令和3年9月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇10番(高橋穏至君) 自由民主党の高橋穏至でございます。
 県議会に籍を置かせていただき、折り返しの2年が経過し、3回目の一般質問の機会をいただくことができましたことに感謝申し上げます。
 それでは、通告に従い順次質問させていただきます。
 初めに、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画について質問します。
 本年3月に、計画期間を2021年度から2030年度までの10年間とする岩手県環境基本計画及び第2次岩手県地球温暖化対策実行計画を策定いたしました。
 第2次岩手県地球温暖化対策実行計画は、2020年度をもって前計画期間が終了することから、社会情勢の変化や国の動向、本県の温室効果ガス排出量の将来予測やエネルギー需給の見通しを踏まえ、本年3月に策定したもので、計画期間を超えた長期的な目標として掲げた温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロを踏まえ、県民や事業者、行政などの各主体が一体となって、気候変動の原因となる温室効果ガス排出削減対策の緩和策と、気候変動により今後予測される被害を回避し軽減する適応策に取り組むことにより、持続可能な脱炭素社会の構築を目指したもので、その2030年度目標の温室効果ガス排出量を2013年度比で41%削減、再生可能エネルギーによる電力需給率を65%、森林吸収量の見込みを133万9、000トンとしております。
 最近公表された岩手県における2018年度の温室効果ガス排出量は1、417万3、000トンであり、基準年である1990年と比べ6万5、000トン、0.5%の増加となっております。また、森林吸収及び再生可能エネルギーによる削減効果を含めた削減率は、基準年比11.2%の減となっております。
 岩手県議会県政調査会では、ことし9月2日、公益財団法人地球環境戦略研究機関サステイナビリティ総合センター、プログラムディレクター兼上席研究員藤野純一氏をお招きして、二酸化炭素排出実質ゼロの取り組みについて〜脱炭素社会に向けた世界の潮流と実現策〜と題して講演いただき、地球温暖化対策について、世界及び日本の動向や全国の先進事例についてお話をいただきました。
 講演の中で、自治体の持つ権限、制定できる条例や予算、庁内連携、庁外連携をしながら自治体の事情に応じた制度、仕組みを構築し、描いたビジョンを構築していくことが重要であり、講演や研修による意識啓発では実効性が弱いということでした。
 長野県では、2013年3月に長野県地球温暖化対策条例を改正し、2014年4月から、建物を新しく建てかえる際には、建築主は環境エネルギー性能と自然エネルギー導入を検討することを義務づけた環境エネルギー性能検討制度及び自然エネルギー導入検討制度を導入し、2015年4月からは、住宅などの床面積300平方メートル未満の小規模な建物に対象を広げました。そして、この制度を実現するために長野県は、設計建築事業者に対して、推奨する環境エネルギー性能評価指標を算定できるよう研修会を開催して、能力向上を図っています。
 この制度を通じて建築主は、住宅の燃費や再エネ投資の回収年数等を定量的に認識する機会が得られ、その結果、2016年1月から2020年12月の間に、長野県で新築された住宅のうち84%が、省エネ基準の適合を達成し、31.4%が再生可能エネルギーを導入しています。
 建物のZEH化―ゼロ・エネルギー・ハウス化については、住宅を断熱や高効率の設備導入によりゼロカーボン化を進めることで、室温の改善、安定化、室内環境の質の向上や健康増進につながることがわかっており、さらに、太陽光発電や蓄電池を導入することで、万が一エネルギー途絶しても、最低限のエネルギーが供給できる防災拠点となることを述べています。
 この取り組みの推進は、岩手県民の健康と安心、そして幸福につながり得ると考えます。
 そこで伺いますが、県では、第2次地球温暖化対策実行計画における令和3年度の施策として、2030年度の目標達成に向けて、どのような実効性のある取り組みをしているのでしょうか。
 また、御講演いただいた藤野先生は、自治体が取り組むべき省エネは、まず隗より始めよという言葉を用いて、自治体の業務や施設から排出される温室効果ガスの削減が重要であると述べています。
 もちろん建物の更新には多大な費用を必要としますが、自治体保有の施設の環境エネルギー対策として、外皮性能の向上や空調設備の改修及び太陽光設置、及び国庫補助活用等を検討することで、用途や面積が築年数20年から50年の建物全体でZEB―ネット・ゼロ・エネルギー・ビル化が可能であると紹介しております。
 岩手県内には県庁を初めとする多くの県有施設がありますが、県庁舎を初めとする県施設の環境エネルギー対策について伺います。
 次に、森林吸収源対策についてですが、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画では、森林吸収源対策の具体的な取り組みを進めるための指標として間伐材利用率と再造林面積を掲げておりますが、再造林を促進するため具体的にどのように取り組むのでしょうか、伺います。
 次に、地域医療情報連携ネットワークの充実について質問します。
 現在、岩手県では、地域における医療と介護の連携に資する地域医療情報連携ネットワークシステムとして、宮古地域医療情報連携ネットワーク、釜石・大槌地域医療連携推進協議会、久慈医療圏の北三陸ネット、気仙保健医療圏の未来かなえネット、そして、岩手中部地域医療情報ネットワークの五つが運用されております。
 平成31年4月には、NPO法人岩手中部地域医療情報ネットワーク協議会が運営するいわて中部ネットと一般社団法人未来かなえ機構が運営する未来かなえネットが連携を開始しておりますが、それらのネットワークが全県的に連携されておらず、また、開設されていない地域もあります。
 県内全域をカバーする地域医療情報連携ネットワークシステムが望まれます。この件に関しては、既に小林正信議員と岩城元議員が一般質問で取り上げておりますが、本年の県への市町村要望の中で、地域医療情報連携ネットワークへの支援と県の関与を求める要望事項があり、取り上げました。
 ことし2月の岩城元議員の一般質問に対して、未整備の地域には引き続き地域における協議の場に参画し、先行事例の紹介などの助言を行うなど、各地域でのシステム整備に向けた主体的な取り組みを支援していく。また、全県的なシステムの構築については、開設者が異なる連携施設間における患者同意の取得方法など、統一的な運用ルールの整備が課題と考えております。そして、国が検討を進めている全国的な保健医療情報ネットワークの動向を注視しながら、全県的な医療情報連携体制のあり方について検討していく考えでありますと答弁しております。
 岩手県以外の東北5県では、既に全地域を対象とした地域医療情報連携ネットワークを構築済みで、秋田県と山形県は、県境をまたいでつながっております。
