令和2年9月定例会 決算特別委員会会議録

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令和2年10月16日(金)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
議事管理担当課長 藤 枝   修
主任主査 千 葉 絵 理
主任主査 糠 森 教 雄
主査 鈴 木   忍
主査 阿 部 真 人
主査 赤 坂 宏 紀
主査 鈴 木 貴 博
1説明員
ふるさと振興部長 佐々木   淳
副部長兼ふるさと
振興企画室長兼
県北・沿岸振興
室長兼台風災害
復旧復興推進室長 箱 石 知 義
地域振興室長 小野寺 宏 和
国際室長 小 國 大 作
交通政策室長 高 橋 利 明
科学・情報
政策室長 古 舘 慶 之
参事兼調査統計課
総括課長 千 葉 達 也
ふるさと振興
企画室企画課長 川 村   守
市町村課
総括課長 松 村   達
学事振興課
総括課長 中 里 武 司
地域企画監 畠 山   剛
地域振興課長 熊 谷 克 行
自治体協働課長兼台風災害復旧復興推進室特命参事兼
台風災害復旧復興推進課長 千 葉   実
県北振興課長 本 多 牧 人
特命参事兼
沿岸振興課長 高 橋 則 仁
地域交通課長 小野寺 重 男
空港振興課長 小笠原   徳
特命参事兼
科学技術課長 佐 藤   聡

選挙管理委員会
事務局書記長 松 村   達

復興局長 大 槻 英 毅
技監兼副局長 遠 藤 昭 人
副局長 菊 池 芳 彦
副局長兼震災津波伝承課総括課長 熊 谷 正 則
復興推進課
総括課長 大 坊 哲 央
まちづくり・産業
再生課総括課長 阿 部   博
生活再建課
総括課長 佐 藤 朝 則

ILC推進局長 高 橋 勝 重
副局長兼事業
推進課総括課長 高 橋   毅
企画総務課
総括課長 箱 石 知 義
企画総務課
企画課長 川 村   守
企画総務課
管理課長 多 賀   聡
計画調査課長 澤 田   仁

警察本部長 大濱健志
警務部長 大 塚 健 滋
生活安全部長 小田島 洋 憲
刑事部長 新 家 勝 昭
交通部長 佐々木 雅 夫
警備部長 石 川   康
警務部参事官兼
首席監察官 阿 部 裕 一
警務部参事官兼
警務課長 玉 澤 賢 一
警務部参事兼
会計課長 米 沢 寿 彦
生活安全部
参事官兼生活
安全企画課長 菅 野 一 也
刑事部参事官兼
刑事企画課長 中屋敷 修 二
交通部参事官兼
交通企画課長 藤 原   剛
警備部参事官兼
公安課長 田 村   剛
総務課長 永 澤 幸 雄
交通規制課長 佐 藤   普

会計管理者 永 井 榮 一
会計課総括課長兼
会計指導監 大 塚 貴 弘

監査委員 寺 沢   剛
監査委員 沼 田 由 子
監査委員事務局長 小 畑   真
参事兼監査第一課
総括課長 小 守 健 一
監査第二課
総括課長 佐々木 昭 司

参事兼財政課
総括課長 小 原 重 幸
〇菅野ひろのり委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、議案第37号及び議案第38号の以上17件を一括議題といたします。
 本日は、ふるさと振興部、復興局、ILC推進局及び警察本部関係について、延べ24人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしましたので、議事進行に御協力をお願いします。
 なお、関連質疑については、その日の質疑の目安時間にかかわらず関連質疑の目安時間を10分とすることにしておりますので、あらかじめ御了承願います。
 また、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、新型コロナウイルス感染症対策として、換気のため、午前は1回、午後はおおむね1時間半ごとに休憩いたしますので、御協力をお願いいたします。
 初めに、ふるさと振興部長にふるさと振興部関係の説明を求めます。
〇佐々木ふるさと振興部長 それでは、令和元年度のふるさと振興部関係の決算につきまして御説明申し上げます。
 まず初めに、ふるさと振興部所管の事務事業に係る総括的な評価と今後の取り組み方針につきまして、恐縮でございます。資料がございませんが、御説明申し上げたいと存じます。
 まず、東日本大震災津波からの復旧、復興への取り組みにつきましては、復興の姿を発信し、国内外の防災力向上に貢献する三陸防災復興プロジェクト2019の開催や被災地域を運行するバス路線の維持を図るための支援、被災地の子供たちの学びの支援等を行ってまいりました。
 また、令和元年台風第19号災害からの復旧、復興への取り組みとして、令和元年台風災害復旧復興推進本部会議の開催等による各部局の施策の調整、進行管理や、甚大な被害を受けた三陸鉄道への復旧支援等、早期の復旧、復興支援等を行ってまいりました。
 次に、いわて県民計画(2019~2028)に掲げる取り組みにつきましては、広域振興局体制のもと、市町村や県民と連携し、各圏域の目指す将来像の実現に向けた取り組みを行ってまいりました。特に県北、沿岸圏域の振興に向けて、大学等と連携し、地域課題の解決や産業振興に向けた調査、研究のほか、三陸防災復興プロジェクト2019等を契機として生み出される効果を持続するための取り組み等を行ってまいりました。
 また、地域コミュニティーの再生、活性化に向けた取り組みの支援のほか、国際交流の分野におきましては、海外とのネットワークの形成や関係機関と連携して多文化共生の推進等に取り組んでまいりました。
 また、公共交通、情報基盤の分野におきましては、岩手県地域公共交通網形成計画に基づき、市町村における地域事情に応じた交通体系の構築を支援するなど、公共交通の維持、確保と利用促進に取り組んでまいりましたほか、携帯電話の利用可能地域の拡大に対する支援、ICT利活用の促進などに取り組んでまいりました。
 また、教育の分野におきましては、県内高等教育機関と連携した共同研究や岩手県立大学における取り組みへの支援等のほか、各私立学校の特色ある教育活動の支援等に取り組んでまいりました。
 今後におきましても、引き続き、政策評価制度に基づきまして各施策の成果や課題等の検証を行い、その結果を新規施策の展開や既存施策の見直し等に適切に反映させていくなど、より効果的な政策の推進に努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、決算の概要について御説明申し上げます。
 なお、昨年8月には、ILC関係業務につきまして新設されたILC推進局へ移管したほか、本年4月の組織再編に伴いまして、ふるさと応援寄付関係業務につきましては総務部から当部へ移管され、北上川バレープロジェクト関係業務につきましても商工労働観光部から当部へ移管されました。
 また、政策立案、評価等関係業務につきましては、当部から新設された政策企画部へ移管したほか、対外戦略関係業務につきまして商工労働観光部へ移管しておりますので、ただいまから御説明申し上げますのは、現在、ふるさと振興部が所管しております内容であることを御了承願います。
 それでは、お手元の令和元年度岩手県歳入歳出決算書の12ページと13ページをお開き願います。ふるさと振興部関係の決算につきましては、2款総務費のうち、1項総務管理費、2項企画費、3項徴税費、4項地域振興費の一部、5項選挙費及び7項統計調査費、それから、14ページと15ページに参りまして、7款商工費のうち1項商工業費の一部、10款教育費のうち1項教育総務費の一部、8項大学費、それから、16ページと17ページに参りまして、9項私立学校費、11款災害復旧費のうち5項教育施設災害復旧費の一部、及び6項鉄道施設災害復旧費でありますが、これらの支出済総額は191億1、191万円余でございまして、翌年度への繰越額は10億6、161万円余、不用額は7億977万円余となっております。
 決算の内容につきましては、令和元年度歳入歳出決算事項別明細書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議のほどお願いいたします。
〇菅野ひろのり委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇五日市王委員 選挙管理委員会事務局にお伺いをいたします。
 昨年9月には、知事、県議会議員選挙が行われましたが、本年1月に二戸選挙区において県政史上初となる再選挙が行われました。その際の、選挙の執行額をお示し願います。
〇松村選挙管理委員会事務局書記長 令和2年1月19日執行の岩手県議会議員二戸選挙区再選挙に要した経費についてでございますが、決算額ベースでは3、780万円余となっております。
 その主な経費の内訳についてでございますが、選挙事務に係る人件費など、当該選挙区の市町への交付金が3、150万円余、候補者のポスター作成費などに係る選挙公営費が250万円余、投票用紙や選挙公報の印刷等、県の事務費等が360万円余となっております。
〇五日市王委員 この再選挙は御案内のことと存じますが、政党の公認候補が無投票当選の立候補の要件である投票日前3カ月以上の居住実態が認められないとして、当選無効となったことに伴い行われたものであります。
 居住実態の要件は立候補する側にすればイロハのイでありますが、この要件を満たさず、結果として再選挙となり、約3、800万円もの税金が使われたことに地元有権者は厳しい目を向けたものと受けとめております。
 残念ながら、こうした事案は全国的にも複数の例があり、住所要件に係る公職選挙法の改正が行われたとお聞きしておりますが、その内容についてお示し願います。
〇松村選挙管理委員会事務局書記長 今、委員からお話のございました令和2年9月10日に施行された公職選挙法等の一部改正についてでございますが、当該改正内容につきましては、従来から立候補の届け出に際しまして、候補者が提出することとなっております宣誓書において、新たに住所に関する要件を満たすものであると見込まれるということが追加されまして、令和2年9月10日から施行されたところでございます。
〇五日市王委員 居住要件が厳格化されて、罰則規定も設けられたということは、これは大変重いことだと思いますが、ただ、自己申告という点では変わっていないと思います。
 本来であれば、本人または政党関係者等でチェックすれば事足りる案件ではあったと思いますが、一方で、事前に居住実態をチェックするシステムがあれば、こうした事態を未然に防ぐことも可能ではないかとも考えるところでもございます。
 そういったことも含めて、県独自でこういった案件を受けて、何か対策のようなものを考えているのかどうか。さらに、他県でそういった例があればお示しもいただきたいと思います。
〇松村選挙管理委員会事務局書記長 住所要件を満たさない方が立候補することへの県独自の対策についてでございます。まず、現在の県選挙管理委員会の実施内容でございますが、選挙の住所要件の確認につきましては、立候補届け出の受け付けに際しまして、候補者から提出をいただいた届け出書と住民基本台帳のネットワークで住所等を確認いたしますので、これを突合しまして、住所要件を満たしているか確認を行っているところでございます。
 近隣の道県に確認をしましたが、おおむね同様の審査の手続をしているということでございます。
 しかしながら、委員からお話がございましたとおり、今回こうした事案が発生したということで、私どももさらに周知をしていかなければならないと考えております。今後、公職の候補者の方々等に対しまして、選挙時の立候補届け出等の説明会の際に、住所要件の具体的な考え方とか、あるいは、今般の法改正の内容等について周知徹底を図りまして、適正な選挙事務の執行に努めてまいりたいと存じます。
〇城内よしひこ委員 私からは、光ファイバーの県内の状況についてお伺いしたいと思います。
 高速通信の条件不利地は、現在、県内にどれぐらいあるのか、また、今後の見通しについてどういう手段で解決していくつもりなのかお伺いしたいと思います。
〇古舘科学・情報政策室長 光ファイバーの県内整備状況についてでございますが、総務省が直近で公表しております平成30年度末時点の光ファイバーの利用可能世帯率は95.5%となっております。
 今後の見通しでございますが、国では、新型コロナウイルス感染症対策を進めるために必要な情報通信基盤の整備が急務という考え方から、令和3年度末を目途に、おおむね全ての地域の光ファイバーが整備されるよう、今年度2度の補正予算により支援制度を拡充したところでございます。
 県におきましては、この国の制度の活用を事業主体である市町村や通信事業者に対しまして積極的にこれまで働きかけておりまして、来年度末にはほぼ県内全てのエリアでブロードバンドの利用の環境が整備されると見込んでおります。
〇城内よしひこ委員 今後、高速通信ができるようになって、では、どうするかということに今はなるわけですけれども、先ほどもお話しいただきましたが、アフターコロナを見据えていろいろな使い方、可能性が出てくると思います。移住、定住を含めて、そういった方向も視野に入れた活動、行動が必要になろうかと思います。それはいわて県民計画(2019~2028)にも影響する部分ではないかなと思いますし、そういったことを積極的に取り組んでほしいと思います。
 そこでベースになるのは、日々そこに住んでいる方がどういうふうに利用するかということも実は大きな問題です。県北に市町村要望調査にお伺いした際に、せっかく光ケーブルを引いたけれども、周りにはじいちゃん、ばあちゃんしかいない。宝の持ち腐れだという話をある首長がしておりました。とするならば、そういったことも解決するいろいろな可能性が出てくるわけですので、例えば医療、福祉もそうであります。
 以前、徳島県に視察に行った際に、葉っぱビジネスというのをやっていました。じいちゃん、ばあちゃんがタブレット端末を持って商売をしているのです。そういうことも実はその地域にとっては利活用の場として出てくるのではないか、そういう方向で取り組みをするべきではないかなと思いますが、そういう考えについて、県はどのように考えているかお伺いしたいと思います。
〇古舘科学・情報政策室長 光ファイバーを使った超高速インターネットは、今、御指摘のありましたとおり、地域の課題解決、例えば、高齢者の見守りとか、それから、農林水産業におけますスマート化とか、あとはテレワークとか、さまざまな分野におきまして解決の手段となるものと考えております。
 このため県では、ICTの利活用に関しまして、地域課題を解決するために支援を行う県独自のアドバイザー制度もつくりましたので、市町村に対してもさまざまな支援を行いまして、光ファイバーの利用促進を図ってまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 ぜひ、積極的にそういったことに取り組んでいただきたいと思います。
 次に、携帯電話の不感地域についてお伺いします。これは一般質問でも取り上げさせていただきましたけれども、不感地域はあとどれぐらい残っているのか、その改善策は今後どういうふうにとっていくのかお伺いしたいと思います。
〇古舘科学・情報政策室長 携帯電話の不感地域につきましては、令和2年3月末現在で21市町村164地区となっております。
 これまでの改善としましては、令和元年度には2市町2カ所、今年度は4市町6カ所の整備を推進しております。
 今後の見通しでございますが、国のICTインフラ地域展開マスタープランでは、居住エリアのエリア人口を2023年度末までに全て解消するとしておりまして、私ども県や市町村が毎年度行っております調査においても、携帯電話事業者からは整備の意向があると確認しておりますので、2023年度末までに居住地域のエリア外人口は解消されると見込んでおります。
 また、非居住エリアにつきましては、今年度の国の制度の見直しによりまして、一定交通量のある道路等の非居住エリアについても補助対象とされたところでございますので、現在、市町村と連携いたしまして、補助事業の活用に向けての整備検討を行っているところであり、通信事業者に対してもさらに要望を行うなど、その解消に努めてまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 今回、東日本大震災津波を機に道路網が急ピッチで整備されました。その中で、県が管理する道路は比較的携帯電話が通じないところが多い。国直轄でやったところは、ほぼ携帯電話が通じるのです。ということになると、皆さんの部局と道路を整備する部局である県土整備部と、少しやりとりをしながら課題解決をしていくべきだったのではないかなと思います。
 ちなみに一般国道106号は、天皇陛下が大槌町にいらした際に、携帯電話の不感地帯が一気に解消されました。そういったことは多分今後ないとは思いますが、今後、携帯電話は何かあった場合にはとても大事なものです。最近、山に行って熊に襲われる方々もいますので、そういった方々が救助を求める際にも十二分に役に立つツールです。そういったことも含めて住みやすい岩手県にしていくというのが、多分ふるさと振興部の果たす役割ではないかなと思いますが、部長、その辺いかがでしょうか。
〇佐々木ふるさと振興部長 議員の問題意識は全くもって共有しております。現在、不感地域につきましても、例えば道路でありますと1日5台以上の通行量がある場合には国の補助の対象にするといった見直しもございます。市町村も同じような課題をやはり抱えておりまして、市町村ともども、今、相談しながらどのように整備していくか努めております。
 不感地域解消に向け私ども努力してまいります。ぜひとも御支援のほど、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
〇城内よしひこ委員 では、よろしくお願いします。1日5台というのも、実は、今後、岩手県にとってはノルマが高くなってきます。運転免許証の返納というのがあって、車がなかなか通らない地域もふえてきますので、ぜひ、そういったこともどこか頭の隅に入れながら、思いやりのある政策実現をお願いしたいと思います。
〇小野共委員 私からも何点か質問をさせていただきたいと思います。
 ふるさと納税の三陸鉄道分の寄附の県の使い方についてお伺いしたいと思います。今、ふるさと納税は、県が窓口となって三陸鉄道分の寄附を集めております。2008年からふるさと納税制度が始まりまして、三陸鉄道の支援という名目がふるさと納税の中に入ったのが平成28年度からでありました。平成28年度から4年がたつわけでありますが、この金額が結構な金額になっております。三陸鉄道分の寄附が、平成28年度の初年度は少なかったのですけれども、87万円、平成29年度が2、426万円、平成30年度が506万円、そして、令和元年度、今、決算状況をやっているところですが、1、862万円という結構な額がふるさと納税で入っております。
 このふるさと納税の県の使い方にちょっと異議がありまして、きょうはそのことをお伺いしたいと思います。ふるさと納税、三陸鉄道分の寄附は、全国あるいは県内の寄附者の方々が、三陸鉄道はもとより、県及びその沿線市町村のために公平に使っていただきたいという思いで恐らく寄附をしているのだろうと思います。
 これを前提にして、今の県の三陸鉄道分の寄附の使い方ですが、三陸鉄道強化促進協議会を立ち上げておりまして、この収入が、県と沿線市町村2分の1、2分の1で、大体県2、000万円、そして、沿線市町村が2、000万円で、4、000万円の収入で事業をしております。この三陸鉄道強化促進協議会という協議会の事業は、鉄道の整備、そして、利用促進が大きな目的になっておりまして、三陸鉄道のPRとか、三陸鉄道の利用者の負担の補助とか、そのイベントの企画とかをやっているのですが、繰り返しになりますが、その収入は県と沿線市町村から2分の1、2分の1で支出されております。ちなみに、令和元年度のその協議会の決算の状況が、県から2、600万円。600万円は後で、令和元年台風第19号の被害で600万円増額したのですが、大体2、000万円、そして、市町村も2、000万円ということになっております。
 去年の三陸鉄道分の寄附の1、862万円、県がホームページで集めた全額が、県のこの2、000万円の負担金の中に入っております。つまり、市町村の負担金2、000万円は、市町村にとっては全額一般財源から出ているのですが、県の負担金2分の1、2、000万円のうち三陸鉄道分の1、862万円全額が県の負担金として協議会に行っております。つまり、県の純粋な持ち出しはその残額だけでいいということになっております。
 これは、三陸鉄道のふるさと納税に寄附した方々にとってみれば、何で県だけにその恩恵が行って市町村には行っていないのだろうということを思うであろうし、実は、その沿線市町村の方々から、これはちょっとないのではないのかと、どうして県だけが三陸鉄道分のふるさと納税の寄附を利用できるのだろうかという話が実は私のところに来まして、なるほどと思って調べてみたらこういうことになっておりました。
 その使い方とすれば、三陸鉄道強化促進協議会の収入から、最初に例えば三陸鉄道分の寄附を入れて、その残りの金額を県が2分の1、市町村が2分の1となるのが公平だと言えばより公平な使い方だと思うのです。公平な使い方という観点について、当局は、実はこの協議会の収支について、基本的に今まで三陸鉄道分の寄附は、この4年間ずっとそういう使い方をしてきたのです。この公平感について、ちょっと当局の見解を聞かせていただきたいと思います。
〇小野寺地域交通課長 三陸鉄道に対するふるさと岩手応援寄付の使い方、我々の認識というところでございますが、今、委員からお話をいただいたとおり、これまでは、基本的に、主に県の協議会負担金に充当してきたところでございます。
 今年度、先ほど委員からもお話のありましたとおり、沿線市町村から、そういった使い方はどうなのかといったような御意見もお寄せいただいたところでございます。
 あわせて、寄附いただいた方からも、もともと予定していた額、そこに充当するだけではなくて、寄附した額に連動して、その利用促進のための事業費がふえるような形、そういう形も必要ではないかといったような御意見もあわせていただいております。
 したがいまして、ふるさと岩手応援寄付を活用する、その具体的な方策については、そういった寄附をいただいた方の意向ですとか、沿線市町村等の関係する方々等の御意見等も踏まえて、今後、どのような形で活用していくか。いずれ三陸鉄道の利用促進支援に活用していくことが最も重要かと考えておりますので、そこの部分、どのような方策がふさわしいのかといったようなところを検討する必要があると考えておりまして、今、実際に今後に向けて検討を進めているという状況でございます。
〇小野共委員 どうですか、今後の進捗、もう少し具体的な話を聞けないですか。次はこうしたいであるとか。今の使い方がある程度の公平性を欠いているということは恐らくそのとおりなのだろうと思います。そこをもう少し明確に答弁をいただいて、その上で、今後このように使っていきたいというような話が、もう少し詳しいことを聞かせていただきたいと思います。
〇小野寺地域交通課長 具体的にどういった形になるのかといったようなことは、いろいろ調整をすべきところがありますので、こういう方向でというところまで、きょうの時点でちょっとお話しすることは難しいとは思いますが、いずれ、沿線市町村からの公平性という御意見もございますし、寄附をいただいた方からは、プラスアルファでの事業の取り組み、そういったものに使ってほしいといったような御意見等もございますので、そういったものが実現できるような形で我々は考えていきたいと、今、検討を進めているところです。
〇小野共委員 よしとしましょう。
 ちょっと引っ張りますけれども、例えば、この9月8日の臨時会で可決しました三陸鉄道運行支援交付金、この1億9、000万円の使い方ですね。この話から実は沿線市町村から言われたのですが、もともとはこれを、例えば今年度の令和2年度のふるさと納税の金額を最初に充当してから、その後に、県と市町村が半々で負担すべきなのではないのかと、そういったのが妥当なのではないかといったような話から始まりました。この1億9、000万円の使い方、これについてはどう思いますか。
〇小野寺地域交通課長 三陸鉄道支援のふるさと岩手応援寄付につきましては、三陸鉄道の利用促進等に活用することとして寄附いただいたものであります。三陸鉄道運行支援交付金、今お話がございました1億9、000万円のこの交付金は、新型コロナウイルス感染症の影響によって経営悪化している三陸鉄道の安全、安定運行の維持を支援する、これを目的とした交付金ということになっております。
 したがいまして、今般お認めいただいた運行支援交付金には、ふるさと岩手応援寄付以外の財源、具体的には、県におきましては、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を財源として措置をさせていただいたというものでございます。
〇小野共委員 課長、そうは言っても、市町村が使える臨時交付金の額は、これにとられて減ったということはそのとおりなのだろうと思います。今後、使い方を考えていただきたいと思うものであります。
 最後に、もう一点ですが、今回に関連しまして、9月臨時会で提案された1億9、000万円の三陸鉄道運行支援交付金については、9月8日に臨時会を開いたわけでありますが、1回目の市町村に対する説明が、6月に、沿線市町村の課長に話があって、その後、全く何も話がなかったと。話の持っていき方、調整の仕方が、県は少し一方的過ぎるのではないかという話が聞こえてきました。
 なるほどなという気がしましたものですから、そういった事実があったのかどうなのか。そういうふうに疑われるとすれば、県の今回の1億9、000万円、半額、半額で支援しようといったような、そのやり方、方法に対して、市町村から例えば一方的過ぎるという話があったのであれば、そういうふうに思われる理由は、思い当たることというか、適切だったのかどうかを見解として聞かせていただきたいと思います。
〇小野寺地域交通課長 今般の交付金の市町村負担に係る市町村との協議の進め方でございますけれども、基本的に、前提として、これまで三陸鉄道の経営は、県と沿線市町村が一体となって支えてきたというところがございますので、今回の支援スキームについても、これまで同様、県と沿線市町村が協調して支援したいということで、県が主体となって市町村との調整を進めました。
 具体的に、先ほど委員から御説明がございましたとおり、6月16日の課長会議の場で初めてそういった方向性を我々から御説明させていただきました。その後、7月13日に、また、同じように担当の課長が集まる場がございましたので、その場で御説明をさせていただき、その後、メール等でのやりとりを経て、8月31日に、また、沿線の課長会議を開いて、その場で議論をさせていただいたところです。
 そういった結果を踏まえて9月4日、沿線の首長会議を開催いたしまして、今回の支援スキームを議論いただいたということになっております。
 なお、9月4日に出席いただけなかった首長の方々には、2日から3日にかけて直接お伺いして説明もさせていただきました。
 今回の支援スキームは、新型コロナウイルス感染症の三陸鉄道への今後の影響なども見通した上で検討する必要があったということ、それから一方では、できるだけ早く予算化することが望ましいということもございましたので、沿線市町村との間で十分な協議日程がなかなか確保できなかったといったことは、まさに事実かと思います。そういったことから、今般、沿線市町村から、協議の進め方について、先ほどお話のあったような御意見をいただいたものと考えております。
 したがいまして、今回の市町村の意見を真摯に受けとめさせていただき、今後、こういった市町村との協議の場においては、より丁寧な調整等を心がけていきたいと考えております。
〇小野共委員 まず部長にお伺いしたいと思ったのですが、課長から、最後、今後の方向性みたいなものを出していただきましたので、結構です。終わります。ありがとうございます。
〇佐々木努委員 1点、市町村要望の取り扱いについて伺いたいと思います。
 初めに、令和元年度、昨年度の市町村要望に対する県の対応状況についてお伺いをいたします。
〇松村市町村課総括課長 令和元年度の市町村からの要望につきましては、946件の要望がございました。うち新規の要望は182件でございました。
 対応状況についてでございますが、四つの段階で区分をしておりまして、要望の趣旨に沿って措置したものが234件、実現に向かって努力しているものが472件、当面は実現できないものが235件、実現が困難なものが5件という対応をしております。
〇佐々木努委員 946件、大変な要望の数でありまして、今、4段階で対応をしているということであり、県としても、限りある財源の中でどう要望に応えていくか、これが大きな課題であると同時に、大変な御苦労をされていると理解をしていますが、大事なのは、市町村がそれぞれ抱える、これは市町村の課題ということだけでなく、もちろん県民へのサービスも含めて、県全体の大きな課題であるということをしっかりと認識をいただいた上で、一つ一つの課題に対して真摯に向き合って、実現に向けて取り組んでいただきたいとお願いをしたいと思います。
 と申し上げた上で、我々いわて県民クラブとして、再三にわたって提言をさせていただいている要望会に対する知事の出席、知事が直接市町村長から要望を受ける、そういう会の設定ですね。そういうものをしていただきたいということについて、また、お聞きをしたいと思います。一般質問でハクセル美穂子議員、そして、この決算特別委員会では飯澤匡委員も同様の質疑をさせていただいているところでありますが、残念ながら、知事の答弁はこれまでと全く変わることなく、広域振興局長に任せているということで、今後もそういう形を続けていきたいというお考えのようですけれども、私は考え方を変えていただきたい。
 本当に市町村と一緒にいい岩手県をつくっていくということであれば、同じ課題認識を知事も持っていただく。そして、市町村長と直接要望の受け渡しをすることによって県と市町村の関係をもっと強固なものにしていくという観点からも、ぜひ考え方を改めていただきたいと思うわけでありますが、通告していた質問は、そういう考えはないかということですが、きょうは知事がいないので、部長にお伺いしたいと思います。
 部長も県南広域振興局に数年前におられて、市町村要望会には出席されていると思います。部長として、今の要望会のこのやり方、知事が出席しないで広域振興局長が受けるというやり方について、これが要望会として、あるいは要望会ではなくて政策協議と位置づけている市町村もあるわけでありますが、そういう会としても適切な対応の仕方だと思われるか、これは部長本人の思いをお伺いしたいと思います。
〇佐々木ふるさと振興部長 現在の広域振興局につきましては、1週間から2週間に1回の頻度で開催している庁議というものがございます。そういったものに広域振興局長も参加して、日常の地域の情報等を知事以下本庁で日々共有するというような形がございます。
 それから、広域振興局長から直接、知事に地域状況や広域課題、今後の対応をどうするかといった協議、情報共有の場が、広域振興局長等会議あるいは知事への業務報告ということで、年に延べで四、五回あろうかと思います。こういった地域と本庁サイド、知事も含めての情報共有の環境がある中で、知事の名代として広域振興局長が、今、県への要望を受け取るという形をとっている、今、こういうやり方をしているということであります。
 総括質疑でも申し上げましたが、より市町村との連携を深める、あるいは、丁寧に市町村と意見交換をする、対応することが大事だということが委員御質問の趣旨ではないかと思います。総括でも申し上げましたが、今がベストではなく、より改善していくことも大事かと思いますので、委員の趣旨に沿うよう努力していくというのが我々のスタンスかと思います。
〇佐々木努委員 多分、部長は広域振興局にもおられましたし、市町村の職員あるいは首長方ともいろいろなお話をされてきたということがあるので、市町村の苦労、悩み、そういうものはよく承知をしているので、心の中には、そういう市町村長ともっと連携を図りながら県政も進めていきたいという思いがあると思います。立場上、言いたくても言えないことはあるかと思いますが、私は、職員の皆さんに、知事がこうやりたいからこのようにやらなくてはだめだというふうな、そういう思いを持ってほしくなくて、もっといい方向に進むためには、上からこう言われたけれども、こうじゃないですかと進言ができるような、そういう職員になってほしいとずっと思っておりまして、これは私が役所にいたときも、同じような思いでずっとやってきたわけではあります。
 我々が一方的な考え方で、これは首長同士が話をするのが当たり前ではないかということでしゃべっているのではなくて、市町村長の方々が実際に直接話をしたい、いろいろ情報交換をしたいと思っているけれども、それをなかなかやっていただけない、対応していただけないという思いをずっとこの何年間も聞いてきて、それを受けて、我々が代弁者としてこの場で知事なり皆さんにしゃべっていることであるので、そのことをぜひ酌み取っていただきたい。
 知事も、自分に協力してくれないとなかなか相談には乗らないなどとしゃべっていらっしゃいますから、我々の言うことは聞いてくれないかもしれませんけれども、そうであればなおさら、職員の皆さんに、自分がもし首長の立場になったらどういう思いになるのだろうということを考えて、こういう市町村要望への対応とかを考えていただきたいと思います。
 多分、これは知事は理解をされないと思いますけれども、幸いにして、今、副知事が2人いらっしゃる。副知事も市町村には随分と入っていらっしゃるということをおとといの答弁でお聞きをしたわけでありますが、知事が出席されないのであれば、その前段階として、副知事が市町村要望に立ち会うとか、そして、お酒が好きな副知事もいらっしゃるようですから、その後の懇談もいいでしょうという形で、より市町村の課題を吸収し、共有して、一緒にやっていく、そういう土壌をつくっていく、そういう働きかけもぜひ部長にはやっていただきたいと思うのですが、所見を聞いて、終わりたいと思います。
〇佐々木ふるさと振興部長 副知事におきましては、新型コロナウイルス感染症対策のための市町村との連絡会議の際、副首長会議を開いて副知事も対応をしているという実績がございます。市町村との連携をしっかりとできるよう、さまざまな観点で工夫を凝らし、努力していきます。よろしくお願いします。
