令和3年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和3年3月18日(木)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
議事管理担当課長 藤 枝   修
主任主査 千 葉 絵 理
主任主査 糠 森 教 雄
主査 鈴 木   忍
主査 阿 部 真 人
主査 赤 坂 宏 紀
1 説 明 員
農林水産部長 佐 藤 隆 浩
理事 千 葉 義 郎
技監兼
農村整備担当技監 伊 藤 啓 治
技監兼水産担当
技監兼水産振興課
総括課長 石 田 享 一
副部長兼
農林水産企画室長 大 畑 光 宏
農政担当技監兼
県産米戦略室長 藤 代 克 彦
林務担当技監 橋 本 卓 博
漁港担当技監 阿 部 幸 樹
競馬改革推進室長 菊 池 正 勝
技術参事兼流通課
総括課長兼
県産米販売推進監 高 橋 浩 進
参事兼農村計画課総括課長 工 藤 直 樹
農林水産企画室
企画課長 鈴 木 茂 寿
農林水産企画室
管理課長 安 齊 和 男
団体指導課
総括課長 菊 池 信 幸
指導検査課長 佐 藤 宗 孝
農業振興課
総括課長 中 村 善 光
担い手対策課長 今 泉 元 伸
農業普及技術課
総括課長 小 原   繁
農村建設課
総括課長 千 葉 和 彦
農産園芸課
総括課長兼
県産米生産振興監 佐々木 誠 二
水田農業課長 工 藤 祝 子
畜産課総括課長 米 谷   仁
振興・衛生課長 長谷川 和 弘
林業振興課
総括課長 高 橋 一 志
森林整備課
総括課長兼全国
植樹祭推進課長 工 藤   亘
整備課長 及 川 明 宏
森林保全課
総括課長 西 島 洋 一
漁業調整課長 工 藤 飛雄馬
漁港漁村課
総括課長 鎌 田   進
漁港課長 内 藤 俊 喜
県産米戦略監 佐 藤   実

参事兼
財政課総括課長 小 原 重 幸
〇岩渕誠委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第26号から議案第30号まで、議案第33号、議案第35号、議案第37号から議案第39号まで、及び議案第42号の以上31件を一括議題といたします。
 本日の農林水産部の審査につきましては、3月8日の当委員会で決定したとおり、第1部及び第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について、それぞれ審査することとなっておりますので、御了承願います。
 また、本日は、農林水産部関係について延べ22人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしましたので、議事進行に御協力をお願いいたします。
 なお、関連質疑については、目安時間を10分とすることとしておりますので、あらかじめ御了承願います。
 また、これまでと同様に、換気のため休憩いたしますので、御協力をお願いいたします。
 それでは、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇佐藤農林水産部長 農林水産部関係の令和3年度の予算関係議案につきまして御説明申し上げます。
 初めに、当部の予算編成に当たっての基本的な考え方でありますが、新型コロナウイルス感染症対策や東日本大震災津波、台風災害からの復興を着実に進めるとともに、いわて県民計画(2019~2028)のもと、本県農林水産業が、地域経済を支える基幹産業として持続的に発展し、農林漁業者一人一人が、生き生きと働き、暮らすことのできる農林水産業の実現に向けた取り組みを積極的に推進するための予算として編成したところであります。
 まず、復興推進の取り組みについてでありますが、なりわいの再生に向け、地域漁業をリードする人材の育成や、水産物の高付加価値化に取り組むとともに、近年の漁獲量の減少を踏まえ、サケ等の主要魚種の資源回復やマイワシなど増加している資源の有効利用、サケ、マス類の海面養殖など新たな漁業、養殖業の導入を推進してまいります。
 また、放射性物質影響対策として、原木シイタケの出荷制限の解除に向けた検査や、ほだ場の環境整備を進めるとともに、農林水産物の安全・安心と魅力の発信に取り組んでまいります。
 次に、台風災害からの復興については、引き続き、被災した農林水産関係施設の早期復旧に向け取り組んでまいります。
 次に、政策推進の取り組みについてでありますが、まず、教育の分野では、いわてアグリフロンティアスクールやいわて林業アカデミー、いわて水産アカデミーを運営し、本県農林水産業の将来を担う人材の育成に取り組んでまいります。
 安全の分野では、豚熱の発生予防に係る速やかなワクチン接種に向けた備えなど、家畜衛生対策を推進してまいります。
 仕事・収入の分野では、四つの政策項目のうち、一つ目の意欲と能力のある経営体の育成につきましては、経営基盤の強化等を支援し、地域農林水産業の核となる経営体を育成するとともに、女性農林漁業者の活躍促進に向けた環境整備を進めてまいります。
 二つ目の収益力の高い食料・木材供給基地づくりについては、主食用米から高収益野菜等への作付転換を促進するとともに、家畜飼養管理施設や高性能林業機械の整備、ウニの蓄養、出荷モデルの構築、クロソイなどの新たな魚類養殖技術の開発等を進め、生産性、市場性の高い産地づくりを推進してまいります。
 また、水田の大区画化、林道等の路網整備、漁港施設の長寿命化など、生産基盤の整備を着実に進めてまいります。
 三つ目の農林水産物の高付加価値化と販路の拡大については、金色の風、銀河のしずくを核とした県産米全体のブランド力の向上や、いわてモー!モー!プロジェクト2021による県産牛の魅力発信、住宅新築等への県産木材の利用促進などにより、県産農林水産物の高付加価値化と販路の拡大に向けた取り組みを一層推進してまいります。
 また、輸出力の強化に向け、県内事業者等による戦略の策定、実行を支援してまいります。
 四つ目の、一人ひとりに合った暮らし方ができる農山漁村づくりについては、農山漁村を支える人材の育成や都市との交流人口の拡大、防災、減災対策に取り組んでまいります。
 自然環境の分野では、いわての森林づくり県民税を活用し、公益上重要な森林の整備や森林環境教育の拠点施設である森林公園の機能強化に加え、当部以外の部局が実施する県産木材を活用した木育などにつながる取り組みに対し、新たにいわて森林づくり県民税を充当するなど、森林環境の保全に向けた取り組みを一層推進してまいります。
 また、令和5年の全国植樹祭の開催に向け、関係機関等と連携し、着実に準備を進めてまいります。
 最後に、新しい時代を切り拓くプロジェクトに掲げる農林水産業高度化推進プロジェクトでは、スマート農林水産業技術の導入促進など、収益力の高い農林水産業の実現を目指してまいります。
 それでは、予算関係議案について御説明申し上げます。
 まず、議案第1号令和3年度岩手県一般会計予算でございますが、議案その1の7ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算の歳出の表中、農林水産部関係の予算は、6款農林水産業費の548億85万4、000円のうち、県土整備部所管分を除く544億7、452万5、000円、9ページの11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費の16億172万1、000円、12款公債費1項公債費のうち1、117万4、000円及び13款諸支出金2項公営企業負担金のうち1、000万円を合わせまして、総額560億9、742万円となります。これを前年度当初予算と比較しますと279億981万8、000円、率にして33.2%の減となりますが、これは、漁港災害復旧事業費等震災対応予算の進捗等によるものであります。
 予算の内容につきましては予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 12ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、11、公益社団法人全国農地保有合理化協会が公益社団法人岩手県農業公社に融資した資金について、元利金の償還がない場合の不足額の損失補償から、13ページの27、森林クラウドシステム整備までの17件であります。その内容は、公益社団法人岩手県農業公社の事業資金の借り入れに係る損失補償が1件、農林水産業関係の各種資金の融通に伴う利子補給が7件、令和3年度から翌年度以降にわたって施工される工事等に係るものが9件で、いずれもそれぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものでございます。
 次に、特別会計予算について御説明申し上げます。
 22ページをお開き願います。議案第3号令和3年度岩手県県有林事業特別会計予算は、予算の総額を歳入歳出それぞれ36億3、884万5、000円としようとするものであります。
 23ページに参りまして、歳入の主なものでございますが、1款国庫支出金は、県行造林、模範林及び公営林の整備に係る国庫補助金であり、3款繰入金は、一般会計及び県営林造成基金からの繰入金であり、5款諸収入は、立木処分に係る売り払い収入等であります。
 24ページをお開き願いまして、歳出の主なものでございますが、1款県有林事業費は、県行造林、模範林及び公営林の維持管理や保育のほか、県債の償還等に要する経費であります。
 25ページに参りまして、議案第4号令和3年度岩手県林業・木材産業資金特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ7億7、515万6、000円としようとするものであります。
 26ページをお開き願いまして、歳入の主なものですが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するものであり、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等であります。
 27ページに参りまして、歳出の主なものですが、1款林業・木材産業改善資金貸付費は、林業及び木材産業経営の改善を図るため、林業従事者等に対し無利子資金を貸し付けしようとするものであります。
 28ページをお開き願います。議案第5号令和3年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ9億9、438万3、000円としようとするものであります。
 29ページに参りまして、歳入の主なものですが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するものであり、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等であります。
 30ページをお開き願いまして、歳出、1款沿岸漁業改善資金貸付費は、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従事者等に対し無利子資金を貸し付けしようとするものであります。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げます。
 65ページをお開き願います。議案第16号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、かんがい排水事業ほか8事業の農業関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものであります。
 次に、70ページをお開き願います。議案第17号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、県単独治山事業に要する経費の一部を受益市に負担させようとするものであります。
 次に、71ページに参りまして、議案第18号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、地域水産物供給基盤整備事業ほか8事業の水産関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものであります。
 次に、予算関係条例について御説明申し上げます。
 議案その2により御説明いたします。23ページをお開き願います。議案第28号家畜保健衛生所使用料等条例の一部を改正する条例でありますが、これは、病性鑑定に係る手数料の額を4月から増額しようとするものであります。
 次に、28ページをお開き願います。議案第30号岩手県手数料条例の一部を改正する条例でありますが、本条例のうち農林水産部関係の改正内容は、35ページをお開き願います。別表第6(第2条関係)ですが、これは、家畜伝染病予防法の一部改正に伴い、条例で引用している条項が移動したことから、当該条項の整備をするものであります。
 109ページをお開き願います。別表第6(第2条関係)ですが、これは、医薬品医療機器等法の一部改正に伴い、条例で引用している条項が移動したことから、当該条項の整備をするものであります。
 次に、135ページをお開き願います。議案第39号農業大学校条例の一部を改正する条例でありますが、これは、大規模な災害により被災した学生等に対する入学検定料及び入学料の免除について、現行の授業料免除の規定と同様に条例本則に定めようとするものであります。
 以上で予算関係の議案についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇岩渕誠委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇佐々木順一委員 それでは、米の需給均衡策についてお伺いいたします。
 2021年産米は、過去最大規模の作付転換が必要とされております。これは、米の消費が下がり続けていることも一つの要因でありますけれども、主食用米の在庫が積み上がってしまっている、いわば過剰生産というのも大きな要因であろうと思っております。これまでいろいろ作付転換をやってきたわけでありますが、これが期待どおりに進んでこなかった要因をどう捉えているのか、まずは部長の認識をお伺いいたします。
〇佐藤農林水産部長 本県では、国の米政策の見直しを受けまして、県や関係機関、団体で構成いたします岩手県農業再生協議会において、平成30年産から毎年、主食用米の生産目安を決定し需要に応じた米生産を推進してきたところでございまして、本県の主食用米の作付は、これまで生産目安の範囲内ということにしております。
 米の生産、流通は、各都道府県単位で完結するものではございませんので、現在の仕組みは、全国で米の需要に応じた生産を行うことになっており、全国的に十分な対応が行われなければ、米の生産量が需要量を超え、米価が下落し、農業経営に大きな影響を及ぼすことが懸念されますことから、県ではこれまで、国に対しまして、需給安定に向けた実効性のある推進体制の確立を要望してきたところでございます。
 令和3年産の大幅な作付転換は、新型コロナウイルス感染症の影響により、外食の低迷など消費減退や民間在庫量の増加など、米の需給が緩和していることも要因の一つと捉えております。
〇佐々木順一委員 そうなのですね。岩手県だけで完結する問題ではないわけでありますから、いわば47都道府県が共通の認識に立って、そして、足並みをそろえてこの問題に正面から対応しなければ、実効性は全く上がらないということになろうかと思います。
 その上でお伺いいたします。先般、農林水産大臣は過去最大規模の作付転換が必要との現実を踏まえて、極めて強い危機感を持って取り組みを進めると言っております。このように危機感を表明したわけでありますが、2021年産米の需給対策として、国は、各都道府県に対してどのような協力を要請しているのか、恐らくお願いベースだと思うのですが、その内容と多少の何らかの強制力はあるのかどうかお伺いいたします。
〇工藤水田農業課長 需給対策としての国の要請についてでございますが、令和3年産の主食用米につきまして、需給と価格の安定を図るため、全国で過去最大規模の6.7万ヘクタール、平年作ベースの生産量に換算しますと36万トンの作付転換が必要とし、今回、国で措置する施策を最大限活用し、需要に応じた米の生産、販売に積極的に取り組むよう要請をしているところでございます。
〇佐々木順一委員 今、総量の話を聞きましたが、各都道府県に対して、個別に前年と比較してこのぐらい減らしてほしいというお願いはないわけですか。
〇工藤水田農業課長 個別にではなく、全体でこのくらい減産するようにということで、それぞれ国からは、全体で5%を減らすようにということは話をされているところです。
〇佐々木順一委員 全体で5%ということですから、各都道府県も5%という理解でいいのですか。
〇工藤水田農業課長 全体で5%ということを目安に進めるようにというような要請でございます。
〇佐々木順一委員 それでは、この協力要請に対して、本県ではどう対応されるのか。それから、全国の協力も当然求められるわけでありますが、協力を表明している都道府県の状況をもし把握しているのであれば、それもお知らせ願います。
〇工藤水田農業課長 国の協力要請への対応と全国の動向ということでございますが、本県では、令和3年産の主食用米の作付について、前年の作付実績に比べて約1、200ヘクタールの転換が必要となりますことから、県では、主食用米から飼料用米や野菜等への作付転換を進めていくことにしているところです。
 全国の動向につきましては、国が令和3年2月26日に公表した第1回の中間的取り組み状況によりますと、主食用米の作付につきましては、増加傾向の県はゼロでございましたけれども、令和2年産並みが28県、減少傾向が、本県を含みまして19県となっているところです。
〇佐々木順一委員 28自治体は前年度並みと。一言で言えば協力しないということになりますね。全国で取り組まなければ効果がないわけでありますから、この要請も実態が伴わないということだろうと思います。
 それでは、これを踏まえて、県では需給均衡対策事業の一環として、今回新たに水田フル活用農業高度化プロジェクト事業に取り組むこととしておりますが、これは主食用米から飼料用米や野菜などへの作付転換を促すものであると聞いておりますが、目標をどう定めているのか、事業の概要を含めてお伺いいたします。それから、この事業を取り入れようとしている全国の状況もあわせてお伺いいたします。
〇工藤水田農業課長 水田フル活用農業高度化プロジェクト事業についてでありますが、令和3年度当初予算案に盛り込んだこの事業におきましては、主食用米から飼料用米や野菜等へ作付転換した場合に、本県独自に10アール当たり5、000円を補助することとしているものです。
 特に、飼料用米につきましては、国の都道府県連携型助成と合わせますと主食用米の収入額と同等の水準になると見込んでおりまして、この事業の活用などにより、前年に比べて約1、200ヘクタールの作付転換を促していくことにしております。
 都道府県連携型助成の全国の取り組み状況についてでありますが、令和3年度に新設される国の都道府県連携型助成についての県の単独助成につきましては、令和3年2月22日現在で、本県を含めまして15県での実施が予定されていると聞いております。
〇佐々木順一委員 さっきは28県が前年度並み、この事業を取り入れる都道府県は15県と。全くもって、ワンチームで、オールジャパンでやる体制ではないということが明らかになったわけでありますので、これは、期待どおりの効果を上げることは多分難しいのではないかと思っております。
 それでは、農業再生協議会が本県に30ありますが、ここが事業主体になると思いますけれども、本県でやる分についてどういう考えでこの30の農業再生協議会に配分するのか。一律にやるのか、それとも、やらないところも出てくるのか。これらは、これからだと思うのですが、どういう考えで進めようとしているのかお伺いいたします。
〇工藤水田農業課長 生産目安についてでございますけれども、県全体の生産目安は昨年11月の段階で設定しております。その後、各地域の農業再生協議会に生産目安の計算を示して配分したところでございます。県の生産目安は、令和3年産につきましては25万2、945トンでございます。これを面積換算しますと4万6、961ヘクタールでございます。
 これを今申し上げたとおり各地域に配分したわけですけれども、昨年11月の段階でしたので、先ほどのような5%を減らすという話ではございませんでした。このため、今、各地域農業再生協議会に対して、説明会を開いて今後の県の事業、国の事業について説明しながら、転換を促進することとしております。
〇佐々木順一委員 部長に聞きます。30の農業協議会全部でやってもらわないと、うちはやらないとなったら、これまたおかしなことになると思いますが、考え方はどうですか。傾斜配分でやるとか、あるいは、特殊事情だから、ここは例外もあるかもしれませんが、基本的にどういう考えでやるのですか。
〇佐藤農林水産部長 県の農業地域再生協議会で来年の生産目安を決めておりまして、それを各地域の農業再生協議会ごとに面積を割り当てとなっております。各地域の農業再生協議会では、今回の作付転換に係るメニューがいろいろございますので、それぞれを組み合わせて、その範囲できちっと地域の農業再生協議会ごとの作付目安を守っていただければ、それで十分だと思っております。
 これだけをやってくれとか、これをぜひということではなくて、いろいろメニューを用意しておりますので、それぞれのところで最適な組み合わせでやっていただければよろしいかと思っております。幸い、本県は、毎年こうやって目安を立てて各地に割り当てをしてやってきておりますが、大概、目安の範囲内におさまっております。時々ちょっとだけはみ出すところもあるのですが、県全体とすれば、目安の範囲にずっとおさまってきているということでの対応になっております。
〇佐々木順一委員 いずれにしろ全国の足並みがそろわないということだけははっきりしておりますので、また在庫が積み上がる可能性は十分あり得るわけであります。簡単に言うと、農家がつくった備蓄米によって、今の農家が苦しめられているということだと思うのです。
 先般、農林水産大臣は、子ども食堂に対する政府備蓄米の無償提供の上限数量の引き上げ方針を明らかにしたところでありますが、焼け石に水の感がないとは言えないと思います。それでも、発想とすれば、それはそれで一定の評価はしたいと思うのですが、備蓄米をどこかで放出して、その分、市場から買い取って埋めていくことが本来望ましいと思うので、子ども食堂への無償提供も一つのアイデアとしては評価するわけであります。
 農業団体も再三再四にわたって備蓄米以外の米を隔離してくれということを要請しているわけでありますが、国は一向にそれは聞く耳持たずということであります。けれども、積み上がる米が農家を苦しめているという実態もあります。
 今、世界的に食料危機であります。あすの食料さえも調達が困難であるという貧しい国がいっぱいあるわけでありますから、国で備蓄米の枠組み以外に、やはり人道支援という観点に立って、これを貧しい国々に提供すると在庫が減るわけであります。そうすると作付の調整もこんなに苦労しなくて済むわけでありますが、どうでしょうか。今まで部長も余剰米の関係についてはいろいろ要請してきたと思うのですが、多分、そういう発想も要請の中には入っていると思います。なぜ国はこれができないのでしょうか。やる気がないのか。その辺、もしわかっているのであれば、お知らせいただきたいと思います。
〇佐藤農林水産部長 国の政策、食料全体の関係の考え方、地球規模の考え方ということだと思いますけれども、どういう考え方で今の政策になっているかを内容的にうかがい知る立場にはございません。いずれ、これからも人口減少が進むことが見込まれますので、本県においては、需要に応じた米の生産についてはきちっとやっていくし、それから、水田を最大限に活用いたしまして、高収益な野菜の作付拡大を推進して、農家の所得確保、向上が図られるように取り組んでまいりたいと思っております。
 いずれ、冒頭の答弁でも申し上げましたけれども、米の需給と価格の安定を図るためには、国全体での取り組みが極めて重要でございますので、県ではこれまでも、需給安定に向けまして実効性のある推進体制の確立とか民間在庫の解消が図られるように、主食用米を市場から隔離することを要望してきたところでございます。
 引き続き、国全体で主食用米の需給と価格安定が図られるよう、今後とも国に対して必要な対策は求めてまいりたいと思っております。
〇佐々木順一委員 それでは、いずれ47都道府県で28自治体は協力しないと言ったら表現は悪いですが、去年どおりだと。それから、15県は連携型でやるということでありますが、ほかの県は全然関心がないということでありますので、これ自体、日本全国で取り組もうという体制にはなっていないわけであります。
 やはり、これは全国で足並みをそろえてもらうように、まずこの辺から始めてもらわないと、やるところだけやって、やるところだけ我慢するというようなことにもなりかねないわけでありますので、あわせてこういうことも国に要望していただくようにお願い申し上げまして終わります。
〇工藤勝子委員 畜産振興について2点お伺いいたします。
 まず一つは、獣医師確保対策についてでございます。
 岩手県の作物別産出額から見ますと、平成30年のセンサスですけれども、2、727億円で全国の第10位、畜産から見ますと1、608億円で全国第4位、全体の産出額を見ると59%を畜産が占めております。こういう中において、今後、岩手県の農業産出額を伸ばすためには、畜産が大変大事ではないかと思っております。
 そういう中におきまして、畜産振興においていろいろな課題がありますけれども、今回は獣医師の役割も大変大きいと思っています。県内における産業動物における獣医師の不足と偏在をどのように捉えているかお伺いいたします。
〇長谷川振興・衛生課長 本県の牛等を診療する獣医師は、令和2年12月末現在120名となっており、このうち、県農業共済組合の獣医師が50名、開業獣医師が70名となっております。
 また、獣医師の偏在状況を見る一つの手法として、県内で飼養されている牛の頭数を診療する獣医師数で割った獣医師1人当たりの診療対象頭数を見ますと、県平均で約1、000頭となっており、これを地域別に見た場合、奥州、金ケ崎地域では約760頭、花巻、北上地域では約960頭と県平均を下回っている一方、磐井地域では約1、800頭、遠野、沿岸地域では1、200頭と県平均を上回っており、これらの地域では獣医師が受け持つ家畜頭数が多く、獣医師の負担が大きくなっていると捉えています。
〇工藤勝子委員 捉えているだけでは大変困るわけでありまして、やはりしっかりと獣医師の不足を県としても補うとか、その偏在を県の力で何とかしていかないといけないわけであります。
 私もわずかですけれでも畜産をやっており、7頭か8頭しか飼っていないのですが、それでも、ぐあいが悪いときに、やはり獣医が来るのを待っているわけです。
 獣医師学生への修学資金の貸付制度がございますけれども、その状況についてお伺いいたします。
〇長谷川振興・衛生課長 獣医師学生への修学資金の貸し付け状況についてでありますが、県では、産業動物獣医師を含めた獣医師を確保するため、平成3年に県事業として獣医師修学資金制度を創設し、平成29年度からは国事業も活用しながら、これまでに合計78名に修学資金の貸し付けを行い、卒業した59名のうち34名が県に、12名が産業動物関係業務に従事しているところです。
〇工藤勝子委員 そういう中において、私が入学者のことを聞きましたら、県外から入っている学生が多いと聞きました。県外から入ってきますと県外に戻られるという話もありました。そういう形の中でやはりこの修学資金の貸し付けがあるわけで、10年以上岩手県に就業すれば免除になるということです。
 今後、畜産県という岩手県において、獣医師を確保するために、例えば岩手県の入学生をふやしていくための対策もしっかりとらなければだめだと思うのです。県外から入った人は、修学資金を受ければ10年は残るでしょうけれども、そういう形の中でどういうことに取り組んでいくのかということをお聞きしたいと思います。
〇長谷川振興・衛生課長 県外から獣医師の学生を呼び込むという御質問かと思いますけれども、まず、県内には国立の岩手大学がございます。これ以外にも、全国には17の獣医系の大学がございます。県といたしましては、岩手大学もそのとおりではありますけれども、この17の獣医系大学をターゲットに、特に東日本にあります9の大学に、就職の説明会等を開催した折に訪問し、県にぜひ来ていただくように、県の獣医師としての業務はどういうものがあるかをPRしているところです。
〇工藤勝子委員 結局、歩いていてもなかなか成果が出てきていないというところもあるのではないかと思っているのです。ですから、例えば中学生、高校生、こういうところにもうちょっとターゲットを絞って、獣医師科の必要性、いろいろな職業として選択できるようなPRはしていないでしょうか。
〇長谷川振興・衛生課長 これから獣医師を目指す、例えば中学生、高校生に対して、県の業務にどういうものがあるかのPRという御質問ですけれども、中学生、高校生に対するPRですが、例えば、中学生では職場体験の場がございます。その中で、獣医師に興味があるという生徒に対しては、当然ながら、獣医師の業務とすれば、犬や猫を対象とした小動物診療がございますけれども、それ以外にも、県の家畜保健衛生所というところで獣医師として業務に当たることができる、そこをPRするために、中学校から職場体験のお話を受けたときには、家畜保健衛生所でこれを受けるようにして、県の獣医師がどういう仕事をしているかをお伝えしているところであります。
〇工藤勝子委員 12月定例会において、岩手県の共済組合から請願が出されました。家畜診療に関する獣医師偏在の解消及び獣医療過疎地域における獣医療提供体制の整備に関する請願が、全員賛成で可決されました。
 請願を受けて、今後、獣医師確保に県としてどのような取り組みをするかお伺いいたします。
〇長谷川振興・衛生課長 請願の可決を受けての県の対応ですけれども、県では、獣医系大学を卒業する学生の多くが、小動物診療等を希望する傾向にあることや県内の牛等を診療する獣医師の高齢化などにより獣医師の不足が懸念されることから、牛などの産業動物診療獣医師を確保していくことが、畜産振興を進める上で重要と認識しております。
 このため、一定期間、県内の産業動物分野で獣医師として従事した場合に償還を免除する獣医師修学資金貸し付けについて、令和3年度当初予算案においては、前年度に比べ3名分を増額するほか、獣医系大学への訪問による県内への就業勧誘や、家畜保健衛生所等での獣医学生のインターンシップ誘致などに取り組むこととしております。
 今後とも、関係団体と連携しながら獣医師確保に積極的に取り組んでまいります。
〇工藤勝子委員 女性の獣医師もいらっしゃいます。そういう中で活躍しておりますけれども、やはり結婚すると、子育てでまた休むわけです。特に下閉伊、上閉伊、気仙地区は非常に獣医師が不足しておりまして、長時間かけて遠野市から山田町までも行く。そして、住田町を越えて陸前高田市、大船渡市まで行くという状況であります。そうすると高齢になってくるととてもきついということで、宮城県のほうに移る獣医師もいるわけです。やはりここをしっかり押さえていかなければならないのではないかと私は思っております。
 そしてまた、国の制度が変わったのですね。今までは、共済全体で獣医師の赤字の部分を補填してきました。しかし、仕組みが変わってこれができなくなってしまったのです。そして、逆にその赤字の部分を今度は農家に負担させなければならないという状況になってきているわけであります。
 そういう中では、岩手県の畜産振興は非常に危機的な状況になってきているのではないかと。県はもうちょっと問題意識を持ってほしいと思うのですけれども、部長、どうでしょうか。
〇佐藤農林水産部長 本県は、委員からもお話がございましたとおり、畜産県ということでございますので、そういう意味で、防疫体制とかを進める上で獣医師の役割は非常に大きいものと思っております。
 今、委員からお話がございましたが、制度の見直しにより赤字補填等ができなくなったこともございまして、これについては、運営を進める上でちょっと問題があるなと思っております。今までも獣医師の確保は大変重要なことだということでいろいろな取り組みをしてまいりましたが、岩手県家畜畜産物衛生指導協会や岩手県獣医師会などの関係機関と連携を密にいたしまして、県の獣医師確保の取り組みを一層進めてまいりたいと思っております。
〇工藤勝子委員 どうぞよろしくお願い申し上げたいと思っています。
 もう一点、いわてモー!モー!プロジェクトについてお伺いいたします。
 12年前も、たしかうし年ということでMOWMOWプロジェクトが出されました。私は、畜産振興のためにこれは続いていくプロジェクトだと思っていましたが、あのとき1年で終わったのですね。
 その成果、反省を受けて、ことしはうし年で、またこのいわてモー!モー!プロジェクトを出してきたのですけれども、その辺のところはどうなのでしょうか。本当にこのいわてモー!モー!プロジェクトが畜産振興につながると考えていますか。
〇藤代農政担当技監兼県産米戦略室長 12年前もうし年ということで、牛に焦点を当てて、牛の畜産振興ということで生産に対する取り組みあるいは販売に対する取り組みがさまざま行われて、委員御指摘のとおり、若干、1年で終わったというところはございます。そういった部分につきましては、引き続き生産対策あるいは販売対策に取り込んで、継承しながらやってきて、今回、また、うし年ということで改めて、いわてモー!モー!プロジェクトを立ち上げて、令和4年には全国和牛能力共進会もある、あるいは牛の輸出、あるいはこういったコロナ禍の中で、県内で牛肉の消費拡大をしていかなければいけないという状況がございますので、これをきっかけに、さらに県内の畜産が、生産、流通のほうで盛り上がっていくような形で取り組んでいけたらと考えているところでございます。
〇工藤勝子委員 私は一つ記憶にあるのですが、このMOWMOWプロジェクトで、たしか牛飼い女子の缶バッジをつくったり、組織を立ち上げたはずなのです。そういうものもしっかり検証していく必要があるのではないかと今回思っています。
 そして、今話がありましたけれども、2022年、鹿児島県で開催される和牛のオリンピックとも言われる全国和牛能力共進会の開催があります。官民一体となった取り組みということがありますが、今の段階でどういう取り組みを計画しているでしょうか。
〇米谷畜産課総括課長 全国和牛能力共進会に向けての取り組みについてでございますけれども、県では、平成30年度に策定いたしました第12回全国和牛能力共進会総合戦略に基づきまして、これまで、生産者の指導を行う専門職員の育成、雄、雌それぞれの候補牛を計画的に生産するための性判別精液の活用等を進めて交配を進めてきたところでございます。
 また、昨年10月には、JAや全農などの関係機関、団体の職員を対象に、子牛の育成管理等に係る研修会を開催いたしまして、改めまして全国和牛能力共進会に向けた関係者の機運醸成を図ったところでございます。
 現在、県やJA等で構成する支援チームが、各地域で出品候補牛の分娩状況や発育状況を確認しておりまして、今後とも、すぐれた出品牛の造成に向けて、生産者や関係団体と緊密に連携しながら、計画的に取り組みを進めていきたいと考えているところです。
〇工藤勝子委員 今回、全国和牛能力共進会におきまして、新たに脂肪の質評価群が出品区となったのですけれども、この対応もどのように考えていらっしゃいますか。
〇米谷畜産課総括課長 脂肪の質評価群につきましては、牛肉のおいしさの指標とされておりますオレイン酸含有量の多い牛肉の評価が非常に高いということで、牛肉中のオレイン酸含有量の遺伝能力の高い菊勝久という県有種雄牛を選びまして、その種雄牛と優良な繁殖雌牛との計画交配を進めてきたところでございます。
 これまでの取り組みによりまして、出品条件を満たす約30頭の雄子牛が生産されております。今後、その中から20頭程度を選抜いたしまして、すぐれた肥育技術を持っている農家の方、経験を有する生産者のもとで肥育していくこととしております。
〇工藤勝子委員 私は、本当は宮城県の大会が近場でやるわけですから大きな期待をしたわけですよ。ところが、余り評価できるような成績にはならなかったということであります。
 そういう中において、他県では、終わったときから、次の5年後の全国和牛能力共進会に向けてもう既に取り組みを始めているわけです。ですから、今聞いたら、私は遅いのではないかと思うのです。やはり全国で評価を得るような牛を出す、畜産県岩手とするならば、そこにもう少し力を入れていかなければならないのではないかと思っております。
 そういう中において、県種雄牛がございます。畜産農家の評価と人工授精等に使用されている状況についてお伺いいたします。
〇米谷畜産課総括課長 平成30年度に県有種雄牛として選抜されました菊勝久や安久勝晃について、脂肪交雑などの検定成績が本県歴代最高であるということがございます。生産者に高く評価されたものと考えておりまして、今年度の県内和牛子牛市場への上場頭数を見ますと、菊勝久は、令和3年2月末現在で約1、400頭と、前年度の約170頭に比べまして大幅に増加しております。安久勝晃につきましても、県南和牛子牛市場におきまして種雄牛別の上場頭数を見ていきますと、令和3年1月以降、3カ月連続で1位となっているということでございます。そういうことで、頭数的には結構ふえてきていると感じております。
 また、県有種雄牛の凍結精液の利用につきましてですが、先ほどお話ししました菊勝久などの利用増加に伴いまして、令和元年度は約1万1、000本と、菊勝久などが選抜前であった平成29年度に比べますと約2、000本の増となっておりますので、県内での利用が着実にふえていると感じております。
 今後とも、全国トップレベルの種雄牛の造成をしていくとともに、県有種雄牛の利用が拡大していくよう取り組んでいきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 こういう中において、結局、岩手県生まれ、岩手県育ちというものが非常に大事になってくると思っていますし、その辺も高く評価される部分になってくるのだろうと思っていました。
 通告していましたけれども、鹿児島県の全国和牛能力共進会において、岩手県はどこを目標としていますか、お聞きしたいと思います。
〇米谷畜産課総括課長 鹿児島の全国和牛能力共進会に向けましては、関係団体と宮城県の全国和牛能力共進会終了後に、他県でのどういう取り組みをしたかとか、ベンチマークをしながら、平成30年に第12回全国和牛能力共進会総合戦略を立てました。その中で、鹿児島の全国和牛能力共進会の中での上位入賞を目標に掲げておりまして、具体的には、全ての出品区でまず優等賞をまず獲得すること。そして、その優等賞を獲得した中から、さらに3位以内に入賞することを目標に掲げております。
 その目標を目指しながら、現在、生産者、関係団体と連携しながら取り組みを進めていくこととしております。
〇工藤勝子委員 ぜひ頑張っていただきたいと思っております。
 今度、新聞に出ました飛良智という種雄牛が期待されているところでありますが、これは畜産農家に今後どのようなPRをしていこうとしているのかお伺いします。
〇米谷畜産課総括課長 飛良智は、今年度選抜した種雄牛でございます。確かに枝肉、重量とも検定成績が歴代最高ということで期待されている種雄牛でございます。
 飛良智のPRですけれども、令和2年度ですが、和牛の専門誌が2誌ありまして、その2誌に広告を掲載したということがございますし、凍結精液の販売のときに、県職員がついていきまして家畜人工授精師がPRを行ったりしております。
 今後、こういった凍結精液等の販売のときに、種山畜産研究室の職員等がついていって一生懸命PRをしていきたいと思っていますし、その中で、県有種雄牛の情報やその利用動向のような情報を取りまとめながら、授精師や生産者に情報を伝えていきたいと考えているところでございます。
〇工藤勝子委員 ぜひ、畜産王国岩手県の畜産振興のために、いろいろな分野でもうちょっと力を出していっていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇千葉伝委員 ただいま工藤勝子委員から本県の畜産振興、とりわけ獣医師確保等の質問があったわけであります。しょっちゅう畜産のほうにはお願いはしているわけですが、本県の畜産は、先ほど来話が出ているとおり、2年前の農業生産額が3、700億円のうちの1、600億円、6割近くを畜産で占めているわけであります。その中で、畜種はいろいろあるわけですが、それを見ているのが、もちろん飼養者、それから地域の農協とかさまざまな共済もあるわけですが、獣医師が治療したり指導したりという立場でやっている。
 そういった中で本県の獣医師の状況は、先ほど来話があるとおり、大変厳しい状況にあるということであります。獣医師確保のさまざまな分については、もちろん農林水産部だけではなくて、環境生活部も含めて、共済組合等さまざまな観点から頑張っていただいている分については私も評価しているわけでありますけれども、それでも、なおかつ現状はという話になったときに、なかなか本県の獣医師確保がままならない。もちろん現状で畜産とペット等があるので、獣医師の仕事はたくさんあるわけですけれども、ペット等があるので、そういった中で、今、獣医師は、全国17大学で約1、000人が合格おり、卒業してくる就職先という話になってくると、女性が約6割を占めている中で、ペットなり研究機関とか、そちらのほうに行くということであります。
 そういった中でどうやって本県の獣医師確保を図るかと。そこの部分で、先ほど小学校、中学校あるいは高校から本県出身者の獣医師を一人でも多く育てるということで、県内はもちろんですが、ほかの県の大学にも行ってお願いしているというのも聞いております。
 他県から来た人たちが岩手県に就職したいという環境の一番大きいのは、給料も含めた待遇ということが、やっぱりそこに出てくるということであります。
〇岩渕誠委員長 関連であることを踏まえ、簡潔に願います。
〇千葉伝委員(続) はい。岩手県の獣医師の待遇について、大体東北6県の中位だと思っておりますが、現状はどの位置というかどの程度になっているかお聞きします。
〇長谷川振興・衛生課長 ただいま御質問のありました給料の面につきましては、ただいま手元に資料がございませんので、後ほどお伝えしたいと思います。
〇千葉伝委員 私は獣医師会の顧問もやっており、お願いにも行っておりますが、私も今ここで数値がぱっとは出てこないのですけれども、いずれにしても、東北6県の中でも中位ぐらいだと見ています。全国の中では、福岡県が獣医職という給料表をつくっている。ただ1県だけですけれども。これから先は、待遇もしっかりしていかないと、本県に来る獣医師が、やっぱりほかの県に、そっちのほうがいいかなと多分なると思いますので、これからの待遇をよくしていただくことです。
 共済のほうに話を聞くと、いや、県が頑張ってもらうと共済のほうもと。ただ、工藤勝子委員も言っていましたけれども、共済のほうも今採算が余りよくないため、独立採算の中で切り離したやり方をしていると。これもまた厳しいということで、獣医師の確保も難しくなってくるのではないかと思っております。
 今後の岩手県の獣医師確保において、先ほど言った待遇も含め、これからどこに力を入れていくか、改めて部長にお聞きしたいと思います。
〇佐藤農林水産部長 獣医師の確保は、先ほども申し上げましたけれども、畜産県である本県にとりましては非常に重要な問題だと考えております。
 本県に勤めている獣医師が、大学OBのつてというものもありますので、大学を一生懸命訪問して確保するといったこと、それから、要望もございますので、待遇改善といったことも必要と考えております。
 農林水産部だけで対応できる問題ではございませんので、引き続き総務部等と協議をしながら、どういった対策がとっていけるのか、何が有効なのかを常に考えて獣医師の確保に努めてまいりたいと思っております。
〇千葉伝委員 いずれ、今、全国でも鳥インフルエンザあるいは豚熱、豚熱もアフリカ豚熱が発生してくるとなれば、とてもじゃないが今以上に大変になってくるということも踏まえて、部長の答弁に期待して、質問を終わります。
〇岩渕誠委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。

