令和2年12月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇21番(佐々木宣和君) 自由民主党の佐々木宣和です。
 一般質問の機会をいただきました先輩、同僚議員の皆様に心より感謝を申し上げ、通告に従って質問いたします。
 まず初めに、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 改めて、県当局の皆様におかれましては、県民の安全・安心を守り、感染症対策と社会経済活動の両立のために日夜献身的に職務に当たられていることに対しまして、心からの敬意と感謝を申し上げます。
 また、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方に対してお悔やみを申し上げるとともに、療養されている方の一日も早い回復を望むものです。
 まず初めに、PCR検査について伺います。
 7月29日に本県で初めて感染者が確認されてから10月末までは落ちついていたものの、11月に入り、連日感染が確認される件数がふえ、ここ数週間の急激な伸び率に不安に思っている県民も多いと思います。
 先日の知事メッセージにもありましたが、県では、国で定義する濃厚接触者に限らず、感染が疑われる方の調査を実施し、早期に感染者を発見し、感染拡大を防止するよう取り組んでいると認識しています。
 改めて重要なことは、検査が必要な方がしっかりと検査を受けられる体制を整え、維持していくことだと思います。現在、感染がふえる中にあっても必要な人に対して検査ができる体制を維持すること、また、資機材や医療リソースのバランスをとりながらしっかりと取り組んでいただきたいと思いますが、改めて知事の所感を伺います。
 次に、BCP―事業継続計画について伺います。
 県内の医療従事者、消防、県の出先機関、デイサービスなどから陽性者が出たことから、一番の心配事は、その事業体がこれまでと同じ機能を発揮できるのかということです。
 感染者が多くなっていることで保健所の業務もふえていると思いますし、濃厚接触者や感染疑いがある方に対する追跡調査にも労力が必要です。実際に陽性者が出たことで、濃厚接触者となった職場の方々の多くが2週間仕事を休まなければならないというケースもあったようですし、非常にやりくりに苦労されている組織もあると思います。
 危機管理下においては、マニュアルに沿って適時適切に処理をすることが重要だと考えますが、実際に感染が拡大するに当たって想定以上の事案も出ているようにも感じます。特に、県立高校において、進路選択に重要な大学受験を控える生徒たちが多くいる中で、学校運営を継続するためにどのように準備、対応されているのか伺います。
 次に、事業所の感染症対策の取り組みについて伺います。
 県では、中小企業、個人事業者支援のための10万円の補助を実施しています。11月12日には加湿器も対象に加わったとのことです。運用が何度か変わっていることもあり、手続上の煩雑さから補助を受けずに自費でやられているケースも多くあると聞いています。
 しっかりと活用していただき、感染症対策に対する意識を共有していただきたいと思いますが、この10万円の対策費の活用状況を伺います。
 次に、観光産業への支援について伺います。
 先月、岩手県旅館ホテル生活衛生同業組合に、通算3回目となる新型コロナウイルス感染症の影響調査の結果についてお話を伺いました。
 まず第1に、Go To キャンペーンで多くのお客様が来るという予測をきっかけに、改めて業界のガイドラインを含め、食事の提供方法などを工夫しながら、しっかりとした感染症対策をされたこと。第2に、Go To キャンペーンはどうしても土日に集中しがちであるが、平日に修学旅行のお客さんに来ていただいたことは本当にありがたかったこと。第3に、修学旅行に関しては、同じ岩手の子供たちに地元のおいしいものを提供し、非常に満足してもらうことで、岩手のいいところを知ってもらうきっかけになったこと。第4に、食材の提供を含めて、県内各地域でのつながりを深めるきっかけになったとのことでした。
 また、さまざまなイベントが中止になったため、ウエブ上で動画を公開するなど、次回につながるさまざまな取り組みが実施されていることも非常にすばらしいと思いました。
 コロナ禍における観光産業の支援に関して、Go To キャンペーン、泊まるなら地元割クーポン等の施策の評価と今後の支援策について伺います。
 県内の修学旅行は将来的にも続けていく価値があると思いますが、コロナ禍における修学旅行の状況と今後の取り組みについて伺います。
 また、観光産業にかかわらず、まだまだ非常に苦しい状態の事業者が多くいます。12月を迎え、国の家賃支援給付金や雇用調整助成金に関しての動向も非常に気になるとの声もいただいているところですが、商工業者に対してどのような支援を指導団体とともに取り組むのか伺います。
 次に、教育の振興について伺います。
 コロナ禍において改めて気づいたことは、学ぶことの重要性です。家で過ごす時間が長くなったことにより、本を読んだり、新たな学びにチャレンジする方も多くなっていると聞きます。また、ウエブを使った教育システムが非常に進んでいることも、今回改めて気づくことができました。そして、何よりもこれからの時代をつくる子供たちの資質、能力を最大限発揮するために、個別最適な学びを実現し、より質の高い教育を提供できる体制を整える契機とするべきだと考えます。
 事業実施が加速されたGIGAスクール構想は、まさにそのきっかけになるものだと期待しています。GIGAスクール構想の進捗に関しては、児童生徒1人1台端末の来年4月からの運用を考えている学校が多いと聞いています。そのためには、授業への準備期間を考えると、より早く端末を納品することが重要であると思いますが、その準備状況について伺います。
 さて、先日、自由民主党本部の教育再生実行本部において、30人学級の推進及び高等学校のICT環境整備に関する決議がされました。前回の昭和55年度から平成3年度にかけて、45人学級から40人学級へ学級編制の引き下げが、計画期間12年、改善総数7万9、380人として行われたことを受けて、今後、学びの質をさらに向上するために、教員の確保や財源の問題もあり、10年規模で段階的に進めるための方向づけをしていくというものであると受け取っています。
