令和3年9月定例会 決算特別委員会会議録

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令和3年10月25日(月)

1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 枝   修
主任主査 藤 平 貴 一
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 鈴 木 貴 博
主査 阿 部 真 人
主査 刈 屋 江美子
1説明員
県土整備部長 田 中 隆 司
技監兼
河川港湾担当技監 加 藤 智 博
副部長兼
県土整備企画室長 小 島   純
道路担当技監 幸 野 聖 一
まちづくり
担当技監 杣     亨
技術参事兼
道路建設課
総括課長 照 井   巧
県土整備企画室
企画課長 川 村   守
県土整備企画室
管理課長 吉 原 武 志
特命参事兼
用地課長 伊 藤 雅 敏
空港管理課長 今   俊 晴
建設技術振興課
総括課長 菅 原 常 彦
道路環境課
総括課長 菅 原 博 秋
河川課総括課長 上 澤 和 哉
砂防災害課
総括課長 戸 来 竹 佐
都市計画課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
下水環境課
総括課長 水 野 久 禎
建築住宅課
総括課長 小野寺 哲 志
港湾課総括課長 鎌 田   進

会計管理者 永 井 榮 一
会計課総括課長兼
会計指導監 大 塚 貴 弘

監査委員 寺 沢   剛
監査委員 沼 田 由 子
監査委員事務局長 小 畑   真
参事兼監査第一課
総括課長 小 守 健 一
監査第二課
総括課長 佐々木 昭 司

財政課総括課長 山 田 翔 平


〇小西和子委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、議案第28号及び議案第29号の以上17件を一括議題といたします。
 本日は、県土整備部関係について9人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は23分といたしましたので、議事進行に御協力をお願いします。
 なお、関連質疑については、その日の質疑の目安時間にかかわらず、関連質疑の目安時間を10分とすることにしておりますので、あらかじめ御了承願います。
 また、換気のため、これまでと同様に休憩いたしますので、御協力をお願いいたします。
 なお、委員各位御承知のとおり、本日の県土整備部の審査の後、決算15件及び議案2件について、意見の取りまとめと採決を行いたいと思いますので、御了承願います。
 初めに、県土整備部長に県土整備部関係の説明を求めます。
〇田中県土整備部長 令和2年度決算における県土整備部の事務事業に係る主な取り組みと成果について御説明いたします。
 まず、復興関係でありますが、海岸保全施設の復旧、整備や水門・陸閘自動閉鎖システムの整備とともに、復興まちづくりと連携した道路整備など、多重防災型まちづくりの推進に取り組みました。
 復興道路については、昨年度、宮古盛岡横断道路が三陸沿岸道路に接続し、宮古港に直結するなど、縦軸と横軸のネットワーク化が大きく進みました。
 災害公営住宅は、昨年12月の盛岡市南青山アパートの竣工により5、833戸の整備が完成いたしました。
 次に、平成28年台風第10号及び令和元年台風第19号災害からの復旧についてですが、公共土木施設の復旧工事、河川の改良復旧や砂防堰堤等の整備を進め、昨年度は、台風第10号で被害を受けた遠野市小烏瀬川で改良復旧事業が完成いたしました。
 次に、政策推進関係ですが、頻発する自然災害から県民の生命、財産を守るため、ハード対策とソフト施策を組み合わせた防災、減災対策を推進し、矢巾町岩崎川の河川改修が完成したほか、国土強靱化のための3か年緊急対策を活用し、河道掘削等に取り組みました。
 また、産業や観光振興の基盤となる社会資本整備として、国道284号一関市石法華工区が開通したほか、いわて花巻空港において舗装改良工事を推進いたしました。
 さらに、社会資本の計画的な維持管理に取り組んだほか、地域の建設企業の経営基盤強化や技術力向上に取り組みました。
 以上が当部の主な取り組みと成果の概要であります。
 続きまして、令和2年度決算について御説明いたします。恐れ入りますが、お手元の令和2年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開きください。
 一般会計につきましては、当部関係は、6款農林水産業費3項農地費の一部、8款土木費、続いて16ページをお開きください。11款災害復旧費3項土木施設災害復旧費及び8項住宅施設災害復旧費になります。
 特別会計の決算は、40ページが岩手県土地先行取得事業特別会計、50ページが岩手県港湾整備事業特別会計となります。
 なお、資料にはございませんが、一般会計、特別会計合わせた当部の予算現額の合計は3、266億600万円余、支出済額の合計は1、906億9、400万円余となります。翌年度繰越額の合計は1、291億6、000万円余、不用額の合計は67億5、100万円余となります。
 また、流域下水道事業特別会計は、令和2年度から企業会計へ移行しております。
 こちらは別冊となりますが、令和2年度岩手県流域下水道事業会計決算の4ページをお開き願います。経常利益が5億5、800万円余、これに特別損益を加減した純利益は5億1、600万円余となります。
 以上、当部所管に係る令和2年度決算の説明となります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇小西和子委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇千葉秀幸委員 まず、私からは大きく分けて2点についてお伺いしたいと思います。
 まず1点目、除雪対策についてお伺いいたします。
 昨年度、12月中盤から県南を中心に物すごい大雪が降り、大変大きな影響をもたらしました。まずは、この令和2年度の除雪の執行状況、それから当初予算額を超え、たしか補正予算も措置したと思っておりますが、その内訳について御説明いただきたいと思います。
〇菅原道路環境課総括課長 昨年度の岩手県の除雪の執行状況でございますが、県では、冬期間の安全で円滑な道路通行の確保を図るために、初期除雪の推進あるいは凍結路面対策の強化など、基本方針をもとに除雪計画書を策定いたしまして、令和2年度は253路線、車道約3、900キロメートル、歩道約2、000キロメートルの除雪に取り組んだところでございます。
 昨年度の降雪状況でございますが、委員御指摘のとおり、県南部を中心に12月中旬から1月にかけまして、奥州市では例年の約3.3倍と記録的な大雪になったところでございます。
 そういった中で除雪に要した費用でございますけれども、当初予算32億8、000億円余り(後刻「32億8、000万円余」と訂正)に対しまして、最終的な決算額でございますが56億5、000億円余り(後刻「56億5、000万円余」と訂正)と、前年比の約1.5倍、過去5カ年平均の約1.4倍となった状況でございます。
〇千葉秀幸委員 改めて金額を聞いても、本当に大変な昨年度を過ごしたと記憶しておりますが、一方では、おととしは、全くと言っていいほど雪が降らなかったこともございます。それでも、建設業者は出動するための準備あるいは待機料、それから重機の管理等、多くの費用がかかります。地元奥州市あるいは金ケ崎町でも、それらの最低補償をしてほしいという要望書も市には出されました。岩手県はどうなっているでしょうか。
〇菅原道路環境課総括課長 少雪時の除雪への対応でございますけれども、委員御指摘のとおり、一昨年は県内も非常に少雪というような状況でございました。そういった中で、私ども県といたしましても、除排雪業務におきまして、少雪時における除雪機械の維持費、管理費等、一定の必要な固定費が発生することについては認識しておるところでございまして、この件につきましては、本県のみならず全国的な課題であると認識しているところでございます。
 そういった中で、国では、少雪時においても固定的に発生いたします計上可能な積算方法をことし検討すると伺っておりまして、直轄工事では今年度から施行する予定と伺っているところでございます。
 少雪時におきまして、昨年度は奥州市に奥州市建設業協会、金ケ崎町には金ケ崎町建設業協会、本県におきましては、昨年9月に岩手県建設業協会から少雪時の対応等の要望をいただいているところでございますが、先ほど申し上げましたとおり、今後の国の施行状況あるいはこれを踏まえました他県の動向などを注視しながら、今後、安定的、継続的な除雪体制の確保に努めるために引き続き努めてまいりたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 検討されているということなので、どうぞよろしくお願いいたします。やはりこの待機料、さまざまな重機の維持管理がかかることで、最低補償もないのであれば、うちではやらないよというようなことがあると、非常に安心、安全な通行体制を管理するのも難しくなると思いますから、ぜひその辺も御配慮いただきたいと思っております。財源の問題等もあるのですが、県民の安全、安心を考えていただき、依頼している企業との関係を今後も密にしていただきたいと思っております。
 以上、それらも踏まえて、ことしも有事の際には、できるだけスムーズな対応をいただく準備を怠らないでいただきたいと思っております。昨年度の大雪を踏まえたことしの対策についてお示しいただきたいと思います。
〇菅原道路環境課総括課長 昨年度の大雪を踏まえました今年度の除雪の対応でございますが、大きく3点ほどございます。
 まず、1点目でございますけれども、これは、国あるいは市町村等関係機関等との連絡体制でございます。これにつきましては、大雪による交通障害等が発生する場合には、交通情報の迅速な共有につきまして、国や市町村とのホットラインの体制を強化したいということで、今年度も継続して取り組んでいくこととしております。
 2点目でございますけれども、効率的な除雪に向けまして、これまでも県では、市町村と連携いたしまして、それぞれが管理いたします道路の除雪区間の一部を交換いたします、いわゆる効率的な除雪のための交換除雪に取り組んでいるところでございます。これにつきましても、今年度はさらなる拡大を図ることとしておりまして、現在、最後の調整等を進めているところでございます。
 3点目でございますが、大雪時の除雪オペレーターの確保の問題でございます。昨年度末、県の除雪企業を対象といたしましたアンケートにおきましては、オペレーターの育成が課題という意見が多かったところでございます。そういった意見を踏まえまして、今年度は、岩手県建設業協会の御意見も参考にしながら、オペレーター育成のための冬季閉鎖区間を活用した除雪訓練など、新たなオペレーターの育成支援にも努めていくこととしております。
 引き続き、これらの取り組みにつきましては、市町村と情報共有を行いまして、冬期間の地域の円滑な交通の確保に向け、今年度も国、関係機関と連携して、また建設企業の皆さんの御協力をいただきながら、安全な交通の確保に努めてまいりたいと思っております。
〇千葉秀幸委員 よろしくお願いいたします。
 大雪あるいは雪崩、通行どめ等の対策をいち早く県民の皆様に周知できる岩手県道路情報提供サービスがございます。これは、引き続き正確な情報を速やかに更新していただきたいと思っておりますが、その状況について確認させてください。
〇菅原道路環境課総括課長 岩手県道路情報提供サービスの件でございますけれども、このサービスにつきましては、県が道路にかかりますさまざまな情報を道路利用者に提供するように、平成10年度からホームページ等で公表するなど運用を開始しているところでございます。
 具体的には、気象条件の厳しい峠部など、県内72カ所に監視カメラを設置いたしております。また、路面状況を公開しておりまして、県内74カ所で積雪量観測などをし、そのデータ等の情報提供を行っているところでございます。
 また、あわせて県管理道路の通行規制情報の提供も行っておりまして、例えば雪崩等、雪害が発生した際には、速やかにその情報を提供するように努めているところでございます。
 これらの岩手県道路情報提供サービスにつきましては、道路利用者サービスの向上はもちろんのこと、冬期間の路面凍結状況あるいは積雪状況をリアルタイムに確認することができますことから、除雪業務の効率化にも非常に効果があると認識しております。
 引き続き、道路利用者や除雪企業の声などを聞きながら、さらなるサービスの向上に努めてまいりたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 わかりました。岩手県は本当に雪国ということで、雪は避けて通れないところでございますので、引き続きその辺のスムーズな御対応をいただきたいと思っております。
 次に、空き家問題についてお伺いいたします。
 この間、私も何度か取り上げさせていただいてまいりましたが、まずは令和2年度の空き家状況を示していただきたいと思います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 令和2年度の空き家の状況の認識についてでございますけれども、平成30年に国が調査いたしました住宅・土地統計調査によりますと、本県におきまして空き家は9万3、500戸なっておりまして、本県におけます住宅の総数57万9、300戸に対しまして16.1%となっているところでございます。
〇千葉秀幸委員 了解いたしました。これは平成30年のデータということですけれども、この住宅・土地統計調査は、次はいつ行われるのでしょうか。そして、岩手県の空き家はこの間にもどんどんふえていっていると思いますが、岩手県はどういった認識でしょうか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 空き家の調査の関係ですけれども、調査につきましては5年置きに行われるということですので、5年後の令和5年度に行われると考えております。
 また、空き家の状況につきましては、調査の都度、増加傾向にありまして、空き家はどんどん増加しているという形になっております。
 平成27年2月に施行されました空家等対策の推進に関する特別措置法がございます。こちらで示されました国の空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針におきましては、空き家となる最大の契機は相続時にあるとされているところでございますので、この辺を捉えまして、県ではこれまで、空き家の適正管理ですとか空き家になる前の管理をきちんとしましょう、空き家になった折にも流通に乗せましょうというような取り組みにつきまして、セミナー等を通じまして県民に周知を図ってきたところでございます。
〇千葉秀幸委員 空き家は引き続き件数がふえ続けているという状況、私も同じ認識でおりました。これらの対策をするためにも、一つは空き家バンクがあると思っております。この空き家バンクの状況をお示しいただきたいと思っておりましたし、あわせて、この空き家対策、例えばトヨタ自動車東日本株式会社ですとか北上市の工業団地ですとか、県外から多くの社員を派遣したりしているところにも御紹介していただく、そういった企業へのアプローチ、アタックというか、そういったところはされているのかについても確認したいと思います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 まず、空き家バンクの状況でございます。令和3年9月末時点におきまして、県内33市町村中30市町村に設置されまして、市町村におきまして、空き家の流通ですとか有効活用を図っているところでございます。
 県の取り組みですけれども、平成28年度に岩手県空家等対策連絡会議を立ち上げさせていただきまして、市町村が抱えます空き家対策に係る先進事例の情報共有などを図ってきたところでございます。
 また、本年度からは、空き家取得の支援事業も始めましたし、移住、定住と絡めた施策ということで若者支援事業もやっておりますので、こういったところで、今後、企業等も絡めまして施策を打ってまいりたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 私も空き家がどうやったらこれ以上ふえないのか、さまざまなことを考えたりもしているのですが、それぞれの対策ももちろん重要でございます。ただ、いずれどうするかということも大切ではあるのですが、空き家件数をどう抑えていくかという角度も非常に重要なのではないかと思っております。
 例えば、今、核家族化が進んでおりますが、やはり同居していただく、あとは、今ある母屋の隣に建てていただいて母屋をしっかり管理できる状況にしていただくとか、空き家を抑えていくことも大事だと思いますが、そういった検討はされているのでしょうか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 本年度の県の取り組みといたしまして、本年度からの新規事業といたしまして、空き家情報利活用促進事業を立ち上げさせていただきまして、空き家バンクの利活用を目的といたしまして、市町村の空き家担当者向けに講習会を3回開催するというような形をとっております。これまで、7月に開催いたしまして、先進事例の紹介を行ったところです。
 空き家発生につきましては、委員御指摘のとおり、核家族化も一つの要因にはなろうかと思っております。最近は、住まいの多様化で、近居、親の近くに住むというようなニーズもございますので、その辺のニーズも捉えながら住宅施策を打ってまいりたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 最後でございます。いずれ繰り返しになりますが、食いとめる戦略、今、一つ新規事業があるということを御説明いただきましたが、ぜひとも積極的に取り組んでいただきたいと思っております。