 平成31年3月に、四つの地域単位で運用していた医療情報ネットワークを、地域を越えて患者情報を共有する医療情報ネットワークの全県化を構築した山形県の取り組みについて、県の担当室に電話で伺ったところ、県が調整役となって進めたが、スムーズに連携できたと伺いました。
 令和2年度に見直された岩手県保健医療計画では、第4章、保健医療提供体制の構築、第4節、地域保健医療対策の推進、第11項、医療に関する情報化の中で、沿岸4医療圏及び岩手中部医療圏では、既に地域における医療と介護の連携に資する地域医療情報連携ネットワークシステムが運用されています。医師不足や地域偏在など本県の医療環境は大変厳しい状況にあることから、高度急性期から慢性期まで効率的な医療情報連携を推進する必要があります。医療情報連携システムについては、運営体制やシステムの維持に多額の費用を要することが課題となっていますとあり、課題への対応としては、医師不足や地域偏在など本県の厳しい医療環境に対応するため、高度急性期医療と地域における医療、介護との連携も視野に入れた全県的な医療情報連携体制の整備を推進します。各ネットワークシステムが将来的に持続可能となるよう、これまでの運用の中で整備されたランニング費用等の課題を踏まえながら、システムの効率的な維持、運営を図ります。圏域単位で運用されている地域医療情報連携ネットワークについては、地域の主体的な取り組みについて支援していきますとありますが、結局、地域にシステムが置き去りにされた状態となっていると言っても過言ではありません。
 特に、最後の地域の主体的な取り組みについて支援していきますとありますが、先ほど申したとおり、岩手県以外の東北5県では、既に全地域を対象とした地域医療情報連携ネットワークを構築済みですので、岩手県の対応は、そういった方針もなく、大きくおくれをとっているのではないでしょうか。
 昨年、厚生労働省から出された地域医療情報連携ネットワークの現状についての中で、昨年、すなわち令和元年10月に会計検査院から、システムが全く利用されていない、あるいは利用が低調であるネットワークが存在し、都道府県から事業主体に対して十分な指導が行われていなかったとの指摘を受けています。
 この指摘を受けて、基金の申請の際に患者登録数の目標値を事業主体から提出させること、都道府県が地域医療情報連携ネットワークの運用状況のフォローアップを行うこと等を内容とする通知を都道府県に対して既に発出しております。
 地域医療情報連携ネットワークの拡充について、県の積極的な取り組みが必要と考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、地域公共交通政策について質問します。
 この項目については昨年の一般質問でも取り上げ、本年3月の予算特別委員会でも令和3年度事業について質問いたしました。しかし、本年度も多くの市町村から地域公共交通に関する要望が寄せられております。
 さらに、新しくスタートした過疎地域の持続発展の支援に関する特別措置法において、過疎債事業のソフト分が大きく減少する見込みとなり、当該市町村では大きな課題となっております。
 本年度、地域バス交通支援事業費補助の補助対象と見込まれる18市町村の20路線に要する予算として3、923万3、000円を計上しております。予算の中には、新型コロナウイルス感染症の影響で利用者が減少することに伴い、新たな対象となることが見込まれる3路線についても必要な予算を計上していると予算特別委員会で答弁がありました。
 3月の予算特別委員会の質疑から、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、昨年度に引き続き、本年度も補助要件の緩和を実施しておりますが、なかなか新型コロナウイルス感染症の収束及びその後の経済社会活動の再生見通しがつかない中で、引き続き要件の緩和要望が多く出されており、長い取り組みが続くと見込まれますが、今後の見通しについてお伺いします。
 また、地域公共交通活性化推進事業費補助は、市町村が地域公共交通体系の再編及び地域公共交通の利用促進に係る事業を行う経費に対して補助しておりますが、補助率は2分の1で、上限1市町村当たり500万円、実施期間は最大3年の実施が可能で、補助額の合計は500万円を上限としております。3月の予算特別委員会では本年度予算に関して、これまでの補助実績等を勘案して1、575万円の予算を計上し、補助対象市町村事業については、市町村に対して実施の要望調査を行い、それを取りまとめた上で対象市町村や対象事業、補助金額等について決定していくと答弁しております。
 市町村からは、補助上限の引き上げの要望があるほか、今年度の交付決定は要望額の6割程度であるという声もありました。予算の見込みが少なかったのではないでしょうか。少なくとも、補助要件を満たすものについては、補正予算を組んででも対応するべきではないでしょうか。
 次に、中山間地域の振興について質問します。
 中山間地域等直接支払制度については、昨年12月定例会で川村伸浩議員が取り上げております。令和2年度から新たにスタートした第5期対策の中山間地域等直接支払制度では、棚田地域振興活動加算が新設されるなど、加算項目の新設や拡充、農業者が安心して制度に取り組めるよう、交付金返還措置の見直しがありました。
 県は、県内の該当する地域が、棚田地域振興活動加算を受けられるよう、棚田地域振興法に基づく県の棚田地域振興計画を令和2年2月に策定し、市町村に説明会や働きかけを行い、意向調査などを行ったと承知しております。
   〔副議長退席、議長着席〕
 また、この加算に取り組む意向がある市町村等は、棚田地域振興法に基づき、国から指定棚田地域の指定や活動計画の認定を新たに受けた上で、指定地域内で棚田の保全等に取り組む集落が、中山間地域等直接支払制度の申請を市町村に行うこととされています。
 この令和2年度から新たにスタートした第5期対策では、新たに追加された棚田地域振興活動加算は農業者にとって大きな支援となりますが、現在の市町村の取り組み状況はどのようになっているか伺います。
 次に、ICTを活用した教育について質問いたします。
 7月以降、全国的な新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、岩手県でも感染拡大が広がり、ついには8月12日から岩手緊急事態宣言が発出されました。
 県内の小中学校では、既に、GIGAスクール構想のもとに1人1台端末が配布済みであり、遠隔授業の実践に向けて準備が進められたことと思います。幸いにして9月16日にこの宣言は解除されましたが、1人1台端末が配布された現在、県内小中学校のタブレット端末の活用状況はどのようになったか伺います。
 私は、前期2年間、文教委員会に所属しましたが、教員の働き方改革に関連し、教育の負担軽減の観点から、県の学習状況調査等をやめるべきとの意見がたびたび出されておりますが、私は、児童生徒の学習指導の改善のためには不可欠であると思っております。
