令和2年12月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(川村伸浩君) 自由民主党の川村伸浩でございます。
 最初に本県における新型コロナウイルス感染症の状況についてですが、本日時点で、罹患された方が204名、お亡くなりになられた方が4名いらっしゃると発表されました。お亡くなりになられた方の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、現在入院療養中の方々の一日も早い御回復をお祈りいたします。また、こうした状況の中で新型コロナウイルス感染症への対応に奮闘されている医療従事者を初め関係の皆様に対し、御礼を申し上げます。
 それでは質問をさせていただきます。最初に、新型コロナウイルス感染症の影響と対応について伺います。
 まず、県税収入の予測と来年度予算への影響について伺います。
 新型コロナウイルス感染症によりインバウンドや外食需要が減少し、農林水産物の消費の落ち込みや新規住宅着工件数、製造業、飲食業、観光業、宿泊業など、県内のさまざまな経済分野に影響を及ぼしております。県内経済の状況は県税収入に直接影響を与えます。また、新型コロナウイルス感染症により納税が困難となった企業、個人などの納税者などには、1年間の支払い猶予が措置されております。
 聞くところによりますと、令和2年度9月末の県税調定額は、対前年同月比、法人県民税がマイナス10.5%、法人事業税がマイナス5.5%になっているとのことであります。納税者の負担が心配されます。また、令和3年度の県税収入は減収となることが予想され、来年度の予算編成への影響も懸念されます。
 そこで、令和2年度及び令和3年度の県税収入の見通しについて伺います。また、来年度の予算編成の考え方について、知事に伺います。
 次に、保健福祉関係の影響と対応について伺います。
 1月から発生した新型コロナウイルス感染症は、世界では5、788万人が感染し、137万人もの死亡者が発生、世界で猛威を振るっております。国内でも14万8、000人が感染し、死亡者も2、000人を超え、国内第3波と言われる感染が拡大している状況であります。
 3月末から始まった国内第1波の感染に際しては、岩手県の感染者がゼロ。なぜ岩手県で感染者が出ないのかという話もありましたが、県が3月30日に一部首都圏から来県する方へ2週間の外出自粛をお願いしたことも要因の一つではないかとお聞きしており、その後の感染者は少なく、県を初めとする関係者の皆様の御尽力に敬意を表します。
 しかし、岩手県の現状は、11月に入ってから一変しました。7月29日に県内で初めて感染が確認されてから10月末までは27例の感染を確認しておりました。11月に入ってからは、職場内や飲食店での集団感染が複数確認されるとともに、感染した方の家族にも感染が確認され、先ほど申し上げましたとおり、きょうの発表で204名の感染、71名の入院、14名の軽症者用宿泊療養施設への入所が確認されており、今までにない感染の広がりが見られます。日々県民の命と健康を守るために御尽力いただいている医療従事者に改めて敬意を表します。
 これまで職場や飲食店のクラスターが発生しておりますが、11月24日には県内で高齢者施設でのクラスターが発生しました。高齢者は重症化や死亡のリスクが高いと言われておりますので、高齢者施設等でクラスターが発生した場合、早期に収束されるよう取り組む必要があると考えます。
 県は、高齢者施設等で発生するクラスターの封じ込めと今後のクラスター対策にどのように対応していくのか伺います。
 次に、県内中小企業の経営状況と対応について伺います。
 国、県、市町村は、これらの影響を抑制、緩和するため、持続化給付金、雇用調整助成金、Go To キャンペーン、地元割クーポン、プレミアム付商品券などで個人事業者、企業を支援し、事業活動の継続や従業員の雇用や生活の維持、経済を下支えしております。
 県は、新型コロナウイルス感染症により影響を受けた県内企業に対して、補正予算により観光宿泊施設等への支援として、地元割クーポンや東北、新潟県向けのおでんせ岩手券、観光宿泊施設経営継続支援交付金、観光バス運行支援事業補助金、感染防止拡大対策として備品等を購入する経費を助成する地域企業経営継続支援事業費など、さまざまな支援策を講じております。また、製造業関係においても、企業訪問を細やかに実施し、アンケート調査を複数回行い、製造業における実態の把握に努めていると伺っております。
