令和3年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和3年3月19日(金)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
議事管理担当課長 藤 枝   修
主任主査 千 葉 絵 理
主任主査 糠 森 教 雄
主査 鈴 木   忍
主査 阿 部 真 人
主査 赤 坂 宏 紀
主査 鈴 木 貴 博
1 説 明 員
県土整備部長 中 平 善 伸
副部長兼
県土整備企画室長 坊 良 英 樹
道路都市担当技監 田 中 隆 司
河川港湾担当技監 佐々木 一 彦
技術参事兼
建築住宅課
総括課長 辻 村 俊 彦
県土整備企画室
企画課長 菊 地 幸 男
県土整備企画室
管理課長 吉 原 武 志
特命参事兼
用地課長 伊 藤 雅 敏
空港管理課長 今   俊 晴
建設技術振興課
総括課長 和 村 一 彦
技術企画指導課長 菊 地 健 司
道路建設課
総括課長 菅 原 常 彦
道路環境課
総括課長 照 井   巧
河川課総括課長 上 澤 和 哉
砂防災害課
総括課長 菅 原 博 秋
都市計画課
総括課長 八重樫   学
下水環境課
総括課長 水 野 久 禎
住宅計画課長 小野寺 哲 志
港湾課総括課長 大久保 義 人

参事兼
財政課総括課長 小 原 重 幸
〇岩渕誠委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第26号から議案第30号まで、議案第33号、議案第35号、議案第37号から議案第39号まで、及び議案第42号の以上31件を一括議題といたします。
 本日は、県土整備部関係について、延べ17人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしましたので、議事進行に御協力をお願いいたします。
 なお、関連質疑については、目安時間を10分とすることとしておりますので、あらかじめ御了承を願います。
 また、これまでと同様に、換気のため休憩いたしますので、御協力をお願いいたします。
 あわせて、委員各位御承知のとおり、本日の県土整備部の審査の後、議案31件について意見の取りまとめをしたいと思いますので御了承願います。
 それでは、県土整備部長に県土整備部関係の説明を求めます。
〇中平県土整備部長 県土整備部の予算審査に当たりまして、令和3年度当初予算の基本的な考え方について御説明申し上げます。
 令和3年度当初予算は、復興の新しいステージを支える社会資本整備を推進するという視点に立つとともに、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を令和2年度2月補正予算と一体となって推進することを重点施策として取り組み、さらに、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる社会資本整備に関する施策を重点的に推進することとして予算を編成したところであります。
 まず、復興の新しいステージを支える社会資本の整備の推進では、若者を支援するため、県営住宅や空き家を活用し、結婚や子育て等のライフステージに応じた若者世代の自立と県内定着に資する住宅支援を推進します。
 また、令和3年内に全線開通する復興道路、復興支援道路を活用し、世界遺産縄文遺跡群など、北東北の広域的な観光、物流を支える道路整備を推進します。
 次に、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策等の推進では、たび重なる台風により浸水被害が発生した久慈川水系において、あらゆる関係者が協働する流域治水対策を推進するほか、老朽化が進む橋梁などインフラについて予防保全型インフラメンテナンスへの転換を図り、計画的な修繕を推進します。
 平成28年台風第10号災害への対応としては、小本川において、輪中堤や宅地かさ上げなどを含めた河川改修、土砂災害対策施設の整備のほか、要配慮者施設や町民による避難対策など、流域全体で治水対策を推進します。
 ほかの地域においても、自然災害から県民の生命、財産を守るための治水対策や土砂災害対策の推進、道路の防災対策、橋梁の耐震補強などのハード対策とあわせて、水位周知河川や洪水浸水想定区域、土砂災害警戒区域等の指定などのソフト施策を推進してまいります。
 次に、快適で豊かな暮らしを支える生活環境の整備の関係では、高齢者等が安心して快適に居住できるよう、公営住宅のバリアフリー化の推進や、都市交通の円滑化や快適な都市空間の創出に資する都市計画道路の整備や市街地の無電柱化の推進、いわて汚水処理ビジョン2017に基づく汚水処理施設の整備に取り組んでまいります。
 次に、日常生活を支える安全・安心な道づくりの関係では、歩行者の安全な交通を確保するための通学路等の歩道設置や、今年度策定する岩手県自転車活用推進計画に基づく自転車通行空間の整備等に取り組んでまいります。
 次に、産業や観光振興の基盤となる社会資本の整備の関係では、内陸部と物流拠点である港湾を結ぶ路線や、インターチェンジへのアクセス道路など、物流の基盤となる道路や、産業振興や交流を支える道路整備を進めてまいります。
 また、コロナ禍におけるクルーズ船の受け入れ態勢の整備や寄港拡大の取り組み、産業振興を促進する港湾機能の充実を進めるほか、いわて花巻空港では、航空機の安全運航のための施設整備などの取り組みを進めてまいります。
 次に、地域の守り手である建設業関係の取り組みでは、若者、女性が働きやすい労働環境の整備やi−constructionの取り組みなど、ICTの活用による生産性の向上、さらには、いわて建設業振興中期プラン2019に基づき、地域の建設企業の経営基盤の強化などに取り組んでまいります。
 続きまして、当部関係の議案について御説明申し上げます。
 まず、議案第1号令和3年度岩手県一般会計予算についてでありますが、お手元の議案その1の7ページをお開きください。
 県土整備部関係の予算は、6款農林水産業費3項農地費162億806万円のうち3億2、632万円余、8ページをお開き願いまして、8款土木費527億1、550万円余、9ページの11款災害復旧費3項土木施設災害復旧費84億4、755万円余、12款公債費934億418万円余のうち1億1、333万円余、13款諸支出金2項公営企業負担金238億8、066万円余のうち8億6、213万円余であり、総額624億6、485万円となっております。これを前年度当初予算と比較しますと、1、283億7、997万円余の減、率にいたしまして67.3%の減となっております。
 以下、予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書に記載されておりますが、説明を省略させていただきます。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。議案その1の11ページをお開き願います。
 第2表債務負担行為の表中、県土整備部関係は13ページをお開き願いまして、道路環境改善事業から、41公営住宅建設事業までの14件であります。これは工期が翌年度以降にわたるものについて、債務負担行為を設定するものでございます。
 次に、特別会計2件について御説明申し上げます。34ページをお開き願います。議案第7号令和3年度岩手県土地先行取得事業特別会計予算についてでございますが、第1条歳入歳出予算の総額について、歳入歳出それぞれ18万8、000円と定めようとするものでございます。
 35ページに参りまして、歳入の主なものでありますが、1款財産収入は、土地関係基金の運用に伴う利子であります。
 36ページをお開き願いまして、歳出でありますが、1款管理事務費は、当該特別会計の管理事務費であります。
 次に、少し飛びまして、47ページをお開きください。議案第11号令和3年度岩手県港湾整備事業特別会計予算についてでありますが、第1条歳入歳出予算の総額について、歳入歳出それぞれ10億268万2、000円と定めようとするものでございます。
 48ページをお開き願いまして、歳入の主なものでありますが、3款繰入金は、県債の元利償還等に充当するため一般会計から繰り入れるものであり、6款県債は、港湾施設整備事業等に係る県債でございます。
 49ページに参りまして、歳出でございますが、1款事業費は、ふ頭用地の整備等に要する経費であり、2款公債費は、県債の元利償還に要する経費でございます。
 50ページをお開き願いまして、第2表地方債でありますが、これは港湾施設整備事業費に係る地方債の限度額等を定めるものでございます。
 次に、企業会計1件について御説明申し上げます。少し飛びまして、62ページをお開き願います。議案第15号令和3年度岩手県流域下水道事業会計予算であります。第2条は業務の予定量でありますが、盛岡市など6市4町に対する年間総処理水量を7、011万6、000立方メートル、1日平均処理水量を19万2、099立方メートルとそれぞれ見込み、主要建設事業として流域下水道施設の増設、改築、更新等を行おうとするものでございます。
 第3条は収益的収入及び支出の予定額でございまして、収入の第1款下水道収益は、市町負担金などであり、支出の第1款下水道事業費用は、処理場費、減価償却費などでございます。
 63ページに参りまして、第4条は資本的収入及び支出の予定額であり、収入の第1款資本的収入は企業債、国庫補助金などであり、支出の第1款資本的支出は建設費、企業債償還金などでございます。
 第5条は流域下水道管理に係る管理業務委託など7件の工事等について、債務負担行為の期間及び限度額等を定めようとするものでございます。
 64ページをお開き願いまして、第6条は建設改良事業に充てる企業債の限度額や起債方法などについて、第7条は一時借入金の限度額を、第8条は予定支出の各項の経費の金額の流用について、第9条は議会の議決を経なければ流用することのできない経費について、第10条は他会計からの補助金について、それぞれ定めようとするものでございます。
 なお、これらの予算に係る実施計画、予定キャッシュフロー計算書などにつきましては、予算に関する説明書に記載しておりますが、ただいま御説明申し上げた予算の明細等でありますので、説明を省略させていただきます。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げます。
少し飛びまして、74ページをお開き願います。議案第19号土木関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、令和3年度において実施する土木関係の建設事業に要する経費の一部について、受益市町に負担させようとするものでございます。
 次に、76ページをお開き願います。議案第20号流域下水道事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、令和3年度において実施する流域下水道事業に要する経費の一部について、受益市町に負担させようとするものでございます。
 次に、条例議案1件について御説明申し上げます。お手元の議案その2、28ページをお開き願います。議案第30号岩手県手数料条例の一部を改正する条例についてでありますが、恐れ入ります、少し飛びまして36ページをお開き願います。別表第7県土整備事務手数料のうち、都市の低炭素化の促進に関する法律に基づく認定申請に係る手数料の額の算定方法などについて、所要の改正をしようとするものでございます。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇岩渕誠委員長 これより質疑を行いますが、数値の確認のみの質疑及び要望のみの発言は原則として行わないこととされており、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 東日本大震災津波から10年が経過いたしました。大変な大災害であったわけでありますが、今10年たってみますと、災害は、ピンチはチャンスである、そういうことにもつながってきたのかなという思いがするところであります。まず、道路6本に関連して一気に質問したいと思います。
 いよいよ三陸沿岸道路の八戸─仙台間が開通の方向となりました。これは釜石の奇跡と言われました鵜住居小学校の生徒たちが、津波が来る前に中学校に避難して、中学校の生徒と一緒になって、1週間前に開通したばかりの三陸沿岸道路に乗って、そして、釜石市内に逃れた。こういうことから、どちらかというと道路インフラ整備はおくれがちでありましたが、この釜石の奇跡が追い風となって、本県内の懸案の工事が一気に進んだ、私はそのように思っているところであります。
 今月の28日、宮古盛岡横断道路開通式を迎えることになりました。本当に、これは画期的な出来事であります。一般の方々は宮古─盛岡間の時間短縮のみに目が行っているかもしれませんが、実はこの国道106号の最大のネックは、旧新里村茂市と蟇目の間にあります閉伊川に飛び出した急カーブの道路、上が山田線、実はここは20フィートコンテナしか通れない、40フィートコンテナは頭がつかえて通れない、こういうことだったのでありますが、今回、茂市トンネルでこれが一気に解消されることになりました。震災後の瓦れき搬送の際にも、40フィートコンテナが通れれば、もっと楽だったという思いがありまして、これは大きな改良点になろうかと思っております。
 次に、順序は違いますが、北部環状線。県立宮古病院アクセス道路とも言いますけれども、県立宮古病院が現在地に移転したのは平成6年でありました。そのころから、宮古市の医師会の先生方からは、国道45号1本だけでは救急患者等を運ぶ際のいろいろな行動が心もとない、市内からのあと一本の道路をぜひ通してほしい、そういう要望があったわけでありますが、私は平成7年に岩手県議会に議席をいただきましてから、自分のテーマとして取り組んできたところでありますが、これもおかげさまで開通いたしております。また、東日本大震災津波の際は国道45号が冠水していましたので、崎山地区と市内を結ぶ有力な道路となった、これも大きなことだったと思っております。
 それから、立丸峠につきましては、初当選以来、当時の遠野選挙区選出の佐藤一男議員と、これを私たちがいる間にぜひ開通させようということで、遠野市と宮古市が交互に勉強会等をしながら、やってきたところであります。私が議長を務めさせていただきました平成18年、大きな予算がつくことがありましたら、800メートルと1、900メートルのトンネルで対応します、そういう内示といいますか、粗々の図面をいただいて期待をしておりましたが、東日本大震災津波のいろいろな意味のフォローを受けて、これも復興支援道路の位置づけとなり、完成をしたと思っております。
 それから、押角峠トンネルも懸案でありましたけれども、押角峠、宮古側4キロメートル、岩泉側9キロメートルが残っていたわけでありますが、おかげさまで、宮古側2キロメートルの着工に至りました。これも継続をしていただきたいと思っています。
 それから、県道41号線、重茂半島線とも言われておりますが、これが、重茂のワカメ等水産物が有力な産地でありながら、交通の便が悪いためにどうしても単価に影響する、あるいは、病院に通う、通学をする、なかなか大変な道路だ。こういうことで、これは菊池長右衛門という県議会議員で、元衆議院議員がいらしたわけですが、この方が、当時の帷子土木部長以下五、六人の県職員を宮古市にお招きして、ボンネットバスだったのですが、県北バスをチャーターして、実際にこの重茂半島線を走ってみたのですね。
〇岩渕誠委員長 質疑は簡略に願います。
〇伊藤勢至委員(続) もうちょっと。これは言ってみれば、菊池長右衛門先生にすれば、大型バスがカーブを曲がる際にひっかかり、よっかかりするところを見せたかったのですが、県北バスは、名誉にかけて、一番運転のうまい方を配置して、全然つっかからないで曲がってしまったけれども、こういう作戦もあるのか、そういう思いからこれは取り組んできたところであります。
 東日本大震災津波の復興計画の中に、今回、水をかぶった県道は全部上に上げるというのがありましたから、これは熊の平トンネルも可能性があるなと思ってやってきたところでありますが、おかげさまで、これも完成したところであります。
 これは、歴代の土木部長あるいは県土整備部長、関係者の皆さんの熱い思いのおかげでありますが、当代の部長に、これまでの三陸沿岸地区の思いがかなったということで、ぜひ感謝とお礼を申し上げながら、感想をまずお伺いしたいと思います。
〇中平県土整備部長 ありがとうございます。県では、この三陸沿岸地域の復興と安全・安心を確保するために、発災後5カ月後には、岩手県東日本大震災津波復興計画を策定しまして、その中に、委員御指摘の道路等をしっかりと位置づけて、これまで整備を進めてまいりました。発災から10年、これまでの整備を進めるに当たりましては、もちろん用地の御協力をいただいた地権者の皆様、そして国、市町村、全国からの応援職員の皆さん、あるいは建設会社、多くの皆様から御支援いただいたものでございます。そして、委員の皆様におかれましても、発災当時から、変わらずこの県土整備部の取り組みを強く後押しいただいたものだと認識しております。10年目の県土整備部長として、厚く御礼申し上げます。
 これまでの県土整備部の組織が、積み重ねてきたこの取り組みを受け継ぎまして、残りの工区につきまして、一日も早い完成に努め、さらに、この復興事業を生かした新しい復興のステージにつながるようなインフラ整備に、引き続き、職員一丸となって取り組んでまいります。
〇伊藤勢至委員 本当にありがたかったと思っております。
 そこで、重ねてお伺いしますが、国道106号、実はこれは今月の28日の開通式で100%終わりではありません。宮古市の花輪地区から花原市地区までの新しい道路、そして、箱石バイパスの計画を既に打ち出されているわけでありますが、これらのめどについて、改めて、お伺いしたいと思います。
〇菅原道路建設課総括課長 国道106号の今後の整備についてでございます。平成28年台風第10号により大きな被害を受け、防災機能の強化が必要である区間のうち、委員御指摘の花輪─花原市間につきましては、今年度、自動車専用道路の田鎖蟇目道路として、国の直轄権限代行により新規事業化され、現在、現地の測量等に着手いたしました。
 また、箱石地区のバイパスにつきましては、同じく自動車専用道路の箱石達曽部道路として、国の令和3年度の新規事業化候補箇所に採択されました。3月16日には、社会資本整備審議会道路分科会におきまして審議の上、新規事業化が妥当とされるなど、事業化に向けた手続が進められているところであります。
 県といたしましては、田鎖蟇目道路等の宮古盛岡横断道路の整備推進につきまして、引き続き国に働きかけてまいります。
〇伊藤勢至委員 三陸沿岸道路、各パーキングエリアがありますが、実は、ここにはトイレがありません。ですが、開通してみますと、パーキングエリアにとめて車の陰に隠れて小用を足している人たちがやっている、これが現実であります。携帯トイレを持ち込んで、三陸沿岸に来る人は余りいないと思うのです。ほとんどいない。そういう中で、トイレがないというのは、まさに欠落と言ってもいいと思います。
 これを言いますと、国道106号も区界トンネルができました結果、区界の道の駅、これは県の管理のようですけれども、あそこに寄る機会が少なくなる。そうすると、盛岡─宮古間には、大型バスを受け入れるところがやまびこ館しかないのです。ですから、道路をつくる中において、特に、今は洋式が普通でありますし、オストメイト仕様も標準仕様になってきているわけでありますので、そういった部分もぜひ考えていただきたい。
 道路をつくって終わりではなくて、その道路を活用して三陸沿岸に、岩手県に人を招くという中において、これは必要不可欠なものだと思います。今、建設工事も土木もそうでありますが、現場内に、洋式の簡易水洗ですけれども、そういう仮設トイレが標準になってきていますよ。
 そういう中にあって、いわて花巻空港におりて宮古市に向かう人は、道の駅遠野風の丘でトイレに寄らなければいけないのですが、そうすると、遠野風の丘は一旦戻る形になります。そういう使い方はしないと思うのです。
 ですから、これは宮古市とも連携しながらということになるのでしょうけれども、せっかく立派にできた道路を、快適に使っていただくということから、ぜひトイレの設置も可能な限り取り組んでいただきたいと思いますし、三陸沿岸道路についてもやはりお願いをしていくべきだと思いますが、どうお考えですか。
〇菅原道路建設課総括課長 ただいま三陸沿岸道路、あるいは宮古盛岡横断道路の休憩施設、特にトイレについてということで、お話を伺いました。
 まず、三陸沿岸道路についてでございます。国におきましては、隣接する既存の道の駅に誘導するための看板、サインの整備が行われておりますし、沿岸市町村におきましては、インターチェンジに近接した道の駅の整備や移転が進められているというところ。そして、その中でも、久慈地区の広域道の駅の整備に加えまして、山田町や普代村でも、整備が進められているところであります。
 観光や物流など、三陸沿岸道路の利用目的に応じまして、沿線の道の駅を選択しやすくできるような情報提供によりまして、利便性の向上が図られると考えておりますので、案内標識の整備とか、情報マップの作成など、国や市町村と連携しながら、必要な対策に取り組んでまいります。
 また、我々が管理する宮古盛岡横断道路につきましては、昨年12月の区界道路の開通によりまして、委員御指摘のように、道の駅区界高原につきましては、隣接ではなくなったものの、区界道路に案内看板を設置することで、引き続き休憩施設として利用していただけるよう、道路利用者に案内しているところであります。
 今後とも、交通需要の変化とか利用者のニーズ等を踏まえまして、宮古市や盛岡市とも連携を図りながら、必要な対策に取り組んでまいります。
〇伊藤勢至委員 最後でありますけれども、この新型コロナウイルス感染症の終息後には、おかげさまでこの道路を使って三陸沿岸にも相当の観光客に来ていただけるものと思っていますが、この際、旅行を企画する際に、もちろん景勝地はメーンになるわけでありますけれども、その間の大型バス、満員になることは今はないでしょう、仮に50人乗りに6割乗ったとしても、30人の観光バスを1時間に1回ぐらいとめて、どこでトイレを使えるかというのも、コース選定の際の大きな判断材料になるということです。
 ですから、景勝地さえあれば観光客が来るということではなくて、1時間に一度大型バスが2台も3台もとまって、用足しができるところ、男性はともかく、特に女性の場合は、絶対、鏡、化粧台、そういったものを立派に配置しないと、必ずブーイングが出ることもお考えの上、対応をいただくようにお願いを申し上げまして、終わります。
〇神崎浩之委員 建設業総合対策事業についてお伺いいたします。
 生産性の向上、省人化を目的に、建設現場におけるICT機器導入支援があります。県内のICT導入活用状況と、事業者からの評価と、費用対効果ということで費用がかかるが、それに対する仕事がないと言われております。この辺の県内の事業者の評価について、それから、今後のICT機器導入の課題についてお伺いしたいと思います。
〇和村建設技術振興課総括課長 まず、県内のICT導入状況についてでございますが、平成30年度に実施しました岩手県建設業構造実態調査によれば、県内建設企業でICT機器を所有している企業は、回答のあった935社のうち23社であり、割合としては2.5%となっており、ICT機器が普及していない現状が明らかになりました。
 このことから、今年度、ICT機器の導入を図るため、建設業経営力強化支援事業の一つとして生産性向上事業部門を立ち上げたところ、県内建設企業3社が、自動計測が可能な測量機器や、既存の建設機械をICT化する機器を新たに導入するに至ったところでございます。
 なお、この評価につきましては、実際にICT機器を導入した企業からは、仕上がりの精度が向上し、施工日数も短縮された。あるいは、施工精度が向上したことにより、計測作業が減少したなど、効率化、省力化が可能となることを実感する声が上げられ、ICT機器の導入に対し、前向きな評価を得られたところでございます。
 課題としましては、やはり機械が高いということでございますので、また、余り接する機会がないことから、まだ普及が進んでいないと考えております。
〇神崎浩之委員 ことしの雪被害で、除雪が大きな課題でした。私も業界の皆さんのところにお邪魔して、いろいろ課題を聞いているわけですけれども、例えば、今のグレーダーはあるけれども、これをかえるようなときには、もう除雪は断るよとか、年々除雪を断る会社が多くなってきて、非常に課題だと思っておりました。
 今回の大雪を経験して、東日本大震災津波から10年、それから台風被害、いろいろお世話になっているわけですが、災害対応やインフラ整備を踏まえて、一般の企業とは、また、違う側面もあるのだと感じたわけであります。
 自治体とどういうふうに共存していくのかということです。そういうこともあって、いろいろ心配なところがあるのですが、建設業の経営改善や行動変容も進めながら、共存をしていかなければならないと思っているのです。
 そこで、新分野の進出等がありまして、随分前から農業分野とか福祉分野に、業界の方々が進出したこともあるわけですけれども、今のようなことも含めて、自治体と共存していくということで、皆様方からの経営改善の提案も進めていただきたいと思いますが、この点については、いかがでしょうか。
〇和村建設技術振興課総括課長 県内建設業の経営改善の状況についてでございますけれども、震災前は、かなり低い状況になってございました。それが、復興需要によりまして、例えば東日本建設業保証株式会社が取りまとめた建設業の財務統計指標によりますと、県内建設企業697社の令和元年度の決算分析では、収益性を示す総資本経常利益率が5.38%、支払能力や資金繰りの余裕の程度を示す流動比率が283.13%、企業の健全性を示す自己資本比率が42.91%となっておりまして、これは、いずれも東日本の23都県あるいは東北平均を上回っている状況になっております。
 今後は、復興需要がなくなることによりまして事業が減る可能性もございますが、それにつきましては、令和3年度予算案におきまして、震災分を除いた通常分の公共事業について、国の三次補正に呼応した令和2年度補正予算と合わせて15カ月予算としまして、前年度比1.56倍の予算措置をしたところでございます。
 公共事業をしっかりと進めていくことによりまして、引き続き建設企業を支援し、県内建設業の振興に寄与していきたいと考えております。
〇神崎浩之委員 それに続くものとして、今、国が進めております国土強靱化があると思います。これは今の話にもありますけれども、何よりも災害対応ということであります。
 そこで、国土強靱化3か年緊急対策の県内における活用の事例、それから、その効果についてお伺いしたいと思いますし、あわせて、今、国は全体で15兆円、うち国土交通省分が9.4兆円ということで、また、さらに国は、国土強靱化5か年加速化対策ということを持ち上げました。これの岩手県としての活用と期待についてお伺いしたいと思います。
〇菊地県土整備企画室企画課長 まず、3カ年の実績と効果についてでございます。
