令和2年9月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇32番(高橋はじめ君) 希望いわての高橋はじめであります。
 今任期2度目の登壇の機会をいただきましたことに、会派各位に感謝申し上げます。
 質問に先立ち、間もなく未曾有の東日本大震災津波被災から10年を迎えることから、震災や関連で亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたし、被災された全ての皆様に心からお見舞い申し上げます。
 また、本県を初め全国各地で集中豪雨や地震、台風等で亡くなられた方々、被災された方々、並びに今コロナ禍で亡くなられた方々の御冥福とお見舞いを申し上げます。
 重複する項目もありますが、通告に基づき順次質問いたします。
 初めに、先月発足した新政権について伺います。
 安倍内閣は9月16日に総辞職し、同日、菅首相による新政権が誕生しました。安倍政権は、3年半の民主党政権から政権を奪取し、憲政史上最長と言われる首相在任は7年8カ月に及び、政権内容のよしあしを別にして、365日24時間にわたるトップリーダーとしての御活躍に敬意と御慰労を申し上げます。
 安倍前首相は、就任早々に東日本大震災津波からの復興等に取り組まれたが、一方で強権的な政権運営や不十分な審議での法改正、国内隅々まで届くはずの経済対策が富裕層にとどまる等のほか、官僚人事を官邸の手中におさめたことから官僚のそんたく政治が横行し、森友、加計問題や、桜を見る会の政治利用など、数々の問題が噴出した政権でもありました。
 民主党政権下と安倍政権下で知事職を担ってこられた達増知事に、安倍政権についての評価及び2度の非自由民主党政権と比較しての知事の所感を伺います。
 第99代内閣総理大臣に、隣県秋田県出身の菅義偉氏が就任されました。北東北3県で連携を強めている中での総理誕生は、喜ばしいもの、力強いものと感ずるものでありますが、国民の審判を受けておらない任期1年の臨時内閣的色彩が濃く、また派閥首領の談合によって誕生し、安倍政権の継承、決めた政策に反対する官僚は異動させる方針との恫喝や、官房長官時の記者会見で、問題ない、批判は当たらない、適切に処理しているなど、安倍前首相とともに説明責任を拒絶されている姿からは、多くを期待できないものと感ずるところであります。
 加えて、国民のために働く内閣との言葉は、安倍政権は誰のために働いたのかと驚きと疑問を抱くとともに、本質を暴露したものと思いました。
 今後、新型コロナウイルス感染症の終息に向けた取り組み、医療体制の充実はもちろんのこと、深刻化する不況と失業対策、疲弊している県や市町村の財政支援等を十分に行えるのか、行政課題についてどう答えを出していくのか危惧されるところであります。
 期待も含め、知事に菅政権発足についての所感を伺います。
 次に、新型コロナウイルス感染症への対応について伺います。
 昨年秋に中国武漢で発生したと言われる新型コロナウイルス感染症は、本年に入り全世界に感染拡大し、WHOがパンデミックを宣言しました。
 我が国においても、3月から5月にかけて第1波が到来し、ピーク時を脱したものの今もって終息に至らず、現在も一進一退の状況にあります。
 本県では、7月28日まで感染者が確認されておらず、国内外から注目を浴び極度の緊張感の続く日々でありましたが、一方で、最初の感染者への非難は絶対あってはならないとの知事の発言もありました。このように、全国に比較し感染者が少ない、亡くなった方が一人もいないという本県の現状を、知事はどのように受けとめているのか伺います。
 この新型コロナウイルス感染症については識者によってさまざまな見方がなされ、WHOの新型コロナウイルス感染症技術責任者は、近年のウイルスと比較し、感染者に占める死亡率は低いが感染力は強い。インフルエンザとの比較では入院や集中治療室入りが必要な患者の割合が高い。致死率が0.6%と見られるが、特に高齢者や基礎疾患のある人には、命にかかわる非常に危険な病気だと話しています。
 一方、京都大学大学院特定教授の上久保靖彦氏、吉備国際大学教授の高橋淳氏が、新型コロナウイルス感染症に関する論文を発表。その内容を要約すると、既に多くの日本人は免疫を獲得しているので、新型コロナウイルス感染症を恐れる必要はないとのことであります。悲観、楽観双方の見方がありますが、備えあれば憂いなしのことわざもあります。
 通年、この晩秋の時期からインフルエンザが流行していますが、あわせて、新型コロナウイルス感染症の第2波が到来するのではという懸念があります。今後、県内の新型コロナウイルス感染症対策をどのように進める考えかについて伺います。
 日本銀行盛岡事務所の7月、8月金融経済概況によれば、全体判断を厳しい状況にあるが持ち直しの動きが見られているとし、6月の厳しい状況が続いているとの判断から上方修正しました。
 県内の商工団体の話を伺えば、爪に火をともすような状況だ、特に飲食業事業者が一番厳しいのではないかとの見方であります。
 コロナ禍の中、県内中小企業の経営状況をどう捉え、年度末に至る推移をどう捉えているかについて伺います。
 加えて、晩秋から明年春までインフルエンザとあわせ第2波が到来するとの予測があることから、県内中小企業における厳しい業種への支援を、年内、年度内の2区分に分けるとしたら、どのような経営支援策を検討する考えかについて伺います。
