令和3年9月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇13番(高田一郎君) 日本共産党の高田一郎でございます。議案に対する質疑を行います。
 まず、議案第1号令和3年度岩手県一般会計補正予算(第7号)について質問いたします。
 第1に、いわての学び希望基金積立金が9、320万円計上されております。今年度の寄附総額と事業費の見込みはどうなっているでしょうか。東日本大震災津波から10年余が経過いたしました。これまでの寄附総額と執行額、主な事業の内容について示してください。
 第2に、東日本大震災復興交付金償還金として14億1、927万円余が計上されています。復興交付金事業の事業完了等に伴い生じた残額を国に返還しようとするものであります。これまでの復興交付金事業の総額を県及び市町村別に示してください。県事業については、主な内容について示してください。
 また、復興交付金事業は、この間、重要な役割を果たしたと思いますが、5省庁40事業に限られるなど課題もありました。今後に生かすべき課題について県はどのように検証されているでしょうか。
 第3に、東日本大震災津波復興基金市町村交付金が14億4、698万円余計上されています。これは、陸前高田市に対して、被災地域における安定的な生活基盤、住まいの形成のため交付金を追加交付しようとするものであります。この具体的な内容を示してください。また、2021年度以降に事業を延長実施している市町村とその内容と対応についても示してください。
 第4に、防災拠点等再生可能エネルギー導入事業費が2億2、595万円計上されています。2020年度に事業期間が終了したことから、基金執行残高を国庫に返還しようとするものであります。これまでの事業の実績、県、市町村、民間ごとに導入施設の実績を示してください。また、再生可能エネルギーの電力量はどのようになっているのでしょうか。
 第5に、地域就職氷河期世代支援加速化交付金が399万円余計上されています。市町村が行う相談支援や実態調査などの取り組みに対して、その経費の4分の3を交付しようとするものであります。県内の就職氷河期世代の対象者数、これまでの県の取り組みの実績、正社員化の実績はどのようになっているでしょうか。
 次に、議案第22号は、織笠川筋織笠川水門土木工事の変更請負契約の締結に関し議決を求めるものであります。前回の議決から10億7、861万円余の増額となり、契約金額は当初の30億7、814万円余から60億4、246万円余と1.96倍となるものであります。これまでに16回の契約変更が行われています。これでは当初の入札の意味がなくなるのではないでしょうか。なぜ16回もの変更が繰り返し行われ、契約額が2倍近くになったのでしょうか。これまでに改善の取り組みはどのように行われてきたのでしょうか。工期が来年3月15日までの6年余にわたりますが、これが最後の契約となるのでしょうか。
 以上でありますが、答弁によっては再質問いたします。
〇企画理事兼環境生活部長(石田知子君) 防災拠点等再生可能エネルギー導入事業費の実績についてでありますが、この事業は、震災後、地域の防災拠点や避難所となる庁舎、学校、公民館などへの再生可能エネルギー設備の導入を進めたものであり、平成24年度から令和2年度までに、県の施設で22カ所、市町村で440カ所、民間施設で5カ所の合わせて467施設に導入し、このうち太陽光発電設備は305カ所となっております。
 最も多くを占める太陽光発電設備の令和2年度における電力量は約292万キロワットアワーとなっており、一般家庭約940世帯の年間使用量に相当するものでございます。
〇復興防災部長(戸舘弘幸君) まず、いわての学び希望基金積立金についてでありますが、今年度の寄附総額は、令和3年9月末現在で5、471万9、000円となっており、事業費の見込み額は、令和3年度当初予算額で8億1、511万6、000円を計上しているところであります。
 これまでの寄附総額と執行額、主な事業の内容につきましては、平成23年度から令和3年9月末までで103億8、400万円の御寄附をいただき、令和2年度までに42億3、000万円を執行してきたところであります。
 その主な事業といたしましては、東日本大震災津波による遺児、孤児に対する奨学金等の給付23億1、000万円、生活の基盤を失った高校生等に対する教科書等購入費給付5億9、000万円、被災した生徒が運動部活動や文化活動における大会等に参加するための交通費等の補助2億5、000万円、通学費用軽減のための三陸鉄道やバスの定期券購入補助2億3、000万円など、震災により大きな被害を受けた子供たちの修学の支援、教育の充実等のため活用させていただいているところであります。
 次に、東日本大震災復興交付金事業についてでありますが、平成23年度から令和2年度までの復興交付金の配分額の総額は、県事業は1、710億円余、市町村事業は7、203億円余であり、合計額は8、914億円余となっています。