 県土整備部関係の平成30年度から令和2年度までの3か年の緊急対策予算は、約271億円となっております。この予算を活用して、河川関係では、磐井川等50河川で河道掘削、立ち木伐採、そのほか北上川、馬淵川等で、近年の豪雨被害を踏まえた河川改修を実施しております。
 砂防関係では、一関市本宿の沢等20カ所で砂防堰堤等の整備、道路関係では、県道水沢米里線奥州市館山地区等18路線25カ所で、落石防止等のり面対策、国道396号遠野市内楽木峠等14路線16カ所の道路改良などに取り組んできたところでございます。
 効果の例について申し上げますと、一関市本宿の沢では、整備した砂防堰堤が、令和元年台風第19号により発生した土石流や流木を捕捉したことによりまして、下流の被害を防止したといった実績がございます。
 また、河道掘削を実施した河川では、洪水に対する安全度が向上したことや、道路においては、落石危険箇所の対策が進捗するなど、防災、減災の対策を重点的に進めることができたと考えております。
 国土強靱化5か年加速化対策の活用についての方針でございます。県では、この国土強靱化5か年加速化対策の予算を最大限活用いたしまして、岩手県橋梁長寿命化修繕計画等に基づき、早期に対策を実施する必要のある橋梁等について、管理体制を確保しながら修繕を行うといった、インフラの老朽化対策、それから、あらゆる主体と協働で行う流域治水プロジェクトの策定などの流域治水対策などを重点的に実施することによりまして、県民の安全・安心の暮らしの実現につなげていきたいと考えております。
 令和3年度当初予算と令和2年度2月補正予算、先ほども答弁いたしましたが、一体となって、国土強靱化5か年加速化対策を推進することを、重点施策として取り組んでまいりたいと考えております。
〇神崎浩之委員 当初3カ年だったので、その後、どうなるのかと心配しておりましたけれども、今回、さらに5カ年ということで、国に予算をつけてもらっておりますので、ぜひこの機会に、県内の多くのさまざまな課題について、活用していただきたいと思っています。
 最後、道路整備状況ということで、先ほど伊藤勢至委員からもお話がありましたけれども、東日本大震災津波から10年ということで、特に10年目の本年度までに供用開始したいということであったと思いますけれども、本年度供用開始であった道路の開通状況について、国、県も含めてお知らせ願いたい。
〇菅原道路建設課総括課長 道路整備の状況でございます。
 国が整備を進めております復興道路等につきましては、まさに、明日開通します三陸沿岸道路の久慈─洋野間、さらには、3月28日に全線開通する宮古盛岡横断道路を含めまして、今年度、9区間、県内延長78キロメートルが開通することとなっております。それによって、この10年で、計画延長359キロメートルに対しまして328キロメートル、約9割が開通する予定となっております。
 次に、県が整備を進める復興道路等についてであります。県が整備する復興道路は、ロードマップでその進捗状況を管理しておりますけれども、9路線10地区が、今年度開通する予定でございます。そういうことによりまして、この10年間で、92地区中84地区、約9割が開通する予定となっております。
 県におきましては、引き続き残る工事を推進しまして、令和3年度内の一日でも早い供用を目指してまいります。
〇神崎浩之委員 ことしは区界トンネルも開通しました。全く違う景色の中で宮古市まで行ってまいりました。それから、先日は、気仙沼大橋へ行ってきました。県内いろいろ周辺を走っていただくと、本当に見違えるような全く今までの岩手県ではないような景色になってきているということで、年度末に向けてやっていただいたと思います。
 うちの近隣でも、この10年間に、大原バイパスであったり、花泉バイパス、柵の瀬橋の建てかえ、室根バイパス、それから、ことしになって、国道284号の石法華バイパス、先週は花泉の白崖バイパス、来週は渋民バイパスと、これは先人の皆様のおかげでありますし、自治体、団体、県の皆さんのおかげで、この10年間に、地域でも大きな難所が解決したと思っております。感謝を申し上げます。
 あと一カ所、毎回毎回地元の議員が要望しております道路がありますが、これについては、これに続いて加速していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇菅原道路建設課総括課長 国道343号新笹ノ田の整備と、私は承知したところでありますけれども、国道343号と申しますのは、気仙地区と内陸部を結んで、沿岸地域の復興、県民の安心・安全、そして、観光振興等を支える路線でございます。また、ILCを推進する上でも重要な位置づけを持つ路線と認識しております。
 笹ノ田に新たなトンネルを整備することにつきましては、安定的な事業予算の確保が課題でございますし、事業効果などを確認することが必要でございます。これらの条件が、一定程度これから検討されることが前提になるものと考えております。
〇神崎浩之委員 私、一瞬名前を忘れたのですが、県土整備部では、きちんと覚えていただいていたのだと、喜んでいるところであります。
 10年前に一般質問で、当時の若林部長に質問したときに、ILCの関連もあってという話があって、1ミリメートルぐらいは進歩したのかと思っておりましたけれども、この10年間、その1ミリメートルどまりということがあります。大きな県内の課題も解決しつつありますので、どうぞよろしくお願いしたいと思っています。
 最後に一つですけれども、これだけ言って、答弁は求めませんので、終わりにしたいと思うのですが、でも、そうするとだめだな。
 道路は何のためにつくるのかなということがありまして、釜石警察署と遠野警察署に行ったときに、交通事故がすごく減ったという話をされたのですよ。理由を聞いたら、三陸沿岸道路とか、それから釜石市、遠野市、みんな上の高速道路に乗るから、一般道を通らなくなったと。特に無料でありますので。それで、交通事故が減ったという話がありました。ちょっと忘れていたけれども、こういう効果があるのだな。
 先ほど、伊藤勢至委員が、道路が通ると時間短縮の話になるけれども、そればかりではないというお話をされたのですが、私もその時間短縮、それから物流、観光振興、産業振興に効果があると思っておりましたけれども、さまざまな分野でもやはり道路整備をすることは、効果があるということを学んでまいりました。
 ことし1月に、国道284号の一関市の石法華のバイパスが開通いたしました。これを通して、行政の人の仕事の仕方というのは、こういうことだなというものを学んだわけです。
 当初、国道284号の石法華バイパスの区間は、非常に順調に工事が進んでいたわけですけれども、御承知のとおり、12月の大雪で、ちょっと開通が危ぶまれたところでありますが、逆に奮起して、工事を前倒し前倒しで進めて、そして、開通にこぎつけたということがあります。理由を聞きましたら、大雪が降って工事が延びるようなところを、やはり地域の課題である隘路を解消する。
〇岩渕誠委員長 質疑は簡略に願います。
〇神崎浩之委員(続) そして、大雪だからこそ、地域のために前倒しで開通したと。業者も、大雪で、実はオペレーターも除雪に回らなければならないためにということだったのですが、県庁にいると、数字とか供用開始とか年度内に完成ということになるわけですけれども、ぜひ、人を見て、地域を見て、地域の課題、そういうものを感じながら仕事をしていく。
 県土整備部においては、年度末に供用開始すればいいということではなくて、地域のために、住民のために道路をつくるのだということを忘れないでいただいて、仕事に取り組んでいただきたいと思いましたので、最後に部長に、これからさまざまな仕事をなさると思いますけれども、ぜひ、数字とか年度末とか、それにこだわらずに、人を見て、そして、地域の実情を見ながら仕事をすることも踏まえて、県職員に御指導いただきたいと思いますので、感想を含めてお願いしたいと思います。
〇中平県土整備部長 ありがとうございます。御指摘のとおりだと思います。大雪の関係で言いますと、私は、職員、各公署にお伝えしたのが、業者が、例えば自分が持っている工事より、優先して除雪に向かわなければならない事態もあったわけであります。まさに地域の足となる、日常の足を確保するための除雪を優先しなければならないほどの大雪であった。
 そうすると、当初予定していた工事の工期が年度をまたいでしまう。繰り越しになるかもしれない事態がある。そういうのは業者の皆様の責めに帰すことができないものであるから、柔軟に相談に乗るようにということを、直ちに指示をしたところであります。
 まさに委員の御指摘のとおり、地域目線に立って、整備、管理等を進めていくことが大事だと思っておりますので、新年度も、しっかりとそのような心構えで取り組んでまいりたいと思います。ありがとうございます。
〇小野共委員 私からも何点か質問させていただきます。
 現在、県土整備部の河川課が策定中であります、岩手県版の津波浸水想定についてお伺いしたいと思います。去年の9月でありましたか、さまざまなことがありまして、内閣府からの日本海溝、千島海溝沿いの地震の想定図が公表されました。県がそれを受けて、沿岸の市町村では、防災計画等々の見直しの検討、あるいは変更等々が始まっているところであります。
 県でも、岩手県津波防災技術専門委員会の小委員会を東北大学の今村先生中心につくっていただいて、検討中だということは聞いておりました。昨年の6月でありましたが、議会に対するその説明として、6月から、岩手県版の津波浸水想定の公表が1年ぐらいかかると。そして、結果として、夏ぐらいの公表になるのではないかという説明があったところであります。
 それでお伺いしますが、今の検討状況はどうなっているのか、進捗状況と、あと、公表の時期、夏ということでありますと、あと3カ月、4カ月ぐらいしかないという感じでありますけれども、その検討の進捗の状況と公表の時期、夏で変わりはないのかといったことをお伺いしたいと思います。
〇上澤河川課総括課長 県が進めている津波浸水想定の進捗と公表時期についてのお尋ねでございました。
 国が約5年間に及ぶ検討を経て、昨年4月に日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデルを公表したことを受けまして、県では、昨年6月に、岩手県津波防災専門委員会に小委員会を設置しまして、津波防災地域づくりに関する法律に基づく県の津波浸水想定に着手したところでございます。
 現在、地形データの精度、防潮堤の破堤条件など、津波浸水シミュレーションを実施するための諸条件を確定したところでございまして、今後も、小委員会で専門家と協議を重ねながら、そして、市町村とは、さまざまな状況に応じて、情報共有を図りながら、来年度末までの公表を目指して、取り組んでいきたいと思っております。
〇小野共委員 夏ではなくて、年度末ということですか。
〇上澤河川課総括課長 来年度末までの公表を目指して、取り組んでいきたいといったところでございます。
来年度末です。
〇小野共委員 了解しました。なぜこの話を聞くかと申しますと、今、市町村の防災担当者と話をしておりますと、公表の時期でありますが、そのめどが市町村に全然入ってこないと。
 実は、先ほど冒頭で、市町村が防災計画等々の見直しに入っておりますという話をしておりましたけれども、市町村でのハザードマップであるとか避難計画の策定に行くためのまさしくその土台となる計画が、この岩手県版の津波浸水想定なのです。
 そのめどが全く立っていないというか、市町村あるいは議会に公表されないということになりますと、新年度の市町村の避難計画、あるいはハザードマップの策定のための意見交換会、住民説明会、あるいは予算どり、そのタイムスケジュール等々、市町村の施策の準備にかかわってくる問題なのです。今、その準備が全然できていない状況で、すごく困っている状況でありました。これを、連携して、できるだけ早く公表していただきたいと思います。
 続けて質問いたしますが、先ほど河川課総括課長からも答弁がありましたとおり、この津波浸水想定は、2011年12月、東日本大震災津波のあの年の12月に津波防災地域づくりに関する法律に義務づけられた。それで、各都道府県に策定が義務づけられたものであると承知しております。
 あれから9年たちましたが、現時点で、策定完了の都道府県が全国43です。完成していない、津波浸水想定がまだできていないのが、我が岩手県を含め宮城県と東京都と福井県と1都3県になっているところであります。これは9年たちますけれども、おくれている理由は、まだ未策定の理由はなぜなのかというのを聞きたいと思います。
〇上澤河川課総括課長 策定の時期等についてのお尋ねでした。
 東日本大震災津波を踏まえ、制定された津波防災地域づくりに関する法律におきましては、都道府県は津波浸水想定を設定、公表するとされております。この津波浸水想定を設定するためには、地形データや断層モデルが必要になっております。
 地形データにつきましては、岩手県では、東日本大震災津波によりまして、広域の地盤沈下、復旧、復興事業による防潮堤の整備、背後地の造成ということもございまして、地形がなかなか定まらないことから、津波シミュレーションを実施できなかったということでございます。
 また、断層モデルにつきましては、非常に高度な知見と広域的な見地が必要だということでございまして、国において検討された断層モデルを都道府県に提示することとされておりましたが、平成27年に、国が新たな知見となる、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデルの検討に着手したことから、この検討結果を待って実施する必要があったということでございます。
 また、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデルにつきまして、昨年4月に国から公表されたことから、昨年6月から、津波浸水想定に着手したというところでございます。
〇小野共委員 了解いたしました。内閣府公表の日本海溝、千島海溝沿いの津波浸水想定と、あとは、ある程度の復旧事業が、防災体制も含めて、まちづくりが落ち着くのを待っていたと。それはそのとおりだと思います。了解いたします。
 それでは、今度は、この岩手県版の津波浸水想定で、何を公表するのかということだと思います。市町村がとても関心を持っているところでありまして、市町村が策定するハザードマップと避難計画が、どれほど実効力があって、現実的なものになるかということは、まさに、今、県がつくっております県版の津波浸水想定が、どれほど実効性の高いもの、どれほど具体的なものになっているのかということに、その一点にかかっているのだと思います。
 ちなみに、内閣府が昨年9月に公表した日本海溝、千島海溝沿いの津波浸水想定には、三つ公表されておりました。浸水域と津波高と津波の予想到達時刻です。これは、市町村の避難計画あるいはハザードマップをつくる上で、かなり迫力のある、信憑性を増す資料だと思います。何を公表するのかといったことを聞かせていただきたいと思います。
〇上澤河川課総括課長 公表の内容についてのお尋ねがございました。
 津波防災地域づくりに関する法律におきましては、最大クラスの津波があった場合に、想定される津波の区域とその水深を公表することになっております。岩手県では、北から南まで地形等の状況から、24の海岸等があるのですが、その中で、最大となる津波を幾つかシミュレーションをして、その結果を重ね合わせたもので、全体のエリアを包含したものと、浸水の深さを公表することになっております。
〇小野共委員 浸水域と津波高はわかりました。津波の予想到達時刻はどうですか。内閣府の日本海溝、千島海溝の浸水想定にはそれが入っていました。
〇上澤河川課総括課長 予想到達時刻等は公表しないのかというお尋ねだったと思います。
 そのシミュレーションの過程の段階においては、そういった浸水の区域とか、深さとか、それ以外の部分でも、計算結果が当然得られてくるわけです。これに関して、公表の仕方といいますか、この検討に当たって、専門家の先生にも入っていただいております。そういったことも含めまして、そういった先生方の意見とか市町村の意見を聞きながら、どのように公表するか、あるいは公表すべきなのか、そういったもの等について、検討していきたいと思っております。
 現時点では、法に基づいて公表するのは、津波のエリアとその深さということになっております。当然、計算の途上では、そういったものが出てくるということであります。
〇小野共委員 東京のコンサルタント会社か何かと契約して、シミュレーションはそのコンサルタント会社がつくっていると承知しておりますが、私は、これは今回の岩手県版の津波浸水想定の前提条件にすごくかかわってくるのだと思っています。
 去年の4月に、北海道から千葉県まで公表されたけれども、岩手県だけ公表されなかった。この理由はかなり極端な条件だったと承知しております。余りにも極端な条件というのは、満潮時であることと、防潮堤、堤防が全て壊れた場合、しかも、波が越水した場合という条件であったと。それで、その条件が余りにも極端ではないかと、市町村から反対があって、公表しなかったということだったのだろうと思います。
 では、前提条件というのは、今回、どのような条件で岩手県の津波浸水を想定しているのかということだと思います。恐らく、今、河川課総括課長がおっしゃるように、津波到達時間も、余りにもハレーションがあるのでできないとかいうことになると、また、話が違うと思うのです。
 今回の岩手県版の津波浸水想定は、最大の津波を想定しての浸水想定だったはずです。条件はどうなるのか。ちなみに、内閣府の日本海溝、千島海溝沿いの地震の前提条件はさっきの三つでありました。今回の前提条件はどうなっているのか教えていただきたいと思います。
〇上澤河川課総括課長 この国が策定した津波防災地域づくりの推進に関する基本方針に基づいて、いずれ最大クラスの津波が、悪条件下、とにかく一番のリスクといいますか、そういったところを前提とするといったことがございまして、その悪条件下としては、その設定の潮位は朔望平均満潮位、そして、堤防や防潮堤等は、その津波が越えれば壊れる、そういった条件で計算をしていくといったところになっております。
〇小野共委員 それは答えになっていると思いますか。今は、公表の内容を聞いているのではなくて、前提条件は何だと言っているのです。その前提条件は、最悪の津波を想定するのであれば、満潮時であって、防潮堤と堤防が壊れた場合であると。それは、その市町村の要望、市町村との話し合いによって、公表する場合もあるということですか。
〇上澤河川課総括課長 今、私どもが進めているものにつきましては、法に基づいて、いずれ最大のリスクを出していくといったところになっております。ただ一方で、私ども岩手県では、東日本大震災津波を踏まえて、今まさに復旧、復興が進んできた、そういった状況等もございますので、今回、国から公表されたときにも、沿岸の市町村からも、今、岩手県が実際に住んでいる状況等を加味したもので計算した場合には、例えばどうなるか、そういった計算の結果を見たいというお話もありましたものですから、私どもも、今整備している防潮堤とか水門が破堤しない条件でも、計算はしていこうと思っております。
〇小野共委員 わかりました。市町村が、例えば堤防あるいは防潮堤が壊れなかった場合のシミュレーションも教えてほしいといった話があったときには、十分それには対応していただきたいと思うところであります。
 結びに入るわけでありますけれども、市町村が、新年度の防災に関する事業計画をつくるのに、つくれないでいるのが現状のようであります。さっきも言いましたが、予算どりからタイムスケジュールにかけて、全く立てられていない状況でありましたので、来年度末の公表ということでありますので、公表できる情報は早急に─今、検討中というのはわかりますから、検討と同時に、公表できる情報は公表してやって、市町村作成のハザードマップと避難計画をできるだけ早く完成できるように、そして、今、岩手県が策定中の津波浸水域の完成が、よりいいものになることをお願いして、終わります。
〇岩渕誠委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。

午前11時8分 休 憩

午前11時22分 再 開

〇岩渕誠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇工藤大輔委員 先ほどの小野共委員が質問された日本海溝、千島海溝沿い地震の想定について関連質疑をしたいと思います。
 今定例会の総務委員会で、私は、復興防災部は、河川課でつくられる浸水想定をもとに来年度被害想定をつくる担当部署なので、被害想定はどのようにつくるのかという質問をしました。
 その際の答弁では、東日本大震災津波を初め明治三陸地震津波、チリ地震津波、岩手県が、過去に経験した大規模な地震を想定すると。そして、L1、L2タイプ。そしてまたメッシュについても、当初のメッシュよりも、さらに細かいメッシュとして浸水想定もつくられるだろうという話も聞いておったのですが、先ほどのやりとりを聞くと、総務委員会で聞いた内容とちょっと違うなと感じました。
 本来、浸水想定がつくられて、それをベースに被害想定がつくられるというのが、自然な形ですが、河川課が想定する浸水想定と、今度、復興防災部でつくる被害想定のベースが違うのは、少し違和感を感じるのですが、その辺について、違いがあるのかないのか、改めて聞かせてください。
〇上澤河川課総括課長 私どもが津波防災地域づくり法に基づいて行うシミュレーションにつきましては、最大クラスの津波、複数のものを重ね合わせて、エリアとその浸水深を計算するというところは、そのとおりでございます。
 そして、岩手県は、東日本大震災津波を受けて、北から24地区の海岸で、それぞれ防潮堤の整備をする高さを選定するに当たって、大規模クラスの津波の群とL1相当の津波の群ということで分けまして、それで、L1相当の整備水準ということで、そういった整備高を決めてきたという経緯がございますが、今回、国から日本海溝・千島海溝沿い巨大地震モデルが出されたものですから、これまでの最大の群の中に、日本海溝・千島海溝沿いの断層モデルが、その地区によってそういった大規模なほうに入っていくのか、あるいはそうでないかということをこれから計算して、まず専門家の意見を伺っていくというところが、基本的な流れでございます。
 ですから、日本海溝、千島海溝沿いの地震のマグニチュードは、私どもは、それも一つの対象として計算をしていくといったところでございまして、河川課の行う日本海溝、千島海溝沿い地震もマグニチュード9.0でございます。(後刻「日本海溝のモデルのマグニチュードは9.1、千島海溝モデルのマグニチュードは9.3」と訂正)
〇工藤大輔委員 そうすると、岩手県沖で想定する最大の地震のマグニチュードは9.0で、例えば県北部、そして、宮古地区等が中心となる中央部、そして、東日本大震災津波を経験した県南部、全てマグニチュード9.0を前提としてつくるということでいいのですか。
〇上澤河川課総括課長 私どもで進めておりますのは、岩手県の24の海岸で、その最大クラスの津波が、日本海溝・千島海溝沿いの断層モデルで計算したものが、最大のものになってくる海岸もあると思いますし、あるいは、そうならない地区の海岸もあるかと思いますので、私どもが計算して目指していこうとするものは、いずれ、最大のものを重ね合わせたもので計算を進めるということですから、その地区の海岸によって、日本海溝・千島海溝沿いの断層モデルの計算をした結果が、最大クラスの津波に当てはまるかどうかというのは、その地区の海岸によって計算をしてみた結果になっていくといったところでございます。
〇工藤大輔委員 それでは、キーとなる、例えば、設定されるマグニチュードの最大震度がどのぐらいで、それがいつ決まるのかとか、ポイントとなるところで、来年度どのようなスケジュールでつくっていくのか教えていただきたいと思います。
 というのは、最初は、来年度の夏までに公表するという前提で来たと思いますが、半年ずれることになると、被害想定をつくるのも、実質、本格的に進むのは再来年度に入ってしまうことになります。予算も計上されている中で、一部は進んでいくと思いますけれども、公表も含めて全てが整うのが、また、半年、1年ずれていくのかという感じがするので、ベースとなるスケジュール感を教えてください。
〇上澤河川課総括課長 津波の計算の過程は、最終的に、私どもが出していく浸水想定等をもとにした、市町村の津波のハザードマップ等の作成に反映されるということで、その進捗は当然影響してくるわけですが、その途中途中の今こういった形の検討をしている、計算をしていると。それによりますと、大体こういったエリアになるとかそういったものを、段階を追って市町村の方に共有しながら、全ての作業が終わって、公表という形にならないように、その進捗状況は、随時、市町村と共有しながら進めていきたいと思います。なるべく早く、そういった作業は進めていきたいと思っておりますが……
〇岩渕誠委員長 答弁は簡潔に願います。
〇上澤河川課総括課長(続) 済みません。作業量等からいきますと、そういった一定の時間がかかるということでございます。
〇工藤大輔委員 お伺いしたことには十分答えていただいていないわけですけれども、いずれ、浸水想定、その後につくられる被害想定、前提がそれぞれ違うということがないように、整合性をもって進めていただきたいと思いますし、両部局にかかわることですので、その辺、総務部で聞いた際にも、本来、同じような答弁が出てこなければならないかと思いますので、いずれ、その辺にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いします。
〇飯澤匡委員 通常ですと、河川改修であったり、宮蘭フェリーの状況であったりをお聞きしたいところですが、きょうは、定番の一点だけお伺いします。
 国道343号復興支援道路の整備促進についてお伺いします。
 まず最初にお伺いしますが、復興道路、復興支援道路、東日本大震災津波から10年経過して、先ほど県道分については、県の管理部分については、94分の82カ所という答弁がありました。この名称を使って整備促進を図るという法的根拠が、これからいつまで続くのか。これ、財源に見通し等を含めてこういう名称をつけて、カテゴリー化したと思うのですけれども、今後はどういう整理をされるのかお伺いします。
〇菅原道路建設課総括課長 復興道路、復興支援道路の使い方というふうな……(飯澤匡委員「今後」と呼ぶ)今後ですね。御案内のとおり、復興道路と復興支援道路というのは、まずは、震災復興のためにつけられたそれぞれの位置づけであります。それが終了した後につきましては、一般的な道路の整備になると認識をしております。
〇飯澤匡委員 ということは、復興支援道路で全く手がつかないでいるということは、どういうことになるのですか。
〇菅原道路建設課総括課長 復興支援道路、確かに路線ごとの指定はありますが、その中でも、必要な区間につきまして、区間を定めて、この10年間において箇所づけをし、また、それをロードマップ等で進捗を図りながら、今までやってきたところでございますので、その路線におきましても、復興支援道路としての整備は、なかった区間もございます。それにつきましては、また、新たな展開で、今後、展望されていくということでございます。