 新型コロナウイルス感染症の影響により解雇、契約打ち切り、事業所閉鎖による失業など、労働者の雇用環境が悪化してきております。先週、岩手労働局は、本年8月の有効求人倍率が0.99倍と前月を下回ったことを発表。有効求人倍率が1.0を下回ったのは、2013年4月以来、実に7年4カ月ぶりであり、雇用情勢の一層の悪化も懸念されているところであります。本県の労働者が置かれた現状をどう認識し、今後をどう予測し、どのような支援策を講じていくのかについてお示しください。
 次に、東日本大震災津波からの復興推進について伺います。
 政府は9月末、復興庁の出先機関である岩手復興局を、東日本大震災津波発災から丸10年経過する来年4月に釜石市に移す政令を閣議決定しました。
 時の流れは猛スピードで、5カ月後の来年3月に丸10年経過いたします。この間、大規模被災3県のうち、本県及び宮城県では、防潮堤等の安全施設、災害公営住宅や市街地再生等の暮らしの再建、事業所や港湾整備、道路等の整備などなりわいの再生は復興計画に基づき順調に進められていますが、原発事故で放射能汚染に見舞われた福島県の復興再生は道半ば、これから本格的に取り組まなければならない中にあって、菅内閣のスタートの基本方針に、安倍内閣では必ず盛り込まれていた東日本大震災からの復興が消えていました。後の平沢勝栄復興大臣記者会見での説明では、たまたまそういうことになった、復興を軽視しているわけではなく、最も重要な課題の一つだとの菅首相の言葉が明らかにされております。
 このような事態は、政府内において未曾有の大災害が風化していることを示している証左であり、また、令和3年度予算において復興庁の概算要求額が大幅に減額となったことについて、本県の復興推進プラン遂行に問題を生じないのかを含め、知事の所感を伺います。
 県では、さきの東日本大震災津波復興特別委員会において、国の第2期復興・創生期間(2021~25年度)の取り組み内容が明らかになったことを受け、いわて県民計画(2019~2028)第1期アクションプラン、復興推進プランの見直しに着手する方針を示しましたが、復興推進プランの見直しで重要視する事項は何かについて伺います。
 次に、市町村広域自治への支援と県広域振興局再編について伺います。
 2000年の地方分権一括法施行以来、市町村への権限移譲が順次行われ、本年4月1日現在で移譲事務合計121法令、1、440項目、1万137事務ということであり、市町村の事務量がかなりふえていると推察されますが、現状をどのように捉えているのでしょうか。
 年々、住民人口と職員数が減少傾向にあり、また一般財源の確保が重要な課題となる中、合併特例債や過疎債などの償還により公債費の負担がふえている自治体もあり、自治体財政は一層厳しさを増してきているように感ずるものであります。
 このような中にあって、人的資源を有効的に活用することや経費を可能な限り縮減するために、自治体共通事務を幅広く担う広域行政組織体を構築し、その中で処理すべきと思いますが、県として、市町村事務をどう捉え、助言や支援をしていく考えかについて伺います。
 県広域振興局が設置されて14年目となります。当初、県南広域振興局が先行し、その後、3広域振興局が設置され、それぞれの圏域で地域のパワーを結集し、一定の評価を得られてきたものと推察されます。
 この間を振り返りますと、南北に北上高地があることや北上高地を横断する道路事情もあり、縦軸を基調とした振興局圏域となっていることもあって、東日本大震災津波からの復興での内陸と沿岸の連携に課題があったことや、4広域圏間でのさまざまな格差が生まれてきたように思います。これらの課題を解決するために、現状4広域振興局の南北基軸を横軸基軸へ、第2期アクションプラン作成に向けて圏域エリアを再編すべきではないでしょうか。
 例えば、県南は胆江、両磐、気仙地区、県央が花北、遠野、釜石地区、盛岡が盛岡、紫波、滝沢、雫石、宮古地区、そして県北が八幡平、岩手、二戸、九戸、久慈地区の4広域圏が想定されます。既に農業分野では、JA花巻が花北、遠野、釜石のエリアとなっておりますし、観光分野では、現在NEXCO東日本で実施している岩手湯めぐりサービスキャンペーンで横軸の四つの圏域を設定して取り組んでいるなどの例も見受けられます。
 このような横軸4圏域による広域振興局圏域の設定について、所感を伺います。
 次に、北上川バレープロジェクトの推進について伺います。
 県では、いわて県民計画(2019~2028)において、自動車関連産業と半導体関連産業をものづくり産業の中核産業と位置づけ、グローバル拠点化を推進していくこととしております。
 自動車関連産業については、トヨタ自動車東日本株式会社の相次ぐ新車種の生産により、今後も好調が続くものと見込まれます。
 半導体については、一昨年までの好調な状況が、昨年は一転して厳しい状況にあったと聞いていますが、一般社団法人日本半導体製造装置協会の観測では、2030年に世界で生成されるデジタルデータ量は2015年の50倍に増大すると予測されており、半導体、特にメモリ需要は将来的に拡大していくものと思われます。
 県内では、北上市のキオクシア岩手株式会社や株式会社ジャパンセミコンダクター、金ケ崎町の株式会社デンソー岩手、奥州市江刺の半導体製造装置メーカー、東京エレクトロンテクノロジーソリューションズ株式会社など、県南を中心に半導体関連企業が集積していますが、知事は本県の半導体関連産業の現状についてどう捉え、また、今後、半導体関連産業をどのように振興していくのかについて伺います。