〇高橋はじめ委員 私からは、まず市町村の行財政についてお尋ねしたいと思います。
 いわて市町村行財政コンサルティングを平成18年度からスタートしているということですが、平成18年度以降の実施状況及び震災前と震災後の市町村行財政をどう捉えておられるのか、まず、この点についてお伺いいたします。
〇松村市町村課総括課長 いわて市町村行財政コンサルティングの実施状況と震災前後の市町村行財政についてのお尋ねでございました。
 まず、市町村行財政コンサルティングでございますけれども、この事業は、市町村の行財政運営上の課題を分析、明確化し、私どもと市町村との認識の共有を図り、課題解決に向けた市町村の取り組み方針の確認と必要な助言等を行うことを目的に実施しているものでございます。
 具体的には、市町村課の職員が全ての市町村を訪問いたしまして、財政状況などを聞き取りして助言を行う財政見通しヒアリングを毎年度実施しているところでございますし、翌年度はその結果につきましてもフォローアップをしているところでございます。
 また、二つ目としましては、実際の市町村の実務者を対象としまして、その時々のトピックス等につきまして、財政制度の勉強会といったものを平成25年度から毎年度実施しているところでございます。
 それから、三つ目としまして、さらに、将来の財政運営上の課題を総合的、重点的に分析するために助言をする重点診断を実施しているところでございます。
 委員からお尋ねのありました―これは重点診断に当たるかと思いますけれども、平成18年度は10町村で実施をしているところでございます。その後、現在、東日本大震災津波の影響などもありまして、沿岸地域の市町村に重点的にこのコンサルティングを実施するということで、重点診断の件数は若干減っておりまして、最後に実施しましたのは、平成29年度に1カ所実施をしたというところでございます。
 続きまして、東日本大震災津波前後の市町村の行財政でございますけれども、沿岸市町村を中心に復旧、復興事業の実施によりまして、組織、予算規模が増大し、また、事業の進捗とともに、現在は震災前の規模に戻りつつある。一方で、今後、社会保障関係費の増など将来の負担増が見込まれると認識しているところでございます。
〇菅野ひろのり委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔にお願いします。
〇高橋はじめ委員 毎年、ヒアリングを実施されておられる。そしてまた、重点診断はその時々に基づいて行っていると。公表資料によれば、震災前と後では重点診断した数に相当差があって心配しておりましたが、落ちついてきたので、また、重点診断も、適宜、進めるべきではないかと思っております。
 それと、財政関係については、ことしなどもいろいろ大変なのですけれども、それらを含めて厳しい状況ではないかなと思っております。令和1年度の普通会計決算速報値が先ごろ明らかになりまして、33市町村の歳入歳出とも減少したということであります。また、平成29年度、平成30年度の決算内容も、数値を見ますと単年度の赤字、それから実質単年度赤字の市町村が非常に数多く見られると。経常収支比率の平均で、平成29年度が89.8%、平成30年度は91.3%、令和元年度は前年度比1.3%増の92.6%と上昇傾向にあると。理想とされるところは70%から80%ということで、仮に70%とすると22%強多い。それから、80%としても12.6%と上回るわけですが、これによって弾力性がどんどん失われてくるのが非常に危惧されているのではないかと思っています。
 こうした状況を県はどのように分析されて、市町村にはどのような助言をされているのか、お尋ねしたいと思います。
〇松村市町村課総括課長 市町村の財政の現状また助言ということでございますけれども、令和元年度におきまして、全市町村で実質の収支、それまでの収支の累積は黒字を維持しておりますけれども、単年度の収支は赤字ということで、そこから財政調整基金等の積み立てあるいは取り崩しなどを差し引きしました実質単年度収支は38億円の赤字となっております。また、単年度収支の赤字団体が、前年度から3団体増加して19団体、実質単年度収支赤字の団体は、同じく3団体増加し21団体となっております。
 現在、健全化判断比率において、早期健全化の基準を上回っているところはございませんけれども、先ほど申し上げましたとおり、社会保障関係費などの増加に伴いまして経常収支比率が上昇しており、基金を取り崩して対応している市町村がふえていると認識をしております。
 今後も、市町村のニーズを的確に把握しまして、将来を見据えた適正な財政運営が行われるよう、先ほどの行財政コンサルティング等の取り組みを通じて助言を行ってまいりたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 ことしは新型コロナウイルス感染症の関係でさまざまな積み立ての取り崩しもされていると。新型コロナウイルス感染症が早期に終息すればいいわけですが、長期化すると、さらに取り崩しも進むものと判断されるわけであります。そうしますと、より一層の財政支出、ここのところにメスを入れていかなければならないということで、首長は選挙をやっているわけですから、選挙公約の中には、こういう事業をやるとか、華々しいとまではいかなくてもそれ相応の大規模事業等も公約の中に入ってくるところもあるわけでありますが、それを実行に移せるかどうかというのが市町村の財政力によるところだと思っています。
 これは職員ではなかなか言い出しにくいところもあるかと思いますので、それを実行に移す段階で、ある面では本当に財政力、将来の負担も含めて、第三者的な目でアドバイスとか助言をそれとなくしていく。県と市町村は対等な立場と言いつつも、熱くならないように県は助言をすべきではないかと思っておりますので、ぜひ、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 次に、過疎債についてお尋ねしたいと思います。本県の過疎地域に指定されている市町村は、33市町村のうち、過疎市町村が20市町村、みなし市町村が1市、一部地域を含む市町村が3市となっておりまして、平成22年度に比較して過疎市町村が2市ふえたということであります。
 過疎地域自立促進特別措置法は、平成12年度から平成32年度―令和2年度で一旦この法が閉じていくわけでありますが、総合的かつ計画的な対策を実施するために必要な特別措置を講ずるということで、過疎対策事業債の元利償還の70%相当額を普通交付税の基準財政需要額に算入されることになっておりますけれども、指定を受けた全ての自治体で活用されているということであります。
 いずれ70%は国から交付を受けても、30%は負担していかなければならないということもあります。全国的には、一部の市では過疎対策事業債は相当慎重にやらないと、人口減少、財政規模からいって大変だと騒いでいるところがありますが、その辺について、過疎対策事業債の導入に当たっては、市町村とどのように協議されているのかお尋ねしたいと思います。
〇松村市町村課総括課長 市町村から過疎対策事業債の協議のあった事業につきましては、法令等に基づきまして、適債性の有無あるいは後年度の財政運営への影響等を確認しながら、同意を行っているところでございます。
 財政見通しのヒアリングにおいて、人口減少も加味した歳入歳出の見通しの聞き取りをしておりますので、そうしたことも踏まえて、過疎対策事業債を含めた地方債全体の発行規模が適正となるような助言を行っているところでございます。
〇高橋はじめ委員 この市町村財政全般、過疎対策事業債の導入等も含めて、首長の立場ということで、非常に大型事業への取り組む強い姿勢があるということを背景に、安易な導入が後年に大きな重荷になってくる可能性もあると。この将来負担を見据えながらの過疎対策事業債導入が望ましいということで、県という第三者の目で分析と助言を図るべきということを先ほど申し上げましたが、部長の見解についてもお尋ねしたいと思います。
〇佐々木ふるさと振興部長 市町村におきましては、さまざまやりたいこと、いろいろな事業等々がある中で、過疎対策事業債は優位な財源でもあります。それだけに、その対応については、中長期な財政見通しとか健全性といったところも加味する必要があろうと思っています。
 県といたしましては、健全な財政運営について市町村が取り組めるように、適時、適切にお話を伺いながら財政面での助言を行っていくことが役割かと存じております。
〇高橋はじめ委員 俗に、アクセルとブレーキと、こういう話題があちこちにもあります。いろいろ手がけたいという思いもあるし、さりとて、将来を考えたら相当吟味しなければならないところはありますので、ぜひ、その辺の適切な助言をちゅうちょなく私はすべきだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、市町村の職員体制についてお尋ねします。市町村職員の充足率ですが、一般質問でも取り上げましたけれども、国からのさまざまな権限移譲に伴う移譲事務がふえてきている。その一方で、きのうも話題になりましたが、人口減少等もありまして、県職員の採用もままならないということで、これは市町村でも同じではないかと思います。
 事務量はふえている、一方では職員が少ないと、こういう状況にある中で、事務事業が順調に進められればいいのですけれども、さまざまな移譲された事務は自分で分析して判断しなければならない。それから、チェックもしていかなければならない。さまざまな面で市町村の負担が増しているのではないかと思います。自由度が増す反面、その点検と責任も増すもろ刃の剣と言っても過言ではないかと思いますが、事務に停滞と欠落、あるいは間違いがあってはならないということで心配しておりますが、現在の市町村の充足状況をどのように把握されているのかお尋ねしたいと思います。
〇松村市町村課総括課長 委員からお話がございましたとおり、現在、市町村の業務は、住民の方のニーズが大変多様化しておりまして、増大をしているというところかと思います。申しわけございませんが、私どもで充足状況のデータは持ち合わせていないところでございます。大変申しわけございません。
 過去5年間における市町村の職員数の推移ということで申し上げますと、一般行政部門におきましては、平成28年4月時点と比較しますと、全市町村合計で174人減少しているところでございます。市町村職員数の増減理由はさまざま事情が異なっているということで一概に言えないところではございますけれども、各々行政需要に応じて人員配置しているとは承知しておりますが、その中でも、業務がふえる中で、特に人員が必要なところにつきましては、例えば採用試験のときに、採用の上限年齢を上げるといったことで人員を確保するといったことにも取り組んでいるというところを承知しております。
 今後とも、市町村のそうした状況などを把握しながら、事務執行上のさまざまな課題とかにも、私どもお応えをしてまいりたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 民間も含めて、就職氷河期の世代は相当いなくて、今、その対策をいろいろ取り組んでおりますけれども、定期採用に限らず、民間経験者の中途採用も含めながら、優秀な人材を適材適所に配置できるような職員体制、事務体制にしていく必要があると思っていますので、ぜひ、コンサルティングのときにはその辺にも目配りをしていただきながら、適切な助言もお願いしたいと思っております。
〇菅野ひろのり委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午前11時5分 休 憩
午前11時17分 再開
〇菅野ひろのり委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇臼澤勉委員 まず、バス運行対策費、地域公共交通の推進事業等についてお伺いいたします。
 地域公共交通事業者は、収支比率もほかの産業に比べてなかなか高くないというか厳しいような状況にありますけれども、今回の新型コロナウイルス感染症の影響もあって、非常に経営危機に直面しているというような状況にあります。
 これまでも県では、投資というか経費を支援しておりましたけれども、決算審査ですから、それがどう影響が出てくるのかなということを危惧しております。まず、この影響をどのように受けとめているかお伺いします。
〇小野寺地域交通課長 まず、路線バス事業者の今回の新型コロナウイルス感染症の影響ということでございますが、主要なバス事業者3社、これは、岩手県交通、岩手県北自動車、ジェイアールバス東北でございますけれども、新型コロナウイルス感染症の影響が出始めたことしの2月から8月までのこの3社の運賃収入は、昨年度と比べまして36.9%、額にしますと12億9、100万円余減少しているという状況でございますので、非常にその影響は大きいものになっているところでございます。
〇臼澤勉委員 36.9%、12億円、本当に非常に厳しい状況であります。
 参考までに、タクシー事業者の状況など、もし把握していればお伺いいたします。
〇小野寺地域交通課長 タクシー事業者でございますけれども、全国ハイヤータクシー連合会で調査を行っておりまして、県内5社のサンプル調査でございますけれども、同じように、ことしの2月から9月までの運賃収入が前年と比べまして34.9%減少しているということで、同じく影響は大きいものとなっております。
〇臼澤勉委員 そういった危機的な状況で、地域の県民の足を守っていくことが非常に大事になっております。今回もさまざまな、例えばバス事業者運行支援交付金など、1台当たり30万円の助成だとか、タクシーに対してもたしか5万円というような支援もあったと思います。ここら辺の支援をしっかり取り組みながら、あるいは全国の事例とか、そういった支援のメニューみたいなところを参考に、どのように今後対応していくのかお伺いします。
〇小野寺地域交通課長 さきの9月臨時会で、今、委員からお話をいただきましたような、バス事業者、タクシー事業者への交付金をお認めいただいたところでございます。
 今、公共交通事業者に対する支援につきましては、国でも、また引き続き、いろいろな支援メニューの検討が進められているというような状況でもございますし、それから、今後どのような影響が交通事業者に出てくるのかといったような状況を見ていく必要があるかと考えております。そういったさまざまな状況等を踏まえまして、今後、支援等が必要な状況なのであれば、また、そこについては県としても検討してまいりたいと考えています。
〇臼澤勉委員 本県は大分高齢化も進んでおります。75歳以上、80歳以上の運転免許証保有者についても増加しておりますが、国では、この10年間ぐらいで、75歳以上の方が1.9倍とか、80歳以上も2.3倍とか、2倍ぐらいにふえてきている。そういった状況の中で、運転免許証返納の現状と対策をどのようにお考えかお伺いいたします。
〇小野寺地域交通課長 まず、運転免許証返納者について、全国的にどういった支援の取り組みが行われているかといったようなところを御紹介させていただきますと、まず市町村レベルでは、バス、タクシー乗車券の配布、商品券等の配布、それから、コミュニティーバスの運賃割引などが実施されている状況です。
 また、個別の事業者においてもさまざまな取り組みが行われておりまして、例えば商品の割引とか購入商品の無料配送サービス、そういったことで地域ごとに工夫されたさまざまな取り組みが行われている状況にあります。
 県内の市町村におきましても同様の取り組みが行われているところがございまして、例えば花巻市におきましては、バス、タクシーのチケット交付、それから、洋野町では、町営バスの運賃の無料化、そういった取り組みが行われているところでございます。
 運転免許証返納者が置かれている公共交通の利用環境、民間の路線バス、コミュニティーバス、鉄道、タクシーなど、居住する地域ごとに環境が大きく異なっているというような状況でございますので、市町村の実情、公共交通の環境に応じた取り組みを行うことが重要であると考えております。
 したがいまして、県としましては、全国、それから、県内の取り組み事例の紹介等を通じまして、運転免許証返納者の移動手段の確保や利便性の向上といったものに努めていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 県民の暮らし、生活、そして、全国同じようなものですけれども、社会減対策に今取り組んでいる本県にとっても、交通の利便性の確保が本当に大事になってまいります。公共交通が減り、自動車が運転できないと生活できないというような不安を解消するためにも、しっかり取り組んでいただきたい。
 そして、話が次に行きますが、公共交通のバリアフリー化も一方で大事になってまいりますが、この取り組みの現状と課題、どのようになっているのかをお伺いします。
〇小野寺地域交通課長 まず現状でございますけれども、県内鉄道駅のバリアフリー化の現状は、1日当たり平均利用者数3、000人以上の駅ということで見ますと、新幹線駅、該当する3駅全てが対応済み、JR東北本線につきましては、該当する6駅中2駅が対応済み、それから、IGRいわて銀河鉄道におきましては、4駅中2駅が対応済みというような状況になっております。
 また、バスのバリアフリー化は、本県におけるノンステップバスの導入率が、平成31年3月末時点で26.2%という状況となっております。
 その課題でございますけれども、バリアフリー化は何といっても多額の設備投資が必要になることが大きな課題と考えております。それに付随しまして、そういう取り組みを行うに際しては、国庫補助の活用などが前提になるところではございますが、全国的にそういう事案が多いことから、国庫補助の採択に至ることもなかなか難しいといったことが課題というような状況でございます。
〇臼澤勉委員 今回、県内の市町村を回らせていただきながら、首長たちとさまざまな意見交換をさせていただいてきております。そういった中でも、紫波町からもバリアフリー化、エレベーターの設置への県補助の要望等が出ております。そこら辺のお考えをお伺いいたします。
〇小野寺地域交通課長 今お話がございました紫波中央駅のエレベーター設置につきましては、紫波町から、今、町とJRにおきまして、国庫補助を活用して、それを前提としてエレベーター設置について検討が進められていると伺っております。それに当たっては、県からの支援も求めたいというような意向も示されているところでございます。
 こういうお話を受けまして、現在、町とJRにおける検討状況等もお聞きしながら、県としてどのような対応ができるのか、必要なのか、そういった検討を進めているというような状況でございます。
〇臼澤勉委員 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づく基本方針が今年度末で見直し、今後、5年間の次期目標を設定していくという動きがあります。1日平均利用者数3、000人のところを2、000人に、そういった緩和というか拡大していくということでありますが、2、000人になった場合、どの程度広がっていくのか、評価と今後の取り組みについてお聞かせいただきたい。
〇小野寺地域交通課長 今お話しいただきました2、000人に国の基準が緩和されることに伴いまして、本県におきましては、JR東北本線の2駅、具体的には石鳥谷駅、村崎野駅が新たに対象になるものと見込まれております。したがいまして、それらの駅におきますバリアフリー化に対する動きも出てくるものと考えております。
 こういった動きを受けまして、引き続き、県としても、国に対してバリアフリーに係る国庫補助等の支援の拡充を求めてまいります。あわせて、県におきましても、今後、そういった駅のバリアフリー化の検討状況等も踏まえながら、先ほどもお話ししましたとおり、どのような支援、対応が必要になってくるのかという検討をしていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 バリアフリー化の取り組みは、高齢社会を迎える本県においても重要な課題だと思いますので、引き続き、今年度の決算を踏まえながら、どういう対応ができるのかをぜひ検討していっていただきたいと思います。
 最後に、岩手医科大学附属病院へのアクセス方法の改善に対する現状と課題について、お伺いしたいと思います。
〇小野寺地域交通課長 まず、現状でございますが、岩手医科大学附属病院へ乗り入れる路線バス、コミュニティーバスのダイヤ改正につきましては、岩手県交通はことし3月、矢巾町はことし2月に行いまして、矢幅駅での鉄道とバスとの利便性の向上、そういった取り組みが進められていると承知をしております。
 一方、課題になりますが、沿岸地域等から岩手医科大学附属病院へのバス路線の改善、こういったものについて利用される方から声が上がっているというような状況でございまして、こういった課題があるものと承知をしております。
〇臼澤勉委員 岩手医科大学附属病院に県内各地からバスに乗って、まさに今、沿岸から来られる方が、できれば岩手医科大学附属病院を経由して例えば盛岡駅につながるような路線変更、現状だと、1回盛岡市まで行って、そこから乗りかえてというようなさまざまな利便性の課題が見直しの要素になりますので、ぜひ、そこら辺を丁寧に聞きながら取り組んでいただきたいと思います。
 岩手医科大学附属病院と交通事業者等との意見交換に取り組んでいくという以前の答弁がありましたけれども、そこら辺の状況、そして、今どんな要望が出されているのかお聞かせいただければと思います。
〇小野寺地域交通課長 これまで、交通事業者、岩手医科大学附属病院、矢巾町と移転後の公共交通の状況等について意見交換を行ってきたところではございますが、今年度につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響等もあって、現時点では、そういった具体の取り組みというところは進んでいないというような状況でございます。
 ただ、今後、新型コロナウイルス感染症の状況等も踏まえながら、必要に応じて、先ほど申し上げた沿岸地域から岩手医科大学附属病院へのアクセス性の確保などの課題もございますので、公共交通事業者、市町村等と意見交換を行いながら、アクセス性の充実強化に向けた検討を行っていきたいと考えています。
〇臼澤勉委員 最後にいたしますが、IGRとJRとの接続の話も、これまでも、県北から来る際に、盛岡駅で乗りかえ云々というところの課題もございました。ここら辺の協議状況というか、改めて、どういう協議が行われて、どんな状況になって、今後、どうなっていくのか、最後にお伺いしたいと思います。
〇小野寺地域交通課長 IGRのJR線への乗り入れに関しましては、車両回しの関係とかいろいろな課題等もございますので、そこは、まず、IGRとJRとの協議ということになるかと思います。そこに県でも岩手医科大学附属病院とのアクセス性の向上という観点も踏まえながら、適宜、必要に応じて協議等を行って、必要な検討、対応等を進めていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 県内各地の利用者の方々のニーズというか声をしっかりと把握して、知事も言うとおり、まず知ることが知ることになる、進めることになるということであります。ぜひ、そこら辺のニーズ、声をしっかりと聞いて取り組んでいただきたいと思います。
〇吉田敬子委員 県立大学における保育士、幼稚園教諭の資格取得についてと県内就職の状況についてお伺いいたします。
 待機児童問題の解消のためには、箱物だけではなく、保育士不足の課題がありますけれども、昨年度の一般質問等の質疑の中で保育士の必要数が322人という答弁がありました。これは昨年度なので、今年度、直近のものがちょっと確認できていないのですけれども、300人程度不足していると言われております。その中で、県立大学の社会福祉学部でも保育士の育成をされておりまして、県立大学の保育士育成は大変重要だと思っております。
 2006年から始まりました認定こども園制度は、幼稚園と保育所を一体化するものですけれども、認定こども園では保育士と幼稚園教諭の両方の資格が必要になっておりますが、県立大学での保育士と幼稚園教諭それぞれと両方の資格取得学生数の推移はどうなっているのか。県立大学だけでなく、全体的に県内就職率が低い状況でありますけれども、その現状と支援策についての県の見解をお伺いいたします。
〇中里学事振興課総括課長 県立大学における保育士資格と幼稚園教諭免許の取得についてでありますけれども、保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を取得した学生の推移ですが、過去10年の推移を見ますと、多い年度ですと、平成28年度、平成29年度に18人、少ない年度で見ますと、平成24年度で8人となっております。この10年を見ますと、おおむね十数名の取得というところで推移をしているところでございます。
 次に、県内就職の現状についてでございますけれども、保育士として県内に就職した学生の同じく10年の推移を見ますと、3名から6名の範囲で推移しているところでございまして、また、幼稚園教諭について見ますと、1名ないしは数名で推移しているところでございます。
 資格、免許を取得しても、諸般の事情によりまして、保育士、幼稚園教諭にならない、就職しない学生もいる状況でございます。年度によってばらつきがございますけれども、保育士や幼稚園教諭として就職した学生のうち、おおむね半数程度は県内に就職していると捉えております。
 それから、支援の状況でございます。県立大学におきましては、教員職員免許法の一部改正に伴いまして、令和元年度の入学生から幼稚園教諭の教職課程を廃止したところでございます。委員御指摘のとおり、保育士が不足する中でありますけれども、保育士の育成は重要と認識しております。県では、保健福祉部の所管にはなりますけれども、修学資金の貸し付けによる保育士の養成と県内定着に取り組んでいるというところで、学生への周知などで県と県立大学が連携して取り組む必要があると考えております。
〇吉田敬子委員 令和元年度の御答弁の中にありましたけれども、保育士資格を持つ方は17.6%の県内就職率、幼稚園教諭だと昨年度は一人もなくゼロということで、そもそもが保育士だったり幼稚園教諭の資格を使って仕事についていない方も確かにいらっしゃるかと思いますけれども、学生の選択の自由もありますから、それは個々の自由ではありますけれども、学生が何を望んでいて仕事についていないのかということも県として捉える必要があると思っております。
 先ほど県の御答弁をいただきましたけれども、今の学生の2年生から、保育士のみはできますが、幼稚園教諭の取得ができないということで、数字には今後あらわれてくるとは思うのですけれども、保育士と幼稚園教諭資格両方がないと認定こども園には就職できない状況になっております。その現状を鑑みて、私は、幼稚園教諭の資格を県立大学で取得できないというのは、保育士の不足もそうですけれども、今後の保育の質の向上にもかかわる重要なポイントだと思っておりまして、学生の中でどういった声が聞こえているかというのは県はしっかりリサーチされているのでしょうか。
〇中里学事振興課総括課長 県立大学の学生の生の声ということですけれども、申しわけありません、具体的な声については伺っておりません。
〇吉田敬子委員 今、1年生、2年生、または、これから入学する学生もですが、もしかしたら保育士、幼稚園教諭のどちらも取れないのであれば、県立大学に入学する意味がないのではないかという学生がいらっしゃるのではないでしょうか。私は、そこも含めて県でしっかり調査していただきたいと思っております。
 教育委員会が所管になりますけれども、県では、幼児教育センターを設置することになっておりまして、幼児教育の質の向上にこれから取り組むという中で、県立大学で養成した学生が、いずれは県内の指導的立場で幼児教育に携われるようにすることが大事だと私は考えておりますので、廃止されてしまったものを、また復活というところがちょっと難しいものなのかどうなのか。
 ただ、今後において、保育の無償化となってニーズも高まっている中で、保育士も不足しているという状況の中で、二つの資格を同時に取得できる必要があると私は思っております。現在、特例制度ということで、保育士か幼稚園教諭のいずれかを持っていれば認定こども園で仕事をできることになっていて、これが令和6年度までそういう特例措置になっております。
 いろいろアンケート調査を調べてみたのですけれども、岩手県内で既に保育士としてもしくは幼稚園教諭として働いている方の中で、持っていない資格を取りたいというニーズが県内で90%以上あるという調査がありました。ですので、学生で保育士しか持っていない人も多分ニーズとして必ずあるのではないかと私は思っておりますが、県としての見解をお伺いいたします。
〇中里学事振興課総括課長 両方の免許、資格取得者のニーズということでございます。委員御指摘のとおり、現在、県内には認定こども園が112ございます。認定こども園においては両方の資格を持っていることが求められますし、そのほかの認定こども園についても、両方の資格を持っていることが望ましいとされております。
 県立大学においては、保育士の資格しか取れない状況にございますけれども、県内全体、大学、専門学校でも両方の資格を取れる機関がございますので、そういったところと連携して、県内への両方の資格を持った就職について取り組みをできるよう検討を進めてまいります。
〇吉田敬子委員 せっかく県立大学に行って、県内、県外も含めてほかの大学で幼稚園教諭を取るというのは、自分が学生だったらちょっと大変だなと思います。
 そもそも保育士が足りなくて、保育士の所得も含めていろいろ改善していかなければいけない現状で、いろいろな意味で底上げしていかなければいけない中で、県として、今現在、幼稚園教諭も取りたい学生がいて、1年生、2年生の中で、自分でもしかしたら仕方なくほかのも受けている人もいるのかもしれません。私もそこまではちょっとリサーチできませんでしたけれども、そういう声をしっかり聞きつつ、県としてどうしていかなければいけないかもう少し考えていただいて、今後の対応をしていただきたいと思います。最後に御所見を伺って、終わりたいと思います。
〇中里学事振興課総括課長 先ほど委員からのお尋ねのとおり、学生の生の声については、申しわけありませんが、把握していないということでしたので、今後、県立大学とも連携をとりながら、ニーズについてよく把握して、対応については考えていきたいと思います。
〇名須川晋委員 いわて花巻空港について簡潔に伺います。
 まず初めに、搭乗率について、国内ですと、札幌線、名古屋線、大阪線、福岡線がそれぞれ、今、就航されておりますけれども、昨年度とどう変化しているのか、あるいは、このGo To キャンペーン前後も含めて、まずはその率につきましてお知らせ願います。
〇小笠原空港振興課長 路線ごとの利用率についてですが、まず、Go To キャンペーン前の6月、それから、直近9月の利用率を比較しますと、札幌線は6月が38.1%、9月が54.6%で16.5ポイント増となっております。名古屋線は6月が44.9%、9月が38.6%で6.3ポイント減となっております。大阪線は6月が40.6%、9月が51.7%、11.1ポイント増となっております。福岡線は6月から7月まで運休しておりますので、8月から見ますと34.1%、9月が47.9%で13.8ポイント増となっております。
 減となった名古屋線につきましては、8月に愛知県で新型コロナウイルス感染症の感染が拡大したため、その後、企業が出張を控えたことから減となったものでございます。
〇名須川晋委員 もちろんGo To トラベルが功を奏している部分も若干はあるのでしょうけれども、そこまで多く来ているという感はないような感じがいたします。
 そこで、令和元年度、いわて花巻空港利用促進事業費について、これはおおむね2億1、000万円ほどでございますが、この内訳と、今年度はもうちょっとあるようでございますが、この執行状況についてということで、大体使っているいわて花巻空港利用促進協議会の総会は7月8日に開催されているようでございますが、そうしますと新型コロナウイルス感染症対応の予算編成になっているのかもしれませんけれども、しっかりと執行していけるような予算組みをしているのかどうか、その辺の確認をさせていただきたいと思います。
〇小笠原空港振興課長 まず新型コロナウイルス感染症対策ということで、6月の補正予算で、国内線の需要を回復するため、旅行商品造成支援は、通常ですと12月から3月の利用率が低迷する時期の予算を措置しているのですけれども、6月補正では7月から11月分の予算を措置させていただきまして、対象期間を拡大したところでございます。
 それから、個人向け旅行商品につきましては、これまでは福岡線だけを対象としていたのですけれども、6月補正予算で認めていただきましたので、国内4路線全部を対象にしまして、3月まで実施するということで、前回の総会には、この内容も含めてお諮りしたところでございます。
〇名須川晋委員 そうしますと、予算が相当余るということではないですね。その処理については、不用額にするのか繰り越すとかいろいろな考え方があると思いまして、例年とは違うと思うのですけれども、どのように対応する予定でしょうか。
〇小笠原空港振興課長 まず、執行状況の中で、補正予算に間に合うものについては必要額を減額するということをやっておりますし、間に合わないものにつきましては、不用額ということで計上いたします。
 それから、県負担については県に返すのですけれども、それ以外については繰り越しという扱いをさせていただきます。
〇名須川晋委員 わかりました。
 新型コロナウイルス感染症の検査体制についてでございます。昨今、中長期滞在者の新規入国者受け入れ、主にビジネス目的の3カ月以上の方々は受け入れるという国の方向性になっておりまして、これが徐々に地方にも広がっていくような報道もありますが、実際のところ、どういうふうになるのか。そして、抗体検査を進めていくという国の姿勢ではありますけれども、これが地方の空港には、いつごろ、どういう形で影響が及ぼされるのかどうか、その辺の見通しについて伺います。
