令和2年12月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇31番(郷右近浩君) 希望いわての郷右近浩でございます。
 登壇の機会を与えていただきました先輩、同僚議員の皆様に心から感謝を申し上げ、一般質問をさせていただきます。
 まずもって、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々に対し、心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、検査で陽性と確認された皆様には、お見舞いと一刻も早い御回復をお祈りいたします。
 さらに、医療従事者を初めとする最前線で日々奮闘いただいている皆様に対し、心から敬意を表しますとともに、感謝を申し上げます。
 さて、昨日も新型コロナウイルス感染症対策の現状等について、同僚議員より質問が相次いでおりましたので、その点をなるべく考慮しながら質問してまいりますので、よろしくお願いいたします。
 最初に、本定例会に提案されている令和2年度岩手県一般会計補正予算(第6号)について伺います。
 今回の一般会計補正予算の総額は16億7、100万円余、そのうち新型コロナウイルス感染症対策関連予算は13億6、400万円とのことであります。
 長期化する同感染症の影響に対処すべく、臨時会も含めて本県が編成したこれまでの新型コロナウイルス感染症対策予算の総額は1、642億円余で、これは令和2年度当初予算額のおおよそ2割にも達する非常に大きな規模となっており、果断に適時の予算編成を指示してきた知事のリーダーシップ並びに当局の対応を評価しているところであります。
 しかしながら、国内でも第3波と見られる流行の拡大局面にある中、本県でも相次ぐクラスターの発生により、感染者の急増とあわせ、残念ながらお亡くなりになられた方も出てしまうなど、感染拡大の防止、医療提供体制の確保について実効性ある取り組みの強化は急務であります。
 また、今回の感染症がこれほどまでに長期化し、全国、世界に与えている経済的な影響の大きさを鑑みれば、今や長大なサプライチェーンに組み込まれている本県経済のダメージは大きく、これから年末を迎える中での感染拡大により、県内事業者の資金繰りのさらなる悪化、景気低迷の長期化が想定されます。
 そこで、知事に伺います。これら県内事業者や県民の声にどう応え、どのような点に意を用いて今回の補正予算を編成されたのか。また、先日、全国知事会が6、134億円不足とした国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の不足が、必要な予算編成の支障となったのではないかと懸念するものでありますが、その活用の状況も含めてお答え願います。
 以下は、質問席にて質問させていただきます。
   〔31番郷右近浩君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 郷右近浩議員の御質問にお答え申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症対策補正予算の編成についてでありますが、これまでの4次にわたる補正予算においては、PCR検査体制の充実や医療機関の病床確保など医療提供体制の拡充、中小企業の資金繰りや飲食店等への家賃支援など経済、雇用対策への対応、事業者の感染対策や地域公共交通への支援など感染拡大の防止などの取り組みを進めてまいりました。
 今回の補正予算案においては、これまでの執行状況や関係団体からの要望を踏まえ、本格的な冬や年末を前に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止や企業の資金繰り支援など、県民の社会経済活動を支えるために必要な経費を計上しました。
 一連の補正予算において、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を積極的に活用してきた結果、現時点で、本県に配分されている単独事業分の交付限度額190億円の大半を予算措置したところであります。
 感染症の状況は日々変化しており、さらなる対策を講じるためには、交付金の不足が見込まれますことから、全国知事会とも連携して、十分な額が確実に交付されるよう国に強く訴えてまいります。
〇31番(郷右近浩君) これまで、県として本当にさまざまな対策をとってきたということで、この190億円余の大半を使ってしまっているという御答弁をいただいたのでありますけれども、その中で、昨日の一般質問においても、また、飲食業などの中小事業者向けに独自の家賃支援を行っていくということで、これは、前回の部分の残った9億円で大体いけるのかと。この数字の精査というのはこれからあるのでしょうけれども、そうしたことでのお話があったわけであります。
 ただ、それ以外に、やはり前回のときもなかなか拾えなかった部分というか手を差し伸べられなかった部分が多分にあったと感じております。そうしたところにきちんと手当てをし目を配るために必要な部分が、今回、全国知事会でまとめた金額の中に入ってきていると思うわけであります。
 全国知事会では6、134億円ということでありますが、岩手県としては、あとどのぐらい必要なのか、どのぐらいあれば、しっかりと県が考える対策をとっていける、そうした金額になっていくという認識であるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
〇総務部長(白水伸英君) 全国知事会で全国的に6、100億円余の不足が生じているということで提言等があったところでございます。本県におきましては、知事会からの照会に答えた時期が秋ごろだったものですから、現時点よりかなり前の段階の数字で恐縮でございますが、本県としては、足りない分が50億円ということで回答しているところでございます。その内容といたしましては、企業の資金繰り支援等の積算をして提示したところでございます。
 いずれにいたしましても、国から新たな経済対策、補正予算ということで検討していると聞いておりますので、そういった内容もしっかり分析、確認をしながら必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
〇31番(郷右近浩君) 国でも、またこれから対策をとってくるという中にあって、これまでやりたくてもできなかった部分であったり、もっとさらに深くやっていければといった部分等もしっかりと県として求めていくという形で、岩手県で今このコロナ禍の中、大変な思いをして事業継続であったり、もしくは、そもそも生活していくことの大変さといったものを感じている方々にしっかり配慮できるような形をとっていただきたいと思います。
 そこでですけれども、県のそうしたさまざまな施策を動かしている県財政の部分であります。その県財政の基盤である税収についても、私自身は危惧を感じているところでありますので、お伺いさせていただきたいと思います。
 報道によりますと、政府は2020年度の税収について、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で企業業績が悪化し、法人税収が大きく落ち込むことから、当初予算で見積もった63兆5、130億円から数兆円規模で大幅に下方修正する方向で検討しているということであります。
 言うまでもなく、本県の法人二税は、令和元年度決算で309億円、県税収の23.8%を占める基幹税でもあります。今回の新型コロナウイルス感染症対策の全世界的な影響を県の対策のみで軽減することには限界があり、一刻も早い国を挙げての抜本的な経済再生の取り組みが不可欠であると考えます。
 私は、リーマンショック以上と言われる経済へのインパクトが県の事業執行に与える影響を懸念しているところでありますが、かなりの規模での税収減は避けられないと実感しております。今年度の県税収をどのように見込んでいるのか、また、どのような対策を講じて年度末に向けた事業執行に万全を期すお考えか、あわせてお伺いいたします。
〇総務部長(白水伸英君) 令和2年度の県税収入額についてでございますが、10月末の税収の実績や国の地方財政収支の仮試算等をもとに試算いたしますと、現時点では、令和元年度決算額に対して約47億円、率にして3.6%の減、令和2年度当初予算額に対して約61億円、率にして4.7%減の約1、254億円と見込んでいるところでございます。
