令和2年9月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇34番(城内よしひこ君) 自由民主党の城内よしひこです。
 当選以来12度目の登壇の機会をいただいた会派先輩と同僚議員の皆様に感謝をし、質問をさせていただきます。
 まずもって、本年、たび重なる台風災害により甚大な被害を受けられた九州地方と西日本地方にお住まいの方々に衷心よりお見舞いを申し上げ、一日も早い復旧、復興と新型コロナウイルス感染症の拡大防止を強く願い、質問に入ります。
 まず、新型コロナウイルス感染症への対応について伺います。
 昨年末、中国武漢市から発生した新型コロナウイルス感染症は、世界中に感染拡大を起こしました。我が日本においても、その感染は猛威を振るい、4月7日に7都府県に緊急事態宣言が発令され、4月16日には対象が全国に拡大するなど、国民に与える影響は非常に大きいものであり、人々の生活様式を一変させたと言っても過言ではありません。本県においては長らく感染者ゼロを維持し、県民の皆様は日々の暮らしに緊張感を持ちながら過ごしてこられました。そのような矢先、7月29日に県内においても初めて感染が確認されたことで、その緊張の糸が切れた。一方で、岩手県だけが出ないわけがないという二極的な考えがあったように思います。
 知事は5月15日の記者会見で、県民向けに、第1号になったとしても、県はその人のことを責めない。第1号の患者さんについては特に丁寧に優しく対処し、命と健康を守るようにしたいと思うし、県民の皆さんに対しても、第1号の陽性者、患者さんについては、お見舞いの言葉を送ったりとか、気持ちの中だけでも優しく接してあげてほしいと述べられました。また、第1号の感染者への誹謗中傷を受け、7月31日の記者会見では、犯罪に当たる場合もある、厳格に臨む意味で鬼になる必要があるとも強調されました。
 これらの情報発信については一定の評価はするものの、その後も感染者への誹謗中傷は後を絶たなかったと聞いております。県はインターネット上での問題ある書き込みを画像保存するなどの取り組みを行っておりますが、知事は、感染者を守るため、その後もみずから強い発信をすべきだったと思います。なぜ、県民に寄り添う形で継続をしなかったのか、知事に伺います。
 次に、コロナ禍における商工業支援策について伺います。
 県は、令和2年2月定例会中早々、新型コロナウイルス感染症対策の補正予算に着手し、スピード感を持って対応されたことについて、現場の職員の努力に敬意を表するところであります。しかし、事は思いのほか大変で、特に、東日本大震災津波からの復旧、復興については、復興期間の終了が間近となり県内経済も落ちつきを見せ始め、あわせて、たび重なる台風災害からの復旧も完了を迎えるなど、県内の経済の牽引役であった建設関連産業が一息つき始めたさなか、新型コロナウイルス感染症により移動自粛要請がなされ、県内の経済は大きく停滞しました。
 我が自由民主党会派は、3月26日と27日の2日間に、県内26団体に対し、新型コロナウイルス感染症による影響について聞き取り調査を行いました。県商工会議所連合会では、初めての経験であり、出口の見えない戦いで業界としても対応、対策がとれない、早く収束してほしい。初期段階での要望は早急に真水が必要などの意見をいただき、会派で取りまとめ、県に届けたところであります。しかし、県の補正予算は、市町村事業と重複するなど、市町村との連携不足により、本当に困っている方々にダイレクトに響く対応であったのかは、いささか疑問が残るところであります。
 そこで、この事業の制度設計をする上で、商工関係団体との意見交換は十分に行ったのか伺います。あわせて、商工業者への支援策について市町村との連携はどうだったのか伺います。
 また、今後長引くことが予想される中、年末に向けた県の対応を伺います。
 次に、新型コロナウイルス感染症による、いわて県民計画(2019~2028)への影響について伺います。
 今般の新型コロナウイルス感染症は、世界はもとより、日本国中津々浦々まで、これまで培ってきた生活様式やスポーツ、文化といった日々のあり方を見直す機会にもなりました。物理的なフェース・ツー・フェースのコミュニケーションが制限されたことから、仕事においてはテレワークや、教育においても大学ではリモート授業が行われるなど、働き方や学び方が大きく変わりつつあります。これは、東京一極集中から地方への回帰にもつながる、いわば我々地方に人を呼び込む大きなチャンスと考えるべきではないかと思います。そこで、昨年のいわて県民計画(2019~2028)策定時には想定していなかった状況にありますが、いわて県民計画(2019~2028)への影響をどのように捉え、アクションプラン等へ反映をさせるのか、知事に伺います。
 次に、コロナ禍における県内の雇用状況について伺います。
 県内景気は、東日本大震災津波からの復旧、復興が完了時期を迎え、震災前の状況に戻りつつある中、沿岸部においては、産業の旗振り役である水産業が、主要魚種のサケ、サンマ、イカ漁の不漁や、関連する水産加工業も苦戦するなど、復興特需に影を落とす大変な状況にあります。内陸部においても、岩手県の経済の牽引役であるものづくり産業が、アメリカと中国の経済摩擦や新型コロナウイルス感染症の影響を受け、県内経済にダメージを与えていると考えます。そこで、県内の雇用状況はどのように推移しているのか伺います。また、倒産や雇いどめ、解雇といった事案はどのように推移しているのか伺います。
 次に、コロナ禍における医療の状況について伺います。
 まずもって、医療現場に従事する皆様に、感謝と敬意を表するものであります。
 前段でも述べましたが、県内各種団体の新型コロナウイルス感染症の状況調査において、医療関係者の方々の切実な現場の声も県当局に届けたところであります。当初の課題は、医療用マスクや手袋、防護服、消毒液等の不足があったものの、資材の供給体制が整い、一定量の確保ができたところであり、次はPCR検査体制のあり方、かかりつけ医と保健所との関係構築といったように、時系列にその内容も変化してきました。このような中、県内では、7月下旬からこれまでに24人の感染者が確認されました。これから冬場を迎え、再び感染拡大も懸念されます。万が一、県内でクラスターが発生した場合、各医療圏における感染者の受け入れ体制はどうなっているのか伺います。
