令和3年2月定例会 予算特別委員会会議記録

前へ 次へ

令和3年3月8日(月)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
事務局長 南   敏 幸
議事調査課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
議事管理担当課長 藤 枝   修
主任主査 千 葉 絵 理
主任主査 糠 森 教 雄
主査 鈴 木   忍
主査 阿 部 真 人
主査 赤 坂 宏 紀
主査 鈴 木 貴 博
1 説 明 員
知事 達 増 拓 也
副知事 保   和 衛
副知事 菊 池   哲

企画理事兼
環境生活部長 藤 澤 敦 子

政策企画部長 八重樫 幸 治

総務部長 白 水 伸 英
参事兼
財政課総括課長 小 原 重 幸

ふるさと振興部長 佐々木   淳

保健福祉部長 野 原   勝

復興局長 大 槻 英 毅

ILC推進局長 高 橋 勝 重
〇南議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっております。
 出席委員中、工藤勝子委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 工藤勝子委員、どうぞ委員長席に御着席を願います。
〔年長委員工藤勝子君委員長席に着く〕
〇工藤勝子年長委員 ただいま紹介のありました工藤勝子であります。どうぞよろしく御協力をお願い申し上げます。
 それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 小林正信委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別委員長に岩渕誠君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました岩渕誠君を予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました岩渕誠君が予算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました岩渕誠君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 岩渕誠委員長、委員長席にお着き願います。
〔予算特別委員長岩渕誠君委員長席に着く〕
〇岩渕誠委員長 ただいま予算特別委員長に選任されました岩渕誠でございます。御推挙賜りまして大変光栄に存じる次第でございます。
 この委員会は、何かと制約の多い中での予算審議になろうかと思いますけれども、実りある議論、有意義な議論となりますよう委員長としての職責を全うしてまいりたいと思います。非力な委員長でございますので、どうぞ委員各位の御協力をお願い申し上げて、御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩渕誠委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩渕誠委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩渕誠委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別副委員長に城内よしひこ君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました城内よしひこ君を予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩渕誠委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました城内よしひこ君が予算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました城内よしひこ君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 城内よしひこ副委員長、御挨拶をお願いいたします。
〇城内よしひこ副委員長 ただいま副委員長に選任いただきましてありがとうございます。
 委員長を補佐して委員会の円滑な運営に努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
〇岩渕誠委員長 お諮りいたします。当予算特別委員会に付託されました議案31件の審査の方法についてでありますが、お手元に配付しております日程案のとおり、本日及び明日は知事、副知事及び関係部局長等の出席を求め総括質疑を行い、明日の総括質疑終了後、10日、12日、15日から19日までは、関係部局長の出席を求めて、部局ごとに質疑を行うこととし、議案31件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、19日の県土整備部関係の質疑が終わった後、世話人会での意見調整を経た上で行いたいと思います。
 なお、8日目の農林水産部の審査については、第1部を農業関係、第2部を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩渕誠委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより議事に入ります。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第26号から議案第30号まで、議案第33号、議案第35号、議案第37号から議案第39号まで、及び議案第42号の以上31件を一括議題といたします。
 総務部長に総括説明を求めます。
〇白水総務部長 令和3年度当初予算の概要等につきまして、総括的に御説明申し上げます。
 この令和3年度当初予算は、新型コロナウイルス感染症対策の徹底、東日本大震災津波からの復興を着実に進め、県民の命を守り、いわて県民計画(2019〜2028)が目指す希望郷いわての実現につなげていく予算として編成したものであります。
 いわて県民計画(2019〜2028)のもと、10の政策分野や新しい時代を切り拓くプロジェクトを推進するとともに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が復興五輪にふさわしいものとなるよう、復興の姿を全世界に発信してまいります。
 予算編成に当たりましては、中期財政見通しを踏まえ、国庫支出金や地方債などの地方財政措置を最大限活用するなど、財政健全化に配慮しております。
 それでは、予算の概要について御説明申し上げます。
 お手元の議案その1の1ページをお開きいただけますでしょうか。議案第1号令和3年度岩手県一般会計予算であります。
 第1条は、歳入歳出予算の総額をそれぞれ8、104億7、678万9、000円と定めるものであります。前年度当初予算と比較いたしますと13.1%の減となっております。第2条は債務負担行為の限度額等を、第3条は地方債の限度額等をそれぞれ定めるものであります。第4条は、一時借入金の最高額を1、000億円とするものであります。第5条は、職員給与について同一款内での予算流用を定めるものであります。
 次に、歳入について御説明いたします。便宜、予算に関する説明書により説明いたします。恐縮でございますが、分厚い資料、予算に関する説明書の4ページをお開きいただけますでしょうか。
 まず、1款県税1項県民税は390億5、500万円で、前年度比5%の減となっておりますが、これは、1目の個人県民税について、県民所得の減少により減収が見込まれることなどによるものであります。
 5ページの2項事業税は202億3、400万円で、23.1%の減となっておりますが、これは、2目の法人事業税について、企業収益の減退により減収が見込まれることなどによるものであります。
 6ページの3項地方消費税は257億6、500万円、0.9%の増を見込んでおります。これは、令和元年10月の税率引き上げの平年度化により増収が見込まれることなどによるものであります。
 7ページの4項不動産取得税は22億4、600万円で、10.1%の減となっておりますが、これは、産業用の物件が減少すると見込まれることなどによるものであります。
 8ページの5項県たばこ税は13億2、700万円で、5.7%の減、9ページの6項ゴルフ場利用税は、最近の課税実績等を勘案し2億6、000万円を計上しております。
 10ページの7項軽油引取税は147億1、300万円で、4%の減と見込んでおります。これは、引き取り数量の減少により減収が見込まれることなどによるものであります。
 11ページの8項自動車税は、標準税率引き下げの影響などにより180億600万円で、4.5%の減と見込んでおります。
 12ページの9項鉱区税は、最近の課税実績等を勘案し1、800万円を計上しております。
 13ページの10項狩猟税は、狩猟者登録の見込み数により1、300万円を見込んでおります。
 14ページの11項産業廃棄物税は、最終処分場の年間埋立量などを勘案して9、200万円で、3.4%の増と見込んでおります。
 15ページの12項旧法による税は、令和元年9月以前の自動車税に係る分であり1、200万円を見込んでおります。
 以上、県税の合計額は1、217億4、100万円で、前年度当初予算に比べ97億5、400万円、7.4%の減となるものであります。
 次に、16ページの2款地方消費税清算金は601億500万円で、6.4%の増となっております。これは、先ほど申し上げましたとおり、令和元年度の消費税率引き上げの平年度化によるものであります。
 17ページの3款地方譲与税1項特別法人事業譲与税は138億4、700万円で、33.1%の減となっております。これは、新型コロナウイルス感染症の影響による税収の減収及び既に納付の申告を受けている税の還付の大幅な増加が見込まれることなどによるものであります。
 18ページの2項地方揮発油譲与税は30億6、200万円、19ページの3項石油ガス譲与税は9、800万円、20ページの4項自動車重量譲与税は1億1、400万円、21ページの5項地方道路譲与税は100万円、22ページの6項森林環境譲与税は1億8、300万円、23ページの7項航空機燃料譲与税は4、200万円をそれぞれ計上しております。
 24ページの4款地方特例交付金1項地方特例交付金は、住宅借入金等特別税額控除による減収を補填するための特例交付金及び自動車税の減収を補填するための特例交付金であり6億6、800万円余を見込んでおります。
 25ページの5款地方交付税は、国の地方財政対策の内容や震災からの復旧、復興事業費等を勘案し2、205億200万円余と、前年度当初予算に比べ768億1、000万円余、25.8%の減で計上しております。
 26ページの6款交通安全対策特別交付金は3億7、700万円を見込んでおります。
 27ページの7款分担金及び負担金でありますが、1項分担金は、農業農村整備事業等に係るものであり3億200万円余、28ページから29ページまでの2項負担金は、民生費などの受益者負担金、市町村負担金等を計上しておりまして12億500万円余となっております。
 30ページの8款使用料及び手数料でありますが、1項使用料の主なものを申し上げますと、31ページの4目労働使用料では、産業技術短期大学校授業料、32ページの7目土木使用料では、道路及び河川の占用料、県営住宅使用料、33ページの9目教育使用料では、県立学校における授業料などであります。これら使用料の総額は、33ページの計欄56億9、400万円余で、前年度に比べ2.4%の減となっております。
 次に、34ページから38ページまでの2項手数料でありますが、その主なものは、3目衛生手数料のうち、35ページの屠畜検査に係る手数料、36ページの5目農林水産業手数料の豚熱予防的ワクチン接種等に係る手数料、37ページの8目警察手数料の運転免許に係る手数料などでありまして、合計は、38ページ計欄の23億6、500万円余で、13%の増となっております。
 39ページ、9款国庫支出金でありますが、1項国庫負担金の主なものを申し上げますと、2目民生費負担金では、生活保護や40ページの新型コロナウイルス感染症の検査費など、41ページの6目教育費負担金では、小中学校教職員の人件費に係るものや県立学校の授業料に充てるための就学支援交付金など、7目災害復旧費負担金では、河川等災害復旧事業、港湾災害復旧事業などであります。これら国庫負担金の総額は、41ページの計欄409億600万円余で、震災復興事業費の減少などにより前年度に比べ42.5%の減となっております。
 42ページの2項国庫補助金でありますが、主なものは、43ページの2目民生費補助金の生活福祉資金10億7、200万円余、46ページの3目衛生費補助金のうち感染症等健康危機管理体制強化事業142億200万円余、これは新型コロナウイルス感染症の入院施設の確保などに要するものでございます。少し飛んでいただきまして、52ページの7目土木費補助金であります。道路環境改善事業や地域連携道路整備事業に係る国庫補助金などでございます。その総額は、56ページまで飛んでいただきまして701億7、100万円余で、震災復興事業費の減少などにより22.1%の減となっております。
 57ページの3項委託金でありますが、その総額は、59ページまで進んでいただきまして20億9、300万円余で、就職支援能力開発事業に関する国庫委託金の減などにより5.2%の減となっております。
 60ページの10款財産収入でありますが、1項財産運用収入は、土地や家屋の貸付収入など1億5、500万円余を計上、61ページから62ページの2項財産売払収入は、県有未利用地や生産物の売り払いによる収入などでありまして8億4、600万円余を計上しております。
 63ページの11款寄附金は、ふるさと岩手応援寄付など1億4、800万円余を見込んでおります。
 64ページの12款繰入金1項特別会計繰入金は、流域下水道事業会計などからの繰入金であり4億6、100万円余であります。
 65ページの2項基金繰入金は、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時基金や地域医療介護総合確保基金など基金からの繰入金であり141億2、900万円余を計上しております。
 66ページの13款繰越金は、整理科目であります。
 67ページの14款諸収入1項延滞金、加算金及び過料等は、車両放置違反金など1億6、500万円余を計上しております。
 68ページの2項預金利子は60万円余を計上、69ページの3項公営企業貸付金元利収入は113億円余を計上しておりますが、県立病院等事業会計への貸し付けの償還金であります。
 70ページの4項貸付金元利収入は、各行政部門における貸付金に係る元金及び利子の収入で、合計額は71ページの計欄1、517億4、800万円余となっております。
 72ページの5項受託事業収入は、河川災害復旧等関連緊急事業などの受託事業収入であり、合計額は73ページの計欄12億8、700万円余で、震災復興事業費の減などにより77.7%の減となっております。
 74ページの6項収益事業収入は、宝くじ発売収益29億8、600万円余となっております。
 75ページの7項利子割精算金収入は、整理科目であります。
 76ページの8項雑入は、4目雑入の派遣職員給与費負担金や、78ページの新型コロナウイルス感染症対応資金利子補給事業に係る中小企業基盤整備機構からの収入などであり、合計額は、79ページの56億9、600万円余と見込んでおります。
 80ページの15款県債でありますが、その総額は、83ページまで飛んでいただきまして、計欄のとおり780億6、800万円であり、臨時財政対策債の増額等により前年度に比べ47億8、000万円余、6.5%の増となっております。
 この結果、県債の現在高見込みでございますが、303ページまで進んでいただけますでしょうか。満期一括償還に係る積立金を調整した後の実質的な県債の令和3年度末現在高見込み額につきましては、一番下の表の計欄の右端になりますが1兆2、672億7、400万円余と、前年度から70億円余の減を見込んでおります。
 以上で歳入についての説明を終わります。
 次に、歳出についてでございますが、主要な事業につきましては、それぞれ所管部局の審査の際に担当部局長から御説明申し上げますので、説明を省略し、私からは、性質別の主なものについて申し上げます。
 恐縮でございますが、お手元の予算に関する資料で御説明いたします。3ページをお開きいただけますでしょうか。第2表令和3年度一般会計歳出性質別内訳表でございますが、この表の右端の前年度当初予算からの増減率の欄を中心にごらんいただきたいと存じます。
 令和3年度当初予算の特徴的なところを何点か申し上げますと、4ページの5補助費等につきましては10.2%の増となっております。これは、新型コロナウイルス感染症の入院施設の確保等に要する経費134億9、400万円余の増等によるものであります。次に、6普通建設事業費につきましては62.4%の減となっております。これは、震災関連事業の減のほか、公共事業費の一部をさきに議決いただきました令和2年度2月補正予算に前倒し計上したことによるものでございます。7災害復旧事業費は、河川等災害復旧事業150億1、200万円余の減等により74.1%の減、これも震災関連事業の減によるものであります。5ページの8公債費は4.4%の減、10出資金は、いわて産業人材奨学金返還支援基金出捐金1億円の増等により353.8%の増、11貸付金は、新型コロナウイルス感染症対策資金貸付金373億3、300万円余の増等により25.1%の増、13予備費は、新型コロナウイルス感染症に関する不測の事態への対応に備え、例年の2倍の6億円を計上したところでございます。
 令和3年度岩手県一般会計予算の概要は、以上のとおりでございます。
 なお、特別会計につきましては、所管部局において御説明申し上げますので、私からは省略させていただきます。
 以上で総括説明を終わります。よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇岩渕誠委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない委員に質疑時間を配分して行うことになっております。
 質疑時間につきましては、まず、希望いわてが51分、次に、自由民主党が45分、次に、いわて新政会が30分、次に、いわて県民クラブが21分、次に、日本共産党が15分、次に、会派に所属しない委員は、社民党木村幸弘委員、公明党小林正信委員、無所属山下正勝委員、無所属上原康樹委員の順に、それぞれ9分となっております。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の委員が質疑をすることができること、また、この場合におきましては、会派として続けて行うこととされておりますので、御了承願います。
 また、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、新型コロナウイルス感染症対策として、換気のため、午前は1回、午後はおおむね1時間半ごとに休憩いたしますので、御協力をお願いいたします。
 なお、本日の総括質疑は、世話人会の申し合わせにより、5時前に質疑に入った会派等の質疑が終了するまで議事を継続することといたしたいと思いますので、あらかじめ御了承願います。
 これより総括質疑に入ります。佐藤ケイ子委員。
〔佐藤ケイ子委員質問者席に着く〕
〇佐藤ケイ子委員 希望いわての佐藤ケイ子でございます。会派を代表して総括質疑をさせていただきます。
 まず、新型コロナウイルス感染症に罹患された方々にお見舞いを申し上げます。また、医療関係者を初め、多くのエッセンシャルワーカーの皆様には、日夜、御努力いただき敬意と感謝を申し上げます。
 それでは質問に入ります。これまでの代表質問、一般質問と重複するところも若干ありますけれども、私なりの観点から質問させていただきます。
 最初に、財源対策についてです。
 まず、コロナ禍における国内の景気動向とアベノミクスの評価について伺います。
 コロナ禍の2020年10月から12月期の実質国内総生産―GDPのうち、個人消費は289兆円と東日本大震災以来の低水準ということです。かつてGDPの6割を占めていた個人消費の比率は5割台に下がっており、帝国データバンクによると、新型コロナウイルス関連倒産は3月1日までで1、088件、うち大型倒産は4件だけで、圧倒的に中小企業の倒産です。雇用分野では、2020年の有効求人倍率が45年ぶりに大きく低下いたしました。
 一方で、2月中旬には日経平均株価がバブル期以来30年半ぶりに3万円台の大台を突破しました。コロナ危機で消費や生産が落ち込む中、経済の実態からかけ離れた株高で、大株主が資産をふやす一方で、多くの非正規労働者が職を失い、格差が拡大しています。格差の構造をつくり上げたのは、前政権のアベノミクスから続く暮らし置き去りの政治ではないかと思うところです。
 菅首相は、アベノミクスを継承、発展と言うだけで、自助、共助で自己責任を押しつけ、格差を改善しようとしません。格差拡大を放置し続けた政策は、パンデミックに弱い構造にしてしまったと言えます。このゆがみを正していくには、政治の転換が必要ではないかと私は思っています。
 そこで、アベノミクスの功罪、コロナ危機の経済状況について、知事の御所見をお伺いいたします。
〇達増知事 国の経済状況や経済財政政策の影響を強く受ける地方の人口の社会増減を見ますと、東京圏では、転入超過が10万人以上の状態が長く続くなど、東京一極集中の流れはとまらず、東京圏と地方の格差は広がっている状況にあります。
 県ではこれまで、地方の再生なくして日本の再生はないとの考えのもと、国においては、地域に根差した産業の再生、成長に力点を置いて内需拡大型の経済構造改革を進めていくよう訴えてきたところであります。
 また、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大では、都市部だけではなく地方においても、観光業や飲食業など幅広い業種で厳しい経営が続くなど、地域経済にも深刻な影響が生じております。
 県としては、新型コロナウイルス感染症の影響により大きく収入が減少する事業者に対し、事業継続に向けた支援を独自に行うとともに、先端技術の活用による企業の生産性向上を図り、産業全体の底上げと地域経済の持続的成長を促していく考えであります。
〇佐藤ケイ子委員 アベノミクスで、格差がなかなか縮小せず、どんどん拡大して、今、地方でも本当に大変な状況だと受けとめております。
 次に、県内の景気動向と県税収入について伺います。
 令和3年度当初予算案の県税収入は1、217億4、100万円と前年度比マイナス97億5、400万円、マイナス7.4%を計上しました。法人県民税はマイナス25.1%、法人事業税はマイナス23.3%と企業収益の減退が大きく影響するとのことです。
 また、地方消費税は257億円余で微増ですが、本来なら、2019年10月から10%に引き上げられ、今回から大幅に増額するはずでしたが、コロナ禍の消費減退で伸びなかったものだと思います。消費税は安定財源と言われてきましたが、安定財源と言えるのか疑問が表面化したと言えます。
 県内の景気動向については、岩手県中小企業団体中央会の7月の調査によると、経営状況が1年前に比べて悪いが59.1%、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響については、売上高の減少が69.9%、受注減少が54.1%と多くの事業所で打撃を受けています。
 さらに、GoToトラベルの停止など年末年始の自粛強化で、本来の繁忙期の期待が落胆となり、飲食、旅館、観光関係は大変厳しい状況ということです。
 そこで、知事は、県内の景気動向と県税収入の減少をどのように受けとめておられるのかお伺いいたします。
〇達増知事 日本銀行盛岡事務所が公表している岩手県金融経済概況によりますと、直近の県内経済は、引き続き厳しい状況にあるが、全体として見れば持ち直し基調にある。ただし、サービス業を中心に新型コロナウイルス感染症の影響の厳しさを指摘する声がふえているとされています。
 また、商工指導団体と連携し実施している事業者への影響調査では、直近の1月の売り上げについて、前年同月と比較して、41%以上減が30%であり、業種別では、41%以上減の割合が、宿泊業で58%、飲食業で49%、運輸業で48%となっており、これらの業種を中心に厳しい状況が長期化しているものと認識しております。
 こうした中、令和3年度当初予算案における県税収入につきましては、企業業績の減退等により、今年度の当初予算と比較して約97億円の減となり、新型コロナウイルス感染症の影響が県財政にも及んでいるものと認識しております。
〇佐藤ケイ子委員 そのように企業に大きな影響を与えているわけですけれども、そこで、地方財政計画の評価について伺います。
 令和3年度の国の予算は106兆6、097億円で、これを努力むなしくなると書いた新聞がありました。過去最大の予算が示されましたが、新型コロナウイルス感染症対策という名目で政府の裁量で支出が決められる予備費5兆円を盛り込んだことは、禁じ手とも言え、国の財源確保は4割を借金に頼る構図です。国と地方の基礎的財政収支―プライマリーバランスは大幅に悪化し、2025年度までに黒字化するという政府の健全化目標は頓挫したと言われています。
 地方自治体にとって、一般財源総額がどうなるか大変注目されたところでありますけれども、令和3年度の地方財政計画は、一般財源総額について、実質前年度を0.2兆円上回る62兆円を確保しました。地方交付税は17.4兆円で0.9兆円の増額、臨時財政対策債が5.5兆円と2.3兆円の増額で財源不足に対応しました。
 臨時財政対策債うち、国と地方の折半ルールによる新規発行は1.7兆円で、残りは過去に発行された臨時財政対策債の元利償還金への充当分となり、借金して借金を返すことになります。臨時財政対策債残高は令和2年度末で53.3兆円と地方債残高の3分の1を占めており、年々増加しております。国はこれをどうするのか示さない状況にあります。
 結局、地方は後年度に負担を先送りしたにすぎず、コロナ禍、コロナ禍後の社会を見据えた標準的行政のあり方に課題を残したと言えるのではないかと思っています。
 新聞報道によりますと、知事は、震災復興推進に向けて、心のケアなど働きかけてきた事業がおおむね盛り込まれた。一定の評価ができるとコメントしたようですが、一定の評価の裏で、期待どおりでなかったものがあるのかお伺いいたします。
〇達増知事 地方一般財源総額が63.1兆円と前年度並みに確保されましたが、地方財源不足の解消について、県が要望していた地方交付税の原資となる国税の法定率の引き上げによらず、臨時財政対策債を前年度比2.3兆円増の5.5兆円発行することとされました。
 臨時財政対策債に依存した地方財政対策は、制度の持続可能性の面で懸念があり、国において、地方交付税の原資となる国税の法定率の引き上げなど、抜本的な対策が必要と認識しております。
〇佐藤ケイ子委員 地方6団体は、この地方財政計画については一定程度財源確保できたということで評価したわけですけれども、国は、国税の法定率の改正ができなかったことをどうしようとしているのか疑問に思わざるを得ないところです。
 次に、県債残高と臨時財政対策債の状況について伺います。
 県債残高は前年度比70億円減の1兆2、673億円と11年連続減少しています。実質公債費比率は令和3年度末見込みで13%、ピーク時の平成27年の20.5%から減少し、起債に国の許可が必要な18%は下回るものの、借金返済が財政を圧迫する状況はしばらく続きそうであります。基金は令和3年度末残高335億円を見込み、令和2年度当時の中期財政見通しの試算よりは53億円程度の増額となるものの、余裕は全くありません。
 県債残高や基金の状況から県財政は改善傾向と捉えていいでしょうか。平成25年に公債費負担適正化計画を策定し、県債残高を毎年100億円程度減少させてきましたが、令和2年度に新型コロナウイルス感染症対策で起債を発行した影響はどうでしょうか。また、臨時財政対策債の償還計画の懸念はどうかお伺いいたします。
〇白水総務部長 県財政は、公債費が減少傾向にあるものの、引き続き高い水準にあることや社会保障関係費が高水準にあることにより、令和3年度当初予算編成におきましても財政調整基金を取り崩しており、厳しい状況にあると認識しております。
 新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金などの財政措置を活用しておりまして、事業費に充当する地方債は発行しておりませんが、令和2年度2月補正予算に税収の減に対応して減収補填債95億円を計上したことなどによりまして、令和2年度のプライマリーバランスは赤字見込みとなるなどの影響が出ております。
 また、臨時財政対策債は交付税の代替財源であり、償還額は後年度の普通交付税で措置されますが、過去に発行した臨時財政対策債の償還額の増加により、後年度、政策的に活用できる一般財源が縮小し、財政の硬直化を招くことから、持続的な財政運営上の課題と認識しております。
〇佐藤ケイ子委員 県債残高が少しずつ減っているわけで、少しはいいと思いつつも、本当に厳しい状況だと思っています。私も40年ぐらい行政にかかわっていますけれども、余裕のある財政だと聞いたことは一回もありません。毎年、厳しい財政だとずっと言われ続けております。
 過去に経験した中で、余裕があったときは、国の財政対策におつき合いし、ばんばん事業をやった時代があって、その後は起債償還に大変な状況が続き、さらに、三位一体改革があって厳しい状況が続いたと思っております。また、今も新型コロナウイルス感染症の関係もあって本当に大変だと思っております。これからも健全財政に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 それでは次に、項目を変えまして、震災復興と伝承について何点かお伺いいたします。
 まず、復興への知事の思いについてお伺いいたします。
 ことしは東日本大震災津波から10年の節目の年、復興道路の全線開通、東北デスティネーションキャンペーン、復興五輪もありますけれども、三陸沿岸が注目される年であります。復興推進プランの改訂案では、ハード、ソフト事業数は25件増の296事業ということで、産業振興、にぎわい創出、震災の伝承、コミュニティー支援など被災者のさまざまな支援の取り組みに期待したいと思います。
 復興ウォッチャー調査では、被災者の生活、地域経済、災害に強い安全なまちづくりの各項目で、回復、前進の意識がうかがわれます。しかし、水産業の不振、コロナ禍での観光業や飲食業など地域経済に影響を受けており不安感を持っているとのことであり、今後も被災者に寄り添った施策や、県民が三陸を応援する仕掛けが必要だと思います。
 宮城県知事は、復興政策を振り返るインタビューで、もう自立しないと支援はいつか終わる。不足は行政が補うという趣旨の発言をしておりますが、達増知事は、東日本大震災津波から10年にどのような思いをお持ちでしょうか。また、令和3年度当初予算に復興への思いをどのように反映させたのかお伺いいたします。
〇達増知事 発災以降、一人一人の幸福追求権を保障すること、犠牲者のふるさとへの思いを継承することという原則のもと、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造を目指す姿として、被災地の人々の暮らしや仕事を起点に復興に取り組んでまいりました。
 このような復興の実践の過程で学び、培ってきた幸福を守り育てる姿勢は、国連の持続可能な開発目標SDGsの誰ひとり取り残さないという理念に相通じるものでありますが、振り返りますと、岩手の復興全体がSDGsの各目標に沿ったものとも言え、そのような岩手の復興の姿を発信する必要性をますます感じております。
 被災地においては、心のケアや新たなコミュニティーの形成支援、主要魚種の記録的な不漁や新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業者の支援など、今後も取り組むべき課題があります。
 そのため、令和3年度当初予算案におきましては、復興推進プランに基づき、これらの課題への対応について重点的に盛り込み、政策推進プランや三陸防災復興ゾーンプロジェクト等に掲げる施策と連動しながら、復興の目指す姿の実現のために必要な取り組みを進めてまいります。
〇佐藤ケイ子委員 SDGsと政策が一致し、それに沿った形で重点施策を盛り込んでいるということだと思ってお聞きいたしました。
 次に、被災地でのにぎわい創出、イベントについてお伺いいたします。
 昨年度の三陸防災復興プロジェクト2019に当たっては、一過性にしてはならないという議論がありまして、本年度も継続事業としてさまざまな事業が計画されていました。しかし、コロナ禍で一部開催自粛やオンライン開催となり、残念なことでした。
 一方、新年度は、三陸防災復興ゾーンプロジェクトに基づき、つながるをキーワードに多彩なイベント、人材育成やネットワーク構築などの事業が盛り込まれています。
 ことしは東日本大震災津波から10年目などさまざまな節目の年であり、三陸沿岸に行きたくなるような積極的な情報発信、物産展の共同開催など、魅力、お得感のある事業に取り組んでいただきたいと思います。特徴的な事業はどのようなものがあるのかお伺いいたします。
〇佐々木ふるさと振興部長 東日本大震災津波から10年の節目を迎え、来年度におきましては、海外津波博物館との連携による(仮称)三陸TSUNAMI会議、全国の防災関係者が一堂に会する防災推進国民大会2021を通じて、復興支援への感謝と復興の現状を国内外に発信するとともに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会、東北デスティネーションキャンペーンを三陸地域の魅力に触れていただく絶好の機会と捉え、震災学習列車を初めとした三陸鉄道の企画列車の運行、ジオパークを活用したフォトロゲイニングの開催、三陸の食の振興を図る三陸国際ガストロノミー会議など、三陸の地域資源を生かした魅力ある事業を展開してまいります。
 また、三陸地域の飲食店や宿泊施設等において食事や飲み物の割引など、お得に利用できる復興支援感謝パスポートの発行や、三陸周遊旅行や三陸への教育旅行等で利用する観光バスの運行支援などにも取り組み、誘客拡大を図ってまいります。
 沿岸市町村では、年間を通じてさまざまな祭りや豊かな三陸の食のイベントがあります。復興10年の各種事業も予定されておりますことから、県と市町村との年間共通イベントカレンダーを作成するなど、それぞれの事業が相乗効果を発揮できるよう工夫しながら、三陸地域への集客につながるよう情報発信に取り組んでまいります。
〇佐藤ケイ子委員 復興支援感謝パスポートや年間を通したイベントのカレンダーなど、本当に期待したいと思います。
 そこで、ラグビーのことですけれども、これも大きなイベントですが、ラグビーワールドカップ2019日本大会岩手・釜石開催で中止となりましたナミビア対カナダ戦が実現できるかということです。あの感動が再現できるよう、また、全国の話題となるような仕掛けを期待したいと思います。
 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催できるとすればナミビア対カナダ戦も可能だと思いますが、新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点から、どのような対応を検討しているのかお伺いいたします。
〇保副知事 ラグビーワールドカップ2019日本大会岩手・釜石開催のときに中止となりましたナミビア対カナダ戦を改めて実施するということは、県としては大変意義があり、釜石市でぜひ実現したいと考えております。ことしの秋に実現できるよう、取り組んでいるところであります。
 新型コロナウイルス感染症の関係ですけれども、昨年10月にメモリアルマッチということで、国内戦でありますが、クボタスピアーズ対釜石シーウェイブスの試合を行いました。この際、観戦チケットの事前申し込みによる入場者の把握、入場時における非接触型体温計での検温や手指の消毒、マスク着用の義務づけ、声を出さずに拍手で応援するといったさまざまな徹底した対策を行いまして、無事、成功裏に終えることができました。
 また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の組織委員会からは、別途、感染症対策のガイドラインが示されておりまして、聖火リレーやホストタウン等において万全な対策を講じることが示されております。
 このガイドラインやメモリアルマッチの経験を生かすことで、新型コロナウイルス感染症対策についてはしっかり対応できると考えております。
 この試合そのものにつきましては、国際試合を統括するワールドラグビーという組織がありますけれども、新型コロナウイルス感染症の感染状況を懸念して、現在、国際試合のスケジュールが立てられない状況であるということです。現時点では開催を確約できるわけではございませんけれども、県としては、日本ラグビー協会あるいは釜石市と密接に連携して、ぜひ実現できるように取り組んでいきたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 現時点では確約はできないということですが、それにつけても、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策は、この地域でも全国的にもしっかり取り組んでいかなければならないことだと改めて思いました。
 次は、未来のための伝承・発信について伺います。
 11月5日は世界津波の日であり、2017年と2018年は日本で世界津波博物館会議が開催され、2020年の第3回目は、国連防災機関の主催で外務省が協力してオンラインで開催されました。その際に、本県の東日本大震災津波伝承館の紹介映像も放送されたとのことです。
 このたびの震災伝承ネットワーク構築事業1、100万円は、世界津波博物館会議との関係はどうなのでしょうか。新型コロナウイルスの感染が収束している場合と感染を注意しなければならない場合と、さまざまな想定が求められると思いますが、どのように企画していくのかお伺いいたします。
〇大槻復興局長 震災伝承ネットワーク構築事業費についてでございますが、昨年12月でございましたけれども、本年度の事業として、ハワイとインドネシアアチェの津波博物館及び大学の研究者、それから地元の児童生徒の参加によりまして、津波災害の学びをテーマとした三陸TSUNAMIウェビナーをオンラインを活用して開催したところでございます。
 来年度の震災伝承ネットワーク構築事業では、このウェビナーでの議論も踏まえまして、引き続き津波伝承をテーマに、東日本大震災津波伝承館、それからハワイ、インドネシアアチェの津波博物館の関係者が一堂に会しまして会議を開催しようとするものでございまして、陸前高田市を会場に11月ごろを開催時期として考えているところでございます。
 会議は、津波災害の伝承、発信についての有識者による基調講演や公開パネルディスカッションのほか、地元の児童生徒の震災学習の場ともしたいと考えておりますが、開催に向けましては、日本国内のみならず、参加各国の新型コロナウイルス感染症の感染状況も踏まえて、参加者の安全・安心を最優先にしながら実施したいと考えております。
 委員御指摘の世界津波博物館会議との関係でございますが、来年度の三陸TSUNAMI会議の開催には直接的な関連はございませんが、世界津波博物館会議には、ハワイやインドネシアアチェの博物館も参加していること、昨年11月に、この会議の開催に際しまして、一番新しい津波伝承施設として御紹介いただいた縁もございますことから、そういったつながりなどを生かしまして、世界に向けた震災伝承の発信の場として、この世界津波博物館会議を活用することについても検討してまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 次に、こころのケアセンターについて伺います。
 県のホームページによりますと、いわてこどもケアセンターは、平成25年度から令和元年度までの7年間で延べ2、456日開設、年平均350日、延べ受診件数3万7、010件、年平均5、287件の相談を受けているようでした。岩手県こころのケアセンターは、平成24年度から令和元年度までの8年間で7万2、687件の相談支援、年平均9、085件の相談支援を行っています。
 どちらも令和2年度の状況はどうでしょうか。コロナ禍はどのように影響しているのでしょうか。最近の相談傾向と課題をお伺いいたします。
〇菊池副知事 最近の心のケアの状況についてでありますが、令和2年度については、昨年12月末現在では、まず、岩手県こころのケアセンターの延べ相談支援件数は4、224件で、これは新型コロナウイルス感染症対策として訪問や来所による相談の頻度を調整せざるを得なかったこともあり、前年同期比とマイナス1、862件、30.6%の減でございます。
 なお、訪問にかえまして、市町村の保健師等と連携し、電話による状況確認などの支援を続けているところでございます。
 また、いわてこどもケアセンターにつきましては、従前から事前予約による個別対応を行っているところでございます。沿岸地域の子供の延べ受診件数は1、201件となり、前年同期比で50件、4.3%の増となっております。
 最近の相談の傾向につきましては、現時点においては、新型コロナウイルス感染症の影響を示唆する顕著な変化は見られていないところですが、こころのケアセンターにおきましては、身体症状や睡眠の問題を訴える方、こどもケアセンターにおいては、落ちつきのなさなどの行動上の問題に関することが依然として多い状況になっております。
 被災地の心のケアの課題としては、時間の経過に従って、被災者が抱える問題が複雑化、多様化しておりまして、被災におけるストレスに加え、復興の進展に伴う生活環境などの変化が精神的な負担になっているものと捉えております。
 このため、県といたしましては、第2期復興・創生期間においても、見守り活動等と連携した相談支援体制を堅持し、被災者一人一人に寄り添った支援を継続するとともに、専門スタッフの確保やスキルアップ等により支援の質を高め、中長期的な心のケアに取り組んでいく考えであります。
〇岩渕誠委員長 佐藤ケイ子委員の質疑の途中ではありますが、この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
 佐藤ケイ子委員、御了承願います。