 教員の負担の原因は主に採点集計作業でありますが、タブレット端末等を利用した調査方法に変えることで、教員の負担の問題が解決できるとともに、採点結果をAIで分析することで、児童生徒の個々に応じた指導やクラス単位の傾向をつかむことが可能と考えられますが、タブレット端末等を活用した学力調査やAIによる分析の今後について伺います。
 次に、岩手県立特別支援学校整備計画について質問します。
 広い県土を持つ岩手県では、通学に係る負担の大きさなどにより、保護者や地域から分教室における高等部の設置を求める要望があります。しかし、高等部分教室設置については、卒業後の自立や就労の実現に向け、作業学習等の職業教育にかかわる教育環境や、人間関係の広がりなどを育むための一定の学習集団が必要であり、広域圏を単位として特別支援学校の高等部を設置していることを踏まえ、生徒数の動向や全体的な学校配置のあり方、高等部職業教育の推進、充実等を勘案し、総合的な視点により検討を進めなければならないとの回答です。
 本年5月にまとめられた岩手県特別支援学校整備計画では、高等部に関する現状と課題を、高等部の在籍者数の1学年の平均人数については減少傾向にあるものの、中学部の2倍以上の人数となっており、高等部への入学者数は、平成30年度を境に特別支援学校の中学部からより中学校特別支援学級等からの入学者が多くなっています。
 特別支援学校中学部と中学校特別支援教室の多くの生徒が、特別支援学校高等部を経て社会に出て行くことを考え、引き続き卒業後の自立や社会参加促進のために必要な教育環境や活動の充実を図る必要があります。また、平成30年度から、高等学校における通級による指導も開始したこともあり、これまで以上に高等学校における特別支援教育のあり方や、特別支援学校高等部の充実に向けた取り組みが必要と考えますとまとめています。
 県内には、特別支援学校に入学する状況ではないが、一般の高等学校に入学するには難しい軽度の発達障がいや学校不適応を経験する生徒がふえており、こうした生徒を受け入れている学校も、入学志願者の増加に伴い対応に苦慮しております。
 県立高校でも配慮が必要な生徒がふえており、県では、かがやきプラン推進事業による支援員の配置をしておりますが、ニーズに追いつかないようです。特別支援学校と普通高校の制度のはざまで取り残されている子供がふえているのではないでしょうか。
 ノーマライゼーションが当たり前となる今日、県立高等学校における特別な支援を要する生徒の受け入れ体制の整備をすべきではないでしょうか、御見解をお伺いします。
 また、私立学校が取り組む場合の支援施策などを検討すべきではないでしょうか、あわせて見解を伺います。
 次に、北上金ケ崎パシフィックルートについて質問します。
 この件は、これまでも一般質問で取り上げましたが、ことしの北上市から県への要望では、新しく橋をかけかえることなく、既存の江崎大橋を通り県道255号及び国道456号の改良箇所を示したルート整備の促進になっております。
 いわて県民計画(2019〜2028)では北上川バレープロジェクトを掲げ、県南地域を含む北上川流域において、自動車や半導体関連産業を中心とした産業集積が進み、新たな雇用の創出が見込まれることを生かし、働きやすく暮らしやすい21世紀にふさわしい時代を切り拓く先行モデルを目指しております。
 また、三陸防災復興ゾーンプロジェクトでは、東日本大震災津波からの復興の取り組みにより大きく発展したまちづくりや、交通ネットワーク、港湾機能などを生かした地域産業の振興を目指しています。
 北上金ケ崎パシフィックルートの整備により、いわて県民計画(2019〜2028)における北上川バレープロジェクトと三陸防災復興ゾーンプロジェクトを結び、物流機能の相乗効果により県土全域のさらなる発展を図ることができます。
 今回の北上市の提案は、起点がこれまでの北上金ケ崎インターチェンジから北上南部工業団地、岩手中部工業団地、江刺中核工業団地の中間点に変更となっており、この地域には、トヨタ自動車東日本株式会社岩手工場とそれを支える部品工場のほか、食品、製紙会社など港湾利用が想定される企業が多数進出していることから、今後の港湾、物流戦略において、釜石港及び大船渡港の利用促進につながるのではないでしょうか、所見を伺います。
 また、この地域への新たな企業を誘致する際の有利な条件になるとも考えられます。所見をお伺いします。
 最後に、国道107号の復旧について質問いたします。
 ことし5月1日に、国道107号の道の駅錦秋湖から大石橋の間でのり面亀裂が確認され、この区間5キロメートルを全面通行どめとしてから5カ月以上が経過いたしました。この間にボーリング調査などを行い、復旧工法の検討を進めるとともに、応急的な対策として水抜き横ボーリングを実施したところです。
 また、国においても、地すべりにより湯田ダムに土塊が崩落した際の天ケ瀬地区への波対策として、大型土のうによる築堤を行ってきたところです。
 交通対策としては、北上西インターチェンジから湯田インターチェンジの間を無料区間としており、10月から天ケ瀬地区の住民を対象に、峠山パークランドオアシス館脇のサービスエリア緊急開口部からの乗り入れが始まりました。
 しかし、高速道路に不安を感じる高齢者も多いほか、これから冬を迎えると高速道路が通行どめになる事態が想定され、その場合、迂回路がなく、完全に物流がとまってしまいます。一日も早い復旧が望まれています。
 この区間は、平成27年にも土砂崩れのため約8カ月間通行どめとなりましたが、今回の地すべりはその規模をはるかに上回り、さらなる長期化が想定されています。
 9月17日に第4回西和賀町大石地区斜面変状情報連絡会議が開催され、県は、仮設道路を設置することとし、ダム湖内に仮橋を設置して対岸の県道に接続する案と、地すべり活動を抑制するための盛り土をし、安全度を確保した上で現国道を通行する案の2案を示しております。
 新聞報道では令和4年内の着工とあり、かなりの長期化が予想されますが、交通確保の見通しはどのようになりますでしょうか。
 今回の通行どめ区間は、これまで川尻地区から当楽地区までの交通難所区間のトンネル化を含めた抜本的な改良整備の促進要望もあります。長期化が確実な災害復旧とは別に抜本的な改良プランの検討、作成などを並行して進める必要があると考えますがいかがでしょうか。また、抜本的な改良整備について、県の考えを伺います。あわせて、仮に抜本的な改良整備を行う場合、国からの予算的な支援についてもお伺いします。
 また、通行どめで大きな影響を受けている道の駅錦秋湖には駐車場、トイレのほか、第三セクターである西和賀産業公社の大きな店舗があり、西和賀町からは、折からの新型コロナウイルス感染症の影響に加え、通行どめで売り上げを失っているとの声があります。地域産業振興の観点から、同社への経営支援策について伺います。
 以上ですが、答弁によりましては再質問させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   
