令和2年12月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(千田美津子君) 
 日本共産党の千田美津子です。
 まず最初に、新型コロナウイルス感染症により入院、闘病されている皆様にお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方々に心からお悔やみ申し上げます。
 私は、新型コロナウイルス感染症を初め、県民の命と暮らしを守る課題について質問いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、新型コロナウイルス感染症から県民の命と暮らし、雇用を守る取り組みについてお聞きします。
 医療体制の充実についてです。
 新型コロナウイルス感染症対策では、感染拡大の中で、医療関係者や保健所、そして、知事初め、県や市町村の関係職員の皆様には、日夜御尽力いただいておりますことに心から感謝申し上げます。
 さて、県内でも感染拡大がとまらない中で、追跡調査体制の充実が重要でございます。感染追跡を専門に行うトレーサーの増員による体制強化が必要ですが、どうなっているでしょうか。
 社会的検査の実施についてです。
 介護施設全体のPCR検査はどうなっているでしょうか。さらには、病院、保育所や放課後児童クラブ等に対して社会的な検査を定期的に実施していくことが必要だと考えますが、どうなっているでしょうか。
 新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行に備えた検査の医療体制の拡充についてです。県は、医師会と協力し200を超える診療機関で同時検査の体制を整備するとしていましたが、これまでに県内各地で整備された体制はどのような状況になっているでしょうか。また、今後どう対応するお考えかお聞きいたします。
 医療機関の疲弊も深刻です。県立病院で10月末までの減収は前年同月比約21億4、000万円となっており、日本病院会等の実態調査でも、全国の病院は4月から6月期に平均10%を超える赤字となり、4分の1を超える病院で夏のボーナスがカットとなりました。さらには、国からの十分な支援がなくては地域医療が崩壊する可能性すらあると訴えています。
 そこで、知事はこの間、全国知事会として診療報酬の引き上げや包括支援交付金の拡充、全ての医療機関に対する財政支援等を求めてこられたようでありますが、県がこれまでに予算化された支援策の中で、医療機関への支援はどのような実績となっているでしょうか。
 医療、介護等従事者に対する慰労金の支給についてです。
 新型コロナウイルス感染の危険が大きい中で、関係者への慰労金の支給は大変重要であります。これまでの支給申請と実績はどうなっているでしょうか。また、支給見込みに対し、どのような状況にあるでしょうか。
 次に、公立、公的病院の再編統合問題に対する県の対応についてお聞きいたします。
 新型コロナウイルス感染症が全国で蔓延、拡大する中で、公立、公的病院の再編統合問題、そして、感染症対策が全く考慮されていない地域医療構想は、抜本的に見直すべきではないかと考えます。この間、県内では、例えば胆江地区のように、来年2月に開催される地域医療構想調整会議において、国、県の指導方針に沿って、病床を100床も削減する方針を承認し、結論づけようとしています。今現在も病床の確保が課題となる中、これらは到底容認できるものではありません。
 コロナ禍のもと、県内における公立、公的病院の役割はますます重要となっていると考えますが、知事はどうお考えでしょうか。
 次に、医師、看護師確保対策についてお聞きします。
 県民の命を守るためにも、医師の増員と確保が重要であります。そこで、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会についてお聞きいたします。達増知事が中心となってこの知事の会を結成され、国に対しても行動されておられることに心から敬意を表します。
 知事は、これまでの国への提言等により、医師確保策について手応えをどう感じられ、今後どのように進めていかれるお考えかお聞きいたします。
 次に、県立病院の看護師確保対策についてです。
 看護師不足の現状と課題をどう捉えているでしょうか。また、コロナ禍にあって、改善策の実施は急務と考えますが、どう実施されているでしょうか。
 次に、胆江地域及び県内の周産期医療体制についてお聞きいたします。
 胆江医療圏における分娩の状況は、2019年度の出生数723人に対し、胆江地域内での分娩は45.9%にとどまり、地元での分娩数は5割を切り、里帰り出産もできない状況が続いております。現在、地元で出産できるのは、60代の医師2人の診療所だけとなっていますが、来年4月からは1診療所が出産の取り扱いをやめることを表明したため、地元では大変な衝撃が走っております。これらの状況は、胆江地域のみならず県内各地で深刻な状況であり、産婦人科医師の確保はまさに急務であります。
 そこで、胆江地域及び県内の周産期医療の現状と今後の改善策について、知事はどのようにお考えかお聞きいたします。また、県立胆沢病院への周産期医療の確保、充実は、まさに喫緊の課題だと考えております。県立胆沢病院に地域周産期医療センターを設置し対応すべきと考えますが、知事の考えをお聞きいたします。
 次に、営業、雇用を守る取り組みについてお聞きします。
 新型コロナウイルス感染症が長期化するもとで、営業と雇用の危機は深刻です。そこで、県内中小業者の経営支援等について具体的にお聞きいたします。
 まず、10万円の感染症対策補助は、全ての事業者が対象でありますが、10月末現在の申請は3、027件、支払いは2、426件にとどまっています。さらに、家賃補助は約9、000件が対象でありますが、申請は3、649件、支給は3、485件にとどまっております。
 これらの活用をふやす取り組みが求められておりますが、どのようにお考えかお聞きいたします。
 雇用対策として、解雇、雇いどめを防止するために、雇用調整助成金、休業支援金の積極的な活用が必要ですが、これまで雇用調整助成金、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の申請と給付決定はどのような状況にあるでしょうか。
 さらには、コロナ禍のもと、雇用調整助成金の特例措置等の延長、家賃支援給付金の延長、持続化給付金の第2弾の実施がぜひとも必要だと考えますが、うち、雇用調整助成金については延長が明らかになっております。そのほかについてはどのような状況かお聞きいたします。
 生活困窮者への支援についてです。
 生活困窮者のための生活福祉資金緊急小口資金の申請は10月末で2、878件、決定件数は2、828件、総合支援資金の申請は613件、決定件数は605件と、前年13件に比べ大幅に増加しております。これらの貸付資金については、延長するとともに返済免除の拡充が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 また、住居確保給付金については、10月末で申請294件、決定件数が227件となっています。この給付金については、支給期間が最長9カ月となっていることから、支給期間の延長が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 新型コロナウイルス感染症の第3波に伴う県の支援の拡充についてお聞きいたします。
