令和2年9月定例会 決算特別委員会会議録

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令和2年10月19日(月)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
議事管理担当課長 藤 枝   修
主任主査 千 葉 絵 理
主任主査 糠 森 教 雄
主査 鈴 木   忍
主査 阿 部 真 人
主査 赤 坂 宏 紀
主査 鈴 木 貴 博
1説明員
文化スポーツ部長 石 川 義 晃
副部長兼文化
スポーツ企画室長 佐 藤 法 之
オリンピック・
パラリンピック
推進室長 木 村   久
文化スポーツ
企画室企画課長 中 村 佳 和
文化スポーツ
企画室管理課長 鈴 木   忠
文化振興課
総括課長 岡 部 春 美
世界遺産課長 佐 藤 嘉 広
スポーツ振興課
総括課長 山 本 卓 美
事業運営課長 松 崎 雄 一
特命参事兼
連携調整課長 高 松 秀 一

教育長 佐 藤   博
教育局長兼
教育企画室長 佐 藤 一 男
教育次長 梅 津 久仁宏
参事兼教職員課
総括課長 山 村   勉
教育企画推進監 渡 辺 謙 一
予算財務課長 千 葉 順 幸
学校施設課長 新 田 芳 文
首席経営指導
主事兼小中学校
人事課長 金 野   治
首席経営指導
主事兼県立学校
人事課長 高 橋 一 佳
学校調整課
首席指導主事兼
総括課長 木 村 克 則
高校改革課長 森 田 竜 平
首席指導主事兼
生徒指導課長 泉 澤   毅
学校教育課
総括課長 中 川 覚 敬
首席指導主事兼
学力向上課長 菊 池 一 章
首席指導主事兼
義務教育課長 小野寺 哲 男
首席指導主事兼
高校教育課長 須 川 和 紀
首席指導主事兼
特別支援教育課長 高 橋   縁
保健体育課
首席指導主事兼
総括課長 清 川 義 彦
生涯学習文化財課
首席社会教育
主事兼総括課長 藤 原 安 生

企業局長 石 田 知 子
次長兼
経営総務室長 菅 原 健 司
技師長 細 川 普 基
経営総務室
管理課長 鈴 木 光 将
特命参事兼
経営企画課長 菅 原 克 浩
業務課総括課長 村 上 敏 弘
電気課長 山 谷 紀 彦
発電所再開発
推進課長 石 川 幸 洋

会計管理者 永 井 榮 一
会計課総括課長兼
会計指導監 大 塚 貴 弘

監査委員 寺 沢   剛
監査委員 沼 田 由 子
監査委員事務局長 小 畑   真
参事兼監査第一課
総括課長 小 守 健 一
監査第二課
総括課長 佐々木 昭 司

参事兼財政課
総括課長 小 原 重 幸
〇菅野ひろのり委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、議案第37号及び議案第38号の以上17件を一括議題といたします。
 本日は、文化スポーツ部、教育委員会及び企業局関係について、延べ22人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしましたので、議事進行に御協力をお願いします。
 なお、関連質疑につきましては、その日の質疑の目安時間にかかわらず、関連質疑の目安時間を10分とすることにしておりますので、あらかじめ御了承願います。
 また、先週同様に、換気をいたしますので、御協力をお願いいたします。
 初めに、文化スポーツ部長に、文化スポーツ部関係の説明を求めます。
〇石川文化スポーツ部長 令和元年度の文化スポーツ部の決算について御説明申し上げます。
 初めに、当部所管の主な事務事業に係る取り組みと成果などについて、総括的に御説明いたします。
 文化スポーツ部では、東日本大震災津波からの復興に最優先で取り組むとともに、いわて県民計画(2019~2028)に掲げる県民みんなで目指す将来像の実現に向けて、各政策分野や新しい時代を切り開くプロジェクトに基づく文化、スポーツ施策を推進してまいりました。
 まず、復興推進の取り組みについてでありますが、文化芸術の鑑賞機会の確保や被災した郷土芸能団体の活動再開に向けた支援を行うとともに、復興五輪を掲げる東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、ホストタウン登録や事前キャンプの誘致、聖歌リレー及び復興の日の実施に向けた機運醸成などに取り組みました。
 次に、政策推進の取り組みについてでありますが、まず、健康・余暇分野につきましては、文化芸術に親しむ機会の提供や障がい者の文化芸術活動を推進するともに、県民誰もが、障がいのある人もない人も、共に生涯にわたってスポーツを楽しむことができる共生社会の推進などに取り組みました。
 次に、教育分野についてでありますが、本県アスリートの競技力向上に向けたスポーツ医・科学サポート体制の充実や、障がい者トップアスリートの活動支援を進めるとともに、スポーツ活動や文化芸術活動を支える人材の育成に向けた研修会の実施、スポーツインテグリティーの確保に向けた指導者等に対する教育、支援体制の充実などに取り組みました。
 次に、居住環境・コミュニティ分野についてでありますが、ラグビーワールドカップ2019日本大会岩手・釜石開催や三陸防災復興プロジェクト2019を通して、復興支援に対する感謝と復興に取り組む姿を国内外に発信し、交流の活性化に取り組むとともに、スポーツ大会、合宿の積極的な誘致や、漫画を生かした海外との文化交流などを進めてまいりました。
 次に、歴史・文化分野についてでありますが、御所野遺跡を含む北海道・北東北の縄文遺跡群が世界遺産登録の国内推薦候補に決定され、その登録に向けた取り組みを進めるとともに、平泉の文化遺産の拡張登録及びガイダンス施設の整備を進めました。
 今後におきましても、各施策の成果や課題等の検証を踏まえながら、いわて県民計画(2019~2028)に掲げる文化、スポーツの振興に向けた取り組みを着実に推進し、県民の文化芸術活動や鑑賞の機会、スポーツを楽しむ機会の充実などを図ってまいります。
 続きまして、令和元年度決算の概要について御説明いたします。
 恐れ入りますが、お手元の令和元年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開きください。文化スポーツ部関係の決算は、2款総務費8項文化スポーツ費でありますが、これらの支出済総額は41億9、255万円余であり、翌年度への繰越額は4、558万円余、不用額は1億1、292万円余となっております。
 決算の内容につきましては、お手元の令和元年度歳入歳出決算事項別明細書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で、文化スポーツ部関係の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇菅野ひろのり委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇臼澤勉委員 まず初めに、県営スポーツ施設の個別施設計画の策定状況について、今の検討状況等をお伺いいたします。
〇山本スポーツ振興課総括課長 個別施設計画でございますけれども、今年度中の策定に向けまして、現在、作業を進めているところでございます。
〇臼澤勉委員 その策定は順調なのでしょうか。
〇山本スポーツ振興課総括課長 今、作業を進めておりまして、年度中に完成する見込みでございます。
〇臼澤勉委員 わかりました。いい流れをつくりたいと思いますので、この程度にして、個別具体に入っていきたいと思います。
 まず、盛岡南公園野球場の整備が盛岡市と共同で計画されております。非常に新たな取り組みということで評価するものでございますが、現在の盛岡南公園野球場の整備の進捗状況についてお伺いします。
〇山本スポーツ振興課総括課長 盛岡市と共同で進めております盛岡南公園野球場整備事業の進捗状況でございますけれども、現在、基本設計を作成中でございまして、年度内には実施設計を完成することとしております。
〇臼澤勉委員 そこで、現在想定される課題等についてお伺いしていきたいのですけれども、まず、今回、盛岡市と共同で建設を計画するということで、新たに有利な起債を活用できるということで、その前提条件として、既存の県営野球場、そして、盛岡市営野球場、この供用開始後5年以内に廃止することが要件となっております。
 現在の県営野球場について、今後どのような活用といいますか、検討されているのかお伺いします。
〇山本スポーツ振興課総括課長 現在の野球場でございますけれども、委員がおっしゃったとおり、新野球場供用開始後は廃止する方針となっております。ただ、廃止までは、今の野球場を使っていくことにしております。
〇臼澤勉委員 それはわかるのですけれども、現在もあの施設を使いたいという申し入れもあるやに聞いておりますけれども、そこら辺の対応はどのような感じになるのでしょうか。
〇山本スポーツ振興課総括課長 現在の施設につきましては、廃止後の用途について、まだ具体的な検討までには至っていないところでございます。
〇臼澤勉委員 いろいろ前提があるわけでございます。そこら辺も十分にわかっておりますけれども、一方で、県営野球場と盛岡市営野球場が一つになることによって単純に一つなくなるということで、また、新たな活用についても何とか探っていきたいというような動きもございます。そこら辺については、これ以上聞いても、多分、また、流れがなかなかつかめないので、この辺にしていきたいと思います。
 そして、もう一つの課題は渋滞対策かと思います。盛岡市中央卸売市場の周辺もいろいろイベントがあれば、渋滞が非常にすごくてなかなか出入りが厳しくなる。野球シーズン、高校野球であったりプロ野球の試合とかになると、相当の渋滞も予想されるのですけれども、そこら辺の渋滞対策について、どのような検討が進められているのかをお伺いします。
〇山本スポーツ振興課総括課長 新野球場でございますけれども、観客席2万席の球場でございまして、プロ野球などの大きな試合の際には交通渋滞も懸念されるということでございます。このため、盛岡駅や臨時駐車場から運行するシャトルバスや鉄道、バスなどの公共交通機関を利用して来場いただくよう盛岡市とともに周知を徹底したいと考えております。
〇臼澤勉委員 あそこで想定される駐車場の数は、大体どのくらいでしょうか。その駐車場の規模も十分に間に合うような感じなのでしょうか。
〇山本スポーツ振興課総括課長 新野球場の駐車場の整備でございますけれども、約1、000台を見込んでおります。このため、一度に2万人の方々が来られると駐車場が満杯になるということで、シャトルバスあるいはバス等の公共交通機関を利用していただくように誘導していきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 私も素人ですからきちんとした分析はできていませんけれども、ただ、感覚として相当な混雑が考えられますので、そこら辺は設置者として、環境アセスメントの対象ではないのは十分わかっておりますが、自主的な、周辺環境への影響であったり、渋滞であったりといった対策ですね。
 そして、野球場を単なるスポーツ施設としての活用のみならず、今後は、例えばコンサートであったり、野球場での結婚披露宴パーティーをやるとかさまざまな、アメリカなどでも当たり前にやっている、そういう活用も、今後、単なる競技場ではなく、たしかこれはボールパークとしての民間からの提案があったやに私は受けとめております。
 野球をするだけの場所ではなくて、今後、なぜ文化スポーツ部が所管しているのかという、この文化スポーツ部が所管するというこの肝をやはり考えていくと、今後のさまざまな活用方策も考えられるし、維持管理のコストも考えていくと、隣の宮城県でやっているように、競技場で運営費を稼ぐための今言ったコンサートの利用なども年間に入れていったりというのを考えていますので、そこら辺の活用方策も含めて、ぜひ御検討というか、渋滞対策も含めてしっかりと行っていただきたいと思います。
 次に、県営体育館のほうも聞きます。県営体育館は、県営野球場よりも古く、昭和42年に建設されております。耐用年限はたしか令和五、六年だったと思います。間もなく耐用年数も来るのですけれども、県営体育館の今の維持管理の修繕状況とかを含めて、あと、どのような利用状況になっているのかお伺いいたします。
〇山本スポーツ振興課総括課長 県営体育館でございますけれども、県営体育館を含めまして県営スポーツ施設の多くは、昭和45年の第25回国民体育大会に合わせて整備されておりまして、現在、全体的に老朽化が進行しております。したがいまして、修繕、更新の時期を迎えておりますので、今後は多額の経費が必要となることが見込まれております。
 それから、県営体育館の利用人数でございますが、ちょっとお待ちください。
〇菅野ひろのり委員長 すぐ出なければ、改めてでもいいですよ。
 では、後ほど答弁をお願いします。
〇臼澤勉委員 私、人数を聞いているのではなくて、利用状況は今どんな感じですかという、数字を聞いているのではないですよ。県営体育館の利用人数が減少しているのは私も承知しています。ただ、今の県営体育館の利用状況が、例えば全国大会は開催されているのか、あるいは、東北地区規模のそういった大会等も含めてどんな利用状況になっているのか、そこら辺をちょっとお伺いしたいなと思います。
〇山本スポーツ振興課総括課長 県営体育館ですけれども、一般の方々にも広く使われておりますし、希望郷いわて国体などにおきましては、体操競技で使われているなど、日単位で見ますと、ほぼ100%毎日使われているという状況でございます。
〇臼澤勉委員 体操競技とかそういったことが県内唯一行われている、東北地方というか準全国規模の感じで開かれているのは承知しております。
 県営体育館は維持管理も含めて非常に厳しい状況と見ておりますが、今後いずれ、どのような整備方針になっていくのかというのは、聞いても多分、現在検討中ですという答弁にしかならないのかなと思いますのでこの辺にしますが、私が聞きたいのは、先ほども県営野球場の質疑で言いましたけれども、これからの施設整備を考えたときに、単なる一つの機能だけを持たせているというよりは、そこに例えば体育館であれば、スポーツ健康科学センターのような機能などを複合的に合わせた整備というのが今後期待されていくのかなと私は思っておりますが、スポーツ健康科学センターについては、いわてスポーツ推進プラットフォーム研究会を立ち上げて検討されていると伺っておりますけれども、現在のその検討状況等についてお伺いいたします。
〇山本スポーツ振興課総括課長 いわてスポーツ推進プラットフォーム研究会の進捗状況でございますけれども、ことし1月に1回目の研究会を行いました後、検討内容の調整、研究会委員の見直しなどを進めておりまして、11月に開催予定の研究会では、プラットフォームに求められる役割、推進体制などの検討を行うこととしております。
 その後、具体的な今後のスケジュールの検討なども行いまして、年度内に研究会としての取りまとめを行う予定としております。
〇臼澤勉委員 これ以上聞きませんけれども、最後に部長に。今後、このスポーツ施設のあり方、未来の健康づくりも含めてさまざまな役割が求められてくると思います。建設費についても、どの程度のボリュームが試算されているのかなというところは気になるところではありますけれども、今後のスポーツ施設の整備に向けてのお気持ちを最後に部長に聞いて終わりたいと思います。
〇石川文化スポーツ部長 今、委員から御指摘がありましたとおり、県内のスポーツ施設、これはスポーツ、それから、スポーツ以外の分野につきましても、その基盤となる施設になるものでございますから、これはしっかり検討していきたいと思います。
 これから、個別施設計画をつくってまいりますので、その際にもさまざまな方から御意見を頂戴しながら、しっかりとしたものをつくってまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 私のほうからは1点お伺いしたいと思います。
 オリンピック選手等育成・強化事業費について伺います。事業目的は、素質のある選手の早期発掘と育成を行うとともに、本県トップアスリートの活躍を支援し、オリンピック等国際大会で活躍する本県選手の輩出を目指すことということで、本県からは、東京オリンピック男子20キロメートル競歩代表内定の高橋英輝選手を支援していると理解しているのですが、この事業は継続事業であることから、過去の実績と予算執行額をお知らせください。
〇山本スポーツ振興課総括課長 県では、高橋英輝選手を初めとする国際大会で活躍が期待される本県ゆかりの選手をトップアスリートに指定いたしまして、大会参加や強化合宿等に係る遠征費を支援しており、この事業が始まった平成29年度から令和元年度までの間に、延べ115名を指定いたしまして、1、143万6、000円を支出しているところでございます。
 こうした取り組みによりまして、国際大会等に出場する本県ゆかりの選手は、平成28年度までは35名程度で推移しておりましたが、事業開始の平成29年度以降は50名程度に増加したところでございます。
〇高橋但馬委員 今回、新型コロナウイルス感染症の影響で東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が約1年延ばされて2021年7月に開催が決定、そして、日本陸上競技連盟からマラソンと競歩の東京2020オリンピック競技大会代表内定選手の出場権の維持が発表されて、英輝さんがそのまま移行することになったのです。
 ただ、選手はピーキングというのがありまして、大体1年前ぐらいからその大会に向けて体とメンタルの部分をあわせて持っていくのですけれども、それと同時に、1年前から取り組んで、延期が決定して、また1年後になった場合、その延期によって資金不足に陥るというのがあり得ると思うのですけれども、今までの支援の部分は初めの1年間の部分で、その後の1年に対して、県として支援策をやるべきだと思うのですけれども、どうでしょうか。
〇山本スポーツ振興課総括課長 東京2020オリンピック競技大会への出場が内定しております陸上競技の高橋英輝選手とカヌー競技の水本圭治選手には、現在も国や中央競技団体から遠征費等に加えまして、国が整備した練習拠点の活用などのさまざまな支援を受けて、本番に向け準備しているところでございます。
 また、出場が期待されるホッケー競技やクライミング競技などのアスリートに対しましては、遠征費等の支援を行っておりまして、今後行われる各種大会や強化合宿等に向けて引き続き支援してまいります。
〇高橋但馬委員 それは、今までの予算の範囲内でやるというものなのか、それとも、次の来年度予算に向けて、さらに手厚くやるという意味なのか、どちらになりますか。
〇山本スポーツ振興課総括課長 基本的に、今の事業を続けていくということでございます。
〇高橋但馬委員 1年間延びている中で、資金面は非常に大変なものであると思いますし、今回の決算審査は次の予算に反映するものですから、その辺を考えて、ぜひ前向きな御答弁をいただきたいのですけれども、どうでしょうか。
〇石川文化スポーツ部長 ただいま委員から御指摘いただいた意見を真摯に受けとめまして、実際に選手の皆さんがどういったところで御苦労されているのかお話を聞きながら、そこら辺は考えていきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 私もスポーツ振興費に関して何点かお聞きいたします。
 希望郷いわて国体が終わってから4年が経過するわけですけれども、それ以降、スポーツ施設の整備状況、特に新規の取り組み、そして、先ほど臼澤委員からありましたけれども、補修、改修等の状況についてお聞きしたいと思います。
〇山本スポーツ振興課総括課長 新規の施設でございますけれども、本年3月に県営運動公園内にスポーツクライミングの世界大会などの大規模大会が行われるボルダリング施設を整備したところでありまして、既に整備したリード、スピードとあわせまして、日本でも有数のスポーツクライミング施設となったところでございます。
 また、盛岡市と共同で整備を進めております盛岡南公園の新野球場につきましては、令和5年4月の供用開始に向けて、今年度は基本設計及び実施設計を作成することとしております。
 補修や改修工事としましては、昨年度、県営運動公園陸上競技場の第2種公認工事更新取得のための改修工事などを行ったところでございまして、本年度におきましては、県営スケート場のリンク木枠取りかえ工事、県営スキージャンプ場の人工芝の改修工事などを進めているところでございます。
〇工藤勝博委員 それぞれの施設につきましては、耐用年数等も当然あるわけですけれども、新たな施設も含めてこれからのスポーツ振興にかかわる大きな要素だろうと思いますので、鋭意、取り組んでいただきたいなと思います。先ほどのスポーツクライミングの施設が3種目同時に大会ができるということで、これは全国的にもそうないわけですので、この岩手県で整備した施設を十分に生かしながら、来年のオリンピック選手も多分出ると思うので、それらも含めて競技力の向上に寄与するような施設であってほしいなと願うものであります。
 また、底辺の拡大も含めていろいろな形で活用の方策も考えていく必要があるだろうと思います。県内でもクライミングをやる施設はそうあるわけではないのですけれども、大船渡市でも民間でそういう競技に親しむような取り組みも進めているということで、これは大変今後期待されるだろうと思います。それらも含めて、施設を有効に活用するということも含めれば、これからどういう形がいいのかはわかりませんけれども、そういう競技人口をふやせるような形で取り組んでほしいなと思います。
 先ほど、野球場とかの話もありましたので、それは割愛して、次の質問に入らせていただきます。
 競技力向上ということでもかなり予算を使って取り組んでいるわけですけれども、本来であれば、ことしの東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に出場する選手も含めて世界的にも活躍している選手を岩手県から輩出しております。それらも含めながら、その大きな土台であります、いわてスーパーキッズあるいは中高生の競技力をどういう形で進めていくか、それらも含めて昨年の成果、あるいはそれに伴う今後の課題があればお聞きしたいと思います。
〇山本スポーツ振興課総括課長 競技力向上についてでございますけれども、日本代表選手等の大会参加や強化合宿等遠征費の支援、全国トップレベルの優秀なコーチの招聘による指導者の資質向上、トレーナーによる選手のコンディショニング等のサポートによりまして、近年、国際大会出場選手数は着実に増加してきております。
 一方、希望郷いわて国体後の本県の天皇杯順位でございますけれども、年々下がってきておりまして、国体競技得点を獲得できるトップアスリートを本県に定着させること、それから、日本代表までには至らない全国大会入賞レベルのアスリートの競技力を高めることが課題と考えているところでございます。
 このため、県体育協会内に選手の求職と企業の求人をあっせんする岩手スポーツアスリート無料職業紹介所を今月開設いたしまして、選手の本県定着を支援するとともに、日本代表レベルのトップアスリートに加えまして、全国大会入賞レベルのアスリートに対しまして、新たに活動経費を支援することで、幅広く選手強化を進めているところでございます。
〇工藤勝博委員 代表選手に選ばれても、大変な個人的な負担を伴うと思うのです。それらを含めると、なかなかやりたくてもやれない、行きたくても行けない、そういう状況になっているのだろうと思いますし、特にことしの新型コロナウイルス感染症の状況も含めますと、選手のモチベーションといいますか、そがれている状況にもあると思うのです。それを、いかに、逆に行政がバックアップしながらその選手の目標が達成できるような状況をつくり出す、そういうためにもいろいろな形で支援する必要が出てきているのだろうと思います。
 優秀な選手が岩手県から大変たくさん出ています。特にここ数年、プロ野球のドラフト会議で指名され、そしてまた大活躍しているという状況でもありますし、また、逆に、岩手県で生まれて育って、他県から代表選手として出ているというアスリートもいることも含めて、岩手県の潜在能力が高いのだろうと思います。
 ことしは特に、岩手県でどうしてあんなに優秀な野球選手が出るのだろうという話題にもなるぐらい、そういう潜在力があるということ。これは、逆に、地域の大きな宝といいますか資源だろうと思います。それらも含めて心が折れないようなこれからの支援が特に必要になってくると思いますので、その辺もあわせてよろしくお願いしたいと思います。
 先ほどもスポーツ医・科学サポートということで、これは選手をつくる本当の土台になると思うのです。それらの指導者の養成とか、あるいは、スポーツ医・科学と連携した状況は、どういう状況になっているのかお聞きしたいと思います。
〇山本スポーツ振興課総括課長 スポーツ医・科学サポート事業でございますけれども、アスリートの競技力向上に係るサポート、それから、スポーツ医・科学の知見を生かした県民の健康づくりの支援を行っているものでございまして、昨年度は、競技団体や市町村体育協会など計117団体をサポートしたところでございます。
 特に競技団体へのトレーナー派遣につきましては、大会だけではなく、通常の練習会なども含めた年間を通したサポートを行っておりまして、競技団体から高い評価を得ているところでございます。
 また、昨年度から、いわてアスレチックトレーナーの第3期生の養成を始めておりまして、現在、56名が来年度の認定に向けて取り組んでいるところでございまして、県民の体力向上、健康増進を支える体制の拡充につながっているものと考えております。
〇工藤勝博委員 それぞれの競技によっては専門的な要素も当然必要なわけですけれども、サポートする人材をいかに確保するかによって、それぞれの能力がさらに発揮されてくるのだろうと思います。
 特に、私も、ことしの全米オープンテニスで大坂なおみ選手が復活して優勝したというのも、トレーナーとコーチと三者一体となったそういうサポートがあったからだということを見させていただきましたけれども、そういう環境をいかにつくるかだろうと思いますし、岩手県にとってもそういう潜在能力の高い選手を育成するにも、いろいろな側面からそういうサポート体制がさらに強化されることを願っております。
 今、小さいお子さんたちが小学校に入る前に、スポーツクラブといいますか、子供たちのスポーツ少年団が大変盛んになっています。そういうときからある程度、地域も含めて環境づくりが必要になってくるのだと思いますので、それらも含めて岩手県の子供たちがさらに能力が発揮できるような環境づくりに取り組んでいただきたいと思います。
 最後になりますけれども、スポーツを生かした地域づくりが、今、各地で盛んに行われております。ことしは特にコロナ禍でいろいろな大会、イベントが中止になっていますけれども、従来から考えると、いろいろなスポーツでその地域の特性がある、地域の特色を生かしたスポーツが行われております。文化スポーツ部で捉えているその辺の成果といいますか、これからの課題も含めてお聞きしたいと思います。
〇山本スポーツ振興課総括課長 県内では、八幡平市、北上市などでヒルクライムの大会が開催されていますほか、盛岡市ではスピードスケートのジャパンカップ、雫石町での全日本ジュニアスキー選手権大会など、各地におきまして豊かな自然やスポーツ施設を活用した全国大会が開催されている状況でございます。
 また、合宿誘致におきましては、奥州市のカヌーや西和賀町の水上スキーなど、各市町村が特色あるスポーツの拠点化を目指して誘致を進めた結果、県内における合宿数でございますけれども、平成30年度の60件が、令和元年度に99件に伸びるなど、着実に増加しておりまして、交流人口の増加や地域振興につながっております。
 県内にはさまざまなスポーツに対応できる豊富な資源があるものの、大会や合宿等の主催者にその情報が十分に伝わっていないことなどが課題と考えておりまして、今後におきましては、官民の関係機関が一丸となりまして、大会誘致や合宿誘致、スポーツイベントを支える人材育成などに積極的に取り組んでまいります。
〇工藤勝博委員 スポーツが一種の観光資源にもなっています。先ほど交流人口の拡大ということもありましたし、やはりスポーツを通じながら、その地域も含めていろいろな形で貢献できる部分がたくさんあると思います。
 私も八幡平市は地元ですので、冬場はスキーですけれども、結構いろいろな競技があります。そういう中で感じるのは、スポーツの大会を開催するに当たっては、先ほどお話がありましたヒルクライムとか、トレイルランもそうだと思いますし、あるいは、マラソンでも、施設の使用許可が大変大きな壁になっているのです。八幡平アスピーテラインのヒルクライムは、開催までに10年ぐらいかかったと思います。なかなか道路使用許可が下りない。その許可をとるために、大会を開くよりそっちのほうが大変だったという実態です。
 それらも含めて、少なくとも県道なりあるいはそれぞれの地域の市道は使えるようにしていただければと思います。それが一つの観光と、あるいは、ビジネスにも結びつくのだろうと思います。去年の釜石のラグビーワールドカップ2019も経済効果が大変あったということ。これからも、どんどんそういう取り組みで地域が盛り上がると、そういう時代になってくるだろうと思います。スポーツもビジネスだと、そういうふうに捉えながら、県のほうでも積極的に捉えてもらえればと思います。ですから、文化スポーツ部も観光の分野にまで足を突っ込みながら、それぞれの地域の発展に取り組んでもらえればと思います。部長、そういう感覚でどうでしょうか。
〇石川文化スポーツ部長 ただいま委員から貴重な御意見を頂戴いたしました。確かに、スポーツはこれから交流人口あるいは地域振興に大きな役割を果たしていくものだと考えております。
 私ども文化スポーツ部、商工労働観光部等と関係部局あるいは関係機関としっかり連携をとりながら、どこに課題があるのか、そこはしっかり取り組んでいきたいと考えております。
〇武田哲委員 私からは2点について伺います。
 まず1点目、県ゆかりの芸術家やスポーツ選手の活躍、そして、もう一つは文化芸術・スポーツを生かした地域づくりについて、県の施策に関する県民意識調査の結果では、満足度もニーズもどちらも低い。こういったところをどのように評価しているのか、お伺いしたいと思います。
〇中村文化スポーツ企画室企画課長 県の施策に関する県民意識調査結果のニーズ度、満足度のほうもお話ありましたけれども、調査の関係につきまして、ニーズ度は、重要度から満足度を引いた数値がそのままニーズ度になっているということで、なかなか難しい部分があるのですけれども、例えば、委員から御指摘がありました県ゆかりの芸術家やスポーツ選手の活躍につきましては、県民の満足度が全項目中1位になっています。それ以外に、文化芸術・スポーツを生かした地域づくりにつきましては、重要度のほうは若干低位で57項目中50位になっているのですけれども、満足度がその平均程度28位ぐらいになっていることから、それぞれニーズ度が低くなっているものと認識しております。
 県民が重要であると思っている意識の度合いに比べまして、一定程度の満足を感じているというところでニーズ度が低くなっているということで、部としては、一応好意的には評価しているところでございます。
〇武田哲委員 実際、各事業を見ると、いわて県民計画(2019~2028)実施状況報告書の239ページにCやDの項目が随分あります。こうした中で、本当に被災地のこともありますけれども、ほかにもスポーツ振興戦略推進費は、決算額を見るとある程度満額に近い形に使っていますが、しかし、県内での県内トッププロスポーツチームによるスポーツ教室参加数とかそういった数字のところを見ると目標数値よりもかなり低くなっています。本当にこれぐらいかかったのかなと思いながら見ているところもあります。
 そうした中で、ちょうどラグビーワールドカップ2019日本大会も開催されたりとか、県内では昨年度はさまざまの事業も開催されて、先ほど答弁で1位だったという話はありますけれども、ふだんこういった事業を推進する中で、本当に県民のニーズに沿ったようなことをやっているのかというところがちょっと気になりましたので、その点についてお伺いいたします。
〇中村文化スポーツ企画室企画課長 個別の事業の話がありましたけれども、評価の部分の福利厚生事業の委員御指摘の部分につきましては、年度後半の新型コロナウイルス感染症の関係で回数がちょっと少なくなっているですとか、トッププロスポーツチーム関係につきましても、予定していた年度後半のものについて、研修、教室等が開けなかったという部分もございますので、そういう意味で福利厚生事業のところでDになっている部分はございますけれども、いずれ、文化芸術分野につきましては、その活動する人材あるいはその文化芸術を生かした地域活性化を図るために文化芸術祭などイベントを開催することなどにより、県民が身近な文化芸術に触れる機会を提供していきたいと考えております。
 スポーツ分野につきましては、国内外で活躍するアスリートの育成とか、委員もおっしゃっているラグビーワールドカップ2019日本大会岩手・釜石開催とか来年の東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催などを契機とした人的、経済的な交流などに推進していきたいと考えております。