 岩手県において、小学校1年生は平成18年度に、中学校1年生は平成24年度に35人学級を実現し、現在は小中学校全ての学年で35人学級を実現しています。仮にこれを30人学級とすると、現時点で学級数が614のプラス、校長、教諭等の定数が810人のプラスとなるという資料をいただきました。
 アクティブラーニング等に対応し、より質の高い学びには、少人数学級の実現が必要と考えますし、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー、ICT補助員など、教員を補完し、専門分野について教える人材の確保も非常に重要であると考えます。
 よりよい学び、学びの質の向上を実現するために、これからどういった取り組みが必要なのか、教育委員会の考えを伺います。
 次に、復興・創生期間終了後の県の対応について伺います。
 間もなく東日本大震災津波の発災から10年という節目を迎えます。改めて、お亡くなりになられた方へ哀悼の意を表しますとともに、これまで復旧、復興事業に一つ一つ取り組んできた県当局の皆様に、心からの敬意と感謝を申し上げます。
 初めに、国土強靱化に関する取り組みについて伺います。
 岩手県の当初予算は平成24年度から1兆円を超える規模で推移し、平成29年度に1兆円を下回る規模になったものの、令和2年度も震災分として2、612億円が計上されています。さきに発表されたロードマップの更新において、令和3年度に完成がおくれ繰り越される事業が震災分で747億円ということですが、発災から10年を迎え、ついに通常の予算での運用が始まります。
 特に沿岸地域では、復興工事による人の入り込みが経済を下支えしている上、主要産業の漁業も苦戦していることもあり、期間の終了時がハードランディングではなく、ソフトランディングになるような取り組みが必要であります。
 また、税収も新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年度同様に令和3年度も非常に厳しいことが予測されます。こういった状況であることからも、使えるものはしっかりと活用していくことが必要であると考えますが、一つの大きな期待は、国土強靱化3か年緊急対策の次期対策です。
   〔議長退席、副議長着席〕
 ことし8月には、内閣官房国土強靱化推進室より、国土強靱化予算の「重点化」「要件化」「見える化」等による地域の国土強靱化の取組支援についてが示されましたが、国の次期対策に関する県の取り組みについて伺います。
 次に、道路整備について伺います。
 東日本大震災津波における国土交通行政の転換として、多重性、ネットワークの重要性の再認識というものがありました。寸断された国道45号に向けてくしの歯作戦を実行したことは、先日も東日本大震災津波伝承館で改めて勉強してまいりました。東日本大震災津波、平成28年台風第10号、令和元年台風第19号と相次ぐ災害に襲われている本県において、道路の多重性を確保すること、災害に強い道路とするべく強靱化を図ることは、非常に重要であります。
 まず、国道455号に関し、岩泉町内から三陸沿岸道路のインターまでの区間において、道路のかさ上げ、また切りかえを行うと認識していますが、工事の進捗状況と完成時期について伺います。
 次に、国道106号箱石―達曽部区間について、平成31年4月に直轄による権限代行実施の検討を行うための調査に着手し、三陸国道事務所と岩手県において検討を進めていると聞いていますが、その検討状況について伺います。
 また、国道340号に関して、いよいよ12月13日に押角トンネルが開通するとのことで、改めて、関係各位の御努力、御尽力に心からの感謝を申し上げます。
 さて、トンネルが開通することで、やはり前後区間の整備も進めていかなければなりません。宮古側の1.7キロメートルは事業実施中とのことですが、岩泉側約9キロメートル、宮古側の残り約2キロメートルに関しても整備をすることで、国道340号の精度を上げるとともに、4市4町1村を通る道路として、三陸沿岸道路の代替道路としての機能を上げること、また、今後取り組んでいかなければならない林業に関する支援道路として期待されるところですが、押角トンネルの前後区間の整備状況について伺います。
 次に、三陸沿岸道路の物流道路としての機能向上策について伺います。
 宮古―室蘭フェリーの休止から半年が経過しましたが、年度末に向けて三陸沿岸道路の開通ラッシュが続く中で、今後は、この道路を物流道路として機能性を上げていく努力もしなければなりません。
 三陸沿岸道路は、地域連携道路と物流道路の二つの機能をあわせ持った道路として期待され、ハーフインターをフルインターにするのは地域連携道路としての機能向上、道路にトイレやガソリンスタンドを設置するのは物流道路としての取り組みであります。
 宮古―室蘭フェリーの休止の理由となるトラック利用者が少なかった要因は、三陸沿岸道路の全線が開通していなかったからというのが一番に挙がりますが、こちらが来ると予測していたトラックは、実際には東北自動車道を利用しているのが実情であります。つまりトラックドライバーの選択肢とすれば、三陸沿岸道路のライバルは東北自動車道であり、その二つでどちらを選ぶかという話になります。
 この点を踏まえ、三陸沿岸道路を物流道路としてどのように機能性を上げていくのか伺います。
 次に、復興局の後継組織について伺います。
 東日本大震災津波からの復興を着実に進めるとともに、教訓、知見を危機管理事案による影響の最小化と早期回復が図られるように取り組むとされています。本県においては、震災や台風災害による被害、また、今般の新型コロナウイルス感染症という危機的状況を毎年のように経験しております。
