令和3年9月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇29番(軽石義則君) 希望いわての軽石義則でございます。
 任期折り返しを迎えた本定例会において、一般質問の機会をいただきました先輩、同僚議員に感謝を申し上げます。
 まずは、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた皆様の御冥福をお祈りし、今現在も治療されている皆様の早期御回復を願い、医療関係者や携わる全ての皆様に敬意を表し、感謝を申し上げます。
 本年の2月定例会におきまして、初めての会派代表質問をさせていただきました。その後の経過を含めて確認させていただきますので、県民の皆様に伝わる御答弁をお願いいたします。
 初めに、1項目として、新型コロナウイルス感染症の現状と今後の対策について伺います。
 1点目として、県内の新規感染者数の経過と、その要因分析について伺います。
 昨年7月29日に県内にて最初の感染者が発症以来、新規感染者数の波が波形を変えて続いてきております。全国的な影響も含まれているものと考えられますが、その要因を科学的に分析して記録に残していくことも大切であります。全国での比較においても、直近1週間における対10万人当たりの新規患者数は低位にあるものの、事実の背景にある要因分析は、後世に残る貴重な資料と考えます。
 先般の報道によりますと、岩手県立大学の研究グループが調査した結果として、宮城県民との比較ではありますが、地域を感染から守らねばならないと思った、本県沿岸71.4%、盛岡市62.3%、感染したら地域の人に責められると思った、本県沿岸77.2%、盛岡市77.4%などの、まちを守る意識による警戒感の強さなどの影響により、全国で最後の発症につながったようだとのまとめがされております。
 これまで感染拡大防止対策に集中して取り組みが進められてきたことは、県民の命を守る現実的対応であります。最近は、新規感染者数も落ちついておりますが、安心できる状況でもないと考えます。このように、感染が落ちついているときこそ、県として、感染の要因分析をしっかりと行った上で、引き続き、県民に対して感染防止対策への意識を高めていくことが必要であると考えます。
 県では、これまでの新規感染者数の推移を踏まえ、感染拡大期の要因をどのように分析しているのかお示し願います。
 また、その分析を踏まえ、今後、感染拡大防止の具体的な対策をどのように講じようとしているのか伺います。
 2点目として、岩手緊急事態宣言による感染防止対策と、その評価について伺います。
 8月に入り、急激な新規感染者数の増加に伴い、8月12日に新規感染者数対10万人当たり15人を超えたことから、岩手県独自の緊急事態宣言が発せられました。さらに、8月30日から9月12日までの期間を設定し、盛岡市全域を重点対策区域として、飲食店などに対し夜8時以降の営業時間の短縮の要請が追加されるとともに、県民には不要不急の外出の自粛が引き続き要請されました。
 その後、直近1週間の10万人当たり新規感染者数は、8月20日の25.9人をピークに減少し、重点対策区域が解除された9月12日には13.4人となり、9月16日には9.6人と10人を下回ったことから、宣言が解除されました。
 この間、感染防止対策に基づく県民の皆様の取り組みが功を奏したものと考えられますが、一方では、県内全域において経済活動に大きな影響があったことも認識しておかなければなりません。
 そこで、医療提供体制の逼迫の回避などの対策として、独自の緊急事態宣言を発したことについて、知事は、この効果をどのように捉え評価しているのか伺います。
 また、盛岡市全域を重点対策区域に指定し、いわて飲食店安心認証制度の認証店を含め、飲食店等へ営業時間の短縮を要請したことの効果についても、どのように評価しているのか伺います。
 さらに、この冬には第6波の到来が予見されておりますが、今回の岩手緊急事態宣言の評価や課題を今後どのように活用し、県民の感染対策と日常生活の回復に生かしていこうとしているのかあわせて伺います。
 3点目として、新型コロナウイルス感染拡大防止協力金と地域企業経営支援金について伺います。
 岩手緊急事態宣言が出されてから、不要不急の外出自粛により、県内全域の飲食店等への影響が一気に広がりました。特に、盛岡市全域の飲食店等を対象とした営業時間短縮要請の影響は大きく、その影響や協力に対して、重点対策区域の飲食店等には新型コロナウイルス感染拡大防止協力金が支給されました。また、地域企業経営支援金については、緊急事態宣言の期間を含めて申請した場合には、限度額が10万円増額されたところです。
 しかし、これら協力金と支援金の給付は、事業者に対する制度の周知不足から、盛岡市内の飲食店等が二重に受給しているという誤解が生じ、事業者に不公平感が生じるなど混乱が見受けられました。
 この協力金の申請から支払いまでの推進体制と制度周知等の取り組み状況及び支給実績についてお示し願います。
 また、支援金についても同様に、申請から支払いまでの推進体制と制度周知等の取り組み状況及び支給実績についてお示し願います。
 4点目として、新型コロナウイルス感染症対策への県の業務支援体制等について伺います。
 急激な感染拡大に伴い、緊急な対応を含めて関連業務が増大し、限られた人員での対応に限界があることも現実であります。現場に身近な保健所においては、積極的な疫学調査や健康観察への対応、本庁や広域振興局においては、ワクチン接種にかかわる運営や市町村の支援、軽症者宿泊療養施設の運営、経営に影響が生じている事業者への支援など、県では保健所を初め、新型コロナウイルス感染症対策に関係する部署へ積極的に職員の業務支援を行うなど、限られた人員の中で体制を整えながら、全庁を挙げて感染症対策に取り組んでいることを高く評価するものです。一方で、職員への負担増や通常業務のおくれなどの影響も懸念されます。
 そこで、保健所や感染症対策関連部署に対するこれまでの業務支援の実績や、感染症対策業務も含め職員の超過勤務時間数の推移をお示し願います。
 また、これらの実績や業務への影響を踏まえ、推進体制の課題をどのよう捉え、今後の感染症対策に生かしていこうとしているのか伺います。
 5点目として、ワクチンの接種状況について伺います。
 9月13日現在の県内における医療従事者等や65歳以上の県民の接種は順調に進んでいるとのことですが、12歳以上から64歳以下の約70万9、000人については、市町村ごとにばらつきがあると聞いております。この市町村ごとのばらつきは、国からのワクチン供給によるものなのか、市町村の接種体制によるものなのか、県としてどのように把握されているのか伺います。
