令和2年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和2年3月16日(月)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
議事管理担当課長 安 齊 和 男
主任主査 藤 枝   修
主任主査 千 葉 絵 理
主査 上 野 公一郎
主査 鈴 木   忍
主査 赤 坂 宏 紀
主査 鈴 木 貴 博
1説明員
農林水産部長 上 田 幹 也
理事 内 宮 明 俊
理事兼副部長兼
農林水産企画室長 佐 藤 隆 浩
技監兼農政担当
技監兼県産米
戦略室長 小 岩 一 幸
農村整備担当技監 伊 藤 啓 治
林務担当技監 橋 本 卓 博
水産担当技監兼
水産振興課
総括課長 石 田 享 一
漁港担当技監 阿 部 幸 樹
競馬改革推進室長 菊 池 正 勝
理事心得 千 葉 義 郎
農林水産企画室
特命参事兼
管理課長 山 本 卓 美
農林水産企画室
企画課長 米 谷   仁
団体指導課
総括課長 菊 池 信 幸
指導検査課長 佐 藤 宗 孝
流通課総括課長兼
県産米販売推進監 高 橋 浩 進
農業振興課
総括課長 藤 代 克 彦
担い手対策課長 今 泉 元 伸
農業普及技術課
総括課長 菊 池 政 洋
農業革新支援課長 高 橋   守
農村計画課
総括課長 三 河 孝 司
企画調査課長 村 瀬 勝 洋
農村建設課
総括課長 千 葉 和 彦
農産園芸課
総括課長兼
県産米生産振興監 菊 池 徹 哉
水田農業課長 佐 藤   実
畜産課総括課長 菊 池 伸 也
特命参事兼
振興・衛生課長 村 上 隆 宏
林業振興課
総括課長 高 橋 一 志
森林整備課
総括課長 工 藤   亘
整備課長 及 川 明 宏
森林保全課
総括課長 西 島 洋 一
漁業調整課長 工 藤 飛雄馬
漁港漁村課
総括課長 鎌 田   進
漁港課長 内 藤 俊 喜
競馬改革推進監 竹 澤   智
競馬改革推進室
特命参事 小 上 俊 雄
県産米戦略監 小 原   繁

財政課総括課長 小 原 重 幸
〇柳村一委員長 これより本日の会議を開きます。
 武田哲委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
 この際、3月12日の保健福祉部の審査におきまして、斉藤信委員から申し出のありました新型コロナウイルス感染症に係る子供たちの安全性に関して、知事の出席を求めて質疑することについて、また、3月13日の商工労働観光部の審査におきまして、飯澤匡委員から申し出のありました3月10日の産経新聞に掲載された知事インタビューの記事中の被災地の経済構造を変えていければとの趣旨を確認するため、知事の出席を求めることについて、3月13日に開催いたしました世話人会の協議結果を報告いたします。
 初めに、斉藤信委員から申し出のありました、新型コロナウイルス感染症に係る子供たちの安全対策に関して、知事の出席を求めて質疑することについては、世話人会の協議の結果、総括質疑及び部局別審査において、既に各委員からさまざまな質疑が交わされてきたところであり、執行部においては、政府の方針を踏まえて対応していること、また、引き続き、児童生徒、保護者等の実情を踏まえながら柔軟に対応していくとの方針が示されており、知事の出席を求めないことの結論に至りましたので、御了承願います。
 次に、飯澤匡委員から申し出のありました、3月10日の産経新聞に掲載された知事インタビューの記事中の被災地の経済構造を変えていければとの趣旨を確認するため、知事の出席を求めることについては、世話人会の協議の結果、知事演述は、令和2年度の当初予算案の提出にあわせ、その施策の大要が述べられたものであり、御指摘のあった新聞記事のインタビューの内容については、必ずしも令和2年度当初予算案の内容を述べたものとは言いがたいとも考えられることから、知事の出席を求めないとの結論に至りましたので、御了承願います。
〇飯澤匡委員 世話人の方々の御協議の趣旨、協議していただいたことには敬意を表しますし、それから、それには従いますけれども、あくまで我々議員は、議会というのは、執行部に対するさまざまな施策を投げられたことに対して、今予算特別委員会もそうですが、幅広く議論をして、我々が二元代表制の一翼であり、しっかりその責任を果たさなければいけないと思うわけです。
 したがって、二元代表制の重みを、議会基本条例の趣旨に反しているとは言わないけれども、それに沿った、もっと闊達な議会活動をすべきだと私は思います。殊さら、他府県の議会においては、部局別審査においても知事が出席するところがあるわけですから、やっぱりリーダーの発言の重さということは、しっかり我々が監視することは大事だと思うし、こういう議論が矮小的に狭まれているのは、なかなか私は納得がいかない状況であります。
 委員各位には、しっかり議会基本条例を見直していただいて、今後、県民の負託に応える議会というのは何なのかということを、私はしっかり御認識を賜りたいと思います。
〇柳村一委員長 これより議事に入ります。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第26号から議案第31号まで、議案第39号及び議案第41号から議案第44号までの以上31件を一括議題といたします。
 本日の農林水産部の審査につきましては、3月4日の当委員会で決定したとおり、第1部及び第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について、それぞれ審査することとなっておりますので、御了承願います。
 また、本日は、農林水産部関係について延べ19人の質問者を予定しておりますが、午後5時を目途に審査が終了するよう、議事進行に御協力をお願いいたします。
 それでは、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇上田農林水産部長 農林水産部関係の令和2年度の予算関係議案について御説明申し上げます。
 予算関係議案の説明に入ります前に、令和2年度の農林水産施策の推進に当たっての基本的な考え方について御説明申し上げます。
 初めに、当部の予算編成に当たっての基本的な考え方でありますが、東日本大震災津波からの復興と、平成28年台風第10号災害及び令和元年台風第19号災害からの復旧、復興に最優先で取り組むとともに、いわて県民計画(2019〜2028)を着実に推進するための予算として編成したところであります。
 本県農林水産業が、地域経済を支える基幹産業として持続的に発展できるよう、将来を見据えた取り組みを幅広く展開し、地域の特色を生かした収益力の高い農林水産業の実現に向けて、力強く取り組んでまいります。
 まず、復興推進の取り組みについてでありますが、海岸保全施設等の復旧について、令和2年度までの完成に向けて取り組むとともに、地域漁業をリードする人材の育成や、水産物の高付加価値化と販路の拡大に取り組んでまいります。
 また、サケなどの漁獲量の減少を踏まえ、サケ稚魚の生産、放流に対する支援や、サケの回帰率向上に向けた調査、研究に取り組むほか、サケ、マス類の海面養殖の推進や、最近資源量が増加しているマイワシの漁場調査などに取り組んでまいります。
 さらに、放射性物質影響対策として、原木シイタケの出荷制限解除に向けた検査や、ほだ場の環境整備を進めるとともに、県産農林水産物の安全・安心と魅力の発信に取り組んでまいります。
 次に、平成28年台風第10号災害及び令和元年台風第19号災害からの復旧、復興についてでありますが、被災農林漁業者の経営再開や農林水産関係施設の早期復旧に向けて、引き続き取り組んでまいります。
 次に、政策推進の取り組みについてでありますが、意欲と能力のある経営体の育成につきましては、いわてアグリフロンティアスクール、いわて林業アカデミー、いわて水産アカデミーによる本県農林水産業の次代を担う新規就業者の確保、育成や経営力の高い経営体の育成、女性農林漁業者の活躍促進に向けた環境整備などを進めてまいります。
 収益力の高い食料・木材供給基地づくりについては、高収益野菜の作付拡大による新たな野菜産地の形成や、リンドウの新品種の種苗増殖、農畜産物のGAPの取得促進、ゲノム解析技術を活用した全国トップレベルの種雄牛の造成に取り組んでまいります。
 また、家畜飼養管理施設や高性能林業機械等の整備を支援するとともに、水田の大区画化などの生産基盤の整備を着実に進めてまいります。
 農林水産物の高付加価値化と販路の拡大につきましては、金色の風や銀河のしずくを核とした県産米のブランドイメージの向上と販路の拡大、6次産業化による県産農林水産物の高付加価値化に向けた取り組みを進めてまいります。
 また、輸出拡大に向けた新規有望市場におけるプロモーションや、県産木材の利用拡大に向けた製材品開発の支援などに取り組んでまいります。
 さらに、一人ひとりに合った暮らし方ができる農山漁村づくりについては、地域資源を活用した農山漁村ビジネスの振興や都市との交流人口の拡大、防災、減災対策に取り組んでまいります。
 また、新しい時代を切り拓くプロジェクトに掲げる農林水産業高度化推進プロジェクトについては、北いわて型スマート農業技術の導入促進を初め、スマート農林水産業の一層の推進に取り組んでまいります。
 それでは、予算関係議案について御説明申し上げます。
 まず、議案第1号令和2年度岩手県一般会計予算でございますが、議案その1の7ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算の歳出の表中、農林水産部関係の予算は、6款農林水産業費の717億9、360万2、000円のうち、県土整備部所管分を除く715億9、169万1、000円、9ページの11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費の124億1、174万5、000円及び12款公債費1項公債費のうち380万2、000円を合わせまして、総額840億723万8、000円となります。これを前年度当初予算と比較いたしますと178億4、513万1、000円、率にして17.5%の減となりますが、これは、漁港災害復旧事業費の進捗等によるものであります。
 それでは、予算の内容につきまして、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に簡潔に御説明申し上げます。
 それでは、予算に関する説明書の155ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費であります。1目農業総務費は、農政関係職員の人件費や国土調査等に要する経費であり、説明欄上から六つ目、いわて農林水産業6次産業化推進事業費及び、その二つ下のいわて6次産業化ネットワーク活動推進事業費は、いわて6次産業化支援センターの運営等を通じて、特産品の開発や販路拡大等の取り組みを支援しようとするものであります。説明欄下から六つ目、いわて食の聖地プロモーション展開事業費は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、首都圏における県産食材の認知度や評価を高めるため、商談会を実施するほか、新たに、黄金の國、いわて。応援の店や、岩手県ゆかりの企業等と連携したフェアを開催しようとするものであります。
 156ページをお開き願いまして、2目農業金融対策費は、農業近代化資金等の貸し付けを行う農協などの融資機関に対して利子補給等を行うものであります。3目農業改良普及費は、農業改良普及センターの管理運営等に要する経費のほか、説明欄の一番下でございますが、いわてニューファーマー支援事業費は、新規就農者に対して、就農前の研修のほか、就農直後の経営安定を支援する資金を交付しようとするものであります。157ページに参りまして、4目農業振興費ですが、説明欄中ほど、上から八つ目、いわての食財戦略的海外輸出展開事業費は、県産農林水産物の輸出拡大に向け、事業者による輸出戦略の策定を支援するとともに、ラグビーワールドカップ2019岩手・釜石開催によりきずなが深まった新規有望市場であるカナダへのリンゴ等の輸出のプロモーションを実施しようとするものであり、説明欄下から五つ目、いわて地域農業マスタープラン実践支援事業費は、地域の中心となる経営体の規模拡大や、地域農業を牽引するリーディング経営体の育成などに必要な機械、施設の整備等を支援しようとするものであります。158ページをお開き願いまして、説明欄上から五つ目、北いわてスマート農業プラットフォーム創造事業費は、北いわて型スマート農業技術の導入を促進するため、農業研究センター県北農業研究所を拠点として、農業者、研究機関、大学等によるプラットフォームを構築し、自動走行農業機械や環境制御に関する技術実証などを実施しようとするものであります。5目農作物対策費ですが、説明欄二つ目、鳥獣被害防止総合対策事業費は、鹿などの野生鳥獣の侵入防止柵の設置等を支援するとともに、被害防止活動を担う人材の確保、育成に向けた取り組みを支援しようとするものであり、説明欄一番下、強い農業づくり交付金事業費は、収益力強化に向けた農業機械や生産資材の購入、集出荷施設等の整備を支援しようとするものであります。6目畑作振興費ですが、159ページに参りまして、説明欄上から二つ目、いわて型野菜トップモデル産地創造事業費は、水田等において高収益な野菜の作付を拡大する取り組みを支援しようとするものであり、7目植物防疫費は、病害虫の防除指導のほか、生産者等に対する農薬の適正使用の指導等に要する経費であります。160ページをお開き願いまして、8目農業協同組合指導費及び9目農業共済団体指導費は、各組合の指導監督に要する経費であり、10目農業研究センター費は、同センターの管理運営、試験研究等に要する経費であります。161ページに参りまして、11目農業大学校費は、同校の管理運営に要する経費であります。
 次に、162ページをお開き願います。2項畜産業費であります。1目畜産総務費は、畜産関係職員の人件費など管理運営等に要する経費であります。2目畜産振興費ですが、163ページに参りまして、説明欄下から七つ目、畜産競争力強化整備事業費補助は、畜産クラスター計画に位置づけられた地域の中心経営体に対する家畜飼養管理施設等の整備を支援しようとするものであり、一番下、強い農業づくり交付金は、地域の集送乳体制の合理化を図るため、指定生乳生産者団体が行う大型貯乳施設の整備を支援しようとするものであります。3目草地対策費は、畜産農家等の生産基盤の整備を支援しようとするものであります。164ページをお開き願いまして、4目家畜保健衛生費ですが、説明欄二つ目、牛海綿状脳症防疫対策事業費は、48カ月齢以上の死亡牛のBSE検査等に要する経費であり、その下、家畜伝染病予防費は、家畜伝染病予防法に基づき、各種疾病の検査を行おうとするものであり、5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営等に要する経費であります。
 次に、166ページをお開き願います。3項農地費であります。1目農地総務費は、農地関係職員の人件費等であり、2目土地改良費のうち、当部関係の主なものですが、説明欄上から五つ目、経営体育成基盤整備事業費は、圃場の大区画化や排水改良など、生産基盤の整備と担い手への農地集積を一体的に推進し、地域の中心となる経営体の育成を図ろうとするものであります。その下、中山間地域総合整備事業費は、地域の実情に応じた農業生産基盤と農村生活環境基盤の整備を実施しようとするものであり、167ページに参りまして、説明欄上から六つ目、資源向上支払事業費は、水路等の長寿命化や農村環境保全活動など、地域資源の質的向上を図る共同活動等を支援しようとするものであります。168ページをお開き願いまして、3目農地防災事業費は、農地、農業用施設等への自然災害を未然に防止するための防災ダムや老朽化した水利施設の更新等に要する経費のほか、説明欄中ほど、六つ目、農用地災害復旧関連区画整理事業費は、東日本大震災津波により被災した農地と隣接する農地の一体的な圃場整備により、生産性、収益性の高い農業を実現できる生産基盤を整備しようとするものであり、4目農地調整費は、農地中間管理機構と地域の農業者組織との連携強化など、担い手への農地集積業務の推進等に要する経費であります。
 次に、170ページをお開き願います。4項林業費であります。1目林業総務費は、林政関係職員の人件費や全国植樹祭の開催準備に要する経費、県有林事業特別会計への繰出金等であります。171ページに参りまして、2目林業振興指導費ですが、説明欄下から七つ目、いわての森林づくり推進事業費は、いわての森林づくり県民税を財源とし、針葉樹と広葉樹の混交林化を進めるとともに、地域住民が自主的に取り組む森林環境整備活動等を支援しようとするものであり、その下、特用林産物放射性物質調査事業費は、特用林産物の放射性物質調査を実施するほか、使用自粛となったシイタケ原木の処理や、出荷制限解除に必要なほだ場の生産環境整備を支援しようとするものであります。172ページをお開き願いまして、説明欄上から二つ目、林業成長産業化総合対策事業費は、林業の成長産業化を促進するため、意欲と能力のある林業経営体に対し、高性能林業機械や木材加工流通施設等の整備を支援しようとするものであります。3目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害の拡大防止等に要する経費であり、4目造林費は、森林経営計画等の認定森林における再造林や間伐等の森林整備に要する経費等であります。173ページに参りまして、5目林道費は、林道整備事業中期実施計画等に基づき、森林整備の基盤となる林道の開設、改良等に要する経費であります。174ページをお開き願いまして、6目治山費は、山地災害を未然に防止し、県土の保全を図るための治山や地すべり防止、保安林の管理や整備などに要する経費であります。175ページに参りまして、7目林業技術センター費は、同センターの管理運営、試験研究等に要する経費であります。
 次に、177ページをお開き願います。5項水産業費であります。1目水産業総務費は、水産関係職員の人件費や水産科学館の管理運営等に要する経費であります。178ページをお開き願いまして、2目水産業振興費ですが、説明欄中ほどの上から10個目、さけ、ます増殖費は、サケ資源の早期回復に向け、稚魚の生産、放流等の取り組みを支援するとともに、サケの高水温耐性種苗の開発や、遊泳力の高いサケ種苗の生産技術開発等を実施しようとするものであり、四つ下でございますが、栽培漁業推進事業費は、漁協等が行うアワビ種苗放流等の取り組みを支援するほか、新たな栽培魚種の生産技術の開発を実施しようとするものであります。説明欄下から三つ目、さけ、ます種苗生産施設等復興支援事業費補助は、東日本大震災津波で被災したサケ、マス種苗生産施設の整備等を支援しようとするものであります。3目水産業協同組合指導費は、組合の指導監督や漁業近代化資金の利子補給等に要する経費であり、179ページに参りまして、4目漁業調整委員会費及び5目漁業調整費は、海区漁業調整委員会等の開催や漁業調整などに要する経費であります。180ページをお開き願いまして、6目漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営や老朽化した漁業取締船岩鷲の代船建造に要する経費であり、7目水産技術センター費は、同センターの管理運営、試験研究に要する経費であり、181ページに参りまして、8目内水面水産技術センター費は、同センターの管理運営に要する経費であります。182ページをお開き願いまして、9目漁港管理費は、県管理漁港施設の維持管理等に要する経費であり、10目漁港漁場整備費ですが、説明欄上から四つ目の海岸高潮対策事業費は、市町村のまちづくり計画等との調整を図りながら、防潮堤の整備を進めようとするものであり、説明欄下から四つ目の漁港施設機能強化事業費は、高波等に対する漁港機能の向上を図るため、防波堤、護岸等の整備に要する経費であります。
 次に、大きく飛びまして、235ページをお開き願います。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費1目農地及び農業用施設災害復旧費から236ページの5目漁港災害復旧費にかけましては、東日本大震災津波などにより被災した農林水産業施設の復旧に要する経費等であります。
 少し飛んでいただきまして、243ページをお開き願います。12款公債費1項公債費1目元金のうち、当部関係は380万2、000円であり、これは、国の就農支援資金に係る償還元金であります。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、議案その1にお戻りいただきまして、11ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、11公益社団法人全国農地保有合理化協会が公益社団法人岩手県農業公社に融資した資金について元利金の償還がない場合の不足額の損失補償から、12ページ、27農村災害対策整備事業までの17件であります。その内容は、公益社団法人岩手県農業公社の事業資金の借り入れに係る損失補償が1件、農林水産業関係の各種資金の融通に伴う利子補給が8件、令和2年度から翌年度以降にわたって施工される工事等に係るものが8件で、いずれもそれぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
 次に、特別会計予算について御説明申し上げます。
 22ページをお開き願います。議案第3号令和2年度岩手県県有林事業特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ36億8、821万7、000円としようとするものであります。
 23ページに参りまして、歳入の主なものですが、1款国庫支出金は、県行造林、模範林及び公営林の整備に係る国庫補助金であり、3款繰入金は、一般会計及び県営林造成基金からの繰入金であり、5款諸収入は、立木処分に係る売り払い収入等であります。
 24ページをお開き願いまして、歳出の主なものですが、1款県有林事業費は、県行造林、模範林及び公営林の維持管理や保育のほか、県債の償還等に要する経費であります。
 25ページに参りまして、議案第4号令和2年度岩手県林業・木材産業資金特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ7億7、606万3、000円としようとするものであります。
 26ページをお開き願いまして、歳入の主なものですが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するものであり、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等であります。
 27ページに参りまして、歳出の主なものですが、1款林業・木材産業改善資金貸付費は、林業及び木材産業経営の改善を図るため、林業従事者等に対し無利子資金を貸し付けようとするものであります。
 次に、28ページをお開き願います。議案第5号令和2年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ9億8、906万7、000円としようとするものであります。
 29ページに参りまして、歳入の主なものですが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するものであり、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等であります。
 30ページをお開き願いまして、歳出、1款沿岸漁業改善資金貸付費は、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従事者等に対し無利子資金を貸し付けようとするものであります。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げます。
 67ページをお開き願います。議案第16号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、かんがい排水事業ほか10事業の農業関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものであります。
 次に、72ページをお開き願います。議案第17号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、県単独治山事業に要する経費の一部を受益市に負担させようとするものであります。
 次に、73ページに参りまして、議案第18号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、水産生産基盤整備事業ほか8事業の水産関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものであります。
 次に、予算関係条例について御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、議案その2により御説明いたします。33ページをお開き願います。議案第31号岩手県手数料条例の一部を改正する条例でありますが、本条例のうち農林水産部関係の改正内容は、48ページをお開きいただきまして、別表第6(第2条関係)ですが、これは、家畜伝染病予防法に基づく牛の検査に要する所要経費が増加していることから、検査手数料の額を4月から増額しようとするものであります。
 次に、74ページをお開き願います。議案第39号岩手県漁港管理条例の一部を改正する条例についてでありますが、これは、漁港施設等の占用料の額を4月から増額しようとするものであります。
 以上で予算関係の議案についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇柳村一委員長 これより質疑を行いますが、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇郷右近浩委員 それでは、何点か質問をさせていただきたいと思います。
 今、新型コロナウイルス感染症の問題で、県内の経済状況であったり、農林水産物の流通でも非常に大変な時期になっていると承知しております。今いろいろ対策をとっていただいているところと思いますけれども、その中においても、今々の対策という以外に、これから岩手県として前に向かっていく、そうしたものを何点か質問させていただきたいと思います。
 県産農林水産物の輸出拡大についてお伺いしたいと思います。
 この件につきましては、これまでも、さまざまな形で県産農林水産物を海外へ輸出したい、そして、ぜひとも所得にしっかりとはね返ってくるような形を目指したいという思いで質問してまいりました。令和2年度当初予算案でいわての食財戦略的海外輸出展開事業という新規の事業をつくっていただく中で、先ほども説明でありましたけれども、ラグビーワールドカップ2019日本大会岩手・釜石開催等で深まった御縁を生かしながら、主にカナダ等の新規市場でのプロモーションを実施していくという話であります。
 これまで、さまざまな海外戦略の中でいろいろな国に対してアプローチしてくる中でも、これまでの経緯の中で、米であったり、肉であったり、そうしたものを輸出するときに、もともとアドバンテージを持っていたというか、早くにその国に対して働きかけを行ってきたものが、例えば牛肉で言えば、宮崎牛が和牛イコールといったような取り扱いをされていたり、神戸ビーフが和牛であるといった認識のある国、地域が出てきている中で、今回カナダ市場に入っていくうえでは、しっかりと準備を進めて、着実に実行に移していかなくてはならないと考えるわけであります。
 今、新型コロナウイルス感染症で経済状態がとまっている中ではありますけれども、このカナダへの対応をどのような形で進めていくのかお伺いしたいと思います。