 事業者からの要望として、21%から40%までの売り上げ減に対する給付金の実施やリモート設備購入への支援、雇用を守るための強力な支援策、ばらまきでない実効性の高い支援策の実施を求める声があります。売り上げは戻りつつあるが体力的には限界ですなど、厳しい中、頑張っておられるこれら事業者に対し、県版の持続化給付金を導入するなどで支援していくことが必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 質問の第2は、東日本大震災津波からの復興と被災者支援についてお聞きいたします。
 東日本大震災津波から9年9カ月が経過しようとしていますが、被災者の状況は10月末現在、99世帯、219人がいまだに応急仮設住宅等での不自由な暮らしを余儀なくされております。そこで、まず、被災者の国民健康保険等の一部負担金免除についてお聞きします。
 この件につきましては、11月16日の達増知事の記者会見で、来年3月までは現行制度を継続し、4月以降については、住民税非課税世帯の被災者に限定して12月まで支援を継続することが表明されております。この間、沿岸市町村からは、それぞれが抱える個々の事情とさまざまな御意見があったようでありましたが、しかし、被災者の皆さんから寄せられた切実な願いに応えて、11年目となる来年も被災者の医療費一部負担金等の免除継続を決定されたことを高く評価いたします。
 この事業は、被災者の皆さんにとってはまさに命綱とも言うべき事業であり、岩手県議会6月定例会では、免除継続を願う県民の皆さんの請願が賛成多数で採択されました。2018年3月末時点における被災者の非課税世帯の割合は、国保では42.2%、後期高齢者医療では76%、合計56.3%であり、高齢化と生活苦の中で支援が必要な被災者に医療費等免除の継続を求めるものであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 これまで、国民健康保険及び後期高齢者医療制度の一部負担金の免除、介護保険利用料の免除、障がい者福祉サービス利用料の免除を実施されてこられましたが、知事は、被災者の皆さんの生活実態や声をどう受けとめられ実施に踏み切られたのか、その思いをお聞きいたします。
 また、今回の国民健康保険の一部負担金等の免除の額はどれだけになるのか。免除を継続する市町村に対する財政支援とその財源はどうなるのかお聞きいたします。
 さらには、この施策の終期についてです。被災者の実態を十分に見きわめながら対応すべきと考えますが、いかがお考えかお聞きいたします。
 次に、コミュニティー確立の取り組みについてお聞きいたします。
 災害公営住宅には5、197世帯、9、158人が入居しておりますが、本年9月末時点の災害公営住宅に入居している高齢者を含む世帯は61.5%、ひとり暮らし世帯は33.7%となっており、入居者の高齢化と生活苦のもとで、孤立化、孤独化が進行しています。
 このような中、孤独死は仮設住宅で46人、災害公営住宅で59人、合計105人となっています。災害公営住宅における孤独死は、2017年は6人でありましたが、2018年は18人、そして2019年は16人、ことしも10月末で既に9人が亡くなられており、孤独死がふえていることは重大であります。
 コロナ禍であるからこそ、ひとり暮らし高齢者の見守りとコミュニティー支援の強化、確立は急務であります。災害公営住宅の集会室の使用は9月末時点で月ゼロから1回程度までが約半数であり、コミュニティーの拠点としての役割が果たされておりません。せめて50戸以上の災害公営住宅には複数の生活支援相談員を配置し、見守りとコミュニティー支援を強化すべきと考えますが、知事の見解をお聞きいたします。
 次に、家賃の軽減対策についてお聞きします。
 収入超過者の家賃は4年目から段階的に値上げとなります。そのため退去せざるを得ない状況が生まれております。
 陸前高田市では、昨年度から空き家となっている市営住宅の一部をみなし特定公共賃貸住宅とする制度を導入し、中堅所得層―所得が月15万8、000円以上48万7、000円以下―の居住に供する取り組みを始めています。県営災害公営住宅の収入超過者は3年以内で21世帯、4年目以降で92世帯となっています。
 県としても、早期にこのような制度の導入を実施すべきと考えますが、この間、どう取り組まれ、年内に方向性が出される見込みかお聞きいたします。
 次に、水産加工業への支援についてお聞きします。
 水産加工業は、サケ、サンマ、スルメイカなど主要魚種の大不漁と原材料不足など危機的状況にあります。しかも、2019年度のサケは、漁獲量が震災前比9%、金額は18%、サンマの漁獲量は、震災前比15%、金額で61%、スルメイカの漁獲量は、震災前比11%、金額で37%となっております。今、水産加工業は原材料不足と価格の高騰に直面しており、水産加工業の再建と営業の継続を支援することは重要な課題となっています。
 先日、宮古市の水産会社を訪問し社長等にお話を伺ってきました。震災前の1割から3割アップの規模の工場をつくったが、冷凍庫に入れる魚がないために空気を冷やしているようなもので、電気代が高くて払えない。商品開発やネット販売にも力を入れ始め、奥さんが軽自動車で1人で移動販売も行っていると、困難な中でも歯を食いしばって乗り切ろうとする姿に接しました。
 今、水産加工業の経営課題として原材料等の価格の高騰や販路の確保、開拓があります。原材料の確保への支援と新商品の開発、販路の確保、拡大などの支援の強化が必要となっていますが、県の対策はどうなっているでしょうか。
 また、新型コロナウイルス感染症拡大による需要の減少対策として、水産加工品の消費の喚起策等が実施されていますが、どのような状況にあるのかお聞きいたします。
 先月19日、宮古市を訪問した際、市長等から、不漁の水揚げ魚種を補完する取り組みとして、令和元年度から宮古トラウトサーモンの海面養殖調査事業やホシガレイの陸上養殖調査事業を実施しているが、養殖業を中心とした担い手確保対策が喫緊の課題となっていること、稚魚飼育に係る既存施設のサケ、マスふ化場などの有効活用を要望したいなどの訴えがありました。
 こうした新たな養殖業の現状と県の支援策はどうなっているかお尋ねいたします。
 次に、被災者の心のケア、子供の心のケア対策についてお聞きします。
 まず、子供の心のケアについては、いわてこどもケアセンターを岩手医科大学に設置するとともに、沿岸3地区を巡回し、専門的な心のケアを実施しているとのことですが、受診件数はどうなっているでしょうか。また、大人の心のケアの相談件数はどうなっているでしょうか。さらに、知事は、これらの実態と原因をどのように捉えているでしょうか。また、心のケアは、引き続き中長期にわたって取り組むべき課題でありますが、今後の取り組みの見通しについてお聞きいたします。
 質問の第3は、新型コロナウイルス感染症による米の需要停滞と米価下落等農政の課題についてお聞きいたします。