 キオクシア岩手株式会社の新工場は、昨年秋に竣工し、現在、順調に稼働していると聞いております。こうした中、キオクシアホールディングス株式会社は、本日、10月6日に東京証券取引所に新規上場する予定にありました。
   〔副議長退席、議長着席〕
 当初、時価総額は2兆円弱になると見込まれ、半導体メーカーとしては国内で過去最大規模の上場になるとの報道でありましたが、米中貿易摩擦の影響で中国企業への出荷が不確定となり、本日の株式上場は残念ながら延期となりました。ただ、ほんの少し上場がおくれるだけで、いずれは上場するとのことであります。
 このキオクシアホールディングス株式会社に対して、県はどのような期待を寄せているのか、また、さらなる業容拡大に向けて、どのように取り組んでいくのかについて伺います。
 平成30年11月に開催された県議会商工観光政策研究会講演会で、当時の東芝メモリ岩手株式会社代表取締役社長、現キオクシア岩手株式会社社長の米倉明道氏は、三重県四日市工場で大きな問題は通勤環境と話されておりました。また、北上工業団地への交通アクセスについては、北上工場も増設となると自動車や電車での通勤者が増加するので、その対応について関係機関の御支援をお願いしなければならないと話されていたことが記憶として鮮明に残っております。
 このような状況もあってか、北上市は北上工業団地近隣への新駅誘致に言及しています。北上工業団地への交通アクセスの向上は重要な課題であり、周辺全てに大きな影響を及ぼすものと思います。県と北上市が連携して取り組まなければならないと考えますが、県としてどう捉えているかについて伺います。
 また、北上工業団地へのアクセス向上や、高速道路へのスマートインターチェンジの設置等が有効な手段と考えられますが、所感を伺います。
 北上市及び胆江地区の工業団地と釜石市、大船渡市の港湾へのアクセスについてでありますが、岩手中部金ケ崎工業団地内のトヨタ自動車東日本株式会社岩手工場から完成車の半分以上は仙台港で船積みされていますが、高速料金の負担も大きいと聞いております。
 東北横断自動車道釜石秋田線も全線開通し、釜石港からの船積みが現実味を増してきており、岩手中部工業団地並びに北上南部工業団地、そして江刺中核工業団地と、岩手県有数の工業団地が集積する地域からの工業出荷製品が、釜石港や大船渡港を活用できる道路環境を早急に整備すべきと思うところであります。
 このような状況を背景に、北上市は県への要望に北上金ケ崎パシフィックルートの整備促進を掲げ、また北上市が中心となって、近々、整備促進期成同盟会を組織する考えとのことであります。このルート整備に関する県の考えを伺います。
 次に、教育の充実について伺います。
 9月に行われた臨時会において一般会計補正予算第4号が可決されましたが、この補正で4、160台のタブレット端末等が購入されます。今回導入される端末はこれまでと違い、クラウド前提、基本OS、ソフトウエア、保守管理が大きく変わり、極力シンプルな環境にしないと、導入コスト及びランニングコストが高どまりとなり、今後整備に対応できなくなるとのことであります。そして何よりも、使用する児童生徒が初めてでも操作できるような仕様にしなければなりません。
 初期設定を含めたキッティング作業、導入するソフトウエア等を厳選することによりコストと時間が大幅に縮小できるとのことでありますが、どのような取り組みで進めようとしているのかについて伺います。
 GIGAスクールの推進へ国を挙げて取り組むことになりましたが、現状での組織体では導入機器の活用やトラブルに対応できず、教職員のICT活用指導力の向上も難しいと思われます。また、市町村教育委員会への助言や支援も難しいと感じます。
 GIGAスクール推進室、デジタル教育推進室、あるいはICT教育推進室のような新組織を設置し、機器部門から授業力向上支援、そして市町村支援を一括して行う考えはないか伺います。
 本県の遠隔授業への取り組みは、平成28年度から2年間の調査研究を行い、平成30年度から複数の高校間で課外授業での検証を開始しましたが、高知県では、本年度から本格的に単位の取れる遠隔授業が始まっております。高知県からいただいた資料によると、教育センター内に遠隔授業配信センターを設置し、管理職も含め6名の遠隔教育担当職員を配置し、単位認定を行う遠隔授業を14講座、週40時間、9校の延べ52人に配信しているとのことであります。
 以前私が提案いたしました岩手県立総合教育センターからの授業配信案については、ぜひこの先例を参考にしていただきたいと思います。
 こうした高知県の取り組みと比較して、本県の遠隔授業は、周回おくれ、あるいは2周おくれの感がいたします。早急に高知県での現地調査、研修等を通じて本県でも同様の取り組みをすべきと思いますが、その考えについて伺います。
 次に、主要地方道花巻平泉線の整備について伺います。
 主要地方道花巻平泉線は奥羽山脈の麓を南北に走る道路で、平泉世界遺産と花巻温泉郷を結ぶ観光道路であり、途中奥州市で国道397号と連結し、また北上市では夏油高原スキー場と同温泉郷へのアクセス、国道107号へのアクセス、志戸平温泉郷などへ至る主要地方道花巻大曲線へのアクセスがなされており、大変重要な路線であります。
 しかしながら、北上市内において架橋から56年が経過し、幅員4.5メートルの新田橋は最大の難所であり、年間を通して大型車の通行を妨げ、冬期間は積雪が多くさらに幅員を狭めております。橋を渡るには両岸とも夏油川渓谷へ長い急斜面を下り上りしなければならず、また橋の前後は直角に屈折し、なれた人でも走行に厳しい恐怖の橋でもあります。