 次に、これからシーズンを迎えるインフルエンザの予防対策について伺います。
 インフルエンザ予防については、たびたび取り上げてきましたが、今シーズンはこれまでと違い、新型コロナウイルス感染症と同時流行の可能性があります。インフルエンザについては、これまでの経験から、流行や型や時期もある程度わかることと、ワクチンがあることから、早目の準備が必要ではないかと考えます。特に、高齢者や医療関係者への予防接種については、県が強いリーダーシップを発揮し、その準備をすべきであります。これまでも必要なときに予防接種ができるよう訴えてきたところでありますが、県の対応について伺います。
 次に、水産振興について伺います。
 本県の秋サケは、沿岸地域の経済を支える重要な水産資源でありますが、昨年はふ化放流事業が本格化した昭和50年代以降、最低の大不漁となり、漁業者はもとより、流通加工業者など多くの関係者は非常に厳しい経営を強いられる状況となり、早期の資源回復が望まれているところであります。
 このような中、7月下旬に公表された県の予報によれば、今年度の秋サケ回帰尾数は195万尾と不漁に見舞われた昨年の約2.5倍まで回復することが期待されるものの、東日本大震災津波前の約2割の水準にとどまり、依然として資源量の低迷が続く見通しです。今年度も、ふ化放流事業に必要な種卵の確保が心配されるところでありますが、種卵を確実に確保するためにどのような取り組みを進めているのか伺います。また、県では近年の海洋変動に適応するため、高い水温でも回帰するサケ稚魚の生産技術の開発に取り組まれているとのことですが、これまでの成果と見通しについて伺います。
 次に、トラウトサーモンの養殖について伺います。
 近年、海洋環境の変動により、秋サケだけでなく、サンマやイカなどの主要魚種の不漁が続き、本県漁業は危機的な状況にあります。このような中、昨年度から宮古市と宮古漁業協同組合では、トラウトサーモンの養殖試験を実施しており、地元の漁業者、流通加工業者など、多くの関係者が高い期待を寄せているところであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 宮古漁業協同組合では、引き続き2期目の試験を計画していると伺っていますが、県では1期目の試験結果をどのように捉えているのでしょうか。また、2期目の試験に対してどのような支援を行うのか伺います。
 次に、漁港の波浪対策について伺います。
 東日本大震災津波によって甚大な被害が生じた県内漁港の復旧がおおむね完了したことに対し、関係各位の御尽力に敬意を表します。しかしながら、近年、地球温暖化などの影響により、大型化した台風や爆弾低気圧が本県沿岸部へ頻繁に襲来するようになり、復旧した防波堤が再び被害を受けたり、漁港内にある水産関係の漁具倉庫や簡易加工場等の共同利用施設にも被害を及ぼしています。また、漁港内に係留している漁船が転覆するなどの被害も発生しています。
 今後、安心して漁業活動を進める上においても、安全に漁船を漁港内に係留できるようにするなど、早急に波浪対策が必要と考えます。県では、近年頻発する高波に対し、どのような取り組みを行おうとしているのか伺います。
 次に、港湾振興について伺います。
 本県には、四つの重要港湾があります。その重要港湾は、東日本大震災津波後、その役割と機能の充実が復旧とともに図られてきました。これまで岩手の港湾振興は本県経済の牽引役であり、昭和40年代の工業出荷額は内陸部を優に上回り、どの港町もにぎわいを見せていました。背後地の鉱山から、鉄、銅、石灰、木材などが港湾に集中し、岩手県、ひいては昭和の日本経済を支えたと言っても過言ではありません。
 その原材料が安価の外国産に取ってかわるようになり、海運から整備が進む鉄路、道路へと変化をし、ものづくり日本は高付加価値のものづくりへと変化をするにつれ、道路状況の不利地であった本県沿岸部の工業は苦戦を強いられ、港湾とともに衰退の一途をたどってきました。
 そのような矢先、2011年3月11日、東日本大震災津波により、本県の四つの重要港湾もまた甚大な被害を受けました。国の10年間の復興計画のもと、日本はもとより世界中の支援のおかげで、その港湾の復旧、復興は安全の確保として、防潮堤の整備、道路整備など、これまでに経験したことのないスピードで進められてきました。改めて、御支援くださった全ての方々に感謝いたします。
 その復興整備の中、2018年6月に、宮古市と北海道室蘭市を結ぶフェリー航路が就航したことは、被災地にとって復興の大きな後押しとなったことは言うまでもありません。同年9月6日発生の北海道胆振東部地震の際にも、その日のうちに県内の消防関係者が宮古港から支援に向かうなど、両市はもとより、北海道と岩手県が海を介した隣県であることを証明しました。そのような中、本年3月、宮古─室蘭フェリー航路の宮古港への寄港中止は、何とも残念でなりません。
 そこで、宮古─室蘭フェリー航路について伺います。現在、懸案であった宮古市以南の三陸沿岸自動車道路開通の見通しも立ち、あわせて東北横断自動車道路釜石秋田線の開通などの条件整備が整いを見せる中、その再開の見通しについて知事に伺います。
 また、フェリーの安定的な運航に向けて、宮古港の港内静穏度の向上について、どのように考えているか伺います。
 次に、リアスハーバー宮古について伺います。
 リアスハーバー宮古は、2巡目岩手国体のセーリング会場として活用され、東日本大震災津波の復興途中にもかかわらず、多くの関係者を迎え成功裏に終了いたしました。
 かつては、沿岸の高校には多くのヨット部があり、全国でもトップクラスの成績をおさめるなど、マリンスポーツにおけるすばらしい実績がありました。しかし、現在、県内では宮古高校と宮古商工高校の2校にヨット部があるだけであります。
 このリアスハーバーは港湾施設との位置づけでありますが、現在、主に高校の部活動で利用されている状況です。岩手の魅力である海を前面に押し出し、海洋性レクリエーションの振興の観点からも、リアスハーバーの一層の利活用を進めるべきと考えますが、県の見解を伺います。
