令和3年9月定例会 決算特別委員会会議録

前へ 次へ

令和3年10月18日(月)

1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 枝   修
主任主査 藤 平 貴 一
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 鈴 木 貴 博
主査 阿 部 真 人
主査 刈 屋 江美子
1説明員
ふるさと振興部長 熊 谷 泰 樹
副部長兼ふるさと
振興企画室長兼
県北・沿岸
振興室長 箱 石 知 義
参事兼市町村課
総括課長 松 村   達
地域振興室長 小 國 大 作
国際室長 菊 池   孝
交通政策室長 高 橋 利 明
科学・情報
政策室長 松 本   淳
ふるさと振興
企画室企画課長 大 越 治 仁
学事振興課
総括課長 米 内 靖 士
調査統計課
総括課長 浅 沼 玉 樹
地域企画監 高 井 知 行
特命参事兼
地域振興課長 熊 谷 克 行
県北振興課長 本 多 牧 人
沿岸振興課長 及 川 有 史
地域交通課長 小野寺 重 男
空港振興課長 山 本 章 博
特命参事兼
科学技術課長 佐 藤   聡
情報化推進課長 木 村 幸 地

ILC推進局長 高 橋 勝 重
副局長兼事業
推進課総括課長 高 橋   毅
企画総務課
総括課長 箱 石 知 義
企画総務課
企画課長 大 越 治 仁
企画総務課
管理課長 金 野 賢 治
計画調査課長 澤 田   仁

会計管理者兼
出納局長 永 井 榮 一
副局長兼総務課
総括課長 藤 澤 良 志
入札課長 安 倍   均
会計課総括課長兼会計指導監 大 塚 貴 弘
審査課長 大 崎 誠 幸

人事委員会
事務局長 今 野 秀 一
職員課総括課長 藤 村   朗

監査委員 寺 沢   剛
監査委員 沼 田 由 子
監査委員事務局長 小 畑   真
参事兼監査第一課
総括課長 小 守 健 一
監査第二課
総括課長 佐々木 昭 司

警察本部長 大濱健志
警務部長 長谷川 信 栄
生活安全部長 玉 澤 賢 一
刑事部長 吉 田 良 夫
交通部長 田 村   剛
警備部長 石 川   康
警務部参事官兼
首席監察官 中屋敷 修 二
警務部参事官兼
警務課長 吉 田 知 明
警務部参事兼
会計課長 米 沢 寿 彦
生活安全部
参事官兼生活
安全企画課長 熊 谷 秀 一
刑事部参事官兼
刑事企画課長 大 沼 淳 司
交通部参事官兼
交通企画課長 板 垣 則 彦
警備部参事官兼
公安課長 仲 谷 千 春
総務課長 永 澤 幸 雄
交通規制課長 佐 藤   普

財政課総括課長 山 田 翔 平


〇小西和子委員長 これより本日の会議を開きます。
 この際、10月15日の総務部審査において、臼澤勉委員から依頼のあった、過去における政務秘書への道府県職員服務紀律の適用を踏まえた答弁の確認結果について、御報告いたします。
 データ検索が可能な平成7年度以降の会議録等においては、道府県職員服務紀律を用いた答弁は確認できませんでしたので、御報告いたします。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、議案第28号及び議案第29号の以上17件を一括議題といたします。
 本日は、ふるさと振興部、ILC推進局、出納局、人事委員会、監査委員及び警察本部関係について、延べ19人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は21分といたしましたので、議事進行に御協力をお願いいたします。
 なお、関連質疑については、その日の質疑の目安時間にかかわらず、関連質疑の目安時間を10分とすることにしておりますので、あらかじめ御了承願います。
 また、換気のため、これまでと同様に休憩いたしますので、御協力をお願いいたします。
 初めに、ふるさと振興部長にふるさと振興部関係の説明を求めます。
〇熊谷ふるさと振興部長 それでは、令和2年度のふるさと振興部関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、ふるさと振興部が所管する事務事業の総括的な取り組みと今後の取り組み方針について御説明申し上げます。
 当部では、東日本大震災津波からの復旧、復興に最優先で取り組むとともに、いわて県民計画(2019〜2028)のもと、ふるさと振興や社会基盤の整備など、県民の幸福度向上を図る10の政策分野に基づく施策を推進してまいりました。
 また、三陸や北いわてを初めとする新しい時代を切り拓くプロジェクトの関連事業のほか、ソサエティー5.0の実現に向けた情報通信技術の活用による地域課題解決の取り組みなどを積極的に推進してまいりました。
 事業実施に当たりましては、オンラインを活用するなど、必要に応じ新型コロナウイルス感染症対策を講じながら、効果的な取り組みとなるよう努めてまいりました。
 また、感染症への対応といたしまして、市町村が地域の実情に応じ実施する対策事業への補助や、公共交通事業者に対する公共交通の安全、安定した運行の維持の支援等を行ってまいりました。
 今後におきましても、引き続き、政策評価制度に基づきまして各施策の成果や課題等の検証を行い、その結果を新規施策の展開や既存施策の見直し等に適切に反映させていくなど、より効果的な政策の推進に努めてまいりたいと考えております。
 また、政策の着実な推進のため、新型コロナウイルス感染症への対応につきましても、引き続き取り組んでまいります。
 続きまして、決算の概要について御説明申し上げます。
 お手元の令和2年度岩手県歳入歳出決算書の12ページと13ページをお開き願います。ふるさと振興部関係の決算につきましては、2款総務費のうち、2項企画費、4項地域振興費の一部、5項選挙費及び7項統計調査費、それから、14ページ、15ページに参りまして、10款教育費のうち、1項教育総務費の一部、それから、16ページ、17ページに参りまして、8項大学費、9項私立学校費、11款災害復旧費のうち、4項教育施設災害復旧費の一部及び5項鉄道施設災害復旧費でありますが、これらの支出済総額は213億2、259万円余でございまして、翌年度への繰越額は2億3、041万円余、不用額は5億3、003万円余となっております。
 決算の内容につきましては、令和2年度歳入歳出決算事項別明細書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承をお願いいたします。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議のほどお願いいたします。
〇小西和子委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇高橋はじめ委員 私からは大きく2点お伺いしたいと思います。
 まず初めに、市民に必要なサービスの持続的な提供についてどのように捉えているのか。ことし3月でしたか報告が出ておりましたが、電子申請・届出サービスの利用促進、岩手県統合型地理情報システムの利用促進、県民向け情報公開用ウエブデータベースの利用促進、マイナンバーカードの利活用促進、四つぐらい上げられておりましたけれども、これについてお伺いしたいと思います。
〇松村参事兼市町村課総括課長 県民に必要なサービスの持続的な提供ということでございます。今、四つほど委員から御指摘いただきましたけれども、まず、人口減少なり少子高齢化が進んでいるところで、住民ニーズも非常に多様化しております。もちろん、住民に必要なサービスは、県と市町村が、それぞれの役割に応じて提供しているわけでございますけれども、市町村の役割はますます重要になっていると捉えております。
 行政サービスの提供に当たりましては、市町村の行財政基盤の強化あるいは自治体の連携、協働に取り組んでいく必要があると思っております。今、御指摘いただきました四つの視点、申しわけございません、ちょっとデータを持ち合わせていないのですが、マイナンバーの利用促進につきましては、いずれ県としても取り組んでいく必要があるということで、なかなか思うように進まないところもございますが、私どもとしても、市町村の担当者レベルの会議なども先日開きまして、それぞれ市町村間で情報共有しながら、先進事例などを参考にしながら取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇高橋はじめ委員 報告によれば、例えば電子申請、届け出等の件数は、2018年の現状値が1万1、500件、そして計画の目標値は、2020年に1万2、700件とあります。ところが2019年には1万5、270件、2020年には1万2、749件で、既に目標値を達成しているということでAランクの表示がありました。
 この数値自体がちょっと低かったのかなという思いが一つしましたし、それから、年度ごとに件数が違うのはなぜかという思いが二つ目。それから、それ以外の統合型地理情報システムや、県民向け情報公開用ウエブデータベース、マイナンバーカードの利用促進については指標が載っておりませんでしたので、この辺はどうなっているのかお伺いしたいと思います。
〇小西和子委員長 執行部は答弁できますか。
〇松村参事兼市町村課総括課長 失礼しました。
 まず、市町村課でマイナンバーカードの普及の指標を担当しておりますけれども、そちらからお答え申し上げたいと思います。
 マイナンバーカードの関係は、指標を今のところ設けていないところですけれども、いずれ今後、マイナンバーカードの普及は、市町村の行政サービスの提供にとって非常に重要なツールでございますので、積極的に推進してまいりたいと思っております。
〇高橋はじめ委員 第1期アクションプラン行政経営プランの報告を見てお尋ねしたわけであります。いずれ、デジタル庁が動き出しておりますし、必要なサービスをデジタルトランスフォーメーションでしたか、ちょっと舌をかむような言葉でまだなじみがないのですが、これらも活用していかなければならないし、さまざまな面で整備を図っていかなければならない。そういった意味では、現状をしっかりと捉えていく必要があるので、そのことからお尋ねしたわけです。
 そうすると、この電子申請・届出サービスや岩手県統合型地理情報システムというものは担当外ということですか。
〇松本科学・情報政策室長 電子申請・届出サービスと岩手県地理情報システムの所管につきましては、電子申請・届出サービスにつきましては、県の分は総務部が担当という形になります。岩手県統合型地理情報システムにつきましては、後ほど確認いたしまして御回答したいと思います。
〇高橋はじめ委員 わかりました。まとめて聞きたかったものですから、大変失礼いたしました。
 いずれ、この電子申請・届出サービスも岩手県統合型地理情報システムも、来年度においてシステムを更新するという記載もありましたので、これについてはどのような現状にあって、そして、システムを更新していくことについては、新しいバージョンになっていくのでしょうけれども、これに対する予算規模もこれから審議をしなければならないということで、その辺の構想もおわかりであればお伺いしたかったと思っておりましたが、所管でなければ、これはお答えできないのかもしれません。後ほど、わかる範囲内でお答えいただければと思います。
 それから、二つ目に、小規模自治体等に対する支援が必要な業務とその支援をどう進めるかについてでありますが、人口減少と高齢化の進行とあわせまして、各自治体もベテラン職員の退職あるいは特殊技能を持たれている方も退職しておりまして、再任用等もつなぎとしてはあるわけですが、根本的には長期間というわけにいきませんので、そういう面では、自治体運営も年々厳しいものになってきているのではないかということであります。
 特に、年々縮小していく自治体もあると推察されるわけでありまして、この辺をどのように捉えているかということと、それから、どのような支援を行うのか、その辺についてお尋ねしたいと思います。
〇松村参事兼市町村課総括課長 小規模自治体の関係でございますけれども、私どもが市町村から現状をいろいろ伺ったところ、やはり今、委員から御指摘ありましたとおり、ベテランの職員がいなくなっているということで、新人の職員の育成に非常に苦労されているところがございます。
 それから、いろいろな行政課題が複雑化しておりまして、それに伴う法令の事務ですとか、あるいは技術的な人材の確保、それから、最近全国で進められておりますが、公営企業での企業会計の導入等において、専門的なスキルが必要だというところでの負担感が強いというお話を伺っているところでございます。
 私どもとしては、今年度から、法令事務につきましては、岩手県立大学と連携いたしまして支援を始めたところでございます。それから、総務省でさまざまな専門分野でアドバイザー派遣事業を実施しておりますので、私どももそれを活用しながら、専門的な知識について、市町村の方と共有しながら事務を進めているところでございます。
〇高橋はじめ委員 本当に大変な状況にあるなと思っております。それぞれ自治体ごとに課題が異なるわけで、その課題に適切に対応していくためには、ふるさと振興部の役割が非常に重要ではないかと私は思っております。ぜひ、今後とも引き続ききめ細かな対応をお願いできればと思っております。
 それから、昨年も伺いましたけれども、市町村財政のコンサルティングを実施していると思いますが、市町村が抱える財政の課題は何か、それから、課題解決に向けた取り組みはどうなっているかということであります。
 使い勝手がよさそうに見えるさまざまな制度、しかし、後年度においてじわじわとその厳しさが増してくるものとして、臨時財政対策債あるいは過疎債といったものがあって、これは、最初の使い勝手はいいのですけれども、だんだんに、2年、3年たって、町あるいは村の収入がどんどん減ってくる。その際に、今度、当初と返済の仕方がどんどん変わってくるということで、これは、導入に対しては慎重にやっていかなければならないところであります。
 地方自治体の財源は、地方税、地方交付税など地方債以外の財源で賄うことを原則としているわけでありまして、そのことを忘れて赤字公債を積み上げていくことについては、若い世代に負担を持っていくということで、これも大変厳しいわけでございます。
 首長ですと、選挙公約に華々しい政策をいっぱい掲げて、当選後はそれをやっていくということで、それはそれでいいのかもしれません。ただ、その自治体の財政状況をしっかり分析しながら、そういう政策あるいは公約を実現していただければいいのですけれども、その辺のところを誰も指摘できないというか、それぞれ議会で予算を検討しているわけですから、議会でその役割を果たしていければいいのですが、なかなか国の制度とか県の制度となると、それぞれの議会では理解しがたいところもあるのかもしれません。その辺では、県で、やはり適正な自治体の財政規模に合った事業を展開していくべきであるし、それとなく指摘をしていかなければならないと思っていますが、その辺についてはどのようにされておりますか。
〇松村参事兼市町村課総括課長 市町村財政のお尋ねでございました。やはり市町村それぞれ、住民の方々のいろいろな御要望などに応じて、さまざまな事業を展開していくことが必要です。そうした中で、先ほどお話がありました過疎債のような、さまざまな起債をしていくというところも、当然ながら一つの手段であると思います。
 起債自体は、例えば公共施設の整備などでは、将来世代との負担の平準化とか、あるいは財政への負担の平準化といったところに、中長期的に見ればメリットもあるわけでございますので、いかに公債費をコントロールしていくかが一番大事かと思っております。
 私どもも、先ほど市町村財政コンサルティングの中で、財政の見通しのヒアリングということで、今後の大規模事業の予定ですとか、どういった財源を充てていくかといったところをヒアリングしながら、毎年度確認をして進めているところでございます。
 こうしたところで市町村の財政的な部分もしっかり見ながら、助言をしてまいりたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 いずれ、先ほども申し上げましたが、それぞれの市町村で後年度に大きな問題とならないように、ぜひ、県は県の立場で適切なアドバイスをやっていただければと思っております。
 二つ目に、地域おこし協力隊についてであります。
 県外から岩手県にお越しいただいて、それぞれの地域で頑張っていただいておりまして、私も、大変すばらしい制度だし、そういう意欲を持って岩手県に来ていただくことは大変ありがたいことだと思っております。また、大事にしていかなければならない、そんな思いもいたしております。
 地域おこし協力隊の起業化支援事業として当初予算は290万円見ておりました。地域づくりの新たな担い手である地域おこし協力隊の定着に向けたセミナーを開催するほか、隊員の受け入れ拡大に向けた受け入れ担当者のレベルアップを図る研修会等を開催ということでありましたが、コロナ禍でなかなか予定している事業もうまくいったのかどうかというところもあるのですが、このような中で、令和2年度は当初の予定どおり進んだのかということを最初にお伺いしたいと思います。
〇熊谷特命参事兼地域振興課長 昨年度の事業でございますけれども、起業セミナーあるいは活動の状況を皆さんに知っていただくような発表会を事業として予定しておりました。残念ながら、対面での実施はできなかったのですけれども、オンラインを活用して、例年どおり、いろいろな情報の発信とか起業された方の体験談を聞くとかいったことはできたと考えております。
〇高橋はじめ委員 令和2年度の隊員数、市町村分布、それから活動状況については、大体どんな状況になっているか、概要で構いませんのでお願いしたいと思います。
〇熊谷特命参事兼地域振興課長 総務省の調査によりますと、令和2年度では29市町村で187名の隊員が活動しております。
 隊員の活動分野といたしましては、ホップ生産や漆かき技術の習得を初めとした農畜産業、林業、漁業への従事、体験型観光コンテンツの開発や教育旅行の誘致などの観光資源の企画、開発などに関する活動、それから、地域や地域産品の情報発信、PRに関する活動、都市部からの移住、交流促進に関する活動など、多様な活動を行っております。
〇高橋はじめ委員 9月1日の総務委員会で、地域おこし協力隊の取り組みについて調査されていました。この資料を見ますと、多いところでは、盛岡広域振興局管内で46人、県南広域振興局管内で36人、沿岸広域振興局管内で69人、県北広域振興局管内で36人ということで187人とありました。一番多いのが陸前高田市で20人、次に盛岡市15人、釜石市13人、遠野市と岩泉町が12人。ゼロというのが、金ケ崎町、平泉町、大槌町、九戸村、1人というのが普代村、軽米町ということで、多いところは20人ぐらいなのですけれども、ゼロとか1とかというところもあります。人数差の偏り、これは、単に希望者がその地域を選ばなかったのか、それとも、それぞれの市町村のそういう働きかけが少し足りなかったのか、どうして地域的な偏りがあるのかお伺いしたいと思います。
〇熊谷特命参事兼地域振興課長 9月1日の総務委員会の資料の中で、市町村ごとの人数を記載させていただいております。このうちゼロという市町村でありますけれども、今年度に入りまして採用を行っているところが3町村ございます。依然としてゼロというのが県内では1町ございますけれども、市町村の偏りの部分につきましては、市町村で地域おこし協力隊を受け入れて、それぞれ活動していただくに当たって、どういった分野にするかとか、さまざまなフォローの体制をどうするかといったことがございます。現在、市町村では、引き続き地域おこし協力隊を採用いたしまして、来年度以降も地域活動に当たっていただきたいと考えていると伺っておりますが、市町村のそういった準備状況の中で人数の多い少ないがあると認識しております。
〇高橋はじめ委員 令和3年度の現状は今答弁がありましたが、令和3年度と令和4年度の状況について、現在わかっている範囲内でお伺いしたいと思います。
〇熊谷特命参事兼地域振興課長 当室で8月1日現在で市町村に聞き取りを行ったところでは、7月までに退任した方も含めまして、今年度活動している方が176名となっております。それ以降も市町村で募集を行っているという状況を確認しております。
 また、来年度の見通しにつきましては、現時点では市町村の募集計画等の情報はございませんけれども、先ほど申し上げたとおり、市町村との意見交換等を通じましては、引き続き地域おこし協力隊を採用して、地域おこし活動を行っていただきながら、地域への定住、定着を進めていく意向であることを確認しております。
〇武田哲委員 まず、今回は岩手県立大学の運営の点について何点かお伺いしたいと思います。
 コロナ禍における岩手県立大学の就職状況、地元就職とか県外就職とか、そういったところについてどのように今回評価されたのか、その点について最初にまずお伺いいたします。
〇米内学事振興課総括課長 岩手県立大学のコロナ禍における就職状況についてでございますが、令和2年度末の岩手県立大学卒業生の就職率は、4学部の合計で96.8%となっており、前年度から1.7ポイント下回っているところでございます。
 また、県内の就職率につきましては、4学部の合計で41.3%となっており、前年度を5.6ポイント下回ったところでございます。
 また、学部別の県内就職率を見てみますと、看護学部では45.3%と前年度から1.8ポイント増加しておりますが、社会福祉学部は55.7%と5.4ポイントの減少、ソフトウェア情報学部は16.5%と10ポイントの減少、総合政策学部は51%と10.2ポイントの減少となっているところでございます。