〇高橋流通課総括課長 いわての食財戦略的海外輸出展開事業費についてのお尋ねでございますが、カナダにつきましては、今、委員からお話がございましたように、リンゴの輸入が解禁され、TPP11の発効により牛肉の関税撤廃が予定されているといったこともございます。また、ラグビーワールドカップ2019日本大会を契機とした国際交流の進展などもございまして、県産農林水産物のさらなる販路の開拓、拡大が期待できる新たな市場として有望と考えております。
 特にリンゴにつきましては、カナダがリンゴの輸入を解禁した昨年度、本県では、他産地に先駆けて輸出に取り組み、ビクトリア市及びバンクーバー市での現地フェアを開催しております。本年度につきましても、オタワ市、トロント市等において市場調査あるいは商談を実施しているところでございます。
 今後は、こうした取り組みに加え、本県の強みである牛肉、米等の多様な品目を組み合わせたパッケージ型プロモーションの展開などに重点的に取り組み、本県が誇る安全・安心で高品質な農林水産物の輸出拡大をさらに戦略的に進めてまいります。
〇郷右近浩委員 今、肉であり米であり、これからさらに進めていくという話でありますけれども、やっぱりこうした事業を進めていくには、品目ごとの戦略であり目標値といったものが必要になってくると思いますが、どのようにお考えになっているかお聞かせいただきたいと思います。
〇高橋流通課総括課長 ただいま委員から御指摘もいただいたとおりでございますが、さらなる輸出拡大に向けては、品目別に現地の流通関係者との強いネットワークの構築でありますとか、輸出先国の規制、市場から求められる品質等への対応など戦略的に取り組みを進めていく必要がございます。
 このため、令和2年度当初予算案におきまして、いわての食財戦略的海外輸出展開事業費を盛り込んだところでございますが、いわて国際戦略ビジョンで定める重点品目のうち、リンゴ、牛肉につきまして、輸出先国の規制や市場から求められる品質に対応したグローバル産地計画を策定いたしまして、この計画を核としながら、品目や輸出相手国等に応じて、各品目の専門商社等と連携しながら、現地の流通関係者との強いネットワークにより販路の拡大を図るなど、農林水産物の輸出拡大を進めてまいる考えでございます。
〇郷右近浩委員 今、本当に新型コロナウイルス感染症の騒動で、世界中で流通がぐちゃぐちゃになっていて、どのような形でも人も物も動かないといったような中で、すぐにどうこうできる部分ではないかもしれません。しかしながら、これは動けるようになったら動き出せるような準備をしっかり整えていただきながら前に進めていただきたいと思います。
 そうした中で、牛肉の部分ですけれども、昨年11月に、日中間において牛肉の輸出に向けて合意となったといった認識を持っていますが、現在、その日中間の合意の進め方、これから輸出がどのような形になっていくのか、その点についてお伺いしたいと思います。
〇高橋流通課総括課長 ただいま委員からお話がございましたように、昨年11月25日に、動物の衛生及び検疫における協力に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定が締結されております。この協定の枠組みのもと、牛肉等の輸出に係る検疫要件等の交渉が両国政府間で進められているものでございます。
 現在、中国におきましては、日本の食肉処理施設などの安全評価が行われている段階でございます。日本国政府といたしましては、早期の輸出再開に向けて、必要な手続を着実に進めていく考えであるとお聞きしております。
〇郷右近浩委員 特に中国においては、これまで岩手県としても、中国に事務所を設置してくるなど、そうした中で取っかかりというか、広げやすいというか、そうした素地がもうでき上がってきていると思います。そうだとすると、それ自体が、よその県に対して国内でのアドバンテージがとれると思っております。
 これまでも中国には、岩手からではないですが、日本の和牛というものがいろいろな形で入っていたと認識は持っております。それがきちんと正規として入っていけるといったときに、これから岩手県としての体制を構築して、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 そして、まさにこの輸出が決定したときに、和牛イコールいわて牛という形をしっかりとれるような仕掛けを準備していかなければいけないと思いますが、そのような中で何か進めている準備というか、そうしたものがあるかどうかお伺いしたいと思います。
〇高橋流通課総括課長 中国に向けた牛肉の輸出につきましてのお尋ねでございますが、牛肉におきましては、オーストラリアの例をお話しさせていただきますと、オーストラリアでは、昨年度解禁され、本年度、私どもといたしましては市場調査を実施しているところでございます。
 委員お話のように、やはり先手必勝といいましょうか、まずは岩手のいろいろな今までの中国とのネットワーク、人脈を活用した形で進めていく必要があると認識しております。
 先ほども申し上げましたように、中国への牛肉につきましては、現在、両国間でさまざまな準備が進められているところでございますので、そういった国や関係機関等の動きをしっかり見据え、情報収集に努めながら、輸出に係る一連のプロセスの状況をきっちり見きわめて、牛肉輸出が解禁された際に、迅速に、先ほどお話のあった仕掛けも含め、販路が開拓できるようにしっかり取り組んでいきたいと考えております。
〇郷右近浩委員 ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。シンガポールに行くと宮崎牛が和牛といったような捉え方をされていて、またさらに、ヨーロッパに行けば神戸ビーフがといった中で、私どもの岩手の良質な牛をぜひ認めていただける仕掛けを、本当にしっかりつくっていかなければいけないと思いますので、これを好機と捉えて、ぜひ進めていっていただければと思います。
 今度は岩手県競馬事業についてお伺いいたします。
 いよいよ3月20日に特別開催ですけれども、休んだ分があって、これは通常開催分の日程で消化になるような思いもありますが、そして、一応4月5日には新年度の開催ということで、岩手県競馬の再開時期が近づいております。
 そうした中でありますけれども、今の新型コロナウイルス感染症対策を考えたときに、例えば大規模な形で人が集まるようなイベントの中止であったりとか、そうしたことをやっている中で、どのようにこの特別開催、そして新年度の開催を進めていかれようとしているのかお伺いしたいと思います。
〇千葉理事心得 3月に再開されるいわゆる春競馬でございますが、新年度の開催へとつながる重要な開催と例年位置づけてございます。
 新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、去る2月27日以降、他の主催者におきましては、お客様の入場をお断りして競馬を実施、いわゆる無観客競馬を行っております。
 岩手競馬におきましては、こうした他の主催者の動向も注視しながら、無観客競馬とするかどうか今まさに検討中でございます。
〇郷右近浩委員 今、聞き間違えかと思いましたが、今検討中ということでありますが、きょうは3月16日ですよ。3月20日からの開催をどのようにするのか、今検討中というのが、どうも私自身、不思議で仕方がないのですけれども、もうどのようにしていくか考えなければ、周知であり、そうしたものが間に合わなくなるのではないかと思うのですが、もう一回確認をさせていただきたいと思います。
〇千葉理事心得 委員御指摘のとおり、開催が間近に迫っておりますので、できるだけ早く決定いたしまして、公表したいと考えているところでございます。
〇郷右近浩委員 私と時間軸の考え方が違うような気がするので、これ以上話をしても仕方がないのかもしれません。私の持っている数字ですと、2月17日の競馬組合議会において、基金に積んだ部分を差し引いた利益が3、200万円ほどといった形の最終数字の予定だったと思います。そのときの3、200万円ですと、例えばこれを他の主催者と同じように無観客でやった場合には、特別開催部分の6日間開催するとして、そのときに、恐らく競馬本場のみならず、テレトラックもお客さんを入れないというか、恐らく閉鎖になるという中で、インターネットだけの発売となると、インターネットの利益率を考えても、売り上げが今インターネット自体が全体として好調だったとしても、全体的にこれは毎日、収支とんとんないし、もしかしたら、その日によっては赤字覚悟でやらなければいけないといった状況が生まれてくるのではないかと思います。
 そうだとすると、この3、200万円の利益などというのは、非常に厳しい数字になってくると思うのですけれども、そうしたものの対応を含めて、1回、競馬組合議会において積み上げた基金、施設整備基金であったりを戻すなり、そうした対応も含めていろいろ検討していかなければいけないと思うわけであります。
 ただ、そのこと自体が、この間見ていても、競馬組合議会も開かれないといった中にあって、一体どのように考えておられるのか。果たして本当にこれでやり切れると思っているのか。3月20日からの部分を無観客にするとか、いつそうしたものの結論が出るのか、あわせてお伺いしたいと思います。
〇千葉理事心得 3月20日からの競馬を無観客で行うかどうかの決定につきましては、先ほど答弁いたしましたとおり、できるだけ早く決定し、公表したいということでございます。
 それで、委員からも御指摘ございましたけれども、勝馬投票券の発売は、インターネットまたは電話のみによることとなりまして、競馬場及び場外発売所におきましては、現金で発売することとしていた分が減少するということでございます。
 3月20日から22日までの間に計画していた発売額は2億1、600万円となっておりまして、これがそのままなくなった場合では、粗利ベースで4、500万円ほどの減収になります。
 一方、既に無観客競馬を実施しております他の主催者の発売状況を見ますと、インターネット発売が好調でございまして、現金での発売を行わなくても前年同期の発売額を上回っている主催者もございます。
 また、無観客競馬の実施によりまして、光熱水費、警備委託費などの不用額も生じますことから、今年度の当期利益は減少するものの、収支均衡は達成できると今のところ見てございます。
〇郷右近浩委員 わかりました。そうした形の中で、利益ベースでは大丈夫だということでありますので、まずは本当に競馬が単年度赤字になることのないように。もちろん、そのときには、1回積んだ基金をどのようにするかといった手だてはあると思っておりますから、それすなわちという話にはならないという認識を持っておりますし、大丈夫だとは思います。ただ、物事をどのように決めていくか、そして、その競馬自体を本当にいつからやるか、そうしたものをしっかりと競馬組合議会であったり、さらには、競馬ファンの方々に早くに周知すべきと思います。
 繰り返しになりますけれども、いつそれを判断されるのでしょうか。
〇千葉理事心得 繰り返しになりますけれども、他の主催者の状況を今見きわめているところでございますので、いずれ同じ答弁になりますが、できるだけ早く決定して、公表したいと考えております。
〇郷右近浩委員 多分、もうこれ以上何の答えも出てこないんでしょうから、私自身、これ以上話のしようがないわけであります。しかしながら、例えば、先ほど利益ベースで何とかなるだろうという話、インターネットの発売で何とかなるという話でありますけれども、ただ、この間、例えば水沢競馬場で、今、敷きわらの部分でウッドチップを敷いたりというような形で、いろいろな経費もかかってきていると思います。これ自体は、恐らくこれまでの薬物事案に対する、できる限りのことを競馬組合でやっていこうという形の中でやられていることだと認識しておりますし、しっかりと取り組んでいる一環であるだろうと思います。
 ただ、かけなければいけない経費がある中で、安定して、収益をしっかりとした形で令和2年度につないでいくといったことをやっていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
〇千葉伝委員 私からは、来年度予算に関係して、特に農業全般ということではなくて、畜産に特化した格好でお聞きしたいと思います。一つは全体の畜産振興、それから、豚の伝染病、豚熱等に関してお聞きしたいと思います。
 最初に畜産振興の部分でありますけれども、本県の平成30年度の農業産出額は2、727億円、そのうち畜産が1、608億円であり、約8割を占めて本県農業の基幹部門となっております。
 今後さらに成長させるべき産業として振興を図らなければならない分野であるわけでありますが、県として、先ほどの説明の中にもあったかもしれませんけれども、来年度の特に畜産の振興策をどのように打ち出していくのか、改めて伺います。
〇菊池畜産課総括課長 畜産振興策についてでございますけれども、畜産経営体の体質強化を図るために、畜産クラスター事業等によります畜舎等の整備支援、それから、国の肉用牛経営安定対策補完事業等を活用いたしました優良な雌牛の導入支援、さらには、畜産GAP普及推進事業によるJGAPの認証の取得に向けた取り組み支援といったことに加えて、令和2年度の当初予算案には、新たに豚熱、またアフリカ豚熱の関係でありますが、ウイルスの進入防止対策を徹底するために、農場のバイオセキュリティ向上対策事業、さらには、黒毛和種のマルキンでありますが、生産者積立金を支援する家畜畜産物価格安定対策事業といったものを盛り込んでおります。
 このような取り組みによりまして、経営規模の拡大、生産性の向上を図ってまいります。
〇千葉伝委員 特に目玉としてやられる畜産振興策は、畜産クラスター事業、それから優良雌牛の関係、GAP普及事業、そしてまたマルキンということでありますが、特に新規という形でお聞きしている分が、今お話があった農業バイオセキュリティ向上対策事業と聞いております。
 ここから、前、豚コレラと言っていた名前が今、豚熱、横文字ではCSFということになるわけでありますけれども、ここの豚熱の対応についてお聞きしたいと思います。
 まずは、これまでの全国のCSFの発生状況、そしてまた、その発生防止を図るため、今話が出た農場バイオセキュリティ向上対策事業の予算の分が現在どのようになっているのか。次に、防御柵の設置ということでお聞きする予定にしていましたけれども、あわせて、その侵入防止柵の分もお聞きしたいと思います。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 豚熱―CSFへの対応について、これまでの発生状況についてでございますが、平成30年9月に、岐阜県において国内で26年ぶりに確認され、その後、周辺地域に拡大して、本年1月には沖縄県で発生するなど、本年3月13日までに58例の発生が確認されております。
 また、これまでに1府9県、97農場の飼養豚など―飼養イノシシも含まれます―及び屠畜場4カ所の出荷豚の合計約16万5、000頭余の殺処分がなされている状況でございます。
 それから、農場バイオセキュリティ向上対策事業の詳細でございますが、これは、地域におけます農場バイオセキュリティーの課題を把握し、必要な対策を講じるため、行政や関係団体等による地域協議会を開催するとか、また、CSFやASFウイルスの侵入防止対策の徹底を図るため、防疫資材でございます運転席用ペーパーマットや殺鼠剤の活用に関する研修会を開催し、対策に必要な資材の整備を指導するといったところでございます。
 それぞれの事業費ですけれども、ペーパーマットは約130万円、殺鼠剤については450万円ほどで、各農場に配布するという格好で考えております。
 侵入防止柵の設置状況でございますが、県内には136農場ございまして、そのうち既に侵入防止柵を設置済み、あるいは廃業予定の41農場を除く95農場が事業を活用して侵入防止柵の設置を行っております。現時点で31農場が設置を完了しております。他の農場につきましても、年度内の完成を目指して取り組んでいるところでございます。
 なお、一部では、新型コロナウイルス感染症の影響による中国製資材の調達のおくれ等により整備がおくれている農場も見られますが、早期の完成を目指して最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
〇千葉伝委員 CSFへの対応ということで、最近までちょっとおとなしくしていたものが沖縄で発生したと。今、世の中は、世界的に新型コロナウイルス感染症の発生、大流行でパンデミックになって、そちらのほうに物すごく大きな問題意識があるわけでありますけれども、一方、畜産の分野での伝染病では、今、豚熱が一番大きな課題だと思っております。もちろん鳥インフルエンザもあります。それから口蹄疫等もあります。ただのCSFではなくASF、いわゆるアフリカ豚熱も、まだ日本では発生していないけれども、中国等で発生している。これが侵入すると、豚熱にはワクチンがあって対応できるわけですけれども、アフリカ豚熱にはワクチンがないということで、これが入ってきたらとんでもない、日本の養豚農家が全滅するくらいの話になりかねないと思っているところであります。
 したがって、先ほどの話の中で、新しく県が農場バイオセキュリティー向上対策として、防護柵の設置について、国がたしか2分の1、県が4分の1、そして残りが生産者ということで進めているようであります。一部の市町村では生産者分の4分の1を出すということも聞いておりますが、国、県がやる事業にあわせて残った分に対応する市町村がどの程度あるかというのが一つです。
 それから、防護柵をやるということで、現在残っている農場は年度内に設置するということであります。先ほどの話のように新型コロナウイルス感染症の関係でおくれているということもありますが、その状況。本当に年度内にほとんどのところが設置できる見込みなのか、結構残るのか、そういったあたり。数は問いません。そこをお聞きしたいと思います。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 侵入防止柵の整備に係る事業に対する市町村の交付状況でございますが、33市町村のうち22市町村(後刻「24市町村」と訂正)が交付すると記憶しております。
 柵の状況ですけれども、中には、先ほど申し上げましたとおり、中国からの資材のおくれや用地の調整等がございまして、若干年度を繰り越す農場がございます。
〇千葉伝委員 この防護柵というのは、イノシシ対策ということで国が発生県を中心にやられているところであります。ところで、岩手県のイノシシの数ということでほかの部に聞いたりしていますけれども、はっきりした数字が……。捕獲したのが200頭とか何とか。農林水産部でイノシシがどの程度いるか把握しているのでしょうか。
〇今泉担い手対策課長 県内に生息するイノシシの頭数でございますけれども、所管は環境生活部になりますが、現在、イノシシの頭数については把握していない状況になっております。
〇藤代農業振興課総括課長 若干補足させていただきます。
 イノシシの生息数ですけれども、環境省が調査しているやり方として、捕獲数から推計するやり方になってございます。環境省で―宮城県、岩手県、もう1県あったのですが―東北3県という形で推計したところ、平成27年時点で27万頭(後刻「平成24年度末で10万5、000頭」と訂正)ぐらいという数字は出しているのですが……。済みません、数についてはもう一度改めて確認させていただきます。
 岩手県は、まだ240頭ぐらいしか捕獲頭数がないので生息数の推計には至っていない状況でございまして、イノシシの生息数については、今、環境生活部がどういった形になるかということで調査を進めていると承知してございます。
〇千葉伝委員 新しい防護柵は、イノシシの侵入を防止するのが大きな目的ということであります。各市町村も、今のお話のとおり、まだ十分頭数の把握ができていない状況だと。もちろん担当は環境生活部だとしても、農林水産部で病気の予防を含めてやっていくということであれば、そういった情報はしっかりと、あっちでやる話だ、こっちだということではなく、国との関係もあるかもしれませんけれども、しっかり把握した上での対応を考えるべきだと思うのですが、もう一度。
〇藤代農業振興課総括課長 先ほど答弁させていただきましたイノシシの生息数の環境省の調査結果について修正させていただきます。
 環境省が平成27年に公表しているのは、平成24年度末で、数とすれば岩手、宮城、福島の3県で10万5、000頭でございます。
 また、環境生活部のほうで、捕獲実績をふやすということも視点に入れながら、モニタリング調査を今、行っておりますので、そういった形で生息状況の把握、これは農林水産部も当然さまざま捕獲の協力をしながら一緒になってやっていきたいと考えているところでございます。
〇千葉伝委員 いずれ、イノシシは南からどんどん北上してきているということであります。3県合わせて10万5、000頭というのはかなり多いと感じたところでありますので、ぜひ今後の対策に向けてしっかりと捕獲のほうも進めるべきだと思うわけでありますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、CSFあるいはASFの対策について、国では、家畜伝染予防法、いわゆる家伝法の改正を最近したということでありますが、これの主な中身、概要、また、それに対して県はどう対応していこうとしているのかお伺いします。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 家畜伝染病予防法のお話でございますが、その前に、先ほどの柵事業の市町村補助につきまして、私、22市町村と申し上げましたが、24市町村の誤りでございました。訂正させていただきます。
 家畜伝染病予防法の改正についてでございますが、本年2月5日に議員立法によりまして家畜伝染病予防法の一部が先行して改正されております。この改正により、豚コレラ及びアフリカ豚コレラの名称がそれぞれ豚熱及びアフリカ豚熱に変更され、また、アフリカ豚熱につきましては、国内に侵入した際の蔓延防止対策を迅速に行うため予防的殺処分の対象に追加され、発生農場の周辺で飼養される豚の殺処分が可能となっております。
 また、現在、飼養衛生管理基準の遵守指導の強化及び動物検疫所の家畜防疫官の権限の見直しなど、水際対策の強化等に向けた家畜伝染病予防法の一部改正について継続して審議されているところでございます。
 改正後は、家畜保健衛生所等による農場への周知、巡回等による飼養衛生管理状況の確認及び改善指導を行うこととしております。
〇千葉伝委員 いずれ国も、先ほど言ったこれまでの豚熱とあわせてアフリカ豚熱の侵入を懸念している。いつ入ってきてもおかしくないという状況であります。
 ところで、これを予防するには、水際の話がありましたが、飛行機と船舶の防疫対策は県ではどのような状況なのでしょうか。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 水際対策についてでございます。
 まず、空港における水際対策でございますが、先日までは、花巻空港に国際定期便として台湾便、上海便が就航しておりましたが、現在、新型コロナウイルス感染症の関係で、これらの便は休止となっております。台湾便につきましては3月まで、上海便につきましては7月中旬までの休止の予定で現在は就航していませんが、これまで就航していたときには、国の動物検疫所等と協力して、消毒マットの設置や口頭質問による肉製品の所持の確認等を行ったりしております。また、昨年7月には検疫探知犬広報キャンペーンなども行って水際対策の強化を図っているところでございます。
 港湾につきましては、釜石港が畜産物輸入の指定港になっておりますが、そちらは、肉類の持ち込みをしないようにといった注意喚起を動物検疫所、税関等で行っていると伺っております。
〇千葉伝委員 いずれ防疫対策の根本ということで、侵入防止を図る、そのための飛行場あるいは船舶での対応はしっかりとやっていると私も思っているところであります。
 ところでなぜ聞いたかというと、今、沖縄県で出ているものは、聞くところによると、国内の豚製品を沖縄に持っていって、それを豚に食べさせたのではないかとのことです。そういったことを考えれば、豚製品を海外から、あるいは国内でもよほどしっかりと対応していかなければだめだと思うのですが、沖縄県の話はどこまで聞いているのでしょうか。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 沖縄県につきましては、沖縄県で分離されたウイルスの解析によりまして、海外から侵入したというよりは、むしろ国内で発生していた地域から持ち込まれた肉類にウイルスが汚染して、それを豚が飼料として取り込んで感染したと考えられております。
〇千葉伝委員 推測ということでありますけれども、国内の発生県から持ち込まれたというのが一番疑わしいということでありますので、本県への侵入防止を図る上でしっかりと対応していただきたいと思います。
 家伝法が改正されてさまざまな対策がとられることになっていますが、ワクチンの関係でお聞きしたいと思います。
 以前、国は、ワクチンをできるだけ使わない方針でしたが、蔓延したからワクチンを使わざるを得ないということで、現在、ワクチンの接種県がどんどんふえているということだと思っています。本県ではここの部分での関係ではまだ出ていないところでありますけれども、いつの時点でワクチンを使用するという基本的な考え方があればそれを教えていただきたい。
 あわせて、最近、国が言っているのは、これまでつくられているワクチンは、野外で発生した豚のウイルスと接種豚の体内に残っているウイルスは検査しても区別できないと。そうではない区別できるワクチンが海外で製造されて使われていると聞いていますが、これについての国の動向はどうなっているのでしょうか。国内で使う予定がすっかり変わるとか、その状況を教えてください。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 本県での豚へのCSFワクチンの接種についての考え方ですが、御承知のように、国は、ワクチン接種推奨地域以外での接種は原則認めておりません。今後、国内のCSF発生状況を注視しまして、関東地域の養豚業が盛んな県において発生が確認されるなどさらなる状況の変化が認められた場合には、生産者等の意向を確認した上で、本県の推奨地域指定について国へ要望してまいりたいと検討しております。
 それから、マーカーワクチンについてでございますが、国では、昨年9月に開催された豚熱の防疫対策本部におきまして、海外で承認されておりますマーカーワクチン活用の検討を開始したと伺っております。
 また、昨年9月には、農林水産大臣が食品安全委員会に対してマーカーワクチンを接種した豚に由来する肉製品の安全性についての評価を要請し、昨年11月、食品安全委員会から、このワクチンは、人の健康に影響を与える可能性は無視できる程度であるとの評価を得ています。
 一方、このマーカーワクチンは、これまで国内外においての使用実績がございません。防疫対策本部では、国内の流行株に対する有効性を今後検証するとしておりまして、現時点で国から具体的な方針は示されていない状況です。
〇柳村一委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔に明瞭にお願いいたします。
〇千葉伝委員 ワクチンについては、安全性もあるわけですけれども、しっかりと野外株との違いがわかるものがあるのでそういうものをぜひ早く国内でも使って、そうすると輸出の関係とかいろいろな部分にまで関係してくると思いますので、国に対してぜひ早く使えるようにお願いしていただきたい、これは要望です。
 最後ですけれども、上田農林水産部長はこの3月で御勇退との話を聞いております。これまでの岩手県の農林水産振興に係る御経験、あるいはさまざまな部分で今後の岩手県の農林水産振興を図るという観点で、今、お考えの部分があれば御披瀝いただきたいと思います。