 税収減への対策といたしましては、減収補填債の発行が認められておりまして、県としては最大限発行していきたいと考えております。
 現在の減収補填債の対象について、全国的に減収が見込まれている地方消費税などが含まれていないことから、全国知事会とも連携して、対象税目への追加を国に強く訴えているところでございまして、引き続き動向を注視し、財源の確保に努めてまいります。
〇31番(郷右近浩君) 減収補填債で何とかカバーするといったような考え方はわかりました。ただ、そもそも、今答弁いただきましたとおり、地方消費税は見てもらえないという部分について、今、国に対して求めているということでありますが、その感触はどのようになるのか。
 それから、減収補填債で何とか補うということでありますが、そうすると、どのぐらいの額で打っていけばその部分が補填になるということで考えているのかお伺いしたいと思います。
〇総務部長(白水伸英君) まず、地方消費税が減収補填債の対象になるかどうかでございますけれども、現在、国において検討中ということを承知しております。国でも今、臨時国会が開かれておりますが、その中の総務大臣答弁でも、検討していくということで答弁されているようでございますので、我々もその動向を引き続き注視していきたいと考えております。
 それから、額として足りていくのかということでございますが、まさに現時点の見込みということで精査していかないといけないところでございますが、現時点で当初予算と比べて60億円余足りないという状況でございます。減収補填債の動向として、今認められている法人事業税と、地方消費税が減収補填債の対象として認められた場合は、恐らくその60億円余を一定程度確保できると見込んでいるのですけれども、いずれにしても、まだまだ予断を許さない状況でございますので、引き続き動向を注視してまいりたいと考えております。
〇31番(郷右近浩君) 今年度は県税収がどのぐらいになっていくのか。ただ、やはりこれは新型コロナウイルス感染症との闘い自体もですし、もちろん県民生活は足をとめるわけにいかないわけでありますので、税収をしっかりと確保しながら、そして、足りない部分をしっかりと補填していただく中で対応していくというような形をとっていただきたいと思います。
 では次に、介護施設への影響についてお伺いしていきたいと思います。
 まず、介護施設の現状認識についてお伺いします。
 県内でも、デイサービス利用者やグループホーム入居者の方にも新型コロナウイルス感染症の陽性者が発生しており、介護施設、事業所でも、より一層の感染予防対策が急務となっております。
 介護施設の新型コロナウイルス感染症対策に係る支援については、マスクや消毒薬、防護服などの衛生用品の調達を初め、入所施設等が簡易陰圧装置等を設置する場合の経費に対する支援、そして、家族と利用者とのリモート面会にも利用できるICT設備を整備する経費への支援など、順次予算措置されていると認識しておりますが、現在までの予算の執行状況についてお伺いいたします。
 また、県では、6月の令和2年度一般会計第3号補正予算において、介護サービス事業所等感染症対策継続事業費を計上し、8月20日より申請受け付けを開始、事業所の衛生用品の購入に使えるなど、介護事業者にとって使い勝手のよい補助事業が創設されましたが、制度の周知が十分に図られていないことや申請に係る事務の増加などもあって、各施設にうまく活用してもらっていないように見受けられますが、どのような認識を持っているのかあわせてお伺いします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 新型コロナウイルス感染症対策に係る予算の執行状況についてでありますが、マスクなどの衛生用品については、特別養護老人ホームを初めとする介護サービス事業所等に対して、不織布マスクを131万4、000枚、消毒用エタノールを7、420リットル配布いたしまして、1億500万円を執行したところであり、予算に対する執行率は14%となっております。
 現在、衛生用品は市場に流通しており、県からの配布は行っていないところではございますが、今後、事業所等において確保が困難な状況となった場合には、速やかに配布の再開を行う考えであります。
 簡易陰圧装置の導入支援につきましては、3施設に対し1、700万円の交付決定を行ったところであり、予算に対する執行率は現時点で8%となっております。このほか、16施設、1億300万円については、既に市町村を通じて内示済みでありますことから、今後、申請があり次第、速やかに執行してまいります。
 介護サービス事業所等感染症対策継続事業費補助金については、369事業所等に対し2億1、200万円の交付決定を行ったところであり、予算に対する執行率は現時点で10%となっております。
 これまで県では、事業所等に対し、本補助金について、市町村や関係機関、団体などを通じて通知するとともに、県のホームページに掲載するなど周知を図ってきたところでありますが、事業所等におきまして、慰労金の申請を優先していること、衛生物品等の購入、追加的人件費、ICT機器の購入など、幅広く活用できる補助金でありますことから、使途の検討に時間を要していることなどによりまして、現時点でこのような進捗となっているものと考えております。
 県といたしましては、本補助金を各事業者に可能な限り活用していただきたいと考えており、改めて周知を図るとともに、申請手続に係る問い合わせ窓口での助言、記載例の作成、周知などによりまして、申請手続が円滑に進むよう取り組み、事業所等における感染防止対策を支援してまいります。
〇31番(郷右近浩君) 今、慰労金という話がありました。そもそも慰労金自体は、出していただいたことは本当にありがたい形でありましたが、ただ、事務手続が物すごく大変だったということで、そこから次の別の申請のときに、その大変さが頭にあることと、まだその大変な段階にいて、次のところに手をかけられないといった部分で、私は今回のこの資金については、非常に使いやすい事業であったと思います。今回の介護サービス事業所等感染症対策継続事業費については、簡易陰圧装置をつけたり、そして今後発生するであろうインフルエンザ等にも使えるということでありますし、この機会にそれぞれの事業所が、そうした装置を使って対応ができるような体制になっていくことは、非常にいい形に進んでいくのであろうと思います。
 今回、これがなかなか進まない理由が、先ほど話をしましたとおり、事務手続に対しての大変だという思い、それから、これまでの事務手続をまだ続けなければならないという部分、さらには、実は周知自体も、恐らくこれまではいろいろな事業所関係者の方々に集まっていただいて、こういう事業があります、こうやっていきますといったような周知ができたと思うのですけれども、このコロナ禍の中で、きちんとうまく顔を合わせて伝えられないといった部分もあろうかと思っているわけであります。そのあたりの現場の状況はどのようになっているのでしょうか。
〇保健福祉部長(野原勝君) この事業につきましては、活用していただくべく、この事業を実際に通知しております国民健康保険団体連合会でありますとか市町村、また、高齢者施設関係の業界団体等を通じまして、あらゆるチャンネルを通じて周知を働きかけているところであります。やはり議員からもお話があったとおり、具体的に現場でどのように活用できるのか、活用例についてはお示ししているのですが、現場でこのように使っているでありますとか、あとは手続、書類にどのような形で記入していくのかといった、具体的なところまで含めた周知が必要であろうと考えております。今後、関係機関、団体等も通じて、また、あらゆるチャンネルを通じまして、改めて現場への周知に努めてまいりたいと考えております。
〇31番(郷右近浩君) 保健福祉部におかれましては、新型コロナウイルス感染症対策のまさにかなめとなって動いていただいている中で、そして、なおかつ、それぞれの事業所であったり業界にしっかり気配りをしながら、その周知等であったりと、仕事のボリュームが大きくなっていると思っております。