〇武田哲委員 文化のほうを見ると、県内でもさまざまの小説あるいは文学のほうで活躍している人たちがいます。しかし、実際、その人たちの活躍の様子を伝えるとなると、県外の書店に頼っているところがほとんどではないかなと感じています。そういった部分で活躍している人たち、漫画家もそのとおり、さまざまいるわけですけれども、その人たちを特集してしっかかりと県民にアピールするというところが、県が主体となってやっているというところが見えなかったりしています。その辺も、今後しっかりやってもらいたいということ。
 あとは、小学校、中学校、各自治体の遠征費、大会に行くにしても遠征費がなかなか捻出できないような状況です。この中で遠征費を出すために父兄が一生懸命に積み立てたりとか、そういった形で一生懸命やっている。しかし、その中でオリンピックやそういったものもこれから開催されていくと。もっと機運を醸成していくためにも、遠征費とかそういったところもしっかりと見ていってもらいたいと思いますけれども、その点について伺います。
〇中村文化スポーツ企画室企画課長 文化とスポーツの関係の御質問でした。
 文化の関係でいきますと、昨年度、以前からですけれども、文化スポーツ部で文学の国いわて推進事業をやっております。これにつきましては、本県ゆかりの作家、昨年度は沼田真佑さんをお呼びしまして、講演会を開催いたしましたり、それに加えまして、高校生を対象としたワークショップを開催したりもしております。全ての部分で対応はできないのですけれども、そういうところを少しずつやりながら、小中高生も含めた県民に対する本県ゆかりの方々の御紹介をしていきたいと考えております。
 スポーツの関係でございますけれども、先ほどスポーツ振興課からありましたけれどもトッププロスポーツチームとか、あと、その下の年代レベルの方々の活動支援等についてはしているところですけれども、確かに、個々の高校生、学生の支援というところは、その競技団体に対する支援も含めまして、いろいろやっていかなければならないという部分もございますので、それは団体の意向も聞きながら、今後、検討していきたいと考えております。
〇武田哲委員 いずれにしましても、各大会、これは文学もスポーツもそうですけれども、移動するにしても、広い岩手県ですから、バスを借り上げたりとかさまざまお金がかかることばかりです。そういったところも含めてしっかりと検討していただければと思います。
 それから、県の施策に関する県民意識調査結果の部分ですけれども、世界遺産を守り、将来に伝えていくための取り組み、あるいは、郷土の歴史や伝統と、この辺もどちらも満足度が、結局ニーズが低い値に出てしまいます。この辺のところを、今どのように捉えているのかお伺いしたいと思います。
〇岡部文化振興課総括課長 委員御指摘の二つの項目につきましては、満足度については平均を上回っておりますけれども、重要度が平均を下回っているということから総体的にニーズ度が低位となっている状況でございます。
 こうしたことから、今後につきましては、世界遺産や郷土の歴史などを後世に伝えていくことの重要性につきまして、県民の皆さんにより意識していただくような取り組みを進めてまいりたいと思っております。
〇武田哲委員 実際に、例えば釜石市もそうですし、平泉町もそうです。そして、一戸町も、今、頑張っているところです。そういったところを見たときに、県内の人たちがよく行っているのかとか、県外からなのかとか、あるいは世界から来ているのかとか、訪れる人たちの様子とかそういったものはしっかりと捉えているのでしょうか。
〇岡部文化振興課総括課長 昨今の新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、橋野鉄鉱山遺産、世界遺産登録を目指している御所野遺跡につきましても、修学旅行生が非常に多くなってきているというところで、そちらのほうの地元の方々からはそういった状況が見られるということはお聞きしているところでございます。
〇武田哲委員 今は新型コロナウイルス感染症の中でという話もありました。しかし、全体の人の流れをどうつくっていくか、そして、そこに訪れる人たちの満足度というか、それから、どういった行動形態をとっているのかとか、そういったところを分析しながら盛り上げていく。それは地域にも波及効果があります。そして、そこをもっと生かした上で、一戸町なども今後どういったところに力を入れればいいのかというところの分析もしていくのだろうと思っています。そこのところの修学旅行生とか学生が来ているというだけではなくて、今後の課題としてはどのように考えられているのか、お伺いします。
〇岡部文化振興課総括課長 委員から御指摘のありましたとおり、どのような方々がどういう形で訪れているかというところは、今後の対策を練る上で非常に大事な基礎となるデータだと思いますので、関係する市町村等とも連携しながら、そのあたりについては進めてまいりたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午前10時54分 休 憩
午前11時7分 再開
〇菅野ひろのり委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇吉田敬子委員 私からは、文化芸術を生かした地域づくりについてお伺いします。
 これは、平成27年3月策定の岩手県文化芸術振興指針に基づいて昨年度まで取り組まれてまいりました。その中の新規五つのうち、文化芸術業務の運営、企画能力を有する人材の育成、そして、高齢者、障がい者等の文化芸術活動への取り組み支援について、これまでアートマネジメント研修やいわてアール・ブリュット巡回展などが開催されてきましたが、それぞれの事業を展開したことによって何か新たなものが生まれてきたのかも含めて、県としてどのように成果を捉えているのかお伺いいたします。
〇岡部文化振興課総括課長 委員から御指摘のあったアートマネジメント研修につきましては、研修を開始した平成29年度から昨年度まで、県内の文化芸術団体や文化施設職員、NPO法人職員など、延べ128人の参加があったところでございます。参加者からは、今後の活動を見直すきっかけとなった、地域芸能の価値を改めて感じたなどの感想をいただいているところでございます。
 また、いわてアール・ブリュット巡回展につきましては、鑑賞者が年々増加し、昨年度、令和元年度は約6、700人が鑑賞されているということでございます。鑑賞者からは、感動した、末永くアール・ブリュット展が続いてほしいとの感想が寄せられているところでございます。
〇吉田敬子委員 いわてアール・ブリュット巡回展についてですけれども、答弁のとおり、例えば平成29年の入場者数は2、921人、平成30年4、430人、そして、昨年度は6、711人と、年々、倍増近く、3倍ちょっと増加していて、大変すばらしい取り組みをされていると思うのですけれども、ただ一方で、アンケート調査の中では、アール・ブリュットについて知っているかという調査項目があるのですけれども、知らないが67.2%で、巡回展はやっているのですが、アール・ブリュットをまだ知らなかったりとか、そこに参加している人は、もしかしたら同じ人がちょこちょこふえているかもしれないのですけれども、私自身は、巡回展の仕方なのか見せ方なのか、ちょっと工夫をしていく必要もあるのかなと、このアンケート調査を見て感じておりました。
 そういった課題を私は捉えているのですけれども、新しい文化芸術振興指針が今年度から策定されておりますが、その中にこういった課題をどのように盛り込んで今年度以降に生かされているのかお伺いしたいと思います。
〇岡部文化振興課総括課長 いわてアール・ブリュット巡回展につきましては、委員御指摘のとおり、認知度が低いということではございますが、平成30年度から開始しまして、徐々にではありますが、認知度は高まってきている。ただ、これからもこの認知度向上につきましては、さまざまな工夫をしまして認知度向上に努めてまいりたいと思っております。今年度も放送会社に委託して大々的なPRをするということもありますので、認知度向上につきましては今後とも努めてまいりたいと思います。
 ことし3月に策定しました第3期岩手県文化芸術振興指針に、新たな項目として、障がい者による文化芸術活動の総合的推進を掲げたところでございまして、障がい者の作家の活動支援とか、その権利保護についての研修とか、あとは、障がい者の芸術活動を支援するセンターの業務につきまして、具体的に取り組んでいきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 先ほどのいわてアール・ブリュット巡回展と、あと、そういった文化芸術活動の見せ方とかその企画運営をしていくという人材の育成も私は大事だと思っておりまして、さっき二つ取り上げた中の一つ、アートマネジメント研修の部分で、これまで平成29年度からやられておりますけれども、その中からでなくても、何か新しい展開が見えているものについて県として把握されているものがあればお伺いしたいと思います。
〇岡部文化振興課総括課長 アートマネジメント研修でも、芸術文化を生かした地域づくりの研修とか、あとは、県内に文化芸術コーディネーターを配置しておりまして、4広域振興圏に5団体を配置しておりまして、その方々が地域の文化芸術に取り組む方々とネットワークをつくりながら、どういった地域で展開していくかというところも探っているところでございますので、そういった活動をこれからも丁寧にやっていきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 例えば作家自身の能力を高めることもそうですけれども、その芸術家の方を支援する周りの方もやはり大事だと私は感じておりまして、こういうアートマネジメント研修の中身も含めて芸術家の方とか団体の力を高めるだけでなく、周りの人たちとうまくやっていくというような、地域づくりをやっていくというところの観点も含めたマネジメント研修の中身にしていくことも大切ではないかと私は感じております。
 平成29年6月の文化芸術振興基本法の改正では、まちづくりとか観光とか産業等との連携推進、また、平成30年6月の障害者による文化芸術活動の推進に関する法律の施行がありましたけれども、6月定例会の一般質問の際にもちょっと取り上げましたが、県内にはヘラルボニーという会社がありまして、あれは障がい者のアート作品をアパレル産業のほうとやったりとか、仮囲いアートで建築物とかJRとか他産業との連携ですばらしい活動をされていると感じているのですけれども、そういう支援していくことも私は必要ではないかなと感じております。
 例えば静岡県では、まちじゅうアートという県の取り組みとして、障がい者アートを制作者が一般の企業とか行政機関に貸し出す取り組みをされていまして、これは制作者の方にも収益が還元される取り組みになっているのです。
 こういった今までの、例えばいわてアール・ブリュット巡回展をやるだけでなく、一般の民間企業も巻き込むような形とかそういう工夫をすることが私は大事ではないかと思っておりまして、今年度から新たな指針でアーツカウンシル等もこれからつくっていくという取り組みに大変期待はしておりますので、さらなる展開を期待するものであるのですけれども、そういった町なかとの連携の部分に関して、県として現段階で新しい指針の中でこういう工夫をされているというところがあればお示しください。
〇岡部文化振興課総括課長 今回の指針につきましても、誰もが参加し鑑賞し創造するというところをうたっておりますので、そういった形で広く文化芸術に親しむ機会を取り入れていきたいと思っております。
 そして、いわてアール・ブリュット巡回展については、引き続き今年度も実施するということで、県内の4広域振興圏で巡回展を実施することとしておりますけれども、委員から御指摘のありましたさらなる取り組みについては、他県の状況等も調査いたしまして、好事例について研究してまいりたいと思います。
〇吉田敬子委員 ぜひお願いいたします。
 いわてアール・ブリュット巡回展は、民間の例えばショッピングセンターとかそういった部分でもやられてはいるのですけれども、やはり箱の中でやっているもので、例えば本当に町なかでちょっとやってみたりとか、そこの場所に行かなくても触れる機会があるような取り組みもおもしろいのではないかと思います。
 先ほど取り上げたアンケート調査結果の中でも、文化芸術の担い手である県民に対する行政のサポートとしてどのようなものが大切だと考えますかという調査項目の回答に必ず挙がるのが、学校教育における文化芸術や伝統文化の学習機会の拡充とあります。これの静岡県の取り組みは、学校への貸し出しを想定されていて、やはり学校教育の中でも文化芸術に触れる機会はあると思うのですけれども、限られている中で、文化スポーツ部としても学校教育との連携で、ぜひ新しい工夫をしていっていただきたいと思っておりますので、最後に御所見を伺って、終わりたいと思います。
〇石川文化スポーツ部長 今、委員から貴重な御意見を頂戴したと考えております。我々文化スポーツ部にできることの一つは情報発信ではないかと思います。先ほどのお話にありましたアール・ブリュットについてもそうですし、それから、子供たちに対する教育は、教育委員会ともしっかり連携して取り組んでいく必要があろうかと思います。
 実際の物を見せることは非常に大事なことだと思いますし、あとは、今はデジタル技術が進んでおりますので、そういった形で触れる機会をふやすとか、いろいろこれから考えられることはあろうかと思いますので、さまざまの方の御意見を頂戴しながらしっかり取り組んでいきたいと考えております。
〇米内紘正委員 私も文化芸術に関して何点かお伺いしたいと思います。
 まず1点目、いわて文化芸術王国構築事業費について、先ほどの吉田敬子委員とかぶらない範囲で構いませんので、主な事業内容とその成果、また、課題と今後の方向性等あれば、あわせてお聞かせください。
〇岡部文化振興課総括課長 いわて文化芸術王国構築事業につきましては、県内の文化芸術活動における交流支援体制の整備や日常生活を豊かにする文化芸術情報の発信を行うことを目的としまして、三つの事業を行っているところでございます。
 一つ目、いわて文化芸術ネットワーク運営事業でございますが、地域の文化芸術活動を支援するため、各広域振興圏に岩手県文化芸術コーディネーターを配置するもので、令和元年度の決算額は288万円となっております。
 岩手県文化芸術コーディネーターの活動によりまして、県内外からの相談対応や多様な文化芸術活動への支援、鑑賞機会の創出につながっているところでございます。
 二つ目でございますけれども、文化芸術振興基盤強化事業でございます。本県の文化芸術振興のための企画、推進体制の基盤を強化するため、岩手県文化芸術企画調整マネージャーを配置いたしております。公立文化施設の職員を対象としました人材育成研修等を実施するもので、令和元年度の決算額は1、154万5、000円となっております。文化芸術を生かした地域活性化のノウハウ共有とか、県内における文化芸術関係者のネットワークづくりに生かされているというところでございます。
 三つ目、文化芸術情報発信事業でございます。本県の文化芸術情報を国内外に広く発信するため、ホームページいわての文化情報大事典を開設、運営しているものでございまして、令和元年度の決算額は123万2、000円となっております。令和元年度におきましては、SNSの活用や多言語化を行いまして、文化芸術に係る情報の発信力の強化につながっているというところでございます。
〇米内紘正委員 丁寧な御説明ありがとうございます。
 今、3点目で御説明いただきました文化芸術の情報発信というところでございますけれども、いわての文化情報大事典のホームページでございますが、SNSを活用して広めていきたいということだったのですが、令和元年度の目標訪問者数40万6、000人に対して、実績値は令和元年度31万570人と、D評価となっております。その原因についてどのように分析されているか。そして、今年度その達成に向けてどのような取り組みをされているか。
 あわせて、ことし2月以降、いわての文化情報大事典のこのアクセス数が約1.5倍から2倍近くにふえているのですけれども、もちろんそこも分析はされていると思いますので、その内容をお知らせください。
〇岡部文化振興課総括課長 いわての文化情報大事典における成果指標の達成状況のD評価となっている理由でございますけれども、ホームページの全面リニューアルを行ったことから、閲覧者にとって見やすいホームページの構成とすることを目的としまして、ページ数を削減したこと、また、新たに開設したユーチューブチャンネルに動画コンテンツを移動したことで、直接ホームページにアクセスすることなく動画コンテンツの閲覧が可能となったことなどの影響によりまして、訪問者数が減少したと考えております。
 1.5倍にふえた理由につきましては、フェイスブックやツイッターなどにいわての文化情報大事典のホームページのリンクを張ったというような工夫もございまして、そういったところがこの伸びにつながったのではないかと考えております。
〇米内紘正委員 私もちょっと分析はしたのですけれども、実際、今年度1.5倍にふえているというのは、実はコロナ禍において外出機会が減っていて、インターネットのトラフィック全体の利用率が例えば5月で言うと、前年比に対して5割から7割増しというデータもあるのです。それに応じて実はいわての文化情報大事典もアクセス数がふえておりまして、これはより細かく分析していくと、では、どのページがふえているかということまで調べられるのですけれども、アテルイとかオシラサマのページがふえているのです。どの言語とセットで検索されたかまで見ると、アテルイに関しては歌舞伎とか宝塚、オシラサマに関しては千と千尋の神隠しなのです。ここから何がわかるかというと、コロナ禍の巣ごもりですね。家の中にいる時間がふえたことによって、動画配信サイトとかレンタルショップの売り上げが増加したのは周知のとおりですけれども、その中でアテルイをテーマにしたものだと、宝塚歌劇団の火怨・北の英雄アテルイ伝とか、歌舞伎だと中村勘九郎さんや市川染五郎さんが出演しているシネマ歌舞伎の阿弖流為<アテルイ>。オシラサマを検索した人は、もちろん千と千尋の神隠しなのです。つまり、家の中で動画の映像を見ることによってそこに興味を持った人が調べて、そこでたどり着いているのがいわての文化情報大事典です。
 先ほどSNSとおっしゃられたのですけれども、実は、いわての文化情報大事典のトップページはほとんどアクセスがないのです。先ほど話されていたフェイスブックも全部、記事に対するいいねは1回か2回なのですよ。つまり、職員の皆様方も多分見ていない。職員にも情報発信できていない。先ほどはユーチューブも挙げられていましたけれども、これも大体視聴回数は20回前後なのですね。つまり、アクセス数に何万と影響するところではないのです。
 つまり、岩手県のことを知りたい人がいわての文化情報大事典に来ているのではなくて、自分の興味の先をたどっていったときに行き着いた先の個別事項のページの集合体がいわての文化情報大事典になっている。つまり、競合サイトはウィキペディアになってしまうのです。ウィキペディアと今争っているわけで、そうすると、情報量でもなかなか勝てないのです。
 だからこそ、私が提案というか、できれば、見る人が何を見たいと思って見るのかをまず正確に分析をしていただいて、そこに岩手県の独自性とかストーリー性を持たせて、形式張ったウィキペディアのようなサイトではなくて、そういうサイトにしてほしいと思っているのですが、いかがでしょうか。
〇岡部文化振興課総括課長 いわての文化情報大事典につきましては、さまざまな方からも御意見をいただいているところでございまして、まずは認知度を高めることとか、見せ方とか、発信とか、中身、内容について、どういったところを県民の皆さん、あるいは国内外の方々がニーズとして求めているかというようなところを、委員御指摘のとおり分析をしながら、さらにいいものにして、本県の文化芸術の発信の基礎となるようなところを目指していきたいと考えております。
〇米内紘正委員 ぜひよろしくお願いします。
 次に、ちょっと1個飛ばしまして、いわてマンガプロジェクトについて質問させていただきます。昨年度も質問させていただいたのですけれども、今回、また、コミックいわてWEBはD評価ですね。令和元年度主要施策の成果に関する説明書にも、電子コミックの市場拡大によりホームページの周知が進まなかったと書かれております。
 昨年度も申し上げたのですけれども、今、ホームページに張られているJPEGを漫画で読む人はもういないのですよ。電子書籍で読むのです。いわてマンガプロジェクトの今後の方向性、10年を迎えてこのまま行くのかどうかについてお聞かせください。
〇岡部文化振興課総括課長 いわてマンガプロジェクトにつきましては、コミックいわての発行とかコミックいわてWEBなど、いわてマンガ大賞コンテストの開催とか、そういった事業を行っているものでございます。指標にありますコミックいわてWEBの訪問者数が減少していることは私たちも課題として捉えているところでございまして、まずは、コミックいわてWEBの認知度の向上とか、電子コミック市場への対応が必要と考えているところでございます。
 今年度、岩手大学の地域課題解決プログラムに、コミックいわて魅力向上プロジェクトが採択されておりますので、岩手大学と協働しながら課題抽出や対応策の検討に取り組んでいるところでございます。
〇米内紘正委員 今、現状だと、いわてコミックWEBが何をしたいのか、漫画家を育成したいのか、あるいは情報発信をしたいのかというどちらにも中途半端になってしまっているので、ちょっとその辺の整理をしていただければと思います。先ほども申し上げましたけれども、今年度、コロナ禍において電子書籍の販売数は3割ぐらい増加しているのです。自前のホームページではなくて、電子書籍市場で私は戦っていくべきではないかなと。そうでないとホームページの維持費ばかりかかってしまいます。
 電子書籍市場で戦っていく上で、ここからまた提案ですけれども、岩手県は物すごくポテンシャルというか武器があるのですね。先日、劇場版の鬼滅の刃が物すごい動員数で歴代最高初速を出したというニュースがありましたけれども、同じ週刊少年ジャンプで、今、現在進行形で連載されていてアニメ化されている岩手県出身の作家が二人いらっしゃいます。ハイキューは、累計発行部数4、000万部、呪術廻戦は850万部、これは新人作家としては異例らしいです。あと、モーニングに掲載されているとりのなん子さんですね。こういうすばらしい方々がいらっしゃるので、ぜひ連携して、例えば電子書籍市場で、岩手作家フェアをつくって、そこに有名な作家と新人の作家をあわせて、例えば最初の何巻は無料ですよとか売り込むことによって、私は情報発信と若手の漫画家の育成があわせてできると思うのですけれども、そちらの御検討はいかがでしょうか。
〇岡部文化振興課総括課長 コミックいわてやコミックいわてWEBにつきましては、認知度が低いということで、県文化芸術振興審議会の委員からも、首都圏に届いていないのではないかという厳しい御指摘もいただいているところでございますので、そういった若手作家とか著名な作家との連携を目指して、いろいろな課題があるかもしれませんけれども、そこをクリアしながら、少しでも岩手県の魅力を発信できるような手法を考えてまいります。
〇菅野ひろのり委員長 執行部に申し上げます。答弁は明瞭にお願いいたします。
〇米内紘正委員 時間も限られているので、指標関連のことも聞こうかと思っていたのですが、最後、部長に全体の方向性をお聞きしていきたいと思います。
 予算のところも通告はしていたのですけれども、私のほうで調べまして、平成30年度に文化庁が出しているデータで、都道府県知事部局における芸術文化振興予算です。全国47都道府県を比べたときに、岩手県の場合は約8、500万円で、全国で下から4番目、ソフトにかける事業費は全国44番目ということがわかりました。
 今回の質問を通してお聞きしたかったのは、県の現代の文化芸術に対する根本的な考え方でございます。文化芸術は生命活動を行う上に必須のものではなくて、ゆとりのあるところでやっていくもので、だからこそ私は厳しい目を向けなければいけないと思っているのです。もし惰性でやるぐらいだったら、今コロナ禍ですから、生活困窮者にその予算を向けたほうがいいと思います。だから、一つ一つ小さな事業であっても、文句を言われないように全力で取り組んでほしいのですけれども、県は文化芸術の振興に対して人材を羽ばたかせたいのか、情報発信にとにかく力を入れたいのか、予算が限られている中で、指針も出ておりますけれども、部長の御所見をお聞きします。
〇石川文化スポーツ部長 文化関係の施策でございますが、私どもとしては、まず二つ大きな目的があると考えております。一つは、県民誰もがそういう文化芸術に触れる機会をしっかりつくっていくこと。もう一つは、先ほど来、委員からも御指摘がございましたとおり、これは岩手県の交流人口あるいは地域振興に大きくつながるものでございますので、文化の力をそういったビジネスあるいは地域振興につなげていく、これが大きな二つの目的だと考えております。
 委員からお話がありましたとおり、施策についてはもちろん全力で取り組んでいかなければいけないと思いますし、それから、文化をめぐる状況も年々どんどん変わっておりますので、そういったものにもしっかり対応していく必要があろうかと考えております。
〇米内紘正委員 最後になりますけれども、文化を生かした地域振興ということで、文化を国内外に発信するときに、私、先ほど来申していますとおり、入り口は岩手県ではないと思うのです。こっちがどんなに岩手県のことを知ってくださいと言っても、全然知らない人にはなかなか興味を持ってもらえないと思うのです。
 先ほど話したいかに岩手県に関連することに偶然に興味を持った人をグリップして、そこから岩手県の文化芸術に引き込む。例えば、千と千尋の神隠しを見た。オシラサマ、ダイコンの形をした農業の神様、あれに興味を持った。調べてみた。そうしたら柳田國男の遠野物語に行き着いた。遠野って何だろう。じゃ、遠野市へ行ってみようかなと。ハイキューを読んでみた。この作家はどこに住んでいるのだろう。軽米町か、じゃ、軽米町へ行ってみようかな。多分こういう道筋をつけることが県にとっての役割だと私は思っているのです。
 だから、決して予算をふやしましょうとか、マンパワーをどんどん投入しましょうとかと言っているわけではないのです。全国でも下のほうの芸術振興に費やす予算ですから、その中で王国とか文学の国と掲げているわけでございますから、その戦略は熟慮に熟慮を重ねて、このコロナ禍、デジタル化が進む中で、最後に映画や本や漫画に接する時間がふえる中で、具体的にどのような形を考えているのか、情報発信、デジタル化の中で、最後お聞きして、終わりにします。
〇石川文化スポーツ部長 先ほど来、委員から貴重な御意見を頂戴しているところでございます。我々が共通認識として持っておりますことは、岩手県の文化についてのポテンシャルはすごく大きいものがあるだろうということです。先ほど来お話がありましたとおり、そこにたどり着く方策、こういったものをしっかり取り組んでいく。これは金額というよりは、やはり工夫のしどころなのではないかと思います。
 また、このコロナ禍の中で、文化の力がいかに大事なものか、当たり前と思っていたものが当たり前でない状況の中で、県民の方々も非常に関心を持っていただいていると思いますので、しっかりこれから取り組んでいきたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇菅野ひろのり委員長 質疑がないようでありますので、これで文化スポーツ部関係の質疑を終わります。文化スポーツ部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ちください。
 次に、教育長に教育委員会関係の説明を求めます。
〇佐藤教育長 令和元年度の教育委員会の決算について御説明申し上げます。
 初めに、教育委員会が所管する事務事業の総括的な取り組みと今後の取り組み方針等について御説明いたします。
 教育委員会におきましては、いわて県民計画(2019~2028)、岩手県教育振興計画等の諸計画に基づき、東日本大震災津波からの教育の復興と学校教育及び社会教育、家庭教育の充実の二つを大きな柱として、学びと絆で、夢と未来を拓き、社会を創造する人づくりの実現に向けて、本県教育の振興に取り組みました。
 まず、東日本大震災津波からの教育復興につきましては、県立高田高校のグラウンド等が完成し、被災した公立学校施設は全て復旧したところです。
 今後におきましても、副読本を活用した岩手県の復興教育の一層の推進を図るとともに、被災した児童生徒の心のサポート、就学支援等、一人一人に寄り添った支援に引き続き取り組んでまいります。
 また、被災した県立野外活動センターの令和3年度の開設に向けた移転復旧整備等に取り組んでまいります。
 次に、学校教育につきましては、子供たちの知、徳、体のバランスのとれた生きる力の育成を目指し、主体的、対話的で深い学びの実現に向けた授業改善、自他の命と他者の人権を尊重し、大切にする教育の推進、運動やスポーツに親しむことのできる環境づくりなどに取り組みました。
 今後におきましては、ICT機器等を活用した効果的な授業の推進や家庭学習のさらなる充実、児童生徒が相談しやすい環境づくり、運動習慣の定着を図るための環境づくりなどに取り組んでまいります。
 特別支援学校の狭隘化等へ対応するため、昨年4月に盛岡ひがし支援学校を新たに開校したところです。また、引き継ぎシート等を活用した円滑な引き継ぎの推進、通級による指導などに取り組んでおり、引き続き、児童生徒一人一人の教育的ニーズに適切に対応し、ともに学び、ともに育つ特別支援教育を推進してまいります。
 いじめ防止対策については、学校いじめ防止基本方針に基づく取り組みを徹底するとともに、不登校対策に当たっては、児童生徒に寄り添った教育相談体制の充実などに取り組んでおり、引き続き、いじめや不登校の未然防止、早期発見、適切な対応など、組織的な取り組みを強化してまいります。
 学習環境の整備、特別支援学校等への冷房設備の設置、小中学校全学年での35人以下学級の導入などに取り組んだところであり、引き続き、子供たちが安心して学ぶことができる環境の充実に取り組んでまいります。
 また、新たな県立高等学校再編計画後期計画の策定や地域と連携した県立高校の魅力ある学校づくりにも取り組んでまいります。
 さらに、新型コロナウイルス感染症の発生及びその感染拡大を可能な限り抑制し、児童生徒の健康、安全の確保を図りながら、教育活動に与える影響を最小限にとどめ、学びを保障する取り組みを推進していきます。
 次に、社会教育、家庭教育につきましては、教育振興運動と連携した体験活動等の充実など、学校、家庭、地域との協働を推進してきました。
 また、県民一人一人が生涯を通じて学び続けられるよう、生涯学習情報提供システムによる情報提供、子育てサポーター等による子育て世帯の支援などに取り組んでおり、引き続き、地域学校協働活動の推進、多様な学習機会の充実、子育て世帯への支援体制の充実などに取り組んでまいります。
 さらに、民俗芸能や文化財を次世代へ確実に保存、継承していくため、本県の文化財保存活用大綱の策定を進めるとともに、市町村における文化財保存活用への支援に引き続き取り組んでまいります。
 続きまして、決算について御説明申し上げます。
 お手元の令和元年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。
 教育委員会関係の一般会計歳出決算額は、10款教育費の支出済額のうち1項教育総務費の一部、8項大学費及び16ページ9項私立学校費を除いた1、357億6、804万円余と、次の11款災害復旧費5項教育施設災害復旧費の支出済額の一部9億9、520万円余を合わせた1、367億6、325万円余となっております。
 また、翌年度への繰越額は12億215万円余、不用額は17億8、011万円余となっております。
 決算の内容につきましては、令和元年度歳入歳出決算事項別明細書に記載しておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で教育委員会関係の説明を終わります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇菅野ひろのり委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇五日市王委員 それでは、新たな県立高等学校再編計画後期計画(案)についてお伺いいたします。
