令和3年2月定例会 予算特別委員会会議記録

前へ 次へ

令和3年3月16日(火)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
議事管理担当課長 藤 枝   修
主任主査 千 葉 絵 理
主任主査 糠 森 教 雄
主査 鈴 木   忍
主査 阿 部 真 人
主査 赤 坂 宏 紀
1 説 明 員
文化スポーツ部長 石 川 義 晃
副部長兼文化
スポーツ企画室長 佐 藤 法 之
オリンピック・
パラリンピック
推進室長 木 村   久
文化スポーツ
企画室企画課長 中 村 佳 和
文化スポーツ
企画室管理課長 鈴 木   忠
文化振興課
総括課長 岡 部 春 美
世界遺産課長 佐 藤 嘉 広
スポーツ振興課
総括課長 山 本 卓 美
オリンピック・
パラリンピック
推進室
事業運営課長 松 崎 雄 一

オリンピック・
パラリンピック
推進室特命参事兼
連携調整課長 高 松 秀 一

教育長 佐藤 博
教育局長兼
教育企画室長 佐 藤 一 男
教育次長 梅 津 久仁宏
参事兼
教職員課総括課長 山 村   勉
教育企画室
教育企画推進監 渡 辺 謙 一
予算財務課長 千 葉 順 幸
学校施設課長 新 田 芳 文
首席経営指導主事
兼小中学校
人事課長 金 野   治
首席経営指導主事
兼県立学校
人事課長 高 橋 一 佳
首席指導主事兼
学校調整課
総括課長 木 村 克 則
首席指導主事兼
産業・復興教育課長 軍 司   悟
高校改革課長 森 田 竜 平
首席指導主事兼
生徒指導課長 泉 澤   毅
学校教育課
総括課長 中 川 覚 敬
首席指導主事兼
学力向上課長 菊 池 一 章
首席指導主事兼
義務教育課長 小野寺 哲 男
首席指導主事兼
高校教育課長 須 川 和 紀
首席指導主事兼
特別支援教育課長 高 橋   縁
首席指導主事兼
保健体育課
総括課長 清 川 義 彦
首席社会教育主事兼生涯学習
文化財課総括課長 藤 原 安 生

参事兼
財政課総括課長 小 原 重 幸
〇岩渕誠委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第26号から議案第30号まで、議案第33号、議案第35号、議案第37号から議案第39号まで、及び議案第42号の以上31件を一括議題といたします。
 本日は、文化スポーツ部及び教育委員会関係について延べ26人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしましたので、議事進行に御協力をお願いいたします。なお、関連質疑については、目安時間を10分とすることとしておりますので、あらかじめ御了承願います。
 また、これまでと同様に、換気のため休憩いたしますので御協力をお願いいたします。
 初めに、文化スポーツ部長に文化スポーツ部関係の説明を求めます。
〇石川文化スポーツ部長 それでは、令和3年度岩手県一般会計予算について、当部関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 初めに、令和3年度当初予算編成に当たっての当部の基本的な考え方についてでありますが、新型コロナウイルス感染症対策を行いながら、東日本大震災津波からの復興を着実に進めるとともに、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる県民みんなで目指す将来像の実現に向けた取り組みを推進する予算として編成したところであります。
 まず、復興推進の取り組みについてでありますが、被災者の暮らしの再建に係る文化芸術の鑑賞機会の確保の支援などに引き続き取り組みます。
 また、復興五輪を理念とする東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は、これまでの支援に対する感謝と復興の姿にあわせ、本県の魅力を国内外に発信する絶好の機会であることから、機運醸成や情報発信を行うとともに、新型コロナウイルス感染症対策を徹底し、聖火リレーや聖火フェスティバルの実施、ホストタウンにおける相手国との交流支援などの取り組みを進めます。
 次に、政策推進の取り組みについてでありますが、まず健康・余暇分野につきましては、岩手芸術祭や、さんりく音楽祭2021の開催、障がい者文化芸術の振興などのほか、県民誰もが、障がいのある人もない人も、ともに生涯にわたってスポーツを楽しむことができる共生社会の推進などに取り組みます。
 また、引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている県内文化芸術団体等に対する活動継続、再開への支援を行うとともに、文化イベントのオンライン配信等による県民の文化芸術活動の発表、鑑賞の機会を提供します。
 次に、教育分野についてでありますが、各競技団体等に対する選手強化事業への支援や、スポーツ医・科学サポート、アスリートの県内定着に向けた支援等により、本県選手の競技力の一層の向上を図るとともに、スキー競技の大規模大会などを契機とした次世代選手の育成に取り組みます。
 また、障がい者トップアスリートの競技力向上に向け、大会出場や遠征を行う選手等に対する支援に取り組むほか、スポーツインテグリティーの確保に向けた指導者等に対する教育、支援体制の充実などに取り組みます。
 次に、居住環境・コミュニティ分野についてでありますが、令和4年度に開催予定の日本スポーツマスターズ2022及び、特別国民体育大会冬季大会スキー競技会の受け入れ態勢の整備や機運醸成等の取り組みを進めるとともに、スポーツ大会、合宿の積極的な誘致や、ラグビーワールドカップ2019岩手・釜石開催のレガシーとして、関係団体と連携したナミビア対カナダ戦の実現に向けた取り組みを進めるなど、継続的な人的、経済的な交流の一層の拡大につなげてまいります。
 また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした文化プログラムの展開や海外との文化交流などに取り組みます。
 次に、歴史・文化分野についてでありますが、北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録、平泉の文化遺産の登録10周年記念事業や拡張登録に向けた取り組み、令和3年度の開館に向けたガイダンス施設整備などを推進します。
 続きまして、当部関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 お手元の議案その1の6ページをお開き願います。当部関係の予算は、2款総務費8項文化スポーツ費の47億9、700万円余であります。これを前年度当初予算額と比較いたしますと5億6、000万円余の増となっておりますが、その主なものは、盛岡南公園野球場(仮称)整備事業費負担金12億2、300万円余の増であります。
 予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 次に、予算関係条例について御説明を申し上げます。
 お手元の議案その2の141ページをお開き願います。議案第42号県民会館条例の一部改正する条例でありますが、これは、岩手県民会館の第3シャワー室及び第4シャワー室について、近年は利用されていなかったことから、利用料金徴収の対象となる施設から除こうとするものであります。
 以上で文化スポーツ部関係の議案につきまして御説明を終わります。よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇岩渕誠委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇岩城元委員 ただいまの文化スポーツ部の説明に対して大きく2点、質問させていただきたいと思っております。
 1点目は、復興五輪ムーブメント推進事業費であります。いよいよ3月25日から聖火リレーが福島県をスタート地として始まります。本県では6月16日から18日までの3日間と伺っております。この中で、報道では芸能人やボランティアの方の辞退等のお話も出ておりますが、本県における影響についてお伺いします。
〇木村オリンピック・パラリンピック推進室長 聖火ランナーやボランティアの辞退による影響という御質問でありますが、聖火ランナーにつきましては、本県では合計288人が県内を走行する予定となっております。その内訳は、岩手県聖火リレー実行委員会が選出した75名と、聖火リレースポンサーが選出した213名となっているところであります。
 また、ボランティアについては、多くの県民が聖火リレーに参加する機会を創出するため、沿道観覧者の整理、誘導、会場案内等に従事する聖火リレーボランティアを岩手県聖火リレー実行委員会で本年1月4日から31日まで募集しましたところ、想定の400人を超える550人の応募がございました。
 本日現在、県選出ランナー75名及びボランティアの550名から、辞退の申し出は1件もないところであります。
〇岩城元委員 辞退がなくてよかったです。いずれ新型コロナウイルス感染症対策をしながら安全に、よろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、県内各市町村で受け入れを予定しているホストタウンとか事前キャンプ地については、新型コロナウイルス感染症の関係で影響は出ているのか出ていないのか、お知らせください。
〇木村オリンピック・パラリンピック推進室長 ホストタウンの現状についてでありますけれども、本県では現在20市町村が登録されまして、19カ国、地域と交流しており、東京都に次いで全国第2位の登録数となっております。
 次に、事前キャンプ地の現状についてでありますが、これまでオリンピック、パラリンピックを合わせて8市町において覚書が締結され、事前キャンプの受け入れが決定しているところであります。
 直近では、昨年12月に北上市がセルビアとの間で陸上競技について覚書を締結し、11月には一戸町がパラグアイとの間でパラリンピックの陸上と水泳についての覚書を締結しているところであります。
 新型コロナウイルス感染症の影響等により直接の交流が難しくなっておりますけれども、ビデオレターであったり、オンラインによる食文化の交流であったり等、さまざまな形で交流を継続しているところでありまして、県といたしましては、ホストタウンや事前キャンプ地における交流事業が、徹底した新型コロナウイルス感染症対策のもと安全・安心に実施され、今後の地域振興につながるよう、市町村の取り組みを支援しているところであります。
〇岩城元委員 ぜひしっかり支援していただいて、ホストタウンを受け入れた地域、地元でしっかり交流が図られるように、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、ホストタウン等新型コロナウイルス感染症対策基金条例について伺います。この内容を見ますと、新型コロナウイルス感染症対策の経費の積み立てになっておりますけれども、そのうち市町村交付金の交通、宿泊における感染予防対策経費について、具体的な例があればお知らせください。
〇木村オリンピック・パラリンピック推進室長 市町村交付金の具体的な内容ということでありますが、委員もおっしゃったとおり、交通、宿泊等に関する感染予防経費として、例えば鉄道等によります空席確保─ほかのお客様と距離をとるために前後1例の席をあけるような措置、あるいは、宿泊施設でのほかのお客様との動線をあけるということでフロア借り上げ等に用いられるものであります。
〇岩城元委員 徹底した新型コロナウイルス感染症対策ということになります。いずれ来られる方も受け入れる側も十分注意をしていただいて、開催に向けてよろしくお願いしたいと思います。
 次に、日本スポーツマスターズ2022開催準備費について、具体的な内容をお知らせください。
〇山本スポーツ振興課総括課長 日本スポーツマスターズ2022岩手大会でありますが、令和4年9月22日に開会式、会期につきましては、令和4年9月23日から26日までの予定で実施する方向であります。
 競技につきましては、13競技を実施する予定であります。
〇岩城元委員 13競技ということで、結構大規模な大会だと感じております。マスターズということなので、35歳以上の方が対象の大会のようであります。
 来年度は、岡山県で行われるようですが、現在の開催の見込みについてお知らせください。
〇山本スポーツ振興課総括課長 ことしの日本スポーツマスターズ2021岡山大会の開催見込みでありますが、岡山大会はことしの9月17日から21日までを中心会期としておりますが、現在、日本スポーツ協会におきまして、日本スポーツマスターズ大会の感染拡大防止ガイドラインを策定中でありまして、ことしの秋の安全・安心な大会開催に向け準備を進めているところであります。
〇岩城元委員 そうしましたら、岡山大会も参考にしていただきながら、岩手県で開催されるときに新型コロナウイルス感染症が終息していれば一番いいわけですけれども、いろいろ勉強していただきながら、安全な大会にしていただくようによろしくお願いします。
 岩手大会までのスケジュールと開催規模についてお知らせください。
〇山本スポーツ振興課総括課長 岩手大会に係る今後のスケジュールについてでありますが、今後、準備を加速させるため、ことし6月ごろに県の実行委員会を設立した後に、7月に開催予定の令和3年度第1回日本スポーツマスターズ委員会におきまして、岩手大会の競技日程、会場地が決定される予定となっております。その後、ことしの11月ごろに300日前イベント、来年の6月ごろには100日前イベントを計画しておりまして、大会成功に向けて県民の関心を高め、大会開催への機運醸成を図っていく予定であります。
 開催規模についてでありますが、これまでの実績を見ますと、県内外から約8、000名の選手、監督、それから約9、000名の競技役員等が参加する予定であります。県としては、こうした規模の大会を運営することで、全国規模のスポーツ大会を開催するノウハウが蓄積されるだけでなく、県内における各スポーツ施設の利活用にもつながると考えております。
〇岩城元委員 競技関係者で8、000名、そして付随する方で9、000名ということで、結構多くの方々が本県を訪れるということであります。
 そして、開催場所は県内各地ということであります。
 そうしましたら、開催地となる各市町村と、それぞれの競技に関する競技団体とは、どのような連携をとっていくのかお伺いします。
〇山本スポーツ振興課総括課長 各競技の実施に当たりましては、会場市町村と競技団体の連携が不可欠でありますことから、現在、競技会場地の選定におきまして、両者と調整を行っているところであります。
 また、日本スポーツマスターズの大会基本方針では、大会の諸施設は、国民体育大会等で使用したものを中心に、既存施設及び備品等を活用すると定められておりますので、平成28年に開催した希望郷いわて国体の開催地での実施を想定している競技も多く、希望郷いわて国体で培われた開催地市町村と競技団体との連携体制がこの大会でも生かせるのではないかと考えております。
〇岩城元委員 平成28年の希望郷いわて国体で使われた会場等を中心に今後詰めていくとのことですが、これだけ多くの方々がいらっしゃるわけですので、本県への影響も大きいかと思いますが、経済波及効果など試算しているものがあれば教えてください。
〇山本スポーツ振興課総括課長 経済波及効果でありますが、日本スポーツ協会が試算しておりまして、1大会当たりの平均で約7億5、900万円の経済波及効果があるとされております。したがいまして、地域経済の活性化にも寄与するものと考えております。
〇岩城元委員 大きな経済効果もあります。新型コロナウイルス感染症によって、飲食、宿泊、そして特産品等、かなり経営に影響が出ております。この大会を契機にしながら、経済対策もしっかり行っていただきたいと思います。
〇神崎浩之委員 文化スポーツ部の皆さん、それから関係する指定管理者の皆さんには、新型コロナウイルス感染症対応で非常に御苦労をかけた1年だったと思っております。例えば、今ごろから始まりましたけれども、施設の閉館やそれに伴う予約のキャンセル、予約しているのになぜ使えないのだというようなことへの対応であったり、再開に向けては人数制限を考えたりと、文化やスポーツ各団体の事業や施設の運営に非常に多くの御努力、御苦労があったと思っております。
 そこで、お聞きしますけれども、今年度の事業の縮小や中止の状況について、これは催事にかかわりますので、どういう状況だったのかということと、それにより収入の減少状況はどのような状況だったのかということ。
 あわせて、感染予防のかかり増し経費も多かったと思いますが、それは、例えば独自の分についてはさまざまな感染症対策費が来ていると思いますけれども、委託先の指定管理者についてはどういう手だてをしたのかお伺いしたいと思います。
〇岡部文化振興課総括課長 まず、文化施設の関係であります。
 文化振興課所管の県営文化施設であります県民会館及び公会堂における公演等の実施状況につきましては、昨年2月から本年1月までに予定されていたものの約55%が中止または延期となっているところであります。
 次に、中止または延期に伴う利用料収入につきまして、県民会館と公会堂、合わせて約2、900万円が減収になっているところであります。
 次に、感染予防に係る経費であります。県では、赤外線サーモグラフィーや非接触型体温計、消毒液を県民会館と公会堂に配備したところであります。このほかにも、両施設におけるかかり増し経費としまして、消毒や換気に係る経費の予算措置を行いまして、合計で約290万円となる見込みであります。
〇山本スポーツ振興課総括課長 次に、県営スポーツ施設についてでありますけれども、まず、今年度の事業の縮小、中止の状況についてであります。
 スポーツ大会につきましては、鹿児島国体が延期されまして、例年5月から8月にかけて行っております県民体育大会、国体選手選考会などを中止したところであります。また、例年6月に開催しております岩手県障がい者スポーツ大会につきましては、種目別の競技記録会形式で参加人数を限定した代替大会を実施したところであります。さらに、例年5月から9月に開催しております岩手県民長寿体育祭につきましては、13競技中、卓球やソフトテニスなどの5競技を個別に実施いたしまして、いきいきシニアスポーツ大会につきましては中止としたところであります。
 また、県直営事業につきましては、スーパーキッズ発掘・育成事業のフェンシングあるいはボクシングなどといった競技体験トレーニングを中止しましたほか、スポーツ医・科学サポート事業の健康づくり支援事業など、計36件の事業を中止したところであります。
 次に、事業の中止等に伴う収入の状況でありますが、県営スポーツ施設9施設における利用料収入の減少状況は、昨年4月からことしの1月までの10カ月間で、約740万円余りの減収となっております。
 次に、感染症予防に係る費用の状況でありますが、今年度分の感染予防に係る経費につきましては、県では、消毒液、体温計の配備費用を負担したほか、県運動公園のボルダリング施設、それから、県営武道館の空調設備の整備費を措置したところであります。
 このほかにも、県営スポーツ施設のかかり増し経費といたしまして、アクリル板、マスク、園内遊具等利用制限テープ等の購入経費の予算措置を行いまして、合計で約680万円となる見込みであります。
〇神崎浩之委員 今回の件が一過性であれば、消毒をしたり、マスクをしたり、換気をしたりということは、今後のインフルエンザ等も含めて、いいきっかけになったのではないかと思っておりますが、心配なのは、例えば委託している団体の委託料が、事業が開催できないことによって減額されることが一番心配なのです。それらについてはどうだったのか。
 例えば、実施できなくても経費はかかっています。それまでの準備からかかっていますし、団体によっては、それに伴って人件費を盛り込んでいるところもある。今年度だけであればいいのですけれども、これが長く続くようなことがあって、事業ができなくなったから事業費を削られるということについては、皆さん方はいいでしょうけれども、委託される団体は、臨時職員を雇ったりということで、今後も含めて非常に困るのではないか。その辺の委託先に対する減額等についてお伺いしたいと思います。
〇岡部文化振興課総括課長 県民会館と公会堂の管理運営についてであります。こちらの両施設については、指定管理者制度を導入しております。先ほど御答弁申し上げましたとおり、両施設については、利用料収入等の減少が生じているところでありまして、これに伴う指定管理料の増額を行っているところであります。
〇山本スポーツ振興課総括課長 県営スポーツ施設の管理運営につきましては、指定管理者制度を導入しておりまして、各施設において利用料収入の減少等が生じたため、指定管理料の増額を行っております。
 また、大会等の中止に伴う減額といたしましては、予算事業名で申し上げますけれども、体育大会開催、派遣事業費は、選手が大会に出場するための旅費及び補助金等でありますけれども、県民体育大会の開催中止、それから国民体育大会の延期等によりまして、791万6、000円を減額したところであります。
 また、障がい者スポーツ振興事業費は、障がい者スポーツ大会の中止などによりまして、387万7、000円を減額したところであります。
 また、高齢者スポーツ活動振興事業費につきましては、一部競技を中止したことなどによりまして、113万3、000円の減額をしているところであります。
〇神崎浩之委員 各団体は、やはり正職員ではないですよね。ですから、長く続けば、雇用に対して非常に心配だと思っています。ぜひその配慮をお願いしたいと思います。
 それで、来年度、県並びに団体の事業の計画はどういう状況なのかということと、文化スポーツ催事における県や団体、市町村の観客数制限等の開催上の留意点をどうしていくのか、いつまでも半分ということでいいのかどうか、これもちょっと考えていただきたいなと思いますが、いかがでしょうか。
〇岡部文化振興課総括課長 来年度の事業計画についてでありますが、県では、引き続き、県民会館を主会場とした岩手芸術祭や民俗芸能フェスティバルの開催に取り組みますほか、県民会館及び公会堂のホール利用等を促進するいわて文化施設利用促進事業を令和3年度予算案に盛り込んでいるところであります。また、県民会館の指定管理者であります公益財団法人岩手県文化振興事業団におきましては、ピアノコンサートや演劇などの自主事業を例年並みに計画しており、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえながら実施を検討しているところであります。
 次に、イベント等の開催制限につきましては、国からイベント等の開催制限などに関する通知が発出されております。現行のものにつきましては、市町村や関係団体へ周知を行っているところであります。
 その現行の要件としまして、本県の場合は、現時点で収容率につきましては、大声で歓声等がないことを前提とし得る場合については100%以内、大声での歓声等が想定される場合、ロックコンサートなどですけれども、それについては50%以内の収容率とすることという基準があります。また、人数制限につきましては、5、000人または収容定員の50%以内のいずれか大きいほうとされていますので、その催し物の様態によって制限が異なっているところであります。
 また、文化施設の管理者やイベント主催者等が協力、役割分担しながら、マスク着用や消毒、換気、体温チェック、連絡先の把握など、基本的な感染対策に取り組んでいるところであります。
〇山本スポーツ振興課総括課長 来年度の事業の計画状況でありますが、新型コロナウイルス感染症の感染防止に努めながら、例年どおり県民体育大会、岩手県障がい者スポーツ大会、岩手県民長寿体育祭などのスポーツ大会が実施できるよう、その開催経費と国体等全国大会への出場経費を令和3年度当初予算案に計上したところであります。
 また、催事における観客数制限等の件でありますが、先ほど文化振興課総括課長が答弁したとおり、県では、イベント等の開催制限などの通知につきまして、国からの通知があり次第、市町村や関係団体への周知を行っているところであります。
 現行では、収容率が、大声での歓声等がないことを前提とし得る場合100%以内、大声での歓声等が想定される場合は50%以内、人数上限につきましては、収容人数1万人超の施設につきましては、5、000人を超え、収容人数の50%までを可とする。収容人数1万人以下の施設につきましては5、000人までを可とするとされておりまして、国の通知に従い観客制限等をしてまいりたいと考えております。
〇神崎浩之委員 盛り上げながら盛り上げられないというのは非常に大変だと思っております。先ほどの制限につきましては、例えば市町村と県の施設が違うという場面もありますので、ぜひ市町村と調整しながら実施していただきたい。
 それから、最後に部長にお願いして終わりますけれども、先日、県立図書館に行きましたら、やはり自主的に図書館に来るのを控える方がいて、読み聞かせができなくて、それをオンラインで、ユーチューブで県立図書館が親御さんたちに提供したという工夫がありました。これは民間だからできることだと思っております。何でもコロナ禍だからできなかった、コロナ禍だからだめだということではなくて、コロナ禍の中で、さまざまな工夫をしながら、新しいやり方でやっているということがありました。
 私は一般質問でも一貫して、アフターコロナの進め方について、やはりビルド・バック・ベターなので、できないということではなくて、今後、いかにピンチをチャンスに利便性を高めていくかということです。
 それで、県民会館も公会堂も、催事だけではなくて、会議もしています。そこで、例えばオンライン会議ができるような環境、ネット環境ですとか、マイクとかカメラとかスピーカー、そういうものを設置者として設置して、オンライン会議ができるような対応とか、だめですではなくて、そういう転換をすべきではないか。
 それから、催事につきましても、無観客で、お客さんを入れないでステージを使うという場合もあるかもしれないです。そうした場合には、やはり入場料が取れないので減免してやって、ステージを使って舞台をやってそれをオンラインで発信する、そういうことへの対応というのが、ポストコロナの文化スポーツ部が模範としてやるべきことだと思いますので、そのような要望も含めて、部長に、今後の対応についてお伺いしたいと思います。
〇石川文化スポーツ部長 ただいま委員から貴重な御提言をいただいたと考えております。我々も、コロナ禍において、ICTの活用は非常に大事だと考えております。
 今年度におきましても、岩手芸術祭あるいは岩手県民俗芸能フェスティバルは、ライブでも行いましたけれども、ライブ配信もネットで行いました。
 また、スポーツについても、自分たちでネット環境といいますか、カメラとか通信機器を購入しまして、これをまず我々で習熟し、またそれを市町村の職員の方、競技団体の方にも研修会などを開いて、あるいは貸し出しをするといったことを来年度は考えております。
 また、リモート会議でありますが、我々のスポーツ振興審議会あるいは文化振興審議会においては既にリモート会議を開催しておりまして、今後、各市町村においてもこういった動きが広がるように取り組んでいきたいと考えておりますし、施設の整備につきましては、また今後、各方面と協議しながら取り組んでいきたいと考えております。
〇田村勝則委員 たくさんの質問者がありますので、1点のみに絞ってお伺いしたいと思います。
 先ほど部長から、文化芸術団体への支援と発表の機会の提供を行うというお話がありました。そこで、文化芸術の振興策についてお伺いします。
 コロナ禍の中で、先ほど来、話がありますように、文化芸術団体も非常に忍従の日々を過ごしている方々が多いわけでありますけれども、国は文化芸術振興基本法を制定し、そしてさらに、総合的な文化政策を推進するとして、振興を取って、文化芸術基本法と改正して、今、文化振興策を総合的に行っております。
 そういう中で、本県もしっかりと文化芸術立県を目指して施策をしているわけですけれども、新年度の事業について改めてお伺いします。
〇岡部文化振興課総括課長 文化芸術団体につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、公演などの事業の中止、延期が余儀なくされているところでありますので、来年度におきましても、いわて文化芸術活動支援事業費を継続してまいりたいと思っております。
 さらには、岩手芸術祭、民俗芸能フェスティバル、アール・ブリュット巡回展といった文化芸術活動に県民の方々が触れられる機会をさらにつくってまいりたいと考えております。
〇田村勝則委員 そこで、実は我が岩手県は市民劇の先進県ということでありますが、文化庁もかなり補助事業なども行っておりまして、本県にもその事業がなされていると思いますけれども、その取り組み状況をまずお聞きします。
〇岡部文化振興課総括課長 今年度の文化庁の演劇に関する補助事業の実績についてであります。
 新型コロナウイルス感染症対策として、戦略的芸術文化創造推進事業、生徒やアマチュアを含む地域の文化芸術関係団体・芸術家によるアートキャラバンが実施されたところであります。
 本県におきましては、NPO法人が中心となりまして企画、運営するアーツライブいわてがこの事業に採択され、遠野物語ファンタジーや岬のマヨイガ特別公演、奥州市民文士劇など県内6市町村、22カ所で伝統芸能や演劇の公演等さまざまな文化芸術活動が展開されたところであります。
〇田村勝則委員 補助事業の金額は具体的にわかりますでしょうか。あるいは総額でもよろしいのですが、わかればお知らせいただきます。
〇岡部文化振興課総括課長 聞き及んでいるところでありますけれども、この事業につきましては、1団体当たり約5、000万円ほどの事業とお伺いしております。25地域で展開されていたのですけれども、1地域当たり5、000万円程度の予算とお伺いしております。
〇田村勝則委員 私が何かで見たのであれば、例えば宮古市の市民劇には文化庁から150万円入って、総額で400万円ぐらいの事業になっているというのは見たことがあるのですが、いろいろそういうことで文化庁も補助して、文化振興に資するためにいろいろな施策を展開しているわけです。
 文化庁が昨年2月に実施した文化に関する世論調査報告書というのがあります。これによれば、文化芸術の振興と効果について三つのことが強調されています。一つは地域社会、経済の活性化、もう一つは子供の心豊かな成長、もう一つが、人々が生きる楽しみを見出せるということなのです。
 先ほどお話がありました遠野市民劇を、私は先月ですけれども見に行ってきました。2日間にわたって上演されたわけですが、しっかりと新型コロナウイルス感染症対策もしながら、本当にいろいろな人たちがかかわって織りなしているふるさとの物語に感動してまいりました。二戸の市民劇も見ましたし、テレビでは菅野委員が出演の奥州市民劇も最後まで私は見ておりまして、本当にすばらしいなと思いました。
 こういう文化振興策は、岩手県が先進県です。第2位は兵庫県、第3位が千葉県、第4位が長崎県となって、岩手県は市民劇の取り組みが断トツに多いということであります。その先鞭を切ったのは遠野物語で、昭和51年あたりから上演されているということでありますが、県としても、こういうことが先ほど申し上げた三つのツール以外にも大きな効果があるわけですから、情報発信なども含めてしっかりと支援していくべきと思いますが、最後に部長の答弁をお聞きして終わります。
〇石川文化スポーツ部長 ただいま委員からお話がありましたとおり、本県における文化芸術の特徴の一つは、県内各地において市民劇が広く実施されていることだと考えております。
 市民劇は、住民が一体となってつくり上げることにより、地域への誇りや愛着の醸成が図られるとともに、稽古等を通してさまざまな世代の方々が交流する、これがコミュニティーの活性化につながっているものと考えております。
 県が沿岸広域振興圏に配置している文化芸術コーディネーターが中心となって展開してきた宮古市民文化会館の演劇創作あるいは郷土芸能活動、これが総務省の令和元年度地域創造大賞に選ばれたところであります。
 県では、令和3年度当初予算案におきましても、岩手芸術祭、民俗芸能フェスティバルを開催するための経費、あるいは文化芸術活動を支援するいわて文化芸術活動支援事業、いわて文化施設利用促進事業の経費を盛り込んでいるところでありまして、今後とも市町村あるいは文化芸術団体と連携しながら、市民劇を初めとした地域の文化芸術活動の支援、情報発信に取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 私からは、令和3年度の全国高等学校総合体育大会スキー競技会、令和4年度の特別国民体育大会冬季大会スキー競技会に関してお伺いいたします。
 まず、アスリートの競技力向上ということで予算計上されております。しかし、わずか1年、2年の期間での選手強化というのは、特段の対応がないとなかなか難しいのではないかと思っています。5年前のいわて国体では、皆さん頑張って大変優秀な成績をおさめましたけれども、これからのここ一、二年の強化の対策をお聞きしたいと思います。
〇山本スポーツ振興課総括課長 地元選手に対する強化策でありますが、県では、これまでスキー競技の選手強化策として、競技団体が実施する強化練習や合宿などに要する経費を支援してきたところでありますが、第71回全国高等学校総合体育大会スキー大会、それから特別国民体育大会冬季大会スキー競技会の開催決定を受けまして、来年度におきましては、さらなる強化策を行うこととしたところであります。
 具体的には、成年選手に対しましては、海外でシーズン前の雪上練習を行うための遠征費を支援することとしておりますほか、インターハイや冬季国体に出場することが期待される中学生や高校生に対しましては、競技成績を左右するスキー板へのワックス調整に係る人員の配置、スポーツ医・科学の知見を活用した高地トレーニングなどの強化練習を行うこととしており、本県の選手がこうした全国大会で優秀な成績をおさめることができるよう取り組んでまいります。
〇工藤勝博委員 今年度のスキー大会も終わったわけですけれども、ただ、残念ながら競技する選手が少ない。少ないと言いますか、大会に参加しながら継続して競技をする選手が、中学生までは結構いるのですが、高校になるとがくっと少なくなるというのが実態です。
 種目別に見ますと、アルペンの場合、高校生が17名、男子がそのうち13名で女子が4名、クロスカントリーは16名ですけれども男子12名、女子4名ということで、ことしのインターハイの結果を見ても、確かに大変活躍した選手もおります。その方々が卒業すると、次の一、二年とは、かなりギャップがあると見ていました。それらも含めて、どういう形で継続した選手強化ができるのか。
 そしてまた、例えば団体戦、4人で出る団体戦は1人欠けると棄権しなければならないという状況なわけです。ことしは特に盛岡南高校の女子のチームがそういう状況になったということで、選手層の確保もこれから十分考えていかなければならないだろうと思います。
 その辺も含めながら、先ほど、海外なり、あるいはまた県外にも出て強化するというお話もありましたけれども、それ以前に選手の確保、そしてまた指導者あるいはコーチングスタッフを充実していかないと、なかなか短期間では難しいのではないかと思っておりますけれども、その辺の考えはどうでしょうか。
〇山本スポーツ振興課総括課長 先ほどアルペン競技の少年の方々の種別、男女の割合のお話がありましたけれども、追加して申し上げますと、ジャンプ、コンバインド競技につきましては、今のところ中学3年生が1名、中学2年生が2名ということで、非常に少ないという状況にあります。したがいまして、来年度のインターハイには1名、その後のスキー国体には3名の出場を見込んでいると競技団体から聞いております。
 こうしたことも踏まえまして、本県のスキー競技につきましては、小林陵侑選手とか永井秀昭選手といったワールドカップ等国際大会で活躍される選手も多く、また国体においても多くの競技得点を獲得している実績を踏まえまして、強化費を重点的に配分しているところであります。
 また、次世代オリンピック選手輩出のため、小中学生に対する体験、あるいは育成に対する経費補助、日本代表等に選出されている多くのアスリートに対する合宿等の活動経費の支援なども行っているところであります。
 今後におきましても、競技団体と連携しながら、本県選手のスキーの競技力向上に向け取り組んでまいります。
〇工藤勝博委員 高校生の場合、部活動といいますか、限られた学校だと私は見ていますけれども、以前、強化指定校みたいなものがあって重点的に支援したり、指導者を配置したりしたと思うのですけれども、その辺のお考えはないのでしょうか。
 ちなみに、隣の秋田県では、スキー競技の場合、三つか四つ強化指定校にして、そこに重点的に選手強化費や支援策をやっています。その辺のお考えはどうでしょうか。
〇山本スポーツ振興課総括課長 選手強化指定校に対する支援でありますが、県のほうでもそういった事業を実施しております。また、先ほどちょっとお話ししましたけれども、オリンピック選手の輩出のために、スキー競技団に対しまして、ジュニア層、小学生から中学2年生の育成に対する経費補助なども行いまして、競技力の向上に努めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 いろいろ取り組みはなされていると思いますけれども、地元ですから、私の知る範囲のスキーの大会関係者といいますか競技関係者の方にお伺いしますと、やはり十分な支援がないと継続してやっていけないという声が出ています。インターハイは去年の春に開催決定、国体は去年の12月正式決定ですから、期間がないわけで、急ごしらえのような状態だと思いますけれども、今までの経験も踏まえながらしっかり対策をとっていただかないと、もう大変だと思います。
 その大変だというのは、成功させるために、地元の選手が結果を出さないと関係者も力が出ないという声が出ています。あとは、大会を成功させるためにボランティアの方が出ているのですけれども、そういう皆さんの思いも、上位に入る選手がいないとやはり力が入らないと思うので、その辺も含めて、選手強化に努めていただければと思っています。
 秋田県では、かなりの額を強化費に積んでいます。それらも参考にしながら、ぜひ岩手県でも取り組んでいただければと思います。
 2点目です。今まで国体、インターハイ、そしてまた全国中学校体育大会、あるいは大学のインターカレッジなど、大きな大会が開催されてきています。特に70メートル級のジャンプ台、これは旧安代地区でつくったジャンプ台ですけれども、それを今度の予算では、アプローチをアイストラックにするということで、大変有効な施設になります。5年前の国体にはなくて大変な苦労をされたわけですけれども、次の大会には十分その効果が発揮されると思って期待もしております。
 そういう中で、それ以外の環境整備もぜひしてほしいということがあります。あそこは、第1リフトから上のほうに上がって、実際、便が悪い場所なのですけれども、そういう中でも今までかなりの大会を経験しております。さらに施設の拡充といいますか、競技者の競技力を上げるためにも、ランディングバーンを人工芝にしてほしいと思います。そうすると、夏場も練習したり、大会も開けると言われています。
 ランディングバーンとか、駐車場とか、またそこまで行くための道路など、全て八幡平市が今やっているのです。やはりこれだけの大きな大会が毎年のように開催される施設ですので、冬の競技の中でスケートとスキーですから、県営スケート場のように、県の一定の維持管理も必要ではないかと言われていました。特にスキー関係者の皆さんにとれば、やはりそこが岩手県のスキー場のメッカだと、自分たちが守り育てるというすごい気概を持っているのです。
 それらも含めて、県のこれからの方針をお聞きしたいと思います。
〇山本スポーツ振興課総括課長 スキージャンプ場の施設等の整備についてでありますが、県では、これまで、大規模大会に合わせて、国などの補助金を活用しながら、市町村の施設整備の支援を行ってきております。今回の特別国民体育大会冬季大会スキー競技会に向けたクーリングシステムの整備につきましても、安全で公平な競技運営、それから円滑な競技会進行のために、toto助成金を活用しながら整備することとしております。
 委員御指摘の八幡平市所有の矢神飛躍台の人工芝敷設、駐車場整備等による施設の通年化は、選手強化あるいは大会、合宿の誘致等において有利に働く条件の一つと考えるものですけれども、今回のクーリングシステム導入時のような補助金等のメニューがなく、多額の事業費も見込まれるということで、現段階での整備は難しいと考えております。
 今後、国の補助金等の動向を注視するとともに、八幡平市からの意向を聞きながら、研究してまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員長 質疑、答弁とも簡潔、明瞭にお願いいたします。
〇工藤勝博委員 いずれこの冬季大会は、岩手県の順番が以前より早く回ってきます。できる県が限られていますので、少なくとも10年以内には、インターハイ、国体あるいはインターカレッジとか、大きな大会があります。そういうことも含めて、矢神ジャンプ台、そしてまた安比高原のアルペンも競技人口が大変ふえていますし、安比高原ではまた新たなボードの種目ができるような施設もつくっている。そしてまた、県内の若い人たちが、世界に羽ばたく気概を持って取り組んでおります。
 それらも含めて、県ももう少し冬のスポーツも頑張ってほしいと思います。夏場の野球はプロ野球で大変頑張っていますし、それらも含めて、岩手県からさらに世界に飛躍するような選手の育成ができる環境にあると思います。その環境を生かすための県の施策を部長からお聞きして終わります。
〇石川文化スポーツ部長 委員御指摘のとおり、スキーにつきましては、冬季のスポーツということで、そこで選手が優秀な成績をおさめれば、地域の皆さんはもちろん県民に勇気を与えるものだと考えております。
 我が県としては、やはりスキーを重点的な強化スポーツということで考えておりまして、そういった意味ではハードとソフト両面について考えていかなければならないと思いますが、限られた財源の中で、現在、ソフトを中心に選手強化に取り組んでいるところでありまして、今後につきましても、スキー競技をどのような形で岩手県が活躍できるようにしていくのか、検討してまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。

