令和2年12月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇18番(佐藤ケイ子君) 希望いわての佐藤ケイ子でございます。
 このたびは7度目の一般質問の機会をいただき、先輩、同僚議員の皆様に感謝申し上げます。
 まずもって、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、療養中の皆様の早期の御回復をお祈りいたします。
 また、医療関係者を初めエッセンシャルワーカーの皆様には、緊張の中で日夜御努力いただき、敬意と感謝を申し上げます。
 日本の感染症の歴史では、日清戦争の帰還兵23万人に対し、世界史上最大規模の検疫事業を成功させた水沢出身の偉人、後藤新平を忘れてはなりません。コレラや腸チフスなどの感染防止のため、急遽、隔離、療養施設を建設し、徹底した消毒、隔離、療養など不眠不休で行ったということであります。
 後藤新平は、伝染病について、その危険の恐るべきこと弾丸よりも大なるものがあると述べています。医学が発達してもウイルスの脅威はこれからも形を変えて続くと言われており、後藤新平の感染症に対する危機意識、スピード感、実行力を現政権も認識する必要があるのではないかと思うものです。
 そこで、質問の1項目めは、コロナ禍における諸課題への対応について2点伺います。
 まず、コロナ禍における母子家庭の状況についてです。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、生活や雇用に大きなダメージを与えており、特に女性への影響は深刻になっております。全国の自殺者数は4カ月連続で増加し、10月の自殺者数は全国で2、153人、昨年同月に比べ約4割ふえたと警察庁が発表しました。特に、昨年同期に比べて女性の自殺者が82.6%増と大幅増となったことが特徴となっています。
 また、妊娠届の件数が前年同期比で11.4%減、2万6、331件マイナスだったと発表され、来年の出生数は大幅に減る見込みとなりました。
 母子家庭への影響も深刻で、NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむの調査によると、70.8%が新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、雇用や収入に影響があったと回答したということです。子供は2食で我慢し、私は1食が当たり前。休校によるオンライン授業に対し、タブレットパソコンがなく、いじめに近い感じという記載もあったとのことです。
 そして、DV被害者の支援団体への相談や駆け込みもふえたと報道されています。外出自粛、在宅勤務、収入減などストレスが多くなり、夫が暴力を振るう。子供を連れて逃げようとしたが、夫が自宅におり、監視されて避難できないという事例もあったということです。
 このように、コロナ禍での解雇、雇いどめは女性に多い非正規労働者を直撃し、社会のストレスが高まる中で、特に母子家庭への影響が問題になっています。本県の状況をどのように把握し、どのように対応していくのかお伺いいたします。
 2点目は、コロナ禍による危機とグリーンリカバリーについてです。
 グリーンリカバリーとは、コロナ禍による危機で打撃を受けた経済、社会の回復において、気候危機、環境対策に重点を置き、持続可能な社会の再構築を目指すというものです。EU加盟国を中心に世界中で実践され始めています。日本の環境省は公式にグリーンリカバリーという言葉こそ使っていませんが、同様の考え方で閣僚級会合の開催とウエブ上の国際連携プラットフォームの立ち上げを発表しました。
 アフターコロナの政策として、温室効果ガス排出抑制、石炭火力廃止、再生可能エネルギーの推進など、公共投資や財政措置においては環境への配慮を重視すること。また、雇用維持、創出の視点だけでなく、環境、生物多様性、食料、水といった持続可能な社会を形成する全ての事項に中長期的な計画を持ち、気候危機とコロナ禍の直面する二つの対策を加速させるというものであります。
 このグリーンリカバリーと次期岩手県環境基本計画や岩手県地球温暖化対策実行計画は、共通の理念だと解釈します。
   〔議長退席、副議長着席〕
 また、計画の指標の一つに、再生可能エネルギーによる電力自給率を2019年度実績値34.4%に対し、2030年度に65%の目標を示しており、具体的な推進を期待しています。
 そこで、県の取り組みとして、公共施設や住宅用太陽光発電の誘導策を講じることや小水力発電の拡大、森林の活用などを初めとした各種の環境施策を強力に推進するべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 2項目めは、環境施策について2点お伺いいたします。
 まず、岩手県循環型社会形成推進計画についてです。
 この計画は平成28年度から令和2年度までの5年間となっており、今年度が最終年となります。ホームページから資料を見ると、一般廃棄物平成30年度における県内のごみ総排出量は42万5、000トンで微減傾向でした。
 この計画では、家庭ごみ有料化・減量化研究会を開催し、先進事例の紹介、市町村の取り組み支援とありますが、県内で唯一、ごみ有料化を進めた北上市のごみの量は、最近リバウンド状態になっております。また、ごみ処理広域化の推進も記載されておりますが、盛岡広域が進展していないことから課題が多いのではないでしょうか。目標達成見込みと次期計画の見直しの視点についてお伺いいたします。
 次に、早池峰地域のユネスコエコパークの登録について、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の中の魅力あるふるさとづくり戦略、関係人口創出・拡大戦略、いわてまるごと交流促進戦略の観点から伺います。
 環境省の世界遺産候補地に関する検討会は、平成15年に提言し、全国19カ所が調査、検討されました。その一つに含まれていたのが早池峰地域です。このうち、知床、富士山、小笠原諸島は世界遺産に登録され、南西諸島は登録申請中です。また、ユネスコエコパークに登録されたところや、三陸海岸などのように日本ジオパークなどにも登録されております。
 世界遺産は、手つかずの自然を守ることが原則ですが、ユネスコエコパークは、自然と人間社会の共生ができているモデル的な地域が登録対象で、国内では、屋久島、南アルプス、只見地域、みなかみ地域など10カ所が登録されております。自然保護よりも地域おこしが重要なポイントであり、登録により期待されることは、ブランド力が向上し国内外への魅力発信が増大すること、環境教育を通して次世代を育成すること、国際研究拠点に発展させることなど、地域活性化の効果が大きいと考えられます。
 また、岩手県立大学の渋谷晃太郎教授によると、早池峰山の自然は手厚い監視活動が行われており、新たな保護措置は必要がないこと、山麓部では自然と共生した農林業が営まれ、ユネスコの無形文化遺産の早池峰神楽を代表とする各種文化活動も行われていることから、ユネスコエコパークに登録される可能性は高いということです。
 他県では、県が市町村と共同で登録を果たしたところが多く、三陸ジオパーク登録の経験をしている本県にはノウハウがあると思います。推進組織や機運醸成に県が市町村と連携して取り組み、登録実現に向けた動きをつくるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 この後の質問は質問席から行いますので、よろしくお願いいたします。
   〔18番佐藤ケイ子君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐藤ケイ子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、コロナ禍による危機とグリーンリカバリーについてでありますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、地方の生活や経済に負の影響を及ぼす一方、テレワークなど新しい生活様式の普及は、移動に伴う二酸化炭素排出量の減少をもたらすなど、気候変動対策にもつながるような社会経済環境の変化が生じており、感染拡大防止と社会経済活動の維持の両立を目指す今こそ、環境分野での投資、雇用の拡大と経済成長を促すグリーンリカバリーの視点も踏まえた環境施策の推進が重要と考えます。