〇小笠原空港振興課長 まず、検査体制ですけれども、検疫は国の所管でございますので、現在、国に対して全国知事会から、国内全ての国際空港で検査体制の整備を含む水際対策の確立を要望しているところでございます。
 地方空港でのPCR検査体制につきましては、まだ国から具体的に情報が出ておりませんので、引き続き、情報収集していくこととしております。
〇名須川晋委員 最初はビジネスということでしょうから、大きな空港から地方にやってくるという流れなのだろうと推測するわけでございます。国際線については、上海線は10月24日まで、台湾線はことしいっぱいの運休が決まっていると書いてあるのを見たわけでございますが、この見通しについて伺いたいと思います。多分に世界の新型コロナウイルス感染症の蔓延状況によると思いますけれども、その辺の航空会社との交渉は今どのようになっているでしょうか。
〇小笠原空港振興課長 まず、国際線の運航再開の見通しについてでございますけれども、現在、国では、ビジネス目的等の往来に係る渡航規制を段階的に緩和しております。今後、県としては、検疫における水際対策が確立され、観光目的の往来についても、規制が緩和された段階で国際線が再開していくものと考えております。引き続き動向を注視してまいります。
 また、航空会社との交渉状況ですけれども、花巻線の場合は、航空会社は、目的が観光のお客様が圧倒的に多いものですから、旅行会社の影響も大きいものと考えております。
 したがいまして、現在、航空会社、旅行会社とは、ウエブでのミーティングをしたりというようなことで情報のやりとりをしているのですけれども、各航空会社とも、国の渡航規制解除の見通しがなかなか立たないということで、現在、情報収集をしていると伺っております。
〇名須川晋委員 担当は違うかもしれませんけれども、今は中国もかなり減ってきている。台湾はそのとおりしっかり抑え込んでいる。そして、この岩手県ほか北東北は非常に罹患者が少ない状況にあるということですから、できるだけ早期に再開できるように今のうちからしっかりとお取り組みをいただきたいと思います。
 そして最後に、担当はもしかしたら県土整備部だと思いますが、もし調べていただいているのであればお答えいただきたいのですが、いわて花巻空港ターミナルビルにはお土産店が3店舗、あとはレストラン等のテナントがございますけれども、実はきょう、議事堂に来る前に駐車場と中もちょっと散策というか見学をしてどんなものかなと見てきましたら、駐車場は体感で50%ぐらいの利用率かなと見てきました。いつもより50%少ないという感じでございました。
 売り上げが半減しているぐらいかと思います。半減以下、恐らくは利益は出なくて赤字の状態ではないかと推測をするわけでございますが、これは、いわて花巻空港ターミナルビルへの家賃支払いになるかと思うのですけれども、その支払いも困難な状況になっているのではないかと推測をいたします。もちろんいいときはいいのでしょうけれども、大変で、全然お客さんが来ない状況でありますので、その辺の減免等の措置があるのかどうかですね。要望を受けているのか。あるいは国の家賃支援給付金をしっかりと活用していただくとなるのかどうか、その辺の今の実情を教えていただきたいと思います。
〇小笠原空港振興課長 テナント料の減免措置についてでございますけれども、いわて花巻空港ターミナルビル内の各テナントにおきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により売り上げ等に影響が出ていると伺っております。
 これに対しまして、岩手県空港ターミナルビル株式会社では、4月から、各テナントに対して家賃等の減免を行っておりまして、現在も継続していると伺っております。
 また、同社では、国の家賃補助制度について各テナントに情報提供するとともに、何度か詳細に説明をしたということでございますけれども、ただ、この制度を活用したかどうかというところまでについては把握していないと伺っております。
〇名須川晋委員 別に空港に入っているところに限らず商業者は大変な状況にございますので、ぜひとも、そのままいてそこで商売をしていただけますように、しっかりと配慮をしていただくように要望して、終わります。
〇菅野ひろのり委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時56分 休 憩
午後1時2分 再開
〇千葉絢子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について延べ16人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行いたします。
〇高橋穏至委員 それでは、令和元年度歳入歳出決算事項別明細書の174ページにある交通対策費についてですが、まず最初に、不用額が2億6、500万円となっておりまして、繰越不用額が2億5、800万円となっております。事業がなくなったのかどうなのか、その中身についてお知らせください。
〇小野寺地域交通課長 交通対策費でございますが、三陸鉄道運営支援事業費、並行在来線対策事業費、バス運行対策費などの11の事業で構成しておりまして、そのトータルの不用額が2億6、500万円余となっております。
 主な内容と要因でございますが、まず三陸鉄道運営支援事業費において不用額が2億900万円余となっております。これは、令和元年台風第19号で被害を受けた三陸鉄道に対して緊急的に資金繰りを支援する必要があったことから、さまざまな影響を見込んで、補正予算において運転資金貸付金3億円を措置させていただいたところです。
 ただ、台風被害の精査等によりまして、実際に執行が必要となった貸付額が1億円であったために2億円が不用額となったものです。
 それから、並行在来線対策事業費の不用額が1、900万円余でございますが、これは、IGRが大規模災害で被災した場合に備えて、早急に鉄道施設を復旧できるように当初予算において措置していた金額について、実際は補助対象となる大規模災害が生じなかったことにより不用額となったものです。
 それから、もう一つ、沿岸市町村の学生の通学定期購入費用の2分の1を補助する被災地通学支援事業費補助、これの不用額1、800万円余となっておりますが、これは、新型コロナウイルス感染症の影響で学校の休校措置等がございましたので、年度末の定期券販売額が見込みより少なかったことによりまして、不用額が生じたものとなっております。
〇高橋穏至委員 わかりました。
 それでは、地域公共交通網形成計画についてですが、18市町村の作成の目標に対して17市町村とほぼ達成しておりますが、その際、公共交通活性化支援チームによる支援団体は予定より少なくなっているのですけれども、その少なくなった要因についてどう分析しているかをお伺いします。
〇小野寺地域交通課長 今、お話がございました公共交通活性化支援チームでございますけれども、市町村等団体からの要請に基づきまして、有識者である活性化支援アドバイザーの派遣等を行う。それによって市町村の地域公共交通の維持、確保に係る取り組みを支援しているという県の取り組みでございますが、ここで掲げておりますのは計画値、これは希望する団体の派遣要請に十分応えられるように、毎年9団体を支援できるように設定し、予算措置をしているものでございますが、令和元年度につきまして、実際に支援の要請があったのは5団体であったということで、9団体に比して5団体の実績ということになったものでございます。
〇高橋穏至委員 わかりました。
 要請が予定より少なかったというのは、支援がなくても自分たちでできるということなのか、チームの派遣そのものが余り要望にならないような内容だったのかというのがちょっと心配だったので、その辺の実際に支援したチームからの反応といいますか、その成果はどうだったのでしょうか。
〇小野寺地域交通課長 実際に外部の有識者からのアドバイスをこの制度によらずに市町村独自に依頼等を行って、外部有識者等の意見等をお伺いしているケースもございますので、必ずしもこの件数が計画値に及んでいないから、それがうまくいっていないということではないものと理解しております。
〇高橋穏至委員 わかりました。
 令和2年度は、今、2市町村が取り組んでいるということで伺っているのですが、今後の展開としては、全ての市町村が作成するものなのかどうなのか、その見込みについてお知らせください。
〇小野寺地域交通課長 今ありました地域公共交通網形成計画でございますが、先ほどお話がありましたとおり17市町村が策定済みで、今年度、2市町が策定中、今後、来年度以降、二つの市町村において策定予定と聞いております。
 したがいまして、残り12市町村がございますけれども、計画策定の意向は現時点で示されておりません。ただ、ことし6月に地域公共交通活性化再生法が改正されたことによりまして、これまで地方公共団体による策定が可能とされておりましたこの計画が、地域公共交通計画に変更となって、その策定が努力義務化されたところでございます。
 したがって、その計画策定を通じて持続可能な地域公共交通の構築を図ることがより一層重要となっていると考えておりますので、県におきましても、計画策定費用に対する補助、それから、先ほどお話のあった支援チームによる有識者の派遣、こういった制度を活用し、引き続き、市町村における計画策定に対する支援に努めてまいりたいと考えております。
〇高橋穏至委員 公共交通に関しましては、一般質問でも取り上げた項目でして、今後、その必要性が非常に高くなってくるだろうというのと、これの計画によっては国の補助でとかそういうものと関連してくるのではないかなと思われましたので、ぜひ、実効性のある計画をつくることと、あと、県におかれましては、ぜひアンテナを高くしていただいて、どういった制度だと国の補助が受けられやすいよとかそういった市町村との連携をしっかりやってほしいと思っております。
 地域内公共交通構築検討会が令和元年度の新規事業だったのですが、これの実際の開催状況等はどうなっているかをお伺いします。
〇小野寺地域交通課長 今お話ありましたとおり、昨年度新たに地域公共交通構築検討会を立ち上げまして、市町村等と交通体系の構築に向けた課題等について検討したところです。昨年度4回開催して、地域公共交通の支援のあり方の検討を進めたところですが、今年度も引き続き開催を予定しておりましたが、これまで新型コロナウイルス感染症の感染状況等がありましたので、開催は見合わせてきたところです。
 ただ、今後、新型コロナウイルス感染症の感染状況等を踏まえながら、また引き続き、この検討会を開催したいと考えておりまして、現在、その開催に向けてさまざまな検討を進めているというような状況でございます。
〇高橋穏至委員 先ほど申し上げましたとおり、ぜひ、国の状況等を見ながら、適切な関係性をもって連携を密にしてほしいと思います。
 それでは次の項目、令和元年度決算事項別明細書の172ページから始まっております地域振興総務費についてお伺いします。これに関しては、令和元年度いわて県民計画(2019~2028)実施状況報告書に載っている内容について、つながりや活力を感じられる地域コミュニティーを守り育てるという政策項目に対して関連する幸福度指数は、地縁的な活動への参加割合で、目標数値39.0に対して現状値は36.9という低い値だったのですが、実績値は35.7とさらに低くなった、この原因をどう分析していらっしゃるかをお伺いします。
〇畠山地域企画監 つながりや活力を感じられる地域コミュニティーを守り育てる政策項目についてでございますが、持続可能なコミュニティーづくりに向けまして市町村としてもさまざまな取り組みを行っていると承知しております。県としても、地域で抱えている課題に主体的に取り組む団体を、元気なコミュニティー特選団体に認定し、優良事例の普及啓発に取り組んでおりますほか、地域づくりに関するフォーラムやセミナーの開催、地域づくりの新たな担い手である地域おこし協力隊等を対象とした活動事例発表会や企業セミナーの開催などに取り組んでまいりました。
 しかしながら、現時点ではこれらの取り組みが、直接的には自治会や町内会などの地縁的な活動への参加者の増加にまで至らなかったものと考えております。
 県といたしましては、現場の課題やニーズを住民に近い立場で把握しております市町村との連携をさらに深めまして、地域づくりに関する取り組みを工夫しながら促進いたしまして、持続可能なコミュニティーの形成に取り組みを進めてまいりたいと存じます。
〇高橋穏至委員 地域おこし協力隊の成果指標が非常にいい評価になっておりまして、実際、私の住む地域でも、協力隊は非常に目覚ましく活躍しているなと感じているのですが、そういった協力隊の活動はいいのだけれども、その地域に還元されていないというか、さきの地域コミュニティーは自治会とかに還元されていないというのをどう分析されているのかをお伺いしたいと思います。
〇熊谷地域振興課長 地域おこし協力隊の活動についてでございますが、これまで地域おこし協力隊や市町村の担当者と意見交換を重ねてまいりまして、地域おこし協力隊については、例えば、あらかじめミッションを明確にした隊員募集のほか、活動に当たってのパートナーとなる企業、団体等の設定や、地域おこし協力隊OB等によるサポートなどを実施している市町村では、より地域に密着した活動の展開や任期終了後の定着が進んでいると聞いているところでございます。
 県といたしましては、地域おこし協力隊などが一堂に会し、活動事例の発表により相互の理解を深め、隊員同士の活動の連携を促進するため、地域づくり人材活動事例発表会を開催するとともに、今年度新たに、市町村担当者を対象といたしまして、隊員のサポート充実や受け入れ拡大に向けた研修会を開催することとしており、活動の円滑化や定着促進に資する事例について、地域おこし協力隊や市町村と情報共有をしてまいります。こういった取り組み等を進めまして、より効果的な地域貢献の実現を図り、任期終了後の定着促進あるいは地域での活動充実につなげてまいりたいと考えております。
〇高橋穏至委員 もう一つ指標の中で気になったのは、元気なコミュニティ特選団体を推薦する市町村が少なかったということで、取り組みは各市町村かなりやらられていると思うのですけれども、市町村からの推薦が少なかったことの原因をどう分析しているでしょうか。
〇畠山地域企画監 元気なコミュニティ特選団体の取り組みにつきましては、地域力の強化に取り組む県内のモデルとなる団体を認定いたしまして、広く県内に紹介することで関係団体の活動促進と地域コミュニティー活性化を図ることを目的として実施しているものでございます。
 県では、地域づくりフォーラムにおきまして、モデル的な活動に取り組んでいる団体の活動事例を情報発信することなどにより普及啓発に努めてきたところでございます。
 これまで、市町村からの推薦の状況にやや偏りがあったことから、市町村と個別に意見交換を行いましたところ、特選団体の選定基準を厳しく解釈しているのではないかと思われる例も見受けられたところでございます。
 このため県では、市町村との意見交換の機会を活用いたしまして、これまで推薦が少なかった市町村に対しましてもより広く柔軟に積極的な推薦を依頼しておりますけれども、これを受けまして前向きな姿勢を見せていただける市町村も出てきておりまして、今後も引き続き、この特選団体の増加に向けて取り組んでまいります。
〇高橋穏至委員 わかりました。
 最近の新型コロナウイルス感染症の関係で、一堂に会してフォーラムをやるとかそういったことがなかなか難しい状況の中で、どうPRしていったらいいのかというのが課題かなと思っております。
 その中で、地域おこし協力隊が活動して、その中で情報交換をしていても、それが地域に広がっていかない。どちらかというと活動している人たちだけのコミュニケーションで、内向きといいますか、その中だけで盛り上がってしまっているのがちょっと心配されると思うのですが、そこら辺のうまくいっている事例は、私の住んでいるところでも、最初から地域団体と一緒になって事業を応援していく体制をつくっていくとそうでもないということもありますので、そういった方向に向かせるように応援する県の施策とかを考えていかなければならないのではないかなと思っております。
 今の事業の取り組みが少ないことに関して、そういった視点から、ぜひ、このような支援策でいいのかということをしっかりと検証しながら進んでもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
〇熊谷地域振興課長 委員御指摘のとおり、一部の市町村では、市町村独自に地域おこし協力隊の活動の発表会を定期的に行ったり、あるいは市町村の広報誌で活動の紹介を行ったりという形をとっております。
 県といたしましても、先ほど申し上げた事例発表会などを通じて、地域おこし協力隊の活動を県民の方あるいは団体の方に知っていただくような機会をつくってまいりたいと思っております。
 また、活動の充実を図るために協力隊OBと現役隊員によるネットワークづくりなどを進めていきまして、そういった取り組みの充実につなげていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 まずICTの普及についてお伺いしたいと思いますが、午前中、城内委員の質問の中で、超高速ブロードバンドの整備の状況については、県内全てのエリアで整備のめどが立ったという答弁がありました。
 その中で気になるのが、幸福指標にもありますモバイル端末スマートフォンの人口普及率でございます。目標値61.9%のところ、達成度がDの56.0%と。その理由について、岩手県は高齢化率が高いのでその高年齢層の60歳以上の人口割合が多いために普及が進まなかったということでありますけれども、この理由からすると、高齢化率が改善されないと上がっていかないのかということではいかがなものかと思うわけであります。
 特にこのコロナ禍において、例えば事業者、県内の社長も平均年齢が高いと言われていますけれども、さまざまな申請についてもデジタル化が進んでおりまして、国からのさまざまな制度についても、これからデジタル庁ができてさらに進んでいくだろうと。また、県の取り組みにおいても、泊まるなら地元割クーポンも、はがきになったけれども、情報を得るのはホームページを見なければいけないということで、コロナ禍において情報を捉える格差がそのまま本当に生活の格差につながっていくことを実感しているわけであります。
 そういった中にあって、この施策体系には高齢者の方へスマートフォンの普及あるいはインターネットのアクセスをする率を高めるといった施策は見えてこないわけですけれども、県としても、これを具体的にこれから進めなければいけないのではないかと思うのですが、所見を伺いたいと思います。
〇古舘科学・情報政策室長 モバイル端末の普及についてでございますけれども、県民のインターネットの利用がパソコンからスマートフォン等のモバイル端末に移行していることがございまして、地域の課題解決、ICTを活用するに当たっては、スマートフォンの普及拡大が望まれていると考えております。
 このため県としましては、基盤整備のほか、県民の誰もが新しい技術に対応できるように、ICTリテラシーの向上機会の提供、市町村等のICT活用をしたサービスの充実は重要と考えており、これまでもICTフェアや独自のアドバイザー制度による市町村や民間事業者への地域課題解決の支援を行っているところでございます。
 また、今年度、陸前高田市におきましてデジタル活用支援員という国の事業をやっておりまして、高齢者や障がい者、それから、住民向けに相談会を実施することにしておりまして、誰もがスマートフォンを利用できるよう、その事業の成果について私どももしっかり把握いたしまして、県内で情報化に取り組む関係者の方々に展開を図っていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今、陸前高田市の事業を紹介いただきましたけれども、これからそういった成果を見ながら、ぜひ横展開をしていただきたいと思うわけでありますが、これからスマートフォンの料金も安くなるのではないかという話もありまして、私は、今タイムリーな時期なのだろうと思っております。そこにもう一押し、県の高齢者の皆さんにもそういったスマートフォンを使っていくということへの事業を何かこれから考えていただきたいと思うのですけれども、何か後押しになるような取り組みをしていただきたいなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、広域バスについて伺いたいと思います。具体的推進方策指標の251、広域バス路線平均乗車密度は3.5ということでAとなりまして、平成29年度からは上昇しております。しかし、国や県の補助要件をこの目標自体が下回っておりまして、まだまだ厳しい状況なのかなと思っております。
 また、この改善をしたといっても、もし赤字路線の撤退等によって数字の悪いのが消えたというのであれば、それは数字は上がるだろうとも思うわけでありますが、この点についてどのように分析をしていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
〇小野寺地域交通課長 今お話がございました広域バス1路線当たりの平均乗車密度でございますが、これは算定対象路線が、平成29年度は64路線、令和元年度は56路線でございます。この両年度を比較いたしますと、令和元年度にかけて平均乗車密度がふえている路線が22路線あります。これも一つ指標の数値が改善した、増加した要因であると考えております。
 ただ一方で、令和元年度にかけて、先ほど御説明したとおり8路線減少しております。この減少した8路線の平均乗車密度が例えば1.7とか1.9でございますので、委員御指摘いただいたとおり、そういった算定から外れた路線の平均乗車密度が低かったこと、それもこの指標が改善、増加した一つの要因と考えております。
〇佐々木朋和委員 フェアに認めていただきまして、ありがとうございます。でも、22路線よくなったものもあることも強く私も言いたいと思います。
 その中でやはり心配なのが、昨年度も多少はあったと思いますけれども、今年度は新型コロナウイルス感染症の影響をもろにかぶっているわけでありまして、これまでの影響がどのようになっているのか、乗車状況、もし今の時点で乗車密度等もわかれば教えていただきたいと思います。
 そして、もっと心配なのが、国や県の補助制度の要件がこの新型コロナウイルス感染症によってクリアできないという路線がふえてくれば、また、事業者の経営状況も大変だということは、午前中、臼澤委員の質疑の中でもありましたが、さらに広域バスの維持が難しくなってくるのではと思います。そういった意味も含めて、これから要件の緩和や、例えば据え置きなどの国の状況、そして、県の検討状況も含めてお教えいただきたいと思います。
〇小野寺地域交通課長 今お話のありました新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた平均乗車密度に関しましては、平均乗車密度は年度で算定いたしますので、現時点でまだ算定はしておりませんが、主要なバス事業者3社のことし2月から8月までの利用者数は前年と比べて27.4%減少しているということで、数にしますと延べ347万人となっておりますので、かなりの減少となっております。
 そういった状況を踏まえまして、国庫補助路線の補助要件でございますけれども、現在、輸送量、平均乗車密度に運行本数を乗じたものは15人以上となっております。県単補助に関しましては、平均乗車密度が4人以上となっておりまして、先ほど御説明したような影響が出ておりますので、新型コロナウイルス感染症の影響による減少が要因となって補助要件割れが生じることも危惧されるところでございます。
 したがいまして、県では、国に対して、補助要件の緩和等も要望しているところでございます。
 それから、県単補助につきましては、平均乗車密度4人以上ということで、4人を下回ると一定規模以上のバスでの運行よりもより効率的な運行等も考えられますので、基本的にはこの4人以上という枠組みは維持していく必要があるとは考えておりますが、ただ、新型コロナウイルス感染症の影響等で、本来4人を上回るところが補助要件割れとなるというようなことも想定されますので、この期間どのように対応していくのかといったようなことについては、その検討が必要だと考えております。
〇佐々木朋和委員 ぜひ、検討をいただくプラス、今、国では雇用調整助成金が12月までと言われておりまして、延長していただくことを強く求めますが、早く国にも県にも据え置きあるいは緩和というところの方針を出していただかないと、事業者にとっては継続という部分の決断ができないと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 そういった中にあって、令和2年度、今年度ですが、市町村の補助路線代替交通の維持、確保のための支援ですね。地域バス交通等支援事業費補助3、901万8、000円は、広域バスのそういった補助要件を外れた部分についての補助事業をスタートさせていることは大変高く評価したいと思います。
 その現在の活用状況はどうなっているのか。また、これまでの県補助路線等のときと比較して市町村負担割合はどのようになっているのか、あわせて伺いたいと思います。
〇小野寺地域交通課長 今お話のありました補助路線代替交通確保維持事業は、今年度につきましては、ことし3月末で廃線となりました一関市内の2路線、具体的には大籠線と千厩花泉線でございます。この2路線を対象として代替交通の確保が今図られているという状況でございます。
 市町村負担の割合でございますが、従来の県と市町村が補助する県単補助におきましても、県、市町村それぞれ2分の1となっておりまして、今年度から立ち上げたこの事業につきましても同様に、市町村2分の1、県2分の1ということでの補助率にしております。
〇佐々木朋和委員 今、2路線に使っていただいているということですけれども、これから今お話ししたようなさまざまな変化があると思います。ぜひとも、広域バスへの補助、そして、それを外れた交通への補助もしっかりとやっていただきますようにお願いをして、最後の質問に移りたいと思います。
 先ほど高橋穏至委員が質問をされておりました地縁的な活動への参加割合について私もお聞きしたいと思って通告をしておりました。前提となる部分についてはかぶる部分でありましたので割愛させていただきますが、前に私も申し上げていたのですけれども、先ほどの答弁の中でも、市町村と連携してとか、あるいは、コミュニティーが一番わかっている市町村と調整をしながらという答弁がございました。
 このコミュニティーという分野に県がかかわっていく、施策を展開していくといったときに、私も、どういったイメージで県がかかわっていくのかというところがまだ見えないと思っているところであります。具体的な推進方策指標はいいのだけれども、地縁的な活動につながっていない、こういったところに話が及んでくるのかなと思っているところです。
 そこで、質問させていただきますが、市町村との役割分担をどのように考えているのか。県が行う施策の領域をどのように設定しているのかお伺いをしたいと思います。
〇畠山地域企画監 市町村との役割分担についてでございますが、地域コミュニティーへの支援は、住民に身近な市町村の役割が基本と考えております。地域を衰退させないためには、こうした課題に県としても市町村と連携しながら対応していくことが必要だと考えております。
 このため県では、先ほど申し上げました元気なコミュニティ特選団体の認定を初めといたしまして、フォーラムあるいは地域おこし協力隊等の発表会、企業セミナー等の開催に取り組んできたところでございます。
 さらに、地域コミュニティー関係等の施策につきまして、より深く市町村の現状を把握するために、ことし8月以降、順次、地域振興室と市町村の担当課が個別に意見交換を行う県市町村地方創生推進連絡会議を開催いたしまして、市町村のニーズなどを聞き取り、県の支援のあり方等について意見交換を行っているところでございます。このような取り組みを継続いたしまして、市町村との連携を強化しながら、引き続き取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今、市町村との意見交換ということを言っていただきましたけれども、途中かもしれませんが、1年間、令和元年度にやってきたわけでありまして、その中で、市町村との語らいから、県としてどういうことが求められているのか、何かそういったビジョンというかが出てきているところがあるのであれば、御披露いただければと思います。
〇畠山地域企画監 先ほど委員からも御指摘いただきました、例えば地縁的な活動への参加者の増加につきましては、例えば個々の方々の生活の環境とか仕事の状況とか、そういうところもさまざま絡み合っての結果でもあろうかとも分析しております。
 そういうところでより密着して、近いところで取り組みを進めていただくことは市町村にお任せするといたしましても、県といたしまして、例えば、いい事例を横展開できるような、あるいは汎用性があるような取り組み、あるいは人材育成の支援とか、そのような先進事例の勉強みたいな、そういう連携的なもので県の役割を果たしていくことが適当ではないかということで、市町村の方々とも意見交換をさせていただいているところでございます。
〇佐々木朋和委員 わかりました。
 人口減少対策にもつながるところですので、もう一歩踏み込んでいただきたいなと思います。よろしくお願いをしたいと思います。
 最後になりますけれども、この分野においては、県のほうで、説明書の中にも、東日本大震災津波を契機とした復興支援者あるいはボランティアの方々との交流や移住者の活躍、また、地域おこし協力隊の活動受け入れ等を進めていくという話もあるのですけれども、今年度は新型コロナウイルス感染症によってこういった活動をしている皆様方も、震災以来ずっと続けてきた活動が途絶えてしまうのではないかと、そういった危惧を私もしているわけであります。今、コミュニティーを支えるこういった方々がどのような影響を受けているのか、また、今後の支援策も含めてお示しをいただきたいと思います。
〇熊谷地域振興課長 コロナ禍の中にありまして、これまで、祭りなど地域の交流に関する事業、行事が中止を余儀なくされるなど人の流れに大きな影響が出ていると認識しております。
 また、沿岸で地域づくりを進める団体と意見交換を行っております。その中で、交流事業を予定どおりに行うことができず影響を受けているということを伺っているところでございます。
 繰り返しになってしまいますけれども、県といたしましては、地域コミュニティー活動を支える人材の活動を支援していくことが重要と考えておりまして、地域コミュニティー活動を支える人材を育成するという面から、先ほど来のフォーラム、セミナーあるいは地域おこし協力隊の事例発表会、企業セミナーを行っているところであり、これらについては、今後、予定どおり今年度実施したいと考えております。
 また、今後は、地域おこし協力隊OBと現役隊員によるネットワークづくりを行いまして、活動を支援することとしております。協力隊のニーズを把握しながらより効果的な地域貢献の実現を図り、任期終了後の定着促進に向け取り組んでまいります。
 さらに、例えば震災後に首都圏から移住し地域づくりを進めている若い方で構成される団体と、岩手県への人の流れを生み出す方策について、関係人口という観点で、現在、意見交換を行っており、こうした連携を通じて持続可能なコミュニティーの形成を目指してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 御説明をいただきましたけれども、ウィズコロナ、アフターコロナというところはなかなか伝わってこないと思うのです。セミナーとか勉強会あるいはそういった大会ということもいいのですけれども、私の知り合いなども、事業の継続がどうなるのだろう、あるいは新型コロナウイルス感染症収束後の交流事業についてどういうふうにやったらいいのか見えないとなかなか継続は難しいとか、あるいは地域おこし協力隊についても、では、本当に市町村がこれからも受け入れられるのかとか、そういった、今、新型コロナウイルス感染症に対応して喫緊に取り組まなければいけない、そういうのがあるのではないかと思うのですけれども、その辺についても、もし部局で検討しているところがあれば、最後に教えていただいて、終わりたいと思います。
〇小野寺地域振興室長 今、御質問をいただきましたけれども、我々の室とすれば、先ほど御紹介しましたけれども、例えば関係人口という切り口で、地域の頑張っている団体と一緒にタイアップして、今まさに新型コロナウイルス感染症という中で首都圏から移住あるいは関係人口がふえていくチャンスだということが言われている中で、我々として、持続可能な人の流れを生み出すようなそんなプログラムをつくれないかとか、そういったようなことを市町村とか地域の団体とも、今、お話し合いを進めているというのが、先ほどの方策についてというようなところでございます。
 これがどのような形で実現するかというのは、また、いろいろと財政面とかそういうのもありますけれども、今、前向きに検討を進めているところですので、そういう形で取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 私からは三つの項目を通告しております。高橋はじめ委員が質疑しておりますところと重複している項目があるのですけれども、内容の中でかぶってないところを質問させていただきたいと思います。
 まず、過疎地域への取り組みをどのように行ってきた年だったのかということでお聞きしたいと思います。過疎地域自立促進特別措置法が動いているわけですけれども、過疎対策は50年間やられてきておりまして、新年度に向けて改正の方向に向かっている、ことしの3月で期限が切れるということでありまして、本県では24の市町村がその対象市町村となっているわけですけれども、今までの財政措置の活用状況はどうなっていたのか。
 過疎対策事業債とか、道路、下水道などの県の代行整備の事業とか、それから、税制も法人税関係とか事業税関係での措置とか、交付税の減収補填とか、さまざまなメニューがあるわけですけれども、どのように活用してきたのか。あと、県の単独措置はどのようにやってきたのか伺います。
