令和3年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和3年3月9日(火)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
議事管理担当課長 藤 枝   修
主任主査 千 葉 絵 理
主任主査 糠 森 教 雄
主査 鈴 木   忍
主査 阿 部 真 人
主査 赤 坂 宏 紀
主査 鈴 木 貴 博
1 説 明 員
知事 達 増 拓 也
副知事 保   和 衛
副知事 菊 池   哲

企画理事兼
環境生活部長 藤 澤 敦 子

政策企画部長 八重樫 幸 治

ふるさと振興部長 佐々木   淳

保健福祉部長 野 原   勝

復興局長 大 槻 英 毅

ILC推進局長 高 橋 勝 重

議会事務局長 南   敏 幸
次長 八重樫 浩 文
参事兼
総務課総括課長 伊 勢   貴
政策調査課長 大 坊 真紀子

総務部長 白 水 伸 英
理事兼副部長兼
総務室長 千 葉 幸 也
総合防災室長 藤 澤   修
参事兼
人事課総括課長 村 上 宏 治
参事兼
財政課総括課長 小 原 重 幸
総務室管理課長 大 森 健 一
法務・情報公開課長 戸 田   新
職員育成監 内 城   仁
行政経営推進課
総括課長 西 野 文 香
税務課総括課長 奥 寺 敦 哉
管財課総括課長 平 野 信 二
特命参事兼
防災危機管理監 西 島   敦
防災消防課長 坂 本 伸 一
総務事務
センター所長 佐 藤 益 子

会計管理者兼
出納局長 永 井 榮 一
副局長兼
総務課総括課長 藤 澤 良 志
入札課長 佐々木 一 弘
会計課総括課長兼会計指導監 大 塚 貴 弘
審査課長 大 崎 誠 幸

人事委員会
事務局長 今 野 秀 一
職員課総括課長 高 橋 雅 彦

監査委員事務局長 小 畑   真
参事兼監査第一課
総括課長 小 守 健 一
監査第二課
総括課長 佐々木 昭 司
〇岩渕誠委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第26号から議案第30号まで、議案第33号、議案第35号、議案第37号から議案第39号まで、及び議案第42号の以上31件を一括議題といたします。
 本日は、昨日に引き続き、総括質疑を行った後、議会、総務部、出納局、人事委員会及び監査委員関係の質疑を終わるよう進行したいと思いますので、委員各位の御協力をお願いいたします。
 これより、昨日に引き続き、総括説明に対する総括質疑を行います。千田美津子委員。
〔千田美津子委員質問者席に着く〕(拍手)
〇千田美津子委員 日本共産党の千田美津子です。会派を代表し質問いたします。
 まず最初に、ジェンダー平等社会の実現について質問いたします。
 ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関である国連ウィメンは、コロナ危機の経済的影響が弱い立場にある女性に重くのしかかっていると指摘しています。さらに、女性の貧困は子供の貧困でもあります。学校給食だけがまともな御飯という子供たちや、高過ぎる学費のもと生活費のためにアルバイトを余儀なくされている学生、年金を補うために働かざるを得ない高齢者の貧困も深刻です。
 厚生労働大臣の指定を受けて自殺対策の調査研究を行っている、いのち支える自殺対策推進センターの分析では、経済的支援を行うことで自死の増加を抑制する可能性が指摘されています。
 このように、コロナ禍において困難を抱えている方々が、現状では潜在化しているのではないかと思いますが、県では、支援を必要とされる方をどのように把握され、支援につなげていこうとしているのか、お聞きいたします。
〇達増知事 新型コロナウイルス感染症の流行が長期化していることにより、経済的な打撃を受けた県民の皆様に対し、県では、これまで、関係機関と連携し、生活福祉資金の貸し付け、ひとり親世帯への臨時特別給付金や住居確保給付金の支給などにより、生活の下支えに取り組んでまいりました。
 一方で、このような支援制度の利用につながらず潜在化している方々については、支援の情報が行き届いていない、または、みずから支援を求めることが困難な状態にあると考えられますことから、地域の民生児童委員や民間の支援団体、福祉、教育、税務、住宅等の窓口において、支援が必要な方を把握した場合には、支援情報を提供するとともに、生活困窮者自立相談支援機関等の相談窓口へ確実につなぐ取り組みが重要であります。
 このため、県では、こうした方々の情報を関係機関が共有し、早期発見や迅速な支援の開始につなげるため、生活困窮者自立支援法に基づき、町村部を所管する県や市が設置する支援会議の取り組みを各地域においてさらに進めるなど、地域における関係機関等の連携体制の強化を図り、さまざまな困難を抱えた方々に対する包括的な支援の充実に努めてまいります。
〇千田美津子委員 支援会議とかさまざまな形で支援につなげるということで、ぜひこれは、潜在化していると思われますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、ひとり親家庭への新たな給付金の支給についてお聞きいたします。
 コロナ禍で、特に非正規労働者の雇用環境が悪化しており、子供の貧困が深刻化していると言われております。
 昨年11月、独立行政法人労働政策研究・研修機構が実施した新型コロナウイルス感染症のひとり親家庭への影響に関する緊急調査結果によれば、ひとり親世帯で生活が苦しいは約6割、直近1カ月間に必要な食料が買えないことがあったという答えは36%に上っています。貯蓄ゼロのひとり親世帯が24%。政府は、この調査に基づいて、年末にひとり親家庭に臨時給付を行いましたけれども、1世帯当たり5万円、子供が1人ふえるごとに3万円にとどまっております。平時でも貧困状態だったところにコロナ禍でさらに追い打ちがかけられている、深刻な状況があります。
 このようなひとり親家庭の状況について、知事はどう把握されているでしょうか。
 また、これらへの対応として、私は新たな給付金が必要だと考えますがいかがでしょうか。
 さらに、県としての支援も急務と考えますがいかがでしょうか。
〇達増知事 ひとり親家庭の状況については、広域振興局等に配置した母子父子自立支援員による相談や、市町村、母子福祉関係団体等を通じて、随時実態の把握に努めているところであります。
 これまで市町村等からは、就業などに関する相談が寄せられたと聞いているほか、さきに開催した母子福祉団体等で構成する岩手県ひとり親家庭等サポートネットワーク会議においては、保育サービスや子供の教育費などに関する相談が寄せられていると伺っているところであります。
 ひとり親家庭への給付金について、国では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、補正予算の編成等により、ひとり親世帯への臨時特別給付金を創設したところであり、昨年12月末現在、県及び市を通じて1万336世帯に支給し支援しているほか、県内18市町村において、国の臨時交付金等を活用し、独自の支援を行っているところであります。
 県としては、収入の減少など生活への影響を受けているひとり親家庭については、継続的に支援していく必要があると考えており、全国知事会を通じ、対策を講じるよう緊急提言を実施したところであります。
 今後も、引き続き、全国知事会と連携して、ひとり親家庭への継続的な支援など、将来世代等を応援するための対策について、国に働きかけてまいります。
〇千田美津子委員 知事も継続的な支援が必要だということで、全国知事会として要望してきているということですが、私は、それもそのとおりですけれども、やはり市町村窓口等への相談があった方だけではなく、積極的な調査が求められていると思うわけですが、その点、いかがでしょうか。
〇菊池副知事 委員御指摘のとおり、さまざまな場面において地域、地域で気づき、そして連絡し、連携して対応していくということが基本になっておりますので、例示的に窓口等の相談でわかった場合というお話をしましたが、常にアンテナを張って察知できるように、また、気軽に安心して相談できるような体制をつくっていく必要があると認識しているところでございます。
〇千田美津子委員 それでは次に移ります。雇用への影響についてお聞きいたします。
 厚生労働省は、3月1日、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関連する解雇や雇いどめは、見込みを含めて2月26日時点で累積9万185人になったことを明らかにしております。また、総務省の労働力調査によると、ことし1月の非正規雇用労働者は、前年同月比で91万人減少し、11カ月連続減少、女性の減少数は男性の倍以上となっています。
 新型コロナウイルス感染症の影響で雇用に大きな影響を受けた女性の26%が精神的に追い詰められたと回答しており、全国労働組合総連合の無料相談には、昨年の春は解雇や雇いどめの不安を訴える電話が多数寄せられましたが、秋になると死にたいという電話まであり、大変深刻な実態となっています。
 このような状況に対しどのようにお考えか、また県内の状況をどう把握されているでしょうか、お聞きいたします。
〇保副知事 まず、現状についてでございますけれども、今委員からお話のありました9万185人ということは、そのとおりでございます。これは全国の数字でありますので、これに対応する岩手県の数字で申し上げますと、722人でございます。岩手労働局によりますと、12月以降は伸びが鈍化している傾向にあるということでございます。
 今委員からお話のありましたとおり、非正規の方の状況というのは、大変重く受けとめたいと思います。
 県では、解雇や雇いどめとなった労働者の早期の再就職に向けて、これまでも各種の職業訓練も実施しておりますけれども、ジョブカフェいわて、あるいは県内9カ所に置いております地域ジョブカフェにおいて、カウンセリングやセミナーの開催等により、できるだけきめ細かな個別の支援を行っていきたいということでございます。
 また、11月以降は、県内2地区において離職者向けの企業面談会なども実施するなど、再就職の支援を強化しているところでございます。
 国の雇用調整助成金等の特例措置が4月30日まで延長になっておりますが、引き続き、関係機関と連携いたしまして、県内企業への活用を促して、非正規労働者を含む労働者の雇用の維持を図ってまいります。
 また、国に対しては、今後も必要に応じて、この特例措置のさらなる延長についても働きかけていく考えであります。
〇千田美津子委員 よろしくお願いいたします。
 次に、働くルールの確立、賃金格差の解消についてお聞きいたします。
 本県の非正規労働者の7割が女性であり、その多くを占めるパートタイムの労働者の賃金は、正規労働者の6割程度の水準にとどまっています。安く使えて首にしやすい非正規雇用を雇用の調整弁としてふやし、フリーランスを含めて無権利状態を広げてきました。女性活躍だ、多様で柔軟な働き方だと、大変聞こえのいい看板のもとで押しつけてきた雇用破壊の矛盾が、今、とりわけ女性に集中的にあらわれています。これらの解決のためには、格差と貧困を解消し、誰ひとり取り残さない社会の実現、SDGs実現が求められており、人間らしく働くことができる働くルールを確立することだと考えますが、知事はどのようにお考えでしょうか。
 また、常用雇用の労働者でも男女の賃金格差が存在しており、女性労働者の4割は年収200万円以下のワーキングプアとなっています。ジェンダー平等1位のアイスランドは2022年までに男女の賃金格差をゼロにしようと取り組んでおりますが、世界121位の日本は、全くやる気がないとしか私には思えません。この状況について知事はどうお考えでしょうか。また、県内の状況についてどう把握されておられるか、お聞きいたします。
〇達増知事 労働条件は、労働基準法や男女雇用機会均等法の趣旨を尊重し、労働者が人間として価値ある生活を営むための必要を満たし、男女の均等な機会及び待遇の確保が図られたものでなければならないと認識しております。
 同一労働同一賃金の原則についても、これが遵守されるよう、国を挙げて取り組んでいくべき重要な課題と捉えております。
 本県においては、平成29年就業構造基本調査によれば、雇用者に占める非正規の職員、従業員の割合は男性で21.4%、女性で52.2%となっているほか、令和元年賃金構造基本統計調査では、女性の所定内給与は男性の78.3%となっています。
 このことから、女性の所定内給与が男性の8割程度にとどまっているのは、女性労働者に占める非正規雇用者の割合が高いことが一因と考えられますことから、県では、岩手労働局などと連携し、県内経済団体に対して、正社員への転換や処遇改善の促進について継続的に要請しているところであります。
 また、いわてで働こう推進協議会を核として、仕事と生活の両立に向けた環境整備につながる働き方改革の取り組みを展開し、女性を含めた全ての人が働きやすい雇用労働環境の整備を推進しているところであり、このような取り組みを通じて、女性の労働環境の改善を促進してまいります。
〇千田美津子委員 今、現状認識についてお答えいただきました。
 一つだけ質問しますが、女性労働者の多い看護師とか介護士、保育士などのケア労働について、補助的業務、女性の家庭労働の延長だとして、この間、評価されてきませんでした。岩手県のこれらの人材不足は特に深刻でありますので、ケア労働者の抜本的な処遇の改善が今こそ求められていると思いますがどうでしょうか、知事にお聞きいたします。
〇達増知事 看護、介護等のケア労働者の待遇でありますけれども、岩手県の中のことだけを考えても、県民の政策的な関心、アンケートをとりますと、医療、健康の問題がトップに来ます。そういう県民にとって最も関心のある分野を支える重要な仕事でもありますので、そういった仕事がいわゆるブラックな働き方になっていて、非人道的な扱いがなされているということでは、これは県民生活の全てが根本から崩れることと考えます。
 今、新型コロナウイルス感染症の流行の中で、平素からそういったケアの現場で働く大変さがあるということが改めて見える化されているわけでありますが、好材料としては、県で呼びかけている医療現場等で苦労している皆さんへの励まし、激励のメッセージが非常にたくさん寄せられています。
 看護や介護の現場で働く皆さんには、人間的で、やりがいを持って、そして人間として尊厳ある生活が可能になるような収入が得られることは、県民全ての意思であると言っても過言ではないと思いますので、県としてもそのように進めていきたいと思います。
〇千田美津子委員 よろしくお願いいたします。
 次に、2点目ですが、新型コロナウイルス感染症対応と医師、看護師等の確保策についてお聞きいたします。
 感染拡大がおさまらない中で、とりわけ新型コロナウイルス感染症患者等に対応されておられる医師を初め関係者の皆様には、心から感謝と敬意を表するものです。
 ことし1月に岩手県医療労働組合連合会が新型コロナウイルス感染症患者に対応されている看護師に実施した緊急アンケートには、想像以上の悲痛な声、実態が寄せられています。
 子供が通っている保育園の先生で自分を医療関係者と知っている方が、地域で感染者が出た際に、自分から距離をとるようになってしまった。家族にうつさないように気を使い、自宅では食事も離れて食べたり、寝室も別にしている。一般病棟のスタッフに院内で会わないように気を使った。新型コロナウイルス感染症患者の対応をしていると言ったら歯科受診を断られた。自分が留守の間に洗濯物を燃やされた。病院で新型コロナウイルス感染症患者を受け入れているとわかると、子供の試合の応援に来ないように言われたなどなど、どんなにかつらく肩身の狭い思いをしながら、防護服やN95マスクをつけながら、過酷な状況の中で日夜働いておられたかと思うと、本当に心が痛みます。
 これが、県民の生命を守るために頑張っておられるスタッフの実態であり、生の声であります。知事は、このような状況に対してどのような感想をお持ちか、お聞きいたします。また、現場で頑張っておられる皆さんに、改めてメッセージをお願いいたします。
〇達増知事 まず、新型コロナウイルス感染症患者に対して、適切な医療を提供するため、自分自身が感染する危険がある中で日々奮闘している県内の医療関係者の皆様に、感謝を申し上げたいと思います。
 県では、これまで、知事メッセージにより、誹謗中傷や差別的扱いをしないよう発信してきたほか、定例記者会見では、誹謗中傷等に対して鬼になる必要もあるかもしれないという表現で厳格に臨む姿勢を示すなど、県民の皆様に対して強くお願いしてきたところであります。
 このような中、県内の医療関係者から寄せられた声は、想像する以上に大変つらく悲しい気持ちになるものであり、医療従事者の方々が受ける精神的、身体的な苦痛は、はかり知れないものがあると言えると思います。
 県では、県民の皆様の感謝とねぎらいの言葉が大きなものとなって、医療関係者等の励みになるよう、公式LINEアカウントで、医療関係者等に対するエールを募集し、ホームページ、LINE等で公開しているほか、エールをまとめたテレビCMを放映するなどしております。
 今日、本県における新型コロナウイルス感染症の感染が落ち着いている状況となっていることも、医療関係者の皆様の活躍が非常に大きいと考えており、改めて感謝申し上げるとともに、県民の皆様も引き続き、医療関係者等の皆様にエールを届けていただくようお願いしたいと思います。
〇千田美津子委員 県ではエールを募集しているということですが、募集しなくても自然とそういう言葉が伝わるように、私は本当にやさしい県民性があると思いますので、それにさらに期待したいと思います。
 ただ、現場は使命感だけでは済まされない、まさに命がけで対応しているのが実態であります。引き続き、危険手当の支給はもちろんですが、一層の支援策が必要だと思います。
 また、岩手県医療労働組合連合会が県に求めたそうですが、PCR検査体制のルール化をぜひやるべきだと思います。この点についてお聞きいたします。
〇菊池副知事 さまざま御提言をいただきました。県としても、専門家会議等の意見、検討をベースに、それぞれ医療関係者に対しても、手厚い支援になっていくような対応を考えていきたいと思います。
 PCR検査については、いろいろ議論の過程、そして今の判断状況については、委員もよくよく御存じだと思いますが、そういったさまざまな医療現場における課題をタイムリーに専門家委員会とも協議しながら、適切な対応を図っていこうと思っています。
 今後におきましても、危険手当はかなりこれから功を奏してくる対応だと私どもも思っているところですが、全国知事会等も含めて、引き続き、医療現場の改善等に向けて国等に要望しているところでございますので、そういった国からの交付金等を有効に活用して対応していきたいと考えております。
〇千田美津子委員 引き続き、よろしくお願いいたします。
 次に、岩手県内では、県立病院を初めとする医療機関における看護師不足が医師不足とともに深刻でありますが、岩手県の医療を支える看護師の確保策についてお聞きいたします。
〇菊池副知事 医療の高度化や働き方改革の進展に伴いまして、看護職員の需要の増加が予想されることから、県では、いわて看護職員確保定着アクションプランに基づき、県内就業者の確保に向けた取り組みを推進しております。
 具体的には、中高生向け進学セミナーなどの養成、確保対策、看護職員修学資金の貸し付けや、就職説明会などの定着対策、未就業者を対象とした復職支援研修などの潜在看護力の活用対策、認定看護師養成研修などの資質向上対策を行っているところですが、これに加え、今年度は、学生や県外で働く看護師などを対象に、認定看護師等によるオンラインでの講演会の実施、医療関係者等に対する県民の皆様からのエールをまとめたテレビCMなどの取り組みを行っているところでございます。
 今後におきましても、こうした取り組みに加え、SNSを活用した情報発信などによるきめ細かな就業支援等を推進し、看護職員の確保、定着に努めてまいる考えであります。
〇千田美津子委員 引き続き、よろしくお願いいたします。
 次に、医師確保策についてお聞きいたします。
 JOYサポート及び仕事と家庭の両立のための支援制度についてでありますが、1月13日の環境福祉委員会において、女性医師から見た県立病院の課題について現地調査を行いましたが、子育てをしながら現場の第一線で働く女性の医師の皆さんの率直な声をお聞きすることができ、非常に有意義でありました。
 特に、県医療局の院内保育所が充実しており、JOYサポートの利用者は離職せずに働けるため、女性医師が減少はしていないこと、さらに多くの女性医師が育児短時間勤務を取得して働き続けており、課題はあるものの、心強さを感じたところです。
 また、他県出身の医師が一昨年の12月に飛び込みで就職について相談に来られたそうでありますが、時短勤務があることから、県内への就職を決めたと語ってくれました。たまたま岩手県に来た人を取り込める力が岩手県にはあると彼女が語ってくれたことが、大変印象的でありました。
 岩手県のJOYサポートプロジェクトは、知事に対して女性医師が子育て中の女性医師の現状と課題についてのプレゼンテーションを行ったことがきっかけとなったとお聞きしましたけれども、JOYサポートプロジェクトについて知事はどのように評価しておられるかお聞きいたします。
〇達増知事 全国の医学部進学者に占める女性の割合の増加に伴い、特に若い世代における女性医師の割合は3割を超えており、医師確保が課題となっている本県において、女性医師が出産、子育てをしながら働き続けることができる環境の整備は極めて重要であると考えております。
 医療局が平成28年度から取り組んでいるJOYサポートプロジェクトにおいては、女性医師との意見交換を重ねながら、仕事と家庭の両立のために必要となる支援策として、他県に先がけて、育児短時間勤務制度の対象となる子供の年齢の拡大や柔軟な勤務時間の設定、病児保育の導入等に取り組んできたものであり、これまでの取り組みによって、今年度は20名の女性医師が育児短時間勤務制度等を利用して勤務を継続しているほか、育児短時間勤務を前提に新たに採用した女性医師が、県外からの採用者2名を含めて4名となっているところであります。
 また、先月行われた知事と県立病院に勤務する医師との懇談会において、勤務医の方から、JOYサポートプロジェクト利用者を対象とした満足度調査の説明をいただきました。プロジェクトの満足度は、10点満点中8.4点と高い評価であるとの報告を受けました。
 このようなことから、これまでのJOYサポートプロジェクトによる仕事と家庭の両立のための支援制度の充実に向けた取り組みにより、女性医師の新規採用と離職防止が図られ、全体として本県の医師の増加につながっているものと考えております。
 今後とも、医療局には、医師が働きやすい環境整備に向けた積極的な取り組みを期待しています。
〇千田美津子委員 私は、今回の女性医師との懇談を通じまして、女性医師の働き方だけではなくて、女性医師が働きやすいという環境は、男性医師にとっても働きやすい職場につながると確信しております。そのため、医師全体への支援を充実させていくことが、医師不足の解消を図り、医師定着に大きく影響するものと考えますが、どのようにお考えでしょうか。
〇達増知事 全ての職場において、性別や年齢、障がいの有無にかかわらず、働きやすい勤務環境が求められており、こうした視点が医療現場における医師の確保、定着にも重要と認識しております。
 このため、県では、先ほど答弁いたしましたJOYサポートプロジェクトなどによる女性医師への支援のほか、医師を初めとする医療従事者の勤務環境を改善するため、岩手県医療勤務環境改善支援センターを設置し、社会保険労務士等のアドバイザーや研修講師の派遣、勤務環境改善に係る設備、整備等に対する補助などの支援を行ってまいりました。
 また、令和6年度から、医師に対して時間外労働の上限規制が適用されますことから、地域の医療提供体制を確保しながら、医師の労働時間短縮を強力に進めていく必要があります。
 このため、今般の補正予算及び当初予算案に、二次救急医療機関が実施する勤務医の労働時間短縮のための取り組みを支援する経費を計上したところであります。
 今後も、医療機関における勤務環境の改善の取り組みを支援し、医師の確保、定着を図ってまいります。
〇千田美津子委員 よろしくお願いいたします。
 次に、医師の養成と確保及び定着についてお聞きいたします。
 この間、県として強化してこられたのが、奨学金等医師養成事業、医学部進学者の増加対策、そして奨学金医師の計画的な配置などと見ておりますが、それぞれどのような状況にあるでしょうか。
 また、この間、医師を目指す方々との懇談はどの程度実施されてきたのでしょうか。また、その手応えを知事はどう感じておられるか、お聞きいたします。
〇達増知事 県では、平成20年度から、岩手医科大学の臨時定員増に対応して、県、医療局、市町村の三つの奨学金制度により、最大55名まで貸し付け枠を拡充し、これまでに在学生を含め590名に対し奨学金の貸し付けを行っています。この結果、県内の公的医療機関に配置される養成医師は、平成28年度の配置開始以来、年々増加し、来年度は100名となる見込みであります。
 県内高校生の医学部進学者の増加対策としては、地域医療に関する講演等を内容とする医学部進学セミナーを開催し、医師を目指す動機づけを図ってまいりました。
 令和2年度からは、県教育委員会と連携して、高校や地域に関係なく、医学部進学を目指せるよう、学力向上や意識醸成のための体系的、集中的なプログラム、岩手メディカルプログラムを行っています。
 また、医学生等との懇談については、例年、医学奨学生サマーガイダンスにおいて、県民の期待や県の取り組みについて理解を深めてもらうため、私がみずから講演しているほか、卒後1年目の臨床研修医に対しては、合同オリエンテーションにおいて、激励や意見交換を行っております。
 これらの医学奨学生や若手の医師からは、地域の医療に貢献したいという強い意思が感じられ、将来、本県の地域医療の核となり、活躍してくれるものと期待しています。
〇千田美津子委員 知事としては、手応えを十分に感じておられるということですが、来年、新年度から100人が義務履行になるということですが、現在99人が猶予されているわけですね。これらの方々の見通しについてはどのようにお考えか、お聞きいたします。
〇菊池副知事 もともと地域に貢献するという意思のもとに就学されておられましたので、県としても、順次就業されるように努めてまいる考えでおります。
〇千田美津子委員 よろしくお願いいたします。
 次に、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会についてお聞きいたします。
 達増知事が呼びかけたこの知事の会は、昨年8月に厚生労働省に対して提言を行われておりますけれども、医師不足に悩む地方の声を率直に伝えるという点で、まさに大きな一歩を踏み出したと思いますが、私はコロナ禍であるからこそ、これからが肝心だと思うわけです。次の一手に期待したいと思いますが、知事はどのようにお考えでしょうか。
〇達増知事 今般の新型コロナウイルス感染症の対応に当たっては、病床の確保とともに、医師を初めとする医療従事者の確保の重要生が改めて全国的に認識されました。
 地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会としても、昨年7月に取りまとめた提言において、医学部の臨時定員増の恒久化などの医師確保に向けた内容のほか、新興感染症等に備え、医師だけではなく看護師、薬剤師、臨床工学技士など、チーム医療を担う医療従事者の養成、確保に向けた取り組みの強化についても提言を行いました。これらの提言の実現に向けては、国への働きかけとともに、医療、行政関係者の理解を得て、国民的な議論とするための機運醸成を図っていくことが必要と考えております。
 このため、今年度は、自由民主党の医師養成の過程から医師の偏在是正を求める議員連盟における講演や、日本専門医機構との意見交換などを行ってきたところであり、来年度は、さらに全国の病院事業管理者会議において、知事の会の提言等について発信する予定としています。
 引き続き、医師少数県や医療関係者と連携しながら、実効性のある医師確保、偏在対策の実現に向けた取り組みを進めていく考えであります。
〇千田美津子委員 引き続き、他団体とも協力しながらの強力な取り組みを期待しております。
 最後に、子ども食堂等への対応についてお聞きいたします。ちょっと時間がないので、まとめて質問させていただきます。
 子供に食事や居場所を提供する子ども食堂が、全国で5、000カ所余りと、昨年6月と比べて約40%近くふえたことがNPOの調査でわかりました。これは、失業や収入の減少で生活に困窮する人がふえる中、子供への支援や地域で居場所をつくることが重要だとして、新たに開設する動きが広がっているのだそうです。
 それで、質問いたしますが、県内の子ども食堂の開設の状況、開設に向けた準備の状況はどうでしょうか。私は、コロナ禍であるからこそ、今こそ全市町村への拡大に向けた準備が必要だと考えますが、どうでしょうか。
 それから、今開設できない理由について、県はどのように把握されているかお聞きしたいと思います。
 そして、NPOの湯浅理事長は、子ども食堂は子供と地域をつなぐ支援の拠点となっているため、小学校区ごとに子ども食堂があるのが理想で、今後広がるよう取り組んでいきたいと語っておりますが、私も県の目標を、全市町村実施ではなく、小学校区単位で実施できるような積極的な県の取り組み姿勢が必要だと思いますので、その点、あわせてお聞きいたします。
〇菊池副知事 まず、子ども食堂を含む子供の居場所の拡大等についての御質問ですが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いまして、昨年12月現在では、子どもの居場所ネットワークいわてに加入する37カ所のうち25カ所が活動を休止しているものの、そのうち11カ所では、代替の活動として弁当配付などの食料支援を実施していると聞いております。
 また、県の補助を活用し、新たに、奥州市では1カ所の開設が予定されており、今月中旬の活動開始に向け準備を進めていると聞いております。
 県では、いわて県民計画(2019〜2028)政策推進プランにおきまして、子供の居場所の全市町村での実施を掲げておりまして、開設等の経費への補助や、ネットワークに配置したコーディネーターによる立ち上げ、運営に関する支援などを行っております。
 これら子供の居場所の開設に向けては、運営団体等との意見交換などから、課題として、立ち上げに要する経費、安定的に運営するための物資や財源等の確保、食事や遊び場等における安全確保、運営等に関するノウハウの不足、スタッフの育成などが課題として認識されているところでございます。
 次に、子ども食堂の整備についての御質問でございます。本県では、本年1月末現在20市町村52カ所の取り組みに拡大しているところでございますが、一方で、御案内のとおり広大な県土を有し、人口の集積度合いや都市機能の分布密度などが、委員御指摘のような、いわゆる都市部との状況とは大きく異なっている状況にあります。そうしたことから、まずは市町村域レベルでの取り組みが実施されていくよう支援しているところでございます。
 また、子供の居場所につきましては、子ども食堂のほか、放課後児童クラブや放課後子ども教室、児童館などございますので、関係機関と連携し、住民の参画も促しながら、多様なニーズに応じた子供の居場所の確保に努めていく考えでございます。
〇千田美津子委員 ぜひ今の答弁を進めていただきたいと思いますが、子供の権利として、私は見える形での推進をぜひお願いしたいということを申し上げて、終わります。(拍手)
〇岩渕誠委員長 質問者席の消毒のため、しばらくお待ちください。
 次に、木村幸弘委員。
〔木村幸弘委員質問者席に着く〕(拍手)
〇木村幸弘委員 社民党の木村幸弘です。
 改めまして、この11日に10年を迎えます東日本大震災津波並びに今般のコロナ禍におきまして、お亡くなりになられた皆様に哀悼の意を表したいと思います。
 それでは、令和3年度の予算審査に当たりお尋ねいたします。
 東日本大震災津波10年の節目とコロナ禍を踏まえた今後のいわて県民計画(2019〜2028)に基づく施策の主要な方針について伺います。
 第1に、いずれの災禍に対しても、行政組織機能の対応能力として、部局横断的な支援など、それぞれの経験を踏まえてどのような教訓と成果を得たのか伺います。
〇達増知事 東日本大震災津波への対応においては、発災後、速やかに復興局を設置し、復興推進の司令塔として総合的な方針の策定や部局横断的な課題解決に取り組み、復興まちづくりの面整備や商業施設の再開など、復興の歩みを進めています。
 また、新型コロナウイルス感染症対策においては、行政需要に応じ柔軟に組織体制を見直すとともに、全庁を挙げた業務支援体制を構築し、医療提供体制の確保や感染拡大防止などの取り組みを進めています。
 これらを通じ、平時から組織対応力の向上に取り組むことはもとより、危機管理事案の発生時においても、切れ目なく分野横断的な施策を展開することが重要と認識しており、今般、復興や危機管理対策の司令塔となる復興防災部を設置し、復興防災部の統括のもとで各分野が専門性を発揮し、迅速かつ的確に施策を展開できるよう組織体制を整備いたします。
〇木村幸弘委員 そうしたさまざまな教訓と成果を得ているわけでありますが、この間の各委員の質問にも出ておりましたけれども、今後の組織のあり方として、4広域振興局体制について検証しながら、その成果と課題を踏まえ、今後どのような展開を期待して取り組んでいくつもりなのか改めて伺いたいと思いますし、4広域振興局体制そのもののあり方などについて、将来的な見直しなどの議論は考えているのか、お伺いいたします。
〇佐々木ふるさと振興部長 広域振興局は、産業振興による地域経済の活性化を主眼とし、地域ニーズに即した施策展開が一層可能となるよう、市町村への支援や広域的、専門的なサービス提供などを目的に設置しております。
 広域振興局体制のもと、産業振興の面では、ものづくりや食産業、観光などの分野において連携組織を構築し、地域産業の強化やビジネスマッチングの促進、各分野の人材育成、広域的なイベントの開催など、地域の特性やニーズを踏まえた広域的な施策を展開してきたところであります。
 こうした取り組みなどを踏まえ、いわて県民計画(2019〜2028)においては、地域振興の基本的な考え方として、各地域の特性を十分に生かした4広域振興圏の振興を図ることとし、圏域を超えた連携も戦略的に展開するゾーンプロジェクトを推進することなどにより、個性あふれる地域が自立的に発展し、県全体の発展につながるよう取り組んでいるところであります。
 また、人口減少や少子高齢化など市町村を取り巻く環境が変化する中にあって、行政経営プランでは、地域の課題に適切に対応していくため、広域振興局と市町村との連携をさらに強化する必要があるとしており、新型コロナウイルス感染症対策におきましては、岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部地方支部会議を設置するなどして、市町村との情報共有、連携した対応を進めているところであります。
 今後におきましても、独自性や機動性が発揮できる現在の4広域振興局体制を基本としながら、引き続き、地域特性を生かした産業振興や市町村との連携等に取り組んでいく考えであります。
〇木村幸弘委員 組織の議論とあわせながら、もう一つの重要な課題として、人的な体制への重要性が施策の遂行に当たって最も問われてきたと思っております。その対応と考え方について伺いたいと思います。その際、いわゆる自前の職員体制の確保と応援、派遣要員等を含む支援に対する新年度以降の考え方についての認識を伺います。
〇白水総務部長 多様な県民ニーズや新たな行政課題に適切に対応していくためには、機動的な組織体制の整備とあわせ、行政需要に応じた人員体制が重要であると認識しております。
 このため、例えば東日本大震災津波からの復興に当たりましては、最優先で必要な職員体制を確保するとともに、任期付職員の採用や全国からの職員派遣により、復興事業の推進体制を構築しております。
 また、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策を推進するため、全庁的な調整のもとで、主要施策に対し重点的な人員配置を行っております。
 今後におきましても、最適な組織体制を構築するとともに、新規採用職員の採用や中途採用の実施に加え、令和3年度におきましては、復興事業の進捗を踏まえて職員派遣を13名要請するなど、直面する県政課題に対し的確に施策を展開できる体制の構築を図ってまいります。
〇木村幸弘委員 それでは知事にお伺いしますが、知事は、就任以来の政策課題である本県の医療体制の整備について、これまでも地域医療基本法(仮称)の提言等に取り組んできたところでありますが、今般のコロナ禍を踏まえ、医療機能の役割分担や、医師の地域偏在を含む地域医療体制のあり方について、今後の方針について伺います。
〇達増知事 本県の地域医療体制を確保していくためには、医師不足、地域偏在の解消が重要であることから、これまで即戦力医師の招聘や奨学金による医師養成などに取り組んでまいりました。
 この問題を根本的に解消するためには、国レベルの取り組みが必要であることから、(仮称)地域医療基本法の制定に向けた情報発信や、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会で、国を挙げた実効性のある施策を提言してまいりました。引き続き、医師確保を初めとする地域医療体制の整備を進めるとともに、国に対し提言の実現に向けて働きかけてまいります。
 また、新興感染症等にも対応可能な医療提供体制を構築するためには、通常の医療体制の充実とともに、感染拡大時を想定した転用可能な病床やスペースの確保、専門人材の確保、医療機関の連携や役割分担の検討など、医療需要の変動に柔軟に対応できる体制づくりが必要と考えます。
 今後、国では、令和6年度からの次期医療計画に新興感染症等の医療対応を新たに盛り込み、具体的な取り組み事項や数値目標等について検討を行う予定であり、県としても、国の動向を注視しながら、今般の新型コロナウイルス感染症への対応から得られた知見等を踏まえ、医療提供体制の構築に向けた検討を進めてまいります。
〇木村幸弘委員 さらなる充実の、強化をよろしくお願いしたいと思っております。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策の本県の課題について伺います。
 この1年の新型コロナウイルス感染症対策の成果と課題について、知事の総括的な所見について改めて伺います。
〇達増知事 新型コロナウイルス感染症は未知の感染症であり、蔓延防止と医療提供体制の確保が大きな課題でありましたことから、国が定義する濃厚接触者より範囲を広げた検査の実施や、感染のフェーズに応じた病床の確保、県庁に設置した入院等搬送調整班による広域かつ重症度に応じた入院調整を行う仕組みを整えました。
 このような取り組みにより、医療提供体制が逼迫することなく、本県の1週間の人口10万人当たりの新規感染者数も、全国と比べて低位で推移しているところであります。
 また、社会、経済への影響を最小限にとどめるため、累次にわたる補正予算の措置により、中小企業の資金繰りのための貸付金の創設や家賃支援、経営支援等の経済、雇用対策を行ってまいりました。
 今後においては、新型コロナウイルスワクチンの安全かつ迅速な接種ができるよう、市町村、関係機関と連携しながら取り組むとともに、引き続き、感染の収束に向けて必要な対策を推進し、経済的な影響を受けている県民、事業者の皆様の生活の下支えや事業継続の支援に取り組んでまいります。
〇木村幸弘委員 そうした総括的な所見を伺ったわけですが、私は、本県の感染実態に基づく問題として、感染者数に占める死亡率の高さについて、検証が必要ではないかと考えます。
 そこで、死亡に至った情報開示のあり方について、果たしてリスクコミュニティー上において適切な情報共有の取り方となっていたのでしょうか。死亡に至る感染症の措置に対するそれぞれの事例ごとの医療対応の経緯と課題の認識、共有化が必要であります。情報のまとめ方が年代と男女別、基礎疾患という区分だけで単純化していなかったでしょうか。軽中等症、重症等の症状別や治療内容別など、個別の事例がどうなって死亡事例となったのか伝わっておりません。正しく感染症をおそれることと、本県の治療対応がどういう状況にあったのかが、提供内容からは見えてこないのであります。
 個人のプライバシーへの配慮は必要ですが、感染症の本県における特徴的な問題となっている高齢者を中心に感染拡大したこととあわせ、死亡事例にどのようにつながったのかを適切に認識する必要があると思いますが、お伺いいたします。
〇野原保健福祉部長 本県における死亡者の公表につきましては、個人情報保護の観点から、御遺族の了解をいただいた上で、プライバシーに最大限配慮し、年代、基礎疾患の有無を公表し、正確な説明に努めてまいりました。
 新型コロナウイルス感染症に係る情報の公表については、全国一律の基準が示されており、感染症の蔓延を防止し、感染症による健康リスクが個人や社会に与える影響を最小限にすること、公表に当たっては、感染者等に対して不当な差別及び偏見が生じないように個人情報の保護に留意することが求められております。
 死亡事例30例は、いずれも新型コロナウイルス感染症での入院中の事例であり、接触者は特定されており、地域への感染拡大のおそれはないこと、治療経過等を明らかにすることで県民の行動変容を促すという性質のものではないことなどから、御遺族の意向を最大限尊重した上で、同意に基づき、県民への注意喚起の観点から、高齢者であったことや基礎疾患の有無について公表したところでございます。
 なお、治療に当たりましては、過去、医療機関のクラスター等が発生したわけでございますが、県庁に設置しております入院等搬送調整班の医師と現地の当該医療機関の間で、患者の治療情報について情報共有を行いながら、患者の状態に応じて適切な治療に当たったものでございます。
 今後とも個人情報の保護に留意しながら、地域における感染症の蔓延防止の観点から、適時適切な情報公開に努めてまいります。
〇木村幸弘委員 ただいま、個人の行動変容には影響がないことからという答弁もございました。いろいろと担当部から事前の資料もいただいておりますけれども、人口の10万人対比で死亡率の順位では28位というデータを出しているわけですね。しかし、感染者数に対する死亡率の順位の記載については、具体的な数字をあえて掲げずに、計算すれば本県の死亡率が断トツ、ワースト1位であることは明らかであるのに、その点は資料的には明確にしていない。
 そこで私が問題にしたいのは、ワースト1位という順位が問題なのではなくて、なぜこれほど高い死亡率に至っているのか。その原因は、単なる高齢者や基礎疾患者が多かったからだということでの、いわゆる一般論で整理されて終わりではないのではないかと思っています。
 死亡に至ったプロセスに関する情報が公表されることで、感染に対する認識や医療における課題をより正しく理解し、県民には一層の注意喚起を促し、医療、福祉関係者等には、治療や介護に関する対応が共有化され、今後の対策に生かされ、安心につながることが私は大事だと思っております。
 改めて、今後の公表のあり方を含めて、この間の対応を検証して、改善し取り組むべきだと思いますが、再度お伺いしたいと思います
〇野原保健福祉部長 新型コロナウイルス感染症につきましては、いまだ未知の部分が多いことから、臨床医療上の課題について、医師や看護師等の医療従事者の間で共有は重要と考えております。
 また、さまざまなこれまでの経験したことを踏まえて、教訓をきちっと共有し、今後の対応に生かしていくことは非常に重要であると考えております。
 こうした過去の本県におけるクラスターの事例については、国のクラスター対策班からいただいた提言を県内の医療機関や関係機関等に周知して、情報共有を図ったところでございます。
 また、今回、岩手県で死亡率が高いのは、80歳以上の方が全国の3倍ぐらいの頻度で多かった。全ての方々が基礎疾患を有していた。それも、さらにリスクの高い基礎疾患を有していたことが背景にあるということでございます。
 こうしたことにつきましては、専門家の間でもきちっと分析して、適切に医療関係者また県民の方々に還元し、予防に役立てるように努めてまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員長 木村幸弘委員の質疑の途中でありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、10分間ほど休憩いたします。
 木村幸弘委員、御了承願います。