 コロナ禍のもとで、米の需要実績が全国で714万トンとなっており、前年の735万トンと比較し21万トンの減少であります。県産ひとめぼれの取引価格は10月末で60キログラム当たり1万4、975円となっており、2019年産米の平均価格と比較し342円の低下となっています。全農県本部が決定した2020年産米の概算金は60キログラム当たり800円の引き下げとなり、10ヘクタール規模の農家では73万7、000円の減収、100ヘクタール規模の集落営農では737万円の減収となります。2020年産米の米価では、3ヘクタール未満の農家約3万2、000戸は赤字となり、米生産農家の約9割を占めます。
 米の需要減と米価の暴落は新型コロナウイルス感染症の影響であり、国が必要量を買い取りし、米価を補償すべきであります。ましてや、需要減については、国内消費に必要のないミニマムアクセス米70万トンの輸入は中止すべきであり、少なくとも国内の需給状況に応じた輸入抑制などはすぐに実行すべきと考えますが、どうでしょうか。
 アメリカ、カナダ、欧州では、政府が指示価格で穀物や乳製品を無制限に買い入れ、援助や輸出に回す仕組みを維持しています。日本でもこれらの仕組みをつくり農家の生活を守るべきと考えます。
 また、新潟県では、非主食用米への転換に10アール当たり5、000円の支援策を9月補正で打ち出しております。岩手県としてもこのような施策を実施すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 質問の第4は、女川原発再稼働と福島第一原発事故による汚染水の放出についてお聞きいたします。女川原発につきましては昨日も質疑がありました。多少の重複は御容赦願います。
 東京電力福島第一原発事故から間もなく10年になろうとしています。東北電力女川原発2号機の再稼働をめぐり、宮城県の村井知事が、地元2市町の首長との3者会談を経て同意を表明しましたが、宮城県の地元紙によると、原発再稼働不支持は7割以上となっています。
 また、宮城県沖で今後30年以内にマグニチュード7クラスの地震が起きる確率は90%程度という政府の地震調査研究推進本部の想定も深刻に受けとめるべきであります。
 そして、何よりも、福島第一原発事故によって200キロメートル以上も離れた岩手県内において、いまだに山菜や野生キノコなど18品目の出荷制限が14市町村で継続されており、全国で8県、92市町村、県内では一関市、奥州市、平泉町が汚染状況重点調査地域に指定されたままとなっております。
 これらの状況から、福島第一原発事故の教訓に学び、隣県の知事として慎重な対応を求めるべきと考えますが、知事の見解をお聞きいたします。
 次に、福島第一原発事故による汚染水放出についてです。
 ことし2月10日、汚染水の取り扱いについて検討を行っていた国の小委員会が、汚染水を海洋や大気へ放出することが現実的な選択肢だとし、さらに、海洋放出のほうが確実に実施できるとする報告書を発表しております。
 さらに、経済産業省は、自治体、産業団体の代表の意見聴取を実施しましたが、一般市民からの意見はパブリックコメントのみ行い、公開の説明会、公聴会は実施しない方針と聞いております。
 これに対し、漁業者からは海洋放出に反対の声が上がっており、福島県内の自治体も、既に21の自治体が海洋放出反対、陸上保管を求める、慎重な対応をといった内容の意見書を可決しております。茨城沿海地区漁連も汚染水を放出しないよう求める要請を行い、宮城県漁協も海洋放出に反対の意見を表明しています。岩手県漁連の大井誠治会長も、流されたら岩手の水産業は立ち行かなくなると語っています。
 このような状況から、原発事故で著しい被害をこうむった県として、さらには、今、不漁で大変厳しい状況となっている岩手県の水産業を守るためにも、これ以上のたび重なる悲劇は絶対避けなければならないと考えます。そこで、岩手県としても海洋放出に反対すべきと考えますが、知事の見解をお聞きいたします。
 質問の第5は、障がい者福祉、高齢者福祉の課題と充実策についてお聞きいたします。
 介護現場では、深刻な経営難と慢性的な人手不足が続いており、事業の継続に支障を来しかねない事態も出ております。
 2019年度介護労働実態調査では、職員が不足状況にあると回答した事業所が65.3%に達しています。特にヘルパーの不足は深刻で、不足状況にあると回答した事業所は8割を超えています。訪問介護は生活の場で利用者を支える最も基本的なサービスであり、介護業界では、ヘルパーは絶滅危惧種とも称されるようになったそうでありますが、その担い手の枯渇は、まさに重大問題になりかねない状況であります。
 これは障がい者支援施設も全く同様であります。先日、障がい者支援施設等を運営されておられる奥州市内の社会福祉法人を訪問いたしました。この施設でもIWATE・あんしんサポート事業を立ち上げ、困窮家庭への就労支援などで大変頑張っておられましたが、福祉人材の確保の面では、処遇改善の格差は縮まっておらず、職員の確保が大変困難な状況にあることが訴えられました。
 そこで、県内における介護人材や障がい者施設で働く人材不足の実態とその要因についてどう把握されているでしょうか。また、人材確保への対策について、どのように取り組まれておられるかお聞きいたします。
 昨年10月からは、消費税増税分を財源とする特定処遇改善加算が創設されました。しかし、対象となる職員の選定を求めるなど、職場に分断、対立を持ち込みかねない重大な問題を含んでいることから、昨年10月から12月までの算定は6割弱の事業所にとどまっています。
 介護報酬の加算などの小手先の対応ではなく、抜本的な処遇改善が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
 また、先日、奥州市内の特別養護老人ホームを訪問した際、非常に人材確保が困難となっているため、施設を設備しても入所させることができないのが実態であり、人材の引き抜きにより、引き抜かれたところはサービス水準が下がっているとの実情も切々と訴えられました。
 介護現場の人手不足はまさに深刻化の一途をたどっておりますが、人手不足が経営悪化をもたらし、経営悪化が処遇改善を後退させ、処遇条件の後退がさらなる人手不足につながるという負の連鎖を断ち切ることができない現状となっています。
 そこで、県内特別養護老人ホーム等介護施設の空きベッドの実態把握はどうなされているでしょうか。
 以上、登壇しての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 千田美津子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、公立、公的病院の再編統合についてでありますが、岩手県地域医療構想では、少子高齢化の進展等に伴う医療需要の変化を踏まえ、効率的で質の高い医療提供体制を実現するため、病床機能の分化と連携を推進していくこととしており、各地域における協議に基づく自主的な取り組みを基本として、地域で必要な医療機能の確保を図ることとしています。
 新型コロナウイルス感染症の拡大が続いている状況でありますが、将来を見据えた医療提供体制の構築に向けた議論は必要と考えます。
