令和2年9月定例会 決算特別委員会会議録

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令和2年10月22日(木)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
議事管理担当課長 藤 枝   修
主任主査 千 葉 絵 理
主任主査 糠 森 教 雄
主査 鈴 木   忍
主査 阿 部 真 人
主査 赤 坂 宏 紀
主査 鈴 木 貴 博
1説明員
農林水産部長 佐 藤 隆 浩
理事 千 葉 義 郎
技監兼
農村整備担当技監 伊 藤 啓 治
技監兼
水産担当技監兼
水産振興課
総括課長 石 田 享 一
副部長兼
農林水産企画室長 大 畑 光 宏
農政担当技監兼
県産米戦略室長 藤 代 克 彦
林務担当技監 橋 本 卓 博
漁港担当技監 阿 部 幸 樹
技術参事兼
流通課総括課長兼
県産米販売推進監 高 橋 浩 進
参事兼農村計画課
総括課長 工 藤 直 樹
競馬改革推進室長 菊 池 正 勝
農林水産企画室
企画課長 鈴 木 茂 寿
農林水産企画室
管理課長 安 齊 和 男
団体指導課
総括課長 菊 池 信 幸
指導検査課長 佐 藤 宗 孝
農業振興課
総括課長 中 村 善 光
農業普及技術課
総括課長 小 原   繁
農村建設課
総括課長 千 葉 和 彦
農産園芸課
総括課長兼
県産米生産振興監 佐々木 誠 二
水田農業課長 工 藤 祝 子
畜産課総括課長 米 谷   仁
林業振興課
総括課長 高 橋 一 志
森林整備課
総括課長兼
全国植樹祭
推進課長 工 藤   亘
整備課長 及 川 明 宏
森林保全課
総括課長 西 島 洋 一
漁業調整課長 工 藤 飛雄馬
漁港漁村課
総括課長 鎌 田   進
漁港課長 内 藤 俊 喜
県産米戦略監 佐 藤   実

会計管理者 永 井 榮 一
会計課総括課長兼
会計指導監 大 塚 貴 弘

監査委員 寺 沢   剛
監査委員 沼 田 由 子
監査委員事務局長 小 畑   真
参事兼監査第一課
総括課長 小 守 健 一
監査第二課
総括課長 佐々木 昭 司

参事兼財政課
総括課長 小 原 重 幸
〇菅野ひろのり委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、議案第37号及び議案第38号の以上17件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部関係について延べ20人の質問者を予定しており、世話人会の協議により本日の質疑の目安時間は20分といたしましたので、議事進行に御協力をお願いいたします。
 なお、関連質疑については、前日同様、目安時間を10分とし、また、換気のための休憩をいたしますので、御協力をお願いいたします。
 あわせて、委員各位御承知のとおり、本日の農林水産部の審査につきましては、議会運営委員会の決定に基づき、第1部、第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について審査することになっておりますので、御了承をお願いします。
 初めに、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇佐藤農林水産部長 令和元年度の農林水産部関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、当部所管の事務事業に係る取り組みと成果、今後の取り組み方針について御説明申し上げます。
 当部では、いわて県民計画(2019~2028)の基本目標である東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわての実現を目指し、計画に掲げる施策の着実な推進に取り組んできたところであります。
 まず、復興推進関係についてでありますが、水産業関係では、いわて水産アカデミーによる地域漁業をリードする人材の育成や、漁協等が行うサケ、マス類の海面養殖試験の支援等に取り組みました。また、漁港や漁場の整備では、岸壁等の耐震、耐津波強化や漁場の機能回復などに取り組み、令和元年度末までに26地区で整備が完了しました。
 農業関係では、施設園芸団地の形成を支援し、林業関係では、被災した海岸防災林のうち、18地区で植生基盤の造成や植栽を実施し、14地区で工事が完了しました。
 さらに、原木シイタケの生産再開に向け、ほだ木の処理や落葉層除去などのほだ場環境の整備に取り組み、令和元年度末現在で出荷制限が解除された生産者は、13市町、207名となりました。
 次に、平成28年台風第10号災害及び令和元年台風第19号災害からの復旧、復興については、農地、農業用施設や林道、漁港施設等の復旧、整備を進めました。
 次に、政策推進関係では、仕事・収入分野に掲げる政策項目のうち、一つ目の意欲と能力のある経営体の育成については、地域農林水産業の核となる経営体の育成に取り組み、農地中間管理事業や、ほ場整備事業等の推進により農地集積面積が拡大したほか、新規就農者数や意欲と能力のある林業経営体数等が増加しました。
 二つ目の収益力の高い食料・木材供給基地づくりについては、金色の風、銀河のしずくを核とした県産米全体の評価向上に取り組み、金色の風が米のヒット甲子園でトップナインに3年連続で選出されるなど、全国的に高い評価をいただいているほか、環境制御技術の導入等によるスマート農業の取り組み等を推進しました。また、高性能林業機械の導入等による生産体制の強化に取り組み、素材生産量が増加しました。
 三つ目の農林水産物の高付加価値化と販路の開拓・拡大については、商品開発のアドバイス等により、6次産業化の取り組みを支援したほか、各種フェア等の開催などを通じて販路の開拓に取り組みました。
 四つ目の一人ひとりに合った暮らし方ができる農山漁村づくりについては、農村地域の将来を描く地域ビジョンの策定や実践を支援したほか、地域コミュニティーの活動をリードする人材の育成等に取り組みました。
 次に、今後の取り組み方針についてでありますが、復興推進関係については、サケ等の漁獲量の減少を踏まえ、主要魚種の資源回復やマイワシ等の増加している資源の有効活用、新たな漁業、養殖業の導入、水産物の高付加価値化等に取り組むほか、原木シイタケの産地再生や風評被害対策に取り組んでまいります。
 台風災害からの復旧、復興については、引き続き、農地、農業用施設や林道、漁港施設等の復旧、整備に取り組んでまいります。
 政策推進関係につきましては、収益力の高い農林水産業の実現に向けて、いわてアグリフロンティアスクール、いわて林業アカデミー、いわて水産アカデミーにより、意欲ある担い手の確保や育成に取り組むとともに、スマート農林水産業の一層の普及や園芸産地の形成、生産基盤の着実な整備等の取り組みを通じて、生産性、市場性の高い産地づくりを推進してまいります。
 さらに、6次産業化等による高付加価値化や販路拡大、地域資源を活用した農山漁村の活性化等に取り組んでまいります。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、引き続き、関係団体等と連携し、農林漁業者の事業継続や消費者ニーズの変化を踏まえた販路拡大等の取り組みを支援してまいります。
 以上、当部所管の事務事業に係る取り組みと成果、今後の取り組み方針について御説明申し上げました。
 続きまして、当部関係の令和元年度の決算について御説明申し上げます。
 まず、一般会計歳出決算についてでありますが、令和元年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。予算現額は、6款農林水産業費のうち県土整備部が所管するものを除いたもの、及び16ページに参りまして、11款災害復旧費2項農林水産施設災害復旧費、並びに12款公債費のうち当部が所管するものを合わせまして1、654億5、305万円余、これに対する支出済額は1、043億8、506万円余であります。
 また、翌年度繰越額は565億2、609万円余、不用額は45億4、188万円余であります。
 決算の内容につきましては、令和元年度歳入歳出決算事項別明細書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で一般会計の歳出決算の説明を終わります。
 続いて、特別会計について御説明申し上げます。令和元年度岩手県歳入歳出決算書の34ページをお開き願います。
 県有林事業特別会計の歳入及び歳出の予算現額は36億9、044万円余であります。これに対する収入済額は36億7、750万円余で、支出済額は36億1、852万円余であります。
 なお、翌年度繰越額は4、594万円余であります。
 36ページをお開き願います。林業・木材産業資金特別会計の歳入及び歳出の予算現額は6億5、246万円余であります。これに対する収入済額は6億5、306万円余で、支出済額は5億4、930万円余であります。
 38ページをお開き願います。沿岸漁業改善資金特別会計の歳入及び歳出の予算現額は9億9、336万円余であります。これに対する収入済額は9億9、345万円余で、支出済額は6万円余であります。
 以上で農林水産部関係の説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇菅野ひろのり委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇高橋はじめ委員 私からは、きのう環境生活部のところで鳥獣被害の取り組みについてお尋ねしましたが、予算関係を含めたところは農林水産部ということで、2日続けて鳥獣関係の質問をさせていただきます。
 鳥獣被害防止総合対策事業というのがありまして、令和元年度予算は2億1、600万円、決算額が1億8、630万円でありました。事業内容は、野生鳥獣による農作物被害防止のため、侵入防止柵の設置、被害防止活動を担う人材の育成、確保に向けた取り組みを支援するということでありました。
 2019年度の野生鳥獣による農作物被害はどうなっているのか。全体の被害総額、作物別被害総額がわかればお願いしたい。それから、もし分類しているのであれば、イノシシ、鹿別の被害額、あるいは市町村別の被害額についてもお尋ねします。
〇中村農業振興課総括課長 農作物被害の状況でございますが、令和元年度の野生鳥獣による農作物被害額は、県全体で約4億200万円となっています。
 作物別では、果樹の被害が最も多く約1億2、000万円、次いで水稲が約1億300万円、牧草等の飼料作物が9、800万円となっています。
 また、イノシシ、鹿別の被害額でございますが、4億200万円のうち、ニホンジカは約2億1、000万円、イノシシが約1、800万円となっています。
 また、市町村別の被害額のお尋ねでございましたけれども、幾つかの市町村で公表を差し控えてほしいという要望もございまして、被害額については、この場での答弁は御容赦をお願いしたいと存じます。
 なお、それでも、県内の被害額の傾向を見ますと、ニホンジカはほとんどの市町村で被害が確認されておりますほか、イノシシは県南地域で被害額が大きい傾向になっています。
〇高橋はじめ委員 どうして市町村で公表できないか非常に疑問に思うわけであります。さまざまな取り組みを共有しながら次の対策を打っていかなければならない。そういうことを考えるときに、それぞれの市町村が情報を公開できないというのは、私はちょっと理解できないのです。ぜひ今後とも、県全体で情報を共有しましょう。そしてまた対策も、全体で取り組みをしていかないと、一部の市町村だけ取り組みをしても、隣の市町村が取り組みをしていなければ、垣根はありませんので、どんどん進んでいくことになります。そこはぜひ市町村に要望していただければと思います。
 2点目ですが、鳥獣被害防止総合対策事業として、侵入防止柵設置、あるいは被害防止活動を担う人材の育成、確保に向けた取り組み等を行うということでしたが、その実施内容と実施による効果をどのように評価しているのか、この点について伺います。
〇中村農業振興課総括課長 県内での侵入防止柵の設置でございますが、これまでに国の事業等を活用しながら約1、000キロメートル設置しています。今年度も約80キロメートルの設置が計画されています。
 また、侵入防止柵の管理の軽減化、あるいは、その効果を高めていくために、本県で開発した積雪に強い恒久電気柵などの設置を支援していますし、施設の適切な管理に向けた研修会などを開催しています。
 また、人材育成のお尋ねでございましたけれども、被害防止活動を担う人材の育成については、県では、市町村の鳥獣被害防止計画に基づき、捕獲などの実践活動を行う鳥獣被害対策実施隊の設置を促進しています。県内ではこれまでに32市町村で設置されております。
 また、県で、鳥獣被害対策実施隊を対象に、捕獲技術の習得を支援するため、イノシシの生態や、わなの使用方法などの研修会を開催しています。また、市町村が連携した効果的な捕獲活動、被害防止対策を推進するために、広域振興局を単位として情報交換などを行っていまして、引き続き、市町村や猟友会等の関係機関、団体と連携しながら、人材育成に取り組んでまいりたいと思います。
 実施による効果でございますが、先ほどお話しした被害額がおよそ4億円で推移しているということで、一定程度歯どめはかかっていますが、さらに対策を強化しながら、被害の軽減に努めてまいりたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 さまざまな取り組みがなされておりまして、それが、まずまず一定の成果が上がっているという評価ということでしょうか。
 32市町村でいろいろ計画を組みながら取り組みをされていると理解しましたけれども、そういうことで問題ないですか。
〇中村農業振興課総括課長 それぞれの市町村の計画に基づいて捕獲活動を行っています。
〇高橋はじめ委員 そういう取り組みをしていながら、なかなか鹿とかイノシシが減らない。被害額が減っていかないということは、それなりに増殖をしているということだと思っています。
 政策評価のところでは、年度目標は1万頭、令和4年までに4万頭の捕獲をするということです。令和元年度は1万4、420頭の捕獲で、目標の1万頭超え、これで評価Aということでした。
 ただ、雌鹿は3歳以上になると毎年大体1頭ずつ産む能力があることを考えると、4万頭のうちの2万頭が雌鹿、それが全部子鹿を産むということではないでしょうが、単純計算で2万頭産むと考えると、1万5、000頭ぐらいの捕獲であれば、残り5、000頭ぐらいはふえていくのではないかと、単純な計算をすればそういうことにもなります。
 そうはならないから、大幅にふえているとは思いませんけれども、いずれ微増しているということは、今の捕獲頭数では足りないと私は思いますが、そういう取り組みをもう少し強化していく。それから、目標を1万頭ではなくて、もう少し上方修正すべきではないかと思うのですが、その辺はどのような感覚を持っておられますか。
〇中村農業振興課総括課長 個体数の実態につきましては、平成24年度に環境省の調査で、これは推定ではありますけれども、4万頭となっていまして、これをもとに、令和5年度までに半減させることを目標に、年間1万頭の捕獲に取り組んでいるところでございます。
 捕獲した結果、減っていないのではないかという声も聞かれていますので、県としても捕獲を強化するということで、今年度キャンペーンを実施することとしまして、目標頭数を令和2年度は1万4、500頭に引き上げながら、捕獲の強化をすることとしています。
〇高橋はじめ委員 目標を上げれば、さらに実績ということを考えれば、1万5、000頭以上になると思いますので、その成果を少し私も見守っていきたいと思います。ぜひ頑張っていただければと思います。
 次に、有害鳥獣捕獲への支援ということで、狩猟者への捕獲の報酬や、わなの購入費用支援があると思いますけれども、農林水産部としての支援は予算にはなかったのですが、これはできないものでしょうか。
〇中村農業振興課総括課長 有害鳥獣捕獲への支援ですけれども、国の交付金等を活用しながら、ニホンジカは1頭当たり8、000円、イノシシは1頭当たり7、000円の補助を行っています。
 県独自のものでございますけれども、県としては、国の交付金等を活用しながら有害捕獲の駆除を進めているところですし、また、単価もまだまだ低いという声もありますので、単価の増加につきましては、国等にも要望している状況でございます。
〇高橋はじめ委員 私の地元の猟友会の方々も、例えば、わなをかけると毎日見守りをしなければならないということで、片手間にはできないこと考えると、ある程度はその単価を引き上げていただいて、その間は集中してやれるとか、そういうことも考えていく必要があるのではないかと思いますので、ぜひ今後検討していただき、国に対する要望も、しっかりとやっていただければと思っております。
 それから、今話しましたけれども、わな猟は1狩猟者が30個設置できるということで、1日1回、巡回見回りを義務づけられている。これは大きな負担であり、これを解消するために、わなの監視装置が最近出てきているということであります。ただ、少し高額ですので、個人でそれを準備するのはなかなか難しいと。これは、いろいろな形で支援できないのか。
 それから、有効性がどうなのかは、やはり実証してみなければわからないということを含めて、ぜひ県でも、そういうモデル地区をつくって、こういう監視装置の有効性を確認する、あるいは、それに伴って、今後のわな猟の取り組みをセットとして進めていく方向性を見出すことも手がけなければならないのではないかと思いますが、その辺についてのお考えがあればお伺いしたいと思います。
〇中村農業振興課総括課長 ニホンジカあるいはイノシシなどの捕獲に当たりまして、箱わな、くくりわななどが利用されていますが、先ほど高橋はじめ委員御指摘のとおり、設置したわなを見回りするなどの負担が非常に大きいことから、わなで捕獲された場合に、スマートフォンなどにメールなどで通知されるシステムも開発されておりますし、現に、ある市町村では、それを導入して捕獲効果を高めているという状況にございます。
 県としては、こういった事例なども各研修会などで紹介しながら、国の鳥獣被害防止総合対策交付金等も活用しながら、より効果的な捕獲が行われるよう取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 先進的に取り組まれている市町村もあるということの紹介でございました。いずれ市町村を主体にという思いはわかりますけれども、こういう市町村の取り組みは非常に有効なので、今度、総体的に県が主導して、県の柱として進めていこう。ついては県も多少なりとも財政的な支援をしていこう。そういう検討もぜひしていただきたいなと思います。来年度の予算編成の時期でもありますので、その辺、国の制度があるのかどうかわかりませんが、それを含めて、ぜひ県としても支援していただければと思います。大きなくくりわなが最近ふえてきておりますので、通年を通してやりますし、非常に有効的だと思います。
 それと、最近、くくりわな猟の狩猟免許を取られて経験の浅い方がどんどんふえていますので、事故防止上もこれは有効だと思っています。ぜひそのことはよろしくお願いしたいと思います。
 狩猟と有害鳥獣捕獲駆除の違いですが、私は、イノシシやニホンジカの増殖をこの違いによって許しているのではないかと思います。一方では、保護しなければならない。一方では、有害だから駆除しなければならない。その垣根の中で、お互いに、そっちはそっちこっちはこっちでやっているような感じがしてならない。
 狩猟は個人の趣味の領域ではないかという捉え方が一般的ではないかと思います。時間のできたときに狩猟をする。捕獲した鳥獣は仲間とともに食する。そこに公的な資金を投入するわけにはいかないという思いが、どこか根底にあるのではないかと思います。
 それから、有害鳥獣捕獲駆除は、農作物の被害防止と人命の安全確保だと。
〇菅野ひろのり委員長 高橋はじめ委員に申し上げます。簡潔にお願いいたします。
〇高橋はじめ委員(続) はい。もうちょっとでございます。
 収穫途中や収穫間近に農作物を食害され収入を断たれたほか、資材費の負担が残る。それから、散策時や畑作作業中に襲われ、大けがをすることや死亡することがある。公的資金を投入してまでも一刻も早く駆除しなければならないと言えば、こちらには公的な予算が入ってくるわけです。この時期は、この違いのところでちゅうちょしてはならない。私はそのことを訴えたいと思いますが、最後に農林水産部長のこの問題に関する所感を伺って、終わりたいと思います。
〇佐藤農林水産部長 農作物に対する鳥獣被害対策ですが、これはデータ等も示されているとおり、なかなか減らないということで、農業者に係る負担も大変大きくなっているところでございます。
 県としては、有害捕獲、それから、地域ぐるみで被害防止対策の支援に取り組んでおりますので、引き続き、環境、農林という境をしっかりしながらやるのではなくて、市町村、関係団体と緊密に連携をしながら、また、農業振興課総括課長からの答弁にもありましたけれども、新たな技術の導入等を駆使しながら、鳥獣被害防止対策の充実強化に取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 私からは、県産農林水産物の輸出拡大戦略と国内戦略についてお伺いいたします。
 まず最初に、知事のトップセールスの販売戦略の成果についてお伺いいたします。
〇高橋技術参事兼流通課総括課長 知事のトップセールスについてのお尋ねですが、海外におきましては、知事が輸出先国等に直接出向くことによりまして、例えば、ベトナムへの本県初となる米、リンゴの輸出が実現したほか、米国、タイへの米や牛肉の輸出が拡大をしております。こうした取り組みの結果、令和元年の県産農林水産物の輸出額は約36億7、000万円と、過去最高額を更新しているところでございます。
 また、国内におきましては、首都圏での、いわての美味しいお米新米フェアや、いわて牛の集い、いわて果実首都圏フェア等でのトップセールスの実施によりまして、取引先企業等のキーパーソンに対し直接本県の農林水産物を売り込むことができたほか、消費者等に影響力のあるいわゆるインフルエンサーと言われる方々とのつながりが深まるなど、その後の販売拡大に一定の成果があったと考えております。
 こうした取り組みにより、安全・安心で高品質という県産農林水産物に対する国内外での高い評価が、着実に定着してきていると受けとめているところです。
〇工藤勝子委員 36億円と聞きましたけれども、この出されております資料を見ますと、輸出額が現状値28億2、000万円となる、この違いは何ですか。
〇高橋技術参事兼流通課総括課長 ただいま申し上げましたのは、令和元年の県産農林水産物の輸出額ということで御答弁を申し上げたものです。
〇工藤勝子委員 私がいただいているのも令和元年度の資料です。そして、いわて統計白書を見ますと、こちらのほうが多くなっているのです。ですから、結局、落ちているのです。このいわて統計白書のほうは、2017年で31億円になっているのです。だから、何かわからないのですけれども、このように私たちに出されている資料と説明との数字が違うことを、ちょっと私は疑問に思ったわけでもあります。私は、この28億2、000万円でお話を聞こうと思ったところでもありました。
 そういう形の中で、数字はよろしいですけれども、知事が出て行ってある程度伸びたと言っていますが、例えば大手量販店とそういう取引が本当に進んでいるのか、皆さんは知事のトップセールスに満足をしているのかということです。そこを聞きたいと思います。
〇高橋技術参事兼流通課総括課長 知事のトップセールスにつきましては、ただいまお話のあった流通の関係者、量販店や市場の関係者、実需者の皆様方、食品加工や飲食店の関係の皆様方など、多岐にわたっています。そうした多様な消費者、実需者に向けたプロモーションを実施しているところでありまして、そうした方々とのネットワークはしっかり確保されていると考えております。
〇工藤勝子委員 海外も聞きましたけれども、国内での知事のトップセールスについてもお尋ねいたします。
〇高橋技術参事兼流通課総括課長 国内のトップセールスでありますが、首都圏を中心に実施をしているところでございます。
 先ほども申しましたが、いわての美味しいお米新米フェアや、いわて牛の集い、いわて果実首都圏フェアなど、計11回ほどのトップセールスを実施しております。
 先ほども御答弁申しましたように、多様な方々を対象に実施してきたところですが、こうした取り組みにより、消費者や流通関係者の認知度が高まっていると考えております。安全・安心で高品質という、県産農林水産物に対する高い評価が定着しているものと考えているところでございます。
〇工藤勝子委員 私たちは、認知度が高まっているかどうかを評価しているわけではないですよ。しっかりと消費者に結びつくトップセールスという形。つまり、知事が消費者に届けるわけではありませんので、それぞれの取引先があるわけです。そういう形の中にいかに食い込んでいってやるかということです。
 また海外に話を戻しますけれども、多分県でも資料を持っていると思うのですが、青森県です。青森県は、攻めの農林水産業ということで大きな目標を立てて、基本計画を立てております。私は紺野農林水産部長のころから、なぜ岩手県は、農林水産業をいわて県民計画(2019~2028)の仕事・収入の分野に位置づけて、県としてのこういう目標を立てた基本計画をつくらないのかと話してきましたけれども、どの農林水産部長もつくるとは言いませんでした。仕事・収入でいいということなのだろうと思いますけれども、攻めの農業の青森県の海外販売力は183億円です。隣県でですよ。この違いをどのように捉えていますか。
〇高橋技術参事兼流通課総括課長 東北各県、特に青森県の輸出について御紹介をいただいたところですが、青森県におきましては特にリンゴとホタテの輸出額が大きいと聞いております。リンゴについては、御案内のように国内のシェアを半分以上占めるという大きな生産力を持っているということで、そうした状況を背景に輸出にも向けていると考えております。
 本県におきましては、そのようなシェアの高い農林水産物の数は少ないわけですが、多様な種類の農林水産物、品質が高く安全・安心の農林水産物といったものをしっかり海外、国内の皆様方に訴求をしながら、確実な取引を進めてまいりたいと、これまで進めてきたところでございます。
〇工藤勝子委員 すごく品質とか安全・安心にこだわるわけですけれども、青森県だって東北だって、そういう安全・安心なものを届けているわけです。岩手県にだって、海の幸があり、リンゴだってあり、いろいろあるわけです。だから、私は戦略の立て方だろうと思うのです。その辺のところをもう少し進めていただいて、これはいろいろな県内業者と輸出強化のための戦略も立てておられるわけですけれども、もう少しタッグを組んで、生産者、流通関係、そして行政、この辺が一体となって、海外、国内のいろいろな量販店なり消費者にしっかりとしたものを届けていくような形の戦略を立てていかなければならない、見直しをしなければならないと思います。
 私の家の近くに多田克彦さんがおります。彼はどのような姿で東京に行っていると思いますか。海外に、アメリカにも行っています。まず、ユニフォームはつなぎ服ですよ。それに東京都の奥さんたちがキャーキャー言って集まってくるのです。だから、ネクタイを絞めてそういういろいろな戦略を立てたってだめですよ。戦略の見直しをすべきだということを私は提言したいと思っています。
 時間がありませんから、次に進みます。
 新型コロナウイルス感染症による海外戦略の推進と取り組み、課題についてお伺いしたいと思います。
 日本政策金融公庫のまとめた東北農業景況調査によりますと、この間、新聞に出ていましたけれども、上半期マイナス14.3ポイントになっています。同期と比較すると31.4ポイント減っています。特に肉用牛、カキ、キノコが非常に減となっている。県における新型コロナウイルス感染症の影響状況はいかに捉えているでしょうか。
〇鈴木農林水産企画室企画課長 新型コロナウイルス感染症に係る影響についてでございます。
 価格低下の大きいところでまずお話をします。
 牛肉の枝肉価格は回復基調にありますが、東京食肉市場における9月の枝肉価格は、前年同月比でA5が10%、A4が12%、それぞれ減となっています。
 それから、子牛の価格は、10月の和牛子牛価格、最新の情報ですが、前年同月比で12%減となっております。
 それ以外の影響につきましては、価格が上がっているものもございますし、それから、農林水産物には多様な販売経路がございますので、価格の変動要因が全て新型コロナウイルス感染症によるものか、なかなか判断が難しいと捉えています。
〇工藤勝子委員 まだ新型コロナウイルス感染症も続いているわけですし、いろいろ統計的にまとめることも多分厳しいのだろうと思います。
 ただ、先ほど海外の話をしましたが、新型コロナウイルス感染症によって海外輸出がどの程度影響があるか、ないか、数字的なこともわかりましたらお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。
〇高橋技術参事兼流通課総括課長 海外の輸出に向けた影響ということでございますけれども、海外の市場におきましても、外出の自粛により、主に飲食店等の業務用の需要が減退しているということです。したがいまして、国内と同じように牛肉、米、特に私どもが進めておりますこの2品目につきましては、影響があると承知をしております。細かい数字については、ちょっと私どものほうで把握はしておりませんけれども、そのような状況と、関係の方々から伺っているところでございます。
〇工藤勝子委員 それから、県内にインターネットで販売している方がいらっしゃいます。この県内事業者によるインターネット販売の状況は、どのように捉えていますでしょうか。
〇高橋技術参事兼流通課総括課長 インターネット販売についてのお尋ねですけれども、国が出品者の送料を支援する国産農林水産物等販売促進緊急対策事業を活用して、県内農林漁業者がインターネット販売に出品している状況を見ますと、6月30日の時点におきまして、4事業者、13商品が出品されておりました。10月20日現在で確認しますと、13事業者、73商品と増加しておりまして、県内農林漁業者によるインターネット販売の取り組みが拡大していると認識しております。
〇工藤勝子委員 拡大している中で、県はこういう方々を支援する体制はできていますでしょうか。
〇高橋技術参事兼流通課総括課長 県では、ことし6月に、これまでインターネット販売に取り組んでこなかった農林漁業者のノウハウ習得を支援するため、大手通信販売サイト運営会社と連携して、インターネット販売の説明会を開催しているところです。
 こうした取り組みを通じてインターネット販売への関心は高まってきていますが、一方で、農林漁業者からは、手続が煩雑であるとか、インターネットに対して意識的なハードルが高いといった声も頂戴していますので、今後、引き続き、しっかり取り組みを進めていきたいと考えております。