 次に、県管理の国道について伺います。
 県の管理する3桁国道は16路線、実延長1、204.3キロメートルあります。特に、東日本大震災津波発災後、急ピッチで進められた新たな道路の完成により、人の流れは大きく変化しました。既に開通、供用された道路の利便性は、我々の生活を一変させるようであります。これまでハンデであった距離、時間が短縮されることによる新たな可能性とともに、通過されてしまうという大きな負の要素もはらんでいます。
 現在、急ピッチで進む道路網の整備と同時並行で、沿岸市町村ではその対策をとろうとしています。町なかに人を呼び込むにはどうするか、金のかからないことは全て試みる、そのような覚悟さえ伝わってきます。
 一方、東日本大震災津波からの復興計画から漏れた道路もあります。大槌地区の背後地にある土坂峠から、隣町である遠野市に、発災時に救助要請で使われた道路などもその一つであります。もともと、この道路の改良トンネル化は県の計画にあり、そのときに整備されていれば、救助もスピード感を持って行うことができたのではないかと考えます。今後の土坂峠トンネル化に向けた県の考え方について伺います。
 次に、国道340号立丸トンネル付近の携帯電話の通信状況について伺います。
 おかげさまで、交通の難所であった立丸峠も復興支援道路として急ピッチで整備され、2018年11月29日に宮古市と遠野市を結び全線開通したことは、関係各位に感謝を申し上げるところであります。しかし、この地域は携帯電話が通じない区間があり、その区間には民家もなく、緊急を要する事態の対応策がとられていないと言えます。その対策は急務と考えますが、県の対応について伺います。
 次に、国道340号押角トンネルの開通の見通しについて伺います。
 JR岩泉線廃止に伴い、旧JR押角トンネルを改良した新たな押角トンネルとして使用する予定であります。現在の冬場の厳しい峠越えは、岩泉町と宮古市のいずれの住民も危惧するところであり、一日も早い供用開始を望むものですが、そのめどについて伺います。また、計画に入れていただいた宮古側1.7キロメートルの整備区間の完成時期とあわせて、残る岩泉側の未整備区間の整備の見通しについても伺います。
 次に、国道106号の国直轄工事の進捗状況について伺います。
 待望久しい106号の改良工事も形になって見えてきました。国直轄の工事は間違いなく計画どおりに進むものと思いますが、交通の難所の一つである区界峠も間もなく長い冬を迎えます。事故の多い路線の改良は利用する人にとっては悲願でもあります。その供用時期はどのようになるのか伺います。
 次に、交通弱者対策について伺います。
 我が自由民主党は、先月も3日間にわたって県内33市町村へ出向き、諸課題の解決に向けた市町村要望調査を行いました。各般にわたる課題の中で根幹にかかわるものは、何といっても人口減少に起因するものが多く、特に県北、沿岸部は深刻であります。そのような中、交通弱者対策については喫緊の課題となっています。人口が減ればバス利用者が減り、高齢化が進めば運転免許の返納が進み交通弱者がふえるといった負のスパイラルに陥ってしまう。そのような状況が続くと、地域から人が出ていくという悪循環が続く傾向にあります。
 そこで、今年度廃止されるバス路線は何路線あるのか。また、廃止となる路線の代替策はあるのか伺います。
 次に、買い物難民について伺います。
 東日本大震災津波発災後、沿岸部では、被災をした商店の廃業が相次ぎました。人口流出と復興のおくれによる売り上げの減少などとあわせて、コンビニエンスストアや大型ドラッグストアの進出などにより、高齢者の憩いの場であり生活用品を買い求める場でもあった小規模小売店は、地域からなくなってきております。また、高齢者の運転免許の返納が増加しており、いわゆる買い物難民と言われる方々がふえています。宅配事業などの利用に抵抗のある方も多く、頼れる家族も遠方にいる、そのような状況がふえてきました。県としてこのような実態をどのように捉えて対策を講ずるのか伺います。
 次に、三陸鉄道と地域交通との連携について伺います。
 東日本大震災津波で、沿線の住民と高校生の貴重な移動手段であった三陸鉄道も大きな被害を受けました。国の支援策のもと、震災から8年ぶりに復旧した三陸鉄道は、昨年10月の台風第19号で再び被害を受け、被災地の方々を落胆させました。鉄路はつながってこそ、その意義を発揮すると痛感いたしました。その復旧に当たっては、我が自由民主党はいち早く政府要望を行い、復興のシンボルである三陸鉄道の復旧にスピード感を持って対応してきたところであります。
 三陸鉄道は、JRより宮古─釜石間の移管を受け、全長163キロメートルの沿線を持つ第三セクターとなりました。それにあわせて三つの新駅を設置し、新たなまちとリンクを図るなど、利用者目線での復旧、復興がなされてきました。しかし、鉄路と新たにつくられた町並みや最寄りの道路までの距離があるなど、利用者にとって使い勝手のよさがいま一つ感じられないと言わざるを得ません。地域交通のさらなる連携の必要があると考えます。
 そこで、県当局が積極的にリーダーシップを発揮し、一層の利便性を図るべきと考えますが、県の見解を伺います。
 また、新型コロナウイルス感染症対策とアフターコロナも踏まえ、三陸鉄道においても交通ICカード等の導入を検討すべきと考えますが、県の見解を伺います。
 次に、野生鳥獣対策について伺います。
 これまでも、一般質問や予算特別委員会、決算特別委員会の際に取り上げてきた課題であります。一向に対策の効果が出ないと言っても過言ではありません。この間、ニホンジカは北上し、県北はもとより青森県にまで移動、繁殖が確認されており、全国的な問題になっています。
 県内では、各市町村に設置の鳥獣被害防止対策協議会において、昨年度、約9、000頭の駆除を行っておりますが、その被害は甚大であります。人里に出て自動車と衝突し県管理道路において死骸処理された件数は、平成29年度には113頭に上ると伺いました。JR東日本盛岡支社管内においては、昨年度、鹿との衝突が419件発生し、停車するなど大きな影響が出ています。今、抜本的な対策を講じなければ、将来に禍根を残しかねません。