午前11時2分 休 憩

午前11時17分 再 開

〇岩渕誠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇工藤大輔委員 それでは、最初に6次産業化についてお伺いしたいと思います。
 県ではいわて6次産業推進プランを策定し、2019年から2020年を計画年度として取り組んでいますが、総体的に現在の成果をどのように評価しているのかお伺いします。
〇高橋技術参事兼流通課総括課長 6次産業化についてのお尋ねでございます。
 県におきましては、いわて県民計画(2019〜2028)と、ただいま委員からお話のありましたいわて6次産業化推進プランに基づいて、農山漁村の所得向上と農山漁村の活性化に向けて、もろもろ取り組みを推進しているところでございます。
 その評価でございますが、6次産業化による販売額を目標数値として掲げておりまして、2016年度実績303億円から、2021年には385億円まで増加するという目標で取り組みを進めております。国の統計数値ですので1年のタイムラグがございますが、そうした目標を掲げて取り組みを進めているところでございます。
 具体的な取り組みといたしましては、いわて6次産業化支援センターを中心に、専門家を派遣して、商品開発や販路開拓といった取り組みを支援しておりますほか、地域内の多様な主体と連携した地域ぐるみの6次産業化を進める人材の育成といった取り組みを進めているところでございます。
 その数値でございますが、2018年につきましては、実績が320億円となっておりまして、目標数値には届かない状況になっております。これは販売額の6割を占める産直施設の伸びが鈍化してきたといったことでございまして、今後しっかり支援を進めていかなければいけないと考えているところでございます。
〇工藤大輔委員 今答弁がございましたとおり、6次産業の販売額の約6割を産直が占めているということで、この産直施設の販売の増というのは、納入されている方、そして加工品等にも非常に影響が出てくることになりますので、この取り組みはぜひ強化していただきたいと思いますし、コロナ禍で観光客等も来ないこともあって大変だと思いますが、それをフォローする仕組みとしても、インターネットの通販等にも取り組まれていますが、その成果についてお示し願います。
〇高橋技術参事兼流通課総括課長 産直施設を含め、6次産業化に取り組む皆様への支援の一つとして、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って、令和2年度一般会計補正予算で措置をし、インターネットを活用した販売促進の取り組みを支援しているところでございます。
 この取り組みによりまして、23事業者の皆様に御参加いただいて、47クラブの通信販売サイトで販売していただくといった支援を行っているところでございます。
 このコロナ禍、そしてまたアフターコロナも含めて、こうした通信販売サイトを活用した多様な販売が今後必要になってくるということでございます。県としては、産直施設に対しては新型コロナウイルス感染症感染防止対策もございますし、引き続き、ただいま申し上げたような通信販売サイトを含め多様な販路の拡大、そして、何よりも売り場での販売環境につきまして、集客の促進もしっかり支援していきたいと考えているところでございます。
〇工藤大輔委員 通信販売サイトも多数ある中で、どういった形でアプローチをして、それを販売に結びつけるか、これは課題だと思いますが、積極的に取り組んでいただきますようよろしくお願いしたいと思います。
 そして、2015年に食品表示法が施行されました。それによって栄養成分の表示、原材料、そしてアレルギーの表示等で一部変わってきたものがあり、2020年4月から義務化ということになっています。
 また、食品衛生法も改正になりました。これについては、これまで許可不要だった漬物製造業であったり、魚卵などを原料とする水産製品などは許可が必要となり、猶予期間を過ぎれば基準を満たす専用の調理室が必要になるということ。また、HACCP対応をする衛生管理に関しても、現在は、小規模事業者が簡易版で認められていますが、経過措置が終われば、業界の手引に沿って衛生管理計画を作成しなければならないということで、今後、加工品等にかかわっている方、そしてまた新規に参入したい方においては、少しハードルが高くなってみたり、生産意欲という観点からも非常にフォローしなければならないことになっていると思います。
 これについては環境生活部が主体となりますけれども、農業者が大きくかかわっている分野でもありますので、担当課でもフォローしていただきたいと思いますが、これからの取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇高橋技術参事兼流通課総括課長 食品に関する法の改正への対応ということでございます。
 食の安全・安心をしっかり確保し、消費者に本県の高品質な、そしてまた魅力ある農産物をしっかりお届けしなければいけないということでございます。
 ただいまお話がございましたように、農林水産部におきましては、これまで、新しい表示ルールの施行に合わせて、環境生活部などの関係部局と連携し、食品表示制度の改正内容について、広く関係の皆様に周知を図ってきたところでございます。
 先ほどお話しいたしました産直施設あるいは小規模の加工事業者の皆様に対しましても、研修会を開催いたしましたり、あるいはチラシの配布などによって、こうした国制度の動きにつきましてしっかり情報提供を行ってきたところでございます。
 いずれ、小さい規模の事業者の方々が多いということでございますので、中小規模の産直施設も含めて、引き続き、制度の円滑な実施が図られますようしっかり周知活動を行いながら、ことし6月まで適切な対応が行われるようにフォローに努めてまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 費用負担が伴ったり、申請等の手間とか準備の手間かかってしまって、どうするか迷っているような、これからを不安視されている生産者もおりますので、しっかりとフォローをよろしくお願いしたいと思います。
 次に、冷凍技術の活用についてお伺いしたいと思います。
 高齢化、少数世帯、また共働き世帯が増加傾向にあり、便利で簡単な冷凍食材の需要が非常に高まっていると思っております。そうした中で、冷凍技術を活用した新たな販路の構築等も必要と考えますが、冷凍食品の今後の可能性と県の取り組み状況についてお伺いします。
〇高橋技術参事兼流通課総括課長 ただいま委員からもお話がございましたが、消費者の食に関する考え方、それから消費スタイルが大きく変わってきているところがございます。また、コロナ禍によりまして、巣ごもり消費がふえているということで、冷凍食品の需要が非常に増加していると、しっかり認識しているところでございます。
 そうした中で、県産の農林水産物についても、冷凍技術の活用によって、新たな商品、新たなビジネスにつながる可能性があると受けとめております。
 県におきましては、本年度の一般会計補正予算第3号で措置いたしました県産農林水産物販売促進緊急対策事業によりまして、県内の料理人の皆様、生産者等の協力のもと、例えば、県産の短角牛あるいはヒラメを使った通信販売向けの冷凍食品の開発に取り組んでおります。そこで得たノウハウにつきまして、求評会を行ったり発表会を行ったり、県内の生産者、食品加工事業者等と共有を図っているところでございます。
 この急速冷凍技術はまさに急速に進歩しておりまして、こうした最新の技術を活用しながら、今後も引き続き、専門家のお力をおかりするでありますとか、研修会などを開催して、商品開発、新たな販路開拓などの取り組みを支援してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 この一般的な冷凍食品は海外から多く輸入されているということもあります。そういった中、国内の安全・安心な食材の信用性、またそういったものの海外へ輸出というものも、今後、展開の可能性が出てくると思います。
 また、今紹介していただきました急速で高規格な冷凍技術が日進月歩で進んでいることもあって、県内でもセルアライブシステムを導入している加工場が大船渡市にありますし、あとはプロトンという技術を活用した冷凍庫は大槌町にあります。
 そのほかにもハイブリッドアイスとか、食品の細胞を傷つけることなく、ドリップを発生させにくかったり、また、解凍後の風味や食感が凍結前のものに限りなく近いものをつくることができる新しいすぐれた例等技術があるということで、そういった分野についても、ぜひ積極的にさらに研究していただきたいと思います。
 ただ、加工される方等が、その技術についての理解がまだ十分深まっていなかったり直接体験したことがなかったり、また、導入やランニングコストの課題もあると思います。例えば、以前ウニなどは、たしか節アライブシステムではできないと聞いたことがあったのですが、これらを導入することによって、ウニの冷凍ができれば通年出荷ができるとか、今までできなかったものが、別の技術を使えば出荷ができる。プロトンなどでは可能性が今あるようですけれども、そういったものを研究機関でも研究していただいて、その成果を県内の加工業者また漁業協同組合に周知していただいて、ぜひ一体となって通年出荷に向け、また高品質な県産品を出荷できる体制を築いていただきたいと思います。
 来年度以降、どのような点に注視して取り組んでいこうとするのかお伺いします。
〇高橋技術参事兼流通課総括課長 ただいま委員からもお話がありましたが、セルアライブシステムあるいはプロトン、リキッドタイプ、それから3Dフリーザーとさまざまなタイプの急速冷凍機が普及しているということでございます。
 本県におきましても、沿岸地域におきましては、東日本大震災津波の復旧、復興の事業を契機といたしまして、ただいま申し上げたような急速冷凍機の導入が進んでいるということでございます。そうした事業者の皆様方にお話をお聞きいたしますと、今、委員お話しのように、まだ活用がしっかりされていないところも多いようでございます。
 一方で、海外のお話がありましたが、まさに冷凍してしまえば船便でも運ぶことが可能になりますので、大変大きな可能性があると思いますし、そういった問い合わせも実は幾つか出てきているような状況もございます。
 したがいまして、冷凍技術につきましてもさまざま魚種によって今後まだまだ開発要素がございますので、産学官、大学も含む研究者の皆様方にもお力をおかりして、そうした取り組みをしっかり県内に普及し、農林水産物の販路拡大につなげてまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 いずれ、生鮮食材の場合等は、生産過剰や不足ということが目の当たりになる事例も時々あります。そういった際に食品ロス等も発生してしまうということで、こういった冷凍技術があると、この食品ロスにも対応できることにもなります。
 日本等が築いている新しい冷凍技術を活用していくことで、できれば計画等にもしっかり盛り込み、そういった技術も活用しながら、国内への販売展開をしていくというぐらいの強力なスタンスで取り組んでいただきたいと思いますが、何か一言あればお願いします。
〇高橋技術参事兼流通課総括課長 ただいま、コロナ禍で飲食店の業界が非常に御苦労されているわけであります。そういう面で、体力的にも非常に大変な状況にあるということでございます。
 例えば、今お話のありました食品ロスの話も、飲食店から、できるだけそういった食品ロスを発生させない、経営のリスクを低くしたいといった御要望もお伺いしております。
 今回こういった冷凍技術を活用する場合、前処理をしっかりして、1回当たりの使い切りといったようなできるだけ食品ロスの少ない商品も想定されるわけでございまして、SDGsの高まりもございますので、しっかりそうした観点で進めていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 私は1点、大雪被害の農業用パイプハウスの再建についてです。
 国でもいち早く対応を示していただき、なおかつ、県でも積み増しの対策を早くしていただいたことは、高く評価したいと思います。ただ、予算を決定するだけではなくて、いち早く再建に向けた動きをしていくという、経過をフォローアップすることも大事だと思っていますので、その観点で質問させていただきます。
 質問の1番目は、撤去と再建の現況について。なかなか施工業者が間に合わないという情報があったりして、一部農協職員等が撤去のお手伝いをするなどというお話も聞いていますが、今どういう状況にあるのか、概況を示していただきたいと思います。
〇中村農業振興課総括課長 今冬の大雪によりまして、パイプハウス等を中心に多くの農業用施設等が被災いたしました。現在、市町村等におきまして、被災した農業者を対象とした復旧支援策の説明会を開催しております。事業要望を取りまとめたものを、まさに今やっている状況にございます。
 また、一部の地域では、既に被災したパイプハウスを撤去いたしまして、30棟以上が再建されたという事例も聞いております。
 被災した施設全体の再建完了を今の時期に見通すことは難しいわけでございますが、春作業を迎えておりますので、今後さらに再建が進んでいくものと見込んでおります。
〇飯澤匡委員 参考までに、三つのカテゴリーで、農協などが組織する団体、3戸以上、これは自力施工を想定したもの。それから、市町村が事業主体となる独自にハウスメーカーに発注するもの。それから、農業者が組織する団体、これは、先ほど申し上げましたように、農協など5名以上の団体が、新しくハイブリッドの方向に、耐候性ハウスへと建てかえするもの。この三つのカテゴリーがあって、おのおの支援策があるわけですが、本県の場合、大体どういう流れになっているのか。まだ具体的に数字は出ていないと思うのですが、傾向としてどういうことになっているのか、把握していれば教えていただきたい。
〇中村農業振興課総括課長 3種類の事業のカテゴリーがあるということでございますけれども、今まさに事業の公募期間中であります。特に、生産資材の導入を持続的に支援する事業につきましては、一度、令和3年3月5日の締め切りということもございまして、なかなか事業に乗れない方もありましたが、その事業につきましては、おおむね50棟の事業の申請が上がってきております。
 一方で、余りにも締め切りが早いということもございまして、いろいろな声が現場から上がりまして、国も先般、年度を明けて追加の要望を再開するという動きにもなっております。
 今後、そういった形でいろいろなパターンの国の支援策をまずは積極的に活用を進めていく。そして、それでもなお漏れるような農業者に対しましては、県単独事業も措置しておりますので、しっかりときめ細かに対応してまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 大変やる気に満ちた答弁で結構だと思います。けさ、元農林水産部長だった方が、園芸用パイプハウスは本県農業の戦略として導入されたものであるということで、そのような思いを持っているのが、皆さんにも受け継がれたものだと思います。
 それで、具体的にお伺いしますけれども、再建の現場作業をする受け手がなかなかいないので、資材は何とか集めていても施工するのに時間がかかっているという現状を聞いております。
 暖冬が続いて、園芸用ハウスも大分積極的に導入されて、それが今回の大雪でこういう困難な状況になったわけですが、現場の施工状況について皆さん方はどのような把握をして、どういう解決策を講じようとしているのかお知らせください。
〇佐々木農産園芸課総括課長 現場の施工状況ということでございますけれども、本県におきましては、農業用ハウスの設計、施工、販売を行う農業用ハウスメーカーが1社という状況でございます。それから、東北地方におきましては、本県の1社を含めまして8社、そして全国で見ますと17社ほどとなっております。
 そのほか、生産者に農業用ハウスの資材を販売する代理店、こちらは施工も請け負う代理店もございますけれども、約10社という状況になっておりまして、現在、地域からの要望を踏まえた中で施工を進めている状況と捉えております。
〇飯澤匡委員 今、会社の数は報告を受けましたけれども、実際現業でやるやり手の施工業者は限られているわけです。今の時点でもあと40棟ぐらい建てなければならないというようなことも聞いています。これは需要と供給の関係で、これまで通常ベースでやってきたものが、急激に受注がふえたのでどうにもならないというのはあるのですが、まさに、これから水稲の育苗ハウスの再建が急がれるわけで、こうした臨時的な対応も県は目配りをして、いろいろな原動部隊をどうやって臨時的にやっていくのか必要かと思うのですが、その点については何か考え方はありますか。みんなそのメーカーにお任せするというスタンスなのでしょうか。
〇佐々木農産園芸課総括課長 施工に関しての部分でございますけれども、まずは資材の部分で申しますと、国あるいは県でメーカーに施工、それから資材の確保等について要請したところでございます。県といたしまして、そのほかに、地域で資材が確保できるように、先ほど答弁申し上げました各地域の県内以外のメーカーの御紹介もしたところでございます。
 あわせまして、今、委員御指摘のとおり、人材の確保がございます。メーカーからお伺いしますと、それなりの技量を持った方あるいは監督できる方が非常に必要だということもございますが、そうした部分も含めた中で、農業協同組合、あるいは認定農業者協議会のような組織で応援部隊という対応もなされていると伺っているところでございます。
 県としましては、そうした取り組みと連携した中で、地域で早期にパイプハウスが再建されるよう取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇飯澤匡委員 こうした臨時的な部分で、時間にリミットがあるときにどういう対応をするかというのは、本当の力がそこで試されると私は思うのです。ですから、ただ指示、お願いだけではなくて、具体的にそういう作業についてもよく熟知している方々の意見を聞いて、絶対間に合わせるような対策をとっていただきたいと思います。
 また、情報によっては、ハウス特有のパイプを曲げるパテントを持った業者が1社ぐらいしかいなくて、そんなに難しい技術ではないけれども、そこら辺で隘路になっているのではないかという話も聞いているのです。この点については今後の課題として、岩手県のそういう業者でも、施工業者でもそうですが、枠を広げてビジネスを広く展開するようになる機会もあればいいなと思っています。そこら辺もしっかり押さえて、恐らくまた災害というのは必ずやってきますから、今後の何かの展開のときには、こうした教訓をしっかり捉えてやっていただきたいと思います。
 最後になりますが、今回の国の支援策では、大雪被害に対応するだけではなくて、今後起こり得る自然災害にあらかじめ備えた園芸産地をつくるための支援、複数農家で共同のBCPを策定しハウスの補強等に充当する予算も準備しているわけです。国にもここまで考えていただいているので、県としても、今後このような考え方に呼応して、先ほど申し上げましたハウスについても、今回の予算の中で耐候型に転換していくとか、積極的に新しい試みをする耕作者に、モチベーションを上げるようなやり方をさらに今回の動きの中で加速していくべきだと私は思うのですが、その点について今の県の考え方はどうでしょうか。
〇佐々木農産園芸課総括課長 パイプハウスの強靱化といった部分でございます。今回の支援策では、再建とあわせて強靱化といった部分が可能です。また、そのほかに、今あるパイプハウスにつきましても、強靱化といった部分の事業があるということでございます。
 そうした中で、いずれ頻繁に自然災害が出るような傾向になっている状況でございまして、県としましては、強靱化といった部分に積極的に取り組んでいく必要があると考えているところでございます。
 費用負担等がございますので、全てにおいてそのように進むかどうかはございますけれども、こうした事業等を活用しながら、希望のある農家を中心に、そうした取り組みについて進めてまいりたいと考えているところでございます。
〇飯澤匡委員 どうかいろいろな事業を複合させて、よりよき事業にしていただきたいと思います。
 国が今考えているのは、融雪装置などを導入したことも視野に入っていますから、そういった対策も含めて、ただ対応策ではなくて、事業意欲を喚起するように結びつけていくことが肝要だと思いますので、その点について、最後、部長に聞いて、終わります。
〇佐藤農林水産部長 今回の大雪被害は、一挙に雪が降って、県内のパイプハウスが非常に被害を受けたということで、生産者においては、いかに原状復旧するかという考え方が先行するといった気持ちでいると理解しております。ただ、委員御指摘のとおり、今までの被害からそのまま復旧するということではやっぱり不十分なところが多々あると思っておりますので、国もこういった制度をいろいろ用意しているということもございますので、今後、新たな事業展開とかパイプハウスの補強の関係とか、県もリーフレットをつくったりして対応することにしております。そういったことを事業者、生産者に周知徹底を図るなど、意欲喚起を図る方法をいろいろ考えてまいりたいと思っております。
〇高橋はじめ委員 私から大きく2点お伺いしたいと思います。
 まず、本定例会に議員発議で岩手県主要農作物等の種子等に関する条例が提案されております。優良な種子をしっかり確保していかなければならないということを観点にお伺いしたいと思います。
 優良種子の確保については、本県の死活問題と思っております。本県においては、厳しい気象環境の中にあって一毛作が主流で、その一毛作も、何十年に1回とかという中で冷害も襲ってくるわけです。そこで、冷害において優良な種子が全くないという事態も出てくるわけでありまして、その対策を日ごろからどうとっていくかが非常に大事ではないかと思っております。
 そこで、近年の大冷害はいつかというと、平成5年に稲作でいうと作況指数30ということで大変厳しい年がありました。私も農家をやっておりましたので、当時、私のところはあきたこまちを植えておりましたが、皆無に近かったという状況でありました。
 そうした中において、県は、沖縄県の石垣島に依頼して種もみを確保するとか、そういう対策もとられたのですけれども、それらを含めて、ここにおられる半数ぐらいは、そういう状況がわからないのではないかと思いますが、平成5年の大冷害当時の状況について、どのような被害があったのか、まず認識を一つにしたいと思いますので、お伺いします。
〇佐藤県産米戦略監 大冷害の状況でございますが、大冷害であった平成5年は、先ほど委員がおっしゃったとおり、作況指数が30ということで、10アール当たりの収量につきましても152キログラムという非常に大きな減収になったところでございます。当時は、低温の状況を踏まえまして、技術情報などにより深水管理等の対策を徹底したところであります。
 また、当時の水稲品種は、耐冷性が弱いあきたこまち、それから、ササニシキなどが主であったことが、被害を大きくした要因と認識しております。
〇高橋はじめ委員 そうした状況によって、その後の対応策、それから、いろいろ進める中にあってさまざまな課題もあったと思いますけれども、その当時はどのように取り組まれたのかお伺いしたいと思います。
〇佐藤県産米戦略監 当時から取り組んだ内容でございますが、平成5年の大冷害を受けまして、県では、ひとめぼれを初めとする耐冷性の強い品種の導入を推進するとともに、いわてっこや銀河のしずく、金色の風など耐冷性の強い県のオリジナル品種の開発と導入を進めてまいりました。
 その結果、耐冷性が強以上となる品種の割合が、平成5年の約20%から、令和2年度におきましては約80%と大きく高まったところでございます。
 また、深水管理などの水の管理を一層徹底するために、土地改良区等と連携した体制の整備を進めるとともに、稲作技術対策会議の開催などにより、被害軽減のための対策の周知と徹底に努めてまいったところでございます。
〇高橋はじめ委員 今、ひとめぼれというお話もありました。当時はひとめぼれを作付して3年目だったような気がするのですけれども、私のところでも、10ヘクタール前後からの大規模農家にようやくひとめぼれの種が私のところにも来なかったのですが、3ヘクタールから5ヘクタールの中小規模のところにも届かなかったのです。10ヘクタール前後あたりからの規模の大きいところには来たのですけれどもね。
 そこで、この冷害で、当時は農協が中心になって種もみを配布したのですけれども、種もみが届かない農家からなぜ大規模農家だけ優先なのだ、我々まで回してもらいたかったという非難が出ておりまして、そのときに大規模農家と小規模農家との格差のようなものができました。以来ずっと、折に触れて、小規模農家はいつも後回しにされると思っておりまして、そういったものが非常に残念です。やはり奨励品種あるいは開発した品種については、満遍なく普及していただければと思っているところでございます。
 現在は、新しい銀河のしずくとかも出てまいりまして、私の近くまでようやく作付も拡大してきました。私も飯米を植えたいと思っていたのですが、ちょっと規模が小さいので、ことしは作付はできないということであります。
 それから、恒常的な取り組みとして、このときに岩手県農業気象協議会、この協議会は昭和36年7月に設置された非常に歴史のある協議会でありますが、会長は、当時の記録だと岩手県農政部長で、副会長は盛岡地方気象台長……
〇岩渕誠委員長 質疑は簡潔に願います。
〇高橋はじめ委員(続) はい。岩手県農政部次長、それから、委員としては各関係の方々ということでありました。
 この歴史ある協議会は、近年どのような活動をされているのかお伺いしたいと思います。
〇小原農業普及技術課総括課長 岩手県農業気象協議会の活動についての御質問でございます。
 この協議会は、盛岡地方気象台や農業関係団体と本県におけます農業生産の安定と農業気象災害を防止していくことを目的として、岩手県農業気象協議会を設置し、農作物の生育状況等の共有とともに、気象変動に伴う農作物気象災害の防止対策や農業被害発生の危険度解析等をテーマに、定例で開催するほか、気象災害が懸念されるような場合に必要に応じて開催しているところでございます。
〇高橋はじめ委員 そうしますと、月1回と規約には記載があるのですけれども、現在でもそのような頻度で開催されておられるのでしょうか。
〇小原農業普及技術課総括課長 この協議会につきましては、年1回が義務となっておりまして、気象の変動を見まして、気象災害が懸念されるようなときに、幹事会を招集し、その中で、その懸念に対する対応等を検討するような活動をしております。
〇高橋はじめ委員 当時の規約では、月例会、原則月1回、委員会は年1回という記載がありましたが、その後、規約の改正があったのか、今のような活動になっているのでしょうね。
 それで、冷害防止恒久対策の方向として五つの項目、九つの課題及び対策の方向、推進の方向ということで示されております。およそ30年弱経過しておりますが、それらについてどのように進められて、成果あるいは評価はどのようになっているのか。策定から30年弱たっておりますので、さまざまな見直しもされているのかもしれませんが、その辺もあわせてお伺いしたいと思います。
〇小原農業普及技術課総括課長 冷害防止恒久対策の方向は、平成5年の大冷害を契機といたしまして、水管理が可能な水田の整備とか、あるいは耐冷性の強い品種の育成、安定生産を基本とした品種の配置などとともに、被害回避のための常時体制の整備を整えたものでございます。
 県では、この対策を踏まえまして、冷害に強い品種の開発や普及のほか、圃場整備を進めるとともに、冷害が懸念される場合には、先ほど来お話のありました岩手県農業気象協議会を開催し、農業被害の発生の危険度の解析あるいは被害防止対策等を推進してきたところでございます。この結果、水稲の作柄につきましては、平成5年の大冷害以前に比べ安定している状況でございます。
 また、冷害防止恒久対策につきましては、県の稲作指導の基本となります稲作指導指針に反映しておりまして、この指針は、品種の選定とか水管理対策などに新たな知見を盛り込むなどしながら、おおむね5年ごとに改正し、対応しているところでございます。
〇岩渕誠委員長 高橋はじめ委員の質疑の途中ではありますが、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
 高橋はじめ委員、御了承願います。

