令和2年12月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇27番(吉田敬子君) いわて新政会の吉田敬子でございます。
 一般質問の機会を与えてくださいました先輩、同僚議員の皆様、そして県民の皆様へ感謝を申し上げます。一部重複する部分もありますが、知事初め執行部の皆様の明快な御答弁に御期待申し上げ、以下、順次質問いたします。
 世界そして日本各地で、新型コロナウイルス感染症の第3波が猛威を振るっています。岩手県では7月29日に初めての感染が確認され、10月末までは散発的な発生だったのが一変し、11月に入り急拡大し、11月だけで10月末時点の27人と比べ7.2倍の194人に上ります。
 まずは、新型コロナウイルス感染症によりかけがえのない命をなくされました皆様に謹んで哀悼の意を示すとともに、現在も闘病されている皆様の早期回復を願うものであります。
 また、保健所を初め医療関係者の皆様の献身的な御尽力に心から感謝を申し上げます。
 県では、療養している人の数に応じて、フェーズを4段階に設定し、病床の体制を整えています。現在はフェーズ2、感染拡大期の段階ですが、フェーズ3、蔓延期への引き上げも検討していると聞いています。
 現在の病床と軽症者等宿泊療養施設の確保と使用状況、また、クラスターも確認されておりますが、患者の発生状況をどのように分析しているのか伺います。
 また、国では、想定される感染状況をステージIから4まで設定しています。
   〔議長退席、副議長着席〕
 その感染ステージを判断する指標にはさまざまありますが、岩手県の場合、1日の感染者数がどの程度続くと、医療を初め社会経済に大きな支障が生じ深刻な段階と私たちは捉えるべきなのでしょうか、お伺いいたします。
 新型コロナウイルス感染症対応と通常医療の両立を図ることが重要ですが、今後懸念される新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行に備え、11月1日から、発熱患者らの相談や診療、検査の仕組みが変わりました。インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の症状の見分けが難しく、両方を検査できる診療・検査医療機関として県内212機関を指定済みと伺っています。
 診療・検査医療機関の現在の設置状況について、各市町村や地域間での受診環境に偏りがないか、十分であるか、課題も伺います。
 また、厚生労働省の発表では、岩手県のピーク時の検査需要は1日4、292件とされていますが、検査体制は確保されているか伺います。
 知事に伺います。岩手県において、飲食や職場でのクラスターが確認されたことに加え、高齢者施設でのクラスターも確認され、今後、県内全域における家庭内感染や、学校等におけるクラスターの発生リスクが高まってくると危惧されています。
 知事は11月24日、県民に対してメッセージを出されました。改めて感染対策を徹底していただくことが重要ではありますが、危機感が伝わってはきませんでした。本県で初めての死亡事例が発生した後のメッセージとしては、もう少し強いメッセージが必要だったのではないかとも感じています。これから年末年始を迎える中で、そこからの2週間なのか1カ月なのかが大事な時期であると感じていたところです。
 医療提供体制が逼迫することのないよう、今、私たち県民は何をすべきなのか、何を我慢すべきなのか、正しく恐れるための県民へ訴えるメッセージのあり方について、感染者ゼロという日がなかなか出ない中、知事のリーダーシップが問われると思いますが、御所見を伺います。
 この後の質問は降壇して質問席で行います。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔27番吉田敬子君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 吉田敬子議員の御質問にお答え申し上げます。
 県民へのメッセージについてでありますが、県内で盛岡市を中心に、職場や飲食店におけるクラスターが複数確認されたことから、11月19日に岩手県と盛岡市共同の臨時記者会見を実施し、店舗利用者に検査を受けるようクラスター対策への協力と、三密を伴う会合等の回避など、感染増加を踏まえた感染対策の徹底について呼びかけたところであります。
 また、11月24日には高齢者施設でのクラスターも確認され、今後、県内全域における家庭内感染や学校等におけるクラスターの発生のリスクが高まってくると危惧されますことから、同日に新型コロナウイルス感染症対策本部員会議を開催し、基本的な感染対策の実施に加え、毎日の健康確認や体調不良時の外出自粛など感染対策に係る知事メッセージを発したところであります。
 今後におきましても、感染状況を踏まえ、必要な感染防止対策を行うとともに、引き続き県民の皆様に対して、家庭や職場を含む全ての場における基本的な感染対策が確実に実践されるようメッセージを発してまいります。
 そのほかのお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、病床の確保状況等についてでありますが、本県では、新型コロナウイルス感染症が発生していない医療提供体制のフェーズ0の段階から、病床を150床以上、軽症者等宿泊療養施設を85室確保していたほか、大規模クラスターの発生も想定し、重点医療機関等の指定を行っているところであります。
 現在の県内の発生状況を踏まえフェーズ2の段階として、病床を250床以上、宿泊療養施設は85室確保し運用しているところであり、昨日現在、入院が70床、軽症者等宿泊療養施設が19室の使用状況となっております。
 11月以降、職場や飲食店、高齢者施設でのクラスター等の発生により、県内の患者数は増加しておりますが、昨日の病床利用率が28%、宿泊療養施設の利用率は22%となっており、現時点で病床が逼迫している状況ではないと認識しています。
 県では、国で定義する濃厚接触者に限らず、そのほかの感染が疑われる方まで拡大した積極的疫学調査を実施することにより、感染経路不明な者の割合は全国平均の48%に対し11%となっており、現時点において地域における感染の連鎖の封じ込めに向けて対応できているものと考えております。
 次に、感染ステージについてでありますが、国の新型コロナウイルス感染症対策分科会では、今後想定される感染状況をステージIから4の四つの段階に区分し対策を提言しており、現状、本県は感染者の漸増及び医療提供体制への負荷が蓄積する段階であるステージIIにあると判断しています。
 感染者が急増したステージIIIでは、新型コロナウイルス感染症に対する医療提供体制への負荷が高まり、一般医療にも大きな支障が発生することを避けるための対応が必要な段階とされており、具体的には、夜間や酒類を提供する飲食店への外出自粛の要請、イベント開催の見直し、人が集中する観光地の施設等における入場制限等を検討することが必要とされております。
 ステージの判断については、病床利用率やPCR陽性率など複数の指標を目安として総合的に判断するものでありますが、ステージIIIへの移行を判断する指標の一つとして、直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数が15人という数値が示されているところであります。これは、本県においては1日26人の新規感染の確認が1週間続くという状況であり、この指標の動向等も踏まえ、感染拡大を抑制するため、社会への協力要請を検討することとしております。
 次に、診療・検査医療機関の設置状況についてでありますが、診療・検査医療機関については、国が示した計算式により本県の季節性インフルエンザのピーク時の1日当たり需要数から試算し、来年1月までに県全体で217医療機関の指定を目指しているところであり、現時点で212機関の指定が完了したところであります。
 その指定に当たりましては、医師会や地域の医療機関等と十分に協議を行い、地域バランス等も含め、各地域の実情に応じた診療・検査体制について調整を図っているものであります。
 また、その設置に当たっては、医療機関から、感染防止対策や検体採取の方法及び国が設置に当たり義務づけている感染症情報の入力システム―G-MISの操作などの課題が挙げられたところでありますが、県医師会と連携し、各圏域での医療従事者を対象とした国の指針や運用マニュアル等の周知、模擬操作の研修会の開催により、現在は円滑な運用が図られていると認識をしております。
 現時点では、季節性インフルエンザの流行は始まっていないところでありますが、今後のインフルエンザ及び新型コロナウイルス感染症の県内流行の動向を注視しながら、適切な受診について県民への周知に努めてまいります。
