令和3年9月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(千田美津子君) 日本共産党の千田美津子でございます。
 まず最初に、新型コロナウイルス感染症により入院、闘病されている皆様にお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方々に心からお悔やみ申し上げます。また、日々奮闘されている医療従事者と関係者の皆様に心から感謝を申し上げます。
 まず第1に、新型コロナウイルス感染症対策についてお聞きします。
 新型コロナウイルス感染症第5波の爆発的拡大と第6波に備えた今後の体制について、知事の見解をお聞きします。
 9月27日、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードは、直近の感染状況について、全国の新規感染者数は、直近の1週間では10万人当たり約14人で、新規感染者数の減少に伴い、療養者数、重症者数も減少が継続しており、公衆衛生体制、医療提供体制も改善傾向にあると述べています。
 しかし、これまで第5波では東京都を中心に感染爆発が起こり、医療が機能不全に陥る医療崩壊が現実化し、重症者、入院待ち、自宅療養者も急激にふえた結果、自宅で亡くなる方が8月だけで250名を超え、自宅療養者がピーク時には13万5、000人となりました。
 岩手県内では、8月12日に新規感染者数が10万人当たり16.5人とステージ3の事態となったため、感染の急拡大を抑え込むため県独自の緊急事態宣言を発令し、対応されました。その後、8月20日には新規感染者数が63人となり、病床使用率が76.6%となるなど、医療提供体制に大きな負荷がかかる時期もありましたが、知事は、第5波による県内の感染状況と、今後の医療提供体制構築に向けた教訓をどのように捉えているでしょうか。
 さらに、新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードは今後の見通しとして、感染者数が減少したことに伴う安心感が人々の行動変容につながることで、接触機会がふえ、新規感染者数のリバウンドにつながる懸念もあることや、今後に備え、医療体制や公衆衛生体制の強化が必要であること、さらに、ワクチン接種が先行する海外では感染が再拡大している事例もあり、秋から冬にかけてのインフルエンザ流行を見据えた準備も必要だと指摘しています。
 このようなことから、新規感染者数が減少傾向にある今こそ、第6波に向けて、しっかりした対応と検査体制を築くことが必要ではないかと考えます。
 そこでお聞きします。感染伝播の鎖を断つ上でも、今重要なのが、PCR検査の拡大による無症状感染者の発見、保護を急ぐことであります。いつでも、誰でも、何度でも、無料という立場で大規模検査の具体化を図るべきです。企業や大学、商店会などで自主的な大規模検査が行えるように、補助金も出して支援すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 子供の感染、家庭内感染への対策が求められており、学校や幼稚園、保育園、会社などを通じて検査キットを家庭に配布し、体調に変化を感じたら自主的な検査を行うことが必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 政府分科会の尾身茂会長は、感染が減少傾向になっても、感染が残るスポットが維持されるため、リバウンドを防ぐためにスポットに集中的なワクチン接種を実施してほしいと発言しています。感染が集中するスポットに対し、集中的なワクチン接種と大規模検査を実施することが必要ではないでしょうか。
 医療機関への減収補填、医療従事者等への危険手当、慰労金の支給についてお聞きします。
 全ての医療機関や介護、障がい福祉施設、事業所を対象とする新型コロナウイルス感染症対策の診療報酬の特例措置が9月末で廃止され、12月までの時限措置で新たな補助金が設けられますが、これは3カ月でわずか上限10万円の補助であり、とても割に合わない状況です。金額が足りないだけでなく、申請作業のための新たな事務や現場の負担増が懸念されています。
 岩手県における医療機関に対する減収補填と医療従事者への危険手当、慰労金の支給の現状と今後の見通しについてお聞きします。
 ワクチン接種についてお聞きします。
 先日、日本共産党岩手県議団として奥州市のワクチン接種の取り組み状況等についてお聞きしましたが、9月21日現在、65歳以上では91%の方が2回目の接種まで終えており、1回目の接種を終えた方は想像を上回る93.21%であること。さらに奥州市では、11月には12歳以上の住民の約8割、12月には約9割が2回接種できる見込みだと話していました。
 県内には、10月中旬までに12歳以上人口の85%程度に2回接種するのに必要な量のワクチンが供給されるようでありますけれども、希望する全ての県民の接種が終了する時期はいつごろになるのか、県内市町村の見込みについてお聞きします。また、妊産婦、受験生などへのワクチン接種の見込みについてもお聞きします。
 暮らしと営業、雇用を守る事業者支援の現状と今後の対応策についてお聞きします。
 先日、やはり日本共産党岩手県議団として奥州市と大船渡市の両商工会議所を訪問しました。奥州商工会議所では、7月に300事業所を抽出しアンケート調査を実施、また大船渡商工会議所では、8月にアンケート調査を実施し、552件の回答を得ておりました。業況では、全業種が改善を示しているものの、今後の見通しについては大変厳しい見方となっていること。また、コロナショックに加え、原材料価格、燃料価格の高騰やウッドショックによる木材価格の高騰もあり、採算面に直結する環境悪化を懸念する声が上がっているとのことでありました。
 県内事業所、観光、宿泊施設等の実態をどう把握されているでしょうか。10月1日から第2弾が開始されたいわて旅応援プロジェクトの効果をどう見込んでいるでしょうか。
 さらに、地域企業経営支援金については、県独自の緊急事態宣言発出に伴って、支給上限額を10万円引き上げて実施されておりますが、どのような申請状況となっているでしょうか。また、商工会議所からは、支援金もさることながら、売り上げにつながるような県の施策を求める声もありましたが、いかがでしょうか。
 雇用対策についてお聞きします。解雇、雇いどめを防止するために雇用調整助成金、休業支援金の積極的な活用が必要でありますが、これまで雇用調整助成金、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の申請と支給決定はどのような状況にあるでしょうか。
 生活困窮者の実態把握と支援策の現状についてお聞きします。
 コロナ禍の長期化で仕事を失い、家賃滞納が続き、住まいを強制退去、経済的な困窮だけではなく、助けてとも言えず、孤独で精神的にも疲れ切ってしまった人たちなど、新型コロナウイルス感染症の拡大から1年を過ぎ、SOSの内容が日を追うごとに深刻になっています。県内における生活困窮者の実態把握と支援策の現状についてお聞きします。
 質問の第2は、地域医療及び周産期医療体制の充実についてお聞きします。
 医師確保の現状と見通しについてお聞きします。
 医師偏在指標の公表により、医師が最も多い東京都の332.8に対し、岩手県は172.7で全国最下位、まさに1.9倍の差があります。これにより、都道府県は医師確保計画を策定し、2036年度までに地域偏在の解消を目指すとしておりますが、岩手県の医師確保の現状はどうなっているでしょうか。また、今後については、どのような見通しを持っているでしょうか。
