令和3年9月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇26番(吉田敬子君) いわて新政会の吉田敬子でございます。
 一般質問の機会を与えてくださいました先輩、同僚議員の皆様、そして、県民の皆様へ感謝を申し上げます。
 まさかこんな日々が来るとは、誰もが想像していなかったと思います。これまで当たり前のように行き来していた国々の国境が突然封鎖され、国内の県境を越えることにさえ自粛を求められるなんて、そんな日々が始まり1年半以上が経過しました。ソーシャルディスタンスや三密を避けるなど、感染拡大防止の観点で考えると、やるべき対応も多く工夫も必要ですが、こんな時代だからこそ、人とのかかわり、ぬくもり、寄り添いなど、人と人とが接することで生まれる大切なものが何かを振り返り、今できることに最大限取り組めるよう努力していかなければと改めて思う日々でもあります。
 なれ親しんだ平穏な生活が一日も早く戻ってくることを待ち望みつつも、新型コロナウイルス感染症収束後には新たな価値観が生まれ、時代の潮流となって、社会のありようが変わってくると思います。そして、きょう未明の最大震度5弱の大きな揺れ、日々の災害への備えの大切さを改めて再認識させられました。
 私自身、県議会議員になり早いもので11年、結婚、妊娠、出産という人生の一つの大きな過渡期に、この県議会で活動させていただけていること、県民の皆さんはもとより、県議会議員の皆さんへの感謝を忘れずさらに精進し、そして、次の世代にもつなげる環境整備もしていかなければとの思いです。コロナ禍を乗り越えた先にある岩手の姿を描き、その具体化への道筋をつけなければなりません。
 そんな思いを込めて、以下、通告に従い質問いたしますので、きのうの一般質問と一部重複する部分もありますが、知事初め執行部の皆様の明快な御答弁に御期待申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症対策について、8月12日から9月16日までの約1カ月に及んだ県独自の緊急事態宣言の発出に関して、長引くコロナ禍で子育て世代が子供の遊び場や居場所の確保に苦労している中、施設の性質や地域の感染状況等も考慮し、県有施設は原則休館ではなく、感染対策を工夫、徹底して開放すべきだったと考えています。
 知事は今後について、第6波が起きても県内の1週間10万人当たりの新規感染者数が15人以上になったら発動し、10人未満になったら解除するという数値を基準にした岩手緊急事態宣言のやり方で克服可能という見通しを得られたとの見解を示しています。しかし、ワクチン接種の進展により患者像が変化し、さらに、中和抗体薬等の開発により、医療施設や医療人材を適切に配置することで、一定の感染規模であれば、一般医療と調和をとりながら安定的に患者対応を行うことが可能となるとも考えられ、今後は1週間10万人当たりの新規感染者の数値だけを追うことが必ずしも良好な判断基準ではなくなるのかもしれません。
 また、盛岡市に限定して飲食店等への営業時間の短縮要請に踏み切りましたが、例えば、いわて飲食店安心認証店については21時まで、認証店以外については20時までとする等のインセンティブ措置もありませんでした。
 知事は、今般の岩手緊急事態宣言について、盛岡市内の飲食店等への営業時間短縮要請を含め、その効果をどのように総括しているか伺います。
 また、今後、再度の宣言がある場合も想定し、県有施設の休館のあり方など、今回の宣言の課題とそれに対する対応について考えを伺います。
 その後の質問は降壇して質問席で行います。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔26番吉田敬子君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 吉田敬子議員の御質問にお答え申し上げます。
 岩手緊急事態宣言についてでありますが、県では、8月12日に岩手緊急事態宣言を行い、人と人とが接触する機会を極力減らすため、県民の皆様に対して不要不急の外出自粛等を要請したほか、県施設の原則休館や利用制限等を行いました。
 宣言後、8月20日には、人口10万人当たりの新規感染者数が25.9人まで高まるなど感染が拡大したことから、さらなる感染の拡大による医療の逼迫を避けるため、いわて飲食店安心認証店を含む盛岡市の飲食店等に対し、8月30日から9月12日までの期間、営業時間短縮を要請いたしました。
 これらを受けた県民の皆様の適切な行動により、全国的にかつてない感染拡大が起こっている中で、感染拡大を抑制し、入院、宿泊療養を原則とする本県において、誰も自宅療養させることなく医療提供体制が維持され、1カ月余りで岩手緊急事態宣言を解除でき、その後、人口10万人当たりの新規感染者数が1人未満となるところまで下がっているところであります。
 また、岩手緊急事態宣言では、県施設について、原則休館や利用制限としたところでありますが、施設の性質や地域の感染状況等を考慮するよう求める意見に柔軟に対応したところもございました。
 今後、専門家や関係団体等からの御意見なども参考に、今回の岩手緊急事態宣言における対応や効果等について、より詳細な取りまとめを行い、国の動きも踏まえつつ、県施設の対応も含め、再度の感染拡大が生じた場合の対策に生かしてまいります。
〇26番(吉田敬子君) 御答弁ありがとうございました。
 まず、県有施設に関してですけれども、施設の性質や地域の感染状況も考慮して開放されていたところもあったということでありましたが、原則的には、一番最初の段階では全て休館状態でありました。県民の皆さんからの声等も踏まえて、屋外の森林公園等を開放していった経緯があると思います。
 屋外はそのとおりでありますけれども、既に緊急事態宣言が出ている首都圏等でも、屋内でも予約制にして人数制限をしつつ、一定の公共サービスの提供の維持、確保をしている状況で、私はぜひそういった判断を、次に出すときにはしっかりやってほしいと思います。
 今回、本来は県が率先して、感染対策をこうすれば公共機関でもこう使えるということを市町村や民間へ見せる立場だったと思うのです。県有施設を閉めたことで、各市町村の公共施設もほとんどが閉めるような状況になりましたので、一部を閉めてしまうと、どこかが逆に三密になってしまうという状況も見られておりましたので、ぜひそういったことを踏まえて、次がないことを願いますけれども、そういったときの判断につなげていただきたいと思っております。
 事業者支援についてお伺いしたいと思います。県内事業者のこの1年半のダメージは、本当に深刻です。もうすぐ3月決算の半期が終わろうとしておりますが、現在は売り上げが昨年同期何パーセント減という調査の仕方をやっておりますけれども、そのような売り上げ昨年度比何パーセント減ではなく、事業者ごとの実損など、より精密な影響を把握した上で、今後の無駄、むらのない支援につなげる必要があると考えています。
 また、雇用調整助成金では、社会保険料はカバーできていない、また、協力金が十分ではない状況の中では、売り上げの期待が低くても雇用維持のためには出勤させざるを得ない状況で、結果として人件費が経営を圧迫しているという声も聞かれております。この環境で雇用を維持していることについて、事業者に対する県独自の支援も必要と考えております。
 さらには、現状では、営業時間短縮要請を行った飲食店等への酒類等を提供する卸売業者や市場業者への支援の枠組みがないことも課題と考えます。
 県では、これまで地域企業経営支援金の支給、いわて旅応援プロジェクト、バーチャル物産展等を行っておりますが、県独自の緊急事態宣言や営業時間短縮要請に伴う全県的な影響を鑑み、さらなる支援策を講じる必要があると考えます。
 そこで、今後はどのような点に留意し、実態把握に努め制度設計していくのか、緊急事態宣言中の事業者への影響をどう分析しているかを含め、県の今後の事業者全体への支援のあり方についてお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 事業者支援についてでありますが、県では、商工指導団体や事業者団体などを通じて、それぞれの業界の実態を把握しながら、地域企業経営支援金の対象業種の拡大や各種の需要喚起策を展開するなど、より効果的な経済対策となるよう努めているところであります。
 また、7月からの全国的な感染拡大や岩手緊急事態宣言による県内事業者への影響については、特に飲食業の売り上げ減少が大きく、また、宿泊業の秋以降の予約のキャンセルが増大するなど、幅広い業種にわたって深刻なものがあったと受けとめております。