 次に、検査体制についてでありますが、議員御指摘のとおり、本県の季節性インフルエンザ流行ピーク時における検査需要見通しは1日最大4、292件であり、そのうち新型コロナウイルス感染症のPCR等検査需要数は1日444件、インフルエンザ流行に伴う発熱患者等の検査需要は1日3、848件を見込んでおります。
 これに対して、現時点では県全体で、新型コロナウイルス感染症に対応するPCR等検査については、1日987件、インフルエンザに対応する抗原定性検査については1日4、240件の検査に対応する体制となっており、本県のピーク時の検査需要に対応できるものと考えております。
〇27番(吉田敬子君) 現在の確保病床の利用率は28%ということでありました。現在は国の新型コロナウイルス感染症対策分科会がステージIIIの指標の一つとする25%以上になっているわけであります。ただ、ステージIIIに判断するというのは、さまざまな指標や状況を見ながら判断ということになるかと思います。一方で、ステージIIIに当たるかどうかの最終判断は自治体に委ねられておりますので、そこはしっかり判断していただきたいと思っております。
 さきの11月25日の国の分科会におきまして、ステージIIIに当てはまらなくても、十分な対策ができていない地域があると考えられ、早急に判断するよう都道府県に対し促したということを見ております。
 さきの質問にもありましたけれども、例えば県内では圏域ごとの医療提供体制に差が出ている状況であり、また、県立病院は医師の応援派遣で成り立っているところもあります。そういった現状を見ると、県内でステージIIIに相当しなかったとしても、危機感をしっかり捉えなければいけないと私は感じております。
 それに対する県民へのメッセージということで、知事がこれから必要に応じてさまざまメッセージを発せられるかと思いますけれども、現在、高齢者への感染拡大防止、そして経済を回すためにも、ここは一旦、慎重な行動、確実な対応というのも求められている気がいたします。私たち県民の不安解消のためには、ぜひ知事に情報発信に努めていただきたいと思っております。改めて、先ほどのステージIIIに当てはまらなくてもという状況のメッセージの発し方、圏域ごとに異なる状況を踏まえた私たち県民に対するメッセージの発し方について、改めてお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 先ほど保健福祉部長が答弁しましたように、ステージIIIになりますと、夜間や酒類を提供する飲食店への外出自粛の要請、イベント開催の見直し、人が集中する観光地の施設等における入場制限等を検討することが必要とされているわけでありますが、岩手県内においては、いまだこういう事態には至っていないと判断しております。
 一方、基本的なマスクの着用、手洗い、三密の回避などについて、この11月に入ってからのさまざまな感染事例、クラスターなどを分析する中、やはりきちっと行われていないがゆえに感染した、感染が広がったという例がありましたので、それについては特に繰り返しメッセージを出したところであります。また、このメッセージの内容は、それぞれ県の担当部局から関係する団体や企業等にも伝わるようにしておりますので、ぜひ県民の皆さんは、このメッセージを大事にしながら、感染対策に努めていただきたいと思います。
〇27番(吉田敬子君) その発し方のときに、年末年始がこれから来る中で、これまでの知事の記者会見等では、今のところは言及されていない中ですけれども、しっかり県民の皆さんにわかりやすく発していただきたいです。先ほど、1日26人が1週間程度続くと大変な状況だということをお話しされましたけれども、全国各地で何人の感染者が出ているという情報を毎日聞いていると、岩手県はどのくらいの人数がふえていくというのがなかなかわかりづらいこともあったり、また、それが圏域ごとで状況が違うということも、より詳しく発信していただきたいと思っておりますので、ぜひ知事におかれましては、メッセージを発する際には、より具体的に県内の状況についても触れながら発信していただきたいと思っております。
 次の質問に参ります。患者やその家族等へのケアについてお伺いいたします。
 新型コロナウイルス感染症は誰もが感染する可能性があり、誰でも感染させる可能性があります。患者やその家族などが感染した際には、職場への対応のこと、学校への対応のこと、御近所への対応のことなど、自身の健康状態のみならず日常生活全般のさまざまな不安や心配事を抱えているのではと想像しております。友人などにも話しづらい状況がある中、患者やその家族等へのケアを行える相談窓口など、退院後も含めて必要と考えますが、県の見解をお伺いします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 新型コロナウイルス感染症患者やその御家族等へのケアについてであります。
 新型コロナウイルス感染症については、後遺症が残ることなどが指摘されており、退院後においても健康面での支援が重要と認識しています。
 また、議員御指摘のとおり、患者やその御家族は、健康面のみならず生活面でもさまざまな不安や心配事を抱えていると考えられることから、管轄保健所において、退院後、生活指導や相談対応を行っているほか、岩手県精神保健福祉センターに相談員を新たに配置いたしまして、県民の不安やストレスの軽減、精神疾患の発症予防に努めているところでございます。
〇27番(吉田敬子君) 御答弁にもありましたとおり、全国では後遺症と思われる事例があるのではないかということで、現在、保健所では、感染者を見つけるというところを注視しているわけですけれども、感染後の感染者と家族のケアも、これから新たな需要が見えてくるかと思いますので、ぜひ注視していただきたいと思っております。
 次の質問に移ります。政府は医療従事者や介護施設、障がい福祉施設の職員に慰労金を給付しましたが、保育士など児童福祉関係の施設の職員は給付の対象から外れました。この方々は、介護職と同様に、子供たちや自身の感染防止に努めながら勤務を続けてくださっており、独自の慰労金を支給する自治体がふえております。
 4月の緊急事態宣言発令時、学校の休業措置があった中で、保育所は閉鎖せず、感染リスクがゼロではない中、子供たちの居場所を確保していただきました。本県において保育士が不足する中、保育の現場を支えていただいている方々を慰労するため、本県も配慮が必要と考えます。
 先日、県に対する要望調査で市町村を訪問した際、同様の趣旨の要望がありました。本来は国の役割であると認識しておりますが、本県も保育士等の慰労金の給付について検討していただきたいと考えますが、県の見解を伺います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 保育士等への慰労金についてでございますが、全国的に新型コロナウイルス感染症が拡大する中にあって、子供との直接的な接触が避けられない職場で社会機能を維持するための業務を継続していただいている保育士等への慰労金の支給については、政府が給付することとした医療従事者等と同様に、国の財源により国全体のスキームで行われることが望ましいと考えております。
 県といたしましては、本年6月及び11月に全国知事会、7月には日本創生のための将来世代応援知事同盟を通じまして、感染の不安を抱えながらも勤務を継続している保育士等に対し、慰労金の支給も含む処遇改善等の取り組みを進めるよう国に対して要望しているところでございますが、今後も機会を捉えまして国に働きかけてまいりたいと考えております。
〇27番(吉田敬子君) 次の質問に行きます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、特に女性の生命と生活が脅かされております。女性就業者数が多いサービス産業等が受けた打撃は極めて大きく、厳しい状況にあります。DVや性暴力の増加、深刻化、予期せぬ妊娠の増加が懸念され、10月の女性の自殺者数は前年から8割もふえました。生活困窮に陥っているシングルマザーも多くおります。内閣府のコロナ下の女性への影響と課題に関する研究会は、女性不況とも言える状況だと表現しており、本県においても注視していただきたいと思っております。
 新型コロナウイルス感染症の第3波は、Go To キャンペーンで利用客が徐々に戻り始め、年末年始の書き入れどきに向けてさらなる回復を期待していた飲食業や観光業を再び直撃しております。