 このため、次期岩手県環境基本計画の素案においては、温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロを見据えた目標を掲げるとともに、環境、経済、社会の一体的向上に向けた横断的施策として三つの柱を設け、地域資源の活用による環境と経済の好循環の観点からは、事業所における省エネルギー、再生可能エネルギー設備の導入や省資源型ものづくりの促進、自然と共生した持続可能な県土づくりの観点からは、森林の整備や環境に配慮した治山事業など森林の多面的機能を活用した防災、減災、環境にやさしく健康で心豊かな暮らしの実現の観点からは、人や社会、環境へ配慮した消費行動の促進や省エネルギー性能を備えた岩手型住宅の普及など、環境分野を超えて他の分野と連携した横断的な施策を推進することとしています。
 新型コロナウイルス感染症と気候変動という二つの危機に直面している中で、このような施策を展開することにより、環境の保全、経済の発展、社会の向上を同時に達成し、コロナ禍による危機からのよりよい回復と脱炭素社会の実現を目指してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事兼環境生活部長藤澤敦子君登壇〕
〇企画理事兼環境生活部長(藤澤敦子君) まず、岩手県循環型社会形成推進計画についてでありますが、計画に掲げる県民一人1日当たりごみ排出量については、令和元年度の速報値が925グラムとなっており、令和2年度に目標としている911グラムの達成は厳しい状況となっております。
 現在、岩手県環境審議会において御審議いただいている次期計画の答申素案では、基本目標に、地域循環共生圏を3Rで支える持続可能ないわてを掲げ、ライフサイクル全体での徹底的な資源循環の推進、災害に強く持続可能な廃棄物処理体制の確保、適正な廃棄物処理の徹底を施策展開の三つの柱とし、市町村や県民など多様な主体の参画のもと、総合的に取り組みを展開していくこととされております。
 また、具体的な取り組みとして、市町村との連携による生ごみの削減や海岸漂着物、食品ロスなどの新たな課題に向けた使い捨てプラスチックの使用削減、リユース容器、製品の利用促進による廃プラスチック類の排出抑制、3010運動の実践などを盛り込む方向で検討が進められております。
 次に、早池峰地域のユネスコエコパークの登録についてでありますが、ユネスコエコパークは、生態系の保全と持続可能な利活用の調和を目的とする取り組みであり、核心地域、緩衝地域、移行地域の三つの地域を設定する必要がありますが、自然公園は自然風景の質や規制の程度によって地域区分が設定されているなどの類似性があることから、日本で登録されている10カ所は全て、国立あるいは国定公園を含む地域となっております。
 早池峰地域は国定公園であり、ユネスコエコパークのエリアとしての要件は備えていると見込まれますが、構想、計画、実施などの全てのプロセスにおいて、地域の住民や事業者、教育機関など、当該地域にかかわる幅広い主体の参画が求められております。
 現在、早池峰地域における民間活動として、平成27年度以降、フォーラムの開催などが行われていると承知しておりますが、ユネスコエコパークの登録に向けては、地域主導の活動や持続可能な取り組みなどが求められており、今後、市町村も含めた地元地域でのさらなる機運醸成が必要と考えられることから、それらの状況も踏まえつつ、先行事例の状況など必要な情報収集を行ってまいります。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) コロナ禍における母子家庭の状況についてでありますが、県ではこれまで、児童扶養手当の現況確認にあわせた出張相談会や市町村等関係団体からの聞き取りにより実態の把握に努めてきたところであり、残業時間が減少した、収入が減少したので転職を考えているなどの声が寄せられているところであります。
 ひとり親家庭のうち、児童扶養手当受給世帯等の低所得世帯に対しては、本年度、臨時特別給付金が創設され、10月末現在、1万154世帯に支給決定を行ったところであります。
 この臨時特別給付金については、現在、国において、再度の支給を検討していると報道されていることから、県としては、国の検討の状況を注視し、適切に対応するとともに、引き続き、母子家庭等の状況について、さまざまな機会を捉えて実態の把握に努め、必要な支援につなげていく考えであります。
〇18番(佐藤ケイ子君) まず、グリーンリカバリーの件ですけれども、本当にコロナ禍による危機的な状況の中で再スタートするというか、この教訓を生かすという意味では、大きな政策目標を持っていかなければならないだろうと思っております。東日本大震災津波からの復興のときも、やはり復旧ではなくて復興だという思いでずっと皆さんが苦難を乗り越えてきたわけですけれども、今までより、よりよい社会をつくるという目標で取り組んできたと思います。
 後藤新平さんも、関東大震災のときに今の東京都の都市づくりを手がけたわけでありますけれども、そのときもやっぱり復旧ではない、復興だという大きな目標を掲げている。東京市長時代から大風呂敷とも言われたようでありますけれども、そういう大きな目標を掲げて危機を乗り切ったということであります。
 今回のコロナ禍でも、環境を重視したグリーンリカバリーという視点で、本当に大きな施策を強力に進めていかなければならないのだろうと思います。わかりやすい例で言うと、全ての公共施設や各事業所、各家庭にもソーラーパネルを設置するとか、どの土地改良区でも小水力発電をしてもらうとか、各家庭でも高断熱住宅への居住を促進するとか、エネルギーは地域経済を回す。地域で全部エネルギーをつくる。原発に頼らない地域社会をつくろうといった大きな意気込みを持って進めていただきたいと思っているところでございます。よろしくお願いします。
 それから、今、保健福祉部長から、ひとり親世帯の関係の答弁がありましたけれども、ひとり親世帯への再度の給付金ですが、野党4党では、11月中ごろに再支給を求めて法案を提出したわけです。それがずっと諮られないでおりまして、やっと11月26日だったと思うのですが、菅首相が、2度目のひとり親家庭の追加支給に応じる意向を示したという報道があったきりとまっているような感じがして動きが見えていないと思っています。
 少し期待したわけですけれども、本当にそれが可能なのかどうか。早期に対応していただきたい。そして、もし国がおくれるようであれば、県が前倒ししてでも独自に支給の方法を考えるというようなことができないかと思っているのですけれども、そこはどうでしょうか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 先ほど御答弁したとおり、私どもも報道ベースという状況で承知しているところでございまして、まだ国から正式な情報は得ていないところでございます。実態のお話を伺いますと、やはり一時金的なものではなかなか難しいでありますとか、非正規の方が多い母子家庭にとっては、経済的な問題は非常に深刻だと県としても認識しております。
 県独自でというのは、都道府県単位で実施している自治体がない中で慎重な検討が必要ではありますが、まずは、国の動向をきちんと注視しまして、必要に応じて国に働きかけをするなど、母子家庭、ひとり親の方々への支援については今後の影響が非常に懸念されるところでございますので、検討して、そういった対応をとってまいりたいと考えております。
〇18番(佐藤ケイ子君) ひとり親家庭の給付金の関係ですけれども、例とすれば、春に1人10万円ずつの特別給付金が各世帯に給付されたわけです。そのときも、4月30日に国の補正予算が決まり、5月初めから通知をした市町村もあります。国が決めてから準備をした市町村では、給付まで数カ月も時間がかかったというような事例がございました。
 今回は、早目に市町村にも準備を進めるように指示をしていただけないかと思っております。そこは、それぞれ自治体の判断にもよりますけれども、県としても早目に行動するような、そういう連携をとっていただきたいと思っております。
 それから、早池峰のユネスコエコパークの件ですけれども、これは自然保護課が担当しておりますが、自然保護の活動は既に行われておりまして、そのほかに、さらに鹿対策とか、自然保護課も本当に少ない人員で事業が行われております。担当するべきは自然保護課ではなく、市町村と連携した地域活性化の部署ではないかと私は思っているのですけれども、そこはいかがでしょうか。