〇松村市町村課総括課長 過疎地域自立促進特別措置法に基づく財政措置の活用状況等についてでございますけれども、まず過疎対策事業債につきましては、指定を受けている24の市町村におきまして、令和元年度は218億6、000万円余発行しております。主に、学校、道路の整備等に活用されているところでございます。
 次に、県による道路等の代行整備でございますが、現行の県の過疎地域自立促進計画の期間である平成28年度以降であれば、林道で7市町村15路線の県代行事業を行っているところでございます。
 続きまして、税制措置でございますけれども、県では、事業税、不動産取得税について、市町村では、固定資産税について、課税免除等を行っております。令和元年5月から令和2年4月までの間に課税免除等を実施した額に対する地方交付税による減収補填額、県分としまして3、400万円余、市町村分が、五つの市町におきまして3、900万円余、合計で7、400万円余となっているところでございます。
 次に、県の単独措置についてでございますけれども、まず、自治振興基金貸付金の市町村に対する貸付利率とか、地域経営推進費の市町村補助におきまして、これは過疎地域等を含む条件不利地域に対する優遇措置を実施しているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。
 いわゆる新過疎法が今打ち出されようとしているところですけれども、この動向というか影響というかお聞きしたいのですが、対象から外れてしまうエリアは出てくるのか。それから、今は対象になっていないのだけれども、対象になりそうな市町村が出てくるのか。
 これは国勢調査の結果を見ないとできないかもしれないのですけれども、今、九つの市町が対象になっていないわけですね。盛岡市、滝沢市、雫石町、矢巾町、紫波町、北上市、金ケ崎町、大船渡市、平泉町が対象外です。この中でも人口減少のエリアはあるだろうなと思っているのですけれども、その動向などについてお伺いします。
〇畠山地域企画監 過疎地域自立促進特別措置法にかわる新法案の動向についてでございますが、現在、新たな過疎対策法に関しましては、その詳細がまだ明らかになっておりませんけれども、県といたしましては、現行の過疎地域を引き続き対象とすることを基本にいたしまして、過疎地域の特性を踏まえた振興が図られる内容となることが必要であると考えております。
 これまで、県単独や全国知事会を通じまして、過疎対策事業債の継続を初めとした各種財政措置の維持、拡充などについて提言、要望を行ってきておりますけれども、引き続き、東北各県や全国知事会過疎対策特別委員会等と連携しながら、情報収集に努めまして、今後も機会を捉えて国等に働きかけていく所存でございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。そうすると、今の段階で引き続きということなので、24の市町村は引き続き対象となるよう求めていくと。それから、ほかの9市町では、急速な人口減少とかそういったくらいのものではないと判断しておられるのかどうか、その判断はどうでしょうか。
〇畠山地域企画監 人口減少のスピードは決して遅いスピードだという認識はございませんで、先ほども申し上げましたとおり、まずは、現状の地域の維持ということ、それから、過疎の地域の特性を踏まえての振興がぜひ図られるようにというところで要望を続けていきたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。
 次の項目に移ります。市町村行財政コンサルティングについてでございます。これも県のホームページとかを見たりしたときに最近の情報がなくて、あれ、この事業は終わったのかと私勘違いしておりまして、それで取り上げたところでございます。
 平成18年ごろ行財政改革とかというので大変な財政運営だったわけでして、それで、県でも市町村の支援に力を向けてきたのかなと思っておりました。先ほどの高橋はじめ委員の質疑の中で、業務の目的とか、令和元年度の実績については答弁があったと思っております。
 平成の大合併が行われてから今十数年経過しているわけですけれども、15年たつと、旧市町村の交付税算定が新しい算定がえとなってきまして、財政的には大変厳しい状況が生まれるのではないかと思っております。そんな中で、特に懸念される自治体とかの把握はどうなさっているでしょうか。
〇松村市町村課総括課長 合併算定がえの経過措置の終了の影響ということでございます。県内ではほとんどの市町村で、今年度で普通交付税の合併算定がえによる特例措置が終了することになっております。これまで、普通交付税が段階的に減少している一方で、合併市町村の声などもありまして見直しがされております。旧市町村単位の支所とか、あるいは保健センターの運営に係る費用等については増額が行われているところでございます。これらの見直しについての効果額でございますが、令和2年度で12市町村で総額180億円程度と見込んでおります。
 合併市町村のほうでは、現在、健全化比率、判断比率等において早期健全化の基準を下回っているというようなこともございまして、おおむね健全な行政運営とは考えておりますけれども、社会保障関係費の増とか、あるいは公共施設の更新時期を迎えているというようなところもございまして、やはり将来的な負担増は懸念されているところでございます。例えば奥州市では、中長期の財政計画を策定して財政健全化に向けた取り組みを進めているというようなところでございます。
 今後も、私ども市町村の状況をよく把握しながら、助言を行ってまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 私の経験では、北上市でも県の指導、支援をいただいて、財政健全化に向けて本当に取り組んだ大変な時期がありました。第三セクター等改革推進債も初めて導入するという時期でありまして、それによって土地開発公社の清算をしたわけですが、その際、本当に県の方々が、国の制度を柔軟に変えていただくようにそういう努力をしていただいたことを私は覚えております。そういった本当に市町村と連携した制度の柔軟活用によって市町村の活動も支えられるのかと思いますので、さらに、これからもよろしくお願いをしたいと思います。
 次の項目に移ります。市町村職員の状況です。これは市町村の被災地の応援職員の関係ですけれども、この人材確保の状況、それから、新年度はどうなっていくのか。東日本大震災津波から10年になりますし、全国でも災害が多発しておりまして、この応援職員の確保は大変ではないか。それから、令和元年度でも、災害によって頼らなければならなかった自治体もあるようですので、どのような状況かお伺いします。
〇松村市町村課総括課長 被災市町村への応援職員の状況ということでお答え申し上げます。
 10月1日現在で、まず、東日本大震災津波関係でございますが、必要数317人に対して、これは全て確保しているところでございます。また、平成28年台風第10号災害についても、必要数12人ということで、これも全て確保しております。令和元年の東日本台風災害については、必要数32人でございますが、今19人の確保にとどまっております。この三つの災害を合計しますと、必要数361人に対して、確保数348人というような状況でございます。
 来年度の必要数につきましては、現在、要望内容の取りまとめをしている段階でございます。当然ながら、復興事業の進捗に伴いまして、総数としては減少してくるのではないかと見込んでおります。
 ただし、来年度以降もこの復興事業が完了していない被災市町村もございますので、今後とも、関係の市町村、県外の市町村など、必要な応援職員を確保されるように要請活動などをしてまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 応援職員は内陸の市町村からも派遣をしているわけですけれども、現在までは、人件費の財政措置は復興財源から回っているわけですが、それが復興・創生期間が終わると、内陸からの応援の人件費はどうなっていくのか。それによって内陸市町村でも任期付職員の採用関係とかさまざまな対応があると思うので、どうでしょうか。
〇松村市町村課総括課長 応援職員の人件費に係る財源でございます。国の基本方針で示されているものを見ますと、第1期の復興・創生期間後に引き続き実施される復旧、復興事業については災害復興特別交付税による支援を継続することが示されているところでございます。
 現在も、派遣職員についてはこの特別交付税を活用しておりますけれども、引き続き、応援職員の人件費についての財源を確保できるように、全国の知事会とも連携をしながら、国への働きかけは続けていきたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。
 では最後に、市町村職員の女性管理職の状況はどのようになっているでしょうか。県職員と同様に、女性の活躍を進めるという意味では、まず公務員が先頭に立っていかなければならないのではないかなと思うのですけれども、なかなか実態はそうはならないということで、県の職員の目標値も大分低いレベルにあるのですが、市町村はどうなっていますか。
〇松村市町村課総括課長 市町村職員の女性管理職の状況でございます。県内市町村の課長級以上の管理職ということでお答え申し上げます。女性職員の割合は、令和2年4月1日時点で12.2%でございます。5年前の平成27年4月1日と比較しますと5.6ポイント上昇、それから、昨年度、平成31年度4月1日現在と比較すると0.8ポイント上昇しているところでございます。
 各市町村で職員構成はさまざまでございますので、ちょうど管理職に登用されるところに女性職員がどの程度いらっしゃるかということも関係してくるとは思いますけれども、県としては、今後とも、国や県で行っているキャリアアップの取り組みなどについて情報提供をしたりとか、あるいは市町村の要望も伺いながら取り組みを支援してまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。女性職員のキャリアアップについては、県職員も行っているわけですけれども、市町村の職員について女性職員のキャリアアップを対象にしたものはなかなかできないというのが現実であります。できれば、県職員と同様に各公務員の職場もそのようなキャリアアップの事業に参加するような仕組みができないかと思うのですけれども、どうでしょうか。
〇松村市町村課総括課長 今、委員おっしゃられたとおり、市町村の職員を対象にした女性登用のキャリアアップの研修はなかなかないというのが実情でございます。
 私どもの市町村を対象にした研修とかそういったものもございますので、関係の部署なり関係機関と相談をしながら、そうした対応ができるように検討してまいりたいと思います。
〇柳村一委員 地域公共交通再編活性化推進事業についてお伺いします。
 令和元年度の事業の補助実績についてお伺いします。
〇小野寺地域交通課長 令和元年度補助実績でございますが、まず、紫波町における公共交通再編のための各種調査やデマンド交通の実証運行事業、それから、二戸市における地域公共交通網形成計画策定事業を初め、9市町が実施する公共交通の再編や利用促進の事業に対して1、395万8、000円を補助いたしました。
〇柳村一委員 これは1市町村500万円までということで、これは1回ということでよろしいですね。
 となると、紫波町みたいに実証実験とかそういう場合に使われるのは3年ぐらい使えて、再編にとっては有効だと思うのですけれども、この中で、今までに網計画の策定に要した市町村はどのぐらいあるのでしょうか。
〇小野寺地域交通課長 先ほど御説明させていただきましたとおり、二戸市がまさに昨年度、網計画の策定を進めるためにこの事業を活用しておりまして、二戸市においては、今年度、具体的に網計画の策定を予定している状況でございます。
 今のところは、二戸市の網計画の策定というところでございます。
〇柳村一委員 バス路線の維持、確保についてということで、補助のところで全部で7項目あるのですけれども、この補助金につきましては、再編に伴う乗り合いバスシステム等を導入する経費とか実証実験を行う場合に要する経費に使っていただいて、その市町村の実情に合った取り組みに使っていただくのがいいと思うのですけれども、この500万円はちょっと少ないような気がするのですが、これは国庫補助でよろしかったでしょうか。
〇小野寺地域交通課長 これは県単独の補助ということになっております。
〇柳村一委員 わかりました。財政の苦しい中で、よく500万円も出していただいて、ありがとうございます。
 次の項目の地域公共交通網計画について伺います。先ほど課長から説明がありましたけれども、改正されまして、今度は地域公共交通計画となるようです。先ほど説明された努力義務のほかに、どういう改正がされたのかお伺いします。
〇小野寺地域交通課長 一番大きいのが先ほど御説明しました努力義務になるというところでございますが、そのほか、過疎地等で市町村が行う自家用有償旅客運送につきまして、バス、タクシー事業者がノウハウを活用して協力する制度の創設とか、鉄道、乗り合いバス等における貨客混載について、その手続の円滑化が図られるなど、これまで以上に地域の移動ニーズにきめ細かく対応できるように、その改正が図られたところでございます。
〇柳村一委員 その中で、新聞の報道でもありましたけれども、改正内容に沿って網計画を交通計画に変えていかなければいけない部分も出てくると思うのですが、その部分に対しても、先ほどの活性化推進事業は使用できるものなのでしょうか。
〇小野寺地域交通課長 今、具体的にこの改正を受けて網計画をその計画のほうにというような、その要望等は特に受けてはおりませんけれども、今後、もしもそういうふうな市町村からの声とかがあれば、我々のほうでもどういった形で活用していただくことができるのかということについてはちょっと検討はさせていただきたいと思います。
 それから、済みません、先ほどの網計画策定に係る活性化推進事業の実績ですが、平成28年度に、釜石市、滝沢市、矢巾町、この網計画策定事業に対しての支援も実施しております。
〇柳村一委員 この補助事業が計画をつくるだけのものではなくて、違うほうのしっかりと実証に使われるように県としても指導していただきたいと思います。
 あと、この計画につきましては国土交通大臣が認定するとされていますけれども、県内の網計画の認定数はいかほどでしょうか。
〇小野寺地域交通課長 令和元年度までには、盛岡市、金ケ崎町など16市町村で計画策定して、国土交通大臣の認定を受けております。また、今年度、紫波町におきまして網計画を策定し、認定を受けているというような状況で、計17市町村で策定、そして認定を受けている状況です。
〇柳村一委員 では、今までつくってきた17は全部認定されているということで、国から認定された上でのメリットみたいなものは何かあるのでしょうか。
〇小野寺地域交通課長 網計画策定を前提とした補助事業等もございますので、網計画を策定することによって受けられる補助メニュー等も出てくるということで、市町村においてはそれを活用してさらなる地域内公共交通の活性化なり利用促進が図られるということになっております。
〇柳村一委員 県では特命担当を設けて地域交通に一生懸命に励んでいると思いますので、今後も県民の足をしっかりと確保するような取り組みを行っていただきたいとお願いして、終わります。
〇千葉秀幸委員 私からは、ふるさと岩手応援寄付について御質問をさせていただきます。
 まず、応援寄付の資金の使われ方、動きについては、午前中に小野委員から話があったので、そこは割愛をさせていただきますが、私からは主に返礼品等について質問をさせていただきます。
 令和元年度、ふるさと岩手応援寄付の受け入れ状況ですが、件数は1、413件、金額にして7、380万円余であり、平成30年度と比較して495件、受け入れ額は521万円余増加しました。これら増加した要因をどう捉えているのか、まずはお考えをお伺いいたします。
〇熊谷地域振興課長 県では、昨年度多くの方々から、県の施策や事業に共感され、切れ目ない御支援をいただけるよう、具体的な使い方をイメージする事業応援型寄附の充実、県産品の普及拡大を図る観点から共通返礼品の設定、より応援しやすくするための民間ポータルサイトによる寄附募集などのリニューアルを昨年10月に行ったところでございまして、受け入れ件数、金額増加の一つの要因と考えているところでございます。
〇千葉秀幸委員 特に、この受け入れ状況で着目されるのが、いわての学び希望基金が2、500万円余、三陸鉄道の支援が1、800万円余、災害復旧対策が1、063万円余と、学びや本県における災害への寄附が主といった傾向が見られます。
 この寄附金額については、本県の全国順位では、個人からの寄附といわての学び希望基金を合わせたものですが、全国順位が岩手県は15位となっております。この結果を県はどう評価されていますでしょうか。
〇熊谷地域振興課長 全国の中で15位の評価というよりは、先ほど申し上げた岩手県を応援したいという形で、県の施策あるいは事業などのいわゆる応援したいと思われるものを設定するといった形で、岩手県を応援したいという方々の気持ちにストレートに訴求できるような形で制度を設定させていただいているということが、評価されていると考えております。
〇千葉秀幸委員 本来、応援したいという気持ちがメーンで動くべきと思いますが、このふるさと納税をホームページで検索してみると、まずは、返礼品のランキングとか税金が控除されるというところが表に出てきているのです。応援したいというよりは、どちらかというと返礼品とか、あるいは税金のところの狙いもあってというところが現実なのかなと私は見てとれました。
 他県では、返礼品での高額商品のPRを促して、一時期、社会的問題にもなりました。本県では返礼品は30%以内と本来のふるさと岩手応援寄付の魅力をしっかりと重視した上で取り扱いを行っております。返礼品がありきでの寄附ではないものの、返礼品の商品の魅力化推進のPR方法が全国上位と比べていま一つ弱いのではないかという印象を受けました。
 今後、岩手ブランド米やコロナ禍において消費が停滞している肉牛といった商品の販売も消費拡大といった意味からも重要であり、積極的に今後も引き続きPRをしていただきたいと思っております。
 そこで、どういう基準で出展されている返礼品を選出しているのかについてお伺いいたします。
〇熊谷地域振興課長 返礼品の選定についてでございますが、総務省から示されている基準を踏まえまして、寄附額の3割を上限とし、県産品の販路拡大につなげていくという観点から共通の返礼品を選定しております。
 具体的には、県アンテナショップでの売れ筋商品や県が実施する特産品コンクール等で入賞した商品など、岩手ブランドの情報発信等に資する県産品を選定しているところでございます。
 今後においても、定期的に寄附事業あるいは返礼品の見直しを行ってまいりたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 ぜひ、多くの県産品の出展をお願いしたいなと思います。
 また、応援寄付での全国上位に位置している他県のホームページを見てみると、返礼品の商品がどこの市町村でつくられたか、また、その企業の紹介をしたりと、商品とともに地域と企業の魅力を伝える工夫も多いように感じております。ホームページを通じて口コミ情報あるいは地産地消品の魅力を大いに伝えていくことが重要であることから、今後、ホームページのPR方法をより強化していくべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。
〇熊谷地域振興課長 ホームページでの魅力ある情報発信についてでございます。県ホームページにおいて募集する施策、事業の抱えている課題や使い方、取り組み状況などわかりやすく伝え、理解と賛同をいただけるよう情報発信の充実に取り組んでいるところでございます。
 また、昨年12月から、ふるさと納税最大手サイトのふるさとチョイスに加入いたしましてサイトを活用した寄附の申し込みや情報発信を行っております。
 今後とも、寄附者の動向を分析しながら、よりよいツールあるいは情報発信の内容の充実に努めてまいります。
〇千葉秀幸委員 次に、関係人口についてお伺いいたします。令和元年度の移住相談件数は、前年度の相談件数より300件弱上回ったものの目標値には到達せず、達成度はC評価にとどまっております。
 移住、交流施策において、まず、地域や地域の人々が地域コミュニティーとの継続的なつながりを持つ関係人口の重要性が強調されていますが、県の認識をお伺いいたします。
〇熊谷地域振興課長 新型コロナウイルス感染症の拡大を契機といたしまして、地方への関心が高まっているという状況にございます。岩手県への人の流れを創出するため、関係人口の質的、量的な拡大、また、関係人口から移住、定住までの切れ目のない取り組みを実施することが重要と考えているところでございます。
〇千葉秀幸委員 総務省では、関係人口創出事業拡大のモデル事業として採択された地方公共団体が幾つかあります。岩手県においても団体が多数あると思います。これの関係人口の数の把握は非常に難しいとは思っておりますが、岩手県にも多く存在しております。岩手県での取り組みについてどう評価されているのかについてお伺いいたします。
〇熊谷地域振興課長 委員の御指摘のとおり、総務省のモデル事業等々で、県内の市町村でも地域の特色を生かして関係人口創出に向けたさまざまな取り組みが展開されていると承知しております。
 例えば、先ほどのモデル事業の採択などにつきましては、陸前高田市、住田町、一戸町などが、首都圏移住者を対象に地域課題の説明会やツアーを実施するなど、それぞれ工夫を凝らした取り組みを行っているところでございます。
 県といたしましても、市町村との意見交換を継続しながら、市町村と連携した効果的な取り組みを目指し取り組んでまいります。
〇千葉秀幸委員 今、御答弁いただきましたけれども、住田町のツアー企画だけでなく一戸町や陸前高田市などでエネルギーを利用した取り組み等を行っております。地元の魅力化を推進し、全国とつながる関係を築いていくこと。このつながりの延長がU・Iターンあるいは移住、定住の推進の基盤になるのかなと私は捉えております。
 このことから、関係人口をふやす意味でも県が先頭となって各市町村に関係人口創出事業拡大を導入していく必要があると考えますが、私は、33市町村全てに導入してもいいのではないかというぐらい魅力あるものだと思いますが、そこの考えについてお示しをお願いいたします。
〇熊谷地域振興課長 委員の御指摘のとおりでございます。繰り返しになってしまいますけれども、現在、市町村との意見交換を継続しておりまして、県の取り組んでいる関係人口の創出拡大に向けた取り組みを説明するとともに、市町村の取り組み、それから、連携して効果的な取り組みができることについての意見交換を実施しておりました。そういった形で、県及び市町村全体で取り組みが充実されるように努めてまいりたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 ぜひともよろしくお願いいたします。
 関係人口の質的、量的拡大に向けて国が推進するソサエティー5.0に掲げる情報通信技術でICTを早期に活用していく必要があると考えますが、検討はされていますか。
〇熊谷地域振興課長 テレワークとかそういった部分も必要だと考えておりますし、また、現在、県と市町村が保有しているホームページとかSNSで発信している情報を一元的に発信するプラットフォームを、今、県で整備しているところでございます。そういったものを使いまして、県全体で県外の方に向けて取り組みを発信してまいりたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 ぜひ、県と市町村が一体となって岩手県の魅力を最大限伝えていく事業を展開して、まず岩手県とつながること、興味、関心を持っていただきたいと思っております。それが、強いては、地元に戻ってきたいとか、あるいは行きたいと思うきっかけになったり、観光や仕事で来た人が、岩手県に将来移住したり定住したいというような基盤づくりになると考えております。これは、商工労働観光部ともつながってくる事業であることから、ぜひ連携して行っていただきたいと思います。所見があれば、お伺いして、終わります。
〇熊谷地域振興課長 御指摘ありがとうございます。地方への新たな人の流れを生み出すという部分になりますと関係人口、それから、移住、定住に向けた裾野拡大という意味でも、取り組みは連携して進めていくことが重要と認識しておりまして、今後とも、そのような形で取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 最初に、コロナ禍のもとで地域公共交通への影響と課題について質問します。
 三陸鉄道、IGRの状況はどうなっているでしょうか。県の対策を含めて示してください。
〇小野寺地域交通課長 三陸鉄道、IGRの令和2年、ことし2月から8月までの運賃収入でございますが、三陸鉄道は対前年比60.6%減、額にして2億300万円余です。IGRは対前年比28.0%減、額にして2億100万円余の減少で、いずれも非常に大きな影響を受けているというところです。
 これを受けまして県では、さきの9月臨時会におきまして、三陸鉄道、IGRが安全・安定運行を維持していくために必要な資金として運行支援交付金をお認めいただいたところでございまして、三陸鉄道に対しては来週、IGRに対してはきのう、その交付金を交付をさせていただいたところでございます。
〇斉藤信委員 バスとタクシーについては先ほど臼澤委員の質問がありました。路線バス事業者は3社で、2月から8月まで36.9%減、12億9、160万円。これは観光バス部門も含めてということでよろしいですか。
〇小野寺地域交通課長 この12億9、100万円余の減は、路線バス、乗り合いバス部門ということでございます。ただ、高速バス等は含んだ金額となっております。
〇斉藤信委員 恐らく観光バスのほうが影響が大きいというか、ほとんど需要がなかったと言ってもいいぐらいの状況だとすれば、実態はもっと厳しい。タクシーは、これはサンプル調査ということですが、2月から9月までで34.9%の減。これはタクシー業界全体の収入で推計すればどのぐらいの影響額になりますか。
〇小野寺地域交通課長 サンプル調査でございましたので先ほどは具体的な金額は申し上げませんでしたが、この5社の減収、2月から9月にかけて、1社平均で5、000万円弱減少しているというのがこのサンプル調査による結果となっております。
〇斉藤信委員 わかりました。Go To キャンペーンが開始されて、7月、8月は余り大きい影響はなかったと思いますけれども、9月、10月はどうですか、盛り返しているという感じですか。
〇小野寺地域交通課長 9月、10月は直近なので、まだ具体的なお話はお聞きできておりませんけれども、岩手県タクシー協会にお伺いしてお話を聞きますところ、7月に県内で感染が初めて確認される前はやや盛り返している傾向にあったけれども、それ以降、主に夜の部分を中心に、また苦しい状況になっているというようなお話はお伺いしております。
〇斉藤信委員 わかりました。
 次に、令和元年台風第19号災害の復旧状況についてお聞きいたします。
 ちょうど1年余が経過しましたが、人的被害、住家被害、被害総額、これはどうなっているでしょうか。
〇千葉特命参事兼台風災害復旧復興推進課長 令和元年台風第19号災害における被害の状況についてでありますが、人的被害につきましては、県全体で3名の方がお亡くなりになりましたほか、重傷者が4名、軽傷者が3名発生いたしました。
 住家被害につきましては、全壊46世帯、半壊841世帯、うち大規模半壊55世帯、一部破損924世帯、床上浸水148世帯、床下浸水1、027世帯と、合わせて2、986世帯となっております。
 被害総額につきましては306億4、718万円となっております。
〇斉藤信委員 私は、特に住宅再建についてお聞きしたいのですが、全壊46世帯、大規模半壊55世帯、合わせて101世帯ですよね。これらの方々の住宅再建の状況はどうでしょうか。
〇千葉特命参事兼台風災害復旧復興推進課長 住宅再建の状況についてでありますが、生活再建支援金の件数で見ますと、宮古市、久慈市、釜石市、山田町の4市町に適用された被災者生活再建支援法に基づく支援金の支給決定は149件ございました。
 なお、この法律が適用されない市町村においても、同等の被害を受けた世帯に対しては、県単独事業によりまして同等の支援を行っておりますし、同法では支給対象とならない半壊、床上浸水世帯に対しても支援金を支給しているところでありますが、その支給決定は728件となっております。
〇斉藤信委員 9月29日に行われた今年度の令和元年台風災害復旧復興推進本部会議資料を見ました。加算支援金の中身が示されていないのです。加算支援金は、自宅の再建、購入、補修、賃貸、これが出て初めて再建の状況がわかるのです。そういう資料をしっかりと本部会議にも出るようにしておくべきだということは指摘だけにとどめておきます。
 商工関係の被害、被災企業再建支援事業費補助、これは4分の3補助でしたけれども、どのぐらい活用されたでしょうか。
〇千葉特命参事兼台風災害復旧復興推進課長 商工関係の内容につきましては、これは事業の内容についてでありますので、商工労働観光部所管ですので詳細を把握しておりません。
〇斉藤信委員 台風災害の各部局からの報告もここにあるわけです。それがわからない本部会議だったらだめだと思うのです。あなたのところが取りまとめだから聞いているのでね。年に1回か2回しか開かれない本部会議なのだから、私が聞く程度のことはきちんと報告されるようでなければだめですよ。
 三陸鉄道の復旧ですけれども、被害額20億円ということでした。この資料を見たら、ことしの12月までこの事業が続くということで、改良復旧だったのか、12月までかかっている事業は何なのか、復旧事業費総額はどうなっているか示してください。
〇小野寺地域交通課長 三陸鉄道は3月20日に応急復旧の上で全線運行を再開しましたが、その後も引き続き復旧工事を進めております。おおむね復旧工事は終了しておりますが、一部、旧北リアス線区間でのり面の土どめ工などが引き続き必要な状況になっておりまして、現在その復旧工事が行われている状況でございます。
 いずれも年内には工事完了の見込みとなっておりますので、12月中の完了を目指して、今、工事を進めているという状況です。
〇斉藤信委員 そうすると、被害額が20億円ということで予算化もされましたけれども、20億円の範囲内で事業は完了するということでよろしいですか。
〇小野寺地域交通課長 今ある予算の枠の中で対応は可能という状況でございます。
〇斉藤信委員 宮古―釜石間は、戦前に整備されて、きちんとした建築の基準がないときで、それが今回の大雨、洪水で流されたということを、私、現地でも聞きましたので、改良復旧されたということは評価をしたいと思います。
 次に、平成28年台風第10号災害からの復旧、復興について、復旧の進捗状況と残された事業はどうなっているか示してください。
〇千葉特命参事兼台風災害復旧復興推進課長 平成28年台風第10号災害の復旧の進捗状況等についてでありますが、本年9月1日時点でありますが、災害復旧工事は、公共土木施設につきましては、92%に当たります1、747カ所が完成しておりますし、農林水産施設におきましては、99%に当たる647カ所が完成しております。
 また、災害復旧とあわせて7河川において河川改修事業を行っており、宮古市の刈屋川、長沢川、大槌町の大槌川の3河川が完成しているほか、砂防工事につきましては、50%に当たる15カ所が完了しております。
 現在行われている事業につきましては、災害復旧工事は令和2年度の完了、河川改修工事は令和4年度中の完了、砂防工事は令和3年度中の完了を目指し工事が進められているところであり、引き続き、復旧に向けしっかり取り組んでいきたいと考えております。
〇斉藤信委員 平成28年台風第10号災害から丸4年ですね。これは、死者27人、行方不明者1人。全壊が478世帯、大規模半壊534世帯と大変な大きな規模で、被害額は1、428億円余でありました。
 かなりの部分で復旧が済んでいるのですけれども、千葉課長からいただいたこの資料を見ても、今残っている大きな事業は、小本川上流下流河川改修事業が令和4年度まで、安家川の河川改修事業が令和3年度まで、久慈川は、堤防整備は調査、検討中ですから、これからどういう形の復旧事業になるのかと資料では出されておりました。丸4年たっても、大規模な小本川と安家川の改修はまだ続いているということで、ぜひ、引き続きこの取り組みを進めていただきたい。
 久慈川については、調査、検討中というので、丸4年たってこれはいかがなものかと。最後は、ふるさと振興部長にお話を聞いて、丸4年たっておくれている理由はあるのですけれども、しかし、復旧、復興の方針が定まっていないのはいかがなものかと。それを聞いて、終わります。
〇佐々木ふるさと振興部長 台風被害の復旧、復興でありますが、この河川につきましては、用地の関係で、丁寧に地域の方々が納得する形で工事を進めていくということで、ここは本当にある意味強行的にやるというよりは、住民の理解を得ながら進めることを最大限尊重して進めている状況でもあります。
 いずれ、早期の復旧、復興はやはり大事でありますので、しっかりと取り組んでまいります。
〇千葉絢子副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時27分 休 憩
午後2時42分 再開
〇千葉絢子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇小林正信委員 私からは、海洋研究拠点形成促進事業費、洋上風力発電の質問をさせていただきます。
 洋上風力発電については沿岸北部の特に洋野町沖が適地ということで、岩手県と洋野町で推進のための協議会を立ち上げて推進してきたと思います。また、平成30年からは久慈市が環境省のモデル事業で洋上風力発電の可能性を検討していると伺っております。
 まずは、令和元年度において洋野町沖、久慈市沖についての推進の取り組み状況をお伺いします。
〇佐藤特命参事兼科学技術課長 洋上風力発電の令和元年度の取り組み状況についてでございます。
 洋野町につきましては、昨年の4月、円滑な風力発電導入を目指したガイドラインを策定いたしました。また、ことしの2月には漁業者や地域住民の理解促進を目的とした洋上風力発電フォーラムを県と洋野町が共催して開催しております。