 知事は、去る11月25日の記者会見において、新型コロナウイルス感染症で打撃を受けている飲食店への対応について聞かれた際に、追加的支援を検討すべき状況であるとお答えしておりますが、追加支援の具体的な時期や内容について、知事にお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 県の追加支援についてでありますが、県内において飲食店でのクラスターが確認されるなど、複数の感染事例が確認されており、今後、感染を危惧する県民が外出や会食を控えることなどにより、特に飲食業は、より厳しい状況に置かれる可能性があるものと認識しております。
 県は、困窮している事業者の事業継続と雇用維持に向け、国に対して持続化給付金の複数回の給付や雇用調整助成金の特例措置の延長などを要望してきたところであり、雇用調整助成金については、令和3年2月末まで特例措置が延長されました。
 県としては、県独自の支援策として、事業者の固定費用負担を軽減する家賃支援について検討しており、実施に向けて、市町村や商工指導団体と調整を進めております。
〇27番(吉田敬子君) 家賃支援を検討中ということで、これは年末年始の前に対応すべきものであって、スピード感が大事だと思っております。これは早く県で実施しないと、市町村対応がおくれ、実際に民間の方に配るのがおくれるということになりますけれども、具体的な時期についてお伺いします。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 今回の家賃支援につきましては、今、市町村、商工指導団体と調整中でありますけれども、1月から3月までの家賃に充当できるようにしたいと考えておりまして、市町村と調整し、できる限り早い時期に事業者に交付できるように努めてまいります。
〇27番(吉田敬子君) 雇用調整助成金は2月まで延長されましたけれども、解雇通告が1カ月前ということは、1月には経営者がその判断をすることもあるかと思います。なので、こういった家賃補助も含めた事業者への支援というのは、早くやっていかなければいけないと思っております。具体的な時期が、例えば年内なのかなどということは言及がなかったのですけれども、ぜひここはスピード感を持って早急に対応していただきたいと思っております。
 次の質問に行きます。男女共同参画の推進と子育て支援についてお伺いします。
 新しいいわて男女共同参画プランの素案が今定例会に提出されました。新たに、ダブルケア対策、LGBT支援、SNSを通じた暴力被害の防止などに言及されたことは大変評価いたします。
 男女共同参画をめぐる社会情勢の変化への課題の一つに人口減少対策があります。子育ての負担や仕事と育児や家庭の両立の困難さを解消することが必要だということは、県も認識されております。
 ことし6月の一般質問で私の質問に知事は、いわゆるM字カーブの底が浅くなり、いわて子育てにやさしい企業等認証制度の延べ認証企業数は32社から148社まで増加するなど、仕事と子育てを両立しやすい環境が整ってきていると御答弁されました。知事のおっしゃるとおり県民は本当に仕事と子育てを両立しやすいと感じているのでしょうか。確かに環境整備は進んでいると思いますが、こんな緩やかなスピードでよいのでしょうか。
 家庭生活または社会活動と仕事を両立しているかとの県の意識調査では、男女とも理想と現実には依然として差があることがわかっております。現プランの参考となった平成27年度と次期プランの参考になっている平成30年度の意識調査を比較すると、両立しているとの回答は、女性は19%から17.2%に、男性は20.7%から14.7%へ、いずれも減少しています。この調査結果では、男女ともに両立できている人が減っているということがわかっております。
 県は、平成26年に、いわて女性の活躍促進連携会議を設置し、防災、子育て支援、女性の就業促進、農山漁村、建設の5部会を設けて取り組みを進めてきましたが、この連携会議での提言等はどう施策に反映され、何が成果なのかお伺いいたします。
 そしてまた、ことし産学官連携サテライトミーティングが設置されましたが、新たに何に取り組むのか、知事にお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 県では、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の制定など、国の取り組みに先駆けて、平成26年度に官民一体となっていわて女性の活躍促進連携会議を立ち上げ、平成29年度には5部会を設置して、分野ごとに意見交換や現地調査、研修会などの取り組みを進めてまいりました。
 その結果、例えば、防災分野では、消防団のほぼ全てに女性団員が所属し、女性団員数も増加していること。農林水産分野では、女性グループが結成され、規格外の農産物を活用した加工品開発など、高付加価値化や経営力向上の取り組みが進んでいること。建設分野では、いわて女性活躍認定企業数や子育てにやさしい認証企業数が増加し、女性が働きやすい環境整備が進んでいることなどがあらわれてきています。
 また、今年度設置した産学官連携サテライトミーティングは、県内の産業界、大学、市町村の若手メンバーを構成員とし、女性の意識改革や人材育成のあり方、企業風土とトップの意識改革、ワーク・ライフ・バランスの推進などをテーマとして、情報共有や意見交換を行い、交流を深めることとしており、女性活躍にかかわる活動が広がっていくことを期待しております。
 引き続き、こうした本県独自の取り組みを通じて、さまざまな分野において女性が持てる能力をより一層発揮し、活躍できる環境の整備に努めてまいります。
〇27番(吉田敬子君) 女性活躍を看板政策とした前政権で女性の就業率は70%まで上昇したのですけれども、その半数以上が不安定な非正規雇用であります。2020年度までに指導的地位に女性が占める割合を30%にするという目標は先送りされまして、ジェンダー格差が埋まらなかったと思っております。
 今回のコロナ危機で不平等を深める結果を招いたとも私自身思っております。全国でも、県内での調査では、管理職に対する意識がそこまでないというようなデータが出ているのですけれども、私は、管理職意識、意向がないからといって成長意欲が低いわけではないと思っております。成長意欲がある女性が管理職を目指すには、旧来の管理職のあり方を見直すことが大事だと思っておりますし、女性も管理職として働きやすい環境を整備することが必要なのではないかと思っております。今回のコロナ禍において、テレワークなどによって時間や場所にとらわれない働き方が徐々に浸透しつつある中で、コロナ禍で浮き彫りになった女性の働き方と変化の可能性についても、今後しっかり見ていく必要があると私は思っております。
 先ほどの知事の御答弁にありました新たに設置する産学官連携ミーティングですけれども、今回のコロナ禍を踏まえた上での女性活躍を含めたものが私は必要になってくると思いますが、その件についての御所見をお伺いします。
〇企画理事兼環境生活部長(藤澤敦子君) 産学官連携サテライトミーティングの新型コロナウイルス感染症に関連する取り組みでありますが、産学官連携サテライトミーティングの設置の目的は、先ほど知事からも申し上げましたけれども、これまでの5部会の取り組みに共通した部分について、横串で連携して課題を解決するといった役割もございます。ということで、コロナ時代の女性を取り巻く環境のデータなどを収集するとともに、異分野の業種、産業、学術関係、そして官、市町村の方々も入っていただいておりますので、そういったさまざまな立場の女性の方々によって共通の課題を、さまざま意見をお伺いすることによって、対応する施策などを検討していくことができればと考えているものでございます。
〇27番(吉田敬子君) これまで設置されていたものにプラスアルファされるということで期待はするのですけれども、これまでに、私だけではなくて、さまざまな議員が女性活躍の件で議論させていただいていると認識しています。いわての女性の活躍促進連携会議の中で、例えば不妊治療との両立だったりも課題になっているのではないかと、議会でもさまざまな議員がお話ししておりますが、今までの会議の中で、具体的にこのテーマが課題であるということについて取り組んだ事例を教えていただければと思います。
〇企画理事兼環境生活部長(藤澤敦子君) これまで部会の中で取り組んだ事例といたしましては、やはり女性の働きやすい環境の整備ということで、企業においてこれまで配属していなかったポストに新たに女性を配属するとか、人材育成のために研修を進めることによって女性の意識改革を促すとともに新たなポストへの女性の就任を認めるといったような、さまざまな取り組みをしているところでございます。