午後0時1分 休 憩

午後1時2分 再 開

〇城内よしひこ副委員長 休憩前に引き続き質疑を続行いたします。
〇高橋はじめ委員 午前に続いて質問したいと思います。
 冷害防止恒久対策の方向ということで、当時さまざまな取り組みの方向性を示しておりました。優良種子の安定確保についてでありましたが、これについては、県独自品種の優良種子を安定的に確保する対策の強化ということで、種子低温備蓄施設の設置、種子生産圃の拡大、予備種子生産圃の確保、種子生産の安定対策、これは品種の分散、早生化、それから種子共済制度の充実というような推進方向を示されておりまして、その中に種子備蓄ということで当時1、000トンの計画がありましたが、現状、この備蓄量はどのようになっているのか、どういう品種なのかも含めてお伺いしたいと思います。
〇工藤水田農業課長 優良種子の安定確保の体制についてのお尋ねでございました。
 水稲の種子につきましては、現在、岩手県農産物改良種苗センターが、毎年100トンから120トン程度を備蓄しております。もし種子が不足する場合には、全国主要農作物種子安定供給推進協議会を通じまして、必要な種子を全国各地から供給していただくこととしております。
 また、水稲の種子は現時点で充足しておりますけれども、自然災害が頻発する傾向にある中で、優良種子の安定確保に向けては、種苗センター等と、どのような対応がより効果的か必要に応じて検討してまいりたいと思っております。
 品種につきましては、ほぼ全ての品種を備蓄しております。主食用米の品種は全て、モチ品種、飼料用米の品種の中では、一部備蓄していない品種もございます。
〇高橋はじめ委員 当時の計画では1、000トン、現在は100トンから120トン、1割ぐらいということで、確かに全国の協力を得られれば水田に田植えはできるでしょうけれども、オリジナル品種を取り戻すことを考えると、また複数年かかっていくということだと思います。果たしてそれでいいのかどうか。
 これは、相当な議論をしてこの数値になっているのか、いろいろ考えたけれども、これしか集まらないとか、その辺はどうなのですか。
〇工藤水田農業課長 種子が集まらないというお話ではなくて、この備蓄は、岩手県産農産物改良種苗センターの事業で予算をとって実施しておりまして、借用している倉庫の大きさによりまして、100トンから120トンというような備蓄量となっているものでございます。
〇高橋はじめ委員 当時の計画からするとかなり乖離があると。これは、備蓄倉庫がそれだけ整備になっていないというのもあるのかもしれませんし、その辺の事情はよくわかりませんが、いずれこの体制でいいのかどうか、私はもう一度岩手県農業気象協議会で検討していただければと思っております。
 それから、近年の気象異常で、冷害というのはなかなか起こりにくいということなのかもしれませんが、地震津波と同じように、災害は忘れたころにやってくるというのがこれまでであります。周期的に江戸時代から東北地方は大冷害を周期的にこうむっておりまして、大変な思いをして先人たちが取り組んできている対策ですので、ぜひ、そのことを大事にしていただきたい。
 それから、地球温暖化もどんどん進んできておりまして、昨年も地球温暖化によって品質低下が出ております。そういったことに対する対策も考えていかなければならないと思うわけであります。
 そういう意味では、岩手県農業気象協議会の位置づけが重要だと思っておりますので、ぜひ、しっかりと当初の目的を確認しながら運営していただければと思っております。
 次に、世界的な食料危機があるのではないかということについて、先ほど佐々木順一委員もおっしゃっておりましたが、我が国では、米の生産調整をしなければならないと、何か矛盾していると思っております。
 世界的な米の輸出入は、市場としては今のところ余り大きくないような捉え方もありますが、昨今、中国大陸でも相当な洪水被害がある。それから、穀倉地帯の北部のほうでは、干ばつとバッタが大量に発生して大変だということであります。そういうことを含めて、このコロナ禍での往来制限がなくなれば、中国から我が国の米を大量に買いに来るのではないかという話もあります。
 海外戦略をもう少し手広く展開すべきではないかと思っておりますが、その辺の新年度の取り組みについてお尋ねしたいと思います。
〇高橋技術参事兼流通課総括課長 ただいま委員からお話がございましたが、海外市場に目を向けますと人口が増加していると。そして、各国の経済発展によってマーケットが拡大し、食料についても逼迫することが懸念されるといったような見方もされております。
 海外への米の輸出、販路の開拓につきましては、ただいまお話がありましたように、米の生産量の維持、拡大、生産者の所得向上、生産基盤の継続にもつながるものと認識しております。
 このため県では、令和3年度当初予算案に盛り込みました、いわての食財戦略的海外輸出展開事業におきまして、新たに、米について、輸出先国の規制や市場から求められる品質等に対応した産地づくりを進めるためのグローバル産地計画の策定を支援することとしております。
 今後は、この計画に基づきまして、県産米の輸出拡大を戦略的に進めてまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇安齊農林水産企画室管理課長 午前中に答弁できませんでした、千葉伝委員から御質問のありました獣医師の給与水準について御答弁させていただきます。
 令和2年4月1日現在の東北各県の初任給で比較いたしますと、本県の給料は21万8、700円で、東北で第3位、初任給調整手当は、3万5、000円ですけれども、こういった諸手当を加えた総額で比較いたしますと、東北で2番目の位置づけとなっております。
〇神崎浩之委員 私も大雪農業被害についてお伺いいたします。
 大雪被害は後段で聞きますけれども、まず、令和3年2月13日に地震がありました。盛岡市に行くと余り話題にならないのですけれども、一関市では、体育館のバスケットゴールが落ちたり、天井のライトが落ちたり、子供たちのスポーツ大会が危ぶまれるような現状であります。
 そこで、農地や水利施設、パイプライン等の今回の地震での被害について、把握していれば教えていただきたいと思います。
〇千葉農村建設課総括課長 現時点で市町村から報告を受けております地震被害については、農地が6カ所、農業用施設14カ所の計20カ所、被害額は2、000万円ということでございまして、継続して被害調査を実施しているところでございます。
 農業用施設のうち、水利施設でありますパイプラインにつきましては、河川管理者から了解を得ながら通水試験を行った結果、一関市においては2カ所の漏水被害という状況となっております。
〇神崎浩之委員 パイプライン等は、水を通さないと実際は被害がわからないということであります。北上川から水を上げているところもあって、そうすると4月からですね。水利権の関係もあって水を流して点検できないということもありますので、ぜひ、この辺についても、もしも被害に遭った場合はどういう対応、支援策があるのか、あわせてお伺いいたします。
〇千葉農村建設課総括課長 委員御指摘のとおり、パイプラインについては通水が必要ということで、今回の通水試験についても、水利期間外ということもありましたけれども、河川管理者に何とか流したいとお願いして流したところでございます。
 いずれ、今後、被害施設への対応につきましては、国庫補助事業などの活用を含めて、復旧主体となる関係市町村等と調整を図りながら、被害の程度に応じましては、応急本工事の制度を活用するなど、今後の営農に支障を来さないように支援をしていきたいと考えております。
〇神崎浩之委員 ぜひ、忘れないでよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、大雪被害であります。
 まだ雪が残っておりまして正確な被害状況はこれからだと思うのですけれども、被害については、直接的な被害と間接的な被害があると思うのですが、現在のパイプハウス施設等の直接的な被害については、どこまで把握されているのかお伺いいたします。
〇鈴木農林水産企画室企画課長 パイプハウス等の農業施設の被害の状況についてでございます。
 令和3年3月15日現在ですが、11市町でパイプハウス、倉庫、畜舎等の破損、倒壊などの件数として4、544棟確認しております。農業用機械の破損等につきましては318台確認されているということで、被害額は約36億9、621万円となっております。
〇神崎浩之委員 雪が解けてくればさらに出てくるということもありますので、今後もよろしくお願いします。
 次に、間接被害として今後の影響についてですが、まず、育苗については間に合うのか。それから、農業協同組合、近隣農業協同組合間で融通し合うという話もありましたけれどもどうなっているのか。それから、かかり増し経費等があるのかどうか。融通するとしても輸送費がかかるということなのですけれども、それはどういうことか。また、例えば苗代とか直播とかプールとか、そういう方法もあるわけですが、今回、そういうことの取り組みがあれば教えていただきたいと思います。
〇佐藤県産米戦略監 育苗の状況等についてでございますが、水稲育苗につきましては、パイプハウスが被災し、苗の不足が懸念されますことから、現在、被災地域におきまして、余裕のある農業協同組合の育苗センターのフル活用や大規模経営体への委託など、十分な苗の確保に向けて、関係機関等が一体となって準備を進めているところでございます。
 それから、苗の輸送に関してでございますが、県では、被災地域外の育苗施設から被災地域へ苗を輸送する場合のかかり増し経費について、県と市町村が補助をするなどの支援を行うこととしており、現在、農業協同組合等と調整を進めているところでございます。
 それから、苗代についてでございますけれども、今回被災したパイプハウスを見ますと、やはり高齢者で、若干古い、細いようなパイプハウスが結構つぶれておったというところでございます。そういうところの高齢者の方におきましては、もし育苗が間に合わないのであれば、委員御指摘の本設置苗代も自分でできるので、それらも活用したいというような声も聞こえているところでございます。
〇小原農業普及技術課総括課長 ただいま県産米戦略監から説明がありましたけれども、若干補足させていただきます。
 育苗苗が不足のような場合、技術的な対応といたしましては、直播あるいは育苗箱数を少なくする密苗といった技術がございます。加えまして、露地プール育苗といった技術もございます。
 こういったものにつきましては、現地への対応が可能かどうか、あるいはそういった技術導入について意向があるかどうかといったことを、農業改良普及センター等が現場との話し合いを進めながら、必要であれば、そういった技術を御紹介しながら対応していく方向で、今動かせていただいているところでございます。
〇神崎浩之委員 春が近づいてきて、そろそろ落ちつかなくなってきていますので、先ほどの輸送費等も含めて啓発していただきたい。
 それから、パイプハウスだけではなくて、実は果樹も心配ではないかと同僚議員に言われたこともあります。そこで、リンゴ、ブドウ、桃、梨とか枝折れで今後のことが心配なのですが、この辺についてはどう把握していらっしゃいますでしょうか。
〇鈴木農林水産企画室企画課長 果樹の枝折れ等につきましては、令和3年3月15日現在、市町村から報告を受けているものとしまして、リンゴ、ブドウ、桃及び梨の枝折れがほとんどでございますが、面積的には248アールということでございます。
〇神崎浩之委員 その対応はどうなっているのですか。大丈夫ですか。
〇小原農業普及技術課総括課長 特に果樹の枝折れにつきましては、現在、奥州市や金ケ崎町以外も含めまして、そういった状況が見られることを確認しております。
 今、果樹類につきましては剪定作業が急ピッチで行われておりまして、雪折れにつきましては、下枝等は剪定である程度カバーできるというお話も聞いております。
 いずれ、このような作業が進む中で、被害の全容の確認につきましてはなかなか難しいところもありますので、今後、引き続きそういった調査を進めまして、被害の全容解明に努めてまいりたいと思っております。
〇神崎浩之委員 ブドウは、やっぱり低いですよね。そういうことで心配なのですけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 パイプハウスを初め、大雪被害による離農が一番心配です。この機会にということもあって、令和2年12月とか令和3年1月はもう物すごい状況だったので、みんな絶望感があって、この機会に離れようかという声も実際にあったわけです。こうやって少しずつ春が近づいてきて明るい兆しが見えているわけですが、そこで、もうやめるという全面撤退のような話は届いているのか。それから、ことしの野菜はもう間に合わないので、来年からだから、秋口からハウスを建てるかなとか、もちろん個人の売り上げもですけれども、農業協同組合にとっても非常に売り上げ減になる。
 ことし断念する人が3割ぐらいいるのではないかという話も聞いたことがあるのですが、この辺の全面撤退であるとか、ことしの営農断念であったりとか、その状況と、露地も含めた指導、対応についてお伺いしたいと思います。
〇小原農業普及技術課総括課長 営農意向につきましては、農業改良普及センターや農業協同組合が、被災した農業者を訪問するなどして聞き取りをしておりますけれども、現時点で営農をすっかり中止するというような声は、把握していないところでございます。
 水稲育苗ハウスが被災した農業者にあっては、そのほとんどの方が、水稲苗を入手できれば営農は継続すると聞いております。
 一方、野菜等を生産する農業者にあっては、早期の作付再開を希望しているものの、ハウスの再建がおくれた場合には、適期の定植が困難ということが課題と捉えております。
 このため県では、農業者の営農意向を踏まえまして、水稲につきましては、農業協同組合の育苗センター等への育苗委託により必要な苗の確保を図っていくほか、園芸品目では、パイプハウスの再建時期に応じた作型の変更の技術指導を行うとともに、場合によっては、ハウスを利用しない露地栽培への転換を誘導し、引き続き営農を継続できるように支援してまいりたいと考えております。
〇神崎浩之委員 今回の被害に対して、国には早目に支援策を出していただきました。その中で、最高77%ぐらいは公費で出るという話もあったのですが、最低では4割ということもあるのですけれども、そういう違いはどこで出てくるのか。4割の人もいるし、77%もいるし、国の制度に乗っていった場合、どこでどうこの支援の割合が違ってくるのか。あとは、当初は、国に対して県が上乗せする、そして市町村も上乗せする。市町村はやるところとやらないところがあるかもしれないという話があったのです。現在は、市町村も統一して県内同じ基準でやっていくのかということと、あとは、県の横出しの部分でも支援をするという枠組みでありますけれども、その辺についても御紹介いただきたい。
〇中村農業振興課総括課長 今回の国の支援策、いろいろなケースがございます。その事業の要件によっていろいろ分けられるわけでございますが、その条件の一つを御紹介させていただきますと、地域の中心的な担い手である中心経営体であるとか、あるいは事業によっては資材費のみであるとか、そういったさまざまな事業の要件によって補助率等が変わりますし、かつ、園芸施設共済に入っている、あるいはパイプハウスの建築の経過年数等によってもいろいろと補助率が変わってくるものでございます。
 県といたしましては、さまざまなケースがございますが、いずれにしましても被災した農業者の多くを支援するということで、県単の事業も用意させていただいたところでございます。
〇神崎浩之委員 よろしくお願いいたします。この辺、難しいですね。自分は幾らもらえるのだということがあって、先ほど、今、盛んに説明会をやっているという話でありましたけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、私はさっき、大雪農業被害の再生という言葉を使ったのですが、前に再開支援に対して、いろいろな業態変更もという話をしたことがあるのです。とりあえず今回、出先の農林振興センターの役割は大きいと思っているのですが、市町村をまたいだり、農業協同組合を調整したりということだったのですけれども、今回の件で、出先の農林振興センターの役割、それから動きについてお知らせいただきたいと思います。
〇中村農業振興課総括課長 今回の大雪被害の発災以降、各広域振興局は市町村、農業協同組合とも連携しながら、まず被害状況の把握に努めてまいりました。そして、令和2年12月中旬に被害があったわけでございますけれども、年度内には各地域で情報連絡対策会議も幾度か開催しております。
 また、今回、国からの支援策が公表されて以来、さまざまな支援事業については、早急に農家の方々にお知らせする必要があるということでございまして、速やかにその説明会等を開催し、現在に至っているという状況でございます。
 また、各市町村とも、補助事業の上乗せについて支援するという状況になっております。
〇神崎浩之委員 私は一般質問でもお話をしておりました。これだけ被害が出たものですから、ピンチをチャンスにということで、高付加価値の野菜にかえてみたらとか、花をやってみたら、この機会に高収益作目への転換、その誘導とか、そのような話もさせていただきました。
 通年型であるとか、せっかく制度もありますから、この機会にパイプハウスの強靱化についても推進していただきたいと思っております。
 それから環境制御型も収量が物すごく伸びているということもありますので、沿岸の復興のときのように、ただ復旧するだけではなくて、ビルド・バック・ベターというよりよいものへの再生ということで、大きな被害はあったのですけれども、今、見違えるような復興の景色を見ます。同じように、結構大打撃を受けている農家もありますので、この機会に高収益作目への転換等、投資ですので、投資して次の展開につなげるような機会になっていただければいいと。それについてお願いしたいと思います。
〇小原農業普及技術課総括課長 まず、高収益作物への転換について御答弁申し上げたいと思います。
 被災した農業者につきましては、地域の主力品目でありますトマトやピーマンなどを引き続き生産したいという意向が強いと受けとめております。県では、生産性を高めることのできる技術等について助言、指導をしていくこととしております。
 また、農業者が作目の転換を希望する場合、施設、機械、労働力などの条件に応じた新たな作目の導入についても助言、指導してまいりたいと考えております。
〇佐々木農産園芸課総括課長 パイプハウスの強靱化、それから環境制御の関係で御答弁申し上げます。
 まず、パイプハウスの強靱化についてでございますが、こういう気象災害が頻発するような状況の中では、非常に重要な課題だと捉えているところでございます。
 そうしたことから、今回の大雪被害の支援策については、復旧のみならず強靱化の部分の対応も可能と。あるいは、既存のパイプハウスについても国庫補助事業でできるというようなことがございます。そうした事業も活用しながらパイプハウスの強靱化を進めてまいりたいと思っているところでございます。
 それから、環境制御技術につきましてですが、県では、導入を希望する農業者に対しまして、収益の確保が可能な品目の選定でありますとか経営規模に応じた技術の導入について指導、助言等を行いながら、あるいは機械導入等を支援しながら進めているところでございます。今般の大雪によりまして被災した農業者の中で導入を希望される方がおられる場合には、その取り組みを支援してまいりたいと考えているところでございます。
〇佐々木努委員 米の生産販売について、1点のみお伺いいたします。
 初めに、新型コロナウイルス感染症の拡大による県産米の生産、販売への影響はどのようになっていたか教えてください。
〇佐藤県産米戦略監 新型コロナウイルス感染症による米の販売等への影響についてでございますが、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、家庭での消費が増加した一方で、外食での需要が低迷しており、農林水産省が3月に公表しました令和2年1年間の全国の米穀販売事業者の販売数量につきましては、前年比98%となっているところでございます。
 令和2年産の県産米につきましては、全農岩手県本部から、外食需要の減少により、販売は3カ月程度おくれているが、前年並みの数量が事前契約されていると伺っているところでございます。
〇佐々木努委員 それほど大きな影響はなかったと考えていいのでしょうか。ただ、県が売り出し中の金色の風、銀河のしずくについては、首都圏での販促などもなかなかできないでいたのではないかと。その影響が出たのでないかと非常に心配するわけであります。
 そこでお伺いしますけれども、銀河のしずくはことしで6年目のシーズン、そして、金色の風は5年目のシーズンということで、市場、消費者、生産者の評価も大分固まってきたのではないかと思いますが、その評価についてはどのようになっているでしょうか。
〇佐藤県産米戦略監 金色の風、銀河のしずくの評価についてでございますが、県ではこれまで、大消費地でのトップセールスや販売促進キャンペーンを実施しており、金色の風、銀河のしずくを取り扱う米穀専門店は、全国でそれぞれ500店舗を超え、平成29年から約4倍に増加しているところでございます。
 それから、令和2年度に調査した消費者への知名度は、金色の風が約16%、銀河のしずくが約27%と、平成29年度から約10ポイント高まっているところでございます。
 また、生産者からは、金色の風は倒伏しやすいなど栽培が難しいが、高価格での取引が期待される、銀河のしずくにつきましては、栽培しやすく、安定した収量が期待できるといった声があるところでございます。
〇佐々木努委員 非常にいいことづくめの評価で、これは大いに期待できると思っているのですが、実際に金色の風の作付面積は、思うように伸びていません。これは、多分需要がないからだと思うわけでありますけれども、私は何か大きな問題があるのではないか。これはPRの仕方もそうだし、あるいは、余りにも高い価格に設定しているからとか、先ほどお話があった生産者の立場からすれば、肥料を振ればすぐ倒れてしまうという非常に栽培管理が難しいということ、そして収量も期待できないということで、さまざまウイークポイントを抱えていることが影響しているのではないかと思うわけであります。
 そういう中でも、非常においしいお米だと評価が上がっているということで悲観はしていないわけでありますが、その辺のところをしっかり対応、対策を講じてもらいたいと思うわけであります。
 ちなみに、部長は、ふだん自宅では何のお米を食べていらっしゃいますか。
〇佐藤農林水産部長 農林水産部に来る前は実家から米は持ってきていたのですが、実家では米の栽培もやめてしまいまして、買って食べていますが、銀河のしずくを食べております。
〇佐々木努委員 さすがです。金色の風というのは絶対出てこないと思ったのですが、私もいろいろリサーチしましたけれども、やっぱり私の周りでも、金色の風を常に食べている人は一人もいないのです。誰が食べているのかよくわからないし、自分たちのところの米だという意識が消費者に全くないということが問題だと思うのです。
 どこのスーパーでも最近よく金色の風を見かけるのです。それで、一番高く積み上がっているのが金色の風で、これは本当に大丈夫かなと非常に不安に思っています。その辺のところも現状をじっくり見てほしいと。どうやったら一般の人にも買って食べてもらえるかということを、もう少し真剣に検討していただかなければならないのではないかと思います。
 一方で、銀河のしずくは非常に評価が高いです。これは私もおいしいと思いますし、実際につくっている方々も、つくりやすいし、とてもおいしいという評価で、もっともっと伸びてもいい、伸ばしていかなければならないという思いが私にはあるわけであります。
 それも含めて、令和3年産に向けて、どの程度の作付を見込んでいるのか。金色の風と銀河のしずく、どの程度の作付を目指しているのか教えてください。
〇佐藤県産米戦略監 金色の風と銀河のしずくの令和3年の作付面積の関係でございますが、金色の風につきましては、委員おっしゃるとおり、非常に価格が高いということもありますが、卸あるいは米屋さんの話を聞きますと、ファンの方はいらっしゃるということも聞いておりますので、そのファンの方を徐々に拡大していくような取り組みを進めていきたいと思っております。したがいまして、急激に伸びる品種ではございませんので、金色の風につきましては、現状維持を目指していきたいと思っております。
 それから、銀河のしずくにつきましては、そのとおり、生産者あるいは消費者等からも非常に評価が高いということもございますので、現在は家庭用向けが中心ではございますけれども、今後につきましては、業務用も視野に入れまして販売面積を拡大したいと思っております。規模につきましては、今どのくらいというのは言いかねますけれども、規模は拡大してまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 先ほど高橋はじめ委員の質疑のときに、平成5年の大冷害の話がありました。そのころまではまだササニシキが主力でありまして、岩手県の米は日本一のお米だと言われていましたが、平成5年のさらに前の昭和55年の大冷害、あれから風向きが変わってきて、本当にササニシキでいいのだろうかということで、とどめを刺されたのが平成5年の大冷害でした。そこで一気に、ササニシキからひとめぼれにかわったわけです。
 それで、そのことが岩手県にとってはよかった。ひとめぼれが何年も続けて特Aを取れるほどの非常にいい米で、これが農家の方々も救ってきたのだと思います。
 皆さん御承知のとおり、この地球温暖化で、ひとめぼれもだんだん特Aを取れなくなってきた。これは、これからの岩手県の米生産を考えた場合、このままひとめぼれをずっと続けていっていいのかという不安を生産者も持っていたり、消費者も持っていたりするわけであって、私は、いつかの時点で大きな転換が必要なのではないかと思います。それは、我が県だけではなく、他県でも、やはり同じような考えを持って、もちろん高温耐性のものでありますけれども、既存の主力品種にかわる次の品種をどうやって育てるかが大きな課題になっていて、その取り組みを進めているようです。
 そういう意味で、やっぱり岩手県は絶対にこの競争におくれをとってはいけないと思います。確かに、今はひとめぼれ、あきたこまちがこの二つで8割の生産ということでありますし、農家も新しい品種はまだ不安があるかもしれません。まだひとめぼれをつくりたいという方もいらっしゃると思いますが、間違いなく気候は大きく変わっていて、ひとめぼれにとっては非常に厳しい、マイナスの要因がこれからどんどんふえていくことを考えれば、せっかくこのすばらしい品種が出たということであれば、県はもっと積極的にひとめぼれからの切りかえを考えるべきではないかと。他県におくれをとらないように考えるべきではないかと思います。
 その有力品種が銀河のしずくであるとしたら、これは、無理に地区を限定せずに、ひとめぼれにかわる岩手県の米ということで急激に広げていくような取り組みをするべきだと私は思うのですが、その辺のお考えはないか伺います。
〇佐藤県産米戦略監 銀河のしずくの拡大についてでございますが、確かに、銀河のしずくにつきましては今、卸、消費者等からも非常に高い評価をいただいているということで、拡大する方向につきましてはそのとおりであろうかと思っております。ただ、あきたこまちとひとめぼれから銀河のしずくに急激にかえるとなりますと、今、ひとめぼれとあきたこまちを欲しいと言っていただいている方も大勢いらっしゃいますので、そういう消費者なり米屋、卸につきまして、徐々に誘導を図りながら、銀河のしずくを拡大していきたいと考えております。
〇佐々木努委員 すぐ来年全部かえろということではなくて、岩手県はこれで行くのだということをどんどん発信していく。そして、例えば毎年5%あるいは10%ずつ転換していくということを私は言いたかったわけで、そういう考えはないかということです。つまり銀河のしずくの可能性をどの程度県として見ているのか。ひとめぼれにかわるぐらいの品種だと思っているのか、それとも、あくまでひとめぼれとあきたこまちを主力にして、残りの部分を銀河のしずくとか金色の風、いわてっこ、そういうもので補っていこうとするのか、その辺の考えはどうなっていますか。
〇佐藤県産米戦略監 銀河のしずくの拡大方向ということでございますけれども、当然この品種には期待しているところが大きいところでございます。したがいまして、今、検討段階でもございますけれども、あきたこまちにかわるような取り組み、あるいはひとめぼれも侵食していくような品種ということを今後戦略等をつくることにしておりますので、その中でいろいろとあらわしていきたいと思っているところでございます。