〇飯澤匡委員 わかりました。いずれ、財源が一つの裏づけとなるでしょうから、今後は、ロードマップという話を今しっかり申されましたので、これはまだまだ整備されていないところがありますから、しっかりやっていただきたいと思います。
 本題に入りますが、おかげさまで、渋民バイパス、今月28日に一応開通の見込みということで、式典の御案内もいただいています。ただ、完全完工にはもう数カ月かかるのではないかというお話も伺っているところですが、これが全て完工するまでには、どれぐらいの日数がかかるのか、具体的に示してください。
〇菅原道路建設課総括課長 渋民バイパスの完全な工事の終了ということでございます。
 御案内のとおり、隘路区間を解消するために、このバイパスは、平成27年度に延長5.5キロメートルのバイパス整備に着手しまして、これまで、トンネル築造工事などを進めてきたところでございます。おかげさまで、今月の28日に、バイパス区間で暫定ですが、供用開始に届いたところであります。
 今後は、残っている舗装工事等が若干ございますが、令和3年度内での一日も早い完成ということで、進めてまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 一日も早いと言うのではちょっと心もとないのですが、大体どれぐらいというのは、示して当然ではないですか。いかがですか。
〇菅原道路建設課総括課長 まず、今回、暫定供用という言葉になりましたけれども、こちらにつきましては、ロードマップでも目標年次を掲げております。令和2年度内に、この渋民バイパスは供用をするということでありまして、こちらについては、道路の効果が一定程度認められる段階になったということで、これは、所期の目的が達成されたということでの令和2年度。
 一方で、歩道とか、今回、大雪の影響で舗装の一番上の層の工事が残ってしまったというのがございます。基本的には舗装の工事でございますが、それは、事務所からは、春のうちの早い、いい時期にやりたいということ。
 一方で、市道等の取りつけの部分がどうしても残ってしまうということでございまして、こちらは、市とも協議等をしながら、同じ表現ですけれども、なるべく早い、いい時期にということで、お答えしたいと思います。
〇飯澤匡委員 道路環境課にかかわる別の案件もありますので、これ以上はやりませんので、きょうは表には出しませんけれども、しっかりと地元と協議をしながら進めていただきたいと思います。
 新笹ノ田トンネルの実現についてですが、これは先ほどちょっと答弁がありましたが、いろいろな環境の変化を見定めつつと、恐らく、この答弁を聞いたのはもう十四、五回ぐらいになると思うのですけれども。環境の変化と言えば、このたび、三陸沿岸道路の気仙沼港インターチェンジ―唐桑半島インターチェンジ間の開通がありまして、いわゆる物流についても、間違いなくいろいろ変化が出てきます。岩手県の横断道に係る部分、特に気仙沼となりますと、国道284号になりますけれども、これの接続等について、この物流の変化はどのように認められるのか、県土整備部の所感を求めたいと思います。
〇菅原道路建設課総括課長 三陸沿岸道路がつながり、横軸の交通の変化ということの認識のお尋ねでございますが、まず、復興道路の整備に対して、委員御案内のとおり、その変化を予測するのは、以前よりお答え申し上げているとおり、重要だという認識でおります。県では、平成31年3月に全線開通した東北横断自動車道釜石秋田線とか、三陸沿岸道路の宮古以南の開通状況等を踏まえた交通の流れを把握するという目的で、令和元年11月に、県南地域の交通量の調査を実施しているところです。
 これは、震災前の平成22年度と平成27年度を比較したものであります。国道284号という話もございましたが、調査結果の傾向としましては、横という観点では、国道107号とか、国道343号など、内陸と沿岸部を結ぶ道路の令和元年度の交通量は、平成22年と比較しますと、増加しております。
 一方で、平成27年と比較すると、減少しているという状況です。これは、平成27年は復興関係車両が多かったことが影響していると、我々は理解しておりまして、この影響を確認するため、今年度は5年に一度の道路交通センサスが全国的に行われる予定でございました。
 ただ、新型コロナウイルス感染症の影響で、来年度に延期したところであります。今後も、それら感染症の影響等も注視しながらも、交通量調査を実施して、引き続き交通の流れの変化を見きわめていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 論点として、交通量は確かに物理的に把握しなければならないのですが、先ほど皆さんの答弁にありましたように、国際リニアコライダーが実務的に大分進んできている中で、それをどうやって見通していく、将来の社会資本の整備も、これは見逃してはならないと思うのです。
 これは、何回も皆さん方に話していますし、先ほどの質問者の答弁でも、そのような話が出ました。ですから、その観点に立った、先行的な社会資本の整備はあってしかるべきだと思うのですが、この件については、技監でもいいですし、部長でもいいですし、どちらか答弁したい方がどうぞお願いします。答えてください。
〇中平県土整備部長 ILCの事業等を踏まえた、新笹ノ田トンネルの整備ということでございます。
 ILCの事業推進センターでございますけれども、今、周辺道路の状況など、ILC建設に係る物流の方向性の研究を検討すると聞いていることでございます。こういった調査に関して、まず私どもとしては、協力させていただいた上で、この新笹ノ田トンネル等の整備のあり方について検討をさせていただきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 そこで、横軸道路をちょっと南に入りますが、国道284号で話をしましたが、この間、東日本大震災津波の追悼式が終わった後、遠回りして国道284号を通って帰ってみました。そこで、三陸沿岸道路からインターチェンジでおりて国道284号に乗るには、最短距離であるなら、気仙沼鹿折インターチェンジですが、実は、これはクオーターインターチェンジで、そして、本当の市街地を通らなければならないので、最短距離としては機能しない。通れることは通れるけれども、機能しない。では、唐桑半島インターチェンジからおりると、何とも、旧来の国道45号を地図上で6キロ以上走らなければならないことになります。
 ということになると、この高速道路の恩恵を大して得ることにはならないのではないか。なおかつ、さっき言ったクオーターインターチェンジの気仙沼鹿折インターを過ぎて、浦島大島インター、気仙沼港インターは、ハーフインターチェンジで岩手県側からは降車不可です。そして、次の気仙沼中央インターまでおりて、これはフルインターチェンジですから、ここをおりると、今度は数キロメートル戻らなければならないのです。こういうちょっと物理的な条件で、国道284号を使用することは、余り便利ではないということが、実際に走ってみてよくわかりました。
 したがって、最短距離であるのは、やはり国道343号ということになるのです。ただいま交通量云々という話が出ましたが、恐らく皆さん方もぜひやりたいと思っているはずです。やりたくないとは思っていないはずだと思うのです。
 ですから、いろいろな努力をされて、まずは、いずれ財源の問題だと思うのですね。財源をどうやって確保するか。東日本大震災津波から10年になって、復興に関する予算もほとんど使えない状態になってくるわけで、さきに答弁いただいた、これからのロードマップということになると、ますますその着工については、隘路になっていく可能性があるということで、展望を持ってやっていただきたいと思います。
 これまで、大原バイパス並びに渋民バイパスについては、さまざまな知恵を発揮していただいてやっていただいたことは、これまで、国道343号整備促進の同盟会などにも、私もずっと参加させていただいていますが、これは要望の優先順位どおりやってきていただいていますので、どうにか本当の意味での復興ということで、戦略的にやっていただくことを、ぜひともお願いしたいと思うのですが、その国道284号の状況等を踏まえて、どのような考え方で、そういうことまで把握してやっているかどうか、最後に答弁をもらえますか。技監でいいです。
〇田中道路都市担当技監 国道284号につきましては、私は気仙沼大橋ができてからまだ通っていないので、近々通って、状況を把握してみたいと思います。それで、国道284号をおりて、利用状況も把握しておきたいと思っております。御指摘をありがたく伺いました。
 それで、復興後の道路のネットワークの話ではないかと思っていまして、これにつきましては、今、国で新しい広域道路のネットワークの計画をつくろうということで、各県にそういう作業の指示が来ておりまして、その中でどういうネットワークをこれから重点的にというか、必要なネットワークがどういうものかといったところを検討していましたので、いずれ三陸沿岸道路、釜石道、宮古盛岡横断道路が基軸になるわけですが、それだけでは足りないと思っていますので、必要なネットワークについてこれからもしっかり検討していきたいと思っております。
〇飯澤匡委員 そういう意味で技監に振ったわけではないので。私も、郷土の旧大東町長の小原氏の思いを引き継いでやらなければならないとずっと思っているし、地元へ帰れば、何とかお願いしますという切々たる声、また、9万筆に及ぶ署名を何とか実現したいという思いで、今日までやってきていますので、その点をしっかり受けとめていただいていると思うけれども、今後も、前向きに行動を起こしていただきたいと。もう一回、最後に部長にお願いします。
〇中平県土整備部長 戦略を持って、展望を持ってというお話がありました。今、田中担当技監から話がありましたとおり、岩手県の広域的な道路ネットワークを考える上で、沿岸と内陸を結ぶ道路ネットワークの強化は、一つの大きな視点だと思っております。特に、港湾を持っているところと内陸を結ぶという上では、そのネットワークを強化する一つの大きな視点だと思っております。
 今、委員から御指摘あった路線も、その一つの候補になるのだと思っておりますので、そのような展望、視点を持って、どのように今後を位置づけていき、そして、その事業費の確保というところが、その先で位置づけた上で、どう確保していくのかという話になるかと思いますので、しっかりと検討していきたいと思います。
〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木茂光委員 どうもありがとうございます。
 新笹ノ田トンネルについて、私も議会に来て10年になるのですが、飯澤委員の後を継いだ形で、後方支援というか……(「まだいるから」と呼ぶ者あり)いやいや、後を継ぐというのは、一緒に動き出した一人でございます。
 前々から言っているけれども、要するに、点線を引けないか。例えば現場にくいだけでも打てないかという話で進めてきたところでありますが、今、御案内のとおり、ILCに関連する事業そのものが、私らが捉えるには大きく前進をしているなと。
 先ほど、部長からもお話があったように、これからのILCを含めた関連するもの、東北ILC事業推進センター中心に進めていく調査等については、積極的に取り組んでいくと。そういうところまで話をいただいたものでありますので、私とすれば、ここはいろいろトンネルを掘るまでには、相当の時間がかかるわけでありまして、その前に、図面を引くことも必要だろうし、いろいろな事業を進めていく上では、いずれ現場に入ってみなければわからないということが、一番最初にあると思うのです。
 そういった意味で、調査費というか、それが調査に当たるかどうかは別にしても、ILCがすぐそこまで来ているので、今までも言われるように、大船渡なり、気仙沼なり、釜石なりの港湾の利活用を進めていく上でも、あそこは非常に重要な路線だということは、恐らく認識はされていると思います。
 そういったところを踏まえて、この間の補正でも、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策含めて、東北地方で、岩手県が一番予算配分があったと。そのときには、知事にもお話を出したところでありますが、いずれ、自分たちが出している要望以上のお金が来たことは、大変結構なことであるけれども、その受け入れる側の体制として、例えば、県が要望を上げた時点で、この予算、この予算というようなことで、恐らく上げていると思うのですね。
 それ以上のものが来たということは、これは、いろいろな面に使えるというか、ある程度ひもつきであるとは思うのですが、かなり余裕が出てきますね。そういったところの少し残ったところで、今、県が予算づけの予定している分から、さらにまた、追いかけるように、事業化を図っていかなければならない路線が出てきているのではないかと思うのですが、今のその辺の予算の割りつけの状況は、どういう状況にありますか。
〇菅原道路建設課総括課長 具体的な調査費の予算というお尋ねと、理解いたしました。
 結論を申しますと、新笹ノ田トンネルの調査について、予算の結びつきというところは、現時点では、具体的にはちょっとないというところではございます。
 先ほど来申し上げているように、まず全体のネットワークからある程度箇所づけをしていくというプロセスになるのですが、調査に対しても、一般的には、道路計画を進める上での調査、現道の状況とか交通量、交通事故などの整理、分析は必須だと思っております。そういう観点からの調査は、今、この路線につきましても行っているという状況でございます。
〇佐々木茂光委員 それはわかります。そういうふうに使い道を持って、予算を使っていかなければならないというのはわかりますが、私が言わんとするのは、ILCがもうそこまで来ているということです。それを皆さんも認識されていると思うのです。いや、全然そういう感はないですよと言う腹ではないかと思うのですが、そう考えると、受け入れる側としても、その準備としても、道路をしっかり整備しておこうかという気持ちがないと進められないですね。
 敵の頭が見えたときはもう遅いわけだからね。実際、現場が動き出して5年、準備するのに5年、それから10年という話で我々は聞いているのですけれども、それに向けた岩手県の準備として、その一番中心となるであろう路線の整備に関しては、かなり強い関心を持って取り組んでいかないと、でき上がったときにはもう遅いということですよ。だから、今から、しっかりとその辺を見定めて、取り組んでいくときではないかと思うのでありまして、こういう話をしているのです。
 これは、くいぐらいは打てるのではないかと思うのです。そのお金がどのぐらい余るか。現場に入るのは、掛矢とくいがあればいいわけだから。先ほど、伊藤勢至委員も、大型バスで現地に行った話もありましたけれども、あのとおりの場所でございますので、大型バスも出たり入ったりも大変なところなので、要するに、くい打ちの職人を二、三人連れていけば、大体の道すがらは見えると思うのです。
 そういったところも含めて、少し足を踏み入れられる、その残ったお金ではないけれども、その中から少しでも調達して、何とか足を入れてもらいたいと、それをお願いするところでありますが、部長も、今その話をされてもどうかなということは恐らくあると思いますので、いずれ、今の部長と。新笹ノ田トンネル、この間は補修をやっていましたからね。
〇岩渕誠委員長 関連質疑であることを踏まえ、簡潔に願います。
〇佐々木茂光委員(続) はい。補修をやっていました。また、いつ補修をするのかという話をしたけれども、現場はそれはちょっとわかりませんと。直すのに何回も何回もかけているのならば、最初から新しいのに乗りかえたほうがいいのではないかという感想を持っていたところでございますので、その辺、御了承願いたいと思います。
 いずれ、部長から、また、それに対する取り組みについて、もう少し踏み込んだ形でのお話をいただければと思います。お願いいたします。
〇中平県土整備部長 委員からは、まずは目に見える形でという御要望だと思います。補正予算が多くついたからということで、玉突き的に、余るからそれでということですけれども、なかなかそういうわけにいかないところは、御理解いただきたいのですけれども、目に見える形の検討は、さまざまなやり方があろうかと思っております。
 今、道路ネットワークの広域的なあり方の検討というところを、まずは進めさせていただいておりますので、どのような形で皆様にお伝えできるのかというところは、もう少しお待ちいただければと思っておりますので、しばらくお時間をいただきたいと思います。
〇郷右近浩委員 端的に終わらせようとしたのですが、時間をまたぐようですので、ちょっと長くやりますので、よろしくお願いいたします。
 主要地方道一関北上線の道路改良についてお伺いしたいと思います。
 まず最初に、この間、この道路でありますけれども、ここは一部国道343号と共用ということで、もちろんそうした意味では、大船渡市側であったりとか、さまざまな物流の必要な道路の位置づけになっております。もちろん国道397号を見ながらということで進んでいく中で、今、北上工業団地の拡張であったり、また、これからは、江刺の新工業団地の整備であったりと、そうした中での例えば、その資材、ダンプ、そうしたものが通る部分を含めて、物すごい交通量になっているということで、ただ、それ自体は私自身は、県の裏幹線道路的な形で、産業道路として非常に機能を果たしていると。そうした意味においては、県道として、しっかりと役割を果たしているのだと認識しているところであります。
 ただいかんせん、この主要地方道一関北上線ですけれども、これまで改良工事をどんどん進めてきておりますけれども、まだまだ改良していないところが多いという中にあって、これまで、委員長を務めておられます岩渕議員から、さまざま要望のあった長島工区であったりとか、さらには、我が奥州市の谷地工区であったりといった形で、いろいろ改良していこう、そうした形で進めていただいていることは、とても評価するものであります。
 ただ、それでも、それ以上に、やはりまだまだやっていかなければならないところがある中で、この主要地方道一関北上線に対しての県の位置づけ、今の考え方、そうしたものをお示しいただきたいと思います。
〇菅原道路建設課総括課長 まさに、北上川の東を通る一関北上線についてどのように認識をしているかという御質問でございます。主要地方道一関北上線として、委員御指摘のとおり、産業面においても、それなりの使われ方をしているという点、それから、緊急時等についても、非常に重要な路線と認識をしておりまして、県といたしましては、今までも、段階的に整備をしている。委員御指摘のとおり、今、谷地工区とか、長島工区につきましても、調査の段階ということで、御案内しているところであります。
 一方で、内堀地区につきましては、それとはまた別の要素もございますということで、いずれ、ここは重要な路線として、それぞれの位置づけを考えながら、まず我々としては整備をしていると、そういう認識でございます。
〇郷右近浩委員 ここから入っていくと結構くどくなりますけれども、よろしいですね。
 それでは、今、お話あった内堀地区の部分についてお話をお伺いしたいと思います。
 まさにこの地域においては、ある一部の区間が、特に奥州市内で、道路改良であったりがなかなか進んでいない部分が一部あります。これは、そもそも堤防とどういう形の連携をとらせていくかという中で、その区間だけは一体となって、物を考えていくという考え方で進めていただいたものと認識しております。
 先ほど来、いろいろお名前が挙がりました。例えば若林部長のとき、彼が技監のときであったり、またさらに、そこへ平井部長と、多くの方々の中で、どのような形にしたらいいかということで、この間進めてきていただいた。
 もちろん、この間に震災等もある中で、北上川全体の流域の計画自体が、ある意味凍結ではないですけれども、大分待たせた。これは、私ども内陸の県民も、しっかりと沿岸の復興を成し遂げていただきたいという思いの中で、自分たちのところは次でいいから、まずは県民の同じ痛みをわかりながら、しっかりとやっていこうと。
 ただ半面、やはりどこかで、この震災から10年という中で、大雨が降るたびに、さまざまな形の不安であったり、不便であったり、そうしたものを感じながら、特にその不安が、去年も大雨災害等が多発する中で、どうしても冠水して動けなくなってしまうような、そうした部分等についてどのようにしていくか。
 しかも、前日お聞かせいただいたとおり、産業道路という役割の中で、非常に使われている県道が、しかも、主要道という位置づけのこの道が動けなくなること自体は、果たしていかがなものかと考えるものであります。
 この主要地方道一関北上線、そして、またさらに、今現在の考え方、先ほどの内堀地区を含めての考え方、それから、その下流にあります、例えば鶴城地区であったり、ここは堤防との一体型であったりと。それから、国道343号からおりてきたときに、狭隘な道路で、まさに非常に危険道というか、そうしたものが指摘されている部分でありますけれども、そうした部分の堤防との一体的な改良であったりと、いろいろな形で国土交通省でも、岩手河川国道事務所でも、いろいろ検討していただいたり、もちろん我が県土整備部でも、いろいろ検討していただいていることは承知しておりますが、その点について、今、どのような形で考えていこうと。そして、まさに先ほど国土強靱化とおっしゃっていただきましたけれども、国土強靱化の中で、本当に安心して暮らせる、そうしたしっかりとしたこの地域をつくっていくといった中での考え方として、お聞かせいただきたいと思います。
〇菅原道路建設課総括課長 ただいまの御質問は、道路線における内堀から鶴城地区についてということでございます。
 御案内のとおり、北上川の増水のため冠水被害が発生している地区でございます。特に内堀地区の整備につきましては、国の堤防整備事業と調整を図りながら検討することを基本と考えておりますが、国からは、堤防整備に当たり、令和2年度に概略設計を実施して、引き続き、地元団体等との対話を通じながら対応を検討していくと聞いております。県としては、これにつきましては、今までどおり、河川、堤防の整備を、国に強く働きかけていくこととしております。
 一方、道路管理者としての取り組みであります。令和3年度には、河川堤防計画の影響を受けない範囲、内堀地区におきまして、県道が冠水しないための対策として、道路のかさ上げの高さとか道路構造など、一歩踏み込んだ、必要な調査を進めてまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員長 この際、郷右近浩委員の質疑の途中ではありますが、昼食のため、午後1時まで休憩いたします。郷右近浩委員、御了承願います。

午後0時2分 休 憩

午後1時2分 再 開

〇岩渕誠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇郷右近浩委員 午前中に引き続き質疑をさせていただきたいと思います。
 先ほど午前中に、御答弁いただいた部分ですけれども、済みません、後段の部分は何とか聞き取れたのですけれども、内堀ではないほうの前段の答弁いただいた部分について、よく聞こえなかったので、もう一度御答弁を願います。
〇岩渕誠委員長 答弁は明瞭にお願いいたします。
〇菅原道路建設課総括課長 申しわけございませんでした。
 まず北上川の堤防計画についてということで、最初に御説明申し上げました。国の堤防整備事業についてですけれども、国からは、堤防整備に当たりまして、令和2年度に、この地区の概略設計を実施して、引き続き、地元団体等との対話を通じながら、対応を検討すると聞いておりますということを御説明申し上げました。
 県としては、引き続き、河川堤防の整備を、国に強く働きかけてまいるということでございます。
〇郷右近浩委員 どうもありがとうございました。その後段の部分で、それとあわせて、道路の整備も考えていくということであります。
 午前中の冒頭にお話させていただいた内容にもなるのですが、先ほど来先輩、同僚委員がお話しされていますけれども、国道343号が奥州市に入ってくる部分で、そこにタッチダウンしたときに、ここ自体が道路から車が落ちたりとか、またさらに、その先がかなり狭隘になっていて、正法寺からちょうどおりてきた鶴城地区ですけれども、そこの部分は地域でも非常に危険であるし、さらに、まさに大きいトラックが通るときに非常に心配な地域であるといった、そうした思いを平成19年からずっと受けてまいりました。確かに、私自身も何度か見に行って、県でもそちらを見に行っていただいて、データ蓄積というか、その問題意識等は持っていただいていると思います。
 そちらの部分は、先ほどの前段とあわせての堤防の設計というか、堤防の上を走らせる計画があったかと思いますが、それはどのようになっているのか、お知らせください。
〇菅原道路建設課総括課長 道路整備事業と国の堤防事業の関係ですけれども、これは従前と変わらず、国の堤防整備事業と調整を図りながら、検討するという大前提でございます。そういうことからすれば、鶴城地区の国道343号の交差点付近につきましても、国の堤防計画を見据えながら考えていかなければならないと認識しております。
〇郷右近浩委員 わかりましたというか、余りわかりたくないのですけれども、確かにいろいろな計画を見ながらという話はわかります。
 しかし、本当にこの話自体いつからやってきたか。確かに一体的な堤防、築堤、そしてその築堤の上を走らせながらという当初の計画から、いろいろな形の考え方を入れながらということで、その中において、先ほどの質疑でも答えていただきましたとおり、まず道路は道路でしっかりと現道を整備しながらといった考え方でありと、いろいろな対策を考えてきていただいているというのは、非常に理解するものであります。
 ただ、あくまで考えていただいているだけで、可能性としてのいろいろなものを考えていただく、もしくはそれをどうしようかという、ちょっと踏み込むところまで考えていただいたとしますね。それをしっかりとしたものにしていくまでに、一体どのような形をとっていただけるのか、果たしてどのような形で進めていただいているのか、そうした部分について、私自身、前に進まない思いがして、非常にもどかしい思いをしております。
 また、ことしもこれから春、夏と来る中で、雨が降るたびに、あそこの道路がストップしているのを見るたびに、果たして、どのようにこの道路が位置づけされているのか、この道路の必要性は一体どうなっているのか。それはもちろん産業であったり生活であったり、道路のさまざまな役割を、どのように考えて、対処していただけるのか、そうした思いでいっぱいであります。
 その点について、これまでやってきた積み重ね、その先をどのようにつくっていかれようという考えなのか、その思い、考え方について、部長に御答弁をいただきたいと思います。
〇中平県土整備部長 当地区の皆様のこの長年の要望については、私も十分受けとめているところでございます。