午前11時2分 休 憩

午前11時17分 再 開

〇岩渕誠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇佐藤ケイ子委員 それでは、新型コロナウイルス感染症対策について何点かお伺いいたします。
 令和2年度補正予算の執行状況と見通しについてお伺いいたします。
 令和2年度12月定例会までの新型コロナウイルス感染症対応関係補正予算1号から6号は1、642億円で、令和3年度1月末までの執行率は69.2%でした。ニーズが高い事業や執行率の悪い事業はどのようなものがあるのかお伺いいたします。
〇白水総務部長 新型コロナウイルス感染症対応予算のうち予算額の配分が大きいものを申し上げますと、貸し付け関係では、中小企業の資金繰りに対応するための制度融資に1、050億円、給付関係では、感染症に対応するための医療従事者や介護従事者などへの慰労金に90億円余、補助関係では、感染症に対応する重点医療機関や入院病床の確保94億円余や、中小事業者等に対する支援金の支給31億円余などとなっているところでございます。
 一方、執行率が低い事業の一例といたしましては、軽症者等の宿泊療養に要する経費や中小事業者に対する感染症対策補助などにおいて、不足が生じないよう補正予算を計上した事業が挙げられまして、今般の2月補正予算において実績を踏まえた減額を行ったところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 それでは、今後の宿泊県民割の考え方について、知事にお伺いいたします。
 国のGoToトラベル関係の事業は、観光関係者にとっては歓迎されましたけれども、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の要因になったのではないかとか、高級旅館や大手旅行会社には恩恵があっても、お安い旅館には恩恵がなかったとか、旅行に行く余裕のある人しか恩恵がないという不平等感の批判もありました。最近は、GoToトラベルが再開してお得になってからしか旅行しないと宿泊を控える方々もおり、逆にGoToトラベルが観光業回復の足かせになっている懸念も言われております。
 宿泊県民割の事業は一定の効果はあったものの、首都圏などでの緊急事態宣言の影響もあり十分に活用されませんでした。そこで、GoToトラベルの状況を見ながらになると思いますが、再度、宿泊県民割を実施する考えがあるかどうかお伺いいたします。私は、県民割を望む声も強いとは思いますけれども、市町村事業との重複もありますので、抑制的に慎重な判断をするべきだと思っておりますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 県の宿泊割引につきましては、国のGoToトラベルに関し、赤羽国土交通大臣が、2月26日の衆議院予算委員会分科会で、緊急事態宣言の解除後、すぐに再開することにはならない、新型コロナウイルス感染症の感染がおさまっている県内やブロック内で始め、状況が整い次第、本格再開できたらいいとの考えを示したと報道されております。
 全国知事会におきまして、私からは、地域の実情を踏まえて、県単独あるいは東北のようなブロック単位でのGoToトラベル事業の再開を求める発言をしたところであり、全国知事会では、感染が落ちついている地域の宿泊施設をその地域の住民が利用する場合など段階的に再開するなど、新型コロナウイルス感染症の感染状況に応じつつ、適切かつ弾力的に運用するよう国に提言したところであります。
 県といたしましては、国のGoToトラベル事業の再開時期や対象地域などの制度設計を見きわめるとともに、今後の感染状況を踏まえながら、必要に応じて支援策を検討してまいります。
〇佐藤ケイ子委員 わかりましたけれども、経済対策として望む声も大変多いわけですが、麻薬と同じようなもので、反動も怖いと思っています。現在も三陸沿岸の市町村や花巻市など市町村単位で宿泊割引を行っておりまして、それに県民割、さらにGoToトラベルの割引となると、ただ同然で旅行を楽しめるということが、本当にその後にとっていいのかどうか、私は大変疑問に思っているところであります。相当の負担をしながらも感染対策に協力していくということで慎重にお考えいただきたいと思っておりますし、そういうことを知事も今後、さまざまな機会で発信していただければと思っているところであります。
 それでは、ワクチン接種の課題についてでありますけれども、財政措置の関係です。
 ワクチン接種の情報が不足し、市町村は混乱しています。ワクチンの供給情報、医療従事者の確保、超低温冷凍庫の確保、副反応の住民への説明、優先接種対象者の把握や送迎、会場確保に加え、一番は予算の問題であります。市町村はさまざま苦慮しています。
 経費については、接種単価2、070円が国費負担と言われていますが、市町村は、対象外経費が出てくるのではないかと不安を持っています。財政措置はどうなるのか、不足しそうな場合はどうするのかお伺いいたします。
〇野原保健福祉部長 住民のワクチン接種につきましては、国の指示のもと、都道府県の協力により、市町村において実施することとされておりますが、その実施に当たりましては、地方自治体の負担が生じないよう、予防接種法に基づき、国が必要な財政措置を講ずることとされております。
 また、2月4日に開催されました国の予算委員会におきましては、河野国務大臣が体制を確立する上で必要な経費は、全額国が負担すると答弁しておりまして、地方負担が生じないよう国の責任において対応していくものと考えております。
 県では、全国知事会を通じまして、実施体制の整備に当たりまして地方の負担が生じないよう提言しておりまして、今後におきましても、地域の実情に応じた接種体制の整備について、必要な財政措置を講じるよう国に対して働きかけてまいります。
〇佐藤ケイ子委員 市町村は安心するかと思いますが、それにつけても情報が乏しいというのが最大の課題であります。
 次に、ワクチン接種に係る市町村の裁量、権限について伺います。
 接種の優先は65歳以上、次は65歳以下で基礎疾患のある人、高齢者施設の従事者と言われている中で、基礎疾患がある人を把握することは難しいことです。基礎疾患の定義も一般的には理解されているとは言えず、混乱も予想されます。
 そこで、優先接種の対象者を決定するのは、市町村に権限や裁量権がどこまであるのかお伺いいたします。一例ですけれども、バス、タクシーの運転手は、不特定多数の方々と接触するので新型コロナウイルス感染症の感染を心配しておられます。優先接種してほしいという声も聞いていますけれども、どうなのでしょうか。
〇野原保健福祉部長 新型コロナウイルスワクチンの接種は、当面、確保できるワクチンの量に限りがあり、その供給も順次行われる見通しでありますことから、国において、医療提供体制の確保や重症化リスクを踏まえて接種順位を決定しております。
 このことから、国が定める接種順位については、市町村において優先接種の対象者を変更できないとされております。
 県では、優先接種について、地域の実情に合わせた接種対象の弾力化を含めた柔軟な対応が必要と考えており、全国知事会、全国市長会、全国町村会の連名によりまして、国に対して緊急提言を行っております。
 今後におきましても、市町村における接種体制の整備が円滑に進むよう、国に対して働きかけていくとともに、県民へのワクチン接種が、安全かつ迅速に実施できるよう取り組んでまいります。
〇佐藤ケイ子委員 基本は変更できないけれども、柔軟な対応を求めていくということでございます。よろしくお願いします。
 次に、保健所の人員体制のことです。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため積極的疫学調査や入院勧告、健康把握などを行う保健所については、人員不足もあり、広域振興局管内の他部署の職員もサポートしていると聞いております。
 国の地方財政計画では、保健師の人員を2021年度から2年間で、現行1、800人から1.5倍拡充し、2021年度は約2、250人、2022年度は約2、700人まで増員する予定で、交付税の基準財政需要額に反映させているということですが、給与関係経費で20億円程度の増額は、県にすると影響額は少ないのではないかと思うところです。
 本県における保健師の採用計画はどうでしょうか。現実的に資格者が確保できるかなど課題にどう対応するのかお伺いいたします。
〇菊池副知事 保健所の人員体制についてですが、委員御指摘の地方財政措置につきましては、国は、新型コロナウイルス感染症対策業務に従事する保健師の恒常的な人員体制を強化するため、これは標準団体のモデルでございますが、普通交付税措置に係る人口170万人換算で、新型コロナウイルス感染症対応業務に従事する保健師の措置人数を現行の24名から、2年間で1.5倍、36名に増員する形になります。
 これを本県の保健所に当てはめますと、現行の新型コロナウイルス感染症対応業務に従事する保健師は15名と算定されます。増員する保健師は2年間で8名となります。
 県では、新型コロナウイルス感染症対応の人員体制を強化するため、今年度において、保健師の通常募集に加え、昨年12月に保健師の追加募集を実施したところであります。その結果、令和3年4月1日の新規採用者数は15名を予定しております。退職補充を除く増員分は10名程度でございまして、算定上、1年前倒しで確保できる見通しでございます。
 また、これ以外に、現在、保健所に退職保健師を12名配置しております。来年度も同程度配置できる見通しとなっております。
 今後も、新型コロナウイルス感染症の感染状況等を踏まえながら、保健師の確保、保健所の体制強化に努めていく考えでございます。
〇佐藤ケイ子委員 保健師は来年度十分に確保できる、前倒しで確保できると、非常に安心したところであります。一方で、市町村の保健師をやめて県職員になられる方もいらっしゃいます。実はそういったこともあります。
 それでは、次の項目に行きます。移住、定住支援について何点かお伺いいたします。
 まず、移住、定住、若者支援について知事に伺います。
 昨日のテレビ討論もそうでしたけれども、知事は、マスコミの新春インタビューに答え、人口減少対策の目玉として、若い人に低コストで住宅を提供し、結婚、出産など若者のライフステージを支援したいと強調しました。
 新年度事業は、縦割りの移住、定住、若者支援事業が部局横断的で体系的になったことや、国庫補助金の柔軟な運用、上乗せ補助が見られます。多くの若者に活用されるよう周知の方法の工夫とともに市町村の積極性を引き出す誘導策も期待したいところです。
 まず、移住、定住、若者支援について、知事の思いをお伺いいたします。
〇達増知事 本県では、北上川流域において、自動車、半導体関連産業を中心に企業立地や増設が相次ぎ、雇用が拡大するなど、我が国においては例外的な成長を続けていますほか、農林水産業の各分野において、情報通信技術や高性能機械の導入などによる生産性、収益性の向上が進んでおり、本県が有する恵まれた自然環境、空気や水、食べ物のおいしさといった健康的な生活環境と相まって、若者が暮らし、働く基盤が整っているところであります。
 このような中、コロナ禍において、過密な都市部の新型コロナウイルス感染症の感染拡大が著しいことなどを背景に、地方のよさが再認識され、地方創生の観点からも大きな転機を迎えています。
 この機を捉え、令和3年度においては、これまでの移住、定住の施策に加え、若者に岩手での暮らしを選択してもらえるよう、暮らしの基盤である住宅に着目して、単身、結婚、出産、子育てのライフステージに応じた住宅支援施策に取り組むこととしたところであります。
 住宅支援については、市町村においても、例えば、北上市では、きたかみ就労支援共同住宅建設等促進プロジェクトにより、新たな賃貸住宅も含め約1、000戸の賃貸住宅が整備されたほか、盛岡市では、JR東日本盛岡支社などが盛岡駅西口に単身者向け賃貸マンションを建設し、地元就職活性化に向けた取り組みを進めるなど、若者の移住、定住や就職支援の動きが活発化しています。
 県としては、これらの取り組みを生かし、市町村との連携を深めながら、移住、定住や地元定着を促進してまいります。
〇佐藤ケイ子委員 それで、地方創生移住支援事業について伺います。
 東京圏からU・Iターンを促進するため、令和元年度から移住支援金や起業支援金を支給する制度が行われています。移住支援金は、単身移住者に60万円、世帯移住者に100万円支給されるというものであり、令和元年度は2件、令和2年度は13件ということでした。
 この支援金は、東京圏在住者で移住支援対象法人に入社し働く者や、地域課題解決の事業を起こした者に支給されています。制度の周知拡大に努め、支援金対象法人の登録が増加したということですが、ホームページを見ると229社しか登録されておらず、実質的には求人を停止している法人もありました。起業支援金は、令和元年度は4件、令和2年度は6件ということでございます。
 国は、移住元要件として東京23区の大学への通学期間を対象化したり、移住先要件として対象法人への就職以外にも支援対象を拡大したりと、要件を若干緩和するようですが、県は、さらに柔軟に独自モデルを運用すると伺っています。内容と周知方法など、どのように推進するのかお伺いいたします。
〇保副知事 国においては、現在、この事業の対象者を連続して5年以上東京23区内に居住または通勤していた人という要件にしているわけですけれども、令和3年度からは、東京23区内の大学等に通学している期間もその5年の対象に加えるということ、それから、テレワーカーの移住も対象とするということで、一部ではありますが緩和する方針を示しております。
 ただ、私どもとすれば、この事業の効果は、これぐらいの緩和では限定的ではないかと考えております。このため、県は独自に、この地方創生移住支援事業に新たに居住や通勤要件を拡充するということで、東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県に居住する39歳以下の方、ただ、これは、この東京都、首都圏にお住まいの方でも、過疎地もあります。そういうところは対象にはしておりません。いわゆる都市部に住んでいる方を広く対象にして、単身で移住した場合は15万円、世帯で移住した場合は25万円を支給する新たな事業としたものでございます。
 こういう事業も活用しまして、首都圏の移住相談窓口や各種イベントでさまざまなPR、案内をしていくほか、就職情報マッチングサイトなど県の広報媒体を活用して周知することに加えまして、県内の企業にも、もっと登録するように働きかけを行うとか、市町村などとも連携しながら、この事業の活用を促していきたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 それでは、県内就業の促進及びU・Iターンの促進についてですけれども、人材確保を推進するため、求職者、企業に対する支援や岩手で働き、暮らす魅力の一体的な発信として多彩な事業を行っており、高校生の県内就職内定者割合は令和3年1月末で71%と近年では最高が見込まれ、大学生の県内就職内定者割合も令和3年1月末で41.8%と平年並みが見込まれているそうです。
 しかし、コロナ禍でイベント中止や往来自粛もあり、U・Iターン就職者は減少しており、苦戦しているようであります。新年度はどのように取り組むのかお伺いいたします。
〇保副知事 ハローワーク等の就職支援機関を通じて県が把握できるU・Iターンで就職した方のデータは、令和元年度におきましては751人でありましたが、今年度は、委員お話のとおり、新型コロナウイルス感染症の関係で転職活動等を一時見合わせる方も多く、令和3年1月末現在で481人にとどまっております。
 このため、令和3年度におきましては、具体的な動きにつながるように、今年度首都圏の居住者をターゲットとしてオンラインで実施したさまざまなU・Iターンフェアなどについて、できるだけ対面と組み合わせて実施したいということでございます。
 また、盛岡市のジョブカフェいわてに設置しているいわてU・Iターンサポートデスクに1名増員いたしまして、できるだけ求職者に寄り添った伴走支援の充実を図っていきたいと考えております。
 また、県では、首都圏等の大学との連携で、学生のU・Iターン就職支援を目的に岩手県U・Iターンクラブを組織しておりますけれども、この加盟大学のさらなる増加促進ですとか、既に加盟している大学と連携いたしまして、県内企業情報の発信、交流機会の拡大などに取り組むということであります。
 加えて、新たに仙台圏の学生への働きかけも活動としてやっていきたいと考えておりまして、できるだけU・Iターンを促進するということで力を入れていきたいと思います。
〇佐藤ケイ子委員 よろしくお願いします。
 県営住宅の活用促進モデル事業について伺います。
 県営住宅の目的外使用として空き住戸対策、若者の定着促進、団地コミュニティーの再生と多目的な事業に期待したいと思います。
 現在、県営住宅6、761戸のうち入居可能な空き戸数は1、166戸で、そのうち、今回の県営住宅活用促進モデル事業は、盛岡市10戸、北上市10戸、奥州市10戸の30戸で、家賃は2万5、000円から4万5、000円程度とお手ごろと思われます。入居要件に同居や所得制限もなくなりますが、団地自治会への参加やコミュニティー活性化の取り組みに参加すること、県のアンケートに協力するという条件がつくということです。
 自治会の活動は当たり前のようなものですが、それを苦痛に思う人もいるのが現実であります。どのような反響が出てくるのか興味深い社会実験だと思っております。
 若い人は、市町村広報や新聞も見ない人が多く、従来の応募方法での周知は難しいのではないかと思いますが、周知のあり方について伺います。
 また、災害公営住宅こそ空き家と高齢世帯が多く、コミュニティーの課題もあると思いますが、どのような要件がそろえば災害公営住宅で事業を導入できるのか伺います。
〇菊池副知事 まず、県営住宅活用促進モデル事業についてのお伺いでございます。
 入居募集の周知につきましては、県や市町村の広報誌や県政テレビなどの従来の広報に加えまして、地域おこし協力隊のネットワークを活用したSNSでの周知や県の移住定住ポータルサイト、いわてイーハトー部に入ろうなどの新たな広報ツールを活用することとしております。
 また、事業導入を予定している県央、県南地域は、企業立地に伴い若者から職住近接した住宅ニーズが予想されることから、商工会議所を通じた企業への周知についても検討しているところでございます。
 次に、災害公営住宅への導入についてでございます。本事業は国の制度上、コミュニティー活性化など本来の目的外に活用することになりまして、国との協議が必要となっているところでございます。
 こうしたことから、災害公営住宅への本事業導入に向けて、昨年7月から沿岸部で実施しております被災者以外の入居を可能としている一般募集の状況を踏まえつつ、市町村と連携しながら国との協議を進めてまいります。
〇佐藤ケイ子委員 次に、住宅ストックリノベーション事業費についてでございます。
 県内には約9万4、000戸の空き家があり、空き家バンクの登録物件は令和2年10月末ですが249戸と登録が少ない状況で、成約実績は年平均53件ということです。突出しているのは花巻市の18件ですが、花巻市の取り組みの特徴はどうでしょうか。
 また、岩手県空家等対策連絡会議で課題を共有し対策していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
〇菊池副知事 委員御案内の花巻市においては、空き家バンクに登録された住宅を県外から転入された方が購入した場合に、最大220万円を助成するとともに、全国雑誌の田舎暮らしの本において紹介されておりまして、県内の空き家バンクを開設する全ての市町村においても、積極的な取り組みが展開されるよう期待しているところでございます。
 そうしたことから、花巻市の空き家バンクの取り組み事例や県内市町村の空き家対策の課題等については、県、市町村及び不動産業界を含む民間団体で構成する岩手県空家等対策連絡会議で共有しているところでございます。
 県といたしましては、空き家対策を進めるには、空き家の流通促進、若者の住宅確保支援の取り組みが重要でありますことから、令和3年度におきましては、市町村を対象とした空き家活用に係る研修会を行う空き家情報利活用促進事業や結婚や子育て等のライフステージを控えた若者世代の住宅取得支援を行う若者向け空き家取得支援事業を実施するための予算を計上しているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 市町村の思い入れによって政策が違ってくるのは当然でありますけれども、小規模自治体は、不動産業者もなくて、やはり行政が誘導していかなければならないという状況もあると思います。このような事例を広く周知していただければと思います。
 次に、婚活イベントの状況についてです。
 市町村が実施する婚活事業や新生活に伴う引っ越し費用、新居費用支援など、国庫補助金が令和3年度から3分の2の補助率に引き上げられ、また、夫婦への支援額の上限額が、若者層は30万円から60万円に引き上げられることになりました。これは、県の取り組みが国に認定されたことによる引き上げ措置と聞いており、よかったと思っております。
 一方で、このコロナ禍であり、県内の婚活イベントの開催に支障が出ているのではないかと懸念しています。最近の婚活イベントはどのような状況かお伺いいたします。
〇菊池副知事 今年度は、市町村において国庫補助を活用したイベントの申請はございませんでしたが、いきいき岩手支援財団の助成金を活用して民間団体が開催した19件のイベントの例では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のためなどの理由によりまして、主に春、夏の開催を予定していた4件のイベントは中止となっております。
 一方、残る15件のイベントにつきましては、飲食や参加人数の制限、広い会場の確保など、一部のプログラムを変更し、新型コロナウイルス感染症の感染防止措置を講じた上で予定どおり開催されたと聞いております。
 また、いきいき岩手結婚サポーターセンターでは、男女の出会いを支援している団体等を出会い応援団として登録していただいておりまして、いきいき岩手支援財団が助成するイベントを含め、この出会い応援団等が実施する93件のイベントをホームページで紹介したところでございます。このうち19件が中止となっておりまして、全ての中止理由は把握できていませんが、一部においては、新型コロナウイルス感染症拡大防止のためと聞いているところでございます。
 毎年この時期に行っている翌年度を対象としたいきいき岩手支援財団助成金の第1次募集には、既に今年度と同程度7件の申し込みが寄せられていると聞いております。引き続き、県民の結婚したいという希望につながるよう、民間団体の取り組みを支援してまいります。
〇佐藤ケイ子委員 コロナ禍は出会いを制限するということで、本当に厳しいと思ってお伺いしました。
 次に、保健福祉施策について何点かお伺いいたします。
 まず、県民総参加型健幸度アップ支援事業費についてです。
ケンコウは健幸という文字を使っている造語のようですが、いわて県民計画(2019〜2028)のキーワードである幸福を感じるには、健康で暮らしていけるかが大きな要素だと思います。このたび新規事業として県民総参加型健幸度アップ支援事業費1、300万円余が計上されており、ドラッグストアなどと連携し、ウオーキングの歩数をポイント化して買い物にも使えるシステムが柱になると報道されています。
 健康づくりの拠点設置、食生活改善の取り組み、ウオーキング環境整備など、この事業の展開をどのように検討したのかお示しください。
〇菊池副知事 本県においては、働き盛り世代から脳卒中などの年齢調整死亡率が高い状況にあります。そうしたことから企業等の健康経営の取り組みも支援しておりまして、企業等の従業員を対象に、歩行数増加と食生活改善への支援を実施し、運動習慣の定着や内臓脂肪面積の減少など一定の改善が認められているところでございます。
 来年度は、県民誰もが身近なところで気軽に健康づくりに取り組めるよう、参加対象を県民に広げることとし、民間企業との連携により、ドラッグストア等の各地の店舗を健康づくり拠点に設定し、例えば、歩行数に応じたポイント付与など、参加者の取り組み意欲が高まるウオーキング事業とセットで、参加者に有用な健康情報の提供等を行う取り組みの具体化を検討しているところでございます。
 あわせて、新たな日常により家で食事をする機会が増す中で、手軽に実践できる健康的な食事メニューの情報発信等を通じ、食による健康づくりの普及にも取り組む予定でございます。
 こうした県民総参加型の健康づくりの積極的な展開を図りながら、生涯にわたり心身ともに健康に生活できる環境づくりを進めてまいります。
〇佐藤ケイ子委員 次に、保育所の待機児童の状況と新年度の保育定員について伺います。
 令和2年4月の県内保育状況は、保育施設493カ所、定員3万2、733人、利用児童数2万9、771人ということでございます。待機児童は4月1日現在58人、6市町、10月1日現在127人、11市町ということで、いわゆる隠れ待機児童は4月に280人、10月で437人、13市町と昨年同期より140人減少しているものの、保護者のニーズに応え切れない状況が続いております。
 そこで、新年度の保育定員をどのように見込んでいるのかお伺いします。また、待機児童の特に多い市町での取り組み状況について、あわせてお伺いいたします。
〇菊池副知事 新年度の保育定員についてでございますが、県では、年々高まる保育ニーズに対応できるよう、保育所等の施設整備に対する財政支援によって定員増を図ってきているところでございます。
 今年度行っている保育所等の施設整備により568人の定員増を見込んでおります。令和2年4月1日時点の定員に上乗せいたしますと、令和3年4月1日時点の定員は3万3、300人程度となりまして、子ども・子育て支援事業支援計画における目標値を上回る定員数が確保される見込みでありまして、着実に定員の増が進んでいると受けとめております。
 また、待機児童の多い市町での取り組みの関係ですが、令和2年10月1日現在、待機児童が10人以上である6市町のうち4市町においては、今年度、施設整備により299人の定員増を図っているほか、そのほかの2市町においても、小規模保育事業所の開設や、奨学金の返済支援などによる保育士確保対策などに取り組んでいると聞いております。
 県では、市町村の施設整備を支援するとともに、保育士・保育所支援センターによる潜在保育士と保育所とのマッチング支援、さらには、保育士修学資金貸付制度の実施による保育士確保などの取り組みを進め、待機児童の解消を図っていく考えでございます。
〇佐藤ケイ子委員 毎年定員増は図られているわけですが、それでまたニーズが掘り起こされておりまして、待機児童の問題はなかなか解決しないという状況です。でも、少しずつ前進していると受けとめました。
 それで、幼稚園の認定こども園の転換状況についてですけれども、待機児童が長年問題になっていても、私立幼稚園から幼保連携型の認定こども園に移行したのは、過去6年間で11園と余り進んでおりません。
 国は認定こども園への移行に有利な補助金を用意しておりますが、進まないのは、施設整備費の資金問題や保育士不足の問題などが考えられております。この点について県の認識をお伺いいたします。
〇菊池副知事 認定こども園は、幼稚園と保育所の機能をあわせ持ち、保護者の就労状況及びその変化等によらず柔軟に子供を受け入れることができる施設でありますことから、県では、認定こども園への移行を希望する施設に対し、国の補助制度を活用して施設整備等の支援を行ってきたところでございます。
 また、国においては、既存の幼稚園等からの円滑な移行を確保するために、実務経験を有する幼稚園教諭の保育士資格取得や設備基準などに係る移行特例を設けているところでございます。
 認定こども園制度が創設された平成18年度以降、県内では公立を含む60の幼稚園が認定こども園に移行しております。当時の設置数157に占める移行園の割合は38.2%であり、単純な比較とはなりませんが、全国の私立幼稚園の移行率31.9%を上回る実績となっているところでございます。
 このうち保育所等との統合を経ない単独の幼稚園からの移行園につきましては、昨年4月1日現在で、保育を必要とする園児2、372名が在籍しておりまして、認定こども園への移行が、本県における保育の受け皿の拡大に寄与してきているものと認識しております。
 県としましては、認定こども園への移行を希望する幼稚園が、円滑に移行できるよう、施設整備に係る支援や移行特例を紹介するなど、施設等からの相談にきめ細かに対応してまいる考えでございます。
〇佐藤ケイ子委員 進んできてはいますけれども、やはり保育環境の財源問題で公定価格の問題があります。昔は措置費と言いましたけれども、国から配分されるお金が少ないのは公定価格の問題でありまして、国に対しても要望活動をしていただきたいと思っております。
 次に、生活保護についてでございます。
 令和2年12月の本県の生活保護は1万473世帯、1万2、815人が受給しており、数年間横ばいで推移している状況です。国会の論戦では、コロナ禍で仕事を失い生活が苦しくなったことに対し、菅首相は、自助、共助、最後は生活保護があるとおっしゃいました。
 しかし、現実は、扶養照会の壁があり生活保護をためらう事例が多いということです。厚生労働大臣は、扶養照会は義務ではないと答弁しましたが、福祉事務所の対応はどうしているでしょうか。
 また、保護の要件の中には資産の処分がありますが、本県のように公共交通機関が不便なところは、自動車がなければ生活や就職に支障を来すことになり、一旦生活保護になると保護を抜け出すことは困難となります。自動車保有を柔軟に運用できないのかお伺いいたします。
〇菊池副知事 まず、扶養照会につきましてですが、委員御案内のとおり、生活保護法において、民法に定める扶養義務者の扶養は、保護に優先して行われるものと定められておりますことから、保護の実施機関においては、申請者に扶養義務者がいる場合には、国の定める基準により、扶養能力調査を行っているところでございます。
 これまでも、保護の実施機関では、申請者の扶養義務者の存否確認を行い、扶養義務の履行が期待できないと判断される扶養義務者には、直接の照会は行わないこととしてきたほか、申請者に対しては、扶養照会は保護の要件ではないことを丁寧に説明し、適正な保護の実施に努めてきたところでございます。
 今般、国により、扶養照会の取り扱いにつきましては、現在の状況や実態に沿った形で運用できるよう見直しが行われたところでございまして、その趣旨を踏まえ、扶養照会が壁となり保護の申請をためらわせることのないよう、申請者から丁寧に生活歴等を聞き取り、個々の申請者に寄り添った対応がなされるよう努めてまいります。
 次に、自動車の保有についてですが、公共交通機関の利用が著しく困難で通勤に支障があるなど、国が定める一定の要件を満たす場合に、容認することとしております。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響により一時的に収入が減少し、保護が必要となる方の通勤用自動車の取り扱いにつきましては、現下の状況が収束した後に生活保護を要しなくなると考えられる場合、弾力的に対応するよう国から示されておりまして、それに従い対応することとしております。
〇佐藤ケイ子委員 扶養照会が柔軟に運用されるような御答弁がありましたけれども、現実問題はそういうことではないと私は思っています。国からは、今まで20年間音信不通だった人は10年に見直しをするとか、それから、照会があった場合にDVとかさまざまな困難が予想される場合は柔軟にということですが、実際はそんなに柔軟に対応できない状況になっています。
 私も生活保護の相談に立ち会ったことがありますけれども、福祉事務所では、扶養照会は義務です。3親等以内に照会しますけれども、いいですかという確認をしておりました。その方はいいですよと言っていましたけれども、これはなかなか面倒だなと思いました。
 特に車ですね。軽自動車とかそういうものもないと、本当に社会生活ができないような地域事情でございます。ぜひ、車のことについては、通勤に必要だということではなくて、求職につけても必要ですので、柔軟な対応をまた国に求めていただきたいと思っております。
 次に、市町村支援について伺います。
 自治体情報システムの標準化、DX推進についてです。
 これは、菅首相肝いりのデジタル改革推進を受けて、令和2年12月25日に総務省が自治体DX推進計画を発表しました。計画では、自治体情報システムの標準化、共通化、自治体の行政手続のオンライン化などを求めています。
 このような流れの中で、都道府県も市町村もデジタル化の対応を急がなければならないのですけれども、市町村のIT人材確保や推進体制を構築するには厳しいと思っております。IT人材育成に県はどのようにかかわっていくのかお伺いいたします。
〇佐々木ふるさと振興部長 県におきましては、全市町村が参画する岩手県電子自治体推進協議会を設置し、これまで、岩手県情報セキュリティークラウドの導入や共同運用における情報セキュリティー対策、デジタル技術の能力向上に向けた研修会の開催等の支援を行ってきたところであります。
 今後、これまで市町村と連携し取り組んできた協議会のこの枠組みを生かしながら、これまで行ってきたオープンデータやテレワークに加え、自治体デジタルトランスフォーメーションの推進に必要なデータの利活用、業務フロー分析、ICTリテラシーの向上など、人材育成研修を拡充していく考えであります。
 さらに、現在、総務省において検討を進めている地方自治体のデジタル人材の確保、育成策を踏まえ、外部人材の確保等の支援を行いたいと考えております。
〇岩渕誠委員長 佐藤ケイ子委員の質疑の途中ではありますが、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
 佐藤ケイ子委員、御了承願います。