 県内の周産期医療の現状と医師の体制についてお聞きします。
 岩手県内における周産期医療の現状は、ことしに入りさらに深刻さを増しています。5年前の平成29年度には岩手県内では12病院、19診療所で31カ所の分娩施設がありましたが、今年度は11病院、13診療所で24カ所となり、実に5年間で1病院、6診療所、7カ所の分娩施設が減りました。さらに、今月からは県立釜石病院での分娩が取りやめとなり、23カ所となります。
 医師の働き方改革などさまざまな要因があるとはいえ、人口減少に歯どめをかけるどころか、出産を諦めなければならない状況が増していることは、岩手県にとってまさに重大な事態だと言わなければなりません。
 県内の5年間の出生数の推移と周産期医療の現状と医師の体制について、知事はどう考え、どう改善されるお考えかお聞きします。
 地域医療構想と公立、公的病院の果たしている役割についてお聞きします。
 新型コロナウイルス感染症による医療提供体制の問題は、感染症治療を担う公的、公立病院や保健所を削減し、病床の削減と医師数を抑制してきた医療費抑制政策のツケが回って来たものであり、感染症対策が全く考慮されていない地域医療構想は、抜本的に見直すべきと考えます。
 そこで知事にお聞きします。新型コロナウイルス感染症対応に多くの病院が連携、対応しておりますが、これらの病院のうち、公的、公立病院の比率と、公的、公立病院が果たしている役割についてどうお考えでしょうか。
 さらに、コロナ禍であるからこそ、地域医療構想の推進ではなく、病床数の充実、確保こそ必要と考えますが、どうお考えでしょうか。
 質問の第3は、東日本大震災津波からの復興と被災者支援についてお聞きします。
 被災者の医療費、介護保険利用料等の免除継続についてお聞きします。
 この間、国が実施を取りやめる中で、岩手県と全ての沿岸市町村それぞれが抱える個々の事情を乗り越えて、11年もの間継続実施されてきた被災者の医療費免除は、被災者の高齢化と生活苦の中で、文字どおり命と健康を守る、まさに命綱の役割を果たしてきました。この間の関係する全ての方々に感謝と敬意を表するとともに、知事のリーダーシップを高く評価いたします。
 一方、ことし4月20日から6月10日にかけて岩手県保険医協会が実施した東日本大震災被災者医療費窓口負担アンケートによれば、回答を寄せた1、902通のうち、住民税課税世帯で4月以降窓口負担が発生した国民健康保険加入世帯では、39.7%が通院回数が減った、12.7%の方が通院できなくなったと答え、後期高齢者医療制度に加入する被災者では、41.7%が通院回数が減った、10%が通院ができなくなったと回答しています。
 また、来年1月から窓口負担が発生する住民税非課税世帯では、国民健康保険加入世帯で39.3%が通院回数を減らす、24.2%が通院できないと答え、後期高齢者医療制度に加入する被災者では、43.9%が通院回数を減らす、17.7%が通院できなくなると回答しています。
 これらアンケートに示された被災者の声は、東日本大震災津波から10年を経過してもなお深刻な実態であることを浮き彫りにしたものにほかなりません。被災者の皆さんが、経済的な事情で医療を受けず健康を損なうことがあってはなりません。
 被災者の医療費、介護保険利用料等の免除を継続してきたことは、復興において大きな役割を果たしたものと考えます。しかし、昨日の軽石義則議員の質問に対し、知事は、医療費等の免除については12月末をもって終了する考えを示されました。私は、誰ひとり取り残さないためにも、何らかの形で継続すべきではないかと考えますが、改めて知事の見解をお聞きします。
 次に、災害公営住宅のコミュニティー確立への支援についてお聞きします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 災害公営住宅には5、289世帯9、255人が入居しておりますが、本年4月末時点の災害公営住宅に入居している高齢者を含む世帯は59.4%、ひとり暮らし世帯は34.3%となっており、入居者の高齢化と生活苦のもとで孤立化、孤独化が進行しています。
 このような中、災害公営住宅における孤独死が2017年には6人、2018年18人、2019年16人、そして昨年は13人となり、災害公営住宅での孤独死がふえているのは重大であります。
 コロナ禍であるからこそ、ひとり暮らし高齢者の見守りとコミュニティー支援の強化、確立は急務であります。この間も指摘してまいりましたが、せめて50戸以上の災害公営住宅には複数の生活支援相談員を配置し、見守りとコミュニティー支援を強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、災害公営住宅の家賃軽減についてお聞きします。
 収入超過者の家賃は4年目から段階的に値上げとなり、退去せざるを得ない状況が生まれています。
 陸前高田市では、空き家となっている市営住宅の一部をみなし特定公共賃貸住宅とする制度を導入し、中堅所得層の居住に供する取り組みを令和元年5月から開始しています。8月末現在、10団地594戸のうち、52世帯が特定公共賃貸住宅制度の適用を受け入居されています。県営災害公営住宅の収入超過者は3年以内で17世帯、4年目以降で102世帯となっています。
 県としても、早期に陸前高田市のような制度を導入、実施すべきとこの間も指摘してまいりましたが、実施に向けてどのように検討されているかお聞きいたします。
 次に、水産加工業への支援についてお聞きします。
 水産加工業は、サケ、サンマ、スルメイカなど主要魚種の大不漁など危機的状況が続いています。しかも、今、水産加工業は原材料不足と価格の高騰に直面しており、水産加工業の再建と営業の継続を支援することは、重要な課題となっています。
 新商品の開発、販路の確保、開拓への支援の強化が急務と考えますが、県は実態をどう把握し、今後の対策についてどう考えているかお聞きします。また、新型コロナウイルス感染症拡大による需要の減少対策について、どのような状況にあるのかお聞きします。
 質問の第4は、米価大暴落についてお聞きします。
 2018年に、政府は米の生産調整から撤退して農業者任せにし、そこに新型コロナウイルス感染症が襲ってきて需要が激減しました。ところが、政府は何一つ手だてをとらないまま放置してきた、それが今日の大暴落を招いた原因であります。
 今政府がやるべきは、過剰在庫を買い上げて市場から隔離し、暴落をとめることです。そして買い上げた米は、コロナ禍で生活に困っている人たち、学生の皆さん、子ども食堂などの支援に回すべきであります。今、過剰在庫の買い上げをとの声が大きく広がり、北海道と東北6県のJA中央会会長が連名で緊急の要請を行っており、また、全国知事会も同様の要請を行いました。
 そこでお聞きしますが、今こそ、米国などにならい、過剰米を買い上げて需給を引き締め、営業自粛によりアルバイトを失った生活困窮者や学生に配布すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。また、岩手県としても、過剰米を一定量買い上げて支援をするなどの支援策を実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 昨年は、ひとめぼれ1俵60キログラム当たり800円の下落で、10ヘクタールで74万4、000円、100ヘクタール規模で744万円の減収となりました。ことしはどれくらいの減収となる見込みでしょうか。
