令和2年12月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇48番(飯澤匡君) いわて県民クラブの飯澤匡でございます。
 改選後2度目の質問となります。県政の重要課題並びに将来の本県のあり方について、提案を交えて質問させていただきます。私は、この場はいつも県民から与えられた真剣勝負の場所と心得て質問しております。当局には、この心意気をしっかり受けとめて、建設的な答弁を冒頭にお願いしておきます。
 新型コロナウイルス感染症の脅威がおさまりません。本県は47都道府県で感染者ゼロの最後のとりでとなりましたが、7月29日に初感染者が確認され、11月末現在で194人を数えるに至りました。
 まずもって、お亡くなりになられた方には心からお悔やみを申し上げ、病床にあり闘病されておられる方には一日も早い御回復をお祈り申し上げます。
 また、日々奮闘されておられる医療従事者初め関係者の皆様の御労苦に深謝をささげ、経済的な打撃を受けながらも必死に耐え忍んで頑張っておられる全ての方々に、心からのエールを送りたいと思います。
 本県では、新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針をもとに対策を講じてきました。医療提供体制の強化に関しては、本県の二次医療圏を単位に確立されている県立病院群が核となり受診・相談センターも設置され、感染者が発生した場合の動線が県民に明確に示され、これは県民の安心につながっていると思われ、周到な準備体制の構築に対しては評価をいたしたいと思います。
 11月に入り、県内においては複数のクラスターが確認され、以降、感染者が急激に増加し、新たなフェーズに入ったと認識をしております。クラスター発生後の本県の対応について伺います。
 基本的対処方針では、クラスター対策の強化として、厚生労働省との連携や保健所の体制強化に迅速に取り組むとされ、クラスター制御のタスクフォースが設置をされていますが、対策強化策は現在のところ十分に機能しているのか、さらなる対策の必要性があるとの分析が進んでいるのでしたら示していただきたいと思います。
 また、クラスターの発生直後における施設管理者や学校設置者への情報提供は適切に行われたのか、課題はなかったのかという分析と今後の対応策について、具体的に示していただきたいと思います。
 経済、雇用対策については、今後、政府の令和2年度第3次補正予算の動向を注視していく必要がありますが、さきのNHK特別番組では、知事は、必要とあらば県独自、いわゆる県単による公的支援をしていくとの発言をしておられました。必要あらばの必要となる要件について詳細にお示し願います。特に想定される時期、支援の対象、予算規模について明確に示してください。
 以上指摘した点を含めて基本的対処方針の見直しについては、私は必要と思料しますが、現状をどのように考察されているかお尋ねいたします。
 あわせて、県立病院に関しては、その存在価値が改めて認識された一方、コロナ鎮静化後、数年間は経営状態の悪化が懸念されます。国に対して財源確保の要請、一般会計からの繰り出し基準について変更はあるのか、方針を示してください。
 新しい生活様式への移行は、これからの社会に大きく変化をもたらしていくものと思料いたします。あの日に帰りたいと思っても、もうあの日には戻れないとも言われております。宴席におけるお流れ頂戴の杯の酌み交わし、口角泡を飛ばすなどは、過去の遺物になる可能性があるでしょう。ソーシャルディスタンスの定着により、貴重な文化の喪失はまことに残念ですが、もはや社会は許していかないと思います。
 経済界においては、リモート就業体制の定着は大企業ほど顕著になり、衛生管理面の強化や新しいビジネスモデルによる社会のありようの変革は、本来、人として必要な協調性、技術の伝承など、人と人とが濃密なコミュニケーションを図ることによって得るものが薄れていくことが憂慮されます。
 一方、国においては、ポストコロナ時代の新しい未来を実現するために、人、イノベーションへの投資の強化、新たな日常を支える生産性向上を掲げており、課題設定、解決力や創造性のある人材の育成を目標としています。
 いわて県民計画(2019~2028)には、こうした急激な社会の変化が想定されておらず、特に若者や女性の活躍支援に関して、実態とそぐわない施策も散見されます。本県の人材評価は協調性に富み忍耐強い点が高く評価されていると認識しておりますが、社会参画や人材育成に関しては、社会の変化に対応して抜本的に見直されるべきと考えます。国との政策の整合性に合わせて、いかなる政策体系を持って社会参画と戦略的な人材を育成していくのか示してください。
 さらに、これまで指摘をした点を含んだ現状を鑑みて、本県の特性を生かした産業振興に対する知事の所見を求めます。
 以下、質問席で行います。
   〔48番飯澤匡君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 飯澤匡議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、感染症対策についてでありますが、県ではこれまで、クラスター発生時に備えて保健師の増員配置など保健所体制の強化や、社会福祉施設等での集団発生を見据えた、いわて医療福祉施設等クラスター制御タスクフォースの設置等の準備を進めてきたところであります。
 また、患者が発生した際には、本人の同意のもと、個人情報の取り扱いに十分配慮した上で、市町村等の関係機関に対し速やかに必要な情報を提供しています。
 今般、県内飲食店において新型コロナウイルス感染症のクラスター事案が連続して発生したことを受け、国とも相談の上、クラスター対策の有識者2名を招聘し、新型コロナウイルス感染症の発生に関する疫学解析や助言等をお願いしました。
 その中で浮かび上がった教訓は、室内の換気の徹底、従業員の健康状態の記録、体調不良時の早期休業などであり、これらを踏まえて、岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部第24回本部員会議において、新型コロナウイルス感染症に関する留意事項としてお示しするとともに、県民に対するメッセージを発信したところであります。
 次に、経済、雇用対策についてでありますが、県内において飲食店でのクラスターが確認されるなど複数の感染事例が確認されており、今後、感染を危惧する県民が外出や会食を控えることなどにより、特に飲食業などの事業者は、より厳しい状況に置かれる可能性があるものと認識しております。
 県は、困窮している事業者の事業継続と雇用維持に向けて、国に対して持続化給付金の複数回の給付や雇用調整助成金の特例措置の延長などを要望してきたところであり、雇用調整助成金については、令和3年2月末まで特例措置が延長されました。
 県としては、県独自の支援策として、事業者の固定費負担を軽減する家賃支援について検討しており、実施に向けて、市町村や商工指導団体と調整を進めています。
 次に、基本的対処方針についてでありますが、岩手県新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針では、全般的な方針として、サーベイランス体制の整備及び的確な情報提供、共有により、感染状況等を継続的に把握すること、感染が拡大する場合に備え、医療提供体制の維持に向けて万全の準備を進めるほか、検査機能の強化、保健所の体制強化及びクラスター対策の強化等に取り組むこと、的確な感染拡大防止及び経済、雇用対策により、感染拡大の防止と社会経済活動の維持の両立を持続的に可能としていくことなどを掲げております。
 現状、県内において職場や飲食店、高齢者施設のクラスターが発生し、11月末現在で194例の感染が確認されたところでありますが、基本的対処方針に基づいて国で定義する濃厚接触者に限らず、その他の感染が疑われる者の調査も実施すること等により、早期に感染者を発見し、感染拡大を防止するよう全力で取り組んでいるところであります。
 また、新型コロナウイルス感染症による経済への影響が大きいことから、これまで4次にわたる補正予算を編成したほか、本定例会でもさらなる補正予算を提案し、経済、雇用対策に取り組んでいるところであります。
 今後とも、基本的対処方針に基づいて、新型コロナウイルス感染症の対策を着実に進めてまいります。