 自然災害に関しましては、いつ来るのかもわからないものでありますし、台風のような局所災害があった場合、特に小さな自治体においては、時間的な制約がある災害復旧に追われながら、新たなまちづくりを並行して考えなければならず、非常に苦しいと感じました。特に、人口減少下における新たなまちづくりに対して、被災後は、意見が多く出され議論が成熟しやすい環境にあると思います。その中で県のサポートがしっかりとあることは、市町村の安心感にもつながると考えます。
 震災、台風の経験を生かし、よりよい対応をしていくために、特に緊急時の災害対応について、新たな部局ではどのような体制で、どのように臨むと想定しているのか伺います。
 次に、農林水産業の振興について伺います。
 まずは、漁業について伺います。
 今年度の秋サケ沿岸漁獲量は、県の速報によると、11月10日時点で208トンと、不漁となった昨年の同時期に比べても54%にとどまっており、漁業者はもとより、流通、加工業者など多くの関係者が大変心配しているところです。水産技術センターの予報によれば、資源量は昨年度を上回るとのことですので、後半の漁獲に何とか期待をしているところであります。
 このように秋サケを初めとする主要魚種が不漁となる中、昨年度から、久慈、宮古、大槌の3地域でサケ、マス類の海面養殖試験が実施され、これまでの試験結果が良好なことから、漁業者、流通、加工業者などの関係者が高い期待を寄せているところです。今後、本格的に事業化を進めていくに当たり、まずは、養殖用種苗の安定確保が課題になると考えます。
 本県では、東日本大震災津波で被災したサケ、マスふ化場の復旧整備が完了し、震災前の4億尾水準のサケ稚魚を生産できるようになり、多くの施設が新しくなりました。ふ化場では、春の稚魚放流が終わり、秋に帰ってくるサケから卵をとる12月ごろまでの間は、ふ化場の池が休んでいる状況になります。この期間を利用して、ふ化場でサケ、マス類の養殖用種苗を生産するなどの有効活用をするのはいかがでしょうか。県の考えを伺います。
 東日本大震災津波から9年8カ月が経過しようとしていますが、甚大な被害を受けた漁港については、復旧が完了し、震災前と同様の漁業活動ができるようになったところであり、関係各位の御努力に対しまして改めて敬意を表するとともに、これまでの県や市町村の取り組みを高く評価するところです。
 しかしながら、災害復旧は原形復旧が原則であることから、漁港の復旧は完了したものの、震災前からの課題であった防波堤からの越波対策や漁業就労環境の改善、被害を受けなかった施設の老朽化対策等が依然として残っており、水産業の情勢変化や将来への展望を踏まえつつ、その時代時代に合った整備を着実に進めていく必要があります。
 一方、国では、現在の漁港漁場整備長期計画の終期が令和3年度となっていることから、令和4年度を初年度とする次期長期計画の策定に向けて検討を開始したと聞いていますが、県では、今後どのように水産基盤整備を進めていくのか伺います。
 次に、林業振興について伺います。
 今定例会には、いわての森林づくり県民税条例を5年間延長する議案が提出されています。第3期の課題としては、県民税事業の主たる事業である、いわて環境の森整備事業において、事業対象森林の確保が計画どおりに進まなかったことから、令和元年度の基金残高が23億3、000万円となっていることです。
 県民税事業をスタートさせた際には、公益上重要で緊急に整備する必要のある森林について2万6、000ヘクタールと見積もっていたと思いますが、現在までの進捗率は、令和元年度の目標2万1、500ヘクタールまで積み上げる予定が、1万6、666ヘクタールの77.5%にとどまり、いまだに緊急に整備が必要な森林が残っている状況です。
 おくれている森林の整備をしっかりと進める必要があると思いますし、事業が始まった平成18年とは状況も変わってきていると思いますが、令和3年度以降においてしっかりと事業を進めるためにどのように取り組むのか伺います。
 また、森林環境譲与税に関してですが、昨年度からスタートしたところであり、初年度は市町村が行う業務を支援する専門職員の配置や、航空レーザー計測等を実施したと承知しています。市町村も来年度から森林整備に取りかかるための準備として、意向調査や境界確認を実施しています。令和2年度の見込み配分額は、県、市町村合わせて12億円となり、令和6年度から約18億円となります。
 今回、県民税事業と森林環境譲与税事業の関係性について整理をされていますが、懸念点は、市町村に専門の職員が少ないことから、施業面積の確保ができるか、そして、事業者、作業者が確保できるかという点です。県が実施している専門職員の配置は市町村でも実施したい話でありますが、なかなかうまくいっていないと聞いています。そして、事業者、作業者についても、高齢化や別事業との整理など難しいと思いますが、ことしは、初年度ということもあり準備期間としての意味合いが強かったと考えています。
 森林環境譲与税を活用した森林整備の取り組みは、時間をかけてしっかりと形づくる必要があると考えていますが、来年度に向けた県の取り組みについて伺います。
 県民税事業であれ、国の譲与税事業であれ、山に上がって作業する人数が確保できないと事業は進んでいきません。そして、根本的な課題として、林業がしっかりした産業として確立するためには、木材価値の向上が不可欠であり、県産木材の利用促進を力強く進める必要があります。
 世の中の流れの中でのチャンスとしては、コロナ禍における輸入の制限や国の木材自給率50%を達成するという目標、また、譲与税事業において都市部に配分される額も非常に多いために、これを公共施設の木造化に活用するという動き、さらに、民間企業においてもSDGsやESG(Environment Social Governance)投資の観点から、持続可能な木材を積極的に活用しようという動きが見られています。
 これらの動きの中での先進事例が、宮崎県と神奈川県川崎市の崎・崎モデルです。宮崎県は日本一の杉の産地で、やわらかい杉をどう木材として使うのかについて非常に先進的な研究がされています。