 米の需要減と米価の暴落は新型コロナウイルス感染症の影響であり、国が必要量を買い取りし米価を補償すべきであります。ましてや需要減については、国内消費に必要のないミニマムアクセス米77万トンの輸入は中止すべきであり、少なくとも国内の需給状況に応じた輸入抑制などはすぐに実行すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、地球温暖化がもたらす気候危機への対応についてお聞きします。
 IPCC―国連気候変動に関する政府間パネル報告書と日本の現状についてお聞きします。
 国連気候変動に関する政府間パネル―IPCC1.5度特別報告書は、2030年度までに大気中への温室効果ガスの排出を2010年比で45%削減し、2050年度までに実質ゼロを達成できないと、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5度に抑え込むことができないことを明らかにしております。
 そのため、たとえ気温上昇を1.5度に抑えても、洪水のリスクにさらされる人口は今の2倍となり、食料生産も減少するなど、人類と地球環境は打撃を受けます。それを上回る気温上昇となると、その打撃は大変甚大なものとなります。2度上昇すれば洪水のリスクにさらされる人口は2.7倍に増加し、サンゴの生息域は99%減少します。
 さらに、IPCCは、ことし8月に新たな報告書を発表し、これからの10年の思い切った削減と2050年までの温室効果ガスの排出量の実質ゼロを達成し、その後も大気中のCO2の濃度を下げる努力を続けることによって、21世紀の最後の20年には1.4度まで抑えることができることも示しております。
 しかし、日本政府の目標である2030年度までに2013年比46%削減は、2010年比にすると42%減にとどまり、全世界平均よりも低いものでありますけれども、知事はどのようにお考えでしょうか。
 気候変動に対する岩手県の取り組みの現状についてお聞きします。
 2018年度の岩手県の温室効果ガス排出量が前年度比5万1、000トン減で横ばいだったと報告されました。これらの状況について、実態をどう分析し、今後どう対応されるお考えかお聞きします。
 大規模開発を伴う再生可能エネルギー事業への対応について、お聞きします。
 再生可能エネルギー普及の障害となっているのが、乱開発を伴う再生可能エネルギー事業であります。今、再生可能エネルギー施設の建設を規制する条例を設ける自治体がふえ続けています。再生可能エネルギーの導入は、本来、安全性と地域住民の共生が大前提でありますが、これと逆行し、地域外の大手事業者による大規模な開発を伴う再生可能エネルギー事業が全国各地に広がり、土砂災害や環境破壊等が生じております。
 県内でも、遠野市が事前協議制や1ヘクタール以上の太陽光発電事業は許可しないと決め、昨年6月1日から施行されています。
 これら大規模開発を伴う再生可能エネルギー事業について、県内ではどのような状況にあるでしょうか。また、県としても遠野市などのような取り組みが必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、ジェンダー平等社会の実現についてお聞きします。
 スイスの研究機関、世界経済フォーラムによるジェンダーギャップ指数は、2021年で日本は156カ国中120位と前年より一つ順位は上がりましたが、先進国中最下位であります。これは女性の議員比率や閣僚比率、管理職比率等の低さが全体の足を引っ張っており、日本はジェンダー後進国という評価が世界で定着しておりますが、知事は、このジェンダーギャップ指数の現状についてどうお考えでしょうか。また、県職員の管理職員等の女性割合はどの程度かお示しください。
 夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定について、最高裁判所は、憲法24条の婚姻の自由には反しないとの判断を2015年に続き、ことし6月に2度目の判断を示しました。
 また、ことし7月の東京都議会議員選挙におけるアンケートでは、自由民主党だけが慎重に議論を深めるべきとし、他の政党は全て賛成でありました。
 この間、法制審議会が5年にわたる議論の末、別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申しましたが、自由民主党からの反対意見が出て法案は提出されませんでした。夫婦同姓を法律で義務づけているのは、世界では日本だけであり、ジェンダー平等社会の実現の上で大きな問題があると考えますが、知事はどうお考えでしょうか。
 コロナ禍で女性の貧困化と非正規雇用の問題が浮き彫りになり、女性不況とも言われております。さらに、ひとり親、シングルマザー世帯への影響は大変深刻で、シングルマザー世帯は、児童のいる1、166万世帯中123万世帯と1割を超えており、就業している母親の52.3%が非正規雇用で、平均年間収入は133万円、昨年12月の労働政策研究・研修機構の調査では、ひとり親世帯の35.6%もの世帯が、対象1カ月の間で必要な食材が買えないことがあったと答えています。
 このように、コロナ禍は女性と子供を直撃し、貧困化と格差を拡大し、生きる困難さを浮き彫りにしております。県内の状況についてどう把握され、どう支援をされているでしょうか。
 また、パートやアルバイトで、5割以上シフトが減少しても休業手当を受け取っていない人は女性の74.7%を占めていると指摘されておりますが、どう把握されているでしょうか。
 働きながら安心して子育てをすることができる環境の整備、充実は欠かせない課題でありますが、県内事業所の育児休業取得はどのような状況にあり、課題をどう把握されているかお聞きします。また、県職員についても、同様に、現状と課題についてあわせて伺います。
 以上、登壇しての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 千田美津子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、第5波による県内の感染状況と今後の医療体制についてでありますが、本県においても、アルファ株からデルタ株への置きかわりが進むとともに、夏休みなどを利用した帰省等の影響により感染が拡大したものと考えます。
 8月には、直近1週間の新規感染者数が25.2人とステージ4相当を超えましたが、県民の皆様の努力のおかげで、新規感染者数や療養者数も着実に減少し、誰も自宅療養することなく、入院、宿泊療養を原則とする本県の方針が維持されたところであります。
 一方、病床使用率は最高で76.6%となり、通常医療を一部制限せざるを得ない状況となるなど医療提供体制が逼迫したことから、医師不足である本県においては、新規感染者数を低く抑えることの大切さを痛感したところです。
 今後、再び感染が拡大し第6波が生じることを想定し、医療提供体制のさらなる強化が必要と考えられることから、新たな重症患者受け入れ病棟の整備や宿泊療養施設の拡充、感染症患者に対応するための病床確保などの経費を本定例会に提案している補正予算案に盛り込んだところであります。
 次に、出生数の推移と周産期医療についてでありますが、県内の5年間の出生数については、平成28年の8、341人が、令和2年には6、718人と全国と同様に減少傾向にあり、少子化は、将来に関する問題であると同時に目の前にある重要な課題であり、周産期医療提供体制の整備を初め、子育てや労働環境の整備など総合的な施策が必要と認識しております。