午後0時0分 休 憩

午後1時2分 再 開

〇岩渕誠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇佐藤ケイ子委員 時間の関係もありまして、小規模市町村支援、それから新規就農者、ニューファーマー支援、ジェンダー平等については割愛させていただき、部局審査でお願いしたいと思います。
 職員体制について伺いたいと思います。
 欠員の解消についてでございます。
 新年度の知事部局の職員数は4、420人程度と40人程度減少するとのことですが、欠員解消はどのようになっているでしょうか。改善しつつあると評価しているものの、まだ解決には至っておりません。新年度の採用計画はどうなっているかお伺いいたします。
〇白水総務部長 欠員については、令和2年11月1日時点では65名でありましたが、新規採用職員の大幅な採用増や任期付職員、再任用職員の採用、応援職員の受け入れなどの人員確保の取り組みにより、現時点における令和3年4月1日の欠員数の見通しは、昨年11月時点と比べ45名程度減少し、おおむね20名程度を見込んでいるところでございます。
 また、令和3年度の採用計画につきましては、一部の職種において、現在、採用手続の最終段階であること等から、現時点では正確な人数をお答えすることは難しいところでございますが、令和3年4月において、知事部局で180名程度の採用を予定しているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 大幅に新規採用が多くなるということですけれども、若手職員の人材育成についてもよろしくお願いします。世代間のギャップが出ているというお話もあります。
 次に専門職種の確保策についてですけれども、獣医師や総合土木職など専門職種については、募集しても応募が少ないということでありますが、民間との比較で初任給の格差があります。処遇改善が必要ではないでしょうか。専門職種の確保策をどう検討しているのかお伺いいたします。
〇白水総務部長 専門職の職員につきましては、専門的な知識を必要とするそれぞれの行政分野において欠かせない人材であり、その確保は重要な課題と認識しておりますが、委員御指摘のとおり、獣医師や総合土木などの一部の職種については、採用予定数を確保できていない状況にございます。
 こうした専門職種の処遇改善につきましては、これまで、獣医師及び薬剤師について、初任給や手当の額の引き上げ等の処遇改善を行ってきましたほか、児童相談所に勤務する児童福祉司などの職員に支給する特殊勤務手当について、月額1万2、800円から2万円に引き上げることとし、今定例会に改正条例案を提案しているところでございます。
 また、職務経験者や有資格者等を対象とした採用試験を実施していますほか、獣医師では、有資格者の通年募集や任期付職員採用、総合土木では、任期付職員経験者の採用など、多様な方策により専門職種の人員確保に努めているところでございます。
 今後におきましても、所管部局や人事委員会と連携しながら、あらゆる手段を講じ、処遇改善と人員確保の取り組みを一体的に進めてまいります。
〇佐藤ケイ子委員 それでは、療養者の状況についてです。
 令和2年10月末の精神疾患による療養者は延べ79人と前年同期より10人程度増加しており、若年層のみならず全世代にわたり増加であり、憂慮されるところであります。
 欠員、休職など人員不足が職場環境の悪化に拍車をかけているということですが、どのような状況かお伺いいたします。
〇白水総務部長 委員御指摘のとおり、知事部局における病気による療養者は増加傾向にあることから、職員の心身の健康管理は重要であると認識しております。
 このため県では、全職員を対象にしたストレスチェック、長時間労働による健康障がい防止のための保健指導、産業医等による個別相談などを実施し、職員が心身の健康を保てるよう支援しているところでございます。
 また、東日本大震災津波の発災以降、復旧、復興業務に対応するため、マンパワー確保に最優先で取り組んできておりまして、ピーク時の平成27年4月時点で145名であった欠員は、先ほども御答弁申し上げたとおり、来年度当初でおおむね20名程度まで減少すると見込んでいるところでございます。
 さらに、現行の定数等管理計画におきましては、新たな行政課題や県民ニーズに適切に対応するとともに、職員のワーク・ライフ・バランスなどを推進するため、80人から100人程度増員する計画としているところでございます。
 引き続き、職員の健康管理や人員確保の取り組みを一層強化し、職員が健康を保持し、意欲を持って働くことのできる良好な職場環境の実現に努めてまいります。
〇佐藤ケイ子委員 次に、早期退職者、採用辞退者の状況についてです。
 過去5年間の早期退職者は280人、年平均56人ということですが、令和元年度は63人と多くなっています。その中で令和元年度の30歳未満の退職者は19人ということであります。それから、令和元年度の採用辞退者は77人と、由々しき事態ではないでしょうか。
 早期退職者、採用辞退者の要因をどう分析しているのかお伺いいたします。
〇白水総務部長 東日本大震災津波の発災以降、多くの職員の採用を進めてきておりまして、その中で若手職員の退職者が増加している状況にございます。その理由等につきましては、本人の意向等もあり全てを把握することは困難なところでございますが、転職によるもののほか、結婚に伴う配偶者の居住地への転居などの家庭事情などが見られるところでございます。
 また、採用内定辞退につきましては、必要な人材を確保する上で課題の一つと認識しております。その理由につきましては、併願先の他の公務員試験の合格に伴うものが多く見られている状況にございます。
〇佐藤ケイ子委員 県職員に採用されると、よかったねとお祝いをしたりしたのですけれども、最近は、何か県職員は大変らしいねとよく言われているようです。そして、市町村の職員のほうが転勤がなくていいのではないかとか、そういう傾向もあると聞いております。
 ぜひ、いい職場環境をつくっていただいて、超過勤務の縮減など、ブラック企業と言われないように頑張っていただきたいと思っているところです。
 私の質問はこれで終了させていただきたいと思います。あとは柳村委員に引き継ぎますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。(拍手)
〇岩渕誠委員長 質問者席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、柳村一委員。
〔柳村一委員質問者席に着く〕
〇柳村一委員 佐藤ケイ子委員に引き続き総括質疑をさせていただきます。
 佐藤ケイ子委員が職員の体制について取り上げましたが、私からは、教職員についてお聞きします。
 教職員の負担の一つとして挙げられるのが、部活動の指導に関するものです。指導経験のない部活動への従事や勤務時間の増大が課題とされており、県教育委員会では、こうした実態の解消の一つとして、平成30年から中学校と県立学校に部活動指導員を配置してきました。
 これまで3年間の部活動指導員の配置によって、どの程度教職員の負担軽減が図られたのかお伺いします。
〇菊池副知事 部活動指導員の活用による教職員の負担軽減の状況でございます。
 県立学校を対象とした調査結果では、1顧問教員当たりの部活動従事時間の平均年間削減時間でございますが、平成30年度は89時間、令和元年度は99時間、令和2年度は、上半期の実績でございますが51.7時間の削減が図られていると聞いております。
 また、専門的な指導経験のない顧問教員の精神的な負担の解消が図られたとの報告もございまして、部活動指導員の配置に効果があったものと認識しております。
 令和3年度以降におきましても、引き続き、部活動指導員の配置による質の高い部活動の推進とともに、教職員の負担軽減に取り組んでいくと聞いております。
〇柳村一委員 部活動指導員は年々ふやしているのですけれども、令和2年度に少なくなったと言いますが、これは多分にコロナ禍の影響もあるのだと思います。それで、どんどんふやしているのですけれども、令和3年度の配置予定人数がわかりましたらお知らせください。
〇菊池副知事 まず、先ほど御答弁申し上げました令和2年度の数値でございますが、これは上半期までの数値なものですから、過去2年間と比べて約半分という状況になっているところです。
 部活動指導員の令和3年度の配置計画ですが、市町村立学校で100人、県立学校で60人ということで予算を計上させていただいているところでございます。
〇柳村一委員 市町村立学校では令和3年度ふえそうですけれども、県立学校では横ばいということで、人員の確保が難しいかと思いますが、教職員の働き方改革に向けて一生懸命取り組んでもらいたいと思います。
 次に移ります。令和3年度当初予算案には、公立の中学校における休日の部活動の段階的な地域移行を目指すための実践研究を行う事業が盛り込まれました。
 教職員の部活動指導については、特に休日勤務という点で負担が大きく、休日に活動している地域団体や指導者の方との連携が重要になってくると思います。この連携を円滑に行い、軌道に乗せていくためには、地域のスポーツ団体を所管する文化スポーツ部との連携が欠かせないと思います。
 スポーツ庁が公表している学校の働き方改革を踏まえた部活動改革では、休日に教科指導を行わないことと同様に、休日に教師が部活動の指導に携わる必要のない環境を構築する、令和5年度以降、休日の部活動の段階的な地域移行を図るとともに、休日の部活動の指導を望まない教師が休日の部活動に従事しないとしています。
 小西和子委員の一般質問で山形県の事例が紹介されましたが、県としても早急に教育委員会と文化スポーツ部が一体となり取り組む必要があると思いますが、連携の考えを伺います。
〇菊池副知事 本県中学生の部活動については、生徒数の減少等により、学校の部活動だけでは、生徒の多様な活動のニーズに応えることが困難な状況となっております。
 このような状況を踏まえ、昨年度から、県教育委員会と文化スポーツ部が、中学生のスポーツ、文化活動のあり方の研究を開始しているところでございます。
 研究では、実態調査による現状把握を行い、生徒の活動を支える学校、地域、関係団体等の役割分担を明確にするとともに、地域における活動場所や人材の活用を進めるため、総合型地域スポーツクラブなどの各地域団体との連携を模索してきたところでございます。
 こうした中、国から、学校の働き方改革を踏まえた部活動改革が示され、全国各地で令和5年度以降の休日の部活動の段階的な地域移行への実践研究を全国各地で行うこととなり、本県でも、令和3年度において、国の委託事業を活用し、地域部活動推進実践研究事業に取り組むこととしております。
 この事業を有効に活用し、生徒にとって望ましい活動、環境の姿の実現に向け連動して取り組むため、県教育委員会と文化スポーツ部が連携して、地域におけるスポーツ活動の環境整備に向けて取り組んでいってほしいと考えているところでございます。
〇柳村一委員 令和3年度実践研究する予定だということですけれども、おわかりであれば、実践研究する予定数はどのぐらいになるのかお伺いします。
〇菊池副知事 実践研究数として考えているのが、市部で1カ所、部活動で言うと五つの部活動、町村部も1カ所で、部活動で言うと三つの部活動の実践研究を行う予定としていると聞いております。
〇柳村一委員 令和5年度に向けて市で1カ所、町村で1カ所ということは余りに数が少ないと思います。令和5年度までに地域に移行するのが間に合うのかどうか疑問に思いますので、もっと文化スポーツ部と県教育委員会が連携して取り組みを強化していただきたいと思います。
 次に行きます。先ほど紹介したスポーツ庁の報告では、大会やコンクールへの関与のあり方についても教職員の負担軽減の方策として上げられております。
 令和4年には、全国高等学校総合体育大会スキー競技大会が本県で開催され、令和3年度当初予算案に県教育委員会の関係予算が計上されていますが、このような大会において文化スポーツ部とどう連携していく考えなのかお伺いします。
 文化スポーツ部の設置から4年がたち、もっと関与を強化すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇菊池副知事 御質問の前段につきましては、教職員の働き方改革における地方大会のあり方についての御質問と受けとめております。
 その件で申し上げますと、国では、先ほど御答弁申し上げました学校の働き方改革を踏まえた部活動改革の中で、地方大会レベルの大会については、学校の働き方改革の観点も踏まえ、あり方を整理する必要があるものとしております。
 具体的な内容としましては、地方大会開催の実態の把握が大事でございますし、生徒の負担が過度とならないよう、参加する大会を精選するとか大会参加資格の弾力的な取り扱いを検討するなどとなっております。
 一方で、委員が例示されました全国高等学校総合体育大会のような全国規模の大会につきましては、競技団体等の各競技の専門的な運営を担う役員、また、式典運営など競技会全体を統括する役員など、多くの人材の協力が必要となります。
 本県におきましては、全国規模の大会及び地方大会の開催に当たり、実態として教職員が運営の中核を担っている状況にあることは認識しております。
 国の方針にある地方大会のあり方と同様に、全国規模大会の県内開催に当たっても、地域ボランティアの活用やさまざまな主体が参画する地域人材の活用など、新たな仕組みの構築が重要と考えておりまして、先ほども御答弁申し上げましたが、県教育委員会と文化スポーツ部が共同して、それらの研究、対応について検討を進めているところでございます。
 また、地域人材の活用につきましては、県体育協会等、関係団体とも連携して進めているところでございますが、望ましい大会運営につきましては、何といいましても国からの財源支援が必要でございます。そうしたことから、今後も国に要望してまいりたいと考えているところでございます。
〇柳村一委員 地方大会のあり方ですけれども、副知事がおっしゃったように、今後ますます文化スポーツ部と一体となった取り組みが、教職員の働き方改革にもつながると思いますので、しっかりと連携をとっていただきたいと思います。
 次に移ります。温室効果ガス排出量2050年実質ゼロに向けた施策の推進についてお伺いします。
 県は令和3年2月17日に、いわて気候非常事態宣言を発表しました。その後に行われた知事演述においても、気候変動を食いとめる温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロの達成に向け、本定例会に提出しております第2次岩手県地球温暖化対策実行計画に基づき、オール岩手で気候変動対策に取り組んでまいりますと述べています。
 地球温暖化対策は、人類の永続的な繁栄の前提をなし、先送りのできない課題として待ったなしの対策が求められ、課題を県民全体で共有する必要があります。全国でも早い段階で非常事態宣言を出したことについて高く評価いたします。
 そこで、非常事態宣言を発表するに至った経緯と地球温暖化対策に取り組む知事の決意をお聞かせください。
〇達増知事 近年、日本を含む世界各地で、地球温暖化など気候変動が一因と考えられる異常気象が頻発しており、世界の気候が非常事態に直面していることから、県として、気候変動に対する危機感を県民の皆様と共有し、ともに行動していくため、去る2月17日、いわて気候非常事態宣言を発出いたしました。
 また、この宣言は、令和2年2月定例会において、岩手県として気候非常事態宣言を行うことを求める請願が採択されたことを受けたものであります。
 気候変動対策は喫緊の課題であり、温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロの達成に向け、環境分野のみならず、エネルギー、産業、経済、交通、運輸、林業など、各分野において、県民、事業者、行政が一体となり、温室効果ガスの削減を図る緩和策と、災害から県民の命を守る対策等を行う適応策に、今定例会に提出している第2次岩手県地球温暖化対策実行計画に基づき、オール岩手で取り組んでまいります。
〇柳村一委員 いわて気候非常事態宣言を出した前と後で、県の職員の意識が変わっているのか変わっていないのか、知事はどう受けとめていますか、お伺いします。
〇達増知事 知事室で企画理事兼環境生活部長初め、担当の職員と何回か協議を重ねて実現に至ったわけですけれども、私以上にやりたがっていたという感じで準備をしてもらって、非常にいい宣言を出すことができたと思っておりまして、ある意味では、県職員がもともと持っていたやる気を解き放った格好になるかと受けとめております。
〇柳村一委員 地球温暖化対策は県庁が先頭に立って一生懸命推進していただきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
 次に、2011年から10年間の現岩手県地球温暖化対策実行計画では、家庭や産業の温室効果ガス排出量割合の削減、再生可能エネルギーの自給率のいずれにおいても、目標達成が厳しい状態となっております。
 この10年は、東日本大震災津波を初め、たび重なる災害に見舞われたこともあり、計画達成に支障があったことは推察されますが、その間にも地球温暖化は進み、海水温の上昇による主要魚種の不漁や台風災害の大規模化など、本県にも具体的な影響があらわれています。
 現岩手県地球温暖化対策実行計画で目標達成が困難となっている現状を踏まえ、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画をどのように実効性のあるものとしていくのか、お考えをお伺いします。
〇藤澤企画理事兼環境生活部長 第2次岩手県地球温暖化対策実行計画の実効性を高める取り組みについてでありますが、今年度が最終年度となる現岩手県地球温暖化対策実行計画では、基準年となる1990年の排出量に対し2020年度を25%削減することを目標としておりますが、最新の2017年度の排出量は、基準年と比較して10.2%の削減にとどまっております。
 一方、再生可能エネルギーについては、太陽光や風力を中心に順調に導入が進んでおり、再生可能エネルギーによる電力自給率は、2020年度の目標35%に対し、2019年度末で34.4%と目標に近づいております。
 今定例会に提出しております第2次岩手県地球温暖化対策実行計画において、温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロの達成に向けた2030年度における目標として、国の目標を上回る温室効果ガス排出量の削減割合と再生可能エネルギーによる電力自給率を掲げたところであります。
 この計画では、省エネルギー対策の推進、再生可能エネルギーの導入促進、森林吸収源対策などの多様な手法による地球温暖化対策の推進を目標の達成に向けた三つの柱とし、本県の強みである地域資源を最大限に活用した、地域経済や生活などの向上にも資する実効性のある施策を推進していくこととしております。
 具体的には、家庭向けの取り組みとして、住宅用の太陽光蓄電池設備の共同購入を支援する事業の実施、令和3年4月に全面施行となる改正建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の建築士から建築主への戸建て住宅などの省エネルギー性能に関する説明義務制度の適切な運用、省エネルギー住宅に関するセミナーや相談事業の実施と住宅の断熱性能などを評価する住宅省エネルギー診断の実施、また、事業者向けの取り組みといたしまして、県内の中小事業者等を対象としたLED照明や空調設備、給湯設備などの高効率省エネルギー設備導入に係る費用の補助、事業活動のエネルギー使用量の削減を図る地球温暖化対策計画書制度の強化などに取り組むこととしております。
 計画目標の達成に向け、これらの取り組みを着実に進めるとともに、全県的な団体、機関で構成する温暖化防止いわて県民会議を中心に、県民、事業者、行政が一体となった県民運動を展開し、県民総参加による地球温暖化対策をこれまで以上に積極的に推進してまいります。
〇柳村一委員 現岩手県地球温暖化対策実行計画達成目標をさらに上回るような目標を達成していかないと、2次計画も現計画と同じようなものになると考えますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次に、地球温暖化対策は環境生活部だけの努力で成果を出せるものではなく、県が所管するあらゆる分野での取り組みが必要となります。例えば、庁舎照明のLED化や公用車の電気自動車化など県みずからが取り組むべきこともまだまだあると考えていますが、県庁全体の取り組みを地球温暖化対策の方針によりどのように進めていくのか、その推進体制を伺います。
 また、計画達成には、市町村はもちろん、温室効果ガスの大きな排出者でもある産業界や家庭での取り組みが必須でありますが、補助による誘導には限界もあり、民間も含めてあらゆる主体が率先して取り組む環境づくりが欠かせないものと考えます。
 市町村や事業者、県民とどのように認識を共有し、行動を促していく考えかお伺いします。
〇藤澤企画理事兼環境生活部長 部局横断による取り組みや市町村、事業者、県民との連携についてでありますが、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画では、県組織全体として地球温暖化対策に率先して取り組むこととしており、具体的には、省エネルギーや節電の取り組みなどのエコオフィス活動や県有施設の省エネルギー診断、県有施設における再生可能エネルギーの導入などのほか、テレワークなどの省エネルギー対策にも資するICTの活用などの取り組みを行うこととしております。
 県では、知事を本部長とした岩手県地球温暖化対策推進本部において、排出量を削減した優良公所の取り組み事例を共有し、全庁的な排出削減に向けた取り組みを検討するなど、温室効果ガスの排出抑制などに関係する部局横断的な取り組みの連携を強化し、全庁挙げて積極的に地球温暖化対策に取り組んでまいります。
 また、去る2月17日に発出したいわて気候非常事態宣言において、県民の皆様と気候変動に対する危機意識を共有し、県民一丸となって地球温暖化対策に取り組んでいく決意を表明したところであります。
 県では、市町村に対しては、住民、事業者、地域活動団体などに最も身近な主体として地球温暖化対策を推進するための技術的助言などに、事業者に対しては、事業活動のエネルギー使用量の削減を図る温暖化対策計画書制度の強化による指導や助言等に、県民に対しては、改正建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律による戸建て住宅への省エネルギー性能に関する説明義務化に係る周知などに、それぞれ取り組むこととしておりまして、これらの取り組みを着実に進めながら、計画の目標達成に向けて県民の自主的な行動を促進してまいります。
〇柳村一委員 いわて気候非常事態宣言を発出しても、県民がどのぐらい理解しているかという部分ではまだまだかと思います。例えば、県公用車の脇に非常事態宣言をやりましたよみたいなものを張って歩くことも、一つの啓発活動につながると思います。もっと県民が協力しない限り、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画の目標達成にはなかなか難しいものがあると思いますので、そこら辺の取り組みもしっかりしていただきたいと思います。
 次に、令和3年度当初予算案には、普及啓発や事業者の省エネルギー設備への補助が盛り込まれ、これらの個々の事業について、認知度向上や補助件数などの効果を測定していくことは重要なことだと思います。
 今回の第2次岩手県地球温暖化対策実行計画においても、省エネルギー住宅ストック率や再生可能エネルギー導入量、間伐材利用率など、温室効果ガス削減に向けた中間指標が設けられています。
 こうした指標は、あらゆる主体の取り組みの成果としてあらわれるものであり、県事業の効果を測定するというわけにはいかないと思いますが、最終目標である2050年までの排出実質ゼロは、直前の追い込みではどうなるものでもないと思います。毎年の着実な指標達成の積み重ねが必要になります。
 県では、最終目標達成に向け、どのように指標を管理していくのかお伺いします。
〇藤澤企画理事兼環境生活部長 指標達成に向けた具体的なスケジュールでありますが、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画では、目標の達成に向けて、施策の実施状況を把握するため、三つの取り組みの柱ごとに26の施策推進指標を設定したところであります。
 計画の進行管理に当たっては、計画の目標や施策推進指標について定期的に点検、評価を行い、その結果を岩手県環境審議会に報告し、専門的見地から意見を伺うとともに、その内容を踏まえ、知事を本部長とする岩手県地球温暖化対策推進本部において、効果的な施策を立案してまいります。
 また、全県的な団体、機関で構成する温暖化防止いわて県民会議においても、計画の目標と施策推進指標の点検、評価の結果を共有し、各指標の進捗状況に応じて、例えば、地域団体等や学校、教育団体などで構成する家庭部会においては、県民への住宅の省エネ性能に関する普及啓発、そして、産業団体や運輸団体などで構成する事業部会においては、各事業者が掲げる二酸化炭素排出量の削減目標の達成に向けた働きかけを行いまして、計画の目標の達成に向けた取り組みを着実に推進してまいります。
〇柳村一委員 現岩手県地球温暖化対策実行計画のときには復興需要や経済成長などで、温室効果ガスが高いところで水準を維持してきたと思いますけれども、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画では温室効果ガス削減割合を41%としております。特に省エネの推進について余り個別の指標がないように思われるのですけれども、そこをさらに強化しないと、この41%に向かっていくのはなかなか難しいと思うのですが、今後、指標にして取り組みを強化していく考えがあるかどうかお伺いします。
〇藤澤企画理事兼環境生活部長 ただいまお話のございました指標でございますが、例えば、家庭部門における省エネルギー化につきましては、住宅用太陽光の発電施設の導入件数を一つの指標といたしまして、これを目標値に近づけていくような普及啓発を行ってまいりたいと考えております。それから、事業所、産業部門におきましては、事業所に対しまして、地球温暖化対策計画書の目標を達成できるような計画書を出していただく制度をやっておりまして、新しい計画におきましては、この達成目標に向けてどの程度努力をしたかといったような取り組みについても報告いただく内容を設けております。こういったことも指標の中に数値化して、進捗状況を測ることとしております。
 こういった具体的な取り組みにより、省エネを進めてまいりたいと考えております。
〇柳村一委員 とにかく41%をクリアしないと2050年度実質ゼロの目標達成はさらに危うくなるわけでございますので、強力に推し進めていただきたいと思います。
 再生可能エネルギーの普及は、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画の中でも重要な位置を占めています。令和3年度予算案には、太陽光発電導入支援や事業者の再生可能エネルギー導入セミナーなどの事業が盛り込まれております。こうした事業に加えて、地球温暖化対策という大きな視点で見ますと、新たな再生可能エネルギー事業の創出という仕組みが必要ではないでしょうか。
 本県は、地熱や風力、波力など全国にまさる大きなポテンシャルを持っていると思いますが、必ずしもそのポテンシャルを生かし切っている状況には至っていないのではないかと考えます。
 再生可能エネルギー事業は、地域に新たなビジネスを生み、雇用創出も期待されますが、本県が有するポテンシャルをどう生かし再生可能エネルギー導入を促進していくお考えか伺います。
〇藤澤企画理事兼環境生活部長 再生可能エネルギーの普及に向けた取り組みについてでありますが、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画に掲げる2030年度の再生可能エネルギーの電力自給率65%を目指すためには、再生可能エネルギーのさらなる導入促進を積極的に行う必要がございます。
 再生可能エネルギーの導入につきましては、地球温暖化対策や防災のまちづくりのほか、建設やメンテナンス事業などの雇用拡大による地域振興など多面的な効果をもたらすものであり、本県では、全国的にも優位な風力や地熱などのポテンシャルを活用し、再生可能エネルギーの導入に取り組んでまいりました。
 具体的には、再生可能エネルギー等立地促進資金貸付金事業を実施いたしまして、地元企業が再生可能エネルギーを導入する際に低利の融資を行ってきたほか、地域資源を活用してエネルギー供給体制を構築しようとする市町村などの取り組みを支援しているところでございます。
 今後も引き続き、国及び市町村と連携いたしまして、再生可能エネルギー事業につきまして、許認可等の手続を通じた指導を行うとともに、環境アセスメントを適切に運用しまして、環境との調和に配慮した再生可能エネルギーの導入を図ってまいります。
〇柳村一委員 県が市町村にいろいろな補助をすることはわかりますけれども、県では、再生可能エネルギーの導入において、ポテンシャルがあるにもかかわらず、送電網への接続に制約が生じているという認識がおありのようでありますけれども、この制約について今後どのような対応をとられていくのかお伺いします。
〇藤澤企画理事兼環境生活部長 委員御指摘のように、再生可能エネルギーの導入に当たりましては、電力系統への連系可能量拡大に向けた送電網の増強が不可欠であります。