〇議長(五日市王君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋穏至議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画の施策推進についてでありますが、本計画では、省エネルギー対策の推進、再生可能エネルギーの導入促進、森林吸収源対策などの多様な手法による地球温暖化対策の推進を目標の達成に向けた三つの柱とし、2050年の温室効果ガス排出量実質ゼロを見据え、本県の地域資源を最大限に活用し、地球温暖化対策に積極的に取り組むこととしております。
 このため県では、県民が地球温暖化を自分ごととして捉え、一人一人の自主的な行動につながるよう、いわて環境塾や出前授業などを通じて普及啓発に努めております。
 また、本年度は、住宅用の太陽光パネルや蓄電池設備の共同購入に対する支援、市町村を対象に、自立・分散型エネルギー供給システム導入を支援しているところであります。
 県として、全国の先進的な取り組みを参考としつつ、このようなソフト、ハードの両面から効果的な施策を総合的に推進するとともに、温暖化防止いわて県民会議を中心に、県民総参加による地球温暖化対策を積極的に推進してまいります。
 次に、県庁舎等の環境エネルギー対策についてでありますが、県の施設においても、岩手県環境基本計画や第2次岩手県地球温暖化対策実行計画に基づき、多様で優れた環境と共生する脱炭素で持続可能ないわての構築や温室効果ガス排出量2050年実質ゼロの達成に向けて、環境負荷の低減を図る取り組みを行っています。
 具体的には、地区合同庁舎等における太陽光発電設備の設置や県営施設におけるバイオマスの熱利用に取り組み、再生可能エネルギーの導入による温室効果ガスの削減を図っています。
 本年4月に、いわゆる改正建築物省エネ法が施行され、省エネ基準に適合すべき建築物が大幅に拡大されたことを踏まえつつ、厳しい財政状況ではありますが、公共施設等の維持管理や整備に当たっては、省エネルギー化や再生可能エネルギーの導入、環境に配慮した資材の選定、施設の長寿命化による建設廃棄物の発生抑制など、環境負荷の低減を図ってまいります。
 次に、地域医療情報連携ネットワークの拡充についてでありますが、県では、地域の限られた医療資源を効率的に活用し、安心して質の高い医療を受けられるよう、岩手県保健医療計画に基づき、県全域を対象としたシステムとして、テレビ会議システムを活用した遠隔診断支援や遠隔病理画像診断システムなど、岩手医科大学と地域中核病院間の病病連携を目的としたシステムの整備を行ってきたところであり、県立病院では、患者の診療情報を共有する県立病院診療情報共有システムを整備してきたところであります。
 また、二次医療圏域においては、住みなれた地域での医療、介護の支援が円滑に受けられるよう、医療機関と介護施設等を連携する地域医療情報ネットワークシステムの構築を推進しており、これまでに5圏域においてシステムが整備されたところであります。
 地域医療情報ネットワークシステムの構築に当たって、県は、地域における協議の場に参画し、先行事例の紹介といった技術的助言や導入経費の補助といった財政的支援を行ってきたところであり、一方、医療機関や介護施設などの地域の利用機関においては、システム整備後の運営費を負担するという役割分担を通じ、県と地域が連携して取り組んできたところであります。
 県としては、引き続き、役割分担と連携により地域の主体的な取り組みを支援していくともに、国が本年6月に公表したデータヘルス改革に関する工程表に基づき整備を検討している全国的な保健医療情報ネットワークの状況を注視しながら、全県的な医療情報連携体制の構築について検討していく考えであります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔農林水産部長佐藤隆浩君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) まず、再造林を促進するための取り組みについてでありますが、森林が二酸化炭素の吸収源としてその機能を持続的に発揮していくためには、間伐や再造林などの適切な森林整備を進め、健全な森林を育成していくことが重要と認識しています。
 再造林を促進するため、県では、国の補助事業の積極的な活用に努めてきたほか、森林所有者のさらなる負担軽減を図るため、植栽本数が従来より少ない低密度植栽や、伐採から再造林までの作業を連続して行う一貫作業システムを普及するなど、林業事業体等に対し、造林コスト低減の取り組みを促してきたところであります。
 こうした取り組みにより、民有林における令和2年度の再造林面積は876ヘクタールと、10年前と比較して1.7倍に増加したところです。
 また、令和3年度から新たに、いわての森林づくり県民税を活用して、公益上重要で早急に整備が必要な伐採跡地への植栽等を支援する取り組みを始めたところであり、引き続き林業関係団体等と一体となって、地球温暖化対策に貢献する再造林を強力に進めてまいります。
 次に、棚田地域振興活動加算についてでありますが、棚田地域は、農産物の供給にとどまらず、国土の保全、水源の涵養、生物の多様性などの多面的機能を有している一方、棚田の保全には、その地形的な条件等から多大なコストを要しており、農業の担い手の減少、高齢化の進展も相まって、棚田の荒廃が懸念されることから、棚田地域の多面的機能の維持増進を図るため、令和元年8月に棚田地域振興法が施行されたところであります。
 県内では、本年9月末現在で、遠野市内の1地域及び紫波町内の6地域が、同法に基づき指定棚田地域の指定を受けているところです。このうち遠野市の1地域が、今年度から中山間地域等直接支払制度の棚田地域振興活動加算を活用し、棚田地域で生産されたブルーベリー等を使用した加工品の開発や、地域の保全活動等に取り組んでいます。
 棚田加算については、草刈り等の棚田の保全管理や交流人口の拡大等の地域振興など、三つ以上の目標設定が必要とされており、他の加算措置に比べ要件が厳しいことから、加算措置の活用が進んでいない状況にあるところです。
 このため県では、棚田加算について国に対し要件の緩和を要望するとともに、市町村等を対象とした中山間地域等直接支払制度に関する説明会等において、加算措置の周知や県内の取り組み事例を情報提供するなど、棚田加算がより積極的に活用されるよう、引き続き市町村と連携しながら取り組んでまいります。
   〔ふるさと振興部長熊谷泰樹君登壇〕
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 地域バス交通支援事業費補助についてでございますが、市町村が広域生活バス路線を運行する事業者に対して運行欠損額を補助する場合や、国庫、県単補助の補助要件を満たさなくなったバス路線について市町村が代替交通を確保する場合に、県から市町村に対して必要な経費を補助しているものでございます。
