令和3年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和3年3月17日(水)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
議事管理担当課長 藤 枝   修
主任主査 千 葉 絵 理
主任主査 糠 森 教 雄
主査 鈴 木   忍
主査 阿 部 真 人
主査 赤 坂 宏 紀
1 説 明 員
労働委員会
事務局長 井 上   馨
参事兼審査調整課
総括課長 蛇 口 秀 人

商工労働観光部長 戸 舘 弘 幸
副部長兼
商工企画室長 平 井 省 三
定住推進・雇用
労働室長 小 原 由 香
ものづくり自動車
産業振興室長 瀬 川 浩 昭
観光・プロモー
ション室長 高 橋 孝 政
商工企画室
企画課長 似 内 憲 一
商工企画室
管理課長 星 野 俊 一
新産業育成課長 藤 村 真 一
経営支援課
総括課長 関 口  等
産業経済交流課
総括課長 橋 場 友 司
地域産業課長 竹 花 光 弘
雇用推進課長 田 中   聡
労働課長 金 野 賢 治
特命参事兼
ものづくり産業
振興課長 十良澤 福 志
自動車産業
振興課長 小 野 和 紀
産業集積推進課長 金 野 拓 美
プロモーション
課長 千 葉 敬 仁

企業局長 石 田 知 子
次長兼
経営総務室長 菅 原 健 司
技師長 細 川 普 基
経営総務室
管理課長 鈴 木 光 将
特命参事兼
経営企画課長 菅 原 克 浩
業務課総括課長 村 上 敏 弘
電気課長 山 谷 紀 彦
発電所再開発
推進課長 石 川 幸 洋

参事兼
財政課総括課長 小 原 重 幸
〇岩渕誠委員長 これより本日の会議を開き、直ちに
議事に入ります。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第26号から議案第30号まで、議案第33号、議案第35号、議案第37号から議案第39号まで、及び議案第42号の以上31件を一括議題といたします。
 本日は、労働委員会、商工労働観光部及び企業局関係について、延べ18人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は23分といたしましたので、議事進行に御協力をお願いいたします。
 なお、関連質疑については、目安時間を10分とすることにしておりますので、あらかじめ御了承願います。
 また、これまでと同様に、換気のため休憩いたしますので、御協力をお願いいたします。
 初めに、労働委員会事務局長に労働委員会関係の説明を求めます。
〇井上労働委員会事務局長 労働委員会関係の歳出予算につきまして、御説明申し上げます。
 便宜、お手元の予算に関する説明書により御説明申し上げますので、説明書の150ページをお開き願います。
 5款労働費3項労働委員会費のうち、1目委員会費3、240万円余は、労使紛争の解決を図るための労働委員会の運営に要する経費であり、委員15人に対する報酬及び旅費等の事務費であります。次に、2目事務局費8、846万円余は、事務局の管理運営に要する経費であり、事務局職員の人件費及び旅費、需用費等の事務費であります。
 これらを合わせますと、151ページの計の欄のとおり1億2、086万円余となるものであります。
 以上で、労働委員会関係の歳出予算についての説明を終わります。
 よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇岩渕誠委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩渕誠委員長 質疑がないようでありますので、これで労働委員会関係の質疑を終わります。
 労働委員会事務局の皆さんは、退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、商工労働観光部長に商工労働観光部関係の説明を求めます。
〇戸舘商工労働観光部長 商工労働観光部関係の令和3年度歳出予算について御説明申し上げます。
 初めに、当部の予算編成に当たっての基本的な考え方についてでありますが、令和3年度は、いわて県民計画(2019〜2028)が目指す希望郷いわての実現に向け、暮らしの再建やなりわいの再生などの取り組みにより、東日本大震災津波からの復興を推進いたしますとともに、新型コロナウイルス感染症の影響で厳しい状況にある中小企業者への資金繰りの支援や本業支援、雇用、労働環境の整備、移住、定住の促進、県産品や観光消費の拡大などの取り組みによりまして、持続可能で活力ある地域経済を確立するための予算として編成したところであります。
 まず、復興推進関係の取り組みでありますが、暮らしの再建については、産業振興施策と一体となった安定的な雇用の確保や労働環境の整備に取り組んでまいります。
 また、なりわいの再生については、被災地域の中小企業の事業再開や経営力向上に向けた取り組みを引き続き支援いたしますとともに、地域の特性を生かした産業の振興を図ってまいります。
 次に、移住、定住の促進に向け、市町村や関係団体と連携し、岩手で暮らす魅力を高め、安心して移住し、活躍できる環境の整備を図り、岩手ファンの拡大やU・Iターンの促進に努めてまいります。
 また、県民一人一人が能力を発揮でき、ライフスタイルに応じた新しい働き方ができる環境の整備に向けまして、テレワーク導入等を含む働き方改革を推進し、県内企業の雇用、労働環境の整備を促進いたしますとともに、女性、若者等の県内就業の促進や職業能力開発の支援などに取り組んでまいります。
 次に、地域経済を支える中小企業の振興を図るため、新型コロナウイルス感染症の拡大により事業活動に影響が生じている中小企業者への資金繰り支援や、中小企業者の新しい生活様式に対応したビジネスモデルの構築や生産性向上の取り組みの支援、新事業分野の開拓や経営力の向上、事業承継の円滑化、若者や女性等の起業の推進に取り組んでまいります。
 また、県内中小企業に対しまして、IoTやAI等第4次産業革命技術の活用による生産技術の高度化や人材育成等を支援することによりまして、ものづくり分野等におけるデジタルトランスフォーメーションを促進してまいります。
 また、国際競争力が高く、地域の産業、雇用に好循環をもたらすものづくり産業の振興を図るため、自動車、半導体関連産業の一層の集積促進と競争力強化に向けて取り組みますとともに、県内各地域のものづくり企業の成長や新産業の創出等を支援します。
 さらに、企業誘致や県内企業の生産性、付加価値の向上を図りますほか、産、学、行政、金融機関が連携し、今後さらなる成長が期待されるものづくり産業及び地域産業を支える産業人材の育成と確保、県内への定着を促進いたします。
 次に、本県ならではの地域資源を生かした産業の振興を図るため、食産業及び地場産業の経営力、生産性の向上に向けた取り組みを促進いたしますとともに、食や伝統的工芸品を初め、特色ある県産品の国内外でのPRや販路の拡大などの取り組みを促進いたします。
 また、地域経済に好循環をもたらす総合産業としての観光産業の振興を図るため、東北デスティネーションキャンペーンを契機に、これまで磨き上げてきた付加価値の高い旅行商品や観光コンテンツを広く発信しながら、周遊、滞在型観光を一層促進するほか、質の高いサービスやおもてなしにより旅行者の満足度を高め、岩手ファンをふやし、リピーター化を促進してまいります。
 以上が、予算編成に当たっての基本的な考え方でありますが、施策推進に当たりましては、地域が持つ特性や魅力、人材などの資源が最大限に生かされるよう、関係機関と連携して取り組んでまいります。
 それでは、予算議案について御説明申し上げます。
 まず、議案第1号令和3年度岩手県一般会計予算でありますが、議案その1の6ページをお開き願います。
 2款総務費4項地域振興費の一部1億3、680万3、000円と、7ページに参りまして、5款労働費のうち1項労政費及び2項職業訓練費の合計27億2、984万1、000円、7款商工費の1、606億6、007万円、9ページに参りまして、11款災害復旧費2項商工労働観光施設災害復旧費の31億362万9、000円の、合わせまして1、666億3、034万3、000円が商工労働観光部関係の予算の総額であります。これを前年度の当初予算と比較いたしますと348億6、372万2、000円、率にいたしまして26%の増となっております。増額の主な要因といたしましては、新型コロナウイルス感染症対策資金貸付金や新型コロナウイルス感染症対応資金貸付金などの感染症対策に要する経費を計上したことによるものであります。
 予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されておりますので、説明は省略させていただきたいと存じます。御了承願います。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 11ページをお開き願います。第2表債務負担行為のうち、当部関係は、事項欄2から10までの9件であります。内訳は、損失補償に係るもの5件、利子補給に係るもの1件、保証料補給に係るもの1件、離職者等再就職訓練に係るもの1件、建物の賃借に係るもの1件でありまして、これらについて、それぞれの期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
 次に、特別会計について御説明申し上げます。
 31ページをお開き願います。議案第6号令和3年度岩手県中小企業振興資金特別会計予算でありますが、これは、歳入歳出予算の総額をそれぞれ14億7、184万8、000円とするものであります。
 次に、32ページに参りまして、第1表歳入歳出予算の歳入でありますが、1款繰入金1項一般会計繰入金は、中小企業高度化資金の貸付原資及び貸付事務費に充てるため、一般会計から繰り入れするものであります。
 2款繰越金1項繰越金は、前年度からの繰越金を予定するものであります。
 3款諸収入1項貸付金元利収入は、設備資金貸付等の貸付償還金でありまして、2款預金利子は、歳計現金の利子、3項雑入は、中小企業高度化資金の延滞違約金収入等であります。
 33ページに参りまして、歳出でありますが、1款小規模企業者等設備導入資金貸付費1項貸付費は、中小企業高度化資金の貸し付けに要する経費や、国、独立行政法人中小企業基盤整備機構への償還金等であります。
 2項貸付事務費は、貸付事務及び資金の回収などに要する事務経費のほか、公益財団法人いわて産業振興センターが行う被災中小企業施設・設備整備支援事業貸付等に要する事務経費に対する補助であります。
 以上が、商工労働観光部関係の当初予算の内容でございます。
 引き続きまして、予算に関連する議案について御説明申し上げます。
 お手元の議案その2の124ページをお開き願います。議案第35号特定区域における産業の活性化に関する条例の一部を改正する条例についてでありますが、この条例は、県が指定する特定区域において、域外からの企業誘致による本県ものづくり産業のさらなる振興を図るため、県税の課税免除及び不均一課税の適用対象となる特例対象設備の新設または増設の期限を延長しようとするものであります。
 129ページをお開き願います。議案第37号職業能力開発校条例の一部を改正する条例及び、恐れ入ります、132ページに参りまして、議案第38号産業技術短期大学校条例の一部を改正する条例についてでありますが、いずれも、大規模な災害であって県民生活に著しい影響を及ぼすものにより甚大な被害を受けたと認められる者等に係る授業料等の免除及び納付の猶予について定める等、所要の改正をしようとするものであります。
 以上で商工労働観光部関係の議案の説明を終わります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
〇岩渕誠委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇郷右近浩委員 それでは、私から何点か質問させていただきたいと思います。
 今、部長から説明等をいただいたわけでありますけれども、それぞれの事業であったり、またさらに、現状新型コロナウイルス感染症の対策ということで、さまざまな中小企業の方々を何とかしっかりとこれから事業を続けていただけるような対策をとっていただいていること、そうした部分については、この間もいろいろな場面で個別にもお伺いさせていただいたので、その点は割愛させていただいて、20分ちょっとしか時間がないので、ちょっと大きく聞かせていただきたいと思います。
 まず最初に、県南地域におけるものづくり産業の振興ということでお伺いしてまいりたいと思います。
 といいますのは、この間、コロナ禍の中、さまざまな産業が停滞していく中にあって、私は特に現場の県南地域がよく見えるというか、日ごろから目につく部分ですけれども、企業においては、みんな割と活況というか物すごく忙しそうにされているという中で、それはすなわち何かのダメージがあったとき、何か不測のことが起きたときに、さまざまそれぞれの産業がきちんと経済活動がやっていけるような、そうした配置ではないですけれども、いろいろな形での誘致であったり、それをしっかりと進めてきた結果であるのではないかと思っているものであります。
 その中で、県南地域における自動車、半導体関連産業を中心とした産業振興をさらに推進していく。また、そうした不測の事態、さまざまな外的要因に左右されないしっかりとしたものづくり産業を全体像として確立をしていくことが必要だと思いますが、それをどのように進めていかれようとしているのか、瀬川室長にお伺いしたいと思います。
〇瀬川ものづくり自動車産業振興室長 県南地域においては、自動車関連企業や半導体関連企業の集積が進み、現在、最先端の製品を最先端の技術で生産する地域へと大きく成長している途上であります。今後も、さらに生産と雇用が大きく伸びると見込まれております。
 自動車関連産業については、ヤリスとかヤリスクロスの受注が非常に好調でございまして、今後も、既存車種のモデルチェンジも予想されるなど、近い将来、過去最高水準の生産台数という期待もございます。
 また、関連サプライヤーにおきましては、新規進出や増設等の動きが活発化してきております。特に電子化や電動化や上級グレード車にも対応するような高付加価値部品の生産拠点の強化の動きも見られているところでございます。
 また、半導体関連産業についても、これまでの積極的な取り組みによりまして、キオクシア岩手株式会社がNAND型フラッシュメモリーの量産を開始し、第2棟の建設に向けた準備が進むなど、最新の設備や技術によって、最先端の製品が岩手県から世界に供給されているということで、今後のデジタル化の進展やデータ量の飛躍的な伸びを背景に、その業績も堅調に推移していくものと見込んでおります。
 こうした動きは、地場企業にとっても新規参入取引拡大、付加価値向上につながる大きなチャンスと捉えておりまして、県としては引き続き、新規誘致や地場企業との取引マッチング、人材育成、人材確保の支援に取り組んでまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 またさらに、それぞれ各地域において、工業団地の増設というか、今本当に拡張を進めてきているところで、それぞれの面積自体の差はあるにしても、さらに、その関連産業であったりとか、そして、しっかりとこの岩手県の中で、トヨタは第三の拠点などという形になりましたけれども、それを、それぞれの産業の拠点というか、そうしたものを形成していくことをしっかりやっていただきたいと思うわけであります。
 その中で、やはり人材育成ですね。そこに対して企業が求めているのは、地方での人材というもの、しかも、岩手県の県民性というか、そうした形も含めて人材というものを求めてこの岩手県までやってきていただいているとも思っております。その人材を地域としてしっかりと育成していくことが必要でありますし、だとすると、県内のものづくり企業はその中で、どのような人材を求め、また、県はどのような考え方でその人材を育成していく考えなのか、その取り組みをお知らせいただければと思います。
〇瀬川ものづくり自動車産業振興室長 ものづくり人材の育成についてでありますが、県内のものづくり産業は、自動車、半導体を中心に企業集積と技術開発が非常に加速しております。各企業からは、これまでの機械、電気、電子などの基礎的な知識、技術を備えた人材に加え、工場内の各工程を横断的に捉えることができる知識と思考を備えた人材とか、IoT等の第4次産業革命技術の導入を支える人材などを求める声が多くなってきているところでございます。
 これを受けて、昨年度、産業界、教育界などで構成するいわて産業人材育成会議において、いわてものづくり産業人材育成・確保・定着指針を策定し、育てるべき産業人材像や取り組み事項について、関係機関における認識の共有を図ったところであります。この指針に基づき、県は、今年度、いわてEVアカデミー、いわて半導体アカデミーなど、高等教育機関や企業と連携した高度なものづくり人材の育成を進めてきているところでございます。
 今後においても、高度なものづくり人材の需要は一層拡大するものと見込まれております。県としては、産業集積等企業の技術動向に注視し、企業ニーズの把握に努めながら、産業界や教育界と一体となって、企業ニーズに即した多様な人材の育成に努めてまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 さまざまな企業の方と話をしていると、とにかくこの岩手県はしっかりとした人材を出してくれると、そうした思いがある。ただ、片や、少子化というか子供たちが少なくなっていく、その人材自体も外に流出していくという中にあって、地元で働いてもらいたいというのは私たちも思います。
 もちろん、そのためにはよそと同じような給料水準であり、さまざまな形で、子供たちに対して、これからの人材に対して与えるものもしっかりと与えられるような環境をつくっていきたいと思うわけでありますが、今、ちょっと高校再編に絡めるとあれなのですけれども、工業高校のあり方、私はそもそもあり方が皆さんの考え方の原点になっているかと思うのです。
 どういう人材を輩出していくかを考えたときに、現場現場でそれぞれの企業の方々は、ある意味即戦力は要らない、自分のところでもきちんと育てる。ただ、そういう器を兼ね備えた子たちが欲しい。トヨタにしても、デンソーにしても、アイシンにしても、自分のところの学校できちんとした人間を育てていくのだということとあわせて、その基礎であったり、そうしたものをしっかりと、そして、応用能力であったり、そうしたものを兼ね備えた人間をしっかりつくってほしいといった声を聞くわけでありますけれども、そうした部分の感触は、企業ではどのような形で、というのは、恐らく現場に一番近いところにいた瀬川室長でありますので、その点について、室長としての感触はどのように受けとめているかお知らせいただきたいと思います。
〇瀬川ものづくり自動車産業振興室長 まず、先ほどの人材育成のところでもお話ししましたが、今、現場の生産とか品質管理とか、そういったものがIoTであったり、AIがどんどん導入されることによって、技術者が、今、実は足りない状況にあります。これは、日本の生産性が高かった20年ぐらい前の言ってみれば戻りと私は思っているのですけれども、とにかく日本の生産能力の高さは本当に海外でも注目されているところでありますが、問題解決型の人材が欲しいというのがまず企業のニーズです。
 基本的なスキルとして、例えば機械加工がきちんとできるとか、それから、三次元に対応できるような、そういう勉強をしてきいるとかいうベースはありますけれども、今、県内の地場企業に仕事をお願いしようという誘致企業がどんどんふえてきている中で、そういった問題解決型、現場でものをすり合わせて、一緒になってチームで生産性を高めていくという取り組みに適応できる人材を育ててほしい。
 往々にして、東海地区とか首都圏からすると、県内の人材は無口だ、しゃべらないと言われますけれども、実際やってみると、岩手県の人材は高い能力を発揮して、それが自動車や半導体で国内有数の拠点にこの十数年で築き上げられてきたと私は思います。
 本当に純粋に岩手県民がつくった自動車や半導体が、今、世界に広がっていっていますので、そういった人材をもっと育てていくという教育のあり方も、私は個人的にはぜひ構築をしていただきたいと思っています。
〇岩渕誠委員長 質疑、答弁は簡潔に願います。
〇郷右近浩委員 人材育成について、今はちょっと高校再編の論議の真っただ中でしたので、きのうもいろいろな議論を交わされた中で、ちょっと答えづらいことを聞いてしまったかなとは思いながらも、ただ、現場を一番見てきた方の感触というか、企業の方々と話をしてきた、つくり上げてきた、その方の感触はどこかで私自身しっかりとお聞きしたいと思ったものであります。
 ただその中で、これから、また、ものづくり現場もいろいろな形に変わってまいります。デンソーであったり、トヨタであったり、アイシンであったりと、これまでも自動車産業ということでさまざまな形で岩手県で拠点をつくって進めてきていただいたのが、これから、例えばILCが入ってきたときに、彼らの技術力、そうしたものがしっかりと生かされる、そうしたような需要もできてきていると思います。
 関連産業というと、まずは工事であったりとか、そうしたものが先行してまいりますけれども、一番いいのは、しっかりとILCの本体の部分、研究のそこの部分にどうかかわっていけるか。もちろん先ほど挙げた3社以外にも、この県内においては、わざわざニオブを買って、自分のところで削ってみたり、成形してみたりと、そうした企業もあるのももちろん承知しておりますし、いろいろな動きがこれからILCの誘致とあわせて進んでまいります。
 もちろん、全体的にはILC推進局である程度のコントロールになると思うのですけれども、ただ、そのILC推進局だけでなくて、それぞれの地場の企業、岩手県に来ていただいている企業のポテンシャルというか、そうしたものをしっかりとつなげていくのがものづくり自動車産業推進室と、ものづくりの現場を知っている方々がしっかりやっていただかなければいけないと思っているものであります。
 そうした意味で、18年間ものづくり一筋ということで、この間、本当に、県南広域振興局へ行ったときも、どこへ行ったときも、ものづくりの現場から離れないでこれまでしっかりとその現場を見続けてきた瀬川室長に、これから後輩に向けてのメッセージとあわせて、御自身の所感をいただければと思います。
〇瀬川ものづくり自動車産業振興室長 岩手県のものづくり産業はまだ道半ばであります。もっと伸びると思います。ILCに絡めた話もそうですが、地場企業では本当に技術力が高くて、1、000分の2ミリメートル、1ミリメートルの精度を出せる企業が本当に多いです。
 そういった企業が、今まで下請型だったり、委託生産型だった企業が多いのですけれども、そういう企業が何かの形で技術を導入するなり、それから、連携をしてそういったところに提案型で入っていくという地場企業の取り組みが必要かと思っています。
 こういったところのチャンスがたくさんある中で、これは県南地域だけでなくて、県北、沿岸地域にも効果を波及させるし、それから、地場中小企業がもっともうかる、稼げる岩手県にすること、それが基盤技術でございますので、地場企業が基盤技術をさらに世界に打って出られるようなグローバルな拠点へと成長していく、本当に今、この5年ぐらいがチャンスかなと私は思っていますが、そういったところを残った来年からのメンバーにもぜひ引き継いで頑張っていただきたいと思います。
〇郷右近浩委員 ありがとうございます。余計なことを言って、せっかく胸に刻んだものが流れないように、これで終わります。
〇臼澤勉委員 私からも、ものづくり産業の中で一つお伺いしたいと思います。
 今、本県では、自動車あるいは半導体産業を中心に振興しております。ただ、この自動車産業においても、今後、電気自動車であったり、水素自動車に転換していく大きな流れの中で、部品調達にしても半分あるいは3分の1になるであろうということも御指摘されていて、今後のものづくりの中においても、将来を見据えた、あるいは、今も郷右近委員がお話しされておりました大きな視点で岩手県のものづくり産業の振興を準備なり、次の展開に向けた取り組みを準備していく必要があろうかと思っております。
 そういった中において、医療機器、福祉機器関連産業といいますか、これが景気動向にも左右されないということで、ものづくり産業の一つの柱になるということで、これまでも進めてきたと理解しております。そこで、県としての医療機器等関連産業振興における現状とこれまでの成果の御認識をまずお伺いしたいと思います。
〇十良澤特命参事兼ものづくり産業振興課長 医療機器関連等産業の現状認識とこれまでの成果についてでございますけれども、医療機器等関連産業は、今、委員お話のとおり、景気の動向に左右されにくい。それから、高齢化の進展や医療、健康に対するニーズの高まりといったことなどから、今後も成長が見込まれる産業であると認識しております。
 県内では、2014年に東北ライフサイエンス機器クラスター、いわゆるTOLICが設立されまして、企業界や大学等との連携の取り組みが活発化してきたことなどを受けまして、県では、医療機器等関連産業のさらなる集積と高度化を目指して、今年度、ヘルステック・イノベーション・ハブを整備したところでございます。
 県ではこれまで、いわて産業振興センターに配置した専門コーディネーターによる県内企業の新規参入や取引支援のほか、補助制度の運用や医工連携の取り組みなどによる新製品の開発などに取り組んできたところでございます。
 これらの取り組みによりまして、県内の医療機器製造業の登録企業数は、2010年の11社が2021年には25社と増加し、また、医療機器生産金額は、2010年の227億円が2019年には過去最高の383億円に増加したほか、ヘルステック・イノベーション・ハブの入居が順調に進み、共同で新たな製品開発が行われるなど、本県医療機器等関連産業は着実に成長してきているものと認識しております。
〇臼澤勉委員 着実に成長しているのかなと捉えております。
 盛岡南地区を中心に産学官連携あるいは企業連携によって、今、研究開発型の企業を集積したような形での新技術、新商品のクラスターを図っていく構想ということで捉えておりますが、今、成長はしているけれども、どんなところが今課題になっているのかお伺いしたいと思います。
〇十良澤特命参事兼ものづくり産業振興課長 医療機器等関連産業の振興における課題ということでございますけれども、これまでの取り組み等を踏まえ、課題を、ヘルステック・イノベーション・ハブ─ここは箱はつくりましたけれども、入った企業がこれからどういうふうに動いていくということだと思います─を核とした企業間連携や他の機関、大学等との連携のさらなる強化、それから、共同研究開発のさらなる促進。医療機器等市場のニーズと県内企業のシーズとのマッチング強化、大手医療機器メーカーの研究、開発拠点等の誘致による産業の高度化と取引の拡大、医療機器等の開発に必要な人材の育成、確保などが課題と認識しているところでございます。
〇臼澤勉委員 さまざま課題が今挙げられました。
 そこで、今、矢巾町では、国家戦略特区のスーパーシティ構想に手を上げているわけでございます。皆様も御案内かと思いますけれども、AIとかビッグデータといった最先端技術を活用しながら、丸ごとの未来都市をモデル的に、今、全国で5カ所選定される中の全国での競争になっているわけですね。
 これは別に一つの自治体の市町村の取り組みというよりは、岩手県の今後の未来のふるさと創生であったり、まちづくりに向けた大きなインパクトのあるプロジェクト構想だと私は捉えておりますし、遠隔医療であったり、あるいは本県の課題である健康寿命の増進、そして、今言っているこの成長産業である医療機器等関連産業を中心とした産業振興にもつながってくると捉えているわけでありますが、今回のこのスーパーシティ構想と絡めたヘルステック・イノベーション・ハブ、通称HIHを核としたイノベーションの創出に向けた取り組みをどのように絡めて展開していくお考えなのかお伺いします。
〇十良澤特命参事兼ものづくり産業振興課長 矢巾町のスーパーシティ構想とヘルステック・イノベーション・ハブとの関係でございますけれども、矢巾町では、地域課題の解決に向けた先端的な取り組みを進めるため、スーパーシティ型国家戦略特別区域の指定を目指していると承知しているところでございます。
 この構想では、想定している取り組み分野としまして、ヘルスケア分野や医療分野あるいは産業分野等が挙げられており、ヘルステック・イノベーション・ハブの入居企業が参画する可能性もあると認識しております。
 このようなことから、県といたしましては、矢巾町のスーパーシティ構想が、県の医療機器等関連産業の振興やヘルステック・イノベーション・ハブに入居する企業等の取り組みと相乗効果を生むような取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 今月が応募の期限になっております。採択されるかどうかは、本当にハードルが非常に高いことになっているのは私は承知しておりますけれども、ぜひ県としても、産業振興の点からも大きくかかわっていっていただきたい。
 そして、研究開発拠点、製造拠点の誘致に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、これが次の展開に向けて、すごく重要なポイントになってくると思いますが、その辺の御所見をお伺いしたいと思います。
〇十良澤特命参事兼ものづくり産業振興課長 研究開発拠点や製造拠点等の誘致に向けた取り組みでございますけれども、岩手県の医療機器等関連産業が今後大きく飛躍するためには、大手医療機器メーカーの研究開発拠点や製造拠点の誘致も重要な戦略の一つと考えております。
 ヘルステック・イノベーション・ハブの入居企業に限らずでございますけれども、既に大手医療機器メーカーとの連携や共同開発が進んでいる企業もあり、これは県内企業の製品開発力や技術力が高く評価されているものと認識しております。
 今後は、この高い技術力や製品開発力の積極的な発信あるいはマッチング支援などによりまして、大手医療機器メーカーの研究開発部門や製造拠点などの誘致を進め、県内医療機器等関連産業のさらなる集積と高度化に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 先ほども課題認識の中で、企業あるいは大学、医療機関、そういった連携を進めていく必要があるということで述べられておりました。一部上場になっている企業もありますし、あるいは医療、病院、大学、そういった自治体も含めた総合的な取り組みを進めていっていただきたい、このようにお願いしたいと思います。
 次に、東日本大震災津波から10年を迎えて、被災地を中心にした観光の話に入っていきたいと思います。オートキャンプ場モビリアの再開についてお伺いしたいと思います。応急仮設住宅が撤去されましたね。そして、ちょうどあの日あのとき、被災者の方々が住むところがないということで、県に対して、ぜひオートキャンプ場を開放してくれないかということで、当時、戸舘部長が観光課総括課長だったときに御決断されて、オートキャンプ場の機能を一部限定的に開放しながらも、被災者の方々を受けて、陸前高田市で大きな被災者の方々の仮設住宅、一つのまちというか村ができたような格好だったと思います。
 今回、新年度の予算を見ていましたら、ここのオートキャンプ場の次の展開に向けた調査設計とか何か予算措置が入ってくるのかと思って見ていましたら、ちょっと上がっていないようだったので、そこでお伺いいたします。
 まず、陸前高田市から県に対して要望が上がっていると思うのですけれども、これまでどんな要望が上がっていたのかお伺いいたします。
〇高橋観光・プロモーション室長 陸前高田市からの要望の件でございますけれども、陸前高田市からは、平成29年度から、応急仮設住宅部分の撤去後の本格再開を見据えた施設全体のリニューアルについて、要望を受けているところでございます。
〇臼澤勉委員 リニューアルの要望が上がっていると思うのですけれども、具体的にどんな要望が上がっていて、それに対してこれまでどのような検討をされてきたのかをお伺いいたします。
〇高橋観光・プロモーション室長 まず、要望の内容についてでございますけれども、平成29年度から何回か要望を受けているところでございますけれども、こちらは、撤去後に本格再開を見据えたリニューアルというところで、施設のより魅力あるキャンプ場に整備というところがございます。それから、市からも、津波伝承館とか復興祈念公園、こういった施設もありますし、それから、体験コンテンツとかイベント等を組み合わせた誘客拡大、さらには防災、減災を学べる施設という格好でリニューアルの要望をいただいているところでございます。
 これに対しまして県では、平成30年度にモビリアの受け入れ、再開の方向性について内部での検討を行いまして、令和元年5月に陸前高田市と連携しながら検討を開始、それ以降、施設修繕箇所の精査やモビリアの利活用策など、具体的な検討を進めてきたところでございます。
 それから、令和2年度につきましては、7月に県外から専門家を招聘した勉強会を開催いたしまして、キャンプ場利用者のニーズ動向、既存施設の利活用の可能性、予約や周知方法といったキャンプ場の運営方法などについて助言をいただくなど、外部の視点を入れながら検討を進めているところでございます。
〇臼澤勉委員 震災前の平成22年、御案内のとおり、モビリアは五つ星のオートキャンプ場、年間の利用客1万3、007人ですよ。そして、平均3泊4日滞在者、平均ですよ。長い人だと20泊ぐらいされている利用者の方々もいた、すごい一大拠点というか、マニアというか、皆さんに愛されたオートキャンプ場なのですよ。そして、今、三陸沿岸道路もできて、仙台市からもつながってくるような、今後の復興の産業再生、被災地の復興における重要な位置づけを占めてくる。ことし、県立野外活動センターも夏にオープンしてきます。
 当時の菅野教育長が震災のときの御英断で、復活させるのだ、陸前高田市に希望を、あるいは県としてもしっかりやるということで、広田半島に県立野外活動センターも再開し、そして、このオートキャンプ場をどのように組み立てていくのかというのが、まさに道の駅とか復興祈念公園との絡みが出てくるという重要なことなのです。
 そこで、私は令和4年度の再開に向けて動いていると思っていたのですが、新年度予算に調査費等々が盛り込まれておりませんでしたけれども、この辺の理由、何があったのかちょっとお伺いいたします。
〇高橋観光・プロモーション室長 令和3年度当初予算についてでございますけれども、委員御指摘のとおり、調査費は令和3年度当初予算に盛り込んでいない状況でございますけれども、これまでも、観光の管理運営費がございますけれども、こちらを活用いたしまして、専門家からキャンプ場利用者のニーズ動向、先ほど言ったキャンプ場の運営方法などについて助言いただく勉強会を開催してきたところでございます。
 令和3年度予算につきましても、この管理運営費を活用いたしまして、再開に向けた具体的な検討を進めていく予定でございます。
 なお、モビリアの整備に当たっては、先ほど応急仮設住宅を設置していたという状況がありましたけれども、テントサイト、多目的広場につきましては、来年度前半に復興防災部で芝刈りなど現状復旧工事を行う予定としているところでございます。
〇臼澤勉委員 再開に向けたスケジュール、どのようにお考えになっているのかお伺いします。
〇高橋観光・プロモーション室長 再開に向けたスケジュールでございますけれども、モビリアは、敷地内の応急仮設住宅が今年度は全て撤去されたという状況でございまして、ただ、長期間休止したという状況で、再開のために施設等の大規模な修繕が必要な状況であります。
 このため、陸前高田市とも連携いたしまして、施設規模や機能などについて、専門家の知見を得ながら検討を進めているところでありまして、令和4年度以降の施設の修繕、受け入れの再開を予定しているところでございます。
〇臼澤勉委員 令和4年度以降の施設の受け入れ云々というところをもう一度、改修工事は例えばいつ着手し、いつオープンする予定で、目標でもいいですから、ちょっとお伺いします。
〇高橋観光・プロモーション室長 モビリア再開に向けまして、令和3年度に具体的な施設の機能とか規模とか、どこまで改修を進めるかというところを具体的に検討しまして、4年度に修繕の予算を要求しながら整備を進めることになりますので、4年度から修繕の工事が入ります。ただ、オープンの時期につきましては、キャンプ場の性質上、部分的にオープンできる区画もあると考えておりますので、改修につきましては、できるだけ早く改修するようにしたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ちょうど震災前の年に、上のほうにドーム型ハウスを4棟だったか5棟建てたのですよ。そして、キャビンもございますよ。ぜひ、一日でも早い再開に向けた御努力をお願いしたいと思います。
 私は現場でいろいろとお話を聞いていたら、ことしの3月には株式会社スノーピークという民間のキャンプの会社が来て、いろいろとモニタリングキャンプというか、そういったことを進めながら、今後の計画なり検討を進めていくような話をある議員からも聞いております。その辺の動きはどのようになっているのでしょうか。
〇高橋観光・プロモーション室長 現在、再開に向けた専門家の知見という中で、株式会社スノーピークとの連携の中で進めているところがございます。令和2年度後半から、専門的な運営的な部分も含めて再開を考えていく必要があるということでございまして、株式会社スノーピーク初めほかのいろいろ開設するようなキャンプ場も参考にしながら、検討を進めている状況でございます。
〇臼澤勉委員 ぜひ、民間のノウハウも、設計段階から、あるいはその計画を固める前から、さまざまな民間が持っているそういった技術とか知見を入れながら、ぜひ再開を進めていただきたいと思います。
 最後に部長にお伺いしたいのですが、今回のモビリアの再開が、岩手県のそういった被災地の復興であり、なりわいの再生、産業再生に向けてどういう意味を持つとお考えなのか。県道も広田半島を中心に八の字ルートということで、県道も実はあそこ、いろいろな復興計画、そして、小友浦の干潟再生とか、いろいろなプロジェクトが、実は思いがあって仕込まれております。総合的な拠点になると、ぜひ、そこに光を当てて、一日も早い、一年でも早いそういった再開を進めていく必要があろうと思いますが、最後に、部長、その辺の御所見をお伺いしたいと思います。
〇戸舘商工労働観光部長 先ほど委員から御紹介ありましたように、私自身も思い入れのある施設でありますし、震災前には全国有数のオートキャンプ場でありました。市長からも直接私も要望を承っていますし、一刻も早くという思いは共有しておりますけれども、例えばグランピングとかソロキャンプといったように、オートキャンプ場に対するニーズもこの10年で非常に大きく変わってきていますし、多様化もしてきています。単にもとに戻すということだけでは対応し切れませんし、もともと震災前もあそこの責任者だった方がかなり献身的に運営をされて、そういった施設であり続けたという施設であります。
 再開後に、しっかりと維持管理、管理運営ができるような、その管理運営する方の意向にも沿ったような再編整備が必要だと思っています。防災教育とか、漁業体験といった被災地のさまざまな地域資源と組み合わせたテーマ性のある観光コンテンツとして誘客も大いに期待できると思いますので、しっかりと整備をして、そして、一刻も早い再開に向けて努力してまいります。
〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木茂光委員 今、臼澤委員からモビリアに触れていただきました。当時、再開するにあたり、課長としてそれに携わってくれたと。今までいろいろお世話いただきましたことは、こちらからも感謝したいと思います。
 私がこう言うのは、市との信頼関係というかそういうのが非常に損なわれたのではないかと思っております。平成29年以降、あそこは応急仮設住宅の一つとして被災された方々がこれまでいたわけでありますけれども、ということは、今、お話の中で伝承館の話もされました。要するに、三陸沿岸道路もできました。我々にすれば、被災地とすれば、それに合わせるような形での再開をお願いしていたはずだと思います。
 そういったところが、いや、こういうわけで1年延ばしますよという話は、これは被災地にとっては非常に残念な話だなと思うのですね。例えば、1年おくらせますよという話も、私も後で聞いた話ですけれども、いやいや、県はそんな考えでねえべよと。それを市に話したら、理由もいろいろつけられた形でおくらせますよと言った。おめえさんたち何やっていたんですかということを、私はあえて聞きたいところですけれども、その辺は、おくれた理由はまずどこにありますか。
〇高橋観光・プロモーション室長 施設の再開について、予定よりもということで、先ほど申し上げたように令和4年度以降を考えているところでありますけれども、こちらは先ほど答弁申し上げましたとおり、テントサイトに応急仮設住宅が整備されておりましたという状況でございます。それから、宿泊棟については、復興工事関係者が宿泊施設として利用したという状況でございましたけれども、施設は平成30年1月からずっと受け入れを休止していたという状況でございます。
 そういった中で、応急仮設住宅の撤去そのものが今年度の秋ぐらいに終了したという状況でございましたし、それから、施設そのものが実際震災の影響で、見た目よりも実は地盤沈下で基礎の部分が大分沈下してしまっているとか、あと、見えないところでも配管のほうがというところが、いろいろ調査等もかかっておりますし、それから、再開に向けては専門的な方々の知見も入れながら、よりよい施設にしたいというところもあり、そういったところを慎重に検討しながら再開をしたいということで、陸前高田市にもその辺の状況をお伝えしながら、整備のスケジュールについて御説明申し上げたところでございます。
〇佐々木茂光委員 そういう話となれば、現場は動かないわけだよね。応急仮設住宅は建っていたかもしれないけれども。そういうことを考えると、準備の段階で、例えば修繕にどのぐらいかかる、こことここは修繕しなければならないというのは、応急仮設住宅があったからできないわけではないと思うのですよ。そういう時間の使い方が非常に曖昧なような気がします。現場に行って初めて状況がわかるだろうし、今までも県の施設として、こちらに図面なり何が多分あるはずだよね。そういったところをもとにして、できることがあったと思うのです。
 それを今ここに来て、被災地はそういった意味ではまだまだ途上であって、例えば伝承館ができました。ここまで伝承館つくるのだな、やれるのだなと。そういう中でみんな市の職員たちを含めて市民も動くわけですよ。あの当時あのぐらい人が来ていたなというようなことを、みんなそれぞれ地元の人たちは承知しているのでね。やはりその再開を待つ側なのだよね。
 そのお手伝いをするのが皆さんなわけですよ。その時々の流れで、これも無理です、これも無理ですみたいな感じで、いつまでもそういう話を引っ張られると、被災地はまるきり小ばかにされているような話ですよ。
 それが、私は県がやろうとすることはしっかりと決められたというか、これは公共事業などもみんなそうだけどね。掘ってみたら石が出てきたから、これはやむを得ないですねというのは判断できますけれども、例えば私が言っているのはそういうところです。
 この日までと、ここのタイミングでしっかり県としても後押ししていくべという気持ちが我々に伝わってこないようでは、本当に復興復興と県が一生懸命やっているのかということになるわけ。皆さん一生懸命やっているのは承知していますけれどもね。
 今回の定例会を過ごしていて、正直言って、復興に対する覚悟がどこにも出てきていない。それが私が一番気になるところなのですね。知事のいろいろな答弁の中にそういうものを何か本当に感じられないで、この定例会を今過ごしているのだけれども、そのまま職員の人たちにもこれが出ているのではないかと思うのです。こういうふうな事例を取り上げて言うのも何ですけれども。やはり被災地はまだ途上だということですよ。そういう認識をしっかりと持って、本当に終わるまで気を抜かないでやってもらいたいと思います。
 いずれ、1年延びたというのも、そういったところの一つのあらわれではないかと思うのですね。一つ一つ解決しなければ手がかけられないというところもあるし、今みたいに土地はどこにも逃げるわけではないから、人がそこにいようが被災者がいようが、できることはできるはずなのだよね。そういったところのタイミングをしっかりと捉えてこれからもやっていっていただきたいと思います。
 いずれ再開、オープンは、できた分ずつ開放するという話だけれども、もう少し具体のものを示していかねば。それが、また、そのときになったら状況が変わりましたと。それで、また1カ月延びます、半年延びますと、それはしようがないでしょう。現場で動く部分については。
〇岩渕誠委員長 関連質疑であることを踏まえ、簡潔に願います。
〇佐々木茂光委員(続) はい、簡潔に。
 いずれそういう気持ちで、しっかりと仕上げていただきたいと思います。部長、よろしくお願いします、お話がございましたらば。
〇戸舘商工労働観光部長 先ほど臼澤委員に御答弁申し上げましたとおり、このモビリアが陸前高田市にとっても、そして、県にとっても非常に重要な施設でありますし、三陸観光の核になる施設だという思いは共有しておりますので。いろいろスケジュールのところで、コミュニケーションをとることが不足していた部分があると受けとめておりますので、そこをしっかりと連携を図りながら、一刻も早く再開できるように取り組んでまいります。
〇佐々木茂光委員 小友周辺にはこれまでも4.5ヘクタール近くの土地があるのですが、今そこに陸前高田市としても、企業誘致というか、その利活用を考えて今取り組んでいるというお話も実は聞きました。
 それについても、県もしっかりした後押しがないと、なかなか前に進められない部分が往々にしてありますね。そういったところも含めてですね。
〇岩渕誠委員長 関連であることを踏まえ、質疑をお願いします。
〇佐々木茂光委員(続) それはモビリアのエリアの中に入っている土地なのでね。その辺も含めて県もしっかりとできるというもので、いろいろな障害があるでしょうけれども、その辺のお手伝いもあわせてお願いしたいと思います。
〇瀬川ものづくり自動車産業振興室長 現在、小友浦地区への誘致に関しましては、鋭意、県と陸前高田市が一体となって進めておりまして、我々も県内最大の被害地陸前高田市にとって、非常に明るい希望を出せる案件だということで取り組んでおりますので、御協力、御支援、よろしくお願いします。
〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇伊藤勢至委員 ただいま、東日本大震災津波の応急仮設住宅についての話だったと承りました。原因はそこにある。そもそもこの応急仮設住宅を発災1週間後に債務負担行為を起こして300億円で用意したのは、これは岩手県の役割、そして、災害公営住宅をどこに建てるかは市町村の役割、私はそのように思っておりました。
 したがいまして、前にもお話をしたことがありますけれども、例えば市内にある都市公園が全然使われてない、こういうものを使うべきだということを提案して、当時の県土整備部長にそのとおりだということで、そこを活用していただきました。
 その中で、廃校になっている校庭に建てるのもあり、だけれども、宮古市は、現在使用中の第二中学校の校庭に建てようとしたのです。これはやめたほうがいい。結果的に、どうしてもそれをやってしまいました。その結果、そこにいた子供たちは、運動会や部活ができないままに5年、6年を過ごした。したがいまして、そういう責任分担をしっかりしていなかったということもあるわけです。
 ですから、全て県が悪いような言い方ではなくて、原因をよく確かめて、あるいは我々は一体何をするのだ、県議会議員は何をするのだ、各市町村との間に立って、検討の調整役を買って出るのが我々議員ではないか、そういうことも私は思っております。
 したがいまして、もちろん被災地は大わらわで、何が何やらわからないままに動いたところもあると思います。だけれども、我が県庁は、言ってみれば、被災はしていなくて、冷静に総合的に、まさに見られる立場にあったわけでありますから、そういう面もきちんと自信を持って、立派な対応をしてきたのでありますから、イエス、ノーはあるときははっきり言わなければならないと思ったりもしています。どうぞ、今までの流れに一点の非もないとは言えませんが、被災13市町村にとってはまさにセンターポール的役割を果たしてきた、このように思っておりますので、ぜひ自信を持って、今後にも臨んでいただきたい。何か答えがあったら、瀬川室長でもいいし、部長でもいいし、この際、2人に聞こうか。お願いします。
〇戸舘商工労働観光部長 震災当時、壊滅的な被害があって、観光も当面とまらざるを得ないだろうという中で、被災者の方々の命と暮らしを守るということで、電気、水道、その他生活に必要なものは全てそろっていますので、モビリアをそういう形で活用しましょうということにしまして、そして、10年がたって、今、再開という局面を迎えていることであります。これまでのことが間違っていたと全く思っておりませんので、今後、しっかりと整備をした上で、もとの三陸観光の核となる施設となるように取り組んでまいります。
〇岩渕誠委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。

