令和3年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和3年3月10日(水)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
議事管理担当課長 藤 枝   修
主任主査 千 葉 絵 理
主任主査 糠 森 教 雄
主査 鈴 木   忍
主査 阿 部 真 人
主査 赤 坂 宏 紀
主査 鈴 木 貴 博
1 説 明 員
政策企画部長 八重樫 幸 治
副部長兼
首席調査監 岩 渕 伸 也
政策企画課
総括課長 照 井 富 也
政策課長 加 藤 真 司
評価課長 北 島 太 郎
秘書課総括課長 安 藤 知 行
儀典調整監 村 上   聡
秘書課管理課長 阿 部 美登利
広聴広報課
総括課長 藤 原 由喜江
報道監 和 田 英 樹
総括調査監 加 藤 勝 章
調査監 畠 山 英 司
調査監 佐 藤 直 樹

ふるさと振興部長 佐々木   淳
副部長兼ふるさと振興企画室長兼
県北・沿岸振興室長兼台風災害復旧
復興推進室長 箱 石 知 義
参事兼調査統計課
総括課長 千 葉 達 也
地域振興室長 小野寺 宏 和
国際室長 小 國 大 作
交通政策室長 高 橋 利 明
科学・情報
政策室長 古 舘 慶 之
ふるさと振興
企画室企画課長 川 村   守
ふるさと振興
企画室管理課長 多 賀   聡

市町村課総括課長 松 村   達
学事振興課
総括課長 中 里 武 司
地域企画監 畠 山   剛
地域振興課長 熊 谷 克 行
県北振興課長 本 多 牧 人
特命参事兼
沿岸振興課長 高 橋 則 仁
地域交通課長 小野寺 重 男
空港振興課長 小笠原   徳
特命参事兼
科学技術課長 佐 藤   聡
特命参事兼
台風災害復旧復興
推進課長 千 葉   実

選挙管理委員会
事務局書記長 松 村   達

ILC推進局長 高 橋 勝 重
副局長兼事業
推進課総括課長 高 橋   毅
企画総務課
総括課長 箱 石 知 義
企画総務課
企画課長 川 村   守
企画総務課
管理課長 多 賀   聡
計画調査課長 澤 田   仁

復興局長 大 槻 英 毅
技監兼副局長 遠 藤 昭 人
副局長 菊 池 芳 彦
副局長兼震災津波伝承課総括課長 熊 谷 正 則
復興推進課
総括課長 大 坊 哲 央
まちづくり・産業
再生課総括課長 阿 部   博
生活再建課
総括課長 佐 藤 朝 則

参事兼
財政課総括課長 小 原 重 幸
〇岩渕誠委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第26号から議案第30号まで、議案第33号、議案第35号、議案第37号から議案第39号まで、及び議案第42号の以上31件を一括議題といたします。
 本日は、政策企画部、ふるさと振興部、ILC推進局及び復興局関係について、延べ28人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしましたので、議事進行に御協力をお願いいたします。
 なお、関連質疑については、目安時間を10分とすることとしておりますので、あらかじめ御了承願います。
 また、これまでと同様に、換気のため休憩いたしますので、御協力をお願いいたします。
 初めに、政策企画部長に政策企画部関係の説明を求めます。
〇八重樫政策企画部長 令和3年度の政策企画部関係予算について説明申し上げます。
 なお、組織再編によりまして、来年度、当部から復興防災部に移管予定の事業につきましては、当部からの説明となりますので、御了承願います。
 初めに、政策企画部の予算編成に当たっての考え方について説明いたします。
 政策企画部は、総合的な政策の立案や調整、秘書業務及び適時適切な情報発信や県民の声を県政に反映させる広聴広報業務を担当しております。
 政策企画関連では、いわて県民計画(2019〜2028)や第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の推進に当たり、全庁的なマネジメントサイクルを確実に機能させながら、各部局と連携して着実に政策を進めてまいります。
 特に、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う社会情勢の変化等を捉え、東京一極集中から地方への新たな人の流れを創出するための効果的な政策立案に努めてまいります。
 広聴広報関連では、県政懇談会などを通じて県政に関する意見、提言を把握し、施策への反映に努めます。また、県政番組などを通じて、東日本大震災津波からの復興を初め、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げた県の主要施策を県民の皆様に適時適切に伝え、県外に向けては、震災を風化させず、復興への継続的な支援と岩手ファンの拡大につなげるよう、復興に取り組む岩手県の姿や岩手県の魅力を発信してまいります。
 新型コロナウイルス感染症に係る対応については、県公式ホームページを初め、テレビ、ラジオ、SNS等を通じた県民への適時的確な情報発信に努めてまいります。
 それでは、歳出予算について説明いたします。
 議案その1の6ページをお開き願います。政策企画部所管の歳出予算は、2款総務費2項企画費13億100万円余のうち7億8、600万円余であります。
 このほか、2款総務費6項復興防災費の一部33万円につきましては、当部から復興防災部へ移管する予定となっています。
 予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇岩渕誠委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇名須川晋委員 ただいま部長から説明がありました政策の遂行あるいは政策を決めるに当たっては、新型コロナウイルス感染症、そして、今、地方が見直されているという観点を反映させていくというお話をされました。
 昨年6月には佐々木朋和議員、そして、昨年12月には米内紘正議員がこの問題を取り上げており、御答弁等もありましたが、いわて県民計画(2019〜2028)について質問させていただきます。
 いよいよ新年度でございますが、いわて県民計画(2019〜2028)の3年目に当たって、アクションプランの見直しの時期に当たるということでございます。相当な社会情勢の変化がありますけれども、この見直しに当たっては、どういう形で進めていくのか、そのスケジュール、概要等についてお知らせ願います。
〇加藤政策課長 政策推進プランの見直しに向けては、指標の目標値等について新型コロナウイルス感染症の影響を受けるものがあることから、令和3年度の見直しも視野に、まずは、年度内に指標の目標値への影響を把握することとし、現在、調査を実施しているところでございます。
 最終的な対応方針は調査結果を踏まえて決定することとなりますが、指標の目標値等の見直しを行う際には、新型コロナウイルス感染症の影響が反映されます令和2年度の事業実績の把握が来年度となりますことから、その結果を踏まえて作業を行うこととなり、県政の総合的な計画の策定及び推進に関する審議を行う総合計画審議会にもお諮りしながら、作業を進めることとしております。
〇名須川晋委員 そうしますと、大体何月ごろに総合計画審議会が開かれて、おおむね成案が上がってくる時期はいつごろになるのか、また、繰り返しになりますが、冒頭の御説明にもありましたけれども、どういうところに見直しが必要になってくるかということを明確にしていただきたいと思います。
〇加藤政策課長 まず、スケジュール的なところでございますが、見直しを行う場合におきましては、ことし、今やっております影響調査を踏まえまして、来年度、その取りまとめを行うと。その後、8月ごろに令和2年度の実績が固まりますので、これを踏まえた上で、令和3年度以降の指標の目標値の見直しを行っていくという作業になりますことから、おおむね8月以降から目標値の見直しとなり、12月ぐらいに取りまとまる見込みとなります。
 なお、具体的な見直し内容でございますが、現在、当部で考えておりますのは、現在のコロナ禍ではなじまない指標、例えば、イベントの参加者数あるいは新型コロナウイルス感染症の影響が長期に及ぶことによりまして、その後の回復が低調になりそうな指標もございますので、そのあたりの指標について、令和3年度、令和4年度、どう見込むかといったところを、現在、調査をかけて把握しているところでございます。
〇名須川晋委員 これはほかの戦略、計画にはどう反映されていくものなのか。例えば第2期岩手県ふるさと振興総合戦略も出てきましたけれども、県の人口等も、このコロナ禍によって出生率が今年度相当下がっているということも見受けられます。この第2期岩手県ふるさと振興総合戦略のほか、さまざまな政策決定の過程にあっては、前提が大きく変わってくると思われますけれども、いわて県民計画(2019〜2028)以外のところではどのように反映させていくのかお知らせください。
〇加藤政策課長 いわて県民計画(2019〜2028)の見直しに伴います他の計画への影響でございますが、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略につきましては、いわて県民計画(2019〜2028)から人口減少対策を抜き出しているものでございますので、政策推進プランの指標が変わりますと、それにあわせて、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の指標も見直すことになります。
 その他の県計画も多数ございますが、基本的には、いわて県民計画(2019〜2028)から指標を持ってきているものは、それに伴い改定となろうかと思います。
〇名須川晋委員 そうしますと、政策担当課あるいは事務局の皆様の仕事も相当多大なものになると推測いたしますけれども、しっかりとこの大きな事象に立ち向かって、いわて県民計画(2019〜2028)の新たなる方向性を示していただきたいと思います。
 2点目でございます。いわてグラフにつきまして、これは、かつて軽石議員が常任委員会か何かで質問されたとも伺っておりますが、この印刷に関しては、県外の業者が請け負っているという状況があるようでございますが、その当時、指摘されたときからどうも変わっていないというお話を伺ったところでございます。これについて、どのような取り組みをされてきたのでしょうか。
〇藤原広聴広報課総括課長 県広報誌のいわてグラフでございますけれども、企画、政策、監理業務を県内の広告代理店に委託しておりまして、業務仕様書の中で、監理業務を除く業務の一部を第三者に再委託することを認めている状況でございます。
 委託事業者からは、印刷、製本、発送仕分け、点字版制作、配送業務を県内の印刷事業者に再委託しているところでございますけれども、再委託先の印刷事業者におきまして、自社及び県内業者では現行の仕様での印刷に対応できないことから、印刷、製本と発送につきましては、県外の印刷業者に外注している旨の報告を受けております。
〇名須川晋委員 こういう大変な経済情勢もありまして、印刷業者も、イベントの中止、延期によって相当大きな経常の痛手を負っているのではないかと推測いたします。
 そうした中で、これに対応できる印刷会社が県内にない、県外にしかないのかもしれませんけれども、どうなのでしょう、どういう点で対応できないのか。紙のサイズとか、印刷の色合いとか、最新の技術を仕様として使おうとし、その点を把握されていればお知らせください。
〇藤原広聴広報課総括課長 伺ったところによりますと、現行のA4判サイズ、針金中とじのスタイルでございますけれども、そのスタイルと、あと、印刷し終わった後、すぐに小分けにして各市町村の自治会単位のところまで配送するような業務もありますが、それを一括した業務につきまして、なかなか県内では難しいと伺っております。
〇名須川晋委員 これ以上は指摘いたしませんけれども、できるだけ県内で完結するようなシステム、仕様を、やはり元請の広告会社に提示したほうがよろしいのではないかと思います。そういう意味で言えば、サイズの変更もお考えになってもいいのではないかと。今のサイズにこだわる必要もないのではないか。県内の市町村は、恐らくは自分の市あるいは同一圏域の中の印刷会社を利用されているのがほとんどだと思われますので、岩手県としても、そういう仕様を含め、再度御検討いただきますようにお願い申し上げまして、質問を終わります。
〇神崎浩之委員 私の質問は、端的に、ホームページを早く更新しろという1点であります。
 その前段でありますけれども、県政広報事務費ということで、県の重要施策や新型コロナウイルス感染症関連情報を県民にわかりやすく伝えるとあります。しかし、肝心のホームページへの掲載や更新はなかなかされないということであります。
 県はよく、ホームページでお知らせすると話をされますけれども、今、県民の一番の関心事は新型コロナウイルス感染症の発生状況であり、また、それへの対応でありまして、それは単なる興味本位ではなくて、県民の個人の行動の一つ一つにかかわると。しかし、その状況がタイムリーにホームページに載らない。それにより無用なうわさや混乱が生まれている場合もあります。
 テレビのテロップや放送があって、そして、県のホームページを確認すると出ていないということが多かったです。最初の陽性者の確認のあたりは、テレビのテロップで知り、そして、県ホームページを確認するが出ていないということであります。例えば、金曜日の午後に陽性者が確認されているのに、月曜日のお昼にやっと県ホームページに載るというぐあいでありました。
 ですから私も、県民の方に出ましたねと言われても、県議会議員自体が、ああ、そうですか、そんなことがありましたかということを、テレビを最初に見た県民の方から言われるような恥ずかしい状況であります。私もいらいらしておりましたが、県民からも苦情がありまして、また、県民からは、そもそも県のホームページなんか当てにしていないよということを言われる場合もありました。
 また、2月13日に地震がありました。岩手県から仙台市、東京都への大動脈の新幹線が途切れました。県職員の県内新幹線通勤にも大きな支障が出ました。出張や受験生にも大きな混乱をもたらしたのでありますが、その中で、政府や国土交通省の計らいで15日の午前から花巻―羽田便の臨時便が飛んで、利用者からは助かったとの声が出ていました。通常ルートがない仙台―羽田便であったり花巻―羽田便の臨時便は、大英断だと私は思っております。
 この情報を察知できて利用できた方はよかったのでありますが、一方、どのくらいの方がこれを事前に知ったのかということであります。既に就航済みの時間でありました15日の昼に県のホームページを確認しましたが、出ていない。一方、テレビや花巻空港のホームページではきちんと出ているではありませんか。
 県庁にも前日にはこの情報が入っていたということですが、なぜ、利用者にとって喉から手が出るくらい欲しいこの情報を県のホームページでお知らせできなかったのかということで、初期のころの新型コロナウイルス感染症陽性者への対応の反省と対応、それから、地震時の花巻―羽田便の臨時就航の掲載の反省と対応についてお伺いいたします。
〇藤原広聴広報課総括課長 陽性者の初期のころの情報提供の状況等につきましては、感染拡大防止のため陽性者の関連情報を公表している状況でございますけれども、本県において陽性者が確認された初期のころにつきまして、まず、第1報としてマスコミへの記者会見を行いまして、その後、正確な情報を取りまとめた上で、全体の検査件数等もあわせてまとめまして県ホームページへ掲載していたというような状況もありまして、委員御指摘のような翌日以降の更新もあったところでございます。
 なお、このような状況もございまして、どうしてもホームページというのは即時性に劣ることがありますので、これを補完するものといたしまして、県民の方がなるべく早く情報を入手しやすいように、マスコミの協力によるテレビやラジオでの情報提供、テロップが流れるような状況とか、あと、担当部局によってツイッターやLINEの発信など、複数のチャンネルでの提供に努めていたような状況でございます。
 なお、現在につきましては、陽性者の情報については、確認された都度、関係情報を取りまとめ、翌日の指定時間にマスコミへ情報提供を行いまして、その後に県ホームページの更新を行うこととしております。
 なお、ツイッター、LINEも同じような形で即流すようにしておりますので、引き続き、県民が正確な情報を迅速に得られるように努力してまいりたいと思います。
 あわせまして、地震時の花巻―羽田臨時便就航の件ホームページ掲載の件でございますけれども、県民向けのさまざまな情報を担当する各部局の裁量で適時適切に発信できるように、ホームページ作成について各部局における職員の研修などを行ってきたところでございます。各部局でも更新できるようにはしておりました。
 ただ、今般の花巻―羽田臨時便就航につきましては、広くマスコミや航空会社などから情報提供されたところでございますけれども、担当課におきまして、情報収集、マスコミ対応等に追われたため、県ホームページでの告知が後手に回ってしまったと伺っていたところでございます。
 なお、県民の生活に関する重要な情報につきましては、ホームページにおいて広く提供することが肝要と考えておりますので、改めまして、各部局へ呼びかけるとともに、連携しまして情報発信していくこととしてまいります。
〇神崎浩之委員 さまざま私も調べました。いろいろな経緯があったということはわかりますけれども、ただ、ホームページが即時性に劣るというのは、ちょっと私は聞き捨てならないと思うのです。ホームページですよね。新型コロナウイルス感染症の関係は、個人情報のこともあるので非常にセンシティブな内容もあるのですけれども、いずれ記者会見を開く段階であれば、記者会見の内容までのところは同時に流せるのではないかと思っております。その後のやりとりとか正確な情報というのもありますけれども、記者会見を開く段、今は記者会見の前に県議会議員には情報が来ておりますけれども、そういう記者会見を開く段、あの程度の内容であれば、県ホームページにはそれこそ即時に提供できるのではないかと思っております。
 それから、花巻―羽田臨時便についても、盛岡近郊の人は余りぴんと来ないかもしれませんけれども、県内だって、新幹線を使う身にとって、新幹線が使えないということは結構重大な出来事だったのです。
 そういうこともあって、その中で飛行機が飛ぶのですよ。しかも、我々が切望している羽田―花巻便ですよね。こういうことがさらに、単なるお知らせではなくて、こういうこともありましたということが広く県民、県職員にも伝われば、国にも伝われば、今後の切望している羽田―花巻便の定例路線化にもつながるようなことにもなるのではないか、すばらしいことだと思うのです。そんなことも含めて残念だと思っておりました。
 反省されていましたのであれなのですが、私は最初、広聴広報課でしかホームページはいじれないと思ったのです。ですから、土日とか夜が入ると更新できないと思っていたのですが、よくよく聞けば、各担当室課でホームページを更新できるということなので、これは皆さん方が悪いわけではなくて、ぜひとも、農林分野であったり災害であったり、さまざまなところで県民の欲しい情報について、的確に県ホームページで県民にとって有益な情報提供をしていただくようにお願い申し上げまして、部長に聞いて、終わりたいと思います。
〇八重樫政策企画部長 県の広報に当たりましては、県民に必要な情報を即時に、タイムリーに提供するという適時性、即時性が重要だと考えています。
 ただいま委員から県民の皆様の切なる声についての御指摘をいただきましたので、県民が正確な情報を迅速に得られるよう、24時間365日対応するというところがなかなか難しいこともありますし、勤務時間外において、リモートでホームページを更新することももちろん考えられますので、そうした環境もしっかり整えながら、県民の皆様に正確な情報が伝わるよう努めてまいります。
〇吉田敬子委員 私からは、政策評価と広報戦略についてお伺いしたいと思います。
 先ほど名須川委員から、政策に関するいわて県民計画(2019〜2028)の見直し等のお話がありました。私自身は、そういった県のさまざまな事業の中での広報という部分についてお伺いしたいと思います。
 毎年度、政策評価に関する結果等の報告書をいただいておりますが、さまざまな事業のそれぞれの分野の政策の評価はいただいているのですけれども、その事業の中で、では、その広報という部分がそれで十分かどうかとか、または、その中で県全体の広報戦略として何かさらに広げていくことも必要なのかどうかというところ、その分析というものが私は必要だと考えております。
 政策評価の中での広報戦略について、どのように分析、そして反映されているのかお伺いしたいと思います。
〇藤原広聴広報課総括課長 広報に係る政策評価の件でございますけれども、県民への広報につきましては、いわて県民計画(2019〜2028)の行政経営プランにおきまして、適時的確に発信するわかりやすい広報に取り組むこととしております。全戸に配布されるいわてグラフを初めとしまして、県政番組、県ホームページ、マスコミへの情報提供など、さまざまな広報媒体や手法を用いまして情報発信を行っております。
 これらの広報に当たりましては、全庁の調整を図った上で、計画を策定し実施しております。例えば、今般のコロナ禍にありましては、支援情報、啓発情報を優先的、積極的に組み込んで行っているような状況でございます。
 なお、各部局におきまして、委員から御紹介がありましたとおり、事業に応じまして、例えば、テレビコマーシャルだったりSNSでの発信や、ほかの媒体などを活用して行っているような状況でございますが、これにつきましては、それぞれの事業評価の中において効果を検証している状況でございます。
 一方で、これらも含めまして、当課が行っているような全庁的な広報の効果の把握とか評価は、ちょっと難しいところがございますので、例えば、当課でユーチューブ上に設けている公式チャンネルでの動画の再生回数とか、いわてグラフの読者アンケートなどの結果を各部局へ還元することで、次の広報計画に反映するようなこととしております。
〇吉田敬子委員 いわてグラフとかということではなくて、各事業で、例えば、子育ての情報を漫画で発信したりということもされていたり、紙媒体、SNSでもさまざまやっているのですが、あと、いろいろな芸能人の方を使われて、例えば農林水産分野だと、のんさんを使われているとか。そういったことに関して、各部局でそれぞれやっていると思うのですけれども、それをこの政策企画部として、やはり事業について今後やっていかなければいけないとか、ターゲットにしているところに関して、この人でいいのかとか、この媒体でいいのかという部分についての分析をされているのかお伺いしているものです。
〇藤原広聴広報課総括課長 分析というような中身になりますと、いわてまるごと売込み隊で、対外売り込みの部分につきまして、包括的なプランだったり実績の評価とかを行っております。その中で、当課も含めまして本部会議を開いて、県の広報媒体の検証をやっているようなところもございます。
〇吉田敬子委員 例えば、今回、保健福祉部が新型コロナウイルス感染症対策でTikTokの活用を開始されました。私自身も開始したところで、TikTokを見ながら、ただ、私も世代がもうついていけないなと感じるのですが、一方で、やっぱりコメントを見ると、若い世代のコメントもあったりすると、挑戦すること自体はすごくいいことというか、他県を見ると、やはりいろいろな新しい媒体を使って、若い世代にどうしたら情報発信できるかということを模索されている中での今回の挑戦というのは、よいことではあったと思うのです。ただ、各部局でやられていることを、いいところを県全体の広報戦略に使うとか、もしくは、それがちょっとどうなのだろうかという検証は、私は政策企画部でしっかりやるべきではないかと思っています。
 今回、県民の幸福感に関する分析部会というレポートもいただいたりしていますけれども、この中に、例えば、一貫して低位で推移している属性、子育て世代の方の幸福感が低位であることとかが見られているわけです。では、そこの方々に対して、広報という部分でどうやって発信するといいだろうかという戦略も大事ではないかと私は思っているのです。その部分については、各部局に委ねているという現状でよろしいのでしょうか。
〇藤原広聴広報課総括課長 各部局におきましてさまざまな取り組みを行っていることは承知しております。その部分につきましては、先ほど御紹介したとおり、まるごと売込み隊だったりの情報を当課でも共有するような形にしていまして、新型コロナウイルス感染症で申しますと、例えばLINEなどにつきましては、タイムリーな情報が届くということでユーザーがかなりふえているようなこともございますので、その部分につきまして、効果とかを検証しながら、例えば、職員研修みたいなところで情報共有を図っていくということを行っております。
〇吉田敬子委員 では、各部局のそれぞれの、例えば保健福祉部でTikTokをやられたというところは、検証せずに各部局に任せて、それが、コロナ禍が終われば終わってしまうとか、それはもったいないのではないかと私自身は思っているのです。
 例えば、今、もちろん御存じかと思いますけれども、クラブハウスというSNS媒体が盛り上がっておりますが、クラブハウスを活用した自治体もふえてきております。例えば、定例記者会見を首長がクラブハウスでもう一度発信することで、若い世代が、またその記者会見を見るというような状況が生まれているみたいなのです。やはり、せっかく各部局で新しいものに取り組んでいるときに、それを県全体の広報として生かしていくという戦略が政策企画部に求められていると私は思っています。私自身も求めております。
 例えば、芸能人もいろいろな方を起用されていますけれども、それを各部局に委ねるのではなく、やっぱり政策企画部の広報戦略として、県全体としてもしっかり、監督と言うのも変ですけれども、いわて県民計画(2019〜2028)にあわせて、こういうターゲットでやっていくのであれば、こういう方を起用するべきではないですかとか、漫画を活用するのももちろんいいんですけれども、今、若い人たちは紙で見ることはなくて、漫画を使うのであれば、紙ではない、違う、SNSでやったらどうかということの戦略を政策企画部が統括していると私自身は思っております。
 その件に関しての御所見と、これはちょっと通告していないのですが、クリエーティブディレクションという、東京都だったり佐賀県のように、自治体全体の広報を、クリエーティブ分野のディレクションを置いてしっかり監督している自治体もふえているわけですが、そういった観点についての御所見をお願いしたいと思います。
〇藤原広聴広報課総括課長 委員から御紹介があったように、最近は本当にさまざまな広報ツール、広報媒体がございますので、一概にどれがいいかということについて、なかなか分析等、追いついていない現状もあることはあります。
 また、安全性の部分だったりとかでちょっと不安なところもあるというお話もありましたので、一つとってこれはというものがなかなか進めづらいようなところもございます。例えばツイッターだったりLINEだったり、実績を積んでいるようなものにつきましては、広く県庁内でも使えるような形に御紹介していくことは可能だと思っておりますし、また、実践していきたいと考えております。
 クリエーティブディレクションの関係につきましては、まだそちらの検討までは行っているような状況ではございませんけれども、各部局においてさまざまなことをやっているということは、先ほど紹介しましたようにいわてまるごと売込み隊の会議とかでも共有されておりますので、その部分を積極的に還元していって、情報共有するような形はとっていきたいと思っております。
〇吉田敬子委員 ぜひ、サービスの提供という部分で、私も追いついていなくてちょっと残念なのですが、若い世代に、これからの子供も含めた方々にいかに情報を提供するかという部分は、すごく大事になってくるかと思いますので、やはりそういった分野については、しっかり検討していただいて、政策評価の中で広報という部分もしっかり県全体のほうに反映して、見直し等もされるというところもありましたけれども、広報の観点からもぜひお願いしたいと思います。
〇米内紘正委員 私からは、政策評価についてお聞きいたします。
 これまで何回も政策評価について、上位指標、最上位指標である幸福関連指標と、それに基づくその屋台骨である具体的方策推進指標であったり、事務事業評価指標、そこに含まれる成果指標、活動内容指標が連動していないのではないかということを訴えてまいりました。それが連動していないとなると、幸福関連指標が、知事が国会で取り上げられたと誇っておられるようにどんなにすばらしい計画であっても、全く機能しないというか成果となってあらわれてこないのではないかということを考えております。
 その中で、今回、令和2年度の包括外部監査の結果について資料が配られました。これは今回、スポーツについてのものですけれども、その中で、この指標についてかなり具体的な指摘がなされております。それは、今回、スポーツの内容なのですけれども、その指標が、活動指標、アウトプットと成果指標、アウトカムを混同してしまっているのではないかと。混同してしまっているがゆえに、それが成果を重視する行政の推進を妨げているということが指摘されています。
 幾つか具体的に言うと、例えば超人スポーツワークショップ参加者数、これを県は成果指標としているのですけれども、これは成果指標ではなく活動指標ではないかと。活動指標をあえて成果指標と示すのは不合理である。上位施策の評価との連動を踏まえて、成果指標として設定したものと言えるか疑問であるとか、あるいは県が指定選手の国外、海外遠征回数を成果指標としているのですけれども、上位目標がメダリストの育成事業なのであり、上位施策が日本代表選出数であるのだから、大会入賞者数が成果指標として合理的であると。海外遠征とかというのは活動指標ということですよね。
 そういうところがかなり細かく指摘されているのでありますが、これを踏まえて、この指標体系に関して、こうなってしまった原因と、これからどうしていくかというところをお聞きいたします。
〇北島評価課長 包括外部監査の結果についてでありますけれども、事務事業の指標には、目標を達成するために県が実施した具体的な活動の量を示す活動内容指標と、県が実施した活動による目的の達成状況を示す初期アウトカムである成果指標があります。これらの指標は、県の取り組みである具体的推進方策指標との関連性を考慮して設定しております。例えば、普及啓発活動においては、セミナー等の開催回数を活動内容指標として、その参加者数を成果指標として設定しております。
 今回の包括外部監査において、こうした県の指標設定の考え方について説明したところでありますが、県が考える成果指標である初期アウトカムまでが活動内容指標であるとの御認識であったため、今回の御意見になっているものと考えております。
 また、県民の視点に立った成果重視の行政運営を行うという事務事業評価の目的に資するよう指標を設定すべきとの御意見がございました。県としては、引き続き、政策、施策、事業の政策体系に基づき、上位指標である具体的推進方策指標との関連性を意識した指標の設定に努めてまいります。
〇米内紘正委員 今の御説明だと、県は、事務事業の成果指標は、その上の具体的方策推進指標を達成するための活動内容指標だという説明だったかと思うのです。だとすると、例えば超人スポーツワークショップは、具体的推進方策指標と同じになってしまっているわけですね。こういうものはどう説明されるのでしょうか。事務事業評価の成果指標と具体的推進方策指標が同じになってしまったら、それは両方とも活動内容指標と成果指標を混同しているように感じられてしまうのですけれども。
〇北島評価課長 基本的には、事務事業評価の成果指標と具体的推進方策指標は同一でないことが望ましいということにはなっているのですけれども、我々がその指標を設定するに当たって、やむを得ずそれが一緒になることも容認しております。
〇米内紘正委員 やむを得ずというのは、誰の判断になるのですか。
〇北島評価課長 県の判断です。
〇米内紘正委員 わかりました。指標を設定するに当たって、県の判断は誰かの主観になるわけです。恣意的な判断が入ってくるわけですけれども、今回はこの一部分を取り上げましたが、各部局でそういうことが起こってしまうと、指標の体系がなされなくなってしまうのです。これはやむを得ず判断しました、これも例外的に容認しますというのが、どこの誰が許すのかという、その人の判断になってしまうわけです。そこはある程度体系立ったものが必要ではないかと。そういうところがあやふやになっているからこそ、結局、上位目標と下位の目標の連動が疑問であるというのが、この外部包括監査の結果に出ているのではないかと感じるところです。
 またこの点に関しては最後に質問しますけれども、次に、先ほど名須川委員からもありましたコロナ禍に関する指標、アクションプランの見直しの件に関してであります。
 イベントだったりセミナーというものは、今年度の影響を勘案して来年度取りまとめてということですけれども、ということは、これは令和4年度のアクションプランになります。つまり令和3年度に関しては今のまま走って、そうすると、今、令和3年度、新型コロナウイルス感染症の影響でいろいろなイベントとかセミナーができないことが想定されるわけです。ということは、令和4年度に我々に渡される政策評価の結果に関しては、また、ずっと新型コロナウイルス感染症の影響により達成できませんでしたみたいな言葉が並ぶわけですね。このスピード感でよろしいのですか。
〇加藤政策課長 アクションプランを見直しする場合のスケジュールでございますが、令和2年度の実績が出ますのは令和3年度となります。これを踏まえて令和3年度の指標を見直すものでございますので、その場合には、令和4年度のものは、令和3年度を見直したものが出るということになります。
〇米内紘正委員 物すごく遅いですよね。これは県庁のスケジュール感なのでしようがないと言われてしまえばそうなのですけれども、PDCAサイクルを回してとよくおっしゃいますね。これは、PDCAサイクルを回すのに2年かかっているのです。令和2年5月、6月ぐらいからいろいろなイベントができないということは見えていたわけです。なので、いわて県民計画(2019〜2028)の中にたくさんある、フォーラムだったり、セミナー、勉強会、そういうものが多分開催されなかったわけです。つまり令和3年度に渡される結果報告書は、新型コロナウイルス感染症の影響によりできませんでしたというものが渡されるわけです。
 そして、令和3年度の計画も変更されないので、令和4年度に渡される報告書も、コロナ禍によりですよね。なぜなら、令和3年度にはアクションプランは変更されないわけです。ということは、令和3年度分が報告される令和4年度の報告書に関しても、新型コロナウイルス感染症の影響によりという文言が出てくるということですね。
〇加藤政策課長 済みません、言葉足らずでした。見直す場合ですが、令和2年度実績を踏まえて令和3年度の目標値を見直すことになります。令和3年度の評価に当たっては、見直しした後の指標、目標値によって評価することになりますので、令和3年度は織り込まれるような形になります。
〇米内紘正委員 つまり、それは目標値、数値設定のところだけを下げたりするということですか、それともアクションプラン自体が多少変更したものになるということですか。
〇加藤政策課長 現在考えておりますのは、目標値なり、あるいは先ほど申し上げましたイベントの参加者数のようななじまないものについては、代替指標を探して置きかえるといったところを見直す予定としております。
〇米内紘正委員 令和4年度に渡される報告書には、新型コロナウイルス感染症の影響によりという文言は多分ほとんど見られないと思いますので、安心しました。今、イベントとかセミナーというのは、オンラインとのハイブリッドでやれるものは、令和3年度、もう来年度から、やっぱりそこをやっていかないと、これに2年も3年もかけていたら、いつのことを言っているのだという話になってしまうので、そこは安心したところでございます。
 最後に、指標決定のプロセスについてお聞きします。これまで私も、この指標に関して各部局でいろいろ聞いてきたのですけれども、どうもらちが明かないというかなかなかかみ合わなかったので、やっぱり政策企画部で統一的な客観的な指標をどれぐらい精査しているのか、各部局から出たものをただ取りまとめているだけなのか、その関与の度合いをまずお聞かせいただけたらと思います。
〇加藤政策課長 まず、幸福関連指標についてでございますが、幸福関連指標の設定に当たりましては、岩手の幸福に関する指標研究会報告書や総合計画審議会、県議会の御意見を踏まえ、県民にとってわかりやすく、全国比較が可能であり、毎年度把握できる指標であるとともに、毎年の政策評価に基づくマネジメントサイクルを着実に機能させるため、10の政策分野に含まれる50の政策項目との対応関係も考慮して、策定当時の政策地域部が中心となって設定したところでございます。
 また、具体的推進方策指標につきましては、政策推進プランに掲げた50の政策項目の基本方向の推進に向けまして、県が取り組む具体的推進方策が目指す水準を、それぞれの施策を推進する部局と当時の政策地域部が連携を図りながら、全国平均値や全国順位を勘案して設定しているところでございます。
〇米内紘正委員 幸福関連指標についてはもう大丈夫です。しっかりと議論はされていると思うので、私が今回取り上げているのは事務事業評価のほうです。その屋台骨のほうですね。そこがどうしても、部局から出てきたものをそのまま取りまとめているだけなのではないか。だから、さっき外部包括監査の中で出てきたようなあやふやさが残ってしまっている。体系立っていない感じを受けるのです。
 やっぱり各部局としては、それは達成したいわけですから、自分たちが達成できる目標を出してくるわけです。その結果、おととしの一般質問でも言いましたけれども、結果がもう見えているのです。大体8割がおおむね達成以上になるようにできているのです。成り行きで。そうすると、本当に達成できていない項目と達成できた項目がベールに包まれてしまって、本当はしっかりと、達成できていないものは達成できていない、それを議会の場で、では、どうして達成できていないのかと議論していくべき。怒る、怒らないとかではなくて、そこをしっかり内容を吟味して議論していくべきだと思うのですけれども、常に8割以上、おおむね達成ですと出てきてしまうと、その8割の中から、これは本当はどうなのだろうというのをまた分析というか探さなければいけないのです。
 だから、各部局のための評価指標ではなくて、やっぱり政策企画部が、各部局から嫌われるかもしれないですけれども、ある程度客観的に、統一的につくっていかないと、いつまでたっても8割以上です。でも幸福関連指標には全く反映できませんでした。でも幸福関連指標はすばらしいものですよと、聞いていてすごく違和感を感じるのです。
 12月定例会の中で八重樫政策企画部長も、EBPMの概念も検討したいとお話しされていましたけれども、それに当たって、指標は、やっぱり数字を見ていかなければいけないわけです。これが本当に連動しているのかどうか。その数字を検証するに当たって、今それはどこが担当しているものですか。
〇北島評価課長 事務事業の指標の関係でございます。
 事務事業における活動内容指標、成果指標につきましては、予算編成を踏まえて毎年度更新をかけることにしていまして、基本的に部局でいろいろなデータを取り集めて指標の設定をしており、それを政策企画部の評価担当でチェックしています。チェックの観点からすると、具体的推進方策指標の目標の進捗につながるものであるかどうかといった観点でチェックをしております。
〇米内紘正委員 数字が合っているかどうかではなくて、本当に連動しているかどうかというところをしっかり各部局と議論することが必要だと思います。ただ、その数字をいろいろ見られているのが政策企画部ということですけれども、私は、ここは調査統計部門と本来は一緒であるべきだと思うのです。今、ふるさと振興部に調査統計部門がありますけれども、やっぱり数字を見て、その調査統計は、ただの一時的なデータの収集ではなくて、今の時代は、これからもう企業においてはブレーンの部分ですから、データサイエンティストとかアナリティクスという花形のところに当たるわけでございます。そこが分かれてしまっているとデータのやりとりができなくなってしまうのです。こういう指標を検証したいから、では、こういう統計をとる、こういう調査するというのが一体のものであるべきだと思うのですが、そこが今、分離している状態だと思うのです。
 だから、そこが物すごく密に連携されているならいいのですけれども、そこというのは今どういうやりとりとか関係性になっているのでしょうか。
〇北島評価課長 その分野においては、県の施策に関する県民意識調査の結果を政策評価に反映させるということで、意識調査の分析などは政策企画部とふるさと振興部の調査統計課と連携して、分析などを進めています。
〇米内紘正委員 ぜひ、そこは一体のものだと思うので、県の施策に関する県民意識調査のところだけではなくて、いろいろな数字がいっぱい出てくると思うのです。そこに人員を割きながら、ありとあらゆる問題について原因を把握していかないと、どんなにここで議論を進めても、では、今度はこういう方針で行きましょう、すばらしい方針が決まりました、計画が決まりましたといっても、実質的なところの成果を上げていけないと最後出てこないと思うのです。
 では、最後に、これまでの議論を含めて部長にお聞きをするのですけれども、外部包括監査の件も含めて、これから指標のところに政策企画部としてどのように携わっていくかというところをお聞きして、終わりにします。
〇八重樫政策企画部長 データ分析をしっかり行って政策評価につなげていくというところで、人口の社会減に関して、有効求人倍率であるとか所得との因果関係等についての重回帰分析を行ったのは調査統計課の調査分析でありまして、そことしっかり連携しながら政策の立案等にもつなげているわけであります。
 政策評価自体については、まさに事業の課題を明らかにして、その評価を予算編成過程につなげていくものでありまして、政策決定の基盤となるものであります。したがって、今回、コロナ禍等によるさまざまな影響があるわけでありますけれども、いわて県民計画(2019〜2028)の指標結果が出ないと評価できないということではなくて、コロナ禍に関連する社会経済情勢等は、しっかり察知しながら、臨機に対応していくということでやっております。
 委員から御指摘のありました事務事業評価のアウトプットとアウトカムの指標等の整合性については、ここはしっかり見直し、各部局ともしっかり議論しながら、上位指標等にしっかり連動するような指標に、これは随時、不断の見直しをしながら政策評価の実効性を高めていくことに努めていきたいと考えております。
〇岩渕誠委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。