〇佐々木努委員 私は非常に期待しているところでありますので、ぜひ、県として10年後、20年後の岩手県の米生産を見据えて、銀河のしずくに限らず、いち早く、今後期待の持てる優良品種への転換をぜひ進めていってほしいと思います。部長に聞いて、終わります。
〇佐藤農林水産部長 金色の風、銀河のしずくは、本当に県の待望のオリジナル品種でございまして、ようやくデビューを迎えて、市場の評価も非常に高まっている状況でございます。オリジナル品種でございますので、ぜひ県産米全体の底上げのためにも拡大の方向で持っていきたいと思っておりますが、栽培適地という問題もございますので、その辺のところも踏まえながら、どんどん広げて品質が落ちていくということでは本末転倒だと思っております。品質を維持しながら、作付できる範囲を徐々に拡大していきたいと考えております。
〇郷右近浩委員 私からは、岩手競馬事業について何点かお伺いしたいと思います。
 まずは、本日、報道にもなりましたけれども、JBC競走が、岩手県盛岡市で平成26年以来の3回目の開催が決まったということで、まずもって、開催に向けてさまざま御尽力していただきました皆様には御礼申し上げたいと思いますし、すばらしい大会になればと思っております。
 そもそも前回盛岡競馬場で開催した際には30億円程度の売り上げだったものに対して、昨年の大井競馬場については83億円、門別競馬場で二十六、七億円ということで、100億円ぐらいの売り上げまで伸びている、そうしたJBC競走という形になっております。しかも、その売り上げはインターネットにおいての比重が大きくて、90%以上がインターネットだったということを考えると、盛岡競馬場で開催した際にも、恐らく80億円ぐらいの売り上げが見込めるのではないかと。そういうことを考えると、平成26年のときの30億円で喜んでいたものが、一挙に倍どころの話ではないということで、これまで岩手競馬事業については、禁止薬物問題であったり、さまざまな形での悩ましい問題があった中で、これまで垂れ込めていた暗雲を吹き飛ばすようなすばらしい機会になるかと思っております。
 本当にいろいろ御尽力されてきたと思いますが、まずは開催に向けてのお考えをお伺いしたいと思います。
〇千葉理事 JBC競走でございますが、競馬に関心のない県民には少々なじみのない大会かと思っておりますけれども、これはジャパン・ブリーディングファームズ・カップと申しまして、馬産地の生産農家がその創設に大きな役割を果たしてきたものと承知しております。御案内のとおり、地方競馬の祭典あるいはダート競馬の祭典と言われております。
 これに盛岡競馬場を選定いただいたことは、非常に光栄に思っております。現下のコロナ禍が収束いたしまして、たくさんの観客に岩手競馬を認知していただきまして、将来に向かって全国の競馬ファンから勝ち馬投票券を買っていただくような契機にしたいと私どもは考えております。
〇郷右近浩委員 今回、JBC競走の盛岡開催が決まった中で、報道によると、プレゼンテーションにおいて、岩手県競馬組合で、岩手競馬の重賞レースの同時開催であったり、直近1年間に禁止薬物問題の発生点がないことなどをアピールしたという報道がされております。これまでもプレゼンテーションでJBC競走の開催地を決めてきたのは存じ上げておりましたし、ただ、今まで言っていたのは、やっぱりそれもオンラインになったということで、改めてそれを拝見させていただいたのです。
 その中で、やはり禁止薬物問題の発生がないことと。確かに、本当に皆様がさまざまな手だてを使って、できる限りのことをやって、現在、禁止薬物事案の発生を抑えられているということです。ただ、犯人が捕まっていないということで、警察の捜査に対して、やはりここまでない中で、どこかでもうこのまま自然に何ごともなかったとなるのか、その前の段階で、このJBC競走の開催と合わせてしっかり対策をとってやってきた、それで、これからももう出ないだろう。そういう体制をとってさらにやっていく中で、この禁止薬物事案についてはある一定の収束を見たといった形のメッセージ等を出せるようなタイミングがあれば、いいのではないかと思うわけであります。
 こうした点についてはどのようなお考えか、所感があればお伺いしたいと思います。
〇千葉理事 先ほどJBC競走の選定場といたしまして盛岡競馬場を選定していただきまして光栄に思うというお話をいたしましたけれども、そのためにも、今、委員から御指摘がありましたとおり、競馬施行の基本であります公正性の確保、これは放馬の防止であるとか、禁止薬物陽性馬の再発防止に確実に取り組んでいかなければならないと思っております。
 ただいま収束宣言という趣旨のお話かと思いますが、これまでに、過去において発生いたしました禁止薬物陽性馬に関しましては、原因不明のまま終わっている例がございます。今回に関しましては、原因の特定あるいは一つの原因に特定されないということでありましても、一応、確からしい原因といったものを導き出しまして、安全宣言になりますか収束宣言になりますか、そういった形でこういった事件を総括した上で、このJBC競走に取り組んでいきたいという思いを持っております。
〇郷右近浩委員 本日は千葉副管理者におきましては、千葉理事という形で、発言をさせてしまっているわけでありますけれども、やはり専任副管理者であり、また、さらには、千葉理事におかれては開催委員長といった立場になろうかと思いますので、しっかりとそうしたものを発信しながら、ぜひ、すばらしい結果が出るような形に持っていっていただきたいと思います。
 それで、日ごろの岩手競馬事業に対する運営について若干お伺いしてまいりたいと思います。運営等に関して、県がどのような関与をしているのかということでお伺いしたいと思うのですが、これまで、私自身も競馬組合議員を何回か務めさせていただく中で、どうしても一部事務組合の競馬組合であり競馬組合議会に行った際には、我が県からは知事が管理者、そして専任の副管理者が県庁から、さらには、事務局長であったり、また経営管理部長がということで、そこまで全てを県の職員が占めている。これは、平成19年の存廃のときから、さらにそれが強くなった形です。
 いろいろな流れの中で今のような形になったことはもちろん存じ上げております。しかしながら、平成28年から10年間、これまで人を入れていなかったものを、少しずつプロパーをふやしていって、将来の競馬事業を担える人材を育てるといった活動をやってきていただいた。それが来年度4月1日に6人また入ってきて、それで18人体制、プラス6人の再任用ということで24人の体制になるところまで何とか今進んできていると。
 そういう中にあっては、新しく入ってきた方々が、即、何かどこまでできるかというのは、そのとおり、特殊な事業でもありますので何とも言えないところであります。しかしながら、県から6名、そして盛岡市、奥州市からそれぞれ2名ずつ職員に入っていただいて、その中で、県の中で三役ではないですけれども、その方々がこの競馬事業を全部動かしていくというような形よりは、もう一歩進んだ形で、将来任せられるプロパーを育てるということを含めて、そうしたことをやりながら、県であり両市から少しずつ人を引き揚げるというか、おかりしている人たちの人数を少なくしていってもいいのではないかというようなところに今来ているのではないかと思うわけであります。
 その中で、きちんと競馬事業を進めていくために、三役なりプロパーであったり、もしくは、よその地方競馬場であると、地方競馬全国協会から副管理者をいただいたりしながら、競馬界という、一般の企業ですらも違うような特殊なサークルの中でいろいろ意見交換したりできるような体制をとっているところが多々あるわけであります。そうした中での県の関与の仕方をこれからどのようにやっていこうとしているのか、今のまま行こうとしているのかお伺いしたいと思います。
〇菊池競馬改革推進室長 今、郷右近浩委員から岩手県競馬組合の職員体制についてお尋ねがございました。御指摘のとおり、副管理者を初め数人の職員が現地に駐在しております。これは、存廃問題に揺れました平成18年当時は岩手県競馬組合の職員が40人弱おりましたが、その後だんだん減りまして、競馬事業を継続するために、構成団体から県の職員が駐在して支援する形態をとってきたものでございます。
 委員御指摘のとおり、そうした中で、平成28年度に岩手県競馬組合の職員の採用を再開いたしました。さらに平成30年度、ことし、来年度と複数の職員を採用するに至っております。ただ、何分まだ採用後数年の職員でございますので、競馬組合の業務になれて競馬事業の第一線で事業に携わるには、なお力量が足りないものでございますから、当面は現体制を維持しつつ、また、委員御指摘のとおり、将来にわたってこの体制がいいのかという点については、県の駐在のみならず、盛岡市、奥州市のお考えもございますので、これについては、将来どういった形がいいのかは検討を進めてまいりたいと思っております。
〇郷右近浩委員 私の持論ではあるのですけれども、やはり競馬事業は、まさに事業であります。その中でも、ギャンブル性が強いというより、まさにギャンブルでありますので、これは、やっぱりもうけようとしてやれる方が、ある程度知識もある中でどこかで引っ張っていく、そうした要素もあっていいのではないかと思うのです。全くそれだけだと、どこに突っ走っていくかわからないというのがあったとしてもです。だとすると、余りにも県の職員が全部がっちりとしてしまうと、それぞれの皆さんは、今の形ができたときは、やはり競馬組合が暴走してしまっていて、それを何とか抑えなければいけない。しっかりした形、ましてやコストカットであったり、本当にいろいろな痛みを伴う部分をしっかりやっていかなければいけないというところに至っては、公務員の皆様であり、県庁、そして両市からいろいろな人材に来ていただいて、その方々自体も苦渋の選択をしながらでも進んでいただけたと。ただ、もうけようとするときに、もうちょっと違うニュアンス、商売的な要素があるとするならば、いろいろな血を入れながらやっていただければ次にまたつながっていくのではないかと私は思うわけです。
 そうした意味で、それとあわせて、存廃に揺れたときに岩手県競馬組合運営協議会がつくられました。この運営協議会自体は、会長に農林水産部長が当たるといった形で、そして、それぞれの構成団体、奥州市の副市長、盛岡市の副市長と、さらに岩手県競馬組合の副管理者、そして関係団体として岩手県馬主会、岩手県調騎会、岩手県厩務員会というような形で、その構成員をもってつくられているわけです。
 岩手県競馬組合運営協議会は年に5回開いているわけでありますが、これは、コストカットであったり重大な事項があって決定を考えなければいけないときに、構成団体の方々で話をしっかりやっていかなければならない、また関係者でやっていかなければならないという形でつくられたものです。
 ただ、今、何とかある程度うまく前に進んでいる中にあっては、どこか役目を終えたのではないか。何かあったときのために、この運営協議会を残しておいたまま、例えば5回であったりとか、その回数に縛られる形ではなくて、何かあったときに随時開催といった形でもいいのではないかと私は思うわけでありますが、この点について御所見をお願いします。
〇菊池競馬改革推進室長 岩手県競馬組合の運営協議会でございますが、これも委員御指摘のとおり、存廃問題に揺れました平成18年に新しい岩手県競馬組合改革計画を策定しておりますが、その中に盛り込まれているものでございまして、岩手県競馬組合、構成団体、それから競馬関係者の緊密な連携のもとで、競馬事業の存続に向けた協議、調整を行う場という位置づけであります。
 具体的に申し上げますと、経営改革、改善の検討ですとか、収支均衡を図るためのコスト調整、そのための場として活用されてまいりました。
 平成19年から平成22年の間は、毎年、収支均衡を図るためのコスト調整を行っておりますが、それ以降、発売額が回復基調に入ったこともございまして、コスト調整は行われておりません。ただ、そういった中で、本年度におきましては、例えば年度当初、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして無観客での競馬を余儀なくされたということで、無観客が半年間続いた場合は3億円余の年間の赤字が見込まれる。そういった中で、それについては、当初、岩手県競馬組合の自助努力、事業の執行によって吸収するということで令和2年5月の運営協議会で御説明申し上げました。その際にも、委員御指摘のとおり、毎年5回必ずやるということではなくて、昨年5月に開催いたしました第1回の運営協議会におきましては、次回、第2回の開催は、入場が再開できるようになった場合ですとか、収支の見通しに大きな影響が出るような場合にやろうということで、結果として本年度は4回にとどまっております。
 来年度以降も、委員御指摘のとおり、5回にこだわらず、必要な場面において開催されるものと思っておりますし、これをなくすことは、この先どう運営が進むかまだわからない面もございますので、存在はさせつつ、必要に応じて開くという方向で開催されるものと思っております。
〇郷右近浩委員 よろしくお願いしたいと思います。
 これまでも、岩手県競馬組合議会が開かれるたびに議員懇談会等でいろいろ情報のやりとりをすると。ところが今度、運営協議会がその後になると、運営協議会の方からは、そっちでやって、それで決まっているのだったら集まらなくていいではないかと。運営協議会を先にやって、そっちで話が決まってしまって報道に出てしまえば、その後に、岩手県競馬組合議会で集まっても何の意味もないというような状況で、どっちが主で、何をどう進めていくのかはっきりしたものが見えないような形で、そこの部分についてはどうにかならないものかと思っていたので、今回ちょっと話をさせていただきました。いろいろ検討しながら進めていっていただければと思います。
 最後に1点だけ、融資返済についてお伺いしたいと思います。これまで岩手県競馬組合議会ではいろいろ発言させていただいておりますけれども、ただ、なかなか岩手県競馬組合議会だと、両市の考え方であったり、構成団体である県の考え方についてはっきりしたような、返してほしいという岩手県競馬組合としての意思というような形でしか私には聞こえてこなかったように思っております。そうした中で、改めてこの融資返済の考え方についてお知らせください。
〇菊池競馬改革推進室長 構成団体からの融資の考え方でございます。御案内のとおり、構成団体から競馬組合に330億円、非常に多額の融資をしております。これについては、各年度1億円を超える収益が出た場合は一定額をお返しいただくということで進んでおりまして、過去に一度だけ返済いただいております。
 融資でございますので、当然ながらお返しいただくのが基本だと思っております。ただ、一方で収益、収支差でございますが、競馬事業は、委員御指摘のとおり、事業として成立しなければ返済もございませんので、例えば水沢競馬場の厩舎は非常に老朽化しております。現在進行形でございますが、そういった投資も必要だと。盛岡競馬場の照明によって、薄暮開催ができ、ネット発売がふえるとか、そういった投資も必要でございますので、そういったものに充てながら、しっかり事業を続けていただいて、お返しいただくというのが基本の考え方でございます。
〇川村伸浩委員 私からは、大雪によります農業施設の被害への対応についてお伺いしたいと思います。
 まず、パイプハウスの被害が非常に大きいわけでありますけれども、先ほどは、令和3年3月15日現在で4、544棟の被害があるといった報告がありましたが、そのパイプハウスの再建の進捗状況、特に、水稲用で利用されているパイプハウスがどのくらいあるのかというところがわかれば、教えていただきたいと思います。
〇中村農業振興課総括課長 水稲の育苗パイプハウスの再建状況ということでございます。
 今冬の大雪によりまして、先ほど施設全てで4、544棟という報告をさせていただきましたけれども、このうち農業用のパイプハウスが約3、900棟となっております。さらに、農業用のパイプハウスのうち約6割が水稲の育苗用施設と推測されております。
 現在、市町村、農業協同組合等が復旧支援策の説明会あるいは事業要望の取りまとめを行っておりまして、パイプハウスの再建状況について、今どのぐらいというのは、具体の把握は難しいところではございますけれども、先ほども御答弁申し上げましたとおり、一部の地域では既に30棟以上のハウスが再建されたという事例も聞いておりまして、今後、さらに再建が進んでいくものと捉えております。
〇川村伸浩委員 3、900棟で6割ということで2、200棟ぐらいですか、今再建に向かっていると考えていいのですね。さまざまな理由で資材の調達がなかなか思うようにいかない、あるいは先ほど質疑の中でもありましたけれども、業者がかなり限られている中での対応ということで、非常に大変だと思います。
 農業協同組合なり県南広域振興局を中心として育苗苗の供給の調整をされているかと思いますけれども、この状況で、いわゆる5月の田植えにうまく間に合ってくれるのかとすごく心配するところですが、現在の状況についてお伺いしたいと思います。
〇佐藤県産米戦略監 水稲育苗の準備の状況ということでございますが、農家の意向が大事だということでございますので、意向を聞きまして、自分でパイプハウスを建てて育苗する方、それから、農協に頼む方、それらをいろいろと今調整している段階でございます。
 ただ調整するだけですと、後からパイプハウスが建たなかったということで不足することも懸念されますので、それらも見込みながら、いろいろと今精査しているところでございます。
〇川村伸浩委員 そうだと思います。今まさにそういう状況にあるかと思いますけれども、やっぱり調整の中で先手先手でやっていかないと、いや私は農協に頼んでいたとか、私は誰々に頼んでいたというような、お互いの思い込みの中で日にちだけたって田植えに間に合わないということでは大変困るわけであります。ぜひとも前、前の調整といったものに力を入れていただきたいと思います。
 次に、今回の大雪では、さまざまな農業施設が被害を受けております。パイプハウス、倉庫、畜舎等の被害が、この間の農林水産委員会の資料ですと、パイプハウスが3、800棟、倉庫が369棟、畜舎が154棟というような被害状況の報告がありました。
 それに対する農家の方々からのさまざまな要望を今取りまとめていると思います。その要望の状況、件数等がどうなっているのか。それから、それに対して県としてどういった対応をしていくのか。その点についてお伺いいたします。
〇中村農業振興課総括課長 パイプハウス、倉庫、畜舎等、こういった農業施設の再建につきましては、現在、まさに市町村等において、被災した農業者を対象とした説明会をつい最近も開催しています。また、個別に被災農家に直接連絡をとって、事業要望の取りまとめをしている状況でございます。
 先般、第1回目の公募が締め切られましたパイプハウスの資材を導入する国の持続的生産強化対策事業につきまして、農業協同組合からの聞き取りによれば、水稲用のパイプハウスを中心に約50棟の申請があったと聞いております。
 これから国のほうもどんどん追加要望がありますので、県といたしましては、市町村や農業協同組毎と連携しながら、可能な限り被災した農業者の意向に沿った再建ができるよう、営農形態でありますとか、さまざまな事業要件がございますので、そういったものを考慮した上で、国の支援策の活用を進めるなどしながら、きめ細かに対応してまいりたいと考えております。
〇川村伸浩委員 1回目の要望でパイプハウス50棟ということで、被害の棟数に比べますとかなり低いなと思いました。
 パイプハウスはそうだと思いますけれども、畜舎の関係についてお伺いしたいと思います。畜舎の雪の被害に対して、国あるいは県の再建なり補修なりといったものの事業メニューについてお知らせいただきたいと思います。
〇中村農業振興課総括課長 畜舎の整備に対する事業のメニューでございますが、まず、基本的には国の事業メニューの活用を考えております。一つは、強い農業・担い手づくり総合支援交付金、これも今、畜舎の整備が可能でございますし、また、そのほかに畜産経営災害総合対策緊急支援事業、これはALIC事業と申しまして、畜舎の整備に関してはそういう国の事業もございます。さらに、それでも対応できない方につきましては、県単独事業での対応も可能となっております。
〇川村伸浩委員 それで、畜舎でありますけれども、30年ぐらい経過している畜舎で、当時、建物というよりは構築物として建設された畜舎がかなりあるとお伺いしております。それに対する、国の事業メニューあるいは県単独事業のメニューで、どういった対応ができるのかお伺いしたいと思います。
〇中村農業振興課総括課長 先ほど御紹介した事業の内容につきましては、畜舎の再建、そして被災した畜舎の修繕が可能となっております。
〇川村伸浩委員 今、私がお聞きしたのは、いわゆる建築確認のない畜舎であります。いわゆる構築物でつくって現在使用している畜舎に対しての支援メニューについてでございます。
〇中村農業振興課総括課長 被災した畜舎などの農業施設の再建、修繕等も含めてでございますが、これに当たりましては、建築基準法に基づいた施設としての再建が必要でございます。建築確認のないような施設につきましては、再建の際に建築確認が取れるような施設という形で再建されなければならないと認識しております。
〇川村伸浩委員 県の認識は了解いたしましたが、先ほど紹介がありました酪農経営災害緊急支援対策事業は、通称ALIC事業と言われているようでありますけれども、事業内容については、畜舎等の損壊と、または緊急的な乳用牛の避難に伴う牛舎の補改修等。それで、事業の対象とする酪農経営体ということで、被災酪農経営体と。補助対象が牛舎の補改修ということです。そして、要件でありますけれども、これは被災証明の交付を受けているということで、いわゆる国あるいはALICの要綱には、建築確認が必要だということがうたわれていないわけであります。いわゆる今、中村農業振興課総括課長がおっしゃられるとおり、建築確認が必要だ、あるいは完成後に建築確認を必要とするという要綱を岩手県として設けているということでよろしいですか。
〇中村農業振興課総括課長 今回の大雪被害に係るさまざまな事業の要綱、要領のQ&Aの中に、そういう建築基準法が満たされるような状態になることとされております。
〇川村伸浩委員 後でぜひお見せいただきたいと思います。事前に、この質問をする際に資料をいただいたもの、これは養豚経営に対するALIC事業。確かに養豚に対するALIC事業については、建築確認の1項がございます。必要となる場合がありますという1項があるのですが、酪農経営については、そういった記載がされているものを私は探すことができませんでしたし、資料の提供もいただけませんでした。県として、被災農家を守る立場にあるのか自分たちの仕事を守るためにあるのか。ここはやっぱり農家のためにこういう要綱も読み取って助けていくべきではないかと思います。
 実際に畜舎は、一関市が86、金ケ崎町が29、奥州市が32と件数が非常に多くて、私もその中でちょっと調べさせていただきましたけれども、金ケ崎町の畜舎が15件ほど被害を受けていまして、そのうち6件は建築確認があると。建築確認がないのが9件ほどらしいです。3件ほどが軽微な災害、6件が甚大な被害を受けている。私もある1軒の農家にお聞きしましたら、補修の見積もりで867万円と巨額な補修費です。本当に農家にとっては大変な状況なわけであります。県として、これを救えないものなのかと思います。再度お願いします。
〇中村農業振興課総括課長 県の立場とすれば、農家を守っていくという姿勢はそのとおりでございますが、やはり建築物として安全性を確保することも大事なことでございますので、再建に当たっては、しっかりとそういった法律等の運用、基準等も守ったもので再建していただきたいと考えております。
〇川村伸浩委員 先ほど紹介したように、30年ぐらい前に畜舎を建築されたようですが、県の出先機関の指導もいただきながら建てているというようなお話も伺いました。過去のことですから、それを今さら引っ張り出すつもりはないのですが、やはり県単独事業もそうですが、何かしらの応援をしていかないと、こういった方々の次の営農への力にならないわけであります。そこをぜひ考えられないものなのでしょうか。
 部長、岩手県の農業者を守るお立場で、ぜひコメントをお願いしたいと思います。
〇佐藤農林水産部長 農業者を守る立場ということであれば、負担が少ない、なるべく規制のかからないものが一番だと思っております。ただ、どうしてもこちらの関係は、建築基準法の範疇になりますので、建築基準法の適用になる、ならないというあたりは、農林水産部の県単独事業の要綱でそれを適用除外することは非常に難しいと考えております。
 運用として何かできるかできないかがございますので、所管する県土整備部とその辺は調整させていただきたい、いろいろ相談をさせていただきたいと考えております。
〇川村伸浩委員 県土整備部に話をすれば、当然それは本来の筋でということになるかと思います。前に農業用のパイプハウスの建設に当たっての建築基準法からの除外をお願いしたときも、やはり県土整備部ではだめだと。農林水産部に頑張ってもらって、あそこを変えていただきました。やはり目線が違うと結果が全然違うと思うのですね。そういったところもぜひ検討をいただいて、何らかの支援策をお願いしたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇千葉秀幸委員 先ほど川村伸浩委員から被災農業者への支援が対象になるかならないかというところについていろいろと議論されていたので、そこに対して1点だけ質問させていただきます。
 まずもって、私からも、この間、スピード感を持って国、県で支援策を講じていただいたことに感謝申し上げます。この支援策をより多くの皆様に周知したいということで私もいろいろ動かせていただきました。そうしたら、被災農家の皆さんから出た多くの声が、実はこの支援4、544件ということですが、半分、あるいは半分以上は、この支援の対象にならないのではないかということが聞かれておりました。
 どういった実態かといいますと、実際にパイプハウスを使っている人たちの多くは、わらとか肥料を収納しているところが多いという話です。これが今回の対象から外れているということで、実態はそこに使われている人たちが多いということです。まず、この実態を認識されているのかについてお伺いいたします。
〇中村農業振興課総括課長 被災したパイプハウスの詳細な用途については把握しておりませんが、先ほどお話の出ましたわらの保管等につきまして、具体の棟数は不明でありますけれども、市町村等からは相当数の被害を受けたと聞いております。
〇千葉秀幸委員 やっぱりこれを機に決して農業から手が離れることがあってはいけないと思っております。わら等、農業をする上で必要不可欠なものであるというのは県の方も認識いただいていると思っております。ぜひ、それらを収納しているパイプハウスも今回の支援の対象としていただきたいということを私からも強く要望いたします。
 懸命に再建に向けて取り組んでいる被災農業者のためにも、前向きな考えと取り組みを示していただきたいわけでありますが、御所見があればお伺いいたします。
〇中村農業振興課総括課長 稲わら等の保管庫、いわゆる保管庫という扱いになれば、再建に当たりましては、先ほど来お話が出ておりますとおり、建築基準法に基づいた施設として建築しなければならないところでございます。その建築基準法の運用におきまして、いわゆるパイプハウスを利用した水稲あるいは野菜の育苗施設等につきましては、建築基準法の適用外とされております。よって、敷わら等を保管するパイプハウスの取り扱いにつきましては、担当部局と今後調整していきたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 前向きな答弁をいただいたかと思っておりますので、期待しています。いずれ、今回の被災農業者の多くは77%の支援を受けられるということですが、私は、多いに越したことはないですが、予算の大小ではないのではないかというところがあります。国あるいは県が今回の被災をしっかり把握されている、寄り添っているということをすごく示していただきたいと思っております。そこに勇気づけられて、少しでも支援を受けられるから頑張ろうといった気持ちになると思いますので、ぜひ今後とも寄り添っていただきたいと思っております。よろしくお願いします。
〇城内よしひこ副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。

