令和3年9月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇13番(高田一郎君) 日本共産党の高田一郎でございます。
 請願陳情第53号、第54号について、環境福祉委員長報告に賛成の立場で討論を行います。
 請願陳情第53号は、福祉灯油の全市町村での実施を求める請願であります。原油価格の高騰で、今、石油や関連商品が値上がりし、県民の暮らしと中小零細業者や農林漁業者の営業を直撃しています。これから冬を迎える中で、県民にとって生活必需品であるだけに、灯油価格の高騰が県民に不安を与えています。
 現在の原油価格は、1バレル70ドルで、前年同月比1.7倍に高騰し、9月中旬の灯油価格は、1缶18リットル1、800円と、前年比で1.3倍にもなっております。岩手県生活協同組合連合会の調査では、昨年の平均的な家庭の一冬の使用量は、934リットル7万2、000円で、この価格が続けば、ことしの冬季の灯油負担額は9万3、000円以上になると試算されています。灯油価格の高騰は住民の暮らしと健康を脅かすものであり、低所得者にとっては死活問題であります。
 今日の原油高騰は、欧米を中心にコロナ禍からの経済活動による需要の拡大とともに、原油価格の先高感を見込んだ投機資金の流入も要因とされております。石油輸出国機構とロシアなどの非加盟産油国で構成するOPECプラスは増産ペースの加速を見送りと報道されており、原油高は今後1年間続くと指摘される専門家もいます。
 過去に、政府は、原油高騰対策あるいは経済対策として灯油購入への支援を行ってきました。暖房用の灯油は全国で使われており、本来は国の責任で実施すべき制度であり、国に求めていくのは当然であります。しかし、現時点で国は全く支援策を示しておりません。県は独自の支援策を示して、市町村とのさらなる協議を行い対応すべきであります。
 被災地福祉灯油は、東日本大震災津波から10年間福祉灯油助成の事業を行ってきました。うち8年間は、国の特別交付税も、また、財政支援もない中で継続されたことで、被災地、被災者を大きく励ます事業でもありました。福祉灯油事業は、まさに暮らしのセーフティネットでもあります。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で冷え込んだ経済、そして、暮らしを支え、県民の生活を底上げすることは、今、県政の最大の課題であります。請願書の要請に応え、全市町村に対象を広げるべきであります。
 次に、請願陳情第54号は、加齢性難聴者の補聴器購入に対する公的支援制度創設を求める請願であります。
 これは、加齢性難聴者の補聴器購入に対し、県独自の支援制度を創設するとともに、公的な支援制度を創設するよう政府に求める内容であります。
 今、高齢化に伴い耳が聞こえなくなって、仕事や社会生活に困る高齢者の難聴がふえています。日本の難聴者は、日本補聴器工業会の調査では1、430万人とされております。そのうち補聴器使用者は14.4%にすぎず、欧米の半分以下、イギリスでは47.6%にもなっております。日本人の使用率が低いのは、補聴器が余りにも高額であること、また、公的な支援制度が不十分なことにあります。
 欧米では、補聴器を医療のカテゴリーとして捉え、41デシベル以上の中等度難聴者から補聴器購入に対する公的補助制度が確立されております。一方日本では、障がいのカテゴリーとして捉えており、極めて限定的な対応になっています。
 しかも、今、厚生労働省は、難聴は認知症の危険因子の一つに挙げているにもかかわらず、認知機能における補聴器の効果を検証する研究を推進していくという段階にあります。世界保健機構─WHOは41デシベル程度での補聴器の使用を推奨し、また、放っておけばさらに難聴になってしまう、こう指摘し、早期の補聴器への対応に取り組むよう各国に求めております。加齢性難聴は、日常生活を不便にし、コミュニケーションが減り、生活の質を落とすだけでなく、うつ病や認知症の原因にもなることが指摘をされております。
 岩手県の難聴児補聴器購入助成事業は、18歳以上の軽度、中等度難聴者は補助対象外になっており、9割の県民は全額自費での対応になっております。補聴器は1台10万円から50万円を超えるものもあり、30万円を超えないと微調整ができないとも言われております。収入が少ない年金生活者あるいは生活保護受給者などは、負担が大き過ぎて諦めてしまう、こういう現状にあります。補聴器への購入支援は、認知症予防や健康長寿の延伸、ひいては医療費の削減にもつながるものであります。欧米と比べておくれている加齢性難聴者への公的支援を国の責任で解決すべきだと思います。
 加齢性難聴者への補聴器購入補助は、既に県内では、大船渡市、遠野市、そして、九戸村が独自の助成制度を実施しており、補聴器への助成を実施する自治体が、今、全国に広がっております。岩手県独自の支援制度を創設することは、国において公的な支援制度を実現させる大きな力になるものであります。
 岩手県は、本年3月、認知症の早期発見を図ること、高齢者になっても安心して住みなれた地域で過ごせる地域づくりを目指すいわていきいきプランを策定いたしました。岩手県における補聴器購入への助成は、このいわていきいきプランを実践するものであります。
 以上の理由で本請願に賛成するものであります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(五日市王君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより請願陳情中、受理番号第55号コロナ禍による米価下落に対し緊急対策を求める請願のうち、項目1の(2)、外国産米(ミニマム・アクセス米)の輸入について、当面、国産米の需給状況に応じて数量調整を行うよう政府及び関係機関に意見書を提出することを採決いたします。
 なお、本件に対する委員長の報告は不採択でありますが、本件を採択とすることについて採決いたします。
 本件を採択と決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(五日市王君) 起立少数であります。よって、請願陳情中、受理番号第55号コロナ禍による米価下落に対し緊急対策を求める請願のうち、項目1の(2)、外国産米(ミニマム・アクセス米)の輸入について、当面、国産米の需給状況に応じて数量調整を行うよう政府及び関係機関に意見書を提出することは、不採択とすることに決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第55号コロナ禍による米価下落に対し緊急対策を求める請願のうち、項目2の(1)、県内の米を買い取り、生活困窮者、学生や子ども食堂等に供給するよう県として対策を講ずることを採決いたします。
 なお、本件に対する委員長の報告は不採択でありますが、本件を採択とすることについて採決いたします。