 その前に、先般、二戸地域に朗報がございましたので、御礼を申し上げたいと思います。岩手県立特別支援学校整備計画が公表されました。この中で、13年来待ちに待った二戸地域への特別支援学校小中高一貫校の設置が盛り込まれました。佐藤教育長初め教育委員会の皆様には厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 ただ、工程表を見ますと、最長で2028年になっているようでございます。実は、2008年に小学部が設置されていますので、2028年ということになれば、さらに、そのときから20年の月日が経過をしてしまうということでもございます。できれば、今、釜石祥雲支援学校が令和4年度に完成ですか。そうなったら速やかに建設に取り組んでいただきたいと思うのですが、教育長の決意のほどをまずお伺いしたいと思います。
〇佐藤教育長 二戸地域につきましては、これまでの小中高等部一体型の県立特別支援学校が未設置でございました。平成19年からの前計画はかなり以前のものでありましたけれども、前計画以降の過程の中で大きな課題と捉えておりました。今回の整備計画案の柱の中では、大きな一つと掲げております。今後、設置場所を含め、設置に係る詳細につきまして、関係各所との調整も含めて、速やかに検討を進めてまいりたいと考えております。
 なお、早期整備の要望につきましては、その調整協議を進める上で、いろいろと関係機関等ともよく調整をさせていただいて、前向きに検討していきたいと考えております。
〇五日市王委員 力強いコメントをいただきました。小原財政課総括課長もお聞きになったと思いますので、ぜひ速やかに検討をしていただきたいと存じます。
 二戸地域は、今、伊保内高校と福岡工業高校が耐震化の建てかえ工事をやっておりまして、特別支援学校に関しては前向きに取り組んでいただける。さらには、私の母校でもありまして、一般質問でも武田議員からも応援をいただきました福岡高校の老朽化問題もございますので、こちらのほうにもぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 それでは、新たな県立高等学校再編計画後期計画(案)についてお伺いいたします。本会議でもさまざまな議員から質疑がございましたが、私は専門高校の統合に限ってお伺いいたします。専門高校統合―これは県南地域、宮古地域、二戸地域なのですが―に係る地域検討会議や県民との意見交換での主な意見について、どのようなのがあったのかお伺いいたします。
〇森田高校改革課長 専門高校統合に係る後期計画の策定に向けた地域検討会議等での主な意見でございますけれども、胆江及び両磐ブロックにおきましては、県南地域における大規模な工業高校の新設について、一定の規模や充実した設備のもとでより高度な技術を学ぶことは重要であるといった意見の一方で、圏域の広い統合により通学が困難となる生徒が生じる可能性があるとの意見もいただいたところでございます。
 二戸ブロック(後刻「宮古ブロック」と訂正)におきましては、宮古商工高校と宮古水産高校の統合について、学校教育において水産を含めた6次産業化がより具現化されることになるとの一方で、漁業関係者が減少している三陸沿岸の水産業の衰退を招くとの意見をいただいたところでございます。
 二戸ブロックにおいては、福岡工業高校と一戸高校の統合について、これまでの両校のレベルを落とすことなく、生徒が入学を望む学校づくりを目指してほしいとの一方で、福岡工業高校の校舎改築が進められている中、唐突であると感じているとの意見をいただいたところでございます。
 先ほど、二戸ブロックと申し上げましたが、宮古ブロックにおいては、宮古商工高校と宮古水産高校の統合についての御意見でございました。失礼いたしました。
〇五日市王委員 県教育委員会においては、おおむねどういう感触ですか。
〇森田高校改革課長 今回、各ブロックを回りまして、さまざまな御意見を頂戴したところでございますので、それらの御意見をこれから集約いたしまして、精査しながら年度内の成案に向けた作業を進めてまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 それでは、市町村や市町村議会等からの今回の動きに関しての要望状況と内容、業界団体も含めて、どういったものがあるのかお聞かせ願います。
〇森田高校改革課長 専門高校に係る市町村や市町村議会等からの要望でございます。
 県南地区の工業高校の統合につきましては、一関商工会議所並びに岩手県建設業業界一関支部及び千厩支部から要望書をいただいているところでございます。
 また、宮古ブロックの統合につきましては、県漁業協同組合連合会を初めとした県内の漁業関係団体等から要望書をいただいておりまして、二戸ブロックの統合につきましては、カシオペア連邦議会議員協議会から要望書をいただいております。
 いずれも専門高校は地域産業等を担う人材育成に重要であることなどから、単独での存続を求める内容となっております。
〇五日市王委員 県南地域あるいは宮古地域は、私は詳しく存じ上げる立場にないものですから、そちらは地元の議員にお任せいたしますが、二戸ブロックにおいては、福岡工業高校と一戸高校が令和6年度から統合との案が示されておりますが、地元二戸市では、先ほど要望もあったように、福岡工業高校を現在のまま単独で残してほしいとの声が圧倒的であります。
 しかしながら、生徒数減少の現実は直視しなければいけませんし、二戸ブロックにおける専門教育の拠点という方向性については、否定的な意見は少ないように思っております。
 問題はやはり唐突感であります。仮に、今回の専門高校統合の方向性について、時期や対象校を明示せずに、先に地域に説明した上で議論をしてもらう形をとれば、よりよい方向性を導き出せたのではないかと考えております。なぜなら、幸いにもと申しますか、今回の統合案が目覚まし時計となりまして、地元では、今後の高等教育全体を考える機運が高まってきております。
 さらに、冒頭にちょっと触れましたが、特別支援学校の小中一貫校の設置が決まる。あるいは、福岡高校老朽化への対応も急務であります。さらに、二戸市内から一戸高校に40人から50人の生徒が通学しているという現実もあります。また、二戸市内産業界からは商業科復活を求める声もあります。こういったさまざまな状況の変化もございます。
 加えて、今後の県立高等学校のあり方では、二戸ブロック全体で、現在11クラスの募集ですが、令和8年度には9クラスとされております。これは生徒減少で、ある意味いたし方ない部分もあるのですが、こういった状況を全て視野に入れながら、二戸ブロック全体でどういった枠組みがいいのかを総合的に地元でしっかりと議論をしてもらい、知恵を出していただく時間が必要ではないかと考えております。統合の時期や枠組みを早急に判断せず、地元での議論を促すことが必要と思いますが、見解をお伺いいたします。
〇森田高校改革課長 県教育委員会では、平成30年12月から令和元年9月にかけて、県内各ブロックにおいて後期計画の策定に向けた地域検討会議、また、高校再編計画(後期計画)に関する意見交換会のほか、要望に応じた説明会を延べ47回、約1、500人参加のもとに開催しまして、幅広く御意見を伺ったところでございます。
 それらを踏まえて、令和2年2月に新たな県立高等学校再編計画後期計画(案)をお示ししたところでございます。この計画案公表後に、2月から3月にかけてパブリックコメントを実施するとともに、7月から9月にかけて同様の会議を延べ20回、約630人の参加のもとに開催しまして、計画案の内容について意見を伺ったところでありまして、意見交換の機会を多数設けてきたものと認識しております。
 今回、意見等でいただいた御意見も十分に考慮した上で、生徒にとってよりよい教育環境の整備をするという観点から、年度内の成案作成に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 このまま進めていくということなのかもしれませんが、これまでの統合の議論を見ていますと、ある意味勝ち負けだったりとか、地域間対決みたいな、地域をまたぐとか、そういったことも見られてきたことも事実ではありますが、生徒が減っている現状では、そういったことは生徒たちにとっては非常に私は不幸なことだと思っております。ですから、地域がこれだけ高等教育全体に対していろいろ注目している中で、今こそ地域にしっかりと、いずれクラスも9クラスになります。福岡高校を含めてどういったあり方がいいのかというのを少し時間をいただいて、地域で少しもんでいただくのが、げたを預けていただければ、本当はもっといいのではないかと思っておりますが、そのことをお願いして、終わります。
〇菅野ひろのり委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午後0時2分 休 憩
午後1時1分 再開
〇千葉絢子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇郷右近浩委員 午前中の五日市王委員の質疑に関連して質問をさせていただきたいと思います。新たな県立高等学校再編計画後期計画(案)についてであります。
 先ほどるる説明がありました。私自身、高校再編については、前期計画のさまざまなことを経て、後期計画については大変丁寧に進めていただいているといった形で認識をしておりました。ただ、この前、説明会において、唐突感というか、これまで丁寧に進めてきていただいたという中にあって、本当に唐突な思いが非常にしております。
 というのは、それぞれの地区を越えた統合であったりという中にあって、先ほども、地元の説明会でそれぞれどのような意見が出たかということで、森田高校改革課長からお話がありましたけれども、実際問題としては、簡単にあのような数センテンスぐらいで話す形ではなくて、いろいろなというか、やっぱり皆さん唐突感に対しての戸惑いであったりとか、どのような形になるのか見えないといった、そうした不安であったりとかいろいろなものが感じられた、そうした説明会であったと私自身は認識しているわけであります。
 今後のスケジュールについてお伺いさせていただきたいと思いますが、まず、皆さんから意見を聞いて、先ほどのスケジュールの話の中で、こう進んでいく中にあっては、いただいた意見を酌み取りながら成案にするといった形のお話がありましたけれども、これまでのこの計画が本当に妥当とすると、その中で180度変わるであったりとか、そういった可能性があるのかどうか、まずお伺いしたいと思います。
〇森田高校改革課長 新たな県立高等学校再編計画後期計画(案)を公表した後の意見交換においては、さまざまな御意見を頂戴したところでございまして、それを踏まえながら最終的な案ということでこれから検討を進めていくところでございます。180度変わるかどうかということにつきましても、それも含めての検討かとは思いますけれども、基本的には、現行の案をベースにしながら、皆様の御意見をどのように反映させることができるかということを中心に検討してまいりたいと思っております。
〇郷右近浩委員 先日の高校再編計画(後期計画)に関する意見交換会の終わりに、それこそ御説明いただいた中で、そちらのほうからお話しいただいたのは、御意見は伺いました。だけど、このままで、意見は聞いたけれども進めていきますといったような、そうしたニュアンスで私自身は捉えさせていただきました。
 意見を聞いて、じゃ、これからどうしていくのだという部分はしっかりと考えていただきたいと思いますし、またさらに、これまで、岩手県のさまざまな計画の中で、特に県南については、ものづくりという形の中で、すぐれた工業人材の輩出であったりとか、そして、すぐれた労働力の輩出といった形で、工業という部分にもかなり力を入れてこようとしてきたと私自身認識をしております。
 だとしたときに、なぜ、ここで水沢工業高校と一関工業高校、それから、千厩高校の工業科ということで、結果的にはそれぞれを縮小するような形、子供たちが少なくなっていくから。そうした大上段の理由はわかりますけれども、しかしながら、なぜ、そこでパイを小さくしていかなければいけないのか。これは新たな県立高等学校再編計画をつくるときに、そこに参画していた教育長ならば、そうした工業人材であったりとか、次の岩手県をどのように持っていくのか、そうした形でこれまで進めてきた。そこと私はどうもそごがあるような気がしてなりません。しっかりとそれぞれのところですぐれた人材を輩出して、それを目指していくといった姿勢を出していただきたかったと思うわけでありますが、そうした中で、この計画について、お考えというか、その部分についてお伺いしたいと思います。
〇佐藤教育長 県南地域の工業高校の統合というところでございますが、後期計画の策定に向けた地域検討会議とか県民からの御意見の中では、一定の規模あるいは充実した設備のもとで、より高度な技術を学ぶことは重要だと、そういった意見もありまして、統合に賛成するという意見もございました。
 また一方では、今、委員から御指摘のありましたように、地域の産業の担い手としての人材の育成に向けた学びの場を残してほしいという慎重な検討を求める意見もありました。それから、圏域が広い統合になるということで、通学が困難になるという御指摘もあったところでございます。
 それらも踏まえながら、今後、慎重に検討を進めていきたいと考えておりますけれども、基本的には、児童生徒が縮小していく中で、本県の県南地域で産業集積が進んでいる。そこで、ものづくり産業を担う人材をいかに育成していくかということが今は問われているのだと思います。
 特に最近では、AIであるとかIoTであるとか、さまざまな産業の高度化がより進んでいく中で、それに対応できる人材を育てていかなければならないという使命もございます。
 そういった観点から、県内全体を見回していった場合に、盛岡工業高校、黒沢尻工業高校に匹敵するような、さまざまな専門教育の分野を広く学ぶことができる工業人材の育成に向けた教育基盤が必要と求められている。これは将来に向かっての考え方でございます。そういったところにいち早く先手を打っていかなければならないという思いもありまして、県南地域に工業教育に関する最新の設備を有する、しかも、一定の規模を有する工業高校の整備が必要であるという考えで進めていきたいと考えております。
 また、新たな県立高等学校再編計画後期計画(案)では、計画を進めるに当たって、設置の場所も含めて一定の時間を要するということで、令和8年度ですか、この計画の中でも一番後ろのほうに整備を予定しておりまして、その間にしっかり議論をするということで、計画としてはぜひこのように進めていきたいと考えております。実際の整備計画の策定に当たりましては、地域の方々、産業界、いろいろな方面と調整を進めながら、しっかり時間をかけて整備を進めていきたいと考えております。
〇郷右近浩委員 関連なので簡潔に2往復ぐらいと思ったのですが、実は今回、時間が20分ということもあったので、一般質問でやろうかと思ったり、またさらに、実はその前に商工労働観光部で、そうした人材についてどのような学校が欲しいのかと、ものづくりのあたりで聞こうと思っていました。
 ただ、そうした中で、私は、今、盛岡工業高校、黒沢尻工業高校の例を出していただきましたけれども、だとすると水沢工業高校、一関工業高校、全てをいい形に持っていくといった形のほうがありなのではないかと思っていますし、そうしたことでは、この計画については、どうも本当に唐突感、丁寧にやってきたはずなのに唐突感がどうしても否めない。そうした思いもありますので、そうした形で今後、また、いろいろとお話をさせていただければと思います。
〇斉藤信委員 高校再編について関連して。盛岡南高校と不来方高校の統合案について、盛岡南高校の同窓生から私にもさまざまな要望も寄せられました。
 そこで、県教育委員会にはどういう要望、意見が寄せられているか、これが第1点です。
 第2点は、盛岡南高校と不来方高校は対等の統合なのか。計画を見る限りは、不来方高校に吸収統合という計画に私は見えるのですけれども、盛岡圏域でいくと、盛岡南高校だけが損をするというか、なくなってしまうという計画なのです。そういう意味で本当に納得できるような大義が統合にあるのか。そして、本当にそこだけに犠牲を強いるような計画であっていいのかということも私は感じるわけでありますけれども、そういう点で、この統合の中身、大義はどこにあるのかと、そのことを明らかにしていただきたい。
 三つ目は、こういう中身ですから、やっぱり徹底して理解と納得を得るような取り組みがなければだめだと思うけれども、その点について答えていただきたい。
〇森田高校改革課長 まず、盛岡南高校と不来方高校の統合に係る要望の状況でございます。
 この両校の統合につきましては、盛岡市教育委員会から要望書を頂戴しているところでございます。両校の統合によりまして、より先導的な取り組みが実践されて、新設校が、子供たちの学びが深まる魅力的な学校になるようしてほしいという中身。それから、統合に当たっては、具体的な統合の手順、また、新設校の姿について早目に示すなどの説明を十分にして、進路選択に不安にならないように配慮願いたいといった中身でございます。
 それから、統合の形態でございますけれども、統合によりまして、生徒数の減少に合わせて統合を段階的に進めることから、一時的に1学年の学級数が11学級となる年がございます。それを収容できるキャパシティーがあるのが不来方高校の校舎ということもございますし、不来方高校には外国語学系、体育学系、芸術学系といったさまざまな学びの学系があることから、これを減らしながらの統合はなかなか難しいというところもありますので、見え方としては、どうしても不来方高校のほうに移行するような見え方にはなるかと思いますが、基本的には、両校の歴史と伝統を引き継ぎながらの新しい学校をつくるという統合となっているものでございます。
 それから、議論の仕方でございます。これにつきましては、先ほど御答弁したとおり、後期計画の策定に向けた地域検討会議、それから、高校再編計画(後期計画)に関する意見交換会のほか、盛岡南高校のPTAの皆様、同窓会の皆様とは、要望に応じての意見交換も実施しているところでございます。
 今後、統合に当たりましても、さまざまな御意見を頂戴しながら、その内容について検討させていただきたいと考えております。
〇斉藤信委員 対等の統合というのであれば、学校の名前も変える、新しい学校はこういう中身なのだと、こういうことが示されていないと私は思いますよ。吸収統合の姿しか見えていないのではないか。これが第1点です。
 そして、盛岡南高校もやはり実績のある高校ですから、それなりの生徒数を抱えています。だから、私は、今までの歴史と伝統をどう踏まえて受け継ぐのかということを示されなかったら納得は得られないと思います。
 盛岡市教育委員会からの要望内容が示されましたが、県教育委員会には、同窓生の方々がどういう声を上げているのか上げていないのかを示してください。
 そして、唐突という話がそれぞれの委員の質問でも出ました。私は、当事者にしてみれば、盛岡南高校と不来方高校こそ唐突の中の唐突なのだと思うのです。それだけに、本当に丁寧な説明と納得を得られるプロセスが特別に大事だし、ごり押ししてはならないと私は思いますよ。この3点をお聞きしたい。
〇森田高校改革課長 吸収統合というお話でございました。私どもは、後期計画の策定に向けた地域検討会議、高校再編計画(後期計画)に関する意見交換会の中でも、今回は、どちらかが一方的に吸収される、統合されるというものではないと。校名も新たに検討するものでありますし、それから、校章であるとか、校歌であるとか、制服であるとか、そういったところに至るまでも両校の関係者で話し合いながら、検討しながら決めていくものだということについては、丁寧に御説明させていただいているところでございます。
 それから、伝統をどう引き継ぐかといったところでございます。両校とも、体育であるとか芸術であるとか、特色ある学びを推進している学校でございます。両校のその実績を十分に引き継ぎながら、さらに、県内の特色ある学校の伝統を先導する形で両校の取り組みを引き継いでまいりたいと思っております。
 それから、どのような声が同窓会等から上がっているかといったところでございます。同窓会等からは、今回、統合に当たりましては、盛岡市への生徒の一極集中の是正という観点も含んでということになります。それに関しましては、統合による一極集中が是正されるものなのかどうかといったところについての御意見もございますし、それから、統合により中学生の選択肢が狭まるのではないかという御意見も頂戴しているところですし、やはり両校があってこそ切磋琢磨できるのではないかといった御意見も頂戴しているところでございます。
〇武田哲委員 それでは、私からも何点かお伺いしたいと思います。
 まず、県の施策に関する県民意識調査結果で教育分野は、県民の皆さんは最も重要度が高い。しかし、満足度は随分低い状態となっています。同じように、いじめや不登校の問題に関しては、特に重要度が高いという県民の方々の意見のようです。こういったニーズが現在高まっている状況の中で、この結果をどのように評価するのかお伺いいたします。
〇渡辺教育企画推進監 県の施策に関する県民意識調査結果でございます。令和2年の調査結果では、教育分野におきましては、いじめや不登校への適切な対処は全体で5位、人間性豊かな子供の育成が19位、全ての子供が学べる環境が21位、次世代を担う人材の育成が25位といった項目が、ニーズ度が高い状況となっております。
 このような調査結果は、岩手県の子供たちがそれぞれの人間形成と自己実現に向けて知・徳・体のバランスのとれた生きる力を身につけるとともに、地域を支える人材を岩手の教育の中で育成してほしいという県民の期待であると認識しております。
 県教育委員会といたしましては、いわて県民計画(2019~2028)あるいは岩手県教育振興計画のもと、いじめ、不登校への適切な対処につきましては、岩手県いじめ防止等のための基本方針に基づく対策あるいは組織的な指導体制の充実、次に、人間性豊かな子供の育成については、道徳教育や人権教育の充実、そして、全ての子供が学べる環境については、特別な支援を必要とする幼児児童生徒の教育的ニーズに応える指導、支援体制の充実、次世代を担う人材育成については、岩手県の復興教育あるいはキャリア教育の充実などに取り組んでおりますほか、県立学校への1人1台端末の導入、あるいは冷房設備の設置などによる教育環境の改善などにも取り組んでいるところでございます。
 今後も、岩手県の教育の充実に向けて引き続き取り組みまして、教育に対する期待、ニーズに応えられるよう努めてまいりたいと考えております。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 いじめ、不登校の対策の評価についてでございますけれども、いじめの認知件数や不登校の数は、全国と比例するように岩手県でも増加傾向にございます。これらの対応につきましては、県教育委員会といたしましても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 特にいじめについては、積極的な認知とともに、その解消を目指し、学校が組織として適切に対処していくことが重要だと思っております。
 また、不登校につきましては、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと連携した、個に応じた対応を推進してまいりたいと思いますし、不登校を生み出さないためにも、全児童生徒を対象とした居場所づくり、きずなづくりを進めているところでございます。
 今後とも、児童生徒の自己有用感を育む中で、いじめや不登校の未然防止に取り組んでまいりたいと思います。
〇武田哲委員 今回コロナ禍で、学校も休みの期間が長かったです。いじめとか不登校の子供たちに、その間、すごくアプローチしやすい時間があったと思うのですね。例えば不登校の子供たちに対して訪問したりとか、生徒としっかり話し合う時間がとれたのではないかと思っています。今回、休業中、学校が休みの間、どういった対応をされ、そして、どういった改善が見られたのか、その点をお伺いしたいと思います。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 休業中におきましては、委員から御指摘のとおり、子供たちに寄り添った丁寧な対応ということで、家庭訪問をしたりとかという取り組みを行ったところでございます。それによって子供たちが、次に学校が再開したときに登校しやすいとかいうようなハードルが下がった子もいれば、その中で休業の生活になれてしまって、逆にハードルが高くなってしまった子もいると聞いているところでございます。
〇武田哲委員 実際に、不登校の子供たちとか、その対応によって、休み明けに学校に来るようになったとか、そういった改善は見られなかったのですか。
 いずれにしても、コロナ禍で休みの間、生徒とどういった対応をとろうかというのを、学校の中とか、教育委員会の中で、どういった指導が必要なのかとか、その辺の指導はどういう形で県内の学校に通達がなされたのかお伺いしたいと思います。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 休業中におきましては、休業明けに差別とか偏見とか誹謗中傷にならないような取り組みも、通知等を行ってやったところでございますし、先ほど申し上げたとおり、休業中のところにおいては、家庭訪問したりとかいうことも行いましたし、それから、仲間づくりということで友達との交流で、友達にアプローチして、訪問してもらったりという取り組みをしたところでございます。
 子供たちにとりましては、そのことによって先ほど申し上げたとおり改善した生徒もいるのですけれども、中にはその生活によって逆に不登校になってしまったとか悪化したという子供がいることが現状でございます。
〇武田哲委員 国からの通達によって、学校も休みになった。そのときに、何をチャンスと捉えて、そして、子供たちと接するか。そこのところがほとんど見えてこなかったと感じています。
 教育委員会で各学校にどういった指導をしたのか。それによってどういった結果が得られたのか。確かに全国と同じように不登校やいじめ、それはふえているかもしれません。それをどう改善したか、どういった行動をとったかというところが実際聞こえてこなかったのが私は感じているところです。
 学校が休みで、そして、新型コロナウイルス感染症にかからないようにという指導は当たり前だけれども、学校に来ていない子供たち、自宅にいる子供たちをどうやってアプローチして、不登校の子供たちをしっかりと学校に来られるようにするかというところを、私は重点を置いてやっているものだろうなという気持ちでいました。そこのところをしっかり改善を目指してやるべきではなかったのか。それをしっかり数字で捉えて、休業中、そうすると、春休み、夏休み、休み明けにこういったアプローチをしたら子供たちが来るようになったとか、そういった結果も得られたと思うのです。そこのところの活動状況を今後に期待したいと思います。その点について、ちょっと所見をお伺いしたいと思います。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 先ほども申し上げたとおり、いい面もあれば、悪い面もあったということですけれども、多くの先生方は、そういう不登校の子供たちに電話かけをしたりとか、家庭訪問をしたりとかいうことで、子供たちに寄り添う活動に取り組んでいただいたところでございます。
 各教育事務所からちょっと伺ったところによりますと、よかった、寄り添うことができたということで、結構好転したと伺っているところでございますけれども、ただ、委員が御指摘のとおり、調査とか何かということで実際の数まではつかんでいないところですが、寄り添う活動ができたとは伺っているところでございます。
〇武田哲委員 まず、スクールカウンセラー、そういった方々ともしっかりと相談しながら、担任任せにせず、学校の中でチームを組んで、それぞれの子供たちにしっかりと寄り添っていただくことをお願いして、次の質問に移りたいと思います。
 さまざま質問がありましたが、高校再編のことです。各自治体では、やはり地元にある高校をしっかり守りたい。そのために、では、どうやったら入学する子供たちをふやせるかということにしっかりとこれまでも取り組んできたという話を伺いました。これは、会派の各市町村の要望調査の中で、今まで相談して、そして、こうやって改善を目指してやってきたのに、何でこういう結果になったのだろうという話が、自治体の方々からいろいろと声がありました。実業高校、普通高校といろいろあると思います。しかし、その中で自治体も一緒になって少しでも魅力ある高校づくりにということで協力してきたはずだ。しかし、何で今、高校再編なのか。そういった声がたくさんあった中で、自治体との意見交換、高校再編のことですけれども、その点についてお伺いしたいと思います。
〇須川首席指導主事兼高校教育課長 県立高校の魅力化についてでありますが、委員御指摘のとおり、今までも学校と基礎自治体でいろいろな情報共有をしながら進めてきたところであると思いますが、さらに、県教育委員会といたしましては、今年度から、小規模校28校を指定して、高校の魅力化促進事業を実施しているところでございます。
 各学校は地元自治体と連携しながら、地域理解の学習や地域の課題解決を探る学習に取り組むことで、魅力ある学校づくりに取り組んでおります。また、探求活動等の成果を、地域住民や地元小中学生を対象に発表することにより、学校の魅力についての理解の促進を図っているところでございます。
 自治体との連携につきましては、県教育委員会としては、事業の開始に当たり、本年5月に、市町村教育委員会のほか、県ふるさと振興部市町村課を通じ、指定校が所在する市町村の企画担当課宛てに、本事業について周知を行うとともに、推進について協力の依頼を行ったところでございます。
 全ての指定校が地元自治体や商工会等と連携を図りながら、事業を行っているところでございます。
 将来の地域の人材育成に、高校と地域が協働して取り組むことで、県立高校の魅力化が図られるものと考えております。
 今後においては、引き続き、会議や研修会での好事例の実践発表を通じて、自治体と連携した各学校の取り組みの充実を図ってまいるところでございます。
〇武田哲委員 さまざまやってきたことは並びますけれども、小中学校では、子供の居場所にしてもそのとおり、読み聞かせもそのとおり、学校を支える地域の人たちは、この地域に子供たちがいてほしいという思いでやっていると思うのです。それは自治体も一緒で、どうやったら魅力がアップできるか、どうやったらこの高校に通う子供たちが、この地域の中でしっかり地域を支える人材として過ごしていっていただけるかという、そういう思いでやっていると思うのです。
 その中で新たな県立高等学校再編計画後期計画(案)は、やはり多くの委員の方々からも唐突感が否めないという意見がありました。ぜひ、今後も、地域のそういった自治体の方々、1カ所だけではありませんね。一つの高校に関連する自治体はたくさんあると思います。しっかりと意見交換をしていただきながら、高校再編を考えていっていただきたいと思います。
 あと、コロナ禍における高校生の就職活動です。それから、進学に向けた取り組みは、今どうなっていますか。お伺いしたいと思います。
〇須川首席指導主事兼高校教育課長 コロナ禍における進路指導についてでございますが、岩手県教育委員会として、都道府県教育長協議会を通して、部活動の各種大会等が中止されていることにより、高校生の進学や就職において、生徒が不利益を受けることがないよう、国に対して要望しているところでございます。
 高校生の就職活動については、7月1日の求人票公開以降、生徒が企業説明会の参加や企業訪問等を行い、就職希望企業を決める参考としているところでございますが、本年度はウエブによる説明会を実施する企業があることから、インターネット環境の差により生徒に不利益が生じることがないよう、岩手労働局を通じて企業に要請しているところでございます。
 また、文部科学省は、大会の中止や延期等により、令和3年度大学入学者選抜において、生徒が不利益をこうむることがないよう、多面的、総合的に評価するよう通知しており、このことを各県立高校にも周知したところでございます。
〇武田哲委員 就職活動、企業とウエブでやるとかそういった対応を、県内の中小企業はそこまでやっていますでしょうか。県内の中小企業の話を聞くと、我々もしっかりと若い人たちにこの岩手県に残って生活していってもらいたいと。我々はそのために、この岩手県の中で企業活動をしている。その結果、企業活動をしているけれども、その企業活動を支えてくれるのは地元にいる若い人たちだと。若い人たちをしっかりと育てていくからこそこの岩手県が活力あるものになっていくという、そういう気持ちで中小の企業の人たちも頑張っています。
 その点をどのように評価しながら、就職活動を支えているのか。高校の先生方は企業回りとかはどの程度したのかなという気持ちも、少しあります。子供たちの不安にしっかりと応えるように、寄り添うように、就職活動を少しでも前に進むようにやってもらいたいと思いますけれども、その点をお伺いします。
 あと、進学ですね。この後、親御さんの仕事の状況も、子供たちはすごく心配しているようです。進学できるのだろうかとか、いろいろな悩みを今の高校3年生は抱えていると思います。そういった問題にもしっかりと対応してもらいたいと思いますけれども、その点をお伺いして、最後にいたします。
〇木村首席指導主事兼学校調整課総括課長 高校生の就職についてお話しいたします。