〇27番(吉田敬子君) これまでのいわての女性の活躍促進連携会議と今後産学官連携サテライトミーティングが設置されることで期待はするのですが、これまで県でやられてきたことが、例えば具体的にこのようになったということがなかなかわかりにくいのが現状だと私は認識しております。ことし設置されたばかりですので、これから引き続きこの件に関しては注視させていただきたいと思っておりますが、先ほども言及させていただきました新型コロナウイルス感染症の関係で、今、女性の就業率は上がったのですけれども、非正規雇用が多いという現状も課題となっている中で、そういったことにもしっかり目を向けて取り組んでいただきたいと思っております。
 2020年の男女共同参画白書の中で、夫婦共働きがふえているにもかかわらず、妻が家事や育児に充てる時間は夫の2倍と負担が集中している実態が浮き彫りになり、男性の参画が必要だと指摘しています。食品や日用品の在庫を管理する、食事の献立を考えるなど、見えない家事についても、妻が担う世帯は六、七割となっています。
 女性が過重な家事負担を負うことなく仕事と家庭生活の両立が可能になるためには、男性の主体的な家庭生活への参画や長時間労働是正等、働き方改革の取り組みを進めることはもちろんですが、男性の啓発には時間もかかり、その間に子育て期間もどんどん経過していきます。私は、ひとり親世帯も考慮して、家事負担軽減の外部サービスが必要だと感じております。前述の男女共同参画白書の中でも、家事支援など外部サービスの活用も重要だとしております。他県では、子供の預かりや家事代行、保健サービスなどに使えるチケットを発行し、特に小さい子供のいる世帯を応援する自治体もあります。子育てに優しい企業をふやす取り組みも重要ですが、育児に専念したいため働いていない親もおり、社会生活における子育ての負担軽減策をぜひ研究していただきたいと思っております。
 平成30年度に実施した女性活躍促進に関するアンケートにおいて、女性の能力発揮のためにあればよい行政施策について聞いたところ、保育等の子育て支援サービスの充実を挙げる事業所が約7割あったとあります。保育所等の整備だけでなく、多様な子育て支援サービスを求めているものと考えますが、県では具体的にどのような支援サービスが必要と考え、施策に反映させていくのかお伺いします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 子育て支援サービスの充実についてでありますが、県民が性別を問わず仕事、家庭生活、地域活動などに自分の希望するバランスで参画できる社会を実現する上では、仕事と生活を両立できる環境づくりを進めていくことが重要であります。そのためには、地域における多様な保育サービスをさらに充実していくことが必要であると認識しています。
 県では、市町村が地域のニーズに応じた子育て支援サービスを提供できるよう、子ども・子育て支援事業支援計画に基づき、認定こども園等の施設整備を推進していくとともに、放課後児童クラブや一時預かり、延長保育を初めとする地域子ども・子育て支援事業の取り組みを促進し、地域における子育て支援の充実を図っていく考えであります。
〇27番(吉田敬子君) これまで御答弁いただいているのとさほど変わりないわけですけれども、先ほどのいわての女性の活躍促進連携会議でも、どういう具体的な支援策があると両立できるのかとか、そういった議論も出ているのではないかなと思っております。というか、私自身はそこを求めているわけです。そのためのいわての女性の活躍促進連携会議であって、商工労働観光部や保健福祉部と環境生活部でやるわけですから、ぜひ―環境生活部で出てきている部分が保健福祉部にしっかりおりてきていないのが現状なのではないかと私は感じております。
 先ほど部長は一時預かりの件をお話しされましたけれども、一時預かりをしてくれるところが今すごく減ってきておりまして、特に仕事をされていない女性が預けたいとなったときに、預ける先がなかったりするわけです。もともとの待機児童で預けられていないお母さんが優先してそこを使うわけですから。ですので、私自身が先ほどお話ししました提言のとおり、多様な保育サービスというのが、保育所の整備ではなくて、それ以外のところの生活、家事、家庭を応援する仕組みを考えていただきたい、検討していただきたいということをずっとお話ししております。
 内閣府のほうからも、そういった外部サービスも含めた取り組みをしていく必要があるということを白書の中でも書いておりますけれども、改めて、もう少し踏み込んで研究していただきたいと思いますが、お伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 議員から御紹介いただきましたとおり、例えば一時預かり、そのほかにも悩みや不安の相談でありますとか交流の場、勤務時間に応じた柔軟な保育サービス、育児休業とつながる円滑な保育所への入所など、さまざまなニーズがあるであろうと思います。
 また、地域ごとにそれぞれニーズが異なっていて、いわゆる市町村の事業、13事業という形でそれぞれメニュー化されていますけれども、議員から御提案ありましたとおり、男女共同参画の場で、さまざま現場のほうでお困り、課題として出されている意見などを我々も十分連携して取り入れながら、また議員から他県の事例なども御紹介いただきましたけれども、他県ではさまざまチケットでありますとかそういった事業もやっております。そうしたこともきちんとベンチマークしながら、本県はそれぞれの地域、市町村が主体となってやっている事業が多いわけでございますけれども、市町村がその地域の実情、課題をきちんと捉えて適切に事業を組み立てられるように、我々も一緒になって取り組んでまいりたいし、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
〇27番(吉田敬子君) 6月定例会の一般質問で、知事は、30代、40代の出生数、出生率は、岩手県は他県と比較して高くないというところも指摘されました。30代や40代の出産を支援する仕組みについて、できるだけ早く具体的な政策として県民の皆様にお示しできるようにしたいということをおっしゃっていただきました。こういったことも踏まえて、ぜひ今後研究していただきたいと強く願っております。
 女性活躍のための基盤整備の中に、子育て世代包括支援センターの設置促進があります。国では、今年度までの全国展開を目指しております。子育て世代包括支援センターには、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援が求められており、母子健康手帳の交付から新生児訪問、産後ケアや育児相談など、各市町村が地域の実情に応じて事業を行っております。
 医療的ケア児を持つ親等からは、兄弟の障がいの有無で相談窓口が変わることへの負担軽減について求められることも少なくありません。私は、本来は、障がいのある子供を含めた支援窓口の一本化が必要ではないかと考えております。
 昨年は10代女性が自宅トイレで出産した男児を窓から外に投げて殺害してしまった事件、先日は、ごみ収集車に胎児の遺体が発見されるという痛ましい事件が県内でもありました。子育て世代包括支援センターは、妊娠したら誰でも相談しやすい場所であってほしいとも願っております。児童虐待による死亡事例の7割は3歳未満であることから、母子保健から児童福祉への切れ目のない連携も、子育て世代包括支援センターに求められております。
 本県の子育て世代包括支援センターの設置状況、運営の課題と県の支援についてお伺いします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 子育て世代包括支援センターの取り組みについてでありますが、県内では現在22市町において設置され、本年度末までに5市町、来年度には3町村が設置を予定しており、30市町村となる見込みであります。
 このセンターを設置している市町村においては、母子保健を中心として、主に妊娠、出産、子育てに支援が必要な方を対象として、世代のニーズに応じた支援を行っておりますが、平成29年度に法定化された新しい事業でありますことから、支援ノウハウの蓄積や児童福祉分野との連携、役割分担が課題であると認識しています。
 県では、保健所による連絡調整会議の開催や、先進自治体の担当者等を講師に招いた研修会などを実施しているところであり、引き続き、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援につながるよう市町村を支援してまいります。
〇27番(吉田敬子君) ぜひしっかりと対応していただきたいと思っております。
 教育政策についてお伺いいたします。
 まずは、幼児教育と県の教育政策についてお伺いします。