〇企画理事兼環境生活部長(藤澤敦子君) ユネスコエコパークは、生態系の保全と持続可能な利活用の調和を目的とする取り組みであり、登録には、生物多様性の保全、経済と社会の発展、学術的研究支援の三つの機能を有し、地域の主体的かつ持続的な取り組みが必要とされております。
 そのため、地域における取り組みが当該地域の経済や社会の振興、発展につながる取り組みや持続可能な発展のための活動が求められており、県としては、市町村も含めた地元地域でのさらなる機運醸成や市町村の動向も踏まえつつ、先行事例の状況などについて情報収集を図りながら対応してまいりたいと考えているところでございます。
〇18番(佐藤ケイ子君) 自然保護団体も花巻市との協働で進めなければならないという意識にもなっているようですので、今後、一層連携した取り組みをお願いしたいと思います。
 3項目めは、児童福祉施策についてでございます。
 まず、児童相談所の充実に関して、人材の確保について伺います。
 全国で児童虐待の痛ましいケースが問題になっております。2019年度に児童虐待として児童相談所が対応した件数は19万3、780件と厚生労働省が発表しました。これは過去最高で、前年度比21.2%増ということです。
 本県では1、427件で前年度比21.1%の増、過去最高とのことでした。さらには、コロナ禍のストレス増加などの影響もあり、ことし1月から8月の児童相談所の対応は980件、市町村で712件、合計1、692件と前年同期比7.5%の増と、ますます深刻さが増しているということです。
 これに対応する児童相談所の職員は、前倒しで増員を図り、今年度は50人の児童福祉司となったということですが、児童福祉司1人当たりのケース数は、令和元年度53ケースで、若干改善はしたものの、目標の48.9ケースは達成しなかったということです。
 いわて子どもプラン(2020~2024)では、2022年、令和4年に40ケースを目指しておりますが、職員体制の充実や児童心理司、保健師の確保にどう取り組むのかお伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 児童相談所における人材の確保についてでありますが、年々増加する児童虐待相談に適切に対応するため、児童福祉司など児童相談所の専門職員の増員を進めてまいりましたが、昨年度は虐待件数が大幅に増加したことから、児童福祉司1人当たりのケース数については、目標の達成には至らなかったところでございます。
 今年度は、令和元年度に前倒し採用した分も含めて児童福祉司を7人、児童心理司を3人増員したところであり、今後も引き続き、計画的に増員を図っていくこととしております。
 また、保健師については、児童虐待防止対策や一時保護業務において、母子保健や精神保健などの専門職としての役割が期待されていますことから、本県においては、従前から各児童相談所に配置しておりまして、今後も引き続き適正に配置をしてまいります。
〇18番(佐藤ケイ子君) 児童福祉司の配置基準ですけれども、1人当たり50ケース相当から今度40ケース相当になるよう、人口4万人に対し1人という基準から3万人に1人となったわけです。その中にはスーパーバイザー、里親、養育支援の児童福祉司、それから市町村支援の児童福祉司なども配置することになりましたので、これからもぜひ積極的な配置をお願い申し上げます。
 次に、施設の改修についてであります。
 虐待通報が増加している中で一時保護が増加しておりますけれども、施設の環境は十分と言えるでしょうか。宮古児童相談所は建設に着手することになっていますが、福祉総合相談センターは、昭和48年建設で47年経過しております。老朽化、狭隘化しているのではないでしょうか。保護施設としての施設のリニューアルの計画はどうか伺います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 福祉総合相談センターの改修についてでありますが、議員からの御指摘のとおり、福祉総合相談センターは建築から47年が経過し老朽化が進んでいますほか、一時保護所の環境改善や児童相談所職員の増員に伴います事務室の狭隘化への対応が必要であると認識しております。
 このため、令和元年度には、虐待被害を受けた児童などへの個別的なケアに対応するため、居室の一部を個室化したほか、居室の洋室化などの環境整備を行ったところであります。
 今年度は、宮古児童相談所の改築工事に着手したところであり、引き続き、一関児童相談所やそのほかの施設も含めた整備、更新の状況も踏まえながら、施設の改築について検討を進めてまいります。
〇18番(佐藤ケイ子君) 早期の対応をお願いいたします。
 次は、児童福祉人材の育成についてであります。
 全国的に児童福祉司と児童心理司の増員が求められ、経験の浅い若手がふえているということであります。さらに、スーパーバイザーになるレベルの経験者は少なく、底上げに苦労しているということであります。
 本県でも、毎年職員の増員を図っていることは大いに評価いたしますけれども、専門研修はどのようになっているでしょうか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 児童福祉司等の専門研修についてでありますが、児童福祉法の改正により、平成29年度から、児童福祉司に対する任用前講習、任用後研修、スーパーバイザー研修の受講が義務づけられたところでございます。
 このうち児童福祉司スーパーバイザー研修については、本県では、横浜市にある子どもの虹情報研修センターに委託をいたしまして、前期、後期に分けて計6日間の研修を実施しており、これまでに10名の児童福祉司が修了しております。
 また、児童心理司については、研修受講について法的な義務づけはございませんが、毎年度、子どもの虹情報研修センターが実施していますスーパーバイザー研修などへの派遣を行っているところであります。
 今後も引き続き、職員の体制強化とあわせまして、専門研修の受講などによる資質の向上に努めてまいります。
〇18番(佐藤ケイ子君) わかりました。専門研修を受ける拠点が全国的にも少なくて、横浜市の子どもの虹情報研修センター、それから、今、新しく西日本こども研修センターあかしというのができたようでありますけれども、本当に積極的に研修を受講できるように配慮をお願いしたいと思います。
 それから、市町村の児童福祉の人材育成についてですけれども、国は、虐待防止の新プランで、2022年度までに全国全ての市区町村に子ども家庭総合支援拠点を設置することを決めており、子供と家庭、妊産婦らを対象とし、虐待などを早期に発見し、迅速に対応する身近な窓口となります。
 児童相談所中心の点の支援から市区町村中心の面の支援へ移行していくわけであります。県は、市町村の人材育成にどうかかわっていくのかお伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 市町村の人材育成についてでありますが、地域における児童虐待防止対策においては、市町村の要保護児童対策地域協議会が重要な役割を担っており、県では、同協議会の調整担当者の任用資格が得られる研修として児童福祉司任用前講習を実施しておりまして、平成29年度以降、46名の市町村職員が修了しているところであります。
 また、この調整担当者の資質向上を目的として、法定の専門研修である要保護児童対策地域協議会調整担当者研修を県が毎年度実施しており、平成29年度以降、80名が修了しているところであります。
 こうした研修のほか、児童相談所の児童福祉司が定期的に市町村を訪問して、ケース検討や同行訪問を実施するなど、現場での実践を通しまして対応力の向上を図っているところであり、引き続き、これらの取り組みによりまして、市町村の人材育成を支援してまいります。
〇18番(佐藤ケイ子君) 市町村は、人材を確保し育成するということが本当に大変な状況だと思います。どうぞよろしくお願いします。
 次に、待機児童対策と保育士の確保について伺います。
 ことし4月1日現在の県内の保育状況は、保育施設493カ所、定員3万2、733人、利用児童数2万9、771人ということです。待機児童は、盛岡市、滝沢市、奥州市などで大幅に定員をふやし、昨年4月と比べ117人減少し、58人の待機児童と改善が図られたということです。
 問題なのは、いわゆる隠れ待機児童の存在であります。本年4月時点で、いわゆる隠れ待機児童は280人と聞いております。待機児童が発生または潜在的な保育ニーズの増大が見込まれる県内8市4町は、子育て安心プラン実施計画(2018~2020)の採択を受けて待機児童解消に向けて施設整備、保育人材確保対策事業などに取り組んでおりますが、人材確保の成果を上げるのは難しい状況です。