 新型コロナウイルス感染症による県内中小企業の経営状況と県の支援策の活用状況、今後の対応について伺います。
 次に、農林水産業関係の影響と対応について伺います。
 農林水産業関係についても、新型コロナウイルス感染症により、食材の消費の低迷、木材需要の低迷などの影響を受けて、畜産関係の牛肉枝肉価格や和牛子牛価格、林業関係の原木単価、水産物関係のホタテガイなどの販売価格が低下しております。Go To キャンペーンなどにより、牛肉枝肉価格は回復傾向にあるようですが、感染の再拡大の影響を受け、特に、畜産関係の小規模な経営形態で取り組んでいる個人や事業者の廃業につながることへの懸念のほか、ホタテガイの販売単価が戻っていないことが心配されます。
 新型コロナウイルス感染症による農林水産業関係の影響と県の対応状況、今後の対応について伺います。
 次に、農林水産物のイメージアップについて伺います。
 県は、岩手県の農林水産物のイメージアップをさせるために、さまざまな取り組みを行っていると感じております。しかしながら、岩手県イコールに結びつく農林水産物がなかなかないとも感じております。もっと打ち出していく必要があるのではないでしょうか。
 知事を先頭に、もっと岩手県の農林水産物のイメージづくりに力を入れていただきたいのです。女優ののんさんが、金色の風のテレビCMに出演し、岩手県産米のPRに頑張っておられます。岩手県内に対してのアピール効果は非常に大きいと感じているのですが、全国区となると、他の都道府県の頑張りもあり、アピール効果で突出することはなかなか難しいのではないでしょうか。
 知事にトップセールスの力を入れていただくことももちろんですが、お隣の青森県では、県庁内に部局横断で県産米をPRする体制があると聞きました。全国に岩手県を売っていくとなると、プロモーション、PR、予算、組織体制も総出でしっかり取り組んでいく必要があると感じております。
 青森県はリンゴ、山形県はサクランボというような県の名前に直感的に浮かぶものが欲しいのです。もちろん岩手県も、園芸振興など、大変頑張っている取り組みがあると認識しております。また、岩手県には、東京から来たシェフも、その品目の多さと品質のよさに驚くようなすばらしい農林水産物がバランスよくそろっていることがセールスポイントだということも聞きますが、もっと踏み込んでいくためには、岩手県はこれで行くというような覚悟を持つことも重要ではないでしょうか。
 岩手県の農林水産物のイメージとして、前沢牛が挙げられることがありますが、全国の皆様に岩手県の牛肉であるという認知度はどのくらいあるのでしょうか。
   〔副議長退席、議長着席〕
 わんこそばや冷麺、岩手三大麺のようにメディアが発達した世の中で、岩手県イコールに結びつく農林水産物をと私は思うのです。
 岩手県の農林水産物の品質は、前沢牛や江刺のリンゴ、米、三陸のワカメやアワビ、ウニなど他県に引けをとらず、ふるさと納税などで岩手県のあれをというように選んでもらえる農林水産物であると思っております。
 岩手県イコールに結びつく農林水産物を生み出し、岩手県の農林水産物のイメージを向上させていくための現状と課題、今後の取り組みについて知事に伺います。
 次に、農業振興について伺います。
 まず、米価の下落への対応について伺います。
 農林水産省によりますと、ことし6月までの1年間の米の需要は714万トンとなり、前年に比べ21万トン減りました。新型コロナウイルスの影響で外食用の需要が大きく落ち込んだためで、在庫は4年ぶりに200万トンを超えております。米の在庫が膨らんだことなどから、米余りとなる可能性が出ております。このためJA全農県本部や経済連がJAに提示する2020年産米の概算金、買い取り価格は、1等60キログラム当たり600円から1、000円の下げとなっております。米価は、ここ10年、平成22年に大きな下落があり、平成24年までに持ち直したものの平成25年、26年と再び下落、平成26年以降は徐々によくなってきておりました。米価の下落は農家への影響が大きく、生産費が収入を上回り赤字になれば農家の生活は成り立たず、農業そのものの継続も難しくなります。
 県は、いわての美味しいお米生産・販売戦略などに取り組んでおりますが、米価の下落への対応について伺います。
 次に、令和3年産の主食用米の作付面積について伺います。