 空き家バンク実績調査の資料を拝見いたしましたが、33市町村のうち30市町村で調査をしている。その残りの三つの市町村、二戸市、大槌町、一戸町、こちらでは全く調査されていないのですが、この辺に対しても、市町村にしっかりと空き家件数を把握してもらう、そして対策をとるように周知していくべきと考えますが、その点についてお伺いして、終わりたいと思います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 繰り返しになりますけれども、県では、本年度から空き家情報利活用促進事業によりまして、市町村の空き家担当者向けの利活用促進に向けたセミナーを開催しております。
 こういったセミナーですとか、年に1回、岩手県空家等対策連絡会議で空き家対策の課題等を共有する場を設けております。こういった場を通じまして、残り3市町につきましても、空き家バンクの必要性を説明して、設置を働きかけるとともに、空き家バンクの活用により空き家の抑制を図ってまいりたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 先ほどお示しいただいた新規事業の詳細をもう少し詳しく教えていただいていいでしょうか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 本年度から、空き家に関する新規事業といたしましては二つございます。一つ目が、繰り返しになりますけれども、空き家情報利活用促進事業ということで、市町村の空き家担当者向けの利活用を目的としたセミナーということで、本年度は3回開催する予定にしております。こちらにつきましては、7月に第1回のセミナーを開催いたしまして、陸前高田市で行われています民間と連携いたしました利活用促進事例を紹介させていただきました。
 もう一つにつきましては、若者向け空き家住宅取得支援事業を創設させていただきました。こちらにつきましては、市町村が、空き家バンクに登録された空き家を取得された方に対して補助する場合に、県も一緒に補助する制度となっておりまして、現在3市町におきまして制度の創設が図られているところでございまして、現在、1件の補助申請を頂戴しているところでございます。
〇米内紘正委員 今、空き家の問題が出ていたので、1点お聞きしたいのですけれども、なかなか行政だけで解決していくことは難しいと思っていますが、岩手県空家等対策連絡会議等で、不動産業界からどういった課題が挙げられているか、お知らせ願えますでしょうか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 空き家関係の民間の状況でございますけれども、本年度の事業創設に関連いたしまして、年度当初に県内の全市町村を回らせていただきました。この際に、県内の市町村からは、盛岡市ですとか都市部にあるところは、空き家になっても流通しやすいという声がある一方、若干都市部から離れたところについては、不動産業者もいなくて空き家がふえる一方という声も聞いております。
 また、空き家につきましても、所有者が空き家と認識していない、盆と暮れの年に2回帰ってくるだけで、ほかは人が住んでいない状況なのだけれども、それでも空き家という捉え方をされていないとか、さまざまな問題があると聞いております。
 また、不動産業界と連携してやるにも、市町村のマンパワーが問題になっているところがありますので、この辺をどのようにしていくかが今後の課題と認識しております。
〇米内紘正委員 市町村も空き家バンクがなかなかうまくいっていないとお聞きします。盛岡市もそうですけれども、やはり市町村の職員が、空き家の認定というのですか、市町村で認めるからには、しっかりとした基準だったりをクリアしていかなければいけない。それを全部職員がチェックしなければいけないということで、なかなか市側もそこに積極的に入っていけないですし、不動産業界は不動産業界で、空き家バンクに載せるメリットがなかなかないというところで、これは盛岡市のことですけれども、空き家バンクの方向性についてかなり課題を抱えていて、これからどうしていこうかと。そもそも、もう空き家だけでなく、アパートだったりマンションだったりも相当空き室がある状況の中で、市町村と民間とを交えたところで空き家バンクの方向性、インターネットに情報をどう載せていくかというところは考えていらっしゃいますでしょうか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 空き家情報の広報につきましては、市町村の空き家バンクが全国ネットの空き家バンクと連携いたしまして、全国から、例えば岩手県の空き家、それも市町村ごとの空き家が見られるような状況になっております。まずはこちらでの周知、それから、市町村に対しては、全国ネットと連携した取り組みが必要というところをセミナー等で訴えていく形にしたいと思います。
 それから、空き家対策の一つの方策といたしましては、住宅部局だけではなくて、移住、定住ですとか、U・I・Jターン、新規就労者の方々に向けて、住宅の一つの選択肢といたしまして空き家を選択いただけるような取り組みも、一つ重要なところと認識しております。
〇米内紘正委員 全国ネットの空き家バンクに載せる上で、今、例えば、いろいろな民間の住居の情報があるところで、御自身が、例えばワンクリックでぽちっとチェックボックスに入れると、市町村の空き家バンクにも登録されりようなところは、岩手県内の市町村の中ではあるのでしょうか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 手元に数字はないのですけれども、市町村の空き家バンク、それから全国ネットに載せる場合、市町村の担当者の方からは、それが二度手間になるというような話もあります。ですので、国のシステムが全国ネットのシステムになっていますけれども、こちらの登録の際に、なるべく円滑、それから省力化というところで取り組みを進めていると聞いております。
〇米内紘正委員 空き家の流通、どう市場に流していくかというところに関しては不動産業界との連携が必要で、本当に一つ一つの土地にストーリーというか、ここはこういう歴史があって、所有者がしっかりしていないところとかもあるので、しっかりわかっていないところとかもあるので、そこはすごく難しい連携にはなってくると思うのですけれども、引き続きよろしくお願いいたします。
〇城内よしひこ委員 道路標識等の維持管理についてお伺いしたいと思います。加えて、道路の維持管理ですけれども、最近、専決処分で道路の管理に関する事故に係る損害賠償事件というのが結構出てきていますが、そこでお伺いするわけでありますが、パトロールの体制、数と頻度はどのようになっているかお伺いしたいと思います。
〇菅原道路環境課総括課長 本県の道路パトロールの体制と頻度についての御質問でございますけれども、県では、岩手県道路パトロール実施要領に基づきまして、車内から目視された路面あるいはのり面などに加えまして、道路標識など道路附属物の変状等の点検をいたしまして、異常が確認された際には必要な対応を行っているところでございます。
 班体制でございますけれども、道路管理者によります直営のほか、一部、民間コンサルタント会社等へ委託いたしまして、県内25班体制で実施しているところでございます。また、宮古盛岡横断道路の開通を受けまして、さらに3班追加いたしまして、現在は28班体制で道路のパトロール等を進めているところでございます。
 パトロールの頻度でございますが、一般道におきましては、交通量がおおむね1日3、000台以上の区間などは週2回、その他の区間は週1回を標準としているところでございます。昨年度末に全線開通しました宮古盛岡横断道路につきましては、多くの区間が自動車専用道路区間というところもございまして、国の基準等も参考にしながら、道路パトロール頻度を毎日2回、午前、午後各1回でございますが、そのような頻度で道路の維持管理に努めているところでございます。
〇城内よしひこ委員 近年、野生鳥獣等が道路に迷い込んで、鹿もはねるし、タヌキもはねるし、結構そういった処理もしていただいておるわけでありますけれども、なかなかスムーズに進まない場合もあります。土曜日にも国道106号の道の駅付近で鹿が寝ていましたけれども、速やかに処理されたようでありますのでよかったと思いますが、民間からのそういう情報提供等、速やかに対応する体制も整っているのかお伺いしたいと思います。
〇菅原道路環境課総括課長 委員御指摘のいわゆる道路上の野生動物等の死骸等に関する対応につきましては、一般の道路利用者等からの通報を受けた際、道路の維持管理を業務委託しております地元の業者による速やかな処理、あるいは私ども直営で直ちに現場に向かうなど、可能な限り迅速な対応に努めているところでございます。
〇城内よしひこ委員 二次被害等が起こらないように、ぜひそういった体制の強化も図っていただきたいと思っておるところであります。四六時中、24時間体制でというのはなかなか難しいかと思いますが、道路が東日本大震災津波後整ってきたわけでありまして、そのためにも県で管理しなければならない道路がふえているわけでありますので、よろしくお願いしたいと思います。
 続いて、標識等の維持管理についてであります。
 前部長でありました中平部長は、データベース化を前向きに検討するような話をされておったわけでありますが、その進捗状況はどのようになっているかお伺いしたいと思います。
〇菅原道路環境課総括課長 道路標識のデータベース化についての御質問でございますけれども、これまで県で、平成25年度と平成26年度の2カ年におきまして、交通量の多い国道につきまして道路標識の点検を実施しまして、その結果のデータベース化を図ってきたところでございます。
 委員御案内のとおり、平成29年度に国から標識などの小規模附属物点検要領が発出されまして、道路標識等の点検手法や点検頻度等が明示され、これに基づきまして、おおむね10年に1回程度の詳細点検を行うこととされたところでございます。
 これを受けまして、本県におきましても確実な詳細設計の実施につきまして、県管理道路全ての道路標識の設置位置あるいは大きさ、支柱の形式などの詳細な情報を把握するために令和元年度から調査を実施しておりまして、昨年度までに国道の調査は終えたところでございます。
 まだ県道の調査も残っておりまして、今後もこの調査を継続いたしまして、データベースの充実化を図ってまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 管理する道路がそのとおり多くなってきた中で、標識等がたくさんふえました。それはそれで交通安全、利便性を図る上では重要な観点でありますので、そういったものが常に老朽化はしていくわけで、そういったことを考えるとやはりデータベース化は必要である。また、国から示された指針も、実は、過去に事故が発生したことで点検しろということでの事案でありますので、ぜひこれは前に進めていってほしいと思います。
 以前もお話をさせていただきましたけれども、警察関係の標識等についてはしっかり管理されている、データベース化されているということでありますので、その辺の調整、まさに横の連携も含めて、どういう形がベストなのかを研究して前に進めてほしいと思います。部長、いかがでしょうか。
〇田中県土整備部長 今、委員からお話がありましたが、国の点検要領は、標識等の落下が生じないように定期点検を求めているものであります。そういった状況の中でうちの状況はどうだったかというと、そもそも設置基数はわかっていたのですが、詳細な位置とか大きさとか支柱の形式などは、データが不足していたところもあったし、あるいは紙媒体のものもあったということで、まずはそこをデータベース化することを急いでやっているところであります。
 先ほど道路環境課総括課長から答弁がありましたとおり、令和元年度までには国道の部分は終わりましたので、引き続き、県道、主要地方道の分について調査を急いで、まずデータベースを全部構築すること、あとは、そういったデータベースを構築した上で、次の点検をして、それをきちんとデータベースにホールアップしていくということで道路管理者の事務は進めていきたいと思いますし、その中で、交通管理者と連携できる部分は、情報交換しながら、できるものからやっていきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 近年、台風等いろいろな災害もありますので、ぜひ点検は怠らないようにお願いします。
 次に移ります。リアスハーバー宮古についてであります。
 リアスハーバー宮古の利用状況と課題をお伺いしたいと思います。
〇鎌田港湾課総括課長 リアスハーバー宮古は、宮古高校や宮古商工高校のヨット部の活動に加えまして、シーカヤック等のマリンレジャーに利用されておりますが、令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の影響による一般利用客の減少等によりまして、利用者数が1万2、978人と前年度の約57%にとどまっております。
 リアスハーバー宮古の利用促進を図るためには一般利用を拡大していく必要がありますが、現在、指定管理者において、ホームページや宮古市の広報等を活用して、施設利用やイベント開催等について周知を図るとともに、シーカヤック教室や障がい者マリンスポーツ体験等を開催しまして、利用者の増加に努めているところでございます。
 県では、海での余暇活動を楽しむ機会の創出を目指すことを令和3年2月に策定した宮古港長期構想において位置づけ、リアスハーバー宮古での一般利用を一層拡大していくこととしており、今後、指定管理者や宮古市等の関係機関等と連携しまして取り組みを検討するなど、県民や観光客の利用促進に努めてまいります。
〇城内よしひこ委員 以前、私は、このリアスハーバー宮古を県教育委員会で管理運営してはいかがかという話をさせていただいたことがあります。なぜならば、今、港湾課総括課長が言ったような内容で情報発信がされてはいないのではないかと思っているからです。希望郷いわて国体で、まさに岩手県でいうところの唯一のリアスハーバーであるし、そういったことをしっかり情報発信することが、岩手県の海であったり、いろいろな可能性がここで生まれてくると思っていますが、そういったことに関しての情報発信は、県独自でやっているものがあるのですか。
〇鎌田港湾課総括課長 現在、県が独自でというものはございませんが、指定管理者であります特定非営利活動法人いわてマリンフィールドのホームページ等を活用して告知、周知に努めているところでございます。
〇城内よしひこ委員 ぜひ、県も積極的に参加してほしいと思いますし、指定管理だけですと管理だけなのです。運営まで任せるぐらいの勢いがないと、他の県営の体育施設等は管理運営です。いろいろな可能性まで含めて指定管理料として出しているわけでありますので、そういったことも含めて、県として強いかかわりを持つべきではないかと思います。唯一、県土整備部が持つ指定管理の団体だと私は認識しているのですが、そういった他の施設との整合性も含めて検討したことはあるのかお伺いしたいと思います。
〇鎌田港湾課総括課長 現在、指定管理者においては、先ほど申しましたとおり、マリンスポーツの体験等を行っておりますが、県といたしましても、利用拡大を図るために、今後、新たな体験メニューの造成等を指定管理者、宮古市等と連携して進めていきたいと考えております。
 また、宮古港長期構想におきましても、宮古港一帯のゾーニングを設定しながら、レクリエーション等の利用拡大に努めてまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 そういう発信をきちんと県も同時にするべきだと思っているのです。つくって、その地域にある宮古市だけにおんぶに抱っこという形ではない仕組みづくりが必要だと思います。令和2年度の利用実績もほぼ、多分これは高校生だけの利用実績だと私は思っています。多くの方々が来られる環境が、道路整備も整って、来やすい状況、行きやすい状況ができているわけでありますので、ぜひマリンスポーツのメッカにしてほしいと思うのですが、その辺の取り組みは今後、できる可能性はあると思うのですが、する覚悟はあるのでしょうか。
〇鎌田港湾課総括課長 リアスハーバー宮古につきましては、本県のマリンスポーツ振興の拠点としまして、余暇活動を楽しむ場としても今後一層の利用拡大が必要と考えております。指定管理者や宮古市等の関係機関と一体となりまして、今後とも取り組んでまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 部長に最後お伺いして終わりたいと思うのですが、せっかく立派なものをつくっていただいて、維持管理ができない。これは、実はもう一つ宮古港にはあって、フェリーターミナルなども利用し切っていないのですね。そういうことを考えると、県はつくりっ放しになってしまうのではないかと思っているのですが、その辺、思い切り展開してほしいと思います。これは、今さら金をかけろというわけではなくて、実は、ターミナルも含めて、いろいろなソフト面でフォローできる課題でもあると思っているのです。その辺はどうでしょうか。
〇田中県土整備部長 宮古港は、先ほど委員からも道路が整備されて近くなったというお話がありましたが、高速道路のインターチェンジが直結する内陸からの観光客のアクセス性にすぐれた港であります。そこにフェリーもありますし、それからリアスハーバー宮古もあるということでありますし、委員からは、本県で唯一のリアスハーバーだというお話もありましたので、アピールするポイントが非常に多いところかと思っています。
 指定管理者には当然お願いする部分はありますが、県としてできる部分はないのかという意味の御指摘だと思っていますので、その辺の情報発信のあり方については少し検討させていただいて、なるべく多くの皆さんにリアスハーバー宮古の特徴や利便性が目に触れるように、県としても考えていきたいと思います。