 高校生の就職に関しましては、今年度はコロナ禍を受けまして、1カ月後ろにずれるということで、統一選考日が10月16日、先週の金曜日にようやく始まったという状況です。
 高校を通じて状況を確認したところ、いわゆるウエブによる面接は県内の企業ではまずやっていない。県内の企業は、基本的にじかに生徒に応対して確認して、人物をしっかり見きわめて、雇用を決定するという姿勢と聞いております。一部首都圏の企業はウエブによる面接、ただ、数はそんなに多くはないという状況を聞いております。
 高校生の状況ですが、やはり1カ月おくれたということで、特に業種が、求人票の少ない事務職とか宿泊業、そういった業種を希望する生徒に少し不安が見られるというところで、卒業までに内定を得られるかどうか不安に思っている生徒、保護者もいるということで、学校は例年にも増して丁寧に面談等を繰り返しながら進路指導を行うことにしているところです。
〇須川首席指導主事兼高校教育課長 進学の点についてお答えいたします。
 進学につきましても、家庭状況がこのコロナ禍において激変している家庭もあるものと承知しております。各学校では、そういう家庭もあることから、今まで以上に三者面談等々の面談の機会を多くしたりとか、あとは、奨学金の情報等も今まで以上に生徒に寄り添って丁寧に情報提供をして、生徒の進路希望が達成できるように応援しているところでございます。
〇岩崎友一委員 今、武田委員から高校の魅力化と高校再編の質問がありました。それに関連してちょっとお尋ねしますけれども、先ほどの答弁でちょっと違和感があるのが、それぞれの高校の魅力の向上ですね。これは、何のためにやっていると答弁されましたか。もう一度お願いします。
〇須川首席指導主事兼高校教育課長 高校の魅力化促進事業の目的についてでございますが、小規模校―今年度指定したのは3クラス以下の小規模校でございますが、小規模校において、地域と連携し、総合的な探求の時間等を活用した地域理解の学習活動の充実等を通して、魅力ある学校づくりに取り組むことで、生徒の未来を切り開く資質、能力や自己有用感を育み、岩手県の産業や地域を支える人材を育成するとともに、小中学生の地元高校への理解と進学意識の醸成を図るものという形で、目的としております。
〇岩崎友一委員 小規模校ですけれども、大槌高校には、大槌高校魅力化構想会議というのがありまして、今答弁いただいたのももちろんですが、今やろうとしているのは、他地域から生徒を呼び込もうという取り組みをやっているわけでありまして、魅力を向上させるという理由は、今、答弁いただいたのとプラスアルファで、他地域から生徒を呼び込むという取り組みをセットで県教育委員会としてもやっていかなければならないと思っています。
 私は、先々月ですか、後期計画の策定に向けた地域検討会議を回って、ずっと思っているのですが、子供たちの将来を決める場である後期計画の策定に向けた地域検討会議―私が出席している会議は、年に何十個もありますが、この会議が一番暗いわけです。本来であれば、子供たちのこれからを切り開くための学校をどうするかという協議をしているのに物すごい暗くて、悲しくて、すごい寂しくなるような会議になっています。なぜかといいますと、それは、県教育委員会の進め方に問題があると思っています。
 今は子供の数がわかります。そうすると、5年後、10年後、何人くらいその地域の学校に入ります。このままでは生徒が減りますから、学級減です、再編です、統合ですという、常にそういった答えありきの議論が、どうしてもそういった会議を暗くしている、重くしている理由だなと思っています。
 その過程、プロセスの中に一つ、将来的には生徒は地元だけに入ればこうなりますというデータを持っていますから、会議でいつも示しているとおりでありますけれども、学級減とか、再編、統合だけではなくて、こうなってしまうので、例えば、今、葛巻高校であったら、山村留学も大分入学者数がふえてまいりました。今、県でも魅力度を向上させるという取り組みと言っていますけれども、そういった中で、他地域から生徒を呼び込む。去年からは、文部科学省では、地方創生の中で、地域留学という新しい制度もつくり始めたわけであります。
 そういったものも活用しながら、このままでは厳しいので、結論を出す前にそういった呼び込む取り組みをそれぞれの地域事情に合った形で、しっかりと市町村と連携してやっていく。この過程が欠如しているがゆえに、なかなか今後の小規模校の展望が開けていけないのではないかと思うのですが、その辺の見解をお聞かせいただきたいと思います。
〇須川首席指導主事兼高校教育課長 委員御指摘のとおり、葛巻高校等で山村留学生の募集をしておりますが、そのほかにも、岩手県の高等学校入試でも県外生の受け入れを始めておりまして、今年度から5校が県外生を受け入れる形でスタートしておりますし、来年度はさらに2校ふえて、7校が県外生の受け入れについて取り組んでいるところでございます。
 県教育委員会といたしましても、それらの学校がホームページにアップするだけではなかなか情報提供ができないものですから、県教育委員会として一枚にまとめまして、それを全国の都道府県の教育委員会に情報提供しまして、周知を図っているところでございます。
 そのほかにも、葛巻高校の山村留学のほかに、例えば、花巻市の大迫高校でも似たような取り組みを行っておりまして、いずれにいたしましても、学校だけではできないものですので、地元の自治体の方々と協議しながら、県外生ですから住むところなども保障できないとなかなか来てもらえない部分もありますので、その辺も含めて、自治体の皆様と協働しながら行っているところでございます。
〇岩崎友一委員 児童生徒はこれからの岩手県の宝でありますから、しっかりと育てていく。地域の高校に関しても、今、答弁ありましたけれども、何か断片的にやっている印象ですけれども、断片的ではなくて、例えば県教育委員会の基本的な方針として、そういったものを根幹に置いた上で、市町村と協議をしながら、生徒が減るのであれば、こういった取り組みがありますからやりましょうという形で、しっかりと生徒を確保した上で進めていってほしい。もちろん市町村にも努力指標を与えることも大事でしょうし、ただ、根幹にそこを入れないと、また同じような議論がずっと続いていく。
 もう岩手県は子供もかなり少ないですし、現在の出生率を見れば、この先もなかなか一気に生徒がふえることは厳しい。結果が見えているのは、どんどん先細っていって、現行のやり方でそのまま進めていきますと、県北地域や沿岸地域だったり、西和賀町だったり、旧東磐井郡の地域だったり、高校がなくなるのは見えているわけですから、厳しいときこそ攻めるということで、今やっている取り組みをぜひ県教育委員会の基本的な方針としてしっかりと組み込んで、高校再編を考えていただきたいと思います。
 根幹を変えるのはなかなか大変で、誰彼できないと思いますけれども、ぜひ、佐藤教育長、佐藤教育局長、ダブル佐藤でこの部分をしっかりと改善というか、岩手県を本当にいい形で、市町村が県教育委員会と連携して、子供たちにいい教育を提供できるように頑張ってほしいと思うのですが、そういう考え方について最後に答弁をいただいて、終わります。
〇佐藤教育長 後期計画の策定に向けた地域検討会議で、将来を見越した明るい話題へちょっとなり得ていないという御指摘もいただきました。新たな県立高等学校再編計画後期計画(案)につきましては、生徒の希望する進路の実現と、地域や地域産業を担う人材の育成、人づくりということで、大きな方針を掲げております。
 そして、可能な限り、小規模校、1学年1学級校を残すことで、今回は1学級校の存続維持を掲げつつ、前向きなということでは、県南地域には工業の専門学校の最先端の学びができるような統合も、これは将来を見据えた考え方の一つとして掲げさせていただいたところでございます。
 また、市町村との連携については大変重要なことでありまして、今回の第2期岩手県ふるさと振興総合戦略に沿って地域での学びの場をきちんと維持するという方針を掲げております。そこを市町村と連携しながら、高校だけではなく、小中学校との接続も含めて、そして、地元に残って、地元の高校に進学しても、将来の進路実現ができるように、そういった教育環境の充実にも努めていきたいと思っております。
 それから、他地域からの生徒を呼び込むと、これも大変重要な指摘でございます。先ほど、高校教育課長からも答弁したように、県内の高校でも、入学者選抜の中で他県からの受け入れについて徐々に拡大をしております。そういった検討の動きはさらに拡大していくものと思いますので、県立高校の所在市町村と連携を図りながら、そういったところは進めてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 先ほど来議論がたくさん出ております新たな県立高等学校再編計画後期計画(案)についてお伺いいたします。これまでの質疑のとおり、丁寧な対応と具体的な説明が必要と感じている中で、盛岡ブロックにおける部分について特に質疑させていただきます。
 盛岡ブロックにおける大規模校の統合についてですけれども、今回の大規模校の統合は、盛岡市内の高校への生徒の集中を緩和するためという一つの課題がありますけれども、集中はどの程度緩和されると試算されているのか、まずお伺いしたいと思います。
 また、体育、芸術、外国語等、これら特色ある学びを、統合によって魅力と活力を高められるという説明を説明会等でされておりますけれども、具体的には、どのようなものとして県として捉えているのかをお伺いします。
 そしてまた、1学年は4学級から6学級が望ましいとされている中で、最終的には8学級と今回なることについての県の見解をお伺いします。
〇森田高校改革課長 まず、集中緩和についてでございます。盛岡南高校と不来方高校の両校は、ともに盛岡市、滝沢市、矢巾町以外からの入学者の割合が高い状況となっております。また、年度ごとにおける生徒の進路選択の志向、さらに、将来の動向についてはさまざまな要素に左右されるものと考えますが、統合により盛岡市内の高校の定員が5学級減少することになりますので、生徒の集中抑制には一定の効果があるものと考えております。
 次に、統合による魅力と活力の向上についてでございます。盛岡南高校は体育科、また、不来方高校は芸術、外国語、体育の学系があるなど、それぞれ特色ある教育活動を行っているところでございます。統合校においてはそれを引き継ぎながら、大学進学等に向けた文系、理系の学びのほか、芸術、外国語、スポーツに関する多様な学びを確保することとしております。それに加えて、より拡大する学校規模を生かすことで、学習活動等における生徒同士のさまざまな価値観に触れた切磋琢磨できる環境を整えるとともに、教員の充足により一層の指導力の向上を図ることも可能であると考えております。これまでと同様に、スポーツ、芸術活動における全国レベルでの実績を上げながら、生徒の多様な進路希望にも応え、本県の特色ある教育を牽引する学校となることを期待しているところでございます。
 次に、望ましい学校規模との差異でございます。本県においては、学校規模に関して、規則等による明確な基準は定めておりませんが、平成28年度に県教育委員会が策定しました新たな県立高等学校再編計画では、原則として、1学年4学級から6学級程度の学校規模が望ましいとしております。新たな県立高等学校再編計画後期計画(案)では、これにこだわらずに、1学年1学級の小規模校の維持や、1学年7学級規模の学校も確保するなどの柔軟な対応を図っております。
 統合案においては、特色ある多様な学びの確保を図り、本県のさまざまな分野の振興に資する人材を育成するため、今回お示しした学校規模としておりますし、あわせて、統合時における盛岡ブロックの生徒数の見込みに対応し、急激な学級数の減少を回避しようとするものでございます。
〇吉田敬子委員 その魅力と活力も、今の盛岡南高校と不来方高校それぞれのものを統合することによって、さらに何か具体的に、例えば外国語関係がありますけれども、留学できる機会がふえるとか。例えばですよ。何かもう少し統合することによっての魅力を―生徒の盛岡市内への集中緩和のためにこの二つの学校が何か犠牲になっているというように地域だったり、関係者の方々にはちょっと思われてしまうような感じですけれども、県はこの統合によってどういう人材を輩出していきたいのかということについて、さらにもう少し具体的なものを説明の中にも示していく必要があると感じております。
 先ほど来からの魅力ある学校づくり、県立高校づくりというお話がある中で、生徒が減っていくから単に縮小していかなければいけないという状況ももちろん鑑みつつも、ただ一方で、県がどういう子供たちを育てていきたいか、人材育成していきたいかという、そこが一番上にあった上での説明がやっぱりちょっと足りない。私も地域説明会に参加させていただいて、盛岡南高校と不来方高校を一緒にして、でも、魅力ある高校にしますと言われただけでは、関係者の皆さんは具体的に想像できないでしょうし、その過程もそうですけれども、もっと夢のある説明をしていただきたいと思ったのが所感でした。
 平成30年度に中学生の進路希望についてアンケートをされていましたけれども、盛岡南高校と不来方高校のそれぞれの現在の進路状況ですね。中学生の不来方高校と盛岡南高校への進路がアンケートにあったのですが、その高校の先の進路の状況はどうなっているのか。統合後に何か影響があるのか、どう認識しているのかをお伺いしたいと思います。
〇森田高校改革課長 盛岡南高校と不来方高校の在校生の進路の関係でございます。令和2年3月における盛岡南高校卒業生246人ございました。そのうち進学は218人で88.6%となっております。就職は26人で10.6%となっております。同じく、不来方高校の卒業生276人のうち進学は264人で95.7%、それから、就職は11人で4%でございます。両校とも、進学と就職のバランスについては、同じような傾向が見られるところでございます。
 統合校におきましては、特色ある教育活動を推進することにより、一層多様な進路希望が想定されるところでございますので、進路達成に向けた指導体制の充実には努めてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 高校卒業後の進路状況については、どちらもそんなには変わらないということではありましたけれども、地元の方々から、盛岡南高校、不来方高校にこれまで進学してきた中学生は、ちょっとこれは確認ができていないのですが、旧都南村地区、矢巾町、紫波町からの生徒が両校とも大体半数を占めている状況だと伺っています。そうなると、旧紫波郡と言われる地域になるのですが、やはりその地域の中学生の進路選択が極めて狭くなることを地元の皆さんを初め関係者の皆さんは大変心配されておりますけれども、その件に関して県の把握されているところがあればお示しください。
〇森田高校改革課長 先ほど御答弁申し上げたとおり、両校とも、盛岡市、滝沢市、矢巾町以外からの入学者の割合が高い状況もございますし、それから、盛岡ブロック内には多数の高校が選択できる状況もございます。そういったことを総合的に勘案しながらの今回の計画でございますけれども、統合はするもののこれまでの体育とか芸術、外国語の学びは継続して残していくという形にもなりますし、そういった中で中学生が進みたい進路を選択できるような環境を維持できるように、引き続き努力してまいりたいと思っております。
〇吉田敬子委員 新たな県立高等学校再編計画後期計画(案)は令和7年度までの計画ですけれども、これはこのまま計画として進めていくとは思うのですが、盛岡南高校、不来方高校の統合が今回何らかの形でされないというか、一回、中止ではないですけれども……(「撤回」と呼ぶ者あり)撤回、はい、ちょっと検討するとなった場合に、どのような支障があるのかお伺いしたいと思いますし、地域や学校関係者等は、これからはどのようなやりとりが今後進められていくのかをお伺いしたいと思います。
〇森田高校改革課長 盛岡ブロックにおきましては、今後5年間、令和7年度までに約200人、正確に申し上げますと中学校の卒業生が190人減少する見込みとなっております。前期計画まで盛岡ブロックにおいては、学級数の減によりまして高校を統合せずに、学級数の減で子供たちの減少への対応を図ってきたところでございますけれども、仮に、今回統合案を進めないという形とした場合には、引き続き、前期と同様に、各学校の学級減を図る形になってくるかと思います。その場合、既に盛岡北高校などは、1学年5学級といった状況もございまして、これ以上学級数を減少しますと、多様な生徒の進路の希望に応じた教員配置も難しくなってまいりますし、一定の規模を持った学校を維持することによって若手教員の現場での育成も図られる部分もございますので、そういったところに影響が出てくるのではないかと考えているところでございます。
 それから、今後の進め方でございます。これまで、県内各ブロックにおいて後期計画の策定に向けた地域検討会議、高校再編計画(後期計画)に関する意見交換会、要望に応じた説明会などを多数設けてまいりました。また、パブリックコメントも実施しまして、広く御意見を伺ってきたところでございますので、会議等でいただいた意見等も十分に考慮した上で、生徒にとってよりよい教育環境を整備するという視点を重視しながら、年度内の計画策定に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 もう一つ専門学科の部分についてお伺いしたいと思います。
 県の産業振興施策の方向性などを見据えながら充実を図ると計画の中にありますけれども、例えば農林水産分野については、農林水産部とも連携しながら進めていっていただきたいと思っておりますが、県教育委員会として、現状、農林水産分野の学科で抱えている課題についてはどう捉えているのかお示し願いたいと思います。
〇木村首席指導主事兼学校調整課総括課長 農林水産分野の学科で抱えている課題についてでありますが、将来の農林水産業の担い手育成の観点から、農林水産部や地元産業界等との連携を図りながら、専門的な知識、技術の修得とともに、農林水産業の魅力を伝えることが重要であると認識しているところです。
 このため各学校では、地域の実情を踏まえ農林水産部や地元産業界等と連携し、先端技術や農林水産業の理解を深める実践的、体験的な学習活動に積極的に取り組んでいるところです。今後も、農林水産部や地元産業界、関係機関、団体等との連携、交流を一層促進し、各専門学科に関する教育の充実を図りながら、将来の農林水産業を担う人材育成に努めてまいります。
〇吉田敬子委員 農林水産委員会でいろいろな質疑がある際に、例えばですけれども、これは林業分野になりますが、今の県内で林業関係を選択できる科はないのですけれども、科目等で受けられるものはあるのですが、その中で、農林水産委員会では例えば、現在、木材を扱う人が不足していたりとかという話がいろいろ出ておりますし、例えば委員会調査で宮古市に行った際は、やはり水産関係の高校がなくなるのは大変危惧しているというお話もあります。農林水産委員会の中では、県教育委員会ともう少し連携をとっていただかないと、農林水産部で抱えている課題が伝わっていないのではないかと感じておりましたので、タイムリーに、どういったことが、今、農林水産分野で課題になっているのかというところを、ぜひ農林水産部と連携してしっかり対応していっていただきたいと思いますけれども、御所見を伺います。
〇木村首席指導主事兼学校調整課総括課長 現在、高校で実施されている新学習指導要領の大きな視点は、社会に開かれた教育課程となっております。農林水産の学びをする専門学科は、第1次産業ですけれども、それこそ全国一律の教科書に基づく教育ももちろん必要ですけれども、その地域の第1次産業の状況に応じた、そういった学びも当然非常に重要なところですので、今、委員に御指摘いただきましたように、農林水産部との連携をしっかりとって、充実した産業教育に努めてまいりたいと思います。
〇佐々木努委員 質問項目は一つでしたが、二つ質問をさせていただきます。
 最初に、部活動について質問いたします。今、中学校現場では、活動時間、休養日はどのようになっているか、県が策定しました岩手県における部活動の在り方に関する方針が守られているのか、そうでないのか、県の認識を伺います。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 中学校の部活動における活動時間、休養日についてでございますが、昨年度、岩手県における部活動の在り方に関する方針を改定いたしまして通知したところでございます。各校では、学校の方針に基づく適切な部活動が徹底されるよう取り組んでいるところでございます。
 また、昨年度、県内の中学校の部活動の現状を把握するために、生徒、教員、保護者を対象といたしまして調査を実施したところでございます。活動時間につきましては、平日の場合、県の方針では、長くとも1日に2時間程度と示しておりますが、ほとんどの学校で基準を守った活動時間となっておりますが、調査結果では、3時間以上活動しているという回答が生徒の6%、教員の1%、保護者の4%からございました。
 休養日につきましては、週末の場合ですが、県の方針では、中学校の休養日は1日以上と示しておりますが、これもほとんどの学校が基準を守っておりますけれども、調査結果の中では、土日どちらも休養日はないという回答が生徒の14%、教員の4%、保護者の12%からございました。
 以上の調査結果等から、一部に、県の方針で示した基準を超える活動時間等の実態があることを把握しております。こういった状況を踏まえまして、県内の全ての学校で適切な部活動が進められるように、方針の周知と共通理解の徹底を図っているところでございます。
〇佐々木努委員 私もその資料をいただいて見させていただきました。2時間程度と方針では定めていますが、2時間以上練習をしているという割合を見ますと36%になるわけですね。それから、週末、休日は44%になるわけです。かなりの中学校では、やはり基準を超えていまだに練習をしている。
 これはよく考えると、中学校の部活動の時間とスポーツ少年団の活動合わせて2時間程度と方針を出していますから、その2時間を超える分はスポーツ少年団活動ではないかと思われるのですが、いずれ県としては、スポーツ少年団活動も含めて2時間以内でと定めていますから、次回調査するときは、そういうところもスポーツ少年団活動と実際の部活動を別に調査をしていただけると、より問題点が見えてくるのではないかと思いますので、よろしくお願いします。
 県も問題視していますが、一部の学校では徹底されていない、クラブでは徹底されていないのは、ルール上問題だと思いますので、これはしっかりと県として指導していただきたいと思います。
 それから、昨年の8月に、部活動は任意加入であることを改めて県が方針を出して、市町村にも部活動の方針を改定するようにという通知を出されたと思います。市町村の改定について、どの程度進んでいるのか教えていただければと思います。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 市町村における方針の改定状況についてでありますが、令和2年9月23日現在、22市町村で改定済み、9市町村で令和2年度中に改定予定、2市町村で改定に向けて検討中となっております。
 今後も、市町村教育委員会に対し、会議等においてさまざまな取り組み事例の情報提供等を行うなど、丁寧な説明を繰り返しまして、改定を要請してまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 改定がおくれているのは非常に残念でありまして、その結果、今どういうことになっているかというと、これもいただいた資料です。令和元年度において、中学校の全157校のうち、任意加入としていずれの部にも所属していないことを認めているという学校は157校中4校。1年たった令和2年度、つまり、県が方針を出したことを受けてどうなったかというと、これは多分統合か何かあったのですかね、分母がちょっと変わっていますけれども、150校中28校。かなりふえてはいますけれども、全く徹底されていない。これはまさに市町村で方針の策定がおくれているからということと、市町村の教育委員会あるいは学校の認識がかなりばらばらであることが要因だと思っています。
 私は何度も言っていますが、基本的に部活動はやったほうがいいと思うわけですけれども、先ほど御説明いただいた昨年度に行った中学生スポーツ・文化活動に係る研究に向けた調査結果によると、全生徒の64%が、部活動はやりたい生徒がやるべきであると回答している。先生方あるいは親も、約半数は、やりたい人が部活動はやるべきだと思っているということを考えれば、国の指導要領あるいは県の方針に沿って、あくまでも部活動は任意である、子供たちの自主性を重んじた活動であることを守るべきだと思うわけであります。来年は100%まではいかないかもしれませんけれども、ほとんどの学校がそういう認識を持って、入学段階から、やりたい人が、なるべくと言ってもいいかもしれませんけれども、なるべくやってほしいけれども、それは生徒一人一人が判断することだということをしっかりと徹底させていただきたいと思います。
 それから、これは高校も一緒だと思うのですけれども、県立高校は県立ですから、県教育委員会の指導によって徹底されているはずですが、聞くところによると、任意加入ではなく、ほぼ強制的に加入させられている学校もあると聞いていますが、その御認識はありますか。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 県立学校におきましては、本年度調査をいたしまして、全ての学校で県の方針どおり任意加入とするという中身で活動しております。
〇佐々木努委員 わかりました。
 これは実際に保護者の方から聞いたことでありますけれども、いずれ徹底されていないところがあるらしいです。ですので、これは高校のホームページ等にもしっかりと高校の部活動は任意加入ですよということをうたう、あるいは、中学校での説明会のときもしっかりとその辺は説明することを徹底させていただきたいと思います。
 県としても、これはそれぞれの市町村の活動に多分任せるしかないのだと思うわけであります。県が必ずこういうことを絶対にしてくださいとしゃべっても、最終的には市町村の取り組みにかかっていると思うのですが、それを徹底させるために、これから県教育委員会としてどういう取り組みをしていくのか、その辺の考え方について伺います。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 今後の取り組みについてでございます。委員が御指摘の方針についての周知、認知度がまだまだ進んでおりませんので、そのあたりは、まず、しっかりと浸透させていくところから進めて、努めてまいりたいと考えております。
 全ての市町村で県の方針を踏まえた活動が行われることが大事かと思いますので、それに向けて頑張ってまいりたいと思います。
 また、生徒数の減少による学校単位での部活動運営が困難になっているといった状況を踏まえまして、中学生の健全な成長の促進の観点から、現在、中学生スポーツ・文化活動に係る研究を進めております。その中で生徒本位の有意義なスポーツ、文化活動のあり方について方向性を検討しています。今後、その研究会での検討内容を踏まえた提言をまとめることとしておりますので、その周知に努めまして、持続可能な部活動体制を構築するなど、生徒の自主的、自発的な活動を保障する取り組みを進めていきます。
〇佐々木努委員 また、次回も取り上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 通告していませんが、2点目は高校再編について、先ほど来、県立高校再編の議論が交わされているところであります。県立高校再編をしなくてはならない最大の要因は、やはり少子化、子供の数が少ないからと、それに尽きるのだと思いますし、私は、この統合も含めて高校再編については、これは避けては通れないことだと認識しています。
 ただ、その中で、教育委員会として一番に考えてほしいのは、誰のための統合再編なのかということ。これは私が言わなくても、ここにいらっしゃる全ての方がそう思っているのだと思いますが、とにかく子供たちを第一として、今の子供たちではなく、これから入学してくる子供たちをまず第一に考えてほしい。OBとか卒業生の声を聞くのももちろん大事かもしれませんけれども、一番大事なのは、これからの子供たちだと思います。どういう教育が受けられるのか、どういう活動ができるのかということ、これが一番ですので、学校が地域になくなるからとか、伝統がある学校だからなくなるのは忍びないとか、そういう意見もたくさんあるとは思うのですけれども、それを乗り越えて、私はよりよき再編を進めてほしいと思います。
 もう一つ、多くの地域に唯一残っている学校がなくなると、地域がますます疲弊してしまうということで、高校の廃校とか再編に反対をされている市町村があります。私は、それはそれで非常に大事だと思います。合併後の旧市町村単位で高校が残っているところがいっぱいあります。私の地元もそうですし、小規模ながら残っているところがあります。そこについては、私は、単に子供が少ないから、入学者が少ないから廃校にするという、そういう議論にだけはしてほしくない。そういうところの学校はより地域振興という面でも優先して残すような取り組み、あるいは、そのために魅力化をどう進めていくかという議論も先ほど来ありましたが、そういうことにより気を配って教育委員会では進めてほしいと思うわけでありますが、最後に教育長に、ほかの委員も聞きましたけれども、同じことでも構いませんから、将来の高校に通う子供たちのことをどのように考えて、再編を進められていくのかということをお聞きします。
〇佐藤教育長 県立高校をどのような形で維持していくかというところでございます。新たな県立高等学校再編計画後期計画(案)の根底にあるのは、地域からその高校をなくしてしまうとやはり地域の衰退につながる。そうあってはならないという思いが根幹にあります。私はそう考えております。
 第2期岩手県ふるさと振興総合戦略にも、地方創生という観点が盛り込まれまして、地域を守っていくのは将来の子供たちだという観点がありまして、そして、可能な限り地域に県立高校をどうやって残していくかという思いで、いろいろと検討をしてきた経緯がございます。
 その一つのあらわれが、1学級校を可能な限り残すということと、それから、小規模校であっても、地域の連携、魅力化促進とかいろいろな事業を取り込みながら、地域と一体的にいろいろな地域のことを考えていくことも今回導入してきております。
 そのためには、将来の子供たちのためにどういう教育環境を残していくか。仮に、かつての再編計画の基準であった4学級から6学級という形をどんどん推し進めていくと、全て中規模校のところにみんな集めてしまって、3学級以下の高校は存続しないという形にもなりかねない。地域にどうやってこの学校を残すかという観点に立ったときに、統合でなくすのは、再編計画にのせればすぐにできるかもしれませんが、どうやって残していくか。今、ICT機器の導入等が世の中進んできておりますから、遠隔教育等も活用できるとか、いろいろ環境に合わせたあり方も模索しながら、できる限り地域に学校を残したい。そしてまた、それとあわせて、未来を担うこの子供たちに最先端の教育環境も残していかなければならない、そういう思いを抱いております。そういった考え方で新たな県立高等学校再編計画後期計画(案)をお示ししたところでございます。
 確かに、統合を予定している地域にあっては、それぞれ何とか存続してほしいという思いは十分御意見等をいただいております。後期計画の策定に向けた地域検討会議あるいは県民からの御意見、パブリックコメント、同窓会やPTA、それぞれの思いはそれぞれ受けとめておりますが、根底にあるのは、そういった考えを大事にしながら、そして、地域とのかかわりをしっかり持って、そして、県立学校を将来に向けて、どのような形で存続させていくか、常に思いは抱きながら検討しているところでございます。
〇千葉絢子副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時23分 休 憩
午後2時37分 再開
〇千葉絢子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇佐藤ケイ子委員 私からは、教職員の働き方改革の取り組みについて伺います。
 岩手県教職員働き方改革プランが進められて、昨年度は中間年に当たりました。2020年度、ことしまでの3カ年計画で進められています。教職員の負担軽減、健康確保などということで、長時間勤務の改善と健康リスクの軽減が急務だとして取り組まれているところでございますが、その中で、年度末からコロナ禍ということで、学校でも大変な混乱がございました。
 そして、さまざまな消毒作業が加算される中で、スクールサポートスタッフという方々をお願いすることになったわけですけれども、新聞報道によりますと、10月1日現在で533公立学校のうち430校で配置された。それから、小中学校の中では、教育事務所管内で、配置済みの割合が多いところ、少ないところと差が出ている。教育事務所ごとの配置済みの割合はどうなっていますか。なぜ、地域差が出るようになったのでしょうか、伺います。