 昨年度及び今年度の補助事業におきまして、新型コロナウイルス感染症の影響による利用者の減少等に伴い、平均乗車密度4人以上としている補助要件を満たさないこととなった路線の救済を図るため、補助要件を緩和する特例措置を講じたところでございます。
 県におきましては、今後も引き続き県民の重要な移動手段である地域公共交通の維持、確保が図られるよう、新型コロナウイルス感染症の影響や公共交通機関の輸送需要の状況等を踏まえながら、必要な検討を行ってまいります。
 次に、地域公共交通活性化推進事業費補助についてでございますが、市町村が人口減少、高齢化社会に対応した持続可能な地域交通ネットワークの構築に向け、地域公共交通体系の再編や地域公共交通の利用促進に係る事業を行う場合に要する経費に対して補助しているものでございます。
 今年度におきましては、これまでの補助実績等を勘案し予算を計上したところであり、市町村から要望のあった事業のうち、地域公共交通計画の策定や再編に伴うデマンド交通等の実証運行、被災地において実施する事業を優先し、予算額の範囲内で交付決定を行ったところでございます。
 県では、こうした財政支援に加え、公共交通に係る助言を行う有識者の派遣や、地域内公共交通構築検討会を開催し、市町村が抱える課題の解決に向けた助言や支援策の検討などを行うことにより、市町村の地域公共交通の維持、確保に向けた取り組みを支援しているところでございます。
 今後も引き続き、市町村から事業の進捗状況の確認や補助制度のあり方に関する意見の聴取なども行いながら、市町村が必要な取り組みを実施できるよう努めてまいります。
 次に、私立学校の支援施策についてでありますが、私立学校は、それぞれが独自の建学の精神や教育理念に基づき、特色ある教育に取り組み、本県の公教育の重要な役割を担っているところでございます。
 県では、各私立高等学校における特色ある教育を推進するため、新時代を拓く特色ある学校づくり推進事業費補助により、特別な支援を必要とする生徒の受け入れに係る教育相談体制の整備や、複数教員による指導体制の充実などに取り組む学校を支援しているところであり、引き続き、教育の多様化の動きを踏まえ柔軟に対応してまいります。
 今後も、新時代を拓く特色ある学校づくり推進事業を初め、教育の質を高めるための教育改革推進特別経費などの私立学校運営費補助により、各私立高等学校の取り組みを支援してまいります。
   〔県土整備部長田中隆司君登壇〕
〇県土整備部長(田中隆司君) まず、港湾の利用促進につながる道路整備についてでありますが、北上金ケ崎パシフィックルートは、今年度の北上市の要望においてルートが変更になり、金ケ崎町三ケ尻地区の国道4号から県道広瀬三ケ尻線、国道456号、国道107号を経由し、江刺田瀬インターチェンジへ向かうルートになるとともに、このルート上の2カ所のショーカットを求めるものになったと承知しております。
 この2カ所の整備により一定の移動時間の短縮が期待されると考えられますが、県南地区の工業団地と江刺田瀬インターチェンジを結ぶ主なルートにつきましては、議員御指摘のパシフィックルートのほか、国道4号から国道107号を東進するルート、国道4号から県道水沢米里線、玉里梁川線を経由するルートの三つが考えられます。
 県といたしましては、港湾のさらなる利用促進のためには、インターチェンジへのアクセス向上が重要であると認識しており、東北横断自動車道釜石―花巻間の全線開通後の物流の変化や周辺の開発動向などを見極めながら、県南地区の工業団地と江刺田瀬インターチェンジ間のアクセスのあり方について検討してまいります。
 次に、国道107号の復旧についてですが、まず、交通確保の見通しにつきましては、早期交通確保のための仮設道路の工法案として、先月17日、ダム湖内に仮橋を設置し迂回路を確保する仮橋案と、現在実施中の応急盛り土にさらに盛り土を行い現国道を通行する盛り土案の2案をお示ししたところでございます。
 いずれの案もダム湖内の大規模な工事となり、ダム湖の水位調整が必要となりますが、仮橋案については、地質状況を踏まえた基礎工の施工方法、盛り土案につきましては、必要な盛り土量の安定的な確保が主な検討課題となっております。
 これらの課題を踏まえ、現在、各案の工程の精査を行っておりますが、速やかに交通確保の見通しをお示しできるよう、引き続き全力で取り組んでまいります。
 次に、西和賀町川尻地区から当楽地区までの改良についてでありますが、延長が約13キロメートルあるこの区間は、川尻から道の駅錦秋湖付近までは急峻な斜面とダム湖に挟まれており、また、道の駅から当楽間は高低差が約100メートルあるなど、厳しい地形条件となっているため、この区間の改良には長期的かつ安定的な予算の確保が必要となります。
 一方で、並行する秋田自動車道の北上西インターチェンジから湯田インターチェンジ間は、令和3年度からの4車線化事業が決定され、今後、整備が進められると認識しております。
 このため県といたしましては、国道107号を適切に維持管理しながら通行を確保することが重要であると考えており、まずは、今回の災害を踏まえた国道の機能回復のための対策工法の検討に注力するとともに、スノーシェッドの老朽化対策等を進めてまいります。
 次に、国からの予算的支援についてでありますが、県管理の国道の改良整備を行う場合、補助率は約55%となっております。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、企業誘致についてでありますが、企業の進出に当たっては、交通アクセスや上下水道を初めとした産業インフラに加え、関連産業の集積や人材の確保、物流コストなどを総合的に判断して決定されるものであり、物流環境の向上も企業が進出を検討する際の要素の一つになるものと認識しております。
 また、自動車や半導体関連企業の集積が加速する県南地域では、釜石港や大船渡港を活用している企業もあり、港湾や道路等のインフラ整備の進展に伴い、今後、物流量もさらに増加することが見込まれるため、物流環境の向上は、現在立地している企業にとってもメリットになるものと考えております。
 次に、西和賀産業公社に対する支援についてでありますが、道の駅の休業などにより西和賀町の地場産品の売り上げが減少している状況を踏まえ、県といたしましては、県南広域振興局が盛岡駅と宮古市において西和賀町の特産品販売や観光情報の発信を行うほか、県南地区の合同庁舎で職員向けの販売会を開催するなど、売り上げ回復に向けた支援を行うこととしております。
 地域のすぐれた地場産品の販路拡大は、産業振興の柱の一つでもあることから、今後も町と連携し、売り上げ回復に向けたさらなる支援についても検討を進めてまいりたいと考えております。
   〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) まず、県内の小中学校のタブレット端末活用の状況についてでありますが、9月以降は、県内の小中学校において、1人1台のタブレット端末とICT環境の整備が進み、これらを活用した授業が順次始まっているところです。