 堤防整備と一体となった道路の整備をしていくという基本的な考え方はあるわけですけれども、その中で、国においても、昨年度この概略設計に着手するということは、一歩前進だと思っております。この三つの堤防のあり方だけを示され、一向に進む様子がなかった中で、この地域の皆様が長年強く訴えていただいたことが、国においても予算をつけ、概略設計に着手したというところは、一つの皆様の思いが反映された成果だと思っております。
 私どもも、その成果を踏まえて、この鶴城地区の道路のあり方についても、検討を進めるきっかけになるわけであります。ただ、概略設計でございますので、実際に堤防ができ上がるには、多分まだまだ時間がかかると思います。その中で、常に浸水のリスクを負っている内堀地区については、堤防整備の事業の行方を待つのではなく、まずは道路事業として道路のかさ上げ等ができるのではないかということで、道路管理者として、単独で来年度その調査に着手することとさせていただきましたので、この地域にとって、安全な地域づくりにどのようなことができるのか、そういう視点で、検討を進めてまいりたいと思います。
〇郷右近浩委員 ありがとうございます。済みません、これまで個別の話ばかりになっていましたけれども、その地域も、今は社会構造の変化というか、さまざまな中で、もちろん道路の役割はもちろん、県内でも全部変わってくると思います。いろいろなところが主要地方道になっていったりとか、さらに、その主要地方道も地域の方々の生活、そして産業、そのほかに生活の中で、内堀地域においても、これまでは逆方向、山のほうに向かって小学校に歩いていた子たちが、今度は逆に川を渡って行くのは、これは少子化で廃校問題も含めて、では、スクールバスはどこにとめられるのか、どのような形でそことの行き来をするのかといった形になったときに、また、違う要請になってくる。
 そのたびに全部読み込んでいたら、いつまでたってもという話で、だから、本末転倒の話ではないのですけれども、ただ、道路というのは、これから先のその地域の生活をどのようにつくっていくのかという、非常に大きな役割を果たすものであると、私は認識しております。何とかこの県内、そうした形の中でしっかりとした道路行政、そして、また、安心して暮らせる河川であり、そうした産業に強い地域をつくるということ、しっかりとそれに取り組んでいただければと思いますので、よろしくお願いします。
〇岩渕誠委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇上澤河川課総括課長 午前中の工藤大輔委員からの御質問に対しまして、私、日本海溝、千島海溝のマグニチュード9.0と言っておりましたが、正しくは、日本海溝のモデルのマグニチュードは9.1、千島海溝モデルのマグニチュードは9.3でございました。おわびいたしまして、訂正いたします。
 いずれにしましても、河川課が行う津波シミュレーションにつきましては、復興防災部にもきちんと提供して、連携して取り組んでいきたいと思います。
〇岩渕誠委員長 工藤大輔委員、御了承願います。
〇臼澤勉委員 私からは、北上川上流域の治水プロジェクトについてお伺いいたします。
 最近、やはり大雨が多くなってきたと思っております。ちなみに、時間雨量50ミリメートルを超える短時間降雨の発生件数は、私が二十歳ごろの30年ぐらい前と比較して、どのようになっているのか。あわせて、県内における短時間降雨の発生地点数も、どのような状況になっているのか、まずお伺いいたします。
〇上澤河川課総括課長 近年の豪雨の状況についてのお尋ねでありました。
 国の資料によれば、全国の時間雨量50ミリメートルを超える短時間降雨の発生件数は、1976年から1985年の10年間で年平均226回であったのに対し、2009年から2018年の10年間では年平均311回と、30年前の約1.4倍に増加しております。
 また、岩手県内の状況としまして、時間雨量50ミリメートル以上の雨が降った地点数は、1980年から1989年の10年間で13地点であったのに対し、2010年から2019年の10年間では41地点と、三、四十年前と比較して約3.2倍に増加したというデータが報告されております。
〇臼澤勉委員 御案内のとおり、北上川は、流域面積あるいはその延長においても東北地方で一番、全国の中でも4番目とか5番目に大きな川であります。ここの流域内の人口が143万人ぐらいだったかな。岩手県も約100万人ぐらいいるのですけれども、万が一、これが氾濫した場合には、氾濫想定区域内に27万人くらいいるということで、非常に大きな影響が出てくるということであります。
 特に、私の住んでいる矢巾町の岩手医科大学とか岩手県消防学校の近くにある、岩崎川とか芋沢川とか、あるいは普通河川整備促進、この辺は流域全体で見ていかなければいけないのかと思っているわけでございますが、新年度以降、どのように対策を講じるお考えかお伺いいたします。
〇上澤河川課総括課長 岩崎川流域の治水整備のお話でありましたが、県が主体となって行う河川整備に加えて、国や地元自治体、利水ダム管理者、森林管理者、住民等のあらゆる関係者が協働して、流域全体で行う流域治水を進めることが重要と考えております。先ほど委員からも、北上川上流域のお話がございました。現在、北上川水系流域治水プロジェクトの策定に取り組んでいるところでございます。
 岩崎川におきましては、平成25年度の豪雨災害を契機として導入した、床上浸水対策特別緊急事業が昨年完成しまして、北上川合流点から煙山小学校付近までの区間は、整備が完了したところでございますが、引き続き、未整備となっております太田川、芋沢川、岩崎川上流など流域全体の安全度の向上を図っていくことが大事かと認識しております。
 令和3年度は、太田川におきましては、堰の撤去、芋沢川におきましては、河道計画の検討、岩崎川上流につきましては、整備に向けた用地買収、そういったもの等を進めてまいりたいと思っております。我々が整備する河川改修とあわせて、普通河川、この岩崎川流域であれば、矢巾町とかになるかと思いますが、町と連携しながら、上下流一体となった治水効果が発揮できるように、流域全体で治水対策を進めてまいりたいと思っております。
 県としましては……
〇岩渕誠委員長 答弁は簡潔に願います。
〇上澤河川課総括課長(続) 失礼しました。今回、策定される北上川水系流域治水プロジェクトのもとで、関係機関と連携しながら、治水対策にしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
〇臼澤勉委員 ありがとうございます。いずれ、県が管理する河川のみでなく、例えば、上流には煙山ダムとか、土地改良で町が管理する施設とかあります。あるいは、山等も森林の整備とか土砂流出の防止とか、そういう全体的な取り組みが必要になってくると思います。
 そこで、市街地に甚大な浸水被害を生じさせないためにも、田んぼダム、水田の貯留を検討すべきだと思っておりますが、調査検討の状況、そして、県はどのように支援していくお考えなのか、お伺いします。
〇上澤河川課総括課長 今、委員から田んぼダムというお話がありました。流域河川に入っていく洪水等を田んぼ等で貯留するということかと思いますが、これも、流域の雨水貯留機能を向上する上では、既存の水田の活用は有効ではないかということがあります。今、策定が進められております、その取りまとめ案においても、矢巾町におきまして、取り組みの一つとして位置づけられるところでございまして、私ども河川管理者とすれば、今後も、さまざま機関と連携しながら流域全体の取り組みを進めてまいりたいと思っております。
〇臼澤勉委員 北上川上流の市や町の中において、行政区の面積に占める水田の割合が、矢巾町は一番高く、37%ぐらいあるのですね。平成25年の豪雨災害とかいう意味においても、一つは、そういう水田の貯水機能も、いざというときは、農地の所有者の方々とも事前調整しながらやっていかなければいけないのかと思っております。
 次に、北上川の堤防の整備率、岩手県の場合は無築堤の箇所は、全体の25%ぐらい岩手県が占めているということでありますが、その上流部における無築堤区間の対策を、県として、国に対してどう働きかけていくのかお伺いいたします。
〇上澤河川課総括課長 北上川流域の本川の部分は国が管理している河川ですが、堤防がない箇所等もありまして、地元からさまざまな要望等をいただいております。私ども県としては、国の整備の促進ということで要望をしております。国の整備そのものにつきましては、現在、河川改修、遊水地、そういったもの等が計画的に進められていると承知しております。
〇臼澤勉委員 さまざま丁寧に見ていくと、例えば上流部分、矢巾町の中でも堤防のない箇所もありますので、引き続き国に、河川課としても、県土整備部として働きかけていっていただきたいと思っております。
 最近、川の緊急浚渫推進事業、まさに単独で自治体が取り組めるようになって、起債の対象にもなったりして進められております。本当にこの効果は絶大だと思って、改めて、県内、管内を回らせていただいて見ておりますが、この緊急浚渫推進事業とかの効果をどのように捉えているのか。そして、新年度以降、どのように取り組んでいくお考えかお伺いいたします。
〇上澤河川課総括課長 緊急浚渫推進事業についてのお尋ねでございました。県では、国土強靱化3か年緊急対策等の補助事業とあわせて、今年度創設された緊急浚渫推進事業を活用して、河道掘削等を推進してきました。また、今年度は、矢巾町を初めとして、県内8市町で41河川、約2億4、000万円の実施が見込まれているところでございまして、実施している市町からは、これまで、予算措置できなかったところのしゅんせつが可能となったというお話を聞いておりました。実際の治水効果等については、これからあらわれてくるのではないかと思っておりますが、そういったお話を聞いております。
〇臼澤勉委員 そういった対策のほかに、ソフト対策で、防災マップあるいは内水のハザードマップの見直しの取り組みも、住民と一緒になってやっていく必要があろうかと思いますが、新年度に取り組む市町村があるのか、あるいは、県の支援はどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
〇上澤河川課総括課長 まず防災マップ及び内水ハザードマップの見直しへの取り組みについてでございます。
 本年2月末現在で、32市町村において洪水、内水、土砂災害のリスクのいずれかを示した防災マップが策定されておりまして、29市町村で洪水リスク、12市町村で内水リスク、32市町村で土砂災害リスクを記載した防災マップが作成されております。
 新年度には、14市町村におきまして防災マップの見直しを実施する予定、9市町で洪水リスク、5市町で内水リスク、10市町村で土砂災害リスクを記載した防災マップの見直しを実施する予定と聞いております。
 県におきましては、市町村の防災マップの作成が進むよう、洪水ハザードマップのもととなる想定最大規模の浸水想定区域図の作成等、そういったものを進めていきたいと思っております。
〇臼澤勉委員 簡易型の河川の監視カメラの設置も今年度進められてきていると認識しておりますけれども、この設置に対する評価、課題、そして、今後、どう取り組んでいくのかをお伺いします。
〇上澤河川課総括課長 県管理河川における簡易型監視カメラについてでございますけれども、令和2年6月24日から、大規模な被害のあった小本川等初め68河川114カ所で、運用を開始しております。通常型の河川監視カメラを含めますと、69河川148カ所でカメラの画像を確認することが可能となっております。
 このカメラの画像は、パソコンだけでなく、スマートフォンでも確認できるということで、水位情報のみに比べて、リアリティー、現実味のある現地の状況を住民にも提供することが可能となりまして、迅速な避難につながっていくということが期待されております。
 国、県、市町村を構成員とする大規模氾濫減災協議会等においても、各市町村からは、洪水時の状況を把握するための参考情報ということで活用されていると聞いております。今後の整備状況につきましては、一旦、おおむね完了したかと思っておりまして、今後、また新しい何かの事情等で設置する必要が生じた場合には、また、取り組んでまいりたいと思っています。
〇臼澤勉委員 いずれ、さまざまな対策、ハード、ソフト必要になってきますし、10年前の東日本大震災津波の教訓、あるいは台風被害で何を我々が学び、そして、県民意識をどう高めていくのかというのは、防災対策においても重要だと思います。
 避難の三原則である想定にまずとらわれない、そして、率先避難する、そして、最善を尽くしていくという、この三つの取り組みのポイントは、新型コロナウイルス感染症にもやはり共通することだと思いますので、ぜひ、県土整備部としても、しっかりとその辺のハードのみならずソフト、そして、意識の高揚に向けて取り組んでいただきたい。
 そして、最後に、県の自転車活用推進計画に絡めて簡単にお伺いしますが、今回、知事演述にも初めてこの岩手県自転車活用推進計画が載ってまいりました。県管理道路における自転車通行空間の整備延長の新年度以降の取り組み、まず、どのようにお考えになっているのかお伺いします。
〇照井道路環境課総括課長 県管理道路における自転車通行空間の整備についてでございますが、岩手県自転車活用推進計画では、令和3年度から令和7年度までの5年間で、矢羽根等の路面表示が設置された自転車通行空間を、県管理道路で16キロメートル整備することを目標としております。
 具体的な整備箇所につきましては、盛岡市自転車ネットワーク計画において自転車通行空間の整備が必要と位置づけられている市街地部の自転車利用が多い道路や、不来方高校を含めまして、県内各地の高校周辺で、生徒の主要な自転車通学ルートになっている道路等を想定しております。
〇臼澤勉委員 町管理道路の岩手医科大学前の四車線道路においても、まさに自転車専用道路の空間も、歩行者と分離してやっております。ぜひ、県の管理道路においても進めていっていただきたい。
 そして、もう一つ、複数市町村にまたがる広域的なサイクリングルートの取り組みについてどのように考えているのか。そして、今、紫波町でも北上川の堤防の工事とか、あるいは今回、徳田橋の改修も進んできております。私もよく、春とかいい季節になれば、自転車で盛岡市まで通ったりさせていただきました。繋までつないでいく、その辺のルートの考え方も含めて、今後、どのように整備していくお考えかお伺いいたします。
〇照井道路環境課総括課長 複数市町村にまたがる広域的なサイクリングルートについてでございますけれども、岩手県自転車活用推進計画では、観光振興の分野において、地域資源を生かしたサイクルツーリズムを推進するため、複数市町村にまたがる広域的なサイクリングルートの整備を推進することとしております。
 このサイクリングルートにつきましては、四つの広域振興局ごとに1ルートずつ設定することを想定しておりまして、利用者が迷わず、安全に安心して走行できるよう、路面表示や看板等による案内誘導サインを整備することとしております。具体的なルートにつきましては、関係団体や市町村と連携し、県道盛岡矢巾自転車道線等の既存の自転車道線の活用もしながら、本県の地域特性を生かした、魅力的なサイクリングルートを検討してまいりたいと思います。
 御指摘の徳田橋とか、矢巾紫波方面から繋方面までの広域的なサイクリングルートでございますけれども、現在、自転車道線として、徳田橋付近から繋温泉まで整備されまして、その南側の区間につきましては、河川改修の堤防の整備状況を踏まえながら、今後、必要な検討をしていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 時間もないので最後に、今、市街化区域拡大の手続を進められております。今回も、高校再編の絡みで、私は、人口の増加に向けての環境整備が進んでいるということで、いろいろと取り上げてはまいりましたが、今のこの都市計画サイドで、今後進められる市街化区域の手続は、どのように進めるお考えか、規模も含めてお伺いしたいと思います。
〇八重樫都市計画課総括課長 市街化区域拡大に係る都市計画上の手続のお尋ねでございました。
 盛岡広域都市計画市街化区域及び市街化調整区域の見直しにつきましては、おおむね5年ごとに見直しを実施しておりまして、現在、第8回となる定期見直しの手続に向けた準備を進めているところでございます。各市町からは、区域の面積や用途の事前相談はございますが、今は、事前相談という段階でもございますので、数字につきましては、具体的にお答えしかねるところでございますけれども、現時点では、国等の関係機関との必要な調整を進めてきたところでございまして、今後、市町から、具体的な市街化区域の拡大案につきまして申し出を受けた後、必要な都市計画手続の実施をする予定としております。
〇吉田敬子委員 県産木材の利活用促進という観点から、岩手型住宅の普及についてお伺いしたいと思います。
 農林水産部では、県産木材の利活用促進を頑張っていただいておりますけれども、住宅施策の中で、いかに県産木材をいっぱい使っていただくかということが大事だという観点で。岩手型住宅は平成20年度から設定されておりますけれども、岩手型住宅賛同事業者は現在92社いらっしゃると思います。令和1年度に、アンケート調査を、急遽昨年末にしていただいて、そのうちの岩手型住宅に賛同している事業者にもかかわらず、県産木材で岩手型住宅を建築されている着工数が23%にとどまっていたということが、12月定例会のときにわかりました。
 これまで10年以上、岩手型住宅の取り組みをされておりますけれども、岩手型住宅自体が県民に対しての認知度も低いのではないか、普及が進んでいないと私自身は認識しておりますが、県の取り組み評価は、どう分析されているかをお伺いいたします。
〇小野寺住宅計画課長 岩手型住宅の取り組み評価についてでございます。
 岩手型住宅につきましては、省エネルギー性能に加えまして、岩手らしさを備えた住宅ということで、定義しております。これまで、平成20年3月にガイドラインを策定しまして、県のホームページとかリーフレットの策定による普及に取り組んできたほか、具体的には、補助の実施をしてきたところでございます。
 補助実施であります、住みたい岩手の家づくり促進事業を指標とした場合には、過去2年間におきましては、当初、計画予定以上の問い合わせをいただくなど、岩手型住宅建設のニーズはあるものと評価をしているところでございます。
 ただ一方、普及が進まないと言われる要因といたしましては、断熱性を求めているところでございますので、その断熱性を確保するための材料とか部材を使用するための建設コストが負担となることや、建設後に実際に省エネ住宅に住んで、電気料金とか灯油の料金が軽減されるというメリットとか、また一方では、冬場のヒートショック等の健康に対する向上性の効果とかの周知が不足しているものと考えております。
〇吉田敬子委員 先ほど私がお話ししました、岩手型住宅自体が23%というところで、岩手型住宅を普及しようという賛同者がいらっしゃるにもかかわらず、なかなか進んでいない現状だということは県も認識しているということだと思います。この10年以上、岩手型住宅という取り組みをされている中で、県産木材だけでなく、もちろん省エネルギー化も含めて、さまざま岩手型住宅を設定しておりますけれども、この10年の中で、見直し等がなかなかされていないのではないか。
 岩手県は北海道と同じくらいの寒冷地であるところの中で、北海道も同じように北方型住宅に取り組んでおりまして、北海道は高断熱、高機密から始まりまして、自然災害への対応、省エネ、CO2削減というところですね。2005年、2010年、2020年と、基準を、性能向上をその都度見直しているわけです。
 そういった中で、北海道が北方型住宅をやりつつ、市町村の中でも、例えば札幌市でも札幌型をやっている取り組みがあるのですけれども、岩手型住宅はなかなか見直しもされていない中で、省エネルギー部分に関しても、県のガイドラインによると、さらなる省エネ性能というところが基準になければいけないにもかかわらず、それより低いランクで、住みたい岩手の家づくり促進の省エネの住宅の支援をしていたりとか、人材がいないことがわかっているのであれば、その10年間で、今までもっとできたのではないかと私自身思っております。
 次世代省エネ基準を満たす住宅の割合の推移も、平成11年が15.7%、そこから平成16年は22.9%という、なかなか進まない状況ではありますけれども、県として、その取り組みを、これまでどう行ってきたのかをお伺いしたいと思います。
〇小野寺住宅計画課長 次世代省エネ基準の見直しにつきましては、国で建築物エネルギー消費性能の向上に関する法律の改正にあわせて、基準の見直しを行っているところでございます。国土交通省の資料によりますと、平成29年度時点で、全国における300平方メートル未満の小規模住宅の省エネ基準の適合率は約62%とされておりまして、県内も同様の状況と考えているところでございます。
 また、県産材の活用とか、地域性への配慮、木質バイオマスエネルギーの活用の実績評価でございますけれども、岩手型住宅の適合に係る実態調査は、普及を図る施策を推進する上で、重要と考えているところでございます。
 ただ一方で、12月定例会における委員からの御指摘を受けて、賛同事業者からの聞き取りにより初めて実態調査を行ったという状況もあります。県といたしましては、今後も、継続して調査を行い、現状と課題の把握に努めながら、分析を進めてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 岩手型住宅を始めてから13年くらいたつわけですけれども、その中で初めて実態調査を行ったということで、何が現場で必要なのか、これから県に対して何に取り組んでほしいかというところが、今回わかっていただいて、来年度につなげることと私は思いますが、以前は、同じように、例えばいわて夢住宅コンクールやいわて環境共生モデル住宅の取り組みで、県として、県産材住宅のPRを行っておりました。実際に県産材を使った住宅を紫波町に建てられて、大体5年くらいモデルハウスみたいなことをやられて、5、000人近くの来場者がその間いらっしゃったというところがあります。
 その当時と比べて、予算的になかなか厳しいのは重々承知ですが、ただ、別の形で、県民の皆様にも岩手型住宅というものがあるというのと、工務店の皆さんだけが岩手型住宅について取り組むのではなく、買う側の消費者が岩手型住宅を知らないと、なかなかここにも届きませんので、岩手型住宅や県産材住宅のよさ、新築、リフォーム含めて広く県民にPRすることが重要と考えますが、新年度の取り組みについてお伺いします。
 着工数についても、できれば、毎年しっかり把握して、県産木材を活用してどのくらいのものが何%、木造率は出ているのですけれども、その中で県産材は何%ということが出ていないので、来年度は、そこを数字として、ぜひしっかり押さえていただきたいと思いますが、お伺いいたします。
〇小野寺住宅計画課長 新年度におきます県民への岩手型住宅のPRの取り組みでございますけれども、本年度にかけまして、県のホームページ上で、岩手型住宅の施工事例を紹介させていただいたほか、昨年9月には、新たな取り組みといたしまして、いわて気候変動チャレンジフェスタ2020におきまして、岩手型住宅のブースを設けまして、PRをさせていただいたところでございます。
 県といたしましては、ことし2月のいわて気候非常事態宣言や4月から施行されます改正建築物省エネ法の趣旨を踏まえまして、岩手型住宅のさらなる普及が必要と認識しておりまして、本年度の取り組みをまず継続していくということで考えております。
 あわせまして、新年度におきましては、若い世代への周知といたしまして、県内中学校の技術家庭科の教材で、枝・家ノート岩手版がございますけれども、こちらに岩手型住宅の掲載がされているところでありまして、引き続き、その普及状況の把握に努めるとともに、省エネなどの関係部局と連携した取り組みを通じまして、PRに努めてまいりたいと考えております。
 これを通じまして、多世代に見たり聞いたりする機会をいっぱいつくらせていただきまして、岩手型住宅の必要性を周知し、普及を図ってまいりたいと思います。もちろん、先ほど答弁いたしましたけれども、その中で、着工数の把握にも努めてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 新築だったり、リフォームするというタイミングは、子育て世代がメーンで多くあると思いますので、そこにいかに県産材を使っている工務店がどこにあって、どういうところだとやれるかというところは、農林水産部ではなかなかできないところですので、何とか県土整備部にお願いをしたいと思っておりますので、新たなさまざま数値の確認等も含めて、やっていただくということですので、ぜひよろしくお願いいたします。
 最後に一つ、災害に強いまちづくりについてお伺いいたします。
 先ほど臼澤勉委員から、防災マップ、ハザードマップ等についての確認がありました。私は、最近大雨被害が多い中で、河川の改修とか河川をしっかり整備することは重要ですが、実際にハザードマップを作成していただいた後に、浸水想定区域にどのくらいの方が実際居住されているのかという把握も含めて、しっかりしていかなければいけないと感じております。全国浸水想定区域の全国の居住者が、2015年時点で3、539万人と、20年前から4%増と聞きました。県内についてどのように捉えているのか、その対策についてお伺いいたします。
 まとめてお伺いいたしますが、県内ではコンパクトシティー化立地適正化計画を策定している市町村が3市、花巻市、北上市、盛岡市があります。居住誘導区域の中でも浸水想定区域がある現状にあります。居住を誘導する区域の中に、既に浸水想定区域があること自体が、私はこれはちょっと課題だと感じておりまして、これから、ほかの市町村でもそういった立地適正化計画を作成していく中で、浸水想定区域がもしある場合に、では、その災害対策として、しっかりそこをやられているのかというところが求められると思いますけれども、県の見解をお伺いいたします。
〇上澤河川課総括課長 浸水想定区域内の居住人口ということでございますが、県内の浸水想定区域内人口は、山梨大学秦らの研究全国並びに都道府県別の洪水浸水想定区域の人口推移によれば、2015年時点で64万人でありまして、20年前から2%減となっているといったところでございます。
 そういった浸水区域内の円滑な避難が進むように、災害時に事前にとるべき行動を時系列で整理したタイムラインを、県管理河川の全ての水位周知河川において、市町村と連携して作成して運用しております。また、河川水位や洪水状況のリアルタイムの画像を県ホームページ等に情報提供しておりまして、こういったもの等を活用して、より円滑な避難につながっていければということでございます。
〇八重樫都市計画課総括課長 立地適正化計画の居住誘導区域での浸水想定区域についてですが、多くの都市では、その発展してきた経緯とか、都市機能の集積状況のさまざまな事情があるため、居住誘導区域から浸水想定区域を完全に除外するには、限界があると認識しております。
 こうした中でも、花巻市では、浸水シミュレーションを行い、浸水が始まる時間と避難場所までの距離を考慮して、避難が可能であると想定される地域を居住誘導区域に含める対応をとっておりまして、仮に浸水想定区域を含める場合には、このような何らかの対策を講じる必要があると考えているところでございます。