午前10時57分 休 憩

午前11時12分 再 開

〇岩渕誠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 それでは、新型コロナウイルス感染症対策における知事のイニシアチブの発揮についてお聞きいたします。
 内外情勢調査会での知事の講演を読ませていただきました。今までになく説得力のある、読み応えのあるものでした。そこで岩手県で感染者ゼロが7月末まで続いた要因というのも知事なりに解明していましたが、どういう要因でしょうか。
〇岩渕副部長兼首席調査監 知事のイニシアチブに関してでございますけれども、委員御指摘の昨年11月27日の内外情勢調査会の講演におきまして、感染ゼロが続いた要因として、真面目で慎重な県民性、人口密度の低さ、外国との出入りの少なさ、また、対策のための組織の設置など国に先立った対応を行ったことを挙げ、特に真面目で慎重な県民性につきましては、もともとそういった県民性のあるところに、東日本大震災津波の経験が、お互いに助け合う風土や危機感への高い意識を強化したと考えられるといった説明を行っています。
 こうした内容につきましては、本県が国内外から注目され、多くのメディアからの取材や他のさまざまな講演などを通じても広く発信されてきたと承知しております。
〇斉藤信委員 私が特に注目したのは、岩手県では国に先立った対策を行ってきたということで、かなり具体的に時系列的に講演をされておりました。国に先立って取り組んできた主な内容について示していただきたい。
〇岩渕副部長兼首席調査監 国に先立った対策の取り組みにつきましては、医療関係者を構成員とする岩手型新型コロナウイルス感染症対策専門委員会を国に先駆けて設置したことや、人の移動が多くなる昨年の年度末に、知事メッセージとして首都圏との往来への注意喚起を行い、一部首都圏から来県される方への2週間の外出自粛をお願いしたことなどを講演において説明したと承知しております。
 なお、これ以外の取り組みとしても、PCR検査における濃厚接触者に限らない積極的疫学調査の実施、あるいは誹謗中傷をとめるための強いメッセージ、さらには、経済の落ち込みに対する対策として、国に先駆けて、市町村と連携して家賃補助を昨年初めに早期に実施したこと、さらに、本県におきましては、いわて未来づくり機構という組織がありますが、そこに大学、経済界、さらには医療関係者を交えまして、いのちと健康を守り、生活となりわいと学びを支える岩手宣言を行うなど、いろいろな団体と連携して対策に取り組んできたことが挙げられると考えております。
〇斉藤信委員 この講演の中では、例えば4月10日、岩手県版の基本的対処方針を決定したと。これは、全国で言えばそれまで例はなかったということで、感染者が出ていない中で、県の基本的対処方針をいち早く打ち出したということも紹介をされています。
 4月30日には、地域外来・検査センターを10カ所設置するということで、これまた全国にも例のない、東北地方でも一番多かったと思うけれども、そういう取り組みを進めてきたということで、時系列的に、岩手県がどういう取り組みをして、その結果として7月29日まで感染者ゼロを実現してきたと。偶然でもない、やっぱり必然性があったのではないかと。
 もう一つ私が注目したのは、全国知事会による働きかけ、この講演の時点で全国知事会は13回会議を開催して、新型コロナウイルス対策検証・戦略ワーキングチームなども設置して、そして、国に強力な働きかけをしてきた。全国知事会がこんなに国政に影響を与えたことはなかったのではないかと、私もそう実感しています。そして、その中で絶えず達増知事の発言、提言というものは、全国的にも注目を受けてきたのではないか。
 2月27日にも新型コロナウイルス緊急対策本部会議が開かれていましたけれども、全国知事会を通じて、知事が提言し、そして実現した、実現の方向に向かった事例を示してください。
〇照井政策企画課総括課長 全国知事会については、例年は2回程度の会議でございますが、新型コロナウイルス感染症発生以降は、令和2年2月に新型コロナウイルス緊急対策本部を設立しまして、それ以降、資料では13回になっていましたが、現時点では17回の本部会議を開催し、国への緊急提言等を行ってきたところでございます。
 また、令和2年6月には、新型コロナウイルス対策検証・戦略ワーキングチームが設置されまして、そこに知事も参画し、PCR検査等の検査体制の構築あるいは外出自粛、休業要請等の運用や法的な枠組みのあり方、偏見、差別やデマへの対策などについて8月に報告書がまとめられ、国への要望、提言に反映されたところでございます。
 このほか、積極的感染防止や経済社会活動の正常化に向けまして、18道県の有志知事の緊急提言あるいは13県の知事と産学官金の有志合わせて114名の連名によります緊急提言などにも賛同しまして、国に要望してきたところでございます。
 こうした取り組みなどによりまして、国の補正予算におきまして、地方創生臨時交付金の増額あるいは家賃支援給付金の創設、中小企業再生ファンドの支援策などが盛り込まれたものと認識しております。
 また、直近の2月27日の全国知事会では、本県を初め全国の感染状況や、緊急事態宣言対象地域外でも経済への影響が及んでいることも踏まえながら、緊急事態宣言の目標として、新規感染者ほぼゼロを目指すことや、休業要請や時短要請をしていないところについても影響が出ていることを踏まえながら、緊急事態宣言の対象地域以外も含め全国の飲食店や関連業者に対しても支援をすること、あとはGoToトラベルの再開につきまして、地域の実情を踏まえ、県単位あるいは東北地方のようなブロック単位で、地域の宿泊施設をその地域の住民が利用するといった弾力的な運用を図ることについて発言され、提言に盛り込まれたところでございます。
〇岩渕誠委員長 答弁は簡潔に願います。
〇斉藤信委員 講演の中で私がもう一つ注目したのは、県と市町村の連携というところです。4月14日に新型コロナウイルス感染症対策に係る県と市町村との意見交換会、この時期に全員集合でこういう会議をやったというのは、全国に例がなかったと言われていますけれども、その後、広域振興局単位で対策本部、地方支部会議というものも設置されまして、市町村との連携を強化してきたと。そういう中で、例えば、家賃補助は全国に先駆けて実施することにもつながったのではないかと。
 市町村との連携はどのように進められたか、これも含めて示してください。
〇加藤政策課長 県の基本的対処方針では、経済雇用対策の実行に当たり、中長期にわたり社会の力や経済の力を維持し、回復への基盤を築くことができるよう、市町村と対策の方向性を共有することとしております。
 このため県では、先ほど御紹介がございました知事と首長による県と市町村の意見交換会に加え、事務レベルの県市町村連絡会議も開催しまして、県の方針や補正予算の内容等を共有し、連携に努めてきたところでございます。
 例えば、県の一般会計第3号補正予算におきましては、先ほど御紹介ありました家賃補助につきまして、市町村と内容を共有した上で、市町村と連携した補助を実現しております。
 また、県の一般会計第4号補正予算におきましては、市町村の要望などを踏まえまして、新型コロナウイルス感染症対策市町村総合支援事業費補助を創設しまして、市町村が独自に地域経済の回復等に必要な対策を講じるための支援も強化したところでございます。
〇斉藤信委員 主な講演の内容をお聞きしましたけれども、私が読んでも大変説得力があると思いました。これは、多くの県民の方々に、新型コロナウイルス感染症対策で岩手県はどう取り組んできたのかを知らせる一番コンパクトで具体的な内容だと思うのです。ただ、これは内外情勢調査会でやってたもので、転載禁止になっていますから、そこをちょっとクリアして、これが知事のメッセージとして紹介できないか。また、もしできないとすれば、違った形で知事のメッセージを打ち出すことが、これから新型コロナウイルス感染症対策を県民挙げて取り組む上で、私は大変重要な内容を持っていると思いますので、その点いかがでしょうか。
〇岩渕副部長兼首席調査監 この講演録につきましては広く共有していきたいと考えております。その方法として、県ホームページへは掲載可能でございますので、県ホームページに掲載すること、あるいは職員もきちんと共有して、こういうものをベースにいろいろな場面で話ができるようにしながら、しっかりと県民の皆様と共有していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 それと、2月27日の全国知事会の新型コロナウイルス緊急対策本部会議の記録を読ませていただいて、LINEによる県民意識調査の中身が、これは大変重要な調査だったのではないかと思います。
 実は私も知らなかったのだけれども、これは新型コロナウイルス感染症の情報をLINEで知らせて―私もこのLINEは毎日見せていただいていますが―実は1万8、556人の回答があったLINEを活用した県民意識調査なのです。そして、その中には、どのように県民が自粛をしてきたのかというものとあわせて、事業者の方々も、どのぐらい売り上げが減少しているのか、これは全国知事会でも知事自身が紹介しているのです。利用者の飲食店等での飲食の頻度10割から8割減が55%、7割から5割が24%いて、79%の人が半減以上。半分以上がもう自粛していた。
 そういう中で、私は、こういう調査結果なども、もっと県民にわかるような形でお知らせをする手だてが必要なのではないかと思います。聞いたら、これは保健福祉部がやったと。これは、だから縦割りの弊害をなくして、貴重な情報は、政策企画部が情報発信源ですから、多くの県民に伝わるようにすべきではないかと思いますが、いかがですか。
〇藤原広聴広報課総括課長 LINEで調査結果等が流れておりまして、あと、マスコミのほうにもたしか投げ込みをしていたようでございますので、新聞等でも取り上げられているものと認識しております。
〇斉藤信委員 投げ込みだけではなくて、わかるようにということを言ったので、もっと前向きに受けとめてください。
 それと、ちょっと時間がないのでこれで最後にしますが、知事からのメッセージ、先ほど紹介したように、内外情勢調査会での講演が、私は今までの中では一番まとまった説得力のある知事のメッセージだと思うので、これを活用していただきたい。
 それで、参考になるのは和歌山県の知事なのです。和歌山県知事は、時々新型コロナウイルス感染症の感染状況の分析を踏まえて、県内の感染の特徴は何かということを知事自身がメッセージで、データも含めて提供しているのです。和歌山方式といって、幅広く検査をして全国で最初の院内感染を食いとめたと。私は、それ以外は大体岩手県も同じことをやっているのではないかと思っているのですが、分析は弱いと思います。
 この間の議論を聞いていたら、実はゲノム解析をやっていたという話がぽっと出るわけですよ。何でそういう、せっかくいいことをやっているのだったら、情報を明らかにしないのか。
 和歌山県がそういうことをできるのはなぜかというと、徹底した感染者の追跡をして、幅広く検査をして、それを分析しているから、和歌山県では新型コロナウイルス感染症の感染の特徴について、特に第3波については大変しぶといと言っているのです。いわば、1人の感染者から拡大する数がふえてきている。あと、最初にPCR検査をやって陰性でも、4回目、5回目で出てくる。そういう特徴を第1波からの比較を含めてデータを含めてやっているのです。
 そういう意味でいくと、そこは和歌山県の知事に学んで、いいことをやっている、徹底して検査もやっている、その結果も分析をして、そういう科学と事実に基づいて県民にメッセージを伝えていくと。本当に新型コロナウイルス感染症対策はわからないことが多いだけに、私は、わかる範囲でそういうことを伝えていくことが必要なのではないかと思います。
 知事のメッセージをさらに精度を上げて積極的に県民に訴えられるようにしていただきたい。
〇八重樫政策企画部長 新型コロナウイルス感染症につきまして、各都道府県知事の発言やメッセージに注目が集まっているところでございまして、ただいま委員から御紹介のありました仁坂和歌山県知事の2月27日の全国知事会の新型コロナウイルス緊急対策本部での発言では、和歌山県の感染状況が落ちついているのは、積極的な疫学調査を保健医療行政がしっかりやっているからである。首都圏において今なかなか感染が下げどまらない中で、首都圏において保健医療行政を立て直して、積極的疫学調査のレベルをもう一度もとに戻してもらいたいという発言がございまして、エビデンスに基づいた非常に説得力のある御発言をされておりました。
 達増知事におかれましても、委員から御紹介のありました内外情勢調査会を初め、海外のメディアを含めまして、ワシントンポストであるとか香港フェニックステレビ等でさまざま発信をしておりまして、今までにないほどのメディアあるいはマスコミ等での発信をされております。
 岩手県におきましても、もちろん和歌山県に負けないほど積極的疫学調査も実施していますし、検査についてもしっかりやっておりますので、そういったところ、まさにエビデンスに基づいた事実をしっかりと県民に伝えられるよう、知事を含めまして、さまざまな広報を通じまして発信していきたいと考えております。
〇岩渕誠委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩渕誠委員長 質疑がないようでありますので、これで政策企画部関係の質疑を終わります。
 政策企画部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、ふるさと振興部長にふるさと振興部関係の説明を求めます。
〇佐々木ふるさと振興部長 それでは、令和3年度のふるさと振興部関係の歳出予算につきまして御説明申し上げます。
 なお、組織改編によりまして、来年度、当部から総務部に移管予定の行政情報化関係業務につきましては、当部において御説明させていただきますので、あらかじめ御了承願います。
 最初に、当部の予算編成に当たっての基本的な考え方でございますが、令和3年度は、東日本大震災津波及び台風災害からの復旧、復興への取り組みを着実に実施するとともに、いわて県民計画(2019〜2028)のもと、ふるさと振興や社会基盤の整備など、県民の幸福度向上を図る10の政策分野に基づく施策を推進してまいります。
 また、三陸や北いわてを初めとする新しい時代を切り拓くプロジェクトの関連事業のほか、デジタルトランスフォーメーションの推進や関係人口の創出、拡大を図る取り組みなどを積極的に推進してまいります。
 まず、復興推進の取り組みについてでありますが、被災地の高校生等への通学費用の負担軽減支援を実施する公共交通機関への支援や、被災地の復興等を担ういわて復興応援隊の受け入れによる地域の活性化や、将来の人材定着につなげる取り組みなどを推進してまいります。
 次に、政策推進の取り組みについてでありますが、まず、教育の分野につきましては、岩手県立大学における取り組みへの支援などのほか、私立学校に対する、新たに遠隔授業やICTを活用した教育の実施への支援を含めた学校運営等に要する経費の補助や、私立高等学校等の教育費の負担軽減を図るための就学支援金の交付など、各私立学校の特色ある教育活動の支援に取り組んでまいります。
 居住環境・コミュニティの分野につきましては、三陸鉄道の持続的な運営を支援するため、沿線市町村と連携して設備の維持管理等に要する経費の補助などを実施してまいります。
 また、地域おこし協力隊の定着に向けた起業セミナーの開催や、地域おこし協力隊OB、OG等を核としたネットワークづくりへの支援による活動支援の充実と定着促進、それから、本県の外国人県民等の生活に必要な日本語能力の向上に資する日本語教育の環境整備に取り組んでまいります。
 仕事・収入の分野につきましては、いわて花巻空港に係る国内線の利用促進や、国際線の早期運航再開などに向けた取り組みを推進してまいります。
 社会基盤の分野につきましては、県内におけるデジタルトランスフォーメーションや行政のデジタル化を推進するため、推進体制の構築、推進計画の策定や人材育成等を実施してまいります。
 次に、新しい時代を切り拓くプロジェクトの推進に向けた取り組みについてでありますが、北上川バレープロジェクトにつきましては、働きやすく暮らしやすいエリアの創出に向けた取り組みとエリアの魅力等の情報発信を推進してまいります。
 三陸防災復興ゾーンプロジェクトにつきましては、防災推進国民大会―ぼうさいこくたい2021の開催等を通じて、震災の教訓や三陸の多様な魅力を発信してまいります。
 北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトにつきましては、北岩手の交流人口の拡大など、地域課題に対応する産業振興と社会づくりを一体的に推進してまいります。
 人交密度向上プロジェクトにつきましては、関係人口の創出、拡大を図るため、地域とのつながりの創出を図る取り組みを実施してまいります。
 最後に、組織改編に伴い、来年度から総務部の所管となりますが、庁内情報システムの管理運営等や、岩手県行政情報ネットワークシステムの更新等、システム環境改善に向けた取り組みを実施してまいります。
 それでは、歳出予算につきまして御説明申し上げます。
 お手元の議案その1の6ページをお開き願います。ふるさと振興部関係の予算は、2款総務費のうち、2項企画費の一部2億6、700万円余、4項地域振興費の一部48億9、300万円余、5項選挙費の9億4、300万円余、7項統計調査費の3億9、600万円余、続きまして、8ページに参りまして、10款教育費のうち、1項教育総務費の一部140万円余、続きまして、9ページに参りまして、8項大学費の44億3、700万円余、9項私立学校費の65億2、400万円余、これらを合わせまして、総額で174億6、400万円余であります。
 これを前年度の当初予算額と比較いたしますと39億2、600万円余、約18.4%の減となっておりますが、これは、選挙費が大幅に増額となった一方で、地域総合整備資金貸付金及び三陸鉄道運営支援事業費等が減額となったことに伴うものであります。
 このほか、2款総務費1項総務管理費の一部10億2、400万円余につきましては、当部から総務部へ移管する予算となっております。
 予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で説明を終わらせていただきます。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇岩渕誠委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇高橋はじめ委員 私からは、本年度施行予定の衆議院議員選挙及び裁判官の国民審査費につきまして、まず最初にお伺いしたいと思います。
 歳入では、国庫支出金8億9、137万円余、歳出では7億9、040万円余ということで予算計上されております。2年前の参議院議員選挙の際には、歳入が8億1、441万円、それから歳出が7億1、991万円余ということで、歳入で7、696万円のプラス、歳出ですと7、000万円余のプラスになっているわけです。これは選挙区が違うのかなと思っているんですが、その辺の違いについて、どのようになっているのかお伺いします。
〇松村選挙管理委員会事務局書記長 予算額の増減でございますけれども、やはり今、委員おっしゃったとおり、立候補者の数の変化ということで、そういった経費の分の増ということでございます。
〇高橋はじめ委員 そういうことで、それをもとに今年度施行される衆議院議員選挙について、さまざまな取り組みがこれから進められると思いますけれども、まず、一昨年施行された参議院議員選挙について、各市町村の投開票におけるトラブル等はなかったのか、あったということであれば、その原因等、どのように捉えているのかお伺いしたいと思います。
〇松村選挙管理委員会事務局書記長 昨年の参議院議員通常選挙におきましては、開票作業時に疑問票の確認に手間取った事例、あるいはパソコンのふぐあいで必要な資料が印刷できないということがございまして、予定の時刻よりも開票の終了がおくれた事案、それから、投票総数に不在者投票数を加えなかったことが判明して、投票結果を訂正する事案が発生したところでございます。
 改善策でございますけれども、票の判定に係る人員の確保ですとか、あるいはチェック体制の強化ということで市町村からは報告を受けております。
 いずれ、選挙執行に際しましては、私どもで市町村の担当者を対象とした会議なども開催しておりますので、引き続き、そういった場で注意喚起をしながら、適正な選挙事務の執行に努めてまいりたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 さまざまなトラブルもあって、解決策もそれなりに出てきて、それを今度生かしていこうということでございます。ぜひ、トラブルのないようにお願いしたいと思っております。
 本年施行の衆議院議員の総選挙に関してですが、近年、投票所の集約とか投票締め切り時間の繰り上げ、短縮などの動きが出ておりますけれども、県内各市町村の選挙管理委員会でこの動きをどのように捉えておられるのか、また、各種選挙の施行に向けてどのような課題があり、本年施行される衆議院議員総選挙に向けて改善策はどのようにとっておられるのか。先ほどもお話がちょっとありましたけれども、まとめてその辺のお話を伺いたいと思います。
〇松村選挙管理委員会事務局書記長 まず、投票所の数でございますけれども、令和元年の参議院議員選挙では、県内全体で1、033カ所でございました。これが前回、平成28年の参議院議員選挙と比べますと54カ所減少しております。また、投票所の閉鎖時刻の繰り上げが行われた箇所でございますが、令和元年の参議院議員選挙では862カ所、その3年前の平成28年と比べますと、これも54カ所減少したところでございます。これは、実は投票所自体の減少がございましたので、そちらが影響しているものと考えております。
 それから、投票所の設置、閉鎖時刻の繰り上げにつきましては、市町村の選挙管理委員会が決定する事項ではございますけれども、やはり住民の方の投票機会の確保は非常に大事なことでございますので、既に県内でも、例えば、どこの投票区の方でも投票できる共通投票所ですとか、あるいは複数の箇所を巡回するような移動式での期日前投票所といった工夫をしている市町村もございますので、そういったところは、地域の実情に応じて措置を講じていただけるように、市町村に対しても助言していきたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 ぜひトラブルのないようにお願いしたいと思っております。
 それから、選挙の直前というか、そのあたりで各市町村の選挙管理委員会の方々と県の取り組み方針とか方法とか、さまざまな情報交換をやっているとも思っております。そういう中で、例えば選挙が終わった後に、それらを今度総括する場というのがないのか。やはりいろいろなトラブル、それから、各市町村の選挙管理委員会が取り組んでいるさまざまな最新の取り組みとか、そういったことの情報交換を含めて、県全体のレベルをアップしていく必要があるとも思っているのですけれども、その辺はやられているのかどうか。それから、今後の考え方も含めてお尋ねしたいと思います。
〇松村選挙管理委員会事務局書記長 選挙でございますけれども、最終的には国政あるいは知事、県議選のときも、市町村の選挙管理委員会に開票作業を中心にお願いしている部分がありまして、これは自治法上の法定受託事務ということもございまして、必ず結果については都道府県なり国に報告することになっております。
 また、例えば、今回、新型コロナウイルス感染症の拡大があった後に各選挙があった市町村がございまして、こうしたところについては情報をいただいて、私どもから今後、選挙を執行する市町村にも情報提供するということで、そうした先進的な取り組みあるいは適正な執行に向けての情報共有も進めているところでございます。
〇高橋はじめ委員 二、三回ぐらい前の衆議院議員選挙のときに、私は北上市におりましたけれども、隣の奥州市の掲示板の設置箇所についての地図をいただきに行ったのですが、出てきた地図は非常に丁寧で、住宅地図を参考にしながら、誰が行っても、素人が行っても、すぐ掲示板を見つけることができてポスターが張れると、すばらしいなと思ってきました。
 一方、私の住んでいる北上市は、全体の地図に掲示板の点だけがあって、そのほかにあるのは設置場所の住所なのですね。これを見て、北上市民でもそうなのですけれども、市外から来た人にポスター張りをお願いしたけれども、1時間、2時間たっても、1カ所、2カ所見つけられないでうろうろしているということがありました。よくよく見たら、幹線道路と幹線道路を結ぶ路線の田んぼの真ん中に1カ所掲示板があったと。これはなかなか、普通の思いであれば、人が住んでいる地域に掲示板はあるものと思っているのですけれども、そういうところにもあったりして、張れないで帰ってきたという事例もありました。
 そのことを含めて、北上市の選挙管理委員会に奥州市の選挙管理委員会の資料を持っていって、こんなすばらしいものがあるのだ、北上市もかえてくれということをお願いして、今は奥州市とほぼ同じような掲示板の設置箇所の地図をいただいて、混乱なくスムーズにやっておりました。そういうことを含めて、各市町村選挙管理委員会の取り組みの情報交換もきちんとしながら、先ほど言ったようにレベルアップしていかないといけないと思っております。
 それから、集票機も、この間まで問題になったアメリカの大統領選挙ではドミニオン社―これは言っていいのかどうかわかりませんが、その問題を指摘するニュースでありました。そういうさまざまな機器等も、最新の機器等もあるのでしょうから、それらを含めて、やはり選挙事務の均一化が大事ではないかと思っております。
 それから、大勢の有権者を抱えている市町村においては、人員体制とか集計の方法とか、いろいろ丁寧にやっていると思いますけれども、その辺は、やっぱり現地もちょっと見ていただきながら情報共有するようなことも必要ではないかと思っておりますが、そのような考えはないのかお伺いしたい。
〇松村選挙管理委員会事務局書記長 今、委員からさまざまなお話も伺いました。大変ありがとうございます。やはり選挙は、適正にやることが大前提という事務でございます。本当にミスをしないように、市町村の選挙管理委員会の皆さん、それから我々も一緒に取り組んできているわけでございます。
 市町村の取り組み状況を私どもこれからも機会を捉えてさまざまに確認しながら、いい取り組みはみんなで共有して、選挙に行く方がひとしく1票を投じられるというのがやはり理想だと思いますので、そういう取り組みを今後とも進めてまいりたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、公正、公平な政治活動、選挙活動についてであります。
 まず、個人の政治団体について、届け出の現状、推移及び県内の公選者の政治団体の届け出の状況等はどのようになっているのか、あわせて収支報告書の届け出状況はどうなのかお伺いしたいと思います。
〇松村選挙管理委員会事務局書記長 県内公選者の政治団体の届け出状況等でございます。
 当課に提出されているもの、まず、令和元年12月31日現在でございますが、818件でございます。これは2年前、平成29年が804件ということで、おおむねこれぐらいの数で推移していると考えております。
 また、このうち県内の公選者、県選出国会議員、知事、県議会議員、市町村長、それから市町村議会議員でございますが、これに係る届け出団体数は、令和元年が612件、2年前、平成29年が595件ということで、これも大体同じような数字で推移していると考えております。
 県内公選者の政治団体に係る政治資金収支報告書の提出率でございますが、令和元年が92.0%、2年前の平成29年が94.6%となっております。
〇高橋はじめ委員 年に1度収支報告を出さなければならないということになっているのですが、出していない政治団体に対しては、どのような指導とか、それから、その後に追加で提出があるものかどうか、その辺はどうなっておりますか。
〇松村選挙管理委員会事務局書記長 政治団体の活動についてでございますけれども、私どもでは、いずれ届け出のある政治団体には、収支報告書の提出についてお願いするために、全ての団体に郵送してお願いしているところでございます。
 ただし、提出のない団体ももちろんあるわけでございます。例えば、2年間の提出がなければ政治活動ができないということで、そういった団体については、窓口にいらしたときに、手続をもう一度していただくようなアドバイスをしているところでございます。
〇高橋はじめ委員 今の答弁の中で、2年間未提出の場合は停止と。これは今どのくらいあるのかないのか、直近の数字でお尋ねしたいと思います。
〇松村選挙管理委員会事務局書記長 現在、届け出団体が1、216件でございますので、そのうちの提出いただいているのは大体800件となっております。
〇高橋はじめ委員 2年間未提出で活動停止ということで、それですと、それ以降活動することは違反になるということですね。
 もう一つ質問したいのですが、政治資金規正法についてですが、政治団体の届け出をしないと収支ができないということであります。全てが届け出を出していただければいいのですが、出さないで、○○を囲む会とか、そういう形で候補者あるいは現職、あるいは候補予定者に政治的な話をしてもらって、そして、その後、会費制で懇親会等の支出がある。それが、友人とか何とかでやる分にはいいでしょうけれども、一つの政治団体的な活動の中でそういう収支があるものが複数年にわたって出ている場合は、これは明らかに選挙資金規正法の違反になると思いますが、そのような認識でよろしいですか。
〇松村選挙管理委員会事務局書記長 私ども県の選挙管理委員会は、政治資金規正法上の監督上の権限は、例えば収支報告書に形式上の不備がある場合ですとか、あるいは本来記載すべき事項が記載されていないといったときに、説明を求めながら訂正をお願いすると。いわゆる形式審査ということでございまして、例えば、今、委員御指摘の政治団体の届け出がなされていない事案とか、あるいは収支報告書の中身が違うのではないかといったことについて、委員会として、法令違反について事実関係を把握することができないところでございます。
 仮にその情報提供がこちらにあったとしましても、実質的な、例えば事務所への立ち入りとか、そういったような調査権がございませんので、なかなかその事実関係を正確に把握するのは難しいかと考えております。
〇高橋はじめ委員 いずれ、県民からは、そういった情報が選挙管理委員会に寄せられることが往々にしてあるような気がするのですけれども、その際、では、捜査権とかいろいろなものは県警察本部だということになるわけですね。そうすると県警察本部は、いや、公職選挙法上どうなっているのかということで選挙管理委員会にと。何となくお互いにすれ違いみたいな感じであるような気がするのです。
 だから私は、やっぱり年に1回、2回は、選挙管理委員会と県警察本部との情報交換みたいなものをして、さまざまな情報の整理をしながら、これは県警察本部、これは選挙管理委員会でということをすべきではないかと思いますが、その辺はいかがですか。
〇松村選挙管理委員会事務局書記長 県警察本部の方々ともいろいろ、例えば選挙実施時には御協力などをさせていただいているわけですけれども、今、委員からお話がありましたとおり、法律上の定めというところもございますし、また、法律上の境目みたいなところも恐らくあると思います。必要に応じて、またお互いの情報の共有、意思疎通などに今後とも努めてまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。