 また、ワクチン接種の効果は期待されており、進学受験や就職試験など、人生の進路に影響のある年代は特に早期接種を望んでおります。加えて、その年代は産業や企業を支える労働人口年齢でもありますが、予約に際し、電話をしてもつながらないことや、平日の正午からの受け付けは、勤務の都合により予約申し込みができないなどの県民の声もありました。
 県は、全ての要望に対応できないことは承知しておりますが、これまでのワクチン接種に係る県民の不安や不満などに対し、どのように対応してきたのか伺います。
 次に、2項目として、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用状況と、安定的で持続可能な財政基盤の構築について伺います。
 1点目として、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用状況について伺います。
 先の見通しが立たない状況において、本県に対し同交付金は昨年度と今年度合わせて343億円余りが交付されております。これまで臨時議会での議決も含めて数次の補正予算を編成し、事業者の経営継続支援、ワクチン接種の加速化を初め、医療提供体制の確保などに活用してきたことは承知しております。
 特に、事業者支援については、県独自として、1事業者当たり最大200万円を支給する地域企業経営支援金支給事業に、これまで80億円を超える規模を計上しております。
 県内の事業者の経営環境は厳しさを増し、より充実した支援を求める声があることも事実ですが、一方において、現時点での同交付金の残額は10億円程度であり、大規模な新型コロナウイルス感染症対策には心もとない水準と言うほかありません。
 これまで、どのような点に注力して新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用されてきたのか、特に、事業者支援に充当した規模をお示しいただくとともに、今後どのような対策が必要と認識されているのか、知事の見解を伺います。
 2点目として、安定的で持続可能な財政基盤の構築について伺います。
 県はこれまで、毎年中期財政見通しを作成して中長期的な財政運営を進めており、コロナ禍においては、あらゆる施策による税源の涵養や国費の活用による歳入の確保の強化、業務の効率化による歳出の見直しなどにより歳入歳出両面から取り組むことで、財政の安定化を図ってきていると認識しております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 このような中、県は9月28日、2021年度から2024年度までの新たな中期財政見通しをまとめ、2024年度の財源対策基金の年度末残高が、平成以降で最少の101億円となる試算を示しました。同期間の歳入不足は、2024年度には168億円に上り、同基金で全額穴埋めをした場合、2024年度の残高は2021年度比で290億円の減を見込み、2025年度以降は基金の枯渇も懸念される状況とのことです。
 今後、国における財政状況によって本県財源の確保に与える影響も心配されるところであり、また、新型コロナウイルス感染症が財政に与える影響が見通せない状況下にあって、県は今後、安定的で持続可能な財政基盤の構築に向けどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、3項目として、県内の経済状況と今後の経済対策について伺います。
 1点目として、感染拡大による中小企業者への影響について伺います。
 長引くコロナ禍の影響により、飲食、観光、宿泊、交通などの事業者を含め、県内中小企業の経営環境は大変厳しい状況にあります。その実態は、県が毎月実施している新型コロナウイルス感染症に伴う事業者の影響調査にもあらわれております。
 県は、この影響調査の結果をどのように分析されているのかお示し願います。
 2点目として、中小企業者からの要望への対応と対策について伺います。
 県内の中小企業者は、コロナ禍の厳しい経営環境の中にあって、事業継続のためあらゆる努力をされている一方で、国、県、市町村などのさまざまな支援事業の効果も上がっているものと感じております。
 事業者の影響調査において、国や県等への支援策についての要望は、景気回復施策への回答割合が74.8%と最も高く、経営状況が厳しかった業界などを中心に大きな期待があらわれております。
 県は、このような期待をどのように受けとめ、今後の取り組みに生かしていこうとしているのか伺います。
 次に、4項目として、移住、定住対策と雇用対策について伺います。
 1点目として、移住、定住の取り組みについて伺います。
 全国的に新型コロナウイルス感染者が増加し、各地で緊急事態宣言等が発令されている中で、新しい生活様式を含めて働く環境も変化し始めております。感染防止のために、在宅勤務できる業種においては、ワーケーションにも取り組みが広がり始めております。
 県として、このような機会を好機と捉えて移住、定住の取り組みを進めることは、新型コロナウイルス感染症の収束を見据えた重要な施策と考えます。
 そこで、県のコロナ禍における移住、定住のこれまでの取り組み状況と、新型コロナウイルス感染症収束後を見据えた今後の取り組みについて伺います。
 2点目として、県内における新規卒業者の就職の現状と今後の取り組みについて伺います。
 令和3年3月卒業の高校生の就職者数は2、542人、うち県内就職者数は1、816人、その割合は71.4%、県外就職者数は726人、その割合は28.6%となっております。また、大学生の就職者数は2、038人、うち県内就職者数は884人、その割合は43.4%、県外就職者数は1、154人、その割合は56.6%の現状であります。
 いわて県民計画(2019〜2028)には高卒者の県内就職率は84.5%の目標設定がされておりますが、現状との乖離の解消はなかなか難しい状況にあります。本来、職業選択の自由は保障された権利であり、個人が目指す職業を選択できる環境整備を行政と企業、業界が連携して進めることがあるべき姿ではないかと考えております。加えて、県内における生活に必要な仕事を支える人材確保は、県民生活を維持していく上でも重要な施策であります。
 知事が、岩手県立産業技術短期大学校など県内教育現場に出向き講演をされているとお聞きしております。そこで、県内における産業人材の確保に対する県の現状認識と高校生の県内就職率の目標達成に向けた取り組みについて伺います。
 次に、5項目として、生活困窮者の支援について伺います。
 1点目として、新型コロナウイルス感染症の影響による緊急小口資金等の特例貸付の状況や生活困窮者自立支援事業について伺います。