 県事業の主な内容は、災害公営住宅の整備626億円余や市町村のまちづくりに合わせた道路整備576億円余、被災した農地の復旧整備110億円余、市町村が行う漁業集落の基盤整備への支援165億円余などとなっています。
 復興交付金の課題についてでありますが、この交付金は一括して措置され、被災地の公共事業等の貴重な財源として活用されてまいりました。
 一方で、交付金の活用範囲は5省庁40事業及びその関連事業のうち、復興庁にあらかじめ承認されたものに限られますほか、平成29年度以降は、効果促進事業について事業費の1%の自治体負担が設けられたところであります。
 個々の被災地の実情に応じた柔軟な事業を適時に展開するには、被災自治体の裁量をさらに拡大する必要があり、例えば、復興交付金を自治体がその裁量で使途を決められる復興基金制度に組み入れ、活用できない事業を明確に定めた上で被災自治体の判断による執行とし、事業終了後は、被災自治体がその説明責任を担うなどといった仕組みが必要と考えております。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 東日本大震災津波復興基金市町村交付金についてでありますが、この交付金は、東日本大震災津波によって被災した住宅のうち、防災集団移転促進事業等の対象とならない住宅再建を支援するため、震災復興特別交付税の加算措置を受けて、被災戸数等に応じて沿岸市町村へ交付したものでございます。
 震災復興特別交付税の加算措置の制度上、事業の実施期限が令和2年度末とされた一方で、必要に応じて実施期間の延長が可能とされたところであり、延長実施が認められた団体のうち、陸前高田市は、追加の財源が必要でありますことから、令和2年度末までに事業が完了した市町村の状況を踏まえ、市町村ごとの交付金の額を調整し追加交付しようとするものでございます。
 なお、陸前高田市のほか、宮古市、大船渡市及び野田村の延長実施が認められております。
 具体の事業につきましては被害市町村が地域の実情に応じて決定することとされておりますが、陸前高田市を含むこれら4市村では、住宅再建支援事業、転居費用支援事業、利子補給事業などの実施が予定されております。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 地域就職氷河期世代支援加速化交付金についてでありますが、本県の対象者数は約1万人と推計されており、このうち不安定な就労状況にある方が6、200人、長期にわたり無業の状態にある方が3、498人となっております。
 県ではこれまで、ジョブカフェいわての開館時間の延長やテレビ、インターネットなどを活用した支援機関のPRなどに取り組み、さらに、職場見学会や企業に対する意識啓発セミナーなども実施することとしております。
 また、岩手労働局を中心に、行政機関や関係団体、支援機関などが連携して、令和2年度から令和4年度までの3年間で正規雇用者数を3、300人ふやすことを目標に掲げて取り組んでおり、令和2年度の実績として1、013人が正社員として就職しております。
〇県土整備部長(田中隆司君) 織笠川筋織笠川水門土木工事の変更請負契約についてでありますが、平成27年度の当初発注においては、早期の工事着手を図るため、標準断面図等による発注方式により契約したものでありますが、その後の詳細な調査や設計等の結果を踏まえ、当初想定し得なかった状況に対応した工法の採用など、十分な精査を行った上で、変更契約を提案させていただいているものであります。
 変更の内容でありますが、これまで、工法変更によるものが6回、契約金額に変更はないものの債務負担行為の内容の変更に係るものが6回、諸経費率等の改定等に伴うものが2回、契約金額に変更はないものの工期延伸に係るものが1回の計15回の契約変更を行ってきたところであり、今般、労働者の宿泊に要する経費について、実績を踏まえ契約を変更したいものでございます。
 工事費が増額となった主な理由につきましては、当初契約後に用地の取得や隣接する防潮堤との調整が調ったことに伴い防潮堤工事を追加したこと、詳細な地盤調査の結果、基礎工や地盤改良工の見直しが必要となったこと、防潮堤の盛り土により地盤沈下が生じ、隣接する構造物への影響を及ぼす懸念があるため、新たな対策工が必要となったことなどによるものでございます。
 こうした中で、コスト縮減や工期短縮を図る取り組みを進めてきたところであり、具体的には、コスト縮減の取り組みとして、防潮堤の盛り土材の他の復興事業からの流用、震災前からあった水門部材の再利用、工期短縮の取り組みとして、河川内の施工期間の短縮を図るための締め切り工法の変更、防潮堤の被覆コンクリートのプレキャストブロックの採用などを行ってきたところであります。
 今後の契約変更につきましては、詳細な調査に基づいた水門土木工事がおおむね完了し、また、防潮堤の盛り土工事についても進捗しておりますことから、施工方法の大きな変更はないものと考えており、今回提案させていただきました内容により、完成に向けて進めていくことができるものと考えております。
