令和2年9月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇3番(小林正信君) ただいま議題となっております請願陳情受理番号第25号「安全・安心で、ゆきとどいた教育実現につながる少人数学級」の実現を求めることについての請願について、文教委員長の報告は採択とのことでしたが、私は反対の立場で討論をいたします。
 本請願の趣旨は、1点目は、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策として教室が密集状態になることを避けるための現行の40人学級より少ない少人数学級の実現、2点目は、行き届いた教育を進めるための少人数学級の実現となっております。
 1点目の、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策として少人数学級にする必要性についてですが、まず、1学級当たりの人数が多い都市部の学校において、教室での感染が頻発していないこれまでの状況から、学校の規模と感染との因果関係が医学的に明確になっておりません。感染防止対策を各学校で工夫し、対応をされていることが功を奏していることもあると思います。
 また、新型コロナウイルス感染症の感染防止には、学級の人数を減らすことも大切ですが、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策として緊急に1クラスの児童生徒数を少なくすること、教員の増員や教室をいきなりふやすことは、各自治体の財政負担を考えた上でも現実的ではありません。教員を増員し、教室をふやすためには膨大な費用がかかります。現時点で感染を防止するには、飛沫防止や手洗い、除菌等、いかに現場で万全な新型コロナウイルス感染症対策を実施するかにかかっていると考えます。
 人数を減らし、密集を避けるだけで新型コロナウイルス感染症の感染対策になるというのはいささか短絡的な考え方であり、現時点での学校の密を解消するため、早急に全国一斉に少人数学級を目指すというのは、飛躍した考えではないでしょうか。
 請願審査で重要なことは、願意が妥当であるか、実現の可能性があるか、議会の権限事項に属する事項であるかが判断基準であると、議員必携等で指摘されております。実現の可能性があるかという観点から、納得できる趣旨ではないと考えます。
 2点目の、行き届いた教育を進めるための少人数学級の実現についてですが、岩手県では、平成18年から順次、35人学級を推進し、令和元年度に小学6年生が35人学級となり、小学校及び中学校の全ての学年で35人学級が実現しています。また、県内のある自治体の現状を伺いましたが、通常、1学級当たりの児童生徒数の平均は、小学校で23人、中学校は30人となっており、ほかの県内自治体においては、これよりもさらに少ない自治体もあるのではないかと予想されます。
 ちなみに、皆様御承知のとおり、県内の小学校の31%、およそ3割が複式学級を有する学校であります。本県は児童生徒数が少な過ぎることが問題であり、学校の統廃合、再編計画が各自治体で進んでいる状況です。複式学級のため、科目によっては自習せざるを得ない児童もいる現状もあると伺っており、本県において、児童生徒一人一人の充実した教育を保障するためには、複式、そして、飛び複式の解決のほうが先行重要課題であると考えます。
 こうしたことから、本請願は本県の実情を認識せず出されたものと捉えられても仕方がないものと考えます。
 また、全国一律の少人数学級実現を目指すためという観点もあるかと思いますが、これは、先ほど述べたような岩手県の重要課題よりも他自治体を優先して、特に東京都ほか大都市を有する都道府県のために少人数学級を実現しようという考え方につながると考えます。大局的な見方であると思いますが、一方では、県民のための県議会と言えるのか、疑問が残るところであります。
 意見書の議決に当たっては、具体的にその地域における公益上の必要性の有無について自主的に判断し、慎重に取り扱うべきであると、議員必携等で指摘されており、こうした観点から、本県の実情を顧みない趣旨には賛同できません。
 請願理由にもあるとおり、全国知事会、全国市長会、全国町村長会からは、少人数編制を可能とする教員の確保のための緊急提言が出されており、政府の骨太方針2020―経済財政運営と改革の基本方針2020においても、全ての子供たちの学びを保障するため、少人数によるきめ細やかな指導体制の計画的整備について、関係者間で丁寧に検討することが閣議決定されております。
 自由民主党の教育再生実行本部からも、30人学級の実現へ公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の改正を求める申し入れが文部科学大臣に提出されました。公明党としては、財源確保を勘案しながら、全国において計画的な30人以下学級の編制に向けた教職員の定数の改善を文部科学大臣に申し入れており、先日も、内閣官房長官に、再度、同様の提言を行ったところであります。
 こうした提言や申し入れは、地方の声、国民の声が直接、あるいは地方議員、首長を通じて既に国に届いている一つの証左であり、これら国民の声の後押しで政府、与党においては、30人以下学級の実現に向け財政的裏づけも含めて、既に検討が進められております。
 そのような動きがあるにもかかわらず、複式学級が問題になっている本県において、意見書の提出が果たして必要でしょうか。国に意見書が提出された場合、我が県議会が、みずからの県の実情を解せず、遅きに失した形で意見書を提出したとの評価を受けることを危惧するものであります。
 以上の理由で、本県の現状に即さない本請願を採択することに反対いたします。
〇議長(関根敏伸君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより請願陳情中、受理番号第24号くらしを守る対策として消費税の減税を求める請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(関根敏伸君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第24号くらしを守る対策として消費税の減税を求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第27号福祉灯油の県内全域での実施を求める請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(関根敏伸君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第27号福祉灯油の県内全域での実施を求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第25号「安全・安心で、ゆきとどいた教育実現につながる少人数学級」の実現を求めることについての請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(関根敏伸君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第25号「安全・安心で、ゆきとどいた教育実現につながる少人数学級」の実現を求めることについての請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第1号から議案第36号まで、及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(関根敏伸君) 起立全員であります。よって、議案第1号から議案第36号まで、及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   
日程第38 委員会の閉会中の継続審査の件
〇議長(関根敏伸君) 次に、日程第38、委員会の閉会中の継続審査の件を議題といたします。
〔参照〕
委員会の閉会中の継続審査事件
1 継続審査
  総 務 委 員 会 請願陳情受理番号第23号
           3月11日を岩手県民の日「大
          切な人を想う日」にすることに
          ついての請願
〇議長(関根敏伸君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査の件につきましては、総務委員長から、お手元に配付いたしてあるとおり、申し出がありますが、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査に付することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(関根敏伸君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査に付することに決定いたしました。
日程第39 発議案第1号核兵器禁止条約の批准を求める意見書
〇議長(関根敏伸君) 次に、日程第39、発議案第1号核兵器禁止条約の批准を求める意見書を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。佐藤ケイ子さん。
   〔18番佐藤ケイ子君登壇〕

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