午前11時2分 休 憩

午前11時18分 再 開

〇岩渕誠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇木村幸弘委員 新型コロナウイルス感染症に係る本県の死亡率の問題についてですけれども、私が執行部から事前にいただいた資料で、医療との関係の中で、どういう形で死亡に至ったかというのが、やはりもう少しきちんと明らかにされるべきではないかという点で非常に気になっています。
 人工呼吸器のいわゆるECMO等の装着利用実態が、遺族の同意を得られないために非公表ということで不明になっています。それから、治療内容については、症状と治療の死亡経緯の関係について、執行部としては未集計であるということで、これも不明。そして、軽症自宅待機から急変死亡は該当なしということで、つまり30人の中で軽症自宅待機からの急変等によって重症化して死亡した例はないとすると、中間的な中等症に主にその死亡の事例が多かったと見ることができるのか。あるいは、重症者の数と死亡者の数は、これまでの実態からいうと、比例しているとは思えないですよね。
 そうすると、一体どういう経緯で医療行為が行われて、その結果どのような形で死亡に至ったのか、なかなか状況が見えないと、岩手県の医療の対応として適切に機能していたのだろうかと、私はちょっと不安を感じたのです。
 そういう観点から、さまざまな意味でこの事例のあり方、とり方について、もう一度きちんと把握しながら対応していく必要があるのではないかと思うのですけれども、再度お聞きしたいと思います。
〇野原保健福祉部長 委員から御指摘いただきました治療の実態と関係でございます。
 これまで30例の方が亡くなりましたけれども、個々の事例は、やはりプライバシーの関係がございます。公表はどうしてもちょっと控えてほしいという方も少なからずおられますので、そうした中にあって、経緯についてどのような形できちっとお伝えできるのかというのは、我々も専門家の方々の御意見をいただきながら検討してまいりたいと思っております。
 言えることは、先ほど御説明したとおり、全ての方が、基礎疾患をもともと持って入院されていた方々です。そうした中にあって、個々のさまざまな治療を現場でされておられて、入院等搬送調整班とも十分共有しながら、治療においてECMOの活用であるとか、そういったものもなされていたということでございます。
 いずれにいたしましても、きちっと専門家の方々から御意見をいただきながら、適切な情報を共有、また提供に努めてまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 医療機関におけるエッセンシャルワークへの対応について、県立病院では、清掃事業者等の立ち入り制限による院内清掃業務等の看護師の負担増の実態と対策はどのような状況になっているのか伺います。
 また、医療機関と請負事業者の双方でこれらの問題について改善が図られているのか、あわせて伺いたいと思います。
〇菊池副知事 県立病院の院内清掃業務の関係についてでございます。
 通常区域については、これまでどおり清掃請負事業者の作業員が清掃を行っているところでありますが、新型コロナウイルス感染症の感染患者が入院している病室等の感染区域については、作業員の感染対策に関する知識や経験が十分でないと感染リスクを高めてしまう懸念があること、また、業者側からもこの懸念が示されていることから、現時点では、ほとんどの場合、感染対策に関する知識を有する看護師が行っている状況にあります。
 なお、新型コロナウイルス感染症の入院患者が増加し、感染区域が広範囲に及ぶ場合には、消毒作業を専門とする業者に清掃を含めて委託しておりますほか、掃除ロボットを試行的に導入するなど、看護師の負担軽減を図っていると、医療局から報告を受けております。
 県においては、昨年12月20日の全国知事会において、知事から清掃業者の育成支援を行うよう要請を行ったところでありまして、ことし2月27日には、全国知事会から国に対して、看護師の負担軽減の観点から、業界団体等と連携して清掃作業等を担える事業者の育成支援を行うよう緊急提言が行われたところでございます。
 医療局では、感染区域の清掃については、相応の感染対策に関する知識が必要であることから、徐々に看護師から清掃請負業者に切りかえられるよう業界団体と意見交換を行い、作業員の研修や指導などの支援を行っていきたいと考えていると伺っております。
〇木村幸弘委員 感染症病床に限らず、コロナ禍ということで、一般の入院病棟についても、面会制限がかかったり、いわゆる一般の方々は立ち入れないという状況が発生している中で、感染症病棟に限らず、一般病棟を含めて全体的に看護師の負担が増大しているということが見えるわけであります。
 そうした点で、ぜひ、事業者等の改善を図りながら、負担の軽減に対する取り組みを県としてしっかりと後押ししていただきたいと思います。
 コロナ禍によって生かされた本県産業の実績と今後の展望とその対策についてということで、地場企業と県工業技術センターの共同研究による関連技術開発とその実用性を含む事業の実績についてであります。
 換気対策や空気清浄の対策が求められる中で、本県の地場企業が県の工業技術センターとの共同開発事業による光触媒技術を活用した空気抗菌装置カザノイアが県庁県民室、県立図書館、三陸鉄道宮古駅に設置されました。
 本県発出技術として県はどのように評価しているのか伺います。
 また、今後、ワクチン接種会場等に空調の環境対策として活用が検討されるべきだと思いますけれども、普及の後押しなどについて、あわせてお伺いしたいと思います。
〇保副知事 釜石市内の設備機器メンテナンス企業が販売する光触媒技術を活用した空気抗菌装置は、今委員からも御紹介がありましたが、県工業技術センターとの共同で取得した特許技術を活用して開発したものであります。これは、試験等で高い空気清浄効果が認められておりまして、これまで畜舎における脱臭や除菌、家畜ウイルスの低減等の用途で利用されてきております。
 令和元年には、この技術の応用により一般向けの製品を開発いたしまして、令和2年6月に3台を県に無償で貸与いただきました。今お話がありましたとおり、県庁県民室、県立図書館、三陸鉄道宮古駅に設置して、製品や技術のPRを行っております。
 今、いわて産業振興センターが、いわて希望ファンド助成事業により製品の改良を支援しているところであります。ちょっと値段が高いというところが普及のネックになるのではないかということで、そういった点をどうするかというのが課題であります。さらに、県工業技術センターにおいて行われた県内の酒蔵での抗菌効果の実証試験の結果に基づいて改良された製品が、酒造メーカーに納入されるといった事例もございます。
 ワクチン接種会場で使えるかどうかは、ちょっと判断しづらい部分もございまして、少し長期的な視点で、製品の性能向上、あるいはコストダウンの問題ですとか多様な用途への応用を支援しながら、岩手県発のすばらしい技術でございますので、活用されるよう普及に努めてまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 終わります。(拍手)
〇岩渕誠委員長 質問者席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、小林正信委員。
〔小林正信委員質問者席に着く〕(拍手)
〇小林正信委員 新型コロナウイルス感染症の収束はいまだ先が見えない状況でありますが、コロナ禍後の観光施策については今から手を打ち、苦境にある観光産業に携わる皆様に希望を感じていただけるような方向性を示すことが必要と考えております。インバウンドが期待できない状況下、今後は岩手県、また東北地方として、国内、特に西日本地域からの観光客をいわば国内からのインバウンドと捉えアピールできないかと考えております。
 過日、東北地方では初となる、仙台空港の24時間化へ向けた覚書が締結されたとの報道がありました。コロナ禍後の交流人口増加を見据えたとき、東北地方の玄関口の24時間化は、本県にとっても大きな期待が持てるところであります。
 そこで、本県としての仙台空港の活用方策と、西日本地域の観光客の誘致も見据えた宮城県を初めとする隣県との観光連携の強化について、知事のお考えをお伺いします。
〇達増知事 仙台空港は本県観光の玄関口の一つでありますことから、これまで同空港から松島や平泉などの観光地を結ぶ定期路線バス等の活用や、空港を起点とした旅行商品の造成などによる周遊観光の促進を図ってきたところであり、本県の観光振興に大きな役割を果たしています。
 また、就航する機材の規模や航空ダイヤの面から、特に西日本地域からの教育旅行の誘致において、その活用が効果的であると考えられますことから、大阪で開催している教育旅行誘致説明会等を通じ、仙台空港をゲートウエイとした本県への教育旅行の誘致等に取り組んでいるところであります。
 隣県との連携強化については、本県と青森県、秋田県で組織する北東北三県観光立県推進協議会において、名古屋、大阪、福岡の三県合同事務所を活用しての旅行商品の造成に向けた現地旅行会社の招聘等に連携しながら取り組んでいます。
 今後におきましても、4月からスタートする東北デスティネーションキャンペーンを初め、隣県、東北各県との連携を強化し、観光振興を図ってまいります。
〇小林正信委員 続いて、ワーケーションについてお伺いしたいと思います。
 ワーケーションは、一時的な滞在のみならず、その後の移住、定住や企業移転にもつながる効果が期待されます。秋田県では昨年、民間企業を中心に85社の企業や大学などが加盟する秋田ワーケーション推進協会が設立され、受け入れ拠点の拡充や誘客などの環境整備を行い、年間50社、1、000人程度の来県を目指しているとのことです。
 本県においても、さらなるワーケーションの充実が期待されるところでありますが、その取り組み状況についてお伺いします。
〇保副知事 県では、宿泊施設が行うワーケーション受け入れ環境整備に対し補助する制度を設けまして、また、それを県のホームページで情報発信するということで、現在その誘致に取り組んでおります。
 また、釜石市や八幡平市など、県内の市町村においても、モニターツアーの実施などによるワーケーションの誘致に取り組んでおります。さらに、旅行会社が中心となって、関係事業者が連携し、ワーケーション利用者のニーズに合わせ、きめ細かな対応ができるサービスの提供に向けた体制整備の動きもございます。
 御紹介にありました秋田県のようなやり方もあるかと思いますけれども、岩手県のよさをよくわかっていただいて、岩手県を選んでもらうことが大事でありますので、市町村や関係事業者などとの情報共有で連携を強めながら、周遊、滞在型観光の一つの形として、一層促進してまいります。
 これまで復興の過程でできたつながりですとか、企業誘致の活動の中でできているつながりですとか、そういうことを使いながら取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 続きまして、現在、災害時は応急仮設住宅として、平常時は宿泊施設として利用できる、いわゆるムービングハウスとかマルチハウスと言われる住宅の活用が各地で進んでおります。これはワーケーションにおいても利用が期待できると考えておりますけれども、今、県内でも岩手町や陸前高田市において活用の検討が今進められている。また、民間企業でも災害時の医療的ケア児の避難施設が、このムービングハウスで整備されているとのことです。
 防災の観点からも非常に有益であると考えますけれども、県としてのこのムービングハウス等の活用についてのお考えをお伺いしたいと思います。
〇白水総務部長 委員から今御紹介いただきました、トレーラーで移動することが可能な移動式木造住宅、いわゆるムービングハウス等につきましては、災害時に臨時避難所として活用することが可能でございまして、新型コロナウイルス感染症対策や要配慮者に対する避難環境の改善などにおきまして、有効に活用されることも見込まれるところでございます。
 一方で、指定避難所として指定する場合は、一定の基準があることや、コスト面、維持管理面で課題があることから、県としては、今後、導入を検討している岩手町などの市町村の活用状況も確認しながら、ムービングハウスの有効性について情報収集してまいります。
〇小林正信委員 続きまして、SDGsについてお伺いしたいと思います。
 取り組みの推進が叫ばれて久しいSDGsですが、SDGsに取り組まない企業は生き残れないとまで言われる昨今、SDGsにかけるお金の資金調達が課題となっているとも言われております。
 昨年1月、盛岡市など5社の共同出資による、もりおかSDGsファンドが設立されました。また、神奈川県では、SDGsを推進する県内企業、団体を支援するための資金をクラウドファンディングで募る仕組みが開始されております。
 アフターコロナを見据えた地域課題解決のための取り組みは、今後さらに重要性が増すと考えます。SDGs推進に取り組む企業への支援策について、県のお考えをお伺いします。
〇保副知事 SDGsとの向き合い方ということで、県としては、昨年3月に策定した第2期ふるさと振興総合戦略におきまして、それぞれ県の取り組む施策がどういう形でこのSDGsの目標に貢献できるのか、そのような観点から取り組みを進めているところでありますが、現在の構えでは、県の施策が直接SDGsに取り組む企業に支援するという形での支援の策というのは、まだないところでございます。
 委員御提案のファンドなどでの支援とか、盛岡市が今やろうとしている事例もございますけれども、全国的には、これから民間サイドで、金融機関などがSDGsに取り組むところに優先的にいろいろな形で支援していくということもありますので、そういった全国的な動向も研究しながら取り組みを進めていきたいと考えております。
〇小林正信委員 続きまして、産後ケアについて少しお伺いしたいと思います。
 公益社団法人日本産婦人科学会等の調査では、出産後の母親の約1割がかかると言われている産後うつが、コロナ禍において約3割まで増加しているとのことです。育児中の母親の孤立は、コロナ禍でますます深刻になっている状況ではないかと考えております。
 県内では、NPO法人まんまるママいわてが、花巻市や北上市、釜石市から受託して相談支援、産後ケアを実施しておりますが、この状況を見ると、今後さらに需要が高まるのではないかと予測されてます。
 本県における産後ケア事業の現状、市町村の産後ケアの取り組みに対する県の支援策についてお考えをお伺いします。
〇菊池副知事 産後ケア事業は、産後ケアを必要とする出産後1年を経過しない母子に対して、助産師等の専門職が、心身のケアや育児のサポート等を行うことにより、産後も安心して子育てができる支援体制を確保するものであり、母子保健上、市町村の努力義務とされております。
 県では、妊産婦等が身近な地域できめ細かなケアを受けられる環境を整備するため、いわて県民計画(2019〜2028)政策推進プランにおいて、令和4年度までに全ての市町村で実施されることを掲げております。
 現在、22市町村において、地域の状況に応じた訪問による支援や、助産院、医療機関の一部を活用した支援が実施され、来年度からは新たに4市町が実施予定であり、年々増加しているところでございます。
 県では、保健所単位で開催しております連絡調整会議の場を活用し、県内市町村等の取り組み事例の紹介や市町村との意見交換を行いながら、地域の実情に応じて取り組むことができるよう助言してきたところであり、引き続き、実施市町村の拡大につながるよう支援してまいります。
〇小林正信委員 続きまして、いじめ問題について取り上げさせていただきます。
 文部科学省の調査によると、昨年度の全国の小中高校と特別支援学校でのいじめ認知件数が初めて60万件を超え、心身に重い悪影響が生じる重大事態も、令和2年度は前年度比2割増しと過去最多となったとのことです。
 国では、従来より、相談しやすい環境をつくるために、SNSを活用した専門家による子供向け相談事業を開始する方針を示しました。今の子供たちは、SNSを活用したコミュニケーションになれているため、気軽に利用してもらえる、本音を聞けるといった効果が期待されるところであります。
 本県においても、今後、SNSを活用したこうした子供たちの相談体制を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇菊池副知事 いじめ相談対応の件でございますが、県教育委員会では、学校以外の相談窓口として、24時間子供SOSダイヤル、ふれあい電話、メール相談等を設置しておりまして、いつでも相談できる体制を整え、さまざまな悩み等に適切に対応していると承知しております。
 電話相談件数は、平成30年度は1、781件、令和元年度は1、728件、今年度は1月末現在で1、429件という状況であると報告を受けております。
 文部科学省では、SNSを活用した相談補助事業を展開しており、全国で18都道府県の教育委員会が導入しております。SNSは、中高生にとって御指摘のとおり身近なコミュニケーションツールでもあります。SNSを活用した相談は、SOSサインを出しやすいという利点がありますので、状況把握など初動対応に有効であると受けとめております。
 こうしたことから、本県ではどのような活用が望ましいのか、県教育委員会において検討を進めてほしいと考えているところでございます。
〇小林正信委員 深い相談はやはり電話という部分が大事なのかなと思いますけれども、メール相談もやっていらっしゃるということでしたが、まず入り口を広げていただく取り組みをぜひ県でもやっていただきたいと思います。
 続きまして、こちらもSNSに関連するのですけれども、自殺に関してです。
 全国の自殺者数は、令和元年度まで10年連続で減少していたものの、新型コロナウイルス感染症の影響等により増加に転じたことが報道されました。
 自殺を食いとめ、県民の命を守るため活用が期待されているのが、SNSによる夜間の相談窓口です。愛知県で実施している、あいちこころのサポート相談では、午後8時から午前0時まで、日曜日は翌日の朝の8時まで、LINEを活用した相談ができるということです。夜間の自殺が多いということで、自殺が多い夜間帯に身近なスマートフォンを使って相談できる点は非常に重要であり、昨年11月の開設で1、200人以上が登録、700件以上の相談に対応してきたとのことです。
 また、長年、自殺死亡率が全国1位だった秋田県では、民学官が連携して自殺対策に取り組み、年間自殺者を平成14年の500人台から、15年かけて200人以下まで減少させ、秋田モデルとして世界からも注目されているそうです。この秋田県でも、昨年8月からLINE相談をいち早く実施しております。
 本県としても、専門家と連携したSNSによる相談窓口を拡充するなど取り組みを一層強化し、孤立を防ぐことが県民の幸福に寄与するものと考えますが、知事の御認識をお伺いします。
〇達増知事 SNSは、時間や場所の制約がなく利用できることや、コミュニケーションが苦手な人にとっては、電話や面談よりも利用しやすいことなどから、若年層を中心に相談につながりやすいというメリットがあります。
 国では、コロナ禍にあって、経済情勢の悪化などの社会的要因により自殺リスクの高まりが懸念されることから、相談支援体制を強化することとし、令和3年度において、新たに全国規模でSNSによる相談受付が可能となる体制を構築するとともに、相談内容に応じて地方自治体や地域の支援団体等と連携した支援を行うために、全国6カ所程度に地域拠点機関を設置することとしています。
 県としましては、新たに設置されるSNS相談機関を広く県民に周知するとともに、市町村や、盛岡いのちの電話など、自殺対策に取り組んでいる民間団体等との協働のもと、このような国の取り組みと連携し、悩みを抱えた人が地域で必要な支援を受けられるよう取り組んでまいります。
〇小林正信委員 続きまして、聴覚障がい者の皆様に対する対応ということで、聴覚障がい者の皆様にとって手話、口話はコミュニケーションの命綱であります。しかし、多くの方がマスクを着用している状況で、口の形を読む口話が困難になっており、さらに、感染拡大防止のため医療機関への手話通訳者の同行がしにくい状況が生まれております。
 そうした場合に役立つのが、遠隔手話通訳派遣システムであります。宮城県の5市8町村で実施されている遠隔システムでは、聴覚障がい者が自身のスマートフォンで、特別な操作をすることなく遠隔通訳を利用できるそうです。
 国は、昨年5月、遠隔手話サービス導入支援を強化する旨を通知しており、そのための経費を予算に計上しております。本県は面積が広大であり、今後、災害発生時に通訳者の派遣が困難な場合も想定されるため、いち早くこのシステムを導入すべきと考えますがいかがでしょうか。
〇菊池副知事 災害発生時など、手話通訳者の同行が困難な状況において、遠隔手話通訳は、聴覚障がいのある方への意思疎通支援として、重要なサービスと考えております。
 このため、県では、利用する方の使いやすさや、サービス実施に係るコスト、また他県の取り組み状況なども参考とし、近年普及が進んでいるスマートフォン向けのテレビ通話アプリを利用したサービス提供を行う方向で、実施に向けた検討を進めているところでございます。
 現在、サービスの利用手順や手話通訳者の配置調整のほか、手話の映像配信に適したスマートフォンの設定など、サービス運用に係る課題について整理しているところでございまして、引き続き、県視聴覚がい者情報センター等と連携し、当事者の意見も伺いながら、来年度中にもサービスを提供できるよう準備を進めてまいります。
〇小林正信委員 ぜひ進めていただくよう、よろしくお願いいたします。
 コロナ禍において、民間の子供支援事業も従来のように実施できず、さらにコロナ禍による親の減収も相まって、子供や親たちの孤立が深まっている現状であります。中でも食に関する支援は喫緊の課題と思います。
 埼玉県では、フードパントリーの取り組みがネットワーク化されており、中でも鴻巣市は、使われていない市の所有施設に冷蔵庫や冷凍庫を設置して取りに来ていただくような取り組みにより、フードパントリーの利便性を高めているとのことです。
 県内でも、盛岡市や花巻市、久慈市のNPOや商工会などが月1回程度実施してくださっておりますけれども、困窮している子育て世帯に対する食の支援について、県としてどのように取り組んでいかれるのかお伺いします。
〇達増知事 本県では、委員御紹介の盛岡市や花巻市、久慈市の例を初め6市町14カ所の子どもの居場所において、弁当配布などの食料支援を実施していると聞いております。
 県では、こうした子供の居場所を支援するため、子どもの居場所ネットワークいわてに配置しているコーディネーターが、寄附等のマッチングなどによる運営支援を実施しているほか、今年度は政府備蓄米の無償交付など、国の支援策の周知も行っているところであります。
 御紹介のあった埼玉県の事例は、缶入りパンなどの災害備蓄食料を配布するものであり、食品の有効活用の観点からも実施されていると承知しておりますが、こうした食料の活用ニーズなどについても、当該ネットワークの意見等を伺いながら検討していきたいと考えているところでございます。
〇小林正信委員 最後に、昨年、県内最大の人工透析施設を有する病院において新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生しており、免疫力が低下する透析患者を減らす取り組みが急務と考えます。
 現在、平成29年度から、糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定し、年々取り組みを強化しております。
 国も、将来の医療費削減のため、糖尿病の重症化予防に力を入れており、支援事業費も大幅に拡充されています。
 大阪府では、糖尿病治療中断者を過去5年のレセプトデータから抽出するシステムを導入しているとのことですが、岩手県としても、より多くの糖尿病治療中断者を抽出するため、こうしたシステムの導入やレセプトデータを過去5年にさかのぼってアプローチするなどの対応は検討しておられるのか、お伺いします。
〇菊池副知事 糖尿病の重症化予防についてです。
 県では、国保における健康と医療に関する分析データを活用した市町村保健事業の推進に資するため、国保被保険者に係る特定健診及び医療レセプト等に関する情報を関連づけて評価、分析し、必要な情報を市町村に還元できるよう、現在、国保データベースシステム、いわゆるKDBの機能の拡張を進めているところでございます。
 このシステムには、国保被保険者の過去5年分の傷病名情報や健診台帳データ等を格納する予定でございます。委員御紹介の糖尿病性腎症重症化予防に係る治療中断者や未治療者等の対象者についても、来年度以降、抽出可能となる見込みでございます。
 県としては、今後、県糖尿病性腎症重症化予防対策推進検討会等で、有識者等による助言もいただきながら、本システムを活用し、保険者である市町村が糖尿病の重症化予防対策に取り組む際に必要な対象者抽出リストの提供や効果的な事業提案を行うなど、支援していく考えでございます。
〇小林正信委員 終わります。(拍手)
〇岩渕誠委員長 この際、昼食のため、午後1時まで休憩いたします。