〇城内よしひこ委員 以前、私は陸中宮古青年会議所に所属していました。その際に、宮古市でイベントをする際に、マリンスポーツに親しんでもらおうということで、県内の若者に来ていただいて、ヨットやクルーザーをお借りして乗船させる機会がありました。宮古市ってこういうよさがあったのだねと県内の方々が逆に驚いていました。我々も、沿岸に住む者として、身近ではあるのですが、そういう可能性として十二分にあるものを利用していかない手はないなと思いますので、ぜひ、その点についていろいろな角度から検討していただいて、前に進めていただきたいと思います。
〇吉田敬子委員 私からは、岩手型住宅の普及促進の取り組みについてお伺いいたします。
 本県では、省エネ性能プラス岩手らしさを備えた岩手型住宅を推進しております。北海道並みの厳しい寒さとなる岩手県の冬を考えると、ハイスペックな岩手型住宅基準を新たに設定して、県産材の活用と合わせた支援制度を設けることが重要と考えております。これについては、我が会派から、工藤勝博議員や千葉盛議員も一般質問等で取り上げさせていただいております。
 岩手型住宅賛同事業者が着工した岩手型住宅は、令和元年度は229戸中52戸、23%、昨年度、令和2年度は323戸中74戸、こちらも23%にとどまっております。依然として岩手型住宅の普及が進んでおりませんけれども、県としてその課題をどう捉えているのかお伺いしたいと思います。
 住みたい岩手の家づくり促進事業の申請者数のうち、岩手型住宅の賛同事業者の割合については約半数、50%ぐらいということでありますけれども、この利用割合についてどう評価しているかお伺いいたします。
〇小野寺建築住宅課総括課長 まず、岩手型住宅の普及が進まない理由、課題についてですけれども、岩手型住宅賛同事業者92事業者を対象といたしましたアンケート調査では、令和元年度では41者から回答があり、229件の着工中52件、これは全て県産木材の利用でございます。それから、令和2年度につきましては33者から回答をいただきまして、323件の着工をしまして、74件、これは県産木材につきましては71件という形になっております。アンケートの回答率は高くないですけれども、一昨年と比べますと木材利用だけでも19件の増加という形になっております。
 課題といたしましては、岩手型住宅は省エネ性能が要件になっていますけれども、こちらを備えるために必要な断熱性にすぐれた部材を使用する際に建設コストが負担になるといったことですとか、そういった住宅を建てた後に電気料金ですとか灯油の料金が軽減される、電気代がかからない、灯油代がかからないといったメリット、それから、お住まいになる方の冬場の健康に効果があるというところの周知が不足していることと考えております。
 また、岩手型住宅賛同事業者の利用割合につきましては、平成28年度から令和2年までの住みたい岩手の家づくり促進事業におけます岩手型住宅賛同事業者の平均の申請件数は17件となっておりまして、その割合は50%程度となっております。
 一方、本年度につきましては、9月までの申請が30件、うち賛同事業者によるものが9件、30%となっておりまして、これまでは賛同事業者の方の協力によるところが大きかったのですけれども、本年度からは、県産木材利用につきましては、農林水産部と役割分担して行っているところでございまして、県内の皆様から広く申請をいただいているものと評価しております。
 また、今後、岩手型住宅の着工件数をふやすためには、賛同事業者以外の方の協力も不可欠と考えておりまして、今後、状況を見ながら普及に努めてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 岩手型住宅という名前の認知度も低いのではないかと考えております。前回の令和3年2月の予算特別委員会でもこちらについては指摘させていただきまして、昨年度はホームページ上で情報発信等、そしてまた、多世代に見たり聞いたりする機会をつくっていくと御答弁されましたけれども、具体的に何を行ったのかお伺いしたいと思います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 岩手型住宅の認知度向上に係る取り組みにつきましてですけれども、委員から御紹介いただきましたとおり、県のホームページ上で岩手型住宅の施工事例を紹介させていただいております。また、昨年9月からは、新たな取り組みといたしまして、いわて気候変動チャレンジフェスタ2020におきまして、ブースを設けさせていただいてPRを行ったところでございます。
 本年度におきましては、多世代に向けた取り組みといたしまして、昨年同様に、いわて気候変動チャレンジフェスタ2021におきまして、省エネ体験等の展示を行う予定だったのですけれども、昨今の新型コロナウイルス感染症対策のために、パネル展示のみ行わせていただくという形にしております。
 また、今月10月には、国の定めます住生活月間の取り組みといたしまして、県南広域振興局土木部北上土木センターで岩手型住宅のパネル展示を行いまして、広く県民に周知を図っているところでございます。
 県といたしましては、多くの方が来場するイベントなどさまざまな機会を通じまして、効果的な情報発信の取り組みを進めたいと考えております。
 今後ですけれども、やはり若い方向けということで、SNSですとか、そういったものを活用しながら、多くの世代に対する効果的な周知方法につきまして検討してまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 SNS等を活用して今後は普及を図っていくという御答弁でした。ありがとうございます。先ほど、岩手型住宅がなかなか進まない理由として、省エネ性能についての技術に施工者等の技術がなかなか追いついていないということをこれまでの御答弁でもいただいておりました。それに関しては、今後も含めて研修等を引き続き行っていっていただくということであるかと思います。そこはしっかりやっていただきつつ、これまでも我が会派では、今、県が設定している省エネの基準を新たに設定していくべきだということで取り上げさせていただいております。これまでの御答弁では、動向を注視しつつ、省エネ性能のより高い住宅基準のあり方について検討していくということで、昨年度から答弁いただいておりますけれども、その検討状況についてお伺いしたいことと、2007年度末にガイドラインを策定してからもう13年たっておりますが、内容等もしっかり更新していただきつつ、また、いわて気候非常事態宣言の中でも、家庭の省エネルギー化が課題だということで、やはり省エネ住宅の基準をしっかり新たに設定していくことが課題だという認識だと思っております。
 取り組みも強化していく必要があると考えておりますけれども、今後の方向性についてお伺いいたします。
〇小野寺建築住宅課総括課長 今後の取り組みについてでございますけれども、県ではこれまで、岩手型住宅の理念に賛同していただいた事業者を賛同事業者として登録して、事業者による建設を通じながら岩手型住宅のPRと着工数の拡大を図ってきたところでございます。
 また、岩手型住宅ガイドラインによりまして、住宅の省エネ性能確保の必要性とか県産木材活用が温暖化防止につながるということで、一定の効果があったと考えております。
 新たな基準という話になりますけれども、国からは、8月23日に2050年カーボンニュートラルの実現に向けた住宅・建築物の対策の取りまとめが示されておりまして、その中で、2025年までに住宅を含めた省エネ基準への適合義務化、こちらは現在、岩手型住宅として進めている基準を満たしていただければ構わないという形になります。
 さらに、2030年までに省エネ基準をネットゼロエネルギーハウス、いわゆるZEHというものですけれども、こちらまで性能を引き上げるというような形の取り組みを示されたところで、こちらは、2050年カーボンニュートラルの実現に向けまして、今後、国の省エネ基準を踏まえまして岩手型住宅ガイドラインを改正していく必要があるかと考えています。
 あわせまして、委員から御指摘ありました設計者ですとか施工者の方の省エネ基準に関する技術講習を、今後もっと盛り上げていく必要があるかと考えております。
 県といたしましては、現在、改訂作業中の岩手県住宅マスタープランにおきまして、岩手型住宅の普及のための賛同事業者の募集ですとか、大工技能者の確保、育成に努めるとしておりまして、引き続き、岩手型住宅の普及促進に努めてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 国ではまだ義務化の延期が示されておりますけれども、鳥取県等の他県では、そういった国の基準よりもさらに引き上げ、新たに設置して取り組みをしているところがあるわけですが、それについては、岩手県ではなかなか踏み込んで進めていっていただけないなという御答弁でした。
 こちらの岩手型住宅ガイドラインのアンケートの中でも住宅の省エネ性能についての調査がされておりまして、省エネ住宅に対するニーズは大変高く、新築住宅の7割が省エネ基準以上を満たしているにもかかわらず、満足度は低いため、一般的な省エネ基準では寒さを感じ、エネルギーも多く消費していると感じている人が多いと推測できますと、もう13年前には、既に県も、消費者の皆さんも今の省エネ基準では低いということを認識されているにもかかわらず、そのままずっと続けていくというような御答弁だったと思います。
 それでは、2月に、県として、いわて気象非常事態宣言の中で家庭の省エネルギー化が課題と言っている中での住宅政策としては大変弱いということで、会派としてはずっと指摘させていただいているわけであります。今回、岩手県住宅マスタープランの改訂作業の中で、引き続き検討していただきたいというのも、なかなか進まないところであれですが、ぜひ進めていっていただきたいのです。
 では、先ほどのアンケート調査の結果についての県の認識、どのように捉えているのかお伺いしたいと思います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 県の今の課題の捉え方ですけれども、現在改訂中の岩手型住宅マスタープランにおきまして、住宅・土地統計調査などの国の調査の状況も確認いたしました。その中で県民の方のアンケートがありまして、その中に、断熱性が低い、それから省エネルギー、冷房費がかかるですとか暖房費がかかるといった不満もあるというところは把握しております。
 そちらに向けてということですけれども、やはり省エネ性能の基準につきましては、13年前から若干段階的に国で引き上げられてきておりますので、そちらの最新の基準を満たしていただくとなっていますけれども、本県の場合、やはり北国ということもありますので、それだけでいいのかという議論もあるかと思います。そちらにつきましては、まずもって設計者、工務店の方が、今どのような技術力、認識を持っているかにつきましてアンケートを行いたいと考えております。
 その辺も踏まえまして、どのレベルまで持っていったらいいか、先ほど答弁させていただきましたけれども、国では2030年にさらに引き上げるという方向も示されておりますので、そちらに向けまして、県としてどのように取り組んでいくか。北海道レベルまで目指すのか、まずは、一般的に建築費に対して余り影響のないレベルでおさめるのかという議論が今後あるかと思いますけれども、その辺も見据えた形で検討してまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 昨日、農林水産部でも、県産材を扱う中で、常に時代とともに最新の技術に更新していかなければいけない中で、研修の機会が少ないことが工務店等のお話からもあるということで、研修の機会は来年度以降もふやしていきたいという御答弁をいただきました。
 これは農林水産部だけでなく、県土整備部も一緒に、県産材だけでなく、それが省エネ性能プラスアルファで今後はしっかり住宅政策に取り組んでいく必要があると思いますので、基準に関してもそのとおりですけれども、ぜひ、それに追いつくような技術者の育成についてしっかり取り組んでいただきたいと思います。
〇小西和子委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午前11時4分 休 憩

午前11時22分 再開
〇小西和子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇菅原道路環境課総括課長 先ほど千葉秀幸委員の除雪対策の質問におけます昨年度の除雪に要した費用につきまして、単位間違いがございました。正しくは、当初予算32億8、000万円余、決算額56億5、000万円余でございます。おわびして、訂正させていただきます。
〇小西和子委員長 質疑を続行いたします。
〇飯澤匡委員 それでは、国道343号の整備促進について、1点だけです。
 まず第1に感謝申し上げたいのは、2015年から着手していただきました渋民工区がことし3月で開通いたしまして、これは沿線に多大な効果を与えていると思っております。私の経験から申しますと、予算化されて、採択されて、これぐらいの道路規模になると10年ぐらいかかるというような印象です。今回は、渋民工区、いわゆる渋民バイパスについては、旧大東町が先行して土地を取得した件もあって、早くうまくいったのかなという思いをしております。この御尽力については心から重ねて感謝申し上げたいと思います。
 まず第1に、一般質問でも申し上げましたが、この沿線に地元で道の駅の整備が進んでいます。これは県とも協議が進んでいると聞いておりますけれども、まずは、その状況についてお伺いしたいと思います。
〇菅原道路環境課総括課長 渋民バイパス沿線に計画されている道の駅整備についてでございますけれども、委員御案内のとおり、現在、一関市で、昨年度末に開通いたしました渋民バイパスと国道456号の交差点付近に施設の整備を計画しております。一関市では、令和6年度に道の駅の開業を目指して検討をいろいろ進めていると伺っております。
 現在、県といたしましては、一関市で検討を進めています基本構想あるいは基本設計等の内容等をお聞きしながら、指導、助言等を進めているところでございます。
〇飯澤匡委員 道の駅の構想については、若手の地域の方々も一緒になって、どのような道の駅がいいのかということもいろいろ議論を重ねた上で今進んでいるようでございますので、ぜひとも新しい構想の中で進めていただけますようにお願いしたいと思います。
 もう一つ、岩手県では、遠野風の丘の道の駅が防災道の駅に認定されたと。この防災道の駅という構想は、国土交通省が道の駅第3ステージの一環として全国39カ所ということで、令和3年6月11日にこういう概念が示されたということで、先ほど申し上げましたように、本県については、既に遠野風の丘の道の駅が指定されたと。
 今協議が進んでいる渋民バイパスの沿線上にも、まさに復興支援道路としての国道343号の意味合いも含めてこういう期待があるわけですが、その点について、一般質問でも聞きましたが、再度、その検討状況、地元の意向が示されればどのように県が呼応するのか、その点について示していただきたいと思います。
〇菅原道路環境課総括課長 防災道の駅についての御質問でございますけれども、先ほど委員からお話がありましたとおり、道の駅につきましては、国の第3ステージということで、防災道の駅ということで、災害時の広域的な復旧、復興活動の拠点となる道の駅をことし6月に新たに全国で認定いたしまして、本県では遠野市の遠野風の丘が認定を受けた状況でございます。
 現在、一関市で検討しております道の駅でございますけれども、市では、情報発信機能を有した防災情報発信機能あるいは駐車場を利用いたしました被災地への物資供給中継機能等、防災機能を強化した道の駅も検討を進めていると伺っております。
 県といたしましては、先ほど答弁させていただきましたとおり、これらの計画等をお聞きしながら、防災道の駅につきましては、国の認定要件の中では、県の地域防災計画等に位置づけることが必要ということでございますので、関係部局に対して、一関市の計画について情報提供いたしますとともに、今後とも、一関市の考えを伺いながら、引き続き助言等を行ってまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 道路環境課総括課長は一関市の状況はよく御存じですので、これからも御指導をお願いしたいと思います。
 そこで、2点目ですが、新笹ノ田トンネルの建設についてであります。
 ILC実現について東北ILC推進協議会では、実証実験、特にコンテナの45フィート、通常は40フィートなのですけれども、それも含めた運行の試験を行うことになっているわけですが、その点について、国道343号はどのような状況にあると県土整備部では認識されているのか、この件についてどうかかわっていくのか、その点についてお尋ねします。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 45フィート海上コンテナ運搬車両の走行実験でございますけれども、平成29年9月に大船渡市及び大船渡港物流強化促進協議会により、大船渡港から内陸に向かう主なルートである国道107号、国道343号、国道397号の各ルートを対象として行われたことは承知しているところでございます。
 これ以外に、国道を45フィート海上コンテナ運搬車両を使った走行実験が行われた事例や今後行われる予定については、承知していないところでございます。
〇飯澤匡委員 今後必ずやると思いますので、そこら辺はしっかり情報を取得しながら、整備の促進につなげていただきたいという思いであります。
 実は、トレーラーというのはかなり特殊な車両でありまして、自動車安全運転センターが、トレーラーの運転特性と安全な運転に必要な技能に関する調査研究、これはかなり古くて10年以上前なのですが、トレーラーの事故の特性について報告書を上げています。トレーラーで事故が起こりやすいのは、道路の形状、道路の線形、道路の環境に対する認識の誤りやブレーキ操作の誤りが非常に多いというのが上げられているようであります。
 それから、以前にも申し上げましたが、コンテナというのは中身が見えないので、どこに重心があるかわからない。機械ものなど重心がかなり高いところにある荷物もあります。ILCなどでも、さまざまな工作物が45フィートコンテナで運ばれることになると、それだけ直線性であるとか、そういう道路の環境が求められると私は常々思っているところでございます。