午前11時4分 休 憩

午前11時22分 再 開

〇岩渕誠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇臼澤勉委員 私は2月の一般質問でスポーツ医・科学サポート拠点のあり方について伺い、部長から答弁をいただきました。まず、そこについてちょっと確認させていただきたいと思います。
 これまでも、ちょうど1年前の予算特別委員会において取り上げた際には、まさにプラットフォームの設立に向けた動きを加速していくという答弁をいただいておりました。そして、9月の決算特別委員会においても、11月に開催予定の研究会で、このプラットフォームに求められる役割とか体制などの検討を行うということで、具体的な今後のスケジュールの検討も行って、年度内に研究会としての取り組みを検討していくという答弁でありましたが、残念ながらこの前の一般質問での部長の答弁は、全くこの辺の具体的な話がなくて、正直、非常に拍子抜けをしたのですけれども、改めてちょっと確認させてください。
〇石川文化スポーツ部長 スポーツ医・科学サポートの拠点についてであります。
 一般質問で御答弁申し上げたとおり、昨年度、県と外部有識者による研究会をつくりました。ここには岩手大学あるいは岩手医科大学の先生方に加えまして、スポーツビジネスに携わっている方、あるいは観光事業に携わっている方々も入っていただき、幅広い議論を今行っているところであります。
 現在のところ、民間の活力も生かしたソフト面でのさまざまな取り組みを重ねていく中で、拠点のあり方についても検討していきたいと考えておりますけれども、スポーツ医・科学センターは、一時期、先行した例えば青森県とか秋田県については既に設置されておりますけれども、こちらの取り組みなどを聞いていますと、まず、スポーツセンターをつくってみたのはいいけれども、例えば高価な医療機械を整備したけれども、なかなか使う機会がないといったお話も聞いておりまして、そこは、スポーツ医・科学センターあるいはスポーツ医・科学サポートをどのような形で進めていくのかというところから議論を進めていきたいと考えております。
 そうした意味では、例えばここ1年、矢巾町が岩手医科大学あるいは企業等と連携して町民の皆さんの健康づくりを進めておりますメディカルフィットネスウェルベース矢巾、こういったところは実際に取り組みを進めておられますので、そういった事例などもしっかり研究させていただきながら検討を進めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 決算特別委員会でも、具体的な役割、推進体制、そして年度内にはある一定の方向性なりを検討していくという話でしたので、引き続き、いろいろと調査、研究を進めていただきたいと思います。
 それでは、個別施設管理計画の策定状況について、まず、どのような状況になっているのかお伺いいたします。
〇山本スポーツ振興課総括課長 県営スポーツ施設の個別施設計画の策定状況についてですが、県営運動公園、県営体育館など建築面積100平方メートル以上の県営スポーツ施設8施設を含めまして、本年2月19日、岩手県文化スポーツ部所管公共施設個別施設計画を策定、公表したところであります。
 本計画におきましては、各施設の当面の方向性を定め、県営野球場については集約化、用途廃止、その他の7施設については修繕、改修による長寿命化を図ることとしております。
〇臼澤勉委員 今回、包括外部監査の結果報告書もまとめられておりまして、非常に専門的に分析されております。それで、県営スポーツ施設さまざまありますけれども、この報告書の中でも、個別施設管理計画では、効果額が不十分で県の財政にとって長期的に運営することができないとの指摘も記載されておりましたけれども、この辺は、県はどのように受けとめて対処するお考えかお伺いいたします。
〇山本スポーツ振興課総括課長 包括外部監査は、個別施設計画策定前に実施されたものでありまして、この計画におきまして、長寿命化対策等の効果額の記載がないことを想定いたしまして、効果額が不十分で県の財政にとって長期的に運営することができないと考えられるため、解決に向けた取り組みの必要性に迫られるリスクがあると指摘されたところであります。
 県営スポーツ施設の個別施設計画につきましては、上位計画であります岩手県公共施設個別施設計画策定指針に基づき策定いたしましたが、先ほどの指摘を踏まえまして、岩手県公共施設等総合管理計画の改定の状況を見ながら、今後、必要に応じ長寿命化対策等の効果額の記載について検討してまいります。
〇臼澤勉委員 今後10年間で、本当に充当可能な財源をどのように見込んでいくのかといったところが、すごく大事なポイントになってくると思います。私の課題認識としては、今回の野球場のように、シェアリングエコノミー的な発想で県内の市町村と施設の共有化を図れないか。あるいは、今後10年にわたっての維持管理できる見通しをどうつくっていくのかというのがすごく大事なポイントだと思います。当然その中には、統合したり、あるいは、もしかしたら廃止する施設も出てくるかもしれませんけれども、そういった部分を、今回は予算特別委員会ですから、今後の新年度の予算に向けてのさまざまな議論が必要ではないかと思って、きょうは取り上げさせていただいております。
 ちょっと質問ですが、今後10年以内に耐用年数を迎える施設は、いろいろありますけれども、思い浮かぶところで何がありますか。お伺いいたします。
〇山本スポーツ振興課総括課長 県営体育館などが耐用年数を迎えるということになっています。
〇臼澤勉委員 令和8年度には県営体育館が耐用年数を迎えることになります。いろいろと具体的な施設整備とか、今後どのように見込んでいくのかといったところは、県単独でいくのか。あるいは、今、県内の市町村を見ても、立派な体育館もありますから、例えばそういった部分との整合性とか役割分担も求められてくるのではないかと思います。ぜひ県内の市町村の意向なりいろいろと調査、ヒアリング等するべきだろうと思っておりますけれども、その辺はどのような感じでしょうか。
〇山本スポーツ振興課総括課長 県内には、充実した機能を備えた市町村施設がふえてきたところでありますが、県営体育館は、県内で唯一、体操競技会の全ての種目を一体的に実施できる施設でありますことから、重要度の評価が高いと考えておりまして、ことし2月に策定した個別施設計画において、当面、県営の施設として維持すべき施設としているところであります。
 市町村営施設に対するヒアリング等でありますが、こういった状況もございまして、特にそうしたことはしておりません。
〇臼澤勉委員 ヒアリング等をしていないということですけれども、もう市町村の意向とかは余り気にしないというお考えなのでしょうか。
〇山本スポーツ振興課総括課長 そういうことではありません。今後も必要に応じてヒアリング等を実施してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 必要に応じてということですが、必要なのではないでしょうか。外部監査報告書にも、その辺のポイントも書いているわけです。この監査報告書をどのように受けとめますか。この報告書にも、市町村との役割分担、機能分担も、今後、人口が減っていく、財政も厳しくなっていく中で、県が全て管理、あるいは施設の大改修をやっていくというのも限界があるというようなポイントの指摘もあるわけです。
 そういったときに、いやいや、市町村の意向も必要であれば今後聞きますという後ろ向きの姿勢では、私は、やはりちょっと今後どうなるのかという問題意識を持っているものですから、その辺、部長にお伺いいたします。
〇石川文化スポーツ部長 ただいま委員から御指摘いただいたとおりであります。今お話がありました県営体育館などの県営スポーツ施設は、いずれも昭和45年の国体に合わせて整備されたもので、現在、全体的に老朽化が進行しておりまして、個別施設計画に基づき、利用者の安全を第一に、必要性や緊急性を考慮しながら計画的に維持修繕や改修等を進める必要があると考えております。
 今後の改修に係る整備方針については、ことし2月に策定した個別施設計画に基づき、当面、維持管理、修繕、改修等を計画的に行い、長寿命化を図り、中長期的なコストの縮減、財政負担の平準化を図ることとしております。
 また、維持管理や修繕、改修の具体策の検討に当たりましては、各施設の状態に基づきまして、委員御指摘のとおり、市町村あるいは民間との連携も視野に検討してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 今は体育館の話でありますが、雫石町にある屋内温水プールも、たしか平成四、五年のあたりにできて、もう二十七、八年たつと思います。当時、資源エネルギー課が所管で地熱を活用した、そもそもはスポーツ施設という位置づけではなかったと思いますけれども、いろいろな流れの中で今は文化スポーツ部が所管されていると思いますが、ここについても岩手県水泳連盟からも要望が多分上がっていると思います。利用客にとっての利便性だとか、今後、維持管理を考えていく上では、やはり少しお客さんが使いやすいようなところも含めた検討も必要ではないかということで、結構専門的な要望書が県に出ていると思いますけれども、県はどのように受けとめているのかお伺いいたします。
〇山本スポーツ振興課総括課長 県営屋内温水プールの今後のあり方でありますが、ことし2月に策定した個別施設計画においては、日本水泳連盟50メートル公認プールやファミリープールなどを有している施設であるほか、住民のレクリエーション、大会や合宿などにも利用されている状況を踏まえ、長期的に県営の施設として維持していくことが望ましいとしたところであります。
 今回、岩手県水泳連盟から、矢巾町への設置の要望がありましたけれども、県営施設及び県全体での設置状況のほか、県民ニーズ、市町村施設との役割分担、財政状況などを踏まえた検討が必要あると考えております。
〇臼澤勉委員 これからの時代、スポーツ施設という一つの機能だけでなくて、健康増進を高めていくというような健康機能とか、施設はやはり複合的な機能、役割を持たせながら、そして、県がそれぞれ単独で持つというよりは、先ほども答弁にありましたけれども、民間の力などを活用するような形での管理も必要になってくると思っております。
 そこで、岩手県スポーツ振興事業団の指定管理者制度の導入についても、この監査法人の報告書の中では、非常に問題意識、存在意義が問われるような御指摘もあって、経営改善にどう取り組んでいくのかというようなことも指摘がありました。その辺についての御所見をお伺いいたします。
〇山本スポーツ振興課総括課長 岩手県スポーツ振興事業団では、指定管理者制度の導入に伴いまして、職員構成の見直し、資格取得の促進、利用者アンケートに基づくサービスの向上など競争力強化の取り組みを進めてきたところですけれども、指定管理の公募で選定されなかった場合のリスクについて、岩手県スポーツ振興事業団が作成する経営環境分析において位置づけがなく、運営評価レポートにおいても記載がされていないなどのため、今回、監査人から、経営改善が進んでいないとの御指摘をいただいたところであります。
 このため、今後、岩手県スポーツ振興事業団とともに、事業活動の実態を十分に考慮した経営環境分析を行った上で、経営課題を的確に把握し、課題の解決に向けた取り組みを行うとともに、県が行う運営評価等、実効性のある指導監督を通じて、岩手県スポーツ振興事業団の取り組みを支援してまいります。
〇臼澤勉委員 指定管理者制度についてもさまざまなメリット、デメリットもあると思うのですけれども、この報告書の中でも、サウンディング型の市場調査をやるべきでないかという御指摘もあるわけであります。今後、大規模な修繕も含めた必要性が迫られてまいります。先ほど、例えば10年以内には県営体育館なども耐用年数が間近になってくるという話もありますし、プールも含めてさまざまな施設が、今後、単発の維持修繕という部分もあるでしょうが、大規模な修繕も見通しながら管理を立てていかなければいけない時代に入ってきていると思います。そういった意味では、指定管理者制度から、PFIとかそういった部分の、最初の段階から民間のアイデアとか力を、あるいは、対話を通じながら検討していく必要が私はあるのだろうと思います。
 最後に、今後どう管理を進めていくお考えなのか、所見を文化スポーツ部長に聞いて、終わりたいと思います。
〇石川文化スポーツ部長 ただいま委員から御指摘いただいたとおり、県営のスポーツ施設が耐用年数を迎えていることから、今後どうあるべきかということについては非常に大きな課題だと認識しております。
 今回の個別施設計画におきましては、当面は修繕による長寿命化という形でありますけれども、期限が来てから考えるのではなくて、今から、今後施設がどのような形であるべきなのか、県と市町村の施設の役割分担はどうあるべきなのか、どういう管理運営方式にしたらいいのか、そういったことについて民間あるいは市町村とも、しっかり御意見を伺いながら、検討してまいりたいと考えております。
〇高橋こうすけ委員 私からは1点、ソフトパワーいわて戦略推進事業費についてお伺いさせていただければと思います。
 このソフトパワーいわて戦略推進事業費は、国内外で注目度の高い漫画を活用して、伝統芸能、工芸、食文化など、本県の魅力を発信する事業と認識しているところでありますが、この事業について、現状と今後の動きについてお伺いします。
〇岡部文化振興課総括課長 ソフトパワーいわて戦略推進事業についてでありますが、県では、ウエブや単行本のコミックいわてにより、鬼剣舞や鹿踊りなどの伝統芸能を初め、南部鉄器や漆器などの伝統工芸品、わんこそばや餅などの食文化をテーマとした作品を通して、本県の魅力を発信しているところであります。
 また、今月19日に発行いたしますコミックいわて+(テン)では、東日本大震災津波関連作品3本や、新型コロナウイルス感染症に関する作品5本を収録しているところであります。
 県といたしましては、今後とも、著名漫画家による作品や関心度の高いテーマの作品の掲載、外国語版の作成など、コミックいわての充実を図るとともに、各種イベントにおける周知や電子書籍化、漫画を通じた国際交流を図るなど、漫画を通じた本県の魅力発信の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋こうすけ委員 そういった著名な方々とのコラボレーションも、ぜひ今後も検討していただければと思うところではあるのですけれども、予算における重点事項説明書の中に注目度の高い漫画という表現がありまして、国内でもちろん東日本大震災津波のこととかも注目度の高いものになってくると思いますが、岩手県内での注目ではなくて、より国内で注目を浴びるような漫画を出していったほうがいいかと私は考えております。
 今後、引き続き、著名な漫画家とさらにコラボレーションしていく予定も組んでいるという認識でよろしいでしょうか。
〇岡部文化振興課総括課長 今後とも、著名な漫画家とのコラボレーションを引き続き進めてまいりたいと思っております。
 これまで、池野恋先生や吉田戦車先生などの本県出身の漫画家の皆様に、コミックいわてに作品を提供いただいております。昨年度は、弘兼憲史先生に、会長島耕作にILC編を執筆いただきましたし、今年度は三田紀房先生に、平泉世界遺産の日のポスターにドラゴン桜の桜木健二を描いていただくなど、漫画を使った情報発信に取り組んでいるところであります。
 今後におきましても、漫画を通した本県の魅力発信に取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋こうすけ委員 私も新聞等で、今度また出るということは見ておりました。最近では、いわてダ・ヴィンチなどでも、若手の芸人さんが活躍されていて、今注目を浴びている方々とのコラボレーションを強く前向きに考えていただきたいと思っております。それこそ、ハイキュー!!とか、呪術廻戦とか、今全国的に非常に注目を浴びているものでありますし、原作の中でも岩手県や盛岡市の情景が描かれている漫画でありますので、今注目を浴びている方々とのコラボレーションもぜひ検討していただきながら進めていただければと思いますが、ぜひ部長から所感をお伺いできればと思います。
〇石川文化スポーツ部長 委員御指摘、御提案の漫画による情報発信につきましては、非常に重要であると考えております。
 本県出身の作家ということでは、先ほど文化振興課総括課長が答弁しました池野恋先生、三田紀房先生に加え、今委員からお話がありましたハイキュー!!の古舘春一先生、あるいは呪術廻戦の芥見下々先生は、本当に全国的に活躍されております。アニメにもされておりまして、舞台に盛岡市が登場したりしております。また、県が実施しております、いわてマンガ大賞コンテストの入賞者の中にも、プロとして活躍されている方も出始めておりますので、そういった方々も含めまして、今後とも漫画による本県の魅力発信、情報発信に力を入れていきたいと考えております。
〇高橋こうすけ委員 そういったコンテスト等もありますので、そういった方々とコラボレーションしながら、最終的に大きなコラボレーションとして、一つの到達地点として、そういった形でもっていければより一層いいものができると思っておりますので、ぜひ引き続きよろしくお願いいたします。
〇木村幸弘委員 私からは、官民一体によって進めようとしております文化芸術推進組織、いわゆるいわてアーツカウンシル(仮称)の設立に向けて、どのような体制構築が行われ、具体的な事業はどのような中身になるのか、お伺いしたいと思います。
〇岡部文化振興課総括課長 官民一体による文化芸術推進体制の創設に向けた取り組みについてであります。
 県では、文化芸術プログラムの企画、運営等を行う官民一体の文化芸術推進体制いわてアーツカウンシル(仮称)の創設に向けて、現在、先進事例の情報収集のほか、県内の文化芸術団体と文化芸術活動における課題や活動の活性化に向けた取り組みなどについて、意見交換を行っているところであります。
 また、本アーツカウンシルを円滑に運営するために、県内各地において文化芸術団体を支える人材の育成が必要であることから、市町村職員や文化施設職員などを対象としたアートマネジメント研修を実施しているところであります。
 来年度におきましては、本アーツカウンシルの体制、活動内容、財源などについて検討を進め、県内の文化芸術団体や、それを支える人たちの力を結集した体制づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 ところで、そもそもこのアーツカウンシルというのは、一体何を目指して何をやる組織であるのか、そこのところがなかなか見えないのです。既存のいろいろな文化芸術団体があると思うのですけれども、そことの関係性はどのようになっているのでしょうか。
〇岡部文化振興課総括課長 先ほども御答弁申し上げましたとおり、本県の官民一体となった文化芸術をどう進めるかについて、関係団体の方々と意見を交換しているところであります。まさしく岩手版アーツカウンシル、いわゆる官民一体の推進体制でありますけれども、どう進めていくかというところを今議論しているところでありまして、岩手県ならではの体制を築いてまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 答弁からだけだとなかなかイメージが湧いてこないものですから、まだ今は検討過程だということですので、もう少し中身が具体的に見えるようになった部分でまた議論が必要かと思います。
 もう一つは、文化芸術コーディネーターの配置であります。
 アーツカウンシルでは人材育成もやるということも記載されているわけでありますけれども、そういう意味でいうと、県内でさまざまな文化芸術活動に取り組んでいるコーディネーターの役割が、あるいはコーディネーターそのものを育成するというのは大変重要ではないかと思っていまして、今の現状、具体的な配置体制、そしてコーディネーター配置に対する事業の状況についてお伺いしたいと思います。
〇岡部文化振興課総括課長 文化芸術コーディネーターの配置体制及び事業内容についてであります。
 県では、地域の文化芸術活動を支援し、活性化を図るため、各広域振興圏に、岩手県文化芸術コーディネーターを配置しているところであります。
 文化芸術コーディネーターは、それぞれの地域において文化芸術活動を支援しているNPO法人等に委嘱しており、現在、4広域振興圏で5カ所に配置しているところであります。
 文化芸術コーディネーターは、地域の文化芸術団体などからの運営面、財政面などの相談に対してアドバイスを行っておりますほか、市町村や文化芸術団体などによる文化芸術活動支援ネットワーク会議を開催し、地域の文化芸術活動について意見交換の場を設けておりまして、このネットワーク会議には県も参加し、文化芸術施策の検討に生かしているところであります。
 今年度におきましては、コーディネーターを通じて新型コロナウイルス感染症による文化芸術団体への影響の把握や、県の文化芸術活動の支援事業の活用を促したところであります。
〇木村幸弘委員 まず、いずれそれぞれの地域でしっかりとサポートをしていただくコーディネーターの役割は大変重要だと思いますので、今後ともしっかりと取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、東京2020大会・日本博を契機とした障害者の文化芸術フェスティバルについて、具体的な開催内容と県としてのかかわり方、その取り組み内容について伺いたいと思います。
 そして、その中で、障がい者芸術活動支援センターなどは、どのような役割やかかわりを持っているのかについてもあわせて伺います。
〇岡部文化振興課総括課長 東京2020大会・日本博を契機とした障害者の文化芸術フェスティバルに係る具体的開催内容と県としてのかかわり方、取り組み内容についてであります。
 本フェスティバルは、日本人と自然を障がい者の視点を通じて国内外に発信することを目的に、全国を七つのブロックに分け、各地域において、障がい者文化芸術関連の事業を行うもので、東北ブロックでは、岩手県が開催地となっています。
 開催内容についてでありますが、社会福祉法人岩手県社会福祉事業団が中心となりまして実行委員会を組織し、アール・ブリュット巡回展やバリアフリー演劇、バリアフリー映画等を予定しているところであります。
 県は、本フェスティバルの事業費の一部を負担するとともに、実行委員会委員の一員として、各事業の企画、運営に携わることとしております。
 次に、障がい者芸術活動支援センターとのかかわり方や役割についてでありますが、同センターにおきましても、本フェスティバルの実行委員会の構成メンバーとなりまして、フェスティバルにおける作品の発表など、具体的な取り組みの企画、運営に携わっていただくこととしております。
〇木村幸弘委員 具体的にはいろいろな企画がこれから行われるのでしょうけれども、いずれ障がい者のいろいろな活動の発信の場として非常に期待されるものが大きいのではないかと思っておりましたので、東北ブロックの担当県として、しっかり取り組んでいただくようにお願いしたいと思います。
 それから、いただいた資料の主な内容の中に、例えば農福連携のイベントの実施などということも検討されているようですけれども、こうした取り組みの場合に、往々にして農産物の物販とかに目が行ってしまいがちですが、例えば障がい者の雇用にどのようにつながっていくか、あるいは、つながっているのかや、障がい者とのかかわりの中での視点をしっかりと重視して、物販でそれで終わりみたいな形にしないような位置づけも必要ではないかと思いますので、意見として申し上げておきたいと思います。
 最後に、アール・ブリュット巡回展についてであります。今年度の活動実績と、その成果と課題をまずお伺いしたいと思います。
〇岡部文化振興課総括課長 アール・ブリュット巡回展の活動実績及び成果と課題についてであります。
 県では、障がい者等の創作意欲の醸成を図るとともに、県民の障がい者芸術に対する関心を高めることを目的として、県内4広域振興圏で巡回展を開催しております。今年度は県内の16名の作家による作品28点を展示いたしました。来場者数は4会場で合計1、864人でありましたが、昨年度と比較して4、800人の減少となってしまいました。
 今年度の実施に当たりましては、新型コロナウイルス感染症の影響による来場者数の減少が懸念されましたことから、巡回展に係るテレビCMやテレビ番組、SNS、街頭ビジョン等を活用した情報発信に取り組んだほか、各会場において新型コロナウイルス感染症対策を行った上で、作家の人柄や創作活動について知っていただくことを目的としたギャラリートークを実施したところであります。
 また、新たな取り組みとして、展示会場に来場することができない方にも作品を鑑賞していただけるよう、特設ホームページ上でデジタル展覧会を開催したところであります。その結果、デジタル展覧会には約3、200件のアクセスがあり、多くの方々に鑑賞いただくことができたものと認識しております。
〇木村幸弘委員 そうした成果、課題を踏まえて、新年度に向けてどのように取り組むかということでお答えいただいてもよかったのですが、いずれ先ほどの東京2020大会・日本博を契機とした障害者の文化芸術フェスティバルとの兼ね合いでアール・ブリュット巡回展の取り組みなども行われるようですから、こうした県内の巡回展の取り組みとの連動であるとか、そういった考え方はどのようなものなのかということ。
 それから、今お話があったように、コロナ禍の影響などがあって、それに合わせた対策などもさまざま検討しなければならないということですが、例えば入場者の減少というところで、一つはマンネリ化ということもあるのかもしれませんけれども、いろいろな共催事業の考え方の中で、最近は障がい者の文化芸術に民間の立場から積極的にバックアップしてもらっているヘラルボニーさんの取り組みであるとか、こういったところを有機的に結びつけた共催的な事業が展開されてもいいのではないか。その結果、そういった事業をあわせて紹介すると同時に、障がい者の作品展示に合わせて、生活や所得支援にもつながっていくというようなところも含めて、いろいろな工夫があって、いろいろな形で、参加される方、来場される方々にアピールしていくという取り組みも必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇岡部文化振興課総括課長 ただいま委員から御提言がありましたことを非常に大切に感じております。民間の方々とのコラボレーションによるさらなるアール・ブリュット作品の発信などについても、どういうやり方があるかなどについて検討してまいりたいと思います。
 また、パラリンピック聖火フェスティバルとの連携を図るなど、県民の障がい者の文化芸術に対するさらなる理解の増進に努めてまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員長 この際、昼食のため、午後1時まで休憩いたします。