 県内の周産期医療は、全県的に産科の医師が不足している中、産科診療所についても、医師の高齢化の進行や後継者不足等により分娩取り扱いを断念せざるを得ない施設の増加が懸念されるところであり、地域における産科診療体制を確保していくことは重要な課題であります。
 県では、医師養成などにより産科医の確保に取り組んできたところ、昨年度からは、産科等を選択した地域枠養成医師に対する新たな特例措置を開始したほか、医療局奨学金に特別貸付枠を設けるなど、さらなる産科医の確保に向けて取り組んでおり、病院に勤務する産科医数は横ばいとなっています。
 引き続き、リスクに応じた分娩取扱医療機関の連携を進め、医療提供体制の強化を図るとともに、産科診療所への新たな設備導入等の支援、モバイル型妊婦胎児監視モニターを活用した救急搬送体制の強化や、市町村と連携してハイリスク妊産婦の通院等を支援する事業などの取り組みにより、安心して妊娠、出産ができる周産期医療の充実に努めてまいります。
 次に、地域医療構想と公立、公的病院の果たしている役割についてでありますが、今般の新型コロナウイルス感染症への対応においては、全国有数の公的医療機関ネットワークを核として、検査体制の拡充や病床の迅速な確保、整備を図ってきたところであり、入院患者についても、その多くを受け入れるなど、公立、公的医療機関は、本県の医療提供体制において重要な役割を果たしています。
 一方で、地域医療構想の背景となる高齢化の進展に伴う医療需要の変化等、中長期的な状況や見通しはコロナ禍にあっても変わらないことから、地域医療構想における必要病床数等の基本的な考え方を維持しつつ、将来の医療需要を見据えた病床機能の分化や連携について議論を進めていくことは必要と考えます。
 今後、国では、令和6年度からの次期医療計画に新興感染症等の医療対応を新たに盛り込み、具体的な取り組み事項や数値目標等について検討を行う予定であり、県としても、国の動向を注視しながら、本県の強みである公的医療機関ネットワークを活用した新興、再興感染症等の発生にも柔軟に対応できる医療提供体制の構築に向けた検討を進めてまいります。
 次に、被災者の医療費等の免除継続についてでありますが、県では、応急仮設住宅での暮らしなど、住宅環境悪化に伴う疾病リスクの増加などの被災者の健康面や経済面での不安の軽減を図るため、医療費等の一部負担金の免除を実施する市町村に対し、その経費の一部を財政支援してきたところであります。
 本年4月以降は、復興の進捗状況や国民健康保険財政の運営状況などの市町村の事情も勘案し、免除の対象者を住民税非課税世帯に限定の上、本年12月末を目安として事業を継続しているところです。
 令和4年1月以降の免除措置については、判断の目安としていた応急仮設住宅入居世帯が解消されたこと、全市町村に意向を確認したところ、住民間の公平性や財政上の理由から、ほとんどの市町村が年内の終了を希望していること、さらには、本年6月定例会において関係する2件の請願がいずれも不採択となったことなどを勘案し、本年12月末での終了を考えています。
 免除措置終了後におきましても、生活困窮者自立支援制度による被災者一人一人の状況に合わせた支援や、いわて被災者支援センターにおける専門家と連携した相談支援、さらには高額療養費制度の周知を徹底することなどにより、被災者の方々が経済的な理由により必要な医療が受けられないことがないよう、市町村や関係機関と緊密に連携を図りながら支援を行ってまいります。
 次に、災害公営住宅のコミュニティー確立への支援についてでありますが、本県では、市町村社会福祉協議会に配置した生活支援相談員が、民生委員や市町村が独自に配置する支援員等と連携しながら、被災者の見守り等の個別支援に加え、住民相互に支え合うコミュニティー形成を行う地域支援に取り組んでまいりました。
 また、令和元年度からは、災害公営住宅等での見守りやコミュニティー形成支援を重点的に行うため、生活支援相談員を、地域の実情に応じ災害公営住宅の集会所や空き店舗等に配置する地域見守り支援拠点の設置を推進してきたところであり、本年9月末現在、5市町で9カ所の拠点が設置され、うち災害公営住宅への設置は3市町4カ所となっています。
 県としては、市町村社会福祉協議会等の意向を踏まえながら、地域の実情に応じた拠点の設置を進めるとともに、今後もこうした拠点の取り組み等を通じ、災害公営住宅の入居者相互の交流や近隣住民との交流を促進し、地域で暮らす人々が相互に支え合うことができる福祉コミュニティーの形成を進めてまいります。
 次に、IPCCの報告書等に係る所感についてでありますが、本年8月に公表されたIPCC第6次評価報告書では、初めて人間活動が及ぼす影響が大気、海洋及び陸地を温暖化させてきたことには疑いの余地がないとし、地球温暖化が喫緊の課題となっています。
 国では、2050年温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指し、2030年度までに46%の削減を目標として掲げていますが、この報告書を受けて、政府では、地球温暖化対策計画の策定と計画を実現するための大胆な政策強化に全力を尽くすとしており、目標達成に向けては、より早く、より多い排出量削減に努力すべきと考えます。
 県としては、本年2月のいわて気候非常事態宣言に基づき、気候変動に対する危機感を県民と共有し、2050年温室効果ガス排出量の実質ゼロに向けて、県民総参加による地球温暖化対策に積極的に取り組んでまいります。
 次に、ジェンダーギャップ指数の現状についてでありますが、2015年に国連で採択された持続可能な開発のための2030アジェンダに含まれる持続可能な開発目標―SDGsでは、2030年までに、政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保することが掲げられています。
 国は、2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にする目標を掲げ、官民を挙げて実現に向けて取り組むこととしましたが、各国と比較し、特に政治、経済分野で女性の参画は大きくおくれており、一層の努力が必要であると考えます。
 ジェンダー平等の推進には、地域社会においても男女共同参画に向けた活発な取り組みが重要でありますことから、県では、あらゆる分野で女性が意思決定過程に参画拡大する取り組み等を通じて、ジェンダーギャップの解消につなげてまいります。
 次に、選択的夫婦別姓問題についてでありますが、昨年12月に策定された国の第5次男女共同参画基本計画では、男女共同参画の視点に立った各種制度等の見直しの中で、家族に関する法制の整備についてもさらなる検討を進めるとされたところであります。
 また、本年3月には、岩手県議会においても、夫婦別姓を選べる制度を取り入れる民法改正を行うこと等について措置を講じることを国に求める、ジェンダー平等施策の強化を求める意見書が可決されました。
 選択的夫婦別姓制度については、男女共同参画社会の実現に向けて重要な事項であることから、広く丁寧に議論され、困難に直面している人たちの問題が解消されるべきと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事兼環境生活部長石田知子君登壇〕
〇企画理事兼環境生活部長(石田知子君) まず、本県における温室効果ガス排出量についてでありますが、2018年度の温室効果ガスの実排出量は1、417万3、000トンであり、基準年である1990年に比べ0.5%増の横ばい傾向となっております。