〇上田農林水産部長 今後の本県農林水産業の振興というお尋ねでございますが、今は農業に絞ってのお話をさせていただきたいと思います。
 本県農業はかなり規模拡大が進んでおりまして、また、個別の中小農家につきましても、きらりと光るような取り組みが進んでおります。そういったところがあって、農業産出額もここ5年伸びている。全国では落ちているのですが、本県の場合は農業産出額が伸びて2、700億円を超えたところでございます。
 こういった振興のためには、四つほどお話しさせていただきたいと思います。
 一つは、やはり強い経営体、しっかりした経営体をつくることが大事だと考えております。もう一つは、消費者の方々に、安心して、そして支持される産地づくりが必要だと考えております。三つ目でございますが、外に出して収入が入ってくるわけでございますので、高付加価値化、あるいは販路の拡大が必要であります。そして地域、特に中山間地域などにおきましては中心の基幹産業でございますので、農業の振興を中心として地域の活性化につなげていくことが必要だと思っております。
 今までさまざまな取り組みを進めてまいりましたが、そういったところがようやく実を結んで、成果が出つつあると認識しております。それが産出額の増大につながっていると思います。
 ぜひそういったところを礎にしてこれからの本県農業をどんどん振興していきたいと思いますし、してまいりたいと思います。
〇千葉伝委員 これまでの農林水産部長の取り組み、あるいは御活躍に対して私からも敬意と感謝を申し上げる次第でありますし、今のお考えをしっかりと後輩の諸君にお伝え願えればありがたいと思います。ありがとうございました。
〇工藤大輔委員 スマート農業の関係をお伺いしたいのですが、新年度の予算書の中にも昨年以上に農林水産業のスマートという文字や次世代革新的技術導入など、新しい取り組みの文字が並んでいると思っています。
 県のスマート農業の導入に向けた取り組みについては、北上にある農業試験場で3年前から技術の試験研究が進められてきたと理解しております。その成果もさまざま出ていると思います。生産者あるいは生産法人等の意識が高まって導入の取り組みが進み、また、県のいわて型野菜トップモデル産地創造事業等の採択件数等を見れば、比較的県南が多いと思っております。それらのこの3年間の取り組みについて、どのような評価をされているのかお伺いしたいと思います。
〇菊池農業普及技術課総括課長 県が取り組んでまいりましたスマート農業の3年間の評価でございますけれども、まずは、農業研究センターで環境制御型ハウスにおいてトマトなどの果菜類を飛躍的に収量を向上させるなど、岩手の試験研究者の力で実績が出てきたということ。それを現場の普及員が農家につなげることで、県南だけではなく県央に技術が広まってきたと思っております。
 また、スマート農業はさまざまな分野がございますので、農業者の方々は非常に高い関心がございました。3年前からスマート農業祭を開催いたしまして、農業者のみならず、研究者あるいはメーカーの方々とさまざまな意見交換を重ねる中で理解や導入が進んできたと理解しております。
〇工藤大輔委員 先ほど言ったいわて型野菜トップモデル産地創造事業の件数等がもしわかれば後で教えていただきたいと思います。
〇菊池農産園芸課総括課長 いわて型野菜トップモデル産地創造事業の実績でございますけれども、この事業は平成30年からスタートして今年度で2年目でございます。これまでに、土地利用型の野菜展開拠点整備ということで、1億円産地形成に向けた取り組みとしては、江刺市のネギ、八幡平市のニンニク、花巻市のタマネギでございます。また、ハウス団地でやはり1億円を売り上げるということで、花巻農協管内のピーマン、一関、平泉エリアのトマト、二戸市の菌床シイタケで取り組んでいるところでございます。
〇工藤大輔委員 県内の採択状況はそうだということで、いろいろ県北の方々の話を聞いても、やはり近くにそういう勉強ができる環境が欲しいということを前々から指摘されてきました。
 新年度の予算の中では、北いわてスマート農業プラットフォーム創造事業が新規に盛り込まれています。県北地域は、中山間地域ややませなどの影響があって、土地の基盤整備率や農家の所得においてもおくれをとっているのが現状だと思っております。軽米町にある県北農業研究所を拠点にプラットフォームを構築しながら実証実験をしようという取り組みのようですけれども、このプラットフォームはどのような体制を構築し、進めていこうとしているのかお伺いします。
〇菊池農業普及技術課総括課長 北いわてスマート農業プラットフォームの構成ですが、北いわての農業経営者を初めとして、岩手県農業研究センターなどの県内研究機関、大学、さらには農業機械等を開発する地元の民間企業等で構成する予定としております。
 このプラットフォームを核といたしまして、北いわて型スマート農業の普及に向け、最新技術等を紹介するシンポジウムや、キュウリなど、県北地域に適した品目の栽培技術セミナー、そして実際の技術を見て学ぶ現地研修会などを開催することとしております。
〇工藤大輔委員 内容からすれば、キュウリ、トマトをまずやりたいということで、大型のハウス2棟を建てるということです。それ以降、大型のハウスは建てないようですが、中で育てる試験をするもの、キュウリ、トマトも非常にいいと思いますけれども、市場性があったり、他の地域と比べて優位性のあるもの等を見きわめながら、別な新たなものも試験研究しながら成果を高めていくべきと思いますが、お伺いしたいと思います。
 また、ハウスについて、今どういった熱源を想定されているのかお伺いします。
〇菊池農業普及技術課総括課長 このプラットフォーム事業で実施する施設野菜ですけれども、まずは県北地域で特に生産量が多いキュウリ、トマト、さらにはミニトマトなどにも広げられると思います。そういったものについての環境制御技術をしっかりと習得、普及した後に、施設野菜で利用可能な品目に広げていきたいと思っております。他県では、例えばパプリカといったものもやっておりますので、そういったものも視野に入れながら研究、勉強をしていきたいと思っております。
 それから、ハウスの熱源でございますけれども、県北地域は県南地域よりも寒いということで、どうしても熱源が必要になります。これを、なるべく炭素を出さない形、具体的には、木材や地中熱ヒートポンプなどを使いながら、CO2を抑制する形での熱源をこれから考えていきたいと思っています。
〇工藤大輔委員 基地局を新たに整備するようですが、例えば、中で取り組む自動操縦のトラクター等以外にも、半径10キロぐらいであれば電波が通るというか基地局を利用できるのかなと思うのですが、この取り組みの中で、そういった可能性のあるところ、また、取り組みたいという生産者があれば、その基地局は使うことが可能なのかどうかお伺いします。
〇菊池農業普及技術課総括課長 基地局、いわゆる農業機械をセンチメートル単位で高度に制御するためのGPSの補助基地局でありますけれども、現在、補助基地局のつくり方といいますか、実際に基地局を建てる方法以外にもさまざまな方式が出てきております。具体的には、携帯電話の基地局を活用したものなどさまざまこの1年、2年で出てきておりますので、どういったものが県北地域に一番適していて、さらには農業者の方々に広められるか検討しながら、農業者の方々にも使いやすい形で広めていきたいと思っております。
〇工藤大輔委員 今後数年間でこの取り組みの成果がどんどん増していくと思いますが、現時点において県北地域が条件不利地域と言われている状況の中で、技術の普及定着、拡大に向け、どのような展開を想定してこの事業を構築したのかお伺いします。
〇菊池農業普及技術課総括課長 今後の進め方についてでございますけれども、まずは県北地域の特性を生かして、雑穀など土地利用型作物における自動操舵トラクターなどを活用した作業の省力化技術、あるいは、繰り返しになりますが、キュウリやトマトなどの単収向上に向けたハウスの環境制御などを進めていきたいと思っております。
 得られた実証成果につきましては、農業者が技術を間近に体験できる機会をこれまで以上に多く設けるなど積極的に周知いたしまして、北いわて型スマート農業の早期の普及定着を図ってまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 北いわての環境の中で、このように進めていくという数値目標等もしっかり掲げながら広めていく、そして成果を高めていくということ、本当は計画も立てていただきながら進めていただきたいと思い、これは要望としたいと思います。
 次に、岩手競馬についてお伺いしたいと思います。
 先ほど郷右近委員と質疑が交わされたところでありますが、私も、3月20日から始まる春競馬をどのように開催をするのかと考えたとき、他の地方競馬主催者がもう既に無観客で実施していることからすれば、岩手も当然そのとおりに進むのだろうと思ってはいます。
 ただ、先週あたりにアナウンスするのかと私は思っていました。せめて開催の1週間前。しかし、先週を超えてもうあと間もなくという段階においてもアナウンスがないということは、やはり態勢とすれば遅いと思っています。競馬事業は、主催者がただ競馬をするということではなく、競馬ファンあっての競馬だと考えると、何より競馬ファンに早く周知する。そしてその体制を整える等の中では、関係者が意識を共有しながら、無観客の競馬であっても最高のレースを提供するという意識を高く持ってもらって開催すべきだと思います。そういった中で、なかなかアナウンスがないということは残念だと思っています。先ほどの答弁と変わらないと思いますが、改めて春競馬の開催についてお伺いします。
〇千葉理事心得 ただいま委員から公表が遅いのではないかという御指摘を頂戴いたしましたけれども、先ほどの答弁とも重なりますが、開催が間近に迫っておりますので、できるだけ早く決定して公表したいと考えてございます。
〇工藤大輔委員 早急に決定して、アナウンスしていただきたいと思います。
 先ほどの答弁の中でも、春競馬を実施しても、収支の見込みにおいては、収支は均衡する、大丈夫ということのようですが、利益はやはり減ると思います。当初見込みの利益と比べてどの程度減っていくのか、春競馬の開催の収支の見通しが立っていればお伺いします。
〇千葉理事心得 先ほどの郷右近委員からの御質問に対する答弁におきましては3日間ということでお示しいたしましたけれども、春競馬は6日間計画してございまして、ここの競馬場、場外発売所等の発売額は約4億7、000万円となっております。これがこのままなくなったといたしますと、粗利ベースでは9、200万円ほどの減収となります。
 繰り返しになりますが、一方で、無観客競馬の実施により、光熱水費、警備委託費など不要となる支出が生じます。それに加えて、2月補正後の支出全般に係る最終見込み額を精査したところ、当期利益は減少いたしますけれども、収支均衡は達成できる見込みと考えております。
〇工藤大輔委員 収支均衡ということで、それは理解しました。
 これはいつまで続くかわからない、本当に怖い状況だと思います。春競馬が終わればすぐ4月に来年度の競馬がスタートするわけですけれども、無観客の状況がどこまで続くかわからないといった中において、来年度、黒字化している水沢競馬場の厩舎整備計画が、令和4年度の完成を目指して、18棟で27億6、700万円の整備費で実施することが先般の競馬議会でも決まっており、2月17日の競馬組合議会の資料も拝見しました。また、禁止薬物の状況がまだ何もわかっていないこととか、来年度においても不安定要素が続くと思っています。
 そういった中で、賞金や手当を増額したり、より魅力を持ってもらえるような環境整備とか競走をしていくということになると、利益の確保というのが相当大事だと私は考えています。来年度、新型コロナウイルス感染症がどこまで影響するか非常に心配されるところですが、競馬組合議会では来年度の見通しを示して承認されたと思いますけれども、新型コロナウイルス感染症の影響はどの程度来年度の競馬事業に問題となってくるのか、課題となってくるのか、何かわかっていればお伺いしたいと思います。
〇千葉理事心得 来年度も無観客競馬が続いた場合ということでお尋ねいただきましたけれども、私ども、まだ具体的にそうなった場合の数字の詰め等は行ってございません。いずれ、仮にそうなった場合、先ほど来御説明しているとおり、現金での発売が減少するわけでございますから、その発売状況を見ながら適切に対応していくと現時点では答弁させていただきたいと思います。
〇工藤大輔委員 勝馬投票券購入の75%が払戻金に、25%が競馬組合に来て、その中からインターネット等で購入された場合に10%だか十数%が手数料として取られてしまう。利益が非常に少ない状況になるのはわかっています。他の主催者の状況を見ても、インターネット販売等でふえているとはいっても、この状況が続けば利益が減ることは経営上大きな課題になると思います。いつまでもインターネット販売が好調と見ていいのかどうかということもあります。
 適切にと先ほど答弁されたわけですけれども、やはりできる対応は早期に検討しながら進めていく。春競馬の開催方法ですらなかなかアナウンスされていない。早期に対応しなければならないのに、競馬事業は本当に大丈夫かと心配されない体制をみずからとっていただきたいと思います。
 そういった中で早目早目にやるべきではないかと思いますが、どのように考え、対応していくのかお伺いします。
〇千葉理事心得 ただいま委員から早目早目の対応が必要という御指摘をいただきました。全くもってそのとおりだと思っております。
 来年度の無観客競馬が続くかどうか今時点でははっきり申し上げられませんけれども、いずれそうなった場合にどう対応していくか早急に検討に着手したいと思います。
〇飯澤匡委員 新型コロナウイルス感染症による酪農家への影響と、今後の酪農、畜産を含めた振興策についてお伺いします。
 まず、生乳関係ですが、生乳取引量に占める学校給食、学乳向けの生乳のシェアは1%ぐらいという資料をいただきました。なおかつ、3月は春休みがあるためこれよりちょっと下がって0.9%程度であるということ。また、生産団体から酪農家に対して支払われる乳代はプール乳価で精算されますので、影響は短期的には少ないと思料されますが、この新型コロナウイルス感染症が長期化した場合、生産体制の基盤が弱体化する可能性がございます。
 質問いたしますが、3月の学乳供給停止の数量はどれくらいになるのか、まずその数を押さえたいと思いますので、お知らせください。
 それから、全国では生乳3万トンが余剰になると推測、報道されていますが、これに対して、飲用向け、加工向け、全体的に本県への影響はどのようになるのかお知らせください。
〇菊池畜産課総括課長 まず、3月の学乳の供給停止数量についてでございますけれども、県の牛乳普及協会によりますと、200ミリリットルの牛乳パックで約65万本でございます。生乳に換算いたしますと、約135トンとなります。
 次に、余剰生乳の本県への影響でございますけれども、こちらにつきましては、全農県本部からの聞き取りによると、現時点では、県内の乳業メーカーでは余剰生乳を学乳向け以外の用途に仕向けて対応しております。したがいまして、余剰生乳は発生していないということでございます。
 また、他県からの生乳を受け入れている乳業メーカー2社におきましては、昨年同時期よりも処理数量がふえているわけでございますが、まだ生産には余力があると聞いておりますので、現時点では影響がないと聞いております。
 それから、国の対応でございますけれども、いずれ、学乳向けから加工向け生乳への仕向け変更によって、酪農家に生じる乳代価格差の全額について補填するとしております。したがいまして、酪農家にも影響はございません。
〇飯澤匡委員 先ほど申し上げましたように、そもそもプール乳価でありますので酪農家には影響はないわけですが、確認しますが、政府の補填策というのは、生産団体に対して飲用と加工乳の単価の差を埋め合わせるということなのですね。
〇菊池畜産課総括課長 委員おっしゃるとおり、東北では東北生乳販売農業協同組合連合会を通じて生産者に還元される形になっております。
〇飯澤匡委員 そのように理解しました。
 そこで、冒頭に申し上げましたように、短期的には生産者は救われるかもしれませんが、問題はこの先です。これが生産マインドに響かなければいいなと懸念しているところです。岩手県は、生産量は東北でも断トツで、30万トンに迫る勢いでかつては生産していたのですが、今は大体20万トンをキープするのが精いっぱいです。ただ、特に県北地域の大規模化によって生産量は持ちこたえている状況でありますので、大規模化された生産者の心が冷えてしまいますと大変なことになってしまう。また、市場も、牛乳から大きく、日米FTAの影響もあっていろいろな変化が生ずる場合がありますので、畜産県岩手としては、肉牛とともにしっかりそこら辺をウオッチしていく必要があると思っています。
 今後、いろいろな支援策として、さきの補正予算で国が出したいわゆる増頭対策、それから畜産クラスター事業、これらはかなりの予算規模で、これはFTA絡みだと思います。まずはお伺いしますが、この二つの事業が乳牛の生産量の増加にどれぐらい寄与すると今の時点で推定されるかお伺いします。
〇菊池畜産課総括課長 増頭対策と畜産クラスター事業についてでございますけれども、増頭奨励金につきましては、今後、要望調査が行われることになっております。したがいまして、現時点で本県へ何頭配分されるかという部分は未定でございます。いずれ、本県の増頭対策として非常に重要な事業でございますので、積極的に取り組んでまいります。
 それから、畜産クラスター事業でございますが、令和2年度は、県内4カ所で合計470頭分の搾乳牛舎を整備する予定でございます。これによりまして、県内の生乳生産量が年間約4、000トン増加する見込みとなっております。
 また、現在、八幡平市で乳用牛400頭規模のキャトルセンターの施設整備を進めております。令和2年度末には受け入れが可能となります。そうすることによりまして地域の酪農家の方が育成牛を預託できますので、酪農経営の規模拡大や一層の生産性向上が図られると期待しております。
〇飯澤匡委員 それでは酪農から離れて、先ほど申し上げました増頭対策と畜産クラスター事業についてお伺いしますが、今回でこのような大型の補正を組むのは最後ではないかとうわさされているわけで、畜産補助事業を今後もっと発展的に展開する必要があるだろうと。私は、このような事業をさらに岩手県としても国に対して求めていく必要があると思いますが、これからの展望に対してはどのような所見をお持ちかお伺いします。
〇菊池畜産課総括課長 国への要望でありますけれども、県では、これまでも国に対して、畜産クラスター事業を含む畜産関係の振興に関連する事業につきまして、必要な予算を十分に措置するように要望してきております。特に、委員お話しのとおり今回の増頭奨励金は単価もかなり大きいということで、いずれ増頭奨励金と畜産クラスター事業は経営規模の拡大に必要不可欠な対策であることから、引き続き、国に対して必要な予算を十分に措置するよう要望してまいります。
〇飯澤匡委員 ただいま紹介あったように、増頭対策については、和牛が50頭未満で1頭当たりの補助金が24万6、000円、乳牛については、北海道除きで都府県で27万5、000円。畜産家の方からは、乳牛と和牛の差、何とか統一して乳牛並みにしていただけないかという希望があるわけですが、その点については何かお考えでしょうか。要望も含めてお伺いします。
〇菊池畜産課総括課長 単価につきましては国で示している内容以上のものはございませんけれども、いずれ私どもとすれば、和牛と乳牛の差はあるものの、非常に高額な単価でありますので、必要としている畜産家の方々に対して漏れなく使っていただくように勧めてまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 なかなか即答はできないと思いながらの質問でしたけれども、この事業にかかわらず、あらゆることを想定して生産基盤の確立をお願いしたいと思います。
 最後にしますが、この二つの事業については、市町村の業務量が非常に膨大になると。4月からいろいろ聞き取り調査をやるということですが、それに対して県のマンパワー支援やさまざまな支援が必要と思うのですが、これに対してはどのように対応されるのかお伺いいたします。
〇菊池畜産課総括課長 県のマンパワー支援でありますけれども、県では、事業の実施に向けて必要となるクラスター協議会の設立、さらにはクラスター計画の策定について、振興局等が中心となって積極的に支援してまいりました。引き続き、市町村等が円滑に事務を進められるよう、早期の情報の提供やアドバイスについて努めてまいります。
〇飯澤匡委員 かなりの金額が補助金として投入されるわけで、畜産家の方々も非常に期待されているわけでありますので、事業の円滑なる推進について、県もこれまで以上に努めて御支援をいただくことを最後に申し上げて私の質問を終わります。
〇柳村一委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時56分 休 憩
午後1時2分再開
〇吉田敬子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日、延べ15人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行いたします。
〇岩渕誠委員 まず最初に、農地対策についてお伺いいたします。
 去る2月25日の一般質問で、私は日本型直接支払制度、いわゆる施設の長寿命化の200万円上限の問題点を指摘いたしました。農林水産部長は、他県9県でやっている状況については把握しておりませんという答弁をした後、上限額のあり方については引き続き研究をしてまいりたいと考えておりますと答弁しておりますが、その後、あるいは新年度、どのような格好で対応するおつもりかお知らせいただきたいと思います。
〇上田農林水産部長 日本型直接支払制度の上限額についてのお尋ねでございます。委員からの御質問の際にもお示しいただいたとおり、国が定める上限額がございますけれども、それを上回っている県が九つございます。ざっと調査をしまして、簡易な調査でございますが、金額がさまざまでございますのと、あとは、上限額の設定に当たって、あるいはそれを適用するに当たっての条件を付しているのが通常のようでございます。恐らく県の実情を勘案して、そのような決め方をなさっているものと感じております。
 今後、そういった考え方も確認させていただいて、必要な調査を行った後、本県にふさわしい上限額のあり方について、引き続き研究を進めてまいりたいと存じます。
〇岩渕誠委員 山形県500万円未満、ため池が受益面積2ヘクタール以上で800万円未満ということになっています。
 実は私の地元は、御承知のとおり、ため池がいっぱいでございます。二千五、六百あります。そのほとんどは改良区で管理をしておりません。管理の主体が非常に大変になってきているということ、これは私の地域だけではなくて、どこの地域も管理が大変になってきているというところ、これはため池に限りませんけれども。そうなりますと、やはり柔軟な対応が必要だと思います。
 答弁の中で部長は、現時点で市町村から御相談あるいはお尋ねはございませんとこの200万円の問題について言及しておりますが、それは、はっきり申し上げて、情報収集の不足、説明不足ではないかと思います。現場を歩くと、この200万円の話が真っ先に出てきます。ぜひ、交付金でありますので、有効な使い方を含めて再考していただきたいと思うわけでありますが、これを研究するにしても、ある程度の期限を切らないと、新年度は無理にしても、その次の年度の対応は決まってくると思います。ぜひ期限を示していただきたい。いつまでに検討するのか示していただきたいと思います。
〇上田農林水産部長 まず、前回の答弁の際に、認識についてお話を申し上げました。市町村からのお問い合わせ等はないという御答弁をさせていただきました。ただし、これについていろいろ戸惑う地元の声も寄せられていると御答弁も申し上げております。委員御指摘のあったような内容については、認識しているところでございます。
 二つ目でございますが、時期についてというお尋ねでございますが、各県の状況をつぶさに調査させていただいた上で、本県がどうあるべきか、本県にふさわしいあり方については研究させていただきたいと思っております。
 また、各県で今どうしようかというのもそうなのですが、将来に向けて検討を進めているところもかなりあるような情報もございますので、そういったところも含めて鋭意検討を進めてまいりたいと思います。今の時点で時期をお示しすることは、恐縮でございますが、差し控えさせていただきたいと存じます。
〇岩渕誠委員 今の答弁は、私は前向きに捉えさせていただきたいと思います。いずれ国の、現場を知らない人たちの間で決まった話ですから、これは各県でいろいろな動きが出ているということは、それだけ農民の中での危機感、一刻も早くやらないと大変だということの証左だと思いますので、農林水産部の皆さんは特に御留意いただいて、対応いただきたいと思います。
 次に、畜産対策についてに移りますが、まず最初に、これは確認しておきたいのですが、今、方々でマスクの不足が言われていますけれども、マスクの観点で言うと、今、岩手県にとって最悪なシミュレーションは、新型コロナウイルス感染症と同時に鳥インフルエンザが発生することであります。鳥インフルエンザが発生した場合に、相当数のマスクが必要になってくるわけでありますけれども、これの備蓄状況についてお示しいただきたいと思います。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 鳥インフルエンザ発生に備えたマスク備蓄の状況についてでございますが、県では、10万羽規模の農場で本病が発生した場合を想定し、防疫施設に十分な数量を備蓄しておりまして、ウイルスの飛沫感染予防に対応したマスク、いわゆるN95と呼ばれるマスクを約1万8、000個備蓄しております。
〇岩渕誠委員 これは、鳥インフルエンザの発生農場に対する処理の部分と、それから、家畜保健衛生所が持っている部分と二つあると思いますが、家畜保健衛生所が持っている部分については、ある程度サージカルなマスクだと認識しておりますけれども、従前は、一部、現状のマスクの不足に供給可能ではないかということがありました。問題は、財源が国と県と半々で、その国の財源措置は農林水産省の財源措置になっていますから、この流用をある程度できるようにしておかないと、不測の事態に対応できないことを御指摘して、それは研究していただきたいと思います。
 次に、畜産の中で、先ほど乳牛の話が出ましたけれども、私は肉用牛についてお尋ねします。
 特に肥育農家にとっては、ここ数年、大変な厳しい経営状況が続いております。一つの目安といいますと、肉用牛肥育経営安定交付金、いわゆるマルキンが交付されるかどうかだと思います。肥育牛マルキンの発動状況と、そして、ここに来て新型コロナウイルス感染症による経済的な落ち込みによって取引価格が相当下がっていると思いますが、その実態についてどのように把握されていますか。
〇菊池畜産課総括課長 本県の牛マルキンの発動状況についてでございますが、令和元年度でございますが、8月の販売分で、平成30年10月以来、10カ月ぶりに発動になっております。その後、9月、10月、12月に発動されました。
 また、東京食肉市場における牛肉の枝肉単価でございますが、平成30年12月以降、低下傾向となりましたけれども、新型コロナウイルス感染症の影響による外食あるいはインバウンドなどの需要減少が目立ち始めた本年2月以降、さらなる低下が認められるということでございます。
〇岩渕誠委員 この肥育牛マルキンは、いわゆる生産費と販売価格の差の9割を埋めるものでありますから、マルキンが発動されてもなかなか大変な状況には変わりありません。