 次に、県立病院についてでありますが、新型コロナウイルス感染症対策に当たり、県立病院においては、診療・検査医療機関や感染症指定医療機関として、検体採取や入院治療など必要な医療を提供していますが、患者の診療控えや院内感染対策のコスト増加等により、医業収益は10月末累計で前年同期比約21億4、000万円、4.1%の減収となるなど、厳しい経営状況が続いているものと認識しております。
 県では政府予算要望や全国知事会を通じ、国に対し、診療報酬の引き上げ、包括支援交付金の拡充、公立、公的病院を初めとする全ての医療機関に対する財政支援等を求めていますが、公立病院への繰り出し基準については、現時点では見直しが行われていないところであります。
 こうした中、県としても、入院施設の設備整備や、病床確保に対する支援など各種財政支援を行ってきたところであり、9月補正予算においては、オンライン診療など対人接触機会の減少を図るために必要となるシステム整備等に対して、県立病院等事業会計負担金の増額を行っています。
 今後も、国に対して必要な要望を行うとともに、地域の医療体制を確保するため、県立病院の経営状況を踏まえながら、必要な支援を行ってまいります。
 次に、コロナ禍における社会変革への対応についてでありますが、いわて県民計画(2019~2028)は、県民、企業、NPOなどあらゆる主体がみずから取り組みを進めていくためのビジョンであります。
 このため、みんなで取り組みたいこととして、それぞれの主体に期待される役割を盛り込むとともに、10の政策分野の一つとして参画を位置づけ、若者や女性が活躍できる仕組みづくりや、関係団体などの多様な主体による県民運動の推進を初めとした取り組みを進めていくこととしています。
 また、人材育成については、教育分野に地域に貢献する人材の育成を掲げ、ふるさとを愛し、社会に貢献する意識を醸成する教育の推進、企業のイノベーション創出や新たな情報通信技術の利活用につながる産学官の連携の促進などに取り組むほか、その他の分野においても戦略的に岩手を支える人材を育成することとしています。
 さらに、先端技術の活用を図り、新たな価値、サービスの創造を目指す11のプロジェクトのもと、例えば学びの改革プロジェクトにおけるタブレット端末の前倒し整備など、今回のコロナ禍を踏まえた取り組みを推進しているところです。
 議員御指摘の国の骨太の方針やコロナ禍を踏まえて必要となる政策は、こうした長期ビジョンの方向性とも軌を一にするものであり、長期ビジョンのもと、アクションプランを推進する中で、適宜、新たな事業の追加やブラッシュアップを進めていくこととしております。
 このような多様な主体の参画や地域に貢献する人材の育成、先端技術の活用などにより、ものづくり関連産業の集積やスマート農林水産業のさらなる展開など、本県の特性を生かした産業の一層の振興を図っていく考えであります。
〇48番(飯澤匡君) まず、答弁に対するものについては後でまとめて聞きます。
 もう一つ設問として、今後クラスターが拡大し―今、感染者も急激に増加している状況であります。ということは、重症患者もふえていくことがもちろん想定されるわけですが、その場合に最も恐れるのは、病床数の逼迫による医療崩壊でございます。
 本県では二次医療圏ごとに管理をされていますが、例えば盛岡医療圏とそれ以外では医療資源の格差が存在しております。医療崩壊を防御する観点、危機管理の観点から、最大限受容できる入院患者数を二次医療圏別にどのように想定しているか示していただきたいと思います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 入院医療体制についてでございますが、県では、岩手県新型コロナウイルス感染症医療体制検討委員会を設置し、新型コロナウイルス感染症の蔓延状況や患者の重症度に応じた病床数の確保などの医療提供体制の構築のほか、軽症者等宿泊療養施設の整備を進めてきたところであります。
 また、各地域においても、新型コロナウイルス感染症と一般医療の医療体制を確保するため、保健所主催の圏域調整会議により、二次医療圏内における医療機関の役割分担を進めてきたところであります。
 議員御指摘のとおり、今後クラスターが拡大し感染者や重症者の増加も想定されることから、二次医療圏を超えた入院調整が円滑に行われるよう、県庁に設置しております入院等搬送調整班による広域調整により、オール岩手で対応する医療提供体制を構築しています。また、医療提供に当たり特別な配慮が必要な小児、周産期、透析患者等に適切に対応するため、それぞれの分野における医療提供体制も構築しています。
 引き続き、限りある医療資源を有効に活用し、新型コロナウイルス感染症の患者に必要となる医療の提供に努めてまいります。
〇48番(飯澤匡君) 広域で支え合ってやるということは理解しましたが、私の質問の趣旨は、二次医療圏ごとの数について最大限どれぐらい受容できるのかということです。これは大都市圏などではかなり弾力的にやっているようでありますが、一定程度、これ以上ふえるとかなり大変だということを、感染予防の観点から一般の県民にも示していくことが必要かと思うのですが、その点について触れられなかったので、もう一度答弁をお願いします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 県の感染状況を見ますと、例えば先日までは宮古圏域で患者が多かった。今ですと盛岡圏域で患者が多いというように、県内全体でというよりも、圏域ごとにクラスターが集中して患者も集中する状況にございます。
 県では、国の入院患者推計シナリオの約1.5倍という形で、各圏域ごとに重症者にも対応できるように入院病床の確保を進めたところでございますが、やはり一時的にクラスターの発生等で圏域の中で対応できないという状況が想定されます。現時点ではおおむね圏域の中で対応できている状況ではございますが、先ほども御答弁申し上げましたとおり、圏域を超えた部分についてはしっかり対応していきたいと思います。そのお示しの仕方は、現時点では、県全体ではまだ入院患者が逼迫している状況ではない、いわゆるフェーズ2という状況。感染症指定医療機関が半分ぐらい埋まってきましたけれどもまだまだ余裕があるという状況でございます。
 今後、地域ごとにそういった状況をどのように住民の方にお示しができるのかという点につきましては、検討してまいりたいと考えております。
〇48番(飯澤匡君) わかりました。
 それで、経済対策についてですが、私は、県単独事業の実施は大体の予算を想定してすべきで、そうあるのが普通だと思うのです。知事答弁によりますと、県単で今想定されているのは固定費、特に家賃支援について考えているということですが、私がひっかかるのは、必要あらばと、時期がかなり未確定なのです。考えようによっては今すぐ必要だと思われるのですが、やはり予算の準備というのは必要だと思うし、想定する部分というのは、いつ出動できてもいいようにというのは必要だと思うのですが、その点は本部員会議などではどのように話をされているのかお尋ねします。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 固定費負担の軽減という意味で家賃支援について今検討しておりますけれども、当初、国に先駆けて、4月から6月までの分の家賃支援を市町村と協調補助という形で実施をいたしました。その後に国の家賃支援制度ができまして、12月まではそういう支援ができるという形になっています。その後、年度で言うと残り3カ月分になりますけれども、これについては、当初4月から6月までの予算として見積もっていた家賃支援の予算にまだ残余がありますので、これを活用しながら補助していきたいと考えております。
〇48番(飯澤匡君) その残というのはどれぐらいなのですか。そして、今後投入されるというのは、やはりよほど綿密に計画を練っておかなければならないと思うのですが、総務部長にお伺いします。
〇総務部長(白水伸英君) 予算の状況でございます。概算の数字で申しわけございませんが、家賃支援の財政予算につきましては、補正予算で約11億円の予算措置を講じたところでございますが、現時点では9億円ほど残っているという状況でございます。
〇48番(飯澤匡君) わかりました。冒頭の質問で聞いているので、そこら辺はきちんと答弁していただきたいと思います。
 ただいま答弁いただいた点については、経済的支援、確かに飲食店等は大変打撃を受けているわけですが、あわせて子育て世代にも大きな影響が出ているわけでありますので、ここら辺は今後も総合的に考えていただきたいと思います。