 新しい新田橋のかけかえに向け、現地調査と早期の架橋への取り組みを強く望むものでありますが、県の考えを伺います。
 最後に、稲作農業の振興について伺います。
 本県の稲作農業は、農業従事者の減少と高齢化等による労働力不足が課題となっております。
 一方、スマート農業の取り組みは、稲作、畑作、園芸、そして畜産関係で、農業者、農業団体、行政、農機具メーカーなど、関係する方々の取り組みにより日進月歩の進展が見受けられ、労力軽減対策の一つの有効な手段として開発が進められております。
 しかし、スマート農業に切りかえるには、現状では最新鋭の高額な農業機械が多く、個人農家では対応できかねるのが実情であります。省力、低コストのスマート農業であるからこそ、初めて県内に普及していくものと思います。
 稲作農業の省力化に向けては、農家にとって負担の少ないスマート農業技術の活用などにより、特に、苗づくりと田植えまでの作業を簡略化して、労力軽減を図ることが必要なのではないでしょうか。
 稲作農業の省力化、低コスト化の現状と今後の取り組みについて伺います。
 農作業の永遠の課題は、畦畔の草刈り作業であります。春から秋の刈り取りまで三、四回の草刈り作業を猛暑の中も含めて行わなければなりません。私も毎年行っております。
 農作物を守るには、畦畔の雑草を刈り取るか退治するかでありますが、除草剤等の散布や太陽光を遮る被覆資材使用では、雑草は枯れますが畦畔の崩落につながることは御承知のとおりであります。畦畔を守りながら雑草を退治する、それには雑草にかわる植物を植えることが考えられますが、そのような取り組みは行われているのでしょうか。
 岩手県農業研究センターを初めとした研究機関や大学などと共同研究して、簡易、低コスト、しっかりとした雑草抑制効果という岩手オリジナルの解決策を見出していただきたいと思いますが、取り組みの現状と、今後の取り組みについて伺います。
 以上でありますが、答弁によっては再質問をいたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(関根敏伸君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋はじめ議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、安倍政権に対する評価についてでありますが、東日本大震災からの復興については、復興庁や東日本大震災復興交付金など、民主党政権のもとで法令や制度的枠組みが整備された上で、安倍政権にも引き継がれ、復興道路を初め当初構想されていた事業が、党派を超え、継続性を持って力強く進められてきたものと考えます。
 一方で、地方消滅という危機感から地方創生を強力に進めるため、国が、まち・ひと・しごと創生法を制定し、全国の都道府県及び市町村がビジョンや総合戦略を定め、国を挙げて全国津々浦々、総力を結集して取り組む体制であったにもかかわらず、東京一極集中が加速してしまったことは問題であったと思います。
 次に、菅新政権についてでありますが、新型コロナウイルス感染症対策を最優先課題として進めなければならない今、ことしの通常国会において、与野党の各政党が、民意を背景に政府の対策や補正予算案に見直しを迫り、それを受け入れることで国の新型コロナウイルス感染症対策が改善されてきたことに鑑み、国政においては与野党が力を合わせるべきときであり、挙国一致内閣のような体制で臨むべきと考えます。
 内閣として、国民全体が分断されるのではなく、結集するような姿勢が求められています。
 新型コロナウイルス感染症を乗り越えたその先には、真の地方創生、東京一極集中の是正が実現されると期待しており、新政権にはしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次に、感染者が少ないことへの受けとめについてでありますが、日本全体として、欧州や米州と比べると感染者数が著しく少ないという実態があり、岩手県については、人口密度や県民性、食習慣等が関係しているとする向きもありますが、県民及び岩手県に出入りされる方々が、密閉、密集、密接の三つの密を避け、マスクの着用や丁寧な手洗いを励行するなど、基本的な感染対策を行っていること、また飲食店等の事業者が感染防止対策の徹底に努めていることなどにより、感染者が少なく重症者がいないという結果につながっているものと認識しておりまして、改めて感謝を申し上げたいと思います。
 9月4日以降約1カ月間、新たな感染者は確認されなかったところでありますが、10月3日に1名の患者が確認され、また、全国的な移動の活発化等により、引き続き感染拡大への警戒が必要な状況と認識しておりまして、感染者が発生した場合には、国が定義する濃厚接触者に限らず、感染が疑われる者にも調査を実施することなどにより、早期に感染者を発見し、感染拡大を防止するよう取り組んでまいります。
 次に、国の復興への取り組みについてでありますが、県では国に対し、令和3年度以降も引き続き必要な事業及び制度を実施するよう強く働きかけてきたところであり、国では、これを受け本年6月に、復興庁の設置期限の延長や東日本大震災復興特別会計の継続等に係る法整備を行ったところであります。
 菅内閣の発足後、就任早々、平沢復興大臣が本県を訪れた際に、復興は引き続き内閣の最重要課題の一つであるとの姿勢を示すとともに、残された課題に、県と連携、協力し合いながら取り組んでいきたいとのお話をいただいたところであります。