 また、国では、昨年9月に都市計画運用指針を改正いたしまして、立地適正化計画において、災害リスクの把握と防災機能の確保のため、新たに防災指針を定めることといたしまして、この方針に基づく具体的な取り組みを位置づけることをしたところでございます。
 御指摘のありました3市につきましてですが、今後、この防災指針の作成を進めると聞いておりまして、県といたしましては、この3市も含めて、これから立地適正化計画を作成する市町村に対しましては、防災指針を定め、計画的かつ着実に必要な防災、減災対策に取り組むよう助言を行っていく考えでございます。
〇名須川晋委員 大きくは2点、いわて花巻空港についてでございます。岩手県空港ターミナルビルの経営状況について、今年度、来年度の経営見通しについてお伺いいたします。
〇今空港管理課長 岩手県空港ターミナルビルの経営見通しについての御質問でございました。
 まず、今年度の経営見通しについてでございますが、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、国際定期便の運休、国内定期便の減便などという状況がございましたので、ビルの施設利用料収入とか、商品の売り上げが大幅に減少いたしましたことから、空港ビル会社では、昨年9月の時点では、赤字決算を見込んでいたところでございます。
 しかし、その後、管理費の節減とか、新型コロナウイルス感染症対策に係る国などの補助金を活用することなどで、最近の見込みですが、最終的には、約300万円程度の黒字となる見込みと、会社からは伺っているところでございます。
 また、来年度の経営見通しについてでございますが、新型コロナウイルス感染症を取り巻く今後の動向について、まだはっきりと見通しが立てられない状況ではございますけれども、航空会社の航空需要見通しなどから、今年度よりは収支の黒字が見込めるのではないかと聞いているところでございます。
〇名須川晋委員 今年度300万円の黒字の見通しということで、これについては安心をしたところでございます。
 一方で、テナントが入っておりまして、お土産物屋とか、あるいはレストランというところで、施設使用料の減免はされていると思いますが、ただ、いかんせんお客様が少ないということで、あけている時間もそれなりに調整はしていると思いますけれども、それでも、赤字になっているという状況でございます。これは100%減免、どこまで減免をされているものでしょうか。
〇今空港管理課長 ちょっとお待ちください。
〇岩渕誠委員長 では、後ほど答弁してください。
〇名須川晋委員 それでは、次でございます。新年度、新規の整備状況が何かございましたら、お知らせください。
〇今空港管理課長 花巻空港における新年度の空港整備の内容についてでございます。
 まず、空港の滑走路の舗装改良工事を、令和2年度に引き続き実施することといたしております。空港の滑走路につきましては、平成16年度に現在の2、500メートルとしているところでございますが、以降、経年劣化によるひび割れ等が発生していますことから、令和5年度までの4カ年で、舗装改修を行うほか、この工事にあわせまして、滑走路の航空灯火の更新工事等も予定しているところでございます。
 また、これとは別に、経年劣化が著しい空港敷地周辺を囲んでいる柵についても、令和2年度から、順次、更新を行っているところでございまして、令和3年度においても、引き続き実施することといたしております。
〇名須川晋委員 今月に入りまして、国土交通省が空港の再生可能エネルギーの拠点化で、検討会を設置するというニュースが入ってまいりました。花巻空港でございますが、脱炭素化に対する計画、再生可能エネルギーの導入など、これまで進めてきたのか、あるいは検討している何かがあるのかということで、環境マネジメントシステムとか、あるいはこの空港はグリーンインフラとしての役割を担っているところもあろうかという、そういう意識を持って、これまで経営をされてきたものかどうかというところを含めて、お知らせいただければと思います。
〇今空港管理課長 花巻空港における空港の脱炭素化、再生可能エネルギー導入の検討についての御質問でございました。
 現在、花巻空港においては、例えば、航空灯火のLED化といった、省エネルギーの対策等を実施しているところでございますけれども、再生可能エネルギー、例えば太陽光システムとかそういったものについては、現在、活用している事例は、残念ながらございません。
 委員から先ほどお話がありましたとおり、今月上旬に、国土交通省で、空港施設、車両からのCO2排出削減のための取り組みを進める。それで、空港の特性を踏まえた再生可能エネルギーの活用を加速させるための有識者検討会を立ち上げたという発表があったところでございます。
 報道等によりますと、今後、この検討会において空港における再生可能エネルギーの具体的な推進方策を検討すると伺っているところでございまして、県といたしましては、この国の検討会等の動きを注視しながら対応等を考えていきたいと思っております。
〇名須川晋委員 花巻空港のテーマソングは、松任谷由美の緑の町に舞い降りて、ということで、皆様、何となく頭に思い浮かぶ曲ではないかと思いますが、いわて花巻空港は緑のまちで、飛行機が発着するというところでございますので、ぜひとも、そういう環境を大切にするということから、国土交通省の今回の再生可能エネルギーの拠点化とする方向も、環境経営という点から、この空港ターミナルビル株式会社もそういう観点を持った経営をされてみてはいかがかと思いますが、これは部長にお伺いいたします。
〇中平県土整備部長 委員の御指摘、大変重要な御指摘だと認識しております。岩手県におきましても、先般、知事がいわて気候非常事態宣言を行うなど、省エネ、再生可能エネルギーの導入に積極的に取り組むとしているところであります。
 私どもは空港管理という立場で、そして、空港ビルもその大事なパートナーであります。その問題を共有しながら、このような問題意識のもと、しっかりと取り組むように、まずは国の動向を注視し、問題意識を共有し、できることを考えていきたいと思っております。
〇名須川晋委員 ジェット燃料も、ミドリムシ由来のものが年内導入されると、飛行機の燃料がそういうふうになってくるという時代でございますので、ぜひとも、いわて花巻空港がそういうところでも乗りおくれるのではなくて、先鞭をつけるような取り組み、そういう視点も経営に持ち合わせていただきたいとお願いいたします。
 もう一点、これは通告しておらなかったのですが、ターミナルビルの3階の送迎デッキに行くところのキッズコーナーについて、もともと狭くて、狭いのは今さらどうしようもないのですけれども、あそこのコンテンツといいますか遊具といいますか、そういう遊ぶものがどうも古くさかったり、中身が非常に貧弱だということを、最近、1歳半の息子と行きまして、気づきました。あそこはどういう発想で管理をされているのかというところを、お伺いしたいと思います。
〇今空港管理課長 3階のキッズコーナーの取り扱いということでございました。申しわけございません。私、委員から、今、御指摘いただくまで、そういう意識を持ってキッズコーナーを拝見したことがなかったものですから、申しわけございません。今度、ぜひ、すぐ、中を確認させていただいて、どういう状況なのか把握しながら、また、実際、管理しているターミナルビルとも相談しながら、どういうふうにしたらよいのか、検討をさせていただきたいと思っております。
〇名須川晋委員 何かクレーンゲームもあったような、ゲームもあったのですけれども、それはそれとして、別にいいのですが、それであれば、もうちょっとお金を落としたくなるような、そういう遊具を置いてくだされば、そういう観覧に来る親、子供もふえてくるのではないかと思いますので、その点について検討を要望して、終わります。
〇佐々木宣和委員 私からは、まず令和元年台風第19号災害からの復旧、復興についてというところで伺いたいと思います。
 議会でも、岩手県議会災害対策連絡本部会議が開かれているところではありますけれども、令和3年度は発災から3年目というところでもございます。まず全体観と、あと、生活に直結する道路の復旧状況、また、令和元年台風第19号は土砂災害が非常に大きいところで、普代村や山田町でも、生活する地域に土砂が流れ込んできたところでもありました。その砂防に関するところ、また、河川の復旧、復興状況というところで伺いたいと思います。
〇菅原砂防災害課総括課長 令和元年台風第19号により被災した公共土木施設、あるいは土砂災害対策の進捗状況等についての御質問でございます。
 まず初めに、災害復旧でございますけれども、県及び市町村合わせまして884カ所のうち、令和3年2月末までに806カ所、約9割に着手しておりまして、そのうち355カ所、約4割が完成したところでございます。これらの公共土木施設の災害復旧につきましては、委員御案内のとおり、発災から3年目ということで、令和3年度の完成に向けて、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、土砂災害対策として進めております砂防設備等の進捗状況でございますが、現在、岩泉町など、沿岸の市町村25カ所におきまして、国の補助事業導入を図り、砂防堰堤などの整備に取り組んでおります。そのうち岩泉町垂水の沢など11カ所で、既に工事に着手しておりまして、令和3年度には、この箇所を含みます災害関連緊急砂防事業を導入した10カ所につきまして、一定の土砂災害対策効果が発現するよう、現在、工事を進めているところでございます。
 残ります岩泉町下中野の沢2など14カ所につきましては、今年度、国の砂防激甚災害対策特別緊急事業の採択を受けまして、現在、測量、地盤調査、設計等を鋭意進めているところでございます。令和3年度の工事着手に向け、今後、引き続き取り組んでまいります。
〇佐々木宣和委員 本当に3カ年というところで、しっかりと事業を進めていただきたいというところですし、砂防に関して言えば、先ほど紹介した普代の沢だったり、山田町のところでも、ワイヤーネットをつけていただいて、緊急的に対応する対策もしていただいているというところで、非常にありがたいと思っているところでございます。
 次に行きます。水防災意識社会に向けた取り組みというところで伺っていきたいと思います。
 この取り組みに関して言えば、平成27年の鬼怒川の氾濫がありまして、水防災意識社会再構築ビジョンが策定された。平成28年台風第10号災害がありまして、この発想を中小河川でも広げていく必要があるのではないかというところで、平成29年6月19日には、大規模氾濫減災協議会の創設を初めとする水防法等の一部を改正する法律が施行というところで、三陸圏域または馬淵川、北上川のところで、組織立てをして、5カ年の計画を立てて、これを実行していくというところであったかと思います。
 その5カ年の取り組み状況というところの進捗、個別の話ではなくて、全体のところで、どのぐらい進んでいるのかというところを、まず伺いたいと思います。
〇上澤河川課総括課長 大規模氾濫減災協議会における5カ年の取り組み状況についてのお問い合わせでございました。
 これまで、水位周知河川の指定、水位計設置、想定最大規模の洪水浸水想定区域指定、そういったもの等について取り組んできておりまして、おおむね達成できる見込みということで考えております。
〇佐々木宣和委員 立てた計画がしっかりと消化されているというところでございまして、先ほど臼澤勉委員の質疑の中でもありましたけれども、簡易型河川監視カメラ等々の設置もありまして、もともとの画像提供箇所数も4倍になったというところだったり、水位計の設置も325カ所設置して、従前の3倍以上になった、観測網も3倍になったというところで、非常にありがたいところでございます。
 今度は、これをどうやって生かしていくのかというところでもありますけれども、先ほど河川課総括課長がおっしゃられたとおり、大体5カ年の計画は順調に消化して、数字が積み上がってきているというところでございます。来年が最終年というところでありまして、この5カ年の計画が終わった後、どういった取り組みをするのかというところを伺いたいと思います。
〇上澤河川課総括課長 委員御指摘のとおりでございまして、現在の5カ年計画は、令和3年度までの計画となっておりまして、令和3年度中に、関係機関と調整の上、次期の5カ年計画を策定していきたいと思っております。
〇佐々木宣和委員 そうだと思うのですけれども、例えば水位周知河川、要望されている箇所もあるので、それを入れていくというのもあるのですが、大体大きな目標に関しては達成したのかなというところでもあって、次にどうするのかというところで、同じような話を積み上げていって、その目を細かくしていくという発想もあるかと思うのですが、今度は、これをどう使って周知させていくのかというところにも取り組んでいく必要があるかと思っているところでございます。
 次の質問ですけれども、国でも、令和2年7月に、流域治水に向けて考えていく必要があるのではないかという必要性が示されているところでございます。ですけれども、この流域治水について、どのような取り組みを今されているのかというところと、今後の予定を伺いたいと思います。
〇上澤河川課総括課長 流域治水の取り組みの状況ということでございますが、岩手県の1級水系、北上川水系と馬淵川水系については、流域治水協議会を設置しまして、現在、治水プロジェクトの策定に向けて取り組んでいるところでございます。
 2級水系につきましては、私ども県が管理する河川になりますけれども、小本川水系の流域治水ということで、令和3年2月5日に、岩泉町役場、宮古農林振興センター、岩泉土木センターから構成される小本川水系流域治水協議会を開催し、流域治水プロジェクトとして取りまとめているところでございます。ほかの県北の久慈川水系、または、宮古市の閉伊川水系、釜石市の甲子川水系、陸前高田市の気仙川水系でも、モデル的に、そういった取り組みを来年度進めていきたいと思っております。
〇佐々木宣和委員 小本川ではもうやっておりまして、その他4水系、モデル水系を選んで、流域治水プロジェクトを目指して、作業を進めていくという形かと思います。
 前段でも触れましたけれども、5カ年の計画を立てて、いろいろな事業がしっかりと積み上がってきたというところで、これをどう生かすのかというところでもありますし、私は、大規模氾濫減災協議会とこの流域治水の組織体との役割の分担というか、そういったものが少しわかりづらいのではないかというお話もさせていただきました。
 この流域治水に関しては、どちらかというと、その地域の方々がこれまで積み上げてきたものを、しっかりと生かすような体制に流すイメージの取り組みをすれば、効果があるのではないかと思っているのですけれども、この大規模氾濫減災協議会と流域治水協議会の違いについて、国は整理しているというところかと思いますけれども、県で、どのような考え方で取り組んでいくのかというところを伺いたいと思います。
〇上澤河川課総括課長 流域治水プロジェクトということで、小本川の流域治水プロジェクトにつきましては、河川改修、砂防堰堤整備、氾濫を防ぐための対策ということで、被害対象を減少させるための対策として、岩泉町で、災害危険区域の設定、被害の軽減、早期復旧のための対策として、町民を対象とした防災士養成講座の開催、企業や住民による避難対策、そういったもの等を、こういった流域治水プロジェクトの取り組みが始まる前に取り組んできたということです。
 ここには、町民等を交えた取り組み、そういった減災のための取り組みがなされてきておりましたものですから、国の動向等を踏まえながら、県としても流域治水プロジェクトと先ほどの大規模氾濫減災協議会、そういったものとのすみ分け等については、今後、整理していきたいと思いますが、小本川の取り組み等を、他の水系でも取り組んでいける、こういったようにやっていきたいと思っております。
〇佐々木宣和委員 同じ焼き直しで、意味のないところになると本当によくないかという思いもあって、質問させていただいたところでございます。
 午前中にもお話がありましたけれども、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策が終わって、5か年加速化対策に移っていくというところ、そしてまた、河川の防災、減災に関する動きとしても、流域治水プロジェクトを走らせていくというところでもございます。
 我々の地域は東日本大震災津波もありましたし、平成28年台風第10号災害、令和元年台風第19号災害というところで、相次ぐ災害を受けているわけでございますけれども、何とかこの災害に屈しないふるさとづくりを、しっかりと進めていただきたいところでございます。部長に所感を伺って、終わりたいと思います。
〇中平県土整備部長 先ほどの大規模氾濫減災協議会と流域治水プロジェクトの違いを、少し補足させていただきますと、大規模氾濫減災協議会は、どちらかというと行政機関同士の横の広域的な連携を強める場。
 そして、流域治水プロジェクトは、流域の地域ごとの住民を含めて、一体となって、地域の力を発揮している場ということで、そういった役割の分担があろうかと思いますので、両輪として、しっかりと生かしていきたいと思っております。
 そして、この流域治水は、まさに施設の規模を超える洪水が当たり前のように発生してまいります。これまで、ハード、ソフト一体となってという言葉がありましたが、施設メニューをそろえるということではなくて、それに取り組む主体に着目したものが、流域治水でございます。この一人一人の主体が連携してやることが、流域治水でございますので、この予算もしっかり活用しながら、水害に強いまちづくり、地域づくりに、河川管理者としても寄与してまいりたいと思います。
〇千葉盛委員 まず災害時の応急仮設住宅の整備についてお伺いいたします。
 応急仮設住宅について、市町村との調整や場所の選定、確保、みなし仮設住宅など、どのような整備計画となっているのか、まずお伺いいたします。
〇辻村技術参事兼建築住宅課総括課長 災害時におきます応急仮設住宅の整備につきましては、建設場所、戸数などの具体な条件につきまして、被災を受けました市町村から提示を受けて、県が整備を行うこととなっているものでございます。この建設候補地につきましては、あらかじめ、市町村がリスト化しているものでございます。
 また、みなし仮設住宅でございますけれども、これは、東日本大震災津波の際に、一刻も早く被災者の仮の住まいを確保することが必要であったことから、民間賃貸住宅を借り上げまして、仮設住宅とするみなし仮設住宅が、新たに制度化されたところでございます。これは新しい制度でございます。
 このため県では、みなし仮設住宅の供給を迅速、円滑に供給することを目的に、県内の賃貸住宅関係団体─社団法人岩手県宅地建物取引業協会、社団法人全日本不動産協会岩手県本部─の2団体と、情報提供、媒介業務に係る協定を締結しているところでございます。
〇千葉盛委員 市町村がリスト化しているというのと、あと、民間団体と提携しているということですが、いざとなったときにすぐに、できるだけ早く態勢がとれるような環境は、日ごろからつくっておかなければいけないと思うのですけれども、そこはどうなっているのかお伺いいたします。
〇辻村技術参事兼建築住宅課総括課長 まず、建設タイプの応急仮設住宅でございますけれども、これは、基本は、プレハブ協会のリースによる建設になっております。プレハブ協会とも基本協定を結んでおりまして、災害時に連絡をとりまして、その整備の態勢を整えていただくということは、既にやっております。
 また、民間賃貸住宅を借り上げるみなし仮設住宅でございますけれども、これも、災害等に備えまして、非常時に入居可能な賃貸住宅のデータを提供していただく形で、それをお願いすることでの協定を締結しているところでございます。
〇千葉盛委員 一応被災の経験のある県として、災害前にできるだけ備えておいていただきたいです。例えば、市町村とこういうどこどこの地域のみなし仮設住宅になれる住戸が、どういうところがあるかというのも、1年なのか半年なのかわからないですけれども、定期的に更新していくようにそろえて置いている県もあります。
 その用地をどこに建てるのだと。内陸で起こるのか、沿岸で起こるのかわかりませんけれども、ましてや、東日本大震災津波のときもそうですが、沿岸から内陸の仮設住宅に入った方もいらっしゃいました。そういったところについてふだんからの少し用意しているのかどうなのか、していないのであれば、さまざまな災害に備えて、いろいろな対策は必要だと思うのですけれども、その辺についてお伺いいたします。
〇辻村技術参事兼建築住宅課総括課長 委員から御指摘ありましたとおり、東日本大震災津波におきましては、あらかじめ、市町村がリスト化しておりました建設候補地が、実際、津波により浸水被害を受けたために、用地確保に難航した経験がございます。近年は、特に大雨による洪水とか、土砂崩れ等の災害が各地で発生しております。
 県といたしましては、東日本大震災津波のこういった教訓も踏まえまして、例えば建設候補地の選定等について、市町村と連携できる仕組み等を、今後、検討していきたいと考えます。
〇千葉盛委員 わかりました。できるだけ早く態勢を整えていただければと思います。この間も出ていましたけれども、モビリアのときの話ですかね。伊藤勢至委員がおっしゃっていましたけれども、東日本大震災津波のときに、学校の校庭が仮設住宅で使われたということで、しかも、長期にわたる期間ということで、本当に子供たちも大変気の毒な状態となっておりました。用地の選定は、本当に必要だと思いますし、いざそうなったときに、連絡がとれる体制なのか、とれない体制なのかということもあります。
 空き住戸は、災害時だけでなくて、ふだんから調査をしておいて、使える場所を調べておくというのは、いろいろなことにも活用できると思いますので、この辺はしっかりとよろしくお願いしたいと思います。
 次に、国内外のクルーズ船の寄港についてお伺いいたします。
 コロナ禍において、クルーズ船の寄港が中止されてきましたが、寄港中止による影響をどのように分析されているのか、また、今後の寄港予定と、県の受け入れ態勢や、寄港地の対応について、どのようになっているのかお伺いいたします。
〇大久保港湾課総括課長 クルーズ船の寄港中止による影響についてでございますが、昨年は、計12回の本県への寄港が発表されておりましたが、コロナ禍を受けて、全て中止となっております。国内クルーズは昨年11月に再開しておりまして、この3月に、計4回の本県への寄港が発表されておりました。しかしながら、再度の緊急事態宣言の発出等により、中止となってしまったものでございます。
 クルーズ船の寄港は、港を核とした、地域のにぎわいの創出に寄与するとともに、地域経済の振興の面からも、大きく貢献しておりまして、寄港中止により、観光消費などへの影響があったものと認識しております。
 また、今後の寄港予定についてでございますが、現時点では、クルーズ船社の発表によりますと、今後、7月までの間に、飛鳥IIとぱしふぃっくびいなすが、宮古港と大船渡港にそれぞれ4回、久慈港に1回の合計9回の寄港予定となっているところでございます。
 また、県と寄港地の受け入れ態勢と対応についてですが、昨年11月の国内クルーズの再開に当たりまして、日本外航客船協会などが、ガイドラインを作成しております。このガイドラインに基づき、先月2月に、保健所を含む県と港湾所在市で構成する岩手県クルーズ船寄港受入協議会を設置し、同月に第1回の協議会を、リモートにより開催しております。その協議会の場において、クルーズ船社から、感染拡大予防の取り組みの説明を受けた上で、万全な受け入れ態勢となるよう、寄港受け入れに係る課題等について、意見交換を行ったところでございます。
〇千葉盛委員 できれば、寄港が中止になったことで、どういう経済的な影響があったのかというところを調べていただければと思います。
 今後、クルーズ船の寄港をふやしたり、県内経済を活性化していこうとした中でのコロナ禍で、計画では、今後、国内外のクルーズ船の誘致、寄港拡大について取り組んでいくのですけれども、これから、どういった取り組みになっていくのかお伺いいたします。
〇大久保港湾課総括課長 今後の取り組みについてでございますが、国内のクルーズ船の誘致につきましては、日本の船舶を運航する郵船クルーズ、日本クルーズ客船、商船三井客船の3社に対し、港湾所在市や観光部局と連携し、企業訪問などのポートセールスを展開していきます。
 また、外国のクルーズ船の誘致につきましては、今後、政府の外国船社のクルーズに係る判断等を踏まえながらとなりますが、船社における寄港決定地のキーマンの招請等を行い、本県の港湾の利点や、おもてなし、周辺観光地の魅力、安全・安心な受け入れ態勢についてPRして、大型クルーズ船を初めとした、さまざまなタイプのクルーズ船の誘致に取り組んでいくこととしております。
〇千葉盛委員 そうすると、これまで同様の取り組みだと思うのですけれども、ダイヤモンドプリンセスの感染拡大のイメージが強くて、なかなかクルーズ船を受け入れにくい環境もありますので、その新型コロナウイルス感染症の対策をしっかりとしていただきたいのです。
 例えば秋田県では、国内のクルーズ船は受け入れを再開するということで、秋田県独自のしっかりした感染対策ガイドラインもつくっているようですので、その辺はしっかりとやっていただきたいですし、先ほども言いましたけれども、寄港によって、どういった消費喚起、経済が拡大するようなことになっているかというのを、もうちょっと分析して、その辺をしっかりとお願いします。
 そして、今、外国クルーズ船のお話もありましたけれども、こちらもコロナ禍で、今までどおり誘致拡大に向けてということですけれども、将来的なことを考えれば、それでいいと思うのですけれども、去年も、北欧のクルーズ船で新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生しておりますので、その辺はどのように認識して、寄港拡大に向けて取り組んでいくのか、もう一度お願いいたします。
〇大久保港湾課総括課長 ダイヤモンドプリンセスにおきましてクラスターが発生して、クルーズ船については、全てのクルーズが中止になったわけでございますけれども、それを受けまして、受け入れる側の寄港地とターミナルビル等の新型コロナウイルス感染症対策につきまして、日本港湾協会が、ガイドラインという形で取り扱いを示しております。
 また、クルーズ船社側におきましては、先ほど申しましたとおり、日本外航客船協会がガイドラインを作成し、各船社ごとにマニュアルを作成しております。そのマニュアルにつきましては、日本海事協会が審査、認定することになっておりまして、クルーズの再開につきまして、万全の態勢、第三者が確認できるような状況となっております。
〇千葉盛委員 よろしくお願いいたします。
 では最後に、省エネ性能の高い住宅の普及推進についてお伺いします。二つ一緒にお聞きします。
 岩手県の省エネ住宅の普及状況と課題についてと、建築士や工務店の省エネ基準に対する習熟度の状況と、県が行っている講習会による成果についてお伺いいたします。