 県としては、地域企業経営支援金の限度額の引き上げも行ったところでありますが、幅広い業種に影響が及んでおり、また、事業規模に応じたきめ細かい支援も必要であることから、国に対し、持続化給付金や家賃支援給付金の再支給、また、地方創生臨時交付金の増額を働きかけながら、今後も必要な経済対策を迅速に進めてまいります。
〇26番(吉田敬子君) 雇用調整助成金は今のところ12月までとされておりますけれども、延長されなかった場合、県独自で今後何か考えられていることがあればお伺いしたいと思います。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 臨時雇用調整助成金につきましては、今のところ11月末までとなっていると労働局から聞いておりますけれども、延長と要件の拡充について働きかけを行っておりますので、そういう動きも見据えながら必要な対応を取っていきたいと考えております。
〇26番(吉田敬子君) 事業者への支援についてですけれども、例えば、これまで宿泊業の関係で、宿泊施設のキャンセル数がどの程度か把握できていたりしているわけですが、飲食店に限って言うと、キャンセル数の把握というのはなかなか難しくて、県でも実態としてつかめていない状況だと思います。ですので、そういった意味でも、とにかく実態把握に、アンケート調査だけではなくて、ぜひ、飲食業関連業者の方々に実態を伺って、次の支援につなげていっていただきたいと強く願っております。
 医療提供体制の強化として、今定例会には、岩手医科大学附属病院への重症者用仮設病棟の整備費が補正計上されております。ワクチン接種については、11月末までに県民のワクチン接種対象者の8割5分の接種が完了する見込みと聞いております。
 今般、接種のおくれが見られる10代から20代の若者や、久慈、二戸圏域の住民の接種の底上げを図るために、県の集団接種に優先枠が設けられ拡大もされました。これまで、特に盛岡市の接種について大きなおくれが指摘されておりましたが、久慈、二戸圏域のような調整が事前にできたのではないかと思い、県と各市町村との連携がうまくいっていなかったのではないかと感じました。
 国の職域接種については、栃木県では、県に登録されているワクチン接種に従事可能な医師、看護師等に対して、企業、大学等による求人情報を提供したり、企業、大学等に対し職域接種に協力可能な病院を紹介したりすることにより、医療従事者の確保を支援していると聞いており、岩手県でも同様の支援策等が必要だったのではないかとも考えております。
 また、妊婦への優先接種が一部市町村にとどまっていたこと、医療的ケア児は優先接種の対象となるが、その家族は対象とならないなど、優先接種のあり方にも課題がありました。
 また、希望する方々へのワクチン接種を推進する一方で、ワクチンへの不安から接種を控える方々も同時に尊重する必要があります。国では、今後ワクチンパスポートの発行も検討されておりますが、国民を分断したり、また、差別を生むことも懸念されます。ワクチンの効果は完全ではなく、ブレークスルー感染が一定程度生じること、接種できない方々への対応など、導入に当たってはさまざまな課題もあります。
 国からは3回目接種についても発表があったところでありますが、ワクチン接種のこれまでの評価と課題、今後の対応についてお伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君) ワクチン接種についてでございます。
 高齢者の人口割合の高い本県では、高齢者に対しまして、全国平均を上回る接種率で着実にワクチン接種を進めてまいりましたが、7月以降、国によるワクチン供給量が大幅に減少したため、接種体制が一時縮小となり、限られた医療資源の中で再度接種体制の構築に係る調整を進めたものの、一部の市町村におきましては、64歳以下の住民の接種開始時期におくれが生じたと承知しております。
 このため県では、県北地域などにおける医療従事者確保の支援やワクチンの配給調整などによりまして、市町村の接種体制確保の支援に重点的に取り組んでいるところでございます。
 また、本県では、国が推奨する職域接種の受け皿となる一定規模以上の企業、団体が少ないことなどから、県の集団接種において中小規模の企業等を対象とした枠を設けたところ、これまで50団体に御活用いただいたところであります。
 さらに、県民の皆様からは、これまでの早期の接種機会の確保や予約方法などに関しまして御要望が寄せられたところでありまして、県の集団接種に当たりましては、コールセンターの回線数の増設やキャンセル枠の再募集の設定などを行ったところでございます。
 今後、国では、早ければ12月に3回目の接種を開始するとしておりまして、本県におきましても、必要な体制を確保するため、これまでの接種で培った経験や課題などを踏まえまして、市町村や県医師会、医療機関等とも協議、調整の上、円滑かつ迅速な接種体制を構築してまいります。
〇26番(吉田敬子君) 国の職域接種を実施するある団体の盛岡市内の接種会場を見に行かせていただきました。自分たちの仕事がありつつも自分たちで全てやらざるを得ない状況で、毎日、接種対応に当たられていることに、大変感謝しなければいけないということと、せっかくその枠組みがあるのであれば、それを各市町村で3回目接種のときに生かしていけるのではないかということも感じました。国がやっているところではありますけれども、そういったことを自治体で今後引き受けていけるようなこともぜひ考えていただければと思っております。
 ワクチン接種後の副反応に関する情報がなかなかない中ですけれども、副反応の報告が県内でどの程度あるのか。ブレークスルー感染についても、どの程度あるのかお示し願います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 副反応、いわゆる有害事象の報告につきましては、予防接種法に基づきまして、各医療機関が医薬品医療機器総合機構を通じまして、直接厚生労働省に報告を行いまして、厚生労働省、国立感染症研究所等で調査を行った後に、個人情報に配慮した上で公表しておりまして、国では医療機関名や都道府県名を公表していないところでございます。
 もちろん、国で公表している有害事象の頻度、例えば、2月17日から9月12日までに全国で1億4、627万回接種され、副反応疑いの報告がその0.02%、2万5、598件来ていることでありますとか、県内の接種において、吐き気とか頭痛、発熱、違和感、そういった同様の症状の出た方がおられるという情報は来ておりまして、そういった点については私どもも把握をしているところでございます。
 いわゆるブレークスルー感染についてでございますが、ワクチン接種をしたにもかかわらず、その後に感染をされたということでございます。この情報につきましては、新型コロナウイルス感染症等情報把握・管理支援システム、HER−SYSというシステムがございまして、このデータによりますと、県内で10月5日現在、約20人おられるということを把握しているところでございます。
〇26番(吉田敬子君) ワクチン接種が進む中で、やはり接種をしても100%予防できるわけではないということも含めて、しっかり感染対策にそういったこともつなげていっていただきたいと思っております。
 いわて県民計画(2019〜2028)への影響についてお伺いいたしたいと思います。
 2024年度の財源対策基金の年度末残高が、平成以降で最小の101億円となる試算が示されました。2025年度以降は基金の枯渇も懸念される中、徹底した歳出の精査など財政健全化が必要です。新型コロナウイルス感染症の収束までには2年はかかるのではないかとの専門家の意見もあります。新型コロナウイルス感染症が財政に与える影響が不透明な中、事業の選択と集中を一層進める必要があります。
 いわて県民計画(2019〜2028)について、その方向性や事業の変更、中止など見直しも必要と考えますが、どのような状況かお伺いいたします。
〇政策企画部長(石川義晃君) いわて県民計画(2019〜2028)への影響についてでありますが、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、いわて県民計画(2019〜2028)に沿った事業の中には、延期や縮小、中止となったものがある一方で、学校におけるタブレット端末の整備や介護現場における介護ロボットの導入など、当初の想定よりも取り組みが進んでいる事業もございます。
 また、東京一極集中の是正や地方の暮らしやすさが広く認識される契機にもなっていることから、新型コロナウイルス感染症対策をしっかりと行うことが地方創生にもつながるとの考えのもと、地方がよりよくなっていく政策の流れをつくっていく必要がございます。