 このため、現在、送電網の増強のため国が進める新たな送電線の整備費用を発電事業者が共同で負担する手続の早期完了や、既存の送電網の空き容量に一定の条件下で接続を認める日本版コネクト・アンド・マネージの推進などについて、さまざまな機会を捉えて国に対して要望を行ってきたところでございます。
 今後も、市町村や事業者との意見交換などを行いながら、こういった課題解決に向けまして、国に対して働きかけを継続してまいりたいと考えております。
〇柳村一委員 その辺をしっかりやらないと、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画の再生可能エネルギーの自給率65%という最終目標もなかなか達成できないと思いますし、ポテンシャルがあるのであれば、最終目標を65%ではなくて100%、150%にもっと上げられると思いますので、国や電力会社などいろいろなところにもっと強力に働きかけていただきたいと思います。
 再生可能エネルギーを利用するRE100という取り組みがありますけれども、県は県内事業者へどのような取り組みを考えているのかお伺いします。
〇藤澤企画理事兼環境生活部長 脱炭素社会の実現に向けましては、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーによる電力自給率100%を目指す取り組みが極めて重要と考えております。
 雫石町や葛巻町など、再生可能エネルギーによる電力自給率が100%以上であることを公表している自治体もございまして、こうした取り組みが地域や事業者などの自主的な取り組みとして広がっていくことは、パリ協定の目標達成に地域から貢献する観点からも重要であると考えます。
 県といたしましては、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトによる再生可能エネルギーの供給力拡大への取り組みや、温暖化防止いわて県民会議による再生可能エネルギーの導入促進、省エネルギー対策の推進に向けた機運醸成の取り組みなど、引き続き、こういった機会を利用いたしまして普及啓発を図りまして、RE100に向けた機運を醸成してまいりたいと考えております。
〇柳村一委員 地球温暖化対策はさまざまな方向からもっとやっていかないと最終目標には到達しないと思いますので、今後とも取り組みをよろしくお願いいたします。
 ほかに通告していたものは部局審査に回しまして、最後にしますが、知事は、令和3年度当初予算案を命を守る幸福希望予算として、演述の結びに、若者や子供たちに、できるだけよい岩手を継承したいと思いますと述べられました。
 東日本大震災津波から10年、新たなステージを迎える復興やコロナ禍からの未来に向け、命を守り、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを前進させていく知事の決意をお伺いして、質問を終わります。
〇達増知事 世界が大きく変化する中で、岩手県の若者の自発的で積極的な活動が、地域社会の活力となり、岩手県の未来を切り開き、日本、そして世界に影響を与える大きな力になると信じております。
 また、今般の新型コロナウイルス感染症により地方のよさが再認識され、ふるさとづくりにおける大きな転換期を迎えていることから、若者たちが活躍できる社会の実現に向けて、デジタル技術の活用や岩手県のよさを生かした若者の県内定着を推進していくことが重要であります。
 このため、令和3年度当初予算案に盛り込んだ、若者向けの住宅支援、テレワークの導入支援、オンライン事業への対応や、ILC、三つのゾーンプロジェクトの展開、東日本大震災津波の事実と教訓の伝承・発信の強化など、次代を担う若者や子供たちを育み、できるだけよい岩手を継承するための施策を推進し、県民一人一人が希望を持つことのできる希望郷いわてを前進させていきたいと思います。
〇柳村一委員 終わります。(拍手)
〇岩渕誠委員長 質問者席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、佐々木茂光委員。
〔佐々木茂光委員質問者席に着く〕(拍手)
〇佐々木茂光委員 自由民主党の佐々木茂光でございます。
 総括質疑に先立ち、間もなく東日本大震災津波から10年を迎えるわけであります。改めて、犠牲になられた方々に対し哀悼の意をささげるとともに、被災された多くの皆様方に心からのお見舞いを申し上げるところでございます。
 さらには、新型コロナウイルス感染症が日本全国のみならず世界各国で蔓延し、まさに先の見えない中で岩手県の県政が動いております。また、新型コロナウイルス感染症の予防対策もろもろに、献身的にその対応、対策に当たられている方、また医療関係者の皆様方に対し心から敬意を表するとともに、我々も率先してその対策に一緒になって取り組んでいくことを誓いながら質問に入りたいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず最初に、命を守る幸福希望予算の名称についてでありますが、知事はこれまで、年度年度の予算にわかりやすくいろいろな形で名称をつけて県民にアピールしてきたかと思います。そんな中、東日本大震災津波から間もなく丸10年、5、140名のとうとい県民の生命が失われ、被害を受けた沿岸市町村では、その生活基盤であるまちそのものが流出し、その悲嘆の中で、文字どおり一からの復興に官民挙げて取り組んできた10年であります。
 今年度で国の復興・創生期間は終了し、手厚い財政支援のもと進められてきたインフラの復興もおおむね完成し、先日は、県内における災害公営住宅が全戸完成したところでございます。
 令和3年度以降においても、復興の状況に応じた取り組みが必要であることから、国は、第2期復興・創生期間として5年間、心のケア等の被災者支援を初め、復興事業がその役割を全うすることを目指しております。
 かつて知事は、本格復興完遂予算の名称を用い、私もその趣旨について問いただしたところでありますが、復興事業がその役割を全うするという意味では、まさにこれからの5年間が復興の完遂に向けた期間であります。
 そこで、その初年度となる令和3年度に、あえて復興の2文字を外し、命を守る幸福希望予算の名称を付された知事の意図についてお伺いいたします。
〇達増知事 令和3年度当初予算は、新型コロナウイルス感染症対策や東日本大震災津波からの復興を着実に進め、県民の命を守り、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げるお互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを前進させる命を守る幸福希望予算として編成いたしました。
 これは、復興の目指す姿である、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造と、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期すことを命を守るという言葉に込めたものであります。
 本県の新型コロナウイルス感染症対策は、ICAT(いわて感染制御支援チーム)なども含め東日本大震災津波の経験と深く結びついていることから、東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、新型コロナウイルス感染症対策を徹底して、県民の命を守り、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを前進させる考えであります。
〇佐々木茂光委員 これまで知事は、当初の時点から、希望の芽を守り育てる、そしてまた平成22年、平成23年は被災した年でございまして、平成24年度の予算から、いわて復興元年予算、続いて復興加速予算、本格復興推進予算、そして本格復興邁進予算、本格復興完遂予算と、もう既にこの辺で完遂という言葉をそのフレーズの中に取り入れた形で来たわけであります。またここに来て、あえてその二文字を、復興は、いろいろな調査を通してもまだ非常に厳しい状況に置かれていると私は承知しておりますし、まだ厳しいものがありますという文言が新聞報道されているわけでありますが、その辺の現状をどのように捉えているのでしょうか。
〇達増知事 岩手県の予算の名称につきましては、東日本大震災津波の後、県の復興計画のサイクルにも合わせ、最初の3年間、基盤復興期間においては、いわて復興元年予算、いわて復興加速予算、その次の本格復興期間の3年間においては、本格復興推進予算、本格復興邁進予算、本格復興完遂予算と名づけられ、そして、本格復興期間の次につなげる期間という2年間においては、未来につなげる復興ふるさと振興予算、明日への一歩予算、そして、平成元年度当初では新時代スタートダッシュ予算という名前をつけられたわけであります。改めて、新しい県民計画のもと、東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてという基本目標をはっきり共有するため、平成2年度当初は復興幸福希望予算、そして来年度、命を守る幸福希望予算という名前にしたところであります。
 新型コロナウイルス感染症対策をしっかりやりつつも、やはり岩手県の県政は、東日本大震災津波の経験に基づいていなければならないし、引き続き復興に取り組まなければならないという新しい県民計画の基本目標を、改めて県民みんなで共有しながら、目の前の課題に取り組んでいこうという趣旨であります。
〇佐々木茂光委員 確かに知事の言うのもそのとおりでありますけれども、やっぱり復興については、まだやるべきことが残っていますよね。そういった中できちっとやっていくためにわかりやすく県民に発信するがための名前づけだと思うのですが、そういった意味では復興という言葉を、それこそ最後の一人までという言葉を知事も言うわけでありますけれども、そういったところを捕らまえると、やはり復興は何らかの形でタイトルとして、皆さんにもわかってもらえるような名前のつけ方というのがあると思います。
 ことしは節目の年でございます。やっぱり復興という言葉をここで戻したからには、そういった中で、今度は、これから新しいスタートダッシュだという意味ではないわけで、まだ復興の中にあるわけでありますから、その名前のつけ方に私はこだわっているわけではないけれども、あえて名前をつけていくならば、復興という言葉をもう少し残して引っ張っていく必要があるのではないかと思っているわけであります。その辺、知事はどのように認識されておりますか。
〇達増知事 岩手県における東日本大震災津波からの復興は、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造という目指す姿を掲げてこの10年間やってきたということで、改めて、その原点に立ち返りながら、しかしまた、心のケア、新たなコミュニティー形成の支援、主要魚種の不漁問題、そして、新型コロナウイルス感染症関係での消費の減少という影が落ちているなりわいの再生の問題、そこで頑張って前に進んでいくためにも、命を守るという復興の目標であり、かつ原点である言葉を冒頭に掲げた命を守る幸福希望予算を掲げているところであります。
〇佐々木茂光委員 命を守るというのは確かに非常に大切な言葉だと思います。東日本大震災津波で多くの方々が一気に命を守りかねてしまったということは、予算立てしていく上で一つの教訓だと思うのです。
 実際知事は、まだ復興途上であるという意識の中で、既に完遂という言葉を確かに使っています。私が言いたいのは、あのときにそれはちょっと早いのではないか、まだやるべきことがあるでしょうということで余りいい印象を持たなかった一人なのです。
 現状で知事は、確かに今言うように、新たな課題として新型コロナウイルス感染症が日本全国に蔓延している中で、先も見えない我々の生活そのものもどんどん泥沼にささっていくような感じに受けるわけでありますけれども、知事は、今の復興に対する思いをその辺も含めてお話をいただければと思います。
〇達増知事 岩手県の復興計画は、最初の基盤復興期間の3年間、次の本格復興期間の3年間、そして、次につなげる2年間を経て、8年たって、そして、復興計画をいわて県民計画の中の復興プランという形で位置づけようとなったときに、改めて、県民計画全体の基本目標を東日本大震災津波という言葉から始め、東日本大震災津波の経験に基づき、そして、ど真ん中に、引き続き復興に取り組みながらとして、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてと県民計画の基本目標を設定し、そして、同時に復興プランにおいては、最初からずっと続けてきた復興計画の目指す姿を、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造と掲げたわけであります。
 10年を経て、新しい復興のステージに入る、そして、そこでコロナ禍に直面している我々として、改めて東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組むことと、復興とはどういうことかという場合の、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造、これを今までやってきたし、これからもやる、そして、令和3年度においても、コロナ禍と戦いながらしっかりやるのだということを、この命を守る幸福希望予算という言葉に込めているところであります。
 さらに言えば、復興については伝承と発信を強化していく段階に入りますので、とにかく避難する、逃げるということから始まる伝承と発信、そこにも命を守ることの大切さが関係していると思います。
〇佐々木茂光委員 知事は、復興という言葉にはこだわりがありますか。
〇達増知事 被災を受けた人たち、難を逃れた人たちが、それぞれの生活、仕事、学びを取り戻すことができるという、その実態を確保することができれば、それを復興と呼ぶのか何か別の言葉で呼ぶのか、形式的なところについては、そういう実質を確保できるかどうかということと比べればこだわりはないところでありまして、基本は、あくまで被災地、被災者の皆さんが求めていることを実現するというところにこだわっていきたいと思っております。
〇佐々木茂光委員 結局、この10年を一つの区切りとするかどうかは、それぞれ落としどころがあると思うのですけれども、新しい県民計画を立てる前に復興完遂という言葉をどういった意味で使ったのか、私が当時捉えたのは、県民計画の新たな方向づけが定まった中で、これまでの計画が一段落というか、そういう中で復興完遂という言葉をつけたのだろうという考えでいるのです。
 知事は、その復興完遂という言葉をもう既に使っているわけでありますが、そのときの感情的なものは、どのように捉えていたのでしょうか。
〇達増知事 平成26年から平成28年の3年間については、岩手県の復興は、県の復興計画において本格復興期間と位置づけられ、その間、予算で見た復興事業がピークを迎え、まさに本格的な復興がその3年間で集中的に行われると。そのような本格的な復興を計画どおりにやる、おくれないようにしっかり完遂する。本格復興期間に計画されていた事業について、それをきちっとやり切ろうということで、平成28年度の予算について本格復興完遂予算と呼んでいたものであります。
〇佐々木茂光委員 今、その復興もそうですが、被災地がある意味、10年の区切りを迎える迎えないは別にしても、大分風化といった言葉も聞こえてくるのでありますが、かろうじて、復興という言葉が中にあることによって、それを抑えるというか、それを足どめする一つのフレーズではないかと私は捉えているのです。
 逆に言うと、確かに、それなりの復興予算は組まれておりますけれども、予算立ての言葉としての位置づけの中で、あえて復興という言葉が抜けることによって、県民もしくは周辺の関係する人も含めて大分薄れてくるのではないかと思うのです。
 知事は、それとの比較をどのように捉えますか。
〇達増知事 岩手県においては、復興の計画について、引き続きいわて県民計画(2019〜2028)のもとで復興推進プランを掲げているところでありますし、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造という復興の基本、目指す姿についても、機会あるごとに県民の皆さんと共有できるようにしております。
 そして、三陸防災復興プロジェクト2019の成果に基づきながら、岩手県の今後10年についても、県民計画の長期的な取り組みを掲げるプロジェクトの中で、三陸防災復興ゾーンということで、今後10年、三陸沿岸地域は、復興に取り組み、そして、その復興の成果を共有する形で、復興についての感謝を伝える形で全国や世界ともつながっていくというビジョンも示しているところであります。
 そして、何より、今後10年の県の基本計画、総合計画として、東日本大震災津波の経験に基づく、今後10年間の基本目標ですから、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてということで、幸福も希望もひとえに復興に取り組みながらということがあってのものであります。そのような基本目標を県政全体の総合計画に掲げることで、岩手県として復興から一歩も引かない、誰ひとり取り残さないことを示しているところであります。
〇佐々木茂光委員 国はあえて、まだやり残していることもあるし、被災地としてしっかりと国に支援いただかねばならないことがあるというところを酌み入れ、復興・創生期間という形で5年間、復興庁が中心となって支援を受けてくるわけであります。多分私は、その言葉の中に詰まっているという思いが強いから、あえて復興、復興という言葉を出しているのですけれども、知事の、その言葉がなくても当然用足しはできるというのは私も承知します。けれども、この区切りの中で新しいステージ、まだまだやるべきことが残っているわけだから、現段階で、知事は、やり残してきたことを含め、いつぐらいにそれを終わらせたいという何か強いものがございますか。
〇達増知事 私は、復興という言葉を使わないようにしているなどということは全くないわけでありますし、また、つい先ごろも国の復興推進委員会が開かれて、まさに来年度以降の新しい復興・創生期間の5年間の基本的な方針について、岩手県の意見も取り入れてもらって、国全体でも話し合って、日本政府と岩手県との復興に関する考え方を一致させながら取り組んでおります。きのうの朝の日曜討論でも、平沢大臣と私の間のそのような意思の疎通を見ていただければ、本当にアイデアを共有し、考え方をともにしながら取り組んでいると見えるのではないかと思います。
 そして、岩手県としては、復興は、まだ整備が完了していない防潮堤などのハード面については、もう早く終われば終わるに越したことはないということで、できるだけ早く終わらせるよう取り組むわけでありますけれども、心のケア、コミュニティー形成支援などについては、あらかじめ何年で終わらせるというようなやり方ではなくて、ニーズがあれば、そこはいつまでも取り組むのだと。もちろん早く問題が解決し、克服され、ニーズがなくなれば、それに越したことはないのですが、今の時点で、あらかじめいつまでには終わらせるとはできないものと考えております。
〇佐々木茂光委員 そう考えると、確かに事業的には、公共事業や復興事業が進んでいる関係で復興の予算が大分目減りしてきているのは承知しますが、復興としてのやるべきことがある以上、復興を柱にした形での県政運営は、名前をつけるのであれば、復興というのは必ずどこかにくっつけなければならないと私は思うのですが、知事はどうでしょうか。
〇達増知事 令和3年度当初予算を命を守る幸福希望予算と呼んでいる中では、新型コロナウイルス感染症対策という言葉も使っておりません。だからといって、岩手県が令和3年度当初、4月1日以降、新型コロナウイルス感染症対策をやらないのかと言いますと、全くそういうことはないわけであります。新型コロナウイルス感染症対策についても、これはもう一切手を抜かず全力で取り組んでいくという事業内容、予算内容になっております。
 復興についても全く引かない、全力を出していくわけでありますけれども、もし、そのように復興という言葉がなければ、新型コロナウイルス感染症対策という言葉がなければとなっていきますと、県民によっては、子育て支援こそ、令和3年度あるいは県というものが存在する以上、子供が安全に生まれ、すくすくと育っていくことそのものを掲げなければならないのではないかという思いをする人もいるかもしれません。それは、その言葉を入れなければそれが取り扱われないという前提に立てばですけれども。しかし、命を守る幸福希望予算という中に今回提出している予算の事業全てが入っていて、子育て支援も入っていれば、お年寄りの地域で安心して老後の生活を送れるというような内容も入っております。
 復興についても、少なくとも今回の令和3年度予算案の中に盛り込まれた事業、予算分ぐらいは、復興にもきちっと取り組むという意味の命を守る幸福希望予算と御理解いただければと思います。
〇佐々木茂光委員 これで最後にしますけれども、私も被災地から来ているということもありまして、しっかりと県にも、もちろん国にも最後までお世話いただきたいという思いが強いものですから、こういうふうに時間をかなり使ってしまいました。
 いずれ、我々は国にもたびたび出向くわけでありますけれども、そういった中で復興の現状を伝えながら、最後まで何とか御支援をお願いしますということも伝えております。一緒に復興を本当に乗り切る、完遂を目指して我々もやっていかなければならないし、もちろん当局にも最後の最後までしっかりとやっていただきたいと思っております。
 それでは次に、これもまた幸福という言葉の知事の見解なのですが、どうも私とはなかなか合わないこともありまして、幸福というのは、やっぱりトータルなものの捉え方ではないかと思うのです。
 私は新聞の記事で見たのですが、昨年9月に公表されたユニセフの調査レポートによりますと、先進国の将来ある子供の幸福度について、日本は、身体的健康は1位であるのですが、精神的幸福度は38カ国中37位という、ベストもワーストも両面を持った結果だという記事がありました。確かに、この調査を見ただけでも、豊かな環境で健康に生活できても、精神的幸福は最低レベルであり、行政が求める幸福を実現していくことの困難さを如実にあらわしていると感じます。
 知事は常々、岩手県から日本を変えると特に大変大きな声で申されるわけでありますが、この調査等を踏まえ、どのように県民の幸福を高め日本を変えていくおつもりなのか、御見解をお願いしたいと思います。ましてや、幸福というものを掲げているのは、他県にもそういった取り組みをしているものがあるのかどうかというところも、あわせてお願いしたいと思います。
〇達増知事 委員御指摘のユニセフの調査レポートでは、15歳時の生活への満足度や15歳から19歳までの自殺率というような指標を用いて精神的幸福度の順位づけを行っておりますが、これらの指標は、行政として向上や改善を目指すべきものと認識しております。
 いわて県民計画(2019〜2028)では、幸福を目標に取り入れた政策体系のもと、いわて幸福関連指標として、今のユニセフの調査レポートに関係するものとしては、将来の夢や目標を持っている児童生徒の割合や10万人当たりの自殺者数を盛り込んでおり、これら指標の向上に向けた取り組みを展開しております。
 このような本県の政策体系は、昨年の国会で好事例として取り上げられ、政府においても研究が行われており、他県、また市区町村にも幸福を取り入れた政策体系は例があると承知しておりますが、岩手県のやり方については、全国に先駆けた行政のあり方として注目されているところであります。
 今後も、復興の実践で培われた一人一人の幸福を守り育てる姿勢と、つながりを大切にする岩手県の強みを県政全般に広げ、県民の幸福度を高め、日本や世界でなかなか解決できない課題についても、岩手の地で解決を目指すことにより、日本を変えるという姿勢で県政を推進していく考えであります。
〇佐々木茂光委員 すばらしい理念だなと感心します。しかしながら、私は前にもお話ししているのですが、まだ我々は復旧、復興の取り組みの中にいて、言葉がいいか悪いかは別にしても、まだまだ瓦れきの中にいる人に、あなたは幸福ですか、どうですかと言うのはいかがなものかと。幸福というのは、復興がほぼ完遂したというその土俵に乗ったときから、初めてそこに出てくるのではないかと思うのですが、実際、幸福を目指したということで既に動いているわけでありますけれども、その辺、現状で知事はどう捉えていますか。
〇達増知事 いわて県民計画(2019〜2028)で、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてという基本目標を掲げております。その幸福については、幸福を感じるかという趣旨のアンケート調査も行いますけれども、基本的には、いわて幸福関連指標、それは、いわて県民計画(2019〜2028)政策推進プランの巻末に整理してありますが、1、健康・余暇の健康寿命から始まりまして、2、家族・子育て、3、教育と、10の政策分野に沿って、ざっと10ぐらいずつの幸福関連指標がありまして、それらの指標を向上、改善させることが政策のまさに指標になっているわけであります。何か抽象的で漠然とした幸福、あるいは特定の宗教とか思想家とかが言う幸福を押しつけるようなことではありません。
 復興の現場である被災地においても、健康寿命が延びること、自殺者数が減ること、地域包括ケア関連の体制が充実すること、余暇時間がふえること、また、スポーツの実施率、生涯学習に取り組む人の割合がふえることといったことに配慮しながら、復興にも取り組んでいく。
 今は、10ある政策分野の健康・余暇一つのところからしか幸福関連指標の例を出しませんでしたが、今言ったものの10倍ぐらいの関連指標を被災の現場、復興の現場においても向上、改善させるように政策を行っていくということであります。
〇佐々木茂光委員 実は、私の手元に、この間当局から配付になった令和2年度年次レポート、これは県民の幸福感に関する分析部会のものですが、ここに項目とすれば17くらいあり、知事も恐らく目を通していると思うのですけれども、例えば健康状況を聞きますと76.9%、これは満足度、不満足度の数値だと思うのですが、一番最後のほうに行くと地域の歴史・文化があるのですが、ここは5.4%。健康状況が76.9%でそれを結ぶと、その中間が幸福度、満足度のトータルで捉えたときの数字だと思うのです。
 私が思うのは、意識調査する項目の中に、例えば、沿岸地域は医療人材の問題とか、内陸と沿岸との格差などのいろいろな問題があり、そういった項目がこの中に見えないのですが、これは入っているのかその辺をお願いします。
〇八重樫政策企画部長 委員がおっしゃいますトータルなものの捉え方としての幸福ということで、県民の皆さんは健康、子育て、教育、家族といった、それぞれの主観的幸福感というものがもちろんあると思います。
 その県民の実感をどう捉えて県が行う政策評価につなげるかということで、県民意識調査をやらせていただいているわけでございますけれども、先ほど知事からも御紹介いたしました幸福関連指標は、まさに客観的な指標ということで、岩手県の現状を的確に把握するための指標として設定したものでございます。
 それを、先ほど委員がおっしゃったトータルなものの捉え方としての幸福と結びつけるための県民の実感を県民意識調査ではからせていただいております。もちろん県民の実感と幸福感とのギャップがあるものもございますので、その中から課題の検討を行うことで、県民の実感をより重視した評価を行って政策を推進していこうということでございます。
〇佐々木茂光委員 そうなってくると、ここに載っている健康状況、家族関係とか、我々が一番心配なところはそういうところにあるのです。自分が何で飯を食うかというところ、家庭の経済、そういったものがまず安定しなければ、家族との幸せも見つけかねてしまう方々もいるだろうし、どれで満足度が高くなることによって、それがどのように展開されていくかというのは、この調査の項目を見ただけでは見つけられないのでありますが、余りにも細かくし過ぎていると思うのです。
 単発でものを考えていくと、例えば、自然に対して皆さんは幸福ですか、はい、丸。今の皆さんの仕事の環境はどうですか、うーん、三角。そういう組み合わせになっていくと、まとめるほうもそれは一つになりませんね。その意向というものが聞き取れないのではないかと思うのです。
 だから、そのステージに行って初めて幸福という言葉が描けるのではないかと思うのです。その辺を組み合わせて考えてもらえればと思うのですけれども、どうですか。
〇八重樫政策企画部長 県民の実感をはかる際に、委員御指摘のように、それぞれの分野について幸福と感じますかというような聞き方をして、それは広域ごとに差ももちろんありますが、そういったことも参考にしながら政策の立案につなげていく、一方で、委員から先ほど御紹介していただいたとおり、医療であったり子育ての政策について、どれだけ重要だと思いますか、あるいはどれだけ満足していますかという問いもさせていただいて、重要度と満足度から県民のニーズ度をはかって、それを政策につなげるという取り組みもしております。
 まさに、県民の実感もはかりながら、どういった分野、政策に対して県民の皆さんのニーズが高いかということもはかりながら、当初予算編成なり政策立案につなげているところでございます。
〇岩渕誠委員長 佐々木茂光委員の質疑の途中ではありますが、この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
 佐々木茂光委員、御了承願います。