午後0時1分 休 憩

午後1時3分 再 開

〇城内よしひこ副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、22人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行します。
〇臼澤勉委員 それでは、私からは、私立学校運営費補助の予算等についてお伺いいたします。
 令和3年度、33億9、229万円ほど計上されておりますが、まず就学支援金の絡みでお伺いいたします。
 年収590万円未満の世帯に就学支援金、たしか上限で39万6、000円ほど支給されておりますし、910万円未満世帯については11万8、800円というようなことで措置されておりますが、支給実績、見込みをどのように捉えているのか、まずお伺いいたします。
〇中里学事振興課総括課長 就学支援金の支給実績、見込みであります。令和2年度の見込みということになりますが、全体で6、186人、金額にすると約17億円の支給見込みとなっています。
 委員お尋ねの年収590万円未満については4、267人、それから、590万円以上、910万円未満については1、919人という内訳となっております。
〇臼澤勉委員 そこでお伺いしますが、私立高校への入学者の推移といいますか、ここ10年間でどのようになっているのか、公立高校と比較してどう評価されているのかお伺いいたします。
〇中里学事振興課総括課長 私立高校の入学者数、過去10年の推移と公立高校と比較してということでございます。
 平成23年から令和2年度までの過去10年間の私立高校の入学者でありますけれども、多い年度では、平成29年度、全体で1万1、461人のうち、私立高校については2、412人、それから、少ない年度で見ますと、平成30年度の全体で1万931人のうち2、079人となっておりまして、過去10年平均で見ますと2、269人となっております。
 高校入学者に占める私立高校の割合でございます。多い年度では約23%、少ない年度では約18%となっておりまして、おおむね20%前後で推移しているところでございます。
〇臼澤勉委員 ちょっと確認ですけれども、要はこの10年間で、公立高校の生徒数は多分減少傾向になっていると思うのですが、私立高校はどの程度なのか、そこの回答がなかったのでお伺いします。
〇中里学事振興課総括課長 入学者の推移でございます。委員のおっしゃるとおり、平成23年で見ますと全体で1万2、544人おったわけですが、令和2年度では1万165人という状況になっております。このうち私立高校については、人数で見ますと、先ほど申したとおり、多い年では2、412人、平成30年では2、079人というところでございますけれども、平成23年2、255人というところから、令和2年2、311人というような動きとなっております。
〇臼澤勉委員 これは全県の動きだと思うのですけれども、盛岡地区に関しては、公立、私立、10年前と比較して令和2年度で、例えば何割減ったとか何割ふえているとお知らせください。
〇中里学事振興課総括課長 盛岡地区の高校入学者に占める私立高校の割合でございます。多い年度ですと約32%、少ない年度で見ますと約29%となっておりまして、この10年で見ますと、おおむね30%前後で推移している状況にございます。
〇臼澤勉委員 シェアを聞いているのではなくて、生徒数がふえているのか減っているのかをお伺いしているのです。
〇中里学事振興課総括課長 盛岡ブロックに関しましては、この5年の数字しかありませんけれども、平成28年度1、453人、平成29年度1、521人、平成30年度1、311人、令和元年度1、275人、令和2年度1、366人の入学者の推移となっております。
〇臼澤勉委員 何かストレートに答えてもらえないのですけれども、なぜ私がそういうことを聞いているのかというと、いずれ公立全体では岩手県の生徒数は減っていきますよという中で、実際に公立高校への入学者、そして、先ほどの私立学校の運営費補助とかの予算にも今後影響が及んでくるので、私立の生徒数はこの10年間でふえているのですか減っているのですかと、ここだけ聞きたいわけです。公立高校はどうなのですかと、そこの評価を伺っているのであります。再度お伺いします。
〇中里学事振興課総括課長 繰り返しになりますけれども、この10年の平均は2、269人ということでございまして、増加傾向、減少傾向ということではなく、直近で申しましても、先ほど申し上げたとおり、平成29年度には2、412人と一番多い人数になっておりますし、平成30年度は2、079人と一番少ない年度ということで、上下があるという状況でございます。
〇臼澤勉委員 真面目に答えてください。私はどういう傾向になっているのか。ピークとか上下の幅は当然、年、年でありますよ。そういうことを聞いているのではなくて、このトレンドがどうなっているのかを聞いているのです。お答えください。
〇中里学事振興課総括課長 トレンドということでございますが、先ほど申し上げたとおり、私立高校の入学者については、平成23年度から申しますと、2、255人、2、244人、2、236人、2、369人、2、291人、2、326人、2、412人、2、079人、2、168人、2、311人ということで、平均すれば2、268人という推移でございます。
〇臼澤勉委員 つまり、微増しているということですね。公立高校については少し減っている数字を、私はそういう動きだと見ていますけれども、それで、この定員超過数の現状はどのようになっているのでしょうか。そして、どう指導されているのかお伺いします。
〇中里学事振興課総括課長 私立高校の定員超過の状況についてでございます。
 一部の私立高校におきましては、定員を超過している状況にございます。私立高校の収容定員につきましては、高等学校の入学見込み者の状況、それから、学校の教員数、施設設備の整備状況等を勘案して適正に設定されているところでございますが、定員を大幅に超過している私立高校の設置者に対しましては、定員超過の解消について文書による指導を行っているとともに、運営費補助金の減額についても行っているところでございます。
 いずれ、定員の超過によって教育条件の低下を招くことがないよう、設置者に対しましては、遵守について徹底を求めている状況にございます。
〇臼澤勉委員 大幅に超過しているという指導基準、具体的にどのくらい大幅に超過すれば指導するのでしょうか。
〇中里学事振興課総括課長 大幅の定義でございますけれども、3割を超えた場合に補助金の減額を行っているということでございます。
〇臼澤勉委員 3割を超えている学校はありますか。
〇中里学事振興課総括課長 令和2年で見ますと、3割を超えている学校はございません。
〇臼澤勉委員 定員に対して100名程度大幅に受け入れている学校もあるやに聞いておりますが、私は、この収容定員について、私立高校はどのように判断されているのかと思います。過去の議会の答弁を読ませていただくと、やっぱり周辺の高校の入学者の見込み数の状況をしっかりと勘案しながら収容定員を設定しているとの答弁が議事録等でありますけれども、県立高校が減っていて、私立高校だけは先ほどのとおり微増して、減らないわけです。なぜですか。ここをやはり調整すべきではないのですか。この収容定員の数の定義を決めるのには、入学見込み者の数を根拠にしながら判断していると過去の議事録でも答弁されているのですけれども、ここら辺はどのように考えているのかお伺いいたします。
〇中里学事振興課総括課長 収容定員につきましては、遵守が基本といったところは、先ほど申したところでございます。文書等による指導も行っておりますので、遵守について徹底を求めるところでございますし、あと、定員増というところについて、定員の増減については県が許認可権限を持っておりますけれども、何もない状態では定員の調整はできないこととなっております。
〇臼澤勉委員 時間がないので進みますけれども、いずれ私が何を聞いているのか、私の問題認識は、前回の決算特別委員会総括質疑でもお伺いしましたが、今回の学校再編とかといった縮小していく社会の中で、特に盛岡ブロックは、私立高校も含めて学校が多くある中で、なぜ公立高校だけで縮減対応をとろうとするのかというところを問題提起しているのであります。
 そこでお伺いしますけれども、岩手県総合教育会議、管理運営費でもこの総合教育会議を設置して会議されておりますが、まず、今回の最終案に対して、この教育会議ではどう評価されているのかお伺いします。
〇中里学事振興課総括課長 まず、総合教育会議でございます。
 平成27年4月の地方教育行政の組織及び運営に関する法律、いわゆる地教行法でございますけれども、この法改正の際、文部科学省におきましては、首長と教育委員会が協議、調整することによって、両者が教育政策の方向性を共有する、一致して執行に当たることが可能になるとされたところでございます。
 一方で、最終的な執行権限につきましては教育委員会に留保されるとされた経緯がございます。そうした経緯を踏まえまして、総合教育会議におきましては、基本的な考え方、方向性について意見交換をしたところでございます。
 今後の具体的な計画については教育委員会が策定するものと考えておりまして、教育委員会が公表した後期計画の最終案につきましては、地域からの意見、それから提言等の内容も踏まえて検討を進めてきたと認識しております。
〇臼澤勉委員 具体的な協議事項、調整事項は何でしょうか。
〇中里学事振興課総括課長 総合教育会議の具体的協議、調整事項でございます。
 法律の規定になりますけれども、知事と教育委員会が本県教育の課題、目指す姿を共有して、連携を深めながら、本県教育の振興に取り組むためということで、大綱の策定、教育の条件整備など重点的に講ずべき施策、児童・生徒等の生命・身体の保護等緊急の場合に講ずべき措置について、意見交換、協議を行っているところでございます。
〇臼澤勉委員 簡潔にお願いいたします。そこで、この協議実績はいかがでしょうか。平成27年以降に設立されていますけれども、再編計画に関する協議実績はございますか。
〇中里学事振興課総括課長 再編計画に関する協議実績についてであります。
 総合教育会議については、これまで、平成27年以降14回開催されているところでございますけれども、平成28年3月に策定された再編計画について、計画の策定に当たりまして、平成27年度の総合教育会議において、4月と12月の2回にわたりまして基本的方向性等について議論が行われたところでございます。
〇臼澤勉委員 今回のこの会議の中で、教育の条件整備、学校の施設等についての検討課題は、まさにここでやるべきテーマになっているのです。ただ、例えば今回のような具体的な高校の配置とか統廃合の設置計画については、議論していないわけです。基本的な方向性のみやっております。なぜやらないのですか。
〇中里学事振興課総括課長 先ほど御答弁申し上げたところでございますけれども、最終的な執行権限は教育委員会に留保されているというのが法改正の趣旨でございます。そうしたことを踏まえまして、具体的な実行計画については、教育委員会が進めていくものと考えております。
〇臼澤勉委員 そこは全く違うのですね。まさに今回のこの総合教育会議では、教育の執行機関と、そして知事が、それぞれ同じテーブルに座って議論する。そしてこの重要な、例えばいじめ問題とか、いろいろな教育が抱えているさまざまな問題がございます。もう一つ、この教育の条件整備、学校の整備についても議論する重要なテーマになっているのです。隣の青森県の総合教育会議では議論していますよ。なぜやらないのですか。
〇中里学事振興課総括課長 岩手県におきましては、平成27年度の総合教育会議設置に当たりまして、基本的方向等について協議する場ということで申し合わせを行ったところでありまして、具体的な執行については、教育委員会が行うこととされたところでございます。
〇臼澤勉委員 以前、いわて県民クラブの佐々木努議員も、この総合教育会議について質問されておりました。岩手県のこの会議の進行は、主催の知事が司会をしながら、委員のそれぞれコメントをもらっておりますけれども、隣の青森県の知事の進め方は、議事録を見ると、やはり具体的ですよ。今回の地域にとっての学校のあり方、あるいは今後こういう人材を育てていこうというようなことに対しても、それぞれ違う立場で議論されております。なぜしないのかが私にはわからない。それをやるのが、まさに佐々木部長の所管しているこのふるさと振興部だと私は思います。
 そこで、市議会とか、あるいは地元首長からも意見、要望が、今回のこの最終案に対して出されておりますけれども、総合教育会議を所管している部局としてどう受けとめているのかお伺いいたします。
〇中里学事振興課総括課長 盛岡市議会からの統合の白紙撤回を求める意見書、また、盛岡市からは慎重な判断を求める要望書が提出されていることについては、承知しているところでございます。
 こういった意見書、要望につきましては、今回の統合案等について多くの方々が関心を寄せているあらわれだと認識しておりまして、こうした意見も踏まえまして、教育委員会において再編計画の検討を進めてきたと認識しております。
〇臼澤勉委員 時間もないので、いずれにしましても、この総合教育会議の位置づけ、改めて原点に立ち返っていただきたい。さまざまないじめの問題とかに対しても迅速に対応できていないとか、地域住民の意見の反映といったさまざまな課題がある中で、今回のこの総合教育会議の位置づけのみそは、首長と教育委員との執行機関同士の協議と調整の場、まさにここなのです。これを今、公立高校だ私立高校だといった部分について、県教育委員会ではなかなか出せないところについては、やっぱりそれぞれの立場で今後のいわて県民計画(2019〜2028)を執行していく上での、例えばスポーツを通じた人材育成とか、さまざまな産業人材の育成もございます。そういった部分での調整を最後にお願いして、ぜひ、いろいろと議論を進めていただきたいと思います。
〇小野共委員 私からも何点かお伺いさせていただきたいと思います。
 ふるさと納税の寄附金の集め方について少しお話をお伺いしていきたいと思います。
 御存じのとおり、今、岩手県のふるさと納税の寄附金の集め方は、大きく二つであります。一つ目が岩手県のホームページ、二つ目が、ふるさと納税のサイトを使ってやっているところであります。このふるさと納税サイトは、ふるさとチョイスという最も老舗の利用者が最も多いと言われているサイトだそうであります。この二つのサイトを使ってやっているわけでありますが、このふるさとチョイスの使い方、もっと効率的な使い方をしていただきたいという観点から質問させていただきたいと思います。
 このふるさと納税のサイト、ふるさとチョイスは、御存じのとおり画面を開くと大きく特産品、いわゆる返礼品のページから始まりまして、さまざまなメニューから、ふるさと納税の寄附ができるようになっております。さまざまなメニューがあって、一つ目が返礼品、農産物であるとか特産品が出てくる。あとは、二つ目に自治体、岩手県なら岩手県にふるさと納税したいよと、あるいは宮城県、あるいは福島県、さまざまありますけれども、これが二つ目。三つ目が、さまざまなプロジェクトからふるさと納税ができるといったような、さまざまなメニューがあって、自分がそれを探していって、それで、さまざまなメニューを通してふるさと納税に、その自治体なりに寄附ができるという仕組みになっているところであります。
 これがすごく効果的にふるさと納税サイトがうまくいっているから、平成20年からですか、今まで順調にというか爆発的にと言ってもいいのだろうと思いますが、ふるさと納税の寄附金が集まっているということでありました。
 一つお伺いしたいことがありまして、ふるさとチョイスのメニューの中で特出ししているものがあります。災害支援というものがあるのですね。私はちょっと気になって見てみたのですが、直近のものだと、その災害支援、2月の足利市の山林火災、これは2月21日、先月発生のものですが、足利市だけで657件、820万円ぐらい集まっているのです。きのうの段階です。きのうの段階で820万円ぐらい集まっているところでありました。
 それでは、岩手県に関係のあるところはこの災害支援でどんなところがあるのだろと思って見ましたら、年末の豪雪災害の災害支援というのが出ていまして、県内では北上市と金ケ崎町がやっておりました。北上市が、きのうの段階で111万9、000円集まっておりました。豪雪災害の災害支援のサイトから募集をかけているのが、県内でこの二つの自治体しかなかったのです。
 私は、これは岩手県でもやるべきなのだろうと思っております。これをやらない理由、これはどう考えているものですか。
〇熊谷地域振興課長 ふるさとチョイス内の災害支援の積極的な活用についてでございます。
 まず、県では、ふるさと岩手応援寄付の項目を設定して寄附の募集を行っているところでございます。委員御承知のとおりだと思います。平成23年度から災害復旧等対策に活用する項目を設けているほか、いわての学び希望基金や三陸鉄道の支援などの項目を設定いたしまして、直接的、間接的に災害対応への支援をいただいているところでございます。
 また、今年度は6月から、特定課題への対応としまして、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止と岩手県の地域経済の回復に向けたさまざまな事業に活用するといった項目を設定してきたところでございます。
 委員御指摘のとおり、他県においても、民間ポータルサイトの災害支援のページ等を活用して寄附募集を行っている例がございます。災害復旧への効果的な支援の受け入れを図っていくことは重要であると考えておりますので、それらを参考に、今後、対応を検討していきたいと考えております。
〇小野共委員 了解です。検討していただくということでしたので、これはぜひやっていただきたいと思うところであります。
 蛇足ですが、ちょっとつけ加えさせていただきますと、令和元年の台風第19号のときの災害支援で、国内で10億円ぐらい集まっているのです。10億円ですよ。長野県は、令和元年の台風第19号の災害支援だと、長野県だって8、200万円、県内だと久慈市が390万円ぐらい集まっているのです。これはぜひともやるべきなのだろうと思います。
 今の状態だと、私もふるさとチョイスの岩手県の出店のところを見てみたのですが、確かに、おっしゃるように新型コロナウイルス感染症対策、2番が東日本大震災津波伝承館の運営費、3番がいわて子どもの森の遊具の集め方であるとか、ずっと見ていくと、やっと最後に災害復旧等対策というのがあるのです。災害復旧等対策というのは、平成28年の台風第10号等災害と書いているのです。令和元年の台風第19号の話も全くなくですね。やっぱりこういうものは随分工夫をしていただきたいと思うところでありますので、よろしくお願いしたいと思います。
 あともう一点、同じような話なのですけれども、今、災害支援の話をしましたが、ふるさとチョイスの効果的な使用方法、活用方法のところで、やっぱり災害支援と同じように、ふるさとチョイスの中で特出しされているメニューがガバメントクラウドファンディングという話です。クラウドファンディングというのは、皆さん御存じのとおり、プロジェクトと目標金額を決めて、目標金額に達成するまで皆さんから寄附金を募るというものでありますが、それを自治体でやると。民間ではなくて、それを自治体がやるということになるとガバメントという頭文字がつくそうです。ガバメントクラウドファンディングということなのですが、これも岩手県はやっていません。
 その活用事例を見ると、神奈川県が去年5月から医療、介護、福祉の従事者への支援金を集めるという名目で、目標額500万円にしています。神奈川県がこの500万円の目標に対して、きのう見たら450万円を超えていました。恐らくこれは集まるのだろうと思います。
 こういったようなことも考えていくと、例えば今の岩手県におきますと、保育士たちの慰労金でありますとか、そういった特殊なものが、特殊というかスポット的なもので寄附金を集めると。一般のクラウドファンディングと違って、ガバメントクラウドファンディングは、その目標額を設定するけれども、その目標額に達成しなくても返す必要はないそうです。
 やっぱりこういったようなものを利用して、例えば、国に頼るばかりではなくて、我々も自力で何とかするのだといったような努力をしていく必要があるのだろうと思います。このガバメントクラウドファンディングの話、今後やるべきだという提案に対して、どう思うか聞かせていただきたいと思います。
〇熊谷地域振興課長 ガバメントクラウドファンディングへの参加についてでございます。
 国においても、事業の趣旨や内容をわかりやすく示してふるさと納税を募集する例といたしまして、いわゆるガバメントクラウドファンディングによる取り組みを挙げていると承知しております。
 本県ではこれまでも、こうした趣旨を反映いたしまして、寄附者が具体的にイメージできるよう、いわて県民計画(2019〜2028)の中から、ふるさと岩手応援寄付になじむ事業を選定して事業応援型寄附を募集しているなど、事業の趣旨をわかりやすく明示する取り組みに努めているところでございます。
 委員御指摘のガバメントクラウドファンディングにつきましては、目標額や募集期間を設定して寄附を募る手法でございまして、活用している自治体もあると承知しております。その中で、寄附額が目標に達しなかった場合の取り扱いであるとかの課題があり、また、事業執行のための予算確保のあり方や対象とする事業の性質を整理するなど検討が必要と考えております。
 こうした整理を踏まえ、例えば、取り組み課題を象徴的にPRするなど、実行する場合は、個別事業ごとに各部局の判断を踏まえ政策的に取り組んでいくことになろうと考えております。
 私どもとしても、部局と連携して、枠組みをつくることについて検討を進めていきながら、本県を応援したいという方々の気持ちにしっかりと応えていくことを基本に、制度の運用を図ってまいりたいと考えております。
〇小野共委員 ガバメントクラウドファンディングの課題の一つは、先ほど私が申し上げましたように、ふるさとチョイスのガバメントクラウドファンディングは、目標額に達しなくても返す必要がないという話でありましたので、そこは恐らくクリアされるのだろうと思います。
 ただ、今お話があったように、経常的なもの、日常的な事業にこういったもので予算を集めるというのは、制度の趣旨というか予算の安定性からちょっと厳しいのかなという気がしますので、例えば遠野市などは、お祭りの着物の新調、着物の購入費で100万円集めるというので、100万円集まって、これを使っているのです。こういったスポットで入ってくるものにお金を使うであるとか、事業を工夫すれば十分使えるということなのだろうと思っているところであります。
 例えば予算計上するにしても、一旦、例えば500万円の事業であるならば500万円の予算を計上しておいて、ガバメントクラウドファンディングでそのお金を集めて、集まった分を減額補正するであるとか、そういった方法も恐らくあるのだろうと思います。これは十分にその検討をしていただきたいと思うところであります。
 ふるさと納税も、過去、五、六年前まであったような返礼品の数の競争のような時代を通り過ぎてきまして、今、私が言ったようなガバメントクラウドファンディングであるとか、災害支援であるとか、本来のふるさと納税の趣旨であります、そのふるさとを応援したいのだといった寄附者の思いに沿うような感じのふるさと納税の制度に変わりつつなってきているような気がするのです。十分検討していただきたいと思うわけでありますが、新年度のふるさと納税の寄附金の集め方について、改良点あるいは工夫されているようなことがあれば、ここでお伺いしておきたいと思います。
〇熊谷地域振興課長 新年度のふるさと納税の寄附の集め方についてでございます。
 ふるさと納税を行う方の裾野を拡大し、得られた資金をさらに有効に活用するためには、ふるさと納税を活用する事業の趣旨や内容、成果をできる限り明確にする取り組みや、ふるさと納税をした方と継続的なつながりを持つ取り組みを進めていくことが重要と考えております。
 県においては、幅広く県の施策や事業に共感をいただき、また、県の重点事業に寄附金を活用できるよう、引き続き不断の寄附項目の見直しを行うとともに、新たな民間ポータルサイトの活用についても検討するなど、引き続き寄附の呼びかけや寄附金の活用状況の周知等を充実しまして、本県を応援したいという方々の気持ちにしっかり応えていけるようにしていきたいと考えております。
〇小野共委員 今答弁の中にありましたように、寄附者の思い、これは今、寄附者が岩手県なり、そのプロジェクトに寄附したいと思っている人たちがどんなことを望んでいるのか、常にアンテナを高く張って、情報をとりながら、このふるさと納税の制度を部局としてもっともっと有意義なものに制度を活用していただきたいと思っております。
〇佐々木努委員 1点だけ、県と市町村の連携について一般質問でやり残したので、本当は知事とやりたかったのですが、部長、かわりによろしくお願いいたします。
 我々いわて県民クラブは、毎年、33市町村を回りまして―ほかの会派もやっていると思いますが、要望を受けたり、あるいは県政に対するさまざまな意見交換、市町村政もそうですが、情報交換をさせていただいています。そういう中で一番感じるのは、県と市町村の連携が全てだなと。これを皆さんに言うのは釈迦に説法だと思いますが、本当に大事だと毎年思います。
 そういう中で、県もそれぞれの年度ごとに、特に重点的に取り組みたい施策等が出てきたり、あるいは方針が出たりということで、市町村に協力をお願いしたいということがあるわけです。そういうときにこそ、やっぱり県と市町村が常に連携をとって信頼関係を築いていれば、一緒になって取り組んでいけると我々は思っています。
 そういう観点から、やはり自治体のトップである知事と市町村長との意思疎通こそが、岩手県にとっては一番大事なのだということで、これまでも市町村要望には知事が直接出向いて話を聞く、意見交換をする、あるいは市町村長と対話の時間をしっかりとってほしいということを求めてきました。
 そこでお伺いしますが、今年度、知事と市町村長の対話というのはどの程度行われてきたのかお示しください。
〇松村市町村課総括課長 今年度の知事と市町村長との対話の機会ということでございますが、今年度は、県と市町村長との意見交換会ということで4月と1月の2回実施しております。これは知事が出席しているものでございます。
 それから、要望活動ということで、市長会で1回、町村会で3回ということで、この際にも、知事と首長との意見交換が行われているところでございます。
 このほか、政策企画部で把握しているものということで、県政懇談会あるいは現地調査などの機会に、今年度は個別に7回面会をしているということで聞いております。
〇佐々木努委員 個別に7回会っているということですが、平均するとどのくらいの時間なのですか。それから、もしわかれば、どんなことで対話されたのですか。
〇松村市町村課総括課長 7回の面会のうち、大体30分以上に及ぶ面会が5回と聞いております。
 それから、具体の中身につきましては、相手方の御事情もあると思いますので、申しわけありませんが、この場ではちょっと御容赦願いたいと思います。
〇佐々木努委員 30分程度の時間、しかも昼食をとりながらということもあったと聞いていますけれども、それは会って意見交換をしたということにはならないと私は思っていますし、それでコミュニケーションが図られるとか意思疎通がしっかりとそこで醸成されているなんていうことは、私は絶対あり得ないと思いますし、市町村の課題を吸い上げることもできていないのだろうと思います。
 知事に直接言えばいいのですけれども、知事はみずからがしっかりと対話の時間をとって、そして、市町村と一緒に頑張っていくのだということをアピールしてほしいなと。対外的にもしっかりとアピールしてほしいと思うわけであります。
 それで、私もいろいろ調べてみたのですが、三重県では、平成23年から、今の鈴木知事が、県内29の市町村と毎年1回ずつ1対1で首長同士の対話を行っていると。これは毎年欠かさずやられているという資料も目にしたわけであります。知事として、市町村長としっかりと話をして意思疎通を図っていくのだという気持ちが、私は絶対に今の岩手県政には必要なのではないかと。愛知県などでは、知事と名古屋市長が対立したり、山形県では、知事選の絡みで市町村と知事が対立したりと。ほかの県でもそういう状況があるわけでありますから、そういう事例を見ると、もちろん岩手県では絶対そういうことがあってはならないし、しっかりと県と市町村が一緒になって県政課題、市町村の課題に取り組んでいく基盤をつくっていく努力を、私は知事みずからがやるべきだと思います。
 そこで伺いますが、三重県のようにということが本当はベストなのでありますけれども、部として、知事と市町村長との対話の機会をつくるお考えはこれからないかどうかお伺いいたします。
〇松村市町村課総括課長 冒頭に意見交換会の開催のお話もいたしました。来年度以降、この意見交換の場につきましては、まず、予算なり事業執行といったサイクルに合わせて開催時期を年度当初に見直していくということで、さらに県と市町村で連携が深まるように取り組んでまいりたいと思っております。
 また、開催の中身についても、さまざま他県の事例なども参考にしながら、今後検討していきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
〇佐々木努委員 今やっている意見交換というのは、あれは意見交換と言わないのです。あれはただ単に情報交換です。わずか1時間半ぐらいで、県が説明して、それに対して意見をもらうという、意見の交換も何もしていない、一方的なものではないですか。そういうものを意見交換とは言わないし、それで首長同士の意思疎通が図られるなんて、そんなばかな話は私は通用しないと思います。
 やっぱり何か困ったときに、1対1で話してそれを解決するとか、そういう関係を築いていくことこそが、有事に何かしっかりと対応ができるとか、市町村に協力してもらう、あるいは市町村は県を頼りにできる、そういう関係をつくれるのではないですか。私は、何でそれをやらないのか、知事がやらないのか、県の皆さんがそういう場をつくらないのかが、本当に不思議でならないのです。知事がやりたくないのかもしれませんけれども。でも、そうであれば、やっぱり職員の方々がそういう機会をつくる、提案をする、そういうことが必要ではないですか。違いますか。もう一回お願いします。
〇松村市町村課総括課長 先ほど意見交換の場のお話を申し上げました。実施方法についてはこれからいろいろ工夫してまいりたいと思っておりますし、また、ことしは新型コロナウイルス感染症の対策の関係で、町村会などからも数次にわたって要望をいただいたということで、そのときにも知事の御出席をお願いしながら、なるべく市町村長の方とお話をする機会をつくっていただいたところでございます。
 今後とも、またこうした取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 済みません、皆さんに言ってもこれは仕方ないことかもしれません。それから、ふるさと振興部よりも、むしろ政策企画部の方々に話したほうがよかったかもしれませんけれども、いずれ、冒頭申し上げましたが、市町村長さん方は、知事との意思疎通が図られていないということを皆さん口に出しておっしゃっているわけです。やっぱりそれに応えていくことが、県としての大事な姿勢ではないかと思うわけでありまして、特にこのコロナ禍でありますから、より市町村の理解を、お互いに理解し合いながら事業を進めていかないと、市町村は市町村でやっている、県は県でやるみたいな、そんなことになったら、せっかくの予算を効果的に使うことも、せっかくの事業を円滑に進めることもできないと思います。
 この間、ハクセル美穂子委員の質疑のときに、コロナ禍でなかなか時間がつくれないという答弁を知事がされましたけれども、コロナ禍で、みずから時間をつくってでも、やっぱり一人一人の市町村長と話をする機会を令和3年度はぜひつくってほしいということを部長にお願いして、部長のお考えを聞いて、終わりたいと思います。
〇佐々木ふるさと振興部長 県と市町村の信頼関係は極めて重要だと思います。また、コロナ禍を乗り越えて地方創生を進めていく上でも、ますます重要になってくると思っております。さまざま工夫させていただき、より信頼関係が厚くなるよう努めてまいります。
〇柳村一委員 私からは、情報システム管理費について、まずお伺いします。
 令和3年度において、情報システム最適化事業費、情報化施設整備費、電子県庁運営費などにより業務の効率化や執務環境の改善に取り組むようでございますけれども、内容についてお伺いします。
〇古舘科学・情報政策室長 情報システムの関連での執務環境の改善に向けた取り組みでございますけれども、県では、総務部におきまして、昨年6月に働き方改革推進会議を立ち上げまして、執務環境の改善等の取り組みの検討や実施を進めておりまして、令和5年度までの取り組みを示した働き方改革ロードマップを年度内に策定することとしております。
 今年度はこれまで、デジタル化に関する取り組みといたしましては、サテライトオフィスの設置や在宅勤務時の勤務環境整備のためのリモート接続数の拡充、それからペーパーレス会議の試行等を行ってきたところでございます。
 令和3年度は、職員1人1台端末のノートパソコンへの更新、それから、決裁手続と行政文書の管理を電子化する電子決裁・文書管理システムの導入を進めまして、ペーパーレス化、リモートワーク導入時のデジタル化を通じた効率的な業務遂行や、柔軟な働き方を推進していきたいと考えております。
〇柳村一委員 デジタル化によって業務の効率が上がったり執務の環境が改善していくのはわかるのですけれども、今度、IT化というかデジタル化したものをどのような使い方をしていくのかによって、先ほど令和5年度までに働き方改革を進めるとおっしゃっていましたが、その使い方によって、もっともっと働き方がよくなると考えております。
 事業の内容の中で、AIの活用やRPA導入のことも書かれておりますけれども、それに対する今後の取り組み内容についてお伺いいたします。
〇古舘科学・情報政策室長 AIの利活用やRPAの導入と今後の取り組み内容でございますけれども、AIの利活用に関しましては、令和元年度に会議録作成支援システムを導入いたしまして、令和2年度には、その編集ソフトライセンスを4広域振興局にも配ったところでございます。これについては非常に利用度が高いものでございますので、引き続き利用していきたいと考えております。
 RPAに関しましては、やはり令和元年度に三つの業務でロボットの作業をオートメーション化したところでございまして、これも継続的に使っていきたいと考えております。
 令和3年度でございますけれども、先ほど申しましたノートパソコン化、電子決裁・文書管理システムの構築ということで、業務プロセスが大きく変わることが見込まれておりますので、その新しい業務プロセスに合わせた形でRPAを構築する必要があると考えておりまして、その対応する業務については、引き続き検討していきたいと考えております。
〇柳村一委員 総務省において自治体DX推進計画が示されております。先ほどの部長の内容説明の中でも、積極的にDXを推進するということを述べられておりましたけれども、自治体DXの推進に対する県の考え方をお伺いします。
〇古舘科学・情報政策室長 自治体DX推進に対する県の考え方でございますけれども、国におきましては、今回の計画の中で、デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会の実現を目指しているということになっておりまして、県におきましても、DXをオール岩手で進めていく必要があると考えているところでございます。
 このことから、住民の身近な行政機関としての重要な役割を果たします市町村をしっかりと支援していくとともに、民間事業者、県民生活においてのデジタル化を支援していく考えでございます。
〇柳村一委員 ただいま市町村の連携も考えていると。民間事業者や県民生活への活用とかも考えているとおっしゃっていましたが、始まったばかりで具体的にどういうことをやるというのはまだまだ模索中なのかと思いますけれども、方向性みたいなものはありますでしょうか、お伺いします。
〇古舘科学・情報政策室長 市町村のDX推進に関しましては、全市町村が参加しております岩手県電子自治体推進協議会の枠組みを生かしながら、国の自治体DX推進のための手順書とか県内外の情報については共有していきたいと考えております。市町村の情報システムの標準化、共通化、それからマイナポータルを活用した市町村の行政手続とかのオンライン化については、一緒に進めていきたいと考えております。
〇柳村一委員 国のDX推進のところでは、市町村へのIT人材の支援もありましたけれども、県が音頭をとって市町村と連携していけば、人的支援ではなくても、デジタルの中で支援し合えるようになってくると、まさにこの働き方改革ができるのではないかと思いますので、岩手モデルを構築して、しっかり市町村と協力してやっていただきたい。
 あと、行政だけではなく、やはり民間企業や県民の方々にもデジタルトランスフォーメーションをわかっていただき、それを生活の中に取り入れていくことで、どんどん時代に合った行政サービスを受けたりすることができると思いますので、そこら辺をしっかりやっていただきたいと思います。
 次に、科学技術振興費についてお伺いします。
 科学技術普及啓発推進事業費、科学技術新事業費、科学技術イノベーション活用推進事業費、いわて戦略的研究開発推進事業費などで、科学技術関連事業にどのように県は取り組んでいくのかお伺いします。
〇佐藤特命参事兼科学技術課長 科学技術関連の取り組みでございますけれども、科学技術関係につきましては、基本的にはイノベーションの創出を柱に取り組みを考えております。人材育成の観点では、普及啓発として、次代を担う子供たちの科学技術や情報技術への興味や関心を高めるために、県内の大学、公設試験研究機関あるいは企業が一堂に会しまして、研究の紹介や先端機器の展示、実験体験等の普及啓発イベントを盛岡市、沿岸地区で開催する予定としております。
 岩手発のイノベーションの創出に向けましては、各取り組みの司令塔となります岩手県イノベーション創出推進会議の運営、それから知的財産の普及啓発、研究開発成果の事業化などを支援してまいります。
 次に、科学技術によるイノベーションの成果の社会実装という観点では、中山間地域の買い物困難者の買い物利便性を図るために、ドローンを活用いたしました新たな物流システムの構築に向けまして、実証実験や普及啓発を行ってまいりたいと考えております。
 最後に、研究開発の推進につきましては、次代の産業の創出を目指す観点で、次世代ものづくりやライフサイエンス、加速器関連、環境・エネルギー、農林水産業高度化、伝統産業高度化分野の6分野につきまして、コーディネーターが研究シーズと企業ニーズのマッチングを図り、事業化に結びつく研究開発を支援してまいりたいと考えております。
〇柳村一委員 知事が、いわて県民計画(2019〜2028)の11プロジェクトの未来的な内容に対して、実際の社会経済が物すごい勢いで追いついてきていると述べておりました。製造業のあり方の転換も視野に入れ、科学、情報通信技術の基盤強化は必須と考えます。今後、県として科学と情報通信技術をどう施策の中に取り入れていくお考えかお伺いします。
〇佐藤特命参事兼科学技術課長 科学情報技術を活用できる基盤の強化と今後の方向性という観点でございます。
 今、委員からお話しいただきましたとおり、いわて県民計画(2019〜2028)において、八つの政策分野を支える基盤に位置づけて政策を展開しているところでございます。令和3年度につきましては、先ほど申し上げましたとおり、ドローンを使った物流、それから、地域課題解決のためのローカル5Gの導入、そして、健康づくりいわてモデル構築などのビッグデータ利活用などを行うこととしているところでございます。
 科学や情報技術は、さまざまな分野を支えて生活の質の向上や産業の革新などに資するものと考えておりまして、今後とも、社会基盤としてさまざまな事業に取り組み、社会実装を積極的に進めていく考えでございます。
〇柳村一委員 最後に部長にお伺いしたいのですけれども、令和3年度当初予算案は、どちらかというと現状の科学とか通信とか、そういう部分についての事業が多うございまして、先を見据えた、次にこういうものが出てくるであろうという部分の開拓みたいなところがちょっと薄いのかなと思います。ILCに長年携わってきた部長としては、科学に精通されていると思いますので、今後、岩手県に必要な科学とか通信分野でどのような施策を盛り込んでいけばいいのか、所感を聞いて、終わりにします。
〇佐々木ふるさと振興部長 先ほども答弁申し上げましたとおり、やはり科学そのものは、あらゆる分野の基盤になって、より高度化、あるいはより先進化させていくものだと思っております。
 現下においては、まず、デジタル化への対応をしっかりやりながら、社会のデジタル化の基盤をつくりながら、そういった科学でいろいろ取り組んでいるもの、例えば県北地域であればスマート農業を積極的に進めています。
 そういったデータのやりとりそのものは、社会のいろいろなデジタル化ともつながりますので、さまざまな展開ができるということで、このデジタル関係の展開を進めていくことと、先ほど質問にもありましたが、いわて戦略的研究開発推進事業というものがあって、これは、将来の岩手県の産業の種を探そうということで、都道府県では珍しい、基礎的な科学にも県として予算をつけて、成長を見込んで進めましょうというものであります。
 こういった新しい基礎の部分に近い研究開発に毎年予算をいただいて、今さまざま種植えをしているということでありますので、そういった種が開くように、引き続き応援もしながら、先を見た研究の種の開発も並行してやっているところと御理解いただければと思います。よろしくお願いします。
〇高橋穏至委員 私からは、まず最初に、財政に関して。
 昨日、県の財政見通しの質疑があったわけですが、ここの市町村との絡みで、アクションプランにもあります市町村との連携、協働の推進の部分でも財政見通しについてということで、この件に関しては決算のときにも高橋はじめ委員から質疑があったところです。コロナ禍で、9月からまた状況がどんどん変化してきまして、各市町村でも新年度予算を編成して、今、議会を開いている市町村が多いのですが、市町村との連携において、県では市町村の状況をどのように把握して、関係を持っているのかお伺いします。
〇松村市町村課総括課長 県内市町村の財政基盤ということでございますが、毎年、全ての市町村を訪問しまして、コンサルティングという形で、今年度は新型コロナウイルス感染症も踏まえてということで、税収の見込みですとか財政調整基金の取り崩しの状況といったところをヒアリングしております。
 もちろん減収が見込まれる税目もございます。それから、財政調整基金につきましては、国から新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用するというようなことがございまして、当初、市町村で見込んでいた取り崩し額は大分圧縮できているかと考えております。
 令和3年度ということでお話を申し上げますと、全市町村の税収は、今年度の当初予算の段階ですとおおむね1、512億円でございましたが、令和3年度の見込みとなりますと、税収で1、442億円、額にして71億円、4.7%の減という見込みがございます。
 まだこれは確定ではございませんけれども、一方で国では令和3年度の地方財政計画において地方交付税の増額等、地方の一般財源総額については今年度を上回る額を確保したということで、一定程度財源の確保はできたかと考えております。いずれまた、来年度以降、コロナ禍の影響などが深刻になっている分があるかもしれません。また、法人税、住民税等は、来年度の税収の見込みがまた左右される部分もあるかと思いますので、私どもも引き続き、よく市町村の状況を把握しながら対応してまいりたいと考えております。
〇高橋穏至委員 状況について今伺ったわけですが、コンサルティングということですけれども、県と市町村の財政を組む上で、コンサルティングという表現がどうなのかという気が私はするのですが、その中で、やはり入ってくるものは、もちろん国を通して大枠が決められてしまうので、県でどうのこうのとなかなか言えない部分があるのではないかと思うのです。
 その中で、市町村との意見交換というのが先ほど来、いろいろな場面で出てきているのですが、その中で出される項目はどんなものかをちょっとお伺いしたいのです。
〇松村市町村課総括課長 やはり今年度はコロナ禍の関係がございましたので、先ほど申し上げた国の臨時交付金など、年度を通してさらに増額してほしいというような御要望もございましたし、それは、やはり基金の取り崩しなどをその当時大分懸念されたこともあったと思います。あとは、市町村として、どういう形で将来の財政運営を考えていくかということがあると思います。
 今年度は、コロナ禍の関係で減収補填債の税目の拡大もございますので、そういったところを私どもとしては御相談しながら、なるべく有利な起債でできるような形で助言しているところでございます。
〇高橋穏至委員 私は、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金のときに、県の配分があって、市町村には、もちろんまた別枠で配分があったときに、県の配分の仕方として一つ提案したのが、そのメニューにあるのだったら、市町村で選んで県が上乗せして補助するような自由度の高い制度を県で考えてほしいということで、これは実現したわけです。そういった意味で、やはり市町村にはそれぞれ特有の課題がありますので、そういった財政的な支援につながるような政策を、各課とも連携してとっていただければと思っております。
 今度は支出のほうになりますけれども、地方公共交通、バス運行の対策補助金ですが、新型コロナウイルス感染症の影響でバス事業者への補助金制度、これは令和2年度で一つ終了しているわけですが、路線バスの利用についても、人の動きが少なくなれば、当然減収されるわけで、その中で、新年度当初予算案の予算額が減額しているのですけれども、減額で大丈夫なのかという心配があるのですが、いかがでしょうか。
〇小野寺地域交通課長 地域バス交通支援事業費補助でございますけれども、これは、市町村が、広域生活バス路線を運行する事業者に対して、その運行欠損額を補助する場合、それから、国庫補助対象外となった路線について市町村が代替交通を確保する場合などに、県が市町村に対して必要な経費を補助する事業でございまして、今年度は、14市町村16路線を対象として補助を行うことにしておりまして、2月補正後の予算額は3、147万円となっております。
 一方、来年度でございますけれども、この事業の補助対象と見込まれるのが18市町村の20路線となっておりまして、それに要する予算として3、923万3、000円を予算案に計上させていただいております。
 この来年度当初予算案の中には、新型コロナウイルス感染症の影響で利用者が減少することに伴いまして、新たにこの補助の対象となることが見込まれる3路線についても対象として、必要な予算を計上しております。
 それから、これは平均乗車密度4人以上という補助要件を設定しておりますが、今般のコロナ禍の影響で、それが満たせなくなる。したがって、補助対象路線から外れることを救済するために、今年度、この補助要件を緩和する特例措置を講じております。
 これにつきましては、来年度もまた引き続きそういう状況等が継続することが見込まれますので、特例措置は引き続き講ずることにしておりまして、その特例措置によって、補助対象として残るであろう3路線についても対象として、今般の必要な予算に計上しております。
 したがいまして、基本的に、来年度、この事業の対象となり得る路線については当初予算案に計上できていると考えております。ただ、この予算額は、令和2年度のバスの運行実績に基づいて各路線の欠損額を算定して、それを補助するという形で計上しております。実際にバスを動かしてみた場合に、欠損額がさらにふえる場合もあるかと思います。そういった場合には、補正予算等での対応をきちんと検討してまいりたいと考えております。
〇高橋穏至委員 わかりました。一つ確認ですが、その要件緩和というのは、国のほうが、コロナ禍があったので要件を緩和したということでよろしいでしょうか。
〇小野寺地域交通課長 まず、国は国で、また国庫補助がございまして、そちらのほうも実際に要件緩和はなされておりますが、それがなされたこともありますので、今御説明したのは、あくまでも県と市町村の補助ということでございます。こちらのほうは、県で要件を緩和したという状況でございます。
〇高橋穏至委員 了解しました。
 それから、もう一つの事業、地域公共交通活性化に係る事業等ですけれども、これも9月定例会の一般質問と決算特別委員会でもお伺いしたのですが、今年度から、今までの網形成計画が、今度、計画が変わりまして、できるではなくて、なるべくするようにと変わったのですが、その時点では、たしか未策定の地域が結構あったのですが、それに対する働きかけとか、それに対する支援の予定は、令和3年度はどのように考えているでしょうか。
〇小野寺地域交通課長 地域公共交通再編・活性化推進事業で市町村の網計画策定等の支援を行っているところでございますが、今年度につきましては、釜石市の地域公共交通網形成計画策定、それから滝沢市の新たな交通サービス検討などの地域公共交通再編に係る取り組み3件、そして、一関市のデマンド型乗り合いタクシーや山田町のまちなか循環バスなどの実証運行に係る取り組み4件、それから、花巻市のバス待合所の整備や西和賀町のバスマップ作成など利用促進に係る取り組み3件、合わせて10市町に対しまして1、500万円余の補助を行う予定でございます。
 来年度につきましても、これまでの補助実績等を勘案して1、575万円の予算を計上させていただいております。
 来年度の補助対象市町村事業につきましては、現在、市町村に対して実施の要望調査を行っているところでございまして、それを取りまとめた上で、今後、対象市町村や対象事業、補助金額等について決定していく予定としております。
〇高橋穏至委員 了解しました。これは岩手県内のほとんどの市町村が抱える課題ですので、ぜひ、どの市町村でも、高齢者による運転免許返納もどんどん進んでいきますので、そういった意味ではしっかりとした体制をつくっていただきたいと思います。
 あと、先ほど実証実験という部分がありましたけれども、国とか、そういった制度を使って、大規模な実証実験も、生活エリアが同じエリアであれば、例えば今やられている花巻市ですと、岩手医科大学付属病院でのルートとか、市町村をまたがるルートもあります。そういったエリアで実現できるようなルートを、市町村をまたぐということで、やはり県とかが中に入ってやるほうがよいと思うのですが、そういったことについても取り組みがあればと思うのですが、最後、そこの辺について所見をお伺いしたいと思います。
〇小野寺地域交通課長 いずれ、地域公共交通を取り巻く課題は全国共通の課題となっておりますので、国においても、さまざまな支援メニュー等を設けて、自治体の取り組みを支援している状況でございます。県においても、市町村の取り組みを支援するという形で、地域公共交通の維持ということで取り組みを進めているところでございますので、国、それから市町村とも連携を図りながら、地域公共交通、住民の方々の移動手段の確保については、きちんと取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 私も公共交通について質問したいと思います。
 まず、公共交通のMaaS化についてでございます。
 4月1日から東北デスティネーションキャンペーンが始まります。東北全域の課題として、駅までは来られるけれども、そこから先の交通がということで、二次交通問題が長く叫ばれてきたわけであります。そこを解決する大きな期待として、JRがTOHOKUMaaSを大がかりに仕掛けるという話がございましたけれども、本県の運用は、一関・平泉エリアの厳美でのデマンド交通のみということをこの定例会でも質問の中でお答えいただいておりました。
 県のこれまでの調整についての取り組みや経緯をお示しいただきたいと思います。また、他県では、運用の状況、予定はどうなっているのか伺いたいと思います。
〇小野寺地域交通課長 東北デスティネーションキャンペーンにおけるMaaSの取り組みでございますけれども、TOHOKUMaaSは、御承知のとおり、東北デスティネーションキャンペーンの開催にあわせてJR東日本の取り組みとして、JR東日本が東北各県ごとに1から2エリアを選定して、各県の交通事業者と調整を行って実施されているものでございます。JR東日本からは、その取り組み状況等について直接御説明等をいただいてはおりますが、今お話のありました具体の県との調整といった場は、特になかったところでございます。
 次に、他県におけるMaaSの取り組み状況についてでございますが、これは、国でも積極的に推進しておりまして、令和元年度からMaaSの実証実験に対しての支援を行っていると。今年度におきましても、38地域で国の支援を活用した実証実験等の取り組みが行われているところでございます。
 なお、具体の取り組みの内容でございますが、経路検索、予約、あとは決済をスマートフォン上で行うことができるMaaSアプリの構築や実証、AIを活用したオンデマンド交通の実証運行、複数の事業者間のデータ連携、こういった取り組みがなされているところでございます。
〇佐々木朋和委員 各事業者、非常に経営の根本にかかわるような運賃の問題でありますとか、また、ICT化など経費もかかるところでありますので、ぜひ県の調整を期待したのですけれども、そういった機会がなかなか難しかったということでありますので、承知したいと思います。
 一方で、今後の展開ということで、私も東北デスティネーションキャンペーンのレガシーという質問をさせていただきましたが、やはり東北デスティネーションキャンペーンの取り組みから今後につながるような部分が出てきてくれればというのが、この二次交通の強化、MaaS化だと思っております。ただ、各事業者を見ると、県内の各バス事業者では、バスロケーションシステムの導入がそれぞれで進んでいて、また、今後はJR発行の地域連携ICカードの導入方針も各事業者が打ち出しております。これは、ICT化が事業者ごとから公共交通一体化へ波及する予兆でもあるのではないかと期待しているわけでありますけれども、このMaaS化に向けた今後の展望についてお知らせいただきたいと思います。
〇小野寺地域交通課長 MaaSのこれまでの取り組みと今後の展望ということでございますが、今お話がありましたICカード、それからスマートフォンアプリを初めとしたICTを活用して公共交通の利便性の向上を図ることは、非常に重要な取り組みであると県としても考えております。
 特に、公共交通機関の検索、予約、決済を一元的なサービスとして提供できるMaaSは、利用者の利便性を飛躍的に向上させるものと言えますので、公共交通の活性化に資するものと考えております。
 県ではこれまで、令和元年9月から11月まで、ラグビーワールドカップ2019日本大会岩手・釜石の開催に合わせて、国と連携して三陸、釜石地域において、スマートフォンアプリによる訪日外国人旅行者向けの観光地型MaaSの実証実験を行ったところでございます。
 こういった取り組み、それから、現在全国で行われております実証実験等の他地域におけるモデル事業の取り組み状況、本県における課題、今、委員からもありましたとおり、事業者間の調整とかといった課題等、それから実効性、持続可能性といったものを今、検討、分析をしているところでございまして、事業者、市町村などともきちんと連携し、本県への導入については引き続き検討していきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今後は、調整に積極的に入って、ぜひお願いできればと思います。
 公共バス路線についてですけれども、先ほど高橋穏至委員からもお話がございました。コロナ禍の影響で3路線、要件から外れてしまうものも出てくるということでありましたけれども、このコロナ禍の影響をどのように捉えているのか。国、県の補助要件以下になる路線がどの程度ふえてしまうのか。また、今までも、やはり減少傾向であったのですけれども、それに拍車がかかっていくのか、その辺の見込みも含めてお示しいただきたい。
 あと、地域バス交通支援事業費補助の要件緩和については高く評価したいと思いますが、具体的に平均乗車密度4人以上というところからどの程度要件が緩和されるのか。また、先ほど国の要件も緩和されるというような話もございましたけれども、その辺も具体的にお示しいただいた上で、ほかの支援策もあればお示しいただきたいと思います。
〇小野寺地域交通課長 広域バス路線における新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた支援ということでございますが、県において支援を行っている広域バス路線は、感染拡大に伴う外出自粛等の影響によって利用者が非常に大幅に減少しております。したがって、従来の補助要件ですと、国庫補助路線では7路線、県単補助路線では3路線が補助要件を満たさないような状況です。
 こうした状況を踏まえまして、先ほども御説明しましたとおり、国では、令和2年度の国庫補助対象路線について、輸送量15人以上の補助要件を適用しないという特例措置を講じたところです。県におきましても、令和2年度の県単補助路線、平均乗車密度4人以上の補助要件を適用しないという特例措置を講じました。
 国におきましては、補助上限額を緩和して、補助額を増額する措置も新たに講じたところでございます。これに準じて、県におきましても、さきの2月補正予算において、バス運行対策費6、600万円余の増額補正をお認めいただきまして、バス事業者に対して相当額を追加支援する予定にしております。
〇佐々木朋和委員 それは来年度も継続をする予定ということでよろしいですか。
〇小野寺地域交通課長 県単独補助につきましては、先ほども御説明しましたとおり、今年度、それから来年度につきましても、その特例措置を講じることにしております。
〇佐々木朋和委員 ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
 そういった中で、やはり公共交通の利用者の確保が大変になってきて、また、さまざま検討しなければいけなくなってきているところでありますけれども、近年、市町村でデマンド交通の実証実験が多く行われてきております。県は、この実証実験に支援を行っているということは、先ほど高橋委員のお話でもございましたけれども、実験と言うからには、成果、効果をどのように県は分析をしているのか伺いたいと思います。
〇小野寺地域交通課長 実証実験に係る補助でございますが、昨年度は北上市、一関市、奥州市の3市の実証運行に対して支援を行いました。北上市では令和2年4月から、奥州市では令和2年10月から本格運行に移行しておりまして、一関市においても、この4月から本格運行に移行する予定と聞いております。
 それから、今年度におきましては、一関市、紫波町、住田町、山田町の4市町での実証運行に対して支援を行いましたが、紫波町においては、昨年10月から既に本格運行に移行しております。それから、一関市におきましても、この4月からまた本格運行に移行する予定ということでお聞きしております。
 そういったことで、これまでのところ、実証運行に対する支援が本格運行等に結びついているケースが多いということがございますので、市町村における地域公共交通体系の再編に有効に活用していただいているものと認識しております。
 また、引き続き、出てくる課題等の分析等もしながら、市町村と連携して、持続可能な公共交通ネットワークの構築に取り組んでいきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 このデマンド交通の効果を県としてもお認めになられているところだと思います。先ほど来説明がありますとおり、県も各路線に補助を出している中で、その補助要件を緩和したり、あるいはバス事業者が続けられないところを市がやるバスについても補助されたりということで、補助の枠が広がってきていると思っております。
 一方で、デマンド交通についても、各市町村で取り組んでいて、効果も上がってきているという中にあって、デマンド交通は、県としては実証実験までで、本路線になると補助がないということでありました。よくよく考えてみると、バスに対して補助するよりもデマンド交通に対して補助したほうが、全体的にはコストパフォーマンスがいいのではないかというところもあるわけです。そういった部分で、実証実験で今まで支援していただいて効果が上がってきたというのであれば、いよいよデマンド交通の本運行にも補助していくほうが、全体のコストは下げられるのではないかというような分析もあるかと思うのです。
 最後に部長に、その辺のところをお聞きして、ぜひデマンド交通の本運行にも補助していくべきではないかという意見に対して、どのように思われるか伺って、終わりたいと思います。
〇佐々木ふるさと振興部長 バス等の公共交通につきましては、例えば、中山間地域ではまさに生活の路線、それから都市部、市街地では生活の利便性の通勤、通学を含めとさまざまな用途がある中で、やはりトータルで地域の負担をどう考えていくかといった議論が必要なのだと思っています。
 それぞれの県民の皆さんが快適に暮らす中の要件として、バスがどの程度、どういうものが必要か、それぞれの地域地域の特性に合わせて、まさにデマンド交通をやって、今その効果が上がっていますので、本路線で今走っている部分は、まさに本当に必要な路線でありまして、それはそれで維持する必要があるというのが現状だと思っています。
 ですので、将来のコストも見据えてその利便性をどう考えていくか、まさにこのデマンド交通が先駆けとなって、その地域のあり方の議論がより深まるものだと思っておりますので、委員の貴重な御意見を踏まえながら、さらに一層検討を進めたいと思います。
〇城内よしひこ副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。