〇小野寺住宅計画課長 省エネ住宅の普及状況と課題についてですけれども、まず、県内省エネ住宅の普及状況につきましては、改正建築物省エネ法の施行後、国土交通省の資料によりますと、全国における小規模住宅─300平方メートル未満の建築物─における省エネ基準の適合率は62%とされているところでございます。このことから、県内の状況も同様と推定しているところでございます。
 また、課題につきましては、省エネ住宅の必要性のPRとあわせまして、建築士や工務店における省エネ基準に習熟した人材育成の必要があるところと認識しているところでございます。
 また、省エネ基準に対する習熟度の状況でございますけれども、国土交通省が平成29年に実施したアンケートにおきましては、建築士や中小工務店とも、習熟状況は、まだ5割という形になっているところでございます。
 次に、県が実施いたします講習会による成果でございますけれども、県では、知事が指定する講習会で、省エネ基準に関するプログラムを、平成30年度から追加して実施しているところであり、これまでの受講者は167名となっております。
 また、本年4月から、改正建築物省エネ法の施行に向けまして、国が本年度開催しております、省エネ法基準のオンライン講座のテキストの配布につきましても、県内において、400セット配布しているところでございます。
 このような状況を踏まえまして、建築士、工務店につきましても、習熟度はある程向上してきているものと認識しております。
〇千葉盛委員 今、習熟度が向上してきていると。5割というのは、岩手県が5割ということなのか。
 私は、岩手県では、岩手県基準の省エネ基準ではなくて、もう少し高いところの基準で、ゼロエネルギーハウスとか、そっちを目指していってほしいのですけれども、そういった意味で、県内の工務店とか建築士は、どれほどそういった住宅建設をしていける状況なのか、その辺を教えてください。
〇小野寺住宅計画課長 国では、省エネ性能にすぐれた住宅を普及するということで、地域型住宅グリーン化事業をやっております。こちらにつきましては、原木の生産者から工務店等の利用者までのグループを国で採択いたしまして、住宅建設費用を支援することで、良質な住宅の普及を図っているところであります。
 本年度におきましては、本県から20グループが採択されている状況でございまして、断熱性やエネルギー消費にすぐれた住宅の供給に対する取り組みも、県内の建築士において、ある程度進んでいるというところでございます。
 それから、建築士、工務店の習熟度が5割というところですけれども、こちらは、全国の工務店等につきまして、国が調査した結果ということでございます。
 県におきましても、大手工務店につきましては、やはりある程度、もっと、それこそ5割以上進んでいるものと考えておりますけれども、地場の工務店におきましては、なかなか進んでいない状況があると考えております。
〇千葉盛委員 地場の工務店の習熟度が増していかない理由について、教えていただきたいですし、そういったところも含めて、環境整備をしていかなければいけないと思います。
 他県では、8割くらいそういう地場の工務店が習熟していると。それは、ほかから大手ハウスメーカーが入ってきて、市場を奪われてしまうから、そうやって県の政策として、それに負けないように講習会等をやっている。そういったこともやっているので、もう少し講習会等で習熟度がアップしていくように、推進していくべきだと思いますけれども、その辺についてお伺いいたします。
〇小野寺住宅計画課長 県内の建築士、工務店の習熟度のアップにつながる取り組みというところですけれども、現在、県は、先ほど申し上げました講習会をやっているところでございます。
 また、一方では、国の改正建築物省エネ法がことし4月から施行されるという状況がございますので、取り巻く環境といたしましては、省エネを進めなければならないという方向に進んでいるところでございますので、こちらにつきましては、県でも建築士会とか関係団体と協議をしながら、その習熟状況もあわせまして、状況を把握して、どのような取り組みが効果的なのかというところを検討してまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。

午後2時30分 休 憩

午後2時47分 再 開

〇岩渕誠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇今空港管理課長 先ほど、名須川晋委員から、空港ターミナルビルに入っているテナントへの減免支援の関係についての御質問がございました。
 ターミナルビルにおきましては、航空会社、売店、バスやレンタカー会社などがビルにテナントとして入居しておりますが、それぞれのテナントの状況に応じまして、10%から30%の間で賃料を減免いたしております。また、その他管理費とか施設利用料などについても、空港ビル会社で減免をしていると聞いているところでございます。
〔「設置スペースのほうは。それは後でいいです」と呼ぶ者あり〕
〇岩渕誠委員長 後ほど確認をしていただきます。御了承いただきたいと思います。
 質疑を続行いたします。
〇千葉秀幸委員 私からは、依然ふえ続ける空き家問題について、質問させていただきます。
 平成30年の住宅土地統計調査によると、現在把握されている空き家は、岩手県においては9万3、500世帯ということで、2013年と比べて1万7、200戸増加しているという状況でございます。依然として、右肩上がりの状況が続いているというところ、さまざまな要因があるわけではございますが、まずは平成26年11月に空家等対策の推進に関する特別措置法が国会で成立されたということで、さまざまな対策を打ち出しやすくなったのではないのかと思っております。
 それでも、実際、なかなか歯どめがかかっていないという状況にあって、まずは法案が成立されたことによって、これまで県が行ってきた取り組み、そして、現状をどう分析しているかについてお伺いをいたします。
〇小野寺住宅計画課長 空家等対策の推進に関する特別措置法施行以降のこれまでに行ってきた県の取り組みということでございますけれども、法の規定では、県においては、市町村への支援とか連絡調整を行うことが規定されております。これを踏まえまして、人材育成を目的とした空き家活用人材育成支援事業を、平成27年度から平成29年度にかけて、実施してまいりました。
 それからあわせまして、市町村や不動産業界の関係団体がメンバーとなります岩手県空家等対策連絡会議を平成28年度に設置いたしまして、空き家の管理や活用に係る県内の先進事例の情報共有や連絡調整を行っているところでございます。
 空き家の状況の分析につきましては、委員御指摘のとおり、調査のたびに増加しているところがありますので、こちらにつきましては、引き続き何らかの対策が必要と認識しております。
〇千葉秀幸委員 了解いたしました。法案が成立される前は、持ち主を特定できない空き家の数も多かったので、行政側もそこへの対応が困難であったのかと思っております。それにより、その空き家に、例えばハクビシンが入ったりとかすみついたり、草が伸びたり、倒壊の危険性があったということであります。
 制度が改正されたことで、それらの危険な空き家への対処は、何らかの形で行えているということですね。ということは、特措法が成立されたことで、対処していない空き家は、今現在はないという認識でよろしいでしょうか。
〇小野寺住宅計画課長 地域の衛生環境に悪影響を及ぼすような空き家につきましては、今のところ、県で把握はしておりません。ただ、所有者に対して、そのような地域に悪影響を及ぼす空き家とならないように、適切な管理指導が必要とを考えておりまして、平成30年度におきましては、所有者に向けまして、空き家について、適正に管理を促すリーフレットや、空き家を活用した事例集を作成しているところでございます。
〇千葉秀幸委員 なかなか改善が図られていないということで、この対応にはまだまだ時間がかかるのかなという気がいたしました。
 それでは、空き家について何らかの対策を講じるべく取り組んだ住宅ストックリノベーション事業についてお伺いいたします。
 この事業は、空き家活用、適正管理の普及啓発を目的として、セミナーを開催された事業でありますが、これらのセミナーを行っての成果、それから、空き家を抱える方に、どのような理解を示すことができたのかについてお伺いいたします。
〇小野寺住宅計画課長 空き家活用促進事業の成果についてですけれども、こちらにつきましては、毎年度セミナーを開催しているところでございます。空き家の活用事例、それこそリノベーションとか、それから空き家の適正管理にについて不動産団体に対するセミナー等を行っているところでございまして、成果といいますか、こちらの効果によって、空き家がどれぐらい減少したかというのは、これから調査等で把握されるという形で、考えているところでございます。
 また、空き家の流通活用を念頭に、空き家バンクの活用に係る研修会を行う空き家情報利活用促進事業とか、空き家を取得するための支援事業を予算化して、本定例会に提出させていただいているところでございます。
〇千葉秀幸委員 実際は、放置してはいけないとわかっていても、解決法がわからずに放っているという声も非常に多いところでございます。ぜひとも、空き家バンク等々ありますから、それらを活用することのメリットを伝えていただきながら、まずは空き家を放置しないこと、そこへの周知、働きかけをよろしくお願いしたいと思っております。
 次に、今年度、新たに始める県営住宅活用促進モデル事業について、事業内容と、この事業に期待する効果についてお伺いいたします。
〇小野寺住宅計画課長 本年度から始めます県営住宅活用促進モデル事業についてですけれども、まず事業内容につきましては、本事業は、本来、住宅に困窮する収入の少ない方への住宅の提供を目的といたしました、既存の県営住宅を本来の目的以外の使用ということによりまして、既存の住宅にインターネット環境を整備し、若者の入居により、地域の課題を解決しようというものでございます。こちらにつきましては、年度末には、その入居された方につきまして、また、地域へアンケートを実施いたしまして、その効果を検証を進めるものでございます。
〇千葉秀幸委員 今年度から始めるということで、期間は3年間ですね。(「新年度」と呼ぶ者あり)新年度、失礼しました。期間は3年間に及んで、調査をするということですね。
 今の若い人たちは、アパートや貸家にしても、第一の基準に、きれいかどうかというのを非常に重視するという話も聞いております。Wi−Fi等を整備したことについては、非常にいいことだと思いますが、果たして、入居者が来るのかなということで、成果について、今後も注視をしていきたいと思っております。
 最後でございます。今般の大雪による河川の氾濫が非常に懸念されるところでございます。県南の山間部に降り続いた大雪が、春先に、まさに、これから解けて河川に流れ込んできます。近年、ゲリラ豪雨や大雨によるまとまった雨が、今回、大雪によって解けた雪と同時に河川に流れ込むようなことがあると、冠水が懸念されますが、その点の県の認識と対応についてお伺いします。
〇上澤河川課総括課長 大雪による河川氾濫への備えということでございましたが、県では、日常、河川の巡視をやっております。夏場の出水期のみならず、ことしのように大雪があった場合には、その雪解け時の出水がありますから、ふだんの河川巡視で状況の把握に努めているところでございます。
 あわせて、気象庁から大雨洪水警報等の気象警報等が発表されていない状況等においても、雪解け水等の水位の上昇によって、水防警報等を発表することもありますから、水位計とか河川の監視カメラ等によって、河川の状況把握を行っているところでございます。
 例えば、先日の3月14日から15日にかけての降雨においては、大雨洪水警報が発表されていない状況の中で、4河川で、水防団待機水位を超過したことで、水防警報を発表しまして、関係機関への通報によって警戒体制を構築したといったことがございました。
 今後も、引き続き、雪解けの出水等に備えるために、関係機関と連携しながら、適切に対応してまいりたいと思います。
〇千葉秀幸委員 先ほど郷右近委員も取り上げましたが、県南は昨年等も大雨、ゲリラ豪雨によって北上川流域を中心に、河川の氾濫が続いているのですが、今回新たに、大雪による出水があると、非常に被害が大きくなるのかなということを懸念しておりますので、引き続き適正な管理体制により取り組みのほうをよろしくお願いいたします。
〇米内紘正委員 私も県営住宅活用促進モデル事業についてお聞きいたします。
 この事業は、全国各地で老朽化した公営住宅がデッドストックとなって、廃墟化して、問題となっている中で、目的外使用を認めたというところで、モデル事業ではありますが、大きな一歩なのかと考えております。
 そこで、まず、当事業の来年度の具体的な運用方針です。当事業は、低廉な家賃で貸し出すかわりに、地域コミュニティー、自治会活動などの参加をお願いするというものです。そうなるとやはり地域コミュニティーとの調整をどういった形で、地域コミュニティーと連携をとっていくか、そもそもどういうふうに入っていくのか、あるいは居住者との面談をどうするのかといった問題があるかと思うのですけれども、この辺の方針に関して、もし決まっているものがあったら、お聞かせいただければと思います。
〇小野寺住宅計画課長 県営住宅活用促進モデル事業の具体的な運用方針でございますけれども、先ほども答弁いたしましたとおり、モデル事業の対象住宅につきましては、既存の県営住宅を活用して、住宅選択において、ニーズの高いWi−Fi設備の整備を考えております。
 入居の対象といたしましては、移住、定住を希望する方を含む18歳から39歳までの若者を対象としております。また、入居におきましては、県営住宅の団地、または地域の自治会の活動に参加していただくことを入居条件とすることで考えておりまして、これによりまして、地域コミュニティーの活性化等にも寄与しようと考えております。
 それから、地域との調整につきましては、例えば、住宅団地の再生に、民間主導で取り組んでいる盛岡市松園地区におきましては、団体の方との意見交換の実施とか、盛岡市とも連携して、取り組みを進めたいと考えているところでございます。
 その上で、年度末には、入居者と地域の方からアンケート調査を行い、事業の有効性や改善点を検証していくと、考えているところでございます。
〇米内紘正委員 今回は、運営母体というか、入居者との調整に関しては、モデル事業全体で30戸ということで、県もいろいろ携わってできるかと思うのですけれども、もし仮に、このモデル事業が、来年度以降、本格的に県全体に広げるとなったときに、やはり県だけの力ではなかなか調整等できないと思います。
 なので、当事業においては、まちづくりにおいてもそうですけれども、地域コミュニティーが主体となって、積極的に参加していく事業なのかなと。それに対して、県は規制を緩和していってもらえるものなのかと感じております。
 国土交通省で進めている住宅団地再生事業においても、モデル地区に選ばれたところは、全国全て、やはり地域の方の主体的な、積極的な活動への参加があって、そこに対して、自治体、市、県、国が手を差し伸べていく、そういった形になっておりますので、そこのところを、この1年間、モデル事業を通して、ノウハウを蓄積していっていただけたらと思います。
 そこで、再来年度以降、どうなるかわからないですが、1年間その検証をして、もし仮に、事業が成功したという場合は、今後、このモデル事業のどういった展開が考えられるのか、お聞かせいただけたらと思います。
〇小野寺住宅計画課長 モデル事業の今後の展開ということでございますけれども、入居に関する問い合わせなどの状況から、継続的な入居が見込まれると判断されるとともに、入居者と、あわせて地域の皆様にお願いするアンケート調査から、その事業の有効性や必要性が確認された場合につきましては、既存県営住宅が所在する地域の課題解決への有効性を検討しながら、拡大を検討してまいりたいと考えております。
〇米内紘正委員 今は、多分、学生等は対象になっていないと思うのですけれども、ぜひ、学生などにも枠を広げながら、いろいろな展開を見据えていただけたらと思います。
 質問の順番は前後しますけれども、次に、公営住宅維持管理整備費について、今の問題とかかわってお聞きします。
 この事業は、基本的には、団地の長寿命化を図るものですけれども、来年度14億円計上されております。今後、県営住宅のそういう活用促進モデル事業の展開もにらみながら、単なる長寿命化ではなくて、相乗効果が生まれるような、一つのアイデアを加えた活用の仕方が考えられると思うのですけれども、この辺はどう考えていらっしゃるでしょうか。
〇辻村技術参事兼建築住宅課総括課長 公営住宅維持管理整備費における予算の活用についてでございます。
 災害公営住宅の全戸数完成に伴いまして、岩手県では、管理戸数が大幅に増加しております。また、既存の公営住宅の老朽化の進行に伴いまして、維持管理コストの増加が、今後、見込まれるところでございます。
 一方で、既存の公営住宅ストックを、目的外使用の手法によりまして、地域の課題に活用する新しい取り組みも全国的に始まってきているところでございます。
 県といたしましては、これからの少子高齢化、人口減少、地域コミュニティーの衰退といった社会情勢の変化を踏まえまして、従来の公営住宅の長寿命化にとどまらない、既存公営住宅の活用についても、先進事例を研究するとともに、岩手県における実施の可能性について、検討を深めてまいることを考えております。
〇米内紘正委員 ぜひ、全国の先進事例を研究しながら進めていただけたらと思います。9月の決算特別委員会のときにも申し上げましたけれども、PFIや、また、新たな手法として、LABV─ローカル・アセット・バックド・ヴィークル、一つの目的ではなくて、多目的に、収益施設とか高齢者施設とか育児支援施設とか、そういうのを複合的に官民連携して進めていくという手法も、今かなり進んできているので、予算がない中でありますので、県は持っているストック、公有資産をうまく活用しながら、地域の活性化につなげていっていただけたらと思います。
 次に、住宅ストックリノベーション事業費についてお聞きします。
 この事業費の中に、空き家バンクへの支援等が組み込まれていると思うのですけれども、現在の市町村の空き家バンクの現状と課題認識についてお聞かせください。
〇小野寺住宅計画課長 市町村の空き家バンクの現状と課題の認識についてでございますけれども、県内の市町村におきましては、昨年10月末時点で、28市町村におきまして、空き家バンクが運営されており、249件の物件が登録されているところでございます。
 なお、28市町村で、県内全市町村ではないということで、バンクの運営の有無とか、バンクに対する登録物件数が、0件から41件と、それぞれの自治体によって差があることが課題であると認識をしているところでございます。
〇米内紘正委員 空き家バンクという言葉が、空き家対策として、いろいろなところで出てくるのですけれども、その中身を見ていくと、盛岡市も、売買物件だと1件しかないのです。盛岡市も、空き家バンクを通じて取得した場合には、リフォーム等に対する補助金等あるのですけれども、そもそも1件しか登録されていないので、選択肢に上がりづらい。
 では、誰がその市の空き家バンクを見に行くかというと、誰も見に行かないのです。基本的に、不動産情報を調べるときは、皆さんは大手の不動産情報サイトから行くと思うのです。そこで、大手の不動産情報サイトとの連携については、今、県内はどのような状況になっているかお聞かせください。
〇小野寺住宅計画課長 大手の不動産情報サイトと市町村の空き家バンクの連携につきましては、国が公募選定いたしました、民間による全国版の空き家バンク─これは日本全国どこからでも岩手県の情報が見られるものになりますけれども、こちらにつきましては、県内の20市町村が登録している状況と把握しております。
〇米内紘正委員 そうですね。私も調べてみたのですけれども、20市町村かな、それぐらいだったのですけれども、空き家バンク制度をやっている市町村は、まずこことは連携しなければいけないのかなと。
 その上で、ここの問題ですね。空き家バンクを活用するとなっても、結局、登録件数が少ないから、今は全く機能していない状況だと思います。そこで、県が、今回の予算で、空き家バンクの支援というところでも入っているわけですけれども、まず、そのボトルネックといいますか、その根本的な問題として、どのようにして、民間の不動産会社に空き家バンクに登録してもらうかというところを考えなければいけないと思うのです。
 そこで、これも不動産会社の方からいろいろ聞いていると、そもそも面倒くさい。大手の不動産情報サイトにも登録して、市町村の空き家バンクにも登録する。でも、市町村の空き家バンクはほとんど誰も見ないから、そこに登録するメリットがない。だから、例えば、チェックボックスを入れて、大手の不動産情報サイトに登録したら、同時に、空き家バンクにも登録されるシステム、つまりAPI─両方のシステムをつながくインターフェース、これにこそ、私はお金をかける。
 今、この事業費の中だと、取得した人に対しての補助金の上乗せとかと書いてあるのですけれども、それもそもそも数が少ないので、まず母数を増やすために、そういう連携するシステムに予算を使っていったほうがいいのではないかと思うのですけれども、そういうことも考えていらっしゃるでしょうか。
〇小野寺住宅計画課長 市町村の空き家バンクに対する支援というところでございますけれども、委員御指摘のとおり、やはり市町村が運営する空き家バンクは、なかなか閲覧回数というところが制限があるかと思います。やはり全国版の登録というところが、一番多くの方に目にしていただける機会があると考えております。
 そのために、県としましては、市町村の担当者向けに、空き家バンクの登録、それから、流通の促進を図るためのセミナーを開催することを予定いたしまして、空き家情報利活用促進事業を、来年度の予算に提案させていただいているところでございます。
 それから、不動産事業者が1件登録すれば、例えば、市町村の空き家バンク、それから、全国版の空き家バンク、二度手間という声も聞こえていますので、その辺も先進事例を活用しながら、そういう二度手間の解消、それから、目に触れる機会を多くするということで、空き家バンクの利活用を図ってまいりたいと考えております。
〇米内紘正委員 既に、ほかの自治体で、大手の不動産情報サイトに登録すると同時に、自分たちの自治体のところに登録されるシステムというのもあるようなので、この辺に対する支援をしていくことで、あと、市町村と調整していけば、移住、定住ということに対して、この県土整備部建築住宅課で、かなり大きな役割を果たすことができると思うのです。
 やはり住む場所というのは、移住をするときに一番考えるもので、そこに、本当は市町村独自にいろいろな補助がある。でも、空き家バンク制度がなかなかうまく回っていないから、その補助が余り生かし切れていない。
 そうなると、こういう大手情報サイトとしっかり連携して、物件数がふえれば、例えば、岩手県に住もうフェアとかというのを、こういう不動産情報サイトと連携してできる。一気に全国に発信できる武器になると思うので、私は、ここは充実させて、本当に県土整備部から移住、定住、二地域居住だったり、多拠点の居住、テレワークなどというのが、ここから進んでいくのではないかと思います。
 今後のそういう移住、定住に向けた考え方を、最後お聞きして、終わりにしたいと思います。
〇小野寺住宅計画課長 空き家バンクの登録、活用の促進につきましては、空き家対策を初め、移住、定住対策、それから、委員からお話いただきましたとおり、若者の住宅支援対策等にも関係することですので、これまでどおり、普及、活用促進を図る必要があると考えているところでございます。
 一方で、先ほど申し上げましたとおり、市町村ごとの対応に差があると考えておりますので、空き家情報利活用促進事業による市町村の差異をなくすとともに、流通の促進を図るセミナーを開催するとともに、それから、若者向け空き家住宅取得支援事業によりまして、空き家バンクに登録された空き家の活用に向けて、市町村とともに取り組んでまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは、災害公営住宅のコミュニティー形成の課題について質問します。
 災害公営住宅の高齢者のひとり暮らし世帯、高齢者のいる世帯の数と率はどうなっているでしょうか。
 あわせて、災害公営住宅と仮設住宅の孤独死はどう把握されているでしょうか。
〇辻村技術参事兼建築住宅課総括課長 災害公営住宅の高齢者のひとり暮らし世帯、高齢者のいる世帯の数と率についてでございますけれども、令和2年12月末現在で、災害公営住宅に入居されている5、184世帯のうち、65歳以上の高齢者を含む世帯は3、153世帯で60.8%、そのうち高齢者のひとり暮らし世帯は1、743世帯で33.6%となっております。
 また、災害公営住宅及び仮設住宅における孤独死の状況についてでございますけれども、災害公営住宅につきましては、県営及び市町村営を合わせまして、令和2年12月末現在で、累計で63名の方、仮設住宅につきましては、累計で46名の方が亡くなられていると承知しております。
〇斉藤信委員 高齢者のひとり暮らしが多くて3世帯に1世帯で、孤独死は、ついに、災害公営の孤独死のほうが仮設住宅を大幅に超えてしまっていると。
 実は、警察庁も震災から10年で孤独死の発表をいたしました。これは、保健福祉部の把握とちょっと違って、いわば、災害公営住宅に入居している方が、外で亡くなっても、自殺された方も入っている。それによると、仮設住宅は75人、災害公営住宅は79人です。災害公営住宅のこの3年間を見ると、平成30年は18人、平成31年20人、令和2年20人と、大変高いレベルで孤独死が発生している。私はやはりこの問題に真剣に取り組むべきだと。
 実はこの問題は、阪神・淡路大震災で大問題になったのです。その教訓を踏まえて、災害公営住宅の集会所や、支援員の事務室が整備されると思いますけれども、その理由、意味、集会所の利用状況はどうなっていますか。
〇辻村技術参事兼建築住宅課総括課長 災害公営住宅におきます集会所と支援員の事務所を整備した理由とその意味、集会所の利用状況についてでございます。
 まず、災害公営住宅を建設するに当たりまして、通常の公営住宅より広い集会所や入居者の支援に携わる方が活動できる事務スペース等を整備したところでございます。これは、自治会とか支援者の方々などが、集会所を活用して、入居者間の交流を促進するイベントを開催することなどを考慮して、私ども建築住宅課が、設計を行ってきたところでございます。
 この集会所の利用状況でございますけれども、集会所を併設しております28団地全てで、現在のところ、利用がございまして、1カ月当たりの使用回数で見ますと、少ないところでは月1回程度でございますが、多いところでは月20回を超える集会所もあるところでございます。
〇斉藤信委員 今、答弁があったように、集会所、支援員の事務室というのは、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、災害公営住宅のコミュニティーを確立していくという形で、大変立派な集会所がどこにでも整備をされています。