 また、さらに事業の内容が、どこまで使っていいのかというような部分がわからないことで、恐らく電話の問い合わせ等もかなりふえているだろうと考えているわけであります。何とかその周知の部分を何かもう一つさらに工夫していただきながら、そして、手続等も使いやすいような形で進めていっていただければと思います。非常にいい事業であると思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、介護職員の支援についてお伺いしてまいります。
 介護施設の職員は、利用者が重症化しやすい高齢者であるために、常に細心の注意を払って感染対策に向き合っており、その御労苦に改めて敬意を表する次第であります。
 ある施設から聞いたところによりますと、介護施設の職員は、私生活においても、自身の使命感から、感染予防のために、旅行はもとより近くへの外出さえも控え、県外に住む家族にも会わず、メンタル的につらい状況で過ごしていると聞いております。
 介護施設の職員のメンタルケアは非常に重要であり、感染者が拡大傾向にある県内においても、早期に対策を講じる必要があると感じております。
 これまでも、介護施設の職員への慰労金の支給や介護施設における感染症対策に要するかかり増し経費の支援が行われていることは承知しております。その上で、頑張っている職員の待遇改善のためには、介護報酬の引き上げについて、さらに国に強く求めていくことが必要と考えますが、県として、頑張っている方々に対して報いていくことや県民の思いを伝えていくことも必要と考えております。知事の御所見をお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 介護施設の職員への支援についてでありますが、まず初めに、コロナ禍において、介護職員の方々が、相当程度心身に負担がかかる中、強い使命感を持って、職場において最大限の感染防止対策を講じるとともに、家庭においても細心の感染予防に努めながら介護サービスの継続に尽力されていることに対し、心から敬意を表するとともに、深く感謝を申し上げたいと思います。
 県では、介護や医療の最前線で対応に当たっている職員の方々への応援メッセージを募集しており、県のホームページやLINEを初めとしたSNSにより公表するなど、県民の皆様からの感謝や応援の気持ちをお伝えしているところであります。
 安定的な介護サービスが提供されるためには、介護職員の労働環境や処遇の改善が重要でありますことから、これまでも適切な水準の介護報酬の設定について国に要望してきたところでありますが、新型コロナウイルス感染症対応等も踏まえた介護報酬の改定等について、今後とも国に強く働きかけていく考えであります。
 介護サービスは、高齢者やその家族の生活を支え、高齢者の健康を維持する上で不可欠なものでありますことから、引き続き、介護施設等における感染症対策やメンタルケアも含めた労働環境、処遇の改善への支援に努めながら、利用者に対して必要な介護サービスが継続的に提供されるよう取り組んでまいります。
〇31番(郷右近浩君) きょうは介護従事者ということでお話をさせていただきましたが、医療従事者であれ、介護にかかわっている方々であれ、本当に自分たちが人を支えている、そうした思いで一生懸命頑張っていただいている。その方々に何としても報いていきたいと。
 そうした方々と話をしますと、よく言われるのが、特に最近、Go To トラベルであったりGo To イート関係のCMが流れるが、自分たちは結局行けない。もともと例えばどこかに食べに行くことが趣味であったり、また、旅行に行くことが趣味であったり、そうした方々が、使命感だけで何としても踏みとどまって、いろいろな葛藤の中で一生懸命に頑張っていただいている。その方々に私自身も、本来的に国、そして、もちろん県としても報いていくような形をしっかりとっていっていただきたい。
 今、医療の現場でも、看護師の方々が、自分たちの重責であったり、今の仕事の環境に耐えられなくなって、やめたいという方々が出てきているとも聞いております。その方々にしっかりと、今、この岩手県で、県民の皆さんを支えていただいていることに対しての感謝を、今、知事におっしゃっていただいたとおり、お伝えし、そして私たち自身がどういう形で報いるのか、どういう思いで報いるのか、さまざまな報い方があると思いますが、そうした形をさらにやっていくべきと考えます。
 御所見はありますか。
〇知事(達増拓也君) 岩手県の場合、平素から医療従事者、そして介護従事者が、全国の中で不足気味である、全国的な偏在を解消しなければならないという中で、医療や介護の現場の皆さんと県民の皆さんが問題意識を共有していくことが、それなりになされてきた実績があると思います。
 今、全国で、今まで医師不足問題が言われていなかったような都府等において、医師の不足、看護師の不足ということが非常に深刻になっているところもあります。そういったところと比較したときに、岩手県の場合、県民の皆さんに支持していただきやすい環境があると思いますので、県としても、そういった今までの蓄積を大事にしながら、新型コロナウイルス感染症に立ち向かう現場の最前線の皆さんを支えていきたいと思います。
〇31番(郷右近浩君) それでは次に、地域医療のあり方についてお伺いしたいと思います。
 地域医療構想については、昨年度以降、各地域において、公立、公的医療機関の再検証が行われ、残る胆江地域においても、公立病院の病床数の見直しや機能連携に関する議論が進められているところです。
 一方、現在、国においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、新しい感染症やこれまでの感染症にも対応可能な医療体制のあり方について、議論が行われているものと認識しております。
 今後、各地域においても感染症対応の視点を加えた議論が必要になると思われますが、将来の医療需要を見据えた医療提供体制を構築するという地域医療構想の基本的な目的は変わらないと思われることから、このコロナ禍にあっても、地域の議論をとめることなく着実に進めていく必要があると考えます。
 現在の議論の中では、将来の地域医療体制を検討するに当たり、基本的に二次医療圏を単位として議論が行われておりますが、人口減少と少子高齢化、医療資源の偏在が進む中にあっては、二次医療圏を超えたより大きな視点で検討する必要があると私は考えております。
 例えば、県南地域においては、胆江医療圏と両磐医療圏を統合し、県立胆沢病院と県立磐井病院の機能を集約、拡充した新たな500床規模の基幹病院を建設し、現在の県立胆沢病院と県立磐井病院を後方支援病院とすることで、診療科の偏りを解消でき、また病院の体制が強化されることにより医師確保や臨床数がふえることで、研修医の増にも資すると考えられます。
 しかし、地域医療体制の再編には多大な時間を要すると想定され、何よりも地域の理解が必要であることから、長期的な視点で検討を進めていく必要があります。
 今後の人口減少や少子高齢化に対応し、限られた医療資源を有効に活用するため、現在の医療圏にとらわれることなく地域医療体制を構築する必要があり、調整に要する時間を考慮すると速やかに検討に着手すべきと思いますが、県の考えをお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 医療圏の見直しについてでありますが、岩手県保健医療計画においては、医療法の規定に基づき、地理的条件、交通事情等の社会的条件を考慮し、九つの二次医療圏を設定しており、一般の医療需要及び脳卒中など速やかに受療する必要がある疾病については、圏域内で完結できる体制整備を進めてきたところであります。
 一方、限られた医療資源を有効活用するため、がんなどの5疾病や救急、周産期医療などの5事業については、それぞれに係る医療連携体制を構築する際、二次医療圏にこだわらず、患者の移動状況や地域の医療資源等の実情に応じて、圏域を弾力的に設定することも可能とされており、周産期医療については、県内四つの医療圏を設定し、分娩リスクに応じた適切な医療提供体制の構築を図っているところであります。
 次期保健医療計画の策定に当たりましては、今年度の中間見直しにおける医療審議会等での議論を踏まえつつ、人口構造の変化や受療動向などの地域医療を取り巻く環境について改めて分析を行い、医療圏のあり方も含め、効率的で質の高い医療提供体制の構築に向けた検討を進めていく考えであります。