 先般、令和2年度の第4号補正予算で措置していただいた県産農林水産物販売促進緊急対策事業により、県内の農林漁業者を対象に、通信販売サイトへの申し込みから出店までの手続の伴走型の支援に取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 農林水産部長に最後にお聞きしたいと思います。
 私も一人の農業者です。胸を張って言えると、私はそのように思っております。法人であれ個人であれ、安全で安心でおいしいものをつくって、消費者に評価をしていただきたいと、努力しております。
 そういう中においても、自然災害もあり、また汗と涙して一生懸命、今もお米の収穫に励んでいる農家の人たちがいっぱいいるわけです。この人たちの汗と涙の結晶を消費者に届ける、これが流通課の仕事です。ぜひ今後とも、流通課の仕事、そして戦略の見直し、戦略の立て方、そして、ある程度農業としての目標を持てる基本計画の策定を望むわけですが、所感をお聞きして終わりたいと思います。
〇佐藤農林水産部長 工藤勝子委員からいろいろ御紹介もございました。多田克彦さんのお話もそのとおりでございまして、テレビで放送されたこともあり、私もああいう取り組みは非常に参考になるなと思って見ておりました。
 生産者が安全・安心、そして高品質な生産物を一生懸命つくっているというのはそのとおりでございますが、それが収入にきちんとはね返ることが一番大事だと思っております。そのためには、売り先をきちんと確保する。それから、それなりのしっかりした評価の値段できちんと買っていただく。そして、それが生産者の手元にきちんと戻ってくるという仕組みが非常に大事だと思っておりますが、なかなかそのようにうまくいっていないところも、そのとおりあると存じております。
 県としましては、きちんとした評価を消費者の皆様に届けて、それが正当な対価で販売できるようないろいろなチャンネルをこれからも確保しつつ、県産農林水産物は非常に評価が高い、高品質、安全だということを売りにして、引き続き、本県の農林水産物の販売促進に努めてまいりたいと思っております。
〇高橋但馬委員 私は、いわての食財ゲートウェイ構築展開事業についてお尋ねします。
 決算額3、349万円余ということで、これは、高品質な県産果実や短角牛、綿羊を活用した県内外でのプロモーションを実施したと承知していますけれども、どのような形で販路拡大等の成果を上げたのかお知らせください。
〇高橋技術参事兼流通課総括課長 この事業については、本県の基幹産業である農業の振興を図り地域を活性化させるためには、中山間地域における地域資源を最大限に活用することが重要という認識のもと、県産の果物、短角牛、綿羊を活用した県内外でのプロモーションということで取り組んでいるものでございます。
 果実につきましては、女性を主なターゲットとして、県産果実を使ったスイーツの開発や、県内菓子店と連携したパティスリーフェアを実施しているところです。
 短角牛は、首都圏におけるフェアを開催するとともに、ニーズの低い部位を活用した商品の開発や、レストランのシェフを招いての産地見学会を実施しているところです。
 さらに、綿羊についても、首都圏において羊肉のレストランフェアを開催するとともに、県内のホームスパン作家と連携して、羊毛製品のPRイベントを実施しているところです。
 こうした取り組みにより、県産の果物、短角牛、綿羊のそれぞれにつきまして、県内外における認知度の向上とブランド力の強化が図られ、販路の拡大につながっているものと考えております。
〇高橋但馬委員 同事業で、オリ・パラ食材供給ルート構築事業というのがありまして、これは首都圏の飲食店や社員食堂で岩手フェアを13回開催してPRしたとなっていますけれども、今回東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が来年の7月まで延期になったことを考えると、引き続きこのPRはしていかなければならないと思うのですが、その辺はどのように考えていますか。
〇高橋技術参事兼流通課総括課長 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の延期に係るお尋ねでございます。
 この事業は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機として、首都圏における県産食材の認知度や評価を高めるため、首都圏飲食店やホテル、社員食堂などにおきまして、県産食材を使ったメニューの提供や物販等を実施する岩手フェアを開催したものです。
 この事業を通じて、首都圏の飲食店や社員食堂とのネットワークが構築されたところです。こうした関係を今後とも生かしてまいりたいと考えておりますので、来年の東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を見据えながら、継続的にPRが行えるよう、この取り組みの実施について検討してまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 ぜひお願いいたします。
 先週、観光経済新聞を読んでいましたら、JR東日本が高輪ゲートウェイ駅ポケマルシェというのを開催するということで、これはJR東日本が9月から取り組んでいる新幹線の荷物輸送を利用して、アバターロボットOriHimeを活用した生産者と消費者をつなぐ新しい購買体験を提案するということで、今週末、24日、25日に行われるということでありました。
 この記事を読んで、岩手県の生産者と消費者をつなぐいい機会だと思ったのですけれども、県とのかかわりをお知らせください。
〇高橋技術参事兼流通課総括課長 高輪ゲートウェイ駅のポケマルシェですが、この事業の取り組みは、東日本大震災津波から間もなく10年を迎える東北地方を食を通じて応援する企画で、JR東日本グループと株式会社ポケットマルシェとが連携して実施されるものと承知しています。
 現時点では、企画の実施に当たり、県の直接関与はございませんが、両社とは、これまでさまざまな取り組みを実施してきた経緯がございます。今回、この取り組みは、お話のあった10月と12月にモデル的な取り組みとして実施をした上で、その後の展開を検討すると伺っております。
 こうした取り組みは、本県の生産者の販路開拓につながるものと期待されることから、引き続きこうした事業を行っておられる皆様方の情報収集に努めながら、必要な支援をしっかり進めてまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 最終的に10月下旬には、JRE MALLとポケットマルシェを連携させて、朝、携帯電話で注文したら、その日のうちにその商品が届くというところまで持っていきたいとJR東日本のほうでは考えているようです。このような民間の動きと岩手県の生産者をつなぐのが県の仕事であると思いますので、引き続き、この事業もそうですけれども、岩手県の販路拡大を目指して頑張っていただきたいと思うので、農林水産部長、一言、よろしくお願いいたします。
〇佐藤農林水産部長 交通機関の発達等により、三陸沿岸もそうですが、大消費地と非常に近い関係が構築できる状況になっております。テレビ等でもよく、新幹線効果ということで、青森県から新鮮な海産物が、その日のうちに東京駅のグランスタのほうに届くといった取り組みがどんどん構成されておりますので、県としてもできるだけ、いろいろな使えるチャンネルを見つけながら、消費者のニーズ、生産者のニーズをうまくマッチングするような取り組みに努めていきたいと思っております。
〇菅野ひろのり委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午前10時55分 休 憩
午前11時7分 再開
〇菅野ひろのり委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇高橋技術参事兼流通課総括課長 先ほど工藤勝子委員から、県産農林水産物の輸出額につきましてお尋ねがありました。確認をしましたので、補足答弁をさせていただきます。
 28億1、600万円というお話でしたが、こちらは政策評価レポートの現状値でございます。この現状値は平成29年の金額で、先ほど私から御答弁申し上げた令和元年の金額は36億7、000万円ということでございます。
 なお、いずれもジェトロ盛岡で発表されている数字でございます。
〇菅野ひろのり委員長 質疑を続行いたします。
〇岩渕誠委員 私は2点聞きます。
 初めに、中山間地域の土地改良についてお尋ねします。
 各論に入る前に、冒頭、NN(農業農村整備)の責任者にお尋ねします。本県における中山間地域の土地改良の重要性について、どのように認識をされているのかお示しください。
〇伊藤技監兼農村整備担当技監 中山間地域における土地改良事業の推進についてですが、本県の中山間地域は、不利な生産条件の中で、担い手や新規就農者、小規模な農家などが生産活動に携わっており、このような生産者が参画した農業や地域活動の活性化を通じて、活力ある農業、農村の実現をしていくことが重要と考えております。
 このため県では、いきいき農村基盤整備事業を創設し、中山間地域の立地条件を踏まえたきめ細かな整備の取り組みに加え、多面的機能支払制度の長寿命化活動に係る上限額を見直すなど、地域住民による活動支援にも積極的に取り組んでいるところです。
 今後も、このような取り組みや支援を通じて、多様な生産者が、豊かさを実感し、意欲と希望を持って農業や地域活動に携わることができる中山間地域の農業、農村の実現に向けて取り組んでいきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 その答弁を踏まえてお聞きすることになります。各論に入ります。
 多面的機能支払制度の上限額の見直しについては昨年度から議論があったところで、今年度6月定例会の名須川議員の一般質問に対して、見直す旨発言がありました。この上限額の見直しの結果はどうなりましたか、お示しください。
〇千葉農村建設課総括課長 多面的機能支払の長寿命化に係る上限額につきましては、他県の事例、本県の既存の事業制度、そのあたりの単価を調査して、その結果、500万円ということで上限額を設定させていただいたところでございます。
〇岩渕誠委員 これは大変高く評価をしたいと思います。単価設定が500万円ということは、岩手県の事業の平均が500万円ぐらいだと、このように考えていいですか。
〇千葉農村建設課総括課長 本県の既存事業の中で、本交付金と実施内容が類似している土地改良施設維持管理適正化事業の直近の5カ年間における本県の1施設当たりの平均事業費が500万円程度でしたので、これを参考に定めたものです。
〇岩渕誠委員 まさに、国の何かよくわけのわからない何とか会議は、国の制度に基づいて当初200万円という数字を出してきましたけれども、現場に即して500万円に変えたことは大変高く評価をしたいと思いますし、これは今年度中から適用とお聞きしておりますので、この周知には十分に御配慮いただきたいと思います。
 さて、技監のお話にもありました活力ある中山間地域基盤整備事業は、平成27年度に設立をされて、昨年度で終了しております。この成果についてお尋ねします。
 そして同時に、この事業主体は、市町村、土地改良区、農協、農地中間管理機構、それに後年、農地所有適格法人―農業法人ですが、この五つの事業主体ができることになっていますが、実際にやってみたら非常に偏りがありました。この分析についても、あわせてお尋ねします。
〇千葉農村建設課総括課長 まず、活力ある中山間地域基盤整備事業の成果についてでありますが、平成27年度から令和元年度までの5年間におきまして、19市町村、55地区、事業費2億4、300万円によって、農地の区画拡大27ヘクタール、暗渠排水94ヘクタール、湧水処理17キロメートルなど、中山間地域の条件不利地域の実情に応じたきめ細やかな生産基盤の整備を実施してまいりました。
 整備された農地においては、農作業の効率化が図られたほか、レタスやブロッコリーなどの高収益作物の導入が図られていると伺っております。
 それから、事業主体についてでありますが、これまで5年間で実施した55地区の事業主体別の内訳は、土地改良区が38地区で69%、次いで市町村が15地区で27%、そのほかに農地所有適格化法人が2地区で4%となっています。
 事業の創設に当たっては、事業制度の周知、それから事業実施要望の取りまとめを、まずは市町村や土地改良区などを通じて行ってきたということもございまして、当初は土地改良区が主な事業主体となって活用されてきたものでございます。
 その後、制度の周知が徐々に地域に浸透してまいりまして、農業者からの要望を受けた市町村、それから、整備を希望する農地所有適格化法人みずからが事業主体となって実施するものもふえてきたと捉えています。
〇岩渕誠委員 私はその分析には違和感を持っています。そもそも活力ある中山間地域基盤整備事業というのは、岩手県のほとんどの農地は中山間地域で、しかも、土地改良区に入っている面積は半分行っていないわけです。そういった取り残されたところをどうするかというこの議会での議論からスタートしていたわけですから、本来であれば農業法人がもっとやらなければいけなかった。今いっぱい手を挙げたみたいな話がありますけれども、農業法人でやったのは一つです。私は、そういうところが、成果としては上がったのだと思いますけれども、創設の趣旨とはちょっとずれてきたのではないかという思いを持っております。
 そして、そういった議論も踏まえて、今年度からいきいき農村基盤整備事業というのが、活力ある中山間地域基盤整備事業からの後継事業になったわけですけれども、ここでは多面的機能支払交付金の活動組織も事業主体に加わりました。この要件が拡大されたことによって、どのような効果がありましたか。
〇千葉農村建設課総括課長 岩渕委員から御指摘がございました多面的機能支払は、新たな事業として追加拡充したところですが、本年度におきまして事業実施手続を進めております33地区のうち、2割の7地区でこういった活動組織が事業主体となっておりまして、多様な主体による地域ニーズに応じたきめ細かな基盤整備の活用が、徐々に進行していると認識しております。
〇岩渕誠委員 そこはそのとおりだと思います。実は農業法人も3主体6地区に広がっています。つまり、現場に近いところは、こういう制度を欲していたわけです。
 私は一つ指摘をしますけれども、NNの世界には整備率というのがあり、平場、中山間がありますね。ところが、この整備率というのは、3反歩以上に区画が成ったところのことを言います。だけど、岩手県の農業、農村の実態は、私の家もそうですけれども、1町歩田んぼがあったけれども、枚数は中山間で何枚あるのかと言うと、10枚や15枚ありますというのが平気であるわけです。そういったところは、なかなか中山間の特性からいって3反歩にはなりませんから、まさに数字にあらわれないところの整備を欲しているところだと私は思っています。
 そこに広がったことはいいことだと思うのですが、ここで一つ問題があるのは、活力ある中山間地域基盤整備事業は、総事業費が50万円以上1、000万円以下であったものが、この制度になって総事業費が50万円以上200万円未満というように事業費は絞られた格好になっています。
 冒頭に戻ります。多面的機能支払の上限額は500万円に上がっています。その理由として、類似のものが500万円だったからそう上げたということになっています。これをこのまま200万円未満にしておくのはどうなのですか。
〇千葉農村建設課総括課長 いきいき農村基盤整備事業につきましては、この制度の検討に当たりまして、事前に県内全ての市町村、土地改良区に対して、アンケート調査を実施しました。その結果を踏まえて、実施メニューの拡充や事業要件の見直しを行いまして、中山間地域等におけるきめ細かな整備への地域のニーズに機動的に対応できるよう、上限額の見直しを行ったものです。
 それから、多面的機能支払制度の上限額500万円との比較ですが、いきいき農村基盤整備事業は、農地の区画拡大や暗渠排水の新設など、生産基盤の改善を主な目的としていますし、一方で、多面的機能支払の長寿命化は、既存施設の補修や部分更新といった維持管理を地域共同で実施することが主な目的で、それぞれの取り組みの趣旨が異なっていると我々は捉えております。ただ、生産基盤の改善については、小規模な改善をやりたいという声が多かったものですから、まずは小規模な事業を対象とさせていただいたところでございます。
〇岩渕誠委員 別物だというのは予算を立てる人たちの話であって、現場は一体なのです。既存のものがあって新設したりするというのは当然ある話で、既存のものを生かすというのは当たり前の話ですから、これはやはりもっと現場を見て議論していただきたい。
 しかも、200万円というのは、市町村に聞いたと言いますけれども、国の示した基準200万円のところが、考え方の中に大きく負荷がかかっているのです。やはり現場を見ていただきたい。
 そして、数字にはあらわれないのだけれども大事な事業だと、私は評価しているのです。私は評価しているのですけれども、やはりそれをもっと使ってもらうには、やらなければいけないと思います。
 毎年、農村を見ていますと、秋口になると、雨が降ったら困るということで、溝を掘ったり明渠にしたところを掘ったりして一生懸命やっているわけです。そういう人たちがいっぱいいるのです。その人たちが、もう後継者はいないのだけれども頑張ると言ってやっている人が多いのです。そういうところに手を入れないと、すっかり耕作放棄地になって人口減少になりますので、それは検討をお願いしたいと思います。
 次に行きます。先ほど工藤勝子委員からコロナ禍の影響についてのお尋ねがありましたので、重複する部分はカットいたしますけれども、昨年の今ごろいろいろ議論になったのは、各種貿易協定の話でありました。この貿易協定でいろいろな試算も出ましたけれども、現状はどうなっているかお示しをいただきたいと思います。
〇鈴木農林水産企画室企画課長 TPP11と日EU・EPA、それから日米貿易協定と3協定が現在までに発効しております。直近の、その3協定全てが発効された令和2年1月から本年8月までの輸入量につきまして、前年の同期間と比較した際の輸入量についてまず答弁いたします。
 牛肉は、TPP11発効国が93%、EUが451%、米国が105%、三つの協定の合計では99%となっています。
 豚肉は、TPP11発効国が104%、EU82%、米国101%、三つで95%となっています。
 それらの影響については、国から詳細な説明がございません。そういうことですので、現時点において、本県への影響について推しはかることは難しいと考えています。
〇岩渕誠委員 ことしは新型コロナウイルス感染症がありましたから、なかなか正確な姿が反映しないと思います。
 実は、問題は、それに対応する予算を国も県も組みました。昨年度の補正予算で結構な額が出ているのですけれども、この実態はどうなっているか調べてみると、びっくりします。TPPの対応予算の状況、中には国の内示が物すごく低いものもあります。なぜこんなことになっているのですか。
〇鈴木農林水産企画室企画課長 県予算額に対して国の内示額が低いものについてですが、まず、令和元年度2月補正予算と本年度の当初予算を合わせて総額121億円。これに対しまして、国の内示額に対応して県事業費、つまり執行できる可能額ですが、予算121億円の77%に当たる93億円となっています。
 それらの内示額が低いものについてお話をいたしますけれども、令和元年度2月補正予算で国の内示額が低かったものとしては、意欲的な地域の担い手に対して農業用の機械や施設の導入を支援する担い手確保・経営強化支援事業ですとか、棚田地域振興法に基づく棚田地域振興緊急対策事業費補助。それから、本年度の当初予算で国の内示額が低かったものとしては、畜産クラスター計画に位置づけられた畜舎等の整備を支援する畜産競争力強化整備事業費補助等でございます。
 内示額が低かった理由につきましては、国の予算額が前年に比較して減少したこと、それから、全国の需要が多くて競争率が高まり、国から本県への十分な予算が配分されなかったことや、事業主体が要望を取り下げたことなどでございます。
〇岩渕誠委員 担い手確保・経営強化支援事業費、内示額2%、これはちょっと考えられないです。
 それから、もう一つ問題を言うと、そのときに国が直接実施した事業で譲渡対策事業費があります。これはエーリック(独立行政法人農畜産業振興機構)という外郭団体が審査しているはずですが、いまだにこれは1頭も金が出ていないのです。これは、予想を超えて来たから処理仕切れませんと、こういう話でした。
 同じようなことが新型コロナウイルス感染症対策でも言えるわけです。経営継続補助金は最近ようやく内示が出たけれども、事業管理は年度末です。できるのですかという話。それから、2次募集はあるのですかという話。
 また、高収益作物次期作支援交付金、これも途中で要件が変わった。第3回の公募を9月にやる予定で、県から4億2、000万円の要求を出したが、これはまだ出せない状況。こういうものは一体どうなっているのですか。
〇中村農業振興課総括課長 経営継続補助金のお尋ねでございますけれども、6月に1次募集が開始され、9月上旬までにその結果が公表されることになっておりましたが、今月16日に採択結果が公表されたということでございます。
 2次募集につきましても、実施されるということで、今、募集が始まっております。
 そういった継続補助金の実施に関しては、県としても、農業改良普及センター等を通じながら支援してまいります。
〇岩渕誠委員 私は三つの予算について指摘をしました。これは毎回同じことなのです。農林水産省関係というのは、県で予算を立てても、国が直接実施しても、最終的に予想を上回るものが来ました、それで処理仕切れませんでしたと何回もやっているのです。
 それは、国の場合は、国直轄で一つの部署でやっているからなのです。エーリックというところに回してやっているからなのです。これは、黙って都道府県で受けてやったほうが、早い申請ができると思います。そういうのを含めて、やはり早期に、困っているから予算をつけているわけだから、これが回らなかったら意味がないですよ。
 農林水産部長、その辺、国に対しても、それから県の内示の話も含めて、もうちょっときちんとやらないと予算は回らないですよ。
〇佐藤農林水産部長 岩渕委員御指摘の事実はそのとおりというところがございます。県といたしましても、さまざまな機会を捉えて国に足を運んでおりますし、早期の交付決定、それから、必要な予算の十分な確保をお願いしております。
 これからも引き続き、本県の農林水産業の振興のために、せっかく用意していただいた制度ですので、早くそれが生産者のもとに回るような形ということで、要望していきたいと思っております。
〇岩渕誠委員 これは県だけの話にするつもりはありません。各政党も回ります。これは、予算の時期が1カ月おくれるだけで、1年間の営農計画が崩れているのです。ですから、いろいろなところに協力をもらいながら、これは地方から声を上げていくことが必要だと思います。
〇川村伸浩委員 私からは、経営体育成基盤整備事業についてお伺いをいたします。
 毎回、私もこの事業については質問させていただいておりますが、まず、最近の事業の実施状況と、各地区から上がっている圃場整備の要望状況についてお伺いいたします。
〇千葉農村建設課総括課長 まずは、経営体育成基盤整備事業の最近の実施状況でございますが、国の補正予算を含む実執行事業費ベースで、平成29年度は67億1、000万円により、花巻市万丁目区など31地区で、区画整理303ヘクタール。それから、平成30年度は、80億6、000万円により、奥州市若柳中部地区など37地区で、区画整理321ヘクタール。さらに、令和元年度は、81億4、000万円により、一戸町鳥海地区など47地区で、区画整理283ヘクタールの整備をそれぞれ実施したところでございます。
〇工藤参事兼農村計画課総括課長 圃場整備の要望の状況についてでありますけれども、経営体育成基盤整備事業、いわゆる圃場整備の要望があって、今年度、事業採択に向けて県が調査を実施している地区は33地区であり、ここ数年で大幅に増加している状況にあります。
〇川村伸浩委員 各地区で圃場整備をやりたいという希望があって、それに対応されておりますし、また、予算も年々増加しているということで、非常に好ましいところではあります。
 私は、昨年の決算特別委員会でもお話をさせていただきましたが、これも地域にとっては長年の目標でありますし、それがいつ自分たちの圃場整備にかかわってくるのかという部分、非常に期待感を持っているという部分では、ロードマップをつくって地域にお知らせをする、お示しをする、そういう考えが必要ではないのかなと思っておりますが、それについてお願いをいたします。
〇工藤参事兼農村計画課総括課長 圃場整備を進める上では、大まかに言いますと、地域の皆さんでこういう圃場整備が必要だとか、そういった営農ビジョンを固め、合意形成をしっかりしていただいて、その後で調査を行ったり、それで、合意形成にも普通3年、調査にも数年など、事業採択後は場合によっては10年以上かかります。そういったところも含めて、県としましては、合意形成の段階から、相談があれば地域での話し合いに参画するなどして、そういった流れもお示ししながら支援して、円滑に地域の営農が進むように取り組んでいるところでございます。
〇川村伸浩委員 今、いわゆるテーブルにのった地区についてはそのとおりだと思いますが、これから手を挙げたいと地域で今まさに話し合っている方々が今手を挙げれば、地域で話し合いがうまくいけば、どういうスケジュールにのってくるのかというところが現実味を帯びるといいますか、そういった形を示すべきではないのかというお話でございます。
 それで、圃場整備が終わって、最後に、今度は基盤整備に伴う暗渠排水事業ということになるわけでありますけれども、その状況についてお伺いをしたいと思います。
〇千葉農村建設課総括課長 暗渠排水工事の実施状況についてでございますが、これも先ほどと同様、国の補正予算を含む実執行額ベースで、平成29年度は2億7、000万円によりまして、久慈市、野田村宇部川地区など5地区で190ヘクタール。それから、平成30年度は2億2、000万円によりまして、花巻市外台地区など6地区で83ヘクタール。さらに、令和元年度は6億6、000万円により、奥州市荻ノ窪地区など7地区で253ヘクタールと、それぞれ実施したところでございます。
〇川村伸浩委員 それで、この暗渠排水事業ですが、仕事を受けている主な発注先、あるいは、この事業の入札へ参加できる応募資格についてお伺いしたいと思います。
〇工藤参事兼農村計画課総括課長 暗渠排水工事契約の応募資格等につきましては、本県の圃場整備における暗渠排水工事は、コスト面で有利な自動埋設型暗渠工法を採用しておりまして、専用の特殊な機械による施工の提案を受ける必要がありますことから、企画競争として、応募者から提出された企画提案書について審査を行い、業者を特定して契約しているところであります。
 その際、求めております応募資格につきましては、まず、県営建設工事競争入札参加資格者名簿に登録されていて、県内に主たる営業所を有する者または、公益社団法人等のうち、定款に建設工事を実施することを定め、県内に事務所を有する者であることなどのほか、施工実績要件として、過去15年間に、国、地方公共団体または国立研究開発法人森林研究・整備機構が発注した工事を元請または一次下請として施工した実績を有することとしております。
 発注先につきましては、そういった資格を有する業者から応募をいただいて、企画競争をして特定しているところでございます。
〇川村伸浩委員 具体的な発注先が示されなかったのですが、再度お願いしたいと思います。
〇工藤参事兼農村計画課総括課長 暗渠排水工事の契約の相手方につきましては、これまでの契約実績では、企画競争の結果、公益社団法人岩手県農業公社との契約となっております。今年度の工事におきましては、同公社以外にも応募があったところでありますが、これも、企画競争の審査の結果、最終的に同公社との契約となっているところでございます。
〇川村伸浩委員 応募資格の関係のお話がございましたが、この15年間に、規模によって工事実績があるようですが、いずれ工事実績がないと参加できないという仕組みなのです。ということは、今お話があった農業公社しか作業実績がない。結果として農業公社しか受けられない。今、そういう仕組みになっていると思っております。
 土地改良区などで暗渠工事をやっている団体営事業がありますけれども、この事業主体と県とのかかわりについてお伺いします。
〇千葉農村建設課総括課長 団体営事業の事業主体と県とのかかわりについてでございますが、団体営事業は、市町村や土地改良区等が事業主体となりまして、国庫補助事業等を導入し基盤整備を実施するものでございます。その際に、県は、事業計画の審査、補助金交付事務、進捗管理及び完了確認を実施しているところでございます。
 事業計画につきましては、広域振興局に設置いたします団体営農業農村整備事業の地方計画検討委員会におきまして審査を行い、その計画が適当と認められるものについては、採択に向けた手続を行っております。
 それから、補助金交付事務及び進捗管理につきましては、岩手県補助金交付規則や関係する補助事業の要綱、要領に基づきまして、補助金交付申請の内容確認、それから、交付決定並びに事業の執行状況の確認も行ってまいります。
 それから、最後は、工事完了後になりますが、県の検査要領に基づきまして、契約や経理等の関係書類によって工事及び事務の確認検査を行っているという状況でございます。
〇川村伸浩委員 つまり、団体営事業については、国、県が補助金を出して、そして、工事の完了検査まで県がかかわっている。そういうきちんとした事業なわけであります。ということは、いわゆる経営体育成基盤整備事業も、暗渠工事にかかわる入札資格も、こういった団体営の工事実績も入れていくべきではないかと私は思っております。
 公益社団法人岩手県農業公社が悪いという話ではなくて、農業公社は農業公社できっちりとした仕事をしておられると思いますし、また、民間の事業者も意欲のあるところはそれに対応できる事業者もあるわけでありまして、幅広くそういったところをやってもらわなければならないと思っております。
 その年によって暗渠排水工事の事業費が違うわけですけれども、先ほど紹介いただいたように、令和元年が6億6、000万円ということで、多分令和2年度はもっと多い、倍ぐらいかなと思うのですが、いかがですか。
〇千葉農村建設課総括課長 令和2年度の暗渠排水工事の見込みでございますが、今のところ、400ヘクタールを超える規模で実施をするというように見込んでおります。
〇川村伸浩委員 ということで、多分10億円を超える事業費になるのだろうと思います。そういったところからも、ぜひ入札資格については検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇工藤参事兼農村計画課総括課長 この暗渠排水工事の契約につきましては、現行の応募資格においても、今年度、複数の応募があったところでございますが、一方では、川村委員御指摘のように、近年、土地改良区などが発注した暗渠排水工事においても、県営、市町村営と同等規模の工事実績が出ているという状況もございます。この工事の企画競争の応募資格要件につきましては、そのような状況も踏まえて、見直しを検討しているところでございます。