午前11時11分 休 憩

午前11時27分 再 開

〇岩渕誠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇吉田敬子委員 私からは、まず企業における仕事と家庭、仕事と治療の両立支援についてお伺いいたします。
 まずは、男性、女性別の育児休業、介護休業、また、短時間勤務制度、フレックスタイム制度、時差出勤制度、それぞれの取得状況、導入状況についてお伺いいたします。
〇金野労働課長 企業における仕事と家庭、仕事と治療の両立支援についてでございますが、今年度、県が実施いたしました企業・事業所行動調査におきまして、育児休業につきましては、取得率は、男性で11.9%、女性で99.5%となっているほか、介護休業につきましては、対象となる従業者がいる企業、事業所のうち、介護休業を取得した従業者がいる割合は、男性で38.2%、女性で39.6%となっております。
 また、子育てに係る短時間勤務制度を有する企業の割合は75.1%、フレックスタイム制度を有する企業の割合は16.3%、時差出勤制度を有している企業の割合は36.9%となっております。
〇吉田敬子委員 育児休業に関しては、男性が11.9%ということで、過去1.何%から比べると伸びておりますけれども、それでもまだまだ11.9%、女性が99.5%に比べて、まだまだ男性が育児休業をとれていない現状だということ。そして、介護休業に関しては、男性、女性大体38、39%程度で推移しているということですけれども、これは導入している企業のうちのということでいただきました。
 また、短時間勤務制度、フレックスタイム制度、時差出勤制度については、導入状況の数値はいただいたのですけれども、実際に導入しても使われているかというところが大事かと思っておりまして、短時間勤務制度の15.1%、フレックスタイム制度が16.3%、時差出勤制度が36.9%導入されている企業のうちの取得状況も、今後、県でぜひ把握していただきたいと思っております。
 それがなぜ大事かという課題をお話しさせていただきたいと思っておりますが、今回、育児・介護休業法の改正によりまして、さらに育児休業をとっていただけるように法改正がなされます。
 今回、通告していた正規と非正規の労働者の取得状況もちょっとお伺いしたかったのですが、なかなかそこの部分まではわからないということで、今回、これまで雇用された期間が1年以上という期間だったのが撤廃されて、非正規の方も育児休業、介護休業をとれることになりますので、ぜひ、そういったことで取得する方々がふえていっていただきたいと思っておりますが、まずは、県でも実態把握をぜひしていただきたいと思っております。
 また、仕事と治療の両立支援ですけれども、不妊治療を受けやすい環境整備がどの程度整っているかというところをお伺いしたいと思います。これまで、治療費助成の拡充が今後進みますけれども、一番大事なのは、いかに休みやすい環境かというところだと思っておりますので、県として、整備している企業数など、どのように把握しているかお伺いしたいと思います。
〇金野労働課長 不妊治療を受けやすい環境整備についてでございますが、同じく、企業・事業所行動調査におきまして、不妊治療に関する取り組みについて聞いてございます。その中では、知識の普及啓発とか、不妊治療と仕事の両立に係る相談体制の整備とか、一番大きなものとすれば休暇制度、こういったものを選択肢として質問がなされておりますが、この中では、不妊治療時の休暇制度を有している企業の割合は5.0%となっております。
〇吉田敬子委員 まずは、これまで不妊治療を受けやすい環境かどうかという県内の実態把握がなかなかできていない中で、今回から新たにこのアンケート調査の中に追加していただいたことは、大変ありがたいと評価いたしております。ただ、実態を見ると、5.0%ということで、企業の中で導入状況がなかなか進んでいない現状だということがわかりました。
 不妊治療を始めた女性の約6人に1人が離職しているという現状の中で、国でさまざまな支援制度が拡充されても、実際にはそれを使えるような環境でなかったりとかするのであれば、全然意味がなくて、いかに企業でこれを理解、促進していただくかというのが大変重要になります。
 今回、不妊治療ということで取り上げましたけれども、県としても、来年度からがん患者のための妊孕性温存治療も助成することになっておりまして、これはほぼ不妊治療と同じ治療をするわけですけれども、そういったことを踏まえて、その支援があってもなかなか利用できない現状であれば、企業の理解をぜひ広げていっていただきたいと思っております。
 県では、いわて女性活躍企業等、また、いわて子育てにやさしい企業等の認定企業制度を進めておりますけれども、この現状についてお伺いいたします。
 この中で不妊治療を受けやすい環境というか、不妊治療についての休暇制度を設けているために、例えば認定された企業があれば、もしわかれば、ちょっとお伺いできればと思います。
〇金野労働課長 いわて女性活躍企業等の認定企業数でございますが、平成30年度68社、令和元年度61社、今年度は2月末時点でございますが、86社となっております。
 また、いわて子育てにやさしい企業等の認定企業数は、平成30年度48社、令和元年度35社、今年度2月末時点で72社と、いずれも今年度大きく伸びている状況でございまして、さまざまなインセンティブの付与の効果もあろうかとは思いますが、企業の関心が高まっているというところがうかがわれるかと存じております。
 また、先ほどお話がございました不妊治療の休暇を有している企業につきましては、申しわけございません、そういった情報はちょっと手元にございませんので、御容赦いただければと思っております。
〇吉田敬子委員 育児休業、介護休業を初め、そして、不妊治療の休暇を取得しやすい環境を、ぜひ県内の企業に広めていただきたいと思っております。今回、男性版産休と言われるものも改正法の中に入りまして、産後鬱を防止するためのものでもありまして、育休も含めて最大4回とれるようになったり、女性であっても、2回に分けてとれるようになるとかという制度が結構大きく変わることになっております。
 こういった周知も含めて来年度しっかり取り組んでいただきたいと思っておりますが、家庭生活または社会活動と仕事を両立しているかとの県の意識調査では、男女とも、理想と現実には依然として差があることがわかっておりますので、来年度、具体的にどのように取り組むのかをお伺いしたいと思います。
〇金野労働課長 仕事と家庭、社会生活の両立支援等につきましては、これまでも岩手労働局などと連携いたしまして、県内経済団体に対しまして、仕事と生活の調和の推進を初めとする働き方改革に向けた取り組みについて、継続して要請してきているところでございます。
 また、いわて女性活躍企業等の認定制度とか、いわて子育てにやさしい企業等の認証制度とも連携しながら、優良事例の普及啓発とか、企業の取り組みが進むよう、引き続き支援をしてまいりたいと存じております。
〇吉田敬子委員 少しずつは取得率がふえていたりとかはしますけれども、男性の育休を初め、そして、不妊治療の部分が、しっかり会社の理解が必要だと思っておりますので、引き続きお願いしたいと思うのですが、ちょっと確認ですけれども、県のほうでは、例えば、育休、介護休暇の取得率を何%にまで県内の企業にというのは、特に目標値は定めていなかったでしょうか。
 こういった育休、例えば介護休暇とか、短時間勤務制度、フレックスタイム制度、時差出勤制度を環境生活部のさまざまな協議会の中でも、担当してやっていると思うのですけれども、商工労働観光部としてもしっかり企業に、例えば、来年度は育児・介護休業制度が改正されるのでという取り組みは、商工労働観光部サイドでもやられるのですか。その確認をお願いいたします。
〇金野労働課長 指標のところは、今、手元に資料がございませんので、申しわけございません。ただ、さまざまな労働環境整備の制度が変わった際には、岩手労働局等とも連携いたしまして、関係機関へ周知、啓発等を図っているところでございます。
 また、いわて働き方改革推進運動なども通じまして、企業のそういった優良な取り組み、先駆的な取り組みにつきましては、積極的に情報発信などもさせていただきまして、それをリーディングケースにしながら、他の企業がそれに取り組んでいただける環境づくり、こういったところにも取り組んでまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員長 数字等については、後ほど答弁してください。
〇吉田敬子委員 よろしくお願いいたします。
 育休、介護休暇もそうですけれども、不妊治療という部分は、育休、介護休暇等と違って、表に自分自身が言いづらい部分は当事者としてはすごくあります。また、休みも決まっている、例えば、今月はこの日休んだけれども、来月はというのが、排卵日に合わせて、周期によってその人それぞれも結構変わりますし、本当に理解が当事者とその会社だけでなく、社会全体もそうですが、すごく必要になっておりますので、ここはぜひ力を入れて取り組んでいただきたいと思っております。
 次に伺いたいと思います。女性の就業促進についてであります。若年女性の転出を食いとめるためにさまざまな取り組みを県ではなされておりますけれども、若年女性が就業している割合が多い職種、業種、分野を県としてどう分析しているのかお伺いいたします。
〇田中雇用推進課長 若年女性が就業している割合が多い職種や業種についてでありますけれども、若年女性だけを抽出したデータはございませんので、女性全体でお答えしたいと思います。
 毎月勤労統計調査地方調査結果によりますと、本県の常用労働者5人以上規模の事業所における女性の常用労働者の数は、令和2年12月末現在で20万5、559人となっており、産業別では、医療・福祉が6万8、102人と最も多く、全体の約3割を占めております。次に多いのが卸売業、小売業の3万6、617人で、全体の約2割を占めており、以下、製造業、宿泊業、飲食サービス業、教育、学習支援業と続いています。
〇吉田敬子委員 私がここで今後にお願いしたいのが、そういった女性の、できれば、例えば若年に限ってどういった傾向があるとか、その希望とあわせてどういうふうにミスマッチがあったりとか、もしくは、その辺も県としてぜひ分析していただきたいと思っておりました。
 医療・福祉が3割、卸、小売が2割というところでありますけれども、そういった女性が多い分野で、先ほどの企業の中で、育休、介護休暇とか、そういった短時間勤務制度、フレックスタイム制度、時差出勤制度がしっかり整っているかとか、そこにつなげるためには、そういう分析をしっかりしていただきたいと思っているところから、今回取り上げさせていただきましたので、ここは引き続き、改めて、また取り上げていきたいと思っております。
 先ほど、ものづくり産業の件で各委員からお話がありましたけれども、県として力を入れている自動車、半導体、ヘルスケア産業という三つの柱の部分の男性、女性の割合もお伺いしたかったのですが、その辺まで県としてなかなか把握していない状況だということで、今回、質問はしませんけれども、ただ産業に力を入れるだけでなくて、実際に女性の正規、非正規でどの程度いらっしゃって、実際に、その中でそういう制度が整っているのかいないのかとか、いないから女性がそこに参入しづらいのではないかとかというところをしっかり分析していただきたくて、今回、それぞれ質問させていただいたのですが、引き続き、そこは私自身も研究しながら一緒に進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。御所見を伺いたいと思います。
〇田中雇用推進課長 若年女性の県内定着と、企業の女性の就業支援の両輪ということで、今後進めていかなければならないと考えておりまして、私どもとしても、企業ガイダンスとかそういうことをやる際には、やはりそういう認証を取った企業とかそういうところをきちんと情報を発信して、若年女性にも伝えていきたいと考えております。
 県内の若年女性のニーズについては、引き続き、こちらでもニーズを押さえながら、支援をしてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 次に、中小企業の組合等への加入状況についてお伺いしたいと思います。
 今回のコロナ禍によってさまざまな組合等から、飲食業を初めとする団体から、県に対する要望等あったと思います。その際に、いろいろな組合等と懇談をした際に、県内の企業で、特に若い世代が、例えば商工会議所、商工会や組合等に所属しない傾向にあるという、そこも課題だということを伺っておりました。
 所属する企業が減少傾向にあると私自身は感じておりますが、県として、実態をどう捉えているのかお伺いしたいと思います。
〇関口経営支援課総括課長 商工会議所や商工会の加入状況についてでありますが、商工会議所や商工会の組織率を平成30年度と直近の令和2年度で比較いたしますと、商工会議所が47.6%から46.4%、商工会が63.6%から62.2%となっており、商工会議所、商工会いずれも組織率は微減している状況にあります。
〇吉田敬子委員 微減というところであります。今回、さまざまな県に対する要望をされた団体で、県では新型コロナウイルス感染症の対策で月1回、商工会議所、商工会にお願いをして、アンケート調査を抽出してやっているわけですけれども、飲食業に限っては、例えば今回は県内の1%に満たない状況だったときに、例えば今回こういうアンケート調査を自主的にやったものを次に生かしていただきたいと思っておりますが、そういった現場の声をしっかり把握するためには、課題をどう捉えているのか、今後の取り組みなどあればお伺いしたいと思います。
〇関口経営支援課総括課長 現場の声の把握についてでありますが、県では、商工会議所、商工会と連携して、昨年4月から毎月事業者の影響調査を実施してきたところであります。調査を実施するに当たっては、事業者の皆さんの協力が欠かせないことから、できるだけ負担とならないよう、必要な項目に絞った上で、事業者の声を拾い上げる工夫が必要と認識しております。
 感染症の影響が長期化している状況を踏まえますと、影響調査についても継続して実施していくことが必要でありまして、感染者の状況などを踏まえながら、必要に応じて内容を見直すとともに、引き続き、事業者の声を把握するための項目も設けていきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 要望の中にもそういった点が一つ入っていたりしましたので、よろしくお願いいたします。
 最後に、伝統工芸産業の推進についてお伺いいたします。
 南部鉄器、岩谷堂箪笥、浄法寺漆、秀衡塗の伝統的な工芸品それぞれの生産額の推移、従業員数の推移についてお伺いしたいと思います。これについての県の課題をどう捉えているのか。
 来年度は、新たにホームスパンを県の伝統的工芸品に追加したいということで、さまざまな予算措置がされておりますけれども、それらの取り組みについてお伺いします。
〇竹花地域産業課長 初めに伝統的工芸品についてですが、伝統的工芸品の製造品出荷額は、これが最新になりますけれども、平成30年度、南部鉄器が23億8、000万円、岩谷堂箪笥が4億1、000万円、秀衡塗、浄法寺漆は9、000万円となっております。近年は、いずれも減少傾向で推移しているところです。
 また、従業員数の推移は、令和2年度で、南部鉄器が442名、岩谷堂箪笥が58名、秀衡塗、浄法寺漆が36名となっており、近年は南部鉄器と岩谷堂箪笥が横ばい、秀衡塗、浄法寺漆が減少傾向で推移しています。
 現在の課題としましては、コロナ禍によるインバウンド観光の減少、全国の百貨店における物産展の中止等による販売機会の減少が最大の課題となっています。県としましては、ネット通販や産地直売会など新たな販路開拓に取り組む支援が必要だと考えているところです。
 次に、ホームスパンについてですが、製造品出荷額は公的な資料がございませんので、実態を把握しておりませんが、従業員数は令和2年度現在41名で、近年横ばい傾向であるものの、個人作家として参加している方がことしの調査で14名おりまして、ホームスパンの取り組みの裾野が広がってきていると捉えています。
 また、今年度は県産の羊毛を生かしたアイウールプロジェクトがグッドデザイン賞を受賞したほか、盛岡のホームスパン工房が舞台の一つとなった小説雲を紡ぐが話題になるなど、全国から岩手のホームスパンに対する注目が集まっているところです。
 さらに、産地においては、ホームスパンを岩手県を代表する工芸品として、経済産業省の伝統的工芸品の新規指定を目指す動きがあることから、県としましてはこうした動きに呼応し、令和4年度の新規指定を目指し、来年度事業において申請に係る調査等の支援や、盛岡と花巻地区の産地間交流の促進を支援してまいります。
〇吉田敬子委員 南部鉄器と岩谷堂箪笥の従業員数は横ばいに推移していて、浄法寺漆と秀衡塗が減であるというところで、これから後継者の育成というところも引き続き必要になると思いますし、ホームスパンの分は新たに取り組んでいただくことは大変感謝いたしております。本当に、奥州市、一関市で、県産綿羊の取り組みは、今度、西和賀等々にも広がってきておりますので、ホームスパンと県産綿羊も農林水産部と一緒に引き続きやっていっていただきたいと思っております。こういったことをやっていきながら、東山和紙なども、竹細工とか、ちょっと人が減っている部分の底上げになればいいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
〇飯澤匡委員 数点ありますので、簡潔に聞きますから、要点を押さえて御答弁願います。
 1番目は、当初予算に提案されている新型コロナウイルス感染症対策資金貸付金と新型コロナウイルス感染症対応資金貸付金について伺います。これは、この間御説明をいただきまして、適宜、この資金を提供しているという点は理解できました。
 それで、2番目に後者の部分ですが、これは国が年度末に向けて行っている資金、非常に需要が高いと聞いています。今回の質問は、これを3月末で締め切って、それで、お金が流れるのは来年度ということで、来年度予算になっていますが、これは国の部分は、私が余り推奨しない保証協会の負担も実質上ないということですので、これを締め切った場合に、県は最初に前者に行った対策資金にどうやってつなげていくのかと。この周知とともに、より多くの方々を救っていただくために、その情報発信のあり方も含めてどうやっていくのか教えていただきたいと思います。
〇関口経営支援課総括課長 新型コロナウイルス感染症対応資金は、国の財源を活用し、全国統一で実施しているもので、3年間無利子の融資制度であります。保証料も全額、県、国が補給をしております。取り扱い期間については、令和3年3月31日までに信用保証協会が保証申し込みを受け付け、令和3年5月31日までに金融機関が融資実行するものとされております。
 取り扱い期間の終期が迫っておりますことから、資金を必要としている事業者が期限までに融資を受けられるよう、県のホームページに掲載するとともに、取扱金融機関や商工指導団体、市町村に対して、事業者に周知徹底するよう要請したところであります。
 令和3年度におきましては、新型コロナウイルス感染症対策資金─県単独で実施─について、国が保証料の一部を補給する新しい信用保証制度も創設される予定であります。この保証制度にも対応できるよう制度を拡充した上で、融資限度額を最大で1億2、000万円とし、取り扱いを継続することとしております。
〇飯澤匡委員 新型コロナウイルス感染症対応資金は非常に引き手が多いと思われますが、国の財源も大分厳しくなった中で、あと、どうやって岩手県で対応していくかというのが鍵になりますので、まだまだ周知が足りないのではないかと思われます。
 私も、この資金だったら何とかセーフティネット保証第5号も適用される会社は結構あると思います。ところが、県単の部分はなかなかそこまで至っていないのです。15%以上減少という枠がありますので、そのつなぎのところがちょっと心配かなということで、質問をさせていただきました。これは引き続きしっかりやっていただきたいと思います。
 2番目の質問ですが、現在、米中の貿易摩擦で、半導体もかなり世界的な環境が日々変化している状況でございまして、これがキオクシアホールディングス株式会社に対してどのような影響が考えられるのか、その分析についてお伺いします。
〇瀬川ものづくり自動車産業振興室長 まず、米中の経済摩擦による半導体の状況でございますが、基本的には、まだ予断を許さないような状況ではあるかと思っております。ただ一方で、世界的にはこのコロナ禍であっても需要がどんどん伸びていると。直近の調査でも、業界団体が公表しています世界半導体市場統計によりましても、2021年で8.4%の市場成長、さらには、来年は十数%の伸びという公表があります。
 いずれ今後、データセンターの需要増とか、スマートフォン5G対応といったさまざまな需要がある中で、NAND型フラッシュメモリーの需要が高まると考えております。
 キオクシアホールディングス株式会社は、上場が少し延びておりますが、基本的に、四日市の工場の建設、さらには、北上での第2棟目の準備というところに着手しておりまして、今のところ、さほど影響はないものと考えております。
〇飯澤匡委員 ネット等で調べますと、アメリカは中国に対する対抗措置として、台湾への秋波を非常に送っておりまして、米国は設計開発、台湾は受託製造という、この垂直分業が大きく加速をしている。今、お話がありましたように、NAND型フラッシュメモリーの市場については影響はないというお話でしたが、ただ、こういう分業が進んでいった中で、キオクシアホールディングス株式会社は、開発もし、そして、生産もするという状況がこのまま続けられるかどうかというのが、全体的な半導体産業の中で非常にチャンスでもあり、不透明な点でもあると思うのですが、今のところ、状況は薄いということですので、引き続き、私もウオッチをしていきたいと思います。
 台湾のさっき言ったファウンドリーのTSMCが、つくばに半導体開発拠点として子会社を設立するということで、この間の国会中継を見ていましても、大歓迎だという話が出ていました。
 もう一つ、今、御説明があったわけですが、NAND型フラッシュメモリーの市場は、今、非常に乱調で供給過剰になっているという話もありますが、これらを含めて、台湾の受託製造の会社が我が国に与える影響はどのように分析しているのか、お願いします。
〇瀬川ものづくり自動車産業振興室長 まず、NAND型フラッシュメモリーの市況は、今、委員御紹介のとおり、データセンターの需要の関係で少し在庫がだぶついているという状況ですが、この夏から秋にかけてその在庫もなくなることから、さらに、年後半からはNAND型フラッシュメモリーの需要も価格も上昇傾向に行くと我々は認識をしております。
 また、NAND型フラッシュメモリーそのものの技術開発につきましては、これはもともとはキオクシアホールディングス株式会社が東芝メモリ株式会社の時代に開発した商品でございますし、今でも高い技術力、競争力を持っている上に、さらには、ウェスタンデジタルコーポレーションと共同で生産を行っているということで、シェアについても競争力についても高い。実際に、サムスンと今1位を争っているわけですけれども、キオクシアとウエスタンデジタルの連合体でいくと、生産能力はほぼ拮抗という状況でございます。
〇岩渕誠委員長 台湾企業の誘致の関係はどうですか。
〇瀬川ものづくり自動車産業振興室長(続) 日本国内にそういう半導体の生産拠点ができてくることは、私も非常に好ましいことだと思っておりますし、今現在、キオクシアホールディングス株式会社も開発拠点は東京、生産技術開発も四日市市でございますが、いずれ、最新のNAND型フラッシュメモリーを生産していくためには、それぞれの開発と生産技術の高度化が求められ、私としては、いずれ北上市にもそういった拠点を誘致していきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 この点は引き続き、大きな投資を岩手県もしていますので、しっかりと監視をしていきたいと思います。
 3番目ですが、新しい時代を切り拓くプロジェクトの推進に向けた取り組みのうち、商工労働観光部が所管する三陸防災復興ゾーンプロジェクトについて。当部がこの意図、展開する方針。これはなぜ聞くかといいますと、知事もインタビューで、11年目を迎える復興の新しいステージの中で新しい取り組みを考えていく必要がある、対応していく必要があると述べているわけですが、当部の基本的な方針を示していただきたいと思います。
〇似内商工企画室企画課長 三陸防災復興ゾーンプロジェクトにおける商工労働観光部の三陸振興の基本方針についてでありますが、三陸地域は復興の取り組みにより大きく進展した交通ネットワークや港湾機能といった優位性を有しており、復興支援を契機としまして、国内外の多様な主体とのつながりが構築されているところであります。
 県では、これらを生かした企業誘致や観光誘客などの産業振興を進めております。
 今後も、戦略的かつ長期的な視点で取り組む三陸防災復興ゾーンプロジェクトのもと、引き続き、国や県の補助制度を活用した企業誘致とか、水産加工品等の生産性、付加価値の向上や販路拡大、三陸鉄道など沿岸の地域資源を活用した観光誘客などにより、三陸地域の産業振興を図っていきたいと思っております。
〇岩渕誠委員長 この際、飯澤匡委員の質疑の途中ではありますが、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
 飯澤匡委員、御了承を願います。