 このため、いわて県民計画(2019〜2028)の基本目標や長期ビジョンのもと、アクションプランに掲げる取り組みについて、今後見込まれる国の経済対策なども効果的に活用しながら、新たな事業の創出や事業のブラッシュアップなどを進めてまいります。
〇26番(吉田敬子君) 第6波がいつかはやってくるわけで、岩手緊急事態宣言が再度ないことを願いますけれども、引き続き、さらなる新型コロナウイルス感染症対策と、そして、いわて県民計画(2019〜2028)のほうは、ぜひしっかり事業の精査を引き続きやっていっていただきたいと思っております。
 次の質問に行きたいと思います。妊娠、出産、育児への切れ目のない支援について。
 本県の人口が戦後初めて120万人を割り込みました。7月1日現在の人口推計で119万9、489人となり、前年同月より1万5、000人近くも減少しています。少子高齢化や県外流出がとまりません。
 県は、第2期ふるさと振興総合戦略で、2040年に100万人程度の確保を掲げ、岩手で働く、育てる、暮らす、岩手とつながるの4本柱で施策を進めております。
 知事は、これまでのふるさと振興総合戦略の取り組みをどのように評価し、また、今後四つの柱のどれを最重点に推進していくべきと認識しているのかお伺いします。人口120万人を割り込んだことへの所感、今後の対策とあわせてお示し願います。
〇知事(達増拓也君) ふるさと振興総合戦略の評価についてでありますが、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略は、まち・ひと・しごと創生法の規定に基づき、国のまち・ひと・しごと創生総合戦略の四つの基本目標を勘案し、4本の柱を掲げ施策を展開しております。
 これまで、岩手で働くでは、自動車、半導体関連産業の集積や高校生の県内就職率の上昇、岩手で育てるでは、保育人材の増加や仕事と育児の両立に向けた環境の整備、岩手で暮らすでは、人口10万人当たりの病院勤務医師数の増加や、ものづくり産業人材の増加、岩手とつながるでは、地域おこし協力隊の受け入れの推進等による関係人口や交流人口の拡大など、それぞれの戦略に沿った進捗が見られます。
 全国的な東京一極集中は一層加速しており、本県もその趨勢から免れない状況にありますが、国の基本目標を踏まえると、引き続き社会減ゼロと出生率の向上という目標を維持すべきであると考えております。
 一方、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、東京圏への転入超過数の傾向に変化が見られるとともに、テレワークを初めとする多様な働き方の加速化など、ふるさとづくりにおける大きな転機を迎えています。
 本県では、このような状況を好機と捉え、今年度新たに、若者の就職、結婚、子育てのライフステージに応じた住宅支援、医療、看護、福祉など女性の就業ニーズの高い職種の県内企業とのマッチングなどに取り組んでいるところであり、国や市町村と連携を図りながら、引き続き人口減少対策を進めてまいります。
〇26番(吉田敬子君) 働く、育てる、暮らす、つながるの四つの中で、どれを最重点に推進していくべきかということを改めてお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 新規の施策を講じたというところでは、この住宅支援、また、女性の就業ニーズの高い職種の県内企業とのマッチングというところがあるわけでありまして、その意味では、岩手で育てる、岩手で暮らすの部分は非常に重要でありますが、一方、自動車、半導体関連産業の集積、高校生の県内就職率の上昇は、引き続き力を入れていくべき分野でもあり、そういう意味では、この岩手で働くも重点を置く必要があると言えるかと思います。
 岩手とつながるというものがもう一つあるわけでありますけれども、こちらの関係人口や交流人口の拡大というのも、全国的にさまざま新機軸の取り組みが行われ、岩手県に関しても好事例が重なってきているところでありますので、それぞれの形で重点を置いていくということかと、今、考えております。
〇26番(吉田敬子君) 私は、今、新型コロナウイルス感染症のこういった状況の中、その後も踏まえて、確かにこの四つを進めていくことは重要なのですけれども、その中に最優先順位として、今はここに注視してこの何年か頑張るぞとか、そういうものがあってもいいと私は思っております。やはり優先順位を明確にして、知事のリーダーシップの発揮どころだと思っております。
 そのために、もしかしたら、その期間の中で県民の皆さんに我慢をお願いする分野もあるかもしれないですけれども、私はそういったところをしっかり対応していかなければいけないと思っております。
 例えば、今回育てるという、人口減少、社会減ゼロ、出生率向上、知事もそこを今おっしゃっておりましたけれども、そこを認識しているのであれば、育てるということに今注力しますと言っていただいていいのではないかと私は思っていたところであります。
 四つそれぞれやっていきますということでの御答弁でしたが、先ほどのいわて県民計画(2019〜2028)の中でもいろいろ中止、変更、どこに重点を置くかということをやっているのであれば、トップである知事がみずから、ぜひ今ここにということを明確に県民を引っ張っていっていただきたいと思っております。
 昨年、2020年は国の出生数は最少、約84万人となりました。岩手県の合計特殊出生率は1.33にとどまっております。県は3年後に1.58人以上を目指しておりますが、現実は厳しいと感じます。男性の生涯未婚率も全国2番目の岩手県。出会いの機会や結婚が減り、将来や妊娠出産への不安など、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が追い打ちをかけています。
 希望する人への結婚サポートから、妊娠、出産、子育てまで切れ目なく社会全体で支えることが重要ですが、子供を持ちたいと願っても、仕事と妊活や子育てを両立しづらく、支援も不十分であるのが現状です。
 知事は、昨年6月定例会での私の一般質問に対し、他都道府県において進んでいるような30代や40代の出産を支援するような仕組みについて、さらに勉強して力を入れていかなければならないと考えている旨を答弁され、大変ありがたく、うれしく思っていたところであります。
 その後、1年が経過しましたが、どのような検討状況かお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 平成27年の国勢調査データでは、本県の20代女性の有配偶率は全国上位にあるものの、30歳以上の有配偶出生率は全国下位となっており、このような世代を初め、働きながら子供を持ちたいと希望する方々が、その希望をかなえることのできる環境づくりが重要であります。
 本県は、年間総実労働時間が全国に比べて長い中にあって、共働き世帯の妻に家事労働が集中しないよう、男性の家事、育児へのさらなる参画が必要であり、本年2月、いわて女性の活躍促進連携会議といわてで働こう推進協議会において、性別による固定的な役割分担意識をなくそういわて宣言を行いました。
 本年度は、この宣言を踏まえて、商工団体に対する安定的な雇用の確保等に関する要請書に、働くことを希望する女性が、その希望に応じた働き方を実現できるような雇用環境の整備や、仕事と生活の調和の推進などを盛り込んだところであります。
 また、女性活躍部門と子育て支援部門が連携して開催するいわて女性の活躍応援セミナーでは、今年度新たに経営者、管理職向けに、男性社員のワーク・ライフ・バランスの取り組み事例発表を行うなど、男女問わず、誰もが働きやすい職場環境づくりなどに取り組んでおり、今後におきましても部局横断的に検討を進め、出会い、結婚、妊娠、出産、子育てのライフステージに応じた切れ目ない取り組みを総合的に推進してまいります。
〇26番(吉田敬子君) 特に目立った支援策というものがなかったと感じて、ちょっと残念に思っているのですけれども、先ほど30代が全国下位の状況にあるということもわかっていらっしゃるのであれば、もう少し、もっと踏み込んでぜひ取り組んでいただきたいと思っております。
 これまでも、例えば、妊娠、出産、育児の指定された選択肢の中から利用者が選択して利用できる子育ての応援バウチャー制度を提言させていただいたりしたのですけれども、日々の家事、育児の負担の軽減にもつながるような取り組みを、都道府県レベルでもそういったバウチャー制度を導入しているところがあります。県議会の4特別委員会の人口減少対策特別委員会の講師で、いわて子育てネットの両川さんも、その辺は御提言をされておりました。ぜひ、もっと踏み込んで岩手県として出生率向上、そして、子育て支援につながるものを打ち出していっていただきたいと思っております。