午前11時51分 休 憩

午後1時2分 再 開

〇岩渕誠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
 山下正勝委員。
〔山下正勝委員質問者席に着く〕(拍手)
〇山下正勝委員 無所属の山下正勝でございます。令和3年度当初予算案について総括質疑をさせていただきます。
 まず、いわて短角牛の知名度向上策についてであります。
 いわて短角牛の産地と言われる肥育地域は、盛岡市、久慈市、岩泉町、二戸市の4地域となっており、それぞれに特色があり、肉の味には違いが出ているところであります。また、南部牛が起源と言われ、塩の道や南部牛追い唄、闘牛など、本県の歴史と文化を語る上で重要な役割を果たすものと考えます。
 そうした歴史ある、岩手県生まれ岩手県育ちの和牛品種であるいわて短角牛は、黒毛和種に比べて情報量が少なく、もっと宣伝すべきであると考えます。
 県では、令和3年の丑年にちなんで、いわてモー!モー!プロジェクト推進事業として、畜産県岩手の強固な地位確立に向けた取り組みを官民一体となって取り組むとのことのでありますが、いわて短角牛については、知名度向上や販路拡大に向けて、どのように戦略的な取り組みを行うのかお伺いします。
〇達増知事 いわて短角牛は、食材にこだわりのある料理人からの評価が高く、また、加工品が各種コンテストで上位入賞するなど、県北、沿岸地域の魅力ある畜産物として、生産や販路を拡大していくことが重要であります。
 このため、県では、繁殖雌牛や肥育素牛の導入支援による生産拡大や、県内の各産地連携のもと、首都圏のシェフ等を対象とした産地見学会やトップセールスの実施、県内飲食店と連携したフェアの開催など、販路の開拓、拡大に取り組んでまいりました。
 また、令和3年度には、いわてモー!モー!プロジェクト2021として、短角牛についての理解が深く調理法にも精通した料理人のいる首都圏の黄金の國、いわて。応援の店でのフェアの開催、短角牛とつながりの深い塩の道や闘牛などの歴史、文化に触れることのできる体験、交流の促進、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会等にあわせた情報発信の強化などに取り組むこととしており、いわて短角牛のさらなる知名度向上や販路拡大を積極的に進めてまいります。
〇山下正勝委員 肥育農家は頑張っております。盛岡市以北のほうが産地である貴重な短角牛でございますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
 次に、農地の基盤整備についてでありますが、岩手県における水田整備率は東北地方の中で最も低く、国としても農地の基盤整備を推進する中で、本県の基盤整備が進まない状況を非常に残念に思います。
 このような中、ある地域では、昭和30年代に基盤整備を行い60年以上が経過し、圃場が荒れており、さらには農道が狭く、圃場そのものを直さなければ農地を集積、集約化できないことから、基盤整備の実施に向けた会合を持つなど前向きに検討してきたのに、来年度は基盤整備の新規調査に着手できずに落胆していると聞いております。別な地域では、関係市町村から基盤整備への賛同を得るため、地域の営農ビジョンを作成したにもかかわらず基盤整備の新規調査に着手できないなど、何か不備があったのか、来年度は岩手県の新規の計画調査地域はないと聞いております。
 また、農地の基盤整備の事業期間は、事業着工から完了まで約10年、合意形成から計画調査を含めると約20年を要する地区もあると聞いており、基盤整備を希望する方々は、自分の地域の選択時期や実施期間が見通せない中で、今後の営農に対する意欲の低下を招き、さらには今後の営農ビジョンを作成することが困難になっているところです。
 地域の要望に沿って農地の基盤整備を積極的に進めていく必要があると考えますが、県では農地の基盤整備について今後どのように推進していくお考えかお伺いします。
〇保副知事 本県の圃場整備率がほかの県に比べておくれているということもありまして、県としても挽回すべく積極的に取り組みたいと考えております。
 予算面を最初に紹介しますと、国の第3次補正予算を活用した県の2月補正予算、それから令和3年度の当初予算案を合わせて、圃場整備事業の予算は、対前年度比114%の104億円という額を確保しております。
 この実施に当たりましては、合意形成段階から県として地域に入りまして、事業採択要件を満たす見通しとなった地区から、順次、市町村等から申請を受け、国の事業採択に結びつけるという流れであります。
 今委員から御紹介のとおり、新規に計画調査に入る。これがスタートになるわけですけれども、令和3年度においては、要望が5地区ございましたが、残念ながらこの調査の実施に至らなかったということでございます。これは、受益地の区域の設定や事業費の規模について、さらに地域の合意形成を進める必要があるためで、県が消極的ということでは全くないわけでございます。その辺は御理解いただきたいと思います。
 完成までに非常に長い時間がかかるということで、個々の地区におきまして、県のほうから、いつごろ完成するかというような事業の完成の見通しについても丁寧に説明しながら、あわせて農家の皆さんの不安を払拭するようにしながら、事業の推進に努めてまいりたいと考えております。
〇山下正勝委員 わかりました。
 これは県下全体の聞き取りをした内容ですけれども、問題点は中山間地域なのです。いろいろな部分で手を挙げているのは、家族経営農家が多いところであります。そういった意味では、大規模農家はそれはそれで私はいいと思うのですが、やはりそういった小さな中山間地域にもきめ細やかに目を通して、農業振興に対して積極的にやってもらいたいと思って、あえて質問いたしました。農家人口が減れば農地が荒れ放題になります。いろいろな実態があると思いますけれども、そういった面を考えながら、前向きにひとつ御検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。
 次に、被災した農業施設の復旧支援策についてでありますが、今冬の大雪は全国的に大きな被害をもたらし、特に東北地方では、本県を初め秋田県や山形県など、大きな被害を受けたところです。
 県では、大雪被害の状況を踏まえ、被災したパイプハウスの撤去については、再建等の支援策を打ち出しました。被災した地域においては、こうした県の支援策を積極的に活用し、早期の復旧が図られるよう期待しているところであります。
 今回の大雪被害において、山形県では、県の単独事業としてパイプハウスなどの農業施設等の復旧に対し、県が3分の1、市町村が6分の1以上の補助率により復旧支援策などを講じておられますが、この事業は、近年の頻発かつ激甚化している自然災害に備えて、山形県農林水産物等災害対策事業として当初予算で措置していると聞いております。
 こうした支援制度があることは、農家経済の安心につながることから、岩手県においても事前に備えておくべきと考えますが、県では農業用施設の復旧支援事業について、山形県のように制度化する考えはあるかお伺いします。
〇保副知事 本県では、農業用施設や機械等のいわゆるハードの復旧に対応した制度は常設していないところでございます。水害や霜害などで被害を受けた農作物の生育回復に必要な種苗や肥料、農薬等の購入支援に要する経費を毎年度当初予算に計上するという形で事業を運用しております。
 自然災害によって施設が被害を受けた場合につきましては、今回は大雪でございましたけれども、さまざまな事態が考えられるということで、これまでそのときどきの被害の状況や緊急性などを勘案して、その都度予算化してきたわけでありますが、御提案のあった山形県の制度、例えば初めから補助率とか対象などを決めておくのがいいのか、あるいは、私どもがこれまでやってきたように、その都度その都度の社会情勢等を踏まえながら制度設計するのがいいのかよく考えながら、他県の事例等もさらに調べ、参考にしながら研究させていただきたいと思います。
〇山下正勝委員 ぜひ、御検討をよろしくお願いします。
 次に、木骨ハウスの活用推進でありますが、県南地域を中心に令和3年2月14日に降り続いた大雪による農林水産関係の被害状況等の報告によると、3月3日現在で、パイプハウスの破損、倒壊が3、891棟、倉庫、牛舎等が523棟となっており、被害額については現在も調査中とのことでありますが、農林業関係全体で36億5、265万円とのことであります。パイプハウスについては、春の農作業までに完了できるか心配しているところです。
 陸前高田市にある県農業研究センター南部園芸研究室において、地域資源である気仙杉を用いた園芸用ハウスを改良し、採光性や耐久性にすぐれた改良型木骨ハウスが平成27年9月に完成しており、さまざまな園芸作物が栽培可能となっております。
 木骨ハウスの活用については、県産木材利用促進のためにも必要と考えますが、農家への助成制度など、県としての活用推進方策についてどのようなお考えなのかお伺いします。
〇保副知事 今委員から御紹介のありました木骨ハウスは、平成25年度から、県の農業研究センター南部園芸研究室と国の試験研究機関や地元企業などが連携してつくりまして、さまざま性能の検証や改良を行いながら、当初は課題でありました採光性や耐久性の向上を改善してまいりました。
 県内では、この間、施設園芸用ハウスとして21棟が導入されておりますけれども、さらにこれを普及していくためには、パイプハウスに比べて資材費や建設費が高いことなどが課題となっております。現在も、開発した企業では、建設費の低減に向け、施工方法の改良等に取り組んでおります。一方、風や積雪への強度が高い利点、あるいは地元の木材を使えるということでのメリットもございます。
 メリット、デメリットを情報提供しながら、直接ということではありませんが、活用可能な補助事業等もありますので、そういったことも御紹介申し上げながら、さらなる活用について取り組んでまいりたいと思います。
〇山下正勝委員 よろしくお願いします。
 次に、スマート林業の推進についてでありますが、近年、地方における急速な人口減少等により、森林経営の担い手が不足し、成育管理のおくれた森林が目立ってきているように感じます。また、間伐や再造林など適切な森林整備を進めるためには、森林の現状を把握する必要がありますが、広大な森林の調査は時間も人手もかかる大変な作業です。
 このような状況を踏まえ、国では航空レーザーなどの最先端技術を活用し、人手をかけることなく正確で詳細の森林資源情報を収集し、森林の経営管理に利用するスマート林業の取り組みを進めており、本県においても、一部の市町村が森林地域の航空レーザー計測を実施していると聞いております。
 本県の豊かな森林は、いわば宝の山です。健全な森林の育成と森林資源の循環利用に向けて、先端技術を活用したスマート林業の推進に、県ではどのように取り組んでいくお考えなのかお伺いします。
〇保副知事 スマート林業と言われる最先端の技術を使った林業という面で、活用できるものとして、現在実用化しておりますのが、航空レーザーとドローンの活用でございます。
 航空レーザーにつきましては、現在、県有林の立木売り払いのための材積調査、あるいは市町村での森林の現況調査に活用しております。また、ドローンにつきましては、伐採現場の情報を的確に見るという伐採現場の管理ですとか、薬剤散布に活用するなどの取り組みが始まっております。
 これら先端技術の活用は、令和元年度にスタートした森林経営管理制度の運用主体である市町村や地域の森林経営管理を担う林業経営体にとっては、今や必要不可欠なものでございます。レーザー計測等で得られた精度の高い森林情報を有効に活用できる人材の確保あるいはその育成、それから森林情報を関係者の間で共有できる新たな仕組みづくりが必要と考えております。
 県では、令和3年度当初予算案にスマート林業推進事業を盛り込んでおりますが、森林のデジタルデータを分析、活用する技術研修会の開催等を実施し、林業経営体における技術の高度化を進め、経営効率の向上を図るということ。もう一つ、森林クラウドシステム整備事業というのもございまして、こちらは最新の森林情報を県や市町村、林業経営体等が共有し利用できる森林クラウドシステムを整備したいと考えております。こういったことで、行政等による森林管理の効率化を図ることにしております。
〇山下正勝委員 終わります。(拍手)
〇岩渕誠委員長 質問者席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、上原康樹委員。
〔上原康樹委員質問者席に着く〕(拍手)
〇上原康樹委員 無所属の上原康樹でございます。
 まず、新たな大津波への備えについて。
 復興防災部は既に大きなテーマが突きつけられています。昨年の春4月、内閣府の有識者検討会から、日本海溝、千島海溝沿いで予想される巨大地震に関するモデルの検討について公表がありました。北海道から東北地方北部の太平洋沖で過去最大級の地震が発生すれば、最大30メートル近い津波になるとの推計結果が公表されました。
 本県の沿岸部で予想される津波被害、改めて最新のデータで確認させてください。
〇菊池副知事 国が公表した津波浸水想定についてでありますが、国の公表資料によりますと、津波の高さは海岸線からおおむね20メートルから30メートル沖合における最大の値─最大沿岸津波高として各市町村の代表地点の値が公表されております。例えば宮古市では29.7メートル、久慈市では16.0メートル、釜石市では18.5メートル、大船渡市で16.2メートルなどとなっております。
〇上原康樹委員 この予想を県が県民に公開したのが去年の9月11日でした。内閣府の発表から5カ月後のことです。この間の県の沈黙の理由を伺います。
 また、県の取り組みがあったと思いますが、御説明ください。
〇菊池副知事 国の津波浸水想定の公表につきましては、昨年3月、県に案を提示してから約1カ月の間で市町村長へ意見照会を行った後に公表すると国から伝えられました。国が5年間にも及び地震津波の専門家の意見を聞き検討した成果につきまして、他県に比べ津波高や浸水範囲が大きい本県沿岸市町村長が、わずか1カ月間で責任をもって住民に説明することができるのでしょうか。そうしたことから、県として国に対し十分な事前説明を行うよう求めた経緯がございます。
 このような経過を踏まえまして、県では昨年6月に岩手県津波防災技術専門委員会に小委員会を設置して、岩手県三陸沿岸のより詳細で精度の高い津波浸水想定に着手したところでございます。
 県が行う津波浸水想定の特徴といたしましては、国は日本海溝、千島海溝沿いの地震津波のみを対象としておりますが、県はこれに加え、東日本大震災津波及び明治三陸地震津波等の複数の津波シミュレーションのデータを重ね合わせ、想定され得る最大の浸水域分布を作成するものとしております。
 地形データの精度について、当初は国と同様の10メートルメッシュを想定しておりました。しかし、先ほどの小委員会ですが、専門家からの意見がいろいろございまして、県ではより細かな5メートルメッシュとして、地形や復興まちづくりを踏まえた土地利用を反映した約9、000万メッシュのデータを用いたシミュレーションを行うこととして進めております。
 また、三陸沿岸域を27地域に区分して、複雑な海岸地形の影響を反映させること、さらに防潮堤が破損しない場合のケースの計算など、震災復旧、復興が進む本県特有の事情を加味した300ケースを超えるシミュレーションを行うこととしております。
 現在、地形データの精度、防潮堤の破堤条件など、津波浸水シミュレーションを実施するための諸条件を確定したところでございます。今後も、小委員会で専門家と協議を重ねながら、そして市町村とは検討プロセス全てにおいて情報共有を図り、早期に公表できるよう鋭意作業を進めてまいります。
〇上原康樹委員 膨大で複雑な課題と県は闘っていたということがよくわかりました。しかし、最初の一歩はどうだろうというところはあります。
 先ほど申し上げました5カ月のおくれ、当時の朝日新聞です。内閣府は浸水域予想図のホームページ上での公開について、岩手県については、住民の混乱を招く懸念があるとして、県から非公表を要請されたと説明しているとあります。これが事実であるとしたら、私は疑問符を投げかけます。
 その戸惑い、心情的には痛いほどわかるのです。しかし、県民の安心・安全を担う県には責任があります。どんなに厳しい予想、情報であっても伝えることを躊躇しない。情に流されることなく、県民と県が冷静に情報を共有することから防災は始まると思いますが、この点について知事のお考えを伺います。
〇達増知事 県としては、国に対して十分な事前説明をするように求めたわけでありますけれども、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデルというのは、東日本大震災津波を上回る超巨大津波、あの東日本大震災津波を経験した我々でも想像を上回るようなモデルであります。
 今まで、東日本大震災津波を経験しつつ、しかし、あのときの津波を防ぐ防潮堤は余りに巨大なものになってしまいますので、30年から100年に一度程度のいわゆるレベル1の津波を想定した防災対策を講じ、そしてそれを超える津波が来た場合には逃げるという、ソフトを合わせた多重防災型まちづくりを進めてきたわけであります。
 これで東日本大震災津波がもう一度来ても対応できるような防災体制は、岩手県において約10年かけながらつくられてきているわけですが、そこにさらに東日本大震災津波を上回る津波への防災体制をということでありますので、やはりそれは住民の皆さんがきちんと理解してスムーズに作業ができるような形で国に発表してもらうことが好ましかったし、またそう求めてきたところであります。
〇上原康樹委員 そこで、令和3年度の地震・津波危機管理対策事業費に3、360万円の予算案が計上されていますが、具体的な事業内容の説明をお願いします。
〇白水総務部長 地震・津波危機管理対策事業費でございますが、昨年9月に内閣府が公表した日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデルの公表を受け、先ほど副知事から答弁申し上げましたけれども、現在、県で検討を進めている本県の最大クラスの津波浸水想定の結果を活用し、地震、津波被害の全容を把握するものでございます。
 具体的には、地震や津波による建物倒壊や火災、水道、電力、ガス、道路などのライフラインの被害について市町村ごとに調査し、減災対策につなげるとともに、防災教育の推進や防災意識の啓発に活用し、本県の総合的な津波防災対策に生かしていくこととしております。
〇上原康樹委員 3.11の教訓と予想される地震や津波を一体的に捉えていくことが重要だと思います。過去と未来を現在に結ぶ防災活動です。それでこそ3.11は風化せず人々の心に刻まれていくものと思いますが、これからの自然災害に対するその気持ち、どう取り組むのか、知事の所感を伺います。
〇達増知事 東日本大震災津波への対応においては、復興局を復興推進の司令塔とし、部局横断的に取り組み、復興まちづくりや、なりわいの再生など、復興を進めてまいりました。
 今後の新たな復興のステージを見据えて、令和3年度には、新たに復興防災部を設置することとしており、災害に対する備えや応急対策、防災、減災から復旧、復興までを一連の流れとして施策を組み立てる体制を構築して、市町村や防災関係機関との連携を強化して取り組みを進めることとしております。
 特に、津波防災対策については、今後作成する県の津波浸水想定や被害想定を踏まえて、減災対策を進めるとともに、市町村と連携して、住民参加型の防災訓練を行うなど、住民の適切な避難行動を促す取り組みを進めます。
 気候変動に伴って、全国各地で大規模な自然災害が毎年のように発生し、復旧、復興事業が進められる中で、ハード、ソフト両面から防災、減災、国土強靱化の取り組みが今後一層重要になるものと認識していますことから、災害を風化させず、県民一人一人の防災意識の向上、住民同士が助け合える体制の強化、そして関係機関が連携した防災体制の整備を推進してまいります。
〇上原康樹委員 これからも強い気持ちでお取り組みいただけるよう、お願いいたします。
 次です。放射能について。
 いわてモー!モー!プロジェクトで岩手の牛を大いに売り出そうと意気込む岩手県ですが、津波とともに原発事故による放射能汚染をもたらした3.11から10年を迎える今、改めて食の安全、安心の保障という観点から、畜産に関する県の事業と予算を見てみました。
 その中で、汚染牧草などの一時保管を支援する放射性物質被害畜産総合対策事業費は、前年比4、460万円増の1億3、070万円が計上され、一方で、安全な県産牛肉の供給体制を確立するため放射性物質検査を実施する県産牛肉安全安心確立緊急対策事業費は、前年比4、690万円減の1、840万円にとどまっています。前者は牛を育てる安全な環境整備、後者は牛そのものの安全・安心の確保、これらは表裏一体で取り組むべきものと思いますが、この対象的な予算のつけ方に関して説明をお願いします。
〇保副知事 委員からお話がありました一つ目の事業、放射性物質被害畜産総合対策事業費は、家畜の飼料となる牧草の放射性物質検査に要する経費や、汚染牧草等を一時保管している市町村を支援する経費を計上しているものでございます。
 令和3年度におきましては、市町村が行う一時保管している牧草の放射性物質濃度を改めて測定する経費を補助する必要がありますことから、その額が増額となっているものでございます。
 また、次に、二つ目の事業として御紹介がありました県産牛肉安全安心確立緊急対策事業費は、国の原子力災害対策本部が定めるガイドラインに基づきまして、食肉処理場で県産牛肉の放射性物質の検査を行うものであります。
 この検査ですが、令和元年度までは出荷される牛を全頭検査しておりましたが、平成24年度以降、基準値を超える牛肉が全く検出されていないことなどから、令和2年3月23日にガイドラインが改正されました。このことによりまして、今年度から、もう既に今の段階ですけれども、全頭検査から抽出検査へ移行しております。したがいまして、現在、検査頭数は、それまでに比べ大幅に減少しているところであります。
 これは、ガイドラインの改正が令和元年度末であったために、技術的な問題で、令和2年度当初予算は全頭検査を前提に予算計上しておりました。したがいまして、現時点で令和2年度当初予算と比べますと、令和3年度の当初予算案が、見かけ上、大きく減額しているようになりますが、この検査に必要な経費は確実に確保しているものでございます。
〇上原康樹委員 いずれにしましても、福島第一原発では、世界的に例のない廃炉作業が進み、汚染水、処理水の海洋放出をめぐる議論が高まり、東日本大震災津波から10年となる今、放射性の危険に人々の視線が向けられています。
 これまで岩手県では、県内の空間放射線量や放射性物質濃度、食品の放射性物質の検査結果など、データを公表し続けています。しかし、放射能の影響は、長い長い期間続くものです。今後、測定した数値の発表にとどまることなく、データの意味、データが語ることをわかりやすく繰り返し伝え、必要な対策を立てることがますます重要になると考えますが、県の考えを伺います。
〇藤澤企画理事兼環境生活部長 放射能のデータ公表の関係についてでございますが、東京電力原子力発電所事故から間もなく10年となりますが、近年、県内の生活空間における放射線量は低い値で安定しておりまして、県産食品の放射性物質濃度も、ほとんどが国の基準値を下回っております。
 県では、さまざまな媒体を活用して各種測定結果を公表してきておりまして、県のホームページにおいては、これまで測定してきた空間放射線量や食品の放射性物質濃度のデータを検索できるようにしているほか、毎年度発行している岩手県放射線影響対策報告書や、年に4回全戸配付しておりますいわてグラフにおいても、これらのデータをもとにしたグラフや図表を掲載するなど、わかりやすい情報発信に努めてきたところであります。
 また、これまで、牛、野生セリ、イワナなど、農林水産物の出荷制限の解除が進んでまいりましたが、その公表の際には、対象地域及び今後の検査体制にあわせて、なおも制限が残る品目や地域についても公表し、県民の皆様への注意喚起を促しているところであります。
 本県においては、原子力発電所事故に伴う放射性物質の影響はいまだ収束したとは言えないことから、県民が放射線の影響を正しく理解し、不安が解消されるよう、今後も放射線に関するわかりやすい情報発信に取り組んでまいります。
〇上原康樹委員 広大な牧野に草をはむ牛の群れ、すばらしい岩手県の光景です。まさにモー!モー!プロジェクトの象徴というわけですけれども、心おきなくこのプロジェクトを展開するためにも、放射能の監視など、一層、意識的に継続してほしいと願うものです。
 次でございます。林業に関して。
 森林活用による地域活性化というのは重要な課題です。県は、新規の事業として、外部資金等林業試験研究費80万円を計上しています。林業技術センターが収益性の高い広葉樹林の造成に向けた調査や技術開発に取り組むとあります。
 広大な森林事業の第一歩としては、いささかささやかな予算ですが、私は、大きな可能性を持つ事業として楽しみにしています。広葉樹は、家屋やインテリアの材料として高収益が期待され、二、三十年程度で伐採できるなどの利点に加え、森林の多様性を育むと言われています。
 来年度、新規事業によって得られるその調査結果や技術はどのように活用されていくのか伺います。
〇保副知事 委員から御紹介がありました、来年度から新たに取り組みます外部資金等林業試験研究事業は、広葉樹資源の利用拡大を目指した造成技術の開発をテーマに、国の森林総合研究所など複数の研究機関が連携して研究を実施するものであります。
 来年度は、過去に植栽した広葉樹林の生育状況や施業の履歴から、曲がりが少なく成長が早い樹種の特定、歩どまりの高い広葉樹が生育している区域の土壌や日照等の生育環境、除間伐等の実施状況などを調査することとしております。
 この目的は、樹種ごとの最適な生育条件や施業方法を明らかにすることにより、生産性の高い広葉樹林の育成技術を確立し、広葉樹による林業を振興しようということで取り組むものでございます。
 当面、3カ年の計画で進めることとしております。確実に成果が得られるよう、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
〇上原康樹委員 こういう取り組み、今、全国に広がっているのです。岐阜県の飛騨市では、広葉樹林によるまちづくりを目指し、素材生産者、製材事業者、建築業者、木製品製造者などそれぞれの分野の専門家が連携し、広葉樹の新たな価値を創造しようと活動しています。
 飛騨市のような先進地への視察や交流も本県の取り組みに役立つと考えますが、いかがでしょうか。
〇保副知事 岐阜県の飛騨市におきましては、委員からお話がありましたとおり、地域資源である広葉樹の新たな価値の創造ということで、さまざまな取り組みをしております。
 令和元年9月に盛岡市で開催された広葉樹利用による地域再生をテーマにしたシンポジウムがございましたけれども、このときに飛騨市の職員をお招きしまして、第三セクターの設立による広葉樹の高付加価値化に向けた取り組みを発表いただいたところであります。
 このシンポジウムをきっかけに、飛騨市の職員が岩泉町と県内に広葉樹の調査で来県して意見交換を行ったり、岩泉町や県、森林組合の職員等が飛騨市を訪問するなど、広葉樹をテーマに交流が始まっております。
 今後、委員からもお話があったと伺っておりますが、例えば林業アカデミーの研修生など若手の将来の担い手がそちらのほうを訪問するとか、そのようなことも検討してまいりたいと考えております。
〇上原康樹委員 うれしい答弁に感謝いたします。
 広葉樹の森というのは、林業の現場であると同時に、人と大自然の触れ合いの場にもなるはずでございます。一層の力を入れていただきたいものでございます。
 最後は、自動車産業振興についてでございます。
 トヨタ自動車東日本岩手工場で生産するトヨタのヤリスは世界的な大ヒットです。しかし、自動車産業の行く手には大きな課題があります。政府が宣言した2030年代までには電気自動車へ移行という大方針です。この状況のもと、令和3年度、県では先端自動車開発技術人材育成事業に110万円を計上しています。かなり控え目ですが、この予算で、まずはどのような先端技術を習得し、どのような人材を育成するのか、具体的な説明をお願いします。
〇保副知事 現在、自動車産業は100年に一度の大変革期に直面していると言われております。各社とも電動化を加速させております。
 これまで県では、今年度までの3年間にわたりまして、国の委託事業を活用し、EV人材育成事業において、一関工業高等専門学校と連携し、高専生、高校生、社会人等を対象にいたしまして、次世代の自動車産業を担う人材の育成に取り組んでまいりました。
 この事業では、県内の企業が開発したPIUSという名前の小型EVキットがございます。このキットを組み立て分解する実習をやりながら、その構造やメカニズムなどを勉強するといったことが行われてきました。ほかにもいろいろやりましたけれども、受講生は3年間で延べ408名に上っております。この中で、新たに就職した学生42名のうち、自動車関連産業への就職が31名ということで、大きな成果が上がっているのではないかと考えております。
 令和3年度は、高専生、高校生を対象に、電動化や電子制御にかかわる先端技術を習得する先端自動車関連技術人材育成事業を新たに取り組む予定でございますが、これも、これまで取り組みましたさまざまな実績をもとに、今御紹介申し上げました地元企業との連携、あるいは一関工業高等専門学校や県内の工業高校と連携し、人材の育成を進めてまいります。
〇上原康樹委員 そうしますと、人材確保のために理工系大学との連携、また新技術に対応する部品メーカーとの連携、これは県としてはかなり具体的に手応えを持っているということでよろしいですか。
〇保副知事 手応えを持っているかと聞かれますと、そのとおりだというようにお答え申し上げたいわけです。特に、岩手大学と県内に進出しているトヨタ自動車関係の自動車メーカーとの間で協定を結びながら、もともと岩手大学で培われてきた技術を自動車部品メーカーに提供していくといったことも、実際に今進めようとしております。そのようなことで理工系大学との連携、特に地元の大学と組んでいくということを進めていきたいと考えております。
〇上原康樹委員 さて、あのアップル社が、自動車産業に参入にするという情報が、昨年暮れ、飛び込んできました。スマートフォンでの自動車の機能のアップデートや、データに基づく高度な危険回避技術が想定されています。アップル社は、世界中の自動車部品メーカーの工場の中から生産委託先を選ぶ方針で、そうしますと岩手県内の部品メーカーにも可能性が出てくるわけです。本県がどうかかわっていけるか、知事の御所見を伺います。
〇達増知事 報道によりますと、アメリカのアップル社は、自社開発のバッテリーを搭載した電気自動車を2024年に生産開始するため、現在、世界中の自動車メーカー等に生産委託の可能性を打診しているとのことであります。
 世界的なIT企業によるEV参入計画はほかにもあり、このような動きのもとで、今後の自動車産業は、水平分業やグローバル化がますます進展していくと考えられます。
 岩手県には、トヨタ自動車東日本岩手工場を中心に大手部品メーカーが集積し、電動車の重要部品の生産拡大やグローバル展開の強化を目的に工場やラインの増設などの動きを活発化させており、今後もこの動きが加速し、地場企業への波及効果につながることを期待しています。
 県としては、このような動きをチャンスと捉え、自動車産業の発展が将来の地域の産業や雇用に一層の好循環をもたらすよう、産学行政が一体となって高度技術者の育成、確保を推進するとともに、企業の生産技術力や設計開発力のさらなる向上に向け支援してまいります。
〇上原康樹委員 いずれにしても、これは2030年代の話です。もう電動車の導入待ったなしの状態だと思います。県も取り組みのスピードアップが求められています。今後、ダイナミックな予算措置も想定して取り組んでいただきたいと思います。
 以上、私の質疑を終わります。御答弁ありがとうございました。(拍手)
〇岩渕誠委員長 以上で、総括説明に対する総括質疑を終わります。
 知事を初め執行部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 これより各部局別の審査に入るわけでありますが、委員席の移動を行いますので、その間、暫時休憩いたします。