 一方で、川崎市は、市内の総生産が約5兆円で、国のGDPの1%を占めていますが、そのうち農林水産業は0.1%、林業単体ではゼロ%という状況であります。川崎市は、人口もふえ続けていて、新しい建物や建てかえ需要等、公共でも民間でも国産木材のマーケットがあるため、お互いにウイン・ウインで新しい価値をつくろうというところで2015年に協定が結ばれ、具体的な組織として川崎市木材利用促進フォーラムが設置されました。令和元年には92団体101名が参加し、有識者、設計、建設業、林業、木材業、資材メーカー、行政団体などが幅広く参加し、市内での木材活用が活発に行われています。
 また、東京都港区のみなとモデルのように、公共施設、民間建築物等での港区と協定を結んだ自治体の木材の使用を促し、その使用量に相当する二酸化炭素固定量を区が認証する制度を設けている例もあります。
 今後を考えると、都市部と木材利用に関する連携や提携をすることは非常に意味があることでありますし、やはりこの広い岩手県の木材をフルに活用していくには、どんどん外に出していくことも考えなければいけません。改めて、県産木材の利用促進についてどう進めていくのか伺います。
 次に、地球温暖化対策について伺います。
 2015年パリ協定が採択となり、本県では、2019年11月に次期環境基本計画の長期目標として、温室効果ガス排出量2050年実質ゼロを掲げる旨、表明し、さきの10月26日には、菅義偉首相が所信表明演説で、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指すと宣言しました。
 今定例会には、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画の素案が示されたところであり、計画の肝は、2025年の再生可能エネルギー自給率53%、2030年の自給率65%を達成できるかどうかだと思います。この自給率を上げるために、再生可能エネルギーの電力系統への可能量拡大について、市町村からは、送電網の積極的な強化と一定の条件下で既存系統との連携を認める日本版コネクト&マネージの推進などの要望が出されていますが、2025年の再生可能エネルギーの導入見通しと送電網の強化についての考え方を伺います。
 また、温暖化対策のさまざまな取り組みについて、大きな目標感に対して、県民として何をやるかということの相関関係が見えにくいと感じています。さきの林業の質問でも触れた県産木材を県民が利用することによって、どれだけ外材を使うよりも環境負荷につながるか等々しっかりと積み上げることにより取り組みが見える形になると、共感の輪が広がると思います。
 そして、市町村が実施する事業に対する支援も非常に重要だと考えています。ドイツでは、エネルギー事業によって地域再生を図ることを目的とするシュタットベルケの取り組みが非常に進んでいます。シュタットベルケは、明確な定義があるわけではありませんが、市町村が再生可能エネルギーで得た収益を身近な公共交通などに活用するようなイメージです。
 最近では、そのような取り組みを日本でもできないかという動きも活発になっていると聞いています。これは、再生可能エネルギーの導入を進めるだけではなく、個人として受ける住民サービスの原資が再生可能エネルギーというところで、エネルギーと地域再生、住民の共感をつくるという三つの課題を解決する取り組みとして期待ができると考えています。
 今後の市町村の再生可能エネルギーに関する取り組みについて、どのように支援をしていくか伺います。
 最後に、ILCの誘致実現に関して伺います。
 最近のILCの動向に関しては、日本時間の10月23日に、アメリカのSLAC国立加速器研究所を拠点にオンライン形式での会議が開かれ、アメリカ国務省やエネルギー省の担当者が見解を述べ、日本での建設に強い関心を示すとともに、課題解決に向けて協力を示したと報道されました。一部科学者の間では、日米欧の足並みがそろったという表現が使われています。
 また、ILCを論じる際に、最近では、アジア初の国際研究機関という表現が使われるようになってきたと思います。巨額な建設費が問題と論じられることが多いですが、スイスのジュネーブを例にとると、2018年に国際機関がジュネーブで支出、投資した金額が約7、000億円に達し、スイスは今後10年間で約3、000億円を投資するという資料を目にしました。
 この国際研究機関というのは、今後国に要望する際のパワーワードになり得ると考えますが、今後の政府・与党に対する要望に対してどう取り組んでいくのか伺います。
 また、誘致が実現しても、着工、そして実験開始までにはまだ時間があることから、地元として何ができるのか、どういう取り組みが必要かというのを改めて、東北ILC事業推進センターが立ち上がったことで考える必要があると感じています。
 6月に公表された欧州素粒子物理戦略では、大型実験施設の持続可能性が重要であるとしており、いわゆるグリーンILCと本日質問した林業振興や再生可能エネルギーに重なる話であります。
 現在、例えば県北を歩いた際にはILCというワードはほぼ出ていないところですが、再生可能エネルギーや林業というワードであれば、県北にも当てはまる話となります。
 現状で示されているILCがスタートする2035年は遠い未来のように聞こえますが、実は、我々が進めたい未来像であるということを共通認識にするとともに、あるべき姿を明確な目標として県、市町村で一体となり取り組んでいく必要があると考えていますが、ILC誘致のためにこれからできることをどう実装するのか伺います。
 以上で私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木宣和議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、PCR検査についてでありますが、議員御指摘のとおり、県では、積極的疫学調査を徹底し、国で定義する濃厚接触者に限らず、そのほかの感染が疑われる方にも調査を実施することにより、早期に感染者を発見し、感染拡大を防止することとしております。
 今後、県内全域における家庭内感染や学校等におけるクラスターの発生リスクが高まってくると危惧されることから、岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会のコメントも踏まえ、感染のリスクが高い方や発熱等の症状がある方について、医療機関に積極的な検査をお願いするなどにより、患者の早期発見に努めてまいります。