〇千葉秀幸委員 私からは、岩手県立農業大学校について1点お伺いをいたします。
 令和元年度スマート水田農業普及教育拠点整備事業費として3億1、600万円余を計上しておりますが、この詳細、それから、現在どのように有効活用されているのか、お示しいただきたいと思います。
〇小原農業普及技術課総括課長 ただいま千葉秀幸委員から質問のありました岩手県立農業大学校に整備された内容につきましては、環境制御の高規格園芸ハウスの整備といったものが中心となっております。また、コンバインが刈り取りと同時に米のたんぱく質の含量などを分析するといった機器も導入しておりまして、そうしたスマート水田農業技術に対応した機械、施設を活用し、実習を行っているところでございます。
〇千葉秀幸委員 スマート農業に向けておくれをとらず、専門職大学という学びの場として、多くの学生に最先端の技術をよりよい環境で提供するのは、私も大事なことだと理解しております。
 そのように環境整備をされている一方で、生徒数の確保が心配されております。農業大学校の定員数は70人となっておりますが、今年度の入学者数を示していただきたいと思います。
〇小原農業普及技術課総括課長 令和2年度の入学生は46名で、充足率は66%となっています。
〇千葉秀幸委員 定員数70人に対して46人ということで非常に減少傾向に、これはことしだけではなくて、過去5年ぐらい見てもずっと減少しているのがいただいた資料からは見てとれるわけでございますが、この要因をどう分析されていますでしょうか。
〇小原農業普及技術課総括課長 定員数を満たしていない要因としては、進学する高校生の全体的な減少、あるいは農家出身の子弟が減少しているということ。また、高校の進路指導の教員との意見交換では、農業は、他産業と比較して、労働環境や収入等の条件で多少魅力が少ないというイメージがあるのではないかといった御意見を聞いているところでございます。
〇千葉秀幸委員 今、農業の担い手不足、それから一般質問でも触れさせていただきましたが、米の価格が下落することから、今後、ますます農業に関心を持たない、農業の仕事をしようと考えている若者が減ってくるようなことがあるのであれば、ますます農業大学校に入学する生徒が減ることが危惧されると思います。
 県内の農業高校から農業大学校に入学している生徒はどの程度いるか把握されていますでしょうか。また、生徒確保に向けて、農業大学校と農業高校との連携はされていますでしょうか。されているのであれば、どういった取り組みをされているのかまで示していただきたいと思います。
〇小原農業普及技術課総括課長 令和2年度の入学生のうち、農業科を含む農業高校の出身者数は26名となっておりまして、5年前の22名に比べますと、一応4名の増加となっております。
 また、県では、農業高校からの入学者の確保に向けまして、農業高校生などを対象としたオープンキャンパスの開催、あるいは、農業高校の1年生、2年生を対象とした農業大学校への進学のガイダンス、そして、高校の進路指導を行っております教員を対象とした説明会、または情報交換会などを開催しておりまして、引き続き、高校を所管する県教育委員会や農業高校等と連携して、入学者の確保に向けた取り組みを進めてまいりたいと思っております。
〇千葉秀幸委員 いずれ農業高校から生徒を呼び込むのが非常に重要であると考えますので、関係を築いていただきたいと思います。
 それから、進路についてでありますが、学生の卒業後における進路状況は把握されていますでしょうか。せっかく専門職大学に入って卒業されるわけでありますから、ぜひとも農業関係についていただきたいと思っているのですが、そこの実態を示していただきたいと思います。
〇小原農業普及技術課総括課長 令和元年度の農業大学校の卒業生は40名おりますけれども、その約半数となります17名が就農しておりますし、農業団体や農業関連企業への就職も含めますと、約7割となります26名が、いわゆる農業分野に就業しているという実態でございます。
〇千葉秀幸委員 農業大学校を専攻されているので、ぜひ農業に携わってもらいたいなと思っております。そこまでのサポート支援を継続して行っていただきますよう、よろしくお願いいたします。
 また、定数を確保するためにも、農業大学校のより一層の魅力化に努めることも必要であると私は考えております。研修一覧を見ますと、トラクター、ドローンの研修等、さまざま行っているのは見てとれるわけですが、これらの研修だけではなく、資格の取得まで行っていますでしょうか。
〇小原農業普及技術課総括課長 農業大学校でのカリキュラムの農業機械実習の中でトクラターの実習を行っておりまして、1年生は農耕用の大型特殊自動車免許を受験できる運転技術を習得するカリキュラムをやっていますし、2年生になりますと、トラクターでトレーラーを牽引する運転技術を習得するカリキュラムを盛り込んでます。
 また、ドローンにつきましては、操作の技術習得について、民間業者から講師を招き、その民間業者が持っているドローンを使って実際に飛ばしてみるといったように、機械の操作の基礎的な知識を学べるようになっております。
 なお、技術習得のための実習につきましては、学校のカリキュラムとして準備していますけれども、これは個人の取得する資格となりますので、それに関しては、その実習とは別に、運転免許の試験を受けていただくとか、ドローンにつきましては、認定団体による研修を受けていただくという状況になっています。
〇千葉秀幸委員 最後です。今は、入学者を待っていれば来る時代ではないと思っております。この入学者数がそれを物語っていると私は思っておりますが、せっかく専門職大学まで来るわけですから、その後すぐに農業に携わりたいと思っている学生も多いと思います。スムーズに、また速やかに農業に着手してもらうためにも、希望する生徒には免許や資格を取得させるべきと考えます。また、そういった取得ができたりすることが、農業大学校の魅力化であったりもします。そういった学校側が生徒を呼ぶための工夫や試行錯誤が、生徒数の改善につながる一歩でもあるかなと私は思っております。農業の担い手をふやす大事な基幹校でありますので、よろしくお願いしたいと思いますが、御所見があれば聞いて、終わります。
〇小原農業普及技術課総括課長 将来の農業の担い手において、農業大学校の卒業生というのは大変重要だと認識しております。農業大学校を卒業された方々の活躍ということも、皆さん御承知の面もあろうかと思います。そういったことを踏まえまして、今後も引き続き、カリキュラムの充実、あるいは就農する学生へのフォローアップといったものも強化をしてまいり、担い手として活躍していただけるように取り組んでまいりたいと思います。
〇武田哲委員 私からは、米の令和2年産の需給の見通しと米政策の方針についてお伺いいたします。
〇工藤水田農業課長 米の需給見通しと米政策の方針についてでございます。
 米の需給見通しについて、国の米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針によれば、本年6月末の民間在庫量201万トンと、9月15日現在の本年産の予想収穫量735万トンを合わせた936万トンから、新型コロナウイルス感染症の影響等による消費の減少を考慮した需要量を709万トンから715万トンと見込み、これを差し引きまして、令和3年6月末の民間在庫量を221万トンから227万トンと推計しております。
 また、国では、この推計された令和3年6月末の民間在庫量を、令和4年6月末までに適正量とされている200万トンに近づけるためには、令和3年産の生産量を679万トンとする必要があるとしているところでございます。
 本県の米政策につきましては、県、関係機関、団体で構成する岩手県農業再生協議会におきまして、平成30年産から開始される米政策の見直しを見据え策定した水田農業の推進方針に基づきまして、本県における主食用米と転換作物の最適な組み合わせによる体質の強い水田農業を推進しております。
 具体的には、消費者、実需者に支持されるブランド米、業務用米など、用途別の需要に応じた米生産を進めるとともに、国の助成制度を活用しながら、飼料用米や大豆等への転換のほか、地域特性を生かした野菜、花卉等の高収益作物の生産拡大を促進しているところでございます。
〇菅野ひろのり委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔にお願いします。
〇武田哲委員 来年の6月末の在庫量ですけれども、221万トンから227万トンということです。これぐらいの在庫量があった時期が何年か前にあったのですけれども、その間、2年間で米価は4、000円ほど下がっています。同じようなことにならないためにも、しっかりと今後の米政策の方針を立てなければならないと思っております。
 JAでは、20万トンを来秋以降に持ち越す計画を組んで販売すると考えているようですけれども、2021年産の生産を適正量に抑え込む必要があり、そして、過剰だという部分を払拭する必要もあると思うのです。その辺の取り組みが、先ほどさまざま高収益作物とか、麦、大豆、あとは飼料用米に取り組むということですけれども、本当にそれで今後やっていけると考えていますでしょうか。その点をもう一度伺います。
〇工藤水田農業課長 今後の進め方につきましては、岩手県農業再生協議会でいろいろと検討しているところでございます。今後の方針につきましては、各地域の再生協議会の御要望ですとか御意見を伺いながら、先ほども申しました国の産地交付金などを最大限に活用して、野菜、花卉等の高収益作物等への転換を進めていきたいと考えているところでございます。
〇武田哲委員 この後、JAグループ、生産者、集荷業者、米卸実需者、それから行政がしっかりとした政策を立てていかなければならないと思っています。岩手県農業再生協議会が幾ら数字を示しても、それに向けて生産者が取り組むためには、米と同じような収益性をやはり農家の人たちは求めると思うのです。そのときに、どういったものが考えられるかというのを示していかなければならないと思っています。
 その中で、パックの御飯とか輸出など、先ほども、このコロナ禍において、これからさまざまな見直しをしていかなければならないと思います。いろいろな問題が何層にも入り乱れている中で、本当に、来年度、令和3年産米をどうやってつくっていくかというところをしっかり示さないと、この後、コロナ禍を見越した上でどうやって生産体制をつくっていくかというところを、県はしっかりリーダーシップをとっていかなければならないと思っています。
 農協を今見てみると、いずれ中央会にしても各農協にしても、現場の指導者がどんどん減ってきています。そうした中で、どうやって今後の方針を浸透させていくかというところが課題になってくると思っています。その点をどのようにお考えかお伺いいたします。
〇佐々木農産園芸課総括課長 今後の水田農業の関係でございますけれども、関係機関、団体、あるいは業者の皆さんと、いろいろな意見交換等を重ねながら、岩手県農業再生協議会の中で、生産計画等々いろいろ協議を進めてまいりたいと思っております。
 その際、野菜等、果菜がいいのか土地利用型がいいのか、あるいは飼料用米等々がいいのかなど、地域事情がいろいろございますので、そういった部分も含めて検討しながら、適切なバランスの中で水田農業を進めていくように努めてまいりたいと思っております。
〇菅野ひろのり委員長 この際、武田委員の質疑の途中ではありますが、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
 武田委員、御了承願います。
午後0時0分 休 憩
午後1時2分 再開
〇千葉絢子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇武田哲委員 先ほどまでずっと米政策について伺っているのですけれども、私が一番気にしているのは、財務省が農林水産省に対して、餌米、飼料用米に対して効果がどうなのだということを話していますよね。その中で、また現場が混乱するようなことが起きると大変だなと、そこを一番感じているのです。
 その中で、今後、県は、確かに戦略作物ということで、大豆、麦、飼料用米という3本立てでやってきていますけれども、そういった国の政策に左右されないように、しっかりとお金をつかむような新しいものを考えていかなければならないのではないかなというところです。その点についてお伺いいたします。
〇藤代農政担当技監兼県産米戦略室長 米の対応についてでございますが、まず、今回の米の需給緩和は、毎年10万トンずつの全国的な需要減というのもありますし、また、それにコロナ禍の外食の需要低迷がさらに加わったという要因がございますので、全国的な対応が必要だということで、国に対して、米を市場から一部隔離することについて、県単独あるいは東北6県合同という形で、これまで要望しております。
 また、ことし生産の調整をするに当たって、年度途中から取り組みを開始したところでございますけれども、なかなか年度途中で難しいというところもありました。本県は、生産目安に対して150ヘクタールぐらい減という結果になりましたが、全国を見ますと、そうではない県もありますので、全国的な需給調整について実効性のある体制を組んでほしいということについても、国に対して要望しております。
 その上で、本県で、武田委員御指摘のように、主食用米、非主食用米、あるいは高収益作物をどのように組み合わせていったらいいか。その中で、生産者の収益確保、そして、経営が安定するようにということについて、そこに対する支援も必要ですので、国の応援もお願いしながら、先ほど飼料用米のことについて不安があるということも、そのとおりだと認識しております。
 ただ、やはり主食用米、非主食用米の収入ギャップがありますので、そこを埋めるような手だてをしながら、どうやったら生産者の方の収益確保につながるかということについて、先ほど申し上げました岩手県農業再生協議会は各団体と組んでいますので、こういった中で議論して、生産者の経営安定につながるように取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇武田哲委員 いずれにしても、農家の人たちがしっかりと営農設計が立てられるように。また、農林水産省でも、1カ月前倒しで需給の状況なども発表しています。これは、各県に対して今後の生産調整のあり方を問いかけているのではないかと私も感じています。
 その中で、農家に対してどういったものがいいのか、一緒になって対策をとっていこうという話をしていかないと、この流れは変わっていかないと思うのです。いつまでも国の方針に従って―岩手県民は真面目です。そういったところも見据えながら、県内の農家の人たちはさまざま協力していると思います。しかし、一番肝心なことは、その土地からとれるものでしっかりと生活を担っていく、つくっていく、立てていくというところを考えていかなければならないのではないかと思っています。補助金ばかりに目が行きがちですけれども、自立した農業者を育てていくために県の活躍を期待しているところです。
 質問の2点目についてお伺いいたします。
 昨年度、月刊農業普及が廃刊になりました。それで、農家への新技術、新情報、新政策など、令和元年度はどのように伝えてきたのか、評価と今後の課題についてお伺いいたします。
〇小原農業普及技術課総括課長 県ではこれまで、同業者との情報共有に向け、農業農村指導士等との意見交換や、普及事業パートナーを通じた地域への情報提供のほか、農業普及員ができる限り現地に出向いて、栽培指導会や営農座談会等で農業者に必要な新技術等の情報を提供してきたところでございます。
 また、定期的な農作物の栽培技術情報や、気象災害が予測される場合の緊急的な技術情報の提供のほか、今般の新型コロナウイルス感染症の影響による経営相談窓口を農業改良普及センターに設置し相談対応するなどの活動を行っているところでございます。
 農業者の情報提供等については、さまざまな機会を捉えて行っていくことが重要と考えており、県といたしましては、このような取り組みに加えまして、市町村やJA等との連携のもと、広報紙などさまざまな手段で農業者へ情報提供するとともに、県のホームページや農業改良普及センターが運営するSNS等も活用しながら、今後も迅速な情報提供に努めてまいりたいと考えております。
〇武田哲委員 月刊農業普及がとてもよかったと私が感じているのは、今まで県で育ててきた農村青年クラブであったり、生活改善グループであったり、さまざまな団体の人たちもいまして、その人たちの情報も毎月毎月載っていたのです。それを見ながら、農家の人たちも頑張ろうと。いろいろな情報を見ながら、新技術もそうだけれども、一緒に頑張ってきた仲間の活動の様子を見ながら、自分も一緒になって田んぼに立ったり畑に立ったりしてきたのだと思います。そういったところまで補えていないのではないかと思っているのです。
 農家の人たちは、玄関を開けると以前は月刊農業普及がよく置いてあったりしまして、そういった風景をずっとこれまでも見てきました。しかし、肝心の農家と県で行う施策をどう推進していくかというのが、SNSでとおっしゃいましたけれども、高齢者の人たちはそこまで見ていますでしょうか。各団体の活動の様子とか、そういったところまできちんと配慮して令和元年度はやってきたかどうか、その点についてお伺いいたします。
〇小原農業普及技術課総括課長 県のこれまでの動きが、月刊農業普及の廃刊に伴って十分カバーしているかという御質問かと思います。
 月刊農業普及の廃刊の後、農業改良普及センター独自の普及だよりの発行などにより、武田委員御指摘のとおり、農業者とのつながりが希薄にならないように努力しているところでございます。ただ、紙面の都合等がありまして、全部が全部これまでのように1冊で御提供できるような形にはなっておりませんけれども、1カ月に1遍ではなくて、タイムリーにその都度情報提供するとか、そういった努力はしているところでございます。引き続き、こういった活動を全県的な形、どこの農業改良普及センターでもできるような形で、共有しながら取り組んでまいりたいと考えております。
〇武田哲委員 いずれにしましても、農家の人たちをこれまでずっと指導して、さまざまな団体もつくってきたと思います。年に1回総会で、県大会で会いましょうだけでは、なかなか各団体ももたないと思うのです。後継者の人たちも減ってきている、団体の活動も縮小してきている。そうした中で、どういった応援をするかというところが足りないのではないかと感じています。
 改めて月刊農業普及をもう一度発刊しろとまでは言いませんけれども、それを補うだけの活動を私は望みたいと思っています。
 それで、今回、県議会でも岩手県主要農作物等の種子等に関する条例を策定することになりましたけれども、コロナ禍における野菜、花卉の種子あるいは球根の確保など、その点をお伺いしますとともに、温暖化に向けた育種等の取り組みについてお伺いいたします。
〇佐々木農産園芸課総括課長 コロナ禍における野菜、花卉の種子の関係でございますが、県内に野菜の種子や花卉の球根などの種苗を供給しております国内の種苗会社におきましては、海外での種苗生産に際し、電話あるいはウエブ等による指導等を行っておりまして、現時点では滞りなく種苗が生産できていると伺っております。
 また、県内の農業団体、生産者の皆さんへの聞き取りでは、当面必要な数量は確保できているというお話を伺っております。
〇小原農業普及技術課総括課長 温暖化に向けた育種等についてでありますが、本県では、農林水産技術立県いわてという技術開発基本方針に基づきまして、水稲、リンゴ、リンドウなどにおいて、耐冷性や耐病性、多収性、開花時期といった農業者等のニーズに対応した新品種の開発に取り組んでおります。温暖化の進行に関しましては、水稲では高温登熟耐性品種の開発のほか、リンゴでの優良着色系品種の開発といった取り組みを進めております。
 また、高温によります品質低下や収量減少を防止するため、水稲では、かんがい水の昼夜かけ流しによる地温低下対策の指導などもしておりまして、引き続き、温暖化に対応した取り組みを推進してまいりたいと考えております。
〇武田哲委員 いずれにしましても、これからの温暖化の中で、そして、あわせて生産意欲向上のために、いろいろな意味で新しい品種を、また、状況に応じた適切な判断をしながら、一緒になって新しい岩手県の農業をつくっていっていただきたいと思っています。
〇斉藤信委員 新型コロナウイルス感染症による農業への影響について最初に質問します。
 今、農家が一番心を痛めているのは、米価暴落の不安であります。米の需要減と米価暴落の状況はどうなっているでしょうか。
〇佐藤県産米戦略監 まず、米の需要減についてでありますが、国が公表した令和元年7月から令和2年6月までの全国の米の需要実績は713万トンとなっており、前年の735万トンと比較して22万トン減少しております。
 米価については、令和2年産の本県ひとめぼれの取引価格は、9月末時点では60キログラム当たり1万5、100円となっており、令和元年産米の出回りから本年8月までの平均価格1万5、317円と比べて、217円低下しております。
〇斉藤信委員 それで、農家の減収の見通しはどうなるか。10ヘクタール規模、100ヘクタール規模の集落営農ではどういう減収が見込まれるか。
 ナラシ対策収入保険への加入状況、補償の見通しはどうでしょうか。
〇佐藤県産米戦略監 農家の減収見通しについては、全農岩手県本部が決定した令和2年産米の概算金の引き下げ額である60キログラム当たり800円と同額で米価が低下したと仮定し、国が公表した本県の10アール当たり予想収穫量558キログラムに基づき試算した場合、前年と比較して、経営規模が10ヘクタールでは74万4、000円、100ヘクタールでは744万円減収すると試算されます。
〇工藤水田農業課長 ナラシ対策の加入につきましては、件数ではなく面積のほうでお示しさせていただきます。
 ナラシ対策は、主食用米の作付面積で4万8、200ヘクタールございますが、そのうち加入されている面積は1万7、507ヘクタールとなりまして、割合としましては36.3%となっております。
〇菊池団体指導課総括課長 収入保険の加入状況についてでありますが、本年9月末現在の主食用米の作付面積ベースで、収入保険の加入割合は18.3%となっております。
〇斉藤信委員 今、10ヘクタールだと74万4、000円、100ヘクタール規模の集落営農だと744万円の減収になるということで、私は大変なことだと思います。
 それで、ナラシ対策は面積で36.3%、収入保険は面積で18.3%、合わせると54.6%です。54.6%しか補償の対象になっていないと。これは大問題になると思います。これはなぜそうなのか。
 それと、農家戸数で見たら、パーセンテージはもっと少なくなるのではないか。農家戸数ではどうなりますか。
 そして、生産費から見て、2ヘクタール以下は今までも赤字だった。今回の場合、農家戸数で見たらどれだけの農家が赤字になるか示してください。
〇工藤水田農業課長 ナラシ対策の加入件数等についてでございますが、先ほど面積では申し上げましたが、件数としましては、対象が認定農業者であるとか、あとは集落営農が対象になりますので、その中で入っておられるということで、約2、000件と押さえております。
〇菊池団体指導課総括課長 収入保険の加入戸数は1、504戸でございます。
   〔斉藤信委員「もう一つ聞いたよ。赤字になる
   農家」と呼ぶ〕
〇工藤水田農業課長 今の生産費についてでございますが、最新の値となる平成30年産の東北の米生産の作付規模別で、全算入生産費は、2ヘクタールから3ヘクタールの作付規模で、60キログラム当たり1万4、163円、10アール当たりに換算しますと12万1、766円となります。3ヘクタールから5ヘクタールの規模では、60キログラム当たり1万3、075円、10アール当たりでは11万2、265円となっております。
 基準といたしましては、令和2年産のひとめぼれの概算金をもとに、9月15日現在の国の作柄概況で示された本県の10アール当たりの予想収量である558キロを用いて10アール当たりの収入額を試算すると11万4、390円となります。よって、3ヘクタール以上の規模で生産費を上回る。そこで、3ヘクタール以下の方は赤字という形で把握しております。
〇藤代農政担当技監兼県産米戦略室長 米の生産戸数でございますが、本県の米生産を行っている方は約3万4、000経営体でございます。このうち、今、水田農業課長が申しました黒字となる3ヘクタール以上の農家が大体2、700戸になります。それから、3ヘクタール未満は約3万1、000戸で、割合にして約9割ということになります。
 ただ、先ほど面積ベースでのナラシ対策あるいは収入保険の加入状況を54%と申し上げましたが、3ヘクタール以上の農家の方が面積換算では約5割を占める状況になっていますので、それ以上のところについて、ナラシ対策あるいは収入保険でややカバーされているものと捉えているところでございます。
〇斉藤信委員 いずれにしても、今までは、赤字は2ヘクタール以下だったのです。今の答弁だと、3ヘクタール以下まで生産費から見れば赤字になる。これは将来の見通しが立たないのです。農家に生産調整を押しつけてきた、この政策がこれではもう成り立たないと、ここがはっきりしたのだと思います。だから、米の生産費を守る価格保障、これをしっかり国が保障しなかったら、主食も農家も守れない。
 例えば、アメリカ、カナダ、欧州は、政府が指示価格で穀物や乳製品を無制限に買い入れて、援助や輸出に回す仕組みを維持しています。やはりこういうときにはそうするのです。そうして主食を支えているのが欧米の常識なのです。需要が減った、その犠牲は全部農家に押しつけると、これはだめですよ。これじゃ、農業は守れない。
 そういう点で、JAは、例えば、先ほども話がありましたけれども、独自に米20万トンを隔離すると。新潟県は9月補正で非主食用米への転換に10アール当たり5、000円の支援策を打ち出した。米の価格をどうやって守るのか、この緊急対策を国も県も実施すべきだと思いますけれども、いかがですか。
〇佐々木農産園芸課総括課長 価格関係でございますが、米の需給に関しては、県だけではなかなか難しい。やはり国全体でそういうものを調整していく必要があるのではないかと我々は認識しているところでございます。そうした意味から、国に対しては、一部隔離といった部分の要望を出させていただいているところでございます。
 産地交付金というものを使いまして、本県におきましては、多収の飼料用米について助成措置を独自に講じているところでございますので、引き続きそうした国の制度も活用しながら、バランスある作付面積といいますか、主食用米と転換作目のバランスを確立してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 私は、今の緊急課題は新型コロナウイルス感染症対策だと思います。新型コロナウイルス感染症対策という立場から、米価をどう維持するのか。そして、水田のフル活用をどう維持するのか。この点で、国の、余ったから来年の生産量はその分を減らしますなどというやり方は、全部農家に犠牲を転嫁するやり方ですから、これはほかの諸外国と比べても異常なやり方です。
 もう一つは、私は新潟県の例を紹介いたしました。水田のフル活用といった場合に、主食から外すというのも一つの効果的な手段だと。新潟県は新型コロナウイルス感染症対策でやっているわけですから、岩手県もぜひそういう方向を検討していただきたい。いかがですか。
〇藤代農政担当技監兼県産米戦略室長 米価対策ということでございますが、今時点で、先ほど答弁申し上げたとおり、実勢米価は217円の減という状況になっていますので、まずはそこのところが、何とか米価が下がらないように、政府によって市場から米を隔離してもらう。そういった形の中で、スムーズに米が動くような状態をつくる。あるいは、消費拡大や需給対策、これがまず今時点でとるべき対応だと考えております。まずそこを行った上で、斉藤委員御指摘の必要性の部分について検討していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 例えば飼料用米への転換も、毎年毎年、方針を見なければわからないと農家は不安ですよ。だから転換できないのです。やはり飼料用米をしっかりと将来的にも支える、保障するという方向を打ち出してこそ、私は、水田のフル活用ができるのだと思います。そして、一方で畜産をだめにして、飼料用米を使う対象もなくしてしまう、これは許してはならない。
 そこで、牛肉の価格下落と牛マルキンの拡充、生産者負担金の免除継続、全額補填が必要だと思いますけれども、この状況はどうなっているでしょうか。
〇米谷畜産課総括課長 牛肉価格についてでございますが、東京都中央卸売市場における本県の和牛枝肉価格は、9月の去勢牛A5等級の平均価格で1キログラム当たり2、531円と、最も需要が低迷した4月の2、041円に比べまして24%の増となっております。
 次に、牛マルキンの関係でございますが、県では、牛マルキンの生産者負担金の納付猶予が令和2年4月から9月までとされておりましたので、飼育農家の経営状況を鑑みますと、まだ負担金を払える状況ではないということもありまして、国に対し、納付猶予の期限を延長するよう要望してきたところでございます。
 このような要望等の結果、国におきましては、生産者負担金の納付猶予について、10月以降も継続することとしたところでございます。
 また、牛マルキンの交付金につきましては、本県では生産者積立金が枯渇したこともありまして、今、牛マルキンでは、国費分である4分の3のみの交付となりましたので、国に対して、交付金の満額を交付するよう3回ほど要望しているところでございます。
 牛マルキンの交付金が4分の3のみとなっているということもございまして、県としては、令和2年度第4号補正予算により、肉用牛肥育経営安定対策緊急支援事業を創設して、生産者積立金から交付されるべき交付金の一部を支援する措置をとったところでございます。
〇斉藤信委員 肉牛、畜産は岩手県の農業の柱の一つです。国へはしっかり要望しているということで、わかりました。
 それで、今、根本的に問われているのは、食料自給率をどう高めるか。新しい政府の計画でも、食料自給率を45%まで高める。ただ、実態は38%です。だから、そういう意味でいくと、本当に米を守り、畜産を守り、農業を守ると、こういう政策への転換が必要だと思います。
 そこで最後に質問したいのは、7年8カ月の安倍農政、この評価、総括です。
 安倍内閣は何をやってきたか。TPP、これは政権発足のときには、総選挙のときにTPPは絶対やらないと言って総選挙をやって、3カ月後からTPP交渉を始めたのです。こういう公約違反から安倍政権は始まった。
 その後、日豪EPA、TPP11、日欧EPA、今、日米防衛協定。全面的な総事業化を進めてきた内閣が安倍内閣です。こんなに農業をつぶしてきた、この安倍政権を継続する菅政権で、私は本当に見通しはないと思うけれども、これだけの全面的な自由化というのは今までの内閣になかったと思います。