 県立釜石病院の分娩機能が、今月10月から休止しております。これで県内の分娩可能施設は、周産期医療圏を設定した2008年の45施設から23施設に減少し、33市町村中、分娩できるのは10市町のみとなりました。
 県立釜石病院では、2007年夏から常勤医が不在で、県立大船渡病院から1人が1週間交代で派遣されていました。県立久慈病院も常勤医からおらず、県立二戸病院の医師が派遣されています。いつかは県立久慈病院も県立釜石病院のようになるのではないかと不安視しております。
 岩手県のどの地域でも、安心して妊娠、出産できる環境の整備は、岩手の喫緊の課題です。県立釜石病院の分娩停止対応策として、分娩施設の事前見学の対応等、今定例会にさまざま提案されております。仮に、また別の県立病院等で分娩停止となった場合、同様の対応をただ繰り返すだけでは、岩手県の安心・安全な周産期医療は保たれません。
 知事は、5月14日の定例記者会見で、地方自治体としては極力産科医がいない地域がないようにしていくべきと考えているので、専門家の皆さんと調整しながらも、基本的には産科医師をふやしていくことを働きかけたいとお話しされました。
 国の医療計画の見直し等に関する検討会では、産科関係学会から、医療圏の設定の見直しや周産期母子医療センターの集約化、重点化に関する提言が出ております。また、2024年度の医師の時間外労働の上限規制の施行にも対応していく必要があります。
 質の高い安全な周産期医療を適切に提供していくための周産期医療圏のあり方など、医療提供体制の整備を早急に進めるべきと考えますが、その検討状況について知事に改めてお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 県ではこれまで、限られた医療資源のもとで、効率的かつ質の高い周産期医療を提供するため、国の指針を踏まえ、県内四つの周産期医療圏を設定し、周産期母子医療センター等の医療機関の機能分担と連携のもと、分娩リスクに応じた適切な医療提供体制の整備を進めてきたところであります。
 現行の岩手県保健医療計画(2018〜2023)策定時におきましても、周産期医療実態調査を実施し、各周産期医療圏の居住者の出産がおおむね圏域内で完結している状況等を勘案して、現在の四つの周産期医療圏を継続することとしたものであります。
 県では、次期保健医療計画策定に向け、改めて受療動向を確認するとともに、関係学会から出されている提言や医師の働き方改革への対応にも十分配慮しながら、人口動態、医療資源の動向などを踏まえ、中長期的視点から質の高い安全な周産期医療を適切に提供していくための周産期医療圏のあり方など、医療提供体制の検討を行ってまいります。
〇26番(吉田敬子君) 現在も県の周産期医療協議会がなかなか開催されない状況にありまして、そういった現場の医師の皆さんの声も、新型コロナウイルス感染症の関係もあり、皆さんの中で議論する機会が減っているような状況にあります。
 ただ一方で、この周産期医療の体制整備は早急に考えていかなければいけないと思っておりますし、今回の県立釜石病院のように、急に県民に対して、分娩停止ですよと言われても、やはり県民としては、それは受け入れられないのが現状だと思います。地域で、住みなれたところで分娩したいのはそのとおりです。
 ただ、県として、いずれは何か対策していかなければいけない中で、事前に一定期間を置いて、県民の皆さんに御協力いただくこともある場合に、やはりそういった情報発信も常に強化していただきたいと思っております。ぜひしっかり、どこの地域でも安心して分娩できる体制整備を早急に整えていただきたいと思っております。
 現在の県の妊産婦アクセス支援は、妊娠22週から32週未満の早産、40歳以上の初産など、リスクのある妊婦に対する交通費や宿泊費の補助で、1人5万円が上限となっております。利用できる市町村がふえたことは大変評価しますが、経産婦やハイリスク以外の妊産婦への支援、産後検診など対象の拡充についてこれまでも提言してきたところです。
 これまでの実績や各市町村独自の支援状況も踏まえた、県の今後の妊産婦アクセス支援についてお伺いします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 妊産婦アクセス支援についてでありますが、ハイリスク妊産婦については、主に周産期母子医療センターで対応することとなるため、正常分娩の妊婦と比較いたしまして、通院に長距離移動を余儀なくされる場合が多いことから、身体的、経済的な負担の軽減を図ることを目的として、県では、令和2年度からハイリスク妊産婦アクセス支援事業を実施しているところであります。
 令和2年度は6市町村、30人の活用実績でありましたが、令和3年度は13市町村、110人ほどの活用を見込んでいるところでありまして、着実に利用の拡大が図られてきておりますが、引き続き未実施の市町村に対しまして事業を周知いたしまして、活用を促していきたいと考えております。
 また、ハイリスク以外の独自支援につきましては、現在17市町村で実施されておりまして、こうした市町村のニーズや課題等を踏まえまして、本年6月に国に対しましてもハイリスク以外の妊産婦も含めたアクセス支援に対する財政支援制度を創設するよう要望したところであります。今後の国の動向を注視しながら、県としての支援のあり方について検討してまいりたいと考えております。
〇26番(吉田敬子君) IGRいわて銀河鉄道は12月から、県北地域の妊産婦が盛岡市内の産科通院の際の交通費を県交通と連携して通院支援とするとされております。このような民間の取り組みは大変ありがたく、本当に強化すべきところだと思いますし、民間との連携も必要になってくるかと思います。
 先ほど、さまざまハイリスク以外の方々への支援ということも提言させていただいておりますけれども、例えば、NICUに新生児が入院した場合には、入院というのが継続するわけですが、母親は通院が継続するわけです。例えば、そういったところへも継続して支援ができるように、妊産婦アクセス支援といいながらも、産婦の部分が全く入っていない状況ですけれども、私は産後検診のところまで含めて、ぜひ取り組んでいただきたいと思いますが、改めて御所見を伺います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 議員から御提言いただきました産後といいますか、出産の後の産後の部分、まさにこの部分、子供の支援もそうですけれども、メンタルケアでありますとか、産後ケアという部分で支援が必要な部分だと認識しております。
 市町村においても、独自にこの部分を支援している市町村もありますので、そういった市町村の事業実態、ニーズなどを踏まえまして、また、議員からの御提言の趣旨も十分踏まえまして、今後そのあり方について検討を進めてまいりたいと考えております。
〇26番(吉田敬子君) 産後ケアを受けるためのものではなくて、産後1カ月検診というのが必ずあります。そこに対するアクセス支援という意味で、多分各市町村は産後ケアの部分のさまざまな支援はありますけれども、産後検診へのアクセス支援というものは、私の認識する限りではないと思っております。妊産婦アクセス支援ですが、現状では妊婦アクセス支援になっておりますので、しっかり産後の部分も対応していただきたいと強く願います。
 誰もが安心して子供を産み育てられる環境を推進するためには、医師との協働のもと、助産師の確保と資質向上及び活躍促進を図る必要があります。また、妊産婦の多様なニーズに応え、地域における安全・安心、快適なお産の場を確保するとともに、助産師が、その機能を生かして活躍することができる場を確保するため、これまで助産師外来と院内助産の設置を推進してきたと認識しております。
 分娩介助等、特に県立釜石病院での院内助産は、まさに助産師が不足する医師を支えてきたと評価すべきですが、岩手県の助産師の確保や育成、活用状況、助産師外来と院内助産の取り組みの評価についてお伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 助産師の育成と活用についてであります。
 県ではこれまで、いわて看護職員確保定着アクションプランに基づき、修学資金の貸し付け、就職進学セミナーの実施、資質向上を目的とした研修の実施など、助産師を含む看護職員の確保や育成などの事業を総合的に進めてきたことによりまして、県内の就業助産師数は、平成30年は401人と、その2年前の平成28年から12人増加をしておりまして、徐々にではありますが増加が図られているところではございます。
 助産師外来や院内助産の取り組みについては、医師の負担軽減や妊産婦の多様なニーズに対応する上で有効であると考えておりまして、今回の県立釜石病院の分娩取り扱いの休止に対応した妊産婦への支援策の実施や医師の働き方改革などにも対応するため、助産師外来等を担う人材の育成、確保が重要と認識しております。