 答弁はいつも同じでありますけれども、やはり時節に合わせた道路環境の整備という観点はもちろんですけれども、投資というものをしっかり考えながらこの新笹ノ田トンネルについては考えていかなければならないと思うわけです。その点については、やはり費用対効果というような話がいつも出てくるわけですが、この点についてはもっと認識を新たにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 45フィート海上コンテナの相当数の運搬が想定されます加速器本体のクライオモジュールを、大船渡港から国道343号を利用して建設予定地まで運搬することにつきましては、大船渡市が実証いたしました公道走行実証実験の結果により、現状のルートで特段の問題はないと考えております。
 これ以外の大型機器の輸送につきましては、今年度、ILC推進局による輸送ルートの課題把握のための橋梁調査が行われることになっておりまして、県土整備部といたしましては、この調査に必要となる情報提供を行うなど、ILC関連施設の立地場所や規模、これらの施設へのアクセスルートの検討状況を注視していくということで考えております。
〇飯澤匡委員 通ることは通るのですよ。問題は、さっき言ったように直進性であるとか制動というのは、特殊な車両でありますので、ただ通行が可能だというだけではだめなのですね。それは皆さん方、よくわかっていることだと思うのです。ですので、先ほど申し上げましたように、道路環境は頻繁に車両が運行する、円滑に運行することが大事なので、それがないと道路の意味をなさないわけです。そして、ここは非常に急峻な峠ですから、トンネル化は必要だということを訴えているわけです。
 この点については、何回も部長ともやりとりしたので、ぜひとも留意をされてやっていただきたいと思います。
 投資としての考え方は、最後に部長に聞きます。
 それでもう一つ、この間、10月22日に仙台市―宮古市間で、岩手県北自動車株式会社と宮城交通株式会社による高速バスの実証運行が始まったようであります。試験運行ですね。これは非常に人的交流が盛んになる、1時間ほど時間が短縮されるということで経済効果が大変期待されるわけです。ただ、そのデメリットとして、横軸の動きが整備されないと、これはやはり片手落ちになってしまうのではないかと思います。
 仙台市へ大分人口が流出される、そういう懸念もあるわけですが、それはそれとして、そういうことも頭に入れながら、ただ、やはり県内の人材をどうやってつくっていくかということも考え合わせますと、県内で自己完結できるような形に持っていかなければならない。そうしますと、この間、国道284号については石法華工区が完成されて徐々に整備されていますが、県南部の国道343号は、まだまだそのような整備が追いついていないのが現状と思っています。
 それとあわせて、観光ルートということを考えますと、東日本大震災津波伝承館から平泉の文化遺産の観光、学習ルートもしっかり確立していかないと、あそこで、やはり陸橋で滞ってしまい、なかなか行きにくい道路だということになってしまったのでは意味をなさないわけでありますので、その点についてはいかがですか。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 東日本大震災災津波伝承館等から平泉の文化遺産への観光、学習ルートの認識ということだと思いますけれども、昨年秋に、県と岩手県立大学の共同により行われました東日本大震災津波伝承館への来館者を対象とした聞き取り調査におきましては、東日本大震災津波伝承館と平泉の文化遺産の両方への訪問者が、一定の割合で確認されたところでございます。
 また、東日本大震災津波伝承館には、令和元年9月の開館以来、これまで約40万人が来館し、このうち、昨年度は約17万人の来館となっており、この中で教育目的の団体利用が約1万人あったほか、世界文化遺産を有する平泉町におきましても、平泉町の調査によると、新型コロナウイルス感染症を受けた昨年度を除きますと、例年200万人を超える観光客の入り込みがあり、このうち5万人程度が教育目的の入り込みとなっているところでございます。
 東日本大震災津波伝承館と平泉の文化遺産を結ぶルートは幾つか考えられますけれども、岩手県観光協会では、これらの施設などをめぐるコースをいわて満喫モデルコースとして設定しておりまして、国道343号を経由するルートを案内しているところでございます。
 国道343号を含めたルートを観光、教育において、さらに活用していくことを期待しているところでございます。
〇飯澤匡委員 期待しているなら、ぜひやりましょうね。
 最後に、やはり投資という部分、今の部分も含めて、これはしっかり考えていかなければならないと思うのですが、その点について、部長、いかがですか。
〇田中県土整備部長 先ほど三陸沿岸道路を使ったバスの試験運行を御紹介いただきましたが、あれは多分1月ぐらいまでの試験運行だと認識しておりまして、宮古市から気仙沼市を経由して、仙台市まで運行すると思います。
 私たちとしては、三陸沿岸道路の一層の利用促進は大きい課題の一つだと思っていまして、その利用の形態として試験運行があるということで、非常に大事な試みだと思っています。
 ただ、一方で、縦の走行によって横軸に影響があるかというと、決してそうではないだろうと思います。横軸は横軸でやはり大事なルートでありますので、そこは県の道路の整備として、ネットワークとして一番大事な部分だと思っています。だから、ことし6月に公表した岩手県新広域道路交通ビジョン、岩手県新広域道路交通計画で、国道284号もそうですし、国道343号も一般広域道路として位置づけたところであります。
 今後、それ以外の位置づけした道路もありますので、そういった路線全体を見渡して、整備によって、例えばどういう効果があるのかといったところは、観光の観点とか、いろいろな観点で分析していきたいと思っております。
〇飯澤匡委員 私は、危機感と言ったかどうかわからないけれども、それは仕方ないことだと思うのです。道路が整備されたら、それを利用するのは当たり前ですので。ただ、やはり経済を岩手県に還流していくには、社会資本の整備もしっかりしなければならないということです。防災道の駅もそうですし、それから、学習、旅行のルートづくりについてもそうです。やはりそれは岩手県側として戦略的にやっていく必要があると思うわけです。今回はこれぐらいにとどめておきますので、しっかりそこら辺を考察して前に進めていただきたいと思います。
〇ハクセル美穂子委員 私からは、奥地産業開発道路、通称奥産道について御質問させていただきます。
 奥産道は、県の決定でトンネルの建設がストップした道路ですけれども、この奥産道の利活用について、昨年、私は一般質問でも質問させていただいていましたが、そのときに、今後は学校、福祉、DMOなど幅広い関係者に参画してもらって、意見交換を深めていきたいというような御答弁をいただいておりました。
 その御答弁後、どういった意見交換をされて、御意見等を深めていったのかという点について、関係者からどんな御意見が出たのか、それから、令和2年度の奥産道の登山者も含めた利用状況についてお伺いしたいと思います。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 DMO等との協議の関係でございますけれども、県では、利活用の現状や課題を把握するため、平成30年度から、八幡平市及び雫石町の商工観光課や観光協会、八幡平DMO、休暇村岩手網張温泉、環境省などと意見交換を重ねてきたところでございます。
 その中では、登山ルートの湿地区間に設置されている木道の損傷箇所を補修すること、八幡平側の県道の通行どめを解除することなどの意見をいただいているとともに、シャトルバスの運行については、運用面や採算性などから慎重な意見が多かったところでございます。
 あと、今年度の利用状況でございますけれども、県では毎年、紅葉シーズンのピークに当たる土曜日と日曜日の2日間、三ツ石湿原におきまして登山者数を測定しております。1日当たりの最大値は、まず最初に始めた平成19年度は約370人、平成24年度は約860人、令和2年度は約1、600人、今年度も測定しておりまして、令和3年度は約2、200人になるなど増加傾向となっております。
〇ハクセル美穂子委員 木道の改良とか通行どめの解除、シャトルバスというのは、例年同じような意見が出ているかなというような答弁の内容かと思っていました。それから、登山者を含めて、どれぐらいの登山者が来ているか、かなり多くの登山客の方が来ているのは、御調査の上で県土整備部でも把握されているということかと思いました。
 実は私、ことし、紅葉のシーズンに登ってみました。やっぱり行ってみないとわからないと思いましてですね。まず、朝6時で、もうほぼゲート付近の駐車場は満車で、非常に混んでいるなというのを早朝から感じました。それから、ゲートから登山道の本当の入り口まで道路を登っていくのですけれども、その途中で、平成30年6月の落石の跡かと思いましたが、土のうが結構積んであるエリアがあったりと、道路の損傷が結構激しくなってきているなという印象を受けました。やはりきちんと利用していかないと、歩くだけだと、なかなか周りの整備とかまで追いついていかないのかなということを改めて実感いたしました。
 また、三ツ石山荘のトイレの待ち時間とかも結構、これは本当にたくさんの方が登ってくださっているのだけれども、その登ってくださっている方々の利便性についての検討とか改良は、なかなか進んでいないのかなというのを実感した次第でございます。
 私は、かなりの方が紅葉シーズン以外にも登ってきてくださっているのであれば、やはりここは、奥産道の活用とか整備をしっかり考えていく時期に入っているのではないかと感じております。例えばですけれども、奥産道と言われてきましたが、環境と共生する道路だという感じで位置づけをして、名前も奥産道ではなくて、環境共生道路とか、何かちょっと今までのイメージと違って、環境学習の場とか自然を楽しむ場としての位置づけの中で、きちんと周辺環境の整備等も進めていくような考え方、計画をつくっていくべきではないかと感じた次第ですが、そういった今後の方向性について、改めて県の御所見をお伺いしたいと思います。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 県ではこれまで、八幡平市や雫石町を初めとする関係機関などからさまざまな御意見をいただいております。道路管理者といたしましては、人為的な影響を極力軽減し、自然環境の保全に努めることを基本的な考え方といたしまして、平成14年度に策定いたしました一般県道雫石東八幡平線(網張〜松川間)活用計画に基づき、すぐれた自然環境の保全が図られるよう、県道を適切に維持管理していくこととしております。
 また、今後の利活用の促進につきましては、当地区が自然との触れ合いや環境学習に適したフィールドであることを利活用の主体となる教育関係者等の機関や団体に実感していただくため、委員も実際に行かれたようですけれども、これらの機関等を現地にお招きして、すぐれた環境、資源を体験してもらうなど、道路管理者としてできることについて、引き続き、関係機関と連携し、利活用につながるよう取り組んでまいります。
〇ハクセル美穂子委員 私は、学校関係者とかそういった方々に来てもらってという段階は、もう終わったのではないかと感じております。1日に2、200人が来るぐらいのかなりの登山の名所になりまして、1日で2、200人、本当に混んでいるのです。私も朝早く行きましたけれども、帰り、お昼ごろ下山しまして、その後、自分の車に乗って帰ったのですが、ずっと網張温泉に近いところまで車が駐車されている。帰りにもかなり多くの方、登ってくる方とひっきりなしにすれ違うような、そういった混みぐあいです。
 これはそのままにしておいてはいけないですし、環境生活部と、三ツ石山の登山道のほうもきちんと考えながら、一体でどう利活用していくかを、学校関係者ではなくて、本当に管理する関係者、それからその地域をきちんとどう環境と共生しながら活用していくかという観点において検討を進めていくべきだと思っています。
 滝ノ上のほうの登山道があるのですが、そちらには今、地熱バイナリー発電設備の建設が進められています。ことし完成するのではないかと。今もうかなり建設が進んでいて、バイナリー発電設備でも生の環境学習をできるようにということで取り組みを進めていらっしゃいますので、一体で考えていく必要があると思っております。
 そういう意味では、どこかが議論をリードして、どう活用していくかというところを引っ張っていかなければいけないのですが、道路を管理していらっしゃる県土整備部でぜひリードしていただきたいと思っているのですけれど、済みませんがその点についてもう一回御答弁をお願いしたいと思います。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 県土整備部といたしましては、道路管理が主体ということで、どうしても線的なものになってしまいがちなのですけれども、委員御指摘のとおり、三ツ石山を中心としたエリア全体としての利活用の促進も必要だと思いますので、今後、地元市町も含めて、環境省等とも意見交換を進めながら、さらなる利活用については検討してまいりたいと思います。
〇ハクセル美穂子委員 道路管理者というところを強調されて、道路管理者だなというのもあるのですけれども、地元としましては、あの道路にトンネルができて八幡平とつながることを非常に期待した上で応援していたときに、御存じのとおりいろいろなことが起こって、まず一旦ストップしてしまったと。その分についてのいろいろな地元に対しての支援策とかもやっていただいたのはそのとおりなのですけれども、では、そのままつくったものを、つくって活用されているけれども、登山客の方だけだと、周りの草もぼうぼうになっていたりするところもあったり、何とかならないんですかなどという声も登山客の方から来るのですね。
 そういう意味では、道路を管理している部署の皆さんでも、きちんとその道路をどう次世代に受け継いでいくのかということも含めてしっかり考えていただきたいと私は思っています。
 この道路は、ずっと登山客の方、それから次世代の子供たちも、環境学習、それから自然と触れ合う場として使われていく道路だと私は思っていますので、ぜひともそういった観点でも、どういった使い方がいいのか、予算がどこから入るのかではなくて、まず議論のリードをしていただきたいと思っているのですけれども、済みません、最後に部長の御見解をお伺いして終わりたいと思います。
〇田中県土整備部長 一般県道雫石東八幡平線のお話でしたが、県道を使って御利用いただいているわけですが、委員の御指摘は、県道もそうだし、その周辺一帯をどう利活用していくかというところを、関係機関、沿線の市町も含めてだと思いますが、そういった方々と一緒になって考えていくステージに入ってきているのではないかというお話かと思って伺いました。
 個別にヒアリングをしていましたので、そういったヒアリングの結果を関係者みんなで共有するといったところからまず始めていって、では、どういう課題がそれぞれあるのかといった場をまずつくっていく時期にもうそろそろ来ているのではないかと思うところもありますので、そこは、ヒアリングは重ねていきますけれども、今後の方向性として、そういった方向も視野に入れながら、引き続き考えていきたいと思っております。
〇ハクセル美穂子委員 部長、前向きな御答弁ありがとうございます。ぜひそういった議論の場をつくっていただいて、今、私が言った形ではなくても、もっとよい意見も出てくるかもしれません。それから、若い世代の方々で登山愛好されている上で、子供たちを連れていきたい方とか、そういった方はまた別の意見とかさまざまあるので、ぜひともエリア一帯で活用していけるすばらしいエリアですので、発展的に活用できるような流れになるような議論をリードしていただきたいと思います。そのことを強くお願いして、終わりたいと思います。
〇小西和子委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時54分 休 憩

午後1時2分 再開
〇小西和子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇千葉絢子委員 私は今回、議員になってから初めて県土整備部に特別委員会で質問させていただくことになるのですけれども、住宅施策について、環境と県民の健康にどう貢献する施策になっているか伺っていきたいと思います。
 知事は、令和元年11月に2050年温室効果ガス排出量の実質ゼロに取り組むことを表明しました。また、昨年、令和2年度は、岩手県地球温暖化対策実行計画の最終年度でありました。これまでの計画から社会情勢の変化や国の動向、また、本県の温室効果ガスの排出量予測、エネルギー需給の見通しを踏まえて今年度から新たにスタートしたのが、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画であると理解しております。
 こうして掲げている以上、県庁の部局全体で目標達成に取り組んでいる必要があると思いますので伺うのですが、この計画の中で、平成25年の住生活総合調査において、住宅の省エネルギー性や気密性についての県民の不満率が高いことが明らかになっています。48%から52%ぐらいのところで不満率が高いことがわかっているのですけれども、これまでの住宅施策の中で、この省エネルギー性、気密性の二つの観点での取り組みがどうであったか振り返っていただくとともに、これからの住宅施策において重視すべき点をどう考えているか。また、2050年温室効果ガス排出ゼロの宣言への配慮や県民の不満解消に向けた省エネルギーと気密性を高める住宅施策をどのように展開していくか、初めにお伺いいたします。
〇小野寺建築住宅課総括課長 これまでの住宅施策についてでございますけれども、県ではこれまで、良質な住宅ストックの形成ですとか良好な居住環境の形成を岩手県住宅マスタープランの重点施策と位置づけ、省エネ性能ですとかバリアフリー性能を確保した住宅の普及推進を図ってきたところでございます。