 一方、今般の感染症対応においては、公立、公的病院が果たす役割や一般病床での感染症対策の必要性等も明らかになったところであり、国では、新興、再興感染症への対応も踏まえた地域医療構想のあり方について検討を始めたところであります。
 本県におきましても、国の動向を注視しながら、新型コロナウイルス感染症や新たな感染症の発生にも対応できる効率的で質の高い医療提供体制の実現に向け、取り組みを進めていく考えであります。
 次に、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会についてでありますが、全国的な医師不足や地域偏在を根本的に解消するためには、都道府県単位の取り組みだけではなく、国を挙げて実効性のある施策に取り組む必要があることから、医師不足など同様の課題を持つ医師少数県12県の知事による、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会を発足いたしました。
 本年7月に医学部定員増の恒久化、医師確保対策への強力な財政支援などの提言を取りまとめ、8月に、厚生労働省への提言活動や、自由民主党の医師養成の過程から医師の偏在是正を求める議員連盟での講演を行ったところであります。
 これまでも、医師少数県では、それぞれに医師確保の取り組みを行ってきたところでありますが、知事の会として統一的な提言を行うことにより、国や関係団体等に対する影響力が大幅に強化されたものと考えております。
 引き続き、医療、行政関係者への理解促進や国民の機運醸成を図りながら、国に対して強く働きかけ、実効性のある医師不足、偏在対策の実現を目指してまいります。
 次に、胆江地域及び県内の周産期医療体制についてでありますが、胆江地区を初め全県的に産科の医師が不足している中、産科診療所についても、医師の高齢化の進行や後継者不足等により分娩取り扱いを断念せざるを得ない施設の増加が懸念されるところであり、地域における産科診療体制を確保していくことは重要な課題であります。
 県はこれまで、限られた医療資源のもとで、効率的かつ質の高い周産期医療を提供するため、県内四つの周産期医療圏を設定し、胆江地域については、県南圏域の中に配置された複数の地域周産期母子医療センター等の医療機関の機能分担と連携のもと、分娩リスクに応じた適切な医療提供体制の整備を進めてきたところであります。
 議員から御提言のありました新たな周産期母子医療センターの設置については、全国的に産科医が不足する中、医師の厳しい勤務状況を改善し、安全な分娩環境を確保するため、関係学会からは、地域周産期母子医療センターの大規模化、重点化、具体的には産科常勤医の10名以上の配置などの提言がなされていることなどもあり、現状では困難と考えております。
 県では、令和2年度から、産科等を選択した地域枠養成医師に対し、岩手医科大学の総合周産期母子医療センターでの義務履行を可能とする新たな特例措置を開始するなど、さらなる産科医の確保に向けて取り組んでいるところであり、あわせて、周産期における救急搬送体制の強化や、今年度から開始したハイリスク妊産婦の通院等を支援する事業などの取り組みにより、安心して妊娠、出産ができる周産期医療の充実に努めてまいります。
 次に、東日本大震災津波の被災者に係る国民健康保険等の一部負担金免除措置についてでありますが、県では、応急仮設住宅での暮らしなど、住宅環境悪化に伴う疾病リスクの増加や、失業等による家計悪化に伴う受診控えに対応するため、免除を継続して実施してきたところであり、これまで延べ28万9、000人余の被災者の適切な医療等を受ける機会の確保と健康の維持、増進等に寄与してきたものと考えております。
 令和3年1月以降の免除措置については、県議会6月定例会における請願の採択、関係団体や被災者からの継続を求める声や9月定例会での議論を踏まえ、その後の沿岸市町村との調整を経て、令和3年3月までは現行の枠組みを継続することとしたものであります。
 また、令和3年4月以降は、応急仮設住宅等での生活は解消される予定でありますが、恒久的な住宅へ移行した被災者の中には、なお生活再建途上の方もいらっしゃることから、こうした方々に対し、引き続き適切な医療等を受けられるための支援方策を講じていく必要があると考え、住民税非課税世帯を対象に免除措置を継続することとしたところであります。
 次に、事業費と事業終期についてでありますが、今回の免除措置の継続に必要な事業費については、免除実施主体である市町村等の意向を確認の上、令和3年度当初予算案に盛り込むこととしており、県としては、これまでの国の交付金等を活用した財政支援の枠組みを維持しながら、市町村等の負担が一部負担金免除総額の1割となるよう財政支援していく考えであります。
 また、本免除措置に係る財政支援の終期については、復興の進捗状況や国保の財政状況など市町村が抱える個々の事情を総合的に勘案すると、令和3年12月が目安となるものと考えていますが、全ての応急仮設住宅等にお住まいの方が、恒久的な住宅に移行したことを確認した上で判断してまいります。
 次に、災害公営住宅のコミュニティー確立についてでありますが、災害公営住宅では、65歳以上のひとり暮らし高齢者世帯が入居者の約3割となっており、見守り体制の一層の充実が必要と考えております。
 本県では、市町村社会福祉協議会に配置した生活支援相談員が、民生委員や市町村が配置する支援員等と連携しながら、応急仮設住宅や災害公営住宅等に居住している被災者への見守りなどの個別支援や、住民相互に支え合うコミュニティー形成を行う地域支援の両面に取り組んできたところであります。
 また、令和元年度からは、災害公営住宅等での見守りやコミュニティー形成支援を重点的に行うため、県社会福祉協議会や市町村社会福祉協議会と連携し、生活支援相談員を災害公営住宅の集会所や地域の空き家に配置する地域見守り支援拠点の取り組みを実施しており、本年11月末現在、5市町で7カ所の拠点を設置しているところであります。
 県といたしましては、市町村社会福祉協議会等の意向を踏まえながら、地域の実情に応じた拠点の設置を進めるとともに、今後もこうした拠点の取り組み等を通じて、災害公営住宅の入居者相互の交流や近隣住民との交流を促進することにより、地域で暮らす人々が相互に支え合うことができる福祉コミュニティー形成を進めてまいります。
 次に、被災者の心のケアについてでありますが、令和元年度のいわてこどもケアセンターの沿岸地域における延べ受診件数は1、509件、こころのケアセンターの相談支援件数は7、611件で、いずれも前年度からほぼ横ばいとなっています。
 被災地においては、ハード面の整備が進む中、時間の経過に従って被災者が抱える問題が複雑化、多様化しており、被災者や被災児童は、震災そのものによるストレスに加え、その後の転居など環境の変化、被災生活の長期化に伴うストレスを受けているものと考えられるところであります。
 復興の進捗に対応した心のケア対策については、中長期的な取り組みが必要と認識しており、国からも、令和3年度から5年間の第2期復興・創生期間における財政措置の継続と、その後については、事業の進捗に応じた支援のあり方を検討し、適切に対応するとの基本方針が示されております。