午後2時31分 休 憩

午後2時47分 再 開

〇城内よしひこ副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、13人の質問者が予定されております。進行に御協力を願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行します。
〇菅野ひろのり委員 私からは、主に農地活用と農業人材の確保について伺います。
 まず、新年度当初予算案で農地管理事業費が計上されております。ただ、いただいた資料だと農地集積が少し停滞していると見られます。具体的には、これは増加分ですが、今までは、平成27年2、000ヘクタールから1、700ヘクタール、1、699ヘクタール、1、447ヘクタール、令和元年は476ヘクタールと非常に減少していますが、この要因をどう分析され、どのような対策を行っていくのか伺います。
〇今泉担い手対策課長 農地中間管理機構によります農地集積についてでございます。
 県では、農地中間管理機構を核としまして担い手への農地集積に取り組んできております。令和元年度の転貸面積は約2、800ヘクタール、新規集積面積が約1、300ヘクタールと、それぞれ全国第2位の成果をおさめてきております。
 こうした取り組みによりまして、担い手への集積面積は累計で、県全体で約8万ヘクタールとなってきておりますが、令和元年度の単年度だけ見ますと、増加面積が、委員の御指摘がありましたとおり、約480ヘクタールと、前年度に比べまして大きく減となったものでございます。
 この要因といたしましては、中間管理事業で集積が進んだ一方で、認定農業者が、高齢化等によりまして再認定を見送ったこと、あるいは集落営農組織の解散等がございまして集積面積のカウントから対象外となったことなどによるものでございます。
 県としましては、引き続き、市町村、農業委員会等と連携しながら、地域農業マスタープランの実質化の中で明らかになりました担い手への農地集積の取り組みを積極的に支援してまいります。
〇菅野ひろのり委員 この集積から見ても、少し時代の転換期に入ってきているかと思います。先ほど認定農業者の件の御答弁もいただきましたし、あと、市町村別の農地集積の状況を見ると、矢巾町や紫波町は7割5分や8割と非常に高くやっていますが、規模が大きい奥州市や一関市は半分ぐらい、あと下のほうは、県北の厳しい地域でありますから、私は、なかなか伸びづらくなってきている環境から、これからそういった中山間地域に改めて目を向けていかなければいけないと思っています。
 そこで、どうやってそれを集積し、規模拡大、効率化していくのかというと、県のいきいき農村基盤整備事業費補助、これは、もともと中山間地域の耕作条件が不利な小規模農地を対象とした基盤整備事業で、来年度から500万円増ということでありました。これは要望数に対してどの程度応えられているのか、この拡充の検討はなされたのか、実績も含めお願いします。
〇千葉農村建設課総括課長 まずは、令和2年度の実績でございます。事業費5、100万円余、補助金額といたしますと4、700万円余によりまして、11市町村34地区において、水田の区画拡大約8.1ヘクタール、暗渠排水約7.4ヘクタールを実施しております。
 地区の採択に当たっては、現地機関に設置されました計画検討委員会におきまして計画内容の審査を行うこととしておりますが、令和2年度は、地域から最終的に提出されました計画が全て要件を満たしていることから、全地区を採択し、実施しているところでございます。
 それから、今後の要件の拡充についてということでございますが、令和3年度の事業制度におきましては、先ほど委員からお話があったとおり、1割増の事業費を確保することで要求させていただいております。それから、中山間地域における定率補助メニューの補助率の5%かさ上げを行いますし、従来、暗渠があるところについて、補助暗渠のみ、条件の悪いところを単独施工することを可能とするような制度拡充を行ったところでございます。
 なお、事業費の上限の議論は今までもされておりますが、県では、厳しさを増す財政環境を踏まえまして、最大限、国費の活用を図る方針のもとに、国庫補助事業の導入を基本としているところであり、本事業は、同様の国庫補助事業メニューを持ったものがございますが、その採択要件に満たない、あくまで小規模できめ細かな整備をできるだけ多く機動的に推進するものと位置づけておりますことから、現行のままで進めていくことといたしました。ただし、農家のニーズに応じて、事業制度の選択及び導入に向けて指導、支援をしてまいりたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 確認ですが、令和3年度は39地区ということですが、要望自体は、採択される前を含めてどの程度要望があるのかどうか。
〇千葉農村建設課総括課長 一通り令和3年度の要望を取りまとめた数字がこの数字になっております。ですから、この中から事業要件に合致していくかどうかという審査を経まして、今後、採択に向けて取り組まれていくものでございます。
〇菅野ひろのり委員 令和2年度の執行分に比べて倍近い要望があるということで、やはり中山間地域は耕作面積が少ないわけですが、地域のまとまりがとれないようなところであるとか、そういった中でも必要とされている事業だと思っておりますので、引き続きお願いしたいと思います。
 それで、午前中、佐々木順一委員の質疑でもありました、田んぼからの需要に応じた米生産ということで1、200ヘクタール転換していくのだと。減反調整廃止に伴って、振り返るとトップ型モデル事業ですか、野菜等を行って水田から転換をしようと。一方で、事業要件を見ると、水田から実際に畑作へ転換するのはなかなか難しくて、事業要件を緩和してきた背景があると思っています。
 前回事業の課題を踏まえて、新年度、水田フル活用農業高度化プロジェクトをどのように進めていくのか伺います。
〇佐々木農産園芸課総括課長 水田フル活用農業高度化プロジェクトの取り組みについてでございますが、県ではこれまで、水田へのタマネギやピーマンなどの高収益野菜の導入を進めてきたところでございます。定植や作業機械の整備、排水対策、安定生産のための栽培技術の向上、こういったところが課題と認識しているところでございます。
 このため県といたしましては、令和3年度当初予算案に盛り込みました水田フル活用農業高度化プロジェクト事業におきまして、野菜生産に必要な機械、施設の設備等を引き続き支援していくとともに、地域の中核的な生産者、組織の方々に対しまして、県、市町村、農業団体等で構成します集中支援チームが、栽培管理をきめ細やかに指導していくこととしておりまして、こうした取り組みによりまして、水田を最大限に活用した高収益野菜の生産が拡大するよう取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 この事業には、水田フル活用、あるいは施設の導入、そして環境制御の大きく言うと三つの事業があって、中心は施設導入の約5億円ということでありました。私は、この水田フル活用の事業について、県はどういう政策誘導を行っていきたいのか、そこを今回お聞きしたいと思っています。といいますのも、例えば環境制御、これは6カ所で910万円ぐらいの予算であるということでありました。例えば高知県であるとか秋田県であるとか、そういった大規模な環境制御を入れながらメガ団地を形成してきたという過去の背景もある中、岩手県の環境の中で、環境制御を試験導入しながらどんな産地形成を目指していくのか、どうお考えでしょうか。
〇佐々木農産園芸課総括課長 環境制御を導入した産地づくりということでございます。
 委員御指摘のとおり、来年度につきましては、中山間地域等を中心に環境制御技術を導入することで予定しております。地区数は6地区ということでございます。
 この環境制御技術につきましては、本県の場合、特に中山間地域に限って見れば、比較的小規模な農家が多いということでございますので、農業研究センターで開発しました既存のパイプハウスに、比較的安価なコストで導入可能な技術をこうした6カ所で実証して、狭いあるいは条件不利な地域であります中山間地域におきまして、果菜類を中心として産地化を図ってまいりたいと思っているところであります。
 あわせて、水田を活用した機械化一貫体系の部分のタマネギでありますとかネギにつきましては、引き続き産地化を図ってまいりたいと考えているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 ほかの産業もそうですけれども、例えばタマネギであれば当然、ロットを必要としてくるわけで、事業要件、やりたいところが手を上げて、採用されて作付ができましただけでは、しっかりと産地としての形成はできないと思っていますので、どの程度のロットを確保して、どういう販路、出口戦略を行っていくのかを踏まえた上で、こういった事業の活用をぜひしていただきたいと思います。
 そして、肝心の稲作生産について、まとめて3点お伺いします。
 金色の風についてです。フラッグシップ米という位置づけでやっているわけですから、面積の拡大を絞りながらやっているのだという認識でおります。これの県産米全体に対する評価、あとは、高値取引がいわて県民計画(2019〜2028)の目的になっていると思いますが、まず岩手県産米の市場評価に与えた影響をお伺いします。
 あわせて、今後、これからの米生産の販売戦略ビジョンが2021年から新たになると。先ほど佐々木努委員からもありましたが、環境がどんどん変わってきている中で、これをどうやっていくのか伺います。
 加えて、さらに大事だと思っていますのは県北地域で、やはり耕作条件が県南地域より厳しい中で、今、品種開発促進事業費、これは早生品種の開発も進めているようですが、その状況はどうなっているのか。3点お伺いします。
〇佐藤県産米戦略監 まずは金色の風の成果についてでございますが、県では、金色の風、銀河のしずくを核とした県産米全体の販売促進を図るため、大消費地でのトップセールスや県内外でのテレビCMなど、積極的なプロモーションに取り組んできたところでございます。
 令和2年産の金色の風の相対取引基準価格は全国2位の高価格を確保するとともに、県産米の知名度は、全農岩手県本部が行いました首都圏等在住の約3、000人への調査によれば、令和2年産が知名度は36%と、金色の風の販売を開始した直後の平成30年と比べますと約10%高まっているところでございます。
 また、大手米卸売業者からは、岩手は、主力のひとめぼれに加え、高品質、良食味の県オリジナル品種が加わり、高級ブランド米から業務用仕向けの米をそろえる全国有数の産地として厚い信頼をいただいており、県オリジナル品種は、県産米全体に対する評価向上に貢献していると考えております。
 続きまして、新たな米戦略につきましては、令和3年度から令和5年度までを戦略期間として、今年度末を目途に策定を進めているところでございます。
 また、策定に当たっては、県内でのスマート農業技術の進展や新型コロナウイルス感染症の影響による家庭需要の増加、さらに、関係機関や有識者等からいただいた意見を踏まえまして、生産面では、リモートセンシング技術を活用し品質や食味の向上、生産コストの低減を図ること、それから、販売面では、SNSを通じたプロモーションやウエブを活用した販売促進を図ることなどの取り組みを盛り込むこととしているところでございます。
 続きまして、県北地域向けの早生品種の開発についてでございますが、県では、生産者や実需者のニーズに対応し、県北地域の気象条件に適する早生の良食味品種の開発に取り組んでいるところでございます。
 令和2年度は、品質や収量等を評価するため、3系統について、県内6カ所で現地試験を行ったところでありますが、来年度は、有望と認められた1系統に、農業研究センター内の試験で有望とされた2系統を加えた3系統について、県内数カ所で現地試験を行うこととしております。
 今後、こうした現地試験の結果を踏まえまして、品種登録の可否について検討することとしているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 私が課題に思っているのは、一つは金色の風の評価についてです。生産者の方も一生懸命つくられていますし、非常においしいという評価、あるいはつくり方の難しさ、専用の施設が必要であるとか、いろいろな課題はあるにせよ、フラッグシップ米としての岩手県全体への価値をしっかりと出せているのかどうかということが大事なのだと思います。そして、どれを読んでも、過去の質疑を見ても、具体的な数値が明確に示されていないのですね。だから評価自体が難しい。特Aの対象でもないのですね。
 だから、次の戦略においては、金色の風を具体的な数値、面積なのか価格なのか、そういった明確な位置づけをしながら、銀河のしずくであるとか、県北地域の米、あるいは加工用米であるとか、県産米全体を組み立てた販売戦略をぜひつくっていただきたいと思っております。これは要望にしたいと思います。
 次に、農業人材の確保について伺います。
 2020年の農林業センサスが出されました。非常に驚いている数字でありまして、平成27年、基幹的農業従事者、個人経営体ですが、5年前に約6万人いたのが、令和2年には約4万4、000人ということであります。
 県は、この数字の現状と、今後、特に2040年というのは非常に大きな区切りだと思っていますが、どのようになっていくと分析しておりますでしょうか。
〇今泉担い手対策課長 先般公表されました2020年農林業センサスによりますと、本県の基幹的農業従事者数ですけれども、先ほど委員からお話がありましたとおり、約4万4、000人と、5年前に比べまして約1万5、000人、25%の減となっております。また、39歳以下の基幹的農業従事者数を見ますと、約1、500人、これは5年前に比べますと約450人、23%の減という状況になっております。
 こうした状況は全国的に見ても同じような状況でございます。20年後の2040年を見通すことはなかなか難しいところではございますけれども、今後もこうした傾向は続くのではないかと捉えております。そのため、地域農業を牽引する経営体の育成あるいは新規就農者の確保、経営規模の拡大や経営の高度化などを進めていくことが重要と認識しているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 全国的にということでありましたし、繰り返しになりますが、佐々木順一委員の質疑のときも、国全体で取り組んでいかなければいけないという中で、今、県でもさまざま努力はいただいておりますが、人口減少と農業人材の減少に歯どめがかからない。そして、5年で25%も減少していると。さらに、60歳以上を調べますと、全体で4万4、000人いる中で3万4、000人と大変厳しい状況にあります。
 今後、新規就農総合対策事業を行っていきますが、どういうことを目的に取り組んでいくか伺って、終わります。
〇小原農業普及技術課総括課長 令和3年度当初予算案に盛り込みました新規就農総合対策事業費におきましては、これまで、市町村、農業関係団体、教育機関等と連携しました就農相談会や新規就農者の発展段階に応じた農業研修等の取り組みに加えまして、新たに、農業後継者等への円滑な世代交代を進めるために、農業経営の継承に係る研修や第三者への経営継承のためのマッチングを進める体制を構築するといった取り組みを行うこととしております。
〇武田哲委員 それでは、私からも何点か質問させていただきます。
 佐々木努委員からもありましたけれども、令和3年産米の生産、販売についてです。また、これに関して、私ももう一度改めてこの米政策を見直したいと思って、今回、需要に応じた米の生産・販売の推進に関する要領を自分なりに一生懸命調べてみました。制定されたのが平成18年、これまで26回の改定をなされ、そして、これをルールとしてやってきました。そのルールに関しても先ほど川村伸浩委員から質問がありましたけれども、これを読んでいく中で、加工用米とか新規需要米は、戦略作物として取り扱うという位置づけになっています。
 この戦略作物としての加工用米、新規需要米に県はどのような考え方でこれまで取り組んできたのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
〇工藤水田農業課長 加工用米、新規需要米に対する県の考え方等についてでございますけれども、本県におきましては、岩手県農業再生協議会が策定した水田農業の推進方針に基づきまして、その需要に応じた米の生産を推進しておりまして、加工用米につきましては、国が直接生産者に交付する産地交付金等を活用しつつ、県内の酒造業者の需要と各地域の取り組み希望とのマッチングに取り組むとともに、安定的な供給を図るため、複数年契約を推進しているところです。
 また、新規需要米、特に飼料用米につきましては、県オリジナル多収品種等の導入を推進するとともに、産地交付金において、団地化や生産コスト低減技術の導入を支援する県推進メニューを引き続き設定し、収益性の確保を推進しているところです。
 さらに、輸出用米につきましては、県産米の輸出拡大に向けて、単収の向上や低コスト栽培の取り組みを推進しております。
〇武田哲委員 それでは、加えまして、加工用米と新規需要米のこれまでの岩手県の販売の様子、それから商品開発をどのように分析し、これまで評価してきているのかお伺いいたします。
〇高橋技術参事兼流通課総括課長 加工用米、新規需要米についてのお尋ねでございます。
 加工用原料米の需要という観点からお話をさせていただきますが、我が国全体としては減少傾向にあるということであります。したがいまして、本県におきましても、酒造用であるとか、あるいはみそでありますとか、そうした需要に対しての販売は減少傾向にあると認識しておりますが、一方で、米粉を活用した商品あるいは無菌包装米飯のパック御飯、こういった商品の需要が伸びているということで、そちらの需要は拡大しているものと認識しております。
 本県におきましても、米を原材料とした付加価値の高い商品開発や販路開拓に取り組む例がふえておりまして、県としても、これまで、例えば盛岡市の農事組合法人が、地元の製麺業者と協力し米粉を使用した麺製品を開発した事例でありますとか、陸前高田市の農業者が、自家製の米粉と地域で生産された規格外のカキやリンゴを使用してお米スナックを開発した事例につきまして、支援をしてきたところでございます。
 こうした商品開発につきましては、米の需要拡大につながるとともに、生産者の所得向上や地産地消にも資する重要な取り組みであると考えております。県といたしましては、引き続き、専門家の派遣でありますとか商談機会の提供などによりまして、積極的に支援してまいりたいと考えております。
〇武田哲委員 そうした中で、これまでこの質問をするに当たってさまざま意見交換をしてまいりました。やはり今はコロナ禍です。その中でいずれ農家の人たちは生産調整していかなければならないと。さまざまな要因があるのですけれども、昨年の令和2年5月28日に農林水産省から、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う需要に応じた米の生産・販売の推進に関する要領に定める加工用米の範囲の取扱い等についてといった通達が出ています。
 まず、政府でも今、新型コロナウイルス感染症の拡大状況を見越してさまざまな施策を考えているわけですけれども、県ではこの点、どのように見てきたのかをお伺いしたいと思います。
〇佐々木農産園芸課総括課長 昨年出された通知でございますけれども、コロナ禍の影響によりまして消費等の減少に伴う中で、輸出用米でありますとか醸造用の加工用米への扱いといった部分の拡大という中で、特例的に取り扱いを通知したものと認識しております。
〇武田哲委員 きのうの商工労働観光部の審査で現在の県内酒蔵の状況について、酒造組合に行って聞いてみたら、醸造用玄米が1、000俵、加工用米が1、000俵残っていると。これまで酒づくりをしてきて初めて持ち越したと。令和3年産米を持ち越すような状態です。それだけ酒の消費が落ちていると。
 そうした中で、確かにこのルールの中に加工用米について書いています。また、戦略的な作物として、コロナ禍においてどんな戦略を立てるかも県の役目だと私は思っています。このルールを読み込んでいくと、加工用米は、政策統括官が認めたものはしっかり認めますよと。先ほど高橋はじめ委員から加工用米の需要が落ちてきていると。蔵はいい酒をつくりたいのです。いい酒をつくるために、醸造用玄米を使用して酒づくりに臨みたいという気持ちを一番持っているのですね。
 また、加工用米を例えば100俵注文します。ところが、ひとめぼれが90俵、そして、プラス10俵、あきたこまちが来たりと、単一の品目でもらえなかったりすることが多々あると。そうなってくると、いい酒をつくりたくても、肝心の供給側がそういう状態だといいものはつくれないのです。今の時代、やっつけ仕事をやっている蔵はありません。いいものをつくりたいのです。それは飲み手のことを思ってやっているところだと思います。
 確かに醸造用玄米は加工用米にそぐわない、認められないとはなっていますが、ルールの中で、担当の国の統括官が認めれば、そこは認めますよと。今回、国から来た加工用米に醸造用玄米を認めるという通知があります。まして、生産調整の面積もふやさなければならない。この二つをうまく組み合わせて、コロナ禍における企業支援というところで、加工用米に醸造用玄米を含めて、農家に生産調整への協力を求めていくところの考えはなかったのか、その点をお伺いいたします。
〇佐々木農産園芸課総括課長 酒造好適米を加工用米にということでございますが、本県におきましては、その通知の関係で輸出用に回った部分がございます。その中で、酒造好適米を加工用米に回せたという実績はございませんで、当方としても、そのような取り組みは昨年度は行っておりません。
〇武田哲委員 ルールはルールとしてあるわけですけれども、先ほど川村伸浩委員も言っていました、どう読み取るかだと思います。農林水産省の政策統括官が特に必要と認めた用途というところがありますね。そこは読み込めるのではないでしょうか。まして、補正できちんと国からも予算が来ています。どうやって企業を支えるか。ただ、これは企業を支えるだけではないのですね。農家の人も支えながら、生産調整をこれからもやっていかなければならないわけです。そして、一緒になってつくって、岩手県のお酒がこんなにいいものができましたよと。これは県民もしっかり認めて、ますます消費拡大につながるのではないでしょうか。
 数字だけで判断するのではなくて、その先にどういうつながりが生まれるか、それからあと、県民にどう協力してもらうかといったところを見越しながら、このルールを読み込まなければならないと思っています。そこのところについてもう一度お伺いいたします。
〇工藤水田農業課長 委員のおっしゃる部分もあるかと思いますけれども、先ほど説明しております通知につきましては、国のほうに酒米の供給が需要を大幅に上回っている、また、全国的に酒造組合等からの要望があったことから、転換ができると認める旨の通知が発せられたところでございます。
 県内では、現状で、農業協同組合グループにおきまして、令和3年産酒米の作付を一部見合わせるよう指導していることも聞いておりますし、県といたしましては、酒米を加工用米に転換することについては、他県の状況の情報収集をしていきながら、今後、需要に応じた米の生産に引き続き取り組んでまいりたいと考えているところです。
〇武田哲委員 なかなか認めてもらうことはできないかもしれませんけれども、昨年、国でもルールを見ているわけです。これはヒントだと思うのですよ。ほかの県の動きは関係ないのですよ。岩手県オリジナルの政策としてきちんと打っていかなければならないと思うのです。ほかの県のまねをする必要はないと思っているのです。それが皆さんがつくる政策ではないでしょうか。そこのところを私は指摘しておきたいと思います。
〇高橋技術参事兼流通課総括課長 ただいま醸造用のお米につきまして、その需要の拡大といいましょうか、その取引に関する考え方といいましょうか、本県におきましては、米づくりと酒づくりが両輪で発展してきた背景があるわけでございます。したがいまして、単なる取引ではなくて、それぞれの産業分野という考えもございますし、また、食文化を形成してきたというつながりもございます。そうした視点をしっかり持ちながら、岩手県の農林水産物のポテンシャルをしっかりお伝えしながら、高品質な魅力ある農林水産物をお届けすることが重要だと思っております。
 今回、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて日本酒の消費量が低迷していると先ほどもお話がございました。また、需要が落ち込んだ県産の酒米ということを先ほども申し上げましたが、これをベースとして、これは株式会社南部美人ですが、クラフトジン等の製造に必要な蒸留設備の導入とか施設整備に向けた取り組みを、今回の新型コロナウイルス感染症の関係の国の経済対策で処置された高度事業を活用して、さらに県費を上乗せして支援しているということでございます。地域の米をできるだけ需要拡大したいという株式会社南部美人のお考えが強く、こうした取り組みに発展していると認識しているところでございます。
 こういう取り組みは今後も必要かと存じておりまして、県産米の需要拡大に向けた取り組みについて、今、委員の御指摘にあった考えも含めながら、しっかり支援していく必要があると考えております。
〇武田哲委員 いずれにしましても、酒蔵は一生懸命、責任を持って、この醸造用玄米を使いながらいい酒をつくろうとして頑張っていますので、そこの点、そして消費拡大に向けてしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次に、先ほど菅野ひろのり委員からも、新たな転換期に来ているのではないかという話がありました。その中で私も、農業を支えるさまざまな組織の人数の動向をちょっと調べてみました。例えば農業協同組合は、岩手県内に7つあります。その中で農業協同組合の職員の数を見てみました。その結果、3、531名がいます。しかし、その中で営農指導の担当401名、それから生活指導が43名、そのほかは、ほとんどが信用共済、ライフアドバイザー、金融などといったところに働いている人たちです。
 一方、各自治体の人数を調べてみました。定員管理計画からですけれども、町村が232名、市は505名、合わせて737名がそれぞれ農政や林業や水産に従事しています。その中でも市で最大は、一関市が87名、滝沢市が13名。町村の最大が、山田町が19名、最少が田野畑村で6名です。
 そうした中で、県の今の農林水産部の人数はどのようになっているか、簡単にお伝えしていただきたい。
〇安齊農林水産企画室管理課長 農林水産部の職員数でございますけれども、令和2年4月1日現在におきまして1、393名となっております。うち営農指導等を行っている農業改良普及センターの職員となりますと186名、それに加えまして、本庁及び出先機関に駐在している農業普及技術課の革新支援担当という職員がおりますが、この20名を合わせると、営農指導関係で206名となっております。
〇武田哲委員 まず、この人数を伺ったときに、やはり岩手県の農政の推進役は皆さんなのですよ。私はそう思いました。まして市町村もどんどん人数が減っているのです。実は、町村の職員の中には、復興の事業の人たち、あと、岩泉町のように災害があった人たち、そういった人たちも農林水産の課の中に入っていたり、あとは環境問題に取り組む人たちも入っていたりと、実際の人数はもっと減ってくるわけです。その中で、岩手県の1次産業をしっかりと前に進めるのは皆さんだと思っています。
 そこの部分でまた、先ほど菅野ひろのり委員も新規就農に関して話がありました。この農林水産部の中にも本来であれば多くの農業後継者がいたのではないかと思っています。そして、県の施策で、ただいま新規就農も募集しております。
 今、テレワークとかという話はありますけれども、田んぼワークとか、畑ワークとか、牛飼いワークとか、海ワークとか、皆さんが率先して入っていかなければならないのではないですか。やはりその先頭を切って、岩手県の農業を、そして岩手県の水産を、岩手県の林業を変えるという意気込みが私は見たいです。皆さんが立案した政策がどの程度有効なのかというところの実証にもなると思います。ぜひその辺をお伺いして、最後にしたいと思います。
〇佐藤農林水産部長 県の職員数は、先ほど1、393人と申し上げましたが、県庁知事部局の職員4、000人ちょっといる中で、最大の人数が配置になっております。市町村、農業協同組合等の関係職員は行政改革等でどんどん減っているというのもそのとおりでございまして、そういう状況がゆえに、県に期待される役割も非常にあると思っております。
 先ほど営農指導員等のお話もしました、林業の普及員もいますし、水産の普及員もいます。我々も、常に机の上のデスクワークということだけではなくて、なるべく現場に出て、いろいろな生産者の声を拾いながら、どういった形で政策を組んでいけば岩手県の農林水産業が発展していくのか、そういうことを常に考えながら岩手県の農林水産振興に当たっていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは、新型コロナウイルス感染症による県内農業への影響について、最初にお聞きをします。米に限らず、どういう影響を受けているか示してください。
〇鈴木農林水産企画室企画課長 まず、価格の傾向で御説明いたします。
 牛肉につきましては、枝肉価格が昨年10月以降、前年並みに回復しているところでございます。
 野菜、果樹につきましては、昨年4月からことし1月までの販売単価で見ますと、前年同期間を上回っている状況でございます。
 花卉につきましては、販売単価が、昨年5月以降はおおむね前年を上回る水準で推移しているところでございます。
 一方で、米につきましては、家庭での消費が増加しているが、外食での需要が低迷しているような状況でございます。
〇斉藤信委員 それでは、米価暴落の状況と農家の減収の実態についてお聞きいたします。
〇佐藤県産米戦略監 米価暴落の状況と農家の減収の実態についてでございますが、令和2年産米のJAの概算金の引き下げ額であります60キログラム当たり800円と同額で米価が低下したと仮定し、それから、国が公表しました本県の10アール当たり収量553キログラムに基づき試算した場合には、前年と比較しまして、平均規模である約1ヘクタールの生産者では7万4、000円の減、それから10ヘクタールの規模では74万円の減と試算されます。
〇斉藤信委員 10ヘクタールで74万円の減収と。100ヘクタール規模の集落営農であれば740万円ということになりますね。これは大変大きな影響、打撃を与えたものだと思います。
 そこで、生産費が賄えない農家の状況について示してください。
〇工藤水田農業課長 農家の現状についてでございます。
 国の農業経営統計調査によりますと、最新の値となる令和元年産の東北の米生産の作付規模別の自作地地代等を含む全算入生産費は、1ヘクタールから3ヘクタールの作付規模で、10アール当たり13万85円、3ヘクタールから5ヘクタールの規模で、10アール当たり11万6、689円となっております。
 また、令和2年産の県産ひとめぼれの相対取引価格をもとに、国が公表した令和2年産の本県の10アール当たりの収穫量553キログラムを用いまして10アール当たりの収入額を試算しますと12万6、473円となり、3ヘクタール以上の規模で生産費を上回る状況となっております。
〇斉藤信委員 3ヘクタール以下の農家が、この生産費だと赤字だということになりますが、その農家戸数と農家比率はどうですか。
〇工藤水田農業課長 農家戸数でございますけれども、3ヘクタール規模未満の農家の戸数は約3万1、900戸となっております。割合は92%でございます。
〇斉藤信委員 農家の92%がこの生産費だと赤字だということになります。これは本当に大変な事態だと思いますけれども、国の対策でナラシ対策、収入保険の対策がありますが、この加入状況と補填の見込みはどうなっていますか。
〇工藤水田農業課長 米・畑作物の収入減少影響緩和対策、いわゆるナラシ対策の加入状況と補填の見込みについてでございます。
 令和2年産のナラシ対策の加入面積は、国の公表資料によりますと、主食用米の作付面積4万8、200ヘクタールの約36%、1万7、507ヘクタールとなっております。
 また、ナラシ対策の補填の見込みでございますが、加入者が令和3年4月末までに交付申請して、国において補填金の算定を行って、6月中に加入者に対して補填金を支払うことになりますので、現時点では補填金の額を御答弁申し上げることは難しいところでございます。
〇菊池団体指導課総括課長 収入保険についてでありますが、加入状況は、主食用米の作付面積に対して8、810ヘクタールであり、割合としては約18%となっております。
 また、保険金の支払いについて、農業共済組合においては、税の確定申告後から申請を受け付けるため、保険金額を把握できるのは令和3年6月ごろになる見込みでございます。
〇斉藤信委員 ナラシ対策は作付面積の36.3%、収入保険は18.3%で、作付面積で見れば54.6%がその対象になるのですが、農家戸数、比率で見るとどうですか。
〇工藤水田農業課長 ナラシ対策の戸数の関係でございますけれども、加入者の対象が認定農業者、集落営農組織等と限られておりますので、戸数としては把握しておりませんけれども、件数としては約2、000件となっております。
〇菊池団体指導課総括課長 農業経営の収入保険についてでございますが、収入保険の場合、いろいろな農家全体の収入についての保険になっておりまして、戸数が概算でしか捉えられない部分があるのですが、約1、500戸となっております。
〇斉藤信委員 そうすると、先ほど聞いた減収に対する対策、どこまで補填されるかきょう答えはなかったのですが、合わせて3、500戸ぐらいですよ。だから、補填されるのは、農家全体のほんの一部にすぎない。本来なら、新型コロナウイルス感染症による需要減は別枠にして米の暴落から回避させるのが国の責任だった。国が米の需給から手を引いたために、新型コロナウイルス感染症の影響が全部農家に行くことになってしまったのではないか、私は大変残念な事態だと思います。
 そこで、きょうは水田フル活用・農業高度化プロジェクト事業についてもたくさんの質問がありました。例えば飼料米、園芸も含めてもいいのですけれども、この具体的な内容と価格補填の見込みについて示していただきたい。
〇工藤水田農業課長 それでは、飼料用米への補助の関係で御説明したいと思います。
 主食用米の実際の手取り額につきましては、令和2年産の概算金をもとに試算しますと、10アール当たりでは約11万円となります。
 一方、令和3年産の飼料用米で平均的な10アール当たりの手取り額をこの事業を使って計算しますと、販売額9、000円に加えて、令和3年度当初予算案に盛り込んだこのプロジェクト事業によって5、000円を補助します。さらに、国の都道府県連携型助成も合わせますと、トータルで12万4、000円となりまして、主食用米の先ほど申し上げた11万円と比較しますと、主食用米と同等かそれを上回る水準になると見込んでおります。
〇斉藤信委員 今、飼料用米の補填の状況が示されました。今の比較だと主食用米を上回る試算になります。問題は、これは単年度の取り組みなのか何年続く施策なのか、そこを示してください。
〇工藤水田農業課長 今回の水田フル活用・農業高度化プロジェクト事業ですけれども、今申し上げた国の都道府県連携型助成は、今年度限りということで伺っております。これは国のほうなので、情報としては、とりあえず今年度ということです。
 それで、県の予算も、まだ決定しておりませんけれども、この分は水田転換緊急対応ということで、令和3年度1年で今考えているところでございます。
〇斉藤信委員 令和3年度の施策としてはいいのだけれども、転換してみたら翌年からはしごを外されたということだったら、とてもではないけれども転換は進まないのではないでしょうか。せめて5年続けるとかやらないと、飼料米だって、これから改良されてよくなるかもしれないけれども、国も県もはしごを外したらやっていけないでしょう。こういう場当たり的な緊急対策でいいのかと。単年度で転換させて、あとは終わりと。これは余りにもひどいのではないでしょうか。これはどうなのですか。
〇工藤水田農業課長 今申し上げたのが国の緊急的な助成、県単独で今予算案に盛り込んでいるこの事業ということで御説明しましたけれども、そのほかにも、内訳としましては、国の交付金の中で戦略作物助成であったり、産地交付金の関係でほかの交付金もございまして、そちらで特別に県枠のメニューですとかも今後考えていく可能性もございます。
 令和3年度は緊急的に今回のような予算化を考えておりますが、来年度以降につきましても、この交付金等を活用して、さらに飼料用米の推進に取り組んでまいりたいと考えているところです。
〇斉藤信委員 今の答弁だと、まず単年度のみと。あとはいろいろ考えると。これでは農家を説得できないと思いますよ。やはり水田フル活用というのであったら、例えば飼料米でも、それなりに経営の見通しが立つような方向性を、せめて5年ぐらいのスパンで提起されなかったら、1年は面倒を見ますということでは、それこそ猫の目農政と言われてしまうのではないでしょうか。
 それで、例えば今、国の施策で乳製品は輸入を大幅削減しています。牛乳も余っているのです。それがチーズとかバターとかに転換されています。
 米はどうか。米はミニマムアクセス米が77万トンも入っている。米が余っているのが36万トンですよ。余っている米の2倍輸入しているのですね。そして、主食用に輸入しているSBS米は10万トン、これは在庫の増加分と同じです。
 私は、やっぱりミニマムアクセス米を大幅に減らすとか、これは法的根拠や条約上の根拠はない。だから、乳製品でやれることが何で米でやれないのか、SBS米だって、これは主食用米ですからね。私は、そういうことをしっかりと国に要求をして、少なくとも新型コロナウイルス感染症の影響による需要分は国が責任を持って対応するということが必要だと思うけれども、部長いかがですか。
〇佐藤農林水産部長 米の関係は、先ほども御答弁申し上げましたけれども、都道府県単独の中で完結するものではないというお話をさせていただきました。新型コロナウイルス感染症の関係も全国的な問題ということもございます。
 本県といたしましては、今ミニマムアクセス米のお話等もございましたけれども、国に対しまして、需要に応じた米生産ということで、ミニマムアクセス米とかTPP11協定に基づいて国内産主食用米の価格低下が懸念されることから、国内需要に影響を及ぼさないための対策を講じることといった要望とかを国に強く申し上げているところでございますし、今後ともそういう体制でいきたいと考えております。
〇斉藤信委員 先ほど、最初に県内農業への影響ということで、牛肉については前年並みにという答弁がありました。私が皆さんからいただいた資料で見ると、牛肉の枝肉卸売価格、和牛去勢A5等級、前年比93%、A4等級は94%。例えば交雑去勢B3等級88%、B2等級は86%と、全然前年並みではないのではないですか。かなりの影響を受けているのではないでしょうか。違いますか。
〇鈴木農林水産企画室企画課長 今、委員から御指摘いただいた価格につきましては、令和2年4月から年度で見ている数字でございます。先ほど私が御答弁したものにつきましては、10月以降前年並みに回復という御説明をしたものでございまして、昨年4月から9月までにつきましては、A5等級、A4等級ともに前年同期比よりもマイナス数%から、最大下がったときでマイナス30%程度ということでございましたので、そこでの違いがあったということでございます。
〇斉藤信委員 私がいただいた資料はあなたがつくったと思うけれども、令和元年度と令和2年度2月までの比較で、A5等級で93%ですよ。7%といったら、これは結構な影響ですよ。そして、きょうの新聞を見ましたら、米国産牛肉のセーフガードを18日に発動と。輸入がどんどんふえているということですね。岩手県の畜産農家が大変なときに、どんどん牛肉の輸入がふえて、セーフガードが発動される、こういう状況ではないですか。
 それで、この新聞で私が大変だと思ったのは、昨年1月に発効した日米貿易協定は、発動後10日以内に日米両政府が基準数量を上方修正する協議を始めると規定していると。いわば発動されたら、基準を引き上げてもっと輸入できるようにすると。これでは問題なのではないでしょうか。
〇鈴木農林水産企画室企画課長 米国との協議によってセーフガードの発動基準が引き上げられた場合には、今よりも低関税率が適用される牛肉の輸入量が増加することにつながることについては、県としても懸念しているところでございます。
 これまで県では、国に対しまして、日米貿易協定の発効に伴う農林水産業への影響等につきまして十分な情報提供を行うこと、それから、総合的なTPP等関連政策大綱に基づく施策を着実に実施することなど、万全の対策を講じるよう要望してきたところでございます。
 引き続き、今後もそういった動向を注視しながら、国に対して要望を行うなど必要な対応を実施してまいります。
〇千田美津子委員 最初に、農地の冠水防止対策についてお聞きいたします。
 この防止対策にはさまざまな手法があると思いますが、まず、湛水防除事業についてお聞きしたいと思います。これは、昨今、台風とか豪雨災害が多発する中で、湛水被害が生じるおそれがある地域においては大変重要な事業だと考えます。その湛水排除の恒久対策として実施されているのが排水機とか排水調整池、排水路、堤防等さまざまあるようでありますが、まず、岩手県内の現状についてお聞きしたいと思います。
〇工藤参事兼農村計画課総括課長 湛水防除事業は農林水産省の事業でありまして、農地等の湛水被害の発生を防止するために有効な事業と認識しておりますが、現状は、昭和51年度から平成29年度まで、北上川沿いの奥州市ほか2市の12地区で事業を実施して、完了しているところでございます。
〇千田美津子委員 事業が実施されているということはわかるのですけれども、いろいろ種類があるわけですが、それでは具体で質問をいたします。
 奥州市を流れる北上川と県管理河川である衣川下流の合流地点において、大変冠水する地帯だということで、今非常に問題になっております。これは、北上川が増水した際に、水門が閉まると内水排除ができないために、集中豪雨のたびに、私は20ヘクタールと聞きましたけれども、実質はきちんと見ていないのでわかりませんが、そういう農地が長時間冠水している、いわば常襲地帯となっておりまして、農作物にも大変大きな被害が出ております。
 この対応策としては、固定式の排水機の設置とか、農作物被害を軽減する目的で実施されている湛水防除事業の導入が必要だと思います。要件がさまざまあるとは思いますが、これらの実施の可能性についてお知らせください。
〇工藤参事兼農村計画課総括課長 御質問のありました箇所につきましては、堤防が国土交通省の事業により整備されたもので、その樋門閉鎖に伴う内水対策については、基本的に県と東北地方農政局の申し合わせで、国が保有している移動用排本ポンプ車が派遣されることになっていると聞いておりますけれども、その辺もまだ課題になっていると聞いております。
 この湛水防除事業の要件につきまして、例えば、新たに設置する場合の大規模事業のタイプですと、受益面積1、000ヘクタール以上ですとか、あるいは小規模事業につきましても受益面積が100ヘクタール以上必要といった要件がございますので、もし仮に受益面積が20ヘクタールということであれば、これに該当しないことになります。
 いずれ農地の冠水防止対策につきましては、事業によって採択要件や事業主体などの要件がありますので、地域の実情とか受益面積、事業費などを勘案しながら、この事業も含めて、どのような事業主体でのどのような事業が導入可能かなどについて、市町など関係機関とともに検討していく必要があると考えております。
〇千田美津子委員 先ほど御紹介がありましたように、国土交通省が保管している移動用のポンプ車を、そういう要請があったときに配置をするという取り決めのようなことが相当前にあったようです。ただ、この間一回も、要請していないのか配置されなかったのかわかりませんが、岩手県内に7台ほどしかなくて、いざというときに、それらが実際に配置される確実性がないわけです。
 それで、いろいろな手法があると思いますが、農林水産部とすれば、例えば湛水防除事業で、面積要件があるのは御紹介いただいたとおりです。1、000ヘクタールなどという規模ではないので、ただ小規模の30ヘクタールあたりには該当する可能性もあります。
 いずれ、これは県土整備部とのかかわりもあるので、私は、ぜひ冠水防止をして農作物を守っていくという観点から、縦割りではなくて、その地域を守る取り組みとしていろいろ、こういうメニューがあるのではないかということを提案していただきたいと思います。今、本当に大変な災害が突発的に起きていることからすれば、安全対策としても急務であると考えます。ぜひ、そういう立場で取り組んでいただきたいと思いますので、もう一回答弁をいただければと思います。
〇工藤参事兼農村計画課総括課長 お話の件につきましては、聞いているところでは、奥州市でも、まず地域の方々の声を確認することとしたいと考えているようでありますので、いずれ関係市町、関係部局とも連携しながら、どのような事業主体でのどのような事業が導入可能かを検討していきたいと考えております。
〇千田美津子委員 よろしくお願いいたします。
 それでは二つ目に、先ほど川村伸浩委員、千葉秀幸委員からもお話がありましたパイプハウスへの対応ということで、私もこれに絞ってお話をしたいと思います。
 現在、奥州市、北上市も多いわけで、3、989棟のうち、この二つの市で74%の被害があったようであります。それで、奥州市の状況を見ますと、中心的な経営体等でプレハブとか通常のパイプハウス、あるいはパイプを骨材とする大型パイプハウスの中で、農業用機械格納庫や作業所を設置して営農を継続しているのが実態であります。
 しかし、今回の大雪被害でこれらの施設の多くが倒壊し、被害を受けました。これらパイプハウスの被害でありますが、先ほどの千葉秀幸委員の話ですと、半分くらいは対象の要件に満たないのではないかという話がありましたけれども、支援になるもの、ならないもの、建築基準法の話も出ましたが、それらについてどのように把握されているか、お知らせいただきたいと思います。
 それから、現在の支援の要件で、今、市町村でさまざま説明をされたりしているわけですが、要件で今問題となっている部分はどういうことがあるか、その辺をつかんでおられればお知らせください。
〇中村農業振興課総括課長 被災したパイプハウスの倉庫ということでございます。例えば、具体に言えば農業機械の格納庫であるかとは思いますけれども、棟数そのものは不明ではありますが、相当数が被害を受けたということは、市町村からも報告が上がっているところでございます。
 こうした農業機械の格納庫等の再建等に当たりましては、当然支援の対象にはなりますが、再建に当たっては、安全性等も踏まえますと、やはり建築基準法に基づいた施設として建築しなければならないことになっております。
 また、先ほどの支援の要件の部分であります。国の事業はさまざまな要件がございますが、先ほど来お話に出ております中心経営体については、地域農業は地域でマスタープランを策定するわけですけれども、それに位置づけられた中心経営体でないとか、余りにも小規模であるとかといったところでの課題はあると市町村からは伺っております。
〇千田美津子委員 私が御紹介した中心経営体は、本当に大きな規模の方々であります。そして、これまでも国や県から指導を受けながら取り組んできた方々であります。建築基準法の話が出ましたが、支援の対象になるものの、建築基準法の適用があるから支援の対象にはならないとなるのかどうか、そこをもう一回確認です。
 それから、飼料用のわらを保存するパイプハウスは対象になるけれども、同じわらでも、敷わらを保存するパイプハウスは対象外という説明がなされておりますが、これについて事実はどうなのでしょうか。
 そして、今回、共済加入の条件とか、作物を栽培している、あるいは今言ったわらもそうですが、家畜の飼育に供されているかどうか、そして建築確認の有無、これらによって支援から外れてくる方々がかなり多いということであります。私は、この条件について本当にしっかり検証するとともに、これらの緩和がどうしても必要ではないかと思いますが、事実関係はどうでしょうか。
〇中村農業振興課総括課長 まず、農業機械の格納庫等が再建の支援対象になるかということでございますが、建築基準法に基づいた施設として再建あるいは修繕等がなされれば、それは支援対象になるものでございます。
 また、敷わら、稲わら、パイプハウスの関係でございますが、先ほど答弁申しましたとおり、本来、保管庫ということであれば、建築基準法に基づいた施設として建築しなければならないわけでございますが、パイプハウスということで、現在、水稲や野菜の育苗施設等は建築基準法の対象外という位置づけにされておりますので、そういったことから、敷わら、稲わら等のパイプハウスの取り扱いについては、今後、担当部局と調整をしてまいりたいと考えております。
 また、さまざまな要件がございます。例えば、パイプハウスを再建した後には、当然、また被災を受けても再建可能となるように園芸施設共済への加入を義務づけるであるとか、そういった要件はありつつも、多くの方々をお救いするため、今回、県単独の事業でも支援対象に措置させていただいているところでございます。
〇千田美津子委員 わら関係は担当と調整するということでありますが、現在の説明会では、私がさっき言ったように、敷わらは対象外という説明がなされていますので、その辺は確認して教えていただきたいと思います。
 それから、共済加入の件についてはわかるのですが、先ほど言いましたように、園芸、水稲関係であればいいのですが、農業機械の部分は共済加入対象外になりますね。ですから、例えばパイプハウスを改築して、その後に共済に加入できないということになれば、やはりこれは対象外ということになるのではないかと思うわけですが、もう一回確認します。
〇中村農業振興課総括課長 パイプハウスの場合は園芸施設共済への加入が必須ではありますが、倉庫あるいは先ほど来出ております畜舎につきましては、国の要件では、共済に加入しなければならないということはございません。パイプハウスが条件―パイプハウスでの畜舎利用の件ですは対象外になります。
 共催加入の義務はございません。
〇千田美津子委員 加入の義務はないということはわかりました。例えば、建築基準法は置いておいて、そうすると農機具倉庫なども共済の加入義務はないので、対象にされる可能性もあると理解してよろしいでしょうか。
〇中村農業振興課総括課長 パイプハウスでの農業機械の倉庫というお尋ねかと思いますが、これにつきましてはいろいろと、機械そのものに油が入っているとか、安全性等もあるかとは思いますので、その点については、建築基準法を守るべき倉庫として再建するものと考えております。
〇千田美津子委員 るる御答弁いただきましたし、これからも、どうやったら頑張っている方々を救えるのかという部分で本当に頑張っていただいているわけですけれども、やはり冒頭に言いましたように、今回、中心的な経営体の皆さんが、指導のもとで農業経営のためにつくった農業機械の格納庫とかそういう部分が被災しているわけです。1カ所、2カ所ではないのです。そういうところについて、どうやったら次の経営に意欲を持ってつなぐことができるかということがかかっていますので、そういった意味では、川村伸浩委員、千葉秀幸委員が言われたように、ぜひ前向きな御検討をお願いしたいと思います。この点をもう一度、部長にお伺いいたします。
〇佐藤農林水産部長 大雪被害でパイプハウスは非常に大きな被害を受けております。農林水産部の立場といたしましては、営農再開、いろいろなことができるようにということで、国にもいろいろ制度の要望等をお願いして、支援もいただきましたし、国の支援対象にならないものについては県単独で措置するということで、私どもとしても非常に頑張ってきたと思っております。
 問題になっております建築基準法等の関係等もございますので、るる質問等が出ております。どのような対応が可能かということを、いずれ今、関係部局と調整を進めているということでございますので、その点は御理解いただきたいと思います。
〇城内よしひこ副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇城内よしひこ副委員長 質疑がないようでありますので、これで第1部農業関係の質疑を終わりとします。
 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。