これは部長にお聞きしましょう。安倍政権の7年8カ月、私は農業分野こそ一番犠牲となったのではないかと思いますけれども、どうお考えですか。
〇佐藤農林水産部長 安倍政権の農業の関係という御質問でございます。
 国内では、いずれ人口減少等も起こっておりますし、それから、経済のグローバル化という状況も起こっております。それから地球温暖化、気象災害とか、加えて今般の新型コロナウイルス感染症ということで、農林水産業を取り巻く環境が非常に厳しい状況というのはそのとおりでございますし、加えて、今般新型コロナウイルス感染症の関係で、特に食料自給率の関係は非常にクローズアップされて、国も、いずれちょっとこのままの自給率の状況ではよろしくないということで、国産化を進めるという方向でかじを切っていると認識しております。
 県といたしましても、さまざまな機会を捉えて、現場の声、地方が元気になる農政、そういったものをぜひ実現していただきたいということで、いろいろなことを国に対しても要望しておりますし、引き続き、地方の現場が元気に農業ができる、あるいは持続可能な農林水産業が展開できる、そういったことを求めたいと思っております。
〇斉藤信委員 菅政権は安倍政治を継続するのです。こんな農業つぶしを継続されたら、たまったものではない。私は、安倍内閣よりも危険だと思っています。というのは、菅政権のブレーンを3人紹介しましょう。
 1人目、竹中平蔵氏。竹中平蔵氏はこう言いました。中山間地に人が住んで農業をするから無駄な行政をやらなければならない。原野に戻せ。こういう人が菅政権のブレーンです。
 もう一人は新波剛史氏、この人はローソンの元社長だった。米価を下げろ、企業進出を認めろと、農業の規制緩和の先頭に立った。
 3人目は、金丸恭文氏。この人はフューチャーの会長兼社長ですけれども、いわゆる農協つぶし、種子法廃止を先導した方です。
 本当に、秋田県の農家出身などと言いながら、このブレーンは全く正反対の、大企業に農業を明け渡す、そういう布陣になっているということを私はしっかり見て、日本の農業、岩手県の農業を守る取り組みに、岩手県の農林水産部は体を張って頑張っていただきたい。
 以上で質問を終わります。
〇千葉絢子副委員長 斉藤委員に申し上げます。本委員会は令和元年度決算に関する質疑を行う場であることを踏まえて質疑をお願いいたします。
   〔斉藤信委員「委員長、議事進行」と呼ぶ〕
〇斉藤信委員 何が問題だったのですか。何が。私は安倍政権の7年8カ月を聞きましたよ。何が問題ですか。
〇千葉絢子副委員長 令和元年度の決算審議に関する質疑でございますので、御理解と議事進行への御協力をお願いいたします。
〇斉藤信委員 いやいや、7年8カ月ということで、昨年も入っているでしょう。皆さん新型コロナウイルス感染症のことも質問しているじゃないですか。
 あなたは私に対して具体的に指摘してください。ほかの人の質問とどこが違ったのか。7年8カ月というのは、去年の令和元年が入っている話ですよ。撤回してください。おかしいんじゃない、そういう指摘は。世話人会を開いて。私にだけそんなことを言って、おかしいじゃないか。
〇千葉絢子副委員長 決算ということでございますので、御理解いただきたいと思います。
〇斉藤信委員 御理解できないから言っているのですよ。世話人会でちょっと協議してください。指摘がまともなら受けます。おかしいよ。
〇千葉絢子副委員長 斉藤委員のただいまの質問ですが、安倍政権、そして現在の菅政権の農政のあり方について執行部に答弁を求める質疑というふうに判断をいたしました。これは岩手県の令和元年度の決算質疑でございますので、御理解をいただきたいと思います。
〇斉藤信委員 安倍政権のもとで農業がつぶされて、いいですか、生産調整もなくなった。その結果、今農家の減収が大変になっているということを私は取り上げてきたじゃないですか。安倍政権の7年8カ月を検証するのは全然おかしいことじゃないでしょう。その安倍政治を継続するという菅政権について、私は指摘だけにとどめた。これは質問していないのですよ。
 厳密にやってください。私にだけそういう差別的なそういう発言をしてほしくない。正当なことだったら私は聞きますよ。ちゃんと世話人会をやってください。そんなことじゃだめだ、これは。
〇千葉絢子副委員長 ただいま個人への差別というような御発言がありましたが、私はそのように判断はしておりません。この審議は令和元年度の決算に関する質疑でございますので、斉藤委員、今御指摘の点につきましては、国会にて論戦が行われることでございまして、この場は岩手県の決算審議でございますので、御理解と議事進行に御協力をいただきたいと思います。
   〔斉藤信委員「委員長、議事進行」と呼ぶ〕
〇斉藤信委員 あなたの個人的立場で対応してほしくない。安倍農政のもとで岩手県は農業をやっているのですよ。農業政策というのは国の政策がほとんどなのですよ。だから、あなたの個人的な立場でそういうことを言うのは私は不適切だと思っているのですよ。だから世話人会を開いてほしいと言っているのですよ。どこがおかしいですか。この決算審議で私が質問したことは。
 安倍農政のもとで今農家は苦しんでいるのですよ。生産調整もなくなって。今、新型コロナウイルス感染症の中で米価が暴落をして、そして全面自由化政策を進めてきた。これを県政で取り上げたらおかしいですか。私は毎回取り上げていますよ、これ。何で今回だけそういう指摘をされるのか、全く不本意だ。
 だから、あなたの個人的な立場じゃなくて、委員長も含めて世話人会でやってください。これが議事進行ですよ。
〇千葉絢子副委員長 それでは、後刻、世話人会で協議いたします。
〇千田美津子委員 私は、新型コロナウイルス感染症ショックで露呈した食の脆弱性という観点で、まず3点お聞きをいたします。食料、農業、農村への影響と自給率、先ほどお話がありましたが、食料自給率向上が必要だという観点でお聞きをいたします。
 新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延を受けて、輸出規制に耐えられる食料自給率の向上の重要性がクローズアップされ、具体的かつ着実な食料自給率の道筋が示される必要性が高まっております。そういう中で国もかじを切り始めているという話が、先ほど農林水産部長からありました。不可欠な生産要素として飼料、種子だけでなくて、労働力の海外依存の問題も認識されております。
 そういう中で、2008年には食糧危機と国際的な食料価格高騰がありまして、メキシコでは主食のトウモロコシの国内生産が激減し、価格高騰で米国から買えなくなり、暴動も起こりました。ハイチでは、米生産が減少して、米の輸出規制で、お金を出しても米が買えなくなり、暴動で死者まで出ております。
 このような教訓に学んで、今やるべきは、過度の貿易自由化に歯どめをかけ、各国が自給率向上政策を強化することが大事であります。今回の新型コロナウイルス感染症の問題は、このまま貿易自由化を進めていいのか、国の未来のあり方がまさに問われております。
 そこで、コロナ禍が提起しておりますこれらの問題について、どのように認識しておられるか、まずお聞きをいたします。
〇鈴木農林水産企画室企画課長 食料、農業、農村、食料自給率のお尋ねでございました。
 まず、国の食料・農業・農村基本計画では、食料自給率の向上に向けた課題と重点的に取り組むべき事項として、国内農業の生産基盤の強化、消費者と食と農とのつながりの深化を掲げ、講ずるべき施策として、国内の農業生産の増大を図り、輸入の途絶等の不測の事態が生じた場合にも、国民が必要とする食料供給の確保を図ることが必要とされております。
 県といたしましても、いわて県民計画(2019~2028)に基づき、農産物の生産拡大や生産基盤の着実な整備、地産地消による農林水産物の消費拡大等の取り組みを進めているところでございます。本県が食料供給基地としての役割を担い、持続的に発展できるよう取り組んでいくことが重要と考えております。
〇千田美津子委員 県の姿勢も取り組み方もわかりました。
 ただ、そういう中で、自給率が決して上がらないどころか、下がり続けているという問題があります。そこで、これからどうやっていくかがますます重要になってくるわけですけれども、自給率はカロリーベース、生産額ベースで、平成10年以降どのようになっていますか、お知らせください。
〇鈴木農林水産企画室企画課長 国の食料自給率の推移ですが、カロリーベースの食料自給率は、平成10年度40%、平成20年度41%、平成30年度37%となっております。
 生産額ベースにつきましては、平成10年度は71%、平成20年度は66%、平成30年度も同じく66%となっております。
〇千田美津子委員 いずれも下がっているわけですが、やはり基本はカロリーベースで、これをしっかり引き上げていくこと、これが求められております。そういう意味で、岩手県の農業を本当にしっかり基盤をつくり守っていくという点で、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それでは二つ目、コロナ禍で、県内農家への海外研修生などの実態はどのようになっているでしょうか、影響についてお聞きをいたします。
〇中村農業振興課総括課長 海外研修生についてでございますが、農業分野における外国人技能実習生は、JA等からの聞き取りによりますと、本年3月末現在で約370人となっています。
 影響ということですけれども、外国人技能実習生の出入国等、現時点で把握可能な、募集から受け入れまでの手続をしております県内の主な監理団体等からお伺いしたところ、入国が制限された4月以降これまで、20人が帰国されたということです。一方で、入国の実績は今のところはないと聞いております。
〇千田美津子委員 3月末で大体370人ということです。なかなか直接的な把握は難しいと思いますが、国ごとにはわかりますでしょうか。
〇中村農業振興課総括課長 国ごとの在籍者の関係でございますが、フィリピンが265名、ベトナムが84名、中国が約20名となっています。
〇千田美津子委員 今回大きく影響を受けたのは、岩手県ではないということでいいでしょうか。
〇中村農業振興課総括課長 県内の経営体にいろいろと聞き取り等もいたしました。人手不足を心配する声も実際にあると承知はしていますが、帰国が難しい実習生については、国の特例措置を活用しながら在留期間を延長して実習を続けているという事例もございますし、また、受け入れ経営体が作業の効率化を図りながら対応している事例、また、入国のめどもある程度ついている経営体もあるなど、現時点では大きな影響はないと経営体からお伺いしております。
〇千田美津子委員 今回の新型コロナウイルス感染症ショックは、岩手県ということではなくて、日本の農業が海外の研修生の皆さんに支えられている現実が非常にあったと。そういう方々の予定していた来日がストップするとか、そういう影響が非常に心配されました。そういう中で、農業生産を大きく減少させる危険があぶり出されたように思います。いずれ、今後とも、そういう方々へのさまざまな待遇改善、条件整備等を含めて頑張っていただきたいと思います。
 それでは、三つ目ですが、食の安全保障という点で、厳密に言えば他の部局かもしれませんけれども、農業政策の一環として見解をお聞きいたします。
 食の安全には、量とともに質の問題が大変重要です。成長ホルモン、除草剤、防カビ剤などの残留などでリスクのある食料が、輸入基準が緩い日本にどんどん入っております。質の安全保障も、今回本当に危機に瀕していると言われますが、どのように認識しておられるでしょうか。
〇高橋技術参事兼流通課総括課長 県内で流通している輸入食品の安全性ということでのお尋ねでございます。
 一義的には、厚生労働省が水際対策といたしまして、検疫所における検査等により、食品衛生法に違反する食品が輸入されないよう食いとめるのが基本と認識をしております。
 先ほど千田委員からもお話がございましたが、県におきましては、環境生活部が所管をしています。県内に流通する輸入食品を対象に、残留農薬や抗菌性物質、ホルモン剤等について、毎年50件程度のモニタリング検査を実施しています。この結果、これまで基準に違反するような事例はなかったと伺っております。
〇千田美津子委員 今、水際対策のお話がありましたし、所管が別だということもありましたけれども、水際対策で検査できるのは何万分の1とかという状況で、ほとんど大事な部分がなされていない実態が明らかになっております。そういう意味で、自給率をさまざま米以外でも高めていく必要があるという観点でお聞きしましたので、よろしくお願いいたします。
 それでは、最後になりますけれども、湛水防除事業の現状と今後の対応についてお聞きをいたします。
 湛水防除事業は、農村地域の防災減災対策事業でありまして、立地条件の変化によって湛水被害が生じるおそれのある地域において行われている事業であります。排水機や排水調節池等の新設及び改修によって、湛水排除の恒久対策が講じられているものであります。昨今、台風や豪雨災害が多発している中で、湛水被害が生じるおそれのある地域においては、これらの施設の整備は大変重要となっております。
 そこで、県内の湛水防除事業の実施状況と、またそれぞれの設置年度、耐用年数、改修工事等の見通しはどのようになっているでしょうか、お聞きをいたします。
〇千葉農村建設課総括課長 湛水防除事業の実施状況についてでございますが、今まで、昭和51年度から平成29年度まで、北上川沿いの奥州市ほか2市の12地区において事業を実施し、既に完了しているところでございます。
 最初の事業から40年間経過した地区もあるということで、耐用年数は、用排水機はおよそ20年間と法定的に定められていまして、これを経過した施設もございます。それらの施設につきましては、今後、施設管理者である市町村等の要望を踏まえて、施設の状況を把握するとともに、維持更新が可能な国の補助事業も活用しながら、農村地域で安心して営農ができるように、引き続き、施設の健全化を支援していきたいと考えております。
〇千田美津子委員 耐用年数を超えているところが、実はかなりあります。それで、設置者である市町村等の要望を踏まえて対応していくということでありましたけれども、現時点で要望は来ていませんか。
〇千葉農村建設課総括課長 今現在で、施設全体の補修という形の要望には至っておらず、施設自体はモーターとかエンジンで構成されているもので、それらの老朽化した機器の更新には、補修等を行う基幹水利施設ストックマネジメント事業ですとか、土地改良施設の維持管理適正化事業で施設のメンテナンスをやりながら、今までも補修、更新等をしているところでございます。大々的に更新するとなると、それ相当の事業費がかかってまいりますので、こういった維持管理事業を使いながら長期化を図っていくということで、市町村のほうとはお話をさせていただいているところでございます。
〇千田美津子委員 例えば、私が住む奥州市姉体町では、この施設の老朽化で、この間、2度ほど改修事業を行っていただきましたが、やはりもう本体をかえなければならない状況にあるようです。奥州市としては要望していたと聞いてはおりますけれども、今お話があったように、各地の状況をしっかり点検されて、整備計画を立てていくことが必要ではないかと思いますが、どうでしょうか。
〇千葉農村建設課総括課長 湛水防除施設に限らず、県内のこういった施設につきましては、施設の保全計画を作成しております。その中で、市町村等と協議しながら、長期的な視点でその計画を策定しているわけですが、そのスケジュールで、今後計画的に補修、更新といったことに取り組んでいくように、今後も適正な施設判断を行いながら進めていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 北上川の水門が閉まると内水が本当にあふれてくる状況で、これらの施設は大変重要でありますので、保全計画がつくられているということではありますが、それをさらに進めた検討がきちんとなされるように要望したいと思います。
 三つ目に、地球温暖化への対応の質問をしておりましたが、先ほど武田委員の質問で答弁がありましたので、これで終わります。
〇千葉絢子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇工藤大輔委員 岩手競馬の関係についてお伺いしたいと思います。
 今、競馬事業は、コロナ禍の中で本当に見通しが難しい環境にあるということ、また存廃基準である黒字を絶対に果たさなければならないこと、また禁止薬物問題が解決していませんので、これに対する対応など、非常に厳しいものがあると思っています。
 そういった中、昨年、一昨年と、禁止薬物ボルデノンが検出されている中にあっても、黒字化を達成したことについては敬意を表したいと思いますが、今日までこの3カ年の中でも、禁止薬物ボルデノンに対する影響がかなり大きかったと思いますが、その辺についてどのように捉えているのか。競馬組合のほうでは、取りやめの期間の影響であったり、また監視カメラの設置、監視の強化など対策も講じているわけですけれども、それについてもあわせてお伺いしたいと思います。
 また、一昨年は7月から12月にかけて5頭、そして昨年は11月から12月にかけて7頭、陽性馬が検出されたと理解しております。そういった中で、今年度は、その対策等の強化もあって、現状では事案は発生していないということになりますけれども、これまでの過去2年間の状況を見れば、非常に気をつけなければならない時期にあるのではないのかとも思っております。現在の対応についてお伺いします。
〇千葉理事 まず、禁止薬物陽性馬の影響についてでございますが、一昨年の発生以降、競馬組合では、再発防止対策チームの意見も聞きながら、鋭意再発防止対策に取り組んでおりまして、監視カメラの設置であるとか警備体制の強化、それから、全頭検査などを行っております。これにはおよそ9、800万円を要しております。
 また、本年度(後刻「令和元年度」と訂正)、これら再発防止策を継続しておりましたけれども、昨年11月に5頭目の禁止薬物陽性馬が発生したということで、防止策を再度点検しまして、監視カメラの増設であるとか全頭検査を行っておりまして、これにはおよそ1、400万円の費用を要しております。
 それから、売り上げの面でいえば、これは発売計画額しかお示しすることはできないのですけれども、得られなかった概算の粗利で約2億1、000万円という影響があったと考えております。
 それから、工藤大輔委員から禁止薬物陽性馬が5頭、7頭と御指摘がございましたけれども、私どもの認識としましては、平成30年度に4頭、昨年度は1頭という認識でございます。これは実際に走った馬という捉え方でございます。工藤大輔委員御指摘のとおり、その他にも薬物が検出された馬はおります。
 再発防止対策については、平成30年度に発生して以降に、先ほど申したような対策を講じておりますほか、昨年11月の5頭目以降も、先ほど申したように、監視カメラの増設といったことに取り組んでおります。
 いずれ、これらの取り組みと実効性を随時点検しながら、薬物陽性馬が発生しないように、厩舎関係者と一丸となって取り組んでいるところでございます。
〇工藤大輔委員 わかりました。確かに、走ったレースの結果で確認された馬と、あとは、その後に検査をして判明した馬ということでの理解はします。そのとおりだったと思います。
 それで、いずれこれは、監視カメラの設置等を進めた中で、ランニングコストがかかってくるというのは、これからずっと続いていくのだと思います。これは必要経費としていつかの段階までは見なければならないと思いますけれども、事案の推移を見ながら、その辺も含めて、競馬事業の中で安全性等が将来確認されていけば、その監視体制も少しは緩めるときも必要ではないのか。さらに必要があれば強化というのも出てくると思いますが、そういったことも含めて競馬事業を運営していただきたいと思います。
 また、実際にこれは刑事告発等もされているわけですけれども、この原因究明、また事件の全体像が全く見通せていないと思います。それについて現状をどのように考えているかお伺いします。
〇千葉理事 原因究明につきましては、捜査当局において捜査が継続しており、手前どもとすれば、その推移を見守っていきたいと思っております。
 それから、済みません。先ほどの答弁でございますけれども、平成30年度、対策費として9、800万円、そして、今年度と申してしまいましたけれども、これは令和元年度に1、400万円の費用を決したということでございますので、訂正させていただきます。
〇工藤大輔委員 わかりました。これは厩舎関係者も含めて一体となって取り組んでいただいて、再発防止を徹底していただきたいと思います。よろしくお願いします。
 次に、今年度の売り上げでは、インターネット発売が好調に推移していることもあって8億円を超える粗利益の確保が見込まれているということが、競馬議会の臨時議会で提示されたと思っております。
 それで、この要因は実際にどのように捉えているのか。また、今後、コロナ禍において新たな場面とか新たな経験もしているわけですけれども、増収策についてどのように取り組んでいく考えかお伺いします。
〇千葉理事 インターネット発売が好調な要因でございますけれども、コロナ禍で巣ごもり現象といったものが見られて、当初はJリーグ等のプロスポーツを開催しておりませんで、無観客であっても競馬を続けてこられたということが要因となっております。例えば、インターネット発売の休眠していた会員を掘り起こしたとか、あるいは新規の会員を掘り起こした、そういったことが相まって、こういった発売になっているのかなと分析しています。
 それから、これは新型コロナウイルス感染症が発生する以前に計画した内容でございますが、岩手競馬は土日月の開催が基本でございまして、土曜日、日曜日はJRAと競合いたします。そういった関係で、スタート時間をおくらせるとか、あるいは土曜日の開催にかえて火曜日を試してみるとか、そういったことをやっています。まだ後年度が残っておりますので、そういった計画を着実に実施していきたいと思っております。
〇工藤大輔委員 わかりました。利益、インターネットの発売が好調だということなので、さらに強化できるものは強化していきながら取り組んでいただきたいと思います。ただ、これは一過性になる可能性もあると思いますので、翌年度にしっかりつながる取り組みも、よろしくお願いしたいと思います。
 大幅な利益が見込まれているのはいいのですけれども、実際、当初は、9月いっぱい無観客でのレースを実施した場合に、最終利益3億6、200万円の赤字と見通していたわけです。それを5月に示し、その後、7月には、今度は逆に1億5、300万円の黒字を見通し、そして今回は8億円を超える黒字の見通しということで、確かに環境が大きく変わったとはいえ、見通しする額からすれば、かなり大揺れというか、大振れしているという思いがします。もう少ししっかりと見通しながら進めていかないと、経営上問題があったり、あるいは適切に競馬事業を実施できていのるかというようにも判断されますので、まずその件について考えをお伺いします。
〇千葉理事 ただいま御指摘いただいた点でございますが、やはり4月、5月当初は、このコロナ禍がどういったときに収束するのか見通せなかったわけでございまして、6カ月無観客が続いた場合という想定で3.6億円の赤字なりをお示ししたところでございます。その数字の示し方につきましては、工夫すべき点があったかとは思っておりますけれども、いずれ発売額を計画するというのも、数字をつくるのは非常に難しい面がございますが、しっかりと発売状況を分析しまして、次年度の計画にもつなげていきたいと思っております。
〇工藤大輔委員 競馬組合のほうからのアナウンスという影響も非常に大きいので、赤字となったところに、応援で買ってくれる方もいるかもしれませんが、いやいや、じゃ、もうそろそろ違うところでというような、どこの競馬を買ってもいいわけですから、そういったさまざま、応援する方、また買う方にも影響がある、経営にも影響が出てくるわけなので、その辺の経営判断はしっかりしていただきたいと思います。
 最後に、利益金に対する考え方についてお伺いしたいと思います。
 これは近年で見れば、存廃問題が発生してからは全て黒字の経営をしていますけれども、今年度の黒字の見通しはかなり大きい、近年にない見通しだなとも思っています。
 そういった中で、平成28年には初めて7、600万円の返済をしたということもありました。ただ、現状からすれば、水沢競馬場の厩舎整備、これは3期にわたる計画を組んでいるわけですけれども、今1期のところを進めようとしている中にあって、相当額の事業費も必要になってくる。また、各種施設の改修も必要であったり、これだけ黒字が出てくれば賞典費等にも何らかの対応をしなければならないと思っていますが、利益金に対する基本的な考え方、どのような配分等にしていきながらこの利益金の処理をしていくのか、お伺いします。
〇千葉理事 構成団体の融資の返済についてでございますが、今後も計画額を上回る発売が続けば、工藤大輔委員御指摘のように、一定の利益を確保できるものと見込んでおります。そうなれば、岩手競馬が将来にわたって安定的な経営を継続できるよう、その活用につきましても競馬議会において議論をしていただきたいと考えております。
 いずれにいたしましても、今後とも、計画額を上回る発売額を確保して、少しでも多くの当期利益を確保できるように努めたいと考えております。その上で、新計画に定めるルールに基づき返済を行うものと考えております。
〇工藤大輔委員 今回かなり大きな利益が見込まれるということで、融資した際の県民の考えはそれぞれあると思います。私は、競馬事業存続のために有効に活用していただきたいという考えもあるわけですけれども、県民の多くの中には、返済重視だという方もいると思います。このバランスをどうとるかというのが非常に重要なのだと思います。わずかな利益であれば多少の返済ということもあるのかもしれませんが、できれば毎年少なくともこのぐらいずつは返済する。大きな利益が出た場合には、一定のフレームを設けて、その中で返済する費用、また施設を改修する費用、またファンのさらなる獲得、あるいは競馬関係者に対するさまざま賞典費等のアップとか、何らか、やはりこういうことも考えていかなければならないのかなとも思います。
 利益がある程度出て、ルール上は、1億円出て2分の1を返済でしたか。それで、残りを基金に積めばほとんど返さなくてもいいという考えばかりではなくて、何らかルールを決めていくのも必要かなと思います。できれば毎年、少なくとも、わずかでも返済は毎年しているというのが、県民あるいは市民に対する一つの誠意だとも思いますので、そういったフレーム等は考えられないのかどうか、お伺いします。
〇千葉理事 ただいま、毎年度コンスタントに返していけるようなルールづくりといった御指摘かと思いますけれども、平成28年度に多額の利益が出た際に、施設整備計画5カ年計画を示しまして、こういった計画で施設整備にも充てていきますといったこともお示ししております。
 こういった利益が出ていますので、そのほかにも緊急的な補修などがあるかと思いますが、いずれそういった施設整備計画を示しながら返済も考えていくということでお示ししておりますので、そういった計画にのっとって、少しでも返済できるように努力してまいりたいと思っております。
〇工藤大輔委員 わかりました。いずれ、これは競馬議会のほうで新たに提案されて、深く議論されていくものと思いますので、その推移を見たいと思います。
 ちなみに、次の競馬議会はいつごろ開催されるか最後に聞いて、質問を終わりたいと思います。
〇千葉理事 11月定例会は11月20日に招集する予定となっております。
〇千葉絢子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉絢子副委員長 質疑がないようでありますので、これで第1部農業関係の質疑を終わります。
 説明員の入れかえを行います。しばらくお待ちください。
 次に、第2部林業水産業関係について質疑はありませんか。
〇名須川晋委員 それでは、簡潔に伺いたいと思います。
 県行造林についてでございますけれども、まず、事業区と面積はどの程度あるか伺います。
〇西島森林保全課総括課長 県行造林の面積は、令和2年3月31日時点で、4万9、626ヘクタールございます。
 事業区につきましては、2、026事業区ございます。
〇名須川晋委員 契約期限がおおむね60年ほどでしょうか。その到来に伴って、その取り扱いはどうなっているのか。例えば立木の処分方法は、交付金分収と立木の分収、そして、買い取りの3方法があるのでしょうか。ほかにも何かあるかもしれませんが、契約時との環境の変化によって、さまざまこの処分方法も変わってくる。山林のいろいろな環境が変わってくるのではないかと思われますが、現在、どのようになっておりますでしょうか。
〇西島森林保全課総括課長 期限到来を迎えた立木の処分方法についてでございますが、先ほど名須川委員から御紹介がありました三つの方法が基本的にございます。
 過去3年間の処分実績78件のうち、一つ目の交付金分収は60件で全体の77%、それから立木買い取りが18件で23%ということで、この二つでおおむね100%という形になっております。
〇名須川晋委員 そうすると、これから続々と契約期限が到来してくると思ってよろしいのでしょうか。
〇西島森林保全課総括課長 齢級のほうは、現在、40年から50年ごろが大体平均でございます。ですから、今後数年後から徐々に期限到来期がやってくる形になります。
〇名須川晋委員 契約が満了する、そろそろふえてくるということのようですが、どう処理がなされるか不安に思っている土地所有者が―複数いる場合も多いと思いますけれども―お感じになっているのではないかと思います。木の発育がよくないとか、あるいは虫にやられたとか、そういうことがあるとすると、なかなかこの分収という形にはなりづらいところも出てくるのかなと思うのですが、その点についてお伺いいたします。
〇西島森林保全課総括課長 不安を抱える土地所有者への対応についてのお尋ねでございますけれども、契約期限の到来に当たりましては、土地所有者に対しまして、先ほど御紹介ありました立木の処分方法などを丁寧に御説明いたしまして、さらに、現地の森林の生育状況を踏まえた上で、土地所有者のお話をよくお聞きしながら、処分方法や、場合によっては契約期限の延長などの手法も取り入れ、選択肢を示しながら御相談に応じておりますし、今後もそういう形で対応してまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 持ち出し分が出るのではないか、さっぱり金にならない。そういうところも、恐らくこの二千数百の事業区の中で、絶対数が多いものですから、数も多く出てくると思いますので、そういう負担を和らげるよう、しっかりお取り組みをいただきたいと思います。
 土地所有者の高齢化あるいは木材価格の低迷によって、県行造林の今後はどのようになっていくのか、お伺いをいたします。