 幼児教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものです。2006年に全面改正された教育基本法においては幼児教育の重要性がうたわれ、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他適当な方法によって、その振興に努めなければならないとされ、2007年には学校教育法の改正や幼稚園教育要領及び保育所保育指針の改訂により、ゼロ歳児から小学校以降、一貫した流れの中での教育や学びの連続性が明確になることが重要とされました。2018年には、新しい幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領が施行され、小学校学習指導要領にも、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿が示されるなど、これまで以上に小学校教育との接続が重要視されています。また、2019年10月には幼児教育・保育の無償化が開始され、就学前教育・保育の質が改めて問われています。
 一方で、本県における就学前教育、保育施設における教育内容については、岩手県教育振興計画では、他県と比較し記載が少なく、また2005年3月に策定されたいわて幼児教育振興プログラムは、その後、更新がなされていませんが、この間、どのような取り組みがなされてきたのかお伺いします。
〇教育長(佐藤博君) 幼児期の教育は、幼児期にふさわしい生活、遊びを通しての総合的な指導、一人一人の特性に応じた指導を通して行う人格形成の基礎づくりとして重要であると考えております。
 県教育委員会では、平成17年策定のいわて幼児教育振興プログラム及び平成22年策定の岩手の教育振興が目指す幼児教育や震災からの学びの場の復興を踏まえつつ、園長等を対象にした研修会や、幼児教育と小学校教育との円滑な接続に向けた研修会の実施等により、幼児教育の推進を図ってきたところです。
 また、平成27年度からの子ども・子育て支援新制度、平成29年の幼稚園教育要領等の改訂、令和元年10月からの幼児教育・保育無償化、そして認定こども園の増加など、幼児教育を取り巻く社会の変化に対応しつつ、幼稚園、認定こども園、保育所の施設類型にとらわれず、幼児教育の充実について取り組んできたところです。
〇27番(吉田敬子君) また、個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成が必要であると判断されている幼児の数は増加傾向にあります。障がいのある幼児や医療的ケアを必要とする幼児については、将来的な自立と社会参加を見据えた一人一人の教育的ニーズを把握した、早期発見、早期支援が重要であり、幼児教育の段階から関係機関、部局と連携する切れ目のない支援体制が重要であると私は考えております。
 さらに、これからの社会を生き抜く次世代を育成するためには、子供の主体性や協調性、自己肯定感、いわゆる非認知能力を育むことが求められております。非認知能力を高めるためには、遊びや自然体験が有効と言われておりますが、本県においても、豊かな自然環境を積極的に生かして幼児教育を実践し、充実していくことが重要と私は考えております。
 就学前の幼児教育から一貫した人づくりや学びのプログラムが岩手県の教育政策に必要であり、そのような観点から、令和4年度に本県も幼児教育センターを設置することにしたことは評価しておりますが、幼児教育からの一貫した人づくりについて、今後どのように教育政策を展開していこうとするのか、御所見をお伺いします。
〇教育長(佐藤博君) 幼児教育からの一貫した人づくりについてでありますが、県教育委員会では、令和4年度に幼児教育センターを開設することとしており、センターを中核として、幼児教育に関して一体的な推進体制の構築を目指しているところです。
 幼児教育センターでは、質の高い教育が行われるよう教員研修体系を整備し、幼児教育のどの施設類型においても、自然や施設の特徴など幼児を取り巻く環境や、人との主体的なかかわり、心を動かされる体験や遊びによる教育、保育が行われるよう各施設に働きかけ、人材の育成に努めていく考えです。
 また、幼児教育と小学校教育の円滑な接続のため、幼児教育施設の教員等と小学校教員とがともに学び合う研修会により、それぞれの教育の特徴を理解し、幼小接続や小学校低学年における効果的な指導のあり方について周知、啓発に取り組んでいく考えです。
 このため、幼児教育関係各室課及び関係団体等との一層の連携が必要であることから、幼児教育の重要性やその質の保障について共通理解を深めながら、いわて幼児教育振興プログラムの改定とあわせて、幼児教育センターの設置に向け、取り組みを推進してまいります。
〇27番(吉田敬子君) 新たな県立高等学校再編計画についてお伺いいたします。
 県立高校の再編計画が検討されておりますが、県内市町村や地域住民から再編に対するさまざまな要望が出ております。盛岡南高校と不来方高校の統合については、盛岡市教育委員会から県教育委員会に対し2回の要望が出ております。また、盛岡南高校の存続を願う会からは、白紙撤回を求める1万2、580人分の署名が提出されました。11月25日時点で1万4、000人余りの署名が盛岡市教育委員会に提出されたと伺っております。
 県では、中学校卒業者数の減少が進む中、生徒にとってよりよい教育環境の整備のため、将来を見据え、また全県的な視野を持って再編を進めているとしております。県全体の生徒数は減少しますが、盛岡市全体では微減、紫波町、矢巾町、旧都南村地区は横ばいの傾向にあり、盛岡南高校と不来方高校の全生徒数のうち約4割は当該地区からの学生になっておりますが、両校の近隣中学校の生徒の進路や地域への影響について県はどう認識し、その影響への対策をどう考えているのかお伺いいたします。
〇教育長(佐藤博君) 近隣中学校への影響についてでありますが、受験生は、学校の特色や魅力、将来の進路希望等に応じて志望校を選択していると承知しており、義務教育とは異なって、広い範囲の学区を設けているところです。そのため、各学区内において、一部地域の増減はあったとしても、生徒の進学先が広範囲にわたることを考慮しながら、学区内全体の人数の推移を踏まえ、学びの選択肢を確保しつつ、定員等のあり方を判断しているところです。
 盛岡南高校と不来方高校の統合に関しましては、盛岡ブロックの中学校卒業生が令和7年度までに190人―これは5クラス相当になりますが―の減少が見込まれる中で、これまで以上の学級減によらずに、学校配置のバランスを考慮の上、検討したものであり、さらには、盛岡市都南地区、矢巾町、紫波町の生徒においては、両校に限らず、多様な進路に進んでいること等も踏まえたものです。
 両校の統合にあっては、近隣中学校の生徒への影響にも配慮する必要があると考えており、急激な学級減を避けつつ、段階的な調整を図ることとしたところです。
〇27番(吉田敬子君) 今年度の各地での地域説明会は、新型コロナウイルス感染症の影響で延期開催されました。盛岡南高校の存続を願う会が署名活動をする中で、統合案について初めて知った人も多かったと聞いております。新型コロナウイルス感染症の影響で地域住民等への説明や議論は十分だと言えないのではないでしょうか。
 また、体育、芸術、外国語等の特色ある教育を実践する学校について、さらに先導的な実践に取り組むことができる教育環境を整備しますとありますが、先導的な実践の具体の提示が薄いように感じております。
 今年度中の再編計画の策定を目指しておりますが、一旦立ちどまり、再検討も視野に入れるべきではないでしょうか。地域住民の合意形成の時期や期間について県は妥当と考えているのか、県の認識をお伺いします。
〇教育長(佐藤博君) 県教育委員会では、新たな県立高等学校再編計画後期計画について令和3年度から令和7年度までを計画期間とすることをお示しした上で、平成30年12月からこれまで、県内各ブロックにおいて計画策定に向けた地域検討会議、意見交換会のほか、要望に応じた説明会、これには盛岡南高校のPTAなどからの要請を受けての開催も含めまして、延べ67回、約2、100人の参加のもと開催するとともに、パブリックコメントを実施し、地域の代表の方々のほか、広く県民から県立高校のあり方や後期計画案について意見を伺ってきたところです。
 中学校卒業者数の減少が進む中、それに合わせた高校のあり方への対応は喫緊の課題であり、生徒にとってよい教育環境を整備するという視点からも、遅滞なく後期計画を策定する必要があると考えているところです。
 会議等におきましては、さまざまな立場の方々から多様な意見をいただいており、これらの意見を踏まえながら、現在、慎重に検討作業を進めているところであり、年度内の成案策定を考えているところでございます。