〇31番(郷右近浩君) 今、検討を進めていくという部分については、これ自体というよりは、全体的な話だと思いますけれども、ただ、やはり中間見直しというのは、どうしても軽微な部分というか、例えば介護保険事業計画との整合性を図っていったりとか、また、さらには数値の更新とか評価指標の見直し等というような形で、大幅な考え方の転換といったような方向性には至らないと認識しております。そうだとすると、県の医療をどのようにしていくかは、やはり次期保健医療計画をどのようにつくっていくかという部分に結果的にはなるものだと思っております。
 現行の第7次岩手県保健医療計画につきましては2018年から2023年ということで、本当にこれから3年をめどにつくっていかなければいけないという中にあって、私は、さまざまな観点から、医療資源をどのような形で配置できるのか、そうしたところまで踏み込んでいかなくてはならないものだと思っております。その次の保健医療計画が、2024年から6年間、2029年までといった形のものになるとするならば、これから10年後を見据えた岩手県の医療体制をどのようにとっていくのか、そうした大きなものを今からもう考えていかなければいけないのではないかと思っているわけであります。
 そうした点につきまして、決算特別委員会では入り口的な形で若干この話に触れさせていただいたわけでありますけれども、私のその部分の考え方について、保健福祉部長のほうで何か所感があれば、お伺いします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 岩手県保健医療計画につきましては、6年の計画でございますが、議員が問題提起されたとおり、例えば10年後、20年後の人口構造につきましても、例えば2035年、2040年、2045年を見ますと、その5年のスパンの中でも結構変わってまいります。長期的に人口構造が変わるということは、疾病構造も大きく変化してきます。また、今は予見できませんが、医療の高度化、専門化もかなり進んでまいります。また、医師の働き方改革も進む。そういったさまざまな要素を総合的に勘案していく必要があると考えています。
 次の岩手県保健医療計画におきましては、現在対応している新型コロナウイルス感染症、新興感染症に関しましても盛り込むことがほぼ決まっております。また、来年度計画を予定しています循環器医療計画といったような視点、そのほかにも、医療圏に関しますと、感染症病床のあり方でありますとか、また、保健所のあり方、保健医療圏、高齢者福祉圏域も含めた総合的な視点での検討が必要であろうと考えております。
 いずれにせよ、さまざまな視点、長期的な視点、今後どのような要素を盛り込むのか、そのほかとの関連といったものを総合的に検討し、あり方について検討を進めてまいりたいと考えております。
〇31番(郷右近浩君) これはもう完全に私案でありますが、10年後を見据えしっかりしたものを考えていっていただきたい。そして、それに着手するには、決してもう早くない時期に来ているのではないかということを指摘して、次の質問に入っていきたいと思います。
 医療圏の見直しにつきましては、そのとおり、長期的な視点で取り組む必要がありますけれども、一方、診療科の不足につきましては、地域にとって喫緊の課題であります。県立胆沢病院には産婦人科がなく、胆江地域で分娩できる医療機関は2カ所の産科診療所に限られており、地域内において半数以上の出産ができない状況となっております。
 県内でも産科診療所が減少している中、安心して出産することができるよう周産期医療体制の維持、整備が必要と考えますが、今後どのように取り組んでいくのかお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 周産期医療体制の整備についてでありますが、胆江地区を初め、全県的に産科の医師が不足している中、産科診療所についても、医師の高齢化の進行や後継者不足等により、分娩取り扱いを断念せざるを得ない施設の増加が懸念されるところであり、地域における産科診療体制を確保していくことは重要な課題であります。
 県では、医師養成などにより産科医の確保に取り組んできたところでありますが、令和2年度からは、産科等を選択した地域枠養成医師に対し、岩手医科大学の総合周産期母子医療センターでの義務履行を可能とする新たな特例措置を開始したほか、医療局奨学金に産科医養成のための特別貸付枠を設けたところであります。
 また、引き続き産科診療所の新規開設や施設改修のほか、新たな設備導入等を支援するとともに、令和2年度からは、市町村と連携してハイリスク妊産婦の通院等を支援する事業を開始したところであり、こうした取り組みにより、安心して妊娠、出産ができる周産期医療の充実に努めてまいります。
〇31番(郷右近浩君) 県の取り組みについては、これまで、さまざまな観点から進めてきていただいているのは承知しております。承知しておりますけれども、ただ、やはり県が対策をとっている以上のペースで産科がどんどんなくなっている。この産科にかかわる先生方が、もう分娩を取り扱わなくなってきているのが現実であります。
 私の地元の胆江地域においても、本年5月に1診療所が閉院いたしました。それで、先ほどお話ししたとおり2カ所の産科診療所に限られてしまったということであります。平均年齢は若干高目の先生方に頑張っていただいているという中にあって、やはり地域においては、地域内での出産や子供をつくること自体に対して不安の声が上がってきているのが現状であります。
 以前、この質問をした際にも、ちょうどうちの地域で一つの診療所が分娩をやめたというタイミングで質問させていただきました。あれからまた一つ、また一つという形で分娩を取りやめる、または診療を休止するところが出てきている。何とか時間を間に合わせるという中にあって、なかなか産科という部分については、医師を目指す方々が余り選ばれないほうの科になってきているという中にあって、だとすると、どうにかしてこれを守っていくのは、私はやはり行政であると思っております。
 そうした中にあって、私はこの産科を、出生数に見合うまで行かなくても、しっかりと支えていけるような体制をとっていくことが必要であると思うわけでありますが、この状況に対して保健福祉部長の御所見を伺いたいと思います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 議員から御指摘のとおり、分娩を取り扱う施設につきましては、この10年間でも、特に診療所につきましてはかなり減少しております。これは、岩手県だけでなく、全国的な状況でもございます。
 医療を守っていくことのほかにも、安全で安心な出産環境、また、子育てしやすい環境を進めていく上でも、この医療提供体制は非常に大きな要素だろうと考えています。その中でも周産期医療は、非常に重要な要素でございます。
 我々も、そのためにICTの活用、いーはとーぶ(岩手県周産期医療情報ネットワーク)は歴史もかなり古くなってまいりました。遠隔医療の活用などによりまして、限りある医療資源の中で連携体制を進めてきたわけでございますが、そういった医師の業務を支援する視点の施策、そして、そもそも医師の絶対数が少ないことから、これも先頭に立っていただいている地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会の取り組みを初め、国への提言、奨学金制度の運用、これも産科に着目した制度も始めました。
 若い医師の方が着実にふえてきております。中長期的には、現在の施策が地域の皆様方に実感していただける時期が来るのではないかということで今進めております。ただ、一方ではまだまだ施策の足りない部分があると我々認識しておりますので、さらに、さまざまな施策を、ベンチマークもしながら取り入れて、力を入れて進めてまいりたいと考えております。
〇31番(郷右近浩君) 保健福祉部長には、たびたび急に振ってしまって申しわけありません。
 先ほどは知事に医療圏の見直しという形で質問させていただきましたが、同様の質問を医療局長にお聞きしたいと思います。
 医療圏や医療機能の見直しに合わせて、圏域の基幹病院を担っている県立病院についても、将来のあり方について検討を進めていく必要があると考えております。これは県立胆沢病院の部分だけではなくてです。
 現在、人口減少や少子高齢化、さらには新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う患者動向の変更による患者数の減少、さらには、医師の専門医志向が進んでいることにより細分化された診療科ごとの医師確保など、県立病院の運営を取り巻く環境はますます厳しくなっております。