 生活困窮者が長引くコロナ禍の影響により、生活福祉資金特例貸付緊急小口融資や総合支援資金、総合支援資金の延長、総合支援資金再貸付を活用して、何とか自立しようとしていることは、特例貸付申請件数にもあらわれております。
 県は、社会福祉協議会に対し、令和2年度の補正予算に引き続き、令和3年度当初予算においても、貸付原資を含めて補助金を交付しております。総合支援資金の再貸付が増加傾向になっており、今後さらに感染拡大が長引くとすれば、現状の貸付原資で対応し切れるのか心配されております。
 この補助金の執行状況はどのようになっているのでしょうか。また、この執行状況と人員体制も含めて生活困窮者への支援について、今後の見通しと取り組みを伺います。
 2点目として、児童虐待について伺います。
 先日、他県において悲しい事件が起こりました。詳細は現在捜査中であり、詳しくは把握できておりませんが、かわいい盛りの男の子が未来を絶たれた事実は変えることができないことです。御冥福をお祈りするとともに、このようなことが岩手県で起きないように対策を講じていかなければならないと強く思っております。
 県内の児童相談所における令和2年度の児童虐待相談対応件数は、身体的297件、性的28件、心理的901件、ネグレクト150件、合計1、376件となっております。
 また、児童相談所における令和元年度の相談件数3、231件に対し、虐待件数は1、393件と、その割合は43.1%となっております。コロナ禍において、今後どのような影響が出てくるのか予想しかねますが、全国の傾向は虐待件数が年々増加してきております。
 このような状況を踏まえ、本県における児童相談所の相談体制や受け入れ施設の現状と課題をどのように捉えているか伺います。
 あわせて、その現状と課題を踏まえた今後の取り組みについて伺います。
 次に、6項目として、東日本大震災津波からの復興と防災について伺います。
 1点目として、いわて被災者支援センターの活動状況について伺います。
 東日本大震災津波の発災から10年を経過した本年4月に、被災者の皆様に寄り添い、関係機関や専門家と連携し、生活再建を支援することを目的として同センターは設置されました。主な業務は、被災者支援、専門家相談、派遣、県内、県外被災者支援とされております。釜石市を拠点とし、広い沿岸部を範囲とし活動するとともに、盛岡市にサブセンターを設置し、内陸部や県外遠隔地もカバーされております。
 昨年度まで沿岸4地域で対応していましたが、センターに集約することにより、被災者支援などに影響があるのではないかと心配しております。そこで、市町村や関係機関との連携など、センターの具体的な活動状況について伺います。
 また、県外遠隔地に居住する被災者への支援については、どのように対応しているのか、その取り組みについてもあわせて伺います。
 2点目として、東日本大震災津波の被災者に係る国民健康保険等一部負担金免除について伺います。
 県は、東日本大震災津波により被災した多くの住民が応急仮設住宅での暮らしを余儀なくされたことから、適切な医療を受ける機会を確保するため、被災者の医療費の一部負担金や介護、障がい者福祉サービスの利用料に係る窓口負担の免除を実施してきました。
 本県では、被災後、平成24年9月までの国による免除経費の全額補填期間以降も、県と沿岸、内陸の市町村が協力して、これまで一部負担金等の免除措置を続けてこられました。他県では、平成30年度までに順次終了しており、しかも、市町村ごとに免除措置の実施状況が分かれていたことを考えると、本県の取り組みは、被災者の命と健康、暮らしを守る上で全国に誇るべきものであったと考えます。
 この間、被災地では、インフラ整備の進展に加え、被災した医療施設も計画どおり復旧し、応急仮設住宅も本年3月末で供用が終了するなど、被災者の生活環境は大きく改善しました。
 また、東日本大震災津波伝承館が開館し、教訓の伝承や復興の姿を発信する体制も強化されるなど、復興の歩みは発災当初の段階から新たなステージへと変化しております。
 これまで10年にわたり県と一体となって取り組んできた市町村の中には、財政上の理由や地域内での不公平感などから本事業の終了を希望する声があったこともあり、県は、この4月から住民税非課税世帯に対象者を限定し、本年12月までを目安として継続しておられます。
 こうした中、さきの県議会6月定例会では、この免除措置の継続を求める請願が提出されたものの、不採択という結果となったところです。
 そこで、知事に伺います。まず、本事業のこれまでの成果をどのように評価されているのか伺います。
 また、本年12月までを目安とされていた本事業の今後のあり方について、具体的な考えをお示しください。
 3点目として、消防防災活動を担う人材を育成する施設の整備について伺います。
 東日本大震災津波やたび重なる台風被害など、自然災害の猛威は、温暖化による気候変動の影響により、予想を超える災害がいつどこで発生するかわからない環境になっております。
 岩手県としては、多くの犠牲を忘れることなく、復興や防災、減災に取り組んでまいりました。火災や災害時のみならず、人命救助や救急救命は、県民生活の安心を保障するために欠かすことのできない役割となっております。そのために、地域防災のかなめである常備消防や消防団の必要性は一層高まっております。
 先般、岩手県議会消防防災議員連盟として岩手県消防学校の現地調査をいたしましたが、校舎や訓練施設、寮などは老朽化が進んでおり、新型コロナウイルス感染症対策に対応できているのかという懸念もあります。
 現在、岩手県消防学校は県の広域防災拠点に位置づけられています。防災資機材保管庫における食料や生活物資の備蓄、緊急消防援助隊等の現場活動支援機能など、災害時の活動拠点として機能を充実させることが重要です。特に、大規模災害時に医療活動の拠点としての機能を担うためには、岩手医科大学との連携は欠かせないものと考えます。
 そこで伺います。岩手県民の生命、財産を守る消防職員や団員を育成するための施設として、岩手県消防学校の再整備に向けた現在の検討状況をお示し願います。
 あわせて、県の広域防災拠点としてどのような機能を持たせようとしているのか伺います。
 次に、7項目として、文化、スポーツの振興について伺います。
 1点目として、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の取り組みについて伺います。
 新型コロナウイルス感染症拡大により1年の延期期間を経て、緊急事態宣言の中、原則として無観客により、スポーツの祭典として東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されました。