 県は、保育士資格取得支援事業、保育士就職準備金貸付、保育士・保育所支援センターなどの事業を行って市町村を支援しておりますが、その成果と課題はどうかお伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 待機児童対策と保育士の確保についてでありますが、保育士確保については、処遇改善加算の活用の促進などにより、保育士の処遇や労働環境の改善を図っておりますほか、保育士を目指す学生を対象とする保育士修学資金の貸し付けや、潜在保育士の再就職を促す保育士・保育所支援センターによるマッチング支援などに取り組み、これまでの2カ年で修学資金の貸し付けを受け卒業した41名が県内就職し、また、マッチングにより昨年度は120人が再就職するなど、一定の成果を上げているところであります。
 一方で、県内の保育士の有効求人倍率は、令和2年7月時点で1.81倍と依然として高い状況にありますことから、保育の受け皿の拡大に対応する保育士確保の取り組みを進めまして、待機児童の解消につなげていく考えであります。
〇18番(佐藤ケイ子君) 若い女性の就職先として保育施設は非常にいいわけですけれども、大変な処遇だということで首都圏のほうに転出される方々が非常に多いということであります。人口減少対策も含めて、若い保育士の皆さんが地元に定着できるようお願いしたいと思います。これは仕事と家庭の両立支援とか女性活躍の支援とか、そういったことの基本となりますので、この保育士の処遇改善が大きな課題であります。これは国の公定価格の見直しが必要だと思います。どうぞ国に引き続き要望活動を行っていただきたいと思います。
 次に、介護保険制度について伺います。
 まず、特別養護老人ホームへの待機者についてですけれども、本県の要介護、要支援認定者数は7万9、553人、施設、居住系サービス利用者数は年間平均1万9、954人ということです。
 特別養護老人ホーム等の入所申し込み者は令和2年4月1日現在4、171人、うち早期入所が必要な者は813人で、令和2年度中に開設見込みは131床ということです。682人が依然として待機者であり、随時申し込み者を含めると多数の待機者の状況と推察いたします。
 介護人材が不足するため、入所を制限している施設もあります。入所定員と実際の入所可能人数の乖離があるのではないかと思っております。第7期介護保険事業計画の平成30年から令和2年度では、特別養護老人ホームの待機者の解消が進んできたと考えているのでしょうか、所見をお伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 特別養護老人ホームの待機者についてでありますが、今期、第7期の介護保険事業計画におきましては、これまでに特別養護老人ホーム588床が整備されたところであり、現在、県全体で184施設、9、089床となっております。
 令和2年4月現在における特別養護老人ホームの在宅の入所待機者は1、299人で、うち市町村が早期に入所が必要と判断した待機者数は813人となっておりまして、前年度と比較して77人減少しております。
 しかしながら、依然として待機者が多いことから、市町村が介護保険事業計画に基づいて行う特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホームなどの施設整備に対する補助を行いますとともに、参入の促進、労働環境、処遇の改善及び専門性の向上の三つの視点から、総合的に介護人材確保策を進めることによりまして、待機者解消に向けて必要な介護サービス基盤の整備を支援してまいります。
〇18番(佐藤ケイ子君) 施設整備に補助金を出して整備してもらうわけですけれども、事業所が、経営が厳しいということで休止、廃止しているところもありまして、なかなか難しい状況だと思っております。
 次に、サービスつき高齢者向け住宅―サ高住について伺います。
 サ高住が増加しており、全国で7、716棟、26万32戸、県内では92棟、2、139戸が登録されているということです。
 サ高住は、賃貸住宅として、自立生活ができる方や軽度要介護者が生活し、介護が必要になれば、訪問介護や通所介護を受けながら生活するものです。しかし、最近は特別養護老人ホームなどに入所できないため、有料老人ホーム扱いのサ高住の一部が、特定施設の指定を受け、介護つき有料老人ホームとなっておりますが、スタッフ不足が生じている現状で、介護サービスが十分提供できない状況が生じていると考えられます。
 国土交通省は、さまざまな補助金を用意しさらに拡大する方針のようですが、サ高住の増加に対する認識をお伺いいたします。
〇県土整備部長(中平善伸君) サービスつき高齢者向け住宅、いわゆるサ高住についてですが、県では、岩手県住宅マスタープランにおいて、高齢者向けの良質な賃貸住宅需要に適切に対応するため、サ高住の供給促進を重点施策として位置づけており、県と市町村が協力して、事業者に対する制度周知を図るとともに、面積基準や必要設備といった住宅の登録要件に関する相談対応を実施しているところです。
 また、サ高住の適切な運営やサービス提供が行われるよう、定期的な報告により運営状況を把握するとともに、設備関係については、必要に応じて行政指導などを行っているところです。
 今後も引き続き、高齢者向け住まいの適正な供給の促進と管理を図ってまいります。
〇18番(佐藤ケイ子君) 国土交通省では、サ高住を高齢者、障がい者、それから子育て世帯の多様な世帯が暮らす住環境を提供するということで、スマートウエルネス住宅等推進事業として有利な補助を行うわけです。介護は厚生労働省、サ高住は国土交通省ということで、縦割りでそれぞれ進められるわけですけれども、結局は介護保険サービスにつながっていくわけで、市町村は、本当に現場が混乱するというような状況になっています。
 サ高住がスマートウエルネス住宅等推進事業を行う際に、事業者と市町村が協議をすることになっておりますが、なかなかうまく調整が図られない場合も出ているようであります。どうぞこの制度のPRといいますか、制度の趣旨を理解いただけるような方法、周知の仕方を考えていただければと思っております。
 次に、介護事業所の課題について知事に伺います。
 厚生労働省が、通所介護や介護老人保健施設などの事業所に対し実施したアンケートでは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により経営が悪化していると答えた事業所は、10月現在で30%、5月の時点では50%という調査結果を公表しました。
 コロナ禍において、介護事業所を取り巻く環境は厳しさを増していると考えますが、県はこの状況をどう認識しているでしょうか。知事の御所見をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 11月に公表された国の介護保険事業状況報告等によりますと、これは7月サービス分の本県の1事業所当たりの平均介護保険給付費でありますが、介護老人福祉施設と訪問介護で、両方とも前年同期比5.6%増加と出ております。通所介護では、前年同期とほぼ同額、サービス受給者数はわずかながら減少と出ております。
 この状況につきましては、本県で初の患者が確認されたのは7月末であり、また、介護報酬の増額改定も反映されていますので、新型コロナウイルス感染症による影響の評価としては難しいところがありますが、11月に、本県では初めて介護事業所においてクラスターが発生したところであり、今後、介護事業所における感染者が増加した場合には、感染防止対策に係る経費の増加や利用控え、サービスの縮小、休業などによる経営への影響が懸念されるところであります。
 介護サービスは高齢者やその家族の生活を継続する上で欠かせないものであることから、県としては、介護事業所における感染拡大防止経費の支援などに努めるとともに、引き続き、感染拡大防止対策の徹底を図り、利用者に対して必要な介護サービスが継続して提供されるよう取り組んでまいります。
〇18番(佐藤ケイ子君) 介護事業所の皆さんは、このコロナ禍において、いろいろな集まりなどもずっと自粛しておりまして、かわいそうな感じであります。緊張の日々をずっと過ごしておられます。定期的なPCR検査もしてほしいという声もいただいておりますが、今はそういう状況ではないということですけれども、いずれ処遇改善加算とか加算措置はあるのですが、その手続が煩雑で利用できない。新たな加算措置が次々出てきても根本的な処遇改善になっていないということなわけです。賃金改善、報酬体系の簡素化の制度改正に向けて、どうぞ国にも要望をお願いしていただきたいと思います。