午後0時2分 休 憩

午後1時2分 再 開

〇城内よしひこ副委員長 休憩前に引き続き、質疑を続行いたします。
〇飯澤匡委員 答弁をいただいて、各般にわたる施策を展開するというお話でしたが、今回の予算ですね。三陸防災復興ゾーンプロジェクトに係る当部の予算ですが、この資料を見ますと、まず三つあるのですね。いわて美味しい食の振興事業費、三陸観光地域づくり推進事業費、三陸周遊・滞在型観光推進事業費負担金、要は観光に力を入れるということで、来年度はということでよろしいのですか。
〇似内商工企画室企画課長 委員から御紹介いただいたとおり、観光の部分、水産加工の部分を含めて取り組みを進めていきますけれども、来年度新しい取り組みとして、沿岸地区の事業者の企業戦略の見直し、あるいはインターネットの活用など、プロフェッショナル人材の活用、ニーズの掘り起こしや働きかけを強化するため、現在、岩手県プロフェッショナル人材戦略拠点を盛岡市に設置しておりますけれども、このサテライト拠点を沿岸地域に新設することにしております。
 この拠点を活用することにより、水産加工業の生産性、付加価値の向上、販路拡大、人材確保に向けた取り組みも進めていくこととしております。
〇飯澤匡委員 その部分は主要施策に非常に重要な観点だと思うのですけれども、予算づけもされないで、そういうことにするということなのですかね。主要な施策事業として入ってこないというのはどういうことなのでしょうか。
〇田中雇用推進課長 プロフェッショナル人材還流促進事業費でプロフェッショナル人材の活用の事業を進めておりますけれども、来年度、沿岸地域にサテライト拠点を新設するに当たりましては、令和3年度の当初予算案に盛り込んでおりまして、沿岸地域で活動するマネジャー等の人件費、活動費を計上しております。
〇飯澤匡委員 それは、予算としてどれぐらいですか。
〇田中雇用推進課長 総額で3、247万2、000円計上しております。
〇飯澤匡委員 何でこの復興ゾーンの縦のカテゴリーの中に関連事業として入っていないか。これはちょっと時間ないので、復興局か復興委員会の中でも詰めますが、いずれ、当該部の入っているさっき挙げました3事業合わせても、事業費として5、000万です。さっき紹介しましたように、新しいステージの中でやっていくというところでは、当部としての意気込みがどこにあるのかというのがなかなか伝わってこない。
 震災10年を迎えて、各首長からも、これからの課題は産業振興が随分挙げられていました。それに応えて、今回の予算で、どういう政策に主軸を置くかというのはみんな注目しているのですね。ただいま御答弁いただきました面も含めて、きょうは余り深堀りはしませんが、来年度はどの点に重点を置いて三陸沿岸の震災復興を―種々の政策なんて言わないでくださいよ。主要の施策でここに力点をやるということを、しっかり明言をいただきたいと思います。
〇似内商工企画室企画課長 来年度の重点施策ということでございますけれども、4月から始まります東北デスティネーションキャンペーン、あるいは7月に開催予定であります東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした情報発信と誘客拡大、あとは、震災学習を中心とした教育旅行の推進、先ほど答弁させていただきましたプロフェッショナル人材の活用促進による水産加工業の生産性、付加価値の向上などの取り組みということで、産業振興に力を入れて取り組んでいきたいと思っております。
〇飯澤匡委員 別の機会にもう一回やります。復興半ばで新しいステージに入るというときに、これから10年先、どういう方針なのかというのが、被災地の方々にはその政策の柱がなかなか見えにくいのではないかと思います。これからも機会はありますけれども、そういうところにしっかり留意をされて、予算要求するところはしっかり予算要求して当該部でもやっていただきたい。そうしないと県民の目、また、被災地の方々の目に、県の方針は映らないですよ。しっかりやっていただきたいと思います。
 最後ですが、いわて働き方改革加速化推進事業費について、1億2、000万円ほど計上されていますが、これは予算説明会でも聞きましたが、当事業によって期待される効果をもう一回詳細に、どういうことに効果を期待するのか明確に答えてください。
〇金野労働課長 いわて働き方改革加速化推進事業費についてでございますが、本事業は、県内企業における働き方改革の促進と生産性向上を両輪とした取り組みを推進していくため、中小企業者が行うテレワークの導入を初めとしました労働環境の整備と処遇改善に向けた取り組みの支援を実施しようとするものでございます。
 株式会社東京商工リサーチが本年1月に実施いたしました新型コロナウイルス感染症に関するアンケート調査によりますと、本県におきまして、在宅勤務とかリモートワークを実施している企業は全体の8.28%で、全国平均の35.47%を大きく下回っている状況にございます。
 今年度におきましては、一般会計第4号補正予算におきまして措置したテレワーク導入推進事業費補助におきまして80件の補助金の交付決定を行いまして、企業のテレワーク導入の支援を行ったところでございますが、引き続き、県内企業のテレワークの導入について支援いたしまして、柔軟な就労環境の整備等の働き方改革の一層の促進を図ってまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 80件で約100万円の補助を出して、テレワークのハードに対する支援をするということでよろしいですか。
〇金野労働課長 今年度におきましては、80件に交付決定を行ったところでございます。金額につきましては、企業によってそれぞれ違うところではございますが、主にテレワークのハード機器、就業規則の改正、それから、従業員の方々に対するテレワークについての研修等、こういったものに御活用いただいているところでございます。
〇飯澤匡委員 これは単年度では全く意味をなさないですね。来年度以降の取り組み方針についてお伺いします。
〇金野労働課長 このテレワーク導入推進事業費補助でございますが、まず企業に、テレワークの導入に係る3年間の事業計画を立てていただきます。それに伴いまして、機器の導入等必要な経費について補助するものでございますが、この後3年間、各企業の取り組み等も報告いただきながら、企業の取り組みを支援していく形としております。
〇飯澤匡委員 そういうことではなくて、岩手県は80社だけでいいのですかということですよ。これは裾野を広げていかなければ三十何%に届かないというあなた方の考え方なのでしょう。来年度以降はどうするのですかという話です。
〇金野労働課長 来年度当初予算案におきまして、今年度と同額の予算をお願いしたところでございます。
 また、国でも、今般、当初予算におきまして、昨年度を大きく上回るテレワークの助成金の措置が行われたと承知しております。来年度以降、国の助成金との連携等も含めまして、企業のテレワーク導入の取り組みについて、引き続き支援してまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 これは市町村との連携も含め、商工団体も含めて、その辺のマーケティングはどうなっているのかというのは非常に心配なのですよ。要は、こういうハードを整備するのは、悪いけれども、どこの会社もこんなのは自前でやりますよ。だから、県としての取り組みは、もう少し公共性に重点を置いた、テレワークの環境整備に重点を置くべきではないかと私は思うわけです。
 今回、国の予算が一応予算化をされているというので、それに呼応した形となっていますが、ただただその予算を消化し、一定程度の成果は出るかもしれませんが、岩手県の経済界全体の底上げという点ではどうなのでしょうかねという私の疑問です。
 これから、この事業を軸にして、いかにして株式会社東京商工リサーチが出したその数値に追いついていくか。これは大変なことだと思うのですが、ちょっと時間がないので、その基本的な考え方について部長にお伺いします。
〇戸舘商工労働観光部長 テレワーク導入推進事業費補助については、令和2年度でも80件という実績があって、そして、今年度さらにこれを継続するということで、想定としては50社ほどを見込んでおります。
 感染症対応、これは長期的に必要になる場合も想定しながら、企業にも対応していただかなければなりませんので、そういう意味では、この感染症対応は危機管理にも資するものということで、周知を図りながら、テレワークを導入できる企業がふえていくように取り組んでまいります。
〇城内よしひこ副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇金野労働課長 午前中の吉田敬子委員の質疑の中でお尋ねがございました指標の関係でございますが、今定例会に提出しておりますいわて男女共同参画プランにおきまして、男性の育児休業取得率が参考指標として掲げられているところでございます。よろしくお願いいたします。
〇名須川晋委員 できるだけ進行に協力をいたしたいと思います。
 コロナ禍、アフターコロナにおいて、観光を取り巻く状況、観光客数とかの動向、あるいはそのお客様が求めるものの質の変化等々、どういうふうに変化をしていくと捉えておりますでしょうか。
〇高橋観光・プロモーション室長 観光を取り巻く状況についてでありますけれども、商工指導団体と連携し実施している影響調査によりますと、直近の1月の売り上げにつきましては、前年同月と比較して41%以上減と回答した割合が宿泊業で58%、飲食業で49%となっており、これらの業種を中心に厳しい状況が継続していると認識しているところでございます。
 また、観光庁宿泊旅行統計によりますと、本県の日本人のみの延べ宿泊者数は、前年同月との比較で、令和2年6月は45.1%でありましたけれども、7月22日からはGoToトラベルが開始され、7月は62.4%まで回復、8月は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響と推察されますけれども、47.2%と6月並みに減少、9月は87.6%、10月は102.9%、11月は100.5%と回復したところでありますが、12月は83.5%となっているところでございます。
 これまで、人口減少と高齢化の進展による将来的な国内観光需要の減少が見込まれていたところではございますけれども、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、海外との往来の制限や国内における団体旅行にも制約が生じてきたことから、国内の個人旅行を中心とした誘客を一層意識した取り組みが必要と考えているところでございます。
〇名須川晋委員 ごくごく一端を述べられたものだと思います。
 2点目でございますが、みちのく岩手観光立県第3期基本計画が2019年度から2023年度までの期間でございますが、そういう計画があります。この計画の点検、見直しについては、必要に応じて見直すということでございます。先ごろ政策企画部でも、いわて県民計画(2019〜2028)のアクションプランの見直しについて質問をさせていただきましたけれども、この下にある計画でございます。ちょうど折り返しに当たる時期にあるかと思いますが、これについてはどのように新年度取り組まれるでしょうか。
〇高橋観光・プロモーション室長 県では、平成31年3月にみちのく岩手観光立県第3期基本計画を策定したところでございまして、本計画に定める、観光で稼ぐ地域づくりの推進や質の高い旅行商品の開発、売り込みなど、基本施策に当たるということで、新型コロナウイルス感染症の影響下においても妥当するものと考えているところでございます。
 こうした基本戦略のもと、令和3年度は、東北デスティネーションキャンペーンを一つの柱といたしまして、これまで地域で磨き上げてきた付加価値の高い旅行商品や観光コンテンツを広く発信しながら、周遊、滞在型観光を一層促進するほか、質の高いサービスやおもてなしによりまして、旅行者の満足度を高め、岩手ファンをふやし、リピーター化を促進してまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 計画を見直すということかどうかという質問をさせていただいたわけでございますが、それについてお答えいただけますか。
〇高橋観光・プロモーション室長 計画の見直しは行わないということでございます。
〇名須川晋委員 昨年の12月22日、県民と県議会との意見交換会が開催されまして、参加された方は県内の旅行会社あるいは株式会社岩手くずまきワインとか、アウローラJ5、雫石町のグリーン・ツーリズム推進協議会の方等々集まっていただいた。この中でも、アフターコロナはなかなかお客さんが戻ってこないということと、岩手県は個人のお客様に対しての観光的な訴求が弱いということの御指摘、あるいは葛巻町ではオンラインでの収穫祭ということで、ワインの収穫祭、ブドウの収穫祭ということで50人ほどが参加されたということで、恐らくは個人で、しかもオンラインツアーというのが今開発をされております。そこまで参加される方はなかなかいないのかもしれませんけれども、実際に大手も売り出している商品でございますので、そういうところで旅した気分というのが味わえる時代になるのかと思います。
 そういうところも含めて、私は見直していくべきところがあると。実際の観光に携わる方々の御意見を聞きながら、随時、観光商品の仕様を変えていく必要があると思うわけでございますが、それについて、大もとの計画である程度変えていくべきと思いますが、いかがでございますか。
〇高橋観光・プロモーション室長 今、委員から御指摘あった観光のスタイルが変わってきているというところがございまして、新型コロナウイルス感染症の関係で、こちらでも今年度の補正予算で新しい観光の推進ということで、コロナ禍の中で、どうやってさまざまな付加価値を高めていきましょうかということで、そういう旅行製品の造成等もしているところではございます。計画で定める目標とか計画10年の目標は、コロナ禍の状況では、やはり今ちょっと厳しい状況はあるのですけれども、目指す姿については、当初の予定どおり目指すべきものでありますので、やり方とかプロモーションの仕方はいろいろ出てくると思うのですけれども、そういったところについてはしっかりとやりながら、目標に向かって取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 わかりました。
 同じく、意見交換会の際にも、有能な観光人材が市場に出てくるということで、きのう、おとといあたりも大手の旅行代理店がかなりの赤字だったという報道もございましたが、いずれにしても、有能な観光人材が市場に出てくる。もちろん観光だけではございませんけれども、そういう方々が流動化されると予測される中で、どうやって県内でも人材の発掘、育成をしていくのかということについてお伺いいたします。
 この前、その御指摘の中で、関東圏で観光のスペシャリストとして活躍していた方が結構地元に戻ってきている。海外専門の旅行会社で働き、スペイン語が堪能な方から求職の話があっても、岩手県で受け入れられるところがない。さまざまな分野の能力の高い人が地方都市に戻っているが、その人たちが働く場がないことに悩んでおり、そのような方々をつかまえて、観光人材育成などで活躍してもらう場を岩手県内につくり、価値を上げていくことが必要と思うと。この方はたまたま私の高校の同級生で、盛岡市で旅行代理店をされている会社の女性の社長ですが、こういう指摘があるということでございまして、恐らくはこの県内に優秀な観光人材が埋もれていると。帰ってきているのだけれども、なかなか適職がないという状況があるのだと思います。
 そういう方々を早く見つけて、これからもとに戻るのだとすれば、岩手県内でそういうスペイン語も活用できるような観光の仕事をしっかりと担っていただく、携わっていただく、そういうところもぜひとも観光のほうで力を入れていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
〇高橋観光・プロモーション室長 人材の発掘、育成ということでございますけれども、外部の方からの働く場所とか、有能な方が動いているところのマッチングが確かに大事な部分はありますけれども、人材の発掘、育成というところにつきましては、これまでのところでは、県では、平成28年度からの三陸DMOセンター、こういったところと連携いたしまして、三陸観光プランナー養成塾を開催しながら、地域資源を生かした魅力的な観光地づくりを担う中核人材等の発掘、育成というところに取り組んできたところでございます。
 それから、ほかから来た方で観光的な部分で活躍されている方は県内にもいろいろいらっしゃるというお話をお聞きしておりまして、そういった方をリアルに把握というのもなかなか難しいのですけれども、こちらは地域ではDMOとかもあるのですけれども、例えばDMOでも、そういった人材の方が活躍されて、観光地域づくりを担う人材として活躍されているところもあります。
 そういった人材につきましては、これからそういった観光の部分でいろいろ御活躍できるような形で、地域でもそういった観光地域づくりの中で、人材を必要としている地域もございますので、そういったところについてはいろいろ配慮しながら、観光についての取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 観光・プロモーション室長のお答えでございました。これについては、恐らくは定住推進・雇用労働室とか雇用推進とかさまざまな商工労働観光部全体にかかわる問題だと思いますので、観光に限らず、この流動化した人材をしっかりと岩手県でつなぎとめるという、そういう役割をぜひとも担っていただきたいと要望いたします。
 神戸―花巻線の新路線就航に係る取り組みについてお伺いいたします。3月28日から10月30日までの夏ダイヤで、FDAとJALがコードシェア便神戸―花巻線を新しく開設をいたします。就航に係るこれまでの取り組みや背景について、担当は違うのですが、もしおわかりでありましたら、お知らせいただければ、県土整備部で質問する必要がなくていいのですが、お知らせください。
〇千葉プロモーション課長 就航に係るこれまでの取り組み、背景についてでありますが、所管はふるさと振興部交通政策室でございますが、株式会社フジドリームエアラインズ─FDAが、2019年10月から神戸空港に路線を開設いたしました。FDAでは、神戸空港を中心としたネットワークの拡充を図っていく方針との情報があり、FDA花巻空港支店と連携して路線誘致に取り組んだ結果、今回の神戸線の就航につながったものと聞いております。
 なお、就航に当たっては、立地企業状況等関西圏との経済的つながりや本県の自然、食、歴史、文化等の観光資源に加えまして、これまでの花巻名古屋線におけるFDAとの連携した利用促進の取り組みが、総合的に評価されたものと考えております。
〇名須川晋委員 いずれ大変評価をいたすわけでございまして、ぜひとも、10月30日以降も就航をしていただきたいわけでございますが、これは率直に、商工労働観光部の分野では、どういうところにメリットがあるのか、あるいは、続けていきますと、就航継続に向けてビジネス、観光面でのつながりを強めていくのか、そういう施策についてお伺いいたします。
〇千葉プロモーション課長 初めにメリットについてでありますが、これまで関西圏とは、大阪伊丹空港と花巻空港間の1日4往復運航でございますが、神戸線の1日1往復の開設によりまして、関西圏と花巻間の移動の利便性が向上することから、本県へのさらなる観光客の誘客を初め、広く産業振興につながることが期待されると考えております。
 続きまして、就航継続に向けた施策についてでございますが、神戸―花巻線のPRを行いまして、誘致企業を初めとした本県及び関西圏の企業のビジネス利用の促進を図り、さらなる企業誘致へつなげるとともに、関西圏からのさらなる観光客の誘客や、本県から関西圏への送客に向けて、県の大阪事務所や岩手県空港利用促進協議会と連携を図りながら、現地の旅行会社への働きかけなどを行いまして、旅行商品の造成に取り組んでまいります。
 また、県民の利用も働きかけまして、相互交流による交流人口の拡大にもつながるよう期待しているところでございます。
〇名須川晋委員 この半年ほどで新型コロナウイルス感染症がどれだけ収束するかということにもその搭乗率大きく影響するものだと思います。なかなか難しいところはありますけれども、その辺は航空会社も恐らくはしんしゃくしてくださるのかなという期待もありますが、できるだけ相互の行き来を密に─それこそ密でございますけれども─やっていただきますように、ビジネス、観光面でこの交流を深めていただくような政策を進めていただきたいと思います。
 これは通告しておらなかったのですけれども、今まさに東北デスティネーションキャンペーンと連携できるものだと思います。これをうまく神戸の空港を御利用の皆様にも、これと深くつなげていただいて、観光客、今、旗がいろいろはためいているようで、いよいよ4月1日からとなりますけれども、これについての予約状況はどうなっているのかというところをおわかりであれば。
 あと、サポーター制度がありますね。これは東北6県の中では、個人と団体がありまして、宮城県に続いて、そのサポーターは、岩手県は114人、企業、団体では214人ということで、2番目に多い状況でございます。
 また、全国各地の東北ファンというところでのSNSを活用して東北以外にお住まいの方もこのさまざま情報発信をしてくださるという、そういう制度といいますか企画がございます。これをぜひとも岩手県でも、私もやれと言われればそれはやりますけれども、そういうところへのかかわり方というのは何かあるわけでございますか。全くのJRだけでございますか。
〇高橋観光・プロモーション室長 全国とのかかわり方ですかね。今回の東北デスティネーションキャンペーンは4月から9月まで6カ月間、6県が共同して行うという中で、JRもそのメンバーに入って一緒に動いているというところがございます。
 JRの力は非常に大きいのですけれども、JRは、全国のJR各社が一体で、全国のキャンペーンということなので、北海道から九州、沖縄までというところのキャンペーンという形で行いますので、主要な駅では、今は東北デスティネーションキャンペーンのポスターとかも刷り上がって、駅にはそういった告知をやり、あとは主要なところにはそういったパンフレットとかも置いていまして、岩手県に限らず東北地方全体のプロモーションというところがあるのですけれども、そういったところでPRをしている状況であります。
 御提案のとおり、サポーター制度も、これは全国から東北地方を応援する方に登録いただいているというところで、先ほど委員からあった数ぐらい、岩手県でもそういった大変な数になっていまして、そういった方は、私もつけているこういったバッジをつけていただいて、いろいろそういったサポーターとして動いていただいているところがあります。
 そのプロモーションの中で、まずファンをいろいろふやしながら、応援される方をふやし、そして、関係される方をどんどんふやしながら、この東北デスティネーションキャンペーンを盛り上げていきたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 新型コロナウイルス感染症の影響が長引いているというところで、中小企業、小規模事業者まだまだ非常に厳しい状態というところでございます。可決した県の補正予算に含まれる40万円の支援金も非常に期待している方々も多いというところですけれども、昨年12月の国の第3次補正予算で、商工業関係の目玉施策として、中小企業等事業再構築促進事業が決まりましたというところでございます。
 ポストコロナ、ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するための企業の思い切った事業再構築を支援というところで、予算額が1兆1、485億円で、また、補助金の交付は1回だけではなくて、令和3年度内には複数回実施する予定というところでございます。
 対象の要件も、直近6カ月の中で対象の3カ月の前年度との売り上げの減が10%以上減少しているというところで、それこそ家賃補助とか40万円の補助よりも応募しやすいところでもありますし、補助額が100万円から6、000万円、補助率は3分の2というところで、まさしく、これは今まで何とか耐えてきた方々が次に向かって取り組める事業だと思っております。これに関する県の支援体制と目標を伺いたいと思います。
〇関口経営支援課総括課長 まず、支援体制についてでありますが、県ではこれまで新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業者を支援するため、商工指導団体、産業支援機関等と連携し、国、県の支援制度の利用促進に向け、制度の周知や、各補助金の申請手続のサポートを支援してきたところであります。
 令和3年度においては、これまでの支援に加え、専門家派遣や産業支援機関への経営支援スタッフの配置に必要な経費の予算を今定例会に提案しているところであります。
 県内に多くの事業者が、委員から御説明がありました中小企業等事業再構築促進事業の補助金を含め、さまざまな支援策が活用できるよう、商工指導団体等と連携して、制度の周知を図るとともに、申請に必要となる事業計画の策定を支援してまいります。
 目標についてでありますが、国において、この補助金について各県ごとの採択予定数を示しておりません。県として採択件数等の目標数を設定することはなかなか困難と考えております。県としては、事業者の採択率が高まるよう、商工指導団体等の関係機関と連携し、申請に必要となる事業計画の策定を支援していく考えであります。
〇佐々木宣和委員 この補助金を申請するに当たっては、事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定する必要があるというところで、先ほども御答弁がありましたけれども、商工会議所だったり商工会と協力しながら、また、金融機関と協力しながら事業計画を立てるというところでございます。
 それこそ今、商工会議所、商工会等の商工支援団体は事業もたくさんあるような状況でして、その体制がなかなか苦しいのかなと思っているところでございます。商工業小規模事業経営支援事業費というところで、毎年、商工会だったり商工会議所の支援で予算が組まれているわけですけれども、この商工支援団体の体制は、令和3年度強化されていく形になっているのか。これは出していないですけれども、お答えいただきたいと思います。
〇関口経営支援課総括課長 商工指導団体の支援体制についてであります。商工指導団体については、さまざま今回の新型コロナウイルス感染症の対応の部分を含め補助金の申請サポート等、重要な役割を担っているところであります。経営指導員の人件費等については、国から地方交付税の措置を受け、県が商工指導団体に対して補助金を交付しているものであります。
 こういったことを踏まえまして、商工指導団体の業務量も増加しておりますし、できる限りこういう体制強化に努められるよう、国に対して商工指導団体の人件費等に係る財政支援措置の拡充を要望してきたところであり、引き続き国に働きかけをしていく考えであります。
 今年度特に支援体制を強化するという点では、人件費等の増額措置はなかなか難しいのかと思っています。今回の事業計画策定を支援するために、まずは専門家の活用を十分できるように、この部分については予算措置を増額しているところであります。
〇佐々木宣和委員 この商工業小規模事業経営支援事業費もちょっとだけ減っている状況という予算書だったかと思いますけれども、何にしても、使えるものはどんどん出てきているところではあるのですが、それが使える体制がないとというところで、専門家派遣もすごくありがたいことでもあるのですが、有利なものをしっかりと使っていただきたいと考えているところでございます。
 部長に1点お伺いしたいと思うのですけれども、今回、ポストコロナ、ウィズコロナ時代の経営の変化に対応するために、事業再構築を支援する補助金が出たというところでございます。同様な考え方の補助金は、実は他の都道府県などでもやっていることもあって、それは何かに特定している部分ではなくて、それこそ既存の課題であります事業承継を応援する話であったり、なかなか人が集まらないというところで、そのIT化を推進する補助金であったりというところだったり、また、北海道の事業では、労働市場が、田舎だと凝り固まっているようなところもあるので、コロナ禍で職を失った方が新しい会社に移る場合には、支援金だったり準備金だったりというのを出すことがあって、大変な状況ですけれども、もともとある課題を解決するために取り組んでいくという方向性を示して取り組みをされている県もあるところだと思います。
 今回、この事業は、私にとっては待ちに待った事業というところで、何とか多くの方に使っていただきたいと。先ほど吉田敬子委員の質疑にもありましたけれども、今、商工会議所とか商工会に入っている方の割合も100%ではないところであって、この事業がどれだけ周知されるのかとか使われるのかというのは、なかなか頑張らないといけないなと思っているところですけれども、この事業を何とか実装していくために、また、県として、もともとの課題で解決したいところも含めてやるためには、どんなことが必要なのかというところで、所感を伺いたいと思います。
〇戸舘商工労働観光部長 新型コロナウイルス感染症対応ということで、これまでさまざま資金繰りの支援から感染症対策に充てる経費の補助、それから、消費喚起のための仕組みを整えてやってきたわけでありますけれども、この対応が長期化していく中で、この事業再構築補助金も含め、しっかりと本業の部分を、それから、今、御紹介ありましたが、国でもIT導入補助金とか、持続化補助金とか、そして、ものづくり補助金とか、さまざま支援制度はありますので、こういったものをしっかり活用していただきながら、本業をコロナ禍においてしっかりと継続できるような仕組みをつくっていく必要があると思います。
 商工指導団体にもさまざま動いていただかなければならないわけでありますけれども、そこの支援も、今、答弁申し上げましたとおり、小規模補助金等でやっておりますので、そういうことを最大限活用しながら、今般、新たにそういう専門家派遣の制度も設けましたので、そこを使いながら、また支援してまいりたいと思います。
〇佐々木宣和委員 ありがとうございます。本当に県のほうでも非常にきめ細やかな取り組みをしていただいているというところで、何とか踏ん張ってきた方々が将来につながるように、専門家派遣等々含めて事業を将来につなげられる支援をお願いしたいところでございます。
 次に、三陸沿岸の観光振興というところで伺いたいと思います。ことしは震災10年というところもありますし、先般は、気仙沼湾横断橋も通って、三陸沿岸道路もつながったというところ、そして、先ほどのお話の中でもありましたけれども、東北デスティネーションキャンペーン、また、復興五輪というところだったり、震災10年というところで、旅行会社がこの被災地をフォーカスして取り組んでいただけるというキャンペーンが張られているところだったのですが、新型コロナウイルス感染症の関係があってなかなか思い切ってというか、予測どおり多くの方に来ていただくのが難しいのかと思っていて、すごく悔しいところでもあります。
 一般質問でもあったかと思いますし、先ほどもあったかと思うのですが、この新型コロナウイルス感染症が長引いたことによって、それこそ団体旅行客の方々も大勢来ていただくことが難しいところで、計画をどう修正していっているのかということを、簡単に教えていただきたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 コロナ禍の中で計画をどう修正していくかという御質問でありますけれども、委員御指摘のとおり、ことしは震災10年、それから、東北デスティネーションキャンペーン、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会と、こういった、まさに復興が進む三陸地域の魅力に触れていただく絶好の機会と考えております。
 新型コロナウイルス感染症の状況によって、例えばこのまま収束に向かう場合には、この東北デスティネーションキャンペーンを最大のチャンスと生かしまして、東北6県で連携したプロモーションということで先ほどお話ししたような部分がございますし、特に三陸につきましては、三陸地域のそういった飲食店や宿泊施設を利用できる復興支援感謝パスポートの発行、それから、三陸周遊旅行等で利用できる観光バスの運行支援等を行って、誘客を強化していくという状況でございます。仮に、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する場合には、感染症対策を強化しながら、震災学習を中心とした教育旅行を初め農山漁村体験、みちのく潮風トレイル、三陸鉄道など沿岸地域の観光資源を生かし、先ほど述べた県事業も活用しながら、三陸地域の観光振興を図ってまいります。
〇佐々木宣和委員 教育旅行等々も何とかというところでやるのも必要なのかと思っているのですが、実際にデスティネーションキャンペーンもやはり期待するわけですけれども、新型コロナウイルス感染症がない段階でやったことと今の段階でやるのは意味合いが違うというところで、それこそ過去岩手県がやったデスティネーションキャンペーンのイメージではないようなところかと思います。
 そんな中で何とかその効果を将来につなげていくために何ができるのかと考えたときに、データの活用が必要なのではないかと思っているところでございます。これは、新型コロナウイルス感染症の状況などを把握するところで、いろいろなGPSのログデータ等々の活用もよく取り扱われております。
 駅の人口動態がどうなっているのかとかですね。新型コロナウイルス感染症で加速した部分があると思っていますし、観光予報プラットフォームであったりとかモバイル空間統計もあります。こういったものを使って観光に関するマーケティング、このデータ活用をすることによって、今回、デスティネーションキャンペーンなりオリンピックの影響で、入り込みがふえるだろうと思われるところのデータを、その次に活用する考え方が必要なのかと思っているところですけれども、考え方を伺いたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 データの活用についてでありますが、県が実施しています観光統計調査は、国が定めた共通基準に基づきまして、観光地点等入込客数調査、いわゆる全数調査と観光地点パラメータ調査、いわゆるサンプル調査により、入り込み客数や観光消費額を把握しておりまして、観光施策の立案に活用しているところであります。
 御提案のありました、いわゆるビッグデータの活用は、旅行動態や潜在的なニーズを把握できることから、マーケティング分析や観光施策の検討に有効なツールの一つであると認識しているところでございます。
 令和3年度からは、一般社団法人東北観光推進機構におきまして東北広域での観光マーケティングデータを一元化するため、東北観光DMP―データマネジメントプラットフォーム―を構築、運用することとしておりまして、戦略策定やプロモーションなど、各種観光施策への活用を予定していると承知しているところでございます。
 本県といたしましては、今後、東北観光推進機構の取り組みも参考にしながら、リーサス(地域経済分析システム)等のデータ活用も含め、ビッグデータの効果的な活用方法も含めて検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 御答弁ありがとうございます。東北観光推進機構と広域連携DMOがそのデータ活用に関して動き出していくという話なのかと思っております。
 理想的な話ではありますけれども、こういったところで全体の動態データを把握することによって、この広域連携DMOから、それぞれの地域連携DMO、そして、市町村なり、市町村の観光協会等々に落とし込んで、全体の数字に自分たちの取り組みがどのぐらい反映されているものなのかというイメージ、ビジネスインテリジェンスとかビジネスアナリシスみたいなところでやっていくと、それぞれの地域が頑張っているということの関係性がわかってくるというものになるのかと。本当に想像のような話ですけれども、こういったところが非常に必要なのかと思っているところでございます。
 これは実際に人が動いたところのお話でございますけれども、前段で触れたとおり、東北デスティネーションキャンペーンなりオリンピックも、本当に予測よりは少ない人が来るようなところもあるのかと思っていますし、そのときに、要はウエブ上で岩手県の存在感を発揮するなり、沿岸の地域をPRするなりというところで、バーチャルでもPRする機会になるのかなと、特にオリンピックなどはそういった機会にもなるのかと思っております。これも通告していないのですけれども、何か考え方があれば伺いたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 三陸の紹介、バーチャルも含めてということでありますけれども、4月からの東北デスティネーションキャンペーンの中では、各地域のコンテンツを紹介しておりますけれども、その中で三陸につきましては、特別企画という格好で、それもホームページの中でも体験メニューとか、その期間にしか体験できないようなみちのく潮風トレイルとか、三陸の無人島での体験とか、そういったものも動画も含めて紹介しているところがありますので、まず、こういったデスティネーションキャンペーンのところも含めてPRをしてまいりたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 観光業は非常に大変な状況というところでございますけれども、データの活用を含めさまざまチャレンジしていただきたいと思っているところでございます。