 また、イノシシについても、震災後一気に拡散をし、その被害も県内に広がっています。人的被害はいまだにないものの、農作物の被害は増加の一途をたどり、近年、これらの野生鳥獣に加えてハクビシンの被害もあると相談を受けています。
 県として、これまでの対応では、課題解決につながらないと言えます。被害を受ける農林業関係者は、多くが泣き寝入りではないかと思われ、その被害調査についても簡易に申告できる体制が必要と考えるところであります。これらの駆除のあり方に本腰を入れて行う必要があると考えますが、その実態と今後の対応について伺います。
 次に、ツキノワグマ被害の低減に向けた取り組みについて伺います。
 岩手日報には毎日のようにツキノワグマの被害情報が出ています。ことしは県内に満遍なく出没し、被害も増加傾向にあります。人的被害も出ている中、これまでの保護から一歩踏み込んだ考え方も必要と思います。人口減少に伴い、里山を管理する人々もいなくなり、そのような環境に野生鳥獣がふえてくる。その対策もまた急務であります。
 保護に向けた個体数の調査も適切に行った上で、被害の低減のための取り組みを強化すべきと考えますが、今後の対応について伺います。
 最後に、特殊詐欺について伺います。
 関係各位においては、特殊詐欺の未然防止に対する活動に敬意を表する次第であります。しかし、特殊詐欺が後を絶たない状況にあることは残念でなりません。その手口は巧妙で常に変化しており、事例等を周知すると次が出てくる、まさにイタチごっこであります。被害の大半は高齢の方々であり、これまではオレオレ詐欺など、孫に成り済ますなどといった手口でありました。その対策も周知徹底が行き届くと、また新たな手口に変化をしていく。水際である金融機関がその対応を徹底すると、コンビニエンスストアを利用した詐欺が横行するありさまです。中には、少額だからといって泣き寝入りをするケースもあると聞きました。
 そこで、本県の現状について伺います。被害の状況はどのように推移し、その手口はどのように変化してきているのでしょうか。警察本部長に、これらの取り組みと課題解決に対する決意をお伺いし、壇上からの質問を終わります。
 なお、答弁によっては再質問を行います。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 城内よしひこ議員の御質問にお答え申し上げます。
 感染者に対する誹謗中傷等への対応についてでありますが、県では、岩手県新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針において、患者、感染者、その家族や治療、対策に携わった方々等の人権が侵害される事態が生じないよう、適切に取り組むこととしております。
 7月29日に本県で初めて感染者が確認され、これまで24名の感染が確認されたところでありますが、感染された方やその家族などに対する誹謗中傷や差別的な行為があったことから、誹謗中傷等は人権擁護の観点から決して許されないことについて、県民の皆様に対し、定例記者会見や県本部員会議におけるメッセージなど、機会あるごとに呼びかけてきたところであります。
 これらの呼びかけにより、感染された方の勤務先に対して、誹謗中傷ばかりではなく、お見舞いや感染を公表したことに対する感謝のメッセージも多数寄せられていることが確認できているところであります。
 今後においても、感染された方等への誹謗中傷や差別的な行為に対して厳格な姿勢で臨むほか、県民に寄り添いながら、個人の尊厳を守り、県民一人一人がお互いに支え合いながら、幸福を追求していくことができる地域社会の実現を目指すことについて、引き続き呼びかけてまいります。
 次に、いわて県民計画(2019~2028)への影響についてでありますが、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、東京一極集中の是正や地方の暮らしやすさが広く認識される契機となっており、感染防止対策をしっかり行うことが地方創生にもつながるとの考えのもと、地方がよりよくなっていく政策の流れをつくっていきたいと考えております。
 こうした方向性は、県民の幸福を守り育て、地方の暮らしや仕事を起点とする政策を進めようとするいわて県民計画(2019~2028)と軌を一にするものであり、新型コロナウイルス感染症対策に向き合うことが、いわて県民計画(2019~2028)の目標に真っすぐ向かっていくことになると考えております。
 このため、いわて県民計画(2019~2028)の基本目標である、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてにより力強く向かっていけるよう、アクションプランに掲げる取り組みについて、新型コロナウイルス感染症対策を踏まえ、新たな事業の追加や事業のブラッシュアップを進め、感染拡大の防止と社会経済活動の両立を図ってまいります。
 次に、宮古─室蘭フェリー航路の寄港再開の見通しについてでありますが、宮古─室蘭フェリー航路の就航は、三陸地域の復興に大きな力を発揮するものであり、また、北海道胆振東部地震では緊急車両を輸送するなど、災害時も含めてフェリー航路が果たす役割は大きいものと認識しており、県としては、寄港再開に向けて宮古市等と連携した取り組みを行っているところであります。
 寄港再開に当たっては、トラックの利用拡大が課題となっていることから、昨年度は宮古─室蘭フェリー航路を利用した物流事業者やトラックドライバーを対象に、航路利用に係るニーズを把握するためのアンケート調査を実施したところであります。
 また、今年度は、三陸沿岸道路の宮古以南が全線開通し、物流機能の強化が図られることから、この効果をトラックの利用拡大につなげていくため、県内及び隣県の荷主企業約900社を対象として、取り扱い貨物や輸送ルートなどの動向を調査するとともに、企業へのヒアリングを行うこととしております。
 現在のところ、寄港再開の見通しを確認するには至っていませんが、フェリー運航会社も参画する宮古・室蘭フェリー航路連絡調整会議の場を活用しながら、調査で得られた企業動向や道路ネットワークの効果などを共有し、寄港再開に向けた働きかけを続けてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事兼環境生活部長藤澤敦子君登壇〕