 また、その後に開催された国の復興推進会議においても、菅総理大臣から、閣僚全員が復興大臣であるとの認識を共有して、行政の縦割りを排して、被災地の復興に向け全力を尽くすよう指示があったと聞いており、菅内閣においても、被災地の実態を踏まえ、現場に寄り添いながら復興を推進する意向を示しています。
 復興庁の令和3年度予算の概算要求においては、社会資本整備等の事業進捗に伴い、全体の要求額は大きく減少しているものの、被災者支援やなりわいの再生の分野において、これまで本県が国に継続を働きかけてきた事業等がおおむね盛り込まれております。
 国では、令和3年度以降も引き続き第2期復興・創生期間として、財源フレームを示して、心のケア等の被災者支援やなりわいの再生など、残された課題に全力を挙げて取り組むこととしており、県としても、国に対し必要な要望や提言を行いながら、被災市町村等と連携し、被災者一人一人の復興がなし遂げられるよう取り組んでまいります。
 次に、半導体関連産業の現状と今後の振興についてでありますが、県では、半導体関連産業を本県ものづくり産業の中核と位置づけ、これまで積極的な企業誘致や既立地企業の業容拡大に取り組んできたところであり、近年では、キオクシア岩手株式会社の立地のほか、株式会社デンソー岩手や、東京エレクトロンテクノロジーソリューションズ株式会社の新工場建設などがあり、最新の設備や技術により、最先端の製品がここ岩手県で生産され、世界中に供給されているところであります。
 加えて、これらの中核企業と取引のある関連企業の立地や県内企業の業容拡大にもつながっており、半導体関連産業の集積が一層加速しているところであります。
 半導体関連産業は、IoTやAIといった第4次産業革命技術や5Gの普及拡大などに伴い、今後も大きな成果が見込まれる産業であり、県としては、引き続き市町村や関係機関等と連携し、半導体関連産業のさらなる誘致や業容拡大、地場企業との取引拡大、高度ものづくり人材の育成や県内定着に取り組み、さらなる集積と高度化を促進してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君)  今後の新型コロナウイルス感染症対策についてでありますが、季節性インフルエンザの流行期には、発熱等の症状を訴える者が大幅にふえ、診療、検査需要等が急増することが見込まれることから、医師会と連携し、地域において必要な検査を受けられる体制の整備を進めているところであります。
 具体的には、患者は、まずはかかりつけ医等の地域の身近な医療機関に電話等で相談を行い、当該医療機関を含め、診療可能な医療機関において診療、検査を受けることができる体制整備を進めているところであります。
 また、既に、県内全ての二次医療圏に10カ所設置している地域外来・検査センター等も活用し、かかりつけ医からの紹介を受け入れるなど、地域の実情に応じた診療、検査体制を構築することができるよう取り組んでまいります。
   〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) まず、県内中小企業の状況等についてでありますが、商工指導団体と連携し経営状況等について毎月アンケート調査を行っているところであり、直近の8月末時点の調査におきまして、8月の売上実績について集計したところ、前年同月と比較し、0%から20%減が37%、21%から40%減が31%、41%から60%減が17%、61%から80%減が9%、81%から100%減が4%となっており、41%以上減少の割合は計30%となっています。
 業種別では、41%以上減少の割合は、宿泊業で61%、飲食業で47%、運輸業で44%であり、これらの業種において依然として厳しい状況にあります。
 一方、3月時点からの売り上げの推移を見ますと、41%以上減の割合は5月をピークに徐々に低下していることから、全体的には回復傾向にあります。
 現時点では、国や県、市町村の需要喚起策の実施により、個人消費は持ち直しの傾向が見られるものの、経済的な影響が長期に及んでおり、依然として予断を許さない状況と認識しています。
 次に、今後の支援策についてでありますが、経営支援の前提として、まずは各事業者の感染症対策の徹底が必要と認識しております。県といたしましては、宿泊業、飲食業、運輸業など経営状況が特に厳しい業種を対象に、感染症対策に要する経費を支援し、事業者に対し徹底した感染症対策を促しているところであります。
 その上で、県産品の消費を拡大する買うなら岩手のもの運動や、観光流動を促進する宿泊割引クーポンなどの需要喚起策に加え、国が実施しているGo To トラベルなどのキャンペーンも最大限活用し、地域経済の活性化に取り組んでいます。
 また、年末に向けましては、事業者の資金需要が増加すると考えておりまして、これに対応するため、一般会計第4号補正予算において、新型コロナウイルス感染症対応資金及び対策資金、合わせて2、000億円の融資枠を確保したところであり、引き続き金融機関と連携し、事業者の資金繰りを支援してまいります。
 さらに、その先を見据え、コロナ禍で影響を受けている事業者にあっては、業態転換やオンライン販売など、新しい生活様式に対応したビジネスモデルへの転換や生産性向上の取り組みが求められており、県としては、こうした取り組みが進むよう、商工指導団体と連携し、経営革新計画や事業再生計画の策定、実施を支援してまいります。
 次に、解雇、雇いどめ等についてでありますが、岩手労働局及びハローワークが解雇、雇いどめ等に係る相談を受けた事業所数及び人数は、10月2日現在で64事業所、481人となっています。