〇山村参事兼教職員課総括課長 小中学校のスクールサポートスタッフでございます。教育事務所が市町村教育委員会や学校と連携して配置を進めております。教育事務所管内ごとの配置状況であります。盛岡教育事務所管内は133校に配置する予定でありまして、うち116校に配置、中部教育事務所管内は74校中65校、県南教育事務所管内は90校中55校、沿岸南部教育事務所管内は47校中44校、宮古教育事務所管内は43校全てに配置しております。県北教育事務所管内は65校中30校に配置しております。
 このように地域ごとに状況が違っております。ある地域では、雇用条件のよい求人が多い地域であるという状況によるものと推察されますが、このスクールサポートスタッフの求人に対して、ハローワークからの紹介者が少ないという状況もございます。また、別の地域では、もともと求職者の数が少なく、以前から、このような臨時的な職員への応募が少ない地域、こういう事情があり、地域ごとに配置の状況が異なっているものです。
〇佐藤ケイ子委員 スクールサポートスタッフ、現場では大変歓迎されているようですけれども、不安定で来年はどうなるかわからないというところから、なかなかここに仕事に行こうという気にならないということも聞いています。
 新型コロナウイルス感染症関係だけでなく、さまざま細かな仕事が学校にはあるわけで、短期的な雇用ではなく、長期的にこういった雇用も検討していただけないかと思っております。
 次の項目は、教員の客観的な勤務時間の把握のためにタイムカードを導入するという方針が立てられておりましたけれども、それはどうなったのでしょうか。あと、タイムカードを打った後の実質的な仕事もあるわけですけれども、それは言うに言えないかもしれませんけれども、タイムカードの導入状況はどうでしょうか。
〇山村参事兼教職員課総括課長 県立学校においては、平成30年8月に全ての学校でタイムカードを導入しております。また、市町村立学校についてはことしの6月に調査をしました。それによりますと、33市町村のうち21市町村において、全ての学校でタイムカードや出退勤管理システムなどを整備している。残り12市町村のうち10市町村は、今年度中に全ての学校に整備する予定となっているとのことでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。そのように改善に向かっているということでございますが、それで、教員の時間外勤務の状況はどうなっているでしょうか。岩手県教職員働き方改革プランの目標では、時間外勤務について2019年度、2020年度に月80時間以上は30%減らす。月100時間以上はゼロにするという目標なわけですけれども、報道によると、時間外勤務について県立学校で月45時間以上が27.9%、過労死ラインの月80時間以上が8.8%になっているようですが、どうでしょうか。
〇山村参事兼教職員課総括課長 御紹介のありましたとおり、県立学校で昨年度時間外勤務が月45時間以上の教員の割合は27.9%、月80時間以上は8.8%、さらに、月100時間以上の教員は全体の4.1%となっております。
〇佐藤ケイ子委員 時間外勤務が月100時間以上の割合はやっぱりあるのですね。これの是正とか、専門医によるメンタルヘルスとか、さまざまな対応も出てくるのかもしれませんけれども、よろしくお願いします。
 それで、教職員の病休がいろいろあるわけですけれども、特に岩手県教職員働き方改革プランでは、専門医によるメンタルヘルス、相談窓口の設置がうたわれているのですが、なかなかそうなっていないという現状もあるようです。新規採用職員が精神疾患になって、公務災害の認定となった案件がございました。本当に多くの方々が精神疾患にかかっているという状況でありましたけれども、教職員の病休の状況はどうでしょうか。
〇山村参事兼教職員課総括課長 令和元年度に引き続き14日以上の病気休暇を取得した学校の教職員の人数は317名であります。このうち精神疾患によるものは143名となっております。
〇佐藤ケイ子委員 精神疾患の方々にどのような対応をしておられますか。
〇山村参事兼教職員課総括課長 今お話をしたのは14日以上の病気休暇をとっている者の数でございます。精神疾患の予防や早期発見、早期の対応のために教職員を対象とする研修会、あわせて管理監督者を対象とする研修会もやっております。
 また、教職員課に保健師がおりまして、これが各学校を巡回する形で相談に応じております。年間延べ1、000件以上の相談に応じるなど、対応を行っております。また、長い休みに入った後は、職場に復帰するのもなかなかハードルが高いこともございまして、職場復帰のためのプログラムも組みまして、丁寧に対応しているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 対応をしていただいているわけですけれども、産業医の設置とかがされていないのではないかという声も聞いています。
 次の質問ですけれども、精神疾患によって公務災害認定が行われております。ある方は初任者で、入ってすぐ精神的な疾患にかかって、学校をやめざるを得なかったということですけれども、それに対して、これは公務災害ではないのかということで、仲間の皆さんが支援をして、公務災害認定をとったという案件がありました。
 この専門医の医学的知見という中で、新規採用職員だったという、経験がない中での過重な要因がこの学校にあったと。発達障害の子供たちがたくさんいらっしゃる。30名のクラスの中で3分の1が支援を要する児童だった。そんな中に新規採用職員がどうやって対応するのか非常に悩ましかった。それから、時間外勤務が本当に多かった。それに公開授業が本当に大変だったということで、一層の過重が迫られたことなどもあるようです。
 真面目な方、頑張れるという人が鬱になったりするようでありまして、弱いからそういう病気になるのだという意識が昔の方々はあったわけですけれども、そういうことではなくて、本当に真面目に取り組んでいらっしゃる方こそ大変で、孤立させないようにしなければならないわけです。そういう精神疾患によって公務災害を認定されるまでに至った案件に対する認識、それから、教訓はどうでしょうか。
〇金野首席経営指導主事兼小中学校人事課長 新規採用の当該教諭につきましては、業務上でのさまざまな負担が重なり、精神的に不安定となり、病気休暇を取得したことなどを把握しておりました。その後に、当該教諭が辞職し、公務災害の認定請求が行われ、先ごろ、公務上の災害と認定されたものと認識しております。
 当該教諭の対象疾病につきましては、業務が原因であると認定されたことは重く受けとめております。新規採用教諭は業務を遂行するに当たり、特段のケアが必要な対象であり、職場内で丁寧な対応が求められますので、機会を捉え、適切な指導を行っていかなければならないものと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 こういった案件が再発しないように、させないようにしなければならないわけですけれども、実際は、このような事例が公務災害とまではいかなくても、長時間勤務が本当に蔓延化していたり、授業の難易度が高いといいますか、支援を要する子供もたくさんいる中で、クラスの中に多人数を入れて授業をせざるを得ないとか、行事が次々あって、公開授業とかそういったことがたくさんあって、本当に厳しい状況ではないかというのが現場の皆さんからは出ております。
 それで、コロナ禍ということで、多くの学校で行事の見直しが進められましたね。行事を中止したり、本当にこれは必要な行事なのかと、本当に必要なものを考えるようになった。業務縮小を検討するようになったというのが、このコロナ禍での影響であったようであります。
 その中に各種調査、テストのあり方の見直し、県学習定着度状況調査とか、県中学校新入学生学習状況調査とか、体力・運動能力調査とか、そういったものは廃止するべきではないか。それから、初任者研修のあり方、学校公開とか、研究指定校のあり方、そういったものを見直しすることが必要ではないかというのが、現場の皆さんから出されているのですけれども、教職員の働き方改革に関して、どのように取り組んでいくおつもりか所見をお伺いしたいと思います。
〇山村参事兼教職員課総括課長 働き方改革、教員の負担軽減と健康管理、二つの柱で取り組んでおります。今回のコロナ禍の中で、委員からお話しいただいたように、学校ではいろいろな行事等の見直しが行われておりまして、学校の声としては、その分、先生たちが児童生徒に向き合うことができるようになっているなどの声も聞かれております。
 今回のコロナ禍の状況での見直しなどを、コロナ禍が落ちついたとしても、前のようにそのまま戻すのではなくて、児童生徒にとって大切なこと、あわせて働き方改革という点からも、きちんと検討をした上で、教員の負担軽減にもつながるような形で見直すことが必要だと考えております。
〇柳村一委員 今の教職員の働き方改革について、関連させていただきます。
 働き方改革については一般質問で私も取り上げたのですけれども、その一般質問の新聞記事が出まして、時間外在校時間が44.9時間から31.4時間となり、13.5時間減ったという記事を見た方からメールが届きまして、教育長が示したデータはあくまでも表向きのデータで、多くの教員が過少に報告をしています。平日はタイムカードによる管理が大分浸透してきましたが、実際は登庁した時刻より遅く打刻し、退庁の打刻をした後にも残って仕事をすることが多々あります。また、早く登庁しても打刻は勤務時間開始後にするよう指示されている学校もあるといううわさですということです。また、休日は自己申告制となっており、多くの教員が部活動等で出勤していますが、部活動の手当は3時間半以上で2、700円となっておりますので、最低限の3時間半しか申告しない教員がほとんどです。
 特に今年度に入りまして、県教育委員会による管理職への指導が厳しくなってきたようで、とにかく勤務時間外労働が100時間以上の者を出すなといった指示があったらしいということで、その結果、業務削減があるわけでもなく、ただ時間短縮ばかりが求められていますというメールが届きました。
 先ほど佐藤ケイ子委員が言っていましたけれども、岩手県教職員働き方改革プランを3年間で取り組んできているわけですけれども、この目玉になっているタイムカード等の導入による客観的な勤務時間把握、これが導入時点で形骸化しているような気がしていますが、このような現状を認識されているのかどうかお伺いします。
〇山村参事兼教職員課総括課長 勤務時間の把握は、働き方改革を進める上で前提となる非常に大切なことであります。教員の場合はタイムカードによって把握しております。今、御紹介のあったような打刻時間の取り扱いなど、そのようなことがあり、形骸化している面があるというお話でありましたが、タイムカードの導入それ自体は、正確に把握しようとする目的でございまして、そのような取り扱いがされているとすれば、働き方改革の取り組みとは相入れないものでございます。
 時間外勤務を月100時間以上しないようにと、これは通知もきちんと出しておりますし、いろいろな考え方はありますけれども、過労死ラインが月80時間とか月100時間とか言われている中で、せめて月100時間以上の時間外勤務はなくしていこうと、こういう目標で取り組んでいるものでありまして、教員の健康管理の上からも必要ですし、働き方改革を進める上でも、このような月100時間を超えるような長時間の勤務はなくしていかなければならないと、そのように考えております。
〇柳村一委員 なくするために、業務の削減の指示がなく、ただ時間だけを短縮しろ短縮しろということで現場の教員たちは言われている部分もあるようです。
 また、岩手県教職員働き方改革プランのときに、推進体制として、各県立学校においては、本プランの策定を踏まえ、それぞれの取り組み目標や具体的取り組みを含むアクションプランを策定し、主体的に取り組みを推進という部分もあります。ということは、ここの中でどういう業務量を減らせば残業時間が減るのだよといった部分まで教職員の方々にきちんと示さなければ、教職員の残業時間は減らないと思います。各学校のアクションプランを県教育委員会がしっかりとチェックして、これだと減ります、これだと減らないのではないかという部分もしっかりとチェックするべきだと思います。
 また、この岩手県教職員働き方改革プランは2020年度で終わりますけれども、もう少ししっかりと内容を煮詰めたような、さらなる改革プランを作成して、現場の教職員の負担軽減に努めていただきたいと思いますけれども、そこら辺を伺って、終わります。
〇山村参事兼教職員課総括課長 御紹介いただいたとおり、県立学校ではそれぞれのアクションプランをつくって取り組みをしております。県教育委員会とすれば、あのプランをつくりまして、全体の取り組みをしている。学校現場の取り組み、事務局での取り組み、これをあわせて取り組む必要があると考えております。
 平成30年度から取り組み、3年目でございます。これまでの取り組みの内容をしっかり確認して、学校からも、お話あったようなことも含めて、声もきちんと把握した上で、今後の取り組みについて検討をしていきたいと考えております。
〇柳村一委員 今、学校からとお話しされましたけれども、学校の教職員からどういう部分が負担になっているのだよということをしっかりと聞かないと、学校の管理者は学校としての体面を繕いたいわけですので、その働いている人たちの意見をしっかりと聞いた上で、プランを作成していただきたいと思います。
〇高橋こうすけ委員 私からは、学校でのICT環境整備の現状についてお伺いさせていただければと思います。
 現在、学校でのICT環境の整備状況が、全国平均は児童生徒5.4人にパソコン1台であり、国のGIGAスクール構想の整備計画では、児童生徒3人に1台を目指すとされています。
 岩手県でも、国の整備状況を踏まえ、そして、このコロナ禍の状況を踏まえて、ICT環境の整備をさらに加速すべきと考えていますが、現在のパソコンの台数はどの程度整備されているかお伺いいたします。
〇渡辺教育企画推進監 学校におけるICT環境の整備の状況でございますが、ただいま委員から、全国平均児童生徒5.4人にパソコン1台という御紹介がございましたが、実は、今年度の速報値ではございますが、文部科学省の調査結果が出ておりまして、令和2年3月1日現在の全学校種平均の教育用コンピューター1台当たりの児童生徒数は、全国平均が4.9人に対して本県はそれを上回る4.6人となっているところでございます。県立学校における教育用コンピューターの整備状況につきましては、まず県立一関第一高校附属中学校と特別支援学校の小学部と中学部については、今年度は国のGIGAスクール構想による国庫補助制度を活用いたしまして、1人1台端末の整備に向けて、現在、購入手続等を進めているところでございまして、これが完了すれば、附属中と特別支援学校の義務の部分については、1人に1台は行き渡る状況になる見込みでございます。
 また、県立高等学校につきましては、休業時の生徒への貸し出し用となりますタブレット端末の整備に向けて、現在、購入手続を進めているところでございまして、この整備が完了すれば、県立高等学校におけるコンピューター1台当たりの生徒数は、国の目標を上回る3人を切る見込みとなっております。引き続き、学校現場におけるICT環境の整備に努めてまいります。
〇高橋こうすけ委員 済みません、私、平成31年のデータをもとに質問をさせていただいていましたので、新しいのを教えていただきまして、ありがとうございます。
 全国平均で比べると、パソコンの台数に関して平均よりも高い数字ではあるのですけれども、全部新しくしたのかどうか、もしわかれば教えていただければと思います。
 というのは、無線LANの整備の状況がどれぐらい進んでいるか。もともとはそんなにまだ進んでいなかったという状況の中で、もともとあったパソコンは、結局、その無線LANに対応していないものが多かったと思うのです。ですから、要は、無線LANを使うことができない古いコンピューターを使っているということは、多くのソフトウエアがいっぱい入っていて、それを処理するための大容量のハードディスクやメモリーを使うことがあり、さらに、過大なスペックとなって、メンテナンスも非常に大変なものが多いので、コストだけがかかってしまって、余り使われていないとアンケート調査結果に載っていたので、非常にもったいないことだと思っております。
 それもあわせて、どれぐらい無線LANの整備をしていけば、プラス持ち運びのできるノートパソコン、タブレット端末がどんどん入ってくると、結局、そっちのほうにすれば高速で大容量、機密性が高い、安価な通信ネットワークで、端末自体もシンプルで壊れにくい。そして、メンテナンスも楽で、価格も安価なものになると思います。
 プラスアルファで、また違ってくるのがクラウド・コンピューティングを活用していけば、ソフトウエア自体も膨大にかかるものがデータ保存も集中管理もできて、管理も非常に楽になってくるわけでして、さらに災害にも強くなります。今回のさまざまな災害にも対応できるような状況に今後なっていければと思っておりまして、現在ある古いパソコンとかコンピューターが使いにくいことがわかっている中で、需要が少ないのはもちろんそのとおりでありまして、それに当たって今現在、無線LANの整備、Wi-Fiの環境の整備は……
〇千葉絢子副委員長 簡潔に願います。
〇高橋こうすけ委員(続) 失礼しました。
 早急に進めるべきと思っているのですが、現在の進捗状況をお知らせください。
〇渡辺教育企画推進監 今回、整備を進めている1人1台端末については、タブレット型の端末を考えておりますので、そちらについては、Wi-Fi環境のもとで使える。ただし、これまで整備してきたパソコン室や特別教室に入っているパソコンにつきましては、デスクトップ型も結構ございまして、そちらについては、一度にはちょっと難しいので、それを順次更新していくという予定にしております。
 Wi-Fi環境については、今9月定例会におきまして、契約議案―いわて教育情報ネットワーク改修の請負契約の締結に関し議決を求めることについてを可決いただいております。その後、今月から整備を進め、今年度中に全ての県立学校への整備が完了するように取り組んでいくこととしております。
 実際には、これから5カ月程度のスケジュールとなりますが、学校及び請負業者等の調整をしながら、円滑に整備できるよう進めていきたいと考えております。
〇高橋こうすけ委員 この整備を進めることに関して、新型コロナウイルス感染症対策にもかかわる、災害対策強化にもつながることだと思いますので、しっかり進めていただきますようお願いいたします。
 次の質問に行きます。それに当たって、GIGAスクール構想により1人1台のパソコンが整備されることを踏まえて、今、県で行っている学習定着度状況調査等を、今後、コンピューターによる調査に切りかえていったらいいのではないかと考えているのですが、今後の展望などございましたら、教えていただければと思います。
〇菊池首席指導主事兼学力向上課長 学力調査のCBT(ComputerBasedTesting)化についてでありますが、現在、国において、全国学力・学習状況調査のCBT化に向けた取り組みが進められております。自動採点が可能になれば、教員の負担が軽減されること、調査終了後すぐに調査結果や集計結果が提供できることなど、メリットがあると認識しているところでございます。
 県教育委員会といたしましては、全国学力・学習状況調査のCBT化等を含むオンライン学習システムの全国展開、令和3年度概算要求で、国が示している事業の動向を注視していきたいと考えております。
〇高橋こうすけ委員 さまざまメリットがあると思います。答弁がありましたように、いつでも何度でも測定できたり、問題によっては即時に結果がわかることもあると思います。それから、印刷、配送、回収といった経費がかからないこと、割安になることにもつながりますし、実際に、ほかの自治体の事例もちょっと調べましたら、茨城県のつくば市とかほかの自治体でも何校かやっているところがあるということでしたので、そういったところと横の連携をしながら比較していくことにもつながっていくと思いますし、さらに、よりよい学校運営につながっていくと思いますので、ぜひ前向きな検討をしていただければと思います。
〇佐々木朋和委員 私からも3点御質問させていただきますけれども、部活動については、先ほど佐々木努委員から御質問がございまして、答えが明確になったわけですけれども、確認だけさせていただきたいと思います。
 先ほどの話ですと、県立学校については、もう任意加入になっているという答弁でございましたけれども、ということは、昨年度中に各学校が部活動に係る活動方針について改定を行って、この4月から新入生の部活動加入については任意になったという認識でよろしいのでしょうか。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 県立学校における部活動に係る方針の改定状況についてでございますが、実際のところ、改定作業が今年度にずれ込んだ学校も幾つかございます。今年度の春時点で全ての学校で入部等に関する任意加入ということがそろった形では進められておりません。ただ、全ての学校では、年度途中でも改定作業は進めておるということでございます。
〇佐々木朋和委員 佐々木努委員の答えのときとちょっと違うのではないかと思うわけですけれども、じゃ4月時点では、新入生が入部するときには、全員加入だった高校も相当数あったということではないですか。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 先ほどお答え申し上げたのは、今年度になって改定作業もございますので、現時点では、全ての学校で改定作業を済ませ、必要な生徒会の規約とか部活動の規定とか手続がございますので、そういった改定作業を進めながら、実質的には、自発的な参加による活動ということで進んでおります。
〇佐々木朋和委員 非常に曖昧になってきてしまったなと思うわけでありますけれども、もう一つ確認です。そういった意味では、各高校で最初から任意のところもあったし、全員加入から始まって、新入生がもう入ったところもあったと思うのですけれども、中には、その部活動が気に入って続けていけばいいわけでありますけれども、そうではない中で、何かに入らなければいけなくて入ったという生徒がいたとして、実質的には自発的な参加による活動として進んでいるということは、もう入っている、これは新入生に限りませんけれども、2年生であっても途中退部も認められるという認識でよろしいのですか。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 その点につきましては、各学校の校長に確認をしておりますが、年度途中退部、転部等を含めまして、本人の希望に沿った形で進められていると認識しております。
〇佐々木朋和委員 わかりました。ぜひ、御父兄を含めて情報共有をしていただきたいと思います。
 もう一つ、先ほどの質疑の中で、市町村立学校で150校中28校が任意になったという話がございましたけれども、これは話の流れからすると、それ以外は改定が間に合わなかったという認識でいいのか、それとも改定が成ったにもかかわらず、各市町村や学校によって全員加入あるいは校外の活動に参加する生徒に配慮する取り組みの推進について、市町村間でばらつきがあるということなのか、この点について確認をしたいと思います。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 各市町村では、市町村ごとの改定を進めている途中でございます。それに伴って所属の中学校では、方針に伴った学校の任意加入についての設定をするということでございます。
 県教育委員会が実施いたしました調査によりますと、今年度は150校中28校が任意加入。それから、その他の学校につきましては、いずれかの部には加入させるけれども、学校外の活動に対して配慮をするという学校、それから、地域活動部等を設置して、学校外の活動を認めている学校ということで、あわせまして、多くの学校が校外の活動に配慮した活動ということで実際に当たっていただいております。
〇佐々木朋和委員 今の答弁ですと、中学校においては、部活動について、方針を改定したにもかかわらず、全員加入というところが残っているという答弁に聞こえたのですけれども、そういうことですか。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 実際に任意加入かどうかというところにつきましては、市町村の方針と年度途中で任意加入とするのを解除できないところもあって、そのまま残っているという学校が実際にございます。
〇佐々木朋和委員 県教育委員会としては、改定をしていくわけですけれども、改定が済んでいない中で、あるいは年度途中だからということで全員加入が残っているのは理解しますけれども、全員加入を残したままで改定を終えることは認めているのですか。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 全ての学校で自主的、自発的な活動に基づく加入、参加を目指しておりますので、そういったところでは、それを目指して統一するように働きかけてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 時間に限りもありますので終えたいと思いますけれども、なかなか明快にというわけにはいかない答弁であったかと残念に思います。ぜひ情報共有、親御さんもそのような変化を知らない方々も多いですから、ぜひともお願いをしたいと思います。
 次に、特別支援学校の整備計画について伺いたいと思いますが、令和元年度主要施策の成果に関する説明書の幸福指標で、特別支援学校が適切な指導、支援を行っていると感じる保護者の割合が62.0%でAとなっておりますけれども、よく見ると、これは特別支援学校の指導、支援に満足しているとか充実していると答えた数ではなく、適切な指導、支援が行われているが62%で、38%の方は適切な指導や支援が行われているとは言えないと感じているということかなと思うのです。ウィキペディアで適切の意味は調べてきませんでしたけれども、これは、私としてはAというのはなかなか認めがたい状況なのかなと思うのですけれども、その原因をどのように分析しているのか伺いたいと思います。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 保護者アンケート結果についての分析でございますが、特別支援学校はさまざまな教育的ニーズを抱えている児童生徒が在籍しておりまして、学習の取り組み方も多様であることから、さまざま保護者のニーズを十分に踏まえ対応をしていく必要があるものと認識しております。
 今後も、行事を含めた学習活動全般の取り組みに対する保護者のニーズを丁寧に把握しながら、児童生徒一人一人の個別の教育支援計画や個別の指導計画に基づき、適切な指導、支援を行い、教育の充実に努めていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 その支援の中で、私も各親御さんから、通学バスについてのお話をよく聞きます。帰りは放課後デイサービス等があるのでまだいいけれども、通勤の時間に毎日送っていかなければいけないのは、家庭事情によっては、あるいは就業先によってはフルタイムの就業を妨げられるということで、貧困にもつながる問題でもあるし、何か親御さんに問題があった場合には学校に行けないのは、学ぶ権利にもかかわってくるのかと思います。そんな中で、岩手県立特別支援学校整備計画においても、通学バスの運行においてはニーズが増大していることを認めていただいたことは大きく評価をしたいと思います。
 一方で、ニーズを認めているけれども、最後のこの文の帰結が、バス運行をふやしますではなくて、さまざまな交通手段について対応するという書き方なのです。具体的にどのように対応していくのかということを伺いたいと思います。
 また、小学校、中学校であれば、距離がこのぐらい離れればスクールバス利用といった一定の方針があるわけですけれども、県としては、どの範囲でバス運行を検討しているのか伺いたいと思います。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 特別支援学校における通学バスについてでありますが、児童生徒の実態や体調等を考慮し、乗車時間についてはおおむね1時間以内になるように運行をしているものでございます。
 今年度につきましては、学校の実情に合わせたルートの拡充を行っております。学校においては、安全第一ということを考え、医療的ケアや座ることが難しいといった実態の児童生徒以外は、おおむね乗車対応ができる体制を整えていると承知しております。
 今後も、市町村によるバス運行など、福祉施策の実施状況や放課後等デイサービス事業所等の活用状況を踏まえ、可能な方策、可能な対応について丁寧に検討をしていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 1時間という制限がある。長過ぎても大変だというのはそのとおりだと思うのですけれども、その1時間という区切りはどう判断したらいいのかなと思うわけです。
 例えば、私の地域は一関市東山町ですけれども、一関清明支援学校、同千厩分教室、大体等距離で30分ぐらいです。そうすると、通学バスの要件としては合うわけですが、各学校の通学バスは、そこから直線に学校を結ばずに、さまざまなルートを回って行きます。そうすると、どうしても1時間を超えてしまう。例えば近くの方がそのぐるっと回るルートの中にあれば、近い方のほうがスクールバスに乗れて、遠い方のほうがスクールバスに乗れない。これはいかがなものかと思うけれども、それは保護者同士なのでなかなか言えない。また、学校にも要望が上がってきづらい。そういった話をお聞きするわけです。そういったところの1時間の区切りをどのように考えていらっしゃるでしょうか。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 機械的に1時間という形ではなく、おおむねというところですし、子供によっては排泄等の部分で、その1時間が大体1単位時間といいますか、学校での1単位時間に相当するところで、排泄、いろいろな部分を含めまして、そういった考えのもとで申し上げた部分でございます。
 ルート等につきましては、学校の事情、それから、乗車希望者等々を考えまして、乗り方について考えて、学校現場では体制を組んでいるものと承知しております。
〇佐々木朋和委員 私が言ったのは例として挙げたものですけれども、別に身体的な状況とかで乗れないと言っているわけではないのです。また、岩手県特別支援学校整備計画ではさまざまな交通手段について対応していくとニーズの増大を認めながら、今の話ですと、そういった事情にある子に対して支援の手がなかなか及ばないのではないかと考えます。
 県として、やっぱり学ぶ権利にも関するところですから、通学バスの拡充は目指していかなければいけないのだと思います。しかしながら、今の話ですと、生徒の事情のお話をされて、でも、一方でやはり必要だという方には、今の理論では届かないのではないかと思うのです。県として、その部分は考えていただけないのかと思うのですけれども、所見を伺いたいと思います。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 委員御指摘のとおり、そういったニーズについては、PTA要望とか保護者の要望等は十分承知しているところでございます。可能なところでいろいろな方策を立てながら、前向きな形で検討できればと考えているところでございます。
〇佐々木朋和委員 今、前向きなところで検討をという話をいただきました。ありがとうございます。予算もあると思いますけれども、課長にばかり責任を負わせるのも酷ですので、教育長にお話をお伺いしたいと思います。
 今、議論を聞いていただいたと思うのですけれども、通学バスの拡充は、私の地域でお話ししましたけれども、ほかの地域でもやはり大きなニーズのあるところだと思います。ぜひ、予算を拡充して取り組んでいただきたいと思いますが、所見を伺いたいと思います。
〇佐藤教育長 岩手県特別支援学校整備計画を策定したところでございます。本来であれば、前の計画を平成22年度で終えて、その後にも整備計画をつくっておくところでしたが、東日本大震災津波等があってできなかった。その後は、実際に求められる対応について、それぞれ対応してきたわけですけれども、今般、昨年度から作業を進めておりまして、冒頭、二戸地区の空白地域の解消と、センター機能の充実という観点からも、空白地域の解消、あとは、今後、特別支援学校の整備計画の内容について、今、パブリックコメントも進めておりますし、地域の事情に応じた対応ということで、先ほど高橋課長からも答弁がありました、児童生徒にとっての支援のあり方でも重要な観点だと思っております。そこは今後の最終的な計画の策定に向けて、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 よろしくお願いします。