〇27番(吉田敬子君) 例えば体育、芸術、外国語等に関する特色ある教育を実践する学校について、その先導的な取り組みをさらに進めるということですけれども、先ほどの質問でも述べましたが、やはりここの具体的な提示もかなり薄いように感じます。
 私も地域説明会に参加させていただいていますけれども、どういう学校になるのかということの提示がなされていない中で、地域住民にとっては、ただ縮小されて地域にとって不利益になるというような印象にしかならないような説明会だと私は認識しております。
 決算特別委員会でも触れたのですけれども、充実した内容というのを、例えば体育、芸術、外国語があるのであれば、そのカリキュラムの充実として留学ができるとか、外国語教育がふえるとか、スポーツや芸術関係で有名講師を必ず置くとか、そういうもっと夢のある具体的なものの提示もない中で、住民または関係者にとっては、何が魅力的なのかが伝わらないのだと思います。私も伝わってきませんでした。
 そういった意味で、統合案に対するインセンティブが全くないと感じていましたけれども、改めて教育長の御所見をお伺いいたします。
〇教育長(佐藤博君) 今回、両校の統合につきましては、発展的な統合と考えているところでありまして、例えば大学進学等に向けては、文系、理系の学びのほかに、両校の特徴であります芸術、外国語、スポーツに関する多様な学びを確保しながら、本県における各分野の振興に資する人材を育成していくということを目指したいと考えております。
 そして、その学校規模を生かして、生徒が学習活動であるとか部活動におけるさまざまな分野、それから価値観に互いに触れつつ切磋できる環境を整えることも可能になっていくのだと思います。そのことによって、スポーツや芸術活動等における全国レベルでの実績をさらに上げながら、生徒の多様な進路希望にも応え、本県の特色ある教育を牽引する学校になることを期待したいと考えております。
〇27番(吉田敬子君) 後期計画は今年度中の策定ということで進むという御答弁でしたけれども、私自身は、具体的な案をもう少し示しながらの地域説明会もやっていっていただきたいと、今さらですけれども思っております。これはより丁寧で、慎重な対応を引き続きしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 次の質問に参ります。農林業の振興についてお伺いいたします。
 まずは、米政策についてお伺いいたします。
 米の需給緩和が深刻さを増し、かつてない規模の減産が求められております。県農業再生協議会は、2021年産主食用米の生産目安を2020年産の目安より2.5%少ない25万2、945トンとし、減少量、減少率とも2015年以降で最大となりました。県は飼料用米など主食用米以外への転換も進めております。
 需要に応じた米生産を進める上では、早い段階で販路を確保する事前契約や企業との複数年契約の必要性も高まっております。福島県はことし7月、複数年契約で飼料用米を生産する農家に助成する独自制度を打ち出し、転換を急いでおります。また、青森県、秋田県、宮城県は、事前契約に注力していると聞いております。
 20代、30代の女性に御飯回帰の兆しが見られることが初の農林水産省の調査でわかりました。5年前と比べ米の消費量がふえたと回答した割合が、ほかの年齢層より高くなっております。一方、50代以上では、男女とも減ったという回答が多くありました。米の消費拡大に向けて、消費の変化を捉えた戦略も必要と考えます。
 本県の主食用米から非主食用米への転換は、目標に対してどの程度進んでいるのかお伺いいたします。
 また、いわての美味しいお米生産・販売戦略に基づいた事前契約や複数年契約の取り組みや輸出の状況、今後の消費、販売拡大に向けた方針についてお伺いいたします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 主食用米から非主食用米への転換についてでありますが、国では、行政による主食用米の生産数量目標の配分によらず、国が示す米の需給見通し等を踏まえ、生産者や集荷業者、団体が中心となって需要に応じた米の生産が円滑に行えるよう、平成30年産から米政策を見直ししたところでございます。
 本県では、国の米政策の見直しを受け、県や関係機関、団体で構成する岩手県農業再生協議会において、平成30年産から毎年、主食用米の生産目安を決定し、需要に応じた米生産を推進してまいりました。
 こうした取り組みにより、本県の主食用米は、これまで生産目安の範囲内での作付となっており、令和2年産の主食用米の作付は4万8、200ヘクタールと、生産目安より約150ヘクタール下回っております。
 次に、今後の消費、販売拡大に向けた方針についてでありますが、県ではこれまで、いわての美味しいお米生産・販売戦略に基づき、高品質、良食味の生産等による売れる米づくりや、県オリジナル品種のブランド化による県産米の消費拡大や販売促進に取り組んできました。
 これまでの取り組みにより、令和元年産の県産米の事前契約の割合は65%と、全国に比べ13ポイント上回っており、事前契約した数量全てが複数年契約で、その割合は全国に比べ40ポイント上回っております。また、米の輸出量は、令和元年度で約600トンと、前年度に比べ20%の増となっております。
 今後は、新型コロナウイルス感染症の影響により増加しております家庭での消費をターゲットに、SNS等を活用しながら、県産米と県産食材を組み合わせたおいしい食べ方の情報を発信するなどの取り組みを一層強化するとともに、これまで築いてまいりました全国の米卸売業者等とのネットワークを生かしながら、お米マイスターのいる米穀専門店や大手通販サイトと連携した販売促進の取り組みなど、県産米の消費と販路の拡大に積極的に取り組んでまいります。
〇27番(吉田敬子君) 県では、中山間地域の活性化策の一つとして綿羊に関する取り組みを進めておりますが、その中の県産羊毛の利用促進を目指すプロジェクト―i-woolが2020年度グッドデザイン賞を受賞しました。
 県内においては奥州市梁川地区で、平成22年に梁川ひつじ飼育者の会を設立し、綿羊の放牧による荒廃農地の解消や、羊肉を地域の特産品として所得の向上を目指す取り組みが広がっております。また、一関市下大桑地区では、平成28年に下大桑ヒツジ飼育者の会が設立され、羊毛の活用へと取り組みの裾野が広がりました。食用肉として始まった綿羊放牧は、飼育者とホームスパン作家などさまざまな分野の人たちがつながり、県産羊毛をi-woolとしてブランド化が進んでおります。
 直木賞候補にもなり、ことし出版された伊吹有喜さんの雲を紡ぐは、ホームスパンの聖地盛岡を舞台とした物語です。まさにこの中でも描かれている、いわて盛岡の伝統や文化は岩手の誇りです。i-woolを含めた綿羊プロジェクトについて、ストーリーあるすてきな取り組みを今後も期待しますが、県の評価をお伺いいたします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 綿羊振興の取り組みへの評価についてでありますが、県では、平成30年度から、国の交付金を活用いたしまして、いわてのめん羊里山活性化事業を実施し、岩手めん羊研究会を設立したほか、首都圏等でのレストランフェアの開催、本県の伝統工芸品ホームスパンとタイアップした県産羊毛ブランドi-wool商品の開発、綿羊飼育者向けの研修などの取り組みを進めているところであります。
 こうした取り組みにより、綿羊にかかわる生産、流通、飲食、ホームスパンや観光などの関係者による新たなネットワークが形成され、荒廃農地の解消のほか、首都圏のシェフからも評価の高いラム肉の生産、販売や、県産羊毛を活用したネクタイやマフラー等の商品開発など、綿羊を軸とした活動が進展し、中山間地域の活性化につながっているものと評価しております。
 県といたしましては、引き続き、岩手めん羊研究会を核とした取り組みを支援するとともに、綿羊などの特徴ある地域資源を活用した取り組みの県内への波及に努めてまいります。
〇27番(吉田敬子君) 農林水産省によると、1962年以降約60年間にわたって農地面積の減少がとまらないと聞いておりまして、農地を維持するための荒廃化を防ぐことが急務だと感じている中で、こういったi-woolの取り組みというのは一つの好事例だと私は感じておりますので、こういったものを含めた荒廃農地の解消というのを積極的に取り組んでいただきたいと思っております。
 ことし8月に開催された岩手生物工学研究センターの主催によるいわて農林水産物機能性活用シンポジウムに参加させていただきました。そこでは、健康ビッグデータを活用した健康、地域社会システムの構築や、食品、化粧品等を中心とするヘルスケア産業の育成など、産学官の連携による取り組みが紹介されておりました。