 助産師には、分娩介助に加えまして、メンタルヘルス対策や子育て支援など、多くの重要な役割を担うことが期待されていることから、県といたしましては、周産期医療協議会等において御意見も伺いながら、さらなる人材の育成、確保に取り組むとともに、助産師がその持てる力をこれまで以上に発揮できる方策等について検討を進めてまいります。
〇26番(吉田敬子君) 県として、院内助産、助産師外来を推進していくべきと考えているのか、改めてお伺いしたいと思います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 現在、助産師外来についてはかなり多くの医療機関で取り組まれておりますが、院内助産については、助産師が主体で分娩を行うということについては、これはなかなか現場のほうで、助産師の負担、また医師との連携の部分もございますので、その医療機関によってさまざまあろうかと思います。いずれにしろ、周産期を担う医師の不足が背景としてありますので、いわゆるタスクシフトという観点からも、また職種間の連携という観点からも、助産師の能力を現場で最大限生かしていただくことが必要だと思います。
 それは分娩の介助にとどまらず、先ほども御答弁したとおり、メンタルの部分であるとか子育て支援とか、さまざまな面での活躍が期待されていると考えておりますので、さまざまな分野での活用策について検討を進めてまいりたいと考えております。
〇26番(吉田敬子君) 先ほどの周産期医療の適切な提供の環境整備を進めていっていただきたいというときに、分娩可能施設が減っており、一方で助産師が正常分娩を取り扱えるところは維持していくとか、医師がなかなか確保できない状況の中で、今せっかく県のほうで助産師の活躍促進、研修事業、たくさんしていただいて、いろいろな実績も出てきました。
 そういった方々の中には、本当に分娩に積極的にやっていきたいという方々が本当にいっぱいいらっしゃいます。ただ一方で、県は分娩施設が減少していく中で、助産師が介入する院内助産をどうしていくかというところに関する、推進していくことはそのとおりですけれども、具体的なものが見えていないのが現状だと思います。
 院内助産は、今、これまで県立釜石病院を含めて三つあって、県立釜石病院はなくなるのですけれども、県立宮古病院、県立大船渡病院で、現在、県内では2カ所院内助産があります。
 院内助産は、県立宮古病院で受け入れ数が年々増加傾向にあります。県立大船渡病院も、令和元年度に設置されてふえている状況です。これはまさに助産師が正常分娩を積極的に受けているという状況だと思うのです。私は、分娩施設が減っていて、医師不足で産科医を確保できない中で、助産師に正常分娩を頑張っていっていただく環境を県としてしっかり整備していくべきだと思っております。助産師外来の数も患者数も増加傾向にあるわけです。本当に助産師は頑張っていただいていると思います。
 県では、産科診療所開設等の支援事業を行っておりまして、分娩取り扱いの継続、再開に係る設備整備を補助しておりますけれども、なかなか新設するところがない中で、他県では院内助産、助産師外来をあえて設置していこうという取り組みで助産師の人件費を補助しているのです。医師を確保して施設を整備するのではなくて、助産師が正常分娩を取り扱えるような取り組みをしているところがあります。
 そういった事例を踏まえて、もっと助産師外来、院内助産を県としてどうしていくべきかということをぜひ議論していただきたいと思いますが、改めて見解を伺いたいと思います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 院内助産、例えば開業助産院が昔はかなり多かったわけです。現行の法令の中では、やはり連携医療機関が必要です。出産は、正常分娩といえどもゼロリスクではありませんので、何かあった場合に、必ず医療機関と連携しなくてはならない。そういった連携体制、地域で連携できる医師がいるかどうかということ。あとは、その担う助産師が、今、分娩する、出産する年齢がかなり高くなっていて、正常と思われていても、実際はハイリスクであると、リスクが高い方々がふえている中にあって、やはり安全な分娩というのは大前提になると思います。
 ですので、助産師のそういった部分に対する進み方の御意見、また、連携する側の産科の先生方の御意見、安全性、そうした中で、方向性は議員が御指摘いただいたとおり、助産師の力を最大限活用したいという思いは我々も十分持っています。
 ただ一方で、本当にどういう連携の形がいいのか、今、各病院が担っているのは、それぞれのこれまでの背景を踏まえて、今、院内助産をしていない医療機関でも、多くは助産師がかなりの部分を担って、最後をドクターがやってきたという体制になっています。形はこうなっています。
 なので、余りこういった形にとらわれずに、どういった形がいいかというのを助産師、また産科医等に幅広く御意見を伺いながら、本県にとってどういう形がいいのか検討を進めてまいりたいと考えております。
〇26番(吉田敬子君) ぜひよろしくお願いいたします。
 新型コロナウイルス感染症の拡大は、とりわけ女性への影響が深刻です。経済的な影響を見ると、女性の就業が多いサービス業等が強く影響を受けたことから、女性不況とも呼ばれています。非正規雇用労働者を中心に、雇用情勢が急速に悪化、同時にDV、ひとり親世帯、女性の貧困等がコロナ禍で可視化され、改めて男女共同参画の進展状況について疑問の声が上がるようになっています。
 こうした我が国の構造的な問題への関心の高まりや、ジェンダー不平等に対する問題意識の高まりは、男女共同参画を強力に推進し、誰ひとり取り残さない社会を実現する機会と捉えるべきと考えます。
 家計が厳しい状況にある世帯は、ひとり親世帯に限りません。2020年に実施された国の調査によると、女性の収入が1割以上減った家庭では、5世帯に1世帯で食費の切り詰めを行っており、1割弱が公共料金等の滞納をしているとの結果も出ています。
 我が国の家族形態が変容し、ひとり親世帯や単身女性が増加していることに加え、共働き世帯における女性の収入が家計に占める割合も高まっており、女性の収入の減少が直に家計に大きな影響を与えるなど、社会構造が変化しています。それにもかかわらず、依然として固定的な性別役割分担意識等に基づく構造的な問題が存在し、それがさまざまな困難の根底にあることが指摘されております。
 また、コロナ禍では経済的な理由で生理用品を購入できない女性がいるという生理の貧困が注目されております。生理の貧困は、女性の健康の観点に加え、女性の女性としての尊厳の観点からも重要です。このように、ひとり親世帯や若年女性、単身女性など、さまざまな困難を抱える女性に寄り添う多様な相談、支援体制の充実が喫緊の課題となっております。
 そこで、コロナ禍前とコロナ禍後における県の男女共同参画の取り組みに対する所感をお伺いします。
 また、県では、女性のためのつながりサポート事業を7月から開始し、事業開始から2カ月ほど経過しましたが、その相談事業の実績、女性用品の配布状況についてお伺いします。来年度もぜひこの事業を継続すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇企画理事兼環境生活部長(石田知子君) 女性のためのつながりサポート事業についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の拡大は、社会的に弱い立場にある人に、より深刻な影響をもたらすことから、男女共同参画社会の推進に当たっては、困難を抱えた女性への支援に一層取り組むことが重要であり、本年7月、国の交付金を活用した女性のためのつながりサポート事業、いわて女性のスペース・ミモザを開設し、コロナ禍で不安を抱える女性への相談対応や女性用品の提供などを行っております。
 8月現在、失業による生活不安や外出自粛による子育て不安など28件の相談が寄せられており、また、女性用品については、相談窓口のミモザや希望する市町村へ720人分の提供を行っているところでございます。
 新型コロナウイルス感染症の長期化が懸念されることから、来年度の事業継続については、国の概算要求の内容を踏まえ、効果的な支援のあり方について検討してまいりたいと思います。
〇26番(吉田敬子君) ぜひ継続していただきたいと思いますし、女性用品の提供については、県のほうから各市町村に調査を行って、33市町村中の9市町村から女性用品を提供していただきたいということで、それ以外の市町村からは希望がありませんでした。それ以外の市町村はなぜ不要と答えているのか把握できておりますでしょうか。