 部門別の状況を見ると、全体の約4割を占める製造業などの産業部門において、省エネルギー対策は進んでいるものの、これを上回る製造品出荷額等の増加により基準年に比べ6.8%増となったほか、民生業務部門では、売り場面積の増加に伴う空調設備などの増加により13.5%の増となっております。
 一方、全体の約2割を占める運輸部門では、自動車の燃費向上などにより5.3%の減、1割強を占める民生家庭部門では、オール電化の普及や暖冬の影響などにより4.3%の減となっております。
 今後、第2次地球温暖化対策実行計画に基づき、各部門における省エネルギー対策の推進や再生可能エネルギーの導入促進などにより、温室効果ガス排出量の削減を図ってまいります。
 次に、大規模開発を伴う再生可能エネルギー事業の県内の状況についてでありますが、国が事業計画を認定している1、000キロワット以上の再生可能エネルギー事業は令和3年5月時点で194件あり、そのうち太陽光発電は164件となっております。
 近年、大規模な太陽光発電事業に伴う土砂の流出、景観への配慮、動植物の生息、生育環境の悪化などの問題が顕著化していることなどから、国では、令和2年4月以降、大規模な太陽光発電事業を環境影響評価法に基づくアセスメントの対象としたところであります。
 本県でも、法の対象とならない規模の太陽光発電事業については、岩手県環境影響評価条例に基づくアセスメントの対象とし、本県の実情に合わせた環境への配慮を求めているところでございます。
 引き続き、国及び市町村と連携し、太陽光発電事業の許認可等に適切に対応し、環境との調和に配慮した再生可能エネルギーの導入を図ってまいります。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、PCR検査の拡大実施についてでありますが、県では、新型コロナウイルス感染症対策専門委員会に意見を伺いながら、蔓延期における一斉、定期的な行政検査の実施方針について定め、これまで、市中感染のリスクが高まった場合に、市町村とも連携して、高齢者施設や繁華街の飲食店等を対象としたPCR検査を実施してきたところであります。
 県としては、行政検査とは別に、モニタリング検査として実施する無症状者に焦点を当てた幅広いPCR検査について、国の責任において、戦略的活用に向け費用負担も含め方針を確立し実行するよう、全国知事会を通じ国に要望しているところでございます。
 次に、検査キットの学校や会社等を通じた配布についてでありますが、発熱等の新型コロナウイルス感染症を疑う症状が生じた場合は、健康管理や感染拡大防止の観点から早期に医療機関を受診することが必要でありますことから、県では、かかりつけ医または受診・相談センターに相談することについて周知を図っているところです。
 国では、保育所等の職員等について、希望する施設に対し、早期に陽性者を発見することにより感染拡大を防止する観点から、適切な使用管理を前提に抗原検査キットの配布を行っており、岩手県内でも約12万回分の配布が進められているものであります。
 また、その使用に当たっては、感染しているにもかかわらず陰性と判定される可能性もあることから、国の事務連絡におきましても、体調の悪い職員に対しては、受診を促すこととされているところであります。
 抗原検査キットを個人に配布することについては、感染を疑われる方が通勤、通学など外出することによる感染拡大リスクを低減させる効果等も見込まれますことから、引き続き、全国知事会を通じて国に要望してまいります。
 次に、集中的なワクチン接種と大規模検査の実施についてでありますが、県では、市町村の集団接種に係る医療従事者確保等の支援を進めているほか、県による集団接種会場を接種対象者の多い地域に設置し、3期にわたり接種を実施するなど、市町村の接種体制を補完する取り組みを進めてきたところであります。
 また、市町村においては、クラスター等への対応として、障がい者支援施設や保育施設などへの優先接種を進めてきたほか、商店街や大学などでの職域接種なども並行して行われているところであり、これらと連携しながら、早期の接種完了に向けて取り組んでまいります。
 また、大規模検査の実施については、先ほども御答弁申し上げましたとおり、県では、蔓延期における一斉、定期的な行政検査の実施方針に基づき、これまで、市中感染のリスクが高まった場合に、市町村とも連携して、高齢者施設や繁華街の飲食店等を対象としたPCR検査を実施してまいりました。
 県としては、行政検査とは別に、モニタリング検査として実施する無症状者に焦点を当てた幅広い検査については、国の責任において、戦略的活用に向け費用負担も含めた方針を確立し実行するよう、全国知事会を通じて国に要望しているところであります。
 次に、医療機関への減収補填等についてでありますが、県では昨年度から、新型コロナウイルス感染症への対応を行う医療機関への支援として、重点医療機関や協力医療機関等に対する空床確保や院内感染防止対策、新型コロナウイルス入院患者受入医療機関が行う危険手当への補助、全ての医療機関の医療従事者や職員に対する慰労金の支給を行ってきており、危険手当については、令和3年度は、9月補正予算案に盛り込んだ分を含め、25医療機関に約5億6、100万円を補助し、患者数の増加に応じた支給を行うこととしており、慰労金については、令和3年度は、国において財源措置がなされていないことから、全国知事会等を通じて、対象者の拡大を含めた給付の延長を国に要望しているところであります。
 医療機関に対する経営支援については、9月末で診療報酬の特例措置が廃止された一方、疑い患者及び新型コロナウイルス感染症患者への外来、訪問診療等に対する特例措置が拡充され、医療関係団体においても一定の評価がなされているものと承知しております。
 また、感染防止対策に対する補助金の申請手続についても、可能な限り簡素化することとされております。
 県としては、地域の医療提供体制を守るため、引き続き、医療機関の経営状況を注視し、必要に応じて、国に対してさらなる支援策の実施を求めてまいります。
 次に、県民のワクチン接種の見通しについてでありますが、10月3日時点における12歳以上の接種率は、1回目が75.8%、2回目が64.0%と接種対象人口の6割を超える方が接種を終えております。
 また、妊娠している方や受験を控えた学生などに対する早期の接種について市町村に働きかけてきており、一部の市町村では優先接種を実施しているほか、そのほかの市町村も早期に接種可能な体制となっており、着実に接種が進んでおります。
 こうした状況から、県内の一部の市町村では、10月末までに接種が完了する見通しとなっているほか、そのほかの市町村においても、集団接種の拡充などにより、おおむね11月末までに接種が完了する見込みと承知をしております。
 県としては、希望する全ての県民の方に11月末までに2回の接種を終えることができるよう、市町村の集団接種の拡充に向けた医療従事者確保等の調整を支援するとともに、モデルナ社ワクチンの活用促進やファイザー社ワクチンの市町村間の在庫調整などを通じ、各市町村の円滑な接種の促進を支援してまいります。
 次に、生活困窮者の実態把握と支援策の現状についてでありますが、県では、市町村や社会福祉協議会等と連携し、自立相談支援機関などにおける相談支援を通じて生活に困窮している方の実態の把握に努めておりますが、新規相談受け付け件数は増加しており、具体の支援についても、生活福祉資金の特例貸し付けが7、719件、住居確保給付金が348件、生活困窮者自立支援金が43件となっており、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、相談支援のニーズは高い状況にございます。