午後1時53分 休 憩

午後2時17分 再 開

〇城内よしひこ副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これより各部局別の審査を行います。
 質疑につきましては、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、質疑項目が複数ある場合、関連する事項はできるだけまとめて質疑を行うこと、他の委員と重複した内容の質疑は極力避け、どうしても必要な場合には、関連質疑として短時間かつ簡潔に行うことを基本とすること、数値の確認のみの質疑や要望のみの発言は原則として行わないこととなっています。
 また、議会運営委員会において、新型コロナウイルス感染症対策として、部局別審査においては、各日の質問予定人数に応じて、その日の世話人会で協議の上、質疑の目安時間を決定することとされたところです。
 本日は、この後、議会、総務部、出納局、人事委員会及び監査委員関係について延べ12人の質問者を予定しておりますので、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は23分といたしましたので、議事進行に御協力をお願いします。なお、関連質疑については、その日の質疑の目安時間にかかわらず、関連質疑の目安時間を10分とすることにいたしましたので、あらかじめ御了承願います。
 初めに、議会事務局長に議会関係の説明を求めます。
〇南議会事務局長 それでは、令和3年度の議会関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 お手元の議案その1の6ページをお開き願います。議会関係の歳出予算は、第1款議会費の14億1、569万円であります。これを前年度の当初予算と比較しますと3、116万円余の減、率にして2.2%の減となっております。
 予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げますので、84ページをお開き願います。
 なお、金額の読み上げは省略させていただきます。
 第1款議会費第1項議会費のうち第1目議会費は、議員の報酬、旅費等の議会運営に要する経費であります。次に、84ページから85ページにかけてでありますが、第2目事務局費は、議会事務局職員の人件費及び事務費等、事務局の管理運営に要する経費、並びに議会改革の一環としてICT化を推進するため、タブレット端末及びペーパーレス会議システムを試行的に運用するための経費であります。次に、第3目議員会館費は、議員会館の管理運営に要する経費であります。
 以上で議会関係の予算についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇城内よしひこ副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 最初に、県議会の受動喫煙防止対策について質問いたします。
 全国の都道府県議会、東北各県の県議会の受動喫煙防止対策、受動喫煙防止条例の制定、喫煙所の設置状況はどうなっているでしょうか。
〇南議会事務局長 まず、全国の都道府県議会における受動喫煙防止対策の実施状況についてであります。
 令和2年9月の調査時点で、敷地内全面禁煙は6道府県、敷地内禁煙で敷地内に喫煙専用室ありとするものが11府県、建物内禁煙が10都県、建物内禁煙で喫煙専用室ありとするものが20県となっております。
 次に、東北の県議会における受動喫煙防止対策の実施状況についてでありますが、令和2年9月の調査時点で、敷地内全面禁煙は青森県、秋田県の2県、敷地内禁煙で敷地内に喫煙専用室ありとするものが福島県の1県、建物内禁煙が宮城県、山形県の2県、建物内禁煙で喫煙専用室ありとするものが本県の1県となっております。
 次に、全国の受動喫煙防止条例の制定状況についてでありますが、保健福祉部の調査によれば、11道府県となっております。また、このうち東北各県の状況につきましては、山形県と秋田県の2県が既に条例を制定しているところでございます。
〇斉藤信委員 全国の都道府県議会の状況をお聞きしました。27都道府県が建物内の禁煙は徹底されているということであります。そして、既に11道府県が議会として、議会提案だけではないと思いますが、受動喫煙防止条例を制定されておりまして、東北では、建物の中に、議会棟に喫煙室を設けているのは岩手県だけと。この問題本当に残念でなりません。
 そこで、昨年9月の決算特別委員会のときに私は指摘しましたが、県議会の喫煙室は、日本たばこ産業株式会社からの寄附行為で設置されました。これは、たばこ規制枠組条約第13条の、たばこ会社等が社会貢献活動や寄附をしてはならないと、これに反するものであります。
 あわせて、県と日本たばこ産業株式会社との間に寄附にかかわる覚書が交わされておりました。供用期間5年ということでしたが、昨年の決算特別委員会の段階では5年の区切りで検討した経過はありませんでした。5年以降についてどのように検討されたのか示してください。
〇南議会事務局長 日本たばこ産業株式会社と取り交わした覚書の供用期間の5年間についてでございますが、総務部が日本たばこ産業株式会社に確認したところ、分煙環境の整備のために本喫煙施設を5年間は使用してほしいという趣旨であり、供用期間の5年間が経過したことをもって喫煙室を撤去しなければならないものではないということを確認していると、総務部から聞いております。
〇斉藤信委員 5年間が供用期間ですから、寄附された施設を継続して使用するという判断を議会と総務部がしたということですか。
〇南議会事務局長 5年の供用期間につきましては、あくまでも総務部と日本たばこ産業株式会社との覚書でありますので、そこに議会がかかわっているのは、あくまでも議会棟に喫煙室を設置してほしいということを申し出たという観点でありますが、5年間の供用期間というところについては、議会側はかかわっていないものと考えております。
〇斉藤信委員 供用期間が5年ということであれば、5年過ぎた場合にどうするかという決断が求められるわけです。ずるずるやるものではないと思いますよ。供用期間は5年と決まっていたわけだから、5年を過ぎても使うなら使うという判断をしなくてはならない。先ほど言ったように、たばこ規制枠組条約の第13条の精神からいったら、日本たばこ産業株式会社から寄附を受けることはこの条約に反すると。私は、この寄附行為は受けるべきではなかったと思います。そういうことで、5年というのは、そういう判断をする機会だったのではないかと思います。
 質問通告もしていたのだから改めて聞きますけれども、総務部は何らの判断もしていないということですか。そして、議会としても何らの行動もしていないということですか。
〇南議会事務局長 先ほども御答弁申し上げましたように、この供用期間の5年間につきましては、5年間が経過したからといって撤去しなければならないものではないというように、総務部が日本たばこ産業株式会社から確認しているということでありますので、それを受けて、これまで5年後どうするかということについて特段の検討がなされたという事実関係については、私どものほうでは把握いたしてはおりません。
〇斉藤信委員 結局、総務部が、たばこ規制枠組条約の精神をしっかり受けていなかったのではないかと思います。
 もう一つは、そういう覚書があるのだったら、議会としてもこの機会にきちんと協議をすべき課題だったのではないか。東北地方で残っているのは岩手県だけなのですから。
 それで、きのうの新聞に、盛岡市の神子田朝市がみずから禁煙を決めたとありました。これは岩手日報に投書がありまして、それを受けて神子田朝市の運営に携わる方々がみずから、公共的な施設だから禁煙にすることを決めた。お店によってはお客さんが減るのではないかという不安もあった中で、いや、そうではない、かえって市民の利用者にも喜ばれる対策だと。こういう打ち出しをしたというので、紫波町の医師がそれを評価する記事が、日報論壇に掲載されておりました。
 私は、受動喫煙防止というのは、本来、議会が先頭に立って取り組むべき課題だと思います。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は、感染リスクが高まる5つの場面というのを今でも繰り返し徹底して言います。5つの場面の5番目に、休憩室、喫煙所、更衣室での感染が疑われる事例が確認されていると。喫煙所も感染リスクが高まる5つの場面の一つに指摘されているのですね。こういうものを議会棟の中にそのまま置いていていいのか。
 議会事務局長として、この政府分科会の提言はどのように受けとめていますか。
〇南議会事務局長 ただいま斉藤委員から御指摘いただいた政府の専門分科会の感染リスクが高まる5つの場面ということでありますが、その提言そのものについては、当然そのとおりだと認識いたしております。あとは、それぞれの事業体あるいは事業主等々で、そういった5つの場面を回避する努力が今全国民に求められているのだろうというように認識いたしております。
〇斉藤信委員 新型コロナウイルス感染症でさまざまな方が大変苦労されている。そして大変な影響を受けている。そういう中で、公共の建物、県民に開放された県議会棟の中に、感染リスクを高めるあの喫煙所があっていいのか。私は、今こそ、このコロナ危機から県民、議員の健康を守るという点でも、これは再検討されるべきだと。ぜひ議会運営委員会等でも議論していただくように、この場でお願いしておきます。
 そこで、県議会棟の喫煙所の利用者ですけれども、敷地内禁煙を実施している県庁の職員の利用というのは、本来あってはならないと思いますけれども、これは規制されないのですか。そして、県議会棟の喫煙所の利用規則なるものも、私は、やるのだったら最低限定めることが必要だと思いますけれども、いかがですか。
〇南議会事務局長 議会棟の喫煙室の設置に当たりましては、議員控室を禁煙とすることへの代替措置として設けたということでありますので、まさに議会棟の喫煙所の利用者としては、議員、そして議会棟に用務があって来た方々が利用するものという認識で考えているところでございます。
〇斉藤信委員 敷地内禁煙を徹底するときに、総務部長名で、こういう通知が出ています。勤務時間中に庁舎敷地外で喫煙するために職場を離れる行為は、職務に専念する義務の遵守という観点から認められないと。外であっても勤務時間内は認められないと。ましてや敷地内は認められないでしょう。議会に用務があったら、県職員はあの喫煙所で喫煙することができるのですか。私はできないと思いますよ。
 事務局長のはっきりした答弁をいただきたい。
〇南議会事務局長 今斉藤委員から御指摘がありましたように、総務部のほうでは各種の通知を発出いたしております。総務部では、令和元年6月27日付で、県庁舎敷地内が全面禁煙とされることに伴う服務上の留意事項について通知を発出したほか、先ほど委員から御紹介がありました、本年2月15日付で、勤務時間内に職場を離れ喫煙を行う行為は、服務規律に違反するほか、県民の誤解や不信を招き、職員の信用失墜につながりかねないものであり、厳に慎む必要があることから、改めて職務専念義務の厳守等について徹底を図る通知が発出されたところであります。
 したがって、県の職員は法にのっとり、この通知に基づいて適正に対応していくものと私は考えております。
〇斉藤信委員 実際に私はあそこの中に入ることはほとんどないのだけれども、県の職員があそこに入って喫煙している例が結構見受けられます。あの議会棟の喫煙室が敷地内禁煙の逃げ場になったら、これ極めて重大だと思いますよ。だから、私は全面的にあの喫煙所は見直すべきだと思うけれども、事務局長、今あそこに何席の椅子があるかわかっていますか。
〇南議会事務局長 中をのぞいて見た限りでは、四ないし五つの席ではないかと思います。
〇斉藤信委員 6席あるのです。あの狭いところに6席というのは、もう密でしょう。新型コロナウイルス感染症対策からいっても、あること自身が問題だけれども、密になっても吸ってくださいというような、こういうあり方というのは根本から見直すべきではないか、このことも指摘しておきたいと思います。
 それで、私は、やはりあそこの利用については、誤解を招かないようにきちんと留意事項などを定めるべきだと思いますけれども、いかがですか。
〇南議会事務局長 現在、あの喫煙室の利用規則なるものは作成しておりませんけれども、喫煙室の入り口の扉を閉めないようにする注意書きとか、ソーシャルディスタンスを保つようなステッカーについては、私どものほうで掲示いたしております。
〇斉藤信委員 ステッカーを張っても、6席あったらだめじゃないですか。そういうふうになっているから私は指摘しているのですよ。ソーシャルディスタンスを本当に確保するのだったら、そうしなければだめですよ。
 次に、県議会議員の海外視察についてお聞きします。
 全国都道府県議会における海外視察の実施状況は、どのように把握されているでしょうか。
〇伊勢参事兼総務課総括課長 令和2年度における全国都道府県議会の海外行政視察の実施状況についてでございますけれども、実施がゼロ県、実施せずが本県を含め32府県、未定が15都道県となっております。
〇斉藤信委員 そもそも県議会議員の海外視察をもうやめている、実施していない、こういう都道府県は幾つありますか。
〇伊勢参事兼総務課総括課長 本県の調査では、制度の廃止が1県、あと休止が4県ございますので、休止も含めれば5県になろうかと思います。
〇斉藤信委員 恐らく東京都を含めて5県が廃止、休止となっていると思います。
 今年度は新型コロナウイルスの感染で全国どこも実施されていないと。私は来年度も実施されないと思います。今の世界的な新型コロナウイルス感染症の大流行の状況は、これは令和3年3月6日現在ですけれども1億1、611万人、死者258万人、1週間で270万人の感染拡大、1日にすると38万人の感染が拡大しています。年内にはおさまらないだろうと、これは多数の専門家の見立てでありますから、私は、来年度の海外視察も実質不可能ではないかと。こういう予算は、本来、新型コロナウイルス感染症対策に集中すべきではないかと思いますが、いかがですか。
〇伊勢参事兼総務課総括課長 来年度の海外行政視察の実施につきましては、新型コロナウイルス感染症を取り巻く今後の状況を見通すことはなかなか困難でございますけれども、海外行政視察に係る予算の取り扱いにつきましては、令和2年9月28日の議会運営委員会で決定されたとおり、当初予算案に計上しているものでございます。
 平成14年に議会運営委員会で決定された議員派遣の運用についてに基づき、議員から海外行政視察議員派遣提案書が提出された場合に迅速に対応できるよう、準備を進めてまいりたいと考えております。
 なお、その実施につきましては、議員間で十分御協議の上、お決めいただくものと考えております。
〇斉藤信委員 今年度の海外視察については、県議会はかなり早い時期に中止を決めて削減措置をとったと思います。もう来年度予算案にも計上されていますからね。しかし、早い時期に判断して、やはりこれを新型コロナウイルス感染症対策に回す取り組みをすべきだと思いますが、今年度はいつそういう削減の措置をとったのか。来年度の予算案は幾らなのか。
 あと、時間がないので最後の問題を聞きます。
 タブレットの導入で、県議会の議事録の冊子は作成されないことになりました。全国都道府県議会で議事録を冊子として作成していないところはどれだけあるでしょうか。その経費削減分はどれだけでしょうか。
〇伊勢参事兼総務課総括課長 まず、海外視察の予算に関しましては、今年度も来年度も1、080万円となっております。
 今年度の減額補正につきましては、5月の議会運営委員会で、新型コロナウイルス感染症対策への予算に配慮するために、今年度は中止されたと記憶しております。
〇南議会事務局長 タブレット端末の関係でございます。
 まず、会議録の作成についてでありますが、会議録のデータ化により会議録の冊子作成を行わず、データ配信としている全国の都道府県議会の状況について、私どものほうで聞き取り調査を行ったところ、本県のほか茨城県、神奈川県、大阪府、鳥取県及び沖縄県の5府県議会がデータによる配信としております。
 次に、会議録の印刷製本を廃止することによる経費の削減効果についてでありますが、平成31年2月6日の議会運営委員会において、議会改革推進会議から報告されたタブレット端末の活用による議会改革の推進について、において示された情報化推進ワーキンググループによる試算によれば、タブレット導入試行期間である4年間に削減される会議録印刷経費は4、164万円と見込まれております。
〇斉藤信委員 議事録の作成をやめたというのは5府県議会ということで、私は、県議会議事録というのは議会の宝であり貴重な公文書だと、これは守るべきだったと、このことを指摘して、私の質問を終わります。
〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇伊藤勢至委員 ただいまの喫煙の問題についての関連でお伺いしたいと思います。
 喫煙に関しましては、私も吸うのでありますけれども、受動喫煙ということが言われるようになり、確かにそれはあってはいけないということから、我々は分煙を選んだのであります。つまり、たばこを吸わない方に迷惑をかけてはいけない。しかし、たばこを吸うことも多様性という中に入っていいのではないか。
 二つ、三つ理由があるのでありますが、本県には、葉たばこ・地域特産作物振興対策議員研究会があり、40名の議員が参加しております。毎年1回総会もあるわけですけれども、それだけ岩手県の農産物として有力なものであるという面が一つあると思います。
 そして、このたばこ税が、県を初め各市町村にもそれぞれ入っているわけであります。令和元年度、ちょっと古いのですが、前にも言いましたけれども、岩手県は141億8、000万円余、盛岡市が197億2、000万円余、宮古市が4億8、000万円余など、各市町村にもそれぞれ自主財源が乏しい中で税金として入っているわけであります。このお金には色がついておりませんので、我々もしくは市町村議会の議員の歳費にも当たっているかもしれない。あるいは、今回の新型コロナウイルス感染症対策にも使われているかもしれない。そういうことを考えますと、木を見て森を見ない議論だけではなくて、オール岩手の様子を見ながら判断していくべきではないかと思います。
 これも古い資料ですが、都道府県の中で秋田県葉たばこ生産議員連盟があります。熊本県たばこ議員団というのがあります。鹿児島県にも、自由民主党県議団たばこ振興調査会というのがあります。花は霧島 煙草は国分と歌にも歌われたところでありますから、それぞれの特徴があっていいのだと思います。
 そういう中で、先ほども事務局長が答弁しましたが、喫煙の可否を決めるのは、我々議会の中で決めるのですね。まずそこを確認したいと思います。
〇南議会事務局長 喫煙室の存廃問題につきましては、喫煙室を設置することについては議会でお決めいただいて、そしてそれを庁舎管理である総務部のほうに申し出いたしましたので、廃止するか否か、存続するか否かについては、あくまでも議会の判断になるものと認識しております。
〇伊藤勢至委員 このごろは、県議会の傍聴に来て、傍聴が終わった後で、あそこに寄って一服していく方々もふえております。そういう中で、決して県議会特有の権利ではない、そんなふうにも私は思っているところであります。
 そういう中で、これは議会事務局長にはちょっと難しいかもしれませんが、今回のコロナ禍によって今後の選挙が変わっていくという気がします。県議会議員を束ねる立場にあって、例えば座談会とか個人演説会とか大集会というものは、今後、新型コロナウイルス感染症の収束の経過にもよりますけれども、そこら辺が限りなく難しくなってくる。選挙が変わっていくと思われませんか。
〇南議会事務局長 伊藤委員のおっしゃるとおりだと思います。
〇伊藤勢至委員 私が議会に来てから25年が経過しました。25年もたってしまうと、この中でいろいろな世論が変わっていくのですね。そういう中で、受動喫煙という話が出てきて我々は分煙を選んだ。
 そういう中にあって、このごろ、新しい言葉だと思いますが、受動演説ということを言う人がおります。つまり、三陸沿岸から内陸に避難してそのまま居ついている人たちもいるわけですし、この桜山かいわいの人たちもいるわけですが、当初は毎週同じ日の同じ時間にがんがんやっている人がいる、これはこれで大したものだ、偉い、おまえやってみろと言われても私はできない。すごいものだと思っていましたが、このごろ、受動演説という言葉が出てきた。つまり、聞きたくない人にとっては、あれは騒音でしかない、こういうことだと思うのです。そういうことも含めて、選挙が変わってくる。
 同じ25年やってくればわかっているはずなのですが、わかっていてもなおかつ言っているのかもしれませんが、議員運営委員会でもむということですから、ぜひ議員運営委員会の皆さんで、オール岩手の背景も見ながらお決めをいただくようにお願いをして、終わります。
〇城内よしひこ副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇城内よしひこ副委員長 質疑がないようでありますので、これで議会関係の質疑を終わります。
 議会事務局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、総務部長に総務部関係の説明を求めます。
〇白水総務部長 それでは、総務部関係の議案につきまして御説明申し上げます。
 まず、令和3年度当初予算の編成に当たりまして、当部の基本的な考え方について御説明いたします。
 令和3年度当初予算は、東日本大震災津波からの復興を力強く進めるとともに、県民の幸福度の向上を図るいわて県民計画(2019〜2028)を軌道に乗せ、命を守る幸福希望予算として編成したところであります。
 また、令和3年度は、歳入の確保を図るため、県税につきまして引き続き滞納整理の強化による収入未済額の縮減や課税対象の適切な捕捉などに努めるとともに、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策の実効性を高めるため、行政経営プランを推進し、将来にわたって安定的な財政構造の構築が図られるよう、中長期的な視点に基づき、歳出の重点化や行政の効率化に取り組んでまいります。
 続きまして、議案第1号令和3年度岩手県一般会計予算のうち、総務部関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 恐縮でございます。議案その1の6ページをお開きいただけますでしょうか。第1表歳入歳出予算の表中、総務部関係の予算は、2款総務費のうち150億9、092万円余、9ページの12款公債費のうち931億354万円余、13款諸支出金のうち583億2、526万円余、10ページの14款予備費6億円を合わせまして、総額1、671億1、972万円余であり、前年度と比較し24億円余の減額となっております。
 なお、防災関係の予算9億5、302万円余につきましては復興防災部に移管となります。
 また、予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されており、説明は省略させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、議案第8号令和3年度岩手県公債管理特別会計予算について御説明申し上げます。
 飛びまして恐縮でございます。38ページをお開きいただけますでしょうか。第1表歳入歳出予算にありますように、歳入歳出それぞれ1、437億928万円余であり、前年度と比較して181億5、286万円余の減額であります。
 歳入でありますが、県債管理基金の財産運用収入や一般会計及び県債管理基金からの繰入金並びに県債であります。
 次に歳出でありますが、県債の元金及び利子の償還、県債管理基金への積立金及び銀行等引受債の発行手数料などであります。
 続きまして、総務部の予算以外の議案につきまして御説明申し上げます。
 恐縮でございます。議案その2の28ページをお願いいたします。議案第30号岩手県手数料条例の一部を改正する条例のうち、総務部関係について御説明申し上げます。これは、岩手県部局等設置条例の一部改正に伴い、表中別表第1の表の題名を総務事務関係手数料から復興防災事務関係手数料に改めようとするものであります。
 以上で総務部関係の議案の説明を終わります。よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇城内よしひこ副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇小西和子委員 それでは、よろしくお願いいたします。私は、組織体制にかかわりまして、現業職の確保についてお伺いいたします。
 令和3年2月26日の一般質問の際に、公務運営は任期の定めのない常勤職員を中心として行うという原則のもと、業務の状況を適時適切に把握しながら必要な体制に取り組んでいると部長から答弁をいただいております。
 そこで、お伺いいたします。各広域振興局土木部の運転技士は、道路などの社会資本の維持管理はもとより、非常災害時の対応など重要な役割を担っております。東日本大震災津波発災時には、遠野市が沿岸支援の拠点となり、運転技士も災害対応に全力を挙げました。運転技士を初め現業職の確保は重要であり、県としてしっかりと配置し、県民サービスの維持、向上を行うべきと考えますがいかがでしょうか、見解をお伺いいたします。
〇村上参事兼人事課総括課長 現業職員の確保ということでございますけれども、公用車の運行業務を行う運転技士や試験研究機関の研究業務の補助を行う技能員などの現業職員は、それぞれの職場で県の行政運営を支えている重要な役割を担う職員と認識しております。
 県では、これまでも、委員がおっしゃられましたとおり、公務の運営を任期の定めのない常勤職員が中心となって行うことを原則として職員体制を構築してきたところでございまして、現業職員につきましても、この原則を基本としつつ、それぞれの職場の業務内容や業務量等を踏まえながら、常勤職員と会計年度任用職員を組み合わせた職員配置を行ってきております。
 委員から御指摘のありました広域振興局土木部の運転技士につきましても、このような考え方のもと、各職場の業務の状況を把握しつつ、各地域における業務の実情や今後の見通しなども踏まえ、適正な配置となるよう関係部局と連携して対応してまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 よろしくお願いいたします。