午後4時9分 休 憩

午後4時27分 再 開

〇岩渕誠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、第2部林業、水産業関係について質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 まず最初に、岩手県の漁業取締船が2隻とも新しく性能アップして就航したわけでありますが、それに関してお伺いいたします。
 一昨年、はやちね、そして本年2月に岩鷲が就航いたしました。その性能につきましては、トン数が若干違うだけでほとんど似たような状況でありますが、大事なのは速力、どちらも47ノットあるいは48ノット。1ノットを1.8キロメートルに換算しますと、陸上速度で大体86キロメートルから89キロメートルぐらいということになると思います。これは大幅な性能アップだと思っております。
 そして同時に、この中には2キロワットのキセノン式探照灯がついております。それから、25キロワット出力の多機能型レーダーが1台と同じく10キロワットのレーダーがそれぞれ1台ずつ2台ついているということでありますが、この辺の機器については、どのような性能を有して、前の取締船とどのように変わったのか、どういうことが期待できるのかを、まずお伺いしたいと思います。
〇工藤漁業調整課長 まず、2キロワットのキセノン式探照灯ですけれども、サーチライトで照らせる探照範囲が約1キロメートルある、非常に広い範囲、遠くまで照らすことができる機能を有しております。また、この25キロワットの出力の多機能型レーダーにつきましては、レンチをいろいろかえることによって探索範囲を変えることができるのですけれども、最大出力で探照した場合には、最大で96マイル、約170キロメートルの範囲で感知できる性能を有したレーダーとなっております。
〇伊藤勢至委員 海には、例えば大きなうねりもあります。あるいは低気圧、台風が来ると波が高くなる。そういったときに、最高速力で走れるということはまずないと思います。それと探照灯も、5月、6月になりますとやませが出てまいりますので、どの程度まで現場として有効なのかちょっとわからないところがあります。
 あとはレーダーですね。レーダーは、まさか魚群探知器ではないでしょうね。人間とか怪しい人がいたらそれをということなのでしょうか。あるいは船が進むための岩根とか岩礁とか、そういったものを検知するレーダーなのでしょうか。そこをまずお聞かせください。
〇工藤漁業調整課長 まず、レーダーですけれども、これは、どこに船がいるのかを探索するためのものとなっております。
 また、先ほど、やませとかがあったときに探照できる範囲が狭くなるというお話があったところですけれども、今回新しく搭載しました岩鷲のカメラにつきましては、遠赤外線カメラをつけておりまして、夜間でも見えますし、もやがかかっているときにも、非常に解像度の高い画像を掲出できるものとなっております。
〇伊藤勢至委員 そうですか。そこで重ねて伺いますが、この2隻とも釜石港を母港としているわけでありますが、これはどういうわけで釜石に、しかも2隻がずっと母港として使っているのでしょうか。
〇工藤漁業調整課長 県では、漁業取締船に関しましては、当初から釜石港での配置をしていたところでございます。漁業取締事務所の設置場所が釜石市ということで、活動するために釜石港に2隻とも配置しているところでございます。
〇伊藤勢至委員 そこで本題に入りますが、今月の初めでしょうか、すごい怒りを覚える新聞報道がありました。アワビ密漁1トン超過という話であります。これを詳しく読みますと、南のほうの漁港かいわいで、夜間6時から9時までの間となっていますけれども、1人が潜って約10キログラムのアワビを密漁したと。そして、その押収した品々を見ますと、発電機があってコードリールもありますので、恐らくこれらを使って、ウエットスーツを着て、ヘッドライトをつけて、そうしないと見えないと思うので、そういうことで10キログラムを採取した。
 しかし、これまで、東日本大震災津波後、2013年には田野畑村、2014年には釜石市の近辺などということで、このグループとは違うかもしれませんが、ずいぶんと密漁があったようであります。この2011年、2012年、2013年というのは、浜の人たちは、漁場を清掃するため、流れ込んだ車両でありますとか建物でありますとか、そういったものの除去に大わらわになっていた時期であります。したがって、自分たちのワカメを採集する漁場、あるいはアワビ、ウニの養殖といいますか、それが活着している漁場を整備するために本当に日夜努力をしてきている中において、こういうまさに不届き者がいると。宮沢賢治が多分嘆いていると思いますけれども、そういうところを何としても未然に防いでいかなければならない。
 漁業取締船には逮捕権がないわけでありますので、これはどうしても県警と連携をしながら、情報提供を早くする、こういうことになるのだと思いますけれども、その辺についてはどのようにお考えか。さらに、この新しい取締船を活用して、どのように対応していくのかお伺いします。
〇工藤漁業調整課長 アワビの密漁の対策についてでございますけれども、アワビの密漁は年々巧妙化しているため、海上と陸上における監視体制を強化することで、密漁者を浜や漁場から遠ざけて密漁行為を諦めさせることが重要だと考えております。
 このため県では、県警察本部や海上保安部等の取締船などと連携した海上パトロールのほか、陸上では、漁業監視員による監視、通報体制を構築しておりまして、海上と陸上の監視体制を整備することにより、密漁対策に取り組んでいるところでございます。
〇伊藤勢至委員 アワビは、今ほとんど天然ものがとれなくなってきておりまして、例えば東日本大震災津波では、洋野町でしょうか、あるいは重茂、田老、釜石、広田などの種苗生産施設が壊滅いたしました。これらが復興したのは4年か5年後ですね。その間は放流ができませんでしたので、東日本大震災津波前に放流したものがほとんどだと思うのですが、それらをこのようにごっそりと持っていかれたのでは、まさに漁民の生活が成り立たないと思います。
 漁村の朝は早いのですよ。例えばワカメの収穫時期でありますと、朝2時半に起きて、3時から海に出て仕事をすると。大変ハードな仕事であります。ですけれども、収入がいいということで後継者はいっぱいいます。大体1軒のうちに、お盆に行ってみると最低でも4台の車があるのですよ。お父さんが使う2トン車、お父さんの乗用車、息子の乗用車、おかみさんの保育園への送り迎えの軽トラ、大抵4台はあります。あるいは、家族があれば10台なんていううちもあるのです。それは仕事として成り立っているからだと思うのです。
 問題は、このアワビを仮に密漁した場合に、売りさばくところがあるから、これは成り立っているというか、命がけでもやるのでしょう。そうなりますと、例えば仙台圏、100万都市仙台あるいは23万都市の八戸市、そういうところで売りさばいたほうが早いと必ず思うと思うのです。ということは、県境の警戒をしなければいけない。県境、岩手県と宮城県、岩手県と青森県。
 そうしましたときに、これは提案も含めてお伺いしますが、現在、取締船の母港、釜石港の沖合から直線コースで行きますと広田湾までは70キロメートル。だから、86キロメートルの取締船であれば1時間半以内です。ですけれども、釜石港から県北の洋野町までは2時間を優に超える。これでは平均的な対応ができていないと思います。本当は宮古港と言いたいところですが、この際、釜石港に置いているどちらか1隻を久慈港に置いて、そうすると岩手県、青森県の県境を主にパトロールができますし、もう一隻では、岩手県、宮城県境のパトロールができる。そして、半径80キロメートルの円を描けば、全ての沿岸がカバーできるのです。
 ですから、この際、新しい取締船が就航したわけですから、これを機会に守備範囲をもう一回見直して、何も2隻釜石に置かなくても、本当はあと1隻つくれと言いたいのですが、9億円もかかると言えば無理でしょうから、それよりは船を移したほうがいい。そのほうが効果的だと思うのですけれども、部長にも何か聞かなければならないのでお聞きしたいと思います。
〇佐藤農林水産部長 広い本県の沿岸海域を2そう体制でパトロールに当たっているということでございます。委員御指摘のとおり、県北の取り締まり活動が手薄だということもございまして、実は平成17年度以降、久慈の臨時事務所を夏に開設いたしまして、取締船とか事務所の職員を配備して対応してきてございます。常時そちらに係留することになりますと、係留所の確保とか事務所の配置とか考えなければならないことが多々あると思っておりますが、いずれ密漁対策としてベストな状況は何かを常に考えながら、今の委員の御提案も含めて検討は進めてまいりたいと思っております。
〇伊藤勢至委員 最後にしますが、取締船の巡航予定を定期にしてはいけないと思うのです。何日の何曜日の何時には岩鷲が来る、何曜日の何日にははやちねが来るなどというのは、読まれてしまったら、その裏をかかれるわけです。それから、岩鷲とはやちねのクルーの問題もあるでしょう。北と南では海況も違うでしょう。それを全部覚えてもらわなければ。まずは、自分たちの監視船が事故を起こしてはいけないということが第一でありますが、そういうクルーが三陸沿岸を共通に認識するという、まずそこから始めながら、釜石港に置いている2隻のうちの1隻を県北の久慈港に移して、県北の防御も固めるということがあってもいいと思いますが、石田技監に聞いて、終わります。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 本県にあります取締船岩鷲が就航し、はやちねがあって、2隻の高速船で本県の広い沿岸を密漁から守るという体制で進めることで県では考えております。沿岸のガードと沖合の船の違法操業もございます。それから、青森県境、宮城県境、ここもありますから、これらを網羅して取り締まり体制を築く、すきを与えないような運航体制をとることを基本にして、その運航計画については、捜査情報になりますので公にはしておりません。
 私どもは、県の2隻の高速船とあわせ、県警察本部と、それから釜石海上保安部、宮古海上保安署、青森県の八戸海上保安部、こことも密接な連携をしながら捜査体制をとっております。委員が御懸念されることも十分配慮させていただきますけれども、単独での捜査だけではなく、組織的な密漁には、こういう広域連携の体制でしっかり当たって、すきのない取り締まり、監視体制をとるということで進めていきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 漁業について。本県の主要魚種、秋サケ、サンマ、スルメイカが歴史的不漁ということで、一般質問でも取り上げられました。既にどれだけ厳しいかというのはわかりますから数字は聞きませんけれども、不漁によって漁業、水産業の置かれている状況は本当に厳しいわけであります。これは県だけではなくて、やはり国としっかり連携して、不漁の原因の究明、そして対策は進めていただきたいと思うのですけれども、それを待っていても仕方がない、嘆いていても仕方ないということで、やはり新たな取り組みをしていかなければ、もう漁協も数年後にはもたないというような状況になるかと思います。その新たな取り組みについて、きょうは3点お伺いしたいと思います。
 まず一つ目が、新たな漁場の整備についてであります。県におきましては、これまで、ヒラメ、カレイ類などの餌場や生息の場として沖合に漁場の整備を進めてきたと認識しております。きょうの冒頭、部長の挨拶でもありましたけれども、近年はマイワシ、今、非常に脂が乗っておいしいです。そのマイワシであったり、ブリ、サワラなど海水温が高い地域に生息する魚が、この岩手県でも多く漁獲されているわけであります。
 そこで、そういった海の環境変化に合わせた新たな漁場整備が必要かと思うのですが、これからの県の取り組み、新しい魚種を対象にした取り組みはどうしていくのかお伺いいたします。
〇鎌田漁港漁村課総括課長 新たな漁場整備についてでありますが、近年の海水温の上昇に伴いまして、本県沿岸域へ多く来遊しているヤリイカを対象に、今年度、産卵実態調査を県内4カ所で実施しております。その全てで産卵場所が確認されたところでございます。
 この調査結果に基づきまして、令和3年度は、ヤリイカの漁獲量の増大を目指して、産卵場所を人工的に造成するためのブロックを試験的に設置し、国庫補助事業を活用した漁場整備の事業化に向け、基礎データの収集や効果把握等を行うこととしております。
 今後とも、漁業関係団体や市町村と緊密に連携しながら、海洋環境の変化に対応した安定的な漁業生産の実現に向け、新たな魚種を対象とした漁場整備に積極的に取り組んでまいります。
〇岩崎友一委員 ヤリイカということで、高級魚と言っていいのですかね、かなり高い値段で取引されますので。成果があったということでありますけれども、私は不勉強で申しわけないですが、産卵して、それが生育して、しっかりとしたイカになるまでにどのくらいの期間がかかるものなのでしょうか。
〇鎌田漁港漁村課総括課長 ヤリイカの生態系につきましては、文献が少ないことからまだ詳しく把握していないところですけれども、大体一、二年ぐらいではないかと言われております。
〇岩崎友一委員 ぜひ積極的に進めてほしいと思いますけれども、これは県内の沖合といってもかなり広いわけでありますが、具体的な新年度の計画はあるのでしょうか。
〇鎌田漁港漁村課総括課長 来年度の計画ですけれども、先ほど答弁申し上げた産卵場所に人工的なブロックを試験的に設置する場所は、大船渡市の越喜来地区を考えております。
〇岩崎友一委員 これは、せっかくですから、例えばもうちょっと多く設置するとかというのは、もちろん漁協との調整もあるかと思うのですが、その辺はどのように考えておりますでしょうか。数をふやしていったほうがよろしいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
〇鎌田漁港漁村課総括課長 試験施工する箇所をふやせるかというお話につきましては、事業予算も関係しますし、あとは、漁業者の理解と御協力が必要不可欠なところでございますので、関係市町村、漁協等と調整を図りながら検討を進めたいと思います。
〇岩崎友一委員 方針としては、やっぱり県としてもふやしたいのかなと感じますので、財政的な問題等もあるかもしれませんが、本当に浜は厳しいので、ヤリイカだけでもしっかり漁獲できるようになれば、大きな収入源になりますので、よろしくお願いします。
 二つ目が、増殖場の整備でありますけれども、近年、磯焼けの被害も深刻化しております。対策の一環として、今、漁場からウニを間引きする取り組みが行われていて、これは、もっと言えば、ウニを蓄養して身入りをさせるような取り組みも行われているということです。これは本当に、ウニに関しては、磯焼け対策だけではなくて、通年出荷とかできるようになれば、これは非常に大きな成果だとは思っているので、前向きに進めてほしいと思っております。一方で、磯焼け対策として、やはりさらなる取り組みが必要だと思っております。
 アワビですけれども、今年度は非常に寂しい漁獲量でありまして、97トンと、これは震災前の3割という状況でございました。やはりこういったアワビ等の生息の場であったり餌の補給の場として、藻場の減少を食いとめ、回復させることが重要であると思っております。
 ついては、藻場の造成など増殖場の整備も重点的に進めていくことも必要かと思いますが、県のお考えはいかがでしょうか。
〇鎌田漁港漁村課総括課長 増殖場の整備についてでありますが、藻場は、水産生物の産卵や生息の場、餌場など水産資源の増殖に大きな役割を果たしております。近年、本県においても藻場の面積が減少しており、藻場の保全、創造に資する対策を講じることが重要であると認識しているところであります。
 県では、より長期的な視点で藻場再生の取り組みを推進していくため、現在、岩手県藻場保全・創造方針の策定を進めているところであり、この方針の中に藻場造成のためのブロック投入による増殖場整備などの対策を盛り込むこととしております。
 この方針に基づきまして、令和3年度は、宮古市の田老地区になりますが、増殖場整備のための事前調査等に着手するなど、海域の状況に応じたアワビ等の資源回復、増大に資する増殖場の整備を積極的に進めてまいります。
〇岩崎友一委員 その方針というのは、もうでき上がったものなのか。でき上がったのですかね。方針はどうなのですか、これからですか。まだでき上がっていないのですか。
〇鎌田漁港漁村課総括課長 方針につきましては、今年度策定の予定でございます。
〇岩崎友一委員 今年度だと、あと来週くらいまでですか。わかりました。
 それで、方針がまだ決まっていないとは思うのですが、ことしは田老地区と言いましたか、田老地区は田老地区でやってもらって、さまざまな地域で、湾内で磯焼けの被害が出ていますので、もう少しその箇所をふやしていってほしいと思うのですが、その方針の中では、その方向性はどのように位置づけられているのでしょうか。
〇鎌田漁港漁村課総括課長 今回の調査は田老地区としておりますが、この方針の策定に当たりましては、全漁協から聞き取りなどの調査を行っております。その中で対策が必要な箇所を十分見きわめながら、この方針の中でやっていこうという考えでございます。
〇岩崎友一委員 ぜひよろしくお願いします。
 三つ目でありますけれども、サケ、マスの海面養殖への支援ということでありますが、今、久慈市、宮古、新おおつちということで三つの漁協で海面養殖、トラウトサーモン、ギンザケをやっていますが、本当にこの試験に関しては、農林水産部の皆さんには、広域振興局も含めてかなり御支援をいただきました。これは素直に、心から感謝申し上げたいと思います。
 恐らく久慈市漁協も宮古漁協もだと思うのですが、ことしは今までの試験養殖から、これを実際事業化する方向で今準備を進めておりまして、県でも漁業権に係る手続を、本来で言えば5年ですが、それを待たずに進めると聞いております。
 海面養殖は、今やっている久慈市、宮古、新おおつち全て順調かと思うのですけれども、これは、不漁にあえぐ各漁協の財政的な部分を支え得る起爆剤になると思っておりまして、これを三つだけではなくて、ほかの漁協、ほかの湾にも横展開していくことが必要ではないかと私は思います。
 そこで、横展開に対する県の考え方と、当然これは漁協の方針もあると思うのですが、海面養殖に関心を示している漁協は今どのくらいあるのかお尋ねいたします。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケ、マスの海面養殖は、ただいま委員のお話がありましたように、県内で今4カ所ですね。久慈、宮古、大槌、釜石の4カ所で試験養殖しているところですけれども、ここの地区がこれから事業化をしたいということでお話を受けております。
 県では、今順調に飼育も進んでいることから、さらにこれを展開していきたいということで、現地機関の沿岸広域振興局で漁協といろいろ相談しながら、次にやりたいところ、やれるところを調整しているところです。
 こうした中で、山田町の三陸やまだ漁協が、令和3年秋から試験養殖をやりたいという意向があるようですので、県としましては、5カ所目として、この試験養殖が成功するように支援していきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 5カ所目ということですが、もしほかの漁協でもあれば、ぜひ支援をいただきたいと思います。
 この海面養殖でありますけれども、新しく始める、あるいは、さらに規模を拡大するということを考えたときに、やはり生けすの整備であったり稚魚の生産施設―ふ化場ですか―等には多額の設備投資が必要になってきます。市町村などでも、この辺は財政的にかなり支援はしているかと思うのですけれども、これから横展開を進める、また生産量の拡大を図っていく上で、県としてもぜひ財政的な支援をお願いしたいと思うのですが、その辺の考えはいかがでしょうか。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケ、マス養殖を事業化するに当たっては、養殖生けすなどの整備に大きな投資が必要となります。現在、養殖生けすなどの整備については、国の水産業強化対策整備交付金等を活用しまして整備することが可能でありますので、助成制度を事業者に情報提供するなど、事業化が円滑に進むよう積極的に支援していきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 先般いただいた資料ですと、国の補助金ですと2分の1ですか。できれば、海面養殖を岩手県としてブランド化していく必要性もあると思っていまして、さらなる拡大、横展開が私は不可欠だと思っております。補助率2分の1ですけれども、現場からは、今、漁協の財政状況も非常に厳しい、あるいは市町村も、新型コロナウイルス感染症対策もあって決して豊かな財政状況にございませんので、もうちょっと県としてもお金を出してもらえないかという声もあります。国の2分の1補助に、また県単独でぜひ上乗せ補助をお願いできればと思いますが、部長、いかがでしょうか。
〇佐藤農林水産部長 農林水産業の振興をつかさどっている我が農林水産部とすれば、高率の補助ということで、なるべく事業者の負担が少ないことを考えておりますが、県の補助金のルールもございまして、県単のかさ上げは、何年か前の見直しで基本的にやらないという大前提というか方針になっております。そういったところもございますので、いずれ、どのような方法で支援ができるかは常に考えながら、検討を進めてまいりたいと思っております。
〇工藤大輔委員 先に水産関係についてお伺いしたいと思います。
 2020年の県内魚市場の水揚げは8万5、166トン、前年対比で見ると17.3%の減、金額は148億2、900万円、前年対比1.3%減となりました。この要因は、やはり主要魚種の水揚げが激減したこととなりますが、この水準は、十分な漁業生産ができなかった東日本大震災津波のときよりも低い実績になってしまいました。このことが漁協経営に大きな影響を与えたと思いますが、漁協経営にもたらした影響をどのように捉えているのかお伺いします。
〇佐藤指導検査課長 漁協の収支についてでございます。
 令和元年度の決算につきましては、24漁協中12漁協が当期損失金を計上しまして、24漁協全体の合計は約2億7、000万円の損失でございました。
 令和2年度決算は令和3年4月以降に確定することになりますが、秋サケ等の主要魚種の水揚げの低迷等により、漁協収入、これは事業総利益でございますが、それの約4割を占める漁業自営事業が伸び悩んでおりまして、令和元年度に引き続き、厳しい決算になると予想しております。
〇工藤大輔委員 たしか平成30年度の決算では9漁協が赤字、平成29年度の決算では4漁協が赤字だったと思いますが、漁協全体の収支を当期損失で見ると全体では黒字だったと思うのですね。それが今回、久しぶりなのか、前と比べても全体が赤字になるということはかなり深刻だと。そして、来年度の状況を見ても非常に厳しいと。これは水揚げ状況がもう如実にあらわしていますので、金額でどれだけ回復できるかということになりますけれども、かなり危機的状況にあると捉えられると思いますし、このことが、今後の新しい投資であったり、新しい何か事業を展開するに当たって支障になるのではないかとも思います。
 先ほど岩崎委員からもその点の指摘があったわけですが、県としても重く受けとめて何らかの支援、対策を講じなければならないと思います。答弁は先ほどしていただきましたので、これは指摘にしたいと思います。
 そして、令和元年度のサケの関係ですけれども、稚魚の放流数、令和元年度は1億8、000万尾であったと思います。これは計画からすると、計画はたしか4億あるいは4億6、000万尾を放流することとなるので、放流計画の45%にとどまったのが令和元年度の実績だと思います。今年度の秋サケの状況も、1月31日現在では59万尾で、前年対比23%の減となっているようであります。昨年度以上に厳しい状況となっておりますが、放流計画に向け、種卵の確保はどのようになっているのかお伺いします。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 今年度の秋サケの種卵の確保でございますけれども、1月31日現在、約2億6、000万粒と、計画の4億6、000万粒の6割程度にとどまっているところでございます。
〇工藤大輔委員 これは、北海道とか山形県、秋田県に要請していたとも聞いておりますが、その数字も入ってということでよろしいですか。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 その数字も入っております。
〇工藤大輔委員 全体の60%ということになると、昨年も相当低かった。1億8、000万尾ですから、2年連続、約半分の放流になるのではないかということになりますが、これでは、やはり4年後の回帰のときを考えた際に、これはまた期待できない年が続くことにもなると思います。
 これをもう少し増殖できるような方法とか、数を確保できなかったものかお伺いします。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケの種卵確保につきましては、先ほど委員のお話もございましたが、令和元年度に非常に少なくなったことを受けて、今年度は、漁期当初から、定置網に入った魚も含めて業界と一緒に卵をとるという活動をしてきたところですけれども、全体にサケの来遊数が昨年より下回っておりましたので、その取り組みもなかなか数字としてあらわれてこなかったところでございます。
 2年続けて半分程度というような確保にとどまったことは非常に申しわけなく思っていますし、4年後、5年後の資源に対しての大きな土台が下がるような格好になりましたので、現在、確保した卵、それから、この春、来月から稚魚を放流しますが、大切に育てて、しっかり帰ってくるような稚魚に育成して進めていきたいと思っております。
〇工藤大輔委員 現場ではマンパワーの不足もあるようであります。令和2年度の当初予算では4億1、600万円計上されておりますが、不足する分があれば、しっかりまた人員の確保等もしながら、より多く対応できるような対策をぜひとっていただきたいと思います。
 そして、種卵の移出入に関する新しいルールについてお伺いしたいと思います。これまでと違う全県を調整対象としたルールを策定したようですが、各地域の放流数にどのような影響があったかお伺いします。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 昨年の種卵確保が少し後手になったところがありまして、4地域、久慈、宮古、釜石、大船渡地域での種卵の確保のでこぼこが非常に大きかったことの反省を含めて、今年度当初は、そのでこぼこをなるべくならすような形で、業界とともに種卵確保のルールをつくりました。
 具体的には、多いところから少ないところに融通するようなところを積極的にやるという姿勢で臨んだところですが、当初からなかなか計画どおりに種卵の確保ができないので、それぞれのふ化場では、ほかのふ化場に融通するだけの余裕がないのが現実です。ですので、計画はつくっていて、やる体制にはなっていたのですが、現物の確保が十分でなかったということで、北でとった卵を南のほうまで融通するところまでには現実的に対応できなかったというのが、ことしの状況でございます。
〇工藤大輔委員 わかりました。回帰する効率のいい、そしてまた岩手県全体の資源としてどうすればより多く回帰できるか、効率のいい方法等も含めて引き続き考えていただきながら、効果ある対策を望みたいと思います。
 次に、サクラマスの増殖についてお伺いします。サクラマスの資源造成に向け、県でも努力してきましたが、この取り組みについてお伺いしたいと思います。
 この課題は、関東系のヤマメの放流を減らす取り組みが大事なのだと思います。サクラマスの生態は、河川で産卵し、稚魚となり、スモルト化したものが海に出て、1年たってサクラマスとして帰ってくる。スモルト化しないものは、ヤマメとしてそのまま残るという生態。ただ、関東系の河川放流用のヤマメはスモルト化しにくいというか、しない強い性質を持っているため、放流してもサクラマスとはならないということになっています。
 こういった課題に今後どのように取り組んでいくのかお伺いします。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 少し技術的なお話になりますけれども、サクラマスという魚は、いわゆる淡水、川にいるヤマメの進化の過程で海におりて生活するようになった魚で、帰ってきてまた川に上る、そういう生態を持っています。
 委員がおっしゃられたようなスモルト化というのは、ヤマメが海におりるときに、海水にならすような体のつくりになるのですね。そして、体が銀白色になって海におりるということですから、銀白色になるような、スモルト化するようなヤマメをしっかりつくっていくことが、サクラマスの資源の増大にもつながるという考え方で増殖努力をしています。
 一方、先ほどお話のありました関東系ヤマメは、東京都の多摩で飼育したヤマメで、これは東日本を中心に各川で放流して、釣りの対象となるもので、それが結構、東日本で放流するヤマメの主流になっています。岩手県内の各河川でも放流しています。
 そういう状況で、一つの川に関東系のヤマメと地場のサクラマスになるヤマメが混在しておりますので、サクラマスの資源をふやすに当たっては、委員がおっしゃるように、関東系のヤマメを少し減らして、地場のサクラマスになるヤマメを放流していただくという方向性に持っていくことで、内水面の増殖団体とこれまでのサクラマス増殖の中で協議をしながら進めてきたところです。
 特に沿岸の河川は、サクラマスになるヤマメを多く放流することによって、それが次の年の定置網とか漁獲に結びつきますので、そういう方向で、内水面漁業の振興にサクラマス資源の増大を進めていきたいと思っております。