 県といたしましては、引き続き見守り活動等と連携した相談、診療体制を堅持し、被災者の状況に応じた心に寄り添った支援を継続するとともに、専門スタッフの確保やスキルアップ等により支援の質を高め、子供や被災者の心のケアに取り組んでまいります。
 次に、女川原子力発電所再稼働についてでありますが、報道機関のアンケート調査によれば、女川原子力発電所の再稼働については、宮城県民の7割以上が反対していることなどから、再稼働に当たっては、地元の方々の理解を求める努力が引き続き行われてしかるべきと考えます。
 議員御指摘のとおり、原発事故に伴う放射性物質の影響は、県内でもいまだ収束したとは言えない状況にあります。東日本大震災津波の際の東京電力原子力発電所の事故のようなことを二度と起こしてはならないということを、改めて強く申し上げたいと思います。
 次に、原子力発電所事故による汚染水についてでありますが、東京電力福島第一原子力発電所で発生している汚染水は、多核種除去設備―ALPS等によって処理され、発電所敷地内のタンクに保管されていますが、処理水の取り扱いについては、小委員会の報告書や関係者の意見等を踏まえて、国の責任において処分方法が決定されるものと認識しております。
 本年4月以降、国が開催した意見聴取の場においては、地元自治体や関係団体から、処理水の安全性に係る情報発信や風評被害対策に政府はしっかり取り組んでほしいという意見や、国民の理解が進むまでは取り扱い方法を決めるべきではないという意見があったと承知しております。
 また、処理水を海洋放出する案については、漁業関係団体が、風評被害への懸念から反対意見を表明しているほか、海外から早期に処分方法を決定することへの懸念が示されていることからも、こうした方々を含め、理解が得られないような形で進めてはならないと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、感染者の追跡調査体制についてでありますが、各保健所では、保健師等の専門職が積極的疫学調査を担当しているところでありますが、県では、こうした保健所の体制を強化するため、保健所や市町村を退職した保健師13名を配置するとともに、保健師等が調査に専念できるよう、地区合同庁舎内の各公所からの事務職員等による応援体制なども構築しています。
 また、今般の集団感染事例においては、県庁や盛岡市保健所を含めた保健所間の保健師の業務応援のほか、市町村保健師の協力などを得て迅速な調査に努めているところであります。
 次に、介護施設等における社会的検査についてでありますが、11月に国から示された通知では、高齢者施設等の入所者に陽性が判明した場合には、当該施設の入所者及び従事者に、原則として全員検査を実施することとした方針が示されましたが、本県においては、岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部員会議の決定事項により、既にこの方針のとおり実施しているところであります。
 また、あわせて1週間当たりの新規感染者数が、人口10万人当たり10を超えている都道府県における高齢者施設等の検査の徹底などの方針が示されたところでありますが、現時点における本県の感染状況はこの水準を下回っていることなどから、医療、介護、また保育などの福祉従事者と入院、入所者全員を対象とする検査を実施する状況には至っていないものと認識しておりまして、今後の感染拡大の状況も見据え、引き続き、岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会等の意見を伺いながら、その実施等について検討してまいります。
 次に、検査体制の拡充についてでありますが、診療・検査医療機関については、国が示した計算式により、本県の季節性インフルエンザのピーク時の1日当たり需要数から試算し、来年1月までに県全体で217医療機関の指定を目指しているところであり、現時点において9医療圏で212機関の指定が完了したところであります。
 その指定に当たりましては、医師会や地域の医療機関等と十分に協議を行い、地域バランス等も含め、各地域の実情に応じた診療、検査体制を踏まえ整備を行っているものであり、さらなる指定に向けて調整を進めているところであります。
 現時点では、季節性インフルエンザの流行は始まっていないところでありますが、今後のインフルエンザ及び新型コロナウイルス感染症の県内流行の動向を注視しながら、適切な受診について県民への周知に努めてまいります。
 次に、医療機関への支援についてでありますが、県では、新型コロナウイルス感染症への対応を行う医療機関への支援として、重点医療機関の体制整備など県単独事業を含む病床確保経費で約96億1、000万円、入院施設や帰国者・接触者外来などの設備整備で約32億6、000万円、医療機関や薬局のほか、救急、周産期、小児医療体制を確保するための感染拡大防止支援で約42億2、000万円の計171億円余を予算化しているところであります。
 これらの事業における各医療機関等からの申請件数は11月末現在で709件に上り、そのうち97.2%に当たる689件に対して交付決定を行い、順次支払いを進めているところでありますが、フェーズIIIまでの病床利用を見込んでいる病床確保経費を予算化しているほか、設備整備に係る補助金など精算払いの事業も多く、現時点における執行額は約25億6、000万円で、予算額に対する執行率は15%となっております。
 今後とも、医療機関への支援が滞りなく実施されるよう努めていくとともに、引き続き国に対して、医療機関の経営安定化に向けた措置を求めてまいります。
 次に、医療、介護等従事者に対する新型コロナウイルス感染症対応慰労金についてであります。慰労金については、7月下旬から申請受け付けを開始したところでありますが、11月給付分までの累計で、申請件数は3、267件、給付人数は6万4、872人、給付額は50億3、800万円となっており、予算額に対する執行率は57.2%となっております。
 次に、生活困窮者の支援についてであります。生活福祉資金の特例貸し付けの受け付け期間は本年12月末までとなっておりますが、貸付実績の動向等を踏まえ延長が必要と考えているところであります。
 また、特例措置の返済免除については、これまでの免除要件に加え、償還時において、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができるとされておりますが、その具体的な取り扱い等について国から示されていないことから、詳細がわかり次第、返済免除拡充のあり方について検討することとしております。
 住居確保給付金については、4月から受給を開始した方が、最長9カ月の支給期間の延長を行った場合、12月に支給が終了することから、安心して年末年始を過ごすことができるよう制度の延長が必要と考えております。
 なお、国におきましては、生活福祉資金の特例貸し付けの受け付け期間と住居確保給付金の支給期間の延長を検討していると聞いているところでありまして、その動向を注視し適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、介護や障がい者施設における人材不足についてでありますが、本年10月の県内の有効求人倍率は、全産業の1.03倍に対して、介護職は2.47倍、障がい分野を含む社会福祉の専門職は2.00倍となっているなど、人材不足が顕著な状況にあり、人材確保対策が重要な課題と認識しております。