 また、岩手の地域性を反映いたしました岩手型住宅の普及に係る取り組みを通じまして、省エネ性能に加え、県産木材の活用、地域性への配慮、木質バイオマスエネルギーの活用推進に努めてきたところでございます。
 これからも引き続き、この取り組みをさらに進めるとともに、現在改訂中の岩手県住宅マスタープランにおきまして、予定されています2050年カーボンニュートラルに向けまして、住宅の省エネ性ですとか環境に配慮した住宅の普及を重視した施策を展開することが必要と考えております。
〇千葉絢子委員 私も昨年、家を増築する機会がありまして、県産材をふんだんに使わせていただきました。ただ、岩手県産の木材は、構造材は多いのですが、床材、壁材、内装に係るものがなかなか手に入らなくて非常に苦慮して、結局、国産の松を使って白木の壁にしたということがありました。なので、住宅施策の中でも、県産材の利用についてはもっと促進しなければいけないところだと身をもって感じたところです。ちなみに、木づかい住宅の補助対象外でありました。残念です。
 県民の多くが住んでいる住宅は、夏暑くて冬寒いというのが当然なのです。近年、冬の寒さと死亡率の相関関係について、数十年にわたって、イギリスが国を挙げて調査を行い、その結果をもとに、WHOの住宅と健康に関するガイドラインが2018年に発表されています。それについては御存じでいらっしゃいますか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 WHOの勧告につきましては承知していなかったのですけれども、冬の死亡率の関係につきましては、国も取り組みを進めておりまして、こちらは平成25年と平成30年に実施されました国の住生活総合調査の項目の中に、住宅の断熱性や気密性についての質問ですとか、冷暖房の省エネルギー性についての質問がございます。
 こちらでは、やはり断熱性についての不満が高い、それから、省エネルギー性についての不満が高いという形になっていますけれども、昨今、国を挙げて、県もそうですが、省エネルギー、省エネルギーという形で取り組んできまして、平成25年から平成30年の調査におきましては、多少ですけれども改善の傾向が見られていると把握しております。
〇千葉絢子委員 実は、日本でも慶應義塾大学理工学部の伊香賀俊治教授によりまして、厚生労働省の人口動態統計に基づいて、日本における冬の寒さと死亡率の相関関係について研究が行われています。中身は、4月から11月の暖かい季節に対して、これから来る12月から3月の月の平均死亡者数がどれぐらいふえるかを都道府県別にまとめた研究ですが、ここで課長に問題です。皆さんも一緒にお考えください。日本で最も冬の死亡増加率が低いのはどの都道府県でしょうか。では、小野寺総括課長、お答えください。
〇小野寺建築住宅課総括課長 この冬季の死亡増加率との関連性に係る研究につきましては、国の日本サステナブル建築協会等が行っておりまして、今のクイズの答えですと北海道ですね。日本で一番寒いと言われている北海道が10%、それから、温暖な地域でもあります栃木県が25%という形で、岩手県はその中間に位置していると把握しております。
〇千葉絢子委員 パーフェクトです。そのとおりなのです。岩手県の場合は、死亡率の低いほうからは26番目、死亡率の高いほうから数えると22番目ということで、つまり、おっしゃるとおり中ほどなのですけれども、東北地方では、温暖な福島県に次いで2番目に死亡率が高くなっているのです。公舎にお住まいの職員は、冬の寒さが既に身にしみる時期になってきたと思います。多分、技監が公舎にお住まいだとしたら、寒いな岩手県と思っているかもしれませんけれども。大丈夫です、聞きません。
 海外でも同様に、寒い国では冬の死者が少なく、暖かい国ではその2倍程度、冬の死者がふえるというデータもあるのですけれども、これは家の寒さに原因があって、寒いところほど家を暖かくする対策がとられ、室温が保たれているということが影響しているのですね。
 そこで、県内の住宅施策について伺いますが、本県では、WHOの勧告でいくと最低室内温度18度という目標があるのですけれども、これに注目した施策になっているか、今後どの程度重視されていくかというところを、認識としてお伺いしたいと思います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 WHOの勧告を受けての住宅施策でございますけれども、平成30年11月にWHOから健康とまちづくりに寄与する勧告という形でなされておりまして、冬季の室温18度以上と呼吸器系等のリスクについて示されたところでございます。この勧告も参考に、国が本年3月に住生活基本計画、こちらは全国計画という形になるのですけれども、こちらを策定しておりまして、良好な室温環境を備えた住宅の整備が位置づけられております。
 県といたしましては、この国の計画も踏まえまして、現在、岩手県住宅マスタープランの改訂作業を進めておりまして、この中で、高い断熱性を備え、県産木材を活用するなど岩手らしさを兼ね備えた岩手型住宅のさらなる普及促進を図るなど、省エネ住宅ですとか快適で安全な住宅の普及を目指したいと考えております。
〇千葉絢子委員 この住宅マスタープランについては、要望したいところがありますのでまた後で触れさせていただきますが、岩手県の住宅と健康について見ていきたいと思います。
 御存じのとおり、本県の脳血管系疾患による死亡者数、死亡率は、国内でもワーストとなっています。これは、生活習慣のみならず、多くが冬場のお風呂での死亡、つまり居室内と浴室の寒暖差によるヒートショックも大きな原因になっていて、部屋ごとの温度差を小さくするために、脱衣所、洗面所などでも暖房を使いましょうという適切利用などが求められているわけですけれども、これは、寒い地方でより多くの電気や化石燃料を必要とするために、家計の負担も非常に大きくて、おざなりにされてきている部分でもあります。
 ただ、その分、熱いお湯に長くつかるという、私の義理の母もこういう習慣がありまして、ちなみに義理の曽祖父は、このヒートショックで亡くなったと聞いております。死亡事故につながっているということは、保健福祉政策的アプローチだけではどうしようもないのかなという部分がありましてお伺いするのですが、ここからは数値を示して伺います。
 厚生労働省の統計によると、住宅内で何らかの事故で死亡した人の数は、1996年には年間1万人ちょっとでありましたが、2012年には1万5、000人に達しています。元号が変わって失礼いたしますが、平成28年の消費者庁のデータでは、家庭の浴槽で溺死した人の数が10年間で7割増加しているのです。平成26年には4、866人、このうち9割が65歳以上です。この時点で、交通事故による年間の死者数4、113人を上回っているのです。交通事故による死亡者数はさらに年を追うごとに減少していて、ついに去年は2、839人にまで減りました。3、000人を切ったのとは対照的で、室内で亡くなるリスクのほうがさらに高くなっていることがわかります。
 こうした状況を鑑みて、国土交通省では、スマートウェルネス住宅等推進事業を平成26年から平成29年にかけて実施されたのだろうと理解していますが、本県では、この事業に付随する施策がどのように展開されたのでしょうか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 高い省エネ性ですとか省エネ基準を目指すスマートウェルネス住宅の施策につきましては、承知しているところでございますけれども、本県では、こちらの施策に沿った形での取り組みはまだ今の段階では行っておりません。
 委員御指摘のとおり、冬季の死亡事故ですけれども、環境省のパンフレットによりますと、やはり交通事故が5、000人に対しまして、ヒートショックが1万7、000人というようなデータもございます。また、冬の寒い家の原因は窓から熱が逃げるというところ、また、浴室での寒暖差による事故というところがあります。
 また、データといたしましては、家の断熱性が低いと居住環境に影響を及ぼします。このようなことを知っていますかといったところでは、半分の方が知らないというデータもございます。この辺、やはり岩手型住宅、省エネ住宅の普及とあわせて、省エネ住宅、断熱性を高めた住宅は健康に影響があっていいことなのですよということを伝えていくことにこれからは取り組んでまいりたいと思います。
〇千葉絢子委員 やはり健康と住環境の相関関係は、これからもっと重視されていくのだと思います。先ほど千葉秀幸委員の質疑の中でも、空き家対策の話とか移住、定住の話もありました。こういった若い世代などへのあっせん住宅も、こういう家だと施策的になかなか進んでいかないのかなという感じで聞いておりました。同居はどうかという話も千葉秀幸委員からありましたので、ついでに言及いたしますと、夫の親との同居は、嫁にとって非常にハードルが高いのです。結婚当初から同居していれば別ですけれども、途中から、親が弱ってきたから一緒に住むみたいなことは、一番家庭不和を招きますから、ここはちょっと慎重に検討していただきたいと思います。
 県民の健康を守るため、また、冬場の寒さから健康リスクを回避するために、より多くのエネルギーを必要とする本県において、健康と環境負荷を軽減するための住宅施策を展開していく大切さについては、今お聞きした、これまでの施策を伺ったり、それから、いわて県民計画(2019〜2028)の実施状況報告書を見ただけでは、ちょっと県土整備部の考え方が伝わってこないのです。なので、冒頭で掲げた県民の夏は暑く冬は寒い、冷房も暖房も必要というエネルギー効率の悪い家を解消するために、住宅施策の鍵を握る県土整備部としては、今後どのような施策展開が必要だと思っていらっしゃるでしょうか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 県民の皆さんの健康を重視いたしました住宅施策というところでございますけれども、2050年カーボンニュートラルの実現に向けました住宅・建築物の対策についてということで、国から、経済産業省、環境省、国土交通省の3省合同で本年8月23日に公表されたところでございます。こちらでは、やはり徐々にではございますけれども、省エネ基準を段階的に引き上げていくような方向も示されておりますので、県といたしましては、今後も国の動向を注視しながら、関係部局とも連携し、効果的な取り組みの研究を行ってまいりたいと考えております。
〇千葉絢子委員 ぜひ、そういう方向で進めていっていただきたいと思うのですが、新築などについては、岩手型住宅の話などもいろいろお聞きして、断熱性能、省エネ性能も高まっているようです。
 住宅の断熱性能をあらわす指標にUA値というものがありますね。数値が低いほど保温性があるということを示しております。日本の場合は0.87を基準にして各地でUA値の展開がされているようですけれども、ことしから、このUA値を新築住宅の建て主に説明することが義務づけられていますが、本県でどの程度周知され、実行されているのでしょうか。
 ちなみに、ことし2月に完成した我が家では、この省エネ性能、UA値についての説明が、残念ながらなかったのです。なので、自宅にある温度計を見ていると、基本的に、今18度以上あるかなというところで見ているところですが、県内の周知の状況を教えてください。
〇小野寺建築住宅課総括課長 省エネ基準の説明義務化の状況ということでございますけれども、本年4月1日から、住宅の断熱性を示しますUA値というものが、建て主に、どういう状況か、それを改善するにはどうしたらいいかを具体的に説明する取り組みが義務化という形になっております。
 こちらにつきましては、法の改正にあわせまして、県とか市町村でパンフレットの配布による周知を行っております。また、あわせまして、県のホームページですとか建築士向けの講習会を捉まえまして、制度の周知、習熟度の向上を図っております。
 ただ、どれぐらい浸透しているかにつきましては、まだ把握には至っておりませんので、県といたしましては、今後、講習会ですとか団体の会合等の機会を捉えまして、アンケートを実施するとかいたしまして、県内における普及状況とあわせて課題の把握に努めてまいりたいと考えております。
〇千葉絢子委員 また、県民の住宅への満足度は、先ほど平成25年と平成30年の住生活総合調査の結果についてもお話しいただきましたけれども、満足度を高めるとともに、健康や環境負荷にも配慮した住宅を推進することが求められていますが、国の現在の施策の動向と、あと、圧倒的に多い既存住宅の改修時に使える補助制度などがあるか伺いたいと思います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 既存住宅への補助制度ということですけれども、県といたしましては、改修時に使える補助制度は実施しておりませんが、国におきましては、工事費の補助といたしまして、既存住宅における断熱リフォーム支援事業、次世代省エネ建材の実証支援事業を実施しておりまして、既存住宅の断熱性を高めていく取り組みもなされているところは承知しております。
 今後、県内におきましても、冬場寒い住宅が多い状況は承知しておりますので、この辺は、動向を踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
〇千葉絢子委員 今後の施策の方向性を伺うことができて、私もちょっと安心したところであります。
 御存じのとおり、いわて県民計画(2019〜2028)の項目の第1に健康が上げられておりますので、ここは県民のニーズが高いのだろうと。そして、衣食住というように住宅が占めるウエートは、この健康の項目においても大きいのだろうということが推測できるわけです。もし国での推進事業が今後も続くのであれば、それにあわせて県でも施策展開して省エネと健康に寄与することは、結果的に、温室効果ガスの排出実質ゼロから、医療費の削減のため、ひいては県民のクオリティー・オブ・ライフ、QOLの向上に有効で大変意義のあるものと私は信じております。
 今、岩手県住宅マスタープランの改訂中ということでしたが、ぜひ県民の生活の質を高めるものであってほしいと思います。業者向けはもちろんですけれども、現住建造物への施策展開もしっかり取り組んでほしいということをお願いして、終わります。
〇斉藤信委員 それでは最初に、震災復興10年に当たって、応急仮設住宅、災害公営住宅の整備、その内容、教訓などについてまとめてお聞きします。
 応急仮設住宅の整備について、整備戸数、一般社団法人プレハブ建築協会、ここには規格部会、住宅部会があります。公募事業者によるもの、長屋、戸建ての整備数、1戸当たりの経費はどうだったか。
 二つ目に、災害公営住宅の整備数と木造戸建て、長屋の整備数、1戸当たりの経費はどうだったか。
 三つ目、応急仮設住宅、災害公営住宅の整備に当たっての課題、教訓をどう認識されているか、また、応急仮設住宅の震災復興を踏まえて改善された規格はどうなっているかを示してください。
〇小野寺建築住宅課総括課長 まず初めに、応急仮設住宅の今回の東日本大震災津波を受けましての整備状況についてでございますけれども、委員から御紹介いただきましたとおり、県全体で1万3、984戸の応急仮設住宅を整備させていただきました。このうち、遠野市が独自に整備した40戸、住田町で整備いたしました93戸を除きます県発注分が1万3、851戸という形になっております。
 整備事業者別といたしましては、1万1、499戸を県と災害協定を締結しております一般社団法人プレハブ建築協会が、2、244戸を県が公募いたしました事業者で整備させていただきました。
 また、県におきましては、長屋形式のものが1万3、743戸、戸建て形式のものが106戸となっております。
 なお、戸建て形式のものは、全て公募事業者により整備されたものになっております。
 また、1戸当たりの整備費用につきましては、後から断熱工事等、追加工事いたしましたけれども、この辺の追加工事を含めました1戸当たりの整備費用は約617万円となっております。
 また、東日本大震災津波からの住宅再建のために整備されました災害公営住宅につきましては、県及び14市町村で5、833戸となっておりまして、このうち、県といたしましては2、827戸を整備いたしまして、現在1、760戸を管理しております。
 また、県が整備いたしました災害公営住宅の木造戸建て、長屋の整備戸数でございますけれども、木造戸建てで、一関市の県営構井田アパートを13戸整備しておりまして、こちらの工事費は1戸当たり1、855万4、000円、木造長屋につきましては、全体で22戸整備させていただきまして、内訳は、盛岡市の県営備後第1アパート10号棟で8戸、1戸当たりの工事費は2、190万4、000円、奥州市の県営桜屋敷アパートで14戸、1戸当たりの工事費は1、297万1、000円となっております。
 整備に当たっての課題、教訓ということになりますけれども、まず、応急仮設住宅におきましては、課題といたしまして、震災前にあらかじめ選定していた土地があったのですが、そちらの土地が全て津波により浸水したことから、用地の選定について、公有地だけでは不十分という状況がございました。
 また、必要戸数が、こちらは短期間に大量に供給する必要があったことから、プレハブ建築協会だけでは無理ということで、整備に時間を要したことがございました。
 さらに、住宅の仕様が全国一律であったため、本県の地域性を踏まえた住環境整備が後から必要になっております。
 これらの教訓を踏まえまして、応急仮設住宅につきましては、災害の規模とか状況を踏まえました用地の選定、確保が必要であること。それから、災害の規模に応じまして、地元業者などによる供給ですとか民間賃貸住宅を活用いたしました賃貸型仮設住宅の供給も必要であること。また、最後ですけれども、本県のような寒冷地につきましては、地域特性に沿った住環境設備が必要であると認識しているところでございます。
 続きまして、災害公営住宅の整備につきましては、やはり被災地域が広かったところもありまして、同時に複数の災害公営住宅を整備する必要があったことから、事業者選定が困難であったこと。かさ上げですとか高台造成工事などのまちづくり工事との調整が必要であったこと。最後ですけれども、入居後におきましては、従前の生活様式と異なるところから、コミュニティー形成の支援が必要であったというところが課題であったと考えております。