〇西島森林保全課総括課長 県行造林につきましては、平成30年7月に策定した県有林第6次基本計画に基づき、現在取り組みを進めているところでございます。コストの低減を図りながら間伐などの森林施業を適切に行うことで、立木の価値を高め、また市況に応じました立木販売を行うことでより利益を上げ、土地所有者に少しでも多く還元できるように、一生懸命取り組んでまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 数十年前は非常に木材もよかったと思いますけれども、今現在なかなか期待できない状況にあって、できるだけ所有者の方には、今お話しされたように、高い価格で引き取っていただくような造林をお願いいたします。
 そこで、これは通告していなかったわけでございますけれども、きのうの環境生活部と、そして先ほどまでの第1部の中で、さまざま鳥獣被害の件について指摘をされておりましたので、山林についても、どのような状況になっているか。鹿の食害であったり、あとは、熊が幹を引っかくということがあるようでございます。農業関係の被害については、先ほど4億円ということで御答弁がありましたけれども、山林についてはそういうところは把握されておりますでしょうか。
〇及川整備課長 林業における鳥獣被害についてでございますが、主にホンシュウジカとニホンカモシカの被害が出ております。
 令和元年度の被害状況を申しますと、ホンシュウジカにつきましては、実総面積になりますけれども、13.37ヘクタールの被害、金額にして1、700万円ほどの被害報告が上がってきています。
 カモシカにつきましては、令和元年度2.87ヘクタール、金額にして500万円ほどの被害となっています。
〇名須川晋委員 山林についてもそのような被害があるということで、今、熊が里のほうに出てきているという状況がございますけれども、これは森林経営において政策がどのように反映されているのか。例えば針広混交林、針葉樹と広葉樹を混交して植えるということをやっているところもあるようでございますけれども、里のほうに、まちのほうに出てこないような山づくりというのは考えられないものなのでしょうか。
〇及川整備課長 熊の被害防止についてでございますが、林業サイドとしましては、主に里山あるいは身近な森林、人工林における植栽木の間伐等におきまして、見通しのよい森林をつくっていくことが、熊と人との接近を回避する手段と考えております。森林整備事業あるいは里山再生事業等を活用して、そういったニーズに対しては対応していきたいと考えております。
〇名須川晋委員 なかなか即効性はないと思われますが、数十年単位ではあると思うのですが、そういうところも地域森林計画に入れ込むことは考えられないわけでしょうか。
〇及川整備課長 地域森林計画の内容につきましては、主に森林の維持造成という分野が大きいわけですけれども、鳥獣被害対策としましては、先ほど申したとおり、里山の適正な管理という位置づけで配慮していくという内容を掲げているところでございます。
〇名須川晋委員 最後にいたします。広大な山林が岩手県にはあるわけでございます。その中で鹿や熊、その他もろもろの鳥獣が生活をしているわけですから、その中で何とか完結をしてもらうような森林づくりを、何か計画の中で策定していくということも、長い目で見れば必要ではないかなと思います。来たものに対してその場限りの対応ということでは、なかなか根本のところが変わっていかないということで、数十年の計になるかと思いますが、何かしらそういう施策を森林行政においても手を打っていくことが、先ほどお話しされたようなこともあるでしょうけれども、もうちょっと根本のところから変えていくということが計画として策定できないものか。行政経営として何か取り入れられないものか、最後に農林水産部長にコメントをいただいて―何か困った様子をされておりますけれども、コメントをいただきます。
〇佐藤農林水産部長 熊、それから鳥獣被害の関係ということでいろいろお話、質問をいただきました。
 地域森林計画をつくっていく上で、ちょっと詳しい内容は手元にないのですが、名須川委員の御指摘のとおり、余り鳥獣被害のことを全面的に打ち出している計画ではなかったという気がいたしております。農作物の被害も先ほどの質疑のところでもございましたし、今、名須川委員から御指摘いただいたところも、なるほど、そういう状況だなと。あとは、熊の被害等も、目撃情報が大変ふえているという状況がございます。
 そういうことも踏まえまして、今いただいた意見、これから新たな計画等をつくっていく際に、どういう点に注意しながら、あるいはその計画に入れていくべきかどうかといったことも含めまして、今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
〇千葉絢子副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時27分 休 憩
午後2時42分 再開
〇千葉絢子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇工藤勝子委員 優良種苗確保事業についてお尋ねいたします。
 県内における令和元年度、再造林面積実績値830ヘクタールにおいて、杉、アカマツ、カラマツの植栽面積についてお伺いいたします。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 県内の杉、カラマツ、アカマツ等の造林面積についてでございますけれども、令和元年度の実績で、杉154ヘクタール、アカマツ1ヘクタール、カラマツ733ヘクタールとなっています。平成30年度実績962ヘクタールから25ヘクタールほど増加しているところでございます。
〇工藤勝子委員 県内の苗木生産者がおられますが、その現状と課題、そして、優良種苗確保事業費の推移についてお尋ねいたします。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 県内の造林用苗木生産者数は現在18事業体となっておりまして、これら苗木生産者は、高齢化により減少しているものの、苗木生産者で組織する岩手県山林種苗協同組合と連携し、現在主流となっておりますコンテナ苗の育苗施設整備や生産技術の指導等によりまして、生産性の向上を図り、種苗の安定供給に努めているところでございます。
 優良種苗確保事業費の推移でございますが、この事業では、種子を採取するための樹木の育成管理、実際の種子採取など、本県の森林資源を将来に向けて安定確保していく取り組みを実施しているところでございまして、令和元年度の事業費は約490万円でございます。再造林面積が増加傾向にある近年におきましては、苗木の需要に応えられるよう、毎年400万円から500万円程度の事業費で取り組みを継続しているところでございます。
〇工藤勝子委員 苗木生産者が減少していくという状況にあります。これは高齢化もあろうと思っていますし、今のポット栽培になっている技術の難しさもあるのだろうと思っています。この人たちが減少すれば、県内での造林計画に対応できなくなる可能性があるのではないかという危機感を持っていますが、その辺はいかがでしょうか。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 生産者数は確かに減少しております。ただ、最近の技術の向上によりまして、先ほどお話しいたしましたコンテナ苗を増産するような取り組みが全国で進んでおります。この技術がどんどん進んでおりまして、生産者の方々はそのコンテナ苗を活用、あるいはその機械化などの取り組みを推進しておりまして、少ない生産者数であっても、増加を続ける苗木の需要に応えていけるような状況になっております。今後は、そういった取り組みを進めていくことになると思われます。
〇工藤勝子委員 奥州市江刺に林木育種場というのがあると伺っております。採取される種子の種類、特にカラマツですけれども、その生産量についてお伺いしたいと思います。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 林木育種場のカラマツの種子生産でございますけれども、令和元年度の種子の採取量、カラマツは26キログラムでございます。
〇工藤勝子委員 先ほどお聞きしましたように、結局、再造林面積で700ヘクタールぐらいがカラマツだということでございますが、この種子で十分だと捉えておられますか。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 現在は、カラマツの需要に対して必要な苗木は供給されているところでございます。ただ、カラマツにつきましては、種子の豊作と凶作の差が非常に大きい樹種でございまして、豊作の年の種子を貯蔵して、足りない年、凶作の年にはそれを利用するなどの取り組みにより、不足する部分を補っていくような取り組みをしているところでございます。
 したがいまして、そういった種子の豊凶に対応するような施業の仕方を継続して取り組みながら、その種の供給を続けていきたいと思っております。
〇工藤勝子委員 この苗木生産者から要望があったのですけれども、カラマツの種子の確保に非常に苦労されており、県のほうにも要望を出しているという話がございました。
 そういう中において、多分個人的なのかもしれませんが、北海道からも買い入れているという話なのですよ。ということは、北海道と交渉しても、北海道でも今需要が高くなって、岩手県に出すということは、いい話をしてくれないという話があるのですけれども、そういう状況は御存じでしょうか。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 種子が非常に足りなかった時期に、他県から種子を購入して生産したという事実は聞いております。
〇工藤勝子委員 それは県がお世話していることですか。それとも、私がお話ししたように、個人ですか。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 基本的には、種子の生産、供給は県が行うことになっております。そういった県のほうで需給調整をする中で、種子の不足については、直接聞いて、それに対して何かをしていることではないのですけれども、例えば、生産者において個人的に販売したりするようなケースがありまして、そういった場合については、個人的に調達するケースはあると聞いております。
〇工藤勝子委員 でも、苗木生産者の方々からの種子に対しての要望は御存じでしょうか。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 カラマツの種子は、今後主流となる造林樹種でございますので、種子の安定的な供給の要望がされていることは把握しておりますし、それに対応する部分についても、やっていきたいと思っております。
〇工藤勝子委員 足りない種子ということで危機感を持っているわけですけれども、その要望に対してどのようなことをされているのでしょうか。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 苗木生産者から要望の多いカラマツということで、まず県では、奥州市江刺の林木育種場内の既存のカラマツ採種園を有効に活用するということで、着花促進するような処理を進めていますほか、以前使っておりました久慈市侍浜の国有林内にある侍浜カラマツ採種園の活用、あと、岩手県山林種苗協同組合などと連携しまして、民有林、国有林の着果情報をもとに、普通林からの種子採種に取り組んでいるところでございます。
〇工藤勝子委員 お話を伺ったことによりますと、年によって、種のよくとれる年と、とれない年があると。とれるときにはいっぱいストックできるのでしょうけれども、2年ぐらい不作が続いたときに、次の年に間に合わないのではないのかなという思いもあります。
 そういう中において、県北の久慈市のほうからもという話があります。例えば、苗木生産者の人たちは、この奥州市江刺の1カ所ではなくて、県北のほうにもそういう採種場をつくってほしいという要望も出されているはずなのですが、これをやはり設置すべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 育種場につきましては、現在は確かに奥州市江刺が主流でございます。この奥州市江刺の林木育種場の中におきましても、現在足りない種子に対応するために採種園を造成しているところでございます。
 まず、この育種場を有効に活用して種子を採種することを基本として、それでもまだ種子が足りない場合には、この育種場以外のエリアでも採種場の設置を検討しなければならないと考えておりますが、現時点では、まず、奥州市江刺の林木育種場を中心に取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 では、農林水産部長にお聞きしますけれども、県北に林業技術センターがあるはずですね。そういうところで、やはり奥州市江刺1カ所ではなくて、この広い岩手県の林業、そして、ましてやまだ需要の高いカラマツの種子をしっかりストックする、そして生産者に、苗圃をやっている方々に安心して苗木をつくってもらうためにも、そういう対策をとるべきではないかと思うのですが、そういう設置の考えは部長としてもないですか。
〇佐藤農林水産部長 カラマツの種子の生産の関係でございます。
 先ほど森林整備課総括課長から答弁したとおり、豊作の年とそうでない年と非常に差が激しくて、なかなか確保が難しい年もあるという状況でございまして、奥州市江刺の林木種苗場で今のところは種苗生産を進めているという状況でございます。
 各地からそういう要望もあるということでございますので、優良な種子、それから苗木を安定的に供給していくために、着実に事を進めることがぜひとも必要だと思っております。
 引き続き、林業関係団体と一緒になりながら、いろいろな情報を集めつつ、奥州市江刺のところで果たして十分これからも間に合うのか、全然足りない状況になるのか、その辺のところは情報を収集しつつ、これからの施策を検討してまいりたいと思っております。
〇工藤勝子委員 育苗をやっている方々が減少もしているし、種が入らなければ苗圃をやめるという生産者も出ているというお話を聞いておりますので、ぜひその要望に応えていただきたいと、私はそう思います。
 では、次の質問に移ります。東日本大震災津波の発生から10年になります。そういう中において、10年目の節目として、県としての復興施設の木材利用状況、また被災されて県の県産材利用支援事業を受けて建てられた民間の住宅はどのくらいになっているか、お尋ねしたいと思います。
〇高橋林業振興課総括課長 まず、復興後の公共施設の木材利用実績についてでございます。
 県が平成23年度から令和元年度までの9年間で整備いたしました応急仮設住宅や災害公営住宅などの公共施設におきましては、構造材や内装材への県産木材の活用に努めてきており、県産木材を含めた木材約6万5、300立方メートルを利用したところでございます。
 また、市町村においては、木材使用量に関する統計等はございませんけれども、震災以降、小中学校や公共施設を初め、地域材を活用した施設が多数建設されておりまして、最近では、木造施設としては、大槌町の文化交流施設おしゃっちがあり、大規模な内装木質化の施設としては、久慈市の情報交流施設ヨムノスや、宮古市の複合施設イーストピアみやこなどにおいて、県産木材が積極的に利用されているところでございます。
 次に、民間住宅建設における県産材の利用実績についてでございますが、被災者の住宅再建についての木材使用量に関する統計は、これも残念ながらございませんが、県土整備部において、被災者が住宅の建設や改修を行う場合に支援する制度として、生活再建住宅支援事業というものがございまして、これにより平成23年度から令和元年度までに県産木材を利用した住宅は、新築で2、344件、改修で314件と伺っております。
〇工藤勝子委員 いろいろな形の中で、今後も県産材の有効な活用が非常に求められると思っております。県は、木材供給基地というような言葉も出てきております。そして、県産材の安定供給体制の構築をするというような言葉もございますが、県は、この県産木材の安定供給体制をどう構築するというのですか。川上から川下まで、この流れのことでしょうか、お尋ねしたいと思います。
〇高橋林業振興課総括課長 県産木材等の安定供給体制の構築についてでございます。
 県ではこれまで、いわて県民計画(2019~2028)第1期アクションプランに基づきまして、森林施業の集約化、現場技術者等の確保、育成、集成材や合板の加工工場の施設整備、また高性能林業機械の導入支援など、さまざまな分野で、川上から川下におきまして、県産木材の安定的な供給体制の構築に取り組んできたところでございます。
 また、品質の確かな県産木材製品の安定供給に向けまして、県内の木材加工事業体に対しまして、集成材のJAS認定取得に向けた加工技術の指導でありますとか、共同研究による住宅建材の土台の新商品開発支援などを行ってきたところであります。
 今後は、こうした取り組みに加えて、本県の強みである多様な広葉樹資源の高付加価値化につながる加工技術等の開発、普及に取り組むほか、県内外の工務店等へ県産木材製品のパンフレットを配布するなど、品質、性能の確かな県産木材製品の安定供給体制の構築に向けて取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 岩手県内は、高齢期を迎えて伐採をしなければならない森林が結構多く見られると思っております。そういうことによって伐採をし、そして再造林して、新しい苗木によってCO2の吸収も進むのではないか。そういうところまで幅広い林業の役割があると思っております。
 そういう中において、川上から川下ということは、いかに販売をふやしていくか、できた製品をどこにどのように売っていくか。ここが一番大事になってくるのではないかなと、私はそのように思っているのです。そういう流れの一環の中で、途中で林業アカデミーもありますけれども、人材の育成もしなければなりませんでしょうし、すばらしい材木がいっぱいあるわけであります。名古屋城のほうにもアカマツが行ったところでもございます。そういう部分において、ぜひ市場開拓なり販売力に対して力を入れてほしいと思っていますが、最後に所感を聞いて終わりたいと思います。
〇高橋林業振興課総括課長 県議会のほうで検討いただき、昨年3月に制定されました岩手県県産木材等利用促進条例に基づいて、県では、関係各位を協議会構成員としたいわて県産木材等利用推進協議会を、この9月に発足したところであります。協議会におきましては、岩手県県産木材等利用促進基本計画の川上から川下まで、また、今、工藤勝子委員からお話がありました販売促進、市場開拓、そういったところを幅広く計画性を持ってやっていくということで、林業関係と、加えまして商工関係、経済関係の団体の方にも加入していただきまして、民間商業施設でありますとか、そういった木材の利用につきましても進めていくことにしております。
 今後とも、関係者が一体となって県産木材の利用促進に努めていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 私からは、野生山菜、野生キノコの出荷制限解除についてお伺いをしたいと思います。
 震災から10年がたちますけれども、現在、山菜は10品目9市町、キノコは9市町で全種類の野生キノコが出荷制限を受けております。喫緊、平成28年度以来となりますけれども、令和2年4月15日に、野生セリ、奥州市、4月24日に、タケノコ、一関市のうち大東、東山、藤沢地域のものの出荷制限が解除となりました。御努力に感謝をいたします。
 ただ、この解除に向けた検査の流れは、まず、3年間のモニタリング検査を行うと。市町で5カ所。ベクレル数も、100ベクレルではなくて、50ベクレル以下で、しかも低減が続いているということが条件になっておりまして、3年目には詳細検査ということで、市町で60カ所の検体をとって、それをもとに環境省が判断をするということでございます。
 その中で、現在、今後解除の見込みのあるもの、また来年度モニタリング検査をかいくぐって詳細検査へと向かうもの等、状況をお示しいただければと思います。
〇高橋林業振興課総括課長 野生キノコ、山菜類の出荷制限解除の見込みについてでございます。
 山菜類については、現在、国のほうに出荷制限解除の協議を行っているものが1市1品目ございます。市町村名、品目名につきましては解除後の公表ということにさせていただいておりますので、御了承をお願いいたします。
 来年度、解除に向けまして詳細な検査の実施を予定しております山菜につきましては、放射性物質濃度の低下が認められております2市2品目、これを徐々に準備しておりまして、関係市町村と協議を進めているところであります。
 なお、出荷制限地域の野生キノコにつきましては、市町村ごとのモニタリング調査によりましても、放射性物質濃度の低下傾向を確認しておりますが、現時点ではまだ低下の状況が十分ではないという判断でございまして、解除に向けた検査を実施できる状況には至っていないと考えております。
〇佐々木朋和委員 10年たちますけれども、まだまだ道のりは遠いなと感じます。1市1品目については今協議をしていると。また、来年度は2品目、詳細検査へ向かうということでありましたけれども、先ほど来、検査の流れについてはお示しをさせていただきました。
 一方で、鹿肉については、今までは鹿が移動するからということで、全県下で一斉に解除という方針でありましたけれども、このたび、大槌・釜石圏内においては、生産者がしっかり管理をするということで解除になりました。またタケノコについても、関係市町村から、タケノコについては場所が特定しやすく畑と同じではないかという訴えがあって、環境省の考えも変わってきたということで、一関市などでも大東、東山、藤沢で最初に解除という流れになっております。
 そういったことを見れば、自治体が一生懸命訴えて、また工夫をして、考え方を示しながら交渉していけば、今の山菜についても何とか検査の流れ、あるいは解除の範囲も変えていけるのではないかと思うのですけれども、そういった交渉は県としてはやっておられるのか。また、環境省の考えはこのように少しずつ変わってきているとも思うのですけれども、今どのような考えでいるのか、その辺についてお知らせいただきたいと思います。
〇高橋林業振興課総括課長 野生キノコ、山菜類の出荷制限解除に係る要件緩和の検討状況ということでございます。
 野生キノコ、山菜類の出荷制限につきましては、市町村や旧市町村など、地理的な範囲が明確な単位で解除することが可能とされておりまして、これまで県内においては、旧市町村単位で解除された事例として、陸前高田市産及び一関市産のタケノコがあります。
 野生キノコ、山菜類の出荷制限の解除につきましては、放射性物質濃度検査を踏まえた国との協議により実施させていただいておりまして、旧市町村単位よりも小さな範囲での解除というような要望がもしあれば、そういったお話も受けて、国のほうと協議をしてまいりたいと考えております。
 現在は、国のほうでは、先ほど鹿とかさまざまなお話がございましたけれども、品目ごとに解除の地域の区分を規定しているということでございますので、こちらに沿いながら検討を進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今、市町村等から要望があればという話がありました。関係市町村では、毎年、山菜の出荷制限解除に向けての取り組みということで要望は上げていると思うのですけれども、実際には、旧市町村単位のさらなる要件緩和であるとか、解除に向けた範囲を狭めてとか、そういった具体的な申し出はないということですか。
〇高橋林業振興課総括課長 今現在、解除に向けた取り組みにつきましても、市町村と連携を密にしながら、協力をしながら実施をしております。広い範囲でそういった要望がないとは申しませんけれども、実際に解除に向けている地域におきましては、その御要望も取り入れながら、林野庁のほうと相談しながら進めているという状況でございます。
〇佐々木朋和委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。やはり解除に時間がかかると、もう10年たっている中で、山菜をとって売ったり食したり、あるいは隣近所に配るという文化、営みが消えてしまうことを関係市町村も、私も危惧をしているわけであります。環境省に言われたような流れで検査をしてしっかりと解除していくことも大事ですけれども、少しでも早く解除になるように、ぜひ県のほうでも知恵を絞っていただきたいと思います。
 また、解除になったものは、解除になったはいいけれども、そういった生産、あるいはとってくる人がいなくなったでは、その意味はないと思います。しっかり県のほうにも、産直施設等で解除になったものが実際に売られているのか、詳細調査とまでは言いませんけれども、市場のそういった調査であるとか現場の声も聞いていただきたいと思うのですが、そういった状況をお調べになっているということはありますか。
〇高橋林業振興課総括課長 解除後の生産の状況、販売の状況というお尋ねでございますけれども、具体的に、その販売数量までを調査するといった取り組みは行っておりませんが、我々担当の職員あるいは広域振興局の職員は、出張等のときには産直施設等に常に寄って、どのような状況かというようなお話をしております。一関市のタケノコの例のときにも、私もちょっと寄って、どのような様子ですかというお話を聞いた経緯もございます。現地のほうにしっかり足を運びながら、地元の方々の声を聞いて、今後の適切な対応を進めていけるように努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 ありがとうございます。これからも寄って、ぜひお土産もいっぱい買いながら、検査をして解除するだけではなくて、この営みが復活するというところを目標に頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 次に、ナラ枯れ対策、原木林の更新のための伐採等について伺いたいと思います。
 ナラ枯れが発見されたのが、2010年度の奥州市から始まって、現在は14市町村に拡大しているとお聞きをしております。2019年度の被害は、民有林で2、854立方メートル、国有林で1、500立方メートルと。樹齢40年以上の古木に被害が多くあり、現在はそこから若木にも広がっておりまして、今、ただでさえ高騰している原木シイタケの原木の確保についても、農家が苦悩しているという報道もございました。
 県では、今、ナラ林健全化推進事業、あるいは森林整備事業の更新伐、また放射線の被災を受けたところの広葉樹林の再生実証事業等でこういった伐採を行っているわけでありますけれども、令和元年度で結構ですけれども、予算執行の状況と年間の伐採面積がどのようになっているのか、まずはお伺いしたいと思います。
〇及川整備課長 令和元年度における広葉樹の伐採、更新に対しする補助事業の執行状況についてでございますが、まず森林経営計画に基づいて、天然林の不用木や不良木の淘汰による更新を支援します森林整備事業の更新伐につきましては、4、815万円余、約82ヘクタールの実施となっております。
 また、放射性物質の影響を受けた地域におきまして、広葉樹林の再生実証等の取り組みを支援します広葉樹林再生実証事業につきましては、5、843万円余で、約38ヘクタールの実施となっております。
 なお、広葉樹の伐採利用により、ナラ枯れ被害に強い広葉樹林への転換を支援しますナラ林健全化促進事業につきましては、令和元年度の執行はございませんでした。
 トータルしますと、令和元年度は約120ヘクタールの広葉樹林を更新しております。
〇佐々木朋和委員 この伐採について、なかなか進んでいない状況もあるのかなと思います。
 ナラ枯れの長期的な要望、あるいは原木シイタケの原木林の放射線の量の低減でありますとか、また、先ほど名須川委員がおっしゃっていました熊についても、ドングリが減少すると里に出てくるという話もございます。
 そういった中で、先ほど御紹介いただきましたナラ林健全化促進事業は、3、000万円ほど予算をとっている中で、令和元年度は実施がなかった。平成30年度も150万円、平成29年度も100万円ということで、なかなかこの執行率が上がってこない。チップ質材料の1立方メートル当たり1、000円という補助だということですけれども、やはりそれでは現場はなかなか動かないということなのかなとも感じるところです。
 また、広葉樹林の再生実証事業についても、国の内示額が平成29年、平成30年と約1億円ずつあったわけですけれども、令和元年は6、000万円弱になっております。これを聞くと、やはり地域からの要望が少なくなって、そもそもの予算要望が少ないのだという話でありましたけれども、現場を見ますと原木林の更新ということは多くの生産者からも要望が上がっております。
 この事業は、令和7年度に萌芽更新が放射線量の低減に効果があるかどうか検証するためのもので、更新を進めるためのものではないと言いながら、検証結果を待ってから一斉に更新をするのでは、原木を必要とする皆さんたちは、納得いかなくて、やきもきしているのだろうと思います。
 ぜひこういった事業があるなら、要望額も多く出して、しっかりと更新をしていく。そのためには、現状の制度システムではなかなか現場の要望に応えられていないから、予算執行率も悪いのではないかと思います。
 そこで、最後の質問ですけれども、こういった広葉樹林の更新には多面的な効用があります。適正な更新サイクルを実現するためには、やはり既存の制度からプラスアルファの何か工夫が必要だと思うのですけれども、所見を伺いたいと思います。
〇及川整備課長 広葉樹林の更新を進めるため、近年ですと広葉樹材の需要が大変高まってきております。こういった状況下におきまして、林業事業体等に、ナラ林健全化促進事業あるいは森林整備事業の更新伐の活用についてこれまで以上に強く働きかけ、適正な更新を推進していきたいと考えております。
 なお、推進に当たりましては、先ほど佐々木朋和委員からも御指摘がありました、使われていない現状をどう捉えるかというところを関係者の皆様にお聞きして、今後の対策に反映させていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 それでは、私は1点、いわての森林づくり推進事業、いわて環境の森整備事業費についてお伺いします。
 いわての森林づくり県民税による強度間伐を中心にしたこういう税財源で、法定外目的税でこういう施業活動等をしているわけです。2年前にも同じ質問をしたのですが、森林の整備確保面積が、令和元年度では、目標値1、500ヘクタールに対して実績値が578ヘクタール、達成度Dと、2年前も評価はよくなかったのです。
 今回の達成できなかった理由について示していただきたいと思いますし、強度間伐事業のほかにもこのいわての森林づくり県民税は充てられているわけですが、その実績等についてもお示しください。
〇高橋林業振興課総括課長 まず、いわて環境の森整備事業の整備森林の確保面積についてでございます。
 本県の森林の多くが伐採適期を迎える中で、近年の国産材需要の高まりによる主伐の増加により、森林組合等事業体におきましては、いわて環境の森整備事業で行う間伐を担う作業員が不足していることに加えて、いわての森林づくり県民税が発足して10年以上経過し、事業対象森林の奥地化といった状況が徐々に見られておりまして、施工可能な森林の確保が進まないといった状況になったことから、達成度がDとなったものと考えております。