 2015年に施行された機能性表示食品制度に基づく消費者庁への届け出状況を見ますと、7割が首都圏の企業等による届け出であり、岩手県では3件のみと聞いております。その一つである久慈地域の寒じめほうれんそうは、目の健康維持に効果が期待されるルテインを含む機能性表示食品として、昨年12月から機能性を表示して販売を開始しておりまして、販売単価、販売額ともに増加し、出だしは順調と聞いております。
 産学官連携による農林水産物の機能性活用をさらに進めてほしいと考えますが、平成29年度に設立されたいわて農林水産物機能性活用研究会の取り組みについて、これまでの成果と今後の方向性についてお伺いいたします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 農林水産物の機能性の活用につきましては、県産農林水産物の付加価値を高めるための重要な取り組みの一つと受けとめております。
 このため、本県では、岩手生物工学研究センターにおきまして、機能性成分に関する研究や商品化に向けた技術支援に取り組むとともに、大学や企業等を会員といたしますいわて農林水産物機能性活用研究会において、研究成果の情報共有や活用促進を図ってきたところであります。
 こうした取り組みの結果、久慈地域に続き、今年度は八幡平地域の寒じめほうれんそうが機能性表示食品として販売される予定となっているなど、研究成果の活用が広がっております。
 今後も、機能性活用研究会に参画する大学や企業等と連携し、研究や支援ニーズの掘り起こし、マッチングを行うなど、機能性を活用した県産農林水産物の付加価値の向上に向けた取り組みを積極的に進めてまいります。
〇27番(吉田敬子君) ことし4月には、医療や健康に関するヘルスケア産業の拠点となるヘルステック・イノベーション・ハブが―これは商工労働観光部の所管ですけれども―開所されておりまして、健康づくりの推進として健康分野の産業振興を幅広く、ぜひ今後取り組んでいただきたいと願っております。
 令和3年度以降の第4期のいわての森林づくり県民税のあり方について、今定例会に案が示されました。
 第3期までの税収は約102億円となっております。いわて環境の森整備で事業対象森林の確保が計画どおり進まなかったことから、令和元年度末の基金残高は約23億3、000万円で、今後計画的な事業実施の必要があり、民有林の再造林の割合が伐採面積の約4割にとどまっていること、児童生徒等への森林学習会については、実施している学校の多くは小規模で参加人数が限られていること、県民税の認知度が目標70%に対し41%にとどまっていることが課題です。
 これらを踏まえ、環境重視の森づくりでは、植栽や保育への支援拡充、奥地化している未整備森林の混交林誘導伐などに必要な作業道の整備、気象被害を受けた森林整備や、獣害から植栽木を守る柵の設置に取り組むこととされたことや、森林との共生では、新たに地域の森林づくりの取り組みをコーディネートできる人材の育成を目指すほか、森林公園の森林環境教育の機能拠点の強化などに取り組むことについては大変評価しております。
 一方、これまで県民税を活用した森林学習会や森の実践ゼミナールには、幼児を対象とした学習会またはそれを担う人材育成はほとんどなかったのではないでしょうか。県は令和3年度以降のいわての森林づくり県民税案では、児童生徒を初め広く県民を対象に多様な森林環境学習の機会を提供していくこととしていることから、幼児等を対象とした森林学習会を行い、親子で参加してもらえることで、これまでの施策の対象から漏れていた幼児期の森林学習が行え、同時に、課題となっている若い世代への県民税の認知度向上にもつながるのではないかと考えております。
 幼児や若い世代も対象として森林環境教育を推進するべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 豊富で多様な森林を有する本県では、全ての県民が森林からさまざまな恩恵を受けており、県民の森林に対する理解の醸成を図る森林環境学習は重要な取り組みと考えております。
 このため、県では、平成20年度以降、いわての森林づくり県民税を活用し、県内全域で森林環境学習の取り組みを進めてきたところであり、これまで7、000名以上の児童生徒が学習会に参加し、樹木観察や植樹などの活動を通じて、森林の役割や重要性を学び、理解を深めてきたところであります。
 このような取り組みに活用している県民税については、事業評価委員会からの提言やパブリックコメント等の意見を踏まえ、令和3年度以降も継続することとし、今定例会に条例改正案を提案しているところであります。引き続き、環境重視の森林づくりと森林との共生を図るハード、ソフト両面の施策を充実させて展開し、本県の豊かな森林環境を次の世代に良好な状態で引き継いでいけるよう取り組んでまいります。
 議員御指摘の森林環境学習の取り組みについては、森林との共生に関する重要な施策の一つと位置づけており、令和3年度以降においては、幼児や親世代を含め、これまで以上に幅広い年齢層の県民を対象に、森林との触れ合いや森林の役割等を学ぶ機会を積極的に提供していくとともに、木材のよさや利用の意義を学ぶ木育につながる取り組みもあわせて推進していくなど、県民の森林に対する関心を高め、森林環境保全に対する県民の参画と理解が一層進むよう取り組んでまいります。
〇27番(吉田敬子君) 岩手県森林・林業会議から来年度への要望として新たに加わったことに、緑の少年団の活性化に向けた支援の強化についてがあります。近年、児童生徒の減少に伴い、少年団員数が減少傾向にあるということです。令和5年度に本県で開催される全国植樹祭の成功に向けても、子供たちの緑と親しむ環境や緑を守り育てる活動支援が重要と私自身も感じておりますので、今回、来年度以降はさらに対象を広くするということですから、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと願っております。
 木材価格の低迷による森林所有者の経営意欲の低下や所有者不明の森林の増加により、森林の荒廃が進むことが懸念されております。平成31年4月には、森林経営管理法が施行され、経営管理が行われていない森林について、市町村が仲介役となり、森林所有者と担い手をつなぐ森林経営管理制度が構築されました。昨年には、森林環境譲与税の交付が開始され、市町村は譲与税を活用し、間伐や人材育成、木材利用の促進、啓発等の森林整備及びその促進に関する事業を実施することとされております。
 森林経営管理制度の運用に関し、市町村に対する県の支援体制と、市町村における森林環境譲与税を活用した取り組み状況についてお伺いいたします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 森林経営管理制度についてでありますが、県では、市町村における森林経営管理制度の適切な運用を支援するため、農林水産部内に設置いたしました対策チームが中心となり、森林の所有者や境界の確認方法等について助言を行っているほか、業務の具体的な進め方に関する研修や、市町村が配置する地域林政アドバイザーの養成研修など、全県的な取り組みを行っております。
 また、現地機関においては、林業普及指導員等の専門職員に加え、現在配置を進めております森林管理システム構築推進員が、管内各市町村の実情を踏まえた助言、優良事例の紹介などを行っているほか、地域単位での対策会議を開催し、地域課題の解決に向けて取り組んでいます。
 なお、市町村における森林経営管理制度の取り組み状況については、現在、森林環境譲与税を活用し、森林所有者への経営意向調査や、管理が不十分な森林を把握するための航空レーザーを活用した森林の現況調査などが進められています。
 今後とも、市町村が森林環境譲与税を有効に活用しながら、森林経営管理制度をしっかりと運用し、地域の森林を適切に管理していけるよう、市町村の取り組み状況に応じてきめ細かく支援してまいります。
〇27番(吉田敬子君) 環境政策についてお伺いいたします。
 地球温暖化に起因すると考えられる災害等が世界各地で頻発し、気候変動は今や人類共通の課題となっております。そのような中で、昨年11月には温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロとする目標を示し、また、さきの9月定例会で気象非常事態宣言をする方針を示されたことは大変評価するものであります。
 メガソーラーパネルの設置についてお伺いいたします。
 地域の自然環境、生活環境の破壊や生態系へ大きな影響が出ると懸念されております。里山や山林から緑をはぎ取ってまで太陽光パネルを並べることが環境保全につながるのでしょうか。再生可能エネルギーの普及は望ましいものの、無秩序に進めば災害の遠因にもなります。県内では、遠野市、大船渡市、一関市で、メガソーラー設置をめぐって周辺環境への被害や住民の反対が生じております。