〇千葉盛委員 それでは質問させていただきます。
 まず、経済産業省の一時金について。経済産業省では、緊急事態宣言の再発令で打撃を受けた飲食店の取引先などを支援する一時金の支援事業の申請受け付けを開始しまして、全国で100万件以上の給付を想定しておりますけれども、岩手県ではどのくらいの事業者が対象となる見込みなのか伺います。
〇関口経営支援課総括課長 国の緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金についてでありますが、県内の事業者が対象となるケースとしては、例えば、宣言地域の飲食店と取引がある卸売業者、宣言地域における不要不急の外出、移動の自粛による直接的な影響を受けている宿泊事業者などが考えられます。
 県内の対象事業者についてでありますが、個々の事業者の取引実態を捉えた統計データがございませんので、これらの数の把握は困難でありますが、対象となり得る事業者には、商工指導団体等と連携し、制度の周知に努めてまいります。
〇千葉盛委員 国の制度ですけれども、できるだけ県としても積極的にかかわっていただいて、商工団体を通すということなので、よろしくお願いしたいと思いますし、また、この一時金は基本的には緊急事態宣言地域にかかわるものであります。
 そして、宣言地域以外にもいろいろな業種に当てはまりますけれども、新型コロナウイルス感染症による大きな経済的打撃は、本当に岩手県内さまざまな業種で受けてきておりますので、岩手県としても国に対して、その打撃を受けた事業者にしっかりと支援が行き渡るように強く働きかけていくべきと思いますが、どういうふうに対応されていくのかお伺いいたします。
〇関口経営支援課総括課長 国への要望についてでありますが、緊急事態宣言を発出していない本県のような地域においても、飲食店や関連事業者は、全国的な自粛ムードの中で客足が途絶えるなど、宣言地域と同様に危機的な状況にありますことから、宣言地域内の飲食店との取り引き等の要件撤廃や、営業時間短縮要請を受けていない飲食店や観光、宿泊、交通を含めた関連事業者を幅広く支給対象とするよう、全国知事会を通じ要望しているところでありまして、引き続き、国に働きかけてまいります。
〇千葉盛委員 ぜひ、さまざまな業種に支援が、これ以外の支援もしっかりと必要な事業者に行き渡るようによろしくお願いします。
 次に、コロナ禍における商工団体への支援についてお伺いします。先ほども出ておりましたけれども、商工会や商工会議所等の商工団体が、コロナ禍において、経営改善の普及、事業承継、販路開拓など、さまざまな取り組みを行う中で、例えば、今回の地域企業経営支援金支給事業費補助金の対応など、県の補助業務の対応をするなど、通常の業務以外に、新型コロナウイルス感染症に関する業務を行っていることから、商工団体からの支援要望もあると聞いております。
 商工団体に対し、通常の支援以外に、県として、さらに人件費など経費に充てられるような補助などの支援が必要と考えますが、お伺いいたします。
〇関口経営支援課総括課長 商工指導団体は、事業者に対する事業計画策定からその実施までフォローする伴走型支援、各種補助金の申請サポートなど重要な役割を担っているところでありまして、経営指導員等の人件費については、国から地方交付税の措置を受け、県が商工指導団体に対し補助金を交付しております。
 今般の新型コロナウイルス感染症の影響により、商工指導団体の業務量が増加していることを踏まえ、国には、商工指導団体の人件費等に係る財政支援措置の拡充を要望してきたところであり、引き続き、国に対し働きかけてまいります。
 また、県では、感染症対策補助金の申請、審査、支払いを商工指導団体に依頼し、実施してきたところでありますが、必要な事務費など措置し、対応してきたところであります。
 さらに、今定例会で議決いただいた地域企業経営支援金の申請、審査、支払いについても、商工指導団体が行うことで調整を進めておりますが、制度の運用に必要な経費については、人件費等を含め措置できるよう進めてまいります。
〇千葉盛委員 ということは、今後、また、さらに商工会、商工会議所に、新たな支援を考えていくということでよろしいのか。また、そういう時期はいつごろとなっていきそうなのか、お伺いいたします。
〇関口経営支援課総括課長 今、御答弁申し上げた内容については、まず3月末くらいから、この間議決いただきました地域企業経営支援金が、商工会議所、商工会で申請受け付け開始をできるように、今いろいろ準備を進めております。こういう業務を担うには、やはり人件費的なところの対応も必要な商工会議所、商工会があると承知しております。
 そういったところに対応し、県として、その分については、支援金の原資となるものに加え、別途、商工指導団体に補助金として交付することで考えております。
〇千葉盛委員 本当に商工指導団体も新型コロナウイルス感染症の対応業務がかなりありますので、何とかそういったところの支援をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、インバウンド対策についてお伺いいたします。令和3年度は、インバウンドに対する予算が5億1、700万円から7、100万円に減額されていますが、その減額された分はどのように取り扱われているのか伺います。
 また、例えば、東北デスティネーションキャンペーンの対応など、国内の観光振興に使うことも効果的だと思いますが、それについてもお伺いします。
〇高橋観光・プロモーション室長 インバウンド予算についてでありますけれども、令和3年度におけるインバウンドの予算は、令和2年度当初予算と比較いたしまして、約4億4、600万円減額しているものでありますけれども、多くは、令和2年度で終了する国の東北観光復興対策交付金を財源としていたものでございます。
 このうち、令和2年度予算において、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、事業実施時期が令和3年度に延期されたイベント等に係る予算2億1、500万円余は、令和3年度に繰り越して執行することとしており、大幅に減少したインバウンドの早期回復のため、感染状況を見ながら、国や東北各県と連携して、プロモーションや受け入れ態勢整備の支援に取り組んでいくものであります。
 なお、東北観光復興対策交付金は、外国人観光客の誘客に向けた事業が対象であるため、国内の観光振興事業は対象外となっているものでございます。
〇千葉盛委員 わかりました。例えば、きょうも東北デスティネーションキャンペーンでの宣伝広告が新聞にも掲載されておりましたけれども、外国人観光客の誘客のような文章も入っていましたけれども、そういったこともこの東北デスティネーションキャンペーンでは行っていくのか。また、デスティネーションキャンペーンにあわせて、その宿泊割引補助なども考えていくのかどうか、その辺もお伺いいたします。
〇高橋観光・プロモーション室長 このインバウンド予算の執行についてのお尋ねだと思いますけれども、今回の東北デスティネーションキャンペーンの中でも外国人というところがございまして、例えば外国人の受け入れ環境整備ということで、例えば外国語表記とか、Wi−Fi整備という部分につきましては、インバウンド交付金を活用しながら実施しておりましたので、それらについても4月以降の東北デスティネーションキャンペーン実施の中でも展開できるというものでございます。
 あとは、割引となると、また、令和2年度に予定した事業を繰り越しているということなので、それらについては実施できないというものでございます。
〇千葉盛委員 わかりました。
 コロナ禍において、その先が見えない状況でありますけれども、コロナ禍後の外国人観光客の誘客拡大を図るための戦略は、どのようになっているのかお伺いいたします。
〇高橋観光・プロモーション室長 コロナ禍後の戦略というところでございますけれども、令和3年度は、大幅に減少した外国人観光客の早期回復を図るため、新型コロナウイルス感染症の収束状況も見ながら、市場規模も大きく、さらなる観光客の増加も期待できる台湾と中国を重点回復市場として取り組むことが有効であると考えておりまして、集中的にプロモーションを行っていく予定でございます。
 また、新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでいる宿泊施設や観光施設等の取り組みについて、SNSを初め、海外でのセールスコールや旅行博において紹介するなど、新型コロナウイルス感染症収束後のインバウンドの誘客促進を図ってまいりたいと考えております。
〇千葉盛委員 わかりました。今、答弁にも台湾、中国が入っていましたけれども、これまで本県において、台湾、中国、香港などからの観光客が多くなっておりました。例えば、岩手県と台湾の新型コロナウイルス感染症の感染状況を見れば、今の段階ですけれども、十分往来し、交流できる環境にあると思います。
 ただ、海外からの誘客については、さまざまな制限もありますし、それぞれのお互いの国の動向にもよりますが、早期に交流ができる可能性のある例えば台湾などとは、いつでも往来し、交流し合える環境づくりが重要であると思いますけれども、どのような体制づくりがなされて、どのような対応をされていくのかお伺いいたします。
〇高橋観光・プロモーション室長 海外からの誘客の体制づくりについてでありますけれども、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、御案内のとおり、海外との往来が制限されているという状況でございますので、現地から招請や直接訪問するプロモーションは困難でありますことから、フェイスブックなどのSNSによる情報発信を継続しているほか、台湾におきましては、青森県や宮城県と連携して、現地コーディネーターによる旅行会社等へのセールス活動を実施しているところでございます。
 今後におきましても、本格的な往来再開に向けまして、これまでのつながりを大切にし、岩手ファンをつなぎとめ、さらに拡大するために、台湾の現地コーディネーターによる旅行会社へのセールス活動を実施するとともに、SNS等を活用した情報発信を継続して行ってまいりたいと考えております。
〇千葉盛委員 台湾に限らずですけれども、渡航ができるようになったときに、岩手県を選んで足を運んでもらえるように、継続的な交流を準備しておくことが必要だと思いますので、よろしくお願いします。
〇佐々木努委員 私は1件、コロナ禍における宿泊業の支援についてお聞きしたいと思います。このことについては一般質問、それから、この予算特別委員会等でも議論になっていますので、同じ話になるかもしれませんけれども、改めて、県の考えをお聞きしたいと思います。
 県民割事業は3月7日で終了したということでありますけれども、終了後の支援策について、これまでどのような協議がなされて、どのような考えのもとに補正予算、新年度予算が編成されたのか、まず、そのことをお伺いします。
〇高橋観光・プロモーション室長 県民割終了後の支援策でございますけれども、委員から御発言ありましたとおり、地元割につきましては、昨年7月から開始したところでございまして、制度設計当初から早期の効果発現を狙うとともに、会計処理上、交付金の精算を含め、年度内事務処理ということで、御案内のとおり3月7日を終期として設定して、県民に広く周知を図り、実施したものでございます。
 補正予算に向けてのところですけれども、昨年12月から、御案内のとおりGoToトラベルの全国一斉停止、それから、1月の緊急事態宣言の再発令などもありまして、地元割クーポンは、当初想定した枚数の利用が見込めない状況でございます。
 こうした状況に鑑みまして、宿泊、飲食業者を初めとする県内中小企業者に対しては、これまでの消費喚起による支援よりも、給付金による経営継続に向けた緊急的な支援が必要と考え、今2月定例会におきまして、先ほどお話あった1店舗当たり40万円の地域企業経営支援金支給事業の補正予算案を提案し、3月5日に議決いただいたところであります。
 新年度予算におきましては、東日本大震災津波から10年の節目を迎えたことや、東北デスティネーションキャンペーンがスタートすることから、東北6県と連携したプロモーションなどにより、誘客に向けた情報発信を強化してまいる予定でございます。
〇佐々木努委員 補正については、宿泊業にかかわらず、影響を受けている全ての業種に対しての支援だということで、それはそれで理解するわけですけれども、宿泊業は非常に裾野が広い業種でありますし、影響もより受ける。規模が普通の飲食店とはやはり違うということ、従業員等も抱えて、かなり深刻なダメージを受けているということで、より手厚い支援を私はするべきだと思っています。
 そういう中で、岩手県でも感染者が出て、クラスターが発生して、あるいは緊急事態宣言が出て、GoToトラベルも中止になったという状況で、確かに人の流れは悪くなりましたけれども、それでも、感染に気をつけながら、旅行をしたい、宿に泊まりたいという方は結構いらっしゃるわけです。私の周りにも、いつ新しいキャンペーンを始めるのだという問い合わせが年明けからたくさんあるわけで、行きたくても、結局、クーポンが手に入らなかった、抽選で外れてしまったから、次に期待をするという方がたくさんいらっしゃったのです。
 一方で、クーポンはいっぱい当たったけれども、こういう状況だから使わないで、そのまま捨ててしまおうなどという方もたくさんいらっしゃって、私は本当に効果的にあの予算が使われたのか、有効にこの事業が展開されたのかというのは、ちょっと疑問に思うところが実はあるわけであります。
 さまざま仕組みを変えながら、例えば、この間、高橋但馬委員が言ったように、チケットを買ってもらって、それを使ってもらう。自分が出したお金ですから、それは必ず使おうという気が人間ですから起きますよ。そういう新たなシステムで新たな事業設計をするということ、第5弾ということでもよかったかもしれませんが、そういうことを検討すべき、そして、実施すべきではなかったかと。
 今、岩手県は大分おさまってきたから言うわけではありませんけれども、これまでも岩手県は他県に比べて非常に発生の頻度が少なかったし、みんな気をつけて行動する県民の方々が多かったので、宿泊施設でのクラスターも発生しなかったわけです。そういうことを考えれば、私は、県民が地元の宿を応援するという、この流れを県にもっと積極的につくってほしかったと思っています。そういう意味から、補正あるいは新年度予算に宿泊割の部分が全く入っていなかったのはちょっと意外でしたし、残念でした。
 そういうことで、この事業について、3月7日以降にどうやっていくか、やるのかやらないのか、やるとしたら、どうやっていくのかという協議がなされたことが一度でもあったのかどうか、そこをちょっと確認したいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 地元割についての検討でございますけれども、さきの総括質疑の際でも一部御答弁申し上げていますが、地元割とあわせて、国でもGoToトラベルが動いていまして、国のGoToトラベルに関して言いますと、さきに西村経済再生担当大臣が、3月7日のテレビ番組出演の中で、いずれ都道府県単位で地域ごとの再開を想定しているという報道をされているところであります。また、全国知事会を通じまして、感染が落ちついている地域の宿泊施設をその地域の住民が利用する場合など、段階的に再開するなど、感染状況に応じつつ、適切かつ弾力的に運用するよう国に提言したところでございます。
 県といたしましては、国のGoToトラベル事業の再開時期や対象地域など制度設計を見きわめますとともに、今後の新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえながら、必要に応じて支援策を検討していくとしております。
〇佐々木努委員 1月29日の知事の記者会見で、どこの記者かちょっとわかりませんが、3月7日の宿泊割が終わった後、何か考えていないかという質問をされたのに対して、知事が、そこは考えていませんでしたので、担当と相談しようと思いますと答弁をしています。1月29日です。
 それで、県内で観光を回すようなことも考えていきたいということですかと言う記者に対して、今の質問で、そういう論点があるなと今わかりましたのでという話をしているのです。つまり、部の中では話をされているかもしれませんが、最終的にこれをやろうと決定をする知事は、この時点で、これは予算査定は前の日に終わっていますので、この時点で全くそういうことは頭になかったということが本当にいいのだろうかと、私は疑問に思ったわけです。
 その後、これは3月5日の記者会見で、また、記者が同じことを聞かれたのですが、知事は、GoToトラベルが始まれば、別にそれぞれの都道府県で支援しなくてもしっかり回っていくであろう、国がもう旅行してもいいよということを国民に言えば、その時点で回るから、その必要はないというニュアンスのことをしゃべっているわけですよ。
 でも、実際どうですか。GoToトラベルはもう始まりますか。ここ1週間、2週間で始まると思いますか。私は2カ月、3カ月、いや、もっと先の話になるのではないかと思うのですけれども。ワクチンの接種が全国で始まって、何となく落ちついてきたというときにやっとGoToトラベルが始まる。それまでは観光客も動かないと思うのですよ。なかなか動きづらい。そういう期間を支えるのがこの地元割、それぞれの都道府県の取り組みではないですか。山形県も新潟県も、6月末まで地元割の延長を決めているのですよ。静岡県も高知県ももう始めようとしているわけです。
 何で岩手県はできないのかなとすごく疑問です。事務的にもしかしたら大変かもしれないけれども、当初予算に載せることだってできるのではないですか。山形県に聞いたら、新年度予算で1億5、000万円措置して、すぐクーポンを刷る準備をしていると話をしているし、岩手県はそういうことをしなくても、本当に宿泊業の方々は大丈夫なのだろうか。東北デスティネーションキャンペーンが始まる前に閉めてしまう宿が出てこないかなと、私は本当に心配をしているわけですが、そういうことは考えにないのですか。今のこのやり方で大丈夫だと思うのですかね、40万円で。部長どうですか。おかしくないですか。
〇戸舘商工労働観光部長 事業支援の方法として、いわゆる資金繰り、キャッシュの支援、これは直接寄附も含めて、そういうやり方と、それから、消費喚起でいわゆるクーポン事業のようなもの等があると思います。消費喚起策は民間の士気が出てこないことには有効に機能しませんので、宿泊割クーポンに関しては、国のGoToトラベルが全国一斉停止になり、そして、1月から緊急事態宣言という中で、委員御紹介のとおり、手元に持っているけれども、使わない、使うのにためらいがある、そういう方々が多く出て、予定枚数を消化できないような状況になっています。
 そういった状況を踏まえて、消費喚起による支援よりも直接寄附が当面必要だということで、さきの補正において予算措置をさせていただいたという段階です。
 国のGoToトラベルに関しては、正直、まだ動きが見えない。いろいろな報道もなされておりますけれども、どれが確たるものかというのを十分に把握できない部分もある中で、国からは、地域を限定した、そういう再開もあり得るといった発言がなされています。そこはしっかりと見きわめませんと、県としてのこの制度設計は、なかなか難しい部分があると思っています。
 いずれ、これまでの宿泊割引に関しても、これは補正予算ということで、その時期その時期のタイミングを見ながら、必要に応じてこの措置をさせていただいておりますので、これはふたをするということではなくて、もうちょっと見きわめる必要があると考えているところでございます。
〇佐々木努委員 そんなに簡単に見きわめられるのですかね。本当に直前に、何か大きなことが変わる直前にやっと私は見きわめられるのだと思います。見きわめられないからこそ、どれだけ手を打っておくか。先先を見て手を打っておくか。仮にそれが使われなくてもそれは仕方がないのですよ。使わなければ戻ってくるだけだからいいのだけれども、その使われるような準備をしておかないと、守れるものも守れない、救えるものを救えないということに私はなると思うのですよ。
 そういうアイデアとか考えを、ぜひ職員の皆さんに持っていただいて、あとは最終的に知事に判断を仰ぐ。知事が知らなかったということではなく、全然そういうことは頭になかったということではなくですね。ほかの県でやっていることを何で岩手県ができないのか、そういうことを議論してこそ本当の県庁内の新型コロナウイルス感染症対策本部の役割ではないですかね。何かちょっとがっかりしました。はっきり言って、今の部長の答弁にもちょっとがっかりしました。
〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇高橋但馬委員 総括質疑を終えて、改めて宿泊施設にヒアリングを行いました。宿泊施設から言われたのは、この前、国の支援もあった関係でお金を借りた。そのお金もだんだんともう使い切る段階に来ている。これから経済を回していかないと、本当に潰れてしまうというのが現状のようであります。
 新たな事業を銀行に提出して、お金を改めて借りるのは可能かもしれないのですけれども、今の現状では、民間の銀行は貸してくれないという状況であります。となると、やはり経済を回していく以外にないと思っておりまして、宿泊支援は非常に有効な策であると私は考えます。
 私のところに入っている情報によると、緊急事態宣言以降、じゃらんネットで、岩手県が前年比30%台で推移している。花巻エリアに関しては70%を超えているということなのですね。これは明らかに支援制度があって、その地域を助けているということになると思うのです。これは、いかにその地域割が役に立っているのか、経済を回すことになっているのかということになっていると思います。
 ここで県として、地域割クーポンであるか、もしくは市町村が行う宿泊割に対して支援を行う、そういうことをアピールすることが、そういう地域の宿泊事業者がもう少し足を踏ん張ろうという思いになると思うのですけれども、いかがでしょうか。
〇高橋観光・プロモーション室長 宿泊施設への支援ということで、先ほど部長からも御答弁申し上げた状況で、施設の方々は、デスティネーションキャンペーンの分は4月から始まるのですけれども、そういった現場の声を聞く機会は私も多くございまして、非常に厳しい状況はつぶさにお声は聞いている状況でございます。
 地元割につきましては、花巻市も独自に継続しながらやっているという状況も伺っておりますので、いずれ、先ほど申し上げましたとおりですが、地元割は二度とやらないということではなくて、必要な支援を考えていくということは必要だと思いますので、さまざま御意見も頂戴していく中で、国の制度もございますので、それらもあわせていろいろ今後検討してまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 前向きな御答弁だと信じたいと思っておりますし、実際、盛岡市でもやっていないわけですから、そこに我々も働きかけていきますし、県から、花巻市と同様、県が力もかしますので一緒にやりませんかということを各市町村に言っていただくことも大切だと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
〇柳村一委員 中小企業振興費についてお伺いします。午前中はものづくり産業について質疑されていまして、地域の特性やさらなる人材育成をして、ものづくり産業を推進していくと御答弁されておりました。
 今後、急速に変化すると考えられる社会経済情勢の中で、自動車産業や半導体関連産業などの製造業のあり方の転換も視野に入れて、切れ目のない産業振興に取り組んでいかなければならないのではないかという観点から質問します。
 いわて起業家育成資金、起業支援推進事業費のこれまでの実績と令和3年度の取り組み内容についてお伺いします。
〇関口経営支援課総括課長 まず、いわて起業家育成資金についてでありますが、新たに事業を開始しようとする方に必要な資金を融資する制度でありまして、融資実績は、平成29年度は76件、4億4、800万円、平成30年度は94件、5億8、420万円、令和元年度は92件、5億8、528万円となっており、融資額は増加傾向にあります。なお、今年度につきましては、令和3年1月までの実績で71件、4億8、889万円となっておりまして、融資額は前年同月比で105%となっております。
 起業支援推進事業費についてであります。起業しやすい環境を整えるとともに、起業家人材を育成することで、県内での起業や起業後の事業拡大の促進を図るものでありまして、具体的には、昨年9月に、県と関係機関との連携により開設しました起業支援拠点岩手イノベーションベースにおいて、起業家の育成や成長を促す取り組みを支援しており、例えば先輩起業家からの講演やディスカッションを行う月例会を昨年10月から5回開催し、延べ230人以上が参加しているところであります。
 また、県内大学生や社会人などを対象に、実践的な起業家教育としていわてイノベーションスクールを実施し、32名が修了しております。さらには、市町村が実施する起業支援の取り組みについては、専門家を派遣してサポートをしており、市町村の希望に応じて今年度は3市町村に派遣したところであります。
 令和3年度も、岩手イノベーションベースを核として、関係機関とも連携の上、起業に関する相談への対応や学びや交流の機会の提供などの取り組みを強化し、起業の準備や起業後の成長を支援してまいります。
〇柳村一委員 この貸付金の件数は伸びているということで、起業に対する意欲も県内では多いことがわかりますけれども、業種別で仕分けとかされているのかどうかお伺いします。
〇関口経営支援課総括課長 済みません。業種別のデータとして捉えたものはございません。ただ、傾向として、ちょっとお答えさせていただきたいと思います。
 起業家育成資金については、資格をもともとお持ちで、例えばわかりやすいのは、理容師、美容師あるいは調理師、そういった方々の場合に、ある意味優遇してといいますか、多少条件をよくしながら貸し付けするようなところも含まれております。したがいまして、起業される方々の傾向とすれば、そういったところの業種、ここは一定程度の固まりがあるのかと思っております。
〇柳村一委員 どちらかというと会社を起こす起業ではなくて、事業をやるほうの起業という解釈でよろしいですね―わかりました。
 あと、それこそ本当の会社を起こすほうの起業の部分では、岩手イノベーションベースが昨年度から始まっていますけれども、ホームページを見ると、3社ぐらいで取り組んでいるような感じだったのですけれども、ここのベースとなる業種、どういう業種を主に担当されているのかどうかをお伺いします。
〇関口経営支援課総括課長 これも、特定の業種の方々の起業家が集まってということは考えていません。さっき委員から、事業を起こす方々と会社を起こす方々ということのお話もありましたが、その区分けはなかなか難しいかと思いますが、ただ、最初は小さくスタートしながら、より大きく会社を発展させる意欲のあるといいますか志向のある方々、こういったところを一般的に起業家という表現もございます。
 そういう方々を中心に岩手イノベーションベースに集まっていただいて、実際に起業をされて、その会社、事業を大きくされた方のアドバイスとか経験をいただきながら、そういう形で長期的に起業家の育成に取り組んでいくという事業であります。
 業種を特定するのはなかなか難しいと思いますが、今までそういう方々の話を聞く機会も何回かありましたが、やはりIT系といいますか、そういうところの業種の方々が、かなり会社を大きくされているという傾向はあるかと思います。
〇柳村一委員 よかった、そっちに進んで。ホームページを見ても、どちらかというとIT。床屋さんとかそっちの方面ではなかったので。
 最近、大学生の起業が結構注目されてきて、東京圏などでも、その起業のための会社ができたりという、まさにそういう動きが出てきているようですけれども、その動きに対して、県は何かお考えがありますでしょうか。
〇関口経営支援課総括課長 県では、まず学生のときから、大学生になりますけれども、そのときから起業家意識を醸成したり、あるいはビジネスプランを策定するための教育訓練といいますか、そういったところを実施していくために、昨年までは国の制度も活用しながら、岩手大学と連携して、いわてキボウスター開拓塾を開催していました。
 令和2年度は、より民間の力もかりつつ、より実践的なそういう起業家塾みたいな形にしたいということで考えて、リニューアルをしまして、一部社会人の受講生なども入れて、いわてイノベーションスクールを実施しております。
 昨年の8月29日に開講し、2月まで毎週土曜日、受講生32名ですが、みんな集まっていただいて、いろいろな講義を受けたり、まさに事業家の方々の経験談を聞いたり、実際に現場に行ってみたりと。最終的なビジネスプランをみんなでつくってみるというカリキュラムの中で実施してきているところであります。
〇柳村一委員 きちんと取り組んでいると思いましたけれども、県内就職の促進と県外大学生を対象にして、I・Uターンによる人材確保に取り組んでおられますけれども、一方、岩手県立大学のソフトウェア情報学部は、半分は県外から入学されていますね。でも、卒業すると、4分の3が県外に出てしまうということで、わざわざ他県に行って就職説明するよりも、向こうからやってきている人材も既にあるわけですね。ですので、こういう岩手県立大学の部分などにしっかり着目して、そういう取り組みと連携しながら、県内就職に向けた取り組みをベンチャーでもいいですけれども、行っていく必要があると思いますけれども、その辺いかがお考えでしょうか。
〇関口経営支援課総括課長 いわてキボウスター開拓塾のときもそうですし、あるいは、今回のいわてイノベーションスクールにつきましても、特定の大学だけに限定しているわけではなくて、岩手大学、岩手県立大学あるいは盛岡大学、富士大学、それぞれの大学生に呼びかけながら、実際に岩手県立大学等からの受講者もあったと記憶しております。岩手各大学の連携できる取り組みなども進めていきたいと考えております。
〇柳村一委員 ぜひしっかりと取り組んで、せっかく岩手県に来た人間を放さないように頑張ってもらいたいと思いますし、あと、イノベーションの担い手として、大学発ベンチャーが、今、期待されているようでありまして、経済産業省が公表した資料によりますと、2019年度把握した大学発ベンチャー企業数は、全国で2、566件です。都道府県別で見ますと、岩手県は企業数24件ということで、全国で21位と、まずまず取り組んでいる県だと思いますけれども、今後の大学発ベンチャーに対する県の考え、何かありましたらお伺いします。
〇小原定住推進・雇用労働室長 県内学生の仕事の仕方ということですけれども、私たちは県内の大学生の方には、ぜひ県内に残っていただきたいということで、まず、県内企業の認知度を高めるということで、それこそ県立大学のITも非常に地元の定着率が低いということでございますので、地元のIT企業を広く知っていただくとかそういう取り組みをしております。
 あと、今、働き方も非常に多様化しておりますので、さまざま起業したりとか、会社を起こしたりとか、最初は小さい規模でやっていて、後々、会社組織にするとか、そういう働き方についても非常に多様化しておりますので、そういう卒業後のライフプランについてはさまざま紹介しながら、県内定着に向けての取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇柳村一委員 よろしくお願いします。この辺が今後すごい注目されてくる部分だと思いますし、ものづくりを一生懸命やっていても、一つの規模がでかいので、それがもし何かあった場合、限りなく岩手県の経済に対する打撃は出てくると思いますので、裾野の広いさまざまな産業振興をお願いしたいと思います。
 次に、中小企業総合的成長支援事業費といわてものづくりイノベーション推進事業費のこれまでの実績と令和3年度の取り組みについてお伺いします。
〇十良澤特命参事兼ものづくり産業振興課長 中小企業総合的成長支援事業費及びいわてものづくりイノベーション推進事業費のこれまでの実績と令和3年度の取り組み内容についてでございますけれども、これらの事業はいずれも、県内ものづくり企業の生産性や付加価値の向上に向け、いわて産業振興センターや工業技術センター等の支援機関と連携し、IoTやAIといった第4次産業革命技術の導入などを総合的に支援しているものでございます。
 今年度の実績についてでございますけれども、中小企業総合的成長支援事業費は、主に企業の経営層を対象としまして、セミナーの開催による機運醸成や、専門家派遣による個別企業支援などを実施しており、これら事業への参加企業は、12月末時点で延べ298社となっております。これら企業のうち、支援を受けた一部企業では、第4次産業革命技術の導入や活用に向けた取り組みが進んでいるところでございます。
 次に、いわてものづくりイノベーション推進事業費は、主に技術者を対象といたしまして、実技セミナーの開催による第4次産業革命技術を使いこなす人材の育成や、県内企業と工業技術センターとの共同研究などを実施しているところでございます。共同研究の中からは、例えば画像処理技術を用いた装置監視技術の開発などといった、製品化へ進む事例も出てきているところでございます。
 令和3年度は、中小企業総合的成長支援事業費においては、専門家による起業指導や導入支援の体制を強化─コーディネーターの増員など─することとしており、また、いわてものづくりイノベーション推進事業費においては、新たに製品開発手法を習得するセミナーを実施するなど、引き続き、県内企業における第4次産業革命技術の導入、活用を促進し、企業の生産性や付加価値の向上に向けた取り組みを支援してまいりたいと考えております。
〇柳村一委員 IoTでいろいろ情報とか集めた後に、AIを活用してという部分で、業種によって使われ方がさまざまになってくると思うのですけれども、その中で、いろいろな中小企業の要望を聞いて、どのようなセミナーをやるかという部分で、AIのコンサルタントやIoTのネットワークのエンジニアの人を探す部分は重要になってくると思うのですけれども、県はどのようなところに対して、講師とかそういうものを頼んでいるのでしょうか。
〇十良澤特命参事兼ものづくり産業振興課長 先ほど申し上げました事業につきましては、いわて産業振興センターであったり、岩手県工業技術センターが中心となってやっておりまして、県が直接やっているということではないのですけれども、一例を申し上げますと、県外でIoTのコンサルタントをやっている方、あるいは、実際に企業として取り入れて成功している事例とか、そういうのをまず皆さんに紹介するということとしております。
 重点的に支援する企業を決めていまして、先ほど委員御指摘のとおり、IoTの導入、AIの導入という順番ではなくて、この企業の課題はどこにあるか、それによってAIを導入するのがいいのか、IoTを導入するのがいいのか、あるいは、あわせて導入すればいいのか。要は、その課題を解決するためにはどれを手法として取り入れていくかと、そういうことを見きわめながら支援しているところでございます。
〇柳村一委員 IoTとかAIの活用は大企業はかなり進んで、企業戦略でやっている部分ですけれども、岩手県のような中小企業が多いところは、なかなか自社でそういうところをやっていくのは大変だと思うのですね。
 知事も前に述べていたのが、いわて県民計画(2019〜2028)の11のプロジェクトは、未来的な内容をすごく入れたけれども、実際の社会経済がもう追いついてきているという部分で、ここの部分、科学とか情報通信の技術を中小企業の人たちにもっと広めていかないと、中小企業の人たちがますます大変な状態になっていくと思いますけれども、今後の科学や情報通信技術に対する県の取り組みについてお伺いして、終わります。
〇十良澤特命参事兼ものづくり産業振興課長 さまざまなところでデジタルトランスフォーメーションという言葉が聞かれております。これは、国の定義によりますと、企業がテクノロジーやデータを活用することで、ビジネスモデルや製品、サービスを変革し、新たな付加価値を創造するということでございます。
 我々が今取り組んでおります、先ほど説明申し上げた事業につきましても、デジタル活用にはなるのですけれども、それを端緒として、将来的にはそういう新たな製品をつくっていくとか、そういうところまで行ければいいと思っております。そういう意味では、デジタルトランスフォーメーションの一翼を担うものだと考えております。
 あと一方では、委員御指摘のありました担う人材に参りますと、御指摘のとおり、中小企業ではなかなか抱えるのが難しいという事情もございます。それから、技術の導入に当たっても、今は大分廉価にはなってきているのですけれども、最初のころはかなりソフトが高いとかそういうので導入できなかったところもあります。中小企業で人材がいないところは、IT系のベンダーだったりそういうところと連携するとか、そういうことも我々は考えていかなければならないと思っておりますので、12月定例会でも申し上げたのですけれども、情報関連産業、いわゆるIT産業の振興も引き続き取り組んでいかなければならないと考えております。
〇城内よしひこ副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。