 農林水産省は11月5日、令和3年産の主食用米の需要に見合った全国の生産量は693万トンになるとの見通しを発表しました。国が定めた令和2年産の生産量は723万トンでしたので、令和3年産における国全体の米の生産量は、令和2年産から30万トン減少し、割合として約4%の減少となります。
 岩手県全体の令和3年における主食用米の生産目安は、岩手県農業再生協議会において、全国の令和3年産主食用米の生産量に岩手県シェアを乗じて算定した25万2、945トンとなり、面積換算では4万6、961ヘクタールと決定したとのことであります。令和2年産主食用米の作付実績は4万8、200ヘクタールであることから、それに比べ、令和3年産の主食用米の生産目安が約3%減になることについては、県は農家に対して対応策とスケジュール感を丁寧に示していくことが重要だと考えます。
 県は、令和3年産の主食用米の作付面積の減少に対して、どのような対策を持って、どのように対応していくのか伺います。
 次に、中山間地域等直接支払制度について伺います。
 中山間地域等直接支払制度については、令和元年度に第4期対策が終了し、令和2年度から新たに第5期対策がスタートしております。今年度は第5期対策の1年目であり、取り組みを少しずつふやしていかなければならないと認識しております。そのためには、県は、市町村や農家に対して、第5期対策では、高齢者の見回りや福祉タクシーなど、何が制度の支払い対象となるのか、また何が支払い対象の加算となるのかを丁寧に説明をお願いしたいと考えております。
 中山間地域等直接支払制度は、平成12年度に制度が始まり、これまで20年が経過しました。地域では、制度を利用する方々が、制度開始当初のまま20年が経過し、当時50代であった方々がそのまま70代となって高齢化し、後継者が減って立ち行かない集落がふえている現状があります。
 令和2年度から新たにスタートした第5期対策の中山間地域等直接支払制度では、棚田地域振興活動加算が新設されるなど、加算項目の新設や拡充、農業者等が安心して制度に取り組めるよう、交付金返還措置の見直しがありました。第5期対策の加算措置を含めた令和2年度の中山間地域等直接支払制度の実施状況と県の取り組みについて伺います。
 次に、水田基盤整備の今後について伺います。
 農業においては、その担い手の高齢化が大きく進み、次世代の担い手も非常に少ないため、担い手が大きく減少している現状があります。このままでは、将来にわたって農業生産活動を継続できるかどうかさえ不安な状態であると考えます。
 担い手不足の現状においては、スマート農業を取り入れるなど、少人数で効率的に農業生産活動を継続できる営農体制を構築することが必要であると考えます。
 効率的な農業生産活動を進めるためには、圃場整備による水田基盤整備が重要であり、県も継続して整備に取り組んでいると認識しておりますが、東北地方における水田整備率は30アール程度以上の区画整備済みの割合で見たとき、東北地方全体の整備率が67.5%であるのに対して、岩手県の整備率は東北で最下位の52.4%となっております。岩手県の圃場整備は、その取り組みのスタートが東北他県に比べやや遅かったとお聞きしております。また、圃場整備事業は、地域での合意形成に十分な時間が必要であるということも認識しております。
 農業の担い手が大きく減少し、効率的な農業生産活動が求められている現状において、本県における水田基盤整備の現在の整備状況と今後の見通しについて伺います。特に、中山間地域の整備は担い手不足などの課題を抱え急務となっていることから、あわせて中山間地域における整備状況と今後の見通しについて伺います。
 次に、スマート農業の取り組みと農業のデジタル化について伺います。
 農業従事者の高齢化や労働力不足などの課題に対応しながら、農業を成長産業としていくためには、発展の著しいロボット、AI、IoTなどのデジタル技術の活用を強力に進めることが極めて重要であります。
 このため、農業のデジタル化を実現していくためには、まずスマート農業の現場実装を進めるための衛星基地局等の整備をしっかり行っていかなければならないと考えており、加えて、農業のデジタル化を生産性の向上や経営の向上に結びつけるためには、さまざまな農業データの共有化を図り、誰でも利用できるデジタル基盤の整備が重要と考えます。