 長野県では、大規模ソーラー建設抑制のための市町村マニュアルを策定され、遠野市では1ヘクタール以上の大規模メガソーラーの新規立地を基本認めない規制を設けた条例をことし6月に施行しました。また、仙台市では、環境アセスメントに森林要件を設け、森林伐採などの影響を抑制する全国初の取り組みを始めます。
 国では、風力発電や太陽光発電の利用をふやすため、関連する規制や基準を順次緩和する方針だと11月の報道で知りました。荒廃した農地に太陽光パネルを設けようとする場合、大半の農地の転用を原則認めない農地法や農業振興地域の整備に関する法律が壁になっていますが、そうした場合でも、占用許可を得やすくする制度改正を視野に入れていると聞いています。この規制緩和によって、岩手県のすばらしい田園風景や森林資源が奪われ、防災力も失われかねません。
 今定例会に、次期岩手県環境基本計画、地球温暖化対策実行計画の素案が提出されております。これら計画の策定に当たり、本県もメガソーラー設置に関する規制条例などを策定し、自然環境により配慮した形での再生可能エネルギーの導入に取り組んでいただきたいと考えますが、知事の御英断をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 温室効果ガスの排出量の2050年実質ゼロを目指すためには、再生可能エネルギーの導入促進は極めて重要でありますが、再生可能エネルギーの発電施設であっても自然環境に大きな負荷を与えるものや、防災上懸念を生じさせるものであってはならないと考えます。
 国においては、大規模な太陽光発電事業の実施に伴う土砂流出や濁水の発生、景観への配慮、動植物の生息、生育環境の悪化などの問題が全国的に顕著化していることなどから、大規模な太陽光発電事業について、令和2年4月1日から環境影響評価法に基づくアセスメントの対象としたところであります。
 県としては、これら国の動向や太陽光発電施設の建設に当たり、県内でも環境に悪影響を及ぼすケースが発生していることを踏まえ、環境影響評価法に基づくアセスメントの施行に合わせ、法よりも厳しい規模要件により、大規模太陽光発電を岩手県環境影響評価条例に基づくアセスメントの対象としたところであります。
 県ではこれまでも、国及び市町村と連携し、太陽光発電事業に係る許認可等に適切に対応してきたところでありますが、今後におきましても、関係する法律の改正動向も注視しつつ、条例アセスメントを適切に運用しながら、環境との調和に配慮した再生可能エネルギーの導入を図ってまいります。
〇27番(吉田敬子君) これまでの取り組みでは、家庭部門の二酸化炭素抑制が進んでおりません。家庭での主な排出源は、家電等使用による電力消費と冬場の暖房による灯油消費で、電力と灯油で家庭部門全体の約83%を占めております。
 その中で、岩手県では岩手型住宅の普及を図っておりますが、一方で、その取り組みが広く県民に知られていないと感じております。岩手型住宅がこれまでどの程度県内に建てられたのかの情報もなく、これでは取り組みの評価ができないのではないでしょうか。今後、岩手型住宅をどのように普及していくのかお伺いいたします。
〇県土整備部長(中平善伸君) 岩手型住宅の普及についてでありますが、岩手型住宅の普及状況については、岩手型住宅の推進に賛同する事業者92者に対して先月アンケート調査を行い、現時点までに回答いただいた31者の実績をまとめますと、令和元年度に着工した229戸のうち52戸、23%が岩手型住宅となっていることを把握したところでございます。
 県としましては、改正建築物省エネ法の趣旨を踏まえ、岩手型住宅のさらなる普及が必要と認識しており、今後は、各種イベントなどさまざまな機会を活用するなど、県民の皆様に知っていただく取り組みを充実していくとともに、賛同事業者から普及していく上での課題を把握するといった取り組みも行うこととし、岩手型住宅の普及を進めてまいります。
〇27番(吉田敬子君) 今回の質問に際して、アンケート調査もされたと思っております。ヒアリングのとき、これまでやられていなかったとありましたので、大変ありがとうございます。23%ということで、そういう数値があると、次に何が必要かということにつながるかと思いますので、ぜひ今後はそういったことをしっかり私たちに示していただきたいと思っております。
 次に、最後の質問に参ります。県営施設のマネジメントについてお伺いいたします。
 県では、平成28年3月に公共施設等総合管理計画を策定し、公共施設のマネジメントに取り組んでおります。公共施設の老朽化問題を解決するには、建てかえや改修、修繕が必要になり、長期的に財源を捻出し続けるため、既存施設の運営を大幅に見直すことも必要となります。
 県は11月、県営運動公園陸上競技場や県民の森など県の8施設において、ネーミングライツ取得を希望する企業団体の募集を始めました。新たな財源を確保し、施設の維持管理や魅力向上につながる一つの手法だと認識しております。財源確保の取り組みには、施設使用料の見直し、資産の有効活用、維持管理業務の見直し、PPP、PFIの推進、基金の活用などの手法があると伺っております。
 盛岡市では、もりおかPPPプラットフォームを設置して、大規模改修や、県内初めてとなるPark-PFIとなった盛岡駅前の北上川沿いにある木伏緑地を初めとする公園の再整備、盛岡バスセンター、盛岡市動物公園、県と共同の野球場などの案件の更新等を進めております。
 私も家族で花巻広域公園や御所湖広域公園をよく利用させていただいておりますけれども、遊具について、木材の腐食、鋼材の腐食が進行し安全性が損なわれているため、早急な対応が必要等、県の個別施設計画内にも記載があります。
 本県の県営施設のマネジメントの方向性についてお伺いいたします。
〇総務部長(白水伸英君) 県におきましては、岩手県公共施設等総合管理計画に基づき、令和2年度中に県庁舎やインフラ施設などの個別施設計画を策定することとしております。
 これらの計画に基づく県営施設のマネジメントに当たりましては、計画的な維持管理と長寿命化を推進し、修繕、更新等に要する中長期的なコストを縮減、財政負担を平準化するとともに、人口動態等の変化に対応した施設規模や配置、機能等を適正化するほか、定期的な点検、診断などにより公共施設の安全・安心を確保し、ネーミングライツの実施などの県有資産の活用による収入確保に取り組む必要があると認識しております。
 また、PPPやPFIの推進といった民間活力の導入につきましては、これまでも、いわて第2クリーンセンターの整備など一定の実績があるところでございまして、今後も、民間との協働を進めながら公共施設のマネジメントに取り組んでまいります。
〇27番(吉田敬子君) ありがとうございました。(拍手)
〇副議長(中平均君) 以上をもって吉田敬子さんの一般質問を終わります。
   
〇副議長(中平均君) この際、暫時休憩いたします。
   午後4時15分 休 憩
   
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 千 葉 絢 子 君
12  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 田 村 勝 則 君
15  番 佐々木 朋 和 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 岩 渕   誠 君
20  番 名須川   晋 君
21  番 佐々木 宣 和 君
22  番 臼 澤   勉 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 吉 田 敬 子 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 軽 石 義 則 君
31  番 郷右近   浩 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時32分 再開
〇副議長(中平均君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
〇副議長(中平均君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇副議長(中平均君) 日程第1、一般質問を継続いたします。川村伸浩君。
   〔23番川村伸浩君登壇〕(拍手)

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