 久慈市につきましては、平成30年度に採択されました環境省の事業を継続いたしまして、風力発電に適したエリアと環境保全を図るエリアを設定するため、漁業関係者とステークホルダーへのヒアリング調査を進めたところでございます。
 県では、この洋上風力発電ゾーニング協議会、これは市が設定しておりますが、これに参画をして協力をしているところでございます。
 今後ですが、事業化を推進していくためには、やはり地域の方の理解、それから、事業者の誘致といった観点が必要かと存じておりますので、機会を捉えながら、フォーラムの開催、それから、情報発信を続けてまいりたいと思っています。
〇小林正信委員 経済産業省と国土交通省が洋上風力発電の許可に向けて官民連携協議会を立ち上げて、洋上風力産業に関するビジョンを作成していると伺っています。現在はヨーロッパ等で導入が進んでおりまして、イギリス政府はかなり財政、技術を注ぎ込んでやっていると聞きます。
 今後20年で洋上風力発電は全世界で15倍、投資額は100兆円以上に達すると言われておりまして、日本においても、このビジョンが作成されればかなり導入が前進するのではないかなと考えておりました。
 県としても、先ほどもお伺いしましたけれども、今後、地域の皆さんに説明をしっかりと続けていただいて、洋上風力発電の導入促進に向けて力を入れていただきたいと思いますけれども、今後の課題と取り組みの方向性についてお伺いします。
〇佐藤特命参事兼科学技術課長 先ほど少し触れましたけれども、今回、洋上風力の取り組みを平成22年から行ってまいりましたが、当初、洋上風力発電は日本ではございませんでした。ということで、まず、一体どういうものかという観点に関して、地域の方あるいは漁業者の方が大変心配でございました。
 そういうことから、一つ一つ、地域の方が疑念に思っている点、漁業者の方が心配に及んでいる点について解決をしていく必要があるだろうということで、フォーラム等においていろいろな情報を発信してまいりました。
 また、今回、洋野町においてガイドラインを策定ということで、今後、円滑な導入に向けて加速していくのではないかと考えておりますので、これら洋野町並びに久慈市の取り組みについて情報発信を努めてまいりたいと、そのように考えております。
〇小林正信委員 よろしくお願いいたします。
 次に、岩手県立大学について、IT人材の需要が全国的に高まる中、ソフトウェア情報学部を設置されているという点はかなり先見の明をお持ちだったのだなと思います。以前、たしかことしの予算特別委員会で岩渕委員がソフトウェア情報学部の学生が県外で就職する県外流出について指摘をされておりましたけれども、私もこれはゆゆしき問題だなと思いました。
 そこで確認のため、令和元年度のソフトウェア情報学部卒業生の県内への就職率について、まずお伺いしたいと思います。
〇中里学事振興課総括課長 ソフトウェア情報学部の令和元年度の卒業生の県内就職率についてでありますけれども、26.5%で前年度から7.2ポイント上昇したところでございます。
〇小林正信委員 26%ということは、10人に7.5人ぐらい県外に行っていると。これはちょっと上げていっていただきたいなと思いまして、岩手県として、ソフトウエア関連業種の若者に対しては奨学金返還支援制度とかも行っておりますけれども、これは他県でも行っているのでいいのかなと思うのですが、県立大学としては、県内定着、岩手県にとどまってもらうためにどのような取り組みを行ってきたのかをお伺いいたします。
〇中里学事振興課総括課長 県立大学の取り組みといたしましては、ソフトウェア情報学部にかかわらず今年度の新たな取り組みということで、早期から県内企業等の理解を深めてもらうために就業体験を含む低学年次向けの地域学習科目を新たに開講したところでございます。
 また、ソフトウェア情報学部につきましては、必修科目を通じて地元企業について理解を深めたり、県内企業等から提起された課題に対しまして少人数のグループで取り組むような演習を行ったりということをやっております。
 また、選択科目としてインターンシップを科目として単位化して、県内企業とつながる取り組みを進めているところでございます。
 さらに、岩手県情報サービス産業協会という団体がございますけれども、こちらの協会とタイアップしたフォーラムの開催、それから、岩手情報産業テクニカルカンファレンスということで企業間同士の情報交流等の取り組みですけれども、こちらに学生の参加の機会を設けることなどを通じて、定着に向けた取り組みを行っているところでございます。
〇小林正信委員 このソフトウェア情報学部ですけれども、全国でもかなり珍しいということで、県立大学設立当時もかなり注目されたと伺いました。現在でも、学部の価値が高まっているというか、この重要度が増してきているのではないかなと思います。
 今後、関係人口をふやすという観点からも、他県へのソフトウェア情報学部のアピールをもっと強化するとか、あとは、学部自体の体制ももっと多くの学生を受け入れられるように充実させる必要もあると思いますけれども、御所見をお伺いします。
〇中里学事振興課総括課長 体制強化についてでございます。平成31年度に、ソフトウェア情報学部につきましては、コース制の見直しを行ったところでございます。具体的には1年生の段階で講座に配属するという講座制を取りやめまして、データ・数理科学、コンピュータ工学、人工知能、社会システムデザインという四つのコースを設定したところでございます。
 1年生におきましては、これらのコースに属さないで共通のコンピューターサイエンスの基礎を学ぶことを行いまして、2年次からこの四つのいずれかのコースに属するということで専門性を高めていくような取り組みも行っているところでございます。
 それから、PRの関係でございます。高校生、保護者に対しましては、例年、夏場にオープンキャンパスで、実際の研究内容とかを体験できるような展示とか説明を行ったりしていたところでございます。また、サマーセミナー等でプログラムの作成を行うなど、コンピューターに触れる機会をふやす取り組みを行っております。
〇小林正信委員 県立大学に隣接して滝沢市IPUイノベーションセンターがありますけれども、企業や人材の集積がかなり進んで、先ほど述べたような県立大学卒業生の定着にも寄与しているものと思います。
 県立大学設立当時には、初代西澤学長が、門前町構想という県立大学を中心としたまちづくりと産業集積を目指す構想を提唱されていたと伺いました。こうした構想は学生やIT人材にとって魅力を感じる地域をつくるという点で重要だと考えております。まちづくり、地域づくりとなると、滝沢市が負う部分にもなるかと思いますけれども、県立大学と滝沢市IPUイノベーションセンター、また、県も連携して、この地域全体を活性化させてほしいと思いますし、それがIT人材が集まり、県内にIT人材が定着することにつながると思います。県立大学とIPUイノベーションセンターの今後の連携について御所見をお伺いしたいと思います。
〇中里学事振興課総括課長 滝沢市IPUイノベーションセンターについてでございます。滝沢市と県立大学、県の3者で平成21年3月に整備計画を策定して、IT関連企業の誘致、それから、産官学連携による研究開発の推進、人材育成等に取り組んでいるところでございます。
 この滝沢市IPUイノベーションセンターでございますけれども、アパート形式の貸し研究棟ということで整備されておりまして、現在、シェアデスクも含めまして21の企業が入居しているところでございます。
 県立大学におきましては、この入居企業との共同研究とか、ゼミ生の授業の一部を入居企業に開放するといった取り組みも行っておりますし、こうした取り組みを通じて、入居企業の皆さんからアドバイス等の協力を得るなどの連携、交流を図っているところでございます。
 また、滝沢市IPUイノベーションパーク内には県立大学が管理を運営する通称i-MOS―いわてものづくり・ソフトウェア融合テクノロジーセンターがございます。ここで産官学共同研究の推進、それから、高度技術者の育成等にも取り組んでいるということで、県立大学につきましては、県、滝沢市と入居者等と連携した取り組みをさらに進めていくという考えでございます。
〇小林正信委員 よろしくお願いいたします。
 そして、IT人材と並んでソーシャルワーカー、社会福祉士もより社会的に必要とされる存在になってきていると思います。そこで、社会福祉学部の学生の県内就職状況についてもお伺いしたいと思います。
〇中里学事振興課総括課長 社会福祉学部の県内就職の状況でございます。令和元年度卒業生の県内就職率については61.1%で、前年度比2.0ポイントのプラスとなったところでございます。ここ5年の推移を見ましても、直近3年は6割前後で推移しているという状況でございます。
〇小林正信委員 佐賀県などでは、学生が子ども食堂や学習支援にかかわったり、実際にソーシャルワークの現場に入るなどして地域で活動して、それが単位になるような取り組みもあると伺っています。
 県立大学でもそうした取り組みは行っていると思いますけれども、地域にかかわることで県内に定着する気持ちも起こってくるのかなと思います。社会福祉学部の学生に地元に定着していただくためのこれまでの取り組みと今後の取り組みのお考えをお伺いします。
〇中里学事振興課総括課長 県内定着に向けた県立大学の取り組みでございます。社会福祉士の資格取得のための必修科目にソーシャルワーク実習がございます。この実習におきましては、例年60名程度の学生が県内の施設に、大体50施設ぐらいですけれども、こちらで実習を行っているということで、この実習を通じて県内の状況について知る機会を設けているところでございます。
 また、県立大学全体の取り組みについては、先ほどソフトウェア情報学部の部分で御答弁申し上げましたけれども、いずれ社会福祉学部についても、関係機関、団体と連携いたしまして、業界研究セミナーなどを開講しているところでございます。このセミナーの中で県内企業で活躍する卒業生を招きまして、業界の実情、魅力等について紹介する機会を設けているところでございます。
〇小林正信委員 よろしくお願いいたします。
 次に、災害時の職員派遣についてですけれども、先ほど、佐藤委員も取り上げられましたので、1点だけ、災害発生時に被災地が必要としている人材と応援する自治体から派遣する人材のマッチングがうまくいっていない状況も出ているとも伺っています。
 県としては、被災地の意向をしっかりと伺って、本当に必要な専門職員を派遣する調整役としての立場が県なのかなと思いますけれども、これまで被災地と応援側の自治体の調整はどのように行われてきたのかお伺いします。
〇松村市町村課総括課長 被災市町村への職員の派遣でございますが、まず、県で被災市町村からの要請内容の聞き取りをいたします。これは、実際にどのような事務を担当するのかというところも含めて要望をお聞きしまして、その後、市長会、町村会の御協力を得ながら、県内の市町村に対して派遣要請を行って応援職員の確保に努めているところでございます。
 これで充足できない場合には、国で全国のスキームを設けておりますので、総務省等に派遣要請を行って派遣をいただくということでございます。
 今、委員お話しになりましたマッチングの関係でございますが、例えば技術職、土木職など全国的にも職員が足りない状況でございまして、必ずしも被災市町村からの要請に100%合致するような人材はなかなか難しいところがございますけれども、できるだけそういうところはマッチングがうまくいくように、私どもは被災市町村の要望の内容とかをよく聞き取って対応してまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 よろしくお願いします。
 このたびのコロナ禍によって国のデジタル化のおくれが浮き彫りとなって、政府はデジタル庁の設置などの取り組みを急いでいます。デジタル化が進むことで、行政手続や税の申告、投票などがオンラインで行われる可能性もあり、かなりの部分で効率化が図られると思われております。
 先進国のエストニアでは、電子IDと電子証明の活用でGDPの2%が節約されていると言われております。また、スウェーデンでは、デジタル政府サービスということで、利用者にとって最も適切なタイミングで必要な行政サービスの情報を個別に通知できる、いわゆるプッシュ型の行政サービスが充実しています。
 日本においては、こうした取り組みを進めるための基盤がマイナンバー制度になります。プライバシーの保護や情報の漏えいなどの課題、これも本当に解決していかなければならないと思うのですけれども、デジタル社会を目指す上で、どうしても必要なインフラになってくるのではないかなと思っております。
 その上で、マイナンバーカードはサービスを利用する鍵となるものだと思うのですけれども、県内の令和元年度の取得率、また、取得向上の取り組みについてお伺いします。
〇松村市町村課総括課長 県内のマイナンバーカードの交付状況でございます。令和2年の9月1日時点でお答え申し上げます。
 今、21万4、421枚ということで、人口に対する交付枚数の率は17.4%となっております。
〇小林正信委員 マイナンバーカードを使って、住民票などの交付をコンビニエンスストアで行う取り組みも県内で行われております。まだ導入されていない市町村もありますけれども、国ではそういう自治体への補助も行うような予定でありますし、また、今後は罹災証明書もコンビニエンスストアで交付できるように何か検討されているということでした。
 県としてもコンビニエンスストアでの交付の導入の支援とかも行っていただきたいと思いますし、また、マイナポータルもなかなか使われていないような状況もあるのですけれども、このマイナポータルが、先ほど申し上げたプッシュ型サービスの通知の充実に必要なインフラだと思うので、活用の推進も図っていただきたいなと思っております。
 制度のさらなる整備はやはり国の責任で行わなければならないと思いますけれども、今後の県としてのマイナンバー制度の活用についてのお考えをお伺いして、終わりたいと思います。
〇古舘科学・情報政策室長 マイナンバーカードの利用に関しましては、現在でも、電子申請・届出システムを県も持っておりますけれども、その本人確認が必要な場合については、マイナンバーカードにある電子証明書を使えるような準備はさせていただいているところでございます。
 また、普及と関係ありますけれども、現在、国が進めておりますマイナポイント制度については、私たちも国の広報とあわせて、積極的に県としても広報させていただいているところでございます。
 このマイナンバーカードそのもの自体につきましては、令和3年3月からマイナンバーカードを健康保険証として運用を開始する予定にされていると伺っておりますし、さらに、年内に教育とか金融分野とかさまざまな分野で利活用の範囲を拡大するということで、そのための抜本的な改善のための工程表を策定すると国から示されておりますので、その工程表を参考にしながら県における活用の方法について検討してまいりたいと思います。
〇千葉絢子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉絢子副委員長 質疑がないようでありますので、これでふるさと振興部関係の質疑を終わります。
 ふるさと振興部の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。
 次に、復興局長に復興局関係の説明を求めます。
〇大槻復興局長 令和元年度の復興局関係の決算について御説明を申し上げます。
 初めに、復興局所管の事務事業に係る取り組み状況等について、総括的に御説明を申し上げます。
 復興局は、東日本大震災津波からの復興の着実な推進に向けまして、復興推進プランに掲げる4本の柱に沿った施策に重点的に取り組んでまいりました。
 第1は安全の確保でございます。
 災害の歴史から学び、記憶や経験を語り継ぎ、将来に生かすための拠点施設といたしまして、東日本大震災津波伝承館を整備し、企画展示や教育普及事業等を実施したほか、いわて震災津波アーカイブ~希望~の活用を促進し、防災文化の醸成と継承に取り組んでまいりました。
 第2は、暮らしの再建でございます。
 内陸及び県外に避難している被災者に対し、岩手内陸避難者支援センターにおいて、住まいの再建や再建後の安定した生活に向けた支援を行うなど、市町と連携して恒久的な住宅への移行促進に取り組むとともに、持ち家の建設、購入に係る資金を市町村と共同で補助し、早期の住宅再建を支援いたしました。
 また、沿岸部の被災者相談支援センターに相談員を配置するとともに、司法書士やファイナンシャルプランナーなど専門家を派遣したほか、再建先での円滑なコミュニティー形成のためのコーディネーターの配置や被災者の心の復興に取り組む民間団体等を支援してまいりました。
 第3はなりわいの再生でございます。
 被災地での起業、第二創業、新事業進出等の新たなビジネスの立ち上げを支援するとともに、起業者等の経営支援や販路開拓、資金調達などの総合的な支援を行ったほか、被災地域の基幹産業であります水産加工業の宿舎整備や福祉分野との連携による人材確保に向けた取り組みを支援してまいりました。
 第4は未来のための伝承発信でございます。
 令和元年9月22日に開館した東日本大震災津波伝承館の管理運営や、いわて震災津波アーカイブ~希望~の活用促進のほか復興の取り組みとそこから得られた教訓や提言を取りまとめました東日本大震災津波からの復興―岩手からの提言―を発行いたしました。
 また、復興フォーラムやいわて復興未来塾の開催、いわて復興だよりの発行など、復興の姿を重層的に発信いたしまして、震災の記憶の風化防止と復興の継続的な支援、参画を促進いたしました。
 以上、令和元年度における復興局の取り組みにつきまして総括的に申し上げましたが、今後におきましても、被災された方々の心のケア、コミュニティー形成支援、まちづくり後の事業者への支援など、被災地における中長期的な課題に対しまして、一人一人に寄り添ったより丁寧な支援を実施いたします。
 また、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりまして、復興途上にある被災地においても、コミュニティー形成やなりわい再生を含む社会経済活動に大きな影響が生じておりまして、必要な感染症対策を講じながら復興の取り組みを進めてまいります。
 さらに、来年には発災から10年を迎える中で、記憶や経験を伝承し、国内外の防災力の向上に貢献するため、昨年にオープンいたしました東日本大震災津波伝承館を中心として、震災の事実を踏まえた教訓や復興の姿を永続的に発信してまいります。
 引き続きまして、復興局関係の決算について御説明を申し上げます。
 復興局関係の一般会計歳出決算は、お手元の令和元年度岩手県歳入歳出決算書の12ページと13ページの第2款総務費のうち2項企画費の一部、3款民生費のうち5項災害救助費の一部、16ページと17ページに参りまして、12款公債費の一部ですが、これらの支出済額は182億3、407万円余でございまして、翌年度繰越額は6、043万円余、不用額は5億6、776万円余となっております。
 決算の内容については、お手元の令和元年度歳入歳出決算事項別明細書に記載されておりますけれども、説明は省略させていただきたいと存じますので、御了承願います。
 以上で、復興局関係の説明を終わらせていただきます。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇千葉絢子副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇千葉盛委員 まず、東日本大震災津波の追悼式についてお伺いいたします。
 東日本大震災津波から間もなく10年を迎えますが、令和元年度の追悼式は新型コロナウイルスの影響によって政府主催の追悼式が中止され、岩手県においても規模を縮小して行われました。10年の一つの節目を迎える中で、政府主催の東日本大震災追悼式が10年目で打ち切られる方針が国から示されておりますが、知事も、何らかの形で東日本大震災津波を風化させないよう、追悼の思いを国として示すやり方を地元関係者と決めてもらいたいと国に求めておりましたが、現状について、どのような動きとなっているのかお伺いいたします。
 また、県として、今後の追悼式のあり方についてどのように考えているのか、見解を伺います。
〇大坊復興推進課総括課長 今後の追悼式のあり方についてでございます。政府主催の追悼式につきましては、発災から10年となります今年度までは例年どおり東京都内で追悼式が継続されること。また、令和3年度、11年目以降につきましてはその時々の諸情勢を判断しながら決めていくとされております。今後、国の追悼式の持ち方については、その動向の把握に努めてまいりますが、広く国民が被災地に思いを寄せていただくことができるように、国に対応を求めてまいります。
 また、県と市町村の合同追悼式についてでございますが、東日本大震災津波が多くのとうとい命が奪われた未曾有の大災害であることから、被災地の現状などを勘案いたしまして、岩手県沿岸市町村復興期成同盟会や開催市町村と協議の上、平成24年から沿岸各地におきまして県と市町村が合同で開催しております。
 3月11日につきましては、本県にとりましても復興の原点となる特別な日でございまして、令和3年度以降については、被災地の状況などを勘案いたしまして沿岸市町村などの意向を踏まえ、しっかりと検討を進めてまいりたいと思います。
〇千葉盛委員 国はそれはそれで、また、いろいろと注視していっていただきたいと思いますけれども、県として、令和3年度以降はまた検討していくということでしたけれども、例えば、令和2年度、次の3月11日を迎えて10年という一つの節目といいますか、そういう時期でありますが、これまでと同様の追悼式のやり方なのか、それともそこに、追悼式は追悼式ですけれども、その時期に合わせて支援をいただいた方々への感謝だったりいろいろなそういった方々とのつながり等を、また生かして地域の新たな交流につなげていくような、何かそういった特別なことも考えていくものなのかどうなのかお伺いいたします。
〇大坊復興推進課総括課長 ただいま、来年の3月11日の追悼式の持ち方についてということでございました。来年の3月11日、委員御指摘のとおり、10年目の節目を迎えるということで、非常に特別な日であると考えておりまして、私どもといたしましては、その日を点ではなくて線で捉えまして、その日に向けまして、例えばでございますが、東日本大震災津波伝承館で、海外の津波伝承館と結んだようなウエブセミナー、こういったようなものを行いまして、国内に発信するという企画がございます。これは3月11日の前にやると。
 そして、それを3月11日、しっかり追悼式をとり行った上で、その後、来年は復興五輪ということで、延期になりましたオリンピックもございますので、そういった中で本県の復興の今でありますとか、支援への感謝といったことをしっかりと伝えていくということで、3月11日を起点といたしまして、その前後で線のような形で本県の復興を発信してまいりたいと考えております。
〇千葉盛委員 被災地の方々と寄り添った形でいろいろ進めていってほしいのですけれども、そういった例えばの話ではありましたけれども、市町村、そして、いろいろな関係団体、これまで世界中新型コロナウイルス感染症でこちらに出向くことはなかなか難しいかもしれませんけれども、本当に世界中、日本全国いろいろな方々から支援をいただいて、そして深いつながりができました。
 この10年は復興という言葉か復旧という言葉が正しいのかわかりませんけれども、まちを直してきたといいますか、これからが本当に復興といいますか、新たなまちづくりに向けて皆さんが立ち上がって進んでいくところですので、その地域の活性化のためには、多くの人たちがまた訪れていただけるような、そして、このつながりを生かした中で、世界中とのつながりがもっと深くなって交流を進めていけるような形が望ましいと思いますので、それに向けた、今言ったようなことも含めてしっかりと市町村、関係団体と連携して進めていってほしいと思いますが、今も含めてしっかり話し合われているのか、その辺お伺いいたします。
〇大坊復興推進課総括課長 市町村との連携といったことにつきましてですが、先ほど御答弁差し上げましたとおり、まず追悼式につきましては、岩手沿岸市町村復興期成同盟会、沿岸の市町村等でつくっている沿岸市町村の団体としっかりと意見を交換いたしまして、開催の市町村ともその内容を詰めていくというようなコミュニケーションをとっております。
 また、地域活性化というようなお話もございましたが、先ほどお話ししました東日本大震災津波伝承館は三陸地域に向けてのゲートウエイという機能を果たすことになっておりまして、地元あるいは関係の沿岸市町村と連携いたしまして、この津波メモリアルを起点として、三陸に多くの方にお越しいただくという取り組みもしております。
 いずれそういった形で新型コロナウイルス感染症との関係はありますが、感染防止、社会経済活動の両立といったことをしっかり踏まえて、復興10年目の後は先ほども言った五輪もありますので、多くの方々に本県に訪れていただく仕掛けづくりを市町村ともしっかり話し合ってまいりたいと思います。
〇千葉盛委員 よろしくお願いします。
 今、答弁にも出てまいりましたが、次に、東日本大震災津波伝承館についてお伺いいたします。陸前高田市ではことし1月から3月までの観光入り込み客数が24万8、000人を超えて、前年同期比で約3倍となっておりまして、高田松原復興祈念公園や東日本大震災津波伝承館が集客に大きな役割を果たしております。
 このように東日本大震災津波伝承館には多くの方々が訪れておりますけれども、そういった方々が、どこからどのような人たちが訪れているのか、そして、初めてなのかリピーターなのかといったこと、来館者や訪問者の傾向をどう分析しているのか伺います。
 また、近隣自治体も連携をどのようにしていけばいいのかうまく描けずに、ちょっと動きが鈍いように感じますので、来館者等を岩手県内の各地へ導くための方策や市町村との連携をもっと充実させていくべきだと思いますけれども、現状についてお伺いいたします。
〇熊谷副局長兼震災津波伝承課総括課長 まず、東日本大震災津波伝承館への訪問者の傾向についてでございますが、昨年9月の開館から1年が経過しまして、9月末で22万人を超える来館者があったところでございます。このうち今年度の予約団体の状況は、9月末時点で487件となっておりまして、内訳としては、県内257件、県外230件となっております。団体の種類では、小中高、大学まで含めて186件で、割合で言いますと38.2%、次に多いのが観光ツアー177件、36.3%であり、そのほか、地域団体、行政などの視察が多い状況でございます。都道府県別では、岩手県が52.8%であり、次に東京都103件、21.1%、以下、宮城県、愛知県などが多い状況でございます。
 また、個人客の動向を把握するため、岩手県立大学と共同で東日本大震災津波伝承館を拠点としたゲートウエイ機能に関する調査を9月から実施しておりまして、現在、来館者からアンケート調査を実施しているところでございます。アンケートでは、訪問回数を初め、東日本大震災津波伝承館を起点に訪れる伝承施設や観光施設などを尋ねておりまして、この結果を県立大学と分析をしまして、今後の運営の基礎資料にしていきたいと考えております。
 次に、訪問者を県内各地へ導くための方策、あるいは市町村との連携の現状についてでございます。東日本大震災津波伝承館では、開館以来、エントランスで観光案内や沿岸市町村の観光物産パンフレットを配架し、情報収集の場として利用いただいております。三陸海岸の周遊観光をふやしていくには、個人客に加えましてバスで移動する団体ツアーをふやしていくことが重要と考えております。
 東日本大震災津波伝承館や道の駅高田松原については、旅行会社からの認知度も徐々に上がりまして、三陸地域を縦断するツアー商品や盛岡市など内陸を発着とする沿岸観光地をめぐるツアーの立ち寄り先にも採用されてきております。東日本大震災津波伝承館でも、旅行商品パンフレットに使用する写真など基本情報の提供依頼を受けて、その求めに応じ対応しているところでございます。また、東日本大震災津波伝承館を訪れるツアーの添乗員やバス事業者に評価や要望を直接聞くようにしておりまして、旅行会社等の関係構築に努めながら今後の誘客につなげていきたいと思います。
 市町村との連携では、沿岸市町村発行の観光物産パンフレットを切らすことなく提供しているほか、来訪者の方は現地情報をインターネットで情報収集することも多いですので、伝承館のホームページやツイッターなどのSNSを使って、各地の震災伝承施設、沿岸の食や観光、イベントなど幅広い情報発信に努めているところでございます。
 来年度4月からの東北デスティネーションキャンペーンを控えまして、引き続き、市町村や観光関係者とも連携して三陸地域へのゲートウエー機能が発揮できるよう取り組んでいきたいと思います。
〇千葉盛委員 本当に多くの方々が訪れていただいているようで、また、さまざまな方策も考えていただいているようで、何とかそれがうまくいくように願っておりますし、実際、ことしの1月から3月までですけれども、陸前高田市はそのとおり3倍の伸びですが、それが例えば大船渡市であれば前年同期比12.6%減、住田町であれば11.5%減。結局、それが近隣自治体を含めほかの自治体に波及していない状況ですので、そういった訪問された方々をしっかりと誘導できるように。そして、市町村同士は結びついていくのがなかなか難しいので、それを結びつけていくのが県の役割だと思いますので、今後とも、東日本大震災津波伝承館を訪れた方々が岩手県の各地に足を運んで地域経済の活性化になるように、しっかりと取り組んでいっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 最後に、県の復興局と国の岩手復興局の連携についてお伺いいたします。
 県の復興局の組織再編が行われるようでありますけれども、再編によって復興にかかわる部分がかすんでしまうのではないかと私は危惧しますし、また、再編するというのであれば、これからの県の東日本大震災津波の復興への役割はどういうものなのか明確にしていくべきだと思っております。そこで、復興にかかわる部分において現在とどのように変化するのかお伺いします。
 また、復興庁岩手復興局が、現場本位のために盛岡市から釜石市に移転設置されますが、部局の再編とともに県としてどのように岩手復興局と連携を図っていくのかお伺いいたします。
〇大坊復興推進課総括課長 まず、復興局の今後の組織体制につきましてですが、これまでの取り組みによりまして復興の歩みは着実に進んでおりますが、一方で心のケアやコミュニティーの形成支援、事業者の支援など被災地の実態を踏まえた取り組みを継続するとともに、東日本大震災津波の事実や教訓を未来のために永続的に伝承、発信していく必要がございます。
 そのため、今後も復興を県の最重要課題と位置づけまして、誰ひとりとして取り残さないという理念のもとに、引き続き、東日本大震災津波からの復興に全力で取り組める体制としたいと考えております。
 また、移転する復興庁岩手復興局との連携についてでありますが、岩手復興局につきましては、復興の課題が集中する地域に組織の軸足を移すため釜石市に移転することとされておりまして、県といたしましても、沿岸広域振興局との連携も強化しながら、岩手復興局とともに被災地の残された課題に対応してまいりたいと考えております。
 具体的には、例えばでございますが、これまで復興庁が被災地域で行ってきました官民連携によります販路開拓支援の事業、こういった取り組みと県の事業者支援の取り組み、これを連動させながらなりわいの再生に取り組んでいくこととか、被災者の心のケア、コミュニティーの形成支援など暮らしの再建につきましても、複雑化する被災地の課題に対し、これまで以上に岩手復興局と連携をいたしながら、現場に立脚いたしましたきめ細やかな支援に取り組んでまいります。
〇千葉盛委員 しっかりと取り組んでいただきたいと思いますし、部局を再編するということで、今おっしゃったとおり、暮らしの再建とかなりわいの再生、コミュニティー形成、心のケア、まだたくさん課題もあります。そして、報道もありましたけれども、東京電力福島第一原子力発電所の汚染処理水を海に流して処分する方針を政府が固めたということで、9年前の3月12日に原発が爆発してから、海産物に限らず全ての食が風評被害にさらされてきたと、この9年間ずっと戦ってきた中で、また、それがさらなる風評被害とかになってくるかもしれません。また、復興が進めば進むほどいろいろな課題が出てくるかもしれません。
 そういったところにしっかり住民に寄り添っていただいて、対策をとっていただけるような部局になってほしいと思いますが、その中で、国がそうやって岩手復興局を沿岸地域に移転設置して、しっかりと現場を見ながら政策、施策を進めていこうとしておりますけれども、県としても、そういった復興局の再編とともに、沿岸被災地にさらに寄り添っていくというような姿勢を示していくべきと思いますが、その辺はどうお考えになっているのかお伺いいたします。
〇大坊復興推進課総括課長 ただいま、来年の部局再編に絡みまして、私ども復興局も現場主義をさらに強めるという御指摘でございました。まさにそのとおりでございまして、私どもも今まで現場主義にのっとって岩手復興局とともに現地の支援をしてきたところですが、それに加えまして、今回、岩手復興局が釜石市に移転するということでございます。
 先ほど御答弁申し上げましたとおり、釜石市には沿岸広域振興局の本局もございます。こういった中には産業振興部門もそれなりの体制でございますし、保健部門もございますので、現地でタッグを組みながら、より現地に立脚したきめ細かい対応を来年度以降さらに進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
〇斉藤信委員 今の千葉盛委員の質問に関連して、最初に、丸10年を迎える追悼式開催について私も質問したいと思います。
 恐らく来年は陸前高田市の番になるのではないかと。それで、実は先日、戸羽市長に会ったときに、国営追悼施設を使ってぜひ開催したいということでございました。ただ、あそこは狭いので、もう一つたくさんの方が集まれるような別な会場で二元中継、できれば政府と三元中継という話もありましたけれども、せっかく整備をされた国営追悼施設を活用するのは大変大事なことなのではないかと私は思います。