 県としては、引き続き、支援を必要とする方に、一人一人の課題に応じた適切な支援が行えるよう、関係機関等と連携し、さまざまな支援策を組み合わせた包括的な支援に取り組んでまいります。
 次に、医師の確保についてでありますが、県では、全国最下位である医師偏在指標に基づく都道府県順位を、下位3分の1のレベルから脱却させることを目標として、令和2年3月に岩手県医師確保計画を策定したところであります。
 当該計画においては、奨学金養成医師の配置や即戦力医師の招聘などにより、令和5年度までに266人の医師を確保する見込みとなっておりますが、令和2年度の実績は、奨学金養成医師の県内従事者134人、即戦力医師招聘23人の計157人となっております。
 計画を達成するため、今後とも、年々増加が見込まれる奨学金養成医師の計画的な配置や、即戦力医師の招聘の取り組みを重点的に行っていくとともに、医師不足や地域偏在の根本的な解消のためには国レベルの取り組みが必要でありますことから、医師少数県で構成している地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会による国に対する提言などを通じまして、実効性のある医師不足、偏在対策の実現を目指してまいります。
 次に、ひとり親家庭の状況についてでありますが、県では、ひとり親家庭への支援を強化するため、昨年度、ひとり親家庭等応援サポートセンターを設置したほか、広域振興局等に配置している母子父子自立支援員や市町村、母子福祉関係団体等による相談を通じて、随時ひとり親家庭の実態の把握に努めているところであります。
 これらの相談等では、現時点においては、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う相談件数が急増している状況にはありませんが、毎年度8月に提出を求めております児童扶養手当の現況確認に合わせて実施した出張相談会においては、新型コロナウイルス感染症による収入減により、母子父子福祉資金の貸し付けや償還についての相談が寄せられたところであります。
 県としては、新型コロナウイルス感染症の長期化に伴う影響も懸念されますことから、ひとり親家庭を継続的に支援していく必要があると考えており、ひとり親に対する資格取得支援や家賃等の貸し付けなどの事業に取り組むとともに、きめ細かく相談に応じながら、関係機関と連携し必要な支援を行ってまいります。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、県内事業所の実態といわて旅応援プロジェクトについてでありますが、事業者に対する影響調査では、令和2年3月以降、売り上げが大きく減少している割合が一貫して高い数値で推移しており、特に飲食や宿泊業者は極めて厳しい状況にあります。
 また、先月開催した会議において、金融機関から、飲食や宿泊業者では、融資を受けた資金を含め手元資金が減少し、今後の資金繰りを懸念する声が寄せられたほか、商工指導団体からは、中小企業者の事業継続に向けた支援の強化とさらなる緊急経済対策の国に対する働きかけを求められております。
 いわて旅応援プロジェクト第2弾については、事業費が限られているものの、引き続き、土産物店等で使用できるクーポン券も発行しており、裾野の広い観光関連産業の需要喚起により県内経済への波及効果を高めていきたいと考えております。
 さらに、新型コロナウイルス感染症の感染者数が全国的に減少傾向にあり、割引対象を隣県や全国へ拡大することで、経済効果もさらに大きくなることから、今後の国の動向も踏まえつつ、引き続き、柔軟な対応と予算の増額を働きかけてまいります。
 次に、地域企業経営支援金の申請状況と支援策についてでありますが、支給上限額の10万円引き上げに伴う地域企業経営支援金の申請状況は、引き上げ対象期間に含まれる8月分の売り上げを確定する必要があることから、9月13日より受け付けを開始し、9月17日までの5日間において約550事業所から変更申請を含む申請書の提出があり、商工会議所及び商工会において、速やかに支出を行うよう申請内容の確認等を進めているところでございます。
 また、売り上げの回復、増加に向けましては、いわて旅応援プロジェクトやいわての食応援プロジェクト、さらには、新しい生活様式に対応した、買うなら岩手のものバーチャル物産展といった需要喚起策を展開しているところです。
 全国的にワクチン接種が進み感染者数も減少している現状において、こうした需要喚起策は、より高い効果が期待できることから、国に対して、これらの事業の拡充を強く求めるとともに、関係団体とも連携し、景気回復施策のさらなる強化を図ってまいります。
 次に、雇用対策についてでありますが、岩手労働局によると、雇用調整助成金については、10月1日現在で支給申請書受理は2、844事業所から延べ2万2、573件、支給決定は2、820事業所の延べ2万2、134件、また、休業者本人に支給される新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金については、同じく10月1日現在で、支給申請は延べ2、993名から8、281件、支給決定は7、269件で4億4、500万円余となっております。
 次に、水産加工業についてでありますが、主要魚種の水揚げ量が大きく落ち込み、グループ補助金のいわゆる高度化スキーム貸し付け分の返済に苦慮している中、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の長期化により、外食向けの需要も大きく減少し、水産加工業者を取り巻く環境は非常に厳しいものとなっております。
 このため、魚種の転換に対応した付加価値の高い商品づくりの促進に向け、専門家派遣やいわて希望応援ファンドによる助成を行っておりますが、加えまして、新たに買うなら岩手のものバーチャル物産展やEC(electronic commerce)サイトを活用したインターネット通信販売への参入を目指す者もあり、こうした動きを含め積極的に販路の拡大を支援してまいります。
 加えまして、いわての食応援プロジェクトによる飲食店の支援を通じた需要拡大に取り組むほか、県内外での商談会開催や大手量販店でのフェアの開催なども順次進めてまいります。
 次に、女性の非正規雇用についてでありますが、民間調査機関の公表資料によれば、コロナ禍によるシフト減のパート、アルバイトのうち、男性の約8割、女性の約7割強が休業手当を受け取っていないとされております。
 岩手労働局におきましても、こうした状況についての詳細なデータは持ち合わせていないとのことでございますが、事業主から休業手当の支払いを受けることができない場合は、国から新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の支給を受けることが可能となっているとのことであり、先ほど答弁申し上げましたとおりの支給実績となっております。
 岩手労働局では、この支援金・給付金の活用について、リーフレットの配布や相談窓口の設置により対応しておりますが、県といたしましても、さまざまな媒体を通じて周知を図るとともに、就業支援員等による労働者からの相談対応を行うなど、引き続き岩手労働局と連携して対応してまいります。