 また、今冬の季節性インフルエンザの流行を見据え、発熱患者の検査体制の充実を図るため、医師会と連携し、地域における診療・検査医療機関として9医療圏で合計212カ所を指定し、新型コロナウイルス感染症との同時検査に係る経費について本定例会に補正予算案を提案したところであり、今後とも、必要な方が確実に検査を受けられる体制の充実に取り組んでまいります。
 次に、観光産業の施策の評価と今後の支援策についてでありますが、県では、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい経営が続く宿泊事業者を支援するために、感染症対策に必要な設備の整備等に対する補助金や、生産性向上等の取り組みに対する支援金を交付し、経営の基盤づくりを支援してまいりました。
 さらに、国に先駆けて、市町村と連携した地元の宿応援割や泊まるなら地元割クーポン等の宿泊助成制度を措置し、国のGo To トラベルを併用することで、より身近なエリアでの周遊のインセンティブが高く、感染症の状況を見ながら柔軟に対応できる仕組みをつくり、宿泊需要の喚起を図ってきたところであります。
 これらの取り組みにより、観光庁宿泊旅行統計によると、県内の延べ宿泊者数は、前年同月と比較して、5月の23.2%から9月には85.1%と回復してきているところです。
 今後においては、ワーケーション対応の整備にも活用できる感染症対策補助金や観光需要喚起の宿泊助成制度のさらなる活用を促すとともに、さらに、来年4月にスタートする東北デスティネーションキャンペーンに向け、DMOや市町村観光協会等が中心となって取り組む観光コンテンツの発掘、磨き上げや付加価値の高い旅行商品造成に対する支援などにより、将来にわたり持続可能な岩手の観光をつくり上げてまいります。
 次に、商工業者に対する今後の支援策についてでありますが、県内において、飲食店でのクラスターが確認されるなど、複数の感染事例が確認されており、今後、感染を危惧する県民が、外出や会食を控えることなどにより、特に飲食業などの事業者は、より厳しい状況に置かれる可能性があるものと認識しております。
 県は、困窮している事業者の事業継続と雇用維持に向けて、国に対して、持続化給付金の複数回の給付や雇用調整助成金の特例措置の延長などを要望してきたところであり、雇用調整助成金については、令和3年2月末まで特例措置が延長されたところです。
 県としては、県独自の支援策として、事業者の固定費負担を軽減する家賃支援について検討しており、実施に向けて、市町村や商工指導団体と調整を進めています。
 次に、組織再編についてでありますが、復興防災部の設置に当たっては、東日本大震災津波からの復興を引き続き県の最重要課題と位置づけ、復興の着実な推進に取り組むとともに、東日本大震災津波や台風災害などからの教訓、知見を危機管理事案への対応に生かし、迅速な復旧、復興に資する組織体制を構築しようとしています。
 このため、例えば、災害救助法や被災者生活再建支援法などに基づく業務を復興防災部で一元的に所管する方向で検討しており、これにより、発災時の応急救助から復旧、復興に至る一連の流れの中で、一層円滑に施策展開を図ることができると考えております。
 また、市町村へのリエゾン派遣やきめ細かな情報共有、助言などを行い、市町村と緊密に連携しながら、危機管理事案への適切な対処と早期回復につなげてまいります。
 次に、いわての森林づくり県民税の活用についてでありますが、県では、県民税を活用したいわて環境の森整備事業により、公益上重要で管理が行き届かない森林について、公益的機能の高い森林へ誘導するための間伐を実施してまいりました。
 この事業については計画目標を達成できていない状況にありますが、その要因は、東日本大震災津波からの復興工事に伴う支障木の伐採や近年の国産材の需要拡大に伴う主伐の増加により、森林組合等において間伐を担う作業員を確保することが困難となったことに加え、事業対象となる森林の奥地化等により、施工可能な森林の確保が進まないことによるものと認識しております。
 県民税については、令和3年度以降も継続することとし、今定例会に条例改正案を提案しており、いわて環境の森整備事業は、重点的な施策の一つとして継続していくこととしております。
 事業の継続に当たっては、新たに、奥地化した森林の整備に必要な作業道開設等への支援や森林整備の合意形成を図る人材の育成などに取り組み、林業関係団体と連携を図りながら、施工可能な森林を確保し、計画的に整備を進めていくこととしております。
 また、森林を取り巻く情勢の変化に対応するため、公益上重要な伐採跡地への植栽などの取り組みを拡充するほか、新たに気象被害等を受けた森林の整備などに取り組むこととしており、こうした取り組みを通じ、本県の豊かな森林の公益的機能の維持、増進を図ってまいります。
 その他のお尋ねにつきましては企画理事及び関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事兼環境生活部長藤澤敦子君登壇〕
〇企画理事兼環境生活部長(藤澤敦子君) 再生可能エネルギーの導入見通しと送電網の強化についてでありますが、2025年度の再生可能エネルギー電力自給率53%については、既に送電網への接続が認められている事業計画をもとに算定しており、これら事業が計画どおり実施されれば、目標達成の可能性は高まると考えております。
 一方、2030年度の電力自給率65%の実現に向けては、再生可能エネルギーの導入をより一層進める必要がありますが、そのためには、電力系統への連系可能量拡大に向けた送電網の増強が不可欠であると認識しております。
 このため、現在、送電網の増強のため国が進める新たな送電線の整備費用を発電事業者が共同で負担する手続の早期完了や既存の送電網の空き容量に一定の条件下で接続を認める日本版コネクト&マネージの推進などについて、さまざまな機会を捉えて国に対し要望を行ってきたところであります。