 これらの課題に対応するため、ある程度の規模、ボリュームのある病院を建設し、研修医を含めた医師を数多く集め、現在の医療圏を超えて広域的に患者を受け入れる医療体制を整備していく方針を検討すべきではないでしょうか。
 さきに例示した県立胆沢病院は平成9年に開院しており、県立磐井病院の開院は平成18年であります。それぞれ開院後23年、そして14年が経過しております。仮に両病院を統合し、新たに大規模な病院を建設するとすれば、その構想検討や用地確保などに場合によっては10年以上の年数を要することから、今からその検討を進めていく必要があると考えます。
 将来の統合を含め、県立病院の再配置等、そのあり方について、今後どのように検討していくのかお伺いします。
〇医療局長(熊谷泰樹君) 将来の県立病院のあり方についてでございますが、国においては、現役世代が減少していく中で、高齢者数がピークを迎える2040年を見据え、地域医療構想の実現、医師偏在対策、医療従事者の働き方改革を三位一体で推進することとしており、県立病院におきましても、将来の患者動向や疾病構造に応じた効率的な医療提供体制を構築していくことが必要であると認識しているところでございます。
 このため、中長期的な視点で地域の医療ニーズを把握するとともに、将来の人口動態や患者の受診動向の見通し等を踏まえながら、県立病院が各地域において担うべき役割や規模、機能を不断に検討していく必要があると考えております。
 また、病院施設の中には、新築整備から相当期間経過しているものも多いことから、これまで実施した劣化調査の結果等を踏まえまして、計画的に改修などを進めていく必要があります。一方で、新型コロナウイルス感染症により患者の受診動向が不透明となっていることなどから、今後の病院経営に与える影響も考慮しながら、総合的な視点で県立病院のあり方を検討してまいります。
〇31番(郷右近浩君) 本当に、これからの岩手県の医療をしっかりとした形でつくり上げていっていただきたいと思います。
 次に、今後の震災復興と防災体制の充実について伺います。
 平成23年に本県を襲った未曾有の大災害から来年3月で10年を迎えます。この10年、県は、震災からの復興を県政の最優先課題と位置づけ、知事を先頭に県を挙げて被災者に寄り添った復興施策を推進されてきました。こうした県の取り組みにより、令和元年度実績で、海岸保全施設の整備率94%、災害公営住宅整備戸数98%、被災事業所における事業再開は、一部再開を含むと86%となるなど、一部に若干のおくれは見られるものの、復興の歩みは着実に前進してきたものと思われます。
 一方で、被災者の状況に応じた心のケアや被災者のコミュニティー形成、被災地のなりわいの再生など、復興事業を進めるにつれ明らかになったさまざまな課題もあり、こうした課題は、沿岸被災地の振興を進めていく上で解決を図るべき重要な点であることから、今後においても、引き続き復興の取り組みを強力に進めていく必要があるものと受けとめております。
 こうした状況の中、県は、今定例会に臨時的な組織である復興局を恒常的組織である部に位置づけ、引き続き復興を県の最重要課題と位置づけるとともに、震災等から得た教訓や知見を生かし、さまざまな危機事案に対する事前の備えから応急対応、復旧、復興までを一体的に所管する復興防災部を設置するという組織再編案を提案されました。
 私は、発災から10年という節目のタイミングで、このような体制の見直しを行い、機能の強化を図るという今回の提案については、非常に時宜を得たものと考えており、新組織に大きな期待を寄せるものでありますが、今回の組織再編を提案するに至った知事の考え、思いをお示しください。
〇知事(達増拓也君) 組織再編についてでありますが、東日本大震災津波からの復興については、引き続き、県の最重要課題と位置づけ、被災者の心のケアやなりわいの再生に向けて取り組んでいくとともに、東日本大震災津波の事実や教訓を未来のために永続的に伝承、発信していく必要があると認識しております。
 このため、国の第2期復興・創生期間における取り組みや復興庁岩手復興局の釜石市移転なども踏まえ、復興局を恒常的組織である部に位置づけ、被災者一人一人の復興がなし遂げられるよう取り組んでいくとともに、復興の姿を国内外に発信してまいります。
 また、近年、全国各地で大規模な自然災害が頻発しているほか、今般の新型コロナウイルス感染症を初め、県民の生命、生活に大きな影響を及ぼす危機事案が多様化、複雑化しています。
 このような現状を踏まえ、東日本大震災津波や台風災害等からの教訓や知見を生かし、危機事案発生時における影響を最小限に抑え、速やかに復興に移行できるよう、危機管理対策の司令塔となる復興防災部を設置しようとするものであります。
〇31番(郷右近浩君) 今回設置される復興防災部でありますけれども、本当にこれまで岩手県が経験してきたこと、これは、もちろん震災を経験し、そして、そこからどのように立ち上がっていくか、これまで経験してきたその部分をしっかりと次に生かしていくという中にあって、そしてまた、さらにいろいろなこれからの危機事案に対応していくという部分については、私は非常にいい形で動いてほしいと思うものであります。
 その復興防災部でありますが、引き続き復興に取り組んでいくとともに、各部局にまたがる危機事案や事前防災を含む災害対応等について、全庁を牽引する機能が付されることになるとのことでありますけれども、復興の推進とともに、県全体の危機管理や防災力が大きく充実強化されることも期待されるところであります。
 今年度当初から対応に追われている新型コロナウイルス感染症についても、保健福祉部が担っている牽引役を、来年度以降は新たな復興防災部が担うことになるものと思われます。
 そこで伺いますが、さまざまな危機事案等について、復興防災部と関係部局との役割分担はどのように考えているのか、特に新型コロナウイルス感染症への対応についてはどうなっていくのかお示しいただきたいと思います。
〇総務部長(白水伸英君) 今定例会に提案いたしております復興防災部におきましては、自然災害への対応のほか、食の安全・安心や感染症など危機事案に対する統括機能を所掌させる方向で検討しておりまして、復興防災部が中心となって、各部局が担う個別施策の調整を行い、県全体の危機管理対策を主導していくことを想定しております。
 また、新型コロナウイルス感染症対策に当たりましては、復興防災部において、対策本部の運営や経済、雇用対策を含む分野横断的な対処方針など全庁の統括業務を担うこととしておりまして、医療機関や保健所等との連携により進めていく専門性の高い業務については、引き続き保健福祉部で対応することとし、機能分担を図りながら、それぞれが職務に注力できる体制とする方向で検討しております。
 危機事案への対応に当たりましては、目指す方向性を各部門が共有しながら、専門性を発揮した施策を展開していくことが重要でございまして、復興防災部の統括のもとで各部が連携し、迅速かつ分野横断的に対策が進められるよう組織体制の構築に努めてまいります。
〇31番(郷右近浩君) しっかり連携がうまく図られて前に進むような形になればいいと思います。ただ、それぞれの所管部局との役割分担が本当にうまくいくのか。現在の新型コロナウイルス感染症対策を見ていると、保健福祉部がしっかり牽引役になっている。そうした中で全庁的に動いている姿を見ると、これをこの新しい部でやっていくということであれば、私は、成功体験ではないですけれども、今のような形でしっかりと体制がとれるものと期待しております。ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 次に、国土強靱化の推進についてお伺いいたします。
 国土強靱化の推進については、県では、岩手県国土強靱化地域計画を策定し、脆弱性の評価を行いながら、ハード対策、ソフト対策両面の強化を進めているものと承知しております。現在、政策企画部が所掌するこの岩手県国土強靱化地域計画については、危機管理、防災を一元的に所掌する復興防災部に移管されることになるものと見込まれますが、関係する各部局をリードし、より効果的な事前防災の事業を進めるという点では、実効性のある体制になるものと思われます。
 そこで伺いますが、復興防災部と関係部局との間でどのような連携体制を確保し、本県における国土強靱化の一層の推進を図ろうとしているのかお示しください。