 次に、男性職員の育児休業等の取得についてお伺いいたします。
 特定事業主行動計画に目標値100%として掲げている男性職員の育児休業等の取得は、2019年度は88.3%となっています。これはすごいなと思いましたら、男性職員の育児休業等というのは、育児休業、部分休業、育児短時間勤務、配偶者出産休暇、育児参加休暇のいずれかを取得した者とありました。なぜ100%ではなかったのだろうと思いましたけれども、目標値100%を達成できなかった要因をどのように分析しているのか伺います。あわせて、今年度の取り組みについて伺います。
 また、今年度の取得率がもしわかっていたならばお伺いしたいと思います。
〇内城職員育成監 まず、男性職員の育児休業等の取得についてでございますけれども、昨年度実施しました職員アンケートによりますと、育児休業等を取得しない理由として、自分以外に面倒を見てくれる人がいるということ、それから、休むと職場に迷惑をかけると思うからというような回答が多くあげられておりまして、こうした育児参加意識の低さでありますとか業務上の不安が取得の進まない原因の一つであると考えております。
 そのため、令和2年度におきましては、職員の意識改革や不安の解消に向けて、出生前の所属長面談による育児休業等の取得の奨励や、育休取得者を講師とした子育て支援セミナーの実施、メンター制度の活用などに加え、子供が生まれた職員への知事メッセージカードの送付など、新たな取り組みも実施しているところでございます。
 また、今年度の状況につきましては、まだ数字が確定しておりません。
〇小西和子委員 迷惑をかけるから、面倒を見る人がほかにいるから、父親は一人しかいないのですよね。非常に職場の雰囲気を察知できるなと、私は思います。
 会計年度任用職員になりましたときに、かなりの職員がフルタイムから短時間勤務に変わりましたね。そうすることで、正規の職員の業務がふえた。それで精神疾患もふえましたし、パワーハラスメントもふえたと聞いております。労働環境、職場環境が非常に悪くなっているのではないかというのが、これにもあらわれているのではないかと私は思っております。
 全ての職員が能力や経験等を十分に発揮できるよう、仕事と家庭の両立を支援する制度が利用しやすい職場環境を整備し、職員に制度を周知するなどの取り組みについて引き続き推進していく必要があると思うのですが、次年度の男性職員の育児休業等の取得率を100%にするための意気込みを部長にお伺いしたいと思います。
〇白水総務部長 重要な御指摘をいただいたと思っております。これは本会議でも質問いただきまして、知事からも答弁させていただいたところでございます。
 まず、この目標値をどのように設定していくかということで、委員から御指摘いただきましたように、行政経営プラン等では育児休業等ということにしておりまして、それであれば部分休業等を含みますので、男性職員の背景、家庭事情等も踏まえますと、さまざまな休暇の取得のあり方があると思います。
 いずれにしても、委員御指摘のとおり、休むと職場に迷惑をかけると思うからとれないのだということは、我々組織的には、そこはできるだけ排除していかなればいけないと思っておりますので、やれるべきことはしっかり対策をとっていきながら、100%を目指すように頑張っていきたいと思います。
 それから、もう一つ、育児休業の、等がつかないバージョンについては、国も2025年までに30%に引き上げるという目標がございます。国のほうはもっと低いわけですけれども、いずれにしてもそちらも非常に重要になってきておりまして、他県比較の際にも、そちらのほうでカウントされることもございますので、そちらの率もしっかり見ていかなければいけないと思っております。
 いずれにしても、あわせてしっかり取り組んでいきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
〇小西和子委員 非常に重要な答弁をしていただいたと思っております。これは全ての政策の根底にジェンダー平等の考えを取り入れるのだという世界的な常識でありますので、よろしくお願いします。
 達増知事は、職員団体との意見交換の場で、職員の幸福度を高めるような仕事をしていかないと県民の幸福度を高めることはできない、幸福を高め働き方をよくしていくことを制度的、組織的に推し進め、職場環境の改善に全力を上げるとお話をしております。ぜひこの達増知事のお話を実際の業務に生かしていって、若い職員が途中でやめたり、試験に合格したのだけれども県職員はちょっとと言って辞退するようなことが起こらないように、そして、健康で安全に働ける職場をぜひつくっていただきたい。それは総務部の役割だと思いますので、要望して終わります。
〇神崎浩之委員 新型コロナウイルス感染症対応につきましては、総務部の皆様にも部局横断等大変御尽力をいただきまして感謝申し上げます。その感謝を込めて質問いたします。
 昨年、新型コロナウイルス感染症対応として、総務部で保健師の増員を図りました。来年度も新型コロナウイルス感染症対策保健衛生人材確保事業を継続ということでありまして、私は大変ありがたく感動しているところでありますが、保健福祉部の予算ではなくて、なぜ総務部で体制整備をしたのかということと、それにかかわる保健福祉部との連携、それから来年度、それ以降もこういう体制でいくのか、お伺いしたいと思います。
〇村上参事兼人事課総括課長 新型コロナウイルス感染症対応のための保健師の確保の事業についてということでございます。
 お話がありましたとおり、緊急的にマンパワーを確保するための新型コロナウイルス感染症対策保健衛生人材確保事業については、業務量が増大している保健所等におきまして、保健所経験のある県OB保健師等を会計年度任用職員として任用し、保健師だけではなく、環境生活部が所管する環境保健研究センターでPCR検査に従事する検査員の確保も対象としておりまして、環境生活部、保健福祉部にまたがる事業内容であること、関係部局の役割分担のもと、迅速かつ効率的に人員確保を進める必要があることから、総務部において予算の確保を図ったものでございます。
 こうした趣旨から、来年度に向けましても、関係部局の意向を踏まえ、総務部で予算の取りまとめを行って、引き続き、部局横断的な対応によって、新型コロナウイルス感染症対策のための体制を整備していきたいと思っております。
〇神崎浩之委員 やはり大きな災害には部局横断という観点が非常に重要で、それは担当部ではなかなかほかの部に応援を求めづらいこともあるので、総務部に大変感謝したいと思います。今でこそ保健所支援とか、国も県民もお話しされますけれども、最初のころから大変ありがたいと思っていました。
 次に、機構改革についてお伺いいたします。
 先ほど木村委員からも、広域振興局体制について考え直したほうがいいのではないかという質問がありました。広域振興局の所管はふるさと振興部であることは重々承知しておりますが、県全体の大きな機構改革の視点で総務部にお伺いするわけでありますが、新型コロナウイルス感染症対応でさまざまな課題が見えてまいりました。その中で、その都度、総務部の皆さんにもお話ししておりますけれども、まずそういう観点で、広域振興局に限らず、出先機関と本庁との業務分担の課題を総務部ではどう捉えているのか。
 また、12地方振興局体制から4広域振興局体制へ縮小したことによる課題をどう捉えているか。
 それから、全部まとめて聞きますが、県南広域
振興局と沿岸、県北広域振興局との体制の違いは何か。私は、釜石市とか久慈市の本局以外に、二戸市と宮古市と大船渡市と、昨年出向いて聞いてきたのですけれども、それとまた県南広域振興局というのは同じ局でも違うなと思っていました。
 それから、県南広域振興局の弱さと、その対応についてどうしていくのか。例えば本局の出先センターとなっている一関地区合同庁舎には統括者がいないとか、今回、新型コロナウイルス感染症に対しても非常に憂慮したところであります。それから商工観光部門がないということがあって、こういうことも含めて、本庁の機構改革は何度かやられているのですけれども、出先に関してはほとんど変化がないということが新型コロナウイルス感染症対策で見えてきましたので、その辺の認識について、県全体の大きな機構改革を考える総務部にお聞きしたいと思います。
〇村上参事兼人事課総括課長 ただいま大きく4点、質問を頂戴したかと思っております。それぞれ御答弁申し上げますので、若干長くなるかもしれませんが、御容赦いただきたいと思います。
 まず、最初の質問でございます。本庁と出先機関との業務分担といったことでございました。
 広域振興局を含む出先機関につきましては、市町村への支援あるいは専門的な行政サービスの提供を行うことを目的に設置しております。特に広域振興局においては、局長のリーダーシップのもと、地域特性を踏まえた地域振興を行っていると捉えております。
 このため、本庁では、広域振興局あるいは出先機関において、地域ニーズに即した施策展開が図られるよう、全県的な調整を行っているところでございます。
 また、今般の新型コロナウイルス感染症対応におきましては、広域振興局は地方支部会議などを通じて市町村、関係機関との情報共有、連携を図るとともに、地域経済の活性化に向けた事業等を行っているということでありましたが、一方で、対策の実施に当たりましては、感染拡大の防止に取り組みながら、全県、全国的な状況を踏まえて、社会経済活動の維持を図っていく必要があり、本庁や広域振興局間のさらなる連携が重要であると認識しております。
 それから、二つ目は、4広域振興局体制への再編ということでございます。
 もともと9広域生活圏、12地方振興局体制でしたが、そこから移行した現在の4広域振興局体制は、産業の連続性や類似性を踏まえた産業振興や住民本意の行政サービスを目指して設定されたものと認識しております。このため、広域振興局においては、旧地方振興局体制よりも広域的な視点で産業振興を初めとする施策を推進できるよう、本庁からの権限移譲などを進めながら、その体制や機能の強化を進めてまいりました。
 今般の新型コロナウイルス感染症の対応に当たっては、保健所の職員が専門的な業務に注力できるよう、広域振興局ごとに業務支援を行ったところですけれども、クラスター発生時などにおいては広域振興局内にとどまらず、広域振興局間の緊密な連携が重要であったと認識しておりまして、本局と各センター間の物理的な連携にもう少し見直しの余地があったかと受けとめております。
 それから、三つ目の質問は、県南広域振興局と沿岸、県北の各広域振興局の体制といったことでございますが、県南広域振興局におきましては、一関市や奥州市のような旧広域振興圏に匹敵する市町村の誕生や産業集積が進んでいたこともありまして、平成18年度から先行して広域振興局体制に移行したところでございます。
 一方で、沿岸広域振興局や県北広域振興局におきましては、中長期的な観点から産業の強化に向けたさまざまな取り組みを積み上げていく必要があったこと、また、東日本大震災津波からの復興施策の推進に向け、広域振興局体制に移行後も各合同庁舎に副局長を駐在させた上、企画調整部門を存置し、地域振興も行っているという違いがあるというところでございます。
 それから、最後、四つ目の質問は、県南広域振興局についてということでございます。
 県南広域振興局におきましては、本局に企画調整機能を集約させて、多様な地域資源を生かしながら広域的な視点に基づく圏域全体の産業振興施策の立案、地域コミュニティー機能の維持、活性化など、地域の特性を踏まえた広域的な地域づくりを行っていると認識しております。
 また、沿岸あるいは県北広域振興局とは異なりまして、副局長が現地に駐在はしておりませんけれども、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いまして、副局長を各合同庁舎の総務センターに派遣して各所属との調整に当るなど、機動的な対応を行ってまいりました。
 こうした経験も生かしながら、4広域振興局体制を基本としつつ、直面する地域課題に柔軟かつ迅速に対応していけるよう、今後も関係部局と連携して適切に対応していきたいと考えております。
〇神崎浩之委員 私は、出先の職員の皆さんの仕事ぶりを見ますと、本庁で激務をこなして、議会対応をなさって、そして出先に行って、ちょっとおまえ休んでこいやというような、そういう感覚があるのではないかと感じています。
 木村委員の質問に、ふるさと振興部長から、地域ニーズを把握するとか地域の課題を解決するという答弁があったのですけれども、果たしてどこまでそれをやっているのかなという感じで、ただ机だけが盛岡市から奥州市に行っているというような感じで、仕事ぶりは全然だと。こういうことはやはり総務部の人事のほうで、ある程度指導していただきたいと感じているところであります。
 それから、三つ目ですけれども、職員研修について、コロナ禍の中で密を避ける等の感染対策をしながらの県の今後の会議の仕方、研修会の仕方についてお伺いしたいと思っております。
 今、出先でも、それから各種団体等でも、これから総会を控え、研修会を控えて、どういう体制でいこうかということが悩みなのです。それは、ある程度、県はこういう考え方で会議をやっていますよ、こういう目安で研修会をやりますよということが、一つの物差しになっていくのではないかと思っています。
 そこで、よい例として聞くのですけれども、昨年、県職員の研修会で、県職員の感染や県内への感染拡大がありました。その研修の部での感染はなかったと聞いて、私もさまざまな研修を主催する団体へは、マスクをして密を避け換気をすれば研修会自体の感染はないようだということをお話しさせていただいています。過度な研修会の自粛を避けるために、参考までに当該研修会の内容について場所とか、時間とか、人数とか、マスクの有無とか、レイアウトとか、換気とか、昼食時間も含めて、どういう内容で研修会自体は安全に守られたのかということと、これからの県の会議、研修会をどう実施していくのかをあわせてお伺いしたいと思います。
〇内城職員育成監 大きく2点のお尋ねでございます。
 まず、職員研修における新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策についてでございます。
 当人事課が主催する階層別の新任職員を対象とした各種職員研修においては、出勤前の体温の測定、マスクの常時着用、手指のアルコール消毒に加えまして、会場定員の半数以内の人数設定や、受講期間の一部短縮を図りましたほか、首都圏等の講師による講義のオンライン化、受講者前後左右の間隔の確保、会場の換気、それからグループワーク時のアクリル板の設置などの対策を講じてきたところでございます。
また、お尋ねのありました昼食時でございますけれども、会話を控えること、それから食事前の手洗いの徹底や自席のアルコール消毒などの対策を行ってきたところでございます。
 次に、今後の計画でございますけれども、来年度の具体的な研修の実施計画につきましては、現在詳細を検討中でございますけれども、今御説明いたしましたような感染拡大防止策を引き続き実施いたしますとともに、今年度積み上げた経験、ノウハウを十分に生かしながら、首都圏や県内の感染状況に応じた研修計画を策定いたしまして、より安全かつ効果的な研修の実施に努めてまいりたいと考えております。
〇神崎浩之委員 定員の半分というのが、いろいろなところでひっかかっております。アイーナの大会場を借りても100人ぐらいしか集められないということがあって、総会に向けてさまざまな小さな団体、大きな団体も非常に頭を悩めている状況であります。
 先ほどの新型コロナウイルス感染症の関係でも、研修会自体は大丈夫だったと。それから、最初のほうの小学校等での感染も、意外ととどまったということがあって、やはり飲食以外の部分については、きちんと対応すればうつらないものだなと安心したところでありますので、ぜひ過度な研修会の自粛がないようにモデルになるような事例をつくっていただきたいと思います。終わります。
〇吉田敬子委員 私からは、災害備蓄指針についてお伺いしたいと思います。
 県では、避難生活に最低限必要な物資等を災害備蓄指針の中に設けて備蓄されております。これまでも質疑させていただいた中で、見直しを行っていくという御答弁をいただいておりましたけれども、現在の進捗状況についてお伺いしたいと思います。
 特に、これまでほかの委員も取り上げておりましたけれども、男女共同参画の視点や要配慮者への観点という部分の見直し等についてもお伺いしたいと思います。
〇藤澤総合防災室長 災害備蓄指針の改定についてでございますが、これまで備蓄を進めてきた食料、飲料水等、避難生活に最低限必要な物資に加え、災害発生時に生じる多様なニーズに対応するために不可欠な物資を備蓄物資として追加することとしております。
 具体的な変更内容としましては、感染症対策物資としてマスク、消毒液、非接触型体温計、段ボールベッド、パーティション、テントの追加、高齢者、障がい者等の要配慮者など多様な避難者ニーズへの対応物資として、液体ミルク、粉ミルク、哺乳瓶、アレルギー対応食品、オストミー対応トイレなどの追加を行うこととし、今月中の改定を予定しているところでございます。
〇吉田敬子委員 今回、3月中に見直しをされるということで、大変評価したいと思います。そして、新型コロナウイルス感染症対策の備品も含めて今回追加して、累計という形で備品の一物資、二物資ということでそれぞれやられることに関しては評価したいと思います。
 ちょっと確認ですけれども、これまでの質疑で、男女共同参画の視点に関する部分では、特に液体ミルクも取り上げさせていただいておりましたけれども、その部分に関しては、液体ミルク、粉ミルク、哺乳瓶について追加されるということだと思います。
 現在の指針は平成26年3月のものが最後だと思いますけれども、この指針の中にも、要配慮者は高齢者だけでなく乳幼児、妊産婦も含めて要配慮者としています。その要配慮者のための介護用品、育児用品、女性用品等の物資についてもしっかり備蓄していくべきというところで、今回、液体ミルクや粉ミルク、哺乳瓶について大変評価するものなのですけれども、生理用品も含めて、乳児用、大人用のおむつも必要ではないかということで提言させていただいておりましたが、この部分については特に追加ということではないのでしょうか。
〇藤澤総合防災室長 今委員から御紹介のあったおむつ等につきましても、災害時の備蓄物品としては非常に重要なものであると認識しております。基本的には、市町村において備蓄を行い、県はそれを補完するというスタンスでやっておりますので、市町村においてそういった基本的な物資の備蓄をある程度進めていく過程の中ではございますが、今のところ県としては、まだ、先ほど御紹介したものにとどまっているところでございます。
〇吉田敬子委員 ということは、男女共同参画の分野ですけれども、今回の見直しについては、各市町村での備蓄数量をしっかり把握した上で、県は、まず液体ミルク、哺乳瓶、粉ミルクについて追加すべきだということでよろしいでしょうか。
 今回の見直しの中では国におけるプッシュ型支援があるということです。プッシュ型支援というのは、都道府県からの要請がなくても国のほうからこちらに支援が届くということです。これは発災後3日目までに届けられるということですが、いろいろ見ると、結局は4日目以降にこちらに届けられるということで、自治体では3日目までの保管が求められる。被災後最低3日間、自分たちで自立できるようにするための備蓄が必要だということと私は受けとめています。
 これまでも、例えば他県のものも同じように、岩手県は4品目が避難生活に最低限必要だと言っているのですけれども、国では8品目を挙げている中で、大人用おむつや生理用品も入っていて、今回の粉ミルク、液体ミルクはもちろん8品目の中に追加しているものですけれども、育児用、介護用おむつ、生理用品は、今回は入らないということでよろしいでしょうか。そこは市町村がしっかりやられているということでしょうか、お伺いします。
〇藤澤総合防災室長 今御紹介いただいた物資については、先ほど申したとおり、どれも大切なものであるという認識に変わりございません。限られた予算の中で、県としてまず何を優先して備蓄を進めていくかという部分について、今回、この2月補正予算等を活用して準備するのは、先ほど申し上げたテントとかオストミー対応トイレ等になりますけれども、今月中に改定を進めている災害備蓄支援につきましては、大人用、乳児おむつ等につきましても具体的な品目名として入れたいと考えております。
〇吉田敬子委員 細かくて申しわけないのですけれども、おむつは検討に入っていて、ただ、生理用品は入っていない。いずれ今月中に策定されるということでしたので、これは市町村との備蓄数量等も含めて、県としてこれが必要だと考え検討されたところだと思いますので、今回見直しをされることについて大変評価いたしたいと思いますので、追加して、その部分ももう少し踏み込んで御対応いただければと思っております。
 その中で、先ほどお話ししました液体ミルクについてですけれども、これまでの特別委員会の中で、液体ミルクの有効期限は短いのでローリングストック方式で有効活用を模索していきたいという御答弁をいただいておりましたが、その後、有効活用についてどのような取り扱いとなっているのかお伺いしたいと思います。
〇藤澤総合防災室長 現在、県が備蓄している液体ミルクは、全数、約500本ございます。備蓄期間が満了する予定の液体ミルクの有効活用につきましては、盛岡市にあります乳児院において引き取りいただくことで合意しておりまして、この乳児院と隣接する保育所において活用いただくこととしております。
〇吉田敬子委員 早急に保健福祉部と連携して活用のあり方を検討されたと思いますので、ありがとうございます。
 災害備蓄指針の中でも、県がどのように何を備蓄するかで、市町村のほうでもこういったものが必要だとかいろいろあるかと思いますので、今月中の策定については、先ほどの観点を含めて御期待したいと思います。
 次に移りたいと思います。地方防災会議における女性委員数についてお伺いしたいと思います。
 これまでの一般質問等の質疑でもありましたけれども、県と各市町村の防災会議の女性委員の比率30%達成状況についてお伺いしたいと思います。
〇藤澤総合防災室長 防災会議の女性委員の比率についてでございますが、県の防災会議における女性委員の数は、令和2年10月20日現在で、76人中13人となっており、その割合は17.1%となっております。
 また、市町村防災会議における女性委員の登用状況については、令和2年4月1日現在で、女性比率30%を達成しているのは釜石市のみとなっておりまして、一方、5町村が女性委員未登用となっております。
〇吉田敬子委員 東日本大震災津波から10年がたつ中で、防災会議の中に女性の方がふえていかないのが残念だと思いますが、さまざまな質疑の中での県の御答弁で、委員になる方がいらっしゃらないということも挙げられていますけれども、そこは、いないのではなくて、何とかして委員に登用してもらえるような仕組みづくりも私は大事だと思っております。
 国では、2012年に女性委員をふやすために災害対策基本法を改正して、住民の自主防災組織のメンバーや学識経験者も委員になれるようにしたと伺っておりますが、県内では、こういった事例が生かされてあるのかお伺いしたいと思います。
〇藤澤総合防災室長 委員御紹介のとおり、平成24年の災害対策基本法の一部改正により、自主防災組織構成員や学識経験者を委員に任命することができるようになりまして、県の防災会議においては、当該規定に基づく枠組みの中で現在8人の女性を登用しているほか、市町村に対しましても、従前に比較し女性委員を任命しやすい制度的枠組みが整ったことを周知しておりまして、女性委員の積極的な登用を働きかけているところでございます。
〇吉田敬子委員 管轄は環境生活部になりますけれども、いわて女性の活躍促進連携会議の中で、5部会の活動をされている中の一つに、防災という分野があります。この事業の中で、消防団員の女性の方々がメーンだと伺ってはいるのですが、防災分野で女性の活躍の取り組みをされておりますので、こういったところの事業をうまくこちらに反映できないかと私は考えております。
 先ほど、釜石市だけが30%を達成しているというところで、私もこれは新聞報道で伺っているのですが、釜石市は、釜石市女性人材リストというものをつくった上で、そこから防災会議の女性委員が登用されているために人数がふえているのではないかということです。ただ待っているのではなくて、別の部局でそういう女性活躍の取り組みをしているのであれば、その方々から御推薦とか、もしくは人材リストをつくるとか、そういったものも必要ではないかと思っておりますが、御所見をお伺いいたしたいと思います。
〇藤澤総合防災室長 今委員から御紹介ありました、いわて女性の活躍促進連携会議に設置されている防災部会は、現在は消防団への女性の加入促進や女性消防職員の活躍の場の拡大を図って、防災対策の推進に向けた活動が男女共同参画の視点で行われるよう取り組みを進めているところでございます。
 委員御指摘のとおり、地方防災会議における女性委員の登用等については、この防災部会は8人の委員のうち5名が女性でございますので、その方々からアイデア等をいただきながら、市町村防災会議で女性比率が少ないところの改善ができないか、改めて検討していきたいと考えております。
 あと、釜石市の事例についてでございますが、釜石市は、釜石市の男女共同参画室という組織がございまして、そこがつくっている女性人材リストの中から女性委員を任命してきたことから、3割を超える比率になっているということでございます。
 女性委員未登用の町村がまだ五つもありますし、ほかに1人、2人と少ないところもまだたくさんございますので、釜石市の先進的な事例を紹介すること等によって、女性委員の登用を今後とも促していきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 先ほど備蓄品目のことを取り上げましたけれども、防災会議の中に女性委員が一定数いることによって、各市町村の備蓄品目の購入などに反映されたり、避難所運営マニュアルもこういった改定が必要なのではないかという取り組みにつながっているという事例もありますので、防災会議の中に女性委員の登用をしっかりしていくことが大事だと思います。来年度以降は復興防災部になりますけれども、ぜひしっかり取り組んでいただきたいと思います。ありがとうございます。
〇城内よしひこ副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。