〇武田哲委員 今回9月定例会で沿岸部の女性の定着率といいますか地元就職についてもさまざま質疑があったわけですが、岩手県立大学宮古短期大学部の就職率が、令和2年度大体62%、あと、盛岡短期大学部は72%です。その点についてどのように評価されておりますか。
〇米内学事振興課総括課長 岩手県立大学の短期大学部につきましては、4年制大学と比較しまして例年高い傾向がございます。盛岡短期大学部、宮古短期大学部とも4年制大学に比較しまして高い傾向にございまして、盛岡短期大学部は前年度と比較しますと5.9ポイント増でございます。それから、宮古短期大学部につきましては、逆に4.9ポイント減ということで、4年制大学よりは高いのですけれども、トータルでは平年並みの形です。宮古短期大学部のほうがちょっと低くなったのですが、やはりコロナ禍の影響などにより買い手市場になってきている、あとは、職種によっては採用控え等がございますので、そういうところで例年よりは若干下がっているというのが、短期大学部も同じ傾向が出てきているかと思っております。
〇武田哲委員 ここ数年の就職率全体を見てみますと、地元就職に関しては、高く上がるとか低くなるとか余り動きがないのですね。大体同じで、盛岡短期大学部は平均で見ると70%を切るぐらい、宮古短期大学部は60%半ばぐらい。あと、看護学部は半分に行かない40%台。それから、社会福祉学部は約50%と。ソフトウェア情報学部がポイント数で見ると随分上下があるわけですが、ソフトウェア情報学部は昨年度に比べて10ポイント下落ということですけれども、県外がこれくらい多いところはどのように評価していますか。
〇米内学事振興課総括課長 ソフトウェア情報学部の県内就職率が低迷しているというところでございますが、ソフトウェア情報学部卒業生の県内就職率は、近年5年間では約16%から26%の間で推移しております。令和元年度の26.5%が最高の県内就職率になっております。一方で、県内出身者のうち県内に就職した学生の割合は、5年間では30%から45%程度となっております。
 他の学部と比較しまして県内就職率が16%から26%の間となっている要因でございますが、いわゆる第4次産業革命、IoT、ビッグデータ、AIとかロボットという急速な進展によりまして、首都圏におけるIT人材の需要増大とそれに伴う深刻な人材不足があると考えております。
 近年、製造業、情報通信産業にとどまらず、金融、保険業、飲食、宿泊業とあらゆる産業にIT技術の導入が進んでおりまして、県立大学に対しましては、全国の企業から多くの求人が寄せられております。そうした中で、学生の希望にかなった業務の選択可能性ですとか、給与、休暇等の待遇面、それから、専門性レベルアップのための研修体制等においては、首都圏の大手企業等が有利になっております。魅力があるということでございまして、学生の人気もそちらに集まっているということで、県外へ就職する学生が多いことが、卒業生の県内就職率低迷の要因の一つであると考えております。
〇武田哲委員 学生の希望、そして県内の企業のさまざまな求めるスキルもあると思います。しかし、その中で、せっかく県内でもさまざま、キオクシア岩手株式会社もできたり、そして金ケ崎町の自動車関連の企業もあります。そうしたときに、こういった学生が県内でどう学んだことを生かしていくかというところについて、県内の企業と、そしてソフトウェア情報学部に関してのマッチングは、どのように取り組んでおられるのかお伺いします。
〇米内学事振興課総括課長 ソフトウェア情報学部につきましては、県内の企業等と例えば共同研究をしたり、あとは、IPUイノベーションパークがございまして、立地企業等が入居しております。そこの企業の皆様から課題を大学のほうにお出しいただいて、学生と少人数で実際の産業課題について研究をする。あとは、情報産業の皆様60社で組織している会がございして、こちらと交流会をしたり、地元の優良な企業と近くで接する場を多く設けて、地元企業への理解促進を図っていただいて、近いところで地元の企業の顔が見える形で、できるだけその先でスムーズに企業に就職できるような形で取り組んでいるところでございます。
〇武田哲委員 今のところは次の質問の答えになるところかなと思っていたのですが、まず、実際に地元で就職すること、そして岩手県の魅力、例えば県内の学生だけが岩手県に残るのではなくて、県外から通っている学生も、岩手県の魅力をしっかり感じながら県内の企業を選んでいただきたいと思っています。
 そうしたときに、学生生活の中でどういったことをこの地元で、この岩手県で働くこと、そして、岩手県に自分の仕事を見つける価値といいますか、そこのところはどのように授業の中で取り入れられているのか、端的にお願いいたします。
〇米内学事振興課総括課長 ソフトウェア情報学部ですと、今申し上げたような、実地に地元の企業と共同で研究したり、課題をもらってやるというようなところですとか、あとは、看護学部等ですと、県内の病院に実習に行くとか、社会福祉学部もそうでございますし、あと、インターンシップを選択科目の単位化して、できるだけ企業との接点を持つようなところを、日ごろの授業の中で単位化するというところで取り組んでいるところでございます。
〇武田哲委員 先ほどからお話を伺っていて、岩手県で暮らしていく、県内の企業と学生をしっかり結ぶということ、ずっと数字的にほとんど変わりがないのですね。そして、特にソフトウェア情報学部は低い値、総合政策学部もそのとおり、かえって県内就職が下がっているような状況も見られます。
 そうした中で、今後どのように地元で働く、そして地元の企業と結ぶ、ましてや宮古市、沿岸部は数字が低くなりましたではなくて、今後どんなふうに考えていくのか。沿岸部から、そして沿岸部だけでなく、県内の企業との連携をどのように考えていくのかというところをお答えいただきたいのですけれども、その点についてお伺いいたします。
〇熊谷ふるさと振興部長 県立大学の就職率のお話は、委員に御指摘いただいたとおりでございまして、ずっと引き続いている課題だと思っています。
 ソフトウェア情報学部に関連して申し上げますと、商工労働観光部で、ことし3月にいわてIT産業成長戦略を策定いたしまして、IT企業の誘致拡大のほか、ものづくり産業との連携といった形で県内のIT事業、DXを推進するといったところで、ものづくり産業自体の魅力と裾野の拡大を図ります。
 それから、私ども、今年度、高等教育機関、産業経済団体で構成するいわて高等教育地域連携プラットフォームを設立したところでございます。これまで高等教育機関だけの集まりはあったのですが、産業界が入るのは初めてでございます。そういった中で、いわゆる産業界、地域のニーズを踏まえた人材の育成であるとか、地元定着とか、行政も入って一緒になって考えていくこととしております。そういった裾野の拡大の状況も踏まえまして、企業、業界団体と連携しながら、学生にとって魅力ある就職先を創出し、また、我々はそれをつなぐ役割を果たしていきたいと思っております。
〇武田哲委員 いずれにしましても、看護学部とか、いろいろな学部があります。岩手県立大学のホームページに掲載されている盛岡短期大学部の就職先を見ると、平成28年まで、あるいは平成29年までの就職先がまず目に入る形になっています。学生がどこに就職できるのか、どんな動きがあるかをホームページでもしっかり見せていかなければならないと思います。確かに、ここをクリックすると令和2年度の就職先が見られますとはあるのですが、一番目に飛び込んでくるところが平成28年で終わっている、あるいは平成29年で終わっているというホームページの構成も、今後しっかり見直しながら、そして、地元にどうやって若い人たちを定着させるかを課題に据えてやってもらいたいと思います。
 次、2点目ですけれども、県内企業との連携です。学生の向学心のための、そういった企業との連携です。学生の県内企業と県外企業との割合はどうでしょうか、その点をお伺いいたします。
〇米内学事振興課総括課長 企業との連携につきましては、私どもが承知しているところでは、IPUイノベーションパークに立地している企業と連携しているところで、県外の企業と連携しているところは、ちょっと承知していないところでございます。
〇武田哲委員 さまざまな企業とのマッチングもあると思いますけれども、やはり岩手県立大学でさまざまな学部をそろえている中で、県内だけではなくて、広く県外の企業と連携することも考えていかなければ、学生も、こういった企業とこんな活動ができたというところまで行かないと思いますので、その点も今後の課題として取り組んでいただきたいと思います。
 3点目ですけれども、短期大学部も含めてですが、大学の運営状況、課題と評価について端的にお願いいたします。
〇米内学事振興課総括課長 岩手県立大学の課題、評価についてでございますが、今定例会に御報告申し上げております第3期中期目標の終了時見込業務実績評価報告書では、教育、研究、地域貢献等7項目ございまして、7項目全てB評価以上ということで、8割以上で、おおむね目標達成が見込まれるという評価が出ております。
 県としても、おおむね計画どおり進められているものと認識しております。
〇武田哲委員 各学部の受験者数を見たときに、短期大学部は随分低くなっていますね。そこのところはどのようにお考えですか。
〇小西和子委員長 執行部は答弁できますか。
〇武田哲委員 では、後でいいです。
 運営の中では、やはり受験者数にしっかり着目しながら、その大学の評価ですから、そこのところは一番大事なところではないかと思います。
 特に短期大学部は、運営の中で学生がどうやって暮らしていくか、それからあと、キャンパスライフだけではないのです。アパートであったり寮であったり、さまざまなところ、そして通学の面とか、そういったところまで含めて大学の評価となるわけですけれども、短期大学部の盛岡市中野にあるひめかみ寮は、すごく古いですね。昭和57年につくられたものです。あそこの寮は耐震化されていますか。
〇米内学事振興課総括課長 ひめかみ寮の耐震化でございますが、現行の基準は現在満たしていない状況でございまして、今後の対応としましては、次期大規模施設整備計画が令和5年度から6年間、次期県立大学の中期計画とあわせて整備計画を策定する予定でございまして、その中で実施等について検討していくと聞いております。
〇武田哲委員 今、短期大学部向けに寮が置かれているようです。一般の4年制の寮は今後建設あるいは考えていく予定はあるでしょうか。
〇米内学事振興課総括課長 現時点では、そういう計画は聞いておりません。
〇武田哲委員 いずれにしても、今の学生は、それぞれの家庭環境があります。短期大学部について、特に見てみたのですが、ひめかみ寮も、外から見たらかなりひどい。若い女性たちが行くような、ここで暮らすのかという、外から見てもさびだらけ。おまけに色もすっかりさめて、ここで暮らしていることについて、学生たちはどんな気持ちでいるのかと思います。
 いずれ耐震化基準も満たしていない、今後直していくということですけれども、盛岡市中野からキャンパスまでバスで通う。冬場など、1限目に間に合わない生徒がかなり続出しているようなのです。
 今後、建設場所もしっかり考えて、大学周辺につくるとか、また、大学周辺ではさまざまな施設も売りに出たりしているようです。本当に建設単価、コストといった両面も含めて考えていただきたいと思いますが、その点をお答えいただきたいと思います。
〇米内学事振興課総括課長 委員御指摘のとおり、ひめかみ寮は設置から相当年数経過して、著しく老朽化しております。あと、岩手県立大学も開学から二十数年たっておりまして、いろいろなところで大規模修繕がございますので、それらも合わせまして、ことし、来年、次期大規模施設整備計画の策定作業に入りますので、御意見をいただきました点も踏まえて検討していきたいと思います。
〇吉田敬子委員 先ほどの武田哲委員の質問とかぶらないように質問させていただきます。岩手県立大学についてお伺いしたいと思います。
 県内の就職率が依然として伸び悩んでいるということで先ほど武田哲委員への答弁でもありましたけれども、看護学部45.3%、社会福祉学部55.7%、ソフトウェア情報学部が16.5%、総合政策学部が51.0%ということで、特にソフトウェア情報学部が16.5%と、過去10年でも最低ではないかと思っております。
 学部ごとの県内就職率は伺いましたけれども、県内就職促進の取り組みについて先ほども御答弁いただきました。そこで、さまざま県で取り組みはされておりますけれども、現在、学生数を見ると、ソフトウェア情報学部の学生が今年度は721人、看護学部が367人、社会福祉学部が417人、総合政策学部459人と、ソフトウェア情報学部の学生数が一番多いわけですが、その中で県内就職率が依然として一番低い現状は、やはり大きな課題だと認識しております。
 先ほどの答弁の中で、いわてIT産業成長戦略、これは商工労働観光部で取り組まれていると伺いましたけれども、その事業内容、そして商工労働観光部で人材育成等の内容の相違をどのように県として認識しているかお伺いしたいと思います。
〇米内学事振興課総括課長 岩手県立大学は人材育成が使命でございますので、その使命に向かって学生教育をしているところでございます。
 あと、県内の企業が求める人材との連携といいますか、そこが必要だと思いまして、先ほどふるさと振興部長が申し上げましたとおり、新たに高等教育機関との連携プラットフォームを立ち上げております。県としましては、県内就職率の向上に向けてという課題をその中で当然県、大学、産業界も入っておりますので、どんな形でやればいいかというのを今までもやってきていますが、これまでのデータを踏まえて、大学側からの新しいアプローチというところで、産業界とやるということで今検討を始めているということです。今までも取り組んでいますけれども、従来、結果としてなかなかいいデータが出てこないというところで、新たな手法の取り組みも始めようとしているところでございます。
〇吉田敬子委員 ぜひ、今回、商工労働観光部で産業育成、成長戦略の概要ということで資料もいただいたのですけれども、県が進めるものづくり産業に力を入れていくところと岩手県立大学での学生への授業内容が、ミスマッチとまでは行かないのですが、学生が求めているものと県が進める産業人材育成のところが、若干ずれているところがもしかしたらあるのではないかと。10年間もずっと20%台とこんなに低位にある中で、例えば学生に対するアンケート調査とか、具体的にそういったことに取り組まれているのでしょうか。
〇米内学事振興課総括課長 学生からの声は我々は今承知していないところです。大学でいろいろな面でお聞きしているものはあると思いますけれども、済みません、今、我々の手元にはございません。
〇吉田敬子委員 商工労働観光部のいわてIT産業成長戦略の中にも、岩手県立大学の県内定着が課題だということが書いてあります。先ほどのふるさと振興部長の御答弁からも、今後、商工労働観光部としっかり連携をとっていくというお話でしたけれども、この中にも県内定着を推進するために、奨学金返還支援を行っていくと書いてあります。岩手県立大学の奨学金制度を利用している方々の現状について、どのように捉えているかお伺いしたいと思います。
〇米内学事振興課総括課長 岩手県立大学で日本学生支援機構からの給付の奨学金または貸与の奨学金を受けている学生は、おおむね過去3年ぐらいの推移を見ますと、全体の在籍者数に対しまして52%から55%程度の学生が、何らかの貸与または給付を受けている状況でございます。
 やはり商工団体と連携して、就職した場合の奨学金返還に対する給付の制度を設けておりますので、そういうニーズは岩手県立大学の学生の今の奨学金の状況からいくと必要だと考えております。
〇吉田敬子委員 岩手県立大学のほぼ全ての学部で6割程度が奨学金を利用しているという資料もいただきました。商工労働観光部で奨学金返還支援制度をやっておりますけれども、では、もしかしたら資料が今ないかもしれないですが、岩手県立大学の学生で奨学金返還支援制度の利用者数を把握していますでしょうか。
〇米内学事振興課総括課長 今、手元にはございません。
〇吉田敬子委員 こういった返還支援制度があることを、もしかしたら知らない学生もいるかもしれないと思っております。県内定着のためにさまざまな取り組みはされておりますけれども、依然として低い現状は、何とか県内定着していただくような取り組みにしていかなければいけないと思っておりますので、先ほど武田哲委員への御答弁ではいただきましたが、しっかりお願いしたいと思います。
 もう一つは、ひめかみ寮の件につきましても先ほど武田哲委員からありました。私もこれまで何度か取り上げさせていただいておりますけれども、利用者の学生から、これまでも、今あるひめかみ寮は、もともとは旧岩手県立盛岡短期大学が旧跡地にあったときの寮なわけで、岩手県立大学の寮としてつくられたわけではありません。学生の内訳を見ますと、今、定員が42名なのですが、半分が短期大学部の学生、半分は4年制大学の学生ということで、岩手県立大学の学生も利用されております。
 学生からは、立地場所について、先ほど武田哲委員からもありましたけれども、バス通学の便、食事の提供のあり方も、職員がいなくなってしまった後に、結局は自分で食べなければいけないような現状になっているということもことしになってお伺いしております。次期大規模施設整備計画を策定中ということでありますけれども、改めて、県の認識と今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇米内学事振興課総括課長 ひめかみ寮についての認識と今後の取り組みでございますが、委員御指摘のとおり、ひめかみ寮は、旧岩手県立盛岡短期大学の学生寮として整備されました。昭和57年の竣工でございまして、平成10年の岩手県立大学開学後は、現行の盛岡短期大学部の女子寮として学生の居住面の支援を行ってきたところでございます。
 また、今、委員からお話しがございましたとおり、処遇面の改善ということで、平成29年に2人部屋から1人部屋への改修をしております。また、温水ボイラー等の更新による居住環境の改善を図っておりまして、現在、42人の定員に対して38人に入居していただいているところでございます。
 ひめかみ寮について生活面で二つほどお話をいただいております。一つは場所についてでございまして、旧岩手県立盛岡短期大学の学生寮であったということで、今、盛岡市中野にございますが、現在の岩手県立大学からは離れているというところで、先ほどもお話がございましたけれども、バスの便につきましては、バス事業者に要請しまして、朝の1便増便をお願いして御対応いただいているところでございます。
 あと、食事につきましては、調理師がことし1月に急遽おやめになりまして、後任を探すのに大変苦労したということで、夏休み前まではお弁当の対応になっておりました。夏休み明けに何とか対応できないかということで、受託業者といろいろ方策を考えまして、9月末、実質的に学生が戻ってきた夏休み明けからの対応、9月末からは新しい調理師を確保できまして、学校の始まりに合わせて対応して、食事は通常どおり提供できるようになったと聞いております。
 あと、今後の整備状況でございますが、先ほど武田哲委員からもございましたとおり、ことし、来年で策定する令和5年度から6年間の次期大規模施設整備計画に合わせまして、ひめかみ寮の整備等につきまして検討していくことで考えております。耐震改修するのか、もしくは滝沢市方面で適地に移転するのかを含めまして、ここ2年ぐらいで検討することで考えております。
〇吉田敬子委員 これからの検討ということですけれども、やはり立地場所として岩手県立大学から離れている場所にあるということで、学生は、本来は学業が専門ですけれども、アルバイト等もしている学生も多い中で、学校へ行って、アルバイトに行って、寮に帰ってと、それぞれの拠点がさまざまある中で大変だなと思います。学生の親御さんには、寮に入っていることでの安心感もあるというお話も聞いております。現状では4年制大学の学生にも需要があるということでありますので、寮について、ぜひ、立地も含めて、しっかり取り組んでいただきたい。先ほど取り上げました就職の県内定着についても、もちろんソフトウェア情報学部のときは商工労働観光部もかかわってきますが、看護学部、社会福祉学部、総合政策学部を含めてしっかり県内定着につながるような取り組みをしていただきたいと思います。所感をお伺いします。
〇熊谷ふるさと振興部長 今、委員から御指摘いただきましたひめかみ寮も含めまして、岩手県立大学も開学して二十数年たっていますので大分老朽化が進んできております。先ほど学事振興課総括課長が答弁しましたとおり、ひめかみ寮も含めた全体のいわゆるメンテナンスというか、効率的、効果的にどう施設を運営していくかという部分も含めまして今後検討に入ることにしております。その中で、岩手県立大学と連携しながら私たちも考えてまいりたいと思っております。
 それから、就職率の関係、先ほど高等教育地域連携プラットフォームをつくって、高等教育機関と商工団体が一緒になって考えていくというお話をしました。そのほかに、毎年、岩手県立大学と県の関係部がテーマを決めまして意見交換する場面があります。当然、県内就職率につきましても重要な課題でございますので、そういったことで岩手県立大学の担当学部、看護師であれば保健福祉部、IT部分であれば商工労働観光部、それぞれ担当部と県立大学が、日ごろも連絡を取り合っているのですけれども、そういった意見交換の場も通じながら、問題を共有化して、県内定着に向けた新しい取り組みを図っていくよう努力してまいります。
〇小西和子委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午前11時5分 休 憩