午後2時29分 休 憩

午後2時46分 再 開

〇城内よしひこ副委員長 休憩前に引き続き、質疑を続行します。
〇菅野ひろのり委員 私からは、活力ある小集落実現プロジェクトで主に2点、地域おこし協力隊活動支援事業と活力ある小集落構築支援事業費について伺います。
 まず、地域おこし協力隊活動支援事業についてでございます。
 今回、OB、OGのネットワークを活用していくということですが、その前に、協力隊の定着をどうしていくかが課題としてあると思っております。総務省の資料ですと、岩手県は任期終了予定者数が73名で、定住率65.8%。全国平均が約6割という中で少し高目、いい傾向なのだろうと思っておりますが、定着を図る上での現状、課題、その対策をどう捉えているかお伺いします。
〇熊谷地域振興課長 地域おこし協力隊の定着を図る上での課題と対策についてでございますけれども、市町村や地域おこし協力隊との意見交換の中では、活動内容と隊員のやりたいこととにミスマッチが出ていたり、活動時における隊員の孤立化といった課題があること、また、他の隊員と話し合う機会が欲しい、同じような事業に取り組む隊員とのつながりが欲しいなどの意見があったところでございます。
 協力隊の活動支援と定着促進を図るためには、隊員のネットワーク構築も含め、任期中の活動の充実による満足度の向上に加えまして、任期終了後の進路を見据え、具体的な準備を任期中にしていくことが大切であり、こうした観点で支援を行っていくことが必要と考えております。
 このため県では、隊員の活動事例の発表を行う地域づくり人材活動事例発表会や任期終了後の県内での起業を促進する起業セミナー、また、隊員の受け入れに当たって市町村との情報共有を図るセミナーを開催しており、来年度には、新たにOB等を核とした隊員のネットワーク構築を図り、これまで以上に隊員の活動支援と定着促進につなげるよう取り組みを行ってまいります。
〇菅野ひろのり委員 両方一緒に答えていただきましたね。わかりました。だとすると、私の課題意識は、先ほどは孤立化ややりたいことのミスマッチということをいろいろ出していただきましたが、この間、久慈市で地域おこし協力隊の方も多数参加している中で県民と県議会との意見交換会がありました。そこで、では、どういったら残っていけるのか、あるいはその方々の定着した様子を聞くと、やはり仕事だと。仕事があるかどうか、あるいは起業につなげられるかどうかという課題意識を持たれていました。
 先ほどの県の認識だとそこら辺は入っておりませんでしたが、起業にかけるサポート支援、そこら辺はどう考えていますでしょうか。
〇熊谷地域振興課長 先ほど県の取り組みとして申し上げた地域づくり人材活動事例発表会でありますとか、あるいは起業セミナーといった中で、起業のノウハウですとかを協力隊の方に学んでいただくための機会を設けております。
 また、地域おこし協力隊の起業に当たりましては、国の制度でございますけれども、同一市町村内での起業、事業承継に要する経費に対する特別交付税措置がございまして、市町村は、これを活用して隊員の起業等に要する経費に対して補助金を交付しているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 地財措置が年々上がっている中で、非常に地域おこし協力隊への期待は国としても上がってきているのだなと考えております。
 それで、その意見交換会の中でもなるほどなと思った意見が、地域おこし協力隊が求められていると。それは、既存でないビジネスあるいは既存でないことをやるから求められているのだという意見がありました。
 県がおっしゃるサポートというのは、例えば既存のビジネスをもとにした支援であったり助言とどうしても当然なるわけでありますが、求められているのは、これまでにない枠組みでのビジネスモデルの構築が多いから、それに対するさまざまな複合的な支援をぜひしていただきたいというような意見がありました。私も同感です。引き続きその視点を持ってお願いしたいと思います。
 もう一点ですが、活力ある小集落構築支援事業でございます。これはいろいろありますが、人と人のつながりを守って育てる仕組みの構築という中で、昨年から始まっておりますが、これはどうこの日常生活の支援、世代間交流が図られたのか、その事業実績、成果を伺いたいと思います。
〇本多県北振興課長 活力ある小集落実現プロジェクトにつきまして、その事業実績と成果についてでございますけれども、まず、第4次産業革命技術を活用した取り組みと、人と人とのつながりを生かした取り組みの大きく二つございますが、第4次産業革命技術を活用した取り組みにつきましては、まず一つ目は、買い物弱者対策といたしまして、中山間地における買い物の利便性向上等に向けたドローンを活用した食料品や日用品等を配達する実証実験を、岩泉町をモデルとして実施しているところでございます。
 また、岩手県立大学と連携いたしまして、ICTを活用して高齢者自身が体調等の情報を発信するお元気見守りシステムの実証事業を、岩手町と岩泉町で実施しているところでございます。
 引き続き、こういった取り組みを行いながら、第4次産業革命技術を活用した日常生活の利便性の向上に向けた取り組みを実施してまいりたいと考えております。
 また、世代間交流の点についてでございますけれども、これは、活力ある小集落プロジェクトと連携して行っている北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトで実施しているものでございますが、洋野町をフィールドとしたコミュニティーが抱える課題解決に地域の社会福祉法人が中心となりまして、地域の高齢者と高校生が一緒に将来のビジョンを考えるワークショップのような取り組みを行っておりまして、それは昨日、報告会が開催されたところでございます。
 また、同じく岩手町や岩泉町におけるモデル事業におきましては、岩手県立大学の学生も参加していただいて、さまざまな意見を出していただきながら、地域の皆さんと一緒に地域課題の解決に取り組んでいるところでございます。
〇菅野ひろのり委員 その中で、今回、事業の仕組みづくりの形式としては、岩手県立大学への委託事業ということでありました。現段階だと調査をしている段階で、令和3年に実証実験を実施予定という中で、今回の事業で一部新規拡充するというのは、これは新たにフォーラムを開催するということでありました。
 私は、やっぱりちょっと疑問に思っているのが、まだ地域の活動の担い手が確保できましたという結果が出ていない中に対して、新たにフォーラムを開催して幅を広げていくと。県は、ここら辺はどう考えて進める事業なのでしょうか。
〇本多県北振興課長 活力ある小集落プロジェクトの事業展開についてでございますけれども、これまでの大まかな流れで申し上げますと、令和元年度に活力ある小集落実現プロジェクトの実態調査を実施しております。その実態調査の中で、多様な主体とのつながりを持ちながら地域の課題を解決していくことが重要であるという提言をいただきまして、そうした流れを受けまして、今年度から、先ほど答弁申し上げましたモデル事業として、岩手町や岩泉町における担い手確保でありますとかコミュニティービジネスを生かした取り組みを行っているところでございます。
 委員から御指摘いただきました、来年度拡充するということで、フォーラムの開催についてでございますけれども、まだモデル事業につきましては、令和2年度、それから、令和2年度に行った調査結果を踏まえて令和3年度に具体的な取り組みを行うこととしておりまして、その成果をもって、それを横展開するためにフォーラムを開催するところでございます。
 モデル事業の成果のみならず、全国的な先進地事例などもそのフォーラムの中で各自治体の皆さんと共有しながら、活力ある小集落プロジェクトの実現に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 私は、このプロジェクトが出たときから、この事業に大変期待している中で、逆に言うと、だからこそ心配になる点があって、早く進めていかなければいけないけれども、本当に実態を捉えて課題解決に向けているのかというところが非常に気になっています。
 そこで1点確認ですが、今回の事業で、中山間の集落の方々は、どういうところに困っていて、どういう担い手を必要としているのか、県はそこら辺、どう意見を集約しているのか、その把握状況をお聞きします。
〇本多県北振興課長 委員御指摘のとおり、この取り組みを進める上では、地域の方々の思いをどう反映させていくかがすごく重要と考えているところでございます。
 そのため、まず一つ、モデル事業を進める中におきましては、各モデル地区の地域振興協議会でありますとか自治振興会と連携をとりながら、地域との信頼関係を構築しながら、その地域の皆さんと一緒にモデル事業に取り組んでいるところでございます。
 また、地域のニーズをどう把握しているかというところでございますけれども、昨年度行いました実態調査の中で、先ほども答弁申し上げましたが、担い手確保でありますとか買い物支援でありますとか、あとは、日常的な雪かきといったことへの人的な支援が必要だという報告をいただいております。
 そういったことを踏まえて、その地域の人だけでは人手を確保するのがなかなか難しい場合には、地域の出身者をどう活用するかでありますとか、地域おこし協力隊の皆さんとどう連携していくかといったものを、モデル事業を通して模索しながら、その実現に向けた取り組みを進めているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 具体的な課題、ニーズ、あるいはそれに対応する策が今まだ出てきていない状況だなと聞いていて感じました。やはりそれぞれの地域に、例えば、きょうは公共交通の話も出ましたし、先ほどは買い物弱者のことも言っていただきましたが、それぞれある課題の中で、この支援事業あるいはプロジェクトを使って、どういうソリューションがあるから、では、例えばフォーラムを開催して、このモデルであればうちの市町村に合うな、やってみようかというものを広げていかないと、フォーラムだけ開催して、これやっていますよだけでは、事業のためにやるフォーラムみたいなもので、解決のためにつながっていかないのではないかということを私は非常に懸念しているのです。
 若い方々が発案されて積極的にやっているのはたくさんお聞きしていますので、それも踏まえて、実効性ある解決を求めるための事業にしていただきたいと思います。
〇米内紘正委員 私は、県庁におけるDX―デジタルトランスフォーメーションの推進についてお聞きいたします。
 先日の知事演述の中でもDXあるいはソサエティー5.0というところが大きく掲げられて、知事自身も率先してペーパーレス化やウエブ会議などを実践し、デジタルトランスフォーメーションに取り組みますということを話されていますので、予算もとられていく中で、やっとDXに関して本質的な議論ができるのかなと思ってうれしく思っております。
 まず初めにお聞きします。まず、県はDXを推進する目的をどう考えているかお聞かせください。
〇古舘科学・情報政策室長 県庁におけるデジタルトランスフォーメーション推進の目的についてでございますけれども、県、市町村のDXの推進については、昨年12月に総務省が、自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画を策定し、自治体においては、まず、デジタル技術等を活用した住民の利便性の向上や、業務の効率化による人的資源を行政サービスのさらなる向上につなげていくことなどが求められるとしております。
 県におきましても、これらの国の動向を踏まえまして、集中的、計画的に庁内のDXを推進しまして、働き方改革、県民の利便性向上の拡充に向け、デジタル化の効果が早期に発現するよう取り組んでいくことが必要であると考えているところでございます。
〇米内紘正委員 行政における最終的なDXをなぜ推進するかというところは、まさに今お話しされた行政サービスの向上、あとは人口減少を初めとする社会課題の解決ですね。企業においては利潤を追求することなので、競争の優位性に立つこととかがあるのですけれども、やっぱりこの目的を常に考えていかないと、話していると、だんだんDXの導入自体が目的化していって、どこを向いているのかわからなくなってくる状況がありますので、そこは常に意識していただけたらと思います。
 まさにDXというのは、人間に一番重きを置いたものですね。菅野議員が2月定例会の一般質問の中でもお話しされていましたけれども、最後は人なのだと。まちづくりも人なのだと。やっぱり最後は人なのですね。そのために、今、本当に人がその能力を発揮するために、人間がやらなければいけないこと、先ほど来、市町村との連携とかもありますけれども、その辺を、県庁に閉じこもっているのではなく、DXを推進して、ある程度デジタルに任せることによって、どんどん県庁から出ていっていろいろな連携を図っていく、ここが目的になってくると思います。
 では、その中で、ソサエティー5.0を目指すに当たって、今、県庁はソサエティー幾つにいると認識されているでしょうか。
〇古舘科学・情報政策室長 なかなか数字で申し上げるのは難しいと考えておりますけれども、これまでもDXに関連してといいますか、働き方、県民の利便性に向けては、例えば、電子申請の取り組みとか、それから、庁内ではRPAの取り組みとか、先ほど申しましたAIによる議事録の作成とか、そのほかにもペーパーレス化の推進、テレワークの準備とかという形でいろいろ進めているところでございます。
 来年度も、これもちょっと先ほど申しましたけれども、ノートパソコンへの更新とか、電子決裁とか文書管理システムの構築を来年度中に終える予定にしております。
 そういう意味で、まさにさまざまな取り組みをしているところではございますけれども、全体としてハードもソフトも、これからも本格的に取り組まなくてはいけないという段階にはあると思いますので、国の示す計画とか手順書に沿って、何とか令和7年度末までには集中的に取り組んでいきたいという状況と考えております。
〇米内紘正委員 具体的にはおっしゃられなかったですけれども、大体ソサエティー3.8ぐらいに今いると思っています。これは別に岩手県庁がという話ではなくて、霞が関を含めて、自治体は、まだDXとは何ぞやと、その前のソサエティー4.0、情報化のところにいると思うのです。なぜなら、今回の知事演述の中でも、ペーパーレス化とかウエブ会議を実践し、デジタルトランスフォーメーションに取り組みますと知事の言葉として書かれているのですけれども、例えばペーパーレス化とかウエブ会議ってもう20年前のテクノロジーなのですね。そもそも20年前にIT革命があって、10年前ぐらいですね、2010年ぐらいには、ある程度成熟したソサエティー4.0、情報化社会が実現されてきたわけでございます。その中で、いろいろな企業とか団体は、情報化社会ではなし得なかったもの、これはこうではないのだよね、利便性、人間がないがしろにされてしまっているところとか、いろいろな弊害を感じて、ポストデジタルという意味でソサエティー5.0という言葉が出てきているのです。
 なので、悪いことではないと思うのです。まず4.0に行きましょうと。4.0を達成すると本当にいろいろな弊害が見えてきます。その中で、では、どうしたらいいのか。それで組織を変革していくのがソサエティー5.0。
 例えば、わかりやすく言うと、議会にiPadが配られたのですけれども、これをデジタルトランスフォーメーションとは言わないのです。多分、議会事務局の仕事は減っていないですし、これを使っても使わなくても大丈夫ですし。ここから、なくてはならないスケジュールの共有だったり経費の精算だったり、そういうものが実装されてやっとDXとなるわけです。
 ただ、紙は重要なのだという意見もあると思うのですけれども、そういう方に限って、スマートフォンでLINEとかでやりとりしているわけです。つまり、日常生活においては自分自身のDXが進んでいるわけです。自然に進んでいる。だから、ここは進めていかなければいけないと思うのですけれども、その中で大切になってくる人材育成のところについて、県庁の中における人材育成をどう考えているかお聞かせください。
〇古舘科学・情報政策室長 県職員の能力向上ということだと思うのですけれども、これに関しても、今の自治体DX推進計画と呼応しまして、県と市町村が参加する岩手県電子自治体推進協議会の枠組みを活用して、今までもオープンデータやテレワークという形の研修をしてきたのですけれども、この後、デジタルトランスフォーメーションの推進に必要なデータの利活用とか、業務フローの分析、ICTリテラシーの向上に向けた人材研修を拡大していきたいと考えているところでございます。
 できれば、この研修に関しましては継続的に対応していくことが必要ですので、毎年度、育成研修に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇米内紘正委員 本当にここをやらないと、後で質問いたしますけれども、いざシステム導入となったときに、すごくいびつなシステムができ上がってしまう可能性があるので、ぜひ、ここはシステム会社と対等に話し合える人材、対話できる人材が県庁内に絶対必要だと思っております。その中で人材像も、今回はお聞きしませんけれども、具体的な、多分それを進めるのはイノベーション人材ではないと思うのです。デジタルガバメントを推進していく人材になっていく。それはデジタル化を進める人材としても全然違うのです。だから、その辺のビジョンもこれから考えていただけたらと思うわけであります。
 次に、官民連携で推進組織を設置するということですけれども、これはどのような人材を集めて、どのような役割を持たせることを想定しているのでしょうか。
〇古舘科学・情報政策室長 官民連携のDX推進組織についてでございますけれども、産学官金が一体となって本県のDXを推進していくために設置を予定している組織でございまして、産業関係の団体、それから大学、行政等のメンバーで構成したいと考えております。
 推進組織においては、県民のニーズや県内のデジタル化の状況、先進事例等につきまして、それらの団体等で共有いたしまして、事業者が属する業界のDXの推進、さらには、その業界を超えた連携によるDXが促進されるように取り組んでいきたいと考えております。
 県、市町村のデジタル化に関しましても、民間との情報共有によりまして、オンライン手続などの行政デジタル化が効果的に進むように取り組んでいきたいと考えております。
〇米内紘正委員 これから本当に実務的なところがたくさん出てくると思うので、ここが難しいのは、プログラミングにしてもそうですけれども、常に新しいものが出てきてしまって、経験値を積んだベテランの方というのは、経験値は積まれているのですけれども、ただ、そのときにはまた新しい言語が出てきたり、これが大変難しいのです。なので、ぜひこういうものをつくられるときに、世代構成ですね。今、現場でその言語を使っている方とか、今、現場で第一線にいる方もぜひ交えながらやっていただかないと、またそこで20年前の技術を見ながら議論がされることになると、いつまでたっても前に進まないので、世代構成というところは、ぜひ慎重に考えていただけたらと思うところでございます。
 三つ目、DXの具体的事業については、先ほど柳村委員から質問がありましたので把握いたしました。サテライトオフィスだったりリモートワークだったり、ペーパーレス会議、電子決裁というところであると思います。
 この各種事業において、今回、県庁の皆様方もそうだったとは思うのですけれども、コロナ禍の1年間の中で、オンラインでできることとオンラインでできないことがかなりはっきりしたと思います。先日、岩手県議会国際リニアコライダー建設実現議員連盟で山下先生も言っていたのですけれども、クリエーティブなことに関してはウエブ会議ではできないと。これは多分この1年間オンライン会議をやってきた方なら、みんなそうだと思うはずなのです。絶対にできないことが、新規、スタートアップですね。スタートアップの事業を最初につくり上げるところとか、あと人間関係をゼロからつくるところは絶対無理なのです。維持することはできても、ゼロから仲よくなるとかというのは無理なのです。
 だから、そこのところを、オンラインでできることとできないことをどう整理してこの事業を組み立てていくのかというところまで、もし考えていらっしゃったら教えていただければと思います。
〇古舘科学・情報政策室長 私たちも確かにこの1年間、かなりオンライン会議を開催させていただきまして、通常会議を開催するときには、さまざま前後の時間とかでネットワークといいますかコミュニケーションをつくったり、新たなアイデアを伺ったりという機会があったと思っております。とはいいながら、ネットワークのほうもさまざま、このコロナ禍でも市町村の担当者と比較的数多く打ち合わせもできたと考えておりますし、やっぱり時間とか距離の制約がなく、さまざまな打ち合わせができることも経験させていただいたところでございます。
 これらの業務について、私たちもまだ精密に分析しているわけではございませんけれども、それぞれのよさを生かすような形で、今後ウエブ会議とかの運用の仕方を検討していきたいと考えております。
〇米内紘正委員 本当に、オンラインでできることもわかったし、できないこともわかった1年だと思うので、そこをひとまとめに全部デジタル化とかすると、多分また弊害が出て、やっぱり不便ではないかといって逆行した流れになってしまうようなこともあるので、そこは一つ一つ戦略を練っていただけたらと思います。
 次に、それらの具体的な事業で、先ほども少し聞いたのですけれども、どのような体制で臨むのか。その具体的な県庁内の電子決裁の導入だったり、リモートワーク、ペーパーレス会議等、開発面で、誰がリードして指揮をとっていくかということについてお聞きしたいのです。
 先日、厚生労働省のCOCOAの問題がありました。あれは実は対岸の火事ではなくて、多分いろいろな組織でああいうことは日常茶飯事で起きていたと思うのです。何年も前ですけれども。結局、担当する人間が中身がわからないと、SI屋、システムインテグレーターに全部丸投げするわけです。丸投げすると、何かわからないうちに仕様書が決まって、何かいいっぽい感じの仕様書ができて、でも、結局それを開発しているエンジニアの方とは一回も会ったことがない。そういうものが、多分気を抜いているとどこでも起こり得るのです。そこのところはどういう体制で行っていくのか、お聞かせいただけたらと思います。
〇古舘科学・情報政策室長 来年度でございますけれども、県では、県庁の行政デジタル化、行政文書の電子化、職場の働き方改革を一体でやりたいと考えておりまして、行政情報化担当を総務部の行政経営推進課に移管することとしたところでございます。
 今、私どもの行政情報担当には、民間でシステムを開発した経験のある職員等もおりまして、そういう職員と、発注者側としてしっかりそのシステムを見ながら開発は進めていきたいと考えております。
〇米内紘正委員 ぜひそのようにしていただけたらと思います。総務部にも細かく引き継ぎしていただいて、使われるのは県庁内のシステムは県庁の職員の皆様方なので、やっぱりそこの対話、どういったシステムができるのか。システムを開発したことがある人ならば、システムでできることとできないこともわかっているはずなのです。だから、その辺も含めて、本当にきちんと使いやすいシステムができていくことが大切なのだろうと思っております。
 まとめて部長にお聞きしたいのですけれども、最初のほうから、デジタルトランスフォーメーションを進めて、SDGsの理念もそうですね、2030アジェンダもそうですけれども、人間中心なのだと。人間中心というところに重きを置いてデジタルトランスフォーメーションを進めていく。ワーケーションもそうですね、働き方改革も全部そうですけれども、その中で、常に思っているのですけれども、紙をわあっとめくるわけです。この分厚い資料を持ってきて。これをいつまで続けていくのかというところですね。一気にというのは無理だと思うのです。一気にというのは無理だと思うのですけれども、やっぱりAIとかスマート農業とかスマート畜産とか、常にそういうものを出していく上で、どれぐらいの計画で行くのかというところ。多分、県庁の皆様にとっても、紙をめくるのは時間もかかりますし、ラベルを張るのも時間がかかります。その辺、お考えがあればお願いします。
〇佐々木ふるさと振興部長 デジタルトランスフォーメーションにつきましては、国がある種、枠を決めてDX推進計画をつくって、手順書もつくって、県、市町村同じシステムで一気にデジタル化を進めて人にやさしい社会をつくろうということだと思っています。これが今、令和7年までの5年間のうちに集中的にやろうということになっています。
 県では今、ペーパーレスの会議ですとか、まさに押印をなくした処理等を始めております。実はこれは、一気に変えると物すごく負荷がかかるというか抵抗勢力がふえると言ったらいいか、どう言ったらいいですか、いろいろな障害が出てくるものでもありまして、やっぱりなれながら、メリットを実感しなければいけないところもあります。
 ただ、ほかの県あるいは社会が進んでいる中で、県庁だけがおくれているという事態は決して招くべきではないと思っておりますので、まずは、押印がないこと、ペーパーレスの会議をできるだけ多くの機会にみんな経験して、それでペーパーレスをある業務からなくしていく。それで一気になくすというようなイメージかと捉えています。
 個人的には、国は5年と言っていますが、これは県では3年で一通りのことはめどを立てる、あるいは実績を残す、それぐらいの勢いでやらないと、社会がもっと進む、そんなある種の期待感もあり危機感もあり、そんな考えを持ちながらデジタル化に向かっていきたいと思います。
〇米内紘正委員 私も会社員時代は、そういう抵抗勢力の方とやりとりしていたのですけれども、でも最後に、導入されると、そういう方々が一番使われるというのも経験してきております。
 スピード感に関しては、やっぱり霞が関自体が物すごく、私は日本で一番おくれていると思っていたので、だから、霞が関基準ではなくて、部長がおっしゃるように、県の独自の基準で走っていくことが必要かと思いますので、ぜひ力強く、ちょっと引き継ぎになってしまうかもしれませんが、総務部のほうに思いを伝えていただけたらと思います。
〇田村勝則委員 私からは2点ほど手短にお伺いします。
 まず、地域の暮らしを守る公共交通、先ほどからバスが話題になっておりますけれども、鉄道駅のバリアフリー化についてお伺いしたいと思います。
 計画の進捗状況をまずお聞きします。
〇小野寺地域交通課長 県内の鉄道駅のバリアフリー化の状況でございますが、現在、具体的には二つの駅で検討が進められていると承知しております。
 まず一つ目が、JR東北本線の紫波中央駅でございまして、これは紫波町とJR東日本が、国庫補助を活用したエレベーター設置について検討を進めているところで、町からは、今年度に基本設計を実施し、来年度に実施設計、令和4年度から本体工事着手を予定しているとお聞きしております。
 次に、三陸鉄道の宮古駅でございます。これも国庫補助を活用したバリアフリー化の検討が進められてございまして、市からは、令和3年度に設計を行って、令和4年度からの本体工事着手予定と聞いております。
 このほか、JR東北本線の仙北町駅などでも、バリアフリーだけではなくて、市とJR東日本において、国庫補助を活用した駅舎の橋上化と合わせたバリアフリー化などの検討も進められていると承知しております。
〇田村勝則委員 2カ所ということでありまして、最初の紫波中央駅についてでありますけれども、私は何度もこのバリアフリー化については質問してきたところでございまして、そこまで進んだのは当局の皆さん、関係者の皆さんに敬意を表するところでございますが、そこに県がどのようにかかわっていくかということですけれども、経費的な部分でどういう状況でしょうか。
〇小野寺地域交通課長 町からは、具体的に今回のバリアフリー化において県からも支援をいただきたいということで、実際に要望もいただいているところでございます。
 そういったところもございますので、県としては、これまで県から市町村に対してバリアフリー化の補助等を行った実績等も過去にございますので、そういう実績等を踏まえて、今回の紫波中央駅につきましては、令和4年度の本体工事の実施に際して、県としてどのように支援ができるのかといったことについて、今検討を進めているところでございます。
〇田村勝則委員 高齢化も進んでいきます。岩手県の交通弱者の方々の対策のためにも必要と思いますので、しっかり対応していただきますように、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 続いて、二つ目の質問に入ります。岩手発のイノベーション創出についてでございますが、先ごろ総括質疑の中で、知事に対して、岩手発のイノベーションの支援についてということで質問いたしました。そのときの知事の答弁が、イノベーションの創出に向けては、県内の産学官金が参画する岩手県イノベーション創出推進会議を設置して施策を展開していると。岩手大学や岩手県立大学では、大学発ベンチャー企業の設立を支援し、これまでAIや画像処理、医療機器等の開発を行う企業17社が起業していると。そしてまた、今後とも産学官金が連携して、人材育成や共同研究等を進め、岩手発のイノベーション創出に取り組んでまいりますということでありました。
 そこで、先ほど柳村一委員の質問にもお答えになっていましたけれども、これまでの成果で、さらにつけ加えるようなことがあればお聞きしておきたいと思いますし、新たな取り組みについてもお伺いいたします。
〇佐藤特命参事兼科学技術課長 岩手発イノベーション創出の成果と新年度の取り組みということでございますが、持続的なイノベーションの創出に向けましては、産学官金が連携することが重要です。そして、新たな価値の源泉となりますオリジナリティーの高い研究開発を推進していく必要があると認識しております。
 委員のお話にもありましたとおり、県におきましては、県内の産学官金で構成される岩手県イノベーション創出推進会議が全体を取り仕切っておりますけれども、指針に基づく取り組み状況等を確認しながら今後の方針等を定めておりますが、そういった取り組みを通じて来年度のことを考えております。
 これまでの成果の部分でございますが、県単独事業におきまして、いわて戦略的研究開発推進事業がございます。こちらの成果でございますけれども、実用化まで至ったのは、ロボット草刈り機とか医療用検査装置ということで8件、それから、コロナ禍の関係がありまして予定よりちょっとずれ込んで、来年度以降実用化の見込みが立っているものが、健康食品とか自動車用部品ということで6件ほど事業化が今見込まれているところでございます。
 令和3年度も引き続き、このようにイノベーションの源泉となります研究開発につきまして、積極的に支援をしていきたいと考えております。
〇田村勝則委員 岩手県イノベーション創出推進会議についてもお聞きしたいところですが、またの機会に譲りまして、今度は、ソーシャルイノベーションということでちょっとお聞きしたいと思います。
 イノベーションの父として有名なピーター・ドラッカーが、ソーシャルイノベーションということも提唱している中で、社会問題を解決するための技術革新やビジネスモデルの変革と定義されるようでございますけれども、このソーシャルイノベーションは、実は、何かに書いてありましたが、事例として一つ上げられていたのが、ゆめちからプロジェクトというものがありました。いろいろありますけれども、一つだけ紹介しますが、これは、敷島製パン株式会社が食料自給率に貢献するとの強い思いから、国産小麦100%の製パンに挑戦したもので、行政、小麦流通業者、製粉業者、小麦生産者たちが連携して協力したプロジェクトということでございました。
 先般もバイオコクーンのナトリードの話をしましたが、実は、冬虫夏草というのは、隣の国では楊貴妃が毎日飲んでいたという逸話もあって、長寿の薬とか、健康に非常に有用なものであったようなのですけれども、そこで今回、鈴木先生が言っているのは―資料がどこかに行ってしまいましたけれども、とにかく世界に有用なプロジェクトなのだということであります。
 その点について何か所感があれば、まずお聞きしておきたいと思うのですけれども。部長、いいですか。
〇佐々木ふるさと振興部長 桑の関係の鈴木先生の研究については、長らく、本当に地域の資源を使った新しい健康にいいものを開発することに取り組まれていて、冬虫夏草といったものはもう商品化されていて、先生が属している会社そのものも製薬会社が100%のスポンサーになった会社で、事業化できるような体制まで、まさに基礎の研究から製品化しているところと承知しています。冬虫夏草につきましては、県も一部、研究開発のときに応援させていただきました。
 こうした地域発の資源が、例えばでありますが、松尾鉱山から排出される硫黄が鉱毒とされていたのですが、硫黄そのものの化合物として、超密着性の異種材料をくっつけるというようなもので、岩手大学で開発して、今、社会でさまざま活用されています。そういった地域発のイノベーションの種が岩手県にはあると思っていますので、先ほど来紹介している岩手発の研究開発のところで、ぜひとも岩手県の資源を使ってソーシャルイノベーションを、まさに本来のイノベーションといったものを目指していきたい。それで、来年度もその開発の予算につきましては要求させていただいている状況です。
〇田村勝則委員 いろいろ事例もお示しいただいての御答弁ありがとうございました。
 書類を見つけました。実は、冬虫夏草は、今、岩手県だけではなくて、岡山大学との共同研究でやはり研究されている。宮崎大学でも、ひご自然食品との共同開発でいろいろ研究されているというような、競合相手もたくさんいるようでございます。
 そこで、鈴木先生いわく、非繊維型養蚕イノベーション推進のためには、やはり県もしっかりと内容を理解して、連携をしてソーシャルイノベーションを進めていくことが大切であると思うわけですが、あそこの額にもございます、物を開き務めを成す、岩手県こそそういう精神でやっていると思いますので、ぜひ部長の御答弁をいただいて、終わります。