 今後の教訓といたしましては、事業者確保のため、敷地提案型ですとか設計施工一括発注方式など、さまざまな発注方式を取り入れることが必要であること。また、昨今、南海トラフ地震の対策でやられていますけれども、事前復興の考え方、復興事前準備による被災後の復興期に対応する仕組みの準備ですとか地域性による配慮、今回、漁具置き場ですとかペット対応ですとかいろいろ整備させていただきましたけれども、こういったものが必要であること。また、入居後の円滑なコミュニティー形成への配慮が必要であると考えているところでございます。
 東日本大震災津波を受けての今後の応急仮設住宅の規格でございますけれども、今回、みなし仮設住宅ということで賃貸住宅を活用させていただきましたけれども、賃貸型仮設住宅の供給が可能になったこと。それから、今回、追加工事でやりました風除室ですとか追いだき機能の設置などは、地域の実情に応じた整備が可能という形で国が取り扱いを決めたところになっております。
 また、一定規模以上の団地には、集会所の設置ですとか福祉仮設住宅の整備が可能とされたところであり、コミュニティーへの配慮がなされておるところです。こちらにつきましては、国で見直しがなされるとともに、建設型の基本額も戸当たり571万4、000円と引き上げられている状況でございます。
〇斉藤信委員 丁寧な答弁をいただきました。私は、災害公営住宅については、宮城県と違って、岩手県独自に県営災害公営住宅を整備したことは、大変よかったと思っております。大変丁寧な回答でしたから、これはこれで終わりにします。
 次に、災害公営住宅の家賃問題について、国の特別家賃低減事業の対象世帯、既に家賃が引き上げられている世帯はどうなっているでしょうか。県の家賃低減制度の周知と活用はどうなっているでしょうか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 国の特別家賃低減事業の対象世帯、それから、県の家賃低減制度の状況でございますけれども、令和3年10月1日時点でございますが、国の東日本大震災特別家賃低減事業の対象世帯は945世帯で、全入居世帯1、451世帯における割合は65.1%となっております。
 それから、県の独自減免を活用している世帯数は、令和3年10月1日時点で133世帯となっておりまして、同じく割合は9.2%となっているところでございます。
〇斉藤信委員 入居者の最大の不安は家賃問題、生活問題なのです。国の特別家賃低減制度は、5年経過するとだんだん上がっていきます。岩手県は県独自の減免制度があって、ほぼ国の減免と同等の減免制度になっています。これは、減免制度が受けられるようにしっかり周知徹底していただきたいと思います。
 次に、一番の問題は収入超過者の問題です。収入超過者の実態、希望する被災者が安心して継続入居できる手だてをとるべきですが、陸前高田市が実施しているみなし特定公共賃貸住宅の導入はなぜできないのか、どう検討されているのか示してください。
〇小野寺建築住宅課総括課長 収入超過者の退去問題でございますけれども、県営災害公営住宅におけます収入超過者の実態ですが、本年10月1日時点で収入基準を超過している世帯は116世帯となっております。そのうち収入超過認定されている世帯は100世帯となっております。
 県といたしましては、収入超過者が継続して入居できますように、平成30年度から、収入超過者の割り増し家賃に上限額を設けまして減免するとともに、引き続きの入居を可能とする運用をしているところでございます。
 委員から御指摘ございました中堅所得者向けのみなし特定公共賃貸住宅の制度導入につきましては、被災された方とか本来対象とする所得階層の入居に影響を与えないことが導入の条件となっております。
 このため、その前段階といたしまして、昨年7月から一般の方向けの入居募集を実施しておりまして、これまで136世帯入居いただいております。これを踏まえまして、中堅所得者層を対象といたしますみなし特定公共賃貸住宅の制度を導入した場合に、本来対象とします所得階層の入居が懸念されたところでございまして、県といたしましては、現在、入居要件を見直した場合を想定いたしまして、民間賃貸住宅に関係する団体とか市町村との調整を進めているところでございます。
〇斉藤信委員 これは、千田美津子議員が一般質問で紹介したのですけれども、陸前高田市がみなし特定公共賃貸住宅の制度を早々と導入して、現在52戸が入居しています。52戸のうち41戸が収入超過世帯です。あと11戸が一般です。それで、若い世代もそこに入っている。だから、収入超過者の追い出しはないのです。実際に陸前高田市が実施して、こういう形で成果を上げていることをしっかり見ていただきたい。
 県土整備部長は、一般質問の答弁で、よりきめ細かい家賃体系の導入、入居要件の見直しに取り組んでまいりますと答えました。収入基準を見直すということで検討されていると私は聞いていますが、どういう中身で、来年度から実施できるのかどうか示してください。
〇小野寺建築住宅課総括課長 収入要件に係る見直しにつきましては、現在検討中でございまして、具体的に申し上げることはできない状況であります。
 また、本来入居する階層のニーズを考慮しながら、委員御指摘のとおり、被災者が安心して住み続けられる制度設計となるように、今後も取り組んでまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 私は、ことしの2月定例会のときにもこの問題を取り上げて、どういう答弁だったかというと、できるだけ早期に沿岸地域の復興にふさわしい制度の設計を進めてまいりますということでした。去年の9月定例会もそうでした、できるだけ早期にと。1年も2年もできるだけ早期と言っているのです。こういうのはもう早期とは言わないのです。本来なら、震災10年という一つの節目にそういうしっかりした対策をとるのは、私は当然だと思いますよ。
 さっきの答弁で、既に収入超過対象になっているのが100世帯です。この方々は、来年4月から入居を続けられませんよ。高い家賃を押しつけられているのだから。この100世帯の方々が安心して入居を継続できるように、今年度中に、12月定例会で必要な手だてをとらなかったら4月の入居継続に間に合わないと思いますよ。
 部長に聞きましょう。来年4月に入居継続できるように対策をとる決意はありますか。
〇田中県土整備部長 被災者が安心して住み続けられるような状況をつくっていく、それを視野に入れて取り組んでいくのが私たちの仕事だと思っております。
 ただ、それはもちろん急いで考えていきたいと思っていて、その方向で今詰めている最中であります。具体的には、今ここの場ではまだお話しできる状況ではないというところは御理解いただいた上で、被災者の方に対してスピード感を持ってというのはそのとおりだと思いますので、そういった気持ちを建築住宅課とも共有して取り組んでいきたいと考えております。
〇斉藤信委員 今の災害公営住宅の実態は、高齢者が4割を占めています。高齢者世帯が6割を占めています。これから5年、10年たったら、こういう方々が介護施設に入居したり亡くなったりするのです。今どのぐらい空き室がありますか。私は、今しっかり手だてをとらなかったら、本当に空き室だけふえていく、そして自治会の担い手もいなくなってしまうと思います。
 私は、2月定例会のときに指摘しましたが、大船渡市の県営住宅では、2月の時点で30代、50代の働き盛りの自治会役員が退居しているのですよ。今100世帯のこういう方々は、いわゆる現役世代です。こういう方々の入居を継続して、引き続き、現役世代、若い世代が入居できるような対策を今とらなかったら、災害公営住宅は高齢者住宅になってしまいますよ。先を見越してしっかりした手だてをとっていただきたい。いかがですか。部長、いかがですか。
〇田中県土整備部長 災害公営住宅の活用、それから、コミュニティーの確保のためには、やはり空きストックを少なくすることは大事だと思っております。そういうことで、今、災害公営住宅において昨年7月から定期募集ということで始めて7回やりました。全部で7回定期募集しています。それから、令和3年7月からは、随時の募集に切りかえて、いつでも応募していただけるような仕組みとしております。
 そういったことと、あとは、内陸の公営住宅でやっております若者対象の移住、定住のための住宅、要は、所得の制限がないという意味で目的外使用となるのですが、そういったところを沿岸の災害公営住宅にも適用するような方向でいろいろ考えております。そういったさまざまな面で、少なくともストックを減らしていくような取り組みを考えているところでございます。
〇斉藤信委員 災害公営住宅に若者も入れる目的外使用も考えているということで、これはセットで来年4月から実施できるようにぜひやっていただきたい。
 その次に、私も2050カーボンニュートラルの実現に向けた住宅、建築物の対策について質問いたします。
 2030年までに、岩手県は2013年比で41%のCO2を削減する目標を掲げました。この目標にかかわって、住宅の断熱化を含めた省エネの目標を持っているのでしょうか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 まず、2030年に向けまして住宅の方向性の持ち方でございますけれども、本年8月23日に、先ほど答弁させていただきましたが、経済産業省、環境省、国土交通省の3省によりまして、脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方が公表されたところでございます。こちらによりますと、2030年までには、現在、県の住みたい岩手の家づくり促進事業ですとかでやっています省エネ基準をさらに引き上げるという方向性が示されております。
 2030年までにはもう間もなくというところもございますので、こちらにつきましては、国の動向も踏まえながら、どのように取り組んでいくかを、環境生活部とも連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 知事がいわて気候非常事態宣言を出して、そして、第2次地球温暖化対策の実行計画を出して、先ほど紹介したように、2013年比で41%削減、実はこれは低いのです。国連が世界に提起しているのは、2010年比で45%削減なのです。先進国は50%、60%やるべきだというのが国連の提起です。国の目標も低いけれども、残念ながら県の目標も低い。
 これは見直すという答弁がありました。それで大事なことは、県の目標を裏づける個別の具体的計画が必要なのですよ。私は、住宅での省エネ、断熱は、県民の暮らしにとっても、そして、省エネにとっても大変重要なポイントになると思っています。
 今、灯油代がどんどん上がっているではないですか。これが、断熱すると半分、さらにはゼロにすることもできるのです。国土交通省が8月23日に出した、遅まきながらですけれども、これは2030年まではZEHの基準ですね。2030年までにそういうレベルに引き上げると言っているのだから、本当にこれを具体化して、県土整備部としてどうこの省エネに貢献するのか、しっかり目標を持って―きょうは住宅の話だけしましたけれども、住宅だけでなくて、再生可能エネルギーでいけば別の課題もあると思います。
 そういう点で、これは部長に聞きましょう。私は、知事を本部長にした全庁的な体制が必要だと思います。これは県民参加でやらなければだめだから、県民参加の県民会議が必要だということを提案しました。まさに世界の重大問題、県政にとっても中心課題の一つとして、全庁挙げて、県土整備部挙げてこれは取り組むべきだと思いますが、いかがですか。
〇田中県土整備部長 全庁挙げてと、環境については、各部局それぞれかかわってくるということでありますので、全庁で同じ方向性を持ってということだと理解いたしました。
 その中で、県土整備部としてどう取り組むのかでありますが、委員御指摘のとおり、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、日本の最終消費エネルギーの3割を占めるのが民生部門でありますから、住宅の部分を強化するのが大事だと思っております。
 そういった意味で、木材利用の拡大あるいは省エネルギー住宅のさらなる普及といったところをまず柱にして県土整備部としては取り組んでいくということで、住宅部門の総合的な計画である岩手県住宅マスタープランの改訂作業をしていますので、その施策の1番目に位置づけようとしています。そういったところ、あとは目標を持って取り組むようなことで考えていきたいと思っております。
〇千田美津子委員 最初に、土砂災害対策について何点かお聞きしたいと思います。
 まず、土砂災害危険箇所の実態と整備についてお聞きしますが、土石流危険渓流、地すべり地域、急傾斜地地域など、それぞれ危険箇所の実態はどのように把握されているでしょうか。さらに、それらのうち整備が必要な対象箇所数、整備済みの箇所はどうなっているかお聞きいたします。
〇戸来砂防災害課総括課長 まず、土砂災害危険箇所の実態と整備状況についてでございますけれども、土石流、地すべり、急傾斜を含めました土砂災害危険箇所1万4、348カ所のうち、保全人家5戸以上などの要整備対象箇所3、994カ所に対する令和3年3月末時点の整備状況は、整備済みは521カ所、整備率は13.0%となっております。
 それぞれの内訳の整備状況でございますが、土石流につきましては7、198カ所のうち、要整備対象箇所数2、204カ所に対しまして、整備済みが215カ所、率にして9.8%、地すべりが191カ所に対しまして、要整備対象箇所数も191カ所、整備済みが17カ所で8.9%、急傾斜地が6、959カ所に対しまして、要整備対象箇所数が1、599カ所、うち整備済みが289箇所で、整備率が18.1%となっております。
〇千田美津子委員 本当に、危険箇所が岩手県の場合非常に多いなと感じました。そういう中で、整備が必要な箇所に対する整備した箇所が、土石流関係で9.8%、地すべり関係で8.9%、急傾斜地で18.1%、トータルで13.0%ということであります。
 皆さんには本当に頑張っていただいているのですけれども、やはりこれら危険箇所をこれからしっかり整備していくことが、安全という点でも非常に大事な課題ですが、今後の整備事業の課題をどのように捉え、また、今後の見通しをどのように持っておられるかお聞きいたします。
〇戸来砂防災害課総括課長 整備率に対する実情と今後の進め方についてでございますけれども、ハードの整備状況が13.0%と、数字上は高い数字にはなっておりませんが、ハード整備には多大な費用と時間を要しますことから、事業の実施に当たっては、被災履歴のある箇所ですとか、要配慮者利用施設が立地する箇所など、保全対象の重要性が高い箇所について優先的に整備を進めていきたいと考えております。
 いずれ、限られた予算の中で早期の効果を発揮するために、このような優先箇所を重点的に整備してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 この点、また後で触れたいと思います。
 次に、土砂災害警戒区域等の指定についてお聞きいたします。
 令和元年度末に、土砂災害危険箇所が当初1万4、348カ所ありまして、その基礎調査が全て終わって、県内では土砂災害が発生するおそれのある土地の区域は1万3、316カ所になりました。これも大変多いわけですけれども、これらの指定を一刻も早く進める必要がありますが、令和2年度末の指定の現状と、令和3年度に入り、現在までの指定はどの程度進んでいるかお聞きいたします。
〇戸来砂防災害課総括課長 土砂災害警戒区域等の指定状況についてですが、土砂災害警戒区域の指定が必要な1万3、316カ所に対しまして、令和3年3月末時点の指定状況は1万1、079カ所、その指定率は83.2%、また、土砂災害特別警戒区域の指定が必要な1万2、338カ所に対する指定状況は1万265カ所、その指定率は83.2%となっております。
 また、令和3年度の指定状況ですが、9月末時点におきまして、土砂災害警戒区域については169カ所増の1万1、248カ所、指定率については84.5%、土砂災害特別警戒区域が156カ所増の1万421カ所、指定率は84.5%となっております。
〇千田美津子委員 実は、2月定例会の際にお聞きしたときは、ことし1月末時点の指定が8、762カ所で、指定率が65.8%でした。また、土砂災害特別警戒区域は1万2、338カ所のうち、指定済みが8、124カ所で、指定率はやはり65.8%でした。ですから、今、御答弁いただきましたけれども、指定率が1月末の65.8%から、3月末では83.2%と17.4%も引き上げられたということで、コロナ禍の中でも本当に頑張っていただいたなと感じました。
 さらに、ことしになって9月末で84.5%まで進んだようであります。さらに今年度中にどの程度まで行く予定といいますか、見通しについてお聞きしたいと思います。
〇戸来砂防災害課総括課長 土砂災害警戒区域等の指定の見通しについてでございますけれども、現在、市町村の協力を得ながら、指定に向けまして、関係する住民等に資料を郵送するなどの作業を進めているところでございまして、令和3年度内に、全ての箇所の指定を完了するよう取り組んでまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 今年度中に全ての指定を終わらせるということで、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 今、多分盛んに市町村とやりとりしながら頑張っていらっしゃると思うのですが、県内市町村の指定率を見ますと、60%台、70%台のところが9市町村ほどあります。やはり沿岸地域が多いと思っておりますが、その対策を今年度中に全部終わらせるということですから頑張ってはもらうのですが、沿岸地域への対策については、どのように考えていらっしゃるかお聞きします。