〇企画理事兼環境生活部長(藤澤敦子君) ツキノワグマ被害の低減に向けた取り組みについてでありますが、ツキノワグマは岩手県に生息、成育する希少な動植物について取りまとめた、いわてレッドデータブックに記載されており、個体群の維持に配慮が必要な野生動物でありますが、本県では近年、出没や捕獲頭数が高い水準で推移し、人身被害や農業被害などが続いている状況にございます。
 このため県では、平成30年度から3カ年にわたって生育数の大規模調査を実施しており、令和元年度に推定生息数の見直しを図り、捕獲上限数を引き上げ、被害の低減に向けた個体数管理に努めているところであります。
 また、人里への出没の抑制を図るため、狩猟期間の延長のほか、廃棄果樹や生ごみなどの誘引物の適正な処理、電気柵の設置などによる防除対策の呼びかけ、ブナやナラなどの豊作、凶作に応じた注意報による出没の注意啓発などに取り組んでいるところであります。
 今後におきましても、人とツキノワグマの共生に向けて、市町村や猟友会の方々と連携して、防除対策と捕獲を行いながら被害の低減に努めてまいります。
   〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) まず、コロナ禍の商工業支援に係る商工関係団体や市町村との連携についてでありますが、県では、ことし3月以降4回にわたり、商工指導団体や金融機関が出席する新型コロナウイルス感染症に係る経済金融連絡会議を開催してきたところであります。
 この会議では、県内事業者の状況を共有するとともに、今後の対応について意見交換しており、支援策を検討する際の参考としてまいりました。また、商工指導団体を通じ支援策を講じる場合には、さらに各団体にヒアリングを行った上で制度設計しております。
 市町村との連携につきましては、例えば飲食店等に対する家賃補助や地元住民に対する宿泊費助成については、市町村と県とが共同実施する経済対策事業として制度設計し、市町村には事前にメールや電話で趣旨を説明しながら事業化を働きかけ、市町村事業への補助制度として実施しているところでありまして、事業の円滑な実施を図るため、市町村や商工指導団体等に対する説明会も開催しているところであります。
 今後とも、商工指導団体や市町村の考えを丁寧に酌み取りながら、緊密な連携を図ってまいります。
 次に、年末に向けた県の対応についてでありますが、経営支援の前提として、まずは各事業者の感染症対策の徹底が必要と認識しており、県といたしましては、宿泊業、飲食業、運輸業など経営状況が厳しい業種を対象に、感染症対策に要する経費を支援し、事業者に対し徹底した感染症対策を促しているところであります。
 その上で、県産品の消費を拡大する買うなら岩手のもの運動や、観光流動を促進する宿泊割引クーポンなどの需要喚起策に加え、国が実施しているGo To トラベルなどのキャンペーンも最大限活用し、地域経済の活性化に取り組んでいます。
 また、年末に向けましては事業者の資金需要が増加すると考えており、これに対応するため、一般会計第4号補正予算において、新型コロナウイルス感染症対応資金及び対策資金、合わせて2、000億円の融資枠を確保したところでありまして、引き続き金融機関と連携し、事業者の資金繰りを支援してまいりますほか、新しい生活様式に対応したビジネスモデルへの転換や、生産性向上の取り組みが進むよう支援してまいります。
 次に、県内の雇用状況についてでありますが、県内の有効求人倍率は、これまで87カ月連続1倍台だったものが、8月には0.99倍と低下傾向に推移しています。また、令和2年の県内企業の倒産件数は、8月現在で32件と、昨年同月比で5件増加しておりまして、東京商工リサーチによると、新型コロナウイルス感染症関連の倒産は4件とされています。
 解雇、雇いどめ等については、岩手労働局及びハローワークが相談を受けた事業所数及び人数が10月2日現在で64事業所、481人となっておりまして、さらに厳しい状況が続くことも懸念されますことから、今後ともその動向を注視し、必要な対応を行ってまいります。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、クラスター発生時の医療対応についてでありますが、本県では、新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れるための病床として、大規模クラスター発生も想定し、重点医療機関等の指定を行うなどにより、療養者が1名である現時点においても、即時受け入れ可能な病床を150床以上、また軽症者等宿泊施設は85室確保しているところであります。
 また、医療圏内の受け入れ病床が不足する場合や、患者の重症度に応じて医療圏を越えた受け入れが必要な場合などには、県で設置している入院等搬送調整班において搬送先の調整を行っています。
 このほか、高齢者施設等でのクラスターの発生に備え、現地において医療関係者が施設内の感染対策の指導や入所者のトリアージを行い、受け入れ先の調整等を行う、仮称でございますが、いわて医療福祉施設等医療支援チームの設置による体制強化の取り組みを進めているところであります。
 次に、季節性インフルエンザの予防対策についてでありますが、今冬については、季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時流行が懸念されていることから、季節性インフルエンザの予防接種は例年にも増して重要であり、県としても、まずは、リスクの高い高齢者や基礎疾患を有する方、医療従事者等への接種が必要と考えています。
 今般、国からの今冬のインフルエンザワクチンの優先的な接種対象者への呼びかけについての事務連絡が示され、その内容を盛り込んだ岩手県インフルエンザ対策実施要領を市町村等関係機関に通知したところであります。引き続き、医薬品卸業協会、医師会、各市町村との情報共有に努め、必要な方が適時的確に予防接種を受けられるよう、実施主体である市町村を支援してまいります。