 今後も、市町村や事業者との意見交換なども行いながら、この課題解決に向け、国に対して働きかけを継続してまいります。
 次に、再生可能エネルギーの取り組みに対する県の支援についてでありますが、再生可能エネルギーの導入については、地球温暖化対策や防災のまちづくり、地域振興など多面的な効果をもたらすものであり、本県では、全国的にも優位な風力や地熱などのポテンシャルを活用し、再生可能エネルギーのさらなる導入に取り組んできたところであります。
 一方、国の地域経済循環分析によりますと、県内総生産の約3%を占める約1、520億円のエネルギー代金が県外に流出しているとされており、再生可能エネルギーを活用した地域経済循環の確立が必要と考えられております。
 このため県では、再生可能エネルギー等立地促進資金貸付金事業を実施し、地元企業が再生可能エネルギーを導入する際の低利融資を行ってきたほか、例えば、地域新電力の創設など、地域資源を活用してエネルギー供給体制を構築しようとする市町村等の取り組みを支援してきたところであります。
 また、いわて県民計画に掲げるILCプロジェクト、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトや水素利活用推進プロジェクトなどを進める中で、関連ビジネスへの地域企業の参入促進や再生可能エネルギー由来の水素の利活用の推進などに取り組むこととしており、引き続き、市町村と連携、協働しながら、地域に根差した再生可能エネルギーの導入促進に努めてまいります。
   〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) まず、感染症対策補助の活用状況等についてでありますが、10月末現在の申請件数は3、027件、支給件数は2、426件となっています。
 岩手県生活衛生営業指導センターが実施した生活衛生関係事業者へのアンケート調査によれば、9月30日時点で54%の事業者が、これから申請予定と回答しておりまして、県や商工指導団体には、対象となる店舗や物品に関係する問い合わせが多数寄せられています。
 また、この補助金につきましては、本年4月以降に支払った経費を補助対象としておりますことから、現在、申請準備を進めている段階の事業者や必要な物品の購入を進めている事業者が多いと捉えています。
 県では、8月と11月に、県内の全飲食店等に補助金のチラシ等を送付するとともに、飲食店向けの勉強会を開催し制度の周知を図ってきたところでありますが、さらに、11月24日からは、広域振興局の職員が店舗を個別に訪問し、感染症対策の徹底と補助金の活用を促しているところでありまして、引き続き商工指導団体等と連携して取り組んでまいります。
 次に、県内の修学旅行についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、修学旅行の行き先を県外から岩手県内に変更した県内の公立及び私立学校は、県教育委員会などによりますと、中学校では37校、高等学校では7校、特別支援学校では12校に上っているところであります。
 県内には二つの世界遺産を初め、東日本大震災津波伝承館、伝統工芸品の製造現場など、歴史、文化、産業等にかかわる教育的価値の高い観光資源が数多く存在するとともに、地域の多彩な体験メニューや豊かな食文化などもあり、次世代を担う子供たちが地元の理解を深めることは、意義深いものと考えております。
 このことから、今後におきましても、県教育委員会等と連携し、本県の教育的価値の高い観光資源や多彩な体験メニューの情報等を伝えながら、県内での修学旅行を働きかけてまいります。
   〔政策企画部長八重樫幸治君登壇〕
〇政策企画部長(八重樫幸治君) 国土強靱化に関する取り組みについてでありますが、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策により、現行の岩手県国土強靱化地域計画の産業分野や国土保全、交通分野における施策の進捗が図られたところであり、今後5年間を予定している国の次期対策を活用して、本県の強靱化に向けた取り組みを一層強化していく必要があると認識しています。
 このような中、国では、県や市町村が実施する国土強靱化関係の補助金、交付金事業について、令和3年度においても、地域計画に基づき実施される取り組み等に対し、重点配分、優先採択を行うとともに、支援対象の追加を検討するなど、支援の充実を図る方針を示しているところであります。
 このため県では、国の次期対策においても補助金、交付金事業が採択されるよう、令和3年度を計画期間の初年度とする第2期岩手県国土強靱化地域計画について、スケジュールを前倒しして早期に策定することとしており、あわせて市町村計画の策定支援に努めているところであります。
 また、11月に行った令和3年度政府予算等に関する提言・要望においては、3か年緊急対策の延長や対象事業の拡充などを要望したところであり、今後も必要な対応を国に求めてまいります。
   〔県土整備部長中平善伸君登壇〕
〇県土整備部長(中平善伸君) まず、国道455号の整備についてでありますが、平成28年台風第10号による被害の大きかった岩泉町内の国道455号においては、現在、中島地区、中里地区など6地区において、洪水時において安全に通行できるよう道路をかさ上げすることとし、河川堤防と一体となった道路改良などを進めています。
 この6地区の工事の進捗状況については、新町地区については令和元年9月に工事は完成し、中島地区や中里地区など3地区において、今年度、工事に着手したところです。残る乙茂地区、袰野地区については、今年度用地買収を進め、来年度から工事に着手する予定です。
 災害に強く信頼性の高い道路ネットワークの構築を目指し、令和4年度の完成を目指し着実に整備を進めてまいります。
 次に、国道106号の整備についてですが、箱石―達曽部間についてはルートや構造の検討を行っているところですが、昨年度の調査において、断層が広範囲に分布していることなどが判明し、追加の調査が必要となったことから、今年度も引き続き地質調査を行い、その結果を踏まえた検討を行っているところです。