午後2時31分 休 憩

午後2時47分 再 開

〇岩渕誠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇佐々木茂光委員 先ほど政策企画部長からも幸福のアンケートもろもろのとり方ということで説明があったわけでありますけれども、やはりどのステージで、どういう質問があるかということは、その受け手側とすれば状況が違うわけです。例えば、大きくくくっていった場合に、そういった環境が整っているようなところと明らかに環境が整っていないところがあるわけでありまして、その辺を聞き取りした中で整合性を図れるようなまとめ方はどういう手法がそこに入ってくるわけでしょうか。
〇八重樫政策企画部長 県民の幸福度の実感をはかる際に、まさに主観的幸福感ということで、あなたは現在、幸福と感じますかという質問をさせていただいて、それを地域ごとであったり、属性、男女、年齢別に県民5、000人に対して県民意識調査を実施しております。
 先ほど委員から幸福を判断する際に重視する事項は何ですかと御指摘がありましたが、健康を判断する際に重視する事項は、健康状況だと答えた人が一番割合が高くて76.9%、地域の歴史文化を重視すると答えた方が5.4%でしたので、そうした意識もはかった上で、さらに、先ほどお答えした政策の重要度と満足度について、どれだけ重要だと感じますか、あるいは満足していますかと57の政策項目について質問をしてニーズをはかります。
 そこで、我々が持っている幸福関連指標というのは、まさに県民の幸福度を高めるためにその指標を上げていくという客観的な指標なわけですけれども、県民の実感、主観も上げていかなければなりませんので、指標がよくても、県民の意識といいますか、まさにトータルな捉え方が低い場合は、評価を落として、さらに県の施策のどこを強化していかなければならないかというところに、この県民意識調査を使うものでございます。
 確かに、委員が御指摘のとおり、ステージが違うときに質問の仕方で違うのではないかというお話はもちろんございますけれども、県民5、000人に対して行う県民意識調査は、同じ質問をして、地域あるいは属性、年齢でどういった県民の意識がはかられるかということで調査を行っているものでございます。
〇佐々木茂光委員 そうしますと、調査の項目の中から出てくるものを将来的に政策に当て込んでいくという考えの中で進めるということは承知しました。その調査の項目を見ていきますと、例えば、居住環境、家計の状況、わかるところはわかるのですが、これが例えば友人関係、自然環境、人間関係、そういうものは、どういうところに政策として結びつけていくものなのでしょうか。
〇八重樫政策企画部長 幸福を判断する際に重視する事項を県民の皆様にお伺いして、これは毎年度調査を行いますので、経年的にどう変化するかということもはかりながら次年度以降の政策に生かしていくわけですけれども、委員が今見ていただいています令和2年度年次レポートによれば、幸福かどうか判断する際に重視すると回答した項目は、健康状況とか家族状況が特に高い結果となりました。これは前年調査と同じでございましたので、そうした健康であるとか、あるいは家族、子育てといったところに、やはり施策の重点あるいは、そこの幸福関連指標を高めるためにどういう施策を展開するかというところに留意して、令和3年度当初予算の編成に臨んだところであります。
〇佐々木茂光委員 わかりました。
 やっぱりそう考えても、先ほど言ったように、明らかに地域によっては、意外と個人も不便、不都合を感じることもあると思うのです。だから、もう少し具体のものとして踏み込んだ調査も必要ではないかと思うのです。
 調査がもう動き出しているから、いい、悪いは後々の判断になるのでしょうけれども、そういった相手方の置かれている状況も項目の中に組み入れたような形で、心配のないところは心配ない、心配なところは心配だから、それに合わせたような聞き方も必要ではないかと思いますけれども、その辺はどうですか。
〇八重樫政策企画部長 5、000人の県民がどう感じているか意識調査をしておりますが、なぜそう感じるのかというところの変動要因の分析をするために、令和2年から600人の方に対して、パネル調査ということで、もう対象を固定して、その人がどう変動を感じているかという分析をすることも始めております。
 委員から御指摘があった、まさに、どういう質問をするかであるとか、相手の置かれている状況を踏まえて検討すべきだというところは、その意見もきょういただきましたので、次からの意識調査等に反映させていきたいと思います。
〇佐々木茂光委員 それでは次に行きます。今から聞こうとしているのは、東日本大震災津波からの復興ということで、これは、さっきの幸福と予算立ての中で一応組まれてしまっております。そんな中であえて知事に聞きます。去年も同じようなことを聞いておりましたが、知事は、被災地全体として復興をなし遂げたと実感できる状況には至っていないということを去年の同じ総括質疑で答弁されておりました。
 令和3年度当初予算では、ハード事業の減少に伴い、震災分予算は667億円と昨年度から7割減少する中で、知事は記者会見の場で、復興事業の進捗の結果であり、望ましい状況であると、そのようなことに触れながら述べております。
 私は、令和3年度の震災分予算は、おくれているハード整備の完成に向けた取り組みや事業者への貸付金が中心であり、残された事業を淡々と終えるだけの予算になっていないか懸念するものであります。
 知事が昨年答弁された復興をなし遂げたと実感できる状況に近づいたものか、また、その状況に近づくために来年度どのように取り組まれるつもりなのか、あわせてお伺いいたします。
〇達増知事 県では、岩手県東日本大震災津波復興計画やいわて県民計画(2019〜2028)に基づく復興推進プランに沿って復興を進め、計画された復興事業の多くは完了し、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造という復興の目指す姿を実感できる場所や機会がふえてきたと思います。
 この点、復興の実感に関する定点調査でありますいわて復興ウォッチャー調査の直近の調査結果では、生活及び地域経済、安全なまちづくりの全ての調査項目について、回復した、やや回復したと回答のあった割合が前回調査より上昇しております。しかし、今後の生活再建に関する課題や水産業の記録的な不漁及び新型コロナウイルス感染症の影響に関する懸念の声も聞かれています。
 復興の進展に伴って被災地の課題は多様化、複雑化しています。今後の復興をしっかり実感していただくためには、いわて県民計画(2019〜2028)に基づき、三陸地域が、一人一人が生き生きと暮らすことができるふるさとであり続けるように、三陸地域の持続的な成長に向けた施策を展開していくことが重要と考えております。
 令和3年度においては、復興推進プランに掲げる事業と政策推進プランや三陸防災復興ゾーンプロジェクトに基づく事業と連動させながら、新たなステージの復興を進めてまいりたいと思います。
〇佐々木茂光委員 今の知事の新たなステージという表現が、このごろ聞こえてくるのですけれども、新たなステージというのは、さっきも言ったように、ある程度めどがつき、そしてそこが終わる、はい次のステージだぞというのであればわかるのですが、知事はその新たなステージというのはどういうステージを描いているのでしょうか。
〇達増知事 基本的には、来年度の4月1日から始まる国の第2期復興・創生期間をイメージし、新たなステージという言葉を使っております。
〇佐々木茂光委員 そういう意味での新たなステージという捉え方なのですね。わかりました。
 けれども、我々はまだ途上にいるわけです。国のセットしたステージに自分たちが上がっていって新たなステージというのもいかがなものかと思うのですが、自分たちの今の状況の中で、ある意味、そこを飛び越えていますよね。自分たちの今取り組んでいる復興がなし得ない、まだ復興途上にいる中で国のステージに自分たちから飛び込む。それはある意味、これからのことを考えればいいのかもしれないですけれども、新たなステージというのは、私たちの置かれている現状を国が一応示したステージという解釈でいいのですか。
〇達増知事 きのうの日曜討論でも平沢大臣とやりとりしたところでありますけれども、テーマは、復興の新たなステージ、第2期復興・創生期間をどう進めていくか、それに当たっての復興はどこまで進んでいるか、今の課題は何かというような現状の話から始まっていたわけであります。
 新しいステージに入るわけではありますけれども、そこでは、心のケアやコミュニティー支援に引き続き取り組まなければならないこともあり、また、それらは、先ほど述べましたように、被災地の課題が多様化、複雑化しており、より専門家の関与でありますとか、今まで以上に力を入れなければならない部分もあり、そのような現場の実態をきちっと理解した上で、国と自治体が力を合わせて復興を進めていくことができればと考えております。
〇佐々木茂光委員 それでは次に、被災者の心のケアについてお尋ねしたいと思います。
 知事は常々、誰ひとり取り残さない復興を目指し、今後も被災地の心のケア等の必要な取り組みについて継続していく旨、表明されておりますが、震災から10年を迎え、震災に起因する心のケアとそれ以外の要因による心のケアへの対処は、本来異なるものであると私は考えます。
 国の被災者支援総合交付金による財政措置は来年度も継続されますが、私は、沿岸被災地での心のケアについては、非常時から平時の体制として必要な施設整備や医師配置を初めとする医療関係者の確保、市町村における相談体制の整備等を進めていく時期ではないかと認識しております。それらについて、当局としてはどのように取り組む方針か伺います。
〇菊池副知事 県では、東日本大震災津波で被災した方々の精神的な負担の軽減を図るため、岩手医科大学に設置する岩手県こころのケアセンターを中心に、沿岸地域4カ所の地域こころのケアセンターを拠点として、専門的ケアを実施しているところでございます。
 具体的には、身近なところで精神科医など専門職による相談が受けられる震災こころの相談室を沿岸7市町村で開設するとともに、市町村等が行う全戸訪問や特定健診、心の健康調査などの保健事業、地域住民を対象とした心の健康教育や人材育成、健康サロンなど、普及啓発活動への支援を行っているところでございます。
 被災地においては、時間の経過に従って被災者が抱える問題が複雑化、多様化してきており、震災直後からの被災による直接的なストレスに加え、復興の推進に伴う生活環境などの変化が精神的な負担となってきていると思われ、包括的、中長期的な支援が必要であることは認識しているところでございます。
 県といたしましては、限られた医療資源の中、引き続き、現状の相談支援体制を機動的かつ有効に機能させ、被災者一人一人に寄り添った支援を継続するとともに、心の健康についての普及啓発、地域の人材育成を行い、関係機関、団体と連携しながら被災者の心のケアに取り組んでまいります。
〇佐々木茂光委員 被災者の心のケアは、東日本大震災津波が発災したときから取り組んだ事業ということになりますね。そこを確認したいと思います。
〇菊池副知事 被災者の心のケアは、被災者の支援ということで、発災後から取り組んできている事業でございます。
〇佐々木茂光委員 この間、一般質問等で聞いておりますと、相談件数も大分減ってきているということですが、あくまでも被災にかかわる相談ということでいいのでしょうか。
〇菊池副知事 先ほども御答弁しましたとおり、心の問題、心のケアという観点から、被災者のみならず沿岸市町村の方々を見ますと、その要因がどうかという問題よりも、むしろ多様化した悩みの発生が日常化しておりますので、さまざまな面でケアをしていくという考え方については、発災直後以来変わってはおりません。
〇佐々木茂光委員 そうしますと、先ほど知事が言うように、状況が変わってきたという捉え方でいいのですか。
〇菊池副知事 状況が変わっているといいますよりも、直接原因が何かとか、間接原因が何かという問題以前に、心の悩みというのは非常に複雑でございますので、発災以後、全く同じ認識で何らかの心の症状あるいは悩みがある方々にしっかりと寄り添って、ケアを図っていこうということで対応してきているものでございます。
〇佐々木茂光委員 そうすると、復興という言葉の中から今使っているのは被災者心のケアという捉え方ですね。今言うように、相談事も大分多岐にわたっていることから、とりあえず相談は受けているという状況になっているということで承知するのです。そういう意味では、やっぱりステージが変わってきているということだと思うのです。直接的な要因の中で相談に行っているときから、10年になろうとしている中で、やっぱり状況が変わってきているということも考えていきますと、相談のあり方や取り組み方を変えていかなければならないだろうと思うのです。
 復興にかかわる問題というのは、例えば住宅の問題があったり、被災後の生活の問題であったり、まさに原因とすればはっきりしているわけで、それをそのまま、なかなか解決できなくて、当然今もそれを相談しなければならない人がいてもおかしくはないですが、ただ、それを受けるのと、状況が変わりましたという方の相談に乗るというのも、それは違うのではないかと思うのです。
 ましてや国も、そういったところまで少し踏み込んで予算立てをしているようであり、国からの支援もありますが、これが例えば、また状況が変わっていくことによって国の捉え方も変わってくるのではないかと思うのです。国も、その辺までの相談の体制というのはよしとしているものなのですか。
〇菊池副知事 まずもって、心の問題につきましては、何が原因だとか、何かを除去すれば、解決すれば、すぐ克服して健康状態が戻るというものともまた違うと思います。悩んでいる方々にとっては、健康問題だったり生活再建問題だったり、いろいろな問題が複合化していますので、そういったものを一つ一つ丁寧に、しかも心のケアの部分だけではなくて、ほかにもいろいろな相談支援をやっておりますし、市町村もしっかりと悩んでいる方々、困っている方々にさまざまな支援をしています。訪問相談も含め、一生懸命頑張って歩いていただいていると思うのですけれども、そういうトータルな悩みを解決することによって、復興という観点から言えば、真の心の復興に近づけていくという地道な努力が必要だと思います。
 そういう中で、心のケアに関しては、県も、限られた医療資源の中で機動的に対応していくために、先ほど御答弁したような展開をさせていただいておりますし、例えば令和元年度の相談支援件数は7、600件ほどになっておりますが、そのうち新規の相談件数は1、717件ということで、これは委員がおっしゃるようなさまざまな状況の変化の中で、また新たにいろいろ悩みを抱えられ、解決を求めてくるという態様の中で、こころのケアセンターが機能している状況をお示しするとそういうことになります。
 そうしたことで、県は、第2期復興・創生期間においても、心のケアについて継続的に、しかも重点的に対応していただくことで国にもしっかり要望してきておりまして、先ほど知事の平沢大臣とのやりとりの話もありましたが、大臣以下、しっかりと心のケアを継続して、まさに被災地に寄り添った対応を続けていくというお話をいただいておりますので、国に対していろいろな要望するアクションの機会があれば、ぜひ委員にも御協力いただきながら、必要に応じて要望等を展開していけるようなことがあればいいかと思っております。
〇佐々木茂光委員 これはくくりでいくと5年ということになりますが、今のところは、国が全額支援というような形で被災者支援総合交付金の中で運営されているわけでありますけれども、その先はどう考えておりますか。
 震災前は、地元にそれぞれの医療機関があったり、相談体制は、平時においてそれなりに対応していたかと思うのです。やっぱりこれはもう全県を挙げてやっていかなければならないということから、震災以降このような取り組みになってきたわけでありますけれども、国もそこはしっかり支援していくという姿勢は示されているのでありますが、県としてもその後というところまである程度踏み込んで、それがこうなってもこうだよというものをもう築いていかなければならないのではないかと思うのですが、その辺の将来的な考え方はどうでしょうか。
〇菊池副知事 その後といった視野で委員は御指摘されていると思うのですが、まずもって、この5年間の復興・創生期間後においても、国からは、必要に応じて、その経過を見ながら、その次の対応についても考えているという旨のやりとりをさせていただいております。その結果、国の基本方針においてそういう示され方をしておりますので、まさに、誰ひとり取り残さないと申し上げているとおり、被災地の心のケアについては、しっかり国とともに対応していくという基本線でございます。
 そういった基本線の中で、何かあれば、先ほど申し上げたのは、委員にも御協力いただきながら、再三にわたって国を動かしていくようなアクションも必要になるかと思います。
 また、先ほど来、地域において、もともと平時におけるこういった心のケアの対応について御指摘がございますが、現段階において、地域も含めて、県が有する限られた医療資源の中でベストの対応ということで、現在のシステムを動かしていると思っております。これにつきましては、県のみの力ではなかなか早々に解決できる問題ではございませんので、国等といろいろ相談していかなければならない状況が来るかもしれません。
 まずは、現段階で有効に機能していると思っておりますが、現段階のこころのケアセンターを中心として被災者に寄り添った対応をこれからも続けていきたいと考えておりますので、御了解願いたいと思います。
〇佐々木茂光委員 それでは次に、被災地における人口減少対策についてお尋ねいたします。
 東日本大震災津波から10年を経過し、防潮堤、まちづくり等の面的整備の進展等、国の手厚い財政支援のもと、ハードの概成という成果は得られました。
 一方、被災により5、140名のとうとい生命が奪われたことに加え、その後、被災地での急激な人口の社会減、自然減に歯どめがかからない状況が続いております。
 令和2年12月1日時点では、平成23年3月比でマイナス16.5%、約4万5、000人もの大幅な人口減少に見舞われているのが被災地の実態であります。
 高齢化の進展に伴う自然減については政策的に改善することが難しいことは理解しますが、この4万5、000人の減少のうち、半数近い2万1、000人は社会減であります。インフラが整う一方、その受益者であり、その場所に暮らしていく地域振興の柱となる人が大きく減少しているのであります。
 近年、県では国の施策に呼応する形で、関係人口の増加を目指し、全県的に施策を展開してまいりました。被災地である沿岸地域の振興という観点から、これまで取り組んできた人口減少対策は十分であったと考えるのかお伺いいたします。
〇達増知事 沿岸被災地の復興の推進は、よりよい復興、ビルド・バック・ベターの実現に向けて取り組んできたものであり、人口減少対策でもあると考えております。
 県では、東日本大震災津波発災直後より、被災地の一日も早い復興を目指し、復興まちづくりなどの安全の確保、住宅や雇用の確保などの暮らしの再建、水産業、商工業などのなりわいの再生に取り組んでまいりました。
 その結果、これまでの10年間で、復興まちづくりの面整備や災害公営住宅の整備が進み、また、復興道路や海岸保全施設の整備、港湾のガントリークレーンの供用開始やコンテナ定期航路の開設、商業施設や水産加工施設の再開などが進んでおります。
 そうした中、沿岸被災地の平成23年度以降の企業誘致は、食品、物流関連など50件の新設、増設があり、沿岸地域の高校生の昨年12月末現在の県内就職率も72%と伸びています。
 観光客入り込み数についても、新型コロナウイルス感染症の影響はありますが、三陸鉄道リアス線の開通や復興道路等の新しい交通ネットワークの整備により、震災前の水準に回復しつつあります。
 今後とも、沿岸地域の多様な交通ネットワークや港湾機能を活用した企業誘致、産業振興を進めるとともに、復興支援を契機に構築した国内外の多様な主体とのつながりを生かし、移住、定住の促進や交流人口、関係人口の拡大など、地域の特色を生かした持続的で魅力ある地域づくりを進めてまいります。
〇佐々木茂光委員 東日本大震災津波が一つの大きなダメージであったと承知するのですけれども、それに向けた対策は、これまでの10年間取り組んできたわけでありますが、やっぱり復旧、復興を含めていくと、最終的には、そのときよりもいい状態に何とか近づけるのが、本来の姿ではなかったかと思うのです。
 確かにハードの面は、当然我々の目にもはっきり見えるから、ここまで来た、ここまでやったというのがわかりますけれども、まちづくりを立ち上げていく、戻すがために、どれだけの人がそこのまちにいるのか、これからどれだけの人たちがこのまちに来るようになるのか、取り組みがかなり手薄であったのではないかと思うのです。また、その辺に政策的に余り気を置かなくてここまで来てしまったのかと思うのです。
 これは自然減でカウントできるのはわかるけれども、明らかにその時点を差し引いただけでも、それだけの人間が一気に減少したわけであります。この10年間のそれをしっかり補うような取り組み、実際の成果として何か出ておりますか。
〇佐々木ふるさと振興部長 県におきましては、これまで知事から御答弁申し上げたとおり、安全の確保、暮らしの再建、そしてなりわいの再生といった復興の取り組みを推進してまいりました。その後、昨年度でありますが、復興を通じて培ったさまざまなつながり、財産、連携を強化して、持続的な仕組みとして展開するといったことで、多様な魅力を国内外に発信し、支援に対する感謝、復興に向かって歩みを進める地域の姿を多様な交流の活発化により新しい三陸の創造につながる契機とする三陸防災復興プロジェクト2019を実施させていただいております。その中で、18万5、000人を超える方々が来場し、さまざまな三陸の魅力の発信等ができたと思っています。
 こういった取り組みを継続することが大事だと多くの皆さんからも意見をいただいております。今そういった取り組みを継続しておりますし、来年度におきましても、こういった流れ、動きをより強化して取り組みたいと思っております。
 また、答弁の中で、企業誘致と産業振興が大事だということで、企業誘致には今後ともしっかり取り組んでいく中で、若い方々も含め東京圏での地方への関心が高まっております。そういった動きをしっかり捉えながら、岩手県におけるSNSでいわてのわといったものがございます。これを積極的に使って情報発信する、それから、例えば地域協力隊の方々が地域で頑張っていらっしゃいますが、今、昨年度の終了時点で定着率といいますか地元に残っていただける方が70%を超えています。98名の方が今、地域で頑張っていただいております。こういった動きもさらに強化しながら、産業振興を初め、交流人口の強化に努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 やっぱりこれから前に進むといっても、最後は、まちの力にしろ、人の力が一番重要だと思うのです。まして、今度、復興事業が抜けていくことによって、そうなることの前にいかに人を取り戻して、今度は、自分たちが与えられたステージをもとにしてしっかり進んでいくかというのは、最後は人の頭数の問題だと思うのです。
 その辺は、例えば、あと1年後にはこのぐらいに戻す、2年後にはここまで戻すという人口増に向けた目標は立てないで来たのですか。
〇佐々木ふるさと振興部長 地域の振興に関しましては、人口目標といった設定ではなく、いかに地域にかかわる方をふやしていくか、それから、いかに人を呼び込む活動をして人に地域に戻っていただくか、そういった取り組みを重ねてきたということであります。
〇佐々木茂光委員 私はやっぱりそこにも問題があったのではないかと思うのですね。振り返ってみれば、そういうものを目標としてそれぞれ市町村も取り組んでいるわけだから、例えば、ことしはその目標に対してプラスだろうがマイナスだろうが、この検証に常に取り組んだ形で前進していくという方法のほうが、もとはとれるのではないかと思うのです。
 ほかの人たちはどう考えるかわからないけれども、私から言わせれば、時の流れに身を任せではないけれども、そのとき、そのときの状況をとにかく見過ごしているわけですね。肝心かなめの人が少なくなっていくことに対して、どこかで抑え込んで締めていかないと、そのとおり、ふえることはなくなって、ますます減る一方ですよね。やっぱりふやすためにはどうするか、それをもっと具体のものに踏み込んで、それをやるならしっかりとやるという意気込みをそこに入れていかないと、これはまたこのまま行ってしまうのかなという心配があります。
 この対策については、先ほど部長が、こういう取り組みをしっかり進めていきますということも言いましたけれども、さらにそれをもっと強い意思を持って、やるぞというこれからの取り組みを聞かせていただければと思いますがどうですか。
〇佐々木ふるさと振興部長 復興に関しては、まさによりよい復興、ビルド・バック・ベターということで、前にあった形より先の形でみんなで頑張りましょうと多様な分野で復興に取り組んできたと思います。
 そういった取り組みの結果として、人口に対する反映といったものもあるかと思います。人口そのものを目標にすることについては、地域の皆さんが、どういう形でどうかといったまさに振興の姿というものも十分に話をしながら、当然人口の動きというのは注視しなければならないと思いますので、そういった動きも見ながら、地域の振興が図れるように多様な施策を講じていきたいと思います。
〇佐々木茂光委員 それらの政策に対しては、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 それでは次に、東日本大震災津波発災から10年たちました。そして、さらに10年後を見据えた被災地での取り組みでありますが、10年は被災地に活力を取り戻す、まさに人を取り戻す取り組みが柱となっていくべきと私は思っているのでありますが、そういった面で、各種ハードを十二分に活用した産業振興を初めとする県としての大きなビジョン、政策が必要であります。
 知事は、被災地でのこれから10年の取り組みについて、どのような見通しをお持ちでありますかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 岩手県沿岸、三陸地方の今後10年という長期的なあり方は、いわて県民計画(2019〜2028)のプロジェクトの中の三陸防災復興ゾーンプロジェクトに描かれているところでありまして、具体的には三陸防災復興プロジェクト2019のときに実施した三陸防災復興シンポジウム、さまざまな文化事業、岩手県の全市町村が1カ所に集まっての祭り、食の観光への活用、そして、ジオパークの活用など、そうしたビジョンを持ちつつ、令和3年度においては、全国の防災関係者が一堂に会する防災推進国民大会2021、東日本大震災津波伝承館と海外津波博物館との連携による三陸TSUNAMI会議、そして、三陸の豊かな食や食文化を国内外に発信する三陸国際ガストロノミー会議など、三陸防災復興プロジェクト2019からの継続もあれば新しい取り組みもあるというものであります。
 加えて、ワーケーションやテレワークなど新型コロナウイルス感染症対策もまた、地域振興につながるような形で取り組んでいきたいと思います。
〇佐々木茂光委員 それは、そこに書いてあるから読んでもいいよという感じに受け取れたのですけれども、今言った計画をその中に踏み込んで実施していけばこうなるという知事が描いているこの先10年の姿はどのように考えているのかお聞きしたいと思います。
〇達増知事 三陸防災復興プロジェクト2019のコンセプトが、三陸がつながる、全国や世界ともつながるというような内容でありまして、復興道路や三陸鉄道などのインフラで、三陸沿岸が、歴史上初めて実質的に一つになり、どこか1カ所に集まることも、今までよりもはるかにやりやすくなる。そして、それが岩手県の内陸ともつながり、そこからウニを盛岡駅まで持っていって、新幹線で生ウニをいち早く東京に届けるとか、あるいは花巻空港も近くなります。そして、港湾の機能を活用しながら空でも海でも海外とつながっていくことができる。そういう岩手県沿岸で何ができるか、今後10年に向けてどういうビジョンが描けるかということを、まさに三陸防災復興プロジェクト2019で描こうとしたわけであります。
 そういう中から、三陸国際ガストロノミー会議のように、毎年継続していこうというような事業も生まれてきているところでありますし、復興、防災に関するシンポジウムについては、東日本大震災津波伝承館は三陸防災復興プロジェクト2019の後にできまして、新型コロナウイルス感染症の影響がない月は陸前高田市の人口よりも多い人が1カ月当たり訪れる。まさに、これは陸前高田市にとっても、岩手県全体にとっても関係人口、交流人口の一大拠点になっていまして、そこから海外にもつながっていくような会議をしていこうというようなビジョンを持っているところです。
〇佐々木茂光委員 ビジョンというのは計画ではないと思うのです。その計画をやることによって、こういう姿になるぞというのがビジョンではないかと思うのです。そこを実は聞かせていただきたいのです。
 言っていることはわかります。こういう計画を立てると、いずれ岩手県は、10年後にはこういう姿になるというのを、こういう取り組みをします、こういう取り組みをしていきますでしょう。そうでなく、こういう取り組みをすることによってこうなるのだというものを、ビジョンとして私たちは知事の考え方を聞きたいのであります。お願いします。
〇達増知事 10年後の岩手県沿岸、三陸を見据えたビジョンについては、いわて県民計画(2019〜2028)の三陸防災復興ゾーンプロジェクトの中で描いているということは申し上げているとおりであります。計画につきましては、いわて県民計画(2019〜2028)の復興推進プランで2019年から2022年までの4年ごとの計画が決まっておりまして、年度ごとの工程表も書いてあります。したがって、計画がないことはなく、県議会に承認いただいた大変立派な復興計画があるということは申し上げておきます。
〇佐々木茂光委員 まあ、いいです。それはあと家に帰ってよく読むから。ただ、しっかり書いたもの、口で言ったことは大体忘れてしまったり何かするということがあるけれども、記録として残している以上は、それにしっかり取り組む形を残さなければならないと思うのです。それはやっぱりしっかりと足を踏み込んで、腰を入れてやっていただきたいと思います。
 本当に気を許していられないですよ。実際、岩手県を前にすると、今マスクをしているから笑っているのか笑っていないのかわからないからいいけれども、やっぱりもう少し危機感をしっかり持って事に当たっていかないとわからないということを感じます。
 次の質問になりますけれども、今後の公共事業の方向性についてでございますが、令和3年度の当初予算案は、震災対応分を除く通常分の公共事業費は525億円であり、対前年比90%となっている。震災前の平成22年度の公共事業費890億円と比較すると6割程度の水準にとどまっております。これまで復旧、復興を最優先に取り組んできたことにより先送りせざるを得なかった県内の道路整備など社会資本整備に関する要望に対応できていないのではないかと思います。
 さらには、沿岸部は防潮堤、防波堤など災害施設等は整備されたものの、昨年、内閣府から公表された日本海溝・千島海溝沿いの最大クラスの津波等による浸水想定等によると、東日本大震災津波の浸水域を上回る地域もあることから、さらなる対策が必要となる箇所もあります。
 近年、本県に来襲する巨大台風や爆弾低気圧等に備えた対策としても、頻発する自然災害の激甚化に対応した防災、減災の対応も急務であります。そういった中、国の予算動向を踏まえながら、当初予算における公共事業を少なくとも震災前と同程度の水準まで回復させ、着実に社会資本整備の推進を図る必要があると考えます。
 今後、コロナ禍における景気の低迷、地域経済への悪影響の長期化が懸念され、地域経済を支える公共投資の水準を震災前のレベルに引き上げる必要性が高まっております。県は、このようなことについてどのように認識し、どのような方向性で公共事業を実施していくつもりなのか、考えをお伺いいたします。