〇戸来砂防災害課総括課長 沿岸地域におきましては、東日本大震災津波、それから平成28年台風第28号、令和元年台風第19号関係で甚大な被害を受けて、それらのハード対策事業に注力したこともありまして、指定がまだ進んでいない部分も実際のところございましたけれども、市町村の協力を得ながら、指定の加速化ということで、昨年度は住民説明会等も集合形式ではなかなかできなかったのですが、資料を直接住民の方に郵送いたしまして個別対応することで、周知の徹底を図りながら指定の作業を現在進めております。そういったことを引き続き行いながら、年度末に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 それでは、引き続きよろしくお願いいたします。
 そこで、全国では土砂災害警戒区域以外でも土砂災害がこの間、多発しておりまして、昨年、新たな指針が出されております。県としても、それらも加味しながら取り組みを強めていらっしゃると思いますが、それについてどのようにお考えかお聞きいたします。
〇戸来砂防災害課総括課長 土砂災害警戒区域内での災害発生に対する県の取り組みでございますが、国では、令和元年東日本台風等を踏まえまして、社会資本整備審議会に土砂災害防止対策基本指針の変更について諮問したところであります。
 この諮問に対する答申の中で、土砂災害警戒区域等に指定されていない箇所における課題について、基礎調査中であり土砂災害警戒区域等の指定に至っていなかったもの、また、基礎調査時に、より詳細な地形データを活用すれば抽出できる可能性があるもの、現在の土砂災害警戒区域等に該当しない箇所で発生したものに分類されたこと等を踏まえまして、国は、令和2年8月に土砂災害防止対策基本指針に、土砂災害警戒区域等の指定を早期に完了させ、土砂災害警戒区域等の認知度向上を図ること、土砂災害警戒区域等の指定基準を満たす箇所の抽出精度の向上を図るため、より詳細な地形データを用いることについて盛り込んだところであります。
 県といたしましては、基本指針変更を踏まえまして、土砂災害警戒区域等の令和3年度内の指定完了に向けて取り組むとともに、高精度な地形情報等を用いて、土砂災害の発生するおそれのある箇所の抽出に取り組んでまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 いろいろ配慮しながらぜひ頑張っていただきたいわけですが、そこで、土砂災害警戒区域等の指定をどんどん進めてこられて、本当に御苦労だったと思いますが、この後の部分で、指定後、市町村は、速やかに避難場所等の見直しを行い、ハザードマップに反映することが規定されております。
 問題は、住民に最も身近なこのハザードマップにどう反映されて、危険防止につなげることができるかだと思います。この点については、市町村とこれまでもさまざま連携されてきていると思いますが、よりこの点は連携が求められると思いますが、どのような状況にあるかお聞きいたします。
〇戸来砂防災害課総括課長 市町村等の連携につきましては、土砂災害警戒区域に指定した情報を速やかに情報提供いたしまして、まず、ハザードマップの更新を早期にしていただくといったところ、それから、住民周知のための土砂災害警戒区域の看板設置等について、市町村と連携しながら今取り組んでいるところでございます。
〇千田美津子委員 よろしくお願いします。
 次に、洪水浸水想定区域の指定について、指定の現状、今後指定すべき想定区域はどれくらいあるのか、また課題は何かお聞きいたします。
〇上澤河川課総括課長 洪水浸水想定区域の指定状況についてでありますが、想定最大規模の洪水浸水想定区域につきましては、令和2年度末までに26河川を指定しておりまして、令和3年度は、これまでに久慈川など7河川を新たに指定し、現時点で33河川が指定済みとなっております。
 平成29年度から令和3年度までの5カ年を計画期間とする洪水浸水想定区域指定5カ年計画におきまして、合計44河川の指定を目標としておりまして、今年度末までの残り11河川の指定に向けて、引き続き作業を進めてまいります。
 また、この浸水想定の課題についてでありますが、現在、今御答弁申し上げました5カ年計画に基づいた44河川の指定を終えた後、また、今年度、水防法も改正になりまして、その他の河川についても洪水浸水想定区域の指定を進めていくことになりましたものですから、今後、河川等について、沿川の人口などの状況を勘案しながら、優先度の高い河川から順次進めていくことになっております。
 改めて、課題としましては、浸水想定の作成につきましては、地形等の調査、あとは浸水域、浸水深を計算するための氾濫シミュレーションや市町村との調整等が図られることで、これらの作業に一定の時間と予算を要するということがあります。
 令和2年6月に国が示した小規模河川の氾濫推定図作成の手引き等による合理的かつ効率的な解析手法を採用し、必要な予算を確保しながら、そういった指定に向けて取り組んでまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 まず、当面は5カ年計画に載っている44河川を目標に頑張るということで、かなりの経費もかかわるわけですが、住民にとって大事な指定になりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
 次に、今定例会でも議論がありましたが、国道107号西和賀町の大石地区の地すべり問題と今後の見通しについてお聞きしたいと思います。
 国道107号西和賀町大石地区の地すべり問題と全面通行どめでありますけれども、これは、5月1日に、大雪と地震による地すべりが発生し、その夜から全面通行どめとなっております。
 そこで、9月6日に共産党議員団として現地調査を行いまして、県南広域振興局長や北上土木センター所長、西和賀町の建設課長等から説明を受けましたし、西和賀町長とも懇談いたしました。
 この間、国の専門家による現地調査あるいは技術検討会、さらには、今月20日には5回目の斜面変状情報連絡会議も開催されたようであります。年内には工事に着工したいと説明してこられたわけですが、どのような状況にあるのか、改めてお聞きいたします。
〇戸来砂防災害課総括課長 通行どめとなっております国道107号大石地区の現状についてでありますが、5月1日に、のり面の変状を確認して以降、国の助言を踏まえまして、地すべり範囲を推定するための調査を行い、この調査結果をもとに、来年春の融雪期の地すべり活動を抑制するための応急盛り土、早期交通確保のための仮設道路、国道の機能回復について、それぞれ検討を進めてきたところであります。
 このうち応急盛り土につきましては、現在、現地に重機を搬入し、盛り土のための準備工事を進めており、来月から盛り土に着手していく予定としております。
 また、仮設道路につきましては、仮橋案と盛り土案について施工上の課題や工程の検討を行いまして、来年の積雪期前の交通確保を見込むことができる仮橋案を採用することを、今月20日、大石地区の斜面変状情報連絡会議において公表したところであります。
 国道の機能回復につきましては、原形復旧を基本としつつ、あらゆる可能性を含めて検討を重ねているところでありまして、速やかに国道の復旧案を示すことができるよう、引き続き取り組んでまいります。
〇千田美津子委員 来月からは盛り土の工事が始まるということ、それから、20日の会議の中で仮橋案にすることが決定されたようであります。二つの方法の中で決定されたわけでありますけれども、供用開始は来年の積雪期前ということで、約1年後になるわけですね。
 それで、現在は代替路措置として秋田自動車道が無料になっているわけですが、このまま継続してもらえると思いますけれども、この見通し、それから、住民説明会が20日の会議前の10月14日に開催されたようでありますが、住民の皆さんの反応あるいは要望等はどうだったでしょうか。
〇菅原道路環境課総括課長 現在、通行どめになっております国道107号の代替路措置としての秋田自動車道の無料化の今後の見通しでございますけれども、この無料化につきましては、ネクスコ東日本株式会社が道路法に基づきまして、災害等により並行する国道等が通行どめになった場合の措置として実施したものでございます。
 これにつきましては、なお通行どめが続く状況の間につきましては、引き続き無料措置が継続されるものと認識しております。
〇戸来砂防災害課総括課長 住民説明会の際の住民の方々の状況ですけれども、今月14日に耳取地区で行いました住民説明会につきましては、応急盛り土工事の着手に当たりまして、その工事内容を説明したものでございます。
 工事の着手に伴いまして、大型トラック等、かなりの台数の重機等の交通量もふえるものですから、それらについて御説明いたしまして、住民の方々からは、まず、災害復旧工事ということで、工事については御了解いただいているところでございます。
〇千田美津子委員 わかりました。いずれ、地域の方々の要望等も反映させながら工事を進めていただきたいと思いますが、この間、西和賀町長からは、5月以降全面通行どめとなっていて、秋田自動車道が代替道路になっているけれども、秋田自動車道を使えない高齢者や女性もいる。それから、6年前にも8カ月間全面通行どめとなっているので、ぜひ抜本的な改良整備、トンネル化を検討してほしいとの要望を受けました。
 また、一般国道107号(川尻〜当楽間)改良整備促進期成同盟会からも、トンネル化を含めた抜本的な改良工事が要請されておりますので、これらについてもしっかりと検討すべきときだと思いますが、どのような状況でしょうか。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 西和賀町の川尻地区から当楽地区までの改良ということだと思いますけれども、この区間につきましては、延長が約13キロメートルございまして、川尻から道の駅錦秋湖付近までは、急峻な斜面とダムに挟まれた地形をしております。
 また、道の駅から当楽間の高低差が100メートルもございまして、非常に厳しい地形状況になっておりますので、この区間の改良には、長期的かつ安定的な予算の確保が必要となります。
 一方で、並行する秋田自動車道の北上西インターチェンジから湯田インターチェンジ間は、今年度から4車線化事業に着手されておりまして、この事業が進みますと、国道107号と秋田自動車道のダブルネットワークが強化されるものと考えております。
 このため、県といたしましては、国道107号を適切に維持管理しながら、通行の確保を図ることが重要であると認識しております。
〇高橋はじめ委員 今、国道107号の災害復旧工事について、千田美津子委員から質問がございました。私からも関連して何点かお尋ねしたいと思います。
 地元議員ということで、10月20日に説明は受けておりました。おおよその中身は承知しております。その上で、改めて確認も含めてお尋ねしたいと思います。
 まず、この間に国との協議ということで、国の専門家による現地調査、それから、国土交通省水管理・国土保全局防災課による現地調査と2回の現地調査がありました。ここでのさまざまなやりとりがあったと思いますが、現地の状況を見て、その時点で国土交通省の専門家とか防災関係からどういうお話があったのか、その点をまず1点お伺いします
〇戸来砂防災害課総括課長 5月10日と7月5日に国の専門家等に現地を確認いただきましたけれども、まず最初に、現地を見ていただいた際には、今回の地すべり現象の誘引について、どのようなものであったのかということで、国の専門家の意見としましては、ことしは積雪が多かったものですから、その融雪に伴う地すべり活動の活発化と、5月1日に地震があったこともありまして、そういったものが要因であるということを受けまして、地すべり対策を立てるために必要な調査の方法について、助言をいただいて調査を進めたところであります。
 それから、国土交通省水管理・国土保全局防災課につきましては、今後の災害復旧事業の進め方等について、現地での状況を確認いただきながら御指導いただいたものでございます。
〇高橋はじめ委員 計画によりますと、来年11月ごろまで仮橋とか仮設道路を建設して通行が可能なようにしていきたいという計画でございました。いただいた図面などを見ますと、道路から橋を渡るところは90度に直角になっている箇所があり、どうしてこう急に、90度になっているのかと思いがしました。それから、幅員が道路の部分で7メートル、橋で6メートルということで、相互通行が難しいので交互通行という話も聞いておったのですが、この辺はどういう形で通行できるのか。それから、安全対策についても並行して考えているのか、その点についてお尋ねしたいと思います。
〇戸来砂防災害課総括課長 まず、仮設道路の幅員につきましては、片側交互通行を基本として考えておりまして、仮橋の幅員につきましては、仮設構造物のために、必要最低限の道路機能の確保として1車線、車線の幅員でいいますと3メートルとしておりますが、豪雪地であることから、除雪可能な堆雪幅が必要であること、また、橋梁の形式が組立式となりますので、その部材規格によりまして2メートル単位での設定を踏まえまして、幅員を6メートルと決定しております。
 なお、道路部につきましては、橋梁部が1車線のために片側通行となりますことから、車両が滞留するスペースも必要なため、幅員を7メートルとして2車線を確保したものでございます。
 それから、橋梁部の安全対策等については、現在、仮橋の詳細設計も進めておりまして、その中でできる体制については検討してまいりたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 詳細についてはこれからということであります。そのことについては了解いたします。
 いずれ、この地区は大変な豪雪地帯でありますし、それから地吹雪の箇所であります。現道の国道107号でも、吹雪が下から吹き上げてくる通称ホワイトアウトという現象が発生する地域であります。そういう中で、橋の上で、例えば先が見えなくて、そこにとどまるということも想定していかなければならない。そうした場合に、通行できるのかどうかは、例えば前後に信号機があるとか、あるいは監視カメラをつけるとか、さまざまな安全対策をしていく必要があるのではないかと私は思っています。ぜひ、そのことも含めて、今後の通行の安全を確保していただければと思っております。
 それから、先ほど千田美津子委員から西和賀町長の要望の話もありましたが、ここは、先ほども説明がありましたけれども、急峻な山を途中で削って道路を建設した。しかも、建設当時、私は小学校の低学年でしたので、遠足で行って見た記憶があるのですけれど、それからすると60年ぐらい前にこの道路はつくられているのですね。ということは、斜面も、それから道路の下も相当軟弱になってきているということで、この前には土砂崩落が一部ありましたし、昨年は雪崩もありました。それで今回のこの件です。ということは、この路線全体を地形調査して、これ以上の問題や心配なところがないのかどうか、そういうことも一つはやっていかなければならない。対症療法的な災害復旧では、また何年かすると別の災害が起きることも危惧されるので、ぜひそのことも検討していただきたいと思っておりますが、その辺についてはいかがですか。
〇菅原道路環境課総括課長 委員から、昨年度も雪崩等の発生等、いろいろ御不便をおかけしている状況の中で、現在通行どめ区間の周辺を含めた地形等を調査すべきではないかというお話でございます。この点につきましては、国道107号全体ではございませんが、道の駅周辺から今の大石地区、いわゆる非常に急峻な地形の区間につきまして、現在、ちょうど木の葉も落ちた状況でございますので、委員が御心配になっているような危険な状況がないか、可能な限り調査するということで現在進めているところでございます。
〇高橋はじめ委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それから、先日、秋田自動車道のトンネルの中で事故がありまして、2時間から3時間ほど通行どめになりました。つまり、全面的に往来できなくなってしまったのです。秋田自動車道の4車線化ももう少し先になりますし、それから、こういった秋田自動車道での事故があったり、冬場の雪による通行どめがあったりしますと、全面的に往来ができない状況になるのです。
 そういうことを想定しますと、やはり恒常的に通行できるような体制をつくる、先ほどトンネルもありました、それから、JR北上線は錦秋湖の南側を通っております。そういったことを含めると、例えば、南側に道路を振って新しい国道107号をつくっていく、そういう考え方もあるわけであります。
 そういったことを含めて、恒常的に通行ができることを想定する、あるいは検討する委員会の立ち上げを、私はぜひ、県と国土交通省と共同で検討していただければと思っておりますが、その辺はどうなのか、部長にお伺いして、終わりたいと思います。
〇田中県土整備部長 国道107号については、利用者の方にいろいろ御不便をおかけしておりまして申しわけありません。いずれ、検討しているのは三つということで、一つは、崩れかかっている部分が来年の春先に崩れるような滑りが発生しないようにということで、今、応急盛り土をして工事が入っているところでありまして、先般の連絡会議で、仮橋案で進めさせていただくということでお示ししたところです。
 この工事につきましては、なるべく早く、製作工事、それから現地での工事という2段階になるのではないかと思っておりますが、そういった工事を早く進めるということで考えております。
 それから、国道の機能回復のための検討が今残っています。基本的に、地すべりの災害復旧工事を念頭に置いて国等と調整しておりますが、その中では、基本はやはり原形復旧、土を盛った上でアンカーを置くとか、そういったことになると思うのですが、全国のいろいろな事例を見ると、やはり原形復旧でやる場合は不経済になるとかいろいろな理由で、例えば橋を渡すとかトンネルを後ろに通すとかといった違う例もあります。そういった例も視野に置きながら、あらゆる可能性を含めて、今のとまっているところをどうするかといったところは考えていきたいと思います。