午前11時22分 再開
〇小西和子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇松本科学・情報政策室長 先ほど高橋はじめ委員から御質問のございました統合型地理情報システムの見直しについてでございます。
 こちらの所管は総務部の行政経営推進課でございますが、このシステムにつきましては、5年間の長期継続契約の期限が9月30日まででございまして、10月1日から来年3月31日までの期間で、特にシステム上支障がないことから、継続して契約を結んだと聞いております。
 次年度以降の見直しにつきましては、今後の検討と聞いております。
〇小西和子委員長 質疑を続行いたします。
〇千葉絢子委員 それでは、私からは、ふるさと振興における若年女性の県外流出に対する危機感と戦略的施策展開について伺ってまいります。
 県のふるさと振興総合戦略第2期は、国の第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略とあわせ、令和2年度、2020年度から令和6年度、2024年度までの5カ年で計画され、昨年度がスタートの年となりました。この戦略は、はじめにに記載のあるとおり、人口減少に歯どめをかけることを目的として策定され、県民計画における人口減少対策に関係する分野を推進するためのものと位置づけています。
 3年目となる来年度には見直しをするものと思われますが、総括質疑で佐々木宣和委員からの指摘もありましたとおり、県のさまざまなプロジェクトや戦略がいわて県民計画(2019〜2028)のどの内容と連動しているのかわかりにくい。このふるさと振興総合戦略とどうつながっているのかも、いただく資料、指標、数値、全てが膨大過ぎて読解しにくくなっていると感じているのは私だけではないはずです。
 この膨大な報告書をつくるのが職員の仕事のほとんどの内容になってしまっていないか、それが長時間勤務の原因となり、この指標メタボに起因しているのではないかとある程度確信を持って拝察しているところです。本当に気の毒だと思っております。
 過日の東日本大震災津波復興特別委員会におきましては、この10年の人口の社会減の数が明らかになりました。特に沿岸の20代女性の減少率が36.9%と非常に高いことが明らかになりましたが、このことについて、これまでのふるさと振興策の成果と問題点、根本的な原因と今後の施策の方向性について、ふるさと振興部の認識と具体的な取り組み方針、指標について伺います。
〇及川沿岸振興課長 人口減少に係るふるさと振興策の成果等についてでございます。
 沿岸被災地の復興の推進が人口減少対策につながるものと考えまして、復興のまちづくりなどの安全の確保、住宅や雇用の確保など暮らしの再建、水産業、商工業などのなりわいの再生に取り組んでまいりました。
 これまで、復興道路や港湾の整備によりまして、新たな農業テーマパークですとか食品製造工場などの企業立地の進展、コンテナ取扱量の拡大が図られるなど、復興のハード整備の波及効果があらわれているほか、大型商業施設の開業ですとか被災事業所の再開も進んでおります。
 また、東日本大震災津波伝承館ですとか三陸鉄道などを生かしました誘客拡大、震災復興を通じて培ったつながりなどを生かしました交流人口拡大の取り組みも着実に進んでいるものと認識しております。
 一方で、委員御指摘のとおり、沿岸地域におきましては、県平均を上回る人口減少が続いておりまして、特に若者、女性の地元定着が大きな課題であると認識しております。
 若者、女性の地元定着に向けましては、特に、若者、女性の求める多様な職種による仕事の創出、雇用の確保、生きにくさを生きやすさに変えるため、地域社会全体で結婚、妊娠、出産、子育てを支援して、安心して子供を産み育てられる環境の実現が重要であると認識しております。
 県といたしましては、引き続き、復興の取り組みを着実に進めるとともに、昨年3月に策定いたしました第2期岩手県ふるさと振興総合戦略に基づきまして、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らす、岩手とつながるの4本の柱に基づく施策を展開して、沿岸地域での若者、女性の地元定着の取り組みを進めてまいります。
 また、指標についてということでございます。ふるさと振興総合戦略におきましては、施策推進目標といたしまして、人口の社会増減ゼロ人ですとか、合計特殊出生率1.58以上などを掲げまして、人口減少対策に取り組んでいるところでございます。
〇小西和子委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔にお願いします。
〇千葉絢子委員 これまでの取り組みをるる御説明いただきました。新しい答弁はなかったところであります。その結果が沿岸地域の女性の社会減36.9%につながっているという結果として、このことは深く刻むべきだと私は思っております。これまでと同じ展開で、また10年後に36.9%の社会減の数字を達成するおつもりなのかと私はちょっと厳しく見てしまったわけですけれど、若年女性の県外流出が引き起こす地域の経済的損失または持続可能性について及ぼす影響を試算、分析をしているでしょうか、伺います。
〇大越ふるさと振興企画室企画課長 若者、女性の県外流出が起こす地域の経済的損失等についてでありますが、人口減少は地域内の消費の減少につながり、それが生産活動の縮小に、それが税収の減少、民間事業の活動、雇用等の縮小に、それがまた域内消費の低下にといった負のスパイラルに陥る懸念があると認識しております。
 国土交通白書2015によりますと、民間のさまざまな事業活動では、小売、飲食、娯楽、医療等の生活関連サービスの縮小、税収減による行政サービス水準の低下、地域公共交通の縮小、空き家、空き店舗、耕作放棄地等の増加、地域コミュニティーの機能低下など、地域の生活に与える影響が懸念されるとされております。
 このように人口減少による影響は広範な分野に及び、若者、女性の県外流出による経済的損失を定量的に算定することは困難と考えているところでございます。
〇千葉絢子委員 若い女性が地方から消えるのはなぜかということを私は問題にしております。県では、若者、女性の県内定着ということでお話をいただいておりますが、今、私が問題にしているのは、自然減につながる若年女性の流出について、県がどの程度危機感を持っているかということを、先日の復興特別委員会でも、今回も、そしてこの決算特別委員会を通じて県に認識をお伺いしていきたいと思っております。
 東日本大震災津波復興特別委員会の質疑の際に、沿岸地域は、特に仕事と育児、介護などとの両立について、企業の理解が得られにくいと大坊参事兼復興推進課総括課長が県の答弁としてお話になっているわけです。そう認識しているのなら、そこを改善するために、ふるさと振興部は市町村などに対してどのように振る舞い、企業などに対して改善を働きかけていくと考えていらっしゃるのかお示しください。
〇大越ふるさと振興企画室企画課長 仕事と育児、介護の両立に係る企業の理解等についてでございますけれど、県では、ふるさと振興総合戦略におきまして、若者の就労、出会い・結婚、妊娠・出産支援戦略や若者・女性活躍支援戦略を掲げ、働き方改革の取組みの推進や女性活躍支援に取り組むこととしており、仕事と子育ての両立支援などに取り組む企業等の表彰、認証の促進などによりまして、子育てに優しい環境づくりを支援することとしております。
 ふるさと振興部といたしましては、復興防災部、保健福祉部、環境生活部、商工労働観光部等関係部局と連携して、仕事と子育ての両立、女性活躍支援に取り組んでまいります。
〇千葉絢子委員 その答弁は多分10年ぐらい繰り返していらっしゃると私は思っています。その10年繰り返した結果が現状を招いているということに対しての危機感を率直にお伺いしたいと思います。
 今回明らかになった若年女性の減少率を見て、ふるさと振興を標榜する部としてはどのような切迫感、危機感をお持ちになったか、また、県の取り組みの足らざるところをどのように部内で共有しているか、部長に率直に伺います。
〇熊谷ふるさと振興部長 委員御指摘のとおり、人口減少は本県にとって極めて大きな課題でございます。特に、震災から復興に取り組む沿岸地域にとりましては、極めて重要であり喫緊の課題だと思っております。
 そういったことで、来年度予算編成では、人口減少対策を重点テーマの一つとして、部局連携のもとに施策立案を行っていくことにしております。当部といたしましても、担当がそのワーキングに入りまして、さまざまな提案、議論をしてまいりたいと思っております。
 その中で若者、女性の定着、先ほど県立大学のお話もございましたけれども、大学との連携も含めて、若者、女性の定着につきまして全庁で検討を進めていくことにしております。
 今後とも、ふるさと振興部は、移住、定住、関係人口の創出といった部分で、本県のよさを理解していただき、沿岸地域、そして岩手県に住んでいただく、ファンになっていただく取り組みを行っておりますので、そういった取り組みも含めまして、人口減少対策につきまして、ふるさと振興部としてもしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
〇千葉絢子委員 私は、かねてよりこの人口減少、若年女性の流出に歯どめをかけるためにプロジェクト化すべきだと昨年の決算特別委員会、予算特別委員会などでもお話を申し上げているわけです。本当に喫緊の課題とおっしゃっている、これを単なる常套句にしてはいけないと私は思っております。
 やはりこれは、プロジェクト化を県、そして知事に対してきちんと進言すべきだと思っております。その中で、知事や部長たちは答弁のたびに、人口の社会減を食いとめるには、国における地方重視の経済政策を実行することが必要だと答え、さまざまな文書にも東京一極集中のせいだという表現を多用していますが、例えば、国の政策が地方への人の流れを促進するようにかじを切ったとして、人の流れは現在の岩手県に必ず向くとお考えでしょうか。
〇熊谷ふるさと振興部長 日本全体の方向性として、やはり東京一極に集中する部分について、地方に流れをつくっていただくことは必要だと思います。その一方で、我々としても、来ていただける方、その方が安心して生活し、就業し、そして子供を産み育てられる環境づくりをやっていく必要があると思っています。その相乗効果によって、本県に何とか人の流れを、移住、定住、それから若者の定着といったものが図れるように、私ども取り組んでまいりたいと考えております。
〇千葉絢子委員 テレワークが推進され、地方移住がもてはやされた昨年のコロナ禍においても、東京からの人の流れは、結局、埼玉県、神奈川県、千葉県など、東京近郊の県に移った限定的なものだったということがわかっております。なぜ岩手県には移住や定住を望む人が流れてこなかったのでしょうか。
 コロナ禍における移動制限、また出社の必要がなくなったということが、一つ大きなきっかけになるはずでした。この機会を逃すと、あとは岩手県を含め、地方に人が流れてくる理由となり得るのは、首都圏など大都市部で発生した災害がきっかけになるほかないのです。この機をきちんとものにできなかった、これはなぜだと思っていらっしゃいますか。
〇熊谷ふるさと振興部長 その原因を明確にお答えすることはなかなか難しいところでございますが、今、コロナ禍ということで、岩手県は感染率、感染の危険性が少ない、それで、新しい生活様式ということでテレワーク、そういった情報機器を使って新しい働き方ができる、ワーケーションもできる環境にございますので、引き続きそういった取り組みを充実させまして、本県に人が流れてくるような仕組みをつくっていきたいと思っております。
〇千葉絢子委員 結局、岩手県の社会減は、国の政策どうこうではなく、岩手県の強みとして知事が挙げている豊かな自然、歴史、おいしい食べ物が、ほかの地域との差別化がうまくできておらず、岩手県が選ばれる理由になっていないということではないかと思っております。
 それで、例えば県がおっしゃる交流人口の増加を掲げたとしても、このコロナ禍においては、移動自体を制限されてしまい、移住のハードルもより高くなってしまったのではないかと思います。そして、実際の行動につながっていかなかったことが明らかになったと思っております。
 例えば、先ほど大越企画課長からもお話がありました子育てしやすい環境づくりを目指しますということは、妊娠、出産、育児ももちろん大事です。ただ、岩手県は未就学児限定の福祉の観点から考えているようですけれど、現実に移住、定住を考える人が重視するのは、果たして岩手県が教育に適切な環境かどうかということも非常に重要になってくると思います。未就学児よりも、その後の教育を受ける期間のほうが長いわけです。
 皆さんが呼び込みたい移住、定住者のターゲットは、人口をふやすという目的であればファミリー層あるいはこれからファミリーを形成していく可能性の高い若い層ではないでしょうか。ターゲットをどこに考えていますか。
〇熊谷ふるさと振興部長 どの世代も大事だとは思いますけれど、将来、岩手県を背負っていただく、岩手県で活躍していただけるということ、それから、岩手県で産み育てていただくということを考えますと、若い20代、30代、40代、これからの世代を担っていただける世代の方々に来ていただく、岩手県に定着していただくことが必要だと思っております。
〇千葉絢子委員 そういうことで、今、実際に移住、定住してもらいたい層がようやく明らかになりました。幅広い年齢というよりも、やはりこれから岩手県に人口増加をもたらしてくれるようなファミリー層を優先して考えていくべきだと思っているということ、私も同じ考えです。
 ただ、現実を見てみますと、教育費は20年前の2倍に膨れ上がっている中、所得はどうなっていますか。また、交通の便はどうでしょうか。また、これから来る冬も含め、暑さ、寒さに対するイニシャルコスト、またランニングコストはどうでしょうか。働く場は十分でしょうか。子供の学力レベルはどうでしょうか。そういった観点から移住、定住したい人は居住地を選ぶはずなのです。
 残念ながら、持続的な地域をつくっていくために不可欠な存在である若年女性が、皆さんのお嬢さんたちを含めて岩手を選ばない。ここでは生きていけないと判断して県外へ出ていってしまっていることに、改めて危機感はないでしょうか。所感を伺います。
〇熊谷ふるさと振興部長 先ほど申し上げましたとおり、岩手県における人口減少につきましては、喫緊の課題だと思っております。委員御指摘のとおり、さまざまな教育、それから生活環境、子育てのしやすさという面全て、いわゆる魅力ある県にしていかなければならない。一朝一夕ではなかなかいかないと思いますけれど、先ほど申しましたとおり、人口減少対策について、重点事項の一つとして来年度予算編成を行っていき、これからさまざま議論していくことにしておりますので、そういった部分も、委員御指摘の点も踏まえまして進めてまいりたいと思います。
〇千葉絢子委員 今や女性人口の半分が50歳以上になっています。これは未来の年表でも書かれていることです。残りの半分の女性は、赤ちゃんから49歳までの人が含まれていますが、逆三角形のピラミッドを形成しているのです。これを砂時計型まではいかなくても、せめて空港の管制塔型に早い段階で戻していかなければ、立体というのはバランスを失ってしまうのです。倒れてしまいます。
 私がこの3月の予算特別委員会で取り上げた兵庫県豊岡市では、ことし3月に、ジェンダーギャップ解消戦略を策定したのです。ジェンダーギャップというのが若年女性の流出に深くかかわっているということで、先ほどの両立しにくい企業が多いということがこれに上がるわけですけれど、気がついたら若い女性がまちからすっといなくなっていたというあせりからです。
 今までの右肩上がりモデルに基づく総合計画とか戦略は、もう不可能と私は思っております。これからは、計画、予算、人員、サービス、ひいては居住エリアなどダウンサイジングの議論が今後不可欠になっていくと考えていますが、この問題に関して課題先進県である岩手県が、対策は他県の成功事例を見てという後進県でいいのか、改めて考えをお聞きして、終わります。
〇熊谷ふるさと振興部長 人口の形のお話がございました。今後、高齢者人口が減少を迎えていく局面が参ります。その中で出生率が向上して社会増減が均衡するような姿をつくれれば、将来的に人口が安定期を迎えまして、人口構造の隔たりが改善できるのではないかと考えております。
 そういったことを目指して我々取り組みを進めておりますが、ただ、今ある喫緊の課題として、やはり減少していることは事実ですので、そこをとめることを、いわゆるふるさと振興総合戦略を通じてしっかりと取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 先ほどからの人口減少、それから地元定着のところで、私、関連質問しようかと思ったのですけれど、ここで簡単に申し上げますが、奨学金のことでした。先ほど、県立大学の定着のところでおっしゃっていた中で、返還を免除できる奨学金が岩手県に結構あります。看護師を目指せばとか、医師を目指せばとか、高度人材育成とか、そういったものが、実は高校の中で余り知られていないのだということが最近わかりました。私の知人が、県立大学に推薦で行こうと思っているけれど。生活が苦しいので奨学金を借りようと思っている。でも、奨学金を払うときが大変だから、給料の高い首都圏に行って奨学金を払おうと思うと言ったのです。それで、県内就職すれば免除される奨学金があると伝えたら、高校ではそういうことは教えてくれないと言っていました。
 だから、県でも奨学金がいろいろあるのですけれど、本当にそれを普及させるように取り組んでほしいと思いましたので、まず、そのことにコメントをいただければと思います。
〇熊谷ふるさと振興部長 委員御指摘のとおり、医師の奨学金、獣医師の奨学金、薬剤師も返還免除だったかと思いますが(後刻「薬剤師につきましては、県の制度がございませんでした」と訂正)、さまざまな奨学金がございます。我々のほうでのPR面の不足という部分もあろうかと思いますが、そういう有利な制度があって、地元に定着していただけるチャンスでもあろうかと思いますので、そこは教育委員会と知事部局とが連携してそのような周知に努めてまいりたいと思います。
〇佐藤ケイ子委員 それでは、市町村の行財政運営について質問いたします。
 市町村の財政状況についてですけれど、実質単年度収支ということで赤字団体は13団体です。減少傾向でありますけれども、ゆるくないと思っております。
 実質単年度収支全体では、全市町村を合算すると2年ぶりに黒字化ということが出されております。それから、岩手県のホームページから引っ張ってきましたが、市町村財政の状況という基金残高は全市町村合わせて対前年比マイナス587億円というのが、ことで令和2年度決算を見ますと市町村もなかなか大変な状況でございます。
 市町村財政をどのように分析しているか、そして、特に財政健全化を指導しなければならないような市町村はあるのかどうかお伺いいたします。
〇松村参事兼市町村課総括課長 市町村財政についてのお尋ねでございます。
 今、委員から御紹介ありました基金の減額等、震災関係の事業が進んで取り崩しをしている部分、あとは繰上償還をしたりといった部分がございまして、今回553億円となっております。
 もう一点、実質公債費比率が、例えば18%を超えますと起債の許可が必要になってくるわけですが、特に現在、そうした市町村はございません。ただ、今後、いろいろな大規模事業等を実施している市町村もございますので、そういったところは、しっかり市町村行財政コンサルティングの場を通じて、状況を把握しながら、必要な助言をしていきたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 県行政を運営する上で市町村と連携してやらなければならないことばかりだと思います。市町村財政についてもしっかりとチェックしてほしいのですけれど、財政分析指標のクロス表も出されているのですが、そこで実質公債費比率が高いところと将来負担率の高いところとのグラフがあるわけです。その中で将来負担率が大変だと思うのは、矢巾町、久慈市、紫波町です。それから、実質公債費比率も奥州市、八幡平市あたりも大変だと思います。でも、私の経験から言うと、北上市ももっとひどいときがありましたから、それでも何とかやりくりしてきたわけです。全般的な指標からすると要チェックではないかもしれないですが、やはり大型の事業を抱えているところはこれからも大変になろうかと思います。
 それで、市町村の普通会計だけではなく、第三セクターの運営がかなり市町村財政に大きくかかわってきますので、これからも第三セクターの運営もあわせてチェックしていただきたいと思うのですけれど、第三セクターのチェックはどうされているのでしょうか。
〇松村参事兼市町村課総括課長 市町村の第三セクターの関係でございますけれども、これは、第三セクターと公営企業といったようなところもございます。当然ながら、第三セクターは市町村で出資をしているところでございますし、関係出資者ときちんと経営状況等を把握しながら、市町村に財政的な負担が将来的に及ばないようにしっかり経営していくことが必要かと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 第三セクター等改革推進債で非常に県のお世話になって本当に助けられたという思いがありますので、さらに制度の柔軟な運用をしていただきたいと思っています。
 次に、市町村の職員の状況についてです。
 市町村の全職種職員数は、ホームページで見ますと、平成24年4月は1万2、948人、令和2年4月は1万2、377人と571人減少しています。その中で市町村職員の超過勤務の状況とか病気休職の状況など把握しているでしょうか。
 9月15日の岩手日報の記事があるのですけれど、自治体職員の心の健康調査ということで、業務負担が増加して休職が相次いでいる。これは総務省の調査ですけれど、精神疾患などで1カ月以上休んだ職員は10万人当たり1、643人と過去最多というような状況で、市町村の職員が大変減っている、業務量は、DXとかいっても変わらないというか、ますます厳しいということです。メンタルヘルスの問題がたくさんあるということなわけですけれど、県は、県内の市町村の状況を把握していらっしゃるでしょうか。
〇松村参事兼市町村課総括課長 まず、市町村職員の超過勤務の状況についてでございます。市町村職員のうち消防部門とか教育委員会の職員、あと会計年度任用職員を除いた一般職の1人当たり月平均の超過勤務時間は、令和2年度におきまして10.6時間となっております。これは、前年度の令和元年度が13.8時間でございましたので3.2時間ほど減少しております。これは、主に令和元年度は台風第19号災害などがございまして、そういったところが大きな要因の一つかと考えております。
 もう一点、メンタルの不調を理由にした病気休暇、休職でございます。これは、令和2年度中でございますけれども、全体で216名の方が休暇または休職を取得しているということでございます。
〇佐藤ケイ子委員 県内の市町村職員の方々もかなり大変な状況です。それで、令和2年度から3年度にかけて、この新型コロナウイルス感染症により市町村の業務が、集団接種のことから臨時交付金のことから本当に大変であります。町村のほうは割とスムーズに事務を行っているようですけれど、市のほうが大変だと私は見ております。
 それから、次に、市町村の女性管理職の状況はどうなっていますでしょうか。
〇松村参事兼市町村課総括課長 市町村の女性職員の管理職の状況でございます。
 一般職の課長級以上の管理職は、令和3年4月1日時点で13.8%でございます。これは、昨年の令和2年4月1日と比較しますと1.6ポイントの上昇、それから、5年前の平成28年4月1日と比較しますと5.4ポイントの増加となっております。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。市町村の中でも女性の登用を意識している市町村と、そうならない市町村がありまして、それぞれ市町村長との意見交換などでも留意していただければと思っているところです。
 次は、いわて市町村行財政コンサルティングについてでございます。これは、高橋はじめ委員も質問しているのですけれど、重複しないよう質問します。
 昨年度の市町村行財政コンサルティングの実績と課題はどうでしょうか。
〇松村参事兼市町村課総括課長 昨年度のいわて市町村行財政コンサルティングでございますけれど、重点的に支援をする事業ということで持ちまして、例えば市町村では公営事業で企業会計を導入していないところがあります。公営企業会計の適用を進めるために、専門家の方も招きながら適用について実施をした、運営について事務処理を進めていただいたということがございます。
 それからもう一点は、同じく公営企業でございますけれど、経営戦略の策定が今、全国で行われておりまして、小規模な市町村ですとなかなか手が回らない部分がございます。こちらについても、コンサルティングの中の重点事項ということで支援をしたところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。昨年度はいわて市町村行財政コンサルティングは、7市町村で行っているのですが、なかなか大変なのは、公営企業会計の適用、それから地方公会計の整備ですね。それから、公共施設等総合管理計画の見直しなど、総務省経由ですけれど、本当にさまざまな計画策定を求められているわけですが、人材不足もあって大変苦戦しております。
 そしてまた、多様な住民ニーズへの対応ということもあって、地方創生、交通問題などの課題に対応するための職員が不足している状況が現実です。小規模市町村への県の関与、人事交流など、どのように支援しているのでしょうか。
〇松村参事兼市町村課総括課長 小規模自治体への支援というところでございます。
 やはり小規模自治体については、職員の数も非常に限られているということで、人員体制の制約がございます。そのような中で、なかなか単独では解決が困難な課題への対応、それから地域の特性を踏まえた取り組みなどを進めるために、県と市町村、それから市町村間での連携、協働の取り組みを進めることが必要だと考えております。
 このため県におきましては、市町村からの要請に基づきまして研修生の受け入れ、例えば当課の市町村行財政の関係、それから企業誘致の関係といったところ、それから、職員の相互交流の実施を通じて市町村の人材育成の支援を進めております。また、地域課題の取り組みを支援する県職員の派遣、駐在といったことで人的な支援に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、市町村の限られた人員で業務を進めるために、引き続き、市町村の意向を踏まえながら、さまざまな手法の中から実情に応じた支援を検討してまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 今も市町村から県に派遣されている職員もたくさんいらっしゃいます。市町村課にもいらっしゃいますし、あと税務課にもいます。それから、市町村の中で交流、研修しているところもあるわけです。北上市と西和賀町などはずっとやっていますけれども、お互いに刺激を受けたり勉強になったりしています。
 そういう市町村職員のスキルアップに、さまざまな事例を紹介しながら、特に定住自立圏内での人事交流は、私は結構効果があると思っています。職員個人の経験もそうですし、それから、市町村間の連携を図っていく上でも、これはかなりいいと思っていましたので、そういったことも推進されるように周知していただければと思っています。
 最後の質問です。総務省は、令和3年度から経営・財務マネジメント強化事業として、アドバイザーを派遣する事業を創設したということです。これは地方公共団体の経営、財務マネジメントを強化し、財政運営の質の向上を図るための事業でありますが、具体的にどのように活用されているのかわからない状況です。どう活用されているのでしょうか、お伺いいたします。
〇松村参事兼市町村課総括課長 総務省のアドバイザー派遣制度の事業の活用状況でございます。今、委員から御紹介がありました許可事業でございますけれども、四つのテーマがございまして、それに対してアドバイザーを派遣していただくという事業になっております。
 今年度、本県の市町村におきましては、まず公営企業の経営戦略の策定・経営改善におきまして3団体、それから、地方公会計の整備ということで1団体、公共施設等総合管理計画の見直しで1団体の合計5団体が本事業を活用しているところでございます。
 また、私ども県でも、市町村の行財政コンサルティングの中で財政制度勉強会を年に3回ほどやっておりまして、その中で本事業によるアドバイザー派遣を受けて、講師にお招きしているところもございます。
〇小西和子委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午後0時2分 休 憩