午後0時1分 休 憩

午後1時2分 再 開

〇城内よしひこ副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、19人の質問者が予定されております。進行に御協力を願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いします。
 質疑を続行します
〇小林正信委員 午前中も議論がありましたけれども、文化芸術支援について、コロナ禍において飲食や観光業と並んで影響を受けている業界として、文化芸術関係の業界が挙げられるかと思います。この1年間、満足にコンサートも開くことができず収入が激減し、楽器のメンテナンス費用すら削らざるを得ない方もいると伺っております。文化芸術業界の方々は、東日本大震災津波からの心の復興を目指す上でも非常に重要な存在であると思います。
 県としては、県有施設の使用料の減免や文化芸術活動の支援事業を行っておりますが、今後さらに文化芸術を大事にするというメッセージを発信し、希望を与えてほしいと思います。
 宮城県では、文化芸術団体及び芸術家が、新型コロナウイルス感染症の感染対策を講じた上で公演等を開催、公演の映像の撮影、配信を行う一連の取り組みを募集し、審査の上、補助を行う事業を実施し、5組が採択されたということです。
 コロナ禍の中、今後、こうした映像配信のサポートのような事業も有効ではないかと思いますけれども、県として、コロナ禍における文化芸術団体の現状をどう捉えているのか。先ほど、文化芸術コーディネーターの方がコロナ禍の中でヒさまざまアリングを行っていらっしゃるということだったのですけれども、どういったお声があったのか、また今後の支援策についてお伺いしたいと思います。
〇岡部文化振興課総括課長 文化芸術団体のコロナ禍における現状の把握と今後の支援策についてであります。
 県が本年2月に、県内の文化芸術団体を対象として実施した新型コロナウイルス感染症による文化芸術活動への影響調査におきまして、県内の文化芸術団体の96%が公演等を中止または延期したと回答するなど、大きな影響を受けているところであります。また、今後の課題といたしましては、32%の団体が活動場所の確保、28%の団体が活動資金の確保などを挙げているところであります。
 このため、県では、県民会館及び公会堂のホール利用料等を支援するいわて文化施設利用促進事業や、文化芸術活動に要する経費を支援するいわて文化芸術活動支援事業を、今年度に引き続き令和3年度当初予算案に盛り込んでおり、両事業の周知や利用促進に取り組み、文化芸術活動の継続、再開を図っていきたいと考えております。
 なお、いわて文化芸術活動支援事業では、ウエブを使った公演などについても補助対象としているところであります。
〇小林正信委員 いわて文化芸術活動支援事業は、補助率が3分の2で上限150万円の事業だと思うのですけれども、今、どれくらいの団体の方が使われたのか。
 あと、ことし2月に調査を行ったということでしたけれども、どれくらいの方のお話を聞いたのか。何名とか何団体とか。あと、対象は、例えばアーティストの方なのか裏方なのか、プロデューサーなのか、どういった方を対象に調査を行ったのかも、もしわかればお伺いしたいと思います。
〇岡部文化振興課総括課長 まず初めに、いわて文化芸術活動支援事業の今年度の実績であります。24団体に1、000万円ほどの補助金を措置しております。
 あと、新型コロナウイルス感染症による文化芸術活動への影響調査の対象ですけれども、本県の文化芸術団体は66団体ございまして、その団体を対象にしているところであります。回答は50団体からございました。主な活動内容としては幅広く、音楽ですとか洋舞、劇、ダンスといったさまざまな文化芸術に取り組んでいる団体を対象としております。
〇小林正信委員 66団体ということで、文化芸術にかかわる方たちはもっと裾野が広いのではないかと思います。そういった部分に対する影響調査も引き続き行っていただきたいと思いますし、裏方さんに対する支援も必要なのかなと思います。
 このたび、SOSS─セーブ・アワー・ステージ・スタッフというグループが、全国の照明、音響、舞台の業種のみを対象にアンケートをとって、全国で530の回答を得た。つまり舞台を支える裏方の皆さんからアンケートをとったということで、このアンケートでは、コロナ禍の影響で83%の舞台芸術者が甚大な影響を受けている。また、収入は9割減が33.6%、8割減が19.6%。さらに、9割が、今後の仕事は一切見えていない、今後の仕事は全くないという回答だったということです。
 先ほど田村勝則委員からも、演劇が岩手県は日本一盛んだというお話がありましたけれども、そういう演劇を支える裏方を初め、新型コロナウイルス感染症の影響によって大きな売り上げの減少に直面している文化事業者を継続させていく支援、また、実質的に完全に休業せざるを得ない打撃を受けている業者の支援策がやはり必要だと思います。これまで文化庁の緊急総合支援等もありましたけれども、飲食店やサービス業同様、文化の担い手となる事業者や個人への支援もしっかり考えていかなければならないのかなとと思います。
 これは事業者支援という面で商工労働観光部が担う部分もあると思うのですけれども、岩手県の文化芸術を支えるという意味で、文化スポーツ部においても、団体や事業者から状況をさらに伺っていただいて、支援策にその声を反映させていただきたいと思っております。例えば、商工労働観光部の地域企業経営支援金のような形で直接的な支援が今後必要なのか。96%の方が大きな影響を受けているということだったので、直接的な支援が今後必要なのかと考えるのですけれども、御所見をお伺いします。
〇岡部文化振興課総括課長 委員からお話のありました文化施設のホール、舞台の管理運営などを行う業者につきましては、文化芸術コーディネーター等から、公演の減少により大きな経済的影響を受けていると聞いております。
 県といたしましては、県の中小企業向けの資金貸付金とか経済産業省所管の助成金など、さまざまな支援制度がありますので、そういった周知も図っていきたいと考えております。
〇小林正信委員 回答が50団体ということで、文化芸術にかかわる方はもっと多いと思いますので、そこは商工労働観光部とも協力して、事業者に対する周知の支援とかが必要なのか。舞台をやるにしろ、照明とかがなければできないわけですので、そういうところの支援とかですね。あとは、そういった方たちが本当にがたっと倒れてしまったら、さっきお話があった、岩手版アーツカウンシル自体が立ち行かなくなるのではないかという危惧をしているところであります。
 かなり幅広い部分の把握が必要かと思うのですけれども、アーティストを初めさまざまな方たちから広く影響調査を行っていただいて、求めるところに沿った支援ができるようにお願いをして、終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
〇山下正勝委員 お時間をいただきまして質問したいと思います。
 佐藤世界遺産課長に答弁をお願いしたいと思います。
 この間の「北海道・北東北の縄文遺跡群」世界遺産登録推進フォーラムではいろいろな面でお世話になりました。
 それで、御所野遺跡を含む北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録に向けた今後のスケジュールについて伺います。
〇佐藤世界遺産課長 御所野遺跡を含む北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録に向けた今後のスケジュールの見込みであります。
 イコモスの現地調査は昨年秋に終了して、現在、審査の最終段階に入っていると思われます。
 イコモスの勧告につきましては、通常5月の連休ごろに結果が通知されることになっていますが、今年度は、世界遺産委員会の開催日が決定しておりませんので、多少流動的なところがあります。その後、世界遺産委員会は、現在のところ6月から7月、中国の福州市で開催されるということがアナウンスされており、そこで御所野遺跡を含む北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録の可否が決定すると承知しているところであります。
〇山下正勝委員 地元でも大分熱が上がって、いつかな、いつかなという話がございますので、どうか今まで以上に御理解いただきながら、地元も頑張っていきますので、よろしくお願いしたいと思います。
〇城内よしひこ副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇城内よしひこ副委員長 質疑がないようでありますので、これで文化スポーツ部関係の質疑を終わります。
 文化スポーツ部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、教育長に教育委員会関係の説明を求めます。
〇佐藤教育長 教育委員会関係の令和3年度岩手県一般会計予算について御説明申し上げます。
 初めに、教育委員会における当初予算編成に当たっての基本的な考え方についてでありますが、教育委員会におきましては、いわて県民計画(2019〜2028)、岩手県教育振興計画の諸計画等に基づき、学びと絆で、夢と未来を拓き、社会を創造する人づくりを基本目標に掲げ、東日本大震災津波からの教育の復興と学校教育及び社会教育・家庭教育の充実の二つを大きな柱として、岩手特有の課題にも向き合い、中長期的な展望も見据え、関係機関と十分に連携しながら、本県の未来を創造していく人づくりに取り組んでいく考えであります。また、学校の新しい生活様式に対応した新型コロナウイルス感染症対策を行いながら、児童生徒の健康、安全を第一に、学びの保障等に取り組んでまいります。
 令和3年度においては特に、東日本大震災津波の経験や教訓を後世に確実に引き継いでいく取り組みを一層推進していくとともに、児童生徒一人一人に寄り添った支援に引き続き取り組むほか、ICT機器を活用した学びの充実、地域との協働による県立高校の魅力化の促進、釜石祥雲支援学校の建設を初めとした教育環境の整備などの重要課題に積極的に取り組んでまいります。
 なお、全体的な方針につきましては、去る2月17日の開会日に行わせていただいた教育長演述で申し上げたとおりであります。
 それでは、一般会計予算の歳出予算について、資料に沿って御説明申し上げます。
 お手元の議案その1の8ページをお開き願います。教育委員会が所管する予算の合計額は、10款教育費の1、446億551万円余のうち、ふるさと振興部が所管する1項教育総務費の一部、9ページの一番上の8項大学費及び9項私立学校費を除いた1、336億4、156万円余に、次の11款災害復旧費4項教育施設災害復旧費の3、000万円を加えた総額1、336億7、156万円余であります。これを令和2年度当初予算額と比較しますと72億8、728万円余の減となっておりますが、これは体育施設災害復旧事業費の事業完了等によるものであります。
 予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので御了承願います。
 次に、債務負担行為について御説明いたします。
 13ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、教育委員会関係のものは、事項欄42の総合教育センター施設設備整備事業から事項欄45の特別支援学校施設整備事業までの4件であり、翌年度以降にわたって施工される工事等に係るものについて、それぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
 以上で一般会計予算の説明を終わります。
 続きまして、予算に関連する議案について御説明申し上げます。議案その2の25ページをお開き願います。
 議案第29号県立学校授業料等条例の一部を改正する条例についてでありますが、これは大規模な災害であって県民生活に著しい影響を及ぼすものにより甚大な被害を受けたと認められる者等に係る授業料等の減免及び納付の猶予について定めるなど、所要の改正をしようとするものであります。
 なお、施行期日等でありますが、令和3年4月1日から施行することとし、所要の経過措置を講じようとするものであります。
 以上が教育委員会の所管事業等についてでありますが、県民の信頼と期待に応えるため、教職員の法令遵守と服務規律の一層の確保などにも引き続き取り組んでいく考えであります。
 以上で説明を終わります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇城内よしひこ副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇五日市王委員 きょうは10年前の3月11日を思い出しておりました。忘れもしない14時46分、当時、私は委員長席に座っておりまして、質問者は、城内副委員長とかわられました岩渕委員長でございました。それで、嵯峨議事調査課総括課長の席に座られていたのが佐藤教育長でありました。10年たってポジションは変わりましたが、ただならぬ因縁を感じながら、県立高等学校再編計画後期計画最終案についてお伺いいたします。
 後期計画最終案が示されてからこの間、さまざまな状況の変化がありました。福岡工業高校、盛岡南高校、一関工業高校の関係者からは連名で、丁寧な説明と慎重な協議を求める請願が県議会に提出される予定とのことであります。私の地元、二戸市では、昨日、同窓会や商工会などで構成する福岡工業高校を守る会が発足、今後、署名活動などを行う予定と聞いております。また、二戸市議会では、福岡工業高校同窓会から提出された福岡工業高校の存続を求めるための陳情が12日に全会一致で採択され、単独校での存続を求める意見書が、知事、教育長宛に提出されました。
 まずは、これらの動きに対する受けとめについて、教育長に伺います。
〇佐藤教育長 請願や意見書が提出されたことに対する受けとめについてでありますが、今回統合対象となっている学校に関係する団体等から、県立高等学校再編計画後期計画最終案について丁寧な説明と慎重な協議を求める請願でありますとか、二戸市議会から、福岡工業高校の単独校での存続を求める意見書が提出されたところであります。
 各高校の関係者や地域の方々の思いは十分に理解しているところであります。
〇五日市王委員 仮にこの請願が県議会で採択された場合の今後の対応や、後期計画全体に与える影響をどう考えるのか、教育長に伺います。
〇佐藤教育長 県議会等の決定につきましては真摯に受けとめ、また請願の趣旨を踏まえて対応する必要があるものと認識しております。
 あす17日に教育委員会議が予定されているところであります。定例会終了後の協議の場もありまして、その際、請願が提出されたこと、それから盛岡市を初め一関市、奥州市、二戸市の各地区から要望があることを教育委員の皆様方に報告したいと考えております。その上で協議を行いたいと考えております。
〇五日市王委員 あすの教育委員会議で決定するということではないということでよろしいですね。
 後期再編プログラムでは、福岡工業と一戸高校の統合は令和6年度から、盛岡南高校と不来方高校は令和7年度から、水沢工業高校と一関工業高校は令和7年度以降となっております。統合計画まで、いずれも3年から4年の時間があります。この時間を有効に活用し、地元関係者に対し十分かつ丁寧な説明を行い、理解を得られる努力をするべきだと思いますし、必要があれば計画を見直す柔軟性が必要と思いますが、教育長の考えを伺います。
〇佐藤教育長 まず、統合に当たりましては、一定の準備期間を置くこととしております。統合検討委員会を設置するような形になりますが、学科の構成であるとか教育課程等に関すること、それから統合の形態等について、統合新設校の検討事項として検討することとなっております。その統合検討委員会については、統合対象校の校長等、PTA及び同窓会等の学校関係者、それから所在地の教育委員会及び地域の中学校の代表者等によって構成して、丁寧かつ十分な意見交換を行いながら検討を進めてまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 福岡工業高校と一戸高校の統合に限ってお伺いいたします。
 初めに確認ですが、特別支援学校小中高等部一貫校の建設候補地について、福岡工業高校校地内としておりますが、これは現在の福岡工業高校の校舎をそのまま使用するということではなく、新校舎を新たに建設するということでよろしいでしょうか。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 二戸地区の特別支援学校小中高等部一貫校の校舎についてでありますが、二戸分教室高等部は既に福岡工業高校内に設置されているところであります。このため、校地内に小中学部校舎を建設する方向で検討しており、小中高等部を一貫し、より質の高い教育環境において学びを充実させていくことと考えております。
〇五日市王委員 統合問題の中で地元でもこの件が話題になっておりまして、ちょっと言葉は悪いのですが、地元では、ひさしを貸して母屋をとられるのではないかという心配の声もあったものですから、今ちょっと確認をさせていただきました。
 福岡工業高校の入学者数は、過去3年間、機械システム科31人、28人、26人、電気情報システム科16人、23人、13人となっておりますが、令和3年度の志願者数は、機械システム科29人、電気情報システム科26人であり、電気情報システム科は昨年の13人から倍増し、全体の入学希望者は55人となっております。一方、一戸高校全体の入学者数は、過去3年、83人、96人、98人だったものが、令和3年度志願者数は53人と、ほぼ半減している状況であります。地元二戸市においては、福岡工業高校の生徒確保に向け、さまざまな支援策を検討中と聞いております。
 こういった状況の変化を踏まえれば、現時点で統合を早急に判断する必要性はないのではないかと考えます。生徒数の推移を、数年間様子を見ながら判断すべきと思いますが、お考えを伺います。
〇森田高校改革課長 福岡工業高校と一戸高校の生徒数の推移を踏まえた統合判断についてでありますが、後期計画の策定に当たりましては、今後の中学校卒業者数の推移や入学者数の推計等も参考としながら検討しているものであります。
 統合を予定しております令和6年の二戸ブロック全体の高校の入学者数は282人と推計されておりまして、両校の入学者推計は、福岡工業高校で定員80人に対して34人、一戸高校は定員120人に対し77人でございまして、両校とも1学級40人を超える欠員が生じる状況が見込まれております。
 そのため、福岡工業高校の単独での維持が困難であり、一戸高校も学級減を伴う学科改編等により学びの多様性の確保が難しくなるとともに、学校の活力低下が懸念されるところであります。
 このため、両校を統合することにより、専門分野に関する特色ある学科等の機能を維持しながら、二戸ブロックの専門教育の拠点となる学校を整備したいと考えているものでございます。
〇五日市王委員 福岡工業高校では、今年度の3年生5人が、全国工業高等学校長協会ジュニアマイスター顕彰制度で、最高位の特別表彰を受賞しました。県内では、このほか、盛岡工業高校が2人、黒沢尻工業高校が1人、一関工業高校6人が受賞しましたが、学校規模を考えると、福岡工業高校はまさに少数精鋭であります。また、この特別表彰を受賞した5人のうちの1人は、高校生には難関とされる合格率1桁台の国家資格、第3種電気主任技術者に合格しました。高校生では全国で22人、県内では唯一であります。さらに、この生徒は、全国で一人だけ選ばれる経済産業大臣賞にも輝きました。
 統合することにより、生徒や保護者、地元の皆さんが一番心配しているのは、このような優秀な生徒を輩出してきた学びの環境が確保できるのか、レベルダウンするのではないかということであります。この問いにはどう答えるでしょうか。
〇森田高校改革課長 統合後における学びの環境の確保についてであります。
 統合校については、工業学科1学級を考えているところでありますが、コース制の採用を検討しながら、現在の機械と電気の工業の学びをしっかり維持してまいりたいと考えているところであります。
 他校におきましても、工業学科1学級においてコース制を導入し運営している学校もありまして、機械と電気の専門の教員をそれぞれ配置することにより、資格取得に関する指導においても、現在と同様の指導を図りながら、学びの質を維持してまいりたいと考えているところであります。
〇五日市王委員 心配はないということでよろしいのですね。
〇森田高校改革課長 教員体制をしっかり充実させながら、現在の指導が引き続き継続できるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 統合後の計画では、今答弁にもありましたけれども、現在の2学科2学級が1学科2コースに、教員数は、現在の、福岡工業高校が27人、一戸高校38人の計65人から、統合後は50人程度とされております。
 コロナ禍での社会、産業構造の変化やデジタル化、サプライチェーンの地元回帰などを見据えれば、今後は、工業を初めとする産業技術の担い手を育成するため、むしろ教育の充実を図るべきときであると思います。専門性の確保やカリキュラムの充実はどのように図っていくのか、お伺いいたします。
〇森田高校改革課長 統合後における専門性の確保、カリキュラムの充実についてであります。
 両校の統合につきましては、校舎制の形態を想定しているところであります。統合によりまして、一般教科の国語や英語の教員については、工業学科と総合学科を兼務することが可能となるため、その分、専門教科の教員数を確保しながら、専門教育の充実を図ってまいりたいと考えております。
 あわせて、統合校におきましては、総合的な探究の時間などを活用しながら、両学科の工業、商業、農業、家庭、福祉の学びの交流、また地元企業や団体と協力した学びの実践等も検討しながら、教育内容の充実を図ってまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 これまでも、統合あるいは統廃合といったときに、生徒数の減というのが一つの大きな目安になってきたのだと思います。その中で、ことしは、先ほども申し上げましたが、福岡工業高校の生徒が大幅にふえている現状であります。こういう生徒数の増加というのは、大きな状況の変化であると思っております。
 最終案について早急に判断することなく、地元への十分な説明と協議を重ねていただくようにお願いするものですけれども、再度、教育長の見解を伺いたいと思います。
〇佐藤教育長 統合の判断についてでありますが、令和3年度の入学希望者は増減がございましたけれども、中学校の卒業者数の減少が見込まれておりまして、それに合わせた高校のあり方への早期の対応が求められていくと認識しております。その際には、全県的な視点に立ちまして、生徒にとってよりよい教育環境を整備していくという視点を重視しながら、後期計画を策定していく必要があると考えております。これは二戸地区についても同様の考え方であるものであります。
 これからも丁寧な説明をしていく必要があるものと考えておりまして、地域からいただきました御意見あるいは県議会での審議状況等についても、教育委員の皆様と共通理解を持ちながら、今後、慎重に進めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 特別支援学校のあり方についてお伺いいたします。
 令和3年度から令和10年度までの計画である岩手県特別支援学校整備計画の最終案が公表となりました。基本理念は共に学び、共に育つ教育の推進として、身近な地域において、一人一人の教育的ニーズに応じる教育ということも示されております。
 こういうことを踏まえながら、これに先立ちまして、平成19年から遠野市には特別支援学校の分教室が設置されておりまして、この点については感謝を申し上げたいと思っております。
 そこで、高等部における職業教育のあり方の見直しを行おうとしておりますが、高等教育の学びについてお伺いいたします。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 高等教育の学びについてでありますが、高等部の教育ということでお話をさせていただきます。
 特別支援学校高等部は、一人一人の教育的ニーズを踏まえ、卒業後の自立や就労の実現に向け、人間関係の広がりなどを育むため、一定の学習集団での活動や、知的障がい教育を行う特別支援学校においては、作業活動を学習活動の中心としながら生徒の働く意欲を培い、将来の職業生活や社会自立に必要な事柄を総合的に学習しているところであります。
 県教育委員会といたしましては、引き続き、生徒一人一人の卒業後の充実した社会生活、職業生活につながるように、保護者や関係機関、地域と連携を図りながら教育の充実に努めてまいりたいと思っております。
〇工藤勝子委員 盛岡峰南高等支援学校の教育内容には、生活科学科、農産技術科、加工生産科、流通・サービス科の4科がありますが、これらをある程度見直しされていく予定のようであります。
 そこで、県立特別支援学校高等部を卒業された状況についての資料がありました。令和元年度267名が卒業されております。一般就労は84人、31.5%、福祉的就労が153人で57.3%となっております。進学もありますし、入院とか在宅、施設入所等もありまして267人となっております。そういう中においても、特に盛岡峰南高等支援学校の就職率は高いという状況が示されております。
 そういう中において、遠野市の特別支援学校分教室に通われているお母さんたちから要望があって、何回か意見交換をしているところであります。高橋特別支援教育課長にもお会いいたしまして、その要望を伝えているところであります。そういう中において、課長からいただいたお話を私なりにまたお母さんたちに伝えました。
 ところが、なかなか理解してもらえないことがありました。というのは、一番の問題は、通学に関する時間でありました。結局、遠野市から釜石市、花巻市、盛岡市に通学している人もいますけれども、1時間から2時間かけて通学することが難しいというお話であります。そして特に体の弱い子供は、通うだけで精いっぱいの子供もいるということであります。また、小学校、中学校を卒業されて、高等部に入れたくても、通学困難な家庭、送迎ができない、また寮、寄宿舎に入れない子供もいるということで、こういう問題があって、何とか近場で高等教育の分教室みたいなのをやっていただけないでしょうかと要望されたところでもありました。
 県はこういう状況を捉えて、どのように対応されるかお伺いしたいと思います。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 委員御指摘のとおり、通学についての課題は大きいものと捉えております。
 特別支援学校の児童生徒たちの通学については、保護者送迎による負担や公共交通機関の利便性、通学バス利用人数などさまざまな課題があり、加えて、児童生徒の実態が先ほど委員御指摘のとおり極めて多様であり、そういった部分から安全を第一に考えなければならないなど、より丁寧な対応が必要であるものと認識しております。
 今後の通学支援を含めた部分ですけれども、岩手県立特別支援学校整備計画案でも、現状やニーズに対して柔軟に対応できるように、有効かつ効率的な活用に向けて検討が必要としており、引き続き、地域や児童生徒、学校の実情等も踏まえた上で、福祉機関など関係機関とも調整を図りながら、通学についての可能な方策について検討し、適切に対応してまいりたいと思います。
 なお、分教室についても、生徒の人数の動向や全体的な学校配置、職業教育の推進、充実等も勘案しながら、総合的に検討していきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 そういう旨を伝えました。高等部というのは、小中学部と違って次のステップ、つまり就職に結びつけるというのですか、自立していくということが非常に大事になってくるわけで、親もそのことを考えているわけです。
 結果として、親たちに言わせると、遠野市の特別支援学校分教室を卒業した子供たちは、一旦就職しているのですけれども、ほとんどやめているというか、施設のほうに移っているという状況があって、職業的訓練に対する理解と申しましょうか、特別、訓練というようなことは必要ないみたいな話をされてしまったのです。つまり、地元の例えば遠野緑峰高等学校などに行って、普通の子供たちと一緒に学ぶわけではないのですけれども、いろいろな作業なども一緒にできる。特別な機会がなくても、そういう形で、遠野市に合った農業を支援するような職業の形でいいという話もされたわけであります。だから、県が考える理想的な自立、そして就労の関係と、遠野市で特別支援学校分教室に行っている母親たちの理解度が非常に違っているのではないかと思っていました。
 そして、共生社会。特に遠野市は、パラリンピックの関係でブラジルとの視覚障がい者5人制サッカーの関係がありまして、共生社会の推進ということが言われているわけです。そういう中で、釜石祥雲支援学校が新しくなります。その話もいたしました。そうすると、遠野市から釜石市といっても非常に遠く感じられるようでもありまして、また、この共生社会の中で、なぜそのように普通の子供と障がいを持った子供を分けて教育しなければならないのか、何が共生社会なのかというところも、いろいろとお母さんたちから言われて、私も議論したところでもありました。
 そういう中において、この点については、今後、生徒数のこれからの推移も見守るという話も伺ったので、伝えておりました。
 教育長は、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
〇佐藤教育長 各地域での就労に向けた取り組みですが、地元の企業とかいろいろな関係者の支援、御協力をいただいて、就業体験とかさまざまな活動に生徒が取り組んでいるということも伺っております。それは、やはり地元との結びつき、あるいは地元の企業との支援、協力関係があればこそだと思います。
 それぞれの地域にもいろいろと御事情があることも重々承知しております。また、委員みずから地域の方々とそのようにいろいろ意見交換をしていただいて、そして、私どものこともお伝えしていただいているということも伺いました。
 この点については、岩手県立特別支援学校整備計画案でも、いろいろと今後の検討課題と捉えておりますので、その辺は地域の方々とよく話し合いを持ちながら対応していきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 遠野市は、農業を初めとして、それぞれの企業へ学びに行ける状況が整っているのではないかと思っているところでありますので、少ない人数なのかもしれませんけれども、通学に対応できない親もいるということで、将来的に考えていただければと思っています。
 それから、親たちから言われたことは、最後に追加質問として出しましたけれども、この資料の中に、パブリックコメントにおいては見直しについての意見がない、というようなことを明記されております。ところが、遠野市のお母さんたちは、パブリックコメントで見直しの意見を出したけれども、なぜないという記載になったのかということを言われましたので、その点についても御説明をお願いいたします。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 パブリックコメントにつきましては、10月14日から11月16日まで実施しておりまして、県民の皆様から広く御意見を伺いました。提出されたものは75通ではありましたが、一人につき複数出している方もいらっしゃったので、現在、それをきちんと精査しているところであります。
 主な意見の内容といたしましては、宮古恵風支援学校の移転関連、それから特別支援学校の未設置地区、二戸市についてのもの、それから分教室関連、あとは寄宿舎関連が重立った内容と承知しております。
 大きな意味での反対がないということでの捉えではありましたが、いろいろ細かな部分では、もう少しこうしたほうがいいという部分はあるように承っておりますので、そちらについては反映しながら今後進めてまいりたいと思います。
〇工藤勝子委員 そういうことで、遠野市からも多分出されたのだろうと思っていますけれども、こういう形でこういう資料にないということを記載することが、私はちょっと問題ではないか。賛成かもしれませんけれども、実際にあったのです。だから、このように、ないというようなことを今後こういう資料の中に入れることは考えていただきたいと思っております。
 また親御さんたちと意見交換したいと思っております。これから県としても、ぜひ特別支援学校の教育に対しましても、非常に人数が少ないところもあると思いますけれども、ぜひ充実した高等部を、分教室でもいいです、小さくてもいいです、そういうところもやはり設置しながら支援していただけますようにお願いを申し上げて、終わりたいと思います。
〇吉田敬子委員 私からは、2点についてお伺いしたいと思います。
 まず、高等学校教育についてお伺いしたいと思います。
 県では、いわて進学支援ネットワーク事業や、スーパーサイエンスハイスクール、スーパーグローバルハイスクールなど、さまざまな分野の人材育成を行っておりますが、これまでの取り組みの評価、今後の方針についてお伺いいたします。
〇須川首席指導主事兼高校教育課長 高等学校教育についてでありますが、いわて進学支援ネットワーク事業については、将来の本県を支える人材や地域づくりを担う人材を育成するとともに、きめ細かい指導体制を全県で構築することにより、生徒個々の進路実現を支援してきたところであります。
 また、スーパーサイエンスハイスクール等の指定校は、それぞれの目的に応じて、理数系人材やグローバル人材に必要な素養と探究心、論理的思考力、創造性等を育成してきたと認識しているところであります。
 県教育委員会といたしましては、広い県土を持つ岩手県において、各地域の高校が地域課題やグローバル課題の解決を通じた探究的な学習に取り組み、地域と協働した教育活動を展開することで特色化、魅力化を図り、どの地域においても県政課題である医師や技術者等、将来の本県の地域産業を支える専門人材を育成できるよう支援していくこととしております。
〇吉田敬子委員 いわて進学支援ネットワーク事業については、これまで県政課題を解決するための人材育成としてやってきたものが、進学支援ネットワーク事業につながっていると伺っております。スーパーサイエンスやスーパーグローバルハイスクールについても、御答弁にあったとおりであると思います。
 ここで伺いたいのが、今回、県立高等学校再編計画後期計画最終案がありますけれども、県でこういったさまざまな人材分野の育成を行っている中で、その高校再編計画とはどのように関係しているのかお伺いしたいと思います。
〇須川首席指導主事兼高校教育課長 先ほどお話ししたように、スーパーサイエンスハイスクール等の国の事業とか、探究プログラム、高校の魅力化促進事業等の県の事業において、各学校が地域課題やグローバル課題の解決を通じた探究的な学習に取り組み、地域と協働した教育活動を展開することで、それぞれの学校の特色化、魅力化を図り、それによって、今後の高校再編計画も視野に入れていくことになると思います。
〇吉田敬子委員 視野に入れていくと思いますというところがちょっと疑問なのですけれども、結局、県で何十年もかけて、地域課題も含めて、さまざまな分野に対する県政課題も解決するための高校生の人材育成をしていく中で、高校再編計画に全くそれが反映されていないという御答弁だったと私は受けとめましたが、それでよろしいでしょうか。
〇須川首席指導主事兼高校教育課長 今までのさまざまな事業、取り組みが高校再編に反映されていないということではなくて、地域における各学校がそれぞれの取り組みによってさまざまな成果を今まで出していると思いますので、それも十分考慮に入れた上での再編計画になっていると思います。
〇吉田敬子委員 私の質問もちょっと悪いかもしれませんが、御答弁だと、各学校が課題解決に向けてやっているということですけれども、いわて進学支援ネットワーク事業は、さまざまな高校がその年度の期間において指定されております。今回の高校再編計画等、例えば学校が減っていく中で、どういった人材がどのくらい必要かというのを見据えた上で、こういった高等学校教育にはこのくらい必要だとか、いわて進学支援ネットワーク事業の中でもこういった課題、効果が逆にあったからこういうことにつなげようというところがあるのではないかと私は認識しているのですが、各学校で課題解決とかに取り組んでいくことではなくて、全体としてどの分野をどの程度取り組まなければいけないだとか、そういったことが今回のスーパーサイエンスハイスクールやグローバルハイスクールの分野も含めて、どのように分析、評価しているのかというところでお伺いいたしました。
〇梅津教育次長 今回の高校再編計画の主な目的というのは、一つは生徒の進路の実現、もう一つは地域産業を担う人材、この二つを目的として策定したものですが、例えば、今年度から始まりました高校の魅力化促進事業というのは、二つ目の目的である地域を支える人材、あるいは地域産業を担う人材の育成のために、各学校が高校の魅力化を図り、その地域の理解を得る、そして高校生がみずからの進路を切り開いていくというものであります。
 いわて進学支援ネットワーク事業につきましては、生徒の大学進学等の希望を実現できるように、外部講師等による進学講座などを行っているものですが、これにつきましては、県政課題である医師の養成であるとか技術者の養成等、人材の育成を図っているものであります。
〇吉田敬子委員 次に、高校再編計画のほうに移りながら、またこちらに戻りたいと思いますが、先ほど五日市王委員からの質疑やこれまでの一般質問も含めてさまざまな質疑がありましたけれども、教育長の御答弁だと、さまざまな請願等は重く受けとめているという御答弁をいただいておりました。私は、盛岡南ブロックに関する統合についての質問をさせていただきたいと思います。
 今回の盛岡南高校と不来方高校の統合についてでありますけれども、ブロック外から盛岡ブロックへの転入状況について、盛岡南高校、不来方高校の過去数年の推移についてお伺いしたいと思います。
〇森田高校改革課長 私どもで現在把握しているのは、過去6年間分の推移でありますが、盛岡南高校は転入者の多い順で上位2番から4番を推移しているところであります。6年間の平均値で出しますと上位で3番目、人数にして36.2人という状況であります。
 不来方高校は、転入者が一番多い状況を6年間維持しており、平均値で62.5人となっております。
〇吉田敬子委員 今回の統合案は、盛岡ブロックにおける生徒の集中を緩和するというところで、盛岡南高校と不来方高校の統合ということが選ばれたのだと思いますけれども、先ほどの御答弁で、盛岡南高校と不来方高校への転入が1番目と3番目に多いという御答弁をいただきました。
 ここで、2番目に多いのが盛岡第一高校になるわけです。これについては、県内各地から進学を目指してここに集まってくるという認識で、一定数そういった子供たちの確保というのは、私自身は重要だと思っておりますが、では、盛岡第一高校について、ずっと2番目に多い状況で推移しておりますけれども、この件について県としてどう捉えているのかお伺いしたいと思います。
〇森田高校改革課長 盛岡第一高校の盛岡ブロック以外からの流入の推移ということであります。
 盛岡第一高校につきましては、盛岡ブロック以外からの流入者は、平成30年度から令和2年度までの3年間の平均が50.7人となっております。これは盛岡市、滝沢市、矢巾町に所在する一定の規模のある県立高校10校のうち2番目となっております。
 生徒の皆さんは、今委員から御指摘があったとおり、みずからの将来の進路希望等に応じて学校を選択している状況であるかと思います。先ほど高校教育課長からも答弁がありましたとおり、県教育委員会としては、スーパーサイエンスハイスクール等の国の事業、また探究プログラム等の県の事業などを通じまして、探究的な学習に取り組み、特色化、魅力化を図りまして、地元の高校からでもしっかりと進路希望を達成できるような教育環境の整備を図ってまいりたいと思っているところであります。
〇吉田敬子委員 今回、要望活動をされている方々も、なぜ盛岡南高校と不来方高校なのかという中で、では、数にすると、例えば2番目あたりで推移しているところはどうなのだというところも、地元に対する説明の際は、県は、スーパーサイエンスハイスクールとかスーパーグローバルハイスクールとか、そういうグローバル人材の育成も含めてやっていかなければいけないと考えている中でのこういう選択肢になっているだとか、地元の説明会に参加しても、もう少し具体的に、そういったことも含めてしっかり御説明していただきたいと私自身は感じておりました。
 今回の新設校における特色ある教育を先導的に実践する学びの姿として、高校再編計画最終案でやっと提示された部分がありますけれども、そのスポーツ、芸術、外国語等、どのような構想としているのか、具体的にお伺いしたいと思います。
〇森田高校改革課長 盛岡南高校と不来方高校の統合後の学びの姿ということであります。
 統合校におきましては、大学進学等に向けた文系、理系の学びのほか、芸術、外国語、スポーツに関する多様な学びを確保しながら、より幅の広い視野を持ち、本県における各分野の振興に資する人材の育成を目指すため、特色ある学びを横断して探究活動を展開することによる学びの深化や、地域との協働による課題の解決に向けた実践を通じて学ぶ意義を実感できる学校を目指しております。
 その具体的な学びの姿としては、生徒が将来の希望に応じて授業を選択する普通科への単位制の導入を検討するほか、海外の高校や高等研究機関との交流、現在、盛岡南高校で行われているスポーツ総合演習、通称セーナンスポーツ学と呼んでおりますが、この継承、発展などに取り組みまして、本県の特色ある教育を牽引する学校にしてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 今回、高校再編計画最終案で、さらに具体的に示してはいただいたのですが、正直、ちょっとまだ足りないと思っております。
 二つの学校を統合して、さらによくするという意気込みが、なかなかまだここにはちょっと見えません。例えば、いただいている資料の中だと、するスポーツから、スポーツを通して支えるスポーツとか、そういったものがありますけれども、例えばスポーツ医学検定をしっかり取らせるような高校にするとか。外国語分野についても、海外の高校や高等研究機関との交流とはありますけれども、具体的に、例えば交換留学を何校できるようにするとか。芸術関係だと、今までもいわて進学支援ネットワーク事業の中で、盛岡南高校と不来方高校がコアプログラムの対象校になっておりまして、その中で音楽大学志望者に対する技術講習も入っておりますけれども、そういったもののさらに上をいくような内容をもうちょっと示していただきたいとも思いました。
 そういった部分に関して、もう少ししっかり議論といいますか、私たちも含めて地域住民にも、県としてどういう高校を目指していくのかというものが、ちょっと足りないと私自身は感じておりますけれども、御所見を伺いたいと思います。
〇森田高校改革課長 これまでの高校再編計画後期計画策定のスケジュールであります。
 平成30年12月から平成31年2月の第1回地域検討会議等において、策定のスケジュール自体はお示しした上で、そのスケジュールに沿って進めてきたものであります。
 今回の最終案の盛岡南高校と不来方高校の関係に関しましては、第4回の地域検討会議等においていただいた意見を踏まえて調整させていただいたところでありますが、盛岡市から要請があったほか、盛岡工業高校の移転等、新たな要素が加えられたため、改めて説明させていただいたところであります。
 さまざまいただいた御意見等を踏まえて、子供たちにとってよりよい教育環境を整備するという視点も重視しながら、慎重に検討してこういった案をまとめたものでありますが、統合に当たりましては、一定の準備期間をしっかり確保しながら進めていくことにしております。
 今後におきましても、関係者等と、その学びの姿というものも含めまして、丁寧かつ十分な意見交換をしっかり行いながら検討を進めてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 最終案公表後の地元住民等への説明が十分であるのかと私は感じております。これまでのさまざまな説明の中で、県内各地で何カ所、何人を対象にしたということでしたけれども、この最終案が出てからは、2月18日に盛岡市で1回のみなわけです。最終案に初めて盛岡工業高校の移転も盛り込まれましたし、最終案で初めてのものがある中で、これで本当に十分だと言い切れるのでしょうか。私はこれは全く十分ではないと思います。例えば盛岡ブロックに限ってしまいますけれども、盛岡工業高校の地域の方々に対するものはまだないわけです。そういったことに関して十分と言えるのか、お伺いいたします。
〇森田高校改革課長 私どもとしては、先日2月18日に実施した盛岡地区の説明会において、今後の盛岡ブロックにおける生徒数の推移の現状から、統合校の学びの姿、そして工業高校の移転整備、その趣旨につきましては、現時点で私どもが説明でき得る限りの説明はさせていただいたところかとは思います。
 しかしながら、まだまだ御意見等あるかと思います。そこにつきましては、引き続き、どのような形で皆さんの御意見を集約できるか、検討させていただきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 私自身は、やはり十分ではないと思います。地元への十分な説明と慎重な協議は必要だと思います。
 最後に確認したいのですが、後期計画期間後の再編の方向性という資料をいただいておりますけれども、専門学科及び総合学科については、多様な専門分野を維持した上で教育内容の充実を図るためには、ブロックを越えて専門分野を集約する大規模な統合の検討を進めていくことも必要となりますと今回の計画の後のことが書かれており、普通科等は入っておりません。今回の計画の後のことであれなのですが、その件に関してお伺いしたいと思います。
〇森田高校改革課長 今後、中学校卒業者数が減少していく中で、単独で専門高校を維持するということが将来的には困難であろうかと考えているところです。今回は県南地域でお示しさせていただきましたが、今後はブロック間にこだわらず、通学環境によってはブロックを越えて、しっかりと専門高校のさまざまな学びを残していく方向性でも検討してまいりたいということであります。
〇吉田敬子委員 今回の件は、先ほど五日市王委員からもありましたけれども、ぜひ十分な説明と慎重な協議が必要だというところをお願いして終わります。幼児教育についてはまた次回にお願いしたいと思います。
〇飯澤匡委員 県立高校再編計画後期計画について伺います。 時間の制約もありますので、県南地区における工業高校の再編に絞ってお伺いします。 まず、今回の案ですが、県教育委員会とすれば思い切ったというようにもとれるのですが、統合して新設校をつくるということです。片方に寄せるということではなくて、そういう思い切った考え方、これは財政難の折、かなり思い切ったなという私の認識です。 まず最初に、ここに及んだ基本的な認識ですが、将来への背景、生徒数、人材育成の観点から、改めて、新設するという目的についてお伺いします。
〇森田高校改革課長 統合新設する背景、認識、目的であります。
 現時点で推計が可能である令和16年3月の中学校卒業者数は、胆江ブロックで約790人、学級数にしますと約9.5学級分の減、それから両磐ブロックで約640人、学級数で約11学級分の減と見込まれています。
 このまま水沢工業高校と一関工業高校の両校を維持した場合、将来において学級減を伴う学科改編の可能性がありまして、特徴的な学びが整理されることも想定されるところであります。
 また、水沢工業高校は築52年が経過し、校舎等の老朽化が進んでおります。また、一関工業高校は、狭隘な立地であるなど、それぞれ課題があるところであります。
 つきましては、県南地域における産業集積や地場産業の振興に対応していくため、工業教育の基幹を担う学校を整備することにより、ものづくり産業人材や社会インフラなど地域を支える人材等、多様なニーズに対応した人材育成につなげていきたいと考えているものであります。
〇飯澤匡委員 既に生まれた子供の15年後はどういう数になっているかというのは大体わかるわけですから、大変シビアな数が示されたわけであります。
 それで、お尋ねしますが、このまま2校が統合しないで現存した場合に、ただいま全体数としては数が示されましたが、これは一定の係数を掛けてということになるのでしょうけれども、県教育委員会としては、今までの傾向から、両校の推定の生徒数は、15年後はどのようになっていくのか。そこら辺の推定はしなければいけないと思うのです。これはあくまでも推定数ですから、もちろん完全なものだとは私が聞いても断定しませんので、その点はいかがでしょう。
〇森田高校改革課長 現時点で推計が可能となっております令和16年の入学者数であります。水沢工業高校では定員160人に対し約101人の見込み、一関工業高校で定員120人に対して約74人の見込みとなっております。両校とも1学級40人を超える欠員が生じる状況が見込まれておりますので、このまま単独で維持した場合には、学級減を伴う学科改編により、学びの多様性の確保が難しくなろうかと考えております。さらに、将来的には、それぞれのブロック内において、学科の削減を伴う総合的な専門高校等の整備を検討する可能性もあるかと考えております。
〇飯澤匡委員 一関工業高校に限って言えば、今、3学科で120名ということです。ことしの入試の状況については大体定数どおりということでありますけれども、地元の建設業協会からも存続ということで声が上がっていますが、今の答弁を聞きますと、機械科、電気・電子科、土木科とあるわけです。これは一関第二高校から移管になった部分だと思います。そうしますと、工業高校ということを考えますと、この土木科自体も非常に存在が危うくなると推量するのが私は普通ではないかと思うのですが、具体的に、120人が70人になるということは2クラスです。その辺で、優先順位的なものは今のところ何か考えていますか。
〇森田高校改革課長 これまで工業高校等専門学科高校の学科減、学級減をする場合には、地域であるとか産業界であるとか、さまざまな御意見を伺いながら、また学校内で検討して、どのような学科構成にするかというものを考えております。状況に応じまして、言い方はあれですが、どの学科を残していくかというのを皆さんと御相談しながらという形になるかと思います。
〇飯澤匡委員 かなり無難な答弁で、それしかないのだろうと思います。
 生徒数というのは現実的に捉えなければなりません。私も、この間、東磐井地区で3校の統合を見てきました。当初は大変激烈な反対運動が出ましたけれども、最終的には子供の将来の学びのためにどういうことができるかということに議論が収れんされて、現在に至っているという現実もあります。ただし、校旗の返納の儀式などでは、私も立ち会って胸が詰まる思いがありました。しかし、その中で新しい伝統をつくっていくということで、地域の人も納得し経過があるというように思います。
 そこで、新設高校をつくるということに鑑みて、地域の議論の対象として、ブロックを越えたということが一つの要素となっております。そもそもこのブロックというのは、法的な根拠があるのかどうか。そして、実業高校にこのブロックという考え方がどれほど、割合と言いますか、重きを置いているのか、その点について県教育委員会の認識を聞きたいと思います。
〇森田高校改革課長 高校再編計画において現在お示ししております九つのブロックは、県の旧広域生活圏をもとに、その圏域における将来の中学校卒業者数の状況等を踏まえながら、県立高校や学科の配置、また学級数の調整を検討する地区割としているものであります。教育委員会規則で定められている学区とは異なるものであります。
 また、現状におきまして、普通科以外の工業高校といった実業系の高校については学区という概念はなく、普通科のみが学区内という形になっているものであります。
〇飯澤匡委員 私もちょっと触れましたけれども、実業高校においては全県1区ですから、かつては、東磐井地区から水沢農業高校や岩谷堂農林高校へ行ったり、要するに学びの環境を求めて行っていた生徒もある。そしてまた、逆に、前沢方面から一関工業高校に通っている生徒もいるということです。ですから、このブロックを越えたというのはどういう認識かというのが、私自身はよくわからないのです。特に実業高校ですから。
 それで、今回は胆江ブロック、両磐ブロックで統合するということで、通告はしていませんけれども、この二つの地域で一つにするということについて、どのような考え方でやったのかお伺いします。
〇森田高校改革課長 今回は、ブロックを越えた工業高校の統合という案を示させていただいたところであります。両ブロックにおきましては、特に県南地域、盛岡市から県南地域におきましては、交通網の整備等に伴いまして、ブロックを越えた高校への進学なども多く見られるところであります。したがいまして、そういったブロックによっては、その枠にこだわらずに多様な学びをそろえた学校を整備することによって、生徒に充実した教育環境を提供しつつ、また地域の産業を支える人材育成を図っていく形にするのがよいのではないかということで、提案させていただいたものであります。
〇飯澤匡委員 それで、奇しくもILCの動向も気になるところです。これは大きなハードルがまだあるわけですが、研究者の間では着々と、IDTというILC国際推進チームもつくって、ILCプレラボの開設に向けて今は既に準備段階に入っているということです。したがって、こういう将来に向けた人材をどうやって育てていくかというのは、やはりしっかり考えていかなければならないと思うのですが、県教育委員会としては、このILCの動向を踏まえて、こういう広域のエリアでのいわゆる工業人材の輩出という点についてはどういう考えであるのか御披瀝願います。
〇佐藤教育長 県では、ILCの実現によりまして、世界トップレベルの頭脳や最先端の技術、あるいは高度な人材が集積されるということで、イノベーションを創出する環境の整備等を進めていくことによって、知と技術が集積された国際研究拠点の実現を目指しているところであります。
 このILCの誘致が実現した場合は、先端科学技術を学ぶサイエンスコミュニケーション活動と、また地域の科学技術に関する教育水準も向上していくと考えております。また、加速器産業、あるいは測定技術や土木技術等との連携も進み、最先端技術の発展やイノベーションも創出できると期待されます。
 こういったことで、ILCに関連したさまざまな産業集積が見込まれますから、県南地域において、これからの技術革新に対応した学びが実現できる学校を創設して、ILCの実現も見据えて、これに関連する幅広い分野で活躍できる人材育成を進めていきたい、そのための教育環境の整備を図っていく必要があると考えております。
〇飯澤匡委員 それは大変重い発言だというように私は捉えました。
 私も、この間、CERN研究所であるとか、アメリカのスタンフォードの近くにあるスラック研究所を見てきました。吉岡先生などは、シリコンバレー、いわゆるさまざまな産業が集積して世界的な産業を牽引する地域ということで、ILCの地域はシリコンヒルズにしたいと、そのような思いを持っておられると聞きました。
 今、教育長からお話があったように、ILCに関しては、技術をスピンオフさせてさまざまな産業につなげていくという構想が既に始まっていますので、地元でもそういう人材をどうやって育てていくのか。CERNに至っても、決してヨーロッパ系の方々だけがその研究にいるわけではないのです。アジア系の方、特に中国系の方とか、そういう若い技術者がたくさんCERNにはおられたし、スラックもしかりです。したがって、こういう千載一遇のチャンスをつかむためには、地元としても、人材教育においてどういう観点で進めているかという点については、情報発信をしっかりしていかなければならないというのが私の考え方です。
 したがって、今回の思い切って新設校でやるという県教育委員会の判断は、将来的な考え方に沿っていくと、今つくば市近辺の土浦第一高校のレベルが非常に上がっているように、そうした人材をつくっていくと。これから少ない子供たちをどうやって地域のために養成していくかというのは、私たちが考えていかなければならない本当に重要な観点だと思うわけです。
 地域からは、いろいろな懸念の声が出ているのを私は存じ上げています。ただ、一関市長も一応反対という立場を示したとメディアには出ていますが、実際のところ、さまざまなことに対してこれは政治的な立場でやらざるを得ないというのも、私はのり代を持って理解しているつもりです。
 しかしながら、この請願に至るまでについては、工業高校統合の再考を要望する会とはちょっと歩調が合っていないというのは、きのう確認させていただきました。したがって、これから再考を求めてこれをまた準備段階にするというようなことに、要はそういうことですから、それでこの計画が遅延した場合、県教育委員会としてはどういう影響が出るのか、その点も押さえていく必要があると思うのですが、その点についてはいかがですか。
〇森田高校改革課長 この計画の決定が遅延した場合の影響ということであります。
 県南地域に新設される工業高校につきましては、地域に求められる教育内容とともに、設置場所の選定から検討を始めることとなるため、準備には一定の期間が必要であろうかと考えているところであります。統合案におきましては、校舎の老朽化や狭隘な立地への対応も考慮に入れているところでありまして、将来の高校生に対して、私どもとしては、可能な限り早期に最新の施設設備のもとで充実した高校教育を提供したいと考えているところであります。
 また、商工労働観光部との意見交換では、大手立地企業において、地場企業へ部品等の設計から生産までの一括発注の意向も強まっているというような現状把握をしているところでありまして、ILCの誘致に伴う関連産業の集積も含め、これらの状況に対応した人材の育成に向けて、時機を逸することなく教育環境を整備する必要があると考えているところであります。
〇飯澤匡委員 私は、今の答弁も重要だと思います。いち早く方針を出せば、一関市は今、宮城県北の地域ともいろいろ交流活動をしているのです。私が今つかんでいる情報だと、宮城県北においては、工業系高校は余りないのです。したがって、広いエリアで新設校ということは非常に大きな目玉になるのではないかと思います。
 あわせて、新しい学科を設置するにしても、教員をどうやって確保していくかというのもある程度準備が必要だと思いますが、宮城県の件も含めて、その点に対する認識はいかがですか。
〇森田高校改革課長 宮城県北の工業系高校の設置の状況であります。
 先ほどお話がありましたとおり、単独の工業高校等というのは設置されておりません。工業系の学科としては、栗原市にある迫桜高校の総合学科にエンジニアリングの1系列、登米市にある登米総合産業高校において、機械、電気、情報技術の3学科、気仙沼市の気仙沼向洋高校において機械技術の1学科、本吉響高校総合学科において、産業情報の1系列が設置されているところであります。
 したがいまして、県南地域に大規模な工業高校を設置することによって、宮城県北の生徒の育成も視野に入れつつというところもありますし、それから、将来に向かって、工業高校を卒業した優秀な生徒がさらに教員として将来活躍していくような環境というものを、大学進学も目指しつつ育成していける環境になるのではないかと考えているところであります。
〇飯澤匡委員 ちょっと古い話になりますけれども、廃藩置県が終わってから、一関県、水沢県、磐井県となったのです。ILCを進めようとしているのは、要は、このエリアなのです。残念ながら気仙地域は今のところ入っていないのだけれども、いずれ科学技術特区というのを視野に入れてやっていく中で、いろいろな変化が出てくるだろうと予測をし─予測をするというよりも、私は、これは誘導していかなければならないと思うのです。その点にあって、人材の育成というのは、やはり肝ですよ。県下でも、そうなると主要高校は、盛岡工業高校、黒沢尻工業高校、そして新設校ということになりますから、私はそういう面でいち早く進めていただきたいと思います。
〇城内よしひこ副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。