 今、答弁は極めて曖昧でしたが、もっと正確に言いますと、集会所の利用状況は28団地のうち─これは県営ですよ─たった月1回というのが13団地46・4%、たった2回というのが6団地21.4%、合わせて67.8%。いわば、月に1回か2回、あとほとんど閉まっているというのが、残念ながら、今の集会所の実態です。これは、阪神・淡路大震災の教訓が生かされていない。
 そして、月20回程度やっているところがあるのですよ。山田町の大沢、大槌町の上町、そして大船渡市のみどり町、陸前高田市の栃ヶ沢、このうち三つは、支援員を配置しているところです。片や一、二回、片や新型コロナウイルス感染症のもとでも20回。支援員の配置が、まさに集会所を軸にして、コミュニティー形成の力になっていると。
 2月の末に、私、大船渡市の県営災害公営住宅の自治会長にお会いしてきました。生活支援相談員が2人配置されていて、週3回ですけれども、朝9時から、集会所掃除から始まって、自治会の会長とも連携しながらいろいろな活動に取り組んでいます。会長はこう言っています。本当に助かっていると。そして、もっとふやしほしいぐらいだと。こういうことなのです。
 第2期復興・創生期間が5年間延長になりました。この5年の間に、本当に、災害公営住宅のコミュニティーをつくらなかったら、コミュニティーのない寂れた高齢住宅になってしまう。その点で、今の配置と、これからふやすべき、私は50戸以上の災害公営住宅には生活支援相談員を配置すべきだと考えますが、いかがですか。
〇辻村技術参事兼建築住宅課総括課長 生活支援相談員の配置の効果でございますけれども、やはり災害公営住宅入居者に対する見守りとか、来訪者への相談対応、また、公営住宅内の入居者相互の交流、入居者と近隣住民との交流の促進を図るためのサロン活動など、災害公営住宅のコミュニティー形成に資する取り組みを行うことにより、被災者の方々が生活する上で、必要な支援を行っていただいているものと認識しております。
 災害公営住宅への生活支援相談員の配置につきましては、一定規模以上の災害公営住宅に配置していただけますよう、関係者間で情報共有を図るとともに、私ども県土整備部といたしましても、市町村の社会福祉協議会設置事業に協力するなど、集会所で、関係機関が活動しやすいように努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 ぜひ、集会所への生活支援相談員の配置は、時間との勝負なので、地域福祉課、復興局、今度は復興防災部になると思いますけれども、本当に連携して、思い切った手だて。あの神戸市は10年たってから復興住宅に支援員を配置したのです。だから、本当に今が勝負なので、しっかりやっていただきたい。
 それと、自治会もつくられていますけれども、つくられたからといって、うまくいっていないというのが実態です。岩手大学の船戸助教授が、今年度も地域の担い手に関するアンケートをやりましたが、ここでは、担い手が足りないというのが69.3%、3年後、担い手不足で機能が低下するというのが63.3%でした。私は、こういう自治会の担い手をつくっていくという点でも、機能強化するという点でも、行政の支援が必要だと思いますけれども、いかがですか。
〇辻村技術参事兼建築住宅課総括課長 災害公営住宅におきます自治会の担い手不足についてでございます。
 こちらの実態につきましては、自治会とか、災害公営住宅の入居者を支援している団体、また、指定管理者等から、担い手の不足が課題であるということは、会議とか、自治会交流会などの機会を通じて、聞いているところでございます。この背景には、災害公営住宅の空室の増加、そういったもろもろの背景があると考えております。
 まず私どもとしましては、住宅に若くて新しい方々にどんどん入居していただくような取り組みを考えていく必要があると、考えているところでございます。
〇斉藤信委員 今、大変大事な、若い方々の入居を考えると。私、これは本当に大事だと思うのです。
 そこで、災害公営住宅入居者の方々の生活の不安の第一の問題は、家賃、生活費の問題です。これは、同じ、船戸助教授のアンケート調査の結果です。
 そこで、国の特別家賃低減事業の対象世帯、既に家賃が引き上げられている世帯、県の家賃低減制度は、国の家賃低減とほぼ同等のすばらしい制度ですが、その周知と、県の家賃低減の活用状況はどうなっているでしょうか。
〇辻村技術参事兼建築住宅課総括課長 国が行っております特別家賃低減事業の対象世帯及び既に家賃が引き上げられている世帯についてでございますが、令和3年1月4日時点の数字で申し上げますと、特別家賃低減事業対象世帯は919世帯で、全入居者世帯1、365世帯における割合は67.3%。既に家賃が引き上げられている世帯数は、災害公営住宅管理会社から6年目以降を迎え、段階的に低減措置が縮小している世帯になりますけれども、こちらの世帯数は434世帯で、全入居世帯1、365世帯における割合は31.8%になっております。
 また、県独自の家賃低減制度の周知と活用についてでございますけれども、県の独自減免につきましては、チラシを作成いたしまして、公営住宅の家賃決定通知書、これは各戸に通知するものでございますけれども、その送付に際しまして、そのチラシを同封いたしまして、周知を図っているところでございます。
 現時点で、県の独自減免を活用しております世帯数は、また、同じく令和3年1月4日時点でございますけれども、126世帯となっており、全入居者世帯数1、365世帯における割合は9.2%となっております。
〇斉藤信委員 家賃値上げに対しての不安が大変強いので、岩手県も、沿岸市町村も独自の家賃減免の制度を持っていますから、周知徹底と活用をぜひ働きかけていただきたい。
 そこで、家賃の問題で焦眉の課題になっているのは、収入超過者の問題であります。災害公営住宅は、公営住宅の家賃の基準を超えても入れる。しかし、4年目からは、やはり近傍家賃に値上げされるのですね。しかし、ついの住みかとして入っている方々は少なくないのです。
 私が2月末に大船渡市の災害公営住宅自治会長に聞いたときに、実は、2月に40代、50代の働き盛りの世帯2世帯が退去してしまったと。自治会の役員の担い手でもあったと。先ほど技術参事は、若い人の入居を進めたいと言いました。だけど、実態は追い出しているのですよ。収入超過者には退去に努めてくださいと、毎年こういう通知を行っているのです。
 収入超過者も安心して入居が続けられるような、陸前高田市が行っているような、みなし特定公共賃貸住宅の制度や、その他の制度があれば、そうで、いち早くやらないと、若い世代がいなくなってから、これをやっても意味がないので、収入超過者の実態、そして、一貫してこの問題を取り上げてきましたが、この打開の検討状況、めどを具体的に示してください。
〇辻村技術参事兼建築住宅課総括課長 まず、収入超過者に対する割り増し家賃の制度について御説明させていただきます。
 災害公営住宅におきましても、基本は入居に際して、収入要件が設定されているところでございますが、東日本大震災津波で建設しました災害公営住宅におきましては、東日本大震災復興特別区域の制度によりまして、入居の時点では、収入要件を除外するという規定になっております。ただ、入居した後、ずっとその家賃が継続するという制度設計にはなっておりませんので、制度上、3年が経過すると、委員がおっしゃったとおり家賃が上がる世帯が出てくる状況になっております。
 まず、この県営災害公営住宅における実態でございますけれども、本年1月4日時点で、収入要件を超過している世帯は122世帯ございます。そのうち、既に割り増し家賃が課せられている世帯は85世帯になっているところでございます。
 次に、収入超過者が安心して入居できる手だてについてでございますけれども、県は、平成30年度から収入超過者の割り増し家賃の上限を低減する措置を講じておりますが、収入超過者の退去などに伴う、まして空き家の増加とか、被災者のみならず、災害公営住宅を管理する私ども公共団体にとりましても、重要な課題だということは重々認識しております。
 このことを踏まえまして、昨年、沿岸部の災害公営住宅を管理します市町村と意見交換を行いました際には、この追加対策の必要性とか、具体の手法、また、実施する場合の時期等に関しまして、さまざまな意見を頂戴したところであります。
 県といたしましては、早期にこれらの意見の集約を図るとともに、有識者の意見等も伺いながら、できるだけ早期に、沿岸地域の復興にふさわしい制度の検討を進めてまいります。
〇斉藤信委員 できるだけ早期に意見集約を図ると。本会議でも、高田一郎議員の質問に、部長は、沿岸地域の復興にふさわしい制度となるよう検討を進めると答弁しました。この観点は大事だと思います。沿岸地域の復興にふさわしい、岩手県から、そういう新たな取り組みぜひ示していただきたい。期待していますので、時間との勝負で対応していただきたい。
 最後の質問になりますけれども、高田松原津波復興祈念公園について、この整備完了と一部活用の見通しはどうなっているか示してください。
〇八重樫都市計画課総括課長 高田松原津波復祈念公園のまず整備状況についてでございます。
 公園の主要施設である国営追悼・祈念施設の一部、道の駅高田松原、そして、東日本大震災津波伝承館につきましては、一昨年9月に、既に供用されておりまして、それ以外の国営追悼・祈念施設周辺の中心エリアが、高田海岸とともに、4月に供用する見込みとなっております。残る周辺の一部エリアにつきましては、引き続き、園路とか植栽等の整備を進めまして、12月末までには、全面供用できるように取り組んでまいります。
 次に、公園の活用についてでございます。来年度は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会関連といたしまして、5月に東京2020NIPPONフェスティバルの会場として、6月には聖火リレーのルートとして活用される予定となっております。
 そのほか、当公園の一部である高田松原運動公園を中心といたしまして、花火大会が開催される予定となっております。
 さらに、令和5年度には、全国植樹祭の会場として利用される予定となっております。
〇斉藤信委員 この高田松原津波復興祈念公園は、130ヘクタールという大変大規模なものであります。それで、高田松原海水浴場については、4月1日から一般公開、そして、夏には海開きが行われると。この海開きに向けた駐車場の整備の見通し。
 もう一つは、震災遺構が四つあるのですね。この広い中で、震災遺構をめぐりながら活用するという、活用の仕方、これはどのように検討されているか。陸前高田市では、土日だと思いますけれども、電動自動車を使って、震災遺構をめぐるという構想もあるようです。そういう点で活用をどう考えているか。
 そして、この管理運営については、基本計画の中で、市民との共同による管理運営体制を検討し、目指すと、こうなっていました。管理運営の見通し含めて答えてください。
〇八重樫都市計画課総括課長 まず、海開きのための駐車場の整備ですが、古川沼東部分につきましては、4月以降も工事を進め、7月には供用できる方向で、工事を進めていくこととしております。
 そして、遺構の活用につきましては、陸前高田市におきまして、公園ガイドによる遺構の内部見学ができるように、現在、準備を進めているところでございます。
 ただ、遺構だけでなくて、高田松原津波復興祈念公園には東日本大震災津波伝承館がありますので、来園者には伝承館と震災遺構の両方をめぐっていただけると、震災の事実と教訓をより深く理解していただけることから、今後、両方見ていただける方策、工夫を、公園を担っております国、県、高田市とで構成する管理運営協議会において、検討していくことにしております。
 さらに、共同による管理運営の部分についてでございます。
〇岩渕誠委員長 簡潔に願います。
〇八重樫都市計画課総括課長(続) 公園の基本計画では、NPO等との共同による管理運営の構築を掲げておりますことから、これまで、その団体を募集してきたところ、27団体の登録をいただいております。
 この公園の利活用など、共同による活動の内容、進め方につきましては、今後、各団体の代表者会議等を開催して、検討していくこととしております。
〇千田美津子委員 質問の順番を多少変えて行いますので、よろしくお願いいたします。
 まず最初に、土砂災害警戒区域等の早期指定の見通しについてお聞きしたいと思います。
 令和元年度末に、県内の土砂災害危険箇所1万4、348カ所がありましたが、その基礎調査を全て終了していただきまして、その結果、土砂災害が発生するおそれのある土地の区域は1万3、316カ所、東北6県では最も多い状況となりました。
 そこで、土砂災害警戒区域及び特別警戒区域の指定の現状についてお聞きいたします。さらに、今年度末までの見込み、新年度の見込みについてもお聞きいたします。
〇菅原砂防災害課総括課長 土砂災害警戒区域等の指定の状況でございますけれども、指定に必要な1万3、316カ所に対する指定の状況は、令和3年1月末時点で8、762カ所、その指定率は65.8%となっている状況でございます。
 また、土砂災害特別警戒区域の指定に必要な1万2、338カ所に対します指定の状況は8、124カ所、その指定率は65.8%となっている状況でございます。
 また、今年度末の見込みというお話でございますけれども、現在、引き続き指定の促進に向けて取り組んでおりまして、3月末の指定率につきましては、おおむね8割程度まで進捗するものと見込んでいるところであります。
 また、来年度に向けた取り組みでございますけれども、土砂災害警戒区域の指定につきましては、警戒体制避難の整備等前提になることはもとより、住民にとって非常に大事な業務と考えておりまして、引き続き市町村と連携しながら、令和3年度内に、全ての箇所の指定を終えるよう取り組んでいくこととしております。
〇千田美津子委員 ありがとうございました。
 昨年9月末の実態もいただきましたけれども、4カ月間のうちに、特に宮古市、奥州市、住田町、大槌町等が大変促進をされて、全体で61.9%から、今、お話があったように、65.8%まで引き上げられたということで、本当に岩手県は、特に広いだけではなくて、被災地の中での少ない体制の中で、この取り組みは大変大事でありますし、そういった点で御苦労が多かったと思います。
 また、今、答弁があったように、今年度末までで8割ですか、そして、令和3年度中には100%を目指すという決意を込めた答弁をいただきまして、本当に頭が下がる思いです。この間の御努力に敬意を表したいと思います。
 それで、いろいろ市町村と連携をして取り組まれてきたと思いますが、これまでの教訓をどのように感じているでしょうか。
 それから、先ほどちょっとお話ありましたが、この指定後の次のステップが、まさに県民の命を守るという意味で大変重要でありますが、そういう点ではどのように考えているかお聞きいたします。
〇菅原砂防災害課総括課長 これまでの指定に向けた取り組みの教訓というお話でございますけれども、東日本大震災津波以降、特に沿岸地域におきましては、そういった中での指定が、人的パワーの問題とか、あるいは震災の復興等で、なかなか時間がとれないとか、さまざまな問題があったわけでございますけれども、いずれ、最も大事なことは、県、市町村がこの指定の重要性を十分理解した上で、住民に丁寧に説明するということではないかと思っております。
 また、今後、これらの指定に向けた新たな土砂災害の取り組みというお話でございますけれども、これにつきましては、全国で、土砂災害危険箇所以外でも土砂災害が発生しているということを踏まえまして、国で、今年度、新たに指針が出されております。本県におきましても、これらの国の方針を踏まえまして、新たな危険箇所の調査等を引き続き進めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは二つ目ですが、胆沢川の河川区域内に設置をした太陽光発電等、築堤工事についてお聞きをしたいと思います。
 一級河川である胆沢川の河川区域に、太陽光発電が創設されまして、そのことに関して、私、2年前の予算総括質疑で取り上げまして、丸2年がたちました。この問題は、事業開始のために、事業者から県に問い合わせがあった際に、河川区域ではないとして誤った情報が県から提供されたために、現在、築堤工事が行われている、築堤工事を余儀なくされたという状況がありました。
 そこで、胆沢川の太陽光発電事業開始への条件、そして、築堤工事に係るこの間の経過、さらには、築堤工事の現状がどのような状況なのかお聞きいたします。
〇上澤河川課総括課長 太陽光発電事業開始への条件と築堤工事に係るこの間の経過等についてのお問い合わせでございました。
 まず、この太陽光発電事業に係る河川区域内の、ここは民地であるのですが、河川区域に一部そういった施設が構築されるということで、河川法第26条第1項の許可を行っておりますが、その許可をするに当たった要件の主な内容としては、次の二つを満たすということになっております。一つは治水上または利水上の支障を生じるおそれがないこと。もう一つは、工作物の機能上、河川区域に設けるより方法がないこと、または、河川区域に設置することがやむを得ないこと。こういったことが、まず、この河川法第26条の要件になっております。
 そして、この件につきましては、令和元年5月15日付で事業者から許認可申請書が出されまして、その審査等を行った後、河川法に定める基準を満たすことが認められましたので、令和元年9月30日付で申請を許可したということで、その事業工事等が始まったものでございます。
 現在、ここの河川区域にかかわる分のところですが、胆沢川の橋の上流下流、ここが、河川区域になっているところでの土盛り工事等が終わっております。工事用の車両等の出入りのために、どうしてもまだ一部堤防を築けない場所等もあるのですが、盛り土等については、おおむね概成してきているといったところでございます。
〇千田美津子委員 盛り土はおおむねなされているということで、私も現地を見ておりますが、ちょっと確認したいのは、令和元年に許可をして、工期は、いつまでの工期だったのでしょうか。
〇上澤河川課総括課長 当初の許可時点の工期のお尋ねがございました。令和2年9月30日までの工期となっていたものでございます。
〇千田美津子委員 工期は昨年の9月30日ということでありますが、ちょっと時間がかかるので、私が言いますけれども、延長申請が昨年12月に出されておりますね。その理由が、資材の搬入時期の新型コロナウイルス感染症による遅延とか、大雪による休工のためということで、ことしの5月まで延長が出されております。
 しかし、その延長が出されたのは、昨年の12月21日ということで、雪が降ったあたりかな。しかし、最初の工期は9月30日ですね。その工期で普通は許可をしているわけですから、なぜそこで終わらないのか。9月あるいは10月初めに、それらの確認はどうなされたのでしょうか。
〇上澤河川課総括課長 許認可の関係でございますが、当初の許可と、その途中に、令和2年3月5日付で盛り土の施工を行うために積雪の時期を避ける必要がある。また、土を動かす作業は、ダンプ等での出入り等が結構あるということもありまして、そういった作業等は積雪の時期を避けるということがあって、令和2年12月31日までの工期の延伸の願いが、その間で一旦出てございます。そして現在は、令和2年12月21日の申請をされたものが、令和3年5月31日の工期となっているものでございます。
 現在の変更の申請の理由は、ことしは大雪で雪が非常に多かったというところと、新型コロナウイルス感染症の関係で資材等の搬入等も非常に難しかったということがありまして、工期を5月31日まで延伸したいという変更の申請があったものでございます。
〇千田美津子委員 昨年の3月に積雪を避けるということで、最初の変更申請があったということ、それは初めてわかりました。
 ただ、私、この間、関係者から話が持ち込まれまして、今、そういう状況ではないというお話がありました。というのは、この築堤工事の元請は、宮城県の会社ですが、工事をするに当たって、一次下請、二次下請、三次下請まであります。ところが、元請とのいろいろなトラブル、あるいは支払い関係のトラブルで、一次、二次の下請が8月で撤退したと。そして、元請は困ったというか、それで、三次下請の小さなところに何とか工事を続けてくれということで、9月にそのまま工事をやったけれども、8月時点で一次、二次下請は全て撤退をしていると。
 しかし、9月それから10月初めまでその三次下請も頑張ったけれども、9月分は工事代金をもらったけれども、その後がもらえなかったということで、10月の初めに全て撤退をしたという話を伺っています。ですから、下請代金、賃金未払いの状況があって、この工事が、恐らく9月末あたりで全てストップしているということがわかりました。
 ただ、私に話を持ってきた方は、築堤が必要なB地区とC地区─上流からA工区、B工区、C工区ということになるのですが、真ん中のさくらの湯の周辺のB工区だけを受け持った方が、下請け代金の未払いで10月7日に撤退したということで、あとの部分はわかりません。
 ですから、ちょっと大変な状況、コロナ禍のために延長するとか、大雪のために延長する、それは表向きの理由であって、実態は、そういう工事代金を根幹とする大きな理由があって、こういうストップしている状況があるということを耳にしたので、私、先月、担当課にきちんと調査をしてくれというお話をしましたが、今のような答弁に終わっています。私は、今、宮城県でも……
〇岩渕誠委員長 質疑は簡潔に願います。
〇千田美津子委員(続) はい。元請工事が宮城県の特定建設業の許可をもらっている業者なので、宮城県もその間に入って、いろいろ指導をしている状況にあります。
 私が言いたいのは、県は、築堤工事だけの責任と思っているかもしれませんが、このまま工事が中断したら、先ほどあったように、いろいろな被害が想定しかねません。ですから、この工事がきちんと完了するように、しっかり監督すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇上澤河川課総括課長 この施工に係る業者の元請、下請、そういった関係のお話がありましたが、河川管理者とすれば、そこの契約の部分については、ちょっと立ち入ることができないと考えております。
 また、第2回目の変更申請があったときに、事業申請者から、そういった工期等の見通し等を伺ったときには、4月から再開して5月の末までに終えると、そういったことをいただいておりましたので、私どもとすれば、きちんとその申請許可の条件等に基づいた施工がなされていくものだと、注視していきたいと思っています。
〇千田美津子委員 この変更申請を信じてやりたいのはわかりますよ。ただ、この築堤工事が、そもそもなぜ始まったかということが問題なのです。私も県のミスで始まったこの工事がずっと続くのが耐えられません。ですから、住民からすれば、築堤工事をきちんと終わらせてもらわないと困るわけです。このまま中途半端な形でずるずる行くことが、県の責任としても非常に大きくなると思うので、そういった意味で調査権があるのではないかと私は思うわけですが、いかがでしょうか。
〇上澤河川課総括課長 河川においては、河川管理者がみずから工事をする場合と、河川管理者以外が、いわゆる河川法の手続をもって工事を進めている場合とがございます。こういった河川の占有の工事等については、私ども河川の巡視によって、自分たちの工事なのか、そういった占有の許可を受けてやっている工事なのか、そういったもの等は日常のパトロール等で注視していきますが、県としては、当該工事が適切に行われているかどうか確認、その把握をするためには、その河川を、本件申請に係る許可内容、許可条件等に基づいた指導等を行いながら、適切に現地の状況等を確認していきたいと思います。
〇千田美津子委員 ぜひ、今の答弁にあった適切にやっていただきたいのです。何回も言いたくないのですけれども、やはり最初の段階の県の失態でこういう状況になったと。事業者が希望してやった、太陽光発電はそうだったかもしれませんが、この築堤については、県の見逃しがあって始まりました。
 ですから、これをずるずるつながることがないように、私はきちんと対応をしてもらいたい。そのために適切な監督、そして、指導をやるべきではないかと思います。大丈夫ではないかと思われるかもしれませんが、先ほど言ったような事態が起きているということで、ぜひ、私はそういった点できちんとした対応をしていただきたい。
 そして、地元住民に対しても、地元の方々が今一番不安に思っています。パネルが相当数、雪のために落ちています。相当危険な状況にあります。それらも含めて、私は、地元住民への説明も必要になってくると思いますが、いかがでしょうか。
〇上澤河川課総括課長 太陽光パネルの落下について、ことし、かなり大雪だったということで、昨日、事業申請者と広域振興局の職員等で、現地でその状況等は把握しております。
 今後の対応等につきましては、申請者からは、3月の下旬から破損のパネルの回収を始めたいと伺ったということでございます。また、申請者からは、その築堤工事等の完了は5月の末を予定しているということでありましたから、引き続き、そういった実施の状況等は注視してまいりたいと思います。
〇小林正信委員 私からは、先ほど千葉秀幸委員、また米内委員からも質疑がありましたけれども、空き家対策についてお伺いします。
 県では、ワンストップの空き家相談窓口を設けておりますけれども、その相談件数、また、空き家問題を解決した実績などがありましたら、お知らせください。
〇小野寺住宅計画課長 空き家相談窓口の実績ということでございますけれども、県では、平成30年10月より、空き家のワンストップ窓口ということで、空き家相談窓口を開設しております。
 こちらの実績ですけれども、令和3年3月16日までの実績につきましては、累計85件、本年度におきましては39件となっております。
 こちらにつきましては、専門的な相談につきましては、不動産団体とか建築士とかの専門家に取り次ぐという業務を行っておりまして、これまでの実績といたしましては、85件中13件、専門的な団体に取り次ぐということをやっております。
〇小林正信委員 平成30年からやられているということで85件。もうちょっとアピールというか、周知のほうを、市町村と連携してできればいいのかなと思いました。そこで、先ほど空き家バンクの状況については、米内委員からの質疑でよくわかりました。
 そして、空き家問題の解決には、やはりさまざまな主体が協力して取り組むことが大事なのかな。そうした事例も実は生まれておりまして、シルバー人材センターの皆さんがこの空き家を調査したり、また、簡易的な住宅鑑定もやっているという事例があります。岩手県では、シルバー人材センターと古民家再生協会がかかわって点検をして、また、これをリノベーションするという、そういった事例も岩手県内では出てきております。
 今後、県としても、より多くのさまざまな主体がかかわり、空き家対策を充実させていくべきと考えますが、空き家の点検、またリノベーションの取り組みについて、県のお考えをお伺いします。
〇小野寺住宅計画課長 空き家の点検、リノベーションについてでございますけれども、先ほど委員からお話のありました、岩手県のシルバー人材センターと古民家再生協会との連携につきましては、昨年10月に公益社団法人岩手県シルバー人材センター連合会が主催いたしまして、遠野市でセミナーを開催されていることは承知しているところでございます。