〇佐々木ふるさと振興部長 委員のおっしゃるのは、岩手にこだわり、世界に通ずる大事なものを大切に伸ばして世界に貢献していくのだといった視点を持ったイノベーションかと思います。私どもも、委員と同じ感覚、同じ思いで研究開発にも取り組んでまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 それでは最初に、コロナ禍のもとでの三陸鉄道、IGRいわて銀河鉄道の状況と対策についてお聞きいたします。
 コロナ禍のもとでの乗客の減少、減収の状況、そして、それに対する今年度、来年度の対策はどうなっているでしょうか。
〇小野寺地域交通課長 まず、影響でございますが、昨年4月からことし1月まで10カ月間の両社の輸送人員は、三陸鉄道が対前年度比33.1%の減、数にしますと27万人余の減でございます。それから、IGRいわて銀河鉄道は、同じく16.2%の減ということで、70万人余の減となっております。
 それから、同じ期間の運賃収入でございますが、三陸鉄道は、対前年度比47.1%、額で2億300万円余の減、IGRいわて銀河鉄道は、同じく28.6%の減、額で2億9、000万円余の減ということで、特に定期外が大きく減少している状況でございますが、いずれも新型コロナウイルス感染症による影響が非常に大きい状況にあるところでございます。
 これを受けました対策、両社への支援でございますが、まず、一般会計第3号補正予算におきまして、公共交通機関従事者、それから利用者の方々の感染防止を図るため、公共交通事業者が要する経費を予算化して支援を行っております。具体的には、マスクや消毒液などの購入ですとか、飛沫感染防止のためのビニールカーテンの設置、空気清浄機の購入といったものに支援を行っております。
 同じく一般会計第4号補正予算におきまして、安全、安定運行の維持のための交付金を措置させていただきまして、三陸鉄道には1億9、000万円、IGRいわて銀河鉄道に対しては1億7、000万円を沿線市町村と連携して交付いたしました。
 来年度におきましても、やはり公共交通事業者への影響は続くことが見込まれるところでございます。したがって、実際の公共交通事業者への来年度における影響といった状況等を見きわめ、そして、そういったものを踏まえた上で、適時適切に必要な支援について検討し、引き続き、両社の安全、安定運行の確保が図られるように努めていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 少なくない影響を特に運輸関係は受けていると思います。それで、来年度については適時適切にと。早ければ6月補正予算とかそういうことになると思いますけれども、新型コロナウイルス感染症の感染の状況というのは、簡単に収束するような状況ではないように見受けられますので、しっかりした対策を講じていただきたいし、また、こういう状況のもとでも、どのように乗客を確保して健全運営を進めるかという知恵もまた必要なのではないかと思います。
 二つ目に、地方公共交通の課題について。
 私は、議案に対する質疑で、観光バス事業については補正予算があったので、その減収をお聞きしました。13億8、000万円の減収と。バス事業者、タクシー事業者への影響、対策はどうなっているでしょうか。
〇小野寺地域交通課長 まず、乗り合いバス事業者でございますが、主要な乗り合いバス事業者3社、具体的には、岩手県交通、岩手県北自動車、JRバス東北でございますが、同じく令和2年4月からことし1月までの10カ月間、輸送人員でいいますと、前年度比32.2%の減、数でいいますと572万人余の減少です。それから、運賃収入でございますが、同じく39.3%の減で、額にしますと3社で18億8、000万円余の減ということで、影響は非常に大きいという状況でございます。
 それから、タクシー事業者でございますが、これは岩手県タクシー協会が会員事業者に対して毎月、影響調査を実施しております。そこからいただいたデータによりますと、同じく昨年4月からことし1月までの営業収入は、前年と比べて36%減っていると。全会員合計で27億5、000万円余減っているというような状況とお聞きしております。
 その対策でございますが、バス、タクシーいずれも、先ほど鉄道のところで御説明しましたとおり、感染症対策に要する経費への支援はさせていただきましたし、それから、バス事業者につきましては、一般会計第4号補正予算で、乗り合いバス事業に係る車両1台当たり30万円の交付金ということで措置をさせていただきまして、637台分、額で1億9、100万円余交付させていただきました。
 それから、さきの2月補正予算で、国が補助上限額を緩和したことに呼応しまして、県におきましても6、600万円余増額補正して、3社に対して追加支援することにしております。
 それからタクシーに対する支援ですけれども、運行交付金ということで、同じく1台当たり5万円を措置させていただき、2、112台分、総額1億500万円余を交付させていただいたところでございます。
 バス、タクシーいずれも、先ほどの鉄道と同じように、また新年度の状況等を見きわめ、それを踏まえた上で適時適切に支援等を検討させていただきたいと考えております。
〇斉藤信委員 乗り合いバス事業者、タクシー事業者それぞれ18億8、000万円、27億5、000万円の減収と。これは10カ月でですね。大変な状況だと思います。商工労働観光部の調査でも、一番影響を受けているのが宿泊、そして飲食、運輸と、この三つの業者がコロナ禍のもとで本当に大きな影響を受けています。地方公共交通と言うだけあって、民間事業者であっても、これは住民の本当に必要なライフライン。そういう点ではしっかり生き残りを支える手だてを国と合わせて考えていただきたい。
 それと、特定被災地域公共交通調査事業は今年度までになると思いますが、陸前高田市と釜石市で今年度も行われておりました。私は、これは必要な路線だったと思うけれども、来年度どういうことになるのか、どういう対策が講じられるのかを示していただきたい。
〇小野寺地域交通課長 特定被災地域公共交通調査事業は国の事業ということで、応急仮設住宅を経由する路線等を対象に国が市町村等に対して支援するものでございますので、今お話のありましたとおり、今年度末をもって事業終了となる見込みということです。
 今年度は、陸前高田市7路線、釜石市4路線ということで、合わせて6、000万円余交付決定されていると承知しておりますが、来年度につきましては、陸前高田市、釜石市とも、同じく国の補助事業であります幹線バス等の地域間交通ネットワークと密接な地域内のバス交通、デマンド交通の運行経費に対してバス事業者に対して補助を行う地域内フィーダー系統補助事業といった事業を活用して、この7路線、4路線の維持を図っていくこととして、今、市において国と調整を図っているところとお聞きしております。
 いずれ、被災市町村の公共交通の維持、確保に関しましては、復興後の持続的かつ利便性の高い交通体系が構築されるまでの間は、引き続き支援が必要であると考えております。したがいまして、国に対しまして継続的な支援を要望するとともに、県においても、市町村ときちんと連携しながら、被災市町村における公共交通の維持、確保に努めていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 被災地では新しいまちづくりが進められているので、高台に団地がつくられ、また災害公営住宅も、中心部だけでなく整備されています。そうしたところと、役場や商店街や病院、これは本当に必要なアクセスなので、それぞれの被災地での公共交通は、さまざまな形態のルートが守られるように、ぜひ手だてをとっていただきたい。
 次に、地域おこし協力隊、いわて復興応援隊の活動実績についてお聞きいたします。
 先ほども質問がありましたが、地域おこし協力隊のこれまでの活動実績、配置人員、そして、県内に定着している状況と、どういう形で定着されているか示してください。
〇熊谷地域振興課長 地域おこし協力隊の活動状況と配置人員につきましては、総務省の調査によりますと、令和元年度では28市町村で201人が活動していることになっております。
 また、定着状況とその内容についてでございます。昨年度までに任期が終了した隊員134名のうち、70.9%、95名の方が県内に定着しておりまして、95名の方々の進路の内容といたしましては、33名が起業、43名が就業、11名が就農等となっております。
 起業の例といたしましては、例えば、古民家カフェ兼観光案内所の運営などの飲食サービス業でありますとか、ITやまちづくりなどのコンサルタント業、お土産や特産品などの小売販売業、ゲストハウスなどの宿泊業など、地域に根差して活躍をしているところでございます。
〇斉藤信委員 28市町村、201人、そして134人は任期が終了して、95人が県内に定着していると。70.5%ということですから、私は、意欲もある方々が、こうした形で県内地域に定着しているのはすばらしいことだと思います。先ほどの答弁で、起業セミナーとかいろいろな支援策をお聞きしましたので、私はこれ以上聞きませんが、こうした地域おこし協力隊の方々を本当に大事にして、地域の振興、県の振興の新しい力、戦力にしていただきたい。特に、若い方々が多いので大事にしていただきたい。
 もう一つ、いわて復興応援隊というものもありますが、このいわて復興応援隊の活動状況はどうでしょうか。
〇畠山地域企画監 いわて復興応援隊の活動状況についてでありますが、県では、国の復興支援員制度を活用しまして、被災地の復興や地域振興の支援などを行う、いわて復興応援隊を県内外から広く募集いたしまして、これまで沿岸市町村を中心に延べ61名の隊員を配置してきたところです。
 活動内容といたしましては、交流人口の拡大に向けた広域的なプロジェクトの推進に重点を置き、沿岸広域振興局や三陸ジオパーク推進協議会、三陸鉄道株式会社等に隊員を配置いたしまして、三陸防災復興ゾーンプロジェクトや三陸鉄道の利用促進に係る情報発信、三陸ジオパークの出前授業などによる地域への普及啓発や、研修会の開催等によるジオガイドの養成など、地域と連携したさまざまな取り組みを行っているところでありまして、引き続き地域に根差した活動を展開してまいります。
〇斉藤信委員 最後ですけれども、平成28年年の台風第10号災害、令和元年の台風第19号災害の復旧、復興の事業について、残された課題、今後の見通しについて示してください。
〇千葉特命参事兼台風災害復旧復興推進課長 平成28年台風第10号災害、それから、令和元年台風第19号災害の課題と今後の見通しについてでありますが、平成28年台風第10号災害につきまして、災害復旧工事は令和3年3月1日現在で約98%が完成し、着実に進んでいるところであります。
 一方、河川改修工事につきましては、7河川のうち3河川が完成し、今月末にもう1河川が完成する見込みでありますが、残る3河川につきまして、安家川については令和3年度、小本川については令和4年度、久慈川については令和7年度の完成を目指し取り組んでいるところでございます。
 令和元年台風第19号災害につきましては、災害復旧工事は、同じく令和3年3月1日現在でほぼ発注は済んでございまして、約50%が完成となるなど着実に進んでいるところであります。
 引き続き、一日も早い復旧、復興に向け取り組んでいきたいと考えております。
〇千田美津子委員 私は1点だけ質問いたします。マイナンバーカードの普及であります。
 一つ目は、県内自治体の現時点でのマイナンバーカードの普及状況についてお伺いいたしますが、昨年12月に改定した閣議決定のデジタル・ガバメント実行計画では、令和4年度までにほとんどの住民がマイナンバーカードを保有することを目標としております。そのため、これまでもマイナンバーカード普及のためにキャッシュレス決済で使えるマイナポイントの付与や、ことし3月からの健康保険証としての利用など、さまざまな施策を講じてきましたけれども、決して政府の思惑どおりにはならず、普及は進んでいないと考えておりますが、県内自治体のマイナンバーカードの普及はどのような状況かお伺いいたします。
〇松村市町村課総括課長 県内自治体のマイナンバーカードの普及状況でございます。本年2月1日現在で21.4%でございます。最も取得率が高いところで27.7%という市町村がございます。ちなみに、全国では25.2%という取得率になっております。
〇千田美津子委員 県内で一番高いのが盛岡市の27.7%ということで、これはそのとおりだと思いますが、最低が西和賀町の11.8%なのです。令和4年度までにという国の思惑どおりには進まないと私は見ています。
 全国より4ポイント近く低い状況にあります。さまざまな施策がこれから展開されるようですが、このような現状をどのように見ておられるでしょうか。
〇松村市町村課総括課長 今の普及状況についてでございますが、マイナンバーカードを取得した後の利便性といいますか、メリットがなかなか見つけられないというところも実際にはあるということで、国でもデジタル社会の基盤ということで、先ほど委員からお話があったとおり、普及を進めるということなのですが、その中でマイナポイントを用いた活性化などに取り組んでいるところだと思います。
 今後、医療機関での健康保険証としての利用とか、あるいは図書館の貸出カードとしての活用といったことも考えておりますので、そういった利便性が向上していくことによって、カードの取得率も上がっていくのではないかと考えております。
〇千田美津子委員 利便性が見つけられない、私もそうだと思っています。ちょっと気になるのが、私たちの一番身近と言えば身近なのが、コンビニエンスストアの交付サービスだと思います。さまざま事業を展開してこられたと思いますが、令和2年度中に日本全体でどのくらい普及が進んだのか、わかればお知らせください。
〇松村市町村課総括課長 コンビニエンスストアでの交付サービスは、住民票についてということで、令和元年度の全国の数字でございますが、おおむね239万枚でございます。これは、5年前の平成27年度がおおむね43万枚ということですので、約5倍の取得の数になっているということでございます。
〇千田美津子委員 住民票と印鑑証明が伸びているのかとは思いますが、いただいた資料の中では、導入団体は決して広がっていないようです。これらから、国が思っているような状況ではないのかなと考えます。
 二つ目ですが、それでは、マイナンバーカードの利用促進と県の対応についてお聞きしたいと思います。政府は、なかなか利用が進まないということで、なりふり構わないカード取得推進策を推し進めているのではないかと見ております。実行計画では、運転免許証とか在留カードなど各種免許、国家資格等、マイナンバーカード―マイナカードと言わせていただきますが、マイナカードとの一体化、それから、マイナカードの機能のスマートフォンへの登載、それから、自治体健診や、先ほどもお話がありましたが民間健康管理サービスとマイナポータルとの連携、あるいは学校健診や学習データ活用のためのマイナカードの利用、さらには、マイナカードを利用した罹災証明書のコンビニ交付、そして、公金受け取り口座や預貯金口座へのマイナンバーカードの付番の促進とか、ありとあらゆる分野でマイナンバーカードとサービスの連携を進めようとしているようであります。
 私は、本当にそれでいいのかなという疑問もあるわけですが、マイナンバーカードの普及に係る今後の見通しについて、今言ってしまいましたが、どのような状況と考えていらっしゃるか、それから、今後、国がどんどん進めようとするわけですが、県の対応が非常に重要になってくると思うのですが、その点お聞きしたいと思います。
〇松村市町村課総括課長 マイナンバーカードの普及について、今いろいろなものを搭載していくということで国では考えているようでございます。もちろん、マイナンバーカードについては、情報漏えいとかという御心配も当然おありだと思いますけれども、一方で、やっぱりデジタル社会の中で、都市部、地域を問わず、ある程度、デジタル社会における有効な手段の一つとも考えられるわけでございます。
 特に、これからいろいろ便利な機能がついていって、皆さんが利活用していく中で、また新たな利便性の向上といったところを見つけていけるのではないかということで、県としては、国全体の推し進めているデジタル社会の一つの基盤であるということもございますので、住民の利便性の向上は県なり市町村なりでそれぞれ取り組むというところも、当然ながらこれは独自の取り組みとしてあるわけでございますので、そういった取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 利便性の向上というのはそのとおりだと思います。ただ、いろいろ心配な点があるので次にお聞きしたいと思いますが、個人情報保護と行政サービスの制限など、課題がいろいろあるのではないかと感じます。
 そこで、ことし3月から健康保険証としての利用を開始するわけですけれども、心配されるのは、マイナンバーカードがないと公的なサービスが受けられないという状況をつくり出したり、実質的にカード取得を強要することにつながるのではないかとも考えます。そして、さらには、国民の所得や資産、医療、教育など膨大な個人情報が政府に集中することになっていくと思いますので、そういった点から言うと、国家による個人の管理が進みかねないと心配をしております。
 このような点から、マイナンバーカードのメリットもたくさんあると思いますが、やはりデメリットをしっかりと把握して、必要な情報をしっかり県民に周知しながら対応していくことが求められるのではないかと思いますので、県として、課題をどのように捉えていらっしゃるのかお聞きしたいと思います。
〇古舘科学・情報政策室長 マイナンバーカードの利用に関して、国も、今、委員から御指摘ありましたとおり、デジタル・ガバメント実行計画の中で33の課題を掲げて、それについての課題解決のための取り組み方針は計画の中に盛り込まれたところでございます。
 その中でも情報セキュリティーや個人情報保護の強化、あとはルールの標準化について、例えば自治体が今、マイナンバーを守るために行政情報ネットワークを3層に分けているのですけれども、その見直しとか、あと、個人情報保護法制そのものの見直しということも取り組みに掲げられているところで、そういう形で国としても進めているのかなと考えております。
 県としては、これまでも国に対してマイナンバー制度の適切な運用といいますか、あと、制度のメリットとか概要について、それから県民の方々が必要となる手続とか注意すべき事項に対して、積極的に周知するよう要望しているところでありまして、これも国がこのような形で制度を見直しているところでございますので、引き続き国に要望して、広報を図っていただきたいと考えております。
〇千田美津子委員 国でも33の課題をこの計画に盛り込んでいろいろ対応していると。そして、県としても、県民のさまざまな手続を初め、国に対して必要なところは上申しているということで、それはとても大事なことなのでやっていただきたいわけですが、実は、先ほど言いましたけれども、自治体でもサービスが受けられないという状況が出てきています。事例を言いますと、群馬県前橋市で移動困難者向けの運賃補助事業マイタク制度があるそうですが、それが令和4年度からマイナンバーカードの利用に限定する予定だと聞いております。私は、こういうことが広がると、カードの有無によって選別されて、持っていない人はそういう利用が受けられなくなる。このような事態は絶対避けなければならないと思います。
 ですから、利便性が高まるとかそういう部分はいいのですけれども、このことによって、マイナンバーカードを持たないとあなたは外しますよ、このサービスは受けられませんよということになると大変なことになると私は思います。これらへの対応をしっかりしていくことが求められますし、県としては、これらの状況が起きないように、しっかり国に言うとともに、市町村と連携しながら、本当に住民サービスの利便性を図るためのマイナンバーカードであればいいですけれども、そうでないことにつながってしまいますので、しっかりした対応が必要ではないかと思いますので、その点お聞きして、終わります。
〇松村市町村課総括課長 今、前橋市の例などをお伺いしましたけれども、いずれ、住民サービスの提供が維持されることが最も大切なことだと思っております。マイナンバーカードによって住民サービスが向上するような使われ方が大事かと考えております。
 これから県、市町村でも、いろいろなサービスが追加されていくかと思いますので、そういった状況も見ながら対応してまいりたいと思います。
〇木村幸弘委員 私からは、予定していた質問の中で各委員からも質問が出ておりましたので、重複する点は、ちょっと角度を変えて質問してまいりたいと思います。
 1点目は、先ほど斉藤信委員からも質問がありました公共交通機関に対する感染防止対策の支援等についてでありますけれども、内容については先ほどの答弁でわかりました。そこで、公共交通事業者の運行継続に対する支援の中で、三陸鉄道、IGRいわて銀河鉄道、バス事業、そしてタクシー事業等、それぞれに支援交付金が実施されたわけでありますけれども、その交付金が最終的にはどのような形で運行等に反映されたのか。計画どおりにきちんと運行に資する効果を得たのか、バス、あるいはタクシーについても、路線の維持のために十分に車両1台当たりそれぞれの交付がなされているわけですけれども、こうした事業によってしっかり路線の維持あるいは減車等の影響はなかったのかどうか、そうした点について、県としてどのように押さえているのか確認したいと思います。
〇小野寺地域交通課長 まず、交付金でございますけれども、公共交通事業者が、苦しい中でも運行継続、事業継続を支援させていただくということで、交付金という形で使途を限定せずに交付させていただいたものでございます。
 第三セクター鉄道である三陸鉄道、IGRいわて銀河鉄道におきましては、乗客数が減少している状況の中ではありますが、特にダイヤ等を減らすことなく継続して運行本数を維持している状況でございます。
 それから、バス事業者におきましても、算定はバスの維持、管理に係る経費の一部を支援する形で交付金算定させていただきまして、同じように、今年度につきましては、路線の維持等を図っていただき、住民の方々の足の確保をしていただいているところと認識しております。
 それから、タクシー事業者に関しましても、1台当たり5万円ということで、同じく維持、管理に係る費用の一部の支援という形で交付させていただきました。同じように、御活用いただいたタクシー事業の方々は、引き続き車両等を保有いただき、各市町村における公共交通の確保を図っていただいていると認識しております。
〇木村幸弘委員 そこで、それぞれの事業を維持するために、あるいは厳しい中で運営をするために大変努力をいただいていることについては、敬意を表したいと思いますけれども、また一方で、そこに働くいわゆる労働者、特にハイヤー、タクシー労働者等を含めて、エッセンシャルワーカーとも呼ばれておりますが、こうした方々に対しての支援がどのようになっているのか、この点についてお伺いしたいと思います。
〇小野寺地域交通課長 公共交通機関、事業所に従事されている方々、いわゆるエッセンシャルワーカーの方々に直接支援する制度は特にございません。今御説明申し上げましたとおり、その事業を営む事業者の方々への支援を通じて、そこで従事される方々の感染防止等にも支援させていただいているところでございます。
 具体的には、先ほど来御答弁申し上げているとおり、公共交通事業者が行う感染防止対策、マスクの購入、消毒液の購入、それから、タクシー事業者であれば、運転席と客席の後部座席を仕切る仕切りのようなもの、アクリル板の設置といったものに対する支援という形で、事業者を経由して、そこで働く方々の感染防止を支援させていただいているところでございます。
〇木村幸弘委員 そのような状況で、直接支援が制度的になかなか難しいですけれども、ただ、エッセンシャルワーカーというくくりの中で考えますと、医療、福祉関係などを含めた方々に対しては、危険手当といいますか、そうした支給があるわけです。そういう意味で言うと、こういった我々の生活を支えていただいている関係においては、重要な役割を果たしているということを認識すると、やはり一定の慰労金等も含めた支給の制度が必要になってくるのではないかと思っています。
 現に、旭川市などでは、そういう意味でバス、タクシー、あるいは保育所の従事者などについても慰労金支給などを行ったりということで、自治体によっては、それぞれ工夫をしながら、こうした直接的な支援も行われていると聞いております。
 ぜひ、そういう考え方に立った制度の確立を本県としても、あるいは国に求めることも含めてそうなのでしょうけれども、その考え方があればお伺いしたいと思います。
 もう一点については、いわて戦略的研究開発推進事業費の関係ですが、これは柳村一委員から質問がありまして、答弁が出ていましたので、私は、その中で、戦略的にイノベーションの創出に向けてさまざまな育成あるいは事業化に結びつける支援が行われていくことは大変結構なのですが、どうも行政のやり方は、最初の取っかかりでいろいろ支援はするのだけれども、後のいわゆるフォローというのですか、事業をようやく立ち上げたけれども、あとは自分たちでやってくださいみたいな、そんな状況が往々にしてあるということもあります。そういった点をいかにしっかりとフォローアップしながら、岩手発と言われているものであれば、岩手発の責任を持ったバックアップや応援もしっかりと一定程度後押ししていくという考え方が必要ではないかと思うのですが、そういう考え方についてはどうなのかということをお聞きしたいと思います。
〇小野寺地域交通課長 まず、公共交通事業に従事される方々への支援ということでございますが、まさに委員がおっしゃるとおり、エッセンシャルワーカーの方々は、日々、新型コロナウイルス感染症に感染するリスクを感じながら、県民の日常の移動手段を維持しているということで業務に従事いただいているところと認識しております。
 県におきまして、直接そういう事業者の団体、労働組合の方々からも御要望いただきまして、そういった声も踏まえまして、国に対して、マスク、消毒液の確保、持続的な運行の確保に向けた財政支援も要望しております。
 それから、今、委員から御紹介がございました他の自治体における取り組み事例等も今後参考にし、やはりそこに従事される方々の御意見等もまた引き続きお聞きしながら、必要な支援等については検討を進めていきたいと考えております。
〇佐藤特命参事兼科学技術課長 いわて戦略的研究開発推進事業が終わった後の事業のフォローという観点でございますけれども、我々は、いわて戦略的研究開発推進事業が終わった後も、引き続き定期的にフォローを行っております。
 具体的には、より発展させるための研究開発資金、例えば国の資金を活用していきたいということであれば、その制度の申請書のところのお手伝いをしておりますし、また、例えば販路の開拓といったあたりも、企業とのマッチングなど、基本的には事業化に至るまでは、その後も含めて、定期的に企業も回りますし、あるいは大学の先生のところも回って、現在の状況を確認して、イノベーションの創出に向けた取り組みを支援している状況でございます。
〇木村幸弘委員 いずれ、公共交通政策の関係については、そうした支援の取り組みをしっかりと、ぜひ前向きに進めていただくようにお願いしたいと思います。
 今のフォローアップの関係については、確かに、さまざまな形で後押しをしていただいているかと思います。ただ、どうしても私どもの目からすると、もう少し具体的に、せっかく事業化されたものが、販売に至る経緯の中で広がっているのだろうか、広がっているような形がなかなか見えないとか、そういう状況があるものですから、そういう意味で、もう一押し何か必要ではないかという観点で質問させていただきました。ぜひ、今後とも継続してお願いしたいと思います。
〇千葉絢子委員 それでは、私は当該委員となってしまいましたが、人づくりについて、ふるさと振興の観点からお伺いしたいと思います。
 今年度の政策評価結果等の政策等への反映状況報告書の中の記載で、69ページ、高等教育機関と連携した地域づくり、人づくりを進めますという項目がありますけれども、この中の、地域を牽引する人材の育成と若者定着の促進のための事業とは思いますが、令和3年度に新しく設置される高等教育機関と産業界の連携体制である地域連携プラットフォームについてお伺いしたいと思います。
 このプラットフォームですけれども、地域課題の解決のためスタートすると伺っております。地域が求める人材の育成と若者の地元定着を促す取り組みになることを心から期待しているところですけれども、新年度の取り組み内容とふるさと振興の観点から必要だと思われる若者支援策は何だと考えているかお聞きいたします。
〇中里学事振興課総括課長 まず、地域連携プラットフォームの設立の経緯でございます。平成30年11月に国の中央教育審議会で文部科学大臣に答申を行いました2040年に向けた高等教育のグランドデザインの中で、高等教育機関、産業界、地方公共団体が、将来像の議論や具体的な連携、交流等の方策について恒常的に議論する体制として、地域連携プラットフォームの構築が提言されたところでございます。昨年10月には、構築のためのガイドラインも国から示されたところでございます。
 これを受けまして、本県におきましては、高等教育機関、経済団体、県等におきまして意見交換会等を行いまして、新たな組織を設置する方向性で合意がされたということで、今月下旬になりますけれども、参加予定団体に参集いただきまして準備会議を開催して、設置に向けた準備を進める運びとなっております。
 若者の支援策でございますけれども、まずは、構成団体の意見を聞くところが必要だと思いますが、18歳人口の減少で大学進学者数の減少が見込まれる中で、やはり県内高校生の県内進学率の向上、それから大学生等の県内就職の向上といったところが議論のベースになると思います。
 委員御提言の若者の支援については、まず、こういったところを構成団体の意見を聞きながら集約した上で、次の展開として若者支援について考えていくというような流れになると考えております。
〇千葉絢子委員 これはゼロ予算事業なのですね。予算の額がついていないのです。この人材育成、地域課題の解決に関する問題を産学官連携でやっていくのは非常に大事なことだと思っているのですが、これはなぜゼロ予算の事業なのでしょうか。
〇中里学事振興課総括課長 今月、準備会議を開催して、新年度に立ち上げるということで予定しておりますけれども、令和3年度におきましては、まずは参画団体が定めるそれぞれのプラン、ビジョン等をお互いに共有すること、それから、高等教育に関係するデータの収集、分析を行った上で、まずはエビデンスに基づいた地域課題について整理していくということで、会議開催が中心となると考えております。それぞれの持っている会議室等の施設等を活用するということで、今のところ予算については措置していないところでございます。
〇千葉絢子委員 地域課題、若者の県内定着とか大学進学率を上げていくとか、これは今、岩手県で求められている専門職の育成に非常に大事な課題解決のテーマだと思っています。これこそ、ふるさと振興をどうしていくかというブレーンをつくっていく大事なものだと思っています。
 設立から来年度に関しては全部手弁当でやるという形で今理解したところですけれども、本来、ふるさと振興の観点からは、ここにやはり予算をつけて、県が必要とする人材の育成をしていかなければいけない大切な事業だと私は思っているわけです。解決したいと県が想定している地域課題は何か、また、ここで生まれた解決策の将来的な施策展開の可能性と、予算をこれからつけていくという準備の可能性についてもお伺いしたいと思います。
〇中里学事振興課総括課長 想定になりますけれども、県が解決したい、取り組みたい課題となりますと、先ほど申し上げた県内進学率の向上、それから大学生の県内就職の向上などのほかに、やはり人材育成が一番大きなところになると思います。
 産学官連携による共同研究とか、高い専門性、教養を兼ね備えた人材の育成ということで、それぞれ産業界あるいは大学が求める学生の基本的なスキル等について、どういったものが求められるかというところを、まずは産学官それぞれのニーズを出し合って意見交換していくと考えております。
〇千葉絢子委員 大切なのは、そこの人材をどのような形で県内に生かしていくかという出口戦略になってくると思います。育成した人材をどういった分野で生かしていくかというようなところを丁寧に議論していただきたいと思います。でないと、なぜ大学進学率の向上を目指すのか、非大学卒の人たちが多い中で、進学率を高めて、どのように岩手県で働きたい、定着したいというモチベーションにつなげていくのか。これは各委員も今まで指摘してきたように、専門職として県民所得を上げていく、高い所得を手にして家庭をつくっていくというような大前提がなければいけないわけです。せっかく県内で優秀な人材を育成して、それが他県、そして大都市部に出ていかないような方策をあわせてしていかなければいけないので、ぜひ産業界との人材育成、そして女性も含めた活躍支援につながっていってくれればと思っています。
 この若者施策をふるさと振興部が第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の事業に結びつけて、地域貢献を担う人材育成に関して一手に引き受けるぐらいの気概を持って取り組んでいただきたいと思っております。私は、今の若者支援策は、環境生活部でやっているような、若者の集まる場所とか発表の機会に3、000万円をかけるよりも、産学官連携、地域課題解決推進事業とか、これは600万円ぐらいついている事業ですけれども、こういう人材育成、地域課題の解決に向けた若者施策こそ、今、岩手県がお金をかけるべきところだと思っておりますので、この予算を全部分捕ってくるぐらいの勢いでぜひ手がけていただきたいと期待を込めて、質疑を終わります。
〇城内よしひこ副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇城内よしひこ副委員長 質疑がないようですので、これをもってふるさと振興部関係の質疑を終了します。御苦労さまでした。
 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。