〇達増知事 令和3年度の当初予算案における通常分の公共事業は減少しておりますが、これは、国の経済対策に連動し、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策への対応分を令和2年度2月補正予算に前倒しで計上したためであり、前倒し分も含めた令和3年度の実行予算では927億円と、相当程度の事業規模を確保しております。
 公共事業については、国費の確保が重要でありますことから、安定的な予算の確保に向けて引き続き国に強く働きかけていくとともに、第2期岩手県国土強靱化地域計画の内容も踏まえて、国の財政措置を有効に活用し、必要な事業を実施してまいります。
〇佐々木茂光委員 次に、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策の成果についてお尋ねいたします。
 防災・減災、国土強靱化の推進、特に国土保全、交通分野についてお伺いいたします。
 国土強靱化基本法第13条に基づく基本計画として、平成28年度から今年度を対象とする岩手県国土強靱化地域計画が策定されました。
 平成28年台風第10号、令和元年台風第19号を初め、たび重なる長雨、そして、この冬の大雪、先日の地震と、東日本大震災津波以降、気象災害の頻発や広域化、激甚化が著しく、広大な県土を有する本県においては、特に、その対策を急ぐ必要があります。
 国では、平成30年から3カ年で国費約3.7兆円を別枠で確保し、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策を推進しております。
 本県にも相当の配分があったわけでありますが、これまで同対策に基づき実施された事業の成果をどのように総括しているのか、また、主な対策実施箇所等についてもあわせてお伺いいたします。
〇八重樫政策企画部長 県では、国の防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策に対応し、総合的な老朽化対策や防災、減災対策などに取り組んできたところであります。岩手県国土強靱化地域計画において、これに関連する産業分野と国土保全・交通分野の指標に対する令和元年度の達成状況を見ると、実績値が80%以上となる指標の割合が約94%となり、計画に掲げる施策の進捗が図られたと考えています。
 また、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策の活用実績は、防災・安全交付金や社会資本整備総合交付金など事業費ベースで約300億円でありまして、気仙川等50河川において、立ち木伐採等の河川環境の整備、県道水沢米里線等18路線25地区において、落石防止等の道路のり面対策、大船渡漁港等5地区において、防波堤の腐食防止等の老朽化対策などに取り組んだところであります。
〇佐々木茂光委員 次に、公共事業の計画的推進に向けた準備状況でありますけれども、その前に、東北地方整備局の公表資料によりますと、本県配分は358億5、500万円と東北6県で最大の配分額となっております。要望に対しての配分額はこれまでの経済対策と比較してどのような結果となったのか、また、この配分結果について、知事はどのように評価されているのかお尋ねいたします。
 また、続けて申し上げますけれども、現時点では、これらの公共事業の計画で推進に向けた準備についてでありますが、その活用に向けた計画の策定、人員確保、国との調整状況についてお伺いいたします。
〇達増知事 近年、激甚化、頻発化する自然災害から県民の生命や財産を守るため、防災、減災対策、インフラの老朽化対策等の取り組みを推進していく必要がありますことから、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策について、対象事業を拡充し、さらに5カ年延長するよう、政府予算要望を初め、さまざまな機会を捉えて国に働きかけてまいりました。
 国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策では、計画期間が5年に延長されたほか、社会インフラの老朽化対策等、新たな対策が追加され、本県に配分された額は、震災後に措置された経済対策の中で最大となっており、国に要望した内容が反映されたものと考えております。
 県といたしましては、この防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の予算を最大限活用し、インフラの老朽化対策やあらゆる主体と協働で行う流域治水対策等を重点的に実施することにより、県民の安全で安心な暮らしの実現につなげてまいります。
〇菊池副知事 公共事業の計画的推進に向けた準備状況などについてという御質問でございました。
 先ほど知事から答弁がありましたように、県では、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の予算を活用し、インフラの老朽化対策や治水対策等を重点的に実施することとしております。
 インフラの老朽化対策といたしましては、岩手県橋梁長寿命化修繕計画などに基づき、早期に対策を実施する必要のある橋梁等につきまして、維持管理体制を確保し修繕を行うこととしております。
 また、治水対策においては、あらゆる関係者が協働し流域全体で治水対策を行う流域治水プロジェクトの策定を、気仙川水系を初めとする5水系で進めることとしておりまして、体制面では、来年度新たに流域治水課長を配置するなど、体制の強化を図ろうとしております。
 また、老朽化対策や治水対策等を重点的、計画的に進めていくためには、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の国費の確保が必要であります。今後におきましても、さまざまな機会を捉え、国に働きかけを行っていく考えであります。
〇佐々木茂光委員 要望している予算づけも合わせて、予想以上にお金がついたと見ているのですけれども、その辺の、いずれ今の話なので、金を余すようなことはないですね。
 最後に知事に聞きます。
〇達増知事 ございません。
〇佐々木茂光委員 しっかり使い切っていただきたいと思います。やるべきところはいっぱいありますので、お願いいたします。ありがとうございました。(拍手)
〇岩渕誠委員長 質問者席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、高橋但馬委員。
〔高橋但馬委員質問者席に着く〕(拍手)
〇高橋但馬委員 いわて新政会の高橋但馬でございます。令和3年度当初予算案に対して総括的な質問をさせていただきます。順番が前後する質問もあると思いますが、御対応をお願いします。
 前半20分は私、後半10分は田村勝則委員が質問いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに、新型コロナウイルス感染症について伺います。
 昨年2月定例会での予算審議におきましては、岩手県ではいまだ新型コロナウイルス感染症の罹患者は発生していない状況にありました。しかし、昨年7月29日に県内初の罹患者が発症し、飲食店や医療機関等ではクラスターが発生、昨日現在の累計罹患者数は555名と東北でも宮城県、青森県、福島県に次ぐ4番目となっております。
 知事に伺います。現在の岩手における新型コロナウイルス感染症の状況をどう分析し、今後、収束へ向けて展開をどうシミュレーションしているのかお示しください。
〇達増知事 岩手県では、新型コロナウイルス感染者が確認された場合、国が定義する濃厚接触者より範囲を広げた検査を実施することにより、早期に感染者を発見し、感染拡大の防止に取り組んでまいりました。
 また、ICAT(いわて感染制御支援チーム)によるクラスター対策や、県庁に設置した入院等搬送調整班における広域かつ重症度に応じた入院調整等により、感染者の急増が抑えられ、医療提供体制が逼迫する状況には至っていないと認識しております。
 一方、国の感染症対策アドバイザリーボードから、全国の新規感染者数は、1月中旬以降減少が継続しているが、2月中旬以降減少スピードが鈍化しており、下げどまる可能性やリバウンドに留意が必要であること、また、変異株については、国内でも感染例が継続的に確認され、現状より急速に拡大するリスクが高いことが指摘されています。
 岩手県も日本の一部でありますので、首都圏など他の地域の感染状況の影響を大きく受けることから、本県独自の収束に向けた見通しを示すことは難しいですが、国全体として新規感染者がゼロに近い状況に収束させることを目指し、新型コロナウイルス感染症対策に取り組むことが重要と考えております。
〇高橋但馬委員 ぜひ、岩手県の状況を県民に対してしっかりと発信していただくことが、県民の安心につながると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止と社会経済活動の両立が必要であると考えます。行動を自粛することで感染拡大を防止できます。しかし、行動を自粛すれば経済活動が鈍り、収入が著しく減少した方は生活ができなくなります。つまり、どちらにも共通しているのは、命を守る行動ということであります。その観点から、感染拡大の防止と社会経済活動について質問させていただきます。
 新型コロナウイルス変異株が世界に広がっています。厚生労働省は、20代から60代の男女4人について、英国で感染が拡大する新型コロナウイルスの変異株への感染を確認したと発表しました。このうち静岡県在住の3人は、英国の滞在歴がなく、海外渡航者との接触歴も確認できていないそうであります。厚生労働省は、国内で感染したと見られるとしており、市中感染が起きた可能性があります。加えて、変異株の感染者数は100人以上と報告されています。
 国立感染症研究所は、空港検疫で見つかった感染者全員にゲノム分子疫学解析体制を整えるとのことで、国内感染者の一部を抽出しゲノム解析を行うようであります。検査できるのは国立感染症研究所と一部の地方衛生研究所であります。岩手県では岩手県環境保健研究センターとなりますが、ゲノム解析についてどのような体制になっているのか伺います。
〇野原保健福祉部長 ゲノム解析についてでありますが、岩手県では、国の通知に基づき、県環境保健研究センターにおいて、変異株の疑いを確認するためのスクリーニング検査の実施体制を整え、令和3年2月から検査を開始しております。令和3年2月末までに47件の検査を実施し、全てにおいて変異株は検出されていないところでございます。
 このスクリーニング検査については、国から陽性例の5%から10%程度抽出し、実施することを求められておりますが、本県としては、当面の間、環境保健研究センターで確認された陽性例については、全例実施することとしております。
 仮に、スクリーニング検査において陽性となった場合は、国立感染症研究所において確認検査を実施いたしまして、変異株のゲノム解析により最終的な判定をすることとなっております。
〇高橋但馬委員 しっかりとそのスクリーニングの結果も県民にわかりやすく伝えることで、安心感につながると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 県内の医療機関でクラスターが発生し、多くの高齢者や基礎疾患のある方が亡くなりました。厚生労働省の対策班は、早期の保健所や県への相談、情報共有を提言していますが、どのような形で情報共有を行ったのでしょうか。
 応援に入った医療従事者が次々に感染する状況を見ると、医療の専門家がなぜ次々と感染してしまうのか不思議に思えてなりません。例えば、マスクの外し方や防護服の脱ぎ方など基本的な動作等の指導が間に合っていたとは思えず、とても各病院での情報共有ができているとは思えません。
 一部の医療機関の感染者は、令和3年1月14日を最後にゼロが続き落ちついたと思っていたのですが、約2週間後に、高齢であるので余り動いて回ることのできない入院患者の方が感染者となりました。
 今回の医療従事者の感染の連鎖について、ICATはどのように分析し、対応していくのかお示しください。
〇野原保健福祉部長 昨年12月の医療機関におけるクラスター事例に関しましては、支援を依頼いたしました厚生労働省のクラスター対策班から、もちこまない、ひろげない、つぶされないの三つの視点で感染対策に関する提言が行われたところであり、昨年12月末に県内の医療機関等に周知したところでございます。
 また、当該医療機関における具体的な感染制御については、ICAT(いわて感染制御支援チーム)が計17回にわたり訪問し支援を行いました。その中で、感染経路については、入院患者及び職員間での飛沫感染や接触感染と推定され、中でも職員の感染対策については、やはり厳密な健康観察、適正な個人防護具の着脱方法の訓練、休憩室等の職員共用スペースの感染防止対策の3点が指摘されたところでございます。
 これらの教訓を踏まえまして、岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会において、高齢者施設等における感染対策の手引きを作成したところでありまして、県では、令和3年2月に医療機関、高齢者施設等に対し通知をしたところでございます。
 今後とも、クラスターの発生した施設には、ICATやいわて医療福祉施設等クラスター制御タスクフォースを派遣するなど、感染拡大防止に努めてまいります。
〇高橋但馬委員 まず、2度クラスターが発生しているわけですから、今後そういうことが起きないように、そして、もし起きたとしても、収束に向けてしっかりとできるようによろしくお願いしたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症対応の病床は、昨年末に全国で約2万7、600床、全体の90万床の3%にとどまっています。全国的に見ると、民間病院で新型コロナウイルス感染症の対応が可能なのは2割弱とのこと。しかし、受け入れ能力のある病院の多くは、既に患者を受け入れています。
 岩手県では、県立病院を中心に対応していると理解していますが、民間病院との連携、すみ分けについて、どのように考えているかお示しください。
〇野原保健福祉部長 県では、新型コロナウイルス感染症の患者が増加した際、県内の感染症指定医療機関のみでは対応が困難となることが予想されたことから、限られた医療資源を効率的に活用しオール岩手で対応するため、岩手県新型コロナウイルス感染症医療体制検討委員会を設置いたしまして、感染状況や患者の重症度に応じた医療を提供できるよう体制を構築してまいりました。
 医療提供体制の構築に当たっては、公立、民間にかかわらず、医療機関の有する機能や、二次医療圏における医療資源の状況などを鑑み、医療機関の役割分担と連携のもと、一般医療と新型コロナウイルス感染症に対応してまいりました。
 これまで県内で感染が確認された患者の入院対応におきましても、民間病院にも大きな役割を担っていただいているところでありまして、引き続き、公立、公的病院と民間病院が、地域において適切な役割分担のもと、県民が安心して療養できる体制構築に努めてまいります。
〇高橋但馬委員 私の知り合いの娘さんは、クラスターが発生した病院の医療従事者でありました。娘さんはPCR検査で陰性でしたので自宅待機をしていたとのことです。しかし、旅館でパートをしている娘さんの母親は濃厚接触者であり、いつ陽性になってもおかしくないため、旅館側は、娘さんの母親に2週間の自宅待機をお願いしたとのことであります。
 県では、医療従事者が新型コロナウイルス感染症の患者に対応するため、また、業務が深夜に及んだ場合や基礎疾患を有する家族等と同居していて帰宅が困難な場合に、宿泊施設を利用した宿泊費について、医療機関に補助を令和2年及び令和3年度に計上しています。令和2年度の予算額1億1、790万円に対し、執行額は2月末時点で4、068万7、000円と約3分の1となっています。
 先ほどの例のように、病院側にも周知されていないために交付決定額が少ないと考えられるが、どのように分析をしているのかお示しください。
〇野原保健福祉部長 医療従事者への宿泊費補助事業についてでありますが、この事業の予算計上に当たりましては、国が示す流行シナリオに基づきまして感染拡大のピークを想定いたしまして患者推計を行い、新型コロナウイルス感染症入院医療機関や帰国者・接触者外来、地域外来・検査センター等の医療従事者が、感染が拡大した状況においても十分活用できるよう予算を確保したところでございます。
 この制度の周知につきましては、要綱の送付のほか、個別の医療機関に対しましても、直接電話等によりまして説明に努めたところでございます。
 執行額が3分の1程度にとどまっている理由といたしましては、本県の1週間の人口10万人当たりの新規感染者数が全国と比べて低位で推移しているところであり、医療提供体制が逼迫する状況でもなく、感染状況がフェーズ2にとどまったことが大きな背景としてあると考えております。
 令和3年度当初予算案におきましても、必要な経費を計上しておりまして、医療従事者が安心して患者への対応ができるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 実際のところ、そこの病院が使っていなかったのは、伝わっていなかったと私は理解するのですけれども、ぜひとも周知を改めてお願いしたいと思います。
 県内のクラスター発生状況の資料をいただきました。職場4件、飲食店3件、医療施設2件、高齢者施設1件、学校1件、その他5件の計16件となっています。職場の件数が多いのですが、クラスターでも20人を超えることはなく、医療機関では2件ながら118人と、医療施設でのクラスターをいかに起こしていけないかがうかがえます。
 また、東京都へ行って例えば友人と飲食店に行ったであるとか、職場で仕事をしていたであるとか、遊戯施設に行ったであるとか、感染した行動パターンに分けて県民にわかりやすく示すことで、どのような場所に行くとクラスターが起きやすいか、どういう行動が高い感染リスクとなるのか理解してもらうことが重要だと考えますが、県の見解をお知らせください。
〇野原保健福祉部長 県では、県民に対しまして、三つの密の回避、マスクの着用、丁寧な手洗いの励行等の基本的な感染対策に加え、国の新型コロナウイルス感染症対策分科会より示されました感染リスクが高まる飲食を伴う懇親会、マスクなしでの会話、狭い室内での共同生活など5つの場面についても回避するよう呼びかけてきたところであります。
 また、県内の感染者の感染経路や疫学的な特徴については、積極的疫学調査により得られた情報をもとに現在分析中でございますが、クラスターについては、委員から御紹介いただきましたとおり、これまで16件確認されておりまして、大きなクラスターが確認された医療機関を除きますと、職場、飲食店、家庭での感染が多く、共同生活、飲食、密な環境の共有といった機会に感染していることが示唆されております。
 県としても、新型コロナウイルス感染症を予防するためには、県民お一人お一人に、こうした特徴をよく理解していただき、適切な感染対策を行っていただくことが重要と考えておりまして、引き続き、適時適切な情報発信に努めてまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 岩手県は、現在ステージIIであり、具体的には行動抑制はありません。先日、岩手県飲食業生活衛生同業組合等4団体のヒアリングを行いました。夜のまちは閑散としており、店舗独自で時短営業をしている状況であります。飲食業の現状は、お察しのとおり、かなり厳しい状況です。
 11月の大型クラスター発生前は、あの業種はいいけれども、あの業種はだめというようなところも散見されましたが、クラスター以降は総じて厳しい状況に陥りました。特に最盛期である12月に売り上げを失ったので、取り返しのつかない状況になってしまいました。年末に自治体の追加家賃支援金があり多少助かった面もあったと思いますが、厳しいことに変わりはありません。さまざまな給付金や雇用調整助成金をいただいておりますが、そろそろ限界が迫っているのではないかと考えています。
 都市部では、緊急事態宣言に伴い、飲食業に対し時短要請をし、一律6万円の補助金を出しています。新型コロナウイルス感染症対策に地方創生臨時交付金における協力要請推進枠の運用拡大によって、1日当たりの協力金額は、緊急事態措置を実施すべき区域6万円、それ以外の都道府県は4万円掛ける要請日数ということで、協力金額の8割まで国が負担してくれます。
 ヒアリングによると、実際に来店者がなくて実質時短営業せざるを得ない状況なのに、時短営業の要請がないため協力金が入らないと嘆いている状況にありました。国に確認すると、時短営業の要請に関しては、各都道府県の基準ということでした。
 県では、都市部における緊急事態宣言が発出された際に、県内の飲食業に対し、時短営業を要請し、協力金を飲食店に支出するといった迅速な対応が必要ではなかったのではないかと思いますが、見解をお示しください。
〇野原保健福祉部長 飲食業への時短営業の要請につきましては、国の基本的対処方針において、感染拡大の傾向が見られる場合に、地域における感染状況や公衆衛生体制、医療提供体制への負荷の状況について十分把握、分析を行った上で、蔓延防止の観点から実施することとされております。
 緊急事態宣言が発令された本年1月8日時点の本県の感染状況については、本年1月1日から7日までの1週間の10万人当たりの新規感染者数が全国最少の1.6人を記録するなど、飲食業への時短営業の要請を行っていた都道府県と比べて非常に低位で推移していたこともございまして、医療提供体制が直ちに逼迫する状況ではないことから、飲食業への時短営業の要請が必要な状況ではないと判断したものでございます。
〇高橋但馬委員 確かに厳しい状況ではあったと思うのですけれども、正直、飲食店は、やっぱり県民性の生真面目な部分でみずから自粛していた分もあるので、その辺も十分考慮していただきたいと考えているところであります。
 昨年11月の飲食店でのクラスターは、不幸にも、公務員と医療関係者が多く罹患したことにより、飲食業を支えるお客様の2大勢力が一気に萎縮、自粛に入ったため、市場が一気に冷え込みました。これは、今も申しましたが、自粛もさることながら、市民性なのか県民性なのか、生真面目というものも如実にあらわしていると思います。ただ、そんなことで喜んでいる場合ではありません。実情はかなり厳しく、今年1月に入ってからは、撤退やら閉店、売却等の話が多く表に出てき始めました。
 私は、そろそろ感染症対策をしつつも経済を回しませんかと行政が主体となって動いてほしいと考えています。例えば、飲食店に行って、宴会は無理でも、1杯のビールと1品のつまみ程度をさくっと飲んで帰る、そのような行動を多くの人にしてもらえば、ちりも積もればではないですけれども、少しずついい機運になっていくと思われます。恐らくクレームをつける人がいるでしょう。ですが、経済を回さなかったら岩手県は終わってしまいます。先ほども申し上げましたが、これも命を守る行動だと考えます。
 私は、これらの機運を高めていくのは、行政の仕事だと思います。補助金だけではなく、できるだけ経済活動が普通に行われるような仕組み、仕掛けをぜひともお願いしたいと思いますが、知事の考えをお知らせください。
〇達増知事 県ではこれまで、本県独自の感染拡大防止アプリもしサポ岩手に登録している約2、200施設のホームページでの発信や、事業者が感染症対策の実行を宣言する感染症対策実行宣言ステッカーやポスターの配布、生産者や小売業者、飲食店などと連携しイベントや情報発信により県産品の消費を働きかける、買うなら岩手のもの運動の展開などに取り組んでまいりました。
 加えて、国においては、いわてGoToイートキャンペーンに参加している飲食店のホームページでの紹介、商工関係団体においては、テークアウトメニューを取り扱う飲食店のホームページでの紹介や、QRコード決済サービスを活用したポイント還元などに取り組んでいます。
 現在、岩手県の感染状況はステージIIIには当たらず、特別な制限を必要とする状況にはなく、県民には、今述べたような取り組みなどを参考として消費活動を行っていただきたいと考えております。
〇高橋但馬委員 ぜひとも、知事からの発信をよろしくお願いしたいと思います。
 一部解除されていますが、10都府県への緊急事態宣言が令和3年3月7日まで一度発出されました。その影響で県内の宿泊施設も休業を余儀なくされているところもあります。今回の新型コロナウイルス感染症の影響で数億円の借金をしている施設もあり、実際に切実なところまで来ており、存続問題になってきております。
 銀行は、明らかに返せない状況であれば融資をしてくれません。私がヒアリングを行った各宿泊施設が口をそろえて県にお願いしたいのが、地域割クーポンの発券でありました。需要喚起が本当に助かったようであります。国はGoToトラベル事業単独で1兆4、000億円の予算を用意していますが、いつ再開されるかは不透明となっております。盛岡市の中心街の状況と同様、旅行に行って感染したら、生真面目な県民性から、また必要以上に自粛してしまいます。
 例えば知事が、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の充当残額を活用し、地元割の予算をこれだけ確保していて、ステージIIからステージIになったら地元割クーポンを発行します、もしくは市町村の実施する宿泊割引に助成をしますとの明確なメッセージを発信することで、苦しいながらも施設のほうも我慢できるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 県の宿泊割引については、国のGoToトラベル事業に関し、赤羽国土交通大臣が、令和3年2月26日の衆議院予算委員会分科会で、緊急事態宣言の解除後、すぐに再開することにはならない、感染がおさまっている県内やブロック内で始め、状況が整い次第、本格再開できたらいいとの考えを示したと報道されているところであります。
 全国知事会において、私から、地域の実情を踏まえて、県単独あるいは東北のようなブロック単位でのGoToトラベル事業の再開を求める発言をしたところであり、全国知事会では、感染が落ちついている地域の宿泊施設をその地域の住民が利用する場合など段階的に再開するなど、感染状況に応じつつ、適切かつ弾力的に運用するよう国へ提言したところであります。
 県としては、国のGoToトラベル事業の再開時期や対象地域などの制度設計を見きわめるとともに、今後の感染状況を踏まえながら、必要に応じて支援策を検討してまいります。
 県では、宿泊業や飲食業を初めとした県内の中小企業者に対する県独自の支援策として、1店舗当たり40万円の支援金を支給することとしており、引き続き、宿泊事業者を支援してまいります。
〇高橋但馬委員 飲食店と宿泊事業者を比べると、やはり規模が違うものですから、一律40万円というのも、ありがたいのですけれども、また新たな別の支援も県で考えていただきたいと考えております。
 令和2年度の観光宿泊施設等への支援で、地元割クーポン2、000円の発行予定枚数は20万枚、発行枚数16万2、000枚、利用実績9万6、000枚、利用率59.3%。4号補正の地元割クーポンの3、000円は、発行枚数15万枚で、利用実績7万1、000枚、利用率47.3%です。
 利用されたクーポンは観光宿泊施設を助けました。しかし、今回の事業の大きな問題は、令和2年度一般会計補正予算第3号の事業の課題や反省を生かされないまま、令和2年度一般会計補正予算第4号の地元割の事業に全くの改善がないまま継続されていることだと思いますが、どのような検証を行ったのかお示し願います。
〇保副知事 まず、令和2年度一般会計補正予算第3号で実施いたしました泊まるなら地元割クーポンは、令和2年7月18日から9月30日までの間、1泊当たりの助成額を2、000円といたしまして、このときは、いろいろなやり方を検討いたしましたが、利用者の応募のしやすさ、利用しやすさ、宿泊事業者のさまざまな負担の軽減、それから、早く実施できるというようなことを考えまして、クーポン形式といたしまして、はがきでの申し込みといった形で実施いたしました。このやり方はよかったのではないかということで、やり方自体は、令和2年度一般会計補正予算第4号でもその利便性を維持して継続するという判断としたものであります。
 検証ということですけれども、令和2年9月までのクーポンについては、宿泊事業者の皆さんや利用者から、1泊当たりの助成額が他県に比較して低い、1人当たりの応募枚数の上限が3枚というのは少ないという意見が非常に多かったということで、令和2年度一般会計補正予算第4号におきまして令和2年10月1日から開始した助成につきましては、1泊当たりを3、000円に増額、そして、1人当たりの応募枚数の上限を10枚という形での改善を図ったということでございます。
〇高橋但馬委員 結局、はがきにしたことで早くできる部分はあったと思うのですけれども、実際に消化できなかった利用者に対して、改めて使ってくださいという連絡を入れることが厳しかったのだと思うのです。
 例えば、5、000円のクーポンを1、000円で買ってもらうと、自分のお金をそこで使っているわけですから、やっぱり使わないとと思うはずなのですが、往復はがきの金額だけなので、早目に取得したいと思うのですけれども、全部消化するという意識になっていないと思うのです。その辺はどうですか。
〇保副知事 確かに、今、委員お話のとおり、応募の枚数は結構あったのです。令和2年度一般会計補正予算第3号の場合ですと応募の段階で81%です。令和2年度一般会計補正予算第4号の場合は、100%を超える申し込みもあったということであります。
 自前の分をどれだけやるかとか、設計上、さまざま工夫しなければならない面があるわけですけれども、この令和2年度一般会計補正予算第3号補正から令和2年度一般会計補正予算第4号にかけては、その分の検討はなしのままでやったということであります。
〇高橋但馬委員 県議会の商工建設委員会でも、この事業の多額の事務経費1.9億円に問題があると委員からも問題提起がされたと思います。実際の利用枚数に応じた事務経費の減額がなされるのでしょうか。
 いただいた進捗経過から、大変残念ですが、約5億円もの予算額が未消化に終わるということになります。新型コロナウイルス感染症の感染拡大という環境下ではありますが、進捗経過に柔軟に対応した別手法での観光宿泊施設事業者への追加施策の検討はできなかったか、また、残予算の使途については新型コロナウイルス感染症対策に使われるとのことですが、経済対策で消化できなかった予算は経済対策に使うべきだと思いますが、どうでしょうか。
〇保副知事 今回の宿泊助成制度の業務委託に係る事務経費ですけれども、主に事務局の人件費などの固定費、それから東北6県及び新潟県でのプロモーション費用、クーポン発行に係る印刷費といったものであります。
 事務局をつくるということでございまして、実績はこれから精算ということになるわけですけれども、どうしても人がそこに張りつく、また、事務所の借り上げとか印刷とかプロモーションといった体制を組むということで必要な額でございますので、大きな減額はないものと見込まれております。
 それから、経済対策で使った分の残予算の使い方のですけれども、先日可決いただきました40万円の給付金ですが、これらは、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を財源にしております。これも地方においてどういうものに充てるかということにつきましては、そのときの必要性に応じまして、もともと措置していた費目に限定することなく、例えば医療のほうで余裕があると思えば、それを経済のほうに回すといったような使い方もできるものでございます。その時々の必要性、有効性を検討した上で活用を図るということです。
 この40万円の給付の事業費は約32億円ですけれども、クーポン券等の執行残約9億円、そのほか中小企業の感染症対策補助などを行う地域企業経営継続支援事業費補助の執行残約18億円などを集めてきまして活用したということになっております。
〇岩渕誠委員長 高橋但馬委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際10分間ほど休憩いたします。
 高橋但馬委員、御了承願います。