 小中学校の活用状況については、市町村の運用開始時期等によって異なっているものの、授業支援ソフト等を活用して、児童生徒が考えを端末に入力して共有することで協働的な学びを充実させたり、オンラインドリルを活用して児童生徒の理解度に応じた学びの個別最適化が図られるなど、ICT端末を活用した指導が県内各地で進められているところです。
 県教育委員会としては、いわて学びの改革研究・普及事業において、ICTを活用した先導的な授業の実践例を公開して全県に普及するとともに、県立総合教育センターにおいても、教員を対象にICT活用研修を実施しているところであり、今後もICTを活用した効果的な指導のあり方について、市町村教育委員会と連携を図りながら、各学校の取り組みを支援してまいります。
 次に、タブレット端末等を活用した学力調査の今後についてでありますが、現在、文部科学省では、1人1台端末を活用した全国学力・学習状況調査のオンライン化―CBT化でございますが、その実現に向けて試行、検証を始めており、今年度は、本県の小中学校から1校ずつ実証校として参加を予定しているところです。
 あわせて、国や県の学力調査の過去問をオンラインで解答することができ、自動で採点される学びの保障オンライン学習システム―MEXCBTと申しますが、これについても、今年度から利用することが可能となっていますので、本県でも活用を促していきたいと考えています。
 AIの活用については、人工知能によるデータ分析機能を持つオンラインドリルを活用している先導的な学校が県内にあり、事例の横展開を図っているところです。
 県教育委員会では、このような国の事業や学校での活用例について情報収集しながら、GIGAスクール構想下でのタブレット端末等を活用した学力調査のあり方について、引き続き検討してまいります。
 次に、県立高等学校における特別な支援を必要とする生徒の受け入れ体制の整備についてでありますが、本県では、共に学び、共に育つ教育を特別支援教育の基本理念としており、全ての県立高等学校において、特別支援教育校内委員会を設置し、特別支援教育コーディネーターの指名を行っており、全教職員共通理解のもと、一人一人の教育的ニーズに応えられるように校内体制を整備しています。
 また、生徒の障がいの状況に応じて、いわて特別支援教育かがやきプラン推進事業により特別支援教育支援員を配置するとともに、平成30年度からは通級による指導の導入も進めており、令和3年度は、県立高校3校で実施しているところです。
 県教育委員会としましては、今後も高等学校に在籍する特別な支援を必要とする生徒の人数や障がいの状況を把握しながら、通級による指導の導入を促進するなど、生徒の受け入れ体制の整備を進めてまいります。
〇10番(高橋穏至君) それでは、時間が限られておりますので、3項目について再質問させていただきます。
 まず、地球温暖化対策についてであります。講演いただきました藤野先生には岩手県の計画も見ていただきましたが、その中で、やはり冒頭申し上げましたとおり、なかなか実効性が上がらないのは、意識啓発事業、これでは実効性が上がらないという指摘でした。まさに住宅の省エネ化について、今、県で取り組んでいるのは、出前講座やそういった意識啓発事業が中心であり、なかなか成果が上がらないのではないかと危惧しております。
 きょうの吉田敬子議員の質問の中で、ちょっと視点は違うのですが、岩手県産材を利用した補助金制度は、もう9月で満杯になったという答弁がありました。その中に、オプションとして省エネ性能をやると50万円加算という項目があったわけですが、そういった補助制度による支援ですと、予算の枠が終わってしまうともう事業ができないというような状況になってしまいます。
 しかし、今回紹介した長野県の事例では、制度をつくって、まず新築を考えている人に、全員そういった省エネ住宅にするとこれくらいの効果が上がるという環境性能評価をしっかりと示して、そして、太陽光発電ですとか、そういった設備を導入すると何年で元が取れるという、そういったものをしっかりと必ず評価として建築主、要は施主に示されると。これをもとに、みんな関心を持ってもらって、新築のうち85%が環境性能住宅に取り組むという事業であります。
 一旦そういう仕組みをつくってしまうと、そういった成果が上がるという好事例ではないかと思うわけですけれども、再度、その事業に関する所見をお伺いしたいと思います。
 また、次に、医療情報ネットワークの充実に関しては、私の質問の文章の中にあったこれまでの答弁と同じような内容であったわけですが、今までやってきた県の政策で、なぜ東北地方で岩手県以外は全県できているのに、岩手県だけはできていないのか、そこら辺の状況をどう認識されているのかというものについてお伺いしたいと思います。
 答弁の中でありましたデータヘルス改革推進本部の資料も事前にいただいているわけですが、その工程表の中で、これから取り組む自治体の工程表は載っているのですが、もう既にされているところは、順次すぐ実行に移していくということですので、国の制度がしっかり構築されるのを待っているようでは、非常に時間がかかってしまうと思います。
 この地域医療情報連携ネットワークの一番大きな効果として、まず、岩手県で最初にこれが普及したのは沿岸地域なのですね。これはなぜかというと、要は震災で、津波で医療情報が全部流れてしまったと。その際、一番困っているのは、やはりけがをした患者が、ふだんどういう持病を持っていて、どういう薬を飲んでいるか。お薬手帳がある人は、それだけでお薬をもらえるという措置も、その当時はたしかなされたと思いますが、そういった情報ネットワークによってもとのデータがしっかりと保存されていれば、どこでも困ったとき対応できるという、非常時、災害時、あるいは、もう一つあるのは救急時ですね。急に倒れてしまった。そのときに、その人がどういう持病を持っていて、どういう薬を飲んでいるかという情報は身内の人がいなければわからない。本人は意識を失っている。こういったときに、どう対応していいかというのに対応できるというのが、この検討会の中でもしっかりと位置づけされております。
 こういった重要なシステムなわけですけれども、まず最初に、なぜ岩手県ではできていない地域もあるのか、そこら辺の、ほかではできているのにという部分についての所見をお伺いしたいと思います。
 そして、3点目は、県立学校における特別支援教育のあり方についてであります。
 これについては、北上市には北上南分教室小中学部があります。そういった中から、近くに北上翔南高等学校があるわけですが、北上市からも毎回、そこに高等部ができないかという要望が出されているのですが、質問の文章の中でも申し上げたとおり、ある程度の規模でなければ効果が上がらないということで、私は、花巻清風支援学校に行って、実際どういう作業をして、どういう授業をしているか見てきました。やはり、ある程度の規模がないとできないと思いました。
 そして、一方で、北上翔南高等学校にも出向いて、お話を伺いました。その中で感じたのが、やはり普通高校でも一定程度そういった支援の必要な生徒がいて、これをかがやきプランで補充しているということですが、県内どこの学校にもある程度はいて、かがやきプランの枠があるのだけれども、なかなか回ってこないというのが現場の声だとお伺いしました。これは分散しているからではないかと。