 産業振興については、後でまとめてもう一度質問する機会があろうかと思いますので、その時点で質問させていただきます。
 次、2番目の質問です。市町村要望と広域振興局のあり方についてお伺いします。
 平成の大合併から15年が経過します。この間、東日本大震災津波が発生し、大きく自治機能の軌道修正を余儀なくされた被災地の自治体や、自己完結能力が高まった10万人規模の自治体、人口減を食いとめるために歯を食いしばって諸施策を展開している中小規模の自治体など、自治体規模や環境の変化によって大きな変化が認められます。また、コロナ禍により、市町村との連携強化の重要性はさらに増したと思います。
 いわて県民クラブでは、ことしも33全ての市町村をめぐって実態を調査してきました。この間、市町村からの県への要望については、決算特別委員会の総括質疑でも指摘したとおり要望会の形式は前年踏襲を繰り返しており、県側によるヒアリング姿勢の工夫はなかなか見られないと思います。逆に私の地元の一関市においては、要望会の場所選定に趣向を凝らしているなど、印象づけの努力をしているのが現状ではないかと思います。
 知事は、広域振興局長が知事の名代として要望を受け取る方式こそベストと豪語しておりますが、県内市町村の思惑とは大きく乖離している実態が我々の調査でも明らかになりました。
 それでは、2点まとめて質問します。
 今年度からふるさと振興部が設置され、県と市町村との接点を強く持つことが使命とされていますが、市町村から県への要望に対して当局の担うべき役割をどのように発揮されたのか、また今後工夫する考え方があれば示していただきたいと思います。
 また、広域振興局長が知事の名代であるならば、せめて広域振興局で独自に差配できる予算措置を市町村は強く要望しております。広域振興局への権限移譲の方針と、あわせて、その対応についてお伺いします。
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君) 市町村からの要望対応についてでありますが、要望に当たりましては、まず、日ごろから市町村との意思疎通を図ることが重要であり、個別の相談対応や必要な助言、支援を行いながら、職位に応じた意見交換の場を設けております。
 新型コロナウイルス感染症への対応におきましては、県と市町村との意見交換会や連絡会議などにより、市町村との情報共有を図り、地方臨時交付金への助言や市町村を総合的に支援する補助金制度の創設など、市町村と連携して対策を進めてきているところであります。
 今後におきましても、新型コロナウイルス感染症対策を初めデジタル社会への対応など、直面する課題に的確に対処していく必要があり、県と市町村との意見交換会のほか、副知事による個別の意見交換なども検討しているところであります。引き続き工夫を重ねながら、市町村との連携強化に努めてまいります。
 次に、広域振興局への権限移譲についてでありますが、広域振興局長には、所管区域内の出先機関の長の指揮監督や、所管区域における県行政の総合調整を図るための出先機関の長に対する助言または勧告などの権限が付与されており、本庁から広域振興局への事務移管を進めることにより、広域振興局において業務の完結性を高め、県民や事業者等の利便性の向上を図ることとしております。
 また、予算についてでありますが、地域課題に即した実効性の高い施策を展開できるよう、広域振興局長の裁量で執行できる地域経営推進費、今年度5億5、000万円や、戦略性が高く圏域全体の振興を図る広域振興事業、今年度1億1、000万円余でありますが、その予算を措置しているところであります。
 今後におきましても、広域振興局において、より独自性や機動性が発揮できるよう取り組んでまいります。
〇48番(飯澤匡君) それで、知事の出席の有無については、私たちの会派は、かなり知事にもお聞きをしている状況です。今回、設問として、単なる県要望だけではなくて、知事の出席の有無について、県と市町村との連携について、そして県政運営の方向性について、私たちは設問を投げかけてヒアリングをしました。
 その中で、知事の出席については、ぜひ求めたいというのが33のうち14、それから、どちらでもよいというのが12、そして、必要ないと思われる方もいらっしゃいました。ただ、必要ないと思われる方は、もう少し広域振興局の権限の拡充、特に市町村の要望に関して即応できる予算の配置を望んでいます。この場では、知事は現状の方式が正しいという論は譲らないと思いますので、それに関してきょうは触れませんけれども、ただ、そういう実態があるということをぜひ理解していただきたい。
 あわせて、ただいま答弁がありましたが、広域振興局予算と地域経営推進費については、拡張はしているのですが、私が見る限り広域振興局予算については、圏域外への波及効果が期待できる先駆的事業をやるということで措置をされているわけですが、ここ数年来、非常にその内容がコンクリートされてきて陳腐化されているという状況。そしてまた、地域経営推進費についても、これは現場主義に立脚した完結性の高い広域行政を推進する事業ということになっているのですが、なかなかこれはブラッシュアップ不足ですみ分けが曖昧ではないかという指摘もあります。それらに対して今後どのように対応されるのか、まずお伺いします。
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君) 地域経営推進費につきましては、やはり広域振興局長が地域の実情をよく理解した上で地域に効果の上がるものということで、本庁サイドでもさまざまな事業を行っていることを踏まえながら、地域に必要なものということですみ分けて事業の推進、そしてまた、実行に当たりましては、本庁の支援が必要なもの、あるいは共同で行うことで効果が上がる施策を総合的に推進するということで進めております。
 議員御指摘の、まだまだブラッシュアップが必要ということにつきましては、本庁サイドも、広域振興局サイドも、さまざまな情報交換あるいは来年度に向けた検討会議もありますので、その辺を十分留意しながら、来年度以降もまた対応してまいりたいと思います。
〇48番(飯澤匡君) この指摘については、現場の首長からも大変厳しい指摘がございました。この場所ではなく、後で御紹介をさせていただきたいと思いますが、県の施策の方向転換にしても、広域振興局に対する、期待は非常に高いのだけれども、なかなか沿うものになっていないという現実も明らかになりました。今回、ふるさと振興部を設置して約1年になるわけですが、たてつけ自体がなかなか浸透していない。1年たっていないのでそういうこともあろうかと思いますけれども、私は、この見直しが一層必要になっている時期ではないかと思っているわけです。
 それらを含めて次の質問に入りますが、広域における産業振興をさらに飛躍させるために、広域振興局の再編を望む声もあります。県南広域振興局を南北―花北、胆江一関に2分割する案や、県北広域振興局と盛岡広域振興局の内陸部をまとめて同じ資源を有効的にアピールしたいという声もございました。これらの声をどのように受けとめて検討し反映させていくのか示していただきたい。
 また、さらに県境連携に関しても意見がありました。医療や産業振興、観光などのニーズは日増しに高まり、実際に動き出しているところもあります。県からの支援体制強化を望んでいるが、決して満足できる状況にはない。具体的な対応を示していただきたいと思います。
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君) まず、広域振興局の再編についてでありますが、現在、いわて県民計画(2019~2028)に掲げる地域振興の基本的な考え方を踏まえ、例えば、自動車関連産業における企業群が花北、胆江一関に広く集積していることなど、各地域の特性を十分に生かした4広域振興圏の振興を進めるとともに、ゾーンプロジェクトなど圏域を超えた連携も展開し、県全体の発展につながるよう取り組んでいるところであります。
 こうしたことから、引き続き、現在の4広域振興圏に対応した局体制を基本としながら、議員御指摘の地域からのさまざまな御意見にも応えられるよう、柔軟な組織運営を行ってまいりたいと思います。