 次に、他の事業の実績ということでございます。
 いわての森林づくり県民税事業は、このほか、県民参加の森林づくり促進事業というものがございます。こちらは、地域住民の方あるいはNPOの方々が取り組む森林整備活動を支援するものですが、これは事業実施36団体、活動参加者数は8、079名となっております。
 また、いわて森のゼミナール推進事業という事業がございますけれども、こちらは森林学習会25校、506名ほど参加をいただいております。
 また、いわての森林づくり普及啓発事業については、いわての森林づくり県民税の普及啓発について、テレビCM135本、ラジオ75本、新聞広告2回等を実施しております。
 また、いわての森林づくり県民税事業の透明性を図るということで、いわての森林づくり県民税事業評価委員会を運営しておりますけれども、これを年間7回開催させていただいております。
〇飯澤匡委員 2年前になぜ目標値を達成できなかったかというのは、やはり東日本大震災津波の関係で、施業に対するハード部門がそちらにとられてしまったというお話でした。
 主伐が増加したのでちょっと強度間伐ができないというのは、理由になっているようでなっていないと思うのですが、これらに対する課題認識はどのように思っていますか。
〇高橋林業振興課総括課長 いわての森林づくり県民税につきましては、いわての森林づくり県民税条例に基づいて、次世代に環境に優しい森林を残していくという大きな目標がございまして、通常の林業産業で実施していく森林整備とは別に、なかなか手がつけられないところにいわての森林づくり県民税を活用して事業を行っていくという趣旨でございます。
 こういったところは、まだ県内に相当数面積が残っていると考えておりまして、県としては、ちょうどことしがいわての森林づくり県民税の5年間の税の期間の最終年度になりますけれども、来年度以降の継続につきまして検討を進めておりまして、6月にその大きな方向性を素案という形で出させていただいております。
 今後、12月定例会でもこういったことに御議論をいただきまして、来年度以降の進め方につきまして、検討をさらに詰めていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 前段は今答弁がありましたけれども、それがなかなか進まないということに対する答弁がなかったので、それをもう一回お願いします。
 将来の方向性については、もう一度再考しながらやるということは、それは了としたいと思いますが、本来、先ほど答弁があったように、荒れてなかなかどうしようもない、なかなか管理できないものに対して、法定外目的税を使って整備するというのがいわての森林づくり県民税条例の趣旨でありますので、その点に対してもうちょっと強い問題意識を持ってもらわないと困ると思うのですが、いかがですか。
〇高橋林業振興課総括課長 県といたしましては、施業面積の確保に向けまして、各森林事業体に足を運んで、森林所有者の御理解も必要でございますので、制度の説明でございますとか森林所有者へ働きかけのお願いといったことを実施しております。
 また、先ほど普及啓発の事業で御説明しましたとおり、テレビCMでありますとか、ラジオ、新聞、県の広報誌を初めとしまして、本年度はSNSの事業も含めて、さまざま方法を考えながら、ぜひこの事業を進めていかなくてはいけないという問題意識のもとに、PRなり事業実施に向けた努力をしているところでございます。
〇飯澤匡委員 一昨年、同じような質問をして、新たな事業体の掘り起こしに取り組んだところでございますと。この結果、昨年度は―これは一昨年の話になりますけれども、3事業体が新たに事業主体として参画いただいたところと。努力はしているのだと思うのですが、この2年間については、新たな事業体はどれぐらいふえたのでしょうか。具体的にお示しください。
〇高橋林業振興課総括課長 申しわけありません。今、全ての事業体について具体的な数字は持ち合わせておりません。その後ふえた―なかなか数としましては、事業体が多数ふえるというところは難しいところでございまして、1桁ふえた年があったということは記憶しております。後ほど調べて御報告をさせていただきたいと思います。
〇飯澤匡委員 ちょっとまとめますが、いずれこのいわての森林づくり県民税というのは、県民の皆さんから新たな別枠の税で納めてもらっているわけですので、主たる目的についてはしっかり施業管理するとか、森林組合とも本当に連絡を密にしてやっていただかないと、何のために税を払っているのだということになります。
 後段、答弁がありましたが、いずれ強度間伐事業については、今後見直しといいますか、新たな展開もするというお話でありました。これはこれで、お金を有効に活用するという点については、拒否するわけではないのですけれども、何回も言いますが、やはり当初の目的に沿ったことを主軸としながら、しっかりとした税の使い方をしてほしいと思いますが、これは農林水産部長にお聞きします。
〇佐藤農林水産部長 飯澤委員からお話がありましたとおり、いわての森林づくり県民税は法定外目的税、県の独自課税ということで、県民の理解をいただいて納めていただいております貴重な財源と思っております。目的は、本県の豊かな森林環境を次の世代に有効な状況で引き継いでいくということでございますので、この目的に沿ってしっかり使って、県民に有効に還元をしていくことが何よりも大事だと思っております。
 なかなか目標値に届かないということでございまして、主伐の増加でなかなか間伐を担う人員等の確保が進まないといったところもあります。理由にもなっていないのではないかという御指摘もございますが、そのほか、対象事業地がどんどん奥地化していることもございまして、実際に面積を確保するのが難しい状況になっているということもございます。現在の見直しの中で、伐採に必要な作業道の開設といったあたりも、このいわての森林づくり県民税を使ってやれないかというようなことも考えておりますので、いずれ本来の目的をきちんと意識しながら、県民に有効な形で還元をしていくことを考えてまいりたいと思っております。
〇飯澤匡委員 わかりました。それでは、これからも経過観察させていただきますので、その点、有効に使う道筋をしっかりやっていただきたいと思います。
 あわせて、令和元年度に始まった森林経営管理法による森林環境税、これは新たな国税として、森林バンクであるとか、これも国のほうで着目して事業を展開してくださいということなのですが、本県の事業の効果は令和元年度でどのようなものがあったか、それを示してください。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 県では、森林経営管理制度の適切な運用に向けまして、市町村における業務が円滑に進むよう、森林の現況調査を効率的に行うことができるドローンや航空レーザーの活用方法の普及などを行うスマート林業推進事業、また、森林、林業関係業務に精通した専門職員を広域振興局に配置しまして、森林の所有者や境界の確認方法などについて技術的な助言を行うなど、市町村の業務を支援する森林管理システム構築推進事業を実施しております。
 令和元年度の事業決算額は、スマート林業推進事業が1、249万円余、森林管理システム構築推進事業が359万円余でございます。
 これらの事業によりまして、令和2年度は、県内の市町村におきまして、航空レーザー計測や森林所有者の経営意向調査など、森林経営管理制度の適切な運用に向けた取り組みが実際に進んでおりまして、事業実施の効果があらわれているところでございます。
〇飯澤匡委員 私は、最初に選挙に出るときに、森林交付税の創設をということで、森林にかなり情熱を傾けた方から、そのような公約をしてくださいと頼まれたことがよみがえってきますけれども、ようやく国も着目をして、今答弁があったように、ソフト事業に適切に使われているという印象を受けました。いずれにいたしましても、いわての森林づくり県民税と合わせて、より効果が出るような形でしっかりとこれからもやっていただきたいと思います。
 最後になりますが、いわての森林づくり県民税の認知度についてお伺いします。
 目標値が70%、これはどういう目標値の測定の仕方か、それも含めて説明をいただきたいと思うのですが、実績値が40.3%ということで、これも達成度Dとなっています。2年前にも同じ質問をしたのですが、当時はインターネット等を通じて広報活動を強化したいというお話でした。それらの効果も含めて、具体的な認知度を上げるためにどういう活動をしたのか。平成30年度、2年前は55%だったわけですが、さらに低下しているわけでありまして、今後、一層の具体的な実効率の上がる対策が必要と思われますが、どのような手を打ちますか、お示しください。
〇高橋林業振興課総括課長 いわての森林づくり県民税の認知度についての御質問でございます。
 目標値の70%については、いわての森林づくり県民税を県民の多くの方々に認知していただくということを踏まえてつくったものと考えております。これに向けまして、飯澤委員御指摘のとおり、前回、平成30年度は54.7%でしたけれども、ことし7月から8月に県民2、000人を対象としたアンケート調査を実施いたしまして、この結果は40.3%ということで、目標の70%には届いていない状況でございました。
 県では、認知度向上のため、パンフレットや広報誌への掲載による県民への制度周知、間伐施工地への横断幕の掲示に加えまして、今年度はテレビCM、新聞広告の回数をふやしたほか、先ほど申し上げましたツイッター、フェイスブックなど、各種のSNSのツールを活用して、新たな情報発信にも取り組もうとしているところでございます。
 また、本年6月に公表した令和3年度以降のいわての森林づくり県民税の素案の中でも、県民税の普及啓発ということで、今後も、県民の皆様を初め県議会の御意見を伺いながら成案としていくものでございますけれども、令和5年度に本県で開催する全国植樹祭や関連する取り組みを通しまして、このいわての森林づくり県民税の情報発信を行っていくことを検討する内容を盛り込んでいるところでございます。
 今後も、さまざまな方法を検討しまして、いわての森林づくり県民税の普及啓発に努めてまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 ただいま全国植樹祭の話がありましたが、これは絶好の機会ですので、あらゆる場面、そしてツールを通じて、あわせていろいろ宣伝効果を狙っていく。どの部局でも、戦略性がないという言葉がよく出るのですけれども、しっかり効果が上がるようにやっていただきたいと思います。
 また、まだ、このいわての森林づくり県民税については、経過観察をしてまいりますので、ぜひ認知度が上がるように、効果が上がるように、よろしくお願いしたいと思います。
〇岩渕誠委員 私は、県有林事業のうち、ファイナンスの問題をちょっと取り上げたいと思います。
 県有林事業は、平成19年に社団法人岩手県林業公社が廃止されて一元化をされました。その当時、森のリストラと言いまして、あまり条件のよくないところは持ち主に返したりして、いわゆるもうかる山というような形にして事業が始まったのですけれども、その長期の収支の試算は、今、計画どおり進められているのかどうか、計画との乖離があるのかどうか、まずそこからお伺いをしたいと思います。
〇西島森林保全課総括課長 県有林事業につきましては、平成30年度に策定した県有林第6次基本計画の長期収支試算に基づいて事業を進めているところでございます。
 令和元年度の歳入は、林産物売払い収入等の諸収入が2億2、000万円など、歳入全体の実績が36億8、000万円で、計画比100%となっております。
 また、歳出は、日本政策金融公庫への償還金が28億2、000万円など、歳出全体の実績が36億2、000万円で、計画比98%となっており、計画どおり進められております。
〇岩渕誠委員 県有林事業の収支というのは、岩手県の抱えているさまざまな会計の中で最も多くの債務を抱えております。トータル1、000億円を超えております。そして、その計画は75年という長期の計画になっています。終わるのが大体令和63年だそうですから、私が生きていると111歳ですから、いないと思います。そういったところであります。
 当然、材価の下落によって長伐期で収支を均衡するという計画に変わっていますから、どうしてもこれは長期になるのですが、収益構造を見ていきますと、いわゆる黒字化をするのが令和24年度からということでありまして、まだまだ道のりは遠いと。きちんとプラスに転換すればその1、000億円は投資になるのですが、なかなか今そういう状況でもないと思っています。
 そして、実は、今現在は赤字、収益は真っ赤っ赤という状況なのですが、実はこれ、事業構造からいって、先行投資をして整備をするものですから、その原資がないということで、当然借金をしてやっております。その債務の返済の状況について、昨年度の状況、それから繰入金、一般会計から毎年出ていますけれども、それに占める割合はどのようになっていますか。
〇西島森林保全課総括課長 県有林事業の債務の返済状況について、まず御説明いたします。
 日本政策金融公庫の返済額は、今、岩渕委員からもお話がありましたように、県有林事業と社団法人岩手県林業公社が一元化した平成19年度から令和元年度までの13年間で、元金167億円、利息185億円、元利合計352億円となっております。
 また、今後の返済予定額は、令和2年度から令和42年度までの41年間で、元金533億円、利息192億円、元利合計で725億円となっております。
 また、昨年度の繰り入れの関係でございますが、令和元年度の県有林事業特別会計への一般会計からの繰入金は30億9、000万円となっており、そのうちの91%に当たります28億2、000万円を日本政策金融公庫への返済に充てている状況でございます。
〇岩渕誠委員 今お知らせいただいたとおり、かなりの返済額になります。そして、個別の年度別の計画を見ていきますと、本当に高原型で支払いをしなければならない。ピークは令和18年度の31億円余。令和23年になってようやく20億円に下がって、これが1桁になるのは令和28年ということですから、かなり厳しい。一般財源から何から県財政が厳しくなっていく中で、ここに係る割合というのは非常に高くなってくると思います。これを何とかしなければいけないと私は思っているのですが、実はこれ、よくよく見ていきますと、今お話があったように、利息が大変高い状況になっております。トータルで1、075億円のうち375億円ぐらいは利息であります。
 そこで、お尋ねしますけれども、金利負担の状況と、施工区が多いですから複雑になっていると思いますけれども、利率は実際にどれぐらいの割合で何%以上とか、そういうものがあればお出しください。
〇西島森林保全課総括課長 日本政策金融公庫借入金の金利負担の状況についてでございます。
 先ほどもちょっと御答弁申し上げましたけれども、令和42年度までに返済する公庫借入金の金利については、元金533億円に対しまして192億円が見込まれております。
 また、今後返済する元金533億円の利率ごとの内訳でございますが、2%未満が264億円で50%、2%から3.5%未満までが93億円で17%、3.5%以上が175億円で33%となっております。
〇岩渕誠委員 これは、今の市場金利から言うとちょっと考えられない数字だと思います。特にこれは、一元化と言いましたけれども、県有林事業と、社団法人岩手県林業公社が引き継いだ公営林とで言うと、公営林のほうは、利息の軽減ということで、特別交付税措置とかがずっととられてきました。ところが、県有林事業のほうはそういうのがありませんから、3.5%以上の利率の割合が4割以上あるということでありました。
 これを、最近のコマーシャルではありませんけれども、払い過ぎていませんかという話でして、今まで、岩手県では、例えば医療金融公庫に借りて病院を建てるとか、あるいは一般財源でのことはどうするかとなった場合には、当然借りかえをして繰上償還をしてと、こういったことをやってきたわけであります。
 財政課総括課長にお伺いいたします。県にかかわる債務が今紹介したようにあると思いますが、利率、それから借りかえの現状についてお示しをいただきたいと思います。
〇小原参事兼財政課総括課長 県有林事業特別会計を含む普通会計ベースにおける令和元年度末の本県の地方債残高でございますけれども、1兆3、358億円余となっております。
 この利率ごとの内訳は、先ほどの県有林事業での区分で申しますと、年利2%未満のものが1兆2、420億円余で93.0%、2%以上3.5%未満のものが752億円余で5.6%、3.5%以上のものが184億円余で1.4%となっているところでございます。
 また、借りかえの状況でございますが、財政融資資金などの公的資金を除く民間金融機関からの借り入れにつきましては、5年や10年で借りかえを行う場合が多くなっておりまして、借りかえに際しましては、新規の借り入れと同様に、国債や他の自治体の調達金利をもとにした交渉や入札の実施などより、低利での借り入れに努めているという状況でございます。
 また、岩渕委員から御紹介がありました、これまでの取り組みといたしまして、公的資金につきましては、平成19年度から平成25年度に設けられました公的資金補償金免除繰上償還制度というのがございます。これを活用いたしまして、年利5%以上など、一定の要件を満たす債務につきまして84億円余を借りかえておりまして、5億円余の金利負担を軽減したという実績がございます。
〇岩渕誠委員 今説明がありましたとおり、一般の県のファイナンスから言うと、3.5%というのは非常に少ない。一方で、県有林事業に関して言うと、これは高い。中には金利6.5%というのがあるというように伺っております。当然、金利負担軽減策というのは、県有林事業としてもチャレンジしたと思います。その辺の実績をちょっとお知らせいただきたいと思います。
〇西島森林保全課総括課長 県有林事業の経営の安定化を図るためには、利息負担を軽くするのが大きな課題であると認識しております。そういうこともございまして、令和2年6月、県の政府予算提言、要望において、任意繰上償還などの措置を講じるよう要望しております。
 また、本県を含む34府県で構成しております森林整備法人等の経営改善を推進するための森林県連合でも、令和2年8月に同様の要望をしております。
 しかしながら、国からはいまだ措置されていない状況にあることから、今後についても、関係県と協力、連携し、継続して粘り強く国に対して要望していきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 これは、借りている先が政府系の金融機関であります。これから地方財政が非常に厳しくなっていく中で、過去の債務と利率の問題は整理をしていかないと、大変な影響を持ってくると思います。しかも、かなり長期の間、かなりの金額を支払わなければならないということです。ずっとチャレンジして、日本政策金融公庫からなかなかいい返事が来ないということですけれども、今もありましたけれども、森林県連合なり、あるいは知事会なり、もうちょっと頑張っていただかないと、利払いが375億円ですからね。これは早急に力強く対策をすべきだと思っていますが、農林水産部長、いかがですか。
〇佐藤農林水産部長 金利のお話でございます。先ほど森林保全課総括課長から、ことしの6月、あるいは森林県連合でも要望したと答弁しましたとおり、ずっと継続をして、粘り強く、毎年毎年、何とかしてくれということで要望はしてきておりますが、なかなか色よい返事がもらえていない状況でございます。決して諦めることなく、引き続き何回も何回も繰り返しにはなりますが、県の立場、県の考え方を粘り強く訴えて、要望のほうは続けていきたいと思っております。
〇岩渕誠委員 これに関しては、我々も、しっかり問題がどこにあるのかということ、それから、やはり政府系金融機関ですから、確かに借りた金は返さなければいけませんが、払い過ぎていませんかという話ですから、これはちょっと問題化をしていって、工夫をしていきたいと個人的には思っている次第ですが、ぜひ県のほうも圧を上げて頑張っていただきたいと思います。
〇岩崎友一委員 私は、水産について何点か質問をさせていただきたいと思います。
 ことしも浜は厳しいということで、サケも厳しい、サンマも、そしてイカもという状況でありますが、全ての魚種に関して議論すれば時間が足りないので、まず秋サケに関して取り上げたいと思います。
 震災後、非常に厳しい秋サケの漁獲量が続いておりまして、どこをベースにどういう戦略を立てていけばいいのか迷うくらいなのですが、まず、ことしも昨年以上に厳しいとは聞いておりますけれども、今年度、同時期の昨年比の秋サケの漁獲量がどのようになっていますでしょうか。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 秋サケの漁獲量でございますけれども、10月10日現在ですが、沿岸の漁獲量は約53トンで前年同期比の36%、金額は4、500万円で前年同期比の41%となっております。
〇岩崎友一委員 昨年もかなり厳しくて、結局、漁獲量が上がらないものですから、最終的には、春に稚魚を放流する際に、なかなか放流数を確保できないということでございました。
 次の話に行く前に、本当に毎年なかなかサケが帰ってこないという状況で、県のほうでも、水産庁でも、いろいろと分析等々はしていると思うのですが、その帰ってこない要因と、対策もあわせて聞きたいと思います。
 それと、数年前から、耳石でしたか、サケにつけて放流して、しっかり帰ってくるかどうかという調査もしていると思うのですが、その辺の調査結果というか、検証状況も、わかればお知らせいただきたいと思います。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケの帰ってこない原因ですけれども、まず一つは、東日本大震災津波あるいは台風災害によって放流数が非常に減ったことと、卵をとる時期が非常におくれたという二つの要因がございまして、春に稚魚を放流するわけですけれども、その稚魚が今度海に出たときの環境が、非常に温かい状況が近年5年ほど続いておりまして、そのことが減耗の大きな要因であると、水産技術センターあるいは国の研究機関ともに今のところ分析しているところでございます。
 それから、サケの耳石、耳の石にバーコード風に温度記録を標識して放流するのですが、これは水産庁の事業とあわせてやっているわけですけれども、これを放流した結果、昨年から少しずつ帰ってきました。現在、水産技術センターのほうで分析しておりますけれども、帰ってきている状況が、まだ4年生で帰ってきているところです。サケが一番帰ってくるのは、3年生から6年生までの間で帰ってきますから、合計の数字を評価するには、あと2年ほどかかると思いますので、調査結果をしっかり分析して対応していきたいと思います。
〇岩崎友一委員 その耳石がいい方向で結果が出れば、少しは明るい兆しが見えてくるのかと思います。
 ただ、一方で、やはり自然相手ですから、一気に昔のように大量に帰ってくるというのもなかなか厳しい現状もあり、県内では各漁協、久慈市、宮古市、大槌町では海面養殖という新しい事業で、サケに依存するだけではなくて、トラウトサーモンやギンザケの養殖等々を始めたところであります。県農林水産部にはいろいろと御支援をいただき、今の試験も順調に来ているということで、本格的に事業化になって、少しでも漁協経営の安定化につながればいいと思っているわけであります。
 今、久慈市、宮古市、大槌町と申し上げましたけれども、各市町村や各漁協で、今やりたいけれどもどうしたらいいかわからないという漁協もあれば、様子見をしている漁協もあるかと思うのですけれども、何らかの期待はそれぞれ持っていると思っております。この海面養殖、陸上養殖もそうですけれども、横展開をぜひしていって、県内全体でこういったものが盛んになるようにしたいと思うわけであります。
 横展開をしていく上で、今、久慈市、宮古市、大槌町は、大手専門メーカーあるいは大手水産加工会社と一緒にやっているという現状にありますけれども、県内全体でやってしっかり利益を生むためには、県として、水産技術センターなどとも共同で、海面養殖の技術の確立がまず一つ重要であろうと思います。あともう一つが、生産をするということは、その販路もセットで考えなければならないわけであります。その技術の確立に対する県の見解、もし今進んでいるのであれば、その状況もお示しをいただきたいと思いますし、海面養殖で生産される魚種の市場の状況、輸出も含めて県としてどのように考えているのか、お示しをいただきたいと思います。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケ、マス類の海面養殖でございますけれども、今、岩崎委員からお話がありましたように、現在3地区で試験養殖をしております。これに加えて、来月11月から、岩手大学が中心になって、地元の漁協あるいは企業との連携で、サクラマスの海面養殖試験を釜石湾で始める計画になっております。県としては、先行する3地区と合わせて、計画立案段階からいろいろお話をしながら、事業を進めるお手伝いをして、また実施に当たっては、病気の問題とか環境の問題とか、そういうモニタリングもあわせて、いろいろ協力しているところですので、4カ所にふえていくというような形で横展開がされているかと思います。
 また、我々としましては、今月27日に、海面養殖の勉強会を宮古市で開催することにしております。先行する3地区、それから企業、これからやっていこうとする大学の関係者を集めて、岩手県でのサケ、マス類の海面養殖の拡大について、事業者たちの意識の醸成を図っていきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 市場の状況もお願いしたいのですが、今の答弁の関係でも、大手と組んでやると取り分の問題になって、より岩手県の漁協がもうかるためには、できれば事業主体にこれからなっていく必要があるのだろうなと思います。事業主体になるためには、しっかりと養殖技術を確立しなければならないと思うのですが、その辺、県としての取り組みがあればお示しをいただきたいと思います。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 販路の形ですけれども、先行する3地区を見てみますと、やはり企業との連携が欠かせないというところがあります。一つは、まず初期投資が大きいということで、そのところを一緒に組めないか。二つ目は、その販路、生産したサケ、マスのマーケットとして連携できないかという二つの視点でやっていますので、こういうところをあわせて進めていければと思っています。
 国際的にもサケ、マスの需要は非常に大きいような状況で、国内市場は、横ばいか、これから長期的に見ると縮小かもしれませんけれども、海外市場はふえています。現在のところ、水産の全体として不漁の要因があってなかなか魚がないという状況で、国内需給は結構まだ頑張れると思いますけれども、5年後、10年後に向けると、海外輸出はやはり大事なことになってきますので、そういう市場もターゲットにしながら事業を進めていければと考えております。
〇岩崎友一委員 午前中、農業の分野でも、輸出戦略についていろいろ議論がありました。日本はどうしても、人口減少ですし、市場としてなかなか厳しい部分があるというのは、人が少ない以上は当然のことでありますので、やはり輸出戦略も必要だと思います。ぜひ水産分野でも、農業と含めて頑張っていただきたいと思います。
 次に、サケの種卵がとれない、少なくなっているということで、サケ、マスふ化場、本来これが満タンになれば一番いいわけでありますが、なかなかどの漁協も厳しい状況が続いていると思います。そこで、そういったあいている部分の利活用として、海面養殖の魚種の稚魚を飼育するために活用してはいかがかと思うのですけれども、この辺について県の見解をお示しいただきたいと思います。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 沿岸のサケ、マスふ化場は、東日本大震災津波によってほぼ全て被災しまして、国の復興事業によって整備を進めてきたところです。この施設の有効利用に当たっては、国の承認を得て進めなければならないというのが、制度上の内容です。
 サケのふ化場は、稚魚を飼育する期間が約12月から5月ぐらいまでですので、6月から11月までがいわゆる閑散期、有効期間として使えるのではないかという考え方をしております。
 現在、数カ所のふ化場から、先ほど岩崎委員が言われましたように、トラウトのサケ、マスの養殖とか種苗を何とか生産できないかというお話もいただいておりまして、私どもとしましては、ことしの6月に政府要望の中で、有効活用できないかということを要望したところです。
 国のほうからは、補助目的をしっかり達成した上で、その有効活用については個別具体に協議しましょうというお話をいただいておりますので、漁協等事業者のほうから、こうしたいという内容が示されたときには、私どもも国としっかり協議して、有効活用に向けて進めたいと考えております。
〇岩崎友一委員 ぜひよろしくお願いします。
 失礼しました。一つ質問を飛ばしてしまいました。先ほどのサケの種卵の関係でありますけれども、ことしも、今のサケの漁獲高が昨年同期比で36%ということで、非常に厳しい。そうすると、なかなか種卵確保も厳しいわけで、昨年度の状況を見ましても、一昨年と比べて、県内全体では44%ほどになっております。これは地域差もありまして、全体的には一昨年より当然減少しているのですけれども、久慈地域が一番高くて、次に大船渡地域、次が宮古地域ということで、不思議なことに私の地元の釜石地域は、一昨年比25.7%と非常に厳しい状況になっております。
 今回の一般質問の城内議員の質問に対して、北海道からも、北海道の計画数を上回った分に関して稚魚を購入したいという答弁もありました。また、私としましても、今の県のふ化放流事業の性質上、県内でとれた分を、地域的に偏るのではなくて、少ない地域にもしっかりと共有をしながら事業を推進していく必要があると思うのですけれども、その点について県の考えをお聞かせいただきたいと思います。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケの種卵の確保については、昨年は計画の半分以下ということで、非常に厳しい年でございました。私どもとしましても、このままで令和2年度の体制を組むことは非常に大変だということから、一般社団法人岩手県さけ・ます増殖協会、岩手県定置漁業協会と協議を重ねまして、とった卵をどのように県下全体で均衡ある種卵の確保につなげていくかということの協議を重ねてまいりました。