 それで、特別支援学校の高等部に行く生徒は、先ほど申し上げたとおり、中学部から上がる生徒以上に中学校の特別支援教室から行っているほうがもう多いと。そういった中で、はざまの生徒たちの行き場がちょっと失われているのではないかと感じております。その受け皿として、例えば、普通高校にそういった受け皿になるようなコースのようなものをつくれないかという発想でございます。
 伺ってきましたところ、ことし、文教委員会の調査で、千厩高等学校、それから一関清明支援学校を視察してまいりました。千厩には千厩高等学校に産業技術科というのがあって、工業、農業、家庭といった職業につながるコースがあるのですね。同じように、北上翔南高校も総合学科ということで、農業、商業、家庭というコースがあって、その話の中で伺ったのは、クラスがある程度ないと教員の数が確保できない、いろいろな対応ができないという悩みも持っているという話を聞きました。
 そういったことを勘案しながら、支援員1人、2人では対応できない、ある程度のまとまったコースをつくることによって、新たな支援をできる体制ができるのではないかという考えで、今回質問で取り上げたわけですが、その件に関する御所見をお伺いしたいと思います。
〇企画理事兼環境生活部長(石田知子君) 温室効果ガス排出量の削減のための取り組みがついてでありますが、先ほど議員から、県の取り組みは意識醸成だけではなかなか進まないのではないかというお話がございました。
 県では、この3月の第2次岩手県地球温暖化対策実行計画の中で、どの部門が二酸化炭素の削減の可能量が高いかというものを示しながら、今回、目標設定したところでございますけれども、その中では、産業部門では、高効率照明、空調の導入、あるいは、民生家庭部門―これは住宅ですけれども、この高効率の給湯器等の導入等に削減量がかなり高いということがございまして、そこに対しましては県で補助をしているところでございます。
 また、新築住宅における省エネ基準適合への推進、それから、新築建築物における省エネ基準適合の推進等についても、削減量は高いのでございますけれども、こちらのほうは期限が切れると補助がなかなかできないということもありますので、いずれ国では、今回、温室効果ガス排出量の46%削減の目標のために、地球温暖化対策の計画を改定する動きがございます。
 この計画の中で示される具体的な削減量の内容を県でも精査しまして、今お話ししたような中身についても検討して、削減目標の見直しと、さらに温室効果ガス排出量が進むよう努めてまいりたいと考えております。
〇保健福祉部長(野原勝君) 地域医療情報ネットワークにつきまして御質問いただきました。
 議員から質問の中で御紹介いただいたとおり、会計検査院からも、全国的にこの地域医療情報ネットワークが、必ずしも十分に地域で活用されていないという指摘がされていると承知しています。
 県内の5圏域につきましては、そのネットワーク加入率、圏域の医療機関とか介護事業者、あとは人口カバー率、こういったものについては、議員から御紹介いただいた他の東北5県よりもかなり高い数値を示しています。
 これは、まさに議員から御紹介いただいたとおり、沿岸4圏域で始まったのですけれども、被災を契機に、患者の情報をどう連結していくのか、患者のためにどうしたらいいか、また、使用する皆さんが業務負担軽減のためにどういった情報を連結したらいいかということを丁寧に議論を重ねて、合意形成されていた結果だと考えています。
 私自身も、未来かなえネットの立ち上げの際に現地で意見交換させていただきましたけれども、地域包括ケアを担う市町村なども参画して、まさにプレーヤーが皆さんで、どういう仕組みをつくっていくのかという議論があったと理解をしています。
 また、そういった議論をすることが、システム導入が目的ではないのです。まさに地域医療、介護連携、人のつながりというのは、つながったという側面もあったと認識しております。
 そうした意味で、我々はちょっと受け身だととられるかもしれませんけれども、まずは圏域で患者、利用者のために、また、自分たちの業務負担軽減のために、どういった情報を連結していくのかといったニーズを我々もしっかりと酌み取りながら、それに対して導入のための支援であるとか技術的な支援、これもまとまってまいりましたが、それは我々も丁寧に支援してまいりたいと思います。
 これまでも、各圏域からも御相談をいただいております。そういった中で、皆さんが参画して圏域の方のためになる仕組みづくりを目指していきたいと思います。
 また、地域医療情報ネットワークの連結についても、我が国の問題として、医療情報が標準化されていなくて、電子カルテ情報もかなりローカライズされていて簡単につながらないという問題があります。
 御紹介いただいた山形県の件は、かなり仕様が収れん化されていて、各圏域が同じ仕組みだったので、比較的連結費用が安く済んだということもあったと思います。
 そういった意味でも、国が今こういった標準化の取り組みを進めていますので、そういうものもにらみながら、また、医療情報も通信環境も5年たつとかなり変わります。そういうものにもきちっと柔軟に対応できるような仕組みづくりも重要だと考えています。そうした視点に立って、これは患者のために、利用者のためにという視点に立って、県として支援に努めてまいりたいと考えております。
〇教育長(佐藤博君) 障がいや多様な支援を必要としている生徒への対応についてということでお尋ねがございました。
 普通高校でかがやきプランで支援員を配置しているわけですけれども、これもいろいろ制約があって、全ての学校の要望等には応え切れていないというのは、そのとおりでございます。
 また、通級指導導入を始めてきておりまして、この場合でも、実際どのような形で通級指導をやっているかというと、例えば、ソーシャルスキル基礎ということで、学校の設定教科としてやりまして、そして、対象生徒の個別の支援指導計画をつくって、それに基づきながら、教育実践を通じて、その指導効果の向上を目指しながら、例えば指導教材あるいは指導内容等の工夫をしながら取り組んでいるということでございます。
 この通級による指導というのは、苦手科目の補充指導ということではなくて、社会への自立を見据えて、そして、未来を生きる力を高めていくということで、この導入を図っているところでございます。
 通級指導加配という、文部科学省からも加配措置はいただけるわけですが、それでも限りがあるということで、議員から、コースのようなもの、あるいはクラスがないという御提案もいただきました。
 また、一方では、特別支援教育のこれまでの対応でも、できるだけ身近な地域の学校へ就学して受け入れするという考え方もございます。こういったことから、高等部がない地域では、地元の普通高校での受け入れという形があるのかと思いますけれども、その際には、やはり生徒一人一人の多様な支援のニーズにどのように対応していくか、応えていくか、そして、社会に出て自立できるようなことをしっかり身につけていただくようやっていかなければならないと考えております。