 私は、なぜ女性用品が必要となっているかということを、県がもう少し市町村にお話しすべきだったのではないかと。配架の場所の提案とか、そういったことがないままに、ただ生理用品どうですかと聞いたのかと思っておりますけれども、把握していればお伺いしたいと思います。
〇企画理事兼環境生活部長(石田知子君) 女性用品の配布の提供状況につきましては、不要であるという市町村から具体的に理由については聞いておりませんけれども、議員御指摘のとおり、やはり周知不足であったり、それから、どこに配布しているのかとか、どこに行ったら提供してもらえるのかといった周知のほうが不十分であるとも考えております。いずれ、今後市町村、それから社会福祉協議団体等とも連携しながら周知を図ってまいりたいと考えております。
〇26番(吉田敬子君) この事業はまだ始まったばかり、2カ月ということで、なかなかこういった相談事業があるということも県民に伝わっていないのもそのとおりですし、女性用品は、やっぱり市町村は男女共同参画課が、それのみを担当している方が少なかったりする中で、どこに置いたらいいかわからない状況があると思いますので、もう少し丁寧にお願いします。
 そして、あとは、やはり生理の貧困というと、若い世代、子育て世代、ある一定のところに、特に今回の女性の貧困は、大学生が声を上げたことによる全国的な流れになったということで、県内の6大学に調査して、岩手大学、県立大学のみは連携するということがあったそうですけれども、それ以外のところも同じような状況ではないかと思うのです。市町村でどうしたらいいかわからないのと同様に、大学も窓口、事務局で要らないと言ってしまっている状況なのではないかと思っております。ぜひ若い世代、特に県立高校もしっかり配架の一つに入れていただきたいですし、大学との連携もしっかりしていただきたいと思っております。
 次に行きます。緊急事態宣言に伴う外出自粛を契機にテレワークが普及しつつありますが、ポストコロナ時代を見据えると、その役割はますます重要であり、定着させていくことが重要です。
 まずは、県庁内から働き方改革の実践を進める必要があります。今年度中にはテレワークのためのノートパソコン約5、000台が整備されると聞いておりまして、昨年3月には女性職員のワークスタイルモデル集を配布するなど、大変御尽力されていることには敬意を表します。
 今定例会にフレックスタイム制度に関連する条例案が提案されて、各種補正予算が組まれておりますが、制度導入によってどのような効果を見込んでいるのかお伺いします。
〇総務部長(白水伸英君) フレックスタイム制度についてでございます。
 職員のワーク・ライフ・バランスの実現のため、育児や介護等の事情を有する職員を対象に、働きやすい勤務環境を整備することで、職員の柔軟な働き方や仕事と生活の両立を支援しようとするものでございます。
 具体的には、フレックスタイム制により、職員の申告を考慮し、最大4週間の期間内で1週間当たりの勤務時間が38時間45分となるように、週休日の追加や1日の勤務時間帯、それから勤務時間数を変更できるようにするものでございます。
 フレックスタイム制の効果については、昨年実施した職員アンケートでは、約7割の職員が同制度の利用を希望しており、その中でも若年層の職員や育児中の職員の割合が高いことから、こうした職員の柔軟な働き方に資するものと考えております。
 また、フレックスタイム制は、休暇制度と異なり取得回数に制限がないことや、育児休業や介護休暇等と異なり収入が減ることがないことから、年間を通じて育児や介護を行いながら働けることも大きなメリットとして考えております。
 加えて、官民問わずワーク・ライフ・バランスの実現が求められる中で、県がフレックスタイム制を運用し、県における制度活用の好事例を発信することにより、民間事業者の働き方改革の後押しをもしていきたいと考えております。
〇26番(吉田敬子君) 令和2年度企業・事業所行動調査によると、フレックスタイム制度がある事業所は、県内はたったの16.3%になっておりますので、ぜひ民間への後押しにつなげていただきたいですし、同調査で不妊治療時の休暇制度を規定している県内の民間事業所は、たった5%になっておりまして、ぜひ県職員の不妊治療の休暇制度についても今後検討していただきたいし、それが民間企業にもつながる取り組みにしていただきたいと思っております。
 次に動物愛護について伺います。
 動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律が令和元年6月に公布され、動物の所有者等が遵守すべき責務規定が明確化されるとともに、第一種動物取扱業による適正飼養等の促進など、段階的に施行されております。
 動物愛護団体等と連携した返還、譲渡の取り組みにより犬猫の譲渡数が増加傾向にあるなど、動物愛護に関する県民の関心が高まっております。
 また、盛岡市と共同で動物愛護センター基本構想を策定し、動物愛護の普及啓発拠点の検討が進んでいるものの、現状では譲渡や触れ合いの推進、継続的な愛護思想の普及啓発を行う拠点がない現状にあります。近年、多頭飼育、高齢者や生活困窮者等の動物飼養等の課題が指摘されているのも現状です。
 殺処分ゼロに向けては、県内で、県としてさまざま取り組みをされておりますけれども、現在、保健所が新型コロナウイルス感染症の対応に追われているのではないかとも感じています。
 今般の法改正に伴い、事業者だけではなく県民への周知や啓発も重要と考えますが、どのような取り組みをしているのか、本県の殺処分の現状、コロナ禍での動物愛護業務の現状と課題も含めお伺いします。
〇企画理事兼環境生活部長(石田知子君) 動物愛護の取り組みについてでありますが、令和2年度の本県の犬猫の殺処分数は285頭と、ここ数年横ばいであり、そのほとんどが病気等で譲渡できない動物となっており、このうち盛岡市の殺処分数は26頭となっております。
 今般の法改正では、動物虐待に対する罰則の強化やマイクロチップの装着など、県民にかかわる内容も盛り込まれていることから、これを広く周知することが必要であると考えております。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、大規模イベントの機会を活用した普及啓発や譲渡活動などは難しい状況ではございますが、各広域振興局での保護動物の新たな飼い主を対象とした講習会の開催や、開業獣医師や動物愛護ボランティアを動物愛護推進員に委嘱しての周知活動などを通じて普及啓発を行っているところでございます。
 今後においても、各広域振興局において、ホームページ上で情報発信やボランティアのネットワークの協力を得ながら、円滑な譲渡につながるよう継続的に取り組みを進めていくところでございます。
〇26番(吉田敬子君) 県では2008年に岩手県動物愛護管理推進計画を策定し、その後、国の基本方針の改定を受けて、2014年に改定されております。今回、2019年の動物愛護法改正、2020年の基本指針改正を受けて、他県ではことしになってさらに改正しているところが多いのですが、岩手県は改正がなされていないのが現状ですが、どのようになっておりますでしょうか。
〇企画理事兼環境生活部長(石田知子君) 第三次岩手県動物愛護管理推進計画についてでありますが、現在、庁内で策定の作業を進めているところでございます。
 内容といたしましては、やはり今回、法改正によりまして動物虐待に対する罰則の強化、マイクロチップの装着など、所有者が責任を持って動物を最後まで世話をするということを盛り込んだ内容で現在内部で検討しているところでございまして、内容がまとまり次第、皆さんに説明をしていきたいと考えております。
〇26番(吉田敬子君) 農林水産業の振興についてお伺いいたします。
 地産地消の取り組みについてですが、県では、地産地消推進運動や食育のため、給食事業おける県産農林水産物の利用促進を図っております。その取り組みの成果は、農林水産物マーケティングデータブック2020によると、給食事業における県産農林水産物の利用割合が61.4%と、まだまだ伸びしろがあると感じます。
 施設区分ごとの利用割合で見ると、一番高いのが学校給食で69.5%となっています。一方で、保育所は48.6%、県立病院は33.8%、公立病院は16.3%、社会福祉施設は33.5%にとどまっており、これらの区分における地産地消の取り組みをさらに進めることが重要と考えます。
 JAいわて中央では、昨年度から盛岡友愛病院と岩手医科大学附属病院への病院食用米と青果の供給事業を開始しており、先日は盛岡友愛病院用の銀河のしずくの稲刈りを視察させていただきました。
 地産地消を安定的に進めるとともに、若い世代を中心に幅広い世代で地元食材に関心を持てるよう、県産農林水産物を学校給食や病院食等へ提供し、地産地消を可能な限り100%に近づけるための対策を講ずるべきではないでしょうか。