〇工藤大輔委員 内水面の生産施設の強化計画等も必要だと思いますし、施設も古いような状況にあります。今後そういった改修も含めて、よりよい環境をつくっていただきたいと思いますが、現在、何か計画はあるのでしょうか。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 内水面の施設整備の関係でございますけれども、現在、県の内水面水産技術センターで、ヤマメの種苗生産技術開発、放流技術開発を進めておりますので、まずは、内水面センターの施設でしっかり技術を確立してやっていくと。
 あとは、各河川の河川組合の施設もございますので、サクラマスをふやしていくという漁協がいっぱい出てきた場合には、国の施設整備の情報等を提供しながら、どのような施設整備を進めていくか、県としても一緒に進めていきたいと思っております。
〇工藤大輔委員 了解しました。よろしくお願いします。
 次に、いわての森林づくり県民税についてお伺いします。
 平成18年度からこの県民税を導入して以来、今年度で3期目の最終年度となります。計画面積に対する混交林に向けた強度間伐はどの程度進んでいたのかお伺いしたいと思います。たしか復興工事や支障木の伐採等、需要が拡大したこともあって、なかなか進んでいないのが近年あったわけですけれども、現状についてお示し願います。
〇高橋林業振興課総括課長 いわて環境の森整備事業の整備森林確保面積の実績についてでございます。
 混交林誘導伐に係る平成18年度の事業開始から令和元年度までの14年間の計画面積の合計は2万1、500ヘクタールでございました。施工地確保の実績が1万6、666ヘクタールでございまして、達成率は約78%となっているところでございます。
〇工藤大輔委員 先ほど申し上げた復興工事等に伴う人員確保が難しかったなどの理由もあったと聞いているところで、いずれ、路網整備等もしっかり含めながら、より成果が出るように取り組んでいただきたいと思います。
 また、第3期の終了後、いわての森林づくり県民税事業評価委員会の提言では、この税金の有効な活用の仕方の提言もされておりますけれども、来年度はどのようなものに特に強く取り組んでいこうとされているのかお伺いします。
〇高橋林業振興課総括課長 第4期におけるいわての森林づくり県民税事業の推進についてでございますが、令和3年度以降におきましては、これまでの主要施策である混交林誘導伐を継続しながら、新たにハード整備につきまして、公益上重要な伐採跡地への植栽などの取り組みを拡充いたしますほか、気象被害を受けた森林の整備に取り組み、またソフト事業につきましては、普及啓発や木育の推進につながる県産木材活用の取り組み等を行うこととしております。
 混交林誘導伐の実施に当たりましては、ただいま委員から御指摘ありましたとおり、奥地化した森林の整備といった課題がございまして、今後、必要な作業道の開設等への支援などに取り組み、林業関係団体と連携を図りながら施工可能な森林を確保し、計画的に整備を進めていくこととしております。
 また、ソフト事業の実施に当たりましては、森林公園の機能強化を図る事業などにも新たに取り組むこととしております。
 これらの事業によりまして、本県の豊かな森林の公益的機能の維持増進が図られますよう、各事業を計画的に推進していきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 委員会が始まる冒頭、部長から木育の推進に対しての説明もございました。これは他の部局で初めて活用できるということで、さまざま事業が準備されていると見ております。この活用について、どういった観点、また予算等、どういった内容かについてお示し願います。
〇高橋林業振興課総括課長 部局横断的な普及啓発や木育の取り組みの推進についてでございますが、令和3年度におきましては、県産木材の普及啓発や木育の推進につながる公共施設への木製品の設置などの取り組みを全庁的に実施することとしております。
 普及啓発につきましては、まず、アイーナの木製展示パネルの設置ですとか、いわて花巻空港への木製品の設置事業、木育の推進につきましては、いわて子どもの森への木製遊具の導入、県内の保育所や認定こども園への木製品の導入を図る場合の補助事業の創設といったことに部局連携で取り組むこととしております。
 また、いわての森林づくり県民税活用事業であることが十分に周知できますよう、木製品への焼き印の表示でありますとか、県民税のパンフレットの配架といったことをあわせてお願いすることによりまして、県民の方々に向けて、いわての森林づくり県民税の活用の理解醸成もあわせて図られるよう展開を図っていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 これまで、県民により周知したいということでCMなどもよくやっていたのですけれども、私は、どちらかというとCMの効果がどれだけあったのかと思うのですね。それよりも、このような形の木育の推進、県内の保育所とか、さまざまな形で使われていることが、より効果的な周知方法になろうと思いますし、県の産業振興にもつながるとも思っています。
 ですので、できればそういったCM的なものから、よりこういったものを事業として活用し、効果的に進めていただきたいと思います。今年度は1億638万円ということで大体事業費を組んでおりますが、その事業効果等を見ながら、さらに拡充していただきたいと思います。これは要望にしたいと思います。
〇飯澤匡委員 私から1点、東日本大震災津波から10年を経過しているわけですが、私の地元の本当に有力な特用林産物であったシイタケは、いまだに産業の再生が100%できるような状態になっておりません。今後とも東京電力の賠償金や県の支援策が必要な状況にあります。
 そこでお伺いしますが、震災前と震災後、原木価格の高騰というのは大変な状況になっているわけですが、現況はどのようになっているか、まずそれをお伺いします。
〇高橋林業振興課総括課長 原木価格でございますけれども、震災前は1本当たり180円から200円程度でございましたが、現在におきましては300円から、県内で高いところは400円と倍増しているような状況でございます。
〇飯澤匡委員 これは生産者にとってかなりの痛手なわけです。地元調達して初めて商売の軌道に乗るということなので、この図式が描けないのは大変な負担になっているわけですね。御案内のとおりですけれども。
 そこで、東京電力が、今まで生産者から大変不評であったかかり増し経費の支払いが、サイトが1年半から今度9カ月になるという案が示されたと聞いております。いいことだと思うのですが、この点に関して県の評価はどういうものでしょうか。そしてまた、もたらす影響について示してください。
〇高橋林業振興課総括課長 東京電力の支払い方式の変更とそのもたらす影響についてということでございます。
 まず、原木かかり増し費用の賠償請求の経緯でございますけれども、従来、生産者の方々が東京電力から自伐により原木調達ができないことを証明する証憑書類を提出してほしいと、こういったものを求められていたところでございます。しかし、書類作成に必要な原木林検査、放射能の検査になりますけれども、こういったことは生産者には非常に難しいということで、平成30年度から、生産者にかわりまして県が原木林検査を行って、その結果を東京電力に提供することを提案し、賠償が開始されたという経緯でございます。
 今回の変更でございますけれども、これまで春に植菌した後、その後の秋の原木林検査結果を提供していたところでございますが、そのため賠償まで最長1年半程度を要していたということでございます。昨年12月の県と東京電力との協議におきまして、令和3年春の植菌分からは、植菌前年の原木林検査の結果を用いることとなったものであります。
 このことによりまして、県の原木林検査結果の提供時期が早まりまして、原木かかり増し費用の賠償の時期も数カ月程度早期化されることが期待されているところでございます。
〇飯澤匡委員 この検査を一括で県がやるということに関して、これは生産者の方も大変ありがたいと思っていると思いますし、実際、今回のサイトの短縮にも、県が介在したことの実績が評価されたものではないかと思います。
 そこで、これはサイトが短縮されて喜んでばかりもいられないので、今後目指していくのは、地元調達をどうしていくかということを見据えて考えていかなければならない。ところが、いまだにやはり検査の結果はなかなかいい結果が出ないのも現実であって、そこが賠償との兼ね合いで、これは非常に事実相反する、地元としては地元調達したいけれども、賠償については、半端に調達してしまうと賠償のお金がなかなか入らない。ここのところを今後県がどのように今後ほだ木の調達に関してやっていくのか、その基本的な考え方を示していただきたいと思います。
〇高橋林業振興課総括課長 シイタケ原木の地元での調達と費用請求に係りますバランスについてでございますけれども、県で東京電力に確認したところ、隣県の宮城県におきましては、ホームページにおいて、県内の原木林の放射性物質濃度のデータを示しまして、県内の原木林の活用は依然困難な状況にあると見られるといった内容を公表しているということでございまして、このことから原木のかかり増し請求に係る証憑書類を求めていないというようなお話でございました。
 本県におきましては、県北部では原木の地元調達が可能となっておりますほか、県南部の生産者の方々に対する出荷制限解除の意向調査では、解除に向けて必要な条件といたしまして、地元産の原木の使用をぜひ望んでいるといった生産者の方々も存在していることが確認されております。他県とは一部状況が異なっていると考えております。
 このため県では、例えば県の一部でありますとか県南部の市町が、独自に原木林の活用が困難であると公表した場合の対応などを、改めて東京電力に確認しているところでございます。
 今後も、地元の市町村や生産者のシイタケ原木の使用の意向を丁寧に確認しまして、東京電力にも協議しながら、賠償の早期化に取り組んでまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 後段で重要な答弁が出ました。いずれ、今まで岩手県は一律でという構えでやってきたのですけれども、地域ごとの状況を勘案して東京電力と交渉すると。これで県の姿勢が明らかになりましたので、これからまだまだ大変でしょうけれども、この点については継続してやっていただきたいと思います。
 あわせて、市場に対する安全性の理解ですね。これは、中国産などが入ってきてマーケットが非常に荒らされて、結局、費用はかかって、なおさら販売価格もよくないというような状況で、なかなか光明が見えないのが今の状況です。
 岩手県産というのは、かつてかなり高評価であったのですけれども、負のスパイラルに入ったものを抜け出すのは非常に大変だと思うのですが、マーケットの理解ですね、県はどのようにしてこれを進めていくか。やはり付加価値のついたものを売っていかなければもうけが出ませんので、この点について、今後の取り組みをお伺いします。
〇高橋林業振興課総括課長 今後のマーケットへの付加価値の対応ということでございますけれども、本県の干しシイタケの平均価格は、確かに震災前は全国平均を上回っておりましたけれども、現在では、原発事故以降は全国平均を下回っているところでございます。
 このため県では、今年度から、原木シイタケ販売力アップ促進事業におきまして、栄養価やおいしさなど食材としての魅力や、さまざまな調理方法を幅広い年齢層の方々に向けて効果的に発信するといった取り組みをしております。
 また、卸売業者のみならず、さまざまな量販店の方々なども参加可能な入札会の開催についても、系統団体と協議を行っているところでございます。
 こういったことを通じまして、価格のアップと県のシイタケの安全性のPRを進めていきまして、県内のシイタケ栽培の産地再生といった方向につなげていきたいと考えております。
〇軽石義則委員 1点御質問させていただきますが、林野火災予防対策事業費に関連して、山林の有効活用、土地の有効活用も含めてお聞きしたいと思います。
 山林火災は、いろいろ大きな被害をもたらすということで、これまでも対策をとってやられてきたわけでありますけれども、なかなか山林火災がゼロにならない現状もあります。現在の件数、原因、また、どういう時期に山林火災が多く発生しているかというようなことで分析をされていると思いますけれども、その現状と課題をまずはお聞きいたします。
〇及川整備課長 まず、林野火災の現状についてでございます。
 令和2年におけます本県の林野火災発生状況ですけれども、件数で38件、面積で14.74ヘクタールとなっております。これは、令和元年、前年の59件、面積で9.19ヘクタールと比べまして、件数は減少しておりますけれども、面積は増加しているという結果になっております。
 林野火災の発生時期でございますが、野山が乾燥します春先が7割、その原因についてですけれども、野焼きやたき火など人為的な原因が8割を占めているということになっております。
 課題についてでございますけれども、県といたしましては、林野火災の発生時期が春先に集中していること、発生原因のほとんどが人為的なものであることを踏まえまして、より多くの県民に対する効果的な注意喚起が必要と受けとめております。
〇軽石義則委員 人為的な原因により火災が発生しているということで、今、コロナ禍によってアウトドア、まさに外で安心して余暇を過ごそうということも含めて、キャンプブームがまた加速してきている。ソロキャンプがかなり流行してきて、それらいろいろSNSも含めて多く広がってきているようでありますけれども、そういう方々に正しい知識、マナー、ルールを知っていただくのも大事かと思うのです。そういう方々もどんどん入ってくれば、さらに危険がふえるのではないかという思いもあるのですけれども、ソロキャンプを含めて、キャンプブームの現状認識をどのようにされているのかお伺いいたします。
〇及川整備課長 ソロキャンプ増加に対します現状認識についてでございます。
 マスコミや人気ユーチューバーの情報発信によりまして、全国的にはソロキャンプがブームになっていることは認識しております。
 本県の状況についてでございますが、数値により把握することが難しい現状がございます。例えば、県が管理しています森林公園のうち、キャンプ場がある森林公園の場合ですと、令和2年4月から12月の利用者数は、令和元年と比べまして約6割と減少している状況にございます。減少の原因につきましてはコロナ禍の影響があったものと考えておりまして、この数字をもって、本県においてブームになっているかどうかといった把握は難しいものと考えております。
〇軽石義則委員 整備されたキャンプ場に行ってキャンプをするのはいい選択の一つだと思うのですけれども、最近は、まさに未整備の山に入っていって、みずからその中で生活をしたいということもふえているようであります。今、ユーチューブの話もありましたけれども、まず山を買おうと。山を買って自分なりに環境を整備して生活していこうという状況も拡大してきているようですけれども、山林売買についての状況はどうでしょうか。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 山林売買の状況についてでございますけれども、売買や相続等によりまして新たに森林所有者となった場合につきましては、国土利用計画法に基づく土地売買の届け出を行った場合を除きまして、森林の所在する市町村長に、森林法に基づく届け出を行うこととされております。
 令和元年度の森林法に基づく届け出実績でございますけれども、2、425件で、約1万7、000ヘクタールとなっております。ただ、この売買、相続等の詳細な内訳につきましては、県では把握しておりませんけれども、ある程度届け出件数の多い市等から確認しましたところ、ほとんどが相続ということでございました。
 また、山林売買の相談を受けております岩手県森林組合連合会によりますと、キャンプを目的とした森林の購入の相談につきましては、本県では今のところないと確認しております。
〇軽石義則委員 まだ岩手県にはブームが来ていないことはよくわかりましたけれども、岩手の自然、環境、人のよさ、食べ物のうまさを含めていいということで、このブームが盛り上がるように条件整備をしていくのも、山を守る、保全、森林管理を含めて使える一つの岩手県としての強みではないかと私は思うのです。そういう意味で、このキャンプブームを活用して、当然森林火災の防止も必要ですけれども、山林の整備、保全に活用する政策として進めようというような考えはないのでしょうか。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 全国的なキャンプブームによりまして、フィールドとなる森林の整備に対して関心が高まることは、県としても非常に期待はしているところでございます。ただ、その一方で、森林を取得するということは、長期にわたって森林をきちんと整備していかなければならないという責務が伴うものでございます。この辺のこともございますので、そこの部分については、慎重に検討していただく必要があるかと思っております。
 ただ、その一方で、長期にわたって手入れをされていない里山林等の整備につきましては、森林所有者にかわって地域の住民等が主体的に除間伐等を行う活動が全県的に進んでいるところでございまして、県では、このような活動に対しまして、国の森林・山村多面的機能発揮対策交付金を活用しながら支援をしているところでございます。
 県としては、この事業を活用しながら、山への関心の高い方々に対して、活動をお手伝いしたり、あるいはU・Iターンの方々を含めた森林整備活動のお手伝いをしていきたいと思っております。
〇軽石義則委員 ぜひ、具体的に見える施策にしていってもらいたいと思いますし、このブームに乗るといいますか、ブームでぜひ岩手県のほうにも目を向けてもらうような対応が大事ではないかと思います。
 今テレビで、きのうもやっていましたけれども、多拠点生活といって、拠点を都会に置かなくても仕事ができる皆さんは、数カ月単位で拠点を移して自分なりのライフスタイルを確立して、まさに新型コロナウイルス感染症に合わせた新しい生活様式がどんどん広がってきている。新聞等によると、そういう産業がさらに拡大していくと30兆円産業になっていくのではないかという報道もあります。
 そういう意味では、そういう民間の資金、活力を県内に誘導するためには、本州一広い県土を持っていて、すばらしい自然があるということであるとすれば、それを活用して関係人口、交流人口の拡大、U・Iターンの話もありましたけれども、そういうものに結びつけること。そして、当然、所有者が管理し切れていない荒廃した山を誰かの力をかりて整備していくことによって、さらにいい県になっていくのではないかと私は考えるのです。
 整備すれば鳥獣被害も減ってくるのではないかと。何から何までいいことばかりではないとは思いますけれども、そういう意味で、安全対策、火災予防、しっかりとした知識、ルールを教える、知ってもらう機会も大事だと思います。
 そういうことをさらに進めてもらうためには、岩手県林業技術センターにも立派な施設があって、そこを活用すれば、さらにそういう意味では周知の場として活用できているようです。この間行ったら、冬で水道が壊れてなかなか泊まる人もいないし、食堂運営もなかなかままならないとか、すごく立派な施設でももったいないなという思いもあったりします。結構お金をかけて、岩手県の林業振興のための施設としては、私は十分活用できるところではないかと思っておりますけれども、そういう部分を含めて、あるものにどう磨きをかけて、県外にどんどん発信して岩手県の力にしていくというようなことを考えてほしいのですが、部長、どうでしょうか。
〇佐藤農林水産部長 本県は全国有数の森林県ということで、自然にも恵まれておりまして、今、委員から御指摘のありましたような施設も十分あるということでございますので、これらの有効活用が非常に大事だと思っております。
 そういう意味で、今、委員からもお話がありましたキャンプのブームとか、ソロキャンプのブーム、それからIターン、Uターンといった部分もございますので、いずれ、いろいろ政策を総動員いたしまして、森林の多面的機能の発揮とか山村地域のコミュニティーの維持、活性化といったものにつながるような森林整備の活動を促進していきたいと考えております。
〇軽石義則委員 ぜひ、今、部長がお話をしたような考えを、ユーチューブを通じて、キャンプをしたいと見ている人たちもユーチューブを見ていますから、岩手県がこういうことをしたいというのは、火災予防も含めて、ぜひそういう媒体の活用もお願いして、終わります。
〇佐々木朋和委員 先ほど飯澤匡委員からも放射線の影響について御質問がありましたけれども、私からも質問させていただきたいと思います。
 東日本大震災津波から10年になりますけれども、現在も出荷制限を受けている山菜、野生キノコ、川魚の状況、また、震災後、原木シイタケの出荷制限解除がなされた生産者、また、現在の県内の生産量、生産者数、そして市場価格を震災前の比較とともにお示しいただきたいと思います。
〇高橋林業振興課総括課長 放射性物質の影響によります出荷制限の状況等についての御質問でございました。
 まず、山菜類についてでありますが、現在、県内の8市2町が国から出荷制限指示を受けておりまして、対象は、コシアブラ、ゼンマイ、野生ワラビ、タケノコの4品目となっております。このほか、県内の3市に県が出荷自粛要請を行っておりまして、対象は、野生コゴミ、野生タラノメ、野生ミズ、野生サンショウ、この4品目となっております。
 また、野生キノコ類についてのお尋ねがありましたが、6市3町が国から出荷制限指示を受けている状況でございます。
 一方、川魚とございましたが、内水面の淡水魚につきましては、現在、国による出荷制限指示等の対象となっているものはございません。
 次に、原木シイタケの関係でございますけれども、国によります原木シイタケの出荷制限指示が出されている13市町におきまして、令和3年2月8日までに一部解除となりました露地栽培の生産者数は、現在210名となっております。
 県内の原木干しシイタケの生産量についてのお尋ねもございました。これは、震災前は200トン台でございましたけれども、平成24年以降、風評被害等によりまして市場価格の低迷、原木価格の高騰などにより減少しておりまして、ここ数年は70トンから90トン台で推移しております。令和元年の生産量は77トンとなっております。
 次に、生産者数でございますが、露地栽培の原木シイタケの震災前の県内の生産者数は1、500名ほどいたと把握しております。うち、現在出荷可能な生産者数は770名ほどとなっております。
 最後に、原木干しシイタケの市場価格でございますけれども、震災前でありますが、1キログラム当たり4、000円台半ばでございました。令和元年には、これが3、000円台の前半といった金額で推移しております。
〇佐々木朋和委員 原木シイタケについても厳しい状況が続いているということでしたけれども、そこで、今この状況から、今後上向いていくのか、それとも下降線をたどるのか、ここが重要だと思っておりまして、令和3年度、特用林産物放射性物質調査事業費ですけれども、令和2年度に比して令和3年度は2、770万円減の4、380万円となっております。汚染シイタケ原木、ほだ木の処理、また、ほだ場の除染の状況とほだ場の再生を望む落葉層の除去の申し出件数のトレンドも、あわせてお示しいただきたいと思います。
〇高橋林業振興課総括課長 シイタケほだ木等の処理状況についてでございますが、この事業では、国の指標値を超過いたしましたほだ木の一時保管を対象として補助を行っておりますが、国の指標値を超過したほだ木はこの数年減少しており、昨年度及び本年度はゼロ、令和3年度も事業要望はないところでございます。
 ほだ場の落葉層除去の実施状況については、平成30年度は面積で約3万平方メートルを実施しております。令和元年度は約2万8、000平方メートル、令和2年度は約2万平方メートルと、令和3年度の予定でございますが、これは1万3、000平方メートルと徐々に減少している状況にございます。
 最後に、落葉層の除去の件数でございますけれども、令和元年度は全体で49件ございました。令和2年度は33件、令和3年度の予定は35件となっておりまして、これもやや減少傾向にあろうかと思っております。
〇佐々木朋和委員 今、東日本大震災津波から10年たっているわけでありますけれども、少なくはなってきておりますが、再生産に向けて頑張っていただいている生産者がいることは心強いことだと思います。一方で、今度、特用林産施設等体制整備事業費補助についてでありますけれども、令和2年度と比較して2、600万円減の8、350万円の事業となっております。県で、このシイタケ原木の補助の想定数、また簡易ハウスの設備の総定数を近年のトレンドとあわせてお示しいただければと思います。
〇高橋林業振興課総括課長 特用林産施設等体制整備事業についてでございます。
 令和3年度におけますシイタケ原木の導入本数、これは予定でございますが、34万本ほどとなっております。また、簡易ハウスにつきましては、市町村を通して要望をとりましたけれども、令和3年度は整備要望がなかったところでございます。
 近年のシイタケ原木の導入数でございますが、令和3年度と同様に、年間約35万本前後で推移しております。また、簡易ハウスの整備棟数につきましては、平成29年度は3件ございました。平成30年度は1件、令和元年度はゼロで、令和2年度は1件と、年に数件または1件程度というところで近年は減少傾向にございます。
〇佐々木朋和委員 東京電力からの賠償が今までやっていた生産者に限られるというところ、あと、やはり規模拡大についても、震災前の部分を基準にされているということで、一人一人の生産者の規模拡大も限界があるのだろうと思っております。今なかなか、先ほどの飯澤委員の質問の中でも原木価格の高騰が紹介されましたが、そういった中で、賠償金なしでかかり増し分を負いながら新規就農も難しいですし、また、賠償を超える部分の規模拡大も難しいと。そういったところが、近年の整備想定、簡易ハウスがゼロだったというところもありますし、また、10年という月日によって、生産者も高齢化してきて、ほだ場の除染をお願いする件数も減っているのだろうと思っております。
 そういった中で、今、いわて県民計画(2019〜2028)のアクションプランでは、令和元年度の乾シイタケの植菌の本数が74万6、000本となっておりまして、目標が92万本だったのですけれども、評価Dとなっておりました。平成29年と比べても、平成29年は88万本あったわけでありまして、これも減少していると。
 令和4年度、最終的なこの第1期アクションプランの目標が98万本となっているのですが、今まで県には生産者の再生産に向けて本当に努力していただいたと思っておりまして、その部分には感謝も申し上げますし評価もさせていただこうと思っております。しかしながら、この二つの事業の傾向を見れば、既存の生産者の再生産支援だけではアクションプランの達成は難しい状況になってきているのではないか。市場の動向もそのとおりでありますし。
 そういった意味で、私は、震災10年を機に新規生産者にどのように出てきてもらうか、あるいは賠償を超えた部分でも、県は、規模拡大に向けた支援をしていく、何かしなければ産地としての先行きが見えてこない。生産者にとっても、生産地としてのある程度の数がないと、総数がないと産地としてのパワーも出ないと。また、風評被害ということもありますが、やはり価格も上がってこない。こういった声が聞こえるところでございます。
 そこで質問させていただきますけれども、生産者、生産数ともに減少傾向にある中で、東日本大震災津波から10年となります今後の産地再生に向けた方策をどのように考えているのか、お示しいただきたいと思います。
〇高橋林業振興課総括課長 今後の産地再生に向けた方策ということでございました。
 先ほども御答弁申し上げましたとおり、本県干しシイタケの平均価格は低下傾向にございます。市場関係者の声を踏まえますと、その要因は、やはり原発事故による風評被害の影響があるものと認識しております。
 このため県といたしましては、風評被害の払拭や販路の拡大に向けまして、生産者とともに、首都圏等で原木シイタケの対面販売や安全性のPR等を行ってきてございます。また、このほか、平成29年度以降は、台湾での物産展への出品や海外での販路開拓を目的とした商談会といったものを開催してきたところであります。
 さらに、先ほど申し上げましたとおり、今年度から原木しいたけ販売力アップ促進事業ということで、県産シイタケの魅力でありますとか、さまざまな調理方法といったものの発信方法、これには、例えば学生でありますとか、今までの林業関係団体だけではなくて、特産物の関係団体だけでなくて、シェフの方ですとか、さまざまな方々の御意見をいただいてつくっていきたいと思っております。
 また、入札に関しましても、これまでは卸売業者ということですけれども、さらに幅を広げて、量販店など小売に近い方々も自由に参加できるようなものができないかといったものを検討しております。
 令和3年度当初予算案にも引き続き必要な予算を盛り込んでおりまして、新規の事業者も参加可能なインターネットシステムを活用した集出荷団体合同による入札会の開催支援、あるいは県産のおいしい原木シイタケのレシピを紹介する動画の作成などに取り組んでまいりたいと思います。
 こういったことを通じまして、新規の参入者でありますとか規模拡大を実施できる方々の価格アップに尽力できるように、今後も努めてまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員長 質疑、答弁は簡潔に願います。
〇佐々木朋和委員 簡潔に。第1期アクションプランを見ても、乾シイタケの植菌本数しか載っておりません。私はぜひ、これは今後5年、10年かけて復活を目指してやっていくということだと思いますので、やっぱり長期計画、ロードマップをつくって、生産者と先を共有しながら進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いして、終わりたいと思います。
〇岩渕誠委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。