 次に、育児休業の取得の現状のうち、県内事業所についてでありますが、令和2年度企業・事業所行動調査結果によると、回答のあった615事業所中、9割近い547事業所が育児休業を制度化しており、育児休業取得率は、男性で11.9%、女性で99.5%となっております。取得期間は、男性は5日未満が最も多く33.3%、女性は10カ月から12カ月未満が最も多く36.6%となっております。
 県といたしましては、さらに男性の育児休業の普及拡大が必要と考えており、令和3年6月には、育児・介護休業法が改正されていることを踏まえまして、働き方改革を推進する中で、男性の育児休業の取得率の向上を図るよう、県内事業所における取り組みを後押ししていく考えであります。
   〔県土整備部長田中隆司君登壇〕
〇県土整備部長(田中隆司君) 災害公営住宅の家賃軽減対策についてでありますが、中堅所得者向けのみなし特定公共賃貸住宅制度導入には、被災者や本来対象とする所得階層の入居に影響を与えないことが条件となります。
 このため県では、被災者用の住戸を確保した上で、空き住戸延べ910件を対象として、昨年7月から一般の方向けの入居募集をしたところ、213件の応募があるなど、本来対象とする所得階層の入居への影響が懸念されたことから、今後も空き住戸の状況把握等が必要と考えております。
 一方、被災された入居者に対しては、収入基準を超えた場合でも、家賃の上限額を設けて減免し、引き続き入居可能としておりますが、有識者からは、若年層等の家賃上昇による退去がコミュニティー活動に支障を来たすという指摘もなされております。
 引き続き、被災者に寄り添った制度設計となるよう、市町村と意見交換しながら、例えば、よりきめ細かい家賃体系の導入など、入居要件等の見直しに取り組んでまいります。
   〔農林水産部長佐藤隆浩君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) まず、米の過剰在庫対策についてでありますが、今般の米の需給緩和は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、外食や中食等での需要の落ち込みに伴い、全国的に米の在庫量が増加したことによるものと捉えています。
 また、米の生産流通は、都道府県単位では完結しないものであることから、全国規模で対応していくことが重要であります。
 このため県では、国全体で米の需給と価格の安定が図られるよう、主食用米の長期保管への支援や生活困窮世帯、子ども食堂等への主食用米の提供など、国主導による実効的な過剰米への対策や消費喚起などの需要拡大対策を推進することを先月、国に対し要望したところです。
 今後においても、米の需給動向を見据えながら、国が主体となった対策を求めてまいります。
 次に、米生産者の減収見込みについてでありますが、減収見込み額を試算するためには、令和3年産米のJA概算金の額と令和3年産の水稲の予想収穫量が必要となりますが、例年、9月末に国から公表されていた予想収穫量が、本年はまだ公表されていないため、現時点ではお示しできないところです。
 次に、ミニマムアクセス米についてでありますが、県では、ミニマムアクセス米について、主食用への仕向け量が増大した場合、主食用米の価格低下が懸念されることから、毎年、国に対し、国内需給に影響を及ぼさないための対策を講じるよう要望しているところであります。
 県としては、米の需給と価格の安定が図られるよう、引き続き、国に対し、必要な対策を要望していくとともに、需要に応じた米生産と水田を最大限に活用した高収益作物の生産拡大などにより、生産者の所得向上が図られるよう取り組んでまいります。
   〔総務部長白水伸英君登壇〕
〇総務部長(白水伸英君) まず、県職員の管理職員等の女性割合についてでありますが、総括課長級以上の管理職に占める女性の割合は、令和3年4月1日時点で9.5%となっており、令和2年4月1日時点と比較し0.4ポイント上昇しているところであります。
 県といたしましては、昨年度策定した次世代育成支援及び女性活躍推進のための特定事業主行動計画において、令和7年度までに、総括課長級以上の管理職に占める女性職員の割合を15%とすることを目指すとしております。
 今後も、女性職員に対するキャリア形成等の研修を実施するとともに、メンター制度の充実や、若手職員のロールモデルとなる活躍事例の発信として女性職員のワークスタイルモデル集を発行するなど、管理職を担う女性職員の育成に向けて取り組んでまいります。
 次に、県職員の育児休業の取得についてでありますが、知事部局等における育児休業の取得率は、令和元年度は、男性が16.7%、女性が100%に対し、令和2年度は、男性が36.8%、女性が100%となっており、前年度と比較して男性職員の取得率が2倍以上に増加したところであります。
 今後とも、さらなる取得率の向上が課題と認識し、育児休業取得の取り組みを進めていきたいと考えております。
 具体的には、育児支援計画シートを活用した所属長面談や管理職層を対象とした研修の実施による育児休業の取得奨励など、男性職員の育児参加に向けた意識改革や育児休業取得による不安解消のための取り組みを進め、全ての職員が、仕事と家庭の両立ができる職場環境づくりに取り組んでまいります。
〇1番(千田美津子君) 御答弁ありがとうございました。
 時間も大分経過しておりますので、何点かに絞って再質問をさせていただきたいと思います。
 まず、被災者の医療費、介護保険料の免除でありますが、知事からは、12月末をもってという答弁でありました。ただ私は、最後に答弁された、必要な医療が受けられないことがないようにという答弁が非常に大事だと思っております。ただ、知事は、自立支援とかいわて被災者支援センターの相談あるいは高額療養費の三つの制度を挙げられておりますけれども、私は、先ほどアンケートでお知らせした部分からすると、これらでは救えない状況だと思っています。
 それで、特に住民税非課税世帯の方々は、国民健康保険加入世帯も後期高齢者医療制度加入の方々も、来年から廃止されたら通院回数を減らす、それから通院できなくなるという方々が6割以上いらっしゃいます。ことしから廃止された方は5割ちょっとくらいだったのですが、非課税の方々の比率はもっと上がっていて、6割以上の方々が、もう病院にかかれないという意思を表明しているわけです。ですから、登壇して言いましたが、大変深刻であります。
 きょう、自死の質疑がありましたけれども、私は、何らかの形でこれらの方々がそういうことに至らない状況をつくっていくことが、結局誰ひとり取り残さないという復興の本当に大事な部分につながっていくと思いますので、この点はぜひ検討していただきたいと思います。それが一つです。
 それから、二つ目は、災害公営住宅の収入超過者への家賃軽減については、より細かな家賃制度を設定するということで、いろいろ検討されてきた中身が全く伝わらない状況でありました。
 特に、災害公営住宅に入居して4年目以降の方が102世帯となっているわけです。そういう方々が災害公営住宅のコミュニティーの部分で非常に大きな役割を果たしている、あるいは役員を務められている方々が多いわけですから、そういう方々が、この災害公営住宅に住み続けられる状況をしっかりつくっていくことが、私は復興の部分で非常に大事だと思っています。そういう部分でもう少し丁寧に、前向きに検討をいただきたいと思っております。