 今回の開催意義は、オリンピックでは、東日本大震災津波から復興した姿を全世界に発信することにより、これまでの御支援に感謝を伝えるものであり、パラリンピックでは、多様性と調和でありました。しかし、残念ながら、どちらの大会も国際交流や選手らとの触れ合うことができない大会でもありました。
 そのような中で日本選手団の活躍は、コロナ禍で制限された生活に耐えている国民に明かりをともしてくれたものと思います。また、スポーツの力が実感できたのは、オリンピック・パラリンピックの選手が諦めずに努力することで夢を実現できることを子供たちに伝えてくれたのではないかと考えます。本県に関係する選手の活躍も素晴らしいものでした。
 本県としても、復興への支援に感謝を伝えるため準備を重ねてきたと承知しておりますが、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のため、県民の期待に応えることができなかったのではないかと思われます。
 復興オリンピック・パラリンピックとして、聖火リレーや聖火フェスティバル、ホストタウンなど、これまでの県の取り組みや成果について、所感を伺います。あわせて、これまでの取り組みを踏まえ、その成果を後世にどのように伝えていくのかお示し願います。
 2点目として、コロナ禍における文化、スポーツ活動への影響について伺います。
 長引くコロナ禍の影響により、催事や各種大会など県民が日ごろの活動の成果を発揮する場を失っている状況は、文化や芸術のみならず、スポーツ関係の各団体においても厳しい環境であると推察いたします。このような環境は、伝統文化の継承や競技力の向上に影響を及ぼすとともに、継承者や競技人口の減少などが、地域の活性化の喪失につながっていくのではないかと心配をしております。
 そのような中で各団体は、知恵と工夫や新しい生活様式に合わせた活動方式に見直すなどの努力がされております。一方、さきの県独自の緊急事態宣言時においては、一律に施設の貸し出しの中止や自粛を要請したところでありますが、催事や大会などの開催に向け、十分な感染対策が講じられていると判断できるものについては施設の貸し出しを認めるなど、県においても柔軟な対応を行っていくことが必要と考えます。
 県独自の緊急事態宣言時を含め、これまでの施設の利用状況などから、文化、スポーツの振興を図る立場の県の現状認識と今後のコロナ禍における県民の文化、スポーツ活動への支援のあり方について伺います。
 以上、答弁によっては再質問いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 軽石義則議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、岩手緊急事態宣言についてでありますが、県では、8月12日に岩手緊急事態宣言を行い、人と人とが接触する機会を極力減らすため、県民の皆様に対して不要不急の外出自粛等を要請したところであります。
 宣言後、8月20日には人口10万人当たりの新規感染者数が25.9人まで高まるなど、感染が拡大したことから、さらなる感染の拡大による医療の逼迫を避けるため、いわて飲食店安心認証店を含む盛岡市の飲食店等に対し、8月30日から9月12日までの期間、営業時間短縮を要請したところであります。
 これらを受けた県民の皆様の適切な行動により、全国的にかつてない感染拡大が起こっている中で、感染拡大を抑制し、入院、宿泊療養を原則とする本県において、誰も自宅療養させることなく医療提供体制が維持され、1カ月余りで岩手緊急事態宣言を解除でき、その後、人口10万人当たりの新規感染者数が1人未満となるところまで下がっているところであります。
 今後、専門家や関係団体等からの御意見なども参考に、今回の岩手緊急事態宣言における対応や効果等について、より詳細な取りまとめを行い、国の動きも踏まえ、再度の感染拡大が生じた場合の宣言発出のタイミングや要請内容等について検討し、速やかな感染抑制と社会経済活動の維持、回復に生かしてまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用状況についてでありますが、新型コロナウイルス感染症対策として、医療提供体制の拡充など、感染拡大防止対策や社会生活、経済活動を支えるためのワクチン接種の加速化や事業者支援に活用してきたところであります。
 具体的には、地域企業経営支援金支給事業を初め、資金繰りのための制度融資などの事業者支援に関しては、同交付金の限度額343億円余のうち42%に当たる総額145億円を活用するなど、県内中小企業者の経営継続のために、他県と比較しても手厚い支援を実施してきたところであります。
 また、ポストコロナを見据えた新しい働き方、暮らし、学びを進める取り組みとして、学校現場におけるタブレット導入や職場等におけるテレワークの導入促進といったデジタル化の推進も進めてきたところであります。
 新型コロナウイルス感染症対策としては長期的な取り組みが必要になることから、交付金の追加交付を国に強く働きかけながら、感染防止対策に万全を期すとともに、さまざまな事業者からの御意見をお伺いした上で、必要となるきめ細かな支援を実施してまいります。
 次に、東日本大震災津波被災者の国民健康保険等一部負担金免除についてでありますが、まず、これまでの成果については、応急仮設住宅での暮らしなど、住宅環境悪化に伴う疾病リスクの増加などの被災者の健康面や経済面での不安の軽減を図るため、免除を実施する市町村に対して、その経費の一部を財政支援してきたところであり、これまで延べ約32万人の被災者の適切な医療等を受ける機会の確保と健康の維持、増進等に寄与してきたものと評価しております。
 一方、今後のあり方については、昨年12月定例会の一般質問において、本免除措置に係る財政支援の終期については令和3年12月を目安とし、全ての応急仮設住宅等にお住まいの方が、恒久的な住宅に移行したことを確認した上で判断していくと御答弁申し上げたところであります。
 このような経緯を踏まえ、令和4年1月以降の免除措置については、判断の目安としていた応急仮設住宅入居世帯が解消されたこと、全市町村に意向を確認したところ、住民間の公平性や財政上の理由から、ほとんどの市町村が年内の終了を希望していること、さらには、本年6月定例会において、関係する2件の請願がいずれも不採択となったことなどを勘案し、本年12月末をもっての終了を考えております。