 そして、実はマルキン発動の背景には、もともと素牛の高騰によって生産費が上がったところに、景気の低迷、そして消費税増税、TPP11がトリプルパンチで襲ってきた。12月というのは、これは接待商材ですから普通は上がるのですけれども、枝肉の取引価格が最低というのは、過去になかった相当ひどいことだと思います。
 新型コロナウイルス感染症の影響額については、今、具体的な数字がありませんでしたけれども、先々週の東京市場でA5の11番という相当いい牛が、通常キロ3、000円程度ですが、これが2、400円。それから、4で瑕疵がない状況で1、400円というものがありました。それは大体どれぐらいになるかというと、1頭当たり30万円から50万円低いということですから、これは相当な緊急事態だと思っております。
 そうした中で、県としてどういう対応を今後とっていくおつもりなのか、お示しいただきたいと思います。
〇菊池畜産課総括課長 委員からお話のあったとおり、マルキンにつきましては、標準的販売額が標準的生産費を下回った際に、その差額の9割を補填する制度でございます。この財源でございますが、国と生産者が3対1の割合で負担しております。
 県では、この生産者の負担軽減のために、新たに、黒毛和種等の生産者負担金の一部につきまして、令和2年度の当初予算の中で県単独事業として補助する方向で盛り込んでいるところでございます。
 引き続き、生産者の負担軽減を図るとともに、農林漁業セーフティネット資金等の運転資金を活用しながら、生産者の経営安定に支援してまいります。
〇岩渕誠委員 これは緊急避難的な部分も多いわけでありますが、新年度で措置をされることについては、感謝申し上げたいと思います。
 ただ、一方で畜産、特に枝肉の部分、あるいは繁殖も含めてそうですけれども、抜本的に改善していかないと非常に厳しい状況が今後も続くと思います。過去には、にせ牛事件とかBSE、あるいは原発とか、そういう問題のたびに、どんどん飼養頭数が減っていって先細り感が今あるわけでありますけれども、その証左としてお伺いいたしますが、東京食肉市場における岩手県の出荷頭数の推移、そして、1頭当たりの取引価格について、どのような分析を県ではされていますか。
〇高橋流通課総括課長 東京食肉市場における本県の出荷頭数でございますが、平成26年度には6、672頭でございましたが、平成30年度は4、874頭ということで、減少傾向にあるところでございます。
 1頭当たりの取引価格についてのお尋ねでございますが、年間の総取引額を出荷頭数で割り返した数字でお答えしたいと思いますが、本県は約126万2、000円という金額になります。これにつきましては平成30年度の数字でございますけれども、全体で4番目という数字になっております。
 これに対しましては、宮城県が数字としては一番高い数字でございますけれども、宮城県は去勢と雌牛の出荷割合が7対3ということでございますが、本県の場合、これがおよそ同じ5対5といった状況でございます。体の小さい雌牛が多いのが特徴でございまして、そういったこともあって取引価格に影響があるものと考えているところでございます。
〇岩渕誠委員 宮城県の数字が出ませんでしたけれども、多分5万円から10万円高いのだと思います。
 実は枝重が小さいとか、雌、雄の単位もあるのですけれども、根本的には、そういったところではなくて、やはりブランド力の違いが大きくなってきているのではないかと思います。
 これは4、000頭台に入ったということは、一つの目安が私は5、000頭ぐらいだと思っているのですが、ロットとしてやはりどんどん縮小している。特に岩手県の問題とすれば、いわて牛というブランドはありますけれども、これが販売断面に行くと、実は、いわて牛というブランドがどこかへ行ってしまう。例えばいわて南牛だったり前沢牛だったりといった形で細かくなります。そうなるとロットが1、000頭を切るというようなところまで行ってしまうわけですね。
 他方、仙台牛は全県一本ですから、例えば仙台牛栗原とか仙台牛登米という格好で、ブランドは一緒で地域は別にするというやり方をして、とにかくブランドは統一して全体で上げていきましょう。それが買参人にとっては、毎日、定時定量入ってくるということで、ブランド力によりボタンの押し方が変わってくるという話になるわけです。
 このあたりがやはり岩手県も、これは何年もかかって皆さんも必死に取り組んでいらっしゃいますけれども、今まさにこういう危機的な状況だからこそ、私は、これは一層、とにかく一日も早くブランドの統一という思いを持っているのですが、このブランド化推進の状況について、技監にお話を伺いたいと思います。
〇小岩技監兼農政担当技監兼県産米戦略室長 県産黒毛和牛の東京芝浦の食肉市場への出荷頭数ですけれども、先ほどお話ししたとおり、平成30年度は約4、900頭で全国第6位、7.8%のシェアとなっています。
 また、平成30年度の東京食肉市場における枝肉価格の平均ですけれども、今度は第2位の2、665円ということで、県全体の肥育素牛あるいは県内の肥育農家の技術レベルの高さは証明されております。
 東京食肉市場の流通関係者によりますと、ブランド牛としての評価を得るためには、枝肉のレベルはもとより、市場開催1日当たり20頭、年間200日開催されるといたしまして4、000頭の上場が必要だと言われております。
 宮城県の事例につきましては、先ほど岩渕委員がおっしゃったとおりですけれども、本県は、平成29年度で見ますと、いわて牛として東京食肉市場に出荷されたのは約1、300頭となっております。いまだ地域銘柄での出荷があることがその原因となっております。ですが、岩手県の黒毛和種全体で言いますと5、000頭弱あるということです。そういったこともありまして、現在、流通課が中心になりまして、ブランドの統一に向けて、各産地あるいは実需者のヒアリングを行っておりまして、実現に向けて、現在、鋭意取り組んでおります。
 このブランドの統一につきましては、私自身、若いころに直接携わったことがあります。ただ、当時は非常にハードルが高くて目標を達成できなかったのですけれども、現段階では、生産者の意識も変わってきていると聞いておりますので、これは私自身の願いも込めてですけれども、今後も市町村、農業関係団体と連携し、できるだけ早いブランドの統一に向けて全力で取り組んでいきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 まさにおっしゃるとおりだと思います。飼養技術は高いのだけれども、残念ながら、今、手元に残るお金が全くない。手出しになっているところを何とかしていかなければならない。今、多頭経営に向かっていますけれども、まだまだ岩手県の場合は小ロットでの飼養になっていますから、それだけ全体のブランドをどうしていくかが最大の課題だと思いますので、ぜひ、さらなる取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、米について伺います。時間的に多分この米の部分が最後になると思います。
 米については、昨年度産米は、天候不順等もありまして非常に苦戦したと。私も百姓の端くれでございますけれども、なかなか大変だったなという思いがあるわけでありますが、昨年度産米の品質等について、どのように分析をされていますでしょうか。
〇小原県産米戦略監 令和元年2月(後刻「12月」と訂正)末現在の全国のうるちの一等米比率は73.1%となる中、本県は93.1%と全国第3位の高い品質を確保してございます。
 しかしながら、委員御指摘のとおり、二等以下に格付されたものもございまして、その理由といたしましては、形質のうち白未熟粒、いわゆるシラタと言われるものでございますけれども、こういったものが主な落等理由とされておりまして、これは登熟期の高温の影響によるものと推察しております。
〇岩渕誠委員 私は従前から申し上げておりますけれども、余り一等米、二等米というような、いわゆる整粒段階での取り組みは、今、色彩選別機とかにかければ何とかなる話でありまして、今は食味の話が中心になってきている中では、もうちょっと違う分析をすべきだろうと思います。
 ただ、それは恐らく皆さんもわかっていると思いますけれども、新年度に向けた取り組みはどうしていくおつもりなのか、それをお示しいただきたいと思います。
〇小原県産米戦略監 新年度の取り組みについてでございますけれども、その前に、私、先ほど一等米比率の数字を令和元年2月と申し上げたと思いますが、12月の誤りでございます。失礼いたしました。
 改めまして、新年度の取り組みについてでございますけれども、令和元年産米につきまして、農業研究センター等が品質などに及ぼした要因を解析したところ、やはり登熟期の高温の影響が挙げられたことから、今月10日には、県南地域のJAなど関係団体を参集範囲といたしました対策会議を開催し、令和2年産米の品質向上に向け協議をしたところでございます。
 具体的には、気象庁から本年2月に発表されました6月から8月までの暖候期予報を踏まえまして、登熟期間の高温の影響を回避するため、適期移植や適切な水管理の指導強化といったことにつきまして確認したところでございます。
 さらに、リモートセンシング技術の活用などによるきめ細やかな生産管理や、高精度食味分析機器を活用した食味向上に向けた品質管理などに取り組み、良食味米の安定生産に向けた取り組みを積極的に進めていきたいと思っております。
〇岩渕誠委員 私は行政とか農協の分析をずっと伺っていますけれども、最終的には、農業というのはおてんとうさん次第の部分がありますから、それはしようがないのですが、私は、今日的な課題というものも、もうちょっと掘り下げるべきだと思います。というのは、今、省力化になっています。昔は非常に分散していたのですが、例えば、田植えのときに肥料をやって除草剤をまいて一気にやりますね。そうなると、生産工程とか資材開発をもうちょっと見直さないといけないのではないかというのがあります。現場で去年の話を聞くと、やっぱり側条施肥で田植えのときに一気にやると、前半に低温が続くと肥料を食わないと。したがって、なかなか粒がそろわないところが幾つかありました。
 そういったところについても分析をしていかないと、おてんとうさま頼みの話ばかりだと、これは今日的な農業体系の中では限界があると思っているのですが、いかがですか。
〇小原県産米戦略監 栽培技術的な課題につきましては、技術陣での分析等を進めてございますけれども、構造的なものにつきましては、委員おっしゃるとおり、経営を進めていく中で、その経営に合った取り組みといったものが必須となっているものと認識しております。
〇岩渕誠委員 それがなかなか表に出てこないと大変なのだろうと思います。これは時間的にも最後の質問にしますけれども、今、大規模化で進めていくというと、どうしても田植えの期間が長くなり、収穫の期間が長くなる。そういった中で、中間の管理がなかなか難しい。しかも、元肥だって一発でやるということになると、昔のように天気を見て、稲の状況を見て追肥をしたりというのがなかなか難しい。いわゆる篤農家が少なくなってきて、今、とにかくお願いするからということで農家がどんどん大規模化になっていくと、食味と経営ととにかくこなしていく、保全するというところが、両立が非常に難しくなってきているのだと思います。
 やはり、ひとめぼれであったり、金色の風であったり、銀河のしずくであったり、種苗の力はあるのですけれども、管理の部分において大きな問題を抱えてきているのが、今日の米生産の構造的な問題だと私は思っています。特に、岩手県は食味で売るということがはっきりしていますから、そういった中でどう両立していくのか、これは最大の課題だと思っていますけれども、この辺について技監からお話を伺いたいと思います。
〇小岩技監兼農政担当技監兼県産米戦略室長 ただいま岩渕委員からお話がありました相矛盾する取り組み、これはそのとおりだと思います。ただ、どうしても稲作経営を維持、発展させていくためには、規模拡大による効率的な営農を進める必要があります。
 一方、委員御指摘のとおり、我々は、高品質な米、良食味な米で売っておりますので、これを恒常的に生産するためには、きめ細かな生産管理がどうしても必要になってきます。ですから、この問題を両立するのは非常に困難ではありますけれども、やはりこれは、なし遂げなければいけないと思っています。
 このため、まずは、これまでもやってきましたけれども、各地域での稲作栽培指導会ですとか、リアルタイムな技術情報の提供をしながら、今取り組んでおりますけれども、これからICT技術ですとかリモートセンシング技術を用いました生産管理あるいは適期収穫など、品質向上に向けたスマート農業の取り組みを一層進めながら、規模拡大を図りながら、良食味の米を常時生産するような体制を築いていきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 二兎を追わなければならない状況が今、岩手県はあると思います。その間を今までは埋めてきたのですね。生産工程の見直しとか施肥設計の問題とかといったところが、さらに大規模化になってくると大変難しい問題ではありますけれども、小岩技監などは、御自分で水稲をおつくりになって、私もその姿をよく見ていますが、そういった現場に即してこの二兎を追っていただきたいと思います。そのことを申し上げて、終わります。
〇神崎浩之委員 私も牛と米について通告をしておりましたが、まず初めに、部長にですけれども、各部局が新型コロナウイルス感染症対応で戦々恐々としております。農林水産部として、これからの新型コロナウイルス感染症の影響について、農業の分野でいいですけれども、どういうことを課題と捉えているのか。先ほど牛乳の話、それから牛の価格の話がありました。農業分野とすれば、さまざまな指導する場であったり、あとは、さまざまな地域のイベント開催での農業製品の販売ということもありますが、総括して、農林水産部として新型コロナウイルス感染症の影響について、今後の心配、課題があれば教えていただきたい。
〇上田農林水産部長 新型コロナウイルス感染症の影響、どういったことを懸念しているかという御質問でございました。
 まず一つは、先ほど例示で委員がおっしゃったイベント等がなくなった。特に3月期には、送別会あるいは卒業式といった非常に大きなイベントが集中する時期でありまして、それに伴いまして、そこで使う食事の原材料としての特に農林水産物については、やはり需要は低まってくるだろうと考えております。
 例示で先ほど御答弁申し上げましたが、牛肉の場合には、やはり価格帯の高いところについては、昨年度に比べましても市場価格が落ちているという状況をもう見てございます。ただ、逆に、外食向けが減った分、家庭向けの分の需要がふえたというところがございます。米などがそうでございますが。
 そういったことで、今回はまだ短期間のもので、今の取りまとめは3月いっぱいということで取りまとめましたけれども、そういったところで先行きがまだわからないところがございます。
 こういったところをどう見込んでいくかということでございますが、当面、喫緊の対応が必要なものについては国に働きかけ、3月10日に対策が出ましたけれども、3月5日には、農林水産部単独ではございましたが、農林水産省に対して要望させていただきました。牛乳関係の、とりあえず価格安定、減収補填についての要望でございました。そういった適時に、おくれることなく、関係機関と連携して、あるいは求めることによって対応していくことが必要だと考えております。
 二つ目でございますが、多分一番の不安は、こういった状況がいつまで続くのかということであります。国での施策の方向性がございますけれども、やはり今の時点でも先行きがわかってのものというよりも、今、とりあえず、まず喫緊に必要なものの対応を出していて、将来についてはなかなか見込めない。何しろ相手がウイルスですので、そういった面はいたし方ないと思います。そういった先行きが不安な中で営農することに関して、恐らく生産者の方々は不安を持つだろうと。この不安をどうやって払拭していけるか、これが一つの課題だと認識しております。
〇神崎浩之委員 テレビでは卒業式、ブライダルの花であるとか、それから、やっぱりこれから農業祭りであったり、春のいろいろなイベントがあると思います。それから、皆様方からの営農指導とかいろいろな指導の場面もありますね。地域で生産者を集めていろいろな研修会、そういうことも今後、新年度になって非常に心配されるものがいろいろあるのではないかと思っておりました。まず、よろしくお願いいたします。
 さて、牛の件であります。国は、これまでにもないような、1頭25万円ぐらいの補助を出すという制度が始まっています。最初に牛について、畜産振興についてという通告を出しておりましたけれども、千葉伝委員への回答で了解いたしました。
 それから、先ほど飯澤委員も取り上げていただきました増頭奨励金についてであります。これについて、政府の今回の補正の組み立て、これを当局はどう評価しているか、感想を聞かせていただきたいと思っております。約25万円、増頭分ということでありますが、これは恐らくまだこの予算には入っていないと思いますけれども、でも、実際もう1月から始まっているということであります。この事業について、当局としての評価と今後の進め方についてお伺いいたします。
〇菊池畜産課総括課長 増頭奨励金の関係でございますけれども、この事業につきましては、地域ぐるみで畜産の競争力強化や収益性向上を目指す畜産クラスター計画に基づいて、本年1月1日から12月31日までに繁殖雌牛あるいは乳用後継牛を増頭する場合に、増頭の実績に応じて奨励金を交付するものでございます。
 単価につきましては、委員お話のとおり、非常に高いわけでございます。肉用牛の部につきましては、飼養頭数50頭未満の生産者につきましては、繁殖雌牛1頭につき24万6、000円、50頭以上でございますが、1頭につき17万5、000円と。また、乳用牛でございますけれども、120頭規模以下の生産者を対象にしておりまして、1頭につきまして27万5、000円ということでございます。
 いずれ補助単価が高くて、特に中小規模の生産層の支援に重点が置かれていることからも、本県は全国でも規模が小さい県でございますので、こういった事業を使いながら生産振興につなげてまいりたいと思っております。
 また、予算の関係でございますけれども、この事業につきましては、県はくぐりません。要は、中央団体に基金を造成いたしまして、そちらから直接、県の事業実施主体、これから決まりますけれども、そこを通じまして、生産者に直接お金が流れる仕組みになっております。
〇神崎浩之委員 今回は中小の皆さんへの特に増頭ということで非常にうれしく思っておりました。こういう朗報なのですが、1月ぐらいに農業新聞に取り上げられまして、現場では結構盛り上がっているのですけれども、どこに聞いてもよくわからないということがありました。これは1月から増頭分ということでありますけれども、もう3カ月もたっているわけですが、なかなか組み立てがよくわからない。市町村に聞いてもよくわからない。なぜこういう状況になっているのかということと、それから、今後のスケジュールについて、先ほどは4月ぐらいから要望調査ということだったのですが、もう少し具体的なスケジュールと、あと、実際いつお金が入るのか、そんなことも含めてお伺いしたいと思います。
〇菊池畜産課総括課長 事業がもう既に1月からというアナウンスがあったということでございますが、いずれこの事業につきましては、国も補正ということでつくったものでございます。2月に、国で県を集めた説明会がございました。そこでその中身を受けて、県といたしましては、直ちに振興局を参集しまして会議を開催しております。その中で事業の中身を周知しながら準備を開始しているということでございます。
 また、市町村や農協、生産者に対してのアナウンスの部分でございますけれども、この中身につきましては、振興局を通じながら事業内容を周知したところであります。現在、受け皿となるクラスター協議会の準備を支援しているものでございます。
 それから、お金の入る時期あるいは具体的なスケジュールということでございますけれども、事業の要望調査ということで、これから、具体的にまだ、いつまでということではないのですけれども、ペンディング状態で、国が説明した中身でございますが、5月末までに取りまとめということになっております。
 いずれ、さはさりながら、事業につきましては1月1日からことし12月末までの増頭分に対して奨励金が交付されるということでございますので、そういったことでしっかりと進めてまいりたいと思っております。また、農家の方にお金が支払われる時期につきましては、いずれ年を越えてからということになります。
〇神崎浩之委員 今回は小規模の農家へということであります。そうなると、取りこぼされなければいいなと思っているのですね。ある程度大きなところは情報が入りますけれども、本当に頭数が少ないところにも情報が入るのか。特に、県、市町村経由のお金ではないということになりますので、その受け皿の団体がきめ細かく小規模の事業者に丁寧にフォローアップしていただきたいと。
 あと、予算の総額が決まっているので、頭数制限などもあったらこれは厳しいと思っているわけですけれども、そういうことで、お金は通過しないのですが、振興局を通して市町村支援という話もありました。ぜひ、全員に周知してこの事業を使っていただきたく、皆さん御支援をよろしくお願いします。
 それから、米の関係であります。県南は、今回食味ランキングの特A評価からA評価ということで非常にショックを受けておりました。そこで、先ほど原因については高温という話があったのですが、当時、この天気状況、高温について生産者の方に対する指導は昨年どう行われていたのか、お伺いしたいと思います。
〇小原県産米戦略監 令和元年産の生産についての指導というお尋ねでございますけれども、水稲を生産する上で、要所要所の時期に技術対策会議といったものを開催してございます。昨年も出穂の前、7月末だったと記憶しておりますけれども、高品質のためのポイントは追肥の時期、量と、あとは水管理ということで、夜温が上がるような状況であれば、きっちりとかけ流しあるいは間断かん水といった対応をしていただくようにアナウンスはしてございますが、令和元年の天候を見ますと、それを上回るような高温が続いたといった状況があったものと推察しております。
〇神崎浩之委員 ことしもどうぞよろしくお願いいたします。
 そこで心配なのは、長年特A評価を重ねておりました。一時下がったときもあるのですけれども、気持ち的なショックと、あと、実際に昨年分の販売量、在庫、単価、金額については、心配ないのかどうかお伺いしたいと思います。
〇小原県産米戦略監 A評価の影響というお尋ねでございますけれども、まず、流通のほうは、令和元年産の県南ひとめぼれにつきまして、その流通状況を全農岩手県本部に聞きましたところ、県産ひとめぼれの事前契約率は約7割と、全国平均の5割を大幅に上回ってございまして、かつ、大手米卸業者から高く評価され、多くの引き合いをいただいていると聞いてございます。
 なお、平成29年産につきましても、県南ひとめぼれはA評価であったものの30年産への影響は見られませんでしたが、やはり令和2年産につきましては、これまで培ってまいりました良食味の評価を生産者、そして関係団体とともに、販売への影響がないようにしっかりPRして取り組んでまいりたいと考えております。
〇神崎浩之委員 次に、金色の風、銀河のしずくでありますけれども、これから要望調査等が始まると思いますが、金色の風について、銀河のしずくについて、販売面積、生産者の数等、それから、ことしもやるぞというような、それとやめるぞという生産者の反応について、あわせてお伺いしたいと思います。
〇小原県産米戦略監 金色の風、銀河のしずくの生産面積あるいは栽培者についてのお尋ねでございますけれども、現在まだ取りまとめ中ですが、金色の風につきましては昨年並みの面積が計画されております。経営体数につきましては、昨年から若干減るのではないかと見ております。また、銀河のしずくにつきましては、作付適地の見直し等もしてございまして、その結果、面積につきましては100ヘクタール前後の増加、そして、生産者につきましても、新たな栽培地域の拡大ということもありまして、見合った増加が見込まれているところでございます。
〇神崎浩之委員 これからの県産米の販売戦略をどうしていくのかということですけれども、金色の風、銀河のしずくと出して、フラッグシップ米ということでありますが、まず、この金色の風、それから銀河のしずくは、金色の風については作付3年目ということでありまして、今までは技術、場所、そういうものを限定してつくってまいりました。その中で、全国的には量が少なくて知名度が上がるのかなという不安もあるわけですけれども、ことしはいいですが、これからどういう方針でここ数年の戦略を練っていくのか、それから、銀河のしずく、この二つについて、今後の方向性についてお伺いしたいと思います。
〇小原県産米戦略監 金色の風、銀河のしずくにつきましては、これまでいわてオリジナル品種ブランド化戦略に基づきまして、生産面では、全国トップクラスの品質と食味を実現するとともに、販売面では、大消費地でのトップセールスや米穀専門店を訪問してのPR、県内外でのテレビCMなど、積極的なプロモーションを展開してまいりました。
 今後におきましても、作付4年目を迎えます金色の風につきましては、全国に誇る最高級米を目指しまして、米穀専門店等への売り込みを、高価格帯での販売といった面を強化してまいりたいと考えております。また、作付5年目を迎える銀河のしずくにつきましては、県内外から広く愛されるお米を目指し、販路の開拓、拡大を図りながら、今後、一層の生産拡大に努めてまいる所存でございます。
〇神崎浩之委員 最後に、小岩技監からお伺いしたいと思いますが、金色の風については、私の知り合いも、やめるという人もいるし拡大するという方もおります。県として、作付から3年過ぎて、これからどういうふうに進めていくのかというのが私はすごく気になるところであります。
 そういうこともあるのですけれども、きょうは畜産と米について質問させていただきました。小岩技監は獣医師ということで、本当は牛が専門なのかと思っておりますけれども、米を一生懸命やっていただいて、そして県南でもあるということであります。今後、今までの公務員生活というか、今までのさまざまな研究成果を含めて、この岩手の畜産、それから岩手の米について、どういうあり方がいいのか、今までの結集したノウハウ、経験を開陳いただきまして、我々議員、それから後輩に話をしていただきたいと思います。
〇小岩技監兼農政担当技監兼県産米戦略室長 米のことについてお答えしようと思っていましたけれども、畜産もということですので、両方、自分の考えといいますか県の今後の方向性についてお話をしたいと思います。若干長くなるかもしれません。
 まず、本県の農業の進め方につきましては、午前中に部長が申したとおりだと思っています。産業振興施策と地域政策を車の両輪として本県の農業を振興していく、これが基本になると思います。
 その上で、まず畜産ですけれども、大家畜部門と中小家畜部門に分けて考える必要があると思います。まず、中小家畜部門ですけれども、これまで戸数等はどんどん減ってきたのですが、規模拡大が進み企業的な経営と今なっております。例えばブロイラーですと、関連する産業も含めますと9、000名以上の雇用をもう既に担っております。豚につきましても、直接雇用でいっても900名程度をもう既に雇用しています。いわゆる自己完結型の企業的な経営にもうなってきているということで、我々が提供すべき行政サービスは大きく二つだと思っています。
 一つは、まずは経営安定対策、ここをしっかり国と県の両方で見ていく。もう一つは、やはり規模拡大になって一番恐ろしいのは家畜防疫です。家畜伝染病です。鳥インフルエンザあるいは豚熱が発生すれば、経営体は経営が困難になりますし、そうすると雇用の場もなくなってしまうということで、特に家畜防疫、病気のコントロール、これは県が中心になって徹底的に行わなければいけないと思っています。