 介護福祉や障がい福祉分野における人材不足の要因としては、労働環境や処遇面での課題などが影響しているものと考えております。このため県では、参入の促進、労働環境、処遇の改善及び専門性の向上の三つの視点から、介護の仕事のイメージアップやキャリア支援による求人、求職のマッチング支援、労働環境や処遇の改善を促進するセミナーの開催や介護ロボットの導入促進、市町村や関係団体との連携によるサービス従事者等を対象とした研修の実施などの人材確保対策を総合的に進めているところであります。
 こうした取り組みにより、多様な人材の参入を促すとともに、就職した方々の職場への定着を図ることで、引き続き、必要とされる介護福祉や障がい福祉分野における人材の確保に努めてまいります。
 次に、介護職員の処遇改善についてでありますが、県内の令和2年10月現在の介護職員処遇改善加算は、対象事業所1、749事業所のうち、1、647事業所が届け出を行っている状況であり、届け出率は94.2%となっております。
 また、介護職員のさらなる処遇改善を進めることを目的とした介護職員等特定処遇改善加算は、届け出事業所が1、094事業所で、届け出率は62.6%となっているところであります。
 県としては、介護人材の確保、定着を図る上で処遇改善が重要であると考えており、加算を取得していない事業所に対しては、取得を促すとともに、既に加算を取得している事業所に対しては、より上位の区分の加算を取得できるよう働きかけを行っていくほか、引き続き、安定的なサービス提供が図られる適切な水準の介護報酬の設定について、国に要望してまいります。
 次に、介護施設の空床の実態についてでありますが、昨年度の調査になりますが、令和元年9月1日現在において、特別養護老人ホーム等250施設、入所定員数1万4、983人のうち、131施設で657床が空床となっております。
 空床の大部分は、退所者が発生してから次の入所者を受け入れるまでの期間に係るものであり、人材不足によるものは85床で、全体の入所定員数の0.6%となっているところであります。
 県としては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、引き続き、参入の促進、労働環境、処遇の改善及び専門性の向上の三つの観点から、総合的に介護人材の確保に取り組んでまいります。
   〔医療局長熊谷泰樹君登壇〕
〇医療局長(熊谷泰樹君) 県立病院における看護師の確保についてでありますが、看護師の配置については、現行の岩手県立病院等の経営計画に定めた職員配置計画に基づき、医療の質の向上や産育休等に対する職員の確保のため増員を図っているところでございます。
 令和2年5月1日現在の看護師現員数は3、232人となっており、令和元年5月1日現在の看護師現員数3、208人と比較して24人の増加となっているところでございます。
 一方で、今後の高齢化の進展や医療の高度化への対応、働き方改革の推進などにより全国的に看護師の需要が増大している中で、優秀な看護師の安定的な確保が依然として課題となっており、採用試験における年齢上限の引き上げや試験回数の増など、試験方法の見直しを行ってまいりました。
 このほか、看護師養成校の訪問や就職説明会の開催により、県立病院の役割や教育体制などを説明するとともに、県立病院見学ツアーを開催するなど、県立病院の魅力の発信を行い、必要な人員の確保に努めてきたところであります。
 なお、令和3年度に向けた職員採用におきましては、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる病院への応援などに機動的に対応するため、当初の採用計画を十数名程度上回る人数を採用することとし、現在、その採用事務を進めているところであります。
 こうした看護師確保対策にあわせ、夜勤専従制度などの多様な勤務形態の導入や、病児保育を導入した院内保育の充実により職員のワーク・ライフ・バランスの向上を図るほか、タスク・シフティングや事務的作業の効率化等によりまして超過勤務の縮減に努め、総合的に勤務環境の改善を進めることで離職防止を推進してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) まず、感染症対策補助及び家賃補助についてでありますが、感染症対策補助については、岩手県生活衛生営業指導センターが実施した生活衛生関係事業者へのアンケート調査によれば、9月30日時点で54%の事業者が、これから申請予定と回答しており、県や商工指導団体には、対象となる店舗や物品に関する問い合わせが多数寄せられています。
 また、この補助金については、本年4月以降に支払った経費を補助対象としていることから、現在、申請準備を進めている段階の事業者や必要な物品の購入を進めている事業者が多いと捉えています。
 県では、8月と11月に、県内の全飲食店に補助金のチラシ等を送付するとともに、飲食店向けの勉強会を開催し制度の周知を図ってきたところでありますが、さらに、11月24日からは広域振興局の職員が店舗を戸別に訪問し、感染症対策の徹底と補助金の活用を促しているところでありまして、引き続き商工指導団体等と連携して取り組んでまいります。
 家賃補助につきましては、制度スタート後に売り上げ要件を緩和したことや国の家賃支援給付金との併給を可能としたことなども含め、市町村等を通じて重ねて周知を図り活用を促してきたところであり、11月末日をもって4月から6月までの分に係る受け付けは終了したところであります。
 次に、雇用対策についてでありますが、岩手労働局によると、雇用調整助成金については、11月27日現在で、支給申請書受理は2、454事業所から延べ9、803件、支給決定は2、425事業所の延べ9、618件、また、休業者本人に支給される新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金については、同じく11月27日現在で、支給申請は644名から延べ1、600件、支給決定は1、376件で9、367万7、415円となっています。
 この雇用調整助成金等については、令和3年2月末まで特例措置等が延長されたところであり、持続化給付金や家賃支援給付金については、国に対し、支給要件の緩和や複数回の給付を要望しているところであります。
 次に、県の支援の拡充についてでありますが、県内において、飲食店でのクラスターが確認されるなど、複数の感染事例が確認され、飲食業を中心に事業者の経営環境の厳しさが増す中、県独自の支援策として、事業者の固定費負担を軽減する家賃支援について、制度を再び設けることを検討しており、実施に向けて市町村や商工指導団体と調整を進めています。
 さらには、中小企業者の資金繰りを支援する新型コロナウイルス感染症対応資金、新型コロナウイルス感染症対策資金について、両資金合わせての融資枠を2、000億円から3、200億円に拡充することとしており、増額が見込まれる保証料補給等に係る経費を今回の補正予算案に盛り込んだところであります。