 もう一つ、ことし釜石市で開催された追悼式はちょっと自粛し過ぎだったと私は思います。今、プロ野球も観客席の半分、今度は全部入れて試験をしてみるという話ですから、私は、感染対策をしっかりとって、岩手県の状況もしっかり踏まえて丸10年にふさわしい本当に復興の姿を全国に発信できるような追悼式に、そして、全国に感謝をする追悼式にすべきではないかと思いますが、これは局長にお聞きしましょう。
〇大槻復興局長 今の追悼式の関係で、昨年度の追悼式も、あれは新型コロナウイルス感染症の中でかなり頑張ってやらせていただいた部分がございますけれども、大変申しわけございませんでした。
 割と順繰りに各市町村を回り歩いて合同で追悼式をやってきたわけですので、そういった意味では、今、委員御指摘のようなところで、陸前高田市というのも有力な選択肢の一つと考えています。
 その一つの要素といたしましては、高田松原津波復興祈念公園が年度末にはオープンになる予定といいますか、そういったところもございまして非常にタイミング的にはいいのかなと思っておりますが、何分非常に風が強くて、外でやるという部分もございますし、そういった気候の関係とか、あとは、今の時代ですのでICTといいますか、その技術を活用した格好でもいろいろなことはできるのかなとは思っております。そういった部分も関係した市町村と十分協議を進めながら、きちんとした形で追悼式開催をしていきたいなと考えております。
〇斉藤信委員 もう一つ、千葉盛委員の質問に関連します。復興局の今後のあり方。これは実は総括質疑で岩渕委員の質問に知事が答弁した中で重要な答弁がありました。復興を県の最重要課題と位置づけ、復興の着実な推進や震災の教訓を踏まえた危機管理対策の強化につながる新たな組織体制の整備について、12月定例会にお諮りできるよう検討してまいると。大変重要な答弁だったので、復興局も総務部と一体で検討していると思いますが、どういう検討をし、今後の復興局のあり方を含めて検討されているかを示してください。
〇大槻復興局長 組織再編の話でございますけれども、まず、復興について今まで10年やってきたわけですが、ハード事業はそれなりに形ができておりますけれども、心の復興の関係、いわゆる心のケアの関係とか、それから、何よりもコミュニティーの育成という部分でまだまだ足りない部分があるのかなと思っております。こういった部分は、当然ながら復興局という復興を担当するところということで、これまでどおり一生懸命やらせていただくということになろうかと思います。
 その災害との関係で申しますと、実は、東日本大震災津波の後にいろいろな課題がございました。例えばその後に起こった平成28年台風第10号の話とかになると、一つは被災しているところにもう一回災害が来たときの、例えば仮設住宅をどう取り扱っていくのかとか、そういった部分が、ある程度一つの組織ということであれば、割と有機的に連携した上でできるのかなという期待を持っています。
 それから、もう一つは被災者の支援の関係でも、例えば防災の関係で、現在、総務部総合防災室がやっていますけれども、被災者支援の関係は災害救助の関係で保健福祉部がやっているという部分もございまして、そういった部分を横串を刺せるような形でやれば、県民のために初期動作といいますかそういったものがかなりうまくいく面があるのではないかと考えております。そういったことにうまく動けるように取り組んでまいりたいなと思っています。
〇斉藤信委員 事前防災から災害に対する対応、その後の復旧、復興、これは一体的に対応する体制が私は大変大事だと。災害のたびごとに対応するのではなくてどんな災害にもそういうふうに機敏に今までの経験、制度を活用して対応する、そういう体制の確立を期待したいと思います。
 そこで次に、被災者の住宅再建、住宅確保の状況についてお聞きいたします。
 被災者生活再建支援金、基礎支援金受給者の住宅再建の状況はどうなっているでしょうか。
〇佐藤生活再建課総括課長 まず、本年9月末時点の被災者生活再建支援金、基礎支援金の受給者は2万3、179世帯でございます。このうち建設購入の区分で受給された方が1万815世帯、補修が3、017世帯、賃貸が961世帯となっており、1万4、793世帯が加算支援金を受給して住宅を再建したところでございます。
 これに災害公営住宅や公営住宅へ入居された4、260世帯、それから、施設等に入所されました2、298世帯を加えますと、2万1、351世帯が住宅等を確保したと見込んでおります。
〇斉藤信委員 公営住宅は5、167世帯ではないかと思いますが、そのずれはどこにあるのか。2万1、351世帯、2万3、179世帯との差がまだ住宅が確保されていないということになると思うのです。そこの動向は把握されていますか。
〇佐藤生活再建課総括課長 ただいま委員おっしゃいました5、167世帯との差でございますけれども、加算支援金を受給された方のうち、災害公営住宅や公営住宅に入居された方として市町村から聞き取りした数が4、260世帯ということになっておりますが、この差につきましては、加算支援金は罹災証明書一つで1世帯しか受けられないのですけれども、その後、例えば親世帯、子世帯で世帯を分離して、それぞれが災害公営住宅に入られたとかといったことが考えられるのではないかと、今、見ているところでございます。
 それから、残りの部分でございますけれども、基礎支援金の受給者とただいま申し上げた2万1、351世帯の差が、残りが1、828世帯になりますが、このうちお亡くなりになったり行方不明になられた方ということで把握している数が1、521世帯になります。これを引きますと、残りの307世帯が、今後、住宅の再建の準備中と我々で把握している数となります。
〇斉藤信委員 ぜひ、残されている307世帯できるだけ早く住宅が再建確保できるようにしっかり取り組みを強めていただきたい。
 そこで、住宅再建の沿岸被災地での再建状況はどうなっているでしょうか。
〇佐藤生活再建課総括課長 沿岸で被災された方の建設購入に係る加算支援金の支給件数は1万485件でございます。そのうち沿岸地域で再建された方の数は9、060件、比率としましては86.4%となっております。
〇斉藤信委員 86%の方々が沿岸被災地で再建をされたと。これは、私は沿岸被災地が大変頑張った成果だったのではないかと思います。今後の住宅再建で基礎支援金をもらっている方々はまだ307世帯残っていると。被災者生活再建支援制度の加算支援金、そして、県の100万円の補助、これは10年過ぎても必要な世帯があれば継続するということでよろしいですか。
〇佐藤生活再建課総括課長 被災者生活支援金と県の被災者住宅再建支援事業の今後の見通しでございますけれども、これらにつきましては、面整備の進捗状況や市町村の意向を踏まえまして申請期間をこれまで延長してきたところでございます。被災者生活支援金につきましては、本年9月に陸前高田市の加算支援金に係る申請期間について事務を取り扱う公益財団法人都道府県センターに令和4年4月10日までの延長を要請したところでございます。
 被災者住宅再建支援事業につきましては、加算支援金の延長を踏まえまして来年度以降の実施について検討をしているところでございます。
〇斉藤信委員 陸前高田市については令和4年4月10日まで延長要請していると。先ほど、307世帯がまだ住宅確保されていない。これは全員が陸前高田市ではないでしょう。陸前高田市以外にも私はあると思うけれども、その点はどう対応するのですか。
〇佐藤生活再建課総括課長 307世帯のうち69世帯は、盛岡市南青山町の災害公営住宅に入居する予定と伺っている方々でございます。
 残りの方々については、委員おっしゃるとおり、陸前高田市の方が全てではございませんので、その方々につきましては、現在、各市町村でも名簿化をしておりますので、今年度中に期限のあるうちに申請をしていただけるように申請勧奨をしているところでございます。
〇斉藤信委員 SDGsの精神で誰ひとり取り残さない、全ての人に必要な支援が届くと。ここまで待っている方々ですから、ぜひ、一人でも二人でもあれば、きちんと支援が受けられるような手だてをしっかりとっていただきたい。
 次に、災害公営住宅でのコミュニティーの形成、集会所への支援員の配置と活用についてお聞きいたします。
〇佐藤生活再建課総括課長 災害公営住宅におけるコミュニティーの形成につきましては、災害公営住宅コミュニティー形成支援事業によりコミュニティー形成支援員を災害公営住宅に派遣して、相談対応や自治会運営のサポートを行っておりますほか、被災地コミュニティー支援コーディネート事業により市町村と支援団体とを調整するコーディネーターを配置し、体制づくりや人材育成に関するノウハウ等について助言するなど、市町村のコミュニティー形成の取り組みを支援しているところでございます。
 それらに加えまして、本年度におきましては、集会所等において本県の地域資源であります郷土芸能の発表の場を設定しまして、出演者や入居者等が交流することによるコミュニティー形成支援の取り組みを進めているところでございます。
 次に、集会所の件でございますけれども、災害公営住宅の集会所等において、相談対応等の個別支援やサロン活動等の地域支援を実施している地域見守り支援拠点につきましては、令和2年8月時点で4市町6カ所が開設しており、それぞれ生活支援相談員が1名から3名配置され、活動しているところでございます。
 災害公営住宅の集会所の利用状況につきましては、団地により異なりますけれども、自治会が組織されている団地では、住民が主体となりましてお茶会等が開催されているほか、自治会が組織されていない団地におきましても、社会福祉協議会や民間団体等がイベントを開催するなど、住民同士の交流を図る場として活用されていると伺っております。
 また、市町村が実施しております高齢者向けの体操の場に利用されるなど、活用の幅も広がっているところと承知しております。
〇斉藤信委員 被災者のコミュニティー形成が大事だと局長もお話しになりました。そして、災害公営住宅は、私、一般質問でも取り上げましたが、ひとり暮らし世帯が33%ですよ。高齢化をして孤立化しているのです。災害公営住宅の集会所はことしはどうなっているかというと、使われているのはほとんどが月1回もしくは2回です。ほとんど使われていない。コロナ禍のもとで、極めて残念です。適切な規模でコミュニティーのために集会所を使って、本当に孤独化しないように孤立化しないように取り組んでいくことが今ほど必要なことはないと思うのです。だから、私は予算特別委員会のときにも集会所の活用がされていないという指摘をしましたが、コロナ禍のもとでほとんど活用されていない。月1回、2回程度です。
 そういう意味で、今回、4市町6カ所に支援員を配置されたということですけれども、私、それだけでは足りないと思うし、新型コロナウイルス感染症に負けないような、一人一人の高齢者を結びつける、そういうコミュニティー形成の取り組みを本気で取り組んでいただきたい。現状認識がかなりずれていると、これは率直に言わなくてはならない。これは保健福祉部とも県土整備部ともしっかり連携をして、災害公営住宅で孤独死は一人も出さないという、そういう形で新型新型コロナウイルス感染症に負けないコミュニティー形成の取り組みをしっかりやっていただきたいと私は思うけれども、いかがですか。
〇佐藤生活再建課総括課長 集会所の利用の部分でございますけれども、新型コロナウイルス感染症の影響で非常に活用が滞ったことは伺っております。現在のところは、生活支援相談員マニュアルをつくりまして、徐々に新しい生活様式を実践しながらお茶会等が再開されていると聞いておりますし、あと、集会所利用ではないのですが、例えば屋外でできるラジオ体操とかそういった取り組みも進められていると伺っておりますので、いずれ、災害公営住宅の中から高齢者の方々をできるだけ外に出して、皆さんが交流できるようないろいろな取り組みを考えてまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 最後に、第2期復興・創生期間における復興事業費、本県の試算は、総事業費、各事業ごとどうなっていますか。
〇大坊復興推進課総括課長 ただいま第2期復興・創生期間におきます今後5年間の事業費についてのお尋ねでございました。
 この期間におきまして、本県及び市町村が必要と見込んでいる復興事業費につきましては総額約920億円となっておりまして、その内訳は、被災者支援で約90億円、住宅再建、まちづくりで約500億円、産業、なりわいの再生で約270億円などとなっております。
〇千葉絢子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉絢子副委員長 質疑がないようでありますので、これで復興局関係の質疑を終わります。
 復興局の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。
 次に、ILC推進局長にILC推進局関係の説明を求めます。
〇高橋ILC推進局長 令和元年度のILC推進局関係の決算について説明申し上げます。
 まず初めに、ILC推進局所管の事務事業に係る総括的な取り組み状況等と今後の取り組み方針について説明いたします。
 国際プロジェクトILC計画については、これまでにICFA―国際将来加速器委員会、CERN―欧州合同原子核研究機構等の場で国際的な議論が進められ、日本での実現に向けた米国政府の支持に続き、欧州研究者の協力の意向も示されております。
 本年8月には、米州、アジア太平洋州、欧州の3極が参画するILC国際推進チームが、KEK―高エネルギー加速器研究機構を拠点に設立され、ILCプレラボ、準備研究所に向けた活動が始まりました。
 日本政府による昨年3月の関心表明と米欧との意見交換などの取り組み、超党派の国会議員連盟等による海外に向けた精力的な活動等により、ILC実現に向けた国際協力の一層の進展を目指す新たなフェーズを迎えています。
 このように国内外の取り組みが進展する中、ILC推進局では、まず、関係団体と連携し、国への働きかけや国民理解の増進に取り組み、昨年10月には宮城県で開催された国際会議リニアコライダーワークショップ2019において、関係自治体等と協力し、東北の準備状況や地域の魅力を発信、本年2月には、ノーベル賞受賞者を招聘し東京都で開催されたシンポジウムにおいて、全国の推進団体や大学等と協力し、県内にもサテライト会場を設置するなど普及啓発に取り組みました。
 また、昨年7月にILCによる地域ビジョンを策定し、県内候補の活用可能性調査を初め、県内ものづくり企業の加速器関連産業への参入支援、グリーンILCの普及啓発と共同研究、海外研究者等の受け入れのための関係市と連携した生活、医療、教育環境整備の調査、検討、高校生を対象とした理科系研究コンテストの開催など、知事を本部長とする岩手県ILC推進本部に設けた分科会を中心に部局横断で取り組みを進めております。
 今後の業務推進に当たりましては、本年8月、本県を含む宮城県、岩手県の関係自治体、大学等で設立した東北ILC事業推進センターにおける建設準備期間への移行を見据えた調査、検討等の活動と連動しながら、本県として、地域振興ビジョンによる取り組みのさらなる具体化と進展を図ってまいります。
 また、国内外の動向に臨機に対応し、超党派国会議員連盟や関係団体等と一層の連携を図りながら、国への働きかけや国民、県民理解の増進など、ILCの実現に向けて取り組んでまいります。
 続いて、決算の概要について説明いたします。お手元の令和元年度岩手県歳入歳出決算書の12ページ、13ページをお開き願います。
 このうちILC推進局関係の決算は、2款総務費のうち2項企画費の一部であり、支出済総額は1億7、711万円余、不用額は1、155万円余であります。
 なお、ILC推進局は、昨年8月の組織再編により、これまでの室、課から部局の一つとして新設したものであり、組織再編後のILC推進局所管の内容であることを御了承願います。
 次に、決算の内容につきましては、令和元年度歳入歳出決算事項別明細書に記載のとおりであり、説明を省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇千葉絢子副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇佐々木朋和委員 私からは、ILC推進事業費に関連をして質問させていただきたいと思います。
 冒頭、先日の総括質疑で残り2分となってしまいましてちょっと突っ込めない部分がございましたので、確認をさせていただきたいと思います。
 そのときの答弁で、ロードマップの取り下げについて、県が知ったのは9月8日であり、受けとめとしては、県としては今後の国際協力の進展に支障はないものと受けとめている。また、国内関係者の協力体制にも影響はないものと受けとめているという説明がございました。
 一方、県民にとっては、このロードマップに載ることが大きな節目だと思っておりまして、肩透かしを食らったような感覚にいるというのはそのとおりなのだろうと思っております。進展に変わりはないことを伝えるとともに、情報共有について不安を払拭することも県にとって大事な役目だと思います。
 そういった中で、県はKEKからロードマップの審査過程は非公開が原則だった、そのために公表が9月8日になったという説明を受けたということでありましたが、普通に読めば、審査過程は非公開だとしても、その以前の申請の取り下げの部分まで非公開という扱いになるのかというのはちょっと疑問に思うところですけれども、その点の認識はどのように考えておりますか。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 我々はその点もKEKには確認したのですけれども、KEKでは、その過程が非公開だったので、そこの部分も審査に関する手続と考えて非公開としたというような話を聞いております。
〇佐々木朋和委員 県はそれで納得をされたのですか。
〇高橋ILC推進局長 KEKの説明のとおり受けたものであります。
 しかしながら、結果として、地元では報道等を受けてILCの推進に非常に大きな不安等が生じたこともあります。そういったこともKEKにはお伝えしまして、今後は、できるだけ速やかに公表を伝えるようにはできないか、あるいは公表の際には丁寧な対応を地元ともっと事前によく相談してくれないかといったことを事務的にKEKに意見を述べております。KEKではそういったように対応していただけるものと思っております。
〇佐々木朋和委員 申し入れをしていただいているということなので、了としたいと思います。
 誘致活動にも県民の税金を使っているわけでありまして、県民の大きな期待もありますので、今後とも情報共有のパイプをしっかりとさらに改めて確認をして進めていただきたいと思います。
 では、通告をしておきました質問に移らせていただきたいと思います。
 先ほど説明もありましたように、ILCプレラボのスタートについて、工程表が発表されまして2022年ごろと示されました。4年程度たって2026年ごろに本研究所が設立、建設が開始、そして、2035年ごろから運用開始というものが出ております。
 これは県でつくりましたILCによる地域振興ビジョンとタイムテーブル的にも重なるわけでありますけれども、このILCによる地域振興ビジョンの本格的なスタートが何年からということは示されていないわけでありますが、先ほどの説明でも具体化という話もありましたけれども、これは2022年から準備期がスタートするということを念頭にこのビジョンが進んでいくものなのか、それとも、もうタイムスケジュールは示されましたから、すぐにでも準備期の期間を長くしてでも前倒しでスタートしていくのか。この点について伺いたいと思います。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 ILCによる地域振興ビジョンを昨年7月に策定いたしまして、ILCプロジェクトを推進する方向性を示す戦略という形で、ILC東北マスタープランを参考に、実現までの中長期的な対応の方向性を示す準備期、建設期、運用期の大まかな工程表を取りまとめたものです。
 国際将来加速器委員会―ICFAがことし2月の国際会議で設立を提言したILC国際推進チームは8月に発足し、1年から1年半程度ILCプレラボ、準備研究所の設立に向け準備段階への移行を推進する活動を行うとされております。ILCによる地域振興ビジョンは、この国際的なILC実現に向けた工程を見据えて策定したものであり、先ほど申し上げた準備段階への移行期間に行われる取り組みは、このビジョンの準備期に掲げた取り組みに含まれるものでありまして、ILC建設に必要な機器の搬送ルートの調査等、既に取り組みを進めているものもあるところです。
〇佐々木朋和委員 既に取り組みを進めているものもあるということでございました。
 では、令和元年度ILC推進事業費として6、032万2、000円を掲げておりますけれども、その成果と、また、本年度は1億1、809万8、000円に拡充をして取り組んでおります。その執行状況をお示しいただきたいと思います。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 令和元年度ですけれども、先ほど申し上げたILCによる地域振興ビジョンを策定しまして、海外研究者等の受け入れ環境整備の調査、検討、高校生を対象とした理科系研究コンテスト開催などに取り組んだほか、県内企業の加速器関連産業への参入促進に向け、セミナーや技術指導等を展開し、現在、仙台市で建設中の次世代放射光関連の受注などにも成果が出ているところです。
 また、普及啓発活動では、県内各地あるいは首都圏等のイベントに21回出展をいたしまして、また、県内各地でのILCに関する講演会や勉強会の開催は124回、延べ8、642人の参加をいただいております。
 今年度につきましては、先ほど申し上げた加速器の関係で専門知識を有するコーディネーターによる市場開拓やマッチングなどの企業支援を強化し、県内企業のさらなる加速器関連産業への参入を促進するほか、東北ILC事業推進センターの活動と連動して、ILCに必要となる機器の検査、組み立て、保管、あるいは効果的な物流が図られるよう既存港湾における拠点機能や建設候補地周辺の道路状況等の調査、検討にも取り組みます。
 また、新型コロナウイルス感染症を踏まえ、オンラインシステムを活用した普及啓発活動や関係者との定期的な意見交換を行っておりまして、引き続き、国内外の動向に臨機に対応し、超党派国会議連やILC国際推進チームをホストするKEK、関係団体等と一層の連携を図りながらILC実現に向け取り組んでまいります。
〇佐々木朋和委員 今、御説明をいただきました準備期に当たる部分を前倒しで進めるということでありますけれども、このILCによる地域振興ビジョンの進行にやはり大きな影響を及ぼすのが、ILCプレラボがどこにできるかというところだと思っております。局長からは、今の段階ではわからないということはお聞きをしていたのですけれども、一部報道にはKEKがホストをするという報道も出ておりました。そういった場合に、現地としては、どこにできるのかによってイノベーションの創出でありますとか受け入れ体制の整備に大きな影響が出るのではないかと考えるのですけれども、県としてはどのように認識をしておりますか。
〇高橋ILC推進局長 国際推進チームでILCプレラボ、準備研究所の設立に向けた制度設計の検討等を行うものとして、今後、ILCプレラボの役割や組織が具体的に示されるものと認識しております。
 ILCの建設に着手するためには、ILC研究所設立の準備を初めとして現地に合わせた施設の最終設計や環境アセスメント等が必要と想定されておりまして、ILCプレラボ、準備研究所がその役割を担うことになるものと考えております。そうした場合には、ILCプレラボ、準備研究所の設置場所、本拠地にかかわらず、こうしたILCプレラボ、準備研究所の活動には、立地地域との強力な連携が必要でありまして、建設候補地の県としては、調査、設計等について研究者等に協力していくように、今後は東北ILC事業推進センターの活動と連動して準備を進めまして、また、こうした協力体制によって、ビジョンに掲げた受け入れ環境整備やイノベーション創出の取り組みを進めていくよう考えております。
〇佐々木朋和委員 了解しましたけれども、もう少し力強く、ぜひ岩手県に来てくださいというようにお願いをしたいところです。
 冒頭、ILC推進局長からの説明がありましたけれども、準備期はもう始まっているということでございましたし、2022年ですか、もう1年半かそのくらいということでありますので、ILCによる地域振興ビジョンの工程表をより具体化をしていかなければいけないと思っております。
 しかし、このILCによる地域振興ビジョンを見ますと、細かなKPIやより細かな進捗スケジュール、また、各施策項目の必要な予算規模や財源が示されていません。施策の全体像が我々としてもわからないと、今どのぐらいこの受け入れ体制が進んでいるのか、あるいは産業集積に向けて進捗はどうなのかというところが判断できない。これは我々だけではなくて、まさに一般県民もそのとおりでありまして、そういったところが不安にもつながるのだろうと思っております。
 県としては、ILCによる地域振興ビジョンをさらに進めたアクションプランのようなものをしっかりと策定をして、あるいは検討をしていく必要があるのではないかと思いますけれども、所見を伺いたいと思います。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 ILCによる地域振興ビジョンは、いわて県民計画(2019~2028)に基づき、ILCを契機として、ILCの建設候補地である本県が世界に開かれたイノベーションの拠点となり、未来に向かって発展する地域となるための取り組みの基本方向を明らかにしたものです。
 このILCによる地域振興ビジョンの目指す姿の実現に向けて、先ほども申し上げました受け入れ環境整備等の取り組みを進めておりますけれども、今後、ILC国際推進チームやその先のILCプレラボ、準備研究所の活動とすり合わせが必要になってくる取り組みが出てくると考えられることから、具体の取り組み等の事業化に当たりましては、そういうスケジュールや目標の設定といったものをどのように進捗管理をしていくかといったことも含めて、事業化の際には考えていきたいと思っております。
 ILCによる地域振興ビジョンの推進に必要な予算につきましては、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略や、岩手県多文化共生推進プランなど、各行政分野の取り組みと連動して、いろいろな財源の活用も検討しながら進めていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 進捗管理については必要だということで前向きな答弁をいただいたと思いますが、いろいろな調整も必要で、いつぐらいからそれがスタートするのかということをなかなかおっしゃっていただけなかったわけですけれども、このアクションプランと私は呼んでいますが、いつぐらいからスタートしていくと、今の段階では言える部分がありませんか。
〇高橋ILC推進局長 日本政府としての誘致決定が決まった際には、そうしたプランを示してその後の建設期の取り組みに当たりたいということも視野に入れて取り組んでいきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 ILC推進局長には総括質疑のときにお聞きしたのですけれども、ILCプレラボができる前にこの判断があるのか、あるいはILC国際研究所のときかというような話をしましたが、どっちともとれるような発言だったのですけれども、もう一回そこを聞きたいと思います。
〇高橋ILC推進局長 今示されております段階的なプロセス、スケジュールでは、ILC国際研究所を設置して建設に着手するということが示されておりまして、その前段階にILCプレラボ、準備研究所の取り組みが4年間程度置かれているといったもので、ILC国際研究所を設置するに当たっての条約や協定の締結に向けての政府間合意は、ILCプレラボ、準備研究所の活動期間内にされるものと考えております。
〇佐々木朋和委員 今、また、2回出てきたわけですけれども、そのアクションプランなりをつくっていくという、今言った政府の判断があったという場合、そういうことをやっていくといった、その時点はどっちのことをお示しになっていますか。
〇高橋ILC推進局長 政府決定があって、ILC国際研究所の設立が視野に入った段階というような感じで思っております。
〇佐々木朋和委員 3年か4年後ぐらいのところなのでしょうか。
 私は前から申し上げていますけれども、決定を待ってというのはずっと言われてきている中で、人口減少も進んでいる中で、地域振興は待ったなしだと申し上げております。政府決定を待ってアクションプランをつくっていくということは正確でしょうけれども、進められる部分については進捗管理をして、その全体像のまちづくりを県民に見せていくことも、私は希望をつないでいくというのは大事なのだろうと思っているのですよ。ぜひ、そういった工夫をしながら、私はアクションプランを前倒しでつくっていただきたいと、このことを申し上げて、終わりたいと思います。
〇千葉絢子副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後4時14分 休 憩
午後4時28分 再開
〇菅野ひろのり委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 それでは最初に、KEK―高エネルギー加速器研究機構が3月にロードマップ記載への申請を取り下げた具体的理由は何か、なぜ、そのことを明らかにしてこなかったのか、示してください。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 ロードマップ申請取り下げの理由について、KEKから、申請書を提出後、新たに国際協力体制など推進の枠組みを再構築し、ILC計画を一層強力に進める方向で検討が進められることとなり、申請の重要なポイントである国際協力による計画推進体制が申請内容から一新されることが見込まれる状況となったためとの説明がありました。
 また、ロードマップの審査過程は非公開が原則だったため、文部科学省がロードマップ案のパブリックコメントを開始するまで公表を控えていたということであります。
〇斉藤信委員 私は、今の取り下げた理由が、理由になっていないのではないか思いますよ。佐々木朋和委員も取り上げたように、ロードマップの申請はこのプロジェクトの中身そのものでしょう。私は推進体制とは違うのだと思いますよ。
 9月24日にインターネット上で、専門家3人がILC誘致に向けた最新動向を説明したILCウエブ講演会が開催されました。この中で最初に講演をした東京大学の森教授は、KEKがロードマップの申請取り下げを公表していなかったことは間違いだった。ILCに関係する地元の方々、サポートしてくれる産業界に公表していなかったことは、推進する研究者を代表して申しわけなく思うと。間違いだったと言っているのです。これをどういうふうに受けとめていますか。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 まず、内容の一新の理由に関してですけれども、国際プロジェクトとして進めるということで、ロードマップに申請する段階と、国際会議が2月の後半に行われまして、その場でILC国際推進チームの設置や推進体制、枠組みを新しい形で進めることが提言されて、それに向けて組織づくりがされまして、実際8月にILC国際推進チームが発足したわけですけれども、そういったことで推進の大きな枠組みが変わっているということで、内容の部分では非常に大きなポイントだということでKEKは取り下げをしたと、我々としては説明を受けております。
 それから、東京大学の森教授のお話ですけれども、今となれば、今申し上げたとおり、ILC国際推進チームが立ち上がって実際に活動をしていますので、そういった意味での推進の動きについてはそれはきちんと動いているものとは思いますけれども、そういう取り下げがあったこと、それが後から出てきたということで、先ほどもお話ししましたが、地元にとっては進み方についてちょっと不安を覚えたということもありましたので、そういったところを研究者としても受けとめて話をしたということだと思います。そういったことで、今後とも研究者の方々との協力体制はきちんとした形でとりながら、推進に努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 私は、KEKが取り下げたのは本当に不可解というか、ますます不透明になったのではないかと思います。というのは、この文部科学省のプロジェクトに採用されるかどうかというのは国家プロジェクトになるかどうかなのです。国家プロジェクトになって本当の意味の推進体制がつくられるのです。だから、国家プロジェクトに決まらないで、国際加速器研究の方たちだけでやっているのは、本当の動きではないのです。私は、順番が逆なのだと思います。国家プロジェクトに採用されて初めて、これは本格的に動くのです。
 だから、私はKEKのこの言い分は説得力が全くないと思います。結局、採用される見通しがなかったから取り下げたと言われても仕方がないのではないかと思いますが、局長はどう受けとめていますか。
〇高橋ILC推進局長 国家プロジェクトというお話がありましたが、基本的には国際プロジェクトとして、世界各国が人、金、物を持ち寄ってつくる共同研究所を目指しているものでありまして、国際間での議論がまず優先して進められるものと考えております。
 取り下げに関して文部科学省でも事実としてきちんと把握している上で、米欧の政府機関との意見交換を行いつつ、国際研究者、コミュニティーの議論を注視していくと言っておりますので、ILCの推進が後退したというものでは全くないものと認識しております。