 一方、大家畜ですけれども、先ほど来答弁しているとおり、戸数、頭数ともトップレベルにありますが、いかんせん規模が小さいということであります。ですから、まずは規模拡大をして経営体質の強化を図っていかなければいけない。一方、特に黒毛和種の場合ですけれども、まだまだ小規模農家があります。そういう農家も一緒になって肉用牛経営ができるように、例えば公共牧場ですとかキャトルセンターですとか、そのようなものを整備して、地域ぐるみで畜産をやっていく。そのようなことに取り組んでいかなければいけない。
 さらに、大家畜の場合、中小家畜と違いまして草資源、草が必要になります。その場合に、我々は公共牧場が百八つあります。非常に豊富な草資源を有しておりますので、これを最大限活用しながら持続的な大家畜経営を進めていきたいと考えております。
 次に、米ですけれども、実は、私は平成28年4月から県産米戦略室長として、銀河のしずく、金色の風を中心に県産米の販売に取り組んでまいりました。当時、東京で米売りをしたときに複数の消費者から、岩手でも米をつくっているのだというようなことを言われました。まさに自分自身として、ここが新たなスタート地点だと感じまして、戦略に基づきまして、県オリジナル品種の早期ブランド化ですとか県産米の評価向上に取り組んできたつもりです。
 この結果、これも答弁で何回も申し上げておりますけれども、金色の風につきましては、米のヒット甲子園で全国のお米マイスターの推薦でトップナインに3年連続選ばれる。銀河のしずくにつきましても、大阪サミットの夕食会等で提供されるというところまで来ていると思います。
 また、主力のひとめぼれですけれども、事前契約率が全国平均の5割を上回る7割となるなど、それぞれの品種が、それぞれの立ち位置とかその役割をしっかり果たすようになってきたのではないかと思っております。
 さらに、全国最大級の取扱量を誇る大手米卸業者からは、岩手県は、主力のひとめぼれに加えまして、高品質良食味の県オリジナル品種が二つも加わり、高級ブランド米から業務用仕向けまでそろえる全国有数の産地であるという厚い信頼をいただくまでになったと思っています。
 今後も、まず、金色の風につきましては、全国トップクラスの価格を維持するため、主に首都圏などの米穀専門店との結びつきをさらに強化したいと思っていますし、銀河のしずく、ひとめぼれ等につきましては、当然、家庭での消費に加えまして、流通の約4割を占める業務用需要をも見据えながら、大手米卸業者などのニーズに適時、適切に対応するなど、これは農林水産部の方針でもありますけれども、こうした取り組みを通じて、生産者の所得向上、生産者の所得を1円でも確保するという私どもの目標達成に向けて、精いっぱい取り組んでまいりたいと思います。
〇佐々木努委員 私は、農業の担い手確保策について、一般質問に続いて質問させていただきたいと思います。
 今、商工業においては、中小事業者の事業承継という形で、県としての支援あるいは民間の支援が進められようとしているわけですが、農業においても、北海道を中心に農業経営の第三者継承という形の取り組みが進められております。岩手県でも同様の取り組みが進められてきたものと思っているわけでありますが、この農業経営の第三者継承について、県内で取り組まれているのか、そして、県としてどのように取り組んでこられたのか、最初に伺います。
〇高橋農業革新支援課長 第三者継承についてでありますけれども、新規参入者が農業を始める場合、果樹や畜産においては、初期投資が大きく、収入を得るまで年数がかかること、また、高度な技術の習得が必要なことから、リタイアする経営者から施設や技術などの経営資源を新規参入者が引き継ぐ、いわゆる第三者継承は、担い手確保に有効な手段であると考えております。
 このため県では、関係団体と連携いたしまして、経営移譲を希望する生産者と就農希望者とのマッチングや就農に向けた支援などを行っているところでありまして、これまでに17人の就農希望者の方が、このような仕組みを活用して就農しております。
〇佐々木努委員 関係機関、団体と連携しながらということですが、どこが中心となってそれを進めていらっしゃいますか。
〇高橋農業革新支援課長 新規就農者の就農についての支援につきましては、県の農業改良普及センター等が窓口になりまして支援しております。
 また、農業からリタイアいたしまして施設等をどなたかに引き継ぎたいという方の情報につきましては、主にJAであるとか全農であるとか、そういったところからの情報をマッチングしている状況でございます。
〇佐々木努委員 今、他県で行われている取り組みとしては、県全体でその第三者継承を進めようということで、それぞれの地域で近い将来、事業をやめよう、経営をやめようという方々の希望を募って、それをリストにして、県として一つのセンター、組織をつくって、新たに就農しようとする方々へのマッチングを進めようという取り組みが今進められようとしています。
 これまでは個々のJAとかでのやりとり、普及センターも絡めたやりとりであったかもしれませんが、やはり、これを一つにした全県的な取り組みにして、他県から岩手県にやってくる方々が、どの地域にどういう資産があって、それが活用できるのかがわかるような形で移住政策にもつなげる。あるいは地域外の方が、地域外のそういう物件を見つけやすくするような取り組みにもつなげていくために、県全体として取り組む必要があるのではないかと思うわけでありますが、県としてそういうお考えはないかお伺いいたします。
〇高橋農業革新支援課長 第三者継承の仕組みを全県で一本の形でという御質問かと思いますが、今までの県の取り組みといたしましては、先ほど申しましたように、関係団体と連携いたしまして、畜産においては、離農する酪農家の牛舎等の継承に係る意向や新規就農希望者等の参入条件の調査をいたしまして、そのマッチングを行っているほか、果樹におきましては、これは限られた地域にはなりますけれども、廃園を希望しているブドウ栽培者の面積や品種等に対する情報をデータベース化しまして、新規就農希望者とのマッチングを行っている事例もございます。こういった形をとりまして、ブドウの事例でありますと、9件が第三者継承を行っているという状況でございます。
 全県での取り組みということでございますけれども、まずは、こういった地域でのマッチングが上手にいっている事例をほかの地域でも広められるような形で取り組んでいきまして、その地域の経営上に関する情報の収集と共有に努めるとともに、第三者継承や担い手確保に関する取り組みについて、いきなり全県ということではなくて、各地域での取り組みをまず広めていきたいと思っております。
〇佐々木努委員 私は、全県レベルのセンターをつくって、そこで、これから県としての第三者継承についてどういう形で進めていけばいいのかをしっかり議論して、そこでいろいろな案をつくって全県一つの取り組みにしていく。確かに、地域外の移譲者に対して、その地域に住む新規就農者なりが借り受けたり、あるいは施設を購入、経営をそのまま引き継ぐみたいなことは可能かもしれませんが、それはあくまで地域の範囲でしかもう完結できなくて、ほかから人を呼んでくる場合の情報提供がなかなか難しくなるのではないかと私は思うわけであります。
 これからの課題かもしれませんが、例えば茨城県でも、農業参入等支援協議会というものを県が2018年に立ち上げて、本格的に第三者継承も担い手育成の柱として位置づけてやろうという取り組みもありますし、北海道はもっともっと大がかりに、特に酪農分野で第三者継承を進めようとしておりますから、その辺のところをぜひ研究を重ねてほしい。それで、近い将来、県一本のセンターで、農業会議が事務局になっても、それは構わないと思いますが、そういう形でこの事業を進めていただきたいとお願いしたいと思います。
 私もまだまだ勉強不足なので、これからいろいろ見て回って勉強させていただきますけれども、とりあえず、今のところはそういうことを要望しておきたいと思います。
 それから、一般質問で農業高校の改革について質問させていただいて、そのときは農林水産部からは答弁をいただきませんでしたが、改めて、農業高校が今、卒業生の就農率あるいは農業関係への就職が非常に少ない。それから、進学についても、なかなか農業大学校に進む子供が多くないという状況で、せっかく岩手県内の農業高校に通って3年間いろいろなことを学んできたものが、本当に効果的に有効に生かせているのかどうかということについて、私は非常に心配もしておりますし、危惧をしているわけであります。
 農業高校の子供に私が求めているのは、一人でも多く地域の農業の担い手になってほしいと。一旦農業関係のところに就職しても、最終的にはみずからが経営者となって地域の担い手になってほしいというのが私の願いでありますし、今、農業高校がそういう状況になっていないことについて、県としてその辺の改革を頑張ってほしいと思うわけであります。
 教育委員会に対しては、この間の一般質問でGAPの取り組みを例に出して、何とか子供たちにそういう意識づけをしてほしいという質問をさせていただいて、教育長からは、GAPも含めた取り組みを進めていきたいという答弁はいただきましたが、このGAP取得も、他県では教育委員会ではなく農政分野が積極的に進めてきたものであります。特に福島県はそうでありまして、その予算も教育委員会予算ではなく、農政分野からの予算で全て行われていると私は聞いてまいりました。
 そういう意味では、農業高校は教育委員会分野であっても、農政分野が深くかかわっていかないと農業高校の改革は進まないと思うのですが、今後、子供たちの就農率を高めていくために農政分野でできることは何なのか、そして、これからどういうふうに取り組まれるのかお伺いしたいと思います。
〇高橋農業革新支援課長 農業高校の生徒の就農率を高めることについて農政分野での取り組みでございますけれども、県では、農業高校生の就農に向け、これまで、農業大学校における農業高校生を対象としたオープンキャンパス―これは、農業大学校へ進んでいただいて、就農あるいは農業関係の仕事についていただきたいということでございますけれども―や、各農業高校の1、2年生を対象とした就農及び農業大学校への進学に向けたガイダンスを開催してまいりました。
 さらに、今年度からは、農業法人への就職や就農への関心を高めてもらうため、教育委員会と連携し、農業高校の進路指導担当教諭と岩手県農業法人協会との情報交換会を開くなど、農業サイドからの情報提供も行っているところでございます。
 引き続き、教育委員会等と連携いたしまして、農業高校生の就農率が高まるように取り組んでまいりたいと思っております。
〇佐々木努委員 それで就農率が高まるというか、子供たちの意識が変われば苦労しないわけで、技術的な部分もそうですが、予算的なこととか……。そもそも岩手県は、これから農業をこういう形でやっていくために農業高校の卒業生の力が必要なのでこういうことを学ばせる、そういうものが教育委員会と共有できていなければ、幾ら先生方といろいろ交流を図ったりしても、私は子供たちの意識を変えることはできないのではないかと思います。実際に、農業高校の卒業生の農業に対する意識は年々低下していると現場の先生方からも聞いています。先生方ももちろんそのために頑張らなければならないことはあると思いますが、やはりこれまで以上に農政分野のかかわりを強めていただきたいと思うわけでありまして、この質問を取り上げさせていただきました。
 最後に、あえて佐藤副部長にこれからどう取り組んでいかれるのかお伺いして終わりたいと思います。
〇佐藤理事兼副部長兼農林水産企画室長 教育委員会等との連携でございます。
 委員からお話ありましたとおり、岩手県の農業をこれから担っていく人材の育成は非常に大事だと思ってございます。今いただきましたお話も参考にいたしまして、教育委員会との連携等をさらにいろいろ検討させていただきたいと思っております。
〇菅野ひろのり委員 まず、酪農についてですが、新型コロナウイルス感染症の関係で生乳についてやりとりがありました。これに関して、私も懸念しているのがこれからいつまで続くのかということで、先ほど県内の生乳に余剰分はない、まだ余力があるという御答弁がありましたが、加工乳、脱脂粉乳等、防疫の関係もありますし、世界的にこれは過剰になっていくのではないかと思うとき、これから岩手の飲用乳を加工にどの程度回せるのかが課題だと思っていますので、それは引き続きしっかり状況を見ていただいて対策をお願いしたいと思います。
 これは通告していませんでしたが、増頭対策を取り上げられました。私も、小規模農家にしっかりとこの対策が行き渡ることが重要だと思います。
 そこでお伺いしたいのですが、やはり大事なのは、今回、クラスター協議会を通じてということで、クラスター事業は簡単に言えば大規模化するための事業でありますから、中小農家はほとんど入っていないだろうと思っています。ここへどうやって加入促進あるいは交付金が行くようにするのかお伺いしたいと思います。
〇菊池畜産課総括課長 増頭奨励金の関係のお尋ねでございますが、先ほども御答弁させていただきましたが、現在、市町村、農協等を通じて、生産者の方々にまずはアナウンスしております。増頭したいという意向のある、もちろん中小農家も含めて全て拾う形で農協に今お願いしておりますので、そういった形のものを取りまとめ、それをクラスター計画の中にきちんと位置づけるということで進めてまいりたいと思っております。
〇菅野ひろのり委員 岩手は、肉用牛に関しては9頭以下が7割ぐらい占めている状況でありますので、そこが漏れないように引き続きお願いしたいと思います。
 そして、牛乳関連で、集送乳合理化等推進事業について伺います。
 貯乳施設5.5億円の整備計画ということでございます。いただいた資料も拝見いたしましたが、その再編計画、そして生産流通コストの低減はどのように行っていくのか伺います。
〇高橋流通課総括課長 貯乳施設の再編計画と生産流通コストの低減についてのお尋ねでございます。
 東北生乳販売農業協同組合連合会によりますと、今回の貯乳施設の再編によりまして、現在、3カ所ある施設を廃止し、1カ所新設するといった形で合理化を進めていくものでございます。それによって輸送距離が長くなる酪農家の方々も出てくるわけでございますが、輸送コストにつきましては、生産者間のコストをより公平にするということで全農岩手県本部が実施している集送乳の運賃の補填事業を見込んで、より公平性を保った形で合理化を図っていくと承っております。
 また、新設する貯乳施設から乳業メーカーへの輸送については路線数の減少が図られますので、これによるコスト低減によって事業全体の総合的な流通コストの負担低減に努めていくと聞いているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 今、御答弁いただきましたが、流通コストは生産者も負担しているわけで、例えばプール乳価は3月は113円と教えていただいておりますが、その10%ぐらい、十数円輸送費を負担していると。私、今回、一番気にしているのは、磐井、遠野の酪農家から金ケ崎まで60キロぐらい距離があるわけです。先ほど御答弁いただきましたが、確認ですが、例えば磐井の酪農家は一番遠くなるわけですが、その酪農家の輸送費の増加はないと思ってよろしいですか。
〇高橋流通課総括課長 酪農家から集める運賃につきましては、平成30年の数字を申し上げますと、今、金ケ崎におきましてはトン当たり1、800円台でございます。これが遠野、磐井となりますと、およそ倍くらいになりますので、トン当たり3、000円半ばくらいの輸送経費が実績でございます。
 これに対しまして、先ほど御答弁申し上げましたが、全農県本部で集乳運賃の一部補填の事業がございます。これによりまして、集乳距離が30キロを超える場合には、30キロメートルを超えた距離の長さに応じて一定の金額が補填されると聞いております。できるだけ公平性を保った形で今回の合理化事業を進めていくと聞いているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 乳価にしてあらわしていただかないと多分わからないと思いますけれども、いずれ、答弁の中で一部という言い方もありました。確かにこの施設は老朽化に伴って建て直しが必要だろうという声もありましたし、そのとおりだと思いますが、今、酪農家の離農もふえてきている中で厳しい環境でありますので、遠方の酪農家の負担がないように全農と御対応いただきたいと思います。
 次に、肉用牛の振興について伺います。
 3月11日、12日、県南家畜市場がありました。これは新型コロナウイルス感染症に関する質問になりますが、宮城県では3月の和牛子牛の価格が2月と比較すると10万円以上開いたということで、新型コロナウイルス感染症の影響があったのではないかと河北新報は報じていました。県南家畜市場はそこまでいっていないようでありますが、その辺をどう捉えているのか伺います。
〇菊池畜産課総括課長 今月の県南家畜市場の成績ですが、税込みの平均売買価格は、去勢が前年同月比86%の69万9、000円となってございます。雌が同じく前年同月比85%の61万5、000円となっております。それぞれ15%から14%低下しているということで、やはり新型コロナウイルス感染症の影響が出ているのではないかと思われます。3月5日の日経新聞を見てみますと全国的にそういう影響があると記載しておりますけれども、本県も同様ではないかと思っております。
〇菅野ひろのり委員 先ほどマルキンの話がありましたが、同様に、肥育のほうの値段が下がるということは、子牛価格、これも需要が少なくなっていくだろうと懸念されます。マルキン等の対策が子牛のほうにあるわけではないので、しっかりとその辺も踏まえて、子牛、繁殖に対する支援はどうあるべきなのか、これも御検討いただきたいと思います。
 県有種雄牛造成について伺いますが、県有種雄牛造成の成果、そしてどの程度岩手でつくられた牛が活用されているのか伺いたいと思います。
〇菊池畜産課総括課長 県有種雄牛の成果と活用状況についてでございますが、県では、昭和62年度から種雄牛造成に取り組んでおります。全国肉用牛枝肉共励会で名誉賞を受賞いたしました菊福秀や、昨年度、本県歴代最高の枝肉成績を上げた菊勝久など、これまでに62頭の種雄牛を造成しております。
 これら県有種雄牛の凍結精液のシェアは、平成23年度の44%をピークに、その後減少してございます。平成29年度は14%となりましたけれども、平成30年度に菊勝久の需要が増加したということで、前年比2%増の16%となっております。
〇菅野ひろのり委員 菊勝久という新しい好成績の牛が出たわけでありますが、上場頭数の推移。シェアを見ますと、先ほど精液の関係で言っていただきましたが、私は県有種雄牛の子牛市場上場頭数でお話しさせていただきます。平成25年度は、県有種雄牛が使われていたのが33%、そして令和元年度は10%で、ずっと下がっている状況であります。
 すなわち、県の牛が使われないということはそこに対する購買者の魅力も落ちますし、もっと言いますと種山畜産研究室の事業にも反映していくということで、私は大変この点を危惧しておりますが、今後、県有種雄牛の取り扱い拡大に向けてどう取り組んでいくのか伺います。
〇菊池畜産課総括課長 種雄牛につきましては、先ほど申し上げました菊勝久に続きまして、昨年度末、さらにこれを上回る安久勝晃を選抜しております。今年度はこの2頭で非常に好調となっていることから、さらに増加していくものと期待しております。
 また、この取り扱い拡大に向けた取り組みでございますけれども、今年度、和牛雑誌養牛の友―肉牛ジャーナルに広告を掲載しております。さらには、凍結精液の配送業務を行っております岩手県畜産協会に随行して家畜人工授精師の方々へのPR強化に取り組んだほか、新規種雄牛の子牛生産のための家畜人工授精に係る経費を支援するいわて県有種雄牛利用推進事業を推進してきたところでございます。
 今後も、こういった取り組みを通じてPR強化に取り組み、県有種雄牛の利用拡大を図ってまいります。
〇菅野ひろのり委員 家畜改良事業団の話も出ましたが、家畜改良事業団の冷凍精液の供給本数も、県内でいうと6割ぐらいあるということでございました。上場頭数の場合だと岩手県は10%と、かなり大きくあけられているわけであります。それに対して来年度の利用推進事業に200万円ぐらい計上されているということでした。担当者が専門の方に随行して受精師や獣医にセールスをしていただくということだと思うのですが、大変厳しい中ではありますけれども、本来であればもう少し予算を拡充する、あるいは人員体制を拡充してやっていくべき事業だと思っています。担当する方というのは農業改良普及センターの方になるのでしょうか。それとも本庁の方なのか、その辺の体制をお願いします。
〇菊池畜産課総括課長 体制的な話でございますが、当課の特命課長や実際に種雄牛をつくっている種山畜産研究室の職員がみずから行きまして、生産者あるいは受精師、獣医師の方々にPRを行っております。
〇菅野ひろのり委員 その人員の投入を積極的に行っていただいて、10%の上場頭数を引き上げていくというのは非常に難しいことだと思っていますが、確かに菊勝久は平成30年度は上場頭数3頭、令和元年は57頭でかなり上がっていて、県の種雄牛の中でもトップクラスの価格帯を維持していますから、ぜひ広げていただいて、それが県の評価にもつながってくると思いますので、お願いしたいと思います。
 あわせて、県が積極的に今、取り入れているのがゲノム解析でありますが、この事業も5億円ぐらいでしたでしょうか、かなり予算を費やしてやっていると思っております。まだ成果が出ているわけではないと思っておりますが、その状況を教えてください。
〇菊池畜産課総括課長 県では、昨年度から産肉能力の把握に有効なゲノム解析技術を活用した優良種雄牛の早期造成に取り組んでおります。昨年度は754頭の繁殖雌牛のゲノム解析を行いまして、その中から優秀な雌牛10頭を選抜いたしました。今年度は、選抜した10頭の雌牛に優良種雄牛を交配したほか、その10頭のうち4頭から33個の受精卵を採取し、その受精卵を13頭の繁殖雌牛に移植いたしました。来年度は、こうした取り組みにより産まれてくる雄子牛についてゲノム解析を行いまして、産肉能力を推定し、種雄牛に選抜することとしております。
〇菅野ひろのり委員 宮城県で開催された第11回全国和牛能力共進会の前後は共進会の取り組みということで非常に事業も予算も計上されていて、また機運も盛り上がっていたなと。一方で、終わってしまうと静かになってしまって、全体的に大会のための事業になっているなという印象を持っておりました。次の評価に向けても、ゲノム解析がどういうふうに出るのか、これが非常に大きなことだと思っておりますので、畜産課の皆さんには引き続き注力をいただきたいと思います。
 時間の関係がありますので、最後に、いわて型野菜トップモデル産地創造事業について伺わせていただきたいと思います。
 これは、ことし2年目、来年3年目ということで、3カ年計画ではないですが3年の事業ということで4億4、000万円予算がついています。この事業は、私、大変すばらしいと思っていて、国の産地パワーアップ事業等、ほかの国庫事業と連携しながら使いやすいように工夫していただいているというのが非常に大きいと思っておりますが、この事業はどのような工夫、改善をしてきたのか、その取り組み成果を伺いたいと思います。
〇菊池農産園芸課総括課長 いわて型野菜トップモデル産地創造事業は、平成30年度の事業創設後も、生産者や関係団体からの要望を踏まえ、パイプハウスの導入に当たり、1ヘクタール当たり7、600万円であった上限事業費を、災害に強く周年栽培が可能な耐候性ハウスの導入にも対応できるよう2億円に見直したところでございます。また、近年、パイプハウスの整備コストが増大していることから、これまで補助対象としていなかったパイプハウスの建設費を県と市町村において補助対象としたことなどの改善を行ってきたところでございます。
 取り組み成果につきましては、奥州市のネギ、花巻市のタマネギ、八幡平市のニンニク、JAいわて花巻管内のピーマン、一関市のトマト、二戸市の菌床シイタケについて野菜販売額1億円産地の形成に向けた取り組みが進められているほか、盛岡市、花巻市、一戸町のトマト、また奥州市のキュウリについて、本年、県内で初の施設栽培において環境制御装置の導入が図られたところでございます。
〇菅野ひろのり委員 その中で、先ほどの土地利用型と、もう一つ、施設野菜団地の展開事業と中身が二つあるわけですが、施設野菜団地が非常に注目されていると思っております。農林水産委員会でしたでしょうか、盛岡市のトマトの視察等もあったと聞いています。今後、環境制御装置―二酸化炭素や気温の調整等、そういった導入需要が徐々に広がってくるだろうと考えていますが、その点の今後の取り組みを伺いたいと思います。
〇菊池農産園芸課総括課長 ハウス施設における環境制御装置につきましては、県内に初めて導入された平成29年度以降、急速に導入が進み、本事業を活用したトマトやミニトマト、キュウリの施設栽培4経営体を含め、現在13経営体に導入されております。若い生産者からの関心も非常に高いことから、今後、導入が一層進んでいくものと考えております。
 環境制御装置は、ICT技術を活用して、施設内の環境を制御しながら単収を飛躍的に向上させるものでございます。その能力を最大限に発揮するため、これまで、農業研究センターにおいて技術への理解を深める各種研修会を開催してきたところでございます。
 今後は、本事業により整備したモデル拠点を学びの場として、県内各地の研修会に活用することにより、装置の導入と効果的な活用を積極的に進めてまいります。
〇菅野ひろのり委員 この環境制御装置の導入が13件ということでありましたが、中身はほとんどトマトが中心だと見えているわけです。トマトだと、やはり単収をどう上げるか。あと、岩手県の課題は二つあって、一つは日光をどう環境制御で調整していくのか、そして冬場ということであります。今回のいわて型野菜トップモデル産地創造事業は、生産調整廃止に伴って、水田フル活用からどういうふうに園芸産地をつくっていくのかという中で進んでいった事業だと思っています。
 すなわち、岩手県の水田から園芸をどう発展させていくのか、肝になる事業だと考えているわけでありますが、今後の園芸産地をどのようにつくっていくのか、岩手県が目指す将来像の考えを伺いたいと思います。
〇小岩技監兼農政担当技監兼県産米戦略室長 今後の本県が目指すべき園芸産地についてでありますけれども、先ほど菅野委員からも御指摘がありましたとおり、そもそも水田フル活用で、より収益性の高い野菜等の取り組みを進めていくべきであろうという考えのもとでスタートしたものです。
 そして、大きく二つ分けて考えております。一つは、主に水田を活用した土地利用型野菜。これは主に加工、業務用野菜になりますけれども、そこの1億円産地をつくっていこうと。県南は田んぼを使ってつくっていく、県北は畑を有効に使ってつくっていく。もう一つは、本県は8割が中山間地域であります。中山間地域は余り土地が多くありませんので、そこはより収益性が高い施設園芸を入れていくのがいいのではないかということで、これを二つ進めていきたいと思っております。
 具体的には、いわて型野菜トップモデル産地創造事業などを活用いたしまして、先ほどトマトという話がありましたけれども、実はトマト以外にも需要が見込め、価格も安定している野菜があります。例えばネギやタマネギ、ニンニク、こういうものをターゲットとして、まずは高性能機械による機械化一貫体系による生産、このような園芸産地をつくっていきたいと思っています。もう一つは、施設野菜、トマトもそうですけれども、さらなる需要が期待されております、価格も堅調であるキュウリやピーマンなどをターゲットにして、ハウス団地の整備や環境制御技術を活用した周年生産での取り組みを進めていきたいと考えております。