 それで、介護事業所の状況ですけれども、経営状況を把握する調査を厚生労働省は行っておりますが、都道府県の状況が分析できるように、国に調査結果の情報提供を求めるとか、あるいは県が独自調査をしないと、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によるかかり増し経費の対応など課題に対応できないのではないかと考えますが、所見をお伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 介護事業所の経営状況の把握についてでありますが、今般、国が実施いたしました新型コロナウイルス感染症の経営への影響に関する調査については、全国の介護事業所における収支の状況等について調査結果が公表されておりますけれども、各都道府県の状況が把握できる調査方法とはなっていないところであります。
 今後、必要に応じて、国に対しまして、各都道府県の状況を把握できるよう、調査方法等の改善や情報提供について求めていきたいと考えております。
 また、これとは別に、県内の複数の介護事業所において感染者が確認されたことを踏まえまして、県としても、県内事業所における経営への影響を把握する必要があると認識しておりまして、関係団体と協議しながら、新型コロナウイルス感染症による収入、支出の増減状況など、経営への影響に係る調査の実施や関係団体との意見交換により、新型コロナウイルス感染症の介護事業所への影響や課題の把握に努めまして、必要な対応を行っていく考えであります。
〇18番(佐藤ケイ子君) 次の項目に入ります。5項目めですけれども、働き方改革についてであります。
 まず、県職員の働き方改革について取り上げます。
 欠員の状況についてでありますが、新型コロナウイルス感染症対策、震災復興、それからいわて県民計画(2019~2028)の遂行に向けて取り組みを加速するということで進んでいますけれども、それには人員確保が不可欠であります。
 ことし2月の欠員は64人、4月時点では46人と改善の方向にあると聞いておりましたけれども、現時点での欠員はまた増加したと聞いておりますが、どうでしょうか。採用予定はどうか伺います。
 それから、続けてですけれども、児童相談所、農業改良普及員、土木技師、保健師など専門職種が絶対的に不足し、職場環境は極めて深刻と聞いております。専門職種の処遇改善を含めて具体的な確保策をお伺いいたします。
〇総務部長(白水伸英君) まず、県職員の欠員の状況についてでございます。
 県では、東日本大震災津波の発災以降、復興やふるさと振興などの県政課題に対応するため、新規採用職員の大幅な採用増、任期付職員や再任用職員の採用、応援職員の受け入れなどにより人員確保に取り組んできたところでありまして、欠員については、ピーク時である平成27年4月の145人と比べ、減少傾向にあるところであります。
 ただ、直近の状況については、議員御指摘のとおり、令和2年4月時点で46人まで減少した欠員が、年度途中の退職等の影響によりまして、令和2年11月現在、65人となっているところであります。
 引き続き、欠員の解消に向けて職員確保に取り組む必要があることから、令和3年度に向けた新規採用予定数については、退職者見込みを大幅に上回る210人とし、この内定者のうち10人程度について今年度内の前倒し採用を図っていますほか、今年度中に任期を終える予定であった任期付職員115人について、来年度までの任期の延長を打診するなどの措置も行っており、あらゆる手段を講じて人員確保に努めてまいります。
 次に、専門職種の人員確保についてでありますが、これまで、児童福祉法等の一部を改正する法律による配置基準引き上げに応じて、児童福祉司等を増員するなど専門職の職員の計画的な確保に努めてきております。御指摘の児童福祉司、保健師及び農業改良普及員などでは、おおむね定数に見合う人員を確保できているところであります。その一方で、総合土木職や獣医師など、他の地方公共団体や民間企業等との競合により採用予定数を確保することが困難な職種も生じているところであります。
 これら専門職種の人員確保につきましては、引き続き、資格や免許を有する者を対象とした選考採用の実施、民間等経験者のための採用枠の設定、ウエブセミナーの開催、SNSの活用による内定者支援、大学訪問やインターンシップの受け入れ、学生向けオンライン説明会を通じた受験者確保策の強化などにより取り組みを進めてまいります。
 また、専門職種の給与面における処遇についてでありますが、地方公務員法が定める給与決定の諸原則を踏まえつつ、継続的かつ安定的な確保の観点からも検討を行ってきたところであり、例えば、採用困難な専門職である獣医師及び薬剤師については、これまで、初任給や手当の額の引き上げ等の処遇改善を行ってきたところであります。
 今後におきましても、専門職種の人員確保に向けて、所管部局や人事委員会と連携しながら、人員確保と処遇改善の取り組みを一体的に進めてまいります。
〇18番(佐藤ケイ子君) 次に、超過勤務の状況についてです。
 超過勤務の上限規定が適用されて2年目を迎えております。退勤時間を正確に申告しないという実態も散見されて、既に形骸化の懸念があると聞いております。さらには、上限の例外とされる他律的業務という部署がたくさんあります。それから、新型コロナウイルス感染症対策に従事する部署―保健福祉企画室、医療政策室、環境保健研究センター、広域振興局保健福祉環境部などは、超過勤務の上限の例外対象部署となっております。
 超過勤務が蔓延している中で、保健指導対象者数はどのようになっているでしょうか。実効力のある長時間労働是正への取り組みをどう考えているのかお伺いいたします。
〇総務部長(白水伸英君) 長時間労働の是正につきましては、職員の健康保持や仕事と生活の両立の観点から重要な課題であると認識しております。
 今年度の長時間労働によります保健指導対象者数は、9月末現在で延べ178人となっておりまして、新型コロナウイルス感染症の影響により前年同時期と比べて47人増となっております。
 こうした状況を踏まえ、超過勤務の縮減のため、今年度においても所属長に対しまして、適正な勤務時間の管理について周知徹底を図っていますほか、働き方改革推進会議の場などを活用しながら、業務の見直しを推進しているところであります。
 また、今般の新型コロナウイルス感染症の対応など、緊急の行政需要に対しましては、積極的かつ機動的に業務支援を活用するとともに、本庁などにおいて11月から業務継続計画、いわゆるBCPに基づく業務の見直しを実施するなど、職員の負担軽減に取り組んでいるところであります。
 今後におきましても、適切な業務マネジメントに取り組むほか、新規採用職員の増や任期付職員の任用など必要な人員の確保に努め、職員の超過勤務の縮減に取り組んでまいります。
〇18番(佐藤ケイ子君) 次に、会計年度任用職員の状況についてです。
 会計年度任用職員が本年度からスタートしております。地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律の趣旨は、勤務条件や賃金の改善であったわけですけれども、現実的には制度の趣旨に沿わない状況になっているのではないかと思っております。
 会計年度任用職員の処遇改善、休暇制度など諸制度も常勤職員との均衡を踏まえた制度とするよう改善するべきですが、どうでしょうか。
〇総務部長(白水伸英君) 会計年度任用職員制度の導入に当たりましては、制度導入前の臨時的任用職員、非常勤職員時よりも年収ベースで増額となるように処遇の確保を図っているところでありますが、報酬の水準については、職務の内容や責任、必要な知識、他の地方公共団体との均衡等を考慮し、必要に応じ見直しを行っていくこととしております。
 制度導入初年度におきましても、一部の会計年度任用職員については、募集状況等を考慮し、その報酬水準について見直しに向けた検討を進めてきたところであります。
 また、休暇制度についても、国の非常勤職員との均衡を踏まえつつ、人材確保の観点から国の非常勤職員において無給としている一部の特別休暇を有給としているほか、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、発熱等の症状がある場合について、有給の特別休暇を取得できる内容の制度改正などの見直しを行っているところであります。