 次に、県境連携に向けた県の支援についてでありますが、これまで、県南広域振興局、沿岸広域振興局、宮城県北の三つの地方振興事務所などが、連絡会議や農林などの分野別会議を開催し、例えば観光分野では、観光、イベント等の合同の広報誌の発行や、広域観光の推進に資するドライブマップの配布、ホームページによる広域観光情報の発信などを行っております。
 引き続き、地域ニーズに対応して、岩手県南、宮城県北におけるこのような取り組みを継続、強化しながら、平泉世界遺産登録10周年やILC実現への取り組みなど、関係者が連携し進めていくことで地域振興を図ってまいりたいと思います。
〇48番(飯澤匡君) そのような答弁がありましたが、実際問題、この4広域振興局体制になって、自治体の満足のいくものになっていないということは、恐らく県のほうでヒアリングしても、なかなか本音は出ないのだろうと思います。これは協議を進める中で、先ほど申し上げましたように、自治体の完結能力が高まったところや、さらに県の支援が必要な中小の自治体など、いろいろニーズが異なりますので、そこはしっかりやっていただきたいと思います。
 また、私は、総合的にお話をしますが、今、広域振興局独自の施策展開にもちょっと限界が生じているのではないかと思います。東日本大震災津波以来、財政の支出に当たっては、本局が集中的に担っていく方向性になっております。しかし、実際問題、現状起こっていることは、本局が県事業として全体で行っていることなど共通項目があったり、また、市町村の事業については、これは本当に広域振興局が担うものであると思うのですけれども、これらが混在をして、先ほど申し上げた二つの事業については、なかなかめり張りがきかない状態になっているのではないかと思います。この点はぜひ是正していただきたいと思うし、さらなる制度の見直しについては、しっかりメスを入れてやっていただきたいと思います。
 首長の意見の中では、県と市町村の連携について、知らないうちに突然新聞から一方的に県の対応策、市町村に関係している部分も示されている。それから、人材育成の重要性であったり、いわて県民計画(2019~2028)の理念、方向性についても、少し抽象的でよくわからないというような意見もありました。これらについてもよくお聞きをしながら、ぜひとも完結性を高めた方向性を探っていただきたいと思います。
 それでは、次の質問に入ります。本県の産業振興と人材育成についてお伺いします。
 一つ目は、ものづくり産業とそれ以外の振興支援策についてお伺いします。
 ものづくり産業の振興については、自動車、半導体関連産業の集積化を図るなど、本県が最も力点を置き手厚い支援策を講じてきていると認識しており、雇用、人材育成の政策もこれを中心に体系化されていると認識しております。
 キオクシア株式会社には相当の支援を投じております。キオクシア株式会社において、四日市工場の新製造棟、Y7棟を2021年春に建設することを決定したと報道されていますが、その四日市新製造棟建設と北上工場との兼ね合いはどうなっているのか―私は当初、北上工場にかなりの部分の生産の主力を移すというように、聞き間違いかもしれませんが―将来分析と対応方針を示していただきたいと思います。
〇副知事(保和衛君) キオクシア株式会社においては、先般、四日市工場における新棟の建設を公表したところでございますが、北上工場における投資については、現在計画どおり進んでおります。北上工場におけるさらなる投資についても、キオクシア株式会社側からは、2棟目も検討しており、具体的には今後の市場状況を見きわめて決定していくと聞いております。
 今後、世界的なIoTやAI、5Gなどの普及拡大が見込まれますけれども、キオクシア株式会社が手がけておりますそれらに必須のNAND型フラッシュメモリーの需要は、大幅に拡大していくことが見込まれております。キオクシア株式会社は、今後も三重県四日市市、北上市において投資拡大を続けるものと捉えているところでございます。
 キオクシア株式会社は、市場動向に合わせたタイムリーな設備投資や研究開発など、メモリ事業の競争力強化に向けた取り組みを積極的に展開していくとも公表しておりまして、県といたしましては、キオクシア株式会社と綿密な情報共有を図り、岩手県における業容拡大が円滑に進むよう、引き続き、関係自治体と連携し、必要な支援を行ってまいります。
〇48番(飯澤匡君) それでは、次にトヨタ自動車株式会社についてお伺いします。
 トヨタ自動車株式会社の次世代型車両に関しての将来戦略について、本県はどのような影響を受けるのか、または波及効果を期待できるのか、将来分析と対応方針を示していただきたいと思います。
〇副知事(保和衛君) トヨタ自動車株式会社は、2017年に、ハイブリッド車や電気自動車などの電動車の販売台数を2030年までに全販売台数の半数以上、数字にいたしますと年間550万台とする目標を掲げておりましたけれども、昨年、これを5年程度前倒しすると発表しております。
 こうした電気自動車などの生産は、トヨタ自動車株式会社に限らず、世界中のメーカーで急速に拡大しております。トヨタ自動車東日本株式会社岩手工場で生産されるコンパクト車についても、近い将来、電気自動車になるものと捉えております。
 昨今、東海地区の電子部品メーカーが、トヨタ自動車株式会社の東北地区拠点化の方針に沿って、電子部品の製造を東北地区に移管する動きを活発化させております。もともと県内の地場企業が得意とするこの電気、電子製品の分野においては、今後これらとの関係で取引拡大のチャンスが広がっていると考えております。
 県としては、引き続き、県内に立地する大手部品メーカーと地場企業とのマッチング支援や、取引の拡大につながる技術力の向上、設備投資、人材育成等の支援を進めてまいります。
〇48番(飯澤匡君) このような世界的企業が、県との交渉をするには、将来戦略については知事がその役割を担っていると思うのですが、最近、知事はトヨタ自動車株式会社の重役の皆さんと―今回はコロナ禍があってなかなか大変かと思いますが―この将来戦略に対して何か示唆を得ているのか、その点についてお伺いします。
〇知事(達増拓也君) どこまで話していいものか、ちょっと今考えているところですけれども、保副知事が答弁しましたように、コンパクト車の拠点としての東北地区における最大の完成車組み立て工場がある岩手県でありますので、今後の自動車産業の発展においても、そのような役割を果たしていくことと受けとめております。
〇48番(飯澤匡君) レシプロエンジンの生産が電気自動車、EVに変化するということは、それにぶら下がっている産業も大きく変化するということになります。ということは、これまでの支援策等も大きく変更を余儀なくされることも十分に考えられるわけです。それが、大体どういう方向性なのかということを聞きたかったのですが、きょうはこの辺にとどめておきまして、しっかり情報等をとっていただくようにお願いしたいと思います。
 次に3番目、ダイバーシティ―多様性社会を展望すれば、本県の喫緊の課題として、女性の活躍が期待できる就業場所の積極的誘致、または起業する方向を真剣に考えなければならないと思います。これまで多くの女性を雇用してきた地方銀行等の金融機関は、AIの導入などにより採用枠の減少が予想され、厳しくなることは確実であります。県は、ものづくり産業以外の女性の雇用先をどのように考え、支援策を講じていこうとしているのか示していただきたい。
〇副知事(保和衛君) 女性が活躍できる場の拡大ということでございますけれども、本県においては、企業の業容の拡大やICT、ロボット技術等の導入による生産技術の革新、働き方改革の取り組みの進展などにより、今、ものづくり以外のというお話もございましたけれども、ものづくり産業においても女性が活躍できる場は非常に広がっていると考えております。このほか、農林水産業、建設業や福祉等のさまざまな分野において、先ほどのような技術革新ですとか働き方改革などによりまして、女性の活躍の場が広がっていると考えております。多様な分野において女性が活躍していること、あるいは働きやすい職場環境づくりが進んでいることについて、できるだけ十分に周知し、県内就職につなげたいと考えております。
 県では、企業の若手女性社員と学生、生徒との交流の機会の創出や、さまざまな分野で活躍する女性を動画で紹介するなど、取り組みを進めているところでございますけれども、今後は、県外流出が多く人材確保が課題となっている医療、福祉分野へ就業を目指す女子学生等の県内就職を促進する取り組みに特に力を入れていきたいと考えております。
