令和2年9月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(千田美津子君) 日本共産党の千田美津子です。
 私は、請願陳情受理番号第24号について、委員長報告に反対の討論をいたします。
 請願陳情受理番号第24号くらしを守る対策として消費税の減税を求める請願でありますが、私は、総務委員会で不採択としたことに反対をいたします。
 安倍晋三前政権が消費税の税率を8%から10%に引き上げてから1年が経過しましたが、景気が下り坂に入った時期に強行された消費税増税は、経済を急速に冷え込ませました。今の日本経済の危機的な状況を招いた原因は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大だけでは説明できず、暮らしと経済を立て直すためにも消費税率を緊急に5%に引き下げることを初め、思い切った経済対策に踏み切るべきだと考えます。
 昨年10月からの消費税率引き上げは、安倍政権下での2014年4月の5%から8%への引き上げに続き2回目であり、日本経済は、8%増税で長期にわたる不況が続き、米中貿易紛争による世界経済の悪化もあらわになる中、10%への増税を行えば、取り返しのつかない状況になるとの警告が相次いでされておりました。
 ところが安倍政権は、戦後最長の景気拡大が続いているとして増税を強行いたしました。しかし、景気拡大は虚構であり、政府は、増税の1年も前の2018年10月には、景気拡大局面が終了していたことを、ことし7月末に公式に認めております。
 これらのことからも、増税が経済失政であったことはもはや隠しようがありません。安倍政権は、増税に当たって万全の対策をとるとして、複数税率の導入やキャッシュレス決済へのポイント還元を行いました。しかし、負担軽減や消費拡大の効果はありませんでした。消費税の10%増税後、消費不況が顕在化し、国内総生産─GDPは昨年10月から12月期に大きく落ち込みました。それ以降、GDPはことし4月から6月期まで3四半期連続でマイナスとなり、しかも、4から6月期は、前期に比べ年率で28.1%も落ち込みました。
 このようにリーマンショック直後の2009年1月から3月期の17.8%減を上回る戦後最悪の下落幅になったのは、消費税増税で弱体化していた経済に、新型コロナウイルス感染症が追い打ちをかけたためであります。
 ノーベル経済学賞を受賞した経済学者のポール・クルーグマンニューヨーク市立大学大学院教授は、最近出版された著書、コロナ後の世界の中で、日本の消費税について、はっきり言って増税すべきではありませんでしたと指摘し、経済政策の転換の必要性を語っています。
 安倍政権による2回の消費税増税の際、内閣のかなめである内閣官房長官であったのが菅義偉首相であり、失政の責任を免れることはできません。しかも、菅首相は消費税は社会保障の貴重な財源だと述べて、税率引き下げを拒否するだけでなく、将来の増税についてまで発言するありさまです。消費税頼みの政治では、暮らしも経済もますます破壊されます。コロナ禍の中、経済は休業者や失業者がふえ、企業の倒産や廃業も相次ぐなど、いよいよ底なしの様相を呈しております。
 暮らしと経済を支えるには、新型コロナウイルス感染症対策と並行した消費税率引き下げなどの抜本的な経済対策が、いよいよ不可欠となっております。ドイツでは、ことし7月から12月にかけて消費税率を19%から16%に引き下げ、食料品に対する消費税も7%から5%に引き下げています。また、イギリスも、飲食や宿泊、娯楽などの業種で、ことし7月15日から来年1月12日まで付加価値税の税率を20%から5%に引き下げる政策を開始しております。そのほか多数の国で、時限的な消費税の減税が行われております。
 今必要なことは、消費税に依存する財政を見直し、大企業や富裕層を優遇する税制を是正するとともに、国民が願う社会保障や地域経済振興に優先して税金を使い、経済を支える個人消費を伸ばすことが求められております。
 以上のことから、請願陳情受理番号第24号は採択すべきであり、総務委員会の不採択に反対をするものです。
 以上で反対討論を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(関根敏伸君) 次に、小林正信君。
   〔3番小林正信君登壇〕

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