午後5時53分 休 憩

午後6時12分 再 開

〇岩渕誠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇柳村一委員 私からは、いわての森林づくり県民税について伺います。
 令和3年度の税収の見込み額と執行予定額、あわせて執行予定額の内容についてお伺いします。
〇高橋林業振興課総括課長 まず、いわての森林づくり県民税の令和3年度の税収見込みと執行予定額についてでありますが、令和3年度の税収見込みは7億5、400万円となっております。また、同じく令和3年度の執行予定額は11億2、200万円余となっております。
 続きまして、執行予定額の内容についてでありますが、まず、いわての森林づくり推進事業におきましては8億4、800万円余を充当しまして、これまで取り組んでまいりました混交林誘導伐に加えまして、環境を保全する植栽や気象被害を受けた森林の整備などに新たに取り組むこととしております。
 また、これも新たに取り組むことといたしました森林公園機能強化事業、全国植樹祭開催準備事業、林野火災予防対策事業などに1億6、700万円余を充当することとしております。
 さらに、木育の推進等につながる県産木材の活用といたしまして、新たに、教育施設等への木材製品の設置などに取り組む各部局の事業に1億600万円余を充当することとしております。
〇柳村一委員 執行額の内容はわかりました。その中で、混交林の誘導伐がこの主な事業だと思うのですけれども、第3期まででは計画より進んでいなかったという話がありましたが、今度、令和3年度から第4期になるわけですが、その中で混交林の誘導伐の県全体の計画はどのぐらいあって、第4期ではどのぐらいやるのか、そこら辺についてお伺いします。
〇高橋林業振興課総括課長 第4期におけます混交林誘導伐の計画でございますが、現在、第4期の5年間におきまして、おおむね4、500ヘクタール程度、これは森林簿から、例えば公益林でありますとか、しばらく間伐等、下刈り等の手入れが入っていないといった条件を一定程度かけまして抜いてみますと、4、500ヘクタールほどあるのではないかと考えております。
 この中で、条件によりましては国庫補助事業等、他の事業が導入可能なものもあると考えておりまして、1、500ヘクタール差し引いて約3、000ヘクタールを5年間で実施していきたいと考えております。
〇柳村一委員 県全体で混交林の伐採の面積、手を入れなければいけない面積は大体捉えているものでしょうか。
〇高橋林業振興課総括課長 平成18年のこの事業開始のときには、今と同じような形で抽出したと聞いておりますけれども、2万6、000ヘクタールほどあったと聞いております。その中で、先ほど申し上げました約78%実施してまいりましたので、残りといった形になりまして、これは毎年度精査しますと、伐採や所有の関係などからさまざまで数字が変わってくるものですから、現在でそれを算出しますと、先ほど申し上げた4、500ヘクタールほどが対象になろうと考えております。
〇柳村一委員 わかりました。そうすると、5年で、この県民税を使うのは3、000ヘクタールというところで、今回の税収見込み額が7億円ちょっとで、そのうち事業執行額が11億円ということで、約4億円は基金から出てくるという感じですけれども、いわての森林づくり基金の残高の推移はどのようになっていますか、お伺いします。
〇高橋林業振興課総括課長 残高につきましては、5年前から申し上げますと、平成27年度末の現在高は11億1、900万円余、平成28年度は15億円余、平成29年度は18億7、600万円余、平成30年度は22億5、300万円余、令和元年度は23億2、800万円余と推移しております。
〇柳村一委員 今までなかなか計画が実行できなくてふえていたのが、令和3年度からは、基金も活用して間伐に力を入れていくということなのかと解釈していますけれども、令和3年度からの県民税の事業評価委員会の報告によりますと、基金残高の活用を図ることが必要ですというところが意見の中でありました。基金残高もさることながら、同じ課税負担額で課税期間も同じという評価委員からの意見があったのですが、これは、評価委員会の中でどのような議論があって第4期も同じような形になったのかお伺いします。
〇高橋林業振興課総括課長 第3期までの残高につきましては、第3期までにお約束しておりました、目標とした2万6、000ヘクタールの混交林誘導伐を最後まで貫徹して実施していくことに使うべきではないかというお話が一つございました。もう一つは、伐採後の再造林でありますとか環境に関するさまざまな森林保全の要望、あと、台風でありますとか雪害でありますとか、そういった激しい天候変化によって大きな被害を森林が受けている。こういった新たな課題に対応することは、通常の国庫補助事業とかではできませんので、県民の皆様から特別に徴収しているいわての森林づくり県民税を活用することが適当だといった議論がございまして、混交林誘導伐の継続とともに、そういった事業の拡充を図っていくという大きな方向性のもとで議論をいただいたと考えております。
〇柳村一委員 それでも、令和3年度は基金を4億円切り崩していくとしましても、基金が23億円あるわけですから、あと五、六年は基金を取り崩してでも、県民の皆様から県民税をもらわなくてもやっていける―そこまでは行かないか、そうですね。例えば1、000円ではなくて500円にして徴収するとか、そういう議論はなかったわけですか。
〇高橋林業振興課総括課長 これまでも毎年度7億5、000万円ほどの税収に対しまして4億円から5億円、低くなってきたときにもこういった金額が必要となっておりました。これについては引き続き混交林誘導伐を実施するということで引き継いでいくことが必要と考えております。
 そのほか、新しい課題に対応していくことを考えたときに、これまでと同じ1、000円の徴収をさせていただいて、5年間の中で、先ほど申し上げましたような新しい取り組みに取り組むことが適当という御結論をいただいたところでございます。
〇柳村一委員 混交林誘導伐が終わってしまうと、多分この県民税という部分は今度違う部分で使われていくような、方向転換のちょうど今、過渡期に来ているかとは思います。やはり最初の目的はしっかりあったわけでありまして、それをもし変更するのであれば、こういう理由で使い方をちょっと変えていきますというような、県民の皆様に対する周知みたいなものも今後必要になってくると思いますので、そこら辺について今後どのような考えでいるのかお伺いして、終わります。
〇高橋林業振興課総括課長 先ほど委員から御発言ありました事業評価委員会による提言が昨年3月にございまして、その後、6月に県としての素案を作成させていただきました。素案を作成して、これをパブリックコメントにかけさせていただいて、県民の皆様の御意見をいただいた。その際に、県内の4カ所で地域説明会等も行った、あるいは森林、林業の関係団体の皆様と意見交換会を行う、森林審議会の方々に御意見をいただく、そういったことで意見を反映してまいったつもりでございます。
 来年度以降も、新しい5年間、こちらの新規事業につきましても、さまざまな方に取り組んでいただかなければ事業の有効な活用ができませんし、計画的な経費執行もままならないことになると思っておりますので、委員御指摘のとおり、さまざまなPRで周知していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは、危機的な大不漁の実態と対策についてお聞きいたします。
 2020年のサケ、サンマ、スルメイカの主要魚種と県内魚市場の水揚げ量、水揚げ額、そして震災前比を示してください。
〇工藤漁業調整課長 県内魚市場の水揚げ量と水揚げ額ですが、令和2年の水揚げ量は8万5、166トンで、震災前比48%、水揚げ金額が148億3、000万円で、震災前比63%となっております。
 また、主要魚種の水揚げ量、水揚げ額でございますが、まず、サケにつきましては、水揚げ量が1、729トンで、震災前比7%、水揚げ金額が12億8、600万円で、震災前比16%。サンマにつきましては、生産量が7、527トンで、震災前比14%、水揚げ金額31億2、500万円で、震災前比84%。スルメイカにつきましては、水揚げ量が4、271トンで、震災前比23%、水揚げ金額が23億3、700万円で、震災前比70%となっております。
〇斉藤信委員 サケが震災前比水揚げ量で7%、サンマも14%と本当に危機的な状況だと思います。スルメイカは、前はサケ、サンマよりもひどかったのだけれども、今年度は前年比で206%になっているのです。これは回復傾向と見ていいのでしょうか。
〇工藤漁業調整課長 国の研究機関の資源評価によりますと、スルメイカの資源状況は減少傾向にあると言われていて、このまま回復するかどうかは、今後注視しなければならないと考えております。
〇斉藤信委員 それでは、あわせてアワビ、ウニ、ワカメの生産量、生産額と震災前比も示してください。
〇工藤漁業調整課長 アワビ、ウニ、ワカメの生産量と生産金額でございますが、アワビの生産量が97トンで、震災前比28%、水揚げ金額が9億8、100万円で、震災前比43%。続きまして、ウニの令和2年の水揚げ量は74トンで、震災前比61%、水揚げ金額が7億4、400万円で、震災前比98%。養殖ワカメの生産量につきましては1万3、112トンで、震災前比59%、水揚げ金額が23億7、300万円で、震災前比57%となっております。
〇斉藤信委員 ワカメは一番復旧が早かったのですけれども、今の答弁のように、震災前比で59%、額では57%ということで、これも前年比では122%になっています。そして、きのうの新聞を見ますと、養殖ワカメの初入札、これは181トンで、前年比かなり大幅に、数量では9倍だったと。初入札ですね。前年比からふえて、今回初入札もこういう形でやっているのですけれども、ワカメはどうなのですか、回復傾向ということになるのですか。
〇工藤漁業調整課長 ワカメの今季初入札がこれまでに比べて非常に多いという報道があったところですけれども、この要因としまして、ことし非常に成長がよくて、その分、量がふえたと聞いております。
〇斉藤信委員 気候がよかったということですね。まだまだ回復傾向とは、簡単には評価はできないということですね。
 なかなか大変厳しい状況になっていると思いますが、主要魚種の資源回復の取り組みについてお聞きします。
〇工藤漁業調整課長 主要魚種の資源回復の取り組みについてでございますが、まず、秋サケの資源回復に向けまして、確実に種卵を確保するため、早期から親魚の確保を行うなど種卵確保体制の強化に取り組んでいるほか、高水温への耐性を持つ稚魚や遊泳力のすぐれた稚魚の生産技術の開発を進めているところでございます。
 また、サンマやスルメイカにつきましては、広域的に回遊する資源であることから、国が中心となって資源管理を推進しておりまして、県では、国と連携しまして、魚種ごとの漁獲枠による管理に取り組んでいるほか、国の研究機関による稚魚の分布や親魚等の資源の調査、研究に協力しているところでございます。
〇斉藤信委員 それで、サケ、サンマ、スルメイカのいわゆる岩手の主要魚種は大変危機的な状況にあるのですけれども、一方で、マイワシ、サバ、ブリという南でとれるものが増加していると。とれる魚で勝負するという点で、新たな取り組み、県の支援策はどうなっているでしょうか。
〇工藤漁業調整課長 今、増加しております資源の有効活用の取り組みについてでございますけれども、近年の海洋環境の変化等によって、サケ、サンマ等の主要魚種の資源量が減少する一方で、マイワシの資源量は増加しておりまして、令和2年における県内魚市場へのマイワシの水揚げ量は2万3、181トンと、震災前3カ年平均の241トンの約96倍まで増加しているところでございます。
 県では、この増加しているマイワシ資源を有効活用するため、市町村や漁協等が実施しますまき網漁船の誘致活動を支援しておりまして、令和2年におけるまき網船の水揚げ量は1万8、225トンと、平成23年の141トンの約129倍まで増加しているところでございます。
 また、令和元年漁期からは、増加しているマイワシを対象としまして小型漁船による試験操業を実施しており、2年目となることし6月までの漁期においては、効率的な操業方法とか収益性等について確認することとしております。
〇斉藤信委員 とれる魚で勝負するというので、もう一つお聞きしますけれども、イサダ漁は、去年はまさに危機的な不漁だったのですが、ことしは若干とれているようですけれども、その状況はどうですか。
〇工藤漁業調整課長 イサダの状況ですけれども、3月15日現在の水揚げ状況ですが1、307トンで、昨年に比べまして約4倍程度となっております。
〇斉藤信委員 トレンドとしてこのまま行くのかということを聞きたかったのだけれども、後でそれは触れてください。
 それで、先ほども新たな海面養殖が議論になりました。それを踏まえて、試験操業から本格操業に移行する上での課題、そして県の支援策を示してください。
〇工藤漁業調整課長 マイワシの試験操業ですけれども、開始しまして2期目というところで、岩手県でどこに漁場ができたり、どのようにとれば一番効率的なのか、その場合どのぐらいの収益が上がるのかというような検証が、まだできていない状態でございます。
 そのため試験操業を継続しまして、収益性とか漁場の特定、また、漁獲方法の確立などを行って、将来的には、漁業許可での本格操業に向けて準備を進めたいと考えております。
〇斉藤信委員 サケ、マス類の海面養殖試験も、来年はさらに1カ所、山田町もやろうとしているという話がありました。この点についても、試験操業から本格操業への課題、県の支援策を示してください。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケ、マス海面養殖については、現在4カ所でやられておりますけれども、令和3年度に事業化したいという希望を出しているところが、久慈市と宮古市と大槌町から今いただいております。
 事業化に際しては、いわゆる漁業権という海面で漁業を営む権利の免許を知事から受けなければいけないのですが、これは例年5年サイクルで、現在のところ令和5年を予定しておりますけれども、急ぎそういう生産を上げるという視点もございますし事業化を希望しているところもございますので、丁寧にお話を聞いて、県は令和5年を待たずに、令和3年の秋に向けて、適正な手続を踏んで漁業権の免許ができるように進めていく考えでございます。
〇斉藤信委員 わかりました。試験操業から本格操業となりますと、これは本当に経営が問われることになると思います。全国的にもこれはやられていることなので、全国との競争ということにもなると思いますので、よく県が支援をして進めていただきたい。
 あわせて、新型コロナウイルス感染症の影響が水産物にどうあらわれているか。アワビ、ウニ、ホタテガイ等でどういう影響が出ているか示してください。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 まず、アワビについては今シーズンの漁期が終わっておりますけれども、前年度比で価格が24%減となっております。
 また、ウニについては、昨年4月が前年同期で50%減ということで、漁業団体では、6月にかけて漁獲回数を制限するなど、いわゆる出荷調整によって価格の維持を図ろうと動いたところでございます。
 また、ホタテガイについては、昨年4月からこの1月まで、約11%から52%の範囲で価格が低下しているところでございます。
〇斉藤信委員 この新型コロナウイルスの影響に対する対策はどうなっていますか。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 県では、令和2年度の補正予算によりまして、新型コロナウイルス関係の対策事業として、まずは県産農林水産物学校給食供給緊急対策事業によりまして、県内の小中学校等へ県産ホタテガイを延べ5万5、000食提供したほか、県産農林水産物販売促進緊急対策事業によりまして、昨年10月中旬から12月下旬にかけて、県内150店舗の量販店で水産物販売促進キャンペーンを実施したところです。
 さらに、県産水産物需要創出緊急対策事業によりまして、昨年9月下旬に本県水産物を利用した水産加工品を地元の新聞広告に掲載しまして、水産物販売の応援を行ったところで、令和2年度補正予算で対策を進めたところでございます。
〇斉藤信委員 先日、岩手日報の折り込みで3割引の沿岸の海産物のキャンペーンもありましたので、私も大変注目しておりました。こうした取り組みをしっかり進めていただきたい。
 これは最後の質問になると思いますけれども、漁業センサスの結果と漁業就業者、担い手の確保について。漁業就業者と経営体数の推移はどうなったか。担い手確保の対策と取り組み、県、市町村の担い手確保支援策を実績を含めて示してください。
〇工藤漁業調整課長 まず、漁業センサスの結果についてでありますが、漁業センサスによりますと、本県における平成30年の漁業就業者数は6、327人と、10年前である平成20年の9、948人と比べ36%減少し、5年前であります平成25年の6、289人と比べますと、ほぼ横ばいとなっております。
 また、平成30年の漁業経営体数は3、317と、10年前の平成20年の5、204と比べ36%減少、5年前の平成25年の3、278と比べまして、ほぼ横ばいとなっております。
 続きまして、漁業担い手の確保対策の取り組みでございますけれども、県では、漁業担い手の確保、育成を図るため、市町村や漁業関係団体と連携しまして、漁業就業イベントへの出展などによる漁業就業情報の発信、いわて水産アカデミーを核とした人材育成、漁業経営体の法人化や協業化など、雇用型就業の受け皿となる周年雇用環境の整備、市町村の就業者支援制度や国の長期研修制度などによる新規就業者の定着と独立の支援に取り組んでいるところでございます。
 また、県と市町村の担い手確保支援策についてでございますけれども、県では、令和3年度当初予算案に、いわて水産アカデミー運営支援事業費と漁業担い手確保・育成総合対策事業費を盛り込んでおりまして、水産アカデミーの運営や漁業後継者の確保対策等に取り組むこととしております。
 市町村におきましては、生活支援を含めました就業奨励金や、定住支援となります住居費補助などを実施していると聞いております。
〇斉藤信委員 漁業センサスでは、10年前と比べると漁業者、経営体が36%減だけれども、この5年間は横ばい。大変厳しい状況の中で頑張っているということになるのではないか。
 担い手確保策でいくと、市町村も、資料で10市町村がさまざまな生活支援をやっていて、陸前高田市などでは他県からも若い人たちが入ってきているということもありましたので、ぜひ、厳しい中でこの危機的な大不漁を乗り越える対策に全力を挙げていただきたい。
〇上原康樹委員 通告した項目を一つ落としましたので、あらかじめ質疑の流れを申し上げておきます。
 新型コロナウイルス感染症の林業における影響、次、森林組合法、新しい法律ですね。そして、林業におけるコンプライアンス、最後に、森林クラウドシステム事業について伺ってまいります。つまり、強く、正しく、新しい林業に向けて、令和3年度はどのような取り組みになるのか伺ってまいります。
 新型コロナウイルス感染症の影響で林業にも深刻な影が落ちています。合板工場や製材所などでは減産、丸太価格の下落。現状から伺ってまいります。いかがでしょうか。
〇高橋林業振興課総括課長 林業でのコロナ禍の現状についてでございますけれども、委員御指摘のとおり、県内の木材の大宗は、製紙でありますとか合板でありますとか製材といったところで大きく占められているところでございます。
 新型コロナウイルス感染症の対策が始まって以来、そういった大きなところで製品の売り上げが減少したことによりまして、原木の受け入れ制限が開始されたところであります。4月、5月ぐらいから受け入れ制限が開始されまして、今振り返ってみれば、林業関係者の方々に聞きますと、6月、7月あたりがピークであったのではないかということで、受け入れがなかなかできなかったと伺っております。
 その後、木材価格も低迷してまいりまして、ただ、11月、12月ごろからは、合板のほうで新たに製品の販売がふえまして受け入れを開始してきた。あと、バイオマス発電所がございますけれども、こういったところでは通期にわたりまして受け入れを減らすことなく、ずっと受け入れをしてくださいましたので、こういったところに林業の生産者の方々は木材を納入することができました。こういった危機を乗り越えまして、11月、12月には価格も、もともと、例えば杉の中庸なものであれば1万円少しの金額でございましたけれども、そこまでは及ばないものの1万円はクリアしてきたといった形で、少し戻っているところでございます。
 木材事業者につきましては、例えば倒産でありますとか、そういったものにつきましては二、三ございましたけれども、これが新型コロナウイルス感染症の影響によりまして倒産したと明確にできたものは、特に聞いているところではなくて、中には影響があるかもしれませんけれども、さまざまな事象の複合と伺ってございます。こういった時期を乗り越えてきていると考えております。
〇上原康樹委員 今、明るい話題は、広葉樹の値段が高いということぐらいでしょうかね。
 こうした状況の中で森林組合の組織強化を図るための法律、森林組合法の一部を改正する法律が、ことし4月1日からスタート、施行されることになっています。コロナ禍で苦しむ岩手の林業を支える仕組みとなりそうですか、いかがでしょうか。
〇橋本林務担当技監 森林組合法の一部改正につきましては、内容は、今まで森林組合はロットが小さかったというところで、ロットを大きくして、それを組合の連携ですとか、そういった形で販売のチャンネルをふやしながらということで、生産基盤を高めていくような形でございます。
 本県にこの法律がどうかということですけれども、本県の場合は、先ほど言いました合板関係ですとかは、既にその法律ができる前に、県の森林組合連合会が束ねて、例えば内陸の合板工場に材を供給する仕組みとか、そういった地盤はつくってきております。これからまた広葉樹がどうなるかわかりませんけれども、そういったものも含めて、新たな販売チャンネルとかといったものは、森林組合の中でフレキシブルに対応できるという法律でありますので、そういった可能性はあるものと考えております。
〇上原康樹委員 今すぐの果実ではないということはよくわかりました。これからの取り組み次第だと思いますね。
 さて、そういういろいろ苦しい影響を受けながらも、岩手県の森林では大規模な伐採が相変わらず続いていると私は承知しております。もう山の風景が変わってしまう。これは、一つ間違うと鉄砲水や洪水が起きかねないなと思うほどの大変大規模な伐採が展開されております。
 県は、林業の理念として、健全な森林の育成、森林環境の保全を挙げています。やはりそのためには、ルールにのっとり環境に配慮した適正な伐採、再造林などが不可欠となります。いわゆる森のおきてを守るという作業になりますけれども、こうした道を外れる作業がないとも限りません。これは森のコンプライアンス違反ということになります。
 去年11月の岩手県森林組合理事研修会でも、昨今の森林組合をめぐるコンプライアンスがテーマになりました。岩手県内で把握されている現場での不適正事案の発生状況について御報告ください。また、その対策もどうなっているのか教えてください。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 コンプライアンス、伐採に関する法令の遵守について御説明いたします。
 森林所有者などが森林の立木を伐採する場合におきましては、森林法に基づきまして、事前に伐採及び伐採後の造林の計画を森林の所在する市町村長に届けることが義務づけられております。この中で市町村におきまして、県でもありますけれども、伐採する方々に対して適切な指導を行っているところでございます。
 本県において、この届け出をされずに伐採が行われた件数でございますけれども、令和元年度に27件確認されておりまして、届け出件数は全体で3、000件を超えておりますが、この約0.9%の状況となっております。
 県では、伐採届け出制度の遵守に向けまして、現地機関の林務担当職員等によります伐採現場等の情報把握体制を強化するとともに、巡回指導によりまして市町村を支援しているところでございます。
 また、届け出をしないで伐採した理由の多くが、制度を知らないことによるものがほとんどでございますので、県では、市町村の広報誌への掲載依頼、各種会議あるいは説明会等におきまして、森林所有者でありますとか伐採事業者等に対しまして、適切な運用についての説明、指導を行っているところでございます。
 今後とも、森林所有者や伐採事業者等への制度周知を徹底しまして、伐採に関する法令がきちんと守られるように取り組んでまいります。
〇上原康樹委員 やっぱりあるのですね。それで、広大な岩手県の森林の伐採状況を丹念にチェック、点検していくのは大変なことだと思うのです。人員的にこれは追いつきますか。大丈夫ですか。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 県の林業職員は、当然それなりの人数がおりますけれども、現在、森林経営管理制度ができたことによりまして、市町村におきましては、森林環境譲与税を活用して、森林に直接従事する方々を雇用しているケースがふえております。
 また、先ほども森林・山村多面的機能発揮対策の御説明をいたしましたが、県内では、林業に従事されない方でありましても、地域の住民の方々と一緒になって森林を整備する、あるいは管理するという活動が非常にふえておりまして、県内で今100団体を超えた方々がいらっしゃいます。
 平成26年以降の取り組みでございますが、県内全域で5、000ヘクタールを超えるような間伐をしている状況でございます。こういった方々が協力しながら取り組むことで、監視というか、そういった目を維持することは可能かと考えております。
〇上原康樹委員 裾野の広さを感じました。
 こうした森林の伐採状況ですとか、それから、今、山はどうなっているのか、こういうことをみんなが情報として共有するシステムが今度整備されようとしています。県が立ち上げる森林クラウドシステム整備事業ということですが、これは具体的にどういう期待が持てるのか、また課題は何なのか伺います。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 県では、令和3年度当初予算案に盛り込んでおります森林クラウドシステム整備事業によりまして、森林に関するさまざまな情報をインターネット回線を通じて共有する新たな情報共有基盤を整備いたしまして、最新の森林情報を県や市町村、林業経営体などが共有して利用できる体制を進めることにしております。
 このシステムは、森林施業の集約化や森林調査の省力化など、効率的な森林経営管理に活用していくほか、伐採された森林の位置でありますとか災害発生区域の特定などにも活用できるものでございますので、これにつきましても、市町村や林業経営体などと連携しまして、本県の豊かな森林資源を守り、あわせて県土の保全が図れるように取り組んでまいります。
〇上原康樹委員 森林や、それから林業の見える化がこれから本当に進んでいくのだなという実感でございます。取り組みを力強く進めていただきたいと思います。
〇岩渕誠委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩渕誠委員長 質疑がないようでありますので、これで第2部林業、水産業関係の質疑を終わります。
 農林水産部の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後6時55分 散 会

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