午後2時35分 休 憩

午後2時52分 再 開

〇城内よしひこ副委員長 休憩前に引き続き質疑を続行いたします。
〇郷右近浩委員 それでは、私からも何点か質問させていただきたいと思います。
 きょうも、これまでの県教育委員会の質疑の中で、高校再編の質疑がありました。その高校再編の根本的な部分にもちょっと絡んでくるかと思いますが、質問していきたいと思います。
 県立高校施設の老朽化対策についての現状と、なぜこのような形になっているのかお伺いしてまいりたいと思います。
 学校施設の老朽化の進行や、夏場の猛暑に伴う熱中症の危険性の拡大、また新型コロナウイルス感染症対策など、安全な教育環境の整備とともに、家庭や社会の環境の変化に伴い、学校施設の機能、性能の向上が求められてきたところであります。これまで早期整備を進めてまいりました県立高校のエアコン設置については、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用することにより、当初の計画を前倒しして整備することとなり、令和4年度には全ての県立高校の普通教室や職員室でエアコンが稼働する見通しとなるとともに、全ての県立学校に無線LAN環境を整備するほか、大型掲示装置等の段階的整備などICT環境整備も加速しております。また、デジタル化等に対応した産業教育を推進するため、県立高校に実験実習設備の整備費として、国の財源を活用し、2月補正予算で9億3、000万円余が措置されております。このように安全で快適な教育環境の整備については、ここ2年余りで大きく進んだと認識しております。
 今後は、そもそも根幹となる老朽化した校舎等の計画的な整備が必要であると思いますが、県立高校の施設の老朽化の現状とその要因についてお伺いしたいと思います。
〇新田学校施設課長 県立高校の施設の老朽化の現状とその要因についてであります。
 県立高校の多くは、昭和40年代から50年代にかけて生徒の増加に対応して整備されたことから、令和3年3月末現在で築40年以上の学校は37校となっており、そのうち築50年以上の学校は11校となっています。
 これまでは、おおむね25年経過で配管や電気設備の更新を中心とした大規模改造工事を実施し、おおむね築50年経過で改築することにより、施設を維持、更新してきました。しかし、ここ10年は、東日本大震災津波により被災した学校の復旧と校舎の耐震化を最優先で進めてきたことから、築40年以上、50年以上という学校が多くなっているのが現状であり、今後、一斉に改築、改修の時期を迎え、施設整備の需要が増大していくこととなるものであります。
〇郷右近浩委員 私もそのような認識であります。資料をいろいろいただきましたけれども、本当に多くの学校が、この10年間、本来であれば校舎の建てかえをしていかなければいけないというスケジュールの中で、なかなかできないで来ていると、拝見させていただいたところであります。
 そうすると、御答弁いただいたように、今後一斉に改築、改修の時期を迎えていく中で、特に50年を超えるなど老朽化が著しい学校については、本当に早急な整備が必要であると考えますが、今後の整備の具体的な進め方はどのように考えておられるのかお伺いしたいと思います。
〇新田学校施設課長 今後の整備の具体的な進め方についてであります。
 今後は、十分な安全性、防災性や衛生的な環境を備えた安全・安心な教育環境を目指すとともに、新たな県立高等学校再編計画後期計画との整合性を図りながら、施設の老朽化の状況に応じ、計画的に整備を進めていく必要があると考えています。
 そのため、学校施設の耐用年数に合わせた経過年数だけではなく、建物ごとに損傷や腐食等の劣化状況を把握する劣化度調査を行うなど、劣化の状況を踏まえた整備をしっかりと進めていきます。
 また、必要な財源の確保も重要な課題であることから、引き続き、国に対して、高等学校施設への財政支援措置について要望していきます。
〇郷右近浩委員 子供たちの教育環境をしっかりと整えていただきたい。私も、高校再編については、県議会議員になる前に、ちょうど直前にですけれども、その当時の計画で母校の水沢商業高校の統合について、さまざまな形で地域で議論が起こっていたのを目の当たりに見ていました。
 ただ、その中にあっても、これからの未来を担う子供たちのために一体何ができるのか、どのように考えていくのか、そうした考えがあったと思います。また、さらに、岩手県教育委員会については、この間、前期計画のときは、たしか3カ月ぐらいで仕上げたというか進めていったような認識がありますが、今回は1年ぐらいかけてじっくりとやってきたという認識があります。
 もちろんその中においては、トヨタ自動車東日本株式会社であったり、株式会社デンソー岩手であったり、そうした企業の方々ともいろいろなことを話しながら、どういった人材が必要なのか、その地域、地域でどういう高校が必要なのか、教育環境が必要なのかというのをしっかりと練り上げてやってきたと思うわけでありますが、企業から見て、そうした人材育成について、これまでは黒沢尻工業高校では専攻科も設置されております。この専攻科は今回の計画にはもちろん入っていないわけですけれども、その黒沢尻工業高校の専攻科から、トヨタ東日本学園、デンソー工業学園、さらにはアイシン高等学園といったところに入れて、将来の幹部候補生なりエンジニアを育てていくといった姿勢が見える中で、子供たちにとって、将来像をどうつくっていくか、そこの高校に入ればどういう道があるのかというのを示していく姿勢をしっかりとつくっていただきたいと思いますし、私はせっかくだから、今回のこの高校再編の中で、そういったことをきちんとしていただきたいと思いますが、その点について所見をいただければと思います。
〇森田高校改革課長 ただいま委員からお話がありましたとおり、まさに黒沢尻工業高校の専攻科からトヨタ学園等に進んで、将来の自動車産業をリードする人材として、幹部候補生として活躍している方々もいらっしゃるというところでありますし、私ども、さまざまなところから聞いた話では、愛知県では、工業高校に優秀な生徒が集まって、将来的には自動車産業を担う人材として活躍しているというお話も聞いているところであります。
 本県におきましても、ただ単にいわゆる進学校に進む生徒だけではなくて、しっかりとした学力のある生徒も工業高校に進んで、そういう道があるという取り組みもしながら、工業高校の強化をしっかり図って、さらに、その先の進路についてもしっかり提示しながら、取り組みを進めていきたいと考えているところであります。
〇郷右近浩委員 先ほど休憩前の質疑において飯澤委員から、一関市長とは歩調が合っていないような話がありましたけれども、今回は珍しく奥州市の市長はちょっと歩調が合っていまして、奥州市も水沢工業高校を抱えている中で、将来の子供たちのためにきちんとやっていただきたいという思いはやはり一緒のもので、そして、そのためには一体どのような形がベストなのかといった判断であると思っております。
 こうした高校再編について、1年間、それぞれ説明会の中でさまざまな議論があったにしても、なぜここに来てというような感は持っているのです。しかしながら、これだけ時間をかけてやってきて、その中で、さらにこれから先、今度は、県立高校は一体どのようなものを子供たちに与えていけるのだろうという中において、例えば私立学校が学力的な部分での特進クラスをつくったりとか、いろいろなやり方はあろうかと思いますが、さまざまな特色のあるような形で生徒を集めております。
 今回の後期計画、そして、恐らくまた次に何かやらなければいけない中で県教育委員会として子供たちに一体どのような、そして、ブロックというものが純然としてあるのであれば、先ほどの飯澤委員とちょっと違う形になろうかと思いますが、そのブロック内で進学も就職も、どのような形で将来子供たちに、高校入学時点で見えるような、目指せるようなものを与えていけるか、そうしたものをつくるような方向性を何としても県に打ち出していただきたいと思うわけでありますけれども、この点につきまして、御所見を伺います。
〇森田高校改革課長 今までの前期計画は、学級減も含みながらの進め方ということでありました。今回は、統合を中心としながら、さまざまな学びをしっかり残していくという考え方のもとにつくっている統合案でございます。したがいまして、さまざまな学びの選択肢を子供たちにしっかりと残していく。また、それを子供たち、小学生の段階、もしくは中学生の段階で、この学科、学校に行けば、将来的にはこういう進路が見えてくるのだというものをしっかりPRしながら、しかも、特に地域の中で自分の進路希望が達成できるような取り組みをしっかり進めてまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 ありがとうございます。別の質問でもう1項目あったのですけれども、今高校教育課長から意を同じくするような御答弁をいただきましたので、議事の進行に協力して、これで質問を終わります。
〇神崎浩之委員 森田高校改革課長におかれましては、みずからは望まない仕事をさせられているのではないかと思って、心中お察しいたします。きょうをやり過ごしても、またあしたからイバラの道があるのではないかなと。心穏やかに専念していただきたい。後段でその質問をいたします。
 最初に、県内の消防署でクラスターが発生しました。その中では、宿泊であったり、休憩であったり、昼食をしたというようなことがあったわけですが、コロナ禍で感染が不安視される宿泊施設の相部屋、食堂、浴室、喫煙室、休憩室等を今後どう運営していくのかという心配があります。私は、岩手県スポーツ振興事業団とか大船渡市の岩手県立福祉の里センターにお邪魔して、やはり今後の運営について不安をお聞きいたしました。
 青年の家等の県が持っている宿泊施設について、何カ所、何床あるのか、それから今年度の利用状況、来年度の利用の予測、それから利用者や保護者からの声にはどのようなものがあったのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
〇藤原首席社会教育主事兼生涯学習文化財課総括課長 教育委員会が所管する宿泊施設についてでありますが、県南青少年の家、陸中海岸青少年の家、県北青少年の家の3施設があります。宿泊できる人数につきましては、県南青少年の家が196名、陸中海岸青少年の家が186名、県北青少年の家が204名でありまして、全体で586名となっております。
 続きまして、今年度の利用状況でありますが、今年度2月までは各施設とも定員の半分で受け入れておりまして、県南青少年の家では延べ1万7、885名、陸中海岸青少年の家では延べ9、592名、県北青少年の家では延べ1万4、199名となっておりまして、計4万1、676人となっております。これを昨年度2月までの同時期と比較しますと、3施設合計で約4万1、000人、延べ利用者数が減少しておりまして、率にして約50%の減少となっているところであります。
 続きまして、来年度の利用予測についてでありますが、来年度も、当面の間、宿泊定員の半数程度に制限することとしております。そのため、今年度と同程度か若干の増加と想定しているところであります。
 続きまして、利用者や保護者からの声についてでありますが、例えば、どこにも行けない状況の中で親子の体験学習の場を提供してもらったことへの感謝、また、コロナ禍のため子供たちが楽しそうな姿をしばらく見られていなかったので、とてもよい機会になったなどの声がありました。しかしながら、一方で、事前の申し込みをされた方から、新型コロナウイルス感染症が収束していないことを理由として、キャンセルのお申し出もありました。
 各青少年の家におきましても、コロナ禍においても、引き続き新型コロナウイルス感染症の対策を十分にとった上で、利用者の受け入れを継続していきたいと考えているところであります。
〇神崎浩之委員 何か会場が明るくなったような答弁でしたが、利用の半分ということと、相部屋をどうするかというのもあるのです。食堂とかはアクリル板を設置したりということがあると思うのですけれども、相部屋についてどのようにしていくのか。先ほど消防署の話をしましたけれども、相部屋であったり休憩の時間が心配だということがあるのですけれども、宿泊施設の感染対策を含めてハード整備等も何か考えているのか、今後の考え方についてお伺いいたします。
〇藤原首席社会教育主事兼生涯学習文化財課総括課長 宿泊施設の新型コロナウイルス感染症対策についてでありますが、現在の状況から、来年度も今年度と同様に利用制限を設けての運営を想定しているところで、検温、マスクの着用、手指の消毒等の基本的な対策の上、宿泊室につきましては、8人部屋でありますが、そこを定員の半分の4人ということで、できるだけ個々の距離をとる形での宿泊としておりますし、さらには、換気を徹底していただくこともお願いしているところであります。
 また、先ほどお話がございました食堂につきましても、アクリルパネルを設置した上で対面を避けての食事、休憩室につきましては、密にならないようにソファーの利用制限等々を行っているところであります。
 また、ハード整備についてでありますが、多くの利用者が集まる食堂や研修室は、既に空気清浄機を設置しておりますし、換気の徹底もお願いしているところであります。
 そして、委員御指摘の宿泊室については、今回、令和2年度第7号補正予算により加湿空気清浄機などの購入経費を予算措置していただいているところでありまして、今後、各施設へ整備していく予定となっております。換気と空気清浄機の併用により新型コロナウイルス感染症対策をしっかりと行いながら、安心・安全に御利用いただけるよう努めてまいりたいと考えております。
〇神崎浩之委員 よろしくお願いいたします。来年度は陸前高田市の岩手県立野外活動センターもできるということで、華々しくスタートしたいところなのですけれども、お子さん、親御さんの心配もあると思います。ぜひこの1年なのか、まだ数年続くのか、いろいろなことを考えながら進めていただきたいと思っています。
 次に、高校再編の話であります。
 先日資料をいただきました。各委員いただいたと思うのですけれども、この高校再編について最初に教育長にお伺いします。後期計画の基本的な考え方として、(2)に、地域や地域産業を担う人づくり、地域人材の育成等について高校の持つ役割云々と書いて、このために各地域の学校をできる限り維持したいということが書かれておりますけれども、今話題になっているエリアについては、この基本的な考え方に沿った内容だったのか、もう一度教育長にお伺いしたいと思います。
〇佐藤教育長 今回の後期計画の策定に当たりましては、これまでの前期計画の踏襲といいますか延長ではなく、さまざま環境等も変わってきております。また、岩手県ふるさと振興総合戦略の第2期にも入ってくるということで、そこには国の地方創生の考え方に基づいて、地域や地域産業を担う人材の育成が書かれております。それに沿った形でということで私どもも考えておりまして、その際に、これまで先ほど施設の老朽化等の対応ということもお話を申し上げましたが、県全体を見て、そしてまた施設の老朽化等も見ながら、将来どのような形で地域や地域産業を担う人材の学びの場、特に産業集積が進んでいる北上川バレープロジェクトも取り組むという中で、そこに発展的な統合ということも視野に、県南地域の工業高校の基幹校をつくっていくということで、この計画については、私はしっかり整合性を持たせた計画としているところであります。
〇神崎浩之委員 県南地域に大きな工業高校をつくるということで、それはいいのですが、その中身、ビジョンがなかなか伝わっていないということだと思うのです。本当に大きい工業高校をつくるのだということが内容的にも知れ渡れば、今のような議論も少なくなるのではないかと思っているのです。
 それで、発展的統合とか、県南地域の工業の基幹校とか、どう特色を出していくのかということであります。なかなか理解はできかねますし、先ほど吉田敬子委員も、特色が弱いのではないか、さらに上を行くためには魅力が足りないのではないかという話もありましたが、魅力ある高校をつくることは、私は大賛成なのです。
 そこで、だったら、一関市の場合は、国立一関工業高等専門学校がありますが、そこに行かないで一関工業高等専門学校に行くとなるでしょう。それから、一関第一高校に行かないで、一関第二高校に行かないで、おら、一関工業高校さ行くみたいな、それぐらい大きなインパクトのあるメッセージを出せば、ほかの高校に行かないで一関工業高校に行くと思います。今でも私たちの同年代のお子さんたちに、優秀で一関第一高校に行けるくらいの能力があるのだけれども、自分はこういう道があるので一関工業高校に行くという子がいるのです。そういう方もいるので、もう少し特色のある基幹校ということを出していただきたいと思うのですが、それについては今どのように打ち出していますか。
〇森田高校改革課長 県南地域の工業高校の基幹校の特色でありますが、学校規模の拡大によりまして、両校にある現行の学び、それから特色ある学び、インテリア、設備システム、土木等の学びもしっかり残していくことにしております。
 これに加えまして、これからの技術革新に対応したIT等に関連した新しい学科を取り入れることも検討してまいりたいと思っております。こういった多様な工業の学びを配置することで、学科間のいい意味での学び合いというものも含めて、産業人材のさまざまなニーズに対応した地域産業を担う人材の育成を目指したいと思っております。
 新たな校舎の建築も前提として考えてまいりますので、そういった工業教育に関する最新の施設、設備の充実も一つの魅力かと思います。地域産業との連携強化、施設の積極的な地域開放によりまして、産業を支える人材の育成と、さらなる産業集積に寄与する学校づくりを目指してまいりたいと思っております。
〇神崎浩之委員 今の答弁に対しての再質問は後からしますが、先週いただいた資料の21ページに、他ブロックや周辺市町村からの流入状況というのがあって、これは全部の学校や私立もそうなのですけれども、両磐ブロックは、両磐ブロックから転出する方が118人、逆に両磐ブロックにほかから転入する方が181人で、転出、転入の差が63人プラスなっているのです。このように、両磐ブロックには他ブロックから生徒さんが結構来ているということであります。その中には、宮城県の子供たちも両磐のほうに入ってきているという数値もあります。
 そこで、一関工業高校へ東磐井などの旧一関市以外から入ってくる生徒の割合はどのくらいか。もちろん水沢工業高校にも、旧水沢市以外からも生徒が来るでしょうし、それから、奥州市は、隣に黒沢尻工業高校がありますから、そちらに行く方もいるでしょうし、一関工業高校には東磐井から生徒がどのぐらい来ているのか、数字があれば教えていただきたいと思います。
〇森田高校改革課長 令和2年4月現在の一関工業高校全校生徒の384人に対して、旧一関市以外の中学校から進学しているのは135人、35.2%であります。そのうち、いわゆる旧東磐井郡の中学校からは45人で、11.7%となっております。
〇神崎浩之委員 後期計画最終案で千厩高校が統合対象から外れましたが、なぜ外したのでしょうか。
〇森田高校改革課長 当初、再編案におきましては、千厩高校の工業系の学科も含めての統合ということで提示させていただいたところであります。その後、地域検討会議、それから一般の方々との意見交換会を開催して、さまざまな御意見を頂戴したところでありますが、やはりブロックを越えた統合ということで、通学を懸念する声が非常に多く、その中でも、特に東磐井からの生徒の通学を懸念する声が多かったことを踏まえまして、今回は千厩高校の工業系の学科を残すという形にさせていただいたものであります。
〇神崎浩之委員 その議論は胆江ブロックからも出ているのです。やはり通学距離とか通学時間、経済的制約があるということで、それは胆江地区からも、両磐地区からも、もちろん千厩地区からも出ているわけで同じなのです。でも、今回は千厩高校だけ外した。これは論理が矛盾していないでしょうか。いかがでしょうか。
〇森田高校改革課長 今回は、転入、転出の状況等も踏まえた形となっておりますけれども、県南地域、盛岡市より南のブロックにおきましては、ブロックを越えた通学も非常に多くなっているというところも踏まえまして、特に鉄道を使っての通学も多いかと思っております。一関駅と水沢駅の間の電車の時間が大体二十二、三分程度ということ等も踏まえまして、今回は一関工業高校と水沢工業高校の統合ということで御提案をさせていただいたところであります。
〇神崎浩之委員 さっき言ったように、どこの地域も、通学距離、通学の負担、子供、それから親御さんの負担というのを言っているのです。
 県教育委員会が、今回、英断かどうかわからないですけれども、大きな工業高校をつくるのだということで、千厩高校も入れたという話でした。だったら、そのように、それらも含めて大きな工業高校をつくるべきだと思っています。ブロックを越えてという話、余り言いたくはないですけれども、そちらから言ったから言うけれども、ブロックを越えてまで大きな学校をつくるということであれば、やはり最初のとおり進むべきだと思っております。
 最後に、特色ある学校にと言ったのですけれども、今回、この絵を見ると、新たな学校ということで、IT等関連学科だけなのです。これだけだと、また子供たちが少なくなってくるので、各々の学科で特色を出していかないと、またこれらが減っていくわけです。変わらないのです。新たな学科の創設、IT等関連学科をつけたようには見えますけれども、ほかの学科についてもやはり特色を出していかないと、同じ結果に進んでいくのではないかと心配しておりますので、そこを考えながら今後検討していただきたいというように思いまして、質問を終わります。
〇佐々木朋和委員 高校再編後期計画からお聞きしたいと思います。
 先ほど来の議論の中で、令和16年には両磐地域、胆江地域で21クラス分生徒が減ってしまう。プラス、推定では、令和16年に一関工業高校、水沢工業高校で175人の入学になってしまって、合わせて4クラスくらいだという話がありました。
 この後期計画は令和7年までなのですけれども、今回の一関、水沢のそれぞれの工業高校の統合は令和7年度以降という、この後期計画期間を超えるか超えないか微妙な部分があり、しかも令和7年の入学見込み者を見れば242人、一方で6クラス240人をそれに用意すると。2人分少ないわけですけれども、それはなぜかというと、今後の減少を見てという話がありました。
 要は、この統合については、令和7年度以降、恐らく令和16年の生徒数も見据えて考えたということだと思うのですけれども、令和16年には、全体で21クラス分生徒が減るわけですけれども、この統合校は、実は7学科あったのを6学科にするということは、1学科、1クラス分の減にとどまっているのですね。全体で21クラス減るわけですけれども。
 令和16年における統合校6学科と千厩高校産業技術科の維持というのは担保するものなのですか。
〇森田高校改革課長 統合校6学科、千厩高校産業技術科の維持に関しての御質問であります。
 まず、私どもとしては、統合により6学科の多様な工業の学びを配置する。また、統合によって、さらに魅力的な最先端の施設、設備の整備も含めまして、今後においても、まずは生徒数の確保をしっかり図ってまいりたいと考えているところであります。
 この高校再編計画につきましては、将来を見据えての計画ではありますけれども、計画期間が令和7年度までの計画と予定しております。さらに次の高校再編計画策定も、当然、引き続き行わなければならないと考えているところでありますが、その先の将来の高校のあり方については、さらにその次の中学校卒業者数の推移等を見ながら、改めて地域の方々等の御意見を伺いながら、検討してまいりたいと考えているところであります。
〇佐々木朋和委員 今のお話では、せっかく6学級の大きな工業高校でスタートしても、次の高校再編計画の中では、推定では175人に向かって進んでしまう中で、生徒数を高められなければ、また小さな高校になってしまう、そういった可能性を秘めた計画ということではないか。それでは、地域の思い、今説明していることに応えられているのかという疑問を感じてしまいます。
 また、ブロックを越えた統合校ということですけれども、先ほど来、ブロックについては、専門高校は学区ということではないという話でありましたけれども、一方、令和3年度入学者選抜志願状況等一覧表などを見ると、各ブロックの定員割れの数が合計で載っているわけです。その中には当然に専門高校も含まれているということがあります。
 そういった中で、高校再編検討時の地域の学級数というのに、この工業高校というのは影響するのか。例えば両ブロック統合の中でどこかに置かれるわけですけれども、その場合は、置かれたブロックの高校の学級数としてカウントされるのか、それとも両ブロックのものだということで、例えば半々で計算するとか、そういった部分はどのようになっていくのでしょうか。
〇森田高校改革課長 ブロック内の学校の学級数の数え方ということであります。基本的には、統合された学校が所在するブロックに、その学校の数であるとか学科、学級数をカウントする形になるものであります。
〇佐々木朋和委員 それではおかしいのではないでしょうか。置かれたのはそうだとしても、両ブロックから生徒を集めようという話であるわけですから、置かれたブロックにとっても学級数が減っていく中にあって、まさに、6クラス分、片方のブロックだけに盛ってしまうということになるかもしれない。また、なくなったブロックについても、では、何学級分負担するのか。そういったところの説明についても私は地域にまだまだ不足ではないかと思いますし、そもそもこれから21学級減っていく中にあって、令和16年を見据えて工業高校だけ先に統合しても、私立も含めて、ほかの部分についてもやはり考えていかなければいけない。
 そういった中にあって、今6学級で統合してスタートしますと言っても、数年後の高校再編のときには、また同じような議論になってしまうのではないか、私はこの点について指摘させていただきたいと思います。
 次の質問をさせていただきますが、まさに先ほど言った令和16年の入学が175人というところで、6学級そろえられるだけの子供たちを集められれば私はいいと思います。ただ、それができるのかというところです。
 通学のマイナスを背負った中でこの数字を上回る生徒を集めていくというのは、やはり大変なことだと思うのですけれども、いわて産業人材育成会議においても、産業界の出席者から、工業の学びをそろえることで、通学時間が多少長くなったとしても、この学校で学びたいと思えるような魅力ある学校をつくってもらいたいという意見をいただいたというように、私の一般質問で答弁をしていただきました。
 では、県教育委員会が考える通学時間は、どのくらいが適正というか、どのくらいだったら通えると思っていらっしゃるのか伺いたいと思います。
〇森田高校改革課長 通学時間についてということであります。
 水沢工業高校と一関工業高校の統合に当たりましては、生徒の通学の利便性とともに、充実した教育活動を整備するという観点により、新たな設置場所の選定も含めて検討したいと考えているものであります。
 県教育委員会としては、通学時間は何時間という目安は特段ありませんが、基本的に立地につきましては、鉄道駅の近隣等、通学至便な場所について優先的に検討してまいりたいと考えているものであります。
〇佐々木朋和委員 先ほど高校改革課長は、ブロックを越えた統合については、通学至便な場所という話をされました。確かに旧一関市と水沢市、旧前沢町というのは、交通の便も、東北本線が真っすぐですからいいのですけれども、東磐井地域においては、ドラゴンレール大船渡線は曲がっておりますし、また奥州市へのルートもなかなか厳しいわけであります。
 例えば千厩駅から前沢駅、水沢駅に行こうとすれば、6時半に出て前沢駅8時4分、水沢駅8時13分に着くということになります。一関駅までも、千厩駅から大体1時間かかってしまうのです。だから、千厩町より東は千厩高校の産業科に行っている子供が多いという現状にあります。
 私は、そういった状況を踏まえれば、やはり県教育委員会としてはどのくらいだったら通えるという目安は、持って統合について考えていただかないとだめなのではないかと思います。
 千厩高校が残ったからといって私は東磐井地域の子供たちがそれでいいというわけではなくて、やはり学科をそろえるということを目的にやったのですから、東磐井地域の生徒がそういった基幹学科に通える環境はそろえていただかないと、統合校ということについて、東磐井地域にとってはなかなか納得しがたいものになるのではないかと思っております。
 そういった通学についてのマイナスを持った上でも、多少通学が長くなったとしても、この学校で学びたいと思えるような魅力ある学校というように産業界からも出ているということでしたけれども、では、その魅力とは何なのでしょうか。ほかのブロックを越えて生徒が集まる学校の特徴をどのように考えているのか、また、工業高校にどういった魅力を付加していきたいと思っているのか、伺いたいと思います。
〇森田高校改革課長 魅力ある学校の特徴ということであります。
 学校を新たにつくるということでありますので、最新の施設、設備による最先端の技術に触れながら、高度化が進む新時代に対応する力を身につけられること、また、専門分野の知識、技術の定着により生徒の多様な進路実現が図られることが、学校の特徴や魅力になるものと考えております。
 さらに、学校規模の拡大、また維持によりまして、例えば体育祭や文化祭といった学校活動の活性化や部活動の充実、選択肢の増加等も、魅力の一つではないかと考えているところであります。
〇佐々木朋和委員 乗りかえをしてまで通いたいと思える学校というのは、もう少しビジョンをしっかり、将来設計が立つような魅力の設定をしていただきたい。また、課外活動や部活動をする、朝練習に行く、あるいは部活動で大会前に少し遅くまで練習をする、そういった環境が通学支援でできるのか、そういったところも考えていただきながら答弁はしていただきたいと思います。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、岩手県立特別支援学校整備計画について伺いたいと思います。
 今回、岩手県立特別支援学校整備計画案が出されましたけれども、県内では生徒数が減少している中で、特別支援学校に在籍している方の推移は、平成22年度1、579人に対して令和2年度1、584人と増加傾向にあります。一方で、寄宿舎の利用は、平成22年度と令和2年度を比べて137人の減となっておりまして、在宅医療の進展や、また、各地域における特別支援学校の整備の成果と評価しております。
 一方で、通学に対する支援の必要が高まっておりまして、整備計画案でも、通学バスの必要性、さらに、コース変更は長時間通学となって子供たちには困難だということも言及されております。しかし、課題は認識しているのですけれども、整備の方向性では、さまざまな通学手段について対応していくと記載しているのみで、明確な通学バスの増便や確保に言及しておりません。
 近年は、放課後等デイサービス事業者等の利用による送迎も多く見られるとしておりますが、朝ではなくて帰りのみというのも多いですし、地域偏在がありまして、通学ボランティアも含めて都市部に限られている状況にあります。
 山形県では、医療的ケア児の通院支援に取り組んでおりまして、タクシー運転手の派遣や訪問看護師の派遣を支援しています。運転中、子供の状態が気になり事故の危険と隣り合わせだったが解消されたと、好評のようであります。
 整備計画案には通学バスの整備について言及すべきだと思いますし、さまざまな交通手段の確保のための例えば全県的なデイサービスや通学ボランティアの育成、また山形県の事例を通院ではなくて通学に取り入れるような具体的な施策を盛り込むべきだと思いますけれども、通学支援の方向性について伺いたいと思います。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 通学支援の方向性についてでありますが、特別支援学校の児童生徒の通学については、学びの保障や保護者の負担軽減の観点に加えて、先ほども申し上げましたが、児童生徒の実態が極めて多様であることから、安全を第一に考えなければならないなど、より丁寧な対応が必要であると認識しております。
 今後の通学支援については、岩手県立特別支援学校整備計画の中にも、現状やニーズに対して柔軟に対応できるように、有効かつ効率的な活用に向けて検討が必要としており、引き続き、地域や児童生徒、学校の実情等を踏まえた上で、福祉機関など関係機関とも調整を図りながら、可能な方策について検討し、適切に対応していきたいと考えております。
 なお、山形県の事例については、通院支援ということで伺っておりました。令和2年度から始まったところということで、利用者についてまだ多くないと伺っております。
〇佐々木朋和委員 通院支援を通学支援に取り入れるなどということで、私も通院支援だというのはわかっております。
 岩手県立特別支援学校整備計画を見ますと、書き方が非常に、何と言いますか、さまざま取り入れてという書き方で、なかなか直接的なことがない。もちろんニーズが多様であるということなのでしょうけれども、では、通学支援について、必要性は認めているわけですから、さまざま検討するにしても、令和3年度予算は増額で要求しているのですか。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 次年度の児童生徒の増加について、ある学校でやはり増便が必要だという部分についての予算要求はしております。ただ、全体的な部分での予算という形ではなく、増加が認められている学校についての増便となっております。
〇佐々木朋和委員 それは、生徒数の増加ということですか、それともニーズの増加ということですか。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 ニーズと児童生徒の増加、どちらも勘案しての要求であります。
〇佐々木朋和委員 通学バス等については、私も地域や支援団体からお話を伺っておりますが、ほかの子供のルートを変えさせるとか、そういった少ないパイの奪い合いになってしまって、なかなか声を出しづらいという話も聞いております。ぜひアンテナを高くしていただきまして、通学支援の必要性というのは認めていただいておりますので、ぜひとも予算確保に向けて頑張っていただきたいと思います。
 最後に、特別支援学校の分教室における教育環境の充実について伺いたいと思います。
 工藤勝子委員のお話の中でも、分教室についてのお話がありました。県としても拡大の方向ということでありますけれども、ただ、一方で、市町村立小学校、中学校との連携などについて課題もありまして、保護者の方々がそのはざまで苦しむような場面に、私も議員になってから出くわしたことがありました。校長先生や副校長先生など責任者が不在の分教室もあり、市町村立小学校、中学校の校長先生がいながら責任者の不在を理由に看護師派遣ができず、保護者の付き添いが常に必要とされ、通学が困難になったという事例もお聞きしております。