午後4時22分 休 憩

午後4時42分 再 開

〇岩渕誠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、ILC推進局長にILC推進局関係の説明を求めます。
〇高橋ILC推進局長 令和3年度のILC推進局関係の歳出予算について説明申し上げます。
 初めに、ILC推進局の予算編成に当たっての基本的な考え方について説明いたします。
 国際プロジェクト、ILC計画については、これまでにアメリカ政府の強い支持、ヨーロッパ研究者の明確な協力姿勢が示され、昨年8月には、世界の研究者によるILC国際推進チームが発足し、ILC準備研究所の制度設計や各国政府への情報提供など、令和4年度の準備研究所の設立に向けた活動が進められております。
 日本政府においても、アメリカ、ヨーロッパとの意見交換を継続することとしており、ILC国際推進チームの活動を通じて、各国政府の理解も得ながら、世界の研究所間での合意による準備研究所の設立を目指す段階にあります。
 県としては、国内外の動向に臨機に対応し、東北、全国の関係者と一丸となってILC準備研究所の設立に向けた積極的な対応を国に働きかけながら、建設候補地としての受け入れ準備を一層進めてまいります。
 東北ILC事業推進センターと連携した建設準備に必要となる具体的な調査検討を初め、県内ものづくり企業の加速器関連産業への参入支援、グリーンILCの普及啓発と共同研究、海外研究者等の受け入れのための関係市と連携した生活、医療、教育環境整備に向けた取り組み、国民、県民理解の増進など、ILCによる地域振興ビジョンに基づいて、ILCプロジェクトを推進し、全庁挙げてILCの実現に取り組みます。
 次に、歳出予算について説明いたします。
 お手元の議案その1の6ページをお開き願います。ILC推進局関係の予算は、2款総務費のうち、2項企画費の一部2億4、700万円余であります。これを前年度の予算額と比較いたしますと2、600万円余、約9.7%の減となっており、これは、ILC推進事業費の減額等によるものであります。
 予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載のとおりであり、説明を省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇岩渕誠委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇菅野ひろのり委員 ILC推進事業費について伺います。
 先ほどもさまざま御説明がありましたが、昨年を振り返れば、コロナ禍の中でさまざまな啓発活動等、非常に大変な時期だったろうと思っていますし、準備研究所は今後ということでありましたし、加速器関連産業への参入であったり、グリーンILC、ここら辺も言っていただきましたが、来年度、どこに力点を置いて行っていくのか、今後の活動の方針について、まずお伺いします。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 来年度の方針でありますけれども、先ほどもお話しいたしましたが、現在、世界の研究者によるILC国際推進チームがILC準備研究所の令和4年度設立に向けて活動しておりまして、まず、これへの対応が重要ということで、県としましては、超党派の国会議員連盟や推進団体、関係自治体等と一層の連携を図り、国民、県民の理解を増進していくとともに、建設候補地としての取り組みを着実に進めながら、日本がILC計画を主導し、前進させるよう、引き続き政府に働きかけてまいりたいと思います。
 地域として理解の増進は重要なことと考えておりますので、理解を広めるための普及啓発活動ですとか働きかけといったものにも取り組みたいと思っていますし、ILCの地域振興ビジョンに基づく建設候補地としての取り組みも、着実に進めてまいりたいと考えています。
〇菅野ひろのり委員 いよいよ実現というか具体的なところに入ってきているなというのを、いただいた資料の中からも少しずつ感じてきています。例えば、国際研究都市の形成ということで、大船渡港を活用した輸送ルート、あるいはその調査も始まっていくようですし、私は、今回は特に産業についてしっかりと計画を持って、あるいは地域の説明であったり、機運醸成であったり、そういった産業をキーワードにどんどん進めていっていただく段階にあるのかなと思っています。
 そこで、まず初めに、加速器関連産業について伺います。
 岩手県では、いわて加速器関連産業研究会を設立してマッチングをされているそうでありますし、仙台市では、次世代放射光施設を建設中で、県内企業が受注する事例も出てきていると聞いております。いわて産業振興センターの研究会の報告を見ると6件ぐらいマッチングできているようなことも書かれておりましたが、これまでの成果、あとは、今後の取り組みはどのようにしていくのか伺います。
〇澤田計画調査課長 加速器関連産業の振興についてでありますが、平成27年度にいわて産業振興センターを事務局として、産学行政によるいわて加速器関連産業研究会を組織しており、同研究会を軸に、セミナーを通じた技術指導や専門知識を有するコーディネーター等によるマッチングなどの企業支援を強化してまいりました。
 現在、研究会は会員数222の規模となり、九つの企業グループが試作、開発に取り組み、県内企業と一関工業高等専門学校が独自の装置を共同開発し、高い評価を得るなど、企業相互、産学の連携が進んでおり、次世代放射光施設を初めとする受注にも成果が出ているところでございます。
 来年度におきましても、いわて加速器関連産業研究会の運営やコーディネーターの活動を通じて具体的な成果を上げながら、県内企業の加速器関連産業への参入促進に取り組んでまいりたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 やはりこのILCが来ることによっての地元、地域の一番の期待は、経済効果が非常に多く言われます。そうなったときに、いかに地元の企業が、北上川バレープロジェクトではないですが、その主要事業にかかわる県内企業がどう受注して、地域の経済活動を活性化させていけるのかということだと思っています。来たときにいきなりやれと言われても、企業は当然難しいところがありますから、このマッチングをいかに高めて、さらには、ILCが来るまで別の事業に転化して実収益を上げるモデルですとか、そういったところに力点を置いて、加速器関連産業についてはやっていただきたいと思います。
 あわせて、産業という点でグリーンILC。私は、グリーンILC、循環型というところに大変興味を持っていまして、特に農業分野に非常に興味を持っていました。今、岩手県だと第7回のセミナーが3月17日に開催される予定のようであります。
 この間、議員連盟で廃熱を利用した八幡平市のバジル栽培を視察させていただきました。報道だと、ハスクレイという廃熱の活用方法、ここら辺も注目されているようであります。
 現在の取り組みと、今後どういった方針でこのグリーンILCの普及を進めていくのか伺います。
〇澤田計画調査課長 グリーンILCは、ILCのエネルギー消費を抑えながら、施設から生じる廃熱の有効利用や施設の木造化などを進めるもので、第1次産業を基幹産業とし、持続可能な社会を目指す本県の特徴を生かした重要な取り組みと位置づけております。
 環境エネルギー、農林業、建築、まちづくりなど多岐な分野にかかわることから、令和2年度には、岩手県ILC推進本部の地域資源活用分科会からグリーンILCを独立した分科会とし、部局横断の取り組み体制を強化しております。
 これまで、ILCの研究者を初め、民間企業、公設試験研究機関等が参画し共同研究や実証試験に取り組んでいるところでございまして、その実績としては、木造化に関する学会発表や県産材の活用の提案、大型建築物の事例調査等を進めてきたほか、廃熱利用の研究を大学や民間企業と継続して取り組んでおり、令和3年度においては、ILCの廃熱を特殊な資材に蓄え、車両などで運搬し活用する研究を行うこととし、温泉の廃熱を園芸施設で利用する共同実験の経費を当初予算案に計上したところでございます。
 多様な研究、検討を進め、その成果を発信しながら、ILCはもとより、広く社会での活用に向けて取り組むことが重要であると考えており、引き続き、関係部局と連携し、研究者や民間企業の知見も得ながら積極的に推進してまいりたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 このグリーンILCは、ILCの計画ビジョンの中でも当然位置づけられてはいるのですが、私は、さらに踏み込んだ内容が必要だと思っているのです。何の課題意識を持っているかというと、例えば、奥州市は農業者の方が多いわけですけれども、ILCの話をするとき、あるいは聞かれるときは、行政が主導のセミナーの前後であるとか、自分たちが主体としてILCに関心を示すというよりも、そういった講演等があったときに言葉に出るというような状況なのです。
 県は、今までもそうですし、これからも機運醸成を図っていくということであるのですが、住民みずからILCに期待感を寄せるときは何かと考えたときに、自分の生活がILCによってどう変わるのか、具体的には、グリーンILCは、先ほど農業の形態のお話も出していただきましたが、私は具体的に、例えばグリーンILCであればILC次世代農業構想とか、そういった具体的に見える形にして、ILCが来たときに農業がどう変わっていくのかをしっかりと―今回は例で農業者を出しますけれども―説明していくことが必要なのだと思います。
 少し長くなって恐縮ですが、この間、八幡平市に視察に行かせていただいたとき、冬場でもこういう栽培ができるのだなとやっぱり実感するわけです。そういうものが目に見えて収益に結びつく、これが、例えばですよ、では、ILCをみんなで進めていこうよとなっていくのだろうと思っておりますが、そこら辺どうお考えでしょうか。
〇高橋ILC推進局長 産業振興ということで、環境にも配慮しながら国際研究拠点が形成されることと、そこから新しい知識や技術が移転されることで、積極的に応じるように、長期的な視点で、かつ段階的に、第1次産業も含めた産業振興政策を考えていく必要があると考えております。
 先ほど答弁で紹介しました加速器関連産業の振興ですとかグリーンILCとか、緒についた取り組みについて積極的に発信して、事業者、県民の関心ですとか意欲も高めながら、部局横断で、産学も交えてILCの進展に応じた産業政策の議論と実践を深めていくよう考えております。
〇菅野ひろのり委員 私は、こういったビジョンが明確になってくると、では、ILCに関連してどういう人材をつくっていこうかという話とかイメージにつながってくると思うのです。
 部局が少しそれるかもしれませんが、今、高校再編の話をやっています。水沢工業高校、一関工業高校の統合は、賛成、反対は置いておいて、例えば目指す姿がどうなのかとなったときに、私は、ILCの言葉が出てきてもおかしくないのではないかと思っているのです。
 例えば、加速器関連であるとか自動車産業もそうですけれども、そういった明確なものがあると、岩手県の県南地域の工業形成の目的は、北上川バレー構想、例えば自動車産業であったり加速器関連であるとか、そういった人材育成のための拠点が県内にできていくのだというのが、ILCや学校再編、さまざまなものが集まってくると、皆さん納得するところもあると思います。
 私は、そうなると子供たちの教育も含めて変わってくると思います。当然できたときは、実際には子供たちが重要になるわけでありますから、ぜひ、そういったものを含めて具体的に目に見える形の産業と教育とか、そこら辺が一体となった段階に来ているのだろうと思いますので、その点を強く進めていただくようにお願いしたいと思います。所感があれば、局長にお聞きして、終わります。
〇高橋ILC推進局長 地域での人材育成ですとか、さらには地域に人や資本を呼び込む方策なども含めて、産業間の連動ですとか、まちづくりも加味した総合的な政策にしていかなければならないと思っております。
 このまま進めば、来年度、さらにその翌年から建設準備段階に移行するということで、ILCの推進主体も準備研究所という形でしっかり見えてきますので、県としても、いろいろ議論できるように、委員の御指摘も踏まえて検討を進めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 私からも、ILCを契機とした産業振興を中心にお伺いしたいと思います。
 先ほど菅野ひろのり委員の質疑の中でもありましたとおり、ことしが正念場、重要な年であります。準備研究所の開設に向けた概算要求への最重要期間という位置づけになって、県も新年度予算に向けて本当に本腰を入れて取り組んでいくのだろうと見ております。
 そういった中で、先ほど加速器関連産業のお話がございました。私も重複しないように、お伺いいたしますが、私は、今回のILCの実現は、岩手県にとって、単なるトンネルだけが岩手県にできればいいというか、トンネルだけができる、それだったら余り意味がないと思います。
 このILCについては、まさに昭和から平成にかけてさまざまな動きがありました。そこら辺の話は省略いたしますけれども、今、東北大学で次世代放射光施設の入札受注状況、これは皆様も御承知かと思いますけれども、加速機器装置の予算で155億円ほどあります。これを今、東北大学が所存する仙台市だけではなく、岩手県の企業が受注できるように取引拡大をして、まさに先ほど言ったとおり、実績を積み重ねていくというのがすごく大事だと思います。
 私の手元にあるのは東北地区の企業の受注状況。155億円の中でも37億円程度ですよ。あとは、やはり東北地区以外の企業、大手ゼネコン等が受注しているような状況で、まさに県として、ILC推進局としても、ここら辺の産業振興、産業育成の観点からも、ここは本気で、いろいろプロジェクトチームをやっていますし、勉強会に私もオンラインで参加させていただいたりして、この前の近藤設備の勉強会も聞かせていただきました。
 改めて、ここら辺の加速器関連産業の推進に向けて、今後どういう戦略で取り組んでいくのかお伺いいたします。
〇澤田計画調査課長 加速器関連産業の振興についてでありますが、先ほど御答弁させていただきましたけれども、産学行政によるいわて加速器関連産業研究会を軸に、専門知識を有するコーディネーターによるマッチングに取り組んでいるところでございまして、その成果がございまして仙台市で今建設が進められております次世代放射光施設の受注にもつながったと考えているところです。
 今後、国内においても類似のそういった施設がございますので、受注獲得にもつながるように、今後もいわて加速器関連産業研究会を軸に、コーディネーターの取り組みを推進していきたいと考えているところでございます。
〇臼澤勉委員 今回の東北大学の次世代放射光施設も、実は岩手県としては非常に悔しがるべきことだと受けとめるべきだと思うのです。過去にSpring−8、兵庫県の播磨に大型放射光施設、科学公園都市がございますけれども、これも過去には当時の企画調整部であったり、そういった部分で、科学技術庁にも岩手県が誘致をやっていたわけです。結果として岩手県に持ってこられなかったという悔しい思いが当時の担当者も含めてあったと思いますし、皆様もそういった部分は引き継がれていると思うのです。
 ですから、今回のILCでこういった国際研究都市が生まれる、これを単なるトンネルで済ませないように、それぞれの関係機関がしっかりと取り組んでいかなければいけないし、そういうILCの誘致とか、金ケ崎町にも昔、そういう動きをした経緯もあったわけですから、ぜひ、ここら辺の加速器関連産業のノウハウ、技術にしっかりと県内企業が取り組むような形をさらに強めていただきたいと思いますが、改めて、そこら辺の決意をお伺いいたします。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 ただいま委員からSpring−8のお話等もありました。ILCの取り組みは、県としては1990年代から東北大学の方ですとか今のKEKの研究者の方から、安定した地盤があるといったお話を受けたときに、県としても積極的に情報収集を始めた。そういった長い研究者の皆さんとのやりとりがあって、いろいろな計画づくりですとか国への働きかけといったことに取り組んできています。
 加速器関係の産業振興につきましても、コーディネーターも、KEKでの経験のある方々を研究者の人づてといいますかその関係の中で御紹介いただきながら、必要な技術を持っている企業―企業では、自分の今持っている技術が加速器につながるかどうかなかなかわからないところもあるわけで、それは研究者の方が見れば、こういう技術が欲しい、あそこと組めばつながるのではないか、そういったことで進めてきています。
 こういった研究者とのつながりというのはなかなか数字では出ませんけれども、長いそういう関係の中で築いてきたものがありますので、そういったところを大事にしながら今後とも進めていきたいと思います。
〇臼澤勉委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。
 そして、グリーンILCの御質問も先ほどございました。廃熱の有効利用のハスクレイの話、熱の宅配便みたいなイメージでよろしいかと思いますし、盛岡市の私の友人が社長をしている会社でも、今その実験といいますか取り組みをしております。
 そういった取り組みをする一方で、私は、森林県岩手にとってまさに経済循環システムを回していく取り組み、具体的に言うと、ILC関連施設の木造化の提案とかも出ているわけでございますが、今後、林業振興も含めてどういった取り組みを進めていこうとしているのか、廃熱のほうではない視点でお答えいただければと思います。
〇澤田計画調査課長 木造化の取り組みにつきましては、建物性能や経済波及効果などを学会で発表しておりまして、研究者に県産材の活用を提案しております。また、大型木造建築物の事例調査やセミナーを通じて、関係事業者等の理解増進などに取り組んでいるところでございます。
 今後につきましても、そういった木造化、県産材を使った木造の施設をILCの施設に取り入れていきますように、研究とか検討を重ねまして取り組んでいきたいと考えているところです。
〇臼澤勉委員 吉岡先生によると、木造化した場合の地域経済効果は24億3、970万円という試算をしておりまして、鉄骨で建てた場合よりも1.6倍程度の効果が出てくると。
 今回の森林県岩手、118万ヘクタールを有する岩手県にとっても、豊富なこの資源をどう建設資材として活用して、エネルギーあるいは経済を回していく仕組みをつくっていくのかがすごく重要であります。
 農林水産部では、公共建築物等について岩手県県産木材等利用促進条例もつくっております。ぜひ、今、勉強会に私も参加させていただきながら、実際の木材の加工を、例えば来年度いきなりお願いしても、現場では素材の提供がしにくいという話もあって、ある程度県の、例えば公共建築物の来年度予算に係る木材の需要量、ロット、あるいは県、市町村の公共建築物をある程度調査して、そして、それを林業現場あるいは製材のほうとも共有しながら、そこら辺の体制も構築していくという課題がございます。ぜひそこら辺は、ILC推進局が直接の担当ではないにしても、関係部局に少し働きかけていただきながら進めていただければと思います。
 そして、もう一つ大事なポイントが、岩手県立大学とか岩手医科大学あるいは岩手大学との連携、盛岡エコシステムといいますか、ナレッジトランスファーといいますが、知識移転の取り組みをやらないと、このまま黙っていると仙台市に持っていかれるわけです。そういった危機感を持っているのですけれども、今、ここら辺の取り組み、今後、岩手県としてどう取り組もうとしているのかお伺いします。
〇澤田計画調査課長 知識移転の取り組みについてでございますが、ILCを契機とした東北地方の発展を目指して策定されたILC東北マスタープランでは、東北地方全体がイノベーションを生み出す地域として成長していくことを目指し、北は盛岡市から南は仙台市までの沿岸地域も含めたエリアを、ILCの多様な効果を最大限に発揮できるコアゾーンとして位置づけているところでございます。
 委員御案内のいわゆる盛岡エコシステムでございますが、将来、仙台エコシステムと連携した広域でのイノベーション創出の取り組みの一環として、研究者が構想しているものだと認識しております。仙台エコシステムは、仙台市のせんだい都心再構築プロジェクトと連動し、東北大学等の教育機関や2023年竣工予定の次世代放射光施設やNTTグループの再開発ビル等をICT技術でつなぎ、新たなビジネスの創出と地域課題の解決を実現していくための取り組みと承知しているところです。
 県では引き続き、ILCに関する事業者、県民の理解を深め、加速器関連産業の振興を図りながら、産業振興や知識移転の有効な方策を産学行政で広く検討し、具体的な政策につなげていくことを考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひ、ここら辺の知の拠点といいますか、まさに、私は岩手県がインテリジェントパークをつくっていく最大のチャンスだと思っております。そういった意味でも、こういった連携を促進させ、このILCの効果によっては、例えば、たんぱく質の構造解析とかワクチン開発への効果も出てくるわけですから、さまざまな研究機関と連携しながら取り組んでいただきたい。
 最後にいたしますが、戦略的環境アセスメントについてもお伺いいたします。
 2月にILC計画の戦略的環境アセスメントの実施についての議論のまとめがあって、KEKからILC国際推進チーム―IDTに提出されております。県は、どのように今後かかわっていくのか。
 ちょっと補足すれば、御案内のとおり、2013年、14年、私がアセスメントの課長のときに基礎調査をやっていたわけですけれども、そういった調査を踏まえて、そして、きょうの澤田課長も、議論のまとめに最後、澤田課長の名前であったり、沖田主査の名前とか、県の協力をいただいたということで名前が出ておりましたけれども、戦略的環境アセスメントについて、今後、県としてどうかかわっていくのかお伺いいたします。
〇澤田計画調査課長 環境アセスメントについてでございますが、ILCに関する環境アセスメントについては、トンネルなどの地下構造物等の大部分が環境影響評価法や条例の対象外となりますが、大規模な工事による自然環境への影響が懸念され、日本学術会議等での報告でも言及されるなど、自主的なアセスメントの実施が求められているところでございます。
 こうしたことから、高エネルギー加速器研究機構が、令和元年9月にILC環境アセスメント評価アドバイザリーボードを設置し、ILCの事業特性を踏まえてアセスメントのプロセス等について議論してきており、県としても、オブザーバーとして参加し、建設候補地として過年度に実施した自然環境調査の結果を提供するなどの協力を行ってまいりました。
 今般、KEKがILC国際推進チームに提出した議論のまとめでは、自主的な環境アセスメントに先立って、自然環境のみならず、社会経済的影響についてもカバーする戦略的環境アセスメントの手法を導入する必要についても提案されているところでございます。
 今後、ILC国際推進チームにおける環境アセスメントの検討結果を踏まえ、KEKでは、環境アセスメントに関する考え方を公表することとしており、県としては、今後の議論の状況を注視しながら、建設候補地としてKEKに対して必要な協力を行ってまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 いずれ決まってから動いたのでは遅いということで、やっぱり前倒し、前倒しで動いていかなければいけないというのが、まさにこの戦略的環境アセスメントの思いだと思います。今回の環境に配慮した取り組みであったり、あるいは関連技術、派生技術といいますか、そういった産業振興は、まさに欧州素粒子物理戦略の中でも重要なミッションでありますので、このミッション達成に向けて県としてしっかり取り組んでいただきたいと思いますし、我々県議会でもしっかりとみんなで取り組んでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
〇岩渕誠委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩渕誠委員長 質疑がないようでありますので、これでILC推進局関係の質疑を終わります。
 ILC推進局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、復興局長に復興局関係の説明を求めます。
〇大槻復興局長 令和3年度の復興防災部関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 なお、組織再編によりまして、来年度、他部局から復興防災部に移管予定の事業につきましては、現在所管しております部局からの説明となりますので、あらかじめ御了承願いたいと存じます。
 初めに、復興防災部における復興局関係予算の編成に当たっての基本的な考え方について御説明申し上げます。
 これまでの復旧、復興の取り組みにより、計画された事業の多くは完了したところでございますが、一方で、被災者の心のケアやコミュニティーの形成支援、なりわいの再生に向けた事業者への支援など、引き続き中長期的に取り組むべき課題については、被災地の状況に応じ重点的に対応してまいります。
 また、10年間の復興支援への感謝の思いを国内外に発信するとともに、震災の教訓や復興の姿を発信し、世界の防災力向上へ貢献することを目指す取り組みを進めていくこととしております。
 それでは、復興推進プランに掲げる4本の柱に沿って御説明申し上げます。
 第1は、安全の確保であります。
 東日本大震災津波の被災と復興から得た教訓を今後の国内外の防災活動や防災教育に生かすため、いわて震災津波アーカイブ〜希望〜に震災津波関係資料を蓄積し、その活用を促進いたします。
 第2は、暮らしの再建です。
 被災者が安定した生活に戻ることができるよう、引き続き市町村と連携して持ち家による住宅再建を支援するとともに、(仮称)いわて被災者支援センターを設置し、恒久的な住宅へ移行した後においても、経済面や生活設計などの課題を抱える被災者への支援、相談対応を実施いたします。
 また、市町村や民間団体等と連携して、被災者の生活再建先における円滑なコミュニティー形成を支援いたします。
 第3は、なりわいの再生です。
 三陸の多様な資源を生かした産業の振興が図られるよう、復興まちづくりに合わせて、新たなビジネスを立ち上げた事業者や、販路回復、開拓等に積極的に取り組む事業者の成長等を支援するとともに、被災地域の基幹産業である水産加工業の労働力不足の解消に向け、地域外からの人材確保のための宿舎整備等を支援してまいります。
 第4は、未来のための伝承・発信です。
 震災の事実と教訓を世界中の人々と共有し、自然災害に強い社会を一緒に実現することを目指し、東日本大震災津伝承館において、展示解説、企画展示及び教育普及事業等を実施するほか、国内外の防災力向上に貢献するため、海外の津波博物館との連携による震災伝承をテーマにした三陸TSUNAMI会議(仮称)を開催いたします。
 また、東日本大震災津波を語り継ぐ日条例の趣旨を踏まえ、震災の記憶を風化させないよう、震災の事実と教訓の発信を強化するとともに、復興支援への感謝を伝え、県内外の多様な主体と連携し復興を推進するため、フォーラムの開催や広報誌の発行、復興提言集やいわて震災津波アーカイブの活用促進など、復興に関する重層的な情報発信を実施いたします。
 続きまして、歳出予算についての御説明を申し上げます。
 お手元の議案その1の6ページをお開き願います。復興防災部関係の一般会計歳出予算は、2款総務費のうち、6項復興防災費の15億3、000万円余、3款民生費のうち、2項県民生活費の一部2、800万円余、7ページに参りまして、5項災害救助費の16億5、000万円余、続きまして、9ページに参りまして、12款公債費の一部1億6、700万円余、これらを合わせまして、総額33億7、600万円余となっております。
 新設部局のため対前年比では皆増となっているものでございますが、うち復興局関係では24億1、200万円余となっておりまして、前年度当初予算額と比較いたしますと60億3、600万円余、率にして約71.4%の減となっておりますが、これは、応急仮設住宅の解体撤去や用地の原状復旧の進捗等によるものでございます。
 予算の内容につきましては、お手元の予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 続きまして、議案第26号東日本大震災復興交付金基金条例を廃止する条例について御説明申し上げます。
 お手元の議案その2の19ページをお開き願います。これは、東日本大震災復興特別区域法に規定する復興交付金事業等に要する経費の財源に充てるため、基金を設置し、その管理等に関し必要な事項を定めたものでございますが、今般、東日本大震災復興特別区域法の一部改正によりまして、令和2年度末をもって復興交付金制度が終了することから、本年度中に基金の残額を全額取り崩した後、一般会計に計上し、基金を廃止しようとするものでございます。
 なお、復興交付金事業に必要な経費につきましては、令和2年度予算において全額を計上しているところでございまして、残事業の実施に必要な財源は確保しているところでございます。
 以上で復興局関係の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇岩渕誠委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 早いもので、本日で東日本大震災津波から満10年となりました。あしたから11年目に入るわけであります。そこで、これまでの発災当初からの確認をしておきます。誰もが想定だにしなかった大変な経験、教訓をぜひとも次の世代に継承させていくべきものと思いますので、そういう観点から確認も含めて、改めてお伺いしたいと思います。
 まず、何よりも大切なのは初動にあると思っております。岩手県の初動といたしまして、知事は、発災翌日、防災ヘリコプターひめかみに乗り込み、陸前高田市から宮古市までの視察を行いました。そして、宮古市から県庁に戻り、被災13市町村、これは住田町も含みますけれども、ここに県土整備部的に言いますと、前渡金のような形で、県の財政調整基金を取り崩して、約10億円ずつのお金を被災市町村に配布したわけであります。これは医薬品、水あるいは食料を購入してほしいという親心であったわけでありまして、これは大変な英断であったと思います。ただ、中には、どことは言いませんけれども、こういうお金は陳情、請願、要望してもらうものだと思っていた首長もいらっしゃったようで、全額手をつけないで後で返したところもあると伺いましたが、親の心子知らず、残念なことであったと思います。
 そして、1週間後には300億円の債務負担行為を起こしていただきました。これは応急仮設住宅の手当てでありまして、被災3県のうちで最も早い手当てであったと思います。
 これらの初動は、今後もあるかもしれない大災害にとりまして貴重な教訓となっているわけでありまして、まず、岩手県のこれらの初動についてどのように考えているか、どのように継承していくか、お考えをお伺いします。
〇大坊復興推進課総括課長 ただいま初動についてのお尋ねでございました。
 東日本大震災津波の発災時におきましては、私ども、何よりも被災された方々の命を救うこと、人命最優先を最大の使命といたしまして初動対応に当たったところでございます。
 まさに14時46分、発災直後でございますが、対策本部を速やかに設置いたしまして、その後、ほぼ同時に自衛隊への災害派遣要請、あるいは消防庁への緊急消防援助隊の派遣要請といったものを行いました。
 また、委員御指摘のとおり、当時は大規模停電あるいは通信網が断絶したということで、なかなか現地の状況の把握も難しかったというところで、知事が、防災ヘリコプターなどに乗りまして現地に行きまして情報を収集するなど、被災地の情報を積極的にとりに行くというような対応を行ったところでございます。