午後4時18分 休 憩

午後4時33分 再 開

〇岩渕誠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。高橋但馬委員。
〇高橋但馬委員 岩手県の令和2年産と令和3年産主食用米の生産目安を対比しますと、生産面積で4万8、352ヘクタールから4万6、961ヘクタールと1、391ヘクタール減少しております。生産数量で25万9、554トンから25万2、945トンと6、609トンの減少と大変厳しい状況になっております。
 国の第3次補正予算で措置された10アール当たり4万円が野菜などの高収益作物に交付される新市場開拓に向けた水田リノベーション事業や、令和3年度当初予算で措置されている飼料用米への交付金も、今回の見直しで自然災害等の場合の特例措置として標準単収以上の収量が確実であれば、10アール当たり8万円が交付されます。
 国と県とが足並みをそろえて水田のフル活用に取り組む必要があると考えますが、水田農業の高収益化へ向けて、県としての方針をお示しください。
〇保副知事 大幅に主食用米からの転換が必要だという状況を受けまして、県では、令和3年度、新規に水田フル活用農業高度化プロジェクト事業を実施したいと考えております。これは、主食用米から高収益な野菜のほか、飼料用米等への作付転換に対して補助するものでありますが、特に飼料用米につきましては、国が県独自の補助に同額を加算する仕組みであるため、国の助成を合わせますと、主食用米の収入額と同等の水準になるものと見込んでおります。
 また、転作作物として、輸出用米や大豆などを生産する場合にも国からの助成がありますが、この助成を受けるためには、直播栽培や肥料の低減につながる土づくりなど、生産者による低コストの取り組みが要件とされておりますので、できるだけこうした事業も導入できますように、農業改良普及センターが生産者の取り組みをきめ細やかに支援することとしております。
〇高橋但馬委員 ぜひ、稼げる農業への支援をお願いしたいと思います。
 次に、日本スポーツマスターズ2022開催準備費について伺います。
 令和3年度当初予算案に、日本スポーツマスターズ2022開催準備費として約600万円が計上されています。この大会の特徴としては、競技種目ごとに参加資格が設定されているのですが、全日本の選手として活躍したトップアスリートと、それぞれの地域において地道な練習を重ねてきた選手が、同じ大会で日本一を争うことが可能な大会であり、参加人員約8、000人と聞いております。
 県では、公益財団法人日本スポーツ協会からの要請を受け、これを受託したものと承知していますが、この大会の実施における事業目的と見込まれる効果をどのように考えているのか、また、経済波及効果をどの程度見込んでいるのか、あわせてお伺いします。
〇保副知事 委員から御紹介のありました日本スポーツマスターズ2022岩手大会は、令和4年9月に開催の予定でございます。これは、かつて世界、日本で活躍した選手と、地元のランナーなどのアスリートが、ともに競い合いながらスポーツに親しむということで、スポーツのより一層の推進を図り、あわせて生きがいのある社会の形成と健全な心身の維持、向上に寄与することを目的に開催されるものでございます。
 委員からもお話がありましたが、県内外から約8、000名の選手、監督などと、そのほかに約9、000名の競技役員等が一堂に会するということで、シニア世代のアスリートの交流はもちろん、食、観光等の本県の魅力を存分に体験いただく、あるいは被災地の復興に取り組んでいる姿をごらんいただく絶好の機会であると考えております。
 経済波及効果につきましては、日本スポーツ協会によれば、1大会当たりの平均で約7億5、900万円の経済波及効果があるとされております。
〇高橋但馬委員 ぜひとも、スポーツの交流と人口をふやすためにも、県としてもしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次に、もう一つ、特別国民体育大会冬季大会スキー競技開催準備費について伺います。
 令和3年度当初予算案に特別国民体育大会冬季大会スキー競技会開催準備費として約4、800万円が計上されています。その内容は、県実行委員会準備、運営費、競技用機器整備費及び八幡平市矢神飛躍台へ整備するクーリングシステムの設計費補助であると伺っています。
 クーリングシステムは、スタートから踏み切りまでの滑走面にレールを敷き、冷却する装置であり、天候に左右されずジャンプ競技が可能になるものと聞いております。
 近年は、温暖化がより一層進み、競技実施への影響も懸念されていることから、競技者への安全性、競技会としての公平性の確保について、どのように考えているのか伺います。
 また、全国的にも導入例が少ないクーリングシステムの設置により、各種スキー大会の誘致も可能となってくるが、県として、スキーを通じた地域活性化にどのように取り組んでいくのか伺います。
〇保副知事 今、委員からもお話がありましたスキージャンプ競技の会場となります矢神飛躍台は、現在は手作業で滑走面の整備を行っているところですが、競技団体等からは、気温の上昇による氷の融解などにより滑走面にコンディションの差が出て、これが、ひいては競技者の間の不公平につながるといったようなお話があったところです。
 飛距離と助走技術は非常に繊細なものがありまして、滑走面の変化は、選手の安全性や競技の公平性に直接大きな影響を及ぼします。
 このため、滑走面の環境を一定に保つことができるクーリングシステムを導入することにより、今申し上げたような課題が解決できると考えており、参加する選手にはいかんなく実力を発揮していただけるということでございます。
 こうしたクーリングシステムを整備することで、全国大会あるいは国際大会に出場する選手にとっては、このシステムがあることが前提になっていまして、このことから、本県で大規模な大会ですとか合宿の誘致ができること、スキージャンプ競技の拠点になること、あるいは交流人口の拡大に寄与ということが考えられます。
 このことから、こうしたことを売りにして、さまざまな大会の誘致ですとか合宿などを積極的に取り込むことを進めてまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 ぜひとも、そういうシステムを導入するわけですから、全国からの誘致に力を入れていただきたいと思います。
 次に、いわての学び希望基金の今後の活用について伺います。
 いわての学び希望基金は、東日本大震災津波により著しい被害を受けた子供たちの修学支援、教育の充実を行うために設立したものと認識しており、令和2年度末の基金残高は約67億円となっています。
 県では、震災遺児、孤児を含む被災地の子供たちを支援する事業として約69億円を見込んでいると聞いており、現時点で2億円ほど不足となっています。一方、基金の積立額と取り崩し額を見ますと、直近5年間の取り崩し額の平均は約5億円、令和2年度の積立金、いわゆる寄附金は、これまでの最少となる約2億8、000万円となっています。
 被災から10年が過ぎ、被災地の子供たちも成長し、支援する内容も変わっていくものと思いますが、基金残高等を見据えるなど、今後のいわての学び希望基金の活用方針について県の所見を伺います。
〇大槻復興局長 いわての学び希望基金の今後の活用についてでございますが、この基金は、東日本大震災津波により大きな被害を受けた子供たちの修学の支援、教育の充実等のため、御寄附をいただいた方々の御意思などに沿って、平成23年に条例により設置したものでございます。
 これまで、基金の中心事業であります遺児、孤児への奨学金給付事業のほか、沿岸被災地の小中学生のラグビーワールドカップ2019岩手釜石開催への招待、それから、県内小中学校における復興教育の副読本の作成などにも活用させていただいてきたところでございます。
 令和2年度末の基金残高見込みにつきましては約67億2、000万円でございまして、今後見込まれる活用額が震災による遺児、孤児が大学院を修了する令和17年度までの奨学金給付や教科書等購入費用の給付、それから通学定期券の購入補助など、これらを合わせますと約69億6、000万円となっております。今後も寄附いただけるものですから、今後の寄附額も勘案いたしまして、寄附総額の9割強が現行事業に充当される見込みと考えております。
 今後の寄附額の動向によりまして基金残高に若干の余裕が生じる場合でありましても、御寄附をいただいた方々の御意向を十分に尊重するとすれば、一義的には被災地の子供たちの修学支援とか復興教育に関連した事業に活用すべきものと考えておりまして、そうした事業を中心に有効活用させていただきたいと考えております。
〇高橋但馬委員 10年がたつわけですけれども、引き続き、そういう形で見守っていく必要もあると思いますので、よろしくお願いいたします。
 最後に知事に伺います。新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、多くの観光地で大きな打撃を受けました。そして、東北デスティネーションキャンペーンの開催が2021年4月1日から9月30日まで、東北6県で6カ月の開催は初めての取り組みであります。JR6社と東北6県の自治体や観光関係者が一体となって行う大型の観光キャンペーンです。
 東日本大震災津波から10年の節目に開催と、ウィズコロナの中、岩手県としてどのようにかかわっていくのか、また、県内市町村との連携についてもお知らせください。
〇達増知事 東北デスティネーションキャンペーンにおいては、東北が一体となって、復興に向かう姿やこれまでの国内外からの支援に対する感謝の気持ちを伝えるとともに、本県の二つの国立公園などの雄大な自然、世界文化遺産に代表される歴史文化、地域ならではの多彩な食文化など、世界に誇る岩手の魅力と東北各県の魅力を組み合わせ、テーマ性のある広域周遊観光を促進し、本県を含め東北全体の誘客拡大につなげてまいります。
 また、市町村との連携については、市町村など地域が主体となって磨き上げてきた観光コンテンツの情報発信や付加価値の高い旅行商品の販売を促進するとともに、市町村と一体となって、質の高いサービスやおもてなしを提供し、旅行者の満足度を高め、岩手ファンをふやし、リピーター化を促進してまいります。
〇高橋但馬委員 このデスティネーションキャンペーンは、新年度が始まるのと同時にスタートするものでありまして、プラスとして言えるのが、このデスティネーションキャンペーンが終わった後の冬季に向けての観光キャンペーンにつなげる必要があると思うのですけれども、その辺は、知事はどのように考えておりますか。
〇達増知事 冬季につなげていくというのが、岩手県にとっても東北全体にとっても重要でありますので、キャンペーンの期間中にも、秋から冬にもつながっていくようなPRをしていきたいと思います。
〇高橋但馬委員 先ほども出たのですけれども、一部の自治体では緊急事態宣言が延長されましたが、フェーズの低い東北6県で、私は、ぜひともGoToトラベル事業を再開してもらいたいと思いますけれども、知事から国に要望を上げることは可能なのでしょうか。
〇達増知事 令和3年2月27日の全国知事会で、私から、地域の実情を踏まえ、県単独あるいは東北のようなブロック単位でのGoToトラベル事業の再開を求める発言をしたところでありまして、全国知事会としても、そのような趣旨で国に提言をしているところでありますので、機会を捉えて、私からもそのような国への働きかけをしていきたいと思います。
〇高橋但馬委員 そして、東北デスティネーションキャンペーンでさらに交流を深めるために、新型コロナウイルス感染症対応地方創生交付金を活用した地元割チケットをぜひともやってもらいたいと考えているのですけれども、最後にこれを聞いて、終わりたいと思います。
〇達増知事 東日本大震災津波からの復興というテーマもありますし、復興五輪で東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が行われるときのこのデスティネーションキャンペーン in 東北でありますので、GoToトラベル事業についても、東北ということに最大限の配慮をし、先ほど述べたような趣旨からも、まず東北での東北デスティネーションキャンペーン成功のためのGoToトラベル事業再開ということを求めていきたいと思います。
〇高橋但馬委員 終わります。(拍手)
〇岩渕誠委員長 質問者席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、田村勝則委員。
〔田村勝則委員質問者席に着く〕(拍手)
〇田村勝則委員 会派の皆さんの敬老の精神により総括質疑の機会をいただきました。感謝を申し上げます。
 間もなく東日本大震災津波から10年を迎えます。私も山田町で生まれ育った者の一人として感慨深いものがあります。当時、私は紫波町から3月だけで延べ14回沿岸を往復したわけでありますが、ガソリンがないということで、神社の役員から重機の軽油を分けていただいて往復したということでありました。ふるさとの風景が失われるというのはこのことかと、本当に愕然とした思いを今も鮮明に覚えております。多くの親戚、幼なじみも亡くしました。改めて、犠牲に遭われた方々の御冥福をお祈り申し上げるものであります。
 かつて、国民を大御宝と称し、皇室においては、国民に慈しみの心を持って寄り添うことを伝統としてきました。この麗しい国柄のもと、先ごろ天皇皇后両陛下には、我が岩手県の被災地にオンラインでお見舞いを賜りました。本当にありがたいことと私は感じております。
 前置きが長くなりました。本題に入ります。命を守る幸福希望予算について、私なりの視点から質問いたします。
 かつて、21世紀は人財の時代と言った方がおります。ジンザイのザイの字は財と書き、先人を含め人は資産、財産であるという捉え方が人財と私は理解しております。
 そこで、まず、県の魅力発信に伴う広報戦略について、これまでの成果と新年度予算についてお聞きいたします。
 初代岩手県立大学学長の西澤潤一氏は著書で、岩手県は日本人の心のふるさとであると書いておられます。岩手県のイメージアップを図り、交流人口や岩手ファンの拡大につなげるため、本県では、動画による魅力発信事業が展開されております。特に、村上弘明氏を起用した動画は、食、自然、歴史など多岐にわたり、広く国民や世界の人々に岩手県の魅力を発信し続けており、評価するものであります。
 中でも、これまで、原敬、田中舘愛橘、後藤新平と第3話までつくられてきた偉人局の動画は、最新の集計で合計約35万回と県が作成した動画の中では群を抜いて高い再生回数となっております。この偉人局の成果について改めてお伺いいたします。
〇八重樫政策企画部長 偉人局は、平成26年度から岩手県PR特使に就任いただいている俳優の村上弘明さんの主演により、平成30年度から今年度まで3作品を制作しています。
 また、内容の選定に際しては時宜に即したものとし、明治維新から150年に当たる平成30年度は原敬、令和元年度は、今日のILCにもつながる物理学の礎を築いた田中舘愛橘、コロナ禍にある今年度は、医療や検疫事業で活躍した後藤新平と深澤晟雄をそれぞれ取り上げたところであります。
 本事業は、主に県外の方々をターゲットとして、岩手県の魅力発信を通じて、岩手県のイメージアップを図り、岩手県への興味、関心を高めることを目的として実施しておりまして、特設サイトやユーチューブで動画を配信しているほか、首都圏等の地下鉄広告や物産展等でポスターを掲出し、岩手県の魅力を発信しております。
 委員から御紹介のありましたとおり、ユーチューブにおける偉人局の視聴回数は、令和3年2月末現在、原敬と田中舘愛橘はそれぞれ約13万回、今年度の後藤新平は、公開から2カ月半で既に9万回を超えており、大変多くの視聴者を獲得していることから、岩手県に対する興味、関心を高めることができたものと考えております。
〇田村勝則委員 今御紹介いただいたとおり、本県は、特に明治以後、多くの人材を輩出してきました。県内各地に先人、偉人の記念館が数多く開設されていることでもわかると思います。このような歴史に残るすぐれた業績を残した偉人、先人は、まさに県の財産であります。
 令和3年4月からは、巡る旅、出会う旅東北と銘打った東北デスティネーションキャンペーンの実施が予定されております。また、平泉の文化遺産の世界遺産登録10周年、平泉文化遺産ガイダンス施設の開設、さらに、北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録の期待も高まるなど、岩手県の歴史、文化に大きな注目が注がれる年でもあります。
 これに加えて、我が岩手県には、あの武士道、そしてまた太平洋の橋とならんと言われた新渡戸稲造、一に努力、二に努力、三も努力と有名な言葉を残しております米内光政、そして、日本一のいじめっ子(後刻「いじめられっ子」と訂正)とみずから称した野村胡堂など、まだまだ多くの先人、偉人がおられます。
 県の広報戦略において、このような先人、偉人を引き続き活用することは、岩手県の魅力発信に大きな効果が期待でき、引き続き取り組んでいただくべきと思いますが、知事のお考えをお伺いいたします。
〇達増知事 本県は、明治以降の日本における最大の人材輩出県と言われており、岩手県の先人、偉人を広く知っていただくことは、世界遺産を初めとする岩手県の歴史や伝統文化を県内外の多くの方々に感じていただく契機となるものであります。
 また、近年、歴史、文化等をテーマにするいわゆる聖地巡礼やゆかりの地訪問など、人や物語に着目した交流による観光需要が高まっており、交流人口の観点からも岩手県の先人、偉人を活用した魅力発信は効果的な取り組みと考えております。
 県ではこれまで、偉人局のほかにも、藤原清衡や大島高任、宮沢賢治を取り上げた動画等を制作してまいりましたが、今後も、人を通じて地域の価値を無限に広げるようなコンテンツを発信し、岩手県のイメージアップに努めてまいりたいと思います。
〇田村勝則委員 先ほど私、野村胡堂を日本一のいじめっ子と言ったかもしれませんが、いじめられっ子でございますから、訂正しておきます。
 ところで、後藤新平は偉人局でも紹介されていますが、台湾総督府民政長官として台湾近代化に尽力されております。また、同じく偉人局に登場した三田定則も、台北大学の医学部創設に尽力された方であります。そのほかにも、新渡戸稲造、藤根吉春、伊能嘉矩など、台湾と岩手県は密接な関係にあり、特に東日本大震災津波の際、台湾からは多くの支援が寄せられましたし、このたびの新型コロナウイルス感染症では、日本に防護服も提供いただいたと聞いております。
 先日、中国が台湾パイナップルを3月から輸入停止にしたという報道がありました。岩手県と台湾の長い交流の歴史を踏まえ、東日本大震災津波に対する台湾からの支援に感謝を示すためにも、ぜひ、台湾パイナップルの活用を県としてもお考えいただきたいと思いますが、これは意見にとどめておきます。
 次に、地域発のイノベーション支援についてお聞きします。
 令和2年7月に閣議決定されたいわゆる骨太の方針では、「人」・イノベーションへの投資の強化が掲げられており、新たな時代を切り拓き、真に社会とともにある科学技術・イノベーションを強力かつ戦略的に推進するとしています。
 また、昨年3月の予算特別委員会の総括質疑において、佐々木朋和委員が地方創生推進交付金の活用策について取り上げた際、政策地域部長は、県と花巻市が連携して醸造用ブドウの生産、消費拡大を図るいわてワインヒルズ推進プロジェクトを初めとして、平成28年度以降の4年間で145事業を実施してきたと答弁しており、知事も、市町村を初めとした多様な主体と連携、協力していくと述べておられます。
 そこで、岩手発のイノベーションについてでありますが、過日、74歳の岩手大学名誉教授鈴木幸一フェローが主導する盛岡市の株式会社バイオコクーン研究所で、養蚕技術を活用して得られたカイコの冬虫夏草から、認知機能を改善する世界初の物質ナトリードを発見したという発表がありました。これは、アルツハイマー病を含む認知症や多くの脳疾患などに改善効果が期待でき、国際学術誌にも掲載されたとして大きく報道されておりました。
 ナトリードとは、エスペラント語の自然と子供の造語で、宮沢賢治の精神や岩手の大地で生まれたことへの意味合いも込めて名づけたものであるそうであります。これは、まさしく知事のおっしゃる幸福を守り、命を守るイノベーションであり、岩手発にふさわしいものと感じたところでございます。
 このような研究開発型スタートアップ企業が取り組む革新性と創造力に富む活動は、地域経済の活性化にも大きく寄与するものであると考えます。
 人を育てるとともに、そのような取り組みをどのように支援していくか、本県においては、平成31年3月に岩手県科学技術イノベーション指針を策定し、関係者が方向性を共有し、連携して取り組みを進めていると思いますが、知事のお考えをお示し願います。
〇達増知事 いわて県民計画(2019〜2028)において、科学の振興は、社会経済活動や教育、研究の土台となるものとして八つの政策分野を支える基盤に位置づけ、イノベーションの創出に向けては、県内の産学官金が参画する岩手県イノベーション創出推進会議を設置して、施策を展開しております。
 人材育成については、県では、次代の研究開発を担うイノベーション人材を育成するいわて半導体アカデミーやいわてEVアカデミーなど高度なものづくり人材の育成や、東京大学等と連携したAI人材の育成などに取り組んでいます。
 岩手大学や岩手県立大学では、大学発ベンチャー企業の設立を支援し、これまでAIや画像処理、医療機器等の開発を行う企業17社が起業しています。また、県や金融機関等が、大学と企業の共同研究を積極的に支援しております。
 今後とも、産学官金が連携して人材育成や共同研究等を進め、岩手発のイノベーション創出に取り組んでまいります。
〇田村勝則委員 先ごろ、落合陽一氏があらわした2030年の世界地図帳という本を読みました。この本には、2030年にはアルツハイマー病や認知症が世界で死因の4位になるとのWHOの予測が示されております。
 我が国では、令和7年に認知症高齢者数が700万人前後になるとの国の推計も示されております。ナトリードは、命を守る幸福希望予算を推進するのに非常にふさわしいものと思いますが、積極的な支援を願って、終わります。(拍手)
〇岩渕誠委員長 お諮りいたします。本日の総括質疑は、世話人会の申し合わせにより、5時前に質疑に入った会派等の質疑が終了するまで議事を継続することと冒頭しておりましたが、先ほど、休憩中に世話人会を開き、協議し、次の会派、いわて県民クラブまで質疑を行うことといたしましたが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩渕誠委員長 御異議なしと認めます。
 質問者席の消毒のため、しばしお待ち願います。
 次に、ハクセル美穂子委員。
〔ハクセル美穂子委員質問者席に着く〕(拍手)
〇ハクセル美穂子委員 いわて県民クラブのハクセル美穂子です。
 会派を代表しまして予算総括質疑に登壇させていただきましたことに心から感謝を申し上げ、質問に入りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず初めに、法人事業税について御質問いたします。
 新型コロナウイルス感染症の県内経済に対する影響が、令和3年度の当初予算案にもあらわれております。それは法人事業税の減少でありますが、令和3年度の法人事業税は、中小企業が、新型コロナウイルス感染症の影響がなかった令和元年度と比較すると26%も減少しています。大企業分でも18%の減少です。
 まず、この状況をどのように受けとめているのかお伺いいたします。
〇白水総務部長 令和3年度の当初予算案におけます法人事業税についてでございますが、対前年度当初比で23.3%減の193億円余を計上しておりまして、大変厳しい状況にあると認識しております。
 委員御指摘のとおり、特に中小企業の減収率が大きくなっておりますが、新型コロナウイルス感染症による減益の影響が、より直接的に税収にあらわれたものと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 先ほど御答弁いただきましたとおり、中小企業の事業の停滞がどれだけあったかということを、法人事業税の減少が如実に物語っていると思います。県内で経済活動が本当に十分にできていなかったことの証拠だと思います。とても厳しい状況であります。
 この税収26%減少分に相当する県内の経済活動を、今後私たちは再び盛り上げていかなくてはいけないと思います。これをどのように盛り上げていこうとしているのか、知事のお考えをお聞かせください。
〇達増知事 これまで、資金繰りの支援や新型コロナウイルス感染症対策に要する経費の補助、県産品の消費拡大、観光需要の喚起など、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を徹底しながら経済社会活動を支える取り組みを進めてきたところであり、今後は、これらに加えて、足腰の強い産業構造への転換を図るための本業支援に取り組んでまいります。
 具体的には、商工指導団体、産業支援機関等と連携した支援体制を構築し、中小企業者における新しい生活様式に対応したビジネスモデルの構築、県内中小企業者に対するIoTやAI等を活用したビジネスモデルの転換や生産技術の高度化支援、人材育成、テレワークの導入に要する経費の助成による県内企業における働き方改革と生産性向上の促進などの取り組みを推進してまいります。
〇ハクセル美穂子委員 一般質問でも同じような答弁をされておりましたけれども、今おっしゃったとおりのことももちろん必要であると思いますが、ことし新型コロナウイルス感染症の影響を非常に多く受けた県内の事業者、業種も明らかですから、その方々を私たちはきちんと支援していかなくてはいけないと思います。
 その方々の経営改善につながる取り組みの具体的なものがないというのは、本当に残念ですし不思議です。先ほど知事がお話しされた内容では、影響を受けた方々にとってはとても物足りないものだと私は思います。
 やっぱり飲食店の方、それから観光業の方、運輸の方も非常に影響を受けておりました。そのうち飲食店と観光業の方々を下支えするという意味で、私は、やっぱりGoToトラベル事業をしっかりやっていただくような取り組みをしていかなくてはいけないと思います。