 昨年度は新型コロナウイルス感染症緊急対策として、滞留する県産食材の学校給食への提供事業を行いました。県産食材の流通と子供たちへの食育という観点からも、とてもよい事業だったと感じます。ぜひこのような事業は継続していただきたいと考えます。
 また、岩手版リバースメンター制度が今年度から創設され、農業分野においても県産農林水産物のブランド化等をテーマに、本県ゆかりの若者から県幹部職員への助言が行われております。
 そこで、食育や県産食材の利用拡大の観点からも、これまでの県の地産地消の取り組みについてどう評価しているのか、また、岩手版リバースメンター制度も踏まえ、今後どのような取り組みを行っていくのかお伺いします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 地産地消の取り組みについてでありますが、県ではこれまで、家庭での県産食材の利用機運を図る岩手食財の日等の設定、栄養教諭等への学校給食での県産食材利用の働きかけ、県産食材を積極的に利用するいわて地産地消給食実施事業所の認定など、市町村、関係機関、団体等と連携しながら地産地消の取り組みを進めてきたところです。
 こうした取り組みにより、県内給食施設における県産食材の利用割合は着実に増加しており、地産地消の機運醸成につながっているものと評価しています。
 一方、地産地消をさらに推進するためには、通年確保が難しい県産野菜や利用が少ない県産水産物の利用拡大が必要であると認識しているところです。
 このため、リバースメンターからいただいた助言等を踏まえ、県産食材が県民にとってより利用しやすいものとなるよう、最新の冷凍技術の活用等により、県産の野菜や水産物を、時期を問わず安定的に供給できる仕組みを検討するなど、地産地消に向けた意識の醸成と県産食材の一層の利用拡大に、市町村、関係団体等と一体となって取り組んでまいります。
〇26番(吉田敬子君) 県では、いわて食財サポーター制度、お米サポーター制度、さまざまなファンの制度をやっておりますけれども、例えば、食財サポーター登録制度はかなりの数がおりまして、消費者サポーターは7、194人という数であります。これは県外の方もいらっしゃると思いますし、お米サポーターも、これは今終了しておりますけれども1、861人。そういったファン獲得のための事業をやられているのですが、そのサポーターに対する直接的な事業が見えないというのを正直感じております。
 盛岡市の取り組みで、盛岡食の王国という取り組みがあります。これは同じようにファン制度になっておりまして、生産者とサポーターをつなぐ取り組みで、料理教室、収穫体験をやっているのですけれども、県も、サポーター制度をやっているのであれば、ただ情報提供するだけでなくて、しっかり直接つながる仕組みをすることで、さらにファンになっていく仕組みにしていただきたいと思います。
 盛岡市が事業をやっていて、私もファンの一人に入っていろいろな事業に参加するのですが、やはり生産者が見えると、さらにつながりが持てますし、その食材をまた買おうとか食べたいとなるなと思っております。
 せっかく県でサポーター制度、何千人もいらっしゃいますけれども、直接的な事業が、地産地消の取り組みがありませんので、ぜひそこの件も検討していただきたいと強く願います。
 次に参ります。県には五つの森林公園がありますが、自然に親しめる場としてより多くの県民に利用されるとともに、森林の多面的機能の維持など自然環境の保全に努めながら、その魅力向上を図ってほしいと感じています。
 コロナ禍で外出自粛やさまざまな活動が制限される中、健康増進の観点からも、外遊びや自然散策等、自然に親しむ機会の提供が重要と考えます。
 野外リクリエーションの場として、四季を通じて利用者の増加が図られるようなポテンシャルの高い要素が多い森林公園ですが、利用者がその資源の中で楽しめるような整備がされていない等、さらに広く活用できる余地が多数あると感じます。
 指定管理者の話を聞くと、少ない管理費の中でさまざま工夫し事業を展開しているが、老朽化により年々修繕箇所が増加することで管理料が圧迫されて大変だという声を数多く聞いております。また、園外保育利用や遠足利用についての問い合わせが多く、森林学習機会の提供として、子供たち等の来園者へのサービス向上を図りたいとの声もたくさんあります。
 第73回全国植樹祭が令和5年度春に開催されますが、これを契機として、森林公園全体の森林整備及び施設整備を計画的に実施することが重要と考えますが、県の考えをお伺いします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 県が設置する森林公園の整備についてでございますが、昭和44年に設置されました県民の森を初めとする森林公園は、これまでも多くの県民等に利用されてきましたが、公園施設の一部には整備から相当期間経過したものもあり、利用者ニーズ等の変化にあわせて対応していくことが必要となっているところです。
 このため県では、令和元年度に外部有識者等を構成員といたしました森林公園リニューアル検討会を設置し、今後の森林公園のあり方や整備の考え方を検討いただいたところであります。
 この検討会からの提言を踏まえ、今年度から、車椅子やベビーカーの利用者等に配慮した遊歩道のバリアフリー化、親子で楽しめる木育スペースの設置、来場者の利便性に配慮した案内板の整備、景観等に配慮した支障木の除去などの整備を進めているところです。
 県といたしましては、森林公園が自然に親しめる場としてより多くの県民に利用されるよう、引き続き利用者や指定管理者の声を聞きながら、必要な整備を計画的に進め、森林公園の魅力向上を図ってまいります。
〇26番(吉田敬子君) 私も五つの森林公園を休みのときに使わせていただいております。本当にそれぞれの場所の森林公園のよさがあって、全く違うと感じている中で、やはり委託費が、管理費がなかなか少ない中で頑張られているのだということもすごく感じておりますので、ぜひ整備計画の中に、もう少し管理費の増額を図っていっていただきたいと思っております。
 県産材の利活用促進について伺いたいと思います。
 公共施設や民間での県産木材の活用はもとより、県民の住宅への活用も重要です。
 今年度開始したいわて木づかい住宅普及促進事業は、県産木材の利活用促進に大変有効で、子育て世帯への加算もあり、大変評価しております。5月の募集開始から半年も経過しない間に予算額に達し終了したと聞いております。
 いわて木づかい住宅普及促進事業の申請状況と所感について、また、今後も同様の事業を継続してほしいと考えますが、今後の取り組みについてお伺いします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) いわて木づかい住宅普及促進事業についてでありますが、今年度は9月22日をもって受け付け終了といたしましたが、申請件数は、新築118件、リフォーム10件の計128件となっております。
 事業の実施に当たっては、林業関係団体や工務店など建築関係者と連携し、広く県民に利用されるよう周知を図ってきたところであり、本事業により住宅建築での県産木材の利用が一層促進されるとともに、子育て世代においては、将来を担う子供たちにも、県産木材のぬくもりや香り、心地よさなどを感じてもらえるものと期待しております。
 今後の取り組みについては、本事業を活用した施主の感想や完成した住宅での木材利用状況をホームページで情報発信し、県産木材を使用した住宅需要のさらなる喚起を図るとともに、施主に対するアンケート調査結果等を踏まえ、来年度以降の対応を検討してまいります。
〇26番(吉田敬子君) 申請全体のうちで、資料をいただきましたけれども、いわて森の棟梁を県で55店舗、登録制度がありますけれども、そのいわて森の棟梁の工務店を利用している割合を調べたら、25%だったのです。この申請をしたときに、いわて森の棟梁以外の工務店、大きな住宅メーカーが使われている状況で、私はちょっとここももったいないなと思いました。せっかくいわて森の棟梁を育成して、これまでにいろいろな取り組みされている中で、本来はこの方々の底上げになるような事業にもつなげていくべきだと感じておりましたけれども、その所感についてお伺いしたいと思います。
 今までいわて森の棟梁として登録していなくても、意欲があれば、結局は県産材を使えるという状況なのだと認識しましたので、その制度設計というか、林業、森林、木材の供給体制は、やればできるのだなということを若干感じたのですが、所感を伺いたいと思います。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 森の棟梁制度でございますけれども、今回、利用申請していないというところも結構あるので、理由等も伺ったところでございますが、そもそも今年度は受注の関係で県産木材を使用して建築する案件が少なかったとか、あるいは公共工事等他の事業を請け負ったことから住宅の受注が少ないといった個別の案件があったと伺っております。