 また、企業誘致におきましても、女性の就職先としての選択肢がふえるよう、ものづくり産業だけでなく、多様な分野や業種に幅を広げて取り組んでおります。先ごろ、一関市内には、ビジネス・プロセス・アウトソーシング事業、これはバックオフィスの業務を担う企業でございますけれども、そのような女子型の企業も、新たに立地が決まったという例もございます。さらに県では、この9月に、起業支援拠点、岩手イノベーションベースを開設いたしまして、起業家同士のネットワーク形成や個別の伴走支援、スキルアップ研修などの事業を進めることを考えておりますが、この中で女性の起業支援にも力を入れていきたいと考えております。
 このようなことを積極的に進めまして、私も女性の県内定着は非常に重要と考えておりますので、女性が活躍できる場の拡大を図ってまいりたいと考えております。
〇48番(飯澤匡君) この課題については我が会派の千葉絢子議員がいつも質問している事項であります。今かなり広範な事業展開を進めるというお話でしたが、私は、その支援についても、少しぎゅっと焦点を当てて行うことも必要かと思うのです。一つのモデルケースをつくるということ。この間、保副知事にも、株式会社プレステージ・インターナショナルと一関市との立地協定調印式に参加をいただきました。将来、約500人規模の女性を雇用するとのことです。これらの支援について、一関市長からもお話があったと思いますが、冒頭お話をしたキオクシア株式会社であるとか、県はかなり集中的に支援策を投じておりますので、予算もなかなか厳しい。しかしながら、これから事業の選択と集中を迫られるわけですから、人口減対策も含めて、これらはやはり政策を絞り切って効果的な支援策を講ずるべきと思いますが、改めてお伺いします。
〇副知事(保和衛君) 企業誘致の際にインセンティブとして、いわゆる立地に対する奨励補助金という制度があるわけですけれども、これは必ず投資に見合っただけの効果というものが、それは雇用の形であったり税収の形であったり、さまざまな形が考えられますけれども、そのように期待できるものであります。
 さまざまな誘致活動の中において岩手県に関心を持ってくださる企業があらわれた場合、そこは私どもとして、先ほどのような人口減少の問題ですとか、あるいは女性の活躍の場としての期待ですとか、さまざまあるわけですけれども、そういうことを勘案して、チャンスを逃さずに立地してもらうためには、その際にどのような支援をするのが企業にとってありがたく感じられるかという観点からも考える必要があります。
 選択と集中というのはございますけれども、ケース・バイ・ケースで、その誘致の案件に応じて、どのような形で岩手県に立地していただくかということについては、それぞれ考えさせていただきたいと思います。
〇48番(飯澤匡君) 今後、この点については関心を持って進めさせていただきたいと思います。
 次に、林業関連産業の振興と人材育成についてお伺いします。
 先般、県の林業アカデミーを視察させていただき、女性も熱心に活動している姿を見て大いに感銘を受けました。しかしながら、本県の林業関連の就業先については、選択肢が少なく、いささか心もとない状態であり、これをどのように克服するかは喫緊かつ中長期的な課題であると思います。
 例えば、グリーンILCの考え方と連携させた取り組みなど、一層の産業振興に向けて一歩踏み出すことも必要と思いますが、どのような展望を持っているか示していただきたい。
 あわせて、本県を代表する特用林産物のシイタケ生産に関しては、一時よりは光明が差し込んできましたが、東京電力ホールディングス株式会社への賠償請求も継続中であることや、市況の低迷も生産者にとって完全に前に進めるマインドにはなっていない状態と思料します。産地回復等に向けた支援策、人材育成策について伺います。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) グリーンILCのお尋ねでございますが、グリーンILCは、昨年7月に県が策定いたしましたILCによる地域振興ビジョンの政策項目の一つとして位置づけられ、研究関連施設の木造化等に向けた産学官連携による具体の取り組みが進められており、これが実現した場合には、県産木材の大きな需要が創出され、本県林業、木材産業が大きく成長する機会になると考えております。また、木造化された関連施設は、県産木材を利用した象徴的な建物になると考えられるところでございます。
 一方、関連施設の木造化には、相当量の木材を供給する必要があると想定され、これに対応するためには、川上から川下までが一体となって取り組み、品質、性能が確かな県産木材が供給できる体制の構築や人材の確保等が必要になると考えております。
 こうしたことから、林業部門といたしましても、ILCの研究者を初め民間企業等による共同研究に引き続き参画していくとともに、共同研究で得られたグリーンILCに関する情報等について、林業関係団体や建築関係団体等と共有しながら、その対応について研究していきたいと考えております。
 次に、特用林産物の産地復興策についてでございますが、原木シイタケに係る東京電力ホールディングス株式会社への賠償請求額は、令和2年10月末現在で総額58億3、100万円、これに対する支払い額は57億1、800万円で、支払い率は98.1%となっております。
 産地の再生につきましては、県では、原木の安定調達に向けた関係団体との需給調整や生産規模の拡大、生産性の効率化に必要な施設、設備の導入支援を行っています。また、新規参入者等に対しては、栽培技術習得のための研修会の開催や、種駒購入費の助成等を行っております。
 さらに、9月補正予算で原木しいたけ販売力アップ促進事業を創設いたしまして、栄養価やおいしさなど食材としての魅力や、さまざまな調理方法を効果的に発信する手法のほか、来年度において、量販店等も参加可能な入札会を本県で開催できるよう検討を進めております。
 これらの取り組みによりまして、引き続き、産地再生に向けて頑張る生産者と地域をしっかり支援してまいります。
〇48番(飯澤匡君) かなり展望の入った答弁でありまして大変感銘を受けました。
 続けて、海外市場への輸出展開と畜産県岩手の将来構想についてお伺いします。
 今日の畜産県岩手は、先人の努力の恩恵に大いにあずかっていると思います。しかし、人口減少に起因した国内市場の縮小と海外市場の拡大の環境変化に対応した、過去の成功体験を乗り越えるような斬新な取り組みが本県において求められると思います。国においては、農林水産物、食品輸出の目標額を定め、2030年には2019年の5倍を目指すとしております。
 質問の1番目、国が示した目標額に照らした本県の目標額はどのように設定しているのか示していただきたい。
 さらに、国では、海外からのニーズの高い農林水産物を地域一体で生産する輸出産地の創設を求める方針で、対象となる地域では資金面でも支援を行うとしています。需要に応じて品目別に目標とする輸出額も定める方向としておりますが、本県においても勝負をかける品目等を選定し、早期の対応が必要と考えますが、対応はいかにするのでしょうか、お答え願います。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 農林水産物、食品の輸出についてでございますが、本県の農林水産物の輸出目標額は、いわて県民計画(2019~2028)第1期アクションプランにおいてアジア各国や北米等への輸出拡大に向けた取り組みを強化することとし、アクションプラン作成当時、国が平成31年度までに輸出額を1兆円とする目標を設定したことなども踏まえ、起点となる平成29年度から毎年5%の上昇を目指し、令和4年度に36億円とする目標を設定したところでございます。
 こうした中で、本年度は、国の補助事業を活用いたしまして、海外の取引先や消費者から高く評価されております牛肉とリンゴの2品目につきまして、海外市場から求められる品質等に対応した産地づくりを進めるためのグローバル産地計画を、年度内に策定することとして作業を進めております。
 今後は、このグローバル産地計画に基づき、本県が誇る安全・安心で高品質な農林水産物の輸出拡大を戦略的に進めてまいります。