 こうした取り組みをより効果的に進めるための最大の肝になる部分ですが、生産を担う意欲と能力のある若い担い手を育成しなければいけないと思っております。これにつきましては、いわてアグリフロンティアスクールなどによりその取り組みを進めることとしておりまして、いわゆるソフト、ハード両面から園芸産地力の一層の強化を図っていきたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 最後にします。今、小岩技監から答弁いただきましたが、意欲のある方々、特に今までの通常のパイプハウスだけではなく、高規格も含めて、トマトや、若手の農家が一生懸命やっていこうとする中、課題になってくるのは資材の高騰であります。今回もこのいわて型野菜トップモデル産地創造事業について地域で説明会を開いていただいたりする中で、やりたいねと盛り上がるわけですが、一方で、資材価格の高騰。あとは、例えばトマトであれば4キロで800円から1、600円の価格の上下があるとなったとき、果たして本当にそれを個人の農家が負担してできるのかとなると、非常にハードルが高くなってくると思っています。
 ですのでここは、農協からもアドバイスをいただきましたが、例えば農協に高規格ハウスの建設をしていただいて、そういったものを農家にリースしていく。ある意味、今後の環境制御導入の仕組みは、工業的な農業でもあると思っています。そうなったときの投資は、やはり企業規模でなければなかなかできない。現状の岩手のトマト農家は家族経営で、それよりも大きくすると人件費が負担になってなかなか進んでいかない。私は、そういう観点からも、ぜひ農協を含めて経営していただいて、岩手県の産地がどうあるべきなのか検討していただいて、それを具体的に事業化していただきたいと思います。
 最後に、部長に御意見をいただきたいのですが、これは3年計画で、来年度が最後になります。さらに私は続けていっていただきたいと思っておりますが、今後の取り組みに対する考えを聞いて終わりにしたいと思います。
〇上田農林水産部長 この事業は、確かに年度を限られての事業でございました。その中で、園芸での収益力のアップが一つの大きな目標でございました。これについては徐々に進んできているとは思っておりますが、まだまだこれから進める余地があると思っております。その中で、このいわて型野菜トップモデル産地創造事業は、園芸に誘導するための核となる非常に重要な事業だと考えております。これからの本県農業を考える場合、幾つかある柱の中で、やはり園芸の振興は一つの大きな柱でございます。そのためのかなめの事業として、ぜひともその充実を図ってまいりたいと思います。
〇川村伸浩委員 今までもかなり新型コロナウイルス感染症の関係、特に酪農あるいは肉用牛を中心とした質問がありましたけれども、私からも、全般的に岩手県の農業への新型コロナウイルス感染症の影響についてまずお伺いしたいと思います。
〇米谷農林水産企画室企画課長 新型コロナウイルス感染症による農畜産物への影響についてでありますけれども、牛乳につきましては、学校の臨時休校によって給食向けの牛乳の注文が取り消しとなり、乳業メーカー1社で2日分の牛乳について一部廃棄となったものの、酪農家での生乳の廃棄はなかったところでございます。
 また、牛乳以外ですが、関係団体からの聞き取りによりますと、米につきましては、業務用米の需要が減少しているものの、家庭用米での需要が増加している。野菜、果樹につきましては、現在、時期的に出荷量がほとんどないこともありますが、花卉につきましては、先ほど来答弁ありますけれども、卒業式や送別会の中止等の影響で花束向けの花の単価が下落しているものもあること。牛肉につきましては、外食需要の減少により、特にA5等級について2月のキログラム単価が前年同月比で減少していること。一方で、豚肉、鶏肉につきましては、外食需要等の減少はありますが、家庭消費や中食での消費が増加していると聞いております。
 県といたしましては、引き続きこの実態把握に努めるとともに、国に対して必要な対策を求めていきたいと考えているところでございます。
〇川村伸浩委員 さまざまな部門で影響が出ているようであります。午前からの議論の中でも、収束が見えないとなかなかそれへの対応なり対処は難しいものがあると思いますけれども、現状で県として、あるいは農林水産部としての対応をどうやっているのかお伺いしたいと思います。
〇米谷農林水産企画室企画課長 農林水産部としての対応、取り組みの状況についてのお尋ねだと思います。
 まず、1点目でございますけれども、2月14日、国からの要請を受けまして、岩手県信用農業協同組合連合会、各農業協同組合など関係機関に対しまして、農業者の資金繰りに支障が生じないよう、資金の円滑な融通等について要請を行ったところでございます。
 また、学校の臨時休校により給食向けの牛乳の注文が取り消しとなった事例がございましたので、3月5日に国に対して、酪農家及び乳業者の減収に対する万全の対策を講じるよう要望を行っております。その結果、3月10日に緊急対策として措置されたところでございます。
 さらに、イベント等の自粛により県内消費が減少することもございましたので、3月12日に関係団体と連携し、買うなら岩手のもの運動のスタートアップセレモニーを開催しました。県内で生産されている牛乳の消費拡大、あるいは3月13日には、買うなら岩手のもの運動の一環といたしまして、花の需要が減少しているので、ホワイトデーの贈り物として購入を呼びかける販売会を県庁や産業会館等4カ所で開催しているところでございます。
 こういった取り組みはまだ緒についたところでございますけれども、これからも必要に応じていろいろと取り組みを考えていきたいと思っております。
〇川村伸浩委員 本当に、その場その場といいますか、常に対応ということでは大変御苦労をおかけしますが、やっぱり農家の皆さんも大変不安に思われながら現在も作業をし、あるいはこれから春作業も始まるわけであります。そういった状況の中できっちりと対応していくということをぜひ発信をお願いしたいと思います。
 それでは、次に、中山間地域等直接支払制度交付金についてお伺いしたいと思います。
 この制度は御案内のとおり平成12年からスタートしまして、ことしで20年ということで、令和2年度から新たな第5期対策がスタートすることになっております。この20年間さまざまあったと思いますが、この交付金が1期目から4期目まで深化していく中で、4期目の対策での現状なり課題をどう捉えているのかお伺いします。
〇藤代農業振興課総括課長 中山間地域等直接支払制度の第4期対策についてでございますけれども、第4期対策については、平成27年から5カ年という形で行われているものであります。最新の実績が平成30年度になりますけれども、平成30年度にあっては、県内31市町村で、制度の対象となる農地面積2万7、000ヘクタールのうち約9割に当たる2万4、000ヘクタールで中山間地域の農業生産活動の継続や耕作放棄地の発生防止に係る取り組みが行われているところであります。
 また、令和元年度―ことしが最終年度でありまして、制度を活用しております集落や市町村からの意見をまとめて最終評価を行ってございます。こういった中では、中山間地域等直接支払制度については、水路、農道の維持保全や耕作放棄地の発生防止が図られたという評価がある一方、高齢化、過疎化の進行による人材不足や、対策期間中に活動を中止した際は交付された交付金全ての返還が必要といったことが課題となっているところでございます。
〇川村伸浩委員 大変大きな金額が岩手県なり、あるいは中山間へ交付されているわけであります。今、2万4、000ヘクタールに対して35億9、000万円ということで、大変な金額であります。ただ、今、課長からお話があったとおり、後継者といいますか、地域の人材不足なりさまざまな課題があって現在を迎えているということであります。
 私もそういったものを見ている中で、中山間地域等直接支払制度で集落マスタープランをそれぞれの集落がつくりながら進めてきておりますし、それの結果について将来像をどう見るのかといったアンケートを見ますと、将来にわたり農業生産活動等が可能となる集落内の実施体制構築という部分が90%を占めております。何とか頑張って現状を維持していこうという答えなのだろうと思います。
 逆に、生産物の加工や直売等さまざまな工夫により再生可能な所得を確保するというのが4%で、この辺も現在の岩手県の中山間地の現状をあらわしていると思います。また、活動方策についても、共同で支え合う集団的かつ持続的な体制整備ということで、これが67%。この辺も本当に苦労されている現状がつかめると思っております。
 令和2年度には中山間地域等直接支払制度第5期対策が始まるということであります。国でもその辺を考慮しながら新たな加算項目もあるようですけれども、新たな第5期対策の加算部分について御説明をお願いします。
〇藤代農業振興課総括課長 第5期対策の特徴についてでございますけれども、第5期対策については、新たに、棚田地域の振興を図る棚田地域振興活動加算として10アール当たり1万円、あるいは、高齢化、過疎化に対応した新たな人材の確保や、高齢になった方の見守りといったことを地域で行う、地域の自治機能強化を図る集落機能強化加算として10アール当たり3、000円、さらに、人材不足に対応するスマート農業技術の導入という形で、省力化を進める生産性向上加算として10アール当たり3、000円の加算措置が出てきております。
 さらに、先ほど交付金の返還が課題になってございましたが、5年間の対策期間中に農業生産活動が継続できなくなった場合、これまでは全額返還という形でしたけれども、生産活動を中止した農地面積分のみを返還の対象とするということで要件緩和が行われているのが特徴と捉えているところでございます。
〇川村伸浩委員 新たな加算に向けた中で、国では、昨年6月に議員立法で棚田地域振興法が制定されまして、これによるところの棚田地域振興活動加算になるのかなと思っております。
 この部分について確認でありますけれども、市町村は最終的には指定棚田地域振興協議会を設立してこの受け皿になっていくということでありますけれども、振興計画を策定するというような県の役割はあるのでしょうか、お伺いしたいと思います。
〇藤代農業振興課総括課長 今、委員御指摘のとおり、棚田地域振興法については、昨年6月に国会で議員立法という形で法律が制定され、8月から施行されているところでございます。
 中山間地域等直接支払制度の中では先ほど申し上げたような1万円の加算措置がありますけれども、こういった加算措置を受けるためには、一義的には県で棚田地域振興計画を策定する、その上でそれぞれの地域を指定して、またそれぞれの地域で棚田地域振興活動計画あるいは棚田地域振興協議会をつくるというのが要件になっております。
 こういったことに基づきまして、県では、県内の該当するところがすべからく加算措置を受けられるよう、ことし2月に岩手県棚田地域振興計画を策定しているところでございます。
〇川村伸浩委員 そういった意味で、この第5期対策は、前向きに自分たちの地域を守っていこうとする地域の方々には厚く手当てをしていこうというのが趣旨ではないかと思っております。手を挙げたところに加算していくのは当然でありますけれども、県として誘導も大変大切ではないかと思っております。その誘導なり、支援なりといった方策について考えがあればお願いしたいと思います。
〇藤代農業振興課総括課長 中山間地域等直接支払制度の加算措置等への誘導についてでございますが、先ほど課題で出されておりましたとおり、地域ではやはり高齢化あるいは担い手の減少が進んでいますので、この先5年間取り組めるだろうかという不安の声を聞いております。
 県としても、集落等が広域化して取り組む、あるいはスマート農業も入れて、大丈夫、こういうこともできますというような事例を紹介して、中山間地域等直接支払制度の取り組みができるように進めております。また、第5期対策の新たな加算措置はまるっきり制度的に新しくなるものですので、こういったところを進めていくため、まずは市町村を対象とした説明会を行っております。また、制度の内容を解説したパンフレットも地域に配布させていただいて理解を深めていただくこと。さらに、先ほど申し上げました棚田地域振興活動加算については、中山間地域等直接支払制度の対象面積2万4、000ヘクタールのうち1万3、000ヘクタールぐらいが対象になるのではないかと見込んでおりますので、該当する市町村に説明会、あるいはお邪魔して、それぞれ取り組めないかという働きかけを行って意向などを調査しているところでございます。今後とも市町村と連携しながら、地域で積極的に制度が活用されるように取り組んでいきたいと考えております。
〇川村伸浩委員 農家の方々なり集落協定を構成している方々は、現状に対して非常に一生懸命やられていると思います。ただ、そういった情報を……。さまざまな講習会なりパンフレットもつくられているようではありますけれども、ぜひ県としても市町村と協力しながら、裾野の広い新たな第5期対策への対応をお願いいたします。
〇千葉秀幸委員 私からは、午前中、千葉伝委員が質問されました鳥獣被害について質問させていただきます。
 近年、鳥獣の繁殖が進み、水稲、田の掘り起こし、稲のなぎ倒し被害が拡大しているという観点から、鳥獣対策について1点だけ伺います。
 まず、野性鳥獣の県内における実態をどう把握していらっしゃるのか。あわせて、県内における被害額も教えてください。
〇今泉担い手対策課長 野生鳥獣による県内の農作物被害でございます。
 まず、県内の被害額を先に説明しますけれども、平成30年度時点では、ニホンジカによるものが約1億9、000万円、ツキノワグマによるものが約4、200万円、イノシシによるものが約1、500万円など全体で約3億7、000万円ほどになってございまして、これは、5年前の平成26年度に比べて2割程度減少している状況でございます。
 特徴的なものでございますけれども、近年、被害が拡大傾向にありますイノシシは、緊急捕獲活動支援事業と指定管理鳥獣捕獲等事業の2事業を合わせて、平成30年度は243頭捕獲しております。これは前年度よりも160頭多い捕獲頭数になっております。
〇千葉秀幸委員 それでは、イノシシに特化してお聞きします。
 イノシシは、本県では生息域が拡大して、県内ほとんどの市町村で目撃されているという情報を伺っております。そこで、被害を防ぐために狩猟免許取得と。狩猟免許所持数について、平成30年は銃猟が1、803人、わな猟が1、221人となっておりますが、これは県内全域に偏りなくいるのでしょうか。
〇今泉担い手対策課長 県内の狩猟者登録数でございますけれども、全ての市町村において狩猟者の方はいらっしゃいます。ばらつきについては、どのくらいというのは把握していませんが、農作物の被害対策に当たりまして、市町村では狩猟者等が構成員になって鳥獣被害対策実施隊を設立しております。この実施隊の方々によって有害鳥獣を捕獲する体制が整っております。また、猟友会にもいろいろと御支援、御協力、連携するといった取り組みもしておりまして、今のところ、県内で捕獲に非常に苦労しているという地域はないのではないかと考えております。
〇千葉秀幸委員 それでは、捕獲方法についてですけれども、農林水産部では鳥獣被害防止対策事業の中にICTを使った被害防止対策というのがありますが、具体的にはどんなものか、また、その成果について示していただきたいと思います。
〇今泉担い手対策課長 ICTを活用したイノシシの捕獲対策ですけれども、県では、県内9カ所でICTを活用した箱わなによる捕獲実証を行っております。この箱わなは、センサーによりイノシシの大きさを判別し、捕獲できるものでありまして、例えば、センサーを成獣の大きさに合わせれば、成獣と一緒に行動している幼獣も同時に捕獲できるものでございます。
 また、箱わな周辺に監視カメラを設置しまして、イノシシの行動を記録し、分析することで、より効果的かつ効率的な捕獲ができるように取り組んでおります。
 さらに、今年度からイノシシ被害の多い県内4市町村におきまして、赤外線カメラを搭載したドローンを使って生息場所あるいは生息頭数の調査を行っておりまして、より効果的な捕獲につながるよう取り組んでいるところでございます。
〇千葉秀幸委員 このICT捕獲技術向上のため、さまざまな研修会、管理の現地指導、地区への支援などもこの事業には含まれていると伺っております。現場の声を聞いて対策を話し合ったり、今の被害状況や今後懸念されることを周知したり、また、わな猟などの資格を取ってもらえるような声がけも勉強会を通じて活発にやるべきと考えております。
 地元の方から、地元でもイノシシの被害が出てきている、だが、被害が今は小さく、件数も少ないからなかなか市民に伝えても反応が悪いと言われました。まずは県や市町村から、被害の深刻さ、情報をみんなに周知してもらいたいという声もいただきました。今現在、どの程度その勉強会が開催されているのか、その中身についても簡単に教えていただきたいと思います。
〇今泉担い手対策課長 県が主催する研修会でございます。今年度について御説明しますと、5月から2月にかけて、圏域段階あるいは地域段階でほぼ毎月開催しております。
 圏域段階では、今お話がありましたイノシシの捕獲技術の向上のための研修会、あるいは地域の指導者等の育成のための研修会を開催しております。また、地域段階におきましては、広域振興局で、イノシシやハクビシンあるいはツキノワグマなど、その地域で課題になっている獣種を対象とした研修会などに取り組んでおります。
〇千葉秀幸委員 ある市町村では、集落の農家に狩猟免許取得を呼びかけ、免許を取得させて一定の成果を出しているとも伺っております。また、地域が広過ぎると捕獲が難しいので、生息地域を絞って集中的に捕獲するのが効果的と考えますが、ICTの研究をしても、まだ有効な捕獲策が見つかっていないと今お聞きいたしました。
 私は、今の取り組み状態では、イノシシの被害はどんどん深刻になるだけという認識です。具体的な捕獲方法もまだわかっていないですし、鹿に比べると被害が少ないからという理由なのか、イノシシの頭数はふえても被害額が少ない。どういう理由かわかりませんが、このままだといい成果が見られないという認識です。
 鹿のときと同様、被害が深刻になってからようやく動き出す。そのころにはイノシシもかなりの頭数になっていて、対策のために多くの人や予算を使うことになると私は思っております。イノシシも鹿同様に、1回に5頭も6頭も産むということで、被害が大きくなる前に対策を打ち出していただきたいと思います。
 個人的には第2次イノシシ管理計画も見直すべきと思っておりますが、これは環境生活部のことなので質問はしません。今現在、特に生息域が拡大しているのは県南であることから、環境生活部あるいは市町村と連動して、地域を絞って大量捕獲やICT研究をより活発に進めていくことも考えますが、前向きな答弁をお聞きできることを期待して終わりたいと思います。
〇今泉担い手対策課長 今後の対策でございますけれども、先ほど御答弁申し上げましたとおり、今年度は、奥州市など県南の被害の多い市町を対象としまして、ドローンの実証をしているところでございます。具体的には、先ほど申し上げましたが、生息場所あるいは生息頭数の調査で、この調査結果を踏まえて、より効果的な捕獲につながるよう、わなの設置場所について、ここに置いたほうがいいのではないかとか、そういった実証をしながら活用につなげていきたいと考えております。
 また、それ以外の取り組みでございます。被害の防止に向けては、やはり地域ぐるみで活動していただくことが非常に重要になってきます。そのため、県では、奥州市をモデル地区の一つに設定いたしまして、例えば被害状況マップの作成、あるいは里山周辺の除間伐等の環境整備等を地域で取り組むことを支援しているところでございます。
 今申し上げましたドローン、あるいはICTの技術実証を進めていきながら、今後とも市町村あるいは関係団体と連携しまして、イノシシの被害防止対策の一層の充実強化に取り組んでまいりたいと思います。
〇吉田敬子副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後3時1分 休 憩
午後3時23分再開
〇柳村一委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日、延べ9人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 それでは、私も新型コロナウイルス感染症に関する農政関係の被害状況、対応についてお聞きしますが、生乳については、学校給食用の生乳のシェアは1%から2%程度と。3月は春休みがあるので0.9%程度ということでしたが、岩手の牛乳は、県外の学校給食でも使われているのではないかと思いますけれども、これも入ってこのシェアですか。
〇高橋流通課総括課長 委員から御質問のありました牛乳のシェア1%というお話でございますが、今回、影響があった本数につきましては、県内の本数を積み上げたものでございます。一部、乳業メーカーによっては県内以外にも出されているようなところもお聞きしておりますが、恐れ入りますが、今データを持ち合わせておりません。
〇菊池畜産課総括課長 3月の生乳の状況でございますけれども、飲用向けが県内で43%でございます。学乳向けが、委員が先ほどおっしゃったとおり0.9%でございます。そのほか、加工原料乳が17%、残りが発酵乳等ということで、いずれ全てが県内ということに、全てといいますか、県外に学乳が行っているということではございません。
〇斉藤信委員 私が聞いたのは、岩手は酪農王国なのだから、県内の消費というのは、ある意味、一部なわけですよ。県外に出しているわけでしょう。だから、県外でも学校給食に使われているのではないかと聞いたわけです。そういう趣旨ですよ。
 それで、国の施策では、加工乳に転換して、その差額は補填します、こうなっていますね。この差額はどのぐらい予想されますか。
〇菊池畜産課総括課長 学校給食向け牛乳が加工向けに仕向け変更されますことによって、3月のプール乳価は想定された単価より低下すると考えられますが、全農県本部の試算では、その下げ幅は1円程度と見られております。
〇斉藤信委員 私は補填される額を聞いたので、後で計算して示してください。皆さんが同じ質問をしているから、私はそれにかかわって聞いているのでね。
 それで、生花の影響というので、これは昨日の新聞では、盛岡市の生花市場は卸値が半額になって、生花店では販売が2割、3割減だと。私はかなりの影響だと思うけれども、こうした状況を県としてどう把握しているか、そして、生産者にどういう影響があるのか。これはどうですか。
〇菊池農産園芸課総括課長 花についての御質問と承りました。岩手県は、平成30年の農業産出額の中で約42億円花を売っておりますけれども、そのうちリンドウが20億円、小菊が5億円。ただ、一般に夏から秋にかけての花の産地でございます。そういった意味では、今この3月に限って言えば、全体の産出額の1%程度の花でございます。そういった意味では、全体の中では大きな影響には至っていないかと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 私は把握が曖昧なのではないかと思います。現場は卸値が半額とか、生花店で2割、3割の減収。特に3月は、やっぱり卒業式の時期。そういう形で、ある意味、お店にとってみれば書き入れどきなのですよ。これがほとんど自粛で、あとは生け花教室なども全部中止、こういう状況だと報道されています。42億円の1%というのは、額とすれば決して少なくないのですよ。だから、もっと現場感覚でこの影響を受けとめて、しっかり対応していただきたい。
 次に、TPP11、日EU経済連携協定、日米貿易協定による影響について、輸入増の状況について示してください。あわせて県内農家への影響はどうでしょうか。
〇米谷農林水産企画室企画課長 輸入増の状況と県内農家への影響についてでありますが、財務省の貿易統計によりますと、TPP11発効後の平成31年1月から令和元年12月までの発効国からの輸入量についてですけれども、牛肉につきましては前年比103%、豚肉が前年比108%となっております。日EU経済連携協定発効後の平成31年2月から令和元年12月までのEUからの輸入量は、牛肉が前年比585%、豚肉が前年比111%となっております。
 また、日米貿易協定発効後の令和2年1月の米国からの輸入量は、牛肉が前年比122%、豚肉が前年比109%となっております。
 あと、県内の農家への影響ということでございましたけれども、これにつきましては、東京食肉市場における枝肉の価格で御説明させていただきますが、独立行政法人農畜産業振興機構が公表した資料でございますけれども、牛枝肉の卸売価格でございます。和牛の去勢が、昨年4月以降、ほぼ前年同月を下回りまして、本年1月の価格はA5等級で前年比96%、A4等級が前年比91%となっております。
 豚肉の卸売価格につきましては、TPP11発効後の平成31年1月は前年同月を下回っておりますが、2月以降は、ほぼ前年並みから前年を上回っておりまして、本年1月の価格は、上物が前年比101%、中物が前年比96%、並が前年比98%となっております。
〇斉藤信委員 確実にTPP11、日EU経済連携協定、そして、ことしからは日米貿易協定による輸入が増加していると。私は、やっぱり全面的にこの輸入を自由化することが、日本と岩手の農業をだめにしてしまうと。そういうあらわれが今起きつつあるのではないかと思います。
 先ほど牛肉の枝肉価格のことをかなり立ち入って質問されましたけれども、私は、やっぱりこの輸入自由化の影響と受けとめていいのではないかと思いますが、県の影響試算を含めて改めて示してください。そして、県の対応策も示してください。
〇米谷農林水産企画室企画課長 まず最初に、県の影響試算ということですけれども、昨年12月に国が公表しました影響試算の最終版を踏まえまして、国の算出方法に即して本県農林水産物の影響を求めたものでございますが、日米貿易協定では、生産額が約17億円から約34億円減少すると。あわせて日米貿易協定とTPP11では、生産額が約33億円から約50億円減少するという結果となっております。
 これにつきましては、県ではこれまで、国に対しまして、農林水産業に及ぼす影響などについて十分な情報提供を行うように再三要望してきたところでございますし、あと、総合的なTPP等関連政策大綱に基づきまして、施策を着実に実施するように、国の責任において万全の対策を講じるよう求めてきたところでございます。
 今後とも、本県の農林水産業者が安心して経営を継続できるように、国の責任において万全の対策を講じるよう求めていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 国の試算が改めて示されて、県もそれを踏まえて試算をしたと。輸入量がふえても国内の生産量は変わらないというのが前提なのですね。私はここがよくわからない。輸入量がふえても国内の生産量は変わらないというのは、あり得るのかと。消費がふえなかったらそうなりませんね。ましてや不況の中だから、消費は今減退していますよ。そもそも国の試算の根拠は成り立たないのではないか。それを前提にしたら、県の試算も、やっぱり実態を反映しないことになりませんか。
〇米谷農林水産企画室企画課長 試算方法につきましては、国から示されているのは、生産量が変わらないということで、それにつきましては、経営安定対策などの対策を講じた上で、生産量は減らないということで試算しているということでしか説明を受けておりませんので、申しわけありませんが、それ以上のことは申し上げられません。
〇斉藤信委員 これは算数の問題なのです。輸入量がふえても国内の生産量は変わらないとなったら、ふえた分、誰が食べるのですか。今の不況のもとで消費は、特に牛肉は高いですから、これは実際に減少していますよ。だぶつくじゃないですか。実際にそういう形で牛肉の枝肉価格が落ち込んでいるわけでしょう。マルキンが発動するような事態になっているわけでしょう。