午後3時43分 休 憩

午後3時57分 再 開

〇城内よしひこ副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行します。
〇千葉絢子委員 それでは、よろしくお願いいたします。私からは2点お伺いしたいと思います。
 まずは、県庁舎等の屋外分煙施設の整備について伺ってまいりたいと思います。
 2021年度与党税制改正大綱におきまして、地方公共団体が屋外分煙施設などのより一層の整備を図るよう促すということが盛り込まれておりますが、県庁の屋外喫煙施設が閉鎖されたことに伴いまして、周辺の店舗ですとか、あとは公園に喫煙する職員の姿が見られ、受動喫煙の対策がちょっと行き届いていないといったことが生じております。
 この周辺での喫煙と望まない受動喫煙対策として、この税制改正大綱を受けて岩手県はどのように考えているのか、方針をお聞かせください。
〇平野管財課総括課長 望まない受動喫煙対策についてでございますけれども、県立の施設におきましては、宿泊施設を有する施設など一部の例外を除きまして、原則、敷地内禁煙として受動喫煙対策を講じることとしておりまして、この方針によりまして、県庁内の屋外喫煙施設を閉鎖したところでございます。
 県庁舎等の新たな屋外喫煙施設を設けることにつきましては、例外的な取り扱いを拡大する方向となりますことから、健康増進法の趣旨に鑑みまして、慎重に対応する必要があると考えているところでございます。
〇千葉絢子委員 ただ、総務省は、地方のたばこ税を活用した公共の場所への分煙施設の整備促進につなげたい考えがあるようです。これは令和3年1月29日付の官庁速報によりお話をしているわけですけれども、行政機関敷地内禁煙ですが、一定の条件を満たせば屋外に喫煙所を設けることが可能となっております。
 もし県庁の敷地内が難しいとしても、周辺施設への影響を考えると、県のたばこ税収入で、何らかの形で整備をする必要があるのではないか。その例として駅前とか公園などが挙げられているわけですけれども、このたばこ税を使った整備についてどのように考えていらっしゃるでしょうか。
〇奥寺税務課総括課長 地方たばこ税の活用についてでございますが、委員御指摘のとおり、令和3年度与党税制改正大綱における基本的な考え方として、望まない受動喫煙対策の推進や今後の地方たばこ税の継続的かつ安定的な確保の観点から、地方たばこ税の活用を含め、地方公共団体が駅前、商店街などの公共の場所における屋外分煙施設等のより一層の整備を図るよう促すこととするとされたところでございます。この趣旨を踏まえ、関係部局である保健福祉部に情報提供しているところでございます。
 昨年12月に宮城県保健福祉部が行った全国照会では、地方公共団体が実施する受動喫煙防止対策に対しまして、たばこ税の活用を検討している都道府県は2県あると聞いております。
 今後、さらに詳しい情報や他の都道府県の情報について把握できた場合には、引き続き関係部局と情報共有してまいりたいと考えております。
〇千葉絢子委員 健康増進法との兼ね合いもあって、岩手県庁の場合は屋外施設を閉鎖という形をとっているわけですけれども、このことが生む弊害にも目を向ける必要があると私は思っておりまして、望ましい喫煙者と非喫煙者の共存のあり方というのも、たばこ税という使えるものがあるのであれば、模索をしていっていただきたいと思っております。
 何しろこちらの施設は4、000人が働く施設でありますし、周辺にも官庁街が多くございますので、そういった方々の心身の健康にどうすれば寄与できるかというところを考えていただければと思っております。
 次に、♯7119の実施の可能性についてお伺いしたいと思います。
 この♯7119は、看護師や医師が住民の容体を聞き取って、救急車を呼んだほうがいいかどうか迷っている人に対して助言したり、地域の医療機関の受診案内をしているわけですけれども、相談ダイヤルとして、今、全国で12の都府県と札幌と神戸など5市にとどまっているということです。
 新年度から♯7119を実施する自治体に対して特別交付税措置が始まるわけですけれども、岩手県での導入見込みについては今のところどうなっていますでしょうか。
〇坂本防災消防課長 ♯7119の導入見込みについてでございますけれども、本年度、総務省消防庁では、救急業務のあり方検討会のもとに♯7119の全国展開に向けた検討部会を設置し、課題及び対応方策等について検討を進め、先般、令和3年1月に報告書を取りまとめ、公表しているところでございます。
 当該検討におきましては、事業の実施主体について、従来は消防行政、市町村行政であることを標準形として、運営費につきましては、普通交付税の市町村分として措置されてきたところでございますが、都道府県が実施主体となるパターンですとか、都道府県と市町村が共同して実施するパターンなど、地域の実情に応じて選択するべきであるとして、令和3年度からの新たな財政措置として、導入する都道府県または市町村の財政負担に対して特別交付税措置が講じられることとなったものでございます。
 今後、消防庁におきましては、導入・運用マニュアルの作成や外部委託に係る標準仕様書の作成等を進めるとしておりますことから、県としては、国及び先に導入しております他県等の運用状況などについて、情報を収集してまいりたいと考えております。
〇千葉絢子委員 総務省は全国展開させたいという意向だと聞いておりますので、こういう国からの予算というのは取りに行く、なるべく取り残さないというところで、住民のサービスの向上を図っていただければと願うものであります。
 2年ぐらい前に実際に私も救急車を呼ぶべきかどうか迷いましたが、これまでおりました報道機関では、救急車の安易な利用をやめようとか、適正化を図ろうとか、そういった意識づけがされておりまして、迷ったあげく、自家用車でウオークインで連れていくことになりました。ただ、病院に行きますと、救急で行っても1時間半ぐらい待たされて、看護師に、こういう場合は迷いなく救急車を呼んでください、個人でいらしても途中で容体が変わるおそれがありますからという話をされまして、大いに反省をしたわけです。
 こういう、果たして呼ぶべきかどうかと迷う県民は、これぐらい広い県土でありますので、私だけではないと思うので、こういった♯7119の運用については、ぜひ検討していただきたいと思っております。
 これは余談ですけれども、福岡市では、もう一歩進んだ救急の運用が始まっております。ここは、市の単独予算だと思いますが、市内を走る救急車1台ごとにタブレット端末を配備しておりまして、救急の要請があった場合、今どこにどれぐらいのキャパシティーがあるのかというのが、隊員が一目瞭然で把握できるようになっています。県内でも、例えば大きな病院に患者の搬送が集中したり、現場の受け入れが決まるまで何時間もそこに待っていたり、たらい回しがあったりといった問題が散見されるところでありますけれども、1カ所にのみ負担がかかるなどの問題解決にこのシステムは大いに役立っています。
 これを着想した方は、市の若手の職員なのです。実際に、半年ぐらい救急現場に自分も出かけて、何が困っているかというところをきちんと吸い上げて、このシステムの導入、運用に大いに貢献していると。これは皆さんもごらんになっているかもしれませんけれども、ぎょうせい出版のガバナンス、はみ出し公務員の円城寺雄介さんという方が御自身で動いて導入したシステムになっています。
 どのように現場の問題を解決するかというのは、やはり職員が目で見て、そして実感して動くということで、かなり有効な政策展開になっていきますので、できることは何か、負担軽減のためにというような観点で日々模索をしていただきたいと思います。以上です。
〇軽石義則委員 人事管理について1点質問させていただきます。
 新聞等にも載っていますけれども、今、新型コロナウイルス感染症で試験研究機関にかなり負荷がかかっているのではないかと思いますけれども、この研究機関に勤務する年齢構成、人員を含めて、現状と課題をまずはお聞きしたいと思います。
〇村上参事兼人事課総括課長 試験研究機関における研究職の職員数、年齢構成等についてでございます。
 地方独立行政法人である岩手県工業技術センターを除いた数字になりますけれども、令和2年4月1日現在、職員数は知事部局全体の4.1%に当る183名となっておりまして、その内訳は、環境保健研究センターを所管する環境生活部が41名、農業研究センター、林業技術センター、水産技術センター等を所管する農林水産部が142名となっております。
 また、年齢構成につきましては、50歳代が36.6%と最も多く、次いで40歳代が24%、20歳代が18.6%、30歳代が15.9%となっておりまして、知事部局の職員全体の年齢構成と同様、30代の職員が各年代の中で最も少ない状況になっておりまして、組織の中核を担う中堅層の職員の不足が課題と認識しております。
〇軽石義則委員 確かにどの部署も年齢構成が非常にいびつになってきて、これはこれまでの採用の経過の結果だと思うのですけれども、特にこの試験研究機関は、すぐ戦力になるかならないかというのは非常に難しい現場ではないかと思っております。50代が既に36%、再任用も5%程度あって、10年後にはほぼ半分いなくなるということになれば、研究する成果、結果が、県の施策に対してはいろいろな影響なり、県民にとっても貴重な財産になっていくものだと思うのですけれども、この皆さんが今努力されている仕事は、県の人事としてはどのように評価されているのでしょうか。
〇村上参事兼人事課総括課長 試験研究機関の研究職の職員の評価ということでございますが、本県の産業あるいは保健衛生などに係る基盤技術を支える重要な役割を担う職員であると認識しております。
 研究職員は、それぞれの研究分野において高い業績や成果を残しておりまして、今年度の岩手県事績顕著者表彰におきましては岩手県工業技術センターの職員が表彰を受けているといったことで、これまでも試験研究機関の職員がそういった表彰を受けておりまして、取り組んだ研究がしっかり成果に結びついていると評価しております。
〇軽石義則委員 しっかり評価していただいているということは、次の世代もしっかり育てていかないとその研究成果がつながっていかないわけですし、その職場そのものが成り立たなくなっていくのではないかという心配の声も聞こえているところでありますので、既に遅いかもしれませんけれども、その対策は今からしっかりやっていかなければならないのではないかと思います。
 後継者育成について、今までどのような取り組みをされてきたのでしょうか。
〇村上参事兼人事課総括課長 研究職の職員の人材育成というお尋ねと思いますが、それぞれの試験研究機関が適切にシーズの創出あるいは基盤技術の研究開発などを推進していくためには、職員の知識や経験に応じた研究人材の育成が重要であると認識しております。
 このことから、例えば農業研究センターでは、若手から研究リーダーまでの段階的な育成を図るための研究員育成プログラムを策定しておりますほか、県内の公設試験研究機関が一堂に会した成果発表会も実施しておりまして、それぞれの研究員の水準向上を図っているところでございます。
 また、研究機関の研究職員につきましては、研究の継続性の確保、人材育成、技術の継承等の観点から、人事異動の基準年数を他の行政部門と比べて長くするなどの取り扱いも行っているところでございます。
〇軽石義則委員 ぜひ、そういう現場の状況も声もしっかり聞いていただいて、対応していただくことが大事だと思いますし、専門職を採用したいと思って、実際に募集しても、希望する方が受験してくれるかどうかということもあると思うのです。今後、そういう人事ローテーションのこともあると思いますし、研究職として新採用の部分についてはどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
〇村上参事兼人事課総括課長 採用や人事異動等の研究職の職員の人事というお尋ねでございました。
 研究職の人事異動につきましては、先ほどローテーションというお話がございましたけれども、本県では、行政部門での勤務で把握した現場のニーズを研究に反映させることが重要であるという考えのもと、行政部門と研究部門との間の人事異動ローテーションを行うとともに、職員の資質や実績、担当する研究課題の重要性によっては、長期間研究部門に配置するなど、適材適所の人事配置を行ってきたところでございます。
 一方、他県では、研究部門のみに在籍することを想定した職員採用を行っている事例も見受けられておりますので、こうした採用は本県ではとっておらないわけですけれども、そうしたやり方のメリット、デメリットもよく分析するなどしまして、今後の研究職の採用のあり方を考えてまいりたいと思っております。
〇軽石義則委員 そういう意味では、求める人が来てくれればよいのですけれども、ぜひ県に入って研究したい、やれる環境もあるという環境整備も必要だと思います。今一番御苦労されている環境保健研究センターは、まさに50代が12人、再任用が7人、トータル41人、そういう構成で一生懸命やっていただいている。その次の世代をどうしていくかというのは、本当にみんな心配して仕事をしているのではないかと思います。そこにしっかりとした研究職の皆さんがいることによって、県民の安心・安全も守れるのではないか。農業、林業、水産業も、自然との闘いですし、そういう意味では専門的知識があって、それをどう施策に反映していくかという裏づけは出してもらえると思っていますし、それは必要ではないかと思っていますので、それらに対して、ぜひ引き続き、しっかり現場を見て対応していただくことをお願いして、終わります。
〇臼澤勉委員 私からは、組織体制の構造改革等についてお伺いいたします。
 午前中の総括質疑においても、職員の長期病休者の話があったかと思います。公務員の健康状況調査によれば、令和元年は長期病休者数163名ということで、平成26年112名から比べて約50人近くふえております。精神疾患についても、実人員でいけば、平成26年の54名から令和元年は100名ということで、約倍にふえている状況になっておりまして、極めて憂慮すべき状況かと思っております。
 振り返ってみれば、今回東日本大震災津波から10年を迎えるのですけれども、5、000人を超えていた職員数をちょうど4、000人まで削減した中に、あの東日本大震災津波の被害に見舞われたという背景があるのかと。そういった部分でこの10年間、台風被害や新型コロナウイルス感染症対応で、職員の皆様は現場で本当に御苦労されていると見ております。そういったもろもろのことが職員の皆様をある意味疲弊させている部分もあるのかと思うのですけれども、職員構造のピラミッドのゆがみのようなものが今の組織運営にどんな影響を与えているのか、まずその辺の認識と、そして、今後具体的にどんな対策を講じようとしているのかお伺いします。
〇村上参事兼人事課総括課長 職員の年齢構成のひずみといったようなお話でございました。
 現在、知事部局におきましては、御指摘いただきましたとおり、採用数を抑制していた時期の影響などによりまして、40代以上や20代の職員が多い一方で、30代の職員が各年代の中で最も少ない状況にございます。このため、担当の総括などとして組織の中核を担い、若手職員育成でも重要な役割を果たす中堅層の不足が組織的な課題と受けとめております。
 こうした課題を踏まえまして、中途採用者などを対象とした試験職種の設定、任期付職員経験者の選考採用等により不足する年代の職員の確保を図ってきておりまして、今後におきましても、試験職種のさらなる多様化、中途採用した優秀な職員の積極的な登用等を行ってまいりたいと思っております。
 また、精神疾患等のお話もございました。若手職員の組織的な育成、あるいはメンタルヘルスケアの対策の強化も必要であると思っておりまして、若手職員を対象とした研修の拡充、メンタルヘルスに関する研修や精神科の医師による健康相談などを行ってきており、引き続き、こうした取り組みの一層の充実強化を図ってまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 私は、政策は人なりと思っておりまして、今の県政のさまざまな政策課題を実現させるためには、改めて申すまでもなく、人事であったり人をどう配置していくのかというのが、課題解決にとってはすごく重要なポイントだと思っております。
 そういった中で、先ほども答弁がありましたけれども、今はそのピラミッドの状態が、中堅の30代の方々が少なくなっていると。いわゆる兄貴の役割、あるいはお姉さん的な役割が今ちょっといなくなっているというところが、若手の職員に対してもすごく課題かと思っております。
 29歳以下の精神疾患による病気休職者は30人なのですね。これは先ほどの100人に対して全体の3割を占めております。平成26年には1割程度だったのです。やはりこの五、六年で急増しているという事態に対して、まず、どう要因分析をして、具体的な対応、対策をとろうとしているのかお伺いします。
〇佐藤総務事務センター所長 若手職員の療養の要因と対策についてでございます。
 療養に至るまでにはさまざまな要因が考えられますが、今年度実施したメンタルヘルス等に関する職員アンケートや、健康サポートルームで受けた相談内容からは、身近な人間関係への不安や悩みを持っている傾向が見られるところでございます。
 若手職員のメンタルヘルス対策については、今年度は、新採用職員研修において、個別相談や臨床心理士による講義を新たに実施したことに加え、本庁に配属されている新採用職員全員の個別面談により、心身の健康状態の確認を行ってまいりました。
 来年度は、新採用職員の個別面談を全県に広げるとともに、健康管理をきっかけとした同年代職員との交流機会を設けるなど、若手職員の不安や悩みの軽減を図る取り組みを行うこととしております。
 今後も、職員個々の実情に応じて必要な対策をきめ細かく展開し、職員の健康維持、増進に取り組んでまいります。
〇臼澤勉委員 私は、職場の身近なところに、寄り添いながら仕事なりを導いてくれる兄貴的な、あるいはお姉さん的な存在がいることがすごく大事なのだろうと思っております。今の主査制度がいいのかどうか、昔の係長制度がどうなのかといった部分についても、改めて見直すべきところかなと思っております。
 人事においても、活気ある組織にしていくためには、特定ポスト優遇や固定化による職員の士気の低下があってはいかんのかなと私は思っておりまして、近々また内示が出るタイミングだと思うのですけれども、まさにこの人事というのは、ある意味、職員に対する強力なメッセージを発揮する部分だと思います。
 ただ、この際、気をつけなければいけないのは、そういった評価に対しても、公平、公正で、何か見えるような形での評価もすごく大事になると思いますし、これがうまくいかないと、リスクをとって仕事をする部分についても、余り無理しないで、エラーしないで、じっとしていたほうが評価が上がっていくようなことでは、組織的にはうまく動いていかないと思います。積極的に前に出てボールを弾いてでも取りに行くとか、そういった積極的な姿勢を組織の中にも持っていくという空気を、今でもやっているとは思うのですけれども、人事においても、評価制度についても、いろいろと工夫していただきたいと思うのです。
 公平な人事評価改革に着手して、活気あふれる組織を構築すべきと思いますが、今後の改革の方向性を具体的にお示しいただければと思います。
〇村上参事兼人事課総括課長 今後の組織運営の改革の方向性といったお話でございました。
 委員がお話しされたように、活気あふれる組織を構築していくというのは、組織にとって非常に重要な課題と認識しております。
 評価の話もございましたけれども、人事評価制度の見直し等も行ってきておりまして、例えば担当外の業務を率先して行う職員、あるいはみずから考え自発的に行動する職員を適切に評価できる項目の改正も、これまでやってきているところでございます。
 それから、活力ある組織を構築していくために、昨年9月に、働きやすい職場環境や職員のメンタルヘルスに関する職員アンケートを実施しております。その結果を見ますと、若年層におきまして、職場の上司や同僚など身近な人間関係への不安を抱えている職員が多いということ、あるいは中堅職員や管理者層においては、自分自身のマネジメントに自信が持てないといったあたりが浮き彫りになったところでございます。
 人事配置につきましては、適材適所で行うことが基本でございますけれども、アンケート結果も踏まえまして、今後は、若手職員が職場内で円滑なコミュニケーションを行うための仕組みづくり、管理監督者のマネジメント力のさらなる向上に向けた研修等の充実強化、ICT技術等も活用した働き方改革の一層の推進、人事評価制度の見直しなどにも取り組みながら、活気にあふれ職員が積極的に業務に取り組むことができる組織運営体制の構築を目指してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 今も、新型コロナウイルス感染症対応などで、職員の皆様が残業をされているところが多いかと思います。私が気になるのは、管理職の担当課長級の方々は、管理職手当が出ているから、残業しても、残業代がつかないわけですよ。ここら辺も、しようがないのかもしれないけれども、実質、担当課長級も職員と同じく、職員以上に仕事をされている部分については、何らかの手当のようなものもないと、部下が上を見ているときに、なんか上に行けば行くほど大変そうだ、あまり管理職になりたくないというような、そういう空気も実際あると思うのです。
 そういった意味では、給与の部分についても何か工夫する余地はあると思いますので、その辺は質問しませんけれども、ぜひ御検討、研究していただければと思います。
 そして、先ほど軽石委員からもお話がありました事務職と技術職の人事のあり方のようなところも、特に研究職の話もありました。公平にやっているとは思いますけれども、私が見ると、例えば本会議場も、部長職には大体事務方のゼネラリストの方々がついていると。例えば教育なら教育の分野をずっとやっている、農政とかそういった部分についてもプロの方々がいて、ゼネラリストがサブでつくような形というのはどうなのでしょうか。所見をお伺いしたいと思います。
〇村上参事兼人事課総括課長 今例示されたものも含めて、事務職、技術職の区分を超えた職員の登用についてでございますけれども、社会情勢の変化に適切に対応していくためには、適材適所の人員配置の考え方のもと、従来の枠組みにとらわれない、柔軟な人事制度の運用は重要だと認識しております。
 このため、中途採用者などを対象とした試験職種の設定、任期付職員経験者採用などさまざまな採用手法を導入しているほか、社会科学系の大学院への技術職員の派遣なども行ってきております。
 また、優秀な中途採用者につきましては、採用年次にとらわれず積極的な登用を行っておりますほか、多様な県政課題に対応できる職員を育成するという観点から、政策部門や地域振興部門などへの技術職員の積極的な配置等にも取り組んでいるところでございます。
 今後におきましても、職種のあり方、人事異動方針、職員研修の実施方法について見直しを図るなど、委員おっしゃられたような人事配置の例も含めて、採用年次や事務職、技術職の区分にとらわれない職員の確保、育成を図っていく必要があると認識しております。
〇臼澤勉委員 いずれ民間とか業界も、これからの未来、業種の壁がなくなって、そういった垣根が取り払われていきますよ。そういった中で、県職員の組織なり人事のあり方も、今後、社会の変化に対応した形に見直されなければいけないのかと思います。職員の民間研修や市町村への研修の部分も含めて、ぜひいろいろと研究していただきたいと思います。
 最後に、県の消防学校の整備計画を簡単に聞きます。
 現在の教育訓練施設としての課題認識はどのように捉えているのか、まずお伺いいたします。
〇坂本防災消防課長 県消防学校の教育訓練施設としての課題についてでございますけれども、消防学校において標準的に備える施設は、消防庁の告示、消防学校の施設、人員及び運営の基準に規定されているところでございますが、平成26年度にこちらの基準の一部改正がございまして、その際に追加となりました実践的訓練施設が現在備わっていないという状況が1点ございます。
 また、改正前の同基準に規定する施設は有しておりますが、昭和49年3月の建設から46年が経過しておりまして、建物の各部位の劣化が進んでおりますこと。また、新たな課題として、集団生活を営む上で、学習環境及び寄宿舎での生活環境等、新型コロナウイルス感染症への対策などが急務であると認識しております。
〇臼澤勉委員 学校を訪れれば、今もコロナ禍の中で集団生活、1部屋に4人、5人とか入って生活しなければいけない、そういった話も聞いております。
 それで、以前、私も質問したときに、令和2年度に県の消防学校整備基本構想策定委員会を設置して、事業費、整備スケジュール等の詳細な検討を行うこととされていたと思いますけれども、今の検討状況はどのようになっているのかお伺いいたします。
〇坂本防災消防課長 消防学校整備計画の検討状況についてでございますけれども、本年度、整備基本構想策定委員会の早期の開催を目指しておりましたが、年度前半はコロナ禍において、感染者、疑似感染者の移送に係る保健所と消防本部間の調整ですとか、可能な限り多くの避難所の確保、感染対策物資の備蓄など、新型コロナウイルス感染症対策への喫緊の対応に努めてまいりました。
 その後、県関係のほかに、盛岡消防本部、岩手県建築士会、矢巾町などの外部識者の方に委員の委嘱を行いまして、委員会を立ち上げるべく就任いただいたところでございますが、昨年11月に委員をお願いしております盛岡消防本部の管内で消防職員に新型コロナウイルス感染症の陽性者が発生し、さらに感染が拡大、さらに本年1月にも消防職員の感染が確認されており、そうした対応のために委員会開催の日程調整が困難になり、開催がおくれてきているところでございます。
 現在開催準備を進めており、年度内に委員会開催の上、整備方針等への御意見をいただきたいと考えております。
 また、引き続き、令和3年度には、そうした御意見、頂戴した方針に基づきまして、基本計画の策定、概算事業費の算定、あと教育訓練への影響なども考慮しながら、整備スケジュールの策定等を進めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 いずれにしましても、平成29年の劣化診断の結果で、5年以内には改修を要するとの調査があったわけでございます。新型コロナウイルス感染症対応等で厳しい状況かとは思いますが、ぜひ前に進めていただければと思います。終わります。
〇千葉秀幸委員 私からは、まず地域防災強化力プロジェクト事業費についてお伺いいたします。
 令和3年度の地域防災力強化プロジェクト事業費の予算案は、令和2年度に比べて、一部新規があり480万円の増となっております。まずは、令和3年度から新たに追加になった事業の災害情報発信強化事業について、詳細をお知らせください。
〇藤澤総合防災室長 災害情報発信強化事業についてでありますが、市町村が避難指示等を発令した際、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、避難者が特定の避難所に集中することを防ぐとともに、県外からの来県者等に対し、わかりやすく避難情報を発信するため、現在運用している岩手県災害情報システムを改修するものでございます。