 今、委員から御指摘あったのも一つ大きい話でありまして、抜本的な改良のための検討はというところでありましたが、そこにつきましては、まずは、今検討しているところの結論を早く出していくことと、工事を進めていくことに注力させていただきたいと思っております。その次の課題として、国道107号の安全をどう確保するかといったところは、道路管理者としても課題として捉えていきたいと考えております。
〇小林正信委員 私から、河川や水利施設の関係者、河川流域の住民や行政が一体になって治水対策に取り組む流域治水について。これについては、佐々木宣和委員も取り上げられましたけれども、気候変動の影響を踏まえた対策としては重要なものだと思っております。
 県では、小本川流域にて取り組みを進めてまいりましたけれども、令和2年度の取り組みの状況についてお伺いしたいと思います。
〇上澤河川課総括課長 流域治水の取り組み状況についてでありますが、近年、激甚化、頻発化する自然災害から県民の生命や財産を守るため、流域のあらゆる関係者が、ハード、ソフト両面にわたり協働して取り組む流域治水を推進することが重要と認識しております。
 このため、流域治水に取り組む実施主体や対象、内容、工程等を示した流域治水プロジェクトについて、岩手県内では、一級水系を対象として、国がことし3月に、北上川水系、馬淵川水系、そして、二級水系を対象として、県で小本川水系を策定し、公表したところでございます。
 また、今年度は、この9月までに、甲子川水系、気仙川水系、久慈川水系、閉伊川水系の4水系で流域治水プロジェクトを策定したところでございます。
〇小林正信委員 特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律を受けて取りまとめられた流域治水推進行動計画、これは国のものですけれども、今後5年間の目標や進め方を含んだ内容になっておりまして、今後の治水計画や設計基準の見直し、事前防災の加速、防災、減災が主流となる社会の仕組みづくりが核になっております。
 こうした取りまとめ、計画も含めて、先ほど予定は少しお話になりましたけれども、今後の岩手県の取り組み、また、十分な予算確保の見通しは立っているのかお伺いいたします。
〇上澤河川課総括課長 流域治水今後の取り組みについてでありますが、流域治水のさらなる推進のためには、河川改修などのハード対策や洪水浸水想定区域指定などのソフト施策を進めるとともに、流域の多くの事業者や住民との協働、他の水系への普及が重要であると認識しております。
 このため、各水系のプロジェクト内容の住民への周知や各地域で防災活動に取り組む団体等の流域治水協議会への参画促進などを行い、流域治水の考え方やこれに基づいた行動等を全県に広げてまいりたいと思います。
 また、流域治水プロジェクトに関しては、この流域治水プロジェクト全体で幾ら幾らといった形の全体の事業費は掲げてございませんが、まず、県土整備部として、河川整備とソフト対策の予算の確保となっていくわけですが、この予算等につきましては、国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策において、激甚化する風水害から人命、財産の被害を防止、最小化するための流域治水対策が位置づけられていることから、県では、これを最大限活用しながら必要な予算の確保に努めてまいりたいと思います。
 また、国では今、一連の流域治水を加速するためのさまざまな行動計画等を出そうとしているのですが、いずれそういった動向等も踏まえながら、必要な取り組みを進めてまいりたいと思います。
〇小林正信委員 先ほど、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を十分に活用してとのお話でございましたけれども、まず、この5年間でスピード感を持って、早目早目に流域治水の取り組みを進めていっていただければと思っております。
 続いて、無電柱化の推進についてお伺いしたいと思います。
 今般、国土交通省は、2021年から2025年までの無電柱化推進計画をまとめました。自然災害が頻発する中で、電柱の抑制、無電柱化の推進は、防災対策として有効であり、計画的に進めていく必要があると思います。
 令和2年度における推進状況、また、無電柱化はコストがかかる部分が課題かと思うのですけれども、今後の取り組みを進める上での予算の確保についてお伺いしたいと思います。
〇菅原道路環境課総括課長 無電柱化の取り組み、進捗状況でございますけれども、岩手県では、今年度から令和7年度を計画期間といたします第2期岩手県国土強靱化地域計画におきまして、委員から先ほどお話しいただきましたとおり、電柱の倒壊による交通の遮断を防ぐための県管理道路の無電柱化を32キロメートル進める計画としておりまして、これまでに27.9キロメートルの無電柱化が完了したところでございます。
 また、令和2年度におきましては、国の補助事業を活用いたしまして、一般県道平泉停車場中尊寺線、平泉町志羅山工区で無電柱化の工事を進めたところでございます。
 また、一般県道矢巾停車場線、矢巾町の又兵エ新田工区―JR矢幅駅から医大までの付近でございますけれども、この間につきましては、国の令和2年度の第3次補正予算、いわゆる防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を活用いたしまして予算化いたしまして、今年度から工事に着手したところでございます。
 次に、予算確保の見通しでございますが、予算につきましては、先ほど河川課総括課長からも答弁がありましたとおり、昨年12月に閣議決定されました防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の中で、市街地の緊急輸送道路における無電柱化対策が位置づけられたところでございます。県といたしましては、この防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の予算を活用いたしまして、引き続き、無電柱化を進めていく必要があると考えているところでございます。
 なお、国から8月に示されました令和4年度概算要求におきましては、この防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策に要する経費は金額を明示しない、いわゆる事項要求とされております。無電柱化を初めとします道路整備に必要な予算確保について、今後とも、さまざまな機会を捉えまして国に働きかけてまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 先ほど、中尊寺の前の無電柱化を進めたということですけれども、これは、良好な景観をつくる意味でも、コロナ後の観光振興にも資するものかと考えておりますので、十分な推進をよろしくお願いいたします。
 次に、セーフティネット住宅について。住宅の確保に配慮を必要とする方たちの入居を拒まない賃貸住宅として、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律に基づき、基準を満たした住宅が自治体に登録できるとされております。
 令和2年度の住宅の確保状況についてお伺いしたいと思います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 セーフティネット住宅の令和2年度の確保状況についてでございますけれども、令和3年3月末時点で、県内におきまして7、567戸が登録されている状況でございます。
〇小林正信委員 これは通告していなかったのですけれども、住宅確保の目標とかはあるのか、また、県内の住宅確保要配慮者の方の大体の人数は把握していらっしゃるのかどうか、わかればお伺いしたいと思います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 セーフティネット住宅の確保目標につきましては、特に県として定めたものはございませんけれども、国で法制定の際に、17万戸ということで目標を定めておりまして、徐々に登録戸数がふえているということで、県も、平成30年度は2戸だったものが、昨年度末で7、567戸とふえてきている状況になっております。
〇小林正信委員 わかりました。住宅の確保が難しい方たちをサポートするために、県でも、居住支援法人を指定して取り組みを進めておりますけれども、この居住支援法人の皆さんの令和2年度の取り組み状況はどうだったのかお伺いしたいと思います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 先ほどちょっと答弁で漏れましたけれども、要配慮者の数につきましても、県では把握していない形になっております。
 要配慮者の方に向けました支援の取り組み状況ということでございますけれども、県では、平成23年度に岩手県居住支援協議会を市町村や福祉団体とともに設立させていただきまして、住宅確保要配慮者への支援を行っているところでございます。
 具体的には、協議会事務局などへの住まいの相談窓口の設置ですとか、居住支援に関するセミナー、情報交換会の開催、セーフティネット住宅の登録促進に向けた普及啓発等の取り組みを行っているところでございます。
 また、県の指定を受けました居住支援法人におきまして、住宅確保要配慮者に対しまして、住まい探しですとか家賃の債務保証支援、それから契約手続への立ち会いなどの入居前支援のほか、生活ルールの確認ですとか定期的な訪問などの入居後の支援も実施させていただいている状況でございます。
〇小林正信委員 東京都だと、セーフティネット住宅に東京ささエール住宅と愛称をつけて、さまざまな取り組み行って登録戸数が大幅に伸びているとのことです。居住支援法人と地域包括支援センター、NPO等のネットワーク強化、住宅確保要配慮者のコミュニティーへの参加支援など、きめ細かい居住支援サービスを行って、孤立、孤独の防止にも効果があるということです。
 岩手県においても、セーフティネット住宅の充実を進め、きめ細かいサービスを提供できる体制を構築すべきと考えておりますけれども、今後のセーフティネット住宅をめぐる取り組みの推進についてのお考えをお伺いしたいと思います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 県におけます今後の取り組みについてでございますけれども、県では、現在策定中の岩手県住宅マスタープランにおきまして、住宅確保要配慮者の居住の安定を確保し、誰もが生活の拠点となる住宅を確保することができる住宅セーフティネットの充実を掲げさせていただいております。
 具体的な施策といたしましては、先ほど申し上げました岩手県居住支援協議会ですとか居住支援法人によります取り組みを引き続き推進していくことのほか、岩手県居住支援協議会への市町村の加入促進ですとか、市町村居住支援協議会の設立を支援していくというような取り組みを進めたいと思います。
 また、福祉部門との連携によります住宅扶助費に係る代理納付の実施拡大ですとか、賃貸人及び住宅確保要配慮者に対する支援制度の活用促進など、住宅確保要配慮者の住居の安定確保に向けました取り組みを引き続き推進してまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 今、賃貸をする、要するに家主への支援というお話もありましたけれども、やはり、なかなか家主が貸したがならないという現実もある中で、こういった家主への支援も充実させていただきたいと思います。
 例えば、他県だと、見守り基金の設置費用を補助するとか、そういう取り組みがあるようですけれども、そうした点を通じてセーフティネット住宅の充実に取り組んでいただければと思います。
 最後に、自転車道、サイクリングロードについてお伺いします。
 令和2年度の維持管理、標識の整備等についてお伺いいたします。
〇菅原道路環境課総括課長 令和2年度の自転車道線の道路維持、修繕等の状況についてでございますけれども、県が管理いたします自転車道線は、一般県道盛岡矢巾自転車道線など3路線ございますが、定期的な道路パトロールを通じまして、各路線の舗装等、あるいは委員御指摘の標識等の劣化状況等を把握しているところでございます。
 このため、安全な通行の支障となります緊急性の高い箇所あるいは施設等を優先いたしまして、舗装修理等を実施しておりまして、令和2年度は、一般県道遠野東和自転車道線など約1、600メートルの舗装補修を実施したところでございます。
〇小林正信委員 やはり自転車が突っかかるような場所とか、あと草とか木が危ない場所も多いようですので、そのあたりの整備を引き続きお願いしたいと思います。
 自転車道の途中途中に休憩所とかトイレがありますけれども、こうした自転車道の休憩ポイント、拠点の充実も、多くのサイクリスト、自転車を楽しむ方にとって、楽しんでいただく上で重要と思います。また、自転車道付近のさまざまな施設への誘導なども重要かと思いますけれども、自転車道上の休憩拠点の充実についてお考えをお伺いしたいと思います。
〇菅原道路環境課総括課長 自転車道線の休憩ポイント等の充実についての御質問でございますけれども、いわゆるサイクリング拠点の整備ということでございますが、国の自転車活用推進計画におきましては、サイクリストの受け入れ環境の整備等によりサイクルツーリズム推進のため、道の駅をサイクリング拠点化することとされているところでございます。
 そういったことを踏まえまして、本県におきましても、ことし3月に策定いたしました岩手県自転車活用推進計画におきましては、道の駅へのサイクルラックの設置や自転車工具の配備等を促進いたしまして、サイクリストへ提供するサービスの充実を図ることを盛り込み、サイクリスト受け入れ環境が整備されている道の駅を順次整備する目標としているところでございます。
〇小林正信委員 先ほどサイクルツーリズムというお話がありましたけれども、これまでも庁内連携というお話もありました。今後、観光との連携が重要なのかなと思います。例えば、全国のサイクリストにワーケーションを活用していただくことも期待されるところと思いますので、関係人口をふやすとかサイクリストを呼び込む取り組みについても充実していただけるようお願いして、終わりたいと思います。
〇小西和子委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇小西和子委員長 質疑がないようでありますので、これで県土整備部関係の質疑を終わります。
 県土整備部、会計管理者及び監査委員の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次にお諮りいたします。当委員会に付託されました決算15件及び議案2件について、その意見の取りまとめの方法でありますが、この後、議会運営委員会室において世話人会で御協議願い、その結果を待って委員会を開き、結論を出すことにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇小西和子委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 この際、意見の取りまとめのため暫時休憩いたします。
午後2時40分 休 憩

午後7時12分 再開
〇小西和子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 決算15件及び議案2件に対する世話人会の意見を取りまとめましたので、その結果を御報告申し上げます。
 初めに、議案第28号令和2年度岩手県電気事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについて及び議案第29号令和2年度岩手県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについての2件は、それぞれ原案を可とすることといたした次第であります。
 次に、認定第1号令和2年度岩手県一般会計歳入歳出決算については、次の意見、すなわち、新型コロナウイルス感染症対策として、医療体制の確保、雇用対策、経済対策に適時適切に取り組まれたい。
 人口減少対策として、特に、若者、女性や非正規雇用の労働者の雇用環境改善に注力されたい。
 環境の変化に対応した農林水産業の担い手の所得向上につながる施策を実施されたい。
 岩手県中期財政見通しを踏まえ、事業の検証結果に基づいて事業の選択と集中を行いながら、限られた財源の重点的かつ効率的な活用に努められたいとの意見を付し、認定することとし、認定第2号から認定第15号までの14件は、認定することといたした次第であります。
 これより採決いたします。
 お諮りいたします。議案第28号及び議案第29号の2件について、一括して採決いたします。
 各案件は、原案を可とすることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇小西和子委員長 起立全員であります。よって、議案第28号及び議案第29号の2件については、原案を可とすることに決定いたしました。
 次に、お諮りいたします。認定第1号令和2年度岩手県一般会計歳入歳出決算については、先ほど読み上げました意見を付し、認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇小西和子委員長 起立多数であります。よって、認定第1号令和2年度岩手県一般会計歳入歳出決算については、先ほど読み上げました意見を付し、認定することに決定いたしました。
 次に、お諮りいたします。認定第2号から認定第15号までの14件について、認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇小西和子委員長 起立全員であります。よって、認定第2号から認定第15号までの14件については、認定することに決定いたしました。
 以上をもって当特別委員会に付託されました案件の審査は全部終了いたしました。
 委員各位の御協力に対し深く感謝を申し上げます。
 これをもって決算特別委員会を閉会いたします。(拍手)
午後7時16分 閉 会

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