午後1時3分 再開
〇田村勝則副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部からの発言を求められておりますので、これを許します。
〇熊谷ふるさと振興部長 午前中の佐藤ケイ子委員から頂戴いたしました奨学金に関する御質問の答弁におきまして、医師、獣医師、薬剤師と触れさせていただきましたが、薬剤師につきましては、県の制度がございませんでした。おわびの上、訂正をお願いいたします。
〇米内学事振興課総括課長 午前中の武田委員から頂戴しました御質問で、県立大学短期大学部の受験者数についてのお尋ねがございましたので、お答え申し上げます。
 県立大学の各短期大学部では、年度によって受験者数の増減はございますが、過去5年の受験倍率の平均で見ますと、盛岡短期大学部では約2.3倍、宮古短期大学部では約1.9倍とおおむね2倍程度の倍率を維持しております。18歳人口が減少する中で、高校生からは一定の評価を得ているものと考えております。
 今後とも、全学が一体となりました入試説明会やオープンキャンパスなどの高大連携事業により受験者の確保を進めると聞いております。県におきましても、県立大学と連携して受験者の確保に取り組んでまいります。
〇田村勝則副委員長 質疑を続行いたします。
〇佐々木朋和委員 では、大きく2点質問させていただきます。
 公共交通についてお伺いします。令和2年度広域的なバス1路線当たりの平均乗車密度は、目標値3.6のところ2.8でした。国庫補助路線が3.0、県単補助路線だと2.3ということのようですけれど、平均値が県単補助要件割れとなっておりますが、県単補助要件割れの路線、また国庫補助要件割れの路線、これは輸送量になりますが、こちらはどの程度になっているのかお示しいただきたいと思います。
 加えて、こういった実際に要件割れをした路線については、被災地の特例措置や激変緩和措置の状況も含めて、実際に国、県から補助がなされたのか、令和2年度に加えて今年度の見込みと令和4年度の方向性について、あわせてお示しいただきたいと思います。
〇小野寺地域交通課長 路線バスの国庫補助、県単補助路線における状況でございます。
 まず、令和2年度の状況でございますが、国庫補助の対象は40路線ございまして、そのうち補助要件である輸送量15人以上を満たしていない路線は20路線となっております。ただ、いずれの路線につきましても、東日本大震災津波に係る被災地の特例措置、それから激変緩和措置、あわせて新型コロナウイルス感染症に係る特例措置によりまして補助対象とされたところです。
 続きまして、県単補助路線は、14路線全てが補助要件であります平均乗車密度4人を下回りましたが、これらにつきましても、国庫補助と同様、特例措置により補助対象としたところです。
 次に、令和3年度の国庫補助対象路線でございますが、計画では38路線のうち8路線が補助要件割れとなっております。実績では、さらにふえることも見込まれるところでございます。それから、県単補助路線につきましては、同様にまた厳しい状況となることが見込まれておりますが、いずれも特例措置などによりまして補助対象となります。
 令和4年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による輸送需要の減少が引き続き見込まれるところでございますので、国に対して、補助要件の緩和等について要望しているところでございます。それから、県におきましても、新型コロナウイルス感染症の影響、それから公共交通機関の輸送需要の状況、あわせて国の対応状況等も踏まえながら、必要な検討を行っていくこととしております。
〇佐々木朋和委員 いずれ激変緩和措置や新型コロナウイルス感染症の特例ということで認められたということでした。
 令和2年度、広域的なバス路線のうち49路線で検討が行われたと報告書に書いてありますが、検討には、現状維持から本数、コースの変更、またコミュニティバスへの移行やデマンド交通への移行などさまざまだと思いますが、その傾向をお示しいただきたいと思います。
 また、広域的なバスがコミュニティバスやデマンド交通へ移行した場合、また、今回は激変緩和措置で救われましたけれども、広域バスとして残っても、補助要件を外れた場合にはバス補助予算は減少するものと思われますが、決算ベースで近年の傾向はどのようになっているのかお示しいただきたいと思います。
〇小野寺地域交通課長 まず、広域的なバス路線の検討でございますが、これは国、県、市町村の担当者とバス事業者を構成員といたしまして、国庫、県単補助路線等の生産性の向上、それから活性化を図ることを目的として設置しておりますバス路線活性化検討会において行っております。
 令和2年度は、国庫39路線、県単10路線の計49路線で利用促進策、路線の再編の取り組み等、情報共有を図ったところでございます。その結果、利用実態に応じたダイヤの改正を行う路線が3路線、運行経路を変更する路線が2路線、一部区間のコミュニティバスへの転換を図る路線が1路線という状況でございました。
 次に、広域バス路線に対する国庫、県単補助の執行状況でございますが、令和2年度は、新型コロナウイルス感染症に対応した追加補助分がございました。これを除いた平年ベースでの県補助額は2億3、036万5、000円でございまして、平成28年度と比べますと2、873万5、000円減少している状況でございます。
〇佐々木朋和委員 検討していただいている路線の中で、なかなか具体策が見つかっているものが少ないかという感じがしております。
 今、地域でもデマンド交通へ切りかえていく動きがコミュニティバス等についても出てきておりまして、デマンド交通は、行政にとっては利用数がなかなかわからないということで、行政は予算化がしにくいと言われている反面、利用者にとっては、住宅近くまで来てくれたりということで使い勝手がよいというような評価もあるようです。
 県としては、このデマンド交通をどのように評価しているのか、また、コロナ禍の状況の変化にも鑑みて、今はこの指標についてはIGRいわて銀河鉄道、三陸鉄道、広域バスが指標の中には含まれておりますが、こういったデマンド交通についても指標に加えていくべきではないかと思います。そうしないと広域バスについて、例えば路線が廃止され、赤字路線が減ってしまえば平均乗車密度は上がっていくわけで、それだけでは公共交通の実態がつかめないのではないかと思っております。
 そういった意味で、デマンド交通についても促進していく指標に加えるべきではないかと私は思っております。また、実証実験だけではなく、運営についても支援をしていくべきと思いますけれど、所見を伺いたいと思います。
〇小野寺地域交通課長 まず、デマンド交通に対する評価でございますけれども、県が実施しております自治体バス運行状況調査によりますと、県内の市町村におけるデマンド交通は、平成29年度は14市町村46系統で運行が行われておりました。令和2年度においては17市町村55系統において運行が行われているところで、増加傾向にございます。
 この利用者のニーズに応じて柔軟な運行を行うことができるデマンド交通は、地域の実情を踏まえた効率的な運行を可能とする交通手段の一つでございますし、廃止された路線バスの代替交通、それから輸送需要の小さい地域における移動手段等として、市町村において有効に活用されているものと評価をしております。
 それから、デマンド交通に係る今後の県の取り組みについてでございますが、いわて県民計画(2019〜2028)におきまして、県は、広域的な地域公共交通の維持、確保、市町村は、地域内公共交通の維持、確保を図っていくという役割のもとで、持続可能な地域公共交通ネットワークの構築に向けた取り組みを推進しているところでございます。地域内公共交通でありますデマンド交通は、基本的には市町村が主体となって運行されているところです。
 一方で、広域的な地域公共交通の維持、確保を図るためには、今、委員から御指摘がございましたとおり、地域内公共交通の維持、確保に向けた取り組みも非常に重要でございますので、市町村が地域内公共交通の再編等に伴い、デマンド交通の導入を図る場合、県においては、地域公共交通活性化推進事業費補助によりまして、実証運行と本格運行を合わせて最大3年間の支援を行っております。
 基本的には、この役割のもとで、それぞれの主体が連携しながら地域公共交通の維持、確保に努めていくことになると考えておりますが、委員から御指摘のありました新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、地域公共交通への需要や取り巻く環境の変化も今後見込まれるところでございます。
 したがいまして、今後の地域公共交通のあり方につきましては、これらの状況変化等も踏まえながら検討していくことが必要であると考えております。デマンド交通を含む地域内公共交通の維持、確保に対する県としての支援のあり方、取り組みの仕方につきましても、より実効性の高いものとなるよう検討するとともに、あわせて目標への位置づけについても検討していきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 地域内公共交通は市町村で広域的バスは県という枠組みがあることは承知しておりますけれども、その流れの中で、広域的バスの路線がそのような形でコミュニティバスやデマンド交通にかわっていったという経緯がある場合には、やはり県としても支援をしていくべきではないかと思っておりますので、ぜひとも柔軟に検討していただきたいと思います。
 次に、ふるさと岩手応援寄付について伺いたいと思います。
 令和2年4月から所管が総務部からふるさと振興部地域振興室へ移管されました。これはふるさと納税という制度を税の徴収という観点から地域振興につなげるという視点への変化ではないかと私は思っております。実際、令和元年度は7、380万9、860円という実績から、令和2年度9、085万4、821円へと受け入れ実績が伸びております。
 ふるさと岩手応援寄付の政策的な位置づけ、この間の変化、今後の方向性について伺いたいと思います。
〇熊谷特命参事兼地域振興課長 ふるさと岩手応援寄付についてでございます。
 ふるさと納税制度は、生まれ故郷や自身のかかわりの深い地域など、応援したい、貢献したい地方公共団体を支援する制度であり、委員御指摘のとおり、当該自治体の歳入の確保につながるとともに、地域の活性化に向けたさまざまな政策を実現する手段として重要な役割を有する制度であると認識しております。
 このような認識のもと、さらにより多くの方々から県の地域振興に資する施策や事業に共感いただくことや、より訴求力の高い情報発信を行うため、令和2年度からふるさと振興部に所管を移し、返礼品を通じた地域のPRや寄附をいただいた方との継続的なつながりなど、他のふるさと振興施策と連携した取り組みに努めているところでございます。
 これまで、関係部局が連携し、事業応援型寄附の充実、共通返礼品の設定などのリニューアルを全庁的な検討により行ってきたところでありまして、令和2年度には、新型コロナウイルス感染症対策の寄附項目の設定、本年8月からは、新たなふるさと納税ポータルサイトの利用による情報発信、寄附募集の強化などに取り組んできたところでございます。
 今後におきましても、岩手を応援したい方々の裾野を拡大し、得られた資金をさらに有効に活用するために、ふるさと岩手応援寄付を活用する事業の趣旨や内容、成果をできる限り明確にする取り組みや、寄附をいただいた方と継続的なつながりを持つ取り組みに努めてまいります。
〇佐々木朋和委員 今答弁で触れていただきました返礼品についても、以前よりも質、量ともに向上していると思いますけれど、どのような基準で選択しているのか、地域振興の観点から、過度にきらびやかにというわけではありませんけれど、さらなる充実に努めてもよいのではないかと思うのですが、所見を伺いたいと思います。
〇熊谷特命参事兼地域振興課長 返礼品の選定に当たっては、総務省から示されている基準に基づき、寄附額の3割を上限とし、また、県産品のPRや販路拡大につなげていく観点から、一部の寄附項目を除き、共通の返礼品を設定して、県アンテナショップでの売れ筋商品や県が実施する特産品コンクール等で入賞した商品など、岩手ブランドの情報発信等に資する県産品を選定しているところでございます。
 さらに、本年8月からは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた県内事業者の販路拡大を支援するため、買うなら岩手のものバーチャル物産展と連携し、県産食材や工芸品の中から返礼品を設定しており、本年4月は35品目であった返礼品を本日時点で144品目としているところでございます。
 今後においても、県産品の販路拡大やPRにつなげる観点から、定期的に見直しを行ってまいります。
〇佐々木朋和委員 私もホームページ等で拝見しておりますけれど、かなり充実してきたという印象であります。
 一方で、このふるさと岩手応援寄付は、私も何回か取り上げさせていただいているのですけれど、そのたびに、これは全国の皆様からのお心なのでということで、受け入れ実績について目標値等は設定していないというようなことでありました。
 一方で、財源の確保が今、あらゆる手段を使ってと叫ばれておりますし、地域振興の観点からも、先ほどおっしゃっていただいたように、返礼品イコール県産品でありますから、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者への支援対策として、その需要の喚起にもなりますし、あるいは県の政策のアピールにもつながるということであります。そのようにしてふるさと納税をしていただいた方は、関係人口として、今後さまざま県にかかわっていただく可能性もあるということで、関係人口の増加という効果もあると思います。
 そういった中にあっては、また目標設定をすることによって、さらに、受け入れ実績を上げるためにどういったPRが必要かとか、そのための予算なども組みやすくなるのではないかと思います。受け入れ実績の確保につなげるという意味でも目標設定をしていくべきではないかと思います。
 ふるさと納税は、市町村がある程度前に出ておりますけれども、県内市町村でも、県より桁が一つ、二つ上ぐらいの金額を集めている市町村もある中で、岩手県でも、これは別に取り合いではなくて、岩手県全体の活性化のためにも、目標設定をして政策として進めていくことも必要なのではないかと思いますが、所見を伺いたいと思います。
〇熊谷特命参事兼地域振興課長 目標設定についてでございます。
 委員御指摘のとおり、寄附額がふえることで返礼品による県産品の販路拡大、県の施策や事業の情報発信、岩手県を応援したいという方々の増加につながるものと認識しております。
 一方、寄附金という性質から、行政側の意図により決まるようなものではなく、目標額を設けることは難しいところでございますが、できるだけ多くの御寄附をいただけるよう努めてまいります。
 また、目標額や募集期間を設定して寄附を募るクラウドファンディングという手法もございますから、このような手法の導入も含めて具体的な検討を進めているところでございます。
〇佐々木朋和委員 前に私もクラウドファンディングを言ったことがあるのですけれど、取り上げていただいてありがとうございます。
 ただ、目標設定は、岩手県は非常にまじめですばらしいと思いますけれど、ほかの自治体では、目標を決めて大々的に言ってやっているところもありますので、悪いことではないと思いますから、ぜひ柔軟に進めていただきたいと思います。
〇斉藤信委員 それでは、コロナ禍のもとでの三陸鉄道、IGRいわて銀河鉄道の状況と対策についてお聞きします。
 乗客の減少、減収について、昨年度、今年度の上半期の状況はどうなっているでしょうか。
〇小野寺地域交通課長 新型コロナウイルス感染症の影響による三陸鉄道、それからIGRいわて銀河鉄道への影響でございます。
 ことし4月から8月までの輸送人員につきましては、昨年、令和2年度からは横ばいとなっておりますけれど、令和元年度と比べますと、三陸鉄道では46%、22万8、000人余の減少、IGRいわて銀河鉄道では16.9%、37万3、000人余の減少というような状況となっております。
 それから、運賃収入でございますが、同じく令和2年度からは増加しておりますが、令和元年度比で見ますと、三陸鉄道では61.1%、1億8、000万円余、IGRいわて銀河鉄道では29.7%、1億5、700万円余の減少となっておりまして、依然として大きな影響を受けている状況です。
〇斉藤信委員 私は決算を自覚して令和2年度も聞いたのです。今は令和3年度でしょう。令和2年度はどうだったのですか。
〇小野寺地域交通課長 失礼いたしました。
 まず、乗車人員ですが、三陸鉄道は令和2年度は、一昨年度と比べますと30.1%減少しております。それから、三陸鉄道の旅客運賃収入は、令和2年度、一昨年度よりも44.7%減少しております。
 続きましてIGRいわて銀河鉄道につきましては、同じく令和2年度は元年度よりも14.7%の減少で、旅客運賃収入につきましては、令和2年度は令和元年度比26.5%減少しております。
〇斉藤信委員 それで、昨年度の減少、減収も大変深刻だったけれど、ことしの上半期のほうが前々年度と比べると大幅な落ち込み、これは、まさに首都圏を中心にした感染爆発がありました。県内でも8月に感染拡大があって、その影響があらわれたと思います。
 そこで、今後の具体的な対応、対策はどうとられているでしょうか。
〇小野寺地域交通課長 三陸鉄道、IGRいわて銀河鉄道への対応でございますが、まず、県におきまして、この新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえまして、今般議決をいただきました9月補正予算で、沿線市町村と連携して運行の維持を支援するための交付金を計上させていただいております。三陸鉄道に対しては1億7、400万円、IGRいわて銀河鉄道に対しては1億7、000万円ということでございまして、今後これをそれぞれ両社に交付することによって、安全かつ安定した運行の維持を支えていくことにしております。
〇斉藤信委員 昨年度も、恐らく今年度も、ツアー企画の取り組みもあったと思います。ただ、コロナ禍の中で、実際にはそうしたツアーが実施されなかったということだと思います。
 幸い9月以降、感染者数が急減して、観光地に聞きますと、かなりお客さんもふえているということです。ホテル関係などは、いわて旅応援プロジェクトですが、これはもう本当に、大きなホテルは数日で割り当てを全部消化するというような状況であります。復興防災部で聞いたときに、東日本大震災津波伝承館は、これまで41万人が入館していて、団体客は東京方面が意外に多いという回答でした。
 ですから今、そうした東日本大震災津波伝承館への入館が戻ってきている、増加してきているということも踏まえて、私は、新たなツアーの企画という積極的な施策が必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇小野寺地域交通課長 まさに委員御指摘のとおりでございまして、三陸鉄道は、年間を通じた利用促進の取り組みを岩手県三陸鉄道強化促進協議会の予算等を使って行っております。ただ、上半期におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大で大分取りやめにした企画等もございます。
 ただ、今お話のありましたとおり、下期に向けて回復も期待されるところでございますので、今、上期に実施できなかったものについて、下期でいかに展開していくか、そういった企画列車等の計画をまさに練っているところでございます。そういったところで、下期に向けた利用促進には積極的に取り組んでいきたいと考えております。
〇斉藤信委員 やはり、こういう時期に間髪入れずに魅力のあるツアーの企画をぜひ打ち出していただきたいし、IGRいわて銀河鉄道については、御所野遺跡が世界遺産に登録された途端に感染が拡大しましたが、それでも今、注目度の高い見応えのある新たな世界遺産です。御所野遺跡は一戸町にあり、新幹線がとまるところではなく、IGRいわて銀河鉄道の出番だと思うので、その点も魅力あるツアーの企画、計画などをしっかり打ち出して行っていただきたい。
 次に、コロナ禍のもとでのバス、タクシー事業の現状、課題についてお聞きしますが、県内バス事業者の新型コロナウイルス感染症の影響による売り上げ減少について、昨年度、今年度の状況を示してください。
〇小野寺地域交通課長 まず、乗り合いバス事業者への影響でございますが、県内の主要な乗り合いバス事業者、岩手県交通、岩手県北自動車、JRバス東北、この3社のことし4月から8月までの輸送人員は、対前年同期比で6.4%、39万人余減っております。令和元年と比べますと37.1%、338万人余の減というような状況です。
 それから、運賃収入でございますが、対前年同期比で5.7%、7、800万円余ふえておりますが、令和元年と比べますと、やはり40.8%、9億9、300万円余の減少となっております。
 それから、令和2年度の令和元年度との比較でございますが、まず、輸送人員は32.4%減少しております。運賃収入につきましても37.9%減少というような状況でございます。
〇斉藤信委員 バス事業者も大変厳しい状況が強いられてきたということです。そこで、これについても県の対応策をお示しいただきたい。
〇小野寺地域交通課長 県におきましては、今御説明したような状況を踏まえまして、乗り合いバス事業者が今後も事業を継続し、安全、安定運行を維持、確保できるように、この3社に対しまして6月補正予算でお認めいただきましたバス事業者運行支援交付金、3社合計で1億3、860万円を8月中に交付いたしました。
 それから、新型コロナウイルス感染症の感染機会の低減、利便性の向上等が期待される交通系ICカードシステムの整備に要する費用に対しましても、乗り合いバス事業者に今補助を行っているところでございます。
〇斉藤信委員 タクシー事業者の場合についても、この影響額、減少額、そして今後の対策を示してください。
〇小野寺地域交通課長 タクシー事業者につきましては、岩手県タクシー協会加盟205社におけることし4月から8月までの運賃収入、これは前年同期比で3%、6、800万円ほど増加しておりますが、令和元年と比べますと38.8%、15億700万円余の減少となっております。
 それから、令和2年度と令和元年度の比較でございますが、営業収入が、令和2年度は令和元年度よりも33.6%減少している状況です。
 こうした状況がございますので、タクシー事業者に対しましても、安全かつ安定運行の維持、確保のため、個人タクシー事業者を含みます211社に対しまして、6月補正予算でお認めいただきましたタクシー事業者運行支援交付金を9月上旬までに合わせて1億300万円交付させていただきました。
 今後も引き続き、県民の重要な移動手段である公共交通の維持、確保が図られるように、新型コロナウイルス感染症の感染状況や事業者への影響等を注視しながら、適時適切に必要な対応を検討していくこととしております。
〇斉藤信委員 バス、タクシー事業者に対しては、盛岡市議会でも9月定例会において独自の支援策も決めたと伺っております。
 次に、特定被災地域公共交通調査事業です。陸前高田市で7路線、釜石市で4路線、合わせて6、000万円余の国の補助があったと思いますけれど、これは昨年度で終了しましたので、今年度どのように実施されているのか、その財源はどうなっているのか示してください。
〇小野寺地域交通課長 国の特定被災地域公共交通調査事業でございますが、本県におきましては、昨年度をもって応急仮設住宅が全て解消されたことに伴いまして、今年度からは、今、委員からお話のありましたとおり、事業対象の路線がなくなったところでございます。昨年度の対象路線、陸前高田市の7路線、釜石市の4路線は、いずれも両市において運行が継続されていると聞いております。
 ただ、財源につきましては、釜石市の1路線については、同じく国の調査事業を活用して路線は維持されておりますが、それ以外につきましては、現在は、それぞれの市の単独事業費で運行がなされていると聞いております。
〇斉藤信委員 陸前高田市の7路線、そして釜石市の4路線で、釜石市の1路線だけは国の調査事業の対象になったということですが、結果的には市単独で必要な路線を継続しなければならないということです。私は、国の復興に対する姿勢が問われていると思うのです。10年たって復興が終わりという発想で対応されているのではないかと思うのです。
 先日、岸田首相が岩手県を視察しましたけれど、復興は道半ばということで、私は、引き続き、国がしっかりと必要な公共交通の確保のために財政的にも責任をとることを強く求めていただきたい。
 それと、さきの議論で、災害公営住宅を結ぶ公共交通確保調査の結果について答弁がありました。改めて、この状況と、この調査結果の中で、96.6%というかなりの部分が確保されているという結果でありましたけれど、民間の定期路線なのか市単独のデマンド交通などで対応しているのか、そういう中身も含めて示していただきたい。
〇小野寺地域交通課長 まず、調査結果の概要を改めて申し上げますと、普代村を除く沿岸11市町村の災害公営住宅、それから防災集団移転地を対象として昨年4月1日時点の調査を行いました。それに基づいて直近の状況も反映させた結果によりますと、災害公営住宅等294カ所のうち284カ所で、何らかの公共交通が確保されている状況となっております。
 この調査では、災害公営住宅等の敷地から、バス停は約300メートル、鉄道駅は2キロメートル以内にあれば公共交通が確保されているという定義でございます。バス停に関しましては、路線バスもありますし、市町村が運行している地域内公共交通もあります。そういったものがあれば、まずは確保されているということでございますし、鉄道駅に関しましては、三陸鉄道が運行するもの、それからJRが運行するものがあれば、確保されているというような定義でございます。
 こういった定義でございますので、公共交通が確保されている284カ所の中でも、全てのそこに住まわれている方々のニーズを満たしているものではないとは思いますが、ただ、一定の定義のもとでは、多くの箇所で何らかの公共交通が確保されている状況となっております。
〇斉藤信委員 それで、今も聞いたけれど、民間の定期路線、そして、市独自のデマンド交通などの路線、この内訳はわかりませんか。
〇小野寺地域交通課長 今、手元には公共交通が確保されているかいないか、先ほど申し上げた定義に合っているかどうかという数字しかございませんので、民間ベース、市町村ベースという細かい数字については申し上げられません。
〇斉藤信委員 私が被災地に行くたびに首長からもお話をお聞きしますと、本当に96.6%確保されているというニュアンスではありません。それ以上に危機感を持って、災害公営住宅や、防災集団移転促進事業というのは高台ですから、そもそも今まで交通路線のなかったところに集落を形成しているのがほとんどですので、私は、きれいごとではないのではないかと思うのです。そして、恐らく先ほどの議論にあったように、かなりをデマンド交通などで支えている、維持しているというのが実態ではないかという感じをいたします。
 災害公営住宅も防災集団移転も、今までとは違って、市の中心部というよりは郊外、高台、こういうところですから、ぜひ、こういう調査をしたら、その中身もしっかり把握をして、これを市の財政だけで対応していくのは大変なことだと思います。国の新しい事業を導入するとか、地方創生といっても、そういう手だてが大事なのであって、そういうことでしっかり今後対応していただきたい。最後に、部長にお聞きして終わりましょう。
〇熊谷ふるさと振興部長 被災市町村の公共交通の維持、確保につきましては、復興後の持続的かつ利便性の高い交通体系が構築されるまでの間、引き続き支援が必要だと思っております。