 分教室の運営、今後の増室計画について、運用面の改善も必要と考えますが、課題をどのように捉え、具体的にどう改善に努めていくのか、所見を伺いたいと思います。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 特別支援学校における分教室については、該当する市教育委員会、分教室の設置場所である小中学校の協力を得ながらともに教育活動を行うなど、インクルーシブ教育にかかわる教育を展開しているところと認識しております。
 一方で、分教室においては、その場に特別支援学校の管理職が不在であるなど本校とは異なる環境であることから、医療的ケアを必要とする児童生徒の受け入れなど、安全面の観点から一定の制約があるということなど、課題があると認識しております。
 これまで、該当する市の教育委員会や当該小中学校の理解と御協力をいただきながら、児童生徒の学びの保障を第一に考え、個々のケースに対応してきたところでありますが、今後も引き続き、どういった対応が可能なのか、市の教育委員会や小中学校のほか保護者等からの意見を踏まえて、丁寧に対応していきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今、市町村と話し合いをしてとありましたが、実際に、市町村との連携の中で、医療的ケア児についての看護師の派遣が可能になった事例はありますか。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 小中学校に看護師を派遣しながら医療的ケアの子供が学習しているケースはあります。
〇佐々木努委員 最初に高校再編について、私もちょっとだけ質問させていただきたいと思います。
 これまで賛成の立場、反対の立場で議論がなされていると思いますけれども、私は、これからの人口減少、少子化という観点からも、学校の統合再編は避けては通れないことだという思いを前から申し上げておりますとおり、今回のこの再編計画については全面的に賛成させていただきたいと思いますし、思い切って将来の岩手県、そして岩手県の子供たちのことを考えた再編計画を策定したことに対しまして、心から敬意を表したいと思います。
 ただ、今回の高校再編計画では、統合再編の俎上に上がらなかった多くの小規模校は、これから少子化が間違いなく進む中にあって、いずれ限界が来ると私は思っています。私の地元の高校ももちろんその一つであります。そういう高校がたくさんあるわけでありまして、まずはその高校独自、そしてOBの方々、地域の方々、市町村の関係者の方々の努力、そして県の理解ということで存続のために頑張ってほしいと思いますが、いずれ限界が来たときは、県として、子供たちのためにベストな判断をぜひしてほしい。その検討は今から始めてほしいと思っています。よろしくお願いします。
 教育長、何かそのことで思いがあれば、聞かせてください。
〇佐藤教育長 今回の県立高校再編計画の後期計画最終案でありますが、昨年の2月にも案を出したところでありまして、基本的には、地域の小規模校とか、それぞれの地域にあっても、そこに子供たちが通学できる環境を残していくということをまず第一に掲げております。いわゆる1学年1学級校をまずは地域に残すというところからスタートしたところです。それを維持していくためにも、どのような形で全県的な再編を考えていくかというところでスタートしてまいりました。
 委員がおっしゃるとおり少子化がどんどん進んできておりまして、令和2年度で1万人ちょっとの人数が15年後には7、500人規模になってしまうという推計があって、その中で、今度はどのようにしてこの地域の学校を維持していくか、さまざまな課題が出てくると思います。
 今回、当面は、ICT機器の導入と、遠隔教育の導入も進めて、可能な限り地元に残っても進路実現ができるような、そういった多様な学びも実現できるということを念頭に置きながら、ただ、御指摘のとおり、この先、子供たちが減っていく中でどうやって地域の高校教育を守っていくか、維持していくか。特に高校生というのは、進学するにしても就職するにしても、そこで多様な学びを通じて社会性を身につけていったり、育っていくための貴重な時期だと思います。そこには、一定規模の学校教育活動がなされるように、そしてお互い切磋琢磨できるような環境はやはり残しておかなければならないことは当然だと思います。
 ただ、今後どのような形で進めていくか。今回、各委員の皆様方にもさまざま御議論いただきましたけれども、これを糧として、次の再編計画の検討に当たっては、多様な御意見等もいただきながら、検討の進め方についても、他県の動向等も踏まえながら研究していくことも必要だと考えております。
〇佐々木努委員 魅力ある学校づくりというのは、統合再編だけではなくて、今ある高校一つ一つにどう特色、魅力化を図るかということが私は大事だと思います。今までも、特色ある高校づくりという話は県教育委員会から何度も聞いていますけれども、何となくそれが我々には見えてきていない。どの高校がどういう特色があってどれだけ魅力化が進んでいるのかということが、なかなか見えてこないところがあると思いますので、それについては、県教育委員会として一生懸命取り組んでほしい。そして、盛岡市から例えば雫石町の高校に行くとか、ほかの高校に行くとか、逆にそういう流れができるようになれば、一極集中などということもなくなるでしょうし、バランスよく高校を配置することもできると思いますので、ぜひそれに全力で取り組んでほしいと思います。
 次に、通告していました部活動について、また今回もお聞きしたいと思います。昨年9月の決算特別委員会のときにもお聞きしたわけですが、部活動の在り方に関する方針の市町村の策定状況は、その時点では22市町村が策定済みということでした。現在の策定状況はどのようになっているかお聞きします。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 市町村の部活動の在り方に関する方針の改定状況についてでありますが、本年3月12日現在、28市町村で改定済み、4市町村で改定を予定、残る1市町村で改定に向けて検討中ということになっております。
〇佐々木努委員 未改定のところについては、県も働きかけを行っていると思いますし、これからも働きかけていくと思っていますが、改定済みの市町村の中に、自主的、自発的な参加という文言が入っていない自治体が実はあるわけですけれども、それはどの程度あるでしょうか。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 既に改定済みの市町村のうち、自主的、自発的な参加によるものといった文言、内容を盛り込んでいないのは、2市町村であります。
〇佐々木努委員 これはまずいですよね。国、そして県の指導とは真逆というか、それに従わないということですが、その2市町村については、それを盛り込むという見通しはありますか。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 今申し上げました2市町村につきましても、自主的、自発的な内容を盛り込んでの改定に取り組むということで、前向きに方針を示しております。
〇佐々木努委員 わかりました。そうすると、残りは1市町村ということになるわけですが、その1市町村はどういう状況でしょうか。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 これまでも、さまざまな機会を通じて、改定に向けての作業を依頼しているところであります。市町村の指導主事等を派遣して要請しているところでありますが、さまざま地域の中での状況や関係者の部活動に対するお考えがあって検討中ということであります。ここは、改定の趣旨そのものをしっかりと丁寧に説明する中で、ぜひ改定に向けて取り組んでいただけるものと考えておりますので、今後、強く働きかけてまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 わかりました。その1市町村が改定をして、部活動は自主的、自発的な参加であるということになれば、岩手県の全市町村はそのような方向でこれから行くということになると思いますので、ぜひ年度内に何とかめどを立てていただくよう県教育委員会には頑張っていただきたい。
 何度も言いますけれども、部活動は非常に大事だと思いますが、部活動になじめない子供も、過去もいましたし、今も実際にいるわけで、そういう子供たちの逃げ道をつくってあげるのが私は教育の大事な役割だと思います。一つでもどこかの市町村が、それは認めない、強制加入だなどということになれば、県としての取り組みということにはならないし、不幸な子供を生んでしまうことになりかねませんので、できる限り子供には部活動を頑張ってほしいけれども、でも、勉強を頑張りたいとか、ほかのスポーツクラブを頑張りたいとか、そういう子供がいる、そういう道をしっかりとルールとしてつくっていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 最後に、これは参考までにお聞きしておきますが、地域運動部活動推進実践研究事業が令和3年度からスタートということですが、岩手県の取り組み状況はどうなっているかお聞かせください。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 国から、学校の働き方改革を踏まえた部活動改革が示されまして、令和5年度以降の休日の部活動の段階的な地域移行への実践研究を全国各地で行うこととなりました。本県でも、令和3年度、令和4年度におきまして、国の委託事業を活用し、取り組むこととしております。
 令和3年度におきましては、各都道府県において2市町村での実践研究をすることとされていることから、本県でも公募による地域選考を行いまして、スポーツ庁に対し企画提案書の提出を行ったところでございます。
〇佐々木努委員 いずれこの事業の趣旨はこれから非常に大事になってくると思いますし、全県に広めていかなければならない状況になっていくと思いますので、県として積極的にかかわっていただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
〇軽石義則委員 私からは、家庭に起因する児童生徒の問題について、昨日も保健福祉部でヤングケアラーについての議論をさせていただきましたので、現場で児童生徒を抱えている県教育委員会にも、その状況をお聞きしたいと思います。
 昨年12月23日の教育長の記者会見におきましても、ヤングケアラーについては、これから課題として認識し、関係機関と情報交換しなければならないという会見をされておりますし、11月16日には教育委員会定例会においても委員からヤングケアラーについての発言がされている状況でありますが、今、県教育委員会として現場で、ヤングケアラーを含めた家庭に起因する児童生徒の問題について、どのように現状を把握し課題として捉えているのか、お聞きしたいと思います。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 ヤングケアラーを含めた家庭を起因とする児童生徒の問題の現状と課題についてでありますが、県及び市町村におきましては、福祉部局を主管とし、要保護児童対策地域協議会を設置しているところであり、学校及び県教育委員会もこの協議会の一員として、子供の養育に困難を抱えている家庭について情報交換を行っているところであります。
 また、学校におきましては、文部科学省から示されている学校・教育委員会等向け児童虐待対応の手引きに基づき、家庭に起因する問題を抱えた児童生徒を可能な限り早期に発見し、福祉等の関係機関への確実な通告を行っているところであります。
 学校がそのような子供を発見した場合には、スクールソーシャルワーカー等と組織的に対応を協議しながら、関係機関と協働で支援を行っているところでございます。
 課題といたしましては、より早く察知できるよう、観察や聞き取り等を行っていくことではないかと捉え、民生委員や地域の協力を得ながら、学校の役割を果たしていきたいと考えているところであります。
〇軽石義則委員 それぞれの関係する機関との連携も図られているということであります。昨日の保健福祉部では、市町村が主体としてやっているという答弁でしたけれども、県教育委員会としても、市町村なり市町村の教育委員会を中心にそのような対応がされているのか、それを全て集約して具体的な対応をどうしていくかという検討にも入っているのかお聞きします。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 県教育委員会といたしましても、保健福祉部との連携を図りながら推進しているところでありますし、各市町村におきましても、先ほど申し上げたとおり、福祉部局と連携を図って要保護児童対策地域協議会等を中核としながら推進しているところでありますので、今後も、その連携を深めていきながら、情報共有を図りながら進めてまいりたいと考えているところであります。
〇軽石義則委員 虐待についてはしっかり関係機関と連携して取り組みをしているということですが、このヤングケアラーの概念そのものが理解されていなくて、まず、要保護児童対策地域協議会でも把握し切れないという声が出ているのです。それは、一つは、家庭内のことであり、なかなか表に出てこない。二つ目としては、家庭がヤングケアラーという問題についての認識を持っていない。三つ目としては、子供自身もこれを問題だと─我々も家ではお手伝いをしろと言われて教育されてきましたけれども、お手伝いは自分が学校に行って勉強ができなかったり、クラブ活動に参加できなかったり、もっと言えば、友達ともつき合いができないようなお手伝いは、本当のお手伝いではないような時代になってきていると思うのです。そういう話があるとすれば、学校教育の中でそういうことをしっかりと認識できるように教えていくことも大事だと思うのですが、その件はどのようになっているでしょうか。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 委員御指摘のとおり、ヤングケアラーにつきましては、確かに家庭でのお手伝いは家庭の教育という部分でも必要なことではあるのですが、それが行き過ぎてしまえば虐待につながってくるということで、非常に難しい問題ではないかと考えております。
 また、委員から御質問がありました、その意識をどのように高めていくかということにつきましては、道徳とか、それぞれの活動の中で他を思いやるという中で培っていくものであると考えておりまして、教育活動全般を通しながら培ってまいりたいと考えているところであります。
〇軽石義則委員 そういう全体的な考え方は理解できるのですけれども、まずは実態を知っていただかないと、その実態に対する対策は出てこないのではないかと思います。
 埼玉県では条例も制定しているのですけれども、昨年7月から9月にかけて、国立、公立、私立を含めた県内高校の2年生約5万5、000人にアンケートを実施し、回答率が86.5%とかなり高い回答率ですけれども、25人に1人はヤングケアラーがいるという実態を把握した上で対策をとっているのです。
 保健福祉部も、きのうの答弁では、その実態を調査していないという状況ですし、国では抽出してアンケートをとって、その公表はこれからだと思うのですけれども、具体的には公立の中学校、そして定時制を含む高校にも昨年アンケートを実施したようです。県内では中学校は10校、高校は5校ということで数字としては出ているのですが、その内容は把握できているのか、まずお聞きします。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 ことしの1月に行われた厚生労働省の調査でありますけれども、現在、その公表は行われておりませんので、県教育委員会としては把握できていないのが現状であります。今後の公表を待って、その対応を考えていきたいと思っております。
〇軽石義則委員 公表を待っていてはおそいのではないか。先ほど、スクールソーシャルワーカーも現場で対応しているという答弁がありましたし、活用事例ということで、文部科学省の平成30年度のスクールソーシャルワーカーの活用事例集の中にも、岩手県教育委員会がヤングケアラーに対応しているというのが載っておりますから、やっていることはやっているのですけれども、ただ、そのソーシャルワーカーの皆さんがどのくらいの数を対応して、どういう内容の状況なのかというのは把握されているのでしょうか。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 ソーシャルワーカーの対応件数でありますが、令和元年度は、不登校の事案に係るもの、それから家庭環境の問題に係るものというのがほとんどを占めている状況であります。
〇軽石義則委員 ほとんどといってもイメージがつかめないのですけれども、私がいただいた資料によると、令和元年度は、不登校は316件、家庭環境の問題が252件。平成29年度は家庭環境の問題が124件だったのが、令和元年度は252件になっているということは、そういう問題が確実にふえているというのが、この数字でもあらわされております。
 今、コロナ禍によって親が仕事を失い、家庭の状況も厳しくなってきていると言われている中にあれば、さらにこの数字はふえるのではないかと思いますけれども、その状況はどのように把握されているのでしょうか。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 委員御指摘のとおり、家庭環境に対応する件数は年々増加しておりまして、学校、県教育委員会といたしましては、相談内容に応じて、福祉や保健、医療等の関係機関につないだり、生活困窮世帯の子供を生活支援、福祉制度につなぐという役割を担っていると考えておりますし、重要な役割だと認識しているところであります。
〇軽石義則委員 重要な課題であるという認識があるとすれば、早急に対策をとっていかなければならないと思います。ソーシャルワーカーの皆さんもそういう課題にかなり取り組んでいるとすれば、学校現場の教職員の皆さんからも具体的な相談なり対応事例など出ていると思うのですが、その点はどうなのでしょうか。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 ソーシャルワーカーにつきましては、教育事務所を通じて各学校を訪問したりという活動を行っているところであります。現在、6教育事務所に18名のソーシャルワーカーを配置しているところでありまして、学校の要望に応じてスクールカウンセラー等と協力しながら対応しているところであります。
〇軽石義則委員 やはり数というか、ヤングケアラーの実態と、まさに虐待なのか、いじめなのか、そういうしっかりとした分類をして対応していかないと、それぞれ関係部署との連携もできなくなってくると思います。実際に児童生徒にとっては、どういう部門が対応するということではなくて、大人がしっかり育てていく、暮らしていける環境をつくっていくのが私は大事だと思っていますので、保健福祉部の担当だ、教育委員会の役割だではなくて、できることはお互いに全てやっていくことが大事ではないかと思います。
 昨日は保健福祉部長から、今後、県教育委員会としっかり連携して取り組みますということでありますけれども、関連するところと連携をとって、早期に実態調査を岩手県としてもやっていくことが大事ではないかと思いますけれども、教育長どうでしょうか。
〇佐藤教育長 ヤングケアラーの課題につきましては、私も昨年記者会見でも述べたように、さまざまな課題を抱えていると思っております。一方で、なかなかその実態がつかめていない。国もやっと抽出調査を始めて、その調査結果についても、どのような形で私どもに提供されるのか、これもちょっと現時点では見えないところであります。
 また、委員御指摘のとおり、各家庭を起因とする子供の問題は、なかなか表に出てこない。出てきたときには、何か問題が生じてきているということで、要保護児童対策地域協議会を中心に関係者が話し合うとか、そこから対応が始まるということにもなっているのかもしれません。そういった意味では、どのような形で早期に把握できるか、また学校現場の教職員、それから児童生徒にも、こういったことがあるということの周知から始めて、そして、きちんと相談していただき、早くにこの相談を受け入れるような形もつくっていかなければならないと思います。
 そういった意味でも、国の動向と、関係部である保健福祉部局、そしてまた、そのほかの関係機関とも十分連携を図りながら対応してまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 ぜひ早急に対応していただきたいと思います。県内の各議会でも既にこのヤングケアラーの質疑が交わされて、市町村の答弁も、今教育長が言った、まさに国、県の動向を注視して対応していくとなっているのです。ですから、県がしっかり国に対しても、早く対策を出してくれと強く求めていく。ガイドラインは出ているようですけれども、それに対応する人、いろいろかかるものもあると思います。市町村はさらに現場を抱えているわけですから、県のこういう考え方が示されるのが、子供たちにとって非常にいいと思うのです。ぜひそのことを進めていただくようにお願いして、終わります。
〇臼澤勉委員 高校再編計画についての議論がさまざまございましたが、私からも高校再編計画についてお伺いいたします。
 まず、これまで教育長初め、県教育委員会の皆様、この高校再編計画のとりまとめに当たって御尽力されていることには、本当に私は心から敬意を表したいと思います。
 私の立場は、まさに、この県立高等学校再編計画後期計画の考え方に書いている基本的な考え方の二つのうちの一つ、生徒の希望する進路の実現を守る、確保するという立場で、特に盛岡ブロックの計画について、私なりに理解がなかなか進まないので、質問させていただきたいと思います。
 まず、いろいろ前提となる数字的なことも、少し細かい話になるかもしれませんが、確認の意味で聞いていきたいと思います。この高校再編計画は基本的に10年の計画ということで理解しております。そこでお伺いしますが、総務部、ふるさと振興部でも聞きましたけれども、公立高校への入学者は、10年前に比べて、この10年間で何割減少しているのか、私立高校と比較してどうなのか、改めてお伺いします。
〇森田高校改革課長 全日制における公立高校への入学者の減少率等の御質問であります。
 10年前、平成22年と比較した入学者数の減少の状況でありますが、県全体におきましては、公立高校で約27%減少、人数にしますと2、846人であります。それに対し私立高校では約6%の減、144人減となっています。これを盛岡地区で見ますと、公立高校で約16%減、535人減に対し、私立高校では約14%減、231人減となっております。
 公立高校における入学者数の推移は右肩下がりの減少傾向と見られますけれども、私立高校は年次によって増減があるため、単純な比較は難しいところであります。
〇臼澤勉委員 この前のふるさと振興部審査で聞いたときは、私立高校は2、255人から2、311人、数字でいくと2.5%の微増ということでありました。定員数も聞きましたら、私立の定員数はこの10年間ずっと変わっていないのです。岩手県に生まれた子供たちが公立、私立それぞれ行くのはいいのですけれども、この縮小の議論をなぜ公立高校のみでするのかというのが、少しおかしいというか、納得いかない。
 岩手県の総合教育会議という場もあって、知事そして教育長それぞれが出て、それぞれの立場で─教育長の立場というのは独立した機関ですから。ただ、知事との関係性でいくと、なかなかちょっと力関係はあれなのかなという部分もあり、そこが少し気になるのです。だから、総合教育会議の場などでも、私は、県教育委員会が私立に対しても、ともに痛みを分かち合おうよ、割合を少し頑張りましょうよということで協議してほしいと思っております。
 そこで、次に行きますけれども、望ましい学校規模は原則1学年4学級から6学級程度ということで、原則がついていますけれども、今、県内の5学級以上の割合はどのくらいになっているのでしょうか、5学級以上でお答えください。
〇森田高校改革課長 5学級以上の県内の高校の割合であります。令和2年度、本年度の状況におきましては、全日制課程62校のうち5学級校11校、6学級校7校、7学級校4校で、計22校となっております。全体の割合としては35.5%となっている状況であります。
〇臼澤勉委員 望ましい学級規模を4学級から6学級、今は5学級以上ということで、7学級まで含めて聞きましたけれども、非常に割合が低いです。3分の1くらいです。望ましい学級規模ということを言うのであれば、そこに向けて、ある程度、全体を進めていく必要があろうかと思います。この4学級から6学級のエビデンスというか、何を根拠にこの4学級、6学級を適正規模と言っているのか。これは別に国も文部科学省も実は言えていないのです。
 そして、次に行きますが、岩手県立高等学校の管理運営に関する規則の第3条第2項に、1学級定員40以上の欠員を生じた場合、翌年度の学級減を検討すると規定されているのですけれども、高校再編計画前期計画期間中に、志願状況で対象になる学校は盛岡ブロックを含めてありましたでしょうか、具体的にお答えください。
〇森田高校改革課長 県立高等学校再編計画前期計画期間中に岩手県立高等学校の管理運営に関する規則の第3条第2項に該当した学校についてですが、1学級40人を割った学校では19校該当しました。そのうち盛岡ブロックの学校は3校ありました。具体的な校名としては、沼宮内高校、雫石高校、紫波総合高校であります。
 また、該当した19校のうち、実際にその規則に基づいて学級減を実施した学校は全県で3校ありまして、雫石高校、金ケ崎高校、岩谷堂高校であります。盛岡ブロック内の高校としては雫石高校が該当しております。
〇臼澤勉委員 今、雫石高校が学級減したと言いますが、紫波総合高校や沼宮内高校は今後学級減をする予定があるのでしょうか。
〇森田高校改革課長 岩手県立高等学校の管理運営に関する規則に基づいた学級減につきましては、規則では学級数を減ずることがあると規定されているものであり、必ずしも学級減をするということではありませんで、例えば紫波総合高校であれば、本年度、前期計画に基づいて学級減をしたばかりという状況もあります。また、その他の学校につきましても、翌年度以降の中学生の数の状況等さまざまな要因を含めながら、学級減の方向性について検討しているところであります。
〇臼澤勉委員 そういう規定だというのはわかりますけれども、ただ、基本的なルール、姿勢に基本的には従うというのが普通だと思います。なぜ学級減をしないのか。この計画の基本方針と整合性がとれないのではないかと思いますが、お伺いいたします。
〇森田高校改革課長 先ほどもお話に出ました今後の高等学校教育の基本的方向の中で、活力ある教育活動を展開するためには、1学年4学級以上が望ましいと考えられる一方で、今後の生徒数の減少を踏まえて、各ブロックに配置できる学級数を考えると、将来にわたり7学級規模の学校を全て維持することは難しいことから、4学級から6学級が望ましいとさせていただいたところであります。
 今回の高校再編計画後期計画案においては、これを踏まえつつも、いわて県民計画(2019〜2028)や、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略等に基づきまして、1学年1学級の小規模校を維持するとともに、県政課題への対応等のため、7学級規模の学校も確保するなどの柔軟な対応をとらせていただいたところであります。
〇臼澤勉委員 過去に県教育委員会のほうでも、盛岡ブロックは学級減で対応したことがありました。ただ、そのときは、結果的に盛岡市周辺の高校の志願者はふえず、学級減を行った学校では多くの不合格者を出す結果となりました。県教育委員会は、後期計画の策定に向けた地域検討会議でも学級減によって必ずしも周辺部の高校に行くとは限らない、慎重に検討していきたいと答弁しておりましたが、なぜこのように方針を転換したのかお伺いします。
〇森田高校改革課長 学級減の考え方を改めたというお話でございます。
 平成17年度に盛岡ブロック内で200人余りの中学校卒業生が減少するという状況があったため、盛岡市、滝沢市、矢巾町に所在する高校のうち、6学級分の募集学級数を減少したことがありました。
 そのときの盛岡市、滝沢市、矢巾町にある学校の倍率を見ると、学級減をする前年度である平成16年度が1.24倍、学級減をした当該年度である平成17年度には1.27倍と若干ふえました。一方、それ以外の八幡平市、雫石町、葛巻町、岩手町、紫波町のそれぞれの市町に所在する学校は0.76倍から0.69倍と減少はしましたが、中では平舘高校の倍率が上昇しているといった状況も見られ、翌年度は生徒数の増加に合わせて募集学級数を回復したことから、単年度のみではその結果について明確に判断することはできないのではないかと考えているところです。
 さらに、15年ほど前の状況から変化もありまして、各地域において小規模校の魅力化を向上するための取り組みを進めているほか、県教育委員会としても小規模校の魅力向上化を図る事業を展開しているところであります。
 盛岡市中心部の子供の数も今後も年々減少していくことから、定員の適正化を図っていくことが重要なことと考えているところであります。
〇臼澤勉委員 学級減で対応して倍率が少し上がっていったということでありましたが、私が危惧しているのは、それぞれの中学校で進路指導をされている先生方は今回の統合についてどう評価しているのかということで、同級生だった校長先生にもちょっと聞きましたけれども、やはり進路指導で非常に悩ましいという声も聞いておりますが、どう評価されておりますでしょうか。
〇森田高校改革課長 進路指導ということでありますが、基本的には、盛岡ブロックの約200人の子供の数の減少に合わせての統合、学級減ということであります。あとは、盛岡市の都南地区、矢巾町、紫波町からの生徒、当該学校のある地域の生徒も、実際には、進路先を見ますと、盛岡ブロックは他地域と比べて学校の選択肢が非常に多いということもありまして、さまざまな進路先に進んでいるという状況もあります。
 そういった状況も踏まえながら、ただ、統合というのは実際には進路の選択に一定の影響を与える、それはそのとおりだと思いますので、しっかりとした情報提供を行いながら統合の取り組みを進めてまいりたいと思っております。
〇臼澤勉委員 今回もさまざま各委員からもお話がありました。コロナ禍の中において、確かに高校再編前期計画のときは3カ月程度の検討だったものを今回は1年、十分時間をとったという話もありました。先ほど吉田敬子委員からもお話がありましたけれども、今回の統合案の話の中で盛岡工業高校の話も、2月頭に突然出てきたわけです。そういったさまざまな高校が統合するとか移転するとかというのが、今学んでいる生徒たち、盛岡南高校のボクシングチャンピオンの生徒会長の方なども、私たちは一切聞いていない、この統合案については全く聞かされていない中で話が進んでいたという話もありますので、地域住民の意向を十分に反映したものとなっているのか、お伺いいたします。
〇森田高校改革課長 住民等の意向の反映についてでありますが、これまでの高校再編計画後期計画策定に向けた地域検討会議等におきましては、盛岡ブロックを初め他のブロックからも、盛岡市内の高校への志願者集中の是正、盛岡市の生徒減少への対応の必要性については、多数の意見をいただいたところであります。
 また、岩手の高校教育を考える市町村長懇談会からも、都市部と中山間地、沿岸部における高校配置の不均衡解消に関する提言を頂戴しております。
 さらに、本年度実施した高校再編計画後期計画策定に向けた地域検討会議においては、お示しした統合案に賛同する意見も多数いただいております。
 一方で、意見交換会や要請による説明会、また、盛岡市議会からの意見書の提出、署名活動等を通じて、統合に関しては、反対の意見もいただいているところであります。
 先般開催されました岩手県教育振興基本対策審議会においては、最終案に反対する意見はなく、統合新設校の説明に関する意見を多くいただいたところであります。
 これらの、これまで行ってきた意見交換等の内容につきまして、教育委員とも十分に情報共有を図っているところでありまして、今議会の質疑の状況もお伝えした上で、協議を進めてまいりたいと考えているところであります。
〇臼澤勉委員 私は、今回の高校再編計画で改めて学ばせていただいたことがあります。それは教育委員制度であります。この教育委員制度は、地域住民の代表の委員が集まって合議制で決定していくというシステムです。アメリカの制度が戦後取り入れられて、住民の選挙で選ばれた人たち、住民代表の方々が教育委員として、地域の住民の代表として入って、教育のあり方を合議制で決定していくという仕組みであります。
 今回のこの高校再編計画について、これまでも教育委員の定例会で御審議されているようですけれども、どの程度議論されているのでしょうか。
〇森田高校改革課長 高校再編後期計画の策定に当たりましては、これまで行ってきましたさまざまな意見交換等の内容につきまして、教育委員と十分に情報共有を行いながら情報交換を重ねてきたところであります。定例会におきましては1回、それから定例会終了後の協議等、また教育委員会協議会というものがありますが、そういったところにおいて9回、計10回、議題としてさまざまな議論を図ってきたところであります。
〇臼澤勉委員 10回協議したということです。それで、文部科学省で教育委員制度についての問題点について、三つほど指摘されております。一つは、事務局の提出する案を追認する機関となっているのではないか。地域住民の意向を十分に反映したものとなっておらず、教員など教育関係者の意向に沿って行政を行う傾向があるという二つ目の指摘。そして、住民による意思設定、いわゆるレーマンコントロール、これが肝なのですけれども、この三つの問題点を指摘されております。
 私はなぜこれを言っているかというと、いじめの問題であるとか県教育委員会が抱える問題がさまざまある中で、教育委員会制度があり、そして今回の総合教育会議で知事も出席している。そういう中で、なぜ10回も議論があった内容がホームページにも公開されていないのか、お伺いいたします。
 密室の場で議論が進められているという指摘もあるわけです。こういう大事な高校再編計画のありようについて、なぜホームページのほうでも議論の議事録を公開しないのかお答え願います。
〇佐藤教育局長兼教育企画室長 教育委員会の公開等についてのお尋ねでありますが、教育委員会定例会等につきましては、会議の公開ということで法律に基づいて公開し、議事録も公開しておりますが、教育委員会協議会での9回の議論について、公開がなされていないのではないかということだと思います。
 この教育委員会協議会は教育委員会規則に基づいて設置されておりまして、これは目的が会議に付議すべき議案の事前審査、その他、研究、協議を行う場でありまして、相当程度、審議過程の未成熟な情報がここで議論されていますので、それをこの段階で公開することは避けるということで、従前より公開の取り扱いとしてこなかったというものであります。
〇城内よしひこ副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。