 また、県内の有効求人倍率は、これまで87カ月連続1倍台だったものが、8月には0.99倍と低下傾向にあります。
 今後においても、新型コロナウイルス感染症の終息の見通しが立たないことから、さらに厳しい状況が続くことも懸念されるため、その動向を注視し対応していく必要があると考えます。
 このことから、県では、解雇や雇いどめとなった労働者等の早期の再就職を支援するため、11月以降、4広域圏において企業面談会を実施することとしているころであります。
 また、国においては、雇用調整助成金の特例措置等を本年12月末まで延長したところであり、引き続き関係機関と連携して周知や活用促進を図りますとともに、必要に応じて、国に対し特例措置等のさらなる延長を働きかけてまいります。
 次に、キオクシアホールディングス株式会社の業容拡大等についてでありますが、世界的なデジタル化の進展により、今後、データ通信量が急速に拡大し、通信環境やデータセンターなどの整備が加速することに伴い、キオクシアホールディングス株式会社が生産するフラッシュメモリの需要の拡大が見込まれています。キオクシア岩手株式会社は、これに対応した業容の拡大を目指していると聞いており、県としては、キオクシア岩手株式会社が本県半導体関連産業の中核としてさらに拠点性を高め、関連企業の立地や地場企業との取引拡大による一層の産業集積と、若者の県内定着が促進されることを期待しています。
 県では、これに向けて、関係自治体等と連携し、人材育成、定着や、インフラ整備等に引き続き取り組んでまいります。
 次に、工業団地への交通アクセスについてでありますが、今後、半導体関連産業が集積し、通勤者や出張者の増加とともに物流量の増大も見込まれていますことから、交通アクセスの向上は、より良好なビジネス環境を整える上で、検討すべき重要課題の一つと認識しています。
 こうした課題の解決に向けて、県では、関係自治体との連携による研究会を設置し、広域的に取り組むべき課題として共有するとともに、個々の自治体のまちづくりと歩調を合わせながら、鉄道等の公共交通機関のアクセス改善などについて検討しているところでございます。
   〔復興局長大槻英毅君登壇〕
〇復興局長(大槻英毅君) 復興推進プランの見直しについてでございますが、国においては、令和3年度以降も引き続き第2期復興・創生期間として復興財源フレームを示したところであり、県では、これらの国の財源の裏づけを踏まえ、復興推進プランの令和3年度以降の事業実施の方向性について見直しを進めることとしております。
 被災地では、これまでの取り組みにより、復興の歩みは着実に進んでいると認識しておりますが、一方で、8月末で257人の方々が応急仮設住宅等での生活を余儀なくされており、被災者の心のケアやコミュニティーの形成支援、まちづくり後における住宅再建や被災事業者への支援など、被災地の実態を踏まえた事業の継続が必要と考えております。
 そのため、復興推進プランの見直しにおきましても、これらの中長期的な課題への対応について重点的に盛り込み、政策推進プラン等に掲げる施策と連携しながら、切れ目ない復興の取り組みを進めてまいります。
   〔ふるさと振興部長佐々木淳君登壇〕
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君) まず、市町村の事務の現状と広域行政への支援についてでありますが、社会情勢の変化などにより住民ニーズが多様化する中、住民に身近な行政サービスを提供する市町村の役割はますます重要となっております。
 こうした中、市町村においては、財政面や人員体制の制約があり、単独の市町村では解決が困難な課題への対応や、それぞれの地域の特性を踏まえた取り組みなどを進めるため、県と市町村、市町村間の連携、協働の取り組みを進めることが重要と考えております。
 このようなことから、現在、県と市町村による事務の共同処理として、岩手県地方税特別滞納整理機構が設置されているほか、市町村間においては、定住自立圏制度を活用した広域連携、自治体クラウドによる情報システムの共同利用など、さまざまな取り組みが行われているところであります。
 県といたしましては、市町村に対して広域連携に関する制度や先行事例等に関する情報を提供するとともに、市町村における連携ニーズを把握し、行政サービスの確保、向上につながる県と市町村や市町村間の連携、協働の取り組みを推進してまいります。
 次に、広域振興局の圏域再編についてでありますが、現在の四つの広域振興圏は、分権型社会にふさわしい自立可能な岩手県を創造していくため、産業の連続性や類似性を踏まえた戦略的な産業振興や、より質の高い住民本位の行政サービスの提供を目指し設定されたものであります。
 これまで、産業振興の面では、ものづくりや食産業、観光などの分野において連携組織を構築し、地域産業の強化やビジネスマッチングの促進、各分野の人材育成、広域的なイベントの開催など、地域の特性やニーズを踏まえた広域的な施策の展開をしてきたところであります。
 こうした取り組みを踏まえ、いわて県民計画(2019~2028)においては、地域振興の基本的な考え方として、各地域の特性を十分に生かした4広域振興圏の振興を進めるとともに、圏域を越えた連携も戦略的に展開することとし、ゾーンプロジェクトを推進することなどにより、個性あふれる地域が自立的に発展し、県全体の発展につながるよう取り組んでいるところであります。