 その結果、これまでは基本的に各河川でとったサケの卵は、自分の河川のふ化場に入れるのですけれども、足りない場合は、いわゆるお隣さんという感じで近隣のふ化場で融通し合っていくと、これがこれまでやってきたところです。いわゆる管内での調整というところが基本でしたけれども、今年度は、こういう種卵確保が厳しい状況から、とった卵は全県の視点で調整するということで、昨年は、北のほうが充実度が高くて南のほうが非常に厳しいというアンバランスでしたので、これを幾らかでもならしていくという調整方針を業界ととることにしました。
 今期の種卵確保については、こういう視点をしっかり入れながら、均衡ある資源の造成に努めてまいりたいと考えております。
〇岩崎友一委員 1点お願いなのですが、先ほど答弁にもありましたけれども、サケは4年後、5年後、6年後と帰ってくるわけです。昨年は余りにも南が非常にひどい状況でしたので、ことしの全県下で均等に案分するという計画の基本的な部分に、昨年度の放流数も踏まえた上で計画を進めてほしいと思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 ただいま岩崎委員からお話のありましたことも含めて、業界のほうと協議をして、できるかどうかを含めて、進めていきたいと思っております。
〇岩崎友一委員 よろしくお願いします。
 次に、貝毒についてお聞きをしたいと思います。
 ホタテ、ホヤ、カキが、近年、去年も釜石湾は本当に最悪で、ホタテが全く出荷できないという時期が続いてしまったわけです。近年は広域化、長期化しているという状況で、貝類の養殖業者も非常に困っているわけでありますけれども、貝毒のことしの発生状況、そして近年の長期化、広域化する原因、対策、この辺は県としてどのように考えていますでしょうか。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 ことしのホタテガイの貝毒の出荷自主規制の状況ですけれども、4月以降、県内を12海域に分けているのですが、このうちの宮古市以南の10海域で出荷自主規制となりました。非常に広域でなったところです。
 貝毒の原因となるプランクトンの減少とともに出荷規制が解除されてきまして、昨日現在は4海域の規制にとどまっております。4海域はまだ出荷自主規制になっておりますけれども、4月当初よりは解除になっている状況であります。
 もう一点、県としてどう取り組むかということです。
 まず一つは、貝毒になるメカニズムでございますけれども、ホタテガイの餌となるプランクトンですが、毒を持ったプランクトンが発生するということです。近年の貝毒の期間が長い一つの理由として、湾の奥で貝毒のプランクトンが増殖しやすい状況にあることが一つ。それから沖合からその毒化したプランクトンが流れてくるのが一つ。こういう状況が相まって、非常に広域で長い期間毒化して出荷自主規制になっているという状況が、水産技術センター等の調査でわかってまいりました。
 これに対しまして、県でも、水産技術センターを中心に、まずは、ホタテガイの貝毒の原因となるプランクトンが、どう発生して、どう動くのかというモニタリングをしております。それから、毒化した貝の毒をいかに低減化するか、こういう二つの研究開発に今取り組んでいるところです。
 県の研究機関だけではなかなか技術的なところも弱い部分がありますので、国に対しても、こういう毒化した貝の解毒技術といいますか、低減化する技術の研究開発をもっと進めてほしいという内容で要望しておりますので、貝毒が発生したとしても出荷できるように、研究開発を進めていければと考えております。
〇岩崎友一委員 近年、漁師の高齢化ということで非常に厳しい。もうからないと若い人がつかないということで、水産アカデミーも含めて県ではいろいろ取り組みをしていただいておりますけれども、さまざまな対策を講じて、若い人が漁業に従事しやすい環境、もうかる環境を整備するのが非常に重要だと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
〇柳村一委員 重複する部分が結構ありましたので、まとめて質問させていただきます。
 まず、松くい虫とナラ枯れについてですけれども、令和元年度の被害状況と対策に係る事業費の内訳についてお伺いします。
〇及川整備課長 初めに、松くい虫被害の状況についてでございますが、令和元年度の民有林における被害量につきましては、16市町で発生し、2万8、044立方メートルと、前年度に比べ6%の減少となっており、平成26年度以降、被害量は減少傾向にございます。新たな市町村での発生は確認されておりませんが、平成29年度初めて被害が確認された一戸町については、被害が継続しているところでございます。
 次に、ナラ枯れ被害の状況についてでありますが、令和元年度の民有林における被害量は2、854立方メートルと、前年度に比べ33%の増加となったほか、普代村で新たな被害が確認されるなど、12市町村で被害の発生を確認しており、被害は拡大傾向にあります。
 次に、事業費の内訳についてでございます。
 松くい虫及びナラ枯れ被害対策につきましては、松くい虫等防除事業で実施しております。令和元年度事業費総額は1億6、500万円余でございます。そのうち、松くい虫被害木の駆除等の事業費は1億700万円余、ナラ枯れ被害木の駆除等の事業費は2、100万円余となっております。
〇柳村一委員 松くい虫は県の対策によって減少傾向にあるけれども、ナラ枯れはまだ増加傾向ということで、今の事業費の内訳でも、松くい虫に対してはかなり事業費が使われているようですけれども、ナラ枯れについてはあまり使われていないようです。この辺も影響しているのではないかと思いますけれども、松くい虫、ナラ枯れの被害面積に対する対策の実施面積はどのぐらいか把握していますでしょうか。
〇及川整備課長 被害対策につきましては、駆除を中心にやっている関係がございまして、被害面積に対する対策の把握というのは行っていないところでございます。
〇柳村一委員 わかりました。
 この事業費については、いわての森林づくり県民税や森林環境譲与税は使われているのかどうかお伺いします。
〇及川整備課長 松くい虫等防除事業に対しましては、いわての森林づくり県民税を活用して、平成28年度からアカマツ林の広葉樹林化事業を実施しています。これは樹種転換を進めまして、将来的な被害の発生を抑制するという内容でございます。
 あと、あわせまして、ナラ林健全化促進事業も実施していまして、これも高齢ナラ林が被害を受けやすいという状況から、被害に強いナラ林をつくるために若返りを図っている事業でございます。
 なお、森林環境譲与税の活用につきましては、現在のところ行っておりません。
〇柳村一委員 わかりました。せっかくいわての森林づくり県民税をいただいて森林の環境を保全しようというところですので、先ほどもお聞きしたとおり、ナラ枯れのほうがちょっと弱いような気がするので、松くい虫をしっかりやりつつ、ナラ枯れのほうも一生懸命やっていただきたいと思います。
 次に、森林環境譲与税についてお伺いします。歳入総額と事業内訳についてお伺いします。
〇高橋林業振興課総括課長 森林環境譲与税の令和元年度の歳入総額についてでございますが、森林環境譲与税で実施する事業の財源といたしまして、総額7、111万462円(後刻「7、011万1、000円余」に訂正)を、森林環境譲与税を積み立てております森林整備等支援基金から一般会計に繰り入れております。これが歳入決算額の総額となっております。
 また、事業内訳につきましては、森林管理システム構築推進事業費が359万3、000円余、スマート林業推進事業費が1、133万7、000円余、いわて林業アカデミー運営事業費が5、164万2、000円余、いわての県産木材利用促進事業費が354万6、000円余となっております。
〇柳村一委員 今7、000万円余というお答えでしたが、歳入ですと、森林環境譲与税が国のほうから1億2、200万円余入っているようなのですけれども、この差額はどこへ行ったのですか。
〇高橋林業振興課総括課長 一般財源のほうに繰り入れた金額ということで7、111万462円(後刻「7、011万1、000円余」に訂正)でございますが、県に対する森林環境譲与税の譲与額ということでは、1億2、349万円が国のほうから昨年度配分になっております。
〇柳村一委員 よくわからないのですけれども、歳入で1億2、000万円余入ってきていて……。
〇高橋林業振興課総括課長 森林環境譲与税につきましては、一旦森林整備等支援基金のほうに積み立てて、必要額を一般財源に取り崩して充当するという仕組みになっておりまして、残額につきましては森林整備等支援基金に積み立てられまして、翌年度以降にまた活用されるという仕組みになっております。
 令和元年度につきましては、歳入総額1億2、249万円(後刻「1億2、250万円余」に訂正)に対して、事業の繰入額7、111万円余(後刻「7、011万1、000円余」に訂正)となっておりまして、残りの5、238万円余を森林整備等支援基金に積み立てているという仕組みでございます。
〇柳村一委員 令和元年度から森林環境譲与税というのが国のほうから来ておりますけれども、県と市町村の事業の取り組みの関係性がどうなっているのか、また、いわての森林づくり県民税との関係性はどうなっているのか、お伺いします。
〇高橋林業振興課総括課長 県と市町村との事業の取り組みの関係性ということについてまず御説明申し上げます。
 森林環境譲与税は、県及び市町村に対して譲与されるものでありまして、市町村に譲与される森林環境譲与税は、森林経営管理制度に基づく適切な森林管理を目的とした森林整備などの費用に充てられることとされております。
 一方で、県に譲与される森林環境譲与税は、これら市町村が実施する森林整備の促進等の取り組みを支援する費用等に充てることとされているものであります。
 また、いわての森林づくり県民税との取り組みの関係性の御質問でございますが、県では、本年6月に公表した令和3年度以降のいわての森林づくり県民税の素案におきまして、森林環境譲与税の使途とされております森林整備、人材育成、木材利用、この3点につきまして、森林環境譲与税といわての森林づくり県民税との関係性を整理しております。
 まず、森林整備におきましては、いわての森林づくり県民税は公益上重要で、手入れ不足の人工林におきまして、所有者にかわって県が間伐を行うもの。一方、森林環境譲与税につきましては、市町村が所有者から経営管理を委託された森林を、市町村がみずから整備を行うものということで分けております。
 次に、人材育成の取り組みにつきましては、いわての森林づくり県民税は、県民に森林づくりへの参加を促すため、ボランティアの方々あるいはNPO法人などの育成に取り組むことを目的として使うものに対しまして、森林環境譲与税は、林業技術者の養成や林業経営体などの育成に取り組むものとしております。
 最後に、木材利用でございますが、こちらの取り組みでは、いわての森林づくり県民税は、木育の推進など森林環境の保全に対する県民理解の醸成を図る木材活用を進めるものとして、森林環境譲与税のほうでは、施設の木造、木質化などによりまして、木材利用そのものを促進するものと整理をしております。
〇柳村一委員 それでは、森林環境譲与税が令和元年度から始まって、今までいわての森林づくり県民税でやっていた部分で、森林環境譲与税で賄える部分はどのぐらいのパーセンテージであるものなのでしょうか。
〇高橋林業振興課総括課長 いわての森林づくり県民税で実施していた事業の森林環境譲与税での振りかえという御質問だと思います。
 いわての森林づくり県民税の事業につきましては、基本的に増加はしておりますけれども、減少しているものはございませんので、森林環境譲与税のほうに振りかえている内容というのは、現在ない状態でございます。
〇柳村一委員 ということは、別々でしっかりと事業を分けてやっているということで解釈しました。
 今度は、いわての森林づくり県民税についてお伺いしますけれども、令和元年度の歳入総額と事業費の内訳についてお伺いします。
〇高橋林業振興課総括課長 いわての森林づくり県民税の令和元年度の歳入総額でございます。
 こちらも先ほどの森林環境譲与税と同様でございまして、いわての森林づくり県民税事業の財源として、総額6億7、177万9、000円を、いわての森林づくり県民税を積み立てておりますいわての森林づくり基金から一般会計に繰り入れております。この額が歳入決算総額となっております。
 また、事業費内訳でございますが、ハード整備事業であるいわて環境の森整備事業費が3億6、087万4、000円余となっております。
 また、ソフト事業といたしまして、県民参加の森林づくり促進事業費が4、890万円余、いわての森林づくり県民税事業評価委員会運営費が333万2、000円余、いわての森林づくり普及啓発事業費が756万7、000円余、いわての森のゼミナール推進事業費が465万9、000円余となっております。
〇柳村一委員 6億円のうち4億円弱ぐらいの使われ方のような感じで今伺ったのですけれども、先ほど来出ていますいわての森林づくり基金というのが、第1期のときには基金が約1億円余積み立てられておりまして、それが第2期になりますと11億円余の基金残高になっています。令和元年度になると23億2、800万円余と、基金がどんどん積み上がってきているのですけれども、これは、県民の皆さんから集めた税金を使い切れずに、基金にたまってきているという解釈の仕方でよろしいのでしょうか。
〇高橋林業振興課総括課長 基金の残額の増加についての御質問でございます。
 いわての森林づくり県民税の使途の大部分、ほぼ9割が、先ほど申し上げました森林環境を守る上で重要な森林の間伐を行う、針広混交林誘導伐を行う、いわて環境の森整備事業となっております。
 いわて環境の森整備事業につきましては、近年の国産材需要の増加に伴う伐採や再造林等の林業生産活動の活発化によりまして、間伐施業を行う労務が不足しておりますことから施行面積が伸び悩んでおりまして、その結果、基金取り崩し額が減少し、基金残高が徐々に増加している状況にございます。
〇柳村一委員 令和3年度以降についてのいわての森林づくり県民税の素案の中身を見ますと、今後も5年間、個人は1、000円の県民税をいただくような形になっております。いろいろな対策をしていましたけれども、先ほどの答弁の中で、森林が奥まっていて事業がなかなかできないという部分がありました。また、今回、森林環境譲与税が国のほうからも来ておりますので、この1、000円のままでいいのか、どんどんこれが積み上がっていくのではないのかというのをちょっと危惧しております。
 ただ、先ほど農林水産部長が答弁された林道の整備のほうにも活用していくという話になってくると、また、お金がかかる部分ではありますけれども、その辺の将来的な方向性はどのように考えているでしょうか。
〇橋本林務担当技監 いわての森林づくり県民税の令和3年度以降の考え方は、6月に公表した県の素案の中に書き込まれているとおり、基本的には、これまでやってきた強度間伐については引き続きやるのですけれども、いわての森林づくり県民税が発足以降、既に3期が経過して、15年経過している中で、当時は間伐中心の対応だったのですが、森林の伐採後の造林がなかなか進まないといった議会からの意見、要望もあって、そういったことにまず取り組もう。それから、最近、森林災害、大雨、洪水等でかなり森林の復旧が重要視されている中で、そういった取り組みもやらなければならないといったことで、県民の意見も聞いて、それから議会からの意見も聞いた中で、そういった取り組みを盛り込んで、令和3年度以降の取り組みを検討していきたいという形で整理しております。
 ただ、強度間伐のいわて環境の森整備事業については、やはりまだ施業が必要な箇所がありますので、それはそれで進めるということ。それから、新たな森林環境譲与税を踏まえて、そういったほうにも対応していくという形で、いわての森林づくり県民税のほうは今後そういった形でいくよう、現在検討をしているところでございます。
〇柳村一委員 令和6年度から、森林環境税ということで、国民は国から1、000円ずつ徴収されることになっており、そうなってくると岩手県民は森林に対して目的を伴った税金を2、000円納めるわけですので、しっかりと森林環境を守るような施策をしていただいて、有効な活用方法を考えていていただければと思います。
〇千葉絢子副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後4時21分 休 憩
午後4時42分 再開
〇菅野ひろのり委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇城内よしひこ委員 私は、ナラ枯れと松くい虫の質問をしようと思っていましたが、ダブらないようにします。
 ナラ枯れについては、北上をしているというのは、先ほど来、話に出ているところであります。ことしの夏、農林水産部長と某所で一緒に山を眺める機会がありましたけれども、沿岸部の新緑の山に赤茶けた木がたくさんありました。何とかしてほしいという話もしたのですけれども、岩手県で言うところのシイタケやマツタケ―松くい虫はマツタケにも影響があると考えられます。松くい虫については、先ほど来、何となく事業が成功しているというように承って、これはこれとして了とするところでありますが、ナラ枯れに対してはしっかりと対策をとってほしいと思います。
 そこで、先ほど来出ていますいわての森林づくり県民税を思い切ってこの際投入をして、一気に何とかしたほうがいいのではないかと思いますが、その辺の見解はいかがでしょうか。
〇及川整備課長 ナラ枯れ被害対策に、いわての森林づくり県民税の活用をという御意見でございました。
 これまでもいわての森林づくり県民税を活用してナラ林健全化促進事業、高齢ナラ林の更新を進めてきたところでございます。令和3年度以降のいわての森林づくり県民税の素案におきましても、引き続き高齢ナラ林の更新を支援する等事業の継続につきまして検討している段階でございますが、さまざま御意見をいただいております。より推進されるような対策を含めて、検討してまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 その点、先ほど農林水産部長の答弁で、奥地化しているという答弁がありました。奥地化しているからこそ、思い切っていわての森林づくり県民税を投入して一気に事業を展開すると。見えるところだけをやったのでは問題解決にならないと思いますので、その辺も含めて展開をしてほしいと思いますが、いかがですか。
〇及川整備課長 これまでもナラ林健全化促進事業につきましては、被害の発生地域からおよそ30キロメートルの半径を範囲として事業の導入を進めているところでございます。この距離を申しますと、かなりの面積になります。沿岸部と言いながらも、北上高地の懐のほうまで入り込むことになっておりますので、被害の発生状況を踏まえながら、よりよい展開を考えていきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 松くい虫の件については、前回も多分話したと思うのですが、国定公園、国立公園があるわけで、そういったところとの関係団体とも連携をとりながら、早目早目に対処してほしいと思います。
 次に移ります。全国植樹祭の準備状況についてお伺いします。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 全国植樹祭の準備状況でございますが、本県では令和4年の開催を予定しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の問題がありまして、令和5年の開催、1年間延期されているところでございます。そのため、本県では、今年度の事業計画の変更が必要になっております。それに伴い、予算や事業スケジュールの見直しも必要となったところであります。
 また、来年度の開催県におきましては、新型コロナウイルス感染症対策のため、式典の参加人数、あるいは内容の見直しを検討していると聞いております。本県でも、令和5年の開催に向けて、状況に応じた対策が必要になってくるものと思われます。
 この1年間の延期を有効に活用しながら、必要な対策を講じて、岩手らしい大会の開催に向けて準備をしてまいりたいと思います。
〇城内よしひこ委員 ぜひ、コロナ禍をピンチではなく、チャンスに捉えてほしいと思いますし、まさに今話していただいた岩手らしさというところを目指してほしいと思います。
 そこで、先ほどのナラ枯れや松くい虫対策を、例えば1年延びた分で一気にやる。全国から多くの方々がいらっしゃるわけですよ。一方で式典をやっていて、山を見たらば、ところどころ赤茶けているという状況では、何のための植樹祭かと言われかねない。そのように思うわけでありまして、計画的に、断続的に、集中的にやると根絶できるのではないかと思いますが、そういった考えはお持ちではないか、お伺いしたいと思います。
〇及川整備課長 松くい虫蔓延地帯における被害森林の関係については、これまでもいわての森林づくり県民税事業でございますアカマツ林の広葉樹林化促進事業により、被害木を含んだ松林の樹種転換を進めております。この事業を活用して、お話のありました全国植樹祭に向けて、主な幹線道路からの修景の改善を目的に、リストアップといいますか調査をいたしまして、できる限りのところで、被害木の伐倒によります修景を進めていきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 岩手らしさという部分には、こういった岩手の宝である森林を守るのだという情報発信ができるいいチャンスだと思います。この4年間、3年間を、大変な被害だったけれども、皆さんにお見せできる自慢の山ですよというぐらいの山に整備をし直す、そういう期間にしてはいかがかと思いますが、農林水産部長、いかがでしょうか。
〇佐藤農林水産部長 赤茶けた松くい虫の被害を受けた木が道路から見えるところにあり、伐採されていない等、議会でもたびたび御意見等をいただいているところでございます。
 城内委員からお話がございましたとおり、全国植樹祭は、天皇皇后両陛下に御隣席いただいて本県で開催するということで、全国のお客様をお迎えできる、復興の関係の感謝の意も込める、そういうことで、情報発信の場としては最高にふさわしい場かなと思っております。ちょっと新型コロナウイルス感染症の関係が不明確といいますか不透明なところがありますけれども、そういった情報発信の場としても非常に有効だと思っておりますので、城内委員からいただきました御意見等を踏まえまして、対応を考えてまいりたいと思っております。
〇城内よしひこ委員 全国植樹祭には全国の山のプロの方々がいらっしゃいます。そういった方々に見せるというのも、実は本当にいいことだと思います。私も一度、全国植樹祭に行かせてもらいましたけれども、大変山に造詣のある方々がいらっしゃっていました。そういう方々に情報発信をするというのが、実は岩手らしさにつながるのだと思いますので、そういったことを目玉にできるように頑張ってほしいと思います。
〇伊藤勢至委員 先ほどの岩崎委員と城内委員からの質問で余り出なかったのですが、水産振興にかかわって1点お伺いしたいと思います。
 まず1番目にお伺いしますが、復興のお金を使って重茂漁協の音部漁港で掘り込み漁港を今つくっているわけでありまして、これは平成28年の着工で令和3年には完成、28億円というように記憶しておりますが、この進捗状況はどうなっているでしょうか。まずこれが1点。
 それから、先ほど、サケの話が出ました。このサケにつきましては、宮古市の崎山貝塚という、今は縄文博物館になっていますけれども、ここは……
〇菅野ひろのり委員長 伊藤勢至委員に申し上げます。先ほどの城内委員の質疑は林業関係でありましたので……(伊藤勢至委員「まだ水産に入ってない」と呼ぶ)はい。水産はまた改めて、発言があれば最後に、後ほどお願いいたします。(伊藤勢至委員「了解。失礼しました。今のは予告編です」と呼ぶ)
〇武田哲委員 私からは、林道整備についてお伺いいたします。
 さまざまな高性能機械も導入されるようになって、林業の現場も変わりつつある中で、林道整備の需要も高まっていると思われます。その評価と課題についてお伺いいたします。
〇西島森林保全課総括課長 林道整備についてのお尋ねでございますけれども、林道は、造林、保育、素材生産等の施業を効率的に行うための林業生産基盤であり、本県の林業振興を図る上で極めて重要なものと認識しております。
 このため県では、平成30年度に第4期林道整備事業中期実施計画を策定し、計画的に整備を進め、令和元年度は、地形が急峻で多様な地質が分布するなど厳しい条件下ではございますけれども、22路線10キロメートルほど開設したところでございます。
 本県の森林資源を活用し、木材の安定供給を進めていくためには、さらに林道の整備を進める必要があると考えており、今後とも、第4期林道整備事業中期実施計画に基づき、市町村や森林組合等が整備する森林作業道とのネットワーク化やコスト縮減も図りながら、着実に林道整備を進めてまいりたいと考えております。
〇武田哲委員 市町村や各森林組合と連携しながらということでした。会議とかそういったものは、年間に何回ぐらい持たれているのでしょうか、その点をお伺いします。
〇西島森林保全課総括課長 実際に林道を整備する制度の仕組みとして、市町村の申請に基づきまして、県のほうで、重点的に木材生産、森林施業をしなければなりません。市町村でよく市町村森林整備計画というのがございますけれども、その中で重点的に整備しなければならない地点に林道を、緊急性の高いところから順次張りつけていくという形で進めている中で、例えば申請主体である市町村に対しては、さまざまな技術的な研修会ですとか、担当者の会議、あるいは各現地機関において必要時に職員が出向いて指導する、そういったことを繰り返しながら、よりよいものをつくっていくということを行っております。
〇武田哲委員 まず、市町村と、あるいは森林組合と連携しながらということもお伺いしました。
 それで、昨今、大雨、雨の降り方も変わってきました。林道整備のあり方、幅、そして被害をこうむらない整備の仕方というのも必要かと思いますけれども、その点についてお伺いできればと思います。
〇西島森林保全課総括課長 林道の整備の仕方、いわゆる災害に強い道路についてというお尋ねかと思いますけれども、例えばのり面の緑化ですとか、排水施設の設置、あるいは地形に考慮した形での線形を設けるとか、そういった形の技術的な面でのさまざまなノウハウについて、市町村と共有しながら、今回、作業道というお話もありますけれども、作業道を開設する場についても、排水関係の部分ですとか、そういったものについてしっかりとしたつくりをするような形で、助言等は行っているところでございます。
〇武田哲委員 さまざまな方策で林道整備が行われているところが確認できて、安心できました。
 いずれにしましても、さまざまな高性能機械も導入されるようになってきております。そういったものを搬入するにしろ、そして、あと、その機械が奥まで入っていくにしろ、いろいろな意味で道の整備が必要かと思います。今後とも力を入れていっていただきたいと思います。
 あわせまして、高性能林業機械の導入ですけれども、令和元年度、リースによる林業機械導入数、あるいは高性能林業機械の導入、どちらも目標値に達しているわけですけれども、現場でこういった機械を活用する人たちからはどういった声があるのか。まず、この事業の評価、あるいは今後の課題解決方針についてお伺いしたいと思います。
〇高橋林業振興課総括課長 高性能林業機械の導入についてでございますが、県では、拡大する木材需要に対応した県産木材の安定供給に向けまして、国の補助事業を活用して、高性能林業機械の導入を支援しております。令和元年度は7台で、令和2年度におきましても、高性能林業機械6台の導入を支援する予定としております。
 平成27年度から令和元年度までの5年間を見ますと、高性能林業機械など51台の導入を支援してきておりまして、成果という意味で、令和元年度の素材生産量につきましては151万9、000立方メートルと、この5年間で約1割増加しております。こういったところから、素材供給体制の強化に寄与しているものと考えております。
 高性能林業機械を導入した事業体につきましては、経営の安定化が重要と伺っておりまして、計画的かつ効率的な素材生産を行っていくことが経営に対して重要と考えております。路網と高性能林業機械を組み合わせた効率的な間伐への支援でありますとか、実際にオペレーターを養成する研修の開催など、林業機械を導入した事業体への総合的な支援を行っていきたいと考えております。
〇武田哲委員 その高性能林業機械とあわせて、スマート林業に関する事業もあります。その中でどういった機械が今現在導入されているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 高性能林業機械の導入、そして活用についてでございますが、現在の高性能林業機械につきましては、スマート林業に対応した機能が大分ついてきております。例えば、機械で伐採をする際に、木材の太さなどを測定するような機能がどんどんついてきておりますので、そういったものを有効に活用しながら、有利な木材販売につなげられるような取り組みをしていかなければならないのですが、その辺が、まだ技術的な部分で個々の事業体は対応していないところがありますので、そういったものを指導するようなことが必要になります。
 また、現在、ドローンを活用した上空からの現場の管理もどんどん取り組まれるようになってきておりますので、県としましては、そういったドローンの活用でありますとか、スマート林業を実際に進めることのできる技術者の育成に取り組んでいこうと考えております。
〇武田哲委員 農業の現場でも、そして林業の現場でも、そういったさまざまな高性能機械、そしてそれを扱う人材育成も必要だと思っております。そういったところで、林業アカデミーなどを活用しながら人材育成されていると思いますけれども、私としては、林業アカデミーなどから経営体とかそういったものは生まれているのか、その点もちょっと気になっているところなのですが、お伺いしたいと思います。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 林業アカデミーは、平成29年にスタートしたところでございますので、その1期性は、事業体に就業してまだ3年とかその程度でございます。ただ、現場のほうでは、高い技術あるいは知識で評価が非常に高いところでございますので、現時点では、事業体の中で中核的な技術者としての役割を果たしております。今後は、そういった方々が会社を引き継いでリーダーとして引っぱっていく、あるいは個人で事業を起こしていくような方も生まれてくるものと考えているところでございます。
〇武田哲委員 高性能機械、そしてスマート林業が進んでくると、いろいろな働き方が出てくると思います。そして、その中で、新しい後継者も育てていかなければならない。林業アカデミーは、どうしても林業の現場での人材輩出にしか、今のところかかわっていないのではないかという気もしています。さまざまな機械を駆使しながら、そして経営体もしっかりと後継者という意味でつくっていかなければならない。さまざまな知見を擁した林業家が育ってもらいたいし、その中で、もっと専門的な研究もしたいという人も出てくるかもしれません。