 また、予算の関係でございますけれども、委員御指摘のとおり、発災直後に135億円ほどの緊急の補正予算を知事の専決で対応させていただきました。やはり平時と異なりまして、巨大災害の中で、現地におきましては、食べ物、飲み物あるいは着るもの、燃料、あとは薬、こういったものが不足している中で、緊急の措置を初動において行ったこと、あるいはその後に、県議会におきましてもこれを御承認いただいたということでございまして、一つ、これは岩手モデルということで、今後の大規模災害にも生かせるかと思っております。
 委員御指摘のとおり、我々は被災地ということでさまざまな教訓を得ました。これはしっかり後世に伝えますし、今後起こり得る全国の災害にしっかり生かしていくのが我々の責務だと感じております。
〇伊藤勢至委員 自衛隊の出動も大変早かったと思っております。それから、各県の消防も早かったと思っていまして、国道45号が啓開になりましてから大槌町まで行ってみたのですが、大槌町から立丸峠に向かう交差点のところに、兵庫県消防局という消防自動車ポンプが50台並んでおりました。これは多分4人乗ってきたのでしょうから、200人ぐらいが、まずは人命救助の目的で駆けつけてくれたものと思います。ただ、消防ポンプも水利に着かないと動けません。したがって、来てはいただきましたけれども、最終的には遺体捜索になったと思っております。
 また、警察も、まさに全国から警察官が来ていただいて、何しろ交通信号機がとまっていますので、これらの対応をしていただいたところでありまして、これらの全国挙げての応援に我々は感謝しなければならないと思っているところであります。
 そこで復興にいよいよ入っていくわけでありますが、大変な量の瓦れきが発生いたしました。聞くところによりますと618.4万トンの瓦れきが発生した。当然これは我が県だけでは処理ができませんので、全国のそれぞれの都道府県に応援をお願いするべきだということから、我々県議会でも、3班編成だと思いましたけれども、大阪府以東の都道府県に協力をお願いに行ってきたところであります。そういう中で、各自治体がそれぞれ、被災した自治体もありながらも、この瓦れきの処理に応援、協力をいただいたわけでありますが、一体どのくらいの量の応援をいただいたのか教えていただきたいと思います。
〇大坊復興推進課総括課長 ただいま災害廃棄物のお尋ねでございました。他県に幅広く広域処理をお願いいたしまして、北は青森県から、南は大阪府までになりますけれども、トン数にいたしまして32万9、697トンということでございまして、相当の量、御負担いただいたということでございます。
 大変な量でございまして、やはり発災直後、一番困難を極めた部分でございます。まず一つ、どれぐらいの瓦れきが出るのか全くつかめなかった中で、発災直後に、たしか東京都だったと思いますが、いち早く引き受けを申し出ていただきまして、宮古市の瓦れきを引き受けていただいたと記憶しております。
 こういったような形で、全国各地の支援をいただきながら復興は進んできたと認識しておりまして、心より感謝したいと思います。
〇伊藤勢至委員 この瓦れき処理は、まさに全国の応援をいただいてまずは処理が終わったということでありますが、そうなりましてようやく、例えば新しいまちづくりでありますとか防潮堤、水、樋門等の建設計画が動き出していくわけであります。その際に一番ネックになりましたのは、沿岸市町村の国土調査の進捗度が非常に低かった点にあると思います。それぞれの土地を提供するあるいは買い上げをするといった場合に、隣同士の境界が決まっていない。この国土調査は、国が4分の2、県が4分の1、市町村が4分の1の事業でありますけれども、宮古市は35%しか終わっておりませんでした。山田町が36%、大槌町も36%、釜石市も47%、大船渡市、陸前高田市も70%台ぐらい。それに対して、内陸はほとんど終わっていたのです。これは、言ってみれば、来るはずがない災害ということでたかをくくっていたと言われてもしようがないと思います。
 そういう中で、大野村と田野畑村は100%終わっておりました。したがいまして、大野村と田野畑村は災害公営住宅の建設が県内で一番早かった、こういうことになるわけでございます。
 その後、3年、4年かかって、改めて国土調査をやっている場面をいっぱい見てきましたけれども、よもや100%終わっていないところはないかと思うのですが、確認のためにお伺いします。
〇大坊復興推進課総括課長 ただいま国土調査についてのお尋ねでございました。実態につきましてはちょっと手元に資料がないのですが、やはり委員御指摘のとおり、まちの再建に当たっては、土地問題が非常に大きなネックになっておりまして、こちらにつきましては、私どもも復興の途上で、国の復興推進委員会に、土地の所在不明の方も含めて、登記不明の方も含めて、何とかならないかということで、一部反映されて、土地の取得の事業認可期間の短縮でありますとか、こういったところは反映されたところでございますが、まだまだ根本の部分で手がついていない部分もございます。
 まず、委員御指摘のとおり、平時におきまして、土地の状況をしっかりと捕捉して、そして、緊急時におきましては、被災地特有の事情に応じた制度で対応できるように、引き続き国には要請してまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員長 国土調査の実績については、当該部局で答弁できますか。―では、後で検討してください。
〇伊藤勢至委員 大災害に遭っても大事なことは、若い人を何とか生かして次の世代に向き合っていただきたいということにあると思います。そういう中で学校の存在は大変大きなものがあるわけでありまして、例えば、前にも申し上げましたが、宮古工業高校、現在では宮古商工高校になりましたけれども、赤前地区の住民が、あの地域にある鉄筋コンクリート3階建ての建物は工業高校しかないということで、軽トラックで避難してきたようであります。
 その際に、校長先生は、さあ、どうぞ入ってください。2階は危ないから3階までどうぞ行ってくださいということで、どんどん上げたようであります。そして2階の天井まで津波が来たと。そして、津波が引いてからの宮古工業高校の先生方の第1番目の仕事は、野球のバックネットの一番上につかまって助かっている人を助けることから始まったということであります。
 一方、宮古高校の校長先生は、4階建て鉄筋コンクリートの建物が近隣で唯一のものでありますから、町内の方々が避難しようとしたところ、校門のところに出てきて、うちは避難場所ではありませんとお断りをしたということであります。これは校長の裁量権と言われておりますけれども、こういうことが果たしてあっていいものか、そのように思います。これは、多分経験がないからだと思うのです。悪気はないと思うのです。
 例えば、隣の県ですけれども、宮城県の石巻市の大川小学校は、98人の生徒を校庭に避難させたまま、約1時間放っておいた。そして何と、あろうことか、1時間近くたっていよいよ動き出したときは、海のほうに向かって動いたのです。学校のすぐ裏には山があったのですよ。そういうことは、やっぱり経験のない、しかも急速な判断ができないことがあってはいけないという経験を、私たちは伝えていかなければならないと思います。
 県内では、被災したところは高台に移転しましたのでそんなことはないのかもしれませんが、千島列島沖の30メートルの津波という情報もあって、宮古湾も山田湾も千島列島のほうに向いているのです。したがって、30メートルになるほどですけれども、それが来るまでには私はもういなくなっていると思いますが、そうであっても、次の人たちにこういうことを確実に伝えていかなければならない。
 ですから、復興局であっても、県教育委員会とも連絡し合って、津波の経験がある人、あるいは経験がない先生方であれば、その被災のビデオを見ていただいて、怖さをよくわかってもらって、1時間も校庭に放置しておくような、即決判断ができないような、裁量権をうまく使えない、そういうことがあってはいけないと思いますので、そういうところは連絡をとり合って、お互いに情報共有をしながら備えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇大坊復興推進課総括課長 ただいま重要な御指摘をいただきました。やはり学校の例は、私は詳細は承知しておりませんが、委員御指摘のとおり、未曾有の大震災に当たって、経験がなかった、これが一つ大きなところだと思います。また、やはり想定しているということが非常に重要でありまして、日ごろから想定して訓練するというところ、これもまた重要でございます。
 一例を挙げれば、釜石市の鵜住居の小中学校は、釜石の出来事と呼ばれて、一人の生徒もお亡くなりにならずに逃げたという部分がありますが、あれは、日ごろからの想定あるいは先生方も含めた学習といったところで、うまく避難したという事例もございます。
 そういった意味では、私ども県では復興教育を進めておりますが、生徒のみならず、先生方もしっかりと復興に向き合っていただいて、教える側も逃げるということはわかるというような取り組みを進めていって、経験値も上げながらそういった想定も深めていく取り組みを進めていきたいと思います。
〇伊藤勢至委員 最後にしますけれども、東日本大震災津波の後は、首都直下型あるいは東海、東南海、南海トラフ地震と言われております。私は、首都直下型のものがあった場合に、学者の先生方が言っていますけれども、帰宅困難者あるいは被災者は十数万人に及ぶという話になっていますが、それは少ない数字だと思います。といいますのは、地下鉄網が東京都はすごいのです。ですから地下鉄、例えば東北新幹線上野駅は地下50メートルですね。岩手県庁は40メートルちょっとぐらいでしょうから、それよりも深いところを走っているわけですから、2メートルもある水道の本管がずたずたに壊れれば、あっという間に水没してしまう。50メートルなんか掘ってくれませんよ。
 そういう中にあって、岩手県もいろいろお世話になってきましたから、何かの恩返しをしなければならない。そう考えたとき、一番早いのは、防災ヘリコプターの活用にあると思います。防災ヘリコプターは、私が聞いたところによりますと、みんな装備を外せば15人を乗せることができると聞いてきました。こっちから迎えに行く、例えば岩手県東京事務所の職員であるとか家族であるとか、あるいは各大学の合宿所みたいなものもありますね。寮といいますか。そういうところをあらかじめ定めておいて、そこに集まれ。そこから乗せて避難してくる。
 それがいわて花巻空港とのピストン輸送がいいものか、仙台空港がいいものか、あるいは栃木県のどこかを借りて、校庭あたりでもいい。そういったピストン輸送で岩手県ゆかりの人たちを避難輸送するという考えも持っておいてもいいのではないかと思いますが、そういうことをお考えでしょうか。
〇大坊復興推進課総括課長 ただいま、首都圏におきます大規模災害に関しましてのお尋ねでございました。確かに、首都圏の直下型あるいは南海トラフといった巨大地震がいつ来てもおかしくないという状況でございます。
 そういった中で、ただいま委員から御提案がございました防災ヘリコプターを使っての避難でありますとか、そういったもの、被災県の我々は、先ほど瓦れきの話もありましたけれども、全国からいろいろな応援をいただいております。そういった中で、仮に首都圏でそのような大規模災害があった場合には、我々の経験値も生かしながら、人命最優先に救助することを積極的に行っていかなければならないと考えております。
 一つそういったヘリコプターの御提案もありましたので、私どもとしても、関係部局と相談して研究してまいりたいと思います。
〇伊藤勢至委員 今や各県1機ないしは2機の防災ヘリコプターを持っていますので、例えば東北6県だと6機ですね。それが空中衝突などしないように。せっかくの災害救助に行ったヘリコプターが衝突したのでは話にもならない。そういう調整もしておくべきだと思いますので、そういうことも踏まえて、想定外のものにも想定をして対応いただきたいと思います。
 局長からも一言いただいて、終わります。
〇大槻復興局長 ただいま委員から、いろいろと10年を振り返っての初動の話をいただきました。まずは、ヘリコプターの話でございますけれども、先ごろといいますか数年前に北海道で地震があったときに、消防車等については宮古市からフェリーで行ったわけですが、その前に、青森空港に6県のヘリコプターが集まって、その上で北海道に渡ったということがございました。そういった部分については、かなり各県で連絡をとり合って対応をさせていただいている部分もあろうかと思います。
 今後は、首都圏となりますとかなりの被害状況になろうかと思いますので、そういったところは、陸路も含めて、避難される方の誘導といいますか対応あるいは安否確認については、研究させていただきたいと思っております。
 それから、冒頭から初動の話がございました。いろいろと専決処分でやったのは、3月という年度末の時期ということもあったのだと思います。ただ、これはまさに県議会の皆様方の御理解もあって、そして御承認いただいたということで進めることができたものと。瓦れきの処理についても、執行部だけではなくて、各県に県議会の皆様からも人を出していただきまして対応できたものと思います。
 何よりも、あのときは、私もテレビで見ておりましたけれども、かなり受け入れ側の住民サイドでもいろいろと異論もあったように思っております。その中で、地元の知事等も熱を持って御説得していただいたということで、岩手県が一丸となって対応し、そして、各県がそれにまさに手を差し伸べていただいたという結果で、こういった形になったものと考えております。
 こういった経験は、後世にしっかりと伝えていくべきものだと思っておりますので、それは心して対応させていただきたいと思っております。
〇工藤勝子委員 障がい者福祉サービス事業所と水産加工業者のマッチングによりまして、被災地の基幹産業である水産加工業の人材不足の解消と障がい者就業場所の拡大支援に向けた事業についてであります。
 障がい者の自立は、共生社会の中でありますので、社会参加と、そして働く場の確保はとても重要だと認識しております。そういう中において、企業側の理解、さらには、やはり一緒になって仕事をする従業員の方々の障がい者に対する思いやりというか心といいましょうか、こういう協力するという思いのようなものが培われていることが、非常に大事ではないかと思っています。
 そこで、原点に返って、復興局として被災地における水産加工業における人材の不足をどのように捉えているのかお伺いいたします。
〇阿部まちづくり・産業再生課総括課長 水産加工業の人材不足につきましては、沿岸地域の有効求人倍率は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、昨年4月、5月は1倍を下回ったものの、それを除けば1倍を超える水準で推移しており、沿岸地域全体が人手不足の状況にあると言えます。
 特に水産加工業におきましては、求人に対する応募が十分でなく人手不足が続いており、また、外国人技能実習生制度を活用しつつ操業を続けている事業者もあり、大きな経営課題になっていると認識しております。
 また、外国人技能実習生については、新型コロナウイルス感染症の影響による海外との渡航制限のため、新規受け入れがストップしている企業も発生しているところであります。
〇工藤勝子委員 実は、なぜこの質問を取り上げたかといいますと、ここ最近、特別支援学校に通っているお母さんたちと意見交換会をする機会が何回かございました。やはり高等部を卒業して、それぞれの企業に入って、パートとか臨時という形になるのでしょうけれども、正社員として働けるような環境整備と申しましょうか、そういうことを望んでいるお母さんたちでございました。
 ただ、その中で遠野市の状況を見てみますと、10年来を見ると、なかなか定職についていない。企業に入った子供も1人か2人いらっしゃるのですけれども、長続きしない、そういう状況であります。では、どこでどうやって仕事をされているかというと、やはり福祉事業所と申しましょうか、そういうところに行って、作業をしながら、ある程度の工賃をいただきながら生活をしていると。そこに送り迎えをする親たちの姿もあるという状況であります。
 それでは、今日まで障がい者の人たちの雇用を進めてこられたわけですけれども、なかなか進まない状況の中で、被災地における水産加工業でそういう障がい者を雇用している事業所は捉えていらっしゃいますでしょうか。
〇阿部まちづくり・産業再生課総括課長 水産加工業における障がい者の雇用実態につきましては、状況がわかる統計データ等は存在しない状況ではありますけれども、私ども復興局で昨年度から実施しております水産加工・障がい福祉マッチング事業で配置しておりますコーディネーターが、水産加工業者の方々にその状況をお伺いしております。調査に応じていただいた94者中、38の事業者で、直接雇用や障がい福祉サービス事業所への作業依頼という形で障がい者雇用を行っている状況にありました。
 この中には、障がいの特性に応じて仕事の内容や勤務形態を工夫いたしまして、一般社員の方と変わらない待遇で障がい者の方を雇用している会社もあったところでありまして、水産加工業においても、障がい者雇用は一定程度浸透しているものと認識しております。
〇工藤勝子委員 それでは、今回、この事業を入れることによって、さらに障がい者の雇用を拡大しようということなのだろうと思います。そうやって、例えば人材の不足を補っていくということもあるでしょうけれども、これは予算として50万円そこそこですね。そういう中においてどれくらいのことができるのかと。アドバイザーがマッチングをしてやるということでしょうけれども、想定として、例えばどのくらいの雇用を復興局として見通しているのかをお聞きしたいと思います。
〇阿部まちづくり・産業再生課総括課長 私ども水福連携という水産と福祉のマッチング事業を2年間にわたって行ってまいりました。コーディネーターがあちこち歩いて案件のマッチングをした結果、5件のマッチングの実績がございまして、合計で52名の障がい者の方に、水産加工業で新たな就労機会をもたらしていただいたところであります。
 その過程で、やはりさまざま受け入れに当たっての留意点ですとか、こういった工夫をすると受け入れやすい、あるいはお仕事を受けやすいということもございましたので、そういったことをまとめてマニュアルのような形にしまして、それをもとに、来年度以降は新たな導入を図っていきたいと考えております。
 2カ年で5件、52名ということでしたので、現時点で明確な目標を定めておりませんけれども、このような状況になればいいかとは思っております。
〇工藤勝子委員 いろいろな成果が出ているようでありますし、新規の事業でありますので継続されるのだろうと私は思っております。ただ、保健福祉部で障がい者就労支援センターを新しく設置するようなことであります。この連携はどのようにされているのでしょうか。
〇阿部まちづくり・産業再生課総括課長 この2年間取り組んでまいりましたマッチング事業では、先ほどコーディネーターを配置したと御説明いたしましたけれども、この方は、岩手県社会福祉協議会に所属されて、この事業を社会福祉協議会に委託するということで、事業当初から社会福祉協議会とは連携しながら進めてまいっております。
 その中で、例えば企業からこういうお仕事を受けたいのだといったときに、職業訓練ですとか、あるいは人と会うのがちょっと苦手だなという方がいらっしゃれば、就業前にいろいろなお手伝いですとか支援をする制度が国、県にございます。例えば、社会福祉協議会を通じて、そういった支援を入れつつ受け入れ体制を整えるといったこともできるかと思いますので、保健福祉部との連携を図りながら事業を進めてまいりたいと思います。
〇工藤勝子委員 例えば、県のいろいろな事業を見ていますと、私も前に一般質問で集中と選択という話をしましたけれども、こういう福祉事業にかかわることは、例えば保健福祉部に一括して、予算もそちらに回しながら、そこで集中と選択でやるというような考え方はないのでしょうか。
〇阿部まちづくり・産業再生課総括課長 福祉の方々と、あと産業との連携といいますと農福連携というものが非常に一般的な形になっております。農福連携につきましては保健福祉部で担当しているかと記憶しておりましたけれども、水産加工業と福祉のマッチングは、全国的に見ても数が非常に限られておりました。この事業を立案する際に全国の状況を調べましたけれども、本当に数県という状況でございました。かつ、沿岸地域における取り組みに特化されているかと思いましたので、まずは、復興局で事業を立ち上げて、2年間行い、来年度もまた継続したいと思っているところでございます。
 いずれ、保健福祉部との連携はしっかり図りながら、まずは、沿岸地域での課題解決に復興局が取り組むという形で進めさせていただきたいと思います。
〇工藤勝子委員 農福連携が定着しているような形で農林水産部にあるわけですけれども、これは水福連携という形の中で、これもまた農林水産部に入ることになるわけですか。そうではなくて、もうこれは復興局の事業として今後も継続していくという考え方でよろしいですか。
〇阿部まちづくり・産業再生課総括課長 繰り返しの御説明で恐縮でございますが、やはり沿岸地域の復興に水産加工業の振興は必須でございます。ですので、やはりそこは復興局が、まずは福祉との連携という手段を使いながら、そして、福祉の方々にとっても、やはり自分の特性に合ったお仕事ができるということで、福祉の現場からも非常に評価をいただいている事業でございます。双方ともにうれしくなる事業でございますので、まずは復興局で進めてまいる所存でございます。
〇工藤勝子委員 多くの方々が加工場に行って仕事をされている。立場的にはどうですか。例えば正社員の雇用があるとか、パートであるとか、臨時であるとか、その立場はどのような形になっていますでしょうか。
〇阿部まちづくり・産業再生課総括課長 私も2年間取り組んでおりましたこの事業につきましては、就労施設はA型、B型という形態がございます。少し専門的になりますけれども。A型につきましては、ある程度、正社員として企業で雇用される形を想定するケースがございますけれども、一方で、やはり障がいの程度によりまして、そういったお仕事が難しい方は、いわゆるB型ということで、工賃をいただきながら作業をするというケースがございます。
 私どもの水福連携で行っていますのは、どちらかといいますとB型の方たちでございまして、まずは、そこでの工賃をいただきながらの、例えばワカメの芯抜きの加工ですとか、そういったものを行いつつ、あとは、まさにそこで技能が上がっていき、もう少し企業のほうで雇用したいということになりますれば、また雇用につながるケースもあろうかと思いますが、現時点では、まずB型の方々を中心に、工賃をいただきながら作業を行うというスタイルでございます。
〇工藤勝子委員 最後にしたいと思います。例えば、このような形の中で、障がいのある人もない人もともに生きて、ともに学ぶというような条例もあるわけでありますけれども、そういう中において、障がい者支援に非常に御協力いただいている企業等に対して、復興局として何か支援みたいなものを考えていらっしゃるんのしょうか。何もなし、とにかく採用していただきたい、そういう一本だけなのでしょうか。
〇阿部まちづくり・産業再生課総括課長 まず、この事業は企業の御協力、御理解がなければ成立しない事業でございます。開拓した5件もなかなか苦労しましての5件でございました。つきましては、受け入れていただいた企業に対しては、まず、大きな県の制度の中で、障がい者雇用の優良事例について、その企業を年1回表彰する制度がございます。令和元年度に初めて水産加工業の企業が受賞された事例がございますので、まずは水福連携自体がまだなかなか世の中に知られていない状況でございますので、そういったことがあるということを、まずは県の福祉のサイドとも共有しつつ、何かの形で企業の御厚意に報いるような形を考えていければと思っております。
〇工藤勝子委員 例えば、女性活躍支援企業というものがあります。今は障がいがあるとかないとかいうとらわれ方は全然ないわけですので、例えばそういう協力している企業に対して、認定書みたいなものをきちっと配付して、ここではこういう方々、障がいのある人たちも企業として雇用しているのだなというところを一般の市民の人たちも理解できるようなメッセージ的なものを考えていただきたいと思いますが、所感をお聞きして、終わりたいと思います。
〇大槻復興局長 障がい者雇用の関係については、本当のことを言えば、水産加工だけではないと思っています。障がい者雇用率は法定で定められておりますし、一方で、それをクリアしていかなければならないところでございます。なので、私どもは、いわゆる三陸沿岸のなりわいの一つの基幹産業であります水産加工に着目して、水産加工自体が、求人はするけれども人がなかなか来ないという企業側の現状もあったものですから、これをマッチングする事業に取り組ませていただいております。
 水産加工だけに特化したものではなくて、障がい者が雇用されることによっての企業イメージのアップとか、あとは、障がい者の方々の前向きな気持ちになっていただくためのものということは大事な話だと思っております。
 先ほど課長から答弁させていただきましたけれども、優良事業所の表彰制度もございますが、実は、これは県だけの制度ではなくて、最後は厚生労働大臣表彰までつながっているものでございます。こういったところを、私どもで所管している事業から多くこういった表彰が受けられるように、必ず企業のほうにこういった部分もメリットとして宣伝させていただいて、前向きに取り組んでいただけるように取り組みをさせていただきたいと思っております。
〇高橋但馬委員 私からは、被災者の心身のケアについてお伺いします。
 災害公営住宅も全て完成するなど、ハード事業については10年の節目を迎え、一定程度の進捗が図られたところだと認識しております。県では、被災者の参画による心の復興事業として、令和3年度当初予算案に約2、800万円を計上し、被災者の積極的な参画のもと、支援団体が行う被災者の生きがいづくり等の取り組みに対し支援することとしています。
 この事業は、平成29年度から実施し5年目を迎え、これまでどのような成果があったのか、課題とあわせて伺います。
〇佐藤生活再建課総括課長 被災者の参画による心の復興事業のこれまでの成果及び課題についてでございますけれども、県では、被災者自身が主体的に参画し、活動する機会を創出することで、被災者が他者とのつながりや生きがいを持って前向きに生活することを支援するために、ミニコンサートなどの文化芸術や花壇づくりなどの地域の環境整備を通じて交流事業を行うNPOや民間団体等の取り組みに対して補助を行っております。今年度までに延べ40団体が事業を実施したところでございます。
 令和元年度に実施しました参加者に対するアンケートによりますと、心の復興事業による支援活動を受けた参加者の87.8%が、孤立感や不安感が改善した、どちらかといえば改善したと回答していただくなど、一定の成果があったものと認識しております。
 その一方で、被災者自身の参画に関する質問では、事業の企画、計画の段階から参画していると回答していただいた割合が16.5%と低くなっておりまして、被災者自身の参画の一層の促進が課題であると認識しております。
 こうした課題につきましては、事業の評価をいただいております補助金審査委員会からも同様の御指摘をいただいているところでございます。県としても、事業の中間報告会等の場を通じて、各団体への助言を行うなど、今後の活動に役立てていただくことで、事業終了後も被災者の自主的な活動へつなげていけるよう、事業実施団体に対して働きかけているところでございます。
 引き続き、民間団体等の取り組みへの支援を通じて、被災者の心の復興が図られるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 ちょっと中を見せてもらいますと、事業実施の効果が特に高いと見込まれる場合には、金額を増額してやられていましたし、この補助実績を見ると、同じ団体が継続的にその事業をやっているというのも見えているので、参加している方々が満足している事業もあるのだなということを感じたところでございます。
 それで、この事業も含まれる復興事業のソフトの財源確保についてですけれども、令和3年度当初予算案では、被災者支援総合交付金を活用し、復興庁所管事業として約1億円、厚生労働省所管分として約8.5億円が計上されるなど、国に働きかけてきた事業がおおむね確保されたものと聞いております。
 そのような中、国の公表資料によると、令和7年度まで第2期復興・創生期間の所要額を1.6兆円、このうち岩手県分として0.1兆円を見込んでいるようですが、真に必要な額が確保されているのか伺います。
〇大坊復興推進課総括課長 ただいま復興事業の財源についてでございます。
 第2期復興・創生期間におきまして、本県及び市町村が必要と見込んでいる復興事業費は、総額約920億円となっております。その内訳につきましては、心のケアやコミュニティーの形成支援につきまして、被災者支援の関係ですけれども90億円、災害公営住宅の家賃低廉化事業の10年間継続を含みます住宅再建・まちづくりで約500億円、産業・なりわいの再生で約270億円となっております。
 これにつきましては、昨年9月に国で決定いたしました第2期復興・創生期間の復興財源フレーム、先ほど委員が御指摘のとおり、向こう5年で1、000億円を見込んでおりますが、私どもで必要と見込んでいる額が920億円ということですので、事業規模はおおむね一致しているのではないかと考えております。
〇高橋但馬委員 先日、報道機関が行ったアンケートがありまして、その記事に、被災者ですけれども、震災を思い出してつらいと感じることが日常的にある人が約3割に上ると。時間がたつにつれ喪失感が強まるとの声もありました。被災者の心の復興はいまだ途上にあると感じております。
 このようなアンケート結果からも、被災者の心のケアについては、被災者それぞれのタイミングがあると思いますし、本人のタイミングでケアを受けることが必要だと思います。そうなりますと、やっぱり令和8年度以降も継続実施が必要なものと見込まれますが、国にどのように要望していくのか伺います。
〇大坊復興推進課総括課長 ただいま心のケアの問題等、御指摘がございました。委員御指摘のとおり、ほぼほぼこの10年でハードは完成したわけでございますけれども、やはり残る中長期的な課題の中で大きなものは、この心のケアといったような部分と認識しております。
 国の第2期復興・創生期間は令和7年度まで向こう5年間になりますが、委員御指摘のとおり、令和8年度以降も見据えて対応する必要があると認識しております。
 したがいまして、復興大臣との会談あるいは意見交換、あるいは政府への予算提言・要望といった場におきまして、これまでも復興の取り組みとして、一律に期限を適用することなく、復興施策の進捗状況あるいは被災地の意見等を十分に踏まえまして、必要な事業及び制度を継続するとともに、必要な財源を確保するよう要望してきているところでございます。
 引き続き、被災地の復興がなし遂げられるように全力で取り組んでいくためにも、今後の政府予算編成に向けた要望の中に、引き続き必要な予算の確保についても国に働きかけていきたいと考えております。
〇高橋但馬委員 最後ですけれども、やはり大槻復興局長の強い思いが必要だと思います。その思いをぜひとも聞かせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
〇大槻復興局長 最近、10年ということでいろいろな報道番組で、当時被災された方が10年後の今、何をやっているのかということを特集でよく見せていただくのですけれども、やはり心の傷はなかなか癒えないだろうと思っています。また、保健福祉部の事業ではございますが、心のケアといいますか、その事業の中でも、このコロナ禍の中にあっても心のケアについての相談件数は余り落ちていない。あと、復興委員会の中で精神科の先生が委員になっておりますけれども、その方がおっしゃるには、PTSDというのでしょうか、こういったものは、時間がたつほど実は出てくる場合もあるというお話も伺っております。
 ですので、これからの復興については、ハードは確かにある程度形はできたのですけれども、ハードについては、いついつまでにつくるというのが一つの目標になりますが、心の問題というのは、被災者にある意味、いつまでも寄り添う、期限を設けずに寄り添う姿勢が大事だと思っておりますので、そういった部分を十分私ども心した上で対応させていただきたいと思っています。
〇岩渕誠委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。