 それからもう一つ、これは知事にお聞きしますが、特に周産期医療の点です。昨日、吉田敬子議員からもいろいろ踏み込んだ議論がありました。私も、周産期医療の充実については毎回取り上げておりますけれども、やはり本当に広い岩手県内を四つの医療圏に集約をする、そして、そういう部分で県や市町村がさまざま支援をしているのは、大変いいことであります。
 ただ、今、県民の思いは、やはり地域で産めないことはとてつもなく大変なことだと、誰もがそのように話しています。医師が不足しているのはそのとおりでありますけれども、きのう吉田敬子議員が言われたとおり、助産師外来あるいは院内助産所に加えて、例えば奥州市でも、さまざまな事情で産科をやめて婦人科だけを標榜している方々が数名いらっしゃいます。若い方もいます。連携する医師がいないということが課題となるわけですから、例えば、そういう方々の協力を得て、とりあえず今の時点から岩手県が独自に地域でお産ができる体制を検討することが必要ではないかと思います。
 医師がふえたら9医療圏でやりますよというのだと、全く見通しがないわけですから、そういった意味では、今できること、そして、そこに手をつけることが非常に大事かと思うわけですが、それについてお聞きしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) まず、被災者の皆さんの医療費、介護保険利用料等の免除の件についてでありますが、医療を必要とする方は、やはり診療していただかなければ困るといいますか、診療していただきたいわけでありまして、そのためにも、議員御指摘のような制度の活用や紹介等があるわけであります。復興の新しいステージという言葉がありますけれども、今まで以上に、県と市町村、そして関係団体、関係機関が連携しながら、困窮している方々、医療を必要としている方々に寄り添うような支援をしていくことで、復興のそういう事業はまだ終わってはいない、いよいよ正念場という意識を持って取り組んでいきたいと思います。
 そして、周産期医療につきましては、議員御指摘のように、さまざまな専門家の力をフルに活用させていただくことが非常に大事だと思います。また、そもそも出産は、地域の力で支えてきたという歴史もありますし、また今、職場が出産の壁になるようなことがあってはならないという議論は大分広がっていますが、むしろ職場においても妊婦を支援していくようにしていって、県民総出で、妊娠している方、出産する方、そして産後も含めて支援していくことが大事だと思います。
 県も、そのようなネットワークの支援の広がりや部局横断的に支えて、周産期医療という分野を超えて、出産、子育てをさらに県民みんなで支える岩手県にしていくよう努めてまいります
〇県土整備部長(田中隆司君) 家賃上昇による退去についてでありますが、特に、若年層はコミュニティーの核として大きな役割を担っていると考えておりますので、こうした方々が、長く住み続けていただくことが大事だと考えております。
 議員から御提言のありましたみなし特定公共賃貸住宅の導入は、先ほど御答弁させていただきましたとおり、本来対象となる所得階層の入居に影響を与えないことが必要となりますので、そのために、まず一般募集を行ったところであります。まだ一定の方の応募がありますことから、すぐにみなし特定公共賃貸住宅の導入に踏み切れるような状況ではないかと思っていますが、ただ、引き続き、そこは状況の把握をしていくということでございます。
 ただ、そこで終わりではなくて、長く住み続けていただくために、やはり被災者により寄り添った制度設計となるように、今いろいろな制度を検討しているところでありまして、まだこの場では具体的に申し上げることはできない状況でありますが、入居要件等の見直しに向けて引き続き取り組んでまいりたいと思います。
〇1番(千田美津子君) 最後に1点、今の周産期医療の関係で、知事は、職場や県民が支えるということ、本当にそのとおりだと思います。ただ、言葉ではいろいろ言えるのですけれども、例えば、産科を4医療圏にして、9医療圏にすることができないのかと言ったときに、岩手県周産期医療協議会の議論が必要だという御答弁が前にありました。私は、岩手県の産科がこれでいいのかという議論を例えばこの岩手県周産期医療協議会でスタートしてもらって、やはり県民みんなで支えるというのは、そういう議論のスタートがあって初めてみんなのものになるわけですから、ぜひこの議論をスタートしていただきたいと思います。
 それから、私は、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会を立ち上げられた達増知事であるからこそ、県民のそういう意識醸成が、県内の地元の開業医の皆さんの協力をもらったり、ひいては県外の医師の協力をもらうことにつながっていくと思います。
 例えば岩手県の産科復活プロジェクトのような取り組みをしないと、今、医師の数がこうだからこれしかできませんというように私からは見えるので、やはりそれにとどまらない、若い人たちが岩手県で住み、そして岩手県で子供を産み、岩手県で安心して暮らす、そういう部分でも、この産科復活プロジェクトはすごく大事だし、取り組んでいただきたいと思うわけですが、その点をお聞きして終わります。
〇知事(達増拓也君) 産科の体制、専門性の高い部分は関係部長から答弁させたいと思いますけれども、この答弁検討を通じて、今、県としてどこまでやるかということは、答弁検討の場で、いわば緊急幹部会議を開いて決定しているようなものなのですけれども、この周産期医療に関しては、保健福祉部以外との調整にまで踏み込んでおりませんでした。今この場で、男女共同参画、若者支援、そして産業、経済、農林水産業もそうですし建設関係もそうですし、あと、教育の現場、警察もよろしくお願いします。出産、子育てに関して、県全体で総力を上げて子供を産み育てられる、安心できる岩手県にすることをこの場で決定させていただきます。
〇保健福祉部長(野原勝君) 周産期医療につきましては、本当にこの10年間以上にわたりまして議論を重ね、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
 ICTの導入、奨学金養成医師、県民運動というものはあるのですが、安全な分娩のために医療提供者側の話も聞く、また一方で、施策として子供を産み育てやすい環境づくりということで、身近な施設というのは住民にとって必要です。また、各自治体では移住、定住対策なども進めている中にあって、こういう取り組みが必要です。
 医療提供者側からも当然、今の産科の先生方は本当に頑張っています。県民運動をするんですが、それが現場の先生方の負担になってはいけません。そうならないようにそこはしなければなりませんし、そこは皆さま方とも、お話をきちっと伺いながら進めてまいりたいと考えております。できることは何でも取り組むつもりで、今後とも全力で取り組んでまいります。
〇議長(五日市王君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
   日程第2 認定第1号令和2年度岩手県一般会計歳入歳出決算から日程第45 議案第27号損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについてまで
〇議長(五日市王君) この際、日程第2、認定第1号から日程第45、議案第27号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。高田一郎君。

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