〇48番(飯澤匡君) その中で、地域団体商標制度であるとか地理的表示保護制度についても、岩手県は、前者は七つ、後者は五つ、そして申請中であるものはまだ五つあるということです。これらに対する産地形成の基盤整備に関して、現在のところ、それ以上を目指すためにどのような支援策が必要かということも、ただいま答弁のありました計画等に反映されるのかどうか、その点についてお伺いします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) グローバル産地計画でございますけれども、本県の強みを生かして海外輸出に求められるような産地をつくっていくということで、検討を進めているところでございます。戦略策定に当たりましては、GI(地理的表示保護制度)等も大変有効な手だてだと思っております。産地の取り組みがまず第一でございますので、そういった関係でGIを取得したいというところにつきましては、積極的に情報提供をしながら支援を進めてまいりたいと考えております。
〇48番(飯澤匡君) 国がこういう方針を定めて、他県ではかなり先んじて動き出しているところもあるやに聞いております。その策定については急を要すると思いますので、2月定例会等にそれらもしっかり示していただくようにお願いしたいと思います。
 次、2番目、畜産振興に関して伺います。
 まずは、次回鹿児島県で開催される全国和牛能力共進会への取り組み状況と、直近の全国肉用牛枝肉共励会での本県の結果について、どのように評価しているのかお伺いします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 全国和牛能力共進会への取り組み状況についてでございますが、県では、次期鹿児島大会での上位入賞に向けまして、平成30年度に策定いたしました第12回全国和牛能力共進会総合戦略に基づき、これまで生産者の指導を行う専門職員の育成や、雄雌それぞれの候補牛を計画的に生産するため、性判別精液の活用等を進めてまいりました。
 また、ことし10月からは、次期鹿児島大会の出品牛の候補となり得る子牛が順次生まれてまいりますことから、改めて関係者の取り組み意識を高めていくため、子牛等の管理に係る研修会の開催などに取り組んでおり、今後は、ゲノム解析技術等を活用し、候補牛をさらに選抜していくこととしております。
 次に、全国肉用牛枝肉共励会についてでございますが、ことし10月に開催された共励会におきまして、全国から出品された500頭の中で、本県の出品牛2頭が、3部門中2部門で、それぞれ第3位を獲得したところでございまして、本県の和牛肥育技術の高さが評価されたものと考えております。
 いわて牛のブランド力を高めていくためには、すぐれた種雄牛の造成が不可欠と考えておりまして、県といたしましては、最新のゲノム解析技術を積極的に活用しながら、全国トップクラスの種雄牛の造成に全力で取り組んでまいります。
〇48番(飯澤匡君) 10月30日に行われた全国肉用牛枝肉共励会の結果ですが、確かに優秀賞1席で岩手県奥州市衣川の生産者の方が入っていますが、2位と4位は宮城県なのです。そこでキロ当たり単価が約3倍違っているのです。
 これはいろいろな分析が必要かと思うのですが、ただ一つ言えることは、宮城県が前回の全国和牛能力共進会から生産者に対してとてつもない支援策を投じているということ。この全国肉用牛枝肉共励会の結果についてもそういうものが反映されていると私は思うわけです。といいますのは、2位の最優秀賞は宮城県だったのですが、母の父牛は3位の岩手県と同じなのです。こういう状況を見ますと、血統的にもそういう大きな差異がないのに、どうしてこういう市場の評価が出るのか。たくさんいろいろな策を打っているとは思うのですが、この点に対してはどういう評価でしょうか。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 全国肉用牛枝肉共励会の順位と枝肉単価の関係ということでございますが、枝肉の単価は、競りにおきまして日ごろから取引をしております購買者との状況とか、さまざまな要因の中で決まっていくと捉えておりまして、共励会の入賞順位と必ずしも連動しないというようには聞いております。
 本県でも、東京食肉市場等で共励会があるときは、本県出品牛が出れば、やはり高い評価をしていただきたいということもあって、競りの場でいろいろ盛り上げを行っております。かけ声等をかけていけば単価等が上がっていくという実態もございますので、上位の枝肉成績そのものが、必ずしも単価に連動しないというように捉えているところでございます。
〇48番(飯澤匡君) かなり楽観的だと思うのです。やはりその分析もしっかりしていかないと、生産者がいい牛をつくってもいい値段にならないということになってしまうと、これはどうなっているのだ、岩手県はどう考えているのだろうとなります。
 確かに今までは千田正知事が畜産県岩手ということで多大な戦略を練って、今その恩恵にあずかっている。県農業研究センター畜産研究所種山畜産研究室であったり、そういうことになっているわけですが、旧経済農業協同組合連合会ともいろいろ連動してやってきた岩手県の取り組み自体も、農協改革などによって全国農業協同組合連合会岩手県本部の体制もかなり細ってきている。今まで、成功事例、成功マシーンとしてきたものがさびついている部分というのは、しっかり見定めて現実的な対応をしていかないと、生産者の意欲にかかわってくると思うのです。
 もう一つ、F1で1席となったのが、岩手県の単価と大体同じなのです。こういうことで、生産者の方々も何だとなる。実はこの資料も生産者の方からいただいて、しっかり分析を進めてくれということで今回の質問に至ったわけですが、それらについては本当に腰を据えて分析する必要があると思います。
 最後の質問になりますが、これは一つ提案です。
 人材の有効活用と県有資産の有効活用を大胆に有機的に結びつけて人を回し、限られた予算をプール化するなどの斬新な取り組みが不可欠と考えます。県南部においては種山畜産研究室、県立農業大学校、県立水沢農業高校等が挙げられますが、県は人材と資産の有効活用について、将来的な考察として今考えていることがあれば示していただきたいと思いますし、建設的に進めたいという意思があれば、ぜひとも示していただきたいと思います。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 畜産業の振興に向けた人材等の有効活用ということでございます。
 本県農業の担い手育成に向けまして、県の試験研究機関、農業大学校や農業高校が連携をいたしまして、試験研究機関の高度な技術や研究内容を農業高校生等が学ぶことのできる機会を提供していくことなどが重要な取り組みと考えております。
 本県の農業高校は、全国の農業高校生が和牛の肥育技術を競う和牛甲子園において、これまで最優秀賞等を獲得しておりまして、来年1月開催予定の第4回大会でも最優秀賞を獲得できるよう、日々努力を重ねていると聞いております。
 種山畜産研究室では、このような農業高校において、出品候補牛の肉質等を超音波診断装置で高校生とともに確認しながら、飼養管理の助言等をしております。また、農業大学校の学生を対象に、種雄牛の造成、和牛改良の最新の研究内容を学ぶ出前講座を実施しているところでございます。
 県といたしましては、次期の全国和牛能力共進会鹿児島大会へ出品を希望する農業高校等に対しまして、飼養管理技術向上のための研修や定期的な指導を実施することとしておりまして、引き続き、農業高校生等が畜産に魅力を感じ、将来、本県の畜産を牽引する担い手として活躍できるよう積極的に取り組んでまいります。
〇48番(飯澤匡君) 部長から意気込みは十分伝わりましたが、生産者のほうは次世代の生産者の育成について非常に危機感を持っているということでありまして、県はこのような資産をもっと大胆に有効活用すべきだというような話をいただいて、本日提案したところです。
 この質問に当たりいろいろヒアリングをさせていただきましたが、やはり行政の壁といいますか組織の壁というものがあって、例えば高校などにはなかなか手が入らないであるとか、そういうことも取っ払って県の有効な資産を活用することが必要だと思うのですが、教育長は、水沢農業高校に関しては、今考えている産業振興の観点から、どのような思いといいますか、考え方でありますか、示していただきたいと思います。
〇教育長(佐藤博君) 農業高校では、実践的な、あるいは体験的な学習活動を通して、畜産業ですから家畜の飼育であるとか畜産経営に必要な資質あるいは能力の育成に努めているところです。