午後2時45分 休 憩

午後3時2分 再 開

〇城内よしひこ副委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、9人の質問者が予定されております。進行に御協力を願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行します。
〇高橋穏至委員 私からは、移住、定住の促進に関係して質問をしたいと思います。令和2年度の政策評価等の今年度への反映状況というまとめられた課題といたしまして、近年、新型コロナウイルス感染症の拡大により、首都圏の若い世代を中心に地方への移住への関心が高まっていると捉えていると。こういう機会を捉えてU・Iターン施策を推進する必要があるという課題を持って今年度を組んでいると思うのですが、今年度の移住、定住、U・Iターンに対する取り組みの特に新しい取り組み等がございましたら、お知らせください。
〇小原定住推進・雇用労働室長 令和3年度における移住、定住の新たな取り組みについてでございますが、令和2年3月に開設しました就職マッチングサイトシゴトバクラシバいわての求職者の登録者数が増加しておりまして、そのうち1年以内に岩手県内での就職を希望する方が現在406名となっております。この方々を確実に県内に移住促進するために、ジョブカフェいわて内に設置しておりますいわてU・Iターンサポートデスクの人員を1人増員することとしまして、首都圏の相談窓口であるいわて暮らしサポートセンター、そして、岩手県U・Iターンセンターと連携しながら、相談者の対応、それから、職業紹介等の伴走支援について強化してまいります。
 また、国の制度に基づき実施しております地方創生移住支援事業につきましては、国の要件について、23区在住の学生の通学期間を対象にするとか、あとは、テレワーカー専門人材等を対象にするという拡充がございますが、それに加えまして、本県の独自事業としまして、国で定める居住、通勤要件を拡充しまして、過疎地などの条件不利地域を除く1都3県の39歳以下の方に対し、単身で移住した場合は15万円、世帯で移住した場合は25万円を支給する支援制度を新たに実施しまして、東京圏からの移住の拡大に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋穏至委員 この政策に関しては、昨年の決算のときにも取り上げて、令和元年度の評価に関して質問しております。その際に、令和元年度では、いわて幸福関連指標は評価Dだったということの特記事項として、要は、県内の有効求人倍率が下がったので達成できなかったという分析をしておりましたし、また、先ほど、ことしも問い合わせはふえているということだったのですが、本県の職業紹介マッチング、岩手県U・Iターンシステムには情報を掲載しているけれども、新型コロナウイルス感染症拡大の警戒が続いて、2月から3月にかけて相談が減ってきたとか、そういうできなかった理由が並べられているのですが、そのできなかった原因に対する対処というか、そういったものはあるのでしょうか。
〇小原定住推進・雇用労働室長 まず、今年度の移住につきましては、12月現在で、移住者数が806ということで、目標の達成はちょっと厳しい状況になっております。こちらについては、今年度については、やはり新型コロナウイルス感染症拡大の関係で緊急事態宣言もありまして、移住、定住に興味はあるけれども、動けないという方、実際の動きを控える方もいらっしゃいますが、一方で、就職、それから、U・Iターン等の情報収集について、オンラインを活用してさまざまな情報収集したり、相談したりという、そういうことは非常にやり方として浸透してまいりましたので、今後の相談対応については、今、登録している方々について、オンラインでの相談対応等を充実させながら伴走支援に努めてまいりたいと考えております。
〇高橋穏至委員 そのできなかった要因に対する改善策というか、そういうのが出ていないのではないかと。そこの工夫が欲しいのではないかという気がするのですね。
 もう一つには、できなかった前回、達成度Cになった原因には、県内の建設業とか製造、小売、卸売など、新規求職者数が減っているというのを原因に上げているのですが、これとの絡みはどうなるかとか、そういった昨年これまでの事業を振り返って、その対策というのと政策が連動していないのではないかと。いわゆるPDCAが機能していないような気がしてならないのですが、部長、政策のつくり方に関してどう思いますか。
〇戸舘商工労働観光部長 それぞれの施策、事業については、その都度その都度振り返りをしながら、弱いところを補強するという姿勢で取り組んでいるところでございます。特に新型コロナウイルス感染症の関係で、実際の動きにつなげていくことがなかなかできないというところはありますけれども、オンラインを活用したそういう情報収集している方々もふえているということでありますので、しっかりとそこをきっかけとして、移住、定住につなげていきたいと考えております。
〇高橋穏至委員 また9月には令和2年度の決算があるわけで、そのときにまた振り返ると思うのですが、そのときの振り返りに、今の議論がしっかりと生かされた政策を今とっているかというのが、今の議論の中身になると思いますので、ぜひ、できなかった部分と対策と政策がしっかりリンクされて取り組むような事業を組み立ててほしいと。
 何か外的要因に頼ってしまっている。今ここで言いますと、新型コロナウイルス感染症で首都圏の人が岩手県あるいは地方に関心があるという要因を機にやると言っているのですけれども、それに頼り切っていて、結果、数字が上がりませんでしたというのが何となく見えてくるような気がしてならないのですね。そういった意味でも、それに対してどう取り組むかというようなことが必要ではないかと。
 もう一項目は、やはり関連して、女性あるいは若者の県内就職率の向上に向けた取り組みということで、これに対する取り組みは、令和3年度はどうなっていますでしょうか。
〇田中雇用推進課長 女性の新卒者の県内就職の取り組みでございますけれども、令和3年度は、新たに高校生や大学生等を対象に、県内企業への理解を深めながら、女性社員等のキャリアやワークスタイルを学ぶ交流事業を実施するほか、若年女性の就業ニーズが高いにもかかわらず、人手不足となっている医療、福祉、介護などの分野における事業所等の情報や魅力発信によるマッチングの強化などに取り組み、県内就職率の一層の向上を目指していくこととしております。
〇高橋穏至委員 これは全体的な人口問題に関連して、担当は商工労働観光部だけではないわけですが、人口ピラミッドを見ますと、10代後半から20代になって女性がぐっと減るわけですね。要は、県内から県外へ転出して、なかなか戻ってこないので、結局、結婚支援とかさまざまなことをやっても母数が減ってしまいますので、これは将来にとって非常に大きな課題だと思うわけです。そうしますと、県内でしっかりと就職して、岩手で働いて、そして暮らしていただけるかというのが一番ポイントになってくると思って、この政策が非常に大事だと感じているわけです。
 これの事業費は、予算書で出てくるのは、いわてで働こう推進協議会の事業費としては小さいのですが、中身としては非常に重要な事業だと思っております。実際の県内の就職者の割合を数字でどう押さえていいかというのが、私もちょっと分析しかねているのですが、労働局のプレスリリースなどを見ますと、大学とか高等教育では、割合からすると、女子の県内就職率が低いという数字が実は余り出ていなくて、これはどういうことかなと思いながら、もしかすると高卒の段階でその差が出てくるのかなとか、いろいろ私なりにまだ分析しかねているのですが、労働局の資料でも、高卒に関しては男女比という資料がちょっと見つけられなかったのですが、これはどうなっていますでしょうか。
〇田中雇用推進課長 高校卒業予定者の就職内定者の情報でございますけれども、これについては、男女別の情報は公開されておりません。高校生については、男女一本で出ております。大学生については男女別に公表されております。
〇高橋穏至委員 公表はされていないということで、独自に何か調査する必要があるのではないかという気が私はするのですね。そうでないと対策が立てられないのではないか。公表されていないから、その対策はどうなるのかなというのを、データがないと対策も立てようがないという気がするのですね。
 公表されている大卒とか短大とか高専、各種学校、それぞれ男子、女子で出ておりまして、比率を見ても実は、女子のほうが県内高かったりとか、そもそも県内に残る率が低くなることも問題ですが、ただ、男子、女子の割合ではそんなに差がない。では、どこに原因があるかというと、高校から、もしかしたら就職ではなくて大学に行くのも、女子のほうが外に多く出ているかとか、そういったのも一つ分析していかないといけないのかなと思うのです。
 これは県で全部一斉調査は難しいと思うので、例えば、県内市町村と一緒に、市町村にとっても若い女性に定住してもらうのは、非常に大きな課題だと思いますので、そういったところと連携しながら、しっかり調べることが必要だと思うのですが、いかがでしょうか。
〇田中雇用推進課長 委員御指摘のとおり、データに基づいた施策立案が大切になってまいりますので、今後は、労働局のみならず、市町村もしくは関係団体、あとは学校等と連携を図りながら、その辺の状況を確認してまいりたいと思います。
〇高橋穏至委員 ぜひ、しっかり調べていただきたいと思います。私、一般質問でも、北上川バレープロジェクトでも、さまざまな職種で企業誘致しているのですが、もしかしたら男性型企業が多くて、女性が残らないのではないですかというような、女性型の企業誘致とか、そういった職場開拓をする必要があるのではないかということを取り上げたのですが、果たして、それもどういうニーズなのか。それもわかった上でやらないと、施策が空振りになってしまうということもありますので、ぜひ、その分析をしっかりやっていただきたい。これは商工労働観光部だけの仕事ではなくなると思います。企画のほうとかさまざまな戦略に絡んでくるので、いずれにしても一番必要な部分ではないかと思うわけです。
 たまたまですけれども、きょう、来る途中耳にしたのは、兵庫県の豊岡市のコウノトリで有名なところですが、そこが女性の管理職の割合が企業で低い。そのことが、女性がこの地元で就職することのネックになっているのではないかということからアプローチしているという取材がありまして、えっと思ったのですが、要は、地元の企業で、例えば、ただその職種だけではなくて、男女の雇用均等あるいはキャリアアップ、これは管理職の占める割合とか、そういった部分でも魅力をつくることが、これからのまちづくりになるのではないかということで取り組んでいる豊岡市の役所の方が、今こういうことをやっていますというのを、たまたまきょう聞いたのです。そういった意味でも、何が原因で女性が地元に残らないかというのを調べるのは必要だと思いますが、最後、それを部長に聞いて、終わりたいと思います。
〇戸舘商工労働観光部長 課長から御答弁申し上げましたとおり、データに基づく施策の立案は非常に重要だと思っていますが、一方では、データの入手に関する容易性も考えていかなければなりませんので、そこは少し総合的に検討させていただきたいと思います。
 今、豊岡市の例を御紹介いただきましたけれども、そういった女性の方のキャリア形成とかワークスタイルといったことは、岩手県内でもそういった道を歩んでいる女性の方はいらっしゃるわけですので、そういった方々との交流事業を今年度実施することにしております。そういった中で就業前の方々が、自分のキャリアをしっかりとどういうふうにこれからやっていくのかというあたりを見つけられるように、支援していきたいと思います。
〇千葉絢子委員 それでは、私からも質問をさせていただきたいと思います。
 今、高橋委員から御紹介のありました兵庫県豊岡市の事例、私もけさのNHKのニュースで見ておりました。一番印象的だったのは、豊岡市のその若い方が、気がついたら若い女性がまちからすっと消えていた、このフレーズが非常に印象的でした。進学、就職で出ていった女性の4分の1しか豊岡市には戻ってこない。深刻だということで、女性の定住促進に向け動き出しているのですね。新年度から豊岡市は、男女格差の解消へジェンダーギャップ対策室もつくって、働く場とかそういったところから、女性の格差の解消に向けて動き出そうと、本気で取り組もうとしているという内容でした。
 この点もちょっと含めて私もお伺いしたいと思います。質問の順番を変えまして、最初に、大学生を含めました若い人たちの県内就職についてお伺いいたします。
 大学生に対する就職、ライフスタイルに関するアンケート結果、去年の10月に、いわてで働こう推進協議会に資料提供されたものです。この詳細について資料をいただきましたが、ここから見えてくる若者定着を阻んでいる要因について、どのように分析して、新年度の取り組みに生かしていくかお聞かせください。
〇田中雇用推進課長 大学生のライフスタイルに関するアンケートの調査結果から見える課題でございますけれども、昨年8月に県内大学生を対象に実施いたしました大学生に対する就職、ライフスタイルに関するアンケートによりますと、将来、就職したい業種、職種について、女性は本県の人材不足分野である医療、福祉、介護を希望する割合が16.9%と高くなっております。そのうち県内就職希望者が33.7%にとどまっており、大学生等の県内就職につながっていない現状にあります。
 このことから、県内大学出身者で県外に就職した方からその理由をヒアリングしたところであり、今後、その要因について分析し、関係部局等と連携して具体的な対策を検討することとしておりますけれども、まずは、女子大学生の就職希望が多い医療、福祉、介護分野において、事業所等の情報発信や若手職員等との交流の場を設けることにより、マッチングの強化を図りたいと考えておりまして、このことによりまして、女子大学生の県内就職を推進してまいりたいと考えております。
〇千葉絢子委員 実際、県内の学生が県内のそういう大学などに進学する割合は、私は余り高くないと思うのです。しかも、医療系、福祉系の養成校が多いので、県内の学卒者のアンケートをとれば医療、福祉関係になるかもしれませんが、県外に進学した人たちは、やはり民間企業に勤めたいとかサービス業に勤めたい、もっとクリエーティブな仕事がしてみたいという意向を持っています。そのために若い女性が、特に県外に流出していくということが問題になっているのではないかと思います。
 県内の女の子の働く場が、医療、介護、福祉分野に限られてしまうと、私のような者も、県内就職は非常に厳しいと思ってしまうのですね。もっと限定をせずに、県内の人たちが県内に就職するだけでなく、一旦進学で県外に逃げてしまった人たちも戻ってこられるような、そういった分析にこのアンケート調査は使っていただきたいと思います。
 勤務地の志向において、県内への就職を希望している学生は、大学3年生で36.2%なのですね。これ、1年生に入学した時点からほとんど数字が変わっていないのは当部でも恐らく認識しているところだと思います。ただ、県内企業のイメージについてのところが、私は非常に重要だと思っていまして、賃金、福利厚生が余り充実していないと感じている学生が20.3%、知名度が余りない19.5%、この割合が高い傾向にあり、県内に就職しないのだという傾向が見てとれると思います。
 解決策というか、その改善するためにどうしたらいいかというのも、この資料には書いてあるわけですよ。雇用・労働環境の改善と生産性向上を両輪とした働き方改革の取り組みを推進し、県内企業が自分の会社の魅力や価値を高めること、また、高校生や大学生にその企業の価値をしっかりとアピールしていくことが大事と書いてあるわけですが、これは新年度の取り組みにはどのように生かしていくのかというところを、もう一度お伺いしたいと思います。
〇田中雇用推進課長 新年度の取り組みでございますけれども、令和3年度につきましては、高校生の進学者等を対象にしまして、滝沢市内に集めまして、企業を研究できる場を設けたいと考えております。
 また、企業を知る取り組みというところで、県内の大学等に企業等々が出向きまして、企業ガイダンス、交流会を開催しながら、地元企業を積極的にアピールしていきたいと考えております。
 私どもとしましては、来年度高校から就職する方だけではなく、進学して、その後大学を卒業されて、岩手県内の方であれば県内に就職していただく、もしくは県外の方であれば岩手県の企業にも就職していただきたいということから、県内就業・キャリア教育コーディネーターという職員を、来年度、各広域振興局に配置して、高校、大学等へ出向いて、産業界、企業との橋渡しをしながら、地元企業、県内企業の周知等をしていきたいと考えております。
〇千葉絢子委員 一番のネックになっているのは、岩手県内の企業のイメージとして、賃金、そして、福利厚生が余り充実していないという印象を持たれているということなのです。どんなに県内就職をアピールしても、今の大学生はほとんどが奨学金を借りています。月に返済額2万円とかそういうのを抱えていくためには、きちんと賃金が手にできるような企業を望むのは当然だと思うのですね。
 リーサス(地域経済分析システム)で見ますと、1人当たりの賃金が岩手県の場合、全国45位です。では、残り二つはどこかというと、青森県とか秋田県とかです。一つ前は山形県です。東北地方にとって賃金が低いことによる人口流出は、隣の秋田県もこれが物すごくネックになっている問題ですけれども、賃金が低いというのが一番のネックになっています。これは少子化対策にもやはり大きな影響を及ぼしているのがこの賃金だと私は思っておりまして、これは後ほど触れますけれども、そこに商工労働観光部が本腰を入れて取り組まないと、若い女性の県外流出も少子化もとまりません。ここは指摘をさせていただきたいと思いまして、次の質問に入ります。
 1年前からの新型コロナウイルス感染症による失業者等のうち、女性の非正規労働者への影響をどのように県では把握しているでしょうか。
〇田中雇用推進課長 コロナ禍による失業者のうち女性の非正規労働者への影響についてでございますけれども、委員からお尋ねのあった解雇が見込まれる非正規労働者数につきましては、都道府県別や男女別の詳細は不明となっておりまして、私どもとしましては、厚生労働省によりますデータを活用しておりまして、新型コロナウイルス感染症に起因する非正規労働者を含む解雇見込み労働者数につきまして、令和2年2月27日から令和3年3月12日までで全国で9万5、925人、岩手県では735人となっております。
〇千葉絢子委員 私もこの週報の詳細をいただきました。一番多いのが製造業の382人です。そして、その次が宿泊、飲食業の115人、その後に生活関連サービス業の98人、それから、卸、小売の64人と続いております。
 属性とか年代も恐らくわかるはずです。じゃないと、なぜ政府がコロナ禍で困窮する非正規雇用労働者や女性の緊急支援策をまとめなければいけないかというところになってくるのです。この政策議論の根拠になるのは、女性の非正規労働者がこのコロナ禍のあおりを食っているという現実があって、それを岩手県の労働施策を担当する商工労働観光部は詳細に把握していなければいけないと思うのですね。
 そのデータがありませんと言っても、先日来議論になっております緊急小口資金とか総合支援金の申請が例年の3倍になっている。それを考えただけでも余程の世帯が、多くは女性のひとり親が困窮しているという事実は見えてくると思うのです。
 なので、商工労働観光部がふだんの政策の指標などに使っている数字以外にも目を向けて、推しはかって政策をつくっていくことが、私は非常に大事なのではないかと思いますが、この点については、なぜ女性の非正規の労働者がこのような状況に置かれていることを詳細に調査をしない、実態を把握しようとなさらないのかちょっと私はわからないのですが、この点について、部長いかがでしょうか。
〇戸舘商工労働観光部長 私どもとしても、そこは数値としてしっかり押さえたいということで、労働局に対してそこのところを求めているのですけれども、これは公表できないということで教えていただけない状況でございます。
〇千葉絢子委員 では、実際いろいろな支援の相談とかに訪れる県内の事業者に、何となく感触としてどういった方が切られているのか、女性の労働者の50%以上が非正規労働ということを鑑みれば、かなりの世帯が困窮しているのは容易に想像がつくと思うのです。
 こういうときこそ想像力を働かせて支援策を講じていくのが行政の役目ではないかと私は思うわけですけれども、今年度に実施する女性労働施策と事業費の内訳もいただきました。これで、女性に関するものが、ゼロ予算のものが結構あるのですね。いただいた中でも四つです。非正規労働者の正社員転換、待遇改善について、労働局と連携して取り組む事業、無期転換ルールの適正な運用について労働局と連携する事業など、非常に大事な政策がゼロ予算です。これはどうしてでしょうか。
〇田中雇用推進課長 非正規労働者の正社員転換につきましては、労働局で各種支援施策を用意しておりまして、その支援施策につきまして労働局と一体となりまして、県内企業に周知を図りながら活用を促していっているところでございます。
〇千葉絢子委員 それはおかしいですよ。だって、いわてで働こう推進協議会の令和3年度における取り組みについてというところで、女性の活躍推進というので、就職期の女性の県内就業及び地元定着の促進とかそういうふうに書いているわけですね。この県内で働けないと思った女性は、家族を連れて県外移住をしなければいけないかもしれないじゃないですか。その自然減というもの、社会減というものが将来の人口にどのような影響を与えるか。これぐらい、女性に対して流出が問題だと言っておきながら、私は何ら有効な手だてを打てていないのではないかという疑問を非常に感じているわけです。
 男女共同参画プランについても、その職業生活、雇用に関する項目において、課題として上げられている賃金比率、雇用環境について、商工労働観光部はこれまでどのような役割を果たし、改善につながってきていると自負していらっしゃるでしょうか。
 また、今後も努力を要すると認識している施策、それに対する新年度予算額と事業内容について詳しくお示しいただきたいと思います。
〇金野労働課長 県は、これまで県内経済団体に対しまして、雇用の場の確保とか処遇改善等を働きかけるとともに、各種認証制度等におけるインセンティブの付与、こういったものを通じまして、女性の雇用環境の改善に取り組んできたところでございます。
 各種認証制度等の取得状況で見ますと、令和3年2月末で、いわて女性活躍企業等認定制度による認定企業数は224社で今年度87社の増、いわて子育てにやさい企業等認証制度による認証企業数は延べ220社で今年度72社の増、それから、いわて働き方改革推進運動の宣言企業は537社で今年度218社の増となっており、それぞれこの1年間で企業の取り組みが大きく伸びていると把握しております。
 また、こうした取り組みもございまして、本県の女性の決まって支給する現金給与額、これは厚生労働省の賃金構造基本統計調査でございますが、平成27年の20万9、700円から令和元年は22万3、400円に上昇しております。また、この間の男女格差につきましては、平成27年からの5年間で8万600円の差が7万5、100円の差と縮小してきているところでございます。
 また一方で、女性の現金給与額が低いところにつきましては、委員も御指摘いただきましたとおり、女性労働者に占める非正規の労働者の割合が高いことが一因と考えられますので、県では、岩手労働局などと連携いたしまして、県内経済団体に対して、正社員への転換とか処遇改善の促進について、継続的に要請をしているところでございます。
 また、令和3年度は、先ほど雇用推進課長からも話がありましたが、県内企業や各産業への理解促進、それから、岩手で働き・暮らす魅力の発信、新しい生活様式に対応した柔軟な働き方の促進などを取り組みの柱といたしまして、女性の活躍支援に特化した事業費約5、400万円も含みまして、総額102億2、300万円余を関連予算として当初予算案に盛り込んだところでございます。
 こういった事業を有機的に連携いたしまして、女性の働きやすい環境づくりを促進し、みずからの能力を発揮し成長できる職場環境整備に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇千葉絢子委員 るる御説明をいただいておりますが、子供を持てない一番の理由に挙げられているのは、子育てや教育にお金がかかるから、子供を希望する数まで持たないという人たちです。20代、30代、40代の賃金がどのようになっているか。知事も、20代の有配偶率が岩手県は高く、30代の有配偶出生率は全国下位ということをよくおっしゃっているわけですけれども、なぜかというところを分析してみました。
 女性は収入面で20代、30代で大きく変わるのですね。20代で最も多い収入階級は150万円から199万円です。一方30代になると、そのボリュームゾーンが50万円下がるのです。一番のボリュームゾーンは30代で100万円から149万円です。30代は結婚して子供を育てる年代ですね。ここの年代が20代に比べて50万円も年収で低くなっているということはひどいのですよ。
 これは男性に比べると、20代で既に50万円差がついています。30代になると同年代の男性に比べて女性の手取りは200万円少なくなるのです。この状況で、離婚が一番多いのも30代なのですね。その中で女性ひとりで非正規雇用で、子供を本当に産み育てていけると思われますか。労働施策、正規への転換が、私は、少子化対策とか子供の貧困の解決には一番有効な手だてだと思っておりまして、これからどのような人生を歩んでいくか、子供を持つ親たちの世代、そして、子供たち本人に不安のない生活を、岩手県で約束するのが、この行政が果たしていくべき労働施策の原点ではないかと思います。
 この点、男女共同参画プランの指標を見ても、男女の意識の差というか、それが平等であると感じるという人の割合を2025年に30%に上げるというのが、この雇用機会における女性の活躍の指標になっているのです。実際働いている人たちは、それで満足して、岩手県で暮らしたい、子供たちにも岩手県で就職してほしいと思うでしょうか。私は、県の施策は、政策評価、さまざまなレポート、また、予算、決算の審査意見書を見ても、現状と課題はわかっても、今後の施策展開でどう課題解決に向かっていくのか、そのゴールが見えないと常々感じています。
 部局は違いますけれども、女性活躍推進員もそうなのですよ。皆さんの部と連携して、現場がどうやったら女性も男性も働きやすい職場にしたらいいかということを聞き取っているはずなのに、進捗管理は970社回りましたなのですね。そうではないのです。どう施策に生かしていくかというゴールを示さなければいけないと思っています。
 私が最近読んだ本に、日本の少子化対策はなぜ失敗したのかという本があります。これは一体誰の声を聞いて施策展開してきたかというところが、基本がなっていないからだと書いています。皆さんは少子化対策とか労働施策をする場合、その助けを求めている誰の声を聞いて政策をつくっているのでしょうか。
〇小原定住推進・雇用労働室長 私たちは施策を検討するときには、さまざま事業者とか働いている方とか、あとは、私たち労働のほうでは労働組合ともつき合いというかそういうところがありますので、そういう労働組合からも生の声、この前も組合員とちょっと意見交換したときに、やはり非常に非正規の女性が厳しい状況に置かれているという話もございましたので、そういう話を、関係機関、事業者の方、それから、実際雇用されている方等、広く意見を聞きながら、施策を検討しているものでございます。
〇千葉絢子委員 そういった方の声を聞いているのであれば、先ほどの女性の非正規労働者に対して、今どのような影響が出ているかといったところも、労働局の統計を使って男女の別は出ておりませんと、そういう答弁にはならないと思うのです。私はその答弁は余りにもひどいと思っておりますよ。
 5万8、000社ある県内の事業者の中で活躍できなくて悩んでいる何万人もの女性労働者に光を当てる政策を、新年度、補正でも組んでいただいて、そして、令和4年度の予算編成にはぜひ生かしていただくよう心からお願いをして、終わります。
〇千葉秀幸委員 先ほど来、移住等々話が出ていますが、私からは、地方創生移住支援事業費について、まずはお伺いいたします。
 まず、令和3年度には、今回新たに一部新規というところで事業が設けられました。この一部新規の内容は、今まで非常にネックであったしがらみが一つ緩和されたということですが、まずもって、その内容と、それによって期待される効果についてお知らせいただきたいと思います。
〇小原定住推進・雇用労働室長 地方創生移住支援事業費につきまして、令和3年度に緩和された内容についてでございますが、連続して5年以上東京23区内に居住または通勤された方を対象とした国の制度に基づき実施している地方創生移住支援事業に、新たに、居住や通勤要件を拡充し、条件不利地域を除く東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県に居住する39歳以下の方を対象として、単身で15万円、世帯で25万円を支給する本県独自の支援制度を実施するものでございます。
 これによりまして、東京一極集中の是正ということで制度が設けられておりますが、東京23区要件が非常にネックになっておりまして、東京近郊、神奈川県とか、あとは東京都の市部に住んでいらっしゃる、仕事をしていらっしゃる方がこれまで対象になっておりませんでしたので、そういう方々の移住に対する検討の呼び水にぜひしたいと思っております。
〇千葉秀幸委員 おっしゃるとおりで、今まで東京23区で絞られておりましたが、新たに、例えば八王子市とか横浜市とかというところも対象になった。それから、通学期間も県としての移住対象期間に加算されたということで、非常に大きな効果が期待されるのではないかと思っております。
 東京一極集中が問題視されている中にあって、本県にとって移住やU・Iターンを検討するに当たって、大きな支援策になるのではないかと思います。ぜひ、多くの方に活用していただき、まずは周知ですね。情報発信が必要だと考えますが、多くの方に御利用いただくために、追加された支援の緩和されたことを、県はどのように周知していくお考えかお伺いいたします。
〇小原定住推進・雇用労働室長 この新たな支援施策のPRでございますが、それぞれ3カ所ある相談窓口では広くPRしてまいりたいと思います。
 それから、シゴトバクラシバいわて、岩手U・Iターンクラブという当県で持っているホームページ、それから、いわてとつながろうLINE登録等もございますので、そういうところの情報発信手段、あらゆるものを使ってPRしてまいりたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 ぜひともいろいろな事業等を通じて、ホームページあるいはさまざまリンクするように多くの方に周知されることを期待いたします。
 次に、県外人材等U・Iターン推進事業費でありますが、コロナ禍の影響も受け、オンラインでの相談を受け付けているとお聞きしております。それによる相談件数や効果についてお伺いいたします。
〇小原定住推進・雇用労働室長 相談件数の増減についてでございますが、各年度のこれまでの相談件数は、平成29年度が年間で3、263件、平成30年度が3、075件、令和元年度は3、655件となっておりましたが、本年度は外出自粛の影響によりまして、4月から6月の相談件数が首都圏は非常に低調に推移しましたが、テレワーク、地方移住への意識の高まり等もありまして、7月以降については増加に転じまして、12月末日現在では2、721件で、全体としては昨年度と同程度の相談件数となっております。
 4月から6月については緊急事態宣言ということで、窓口がちょっととまってしまうところもございましたが、今はオンラインとかメールを最大限活用しまして、今回も東京は緊急事態宣言がまだ続いておりますが、そういう中でも相談を広く受けられる体制を確保しております。
〇千葉秀幸委員 オンラインを導入しても、それほど多くの件数は増加していないということでありますが、新たな相談方法の窓口が整備されているのであれば、柔軟な対応をとっていただけていることにまずは安心をしたところでございます。
 その相談対応に当たってですが、今の相談窓口は基本的に日曜日休みあるいは祝日休みなので、多くのU・Iターンを検討している方々にとっては、平日勤務していることから、相談に日曜日に行く機会も非常に多いのではないかと思っております。現実そういった声があるのか、また、その対応についてお伺いいたします。
〇小原定住推進・雇用労働室長 相談各窓口の土日祝日の相談対応についてでございますが、県が設置する相談窓口のうち、いわて暮らしサポートセンターは土日の相談も受け付けております。それから、岩手県U・Iターンセンター及びいわてU・Iサポートデスクについても、土曜日の相談に対応しておりまして、三つの相談窓口において相互に連携しながら、休日においても相談できる体制を整えております。
 それから、祝日については、各相談窓口は閉鎖しておりますが、メールでの相談は随時受け付けているというところで、そのあたりについてはPRもしているというところで、柔軟に対応できる体制の構築に努めているところでございます。
〇千葉秀幸委員 わかりました。メールでのやりとりもしているということでしたので、それぞれ日曜日に来られない人が相談できないことがないように、ぜひともよろしくお願いいたします。
 コロナ禍において、相談件数は令和元年度421件とのことでありましたけれども、今年度の相談件数をどう分析されているのか。また、相談者の進路状況をどこまで把握されているのかについてもお知らせいただきたいと思います。
〇小原定住推進・雇用労働室長 相談者の進路状況等の把握についてでございますが、相談者に対しては、首都圏の相談窓口に加えて、ジョブカフェいわての中に設置しておりますいわてU・Iターンサポートデスクにおいて、移住、県内就職が実現するまで継続的に支援しており、進路状況の把握に努めているものでございます。
 ただ、御本人それぞれの事情がございますので、とりあえず情報提供だけでいいから、余り電話をかけないでとかそういう方もいらっしゃるので、その方々の状況に応じながら、こちらとしてはその後どうなったかということについては、なるべく状況把握するように努めているところでございます。
 また、移住の支援段階に応じて、特に具体の市町村のめどが立ってきた方については、市町村において移住支援を行っております岩手県移住コーディネーターに相談者の情報を引き継ぎまして、コーディネーターと連携しながら移住後の当面のサポートを行うなど、市町村と連携しながら、切れ目のないような移住支援をできるように支援機関と連携を強化しているところでございます。
〇千葉秀幸委員 私は、相談を受け付けたのみでなくて、その相談された方がどの進路を選ばれたのかまで把握するべきだと思っております。本県に就職されたのであればそれに越したことはないのですけれども、例えば本県に就職されなかったという結果があれば、その要因等々を踏まえて、この相談体制や本県における課題を知るチャンスでもあるのではないかと思っております。
 課題を明確に知るからこそ新たな事業や体制の整備を図られるわけでありますので、今後、県にはそこまでの把握、個人情報等々もありますが、極力そこまで協力をしていただいて、よりよい制度に向けて情報収集までしていただきたいと思っております。
 それから、岩手県U・Iターンフェアの開催に関してですけれども、そのホームページを私も見させていただきました。参加企業の多くは、建設業、製造業、情報通信業が主であって、担い手不足が深刻化している農業関係の方々の参加が非常に少ないという印象を受けました。ぜひ、さまざまな企業を満遍なく参加させていただきたいと思っております。例えば、もしも説明者がいないのであれば、県で把握するなど、偏りのない業種を招いてイベントを開催すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇小原定住推進・雇用労働室長 岩手県U・Iターンフェアについてでございますが、本県へのU・Iターン就職を促進するため、県と公益財団法人ふるさといわて定住財団と共催して、これまでは東京で開催していたところでございますが、本年度は東京での開催はちょっと困難ということで、オンラインで開催しました。その際、企業は手上げ方式で33企業集まっていただきましたが、そのほかに移住している人の体験談とかいろいろな暮らしの紹介ということで、移住して農業をやっていらっしゃる方の紹介体験談とか、あとは、地域おこし協力隊とかそういうところで活動されている方の体験談も交えまして、なるべく岩手県に来て多様な暮らし方、働き方があることは紹介できるようにということで、今年度の開催については工夫したところでございます。