〇13番(高田一郎君) 答弁いただきましてありがとうございます。幾つかお聞きいたします。
 まず、就職氷河期世代の対策についてお聞きいたします。
 県はこれまで、就職氷河期世代の支援は喫緊の課題だと位置づけて、昨年12月だったと思いますがいわて就職氷河期世代活躍プラットフォーム事業支援計画を策定いたしました。1年近くがたとうとしておりますが、今、部長から答弁があったように、支援の対象が、不安定労働が6、000人、長期にわたり無業状態3、498人、こういう支援の対象を掲げて、そして、集中的に取り組むという高い決意のもとに取り組まれてきました。
 先ほど実績もありましたけれども、3年間集中して取り組むという課題でありますが、この間の取り組んだ総括、課題についてお聞きしたいと思います。
 二つ目は、今回の地域就職氷河期世代支援加速化交付金は、実態調査やニーズ調査あるいは就労支援に対する経済的支援など、さまざまな取り組みができる交付金であり、国の交付金を活用して盛岡市と一関市が対応するという補正予算だとお聞きしております。今回、なぜ盛岡市と一関市だけの交付金になったのか。市町村の取り組みがきちんとやられているのかどうかということも含めて、なぜ二つの自治体になったのかについてお聞きしたいと思います。
 防災拠点等再生可能エネルギー導入事業費については、467施設という実績がありました。一般質問でも議論がありましたけれども、2050年に向けて、公共施設に全て再生可能エネルギー導入という方向が国から示されましたが、今回、防災拠点となる公共施設については467カ所ということでありますが、一方では2億2、595万円ほどを国に返還するということであります。
 恐らくもっと防災拠点に再生可能エネルギーを導入できるような状況があると思いますが、今回、返還せざるを得なかった理由は何なのかということも聞きたいと思います。
 最後に、東日本大震災津波復興基金市町村交付金についてであります。
 今回は、追加した交付金については陸前高田市だけということであります。令和3年度以降の延長実施について、先ほど宮古市と大船渡市、野田村もあるとお伺いしました。そういう希望がありながら、今回は陸前高田市についての追加交付となったわけでありますけれども、残りの三つの自治体の交付の見通しはどうなっているのか、この点についてお聞きしたいと思います。
〇企画理事兼環境生活部長(石田知子君) 防災拠点等再生可能エネルギー導入費の返還についてでございますが、この事業につきましては、国の補助金が各県に配分され、本県は約140億円でございます。これをもとに基金を造成しまして、先ほど御答弁申し上げましたとおり、平成24年から平成27年の事業期間で計画を立てまして事業を実施したところでございます。
 なお、沿岸市町村につきましては令和2年度まで延長が認められたということでございまして、今回は、配分された金額と事業実施の金額の差額を残額として国に返還するものでございます。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) これまでの取り組みについてでございますけれども、岩手労働局が中心となりまして、お話のありましたとおり、商工指導団体ですとか労働団体、あとは支援機関、市長会、町村会なども一体になってプラットフォームを構築した上で、相談教育訓練から就職まで切れ目なく支援していくことですとか、伴走型でしっかり支援していくということを念頭に、県でもさまざま取り組みをやってきたわけです。実績としては、令和2年度に1、013人ということで、一定の実績も出しております。
 ただ、難しいと思っている点が、やはり年齢がどんどん高くなってきますので、そういう中で、正社員に結びつけたときに、企業側にもきちんと年齢などに応じて比較的スムーズに対応いただくようにしなければいけないと思っているところが実感でございます。そういう意味からも、今回、企業フォーラムとかも実施しながら、企業の理解もしっかり得ながら取り組んでいきたいと感じております。
 あと、参加する市町村でございますけれども、盛岡市と一関市となっておりますが、我々のほうでも市町村に一生懸命働きかけながら、どんどん市町村が積極的になるように取り組んでいきたいと思います。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 東日本大震災津波復興基金市町村交付金の再度のお尋ねでございます。今回、陸前高田市につきましては、令和2年度末で完了した市町村の残額を調整いたしまして、まとめて一回県で吸い上げまして、それを陸前高田市に交付するものです。事業延長が認められた宮古市、大船渡市、野田村は残額がございます。それを活用していただくということで、今のところ予定しております。
〇議長(五日市王君) 次に、小林正信君。

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