 私はそういう点で、国が、以前は、自由化で輸入がふえて、これだけ影響が起きる。それを踏まえて対策が講じられた、影響試算が示された。今、前提が違うのですよ。輸入がふえたって生産量は変わらない。答えを先に出してやるから、実際の生産現場の困難が見えなくなってしまう、ごまかしてしまうことになるのではないか。
 まあ、あなたを追及しても仕方がないのでこれ以上やりませんが、私は、確実に牛肉の枝肉価格が落ち込んでいるということは、やっぱり国の試算の破綻だと。そういう点でも、岩手は畜産の比重が農業生産額で大変高いので、本当にこれを重視して、現場の実態に合った対応策を強化していただきたい。
 次に、農業生産額の推移と農業所得、農家所得の推移についてお聞きいたします。
〇今泉担い手対策課長 まず、本県の農業産出額でございますけれども、平成30年度で2、727億円となっております。これは、5年前の平成26年度に比べまして375億円の増となってございます。
 また、農業所得の推移でございますけれども、本県の生産農業所得でございますが、平成30年度で937億円となっておりまして、5年前に比べまして282億円の増となっております。
〇斉藤信委員 農業生産額というのは、物が少なくなれば価格は上がるので、生産量と推移しないのが私は特徴だと思うけれども、恐らく生産量は減少しているのではないですか。
〇小岩技監兼農政担当技監兼県産米戦略室長 生産量のお尋ねでした。基本的には、畜産と耕種部門に分けてお話しいたしますと、畜産部門につきましては、大家畜等については若干頭数が減っていることもありまして出荷頭数は減ってきておりますが、逆に豚とかブロイラーはかなり増羽、増頭しておりまして、出荷する豚肉、鶏肉もふえております。こういうことが牽引して産出額の増につながってきていると思っています。
 一方、耕種部門ですけれども、委員御指摘のとおり、本県は生産量がふえているかというと、なかなか今そうも言い切れないような状況があるのですが、物が少なくなって、逆に単価が高くなって、結果として産出額が上がったという構図は若干あろうかと思います。こういうこともありますので、特に耕種部門につきましては、今、生産量を上げるような取り組みを鋭意しているということになります。
〇斉藤信委員 やっぱり農業の生産力といったときに、生産量がふえているかどうかが基本だと私は思います。
 それで、それを見ると、2、727億円の農業産出額のうち、米は、量が減っているのに額は上がっている。これは米価が若干上がったということなのでしょう。一方で、今お話しになった畜産は、平成30年度で1、608億円で、前年は1、670億円でしたから、高い水準ではあると私は思いますけれども、平成30年度は若干減ったと。
 畜産が平成30年に減ったのはなぜですか。
〇小岩技監兼農政担当技監兼県産米戦略室長 なぜこれまで伸びてきた畜産が減ったかということですけれども、特にブロイラーですが、私ども国の平成26年法制などのクラスターの事業を使いながら、かなり増羽をしてきました。一方、もう一方の産地である宮崎県、鹿児島県でも同様に増羽してきていまして、結果、需給バランスが崩れてきているということで単価が下がったのではないかと思っております。
 ただ、今後、需要の増を図りながら、売れるようになれば、当然単価も持ち直しますし、産出額の増につながっていくものと思っています。
 いずれ畜産のほうは、特にブロイラーですけれども、若干つくり過ぎた面があるということであります。これは全国的にです。これまでブロイラーが好調だったものですから、強気の政策だったということになりますけれども、今ここを耐えることができれば、さらなる発展につながっていくと思っています。
〇斉藤信委員 先ほどの議論では、岩手牛のブランド化という議論がありました。私は、ブロイラーは、まさに全国有数の生産量、生産額で、岩手に来たらこんなにおいしい鶏が食べられるというような押し出しもまた必要なのではないのかと思います。いわば岩手のブロイラーのブランド化、そういう点の取り組みはいかがでしょうか。
〇小岩技監兼農政担当技監兼県産米戦略室長 本県のブロイラー産業につきましては、先ほど申し上げましたとおり、企業的な経営体になっている、いわゆるインテグレーターということで、生産から販売まで独自の取り組みでブランド化を図っております。そして、それを束ねる組織として岩手県チキン協同組合があります。ここには本県のインテグレーターが全て入っておりますけれども、そこと一緒になって、県全体のチキン、ブロイラーのブランド化の取り組みを進めておりますので、今後もそういう関係団体が一緒になって、岩手県産のブロイラーのPRに努めていきたいと思っております。
〇斉藤信委員 わかりました。畜産県岩手をさまざまな形で押し出すように、取り組みの強化をしていただきたい。
 次に、米の生産額は平成30年度上がったのですけれども、直接支払交付金が廃止されました。この影響がどういう形で生産農家にあらわれているのか。10ヘクタールの農家、100ヘクタール規模の集落営農では、どういう影響を受けているか。あわせて、集落営農組織の実態と法人化の現状を示してください。
〇佐藤水田農業課長 米の直接支払交付金ですが、これは、主食用米の作付に対して10アール当たり7、500円を交付する制度であり、平成29年度で終了してございます。交付額を経営規模別に見ると、水稲作付10ヘクタールの経営体では約75万円、100ヘクタールの経営体では約750万円が交付されていたところでありますので、交付金の廃止は、大規模な経営体ほど影響が大きかったと考えております。
〇今泉担い手対策課長 県内におけます集落営農組織の実態でございます。
 法人化計画のあります集落営農組織ですが、平成30年度末で381組織となっております。このうち法人化した組織につきましては、この5年間で105組織から210組織になるなど、着実に増加しているところでございます。
〇斉藤信委員 集落営農組織そのものの数が減っているのはなぜですか。
〇今泉担い手対策課長 集落営農組織のうち、任意組合が法人へ移行するために統廃合した等の理由によります。
〇斉藤信委員 わかりました。じゃ、最後の質問です。
 放射性物質被害畜産総合対策事業費が来年度も8、605万円余計上されております。来年度も継続というものもあります。
 それで、これまでの実績と今後の見通しを示してください。
〇菊池畜産課総括課長 先ほどの乳価の関係をまず先にお答えさせていただきます。
 乳価の価格差でございますけれども、用途別、企業によって異なっておりまして、公表されていないことから、実際の金額は不明でございますけれども、今回、国で全額補填することになっております。
 それから、ただいまの質問でございますけれども、放射性物質被害畜産総合対策事業費のこれまでの実績と今後の見通しということでございますが、県ではこれまで、牧草地の除染でございますが、約1万2、000ヘクタールを行うとともに、4万6、000点の牧草等の検査、さらには、汚染された牧草等が焼却等により処理されるまでの間、適正に保管するための一時保管施設を県内49カ所に設置するなど、放射性物質の影響への対策を行ってまいりました。
 現時点で、発生いたしました汚染牧草約2万トンでございますけれども、安全性を確認しながら焼却処理を進め、おおむね処理が完了したところでございます。
 今後につきましては、安全な牛肉等を生産していくため牧草等の検査を継続するとともに、国が処分することとしております8、000ベクレルを超過いたしました汚染牧草等の処分が完了するまで、適正に保管できるよう、施設の維持、修繕経費等を支援してまいります。
〇斉藤信委員 福島から200キロメートル以上離れているにもかかわらず、岩手でこれだけの原発事故の影響を受けた、被害を受けたと。これは本当に忘れてはならないことだし、しっかり国の責任で最後までやっていただきたい。
〇千田美津子委員 それでは、何点か質問いたします。
 まず、米政策についてお聞きします。
 先ほど来、米についてはいろいろ議論があったところですが、まず、令和元年産米の相対取引価格、それから規模別の生産費はどのような状況になっているか。それに、どういう規模の農家は採算がとれ、赤字の農家の実態はどうなのか、規模別にお知らせいただきたいと思います。
〇佐藤水田農業課長 稲作農家の収入の状況でございますけれども、令和元年産のひとめぼれの相対取引価格は、出回りから令和2年1月までの公表値で、60キログラム当たり1万5、336円となっております。
 次に、米の生産費でございますが、例年、翌年10月末の公表となっておりますので、令和元年産についてはまだ公表されておりませんことから、現時点での最新のデータである平成30年産と比較しますと、規模別の全算入生産費は、60キログラム当たり、1ヘクタールから2ヘクタールでは1万6、174円、2ヘクタールから3ヘクタールでは1万4、163円であることから、2ヘクタール以上の規模で相対取引価格が生産費を上回っているところでございます。
 それで、2ヘクタール未満の稲作農家の状況でございますが、2015年の農林業センサスによりますと、経営体としましては大体86%、それから、面積の割合としましては42%という状況になっております。
〇千田美津子委員 今、御答弁いただきました。まず、規模別の経営体の中で一体どれだけの農家が赤字になっているのかという部分では、2ヘクタール以下が86%というお答えでございました。
 それから、答弁の中で採算ベースは、そうすると2ヘクタール以上でないと生産費を賄えないということで、私も1町歩ちょっとぐらいにしかならないのですが、大幅な赤字になっているなと思います。
 そうすると経営体数、42%ということでありますが、岩手の実態が、86%は採算がとれない。私は、国連が家族農業の10年を定めて、今、小規模家族農業が果たしている役割が非常に大きいということで、10年間これを延長しました。国連が提唱したように、小さな家族農業、岩手であれば、86%でありますから大半が家族農業と言われますけども、やっぱり大規模農家だけの政策ではなくて、この86%の小規模農家に光が当たるような政策が必要ではないかと思います。
 そういった点で、国の現状がそうはなっていないと思いますが、県としては、これらの現状と、これからの対策についてどのように考えていらっしゃるか、お聞きします。
〇佐藤水田農業課長 今後の対策についてでございますけれども、確かに数字だけで相対取引価格と生産費を比較しますと、大きな面積が赤字になっているところでございます。経営を黒字化するためには、やはり効率のよい営農をやらなければならないということでございますので、規模拡大し、集約し、効率のよい経営体を育成し、赤字を回避するような取り組みと、もう一つは、生産費がかかっているということでございますので、その生産費をいかに引き下げるかという努力がございます。資材なり作業効率なりを工夫して、生産コストを下げる取り組みを推進してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 次の部分で出てきますけれども、本当に相当な努力があって黒字化されて、集落営農をやったり営農組織を立ち上げたりして頑張っているところはいいのですが、そうならない部分について、私はやっぱり政策が必要だと思います。効率の追求ということだけ続けていたら、これは破綻してしまうのではないかと思いますので、その点、もう一度お聞きします。
〇佐藤水田農業課長 稲作を産業と捉えた場合には、やはり効率を上げまして、産業としてコストを引き下げて収益を上げていくという部分がございますし、それから、中山間地等の水田作を考えた場合に、効率以外に、地域政策等を用いました集落機能の維持という部分も必要になってくるかと思います。
〇千田美津子委員 次に行きます。飼料用米についてお尋ねいたします。
 今、飼料用米の作付面積が全国でどんどん減っています。2017年産が9万2、000ヘクタールがピークだったわけですけれども、2019年産が7万3、000ヘクタールまで減少しております。このために水田活用直接支払交付金が減額されているわけですが、岩手の飼料用米の作付面積はどのようになっていますでしょうか。それから、交付金額の実績をお知らせください。
〇佐藤水田農業課長 岩手県の飼料用米の作付面積でございますが、ピークであった平成29年産は4、676ヘクタールであり、令和元年産につきましては3、724ヘクタールとなっております。
 なお、交付額につきましては、国としてまだ公表していないため不明ですが、ただ、飼料用米を含めました麦、大豆等を作付した場合に交付される戦略作物助成と、二毛作や耕畜連携など産地づくりに向けた取り組みを支援します産地交付金を合わせた水田活用直接支払交付金の額は、平成29年度が137億円、平成30年度が129億円となっております。
〇千田美津子委員 もう一つ、水田農業高収益化推進助成についてお聞きします。
 国は、飼料用米の生産支援を今までずっと強化してきたわけですけれども、そういう政策から、野菜や果樹など高収益作物への支援にシフトしようとしています。そういう中で、水田農業高収益化推進助成が新設されるようでございます。これは、水田農業高収益化推進計画に基づいて、連携し、基盤整備あるいは栽培技術や機械の導入、水田での高収益作物への転換を推進するものだと思います。
 こうなると、これまで進めてきた戦略作物である麦、大豆等への支援が、現在だと10アール当たり3万5、000円なのですが、これらに比べると畑地化支援では10アール当たり10万5、000円と3倍の支援となります。さらに、飼料用米への支援が今10アール当たり5万5、000円でありますので、戦略作物が何となく軽視されてきた、そういう状況にあるのではないかと思いますが、この新たな水田農業高収益化推進助成制度について、改めてお聞きいたします。
〇佐藤水田農業課長 高収益作物畑地化支援の内容についてでありますが、高収益作物による畑地化の取り組みに対して、1回限りではありますが、10アール当たり10万5、000円が交付されるものであり、本支援を受けた水田につきましては、水田活用の直接支払交付金の交付対象水田から除外されることになり、以降、交付金を受けることができないものでございます。
〇千田美津子委員 畑地化ですから、田んぼを畑に誘導する、変えていく政策だと思います。そしてもう一つ、畑地化とあわせて高収益作物定着促進支援がありますね。これについても御説明をお願いします。
〇佐藤水田農業課長 これは、高収益作物の推進計画に基づきまして高収益作物を作付した場合に、10アール当たり2万円、これは5年間交付されるといった制度でございます。
〇千田美津子委員 先ほど菅野委員から、これからの岩手の農業を考えたときに、園芸産地をどうつくっていくかという議論もありました。そういう部分では、この畑地化を推進し、また、今の10アール当たり2万円ですか、高収益作物定着促進支援と、さまざまな名称が出てくるものですから覚え切れないのですけれども、これが5年間交付されるということで、いわば水田を減らしていく政策が今度出てきたということになるわけであります。岩手県としては、この事業を今後どのように推進していこうとされているのか、その点をお聞きしたいと思います。
〇佐藤水田農業課長 この高収益作物に対する推進方針でございますけれども、生産者の所得を向上させていくためには、優良農地であります水田を有効的に活用することは重要でございます。麦、大豆も確かに重要でございますけれども、高収益を得られる園芸なり、そういうものにつきましても今後推進してまいりたいということで、トップモデル事業とか、水田で高収益な園芸作物を推進するためのいろいろな施策を展開しているところでございます。
〇千田美津子委員 推進していくのはいいのですけれども、岩手県では、この推進計画をつくって推進するとなっておりますが、例えば、農業者や農協とは、こういうことで議論し、また、こういうふうに進めていこうという話し合いは何かなされているのでしょうか。
〇佐藤水田農業課長 この制度は、ことしになってからいろいろ事業の内容がわかってきたこともございますが、ただ、名称等につきましては、事前に担当者会議等で振興局あるいは市町村、農協にも御連絡してございましたので、座談会においても、こういう事業がありますという紹介はしているところでございます。
 いずれ、これから計画の本番になってくるということでございますので、これからもいろいろと振興局等と連携いたしまして、事業を推進してまいりたいと考えているところでございます。
〇千田美津子委員 菅野委員の質問のときに技監から、例えば園芸の産地化という部分で、県南ではそれは田んぼでやる、県北では畑でやるというようなお話がありました。これは、畑地化して高収益作物を定着させようという新たな事業でありますけれども、この事業は、そうしますと県北にやるというのか、それとも県南の水田にふやそうとしているのか、そういう方針はないでしょうか。
〇小岩技監兼農政担当技監兼県産米戦略室長 私が、県南のほうは田んぼで、県北のほうは畑でと言いましたのは、まずは、土地利用型野菜の分でこれをやりたいと思っておりますし、あと、中山間地域の余り広くないような土地の部分では施設園芸をやりたいということで述べました。
 米に関しましては、全体を見ますと毎年毎年十二、三万トンずつ米を食べる日本全体の胃袋が小さくなってきています。ですから、国、そして全国の都道府県が今一緒の方向で動いておりますけれども、売れる米づくり、需要を見ながら米をつくっていかないといけないような状況にまずはあります。その上で、田んぼを有効に活用していくための方策として今回のような事業もあるものだと思っております。
 あくまでも各地域地域の生産者、そこに市町村も入って、我々も入って、この地域について、どのようなもので農業振興を図っていくのかを話し合った上で、この事業に手を上げる、あるいは上げないということを判断していくべきものだと思っております。私どもといたしましては、とにかく正確な情報を皆様にお伝えしていくことに努めていきたいと思います。
〇千田美津子委員 了解しました。いずれ地域の中で、どう地域をつくっていくか、どういう農業にしていくか、そういうことを十分に話し合ってもらう、そこが大前提ということで、わかりました。
 それで、飼料用米のことに戻りますけれども、作付面積が縮小したのは、減反政策の廃止によって主食用米の生産がふえたためで、米を食べる量が減っているというのもありますけども、米の需給が大変不安定になっている問題が根底にあると思います。私は、国として責任ある対策をとる必要があると考えますが、どうでしょうか。
〇佐藤水田農業課長 令和元年産は、ここ数年の主食用米の高値基調により主食用米の生産が増加したため、飼料用米の作付面積が減少したところであります。
 今後、全国的に需要に応じた主食用米の生産が行われないと需給バランスが崩れることが懸念されます。このため県では、国全体での米の需給の安定が図られることが重要と考え、これまで国に対しまして、実効性のある推進体制を確立するよう要望したところであり、引き続き必要な対応を国に求めてまいります。
〇千田美津子委員 よろしくお願いします。
 それでは次の質問ですが、農業人材力強化総合支援事業についてお尋ねいたします。
 政府の目標では2023年までに40歳代以下の農業者を40万人に拡大するという方針がありますが、2018年度実績では33万4、000人と言われております。岩手の状況はどうでしょうか。
〇菊池農業普及技術課総括課長 本県におけます40歳代以下の農業者数でありますが、国が今回試算した数値の県別のデータがないため、直近の2015年農林業センサスで出しますと、40歳代以下の基幹的農業従事者数は4、074人、45歳未満の雇用就農者数は2、312人となっています。
 県では、新規就農者の確保目標を年間260人としておりまして、平成20年度以降200人を超えて推移し、平成30年度は245人となっております。
 今後も引き続き、市町村、関係団体と連携し、新規就農者の確保、定着を支援してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 1点だけ、県別のデータもない、それから、2015年のセンサスの発表ということで、私は、40万人に拡大するという方針はいいのでありますけれども、本当にそこに到達するような政策が見えない、姿勢が見えないのですが、その点どうでしょうか。
〇菊池農業普及技術課総括課長 県といたしましては、若い就農者を増やすために、先ほど申し上げましたように年間確保目標を定めております。これを実現するために、さまざまな機関、市町村と連携しながら、新規就農者の確保、そして経営が安定するような支援をしておりまして、これを引き続き続けていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 よろしくお願いします。
 それでは次に、農業次世代人材投資事業についてお尋ねいたします。
 この事業は、今年度は、国が当初予算を20億6、000万円も大幅に減額したために、市町村から、年齢を引き上げ対象を拡大したのに予算を減らすのはおかしい、追加配分をしてほしいとか、受給できる前提で営農計画を組んでいる若者に全く説明できないなどの批判が相次ぎまして、国は予備費で対応したようであります。
 この農業次世代人材投資事業については、本当にこれからの若い人たちに希望が持てるような事業にしていく必要がありますが、来年度の見通しについてお尋ねいたします。
〇菊池農業普及技術課総括課長 次世代人材投資事業の来年度の見通しでありますが、その前に、ことしの実績を若干お話しさせていただきたいと思います。
 今年度2月末時点での交付実績は、準備型が10名、経営開始型が250名の合計が260名でありまして、全市町村の要望を充足しております。
 次に、来年度の予算の見通しですが、農林水産省の令和2年度予算の概算決定額は160億600万円でありまして、これは令和元年度予算154億7、000万円に対しまして3%の増額となっております。
 また、来年度の予算配分は、国が4月、8月末、12月末の3回に分けて追加配分することとしており、県では、市町村の執行状況を確認しながら、国に対して追加要望を行い、必要額を確保してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 国の予算が3%ふえるということはわかりました。それで、配分スケジュールが示されたとのことですけれども、岩手県では、この事業に応募する方の見通しはどうなのでしょうか。
〇菊池農業普及技術課総括課長 来年度の次世代投資事業の要望状況、現時点で把握している分でございますけれども、準備型は、継続したいという方が4名、それから、新規で取り組みたいという方が10名、経営開始型が、継続が179名、新規が44名の合計223名で、準備型と経営開始型を合わせて237名となっております。
〇千田美津子委員 せっかく国でも3%増ということで予算を組まれたようでありますので、ぜひ、そういう若い皆さんが、積極的に手を上げられるような指導をしていただきたいと思います。
 それでは、最後に家畜保健衛生所の検査機器の整備についてお尋ねいたします。
 国は、家畜伝染病の早期発見、封じ込め、水際検査強化対策として、家畜保健衛生所の検査機器の整備をし、監視体制の整備を行うとしておりますが、県内の検査機器の整備の状況、あわせて検査体制、人員体制についてもお尋ねいたします。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 家畜保健衛生所の検査機器の整備についてでございますが、県はこれまで、豚熱などを含めた家畜伝染病の迅速な診断体制を維持するため、国の予算も活用しながら、計画的に検査機器の整備、更新をさせていただいているところでございます。例えば、来年度もリアルタイムPCRの予算も盛り込ませていただいております。
 また、人的な体制の面でございますが、迅速かつ正確な診断に向けまして、家畜保健衛生所の獣医師職員を対象に、国が開催する研修等を受講させるなど、職員の育成にも取り組ませていただいております。
〇千田美津子委員 1点だけ。この家畜保健衛生所は、県内に県北、中央、県南の3カ所だと思いましたけれども、検査機器がいろいろ整備されていますが、それぞれ3カ所に必要な機器が備わっていると考えてよろしいでしょうか。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 委員おっしゃるとおり、それぞれの家畜保健衛生所で必要な機器を整備させていただいております。あと、特に中央家畜保健衛生所には、病性鑑定課というより精密な検査をする部署がございまして、そこには遺伝子検査機器とか専門的な機器を配備しております。
〇工藤勝子委員 農林水産業における女性活躍支援についてお伺いいたします。
 今日では、農林水産業において、経営者であったり、6次産業化による加工分野において、自分の培ってきた技術を生かし、道の駅や直売所等での販売、さらには新たな販路を見出したりと、地域のリーダーとして活躍する女性が多くなってきております。
 このことは、今日までの普及事業における女性のグループなどの組織づくりや各種技術力の向上、そして、さらには経営の学習、青色申告に取り組む女性もいるわけでありまして、その指導の成果があらわれているものと私は思っております。
 私の周りにも、生き生きと活動し活躍している女性がたくさんおります。自分の生活、そして体力に合ったスタイルをつくり出し、農業のイメージチェンジを図ったり、地域づくりとともに、今、自分の住んでいる地域が高齢社会になってきていることから、私たちはこれからどうやって新しいステージをつくっていこうかと、今、仲間と話をしているところでもあります。
 そういう中において課題は、若い世代にどのようにつないでいけるのかということだと思っております。そういう中で、女性が活躍できる支援事業を聞きますと、岩手県男女共同参画の推進に基づいてという話もございましたが、ぜひ、この支援事業の環境づくりをどのように推進していこうとしているのかお伺いいたします。
〇米谷農林水産企画室企画課長 女性が活躍しやすい環境づくりの推進についてでございますけれども、平成28年度に県が策定しましたいわて男女共同参画プランにおきまして、農林水産業において、男女が対等なパートナーシップを発揮し、いきいきと働いている姿を目指しまして、農山漁村における男女共同参画の意識改革、あるいは農林漁業経営における女性の参画への促進に取り組んできたところでございます。
 いわて県民計画(2019〜2028)におきましては、仕事・収入の分野の中の、意欲と能力のある経営体を育成し、農林水産業の振興の項目において、女性農林漁業者の活躍促進を位置づけておりまして、女性の農林漁業者が活躍しやすい環境づくりやネットワークの構築を図るために、家族経営協定の締結促進、あるいは農山漁村ビジネスの新たな展開やそれに取り組む人たちの情報共有、相互研さんのためのネットワーク構築などを支援すること、あるいは女性農林漁業者の方々のグループ活動を支援することなどの支援を行うこととしております。
 県といたしましては、これらの計画に基づきまして、農林水産業における女性が活躍しやすい環境づくりを進めていきたいと考えているところでございます。
〇工藤勝子委員 それでは、今までのそういう活動の中で、成果をどのように捉えていらっしゃいますか。
〇米谷農林水産企画室企画課長 家族経営協定の締結の数も増加してきていることとか、農業農村指導士等に占める女性の割合の数が着実にふえていること(後刻「昨年度から今年度にかけまして実数として減っておりました」と訂正)、あるいは、そういった指導に当たる方々の割合がふえていることなど、あと、起業に取り組むグループの数あるいは個人の方々がふえてきているとか、そういったものが着実にふえてきているのではないかと感じております。
 これも、皆さんが長年取り組まれてきた成果が、着実に結びついているものではないかと感じております。