 最後の質問で、私も高校再編についてお伺いをしたいと思います。特に一関工業高校、水沢工業高校、千厩高校の統合についてですけれども、まず、先ほど来お話がるるありました。説明会に私も出させていただいた中で、県南地域にも専門高校の基幹校をと、これを目指していきましょうという話があったのですけれども、地域にとって、では、今ある高校から基幹校になったときに、工業高校を目指す人材がふえるというのであれば、それは了とするところもあると思うのですけれども、令和2年度の志願者数一覧、倍率を見てみますと、これから県南地域で基幹校を目指していこうということですが、盛岡工業高校あるいは黒沢尻工業高校の倍率を見ますと、盛岡工業高校の建築・デザイン科は1.29ですけれども、ほかは1に行っていなくて0.33とか、0.4台もあります。一方で、県南地域の各校を見ますと、1倍を超える学科が三つありますし、その全部が0.8以上あるという中にあって、地域の中で、では、基幹校を目指して、より工業系の人材を育成していこうというのはなかなか説得力を持たないのではないかと思うわけです。
 そういった中にあって、基幹校化することによって通学距離が長くなることが、かえって、工業高校を目指す子供たちの進路に障害になるのではないかといった心配の声が出ております。
 そこで、質問ですけれども、各基幹校化あるいは大規模校化の総括と、また、私が今しゃべらせていただいたことについての見解をお示しいただきたいと思います。
〇森田高校改革課長 県南地域においては、自動車や半導体関連産業等を中心とした産業集積が進んでおりまして、ものづくり産業を担う人材育成に対する高校教育への期待が高まっていることから、将来的な子供の数の減少も鑑みて、現行の高校の再編により産業人材のニーズに幅広く対応できる多様な工業の学びを配置した一定規模を有する基幹校として整備するものでございます。
 統合に当たっては、通学の利便性、また、充実した教育環境の整備という観点により、新たな設置場所の選定も含めて検討したいと考えております。現行施設の老朽化等も踏まえまして、新校舎建設を前提とし、工業教育に関する最新の施設、設備を整備しながら、教育内容の充実を図りまして、工業教育の拠点となる魅力ある学校づくりを進めていくことにしておりますので、これにより入学者の確保とともに、産業人材を担う人材育成につなげていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 私が今示したデータを見ますと、IoTとかAI学科については人は集まるかもしれませんが、大規模校化をすると、かえって、ほかの学科については集まらないのではないか。また、高度産業人材のニーズについてもしっかりと裏づけがないと、なかなか地元の理解は得られないことを申し上げて、終わります。
〇千葉絢子副委員長 議事の進行に御協力をありがとうございます。
〇ハクセル美穂子委員 私からは、東日本大震災津波からの復興教育についてお伺いをいたしたいと思います。
 令和元年度の復興教育の状況について、資料をいただいて見させていただきました。その中で、沿岸地域の学校については、いわての復興教育スクール推進校としてたくさんの学校が復興教育を実施しているということですが、内陸部では、小中高と合わせて14校程度の学校が、文部科学省の事業を活用して復興教育スクールという活動をされている。
 東日本大震災津波が起こってすぐ、内陸部の学校でも、いろいろと震災関連の教育を学校の中でもやられてきたのは、私も子供がいますので、子供たちを通して感じていたところですが、最近、内陸ではその流れがちょっととまってきて、今10年たったところで、これからどうやって伝えていくのかというところが見えないと思っていまして、その点について、今後、どうように考えているのかについてお伺いをしたいと思います。
〇木村首席指導主事兼学校調整課総括課長 いわての復興教育についてであります。令和元年度の復興教育の実施状況につきましては、いわての復興教育プログラムに基づきまして、児童生徒や地域の実情に応じ、県内全ての公立学校で工夫しながら取り組んでいるところです。
 東日本大震災津波から9年半が経過し、震災の経験や記憶のない子供たちが小学校に入学しております。復興の進展など、社会状況の変化もありますので、今後は、児童生徒に震災の経験や教訓を伝承していくことが一層重要であると認識しております。
 このため、家庭、地域関係機関、団体等と連携を図りながら、復興教育副読本の活用や地域の伝承施設、震災遺構、伝承碑、アーカイブ等を活用した学習を通して、震災の教訓から得られた三つの教育的価値、いきる、かかわる、そなえるを児童生徒に育み、復興教育を一層推進して、震災の教訓を伝承していきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 いきる、かかわる、そなえるという震災の経験を伝承していくことが大切と考えていらっしゃることを、今、御答弁の中でお話ししていただきました。
 そこで、ことし新型コロナウイルス感染症の影響で、たくさんの県内の学校が修学旅行を県外ではなくて、県内の震災復興施設や、関連施設、それから、県内の世界遺産といったところを回る旅行に変更されて、実際に私の子供もそういう県内の修学旅行を体験して帰ってまいりました。
 そこで、子供たちからお話を聞くと、自分の住んでいる域外のところに行くことはあるのですけれども、学習しながら行くという機会がなかなかなかったので、世界遺産に関しましても、陸前高田市の震災復興の施設でも、事前に学校で学習してからその施設を訪れることで、知識や経験というものがかなり深まって帰ってきたなということをすごく感じました。
 私は、これからも全部の学校がいつも県内でというわけではないけれども、1日ぐらいは、ぜひとも修学旅行の中でそういった施設を回るような、そういった取り組みもこれからコロナ禍のよい影響というか、そういう形で取り組んでいくべきではないかと考えています。
 これについては、マイクロツーリズム関連もありますので、地域の中で経済を循環することの一助にもなると思いますので、ぜひとも、震災復興をいつまでも継承、伝承していくためにも、震災を知らない世代の子たちも、必ず小中学校のうちに1回は旅行かグリーンキャンプかもしれませんが、そういった中で学習しながらその施設を訪れるという機会をつくる取り組みもぜひやっていただきたいと考えておりますけれども、その点についてお考えをお伺いしたいと思います。
〇小野寺首席指導主事兼義務教育課長 震災復興と学校の旅行的事業との関連であります。特に修学旅行の実施についてですが、修学旅行は、設置者である市町村教育委員会が定める基準により、教育活動の目的や児童生徒及び保護者の意向、新型コロナウイルス感染症対策等を踏まえて、各学校において、時期や場所、内容を適切に判断し、実施するものと捉えております。
 児童生徒が県内各地について事前に学習をして訪問をし、郷土の歴史や文化、自然に触れることにより、岩手県の復興教育の推進や世界遺産等の重要な歴史、文化を学ぶ点において、意義深いと考えております。
 今年度の経験などを踏まえながら、今後の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況等も踏まえまして、各学校、市町村教育委員会が、修学旅行等の旅行的行事を決めると思いますが、引き続き、市町村教育委員会と情報を共有してまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 前向きな御答弁ありがとうございます。
 新型コロナウイルス感染症の影響で、実際にこういった県内施設に行くことができました。新型コロナウイルス感染症が終息した後には、もしかすると、もとの修学旅行のあり方とか、もとのやり方に戻る可能性ももちろんあるのですけれども、その中で、せっかく県内でこういったすばらしい学習ができることがことし発見されましたので、ぜひとも、今回発見したよい経験を生かして、今後、岩手県人として誇りを持って育っていけるような教育旅行のあり方も、もちろん義務教育なので、県内市町村の教育委員会で決めるのはもちろんそのとおりだと思いますが、参考例として、ぜひとも受け継いでいっていただけたらと思いますので、その点をお願いをして、次の質問に移りたいと思います。
 次の質問ですが、いじめ相談ダイヤル事業についてお聞きしたいと思います。
 令和元年度主要施策の成果に関する説明書の中で、成果指標が、相談希望への対応率となっていまして、去年、100%、達成度はAと書かれているのですが、実際に、いじめ相談ダイヤル事業について、どれぐらいの子供が相談されたのかというのが出ていないのですが、この点について、対応率は、100%対応しているのは正しいのですけれども、ふえてきているのか、ふえてきていないのかがわかりづらいので、対応率にした理由と、それから、実際の相談件数がはっきりわかっているのであれば、教えていただきたいと思います。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 いじめ相談ダイヤル事業の成果指標についてでございますけれども、相談希望の対応率の指標は、24時間子供SOSダイヤルにかかってきた全ての相談に対しまして適切に対応することを目標として、相談の対応数を目標とし、数を目標とするものではございませんで、一つ一つがどれも大切な相談と考え、その全てに適切に対応するという考えから、目標指数を100%と設定したものでございます。
 令和元年度の相談件数については、445件の相談がありました。相談においては、ただ聞くだけではなく、その内容に応じ、それぞれの学校とか関係機関等の連携を図りながら、解決のために具体的な対応につなげるなど、全てに適切に対応したと認識しているところでございます。
〇ハクセル美穂子委員 445件。これは去年から比べると半分までは行きませんが、件数自体も増加してきて、取り組みはきちんと進められていることがわかります。
 先ほど、私の前の質問者の方の答弁の中にも、いじめに関して積極的認知で取り組んでいるということで、この件数をしっかり出していただいて、このSOSダイヤルがどれだけ普及していくかも重要なところだと思います。100%対応していただくのは、それはそのとおりありがたいことですけれども、子供たちが相談できる場所がきちんとあることときちんと認識されている。子供たちが利用してもらえる形で普及していることも重要なことですので、相談件数と445件が例年に比べるともちろん多いですが、本当はこれよりもある可能性もありますので、これから、さらに、このSOSダイヤルについて子供たちに対しての普及を進めていっていただきたいと思いますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 今後の取り組みについてでございますけれども、本事業は県の教育相談の重層的な体制を整える上で、非常に大事な事業と考えております。いじめ問題を含めて、子供たちの命と安全・安心を守る窓口としても機能していると考えております。24時間いつでも子供たちの全ての相談に対して適切に対応していくことを目指して、今後も、指標は100%として取り組んでまいりたいと思いますし、また、相談内容におきましては、電話相談だけでは対応が難しい場合には、今後も、他の相談窓口とか関係機関と連携をとりながら進めてまいりたいと思います。
〇ハクセル美穂子委員 相談内容の件を前にお聞きした中には、いじめ以外の相談のほうが多かったりして、SNSの問題とか性被害など小中高生の中でいろいろな課題や問題が起こったときに相談できるところがある、さらに、いじめだけではなく、このSOSダイヤルを活用できるのだよということもあわせて、ぜひ普及啓発していっていただきたいと思います。
 そのことをお願いして、私の質問は終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
〇田村勝則委員 世話人の立場でもございますから、簡潔に質問を行いたいと思います。
 なお、通告しておりました事項を前委員と重複しているところがございましたので、1点のみに絞ってお聞きしたいと思います。
 児童生徒の豊かな人間性と社会性を育む教育についてであります。いわて県民計画(2019~2028)の徳育教育における幸福関連指標で、自己肯定感を持つ児童生徒の割合の達成度はDとなっております。この特記事項には、学校生活の中で、児童生徒一人一人のよい点や可能性を見つけ、評価する、褒めるなどの取り組みをよく行った学校の割合が低下したことなどを一因に達成度はDとなっているわけですけれども、まず、この要因について、改めてお伺いをいたします。
〇小野寺首席指導主事兼義務教育課長 児童生徒の自己肯定感についてであります。自己肯定感の育成は、自他の生命を大切にし、良好な人間関係を構築できる協調性や課題に立ち向かう前向きな姿勢にもつながるもので、児童生徒がよりよい生活を送る上で不可欠なものであると認識しております。
 この肯定感を持つ児童生徒の割合が小学校では80.5%が肯定的回答、中学校では72.6%となり、御指摘のように小中学校とも達成度はDとなっております。要因といたしましては、先ほど委員がお話しになりましたように、よい点や可能性を見つけ評価する取り組みをよく行った学校の割合が低下したことに加え、道徳教育、人権教育、体験活動の充実に向けて、教員研修等を取り組んでまいりましたが、まだまだ改善点があると捉えております。
 あわせまして、これは極端に言えばでありますが、子供たちの生活領域が狭まっており、大人や周りから勉強とスポーツ以外に認められたり評価されたりする場が少ないのではないかということも一因ではないかと捉えているところであります。
 今後は、学校の教育活動全体を通じて、児童生徒の頑張りやよさを認めていくことに加え、自他の大切さを認める道徳教育、人権教育の充実を図るとともに、家庭や地域との連携を一層図ってまいります。
〇田村勝則委員 理解がちょっとできなかったので、もう一回確認しますけれども、よく行った学校の割合が低下したと簡単に書いていますけれども、これを上げればいい話ですが、なぜそこが低下しているかということがよく理解できないので、もう一度説明いただいてよろしいでしょうか。
〇小野寺首席指導主事兼義務教育課長 児童生徒一人一人のよい点や可能性を見つけて評価する取り組みをよく行った学校の割合でありますが、この回答をするときに言葉にとらわれている部分もあるかと思います。例えば、よく行ったことのよくであります。普通に行ったという場合であれば、もしかしたら肯定的な回答を高くするのかもしれませんが、これは一般の方々も同じなのかもしれませんけれども、教師という職務上、どちらかというと遠慮ぎみに答えて、よく行ったかと問われたときに、はい、私はよく行いましたという答えをする場合が少ないのではないかとも考えております。
 いずれ、これはアンケート調査の質問に対する回答でありますので、回答のみにこだわるものではなく、実質的に、子供たちの自己肯定感を高めていきたいと考えているところであります。
〇田村勝則委員 ありがとうございます。ちょっと私、学力不足で、よく理解できないところもあるわけですが、いずれ、今の時代、本当に子供たちと話をしていても、結構自己否定的な話が多いのです。それが精神的な弱さにもつながっていると思うのですが、この自己肯定感という概念、自己肯定感とは、自分が自分であることに満足し、価値ある存在として受け入れられることと、これは何とかペディアではなくて、中田敦彦のYouTube大学の解説にある言葉でございます。
 精神心理学の先生がおっしゃるには、この自己肯定感によって不適応等の予防につながる、あるいは社会的行動の形成に非常に有効なツールになると言われております。そういうことでしっかりとその点を取り組んでいただきたいわけですが、ヒントとして、教育長、岩手県教育振興計画にも、やはりそういう心豊かな子供たちを育てるためには、先人の教育は絶対大事だということも私は申し上げてきたわけですが、ことしはくしくも米内光政生誕140年という、後藤新平も非常に光が当たっているわけですが、そういう先人教育も大事ですけれども、もう一つ、先般、我が会派で視察してきたであい授業プロジェクトがございました。
 これは花巻のるんびにい美術館などを運営する社会福祉法人光林会が中心になって、障がい者の子供が学校に出向いて授業をする。これは不来方高校などでも行ったようですけれども、4年前に結成されてからあちこちでやっています。これは非常に子供たちの印象がいいということもありますので、その点について、県ではどのような考えを持っているかお聞きします。
〇須川首席指導主事兼高校教育課長 であい授業の取り組み状況と積極的な活用策についてでありますが、今、委員から御指摘のありましたように、このであい授業は、障がいがある方が講師となりまして、であい授業を通して参加した児童生徒にとっては、他者を理解しようとする態度が育まれ、豊かな人間性の育成につながるものと認識しているところでございます。
 県内小中高においては、であい授業を実施している学校やであい授業フォーラムも開催されているところでございます。
 今後、このような取り組み等についても、各学校に周知してまいりたいと思います。
〇田村勝則委員 前向きな御答弁ありがとうございました。
 最後に教育長にお伺いをいたします。令和元年度の教育長の演述の中で、教育長は、岩手の子供たちは岩手の未来、希望であり、岩手の宝ですということを踏まえて、岩手だからこそできる教育、あるいはやるべき教育、生きる力を育むための教育を進めていくと力強く述べておられます。その大きな教育事業がこの心豊かな子供たちを育成していくことでもあろうと思いますが、教育長のお考えをお伺いして、終わります。
〇佐藤教育長 岩手だからこそできる、岩手だからこそやるべき教育があるわけでありますけれども、先ほど、自己肯定感のお話もありました。義務教育課長の答弁の中にも学校の教育活動全体を通じて生徒の頑張りとかよさを認めていくほかに、自他の大切さを認める道徳教育と人権教育が大事だということでありますし、その際には、多様な体験活動であるとか、それから、委員御指摘のように先人教育とか、それから、本県が持つさまざまな自然の豊かさもそうですし、環境のよさ、それから、これまで培ってきたこの教育振興運動を核にして、学校と地域と家庭と行政と、この連携がしっかり息づいてきたことがあると思います。それが今回のコロナ禍の中でも、現時点では、学校関係者から感染確認者がまだ出ていないということで、これまでも復興教育を進めてまいりましたけれども、東日本大震災津波のみならず想定し得ないことへの対処ということで、復興教育もすごく有効に機能しているのではないかと捉えております。
 教育は学校教育のみならず、地域や家庭であるとか、それから、さまざま地域の方々との交流を通じて、その中で自己肯定感あるいは自己有用感がしっかり培われて、そして、地域を担っていく、あるいは岩手県から羽ばたいていって世界で活躍する人材になっても、ぜひ、ふるさと岩手を思い続けて、そして、何かの貢献ができるような思いを持ち続けていただければと、私はそのような教育を目指していきたいと考えております。
〇高田一郎委員 私は、まず県内の小中学校の修学旅行の実施状況について伺います。先ほどハクセル委員からも質問がありました。ことしは特に新型コロナウイルス感染症の影響があって修学旅行を中止する学校もありました。また、多くの学校で本当に感染対策に配慮しながら、かなり苦労をして修学旅行を対応していただいていると思います。
 現在、小中学校の修学旅行の実施状況はどうなっているのでしょうか。また、旅行先も県内が多かったというお話も先ほどありましたけれども、旅行先の状況についても、もしわかれば、答弁いただきたいと思います。
〇小野寺首席指導主事兼義務教育課長 県内の小中学校の修学旅行の実施状況についてであります。9月1日時点の調査であります。小学校302校中、実施または実施予定が279校、中止が1校、検討中が6校、当初から予定なしが16校となっております。中学校につきましては、151校中、実施または実施予定が114校、中止が26校、検討中が9校、当初から予定なしが2校となっております。
 行き先につきましては、把握している限りでは、小学校では、県内が211校、東北地方が68校、中学校におきましては、県内が36校、東北地方が56校、北海道が19校、その他が3校となっております。
〇高田一郎委員 当初予測していたよりもかなり多くの学校で修学旅行が行われたと思いますけれども、しかし、実施または実施予定が、小学校では302校中279校、中学校は151校中114校ですから、2割近い学校が修学旅行を実施していないのかと思います。
 それで、伺いたいのですけれども、今回初めての試みだったのではないかと思います。県内の観光地を訪れて、岩手県のよさを再発見したり、あるいは県内の歴史や文化を改めて学び直し、非常に教育的な効果もあったのかなと思いますし、また、かなりの子供たちが県内で修学旅行をしたことは、経済効果もかなりあったのかなと思います。今回、新型コロナウイルス感染症のもとで行った修学旅行について、生徒や教職員はどのように評価をされているのか。
 また、あわせて、中止を決めた学校もたくさんあるということですが、これはこれで、学校設置者が決めることなので、子供たちの安全を最優先にして決めたものであって、そこは尊重しなければならないと思います。ただ、私は、修学旅行は子供たちにとって本当に学校生活の中で一番思い出に残る、そして、大変重要な教育の一環だと思うのです。学校が決定するのではなく、子供たちの意見もよく聞きながら、子供たちの意見表明権を尊重しながら決めていくものではないかと思いますけれども、そこら辺はどのようになっているのか、県はどう把握されているのか、この点についても伺いたいと思います。
〇小野寺首席指導主事兼義務教育課長 今回の小中学校の修学旅行については、新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点から、児童生徒の健康状態や保護者の意向に加えて、旅行先や旅行行程全体での感染症予防対策等さまざまなことを十分に考えた上で、実施できる、できないとか、時期や場所、内容等について、各学校設置者が適切に判断したものと捉えております。
 また、中止になったことについて、設置者である市町村教育委員会が定める基準により、各学校において、修学旅行―委員御指摘のように本当に意義があるわけですが、子供たちの意見や心情等を考慮した上で、なおかつ、訪問予定地域の新型コロナウイルス感染症の感染状況、保護者等の意向などを十分に踏まえて検討し、判断しているものと捉えております。
〇高田一郎委員 わかりました。コロナ禍のもとで初めて取り組まれた修学旅行でありますので、しっかりと評価、総括をしながら今後の対応に生かしていただきたいと思います。
 次に、就学援助制度についてお伺いいたします。就学援助制度は、経済的に困難を抱える子供たちの義務教育を保障する私は命綱だと思って、この間、議会でもたびたびその拡充を求めてきました。
 そこで、何点かお伺いしたいと思うのですけれども、今回の新型コロナウイルス感染症の影響で、家計が急変する世帯が増加しております。そもそも就学援助制度は前年度の所得に対して対応するものでありますので、ことし制度上は困窮になったからといってもなかなか対応できないものであります。しかし、文部科学省は、急変する世帯にはしっかりとこの制度を適用しなさいという通達もされておりますが、これはしっかりと市町村に対して通知をされ、市町村もそれに沿って対応をされているかどうか、その実態を把握されているかどうか伺います。
〇新田学校施設課長 新型コロナウイルス感染症に伴います家計急変世帯への制度周知についてでございます。まず、令和2年3月に、文部科学事務次官通知におきまして、新型コロナウイルス感染症の影響等により家計が急変し、年度の途中において認定を必要とする方につきましては、速やかに認定をし、必要な援助を行うよう配慮をすることとされました。
 また、4月6日付の国の事務連絡により、委員御指摘のとおり、通常は前年の収入により判定している所得水準について、申請時の収入の状況で判断するなど、柔軟な対応をすること。また、制度自体を知らないために申請できないという事態を避けて、本制度を利用してもらうために、保護者への情報提供に努める。こういったことを市町村に周知するよう要請がありました。
 これを受けまして、県教育委員会では、各市町村に対し、4月以降、これまで4回にわたり、随時認定の柔軟な対応と、保護者への情報提供につき周知徹底を図っているところであり、今後とも、市町村と緊密に連携をしていきたいと思います。
 厚生労働省の調査によりますと、4月以降、生活保護申請件数が増加しているということであり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により休業や失業等で、今後もさらにふえていくことが懸念されることから、本県におきましても、その動向もしっかりと注視しながら、適切に対応していきたいと思います。
〇高田一郎委員 この間4回ほど、市町村に対してさまざまな対応をしていただいたということでありますが、問題は、その実施主体の市町村が、通知を受けてきちんとやっているかどうかという、その把握も必要かと思いますので、この点もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 そして、二つ目ですけれども、東日本大震災津波から10年となります。被災地では、就学援助制度について特例で被災者に対応されています。国の復興・創生期間終了後の被災地特例の就学援助制度はどうなるのか。
 あわせて、この就学援助制度は生活保護基準に準じて制度化されているものであって、過去3年間、ことしも含めて、基準の見直しにより基準額が下がりました。これに対して、今はコロナ禍で家計が急変している中にあって、生活保護基準に見合った改悪はすべきではないと思いますけれども、この点についてはどのような現状になっているのかお伺いをいたします。
 あわせて、もう一つ時間がないので伺いますが、私も、入学準備金の入学前支給とか、あるいは修学旅行費の概算払いを、県内全市町村に広げるべきだということを指摘をしてきました。この間、どう改善されているのか。この点についても答弁をお願いいたします。
〇新田学校施設課長 被災地の就学援助の特例についてでございます。被災児童生徒就学支援等事業は、東日本大震災により被災し、経済的理由から就学が困難となった児童生徒に対して、市町村が学用品費や修学旅行費などの就学援助事業を行う場合に、国が交付金として経費の全額を支援するものであり、令和3年度におきましても、本年度と同様に継続される見込みであります。
 次に、生活保護基準の見直しに伴う影響についてでありますが、各市町村においては、準要保護者の認定に当たり、例えば生活保護基準に乗じる係数を従来よりも高い倍率に引き上げて認定するなど、生活保護基準の見直しによる悪影響が生じないように工夫して対応していると聞いており、今後とも、市町村と緊密に連携しながら、情報提供や必要な助言を行ってまいります。
 次に、新入学児童生徒の学用品費の入学前支給についてでありますが、令和元年度新入学児童生徒については、31市町村で入学前支給が行われておりましたが、令和2年度新入学児童生徒からは、県内全ての市町村において実施されております。
 また、修学旅行費につきましては、就学援助世帯に対する援助費の支給が、実績額に応じた精算払いとなっており、費用の事前積み立てを伴う保護者の一時負担が生じていることから、保護者の負担を考慮し、修学旅行前の概算払いに対応している市町村がふえておりまして、昨年度までは、5市町村が概算払いに対応しておりましたが、今年度は7市町村となっているものでございます。
〇高田一郎委員 就学援助制度については、県内の状況を見ますと、一つ一つ充実し拡充になっている、県のさまざまな市町村に対する支援あるいは指導が力になってそうなっているのかと思って、感謝申し上げたいと思います。
 しかし、昨年行われました岩手県子どもの生活実態調査報告書などを見ますと、やはり、さらなる就学援助制度の拡充が必要なのかなと思います。岩手県子どもの生活実態調査では、給食費や教材費を払えない、こういう子供たちが、これは2学年でありますけれども、657人にもなっておりますし、就学援助世帯でも生活困窮を訴える、そういう現状にあります。
 そういう意味では、この就学援助制度の拡充は非常に大事だと思いますけれども、改めて、県内の市町村の実態を調べまして感じるのは、やっぱり市町村によってかなり格差があるということです。就学援助制度を利用している子供の割合は、花巻市が6.43%に対して久慈市が22.4%と開きがあります。もちろん市町村事業ですから格差があるのはやむを得ないと思いますけれども、これだけ格差があるのはなぜなのかと思うのです。この点については、県はどのように分析しているのか伺います。
〇新田学校施設課長 市町村別の対象児童生徒数の割合によって格差があるというお尋ねでございます。
 要保護世帯につきましては、国の制度ですので、市町村によっての格差等はないのですが、一方で、準要保護世帯に対する就学援助につきましては、三位一体改革によりまして、税源移譲、地方財政措置が行われ、各市町村が単独で実施していることから、一定の所得基準のほか、個別世帯の実情等を勘案した認定が行われているものでございます。
 先ほど、久慈市、花巻市の状況を御案内いただきましたけれども、東日本大震災後に設けられた被災児童の就学援助制度の対象となる児童生徒が多い沿岸部においては高い傾向となっている一方で、それ以外の地域については、都市部、農村部といった居住地の違いや世帯を取り巻く状況の違いなど多種多様であり、各市町村がこうした実情を踏まえて対象とする世帯を決めていることも要因であると認識しております。
 県教育委員会としましては、各市町村に対しまして、各市町村の状況について情報提供を行うほか、必要な助言を行いまして、義務教育の円滑な実施に資するように努めていきたいと思います。
〇高田一郎委員 生活保護基準に対して市町村によっては1.1倍とか1.4倍とか、市町村間でこれだけ格差があるのです。盛岡市の場合、例えば小学生1人の子供、両親がいる場合は収入の合計が280万円以下の世帯が対象です。そして、小学生と2歳の子供がいる4人世帯では収入の合計が330万円以下の世帯が対象、この程度であります。
 ですから、私は生活保護基準のせめて1.5倍とかこういうふうになって、本当に低所得者が援助を受けられるような制度にしていくべきだと思うのです。そういう努力を県もしていくべきだと思うのですけれども、この辺について簡潔にお願いいたします。
〇新田学校施設課長 実際に、各市町村ごとで、例えば生活保護の基準額の係数についても違いがあるのはそのとおりでございます。その状況を各市町村の担当者レベルで、どこは幾らということを共有しまして、その拡充に向けた、例えば当初予算要求であるとかそういうところに生かせるような形で情報提供をしておりますので、そういった部分がどんどん広がっていって拡充されることを期待しているものでございます。
〇高田一郎委員 さらなる取り組みの強化をお願いしたいと思います。
 次に、県学力調査についてお伺いいたします。私たちはこの間、学力調査の廃止、中止を求めてきました。私が、昨年の12月定例会で質問したときに、県は、市町村の実態把握に努め、今後、訪問を行うなど、具体的な意見交換を進めていく、これが答弁でありました。あれから1年近くたちますけれども、市町村教育委員会との意見交換の実態はどうなっているのか。あるいは、全国の自治体の実施状況について、どのようになっているのかをお伺いいたします。
〇菊池首席指導主事兼学力向上課長 学力調査についてでありますが、まず、全国の自治体における状況についてお答えいたします。都道府県独自の学力調査につきましては、正式に国で実施しました調査公表が平成30年度までの分となっておりますので、その点についてお答えいたします。小学校で実施していない都道府県は17道府県、中学校で実施していないのは15道府県となっております。
 次に、市町村訪問についてでありますが、9月をもって33市町村を回らせていただきました。その中で、県学力調査にかかわる状況につきましては、議会等で御指摘のありました負担感、あるいはしっかり活用できているかについて、意見交換をしてきたところでありますが、やはり実際足を運んで市町村教育委員会にいろいろ聞いたところ、採点業務、調査結果処理に係る負担が大きいとか、調査結果のフィードバックまで時間がかかる等のお話を聞くことができております。
〇高田一郎委員 実態調査を踏まえて、県はどうしようとしているのですか。
〇菊池首席指導主事兼学力向上課長 それにつきましては、前回常任委員会でお答えしましたとおり、各市町村の意見あるいは全国の自治体の状況等を踏まえながら、2月定例会、年度末をめどに検討を進めてまいりたいと考えております。
〇千葉絢子副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後4時15分 休 憩
午後4時32分 再開
〇菅野ひろのり委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇千田美津子委員 項目が他の委員と大分かぶっているのですが、できるだけ重複しないように質問いたします。