 農林水産省では、令和元年から、気象、土壌等の農業データの連携、共有、提供機能を有する農業データ連携基盤―WAGRIの整備を進めていると聞いております。国のデジタル化の波に乗り、しっかりと進めていくことが必要であります。国はデジタル庁を発足させる予定であり、デジタル化のスピードは確実にアップすると思われます。岩手県でも出おくれないように取り組むことが必要であります。
 県のスマート農業の取り組み状況と農業のデジタル化について伺います。
 次に、いわて花巻空港の羽田線の就航実現に向けて、現状と取り組み状況について伺います。
 新型コロナウイルス感染症が発生した令和2年1月以降、航空業界は大きな影響を受け、国際線、国内線とも需要は著しく低迷しております。いわて花巻空港も同様で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、5月18日から5月31日まで国内線が全便運休となる影響を受けたところですが、最近、一部において回復の兆しが見えてきております。私は、新型コロナウイルス感染症で大変な状況であるからこそ、羽田線実現の運動をすべきではないかと考えております。新型コロナウイルス感染症により新規参入が予定されていた東南アジア方面などの国際線就航が延期され、機材に余裕があるのではないでしょうか。航空業界が国際線で苦しい状況にある今こそ、国内線の需要で協力すべきではないかと考えます。
 いわて花巻空港と羽田空港を結ぶ路線については、昭和60年に休止し、35年が経過しました。この間、運休となった当時とは、航空需要などの航空業界を取り巻く環境や、いわて花巻空港の位置づけも大きく変化いたしました。
 羽田線の就航実現に対しては、搭乗率の問題を反対材料として出されますが、機材座席数は、従来は300席ぐらいであったものが、120席あるいは80席から70席ぐらいへと、機材の小型化が進んでおります。
 また、羽田空港は国内各空港への乗り継ぎに便利な空港であり、いわて花巻空港から空路で移動し、羽田空港を起点とした空路移動は大きなメリットがあります。新幹線があるから羽田線は不要との論もありますが、岩手県に進出した企業も多くなり、十分な需要があるのではないかと考えます。
 三陸沿岸道路、東北横断自動車道釜石秋田線、宮古盛岡横断道路の道路整備によって、県内各所からのいわて花巻空港までのアクセスは大きく改善されつつあります。いわて花巻空港の駐車場は無料であり、長期出張にメリットがあります。これらの道路が整備されたことにより、高速での移動が可能で、しかも大半が無料で利用できるのであります。県民の仕事や観光利用など、羽田線の十分な需要があるのではないでしょうか。
 東北他県の羽田線の運航数を調べてみますと、青森県は青森空港が6往復、三沢空港が4往復、秋田県は秋田空港が9往復、大館能代空港が2往復、山形県は庄内空港が4往復、山形空港が2往復となっております。東京都までの距離が岩手県と大差なく新幹線がある山形県においても、羽田線が運航されている現状があります。
 いわて花巻空港の羽田線の就航実現のためには、羽田空港の国内線発着枠を確保することが必要ですが、最も実現可能な方法としては、航空会社の理解と協力を得て、自社枠を使い羽田便を就航させることが最短と思われます。
 十分な需要が見込まれ、県内各地からのアクセスが非常によく、駐車場も無料で確保されており、岩手県と同様な東京までの距離条件で新幹線がある地域で羽田線が就航している現状があります。新型コロナウイルス感染症で国際線の需要が落ち込む今こそ、国内線の需要で航空業界を支援すべきと考えますが、いわて花巻空港の羽田線就航の実現に向けて、県は本当に力を注いでいるのか、現状と取り組み状況を知事に伺います。
 次に、道路整備について伺います。
 まず、主要地方道花巻大曲線の進捗状況について伺います。
 主要地方道花巻大曲線は、花巻市と西和賀町の交流促進や観光振興を支援する重要な路線であり、昭和61年度から花巻市中山地区と西和賀町川舟地区の間、約8.5キロメートルについて、交通不能区間の解消などを目指して整備を進めてきていると認識しております。
 現在は、未整備となっている西和賀町側の小倉山の2工区、約1.5キロメートルの改良工事を進め、最大の課題であった約1キロメートルの4号トンネルの工事にいよいよ着手したと聞いており、県当局を初めとする関係者の皆様の御尽力に心より敬意を表します。
 西和賀町や本区間の利用者は一日も早い主要地方道花巻大曲線の整備を望んでおります。主要地方道花巻大曲線小倉山の2工区の進捗状況は現在どのようになっているのかお伺いいたします。
 次に、主要地方道盛岡和賀線の歩道整備の状況について伺います。