 先ほど農林水産部長からも答弁がありましたが、具体的には、農業高校で、県農業研究センター、畜産研究所との連携を図っておりまして、牛の改良であるとか飼育方法の学習というようなことを進めてきたところでありまして、その成果が昨年度、水沢農業高校が和牛甲子園枝肉評価部門で最優秀賞を受賞したことにつながっているものと考えております。
 今後、各学校におきましても、関係機関であるとか、あるいは畜産農家とも連携を図りながら、生徒が畜産についての知識、技術を習得していくということ、そして、私どもとすれば、さまざまな関連する方面と連携を図りながら、畜産業の振興に向けた人材育成の取り組みを推進していきたいと考えております。
〇48番(飯澤匡君) 今までの既存の政策であったりそういう事業を回すという点から、もう一歩進む必要があるのではないかと思います。冒頭壇上で申し上げましたように、時代が大きく変革をしていく。これは全ての産業振興についても同じでありますが、次世代の産業に携わる方々を育成していくというのは並大抵なことではないです。特に人と人との触れ合いであるとか、人にとって大事な観点が非常に薄くなる可能性があって、できる力を総動員してやっていく必要があると思っています。
 知事にも今後の産業振興についてお伺いしたところですが、答弁の内容を見ますと、現状の計画をうまく回せばうまくいくというような考え方でありまして、その点は私と考え方がちょっと違うなと思っています。産業施策や人材育成については、もう少しフォーカスして、きっちりと成果が上がるようにアクションプランの中で―既に計画自体は議決をしましたので、数値目標等も厳しく出していくことをしっかり求めていきたいし、我々もその点についてどのような成果が上がったのか、2月には予算を審議する議会も始まりますので、こうした社会の変革に対応した予算がどのようになっていくのか注視をしながら、しっかり監視をし、また政策提言をしていきたいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、ILC将来地域構想と戦略的展開についてお伺いします。
 県では、誘致実現を見据えた地域づくりの基本方向をまとめたILCによる地域振興ビジョンを昨年7月に策定したところでありますが、具体的にこれをどのように動かしていくのかということ、また、岩手県の特性を生かすためにも、東北ILC事業推進センターに任せきりにしないで、当該ビジョンを広く前面に押し出して訴えて、早目早目に手を打たないといけないと考えますが、ILCを所管する保副知事に御所見を伺います。
〇副知事(保和衛君) ILCによる地域振興ビジョンでございますけれども、このビジョンは、国際研究都市の形成支援やイノベーションの創出など5本の柱で構成しておりまして、その取り組みについては非常に多分野にわたるということで、知事を本部長とするILC推進本部のもと、まちづくりや居住環境、産業振興など七つの分科会を組織し、部局横断の体制をとって進めることにしております。
 先ほど農林水産部長からグリーンILCの取り組みの状況について御答弁申し上げましたけれども、このほか、外国人の研究者の方々の生活支援をどのように具体化するかといったことにも取り組んでおります。
 また、この取り組みの一つとして、産学官によるいわて加速器関連産業研究会というものを組織しまして、県内企業の加速器関連産業への参入を支援しているところであります。この取り組みは、将来ILCが実現した際には、ILCから生まれる先端的な技術や研究の成果を産業化していく役割を担うものに発展させたいということで、今のうちからこのような形で活動しているものでございます。早目早目ということでございますが、できるだけそのような意を用いて取り組みを進めております。
 東北ILC事業推進センターというお話もございましたが、こちらは建設そのものに関しての準備ということで、ILC国際推進チームの活動にも連携いたしまして、例えば地形図あるいは地質に関する基礎資料の作成、機材の搬送ルートの検討など、具体的、実務的な調査、検討等を進めております。このように、両輪のような形でILCによる地域振興ビジョンと東北ILC事業推進センターの活動を推進しながら、ILCの取り組みを進めていきたいと考えております。
〇48番(飯澤匡君) 先ほどの県要望で、一関市長からの、これはお隣の宮城県も十分にかかわっているわけですから、構想だけでなく、そろそろ動きを見せないといけないのではないかという問いに対して、本庁に確認しますというようないつもの答弁でありました。このような状態では、本県の特性はなかなか生かせなくなってしまう、そういうことを心配します。今後ともしっかり私も監視をしてまいりますし、総務委員会等でもいろいろ提言を進めさせていただきたいと思います。
 先ほど答弁がありました東北ILC事業推進センターについては、土木工事などの検討について進めているというお話でありました。新笹ノ田トンネルについては、かなり有望なアクセス道路と捉えております。さきの一関市並びに関係団体の道路の要望等について、県土整備部では、東北ILC事業推進センターの動向を見据えながら検討もしていきたいというお話でしたが、先ほどから言っていますように、先んじて戦略的に行うということがぜひとも私は必要と思うのですが、その点に関して、同じような答弁になると思いますけれども、取り組み姿勢についてお伺いします。
〇県土整備部長(中平善伸君) 新笹ノ田トンネルでございますけれども、国道343号は、気仙地域と内陸部を結び、沿岸地域の復興や県民の安全・安心、観光振興等を支える路線でございまして、ILCを推進する上でも重要な位置づけを持つ路線であると認識しているところでございます。
 笹ノ田峠に新たなトンネルを整備することにつきましては、多額の事業費が必要と見込まれることから、安定的な事業予算の確保が課題となるとともに、事業効果などを確認することが必要と考えているところでございます。今、議員からお話がありましたように、東北ILC事業推進センターでは、今年度からILC建設候補地周辺の道路状況など、ILC建設に係る物流の方向性を研究、検討すると聞いております。調査に係る依頼等があった場合には、必要な情報を提供するなど協力してまいります。
〇48番(飯澤匡君) この間の要望会で、飯澤議員にはもう答弁し尽くしたというようなお話がありましたが、いずれ状況は刻々と変化をして、戦略的に行っていく必要があると思います。多額の事業費ということですが、場合によっては、国の助力を使って国の代行ということも視野に入れないのかどうか、そういう検討はされたのかどうか、それができないとすれば何が障害なのか、そこら辺を示していただきたいと思います。
〇県土整備部長(中平善伸君) 今、議員からお話のありました直轄の代行というのはあくまでも事業手法でございまして、まずは、この路線をどう進めていくのかに当たりましては、副知事からも答弁がありましたけれども、今この建設準備のための必要な検討が始まったところでございます。そういったところで、必要な路線等に係る調査等の状況がわかりましたら、私どもも必要な情報を提供させていただきますし、その上で必要な検討を進めていく。まずはそういった段階かと認識しております。
〇48番(飯澤匡君) また次回も角度を変えて質問させていただきますので、よろしくお願いします。
 最後、県庁機構と庁内ガバナンスについてになりますが、デジタルトランスフォーメーションも含めた国のデジタル改革については、時間があったら質問させていただいて、最初に庁内のガバナンスについてお伺いします。
 県幹部の再就職については、人材バンクから本人の希望に応じてあっせん、紹介していると理解していますが、それ以外の県管理の組織への再就職についての基準はどのようになっているのか示していただきたい。
〇総務部長(白水伸英君) まず、県におきましては、本県を退職する職員の専門知識や経験を活用したい希望のある団体や民間企業に対する情報提供の窓口を一本化し、透明性及び公平性を確保する観点から平成16年に人材バンクを設置しておりまして、地方公務員法令に基づく職員の再就職に関する規定にも合致するものとなっております。
 幹部を含め職員の再就職については、知事が任命権を持つ団体の役員等を除き、人材バンクを通じて情報提供を行い、面接等を通じて退職予定者本人と求人側の団体等との意向や条件が一致した場合に、再就職が決定する仕組みとなっているところでございます。
 また、地方独立行政法人など、法令上、知事が任命権を持つ団体の役員等については、関係法令の規定に従い、適材適所の考え方に基づいて候補者を検討し、適切な者を選定、配置しているところでございます。