 本件を採択と決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(五日市王君) 起立少数であります。よって、請願陳情中、受理番号第55号コロナ禍による米価下落に対し緊急対策を求める請願のうち、項目2の(1)、県内の米を買い取り、生活困窮者、学生や子ども食堂等に供給するよう県として対策を講ずることは、不採択とすることに決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第55号コロナ禍による米価下落に対し緊急対策を求める請願のうち、項目2の(2)、価格下落による減収を補填する県独自の対策を実施することを採決いたします。
 本件は、委員長の報告のとおり採択と決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(五日市王君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第55号コロナ禍による米価下落に対し緊急対策を求める請願のうち、項目2の(2)、価格下落による減収を補填する県独自の対策を実施することは、委員長の報告のとおり採択と決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第55号コロナ禍による米価下落に対し緊急対策を求める請願のうち、項目1の(1)、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による過剰在庫を政府が緊急買入れし、米の需給環境を改善すること。また、政府が買い入れた米をコロナ禍などによる生活困難者への食料支援や海外援助などで活用するよう政府及び関係機関に意見書を提出することを採決いたします。
 本件は、委員長の報告のとおり採択と決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(五日市王君) 起立全員であります。よって、請願陳情中、受理番号第55号コロナ禍による米価下落に対し緊急対策を求める請願のうち、項目1の(1)、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による過剰在庫を政府が緊急買入れし、米の需給環境を改善すること。また、政府が買い入れた米をコロナ禍などによる生活困難者への食料支援や海外援助などで活用するよう政府及び関係機関に意見書を提出することは、委員長の報告のとおり採択と決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第53号福祉灯油の全市町村での実施を求める請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(五日市王君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第53号福祉灯油の全市町村での実施を求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第49号新型コロナウイルス感染症対策、大規模災害に対応する体制確保、ふるさと振興の推進等のための地方財政の充実・強化を求める請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(五日市王君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第49号新型コロナウイルス感染症対策、大規模災害に対応する体制確保、ふるさと振興の推進等のための地方財政の充実・強化を求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第39号えん罪被害者を一刻も早く救済するために再審制度の速やかな改正を求める請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(五日市王君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第39号えん罪被害者を一刻も早く救済するために再審制度の速やかな改正を求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第54号加齢性難聴者の補聴器購入に対する公的支援制度創設を求める請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(五日市王君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第54号加齢性難聴者の補聴器購入に対する公的支援制度創設を求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第1号から議案第27号まで、及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(五日市王君) 起立全員であります。よって、議案第1号から議案第27号まで、及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   
日程第29 委員会の閉会中の継続審査の件
〇議長(五日市王君) 次に、日程第29、委員会の閉会中の継続審査の件を議題といたします。
   
〔参照〕
委員会の閉会中の継続審査事件
1 継続審査
  総 務 委 員 会 請願陳情受理番号第44号
           東京電力福島第一原子力発電
          所におけるALPS処理水の海
          洋放出基本方針を撤回し、安全
          な処理、保管方法の確立を求め
          る請願
〇議長(五日市王君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査の件につきましては、総務委員長から、お手元に配付いたしてあるとおり、申し出がありますが、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査に付することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(五日市王君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査に付することに決定いたしました。
   日程第30 人口社会減対策等に関する調査、少子化対策と子育て支援等に関する調査の件から日程第33 新技術等の利活用等に関する調査、雇用対策等に関する調査の件まで
〇議長(五日市王君) 次に、日程第30、人口社会減対策等に関する調査、少子化対策と子育て支援等に関する調査の件から日程第33、新技術等の利活用等に関する調査、雇用対策等に関する調査の件までを一括議題といたします。
 各調査事件に関し、委員長の報告を求めます。臼澤人口減少対策調査特別委員長。
   〔人口減少対策調査特別委員長臼澤勉君登壇〕

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