 今後も、いわて被災者支援センターにおける相談支援を初め、生活困窮者自立支援制度や高額療養費制度など、市町村や関係機関と連携を図りながら、さまざまな制度を効果的に活用し、被災した方々が必要な医療を受けられるよう支援に取り組んでまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、県内の新規感染者数の経過とその要因分析についてでありますが、国の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードによれば、今回の感染拡大はデルタ株の影響や夏休みなどの影響によると考えられるが、これまで市民や事業者の感染対策への協力、夜間滞留人口の減少、ワクチン接種率の向上、医療機関や高齢者施設でのクラスター感染の減少などにより、全国的に感染者数の急速な減少が続いていると分析されているところであります。
 岩手県においても、デルタ株への置きかわりが進むとともに、夏休みの帰省などの影響により感染が拡大したものと考えておりますが、全国と同様の要因のほか、岩手緊急事態宣言による人流の減少、さらには、県民の皆様の御努力のおかげで新規感染者数や療養者数も着実に減少し、本県の医療提供体制についても、誰も自宅療養することなく、入院、宿泊療養を原則とする本県の方針が維持されたところであります。
 今後、再び感染が拡大することを想定し、医療提供体制のさらなる強化が必要と考えております。このため、新たな重症患者受け入れ病棟の整備や宿泊療養施設の拡充、感染症患者に対応するための病床確保などの経費を本定例会に提案している補正予算案に盛り込んだところであります。
 次に、ワクチンの接種状況についてでありますが、高齢者の人口割合の高い本県では、高齢者に対し全国平均を上回る接種率で着実にワクチン接種を進めてまいりましたが、7月以降、国によるワクチン供給量が大幅に減少したため、接種体制が一時縮小となり、限られた医療資源の中で再度接種体制の構築に係る調整を進めたものの、一部の市町村では、64歳以下の住民の接種開始時期におくれが生じたものでございます。
 このため県では、集団接種の実施のための医療従事者確保の支援やワクチンの配給調整などによりまして、市町村の接種体制確保の支援に重点的に取り組んでいるところでございます。
 また、県民の皆様からは、これまで早期の接種や予約方法などに関し要望が寄せられており、県の集団接種に当たっては、コールセンターの拡充や再募集の設定を行ったほか、第3期集団接種では予約枠を拡大の上、若者を対象とした先行予約を実施するなどの改善を図ってきたところであります。
 今後、国では、早ければ12月に3回目の接種を開始するとしており、本県においても、必要な体制を確保するため、これまでの接種で培った経験や課題などを踏まえ、市町村や県医師会、医療機関等とも協議、調整の上、円滑かつ迅速な接種体制を構築してまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症の影響による緊急小口資金等の特例貸付の状況や今後の生活困窮者への支援についてでありますが、生活福祉資金の特例貸付に係るこれまでの国から本県への配分額は29億5、800万円であり、本年8月末時点の特例貸付決定額は26億300万円余で、社会福祉協議会における人件費にも対応可能な事務費に7、000万円余を充当し、差し引き2億8、400万円程度の執行可能額がございます。
 このほか、新型コロナウイルス感染症の影響による緊急小口資金等の特例貸付への使用も可能な通常貸し付け分の原資として21億7、000万円余があり、当面原資が不足することはないものと考えておりますが、特例貸付に必要な原資については、引き続き国に配分を求めてまいります。
 また、人員の配置を初め、相談や申請の受け付けに要する経費は、貸付原資の取り崩しにより対応することが可能であり、申請の動向などを踏まえ、必要な人員体制を確保し対応してまいります。
 今後は、生活福祉資金の貸し付けが終了した後の生活再建に向けた家計の見直しや就労に向けた支援など、包括的な支援が一層重要となりますことから、県、市町村、社会福祉協議会などが連携し、さまざまな困難を抱える方々に必要な支援を行ってまいります。
 次に、児童虐待についてでありますが、年々増加する児童虐待相談に対応するため、国の児童虐待防止対策総合強化プランに基づく児童福祉司等の増員や専門性の向上が必要となっているほか、施設の老朽化による一時保護所の環境改善や職員の増員に伴って事務室が手狭となっている状況の改善など、対応すべき課題があると認識しております。
 職員体制については、これまでも児童相談所の専門職員の計画的な増員を行っており、今年度は児童福祉司を4名増員したところでありますが、今後も計画的な増員を図っていくほか、研修による専門性の向上やスーパーバイザーの養成による体制強化に努めてまいります。
 また、施設については、現在、宮古児童相談所の改築整備を進めているところでありますが、福祉総合相談センターや一関児童相談所についても、他の県有施設の状況を勘案しながら対応を検討するなど、引き続き児童虐待対応の充実を図ってまいります。
   〔復興防災部長戸舘弘幸君登壇〕
〇復興防災部長(戸舘弘幸君) まず、新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金についてでありますが、協力金の支給に当たりましては、岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部支援室に、協力金の制度や申請などの相談対応に当たる相談受付チーム、申請書類の審査等を行う給付チーム、要請期間内における時短営業の状況確認のため巡回を行う見回りチームにより構成する飲食店対策班を新設し、各部局からの業務支援や民間の人材派遣の活用などによりマンパワーを確保して対応しています。
 制度周知等につきましては、8月26日の本部員会議での決定事項として公表するとともに、県のホームページやSNS、新聞広告などを活用して周知を図ったほか、岩手県商工会議所連合会などの関係団体に対して、文書により会員への周知を依頼したところであります。また、10月1日現在で1、292件の電話相談に対応しております。
 支払い実績につきましては、早期申請分は283件、313店舗、5、477万5、000円を支払い済みであり、10月末までを受付期間としている本申請分は、10月1日現在で819件、923店舗の申請を受け付け、このうち416件、464店舗、1億6、097万9、000円を支払い済みであります。
 次に、いわて被災者支援センターの活動状況についてでありますが、センターでは、市町村、市町村社会福祉協議会等の関係機関や、弁護士及びファイナンシャルプランナーといった専門家と連携し、ローンの返済や家族関係に関する悩みなど、多様な課題を抱える被災者を支援しています。
 センターの相談支援員が電話や自宅へ訪問するなどして相談に応じているほか、沿岸4カ所での無料法律相談や、弁護士及びファイナンシャルプランナーの個別派遣により、専門的な相談にも対応しているところであります。