 県としては、調査を促進するとともに、早期事業化について国に働きかけてまいります。
 次に、国道340号の整備についてですが、今月開通する押角峠工区の前後区間の整備については、宮古側の和井内―押角工区1.7キロメートルを今年度事業化し、現在、新しい道路本線の施工に必要な仮橋設置工事を年度内に着工できるよう、設計積算の作業を進めているところです。
 残る未改良区間については、ルートや構造、優先区間の検討など、引き続き必要な調査を継続し、和井内―押角工区の進捗も踏まえながら事業化について検討してまいります。
 次に、三陸沿岸道路の物流道路としての機能向上についてですが、三陸沿岸道路の利便性を向上させるため、休憩エリア、トイレ等の設置については、国においては、近隣の道の駅に誘導する案内標識等を整備し、市町村においては、山田町が山田インターチェンジ付近に道の駅の整備を計画しているほか、久慈市、洋野町、野田村及び普代村の4市町村が、久慈北インターチェンジに隣接した広域道の駅を整備するなど、道路の機能向上に向けた取り組みが進められているところです。
 三陸沿岸道路は、全線が自動車専用道路で結ばれることにより、物流はもとより、広域観光、救急医療、防災等の面で大きな効果を発揮することから、県としては、引き続き市町村と連携しながら、一日でも早い全線完成を国に働きかけてまいります。
   〔農林水産部長佐藤隆浩君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) まず、サケ、マスふ化場の有効活用についてでありますが、本県沿岸におけるサケ、マスふ化場は、現在19カ所あり、飼育池の面積や飼育水量等に応じて、ふ化場ごとに約500万尾から5、000万尾の生産が行われ、県全体では約4億尾のサケ稚魚の生産能力があります。
 各ふ化場のサケ稚魚の主な生産時期は11月ごろから翌年5月ごろまでとなっており、おおむね6月から10月ごろまでは利用されておらず、この期間に施設を活用して地域の漁業生産や資源造成を行うことは、水産振興に資する有効な取り組みと考えております。
 一方で、ふ化場は、サケ稚魚を生産し、放流することを目的に国庫補助を活用して整備した施設であり、養殖用など補助目的以外に利用する場合は国に協議することとされているほか、施設の形状によっては、放流用のサケ稚魚以外の生産が難しいふ化場もあるところです。
 現在、久慈、宮古、大槌の3地区では、サケ、マス類の海面養殖試験が行われており、今後、生産規模の拡大に伴い、漁協から養殖用の種苗生産にふ化場を利用する意向が示された際には、その実現に向けて、国と協議を進めるなど積極的に支援してまいります。
 次に、今後の水産基盤整備についてでありますが、近年の台風や低気圧の大型化に伴う異常な高波の発生、水産資源の減少、漁業者の高齢化の進行など、水産業を取り巻く環境が大きく変化しており、これらに的確に対応した整備を進めることが必要であると認識しております。
 県ではこれまで、頻発する高波へ対応するための防波堤等の機能強化や干潮時に水産物の陸揚げを容易にするための浮き桟橋等の整備など、地域の実情に応じた基盤整備に取り組んできたところです。
 今後とも、漁業関係団体や市町村と連携しながら、昨年3月に策定した岩手県水産基盤整備方針に基づき、漁港の防災、減災機能の強化に向けた防波堤等の整備や漁業生産の効率化、就労環境の改善を図る防風施設の整備などを着実に進めていくほか、水産資源の回復、増大に向け、新たな魚種を対象とした漁場整備にも取り組むなど、国による計画策定の動向を踏まえながら、水産業の進行に向けた水産基盤の整備を計画的に推進してまいります。
 次に、森林環境譲与税の活用についてでありますが、森林環境譲与税を活用した森林整備を着実に進めていくためには、市町村における森林経営管理制度の適切な運用と森林整備の担い手の確保、育成を図っていくことが重要と考えています。
 このため県では、市町村が配置する地域林政アドバイザーの養成や、地域課題の解決に向けた対策会議の開催などにより市町村を支援しているほか、担い手の確保、育成に向け、いわて林業アカデミーにおいて、林業の専門的な知識や技術を身につけた現場技術者を養成するとともに、経営能力の向上を図るセミナーの開催などにより、意欲と能力のある林業経営体を育成するなど、森林整備の核となる担い手づくりに取り組んでおります。
 現在、市町村では、森林の現況調査や森林所有者への経営意向調査を進めているところであり、調査の進捗状況に応じ、来年度以降は、順次、林業経営体と連携し、森林整備に必要となる森林経営計画等の作成が進むものと考えています。
 県では、今後とも、市町村が森林経営管理制度をしっかりと運用し、地域の森林整備を加速していけるよう、きめ細かく支援してまいります。
 次に、県産木材の利用促進についてでありますが、県森林組合連合会が全国に先駆けて導入したウエブ入札による木材共同販売には、アカマツや広葉樹などの県産木材を求めて、全国の多くの木材業者が取引に参加しており、県産木材は高い評価をいただいていると認識しております。
 こうした評価の高い県産木材の需要をより一層拡大していくため、県では、本年3月に策定した岩手県県産木材等利用促進基本計画及び同行動計画に基づき、県産木材の県外への販路拡大に向けた取り組みを進めています。
 具体的には、首都圏で開催される全国規模の木材製品展示会―WOODコレクションへの出展支援や県外での展示即売会の開催支援に取り組んできたほか、今年度、新たに品質の確かな県産木材製品をアピールするパンフレットを作成し、県内外の工務店等へ配布することとしています。
 今後とも、魅力あふれる県産木材の特徴を広く発信し、関係団体と連携しながら、県内外での県産木材の販路拡大などに積極的に取り組んでまいります。
   〔ILC推進局長高橋勝重君登壇〕
〇ILC推進局長(高橋勝重君) まず、ILCの実現についてでありますが、国際プロジェクトであるILCは、世界をネットワークで結びながら高度な人材や技術が結集し、国際的な研究拠点が形成されることにより、世界の成長や我が国の国際的な信頼の向上をもたらし、インバウンドの飛躍的な増加などが期待されます。