 こちらの中身につきましては、空き家となった古民家を活用するための簡易鑑定評価等の取り組みを、連携して行われているというものと認識しているところでございます。
〇小林正信委員 私も古民家再生協会の方とお話ししたときに、やはり空き家の活用というのも少し頑張ってやっていきたいという意見もございましたので、県としても、できれば、そのセミナーにかかわっていくとか、そういったこともお願いできればと。
 それで、空き家のリノベーションがうまく進んでいけば移住、定住にも活用が期待されると。最近では、DIYということで、自分で空き家をリノベーションするとか、そういう流れもあるようです。
 これは通告していなかったのですけれども、先ほど、空き家情報利活用推進事業というお話もありましたけれども、若者や移住者に対する空き家の紹介とか、あと、リノベーションの勧めとか、今後、県として、何かそういうお考えがあるのかどうかお伺いしたいと思います。
〇小野寺住宅計画課長 空き家活用などに関する広い周知についてですけれども、県では、リノベーションによる既存の住宅の活用とか、売買の促進、それから、空き家の適正管理を普及促進するためのセミナーをこれまで開催してきているところでございます。
 こちらにつきましては、先ほど委員から御指摘のありました、若者による空き家の活用とか、取得支援につきましても、有効な事例がある場合には紹介するなど、引き続き取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 ぜひよろしくお願いします。
 次に、津波など災害からの緊急避難場所としての高台道路についてお伺いします。
 午前中、伊藤委員からもお話がありましたけれども、東日本大震災津波発災の6日前、三陸縦貫道の一部区間、釜石山田道路が完成し、3.11当日は、鵜住居小学校、釜石西中学校の児童生徒は、この道路に避難。またその後、支援物資の運搬道ともなったため、これが命の道路とか、命の道とか言われておりました。
 国土交通省では、こうした事例から、津波等からの避難場所として高台道路を活用し、そこに上るときの階段、あとスロープ、避難スペースの整備を進める方針を示しております。
 岩手県の事例から発案された整備方針ですので、市町村、地元の皆さんの意見を伺いつつ連携して、高台道路の避難場所としての活用、その周知について進めていただきたいと思いますけれども、御所見をお伺いします。
〇菅原道路建設課総括課長 委員御指摘のとおり、国では、三陸沿岸道路の整備において、地域のニーズを確認しながら、高台に計画されました道路へ避難する階段等の施設を17カ所設置して、地元市町村においては、これらの施設を活用した避難計画の策定や地域住民への周知を行っていると聞いているところでございます。
 また、県につきましては、県が整備した道路の中で、主要地方道重茂半島線の宮古市里工区の高台部に、宮古市が避難路を整備して、当該道路へ接続を行った事例もあるというところでございます。
 県としては、やはりその高台に整備された道路の活用とか周知につきましては、重要と考えておりますので、引き続き市町村と連携を図りながら必要な対策に取り組んでまいりたいと思います。
〇小林正信委員 国として、既に進めている、県としても、今後そういったところを探しながらやっていっていただければと思います。
 次に、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策について、午前中、神崎委員からもお話ありましたけれども、この対策については、風水害対策が1点、また、インフラの老朽化対策が1点、また、建設業のDX化、これが盛り込まれていると。
 特に建設業においては、建設機械の自動運転とかメンテナンスに関するビッグデータの蓄積、測量から設計、施工までのDXが進めば、かなりの労働生産性が上がると言われております。県としても、今後、建設DXの推進をお願いしたいと思います。
 これは通告しておりませんけれども、この加速化対策の国土強靱化に係るデジタル化の推進というところで、おおむね2、000億円程度が準備されておりますけれども、県として、こういった部分の活用のお考えがあるのかお伺いしたいと思います。
〇菊地県土整備企画室企画課長 今回の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策についてでございます。
 三つの柱ということで、委員が御指摘になりました、激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策、それから、予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策、それから、国土強靱化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進ということで、3番目の柱のデジタル化部分の取り組みについてでございますけれども、まず県としましては、1本目、2本目の柱の部分で、インフラの老朽化対策とか、先ほども答弁したような流域治水の取り組みといったものを重点的に進めると考えております。
 三つ目の柱の部分については、国の動向といいますか、動きを少し見ながら、県として、どのような対策ができるのかというところを検討してまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 できれば、早目の早目、先手、先手を打ちながら行っていただきたい。
 今、流域治水のお話もありました。佐々木朋和委員から先ほどお話ありましたけれども、県としては、国に先駆けて、流域治水の取り組みを小本川で行われていると。
 ことしの2月2日には、特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律案(流域治水関連法案)が閣議決定されました。特に浸水の危険性が高い地域における住宅や高齢者施設などの開発、建設について許可制を導入する、あと、浸水被害防止区域を知事が定めるなどが盛り込まれました。
 これには、やはり地域住民の皆様に十分説明が必要なのかなと。また、市町村に対する十分な理解も必要になり、今後、さらに、この流域治水プロジェクトが、一級河川、二級河川で進んでいくと思うのですけれども、市町村との連携、また、住民の皆様の理解、こういった部分をどうやって進めていくおつもりなのかお伺いしたいと思います。
〇上澤河川課総括課長 流域治水の取り組みについて、さまざまな関連法案が閣議決定されたこと受けて、そういったもの等を一般の住民にどうやって知らしめて、また、その流域治水プロジェクトの活動を進めていくかというお尋ねだったかと思います。
 まず基本的に、流域治水プロジェクトの関係につきましては、河川でやっていくもの、あとは、岩泉町でやっているような形での防災指針の要請の取り組み等がありますが、この流域治水プロジェクトのさらに具体展開していくために必要な法律等については、例えば、これからの流域プロジェクトを策定するために立ち上げた流域治水協議会等を活用しながら、市町村等を通じての周知を図ってまいりたいと思います。
 小本川の取り組みにつきましては、この流域治水プロジェクトに基づきまして、現在も、小本川の災害復旧関係の事業を、令和4年度の完了を目指して進めておりますので、確実にそういった取り組みを進めてまいりたいと思っております。
〇小林正信委員 小本川の流域治水プロジェクトの資料も見させていただきましたけれども、悲惨な災害の教訓が、本当に生かされている内容だと思いました。こうした教訓をしっかり生かしつつ、まちづくりや住宅政策等の関連も含め、また、午前中に臼澤委員からもお話がありましたような、田んぼとかそういった自然の地形の利活用も含めて、県内の河川の流域治水を進めていっていただきたいと思います。
 最後に、住宅確保要配慮者の居住支援についてお伺いしたいと思います。
 まず、居住支援法人の取り組み状況についてお伺いします。
〇小野寺住宅計画課長 居住支援法人の取り組み状況でございますけれども、居住支援法人と言われる住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律に基づきまして、住宅確保要配慮者、高齢者の方とか、所得の低い方、それから、障がい、子育て世帯等の住宅確保が難しいと言われる方々に対しまして、居住支援を行う法人として、県が登録しております。
 本日時点で、県内で5法人を居住支援法人として指定しているところでございます。これらの法人では、住宅確保要配慮者に対する住まい探しとか、家賃債務保証支援、それから、契約手続への立ち会いなどの入居前支援のほか、生活ルールの確認とか、定期訪問などの入居後の支援も実施しているところでございます。
〇小林正信委員 その入居前の支援と、そして、入居後の支援ということで、先日、孤独、孤立対策に取り組むNPO等への支援に関して、支援パッケージが公表になりましたけれども、その中で、住まいの支援、公営住宅の空き住戸をNPOを通じて貸与し、新型コロナウイルス感染症で困窮している方の就労を支援する取り組み、また、居住支援法人が孤独、孤立対策として見守り等を行う場合、補助額を引き上げる取り組み等が示されました。
 これまでの居住支援法人や県における孤独、孤立の見守りの取り組み状況、また、孤独、孤立に関する政府の支援パッケージに、県としてどう対応していくお考えなのかお伺いします。
〇小野寺住宅計画課長 居住支援法人の孤立、孤独への見守りの取り組み状況についてでございますけれども、県内の居住支援法人につきましては、入居後支援の一環といたしまして、定期的な訪問とか、電話連絡が実施されているところでございます。生活の困り事や悩み事の早期発見、解決につなげられていると考えているところでございます。
 先ほど委員から御紹介いただきました、国における新たな取り組みといたしまして、孤独、孤立対策に特化した入居後の見守りとか、生活相談の支援制度が新たに創設されますけれども、こちらの制度化につきましては、既に、各居住支援法人に情報提供済みであるほか、今後とも、居住支援関係者による情報交換会、本年度は6回ほど開催させていただいておりますけれども、情報交換会の場などを通じまして、必要な情報を県から提供させていただくという取り組みを進めてまいります。
〇岩渕誠委員長 おおむね再開後1時間半が経過いたしますが、この後、質疑を表明している委員があと2人となっていることから、質疑を継続したいと思いますので、御了承願います。
〇山下正勝委員 では、簡単に行きます。
 まず初めに、県の管理道路は一般国道が16路線1、204キロメートル、主要地方道が49路線1、324キロメートル、一般県道が190路線1、641キロメートル、合計で255路線4、169キロメートルでございます。
 それで、凍上災害についてでございます。道路舗装の損傷が目立ってきていますが、凍上災害の採択の可能性はどうでしょうか。
〇菅原砂防災害課総括課長 道路の凍上による災害の採択の可能性の御質問でございますけれども、凍上災につきましては、冬期の低温により被災した災害ということで、被災の状況によりましては、公共土木施設災害復旧事業として、国庫負担の対象となります。国は、その取り扱いにつきまして、0度以下の気温を観測した日平均気温の累計値から算出されたこの冬の凍結指数が、10年に一度の確率で発生する値を超える低温であること、また、アスファルト舗装の厚さが3センチメートル以上で、ひび割れの深さが路盤まで達していることなどとしているところであります。
 こういったことを踏まえまして、本県のこの冬の県内の観測点ごとの凍結値でございますけれども、気象台34観測点のうち、釜石観測点が国の取り扱いを満足しておりまして、このことにつきましては、既に、国へ情報提供をしているところでございます。
 この地域につきまして、現在、低温によるひび割れなど、被害状況の調査を進めておりまして、その結果を得て、国との協議など、今後の対応を検討していくこととしております。
〇山下正勝委員 うちの地域は県下で一、二番の寒いところなのですけれども、釜石地区が要件を満たすということで、わかりました。何か気候が変わったのかなという感じでございます。いずれ、国と言わず、どんどん、新設道路もいいですけれども、そういったところにも気を使って、予算をつけてもらってやってもらいたいと思います。
 それでは、次に道路維持修繕費等について。
 まず初めに、令和3年度の道路維持修繕や舗装、補修の当初予算案はどのようになっているのかお伺いします。
〇照井道路環境課総括課長 令和3年度の道路の維持修繕や舗装、補修の当初予算案についてでございますが、道路施設の日常的、応急的な維持管理や舗装の補修などに要する費用として、県単独事業の道路維持修繕費で55億円余を計上しております。その内訳は、道路パトロール、路面応急処理、草刈り、道路清掃など、日常的、応急的な維持管理にする費用として41億円余、アスファルト舗装の表層部分のみの補修をする費用として14億円余を計上しております。
 また、国の防災安全交付金事業を活用し、アスファルト舗装の表層部分だけではなく、その下の路盤も打ちかえる費用として、道路環境改善事業費で1億円余を計上しております。
〇山下正勝委員 思ったよりも予算がついていないという感じでございます。
 次に、令和2年度2月の補正予算で、国の3次補正予算として舗装修繕費も計上しています。それと、令和3年度当初予算を合わせると、例年の舗装補修の予算と比較してどのくらいの規模かお伺いします。
〇照井道路環境課総括課長 例年の舗装補修予算との比較についてでございますけれども、過去5カ年の舗装補修予算の平均は、当初予算ベースでございますけれども、道路維持修繕費と道路環境改善費を合わせまして約23億円となっております。令和2年度2月補正予算に国の第3次補正予算に呼応した舗装補修費として約113億円を計上したところでございまして、令和3年度当初予算に計上した約15億円と合わせますと、約128億円となっておりまして、過去5カ年と比較すると約5.5倍の予算規模となっております。
 このような予算規模となりましたのは、国の第3次補正予算は防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策予算の令和3年度分を前倒し計上したものでございまして、これまでの3か年緊急対策では対象となっておりませんでした道路施設の老朽化対策が対象事業となったため、例年以上の予算が確保できたものでございます。
〇山下正勝委員 今回は5倍という予算がついたということで、岩手県内の道路も大分きれいになるのかなという感じでございます。
 次に、除雪体制についてお伺いします。
 県の管理道路の除雪車両の台数です。盛岡広域振興局では、県がトータルで141台、企業の借り上げが128台、トータルで269台。県南広域振興局では県が190台、企業の借り上げが302台、トータルで492台。沿岸広域振興局では、県が108台、企業の借り上げが101台、合計で209台。県北広域振興局では、県が71台、企業の借り上げが97台、合計168台。トータルで、県の所有が510台、企業の借り上げが628台あります。合計で1、138台あります。
 それでお聞きします。今冬の降雪や除雪機械の稼働は、どのような状況かお伺いします。
〇照井道路環境課総括課長 今冬の降雪状況と除雪機械の稼働状況についてでございますが、今冬は、12月の大雪等により、県内各地で平年を上回る降雪となっておりまして、3月10日時点の県内主要観測地点の累加降雪量の平均は325センチメートルとなり、過去5カ年平均の約1.15倍となっております。
 これに伴いまして、除雪機械の稼働もふえておりまして、同じく3月10日時点の除雪機械の稼働台数は延べ約2万800台、過去5カ年平均の約1.17倍となっております。
〇山下正勝委員 それでは次に、12月の降雪では、県内地区を中心に大雪となりました。通行どめなどの交通障害が発生し、この大雪を経験し、除雪体制などにどのような課題が見えてきたかお伺いします。
 また、もう一点、その対策はどのように考えているのかお伺いします。
〇照井道路環境課総括課長 今冬の大雪においての除雪体制などの課題についてでございますけれども、初めに課題から御説明いたします。
 三つの課題があると認識しております。一つ目は、高速道路と並行する道路の通行の確保でございます。昨年12月に秋田自動車道が通行どめとなった際に、高速道路から国道107号におりてきた車がスタックしまして、長時間の滞留が発生して、7時間にわたる通行どめが発生した事例があります。
 二つ目の課題は、市町村道も含めて、効率的な除雪をすることでございます。今冬は記録的な大雪になった関係で、県南部を中心といたしまして、県が管理する道路とともに、市町村の道路もおくれが生じております。このため、多くの地域の方々から、早期の除雪を求める要望をお受けしたところでございます。
 三つ目の課題は、除雪オペレーターの担い手確保でございます。除雪オペレーターの高齢化や担い手不足により、除雪オペレーターが精いっぱい頑張っても、除雪機械のフル稼働がなかなか続かないという事態が発生しております。
 課題に対する対策でございますけれども、大雪時において効率的な除雪を実施し、道路交通を確保するためには、道路管理者相互の連携が特に重要と考えております。今冬におきましては、高速道路管理者との交通情報の迅速な共有や東北地方整備局とのホットラインなど、新たな連携体制を構築し、高速道路が通行どめとなった場合に、交通量が増加する県管理道路の管理の増加を図ったところであり、今後も継続してまいります。
 また、県では市町村と連携し、それぞれが管理する道路のうち、除雪区間の一部を交換し、効率的に除雪を行う、いわゆる交換除雪を行っておりまして、今年度は、市町村道34路線、約28キロメートルの除雪等を県が実施しているところでございまして、今後、さらなる拡大を検討してまいります。
 そして、今回の雪により顕在化いたしました、除雪オペレーター不足への対応といたしましては、除雪技術を高める講習の場を設けるなど、オペレーターの育成支援にも取り組んでまいります。
〇山下正勝委員 いずれ、今の答弁にございましたけれども、これからこういう大雪の場合は、やはり県と市町村と同じ路線を走らないように、交互にやりながら、県道は早く除雪したというけれども、逆に、市町村道は、雪がたまって通れないという部分もございます。大雪の場合は、お互いに対策を考えるべきだと思っておりますので、どうか、その辺よろしくお願いしたいと思います。
 あと、なぜ凍上災という話だったのかですけれども、実は、やはり雪が降るほうは道路が早く壊れるのですね。すぐ直してもらえばいいのですけれども、このごろ、1月、2月は雪ではなくて、雨の降る回数が多いのです。そうすると、それが凍って、道路が壊れるのが早いという現状でございますので、どうか、その辺を考えながら、早く、凍上災だけではなくて、国ばかりではなくて、県単独でもいいから、修繕をお願いしたいと思います。
〇上原康樹委員 先ほど、臼澤委員の質疑の中にも出てきたのですが、私の質疑は、北上川流域の水害リスク対策についてでございます。
 令和元年台風第19号による甚大な被害を受けまして、国も日本全体一体となって水害リスクに備えようという動きを見せています。全国各地の一級水系において、流域治水プロジェクトの策定が進んでいます。北上川水系(北上川上流)流域治水プロジェクトもその一つでございます。盛岡市初め流域の15の市と町、岩手県、そして国、ずらり顔を並べています。その取りまとめ案がもう既に公表されておりまして、相当に詳細に取り組むべきことが整理されています。
 県土整備部はこのプロジェクトの事務局ということになっています。全ておわかりの立場でございます。令和3年度を目前にしまして、プロジェクト、まだ準備段階かもしれませんが、現在どういう状況にあるでしょうか。具体的なことがありましたらお知らせください。
〇上澤河川課総括課長 委員お尋ねの北上川水系流域治水プロジェクト案ということでありますが、今、これを年度内の策定公表に向けて取り組んでいくといったところでございます。
〇上原康樹委員 このプロジェクトの方針には、あらゆる対策をできることから速やかに実施していくとあります。そういう流れになるのでしょうか。課題があれば、御説明ください。
〇上澤河川課総括課長 この北上川水系流域治水プロジェクトは、あらゆる関係者が共同で治水対策を進めていくという一つの宣言になっていくかと思いますので、これをしっかりと取り組んでいくことが大事になっていくかと思っています。
〇上原康樹委員 取りまとめ案には、作業のロードマップが記載されています。その表には短期、中期、中長期と区分されていまして、まだこういう時期ですから、時期や年数は見当たりません。しかし、せめて、5年とか10年とか、令和10年までとか、20年までとか、この短期、中期、中長期についての時間感覚をお示しいただけますでしょうか。
〇上澤河川課総括課長 あくまでも、現時点の案の段階というところでございまして、短期は令和7年度、中期が令和8年度から令和12年度、中長期が令和13年度からということで、案としては出されているというところでございます。
〇上原康樹委員 大体イメージできました。
 短期の取り組みの項目、細かく出ているのですが、そのトップに、一関遊水地下流の治水対策とあります。実施主体は岩手河川国道事務所と岩手県です。これは直近の、目の前にあるプロジェクトの具体的なテーマだと思います。新しいプロジェクトのもとにおいて、今まで以上に、この治水対策は一層進むと期待できるのでしょうか。
〇上澤河川課総括課長 その期間とその達成の見込みということではありますが、いずれ河川関係で、治水対策とすれば、ダムとか遊水地とか河川改修とかさまざまな方策があります。私ども県の河川管理者が取り組んでいる河川においても、数十年の期間がかかっている河川もあります。当然、執行には一定の費用等が必要でありますが、目標を掲げて、できることを着実に取り組んでいくと、そういったところで頑張っていきたいと思います。
〇上原康樹委員 本当に大所帯によるプロジェクトなのですね。こういうプロジェクトは一たび回り始めると大きな力を出すものですけれども、時々小回りが苦手になるということもあるように思います。話し合いが長引いて、いざというときに間に合わなかったということにもなりかねません。ここに目詰まりを起こさないためにも、15の市と町と、そして国の間に県土整備部が入って計画をスムーズに形にさせることが必要かと思いますが、部長の所感を伺って、終わります。
〇中平県土整備部長 流域治水プロジェクトは、先ほども申し上げましたが、従来のハード、ソフト一体となって取り組みという、そのメニューをそろえるということではなくて、それに取り組む主体が一体となって取り組むことで着目した点でございます。
 そういう意味で、よりこれまで地域、市町村のことも、国のこともよく調整してきた県の役割というのは非常に重要なると自負しておりますので、このプロジェクトがしっかり進むように、その役割を努めてまいりたいと思います。
〇岩渕誠委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩渕誠委員長 質疑がないようでありますので、これで県土整備部関係の質疑を終わります。
 県土整備部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 お諮りいたします。当委員会に付託されました議案31件についての意見の取りまとめの方法でありますが、この後、議会運営委員会室において、世話人会で御協議願い、その結果を待って委員会を開き、結論を出すことにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩渕誠委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 この際、世話人会を開催するため、暫時休憩いたします。

午後4時32分 休 憩

午後10時26分 再 開

〇岩渕誠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 当委員会に付託されました議案31件について、世話人会で協議した結果を御報告申し上げます。
 議案第1号令和3年度岩手県一般会計予算については、次の意見、すなわち、東日本大震災津波から10年が経過し、復旧、復興の歩みは着実に進められているが、被災者の心のケアやなりわいの再生などに引き続き取り組まれたい。
 また、東北の復興と再生の原動力ともなる国際リニアコライダーの実現を推進するほか、東日本大震災津波を語り継ぐ日条例の趣旨を踏まえ、風化を防止し、震災の事実と教訓の発信を強化するなど、未来への伝承にも取り組まれたい。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、宿泊事業者や飲食事業者を初めとした県内事業者は非常に厳しい状況に置かれていることから、ワクチン接種など感染拡大防止対策を徹底しつつ、社会経済活動の継続を図るため、経済対策についても早急に検討、実施されたい。
 急速に進行する人口減少社会の中にあって、持続可能な社会の実現に向けて、県民が将来に希望を持って安心して暮らせる社会を実現できるよう、諸施策を講じ、特に女性を取り巻く環境の改善や活躍支援に努められたい。
 また、医療従事者の確保、定着と医師の偏在の是正が図られるよう、より効果的な施策の推進に努められたい。
 限られた予算の中で、各種政策目標を達成するため、事業の検証結果に基づいた政策の立案と確実な実施に努められたい旨の意見を付し、原案を可とすることとし、また、そのほかの議案につきましては、それぞれ原案を可とすることとした次第であります。
 これより、討論を省略し、採決を行います。
 まず、議案第1号について採決いたします。
 本案は、先ほど読み上げました意見を付し、原案を可とすることに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇岩渕誠委員長 起立全員であります。よって、議案第1号は、先ほど読み上げました意見を付し、原案を可とすることに決定いたしました。
 次に、議案第2号から議案第20号まで、議案第26号から議案第30号まで、議案第33号、議案第35号、議案第37号から議案第39号まで、及び議案第42号を一括して採決いたします。
 各案件は、原案を可とすることに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇岩渕誠委員長 起立全員であります。よって、議案第2号から議案第20号まで、議案第26号から議案第30号まで、議案第33号、議案第35号、議案第37号から議案第39号まで、及び議案第42号は、原案を可とすることに決定いたしました。
 以上をもって当特別委員会に付託されました案件の審査は全部終了いたしました。委員各位の御協力に対しまして心より深く感謝を申し上げます。
 これをもって予算特別委員会を閉会いたします。(拍手)
午後10時30分 閉 会

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