 今後も、県としてはU・Iターンの就職希望者が、さまざまな分野で能力を発揮して、やりがいを持って働き暮らすことができるように、多種多様な県内企業とU・Iターン就職者とのマッチングの機会を創出することは非常に重要だと考えておりますので、来年度につきましても、オンラインイベント等は、U・Iターンフェアを開催しますので、そのときには広くさまざま1次産業も含めた働き方の紹介であるとか、あとは、会によっては重点分野を設定して、そういう企業にたくさん集まっていただくとか、そういうところの開催の方法については、ふるさといわて定住財団とも調整を進めて検討してまいりたいと思っております。
〇千葉秀幸委員 今後も、貴重なU・Iターンを考えている人にいろいろな選択肢を与えることからしても、満遍なく参加させていただくようによろしくお願いいたします。
 最後に、新型コロナウイルス感染症対策貸付金についてであります。令和2年4月から令和3年1月現在までの貸し付け状況1、218件、額にしておよそ490億円と伺っておりますが、今後の貸し付けの増減、ふえることが主だと思いますけれども、県の認識についてお伺いいたします。
〇関口経営支援課総括課長 今後の新型コロナウイルス感染症対策資金貸付金の増減についてでありますが、過去に実施いたしました東日本大震災津波やリーマンショックを契機とする際の制度融資の1年目と2年目を比較すると、2年目は融資実績がおおむね20%から35%減少しております。
 今般の新型コロナウイルス感染症対策資金については、令和2年度の最終的な融資実績額を600億円程度と見込んでおります。2年目は、それから20%から35%減じた400億円から500億円程度の融資が見込まれているところでありますが、感染症による経営への影響の長期化のほか、国の新しい信用保証制度に対応して制度を拡充することとしておりますので、十分に資金需要に応えられるよう、今年度と同額となる800億円の融資枠を設定し、令和3年度の当初予算案に必要な経費を盛り込んだところであります。
〇千葉秀幸委員 ありがとうございます。やはりまだまだふえそうだということが予測されております。
 しかし、国ではオリンピックをやるとか、あるいはワクチン接種等々も開始されて、徐々にでありますが、経済が回り始めると、これは私が懸念していることですが、これまで借り入れをしていた企業が新たに事業を始めるための設備資金あるいは運転資金を必要とし始めると思うのです。
 そのときに、新型コロナウイルス感染症関連の融資も受けていることで融資枠がいっぱいだということ。そうすると、これ以上貸すことができないことがあるとすれば、これから新たな事業や企業回復に向けた動きを起こすことができなくなってしまうのではないかと心配をしているところでありますが、その辺の県の認識やそれを防ぐための対応策等は考えていらっしゃいますでしょうか。
〇関口経営支援課総括課長 今後、事業者が資金需要が増した場合にという御質問でございます。
 令和3年4月から、先ほど御答弁申し上げました新型コロナウイルス感染症対策資金について、国が創設された信用保証制度に対応するよう制度を拡充しております。融資限度額を最大で1億2、000万円、従前は8、000万円でございました。1億2、000万円とした上で、取り扱いを継続することとしております。経済回復後における事業者のさまざまな資金需要にも十分対応できるものと考えております。
 さらには、融資だけでなく、国が新たに行う中小企業等事業再構築促進事業などの補助制度の活用も促しながら、事業者が必要な資金を調達できるよう、商工指導団体や金融機関と連携して支援していく考えであります。
〇千葉秀幸委員 わかりました。今後も、融資もさることながら、新型コロナウイルス感染症関連での融資先、例えば企業管理、償還計画等々含めて、そういった管理がこれからは求められてくるのかと思います。これは基本的に金融機関が行う業務ではありますけれども、その管理に県はかかわっていくのか、あるいは支援策が新たにあるのかについて伺いたいと思います。
〇関口経営支援課総括課長 融資を受けた事業者の債権管理については、融資を行った金融機関が行うものでございまして、県の役割としては、事業者が事業継続を図りながら約定どおりの返済ができるよう、本業の立て直しに向けた支援を行うことと認識しております。
 県ではこれまで、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業者を支援するため、商工指導団体や産業支援機関等と連携し、国の支援制度の利用促進に向け、制度の周知や各種補助金の申請手続のサポートを支援してきたところであります。
 令和3年度においては、国が新たな補助制度、先ほどもお話ししましたが、中小企業等事業再構築促進事業を創設することを踏まえ、これまでの支援に加え、商工指導団体が行う専門家派遣や産業支援機関への経営支援スタッフの配置に必要な経費の予算を今定例会に提案しているところでありまして、県内の多くの事業者が、当該補助制度を含めさまざまな支援策を活用できるよう、商工指導団体と連携して支援してまいります。
〇千葉秀幸委員 ぜひ、融資額をふやした、あるいはお金を貸したから終わりということではなく、本当に求められるのは、今現在も苦しい状況が続いておりますが、これから回復に向かったときにどういう支援策として支えてあげられるかというのも非常に大事になってくると思いますので、そこも含めて今後の取り組みをよろしくお願いします。
〇武田哲委員 私からはコロナ禍における事業者支援について、まずお伺いいたします。
 補正予算で通ったものですけれども、地域企業経営支援金支給事業費補助金について、ちょっとお伺いいたします。この補助金を考える上で、どういった効果を狙って、どのように考えたのか、もう一度詳しくお伺いしたいと思います。また、運用規定ですね、支給要件などを含めてちょっとお伺いしたいと思います。
〇関口経営支援課総括課長 地域企業経営支援金支給事業費補助金についてでありますが、宿泊業や飲食業を初めとした県内の中小企業者に対する県独自の支援策として、厳しい状況にあっても、感染症対策に取り組みながら事業を継続しようとする事業者に対し、1店舗当たり40万円の支給をしようとするものであります。
 金額については、これまで実施しました家賃補助の上限額10万円の3カ月分に、感染症対策補助の上限額10万円を上乗せした額に相当するものとして設定したところであります。複数店舗がある事業者には、1事業所当たり個人100万円、法人200万円を上限とし、店舗数に応じて支給することとしておりまして、事業者の規模にも配慮しております。
 また、対象業種については、緊急事態宣言に伴う消費者の行動自粛により深刻な影響を受けている飲食業や宿泊業、小売業、サービス業といった業種を対象とするとともに、県の家賃補助や国の家賃支援給付金を参考にしながら、1カ月の売り上げが前年同月比で50%以上減少している、または、3カ月の売り上げが前年同期比で30%以上減少していることや、感染症対策に取り組んでいることなどを要件としております。
〇武田哲委員 支給要件ですけれども、その前年同月比は、2019年、2020年どちらでしょうか。
〇関口経営支援課総括課長 今回の支給要件となります売り上げの前年同月の比較の月については、まずは、今年度の11月から3月までの売り上げとその前年の売り上げの比較が原則、基本的な考え方であります。
〇武田哲委員 2019年11月から2020年3月まで。対象月がそうなるのですか。
〇関口経営支援課総括課長 済みません、ちょっとわかりにくくて。2020年11月から2021年3月までの売り上げとその1年前の売り上げとの比較ということでの要件の判断でございます。
〇武田哲委員 そうすると、2020年11月と12月。要は、この要件をほかの事業者の人にちょっと話したときに、私もこの質問の意図を聞かれた方に、対象年はいつですかと聞いたのですね。そうしたら、去年の1月から3月ですという話だったのです。ところが、そうすると一番影響があるとき、新型コロナウイルス感染症の感染者が出始めたときですね。それが対象月で、そして、現在の売り上げで報告するのであれば、全く意味がないのではないかと思ったのです。
 要は、2019年度ですね。新型コロナウイルス感染症の発症が確認されたのが2019年12月8日ですね。そして、国内で最初の感染例が発見されたのが2020年1月3日です。岩手県では7月29日ですけれども、県内の事業者がいつから影響を受けたかというところの判断ですね。そのときに全く順調だった、インバウンドの効果もたくさん出ていたところを対象月、要は被害がなかったところで考えていかなければならないのではないかと思って、ちょっとそこのところをもう一度詳しくお願いいたします。
〇関口経営支援課総括課長 委員お話のとおりに、確かに国内で新型コロナウイルス感染症が発生したのは1年以上前の12月であるとか、あるいは、岩手県においても新型コロナウイルス感染症が発生したのは去年であるとかということではありますけれども、実際に事業者が今回の新型コロナウイルス感染症による影響を強く受けているのは、ちょうど1年くらい前程度だったと私どもは認識しております。
 したがいまして、先ほど御答弁申し上げましたが、現時点では、新規の申請を3月末ごろから予定しています。それの直近、いわゆる11月からと今回はしておりますが、年末年始にかけて新型コロナウイルス感染症の影響を受けて大きく売り上げが減少している事業者が多い状況であります。その売り上げと、新型コロナウイルス感染症の影響を受けていない1年前の売り上げとの比較ということになります。
〇武田哲委員 要は、今回のいただいたアンケートにもありますね。令和3年1月の調査結果を取りまとめましたということでアンケートをいただきましたが、一番最後の宿泊業の自由記載のところにあります。前年の1月が余りにも業績が悪かったため、前年とほぼ同じと回答しましたが、通常の年と比較した場合は4割程度の売り上げにしかなっていません。2月の予測についても同じですという記述がありますね。
 ですから、対象月をしっかりと知らせないと、要は、比べるところが、影響が出始めたところを見ても、全くもらえない事業者が出てくるのではないですか。その点についてはどのようにお考えですか。
〇関口経営支援課総括課長 基本的な考え方は先ほど申し上げたとおりであります。ただ、アンケートに記載していただいた事業者がどういう状況であるかということは、なかなかはかり知れない部分もございますが、基本的には、要は新型コロナウイルス感染症の影響を受けていなかった月と受けている月との売り上げ比較という判断が基本的な考えでありますので、いろいろな事業者の状況等をいろいろお聞きした上で、どういう対応、判断ができるのかというのは考えていきたいと思っています。
〇武田哲委員 私もきのうその質問の意図をというところで、対象月はいつですかと言ったら、去年という話が出たのでびっくりしています。ちょうどこの予算審議の中で、事業者が本当に苦しんでいるのだ、貸し付けのことをきちんとやらなければならないのではないかというのが審査されていたのが去年でした。
 去年のその時期を対象月に考えるのであれば、全く意味がないのではないかと思ってですね。今回のこのアンケートにもあるように、影響が既に出ていたというところに問題、課題があるのですよ。そうすると、もらえない事業者が出てくるのではないですか。どうですか。
〇関口経営支援課総括課長 確かに、まれなケースとしてそういう事情、実態もあると考えられますが、多くの事業者については、我々も調査をしている3月のところで大きく落ちているということです。加えて、11月から飲食店等でクラスターが発生したという事情もあって、さらに11月から売り上げが大きく減少していると。特に我々とすれば、3月の状況はまだわかりませんけれども、11月以降、売り上げがかなり減少しているものと思っています。これと、その1年前の比較の中で、今回の要件に合致すれば支給ができるものと考えております。
〇武田哲委員 いずれにしましても、対象月を影響がないところに持っていかないと、もらえない事業者が出てくるのではないですか。要は、宿泊の事業者の方々が一番苦しんでいるのは―宿泊の事業者だけではないですよ。そこに関連する事業者もたくさんいるわけですよ。わかりますか。
 要は、魚の市場に行ったときに、ちょうど初競りのときに行きました。ところが、魚のほうは初競りを全くやっていなかったわけですね。青果のほうだけやっていました。魚のほうの方々に聞いたら、いや、本当に困ったと。私から見れば家賃ですが、市場の家賃が払えないのだと。氷を使うにしても、要は施設利用料という名目で家賃補助を受けられないわけですよね。ましてや、GoToトラベルがとまってホテルに納める魚とかそういったものの引き合いが全くなくなってしまった。その施設利用料を払うだけでもいっぱいいっぱいで、従業員の給料も、もう言葉にならないような話をしていました。
 本当にそういった細かいところまで見ていかないと、岩手の食も守れない、ましてや宿泊事業者も守れないということにつながっていきませんか。しっかりと払えるようにしていかなければならないと思いますけれども、そこの対象月について、影響のないところだけで見ていかなければならないと思いますけれども、その点についてもう一度伺います。
〇戸舘商工労働観光部長 新型コロナウイルス感染症の影響で事業者の事業経営に強く影響が出始めたのは昨年の3月と私ども認識しております。そして、今回、11月から3月としていますけれども、影響が出ていないところとの比較ということであれば、11月から2月というふうに比較することもあり得るわけですが、できるだけその範囲を広くとって、その中で任意の継続する三月、あるいは任意のどこか一月というふうに、これは対象事業者をできるだけ広くとるためにその4カ月といたしましたので、そこは御理解いただきたいと思います。
〇武田哲委員 いずれにしましても、何のためにアンケート調査しているのですかね。この中にきちんと書いているではないですか。昨年の1月が余りにも業績が悪かった。要は、新型コロナウイルス感染症が出たおかげで中国からの人たちも入ってこなくなったのですよ。2019年12月に初感染が確認されてから入ってこなくなったのですよ。インバウンドも何も期待できなくなる動きがあったのですね。そこのところをきちんと頭に描きましょうよ。効果のない月3カ月、すごく微妙なところです。しっかりとその対象月を見ないと、支給要件に満たないところが出てくるかもしれません。全く話にならないですよ。
 少しでも救おうとしなければならないのではないですか。そのための今回の補正予算で出てきた話ではないのですか。そこのところをしっかり見ていかないと、事業者支援に全くならないと思います。本当にちょっと驚いたなというところですので、これから要件をしっかりとつくっていくと思いますので、その影響をどういうふうに見ていくかきちんと考えていただきたいと思います。
 次の質問ですけれども、新型コロナウイルス感染症の長期化が見込まれる中で、今後、どういった支援策を考えていこうとしているのか、その点をちょっとお伺いいたします。
〇似内商工企画室企画課長 今後、どのような支援に力を入れるかという御質問でございます。
 今年度は、事業者の事業継続と雇用の維持を図るため、資金繰りの支援、感染症対策に要する経費の補助、県産品の消費拡大、観光需要の喚起など、感染防止を徹底しながら、経済社会活動をさせる取り組みを進めてきたところであります。
 今後は、感染症対策を徹底しつつ、買うなら岩手のもの運動などによる消費喚起策等を引き続き展開していくほか、特に、コロナ禍に対応し、足腰の強い産業構造への転換を図るための本業支援に力を入れていきたいと考えております。
 具体的には、商工指導団体、産業支援機関等と連携した支援体制を構築し、中小企業者における新しい生活様式に対応したビジネスモデルの構築、県内中小企業者に対するIoTやAI等を活用したビジネスモデルの転換や生産技術の高度化支援、人材育成、テレワークの導入に要する経費の助成による県内企業における働き方改革と生産性向上の促進などの取り組みを推進していくこととしております。
〇武田哲委員 ちょうど午前中の審議で、吉田敬子委員もアンケートのことを取り上げておりました。それで、このアンケート調査で、このアンケートに答えている企業の方々が一番多いのは、景気回復施策というところがずっと1位ですよね。この景気回復施策がずっと1位なのを見てきて、足腰が強いどうのこうのって、その前にここをやらなければならないのではないですか。事業者の方々が望んでいるのはここが一番ではないのですか。そこのところはどのように考えているのでしょうか。
〇似内商工企画室企画課長 消費喚起策というところが委員御指摘のとおり、アンケートでも多く望んでいることは県も承知しております。ただ、先ほど経営支援課総括課長が答弁申し上げたとおり、まずは支援ということで40万円の部分の補正予算を組んだところでございます。消費喚起策につきましては、予算のところ以外でも、買うなら岩手のもの運動という取り組みは来年度も引き続き進めていきます。この部分については重要なものでございます。
 一方で、コロナ禍ということで、新しい生活様式に対応した形でのビジネスモデルの転換も求められているところであります。ですので、消費喚起策とあわせて、本業支援のところにも力を入れていかなければいけないと思っておりますし、国でもそういう取り組み、補助金の制度も設けております。この国の補助金制度の活用も図りながら、コロナ禍に対応した支援ということにあわせて取り組んでいきたいと考えております。
〇武田哲委員 景気回復施策を何やるかというところを伺っています。これはつい最近出てきた話ではないです。このアンケート調査が始まってからずっとですね。どこを見ているのでしょうか。
 よく知事は国が国がと言います。しかし、ほかの県では、先ほど佐々木努委員も言っていました。他県でやっていること、いろいろ動きがありますね。何でやらないのですか。やらずにこのまま企業はもつのでしょうか。本当に国だけが支援する立場ではないと思いますよ。その流れてきたお金を血のようにしっかりと岩手県内に流すのが皆さんの役目ではないでしょうか。このままでいくと滞ってしまいますよ。みんな末端は潰れていきますよ。本気で考えてもらいたいと思います。
 まして、ちょうど通告していた四つ出しましたが、最後のところですけれども、日本酒や焼酎のユネスコ無形文化遺産の登録というところがあります。今、日本酒と言いますけれども、酒造組合、そういったところには今の状況をきちんと聞いていますか。どうでしょうか。
〇橋場産業経済交流課総括課長 新型コロナウイルス感染症を受けて酒造組合との意見交換というか、状況を把握しているかということですけれども、定期的にといいますか、私どもの課で担当が訪問して、状況などは逐次伺っているところで、なかなか厳しい状況にあるのは承知しているところでございます。
〇武田哲委員 厳しいどころの状況ではないですね。酒造組合で、これまで酒づくりをやってきて、日本酒を仕込んできて初めて令和2年度産を2、000俵持ち越したと。要は、消費されないから仕込むわけにいかないのですよ。消費されないのを見越して仕込むわけにいかないです。消費動向がしぼんでいるわけですから。2、000俵ですよ。酒造用玄米と加工用米各1、000俵ずつ持ち越ししたのですよ。仕込むのをやめているのですよ。それだけ消費が減退しているのです。
 そして、日本酒や焼酎はユネスコの無形文化遺産登録を目指すとなっています。この経済効果を、国も一生懸命やっています。一緒になってこの経済効果を発揮しなければならないのではないですか。南部杜氏は全国各地に行って仕事をしています。これこそ岩手県が旗振り役になって一生懸命進めなければならないのではないでしょうか。そこのところが今回の予算には全く見えてこない。これで大丈夫でしょうか。
〇橋場産業経済交流課総括課長 日本酒や焼酎の文化資源をユネスコの文化遺産に登録ということで、さきの首相の施政方針演説でも表明のあったところです。実際に登録されますと、2013年に同じく無形文化遺産に登録された和食とあわせて日本の伝統的な食文化の魅力を国内外に発信することにつながりまして、輸出促進やインバウンドを含む国内の消費拡大につながると期待されます。
 委員からお話のありましたとおり、特に本県は国内最大の杜氏集団、南部杜氏の発祥の地でございますから、日本酒の醸造技術の継承に大きな役割を果たしてきているということで、この登録により本県の日本酒のブランド価値が一層高まることも期待されます。
 報道によりますと、登録は早くても2024年ということでございますが、県としましては、本県日本酒等の文化的背景や魅力を国内外に発信することで、一層の消費拡大を図っていくことといたしております。
〇斉藤信委員 私も新型コロナウイルス感染症による県内事業所への影響と対策についてお聞きいたします。
 事業者の影響、売り上げの減少、主な減少率の大きい業種、これを示してください。
〇関口経営支援課総括課長 事業者への影響、売り上げ減少の状況についてでありますが、商工指導団体と連携し、経営状況等について毎月アンケート調査を行ってきたところであります。直近の1月末時点の調査において、1月の売り上げ実績について集計しましたところ、前年同月期と比較し、0%から20%減が38%、21%から40%減が30%、41%から60%減が18%、61%から80%減が8%、81%から100%減が4%となっております。41%以上の減少の割合は、計で30%となっている状況であります。
 業種別の状況でありますけれども、特に、前年同月比40%以上減のところで捉えますと、1月末時点の調査で、飲食業が49%、宿泊業が58%、運輸業が48%と、これらの業種について特に厳しい状況が続いているという認識であります。
〇斉藤信委員 今、答弁があったように、41%以上の売り上げ減少が、1月は全体では30%だった。これは、12月は26%でしたから、1月が悪化したということになります。その中で一番影響があったのは宿泊、41%以上売り上げ減少が58%です。そして、飲食が49%、運輸が48%。
 そこで、今までも議論になったので、私は、地域企業経営支援金支給事業、いわゆる1店舗40万円の新たな施策。これは全体としては積極的な施策です。県として初めて直接支援を行うということですからね。これは積極的な施策だけれども、いわば売り上げ減少の業種に対応しているかということが一番の問題なのですよ。一番売り上げ減少が大きい宿泊業に対して、1店舗当たり40万円だったら、これは支援にならないのではないかと。これはいかがお考えですか。
〇関口経営支援課総括課長 地域企業経営支援金支給事業についてであります。首都圏等で緊急事態宣言が発令されている中で非常に厳しい経営状態が続いている県内事業者の方々に、できるだけ速やかに給付を実行する必要があるという点を最優先に制度設計したものであります。事業者の事業規模に配慮しており、複数店舗がある事業者には1事業所当たり個人100万円、法人200万円を上限とし、店舗等の数に応じて支給することとしており、できるだけ個々の事業者の営業実態に沿って運用していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 答弁になっていない。それは、私が議案に対する質疑で聞いた答弁そのままです。いいですか、1店舗当たり40万円という、あなた方の基準は飲食店の基準なのです。宿泊ホテルには対応しない。売り上げの規模が違うのだから。だから実態に合わないでしょうと言っているのです。一番打撃を受けている宿泊に対しては、この基準では十分な対策にならない。私、この制度設計で言うのだったら、個人事業主は最大100万円、法人は200万円だから、ぎりぎり宿泊には200万円補助すると。私は、今の制度ぎりぎりでこういう運用ができるのではないかと思います。
 これは部長に聞きましょう。売り上げの減少が一番大きくて、売り上げの規模も大きい宿泊に対して、あなた方のスキームから言って、私は運用を、この法人200万円という定額補助を宿泊にすべきだと思いますが、部長いかがですか。
〇戸舘商工労働観光部長 先ほど、経営支援課総括課長から、店舗数に応じてということで答弁をさせていただきましたけれども、複数店舗等がある事業者には、その店舗等の数に応じて支給することとしております。これまでも感染症対策補助などは、同じ施設の中でも、営業区画が独立している、そういう営業をしている場合には、それぞれ1店舗として取り扱うということで、事業規模の大きい事業者に配慮してきたところであります。
 例えば宿泊事業者で言いますと、新館と別館を持っている場合には2店舗として扱うという、そういう仕組みにしておりますので、御理解いただきたいと思います。
〇斉藤信委員 飲食店は、席が10席、20席でしょう。ホテルはどうですか。私は、全然基準が違っていると思いますよ。そして、一番打撃を受けているのですよ。先ほど言ったように、41%以上の売り上げ減少が58%ですよ。先ほど高橋但馬委員が具体的な実態も言いましたね。やはり一番打撃を受けているところに、実態に合って、私の提案は極めて具体的なのです。あなた方のスキームで運用を変えて、法人の最大限度200万円というのを、宿泊業者には定額200万円ということで、私は運用を見直せば速やかに、難しいことなくこれを実施できるのではないでしょうか。
 これは部長にもう一回聞きましょう。飲食店とホテルの規模は10倍20倍以上、もっと違いますよ。運用を見直せば、今のスキームでできるのではないですか。それを検討すべきではないのですか。
〇戸舘商工労働観光部長 事業規模への配慮として、店舗数等に応じてということで、営業区画が独立して営業している場合には、それは複数として扱うということでありますので、宿泊施設も事業者によってさまざまな経営形態がありますので、そういったところで、先ほどの答弁のとおり、棟が複数ある場合には、複数店舗として扱うことができるという運用をしようと考えております。
〇斉藤信委員 棟と言っても、8階建てもあれば10階建てもあるのですよ。そんなのではだめなのですよ。
 例えば民宿とホテルは、例えば100万円と200万円にするとかというのはありますよ。しかし、何百室と確保しているホテルを飲食店の基準で40万円というのは、全く実態に合わない。そのぐらい柔軟性を持ってやるべきではないですか。予算が足らなかったら、補正したらいいのではないですか。地方創生臨時交付金は来年度40億円残っているのですよ。せっかくの今回の地域企業経営支援金支給事業、直接補助に踏み込んだ。1店舗40万円と、私は積極的だと思います。飲食店にとっては積極的だ。しかし、ホテルや宿泊にとっては、これでは何ともならない。そこを最大限やはり運用を見直してやるべきではないですか。部長、本当にそう思いませんか。私の言っていることは無理がありますか。私は極めて柔軟なことを言っていると思うけれども、どうですか。まだ実施されていないのだから、運用を見直すことは可能でしょう。検討すべきではないですか。
〇戸舘商工労働観光部長 限られたこの財源の中でできるだけ多くの業種、そして、できるだけ多くの事業者の皆様に支給したいということでこういった基準を設けたものでありますので、御理解賜りたいと思います。
〇斉藤信委員 商工労働観光部長の岩手県の経済を担う部長としては、極めて残念な答弁だ。ホテル、宿泊業界の痛みが残念ながら伝わらない。私も関係者に聞いていますけれども、もう融資は限界なのですよ。融資というのは返さなくてはならないのだから、いつまでも融資融資でつなげない。もう1年つないできたのですよ。
 そして、この第3波で、今、今まで以上の打撃を受けているのですよ。きょうは、東京都は409人の感染者が出ていますよ。まさにリバウンドで、これは景気対策と言うのだったら、本当は感染を徹底してなくすことです。これ以外に景気対策はないですよ。感染が広がっているとき、岩手県がいくら感染者が少なくたって、全国の影響を受けるのだから、県の独自の努力は限界がある。本当の景気対策は感染をとめることです。残念ながら、今の菅政権は後手後手だ。それは指摘をしておきますよ。
 そういう点で私は、業種、業態、運輸も対象になるのですか。
〇関口経営支援課総括課長 今回の支援金の対象業種については、運輸業も含まれております。
〇斉藤信委員 では、タクシー会社は何台持っていても40万円ですか。
〇関口経営支援課総括課長 今回の支援金については、店舗等施設数に応じて支給をするということでございますので、車両を施設と判断することは難しいかと考えております。
〇斉藤信委員 そうすると、せいぜい営業所単位ですね。
 私は、運輸、バス、これも実態に合わないと思います。ホテルと同じです。せめて、100万円、200万円という、こういう業種には実態に合わせた支援策にして、不公平感が出ないようにすべきだと。せっかくいいことも、こういう弱点、欠点があると、何だということになるのですよ。私は積極的に全体としては評価しています。しかし、この欠点をできるだけ補っていただきたい。
 これは3月末からということを言っているのですけれども、きょうの皆さんの議論を踏まえて、部長、ぜひ検討してください。
〇戸舘商工労働観光部長 さまざま御議論いただいたところでありますので、どういった形でこの要件のところを運用するかというのは、まだ細部を完全に決め切ったわけではありませんので、そこは検討をさせていただきます。
〇斉藤信委員 部長、今度は、また違ったところに行くそうですから、立つ鳥跡を濁さずで、立派な仕事をして、新しい部署で頑張っていただきたい。よろしくお願いしたい。
 次に、東日本大震災津波からのなりわいの再生の現状と対策についてもお聞きいたします。
 被災市町村の商工団体会員事業所による被害状況調査の結果はどうなっているでしょうか。どれだけ再建をして、どれだけ廃業になったのか。直近のデータで示していただきたい。
〇関口経営支援課総括課長 被災市町村における商工団体会員事業所の被害状況調査によれば、令和3年2月1日現在の状況でありますが、被災事業者4、341者のうち、営業継続、再開が2、976者、営業未再開が15者、休業が26者、転出が76者、廃業が1、237者となっております。
〇斉藤信委員 商工団体の調査によると、被災した事業者の再開は68.6%です。これは2カ月、3カ月ごとの調査ですけれども、残念ながら微減をしています。そして、廃業が28.5%、これは微増しているのですね。
 再開したのは68.6%で、例えば陸前高田市は50.2%です。山田町が54%、大槌町が54%。被害が大きいところは半分ぐらいしか再開できていない。だから、私は、こういう実態を見て、再開したところが営業継続できるような支援をぜひ強めていただきたい。
 次に、岩手県の場合には、仮設施設での、特に商業者の場合には営業再開がたくさんありました。どれだけの仮設入居者が、現在、本設移行しているのか、廃業の数も含めて示してください。
〇関口経営支援課総括課長 令和2年6月末現在で、仮設に入居している商業者の数ですが、9者となっております。
 商業者の仮設からの入退去の状況についてであります。これは令和2年12月末現在であります。これまでの入居実績が731者、退去者は722者となっております。
 退去者のうち、仮設施設の再譲渡を受けた商業者を含めて本設移行した商業者は572者となっております。廃業等その他理由により退去商業者は150者となっております。
〇斉藤信委員 この仮設施設については、丸10年間しっかりこの施設での利用が保証されたということは、私は、岩手県にとっては、いち早く再開して本設移行に結びつけた大変大事な取り組みだったと思います。
 最後の質問になりますけれども、なりわいの再生は、今、道半ばであり、新たな困難に直面をしています。特に水産加工業についてお聞きします。東日本大震災津波、大不漁、そして、今の新型コロナウイルス感染症、この三重苦のもとで、水産加工業は原材料の不足と原材料の高騰、そして、販路の困難、新型コロナウイルス感染症による需要減と、大変な状況になっていますけれども、この現状、そして、打開策はどのようになっているでしょうか。
〇関口経営支援課総括課長 なりわいの再生に向け、事業再生計画の見直し、販路開拓、商品開発など事業活動において生じるさまざまな課題があったところに、新型コロナウイルス感染症の影響も受けており、これらへの対応が急務となっております。
 新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業者が、国、県の支援策を活用し、新しい生活様式に対応したビジネスモデルの構築、あるいは生産性の向上等に向けて主体的に取り組めるよう、商工指導団体、産業支援機関等と連携し、事業計画の策定を支援する中小企業再生支援事業を令和3年度当初予算に盛り込んだところであります。
 また、新商品の開発や販路開拓に取り組む事業者には、県や国のアドバイザーを派遣するとともに、商談会などへの出展を引き続き支援することとしております。
 さらには、沿岸広域振興局において、大手コンサルタント会社の協力を得ながら、経営指導や事業者への助言などを行うとともに、水産加工業等に対する改善と生産性向上に対する取り組みを支援することとしております。引き続き、商工指導団体、産業支援機関等と連携し、事業者の経営課題解決に向けてきめ細かに支援してまいります。
〇斉藤信委員 1月に議会で、釜石市の津田商店の社長を呼んで、水産加工業の実態を私たちも教えていただきました。そのときに、この大不漁の状況について、大変深刻に受けとめていると。実は、今、漁獲量のトップスリーが変わっているのだと。平成21年度は、サケ、サンマ、スルメイカ、これは今でも主要魚種です。令和元年はマイワシ、サバ、ブリだというのです。いわば南の魚がどんどんこっちに来て、今までとれた魚がとれなくなってきている。大変な大不漁であります。
 そこで、魚種転換が求められているのですね。要は、とれる魚で勝負する、これも大変大事なことです。ただ、津田商店の社長はこう言いました。業種転換と言ったって、今の設備、機械がそのまま使えるわけではないのです、新たな設備投資が必要なのですと。新しい今とれる魚で勝負しようと思ったら、新たな設備投資に対してグループ補助並みの支援をしないと、苦境に陥っている水産加工業者は、新たな展開は難しいのではないかと。この魚種転換に対する新たな支援策が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇橋場産業経済交流課総括課長 魚種転換に係る設備投資のお話がございました。現在のところは、国の各種補助制度の導入とか、設備対応事業の活用などを促しておりますほか、岩手県産業創造アドバイザーの派遣によります商品開発とか販路の開拓を支援しているところでございます。
〇斉藤信委員 グループ補助を受けて再建をした事業者で震災前の売り上げに戻しているのは全体で44%、水産加工で言うと33%なのですね。だから、厳しい状況の中でも3分の1の事業者は震災を乗り越えて頑張っている。一つの特徴はやはり通販ですよ。今、巣ごもりで、すぐ食べられる、そういうところに直接販売するという、こういう工夫が大変成功していると言う。厳しい中でもどういう形でここを乗り越えているかというすばらしい事例などもよく研究して、グループ補助というのは会社の共同で地域の経済を立て直そうということです。この趣旨も踏まえて、沿岸被災地の基幹産業である水産加工業の本格的な再生に向かって取り組んでいってほしい。
 最後に、一言だけでいいですから、部長よろしくお願いします。
〇戸舘商工労働観光部長 魚種の転換等については、国の設備投資への助成制度であります水産バリューチェーン事業とか、復興水産加工業販路回復促進事業といった事業もございますし、経済産業省系では、ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業など、国の事業でさまざま使えるものがありますので、その辺の周知を図りながら支援をしていきたいと思います。水産加工業者の中には、新商品開発あるいは業態転換ということで、そういったことに積極的に取り組んで経営改善を図って、そして、成果を上げている企業もいらっしゃいますので、こういった業者がふえていくように、引き続き支援してまいります。
〇城内よしひこ副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。