 主要地方道盛岡和賀線は、盛岡市を起点として、矢巾町、紫波町、花巻市を経由して北上市に至る総延長52キロメートルの広域的な幹線道路であり、一般国道4号や東北縦貫自動車道と並行する物流、通勤、通学を支える重要な路線であると認識しております。
 本年8月7日、花巻市の笹間バイパスの轟木地内において、道の駅はなまき西南、賢治と光太郎の郷(さと)がオープンしました。また、隣接してコンビニエンスストアがオープンしたこともあり、道の駅はなまき西南には、1カ月で約5万人の利用があったと聞いております。
 私の感覚ですが、本路線の交通量、中でも大型車の交通量がふえているように感じます。このことからも、本路線沿線の交通環境の整備、特に、歩行者の安全を確保する歩道整備の充実が必要と認識しております。主要地方道盛岡和賀線の沿線市町から歩道整備の要望があると思いますが、県の対応状況について伺います。
 以上で登壇しての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 川村伸浩議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、来年度の予算編成の考え方についてでありますが、総務省の地方財政収支の仮試算などを踏まえると、県税はさきにお示しした中期財政見通しよりもさらに減収することが見込まれ、厳しい予算編成となるものと認識しております。このため、あらゆる手法による歳入の確保に努めるとともに、歳出面では、政策評価等を踏まえた選択と集中を図り、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に、より一層努めてまいります。
 これらの取り組みにより財源を確保しつつ、現在国において検討されている経済対策を活用し、新型コロナウイルス感染症対策を進めるとともに、東日本大震災津波からの復興やいわて県民計画(2019~2028)に基づく施策を着実に推進してまいります。
 次に、岩手県の農林水産物のイメージアップについてでありますが、県では、魅力あふれる歴史や文化、実直で勤勉な県民性など、岩手の豊かさや信頼を象徴した黄金の國、いわて。という統一イメージのもと、安全・安心で高品質な農林水産物の魅力を積極的にアピールしてまいりました。特に、昨年度から開催している三陸国際ガストロノミー会議では、御講演や県内の産地を訪問いただいた国内外の著名なシェフ等から、本県の農林水産物の食材としてのポテンシャルに加え、環境に配慮した生産技術や、地域に根差した食文化等に対して、高い評価をいただいたところであります。
 こうした取り組みにより、多様な県産農林水産物のおいしさや魅力が国内外で認知され、ブランド力の強化が図られてきたと考えておりますが、県産農林水産物の評価、知名度をこれまで以上に高め、激しさを増す産地間競争に打ち勝つことが重要であると考えております。
 県といたしましては、本県の豊かな自然環境や、個性あふれる土地、風土などに育まれた農林水産物が、消費者や実需者から高い指示を得られるよう、食に関する情報発信力の高いシェフ等を対象にした産地見学会や、首都圏のレストランや量販店等で県産食材をPRする岩手フェアの開催、さらには、トップセールスや料理専門誌、SNS等の各種メディアを活用した戦略的な情報発信を展開するなど、関係団体等と一丸となって県産農林水産物の評価、信頼のさらなる向上に取り組んでまいります。
 なお、来年は丑年であり、牛は高村光太郎の詩、岩手の人でうたわれているように、岩手の象徴でもありますことから、丑年は岩手の年として国内外に情報を発信するなど、牛に関するさまざまな取り組みを積極的に展開していきたいと考えております。
 次に、いわて花巻空港の羽田線についてでありますが、羽田線は、国内外とのアクセスの向上やインバウンドの誘客拡大のほか、ILC実現を見据え、重要な路線であると認識しております。
 これまで航空会社に対し、毎年、ダイヤ改正の時期など機会を捉え、羽田線の開設を要望してきており、昨年度には、羽田発着について航空会社と具体的に検討を行いましたが、新幹線との競合による航空需要の見通しや、羽田空港の発着枠の確保などが改めて課題とされたところであります。このため、早期の就航について、見通しは厳しい状況にありますが、昨年度、本県の働きかけにより開設した航空会社の地元営業所との定期的な意見交換や、今年度から本社との間で実施している若手職員の人事交流など、航空会社との関係強化も進めながら、引き続き航空会社への要望を行い、いわて花巻空港の一層の利便性の向上と航空ネットワークの充実に取り組んでまいります。