 本年度の政府予算要望におきましても、被災市町村における持続可能な地域公共交通ネットワークの構築に向けた支援について要望しているところでございます。具体的には、被災者が新たな生活拠点に定着するまでの間、国庫補助要件の緩和でありますとか継続、補助上限額の拡大等を要望しております。
 今後とも、国に対して継続的な支援を要望いたしますとともに、市町村とも連携しながら、被災市町村における公共交通の維持、確保に努めてまいります。
〇木村幸弘委員 私からは、広域振興局と市町村の連携に関することについて1件お伺いしたいと思います。
 6月定例会の一般質問でも広域振興局におけるいわゆる二重行政の解消に向けた取り組みの実態について質問いたしました。その中で、市町村との政策調整会議の設置と実績に対して、平成21年度県南広域振興局にモデル会議を立ち上げ、翌平成22年度には各広域振興局に設置し、6事務について役割分担を検討し、成果として、観光宣伝、有害鳥獣捕獲、河川管理の連携、協働の促進などが図られたという答弁をいただきました。
 しかし、この政策調整会議がたった2カ年で開催が終わってしまっている。その後は、広域振興局と市町村長との意見交換会、首長懇談会、事務レベルの各種会議という形式で継続して県と市町村の施策、事務事業の情報共有、連携強化に取り組んでいるとのことでした。
 こうした取り組み実績について、令和2年度においては、具体的にどのような実績となっているのかお伺いしたいと思います。また、さらに、4広域振興局体制移行後、最初の2カ年で政策調整会議が終わってしまったのは一体なぜなのか、その点についての理由も明らかにしていただきたいと思います。
〇高井地域企画監 まず、市町村長との意見交換会等における令和2年度の成果についてお答え申し上げます。
 広域振興局長等と市町村長との意見交換会につきましては、令和2年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響の中ではございましたが、取り組みを進めまして、4広域振興局で延べ51回開催したところでございます。
〇大越ふるさと振興企画室企画課長 政策調整会議が2年間のみの開催となった理由でございますが、委員お話のとおり、平成21年度に県南広域振興局においてモデル会議を設置、翌22年度には各広域振興局に設置しまして、モデル会議での成果等を踏まえた検討を行ったところでございますが、その年度末に発生しました東日本大震災津波からの復旧、復興への対応が最優先となったことから、2年間のみの開催となったものです。
〇木村幸弘委員 そこで、確かに東日本大震災津波が発生して緊急事態に陥った状況ですから、それぞれの広域振興局、特に沿岸広域振興局などは、もうその対策に全力を傾けなければならなかったでしょう。内陸においても、当然、沿岸部の被災をしっかりサポート、支援をしていくという意味では、そういう事態の中でこの政策調整会議が、やむを得ずその段階では開催できなかったという、いわゆる一時的な対応であれば理解できるのです。しかし、その後、4広域振興局体制に移行していく過程の議論の中で、市町村からは、広域振興局体制と本庁との関係において、きちんと二重行政にならずに、手間がかからないような形で市町村と十分に連携がとれる機関が必要ですという意見に基づいてこの政策調整会議が設置されたとすれば、緊急事態は緊急事態としても、モデル事業を県南地区では1年、そしてその次の2年間で、ほかの3広域はスタートしてたった1年足らずで終えてしまっているということから言うと、本来の市町村と県とで対応しようとしていたその目的が、果たされないままにその機能を閉じてしまったと言わざるを得ないんです。
 そうしますと、それにかわって、今お答えいただいたように、市町村長との意見交換会等を令和2年度に51回やったということですけれども、いずれ、本来の政策調整会議の果たすべき役割が何なのか、そして、今行われている意見交換会、首長懇談会などが、それに取ってかわるということだとすれば、二重行政解消との関係も含めてその役割が十分に果たされているのかどうか。そういった部分について政策調整会議がたった2カ年で終わってしまった分とあわせて、どのような評価をしているのか改めて伺いたいと思います。
〇大越ふるさと振興企画室企画課長 政策調整会議の評価等でございますけれども、政策調整会議につきましては、平成20年度に県南広域局で設置したものでございまして、そこの中で事務事業の棚卸といたしまして、モデル市町と県の全予算事業を突合し実態を明らかにしたとか、二重行政と思われる事務事業の個票を作成した等の成果がございます。
 現在、委員お話のとおり、政策調整会議にかわりまして、広域振興局と市町村長との意見交換会、市長懇談会や事務レベルでの各種会議等を通じまして、継続して県と市町村の施策、事務事業の情報共有、連携強化等に取り組んでいるところでございます。
〇木村幸弘委員 たった2カ年で終わったことがどうもよくわからないところです。結局、この2カ年やってみて、この政策調整会議で二重行政の解消には十分その機能を果たし得なかったという評価になるのか。ただ、答弁の中では六つの課題、6事務に対して四つほどが成果として促進されたというお答えもいただいていますけれども、これが、いわゆる継続的に今日に至るまで市町村との連携の中で、県のそうした事務事業と市町村が果たすべき役割の分担や役割等について、しっかりと継続的に行われてきているのかがなかなか見えないものですから、そういう意味では、今後の課題として、そういった点を含めて、改めてきちんと検証と評価をしていただきたいと思っております。
 同じように、2点目に入りますけれど、市町村と県の組織のワンフロア化についてもお伺いいたしました。これについては、現在、県北広域振興局二戸合同庁舎に二戸市の土木部門が入居し、県内3合同庁舎に一部の組織が入居しているということで答弁をいただいたわけですが、改めて、これらの取り組みについても、いわゆる広域振興局体制を構築していく段階の中で、市町村とさまざま検討してきた部分だと思います。
 現在のワンフロア化による成果と課題について、今申し上げた二戸市のほかに、他の3合同庁舎における、組織が一部入居しているという答弁もいただきましたけれども、具体的な部分についてお示しいただきたいと思います。
〇大越ふるさと振興企画室企画課長 市町村と県組織のワンフロア化についてでございます。
 今、委員お話のとおり、現在、県北広域振興局の二戸地区合同庁舎に二戸市の土木部門や商工、農林部門が入居するなど、県内3合同庁舎に所在市の一部組織が入居して、市町村と連携しながら住民サービスの向上に取り組んでいるところです。
 ほかの2カ所でございますけれども、一関地区合同庁舎におきまして一関市の部署が入ってございますのと、あわせまして、北上地区合同庁舎におきましても、北上市が現在入っているところでございます。
〇木村幸弘委員 入っているということは聞きました。入って、どういう効果や成果を生んでいるのかというところまでお聞きしたいのですけれど、その点はどうですか。
〇大越ふるさと振興企画室企画課長 遠野地区は現在入っておらないのですけれども、ちょっとその例を申し上げますと、同じ土木というところで、県市の事業の調整の円滑化など一定の効果があったと聞いております。
〇木村幸弘委員 結局、県は、ただ間貸しをすればいいというものではなくて、ワンフロア化というのは、市町村とどういう仕事を共有して、協働してやっていくかが重要なのであって、そういった部分の実態をしっかりと押さえて、そして、そこに対する評価あるいは検証をしてよりよいものにしていかなければならないと思うのです。そういった意味での対応の部分をどのように考えているのかをもう一度聞きたいと思います。
〇箱石副部長兼ふるさと振興企画室長 県と市町村の組織のワンフロア化ということでございます。
 先ほど大越企画課長が答弁したとおり、二戸市では部門と部門がうまい形で連携しているところで成果が上がっているところでございます。一方で、一関の合同庁舎に入っているのは、一関市のスポーツ振興課と教育委員会ということで、ちょうど国体を進めているときに、県との連携ということで合同庁舎に入ったものでありまして、その時点ではうまく機能していたということを聞いております。ただ、現在は、そこで一緒にやるような事業がないということで、極端に言えば間借りのような状況ということもあるかと思います。
 ワンフロア化につきましては、県、市町村それぞれの庁舎の空きぐあいの状況と市町村の連携するニーズ、それらを一緒に考えながら、今後検討していきたいと考えております。
〇木村幸弘委員 その時々のそれぞれの市町村の課題等の共有化を図りながら、まず、当面目標とする事業を遂行していくという意味では大いに役立った部分もあったのだろうと思います。その辺のところを、今は課題がないのでということで済ますのではなくて、まさに先ほど言ったたった2カ年で終わった政策調整会議は、本来そういう部分も兼ねて、いろいろな意見交換を常に行いながら地域の課題等を生かしていくという意味だろうと思いますので、その点を十分に今後も考えた対応をいただきたいと思います。
 3点目に、行政と民間で構成する各種会議について、事例として、盛岡広域振興局の県央広域振興圏経営懇談会、それから、県南広域振興局の県南広域振興圏地域協働委員会を設置したということです。産業振興、防災、教育などの分野の課題やニーズを伺いながら広域振興局の施策や事業に反映させてきたと御答弁いただいたわけであります。
 それぞれの設置組織について、改めて、その具体的な実績についてお伺いしたいと思いますし、あわせて、盛岡広域振興局、県南広域振興局にとどまらず、県北広域振興局、沿岸広域振興局ではどういう取り組み状況にあるのか、その点についてもお伺いしたいと思います。
〇高井地域企画監 行政と民間で構成する各種会議について御質問いただきました。
 今御紹介いただきましたとおり、これまで、県央広域振興圏経営懇談会と県南広域振興局の県南広域振興圏地域協働委員会は、毎年2回ずつ開催してきたところでございますが、令和2年度においては、盛岡広域振興局では6月と12月に、県南広域振興局では7月と11月に、それぞれ会議を開催し、両広域振興局ともに、初回においては、広域振興局において策定した地域振興プランに定める子育て支援ですとかインバウンドの取り組みなどの重点施策の取り組み方向等について、2回目においては、翌年度の取り組みの方向性等について、委員から御意見をいただいたところでございます。
 また、県北広域振興局では、令和2年度に県北広域振興圏地域運営委員会議を8月と12月に開催し、地域振興プランの取り組み等について、委員から御意見をいただいたところでございます。
 沿岸広域振興局においては、釜石、宮古及び大船渡の3地区に、それぞれ沿岸広域振興圏地域連携懇談会を設置しまして、令和2年度は、3地区ともに12月及び3月に開催し、初回においては、ものづくり産業の振興などの地域振興プランにおける主な施策の進捗状況等について、2回目においては、新型コロナウイルス感染症の対策を初めとする翌年度の広域振興局の施策について、委員から御意見をいただいたところでございます。
 これまでも、県北広域振興局においては年2回、沿岸広域振興局においては、3地区に分けて年数回開催してきたところでございます。
〇木村幸弘委員 それぞれの課題やテーマを背負って、各協議会あるいは、名称はそれぞれ異なりますけれども、民間を含めた中での議論をぜひ活発に進めていただきたいと思います。
 いろいろとこの間、広域振興局のあり方について質問してまいりましたけれども、その体制から11年余が経過している状況の中で、開局当時から、取り巻く社会環境の変化あるいは行財政需要、サービスの多様化、こうした状況を踏まえて、きちんと常に総括と再構築の議論をしていく必要があるのではないかと私は考えております。
 特に今、人口減少あるいは超高齢化社会を迎える中で、基礎自治体として、市町村もさまざまな行政需要に応えようと必死でその維持と確保に努めているわけでありますけれども、今後ますます単一自治体ではなくて、さらに広域的な連携が必要になってくるわけです。そうした観点の中で、広域振興局が何をし、何を果たしていくのかということが一層問われてくるだろうと思います。そのときにあるべき今の体制の実態あるいは役割、さらに言えば、必要な職員体制を含めた充実強化など、いろいろな課題をしっかりと不断の改革という形の中で見直しながら、そうしたニーズに応えていくことが大変重要ではないかと思っています。
 きょうも、この間の議会の中でもさまざま議論がありました。いわゆる人口減少問題で、若者や女性の移住、定住対策などは、まさに今の県が取り上げるべき最大の課題ではないのかという御指摘などもあったわけです。先ほど言った広域振興局の中で、例えば沿岸広域振興局でも、そういった課題を市町村としっかり情報共有しながら、では何ができるのかというところで、お互いに力を合わせていくような取り組みをぜひやっていくべきだと思います。そういったところについて、最後、部長からお聞きしたいと思います。
〇熊谷ふるさと振興部長 今、委員から御指摘ございましたとおり、組織に限らず、事務事業、組織、そして行政体制、常にみずからを見詰め直し、反省して改革していく取り組みが必要だと思っております。ますます複雑化する行政課題の中で、的確に対応するために、やはり広域振興局が市町村ときちんと意思疎通をし、地域課題を的確に捉えて、本庁と一体となって取り組んでいくことが必要でございます。
 引き続き、さまざまな機会を捉えて、市町村を含め、あらゆる主体の方々と意思疎通を図りながら、ふるさと振興を図ってまいりたいと思います。
〇小林正信委員 私からは、科学技術振興推進費について、産学官の連携会議が令和2年度2回とのことですけれど、この内容と成果について、また、産学官コーディネーターの活動については、恐らくコロナ禍もあって、この活動の達成度がCということでしたが、大学、企業等とのマッチングでは92件で、達成度がAとなっております。この要因についてお伺いします。
〇佐藤特命参事兼科学技術課長 科学技術振興推進費についてでございます。
 まず、産学官金連携の会議につきましては、研究開発の推進あるいは研究開発成果の事業化について、大学の方々と今後の方針について意見交換をしたところでございます。
 それから、コーディネーター活動につきましては、研究開発成果のシーズ、ニーズのマッチング活動ということで、大学あるいは企業を訪問しての情報交換等でございます。ただ、令和2年度につきましては、新型コロナウイルス感染症ということもございまして、対面ではなくて、オンラインあるいは電話などを活用した活動となっております。
 コーディネーターは、基本的にその専門分野の方でございますので、企業のニーズあるいは大学の研究シーズについて、ある程度得意分野がございますので、それらについて的確にマッチング活動を行ったことが評価の結果かと思います。
〇小林正信委員 オンラインで連携できたというのは、やっぱりこのコロナ禍ならではのデジタル化の結果なのかと思います。
 科学技術イノベーション活用推進費については、コロナ禍によってワークショップが開催できなかったということだと思いますけれど、予定されていた取り組みの概要をお伺いします。また、約580万円の繰り越しとなっておりますけれど、予算の組みかえ等はできなかったものなのか、そのあたりをお伺いしたいと思います。
〇佐藤特命参事兼科学技術課長 科学技術イノベーション活用推進費につきましてでございますけれど、まず、こちらの事業につきましては、中山間地域における買い物困難者の方々の新たな物流手段といたしまして、ドローンを活用した取り組みができないかということで、日用品配送の実証実験を行うものでございます。
 令和2年度の事業につきましては、新型コロナウイルス感染症ということもございまして事業は実施できなかったのですが、こちらについては令和3年度に事業を繰り越しいたしまして、本年6月に岩泉町におきまして、道の駅岩泉から岩泉高校の間、8キロメートル弱でございますけれど、小本川の上空を目視外飛行、いわゆる自動操縦で試験運行して成功したところでございます。
 また、本年、令和3年度の事業といたしましては、来月11月に、岩泉町において、同じルートに加えまして、新たなルートでも実証実験を行う予定としてございます。
〇小林正信委員 産学官連携のさまざまな成果が出ているとは思うのですけれど、産学官連携の推進については、盛岡市だとコラボMIUとか、滝沢市だとIPUイノベーションセンターがありますが、これらのような学生と企業が集まる産学官の連携研究拠点の充実も必要と考えております。今後、新たなイノベーション創出に資する産学官連携の充実に県としてどのように取り組んでいくのかお伺いしたいと思います。
〇佐藤特命参事兼科学技術課長 今後の産学官連携の取り組みでございますけれども、今キーワードとして委員からお話が出ました。大学におきましては、企業との共同研究をなさる際に、もちろんこれは企業の了解のもとではございますけれど、まず、学生も関与できるところは、研究に入って、企業と一緒になって取り組みを行うというスタイルもございます。
 それから、先ほどのコラボMIUあるいは滝沢市IPUイノベーションセンターといったところに入っている企業も、共同研究をする際には、岩手大学の学生あるいは岩手県立大学の学生と一緒になって行っている事例もございますので、県とすれば、こういった取り組みも応援していきたいと考えています。
〇小林正信委員 ぜひ、コーディネーター等も交えてそういう取り組みを推進していっていただければと考えております。
 次に、デジタル化の取り組みについてお伺いします。
 いわて行政デジタル化推進費について、まず、この事業の概要と令和2年度の実績についてお知らせください。
〇木村情報化推進課長 いわて行政デジタル化推進費についてでございます。
 令和2年度におきましては、県及び市町村における行政デジタル化を推進するため、総務省の地域情報化アドバイザーを講師に、自治体デジタル・トランスフォーメーション推進のためのポイントを学ぶ職員向けのセミナーを開催いたしました。
 また、マイナンバーカードの普及促進のため、国の補助金を活用し、カードの交付申請を促す新聞広告やチラシの配布による県民への周知、広報を行ったところでございます。
〇小林正信委員 デジタル改革関連法が成立しまして、これを受けて、9月にはデジタル庁が設置されました。特にデジタル改革関連6法のうち、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律の中では地方自治体のシステムの標準化の責務が示されておりまして、2025年度を目標に対象となる17業務を政府が整備するクラウドへ移行するよう求めております。この全国でのシステムの標準化に向けて、県はどのように進めているのか、そのあたりをお伺いしたいと思います。
〇木村情報化推進課長 総務省が昨年12月に策定した自治体デジタル・トランスフォーメーション推進計画で、重点取り組み項目としまして、自治体の情報システムの標準化、共通化等が示されているところでございます。
 これにつきまして、県としましては、まず、県内部の行政システムの最適化、それから、いろいろな業務改革に資する取り組み、テレワークの推進、そういったものに取り組んでいるところでございますし、基本的に、この情報システムの標準化、共通化は、主に市町村の基幹業務システムの主要な17業務が対象になっております。こちらの標準化、共通化を令和7年度末までに進めることが定められておりますので、県としましては、こちらが着実に推進されるように、市町村の取り組みを重点的に支援していきたいと考えているところでございます。
〇小林正信委員 市町村でもこういうシステムの改修等は本当に大変な作業でありまして、また人材等も必要になってくるかと思いますので、ぜひ、県でそういったところの支援を十分に手当てしていただければと思っております。
 デジタル改革関連法やデジタル庁の設置について、マイナンバーの取得促進、また活用という点も重視されておりますし、また、このマイナンバーに関連して、マイナンバーカードの個人向け専用サイトであるマイナポータルは、各種サービスの検索、オンライン申請窓口にもなり得る基本インフラとして、国もその充実を図っていく考えのようです。
 県としては、マイナポータルの活用促進に今後どう取り組んでいくのかという点をお伺いしたいと思います。
〇木村情報化推進課長 マイナンバーカードの活用でございます。特にマイナポータルのお話が出ましたけれど、まずは、マイナンバーカードの交付率を上げることが重要になっております。そのために、県としましては、普及促進のためのいろいろな広報活動を行っているところでございますが、県では、さらに交付率の向上を目指した上で、マイナンバーカードの活用が図られるようにマイナポータルの活用も検討していく必要があると思っております。
 本県では、9月24日までに全ての県立病院、地域診療センターにおきまして、マイナンバーカードの健康保険証としての利用が開始されたところでございます。
 その後、国では、令和6年度末をめどに、運転免許証とマイナンバーカードを一体化する方針を決定するなど、今後もマイナンバーカードの利活用範囲が拡大すると見込まれております。
 そういったことを踏まえまして、マイナンバーカードの交付率拡大を図っていくとともに、そのカードを利用するマイナポータルを活用することによって行政手続のオンライン化が進みます。窓口に行かなくても手続が円滑に進むような住民の利便性向上に資するものになりますので、そちらの活用を十分に検討してまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 よろしくお願いいたします。
 そして、このマイナポータルもそうですけれども、住民がみずから申請することを利用の前提とした申請主義が日本のサービスの基本になっておりますが、制度の対象であっても、情報がわからなくて申請できなかった方もいらっしゃると思います。今後は、行政側が住民に必要な情報を積極的に知らせる、いわゆるプッシュ型行政サービスがデジタル技術の活用によって進展するものと思っております。県や県内各自治体では、既にワクチン接種のシステム等でLINEを活用したプッシュ型のサービスを行っていると思いますけれど、今後は、子育てや医療、福祉等さまざまな分野での住民への情報提供が行われなければ、デジタル化の目的を果たせないかと考えております。
 県として、プッシュ型行政サービスの実現に向けて、今後の取り組みのお考えをお知らせいただければと思います。
〇木村情報化推進課長 今、委員からお話のありましたプッシュ型行政サービスということでございますけれど、県内におきましても、一部の市町村におきまして、スマートフォンにプッシュ通知で配信されるアプリの導入が始まっていると承知しております。
 また、ほかの市町村におきましては、さまざまな情報を一覧できる総合情報ポータルアプリの活用など、ICTを活用したサービスが広がっている状況にございます。
 いずれ、申請によらずに、自分が必要な行政サービスを確実に受けられる仕組みは重要だと考えておりまして、そのためには、まず、行政手続のオンライン化、紙、窓口ベースではなくてオンラインで申請ができる、それもワンストップでできる仕組みの構築、さらには、どういうニーズがあるのかを分析した上で、どの手続を早急にオンライン化すべきか、それを進めていきたいと考えております。
〇小林正信委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 続きまして、岩手県立大学運営費交付金に関連いたしまして、先ほど武田哲委員と吉田敬子委員からソフトウェア情報学部の県内定着率についてお話がありました。やはりソフトウェア情報学部の県内定着率が非常に低い状況だということでございまして、これは本当に大事な点であり、問題があるのかと考えました。
 先ほど武田哲委員への答弁で、滝沢市のIPUイノベーションセンターとソフトウェア情報学部との連携についてお話がありましたけれど、県としてはどのような支援やかかわりがあったのかお伺いしたいと思います。
〇米内学事振興課総括課長 岩手県立大学とIPUイノベーションセンター、いわゆる岩手県立大学が設置しております、いわてものづくり・ソフトウェア融合テクノロジーセンター、通称i−MOSでございますけれども、そこをイノベーションワークの中核拠点として、社会人、学生等を対象とした講習会ですとか、ハードウエア、ソフトウエア、ものづくりのプロセスの理解と、新製品、新技術開発に貢献する高度技術者等を育成していると承知しております。今はコロナ禍でございますけれど、企業との連携ですとか、さまざまな取り組みを行っていると評価しております。
 県においても、その連携が一層進められるように、岩手県立大学と連携して進めているところでございます。
〇小林正信委員 ぜひ、せっかくソフトウェア情報学部がある大学なので、この県内定着、IT人材の確保にしっかり取り組んでいっていただきたいと思います。
 このソフトウェア情報学部の県内定着が少ないのは、他県から入学されてくる方も多いのかと思ったのですけれど、ソフトウェア情報学部の県内出身者、県外出身者の割合がもしわかれば教えていただきたいと思います。
〇米内学事振興課総括課長 今、手元にあります資料ですと、ソフトウェア情報学部では、県内出身者の数は過去10年の平均ですと80名でございまして、県内就職率は、そのうち34.4%でございます。県外ですと65.6%ということで、県内出身者でも、県内は34.4%の就職率でございます。
〇小林正信委員 せっかく県内の方が県内の大学に入学してIT人材となっているのに、その方がさらに県外に出ていってしまっている状況かと思ったのですけれど、これは、IT企業との連携、またIT企業の集積等もしっかり力を入れて行っていかなければいけないと感じましたので、そのあたりをぜひお願いしたいと思います。
 その上で、今後、県内の高等学校でもIT教育が進んで、ソフトウェア情報学部への進学希望者もふえてくるのではないかと思っております。私の母校である岩手高校においても、今後、IT人材の育成に力を入れていくようなお話を耳にしました。
 今後、IT人材確保に資する公立、私立の県内高等学校と県立大学の連携について、どのようにお考えなのかお伺いして、終わりたいと思います。
〇米内学事振興課総括課長 IT人材確保のための高校との連携についてでございますが、まず、今の状況から申し上げますと、岩手県立大学で高校生に対しまして、人工知能や社会システムデザインなどの出張講義を実施しているほか、平成28年度に盛岡商業高校と協定を締結しまして、学部生、大学院生による高校のプログラミング授業の支援を行っております。また、大学が実施しますプロジェクト演習への高校生の参加など、高校と連携した取り組みを行っているところでございます。
 それから、人材育成が重要でございまして、そのほかに、高校教員に対しましては、これまで、高校情報化の担当教員向けの研究会の開催、それから、県教育委員会と連携いたしまして、新学習指導要領に対応した高等学校情報化の研修の受け入れなど、資質向上を図る取り組みも行ってきたところでございます。
 今後も、大学が、公立、私立を問わず高校、それから地域の団体と連携しながら、県内においてデジタル化の流れに対応できるIT人材の育成が進んでいくように、県としても連携して岩手県立大学と取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇田村勝則副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇田村勝則副委員長 質疑がないようでありますので、これでふるさと振興部関係の質疑を終わります。
 ふるさと振興部の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでございました。
 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時22分 休 憩