〇知事(達増拓也君) 本県における国土強靱化の推進についてでありますが、岩手県国土強靱化地域計画は、安全・安心な地域社会の構築に向け、本県における想定リスクや脆弱性の評価を踏まえながら、効果的な施策を総合的、計画的に推進していく上で指針となるものであります。
 このため、本計画については、事前防災を含めた危機管理から復旧、復興までを一体的に所掌する復興防災部が所管する方向で検討しております。
 復興防災部が司令塔となって、東日本大震災津波や台風災害の対応から得られた教訓やこれまで進めてきた復興施策も踏まえながら、適時適切な想定リスクや脆弱性評価などの見直しを行うことにより、住宅、都市、保健医療、福祉、産業など各分野における施策の相互調整を図り、計画の実効性を高めていこうとしているところであります。
 また、市町村における地域計画策定を促進するとともに、国や民間事業者などと連携しつつ、本計画に掲げる施策を効率的、効果的に推進し、いかなる大規模自然災害が発生しても致命的な被害を負わない強さと速やかに回復するしなやかさを持った本県の国土強靱化を推進してまいります。
〇31番(郷右近浩君) ぜひ、本当に前に向けるように頑張っていただきたいと思います。
 私自身ちょっと難しいなと思っているのが、事前防災という部分で、何か事があったときに、この新しい部でしっかりとリーダーシップをとってやっていく。それは、逆に言うと比較的簡単にではないですけれども、比較的進みやすい形にはなると思うのですが、事前防災という幅広い中で、この点をどのような形で復興防災部が先導役になりながら進めていくのかが、非常に難しいのではないかと思います。
 それぞれの部局で行っている事業をしっかりと把握しながら、また、さらにその進捗状況等もしっかりと把握して前に進めていかなければいけないわけであります。もちろんそうした考え方でこの部を設置することとしたと思われますが、その点について、改めて、国土強靱化からまたもとに戻るような話になりますけれども、知事から御所見をいただければと思います。
〇知事(達増拓也君) 国土強靱化という中で、事前防災の要素も大変重要でありますし、また、そういったことに取り組むに当たっても、過去の東日本大震災津波、その後のさまざまな災害の経験も踏まえていく必要があると思っております。そういった意味でも、復興防災部が国土強靱化の推進についても相互調整を図っていくことを考えているところであります。
 もちろん国土強靱化はさまざまな部局の所管に及ぶものでありますので、そういったそれぞれの専門性に基づく取り組みも重要でありますけれども、その中で、復興防災部が司令塔となって、国土強靱化について取り組んでいくことを念頭に置いているところであります。
〇31番(郷右近浩君) ぜひ、いい形で進めていっていただきたいと思います。
 そうした中にあって、この間、岩手県の公共投資については、ハード部分で一つのめどが立ってきたということで大分さま変わりしていくと思うのですが、そうした中で来年度以降の公共投資の方針についてお伺いしていきたいと思います。
 東日本大震災津波からの復旧、復興については、令和3年度から国の第2期復興・創生期間に入り、被災者の皆様の心のケアなど息の長い継続的な取り組みを中心に、一部ハード事業の一刻も早い完成に向けた取り組みと並行して展開していくことになると思います。
 復興の進捗を物語るように、平成27年度当初予算では2、158億円に上った本県の公共事業費は、令和2年度当初予算では1、757億円にまで減少しております。
 一方で、記憶に新しい平成28年の台風第10号災害、令和元年の台風第19号災害、今年度の長雨による被害、北上川の洪水対策による築堤など、本県においても近年頻発する自然災害への対応は急務であり、県土の強靱化に向けた公共投資の必要性は高まっております。
 国においても、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策の延長が議論される中、第2期復興・創生期間の取り組みと並行した県土強靱化の取り組みが求められると考えております。
 震災前の平成22年度の公共事業費は890億円、広域圏別の公共事業の割合は、盛岡25%、県南34.9%、沿岸26.5%、県北13.6%であるのに対し、平成27年度の公共事業費は、先ほど述べましたとおり2、158億円、同割合は、盛岡8.6%、県南16.7%、沿岸58.2%、県北16.5%と変遷しており、まさに東日本大震災津波からの復旧、復興を最優先に進められてきたことは、数字の上からも明らかであります。
 東日本大震災津波からの復旧、復興を最優先で進めることは論をまちませんが、今後、国の第2期復興・創生期間におけるハード事業の完了を見据え、知事は、県内における公共投資の規模、地域バランスについてどのようにお考えかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 公共投資の規模についてでありますが、県民の安全・安心な暮らしを守り、地域の産業振興に資する社会資本の整備や適切な維持管理などの観点から、公共事業費については、安定的に必要な予算を確保していくことが重要と考えております。
 これには国費の確保が重要でありますことから、県では、11月に実施した令和3年度政府予算等に関する提言・要望において、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策の延長、拡充や社会資本整備総合交付金、防災・安全交付金等の通常予算の確保について要望したところであります。
 今後も、さまざまな機会を捉えて国に強く働きかけていくなど、公共事業予算の安定的、持続的な確保に努めてまいります。
 また、県内における公共投資の地域バランスについてでありますが、いわて県民計画(2019~2028)第1期アクションプランに基づき、今後とも、地域の実情に応じた施策の推進について、優先度を見きわめながら進めてまいります。
〇31番(郷右近浩君) これまで県内においても、まさに復興最優先、そして今に至っているという中にあって、やはりこれは、例えば県南地域にしても県北地域にしても、さまざまなところで、本当に同じ県民の苦しみをしっかり分かち合うといった思いでこの10年間を過ごしてきております。ただ反面、この10年間、地域の公共工事を初めとする、そうしたものがとまっている、大分少なくなっているという形でもあります。
 岩手競馬なども、失われた10年間ではないですけれども、この間、岩手競馬のさまざまな施設についてもずっとさわってこなかったというような面があるように、今、岩手県内のインフラも、その10年間という一つ前で時がとまったかのような部分があるのも現実であります。
 これから岩手県で公共投資額がどのようになっていくか、そうした中で、しっかりと県内全域を見ていっていただければと思います。
 続いて、その中ででもありますけれども、特に近年、気候変動に伴った降雨量等の増加によって、全国で洪水被害が頻発化、激甚化しております。私の地元の奥州市黒石地区は、北上川左岸に位置しており無堤地区であるため、大雨の際には北上川の水位上昇により浸水被害や道路の冠水が頻発しております。また、この地区は、道路が冠水すると孤立し、救急車やポンプ車などの緊急車両の通行もできなくなるため、住民は不安を抱いております。
 住民が安心して生活できるよう、早期に河川堤防や道路の整備を行って、災害に備えた対策が行われることが重要であると認識しております。この堤防につきましても、実は平成19年に、ここに堤防をつくったほうがいいのではないか、そうしたことで県議会の中で部長からも答弁をいただいておりました。
 その後、計画をつくっていく中で、東日本大震災津波が発災。復旧、復興予算については通常予算とは別枠だと、国でもそのような話をした中にあって、しかしながら、現実には、やはりそこの河川の予算がほぼほぼ復旧、復興のほうに回っていった。それはそれで本当に私自身、納得するところでありましたけれども、しかしながら、どこかの段階で、しっかりとこれまで積み残してきたものをやっていかなければいけない。そうした思いで今回、質問させていただいたところであります。
 この点につきまして、県土整備部長の答弁をいただきたいと思います。