 なお、現在、新型コロナウイルス感染症の影響により、国内外の航空需要が大きく落ち込んでいることから、県としては、まずは花巻空港の既存路線の需要回復に向け、利用促進の取り組みを進めているところであります。
 そのほかのお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長白水伸英君登壇〕
〇総務部長(白水伸英君) 県税収入の見通しについてでありますが、令和2年度の県税収入額につきましては、10月末の税収の実績や国の地方財政収支の仮試算等をもとに試算いたしますと、現時点では、令和元年度決算額に対して約47億円、率にして3.6%の減、令和2年度当初予算額に対して約61億円、率にして4.7%減の約1、254億円と見込んでいるところでございます。
 また、令和3年度の県税収入額につきましては、国の地方財政収支の仮試算をもとに機械的に試算いたしますと、現時点では、令和2年度当初予算額に対して約108億円、率にして8.2%減の約1、207億円と見込んでいるところでございます。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) 高齢者施設等におけるクラスターへの対応についてでありますが、県ではこれまで、高齢者施設等におけるクラスター発生に備えて、保健師の増員配置など保健所体制を強化するとともに、施設内感染時に職員等が不足する場合に、他の施設等から職員を派遣する応援システムを構築したところであります。また、施設内感染防止対策に係る厚生労働省からの通知に加え、県では、感染症対策チェックリストを作成し、具体的な感染対策について助言をしているほか、高齢者施設等を対象とした感染症対策の研修会を開催し、施設等における感染防止対策を支援しているところであります。
 現在、県内で発生している高齢者施設等におけるクラスターへの対応については、国で定義する濃厚接触者に限らず、ほかに感染が疑われる者にも拡大した調査を実施することなどによりまして、早期に感染者を発見し感染拡大を防止するよう全力で取り組んでいるところであり、現時点では、施設内や地域における感染拡大の封じ込めに向けて対応できているものと認識しております。
 今後、県内全域において、高齢者や障がい者などの福祉施設でのクラスターの発生リスクが高まってくると危惧されることから、引き続き施設内感染防止の取り組みに努めるとともに、大規模クラスター発生時においては、いわて感染制御支援チーム―ICATや、災害医療派遣チーム―DMATのメンバーで構成されますいわて医療福祉施設等クラスター制御タスクフォースの派遣を行うなどによりまして、クラスターの封じ込め及び感染拡大防止に対応していく考えであります。
   〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 県内中小企業の経営状況と今後の対応等についてでありますが、まず、県内中小企業の経営状況につきましては、直近の10月末時点のアンケート調査において10月の売り上げ実績について集計したところ、前年同月と比較し0から20%減の割合が42%、21から40%減の割合が32%、41%以上減少の割合が計23%となっており、依然として厳しい状況にあると認識しております。
 県の支援策の活用状況につきましては、事業継続の柱となる資金繰り支援の実績は、これまで新型コロナウイルス感染症対応資金が7、696件、1、253億9、036万円、新型コロナウイルス感染症対策資金が1、019件、425億8、089万円となっており、医療資金の融資枠を拡大するための保証料補給等に係る経費を今回の補正予算案に盛り込んだところであります。
 また、景気回復施策の代表的な取り組みであります岩手県民を対象とした1泊当たり3、000円の宿泊助成、泊まるなら地元割クーポンは15万枚を発行、本県を除く東北各県及び新潟県の県民を対象とした、同じく1泊当たり3、000円の宿泊助成、おでんせ岩手券は約9万7、000枚を発行したところであります。
 今後につきましては、事業者の事業継続と雇用維持に向けて、事業活動の前提となる感染症対策、資金繰り支援、消費喚起などに係る各種支援策の活用を促しますとともに、昨今の感染症の拡大を踏まえ、県独自の支援策として、事業者の固定費負担を軽減する家賃支援について検討しているところであります。