 今後におきましても、常勤職員との均衡も踏まえながら、会計年度任用職員の処遇の確保を図り、業務に必要な人員の確保を行ってまいります。
〇18番(佐藤ケイ子君) よろしくお願いします。
 次に、教職員の働き方改革について伺います。
 まず、時間外勤務の削減についてであります。
 岩手県教職員働き方改革プランの取り組みが行われておりますけれども、ことしは最終年となってまいります。
 時間外勤務削減の取り組みでは、県立学校では月80時間以上の時間外勤務は平成30年度以降3割減、月100時間以上は令和元年度からゼロを目指していました。昨年度の県立学校の時間外在校等時間が月45時間以上の教員の割合は27.9%、月80時間以上は8.8%、さらに月100時間以上は4.1%ということでした。
 令和元年度は、年度末に突然の休校が行われ時間外が減少したはずですが、それでも目標達成には至っていないのではないでしょうか。状況はどうか伺います。
 それから、県教育長名で県立学校長に対し月100時間以上の時間外勤務を行わせないことの通知が行われ、県教育委員会の強い意思は理解いたします。しかし、業務内容の見直しがないまま、実質的に時間外業務の削減はできないのが実態で、タイムカードの打刻を自主的に調整したり、休日の部活動も自己申告しないなどの事例が教職員組合に報告されております。認識はどうか伺います。
〇教育長(佐藤博君) 岩手県教職員働き方改革プランでは、3年目になる令和2年度の時間外の在校等時間について、月80時間以上の教員の割合を3.0%、月100時間以上の教員をゼロにすることを目標としております。
 今年度の上半期の状況を申し上げますと、月80時間以上の割合は3.1%、月100時間以上の割合は0.3%となっており、新型コロナウイルス感染症対策のため、会議、研修、行事等の見直しを行ったことも含め、これまで行ってきた働き方改革の取り組みの成果が徐々にあらわれてきていると捉えております。
 また、タイムカードによる出退勤の記録については、教員の在校等時間を客観的に把握することにより、教員の負担軽減に向けた取り組みにつなげていく上での基本となるものであり、これまでも適正な運用について、学校に周知してきたところであります。
 引き続き、会議等のさまざまな機会を捉えて、適正な運用が図られるよう呼びかけていきます。
〇18番(佐藤ケイ子君) なかなか現場では難しい状況であります。
 ワーキンググループから業務見直しの課題、提案が出されておりますけれども、教員の本来的業務の改善、附帯的業務のスクラップなどを柱に意見交換したということですが、取り組み状況はどうでしょうか。また、現在の岩手県教職員働き方改革プランは2020年度、令和2年度までとなっておりますけれども、今後はこのプランをどうするのかお伺いいたします。
〇教育長(佐藤博君) 平成30年度と令和元年度にワーキンググループを設置しまして、学校業務のスクラップ・アンド・ビルドについて検討を行い、提案をしたところです。
 その提案を受け、これまでに、地域、保護者に向けた働き方改革の理解醸成用リーフレットの作成や、中学生の部活動に係る地域活動との連携のあり方の研究などの取り組みを実施しているほか、職員会議の持ち方の改善や週休日の地域行事への対応の精選など、学校がその実情に応じて実施している取り組みを、優良事例として事例集にまとめ、配布するなどにより普及を図っているところです。
 また、現在の岩手県教職員働き方改革プランは今年度が最終年度となっており、今後も、教員の長時間勤務の縮減に向けた取り組みを継続する必要があることから、来年度以降の取り組み方針について現在検討を行っているところであり、その検討に当たっては、学校現場の声を集約し、関係団体とも十分に意見交換を行いながら、業務の見直しを初めとするより効果的な取り組み内容を構築していきたいと考えております。
〇18番(佐藤ケイ子君) 抽象的な答弁になるようですけれども、県立学校の教員が、私たち県議会議員に現場の状況を聞いてほしいということで、お話を聞いたことがありました。数字上、時間外業務を削減するようにということだが、業務内容は何も変化がない状況ということで、本当は超過勤務の状況は改善していない。それから、そこの学校では、健康診断の結果で42%の教職員が要治療という異常な状態だった。休めばみんなに迷惑がかかるので我慢している。ドミノ倒しになるのではないかと心配しているというようなお話も伺っております。どうぞ学校現場の状況をわかっていただきたいと思います。
 次に、各種調査、テストの見直しについてです。
 岩手県小・中学校学習定着度状況調査については、他の学力調査で十分ではないか、それから、テスト用の事前練習の問題とか、教員の負担などが指摘されております。県教育委員会は、市町村教育委員会とあり方を慎重に検討するということでした。
 ことしはコロナ禍で全国学力・学習状況調査、岩手県小・中学校学習定着度状況調査が中止になり、学校現場からは、本来の授業時間を確保できた。授業に集中できた。児童生徒とかかわる時間が持てた。これを機会に見直してほしいという声が上がっております。
 岩手県小・中学校学習定着度状況調査のあり方はどのように検討されているのか、岩手県中学校新入生学習状況調査や全学年での体力・運動能力調査の廃止についても要請されていると思いますが、廃止の考えはないかお伺いいたします。
〇教育長(佐藤博君) まず、岩手県小・中学校学習定着度状況調査については、県内全ての市町村教育委員会との意見交換を行ったところであり、学力調査について、児童生徒一人一人のつまずきの把握や授業改善に活用しているという意見があった一方で、採点業務、調査結果処理に係る負担が大きい、調査結果のフィードバックに時間がかかるなどの課題が改めて明らかになったところです。
 県教育委員会といたしましては、各市町村教育委員会等との意見交換を踏まえ、来年度以降の調査のあり方について検討を進めており、今年度中に方向性をお示しできるよう現在取り組んでいるところです。
 また、体力・運動能力調査につきましては、県教育委員会としては、県内の児童生徒を対象に調査を実施することにより、体力、運動能力の現状を明らかにし、学校体育指導上の基礎資料を得るとともに、各校の体力向上の取り組み改善に生かすために実施しているものです。
 本調査が体力、運動能力の状況を把握するための唯一の調査であることから、今後も調査を継続し、本県児童生徒の体力向上に努めていきたいと考えております。
〇18番(佐藤ケイ子君) 体力・運動能力調査は唯一の調査ということですけれども、全学年でやる必要があるのかということを問題視しているようであります。どうぞ検討をお願いいたします。
 それで、県内の労働環境全体のことについてですけれども、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、今年度上半期の県労働委員会への相談が増加しているということです。国への相談内容はどうだったか、解雇の状況はどうだったかお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 労働相談等の状況でありますけれども、岩手労働局によりますと、令和2年11月27日現在で、雇用調整助成金に関する相談が最も多く9、151件、次いで休業に関する相談が564件、解雇、雇いどめに関する相談が240件の順になっています。
 また、解雇の状況につきましては、事業者から相談を受けた件数になりますが、11月27日現在で70事業所、623人となっているところであります。
〇18番(佐藤ケイ子君) 知事にお伺いしたいのですけれども、2019年度の岩手労働局の監督指導において、182事業所で違法な時間外労働が確認されたということです。民間企業でも働き方改革に取り組んでいるわけですけれども、なかなか実現が難しいということを示しています。
 長時間勤務の是正は、県職員や教職員に限らず、民間企業においても課題となっております。職種に限ることなく働き方改革を浸透させ、労働環境の改善を図るためには、国や県といった枠組みを超えた取り組みが必要と考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 長時間勤務の是正については、働き方改革関連法による時間外労働の上限規制が本年4月から中小企業にも適用されており、全ての働く方々が健康で生き生きと働くことができる魅力ある労働環境の実現に向けた重要な取り組みであると認識しております。