 県産木材の利用ということで、広く工務店等にこの制度の周知を図りながら事業を進めてまいりましたので、今後とも、こういった事業が有効だということを広く関係者等と広報いたしまして、事業の利活用を図ってまいりたいと考えております。
〇26番(吉田敬子君) 今までは県土整備部で住宅補助はありましたけれども、農林水産部で今回こういった制度ができまして、特にも子育て世代への加算ということで大変いい事業だと思っておりましたが、せっかく森の棟梁というところの方々にもっと活用していただくためにも、ぜひ来年度以降継続していただきたいと思っております。
 次に参ります。子供たちの教育についてお伺いいたします。
 文部科学省は9月、多様な体験の積み重ねが子供の健やかな成長を促すとする研究結果を公表しました。子供のころにキャンプなどの自然体験やボランティア、多様な遊びや読書といった体験の回数が多いほど、自分には能力や価値があると感じる自尊感情や外向性などが高い傾向だったといいます。
 分析では、小学生のころに学校活動以外に自然体験、キャンプや山登り、川遊びなど、社会体験、これは農業、ボランティアなど、文化的体験、博物館、美術館の見学等、スポーツ観戦などや読書、お手伝いを多くしていた子供は、その後、高校生のときに自尊感情や外向性、精神的な回復力といった項目の得点が高くなる傾向が見られました。
 さらに、家庭の収入水準が相対的に低い家庭にある子供であっても、例えば、自然体験の機会に恵まれていると、家庭の経済状況などに左右されることなく、その後の成長によい影響が見られることがわかりました。
 全ての子供たちが、その置かれている家庭環境等によらず、十分な体験活動を経験できるよう、子供たちの生活環境の中に多様な体験の機会を創出、提供していくことが子供たちの成長において重要と考えられますが、現在は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により青少年の自然体験活動等が減少しております。
 今後は、学校教育はもとより、地域との連携により多様な体験活動の機会の創出や提供、子供たちへの体験活動の推進にもっと力を入れて取り組んでいただきたいと考えますが、県の所感と今後の方針についてお伺いします。
〇教育長(佐藤博君) 子供にとって多様な体験活動は、健やかな成長や生きる力の育成において大変重要であると認識しておりますが、現在、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、残念ながら体験活動の機会が減っている状況です。
 このような状況下にあっても、県内各地においては体験活動の意義を再確認し、さまざまな対策を講じた上で、子供たちに充実した体験活動の機会を提供する取り組みが行われているところです。
 本県独自の教育振興運動においては、県内500カ所の学校や地域で、また、放課後子ども教室においては、県内106カ所で自然体験や郷土芸能、世代間交流等の取り組みが行われているほか、県立青少年の家や野外活動センターにおいては、子供や親子対象の自然体験活動を、県立図書館、県立博物館、県立美術館においては、親子で参加できる体験活動を企画しています。
 今後も市町村等との連携により、多様な体験活動の機会の創出と情報提供に努めるとともに、体験活動等に関する研修の実施により、指導者等の養成や資質向上を図りながら、子供たちの体験活動の充実をより一層推進してまいります。
〇26番(吉田敬子君) 県内の公立学校で読書活動が盛んとなっております。小中高生が1カ月に読む本の量は、いずれもふえ続け、特に小学生はここ10年間で1.8倍になったといいます。
 県は2004年、子供たちが本に親しむ環境づくりを目指したいわて子ども読書プランを策定しました。総務省が行った2017年の家計調査で、盛岡市は1世帯当たりの本の購入金額が全国1位となり、1世帯当たりの書籍購入額は1万3、730円でした。まさに本の街・もりおかという状況です。
 また、近年、郷土ゆかりの作家が2期連続で芥川賞を受賞したこともあり、文学の国いわても体現している現状です。
 これは今に始まったことではなく、宮沢賢治や石川啄木ら、かつての先人が耕した土壌があったことが大きな要因と考えます。文化都市宣言、本のまち宣言などをする必要がないほど、県民にその感覚が根づいています。文学の国いわてという土壌を次世代につないでいくため、子供たちの読書環境をさらに充実させてほしいと考えます。
 また、県内の高校では文学活動が盛んと聞き、最近では、くどうれいんさんなど若手作家の存在も頼もしい限りであります。将来の作家の育成にも力を入れてほしいと考えます。
 そこで、本を活用した県の取り組みと今後の方針についてお伺いいたします。
〇教育長(佐藤博君) 読書活動は、人生をより深く生きる力を身につけていく上で欠くことのできないものであると認識しています。
 令和2年度の岩手県子どもの読書状況調査によれば、1カ月の平均読書冊数は、小学生が18冊、中学生が5.1冊、高校生が2.5冊であり、全ての校種において全国平均を上回っている状況です。
 現在、第4次岩手県子どもの読書活動推進計画に基づき、重点として、子供の発達段階に応じた取り組みの推進と子供の読書への関心を高める取り組みの推進の二つを掲げて取り組みを進めているところです。
 特に、子供たちの読書活動推進にかかわる人材の育成と資質向上を目的とした各種研修会の開催、加えて、小学生及び中高生のためのおすすめ図書100選の配布や活用促進などの取り組みを進めているところでございます。
 また近年、本県ゆかりの作家や高校生の文芸活動の活躍により、読書活動推進の機運が高まっていることから、子供たちの読書環境のさらなる充実に取り組んでいきたいと考えております。
〇26番(吉田敬子君) 自然体験活動と読書のことを取り上げましたけれども、今は予測不可能な時代で、生きる力を子供たちにはつけていただきたいと思っております。
 来年、八幡平市に開校するハロウインターナショナルスクール安比校、なぜ安比にということをいろいろな文献を読んだりしておりましたけれども、その最大の特徴は、恵まれた立地で、単に教科書で勉強するだけでなく、実際に大自然と触れ合い、自分の肌で体感しながら学ぶことで、学びの豊かさを経験していくことを重要視しているということです。
 課外活動として、生徒が自由に冬はスキー、スノーボード、夏にはゴルフやマウンテンバイクなど、大自然の中で季節ごとに異なるプログラムも体験するそうです。
 大自然は、学術的な知識だけでなく、将来国際的に活躍する人材となるために必要な見識や心身を育てることができると学校のディレクターがお話しされております。
 岩手県にはどこにでもその土壌があるわけです。この自然環境をぜひ、体験活動や読書環境の充実に、これまで以上に取り組んでいただきたいですし、子供たちの生きる力を育んでいただきたいという思いで取り上げさせていただきました。
 以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   
〇議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時30分 休 憩
   
出席議員(47名)
1  番 千 田 美津子 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 山 下 正 勝 君
12  番 千 葉 絢 子 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 田 村 勝 則 君
15  番 佐々木 朋 和 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 岩 渕   誠 君
20  番 名須川   晋 君
21  番 佐々木 宣 和 君
22  番 臼 澤   勉 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(1名)
2  番 上 原 康 樹 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後2時53分再開
〇議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。軽石義則君。
   〔29番軽石義則君登壇〕(拍手)

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