午後4時46分 休 憩

午後5時7分 再 開

〇岩渕誠委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇千田美津子委員 今年度、新型コロナウイルス感染症の影響によって全国の中小企業の倒産件数は、負債額1、000万円以上で792件、産業別では飲食業や宿泊業を含むサービス業の倒産が最も多く、建設業、そして、小売業と続いております。
 そういう中で県内の中小企業の倒産、廃業はどのような状況でしょうか。
〇関口経営支援課総括課長 県内で倒産、廃業した事業者の推移についてであります。
 今、委員御紹介のとおり、東京商工リサーチの調べでお答えさせていただきたいと思います。令和2年1月から12月末までの1年間の県内事業者の倒産件数は42件で、昨年比と同数となっております。そのうち新型コロナウイルス感染症の影響により倒産した件数は6件となっております。
 また、令和2年1月から12月末までの県内事業所の廃業、これについては厚生労働省が取りまとめております雇用保険の届け出状況によるものでお答えさせていただきたいと存じます。事業所の廃業は802事業所で、昨年比27事業所の増でございます。新型コロナウイルス感染症の影響によって廃業したかどうかというところまでは、ちょっとデータとしてございませんので、控えさせていただきます。
〇千田美津子委員 1月から12月までの倒産件数が42件、前年と同数とは言われましたが、やはり新型コロナウイルス感染症による影響で倒産が6件であります。それから、廃業事業所が802事業所で、前年比で27事業所の増でありました。これについては、新型コロナウイルス感染症との関連がわからないということで、了解をいたしました。
 本当に大変な数になるわけですけれども、今ちょっと心配なのは、企業の倒産によって賃金が未払いのまま退職をする労働者が多いのではないかということで、国ではそれに対応しております。岩手県内の労働者のそのような状況については把握をされているでしょうか。
〇金野労働課長 県内の労働者の方々の賃金の未払いの状況につきましては、申しわけございません、把握しておりません。
〇千田美津子委員 労働局の管轄にはなると思いますけれども、実は厚生労働省が、未払い賃金が多いのではないかということで、事業主にかわって支払う未払い賃金の立てかえ払い制度がありますけれども、それにこの新型コロナウイルス感染症関連で222億円計上しております。ですから、岩手県内であるかどうかわかりませんけれども、労働局とも連携をしながら、そういう労働者がいた場合、ぜひとも把握をする努力をしていただきたいですし、労働局との連携をさらに密にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇金野労働課長 県内の労働者の方々の生活が不安定にならないような形で対応していく必要があると存じております。したがいまして、労働局とも必要な連携等を引き続き図ってまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。
〇千田美津子委員 よろしくお願いします。
 それでは次に、復興に係る中小企業支援策についてお聞きいたします。
 まず一つ目は、中小企業東日本大震災復興資金貸付金は、被災事業者に事業再建や経営の安定に必要な資金を貸し付けるものでありますが、この間の実績と、それから、新年度の見込みについてお聞きいたします。
〇関口経営支援課総括課長 中小企業東日本大震災復興資金貸付金については、平成23年6月に制度創設しております。制度創設から令和3年1月末までの累計では2万582件、4、111億9、614万円となっております。令和3年度については、融資額は125億円ということで設定しております。
〇千田美津子委員 実質9年半の実績をお答えいただきましたが、件数とすれば2万582件、約4、112億円の資金が貸し付けられました。これまでの融資によって中小企業がどういう状況にあるかということが―順調に行っていると思うのですが、ただいかんせん、新型コロナウイルス感染症と沿岸地域は水産業の不漁の問題で本当に大変な事態が起きていると思います。令和3年度の枠が125億円と見ていられるということですが、これらの融資は今後どのような状況となっていくか、その見通しについてお聞きしたいと思います。
〇関口経営支援課総括課長 融資枠125億円と令和3年度は見込みましたが、現在、新型コロナウイルス感染症対応資金を令和2年度に実施しました。あと、新型コロナウイルス感染症対策資金と二つの融資制度にしています。こちらのニーズがかなり高くて、実際には震災資金も借りられるのですが、より有利な条件であるこの融資金を借りるという事業者も数多くおられます。
 そういった事情も踏まえて、125億円の設定の中で十分対応可能であると考えております。
〇千田美津子委員 事業者にとって使いやすい資金を的確に貸し付けていただくことが非常に大事になってくると思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 次、グループ補助について質問通告をしておりましたが、先ほど斉藤委員からもさまざま言及がありましたので、この点については割愛いたします。
 次に、中小企業への支援メニューはさまざまあるわけですが、先ほど佐々木宣和委員から質問がありました中小企業等事業再構築促進事業についてお聞きしたいと思います。
 私はどちらかというとこれを推進ではなくて、慎重にやるべきではないかという立場におります。それはなぜかといいますと、この事業は、必要な人にやるというよりも、事業転換と事業の再編成を迫るものと言われております。そういった点で、補助額から見れば、中小企業は100万円から6、000万円、中堅企業に100万円から8、000万円という、一見すごくいいもののように見えますけれども、これはつくった実際の目的がいろいろありますので、これはぜひ慎重にやっていただきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
〇関口経営支援課総括課長 例えば事業者の事業活動を今後どうするかといった部分については、それぞれの考え方があるのだと思います。現在、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、この影響が長期化した場合には何か違う展開をしなければならないという業種あるいは事業者もおられると思います。
 そういった場合に、設備投資とかさまざまな諸費用もさあどうするかといった場合について、こういう補助金を有効に活用していただくことも一つ有効な方策だと考えております。
 あるいは、委員御紹介のように補助額が相当高額です。ここまででなくても、自分たちで容易にできるような販売促進の取り組みとかそういうところについては、現在、小規模事業者持続化補助金という小規模事業者向けの補助金もございます。こういったところの補助制度、さまざまな事業者の状況あるいはニーズに応じて組み合わせて、いろいろ紹介をしながら支援をしていくことが必要かと思っております。
〇千田美津子委員 中小企業がそれぞれに必要なものを補助としてもらって生き残る作戦を立てていくということで、さまざま検討されていくことは非常に大事ですけれども、私は要件を見て、やはりなと思ったことがあります。それは、補助事業が終わった後、3年から5年で付加価値額の年率平均が3%以上増加していること、あるいは、従業員1人当たりの付加価値額が年率平均3%、一部5%以上という、この達成が条件づけされているわけですね。
 ですから、本当にこういうことを見ますと、体力のある企業、それから、合併しなければということで、そういうことに使われる補助金になっていく。それで見ますと、最高1億円までもらうという中身になっているので、これは、頑張っている中小企業を応援するというよりも、体力のある企業に限られる支援策ではないかと見られるわけですが、その点はいかがでしょうか。
〇関口経営支援課総括課長 委員御紹介のとおりに、新たにいろいろなことに取り組むについては、計画策定が必要であって、その計画には当然目標設定が必要になると思います。そういった点での要件設定と考えております。実際にこの要件がどのように運用されるのかといったところについては、現時点では、国からは詳しくはまだ示されておりませんのでお答えできませんが、私どもの考えとすれば、こういう補助金も一つ活用しながら、加えて、これから事業者がいろいろなことに取り組む段に当たっては、大きい小さいにかかわらず、事業計画をつくっていくことの取り組みが大事だと考えております。
 ちょっと大きい企業、あるいは幅広くやっているところについては、そこはそれなりの時間をかけてやる計画でもありますし、小規模のところについては、売り上げの見通し、あるいは損益の見通しを含めながら、どういったところを有効にすれば経営が上向くのかといったあたりの計画づくりが大切になろうかと思っています。そういった点を含めて、商工指導団体と連携して支援をしていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 いずれ補助金をもらうことにして、後から失敗したということにならないように、ぜひ、関係団体と連携をしながら、中小企業の力になるような取り組みを引き続きお願いしたいと思います。
 それでは、再就職支援と雇用確保策についてお聞きしたいと思います。まず一つは、事業復興型雇用確保事業費補助であります。これは被災地の事業所が被災求職者を雇用する場合に雇い入れに要する経費等を補助するものでありますが、どれくらいの雇用を見込んでおられるのかお聞きいたします。
〇田中雇用推進課長 事業復興型雇用確保事業費補助についてでありますが、被災地の中小企業が被災求職者等を雇用する場合に、産業政策と一体となって雇用面から支援を行うもので、計画的な人材育成や職場環境整備などを含む雇い入れ経費の助成、及び求職者の雇い入れのため住宅支援の導入等による職場環境の改善を図り、かつ雇用の確保、維持を達成した事業者に対する住宅支援経費について、3年間助成を行うものです。
 本事業はこれまで、平成23年度から平成28年度までの事業復興型雇用創出事業と、平成29年度からの本事業によりまして雇用創出をしてまいりまして、令和2年度実績見込みまでを加えますと、3、508事業所において1万7、792人に対して助成を行ってまいりました。
 令和3年度は、新規雇用者数を53名と想定し、継続分も含めて1億1、460万円を当初予算として盛り込んだものでございます。
〇千田美津子委員 この助成金ですが、1人最大3年間交付されるということで、フルタイム労働者と短時間労働者とで違いがありますけれども、1事業所当たりの上限が2、000万円となっているのですね。これらを利用している事業所数と、それぞれ何人くらい雇用しておられるか、実態がわかれば、お知らせください。
〇田中雇用推進課長 それぞれの企業の利用状況の詳細については整理しておりませんで、先ほど申し上げました全体額の事業所数と雇用者の人数で、今、整理しております。
〇千田美津子委員 それでは次に移ります。
 国は、業種、地域、職種を超えた再就職支援へ1、338億円を盛り込んでおりますけれども、県としては、これらをどう予算化されていますか。お聞きいたします。
〇田中雇用推進課長 業種、地域、職種を超えた再就職支援についてでありますが、県では、離職者等の再就職支援として、求職活動を行っている離職者等に対する職業訓練の実施経費として5億4、700万円を、雇用保険被保険者以外の求職者が受給する訓練手当に要する経費として2、300万円を、当初予算案に盛り込んだところでございます。
 また、解雇や雇いどめとなった労働者等の早期の再就職に向け、ジョブカフェいわてや県内9カ所の地域ジョブカフェにおきまして、カウンセリングやセミナーの開催によりきめ細かな個別支援を行っていくほか、必要に応じて岩手労働局等と連携を図りながら、企業面談会等の支援策についても、今後検討してまいります。
 国におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により離職した労働者の再就職支援の新たな取り組みも実施することとしておりますので、今後も国と連携しながら、離職者等の再就職を支援してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 次の部分は、U・Iターンのことだと思いますが、きょうもかなりの委員から言及がありましたので、これも飛ばします。
 次に行きますが、70歳までの就業機会確保を企業の努力義務とする改正高年齢者雇用安定法が4月から施行されるわけです。国は、高齢者の就労、社会参加へ303億円を計上しておりますが、県としては、これらをどう定着させるお考えかお聞きいたします。
〇田中雇用推進課長 高齢者の就職機会の確保に向けた取り組みについてでございますけれども、国では、65歳以降の継続雇用延長や高年齢者労働者の処遇改善に取り組む事業主に対する助成金の支給や、65歳を超える雇用推進コーディネーターなどによる企業からの相談対応などに取り組むこととしております。
 また、県内では、盛岡、一関、水沢のハローワークに生涯現役支援窓口を設け、おおむね60歳以上の高齢求職者を対象に、多様な就業ニーズに応じた企業情報の提供や、シルバー人材センターと連携し、軽易な就業等に関する情報の提供などの支援を行っております。
 県としては、国の取り組みを踏まえ、岩手労働局と連携しながら、県内経済団体に対する雇用の場の確保に向けた働きかけや、企業に対する国の助成金等の活用を促していくとともに、広域振興局等に配置している就業支援員による相談対応などを行い、働く意欲のある高齢者が持てる能力や経験を十分発揮できるよう、個人の希望と実情に応じた多様な就業機会の提供や、職場環境の整備を一層促進してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 資料をいただいて、県としては、今お話があった施策とともに、どういう事業化をしているかということで資料を見ましたら、岩手県シルバー人材センター連合会運営費補助ということで、900万円を予算化をしています。私はこれに違和感を持ちました。
 というのは、高齢者の就業機会の確保を企業の努力義務とする、そういう法律の改正がなされたのに、岩手県としては、さまざまお話がありましたが、実質は、シルバー人材センター連合会に補助をすると。これでは企業の努力義務を引き上げることにはならないのではないかと思いました。なぜこのようなことになったのか、その点をお聞きしたいと思います。
〇田中雇用推進課長 シルバー人材センターに対する助成につきましては、国におきまして、定年退職後の多様な就業ニーズに応じて、雇用の場を確保するということで始まったものでございまして、今後におきましても、多様な働き方に応えるために、このような制度で高齢者の就業支援をしているものと考えております。
〇千田美津子委員 シルバー人材センターに補助金をやってはだめと言っているわけではありません。これは別の形でも、多分これまでも支援していると思うのですが、改正高年齢者雇用安定法に伴った県の施策として、これがふさわしいのかと私は聞いているわけで、その点をお聞きします。
〇小原定住推進・雇用労働室長 シルバー人材センターへの補助でございますが、こちらは前々からの運営補助ということで、事務局の運営補助、人件費、人も雇っておりますので、そちらの運営は今後も支えていかなければいけないということで、一定額を、所要額を補助しております。
 それはそれとして、国ではこういう法令ができたということで、流れとすれば、シルバー人材センターを使った短時間勤務というよりは、継続雇用で65歳、70歳と、今働いているところなりで継続的に働き続けていくというほうがだんだん主流になっていくと思いますので、そちらのPRにつきましては、労働局と連携しながらPRするということで、高齢者の方々が自分のニーズに沿った形で、短時間勤務をしたい方はシルバー人材センターに行くし、継続雇用の形を望む方はこちらの法律に基づくというところで、こちらのPRについても頑張ってまいりたいと思っております。
〇小林正信委員 まず、中小企業支援については、先ほど佐々木宣和委員と千田美津子委員からあった中小企業等事業再構築促進事業は、質問でよくわかりましたけれども、この事業は、例えば喫茶店が人気のコーヒー豆をネット販売するとか、洋食店が看板メニューを真空パックするとか、そういう小さい事業者にも使える事業なのかと理解しております。そういった小さい事業者にもしっかり周知をしていただければと思います。
 いま一点、休業支援金については、労働者が雇い主から休みをとれと言われた場合に補償する事業ですけれども、この申し込みが労働者から余りないということでした。この事業の県内の活用状況、また、周知についてお伺いしたいと思います。
〇関口経営支援課総括課長 休業支援金についてであります。労働者が休業した際に国が補填をするという制度という御紹介がありました。済みません。その実績については、ちょっと把握しておりません。
〇小林正信委員 国の事業ですけれども、労働者を守るという観点から、できれば周知を県としても頑張ってやっていただきたいと思います。
 次に、先ほど千葉盛委員からお話がありました一時支援金について、1点確認ですけれども、先ほど、全国知事会による要望を行ったとのことでしたが、私は、34名の道県知事がウエブ会議を行って連名で要望を出したと伺っておりました。これは34名の知事の連名ではなくて、全国知事会として国に要望を出したのかどうか、確認をいたします。
〇関口経営支援課総括課長 令和3年3月15日に、全国知事会会長名で、加えて、農林商工常任委員長名で、国に緊急提言を出しております。
 内容とすれば、緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金についての要件緩和の措置を講じること。緊急事態宣言対象地域内の飲食店等の取引に係る要件を撤廃し、全ての都道府県の飲食店等との取引を対象とすること、外出自粛等の影響について、宣言対象地域内から旅行者に係る要件を緩和すること、売り上げ減少に係る要件を緩和すること等の要望でございます。
〇小林正信委員 支給要件の撤廃とか対象の拡大について、国の言いわけとしては、地方創生臨時交付金の地方単独分を活用して対応してもらって、この一時支援金についてはこのままで行ってほしいというのは、多分国の思惑があるのかと思っておりました。
 しかしながら、緊急事態宣言が出ている地域と出ていない地域の飲食店、どちらも同じように苦しんでおりますけれども、国の補助に現在大きな差が出ている状況なのかと感じております。要望を提出した後の国の対応、あるいは提出したときの感じみたいな、そういう雰囲気、もし県にも伝わっていれば教えていただきたいと思います。
〇関口経営支援課総括課長 要望を出した後に、国からどのような回答が来ているかどうかについては、ちょっと把握しておりません。
〇岩渕誠委員長 答弁は明瞭にお願いします。
〇小林正信委員 地方議員としては、できれば、この要望の回答を求めつつ、国にも強く一時支援金の条件の変更を求めていっていただきたいと思います。
 他県では、国の事業に上乗せして事業者を支援する取り組みも見られていると。例えば、先ほど述べた中小企業再構築促進事業の自己負担分を補助したりとか、また、先ほど言った一時支援金についても、自治体独自の充実が可能だとされております。県として、国の事業への上乗せの取り組み、こういったものはこれまで行ってきたのか、また、今後行う予定があるのかお伺いします。
〇関口経営支援課総括課長 国の制度に対する上乗せという形で実施した制度はございません。
 ただし、家賃補助については、国が家賃支援給付金制度を開始するのに先行して、県が実施しました。その後に国が家賃支援給付金を12月までやって、さらに、1月以降の家賃補助を再び実施したという形で、通年で家賃補助が受けられるような形で、県の施策として実施しております。
 今回の事業再構築促進事業補助金を含めた国の補助金の上乗せについては、まずは今回、県としては宿泊業や飲食業を初めとした県内の中小企業者に対する県独自の支援策として、厳しい状況にあっても、感染症対策に取り組みながら事業を継続しようとする事業者に対して、1店舗当たり40万円の支援金を給付することとしております。
 したがいまして、現時点では、国の支援金の上乗せ措置を実施することは考えておりません。
〇小林正信委員 先ほどからも議論があったとおり、それだけでは足りない部分があるので、何かもう少し手を打ったほうがいいのではないかという趣旨で言わせていただきましたけれども、今後もしっかりそういった部分の検討を行っていただきたい。
 次に行きます。いわて産業人材奨学金返還支援制度の実施状況についてお伺いします。できれば、ここ数年の推移もわかれば、教えていただきたい。
〇十良澤特命参事兼ものづくり産業振興課長 いわて産業人材奨学金返還支援制度の実施状況でございます。この制度は平成29年度に創設いたしまして、以降、令和元年度までの3年間で155名の支援対象者を認定し、このうち在学者を除く148名が既に県内企業で就職しております。若者の県内定着に一定の成果を上げたものと考えております。
 令和2年度からは、令和元年度までの制度の課題に基づき、県と企業が連携して対象者を支援する認定企業制度を創設するとともに、企業や学生等からの要望等を踏まえ、対象分野や対象者の要件等を拡充しまして、新たな運用を開始したところであります。令和2年度につきましては、48名の支援対象者を認定したところでございます。
〇小林正信委員 続いて、もしわかれば、県内の各市町村の奨学金返還支援制度の取り組み状況についてお伺いします。
〇十良澤特命参事兼ものづくり産業振興課長 県内の市町村の奨学金返還支援制度の実施状況についてでございます。県内市町村につきましては、今年度、17市町村が奨学金返還支援制度を実施していると承知しております。対象は、保育士とか介護事業所職員などとなっております。
 なお、この奨学金返還支援制度は、県の場合と同様の制度もございますし、あとは、市町村が独自にやっている奨学金返還支援制度、免除という形で返還を支援しているという例もございます。それも含めて17市町村でございます。
〇小林正信委員 この奨学金返還支援制度は、今や、岩手県だけではなくどこの県でもやっていて、かなりスタンダードになりつつあるかと思っています。県内の各市町村でも、県の支援制度に入らない介護士とか保育士とかの返還支援を行っていると。
 今後、県内の各市町村としっかり連携をしていただいて、県の奨学金返還支援制度と市町村の奨学金返還支援制度をバランスよくできるような何か連携を行っていただきつつ、先ほど、事業の対象の拡大とか人数の拡大等とおっしゃいましたけれども、もう少し枠を広げていただきたいと感じておりますけれども、そのあたりはどのようなことでしょうか。
〇十良澤特命参事兼ものづくり産業振興課長 枠の拡大というお話でございます。令和2年度、今年度にこれまでの制度を見直して拡充をしたというところで、当面は、この制度をしっかりPRしながら運用していきたいと考えております。
 なお、引き続き、社会情勢の変化とか、企業や学生の要望等を踏まえまして、この制度は若者定着に有効な手段の一つであると我々は認識しております。この制度も含めてですけれども、若者の県内定着にどのような方策が有効かということについては、引き続き考えてまいりたいと思います。
〇小林正信委員 ぜひ、市町村との連携もしっかり行っていただきつつ、この奨学金返還支援制度のできる限り有効な効果を出していただける取り組みをお願いいたします。
 続いて、コロナ禍で第二の就職氷河期世代が生まれると危惧されておりますけれども、雇用面における行政のバックアップは重要だと思います。コロナ禍によって就職氷河期世代に対する支援を進めていくのはなかなか難しい部分もあったかと思いますけれども、県としても、プラットフォームをつくって取り組んでいると承知はしております。現在の取り組み状況と令和3年度の取り組み予定についてお伺いします。
〇田中雇用推進課長 就職氷河期世代への支援の取り組みについてでございますけれども、令和2年度はインターネットを活用した氷河期世代向けのアンケート調査や、テレビ等を活用して支援機関の周知、支援機関の一つであるジョブカフェいわての開館時間の延長を行っており、令和3年度におきましては、ジョブカフェいわての開館時間の延長に加えまして、職業訓練コースを受講する訓練生を対象とした職場見学会の開催や、資格やスキル取得を支援するe−ラーニング講座等を開催することとしております。
〇小林正信委員 他県では、例えばハローワークとかジョブカフェにコーナーを設置するなどして充実させているところもあったので、そういった部分の動きもぜひやっていただきたいと思うことと、これはちょっと通告していなかったのですけれども、県としては、若い世代の雇用の受け皿として、県内の大学生を臨時的に雇用されていると、たしか岩渕議員の質問であったと思うのですけれども、就職氷河期世代の県としての雇用については行っているのかどうかお伺いします。
〇小原定住推進・雇用労働室長 所管ではございませんが、県としては就職氷河期世代を対象としたというターゲットではないですけれども、一般行政職、総合土木職でBという職種がございまして、そちらが社会人経験を積んだ方が採用されるというのが年齢的にありますので、そこで就職氷河期の方も採用について、試験を受けて入ることは可能かと思われます。
〇小林正信委員 ぜひ、その枠を確保していただいて、チャレンジしていただけるように取り組みを進めていっていただきたい。
 今後、雇いどめを受けた求職者、または、就職氷河期世代の雇用を守り、促進させる取り組みが必要です。他県では、コロナ禍で雇いどめを受けた就職困難者を積極的に雇用または正規社員にした事業者に対して、経費の一部を補助する取り組みも見られ始めております。県としても、こうした積極的な正規雇用をする事業者に対する支援は重要だと思いますけれども、御所見をお伺いします。
〇田中雇用推進課長 就職氷河期世代の方を雇用した場合の助成についてでございますけれども、国におきまして、企業に対する助成制度を設けております。具体的には、求職者を一定期間試行的に雇い入れをする場合のトライアル雇用助成金や、正社員経験がない方を正社員として雇い入れする場合の特定求職者雇用開発助成金により、就職氷河期世代の雇用を支援しておりますので、県としましても、予算化はしておりませんけれども、私ども、また、就業支援員がハローワーク等と一緒になりまして、周知、活用を促していきたいと考えております。
〇小林正信委員 ちなみに、今おっしゃった二つの事業の実績とかがわかれば、教えていただきたいと思います。
〇田中雇用推進課長 済みません。労働局で実施しているものでございまして、私どもでは実績を把握しておりません。
〇小林正信委員 今後も労働局としっかり連携して、そういう情報も共有できるような連携をやっていただきたいと思います。
 きのうは、非正規労働者等に対する緊急の関係閣僚会議が行われて、高等職業訓練給付金について、デジタル分野を初めとした好条件の就労を促すための訓練期間の延長またはIT等の民間資格取得の場合も対象とする方向で話が進んだと伺いました。私も一般質問でも取り上げましたけれども、非正規や就職氷河期世代、ニートやひきこもりの皆さんに、IT、デジタル分野のリカレント教育と申しますか、訓練をしていただけるよう、取り組みをぜひお願いしたいと、済みません、これは通告していなかったのですけれども、いかがでしょうか。
〇金野労働課長 県におきましても、いわゆるコロナ禍で離職した方々とか氷河期の方々を対象とした職業訓練をやっていることは承知しております。本県におきましても、求職者の方とか離職者の方、こういった方々を対象としたハローワーク経由での離職者訓練も行っております。いずれ、離職した方が正規で再び就職していただけるように、そういった訓練の周知等も図りながら、そういった方々を積極的に取り込んでいただけるよう、ハローワークとも連携を図ってまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 わかりました。今後、経済の悪化により若い世代においても生活保護を受けざるを得ない状況も危惧されております。そうした中、中間的就労に力を入れていく必要性があるかと感じております。これについては生活困窮者自立支援の一環という面もありまして、保健福祉部とか環境生活部の取り組みという面もあるかと思いますけれども、県内のニートが推計で5、800人という議論もございました。コロナ禍でニートがさらにふえていくことも危惧されると。
 また、ジョブカフェや若者サポートステーション、また、生活困難者自立支援機関などが連携して、中間的就労の推進を行う必要があると考えますけれども、御所見をお伺いします。
〇田中雇用推進課長 中間的就労への取り組みについてでございますけれども、県では、社会復帰や自立を目指す方をサポートする若者サポートステーションや岩手県ひきこもり支援センター、これらと連携を図りながら、個々人の状況に応じた支援を行っていきたいと考えておりまして、プラットフォームにもひきこもり関係の団体、あとは若者サポートステーションを所管する部局等がプラットフォームに参画しておりますので、情報共有を図りながら取り組みを進めていきたいと考えております。
〇小林正信委員 ぜひ、ジョブカフェに来られる若い世代に目を光らせるというか、こういった方をしっかり支援していくという意識を持って取り組みを進めて、連携を図っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 最後に、午前中、臼澤勉委員からもお話がありましたが、医療機器関連産業について、現在、新たな戦略の策定に向けて動いていると思いますけれども、策定の進捗状況、また、策定により期待される効果についてお伺いいたします。