 8月末現在の相談対応実績は、相談支援員が328回、専門家が28回となっており、沿岸各地はもとより、県内陸部や県外を含め、被災者からの相談に対応しています。
 また、県外遠隔地に居住する被災者に対しましては、センターのチラシを送付し周知を図りますとともに、いわてグラフなどの広報誌を定期的に送付し、本県の情報を届けているところであります。
 さらに、今年度、避難者実態調査を実施しているところであり、その結果をもとに、引き続き本県への帰還に向けた支援など、被災者のニーズに応じた支援を行ってまいります。
 次に、岩手県消防学校の再整備等についてでありますが、老朽化した岩手県消防学校を再整備するため、本年3月に消防関係者や建築関係の有識者等で構成する岩手県消防学校整備基本構想策定委員会を設置し、これまで計3回の会議を開催し、整備手法や教育施設等の規模、必要な訓練施設等について、委員から意見を伺ってきたところであります。
 広域防災拠点としての機能につきましては、現岩手県消防学校は、岩手県広域防災拠点配置計画において、支援部隊の現場活動支援機能のほか、災害医療活動支援機能や広域医療搬送拠点機能などを有する拠点として位置づけられており、今後におきましても、そうした機能を担う方向で検討を進めています。
 岩手県消防学校の再整備に当たりましては、消防職員及び消防団員の教育訓練施設としての充実を図るとともに、大規模災害に対応できる広域防災拠点として十分な機能を有する施設となるよう、引き続き検討してまいります。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、地域企業経営支援金についてでありますが、売り上げ減少等の要件審査を含めた申請受け付けから支払いまでの事務は、県内の各商工会、商工会議所が行っております。
 また、これらの制度周知については、新聞やホームページ、商工団体の会報等に加え、ラジオCMを活用して広く周知を図っているほか、コールセンターも設けて対応しております。
 支給実績につきましては、令和2年度補正予算事業が、7、460事業者に対して30億9、000万円余の支給、令和3年度補正予算事業が、9月17日現在、2、148事業者に対して7億4、000万円余の支給となっております。
 次に、影響調査の結果についてでありますが、調査を開始した令和2年3月以降、売り上げが41%以上減少している事業者の割合が一貫して20%を超え、感染拡大期には30%を超える状況となっており、この1年半余りの間、事業者は非常に厳しい経営を強いられております。業種別では、特に宿泊業、飲食業、運輸業において、売り上げへの影響が認められるところです。
 また、1年半を通じた傾向として、首都圏等で緊急事態宣言が発令されると、売り上げ減少幅が大きくなるなど、本県の経済にも影響が及ぶ傾向が認められる一方、宿泊割引やプレミアムつき食事券の販売などの需要喚起策を実施すると売り上げが回復する状況が見られているところでございます。
 次に、中小企業者の期待についてでありますが、影響調査において景気回復施策への期待が高いことは、1年半を超えるコロナ禍が事業者に与える影響が極めて深刻であること、また、今後、何としても事業を継続して売り上げを回復していくという強い思いのあらわれと受けとめております。
 県としても、こうした事業継続に取り組む多くの方々を支援していくため、いわて旅応援プロジェクトやいわての食応援プロジェクト、さらには、新しい生活様式に対応した、買うなら岩手のものバーチャル物産展といった需要喚起策を展開しているところであります。
 全国的にワクチン接種が進み、感染者数も減少している現状において、こうした需要喚起策は、より高い効果が期待できることから、国に対して、これらの事業の拡充を強く求めるとともに、関係団体とも連携し、景気回復施策のさらなる強化を図っていきたいと考えております。
 次に、移住、定住の取り組みについてでありますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う地方への関心の高まりを本県への移住、定住につなげるため、昨年度から、オンラインも活用した移住相談会の実施や、岩手県の暮らしに関する情報発信の強化などに取り組んでおります。
 また、テレワーク等の新しい働き方を実践する県内企業の紹介のほか、今年度から、東京23区から県内中小企業に就職した方に移住支援金を支給する岩手県移住支援事業の対象者にテレワーカーを加えたほか、23区以外の東京圏に居住する39歳以下の方を対象とした新たな支援事業も創設したところであります。
 本県においては、自動車、半導体関連産業を中心とするものづくり産業の雇用ニーズや、大手IT企業の首都圏からの本店移転を契機とした関連産業の集積への期待が高まっており、こうした状況を強みとし、また、テレワークによる転職なき移住も推進しながら、移住、定住を一層推進してまいります。
 次に、新規卒業者の就職の現状等についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる高卒者の県内就職率84.5%は、近年の産業集積に伴って、これまでにない雇用拡大が見込まれ、本県のものづくり産業が大きく飛躍するチャンスであることから、東北トップレベルの高い目標として設定したものであります。
 現在、ものづくり人材のニーズはさらに高まっており、これに対応するためにも、高校生の県内就職率をより高めていく必要がありますが、待遇面や仕事内容などを含めた県内企業の魅力が十分に伝わっていないことなどが、目標値に満たない要因と考えております。
 このため、高校生の県内企業の理解促進に向け、教育委員会と連携を図り、小学校から高校までの各段階に応じた工場見学や出前授業、インターンシップ、企業ガイダンスなどに取り組んでおり、今年度は県内就業・キャリア教育コーディネーターを広域振興局に配置し、学校との連携によるキャリア教育支援の強化を図っているところです。
 コロナ禍において高校生の地元志向も高まってきており、オンラインも活用しながら、県内企業の認知度向上や岩手県で働く魅力を伝える取り組みを一層強化し、県内就職率をさらに高めてまいりたいと考えております。
   〔総務部長白水伸英君登壇〕
〇総務部長(白水伸英君) まず、新型コロナウイルス感染症対策への業務支援体制についてでありますが、令和3年4月から7月までの1人当たりの全庁における月平均超過勤務時間は、速報値で14.6時間であり、前年同期と比較し0.1時間の減とおおむね同水準となっております。
 このうち、専ら新型コロナウイルス感染症対策を担う所属においては、例えば、医療政策室では72.9時間、各広域振興局保健福祉環境部では16.1時間など、全庁平均を上回っている状況にあります。