午後4時35分 休 憩

午後4時53分 再 開

〇岩渕誠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇田村勝則委員 まだたくさんの質問者が控えておられますので、手短に終わるように心がけたいと思います。そこで、まとめて質問させていただきます。
 人間にとって最も重要な課題はよく生きることであると、ソクラテスは言ったそうであります。教育も、まさしく、よく生きるための教育をしていかなければいけないと思うわけですが、そこで、途中は飛ばしまして3点伺います。
 まず、偉人、先人教育について伺います。
 県はこれまで魅力発信動画偉人局などの動画を制作して、広く全国、世界に向けて、偉人を通して岩手県の魅力を発信してきました。しかし、私には、内なる教育の分野において、この先人教育が必ずしも十分ではないように思えます。ちなみにスマートフォンで先人教育と検索してみますと、盛岡市が表示されます。盛岡市の先人教育のほかに、私の知る限りにおいては、数年前、釜石東中学校における三閉伊一揆の頭人、指導者であった三浦命助の生き方について学習した例ぐらいしか知りませんが、このグローバル化の中でよく生き、世界に貢献する人材を育成するためには、身近な手本である先人教育が必要と考えます。
 新年度の取り組みについて、改めて伺います。
 次に、家庭教育について伺います。
 先ほどもいろいろと議論がなされておりました。教育長も、冒頭の説明の中で、家庭教育にも言及されました。新年度の予算案にも計上されておりまして、中身は、親などへの家庭教育や子育てを支援するため、電話及びメールによる相談支援体制を整備するためとなっております。
 そこで、改めて、これまでの課題を踏まえて、どう取り組み、その施策を前に進めていくのかお伺いいたします。家庭は人格的成長の基本単位であり、情緒的機能を育てる場所とされております。家庭教育が近年さらに大切になってきていると思われますので、改めてその点についてお伺いします。
 最後であります。教員の資質向上への具体的取り組みと、スクールセクシャルハラスメントの現状と対策について伺います。
 よい教師は子供の心に火をつける、西澤潤一先生がよく講演で言っておりました。現代は個性の重視という観点も大切であるわけですけれども、教育への情熱と高い志を持つ優位な人材の確保、育成、資質向上への取り組みについて伺います。
 また、改めて、過般、新聞にわいせつ教員の処分についての衝撃的な記事が掲載されておりました。全国でかなりの人数がいるということでありますけれども、本県における処分の状況と対策についてお伺いいたします。
〇小野寺首席指導主事兼義務教育課長 初めに、先人教育についてであります。
 先人教育は、児童生徒が岩手県にゆかりのある方々の生き方や考え方を学ぶことを通して、郷土に誇りと愛着を持ち、人間性、社会性とともに、将来の夢を育むという点で大切であると認識しております。
 これまで県では、主に小中学校において、各種の資料、副読本を活用することや記念館を訪問したりすることなどを通して、先人の方々の苦心、努力、そして当時の方々の生活の向上や、地域あるいは日本の発展に貢献したこと等について具体的に学び、児童生徒が自己の生き方についてじっくりと見つめ、考えを深めてきているところであります。
 今後におきましても、社会科や総合的な学習の時間等において、教科横断的な視点を持ち、さまざまな教育活動とかかわらせながら、学校や地域の実情に応じた先人教育を適切に実施し、岩手県のこれからを担う児童生徒の人格形成の基盤となる道徳性の育成などに関した取り組みについて、市町村教育委員会と情報共有しながら進めてまいります。
〇藤原首席社会教育主事兼生涯学習文化財課総括課長 家庭教育への取り組みについてでありますが、これまでいわて県民計画(2019〜2028)や岩手県教育振興計画のもとで、家庭の教育力の向上に努め、子育て支援や家庭教育支援の充実に向けた取り組みを推進しているところであります。特に、核家族化等によりまして、子育てや家庭教育についての知恵や経験の継承が十分に行われていない面もあります。悩みや不安を抱える保護者がいるということも踏まえまして、具体的な施策といたしましては、親子の相互理解を深めて子育ての仲間づくりを促進する親子共同体験などの学習機会の提供や、関係者の資質向上、そしてネットワークづくりを図る研修会などを通した支援体制の充実のほか、メールマガジンの配信等による学習情報の提供、不安や悩みを抱える親などに対する相談体制の充実などに取り組んできているところであります。
今後とも、ニーズや課題を踏まえまして、親子の共同体験事業や関係者対象の研修会などを実施するとともに、広く県民に学習情報や学習資料を提供し、また、電話やメールによる相談窓口を設置するなど、引き続き、子育て、家庭教育を支える環境づくりに取り組んでまいりたいと考えているところであります。
〇木村首席指導主事兼学校調整課総括課長 教師の指導力を高める取り組みと方向性についてでありますが、全ての教員は、子供たちの人格の完成を目指し、その資質の向上を促すという職責を担う専門職であり、社会が急速に変化する中にあって、状況の変化を踏まえた新しい時代の教育に対応できるよう、常にその資質の向上を図り続けていくことが重要です。
 県教育委員会では、平成30年3月に策定の校長及び教員としての資質の向上に関する指標を踏まえ、教員研修計画を策定し、学校種や経験年数に応じた教員研修を実施しているところです。
 また、各学校においても、自校の諸課題に応じた研修を随時実施しております。
 今後も、子供や社会の状況変化等を踏まえ、研修内容等を不断に見直しつつ、教員のさらなる指導力の向上を目指していきます。
〇金野首席経営指導主事兼小中学校人事課長 児童生徒へのセクシャルハラスメント事案と具体的な対処についてでありますが、まず、児童生徒へのわいせつ行為等に係る懲戒処分の件数は、本県では、令和元年度に免職となった事案が2件あります。
 本県では、学校におけるわいせつ、セクシャルハラスメント行為を根絶することを目指して策定しました学校におけるわいせつ・セクハラ行為防止のためのガイドラインや、今年度改正したセクシャルハラスメントの防止等に関する基本方針などに基づいて、教職員一人一人に浸透させるように努めているところであります。
〇田村勝則委員 ありがとうございます。前段の2点については、また後ほど議論させていただくことにしまして、最後の教員の資質の関係とセクシャルハラスメントの関係について伺います。
 まず、教員の資質向上でありますけれども、私自身もいまだに小学校の先生、高校の先生に御指導いただいている身でありますが、知と徳の両方を先生方は求められると思います。そういう意味で、まさしく指標となって子供たちに接することが大切だと思います。
 先般、田中舘愛橘先生の古本を求めて読みました。そうしましたら、教え子が退官の還暦の祝辞の中で、我々は14人教わったけれども、その9人が教授になったということで、人間的にも、また、教え方も、本当にすばらしかったというようなことを書いておられるところがありました。
 先生方というのは、本当に多様な問題をクリアしながら指導力も高めていかなければいけないと思うのですが、もう少し具体的に、どのような取り組みをしておられるのかお伺いいたします。
〇木村首席指導主事兼学校調整課総括課長 教員研修の具体的な内容について申し上げます。
 先ほどお話ししました校長及び教員としての資質の向上に関する指標には七つの視点がありまして、教員としての素養、多分この部分が委員が一番強調されたいところだと思うのですけれども、そのほかに、学習指導力、生徒指導力等があります。特に教員としての素養に基づいた講座には、事例から考えるコンプライアンスとか、身分等を含むとか、児童生徒指導におけるコンプライアンスとか、児童生徒とどういった人間関係を築くか、あるいは、どういった人間的なかかわり合いが重要なのかというような講座も、研修体系の中に組み込まれているところです。
〇田村勝則委員 セクシャルハラスメントについてもお聞きしたいところですが、何よりも、やはり子供の気持ちに寄り添うことが大切なのだろうと思います。問題は、例えば後段のことについては、子供たちの訴えをしっかり受けとめて対応していくことが大切であろうと思いますので、その点について今後ともしっかりと取り組んでいただいて、岩手県は本当に生徒と先生方の信頼関係の強い教育立県なのだというところで取り組んでいただくようにお願いして、終わります。
〇ハクセル美穂子委員 私からは、昨年9月定例会でも質問した発達障がい児の支援体制、学校と医療機関との連携について質問させていただきます。
 私は、昨年9月定例会の一般質問でこの件について質問しました。そのとき、まず実態把握に努めていきたいという御答弁をいただいておりますので、この半年間のうちにどのように実態把握をされて、あと、令和3年度で何か新しい取り組み等々される予定でしたらお知らせいただきたいと思います。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 発達障がい児協力支援医療機関との情報共有を含めた連携の取り組みについてでありますが、岩手県発達障がい者支援体制整備検討委員会・広域特別支援連携協議会等の会議において、医師会との情報共有を行うとともに、県の保健福祉部とも内容や対応について共有しながら進めていくものと考えております。
 岩手県教育委員会としましては、市町村教育委員会等にも医療との連携について好事例を紹介するなど、学校現場における支援の充実に向けて引き続き働きかけていく所存であります。
 なお、実態把握につきましては、保健福祉部との連携のもとで、発達障がいに関するアンケート調査を保健福祉部を中心に行う予定でしたが、新型コロナウイルス感染症対応等でまだ実質的な動きになっていないと伺っております。
 なお、詳しい実態把握には努めていきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 まず、御答弁の中でありました好事例について、どういった事例なのかということと、アンケート調査は今の御答弁だと保健福祉部で行うということだったと思いますが、それでよろしいのかという点、あと、県教育委員会として学校側にそういった調査をするのかどうかという点について、再度お聞きしたいと思います。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 岩手県発達障がい者支援体制整備検討委員会・広域特別支援連携協議会の中で、発達障がい児等支援に係るアンケート調査の方向性ということで、岩手県保健福祉部障がい保健福祉課から令和2年5月から8月ごろ(後刻「令和3年4月1日から令和3年4月30日を予定」と訂正)アンケート調査を行うという形で出されておりました。県教育委員会主体のものではありませんが、協力しながら行っていくという形で現在考えているところです。
 それから、好事例ですけれども、例えば学校内でいい形での支援が図られまして、初期からの支援をすることによってその子の自己肯定感が上がったりするなど、そういった学校の支援ですとか、あとは、SST─ソーシャル・スキル・トレーニング、そういった形での取り組み等もありますので、そちらを広く皆さんに周知することにより、いい形で学校現場で発達障がいの子供たちが育っていくという事例を紹介したいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 アンケート調査はまだできていないということですけれども、このアンケートを書いてもらう方は保護者なのか、どういう方を対象とされているのかということと、好事例の中に、学校内で医療と学校、保護者との情報共有のあり方といった好事例も出されているのかという点についてお伺いいたします。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 昨年度第2回の岩手県発達障がい者支援体制整備検討委員会のときに案として示されたものでありますが、調査時期が令和2年5月から8月ごろ(後刻「令和3年4月1日から令和3年4月30日を予定」と訂正)となっておりまして、対象は、岩手県内の医療機関、学校、保健所、障がい児通所支援事業所等に通院、通学、通所している18歳未満の児(後刻「18歳未満の発達障がい児等の保護者」と訂正)、そういった形の対象とされておりました。
〇ハクセル美穂子委員 わかりました。情報共有についての好事例があったのかどうかという点は、次の質問の後に教えていただければいいと思いますが、ということは、アンケート調査については、実際の発達障がいでこういった支援を受けているお子さんが対象だということだと思います。
 私が昨年9月の一般質問でお話しさせていただいたのは、学校と発達障がい児の診療と治療を地域で担ってくださっている協力支援医療機関との支援の情報共有、この取り組みを進めてほしいということを一般質問でお話ししておりまして、それに関しての実態把握とか何か取り組みは、特に令和3年度はまだできない状況だということでよろしいでしょうか。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 医療と教育の部分での連携については、これまでも各ケースにおいて行われてきておりましたが、その具体的な件数ですとか、何人行われているという具体の数は把握していないものであります。ただ、より正確な数という部分では、きちんと情報収集に努めなければいけないということは認識しております。
〇岩渕誠委員長 先ほどの質問、好事例の情報共有について答えられますか。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 学校での医療との連携についての好事例ですけれども、学校で行われている検査結果については、保護者の了承のもと医療に提供するというものがあるように伺っております。
〇ハクセル美穂子委員 学校で行われている発達障がい児の診断にかかわる検査について保護者の責任で医療機関に情報を提供するというのを、好事例でお話しされたということでよろしいですか。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 説明が余り上手でなくて申しわけございません。
 例えば、学校では、支援が必要となった場合には、検査等は必要に応じて行うわけですけれども、それがイコール診断というわけではありません。学校の中で、例えばこういったこだわりの強さがある、こういった苦手な部分があるという部分を検査することによって、その子の実態を把握して、より教育に生かそうというもので、例えばそれで保護者のほうが医療機関にかかり、医師が検査の数値を知りたいと言った場合には、保護者の了承のもとで学校と医療が連携してという形で進むことと承知しております。
〇ハクセル美穂子委員 わかりました。その点について、私は、ぜひ岩手県で新しい取り組みをしてほしいということで、昨年の9月定例会でもお話をさせていただきました。保健福祉部でも同じような質問をしまして、県教育委員会と保健福祉部できちんと連携して、ぜひ仕組みをつくってほしいということをお願いしました。
 なぜかといいますと、発達障がい児の専門医療機関は岩手県内に6カ所しかありません。そのうち盛岡市に4カ所、花巻市に1カ所、一戸市に1カ所というのが、実際に発達障がい児のことを専門で診療できるところとなっています。そこにはWISC(ウィスク)検査ができる心理士の方ももちろんいらっしゃるのですけれども、そこに行かないとなかなかできない。全国的にもそういった傾向があるようで、初めての診察のときに待機しているというのが課題になってきていて、各県でもさまざまな取り組みをいろいろ工夫してやられております。
 岩手県の場合は、岩手県医師会の小児科の先生方が、この点を憂えて、かかりつけ医として何とか発達障がいの診療を、まず最初のところを診療して、あと専門の医療機関につなげるということをやっていかないと、先ほど言いました盛岡市とか花巻市、一戸市以外の地域の子供たちは、なかなかその診断すら受けられない、治療も受けられないという状況が今あるので、何とか研修会なども岩手県医師会のほうでやって、つなげる仕組みづくりというのをしております。ただ、一般の小児科医の先生というのは、心理士の方を雇っているわけではないので、保護者の責任で持ってきた学校での診断のWISC検査なども加味しながら、それから、実際に学校を訪れて、どういう行動をしているかとそういったところを先生方からお話を聞いた上で、診断をするようにしているそうです。
 何とかうまく好事例で回っている学校と発達障がい児の方の事例もあるのですけれども、それが全県下で統一的になっていないのが今の課題だと私は思っております。もちろん実態把握をして、どういったことが本当に事例として浸透していくのかというのは検討する必要があるのですが、そこをぜひ一歩進んでやっていただきたいと思っています。
 事例としては、鳥取県などでも、病院診察時に使える学校問診票とかチェックシートを県でつくって全校に配布して、お医者さんに行くときに持参することを奨励している事例もありました。また、広島県では、かかりつけ医療機関と専門医療機関の連携のツールとして、情報提供書というものを県が作成しているという事例もありました。
 これはまだ途上のことなので、いろいろ研究しないといけないのですけれども、この点を医療機関の方々と、学校の関係者というか、県教育委員会でぜひ話をしていただきたい。この岩手県発達障がい者支援体制整備検討委員会・広域特別支援連携協議会だと、実際に現場でやっていらっしゃる方々の声は上がらない仕組みだと思っていましたので、県の保健福祉部とその仕組みをどのようにしたらつくれるのか、ぜひ令和3年度に検討していただきたいと思いますが、その点についてお考えをお伺いしたいと思います。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 委員御指摘のとおり、発達障がいについての医療と教育の連携については、非常に大切なことだと認識しております。具体的な形でのどういうやり方が仕組みとして最もいいのかという部分、それから診断に当たっての検査の仕方についても含めまして、十分に検討していきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 前向きな御答弁ありがとうございます。ぜひこれをお願いしたいと思います。岩手県は医療資源が非常に限られておりますので、その限られた医療資源の中で、発達障がいの子供たちを盛岡市に近くないところでもしっかりと支えていくという面で、学校と医療機関との連携は非常に重要だと思っていますので、ぜひお願いをして、質問を終わりたいと思います。
〇佐々木宣和委員 私は、児童生徒のスポーツにおける興味、感心というところで伺っていきたいと思います。
 ことしはいよいよ東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の年ということで、午前中は聖火リレーの話やホストタウンの質疑もされたところであります。前回の東京オリンピックのレガシーの一つに、スポーツ少年団の創設というものがあります。スポーツを通じて青少年の体と心を育てる組織を地域社会にをコンセプトに、日本体育協会、今の日本スポーツ協会が、創立50周年記念事業の一環として創設したのがスポーツ少年団、いわゆるスポ少というものであります。
 東京オリンピックは1964年ですけれども、これを2年後に控えて、国民各層のスポーツへの関心と、スポーツ少年団が掲げるスポーツによる青少年の健全育成という目的の実現に向けた動きとが相まって大きな反響を巻き起こし、スポーツ少年団、団員、指導者が、その後、急激に増加していったというところであります。
 スタート時、団員数は753人からスタートしたそうですけれども、1986年のピーク時には約112万人の団員数だったということであります。近年、この団員数も非常に少なくなっていると聞いておりますけれども、まず、このスポーツ少年団の現状を伺いたいと思います。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 スポーツ少年団の現状についてであります。
 これは令和2年10月時点の数字でありますが、本県のスポーツ少年団の団員数は1万9、261人であります。団体の数は、1、011団体という数になっております。
〇佐々木宣和委員 少子化とか、スポーツの競技数も非常にふえていると思いますけれども、その辺の過去との流れがわかれば教えていただきたいのですが、答弁できますでしょうか。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 当課といたしましては、少子化に伴う団員数、団体数の減少ということの捉えしかございません。
〇佐々木宣和委員 わかりました。ありがとうございます。まず少子化というところもありますし、子供たちが少なくなっているというのが一番大きな要因だと思いますけれども、そしてまたスポーツの競技数がふえたというところだったり、岩手県ですと非常に広いので、その広さが影響して団体競技、人数が多いスポーツはなかなかできないということも考えられるのではないかと思っているところであります。
 先ほど申し上げたとおり、スポーツ少年団がスタートして60年くらいたっているところですが、今でもこれだけの団員がいるという組織体でもありまして、この形を変えていったり、既存組織のリビルドというものがこれから必要になってくるのではないかとも思っているところであります。
 スポーツ少年団自体の変化もあるのですが、若年層のスポーツ離れを指摘する声もあります。昔と違って、今、スマートフォンとかアイパッドなどもありますし、習い事などもどんどんふえているところですけれども、小学生の休日の過ごし方等との動態から、子供たちがスポーツをする環境についてどうなっているのか伺いたいと思います。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 小学生の休日の過ごし方の動態であります。これは、スポーツにどのくらい取り組んでいるかというデータでお答えしたいと思います。
 令和元年度の小学5年生を対象にしたスポーツ庁の全国体力・運動能力、運動習慣等調査におきまして、本県の土曜日、日曜日に何らかの運動をするという児童の割合につきましては、男子は土曜日が87%、日曜日は84%、女子は土曜日が86%、日曜日が80%、これは全国でも上位であります。
〇佐々木宣和委員 低くなっているというところから話を組み上げようと思っていたのですが、非常に高い数字なのかと思ったところです。
 全国的な流れで言いますと、体格に見合う運動能力が不足しているという話もありますし、近年の子供たちの体力が昔と比べて下がっているのではないか、ソフトボール投げなども余り投げられなくなっているのではないかというようなことも言われているかと思っております。岩手県に関しては、スポーツをしている子が多いということで、これはすごくいいことだと思っているところであります。
 最後の質問ですけれども、スポーツの語源はラテン語のデポルターレと言われておりまして、気晴らし、余暇、遊びなどを意味するそうです。コロナ禍で、不要不急の外出の自粛等々でストレスがたまる状況にある中で、潤いのある人生を送る上で、スポーツをするということは非常に必要なことだと思っております。
 その中で、世界最高峰のスポーツの祭典が自分の国で行われるということは、本当に楽しみであります。世論調査で、きのうも、おとといも、新聞でもさまざま言われているところですけれども、悲観主義、楽観主義というところではなくて、可能主義で開催できるロジックを組み上げた上で、開催を望む声が多いと思っております。
 県では、オリンピック・パラリンピック教育推進事業費も組んでいるところです。二度目の東京オリンピックを岩手県の子供たちがスポーツを楽しむ契機となってほしいと考えておりますけれども、所感を伺います。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 2度目の東京オリンピックについてでありますが、委員御指摘のとおり、オリンピックなど世界で活躍するトップアスリートを目にすることは、子供たちが夢や憧れを持つということにつながりまして、運動やスポーツに親しむ契機となるものと考えております。
 県教育委員会では、スポーツ庁の委託事業であるオリンピック・パラリンピック・ムーブメント全国展開事業を活用いたしまして、オリンピアン、パラリンピアンを講師に招くなど、スポーツの価値や共生社会への理解等を深める教育の推進に努めてきたところであります。そういった取り組みにおいても、スポーツの楽しさにつながっているものと考えております。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が、子供のスポーツへの興味、関心をさらに高め、スポーツを楽しむ契機となることを期待しております。
〇佐々木宣和委員 子供たちは、今、いろいろやらなければいけないことが結構あるような気がしていまして、それこそ英語とかプログラミングとか、新しく学習指導要領にも入っていると思うのですが、やらなければいけないというよりも、やったほうが楽しいということから学びというのは広がっていくと思っているところであり、この東京2020オリンピック・パラリンピック協議大会を契機に、そういった考え方が広がるように取り組んでいただきたいと思います。
〇米内紘正委員 私は、ICTを活用した教育の推進について2点、メディアコントロールとメディアリテラシーについてお聞きいたします。
 まず、メディアコントロールについてでありますけれども、スマートフォンやタブレットが子供に与える影響について、どう認識しているかお聞かせください。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 スマートフォンやタブレット端末が子供に与える影響についてでありますが、デジタル機器の長時間使用によりまして、睡眠不足、あるいはブルーライトによる睡眠の質の低下が懸念されます。また、ドライアイや眼精疲労等、目への影響が大きいと言われております。また、姿勢の悪化等による首、肩、背中などの疲労や痛み、骨格への影響等が懸念されております。
〇米内紘正委員 主に肉体的なところの説明だったと思いますけれども、私は、今回の質問を通して、教育分野におけるICT化に反対するものではなくて、むしろ教育格差の是正であったり教職員の負担軽減のために、ICTの利活用は必要不可欠だと思っております。国においても、県においても、この方針は組み込まれて示されておりますので、これからかなりのスピードでICT化は進んでいくものだと思っております。ただ、だからこそ、その活用に当たってのルールづくりも、同じスピード感で進めていかなければいけないと思っております。
 さきの定例会において五日市王議員が、スマホ脳という書籍を紹介されて、スマートフォンとかタブレットの影響について御質問されました。私もこのスマホ脳を読みまして、多分30代より若いデジタルネーティブと言われる世代には突き刺さってくる内容かと思うのですが、スマートフォンの影響として一番注意しなければいけないのは、中毒性や依存性なのです。
 例えば、コロナ禍前は、今もそうかもしれないですけれども、東京都で満員電車に乗ると、みんな朝ぎゅうぎゅうの中で、10センチの距離でスマートフォンを見ているわけです。5分、10分の間に、あるいは歩きながらスマートフォンをいじる。エレベーターに乗った一瞬の間にスマートフォンを開く。エスカレーターに乗ったときにスマートフォンを開く。これらの症状が多分漏れなく発症しているので、私もスマートフォン依存症だと思っているのですけれども、総務省の情報通信白書でも、2019年の10代の方のスマートフォン利用時間は240分なのです。やはりこの辺の依存性というところは注意していかなければいけない。
 ただ、これは、若者がとかスマートフォンがという話ではなくて、60代以上はテレビを見ている時間が320分なので、若い世代はスマートフォン依存、上の世代はテレビ依存という形なのですが、ただ、スマートフォンはいつでも持ち歩けるという問題があります。この点に対して、教育のICT化を進めるに当たって、まだ考えていらっしゃらないかもしれないですが、適切なメディアコントロールの具体的な方針、方策があればお聞かせください。
〇小野寺首席指導主事兼義務教育課長 メディアコントロールの具体的な方策についてでありますが、まだ大枠のところでしかないのですが、今後ICTの使用機会がふえることを踏まえて、情報モラルの指導というのは、やはり子供たちにとっては大変重要であります。あわせて、そういうデジタル機器を使って情報活用をどのように図っていくかということも必要でありますので、各教科等の教育活動の中で適切に行っていきたい。先ほど保健体育課総括課長が申し上げましたように、当然健康への配慮も必要であります。
 今後におきましても、国などの研究で最新の科学的知見が得られた際には、それなども含めまして、市町村教育委員会と情報共有していくこととしております。
〇米内紘正委員 本当にここは早く考えていかなければいけないと思います。自動車に例えるとわかりやすいと思うのですけれども、岩手県では自動車事故で50名近い方が亡くなられているわけであります。これは新型コロナウイルス感染症による死者数より多いわけですけれども、誰も自動車を禁止しろとは言わないわけです。これが、もし人力車を使えば、岩手県で50名の命は助かるのですけれども、でも、それを誰も訴えない。やはりテクノロジーを使うに当たって、そのリスクと利便性を考えながら使っていると思います。ただ、自動車というのは年齢制限があって、免許を取るために教習所に通わなければいけない。だから、18歳未満の方は車は運転できない。ただ、車に乗ることはできる。
 これはICTにおいても一緒で、やはりその辺は適切に制限していかなければいけない。その中で、健康への影響もそうなのですけれども、中毒性、依存性が引き起こすものとして私が一番危惧するのは、思考力のところなのです。問題の切り分けとして、余暇のスクリーンタイムと学習における使用のスクリーンタイムで分けますけれども、人格が形成されるまでに余暇、例えばSNSとか動画配信、ユーチューブ、あるいは匿名性の掲示板、こういったものが常に身近にあることが何に影響するかと言いますと、これまでインターネットは情報共有の場だったのですけれども、それが、若いときから、思考とか感情の共有になってしまうのです。情報を調べるのではなくて思考を調べる。ほかの人が何を考えているのか調べる。感情を調べる。自分が考える前にそれを調べる癖がついてしまうと、思考力がだんだん育まれなくなっていく。その結果、何が起きるかというと、自己と他者の境界が曖昧になってしまう。自分と他者のかかわりですね。