 引き続き、現在の4広域振興圏を基本としながら、議員御提案の横軸連携の強化を初め、社会経済情勢や地域課題等に的確かつ柔軟に対応し、いわて県民計画(2019~2028)を推進していく考えであります。
   〔県土整備部長中平善伸君登壇〕
〇県土整備部長(中平善伸君) まず、北上工業団地へのアクセス道路の整備についてですが、主要なアクセス道路である国道4号の北上工業団地入り口から花巻市山の神までの区間は、2車線道路のボトルネックとなり、朝夕の渋滞に加え、緊急車両の走行に支障を来していることから、国では今年度から4車線化に着手したところです。
 県では、これまでも北上市、花巻市と連携しながら国への要望を行ってきたところですが、引き続き4車線化の早期完成に向けて働きかけを行います。
 また、東北自動車道から北上、花巻地域の工業団地へのアクセス向上のため、県では、花巻市、NEXCO東日本とともに、花巻パーキングエリアスマートインターチェンジの整備に着手したところであり、早期完成に向けて取り組んでまいります。
 次に、北上金ケ崎パシフィックルートの整備についてでありますが、北上市から要望されているルートは、北上金ケ崎インターチェンジを起点に北上川に新橋を架設し、北上川東側の道路を拡幅して江刺田瀬インターチェンジに至るルートの構想であると承知しているところであります。
 一方で、北上金ケ崎地域の工業団地から江刺田瀬インターチェンジを結ぶ主なルートについては、県では、国道4号と国道107号を経由するルートが利用されていると認識しており、国道4号では国において4車線化が進められているほか、国道107号では県において梁川─口内工区のトンネル整備など、物流機能の向上のための整備を進めてきたところであります。
 北上金ケ崎パシフィックルートを含むその他のルートの整備につきましては、これらの整備効果を踏まえつつ、東北横断自動車道釜石―花巻間の全線開通による物流の変化や周辺の開発動向などを見きわめながら、検討を進めてまいります。
 次に、主要地方道花巻平泉線の整備についてですが、本路線は、花巻市から平泉町を結び、夏油温泉など観光地へのアクセス道路であるとともに、地域の日常生活を支える大切な路線と認識しており、現在、北上市の山口工区において、現道拡幅事業を進めているところであります。
 議員から御指摘のありました新田橋は、幅員は狭小で前後は急カーブとなっていることから、今後の交通量や公共事業予算の動向等を見きわめながら、前後の改良を含めた橋梁のかけかえについて検討してまいります。
 また、現在の橋梁は、平成25年度から平成26年度にかけて耐震補強や補修工事を行うとともに、前後のカーブの区間では、冬期に凍結抑制剤をきめ細やかに散布するなど、道路利用者が安全に通行いただけるよう、引き続き適切な維持管理に努めてまいります。
   〔農林水産部長佐藤隆浩君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) まず、稲作農業の省力化、低コスト化についてでありますが、稲作農家の経営安定に向けては、省力化や生産コストの低減が重要であることから、県では、育苗作業が不要な直播栽培や、育苗コストの低減につながる高密度播種苗移植栽培など、省力化等が期待できる技術の普及に努めてきたところです。
 こうした取り組みにより、令和元年の直播栽培等の面積は約5、700ヘクタールと、調査を開始した平成29年の約2倍に拡大しており、引き続きその普及に取り組んでまいります。
 また、稲作のさらなる省力化や低コスト化に向けては、農業機械の自動操舵やドローンによる直播、施肥、病害虫防除などのスマート農業技術の活用が重要でありますが、スマート農業機械は多機能かつ高額であることから、県では、いわてスマート農業推進研究会と連携し、比較的低コストで導入可能な技術や機械の開発を進めるほか、個々の農家への機械等の導入支援に当たっては、その経営規模やニーズを踏まえ、必要性や収益性を十分に検討するなど、稲作農業のより一層の省力化、低コスト化を推進してまいります。
 次に、畦畔管理の軽減に向けた取り組みについてでありますが、畦畔は病害虫の発生拡大を防止する観点から適切に管理していくことが重要でありますが、担い手の不足や高齢化等から草刈りなどの負担が大きくなってきており、作業の省力化を進めていくことが必要と認識しています。
 県ではこれまで、岩手県農業研究センターにおいて、畦畔管理の軽減に向け、草刈り機の改良や除草剤の効果的な利用方法のほか、のり面の被覆に活用できるシートや植物の研究とその普及に取り組んできたところであります。特に、被覆植物については、本県の気象条件に適し、定着後の草刈りが年1回程度で済むイブキジャコウソウの普及を進めており、県内では、多面的機能支払交付金の活用などにより、その取り組みは24市町に拡大しています。
 また、岩手県農業研究センターでは、被覆植物の活用普及に加え、大学や民間企業と連携して、遠隔操作が可能な畦畔草刈り機の開発等にも取り組んでおり、県としては、引き続き畦畔管理の省力化など地域が抱える課題解決に積極的に取り組んでまいります。
   〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) まず、県立学校のICT環境整備の取り組みについてでありますが、県教育委員会では、県立一関第一高等学校附属中学校及び県立特別支援学校小学部、中学部の全児童生徒を対象とした1人1台端末の整備や、県立高校の生徒への貸し出し用タブレット端末等の整備の経費等について、補正予算により措置したところです。