午後2時43分 再開
〇田村勝則副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、ILC推進局長にILC推進局関係の説明を求めます。
〇高橋ILC推進局長 令和2年度のILC推進局関係の決算について説明申し上げます。
 初めに、ILC推進局所管の事務事業に係る総括的な取り組み状況と今後の取り組み方針について説明いたします。
 国際プロジェクトILC計画については、本年6月、世界の研究者コミュニティーによるILC国際推進チームが、ILC建設の開始に必要となる技術開発や工学設計の完了と建設合意に向けた政府間の交渉をサポートするILC準備研究所の設立を提案しました。
 日本政府においては、文部科学省が有識者会議を再開し、ILC計画の諸課題の進捗等について専門的見地からフォローアップし、最新の情報を整理するとともに、この秋には、米欧政府機関との意見交換を行うよう調整を進めており、ILCの日本での実現に向けた道筋が国際的に明らかにされ、海外から日本への期待が高まる中で、日本政府が国際協議を積極的に主導し、準備研究所設立を目指す段階にあります。
 このような中、ILC推進局では、まず、国への働きかけや国民理解の増進に取り組み、昨年9月には、全国の推進団体や大学等と協力し、ILC計画の意義や最新の動向に関するオンライン講演会の開催に初めて取り組み、参加は21都道府県、約630名に及んでいます。
 また、昨年8月に設立した東北ILC事業推進センターと連携して、東北におけるこれまでの活動成果を国際推進チームに情報提供するなど、世界の研究者と課題等を共有しながら緊密な連携を図っており、県内においては、関係自治体、企業等と連携し、ILCの機材搬送ルートの検討や県内ものづくり企業の加速器関連産業への参入支援、グリーンILCの普及啓発と共同研究、海外研究者等の受け入れのための生活、医療、教育環境整備の調査、検討など、ILCによる地域振興ビジョンに基づいて全庁を挙げてILCプロジェクトを推進しております。
 今後の業務推進に当たりましては、国内外の動向に臨機に対応し、東北、全国の関係者と一丸となって、準備研究所設立に向けた積極的な対応を国に働きかけながら、建設候補地としての受け入れ準備を一層進めてまいります。
 続いて、決算の概要について説明いたします。
 お手元の令和2年度岩手県歳入歳出決算書の12ページ、13ページをお開き願います。ILC推進局関係の決算は、2款総務費のうち2項企画費の一部1億8、943万円余、不用額は648万円余であります。
 決算の内容につきましては、令和2年度歳入歳出決算事項別明細書に記載のとおりであり、説明を省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇田村勝則副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇千葉秀幸委員 御説明ありがとうございました。国際リニアコライダーに関する有識者会議ということで、第2期第1回が令和3年7月29日、そして先週の10月14日、そして本日もなお、今、有識者会議が行われていると承知しております。この有識者会議については後ほど質問させていただきますので、まずは、令和2年度、ILC推進事業費約1億1、800万円をかけて取り組まれてきました。まずは、この執行状況についてお知らせいただきたいと思います。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 令和2年度の執行状況について、具体的な取り組み内容で御説明いたしますと、ILCによる地域振興ビジョンに基づきまして、いわて加速器関連産業研究会による県内企業の加速器関連産業への参入支援、グリーンILCを推進する産学官の共同研究、それから、市町村や関係団体と連携した医療通訳者養成等の外国人生活支援の取り組み、ILC推進モデル校による多様な活動の促進ですとか高校生研究コンテストの実施、推進団体やプロスポーツチーム等と連携した講演会、PR活動等に取り組んでおります。
 特に、国民、県民理解の増進に向けては、新型コロナウイルス感染症の影響もありましたけれど、オンラインを活用した全国的なイベントへの出展や講演会、セミナーなどを開催して、できる限りの対応に努めまして、先ほど御説明したとおり、岩手県国際リニアコライダー推進協議会と共催したオンライン講演会では、県内外から約630名の参加を得たところです。
 また、本県を含む岩手県、宮城県の関係自治体、大学等により東北ILC事業推進センターを組織し、センターでは、高エネルギー加速器研究機構ですとか全国的な推進団体等と連携を図りながら、実験施設の配置等を検証するための基礎資料の作成、広域的な機材の搬送ルートの検討など、建設準備のための具体的、実務的な調査、検討を進めてまいりました。
〇千葉秀幸委員 わかりました。当時、ILC推進事業費約1億1、800万円を掲げておりましたが、執行はわずか半分程度だったということで、新型コロナウイルス感染症等の影響があったとしても、もっと普及啓発、機運の醸成、それから、セミナー等の開催、連携等の構築についても、もっと積極的に進めていいのではないかという印象を受けております。
 一つずつ質問させていただきますけれど、その取り組みのうち大きなものとしては、ものづくり企業等加速器関連産業振興費ということで、特に力を入れてこられた部分であると思っております。予算としてはおよそ2、000万円ということで、この力を入れてこられた取り組みの内容について、実績も踏まえてもう少し御説明いただきたいと思います。
〇澤田計画調査課長 加速器関連産業の取り組みについてでございますが、平成27年度にいわて産業振興センターを事務局として、産学行政によるいわて加速器関連産業研究会を組織しており、同研究会を軸に、セミナーを通じた技術指導や専門知識を有するコーディネーター等によるマッチングなどの企業支援を強化してまいりました。
 現在、研究会は会員数227の規模となり、八つの企業グループが試作、開発に取り組み、県内企業と一関工業高等専門学校が独自の装置を共同開発し、高い評価を得るなど、企業相互、産学の連携が進んでおり、次世代放射光施設を初めとする受注にも成果が出ているところでございます。
 また、本年9月には、いわて産業振興センターがKEKからの受注に成功し、県内企業が参加するILCの核となる技術に関する共同開発が始まっております。
 今後も、いわて加速器関連産業研究会の運営やコーディネーターの活動を通じて、具体的な成果を上げながら、県内企業の加速器関連産業への参入促進に取り組んでいきたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 引き続き、参入促進に向けて取り組んでいっていただきたいと思っております。
 企業との連携ということでしたが、ことしの春先に新聞報道により拝見いたしました。西和賀町の株式会社近藤設備がILC計画への参入を示されたという記事でございます。あと、関連企業としては、岩手県においては株式会社ツクバ等もありますが、具体的にこの辺との連携はどうなっていますでしょうか。県として説明会をしていることが連携とはならないかと思っております。世界でも、ILCをやるのであれば岩手県の北上山地だという強い言葉も出ておりますから、実際に進んできた暁には、参入のやり方、そしてスムーズに定着していただくために踏み込んだ連携が必要だと思いますが、その辺についてお示しいただきたいと思います。
〇澤田計画調査課長 企業との連携でございますが、先ほど御説明したとおり、いわて加速器関連産業研究会におきましてコーディネーターを配置しておりまして、コーディネーターの活動で企業とKEKや研究施設とのマッチング等の活動を行っていただいているところでございます。
 この活動によりまして、次世代放射光施設等の受注の成果も出ているということで、当面、こういったコーディネーターの活動を中心として取り組みを続けていきたいと考えているところです。
〇千葉秀幸委員 それでは、しっかり企業との連携はされているということで、引き続き前に進めていっていただきたいと思います。いずれ、国ではやるとは言っていないので非常に動き出しが難しいところであるとは思いますが、前向きな企業も多くいるということですので、引き続き連携をよろしくお願いします。
 岩手県では北上山地の工場の試算、建物等のシミュレーション等をされているのでしょうか。また、これらの情報は国に提供している、あるいは国から求められたりしているのかお伺いいたします。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 具体的な組み立ての関係施設といったものかと思いますけれども、国では、まだ場所を決めていないという言い方をしていますが、研究者のほうでは具体的な計画を考えてくれて、物流ですとかそういったものも考える必要があるために、どういった規模の施設か、ある程度のシミュレーションはされるということです。地元としては、道路状況ですとか、そういったところの情報を研究者には提供しておりますが、具体的な施設の規模といったところはこれからのことだと思いますので、今はアウトラインの提供というところです。
〇千葉秀幸委員 わかりました。繰り返しになりますが、世界の研究者から北上山地という提言もされておりますので、岩手県においても、必ず東北地方で実現するのだという強い思いを国にどんどん示していく必要があるかと思っております。
 次に、先週の10月14日に有識者会議が開かれました。また、本日も、開かれていると思います。14日の有識者会議では、3年前からさまざまな課題が出されていたところですが、14日では、それらの課題をクリアした、クリアできるのだという前向きに進んだ議論が行われていたと私は受けとめました。
 先週の有識者会議を当局はどう評価されているかについてお伺いいたします。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 今回の有識者会議では、これまで指摘された国際的な研究協力や費用分担の見通し、学術的意義や国民等への理解、技術的成立性やコストなど、こういった課題の進捗等について、専門的見地からフォローアップし、最新の情報を整理しようというものです。
 お話のありました第2回は、委員と実際に提案している研究者からの説明と意見交換ということで、かなり具体的なやりとりがありまして、計画を提案している研究者から、ILCの重要性ですとか幅広い研究の可能性、それから国際協力による技術開発、コスト削減の成果、準備研究所設立の意義、こういったものについて説明され、委員からも、積極的というか前向きな質問が結構出されたのではないかと受けとめております。
〇千葉秀幸委員 私も同じ認識でございます。少しずつ議論の中身が深まってきて、課題解決がされておりますので、前に進んでいる状況であると思います。
 ただ、一方では、コロナ禍により世界は経済的なダメージを受けていることから、県民からは、本当にILCが来るのかという疑問の声がさまざま出されております。しかし、先ほどお話があったとおり、有識者会議等、着実に前に進んでいるわけで、例えば、現時点ではILCは技術的に成熟している、計画は技術的設計から工学設計の作業に移行する段階にある等、ILC国際推進チーム執行部議長の中田先生も御発言されているようなこともあります。
 このことをもっと県民に周知させ、機運醸成を図っていく必要があると思いますが、県を挙げて、あるいは東北を挙げて誘致するのだ、そういった取り組みを強化、具体的に周知する方法を今後見出していくべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 県ではこれまで、講演会あるいは講師派遣やSNSを利用した情報発信、イベントへの出展などを行ってきております。先ほども申し上げましたが、昨年度初めてオンラインでの講演会ですとかセミナー等に取り組み、実際の開催とは違って、オンラインならではで、県内外から広く参加するといった効果も得られたところです。
 また、一般県民等への普及啓発のために、プロスポーツチームと連携したPRにも取り組んでおります。
 それから、建設候補地として、海外への情報発信にも積極的に取り組み、関係市と連携し、国際交流員等の協力も得ながら、英語版の広報誌THE KITAKAMI TIMESにより、県内の食、文化、観光などについてホームページで定期的に公開しておりますし、国内外に向けたILCに関する情報発信を行っております。
 また、県もそうですし、東北ILC推進協議会ですとか岩手県の国際リニアコライダー推進協議会、あるいは全国的な推進団体等ありまして、先ほどお話ししました有識者会議等もあります。そういった状況を見ながら、適時に連携をとりながら、講演会の企画ですとかも話し合っておりますので、そういった形で今後も取り組んでまいりたいと思います。
〇千葉秀幸委員 わかりました。もちろん関連している産業であったりセミナー等に行っている方々は、あらゆる媒体を通じて周知していると思うのですが、一般の県民の皆様への周知だと思います。先ほど来さまざまな答弁があったわけですが、メディア等を使いながら、今後積極的に発信していっていただきたいと思っております。これは、もちろんILCだけではなく、インバウンド効果もあって相当大きな注目を集めているので、引き続きよろしくお願いしたいと思っております。
 最後に、局長にお伺いさせていただきます。実際どうでしょうか、ILCは、感触的に東北地方に誘致する方向にあるのか伺いたいと思います。東北地方で実現するためにも、もっと国に足を運ぶ回数をふやすべきだと思います。特にILCの担当者は、国でもかわっているようなので、そういった行動等も積極的にしていくべきと考えますが、誘致に向けての思いや所見をお伺いして、終わりたいと思います。
〇高橋ILC推進局長 まず、これまで県内の経済界、産業界と緊密に連携して、また、ILC研究者の知見もいただいて、企業や大学、市町村等の積極的な協力もいただいて要望活動や地域ビジョンの取り組みを推進してきました。現在、ILC準備研究所の設立に向けては、先ほど企業の技術開発のお尋ねもありましたけれど、今、岩手大学、岩手県工業技術センター、いわて産業振興センターが、世界で貢献可能性のある試験研究機関ということでILC国際推進チームから選ばれるなど、これまでの取り組みの一定の成果があらわれてきていると思っております。
 そうしたところで、有識者会議の再開など、国では、まず文部科学省が動いているわけですけれど、次の段階としては、政府として意思決定の前段階におけるプロセスということで国際協議することを一致了解して、関係省庁が協力して海外と協議しながら、建設に向けた準備を進められるよう期待しております。
 県としましては、関係者と緊密に連携して、超党派国会議員連盟のお力をいただきまして、あらゆる可能性を考えてILCの積極的な推進を政府に働きかけてまいりたいと思います。
 また、この委員会が終了した後、できるだけ早く上京して、関係者とコミュニケーションをとりたいと思っております。
 また、情報発信についてもお尋ねがありましたけれど、いずれ、より多くの県民の皆様、企業等の参画を図って、地域への波及効果が大いに発現されるようビジョンを推進していくことが大事です。そうした県の姿が全国へのPRとなって、また、ILCへの国民の関心も一層高まるよう取り組んでいきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 私も有識者会議の再開について質問させていただきたいと思います。
 まず、改めて、第2期の同会議の役割、検討内容についてお示ししていただいた上で、議論の結果が政府の誘致決定にどのような影響を与えると理解しているのか伺いたいと思います。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 有識者会議につきましては、7月に第2期の再開ということで、ILC計画についてこれまでに指摘されてきました国際的な研究協力や費用分担の見通し、学術的意義や国民等の理解、技術的成立性やコストなどの課題についての進捗等について、専門的見地からフォローアップし、最新の情報を整理しようと開催されたということで、年内または遅くとも年度内に取りまとめをするとされておりまして、国内の議論を進める上で非常に重要なプロセスと受けとめております。
〇佐々木朋和委員 まさに第1期でさまざま示された課題について、現在どのような状況になっているのかが明らかになる段階でありまして、非常に重要だということだと思います。
 その中で、先ほどの千葉秀幸委員の質疑の中で課題について印象を言っていただきましたけれども、具体的に第1期で示されてきた課題について、これまでの間にどのような改善が図られているのか、また、その内容について、県として同会議にどのようにアピールしていくのか伺いたいと思います。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 課題への対応状況ということで、これまで有識者会議により指摘された課題につきましては、本年6月に高エネルギー物理学研究者会議、それからKEKが、研究者の立場から、課題解決に向けた取り組みの現状ですとか今後の方策と見通しをまとめたILC計画に関する主な課題についてを公表しておりまして、これについては、有識者会議等でも説明されているということです。
 その中で、先ほど答弁した課題について具体的な改善の状況が示されておりまして、例えば、ILCの鍵となるビームを効率よく加速させる超伝導高周波技術について、国際協力により性能向上とコスト削減が図られていること、また、きょうも3回目で話題となっておりますけれど、土木工事に関する安全性や経費算定について、東北地域も協力した建設候補地の調査結果を踏まえ、専門家による評価を受けていること、こういったものが示されております。
 県では、北上山地での実現に向け、地質、自然環境の調査や地下施設の配置検討などに研究者と取り組んでおりまして、こうした取り組みが、先ほどの課題への対応についても反映されているものと受けとめております。
 県としては、今後の有識者会議の対応や取りまとめに向け、研究者に対して、引き続き必要な協力をしてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 前回は4年にわたるような会議だったわけですけれど、今回は年内あるいは年度内に結果が出るということでしたので、非常に注視しなければいけないと思っておりました。その中で、コスト面や技術面については進捗があるということでしたので、これは好材料であるかと思っております。
 そういった中で、地元としては、やはりILC準備研究所の形が見えてくれば、誘致に向けて目に見える形の前進ということなのですけれど、ILC準備研究所の設立について、文部科学省の来年度の概算要求は従来どおりの4.8億円規模であったということです。これについて県としてはどのように評価しているのか、また、県はこれまでどのような働きかけを行ってきたのか。また、ILC準備研究所設立の進捗について、今回の来年度予算規模についてはどのような影響があると捉えているのか伺いたいと思います。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 ILC準備研究所についてでありますけれども、ILC国際推進チームが提案した準備研究所は、日本に置く30名程度の小規模な本部のもと、各国の研究機関が分担することで、総勢数百人が、それぞれの所属機関でILCの技術課題の最終的な解決等に取り組む国際共同事業であると研究者から説明がされております。
 令和4年度概算要求では、先端加速器の低コスト化に関する日米欧の共同研究の経費3億2、000万円が含まれております。この事業は、ILCに関する日米政府間の議論をきっかけに平成29年度に始まりまして、現在、奥州市も参加しているもので、ILC準備研究所が担う技術課題の最終的な解決等に取り組む国際共同事業に資する経費であるとされております。有識者会議では、先ほど申し上げましたアメリカとの協力による表面処理技術の向上ですとか、ドイツ、フランスとの協力による超伝導加速空洞の製造効率化の取り組みなど、具体的な説明がなされております。
 県としては、これまで日本政府における早期の意思表明を初め、ILCの意義と多様な効果に鑑み、省庁横断の連携体制を強化し、国内議論を加速するよう関係省庁等に働きかけてきておりますし、さらにILC準備研究所に関する研究者の検討状況を踏まえて、昨年11月に準備研究所設立に積極的に対応するよう要望しております。
 引き続き、超党派国会議員連盟等と連携し、ILC準備研究所の設立に向けた米欧との前向きな議論とあらゆる手だてによる必要な予算の確保を国に対し臨機に働きかけていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 ILC準備研究所でやるべき研究や実験については、予算が入っているという説明だったと思うのですけれど、一方で、実験が進んでいればILC準備研究所の設立が遅くなっても全体の進捗には影響がないのか。やはりILC準備研究所をしっかりつくることのプロセスを踏まなければいけないというところなのでしょうか。その辺はどうなのでしょうか。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 その点は、ちょうど今、有識者会議でもいろいろ質問が出ていたりするところでありまして、技術的な研究開発については今までも行ってきているところであります。ただ、今後、さらに具体的に進めていくためには、予算規模もあるので、国際協力を高めることが必要ということもありますし、それから、人材育成の面等の枠組みに取り組むことが必要だというような話はされています。
 ただ、一方で、今言ったとおり、技術的な部分について、今のところでやれるところまでやってきている部分もあるということですので、具体的な課題の部分と本部で見る部分と、ILC準備研究所にもいろいろな機能があるということです。研究者の皆さんは、とにかくできるだけ早くやりたいということで、それがスケジュールにどう影響するかというところまでの話は、今のところは直接的には出ていないところです。
〇斉藤信委員 それでは、私も質問します。最初に、ILCをめぐる政府、文部科学省の動向について伺います。
 まず最初に、ILCをめぐる政府の動向をどのように把握されているでしょうか。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 ILCに関する政府の動向ですけれど、昨年8月に設立されたILC国際推進チームが検討を進めてきたILC準備研究所に関する提案書が本年6月に公表され、また、国内の研究者によるILC計画に関する主な課題についても同時期に取りまとめられたことを受けて、文部科学省は、7月に有識者会議を再開したところです。
 また、文部科学省は、第1回目の会議の場で、この秋には欧米の政府機関との意見交換を行うよう調整していると明らかにしておりまして、その実現と着実な議論の進展を期待しております。
 有識者会議は、先ほど申し上げたとおり、きょうが3回目ということで、あと2回予定されていて、年内または年度内に取りまとめを行うと発表されております。
〇斉藤信委員 文部科学省の動向も今の答弁の範囲内ですか。文部科学省の動向について、何かありますか。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 今申し上げたとおりであります。
〇斉藤信委員 それでは、前の2人もお聞きしましたが、文部科学省の有識者会議について私もお聞きしたいと思います。
 文部科学省の有識者会議は、前に審議のまとめを公表しました。以前に提起された審議のまとめの内容はどういうものですか。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 有識者会議は、前回平成26年に設置されまして、平成30年7月にILC計画の見直しを受けたこれまでの議論のまとめとして取りまとめをしておりまして、研究者コミュニティーからの聞き取りや調査、分析を通じて、さまざまな観点から調査、検討を行い、ILC計画の全体像を可能な限り明確に示すものという位置づけで取りまとめをされています。
 議論のまとめにおきましては、ILC計画は、新しい物理の解明に貢献することが期待されている計画という学術的な意義を認められたものと認識しておりますし、ILC計画の実現に向けては、国際的な研究協力及び費用分担の見通し、学術的意義や国民及び科学コミュニティーの理解、技術的成立性の明確化、コスト見積もりの妥当性、人材の育成、確保の見通し、こういった課題が示されているものです。
〇斉藤信委員 それで、今回、文部科学省のILC有識者会議が7月29日に再開されて、第1回の会議が開催されました。そして第2回の会議が開催されたということになっております。この再開された理由と目的は何でしょうか。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 前回の取りまとめから3年ほど経過しております。その間、研究者側ではさまざまな課題に対しての対応を進めてきているというところがあります。それが国内の研究者による主な課題についての取りまとめですし、それから、ILCを進める国際的な研究者の皆さんからILC準備研究所の提案書も出たということで、文部科学省では、そういう課題の取り組み状況、進捗の確認、最近の情報をフォローアップすることで再開したとしております。
〇斉藤信委員 第2回目の会議が10月14日に開催されたと新聞で報道されていますけれども、この第2回の会議の内容を示してください。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 第2回目、それからきょうの第3回目と、ILC計画を提案している研究者から、具体的な課題の取り組み状況等を説明して、有識者委員から質疑している状況であります。
 それで、第2回の会議では、ILC計画を提案している研究者から、ILCの重要性と幅広い研究の可能性、国際協力による技術開発、コスト削減の成果、ILC準備研究所設立の意義などについて説明されて、委員との意見交換が行われました。
〇斉藤信委員 10月15日の胆江日日新聞の報道では、計画を推進する方々から大変な危機感が表明されたということです。日本が世界をリードできるめったにないチャンスであります。ここでもたもたしているとILCが海外にさらわれてしまう、日本政府の前向きな姿勢がない限りILC準備研究所は開設できず、予定している行程は実現できない、こういう危機感が表明されたということです。
 一方で、有識者会議の方の発言も紹介されているのです。高エネルギー分野の世界共同大型プロジェクトは、ILCかFCCぐらいしかない。文部科学省の見解や予算面の厳しさがある中、当該分野の継続性を考える上では、誘致前提のILC準備研究所の開設ではなく、技術開発と国際プロジェクトの継承という位置づけで取り組んでいけないものか。政府や他分野研究者との温度差が埋まらないと次のステップに行くのは厳しいと思うという、これは有識者のメンバーの発言なのです。
 第3回会議がきょう10月18日に開かれるというので、1年かけて議論される。この有識者会議が推進している研究者との意見交換を行って、また議論のまとめが出ると思うのですが、この議論のまとめというのはどういう性格のものになりますか。文部科学省は、これをどう受けとめることになりますか。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 文部科学省からは、この取りまとめの後、具体的にどう進めるといったことについては、今のところ正式に発表はされておりません。
 ただ、文部科学省としては、国際分担の協議ですとか技術的成立性の課題、こういったものの確認をしたいということがありまして、国際分担については、秋に米欧政府機関との協議ということで調整するということであります。それから、技術的成立性について、国内の議論を有識者会議で進めているということですので、県としては、文部科学省が考えている対応や手順を踏んで進めているものと考えております。これまで示されてきた課題を具体的にどう乗り越えていったらいいのかといった前向きな議論、国際的な議論を具体的に進めていただきたいと期待しております。
〇斉藤信委員 私は率直に、国際的なILCの研究者が、北上山地にこうしたILCの研究施設を整備したい。それに応えて岩手県が誘致を進めるのは当然のことだと思うのです。ただ、政府の対応、文部科学省の対応が、関心を表明しただけにとどまっているわけです。そして、さまざま研究者がILC準備研究所の提案をしても、それに前向きな対応はしない、予算はいつも同じである。だから、見放してもいないけれど前にも進まない、これが今の政府の対応ではないのかという感じがします。
 そうした中で、私は、政府、文部科学省が一歩踏み込まない限りこれは進まないと思うのです。そういう点で、県はどういう方向で今後取り組むのか、それを聞いて終わります。
〇高橋ILC推進局長 これまで、研究者による国際的な検討が進む一方で、国内では、昨年の第24期学術の大型研究計画に関するマスタープラン以降、目に見える形で議論が進んでこなかったわけです。先ほど答弁しました、今般出された国内の研究者によるILC計画に関する主な課題については、研究者の自主的な公表であったと聞いておりまして、研究者と文部科学省と同期した動きが出てきたと受けとめております。
 また、県としても、KEK等とILC準備研究所設立に向けた国内外の議論の状況ですとか、今どんなことが課題になっているかといったことを意見交換しながら進めてきているわけですけれど、ILC準備研究所という一つの国際協力の枠組みがあるわけですが、それにかかわらないで、しっかりとした国際協力の枠組みがあればそれで進めていく、ILC準備研究所につなげていくといった考え方もあるようです。今、KEKでは加速器の技術開発の予算の増額もいろいろ考えているという話を聞いております。
 いずれ、今回の有識者会議の中で、文部科学省では欧米との意見交換を進めていくと話をしているわけですけれど、次の段階としては、文部科学省だけではなく、政府として、最終的な意思決定に向けて、その前段階としての国際協議を進めていくことについて了解していただいて、省庁協力して進めていってもらい、そうしたところで国内の議論も機を逸しないよう進めていくことが必要かと思っております。
 私どもとしましては、研究者等と課題を共有して、緊密に連携しながら、超党派国会議員連盟等とも連携して、いろいろお知恵をいただきながら、いずれ、あらゆる可能性を考えて政府に積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