〇48番(飯澤匡君) ただいま、最後のほうで言及がありましたので、それについて引き続き質問します。
 今年度の公立大学法人岩手県立大学の理事長の選任についてですが、従前、前職は部長クラスの職歴がある方が職を任されてきましたが、今年度初めて前副知事が理事長に就任されています。アッパークラスに人事基準が移行した理由を示していただきたい。
 また、前職の遠藤理事長の任期を1年残しての任命でありましたが、ちなみに現理事長は前理事長よりも年齢が1歳上であります。人事の緊急性はどこにあったのか、その選定基準についてお示しください。
〇総務部長(白水伸英君) まず、法令上、地方独立行政法人の理事長につきましては、法人が行う事務及び事業について高度な知識、経験を有し、適正かつ効率的に運営することができる者を選任することとされております。県立大学の理事長につきましては、こうした法令の規定も踏まえつつ、適材適所の考え方により人材を選定したところでございます。
 それから、特に今般、議員も御承知のとおりでございますが、いわて県民計画(2019~2028)を策定いたしまして、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクト等々を進めることとしておりますが、特に県立大学との連携強化が非常に重要な局面になっております。そういった今般の状況も踏まえて、今回、理事長の任命が行われたものと承知しております。
〇48番(飯澤匡君) そこで、前定例会で同人物が選挙管理委員として執行部から推挙を受けました。結果については御案内のとおりで、議会の指名推選を受けられずに選挙となったことは異例中の異例のことであります。前副知事が県の行政委員を務めることも異例でありますが、県は何の意図を持って推挙されたのか示していただきたい。
〇総務部長(白水伸英君) 私は総務部長ということで法令の担当等もしておりますので、この件についても御答弁させていただきたいと思います。
 選挙管理委員につきましては、地方自治法により議会の選挙により選任することとされておりまして、選挙に当たりまして、その候補者は適材適所の観点から指名されたと承知しております。
 その過程におきましては、選挙管理行政における課題や具体の取り組み等を確認の上、選挙管理委員として適任と思われる者について、選挙管理委員会事務局の意見を伺いながら選考したと承知しております。
〇48番(飯澤匡君) 私は、前任者の任期を残して再就職があっせんされた例で思い出すのは、IGRいわて銀河鉄道株式会社の1件であります。就任後の乱脈経営ぶりに内外から批判を受け、私もIGRいわて銀河鉄道株式会社の前社長の乱脈経営に対して追及し人事を早期に一掃するように求めてきましたが、県は耳もかさず、結果として経営の悪化を招きました。現社長が引き継いだ負の遺産は大きなものがございます。
 今回の選挙管理委員の異例な人事に対して、私は特に申し上げたいと思います。
 議会は危機管理能力を発揮して、公正な選挙管理委員会の運営が保持できるように、推薦委員の差しかえを含めた考え方を県に対して議長を通じて申し入れましたが、県はこれを拒否しました。民間会社に例えると、専務取締役が退職後、系列会社の社長になることはよくあるケースでありますが、本社内部組織と関連するものと兼職するケースは余り例がないと思います。
 行政執行者が拒否したということは、変更できない理由が存在したということになります。これはあくまで私の仮説でありますが、途中で変更すると何か都合の悪いことがあったのではないか。外せない理由として職員のそんたくなどがあったとしたら、組織的に大変なことになるのではないかという考えが私の頭をよぎりました。組織を危機管理上の観点から守るために、そうした考え方はなかったのか伺います。
〇総務部長(白水伸英君) 答弁のほうは、先ほど申し上げさせていただいたとおりで恐縮でございますが、今回の選挙管理委員につきましては、そもそも制度上、地方自治法によりまして、議会の選挙により選任されるとなっております。その選挙に当たりまして、その候補者については、適材適所の観点から指名されたというように承知しております。そして、そのさまざまな過程において関係機関の意見も伺いながら、最終的には選考が行われたということで承知しております。
〇48番(飯澤匡君) なかなかそれ以上踏み込めないのはわかっておりますが、最後の質問です。
 こうした異例の人事は来年度以降の再就職先に関して、県職員のモチベーションに関係しないと言い切れるのでしょうか。この点について知事の所見を求めます。
〇知事(達増拓也君) 県職員の再就職については、先ほど総務部長からも仕組みについて答弁がありましたけれども、それぞれの持つ経験や専門性、また総合的な判断力、行動力等々が生かされるような形で、それぞれの働こうとする者、働いてもらおうとする者の意思と意思の合致によって、岩手県にも、またさらには全国、また国際社会にも貢献するような形で進んでいくものと期待します。
〇48番(飯澤匡君) 選挙管理委員会の委員選任に関しては、知事の意見はないですか。
〇知事(達増拓也君) 選挙管理委員については、地方自治法により議会の選挙により選任することとされており、選挙に当たり、その候補者は適材適所の観点から指名されたと聞いています。その過程においては、選挙管理行政における課題や具体の取り組み等を確認の上、選挙管理委員として適任と思われる者について、選挙管理委員会事務局の意見を伺いながら選考したと聞いております。
〇48番(飯澤匡君) 県の職員の方々からいろいろ聞いてみたらいかがかと思います。
 最後になりますが、今回は、コロナ禍によって大きく社会が変革する、それに対する行政の対応について、まず根幹的な部分について質問いたしました。
 行政組織も目的達成型に変革していかないと、従来踏襲型では私はどんどん後退していくものと思います。組織は生き物です。知事はその群れのリーダーとして、危険をいち早く察知し、その危険の状況に対応した形で進めるのが求められる姿だと常々言っておられますが、私は、この大変大きな時代の変革期に対して、いち早く察知して軌道修正をかけるのがトップマネジメントであると確信しております。
 今回の質問の部分についていろいろお考えを示していただきましたが、やはりアクションプラン等についてはもう少しブラッシュアップをして、機動性が高まるような形になることを期待したいと思います。
 社会をよりよくしたいと思う人たちを鼓舞し前進していくのが行政やリーダーとしての役目と、椎名素夫先生がおっしゃったことを思い出しました。こうしたことになるように、ぜひとも人材育成を頑張っていただきたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(関根敏伸君) 以上をもって飯澤匡君の一般質問を終わります。
   
〇議長(関根敏伸君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時31分 休 憩
   
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 千 葉 絢 子 君
12  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 田 村 勝 則 君
15  番 佐々木 朋 和 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 岩 渕   誠 君
20  番 名須川   晋 君
21  番 佐々木 宣 和 君
22  番 臼 澤   勉 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 吉 田 敬 子 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 軽 石 義 則 君
31  番 郷右近   浩 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時48分 再開
〇議長(関根敏伸君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。吉田敬子さん。
   〔27番吉田敬子君登壇〕(拍手)

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