 これで世界的に何が起こっているかというところを話すと長くなるので、ちょっと省きますけれども、教育現場におけるメディアリテラシー教育の現状と取り組みについてお聞かせください。
〇中川学校教育課総括課長 メディアリテラシー教育につきましては、情報発信する際の情報モラルの観点に加えまして、まさに委員御指摘のような情報をどのように受け取って、それを考え、思考し、活用していくかという観点の二つで取り組みが行われております。
 情報モラルの観点では、文部科学省が作成した指導の手引き等も活用しながら、SNS等でのトラブルや犯罪に巻き込まれないような形での学習を行っているところであります。
 また、情報活用の観点では、新学習指導要領におきまして、全ての教科等で思考力、判断力、表現力等の資質能力の育成が示されており、インターネット上にある情報の正確性等を自ら判断することや、さまざまなメディアの活用をしながら自分の考えを深め、思考し、表現していくこと等について、それぞれの事業で取り組みが行われているものと承知しております。
〇米内紘正委員 情報活用のところは、小さいときからある程度制限をしていかなければいけないと思うのですけれども、メディアリテラシー教育に当たって、ちょっと質問の順番が変わりますけれども、それを担う人材というのは誰が担っていくのか。あるいは、どのようにそういう教育をする人間を育てていくのかというところについてお聞かせください。
〇木村首席指導主事兼学校調整課総括課長 ICT教育の推進を担う人材についてでありますが、メディアコントロールやメディアリテラシー及びそれらを含むICT教育の推進において、児童生徒の指導に直接携わる教職員が担う役割は非常に大きいものであると認識しており、現状、ICT関係の教員研修も行っているところです。
 今後、さらなる育成方策として、令和3年度から、初任者研修等や教職経験者5年研修など、対象教員の全てに受講を義務づけている研修に、新たにICT機器活用に係る内容を加えるとともに、希望者が受講する研修等についても、ICT活用に特化した研修を開設することとしております。
 また、現在、ICT教育の企画、推進に意欲、関心のある教職員をいわての学び開拓パイオニアとして募集しており、教育のICT化を推進する上での課題や先導的な実践例を全県で共有できる体制づくり等の取り組みを進めているところです。さらに、次年度、各県立学校に、ICT教育推進リーダーを設置し、校内全教職員がICTを有効に活用し、教科横断的な授業改善に取り組むこととしております。
〇米内紘正委員 その中で担う役割の方には、ぜひデジタルネーティブの世代を入れてほしいのです。そうしないと多分ぴんと来ないと思います。周りを見回したら、スマートフォン依存症というか、常に気になってしまう方って、多分いると思います。自分がそういう立場にいて、だからこそ、子供にどういうものを与えて、どういうものを与えてはいけないのかというところを若い世代で、今リーダーというお話がありましたけれども、抜てきしていただいて考えると、よりその現場の状況に合った指導ができるのではないかと思います。
 思考力のところでお話ししましたけれども、もちろん肉体的な影響というところはそうなのですけれども、やはりこの思考力のところは、今、全国、世界中がICTを使った教育となっている中で、10年後、20年後にいろいろな影響を議論されるときが来ます。だから、今からやっておけば、10年後とか、岩手県もあのときからきちんとやっていたのかということで、しっかり思考力のトレーニングが実を結ぶときが来ると思います。
 今、世界中で、多様性ということで認めていこうという社会なのですけれども、その一方で、思考力が、自分で考えた結果ではなくて、ネットであふれてきた思想とか考え方に流されると、自分がその意見になってそうではない人を集中砲火する。そうすると、多様性と言いながら、そこからずれた人は集中砲火される。つまり、多様性という名の均質性です。画一的な社会になって、なぜか個人主義を標榜しているのに全体主義に向かっていくというか、そういう危険があると思いますので、やはりこの思考力のところを教育の中に取り入れていきたいということで、最後に教育長に、ぜひ来年度、何かそこの形をお聞きしたいのですけれども、お願いします。
〇佐藤教育長 私もなかなかメディアリテラシーに関してはおくれている人間でありまして、ただ、今いろいろと御指摘いただきまして、まさに均一性とか均質性とか、そこから同調圧力が出たり、さまざまなつながりの中で本来のあるべき姿から逸脱していくということは、本当に危惧されることだと思います。
 本県では、豊かな自然があって、できればスマートフォンを使わないで自然の中で遊んで、さまざまな体験をして、それとあわせてICT機器をうまく使うときは活用していく。そこをいかにうまくやって、そして岩手県ならではの教育というか学びを実現していくことは非常に大事だと思います。
 そういった意味で、このメディアリテラシーに向けた取り組みというのは、ある意味ではGIGAスクール構想でタブレットもどんどん現場に入ってくるわけですから、これについては本当に喫緊に取り組みが必要だと思いますし、市町村教育委員会と学校教育ICT推進協議会もつくりましたので、こういったところも一緒に研究を進めていきたいと考えております。
〇高橋こうすけ委員 私からも、ICT教育の環境整備について何点か、一部重複する部分もあるかもしれませんが、お伺いできればと思います。
 今回、新型コロナウイルス感染症の流行のもとで、全ての子供たちに対する学びを保障する観点から、GIGAスクール構想、学校のICT環境の早急な整備を進めているところと認識していますけれども、現在どこまで進んでいるか、整備状況と今後の流れを改めてお伺いいたします。
〇渡辺教育企画推進監 県立学校におけるICT教育の現状と今後の取り組みについてでありますが、県教育委員会では、まずハード面として、全県立学校に無線LAN環境を整備するとともに、大型提示装置等の段階的な整備や児童生徒用端末の整備等の取り組みを進めているところであります。
 大型提示装置等が整備された学校では、教科書や資料を映し出すことによりまして、板書やプリント配布等の時間が削減され、グループ学習による対話的な学びの時間が確保されるなどの効果が得られているところであります。
 また、ソフト面でありますが、今年度に取り組んでおります大学等と連携した実証研究では、まず教員は、生徒の理解度の把握や回答の集計をリアルタイムに行うことができるメリット、そして生徒は、お互いの多様な考えを共有し自分の考えを深められることなどによりまして、授業の改善につながっているところであります。
 今後の取り組みでありますが、整備したICT機器を効果的に活用しながら、児童生徒の主体的、対話的で深い学びの実現に向けて、実証研究等で得られた活用事例等の成果を全県に広げていきたいと考えております。
〇高橋こうすけ委員 ぜひ、しっかり進めていただければと思います。
 その中で、先ほど米内委員からもお話があって答弁いただいた部分とちょっと重なる部分があるのですけれども、昨年文部科学省が出されている統計のデータがあります。それでは、ちょうど1年前の令和元年度ICT活用指導力の状況で、いわゆる研修を受講している教員の割合が全国最低というデータがあったものですから、ちょっと確認させてください。先ほど、そういった研修を義務化するとおっしゃっていたということでよろしいでしょうか。
〇木村首席指導主事兼学校調整課総括課長 教職員に対する研修の取り組みについて、先ほどの答弁に若干補足したいと思います。
 まず、総合教育センターにおきましては、学校と同じICT環境下で研修できるようにするため、今年度、タブレット端末、無線LAN、プロジェクター等の大型提示装置など、環境整備を進めてきたところです。これによって非常に実りある研修ができる環境を整えました。
 そして、これは先ほどお話ししましたとおり、初任者研修、教職経験者5年研修などで、対象教員全てに受講を義務づけているような研修でICT機器活用に係る研修を加えるとともに、希望者が受講する研修についても、ICT利活用に特化した研修を開設します。これらの研修を5年間実施することで、県内全ての教員がICT活用に関する研修を受講できることを目指していきます。
 このように、教員研修の充実に取り組むなどして、ICT教育を推進してまいりたいと考えております。
〇高橋こうすけ委員 ぜひ進めていただければと思います。
 その中で、市町村における円滑な整備も含めてぜひ進めていただければと思うのですが、今後、進めていく上で、地域によって研修やICTの環境の違いが出る場合もあります。その辺をちょっと危惧しているところもありまして、県立学校だけでなく私立学校とか、それぞれの地域、国ともしっかり意見交換しながら進めていただければと思っております。
 次の質問に行きます。国においては、学校におけるICT環境整備の設計や端末の使用マニュアルの作成、教員に対する使用方法の周知などを行うGIGAスクールサポーター配置支援事業を設けているところでありますが、GIGAスクールサポーターの活用について見解をお伺いします。
〇渡辺教育企画推進監 GIGAスクールサポーターの活用についてでありますが、県教育委員会では、今年度、国庫補助を活用し、ICT関連の民間企業に委託して、GIGAスクールサポーターの各県立学校への派遣を行っているところであります。具体的には、このGIGAスクールサポーターが、教員研修の実施、あるいは専門人材を学校へ派遣してのICT機器操作の指導、あるいは電話相談窓口の設置などにより、各学校におけるICT機器の活用等を支援してきたところであります。
 GIGAスクールサポーターの県立学校への派遣は、来年度も実施することとしておりまして、先ほど学校調整課総括課長から説明した総合教育センターにおける教員研修の充実とあわせて、教員のICT機器を効果的に活用した授業づくりを引き続き支援してまいりたいと考えております。
〇高橋こうすけ委員 もう一点、ちょっと懸念しているところがありまして、先ほど米内紘正委員からも話がありましたが、子供たちがパソコンの端末を使用してインターネットを利用していく上で注意しなければいけない点があると思うのです。その中で、保護者の方々の理解を得るのも大事なことでありますし、緊急時等、何かあったときに連絡できるシステムを構築していったほうが説明する上で安心だと思うのですが、その辺の見解をお伺いいたします。
〇須川首席指導主事兼高校教育課長 保護者の理解と緊急時等の連絡システムの構築についてでありますが、国のGIGAスクール構想の推進などにより、学習のためにインターネット上のサービスを利用することは、今後ますます必要性が高まっていくものと考えられており、今後も保護者の理解を得ながら活用を推進してまいります。
 保護者との緊急連絡体制については、現在、多くの県立学校がメール配信システムを活用しているところであり、来年度から、教員に加え、生徒が利用可能となるマイクロソフト365を活用して、より緊密な連絡体制を整備されるものと考えております。
〇高橋こうすけ委員 児童生徒一人一人が学校内外で安心かつ安全に端末を利用できるように、日常のトラブルに対応できる体制づくりというのは、民間事業者の連携もあるのでしょうか。そういったところで万全の準備を進めていただければと思います。
 ちなみに、民間事業者との連携というのは、今後あるのでしょうか。
〇須川首席指導主事兼高校教育課長 先ほど教育企画推進監からも話がありましたけれども、GIGAスクールサポーター等々、民間の活用もしながら進めてまいりたいと思います。
〇高田一郎委員 私は高校再編計画について質問いたします。
 高校再編計画後期計画の最大の問題は、いまだに多くの住民の理解が得られない中で最終案をつくり、この中身で具体化をしようとすることだと思います。最終案が出る前から反対や再考の声が出て、また、最終案が出てからも、丁寧な説明を求める、あるいは再考を求める声が広がっています。この動きについて、改めて、どのように県教育委員会は受けとめているのか伺いたいと思います。
 それで、先ほどの五日市王委員の質疑の中で、統合まで3年から4年ある、十分な理解を得られる努力をすべきだし、見直しもあるべきだというような質問をしました。大事な質問だったと思います。県教育委員会の答弁は、丁寧な説明をしていきたいけれども、見直しについては最終案どおり進めていくというように私自身は受けとめましたけれども、それで間違いないのか、改めてお聞きしたいと思います。
〇森田高校改革課長 高校再編計画後期計画の最終案に関しましては、案の段階からでありますけれども、各地域から反対の意見書、また、署名運動も展開されてきたというのは、そのとおりであります。一応、後期計画策定に向けた地域検討会議等で賛成する意見があったのも確かでありますが、一方では、そういった反対の御意見活動も行われてきたところでありまして、地元の高校の存続に対する思いは、私どもとしても十分理解しているところであります。
 先ほどの答弁ということで、このまま進めるのかというお話がありました。基本的には、私どもは、当初、第1回目の後期計画の策定に向けた地域検討会議等で計画策定のスケジュール自体をお示しした上で、この計画の策定を進めてきたところもあります。基本的には、今までいただいたさまざまな御意見を踏まえ、教育委員の皆様にもお伝えしながら、議論を進めてまいりたいと思っております。
〇高田一郎委員 やはり地域住民の理解や合意が得られない高校再編計画であってはならないと思います。
 それで、具体的にお伺いいたしますけれども、高校再編計画前期計画は学級減が中心でありましたが、後期計画は統合が中心であります。それで、生徒数全体がどんどん減っていくということが強調されていますけれども、高校再編後期計画は統合のところだけの学級減ということです。しかも、その中心は、工業学科を減らすということがポイントであります。これまで県を挙げて県内就職率を引き上げるのだと、地域に必要な人材を確保するための工業高校の役割などもかなり強調していましたけれども、なぜ工業学科を中心に減らそうとしているのか、その点についての理由も示していただきたいと思います。
〇森田高校改革課長 特に今回は、ブロックをまたいだ工業高校の統合も提案させていただいているところであります。高校再編計画後期計画におきまして、今回統合対象となっております工業高校を維持した場合には、学級減を伴う学科改編の可能性もあります。そして、それが進みますと、両校それぞれの特徴的な学びが整理されることも想定されることから、地域産業からの多様なニーズに対応した人材育成をしっかり図っていくことが難しくなると考えているところであります。
 こういったことも踏まえまして、現段階から将来を見据えて、生徒数の減少に対応しながらも、例えば統合によって新しい学科の創設等も検討しながら、工業高校の整備を進めていきたいと考えているものであります。
〇高田一郎委員 なかなか理解できないです。工業学科だけを中心に減らすということは、やはり統合を進めるための理由になっているのではないかと感じます。
 それで、一関工業高校と水沢工業高校の統合問題について具体的に質問したいと思いますけれども、水沢地域でも一関地域でも、地元に工業高校を残してほしいという強い思いがあります。これは県教育委員会もわかっていると思いますけれども、しかし、今度の統合計画案は、地元に工業高校を残してほしいという気持ちを超えるような統合案になっていないと思うのです。皆さん生徒が減少することはわかっているのです。それにもかかわらず賛成が広がらないというのは、そこにあるのではないかと思います。
 学級編成あるいは統合校の場所については、決まった後の検討委員会で議論するということです。だから、私は、せめて場所の問題とか、あるいは、県南の工業高校の基幹校にしていくのだと言えば、では、どのような学科を配置するのかとか、地元の工業高校を残してほしいという思いに応えて、それを超えるような統合案を示して、そして議論して理解を得ていくというのならわかりますけれども、そうなっていないと言わざるを得ないと思います。これについてはどのように考えているのか、これが一つ。
 もう一つ、通学問題であります。私も一般質問でもお聞きしましたし、先ほど佐々木朋和委員からもお話がありました。私も本当にそうだと思います。教育長は東磐井の交通事情に一番詳しい人だと思いますので理解されていると思いますけれども、一関工業高校には45名の生徒が東磐井から通学しておりまして、朝は6時ごろの始発に乗って、そして学校に到着するまでに1時間半を超える。その最寄りの駅まで家族に送られて、弁当を二つ持って、そして大船渡線の中で食べて通学をする、こういう方が多いのです。そういう中で、千厩から通えば年間10万円の交通費がかかるというお話もお母さんから言われました。どこに校舎をつくるかによるのですけれども、私は、これだけで統合後の工業高校に入学をためらう生徒が出てくるのではないかと思います。
 工業高校の学びを保障する。工業高校に、バスケットボールなどの部活のために入学してくる人もいますけれども、ほとんどは一関工業高校で学びたいということで入学してくる生徒が多数いる。そういうことで、通学問題も課題ではないかと思いますけれども、改めてこの点についてお聞きしたいと思います。
〇森田高校改革課長 まず最初に、地元の理解というお話でありました。後期計画の策定に向けた地域検討会議におきましては、やはり工業の多様な学びは残してほしいとか、あとは、さまざまな学科がそろって、それぞれの学科が一緒に学び合うことによって、工業のしっかりとした学びの体制が整備されるというようなお話もいただきましたし、それから、ITとかAIといったこれからの産業技術をしっかり学べる学科の創設も検討してはどうかというような御意見を頂戴した上で、私どもとしては、この統合案を提案させていただいたところであります。
 それを踏まえまして、第4回目の検討会議では、このまま残せば将来的に工業の学び自体が減ってしまうという御説明もさせていただきましたし、これまでの議論を踏まえ、また御説明もさせていただきました。
 さらに、具体的な学びの内容につきましては、先ほど申し上げました統合検討委員会の中で、産業界の皆様、地域の皆様といった外部の方々も含めて、よりよいものにしていく形で議論を深めていきたいと考えているところであります。
 それから、通学のお話もいただきました。通学に関しては、ブロックを越えた広域の統合ということであります。新たな立地も含めて検討する必要があるということで、多方面からの通学の利便性とあわせ、充実した教育活動ができる環境を整備する、こういった視点を第一に検討を進めさせていただきたいと考えているところであります。
〇高田一郎委員 具体的内容については、統合が決まった後の検討委員会で議論するということになったときに、その内容を見てがっくりするようなことにならないように、やはり私は具体的な案を示して議論していくべきだと改めて思います。
 それで、令和16年度の生徒数を示して、統合はどうも避けられないという議論もありました。今度の高校再編計画後期計画の計画期間は令和7年です。令和7年の生徒数は、県教育委員会の資料では、令和9年まで載っていますけれども、学級減をしなくても十分対応できる生徒数、学級数になっているのです。
 だから、私は、住民の理解が得られない中で進めるということの影響、課題もあると思うのです。ですから、五日市委員からもお話があったように、やはりここは住民の理解を得ることを最優先にしながら、地元の自治体、あるいは地元の企業とか保護者の皆さんの理解が得られないような統合計画案であってはならない。少なくとも大方の理解が得られるような努力を最後までやることが大事ではないかと思いますけれども、その点はどうでしょうか。
〇森田高校改革課長 この高校再編計画後期計画は、令和7年度までの計画期間ということであります。統合の進め方は令和7年度とか、そういった一つの区切りをつけながら進める計画にはなっておりますが、計画のもととなる考え方は、令和7年度以降の子供の数の減り方も踏まえながら、将来を見据えて学校の統合を提案させていただいているところであります。
 また、地域の御理解ということでありいますが、私どもとしては、さまざまいただいた御意見等を踏まえまして、子供たちにとってよりよい教育環境を整備するという視点を重視しながら、慎重に検討し、この案をまとめさせていただいたところであります。
 先ほども申し上げましたが、一定の準備期間も設けながら、この計画を進めていくということであります。今後におきましても、関係者等とも丁寧かつ十分に意見交換を行いながら、この統合に関する検討を進めさせていただきたいと考えております。
〇高田一郎委員 この高校再編計画後期計画は令和7年までの計画ですので、最終案が出ても反対や疑問の声が上がっているわけですから、住民の理解を得ることを最優先にしながら、この統合は、この5年間にこだわらないでやるということも検討すべきだと改めて思います。
 最後に、児童生徒健全育成推進事業のスクールソーシャルワーカーの配置事業についてお聞きしたいと思います。
 新年度予算には、教育事務所にスクールソーシャルワーカーを配置するために1、530万円計上されていますが、一方では、震災分として逆に1、660万円ほど予算が減額になっています。来年度はスクールソーシャルワーカーの事業は拡充になるのでしょうか。そして、現在の配置状況と相談件数、活動状況はどうなっているのか、ここをまず示してください。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 スクールソーシャルワーカーの活動状況についてでありますが、スクールソーシャルワーカーの配置事業は、平成24年度以降、今年度まで、全額、国の交付金を財源として実施してまいりました。令和3年度からは、東日本大震災津波起因に係る取り組みはこれまでどおり国から全額支援を受け、その他の生徒指導上の諸課題に対する取り組みにつきましては、国の3分の1の補助金を活用して事業を進めることとなりました。
 来年度のスクールソーシャルワーカー事業は、今の二つを合わせて2、339万円を予定しておりまして、今年度並みの事業規模を維持するものであります。
 スクールソーシャルワーカーが対応する相談件数は、先ほども申し上げましたが、年々増加傾向が見られておりまして、今後も学校組織の一員として、児童生徒の個々の問題に適切に対応していけるように進めてまいりたいと考えているところであります。
〇高田一郎委員 時間がないので最後にいたします。
 震災分が減額となりましたけれども、県が財政措置をして引き続き維持するということで、理解いたしました。
 それで、スクールソーシャルワーカーの役割はますます大きくなってくると思いますけれども、今後の県の配置計画、増員の方針はどうなっているのでしょうか。スクールソーシャルワーカーは、困難を抱える子供の問題行動の背景にある要因を把握して、先生方とともにその課題を解決したり、家庭の中まで踏み込んで取り組む非常に専門的な知識と経験を要する仕事だと思っております。
 時間がないので私のほうから申し上げますと、岩手県の場合は、週2日6時間掛ける35週で、身分保障は119万7、000円程度になっております。これではとてもスクールソーシャルワーカーだけでは暮らしていけない、ダブルワークをしているという話もあります。この問題を解決するために、県としても身分保障、報酬の面での改善が必要ではないか。せっかく大学まで卒業して資格を取って、モチベーションが下がるような状況であってはならないと思いますけれども、この点についてお聞きいたします。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 専門職でありますスクールソーシャルワーカーの報酬、処遇改善及び増員等につきましては、教育相談体制の充実の観点からも重要なことであると認識しています。
 有資格者が極めて限られている現状、それから、広い県土の中において生活本拠地との関係等を鑑みますと、早期の増員はなかなか難しいところでありますけれども、学校のニーズ等に寄り添いながら配置状況を考えてまいりたいと思いますし、処遇につきましても、国等に今後も引き続き要望を重ねてまいりたいと考えているところであります。
〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇斉藤信委員 高校再編に関連して質問いたします。
 2月1日に高校再編計画後期計画最終案が示されて、それ以降、統合計画のある自治体や地域住民、経済界から、さまざまな大きな懸念、反対の声が出ていると思います。これは極めて重要なことだと思います。
 そこで、2月1日以降、県教育委員会にどういうところからどういう趣旨の要望が出ていますか。簡潔に答えてください。
〇森田高校改革課長 2月1日以降の要望の状況であります。
 盛岡市から、今後においても丁寧な説明を行うようにというような要望が出されております。それから、二戸市の市議会において統合の中止、統合に関する意見書が出されているほか、一関市の商工会等から、今後さらに丁寧な説明会等の開催を要望する声、それから水沢工業高校の同窓会から、今後、統合について丁寧な説明を行ってほしいというような要望が来ております。
〇斉藤信委員 今度の高校再編計画は生徒の希望する進路の実現、地域や地域産業を担う人づくりの二つの基本的な考え方がありました。ところが、この基本にかかわる問題で統合計画のある自治体や経済界から懸念の声が出されているのです。高校再編の基幹にかかわる問題でです。
 私は、そういう点で、こうした要望について真摯に誠実に対応すべきだと思いますけれども、どう対応されますか、教育長にお聞きします。
〇佐藤教育長 先ほど担当の森田高校改革課長から答弁がありましたけれども、3月に入ってから、四つの地域から意見あるいは要望等が出されております。
 それぞれの要望等について内容を見てみますと、奥州市長及び同窓会等の9団体からは、今後、高度人材育成あるいは新しい情報通信技術に対応する学びの場をつくり上げていくことに対しては、理解するということも示していただいております。その上で地元の工業高校としてのさらなる発展を願うということで、胆江地区からはなくさないでいただきたいとか、いつごろどのような形で新設工業高校の場所など具体的な内容を決めるか、そのプロセスを早々に明らかにしていただきたい。あるいは、学校関係者及び地元住民に対して学校再編の進め方、基本となる考え方の説明について、具体的かつ丁寧な説明をお願いしたいということも言われております。
 こういった地域からの要望、要請等について、教育委員の皆さんに、議会等の状況についても報告させていただいております。あす教育委員会定例会があり、教育委員の方もお集まりになりますので、今議会での審議状況についても御報告させていただき、そして、今後の対応等についても協議させていただきたいと考えております。
〇斉藤信委員 五日市王委員の質問に対して、教育長はこれからも丁寧な説明をしていくと答えました。これは本当ですね。
 例えば一関市からの要望は、説明会を開いてほしいということなのです。いいですか、後期計画の策定に向けた地域検討会議では、胆江ブロックでも統合案に反対する意見が多数出された。両磐ブロックでも、統合案に対する反対の意見が多数出された。地域検討会議でも、両磐ブロック、胆江ブロック、それぞれ反対の意見が多数だったのです。それに対してまともな説明会をしないで、最終案でまた統合計画が出された。あなた方の統合計画が全く理解されていない。人材育成と言いながら、地元の経済界は、これでは地元の人材は育たないと思っているのです。そして、進路の問題についても、どこに統合高校ができるかわからないから、進学を諦める子供たちが出てくるのではないかと不安なのです。
 だから、そういう基本にかかわる問題について、統合の三つの地域から、最終案が出されてからこういう要望書が出ているということをしっかり受けとめて、先ほど答弁があったように、これからも引き続き丁寧な説明、協議を進めていくと、教育長、はっきり言明してください。
〇佐藤教育長 まず、今回の後期再編プログラムの進め方について、まずは二戸地区の福岡工業高校と一戸高校については令和6年度、これから県南地区の水沢工業高校と一関工業高校の統合は令和7年度以降、そして盛岡南高校と不来方高校の統合についても令和7年度ということで、それまでまだ時間等については十分あります。
 ただ、一方で、まず県南地区では設置場所の選定とか整備を進めていくということも大事です。もしこういったことができなければ、さらに先送りになるということもあります。これまで前期の計画は学級減を中心にやってきましたけれども、今回は……(斉藤信委員「質問に答えてください」と呼ぶ)はい。児童生徒の減少にどのように対応していくかということと、中長期的な視点を持ってこの再編も進めていかなければならないということも踏まえて、今回のような対応をしたところであります。
 いずれ本日の質疑等についても、あす教育委員にしっかり報告させていただいて、その対応について協議を進めていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 盛岡市長と盛岡市教育委員会教育長の連名の3月3日の要望書は4回目です。二戸市議会は全会一致の意見書です。議会の総意、住民の声と言ってもいい。私は、これをしっかり重く受けとめて対応していただきたいし、盛岡市のことについては詳しく触れられませんけれども、盛岡市議会では、都南地区は人口がこの間ふえて生徒も減らないということも盛岡市教育委員会教育長は述べて、この問題は慎重に地域の住民の声を聞いて対応してほしいと言っているのです。
 教育長に最後に聞きます。あしたの教育委員会議で、きょうまでの議論も説明して、どういう方向で丁寧な説明をするか、それは決まりますね。
〇佐藤教育長 各教育委員には、後期計画の策定に向けた地域検討会議や意見交換会の状況等についても随時きちんと報告させていただいていますし、それから、盛岡市を初め各地域から出された要望書等についても、随時報告をさせていただいております。そして、今県議会にも請願が出されておりまして、それらへの対応等も含めまして、これは県教育委員会定例会の中での報告ということではなく、定例会終了後の協議の場で委員の皆さんにこういった内容であるということを報告させていただき、そして、各委員ともども、いろいろと今後の対応について協議を進めてまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。