 一つは、学校現場において新型コロナウイルス感染症の影響が非常に多くて大変だったと思いますが、全体的な対応の状況、それから、学校行事への影響もかなりあったと思います。さらには、先ほど高田委員から、小中学校の修学旅行の実施状況等についての質問がありましたが、県立高校等における修学旅行の実施状況と、中止や延期による影響等についてお尋ねいたします。
〇中川学校教育課総括課長 3月以降の学校における対応状況、特に学校行事についてお答え申し上げます。
 まず、卒業式につきましては、参加者の限定、または、手洗いやせきエチケットの徹底、小まめな換気等の感染症対策をとりながら、各学校で適切に実施をしているところでございます。
 また、体育祭や文化祭などの行事につきましては、こちらも延期や活動内容の変更、また、一般への公開を制限するなどをしながら、各学校で実施をしていると承知をしております。
 また、修学旅行につきましては、県立学校についてお答え申し上げます。県立の高等学校及び附属中学校は、各課程または専攻科を含む校数でございますが、年度内に実施を予定しているところが12校、年度内に既に実施済みのところがゼロ校、来年度への延期が18校、中止を決めたところが33校、現在検討中のところが7校という形になっております。
 また、特別支援学校については(後刻、「本校に加えて分校と分教室それぞれカウントした数」と訂正)年度内に実施予定が11校、年度内実施済みが22校、来年度への延期が8校、中止を決めたところが4校、現在検討中がゼロ校という形で把握をしております。
〇千田美津子委員 最後に、影響はどのように考えていますかという質問をしたのですが。
〇中川学校教育課総括課長 影響につきましては、特に中止をした学校については、やはり楽しみにしていた生徒がおりますので、その点については、各学校において代替する行事とか日々の活動の中で何かできないかということを今現在検討しながら対応をしているところでございます。
〇千田美津子委員 来年度へ延期したところが、高校ですと、70校中18校あるわけですね。特別支援学校では、45校中8校が来年度に延期をされたということで、延期であればまだ子供たちにとっては楽しみが残っているわけですが、中止が高校の場合は半分近くになっています。
 今、代替の行事と言われましたけれども、先ほど高田委員もお話しされましたが、非常に楽しみにしていた行事だったと思うのです。ですから、子供たちの声や教職員の声も含めて、丁寧に聞き取りをしながら、私は対応をしていく必要があるのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
〇中川学校教育課総括課長 修学旅行の実施につきましては、児童生徒の心情に配慮をしながらも、訪問予定地域の感染状況を見ながら、保護者の意見もアンケートや保護者会を通して把握し、そして、判断したものと承知をしております。
 その上で、やはり思い出をつくる一つの重要なきっかけでございますので、そこは委員御指摘のとおり、各学校において、生徒の意見を十分聞きながら対応をしているものと承知しております。
〇千田美津子委員 1点だけ確認ですが、中止を決めたところは、全てアンケート調査を実施されたのですか。
〇中川学校教育課総括課長 全ての県立高校ということでは把握しておりませんけれども、多くの県立学校においては、アンケート調査結果に基づいて中止を判断したものと承知をしております。
〇千田美津子委員 了解しました。いずれ、今後ともよろしくお願いいたします。
 それでは二つ目、いじめ、不登校への対応についてお聞きいたします。令和元年度主要施策の成果に関する説明書の中で、学校の授業がわかる児童生徒の割合、それから、つまずきに対応した授業改善が行われていると感じている児童生徒の割合、そして、人が困っているときは進んで助けようと思う児童生徒の割合、そして、いじめはいけないと思う児童生徒の割合についての達成度が示され、それぞれ特記事項でさまざまな経緯も述べられておりますが、今述べたこれらの事項は、子供たちにとってとても重要な事項だと思っています。
 ですから、これらの状況があるからこそ、いじめや不登校につながっているのではないかと考えますので、もう少しそれらの分析も含めて御説明をいただき、さらに、改善策についてもお聞きいたします。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 各指標の結果に対する所感と、今後の改善策についてでありますが、委員から御指摘いただきましたそれぞれの指標の割合は、学校における授業や人間関係に係る満足度に関連するものと捉えております。
 それぞれの割合を高めていくことで、学校生活の満足度が充実すると考えております。しかし、各指標において、内容や校種によって達成度がDとなっていることも承知しております。
 今後につきましては、児童生徒の協働的な学習活動の設定とつまずきに対応した授業改善、また、道徳教育や人権教育の充実、さらには、児童生徒の主体的ないじめ防止に係る活動の推進などに取り組み、各指標に係る具体的な実践を通して、学校生活の充実感を高めていきたいと考えているところでございます。
〇千田美津子委員 そういう答弁になるのかなとは思ったのですけれども、内容とか校種の状況にもよるとかですね。ただ私は、最初に言いましたように、本当に授業が楽しくなる、それから、いじめはいけないと思う割合について、これが小学生、中学生とも達成度評価Dになっているわけですが、いじめを本当に根絶するためには、これを本当に100%に近い形にしていく。これが非常に大事だと思っています。
 道徳教育の中でしかこれらは高めることができないのかもしれませんけれども、令和元年度主要施策の成果に関する説明書の中では目標値が令和4年度までに、例えば、いじめはいけないと思う割合を、全ての小学生、中学生が100%になるようにと目標設定をされていますが、本当にそのようにできるでしょうか。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 いじめがいけないと思う生徒の割合についてでございますけれども、100%を目指していくことが大事なことだと考えているところでございます。
 ただ、さまざまな考えを持った子供たちが集団で生活しておりますので、そこに向かっていくことは大変難しいことだとは思いますけれども、ぜひ、そこのところについては、今後、学校のいじめ対策組織とか、基本方針を見直すとかいうことを、子供たち、それから、保護者とも協力しながら、主体的な取り組みを行っていきながら、100%に向かって取り組んでいきたいと考えております。
〇千田美津子委員 子供たちだけではなくて、保護者や周りの大人たちも、実はこの指標を高めるのに大きな影響があります。ですから、子どもの権利条約の立場で、自分の権利は主張できるけれども、相手の権利も認められる、そういう社会にしていく、そういう子供たちにしていくという視点が本当に大事です。
 先日の総括質疑の中で、小西委員から子供の権利条例をつくるべきではないかというお話がありましたが、私は、学校での道徳教育をさらに広げた、そういう権利条例をつくる気持ちで取り組んでいく必要があるのではないかと思いますが、教育長いかがでしょうか。
〇佐藤教育長 条例の検討につきましては、これまでも議会等でも答弁をさせていただいておりますが、基本的には、私ども教育委員会との連携も図りながら、保健福祉部でいろいろと検討を進めている。
 まずは、いじめ等の撲滅と、それから、子供たちの権利等、人権教育とか道徳教育とかこういったものにしっかり取り組んでいく必要があると考えております。
〇千田美津子委員 引き続き、よろしくお願いいたします。
 いじめ、不登校への対応の上で、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの役割が非常に大事であると思います。そういった意味で、配置と確保等の課題についてお聞きいたします。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 スクールカウンセラーの配置と課題についてでありますが、令和2年度の配置状況は、小学校では、302校中249校、中学校では、150校中148校、高等学校では、65校中60校となっております。小学校は、令和元年度に比べ、配置率を上げたところでございます。配置のない小学校につきましては、同じ中学校区のスクールカウンセラーを派遣できる体制を整えているところでございます。
 各校における安定的な教育相談の整備のためにも、スクールカウンセラーの人材確保は引き続き大きな課題と捉えているところでございます。スクールカウンセラーの人材確保につきましては、岩手県臨床心理士会や日本臨床心理士会と協力して取り組んでいるところでございます。
 また、スクールソーシャルワーカーの配置と課題についてでございますけれども、令和2年度の配置状況については、小中学校について、県内六つの教育事務所に実人数で21人を配置し、市町村教育委員会からの要請を受けて、各小中学校に派遣しているところでございます。
 県立学校におきましては、岩手県社会福祉士会に委託して、電話相談、出張相談等に応じているところでございます。
 スクールソーシャルワーカーの人材確保と育成につきましては、こちらも非常に大きな課題だと捉えておりますけれども、岩手県社会福祉士会と連携しながら人材確保に努めていくとともに、人材育成につきましては、本年4月に県立大学大学院社会福祉学研究科にスクールソーシャルワーク教育課程が設置されているところでございますので、そことの連携を深めながら、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーともに、今後、関係機関と連携を図りながら人材確保と育成に努めてまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 スクールカウンセラーについては、小学校は配置率を高めたということで、岩手県臨床心理士会等と連携を図って、人材確保に取り組んでいること。それから、スクールソーシャルワーカーについては、県は岩手県社会福祉士会と連携、それから、県立大学にスクールソーシャルワーク教育課程が設置された。これは、県の積極的な取り組みでそういうことになったのかなと思うわけですが、そうしますと、令和4年3月に第1期生が修了するようでありますけれども、大体どのくらいの方がソーシャルワーク教育課程から輩出されることになるのか、見込みについてわかれば、教えてください。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 大学院は今年度設置されましたので、現在1年生でその課程をとっておられる方は1名と伺っているところでございます。
〇千田美津子委員 それでは、引き続き、増員も含めて要望をお願いしたいと思います。
 教職員の長時間労働についてお聞きいたしますが、長時間労働をさまざまな形で解消していく必要があるわけですけれども、これまで、30年度から三つのワーキンググループを設置して検討をされてきたと思いますが、今、検討はどのような状況にあるでしょうか。先ほど、コロナ禍の関係でもさまざま見直しをされているということでありましたが、現状についてお知らせください。
〇山村参事兼教職員課総括課長 ワーキンググループについてでございます。岩手県教職員働き方改革プランに基づきまして、教職員の負担軽減につながる具体的な改善を検討するために、教員などによるワーキンググループを設置しまして、平成30年度と令和元年度に提案を取りまとめたところでございます。
 今年度については、取りまとめた提案の実行などを行っているところでございます。
〇千田美津子委員 大体どういうのがあるのかなということをちょっと知りたかったのですが、いずれ大事なのは、実際にこういう取り組みが現場で時間外勤務を縮小できるような状況につながっていないという指摘が先ほど柳村一委員からもありました。
 ワーキンググループは、先生方みずからが現場でこういう仕事を削減できないかということで検討されていると思いますので、ぜひ、みんなものになるように、このせっかくの取りまとめが本当の意味での働き方改革につながるように、実効性が求められると思いますが、それについてお聞きしたいと思います。
〇山村参事兼教職員課総括課長 ワーキンググループからの提案の実行に向けて取り組んでおります。例えば、部活動関係団体に対し、大会の精選や事務局業務の負担軽減の協力要請をすべきだという提言、あるいは地域、保護者に向けた働き方改革の理解醸成用のリーフレットの作成をしたほうがいいという提言、こういった提言を実行しておりまして、負担軽減につながるようなそれぞれの取り組みを進めていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 そのほかいろいろあるようですが、学校といえば何十周年記念という行事がかなりあるわけですけれども、そういうのも少し検討していこうではないかとか、いろいろなことが幅広く検討の俎上に上がっているということで、非常に私はいいなと思っています。
 私は、これをやるときに、できれば保護者や地域の方々にも、この辺は手伝ってくれないかと、そういうことを率直に提案していく、そういう姿勢も必要ではないかと思いますので、その点を伺って、終わります。
〇山村参事兼教職員課総括課長 教員の働き方改革を進める上では、保護者の方、地域の方の理解、学校に対する期待、先生に関する期待、こういったものも含めて理解をしていただく必要があると考えております。
 そこで、先ほど御紹介しましたワーキンググループから提案のあった保護者の方や地域の方に理解していただくためのリーフレットを昨年度つくりまして、いろいろな機会に各学校でそれを使って説明できるような取り組みをしているところでございまして、保護者の方や地域の方の理解も得ながら、働き方改革を進めていきたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇中川学校教育課総括課長 県立学校の修学旅行の事項につきまして、先ほど、特別支援学校の校数について説明申し上げましたが、こちらは、本校に加えて分校と分教室それぞれカウントした数となっております。おわびして、訂正いたします。
〇小林正信委員 2017年3月に公示された小中学校の新学習指導要領には、持続可能な社会のつくり手の育成が掲げられております。つまり、SDGsの学び、持続可能な開発のための教育、いわゆるESD―Education for Sustainable Deverlopmentの本格的な導入が示されました。文部科学省では、ESDの推進の手引きを改定いたしまして、ESDの推進の重要性を示しておりますけれども、岩手県における令和元年度のSDGsの学び、ESDの推進の取り組み状況についてお伺いします。
〇須川首席指導主事兼高校教育課長 SDGsの学びについてでありますが、各県立高等学校においては、総合的な探求の時間を活用し、内容を工夫しながら実施しているところでございます。
 県教育委員会といたしましては、今年度から、小規模校28校で高校の魅力化促進事業を実施しており、各地元自治体と連携しながら、地域の課題解決を探る学習に取り組んでいるところでございます。9月23日には研修会を実施し、各学校の実践内容や課題等の情報交換を行ったところでございます。
 今後につきましては、引き続き、会議や研修会での好事例の実践発表を通じて、地域課題とSDGsを結びつけながら探求的な学びを深めるよう、各学校の取り組みの充実を図るところでございます。
〇小林正信委員 文部科学省及び日本ユネスコ国内委員会では、ユネスコスクールをESDの推進拠点と位置づけています。ユネスコスクールは、ユネスコ憲章に示された理念を実現するために、国際的な連携を実践する学校のことで、現在、日本では1、000校以上、数では世界一とのことです。
 文部科学省では、これからユネスコスクールの加盟校増加に取り組む予定もあるとのことですが、現在、学校では、新型コロナウイルス感染症対策やGIGAスクールに向けての準備などで多忙をきわめているだけに、先生方の負担を増加させないよう長いスパンで少しずつ進めていく必要があると思います。
 今後、例えばユネスコスクールの取り組みを紹介するなど、さまざまなやり方があると思いますけれども、県教育委員会として、ESDについてどのように推進する予定かお伺いします。
〇須川首席指導主事兼高校教育課長 ユネスコスクールとかESDの取り組みにつきましては、全国的に今はもう盛んに行われているところでありますが、本県といたしましては、ユネスコスクールとかESDの取り組みもそうですが、先ほどお話ししたように、総合的な探求の時間を生かしたSDGsの取り組みからとっかかりをつけながら、各学校でその取り組み内容を考えていく支援をしたいと思っております。
 実際のところ、ESDとかユネスコスクールの採択に関しましては、確かに、全国で1、000校というお話もありましたけれども、校内体制をしっかり構築する等々のこともありますので、先ほど委員から御指摘ありましたように、今の状況を鑑みながら、ESDとかユネスコスクールの取り組みについても、もし、そういう取り組みを行いたいという学校があれば、情報提供に努めてまいりたいと思います。
〇小林正信委員 よろしくお願いします。
 次に、本年4月から全国の小学校でプログラミング教育が必修化されました。学校や家庭や職場などで、あらゆる生活の場でITが普及して、AIも身近になる中、コンピューターなど先進機器を自分の意思どおりに動かす力を養う教育は、時代に即したものであると思います。
 GIGAスクール構想も進む中で、パソコンやタブレット端末などを活用した授業は、児童にとってわかりやすく、学習意欲を高める可能性が高いとされておりますが、プログラミング教育に不なれな教員へのサポート体制なども懸念されております。
 そこで、令和元年度におけるプログラミング教育実施に対する準備状況はどうだったのかお伺いいたします。
〇小野寺首席指導主事兼義務教育課長 プログラミング教育についてであります。急速に発達する情報化社会において、情報や情報技術を主体的に活用する能力を育成するというプログラミング教育の充実は、社会に適応すると同時に、新たな価値を創造していくために重要であると認識しております。
 令和元年度には、県教育委員会においてプログラミング教育を各教科等の中で効果的に行えるよう、リーダー教員の育成に努めてまいりました。また、具体的なモデル授業を提案することによる研修や、実践事例の普及などに努めてきたところであります。
〇小林正信委員 さまざま実践事例もやっていらっしゃるということだったのですが、でも、まだまだ各学校においてプログラミング教育に対する理解が十分に進んでない状況も懸念されるかと思います。2021年度からは、中学校でのプログラミング教育の拡充が計画されていると伺っております。
 今後、授業を行う際は、教員の負担を減らす体制づくりが必要なのかなと思います。教員の研修に民間の企業や団体の協力を得るなど、また、他県では外部の人材を授業に活用するような取り組みも行っているそうですけれども、そうした取り組みも必要なのかなと思います。
 県内における今後のプログラミング教育の取り組みについてお考えをお伺いします。
〇小野寺首席指導主事兼義務教育課長 プログラミング教育の今後についてでありますが、本年度中に、まずは小学校教員を対象としたさらなる研修会を実施することに加えまして、来年度は、各教育事務所等において、実践的な研修を実施して、教員の指導力向上に努めてまいります。
 県内におきましても、市教育委員会として、地元の教育機関と連携してプログラミング教育を進めているという事例もあることから、そのような情報提供にも努めてまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 よろしくお願いいたします。
 次は、スクールソーシャルワーカーについて、先ほど千田美津子委員からもお話がありました。令和元年度は、18人分の予算で21人の方に働いていただいたということだと思うのですけれども、やはり待遇の面でも十分な保障が必要なのかなと思います。これは国において進めなければならない部分もあると思いますけれども、県においても、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーでは時給に少し開きがあるとも伺いましたので、少しずつでも改善していっていただければと思います。
 また、人材育成では、先ほど大学院で学ぶ取り組みとかもお伺いしましたけれども、こうしたしっかり大学院でせっかく学んだ方が、処遇の面でも充実して働ける体制もつくっていただきたいなと。そうした上で、スクールソーシャルワーカーの処遇改善の面、または、その充実について、今後の取り組みのお考えをお伺いしたいと思います。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 処遇改善につきましては、今年度、若干見直しを図ったところでございまして、その部分については予算の関係もありまして、課題と捉えているところではございますけれども、改善がなかなか進まない状況が出ているところでございます。
 また、復興・創生期間も終了して、震災を起因とするものなのかどうなのかという、そこの精査を国からも求められていることから、今現在、新しい基準について見直しを図っているところでございます。
〇小林正信委員 お話をいただいたとおり、県のスクールソーシャルワーカーの事業は、全額国の復興予算で賄っていると認識しておりましたけれども、それでよろしかったでしょうか。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 現在は、国の予算で、10分の10補助で対応しているところでございます。
〇小林正信委員 先ほどおっしゃっていただいたように、この復興予算がいつまでも続けばいいと思うのですけれども、終了したとき、県としてどのような対応をとるのか。やはり重要な事業だと思いますので、今と同じ規模で事業を続けていくお考えなのか、その部分をお伺いします。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 各学校について配置率を下げることなく進めてまいりたいと考えているところでございますけれども、予算等の中からその状況を適切に踏まえながら対応してまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 できるだけ今の状態を維持して事業を続けていっていただきたいと思います。
 また、県内の各市町村では、市町村の単独事業としてスクールソーシャルワーカーを設置しているところもありますので、県としてそういう部分への支援も行いながら取り組みを進めていっていただきたいと思います。
 最後に、2017年施行の義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律、いわゆる教育機会確保法では、不登校児童生徒に対する支援のあり方について、学校への復帰を目指すのではなく、社会的に自立することを目指すという方向性を示しているものと私は捉えております。
 少子化の中にあって不登校の割合は年々高くなっており、多様な学び方の必要性、特に不登校児童生徒を受け入れ、自立を促すフリースクールの役割は重要と考えます。令和元年度におけるフリースクールとの連携状況についてお伺いいたします。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 フリースクールとの連携についてでございますけれども、現在、県教育委員会が確認しているフリースクールは県内に5カ所あると確認しております。これまで、各教育事務所に配置しております在学青少年指導員や指導主事がフリースクールを訪問し、そこでの学習状況や活動内容について確認し、情報共有に努めてきたところでございます。また、フリースクール主催の研修会等については、県教育委員会としまして、講演等を行ってきたところでございます。
 今後につきまして、県教育委員会としては、来年度になりますけれども、民間団体と連携しまして、不登校生徒への支援のあり方を検討する目的で、合同の連絡会議を開催する計画で準備を進めているところでございます。それぞれの代表の方々と協議をすることによって、さらに連携を深めて、不登校児童生徒の支援の充実に努めていきたいと考えております。
〇小林正信委員 今、合同の連絡会議を行うということだったのですけれども、兵庫県教育委員会では、フリースクールなど民間施設に関するガイドラインを策定しているということです。連携もかなり充実させていて、このガイドラインは県内各フリースクールと1年かけて話し合って完成させたものだということです。この中では、県内のフリースクールの紹介や利用者の生の声なども紹介されています。
 岩手県教育委員会としても、多様な教育機会の確保という観点から、こういった他県の事例、合同の連絡会議の中でこうしたガイドラインを策定するような取り組みも行うべきではないかと思うのですけれども、その点についてお伺いして、終わります。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 今いただきました御意見等も参考にしながら、これからは、フリースクール等を含めた民間の施設の方の生の声を聞きながら、検討してまいりたいと考えております。
〇小野共委員 1点確認をさせていただきたいのですが、大学入学共通テストの試験会場の話であります。発災以降、平成24年度から、釜石市、大船渡市が大学入試センター試験の臨時会場になっております。去年まで臨時会場として措置されていたと思うのですが、年明けの1月16、17日でしたか、大学入学共通テストの試験会場についてはどうなっているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
〇須川首席指導主事兼高校教育課長 今年度の試験会場についてですが、昨年度までと同様に、釜石高校と大船渡高校が試験会場として使用されることとなっております。
 なお、第1日程、第2日程となっておりますが、その両日とも二つの会場を利用することで、今のところ計画が進んでおります。
〇小野共委員 もう一点確認です。検定料の免除も継続ですか。
〇須川首席指導主事兼高校教育課長 それにつきましては、今、手元に資料がないので、確認をさせていただきたいと思いますが、ことしで震災から10年が経過しますので、今年度までは、恐らく今までどおりの形になると思うのですが、来年度以降につきましては、大学入学共通テストの試験会場、受験料についても、大学入試センターや文部科学省で検討しているところですが、県教育委員会や岩手県高等学校長協会としても、引き続き、御支援いただけるようにお願いするところでございます。
〇菅野ひろのり委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇菅野ひろのり委員長 質疑がないようでありますので、これで教育委員会関係の質疑を終わります。教育委員会事務局の皆様は退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、企業局長に企業局関係の説明を求めます。
〇石田企業局長 令和元年度の企業局関係の決算等について御説明申し上げます。
 初めに、企業局の事業の総括的な取り組みと成果、及び今後の取り組み方向について御説明いたします。
 令和元年度の事業運営に当たりましては、公営企業の経営の基本理念である経済性の発揮と公共の福祉の増進を踏まえながら、令和元年度が最終年度となる第5次中期経営計画に基づき、クリーンな電力と、良質な工業用水の安定供給に取り組むとともに、施設の計画的な改良、修繕や、業務コストの節減を図り、効率的な経営に努めてまいりました。
 電気事業については、簗川発電所の令和3年度の運転開始に向けて、鋭意、建設工事を進めるとともに、施設の健全性の維持を図るため、岩洞第一発電所や仙人発電所など高経年化した施設の改良、修繕に取り組みました。
 また、電力システム改革に対応した令和2年度から3年度の売電契約については、電力自給率の向上、安定経営及び地域貢献を基本方針として、新たに県内の地域新電力を対象に加え、売電先を選定したところです。
 工業用水道事業については、高経年化した施設の改良、修繕を行いながら、安定供給に努めるとともに、大手半導体企業の進出に伴う新たな水需要に対応するため、既設設備の改良や新浄水場の詳細設計などを進めたところです。
 このほか、地域貢献の施策として、市町村等が行う再生可能エネルギー導入の取り組みを支援するとともに、本県の震災復興、ふると振興へ寄与するため、東北電力株式会社との共同の取り組みであるいわて復興パワーを進め、電気料金の割引や一般会計への繰り出しによる関連施策の財政支援を行ったところです。
 今後の取り組み方向については、今年度からスタートした岩手県企業局長期経営方針(2020~2029)及び今後4年間の第1期中期経営計画に基づき、電気事業では、電力システム改革など、事業を取り巻く環境の変化に適切に対応しながら、運転年数100年を実現するための基盤づくりとして、計画的な改良、修繕に取り組むとともに、再生可能エネルギーの維持拡大に向けて、簗川発電所の建設や稲庭高原風力発電所、胆沢第二発電所及び入畑発電所の再開発を進めてまいります。
 工業用水道事業では、新浄水場の建設を本格的に進めるとともに、高経年化した配水管の更新などに取り組んでまいります。
 地域貢献では、新たに今年度から開始したCO2フリーの電力供給を通じた再生可能エネルギーの地産地消に取り組み、一層の地域貢献に取り組んでまいります。
 それでは、企業局の令和元年度決算等について御説明申し上げます。
 まず、お手元の認定第14号令和元年度岩手県電気事業会計決算の概要について御説明申し上げます。
 電気事業会計決算の1ページをお開き願います。
 1の決算報告書(1)収益的収入及び支出でありますが、収入の第1款電気事業収益の決算額は70億8、071万円余、支出の第1款電気事業費用の決算額は57億8、637万円余であります。
 2ページをお開き願います。
 (2)資本的収入及び支出でありますが、収入の第1款資本的収入の決算額は7、955万円余、支出の第1款資本的支出の決算額は16億9、123万円余であります。
 なお、資本的収入額が、資本的支出額に対し不足しておりますが、欄外の記載のとおり、減債積立金等で補填しております。
 次に、3ページの損益計算書をごらん願います。
 営業利益は、一番右側の中ほどに記載のとおり、11億198万円余となっており、下から6行目の経常利益は12億8、971万円余、特別損失8、131万円余を除いた当年度純利益は12億839万円余で、5年連続の10億円台となりました。
 なお、次ページ以降につきましては、説明を省略させていただきます。
 次に、議案第37号令和元年度岩手県電気事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについて、御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、議案その3の1ページをお開き願います。
 令和元年度岩手県電気事業会計の未処分利益剰余金は23億7、064万円余でありますが、このうち、11億6、225万円余を資本金に組み入れるとともに、10億8、839万円余を建設改良積立金に、1億2、000万円を震災復興・ふるさと振興パワー積立金に、それぞれ積み立てようとするものであります。
 電気事業会計に関する説明は以上であります。
 続きまして、認定第15号令和元年度岩手県工業用水道事業会計決算の概要について御説明申し上げます。
 工業用水道事業会計決算の1ページをお開き願います。
 1の決算報告書(1)収益的収入及び支出でありますが、収入の第1款工業用水道事業収益の決算額は9億5、826万円余、支出の第1款工業用水道事業費用の決算額は8億2、509万円余であります。
 2ページをお開き願います。
 (2)資本的収入及び支出でありますが、収入の第1款資本的収入の決算額は11億4、754万円余、支出の第1款資本的支出の決算額は11億6、756万円余であります。
 なお、資本的収入額が、資本的支出額に対し不足しておりますが、欄外に記載のとおり、減債積立金等で補填しております。
 次に、3ページの損益計算書をごらん願います。
 営業利益は、一番右側の中ほどに記載のとおり、3、899万円余となっており、下から4行目の経常利益とその下の当年度純利益は6、448万円余であります。
 なお、次ページ以降につきましては、説明を省略させていただきます。
 次に、議案第38号令和元年度岩手県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについて、御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、議案その3の2ページをお開き願います。