 アカデミーは現在1年ですけれども、2年とか、そういった人材の育成にも寄与するお考えはないか、お伺いしたいと思います。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 林業アカデミーの2年制の話でございますが、現在は受け入れの事業体、あとは研修生個々の意見をお伺いしておりますと、まず1年しっかり技術を覚えて、そして現場に出て、実際に事業をしながら技術を身につけたいという意向、あるいは事業体の考えがありますので、当面はそれで取り組んでまいろうかなと思っております。
 ただ、最近、研修生の中には、将来的に、現場で働くだけではなく新しい価値を生み出すような仕事をしてみたいという考えを持つ方も出てきておりますので、そういった方々に対するものとして、例えば林業アカデミーを修了した後でも、いろいろな講習をスポット的にやるようなことも必要となるところもございます。2年制のことをどうするかということの前に、まずその辺もいろいろ検討しながら、今後のあり方について考えてまいりたいと思います。
〇武田哲委員 どうしても林業に関しては、川上から川下へと、よくいろいろな話が出ます。総合的な支援のあり方を今後も研究していっていただきたいと思っております。
 あと、いわての森林づくり県民税等の質問に関しましては、飯澤匡委員を初め多くの方から出されましたので、その点は割愛いたします。
〇菅野ひろのり委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇高橋林業振興課総括課長 先ほどの答弁で、後ほど御報告すると御答弁した分と、あと、答弁の訂正について申し上げます。
 一つは、飯澤匡委員の御質問につきまして、いわて環境の森整備事業に参入した新たな事業体数につきまして御報告申し上げます。
 平成29年度、3事業体が増加したということで、これは飯澤委員のほうから御指摘があったところでございます。その後、平成30年度は1事業体が増加しております。令和元年度につきましては、増加はなかったということでございます。
 また、新規参入ではないものの、本年度は、いわての森林づくり県民税事業をしばらく実施していなかった事業体の方がこちらの事業に参加されるといったこともあるということで、これまでも事業体を回ってお願いをするといった働きかけを続けておりますけれども、引き続き働きかけを続けるとともに、作業道等の奥地化対策といったことも踏まえまして、この事業を今後もしっかりと続けていく考えでございます。
 2点目でございますけれども、柳村一委員の御質問でございまして、答弁の中で、森林環境譲与税の令和元年度の譲与額につきまして、1億2、249万8、000円というのが正しい数字でございました。
 歳入総額といたしましては、基金運用益を加えまして、1億2、250万円余というのが正しい数字でございましたので訂正いたします。
 また、歳出のほうでございますが、事業費決算額の歳出合計につきまして、7、111万1、000円と申し上げましたけれども、正しくは7、011万1、000円余、これが正しい金額でございましたので、おわびして訂正申し上げます。
〇斉藤信委員 それでは、岩手の漁業の現状についてお聞きをいたします。
 東日本大震災津波からの復興の途上で危機的な不漁に直面をしています。主要魚種であるサケ、サンマ、スルメイカ、この生産量と生産額の震災前との比較をパーセンテージだけでいいので示してください。
〇工藤漁業調整課長 主要魚種の生産量、生産額の震災前との比較でございますが、まず、サケにつきましては、生産量は震災前の約1割、金額は約2割となっております。また、サンマにつきましては、生産量が震災前の約2割、金額が震災前の約6割となっており、スルメイカにつきましては、生産量が震災前の約1割、金額が震災前の約4割となっております。
〇斉藤信委員 せっかく私は資料をもらっているのだから、正確に答えてほしいのです。例えばサケの生産量は、震災前比9%です。金額は18%。あなたから資料をきちんともらっているのだから、曖昧な答弁ではなくて、正確な答弁をしてください。サンマは、生産量が15%、生産額が61%、スルメイカは、生産量が11%で、生産額は37%です。
 大変危機的な不漁で、昨年度は前年比よりもさらに落ち込んだという二重の危機的な状況です。そこで、その原因の解明はどこまで進んでいるか。県としての対策はどうなっているか。
 サケについては先ほど議論がありました。本会議の議論で、北上川のサケの解析の答弁がありました。しかし、北上川のサケも二、三割しか戻っていないという話もあります。ですから、そういう点も含めてサケについては答えていただきたい。
〇工藤漁業調整課長 これまでの国や県の調査研究では、サケにつきましては、近年の海洋環境の変動に伴う春先の海水温の上昇等により、放流した稚魚の生残率が低下していることなどが原因と考えられております。
 また、サンマやスルメイカにつきましては、海況変動による資源量の減少などが原因と考えられているところでございます。
 このため県では、資源量の回復に向けまして、サケにつきましては、計画的な種卵の確保や健康な稚魚の育成、放流に取り組むほか、北上川水系のサケの遺伝子情報等を活用した、環境変動に適応する稚魚の生産技術の開発を進めているところでございます。
 また、サンマやスルメイカにつきましては、国等と連携しまして、漁海況情報の提供や資源管理の推進などに取り組んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 北上川に二、三割しか戻っていないのではないかということについて、どうですか。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケについては大変な状況になっております。斉藤委員御指摘のとおり、昨年度は、沿岸のみならず、北上川のサケも非常に少なかった。中津川のサケの遡上さえも、まれにしか見られなかったような大変な状態です。
 ただ、その中でも、これまで水産技術センターを中心に、サケの環境変化に対して、高水温に対する耐性の試験研究を進めている中では、北上川の資源は、やはり沿岸の資源よりも耐性があるというようなところがわかってまいりました。
 ただ、その大きな海況変動の中で、これだけサケにとって厳しい環境だった4年前の状況が、岩手県のみならず、宮城県も、青森県も、北海道は例年10万トンから12万トンとれるのが半分の5万トンだったので、太平洋海域全体で同じ現象が起きているというような形で、国の研究機関あるいは都道府県の研究機関が、同じ認識をしているところです。
 ですので、そういう状況を踏まえますと、全体で非常に厳しい環境であったという状況の中で、これまでの調査の中では、沿岸より北上川系のサケのほうが、その中でもまだ温かい環境に適応する能力があるというところがわかってきましたので、大きな海況変動に対しては、同時的、広域的に厳しい状況になりますけれども、ある程度の温暖化に対しては耐性を持つというところから、サケの資源の再構築をこれから試験研究の結果を踏まえて進めていく必要があると我々は考えております。
〇斉藤信委員 徹底した解明はぜひやっていただきたいのですけれども、恐らく専門家も、今の状況というのは、簡単に変わるものでないとも指摘をしています。だとすれば、とれるもので対応すると。やはりこの魚種転換に真剣に対応することが必要ではないのかと私は思います。県は、まき網船も岩手県の魚市場にかなり呼び込んでいるわけですけれども、この魚種転換の取り組みはどうなっているでしょうか。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 現在の岩手県の水揚げ状況でございますが、令和元年の水揚げ量は10万3、000トンで、水揚げ金額は約150億円、前年と比較して数量は同程度ですけれども、金額は下がっております。この中身につきましては、これまで主要魚種のサケやサンマが少なくなって、イワシやサバといった大量に漁獲されて比較的安い魚が揚がっているというような現象です。
 そのような魚種の大きな転換点にございますので、まき網船の誘致によって水揚げの増強を図るとともに、それが加工原料として使われるように、水産加工業者との勉強会等を開催しまして、原料転換を啓発しながら、あるいは、原料転換を進めようとする企業に対しては、国の補助事業制度等を導入して支援していくという考えで進めているところでございます。
〇斉藤信委員 実際に、昨年、ことしは、まき網船が来ているわけです。では、水揚げされたイワシ、サバは、県内の水産加工でかなり利用されているのか。それとも、そこからまた首都圏へという流れになっているのか、わかっている範囲で教えてください。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 水産加工組合等からの聞き取りによりますと、水揚げされたサバ、イワシの大部分は、一旦県内の加工業者で凍結されます。その後の流通は、それぞれの商売がございますけれども、一つは、地元で加工原料となる分。もう一つは、海外へ輸出される分。それから、国内では、西日本の養殖マグロ用の餌として使われる。あとは缶詰加工とか、大きさや時期や脂の乗りによっていろいろ仕向けが変わっていますので、全て県内の加工業者で使われる状況にはないと聞いております。
〇斉藤信委員 わかりました。危機的な不漁の中で、即効性のある対策、また、中長期的に本格的に魚種転換に対応する体制の構築が必要になってくると思いますので、ぜひその取り組みを強めていただきたい。
 それと、養殖の関係も、例えばアワビだったら、震災前の生産量で35%、金額だと69%、ウニでも、生産量で61%、金額では98%。養殖関係はどうでしょうか。ワカメ、ホタテ、カキ、示してください。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 養殖ワカメの生産量は、震災前に比べて59%、養殖昆布は38%、養殖ホタテガイは16%、カキは69%という状況で、いずれも震災前の水準を下回っております。
〇斉藤信委員 養殖の関係も震災前と比べると軒並み減少しているということで、本当に三陸の沿岸漁業は大変な状況になっていると思います。
 そこで、水産物がとれない中で、小型漁船漁業の現状はどうなっているでしょうか。
〇工藤漁業調整課長 小型漁船漁業の現状についてでありますが、漁業センサスによりますと、平成30年における総トン数20トン未満の小型漁船漁業の経営体数は2、017経営体と、平成25年に比べて5%減少しているところでございます。
 小型漁船漁業の経営につきましては、近年のサンマやスルメイカ等の不漁に加えまして、ことしの春のイサダ漁においても、漁獲量が前年の15%にとどまるなど、厳しい状況にあると認識しております。
〇斉藤信委員 小型漁船漁業の経営体は、平成20年と比べると80%なのです。
 それで、今答弁にありましたけれども、イサダ漁が前年比で15%に激減したと。これは何か具体的な理由があるのでしょうか。
〇工藤漁業調整課長 ことしのイサダ漁ですけれども、前年対比で15%と非常に減少しているところでございます。現在、水産技術センターでこの原因について調査しているところでありますが、隣県においてもコウナゴなどの漁も減っておりまして、海況に関係するものなのかを今後調べていくところでございます。
〇斉藤信委員 漁業の問題では、やはり後継者の育成、養成が大変大事だと私は思います。先日、新聞報道で、陸前高田市が後継者対策で若手の後継者を育てているとありましたが、水産アカデミーの取り組みと後継者対策がどうなっているか、簡潔に示してください。
〇工藤漁業調整課長 水産アカデミーの取り組みと後継者対策についてでありますが、平成31年4月に開講したいわて水産アカデミーでは、漁業就業希望者を対象にしまして、漁業の基礎知識や技術のほか、ICTなどの高度な技術の習得を支援することにより、将来の本県漁業を牽引する人材を育成することとしております。
 平成31年4月に入講した第1期生7名は、令和2年3月に研修を修了しておりまして、全員が県内の定置網やカキ養殖業等に就業しております。
 また、現在は第2期生が久慈市や陸前高田市等で定置網やカキ養殖などの研修中であり、今月から第3期生の募集を始めたところでございます。
 担い手の確保、育成に当たりましては、熟練漁業者による生産技術や経営ノウハウの指導や、養殖業の漁協自営や協業化などによる新規就業者の周年雇用環境の整備、市町村と連携した新規就業者に対する生活面での支援、空き漁場を対象とした漁業権行使や、中古漁業資材などのあっせんシステムの整備などに取り組んでおりまして、いわて水産アカデミーを核としました後継者対策を積極的に進めていく考えでございます。
〇斉藤信委員 最後に、新漁業法と県の対応についてお聞きをいたします。
 昨年、本当に漁民への説明も不十分、国会でも十分な議論をしないで、漁業法の改悪が強行されました。県が対応すべき課題はどうなっているでしょうか。また、国の省政令や技術的助言の内容は示されたのでしょうか。
〇工藤漁業調整課長 新漁業法による県が対応すべき課題についてでございますが、平成30年12月に公布された新漁業法は、令和2年12月1日に施行されることとなっておりまして、これに伴い、各都道府県において規則等の改正が必要となっているところでございます。
 具体的には、資源管理の強化については県資源管理方針の策定、漁業許可制度については県漁業調整規則の改正、漁業権制度については県の取扱方針の改正、密漁の罰則強化については法の適用除外の許可に係る取扱方針の作成、また、海区漁業委員の選出方法の変更による委員選出等に係る諸手続が、主なものとなっております。
 県では、この制度改正等に関する国の助言、指導をもとに、漁業者や関係団体等から意見を聞くとともに、新たな制度の周知を図りながら円滑に進めてまいりたいと考えております。
 また、政省令や技術的助言についてでございますが、国の政省令は令和2年7月8日に公布されたところでございます。これによりまして、漁業法の施行日が、令和2年12月1日と定められております。
〇斉藤信委員 その漁業権の制度については、岩手県にとっては何の矛盾もなかったので、漁民の漁場の管理、これを基本にして従来どおり進めるべきだと思います。
 特にきょう質問したいのは、海区漁業調整委員会の選出です。これは公選制ではなくなり、公募して最終的には知事が任命することとなりました。今まで漁民の議会と言われていたのです。それが任命制に変わりました。
 今の海区漁業調整委員会にも、漁民の代表が2名選ばれています。やはり現状のこの海区漁業調整委員会の構成をしっかり踏まえて選任されるべきだと思います。そして、選任の基準を、どこから見てもわかりやすいように、恣意的な選任にならないようにやるべきだと思いますけれども、この点でいかがでしょうか。
〇工藤漁業調整課長 海区漁業調整委員会の選任についてでございますが、新漁業法によって公選制が廃止されまして、全ての委員は、公募により知事が議会の同意を得て任命することとなっております。
 委員の構成は、漁業者委員、学識経験委員、中立委員となっておりまして、委員の定数は現行と同じ15名とされております。また、漁業者委員につきましては、委員の過半数以上を占めることが法で定められておりまして、これに基づいて進めていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 それで、海区漁業調整委員会というのは、漁民の代表が過半数となっています。やはり漁民の代表の機関なのです。そして、今の構成の中には、漁民が、選挙で選ばれた方々がいますから、本当に漁民の代表が選任されます。そのためにも、どこから見ても恣意的でないとわかるような、選任の基準を明らかにして、日本学術会議みたいなことに絶対にならないようにやるべきだと思いますけれども、最後に一言、では、石田技監に聞きましょう。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 今般の国の漁業法改正に基づいて、海区漁業調整委員会の委員の選び方も、公選制から公募制になったというような大きな転換になりました。
 法の改正に至るまでの国の議論、それから、水産庁の担当との意見交換をした中では、全国の都道府県にありますこの海区漁業調整委員会は、漁業の調整機能を持つ漁民中心の委員会でございますが、公選制ですけれども、実質的には立候補する人が最近ほとんどいなくなった。10年同じ委員がいるというようなことで、すごく硬直化してきているという議論が国の中であったようです。
 もう一つは、本県は選挙もたびたびあったのですけれども、議論の過程では、西日本のほうは、立候補する方もいないというような状況もあって、そういうことも総合的に勘案して、国はこの制度改正に踏み込んだと聞いております。
〇上原康樹委員 私は、林業の持続的な発展のために質疑を行わせていただきます。
 令和元年度、県有林事業費36億7、234万円余、県行造林費4億3、740万円余。数字のことから林業の現場に目を向けてまいります。
 木を切ったら木を植える、林業の基本でございます。この作業は、令和元年度、正しく行われたでしょうか。県は監視しているはずです。データなどがありましたらお示しください。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 令和元年度の再造林面積でございますが、830ヘクタールでございます。正式な伐採の面積は把握できていないところがありますけれども、3年間の木材の生産量からその面積を試算しますと、大体年間2、000ヘクタールほどの伐採と推定されますので、再造林率は4割ほどの状況になっております。
〇上原康樹委員 今のお答えとほぼこれはシンクロすると思うのですが、いわて県民計画(2019~2028)実施状況報告書によりますと、再造林面積、令和元年の目標値が850ヘクタール、実績値830ヘクタール、20ヘクタール届きませんでした。達成度B、どう分析されておりますでしょうか。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 20ヘクタールの差につきましては、前年度の災害などといったものの関係で、造林の現場に足を運べなかったことによるものが原因であります。
〇上原康樹委員 いずれにしましても、再造林というのは、それを実行する方々にとって大変お金がかかるということで、二の足を踏まれる方も多いと伺っています。そうした森林所有者や森林組合、林業事業体と交渉しまして再造林に導くという役割、いわば再造林推進員とも言える存在は、岩手県ではどうでしょうか、いらっしゃいますか。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 岩手県の林業事業体、また、森林組合のほかに民間の事業体がございますが、現在は、経営意欲をなかなか持てなくなった森林所有者の方々にかわって、そういった事業体、森林組合が森林を経営するという構成になっております。そういった方々が森林所有者に直接お話をして、できる限り造林のコストを下げることで、少しでも所有者に還元ができるような取り組みをするので、木を植えましょうというお声かけを今一生懸命やっているところでございます。
〇上原康樹委員 重要な役割を果たす皆さんがいらっしゃるわけです。再造林といいますとやはりお金がかかると先ほど申し上げました。機械の導入、優良な種の選抜、また効率的な植栽と、いろいろ低コスト化のための手段はありますけれども、岩手県において、こうした低コスト化の上で最大の成果、令和元年度、特に目立った成果というのはありましたか。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 岩手県の林業の現場におきましては、先ほどの質問でもございましたが、非常に機械化が進んでいるということでございまして、特に造林の現場というものは、今までは、人が直接山に登って木を植えるという非常にきつい仕事であったわけですが、現在は、機械を使うことで、木を切った後にすぐ地ごしらえをして木を植える、一貫施業という取り組みをここ数年ぐらい取り組み始めておりまして、それらの取り組みが事業体に定着してきておりますので、そういった意味では、成果が出ていると思っているところでございます。
〇上原康樹委員 ただ、こういう最先端の、しかもかなり大型化する機械というのは、急傾斜地では入ることができないと言われています。傾斜角が30度近くになりますと、もうこれはお手上げであるというリポートがありました。こうした急傾斜地で活躍できる機械の開発というのは、今進んでいるのでしょうか。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 昔、架線集材と言いまして、ワイヤーを張って木材を搬出する機械があったのですけれども、今は、その技術を生かしまして、山の中に入っていけるような機械に柱を立てて架線集材する新しい機械が出てきております。ヨーロッパのほうではそういったものが結構あるのですが、岩手県の場合は、まだその機械が少ない状況でございますし、あとは、そういった技術を使える人もまだふえていないということもございますので、そういった機械を利用できる人を育成していかなければならないと思っております。
〇上原康樹委員 御丁寧な御答弁ありがとうございました。しかし、急傾斜地で、機械の限界と言われるところで、結局、最後は人が出てくるわけです。最後は、まだ人に頼るわけです。足場不安定、目もくらむような急斜面でございます。しかも、そこに絡む重い素材、木材を運搬しなければいけない。その困難は大変なものだと思いますけれども、昨年度、そうした林業の現場で、けがをした人、まさか亡くなられた方、そうしたデータがありましたらお示しください。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 昨年度の正確な数字は持ち合わせておりませんけれども、事故、林業労働災害の件数は40件を超えるぐらいありまして、死亡者数は、昨年度はたしかゼロだったと記憶しております。
 ただ、ことしにつきましては、7月末の時点で既に28件の事故がありまして、うち2名がお亡くなりになっている、そういった現状でございます。
〇上原康樹委員 近年、豪雨災害で林業の現場は相当荒れているはずです。そういう中での作業というのは、さらに危険度が高まると思います。林業者の安全対策にも万全を尽くしていただきたいと思います。
 最後の質問でございます。林業に携わる者としてのさまざまな経験を積もうという、今年度の林業アカデミーの状況が気になります。昨年度と比べて、ことしの林業アカデミーの状況をお尋ねします。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 令和2年度の林業アカデミーの研修生でございますが、定員15名のところ17名を受け入れて研修を実施しております。昨年度は16名の研修生でございまして、うち1名は病気で途中でおやめになりましたが、それを入れますと17名、昨年と同じ研修生になっております。
〇上原康樹委員 岩手の林業に定着する見込みでしょうか、どうでしょうか。
〇工藤森林整備課総括課長兼全国植樹祭推進課長 林業アカデミーのこれまで3カ年の研修生は49名でございますが、この方々は全て林業に従事して、現在も定着しているところでございます。そういった意味では非常に有効な手段でございますので、引き続き、林業アカデミーの研修を通じまして、今年度の研修生17名全員が就業、定着できるように、丁寧に支援をしていきたいと思っております。
〇上原康樹委員 岩手県の林業の持続的な発展に向けて明るいお話をいただきました。
〇菅野ひろのり委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 先ほどは失礼しました。この場で通告をしました重茂漁協の主体でやっています音部漁港の掘り込み漁港というのでしょうか、そのことについて伺います。これは平成28年度の着工で令和3年の完成、事業費は28億円と聞いておりましたが、この進捗状況はどうなっているでしょうか、まずお伺いします。
〇内藤漁港課長 音部漁港の掘り込みの進捗率ということでございますが、音部漁港の全体事業費は約50億円となっております。約50億円のうち、令和2年9月末現在、事業費ベースで約7割の進捗となっております。
〇伊藤勢至委員 これは復興事業費が充当されていると思いますので、ぜひ、余り遅くならないうちに、国からのお金が潤沢にそれなりに来るようなうちに、頑張って終わってもらいたいと思います。
 それから、サケについてお伺いしたいと思います。
 皆さんから心配をいただいておりますけれども、本当に岩手県の有力魚種であります。宮古市崎山の、今は博物館になっておりますけれども、崎山貝塚というのがありまして、そこは3000年から3500年前の貝塚と言われていますが、そこからカツオとかサケの骨が出ているのです。この沿岸に住む我々にとっては、3000年、4000年前からの親しみのある大事なサケなわけでありますが、今日、平成7年の7万1、000トンをピークに、1万トン台まで落ちております。これは、誰が悪いとかいいとかではなくて、これを回復するためのいろいろなやりとりがあってしかるべきだと思うのですが、実は、ふ化して7センチぐらいまで成長したサケを放流しますと、太平洋岸を北上しまして、津軽海峡を渡ってベーリング海に入って、オホーツクを通って、千島列島を通って岩手県に帰ってくると、こういうコースだと聞いております。
 そういう中で、このサケは、生まれた母なる川を一発でわかるのではなくて、三陸沖を遊よくしながら、自分の母なる川のにおいを探しているのだそうです。そして、自分の母なる川を見つけたあたりに、ちょうど抱えた卵が成熟をして、川に上がってくる。そして、そこで人工受精をさせてふ化させると、こういう手順だと思うのですが、卵を確保するということで、沖合の定置網まで出て行って、そこに入っているサケを捕まえるというのは、生物界の自然の摂理の中をちょっと超え過ぎているのではないか。つまり、成熟した時期に受精をさせてこそ、丈夫な稚魚が生産されるのではないかとずっと私は思ってきました。
 したがいまして、卵の確保ということに走り過ぎて、沖合で成熟していない卵を採種して、受精をさせて、各漁協に分けるということはいかがなものか。私が例えば津軽石川で生まれたサケだとして、4年で帰ってきて、盛川の水で育てられたら、私がサケなら混乱しますよ。俺の川はどこなのだ。そういうことを自然摂理学的に考えないと、人間は大きなしっぺ返しを食うのではないか、そんな心配をしております。
 実は、岩手県のサケのふ化養殖事業、大先達であります飯塚さんという方がいらしたと思います。この方は、岩手県を退職されてから、ペルーに移って、ペルーでサケのふ化養殖を指導したのです。その方が書いたサケについてという記事が、読売新聞だったか朝日新聞だったかに6段抜きぐらいで上がったのです。その中で、ふ化養殖事業も大事だけれども自然遡上も大事だというくだりがあったのです。その記事を探しているのですが、東日本大震災津波で私の事務所も70センチメートル水をかぶって流れてしまいました。
 ただ、その自然遡上というものも考えていかないと、人間が自然界の摂理をいたずらに動かしては、しっぺ返しを食うのではないかと思うのです。
〇菅野ひろのり委員長 伊藤委員に申し上げます。質問をお願いします。
〇伊藤勢至委員(続) はい、はい。今、質問中。
 例えば伝書鳩に帰巣本能があると言われていますが、これも解明されておりません。ですから、サケにも帰巣本能があるかどうかはわかりませんが、学者先生とか漁協関係者の皆さんと話をしたとき、そういう話が出なかったのですかね。お伺いします。
〇石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケの基本的な生態は、伊藤委員がおっしゃるとおり、母なる川に帰ってくるのですけれども、川に上る前に、サケは沿岸を、岩手県の場合は南北に移動するのです。その間に成熟を待つというような行動をとります。今の漁業の中では、その成熟を待っている間に定置網とかでとられるというような仕組みになっています。
 ただ、卵がないということで、今、定置網でとったサケも採卵に利用するということで進めているわけですけれども、定置網に入っているサケは、伊藤委員がおっしゃるように、まだ完全に成熟していないというのは事実です。これを我々ふ化場担当者は、生きたままふ化場の水槽に運んで、生かして、9月、10月だと1週間から10日ぐらい、11月過ぎになると5日ぐらい、熟すように、真水で熟してから卵をとるということで、いわゆる未熟な卵を使っているということではなくて、しっかり熟した卵を採卵しているという状況でございます。
 もう一点、母なる川へ帰るべきサケが、ほかの川に移動させられて迷うのではないかというお話もいただきました。感覚的にはそのように思われますけれども、これまでの試験研究の中では、サケが自分の川を覚える時期というのは、生まれて1週間から10日ぐらい、そこで、自分の川のにおいを稚魚になって覚えるということですので、例えば稚魚になって隣の川に移しても、隣の川に帰ってくるというようなことが実験的に実証されています。
 そしてまた、歴史的には、宮古市の津軽石川のサケの卵も、津軽石川は非常にサケがいっぱい遡上していたので、サケの増殖がまだ本格化する前は、近隣の河川に卵を分けてあげて、そして増殖を展開してきたというところで、今の岩手県のサケのふ化放流事業体制が成り立っているというところですので、私どもは、伊藤委員が御心配されるようなこともありますけれども、いろいろな試験研究機関とか、これまでの検証も含めて、科学的にアプローチしているつもりで仕事をしております。伊藤委員からいろいろ御指摘されていることも含めて、勉強させていただきながら、これからの、今厳しい環境の中のサケ、マス増殖事業を何とか回復するように努めてまいりたいと思っています。
〇伊藤勢至委員 大変力強い答弁をいただきました。
 これは、そっ啄同時という古い言葉があります。受精卵、ヒヨコをとるときに、ヒヨコがふ化をしてそろそろ出たいよというときに、中からコツコツとつつくのだそうです。そのときを母鶏が外側からつついてあけてやる。そのタイミングを逃すと、ヒヨコはうまく生まれない。余り遅くなると死んでしまう。こういうことがあるようでありまして、サケの声を聞けるかどうか、私も聞いたことがないのですが、科学的な根拠、そして一方では自然界に逆らわないという、自然のままにという観点もぜひお持ちをいただいて、頑張っていただきたいと思います。ありがとうございました。
〇菅野ひろのり委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇菅野ひろのり委員長 質疑がないようでありますので、これで農林水産部関係の質疑を終わります。
 農林水産部の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後5時47分 散 会

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