午後6時24分 休 憩

午後6時43分 再 開

〇岩渕誠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 先ほどハクセル委員への答弁のところで、一部訂正がありますので申し上げます。
 発達障がい児等支援に係るアンケート調査についてですが、私の申し上げたものは少し古い予定でありまして、最新の予定ですと、調査対象は18歳未満の発達障がい児等の保護者が対象となっております。調査期間ですけれども、令和3年4月1日から令和3年4月30日を予定しているということになっております。古い資料を申し上げてしまいましたので、こちらのほうでよろしくお願いいたします。
〇岩渕誠委員長 御了承願います。
 質疑を続行いたします。
〇千田美津子委員 何点か質問いたしますが、少しまとめて質問しますので、よろしくお願いいたします。
 まず最初に、いじめ、不登校についてでありますけれども、いじめ、不登校の現状と今後の対応策、それから、いじめ発見のためのアンケート調査を実施されていますけれども、どのような状況にあるでしょうか。そして、いじめの解消、重大事態への対応状況はどうでしょうか。まず、この点をお聞きいたします。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 いじめ、不登校の現状と対応策についてでありますが、国の令和元年度調査によりますと、本県のいじめについては、国公私立学校を合わせて認知件数は8、004件であり、平成30年度に比べ35件増加しております。
 今後の対応策としましては、管理職や一般教諭それぞれを対象とした専門研修の充実を図っていくとともに、各学校のいじめ防止基本方針に基づき、いじめの未然防止に向けた取り組みと積極的な認知、適切な対処等を組織的に行っていくよう、その取り組みを支援してまいりたいと考えております。
 また、不登校児童生徒数については、同じ調査において1、792人であり、平成30年度に比べ2名減少しております。
 不登校の要因はさまざまでありまして、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等との連携、フリースクールなどの民間団体との連携により、不登校児童生徒の個々の状況に合わせた支援の充実に努めてまいりたいと考えているところであります。
 アンケート調査につきましては、学期に1回、もしくは月に1回とか、それぞれの学校の状況に応じて実施しているところであります。
〇岩渕誠委員長 重大事案等の対応についての答弁はありますか。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長(続) 失礼しました。重大事態につきましては、令和元年度中の調査によりいじめを認知した学校においては、その追跡調査をいたしましたところ、今年度7月の時点で97.9%の解消となっております。ただ、まだ解消に至っていないものもありまして、継続した支援をしていきたいと思いますし、被害児童生徒に寄り添った丁寧な対応が重要であると認識しているところであります。
 重大事態につきましては、令和元年度中に発生した事案につきまして、県立高等学校においては全て解消しておりまして、小中学校におきましては、それぞれの設置者において調査も含めて適切に対応しており、おおむね解消に向かっているとの報告を受けているところであります。
〇千田美津子委員 いじめについては、さまざまな手法で認知できているということであって、引き続き、重大事態の取り組み等をしっかりやっていただきたいと思います。
 ただ、不登校ですが、合計で2人減っているという答弁がありましたけれども、その中身を見ますと、小学校でふえているのです。平成30年度が284人から元年度が319人ということで、35人ふえているわけです。私は、いじめと違って不登校の状況になるということは、非常に大きな事態だと思っています。さまざま個々に応じた対応をするとかあると思いますけれども、この小学校の不登校の原因について、どのように捉えていらっしゃるかお聞きしたいと思います。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 委員御指摘のとおり、小学校の不登校児童につきましては、平成30年度に比べて35人増ということで、令和元年度は319人となっております。
 なぜ小学校で不登校の児童がふえたかということにつきましては、明確な根拠というか調査をしたわけではありませんけれども、小学校長会、生徒指導部会等の情報によりますと、家庭生活の乱れによって昼夜逆転現象が起きたりということも一因であるという話を伺っているところであります。
〇千田美津子委員 今の御答弁のようなこともあるかと思いますが、いろいろな要素があると思います。そういった点で、より慎重にさまざまな手だてを尽くすということが求められるのではないかと思います。
 それで、いただいた資料の今後の対応策の中で、新年度から、岩手県不登校児童生徒支援連絡協議会を開催するということがあります。それも解消するための手だてだとは思いますが、どういうことを想定して期待しているのか、その点、お聞きいたします。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 今まで、フリースクール等の民間団体につきましては、各教育事務所に配置しております青少年指導員等を通じて情報共有を図ってきたところでありますけれども、今回は、直接その団体と連携を図っていって、まず情報交換をきっかけとして、その中から今後どのような協力体制がとれるのかというような協議を進めてまいりたいと考えているところであります。
〇千田美津子委員 よろしくお願いいたします。
 それでは、3点目のところで、スクールカウンセラーの配置状況と新年度の配置の見通しについてお聞きいたします。
 それから、スクールソーシャルワーカーについての通告もしておりましたが、先ほど高田一郎委員の質問で明らかになりましたが、高田一郎委員が増員していくべきではないかという質問に対して、増員は難しいという答弁がありましたけれども、私は、さまざまな子供たちの現状等を見れば、これはふやしていく必要があるのではないかと思いますので、その点、お聞きいたします。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 スクールカウンセラーの次年度の配置状況につきましては、今年度とほぼ同等でありますけれども、小学校で配置率を若干上げた計画を進めているところであります。
 それから、スクールソーシャルワーカーの増員につきましては、先ほども申し上げましたとおり、人材の確保、それからさまざまな条件など、なかなか難しい問題があるところですけれども、今後とも、国や他の都道府県の動向も注視しながら、配置の充実や処遇改善、人材確保に努めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 引き続き、ぜひ前向きな取り組みになるようにお願いしたいと思います。
 それでは2点目ですが、35人学級についてお聞きいたします。
 岩手県は、この間、国に先駆けて小学校、中学校全学年で35人学級を実施されてきました。政府もようやく新年度から小学校全学年を段階的に35人学級にする計画を決定して、さらに、今開かれている国会の予算審議の中で、中学校への拡大についても検討する旨、答弁をされています。
 それで、一つは、新年度から国の35人学級実施に伴って、県の財政面で影響があると思いますが、どのように見込んでいるのかお聞きします。
 また、県の負担が軽減されると思いますので、それに伴って、先生方のさまざまな長時間勤務に拍車がかかっていると思いますし、働き方改革の点からも、教職員定数の見直しと増員が今こそ必要だと考えますがいかがでしょうか。
 そして、さらに、浮いた財源等を利用しながら、高校まで35人学級の実現を検討すべきではないかと思いますが、その点、お聞きいたします。
〇金野首席経営指導主事兼小中学校人事課長 本県では、国の加配定数を活用して、小学校及び中学校の全ての学年において、35人以下学級を実施していたところであります。
 35人への引き下げに伴い、これまでの加配定数から学級数に応じて算定される基礎定数に変更されて配置されるため、財政面では大きな影響はないものと捉えております。基礎定数として配置されることにより、確実な教員の任用、配置が可能となることから、教育の質の向上につながるものと期待しております。
〇山村参事兼教職員課総括課長 教員の定数につきましては、国の公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律に基づいて配置しているところであります。働き方改革を進める上でも、国においてこの定数をふやすように、これまでも県としては要望してきているところであります。
 今後につきましても、地域の実情に応じた教員配置が可能となるような定数計画を策定するように要望していきたいと考えております。
〇高橋首席経営指導主事兼県立学校人事課長 高等学校の35人学級について御説明申し上げます。
 35人学級の実現に当たっては、国による抜本的な定数改善が不可欠でありまして、これまで国に対しては、本県のような地理的条件を抱えた地域における小規模校の教員配置基準定数の見直しなどを含めて、教職員定数改善計画の早期策定について要望してきているところであります。今後も、引き続き、国に要望を続けてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 国が制度化したことで質の向上につながるということで、メリットも非常にあるということで、それはそれでいいと思うのですが、高校の少人数学級は、体格も大きくなって本当に教室が狭いような状況にあります。ですから、本来、国が早く抜本改善をすることが大事でありますので、これは引き続き要望していただきたいと思います。
 それで、ただ、先ほど不登校の問題を言いましたが、欧米諸国では1学級が20人から30人くらいで、本当にゆとりのある教育というか、わかる授業、学びが楽しいと感じるような授業になっているのだと思います。
 ですから、どんどん不登校がふえる、しかも小学校でふえてきているというのは非常に大きな問題でありますので、ぜひ35人にとどまらない、教職員をふやして少人数学級をさらに拡大することが非常に大事な課題だと思いますので、この点、教育長からコメントをいただければと思います。
〇佐藤教育長 国におきましては小学校の35人学級を段階的に導入していくということで、これまでずっと要望してまいりましたが、やっと動き出してきたということもあります。そういった形で、この少人数学級の取り組みについて、私どもも期待しているところでありますので、さらなる拡充について国に対して要望してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 それでは三つ目、岩手県の特別支援教育のあり方について質問いたします。私は、その中で、小学校、中学校の特別支援学級について質問いたします。
 共に学び、共に育つ教育の推進を掲げて、2019年から2023年までの5年を期間とする、いわて特別支援教育推進プランが策定されております。
 そこで、支援を必要とする子供たちがふえていると言われておりますが、どのような状況にあるでしょうか。また、小学校、中学校における特別支援学級の設置数はどのような状況になっているでしょうか。平成25年度の比較でどうなっているかも、お示しいただきたいと思います。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 支援を必要とする子供たちの状況と特別支援学級の設置数についてでありますが、特別支援学級に在籍する児童生徒数は小中学校ともに増加しており、障がい種別では、小中学校両方で、知的障がい特別支援学級と、自閉症・情緒障がい特別支援学級の在籍数が大幅に増加しています。
 また、特別支援学級の設置数については、令和2年度においては、小学校では574学級、中学校で282学級、合計856学級となっております。
 平成25年度の特別支援学級の設置数といたしましては、小学校が367学級、中学校が204学級で、合わせて571学級という数字になっております。
〇千田美津子委員 今御答弁いただいたように、特に自閉症や情緒障がいの学級が平成25年に比べると1.8倍にふえているということで、その必要性が本当に高まっているということだと思います。これからも子供たちの状況に応じた対応をお願いしたいと思います。
 それでは、二つ目ですが、いわて特別支援教育推進プランの計画策定から丸2年がたとうとしていますが、目指す指標として、早期からの教育相談や支援、就学移行期等の情報共有、各校における主体的な取り組み、地域における関係機関との連携等々が掲げられておりますが、それぞれどのように評価しておりますか、お聞きいたします。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 委員御指摘のとおり、いわて特別支援教育推進プランにつきましては、2019年から2023年までの5年間の計画であり、今年度が2年目となっております。
 つなぐ、いかす、支えるの三つのキーワードごとに具体的な施策を着実に実行しているところでありまして、いわて県民計画(2019〜2028)アクションプランで設定した目標について指標ということで数値化しておりますが、こちらについて概ね達成しているという状況であります。
〇千田美津子委員 ありがとうございました。
 それでは最後にしますが、特別支援学級の充実策が私はもっと必要だと思います。現場を見て、先生が、ほかの専門教科も受け持たなければならず、不在となっている例がありました。そういう点では、人的体制を充実させることが必要だと思いますし、通級指導支援教室の設置は県が行うものでありますけれども、この間の市町村要望と設置の現状はどのような状況でしょうか。
〇金野首席経営指導主事兼小中学校人事課長 特別支援学級につきましては、国の公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律に基づきまして、基礎定数として必要な教員数が措置されております。
 通級指導教室につきましては、対象となる児童生徒数に応じて算定される基礎定数と、国への要望により措置される加配定数を活用して、市町村教育委員会の要望を踏まえながら設置しているところであります。
 特別な支援を要する児童生徒の状況は多様化しておりまして、よりきめ細かい指導や対応が必要な状況となっていることから、今後も必要な加配定数が措置されるよう国に対して要望してまいります。
〇小林正信委員 私も特別支援学校について、県内の通学送迎バスの現状を伺おうと思っておりましたけれども、先ほど佐々木朋和委員から質問がありましたので、割愛させていただきます。
 ただ、医療的ケア児の保護者の方からは、支援学校に通うバスについて、業者さんに委託しているバスが観光用のバスのため障がいが重い子が乗れずに、結局、親御さんが送迎しなければならず、大変な思いをされている親御さんにさらに負担がかかっているということで、普通のバスではなく、例えばリフト付バスがあれば助かるといった御意見もありましたので、先ほども予算の話がありましたけれども、できる限り頑張っていただきたいと思っております。
 続いて、小学校の看護師配置事業における課題についてお伺いしたいと思います。
 県の実施要項では、看護師配置のためには校内委員会を設置する。その主管、実質的な責任者は副校長となっております。これも先ほど佐々木朋和委員からお話がありましたけれども、副校長がいなければならない。そのため、ある支援学校では、副校長が複数の学校の副校長を兼任しており、常時学校にいないという状況だということです。責任者である副校長が学校にいないときは看護師が配置できない。副校長がいるときしか看護師が来られないため、児童が毎日学校に行けないという話を伺いました。
 これは、責任の所在を明確にしなければならないということもありますけれども、学校が子供のためにあるとすれば、やはり子供の状況に大人が合わせていくべきでありますが、これでは副校長の都合に子供がつき合わされているということで、本末転倒ではないかという気もいたします。
 このように、障がいがあるということで、自分の住んでいる地域で一番近い学校に通うことが普通にできない状況があるのは残念に思いますけれども、県教育委員会として学校の看護師配置事業における課題をどのように捉えているのか、お伺いいたします。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 分教室における教育環境ですが、本校に比べますと、児童生徒の特性に応じた学習環境が十分には整いにくい部分があると認識しております。
 また、委員御指摘のとおり、管理職が不在であるといった状況があるということですが、現場を預かる看護師は子供の生命を預かる部分がありまして、非常に大きな責任を求められる部分があります。そこで、やはり管理職の何かあったときの判断が非常に大事になるということで、管理職のあり方と看護師配置が、先ほど委員御指摘のとおりの状況になっております。ただし、子供たちのより適切な教育環境を準備していくということでは、そういった課題を何とかいろいろ工夫しながら取り組まなければいけないということは認識しております。
〇小林正信委員 ぜひよろしくお願いします。
 先日、盛岡市の医療的ケア児のお母さんたちが、市の教育委員会に現状を知ってほしいということで、意見交換会を行ったということです。医療的ケア児のお母さんが教育委員会にぜひさまざま意見を述べたいという気持ちがあることを私も伺っておりましたが、県教育委員会としては、各支援学校の保護者との直接の意見交換会のようなことは行っているのかどうかお伺いします。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 支援学校の保護者なのか、それとも小中学校の保護者なのかちょっとわからない部分もあるのですが、直接意見を伺うということはなかなか難しい部分がありまして、PTAの要望ですとか、あるいは、昨年度は一度行ったのですが、重度心身障がい者を守る会という総会に一部参加したことはあります。そういった部分での意見等の聞き取りは可能とは思っておりますが、今年度は、コロナ禍の状況でその会が行われなかったということで、参加はしておりません。
〇小林正信委員 県が現場を知らないというのは致命的なことだと思うので、現場の保護者の方の思いというのは、教育委員会も受けとめるべきではないかと思いますが、これはちょっとお願いということにしておきます。
 次のいじめ問題についても、先ほど千田委員がコロナ禍におけるいじめの現状と対策について質問されたので割愛しますけれども、いじめに関連して、スクールロイヤーについて、文部科学省は全国に配置する取り組みを進めておりますけれども、岩手県のスクールロイヤーの活用予定はあるのかどうかお伺いします。
〇山村参事兼教職員課総括課長 いじめ問題に限らず、法律の専門家である弁護士等を学校として活用する事例がございます。文部科学省の資料によれば、例えば助言、アドバイザー業務を行うと。これにより早期の段階から学校関係者からの相談に乗って、法的課題が深刻化することを防止するであるとか、保護者との面談への同席を行うとか、教職員に対する研修を行う、あるいは児童生徒に対する授業を行うといったことが行われる内容として想定されております。
 本県におきましては、県教育委員会もそうですけれども、市町村教育委員会においても、必要に応じて、それぞれの顧問弁護士を活用するなどの対応をしているところでございます。
〇小林正信委員 了解しました。スクールロイヤーというのは、学校からの相談のほかに、子供を守るという視点から、例えば三重県では、いじめ予防の教材として、三重弁護士会と共同でいじめ事例別ワークシートを作成し、県立の公立小中学校の弁護士によるいじめ防止の出前授業なども行って、いじめ防止の取り組みも行うということもありました。
 県の弁護士会と県教育委員会の連携は行われているのかどうかお伺いします。
〇山村参事兼教職員課総括課長 連携の一面だと思いますけれども、我々はいろいろな事例があって、法的な助言をいただきたいときに、弁護士の方に御相談することがあります。あと、授業等のいろいろな場面で御相談することもあるのかと思います。
〇小林正信委員 今後も、できれば弁護士会とかと連携していただいて、スクールロイヤーの設置等もまた検討していただければと思います。
 次に、総括質疑でも質問させていただきましたけれども、SNSやスマートフォンアプリを活用した相談体制が各地で進んでおりまして、アメリカで開発されたいじめ相談アプリ、ストップイットは、生徒がスマートフォンやパソコンなどから匿名で教育委員会に相談、報告できるもので、国内で活用する自治体も出てきているということです。
 先日の総括質疑において、副知事からSNSの活用を県教育委員会にも検討していただきたい旨の答弁を私はいただきましたけれども、SNSやスマートフォンアプリ等を活用した相談体制について、今後の取り組みの予定をお伺いします。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 SNSやアプリ等を活用した相談体制についてでありますが、文部科学省では、SNSを活用した相談補助事業を展開しており、全国では18都道府県の教育委員会が導入していると承知しているところであります。
 SNSやアプリ等は、中高生にとって大変身近なコミュニケーションツールとなっており、SNS等を活用した相談は、SOSを出しやすく、状況把握など初動対応に有効であると受けとめているところであります。一方で、短い文字情報であるなどのデメリットもありますし、さまざまな運用方法、例えば土曜日の夕方のみとか、ある時期に特定してというような運用方法もあると伺っているところであります。
 こうしたことから、本県ではどのような活用が望ましいか、先行事例等の情報を得ながら、有効な活用方法について今後検討を進めていきたいと考えているところであります。
〇小林正信委員 全国18都道府県でやっているということで、ぜひ検討を進めていっていただければと思います。
 最後に、校外部活動について、先ほど佐々木努委員からもお話がありましたけれども、岩手県において部活動への加入は、1自治体を除いて、基本的には任意となっていると理解いたしました。その上で、自分が通う学校に自分がやりたい部活動がない場合、校外での活動をすることになると思いますけれども、保護者の方からそうした生徒を対象にした校外活動部があれば助かるというお話をいただきました。
 県内でも設置されている学校があるようですけれども、県内の状況をお伺いいたします。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 本県の中学校では、校外の活動に取り組む生徒の受け皿といたしまして、校外活動部ですとか地域活動部と、これは学校によって名称が違いますが、設置している学校もあります。そういった学校を含めまして、全ての中学校で、現在、校外での活動を希望する生徒に配慮しているという状況にあります。
〇小林正信委員 ぜひ、この配慮をしっかりやっていただきたい。
 私が相談をいただいた保護者の方ですけれども、保護者の方のお子さんは学校にやりたい部活動がなくて、とりあえず何かの部活動に入って、その上で、校外で自分のやりたい部活動をやらなければいけないのかと悩んでおられました。私も、部活動の加入は強制ではないということは、その保護者の方にお伝えしたのですけれども、まだ各学校に十分に周知されていないのかというようにも感じました。
 新たに中学校に入る生徒や保護者の皆さんに、この周知をしっかりしていただきたいと思いますけれども、そのあたりをお伺いして終わりたいと思います。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 まさに委員御指摘のとおり、今、中学校では、全県の中学校において、部活動の参加は自主的、自発的によるものということで進めておりますので、そういったものを県内広く周知いたしまして、それぞれの学校でそれに従った取り組みがなされるように進めてまいりたいたと考えております。
〇岩渕誠委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩渕誠委員長 質疑がないようでありますので、これで教育委員会関係の質疑を終わります。
 教育委員会の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で、本日の日程は全部終了いたしました。
 本日は、これをもって散会いたします。
午後7時17分 散 会

前へ 次へ