 令和元年度岩手県工業用水道事業会計の未処分利益剰余金は1億6、913万円余でありますが、このうち、1億464万円余を資本金に組み入れるとともに、6、448万円余を減債積立金に積み立てようとするものであります。
 以上で、企業局関係の決算等について、説明を終わります。よろしく御審議を賜りますよう、お願い申し上げます。
〇菅野ひろのり委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇飯澤匡委員 工業用水道事業について、1点だけお伺いします。
 ただいま説明がありました、新浄水場に係る経過、進捗についてお伺いします。当初スケジュールによれば、現在、詳細設計建設工事期2018年から2026年度となっております。総事業費は、当初147億3、000万円とされておりますけれども、現在の現況で、何か変化しているものがあれば、示してください。
〇村上業務課総括課長 事業の進捗状況についてでありますが、本年3月、浄水場建設工事の契約を締結し、今年度に入り、建設用地内の造成を行い、現在、掘削等の土木工事を進めております。
 また、ダム使用権の移転及び水利使用に係る国への許可手続を行っているところであり、国の許可後に、河川区域内で施工する取水口の建設工事に着手することとしており、順調に進捗しております。
 また、事業費につきましては、当初、147億3、000万円でしたが、現在のところ、176億円ほどを見込んでおります。
〇飯澤匡委員 その事業費が膨らんだ要因は何ですか。
〇村上業務課総括課長 事業費が膨らんだ要因といたしましては、まず、埋蔵文化財の調査に費用がかかったことと、昨年度、地質調査及び地質調査の結果を踏まえた詳細設計を行っておりまして、取水口の掘削量の増加、もう一つが配水管の敷設延長の増加などが要因となっております。
〇飯澤匡委員 これ以上事業費が増大するという可能性については、どのように考えていますか。
〇村上業務課総括課長 現時点で見込んでおります約176億円という事業費は、先ほど申しましたとおり、現地の地質の状況などを調査した上で、詳細設計を実施しておりますので、今後、大きく増額となることはないと考えております。
〇飯澤匡委員 わかりました。
 順調に行っているというお話ですが、計画で言うと、2023年度一部給水開始予定となっておったはずですが、その計画で間違いないかどうか。
 そして、日量6万立米を予定している新浄水場ですが、これは、企業局長は名前を出しませんでしたが、キオクシア岩手のためにつくるわけです。その契約水量は年次ごとに2020年度以降、2025年度までどのように見積もっているのか示してください。
〇村上業務課総括課長 給水時期についてでありますが、2020年度は既設の浄水場の余力を使いまして給水を開始したというところでございます。
 新浄水場については、令和5年4月から日量約2万立方メートル、令和7年3月から日量4万立方メートル、2026年度から日量約6万トンを給水する予定としております。一部給水開始については、令和5年4月から、新浄水場から一部給水を開始する予定としております。
 企業の総契約水量についてでございますが、こちらについては、企業の経営情報に関係することから、答弁は差し控えさせていただきますが、ユーザー企業から提出された工業用水の使用計画等に基づきまして、段階的に施設整備を進めることとしておりますので、先ほど申しましたとおり、段階的に給水能力を整備していくこととしております。
〇飯澤匡委員 先ほど申し上げましたように、この日量6万立米については、キオクシア岩手の生産体制に合わせて、この新浄水場をつくるわけです。既存の給水事業もやっているわけですが、先ほど答弁があったように、今年度は給水を既存の浄水場の余力でやっていると。企業局の計算書には、今年度は前年に比べて1事業者減ったと書いてあるのですが、今後、総契約については、どういう見込みで、既存の給水状況についてはどのような方針で企業局としては考えているのか示してください。
〇菅原次長兼経営総務室長 契約水量の見通しでございますけれども、現在契約をしております既存のユーザー企業については、リサイクル技術というか節水の技術が進んできておりまして、契約水量がなかなか伸びにくい状況になっておりまして、キオクシアの業容拡大によって契約水量を伸ばしていくという考え方でございます。
 既存のユーザーについても、できるだけ水を使用していただくように働きかけながら、あるいは、キオクシアの関連の企業も見込まれますので、できるだけ水を使用していただくように努めていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 最後の問いになりますけれども、今、キオクシアはIPOを延期しましたね。ここでは余り詳しくやらないですけれども、ここの生産体制については、公開株式の新規買いつけでIPOの状況が非常に不透明な状況にあって、今は資産についても余りよくないという状況です。営業利益についても、2020年の3月は黒三角の1、700億円と。今、米中貿易摩擦の関係で、生き馬の目を抜くこういう事業環境ですから、もしや、今、ファーウェイの状況が悪化すると、中国が自国でそういう生産体制をつくるという選択肢もあるとも言われています。
 そうした中で順調にいくかどうかは、企業局とすれば、県の方針で決めていた企業誘致ですから、それに対応するという格好なのでしょうけれども、これも議決をしてしまいましたので、それに従っていくほかはないのですが、私自身もここで頓挫することを全く期待しているわけではなくて、順調にいくことを期待していますけれども、仮に、これが大変厳しい状況になったときに、6万立米にも及ぶものがなかなか契約水量にならないといったことも想定しなければならないと思うわけですが、その危機管理についてはどのような認識を持っていますか、それを示してください。
〇菅原次長兼経営総務室長 キオクシア岩手の生産体制の見通しでございますけれども、半導体関連産業につきましては、IoTやAIといった第4次産業革命技術や5Gの普及拡大などに伴い、今後も大きな成長が見込まれる産業と認識するところでございます。
 また、直近の状況といたしましても、新型コロナウイルス感染症の感染防止策としての在宅勤務やウエブ会議の拡大によりまして、パソコンや通信機器の需要が高まるなど、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響は、他の産業に比べて限定的と聞いているところでございます。
 しかし、長期的には、製品の需要の動向によりまして水需要が変動することも想定されますが、新浄水場につきましては、ユーザー企業から提出された中長期的な工業用水使用計画をもとに、今後の水需要を勘案して整備するものでございますし、また、この整備の目的は、産業振興の下支えをするインフラとして、産業振興や雇用の確保に貢献することでございますので、商工労働観光部や北上市と連携し、計画どおりに工業用水を使用されるようユーザー企業に働きかけてまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 今、そういう見通しだということを示されましたが、現在、非常に技術レベルが上がってきている。今のキオクシアの技術は、NANDフラッシュメモリーを新しく開発して、事業を他社より早くスタートさせた人たちの遺産だということで、競合他社に技術的になかなか追いついていないのが現状という指摘もあります。
 したがって、もう決めてしまったことですので、これはかなりの額の事業費を投入して、45年間で回収するという計画です。45年先はもう私は多分生きていないと思うので、危機管理をどうするかということもあわせてやっていかなければならない。その点についてはなかなか答えづらいかとは思いますけれども、一定程度見通しを持ってやらないとこれはだめかと思います。キオクシアの詳しい内容については、また、商工労働観光部で聞きますけれども、非常に困難な道も予想されることですから、それに対して、今の状況について、これから危機管理という点でどういうふうに考えているのか局長にお伺いします。
〇石田企業局長 危機管理ということでございます。企業局といたしましては、まずは、工業用水の供給を担うところでもございますので、企業が求める時期に、求める量を安心して安定的に供給できる体制をまずは常に整えておくことが使命であると考えております。
 一方で、今回のように多額の設備投資をする上で、安定経営の観点からは、ユーザー企業の需要を見きわめつつ、それに応じた整備もしていかなければならないのではないかと考えます。
 危機管理につきましては、その都度その都度ユーザー企業から、あるいは、商工労働観光部はもとより地元市町村と十分に連携を図りながら、このような設備投資、そして、我々の長期的な安定経営に努めてまいりたいと思っております。
〇飯澤匡委員 それは仕方ない答弁だと思いますが、これだけの設備投資をしたわけですから、これはただ応えていくという観点だけではちょっと物足りないと思います。
 電気事業はもうかっているので、10年すれば元を取るということにもなろうかと思いますけれども、それではちょっといかんと思うので、あくまでも企業局ですから、そこら辺はしっかり。これは、今回は指摘だけにとどめさせていただきたいと思います。
〇斉藤信委員 新浄水場建設事業の進捗状況について、私もお聞きをしたいと思います。今、飯澤委員が質問をしましたが、給水開始時期が令和5年で日量2万立方メートルでいいのですか。そして、2026年に6万立方メートルということでよろしいのですか。
〇村上業務課総括課長 新浄水場からの給水につきましては、2023年4月から日量約2万立方メートルを給水するという予定にしておりまして、最終的には、2026年3月から日量約6万立方メートルを給水する予定としております。
〇斉藤信委員 先ほどの答弁で、キオクシア岩手から中長期的な計画の提出を受けて、それを踏まえた浄水場建設だということです。そうすると、日量6万立方メートルというのは、今の規模の3倍になるのですか。3倍でいいのですか。
〇村上業務課総括課長 現時点の既設の能力としましては、給水能力が1日当たり3万7、298立方メートルですけれども、それが、プラス6万立方メートルが加わることになりますので、給水能力として6万トン加わりますので、約2倍がふえることになります。
〇斉藤信委員 わかりました。
 決算書を見ますと、昨年度は営業収益が、ユーザー企業の使用廃止に伴って前年度に比べ3、867万円余減少し、全体では4、126万円の減少になりましたが、このユーザー企業の使用廃止の供給水量は幾らだったのですか。
〇村上業務課総括課長 契約水量につきましては、企業の情報となりますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
〇斉藤信委員 実は、もう既にキオクシア岩手は稼働しているわけですね。3万7、298立方メートル今の段階で必要だと。これは使用廃止したところの給水で対応できるということだったのではないですか。
〇村上業務課総括課長 先ほどの給水能力につきましては、既設で3万7、298立方メートルでございますので、これの中の余力を使って、今、キオクシア岩手には給水をしているというところでございます。
〇斉藤信委員 3万7、289立方メートルは、今の供給水量ということですか。私がさっき聞いたのは、キオクシア岩手の今必要な給水量は幾らなのですかと聞いたのですよ。
〇村上業務課総括課長 大変失礼いたしました。先ほど申しましたのは、あくまでも既設の給水能力、既設の浄水場の給水能力として、日量3万7、298立方メートルと申し上げまして、キオクシア岩手が現在使用している水量というところは、やはり企業情報となりますので、答弁は差し控えさせていただきます。
〇斉藤信委員 私が質問したのは、新浄水場の給水が始まるのは令和5年4月からですから、令和5年4月までは、余力で対応可能だということですか。そして、規模が2倍になるとすると、最大規模日量6万立方メートルで、これが2倍になるのだと。そうすると、令和5年4月まで3万立方メートル必要だということになりませんか。
〇村上業務課総括課長 現在のところ、既設の給水能力で間に合っているところでございますが、ユーザー企業から提出されました使用計画に基づきまして、企業局で今後の水需要を予測いたしまして、令和5年4月から日量約2万立方メートルを増加すれば、必要な量が足りるというところで判断しております。
〇斉藤信委員 恐らく当初の計画は、昨年度ユーザー企業が使用廃止になった、撤退した、このことを見込まないでやったのではないでしょうか。
 だとすれば、今、日量6万立方メートルを供給すれば、その分、余ってしまうということになりませんか。
〇村上業務課総括課長 昨年度、大口のユーザーが撤退されたことで余力はふえました。さらに、ほかのユーザーからも増量とかの申し込みもございますので、全体の計画を見渡しまして、今のところ、令和9年3月からの日量6万立方メートルの給水能力は変わっていないというところでございます。
〇斉藤信委員 令和9年と言いましたが、前は2026年と言いましたよね。令和9年と2026年と一致しないのではないですか。
〇村上業務課総括課長 2026年度ということで、令和9年3月からということとなります。年度のほうということで、2026年度の令和9年3月から給水を開始したいということでございます。
〇斉藤信委員 日量6万立方メートルが本当に必要な量なのか。私は、計画そのものは、恐らく撤退した企業の分は入っていないと思うので、その分はどのぐらいなのかと聞きたかった。それが余剰なものになるのではないのかという質問です。それも答えられませんか。
〇村上業務課総括課長 当初は、新浄水場からの一部給水は、令和4年からを予定しておりましたが、今回、撤退された企業の量を勘案いたしまして、令和5年4月に変更したというところでございます。
〇斉藤信委員 質問と答弁がかみ合わないのだけれども、時間がもったいないので。
 それで、私は予算特別委員会のときにもお聞きしましたが、総事業費が先ほどの答弁のように176億円に、約30億円ふえました。そうすると、その投資回収時期、最終損益の見通しを改めてお聞きします。
〇村上業務課総括課長 投資回収時期についてでありますが、投資回収時期は令和48年度を見込んでおります。
 また、最終損益につきましては、施設整備の平均的な法定耐用年数である45年間では、約2億4、000万円の黒字を見込んでおります。
〇斉藤信委員 これも計算が違うのですね。令和48年に投資分の回収ができるというのでしょう。ことし令和2年ですね。そうすると46年かかるということですよ。ところが、45年間で2億4、000万円黒字になる。これは、45年後はいつですか。
〇村上業務課総括課長 45年後となりますと、令和49年となります。
〇斉藤信委員 これはなかなか厳しい投資の計画です。46年後の令和48年に投資の回収ができて、その翌年に2億4、000万の黒字だということなので、本当に飯澤委員が言ったように、我々はもう生きていないという、本当に我々が責任持てないような、収支の関係から言ったらかなり厳しい。
 同時に、岩手県の工業用水は、企業誘致と雇用確保という目標があるので、否定はしませんけれども、事業費が176億円になったことによって、この収支計画も、また、大幅に変わってしまった。本当に、きちんとこれを毎年毎年精査しながら進めていただきたい。
 次に、簗川発電所建設事業についてお聞きいたします。
 総事業費とダム負担金、事業計画はどうなっているでしょうか。
 あわせて、投資回収時期と最終損益の見通しも示してください。
〇山谷電気課長 簗川発電所の建設事業についてでありますが、現在の事業計画における総事業費は約17億円であり、このうち、簗川ダム負担金は約1億5、000万円となっております。
 今年度の事業としましては、発電所建屋新築工事及び水車発電機の製作、据えつけに取り組み、その後、各種試験を行って、令和3年度に運転開始を行う予定となっております。
 なお、事業を進める中で、取水設備の形状変更ですとか、落石対策工事の追加等が生じておりますので、今後、総事業費については精査することとしております。
 次に、投資回収時期と最終損益の見通しについてでございますが、簗川発電所の投資回収時期は、令和3年度の運転開始から9年目となります令和11年度を見込んでおります。固定価格買取制度の買い取り期間である20年間の収支は、約22億円の黒字を見込んでおるところです。
 また、この固定価格買取制度が終了した後におきましても、適切に維持管理を行いながら運転を継続して、十分な収益を確保していくよう努めてまいる所存でございます。
〇斉藤信委員 投資回収時期は運転開始から9年目、20年間で22億円の黒字ですから、私は、これはかなり確実な見通しの持てる事業だと。だから、これと比べても新浄水場建設は、かなりリスクの高いものだということも、改めて、私、指摘しておきたいと思うのです。
 最後の質問です。企業局は今後さまざまな再開発事業に取り組もうとしています。胆沢第二発電所、入畑発電所、稲庭高原風力発電所。この再開発事業の事業費、投資回収時期、最終損益、それぞれ示してください。
〇石川発電所再開発推進課長 胆沢第二発電所の再開発事業についてでありますが、事業費は税込みで約43億円であり、投資回収時期は令和8年度の運転開始から12年目の令和19年度を見込んでおります。また、固定価格買取制度の買い取り期間であります20年間の収支は、約38億円の黒字を見込んでいるところでございます。
 次に、入畑発電所の再開発事業でございますが、事業費は税込みで約19億円でございまして、投資回収時期は令和7年度の運転開始から21年目の令和27年度を見込んでおります。また、同じく、固定価格買取制度の20年間での収支は、約8、000万円の黒字を見込んでいるところでございます。
 稲庭高原風力発電所の再開発事業でございますが、事業費は税込みで約9億4、000万円を予定しておりまして、投資回収時期は令和3年度の運転開始から16年目の令和18年度を見込んでいるところでございます。また、固定価格買取制度20年間の収支は、約2億9、000万円の黒字を見込んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 胆沢第二発電所は、20年間で約38億円の黒字と、これはかなりの見通しがあるのですけれども、入畑発電所の場合は、20年間で約8、000万の黒字という、かすかすですね。入畑発電所はなぜこんなに効率がよくないのか、そのことを示していただけますか。
〇村上業務課総括課長 その収益性の違いについてでございますが、胆沢第二発電所につきましては、売電単価が1キロワットアワー当たり20円で売電する予定としております。一方、入畑発電所におきましては、売電単価は、1キロワットアワー当たり14円を予定しておりまして、こちらは固定価格買取制度の買い取り区分が異なっているということで、売電単価の違いが生じている。このことから収益性に違いが生じているところでございます。
〇斉藤信委員 これで最後にしますけれども、入畑発電所は全く新規ですか。これは再開発だから、改修ということになるのですか。
 今までも売電単価は安かったということですか。
〇村上業務課総括課長 入畑発電所につきましては、既設がございまして、そちらの水車発電機、主に電気設備を一式更新という工事になっております。
 売電単価につきましては、昨年度までは東北電力に売電していたということで、固定価格買取制度の単価よりは安い金額で売電していたところでございます。
〇菅野ひろのり委員長 おおむね再開後1時間半が経過していますが、この後質疑を表明している委員があと二人となっていることから、質疑を継続したいと思いますので、御了承を願います。
〇小林正信委員 私からは、盛岡市の御所ダムにかかわるダムの使用権の移転についてお伺いします。
 岩手県は盛岡市の御所ダムの水源などについて、岩手県に移転する契約を結んだと理解しております。この水源が主に北上市などの工業用水に活用されるということですけれども、まず、この契約までの概要についてお伺いいたします。
〇村上業務課総括課長 これまでの概要についてでありますが、新浄水場の給水能力は日量約6万立方メートルを予定しており、これに見合う新たな水源を確保する必要があったことから、盛岡市が保有する御所ダムの使用権、日量6万4、800立方メートルを譲り受けることとし、本年6月、御所ダムに係るダム使用権の移転等に関する基本協定書及び契約書を締結しております。
〇小林正信委員 わかりました。
 盛岡市としては、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う緊急経済対策で、水道料金の基本料金を2カ月分減免したのですけれども、この減免に当たって、県からのダム使用の移転の保証金を見込んでこれを行ったということで、市側としても、かなり可能な限り早い段階で保証金が必要なのだろうと思うのですけれども、この支払いについて、いつごろを予定しているのかお伺いできればと思います。
〇村上業務課総括課長 支払い時期についてでございますが、盛岡市との間で締結しました契約書では、国の許可が得られた後、令和3年3月末日までにお支払いすることとなっております。
 現在、国へのダム使用権の移転許可申請等を行っているところであり、国の許可が得られ次第対応していくこととしております。
〇小林正信委員 わかりました。
 次に、企業局のさまざまな事業とか必要性をアピールする上で、県民の皆様に対する施設見学の実施が有効と考えております。私も数年前、岩洞第一発電所を見学させていただきましたけれども、インクラインというケーブルカーで地下300メートルまで移動して、貴重な体験をさせていただきました。近年、暮らしを支える特色あるインフラ施設を観光資源として活用するインフラツーリズムという考え方に注目が集まっております。
 国土交通省では、観光客の誘致に成功している各地の先進事例を分析し、国や地方自治体の施設管理者が観光協会やNPO等と連携する際の手法を示すノウハウ集を作成し、先進地域から各地域へのインフラツーリズムの波及を目指す考えだそうであります。
 企業局においても、令和元年度はバスツアーを企画するなどの意欲的な取り組みを行っておりますけれども、このインフラツーリズムという観点から、今後の展開についてのお考えをお聞かせいただければと思います。
〇菅原特命参事兼経営企画課長 発電所の見学についてでございますけれども、これまで企業局では、事業の理解促進を目的といたしまして、地元自治会や小中学校などの団体による施設見学を随時受け入れるとともに、国や県のダムのイベント等と連携いたしまして、発電所公開を実施してきたところでございます。
 また、一般向けには、平成17年度からバスツアー方式による施設見学会を毎年1回程度開催しております。令和元年度までに、2、058名の参加をいただいているところでございます。
 今年度は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、現地集合で開催し、102名の参加をいただき、岩洞第一発電所におきましては、受付開始後直ちに定員枠に達したというところでございます。参加者の9割以上の方々から満足という評価をいただいておりまして、手応えを感じているところであり、これらの成果を踏まえつつ、今後においても、各種イベントなどとの連携を図りながら、効率的なPRに向けて工夫をしてまいりたいと考えております。
〇上原康樹委員 私は、風力発電の環境整備について伺いたいと思います。
 まず、電力全体の質問から始めたいと思います。水力、風力、太陽光、自然エネルギーを生かした岩手県の発電所は広大な範囲に点在しております。全ては遠隔監視制御、つまり無人の発電所ばかり。昨年度、心配されるトラブルはなかったでしょうか。もし、あれば、その事例を御報告ください。
〇山谷電気課長 昨年度の施設総合管理所における集中監視制御システムの故障等についてでございますが、多少の故障といいますか、一時的な故障はございましたが、二重化されているといったところから、いわゆる電力の供給及び契約相手とのやりとり等について、特に支障になった事例はございません。
〇上原康樹委員 精密機械もありましょうし、システムの更新も予定されていると思います。昨年度のシステムの更新がありましたら、お示しください。
〇山谷電気課長 集中監視制御システムにおきましては、直近ですと平成26年度に更新しておりまして、それ以降は、毎年、定期的な部品の交換等、保守業務、点検を行っているところでございます。
 令和元年度におきましては、約164万円ほどの保守費用を費やしまして、今、維持管理等を行っておりますが、いずれ万全の体制を整えているところでございます。
〇上原康樹委員 話を風力発電に絞ってまいります。企業局の風力発電の決算額11億2、600万円余、支出の面で、私、ずっと環境についてはどういうお金の使い方をしているのだろうかと探しておりましたら、風力発電施設の環境整備委託費というのがありました。稲庭高原に137万円余、高森高原に988万円余、合計1、125万円余という、それほど膨大な金額ではないのですが、その内容はどんなものでしょうか。
〇山谷電気課長 風力発電所におきます維持管理費用についてでございますが、先ほど委員がおっしゃられたとおり、令和元年度におきましては、稲庭高原風力発電所で137万5、000円、高森高原風力発電所で980万円余という費用になっておりますが、この内訳につきましては、主に風車周辺の草刈り業務や除雪業務、こういったものに維持管理費として費やしているところでございます。
〇上原康樹委員 草刈りや除雪とか、非常に基本中の基本というところに環境整備というお金が出ていっているわけです。
 さらにもうちょっと突っ込みますと、牧野組合との契約でこの風車を建てさせてもらっているわけですから、借地料が発生していると思います。昨年度どのぐらい支出されましたか。
〇山谷電気課長 昨年度の借地料につきましては、稲庭高原風力発電所が約30万円余となっております。高森高原風力発電所につきましては319万円余という支出になっております。
〇上原康樹委員 壮大な風車に比べますと、その支出額、管理に関しては、やや控え目な印象もありますけれども、ただ、この風車の群れに関してのお金の使い方ですね。今のところ、ある意味最低限の支出で運営しているという印象がありますが、もう少し頑張っていただきたいという角度もございます。
 稲庭高原と高森高原、風車が建つ場所は広々とした高原でございまして、多くは牧草地帯、開放的で見晴らしが大変よろしい。かなたの山並みまで見渡せる爽快な場所でございます。なだらかな起伏の丘が回り舞台のように続き、そこに純白の風車が見事なアクセントになって風を受けとめ、回っています。
 これは、岩手を象徴する景観、知る人ぞ知る第一級の観光スポットでございます。このすばらしい景観を求めて、地元はもちろん他県からも幾度も足を運ぶ人々は決して少なくありません。そうした人々のために、風車周辺の草刈りばかりではなくて、展望場所、駐車スペース、移動のための通路、ささやかな遊歩道などでしょうか。どうなっておりますか。昨年度の実績を御報告いただきたいと思います。
〇山谷電気課長 風力発電施設周辺の環境整備についてでありますが、稲庭高原風力発電所及び高森高原風力発電所は、地元の牧野組合から牧草地を借用して設置しているものでありますが、稲庭高原風力発電所におきましては、風車を間近で見られるよう、2号風車の真下まで遊歩道を整備しているところでございます。
 また、高森高原風力発電所については、発電所建屋の2階に、風車が一望できる展望テラスを設けまして、自由に見学ができる環境を整えましたほか、この建物の外壁は、隣接する観光天文台と調和する色合いとしております。
 さらに、建設に当たりまして、企業局としては初めてとなる発電所の愛称を設けることとし、地元の小学生に星風の丘と名づけてもらうなど、地域に親しまれる発電所となるよう努めてきたところです。
 昨年度につきましては、先ほどもお話ししました周辺の草刈りなど、施設の適切な維持管理に努めるとともに、施設見学会を実施しまして、多くの方に来ていただいており、引き続き、地域からの御要望を踏まえながら、風力発電施設が観光資源とか環境教育の場として有効に活用されるよう取り組んでまいりたいと思っております。
〇上原康樹委員 星風の丘、建屋2階のテラス、私も先日行ってまいりました。すばらしい景観で、言葉を失って、1時間ほど立っていました。浄法寺に向かって2列に風車がずらりと、全部で11基行列している。すばらしい風景です。あの建屋は確かに発電施設の一つではあるのですが、そうした観光面もきちんと配慮しているということがよくわかりました。すばらしいです。
 ただ、一つ一つの風車を見て回りますと、牧野の片隅にちょっと殺伐な空気をたたえながら風車がぶぉんぶぉんと回っている。でも、わかる人はわかるのです。その風車の下に本当に草地に毛が生えた程度のスペースに車をとめてじぃっとたたずんでいる人が何人もいました。
 こうした風車を電力生産の施設としてだけではなく、稲庭高原、電力風車を持つ高原の全体のイメージとして、やはり憩いの場、観光の場としての風車、高原という一体的なイメージを持っていただいて、その環境整備をできないものとかいう思いもあります。
 例えば具体的に、第6風車、その2列の風車の列の一番奥に、かつてオープンしていたレストハウス、トイレも完備していますが、今は使われておりません。再利用の発想はございますか。
〇山谷電気課長 委員御指摘のレストハウスでございますが、現状、通年では使用されていないということは一戸町からも聞いているところでございますが、今年度は中止になりましたが、年1回の高森高原祭り等では、あそこを拠点として、地元の方がみんな集まってきて、お祭りをやるという取り組みもしておりますので、我々としても、一戸町ですとか、地元の牧野組合などからの御意向も伺いながら、必要に応じてそういった施設の整備についても検討していきたいと考えているところでございます。
〇上原康樹委員 そういう単発的なことではなく、恒常的に、常に、高森高原、そして風車という、このすばらしいスポットを皆さんが利用できるようなイメージをお持ちいただきたいと思います。
 こういう話をするほどに、コロナ禍の今、風車と高原というのは非常に有効な場所のように思えます。人でごった返す観光地よりは、広大で豊かな自然に向き合える時間は心の宝になるのではないかと思います。そういう宝が岩手県には無尽蔵です。大々的にお金をかけるのではなくて、風車の近くに安心して立ち寄り、過ごせるささやかな環境を整えることにも意味があるものと思います。岩手ファン拡大にもつながると思います。
 企業局の御所見を伺いたいと思います。
〇石田企業局長 ありがとうございます。私も今年度高森高原、そして稲庭高原へ、恥ずかしながら初めて行きました。とてもいい風景だなと思いましたし、今、委員おっしゃられたレストハウスについても、私も少し見させていただいたところでございます。展望台の中についても、もう少し充実したほうがいいのではないかというお話もさせていただいたところです。
 いずれ、今、委員から御提案のあったお話について、地元、それから、牧野組合等々と相談、連携しながら、コロナ禍で、改めて、このような風景が多分期待されていると思いますので、企業局としても、工夫して取り組んでまいりたいと考えております。
〇上原康樹委員 できる限り低コストで電気をという目標が最優先されることは理解しております。岩手県の自然や風景を楽しもうとする人々のための風車の周辺整備は、企業局のこれはもう守備範囲を超えてくるものと思います。
 ここでこそ部局の壁を越えて連携すれば実現する可能性もあると思うのですが、部局横断のイメージ、構想、企業局長としていかがでしょうか。
〇石田企業局長 これから来年度、あるいはそれ以降もございますが、予算編成もございます。部局連携ということで、こちらは地域に密着していることもございますので、例えば広域の連携事業ということも考えられると思いますので、いずれ、部局に声をかけながら、工夫していければと思っております。
〇上原康樹委員 高森高原発電所の愛称が星風の丘。これは発電所が地域住民の皆さんにとってより身近で親しみやすい存在となるようにということで、一戸町の小学生の皆さんを対象に愛称を募集しました。その結果、星風の丘、この愛称はきれいな星空とやわらかい風に丘の草が揺れるイメージをあわせて考えられたと聞いております。
 もうこういうイメージができ上がっている。人のためになる風力発電所、それをぜひ部局横断で、みんなで力を合わせて少しでも形になるように実現していただきたいと思います。
〇菅野ひろのり委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇菅野ひろのり委員長 質疑がないようでありますので、これで企業局関係の質疑を終わります。企業局の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で、本日の日程は全部終了いたしました。
 本日は、これをもって散会いたします。
午後6時14分 散 会

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