〇県土整備部長(中平善伸君) 奥州市黒石地区の災害に備えた対策についてですが、当該地区は、平成14年、平成19年、そして、ことし7月の大雨等による北上川の増水のため、田畑や道路の冠水被害が発生していることから、県としては、北上川の堤防整備を推進するよう、令和3年度政府予算提言、要望においても要望してきたところでございます。
 北上川に並行する県道の整備については、国の堤防整備事業と調整を図りながら検討することを基本と考えておりますけれども、国からは、堤防整備については、引き続き対応を検討すると聞いているところであります。
 県としては、河川堤防の整備を国に強く働きかけていくとともに、県道が冠水しないために、道路管理者としてどのような対策が可能かにつきましても検討してまいりたいと考えております。
〇31番(郷右近浩君) どうぞよろしくお願いします。この点についてはこれ以上詰めませんが、本当にそうしたことで、いつか、いつかと思っている思いに応えていただければと思います。
 次に、ものづくり産業の振興についてお伺いいたします。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、住民の生活のみならず、あらゆる産業で大きな影響が出ており、これはものづくり産業においても例外ではありません。
 県ではこれまで、自動車、半導体関連産業をものづくり産業の中核と位置づけて、その集積や高度化を図ってきており、近年では、これらに加え、景気に左右されにくい産業と言われる医療機器関連産業の集積にも取り組むなど、厚みのある産業群の形成を図ってきたものと承知しております。
 これらの産業は、コロナ禍においても、その影響が限定的と聞いており、自動車関連産業では、トヨタ自動車東日本株式会社が、県内で相次ぎ世界戦略車の新型車種を生産開始しており、今後においてもこのような状況が続くものと期待しております。
 また、半導体関連産業については、IoTや5Gなどの普及拡大により、キオクシア岩手株式会社が生産するNAND型フラッシュメモリーは今後も需要の大幅な伸びが見込まれているとのことであります。
 新型コロナウイルス感染症の拡大により、さまざまな産業が大きな影響を受ける中にあって、ものづくり産業を牽引する県内の自動車、半導体関連産業は好調で、今後も成長が見込まれており、これまでの戦略的な取り組みが、県南地域を中心に大きな雇用の創出と地域経済の下支え、そして発展の基盤をつくっているものと評価しております。
 県には、引き続きこれらの産業の振興に力強く取り組んでいただきたいと思いますが、まずは自動車関連産業についてお聞きします。
 県では、自動車関連産業についてどのような展望を持ち、今後どのように取り組んでいくのかお伺いします。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 自動車関連産業についてでありますが、トヨタ自動車東日本株式会社の最大の生産拠点であります岩手工場では、ことし生産を開始いたしましたヤリス、それからヤリスクロスの受注が好調であることに加えまして、今後、既存車種のモデルチェンジも予想され、近い将来、過去最高水準の生産台数となることを期待しています。
 さらに、関連サプライヤーによる新規進出や増設、増強の検討が活発化してきております。特に、電子化、電動化や上級グレード車にも対応した高付加価値部品の生産拠点化の動きが見られつつあるところでございます。
 こうした動きは、地場企業にとっても新規参入や取引拡大、付加価値向上につながる大きなチャンスとなりますことから、県といたしましては、引き続き、企業誘致、地場企業との取引マッチング、人材育成、確保の支援等に取り組みまして、本県自動車産業集積の一層の拡大と競争力の強化を促進してまいります。
〇31番(郷右近浩君) 自動車関連、トヨタ自動車東日本株式会社については好調だということは地元でも聞いております。また、あそこは工場敷地がまだあるものですから、どのような形かでさらに大きくなっていただければと思いますし、今、金ケ崎町の工業団地も拡張しているということでありますので、ぜひ、さらにこの自動車関連産業の集積というようなことまで進んでいくことを期待しているものであります。
 また、半導体関連産業についてですが、私の地元、奥州市にある世界的な半導体製造装置メーカーである東京エレクトロンテクノロジーソリューションズ株式会社が、工場の増設を進めていることから見ても、今後の成長が大いに期待されるところであります。一方、昨今の国際情勢や報道により、キオクシア岩手株式会社や株式会社ジャパンセミコンダクターの今後の動向が気になるところでもあります。
 先般の決算特別委員会においても、同僚議員から不安視する声があったかと思いますが、このキオクシア岩手株式会社につきましては、今後も多くの雇用と地域経済への大きな波及効果が見込まれることから、県として、大型の補助金や今後見込まれる水需要について大きな投資を判断してまいりました。米中摩擦の影響を受けて上場が延期されるなど、今後を不安視する声がその中で聞かれているところであります。
 そこで、改めて、キオクシア岩手株式会社を含めた今後の半導体関連産業の展望と県としてどのように取り組んでいくのかお伺いします。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 半導体関連産業についてでありますが、県ではこれまで、積極的な企業誘致や既立地企業の業容拡大に取り組んできたところでありまして、キオクシア岩手株式会社が量産を開始するなど、最新の設備や技術により、最先端の製品が岩手県から世界中に供給されているところであります。
 こうした動きは、これらの中核企業と取引のある関連企業の立地や県内企業の業容拡大にもつながっておりまして、半導体関連産業の集積が一層加速していくことを期待しているところであります。
 キオクシア株式会社につきましては、生産する製品が大容量のフラッシュメモリーであり、今後のデジタル化の進展やデータ量の飛躍的な伸びを背景に、その業績も堅調に推移していくものと見込んでいます。
 今般、三重県四日市市において新たな工場の建設が発表されましたが、キオクシア株式会社からは、北上市における2棟目も検討しており、具体的には今後の市場動向を見きわめて決定していくと聞いています。
 県としては、引き続きキオクシア株式会社に対し、本県への投資の継続について強力に働きかけてまいりますとともに、市町村や関係機関等と連携いたしまして、関連企業のさらなる誘致や業容拡大、地場企業の取引拡大、人材の育成、定着に取り組んで、さらなる集積と高度化を促進してまいります。
〇31番(郷右近浩君) 本当に地元では不安というか、そうしたものが根底にあると。本当にキオクシア岩手株式会社がどのような展開になっていくのか。特に、株式会社ジャパンセミコンダクターの最近の報道等を見ても、果たして大丈夫なのかといったような声があります。そうしたものをしっかりと払拭して、そして、県としての投資に見合うような成果を上げるように頑張っていただきたいと思います。
 次に、人材育成の部分も通告していたのですが、そこは飛ばさせていただいて、別の質問をさせていただきたいと思います。教育環境整備についてお伺いしたいと思います。
 今定例会において計上された令和2年度一般会計第6号補正予算には、新型コロナウイルス感染症対策関係事業として、私立学校運営費補助1億円余が計上されております。これは、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策として、児童生徒等が安心して教育を受けられる環境の整備を促進するため、私立の幼稚園、中学校、高等学校の普通教室等へのエアコン設備の整備を緊急的に支援するものと承知しております。
 私はかねてより、気候変動のせいか、夏場に40度以上にもなる教育環境の改善を考え、公立、私立、小中高全ての教室へのエアコン整備は急務であるとして設置を求めてまいりましたので、今回の事業化については、その整備が一層促進されるものと大いに評価しているものであります。
 期せずして、新型コロナウイルス感染症対策を通じて、コロナ以前から問題となっていた熱中症対策も図られる形になったことで、結果的に児童生徒の学習環境の大幅な改善につながり、さきに令和2年度一般会計第4号補正予算で整備が先行する県立学校等とあわせ、新型コロナウイルス感染症や近年の高温化にさらされる本県児童生徒等が安心して教育を受けられる環境確保が図られることで、岩手県の将来を担う人づくりにも大きく寄与するものと考えます。
