置がふえてきているというところでございます。令和3年度は、令和2年度に比較いたしまして、21名増加しておりますし、昨年度も、前年度比較で、23名増加しているという状況でございます。
 なお、増加要因となっております養成医師の県立病院への配置につきましては、今年度94名配置されております。特に医師が不足しております、県北、沿岸地域の県立病院へは、44名が配置されているところでございます。
 続きまして、県立釜石病院の分娩中止に伴う具体的な対策、支援策でございますが、まず、出産時の安全確保といたしまして、これは医師の判断が必要になりますが、県立釜石病院が保有する患者搬送車による搬送。次に、健診と出産が分かれることについての不安解消に向けまして、病院の助産師間における情報共有による一体的なサポート、あとは、県立大船渡病院、県立宮古病院の分別施設の事前見学を行うこと。または、妊産婦からの電話相談に対しまして、24時間365日の体制で対応することにしております。さらに、産後ケアの充実に向けまして、新たに、県立釜石病院の施設内で、デイサービス型の産後ケアの提供を行うこととしております。
 いずれ、安心、安全な出産環境を提供するために、関係機関との連携により、釜石地域の妊産婦の不安の解消に努めていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 県立釜石病院の関係での支援策ですけれども、県の支援策は通院経費の支援ですが、ハイリスク妊産婦支援事業は、県でやるということになっています。搬送は病院がやるということですが、ハイリスク以外は市町村単独事業になっているのです。ここのすみ分けはどうなのか。ハイリスク以外の方のほうが実質は多いのではないかと思いますけれども、いかがですか。
〇菊地医師支援推進監 確かに、件数としてはそのようになるかもしれません。こちらのほうで聞いている情報によりますと、実際に他の市町村では、ハイリスク以外の方への支援もしているということで、今回、釜石市、大槌町もそれに合わせまして、支援をしていただけるということになっていると認識しております。
〇斉藤信委員 関係市町村はやむにやまれずやっているのです。震源は、県立釜石病院で分娩中止したということなので、私は、ハイリスクだけにとどめないで、本来なら、市町村へも支援をするべきだと思います。
 最後に、看護師の労働条件の改善について伺います。
 まず最初に、岩手県立病院等の経営計画(2019〜2028)に対する看護師の増員状況。二つ目に、月9回以上の夜勤の状況と改善の取り組み。いかがでしょうか。
〇宮職員課総括課長 まず、岩手県立病院等の経営計画(2019〜2028)における看護師の増員についてでございますが、看護部門につきましては、令和3年度は、計画として、9人予定しているところですが、配置実績としては26人ということで、計画より17人の増ということで、推移しているところでございます。
 続きまして、看護職員の月9回以上の夜勤の状況についてでありますが、月9回以上の夜勤に従事した看護職員の数は、令和2年度においては、15病院で延べ1、112人となっております。また、今年度につきましては、第一四半期までの実績で、10病院、延べ576人となっており、令和2年度の同じ時期と比較して、延べ212人増加しております。
 この増加の要因といたしましては、新型コロナウイルス感染症患者受け入れによる夜勤体制及び感染症病棟体制の強化のための調整、並びに、新型コロナウイルス感染症の陽性者や、感染の疑いがある者との接触に伴う出勤停止者の発生に伴う調整、あるいは、病気休暇等の急な取得などによるものと考えております。
 医療局におきましては、これまでも、育児休業取得者等の代替職員の正規職員による配置、夜勤専従などの多様な勤務形態の導入、採血業務の臨床検査技師の移管などのタスクシフティングの推進、新たに、外部の専門家を通じた業務の見直し、病児保育の導入による院内保育の充実などにより、職員の負担軽減を図る取り組みを進め、離職防止や新採用職員の確保を図るとともに、業務の繁閑に応じ、県立病院間で相互応援を行うなど、看護職員の夜勤回数の抑制に向け取り組んできたところでございます。引き続き、夜勤回数の抑制に向けた取り組みを推進していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 今年度の第一四半期での9回夜勤は、県立中央病院で145人、県立大船渡病院で100人、県立中部病院で82人、県立南光病院で85人、これは新型コロナウイルス感染症に対応したということが主な要因だろうけれども、看護師を減らされたというところもあるのです。
 だから、そういう状況をしっかり踏まえて、夜勤がふえることは絶対よくないので、必要な看護師の確保をして、解決していただきたい。
 最後です。超過勤務の実態と解消の対策、年次休暇取得の実績と、改善が求められている対象者、その取り組みはどうなっていますか。
〇宮職員課総括課長 看護師の超過勤務の実態と解消の対策についてでありますが、令和3年度の4月から8月までの看護職員の1人当たりの月平均超過勤務時間数は、10.2時間となっており、昨年度同期と比べまして、1.8時間増加しております。
 今年度は、県民を対象としたワクチン接種業務など、例年にない特別な業務に積極的に取り組んでいること、また、新型コロナウイルス感染症患者への対応業務が、昨年度よりふえていることが、超過勤務時間増加の要因と考えております。
 超過勤務の縮減につきましては、業務の見直しと職員の意識改革が重要であると認識しておりまして、今年度におきましては、超過勤務が多い職員と管理者との面談の実施、外部専門家を通じた業務手順の見直しや業務の平準化の取り組み、会議録作成システムや勤務管理システムの導入、あとは、勤務時間管理の適正化につきまして、4月及び9月の2回にわたる通知などを行っているところでございまして、業務の効率化と超過勤務の縮減に向けて、引き続き、さまざまな取り組みを進めいきたいと考えております。
 続きまして、看護師の年次休暇の取得の実績と、改善の取り組みについてでありますが、看護職員1人当たりの年間平均取得日数は、令和元年は9.0日、令和2年は8.9日と、横ばいとなっております。
 年次休暇の取得につきましては、休暇の取得促進についての通知を定期的に発出して、職員の意識醸成を図っておりますし、あとは、年次休暇の予定を職員に確認するなどして、計画的な年次休暇の取得を促しているところであります。今後も引き続き、業務の削減や見直しなどの取り組みを進め、年次休暇の取得しやすい職場環境づくりに努めていきたいと考えております。
〇小西和子委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇小西和子委員長 質疑がないようでありますので、これで、医療局関係の質疑を終わります。
 医療局の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で、本日の日程は全部終了いたしました。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後5時38分 散 会



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