〇斉藤信委員 日本の国家プロジェクトに採用して初めて国際プロジェクトになるのです。ILCは国際プロジェクトですよ。しかし、それが国際プロジェクトになるには、日本がホスト国なのだから、日本が手を挙げて初めてそうなるのです。だから、あまり言葉の遊びはしないで。だから、日本が国家プロジェクトとして採用しなかったと。採用する前に取り下げたということが、私は本当に不透明で不可解だと指摘をしたのであります。
 日本学術会議が1月30日に公表したマスタープラン2020で、ILC計画は重点大型研究計画に盛り込まれなかった。ここが大前提の大きな問題なのだと思うのです。このことについて県はどう受けとめておりますか。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 日本学術会議のマスタープラン2020において、ILCは学術大型研究計画に選定され、また、その重点大型研究計画の候補としてヒアリング課題にも選定されております。マスタープラン公表後の記者会見で萩生田文部科学大臣は、ILCは国際プロジェクトで、各国の財政的な協力について詰めが必要であり、この段階で長期のプロジェクトに入らなかったことはそれほど驚くべき結果ではないという発言もしております。
 県としては、昨年3月、日本政府が初めてILCへの関心表明をしておりますけれども、その際に、一定の学術的意義を有するとする一方、正式な学術プロセスでの議論が必要とされておりまして、それがマスタープランということですので、そのマスタープラン2020の審査ということで、ILCがそのプロセスで議論された、そのことが重要だと考えております。
〇斉藤信委員 何か負け惜しみのような言い方に聞こえるのです。日本学術会議のマスタープランの重点大型計画に盛り込まれて、私は文部科学省のロードマップにも位置づけられるというのが筋道だと思います。日本学術会議に確かに意義は認められた。しかし、重点計画というところには採用されなかったことを冷静に見る必要があるのではないかと思います。日本学術会議、科学者の間でそういうふうにまだ熟していないということだと思うのです。
 先ほど紹介したILCウエブ講演会の中で、山下東京大学特任教授はこう言っています。世界各国で財政が逼迫し、大きな科学技術計画に投資しにくい状況がある。ILC実現には財源が一番重要になる。他分野の学術研究や現行計画に支障がないようにし、国の財政規律も損なわないのが条件だ。これは各国もそういう問題を抱えて、私は、日本が財政的に条件があるかといったら、今の財政赤字を考えたら日本に条件があるということにはならないのではないかと。一番ここが問題だと山下東京大学特任教授も指摘をしていますが、これはどう受けとめますか。
〇高橋ILC推進局長 山下東京大学特任教授のコメントをそのとおり受けとめますと、だから国際協力でやるのであり、各国から人、物、金を持ち寄ってやることについてみんなで議論していこうといったような進み方をしているのだと思います。
 なお、先ほど斉藤委員からロードマップに掲載されないと国家プロジェクトではないといったようなお話もありましたけれども……(斉藤信委員「筋道だと言っている」と呼ぶ)筋道だというお話だとして、マスタープランの重点大型研究計画に選定されずにロードマップに載ったプロジェクトもありますし、ロードマップに掲載されない大型プロジェクトの中には、国際宇宙ステーション―ISSのようなものもあるといったことで、筋と主張とのことでしたけれども、必ずしもそのとおりだけの結論ではないと事実として受けとめています。
〇斉藤信委員 私が引用したのは、世界各国で財政が逼迫している。だからホストとしては受けられていないのですよ。だから日本にやってほしいと言われているけれども、私が言っているのは、いや、日本だって財政規律を考えたら大変な状況ではないのかと、1、000兆円を借りるような赤字を抱えている中でね。だから、私はこの指摘はシビアに受けとめる必要があるのではないかと思います。
 そもそも文部科学省の大型研究計画の関連予算は年間300から400億円なのです。そういう中で8、000億円の国際プロジェクト、国家プロジェクトを進める。現状は、それだけの意義があるのかということが、私は、国民の間で、科学者の間で理解、納得されていないのだと思うのです。だから、そこをしっかりやらなければならない。日本学術会議のマスタープランに入らなくても逃げ道があるのだみたいな言い方では、これは筋道が違うのではないかと私は思います。結局、文部科学省のロードマップに記載されなかったということは3年間は動かないということですよね。国際間のさまざまな協議、交渉は行われたとしても、プロジェクトとしては動かないということですよね。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 今後の見通しということですけれども、8月に発足しましたILC国際推進チームが、ILCプレラボ、準備研究所の設立において1年から1年半程度活動し、ILCプレラボ、準備研究所が最終的な設計など4年程度の建設準備に向けて進めていくというプロセスが示されております。
 もう一つ、2月の衆議院の予算委員会では、ロードマップに仮に載らなかった場合でも、国際間のコミュニティーの議論の状況等を注視していくといったところも文部科学省から発言がされております。
 また、先ほどILC推進局長から申し上げたとおり、ロードマップには載らない形で国際プロジェクトとして進んでいるものも実際にはあります。
 県としましても、国には、ILCが持つ多様な意義を踏まえて省庁横断的な取り組みをしてほしいといったような要望もしております。ですから、いろいろな形で計画の具体化を進めること。それから、国際間の協議を進めていただく。あわせて、国においてもそういう多様な意義について検討をしていただきたいということで進めて取り組んでいきたいと考えております。
〇斉藤信委員 私が言いたいのは、これは国際的な加速器の研究者が、北上高地が適地だと。だから、地元の自治体としてその誘致に取り組むというのは、私は当然だと思います。しかし、8、000億円の国際的なプロジェクトで、問題はそれだけに見合う意義があるのか、効果があるのか、成果があるのかということが学者にも国民にも伝わらなかったらこれはできないのだと思うのです。だから、その一つの関門は、日本学術会議の中で合意形成ができていないということなのです。私はそこに真剣に取り組んで、学者の間で理解も納得も進む状況をつくっていかなくてはならないのではないかと思います。
 もう一つは、それ以上に国民の間、また県民の間でそういう理解が進むのかということです。例えば、岩手県のことで言いますと、県民意識調査がありますけれども、ここでは、ILCは新たな産業振興への取り組みを県の施策57項目の中の重要度で見ると下から2番目、ニーズ度でも下から5番目となっています。これが、県民の率直な受けとめだということも事実だと思うのです。
 だから、私は、そういう科学者、国民の理解、県民の理解をどう獲得していくのかということなしにこの大規模プロジェクトは進められないのではないかと思います。政治的な決断だけでできるようなものでは私は絶対にないと思いますが、いかがですか。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 斉藤委員からお話のありました国民理解の増進ということは、そのとおり非常に重要なテーマだと考えております。基礎科学ということで一般になかなかわかりづらいという話もいただいておりますけれども、我々としても、研究者のコミュニティーの方やいろいろな推進団体がありますので、そこでいろいろな形でILCの意義、科学的な意義、これももちろんありますし、日本に国際研究所ができることの意義なども含めて、引き続き普及啓発活動に取り組んでいくことが重要だと改めて考えております。
〇斉藤信委員 最後に、来年の概算要求でもILC予算はことしとほとんど変わらないということも政府の姿勢なのだと思います。だから、そういう意味で腰据えて、国際加速器研究者の皆さんは、自分たちの問題だからどんどん話は進むけれども、それが科学者全体、国民の合意という、そういう視野で私は取り組むべきだと思いますので、その点で、最後に局長に聞いて、終わります。
〇高橋ILC推進局長 概算要求のお話もありましたが、概算要求の内容については、加速器技術研究開発経費やILCに関する経費をKEKの交付金に計上したというもので、昨年同額ということについては、そもそも政府の概算要求方針が昨年と同額だと聞いておりましたけれども、基本的に、変化はなくても、着実に進められていくということで認識しております。
 今後について、幅広く理解いただくことが必要だと思っております。ILCの最新動向や県の取り組みをよく知ってもらうことについては、メディアによる発信が極めて重要だと思っております。これまで研究者の説明会やウエブ講演会を新聞報道で取り上げていただくなど、県民に広く伝えるためにいろいろ努めてまいりましたが、報道機関等との連携に配慮して、正しく伝えるということと、また、議員の皆様方にも、適時適切に的確な正しい情報をお伝えするように執行部としても努めてまいりたいと思います。
〇上原康樹委員 斉藤委員のお話ともやや重複するかもしれませんけれども、私なりの言葉でお尋ねします。
 全体状況を見渡していますと、ILCの道筋は順風満帆ではない、真っすぐな道を全開全速という状況には入っていないとお見受けいたします。それでも県は、あくまで希望を持ってILC実現へ突っ走る気構えであるのだなと受けとめております。
 しかし、そこに思いもかけない新型コロナウイルス感染症、世界的コロナ禍の嵐。ILC推進活動もこの新型コロナウイルス感染症の影響を受けているのではないでしょうか。お聞かせください。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 お話ありました新型コロナウイルス感染症の影響に関してですが、国際的なプロジェクトということで、研究者のコミュニティーにおいては、ヨーロッパで素粒子物理戦略をことし取りまとめておりますけれども、当初、5月に公表という予定が6月になるといったことがありました。
 そうは言いながらも、先ほど申し上げたとおり、8月にILC国際推進チームが発足しておりまして、国際的な研究者のコミュニティーの部分では大きな影響はないのではないかと思っております。
 その一方で、県や推進団体の取り組みにおきましては、特にことしの3月以降、予定していた講演会や研修会の延期、取りやめといったものも生じております。関係者間の打ち合わせもなかなかできないという時期もございました。そういったこともありましたけれども、今年度事業の実施に際して、国に対する要望や講演会、会議などもリモートで実施したり、イベントの自粛もありましたが、インターネット上での開催に切りかえたイベントについてはできるだけ参加するなど、今年度はできるところで工夫して取り組んでいるところです。
〇上原康樹委員 不都合なことは、初めは小さな影響しかないように見えて、次第次第に絡み合って大きな波になっていくということが往々にしてあるようでございます。ILCは宇宙の起源を解明できるかもしれない実験装置、新型コロナウイルスは人類が遭遇した未知のウイルス。ILCと新型コロナウイルス、全く異なる分野に見えて、今、密接な関係にあると私は思います。ILCは世界の密接な連携を求める。新型コロナウイルスは残酷なまでに世界を分断する。夢に向かうILC、世界の人々のきずなを分断して、自国ファーストへ向かわせる新型コロナウイルス。この新型コロナウイルスがILCというテーマで世界の研究者が結束、連携するのを分断しようとしているとしか思えません。世界がILCで認識を一致させ、コンセンサスを形成する動きの障害となっているのではないでしょうか。
 この新型コロナウイルス感染症の終息がいつかわからない状況の中で、新型コロナウイルス感染症の影響はこのILCへのばく進をとめるものではないというお考えを力強く御説明ください。
〇高橋ILC推進局長 今、世界的なコロナ禍にあって、世界の加速器関係の研究所では、新型コロナウイルス感染症対策にも取り組んでおりまして、加速器のビームの技術でウイルスの原子構造を調べたり、強力なコンピューターの能力を生かしてウイルス構造のシミュレーションや感染状況のデータ分析を行うなど、研究所が連携して行っております。
 上原委員御指摘のとおり、今回この感染症の世界的な流行は、人類というか人々の活動が国境を越えて実はグローバルにつながっているという現実と、治療法やワクチンの開発など世界規模の課題解決には、科学技術の英知の結集が不可欠なのだということを改めて示しているものと思っております。
 ILCは、科学技術創造立国日本あるいは新しい東北のシンボルということで、世界とつながる科学の力で人類に大きく貢献する可能性があるものと考えております。ここ東北、岩手の地で世界の人々と一緒に人類共通の課題解決に挑戦する契機になるプロジェクトではないかとも思っておりまして、こうした意義なりポテンシャルを訴えながらILC実現の機運を高めていきたいと考えております。
〇上原康樹委員 理性を持って美しく御説明していただき、ありがとうございます。
 私は、先ほど斉藤委員からもありましたけれども、何よりコロナ禍の波を受けて、県民のILCへの期待意識が薄れていく、萎縮していく、もしかすると消滅に近づくかもしれないというのをとても心配しております。夢は実現するにこしたことはありませんが、こうした県民の心の中のことをもう一回見詰め直さないと、うまく事が進まないかもしれません。県民の後押し、理解、応援があってこそ進むILCなら、県民の心の中にもう一度ILCの意義を基本から説き明かしていかなければいけない段階にあると思います。
 専門家の皆さんの中では、もうかなりこのILC実現へ向けての努力が続き、そして、ある一定のところまで歩いてきた、旅はそこまで来ている。ですから、専門家の皆さんはILCに対する情熱がもう相当醸成されているわけですね。けれども、県民は専門家ばかりではありません。もう一度、何か全てコロナ禍で心の中を占拠されてしまった状態の中に、ILCの本当に小さな芽でもいい、それを芽吹かせていかないと、またILCの原点に戻って、ILC実現への旅は再開できないと思っております。
 そうした現実的なアクションが必要になると思います。お答え、これまでの答弁と若干重複するかもしれませんが、構いませんので、手短にお願いします。
〇高橋ILC推進局長 ILCの推進に関して、まずは新型コロナウイルス感染症対策を優先すべきといったような声も届いてはおります。そうした中で、あるいは、こういった状況で世界中から人が集まるのはどうなのだといったようなこともあります。そういったことについては、それぞれ個人の方の価値観にもかかわってくるものでして、私どもが上から目線でそのようなことはないと言ってしまっては、また分断するだけだと考えております。
 基本的に、いろいろな機会あるいはメディアの力も借りて丁寧な説明を尽くしていく必要があると考えておりまして、そういった中には、安全面で不安に感じる方もいらっしゃいますので、そういった方には、今年度作成したガイドライン等も活用して、疑問にはきちんと回答するなど丁寧に進めてまいりたいと考えております。
〇上原康樹委員 コロナ禍がもたらした閉塞状況の中にある岩手県だからこそ、希望の光もはっきりと見てみたい、そういう思いが県民の中にはあるかもしれません。実現へ向けての県の御努力を注視させていただきます。
〇菅野ひろのり委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇飯澤匡委員 今まで、お三方みずからのいろいろな知見をもって、また、いろいろな御心配をもって質問されて、私も大変心にしみた部分もございます。
 事実確認をこの際しっかり捉えておかなければならないという意味で質問させていただきますが、まず、先ほど来、答弁にもありましたように、2月のICFAの国際会議において、これはその中で国の文部科学省の枢要な役人の方も、日本は重要な関心を持って進むということを政府筋のオフィシャルなコメントとして明らかにしたと。それがまず第1点。
 それから、5月に行われる予定だった次期欧州の素粒子物理戦略における会議は、恐らくこのコロナ禍でどうなるかということを心配されましたが、リモートで6月に開催されて、次期欧州素粒子物理戦略2020として、ヒッグス粒子の解明がすなわち今後の科学の発展に大いに期するということでILCへの期待感も示されました。
 このようなことを受けて、その間、KEKのロードマップの取り下げがあったわけですが、文部科学大臣がこの取り下げに対して、文部科学省としてどのような意見を持っているかということに対して、この取り下げたことは承知をしているけれども、これから国際協調並びに国際コミュニティーの中でしっかり進めていくことが肝要だと。要は、この後段の部分が8割を占めたと私は理解をしております。
 そのようなことをしっかり踏まえて、国が現在進もうとしていることを、今の国際環境も含めて岩手県はしっかり正確に捉えて進んでいく必要があると思うわけですが、その点について、特に文部科学大臣の発言に対して、ILC推進局はどのような受けとめ方をして、今後どのように進めていく方針であるかということも、改めてお示しをいただきたいと思います。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 ロードマップ取り下げ後の記者会見で萩生田文部科学大臣がお話ししたのは、委員からお話があったとおりでして、引き続き米欧との協議を続けていくということがあります。ですから、2月の国際会議で示したスタンスと何ら変わらない形で文部科学省としては取り組んでいくと。それが来年度の概算要求にもあらわれているものと考えております。
 県としましても、そういった国際的な動向ですとか、国内のいろいろな動きを把握しながら取り組みを進めるということで、KEKもそうですけれども、研究者の皆さんとウエブを使って定期的な会議等を行っておりまして、動向把握などもしております。そういったことで、いずれ国際協調で米欧とも協議をしながら進めていくという文部科学省の動きももちろん注視していきますし、働きかけもしていきたいと思っています。そういったことで今後とも取り組みを進めていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 よく研究者だけ先行しているのではないかという御意見がありますが、6月にリモートで開催された次期欧州素粒子物理戦略に関しては、特にドイツやフランス、主要国の政府の要人も一緒に入って議論しているわけです。要は、この国際間のいわゆる外交も含んだ形で進んでいることをしっかり認識していかなければならないわけです。
 それ以前に、アメリカ政府は日本政府への協力を公式に明らかにしているわけですから、これらを受けて、恐らく文部科学大臣の認識が、進捗ぐあいが、私はよく理解できると思っているわけです。
 これは、これから国際プロジェクトとして、先ほど来、皆さんが御指摘になったように、要はイニシャルコスト、ランニングコストの話がどれだけ詰められるかという話なので、国家プロジェクトとしてどのような対応をしていくか。私はこの間、最後の質問で、研究開発費については、内閣府で新たに政府の概要として要求をするという話も出ていますので、その新しい動きも注視をしつつ、この推進をしていきたいものだなと思っています。
 あわせて、先ほど来お話があったように、県民や国民の理解がなかなか進まない。これは研究の特性としてそのようなことになっているのだと思いますが、広い理解を求めるためには、研究者の方々にも、今このコロナ禍によってリモートの講演会であるとか、より身近なテーマを持って県民の皆さんに理解を進めるやり方などがあると思います。また、安全管理の問題についてもいろいろと県が仕掛けてやりましたが、この持ち方についても、真剣に今の推移を知りたいという方々に対して、そういう場面の雰囲気がつくれなかったのは大いに反省すべきだと思うので、その点に対する工夫もこれからしっかりやっていかなければいけない、しっかりやってほしいと思いますが、その点についてはいかがですか。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 一般の皆さんにILCの内容を知ってもらうということで、講演会を県内あるいは首都圏と連動してさまざま実施しております。コロナ禍の関係もあって、ことし、時期、内容を検討していたわけですけれども、岩手県ILC推進協議会と連携して9月に実施いたしまして、600名を超える方がネットを使って参加しました。やむを得ずやった部分もあるわけですけれども、どこにいても聞けるということで、かえって、いろいろな方々の参加を得られたことで、これは一つ効果があったと思っております。
 それから、安全管理等を中心にする地域での説明会も昨年度も実施してきております。これも引き続き実施が必要と考えておりますけれども、ただ一方的にお話しするということではなく、その場での質疑やコミュニケーションが重要であります。研究者の皆さんも、できれば直接現場で話をしたいというような意向もありまして、この持ち方については、研究者の皆さんと今検討をしているところです。ただ、そういう意味では密にならないようにこじんまりした形から始めるとか、関心のある方にお声がけいただければ出かけていくなどといったことも考えながら、新型コロナウイルス感染症の状況なども見ながら再開の時期等を含めて検討していきたいと思います。
〇飯澤匡委員 毎回常任委員会でやっているので余り詳しくはやりませんけれども、いずれにしても、私は一つずつ進んでいるのだろうと思います。ただ、財源の問題については、これは国際折衝の中で進めていかなければいけない重要な部分であります。
 まだ佐賀県との競争関係にある中での国会議員連盟において、当時、佐賀県出身、九州出身の国会議員の先生方がぴーちくぱーちく対東北ということでそういう議論があった中で、ある国会議員の方が、これは外務省も含めてしっかり国際協力の中でやらないとこうした国際プロジェクトは物にならないのだと。今ちょっと名前を忘れましたけれども、一国会議員の一言でしーんと波打ったようになって、要は、国際プロジェクトとして日本がどういう立ち位置にあるのかということを考えてしっかり進めていかないとという、今の政府の中にもそういう考えの方がしっかりいらっしゃるということは大変すばらしいことだと思います。
 私たちも、単なるメリットを、科学的な部分だけを求めるのではなくて、地域振興という部分に、特に1次産業だとか、それから、若い人たちの教育だとか、その点についてはこれからILCによる地域振興ビジョン等で県もやっていかなければならないと思うのですけれども、その部分については、後から私も提案を含めていろいろ質問をいたしたいと思います。いずれにいたしましても、これは戦略的かつ外交的な部分が非常にウエートを大きく占めていることを各委員の方々にも御認識をいただきたいと思うし、ただ単に科学コミュニティーだけで先行している部分ではないのだということを、この質問を通じて御理解をいただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、このIDTというILC国際推進チームが設置されて、いわゆる研究者の方々が先行してやっているような雰囲気がありますが、そうした裏づけの中で進んでいるということでもありますので、県としては、しっかりあらゆる部門との情報を収集して進める部分は進めていく、そして、理解を求める部分は理解を求めるような努力、まさにこれから決定をする直前、今、そしてまた、した後も、詳細設計等が明らかになった上で、ますますこのILC推進局の存在は大変重要になると思いますので、そうした将来的な展望も踏まえてこれから進めていただくように要望したいと思います。所見があればお願いします。
〇高橋ILC推進局長 ILCはアジア初の国際大型科学技術拠点をつくる計画と聞いておりまして、日本として初めての試みに取り組んでいるところで、政府、研究者の議論が進展するよう、建設候補地の岩手県としても貢献できることはどんどん貢献していくというような形で、少しでも地元からも前に進めたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇菅野ひろのり委員長 質疑がないようでありますので、これでILC推進局関係の質疑を終わります。
 ILC推進局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、警察本部長に警察本部関係の説明を求めます。
〇大濱警察本部長 令和元年度の警察本部関係の決算について御審議をいただくに当たり、初めに、東日本大震災津波に伴う県警察の取り組みにつきまして御説明申し上げます。
 東日本大震災津波により本県では4、675名のとうとい命が失われ、1、100名を超える方々がいまだ行方不明となっております。
 県警察といたしましては、行方不明の御家族からの御要望等を踏まえながら捜索活動を継続して実施するほか、各種鑑定の活用等により身元の割り出しを引き続き推進してまいります。
 また、被災地では、新たな住宅地の形成や商業施設の建設等、復興のまちづくりが進んでおりますが、地域コミュニティーの希薄化が懸念されておりますので、今後も地域の方々の御要望、御意見に真摯に耳を傾けながら、復興のステージに応じた支援すべき具体的な施策を打ち出し、被災地の安全・安心を確立するための活動を推進してまいります。
 続きまして、警察業務の推進状況について御説明申し上げます。
 県警察では、令和元年の基本姿勢を県民の期待と信頼に応える力強い警察とし、活動重点に、県警察の総力を結集した被災地の復興を支える警察活動の推進等4項目を掲げ、必要な各種施策を推進してまいりました。
 それでは、令和元年中の県内の治安情勢について御説明を申し上げます。
 まず、刑法犯の発生状況等についてでありますが、刑法犯の認知件数は3、063件で、前年より395件減少しております。その内容等につきましては、住宅を対象とした侵入窃盗の認知件数が減少いたしました。このほか、犯罪に発展するおそれのある子供や女性に対する不審者による声かけ事案等の認知件数も減少しております。
 一方で、特殊詐欺の認知件数が増加しているほか、サイバー犯罪については、相談件数は減少しておりますが、依然として高水準で推移しております。
 次に、交通事故の発生状況等についてでありますが、発生件数、負傷者数とも16年連続減少、死者数も45名と前年比で14名減少し、昭和29年以降最小となりましたが、人口10万人当たりの死者数は、東北6県では秋田県に次いで2番目に多くなっております。
 令和2年の県の施策に関する県民意識調査においては、交通事故の少ない社会づくり、犯罪への不安の少ない社会づくりが、それぞれ重要度が高い項目の上位にランクされており、県民の皆様が、良好な治安の維持を強く望んでいることがうかがえます。
 県警察といたしましては、このような諸情勢を踏まえ、県民が安全・安心を実感できる地域社会の実現を図るため、総力を挙げて各種施策に取り組んでいるところであります。
 続きまして、令和元年度の警察本部関係の決算について御説明申し上げます。
 お手元にございます令和元年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。警察本部関係の決算は、9款警察費と、16ページにございます11款災害復旧費の1項庁舎等施設災害復旧費の一部でございまして、歳出予算現額の総額は302億3、571万円余で、これに対する支出済額の総額は296億5、737万円余でございます。
 14ページにお戻りいただきまして、令和2年度への繰越額は警察費の7、848万円余であります。
 決算の内容につきましては、令和元年度歳入歳出決算事項別明細書に記載がございますので、説明は省略させていただきます。御了承願います。
 以上のとおりであります。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
〇菅野ひろのり委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 最初に、私は一般質問でも取り上げましたが、爆破予告事件について。答弁では、この1年間で6件爆破予告事件が県内であったと。ところが10月10日に、盛岡、大船渡、花巻、陸前高田、八幡平の各市に爆破を予告するメールが届けられました。
 こういう中身です。13日の午後4時に、トイレと書庫に仕掛けた爆弾を爆発させる。市役所内での銃乱射をほのめかす内容も含まれていたと。私は極めて悪質な事件だと思いますけれども、これはどういう犯罪ですか。そして、県警察は本当に捜査しているのでしょうか。
〇新家刑事部長 まず、10月10日の爆破予告がどのような犯罪になるかという御質問についてでございますが、個別事案の内容につきましては答弁は差し控えさせていただきますが、一般論といたしましては、脅迫罪、強要罪、威力業務妨害罪などが考えられます。
 次に、県警察の捜査体制等でございますが、管轄警察署と警察本部が緊密に連携を図りながら、鋭意、捜査を継続しているところでございますし、警察庁とも情報共有をして連携を図っているところでございます。
〇斉藤信委員 岩手県で1年間で6件、そして、10月10日には5市に同時に爆破予告のメールが出された。一関市には、これは7月26日でしたけれども、こういう中身でした。7月28日午後2時半に、一関市役所2階の女子トイレに仕掛けた爆弾を起動させ職員を殺害する。さらに、爆発後、駐車場から市長室と正面玄関目がけ小銃を乱射すると、こういう中身ですよ。本当にこういう爆破予告を野放しにしていいのかと。本当に県民を不安に陥れる凶悪な犯罪行為ではないのかと。岩手県でもこれだけのことがあるので、恐らく全国的にもあると思いますが、例えばこの1年間、全国でどのぐらいこういう爆破予告事件があったのかわかりますか。
〇新家刑事部長 手元に具体的な数字は用意しておりませんが、全国的にも同様の事案が発生していることは承知しております。
〇斉藤信委員 メールで来るのですからね。本当に追跡して全国的にも、例えばNTTとかいろいろなそういう機関等の協力をいただければね。何でこれが摘発できないのかと。全国的に摘発された例はあるのですか。
〇新家刑事部長 検挙に関する具体的なものは把握をしておりませんが、類似かどうかははっきりとしませんけれども、この種の犯罪に関する摘発事例はあるものと承知しております。具体的な数字は把握しておりません。
〇斉藤信委員 残念ながらリアリズムに欠けましたね。摘発されている例もあるなら、どうやって摘発したのか。全国でやられているわけでしょう。県内でもこれだけやられているわけでしょう。本当にこういうものを絶対許さないということで、本部長、改めて聞きますけれども、本部長は全国いろいろな経験があると思うけれども、これは摘発できないものですか。そこを聞かせてください。
〇大濱警察本部長 一般論として申し上げれば、犯罪があると思料したときは、法と証拠に基づいて警察は捜査をいたします。ただ、この手の犯罪といいますのは、捜査の中身に当たりますので詳細な答弁は差し控えさせていただきますが、一般的に追跡が不可能な形での送付が多くございますので、物理的に難しい部分はございます。これは一般論として申し上げただけでございます。
〇斉藤信委員 このデジタル社会はそんなにもろいものなのかと思いますよ。菅政権はデジタル化、デジタル化と言うけれども、メールの爆破予告一つ追及できないデジタル社会でいいのかと、このことは率直に指摘しておきたいと思います。
 次に二つ目に、あおり運転の通報、検挙状況について示してください。
〇佐々木交通部長 まず、いわゆるあおり運転や妨害運転の通報受理状況についてでありますが、あおられた、車間距離を詰められた、急ブレーキをかけられたなどの110番通報件数は、本年8月末現在で356件あり、このうち約3割は高速道路におけるものであります。
 次に、あおり運転の検挙状況についてでありますが、いずれも昨年になりますが、高速隊において、前照灯を蹴って破損させた器物損壊罪で現行犯逮捕した事案、同じく、高速隊において、あおり行為により車間距離保持義務違反で反則切符処理した事案、それから、花巻署において、あおり行為そのものを実行行為とした暴行罪で現行犯逮捕した事案の3件がございます。
 なお、改正道路交通法が施行されました6月30日以降の現在までの検挙はございません。
 また、あおり運転につながる道路交通法違反に関しましては、本年8月末現在、車間距離保持義務違反268件、進路変更禁止違反1件を検挙しております。
 最後に、妨害運転防止の取り組みについてでありますけれども、運転者に対する安全教育や広報啓発が重要でありますことから、安全運転管理者講習や運転免許更新時講習におきまして、妨害運転の危険性や未然防止の内容を組み入れておりますし、県警察ホームページや交通部公式ツイッター等で広報をしているほか、妨害運転につながる車間距離保持義務違反の取り締まり活動を強化するなど、未然防止対策を進めているところでございます。
〇斉藤信委員 次の質問まで答弁いただきました。
 ことしの8月末までで356件通報があって、3割は高速道路。高速道路でこういうあおり運転をされたら本当に命の危険にかかわる。これは、今、重大な社会問題になっている中でも、まだ全国的に発生しているという状況だと思います。
 そういう意味では、道路交通法が改正された状況を踏まえて、本当に根絶に向かってあらゆる手だてを講じていただきたい。そこまで答弁いただいたので、次の問題に入ります。
 次に、児童虐待への県警察の対応状況についてお聞きします。
 児童虐待取り扱い件数と事件検挙の状況はどうでしょうか。
〇小田島生活安全部長 まず、児童虐待取り扱い件数の推移についてでありますが、過去5年間の取り扱い件数を見てみますと、増加傾向が続いており、昨年は、前年と比べ46件増加の489件となっております。
 次に、事件検挙の推移についてでありますが、取り扱い件数と同様、増加傾向にあり、昨年は前年と比べ3件増加の10件となっております。
〇斉藤信委員 児童相談所に対する通告状況と虐待の中身を示してください。
 あわせて、もう一つ聞きますよ。心理的虐待が急増していますけれども、これは面前DVかと思いますが、DVへの対応も含めて示してください。
〇小田島生活安全部長 まず、児童相談所に対する通告状況についてでありますが、昨年の通告人数は前年と比較して157人増加の768人となっております。