 現在、ILC準備研究所の設立に向けて、世界の研究者による国際推進チームが活動し、政府においても、米欧との意見交換を継続することが示されております。
 県では、本年6月に続き、11月、知事が関係省庁や政府・与党に対して、ILC実現の早期意思表明や準備研究所設立への積極的な対応を要望しており、今後とも、超党派国会議員連盟、推進団体や関係自治体等と連携し、ILCを日本で実現する意義も訴えながら、政府へのさらなる働きかけや国民理解の増進など、ILCの実現に向け取り組んでまいります。
 次に、今後の取り組みについてでありますが、県では、昨年7月、国際研究都市の形成支援やイノベーションの創出など5本の柱で構成するILCによる地域振興ビジョンを策定し、ILCを契機として、本県が未来に向かって発展する地域となるための取り組みの方向性を県民、事業者、行政などで共有し、体系的、計画的に取り組むこととしております。例えばグリーンILCについては、大学、企業等との蓄熱や熱輸送の共同研究の推進を本定例会に報告している岩手県環境基本計画案に盛り込むなど、関連する行政分野の取り組みと一体となって進めます。
 東北ILC事業推進センターによる建設準備のための取り組み等とともに、環境、産業振興、多文化共生等の全県的な地域振興の取り組みの盛り上がりが政府決断の後押しにもなると考えており、今後も、広く市町村、事業者等とともにビジョンの推進を図ってまいります。
   〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) まず、新型コロナウイルス感染症に対応した学校運営についてでありますが、県教育委員会では、感染症発生時に迅速かつ適切な対応を行い、感染拡大を可能な限り抑制し、児童生徒の健康被害や教育に与える影響を最小限にとどめるため、岩手県教育委員会新型インフルエンザ等対策行動計画の改定を行うとともに、文部科学省の学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル等を踏まえて、各県立学校とともに対応しているところです。
 なお、感染者が確認された場合には、児童生徒の健康を確保しつつ、学びを保障していくことが必要であり、保健所長等と協議の上、臨時休業の要否や範囲、期間等を判断することとしています。
 また、臨時休業中においても学びの継続を図るために、学校の状況等に応じて、プリント教材等に加え、動画やオンラインによる指導、民間の学習支援システムによる授業動画の活用などの備えをしているところです。
 今後も、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえながら、感染症対策と児童生徒の学びの保障の両立に努めてまいります。
 次に、GIGAスクール構想についてでありますが、県立一関第一高等学校附属中学校及び県立特別支援学校小学部、中学部の児童生徒1人1台端末については、入札により業者は決定していますが、全国的なタブレット端末等の需要の高まりもあり、納入は年度末となる見込みとなっています。
 また、各市町村においても、児童生徒1人1台端末の導入に向けた準備が進められているところでありますが、県立学校と同様に、ほとんどの市町村で、納入は年度末となる見込みであると聞いているところです。
 今後、整備した1人1台端末を授業や家庭学習等の中でどのように効果的に活用していくかが課題であると認識しており、大学等と連携した実証研究や新たに設置した岩手県学校教育ICT推進協議会等を通じて、本県学校教育のICT環境の整備と円滑な利活用に向け、市町村教育委員会と連携して取り組んでいく考えです。
 次に、少人数学級についてでありますが、本県では、人的、空間的なゆとりの中で、安定した学校生活と基礎学力の向上を目的として、平成18年度に小学校第1学年で35人学級を実施し、その後、順次拡充し、令和元年度に小中学校全ての学年において35人学級としているところです。
 また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、外国語指導助手、部活動指導員など、教員以外の多様な専門スタッフについては、児童生徒のさまざまな課題に対応するために有効であることから、国の補助事業を活用するなどして、学校の状況に応じて配置しているところです。
 今後も、国に対して、少人数学級によるきめ細かな指導体制を計画的に整備するように働きかけを行うとともに、学校における新しい生活様式も踏まえた児童生徒一人一人の学習、生活環境の整備を図っていきたいと考えております。
   
〇副議長(中平均君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時53分 休 憩
   
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 千 葉 絢 子 君
12  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 田 村 勝 則 君
15  番 佐々木 朋 和 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 岩 渕   誠 君
20  番 名須川   晋 君
21  番 佐々木 宣 和 君
22  番 臼 澤   勉 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 吉 田 敬 子 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 軽 石 義 則 君
31  番 郷右近   浩 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時12分 再開
〇副議長(中平均君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。岩渕誠君。
   〔19番岩渕誠君登壇〕(拍手)

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