   〔農林水産部長佐藤隆浩君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) まず、秋サケの種卵確保についてでありますが、今年度の秋サケ来遊は、水産技術センターの予報によれば、前年を上回るものの震災前と比べ約2割にとどまるため、河川に遡上するサケのみでは目標とする4億6、000万粒の種卵の確保は難しい見通しにあります。
 このため県では、水産関係団体と調整を図り、昨年度よりも早い時期から定置網で漁獲されるサケを積極的に活用することとし、県下全体のふ化場と定置網漁業者が協力して種卵の確保に取り組んでいるほか、北海道等からの種卵の移入について協議、調整を進めているところです。
 また、海洋環境の変動に適応した種苗生産技術の開発については、高い水温でも回帰する北上川水系のサケの遺伝子情報を解析した結果、北上川水系のサケは、高水温の環境に置かれた場合、魚体の細胞を熱から保護するたんぱく質を特徴的に増加させる遺伝的特性があることを確認したところであります。今後、この遺伝的特性と高水温耐性との関連性等の調査研究を進めるとともに、沿岸河川においても高水温に適応できるサケの地域個体群を探索し、その個体群の特性を活用した種苗生産技術の開発を進めるなど、サケ資源の早期回復に全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、トラウトサーモン養殖についてでありますが、宮古地域では令和元年11月から令和2年7月に第1期の養殖試験を実施し、二つの生けすに2万3、000尾の種苗を収容して飼育を行ったところ、順調に成長し、生産目標50トンを上回る約52トンの生産実績を上げたほか、波浪に対する生けすの耐久性も確認され、今後の事業化に向けて大きな手応えをつかんだと聞いております。
 初水揚げされた宮古魚市場においては、鮮度や肉質のよさから、流通加工事業者の評価は高く、他産地よりも高い値段で取引されたほか、瓶ドンやみそ漬け加工品等、トラウトサーモンを利用した宮古地域ならではの商品も開発されており、水産業の振興にとどまらず、今後、観光振興など地域経済の活性化にも寄与するものと期待しています。
 また、来月から実施予定の第2期養殖試験については、第1期の約2倍となる5万尾を飼育する計画と伺っており、県では、引き続き魚病対策などの指導、助言を継続するとともに、新たに収益力や技術力の向上に資する勉強会を開催するなど、宮古市とも連携を密にし、地域の新たな養殖事業の展開を積極的に支援してまいります。
 次に、漁港の波浪対策についてでありますが、県では漁港泊地の静穏域を確保するため、これまで防波堤のかさ上げや消波ブロックの設置などを進めてきましたが、近年の台風や低気圧の大型化に伴う異常な高波の発生により、防波堤の倒壊や漁船の破損、転覆等の被害が生じており、これに対応した施設整備が必要であると認識しております。
 このため県では、頻発する高波への対応策として、平成29年度に設計波高をおおむね1メートル程度引き上げたところであり、新たな設計波高に基づき、今年度は宮古市の重茂漁港など8漁港で護岸等のかさ上げや拡幅などを実施しています。
 今後とも、漁業関係団体や関係市町村と連携しながら、防波堤等の機能強化を図り、漁船が安心して漁港に係留できるよう、災害に強い安全な漁港づくりを積極的に進めてまいります。
 次に、野生鳥獣の被害対策についてでありますが、県では、野生鳥獣による農作物被害を防止するため、有害鳥獣の捕獲のほか、侵入防止柵の設置や地域ぐるみでの被害防止活動の支援などを進めております。
 特にニホンジカについては、有害捕獲と個体数管理のための捕獲等を合わせ、年間1万頭以上を目標に掲げて捕獲に取り組んでおり、平成29年度以降の捕獲実績は年間1万2、000頭以上となっています。
 こうした中、今年度のニホンジカの捕獲目標は、野生鳥獣対策のさらなる強化を求める地域からの要望等を踏まえ、昨年度の目標を2、300頭上回る1万4、500頭としたところであり、県では、関係団体等と連携して、新たに集中捕獲キャンペーンを展開し、わなの増設等により、ニホンジカやイノシシなどの一層の捕獲を進めることとしています。
 今後とも、市町村や関係団体と緊密に連携しながら、被害実態の把握と鳥獣被害防止対策の充実強化に取り組んでいきます。
   〔県土整備部長中平善伸君登壇〕
〇県土整備部長(中平善伸君) まず、宮古港の港内静穏度の向上についてでありますが、これまで宮古─室蘭フェリーについては、台風等に伴ううねりの影響で宮古港へ寄港できないことがあったことから、県では、フェリーの安定的な運航のため、タグボートの確保や係留補助装置の整備等に取り組んできたところであります。
 さらなるフェリーの安定的な運航のためには、港内の静穏度を向上させる新たな防波堤の整備が必要と考えています。この新防波堤の整備のためには、おおむね30年先の宮古港の将来ビジョンとなる長期構想を策定した上で、法定計画である港湾計画を改定し、長期構想と港湾計画のそれぞれに新防波堤を位置づける必要があります。
 現在、宮古港長期構想の年度内の策定に向けて作業を進めているところでありまして、港内静穏度向上に向けまして、今後の貨物等の需要見通しを踏まえて、港湾計画の改定について検討してまいります。
 次に、リアスハーバー宮古の利活用についてでありますが、リアスハーバー宮古はヨット競技の普及等を目的に設置したものであり、その利用状況については、宮古高校や宮古商工高校のヨット部の活動や、指定管理者によるシーカヤック教室等に利用されているところです。
 県では、現在策定を進めている宮古港長期構想において、リアスハーバー宮古を含む神林地区を、県民や観光客が海に親しみ余暇活動に親しむ機会の創出を目指す交流拠点ゾーンとして位置づけています。
 今後、リアスハーバー宮古の一層の利活用に向け、指定管理者や宮古市等の関係機関と連携し、マリンレジャーの体験メニューづくりなど、長期構想の具体化に向けて取り組んでまいります。
 次に、土坂峠のトンネル化についてでありますが、主要地方道大槌小国線は、大槌町から国道340号を結び、沿線地域の日常生活を支える大切な路線であると認識しておりまして、これまで大槌町金沢地区などにおいて拡幅事業を進めてきたところであります。