 今回の事業により県内の私立学校におけるエアコン設置が進むことが期待されるとともに、これから整備を考える学校もあると思われます。現在、私立学校の教室においては、普通教室等は60%程度、特別教室等は37%程度整備されておりますが、今回の事業でどれぐらい設置が進む見込みかお伺いします。
 また、県では、来年度以降の私立学校のエアコン整備をどのように支援していくのか、お考えをお伺いします。
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君) 私立学校へのエアコン設置についてでありますが、今回の補正予算では、私学関係団体からの要請も踏まえ、児童生徒等の感染症拡大防止のため、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し緊急的に実施するものであり、県として、今まで補助対象としていなかった私立高校等の普通教室を対象とするなど、エアコンの整備に要する経費の一部を補助するものであります。
 今回、県内の各学校に整備促進を広く呼びかけ、普通教室等の整備が約78%、特別教室等の整備が約52%に進むものと考えております。
 来年度以降につきましては、国の補助金を活用することとなりますことから、県としては、設置が簡易なエアコン等についても補助の対象とするよう、国に対し、補助制度の拡充について要望しているところであり、引き続き働きかけてまいります。
〇31番(郷右近浩君) やはり今のこの時代、前にも話したとおり、私も学校の現場に行ったときに、40度以上の温度になっているような教室がこれまであったという中にあって、これはもう公立も私立も関係なく、当然岩手県の将来を担う子供たちをどのように育てていくか、どのような環境を与えていくかという大事な問題だと思いますので、今後とも、ぜひ県としても頑張っていっていただきたいと思います。
 次に、GIGAスクール構想についてお伺いしたいと思います。
 GIGAスクール構想につきましては、昨年12月に、萩生田文部科学大臣のメッセージとして、2018―2022の教育のICT環境整備計画を前倒しとする方向が示され、今年度に入ってからは、新型コロナウイルス感染症への対応等に係る緊急経済対策として、児童生徒1人1台端末等の国庫補助による措置が、さらに前倒しして行われてまいりました。
 これに伴い、県内33市町村が市町村立小中学校への1人1台端末等の整備を決めるとともに、県教育委員会としても、臨時休校等に対応するための県立高校生徒への貸し出し用端末等の整備を決定したものと認識しております。
 今般、県教育委員会と市町村教育委員会との意見交換会を開催し、学校のICT環境の整備等についての意見交換を行ったとのことですが、私は、もっと早くに協議会等を開催し、OSや教材ソフトについて、県はどのように考えているのか示すべきであったと考えます。
 小中学校の先生方は転勤というものがあります。先生方が転勤するたびに混乱が生じないように、そして、転校等した子供たちが使いやすいようにするためにも、市町村教育委員会としっかり連携をとって、岩手県のGIGAスクールをすばらしいものにつくり上げていただきたいと考えますが、お考えをお伺いします。
〇教育長(佐藤博君) ICT環境の整備についてでありますが、県教育委員会では、各市町村のGIGAスクール構想による児童生徒1人1台端末の整備等を支援するため、機種やOS等の選定に係る情報提供に努めてきたところです。
 子供たちの主体的、対話的で深い学びを実現していく上で、整備した1人1台端末を授業や家庭学習等の中でどのように効果的に活用していくか、教員の指導力も課題となることから、教員が異動した際にも柔軟に対応できるよう、総合教育センターにOSが異なる複数の機種を整備し、ICTに関する研修内容を充実させることとしたところです。
 また、県と市町村が学習グループウエア、これは実際に子供たちが学習するソフトウエアのことでございますが、その選定などのICTに関するさまざまな課題や対応等について協議、調整していくための岩手県学校教育ICT推進協議会を新たに設置したところであり、引き続き、本県学校教育のICT環境の整備と円滑な利活用に向け、市町村教育委員会と連携して取り組んでいく考えです。
〇31番(郷右近浩君) きのう、文部科学省が全国の公立高校で、2020年度の新1年生に1人1台のパソコンやタブレットの整備を検討しているやの報道がありました。中学生が高校でも同じように学べる環境をつくるということになるらしいですが、とすると、さらに県教育委員会と市町村教育委員会の連携も必要になってくると思います。そうした連携をしっかりととりながら進めていっていただきたいと思います。
 ただ、反面、日本に先駆けて導入した海外等では、学習効果が疑問視されるとして紙ベースに戻した学校であったり、巨額の費用負担に耐えられず事業が頓挫したケースも少なくないといった報道もあります。これまでにも県として、端末等導入後に生じる通信費等について、岩手県内の33市町村からさまざまな要望が出てきたものを国に対して要望してきたことについては承知しておりますが、国策としてのGIGAスクール構想をしっかり動かしていくために、そして、岩手県としてすばらしいものをつくっていくために、環境整備への財政支援をさらに強く国へ求めていくべきと考えますが、教育長のお考えをお伺いします。
〇教育長(佐藤博君) GIGAスクール構想の実現に向けては、高等学校の生徒用端末が国庫補助の対象となっていないことや、端末等の導入後に生じる通信料であるとか更新費用等について、地方自治体の財政負担が増加することが懸念されておりますことから、国に対し、必要かつ十分な支援策を講ずるよう要望してきたところです。
 また、新型コロナウイルス感染症への対応等として、子供たちの学びの保障に向けたオンライン教育等の必要性が高まっていることから、ICT支援員の配置や学習者用デジタル教科書等の早期普及など、ICTを効果的に活用するための支援策についても、先月17日に要望を行ったところでございます。
 今後も、必要な財源等が措置されるよう、国に対し働きかけてまいります。
〇31番(郷右近浩君) この間ずっと萩生田文部科学大臣のさまざまな発言を聞いておりますと、かなり前向きというか、この導入に対しては進めていきたいという意向が強く感じられます。ただ反面、これまでは義務教育予算であったり教育関係の予算が年々削られてきていたことも事実であります。最初の導入、そしてその後をしっかりとお願いするように頑張っていただきたいと思います。
 以上でございます。これで一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(関根敏伸君) 以上をもって郷右近浩君の一般質問を終わります。
   
〇議長(関根敏伸君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時30分 休 憩
   
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 千 葉 絢 子 君
12  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 田 村 勝 則 君
15  番 佐々木 朋 和 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 岩 渕   誠 君
20  番 名須川   晋 君
21  番 佐々木 宣 和 君
22  番 臼 澤   勉 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 吉 田 敬 子 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 軽 石 義 則 君
31  番 郷右近   浩 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時48分 再開
〇議長(関根敏伸君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。佐々木宣和君。
   〔21番佐々木宣和君登壇〕(拍手)

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