 具体的には、各市町村が岩手県災害情報システムに入力した避難情報を電子地図と連携させて可視化し、警戒レベル、避難所の位置、特に避難所の混雑状況について、県民や来県者等がスマートフォン等で容易に確認することが可能となるよう、システムを改修するものでございます。
〇千葉秀幸委員 特に今はコロナ禍において、避難時に1カ所に集中してしまうことがあるとすれば、それはまさに密になってしまうということが起きてしまいます。台風などで一時的に避難したのですけれども、実際は非常にいっぱいだということがあって、そこから移動するのも非常に困難であるということが考えられます。そういったことを回避できる有効な情報マップであると私は考えております。
 新たなマップ作成の完成めどはいつごろになっていますでしょうか。
 あわせて、災害時のマップ情報の入力は、県が主導で行うものでしょうか。あるいは市町村でしょうか、お知らせください。
〇藤澤総合防災室長 当該システムの改修は、ことしの台風シーズン前の7月末をめどに完了させる予定としております。各市町村に対しても、その旨を通知しているところでございますし、改修後には、市町村を対象とした説明会を開催する予定としております。
 避難所ごとの避難者の情報等についての入力は、市町村が行うことになります。
〇千葉秀幸委員 災害が多発している近年ですので、極力早目の作成、それから周知をよろしくお願いしたいと思っております。
 入力は市町村とのことですが、災害時に市町村もさまざまな対応に追われている中で、さらにこの作業がふえることで、仕事量が増加してしまうことも懸念いたしますが、その辺はいかがお考えでしょうか。
〇藤澤総合防災室長 災害情報システムにつきましては現在も運用を行っておりまして、現時点におきましても、避難所が開設された段階で、各市町村のほうで、避難所に避難した人数、世帯数等を入力していただいているところでございます。
 委員御指摘のとおり、確かに災害の大小あるいは開設した避難所の多い少ないによって市町村の負担等も変わってくると思いますので、市町村への説明会等の中で、市町村からもそういった課題等を吸い上げて、対応できるよう検討してまいりたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 これが導入されたことによって大幅に仕事量がふえるわけではないということで理解いたしました。
 この避難所混雑状況マップの作成が完了した後には、県民に周知することが最も必要なことだと考えますが、どういった方法で周知していくお考えかお知らせください。
〇藤澤総合防災室長 周知方法としましては、県のホームページ、それから市町村の広報誌、それからSNS等を活用します。SNS等の活用につきましては、さまざまなやり方があると思います。その辺は、市町村等とも相談した上で、実際に使っていただくのは県民になりますので、県民にしっかりと伝えられるよう取り組んでまいります。
〇千葉秀幸委員 ただいま周知方法をお聞きしましたが、そうはいっても、いざ災害が起こると、大体は皆さん混乱しているために、冷静な判断がなかなか難しいのかと思っております。ですから、常に情報発信をしているのでそれでよしとするわけではなくて、災害時に、ラジオ、あるいはテレビの上段のほうに、こちらのマップをごらんいただきたい等、そういった情報発信も必要だと思うので、ぜひとも検討してもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
〇藤澤総合防災室長 今委員から御紹介いただいたようなアイデアにつきましても、とても有効なアイデアだと考えております。最近、他県で大きな災害等が起きた場合、テレビの角のほうにQRコードが出てきて、そこを読み取るとさまざまな防災情報等を入手できる仕組みもございますので、何ができるかまだこれからの検討の段階ではありますが、さまざまなアイデア等につきましても、頂戴しながら考えていきたいと思っております。
〇千葉秀幸委員 ぜひとも前向きな御検討をよろしくお願いいたします。
 次に、消防団についてでありますが、5年前に比べて団員の増減はどうなっていますでしょうか、わかる範囲でいいのでお示しいただきたいと思います。
〇坂本防災消防課長 消防団員数についてのお尋ねでございますけれども、消防団員は全国的に減少傾向にございまして、5年前と比較した場合、1、294人の減少となっておりまして、地域防災力確保の観点から、大きな課題であると認識しております。
 あと、お尋ねにちょっと加えてお話しさせていただきますと、その一方で、団員総数のうち、女性とか学生及び機能別の団員数は逆に増加しているという状況がございます。
〇千葉秀幸委員 災害が頻繁に起こっている近年ですから、消防団員の減少はすごく重要な課題であると私は認識しております。特に、私の手元にある資料によると、岩手県における33市町村で実際に条例定数に達している市町村は一つもないということで、本当に消防団員の確保に努めなければいけないと思っております。
 団員増加のために県が取り組んでいる内容を示していただきたいと思います。
〇坂本防災消防課長 消防団員確保の取り組みについてでございますけれども、県では、いわて消防団応援の店登録事業の推進、機能別消防団員制度の導入促進、各種イベント等を活用した女性消防団員のPRなど、消防団員の確保や女性団員の加入促進などに、これまでも取り組んできているところでございます。
 また、本年度、消防団員確保対策費補助金を創設いたしまして、市町村が実施する消防団の団員確保及び機能充実の取り組みの支援を行ったところでございます。
 令和3年度におきましても、引き続き、これらの取り組みを進めまして、市町村と連携を図りながら、団員確保の取り組みを一層推進していきたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 いわて消防団応援の店登録事業は、団員がサービスを提供されるということで、非常にメリットがあるものだと思っていますが、これは市町村のみの取り組みだけではもったいないので、県内全域で使える、そして登録店舗をふやす取り組みをしていただきたいのですがいかがでしょうか。
 また、その登録店舗数を把握しているのであれば、お知らせいただきたいと思います。
〇坂本防災消防課長 消防団応援の店登録事業の取り組みと現状についてのお尋ねでございますけれども、県におきましては、平成30年1月から、消防団を応援するいわて消防団応援の店登録事業を推進し、消防団員を対象とした特典や割引等につきまして、県内全エリアでの店舗を対象として、登録を呼びかけ進めてきたところでございます。
 令和3年2月末現在でございますが、県内25市町村で353店舗が登録されている状況であります。
〇千葉秀幸委員 ぜひとも、この登録店舗数をどんどんふやしていただきたいと思っております。団員が減少する中で、さまざまな取り組みが行われているというのは理解いたしました。
 東日本大震災津波のときに犠牲になった団員数も私の手元にあるのですが、例えば陸前高田市では51名、宮古市17名、大槌町16名等が犠牲になられました。消防団は危険だという想像を膨らませ、入団しようと考える人がいても家族が反対するだろう等言われておりますが、消防団はやはり地元になくてはならない存在だということで、今後とも団員確保に努めていただきたいと思っております。
 以前に一般質問で取り上げさせていただいたことではありますが、今の団員の7割は、民間企業に勤務する被雇用者であります。実際に火災が発生しても仕事中なので抜けられないなどという理由から、団員に加入しないという例も少なくないと伺っております。そういったことから、今後より協力事業所をふやしていくことが団員確保に最も重要なことだと考えておりますが、県の認識をお聞かせください。
〇坂本防災消防課長 委員から今御指摘ございましたように、被雇用者の団員がふえております現状におきましては、そこの雇用主、事業者の協力がまさに不可欠と考えております。
 消防団の協力事業所の数等についてでございますが、県では、市町村に対して、消防活動を積極的に推進した企業等を顕彰する消防団協力事業所表示制度の導入を促してきておりまして、令和2年4月1日現在、県内26市町村で導入され、378事業所が認定されているところでございます。
 また、消防団協力事業所表示制度の認定事業者の中から、市町村の推薦に基づきまして、県内37事業所が全国の模範となる取り組みを実施している消防団協力事業所として消防庁が認定されているという現状がございます。
 引き続き、このような制度を利用しながら、企業における消防団活動への理解が図られるよう、制度の導入をさらに市町村に働きかけてまいりたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 協力事業所表示制度に加入すると企業にもメリットがあるということで、積極的に進めていただきたいと思っております。
 昨年から事業所の数がなかなか伸びていないように思うので、令和3年度は、ぜひ増加活動を積極的に行ってほしいと思っております。そうしないと、団員の減少ばかりが進み、いざというときに本当に大変になるのは県であり住民であると思っておりますので、喫緊の課題ということで、危機感を持って取り組みのほうをよろしくお願いいたします。終わります。
〇高橋穏至委員 地域防災力強化プロジェクト事業の一部新規、拡充した部分についてお伺いしたいと思います。
〇藤澤総合防災室長 地域防災力強化プロジェクト事業の一部新規についてでございますが、当該事業は、防災の要となる自助、共助、公助、それぞれの取り組みについて、市町村や防災関係機関と連携しながら複合的に展開し、県全体としての地域防災力の強化を図ろうとするものでございます。
 このうち、来年度の一部新規事業は、武力攻撃事態等に適切に対処するために実施する国民保護共同訓練地域ブロック検討会に係る予算でございます。
 当該検討会は、国と北海道、東北地域ブロック内の地方公共団体が参加し、会議形式で、国民保護に関する各種課題に対する検討、意見交換を行うものでございます。
 地域内の道県で、令和3年度から毎年度、持ち回りにより開催するもので、来年度は本県が再開県となっているものでございます。
〇高橋穏至委員 持ち回り開催で、そこがふえたということでございました。
 私も元消防団員でございまして、地元の消防団でもなかなかなり手がなくて、誰か紹介してくれと頼まれているのですが、今回取り組んでいる消防団員確保対策費補助事業は、取り組みに対して市町村に2分の1補助するということでした。
 市町村においてさまざまな取り組みをされていると思うのですが、その取り組みによって効果が上がっているかどうかというのは、今のところ押さえていますでしょうか。
〇坂本防災消防課長 本年度創設した消防団員確保対策費補助につきましては、令和2年度、13市町に対し交付決定を行いまして、カラーガード隊のユニフォームや団員活動服の整備のほか、ドローンの導入とかドローンの操縦士資格の取得など、各種装備品の充実等に活用いただいたところでございます。
 補助メニューにつきましては、市町村から好評の声が寄せられておりまして、次年度の事業活用の相談などもお寄せいただいているところでございますが、現在、初年度の事業完了の報告書がまさにこの年度末に上がってきている状況でございます。
 課題、成果につきましては、今年度事業を実施した市町村の状況を踏まえて検証をしっかり行って、また今後とも市町村のニーズに応えられるよう、必要に応じて見直しを行いながら、団員確保の支援に努めてまいりたいと考えております。
〇高橋穏至委員 県内全部を合わせると、かなりの団員数になると思います。北上市でも、服を一回更新するだけでもかなりの費用がかかるということで、多分喜ばれているのかと思います。
 ただ、市町村によって取り組んだ確保対策に対しての補助事業の効果があったかどうか、ほかの市町村と情報を共有しながら確保対策を進めていけばいいのではないかと思っておりましたので、ぜひその辺の検討をお願いして、質問を終わります。
〇斉藤信委員 それでは、最初に、新型コロナウイルス感染症対応の組織体制の強化についてお聞きいたします。
 新型コロナウイルス感染症対策保健衛生人材確保事業は、今年度の2月補正で3、417万円余となり、保健師15名、看護師1名、事務1名、実人員17名を確保し、PCR検査対応で2名の確保という答弁がありました。これは恐らく会計年度任用職員の任用だったと思います。
 来年度は常勤の保健師の確保ということになりますが、今年度採用した方々が来年度も継続して雇用されるのか、来年度は新たに常勤でどれだけの保健師が確保されるのか示してください。
〇村上参事兼人事課総括課長 まず、新型コロナウイルス感染症対策保健衛生人材確保事業についでございますが、こちらは、保健師等専門人材のOB職員を会計年度任用職員として任用する事業でございまして、委員が先ほどお話しされたとおり、本年度は実人員19人を確保し、現在そのうち17名が任用されているところでございます。
 令和3年度当初予算案におきましては、本年度の実績と同程度の任用を想定して予算案を提出させていただいているところでございます。
 具体的には、現任用者のうち継続任用を希望する14名全員につきまして来年度も任用するほか、来年度新たに任用する手続も進めておりまして、これらによりマンパワーを確保する予定と考えております。
 それから、正規職員の増員につきましては、先ほどの事業とは別に、保健所の体制強化等のために、常勤保健師の確保にも力を入れておりまして、本年度は、例年実施している通常の選考による7名に加え、即戦力と期待される有資格者などの選考を追加で実施し、8名を採用することにしておりまして、計15名の確保を図ったところでございます。
 こうした取り組みにより、令和3年4月1日時点では、退職者の補充分を差し引きまして11名の保健師が純増の予定となっており、今後も新型コロナウイルス感染症の感染状況等を見据えながら、必要な体制を検討させていただきたいと思っております。
〇斉藤信委員 和歌山県が和歌山方式で大変注目されております。国内最初の院内感染の際に、職員、患者全員の検査をいち早くやって感染拡大を防止した。その後も積極的なPCR検査を進めてきた。この大きな要因として、和歌山県の人口10万人当たりの常勤保健師の数は35.9人、大阪府14.4人、東京都の12.1人と比べて倍以上の保健師がいた。これで徹底した検査ができたと言っているのです。
 来年度は常勤がプラス11人と、これは評価したいと思いますけれども、ピーク時に比べてまだ足りないのではないでしょうか。
 10万人当たりの常勤保健師の数はわかるでしょうしか。どういうレベルなのか示してください。
〇村上参事兼人事課総括課長 大変申しわけございません。今、人口10万人当たりの保健師の数は手元にないのですが、私の記憶にある限りでは、岩手県の保健師の数は、全国と比べてそこまで低いという状況ではなかったと記憶しているところでございます。
〇斉藤信委員 岩手県も積極的なPCR検査をこの間やってきましたので、私は岩手方式と言ってもいい取り組みがされているのではないかと思います。
 ただ、全国的に保健所は統廃合されて半分ぐらいに減ってしまった。その体制の弱点がこの新型コロナウイルス感染症の中で浮き彫りになったということがありますので、さらなる強化が必要なのではないかと思います。
 そこで、これも保健福祉部にかかわるのですけれども、この間、クラスター発生などで、保健所間でかなりの応援体制がとられたと思いますが、この実績は把握されていますか。
〇村上参事兼人事課総括課長 クラスターが発生した際は、全県の保健所で対応することとしておりまして、保健福祉部のほうで応援体制をとっておりますけれども、令和3年3月2日時点で延べ114日、230人の保健師を保健所間の応援により派遣したと聞いております。
〇斉藤信委員 延べ230人ですか、これだけの応援体制がとられた。ですから、クラスターが発生すると本当に今の体制では対応できない、単発のクラスターだから対応できたというのがあるのだと思うのです。さらなる体制の強化を検討していただきたい。
 2番目に、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用状況についてお聞きします。
 これまで261億円の交付限度額に対して、今年度200億円、来年度は当初予算案に18億円、計218億円が計上されています。今年度の執行残55億円はどのように活用されたのか、来年度当初予算案の18億円の内容はどうなっているか示してください。
〇小原参事兼財政課総括課長 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用状況についてでございますが、まず、令和2年度12月補正までに計上した地方単独事業分が189億円ほどございまして、このうち2月補正予算の編成において執行残として見込まれた55億円の主な内容としては、家賃補助や感染症対策補助を行う地域企業経営継続支援事業費補助が約20億円、地元割クーポン発行等を行う観光宿泊施設緊急対策事業費が約12億円、制度融資に係る令和2年度分の保証料補給が約8億円などであるところでございます。
 この55億円につきましては、2月補正予算において減額の上、さらに、中小企業等に対する支援金の支給とか、制度融資に係る令和3年度以降の保証料補給等に要する経費の基金への積み立てなどの事業の財源として活用しているところでございます。
 また、令和3年度当初予算案に充当した18億円の主な内訳は、県単独で実施する空床準備等に要する経費に約5億円、環境保健研究センターや保健所の資機材整備に約4億円、県立病院等事業会計に対する医療提供体制の構築等に係る負担金に約3億円、感染症に対する看護師等の医療従事者に対する危険手当の支給に約2億円、企業に対するテレワークの導入に係る経費への補助に約1億円などを計上しているところでございます。
〇斉藤信委員 今の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時創生交付金の残額は43億円と聞いておりますけれども、この活用方向についてはどのように考えておられますか。
〇小原参事兼財政課総括課長 今後の活用についてでございますが、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の地方単独分に係るものにつきましては、今後の感染状況や社会、経済情勢を踏まえまして、適時適切に活用させていただきたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 2月補正で必要な対策もとられておりますけれども、私は決して十分ではないと思います。例えば中小企業への支援1店舗40万円というのも、飲食業中心で、その他の業種には実態に合わないところもありますから、やはり見直すべきは見直し、拡充すべきことは拡充すると、必要な手だてを機敏にとっていただきたい。これは要望にとどめておきます。
 次に、防災対策についてお聞きいたします。
 地域防災力強化プロジェクト事業費5、240万円でありますが、地域の中核的人材育成及び地区防災計画の策定支援を実施するとしています。地区防災計画の策定状況はどうなっているか。それに基づく訓練の実施状況などを示してください。
〇藤澤総合防災室長 地区防災計画についてでありますが、県内では7市町村39地区におきまして、地区防災計画の策定が進められております。
 また、地区防災計画に基づく避難訓練の実施状況については、令和元年度末までに計画を策定した37地区のうち、例年どおり実施できたのは4地区、新型コロナウイルスの影響により6地区で規模を縮小の上実施し、残り27地区については訓練を中止したと伺っております。
〇斉藤信委員 東日本大震災津波の教訓は、津波であればできるだけ早く高台に避難すると。しかし、これは日常的に訓練をしていないとできないことなのです。
 そこで、私が大変感心しているのは、大槌町の安渡地区です。ここは大変な犠牲者を出したけれども、先日も訓練をしておりました。地区計画を立てて、15分ルールというのをつくって、自力で避難できない人も15分以内に玄関まで出てもらうと。そういう要支援者も、リヤカーなどを使って避難させるということを訓練もしているのです。
 問題は、自力で避難できない人なのです。そういう人をどのように助けるか。避難させるか。私は、この地区計画というのが、そういう意味ではやはり決定的な役割を果たすのではないかと。
 実は自主防災組織というのが2、340つくられています。この隊員数は70万人余で、世帯数の87.9%だと。自主防災組織というのはかなり組織されているのですね。これは町内会と一体であったり、大体そういう規模が多いと思うのですけれども、せっかく組織されている自主防災組織を活用しながら地区防災計画を立てていく、そういう取り組みを、本当に先進事例を示しながら進めることが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
〇藤澤総合防災室長 まさに東日本大震災津波の教訓をもとに、地域コミュニティーにおける自助、共助の強化が大切であり、地区ごとの自発的な防災活動に関する地区防災計画制度が新たに創設されたことから、その地区防災計画をしっかりと構築し、訓練を行っていくことが非常に重要だと考えております。
 自主防災組織の組織率は県全体では87.9%でございますが、県北地区あるいは沿岸区で一部低いところもございます。そういったところにつきましては、自主防災組織の立ち上げ、活性化、あわせて地区防災計画の策定等について、しっかりと支援してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 地区防災計画は7市町村で39地区ですから、本当にまだ少ないのですね。ただ、資料をいただきましたら、岩手町は24地区でつくられていると、これは断トツで進んでいるのです。この教訓は何でしょうか。
〇藤澤総合防災室長 今委員から御紹介いただいたとおり、岩手町に関しては24地区策定しております。県全体で39地区ですので、そのうちの3分の2ぐらいが岩手町ということで、裏を返せば、他の地区はかなりおくれているということも言えます。こういった岩手町の取り組みをぜひほかの市町村にもフィードバックして、ほかの地域を県としても支援してまいります。
〇斉藤信委員 少しリアルにその経験を返していただきたい。総括質疑でもありましたけれども、日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震に対する被害想定調査というのが来年度当初予算案で計上されています。これはいつまでにどう取り組まれるのか。そして大事なことは、昨年の4月にこれが公表されて、私も本当に衝撃を受けるぐらいの中身でした。ただ、この日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震というのは、科学的には300年から400年の頻度で実際に起こっていると。だから、切迫しているとも指摘されています。巨大地震、最大想定で大きくなっていると思いますけれども、そういうことも含めて、私は、市町村としっかり協議をし、関係住民にも説得力のある科学的な説明が大変大事だと思いますけれども、その点についても示していただきたい。
〇藤澤総合防災室長 被害想定調査の作成等に当たりましては、市町村との連携が必要だと考えております。
 市町村では、内閣府が昨年公表した日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデルを踏まえまして、既に暫定版のハザードマップを作成した宮古市などの例もございます。ほかに、住民説明会を開催したり広報誌への掲載を通じまして、住民の意識啓発を既に始めているところもございます。
 現在、津波浸水想定の作成は県土整備部で進めておりますので、その県土整備部が所管している小委員会の議論等を踏まえまして、来年度、被害想定調査を作成する際には、市町村にも丁寧に説明しながら、情報共有を図ってまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 最後にしますけれども、会計年度任用職員の今年度の任用状況、来年度の任用状況、基本的には3年間継続して雇用できる制度ですから、希望した方々が継続して雇用されているようになっているか示してください。
 旧盛岡短期大学跡地の利活用について、解体工事の見通しと、盛岡市との協議はどうなっているか。私は、盛岡市の情報として、令和7年度に新しい児童センター、老人センターが、整備の予定だと聞いていますが、協議の状況はどうなっているでしょうか。
〇村上参事兼人事課総括課長 私からは、会計年度任用職員の状況について御答弁申し上げます。
 令和3年2月に知事部局において任用した会計年度任用職員数は、フルタイムの会計年度任用職員が101人、パートタイムの会計年度任用職員が1、673人と、合計で1、774人となっておりまして、平成31年4月時点での旧制度の臨時的任用職員、非常勤職員と比較すると、フルタイムで470人が減少、パートタイムで462人が増加、合計で8人が減少となっております。
 それから、来年度の任用見込みでございますが、令和3年度当初の普通会計予算案における知事部局の会計年度任用職員数は、フルタイムの会計年度任用職員が108人、パートタイムの会計年度任用職員が1、827人と、合計で1、935人を見込んでいるところでございます。
 また、再度の任用についてでございますが、会計年度任用職員は、1会計年度ごとに新たな任用となるものであり、任期が終わるごとに公募、選考を行うことを原則としておりますけれども、当該職員の任用期間中の人事評価の結果に基づき2回まで、最初の任用を合わせて計3回までということになりますが、公募によらず同一の者を再度任用することを可能としております。
〇平野管財課総括課長 旧盛岡短期大学跡地の利活用についてでございます。
 まず解体工事の見通しでございますが、工事の現契約額は6億2、498万円余で、施工計画のとおり進捗していますので、予定どおり令和3年10月の完了を見込んでいるところでございます。
 次に、市との協議状況というお尋ねでございましたが、現在、市、県の担当者間で情報の共有を行っているところでございまして、引き続き、施設の配置や必要面積等について調整を図っていくこととしております。
 新しい児童、老人福祉センターの移転整備の計画につきましては、詳細なスケジュール等は承知しておりませんけれども、いずれにいたしましても、盛岡市との情報共有を密にして、事業の進捗に合わせて協議を進めていくこととしております。
〇城内よしひこ副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇村上参事兼人事課総括課長 先ほど斉藤委員の質問で、人口10万人当たりの保健師数という質問にお答えできなかったものですから、今答弁させていただきます。
 平成30年末現在の数字になりますが、厚生労働省が公表しております人口10万人当たりの就業保健師数は、本県の数字は60.0人(後刻「31.8人」と訂正)となっておりまして、これは全国の平均である41.9人(後刻「20.7人」と訂正)を上回っていると、統計上の数字としては把握しているところでございます。
〇城内よしひこ副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。