 土坂峠のトンネル化については、急峻な地形であり、大規模な事業となることから、慎重な検討が必要と考えており、復興道路開通後の交通の流れの変化や公共事業予算の動向等も考慮しながら、総合的に判断してまいります。
 また、この区間には、落石対策などののり面防災対策が必要な箇所があることから、現在、防災事業を計画的に進めているところであり、引き続き日常生活を支える安全な道づくりを推進してまいります。
 次に、国道340号押角トンネルの開通の見通しについてですが、押角トンネルを含む押角峠工区については、トンネル本体工事やトンネル舗装工事が終了し、現在、電気通信整備工事やトンネル前後の改良舗装工事を進めるなど仕上げの段階を迎えており、令和2年度内の一日も早い供用を目指し工事を推進しているところであります。
 押角峠工区に接続する宮古側1.7キロメートルの区間については、今年度、和井内─押角工区として事業化し、現在、測量や設計を進めているところであり、早期の工事着手に努めていきます。
 また、岩泉側については、ルートや構造、優先区間の検討など、引き続き必要な調査を継続し、和井内─押角工区の進捗も踏まえながら事業化について検討してまいります。
 次に、国道106号の国直轄工事の進捗状況についてですが、国が復興支援道路として整備を進めている宮古盛岡横断道路については、ことし7月、宮古箱石道路の一部区間である宮古西道路が完成し、宮古港と直結しました。現在は、宮古箱石道路に加えて、区界道路と平津戸松草道路の整備が進められており、このうち区界道路については、令和2年内の開通に向けてトンネル設備やトンネル前後の舗装工事などが行われていると国から聞いております。
 残る宮古箱石道路と平津戸松草道路については、令和2年度内の開通が予定されていることから、県としては、一日も早い全線開通を国に要望してまいります。
   〔ふるさと振興部長佐々木淳君登壇〕
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君) まず、国道340号立丸トンネル付近の携帯電話の通信環境についてでありますが、非居住エリアにおける携帯電話不感地域の解消は、住民や来訪者の安心・安全の確保の観点から重要な課題と認識しており、これまで、通信事業者に対し、その解消に向け要請を行ってきたところです。また、国においては、これまで居住エリアに対する不感地域の解消を対象としていた補助事業について、今年度から一定の交通量のある道路等の非居住エリアも補助対象とする見直しを行ったところです。
 このことから、現在、市町村と連携し、非居住エリアを対象とした補助事業の活用に向け、整備方法の検討を行っているところであり、通信事業者に対しても不感地域の解消についてさらに要望を行うなど、不感地域の解消に努めてまいります。
 次に、廃止されるバス路線についてでありますが、今年度廃止されたバス路線は、一関市の大籠線や盛岡市の好摩直通線など11路線となっています。また、今年度末をもって、西和賀町の貝沢線と沢内線の2路線が廃止される予定となっております。
 既に廃止された路線につきましては、例えば、大籠線は一関市が市営バスを新たに運行し、また好摩直通線は別のバス会社が運行を継続するなどにより、代替交通の確保が図られております。
 また、今後廃止が予定されている路線につきましても、関係者により代替交通の確保に向け検討が行われる予定でございます。
 県といたしましては、市町村がデマンド交通等を導入する場合に要する経費や、国や県の補助対象路線から転換した代替交通の運行経費の補助、代替交通の確保に向けた検討への参画などを通じて、引き続き代替交通の確保を支援してまいります。
 次に、買い物難民対策についてでありますが、県内の65歳以上の運転免許自主返納者は、令和元年中は5、073件と、前年と比較し1、321件の増加となっており、こうした高齢者等の需要に応じた支援を行っていくことが重要と考えております。
 これまで県では、生活者の足を確保するため、デマンド交通の導入に対する支援などを行ってきたほか、IoT技術を活用したドローン物流の実証実験や、県立大学との共同研究による中山間地域における高齢者の生活支援など、日常生活における利便性の確保に向けた調査研究にも取り組んでおります。
 また、県内においては、介護サービスと連携した買い物支援や、NPOによる町内輸送の取り組みなど、市町村と地域の団体が連携し買い物代行に対応している事例もあるところです。
 引き続き、市町村に対しこのような先進的な事例や研究成果等について広く情報提供しながら、多様な主体と連携し、地域の特性に応じた取り組みを支援していく考えであります。
 次に、三陸鉄道と地域交通が連携した利便性向上についてでありますが、復興まちづくりとして災害公営住宅等の生活拠点、道路、鉄道の新駅など、まちが新たに形成される中で、三陸鉄道とバス等の二次交通の連携は、住民の利便性向上や三陸鉄道の利用促進の面からも重要なものと認識しております。
 これまで三陸鉄道では、岩泉町や田野畑村など町村営バスとの接続に配慮したダイヤ設定を行い、県では、活性化支援アドバイザーの派遣や、例えばですが、山田町のまちなか循環バスの実証運行など、鉄道と二次交通が連携した取り組み等の支援を行ってきたところであります。
 今後とも、こうした市町村と連携した取り組みを進めるほか、県、沿岸市町村、三陸鉄道等の関係者において、二次交通のあり方も含め、三陸鉄道の利便性向上の検討を進めてまいります。
 次に、三陸鉄道への交通ICカードの導入についてでありますが、交通ICカードは、乗車や乗りかえの負担が軽減されることに加えて、電子決済機能を有していることから、新しい生活様式の推進にも資するものと認識しております。
 一方、交通ICカードの導入には、初期投資に多額の経費を要するなど課題も多いものと考えております。県といたしましては、三陸鉄道の経営状況も踏まえ、現在、平泉駅以南の導入となっているJR東日本の動向も注視しながら、沿線市町村や三陸鉄道とともに、交通ICカードの導入可能性について研究してまいります。
   〔警察本部長大濱健志君登壇〕