午後6時13分 休 憩

午後6時32分 再 開

〇岩渕誠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇大坊復興推進課総括課長 先ほど伊藤勢至委員からお尋ねのございました国土調査、地籍調査の実施状況につきまして御報告申し上げたいと思います。
 令和2年度9月1日時点の沿岸12市町村で進捗率100%となっていない市町村を御紹介したいと思います。4市町村ございまして、釜石市が68%、大槌町が44.9%、山田町が47.7%、宮古市が42.7%となっております。その余の市町村につきましては、100%の進捗率となっております。
 よろしくお願いいたします。
〇岩渕誠委員長 質疑を続行いたします。
〇岩城元委員 それでは、何点か質問させていただきます。
 復興まちづくり支援事業についてでありますが、これは継続事業でございます。今回、新規で行われる事業として、沿岸地域起業者等成長支援事業というものがございます。こちらとの関連と内容を教えてください。
〇阿部まちづくり・産業再生課総括課長 まず、復興まちづくり支援事業の御説明をさせていただきますが、この事業につきましては、復興事業の円滑、迅速な実施のために、いわゆる復興整備計画、これは事業に必要な許認可の特例などの活用の際に作成が必要な計画でございますが、市町村がこの計画をつくることについて支援してきたほか、防災集団移転促進事業の移転元地の利活用の取り組み、あるいは復興交付金事業計画終了後に必要とされる実績評価の取り組みをこの復興まちづくり支援事業で支援してまいりまして、令和3年度においても、引き続き支援する予定でございます。
 他方、成長支援事業につきましては、沿岸地域で事業を立ち上げた方々に対する支援ということで、経営指導員を配置しまして、経営の指導であるとか、あるいは、いわゆるクラウドファンディングという形で新しい資金調達手段を、例えば商品の販売、マーケティングですとか、そういったものに使えるように御支援するという形になります。
 間接的ではありますけれども、例えば、移転元地の利活用促進の際に、地元の企業が新しい展開をしていくときに土地の活用があるかもしれないですとか、そういった地域経済の再生の際に、土地の利活用も一緒に図りながら、例とすれば、中心市街地の活性化のために成長支援事業で新しい商売を立ち上げた方が、その場所で御商売をすると跡地の利活用につながることもございましょうから、そのあたりは連携しながら進めてまいりたいという関係になっております。
〇岩城元委員 沿岸地域起業者等成長支援事業の中の事業内容に、復興まちづくりにあわせたという文言があったものですから、その関連性がどうなのかということでお聞きしました。
 新規事業者等に対する支援ということですが、これまでも、まちづくりにかかわってきたNPOだったり団体がいらっしゃると思うのですが、その方々に対する今後の支援はどうなりますか。
〇阿部まちづくり・産業再生課総括課長 先ほど委員から御紹介いただきました成長支援事業は、まさにクラウドファンディングを活用する者の一つとして、例えば、まちづくりに携わる方々が、新しいまちづくりのイベントを行うのか、あるいは何か新しい取り組みをするときにクラウドファンディングを使う際の御支援をするという事業になっております。その取り組みをする者が個人であるか、あるいは企業か、そこの中にはNPO法人という形も含まれるかと思いますので、そういった方々の御活動の中で、まちづくりにかかわるような新しい取り組みをしたいということであれば対象にもなります。
 あとは、最近ですと、地域の社会課題解決のようなものが新しいビジネスといいますか、陸前高田市で、市の事業でそこにかなり注力して行っている場合もありまして、その担い手としてNPO法人というものがあろうかと思いますので、この成長支援事業の中で配置する専門系指導員が、そういった方々に対して経営的な面で御支援をすることもあると思います。そのあたりは、支援の対象の一つには入っているという考えで進めたいと思います。
〇岩城元委員 そのようにやる気のある方々の取りこぼしがないように、きちんと支援いただければと思います。
 次に、あした行われます追悼式についてお伺いいたします。10年目の節目とは言いたくないですが、10年目ということで、追悼式の内容、規模、また情報発信等の考えがあるのか、お考えをお伺いいたします。
〇大坊復興推進課総括課長 追悼式の関係でございます。これまで、県と市町村の合同追悼式につきましては、沿岸の市町と協議いたしまして、平成24年から沿岸の市町村を持ち回りながら毎年度開催してきたところでございます。
 明日の3月11日、会場は陸前高田市となりますけれども、ここは、初回の合同追悼式を行った地でございまして、県民を挙げて犠牲者を慰霊、追悼するとともに、犠牲になられた方々のふるさとへの思いを受け継ぎまして、復興に向けた決意をより新たにする式典をしたいと考えております。
 追悼式の規模についてでございますが、県議会議員の皆様を初めといたしまして、御来賓約80名に御参加いただきまして、高田松原津波復興祈念公園会場を1カ所設けます。また、御遺族を中心に自由に献花いただく一本松ホール会場も設けまして、こちらの会場では、高田松原会場とリモートで結びまして、メーン会場の様子がしっかり市民の皆さんにも見えるしつらえにしております。お席は300席ほど用意している状況でございます。
 いずれにいたしましても、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策を徹底した上で、開催したいと考えております。
 また、内容につきましては、まずは、政府主催の追悼式がことしは国立劇場でしっかりと行われるということでございますので、こちらの中継を受けながら、黙祷、内閣総理大臣の式辞や天皇陛下のお言葉などもいただきまして、中継が終了した後に、知事、陸前高田市長による式辞でありますとか、御遺族代表などによる追悼の言葉、さらには、参加者によります献花をいただくという流れになっております。
 また、情報発信の話でございますけれども、この様子はインターネットでも中継したいと思っておりまして、会場に御参列いただけない方も、県のホームページから入っていただけるようなしつらえにしたいと考えております。
〇岩城元委員 いろいろなメディアを通して発信していただきたいと思っております。
 今回で10年ということですが、今後の追悼式はどういった形で考えておられるのかお伺いいたします。
〇大坊復興推進課総括課長 今後の追悼式でございます。
 まずは国の追悼式につきましては、昨年、当時の菅官房長官から、令和3年度以降は、その時々の諸情勢を見ながら判断していくというお話がありましたが、一昨日の3月8日になりますが、参議院の予算委員会で、今度は首相になられた菅内閣総理大臣から、来年度以降の追悼式の開催方法につきましては、どのような形がよいのか、地元と連携して検討するというような発言がございました。
 国からは開催に向けた明確な方向性は示されていないのでございますが、多くの方々に被災地に思いを寄せていただけることが非常に望ましいと考えておりますので、今後、国の動向をしっかり把握していきたいというのが一つございます。
 また、県の追悼式についてでございますけれども、3月11日というのは、やはり本県にとって復興の原点となります特別な日でございます。今定例会で制定されました東日本大震災津波を語り継ぐ日条例の趣旨も踏まえまして、県民一人一人が、大切な人に思いを寄せまして、犠牲になった方々のふるさとへの思いをしっかり受けとめることができるように、沿岸市町村の意向なども踏まえて十分に検討を進めてまいりたいと考えております。
〇岩城元委員 今、御紹介いただいた東日本大震災津波を語り継ぐ日条例のお話もありました。この趣旨に沿って、ぜひいろいろな形で検討いただいて、被災地に寄り添うような式をしていただければありがたいと思います。
 今お話しした条例についてでありますが、もう既に施行されておりますが、これに関連する事業なり行事といったものがあるのかどうかお知らせください。
〇大坊復興推進課総括課長 ただいま東日本大震災津波を語り継ぐ日条例に関する事業についてのお尋ねでございました。こちらにつきましては、条例自体が2月17日に成立いたしまして、一定の期間、周知期間がございます。その間、私どもとして、条例制定後初めての語り継ぐ日となるあしたの3月11日に向けまして、まず一つは、全戸配布のいわてグラフ3月号、これは3月1日の発行になりますけれども、こちらに条例の周知ということで記事を掲載しております。また、二つ目といたしましては、三陸鉄道と連携いたしまして、大切な人に思いを寄せるようなイメージをラッピングした列車をこの月曜日から走らせております。こちらにつきましては1年間ということで、来年度も引き続き運行するという形になっております。
 また、明日の3月11日の県と陸前高田市の合同追悼式でありますとか、各地の市町村の追悼式におきまして、大切な人にメッセージを寄せていただくようなメッセージボードを張り出しまして、メッセージをいただく中で、条例の趣旨に触れていただくというような事業も予定しております。
 令和3年度におきましても、引き続き同様の事業を行うこととしているのですが、やはり市町村とか民間団体とかの自発的な取り組みを巻き起こしていくのが、この条例では非常に重要なことだと思っていまして、3.11に向けてさまざまな関連イベントもございます。こういったものを私どもで集めて、発信することによりまして、いろいろな県民の方々が、それに参画し、語り継ぐ日条例をわかっていただく、そして盛り上げていただく、自発的な取り組みにつなげていただくということを来年度行いたいと考えております。よろしくお願いいたします。
〇岩城元委員 私もインターネットから印刷しましたが、大変かわいらしいラッピングの列車だなと思っていました。いずれ、今おっしゃったような形で、風化させない、語り継ぐということで、ぜひ御尽力いただきたいと思います。
〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇武田哲委員 私も当該委員なのですが、今回、慰霊祭が行われるに当たって、沿岸部に出席しようか内陸部に出席しようかとさまざま悩みました。その中で、内陸で行われる10年目の慰霊祭、沿岸部から越してこられた方、そして、そういった方々には、内陸部の人たちにはきちんと連絡しているのかと。内陸で開催される慰霊祭について。そうしたら、一切連絡していませんというようなところもありました。
 沿岸で暮らしている方、内陸部で暮らしている方、そういったところの配慮が今後必要になってくるかと。私は、せっかく条例も制定した中で、各自治体の取り組みをというところも条例の内容に組み込んできたはずです。しかし、それがなかなかうまく生かされていないような印象を持ったのですが、その点についてはどのようにお考えなのかお伺いいたします。
〇大槻復興局長 追悼式そのものについてのこれまでの各御遺族とかに対する御連絡というのは、基本的に市町村マターでやっていた部分もあったものですから、そういった部分もあったかと思います。
 今回、条例の制定もされまして、3月11日がこれまで以上に特別な日という形になりました。特に県内でも盛岡市などにはかなりの方がお住みになっている。本県の特徴として、県外は余りいらっしゃらないのですけれども、県内の内陸のほうに住んでいらっしゃる方が結構いらっしゃるということもございますので、そういった意味では、各市町村と連携がとりやすい話でもございます。
 盛岡市などでも、ある程度、災害公営住宅のところに番屋というものをつくったりして、そういうお世話を今後もしていくという話もございますので、その辺と十分連携をとって、この条例の周知も含めまして、そこら辺も目を配っていきたいと考えております。
〇武田哲委員 内陸部で暮らしている方々も同じように被災者です。そういったところにもしっかりと、主役といいますか、誰のために行っていくのか、誰とともにこの復興を進めていくのかという点で、そういったところにもしっかり気配りを行いながら進めていくことも大切かと思っております。
〇佐々木朋和委員 私から、いわての学び希望基金について伺いたいと思います。
 震災後、本県では被災地の中で最も早く事業化をして以来、今日に至るまで、県内外、世界から102億7、688万8、000円に及ぶ寄附金をいただいておりまして、感謝申し上げたいと思います。この事業は、主に震災遺児、孤児の修学支援を目的としていたわけでありますけれども、その資金が間に合うぐらいに集まって、金額も増加し、また、資金が集まったために、目的に沿う中であっても、事業を大学院修了までに広げて行ってきたと認識しておりますが、先日の高橋但馬委員の質問の中で、必要予算が69億円で、残が67億円ということで2億円の不足ということがありましたけれども、これはどういうことか、詳細を説明いただきたいと思います。
〇大坊復興推進課総括課長 ただいま、いわての学び希望基金についてのお尋ねでございました。先日、高橋但馬委員の質問に御答弁させていただきましたが、令和2年度の基金の残高につきましては約67億2、000万円と見込んでおります。一方、今後見込まれる活用額につきましては、遺児、孤児の奨学金給付や教科書等の購入費、あるいは通学定期の購入費補助といったものを合わせまして69億6、000万円となっておりまして、この時点では2億円ほど不足というような形に見えますけれども、今後の寄附も見込まれるところでございまして、現在の基金残高と今後の寄附による積立額の約9割が、活用が見込まれる事業、先ほど申し上げました現行の事業を中心とした69億6、000万円となりますが、こちらに充てられるとの試算でございます。
〇佐々木朋和委員 見込みというのは、ふるさと納税を見れば2、500万円ぐらいですけれども、恐らくそれ以外のところからということですが、毎年どのぐらいを見込んでいるものですか。
〇大坊復興推進課総括課長 今後の寄附の見込みといった部分でございますが、この学び基金につきましては、多く方々の善意に支えられていることもございまして、しっかりと今後の見込みを捉えるのはなかなか難しいところではございますけれども、一つはことし、令和2年度、もうあと1カ月を残すのみですが、寄附の見込みが2億3、000万円ほどになっております。こちらを見まして、私どもでシミュレーションするに当たりましては、これをベースに、向こう5年、令和3年から令和7年度まで2億円ずつ見込んでおります。令和8年度以降は、こちらもまた見通しがなかなか立たないものですから、その時点になりましたら、またシミュレーションを行うというような形で運用させていただいております。
〇佐々木朋和委員 69億円の中には、大学院修了までということで、必ずしも皆さん大学院まで行かない部分も当て込んでということなので、恐らく大丈夫だろうとは思うのですけれども、令和3年度の事業一覧を見ますと8億1、000万円の予算化をしているわけであります。今の話でいくと、その9割はコアな事業にというようにも聞き取れたのですが、一方で、そうではないのではないかという事業も並んでいる中で、この8億1、500万円ぐらいですが、先ほど言っていただいたコアの部分の事業と、あと、それに関連する事業をもし区分けするとすれば、どのぐらいの対比にこれはなっているのですか。
〇大坊復興推進課総括課長 対比ということで申しますと、今後の見込み額の中での対比になりますけれども、コアの部分になりますと、奨学金給付が今後13億円ほど見込まれます。また、これもコアな部分になりますけれども、教科書の購入費もコア事業と見ています。これが7億円ということで、20億円ほどがコアな事業かと考えております。
 あと、運動部の活動や文化活動といったものの支援にも充てておりますし、三陸鉄道とかバスの定期券の購入補助といったものも見込んでおります。これは学びを支える暮らしの部分ということで関連する部分かと思っておりまして、コアな部分が20億円ということでありますので、その余の部分は49億円ぐらいを今後見込んでいるという形になります。
〇佐々木朋和委員 では、そういったコアな部分と、あと付随する部分を含めて69億円という試算だということなのですか。了解しました。
 その中で、来年度の事業予算案も見てみますと、例えば奨学事業を行う実施主体である公益財団法人の運営費にも支出するということで、基金からほかの奨学金を出す運営費を出すというのはどういうことなのだろうという思いもしてしまいます。
 また、これから被災地においては、さまざまな運動施設等もでき上がってきて、バスの借り上げとかというものもなくなってくるのだろうと。そうしたときに、今後のいわての学び希望基金についても、そういった意味でだんだん事業の中で予算が確保されつつある中で、震災から10年、このまま同じスキームの中で寄附をいただきながら事業をしていっていいものかという感じもしてくるところです。
 また、午前中、ふるさと納税について小野委員がおっしゃっていましたけれども、県としても、震災当初は、ふるさと納税額がの全国でもトップだったと思います。その大きな要因は、いわての学び希望基金が何億円という部分があったからですけれども、今はこれが2、500万円ぐらいになって全体の3分の1を占めると。割合の中では多いのですけれども、ほかの事業についてはなかなか伸びていないという状況もあります。これをふるさと納税として続けてもいいのかという観点からも、二重で私は疑問があります。
 そういった中で、震災から10年の中で、いわての学び希望基金の再設定や新たな展開も模索するべき時期に来ているのではないかとも思うわけでありますが、所見を伺いたいと思います。
〇大坊復興推進課総括課長 ただいまいわての学び希望基金の新たな展開といったお話もございました。この基金、そもそもは、繰り返しになりますが、東日本大震災津波によりまして大きな被害を受けた子供たちの修学の支援、教育の充実のために、御寄附いただいた方々の御意向などに沿いまして平成23年度にいち早く立ち上げた基金でございます。
 今後、これをどう使うかといった部分につきましては、やはり御寄附いただいた方々の御意向を十分に尊重することが大切かとは思っておりますが、委員御指摘のとおり、被災地のニーズでありますとか環境は刻々と変わっておりますので、今ある事業を未来永劫ということではなくて、やはりニーズであるとか環境に合わせて真に必要な事業にこれを充てていくというのは、御寄附いただいた方々の御意向にも沿うものと考えております。しっかりと引き続きそういった事業に有効活用させていただきたいと思っております。
 また、ふるさと納税の話もございましたが、やはり多くの善意を集めるという趣旨にのっとれば、いろいろな手段で御寄附いただける手段があったほうが、これは一つ、御寄附いただく方々も利便性が高いかと思っておりますので、そこら辺は、ふるさと納税の周知の仕方も含めて、関係部とも相談しながら運用してまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。
〇佐々木朋和委員 善意の御寄附、また、もともと遺児、孤児の修学支援で始まったからこそ、やはり用途が縛られていることは仕方がないというか、それは当たり前のことだと思います。だからこそ、今、資金のめどが大体ついたところで、私は、新たな目標設定、目標をプラスすることによって、今まで学び希望基金にいただいた方に継続的に支援をいただきながら、少し用途を広げるような形も可能ではないかというような思いで提案させていただいているところでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは次に、東日本大震災津波伝承館について伺いたいと思います。
 こちらは、千葉盛委員が質問で取り上げていらっしゃいましたけれども、東日本大震災津波伝承館を訪れる方が、何度もこの議会でもほかの伝承施設への周遊については課題として挙げられながら、なかなか改善されないということがありました。また、もう一つ、今回、千葉盛委員の質問の中で、東日本大震災津波伝承館を訪れる人の半数が観光地の周遊を望んでいるという話もございました。
 私は、そうであれば、伝承施設の中に三陸DMOセンターのサテライトを置くなどして、着地型観光への取り組みを現地で展開するべきではないかと思います。そのぐらいやらないと、なかなかほかの伝承施設への周遊あるいはまた県内の周遊につながらないのではないかと。現地にそういった観光の人材がいれば、また違ったヒントもあり、今後につながってくるのではないかという思いで提案させていただきますが、復興局としての所見を伺って、終わりたいと思います。
〇熊谷副局長兼震災津波伝承課総括課長 東日本大震災津波伝承館からの周遊の促進についてでございますが、東日本大震災津波伝承館は、開館から1年半が経過しまして、震災学習あるいは防災学習の学びの場として、また、着地型観光の地域資源の一つとしても活用が進んできているものと考えております。
 来年度は、近隣の震災遺構である気仙中学校とタピック45の公開、あるいは県立野外活動センターの開所が予定されており、学校関係者との連携を図ることで、教育旅行等の誘致がさらに期待できるものと考えております。
 4月からは東北デスティネーションキャンペーンが始まりますので、県内の他の震災伝承施設や観光関係者と連携して、三陸の自然や食、伝承館と震災遺構を組み入れた復興ツーリズムの推進など、沿岸はもとより、県内各地域への周遊を促す取り組みも進めていきたいと思います。
 また、東日本大震災津波伝承館の事業運営に関しまして、各分野の有識者から御意見をいただくため設置しております東日本大震災津波伝承館運営協議会には、公益財団法人さんりく基金三陸DMOセンターに委員として参画していただいておりますし、今後は、東日本大震災津波伝承館のゲートウエー機能の強化をまさにしていく必要がありますので、沿岸4カ所―これは大船渡も含みますけれども―の三陸DMOセンターのサテライトに配置しております観光地域づくりコーディネーターの方とも連携しながら、そういった観光分野の専門家とも連携を強めて、取り組みのさらなる充実を図っていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは、東日本大震災津波から丸10年を迎える被災者の状況について質問したいと思います。
 きょうは2月末の被災者の状況という資料をいただきました。2月末の県内在宅というのが779世帯1、532人となっていますが、この実態をどう把握しているでしょうか。
〇佐藤生活再建課総括課長 県内在宅とありますのは、内陸への避難をされている方のことでございますけれども、その方につきましては、避難先の居住市町村からの報告により把握しているところでございます。親類宅とか賃貸住宅等に入居する方、あるいは内陸に自宅を再建された方など、令和3年2月末現在で779世帯1、532人が被災地から内陸に避難されていると把握しているところでございます。
〇斉藤信委員 例えば、その中での自立再建とか民間アパートとか、そういう内訳はわからないのですか。
〇佐藤生活再建課総括課長 申しわけありません、そこまでの統計はとっていないところでございます。
〇斉藤信委員 ぜひ、実態を正確に把握していただきたい。
 被災者の状況の中で、県外に移動している被災者が472人となっています。これは、基本的には岩手県に戻る意思のある方々と聞いていますが、この状況をどう把握しているでしょうか。
〇佐藤生活再建課総括課長 県外へ避難されている方の数につきましては、避難された方が避難先の自治体に届け出た情報、それから昨年度行いました避難者実態調査等により把握しているところでございます。令和3年2月末現在で472人となっております。
 令和元年度に県外及び県内市町村に避難している方々の帰郷希望の有無を確認するため、県外及び県内避難者実態調査を行ったところ、回答いただけなかった世帯もあったことから、来年度改めて実態調査を行いまして、避難者の状況を把握して、ふるさとへの帰還意思を確認した上、帰還への支援など、避難者のニーズに応じた支援を引き続き行ってまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 この他県に移動した472人というのは、基本的には県内に住民票がある、そして岩手県に戻る意思がある、こういうことでいいのですね。
〇佐藤生活再建課総括課長 住民票につきましては県内に残したままと考えておりますけれども、必ずしも472人全員が帰郷の意思があるとは確認できていないところもございます。それもありますので、来年度、実態調査を改めてやらせていただきたいと思っております。
〇斉藤信委員 内陸被災者支援センターが、これまで県外のこういう被災者を含めて、直接訪問したり面談したり、私は意向をしっかりつかんでいるのだと思うのですけれども、内陸被災者支援センターの取り組みはどうなっていますか。
〇佐藤生活再建課総括課長 平成28年5月に設置しました、いわて内陸避難者支援センターでは、内陸及び県外に避難されている方の住宅再建に係る意向の把握、それから相談対応等を行うほか、恒久的な住宅に移行した後においても、課題を抱える被災者の方々の支援を行ってきたところでございます。令和3年2月末までの間で、延べ7、587人、それから1万2、716件の相談に対応したところでございます。
〇斉藤信委員 内陸被災者支援センターが令和2年度も812人の相談を受けているわけで、先ほど実態はわからないと。内陸被災者支援センターは、基本的に今年度末までですね。来年度の調査はどこがやるのですか。
〇佐藤生活再建課総括課長 来年度行います避難者の実態調査につきましては、今回、議会にお願いしております(仮称)いわて被災者支援センターで引き続きやることで考えております。
〇斉藤信委員 いわて内陸被災者支援センターは5年にわたってですか、他県に避難した方々を直接訪問するなど、かなりきめ細かい支援と相談をやってきたと。これは大変膨大な資料だと思うので、これをしっかり受け継いで、来年度の新たな被災者支援センターにつないでいただきたい。
 次に、災害公営住宅のコミュニティーの確立についてお聞きいたします。
 2月末段階で災害公営住宅には5、249世帯9、252人が入居しています。65歳以上の高齢者、高齢者1人世帯の状況をどう把握しているでしょうか。
〇佐藤生活再建課総括課長 災害公営住宅の65歳以上の高齢者及び高齢者1人世帯についてでございますけれども、把握している直近の数字でございますと、令和2年12月末現在で災害公営住宅に入居している9、145人のうち、65歳以上の高齢者の数は4、071人となります。
 また、災害公営住宅に入居されている5、184世帯のうち、65歳以上の高齢者を含む世帯が3、153世帯、そのうち高齢者のひとり暮らしの世帯は1、743世帯となっております。
〇斉藤信委員 そうすると、これは12月末段階で、65歳以上4、071人、そして、ひとり暮らし世帯は3、153世帯だけれども、高齢者のひとり暮らし世帯は1、704世帯ということですか。
〇佐藤生活再建課総括課長 1、743世帯ということになります。
〇斉藤信委員 今まで、高齢者のひとり暮らし世帯が約3分の1を占めると。そうすると、今の話とちょっと違ってきますね。ひとり暮らし世帯は3割を占めるけれども、高齢者世帯はそうではないということですか。
〇佐藤生活再建課総括課長 入居世帯が5、184世帯で、そのうちの3割の1、743世帯がひとり暮らしの高齢者の方ということになります。
〇斉藤信委員 では、3、153世帯というのは何の世帯ですか。
〇佐藤生活再建課総括課長 3、153世帯は65歳以上の高齢者の方の世帯ということになりますので、60%ちょっとということになります。
〇斉藤信委員 わかりました。
 それで、災害公営住宅のコミュニティーの確立が大変重要な課題であり、高田一郎議員も本会議でこの問題を取り上げました。災害公営住宅の集会所の活用状況を復興局は把握しているでしょうか。
〇佐藤生活再建課総括課長 災害公営住宅の集会所の活用状況につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響もございまして利用を控える傾向にございましたけれども、昨年12月末時点の集会所の利用回数は、感染症対策を講じながら、多いところでは月20回を超えるなど、感染拡大以前の水準に戻りつつあると把握しております。
〇斉藤信委員 それは全然実態を把握していることにならないのです。12月末段階まで月に1回から2回しか集会所が活用されていないのが17、これは県営住宅でですよ。月に1回から2回ということは、ほとんど閉まっているということですよ。
 20回のところはどこかといいますと、支援員が配置されているところです。だから、生活支援相談員が集会所に配置されて、いつでも入居者が来られるようになっているところは20回利用されているのです。
 だから、この集会所に生活支援相談員をしっかり配置して、災害公営住宅のコミュニティーの確立に今取り組まなかったら、本当にコミュニティーのない、すさんだ高齢者住宅になってしまう。そういう認識はありますか。
〇佐藤生活再建課総括課長 集会所につきましては、委員がおっしゃるとおり、住民同士の交流を促進する場として非常に大事なものとは考えております。ここの活用の促進が、新しいコミュニティーの形成につながると考えております。
 また、一方で、必ずしも集会所だけではなくて、例えば屋外でラジオ体操を週1回やっているとか、そういういろいろな形のコミュニティーのつくり方というか集まり方も、いろいろなところで工夫されているようですので、そういったものも含めて進めていきたいと思っております。
〇斉藤信委員 私が集会所の問題を何で繰り返し取り上げるかと言いますと、阪神・淡路大震災で、復興住宅で20年余で2、000人を超える孤独死を出したのです。その教訓から、災害公営住宅には集会所、支援員の事務室が設置されたのです。集会所とはそういう意味なのです。ところが、それを今聞いたら、圧倒的に鍵が閉まっていて使われていない、使われているところは生活支援相談員が配置されているところだと、このぐらいはっきり違いが出ているわけです。
 集会所への支援員の配置は、復興局と保健福祉部と県土整備部の3部局にまたがります。だからこそ、よく連携をして、そして第2期復興・創生期間はあと5年ですよ。私は、この5年の中で、本当に入居者自体でコミュニティーがつくられるような支援を今やらなかったら大変なことになると。そういう意気込みで、復興局長、私は、今こそ本気で災害公営住宅のコミュニティーの確立に、県が、行政が本気になって取り組むべきだと思いますけれども、いかがですか。
〇大槻復興局長 災害公営住宅における集会所の関係でございますけれども、委員がおっしゃるとおり、実際に支援員がいるところが利用されているというのは、そのとおりだと思います。ただ、市町村によっては、災害公営住宅の近隣の空き家を活用する例もあるということで、そちらのほうが、人が集まる場所になっているという場所があるとは思っています。
 ただ、結局どういう形でそこのコミュニティーをつくっていくかが大事な話だと思っておりまして、特に、コミュニティーづくりには、生活支援員の個別での対応のほかに、そこの住民を巻き込んだ上での実際の行事とかをやってコミュニティーをつくっていく、この両輪が必要と考えております。
 予算的には、例えば保健福祉部関連の予算があったり、復興局の予算があったり、県土整備部の予算があったりという格好になっているのですけれども、この辺を十分に調整をとりまして、そこの地域にコミュニティーができるような方策、それがどうしたらいいのかということを十分協議させていただいて、集会所がせっかくあるのにあいているのはもったいないという部分もございますので、十分活用してもらうような格好で取り組みをさせていただきたいと思っています。
〇斉藤信委員 阪神・淡路大震災の教訓をもう少し学んでほしいけれども。例えば神戸市では、10年たってから復興住宅に支援員を配置しているのです。それから10年以上。わかりますか。その教訓で集会所はつくられたのです。
 だから、災害公営住宅にとって集会所がどういう役割を果たすかというと、町内会でいけば公民館。公民館が閉まっているようなものなのです。それはもう自治がないということなのです。そういうことをしっかり受けとめてやっていただきたい。
 最後に、なりわい再生の問題についてお聞きいたします。
 水産加工業への支援のこれまでの実績と来年度の取り組みを示してください。三陸なりわい創出支援事業、これは今年度で終了するという話のようですが、若者や女性等の起業、創業を支える実績と、私は、こういう取り組みこそ継続すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇阿部まちづくり・産業再生課総括課長 お尋ねが二つございました。まず、水産加工業のこれまでの実績等についてでございますが、県では、水産加工業の復興に向けまして、設備投資、人材不足対策、商品開発、さまざま取り組んでまいりました。
 その中で、復興局では、人材不足の解消に向けた支援を行っておりまして、地域基幹産業人材確保支援事業によりまして、水産加工事業者が行う従業員向け宿舎の整備、職場環境の改善等に対しまして、市町村を通じて補助金を交付しております。
 平成27年度から令和元年度まで、延べ22社に対して8、100万円余、約180名の雇用創出につながっております。
 また、水産加工・障がい福祉マッチング事業によりまして、5件のマッチングを行い、水産加工事業者における障がい者の就労拡大を推進しております。
 また、今年度につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた水産加工事業者に対する支援策といたしまして、経営戦略の見直しを図るための専門家派遣、販路開拓を支援するオンライン商談会などを開催いたしました。専門家派遣につきましては、12社が活用を希望しておりまして、現在調整しておりますとともに、オンライン商談会には10社が参加し、活発な商談が交わされたところでございます。
 来年度につきましては、引き続き、人材不足対策を市町村とともに支援するほか、水産加工業と障がい福祉の連携を進めてまいります。
 また、水産加工事業者に対するヒアリングをきめ細かく行いながら、復興庁、関連部局と連携を図り、オンライン商談会で得られた成果も生かしながら、各社の課題に応じた取り組みを行ってまいります。
 また、さんりくなりわい創出支援事業でございますけれども、これは令和元年度から実施しておりまして、事業計画の策定支援、起業、新事業に対する補助、クラウドファンディングの活用支援などを行っております。
 このうち起業、新事業に対する費用に係る補助でございますが、平成25年度から同様の事業を行っておりまして、平成25年度から今年度までの8年間で164者に対して補助金を交付しており、このうち約半分に当たる86者が、若者あるいは女性の方となっております。
 被災市町村のまちづくりが進みます中で、今後は、それらで立ち上がりました事業者の方々が、地域経済活性化の担い手となりますよう、事業の継続と成長を重点的に支援していきたいという考えで、令和3年度は新事業といたしまして、沿岸地域起業者等成長支援事業を実施いたします。
 具体的には、岩手県商工会連合会の専門経営指導員を配置いたしまして、沿岸地域での起業、新事業に取り組む方に対して経営指導を行います。また、新たな事業展開を行う方々に対して、専門家の派遣などで御支援は継続してまいります。
 また、先ほどの答弁と重なりますけれども、クラウドファンディングを活用しまして、例えば、事業者の方が新商品を販売し、マーケティングを行う、新商品の販路開拓をするというものにもクラウドファンディングを使えます。また、まちづくり会社の中心市街地活性化の取り組みについても、クラウドファンディングを使えるような支援を行ってまいります。
 これらの取り組みに加えまして、これから起業、創業に取り組もうとする方については、商工団体を通じまして、先輩の起業者の方のお話を紹介して、計画づくりあるいは人脈づくりをサポートいたします。
 また……
〇岩渕誠委員長 答弁は簡潔に願います。
〇阿部まちづくり・産業再生課総括課長(続) 多くの市町村で設けております補助制度を初めとする支援制度の活用を図りながら、事業の立ち上げを支援してまいります。
〇上原康樹委員 大槻局長の御説明の最初に、震災資料の保存という話が出てきました。私の質問は、その事業についてでございます。
 事業の説明にはこうあります。東日本大震災津波の事実を踏まえた教訓を今後の国内外の防災活動などに生かすため、いわて震災津波アーカイブ〜希望〜に記録を蓄積するとともに、その活用を促進するというもので、550万円が計上されています。これは平成29年3月30日にインターネット上に公開されております。公開から間もなく4年が経過しようとしているわけですが、閲覧者はふえておりますか。
〇大坊復興推進課総括課長 ただいま震災津波アーカイブの閲覧者のお話をいただきました。この閲覧者につきましては、平成29年に開設いたしまして、その当初は通年で16万アクセスございました。そのまま推移しまして、平成30年度に国立国会図書館と、あとハーバード大学のアーカイブと連携しましたら、やはり飛躍的にふえまして、令和元年度におきましては22万5、000アクセスとなっております。ですから、8万アクセスぐらい増加しているということでございまして、本年度も2月までで20万アクセスが来ていますので、かなり御活用いただいているかと考えております。
〇上原康樹委員 活用されているのですね。20万点を超える資料でスタートしたわけですが、あれからさらにこの点数はぐっと上がったのではないでしょうか。どのぐらいの資料、点数かお示しください。
〇大坊復興推進課総括課長 ただいまの資料の収集点数でございますけれども、令和3年3月1日現在で、全体で23万7、549点となっております。
 内訳的な部分を御紹介いたしますと、被災地の被災状況あるいは震災前の画像データが一番多くて22万4、000点余りでございます。約9割は画像データということになります。そのほかに、行政文書などもこちらに保存しておりまして1万4、000点。さらには、津波の映像あるいは自衛隊による支援の様子、こういった動画が400点。さらには、県の復興関係の会議をこれまで開いてきましたが、これの音声記録が30点ほどとなっております。
〇上原康樹委員 やはり圧倒的に画像あるいは動画などに関心が多いのですね。そして、多くのものが残っているのですね。とりわけ放送局の倉庫にはとんでもない量の映像が眠っているのですね。この放送局の映像資料は、話し合いで提供していただくと言えるようなものでしょうか。
〇大坊復興推進課総括課長 ただいま御指摘がございました、あした3.11、10年目を迎えるに当たりまして、テレビ局でさまざまな特集を組んでおりまして、やはり画像がかなり出てきております。その中で、放送局間での共有といいますか、そういうものが一部進んでいるやには聞いております。
 私どもといたしましても、このアーカイブにもう一歩進んでいただきまして、放送局以外の私どものような公的なアーカイブにもいただけないかというのは一つのアイデアとしております。こういったところは、今、委員の御指摘もございましたので、広く収集するという観点から、今後検討していきたいと考えております。
〇上原康樹委員 今の話に関連して、放送局の映像資料をぜひうちの資料に加えたいというようなときに、権利という問題をクリアしなければいけないですね。権利処理。この処理にはいっぱいありまして、著作権、人格権、商標権、意匠権、所有権、まあたくさんあるわけです。これは苦労されているのではないかと思うのです。実際の現場の感覚として、こういう交渉事はどうでしょうか。
〇大坊復興推進課総括課長 実際の資料の収集に当たりましては、まず、公的なセクター、市町村でありますとか県庁の中のそういった記録を集めるという部分で構築しております。そういった意味では、今お話のあった著作権というのは、余り当たりが出ないと。
 やはり問題になりますのは民間保有のものでございまして、そちらにつきましては、正直申しまして、やはり著作権の問題もあるし、利用するに当たっては、一定のお金というかをお支払いする必要もありまして、具体的なことはお話しできませんが、あるメディアからは、お金をお支払いして収集しているものも若干ございます。
 繰り返しになりますが、先ほど言ったように、公的セクターのアーカイブでございますので、できればそういったところもクリアして、幅広く画像なりをいただければいいなとは考えております。
〇上原康樹委員 やっぱりこの事業は特別な事業だと思うのです。その辺は、普通の御商売の権利の話とは違うのだ、ぜひ御協力をお願いしますと広く社会的にまたもう一度発信していくことが重要だと思います。御検討をお願いしたいと思います。
 さて、利用者が調べるテーマにうまく対応して差し上げる、そういう仕組みや工夫も重要だと思うのです。膨大な資料が、記録がアトランダムに出てくるだけでは、なかなかそれを自分の調べようとしているテーマにうまく取り込めるルートが見つからない場合があると思います。とにかく大学の研究者から小学校の低学年のテーマ研究まで、実に幅は広いと思うのですが、県として、その膨大な資料、記録の水先案内人の役割を担う仕組みをつくらなければいけないというお考えはないですか。
〇大坊復興推進課総括課長 ただいまアーカイブの探し方というか検索の話がございました。二つお話を申し上げたいと思います。一つは、システムそのものの検索の体制でございます。やはり24万点ということでございますので、まず、入り口の部分でわかりやすくということで、六つぐらいのテーマで、そなえ、あるいは結いの力、支援から絆へ、配慮が必要な人へ、前例なき対応、ふるさといわて三陸というようなカテゴライズをいたしまして、そちらから入って検索をかけていく、そういった使いやすさを組み込んでいるということでありまして、まだまだ膨大な数なものですから、ここは一層工夫していきたいと思います。
 もう一つは、水先案内人というお話ですが、やはりこれは復興教育に非常に活用されております。そういった意味では、先生方が水先案内人になると思っておりまして、例えば、2月10日に花巻市で小中学校の先生方が集まる会合がございまして、私どもから、1コマをもらってアーカイブ活用について御説明してまいりました。そういったことでございまして、先生方も十分にこのアーカイブの使い方を熟知して授業に使ってもらう、こういう取り組みを引き続きしっかりやっていきたいと思います。
〇上原康樹委員 令和3年度の具体的な活動計画がありましたら教えてください。
〇大坊復興推進課総括課長 令和3年度でございます。本年度も行っていることですが、このアーカイブにつきましては、主に三つの柱で御活用いただいています。一つ目は、復興教育に使われていますし、二つ目といたしましては、各種調査、研究に使われている。三つ目につきましては、県民の皆さんによります防災、復興に関する自主的な取り組み、例えば町内会での企画展みたいなものに使われているといったものもございます。こういったものに御活用いただけるように、さまざまな機会を通じまして私どもPRしておりますけれども、こういったものも来年度も引き続きやっていきたいと思います。
 特に、来年は11月にぼうさいこくたいという関係者が一堂に集まる機会もございますので、こういったところで御紹介する、あるいは我々のアーカイブから企画展示を行うみたいなことをやりまして、広く内外に使っていただけるような取り組みをしていきたいと思っております。
〇上原康樹委員 御丁寧にありがとうございました。ストックされた震災資料を眠らせることなく利用していただくということは、あの日を風化させない、その日々を大切に守っていくことになると思います。この事業を成長させていただくことをお願いして、終わります。
〇岩渕誠委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩渕誠委員長 質疑がないようでありますので、これで復興局関係の質疑を終わります。
 復興局の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後7時33分 散 会

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