   〔農林水産部長佐藤隆浩君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) まず、新型コロナウイルス感染症による農林水産業への影響と対策についてでありますが、牛肉の枝肉価格は、10月は前年並みに回復したものの、4月から9月までは前年同月日で約1割から3割の減となったほか、ホタテガイの販売単価は、4月以降、前年同月比で約1割から約4割の減で推移しています。
 こうした状況を踏まえ、県では、畜産農家の経営安定に向け、肥育素牛の導入支援のほか、国の経営安定対策、いわゆる牛マルキンの交付金が国費分のみの交付となったことから、生産者積立金から交付されるべき交付金の一部を支援しております。
 また、牛肉やホタテガイの学校給食への無償提供や、県内の量販店等における、いわての海産物を食べて応援フェアの開催などにより、農林水産物の消費拡大に取り組んでいます。
 こうした取り組みに加え、国に対し、畜産農家の事業継続や農林水産物の消費拡大に向けた支援等について要望してきたところであり、今後も、市場の動向をしっかりと把握しながら、関係団体等と連携して農林漁業者を支援してまいります。
 次に、米価の下落への対応についてでありますが、今般の米価下落は、新型コロナウイルス感染症の影響等による全国的な米の需給緩和が要因であることから、国に対し、主食用米の市場からの一部隔離などを要望しております。
 また、生産者の経営安定に向けては、生産と消費、販売の両面の取り組みが重要であることから、消費、販売対策として、トップセールスによる県内外での金色の風、銀河のしずくの新米発表会の開催のほか、家庭での消費拡大に向け、金色の風など県産米の品質の高さやおいしさを直接消費者にアピールするCMをテレビやウエブで放映するとともに、SNSを活用した県産米と県産食材を組み合わせたさまざまな食べ方の発信などに取り組んでいます。
 さらに、生産対策として、コストの低減等に向けた農地集積による経営規模の拡大や直播栽培の取り組み拡大、食味向上に向けたスマート農業技術による施肥管理などの取り組みを推進するとともに、経営の安定化に向け、収入保険への加入を一層促進するなど、引き続き、生産者が安心して米づくりを行えるよう、関係機関、団体と一体となって取り組んでまいります。
 次に、令和3年産の主食用米の作付面積についてでありますが、県や関係機関、団体で構成する岩手県農業再生協議会では、令和3年産の主食用米の生産目安が前年の作付実績に比べ約1、200ヘクタールの減少となったことから、令和3年産の主食用米の作付面積などについて、地域での検討を早期に進めてもらうため、市町村別の生産目安を例年より約1カ月前倒して示したところです。
 県では、生産目安の減少に対応するため、主食用米と同様の栽培管理ができ、今後も需要が見込まれる飼料用米の作付拡大が進むよう、国が直接生産者に交付する産地交付金を活用し、飼料用米の新規作付に対して、主食用米との収入の差を補う新たな支援策を検討しているところです。
 こうした支援策の検討状況を市町村や農協等で構成する地域農業再生協議会へ情報提供するとともに、具体的な作付計画の策定に当たり、作付する作物の収益性等を助言するなどしながら、飼料用米のほか、実需者から増産が求められている大豆等に加え、より収益性の高い野菜の作付を促すなど、水田フル活用による農業者の所得向上に取り組んでまいります。
 次に、中山間地域等直接支払制度についてでありますが、本県では、中山間地域の農作業の共同化による農業生産の維持や、耕作放棄地の発生防止を図るため、第5期対策初年度の令和2年度は、制度の対象となる農地面積の約9割、2万3、000ヘクタールで取り組まれております。
 第5期対策では、棚田の保全活動などを支援する棚田地域振興活動加算のほか、高齢化や担い手不足などに対応する集落機能強化加算や生産性向上加算が創設され、県では、新たな加算措置の積極的な活用を促進していくため、制度の概要等を紹介するパンフレットの配布や説明会の開催などにより、市町村や集落代表者等への周知に取り組んできました。
 このような取り組みにより、集落機能強化加算については約1、000ヘクタール、生産性向上加算については約2、600ヘクタールで新たに実施されています。一方、棚田地域振興活動加算については、他の加算措置に比べ取り組むべき目標数が多いことなどから、現時点で活用がないところでありますが、市町村への働きかけを引き続き行いながら実施地域の掘り起こしを進めていきます。