〇警察本部長(大濱健志君) まず、特殊詐欺被害の推移についてでありますが、平成28年以降、認知件数、被害額とも減少傾向で推移しているところ、令和元年は増加に転じており、依然として高齢者の被害が多くを占めております。
 なお、本年9月末現在の認知件数、被害額は、昨年同期比で減少となっております。
 次に、手口についてでありますが、平成30年までは架空請求詐欺の被害割合が高かったところ、昨年来、第三者を介在させずにキャッシュカードをだまし取る手口や盗み取る手口が多く発生しております。
 今後の取り組みについてでありますが、検挙にまさる防犯なしと言われておりますとおり、まずは徹底した捜査を進め犯行グループを検挙してまいります。
 具体的には、だまされたふり作戦による受け子、出し子といった現金受け取り役の末端被疑者の検挙及び指示役等の上部被疑者への突き上げ捜査による検挙を徹底するとともに、犯行に使用されました預貯金口座の凍結や電話の利用停止要請等、犯行ツールの無力化措置を確実に実施し、犯行ツール提供業者の摘発もしっかりと推進してまいります。
 また、被害防止対策につきましては、県内の金融機関においてキャッシュカードの利用限度額の引き下げを実施していただいているところでありまして、引き続き関係機関、団体との連携を強化するとともに、県民の皆様に、特殊詐欺の手口と被害防止対策の周知を図り、犯人のうそに気づく力を身につけていただくことに重点を置いた広報啓発活動を強化するなど、県民の皆様の財産を保護するため、情勢の変化に対応した、より効果的な対策を強力に推進してまいります。
〇34番(城内よしひこ君) それでは、再質問させていただきます。
 商工業支援については、年末に向けたより一層の厳しさが現地、現場にはありますので、その対応は、本当に寄り添う形で、伴走する形で取り組んでほしいと思います。
 そこで、現状、先ほどの質問の中でちょっと聞き漏らした点がありますのでお伺いしますが、休業の状況は捉えているのか。また、雇用調整助成金の執行状況はどのように推移しているのか伺います。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 休業の状況についてでありますが、岩手労働局によりますと、休業あるいは短時間休業によりまして、雇用調整助成金の支給申請を行った事業所数という形で捉えておりますけれども、10月2日現在で、これは累計ですが2、288事業所となっております。もちろんこの中には、休業から再開した事業所も含まれているということではあります。
 それから、雇用調整助成金の執行状況の推移でありますけれども、10月2日現在の支給決定が2、147事業所、延べ6、740件となっておりまして、約1カ月前の9月4日と比較いたしますと、394事業所1、614件増加している状況にございます。
 今後とも、この状況をしっかりと把握しながら対応してまいりたいと思います。
〇34番(城内よしひこ君) ぜひ、事業者が苦しんでいる声にしっかりと耳を傾けて、その聞き取りをしてほしいと思います。
 次に移ります。
 主要魚種の一つであるサンマが不漁との報道がなされました。この時期、沿岸部では、サンマ祭りやサンマの地方発送など、買い請け人や加工業者が通常の事業がない中で大打撃を受けています。今後のサンマの見通しについて伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 今後のサンマの見通しということでございます。
 本県の9月30日現在のサンマの漁獲量でございますが、約47トン、昨年同期の27%にとどまっておりまして、不漁であった昨年をさらに下回る状況になっております。
 国の研究機関によりますと、サンマの来遊量は10月以降も昨年を下回り、さらに中期的な見通しについても資源量は低い水準で推移するとされておりまして、サンマ漁獲量の急速な回復は現在のところ見込めない厳しい状況にあると思っております。
 サンマの不漁は、漁業者の収入減に直結いたしますほか、水産加工業者の原料不足等にもつながりまして、生産から流通加工に至る関係事業者の経営に深刻な影響を及ぼすと認識をしております。
 県では、漁業共済の早期の支払いの働きかけ、それからサンマ小型船の代替漁業としてのマイワシの試験操業を昨年に引き続き実施いたしますほか、漁業者の収入確保を支援するということにしております。
 水産加工業者の原料確保に向けては、市町村や漁協が実施をいたしますまき網船の誘致活動を支援いたしますとともに、加工原料の転換に係る勉強会の開催や、転換に必要な機器導入費等の支援などに努めてまいります。
   
〇副議長(中平均君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時56分 休 憩
   
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 千 葉 絢 子 君
12  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 田 村 勝 則 君
15  番 佐々木 朋 和 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 岩 渕   誠 君
20  番 名須川   晋 君
21  番 佐々木 宣 和 君
22  番 臼 澤   勉 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 吉 田 敬 子 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 軽 石 義 則 君
31  番 郷右近   浩 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時17分 再開
〇副議長(中平均君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。高橋はじめ君。
   〔32番高橋はじめ君登壇〕(拍手)

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