 これらの業務量の増加に対応するため、医療政策室のワクチン接種業務、軽症者等宿泊療養施設の運営や保健所支援本部による保健所への業務支援などを実施し、職員の負担軽減に努めております。
 一方、課題としては、議員御指摘のとおり、通常業務の進捗への影響のほか、今後の感染拡大に備えたワクチン接種体制の構築や、感染状況に応じてよりきめ細やかに保健所の負担軽減を図っていく必要があると認識しております。
 このため、BCP―岩手県災害時業務継続計画を継続して実行し、業務の優先順位づけやイベントの中止等、事業の見直しを行うとともに、保健師の増員を初め、必要に応じた人員体制の確保に取り組んでまいります。
 次に、安定的で持続可能な財政基盤の構築に向けた取り組みについてでありますが、今後、一層厳しい財政運営が見込まれる状況下において、持続可能な財政基盤を構築していくため、令和4年度予算編成方針においては、歳入について、国費の最大限の活用を図るほか、使用料、手数料の見直しや未利用資産の処分など、あらゆる手法による歳入確保に努めるとともに、歳出については、経常的経費である基礎的経費や一般行政経費について、縮減目標を設定した上で、事業効果や効率性等を踏まえた事務事業の精査など、徹底した歳出の見直しを図ることで、限られた財源の重点的かつ効果的な活用を徹底してまいります。
 加えて、地域の実情に応じたきめ細かい取り組みを可能とするため、国に対し、地方一般財源総額の確保に加え、その財源保障、財源調整機能が適切に発揮されるよう強く訴えてまいります。
   〔文化スポーツ部長熊谷正則君登壇〕
〇文化スポーツ部長(熊谷正則君) 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の取り組みについてでありますが、6月に実施した聖火リレーでは、県内28市町村で284名のランナーが聖火をつなぎ、3月に行った聖火展示とあわせ、県内全市町村で聖火を照らし、復興の姿を広く発信しました。
 8月に実施した聖火フェスティバルでも、県内全市町村で採火を行い、復興支援への感謝を込めた岩手の火が、全国の火となり、パラリンピック開会式で世界に発信することができました。
 ホストタウン等での海外選手団の事前キャンプでは、県内6市町で6カ国から126名の選手、関係者を受け入れ、大会を契機とした国際交流の輪が広がったところであり、こうした本県の取り組みは、大会組織委員会からも高く評価をいただいたところです。
 コロナ禍の中でさまざまな制約があった大会となりましたが、今後、聖火リレーボランティアについては、来年度開催される日本スポーツマスターズ2022岩手大会や、いわて八幡平白銀国体での協働につなげていくほか、事前キャンプ地の実績を積極的にPRし、大会、合宿の誘致を推進します。
 また、本県ゆかりの選手の出場が過去最多の7名となった成果を、トップアスリートの育成など、さらなる競技力向上につなげ、大会から得た経験を今後のスポーツ振興に生かしていく考えであります。
 次に、コロナ禍における文化、スポーツ活動への影響についてでありますが、本年8月から9月に県が実施した文化芸術、スポーツ団体への影響調査では、約9割が影響があると回答していますが、各団体におきましては、ガイドライン等に基づき、感染対策を講じながら活動を継続してきたところです。
 岩手緊急事態宣言中は、県営の文化、スポーツ施設の休館により、多くのイベント、大会等が中止または延期されましたが、中止、延期が難しいものは、無観客など感染対策の強化を条件に利用を認める対応をとったところです。
 利用者からは、施設の休館により活動への影響を懸念する声が寄せられたところであり、コロナ禍においても、感染対策を講じながら、文化芸術、スポーツに親しみ、活動する機会を確保していくことが重要と考えています。
 県としては、10月2日から開催中の岩手芸術祭が、昭和22年から74年間途切れなく開催されてきましたように、今後とも団体の意見、要望を聞きながら、多様な文化芸術活動やスポーツ活動を持続的に行っていけるよう支援してまいります。
〇29番(軽石義則君) 答弁ありがとうございました。何点か確認も含めて質問したいと思います。
 まず、生活困窮者の支援の部分でございますけれども、緊急小口資金を含めて、原資も、そして支援体制も融資の部分については対応しているというお答えでした。この貸付制度を活用してなお自立できない場合には、最終的には生活保護での対応もあるのですが、その前に、やはり自立相談支援体制の強化も重要という答弁もありました。
 現状、社会福祉協議会への強化については対応していただいておりますが、ただ現場に行きますと、社会福祉協議会が、その自立支援事業も同時に進めなければならないような状況になっていると思っているのです。その部分については、具体的に県のほうとしても、それは体制整備の事務費の中で対応できるという考え方だと思うのですが、さらにそれが、新型コロナウイルス感染症の対応の中で業務や相談件数が増大していって、今のところは対応できても、これから対応できるかどうか。これは見通しがきかないと言えばそれまでなのですけれども、そういう状況をどう踏まえ、今後、どのような対応をしていくか、まさに相談員の強化の対応もしていかなければならないと思うのです。
 まず、新型コロナウイルス感染症関連の相談業務の状況をどう把握して、その体制強化をどうしていくのか、自立相談支援機関の現状をどう捉えているのか、その部分を再度お聞きしたいと思います。
 その後、さらに生活保護につながっていくようなことがあるとすれば、今の生活保護の申請状況がどうなっていて、その相談支援体制がどのような役割を果たしているのかという部分についても、改めてお聞きしたいと思います。
 もう一点は、文化、スポーツ活動を今後さらに支えていきたいという答弁でしたし、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会におきましても、非常にいい効果があったのではないかという認識を示しておりますが、やはり岩手県においては、岩手県にゆかりのある皆さんが、オリンピックのみならず、大谷翔平選手のように、岩手県から世界に出ていって活躍をしている、その素地もあるわけです。そういう方々のお力もいただいて、県の芸術文化、スポーツの支援と、子供たちが目標達成に向けて努力するための目標というものにも御協力をいただいていくのもいいのではないかと思いますが、この部分については、知事の所感をお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会、そして、アメリカメジャーリーグ、岩手県出身あるいは岩手県にゆかりのある選手たちが世界を舞台に活躍していることは、岩手県での生活、そして、スポーツ活動が花開いて実を結んだところでありまして、後に続く若い人たち、また、子供たちにとって大いに励みになるところであると思います。