 昨年実施されたGoToトラベルキャンペーンは本当に瞬間的ではありましたが、県内経済を支えてくれたと考えております。それは、観光庁の宿泊旅行統計にも裏づける宿泊実績があらわれており、岩手県内の10月、11月の宿泊数は、10月が前年比102.9%、11月が100.5%と、ともに前年度を超える状況でございました。
 これはGoToトラベルキャンペーンの経済的な効果がしっかり出た結果であると捉えてよい数字だと考えていますけれども、知事は、この結果をどのように考察されておりますでしょうか、お聞かせください。
〇達増知事 観光庁宿泊旅行統計によりますと、本県の日本人のみの延べ宿泊者数は、前年同月との比較で、令和2年6月は45.1%でしたが、7月22日からGoToトラベルキャンペーンが開始され、7月は62.4%まで回復、8月は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響と推察されますが47.2%と6月並みに減少、9月は87.6%、10月は102.9%、11月は100.5%となっており、こうしたデータが示すようなGoToトラベルキャンペーンの効果があったと思われます。
〇ハクセル美穂子委員 知事もGoToトラベルキャンペーンの効果があったとお認めになった御答弁かと思います。私もそう思います。
 この時期に多くの県民の皆さんも、実は県内に宿泊してくださったということが、V−RESASという宿泊統計データにもあらわれておりました。先ほど言いました令和2年10月と11月ですけれども、居住地が岩手県内の方の宿泊が2019年度に比べて3倍になっているという結果が出ておりました。これは、地元割クーポンとGoToトラベル事業との併用が効果的であったということを示していると考えています。
 県単独の事業だけでは、やっぱり10月、11月のような大きな入り込みの状況をつくり出すことは難しいのかもしれませんけれども、やはり併用することが非常に効果を大きくするということをこの結果は物語っているのではないかと思っております。
 これまでの御質問の中でも、知事はGoToトラベル事業の早期再開について、全国知事会を通して要望していると御答弁されておりますけれども、再開ももちろんお願いしたいのですが、私は、このGoToトラベル事業を来年度末まで延長するように国に求めるべきと考えております。先ほど地元割クーポン券も、残りの分を活用してしまったという答弁を先ほど聞きましたけれども、地元割クーポン券のやり方がいいのかどうかは、また検討する必要はあるのですが、来年度同じような観光需要喚起策、県民の方が県内を周遊して、県内経済を活発化させるための施策を講ずるべきと考えておりますが、知事のお考えをお示しください。
〇達増知事 国においては、GoToトラベル事業の延長については、例えば、中小事業者や被災地など観光需要の回復がおくれている事業者、地域に配慮するとともに、平日への旅行需要の分散化策を講じつつ、制度の段階的見直しによるソフトランディングにより延長し、本年6月末までとすることを基本想定としつつ、感染状況を踏まえ柔軟に対応するとしているところであります。
 GoToトラベル事業は、当初、新型コロナウイルス感染症の拡大が収束した後、経済のV字回復を目標に制度設計されたものであり、目標が達成されるまで継続していく必要があると考えており、全国知事会を通じて、実施期限を延長するよう国に提言しているところであります。
 県の宿泊割引については、国のGoToトラベル事業に関し、赤羽国土交通大臣が、緊急事態宣言の解除後、すぐに再開することにはならない、感染がおさまっている県内やブロック内で始め、状況が整い次第、本格再開できたらいいとの考え方を示しており、全国知事会でも、私から、地域の実情を踏まえ、県単独あるいは東北のようなブロック単位での再開を求める発言をしたところであり、全国知事会として、感染が落ちついている地域の宿泊施設をその地域の住民が利用する場合など段階的に再開するなど、感染状況に応じつつ、適切かつ弾力的に運用するよう国に提言したところであります。
 県としては、国のGoToトラベル事業の再開時期や対象地域などの制度設計を見きわめるとともに、今後の感染状況を踏まえながら、必要に応じて支援策を検討してまいります。
〇ハクセル美穂子委員 延長も含めて、再開と延長と両方お願いしているという御答弁でした。
 地元割クーポン券のような観光需要喚起策については、現時点ではやらないというお考えということでよろしいですか。改めてお聞きします。
〇達増知事 既に議決いただいたところですが、今年度の補正予算、そして、今審議いただいている来年度当初予算案には盛り込んでいないところであります。
〇ハクセル美穂子委員 今回の予算案には東北デスティネーションキャンペーンの予算とか、一連の復興イベントの予算が入っております。それももちろん県内経済を活性化させるためには必要なことだというのは私も理解しておりますが、どちらかというと、これは県外からの方を呼び込むためのプロモーションに近いので、新型コロナウイルス感染症が収束しないうちは、県内の方が県内周遊するというよりも、違う方向での施策ではないかと思います。
 この1年、去年の分の新型コロナウイルス感染症の影響を挽回するには、本当に努力しないと足りないと思っています。9月までに十分な経済の回復を待たないうちに岩手県が冬を迎えてしまうと、冬の閑散期に岩手県の観光業者、それから関連の業者の方々は、また苦しまなくてはいけないと考えています。
 ですから、少なくとも、本来であれば当初予算から、来年の3月の間までの対策をしっかり考えて組んでいかないと遅いと思うのです。その点については、どこで、どういうことを聞いて、来年の3月まで考えないで、これから考えますよとされたのか私は非常に疑問に思うのですが、知事は、今後、来年度9月以降の施策を考えるときに、どういう意見をどこから聞いて、これから考えていこうとしていらっしゃるのかお聞きしたいと思います。
〇達増知事 GoToトラベル事業について執行部内で議論しているプロセスをあえて生煮えのものを紹介させていただきますと、国が全国的にGoToトラベル事業を停止していることがあたかも観光全体について停止を求めているかのような誤解を国民全体に広げているのではないか。また、かなりの予算が投じられ、かなりお得な制度であるGoToトラベル事業が再開されるまでは、ほかにさまざまな好条件があったとしても、観光は我慢してGoToトラベル事業の再開を待つ、そのような観光控えのような状況があるのではないか。
 この二つの要因については、GoToトラベル事業の再開ということが、岩手県限定あるいは東北ブロック限定のような形でもあれば、それ以上待つメリットはなくなり、また国が、観光は大丈夫だというお墨つきを出すことで、かなりの効果が期待できるのではないかという議論を内部でしているところです。
〇ハクセル美穂子委員 GoToトラベル事業は国の決定ですけれども、国は、全国一律にそのとおり方針を出さなくてはいけないのですが、ただ、県の中でどういったことが必要なのか、それを判断するのは、知事のお仕事だと思います。
 GoToトラベル事業の再開はないのであれば、そこまでの間の県内経済をどう回すのかというところをしっかり議論してほしいと思います。いろいろな声が今もう上がってきているのですし、それに少しでも経済対策ができるような予算を当初でつけなかったら、県内の事業者の方々は、いつつけるのだろうとずっと悲しい思いでこれから事業をしていかなくてはいけないと思うのです。
 当初予算は皆さん注目されていると思いますので、やっぱりそこできちんと打ち出していかないと、来年3月まで待てない方が多いと思います。その点についても、今から議論では遅いのですけれども、補正予算とか、そういう中でいつ出すのかしっかり考えて情報発信をしていただきたいと思います。
 もう一つ、先日の一般質問でGoToイートについての質問がありました。たしか目標50億円のうち、令和3年2月18日時点で22億円は使われましたというような答弁がたしかあったと思うのですけれども、残り28億円がまだ使われていないものがあるということ、これは非常にもったいないことだと思いました。工夫すれば、残りの28億円も県内の飲食店の方々に活用していただくことができたというお金です。
 残り少ない期間ではあるけれども、今からでもいいので、例えばマスクをして少人数で会食するとか、黙って食べるとか、やり過ぎなくらい徹底した上ででもいいから飲食店を利用してもらう方法を、知事が県民に発信するべきではないかと思います。ほかの市の方、例えば仙台市とか、ほかの県の知事も、そういったものも発信されている方もいらっしゃいます。知事はその点についてはどのようにお考えですか。使わずそのままにして、また次の施策をするのか、それとも、この28億円を使うためにいろいろな工夫をしてやらなければならないと考えていらっしゃるのか、その点、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
〇達増知事 きょう、この予算特別委員会が終わった後、夕方、県の新型コロナウイルス感染症対策本部員会議を開催し、そこで緊急事態宣言の期間延長を受けての県としての対応について決定し、その内容を知事メッセージとして出す予定であります。
 基本的には、いまだ緊急事態宣言の対象となっている地域との往来については気をつけていただくことと、それ以外について、岩手県においては、既にもうステージIIIはおろか、ステージIIよりも低いステージIのような、以前の分け方でいうと、1週間感染ゼロが続けばもう感染未確認地域、ゼロがずっと続いているのと同じ状況という区分が、日本全体の感染者数が少ないころ使われていて、今やそれに近い状態になってきていますので、例えば、お花見や歓送迎会といった行事であれ、基礎的な感染対策をやった上で実行してくださいという趣旨のメッセージを出すことになるかと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 知事、これについては私の質問の後の会議で、しっかり出していただきたいですし、知事は、ツイッターとかSNSも活用するのがお上手ですので、そういったものも活用して、さらに、知事がおっしゃったからいいのかなと思って行ってくださる方もあると思いますので、ぜひやっていただきたいと思います。その点についてはお願いして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、市町村長との意見交換について御質問いたしたいと思います。
 本県のコロナ禍収束後の県内経済を盛り上げる策を展開するに当たって、どういった取り組みが必要であると市町村が考えているのか把握するため、私は、積極的な意見交換の場が必要と今も考えております。
 これまで、知事と市町村長との意見交換等の状況、どのような状況だったかについて伺います。また、意見交換の場において吸い上げた意見の当初予算案への反映状況についても、あわせてお伺いいたします。
〇佐々木ふるさと振興部長 今年度は、県と市町村長との意見交換会を4月と1月の2回実施したほか、市長会、町村会の要望において、市町村長と意見交換を行っております。
 4月の意見交換会では、新型コロナウイルス感染症に係る対応や県の基本的対処方針など、喫緊の感染症対策に係る情報共有や意見交換を行い、1月の意見交換会では、ポストコロナにおける新たな人の流れの創出やデジタル社会への対応について、問題意識を共有し、連携した取り組みを進めていく意見交換を行ったところであります。
 また、市長会、町村会の要望の際には、新型コロナウイルス感染症対策、東日本大震災津波からの復興等について意見交換を行っております。
 次に、当初予算案への反映状況でありますが、当初予算の編成に当たりましては、市町村要望や市長会、町村会、市町村の議会議長会からの要望において幅広く意見を伺うとともに、県政の重要課題について問題意識を共有し、連携して取り組みを進めていくために、市町村長との意見交換会を行っているところであります。
 市町村からの要望につきましては、広域振興局長が組織として受け、全庁的に共有し、市長会、町村会、市町村の議会議長会からの要望も合わせて、次年度の予算編成過程において検討を進め、当初予算案に反映させているほか、年度末には対応状況を公開しているところであります。
 今年度におきましても、市町村と密接に意見交換をし、連携しながら施策を推進してまいりたいと考えております。
 意見交換の具体的な施策への反映でありますが、令和3年度当初予算案では、定住、交流人口の拡大、促進のためのいわて移住・定住促進事業、誘客イベントの開催等を行う東北デスティネーションキャンペーン事業、行政のデジタル化を推進するいわてデジタル化推進費などが計上されているところであります。
〇ハクセル美穂子委員 知事にお聞きしたいと思います。ことしは新型コロナウイルス感染症の影響でいろいろなイベントとかというものは少なかったのではないかと思います。また、いつもとは違う状況であったと思います。知事も、イベントのキャンセルがあったりしてお時間はあったと思いますけれども、御自分から積極的に市町村長にお会いしようとされたのでしょうか、その点についてお聞きします。
〇達増知事 新型コロナウイルス感染症対策の中で決して時間的なゆとりが生まれたとは思っていませんので、なかなかふだんのようにお会いできないことを残念に思っております。
〇ハクセル美穂子委員 だからこそ、市町村要望を聞いたほうがいいのではないですかというのを私は再三質問させていただいております。コロナ禍だからというのではなくて、やっぱりふだんからやることが必要だと思います。
 そして、もう一つ、令和3年1月12日に県政に関する県と市町村との意見交換会が開かれたと、今御答弁ありましたとおりですが、何でこの時期だったのかと私はすごく疑問に思いました。知事がこの時期にとおっしゃったのかどうなのかわからないですが、なぜこの時期に開催されたのでしょうか。
 それから、この時期に開催された意見を、どこで、どう生かすつもりだったのかというのを私は疑問に思っているのですけれども、その点について知事にお聞きしたいと思います。
〇達増知事 黙示録的な状況が世界中に広がっているというところから始まる新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針でありますけれども、思い出しますと、県としての基本的対処方針が確立したのがあのころと記憶します。そして、それをつくるに当たって、国の専門家会議等からも、まずは欧米からの帰国者、そして、医療や福祉の施設、そして、接待を伴う飲食の場という三つの特に気をつけるべきところという指摘も行われ、ほぼ情報が出そろい、また、地方において県や市町村がやるべきことも見えてきた段階だったと記憶しております。
〇ハクセル美穂子委員 今お話になったのは令和2年4月のものだと思います。私は、令和3年1月12日の意見交換会について、そちらはなぜこの時期だったのか、それから、意見交換会の意見を生かすつもりだったのかとお聞きしたので、1月12日のほうをお願いいたします。
〇佐々木ふるさと振興部長 1月12日の開催は、これまで例年1月に開催されていまして、まずは、市町村からの要望を広域振興局長が聞いて、幅広くどういう市町村の要望があるかをまとめて、まず予算編成の案をつくるというプロセスを経て、実際に最終的に予算を決める議会の前に、県の考え方、それから市町村のそれに連携すること、あるいはどういう考え方で来年度行うかといったところを確認しながら、来年度こうやっていきましょうという意思を確認する、意見交換をする場ということになっております。
 予算編成過程の中では、市町村からの意見を聞くあるいは市長会、町村会から意見を聞くといったプロセスを経て、1月に首長同士の意見交換をするというスタイルをとっているものであります。
〇ハクセル美穂子委員 1月12日の意見交換会の会議録を私は拝見させていただきました。中には、先ほど私が質問しました県内の経済を活性化させるための観光需要喚起策を再び講じてほしいという県内市町村の声が多く載っておりましたけれども、これについては一切当初予算案に反映されていませんでした。
 私も1月12日では何も反映できないのではないかと思います。意外といろいろな県内市町村長が、この1月12日の意見交換会で話をされていましたので、市町村長たちは、本当に真剣にこれをやってほしいというのはこの場だと思って、一生懸命話をされたのに、全く当初予算案に反映されていないというようなことでは、がっかりしたと思うのです。
 やっても反映されないのであれば、広域振興局が受けるのが正しいということを知事はいつもおっしゃっておりますので、そうであれば、広域振興局のほうに市町村で使えるような予算をつけたらいいと私は思います。
 広域振興局に予算と人を重点的に配置してやるということもあると思うのですが、その点については、知事はどのようにお考えでしょうか。
〇達増知事 今も広域振興局は臨機応変に市町村の特に広域的な活動に対して、振興予算を決めて事業化しているところであります。
〇ハクセル美穂子委員 私が聞きたかったこととお答えが全然ずれているなと思いますけれども、1月12日に開いたものをどう活用されるのかもわからなかったですし、広域振興局が市町村要望を聞くことが正式であると再三、私の質問にも答えていらっしゃるのにもかかわらず、予算も人も重点的に配置するべきではないというようなお考えなのかと思いましたけれども、つじつまが全然合わないと思います。その点についてきちんと精査してやってくださらないと市町村は困ってしまうと思うので、しっかりとその点については今後考えていただきたいとお願いして、次の質問に行きたいと思います。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策資金についてです。
 知事は、今定例会冒頭の所信表明演述において、新型コロナウイルス感染症の影響が出ている事業者に対して、資金繰りなどのさらなる直接的支援ということで、飲食店等の影響がある方々に対する予算を過日追加提案されました。あの40万円の予算です。
 そのほかにも、令和2年度は、新型コロナウイルス感染症対策資金として、融資枠を800億円まで拡大して、県内中小事業者の資金繰り支援に取り組んできたと存じております。
 令和3年度も同規模の予算案が計上されておりますが、その積算に当たっては、融資実績等の統計データに基づきどのように現状分析をされてこの予算にされたのでしょうか。令和3年度当初予算案は、この金額で十分に支援が行き渡ると判断されての予算であると思いますが、その根拠について知事にお聞きしたいと思います。
〇達増知事 過去に実施した東日本大震災津波やリーマンショックを契機とする金融危機の際の融資制度の1年目と2年目を比較しますと、2年目は融資実績が20%から35%減少しております。
 今般の新型コロナウイルス感染症対策資金については、令和2年度の最終的な融資実績額を600億円程度と見込んでおり、2年目はそれから20%から35%を減じた400億円から500億円程度の融資額が見込まれますが、新型コロナウイルス感染症による経営への影響の長期化や国の新しい信用保証制度に対応して制度を拡充することから、資金需要に十分応えられるよう、今年度と同額となる800億円の融資枠を設定し、必要な予算を計上したものであります。
〇ハクセル美穂子委員 知事が、記者会見の中で追加の支援金給付について、資金繰りがショートしそうな方々を今支援するための施策であるというような御発言をされておりました。この御発言を聞いて、私は、そもそも800億円も融資資金を積み立てているのに、資金繰りがショートしそうな人がいるということ自体が、この施策は何だかおかしいのではないかと感じたわけです。
 しっかりと事業者の支援をしてまいりますと、この融資資金を積み立てるときにおっしゃっておりましたよね、知事。でも、現実は資金繰りがショートしている方がいる可能性があると。それでこの支援金を出した。
 私は、資金繰りを潤沢に用意しているにもかかわらず、次から次へと閉店している店舗がふえているのはなぜかとか、それから、支援策が十分に行き渡らない可能性があるのではないかなどと知事はお考えにならなかったのかなと思ったのですけれども、知事はこの支援資金と支援金のところの関係性をどう考えていらっしゃったのでしょうか、お聞きしたいと思います。
〇達増知事 新型コロナウイルス感染症対応資金と対策資金は、新型コロナウイルス感染症により経営に影響を受けている事業者の資金繰りを支援するために創設した融資制度でありますことから、金融機関や信用保証協会に対し、事業者が円滑に資金を調達できるよう、知事も出席した金融懇談会等の機会も捉えて、柔軟に対応するよう繰り返し要請しております。
 商工指導団体に対しても、融資制度の周知や手続を円滑に進めるための相談対応に努めるよう要請しております。
 金融機関や商工指導団体等と連携し、事業者が円滑に資金調達できるよう支援してまいります。
〇ハクセル美穂子委員 今の御答弁だと、資金は積み立てたけれども、金融機関でどういった方に貸し出したのか、どういった方が活用しているのか、どういう規模なのか、どういう業者の方は使っていないのか、そういったことの分析についてはされていないような感じがしたのですけれども、その点について、もう一回、知事、お願いいたします。
〇達増知事 融資の状況やニーズについては、各取扱金融機関からの融資状況の報告、経済金融連絡会議等での金融機関や信用保証協会からの融資等の対応状況の報告、商工指導団体と連携して実施している事業者の影響調査や、県及び商工指導団体等に設置している相談窓口での対応状況等の情報により把握しているところであります。
〇ハクセル美穂子委員 把握していたら、資金繰りがショートする方はなかなか出なかったのではないかと思います。私は、この間、米内紘正議員が一般質問で証拠に基づく政策立案について提案されていましたが、この融資資金に関しましても、きちんと証拠を金融機関から入手して、その状況を分析した上で次の政策立案をするべきだと思います。そうでないと、800億円あるのに、それがどのように使われているのか、どの人に使われているのかわからないまま、また40万円の支援金を、これはやらないほうがいいというわけではなくて、融資資金の中身も変えていくようなプロセスがないまま給付を行っているのが、私はすごく疑問に思っています。
 十分な融資という資源の投入が事業者の経営継続などの政策効果にきちんとつながっているのかどうか。その証拠をきちんと入手して、それに基づいて把握して、次の政策立案に活用していくこと。これは、どの部局であっても重要であると考えますけれども、県では、こうしたEBPMの手法をきちんと導入して、今後の政策立案に使っていく考えがあるのかお伺いしたいと思います。
〇八重樫政策企画部長 政策立案における意思決定の精度を上げるためには正確なエビデンスが必要であることから、国が研究を進めておりますEBPM、そうした研究の動向なども注視しながら、よりよい政策の立案に向けた手法を検討してまいります。
 貸付金の活用状況の詳細等について、岩手県信用保証協会による保証承諾実績により、業種別の活用状況を随時確認するなど資金需要の把握に努めておりますので、そうした事業と実績の関連性、因果関係の精度を高めることで、施策や事業の成果をしっかり測定し、次の政策立案、貸付金で言えば、新たな貸付金の制度設計につなげていきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 先ほどの高橋但馬委員のお話にもありましたが、貸し付けをずっと重ねて、本当にもう実際に貸してもらえない状況まで行っている業者もいると思います。借りられる金額が、2回目からは銀行も渋るというか、当たり前のことですが、貸し出ししづらくなってくる。そうであれば、そういった方があと1年資金繰りをきちんとできるように、この制度についても、例えば前の答弁で資本性劣後ローンを活用しますと保副知事がおっしゃっていたような気がするのですが、そういったものの中でも、永久劣後ローンとか、さまざまなやり方があると思うのです。
 早目にきちんと検証すれば、そういった違う資金のやり方も提案できたはずですから、こういったことをしっかりと検証して融資を得ながら何とか回していかなければいけないと考えていらっしゃる中小企業の方々に、必要な運転資金、それから、継続していくための資金が手に届くような施策をやっていただきたいと思います。その点についてもう一回、知事にお考えをお聞きしたいと思います。
〇達増知事 先ほど資金ショートしないようにということを問題とされたようですけれども、資金繰りできるようにすることが資金ショートしないようにするということでありまして、せっかくやる気と能力があり、新型コロナウイルス感染症の流行がなければ、自分たちが稼いで生活していくことができるプラス、地域のにぎわいの重要な役割も果たす、そういうところが、新型コロナウイルス感染症が長期化したとしても、持続可能な経営ができるように、県としましては、そのような資金繰り用の資金や資本性劣後ローンなどの投資性のファンドの枠組みについても銀行等と調整しているところであります。
 そして、感染が低い状態になって、人の動きが可能になる中で、消費を促して、そこで稼いでいくことができるような施策も含め対応してまいります。
〇ハクセル美穂子委員 この間、飲食店の皆さんがなぜ要望に来られたのか。それは、何とか運用資金、運転資金を借りたくても借りられなかった方もいるかもしれないからだと私は思います。その点を検証しているかといえば、検証されていないかもしれません。そこのところをきちんと検証して、融資資金であれば融資資金でもいいですけれども、きちんと借りられる、でなければ給付するといった政策立案をしていただきたいということを私は申しているので、そういった点について市町村の意見やいろいろな方の意見を聞きながら施策をしっかりやっていただきたいと思います。
 お願いして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
〇岩渕誠委員長 お諮りいたします。続く総括質疑はあす行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩渕誠委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 あす以降は、毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後5時46分 散 会

前へ 次へ