 県は、岩手労働局、東北経済産業局といった国の機関のほか、県内の経済団体、産業団体や教育機関等の33団体で構成しますいわてで働こう推進協議会を核といたしまして、全県的ないわて働き方改革推進運動を展開するとともに、業務効率の向上に向けた企業の取り組みに対する補助金によって企業を支援しているところであります。
 また、働き方改革に関するすぐれた企業の取り組みについては、いわて働き方改革アワードで表彰し、広く情報発信することにより、優良事例の普及を図っているところです。
 このほか、岩手労働局と連携し、働き方改革の推進について経済団体等へ要請活動を継続的に行うとともに、岩手労働局が設置している岩手働き方改革推進支援センターとも連携し、企業経営者等の働き方改革に向けた意識の醸成や個別企業のニーズに応じた相談対応等も行っているところです。
 引き続き、県民がよりよい労働環境のもとで働くことができるよう、各種支援施策の強化、充実を図りながら、全県的な働き方改革を推進し、労働環境の改善につなげてまいります。
〇18番(佐藤ケイ子君) よろしくお願いします。
 次の項目は、森林公園の活用で、森林公園の環境整備、森林セラピーのことについてお聞きすることになっているのですけれども、後から時間を見て質問させていただきたいと思います。
 7項目めの質問は、社会資本の整備と利活用についてですけれども、建設業の持続性確保について伺います。
 地域の建設業の皆さんは、社会資本整備のほか、災害時緊急対応や維持管理の担い手であり、地域経済を支える役割を担っており、平成28年度では約7万7、000人が県内で働いております。年齢は50歳代以上が5割を超え厳しい状況ですが、私たちの暮らしの基盤を支えていただいております。
 建設関係者と意見交換を行ったところ、復興事業の終了や新型コロナウイルス感染症対策関係費の余波で建設予算が確保されるのか、経営不安を抱えているということであります。安定的な経営が見通せなければ若者の人材確保や働き方改革、地域貢献活動などは実現できず、ひいてはインフラ整備、災害対応、地域の雇用と経済を支えることができなくなるということでした。
 いわて建設業振興中期プラン2019は2019年度から2022年度までの4年間のプランを示しており、県民の豊かで安全・安心な暮らしを創り、守る、県民の幸福の追求をしっかりと支える建設企業とし、建設投資額の確保、経営の安定化、ICTによる生産性向上、働き方改革、災害対応の体制確保を目標としておりますが、なかなか現実的には大変です。
 現実は、適正な設計、積算、工期、予定価格、工事費の支払い時期などについて県の評価と業界の認識に相違があるということです。このプランを順調に推進させるための課題認識、方策について伺います。
〇県土整備部長(中平善伸君) いわて建設業振興中期プラン2019の推進についてであります。
 本プランは、建設業団体の意見も聞きながら昨年度取りまとめたものでありますが、このプランに掲げた施策を推進するため、県内13支部を対象とした建設業地域懇談会や空調衛生、電気事業等の専門分野の団体等と意見交換を重ね、取り組み状況や課題等を把握してきたところであります。
 プラン1年目である昨年度は、こうした意見交換の結果を踏まえまして、災害活動を行った場合には、その実績を入札制度において評価点を高くするなど、地域の建設企業の活動を適切に評価するといった見直しを行ったところであります。
 関係団体からは、議員の御指摘のような要望事項もありますので、引き続き、意見交換を丁寧に行うとともに、新たな取り組みとしましては、有識者からプランの進捗状況を踏まえた今後の課題等について意見を聞く場を設けることとし、プランに掲げた取り組みを着実に進めてまいります。
〇18番(佐藤ケイ子君) 土木予算の確保をお願いしているわけですけれども、除雪の機械とか人件費の問題がある。それから、河道掘削とか立ち木伐採を強化していかないと災害対策にならない。熊対策にもならない。それから、コンサルタントに設計委託していますけれども、その精度が低く現場と相違がある。県の技師が少なくてチェックができない。結局、工事のおくれや設計変更と契約変更で業者泣かせになっている。入札指名願の様式が各自治体で微妙に違っており、事務量が多くなる。本当にさまざまな課題が出されております。
 働き方改革を実行するためにも、どうぞ建設関係の皆さんの意見を尊重して、よりよい公共工事ができるようにお願いいたします。
 次は、釜石港のさらなる活用について伺います。
 釜石港は、大阪府から寄贈されたガントリークレーンが平成29年9月から稼働して飛躍的にコンテナ取扱量が増加し、ポート・オブ・ザ・イヤー2019も受賞しました。さらに、令和元年8月には動物検疫港に指定され、県産牛肉の輸出や小口混載輸送などの実証実験が行われているということです。釜石港のさらなる利用拡大、利便性向上を通じた地域経済の活性化に期待したいところです。
 令和元年のコンテナ取扱量は9、292TEUと過去最大だったようですが、ことしの状況はどうでしょうか。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響はあるのか、取扱品目の新規開拓や変化はどうか伺います。
〇県土整備部長(中平善伸君) 釜石港のコンテナ取扱量についてでありますが、本年1月から10月までのコンテナ取扱量は7、446TEUと、前年同期比で約2%の減少となっています。
 その要因としては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前からの鉄鋼不況に加え、新型コロナウイルス感染症の影響による世界的な自動車の減産などによる鋼材の輸出の減少が挙げられます。
 一方で、新型コロナウイルス感染症対策に関連したマスクなどの日用品等の輸入が増加しているほか、自動車部品等の輸入について県外の港湾からの転換が進んだことや、半導体用の化学工業用品の輸入が開始されたことなど、取扱品目が拡大しているところであります。
〇18番(佐藤ケイ子君) 釜石港の活用の中で、完成自動車物流の復活についてはどうでしょうか。
 ことしはRORO船が試験寄港し、メーカーや物流企業など県内外の約10社が協力し、北上プライウッド株式会社の合板や三菱製紙株式会社の紙製品、日本製鉄株式会社の線材などを積み込み苫小牧に運んだということです。
 東日本大震災津波前は金ケ崎町の関東自動車工業株式会社―今のトヨタ自動車東日本株式会社―の完成自動車を運ぶために寄港していましたが、現在は仙台塩釜港から輸送しているということです。平成元年に釜石港で開始された完成自動車物流は、公共埠頭最大の取扱貨物量を誇っていたということですが、東日本大震災津波の影響により、平成23年3月以降、取り扱いが中止されております。
 釜石市では、完成自動車物流の復活を釜石港復興のシンボルと捉え、復活に向けて努力していくと報道されております。県は、港湾管理者としてどのようなセールスを行っているのか、また、完成自動車物流の復活への課題と見通しはどうか伺います。
〇県土整備部長(中平善伸君) 完成自動車物流の復活についてでありますが、東日本大震災津波以降、トヨタ自動車東日本株式会社岩手工場の完成自動車は、宮城大衡工場の完成自動車と合わせて仙台港から積み出されていると承知しています。
 県では、釜石港の利活用の促進に向けて、釜石港へのアクセスなど利便性が向上し、また、自動車部品等の輸入が県外の港湾から釜石港に転換されるなど、利用拡大が徐々に進んでいるという強みをポートセールスの場でPRしてきたところであります。
 現時点では完成自動車物流の復活には至っていないものの、企業の物流は、調達、生産から保管、輸送、販売に至る企業活動全体を総合的に勘案して設定されていることから、県としては、引き続き、港湾利用の促進に向けて、釜石市と連携し企業側に働きかけてまいります。
〇18番(佐藤ケイ子君) 北上金ケ崎パシフィックルートについて伺います。
 釜石港、大船渡港のさらなる活用には、自動車産業や半導体関連産業が集積する北上市、金ケ崎町、奥州市の江刺中核工業団地からの物流の利便性を向上させなければなりません。秋田自動車道ともつながる北上金ケ崎インターチェンジから江刺田瀬インターチェンジまで高規格の道路として整備することにより、三陸地域と北上川流域を結び、周辺市町村、県、東北全体の産業振興に貢献する重要なルートになると思われます。