 過去のオリンピアンの方々、また活躍した方々は、さまざまな形で岩手県のスポーツ振興に協力いただいているところでありますけれども、岩手県の世界を舞台にも活躍できるアスリートの養成ということに、県の事業として予算もきちんと確保して取り組むようになったのはかなり最近のことでもありますが、議員御指摘のとおり、新しい段階に入った岩手県のスポーツ振興を、ぜひ、今活躍している皆さんにもいろいろ協力をしていただきながら、さらに発展させていきたいと思います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 議員から、コロナ禍において生活困窮者への支援体制、自立相談支援機関の体制についてと、生活保護の状況について、2点御質問をいただきました。
 まず、生活困窮者自立相談支援機関の現状でありますが、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、特に市部において自立相談支援機関における相談件数が増加しておりますことから、県では、自立相談支援機関の体制強化に係る補助制度を今年度創設いたしまして、実施主体である市のうち、盛岡市と滝沢市において計3名の相談員が増員されたところでございます。
 自立相談支援機関における新規相談受付件数は、令和元年度の2、641件から、コロナ禍でありました令和2年度は4、524件と増加をしております。その多くは、個別プランの策定までは必要としない緊急小口資金や総合支援資金の貸し付けでありますことから、現状では、相談対応に必要な人員については確保されているものと認識しているところでございます。
 一方で、今後、就労の場が確保され、収入の水準がもとに戻っていくまでには、一定の期間を要することが想定されますことから、今後も相談の動向を把握しながら、生活に困窮している方々に対する相談支援に支障を来すことのないよう、必要な体制の確保に努めてまいります。
 生活保護の状況でありますが、生活保護の申請は全国において増加傾向にあります。
 本県においては、令和元年度と令和2年度の年度間の比較によれば5.24%の減少でありますが、一方で、令和2年度の後半からは、対前年同月比で増加傾向が続いております。過去の平成20年度のリーマンショックの際は、生活福祉資金の特例貸付が行われ、その後に生活保護受給者の増加が見られましたことから、今般の新型コロナウイルス感染症に関しましても同様の傾向があるとすれば、感染拡大の影響が継続すると見込まれる中で、当面の間は増加傾向が続くものと考えられます。
 県ではこれまでも、関係機関と連携して、生活福祉資金の貸し付けや各種給付金の支給、生活困窮者自立相談支援制度による支援などに取り組んでまいりましたが、こうした相談の実績なども生かしながら、最後のセーフティネットである生活保護を適切に実施し、経済的に困窮した方々を支えてまいります。
〇29番(軽石義則君) ぜひ、現場の声もしっかりと聞いていただいて、その対応をしていただきたい。やはり困窮されている皆さんは、わらにもすがる思いで生活をどうにかしようという努力をしているのが現実だと私も思っていますし、多分県職員の皆さんもそう思って対策を取っていただいていると思いますので、引き続きお願いしたいと思います。
 知事の答弁、本当にありがとうございました。ぜひ皆さんにも御協力いただける、やはり準備といいますか体制の整備も大事だと思いますので、引き続きお願いをいたします。
 高卒の就職者のところについて答弁いただきました。ありがとうございます。教育委員会と連携をして、まさに小さいときから職業や現場、職場についてのよさを見ていくというのは、非常に大事な取り組みだと思います。
 教育長にお伺いしますけれども、学校現場でも、やはり県内就職者の数といいますか就職率、これは数字にこだわるべきではないと思うのですけれども、やはり魅力ある県内の企業に就職する高校生が、意欲を持って勉強できるような体制づくり、また導きというのも大事だと思いますが、その所感を聞きたいと思います。
〇教育長(佐藤博君) 高校生の県内の就職に向けた取り組みについてでありますが、近年、本当に県内の産業振興が進んできておりまして、魅力ある企業が誘致され、学校現場と地域の企業との連携、そして、さまざまな企業を知る活動等も商工労働観光部と連携をして行ってきているところであります。
 子供たちにとって、小さいときから地元を知る、これは産業のみならず、地域の伝統や歴史、そして自分たちの育った地域、これから発展していくための課題とか、さまざま常に地域の方々と学びながら、将来地域に貢献できるような目標等を掲げて、そして学んでいくということが大事だと思います。
 そうした意味でも、県内にさまざまな企業が進出して、雇用の場が確保されていく中で、しっかり地元企業、それから誘致された企業、そして関係部署との連携を図りながら、地元就職に向けた機運の醸成と、それぞれの児童生徒にはさまざまな進路目標がございますが、それぞれの進路目標の実現に向けて、県教育委員会としても支援をしてまいりたいと考えております。
   
〇副議長(小野共君) この際、暫時休憩いたします。
   午後4時10分 休 憩
   
出席議員(47名)
1  番 千 田 美津子 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 山 下 正 勝 君
12  番 千 葉 絢 子 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 田 村 勝 則 君
15  番 佐々木 朋 和 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 岩 渕   誠 君
20  番 名須川   晋 君
21  番 佐々木 宣 和 君
22  番 臼 澤   勉 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(1名)
2  番 上 原 康 樹 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後4時27分再開
〇副議長(小野共君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。高橋穏至君。
   〔10番高橋穏至君登壇〕(拍手)

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