 次に、水産加工業への支援についてでありますが、原材料の確保への支援については、サケ、マス類の海面養殖試験の支援や、近年、水揚げが好調なサバ、マイワシを捕獲するまき網船の誘致などに積極的に取り組んでいます。
 新商品開発については、専門家派遣や相談会開催、いわて希望応援ファンドによる助成などにより、本県水産物の鮮度や素材のよさ等を生かした付加価値の高い商品づくりを支援しています。
 販路の拡大については、県内外での商談会開催や大手量販店でのフェア開催、沿岸部へのバイヤー招聘などのほか、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で対面での商談機会が減少していることを踏まえ、バイヤー向けポータルサイトの構築支援等によりオンライン商談を促進しています。
 新型コロナウイルス感染症対策としての消費喚起策については、インターネットを活用した、買うなら岩手のものバーチャル物産展や新聞広告、買って、食べて応援!いわての水産物掲載などによる販売応援キャンペーン等を実施しており、バーチャル物産展においては、11月末時点で、全出品数359品目のうち、水産加工品は66品目が出品され、売上額は1、000万円余となっているところであります。
   〔県土整備部長中平善伸君登壇〕
〇県土整備部長(中平善伸君) 災害公営住宅の家賃軽減対策についてでありますが、中堅所得者向けに提供するみなし特定公共賃貸住宅制度等を導入するためには、被災者や公営住宅が本来対象としている所得階層の入居希望者に影響を与えないことが条件となります。
 このため、今年度は、被災者の入居が見込まれる住戸を一定数確保した上で、残る空き住戸について、一般の方を対象とした募集を7月、8月、10月の3回実施し、今年度はあと2回募集する予定としています。
 みなし特定公共賃貸住宅の制度等の導入については、この一般公営住宅としての運用を開始した後に生じる空き住戸の状況を踏まえ、入居者のニーズや市町村の意見等も参考にしながら検討することとしています。
 県の方針については、現時点では、今年度の一般募集はまだ予定していることもあり、その時期をお示しする段階ではございませんが、沿岸地域の復興にふさわしい制度設計となるよう検討を深めてまいります。
   〔農林水産部長佐藤隆浩君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) まず、新たな養殖業の現状と支援策についてでありますが、サケ、マス類の海面養殖試験は、昨年から久慈、宮古、大槌の3地区において新たに取り組まれており、久慈は昨年7月、宮古はことし5月、大槌は6月に、それぞれ地元の魚市場に水揚げされたところです。
 また、ホシガレイの陸上養殖試験は、昨年から宮古市において新たに取り組まれており、ことし10月に宮古魚市場に初水揚げされたところです。
 これらの取り組みは、これまで順調に推移しており、鮮度や肉質のよさから流通加工業者の評価は高く、高値で取引されています。
 現在、県では、生産性の高いサケ、マス類の海面養殖の実現を目指し、ICTを活用した餌の自動給与システムの実証試験や成長の早い種苗の開発などを進めているところです。
 今後は、先行する3地区に加え、他の地域への普及、拡大を進めていくこととしており、本県の新しいつくり育てる漁業を積極的に推進してまいります。
 次に、米の需要停滞と米価下落等についてでありますが、県では、ミニマムアクセス米について、主食用への仕向け量が増大した場合には、主食用米の価格低下が懸念されることから、国に対し、国内需給に影響を及ぼさないための対策を講じるよう要望するとともに、今般の米価下落は、新型コロナウイルス感染症の影響による全国的な米の需給緩和が要因であることから、主食用米の市場からの一部隔離などを要望しているところです。
 また、米の需給緩和により、令和3年産については主食用米からの転換が必要なことから、飼料用米や大豆、野菜などの作付拡大を推進していくこととしており、特に、飼料用米については、主食用米と同様の栽培管理ができ、今後も需要が見込まれることから、作付の拡大が図られるよう、国が直接生産者に交付する産地交付金を活用し、飼料用米の新規作付に対し、主食用米との収入の差を補う新たな支援策を検討しており、水田のフル活用により農業者の所得が確保されるよう取り組んでまいります。
〇1番(千田美津子君) 何点か質問をさせていただきます。
 まず、新型コロナウイルス感染症対策で社会的検査の実施を求めましたが、岩手県はその状況にないという答弁でありましたけれども、県内でも医療機関や介護福祉施設等でのクラスターが発生しており、もし発生すれば大変大きな影響が出るということで、今、東京都の世田谷区や千代田区、兵庫県神戸市、それから沖縄県でも、定期的な医療機関や介護施設への検査を、沖縄県だと4万3、000人を対象とした検査を実施することが表明されております。
 私は、その状況に至ってからでは遅いということで、これを岩手県でも、この感染が広がらないように、そういうところで働いている方々も安心して働けるようにというのが、社会的検査の趣旨であります。これについては、やはり前向きに検討すべきではないかと思いますので、その点。
 それから、知事にお聞きしたいのですけれども、知事の会の活動については、本当に国に対してずばり物を申すという形で大きな影響を及ぼしたということで、知事からも御答弁ありました。私は、その要望活動の中で、特に、厚生労働省は、医師の偏在によって足りないところがあるという見解をずっと言ってきたのですが、知事の会では、医師の絶対数をふやさなければならないということに言及しているのが、すごく心強いと思いました。いずれ、そういうことをもっともっと力を持ってやるためにはどうあればいいか、それらももしお考えがあればお聞きしたいと思います。
 それから、胆沢病院の周産期医療センターについては、現状では難しいというのはわかります。ただ、はい、そうですかでは終われない状況です。というのは、ハイリスクの妊婦についてはやむを得ないと思いますが、通常分娩も、もしかすると奥州、金ケ崎地域の8割以上の妊婦がほかに行かなければならなくなる、そういう状況になります。ですから、せめてもう一人ぐらいのお医者さんがいて普通分娩ができるような手だてを講じていただきたい。
 周産期医療センターをすぐにということにはならないと思いますが、私はそういう点で、通院補助をするからいいとかでは、若い人たちは納得できないと思います。そういった意味で、ぜひこれについても、医師が足りないというのはそのとおりわかりますが、そういう点で対応をお願いしたい。
 それからもう一点、医療機関への支援については、いろいろやっていただいているのでありがたいのですが、一つ、知事にお願いしたいという要望があったのでお伝えします。今、病院、診療所では、新型コロナウイルス感染症によって受診控えが非常に多くなっている。そのための赤字も非常に大きい。そういった意味で、新型コロナウイルス感染症対策と同時に、必要な医療を受けてくださいという知事のメッセージがあればいいなという話をお聞きしましたので、それについてはやっていただければと思います。