 そういった意味では、さまざま課題はございますけれども、今、議員からも御提案いただいたような内容についても、今後検討も加えていきたいと考えております。
〇10番(高橋穏至君) まさに地球温暖化対策、目標達成のために効果が大きい事業に取り組むというのは、そのとおりだと思うのですが、最初の質問で申し上げましたとおり、個々の家庭の省エネ化、特に断熱性能、温度最適化に関しては、単なる省エネだけではなくて、副次効果として健康管理への効果が非常に大きいと。いわゆる部屋の間で温度が違うときに起きるヒートショックを起こさない、その中で健康な生活を送れるという一石二鳥の対策であります。
 そして、先ほど答弁いただいた中で、補助等は、予算がなくなるとそこで終わってしまうという話がありました。まさに、先ほど私が紹介した事例は、仕組みとして、その建築主に、これくらいの効果がありますよ、それで、これくらいたつと元が取れますということで取り組みがふえているわけです。
 これには、補助は出していないのです。ただ、建築するときにコストはかかります。でも、かかるコストと見合った評価、指標をいただくことでそれに取り組むという、それで実績を上げているという事例でしたので、そういった取り組みを参考にしながら、要は、補助を出せばできるだろうということではない発想の提案だと思いますので、ぜひそれを検討していただきたいのですが、いかがでしょうか。
 また、次に、地域医療情報については、今、保健福祉部長から答弁がありましたとおり、その状況等、私も話は伺っておりました。
 ただ、やはり今回これを取り上げたのは、質問の中でも話したとおり、いわて中部ネットから、それぞれが別々で運用していると、運営母体の事務局というか運営するスタッフが非常に脆弱で、とても大変だと。やはり効率的な共通した運営にしていかないと、これはもたないという声だと思うのです。
 そういった意味で、先ほどもう一つ成果を上げるためには、やはり全域でつながっていない。要は、患者はどこに移動するかわからないと。そんな中で効果を上げるためには、全圏域で参加すること、そして、それを共通の運用にすることによって運用コストが下がるということですので、やはりそれはそれぞれの地域に出向いて、確かに指導、アドバイスをするのはそのとおりなのですが、やはり県が主導して集まってもらって、例えば、ない地域からも集まってもらって、県が、こういったシステムはどうでしょうと提案するくらいの意気込みがないと、なかなか進まないのかなと。
 今の状況ですと、国のほうがこの状況から国で進めているというスキームも拝見しましたが、やはりその中でも、県の積極的な事業推進の姿勢が欲しいと思うのですがいかがでしょうか。
 あと、最後に特別支援教育ですけれども、一朝一夕でできることではないと思います。ただ、今ある資源の高等学校、例えば先ほど私が紹介した、職業に結びつくようなコースを持っている学校との連携とか、そういったところで、新しい仕組み、国の制度に乗っかるとどうしても足りない。逆に国にこういうのが普通ではないかということでプロジェクトみたいなものを提案してもいいのではないかと。それくらいの気概でやってもらえればと思うのですが、所見をお伺いします。
〇企画理事兼環境生活部長(石田知子君) 今後、国の計画が改定される中で、県の削減目標も見直しを検討することといたしますけれども、全国の取り組み事例を参考にしながら、多面的に、総合的に部局連携して取り組んでまいりたいと考えております。
〇保健福祉部長(野原勝君) 議員から御指摘いただいて、全くそのとおりだと思います。各圏域で医療情報ネットワークを運営する上で最大の課題は、やはり事務局体制です。連結してプレーヤーが多くなることによって、いわゆるスケールメリットが生まれますので、コストが安くなります。
 このシステムは、やはり継続して利用されることが、利用者のためにも患者のためにも重要なことですので、そういった視点では、本当にきちっと事務局を連結させていく姿を我々も目指していきたいと思います。
 一方で、国のほうで今、標準的な仕様を固め、検討しています。また違う、これまでの経緯があって、各圏域プレーヤーが違うし、連結して利用している情報も微妙に違ったりします。それをつなげることによるコストも結構かかったりしますので、そこら辺を十分見きわめながら、また各圏域の状況を十分勘案しながら、連結に向けて検討していきたいと思います。また、本当に皆さんが使いやすいいいシステムができれば、全圏域の方々にも御紹介をして、県として、全県的につなげていくという方向で検討を進めてまいりたいと考えております。
〇教育長(佐藤博君) 生徒の卒業後の自立あるいは社会参加の促進のために、必要な教育環境を整備ということもあるのですが、議員御提案のとおり、既存の今ある教育環境、資源を使ってということでございます。
 本当に財政状況も厳しい中で、これからの特別支援教育、それから支援を必要とする生徒、そしてまた、そういった生徒に限らず、本県を支えていく、そして、地元に残って仕事をしていくということを念頭に置きながら、さまざまな課題等もあると思いますけれども、調査等、研究も進めながら取り組んでいきたいと考えております。
〇10番(高橋穏至君) 最後になりましたが、ぜひ、今、教育長に答弁いただいたとおり、千厩高校でもそういった作業をする場合、地元の協力が非常にたくさんあるということでしたので、そういった取り組みを進めていただければと思います。
 そして最後に、全体を通して、今までの一般質問でもそうだったのですけれども、やっぱり国の動向を見ながらという県の推進体制というのが非常に多いのではないかという答弁が今までも続いております。ぜひ、そういった意味では、逆に国を動かしていくような積極的な取り組みを望みたいと思うわけですが、最後にそういった国の姿勢としての所見を知事からお伺いして、終わりたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 今、やりとりを聞いていますと、国のほうで、岩手県が既に沿岸地域で確立して、そして、多くの医療従事者、東北地方の他県のネットワークへの参加率の倍や倍以上の参加率で実際動いていて、地域包括ケアなどにもどんどん利用されている。そのシステムを全国統一で国にやってもらえば非常にいいのではないかと思いますけれども、いずれ、そのような地域の実践に根差したやり方というものを、国の、特にデジタルに関しましては、なかなかこれは国全体とか、あるいは国際的な使い勝手とか、そういうものは現状無視はできないところはあるのですが、地域からの発信も頑張っていきたいと思います。
   
〇議長(五日市王君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時47分 散 会

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