 次に、虐待の内容についてでありますが、態様としては心理的な虐待が最も多く、全体の約8割を占め、次いで、身体的虐待が2割弱となっており、例年と同様の傾向にあります。
 続きまして、心理的虐待のうち児童の面前で行われたDV事案に対する対応でございますけれども、一般的にDVにつきましては、被害者等の安全確保が最優先でありますので、危険性とか切迫性をきちんと判断をして、事件性について検討するとともに、配偶者暴力相談支援センターなど関係機関と連携して、シェルターを利用した被害者の保護、一時避難の措置を講じる等、必要な安全確保に努めております。もちろん、それ以降におきましても、安全が確保されるまで連携をとりながら確認を進めているところでございます。
〇斉藤信委員 DVの相談件数、県警察の対応件数、検挙件数を示してください。
〇小田島生活安全部長 確認の上、答弁させていただきます。
〇斉藤信委員 じゃ、後で。次に進みます。県警察の捜査報償費について。捜査報償費の決算額の推移はどうなっているでしょうか。5年前と比べてどうなっているか示してください。
〇大塚警務部長 まず、捜査報償費の決算額の推移でありますが、平成27年度が1、072万4、000円、以降、1、040万7、000円、864万6、000円、700万1、000円、そして、令和元年度が538万円となっております。
 5年前との比較でありますが、5年前の平成27年度と令和元年度の決算額を比較いたしますと、約534万4、000円減少しております。
〇斉藤信委員 毎回、私はここで取り上げて、成果が上がったと思っています。5年前と比べて半分ですよ。捜査報償費は具体的に何に使われているのか。5年前と比べて半減しましたけれども、大幅に減少した要因は何でしょうか。
〇大塚警務部長 まず、捜査報償費の執行の用途についてでありますが、捜査報償費は捜査協力者、情報提供者への謝礼、これら捜査協力者等との接触に際しての交通費、それから、聞き込み、張り込み、尾行等に必要な交通費、通信費などに使用しているところでございます。
 次に、減少している要因についてでありますが、捜査報償費の執行額は、事件の規模、性質、形態や捜査の期間などのさまざまな要因によるものでございまして、執行額の増減は事件捜査を行った結果でございます。
 その理由につきましては、個々の捜査の内容を明らかにすることにつながりますことから、答弁を差し控えさせていただきます。
〇斉藤信委員 捜査協力者への謝礼、実はこれが県警察の裏金になっていたと。私はそういうことで繰り返しこの問題を取り上げ、5年前の半分までになったと。適正な予算化を求めておきます。
 最後の質問です。平成31年3月25日付のパワーハラスメント事案で本部長注意処分の件について、パワーハラスメントの内容、なぜ懲戒処分にならなかったのか示してください。
〇阿部参事官兼首席監察官 平成31年3月25日付本部長注意のパワーハラスメント事案についてでございますが、まず、パワーハラスメントの内容につきましては、平成30年5月ころから同年12月ころまでの間、部下職員に対し、立たせたまま叱責したり、平手でたたくなどのパワーハラスメントをしたものであります。
 次に、本件事案に対する本部長注意の措置につきましては、事案の内容及び全国におけるこれまでの先例等を踏まえまして厳正に対処したものです。
〇斉藤信委員 実はこの事件は新聞でも報道されましたけれども、これは、盛岡東警察署の巡査部長でしたが、略式起訴されまして、盛岡簡易裁判所で罰金20万円、こうなったのですね。それが本部長注意ですよ。そして、同月末でこの方は退職をしました。退職をするほどの処分を受けているのに、懲戒処分にならない本部長注意というのは、温情して退職金丸々払ったということではないのですか。これが適正だったのですか。
〇阿部参事官兼首席監察官 処分が軽いという御質問でございますが、これも繰り返しとなりますが、本件事案の措置につきましては、事案の内容及び全国におけるこれまでの先例等を踏まえまして、厳正に対処しております。
〇斉藤信委員 略式起訴されて、罰金20万円の略式命令を受けて、そして、この人は同月末で退職ですよ。退職するほどの事件だったということではないのですか。それが、たった本部長注意で、これは懲戒処分にならないのですよ。だから、退職金は丸々もらえるということになるのでしょう。だから、そういう温情だったのではないか。違いますか。じゃ、何でやめたのですか。本当にこういう不祥事については厳正に対応してこそ、こうしたことを根絶できるのではないですか。本部長に最後に聞きましょう。
〇大濱警察本部長 御指摘の量定については、私は、他県でも警務部長等を務めておりますけれども、全国の先例等に従って、それぞれの事案に応じて適正に判断しているところでございまして、決して甘いというような認識はございません。
 この手の事案は、重大な人権侵害であることはもとより、職員が職務に専念できる勤務環境を悪化させる極めて憂慮すべき問題であると考えております。ハラスメントのない良好な勤務環境を確保するために、研修会を初めとした各種防止対策に加えまして、職員からの相談窓口を拡充するなど、その根絶に向け取り組みを進めているところでございます。
 引き続き、事案の根絶に向けた取り組みを強化するとともに、警察署活動の推進を通じて、県民の皆様方の期待と信頼に応えられるよう力を尽くしてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 これだけの事件でやめざるを得ないほどのものが懲戒処分にならないと、私はこれが甘いと言っているのですよ。全国もそうだというのは、全国が甘いということですよ。こういうものはしっかり正していただきたい。
〇菅野ひろのり委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇小田島生活安全部長 先ほどの斉藤信委員からの御質問にお答えをいたしたいと思います。
 DVの取り扱いにつきましては、ここ5年を見ますと、平成30年は300件台でございましたけれども、それが400件台で推移をしておりまして、昨年は416件の取り扱いでございました。
 また、検挙に関しましては、平成30年は20件台でございましたが、30件台で推移しておりまして、昨年は36件の事件をさまざまな法令で検挙しているというところでございます。
〇小西和子委員 最初に、交通事故の少ない社会づくりの重要度は1位です。そこで、交通事故防止対策について伺います。
 令和元年も発生件数、死傷者数とも16年連続で減少しております。皆様の奮闘に敬意を表したいと思います。
 死者数は前年に比較して14人減少しています。令和元年の全事故に占める高齢者死者の割合は68.9%で、前年と比べて1.1ポイント増加しています。歩行中が14人で最も多く、全体の45.2%を占めています。この状況をどのように分析しているのか。あわせて、令和2年の特徴と対策についてもお伺いいたします。
〇佐々木交通部長 まず、令和元年の高齢者が関係する交通事故の状況についてでありますが、発生件数及び死傷者数は減少しているものの、死者に占める高齢者の割合は68.9%と近年で最も高い数値を示しているほか、全国平均の55.4%を大きく上回っております。
 次に、本年の高齢者事故の特徴についてでありますが、8月末現在で死者数は19人で、死者全体に占める高齢者の割合は67.9%と相変わらず高い割合を示しているほか、状態別に見ると、昨年は歩行中死者の割合が多くを占めておりましたが、本年は大幅に減少した反面、自動車運転中の死者が大幅に増加しております。
 次に、本年の高齢者事故防止対策についてでありますが、引き続き、高齢運転者を対象とした参加体験型の安全教育や高齢者にもわかりやすい広報啓発活動を推進するほか、本年9月からは、物損事故を含めて複数回の事故や踏み間違い事故などを起こした高齢運転者宅を訪問し、個々の特性に応じた個別指導やドライブレコーダーを活用した指導助言などの安全運転支援対策を推進しております。
〇小西和子委員 ただいまお話がありました対策で、事故を起こした高齢者の御自宅に伺ってお話をするということと、それから、たしか御家族も同席をしてというようなお話も以前お伺いしまして、とても効果があるのではないかと思いますし、恐らく認知症の方もいらっしゃったのではないかと思います。
 続けます。令和元年の沿岸5署の交通事故発生件数、死傷者数は前年に比べて減少しましたけれども、死者数は同数です。令和元年の高齢者の死者数が9人で、県全体に占める割合は29.0%であります。この状況をどのように分析しているのか。あわせて、令和2年の特徴と対策についても伺います。
〇佐々木交通部長 まず、沿岸5署における交通事故の状況についてでありますが、過去10年間の交通事故の推移を見ますと、発生件数は年々減少傾向で推移しておりますが、内陸地域と比べて死亡事故率が高い状況にあり、この一因として、内陸と比べて事故直前の速度が総じて高いことが考えられます。
 次に、本年の沿岸5署における交通事故の特徴についてでありますが、類型別で見ると車両相互の事故が約7割を占めているほか、死者を年齢別に見ると高齢者が約8割を占めている状況にあります。
 次に、本年の交通事故防止対策についてでありますが、運転者対策として参加、体験型の安全教育、歩行者対策として関係機関、団体と連携した高齢者世帯訪問や街頭指導に加え、コミュニティーラジオ局と連携した効果的な広報啓発等に引き続き取り組んでいくほか、本年の新たな活動として、毎週水曜日に幹線道路において、信号待ちの運転者への声かけやチラシを配布するシグナルストップ広報を沿岸地域においても力を入れて実施しております。
〇小西和子委員 復興道路や復興支援道路利用に係る心配事、つまり、逆走等のことだったと思いますけれども、そういうことがふえたと思いますが、どうぞ万全の対策をお願いいたします。
 次に、子供、女性を犯罪から守る対策について伺います。
 令和元年の声かけ等脅威事犯の認知件数が減少しています。その傾向と令和2年の対策について伺います。あわせて、子供、女性を犯罪から守る取り組みについて伺います。
 続けます。令和元年のストーカー事案認知件数が増加しています。特徴について伺います。あわせて、令和2年の対策について伺います。
〇小田島生活安全部長 まず、令和元年中の脅威事犯の傾向についてでありますが、対象の約7割が高校生以下であり、発生の約半数が児童生徒の下校時間帯に当たる午後2時から午後6時までに道路上で発生しており、これは前年と同様の傾向にあります。
 行為の形態といたしましては、声かけが最も多く、全体の約3割を占めており、次いで、つきまとい、立ち塞がり行為が全体の2割弱になっております。
 次に、対策と取り組みについてでありますが、まず、発生させないための対策といたしまして、登下校の路線のほか、この種の事案が発生した箇所を重点とした警察官によるパトロール、関係機関、団体と連携しての見回り活動等を進めているところであります。
 また、事案認知時には、早期の行為者特定のための捜査を行うとともに、注意喚起のため、教育委員会、学校に対する情報提供や一般に向けたメールでの不審者情報の発信を行っております。
 続きまして、ストーカーの関係について申し上げます。令和元年中のストーカー事案の特徴でありますが、元配偶者や元交際相手といった顔見知りからの被害が全体の約7割を占めており、前年と同様の傾向にあります。行為の形態としては、被害者の家への押しかけやつきまとい行為が最も多く、全体の3割以上を占めており、次いで、義務のないことを要求する行為が2割以上となっております。
 次に、対策についてでありますが、認知の段階から被害者の安全を最優先として、事案の態様によっては、事件化やストーカー規制法に基づく禁止命令、文書警告といった行政措置を講じているほか、被害者の安全が確保されるまでの間、必要に応じた安全確認を行うなどの対応を徹底しているところであります。
 加えまして、これまで被害を未然に防止する対策として、ストーカーの被害者にも加害者にもならないための講話を学校、企業等に赴いて実施しておりましたが、本年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、リーフレットなどの啓発資料の配布が中心となっております。
〇小西和子委員 ただいまお話しになりました被害者にも加害者にもならないための安全教育ということが重要かと思いますので、教育委員会とも連携して取り組みをお願いします。
 先ほど斉藤信委員からもお話がありましたが、DVと児童虐待についてです。DVから犯罪に発展した事例がありますが、対策について伺います。
 あわせて、面前DVから心理的虐待が大変ふえております。対策をお伺いいたします。
〇小田島生活安全部長 まずは、DVの対策についてでありますが、被害者等の安全確保を最優先に、事件性の検討及び被害者の保護、一時避難の措置を講じるほか、安全が確保されるまでの間、安全確認を行っております。
 次に、面前DVが原因による心理的虐待についての対策についてでありますが、面前DVそのものは対象児童の身体に虐待の兆候が認められないため、児童虐待としての発見が難しい状況にあります。そこで、DV事案の被害に遭われている方に声を上げていただけるよう警察、県の関係機関等において、この種事案の相談に応じていることを周知、紹介するとともに、相談に訪れた方の心情に配意した対応を心がけるなど、相談しやすい環境づくりを進めております。
 このことを含めあらゆる警察活動や関係機関等との情報共有を通じ、早期に虐待の兆候の把握に努め、迅速に必要な措置を講じているものであります。
〇小西和子委員 コロナ禍でDVも虐待も驚くほどふえておりますので、対策をお願いします。
 最後です。令和元年の性犯罪の傾向と令和2年の対策について伺います。性犯罪被害者に対する県警察の対応についても伺います。
〇小田島生活安全部長 令和元年中の性犯罪の傾向についてでありますが、認知、検挙状況につきましては、認知件数37件、検挙件数32件、検挙人員26人となっております。
 特徴でありますが、認知件数のうち強制わいせつが30件を占め、その多くは夜間に発生し、その半数が路上等の屋外における発生となっております。
 次に、本年の対策についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、児童生徒や女性が多い職場等を対象とした防犯教室や不審者対応訓練は例年どおり開催することができない状況にありますことから、県警察のメール、通称ぴかぽメールと申しておりますが、そういったものを活用しながら、県民の皆様へのタイムリーな情報発信を行うとともに、発生状況を踏まえ、関係機関と連携した警戒活動を強化し、性犯罪の未然防止と徹底検挙に努めているところであります。
〇小西和子委員 いつも言いますけれども、性犯罪は魂の殺人と言われております。一生それに苦しめられている方も大勢いますし、中にはみずから命を絶つ、そういう方もいらっしゃいます。
 最後に、子供、女性を犯罪から守る決意を警察本部長にお伺いして、終わります。
〇大濱警察本部長 子供や女性が被害者となる事案や犯罪への対処につきましては、県民の身近な日常生活の安全・安心を確保する上で極めて重要であると考えております。被害者の生命や身体の安全を守ることを最優先にいたしまして、迅速かつ適切に対処しております。
 県警察といたしましては、関係機関等と連携をし、まずは、被害に遭わないための安全教育や啓発活動等の諸対策を推進するほか、積極的な情報発信をすることで、地域全体の防犯意識を高め、被害を未然に防止してまいりたいと考えております。
 また、一たび犯罪が発生しました場合には、被疑者の検挙に向けて捜査を徹底してまいりますとともに、犯罪に遭われた被害者の方につきましては、引き続き、各種取り組みを推進し、その心情に配慮して丁寧に対応してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 私は、まず一つは、信号機の設置及び更新の現状についてお聞きをいたします。
 更新基準を超えた信号機等の実態と更新についてですが、この間、警察庁の調査で、全国で老朽化し、更新基準を超えた信号機が2割以上に上っていることが明らかになりました。そこで、県内に耐用年数を超えた信号機がどれくらいあり、また、今後の更新方針、そして、更新計画についてお尋ねいたします。
〇佐々木交通部長 まず、耐用年数を超えた信号機についてでありますが、信号機は主に制御機、柱、灯器で構成されておりますので、これらについて令和元年度末の状況をお答えします。
 制御機の耐用年数はおおむね19年で、設置数1、880基のうち408基、21.7%、コンクリート製信号柱の耐用年数は42年で、設置数3、303本のうち1、086本、32.9%、電球式の灯器の耐用年数はおおむね30年で、車両用5、280灯のうち103灯、2.0%、歩行者用4、086灯のうち30灯、0.7%が耐用年数を超えております。
 次に、更新の方針についてでありますが、耐用年数を超過したものを更新の基本としているものの、設置環境によっては老朽化の進度が異なりますので、日々の警察活動や年に1度業者に委託している保守点検の結果等を踏まえた上で、総合的に判断し、必要性の高いものから優先的に更新をしております。
 次に、更新計画についてでありますが、交通安全施設の更新については、計画的な更新が重要であると認識しており、昨年3月に岩手県交通安全施設管理計画を策定しております。具体的には、1年間に信号制御機は70基、コンクリート製信号柱は20本、電球式車両用灯器は60灯、電球式歩行者用灯器は64灯の更新を計画しております。
〇千田美津子委員 今の方針から言えば、信号機の心臓部とも言える制御機は408基が耐用年数を超えているわけですから、年間70基を整備すると5年から6年ということでこれらは更新されます。ただ問題なのは、コンクリート製信号柱が1、086本、3、303本のうち3割以上が42年を超えているということで、これが最も危険だなと思います。
 そうしますと、さらに50年を超えたものはどれくらいあるのかということが一つです。
 それから、コンクリート製信号柱を年間20本ずつかえたとすれば50年かかるわけですよね。ですから、信号機の心臓部、制御機が6年で更新できるとすれば、私は幾らかかっても10年以内にこれらは更新しないと、本当にいつ起きるかわからない地震等に耐えられないのではないかなと思いますので、まず、この点お聞きいたします。
〇佐々木交通部長 コンクリート製信号柱は、設置から50年を経過したものが2本(後刻「5基」と訂正)となっております。
 コンクリート製の信号柱の更新についてでありますが、耐用年数42年という目安がありますが、設置環境によっては老朽化の進度が異なりますことから、日々の警察活動、それから、年に1度、業者に保守点検を委託して、安全施設の状況を確認しており、その結果を踏まえた必要性の高いものから優先的に更新しております。管理計画に基づく更新を基本としておりますが、必要があれば、さらに多くのものを更新対象としていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 必要があればという御答弁でありましたが、事故が起きてからでは、倒壊してしまってからでは遅い。この信号柱が倒れたことによって全国でもいろいろなことが起きているわけですね。ですから、警察庁がこういう調査を明らかにして、そういう計画を立てろと言ったわけですが、その計画が余りにもひど過ぎる。これから50年もかかるような信号柱の更新計画は、到底私は認めがたいと思います。
 ぜひ、もっと前倒しをするべきだと思いますが、先ほど御答弁があった、しかし、設置環境によっては老朽化の進度が異なるというお話がありましたが、どういう状況が具体的にあるのかお聞かせをいただければと思います。
〇佐々木交通部長 老朽化といいますか、コンクリート製信号柱一つ一つ、天候であったり、本県は広い県土でありますから雪の多い県北であったり、あるいは沿岸部の塩害であったり、その場その場で、あとは湿気だとか、とにかくさまざまな要素があって、その場所その場所で違っている状況でありますから、引き続き、業者の点検、あとは日常の警察活動の中での確認をしっかり進めていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 日常点検をしっかりやっていただくのはもちろん大事であります。ただ、予算を聞きましたら、コンクリート製信号柱は大体154万円で取りかえることができると。私は、県民の、そして子供たちの命を守る、そういう信号機をかえることは非常に大事だと思います。
 いろいろな環境があって、耐用年数とかその辺の事情が違うと言われましたが、岩手県においては決していい状況とは言えないと思いますので、これについては検討というか、善処をぜひしていただきたいと思いますので、その点、本部長にお聞きしたいと思います。
〇大濱警察本部長 交通安全施設の老朽化対策についてでございますけれども、老朽化を原因とする信号機の故障や倒壊などが発生しますと、交通の安全に大きな影響を及ぼすこととなります。こうしたことを未然に防止することは極めて重要な取り組みであると認識しております。
 県警察といたしましては、岩手県交通安全施設管理計画に基づきまして、適切な維持管理に努めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 次に移ります。警察庁は信号機設置の一層の合理化を呼びかける警察庁交通局長通達を昨年3月に出しましたけれども、これへの対応は県警察としてはどのようになされているのかお聞きをいたします。
〇佐々木交通部長 信号機の合理化への対応についてでありますが、昨年3月警察庁通達が示されまして、設置当時から交通実態等が大きく変化するなど設置の合理性について重点的に点検する重点点検信号機を3割程度選定すること、必要性の低下した信号機の撤去等を検討することなどについて指示されたところであります。
 当県におきましては、平成30年度末の信号機総数が1、902基のうち535基、28.1%を重点点検信号機に選定し、令和元年度から5年間で集中的に点検することとしております。点検の結果、信号機の必要性が低下したと認められる場合は、その理由や撤去を行った後の安全確保方策を地域住民や道路管理者等に丁寧に説明した上で、十分な検討を行い、撤去することとしております。
〇千田美津子委員 平成30年度末の信号機1、902基のうち、そうしますと28.1%、535基を5年間で点検をしていくということですね。令和元年度の点検結果で撤去すべきと判断がされた信号機はありますか。
〇佐々木交通部長 令和元年度の点検結果についてでありますが、94基のうち、現状で撤去とすることが妥当であると考えられる信号機が基数にして32基ございます。
〇千田美津子委員 そうしますと、約3分の1を撤去すべきという結論をある程度出したということです。いずれ、最終的には先ほど御説明がありましたように、地域住民の方々に丁寧に説明をしながら、最終的には合意形成したものを撤去することになると理解いたしました。
 それは必要なことでありますけれども、しかし、住民説明は撤去するときだけであって、住民の願いは、信号機をつけてほしいという願いが非常にあるのです。その設置については要望してもなかなか成らない。そして、設置率は精選されて県警本部に上がっても3分の1くらいしか設置がされていません。そういう状況の中で、撤去するときだけの住民説明ではなくて、ぜひ、日ごろから地域に入りながら、住民の要望や交通の状況についても耳を傾ける、私はそのことが必要だと思うのですが、いかがでしょうか。
〇佐々木交通部長 これまで各警察署の本部においても、さまざまな信号機であったり、いろいろな交通規制の要望等もいただいているところでありますが、今、委員御指摘のとおり、撤去の部分は、当然しっかりと説明を尽くさなければならない部分だと思っております。
 今お話しされたように、県警察においては、これまでも、撤去時のみならず、設置あるいは設置の場所的な問題や、いろいろな規制の種類もありますので、可能な限り、撤去するときのみならず、広く、新設、変更、移設等も含めて十分に説明をしてきているつもりでございますので、引き続き、しっかりと説明をしてまいりたいと思っております。
〇千田美津子委員 それでは、しっかりよろしくお願いいたします。
 それでは二つ目、交通事故の抑止対策でありますけれども、信号機のない横断歩道での一時停止の現状と対応についてお聞きいたします。
 横断歩道では、自動車が手前で一時停止することがルールでありますけれども、実際には停車しない車が多くて、横断歩道を人が渡ろうとしたときにどれくらいの車がとまるのかを日本自動車連盟―JAFが先刻調査をしております。その結果、一昨年は34都道府県で9割が停止しなかったのですが、昨年の調査では停止率が17.1%になりました。それでも8割以上がとまらないということで、これは大変な状況だと思います。
 そこで、県内の横断歩道での一時停止の実態をどのように把握をし、対応されているのかお聞きいたします。
〇佐々木交通部長 信号機のない横断歩道での一時停止の現状についてでありますが、近年、歩行者事故が多発傾向にあることや横断歩道における一時停止率が低調であるとのJAFの調査結果などから、歩行者対策の必要性、重要性を再認識しているところでございます。
 その対応についてでありますが、横断歩道チェックストップ運動をより効果的に推進するため、安全モデル横断歩道の指定を計画的に見直し、昨年よりも多い、現在94カ所を指定しているところであり、引き続き、横断歩道での事故の防止、抑止に努めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 安全モデル横断歩道を多く指定しながら、そういうことがないようにということで取り組んでおられるのはいいのですけれども、JAFでアンケートをとられたときに、運転者の気持ちとして、道路交通法第38条の横断歩道における歩行者優先の理解が、法的に決まっているのに、マナーという捉え方があるのですね。そういうことに対する取り組みが必要だと思います。
 それから、隣の青森県では、横断歩道前での停止率がワースト2位で、その汚名を挽回しようということで、民間と一緒になって、チャレンジ2025プロジェクトを展開したと。これは自治体や企業、団体などにも呼びかけて、官民挙げての取り組みを広げているということです。やっぱり命名すればいいというものではないですが、効果の上がる取り組み、県民にそういう状況があるよということがしっかり理解できるような取り組みが、岩手県でも必要ではないかと思うわけですが、いかがでしょうか。
〇佐々木交通部長 ただいま委員御指摘のとおり、さまざまな活動、横断歩道の安全確保、渡る人優先の部分は意識をしてしっかりと取り組んでいるところではありますが、その成果として直ちに出ていないというのも現状にございます。
 お話にありました青森県の施策につきましても、隣という部分もありますので、いろいろな形で係が情報を共有しながら、取り組んでいる中身も承知しておりますので、いろいろな情報を共有しながら、先進的に取り組まれている他県の例も参考にしながらしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 最後にしますけれども、今の信号機のない横断歩道での停止率を高めるということで、ぴかっとわたるくんというのがあるのだそうですが、これは販売をされて、横浜市などで導入されているということでありました。これは何かというと、押しボタン式の歩行者信号機のように、横断する際にボタンを押すと、LEDランプが点滅してドライバーへ横断者がいることを知らせてくれると、そういうのがあるのだそうです。これは押しボタン式の信号機よりコストが非常に抑えられて、6カ月後の一時停止率が6割から7割にまで向上したという事例もありました。設置前と比べると約6倍の結果が得られたということで、ただ、初期導入のコストはあるわけですが……
〇菅野ひろのり委員長 千田美津子委員に申し上げます。質疑の目安時間を超過しております。議事の進行に御協力をお願いします。
〇千田美津子委員 わかりました。
 こういうことも導入を検討したらいかがでしょうか。
〇佐々木交通部長 交通安全施設、私は、今の委員御指摘の部分についてはちょっと承知しておりませんでしたので、直ちに確認をしたいと思います。交通安全施設は、例えば横断歩道の標識が常時下を照らしているものとか、いろいろなものがございますので、通常の標識、標示よりも当然額が張ってくるという部分ではありますが、限られた安全施設整備の中でしっかりと検討していきたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇佐々木交通部長 千田美津子委員に対する答弁の中で、信号柱の設置から50年以上経過した基数を2基とお答え申し上げましたが、正しくは5基でありましたので、訂正をさせていただきます。
〇菅野ひろのり委員長 再開後1時間半を経過しておりますが、この後、質疑を表明している委員があと1人でありますので、質疑を継続いたします。
〇上原康樹委員 信号機の後は、無人の速度取締機、いわゆるオービスについて伺います。
 もう二十数年同じところに同じオービスが立っていまして、岩手県のオービスは頑丈だなと感心しております。本当に正確に作動しているかどうか教えていただきたいところですが、これは秘密事項に当たることだとお察ししますので、話を進めます。
 このオービスの更新、新しいオービスの導入が現在進められているようです。移動式オービスといいますが、岩手県内にも導入されているのでしょうか。その概要、その効果、検挙の実績などをお示しください。
〇佐々木交通部長 可搬式速度違反自動取締装置、いわゆる移動式オービスについてでありますが、本県では平成29年度に約1、000万円を投じて1台導入し、現在運用しております。移動式オービスは、道路脇の空き地等に機器を設置し、通行車両の速度計測、写真撮影によって違反事実を特定し、事後に呼び出すものであり、違反車両を停止させる場所が必要ないことから、従来、取り締まりが困難であった市街地であったり、通学路であったり、生活道路であったりといった場所での取り締まりを行うことができるものでございます。
 導入以降、移動式オービスによる速度取り締まりは、生活道路や通学路等を中心といたしまして、昨年中は29回、本年は9月末現在で79回の取り締まりを実施しております。交通事故抑止に効果を発揮しているところであります。本年度中に新たに1台を追加導入することが決定しておりまして、引き続き、移動式オービスの特性を生かしながら、機動的な取り締まりを推進してまいりたいと思います。
 なお、取り締まりの件数でありますが、回数をお話しして、取り締まり件数をお話ししないというわけにはいきませんから、お話はしたいと思いますが、実は写真撮影回数だとか検挙件数は、微妙な流れの中で件数が変わってきますので、最終的には違反として処理したものは31件、本年9月末というところで御理解いただきたいと思います。
〇上原康樹委員 かなり踏み込んでお答えをいただきまして、ありがとうございます。
 まだ1台なのでしょうか。
〇佐々木交通部長 先ほど申し上げましたとおり、現状1台で、今後、年度中にもう1台追加配備予定というところでございます。
〇上原康樹委員 その先の更新ないしは導入も視野に入ってくるわけですけれども、こうしたオービスやNシステムといわれる道路を走る車の情報を全て瞬時に分析して記録するシステムもあることは承知しています。そうしたオービスやNシステムといった精密機器が雨ざらしになっているわけですから、メンテナンス、維持管理に大変な作業が必要になるわけですが、これは県警察が直接おやりになるのでしょうか。
 幹線道路のオービスを初め、それから、幹線道路に設置されているNシステムなどの維持管理、メンテナンスです。
〇佐々木交通部長 固定式のオービスは、相当古いものも多分あるのだと思いますが、現状で、手元にメンテナンスの部分の資料が一切ございませんので、ちょっと確認をして、お答えしたいと思います。
〇新家刑事部長 Nシステムについても、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。
〇上原康樹委員 いずれにしましても、今後、こうした精密機器を導入して取り締まりに資する状況をつくっていこうということになると思うのですけれども、予算面でも大変な負担になっていくと思いますが、今後のシステムの更新、充実の方向性をお聞かせください。
〇大濱警察本部長 まず、可搬式速度違反自動取締装置の今後の運用についてでございますけれども、これは機材の特殊性から、市街地において速度取り締まりが可能だということでございますし、今お示ししたように、どこについているかわからないということでありますので、いわゆる抑止効果、速度の抑制が期待されるところであります。今後も、引き続き、通学路等を中心に計画的な取り締まりを推進しまして、子供を初め住民の安全の確保を図ってまいりたいと考えておりますし、整備、更新についてもしっかりやっていきたいと思っております。
 それから、Nシステムにつきましても、これは犯罪捜査に欠かすことのできないシステムでございますので、県内の犯罪情勢や道路整備状況を踏まえまして、限られた予算の中でより効果的な更新、整備に努めてまいりたいと考えております。
〇上原康樹委員 わかりました。
 人間力と機械力、システム力の連携で、より効果的な県民の安全・安心の確保をお願いいたします。
〇佐々木交通部長 先ほど、後ほどお答えしたいと言った部分でありますが、Nシステム、オービスのメンテナンスの関係については、業者に委託をしてやっているところでございます。
〇新家刑事部長 Nシステムでございますけれども、リースをしておりまして、直接のメンテナンスはリース会社ということでございます。
〇菅野ひろのり委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇菅野ひろのり委員長 質疑がないようでありますので、これで警察本部関係の質疑を終わります。
 警察本部の皆様は御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。お疲れさまでした。
午後6時21分 散 会

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