 それからもう一つ、慰労金についてであります。介護や医療の方々への慰労金はそのとおり、もっともっと届くようにということでお願いしたいわけですが、この間、吉田敬子議員からもありましたが、実は保育労働者の慰労金が除外されています。しかし、新型コロナウイルス感染症で三密を解消するといっても、保育所等では、密を避けたくても密にならなければ仕事ができない現状であります。子供たちがスキンシップを求めれば、それに応え、抱き上げ、手をつないでかかわっている、そういう方々について、やはりその慰労金の対象にしていくことが必要ではないかと思いますので、それもぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会の取り組みについて、医師の偏在是正とともに絶対数の不足にも対処するようにということ、これは大変大事なポイントでありまして、今後の活動においてもしっかり訴えていきたいと思います。
 胆江地域での周産期医療の現状について、県の具体的対応については、担当部長にこの後答弁してもらいたいと思いますけれども、さまざまな情報通信技術の活用とか、交通の便がよくなった分の移動支援等というところにとどまらずに、やはり産科医の確保が大事だと思っております。これは随時、一人でも二人でも来てもらえる、産科医に胆江地域にも来てもらえるようにすることも含めて、医師確保に力を入れていきたいと思います。
 また、受診控えについては、感染対策を行った上で必要な社会経済活動をきちんとやっていくという中でも、新型コロナウイルス感染症以外の必要な受診を行うのは、これは感染対策をやった上でやらなければならないことであります。私からも改めて、感染対策をしっかりした上で、必要な受診をしていただくようお願いしたいと思います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 社会的検査の実施、そして周産期医療の整備、保育士への慰労金という御質問をいただきました。
 まず、社会的検査でございます。議員から御指摘あったとおり、介護や医療施設というのはクラスターのリスクも高く、そういった従事者の方々への早期の対応、検査の実施の必要性は認識しているところでございます。
 一方で、国の分科会でも指摘されておりますけれども、やはり感染状況が非常に低い段階の地域において一斉に検査を行いますと、精度の高い検査にあっても偽陽性等の弊害等もあるといったことが指摘されております。そういったことも踏まえて、国の数値、分科会等の提言でも、ある程度感染が蔓延している段階、先ほど御答弁した人口10万人当たり10人という形が示されているわけでございますが、そうした段階を一つの目安としてその導入を検討するというのが示されているものと承知しています。
 また、実際に具体的な検査を進めるに当たりまして、頻度、例えば厳密に申し上げますと、2週間に一遍、全ての方々に検査ができるのかといった実施のスキームが、国からまだ具体的に示されていない中で、方針だけが示されている状況にもございます。
 そうした点も含めまして、まずは感染状況を十分見きわめつつ、岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会等からの御助言もいただきながら、その実施については検討してまいりたいと考えております。
 次に、周産期医療についてでございます。知事からも御答弁申し上げましたけれども、ハイリスクではなくても、通常分娩でも各地域できちんとできる体制を我々も目指しております。そこを何とかしたいと思っています。
 地域によっては、分娩を取り扱っている医療機関が病院のみとなっている地域もございます。そういったことも踏まえて、子供を産み育てやすい環境、安全・安心な分娩環境は非常に重要な課題でございますので、先ほど来答弁させていただいているとおり、まずは人材確保を進め、それとともに、やはり今担っていただいている先生方の御支援、維持のための施設整備、また、新規開設のための支援、安全な分娩のための超音波画像診断装置の導入、そして、いーはとーぶなどのICTの活用、専門医との連携、こういったさまざまな診療環境の整備もあわせて進めてまいりました。
 この施策をすれば解決するというものは現時点ではないわけでございますが、やはり打てる手を全て打っていくことによって、若い先生方で、地域で分娩を担うといった方々も今後出てくることを期待しているところでございます。ぜひ、そういった思いにも応えられるような施策を進めてまいりたいと考えております。
 そして、保育士の慰労金でございます。保育士の方々は、本当に密の環境でございますし、子供との直接的な接触が避けられない職場でございます。こうした社会機能を維持するために頑張っていらっしゃる保育士等への慰労金の支給については、我々も必要性は十分認識しているところでございます。これまでも答弁させていただきましたが、国に対して、支給について求めてきているところでございます。
 一方で、本会議の中でも御答弁申し上げているところでございますが、さまざまなエッセンシャルワーカー、社会機能を維持している職種の方々がおられます。そういった方々との均衡でありますとか、財源の確保も含めましてどうしていくのかということも課題でございます。まずは、やはり国にきちんと要望していくということを行いながら、他県の状況等も見据えながら、慎重な検討が必要な課題であると認識しているところでございます。
〇1番(千田美津子君) 1点だけ、今の社会的検査についてです。岩手県は、濃厚接触者だけではなくて、広く検査をしていただいて、本当に頑張っておられると思います。そういった点で本当に感謝するわけですが、例えば東京都世田谷区の社会的検査は、徹底して予防していた施設で、そこから全職員125人を検査したら、13人が陽性になった。それから、入所者も、97人の検査をしたら2人が陽性になって、15人出たそうですが、全員が無症状だったそうです。でも、この検査をやったことによって、早く隔離をすることができて、クラスターの発生にならなかったということです。
 私は、やはりこういうところを今、他県でも、沖縄県を初めいろいろ取り組んでいるのは、事前にそういうクラスターを抑制するための手だてをやろうということで実施に踏み切られていると思います。いろいろ検討の段階はあると思いますが、私は岩手県でも、ずっと感染者ゼロで来た岩手県であるからこそ、そういうところもぜひ実施をしていただきたいと思っております。ぜひ、これは前向きに検討していただきたいということを申し上げて、終わります。
〇議長(関根敏伸君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
   日程第2 議案第1号令和2年度岩手県一般会計補正予算(第6号)から日程第26 議案第25号地方独立行政法人岩手県工業技術センターに係る中期目標を定めることに関し議決を求めることについてまで
〇議長(関根敏伸君) この際、日程第2、議案第1号から日程第26、議案第25号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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