〇田村勝則副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇田村勝則副委員長 質疑がないようでありますので、これでILC推進局関係の質疑を終わります。
 ILC推進局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、出納局長に出納局関係の説明を求めます。
〇永井会計管理者兼出納局長 出納局関係の決算について、お手元の歳入歳出決算事項別明細書により御説明いたします。
 まず、一般会計について御説明いたします。
 172ページをお開き願います。2款総務費1項総務管理費1目一般管理費のうち、出納局関係の支出済額は、173ページ備考欄の中ほどに記載のとおり6億9、792万円余であり、これは、職員の人件費などの管理運営費及び県営建設工事入札業務に係る経費です。次に、176ページをお開き願います。5目会計管理費の支出済額は、177ページに記載のとおり1億6、726万円余であり、その内容は、備考欄に記載のとおり、管理運営費、収入証紙売りさばき手数料などです。
 次に、岩手県証紙収入整理特別会計について御説明いたします。
 少しページを飛んでいただきまして、434ページをお開き願います。まず、歳入ですが、収入済額の合計は、435ページの一番下の欄に記載のとおり30億7、815万円余です。
 続いて、436ページをお開き願います。歳出ですが、支出済額の合計は、437ページの左側一番下の欄に記載のとおり29億7、540万円余であり、これは、一般会計及び歳入歳出外現金への繰出金です。
 次に、467ページをお開き願います。実質収支は、歳入総額から歳出総額を差し引いた1億275万円余であります。
 以上で出納局関係の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇田村勝則副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇柳村一委員 証紙制度についてお伺いしたいのですが、昨年度の決算でもお聞きしたのですけれども、あり方について、今、当局で検討なさっているという答弁でしたが、検討結果の内容はどうなっているのかお伺いします。
〇大塚会計課総括課長兼会計指導監 証紙制度のあり方や考え方について御質問いただきました。
 本県の証紙制度は、使用料、手数料の各種手続の際、領収書の発行や釣り銭等の必要がなく、輸送による申請も可能であるなど、県民の利便性を考慮し採用してきたところでございます。
 御質問いただきました証紙制度のあり方についてですけれども、これまでにいただきました御質疑等も踏まえながら、他の都道府県の検討状況等の情報収集を進めているところです。
 昨年、御質問いただきましたが、仮に証紙制度を廃止しまして、いわゆるキャッシュレス決済を導入した場合につきましても検討しているところですけれども、キャッシュレス決済を御利用されない県民の方もおられると想定されますので、その場合の取り扱いについても検討を行う必要があると考えているところです。
 キャッシュレス決済は、県民生活のさまざまな場面で利用されていると考えておりまして、昨年6月の調査ではあるのですけれども、12都道県において、施設使用料等で既に導入されていると承知しております。引き続き、本県の状況とも比較しながら、運用後の実態も調査していくところです。
 いずれにしましても、国や他の地方自治体の動向について情報収集を行いつつ、県民の利便性の向上や社会情勢の変化なども踏まえながら、それぞれの行政手続に適した収納方法の多様化につきまして、引き続き研究、検討を進めてまいります。
〇柳村一委員 昨年度と余り内容が変わらないというところですけれども、鳥取県は、ことし9月から、証紙の販売を停止して、現金、クレジットカード、納付書を使ったコンビニ払いなどを始めていまして、鳥取県では、証紙の毎年の取り扱い経費に比べて、新たなシステムに移行することによって、中長期的に低額に抑えられると判断したようです。
 免許証の更新、パスポートの取得など県民が多く利用する部分だけでも、例えば現金や電子マネーという部分の活用も考えられるのではないかと思います。全部が全部最初からやるというのではなく、部分部分をやっていきながら、費用対効果を検証していくのも一つの手だと思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
〇大塚会計課総括課長兼会計指導監 鳥取県が収入証紙を廃止した件について御質問いただきました。
 当県としましても、先ほど申しましたとおり、他の都道府県の状況については関心を持っておりまして、鳥取県にも聞き取り等を行ったところです。鳥取県からの聞き取りでは、今月から収入証紙にかわる納付方法として、手数料の種類によって異なるようではありますけれども、大きく分けて3種類の納付方法を用意していると聞いています。そのうちの県内3カ所の納付窓口での納付の場合には、御指摘ありましたとおり、電子マネーやクレジットカードでの納付なども可能になっていると聞いております。
 御質問いただきましたように、県民の多くが利用する部分だけでもというお話でしたけれども、当局としても県民の利便性の向上は重要な課題だと認識しておりますので、引き続き他県の状況等も情報収集させていただきながら、あり方について検討してまいりたいと思います。
〇田村勝則副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇田村勝則副委員長 質疑がないようでありますので、これで出納局関係の質疑を終わります。
 出納局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、人事委員会事務局長に人事委員会関係の説明を求めます。
〇今野人事委員会事務局長 それでは、人事委員会関係の決算につきまして御説明申し上げます。
 お手元の歳入歳出決算事項別明細書の202ページをお開き願います。第2款総務費のうち9項人事委員会費でございます。予算現額1億4、898万円余に対しまして、支出済額は1億4、757万円余でございます。
 内訳でございますが、1目委員会費の支出済額の651万円余は、委員3名分の報酬など委員会の運営に要した経費でございます。ページをめくっていただきまして、2目事務局費の支出済額は1億4、106万円余でございますが、これにつきましては、職員16名分の人件費及び事務局におきます任用関係事務、公平審査事務及び給与関係事務等の管理運営に要した経費でございます。
 以上で人事委員会関係の決算の説明を終わります。よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇田村勝則副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 それでは、最初に、県職員の超過勤務時間の実態と対応についてお聞きいたします。
 県職員も年360時間、月45時間となっていますが、45時間を超える県職員の状況について示してください。
〇藤村職員課総括課長 ただいま御紹介にありました45時間以上等の超過勤務時間でございますが、原則的な超過勤務時間の上限の対象となるいわゆる原則的部署につきましては、月45時間あるいは年360時間が上限とされており、それを超えて超過勤務を行った職員は、昨年度183名となっており、一昨年度の110名に対して73名ふえているところでございます。
〇斉藤信委員 昨年は73名ふえたということですが、その理由、要因について示してください。
〇藤村職員課総括課長 超過勤務時間全体につきましては微減している傾向ではございますが、保健福祉部関係の職員の増加が目立つということで、新型コロナウイルス感染症対策業務による影響が大きいものと推測しております。
〇斉藤信委員 次に、県職員の中にも他律的部署と指定された職員、これは月100時間以内となっていますね。こういう職員がいるのですね。この他律的部署と指定された職員数はどれほどいるのか、同時に、月100時間を超える超過勤務を行った職員の状況はどう把握されているのか示してください。
〇藤村職員課総括課長 他者との調整や折衝など他律的業務の比重が高い所属につきましては、他律的部署として指定され、先ほど御案内のありました月100時間または年720時間など、原則的部署の上限を上回る時間が設定されておりますが、それらの所属の職員数は全体で4、565名、そのうち上限時間を超えて超過勤務を行った職員は、昨年度241名となっており、一昨年度の224名に対し17名ふえているところでございます。
〇斉藤信委員 今の答弁で、他律的部署ということで指定されている職員は4、000名程度とすると、これはほとんど全職員ではないですか。違うのではないですか。
〇藤村職員課総括課長 ただいま申し上げました4、565名は、原則的部署になりますと5、000名超ということで、職員全体では9、800名余ということで把握しております。
〇斉藤信委員 そうすると、4、565名というのは100時間以内までは可能だということですか。年間720時間以内までは働いてもいい、こうなっているのですか。
〇藤村職員課総括課長 ただいまの他律的部署につきましては、上限の勤務時間数ということになっておりまして、決して働いてもいいというような趣旨ではございませんが、なかなか他者との調整、折衝等、さまざまな業務の中で他律的業務の比重が高いと判断される部分につきましては、このような形で上限を指定しているということでございます。
〇斉藤信委員 そうしたら、どういう部署が他律的部署に該当するのか、この4、565名の内訳を示してください。
〇藤村職員課総括課長 他律的部署の業務に指定されている部署につきましては、知事部局におきましては、本庁1、223名、広域振興局、出先機関につきましては939名、計2、162名、教育委員会につきましては189名、警察本部につきましては2、160名、その他、任命権者も含めまして4、565名ということでございます。
〇斉藤信委員 そうすると、4、565名、先ほどは全体では9、000名を超えるとなっていました。そうすると、約半分の職員は月45時間ではなく100時間以内まで許容されるとなれば、なぜ月45時間、年間360時間以内と定めているか、意味がないじゃないですか。2人に1人ですよ。これは全然規制がかからないのではないですか。
 これは事務局長に聞きましょう。職員の半分が月100時間以内、年間720時間以内まで働いてもいいということだったら、労働時間短縮というのが今最も重要な課題になっていると思うけれども、何でこうなっているのですか。これは異常だと思いませんか。
〇今野人事委員会事務局長 他律的部署につきましては、委員おっしゃるとおり、基本的には、なるべく抑制的に指定するべきものではございます。ただ、現行の指定内容につきましては、先ほど課長からも答弁いたしましたが、他者との調整、それから折衝、そういったいわゆる相手方との関係でなかなか難しいところに絞って指定させていただいているところでございます。
 いずれ、先ほど申し上げましたが、あくまで上限ということでございますので、これはそこまではやってもいいよといった、いわゆる容認という趣旨で指定しているものではございません。こういった他律的部署も含めて、いわゆる超過勤務時間の低減については努めていきたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 9、000名余の職員のうち約半分が、いわゆる他律的部署に指定されるということは、私は異常だと思います。今、事務局長が言ったように、こういうふうに指定するとすれば本当に限定的に指定されるべきじゃないですか。
 ほかの都道府県の実態は把握されていますか。
〇藤村職員課総括課長 大変申しわけございません。他の都道府県の状況につきましては把握しておりませんが、ただいまの御指摘等を踏まえながら対応させていただきたいと考えております。
〇斉藤信委員 人事委員会というのは、労働基準監督署にかわって県職員の長時間労働を管理監督する、規制する機関です。半分の職員が月45時間の規制の対象にならないとなれば、何のための規制なのか。制度としてはほとんど形骸化されていると私は思います。これは本当に労働基準監督署としての原点に立ち返って、こういう他律的部署の指定でいいのか再検討すべきだと思います。他県の状況もよく把握して行っていただきたいが、事務局長、いかがですか。
〇今野人事委員会事務局長 他律的部署の趣旨については、先ほど申し上げたとおりでございます。指定自体は各任命権者で行っているものでありまして、その年度ごとに指定しているということでございますので、御指摘いただきました他県の状況ですとか、その時々の実態に合わせて、趣旨をきちんと踏まえて指定について行っていただくよう、任命権者とも話をしたいと思います。
〇斉藤信委員 そういう中で、残念ながらというか、241名は月100時間を超える本当に異常な勤務時間になっている。これは過労死ラインを超えているのです。こういう職員に対して、きちっとした医師による面接指導が行われているのか、健康管理が行われているのか。そういうことをしっかり管理監督されているでしょうか。
〇藤村職員課総括課長 産業医等の医師の面接指導を受けた職員数でございますが、昨年度延べ397名であり、一昨年度の301名に対し96名ふえているところでございます。
 また、昨年度におきましては、必要な職員数は全て面接を受けたものと承知しております。
〇斉藤信委員 本当に100時間を超える職員が241名いたということですが、今の397名というのは、月100時間プラス年間720時間を超えたということですか。
〇藤村職員課総括課長 ただいま397名と申し上げましたのは、産業医の面接指導につきましては、各月に例えば100時間を超えた方ですとか、そのほか、2カ月または6カ月平均で80時間を超えるといったようなさまざまな条件に該当する職員が、月ごとに受けた人数の合計という形でございますので、延べ人数として御紹介させていただいたところでございます。
〇斉藤信委員 そうすると、最初の241名というのは実数と捉えてよろしいですか。はい、わかりました。
 改めて、本当に異常な長時間勤務の実態が浮き彫りになったと思います。指定も含めて、本当に人事委員会の役割を発揮していただきたい。
 もう一つ質問ですけれど、職場の実態調査の集計はまだのようですが、長時間労働が大問題になって、私がここで取り上げてきたのは、教員の長時間労働の実態です。これは、途中経過でも把握されているでしょうか。昨年の教員の長時間労働、今年度の長時間労働の状況は把握されていますか。
〇藤村職員課総括課長 当委員会が労働基準監督機関としての職権で、毎年、事業場の調査をさせていただいておりますが、現在、令和2年度の実績につきまして調査中で、そちらの数字につきましては、鋭意取りまとめている段階でございます。
〇斉藤信委員 人事委員会が直接、職場の実態調査を毎年行っているということですが、残念ながら、昨年度の状況がこの決算特別委員会までに出ないのですね。これは本当に残念でならない。やっぱり決算特別委員会に昨年度の実態調査が出ないと、私は決算審議にならないと思うのです。
 ただ、教育委員会では把握しているのです。それを紹介しますと、令和2年度、80時間以上、これは延べ人数ですけれど1、297人、100時間以上、98人ということです。月ごとの最高は、昨年の10月が80時間以上で360人、100時間以上で28人でありました。
 ことしも、これは第1・四半期ですけれど、月80時間以上は4月、5月、6月の延べで681人、100時間以上は47人となっております。ほとんど改善されていないのではないか。私は、職場の実態調査でしっかり指導するのと、やっぱり中間で点検をしながら、それが改善されていなかったら、随時指導監督することが必要なのではないかと思いますが、いかがですか。
〇藤村職員課総括課長 調査の時期につきましては、御指摘等を踏まえまして少し考えさせていただきたいと思いますが、いずれ、こういった実態は、教育委員会等とも情報を共有させていただきまして、適宜、教育委員会との意見交換等をさせていただきながら、情報把握と今後の対応について連携して解消に努めさせていただきたいと考えております。
〇斉藤信委員 これが最後です。教員の長時間労働については、県職員と違って超過勤務手当がつかない、まさにサービス残業なのです。あってはならない。この間、さいたま地方裁判所では、今の教員の教職員給与特別措置法は長時間労働の実態に合わないという厳しい判決も出ました。私は判決が出たからというのではなくて、本当に80時間、100時間を超えるかなりの数の教員が放置されている中で、年1回指導監督することだけではなくて、やっぱり随時、改善の状況を把握しながら改善を進めることが必要なのではないか。最後、事務局長に聞いて、終わります。
〇今野人事委員会事務局長 いわゆる教職員給与特別措置法の制度の矛盾につきましていろいろ指摘されているところでございます。
 いずれ、そういった法律の改正が必要でございますので、それを待つことにはなりますが、教員の超過勤務の状況については、喫緊の課題と認識しているところでございます。
 今般、いわゆる慢性的に超過勤務の状況がなかなか解消されないところについては、改善計画を策定していただいて、もちろん所属の負担にならないような形でやっていきたいと思います。そういった形で、各所属のいわゆる自発的取り組みをきちっと後押ししていくといったような形で、人事委員会としても取り組んでいきたいと考えております。
〇名須川晋委員 コロナ禍における人事委員会の現状と課題、その対応について質問させていただきます。職員の給与等に関する報告及び勧告についてということで、10月12日に発表されましたが、ボーナスが0.15カ月引き下げということもございます。この勧告のポイントについてお知らせいただきたいのと、人事委員会の今後の取り組みについて、まずはお伺いいたします。
〇藤村職員課総括課長 それでは、まず、今般のコロナ禍の現状を踏まえての課題認識でございますが、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機といたしまして、民間企業等、リモートワークなど働き方を大きく見直す動きが広まったところでございます。
 本県におきましても、在宅勤務の実施等を進めているところでございますが、今後の課題といたしましては、感染症拡大防止のみならず、収束後におきましても、職員にとって働きやすい職場環境を推進していくといった観点から、テレワークやフレックスタイムなどの取り組みを推進していく必要性があろうかと認識しております。先日行いました人事委員会勧告及び報告におきましても指摘したところでございます。
 また、先週の総務部審査におきましても答弁があったと承知しておりますが、新型コロナウイルス感染症対策業務に携わる部署では、超過勤務時間が全庁平均を上回っているといった実態もございます。人事委員会といたしましても、職員の過重な負担について懸念しているといったところを、職員の給与等に関する報告及び勧告において言及させていただいたところでございます。
 今般の職員の給与等に関する報告及び勧告のポイントでございますが、まず、給与につきましては、先ほど御案内がありましたとおり、月例給につきましては民間給与実態を踏まえまして据え置き、ボーナスにつきましては0.15月分の支給月数の引き下げが適当と判断し、必要な条例改正の措置を勧告したところでございます。
 また、極めて採用困難な状況が続く獣医師の給与上の処遇の検討の必要性について報告したところでございます。
 公務運営に係る事項といたしましては、県職員の人材確保、なかなか採用試験受験者が減少する傾向が変わらない、続くというところがございまして、人事委員会といたしましては、受験者の拡大に向け、戦略的かつ体系的に対策を講じていくこと、長時間勤務の解消につきましては、先ほども話が出ておりますが、一層の業務削減、合理化を進めていく必要があること、また、人事院が新たに設けるとした不妊治療休暇につきまして、その検討をする必要があるといったことを報告させていただいたところでございます。
 今後の改善策でございますが、先ほどの課題といたしました2点、在宅勤務につきましては、知事部局では、昨年、働き方改革推進会議を設置し、リモート環境の整備によるモバイルワークの推進等に取り組むこととしております。人事委員会といたしましても、今後、民間企業や国等における動向を注視しながら、任命権者と連携し、具体的な制度等のあり方について、引き続き検討してまいりたいと考えております。
 超過勤務につきましては、医療政策室の組織体制の強化、ワクチン接種業務への全庁を挙げての業務支援等が実施されているものと承知しておりますが、今後、人事委員会といたしましても、労働基準監督機関としての観点から、この状況を注視しつつ、引き続き必要な指導、助言を行ってまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 職員採用の件について伺います。
 最近、このコロナ禍で安定職業にまた目が向けられているという状況がありまして、人事委員会の資料でも、昨年度の採用試験は、1種ですと、ならせば2.5倍、そして、今年度は2.9倍ということで若干ふえておりますけれど、そういう傾向がコロナ禍というところで強まっていると考えていいのかどうかお聞きします。
〇今野人事委員会事務局長 倍率の推移についてはそのとおりでございますが、詳細な要因分析はなかなか難しいところでございまして、長期的に見ると右肩下がりの状況にあるというベースがございます。そういった中で少し倍率が上がったことにつきましては、委員がおっしゃったとおり、新型コロナウイルス感染症等の影響があるのかと考えているところでございます。
〇名須川晋委員 それでは、職員採用に向けて、多くの方が希望するようなPR方法について具体的にお知らせください。
 それとともに、障がい者の採用が今年度ふえるわけでございます。昨年度は11人採用予定ということでございましたが、今年度は19人という状況でございます。ただ、昨年度は11人の採用予定のところに、合格者数は7人ということで、倍率は6.43倍、非常に高いほうになりますね。1種のほうでも、農学ですと1.2倍、土木1.3倍というところもあれば、最大で9倍のところもありますけれども、その中でも障がい者を対象とすると6.43倍と高くなっておりまして、これが19人の予定になって、果たして今年度、どこまでふやせるのかと思うわけでございます。
 岩手県では、障がい者活躍推進計画を策定しておりますけれど、これの流れでふえたのかと思いますが、果たして障がい者の方をこの計画どおり採用できるものかどうか、この辺の取り組みについて伺います。
〇藤村職員課総括課長 それでは、まずは、PR方法のお話をさせていただきます、人事院では、公務員を志望しなかった、いわゆる民間を志望した方々を含めて、その志望動機等の調査をすることを予定しております。
 本県におきましては、特に近いところの大学等に赴きまして、学生の動向等をしっかり調査させていただきながら、そういった施行のスケジュール等を踏まえながら、効果的なPR方法を改めて検討し実施していきたいと考えているところでございます。
 障がい者の採用等につきましては、募集等、それから採用等は、今、委員御指摘のあったとおりでございます。今般19名の採用予定ということでございます。応募者もそれなりの人数が来ているところかとは承知しておりますが、実際の試験、面接等を踏まえまして決定するところかと思っております。
〇名須川晋委員 障がいをお持ちの方は、県としても法定雇用率以上に雇用したい、する方向でこの計画にはありますけれど、先ほどの御答弁でもリモートワークのお話もございましたが、さまざまな障がいの種類の方、程度がありますけれど、リモートワーク等の推進によって、採用予定人数の19人をできるだけ充足するような状況が生み出せるのではないかと考えます。その辺の取り組みについて、お知らせいただきたいですし、この障がい者の新規採用のところで、現在どういう状況か、昨年度の倍弱になっているわけでございますが、もうちょっと詳しくその見込みを教えてください。
〇藤村職員課総括課長 障がい者の雇用につきましては、具体的には任命権者のほうで実際の働き方とか、そういったところを検討されているところと承知しております。その中には、今御指摘がありましたリモートワークなどを生かすという方法は大いに考えられるところかと思っておりますが、実際、任命権者のほうでどのような準備をされているかは、申しわけございません、そこまで承知していないところでございます。
 したがいまして、採用につきましても、そういったことを前提とした採用枠があるかといったところにつきましても、人事委員会といたしましては、採用試験、面接を行いながら採用者の決定等を進めていきたいと考えております。
〇名須川晋委員 そういう環境を整えるということで、この障がい者雇用率を上げていくことが必要になってくるわけでございますので、ぜひとも、しっかりと人事課とも連携を図りながら、障がい者雇用に結びつけていただきたい。
 やはり、一般職員もそれぞれ一定のレベルが必要なのと同様に、もちろん障がい者の方も、しっかりとしたレベルを確保しながら定数を満たしていくことが必要でございます。あくまでその環境の充実にぜひとも努めていただきたいと思いますが、最後に、御所見を伺います。
〇今野人事委員会事務局長 現在、知事部局におきましては、障がい者の法定雇用率を若干満たしていない部分もあって、障がい者雇用の促進については、喫緊の課題と認識しております。
 いわゆる業務の合理化という観点からも、デジタル・トランスフォーメーションの取り組みの推進は、報告において指摘しているところでございますが、委員おっしゃるとおり、障がい者の雇用促進という意味においても、重要であると認識しております。
 いずれ、障がい者の雇用促進のためには、それに対応した職場環境づくりが大事でございますので、デジタル・トランスフォーメーションの取り組みの推進も含めて、任命権者ときちんと連携をとりながら、人事委員会としてもアプローチをしていきたいと考えております。
〇田村勝則副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇田村勝則副委員長 質疑がないようでありますので、これで人事委員会関係の質疑を終わります。
 人事委員会事務局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、監査委員事務局長に監査委員関係の説明を求めます。
〇小畑監査委員事務局長 それでは、監査委員関係の決算につきまして御説明申し上げます。
 お手元の歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げますので、204ページをお開き願います。第2款総務費のうち、10項監査委員費1目委員費の支出済額は、205ページに記載しておりますけれども、1、850万円余であり、これは、監査委員4名の報酬、給与及び監査等に要した経費であります。2目事務局費の支出済額は1億6、746万円余であり、これは、207ページの備考欄にありますけれども、事務局職員の人件費など事務局の管理運営に要した経費であります。
 以上で監査委員関係の説明を終わります。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
〇田村勝則副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇名須川晋委員 コロナ禍における監査業務について、簡潔に伺います。
 監査業務における現状と課題、その対応について、また、監査委員から見た現場における現状の認識について、そして、令和2年度岩手県歳入歳出決算審査意見書のポイントについて伺います。
〇小畑監査委員事務局長 私から、監査業務の現状と課題、対応についてお答えいたします。
 まず、令和2年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の状況に応じた対応の基本方針を定めて、計画した全ての監査、審査等の業務を実施しております。
 実施に当たりましては、感染の防止と監査対象機関の事務負担の軽減を図る必要がありましたので、各機関との連絡調整を密に行い、定期監査におきましては、広域振興局の保健福祉環境部、保健所、県立病院、県外事務所等につきまして、現地で対面で行う実地監査から、確認書類を取り寄せてメールあるいはウエブ会議システム等を活用して行う書面監査に切りかえて行っております。また、実地で行う場合につきましても、監査時間の短縮あるいは必要最小限の職員での対応をしているところでございます。
 今年度におきましても、この経験を踏まえまして監査計画を作成し、感染が拡大した時期に一部延期したところもございますけれども、おおむね計画どおりに監査を進めているところでございます。
 今後も、感染状況等を踏まえながら、適切に監査を進めてまいりたいと考えているところでございます。
〇寺沢監査委員 私からは二つお答えいたします。まず、監査委員から見た現場における現状の認識についてでございます。
 事務事業につきましては、一部に留意改善を要するものがございましたけれども、おおむね適正に処理されていると認められました。
 新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、事業内容を変更せざるを得ないものもございましたけれども、各部署では、さまざま工夫しながら業務を執行しておりました。
 また、広域振興局等では、全庁で応援体制を組み感染防止対策に当たるなど、職員は大変頑張っていると受けとめております。
 次に、審査意見書のポイントでございますが、県財政は、引き続き厳しい運営が予想されておりますことから、今後は、東日本大震災津波や台風災害からの一日も早い復旧、復興はもとより、新型コロナウイルス感染症対策や新たな重要課題に迅速かつ的確に対応するため、限られた財源を重点的かつ効率的に活用するとともに、経済性、有効性の観点にも十分留意の上、適時適切な行政運営に努められたいとする意見書を取りまとめたところでございます。
〇田村勝則副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇田村勝則副委員長 質疑がないようでありますので、これで監査委員関係の質疑を終わります。
 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後4時15分 休 憩