 これらの端末の整備に当たっては、児童生徒が早期に操作になれるようタッチパネルを基本とし、文書作成や表計算等についてはクラウドサービスを活用するなど、無償のソフトウエアを利用することとしています。
 また、児童生徒の端末の設定やユーザー情報等について、教員等が一元的に管理できる機能を取り入れるなど、児童生徒や教員の使いやすさ、コスト面等を総合的に勘案した仕様としているところです。
 次に、GIGAスクール推進の組織体制についてでありますが、県教育委員会では、今年度新たに、教育企画室に学校教育情報化を専属で担当する組織を設置するとともに、ICT機器を活用した学習指導等を推進する学びの改革プロジェクトについて、関係室課及び岩手県立総合教育センターで構成するプロジェクトチームにより取り組んでいるところです。
 学びの改革プロジェクトでは、無線LAN環境や、生徒への貸し出し用タブレット端末等の県立学校への整備を進めるとともに、研究協力校に県立高校3校のほか、盛岡市と一戸町の小中学校4校を加えた実証研究を大学等と連携して行うなど、ICTを活用した授業力向上等に取り組んでいるところです。
 今後は、県と市町村がICTに関するさまざまな課題や対応等について協議、調整していくための組織を新たに設置することとしており、引き続き本県学校教育のICT環境の整備と円滑な利活用に向け、市町村教育委員会と連携して取り組んでいく考えです。
 次に、遠隔授業本格導入についてでありますが、広大な県土を有する本県においては、遠隔教育は小規模校の教育の質の向上や多様な学びの充実などに有用な方策であると考えており、県立高等学校のネットワーク回線の増強や、プロジェクター、無線LAN環境の整備等により、遠隔授業が実施可能な環境整備を進めているところです。
 今年度は、黒沢尻北高校から西和賀高校へ、軽米高校から大野高校と伊保内高校へ、課外授業を配信することにより、遠隔による授業方法の研究を進めています。
 また、大学進学を希望する生徒を対象に、拠点校から複数校への課外授業を一斉配信することについても実施予定であり、遠隔授業の実用化に向けた取り組みを推進しているところです。
 今後は、他県の先導的な活用事例も参考としながら、遠隔授業の本格導入に向けた体制づくり等を検討していく考えです。
〇32番(高橋はじめ君) 各般にわたっての御答弁、大変ありがとうございました。それぞれにまだまだお伺いしたいこともあるわけでありますが、時間的なものもありまして、後の機会にしたいと思います。
 1点だけですが、広域振興局の再編についてであります。
 先ほど広域振興局についての質問で、縦軸の圏域から横軸の圏域への再編を提言いたしました。かつて、平成15年に、当時の民主党岩手県支部連合会として、増田知事に将来を見据えた振興局の4振興局への再編を提言いたしました。その根拠として、四国4県に匹敵する広大な県土を挙げましたが、地域区分についてはその提言に盛り込んでいなかったところでございます。
 繰り返して申しますが、東日本大震災津波までは現在の広域振興局の圏域、先ほど紹介がありましたけれども、産業の類似性とかそういうところも含めて、非常にエリアとしては、その力を発揮するようなエリアになっていたのではないかと推察をいたします。
 しかし、東日本大震災津波を契機に、よいところと大変なところと、この地域格差がどんどん明らかになってきてしまうということで、このままの状態が続くようであればさらに地域間格差が拡大していく、私はそのように危惧しております。
 一つは人口の問題、それから県民所得の格差の問題、これらが長年続くようなことがあれば、沿岸地区はかなり厳しくなるのではないか。内陸の、例えば先ほど紹介がありました工業団地ですね。半導体とか自動車関連、さまざまな関連産業を沿岸のほうにも持っていくと。部品工場とかですね。そういった連携をしながら、沿岸地区でも一定のそういうものづくり産業も出てくる。漁業中心、加工業中心だけではなくて、そういうことも考えていかなければならないのではないかと、そんな思いをしてお伺いしたところでございます。
 これらを含めて、知事はどのように感じておられるのか所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 広域振興局の圏域再編についてでございますが、広域振興圏の考え方は、先ほどふるさと振興部長が答弁したとおりでありますが、広い県土を有する本県においては、住民に身近なサービスは市町村が担うことを基本としながら、県としての行政経営を進める上で、現在の4圏域は一定の機能を果たしていると考えております。
 一方、行政課題が多様化する中、より総合力を発揮させるため、新しい価値の創造や課題解決に向けて、圏域を越えた広域的な連携を戦略的に展開していくことも重要と考えます。
 これまで、沿岸部と内陸部の連携については、東日本大震災津波における災害対応や復興プロセスでのさまざまな横軸連携の取り組みを初め、ものづくりネットワークによる産業分野の積極的な交流、三陸防災復興プロジェクト2019への内陸からの参画など、さまざまな形で展開されてきているところであります。
 今後とも、沿岸部と内陸部のさらなる連携を促して、県全体の発展につながるよう、取り組んでまいりたいと思います。
   
〇議長(関根敏伸君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時23分 散 会

前へ 次へ