午後5時20分 休 憩

午後5時37分 再 開

〇城内よしひこ副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇村上参事兼人事課総括課長 大変申しわけありません。先ほど私が答弁申し上げました人口10万人当たりの保健師、先ほどの数が、自治体だけでなくて、民間も含めた、産業部門も含めた保健師の数で答弁してしまいました。
 改めまして、保健所及び市区町村における常勤保健師の数で申し上げますと、10万人当たりの保健師の数は、全国平均20.7人のところ、先ほど斉藤委員から御紹介ありました和歌山県が35.9人、本県は31.8人となっております。
〇城内よしひこ副委員長 質疑を続行します。
〇千田美津子委員 私は、防災関係2点についてお聞きいたします。
 まず一つは、先ほどもお話がありましたが、自主防災組織の組織化、活発化について若干お聞きしたいと思います。
 この間もずっと継続しながら自主防災組織の組織化、活発化を図るために頑張ってこられたと思いますが、今年度どう取り組み、また新年度のさらなる取り組み方針についてお聞きしたいと思います。
〇藤澤総合防災室長 自主防災組織の組織化、活性化についてでありますが、県では、自治会を対象とした市町村主催の研修会等に地域防災サポーターを派遣して、自主防災組織の重要性について理解いただき、組織化を促すとともに、支援対象地域の実践的研究、検証を通じてモデル事例等を作成することを目的に、自主防災組織活性化モデル事業を実施しております。
 また、自主防災組織の中核人材を育成することを目的に、令和元年度からは、防災士養成研修を実施しております。
 来年度におきましても、市町村の取り組みを個別に支援しながら、自主防災組織の組織化及び活性化に向けた取り組みを推進してまいります。
〇千田美津子委員 自主防災組織はさまざまな事業が展開されているわけですが、自主防災組織活性化モデル事業はアドバイザーを派遣して取り組みをしており、この事業終了後に市町村を対象とした報告会を開催しているという記述があります。私は、この自主防災組織活性化モデル事業によって、次につながるさまざまなものがここにはあるのではないかと感じましたので、この報告会の中身についてお知らせいただきたいと思います。
 それから、地域防災サポーター制度とか防災士養成研修とかさまざまやられているわけですが、これらの成果についてどのように感じ取っておられるかお聞きいたします。
〇藤澤総合防災室長 自主防災組織活性化モデル事業についてでございますが、今年度は軽米町と九戸村、それぞれ1地区を対象としてアドバイザーを派遣して、展開してまいったところでございます。
 今年度の2町村の自主防災組織活性化モデル事業を踏まえた報告会の内容につきましては、今まだ承知しておりませんので、内容がわかり次第、また御紹介できればと思っております。
 それから、さまざまな事業の効果等についてでございますけれども、先ほども答弁申し上げましたが、県内の自主防災組織の組織率は全国平均と比べて高いものの、県北、沿岸部の組織率が低いというのがやはり大きな課題だと考えております。
 これは、沿岸部では、東日本大震災津波の影響によって組織加入世帯が減少したこと、あるいは県北は、過去に比較的災害が少ないこともあって、組織化がなかなか進まないということもございますので、先ほどの自主防災組織活性化モデル事業等の成果をしっかりとほかの地域にもフィードバックすることによって、効果を高めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 軽米町、九戸村の事業については、わかった時点でお知らせいただければと思います。
 この組織化も非常に大事ですし、あと、その中身の活発化ですね。確かに自主防災組織をつくっているところは多いのですが、それが日常的に本当に役に立つような訓練がきちんとなされているかという点では、私の地元も含めてちょっと足りない状況にあります。
 ですから、自主防災組織活性化モデル事業でこんなふうにしてすごく効果があるとかそういう経験を、自主防災組織活性化モデル事業をやったところだけではなくて、組織率の低いところももちろんですが、全県にその成果を広げていくことが私は非常に大事ではないかと考えますので、その点をお聞きしたいと思います。
〇藤澤総合防災室長 自主防災組織の組織化が目的ではなく、その活動を活性化していただき、それが地域の防災力の向上につながるというのがこの事業の目的でございますので、今委員から御指摘があったとおり、住民一人一人がその地域のコミュニティーを強化して、特に共助がその地域において高められるような取り組みが今後さらに展開できるように進めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 それでは、2点目をお聞きしたいと思います。
 県内の要配慮者利用施設の避難確保計画の策定状況と避難訓練の実施状況、それから今後の見通しについてお聞きしたいと思います。
 全国で多発する自然災害等において、この要配慮者利用施設の避難確保計画の策定を急ぐこと、そして、さらには避難訓練がやはり重要だということが指摘されております。県内のこれまでの状況、それから今後の見通しについてお聞きしたいと思います。
〇藤澤総合防災室長 まず、要配慮者利用施設の避難確保計画の策定率でございますけれども、令和2年10月末時点で77.1%となっております。
 次に、訓練につきましては、現在、市町村を通じて、各施設でどういった訓練をやっているのかという取り組み状況を確認中でございます。計画の実効性を高めるためには、やはり訓練の実施が重要と考えておりますので、各施設に対し、国が作成している訓練ガイドブックなどを提供し、市町村を通じた働きかけ等を行っていきたいと思います。
 今後におきましても、対象施設の把握や計画策定の働きかけとあわせまして、計画策定率の低い市町村で講習会を開催するなど、支援に取り組んでまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 まず策定率ですが、77.1%というと全体でどうなのか、なかなかわかりづらいところがありますけれども、実は災害が起きる都度この対象施設がふえていくという点で、例えば令和元年度は、対象施設が1、179カ所で、策定したところが791カ所で、67.1%の策定率に対して、昨年は、この分母の策定しなければならないところが、岩手県においては100カ所以上ふえているわけですね。1、297カ所の施設がある中で1、000カ所つくったという点で、この77.1%は、10%だけ上がったように見えますけれども、実質は、もし分母が同じであれば八十数%になりますので、これは県の指導があって、市町村そして施設が協力し合ってこのようになったのだと思います。それは大変評価いたしますし、これからも引き上げていただきたいと思います。
 ただ、自然災害はいつ起きるかわからない。本当に全国で多発するわけで、実は国がこれらの策定を急いだのは、平成28年の岩泉町の小本川の高齢者グループホーム楽ん楽んで9人が亡くなられたことがきっかけとなったと見ました。
 そういう点も踏まえて、岩手県はこの要配慮者利用施設の避難確保計画の必要性を身をもって経験した県でありますから、とりわけ先進的、模範的に取り組んでいただいて、いずれ災害が起きたときのために訓練もしながらきちんと取り組んでいる、そういう安全に対する、特に要配慮者に対するこういう取り組みを先進的に進めていただくことが必要だと思いますので、ぜひこの点については進めていきだきたいということと、多分この数字は全国で見ても高いほうではないかと思いますが、全国的に見ればどういう状況にあるのか、その点をお聞きしたいと思います。
〇藤澤総合防災室長 今委員から御紹介ありましたとおり、平成28年の台風第10号災害、それから昨年には7月豪雨で、熊本県内の要配慮者利用施設でも同様の痛ましい災害がございました。
 こういったことから、特に本県においては積極的に市町村を支援したいという考えのもとから、一例御紹介しますと、策定率の低いところで、今年度は北上市におきまして、計画が未策定の施設の管理者の方々を集めて講習会を実施したところでございます。9施設に参加いただきまして、その9施設に計画を策定いただいたところでありまして、昨年10月末現在に北上市は53.8%でしたけれども、直近の数字ですと96.2%まで上がったという事例もございますので、そういったピンポイントでの支援をやっていきたいと思います。
 あと、先ほど委員からも御紹介があったとおり、分母が毎年どんどん大きくなってきますので、全国と比べて岩手県はどうなのかというあたりは、ちょっと評価の難しいところはあると思いますが、いずれ先ほど申したような事例等に取り組んでいきたいと思います。
 あと、先ほど委員から、今年度の自主防災組織活性化モデル事業の報告会の件がございました。今年度はコロナ禍ということもありまして、集まっての開催はできなかったものですから、書面開催という形で取り組み事例を紹介させていただいたところでございます。
〇千田美津子委員 そうですね。コロナ禍で開催が困難だったということもあると思います。
 ただ、そういう中で、北上市のピンポイントで行った取り組みによって96.2%まで上がるということは、非常にすばらしいことだと思います。県のそういう姿勢が市町村や施設に届くということの事例だと思います。
 北上市の9施設を入れて297施設が未策定となっておりまして、社会福祉施設が197、あと学校も39校あるのですね。医療施設も61カ所ありまして、どこも非常に大事な施設であります。自主防災組織活性化モデル事業とかそういうピンポイントでの取り組みをする中で、国が新年度までの5年間で何とか100%にしようという計画のもとでこれが進められているわけで、簡単ではないと思いますけれども、それに近づくような取り組みをぜひやっていただきたいと思います。
 それから一つだけ、全国的に市町村の防災担当者が不足しているという話がありましたが、この計画の策定に当たって、それらも何か影響している点等が見受けられるかどうか、もしそういう点を感じておられればお聞きしたいと思います。
〇藤澤総合防災室長 市町村の防災担当者は、例えば盛岡市のように大きなところですとある程度の人数が配置されておりますが、小さい町村になりますと、総務課の職員が兼務しているところもございます。それが影響しているかどうかというよりも、今はいつ災害が起きてもおかしくない時代でございますので、県では年度初めに市町村の防災担当者を集めて、例えばシステムの動かし方の研修ですとか、さまざまな研修をやっております。あと、気象台と連携し、現地に出かけて市町村の防災担当者向けの研修等もやっておりますので、そういった関係機関としっかり連携して、市町村の防災担当者のスキルアップ等も図っていきたいと考えおります。
〇城内よしひこ副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇城内よしひこ副委員長 質疑がないようでありますので、これで総務部関係の質疑を終わります。
 総務部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、出納局長に出納局関係の説明を求めます。
〇永井会計管理者兼出納局長 出納局関係の予算について御説明申し上げます。
 まず、議案第1号令和3年度岩手県一般会計予算のうち出納局関係でありますが、予算に関する説明書86ページをお開き願います。2款総務費1項総務管理費1目一般管理費のうち出納局関係の予算は、説明欄の中ほどに記載のとおり8億4、358万円余であり、職員の人件費等の管理運営費及び県営建設工事入札業務に係る経費であります。次に、88ページをお開き願います。下段の5目会計管理費1億7、837万円余は、説明欄に記載のとおり、財務会計システム運営費等であります。
 次に、議案第9号令和3年度岩手県証紙収入整理特別会計予算でありますが、同じく予算に関する説明書の386ページ、387ページをお開き願います。歳入歳出予算額は、それぞれ34億5、199万円余であります。
 まず、歳入でありますが、388ページにお進みいただき、1款証紙収入1項証紙収入は、1目県税8億8、420万円余、2目使用料及び手数料22億7、940万円余、3目軽自動車税環境性能割2億8、838万円余であります。
 次に、歳出でありますが、390ページをお開き願います。1款繰出金1項一般会計繰出金は、1目県税、2目使用料及び手数料に係る証紙収入と同額を一般会計に繰り出すものであります。
 次に、391ページをごらん願います。2項歳入歳出外現金繰出金は、1目軽自動車税環境性能割に係る証紙収入を所在市町村に払い込むため、歳入歳出外現金に繰り出すものであります。
 以上で出納局関係の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇城内よしひこ副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇神崎浩之委員 各位お疲れのところ大変恐縮でありますが、明るい入札制度についてお伺いしたいと思います。
 新年度から入札の仕組みが若干変わるようであります。この際、御紹介いただきたい。
 復興のハード整備が終了しつつある中で、県内の建設業を初め、それ以外の関連するさまざまな事業者、例えば食堂や弁当屋さんもそうなのですけれども、経営が心配です。
 落札価格が低いとさまざまな影響があるわけで、一つは、価格だけの競争ではない総合評価方式について、それから、下請け業者を守ることを含めて、県内事業者の経営圧迫を防ぐための低入札の回避策についてお伺いしたいと思います。
〇佐々木入札課長 入札制度の新年度からの変更点についてでありますけれども、まず入札動向ですが、県営建設工事の発注額の近年のピークは、平成25年度1、822億円から、本年度は見込みで740億円と約4割程度となっております。
 また、低入札落札の発生は、平成25年度19%から現在は25%と増加傾向にあります。
 震災関連工事の減少に伴い、今後、価格競争が激しくなるなど、大きな入札環境の変化が予想されることから、新年度からダンピング防止対策の強化を実施するものであります。
 このダンピング防止対策の強化につきましては、総合評価落札方式を活用したものとしており、主な内容は二つありまして、一つ目は、総合評価落札方式の適用を拡大するものでございます。総合評価落札方式では、価格だけではなく技術力、地域貢献等も考慮していることから、結果としてダンピング防止対策の強化につながります。現行では、工事担当部局が工事規模や難易度から価格競争とするか総合評価とするか判断しておりますが、それを3、000万円以上の工事は原則総合評価とすることで、対象工事は現在の4割から6割程度まで増加すると見込んでおります。
 二つ目は、総合評価落札方式の価格評価点を調整することです。総合評価落札方式では、価格点と技術点の合計が高い者を落札者としますが、このうち価格点について低入札時は打ち切りし一定とすることで、過度な価格競争を抑制するものでございます。
 このほかにも、低入札に係る失格基準を見直すなど、総合的なダンピング防止対策の強化を行うものでございます。
〇神崎浩之委員 思いは同じだと思っております。
 最後に局長に聞いて終わりたいと思いますけれども、例えば大きな事業であれば、下請けについて、2番手、3番手も県内事業者にするとか、そうことを含めた提案型の入札制度の導入について。
 昨年、新型コロナウイルス感染症の関係で、国の三陸沿岸道路の工事を見ていると、大手ゼネコンがいろいろなところから県外の下請け事業者を連れてくると。そうすると、ちょうどゴールデンウイークがあって実家に戻り、そしてまた帰ってくると、1週間なり2週間工事がストップするということも見ました。お盆もそうでありました。
 往来の自粛ということもあって、県内の事業者を守るという観点からもですが、こういうコロナ禍の中にあっては、工事の工期を守るためにも、県内の事業者の活用について検討いただきたいと思っておりまして、局長に聞いて終わりたいと思います。
〇永井会計管理者兼出納局長 ただいま委員から、地元発注の促進、工事の品質確保という観点での御提案をいただきました。
 今般の低入札に関するダンピング防止対策の強化の背景については、先ほど入札課長から状況を報告させていただいたとおりでございます。
 また、低入札については、東日本大震災津波前は低入札工事が4割強を占めるような高い時期もございまして、かねてから、委員からお話のあったような事項について、業界団体からも毎年、強い要望事項として頂戴しているところでございます。
 今般の対策を取りまとめるに当たりましても、建設業団体の皆様と数次にわたっての意見交換を行うでありますとか、県内各地を回りまして事業者から個別に御意見を伺うなどして取りまとめてきたものでございます。その過程の中で、小規模あるいは下請けの事業者の方に影響が及ぶことがないようにとか、土木事業者だけではなく建築関係の事業者も含めて、広く丁寧に説明するようにというような御要望、御意見なども多々頂戴し、今般の対策として取りまとめたところでございます。
 県内発注を原則とするというのは、今回の見直しに限らず入札制度の基本としておりますので、これをしっかりと維持しながら、今回の低入札対策による入札動向をしっかりとフォローして、公正かつ透明な公共発注が行われるように、これからも努力してまいりたいと考えているところでございます。
〇城内よしひこ副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇城内よしひこ副委員長 質疑がないようでありますので、これで出納局関係の質疑を終わります。
 出納局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、人事委員会事務局長に人事委員会関係の説明を求めます。
〇今野人事委員会事務局長 それでは、人事委員会関係の予算につきまして御説明申し上げます。
 便宜、お手元の予算に関する説明書により御説明申し上げますので、110ページをお開き願いたいと存じます。2款総務費9項人事委員会費のうち、1目委員会費の684万円余は、委員3人分の報酬、その他、委員会の運営に要する経費でございます。次に、2目事務局費の1億4、837万円余は、事務局18人分の人件費、事務費など事務局の任用関係事務、公平審査事務及び給与関係事務等の管理運営に要する経費でございます。
 以上で人事委員会関係の予算の説明を終わります。よろしく御審議お願い申し上げます。
〇城内よしひこ副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 それでは、2020年度実施の労働基準及び労働安全衛生に関する事業場調査結果について3点お聞きします。
 一つは、月30時間を超える超過勤務を行った職員のいる事業場の状況とそれへの対応、その後の改善はどうなっているでしょうか。
〇高橋職員課総括課長 本年度行いました事業場調査によります、月平均30時間を超える超過勤務を行った職員がいる事業場の数でございます。令和元年度は48事業場でありまして、前年度から4事業場減少したところです。
 これら事業場については、必要に応じて訪問調査したほか、超過勤務の縮減に向けて、昨年12月に文書によって各事業場の実態に応じた指導を行ったところです。
 今回指導した事業場の改善状況については、来年度行う調査の結果を踏まえ精査することになりますが、昨年度指導対象となった52事業場の本年度の状況について申し上げますと、17の事業場が指導対象外となり改善が見られている一方、継続して指導対象となったものが35事業場となっており、また13の事業場が新たに指導の対象となっているところでありまして、引き続き、事業場の実態に応じたきめ細かな指導を行っていくことが必要と考えているところでございます。
〇斉藤信委員 月100時間を超える長時間勤務を行った教育職員のいる学校の状況と実人員、その比率、面接指導を受けた教員の状況はどうなっているでしょうか。
〇高橋職員課総括課長 令和元年度の教育職員のいわゆる超勤4項目の時間に加えて、それ以外の業務のための時間を含めた時間外在校等時間ですが、その時間が月100時間を超える教育職員がいる県立学校は61事業場でありまして、前年度から6事業場減少したところでございます。
 実人員で申し上げますと668人、比率は19%となっておりまして、前年度から48人、2ポイント減少したところです。
 産業医による面接指導を受けた教育職員は11人でございまして、前年度から1人減少したところでございます。
 なお、産業医による面接指導につきまして、今年度の状況を申し上げますと、県教育委員会では、昨年度までは本人からの申し出に基づいて行っていたものを、今年度からは、時間外在校等時間が月100時間以上の教育職員について必須とする取り扱いとしたところでございまして、指導を受けた者は、今年度は2月末現在で75人に達しているところでございます。
〇斉藤信委員 教育職員の事業場調査になると、どういうわけか100時間を超えるが基準なのです。一般の職員は30時間、これでも異常なのだけれども、これは前年度の実績調査ですから2019年度になるのですけれども、月1回でも100時間を超えた教育職員が668人いたと。61事業場、これは79事業場の中の77.2%、約8割近い学校で100時間を超える超過勤務が実際に行われている。私は、本当に異常だと思いますよ。
 そして、実は教育職員というのは、超過勤務手当がないのです。こんなに残業していても手当もない。私は、二重、三重に、本当に深刻な状況だと思います。
 この調査の中には、1人月平均時間数で見ますと、平均して40時間以上超過勤務しているのが41事業所、これは実に51.8%です。
 ことしは新型コロナウイルス感染症があったと思いますけれども、この状況の抜本的な改善のために、人事委員会は今年度から教育長や学校長あてに通知をしているのですが、通知をしっ放しではなくて、この改善策を出させる、そういう状況を中間報告させる、そういうことをしっかりやるべきではないかと思いますけれども、いかがですか。
〇高橋職員課総括課長 改善策の御報告という御提案でございますが、私どもも、文書によるかどうかは別にして、日ごろ、教育委員会もしくは時間外勤務が多い事業場である県立学校等につきましては、必要に応じて訪問するなど実態確認に努めているところでございますので、常日ごろからその実態、そして改善の方途をきちっと見ていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 これが最後ですけれども、県職員、教育職員のパワーハラスメント等の相談件数、そして実態をどう把握しているか、パワーハラスメントをなくす取り組みはどうなっているか示してください。
〇高橋職員課総括課長 人事委員会におきましては、地方公務員法に基づいて職員からの苦情相談窓口を設けています。その中で、パワーハラスメントについての県職員からの相談件数は、昨年までの直近5年間で申し上げますと、平成27年度は4件、平成28年度2件、平成29年度5件、平成30年度5件、そして令和元年度は9件となっております。本年度は途中ですが2月時点で4件となっています。年度ごとの増減はありますが、中長期的には漸増の傾向が見てとれるところでございます。
 パワーハラスメントへの対応ですが、昨年6月の労働施策総合推進法の改正により対策が強化されたことを受けて、各任命権者においては、その防止等に関する基本方針、マニュアルの見直しを行うほか、相談窓口の周知や職員の意識啓発、研修などの取り組みを進めているところでございます。
 ハラスメントというのは、当然職員の勤務意欲を減退させ、ひいては職員の心身に悪影響を及ぼす要因にもなることから、人事委員会として、各任命権者に、ハラスメント対策に一層取り組まれるよう、引き続き必要な助言、指導を行いますとともに、本委員会が設置している苦情相談窓口の周知や、研修受講による窓口相談員のスキルアップなどによって、ハラスメント対策を一層進めていきます。
〇斉藤信委員 このパワーハラスメントは大変深刻で、本当に重大な事態も発生しているわけです。私は、それにしては相談件数が少ないのではないか、人事委員会が頼りにされていないのではないかと思います。だから、人事委員会に相談すれば解決してくれる、相談しやすいという状況を労働基準監督署として役割を果たすべきだと思いますが、最後に局長に聞いて終わります。
〇今野人事委員会事務局長 パワーハラスメントにつきましては、今委員御指摘のとおり、被害職員だけでなく、組織の運営に対する影響も非常に重大であると認識しておりまして、あってはならないものと心得ているところでございます。
 相談窓口に対する相談件数が少ないという御指摘については重く受けとめまして、相談職員のスキルアップについては今申し上げましたが、職員に対するPR活動も含めて、任命権者とも連携しながら、一生懸命取り組んでまいります。
〇城内よしひこ副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇城内よしひこ副委員長 質疑がないようでありますので、これで人事委員会関係の質疑を終わります。
 人事委員会の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、監査委員事務局長に監査委員関係の説明を求めます。
〇小畑監査委員事務局長 監査委員関係の予算について御説明申し上げます。
 お手元の予算に関する説明書により御説明申し上げますので、恐れ入りますけれども、予算書に関する説明書112ページをお開き願います。2款総務費10項監査委員費のうち、1目委員費の予算額2、571万2、000円は、監査委員4人の報酬、給与及び監査等に要する経費でございます。次に、2目事務局費の予算額2億3、161万6、000円は、事務局職員21人の人件費等、事務局の運営に要する経費でございます。
 以上で監査委員関係の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇城内よしひこ副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇城内よしひこ副委員長 質疑がないようでありますので、これで監査委員関係の質疑を終わります。
 監査委員事務局の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後6時24分 散 会

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