〇十良澤特命参事兼ものづくり産業振興課長 医療機器等関連産業の新たな戦略の関係でございますけれども、医療機器等関連産業の振興に係る新たな戦略につきましては、現在、今年度内の策定を目指して鋭意作業を進めているところでございます。この戦略では、これまでの取り組みや現状、課題等を踏まえまして、ヘルステック・イノベーション・ハブを核としたイノベーションの創出、あるいは新製品の開発の促進、産業の一層の集積、それから、人材の育成、確保、このような取り組みを進めることとしております。
 このような新たな戦略によりまして、産、学、行政が取り組みの方向性を共有しつつ、さまざまな連携が促進されることにより、さらなるイノベーションの創出、医療機器等関連産業の一層の集積と高度化が図られるものと期待しております。
〇上原康樹委員 きょうは、重く厳しい質疑が続きました。そういう中で、私はかすかな光を求めて質疑を行いたいと思います。
 テーマは漆です。通告はしませんでしたけれども、このコロナ禍の影響は漆の世界にも及んでいるのではないかと思いまして、この話から始めさせていただきます。
 コロナ禍の影響、岩手の漆の生産量や漆器販売に実際にどういう影響を与えていたのでしょうか。あれば、御説明ください。
〇竹花地域産業課長 コロナ禍における漆器産業への影響でございますけれども、主に百貨店等で販売していた漆器について、そういった販路の欠如といいますか、そういった部分で落ちている部分。もう一つは観光客とかインバウンド等の需要が減ってきたことによって需要が減少しているところが影響として出ていると感じております。
〇上原康樹委員 それを踏まえて、漆と言えば質、量ともに岩手県のお家芸でございます。近年、国宝の修復に使う漆は国産のものに限ると国が決めて、漆の増産が大命題となっています。そこで県は事業を立ち上げました。いわての漆産業新時代開拓事業です。漆産業新時代開拓事業、実に立派な命名でございます。
 この事業費については最後に伺うとしまして、まず新しい技術の開発、研究について伺います。その一つ、漆の樹液がよく出る木、いわゆる量産木と言いますが、漆の量産木を見きわめ選抜するために、漆の木の遺伝子を分析する技術が発表されています。
 専門的には、DNAマーカーと呼ばれるものです。生産性のよい木を集めて造林すれば、大変効率が高まります。この新技術DNAマーカーの実用化に向けた研究開発は、岩手においてどういう段階に来ていますでしょうか。県は具体的にどうかかわり、支援するおつもりでしょうか。伺います。
〇竹花地域産業課長 DNAマーカーの岩手での活用についてですが、漆がよく出る量産木を選別するためのDNAマーカーは、森林総合研究所が開発しまして、現在、実用化に向けた研究を進めています。
 岩手県内におきましては、県内最大の漆苗木の生産地である二戸市が実証試験に必要なフィールドを紹介するなど、その研究に協力しているところです。今後、その実用化に向けて、さらに県としても期待しているところであり、そういった部分の支援も含めて進めていきたいと考えているところです。
〇上原康樹委員 この技術は、岩手県だけではなくて、全国各地の漆産地の研究者たちが携わっていると聞いています。その連携、期待するところをお聞かせください。
〇竹花地域産業課長 この技術につきましては、現在、県で推進しておりますいわて漆振興実務者連携会議におきまして、今、森林総合研究所初め岩手大学、岩手県工業技術センター、林業技術センターの参画を仰ぎまして、さまざま研究に関する意見交換、情報交換等もしております。
 この技術に関する具体的な意見交換等はまだされていないところもございますけれども、そういった場を通じて、新技術の開発状況の確認とかその実用化について進めるよう、県としても取り組みを進めてまいります。
〇上原康樹委員 やはり実用化がいつごろ実現するのかということが気になります。どうでしょうか。
〇竹花地域産業課長 実用化につきましては、昨日、この研究者の方にも確認しましたが、この技術は、そういった量産木を選抜しまして、それを挿し木でふやすとかそういった技術等々がございまして、それをフィールドで実証する段階にあるということなので、その実証の結果を待ちたいと考えております。
〇上原康樹委員 どうぞ密接に寄り添っていただきたいと思います。
 それから、漆をめぐる新しい技術をもう一つ。これは南国沖縄と岩手県北の連携という技術です。沖縄工業高等専門学校は、漆の若い木や枝から樹液をとる技術を開発しました。岩手県の漆業者と協力して開発を進めていると聞いております。その成果、実用化に向けてどういう段階まで前進しているのか、また、県のかかわり、支援についてお聞かせ願いたいと思います。
〇竹花地域産業課長 沖縄工業高等専門学校と本県の漆業者による衝撃波破砕技術を活用した新たな漆採取技術の実用化についてでございますけれども、この研究は、平成29年度から国の助成を受け、民間レベルで進められてきたものです。現在、岩手県内にその試験機械が設置され、今後、本格的な採取試験を実施する予定であると承知しているところです。
 特に、採取した漆をこの機械にかけて、出た漆の成分の分析等がこれからの大きな課題になると承知しておりまして、そういった分野で必要な協力をしてまいりたいと考えております。
〇上原康樹委員 漆生産というのは一滴一滴漆かきの職人さんがたらりたらりと集める、大変根気と手間のかかる作業と聞いていますので、そうした作業を支援する技術の開発、ぜひ最後まで寄り添っていただきたいと思います。
 技術というのは人が使うものでございまして、その人の育成に最後はたどり着くわけでございます。伝統の技術を継承しながら、伝承しながら、今、紹介させていただいた新しい技術の導入という、今までにはない道筋が見えてきます。その取り組みを県はいわての漆産業新時代開拓事業と名づけています。
 ところが、令和3年度の予算案を見ますと、この事業費が令和2年度に比べて3分の1以下なのですね。210万円。失礼ながら、この控え目な予算でよしとした理由があれば、御説明ください。
〇竹花地域産業課長 いわての漆産業新時代開拓事業の事業費についてですが、今年度の事業では、関係機関の連携のもとで、漆の増産や漆関連の振興に取り組むいわて漆振興実務者連携会議の開催、漆関連産業の人材確保のための大学生等を対象としたインターンシップ事業、漆の生産方法や漆製品の魅力を紹介する情報発信イベント漆DAYSいわての開催に取り組んだところです。
 令和3年度につきましては、いわて漆振興実務者連携会議や大学生等を対象としたインターンシップ事業については引き続き取り組みますが、これまで県内外で行ってきた漆の情報発信イベントの経費の計上を見合わせたことにより事業費が減となったものです。
 漆の情報発信については、令和2年6月に奥南部漆物語の日本遺産認定を契機に、二戸市と八幡平市で構成する日本遺産奥南部推進協議会が設立され、今年度から3カ年間の計画で文化庁の事業を活用しながら、情報発信や観光誘客に向けた取り組みを開始しております。
 県では、両市の要請により、昨年8月から、日本遺産奥南部推進協議会の産業観光部会に参画し、情報発信と旅行商品造成のノウハウを生かした支援を開始しているところであり、来年度につきましても、両市とともに取り組みを推進してまいります。
〇上原康樹委員 その漆産業に携わる皆さんは、先ほどコロナ禍の影響をさまざまに受けていると伺いました。国宝を支えていると言っても過言ではない漆産業に携わる皆さんの暮らし、なりわい、これが苦しくては、せっかくの岩手県の漆産業、もったいないです。そうした存分に漆生産あるいは漆器の製作に打ち込めるような環境を守るための県の支援は、今後、考えられますか。
〇竹花地域産業課長 漆かき職人の支援についてですが、本県で漆かきをなりわいとしている方は、岩手県浄法寺漆生産組合に所属する37名の職人であると思っております。二戸市では、冬期間の就業に関する本人の意向を確認しながら、冬期間に人手が必要となる酒蔵等での地元企業のニーズ発掘を行って、短期間の就労につなげたり、漆器の木地の製造や、漆の保存容器のたるの製造など、漆に関連する仕事に従事できるような支援をしております。現在、地域おこし協力隊の3名を含め20名が冬期間でそういった形で就業していると伺っているところです。
 こうした就業支援は、冬期間も地元で働けるように二戸市が取り組んできたものでありますが、今後は、県としても、二戸市から現場の状況をお伺いしながら、必要な相談、支援についてはしっかりと対応していきたいと考えております。
〇上原康樹委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
 最後に、私、意見を申し上げます。
 コロナ禍は、岩手県の実にさまざまななりわいに影響を及ぼしています。現場の人々の苦境から少しでも目を離してしまうと、長い歳月を生き抜いてきた伝統産業にぽっかり穴があるいは断層ができてしまうなどということにもなりかねません。きめ細かい対応の継続をお願いして、質疑を終わります。
〇岩渕誠委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇金野労働課長 まず先ほど、千田美津子委員から御質問のございました賃金の未払いの関係で答弁をさせていただきたいと思います。
 未払い賃金の立てかえ制度の関係でございます。今年度、認定が4件あったそうでございますが、新型コロナウイルス感染症関連の倒産に係るものはゼロ件ということで、ただ一方で、新型コロナウイルス感染症の関係での賃金の相談、こういったものは3月12日時点で129件ほど寄せられているそうでありますが、こちらも認定に至ったものはないということでございました。
 また、先ほど小林正信委員から、中小企業の支援策のところで、休業中に賃金を受け取ることができなかった方が、みずから申請して休業期間の賃金を受け取ることができる新型コロナウイルス感染症対応休業支援金のところでのお尋ねがございました。
 これは休業前の1日の賃金の80%、1日当たり1万1、000円を上限として支給するものでございまして、県内の取り扱い実績でございますが、3月12日時点で、3、527件、1、276人の方からの申請があり、これに対しまして、2、972件、1億8、852万6、000円余の支給を決定しているということでございます。
 申しわけございませんでした。よろしくお願いいたします。
〇岩渕誠委員長 お二人の委員、御了承願います。
 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩渕誠委員長 質疑がないようでありますので、これで商工労働観光部関係の質疑を終わります。
 商工労働観光部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、企業局長に企業局関係の説明を求めます。
〇石田企業局長 企業局関係の令和3年度当初予算について御説明申し上げます。
 初めに、事業運営に当たっての基本的な考え方についてでありますが、令和3年度は、長期経営方針(2020〜2029)及び第1期中期経営計画の2年目として、引き続き、電力と工業用水の安定供給に努めるとともに、簗川発電所の運転開始や稲庭高原風力発電所の再開発、新たな工業用水の需要に対応するための新浄水場の整備を進めてまいります。
 電気事業では、県内への電力の安定供給を第一に、運転年数100年を実現するための基盤づくりとして、岩洞ダム共有施設など高経年化した施設の改良、修繕や、電力土木施設の強靱化を推進するとともに、令和4年度からの売電契約に向けた取り組みを進め、安定経営に努めてまいります。
 また、再生可能エネルギーの維持、拡大では、簗川発電所の運転開始に向けた試運転調整や、稲庭高原風力発電所の新たな風車の据えつけなどを進めるとともに、胆沢第二及び入畑の二つの水力発電所の再開発事業を推進してまいります。
 工業用水道事業では、新浄水場整備について、ポンプや操作盤などの機械、電気設備の製作や、取水口の建設などを着実に進めてまいります。また、給水量の増加や施設の高経年化に対応するため、排水管の整備や既設浄水場の汚泥脱水機の更新などに取り組むとともに、引き続き、業務効率化を進め、安定供給と安定経営に努めてまいります。
 地域貢献については、震災復興やふるさと振興に寄与するため、引き続きいわて復興パワーの取り組みを進めるとともに、CO2フリーの電気を県内企業等に供給する再生可能エネルギーの地産地消を推進してまいります。
 新型コロナウイルス感染症への対策では、発電所を24時間運転監視している集中監視制御システムのバックアップ体制を構築するとともに、働き方改革の視点も取り入れながら、職場環境の整備に取り組んでまいります。
 それでは、議案について御説明申し上げます。
 議案その1の55ページをお開き願います。議案第13号令和3年度岩手県電気事業会計予算についてであります。
 第2条は、業務の予定量ですが、(1)は、年間販売目標電力量であり、その合計を、次の56ページ上から3行目に記載のとおり5億7、413万6、000キロワットアワーと見込むものであり、(2)は、主要建設事業として簗川発電所を建設しようとするものであります。
 第3条は、収益的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款電気事業収益は77億2、000万円余、支出の第1款電気事業費用は63億4、300万円余であります。
 57ページにお進み願います。第4条は、資本的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款資本的収入は1、400万円余、支出の第1款資本的支出は34億1、500万円余であります。
 第5条は、債務負担行為であります。これは胆沢第二発電所代替放流設備設置工事など11事業について、債務負担行為の期間と限度額を定めようとするものであります。
 電気事業会計予算の説明は以上でございます。
 次に、59ページにお進み願います。議案第14号令和3年度岩手県工業用水道事業会計予算について御説明申し上げます。
 第2条は、業務の予定量ですが、(1)は、北上工業団地及び岩手中部工業団地内の20事業所に対する給水量について、年間総給水量を1、338万9、295立方メートル、1日平均を3万6、683立方メートルとし、それぞれ見込むものであります。(2)は、主要建設事業として、新たな工業用水の需要への対応に伴い浄水場を建設しようとするものです。
 第3条は、収益的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款工業用水道事業収益は15億9、600万円余、60ページに参りまして、支出の第1款工業用水道事業費用は8億7、200万円余であります。
 第4条は、資本的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款資本的収入は80億700万円余、支出の第1款資本的支出は83億6、300万円余であります。
 第5条は、第二浄水場排水管布設工事など3事業について、債務負担行為の期間と限度額を定めようとするものであります。
 工業用水道事業会計予算の説明は以上でございます。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇岩渕誠委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 最初に新北上浄水場建設事業について、事業の概要と工事の進捗状況を示してください。
〇村上業務課総括課長 事業の概要についてでありますが、新北上浄水場は、大手半導体企業を中心とした新たな水需要に対応するため、給水能力が日量約6万立方メートルの新たな浄水場を整備するものであり、総事業費は約176億円と見込んでおります。事業の計画期間は平成30年度から令和8年度までの9年間とし、3期に分けて整備することとしており、令和5年4月から一部を給水する予定としております。
 次に、工事の進捗状況についてでありますが、令和2年3月に、第1期に係る浄水場建設工事の契約を締結し、現在、沈殿池及び管理棟の躯体工事等を進めているところであります。また、令和2年10月に、国からダム使用権等の許可が得られたことから、取水口の土木工事にも着手したところであり、工事は順調に進捗しております。
〇斉藤信委員 これはキオクシア岩手株式会社に対する給水のための大規模な新浄水場になりますが、キオクシア岩手に対する給水時期と給水量の計画はどうなっているでしょうか。キオクシア岩手は新たに土地を確保して増設をする計画のようですが、それは盛り込み済みなのでしょうか。
〇村上業務課総括課長 新北上浄水場の給水時期と給水量の計画についてでありますが、現在は、既設浄水場の給水余力を活用し給水しておりますが、当事業において第1期で日量約2万立方メートルの給水能力を整備し、令和5年4月から給水を開始するとともに、令和6年度に日量約4万立方メートルを整備し、令和8年度に日量約6万立方メートルの給水能力まで段階的に整備する計画としておりまして、中長期的な工業用水の需要に対応していくこととしております。
 また、企業局としましては、計画どおりに工業用水を使用されるよう、商工労働観光部及び北上市と連携し、ユーザー企業に働きかけていくこととしております。
〇斉藤信委員 キオクシア岩手は新たに土地を確保して増設するという意思を示したわけですね。だから、増設分もこの6万立方メートルに入っているのかと聞いたのです。
〇村上業務課総括課長 キオクシア岩手の使用量につきましても、この6万トンの中に入っているということになります。
〇斉藤信委員 決算特別委員会のときにも聞いたのですけれども、176億円余の大事業ですけれども、その財源と投資回収時期はどうなっていますか。
〇菅原次長兼経営総務室長 総事業費の財源についてでございますけれども、財源は事業費のほぼ全額を企業債で賄うこととしておりまして、投資回収時期は給水を開始する令和5年度から44年目となる令和48年度を見込んでおります。
 整備する施設設備の平均的な法定耐用年数である45年間で見ますと、新北上浄水場単体では約2.4億円の黒字となりますが、既設浄水場の未利用水が少なくなることなどによりまして、工業用水道事業全体では約14億円の黒字を見込んでいるところでございます。
 いずれにいたしましても、長期的な収支に余裕のある状況ではございませんが、工業用水道事業は産業を支える重要なインフラとして、企業の求めに応じ安定的に工業用水を供給することが使命であると考えております。このためにも、ユーザー企業を初め関係機関と十分に連携いたしまして、事業を取り巻く状況の的確な把握に努めながら安定経営に取り組んでまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 誘致企業に対する工業用水の提供は企業局の使命だと、それは了解をしております。しかし、この計画が令和48年、これは2066年でありますけれども、45年というのは耐用年数と一緒です。だから、耐用年数が45年で2億4、000万円の黒字と、かすかすですね。この経費の中にはもちろん45年間の回収費用も入っているということでよろしいのですね。
 今、答弁の中では、全体では14億円の黒字になると。この関係をもう少し詳しくお話しください。
〇菅原次長兼経営総務室長 新浄水場単体で約2.4億円の黒字といいますのは、新浄水場の整備176億円で整備をいたしまして、そこから給水をする給水使用量で後からその料金で回収をするわけでございますけれども、その収支として2.4億円の黒字になるということでございます。
 工業用水道事業全体といたしましては、現在、キオクシア岩手が稼働しておりますけれども、そちらに対しましては、現在、既設浄水場から既に給水を開始しております。その給水につきましては、未利用水を活用しまして段階的に給水をしておりまして、令和5年4月から新浄水場からの給水を開始する予定としております。このことから、既設の浄水場につきましては、未利用水が少なくなってまいりまして、収支とすれば改善に向かっていきますので、そういった意味で工業用水道事業全体では14億円の黒字を見込んでいるということでございます。
〇斉藤信委員 今、未利用水を活用して既に供給していると。しかし、それが新しい浄水場になったら、未利用水は余るということになりませんか。
〇菅原次長兼経営総務室長 この未利用水をそのまま継続して活用したまま、さらに新浄水場から給水を追加で行っていくというものでございます。
〇斉藤信委員 わかるようでわからなかったのですけれども。だとすれば、日量6万トンの中に未利用水も出てくるということになりませんか。
〇菅原次長兼経営総務室長 工業用水道事業全体としては、安定供給をしていくためには、フルになっていますとバックアップがきかなくなりますので、一定の未利用水を見込みながら対応していくことが必要かと考えております。
 現在は、既設浄水場から先行いたしまして給水をしておりまして、その後は新浄水場から給水を行うわけでございますけれども、45年の長きにわたりましては、既設浄水場が老朽化していくこともありますので、既設浄水場と新浄水場を効率的にどのように動かしていけばいいのかということを考えながら運用してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 先ほどの答弁で、これは目いっぱいの供給になると思いますが、2026年から日量6万トン供給ということは、新たに増設される工場も令和8年、2026年までには完成する、こういう計画だということですね。
〇菅原次長兼経営総務室長 先ほど、令和8年度に日量約6万立方メートルと御答弁申し上げましたけれども、こちらにつきましては、給水能力が6万トンになりますので、フルに整備された状況になります。こちらからの給水が開始になるということで、その後も段階的に伸びていくものと考えております。
〇斉藤信委員 フルで日量6万トンだと思うので、そこからふえることはないと思うので、6万トンの供給能力はその段階ではできるということでしょう。
 そして、できるということは、計画とすれば、そこまでに第4工場なりが整備をされる。これはキオクシア岩手の話ですから、あなた方が簡単に言えない話だと思うけれども、計画的にはそういう形で対応できると。
 この計画は本当に大規模な投資の割にはぎりぎりの計画になっているので、本当に詰めてこの計画が着実に進められるようにやっていただきたい。
 次に、簗川発電所建設事業についてお聞きいたします。事業規模と運転開始時期、その事業効果について示してください。
〇山谷電気課長 簗川発電所についてでございます。事業規模は、簗川ダムから最大で毎秒4.8立方メートルを取水し、最大有効落差50.65メートルで、最大出力1、900キロワットを発電する計画であります。
 今年度は、発電所建屋工事や水車発電機の製作、据えつけを進めておりまして、今後は、水車発電機等の総合組み立てとか試験調整などを実施して、運転開始時期は令和3年7月を予定しているところでございます。
 この事業による効果といたしましては、供給電力量が年間約1、100万キロワットアワーでありまして、一般家庭の年間消費電力に換算いたしますと、約3、300戸分に相当することと、地球温暖化防止の観点からは、年間約5、700トンのCO2の排出量削減に寄与するものと考えております。
〇斉藤信委員 私がいただいた資料では、概算事業費は約20億円となっていました。昨年の決算特別委員会のときに聞いたときには17億円だったのです。何で半年たったら3億円もふえたのですか。
〇山谷電気課長 概算事業費につきましては、当初計画では約17億円を見込んでいたところですが、現状3億円の増額となりまして、約20億円ということで見込んでおります。
 この主な増額理由でございますが、ダム工事等の調整の中で、取水設備の形状の変更が必要となったことや発電所建屋の背後斜面に落石対策工事等が追加になったことによるものでございます。
〇斉藤信委員 ことしの4月から運転開始という話でありますけれども、決算特別委員会で聞いたときと今回で3億円もずれると、ちょっと不可解だったのでお聞きいたしました。
 それで、投資回収時期と累積損益の見通しを示してください。
〇細川技師長 簗川発電所の投資回収時期と累積損益の見通しについてでございますけれども、まず投資回収時期については、当初の計画では運転開始から9年目の令和11年度を予定しておったところでございますけれども、総事業費の増額により1年おくれの10年目、令和12年度と今のところ見込んでおります。
 これにより累積損益についても、固定価格買取制度の買い取り期間20年間で当初より約3億円少ない約19億円の黒字となる見込みでございます。
 簗川発電所は、ダム計画スタート時に発電参加したものの、当時の電気事業を取り巻く環境から一度は建設を断念したところでございますけれども、固定価格買取制度導入を契機に、再度建設に踏み切った経緯がございます。今回、この発電所では、水車発電機の監視操作にタブレットを活用したり、あるいは24時間監視している事業所まで情報を伝送するのにIP方式といった最新の技術を取り入れて、今、建設中でございます。温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロを目指す本県にとって、貴重なCO2フリー電源として貢献し続けるものと考えております。
〇斉藤信委員 これも、私が決算特別委員会で聞いたときには、今お話あったように、20年間で22億円の黒字ということでした。これが19億円と。それにしても、これは経済効率が決して悪いほうではない、いいと言ってもいいと思いますので、これはここで終わります。
 最後、風力発電についてお聞きます。高森風力発電事業の実績見通しと来年度の計画を示してください。稲庭高原風力発電所の累積の損益はどうなったか、再開発事業の進捗状況と事業費、投資回収時期と損益見通しを示してください。
〇山谷電気課長 まず高森高原風力発電所の実績見通しについてでございます。直近の令和3年2月までの実績を踏まえた見込みで申し上げますと、供給電力量は5、369万キロワットアワー程度、料金収入は11億8、115万円程度と見込んでおりまして、ともに当初の目標に対して105%程度となる見通しでございます。増加した要因としましては、昨年7月を除きまして、風況に恵まれ安定した発電を行うことができたことによるものと捉えております。
 次に、高森高原風力発電所、令和3年度の見込みについてでございます。令和3年度は送電線側の作業に伴い発電停止する日数が7日間ほど減少する計画であることから、令和2年度の目標と比較しまして、風況が同じと仮定した場合には、供給電力量及び料金収入とも2ポイント程度増加する見込みでございます。
〇石川発電所再開発推進課長 続きまして、稲庭高原風力発電所の累積損益についてでございます。既設の風力発電所でございますけれども、平成13年度に運転開始してから故障が多発するなど、単年度の損益の多くが赤字で推移してきたものの、平成24年11月以降、固定価格買取制度を活用したことなどにより単年度の損益が黒字で推移しまして、令和2年度までの累積損益は約6、700万円の黒字となる見込みでございます。
 しかしながら、今後、既設の風車の撤去を予定しておりますけれども、これらの費用などを含めますと、約2億4、000万円の赤字となる見込みでございます。
 続きまして、稲庭高原風力発電所の再開発事業についてでありますけれども、まず進捗状況といたしましては、今年度は、新設風車の設置場所の造成工事や風車本体の製作を完了しまして、令和3年度はその風車の据えつけを行う予定としております。
 事業費につきましては、当初は、地盤にコンクリート基礎を直接設置しますいわゆる直接基礎を想定しておりましたけれども、地質調査の結果、くい基礎が必要になることなどから、事業費が当初よりも1億2、000万円ほど増額となり、税込みで約10億5、000万円ほどを見込んでおります。
 これを踏まえた投資回収時期につきましては、令和3年度の運転開始から17年目の令和19年度を見込んでおりまして、固定価格買取制度の買い取り期間20年間の収支は約1億6、000万円の黒字を見込んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 稲庭高原風力発電所は全く、最初の時期で、私も決算の議論をするたびに、雷が落ちて故障してと、そういう記憶がずっとありました。令和2年度までで6、700万円の若干の黒字だけれども、これは解体工事のために赤字になると、こういう意味ですね。わかりました。
 そして、新型の風力発電が再開発されるわけですけれども、新型では私は故障は少なくなるのだと思いますけれどもね。それでも最終損益、いわば回収時期ですけれども、令和19年度1億6、000万円の黒字ということで、これは新型の割には黒字幅が意外と低額だなと。これについても、実は決算特別委員会のときには2億9、000万円としていたのです。これまた、半年後に聞くと1億3、000万円減少したと。これはどういう意味ですか。
〇石川発電所再開発推進課長 先ほども御答弁させていただきましたけれども、基礎にくいが必要になることがわかりました。これは当初は既設発電所が直接基礎だったことから、当時の地質データなどから比較的浅い位置に支持層が出ることが確認されておりまして、今回も同様にそういう直接基礎で想定しておりましたけれども、今回の風車規模に合わせまして地盤を精査したところ軟弱層が確認されまして、くい基礎が必要になったということで、この費用の分が増額になったことによって黒字が減額したということになります。
〇岩渕誠委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩渕誠委員長 質疑がないようでありますので、これで、企業局関係の質疑を終わります。
 企業局の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で、本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後6時36分 散 会

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