 産業振興の立場から、今後、一層の産業集積が見込まれる北上川流域と三陸地域との物流環境を向上させるための課題と展望の認識はどうか伺います。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 北上川流域と沿岸の物流環境の向上についてでありますが、自動車や半導体関連企業の集積が加速する北上市、金ケ崎町や奥州市と釜石港、大船渡港を結ぶ物流は、港湾や東北横断自動車道釜石―花巻間等のインフラ整備の進展に伴いまして、今後さらに拡大するものと見込んでおります。
 また、県では、今年度、内陸部の企業等を対象としたポートフォーラムを開催いたしまして、県内港湾の一層の利用拡大を図ることとしているところでもございます。
 議員が御指摘の当該ルートのあり方につきましては、企業訪問等を通じた内陸企業等の物流環境に対するニーズを把握しつつ、東北横断自動車道釜石―花巻間の全線開通等による物流の変化や周辺の開発動向などを見きわめながら、県土整備部とも連携し研究してまいりたいと考えております。
〇18番(佐藤ケイ子君) この北上金ケ崎パシフィックルートですけれども、北上市はこのルートを県に要望しておりますが、今後、周辺の自治体、それから沿岸の自治体、経済団体と期成同盟会の設置を視野に入れて、まず勉強会を開催しようとしているということであります。その勉強会の開催に向けて、どうぞ県の関与を強くお願いしたいと思います。
 あと、物流の拡大を図っていくには、今、釜石市、それから、県は商工労働観光部、県土整備部、それから県南広域振興局でも、小口混載輸送とか冷蔵冷凍食品を扱うリーファーコンテナを活用した輸送テストとか、そういう検証事業も行っているわけでして、本当に連携されているのかと思っているわけです。商工団体、物流企業、ものづくり企業などをつなぐ役割はどこが担っていくものかお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 商工団体や荷主としてのものづくり企業ということになりますと、商工労働観光部の所管ということになりますし、港湾、道路などの物流環境やその面からの物流企業との関係ということになりますと、これは県土整備部ということになるわけであります。いずれ、商工労働観光部としては、企業訪問等によって企業ニーズの把握を十分に行っていきたいと思いますし、今お話のありました県土整備部、それから広域振興局とも十分に連携して、県が一体となって取り組んでまいりたいと思います。
〇18番(佐藤ケイ子君) よろしくお願いいたします。
 それでは、森林公園の活用について2点お伺いしたいと思います。
 森林公園の環境整備についてですけれども、本県の県土の約77%は森林であり、豊かな自然環境に恵まれております。本県には、八幡平市の県民の森、滝沢森林公園、金ケ崎町の千貫石森林公園、大船渡市の大窪山森林公園、二戸市の折爪岳森林公園という5カ所の森林公園があります。
 いずれの施設も、地元団体や企業に指定管理されておりまして、もりの学び舎の研修施設やキャンプ場などもあり、森林散策会や探鳥会、木工教室など、令和元年度の利用者は約18万4、000人と聞いております。
 自然環境はすばらしいものの、体験研修施設の展示物は何十年も同じ、木のおもちゃが少ないところもある。国際化やバリアフリー化への対応、道路案内看板の新設、Wi-Fi環境の整備など、管理人や利用者からも要望があると聞いておりますけれども、この魅力化や充実化に向けてリニューアルが必要だと思いますが、環境整備の考えはないかお伺いいたします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 県が設置する森林公園の環境整備についてでありますが、昭和44年に設置された県民の森を初めとする森林公園は、これまで多くの県民等に利用されてきましたが、公園施設の一部には整備から相当期間経過したものもあり、利用者ニーズ等の変化に合わせ対応していくことが必要となっているところであります。
 このため県では、昨年度、外部有識者等を構成員とした森林公園リニューアル検討会を設置し、今後の森林公園のあり方や整備の考え方を検討いただいたところです。
 検討会からは令和2年3月に、車椅子やベビーカーの利用者等に配慮したバリアフリー化、子供から大人まで全ての年代で楽しむことができる施設整備、海外からの来場者に配慮した国際化などの提言をいただいたところです。
 県としては、検討会の提言等を踏まえ、森林公園が、森林との触れ合いや森林、林業を学ぶ機会を幅広い年齢層に提供できる森林環境教育の拠点となるよう、遊歩道や木製遊具の整備等の具体的な検討を進め、森林公園の機能充実を図っていきたいと考えております。
〇18番(佐藤ケイ子君) 最後の質問になります。森林セラピーについてです。
 森林浴により心身の健康が増進、回復する効果は医学的にも認められており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響でストレスを感じているときほど、森林浴でリフレッシュする森林療法、森林セラピーが必要だと考えます。
 現在の森林公園は森林セラピー基地になる条件を備えていると思いますが、森林公園の活用の意識化、案内するガイドの育成が必要だと思います。セラピー基地として認定を受けるかどうかは別として、森と親しみ、県民が元気になれるよう、森林セラピーを意識した市民の森等の活用について、各市町村に普及していくことが必要だと思います。
 今は岩手町、岩泉町においては森林セラピーの認定を受けておりますけれども、これを各市町村に普及する考えはないかお伺いいたします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 森林セラピーについてでありますが、森林セラピーとは、医学的な証拠に裏づけされた森林浴効果とされており、本県では、岩手町と岩泉町に特定非営利活動法人森林セラピーソサエティーの認定を受けたセラピーロード等があり、医師が同行しての森林散策など、心身のリフレッシュや健康の維持、増進を目的とした活動が行われていると承知しております。
 また、国では、森林セラピーを初めとする健康や観光、教育など多様な分野で森林空間を利活用し、地域の活性化等につなげていく森林サービス産業の推進に向け、全国の取り組み事例を紹介するフォーラムや森林サービス産業に関心のある企業と自治体等とのマッチングを支援するセミナーを開催するなどの取り組みを行っております。
 県では、県民が安らぎや癒し効果を持つ森林に親しむ機会を継続的に提供していくことが重要と考えており、今後とも、国の取り組みや全国の先進事例等について、市町村に対し情報提供していくほか、県民の健康、余暇活動などさまざまな分野で、地域の森林公園等が活用されるよう取り組んでまいります。
〇18番(佐藤ケイ子君) ありがとうございました。(拍手)
   
〇副議長(中平均君) この際、暫時休憩いたします。
   午後4時16分 休 憩
   
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 千 葉 絢 子 君
12  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 田 村 勝 則 君
15  番 佐々木 朋 和 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 岩 渕   誠 君
20  番 名須川   晋 君
21  番 佐々木 宣 和 君
22  番 臼 澤   勉 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 吉 田 敬 子 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 軽 石 義 則 君
31  番 郷右近   浩 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時32分 再開
〇副議長(中平均君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
〇副議長(中平均君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇副議長(中平均君) 日程第1、一般質問を継続いたします。千田美津子さん。
   〔1番千田美津子君登壇〕(拍手)

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