 今後とも、新設された加算措置の内容や県内外の優良事例を紹介するなど、制度が広く活用され、中山間地域の農業の維持発展や集落の活性化が図られるよう積極的に取り組んでまいります。
 次に、本県における水田基盤整備の現在の整備状況と今後の見通しについてでありますが、議員御指摘のとおり、本県の水田整備率は、30アール区画以上で現在52.4%と、全国平均や東北平均と比べ低い状況になっています。このうち、さらなる生産コストの低減に向けた水田の大区画化については、平成元年度ごろから北上川流域を中心に取り組んでおり、50アール区画以上の整備率は10.7%と、全国平均の10.6%をやや上回っているところです。また、中山間地域は区画拡大に不利な地形条件にあるため、30アール区画以上の水田整備率は48.3%と、平地地域の64.1%に比べ16ポイントほど低い状況にあります。
 県としては、スマート農業導入などによる生産性の高い農業を実現するため、水田の大区画化や排水改良など基盤整備の着実な推進が必要と考えており、引き続き、国に対して十分な予算措置を強く求めながら、計画的に整備を進めていきます。特に、中山間地域においては、国庫補助事業のほか、今年度、県が創設したいきいき農村基盤整備事業の活用を図りながら、大区画にこだわらない区画形状や排水改良など、地域ニーズに応じた、きめ細かな基盤整備に取り組んでまいります。
 次に、スマート農業の取り組み状況と農業のデジタル化についてでありますが、ロボットやICT等を活用するスマート農業技術は、農作業の超省力化や飛躍的な生産性向上が期待できるほか、国が構築を進めている農業データ連携基盤―WAGRIは、気象や土壌、農地等のさまざまなデータのフル活用による高品質な農作物の安定生産などに大きく寄与するものであり、こうしたデジタル技術を農業分野で活用していくことは非常に重要と認識しております。
 県では、これまで、トラクター等の自動操舵や、施設野菜の高度環境制御技術、ドローンを活用した病害虫防除等、スマート農業技術の普及を進めており、本年度は県北地域での普及を目指し、中山間地や傾斜地でも活用できるよう、県北農業研究所にGPSの位置情報を数センチの精度で補正して利用できるRTK基地局を設置して、現在、トラクターの自動操舵の実証などの取り組みを進めております。
 また、国の農業データ連携基盤―WAGRIのデータベースを充実、強化し、本県農業に有効活用していくため、農業研究センターなどが有する土壌データやスマート農業技術の実証データ等の提供を進めており、今後とも、国と連携しながら、スマート農業技術やさまざまな農業データを共有、活用した生産性の高い魅力ある農業の実現に向け、積極的に取り組んでまいります。
   〔県土整備部長中平善伸君登壇〕
〇県土整備部長(中平善伸君) まず、主要地方道花巻大曲線小倉山の2工区の進捗状況についてですが、小倉山4号トンネル築造工事については、本年3月に契約を締結しており、これまでにトンネルの掘削に必要となる西和賀町側の橋梁を昨年12月に完成させるとともに、トンネル掘削に伴う仮設備の設置などの準備工を進めてきたところです。トンネル掘削は既に着手しており、令和4年度の掘削工事の完成に向け着実に進めてまいります。
 次に、主要地方道盛岡和賀線の歩道整備の状況についてですが、本路線は、盛岡市内の岩手流通センターや盛岡貨物ターミナル駅等と県南部の工業団地を結ぶ物流路線であり、大型車を初めとした自動車交通量が多い路線となっており、沿線の一部は小学生の通学ルートにもなっています。こうしたことから、主要地方道盛岡和賀線道路改良促進期成同盟会などから、歩道整備について要望いただいており、その地区は、北上市藤根地区、花巻市大瀬川地区、北湯口地区の3地区となっています。
 この3地区の整備状況についてですが、北上市藤根地区は本年度の完成を、花巻市大瀬川地区は来年度の完成を目指して整備を進めており、花巻市北湯口地区については、来年度の事業化に向けて調査を進めているところです。
   
〇議長(関根敏伸君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時29分 散 会

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