午後4時36分 再開
〇小西和子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、警察本部長に警察本部関係の説明を求めます。
〇大濱警察本部長 令和2年度の警察本部関係の決算につきまして御審議をいただくに当たり、初めに、東日本大震災津波に伴う県警察の取り組みにつきまして御説明申し上げます。
 東日本大震災津波により、本県では4、675名のとうとい命が失われ、1、100名を超える方々がいまだ行方不明となっております。
 県警察といたしましては、行方不明の御家族からの御要望等を踏まえながら捜索活動を継続して実施するほか、各種鑑定の活用等による身元の割り出しを引き続き推進するとともに、今後も被災地の安全・安心を確立するための活動を推進してまいります。
 続きまして、警察業務の推進状況について御説明申し上げます。
 県警察では、令和2年の基本姿勢を県民の期待と信頼に応える力強い警察とし、活動重点に、県警察の総力を結集した被災地の復興を支える警察活動の推進などを掲げ、必要な各種施策を推進してまいりました。
 令和2年中の県内の治安情勢についてでありますが、
刑法犯の認知件数は2、553件で、前年より510件減少しております。一方で、特殊詐欺の認知件数、被害額は前年から横ばいで推移し、サイバー犯罪の相談件数は増加しており、平成26年以降、高水準で推移しております。
 次に、交通事故の発生状況等についてでありますが、発生件数、負傷者数とも17年連続で減少いたしましたが、死者数は46名と前年比で1名増加し、人口10万人当たりの死者数は、東北6県では2番目に多くなっております。
 令和3年の県民意識調査においては、交通事故の少ない社会づくり、犯罪への不安の少ない社会づくりが重要度が高い項目の上位にランクされており、県民が安全・安心を実感できる地域社会の実現を図るため、県警察の総力を挙げて各種施策に取り組んでいるところであります。
 続きまして、令和2年度の警察本部関係の決算について御説明申し上げます。
 お手元の令和2年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。警察本部関係の決算は、9款警察費であり、歳出予算現額の総額は285億2、225万円余で、これに対しまして支出済額の総額は279億1、906万円余であります。
 なお、令和3年度への繰越額は2億6、474万円余であります。
 決算の内容につきましては説明を省略させていただきますので、御了承願います。
 以上のとおりでありますので、よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇小西和子委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇郷右近浩委員 御説明ありがとうございました。何点か質問させていただきたいと思います。
 先ほど警察本部長からの御説明の中で、交通事故の死亡者数を何とか減少させていきたいといった旨のお話がありました。私自身、これまで交通安全施設について、例えばゾーン30であったり、さらに、各種のいろいろな施策を複合的に使う形の中での安全を守っていくといったお話をるるこれまでさせていただいてまいりました。
 そうした中にあって、過日、8月27日の岩手日報にも報じられておりましたけれども、これまでゾーン30の施策があったわけでありますが、今回、ゾーン30プラスということで、さまざまなものを複合的に重ね合わせていくことによって、さらにしっかりと安心をつくり出していこうといった対策が記載されておりましたが、これまでのゾーン30とどのように違って、そして、どのようなものになるのか、また、具体的な対策を含めてお示しいただければと思います。
〇田村交通部長 ゾーン30プラスの概要についてでありますが、本年8月26日に警察庁と国土交通省の連携施策として発表されたものであり、警察による最高速度30キロメートル毎時の区域規制と道路管理者による物理的デバイスを適切に組み合わせ、交通安全の向上を図ろうとするものであり、整備の検討段階から、警察と道路管理者が緊密に連携していくこととなります。
 具体的な対策といたしましては、警察では、これまでの速度30キロメートル毎時の区域規制に加えて、大型車両の通行禁止、一方通行等の各種交通規制を行うこと、道路管理者では、ハンプやスムーズ横断歩道といった物理的デバイスの設置、歩道部分における防護柵の設置等が考えられます。
〇郷右近浩委員 これまでのゾーン30よりもかなり踏み込んだ形で、一方通行規制をさらに強くしていったりということでありますけれども、以前から警察庁と国土交通省と、さらに文部科学省であったり、いろいろな枠組みの中で、その時々で、交通事故が多く、特に児童が巻き込まれたりするような事故があったときには、省令等で強化していったりということをこれまでもやってこられたと思います。
 そうした中で、今回このような形で両者が一緒になってゾーン30を、さらに安全対策を強く打ち出していくということだとすると、これまでゾーン30の指定をしてきたところに対しても、さらにこのプラスというような要素を入れて、これまで以上に全体的な形での安全体制をつくり上げていこうとされているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
〇田村交通部長 ゾーン30プラスの整備方針についてでありますが、今後は、原則としてゾーン30プラスで整備を計画することが前提となります。
 これまで整備したゾーン30につきましては、道路管理者とともに物理的デバイスの設置を計画し、ゾーン30プラスとしての整備を検討していきたいと考えております。
〇郷右近浩委員 確かに、警察庁、そして国土交通省、そうした形の中で一緒になって進めていくに当たっても、お金が出てくるところを含めて、しっかり道路管理者がきちんと認識を持っていただいて、そして、一緒に同じ方向に向かっていかなくてはならないと思います。
 そうした中で、今回のゾーン30プラスの中で、横断歩道等へのハンプの設置等も今回行ってみているということで、当県においては滝沢市も設置したということであります。今後どのように検証して設置を広めていこうとしているのか、お伺いしたいと思います。
〇田村交通部長 滝沢市が整備した横断歩道のハンプ設置についてでありますが、可搬式ハンプを用いた仮設のスムース横断歩道であり、道路管理者とともに、設置前後における車両通過速度の変化、横断歩道手前で停止した割合、交通事故発生状況の分析、道路利用者からのアンケートを実施し、効果を検証することとしております。
 検証結果をもとに、現在整備されているゾーン30への物理的デバイスの設置を道路管理者とともに検討してまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 ハンプの設置ですけれども、海外でも、例えば重要施設の近くなどには、道路自体のコンクリート等を隆起させてハンプを設置し、なかなか入りづらいようにしたりというような形で実用例としてはあるという中にあって、でこぼこがあるとスピードを出して走れないであったりとか、でこでこがストレスになる等、いろいろな効果はあると思います。反面、やはりハンプがあると非常に音がうるさいということで、例えば1センチメートルの厚さのライン等でもかなりうるさいということで、住宅地などでは使いづらい、それを設置しづらいということを、以前に聞いていたことがありました。
 例えば、カーブ等で余りスピードを出させないように音が鳴るところから始めて、さらには、それが少し反動が強くなるようなものを含めていろいろな形でこれまでも警察としてしっかり交通事故抑止のために取り組んでこられたという中にあって、そうしたものについては非常に反応が出てくるのかなと思います。必要なものだけれども、しかし、近所に住む方々からは、うるさいであったりとか、また、そもそも論として、ゾーン30を設置するときには、近隣の方々から、ゾーン30の理念はわかるけれども、家の周りがゾーン30だと生活するのにしんどいとか。それはこれまでも警察の皆様方が、地域の住民の方々としっかり向き合いながら、設置の意義であったり、そうしたものをしっかり説明していただいて、これまで設置されてこられたのは存じ上げております。
 特に今回のハンプについては、そうした反応が起こるのではないかといったことを考えております。ただ、やっぱりぜひやるべき部分でもあると思いますが、その点について、これからどのように対処していくのか、御所見をお伺いしたいと思います。
〇田村交通部長 ゾーン30区域につきましては、通学路対策とあわせて実施しているわけですけれども、付近に住んでいる住民の方、関係団体、いろいろな方々からの御意見を伺いながらゾーン30プラスを推進していきたいと考えております。
〇郷右近浩委員 私は、生活道路に関してはゾーン30、今回はゾーン30プラスということで別の要素も加わってまいりましたけれども、幹線道路はある程度のスピードで走ってもそれでいいのかと思います。ただ、生活道路、1本裏道に入れば、そこはもう速度制限等をかけて、車が飛ばせないような形をとっていったほうがいいのではないかと思います。そうした考えから、これまで私の住んでいる地域においても、ここら辺でゾーン30という形でエリア指定できないかということで御相談させていただいてまいりました。通行量調査であったり、もちろん子供たちがどこを通学路として通っているというような調査であったり、警察の方々にいろいろ調査していただいて、そして、そこが指定に至るかどうかを判断していただいているのを存じ上げておりました。
 私自身は、先ほども子供たちの通学路という話がありましたけれども、実は通学路のみならず、高齢の方々が歩いてその地域で生活していくということも含めて、そうした車が飛ばせないようなエリアがあっていいのではないかという考えを持っております。だとするならば、もっと柔軟にゾーン30であったり、そうした地域の指定ができないかとも考えております。
 その中に、今回のゾーン30プラスというものが、とにかくいろいろなものを足していくだけじゃなくて、逆に、引くではないですけれども、もっと簡単に指定できるような部分も含めて、そうした形をぜひとっていっていただければと思っているところであります。
 ゾーン30については、全国的にも、またこの岩手県内においても、設定はふえてまいりましたので、これをさらに伸ばしていっていただきたいと思いますが、その点についてのお考えをいただければと思います。
〇田村交通部長 ゾーン30につきましては、昨年末現在で34カ所、ことしは2カ所で整備する予定となっております。
 先ほど委員から御指摘ありましたとおり、生活道路につきましては、地域住民の皆さんが日常的に利用される道路でありまして、自動車の通行よりも、歩行者、自転車の安全確保が優先されるべき道路であると考えております。したがいまして、自治体、道路管理者と連携を強化いたしまして、地域住民の要望が高い場所を優先しゾーン30を設定していきたいと考えておりますし、あわせましてプラスのほうを実施していきたいと考えております。
〇郷右近浩委員 ぜひ進めていっていただければと思いますので、よろしくお願いします。
 もちろんゾーン30をやるときには、道路管理者等といろいろ話しながら、それぞれ予算を出し合いながら、それぞれの役割等をやっていきながらということになります。そうした中でやっていかなければならないものでありますけれども、例えば、それはそれとしても、地域からよく話が出るのが、この予算特別委員会、決算特別委員会などでも信号機の設置というような話も出てまいります。私の地域でも、新しく道路が通ったところであったり、また、さらには新しい太い幹線道路ができたり、さらには、新しく橋が通った、道路改良が行われたところであったり、そうしたところで信号機の要望が常に上がってくる。もちろんそのときは、その地域でどのような危険性があるかを県警でもかなり調査しながらいろいろ進めていっていただいていると認識しておりますが、なかなか新規設置について予算の確保等が難しいといったお話も聞くわけであります。
 令和2年度の新設箇所と予算、そして、令和元年度、平成30年度、平成29年度と、直近4カ年の箇所づけ、さらには、その執行状況についてお伺いしたいと思います。
〇田村交通部長 信号機の新設箇所数及び当初予算額についてでありますが、令和2年度は4カ所、2、075万7、000円、令和元年度は10カ所、7、348万4、000円、平成30年度は18カ所、1億971万7、000円、平成29年度は12カ所、5、315万7、000円となっております。
〇郷右近浩委員 今、新設箇所ということでお伺いさせていただきました。ただ、新設以外にも、老朽化したところの交換であったり、いろいろなものをやられているという認識はあります。ただ、言ってみたら、10カ所か、令和2年は4カ所かというような形は、この広い岩手県の中でそれぞれの市町村数を考えただけでも物すごい数の要望であったり、いろいろなものが上がっているのだろうなという中にあって、しっかりとそこは、ふだんから地域を一番見ているその地域の警察官の皆様方が、いろいろな情報を上げてきて、そして、その中でさらに判断材料になっていくのだと思います。
 うちの地域でも、交番の方がよくうろうろして、私の家の前でたまに制服のまま立ちどまって、そして、私がいたときに話をしていると、後から近隣の方々に、郷右近さん何かあったのというようなお話もされるぐらい、本当にまめに歩いておられます。そうして地域に必要ないろいろなものをしっかり見ているのだろうと思います。
 平成30年度に1億円超えの決算を出したような、このときは緊急のいろいろな対策等が入ったということで、私自身そのような感がありますけれども、しかし、しっかり予算を確保して、そして地域の安心・安全をつくり出すことをやっていっていただければと思いますが、御所見をいただければと思います。
〇大濱警察本部長 信号機を初めといたします交通安全施設につきましては、交通の安全と円滑を確保する上で必要かつ重要なものでございます。
 引き続き、地域の皆様方の御意見、御要望を把握いたしまして、交通環境、道路環境、交通事故の発生状況等から、交通安全施設の整備の必要性を検討いたしまして、所要の事業費を計上してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは、東日本大震災津波から丸10年の決算となりますので、最初に、東日本大震災津波からの県警察本部の取り組みについてお聞きいたします。
 震災直後の人命救助の取り組み、震災遺体の身元特定の取り組みはどうなったでしょうか。今年度予算にミトコンドリアDNA型鑑定事業が計上されましたが、この取り組みを含めて示してください。
〇石川警備部長 まず、人命救助の取り組みについてでありますが、東日本大震災津波では、発災当初、被災地を管轄する警察署の警察官が、避難誘導、交通整理等に当たりながら、被災した家屋に取り残された方や瓦れきに乗って流されている方を救助したほか、警察ヘリで傷病人を搬送するなど、さまざまな救助事案に対応したところでございます。
 本県警察におきましては、これらの経験を踏まえまして、機動隊は広域緊急援助隊訓練あるいは県の総合防災訓練等、関係機関との合同訓練に参加いたしまして、救出救助技術の向上を図っておりますし、各警察署におきましても、災害装備品の習熟訓練や関係機関との連携訓練などを実施して、救出救助技術の向上を図っているところであります。
〇吉田刑事部長 震災でお亡くなりになり身元が判明していない御遺体の身元特定のための取り組みについて御質問を頂戴しました。
 いまだ多数の行方不明者の方々がいらっしゃいますし、また、現に発見された御遺体のうち、身元が特定されていない御遺体が48体ございます。
 県警察では、これまで行ってまいりました御遺族の検体資料の鑑定や震災行方不明者等相談会のほか、本年度から、予算に計上していただきましたミトコンドリアDNA型鑑定による身元特定にも努めているところでございます。
〇斉藤信委員 東日本大震災津波の場合には、本当に溺死、即死が多かったと思うけれども、人命救助の実績はあったのか。あと、身元判明のこれまでの実績も示してください。
〇石川警備部長 当時救助した人数についてであります。これは、正確に集計されたものはございませんけれども、瓦れきに覆われた水に腰までつかりながら救助をした、あるいは火事が迫る中、倒壊家屋の中にいる家人を救助した、あるいは倒壊家屋に残された高齢者を背負って搬送したなど、三十数人の救出救助した事例については把握しております。
〇吉田刑事部長 震災身元不明遺体の身元判明状況ということの御質問でございますが、令和3年9月末現在で、収容された御遺体が4、674人でございまして、このうち身元が判明している方は4、626人、身元が判明していない方が48人、身元判明率98.97%でございます。
〇斉藤信委員 わかりました。
 それで、これまでの仮設住宅、災害公営住宅のひとり暮らしで死亡した件数、その推移はどうなっているでしょうか。
〇吉田刑事部長 仮設住宅、災害公営住宅のひとり暮らしで死亡した件数と推移についての御質問でございますが、件数とのお問い合わせがございましたけれども、ひとり暮らしなので件数イコール人員ではございますが、警察といたしましては人数として把握してございますので、これで答弁させていただくことを御了解いただきたいと存じます。
 県警察で取り扱った御遺体のうち、死亡時に仮設住宅または災害公営住宅に単身居住であったこと、発見場所は仮設住宅または災害公営住宅に限らず外出先も含むことという定義で人数を把握しております。
 震災発生の平成23年から令和3年、本年9月末まで、仮設住宅で単身居住して亡くなられた方は75人、災害公営住宅において亡くなられた方は94人であります。
〇斉藤信委員 仮設住宅はもうなくなりましたので、ここ3年ぐらいはゼロということでお聞きしておりました。一方で、災害公営住宅は、令和3年、これは途中ですけれども15人、令和2年が20人、令和元年、これは平成31年になりますけれども20人ということで、災害公営住宅でのいわゆる孤独死は、極めて重要な課題になっていると思います。
 次に、警察職員の超過勤務の実態と超過勤務手当の支給実績についてお聞きします。1人当たりの超過勤務時間の推移、超過勤務手当の支給はどうなっているでしょうか。
〇長谷川警務部長 初めに、1人当たりの超過勤務時間の推移についてでありますが、月平均1人当たりの超過勤務時間数は、平成28年度は約22.8時間、平成29年度は約19.7時間、平成30年度は約17.8時間、令和元年度は約17.4時間、令和2年度は約16.4時間でございます。
 次に、超過勤務手当の支給についてでありますが、月平均1人当たりの支給時間数及び超過勤務時間数に占める支給時間数の割合ですが、平成28年度は約20.0時間で約88%、平成29年度は約17.8時間で約90%、平成30年度は約17.3時間で約98%、令和元年度は約17.3時間で約99%、令和2年度は約16.4時間で100%でございます。
〇斉藤信委員 警察職員の超過勤務時間については、時間を正確に把握して、超過勤務手当が若干ずれていたということで何度か指摘しましたが、ついに超過勤務時間を減らして100%支給されたということは、評価をしておきたいと思います。
 次に、捜査報償費について。この間の捜査報償費の執行額の推移はどうなっているでしょうか。
〇長谷川警務部長 捜査報償費の執行額の推移についてでありますが、平成28年度が1、040万7、000円、平成29年度が864万6、000円、平成30年度が700万1、000円、令和元年度が538万円、令和2年度が602万9、000円となっております。
〇斉藤信委員 この捜査報償費も私は繰り返し取り上げてきたものです。これはなぜかというと、領収書が出てこない、どう使ったかわからない。警察の問題が大問題になったときに、裏金の原資ということで指摘された経過がありました。
 今の答弁のように、1、040万円から、令和2年は602万円余と、着実に毎年減少してきて、予算は、平成28年は1、400万円、それが1、040万円でした。令和2年は933万円が602万円で、着実にこれも減少、縮小してきたということは評価をしておきたいと思います。
 一方で、各部署ごとに見ますと、捜査第一課が昨年度43万円余増額になっています。捜査第二課も43万円余、そして組織犯罪対策課が44万6、000円余。全体が減少する中で、この三つは突出してふえていますが、何か重大な事案その他あったのでしょうか。その具体的な理由を示してください。
〇長谷川警務部長 捜査第一課、捜査第二課、組織犯罪対策課の捜査報償費が増加した要因についてでありますが、捜査報償費の執行額は、事件の規模、性質、形態、捜査の期間などのさまざまな要因によるものであり、執行額の増減は事件捜査を行った結果ですので、その理由については個々の捜査の内容を明らかにすることにつながりますことから、答弁を差し控えさせていただきます。
〇斉藤信委員 私は個々の事件について聞いているのではないのです。例えば、捜査第一課は、令和元年度、14万3、000円だったのが57万5、000円になっている。まさにこれは3倍以上ですね。捜査第二課、48万円余が91万円、組織犯罪対策課が49万円が93万9、000円と。全体が減少している中で、こういうふうに2倍、3倍と増額するのは、何か特別なことがあったのではないか。特別な事件があったということですか。
〇長谷川警務部長 繰り返しになりますけれども、捜査報償費の執行額は、事件の規模、性質、形態、捜査の期間などのさまざまな要因によるものでありまして、執行額の増減は事件捜査を行った結果でございます。したがって、今、全体に減少しているというお話はいただきましたけれども、増減の理由について一概に申し上げることはできません。
〇斉藤信委員 実際に一気に2倍とか3倍になるのは普通ではないでしょう。普通ではない理由があったということを聞いているだけなのです。2倍、3倍にふえるような要因があったかということを聞いているのです。あったのですか、なかったのですか。
〇長谷川警務部長 繰り返しになり恐縮ですが、捜査報償費の執行額は、事件の規模、性質、形態、捜査の期間などのさまざまな要因によるものでございます。執行額の増減は事件捜査を行った結果でございますので、その増減の理由について一概に申し上げることはできません。
〇斉藤信委員 この捜査報償費というのはブラックボックスなのです。領収書も公開されない。だから私は取り上げているのでね。残念ながら、この点では全くまともな回答がなかったと。ただ、2倍、3倍にふえるということは普通ではないので、税金を使ってやっているのだから、それは県民にわかるように明らかにすべきですよ。
 時間がないので次に行きます。警察官の不祥事案について。
 昨年度、今年度の不祥事案と処分等の対応はどうなっているでしょうか。
〇中屋敷参事官兼首席監察官 昨年、ことしの不祥事案と処分等の状況でありますが、令和2年中は、懲戒処分はありませんでしたが、懲戒処分に至らない訓戒、注意については14人を措置しております。
 令和3年は現在までに、懲戒処分は、児童ポルノ違反で1人を戒告に、大麻取締法違反等で1人を免職としております。また、懲戒処分に至らない訓戒、注意については7人を措置しております。
〇斉藤信委員 大麻取締法違反で逮捕され免職となったことは本当に大変重大な事案だったと思います。この点について、この事件の経過と県警としてどのようにこれを受けとめて教訓としているかを示してください。
〇中屋敷参事官兼首席監察官 御質問の事件につきましては、本年7月上旬、他県警察からの違法薬物の購入者の情報提供を受け捜査を開始したもので、警察本部に勤務する職員が、盛岡市内の自宅において密売人からインターネットで大麻用の植物片を購入した疑いにより、麻薬特例法違反で本年7月30日に逮捕されました。
 さらに、その後、所要の捜査の結果、自宅において乾燥大麻を所持していた事実が明らかとなったことから、大麻取締法違反で本年8月19日、再逮捕されたものです。
 なお、同職員については、9月3日付で免職としております。
 本件を受けまして、当県警察といたしましては、非常に遺憾に感じているところで、直ちに全職員に対して、薬物事犯に対する指導、教養の徹底と職員の身上把握の徹底について、本部長通達を発出しておりますし、さまざまな会議等の機会において指示、教養を実施し、同種事案を含めた非違事案防止を図っております。
〇斉藤信委員 この間の覚醒剤、大麻に関する検挙状況はどうなっているでしょうか。
〇吉田刑事部長 この間の覚醒剤、大麻に関する検挙状況という御質問でございました。
 直近、令和2年でございますけれども、覚せい剤取締法違反の検挙人員は24名でございました。それから、大麻取締法違反の検挙人員は、令和2年14名でございました。
〇斉藤信委員 10月5日の新聞にも覚せい剤取締法違反で1人逮捕されております。この覚醒剤、大麻、こういう疑惑が訴えられたときに、県警はしっかり捜査をするのですね。
〇吉田刑事部長 まさに警察の役割として、犯罪があると思料するときは、これを捜査するものでございます。
 なお、それは、法と証拠に基づき適正に捜査するものでございます。
〇斉藤信委員 それで、私が繰り返し取り上げてきた岩手医科大学の元教授の覚醒剤疑惑事件、これは、覚醒剤を打たれた女性が週刊誌で告発した事件です。公に告発した事件です。そして、そのときの捜査の責任者である刑事部長が、事もあろうに岩手医科大学に翌年再就職、天下りするという事件で、私は、これはゆゆしき事態だと取り上げてきました。
 改めて聞きますが、この岩手医科大学元教授の覚醒剤疑惑事件は捜査したのでしょうか、しなかったのでしょうか。
〇吉田刑事部長 委員御質問の岩手医科大学元教授の覚醒剤疑惑についてでございますけれども、個別の事案につきまして、捜査しているか否か、あるいはその捜査状況等具体的な事柄について、答弁は差し控えさせていただきます。
 なお、先ほども申し上げましたとおり、一般論として申し上げますが、警察は、犯罪があると思料するときは、法と証拠に基づいて捜査をするものでございます。
〇斉藤信委員 6年も7年もたって、捜査したかしないかも答えられないということは、逆に行くと捜査しなかったということでしょう。大体今までのようにきちんと、去年だって24件検挙しているわけでしょう。大体打たれた人が告発しているときに、あなた方は逮捕もしない、捜査もしなかったでしょう。捜査したら一遍でわかる事件だったではないですか。
 そしてそれは、翌年に捜査の責任者が該当する岩手医科大学に再就職するなんていうおまけがつくから、これは癒着ではないかと疑われても当然のことではないですか。
 警察本部長にお聞きします。警察本部長は全国の警察を回っているでしょう。こんな事例がありますか。何年たっても捜査したかしないかもわからない、そして、そこに当時の責任者が再就職するなんて、こんな事例が全国にありますか。そのことをお聞きしたい。
〇大濱警察本部長 繰り返しになるのですけれども、いかなる先行報道がございましても、警察は、特定の人物について、現在進行形で捜査しているか否か、また、過去におきまして捜査したかしていないか、これについて、逮捕報道を除くと公にすることは適切ではございません。やったかやっていないかということについては、お答えできないということに尽きてしまいます。このことについては、大多数の県民の方々の御理解を得ているものと認識しております。
 続きまして、再就職についてでありますが、こちらにつきましては、関係法令に照らして違反行為と認められる事実はなく、御指摘は当たらないものと認識しております。
〇斉藤信委員 事実として、この元教授は3月をもって退職された。認めたということですよ。終わります。
〇千田美津子委員 何点か質問いたしますので、よろしくお願いいたします。
 県が管轄する国道等の整備において、警察本部として、信号機や横断歩道等、安全対策についてどの程度関係機関や住民等と協議をしているのか、一般論としてお知らせください。
〇田村交通部長 関係機関や住民等との協議をどの程度しているかということでございますが、警察は、道路管理者が行う道路の整備に対して、道路交通の安全と円滑を目的として、道路形状、交通流量、周辺施設の状況等を踏まえまして、計画段階の予備協議、設計段階の事前協議、工事前の本協議等、道路開発や道路改良の進捗に合わせて段階的に協議に参加しているところでございます。
〇千田美津子委員 計画段階、設計段階、本協議ということで、その都度都度の協議には応じているということですが、それでは具体的に質問いたします。まず、一部開通している水沢の国道4号東バイパスですけれども、着工前の事前の説明会等には地域住民もたくさん出席されて、そして、安全確保のための、例えば横断歩道が欲しいとか、さまざま要望が出されています。
 住民からすれば、その要望は受け入れる、同意する条件ではありませんけれども、そういう意味で要望が出されており、関係機関もそれらは把握していると思うのですが、ただ、それが実際に道路が完成してみると、横断歩道は設置しない、その一言でばっさり切り捨てられているわけです。残された住民が本当に大変な思いをしているというのがあります。
 私は、警察本部というのは、この間もいろいろ御説明の中で、県民の要望に応えて、そして一緒になってさまざまな施策を進めてきていると思うのですけれども、国道4号東バイパスの件での住民要望について、どのように把握されて、そして反映する努力がどう行われているかを具体的にお知らせいただきたいと思います。
〇田村交通部長 国道4号東バイパス開通に伴う住民意見の把握と反映についてでございますけれども、地域の皆様の御意見、御要望につきましては、道路管理者との協議の場において把握しております。委員御指摘の横断歩道につきましては、横断需要が少なく、回り道もあることから、道路管理者と協議して、開通時に整備しなかったものであります。
 これまで、警察に対して道路管理者や地域の皆様から交通安全施設等の整備に関する説明を求められた場合には、道路管理者が開催する住民説明会に参加するなどしておりますが、国道4号東バイパスの道路開発については、要請がなかったことから、住民説明会等に参加しなかったものであります。
 ただ、国道4号東バイパスの開通後に、地域の皆様から横断歩道設置の要望を受けておりますことから、地域の皆様の御意見、御要望を踏まえて、交通流、交通量、歩行者の横断実態等を調査するなどして、横断歩道の設置の必要性を判断してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 まず、確認したいのは、道路管理者とは協議してきたけれども、住民等を交えた協議には要請がなかったというお答えが今ありましたが、それは間違いないですか。
〇田村交通部長 基本的には、予備協議の段階で、道路管理者が地域住民の方に御説明しまして、そこで出た要望について道路管理者と地域住民の間で話し合われますが、その際に、警察への要望があれば警察も出席しているところでございますが、今回はなかったということでございます。
〇千田美津子委員 ちょっと聞いているのと違うのです。というのは、市議会などでは市長等に、例えば安全施設が欲しいとか、そういう要望が何回も出されていて、警察へ要望しているという答弁がなされていたことから、結果として、住民が要望していたにもかかわらず、最終的には県警が認めなかったということになって、非常にイメージが悪いのです。
 やはり最終的に、なぜこういう要望が出ているかというと、バイパスそのものを否定するわけではありませんが、バイパスができたことによって、地域住民の往来から何から分断される。そのためにいろいろ要望してきたということもあります。また、最初の段階から、例えばバイパスだからなかなか信号機のない横断歩道は難しいですよとか、そういう説明があれば、また住民は違う方法も考えたりしたと思いますが、回り道があるからという、そういう説明が全くない中で道路建設だけが進められてきて、そして、完成したら地域が大変な思いをしているのです。
 本当にいつ事故が起きるかわからないということで、毎日のごみ捨てからリサイクルから、とにかく危険を顧みず横断している状況にあって、地元住民が全く納得していないところがあります。
 それで、私とすれば、やはり要請がなかったというのがちょっと解せないのですけれども、地域住民のそういう要望については、県警本部も、要請するのが当然だと私は思っていたのですが、それらについては、多分、道路管理者からはそういう交通安全上の要望があるということは届いていたかとは思います。最初に答弁された横断の需要が少ないというのは誰の判断か全くわかりませんが、こういう話を地域の方々が聞いたら大変怒りを持つと思います。
 こういうことはこれからもあり得ることなので、私としては、県警察本部は住民の安全を守るために一生懸命頑張っているという姿勢をあらわすためにも、住民の声を聞く、そういう対応を、今までもしてきたと言われると思うんですが、これからは、ましてやそういう取り組みを強めていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
〇田村交通部長 確かに、警察ではそう思っておりましても、地域住民の皆さんが感じるところがあれば、まさにそのとおりではないかと思っております。地域住民からの要望、意見等の把握につきましては、道路管理者との協議の上で、情報共有しながら、引き続き住民の方には丁寧な説明を行っていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 それでは、よろしくお願いします。
 二つ目の具体例として、もう一つ聞いてほしいのですが、小八木橋が5月に開通いたしました。これは、本当に地域はもとより、沿岸部と内陸部を結ぶ物流の拠点としてたくさん利用されているわけです。しかし、この小八木橋のかけかえによって、死亡事故こそ起きてはいませんけれども、この間、5月以降9件の交通事故が起きておりまして、いつ死亡事故が起きてもおかしくないということで、常盤地区振興協議会等でも前々から気にはしていたそうなのですが、ここについての事前の協議等についてはどうだったかお聞きしたいと思います。
〇田村交通部長 新小八木橋における事前の協議についてでありますけれども、道路管理者との協議は平成27年5月から始まり、令和5年3月の開通に向けて協議を進めていたところでございますが、令和2年4月に、道路管理者から開通が早まった旨の連絡があり、令和2年度中の開通に向け協議を重ねたものであります。
 協議の中で、道路管理者から新小八木橋東たもとの交差点は、東西方向の交通量が多く、南北方向は十字路であるものの南側の交通量がほとんどなく、実質的に丁字路と同様の流れになるとの情報が提供されましたので、道路管理者と協議し、一時停止規制での対応が可能であると判断したものでございます。
 新小八木橋の開通後、地域住民の皆様から信号機設置の要望を受けておりますことから、皆様の御意見、御要望を踏まえまして、交通流、交通量等の交通環境、道路環境、交通事故の発生状況等を調査するほか、新小八木橋は東たもとの交差点の手前が下り勾配で、信号機を設置した場合は追突事故の多発も懸念される状況にありますので、道路環境の整備を含めまして、信号機設置の必要性を慎重に判断してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 道路環境の整備ということで検討していくということですが、特に今、冬場を迎えるに当たって、積雪でもっと交通事故がふえる、その十字路からコンビニはちょっと離れているのですけれども、そこまで飛んでいった車もいるということで、巻き込まれる可能性があるということで非常に心配しております。
 いずれ、この道路とか橋の整備によって、環境がなかなか予測しがたい部分もあって難しいかもしれませんが、そういう部分について丁寧に住民の状況、それから要望等を聞きながら対応していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、二つ目、冒頭に大濱本部長から交通事故の状況についてお話がありましたが、改めて、県内の死亡事故等の現状はどのような状況でしょうか。また、この間、どのような対策がなされたかお聞きいたします。あわせて安全モデル横断歩道が設置されていますが、その指定状況とその成果についてお知らせいただきたいと思います。
〇田村交通部長 まず初めに、一つ目の県内の死亡事故の現状とその対策についてでございますが、本年9月末現在の県内における交通事故発生状況につきましては、発生件数が1、076件で前年比マイナス110件、死者数が20人で前年比マイナス11人、傷者数が1、277人で前年比マイナス118人と、発生件数、死者数、傷者数のいずれも前年に比べ減少しております。
 本年の死亡事故の特徴といたしましては、死者の年齢別では、65歳以上の高齢者が12人と最も多く、6割を占めております。事故類型別では、車両相互が10件と最も多く、次いで車両単独の死亡事故が9件発生しているという状況にあります。
 これら交通死亡事故発生状況の特徴を踏まえて、コンビニエンスストア駐車場等における赤色灯を点灯したパトカーによる駐留監視による目立つ街頭活動の強化、それから、関係団体等と連携し、横断歩道歩行者優先のステッカーをトラックに貼付し、車両運転者に対する安全意識の高揚を図る対策、デジタルサイネージ―電子看板でございますけれども、これを活用した交通事故防止を呼びかける映像、静止画像を再生する広報などを関係機関、団体の協力を得ながら実施しており、事故防止活動に取り組んでいる状況でございます。
 2点目の安全モデル横断歩道の指定の状況とその成果についてでございますが、安全モデル横断歩道につきましては、令和元年から、信号機のない横断歩道の通学路等横断需要が高いなど、横断歩道の安全を確保することが特に必要と認められる場所から、警察署ごとに指定しております。
 指定状況についてでありますが、本年は98カ所を指定し、横断歩道における交通事故抑止対策を推進しております。
 その成果についてでありますが、本年指定箇所の人身事故発生件数は、昨年の5件から本年は1件に減少しており、一定の成果が認められる状況となっております。
 県警といたしましては、今後も安全モデル横断歩道での街頭活動を強化し、運転者に対する歩行者保護意識を一層高めるとともに、歩行者に対する交通安全教育を推進し、横断歩道における交通事故防止、抑止対策に努めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 本当に日ごろのさまざまな街頭指導を強化された結果だと思いますし、また、高齢ドライバーの事故や高齢者の事故が、東北管内では死亡事故の減少率が1位と聞いておりますし、全国では4位ということも聞いております。そういった意味では、毎日の取り組みをこれからも強化していただいて、ぜひ、死亡事故をなくす取り組みをお願いしたいと思います。
 それから、安全モデル横断歩道については98カ所指定されたということで、5件が1件に減少したと、非常に効果が上がっているということだと思います。本当にこれは非常に大事なことで、これからもぜひ続けていただきたいわけですが、これはローテーションをかけるとか、何かそういう今後の取り組みについての方針があれば、お聞きしたいと思います。
〇田村交通部長 安全モデル横断歩道につきましては、先ほど申し上げましたが、信号機のない横断歩道で、通学路等横断需要が高い場所ということで各署で設定しているのですけれども、本年6月にも千葉県八街市での事故等もありまして、通学路内における横断歩道については、各署とも重点的に安全モデルに指定している状況にありますので、一概に毎年変わるわけではなく、必要な重要な場所については指定して、安全対策に努めていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 引き続きよろしくお願いいたします。
 最後に、信号機のない横断歩道での一時停止の現状と対応についてお聞きしたいと思います。
〇田村交通部長 県内の信号機のない横断歩道における一時停止の実態につきましては、日本自動車連盟、いわゆるJAFの令和2年の実態調査によりますと、歩行者が渡ろうとしているときに一時停止する車両は23.2%と、令和元年の13.7%と比較して9.5ポイント上昇し、全国平均の21.3%を上回ったと承知しております。
 信号機のない横断歩道における交通安全対策につきましては、ドライバーに対して横断歩行者妨害の取り締まりを強化し、歩行者保護意識の向上を図るとともに、関係機関、団体等と連携し、先ほども話をしましたが、横断歩道歩行者優先のステッカーをトラックに貼付して、車両運転者に対する安全意識の高揚を図る対策を推進しております。
 また、歩行者に対しては、手を上げて横断する意思を示すハンド・コミュニケーションをことしの秋の全国安全運動から県警独自の施策として取り組んで、広報啓発活動を推進しております。
 なお、本年9月末現在の信号機のない横断歩道を横断中の交通事故は14件と、前年同期と比較して5件減少しているところでありまして、死亡事故は発生していない状況にあります。
〇千田美津子委員 ありがとうございました。本当にそういう対応をしていただいて、死亡事故もなくということで、非常に効果が上がっていると思いますし、また、歩行者が渡ろうとしているときに一時停止する車両の全国平均が21.3%ということのようですが、初めて全国平均を岩手県が上回ったということで、この間の取り組みが非常に功を奏していると思います。引き続き、県民の安全のためによろしくお願いしたいと思います。
〇小西和子委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇小西和子委員長 質疑がないようでありますので、これで警察本部関係の質疑を終わります。
 警察本部の皆様は御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時38分 散 会



前へ 次へ