〇工藤勝子委員 私も20年ほど前に家族経営協定をしております。息子夫婦が結婚するときに家族経営協定をいたしました。そういう中において、今もって守られていることもございます。見直しはしていないのですけれども、見直しをしなければならない農家もあるのではないかと思っております。
 遠野市では、農業委員会の委員全員が家族協定をしたときもあります。そういう形の中で、確かにこういう家族経営協定は、平成31年3月現在、1、937戸ということになっております。東北では岩手県が一番多いわけであります。それでも全国には3、000件を超えている県があります。栃木県とか長野県とかは多いですね。
 今後の目標をどのように定めているのかお伺いいたします。
〇高橋農業革新支援課長 家族経営協定の目標ということでございますけれども、いわて男女共同参画プランにおきまして、令和2年度までに、認定農業者6、800経営体の30%に当たる2、040戸の締結を目標にして、毎年50戸の締結を推進することを目標として取り組んできております。
〇工藤勝子委員 やはりこの協定をするには、まず、女性の意識改革が必要です。やはり経営者と一体となって自分も経営に参画するという意識を持たなければ、協定に結びつかないわけであります。それとあわせて経営者―男性ですけれども―に理解されるという取り組みもしていかなければならないわけです。そうすると、女性だけにターゲットを絞るのではなくて、逆に経営者にもターゲットを絞って一緒にやらなければ、この締結は目標の2、040戸にはなかなか難しいのではないかと考えられるわけです。
 ですから、男性の集まりのある、集会のあるたびに、この家族経営協定締結のメリットなり、そういうものをしっかりと男性の経営者にも説明する機会を持つべきだと思いますが、その点はいかがでしょうか。
〇高橋農業革新支援課長 委員御指摘のとおり、家族経営協定につきましては、女性が農業経営に占める役割を明確にするという位置づけもございますけれども、女性や後継者の経営参画への意識の醸成とか家族農業の働き方改革にもつながっていくものでもございますので、さまざまな場面を通じまして、家族経営協定の締結について働きかけてまいりたいと思います。
〇工藤勝子委員 ぜひ、そういうチラシなどをつくって、それぞれの何か集会があったときに配布することも大事ではないかと思っていますので、よろしくお願い申し上げたいと思っております。
 女性の活躍の一つに、地域食文化の継承、振興、特に、昔からの食文化を生かし、さらに、新たな創作をプラスして観光客にも非常に好評なおやつ類も出てきております。
 食の匠の認定があったわけですけれども、100人までとするということで今はやめているわけでございますが、この食の匠の認定者による活動、それから、活躍支援の状況、そして、この新しい認定制度を復活しないのかと。このようなところから若い女性の発掘も考えられると思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
〇高橋農業革新支援課長 岩手県食の匠についてでございますが、最初に、岩手県食の匠の認定制度につきましては、一時期、認定を休止した時期がございましたが、平成19年度から認定を再開しております。現在、地域の食文化や郷土料理等に関する知識、技術を受け継ぎ、次世代への伝承ができる方を岩手県食の匠として認定しており、平成8年度の制度創設から現在まで277の個人、団体を認定しているところでございます。
 食の匠につきましては、食文化や郷土料理の伝承活動のほか、農産加工、販売や農家レストラン等の農村起業活動やグリーンツーリズムの取り組みなどで中心的な役割を果たしていただいていると思っております。
〇工藤勝子委員 私の情報が足りませんでした。申しわけありませんでした。そういう形の中で活躍しているということです。
 こういう人たちをうまく活用する方法を定めていかなければならないのではないかと。せっかく認定して、その腕をそのまま埋もれさせてしまっては大変もったいないわけでありまして、ぜひそういう活動を推進する事業を起こしてほしいと思っております。
 女性が6次産業化に取り組んでいる実態と、今後、加工分野でやりたいという方に対する支援状況についてはどのようになっていますでしょうか、お聞きいたします。
〇高橋流通課総括課長 女性が6次産業化に取り組んでいる実態と今後の支援の見通しでございますが、県の調査によりますと、県内の女性生産者、グループによる農産加工、直売等、いわゆる6次産業化に取り組む事業体は、平成31年3月末現在の数字で423事業体となっております。
 県におきましては、6次産業化に取り組む意欲的な生産者の方々等に対しまして、県が登録する6次産業化プランナーを派遣しております。今年度は、女性生産者、グループに対しまして、8事業者に延べ13回のプランナー派遣を行っております。
 例えば、ドングリを使ったしだみ団子のパッケージ改良やブランディングに関するアドバイス、花の消費拡大のため、一般消費者向けのフラワーアレンジメント教室の開催などについて助言を行ってきたところでございます。
 今後もこうした女性生産者、グループによる取り組みの掘り起こしや育成を進めていくとともに、地域の食品加工業者や小売業者との交流機会を提供するなど、女性生産者、グループの取り組みを支援していく考えでございます。
〇工藤勝子委員 テレビで見たのですけれども、見た目がまずおいしそうということです。見た目がおいしそうでなければならない。そして、何かおもしろいねという感覚。そして、パッケージ。例えば、私たちはいろいろなものをつくっているわけですけれども、必ず不良品が出るのです。捨てます。もったいないと思って、例えばニンジンでも大根でも洗って、規格外れであれば、もうどうにもならないから捨てる。ところが、曲がったり手がついたみたいな大根を、目をつけたり鼻をつけたりしたパッケージに入れると売れたと言うのです。みんなおもしろそうだねと―安く出されるせいかもしれませんけれども。そういうパッケージの工夫も、ぜひ県でアイデアを出していただければいいのではないかと思っているところであります。
 来年度からになりますけれども、ある程度期限があるようですが、漬物加工。私も漬物を漬けて販売しております。アンズから梅、そしてアカカブ、いろいろなものを漬けて販売しています。これからは、ちゃんとした保健所の許可、加工場がなければ出荷できないシステムに法律が変わってきました。それに対して県はどういうふうな目を向けていらっしゃるのでしょうか。多分多くの産直において、漬物を出している農家の人たちはいっぱいいると思います。私のように加工場を持たないでつくっている人たちも多分いるのではないかと思っています。今後、ある程度3年とか期間があるようですけれども、これに対する考え方はどのようにとっているでしょうか。
〇高橋流通課総括課長 ただいま委員からお話ありましたように、食品の衛生管理に関する法律が改正されました。それに伴って、HACCPに準拠する形での生産管理工程について対応が求められるということでございます。
 これに対しましては、農業改良普及センターを中心に、ただいま委員からお話のありました女性の皆様を初め、加工に取り組んでいる皆様方に研修会を実施しているところでございます。そういった形で、順次対応いただくようなことをしっかりサポートさせていただくことで取り組みを進めてまいりたいと思っておりますし、また、そうした取り組みを通じて、さらに安全・安心な食品であるということも順次PRしながら、皆様方の生産、販売活動をしっかりサポートしていきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 ぜひよろしく、いろいろな研修会を通じて周知を徹底していただければいいと思っております。
 県内には、知事が認定された岩手県農業農村指導士がいらっしゃいます。第一線で活躍しております。女性は、もともとは農村生活アドバイザーとして認定されました。私もその一人でありましたが、多分平成16年だと思いましたが、女性も農業農村指導士ということで一体化しております。現在、男性と女性の割合はどのような状況になっているのかお伺いいたします。
〇高橋農業革新支援課長 岩手県農業農村指導士に占める女性の割合でございますが、令和2年2月5日現在で、農業農村指導士166人(後刻「178人」と訂正)のうち女性は37人、21%となっております。また、青年農業士は48人(後刻「53人」と訂正)のうち女性が6人で、11%となっております。
〇工藤勝子委員 これを多いと捉えているか。女性活躍の中で非常に少ないわけですけれども、私が農村生活アドバイザー協会の会長をしていたときに農業農村指導士と一本化されるということで、条件として、女性の農業農村指導士もしっかりと指導しながら一緒にふやしていくようにとお願いしたはずであります。結局、解除になる人たちが多くなってきて、新しい人たちが出てこない状況ではないかと思っているところであります。
 そういう部分におきまして、私は、経営者としての処遇がウエートを占めていると思っています。女性も一緒に経営に参画して家族経営協定していることが条件でありますけれども、経営者を中心とする認定でありますので、どうしても男性のほうに向いてしまうわけであります。ですから、ここでこういう認定をすることによって、こういうところから女性のリーダーが誕生していくのです。どうやって女性のリーダーをつくっていくのかを考えたとき、こういうところから進めていくべきではないか。ということは、もうちょっと女性を認定する要件を緩和していくことも大事ではないかと思いますけれども、どう考えていますでしょうか。
〇高橋農業革新支援課長 農業農村指導士の女性の登用でございますけれども、農業農村指導士自体は、地域の農業・農村の振興に意欲的に取り組んでいるすぐれた農業者でありまして、特に、新規就農者や青年農業者の育成、農業生産活動やアグリビジネス活動での中心的な役割、農業、農村の振興のための提言活動等を期待しているところでございます。
 そういった意味では男女を問わずということになりますけれども、今後とも市町村や関係団体と連携しながら、農業生産活動やアグリビジネス活動で中心的な活動をしている女性農業者を積極的に認定して、地域で活躍できるように努めてまいりたいと思っております。
〇工藤勝子委員 ぜひそういう形の中で、きちっと女性農業リーダーを育てるための環境づくりをこういうところから進めていってほしいと思っております。
 もう一つ、農山漁村いきいきチャレンジ支援事業というものがございます。当初予算の審議資料の中に、再掲として4カ所で取り上げられております。予算は70万円。どこかの部分にターゲットを絞った事業計画が重要ではないかと思っています。例えば、意欲と能力のある経営体の育成、付加価値を高め、販路を広げる、一人一人に合った暮らし方ができる、豊かな歴史、民俗芸能、伝統文化の受け継ぎ、こういうところに農山漁村いきいきチャレンジ事業があるわけです。これは、私は、1カ所とは言いませんけれども、広く薄くではなく、もうちょっとターゲットを絞った方法でこのチャレンジ支援事業を進めるべきと思いますが、お考えはいかがでしょうか。
〇高橋農業革新支援課長 ただいまの質問に対する答弁の前に、私、先ほど農業農村指導士の数を間違って述べていましたので、訂正させていただきたいと思います。
 農業農村指導士は、全体の数が178人、うち女性が37人でございます。それから、青年農業士は、全体の数が53人、うち女性が6人でございます。大変申しわけございませんでした。
 ただいまの農山漁村いきいきチャレンジ支援事業についてでございますが、この事業につきましては、男女共同参画社会の一層の推進に向け、女性や後継者が農山漁村の担い手として、意欲を持ち、能力を十分に発揮できる環境整備と人材育成を図ることを目的として、具体的には、家族経営協定の締結促進に係る啓発資料の作成、農業改良普及センターが中心となった啓発活動を推進すること、食の匠の認定や後継者育成、地域食文化の情報発信の強化、伝承活動を通じた地域の活性化などに取り組むという中身でございます。そのため事業の内容が非常に多岐にわたっておりまして、女性農林漁業者の活躍促進、生産者と消費者の結びつきの促進、魅力あふれる農山村づくり、伝統文化を生かした交流促進の項目に再掲で記載されているものでございます。
 目的の趣旨といたしましては、女性農林漁業者の活躍促進、この部分がこの事業の目的に最も合致するものではないかと思っております。
〇工藤勝子委員 部長にお尋ねいたします。これだけの幅広い事業を推進するに当たって、70万円ではどこにどうやって予算を振り分けるのかと私は疑問に思うのです。やはり地域において、農業の中で女性が生き生きと活動していくにはいろいろな事業が確かに必要であります。だけれども、70万円ではないだろうと思うのです。今後、ここの予算を拡充する考えはないでしょうか。
〇上田農林水産部長 本県農業の振興のためには女性農業者の活躍がどうしても必要でございます。さまざまな取り組みの中で女性農業者が中心となって、本県の農業振興にどんどん役に立って重要な役割を果たしていると考えております。
 今回、チャレンジ支援事業の予算額のお話がございました。事業の内容、それから、先ほど委員から御提言がございました女性の活躍に絞るといったことも含めて、事業のあり方について検討を重ね、必要に応じて関係部局と調整してまいりたいと思います。
〇工藤勝子委員 私とすれば納得がいかないわけでありますけれども、女性活躍とか若者支援、こういう言葉だけが走っているような気がするのです。その割には地についた事業内容になっていない、私はそのように思っているところであります。農業をしないことを条件にお嫁さんに入ってくる人たちもいます。結婚したことによって、農家の長男たちが遠野のまちに住宅を借りて出てしまうということもあります。そういう中において、その地域で女性が活躍するための事業というのは非常に大事になってくるのだろうと思っておりますので、御検討をお願い申し上げたいと思っております。
 ちょっと時間がありますので、もう一点、労働力確保支援事業費についてお伺いいたします。一括してお聞きいたしますので、よろしくお願いいたします。
 大規模経営体、法人組織において非常に人手不足が言われております。そういう中においてどのぐらい足りないのか聞いてみますと、なかなか実態的にわからないという答えでありました。有効求人倍率でしか答えられないというお話でございました。この辺のところは県としてしっかり把握するべきではないか。個人まで聞くわけではないですので、法人や大きな経営体から聞くことは十分できるのではないかと思っております。
 そういう中において、雇用の環境整備、幾ら農業でも、これからはやはり元気に明るく、そして働きやすい環境をつくっていくことが非常に大事だと思っております。その環境整備。
 さらには、今、外国から来て研修生、労働者として働いている人たちもいるわけであります。その現状と課題についてお伺いいたします。
〇藤代農業振興課総括課長 まず最初に、県内の農業労働力不足の実態でございますけれども、委員御指摘のとおり、農業労働力不足につきましては、品目、季節によって大きく変動がございます。こういったこともございまして、なかなか統計あるいはそういう調査が時期によってかなりばらつきが出てくるということで、全体の状況についてお示しすることが難しいと考えておりますが、労働局が一般職業紹介状況を出しております。この中で、農林漁業の数値になりますけれども、農繁期である令和元年9月期の月間有効求人数―人を募集する数を見ますと352人となっておりまして、これに対して求職数―職業を求めている人の数は208人で、9月1カ月間で見ますと144人の不足となっております。率にしますと、農林漁業で月間有効求人倍率が1.69倍で、全職種は1.37倍ですので、約0.3ポイント高い状況になっているところでございます。
 また、雇用環境の整備でございますけれども、ただいま御答弁申し上げたところですが、有効求人倍率が他の職種に比べて高い状況になっております。こういった中で農業の雇用労働力を安定的に確保していくためには、他産業と同等の雇用環境を整えていくことが重要と捉えております。
 このため、県では、農業法人等を対象に、就業規則の策定、当然、雇用条件を一定程度きちんと満たさないとなかなか人が来てくれないということがありますので、そういった就業規則の策定ですとか労務管理のノウハウを習得するための研修会を開催するほか、農業団体と連携して設置しておりますいわて農業経営相談センターにおきまして、社会保険労務士等の専門家を農業法人に派遣して雇用環境を高める取り組みを行っているところでございます。
 また、外国人研修生の現状と課題でございますけれども、農業分野の外国人労働者数につきましては、岩手労働局の調査によりますと、令和元年10月末現在で83事業所で410人となっております。このうち、外国人技能実習生については、JA等からの独自の聞き取りですが、同じく令和元年12月末現在で69経営体で約288人となっている状況でございます。
 また、外国人に関していいますと、受け入れ経営体の労働時間や住居、日本語、あるいは地域にどうやって溶け込むのかという課題もあります。こういった部分については、商工労働観光部と連携して、外国人雇用に関する事業主説明会に参加していただいたり、昨年7月にいわて外国人県民相談・支援センターを商工労働観光部を中心に設置しておりますので、こういったところで地域に溶け込めるよういろいろ相談していただいております。
 また、全体として農業分野の労働力を確保していくことが大きな課題と捉えておりますので、これに向けては、本年4月に、県、農業団体を構成員とする岩手県農業労働力確保対策推進会議を設置しまして、労働力確保に係る情報共有やJAの無料職業紹介所―これは県内全てのJAで今、設置に向けていろいろ動いているところでございますが、こういった活動の支援を行うほか、農業経営体を対象とした労務管理研修会の開催に取り組んでおります。この取り組みによりまして、JAグループを通じた労働力確保の状況は、12月末現在で、約370人の求人に対して約260人、約7割の就職状況という実績となっております。
 県としては、引き続き関係団体と連携しながら、農業労働力が安定的に確保できるように取り組んでいくところでございます。
〇柳村一委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇柳村一委員長 質疑がないようでありますので、これで第1部農業関係の質疑を終わります。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇米谷農林水産企画室企画課長 先ほど工藤勝子委員の質問に対しまして、男女共同参画の関係で、成果として農業農村指導士の女性の実数が増加しているという答弁をいたしましたけれども、昨年度から今年度にかけまして実数として減っておりましたということで、申しわけありませんでした、訂正させていただきます。
〇柳村一委員長 次に、第2部林業、水産業関係についての質疑はありませんか。
〇高橋はじめ委員 震災発災以来、漁業関係につきましては大変皆様方にはさまざまな面で御努力いただき、震災復興もほぼ順調な形で進んできているのではないかと思っておりまして、改めて敬意を表する次第でございます。
 そういう中で、まだまだ沿岸被災地はなりわいの再生がしっかりとしたものに復興しておらないと。なりわいの再生なくして被災地の復興はあり得ないことから、なりわいの再生について何点か質問させていただければと思っております。
 まず、主力3魚種の漁獲量を含めて、令和元年度の本県漁業の現状を伺いたいと思います。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 令和元年の本県の魚市場の水揚げ量でございますが、速報値で10万3、000トンとほぼ前年並みとなっておりますけれども、震災前に比べると58%にとどまっております。
 また、サケ、イカ、サンマなど主要魚種ですが、秋サケは2、284トンで前年比22%、スルメイカが2、072トンで前年比73%、サンマが7、849トンで前年比33%と、いずれも大きく減少しているところです。
〇高橋はじめ委員 全体では58%ということで、半分ちょっと超えたぐらいかなと。主力の3魚種につきましては、今それぞれ話がありましたけれども、いただいた資料に基づきますと、サケは震災前と比較してわずか9%、スルメイカは11%、サンマは15%と1割前後で、沿岸被災地のなりわいの再生につきましては大変厳しい状況ではないかと思っております。
 こうした状況を踏まえて、上田部長は現状をどのように捉え、今後どのような取り組みをしていかなければならないか、そういうところの考えをまず最初にお伺いしたいと思います。
〇上田農林水産部長 主要魚種の不漁に対しての認識でございますが、ただいま担当技監から御説明申し上げましたとおり、サケ、サンマ、スルメイカなど本県の主要魚種は非常に低下しております。また、これは本県のみならず全国でも大きく減少しておりまして、かつて経験のない、非常に大変な状況と認識しているところでございます。
 海洋環境の変化、あるいは主要な水産資源が減少している、そういった要因が分析されておりますけれども、まずは生産量を回復させるため、あらゆる手段を講じていく必要がある、あるいは講じていきたいと考えております。
 最も重要な秋サケでございますけれども、資源回復に向け、今季に採取した種卵から産まれた稚魚をしっかり育成し、4年後の回帰につなげていきたいと考えております。また、主要魚種が減少している中、マイワシなどの資源が増加している状況がございましたので、そういった魚種を有効に活用していくことにも取り組んでいるところでございます。
 また、将来に向けては、新たな漁業、特に魚類の海面養殖を初めとした取り組みを進めていきたいと考えております。
 これに加えて、これまで本県が取り組んできたつくり育てる漁業を充実強化いたしまして、沿岸地域の基幹産業である水産業が将来にわたり持続的に発展するよう全力で取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 うちのかみさんは宮古の津軽石出身でございまして、あそこで揚がったサケはそれぞれの漁師のところに分配があるらしいのですけれども、幼いころからそれを新巻にしてずっと食べておったと。ことし、新巻が食べたい、新巻が食べたいと何度もうるさいものですから、いや、サケは不漁だぞと言って、手に入らないという話をしておりました。
 そういうことを含めて、令和2年の秋サケに非常に私は期待していますけれども、それと並行してさまざまな取り組みも進めていかなければならないのではないかと思っておりました。
 そこで、養殖業振興事業ということで、サケは、稚魚を育てて放流してベーリング海やオホーツク海を回って戻ってくるわけですが、これについては、海洋の状況がどうなのかとか、向こうに行ったら、向こうのほうがすめば都だ、こっちにいたいと戻ってこないのかもしれません。自然災害の影響も非常に大きい。台風災害や、川でも大洪水があって、海の環境、平均して餌がないとか、いろいろな要素があると思いますけれども、そういうときに、養殖であれば、一定の餌をやったりして量は確保できるのではないか、そういう思いをしております。
 以前、伊藤勢至委員もこの件について取り上げておられましたけれども、そういう中で、私は養殖に非常に大きな期待をして見守っておりました。今年度、大きく予算を組んでいるのかと思っておりましたが、養殖業振興事業費290万円ということで、先ほども別なところで60万円、少ないぞというお話がありました。これで何ができるのか非常に私、心配しているところでございまして、この予算でどういうことをやろうとしているのか、事業の詳細。余り深くでなくてもいいですが、そういうことを含めて、それから、この予算でどういう成果を期待しているのかあわせてお伺いしたいと思います。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 養殖業振興事業でございますけれども、現在、岩手県で進めておりますつくり育てる漁業の中で、海藻養殖と貝類養殖が2本柱になっております。海藻ですと、ワカメが昨年、芽落ちしたり大変厳しい状況でしたので、水産技術センターなどで芽落ちのしない大きな種苗をつくるなど、技術改良的な内容の事業になっております。
 また、新しい養殖の芽出しとして、アサリの養殖試験、それから陸前高田市で今、拡大しておりますけれども、エゾイシカゲガイの種苗生産技術を活用しながら養殖振興事業を進めているところでございます。
〇高橋はじめ委員 私はもう少し大型の魚などといったものを期待しておりました。やはり漁業をやっている方々の所得を考えれば、市場に出荷してそれなりの値段で売れることが非常に大事ではないかと思っております。また、加工業におきましても、安定的に魚の供給を受けて、それをもとに加工業をやっていくという構図も大変重要ではないかと思っていますけれども、魚の部類というか、その辺についての取り組みはどうなっていますか。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 魚の養殖の関係でございますけれども、昨年より、久慈、宮古、大槌の3地区でギンザケやトラウトサーモンの養殖試験を進めているところでございます。
 ちなみに宮古市では、宮古市と宮古漁協が連携して、事業化に向けてトラウトサーモンの養殖試験に現在、取り組んでおります。今の計画では、その生産したサーモンは全量魚市場に水揚げし、地域の水産加工業者の原料の供給に充てるということで進めておりまして、地域の関係の方々の期待も大きいところでございます。
 県としましては、先行するこの3地区に加え、ほかの地域への普及拡大を進めることとしております。これによりまして、本県水産業が持続的に発展できるよう取り組んでいきたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 例えば令和2年度において、その辺の養殖についての支援はどの部分になるのですか。私は養殖といえばすぐこのあたりしか目に入らなかったのですが、それぞれ、例えば宮城県も、ギンザケは昭和51年から南三陸町を中心にやっていて、長い歴史を持っている。そこに追いつけ追い越せではないですけれども、取り組んでいかなければならない。それから、青森県におきましてもサーモンの養殖を進めている。ある面ではサケにかわる―サケの類でしょうけれども―値段のいいところとか、そういったものにも取り組んでおります。今、取り組んでいるところを今後どのように展開していくのか、その辺はどうお考えですか。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケの養殖関係でございますけれども、先ほど委員がお話しされた養殖業振興事業とは別に、新しい増養殖モデル創出事業ということで670万円余を予算計上させていただいております。これは、サケ、マスの海面養殖を拡大していくため、省力化あるいはICT技術を使った実証試験をやるとともに、新しい優良種苗の開発も進めていく。そういう事業を進める内容で予算を組んでおりますので、この二つの事業を合わせて養殖業の振興に努めてまいりたいと思います。
〇高橋はじめ委員 今お伺いしている部分については海面養殖という感じで聞いていたのですが、昨今、陸で、沿岸に近いところ、あるいは全国的に見ると長野県あたりの全く海とは関係ないところで養殖をやっているということもありますけれども、本県では、そういう取り組みと並行して陸での養殖は今後どういう展開を考えているのでしょうか。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 陸上養殖でございますけれども、委員がお話しされたのは完全閉鎖型陸上養殖で、今、山の中でもヒラメが養殖できるぐらい技術的に確立されているところです。
 本県ではまだそこまでいっていないところですが、今、内水面水産技術センターが岩手大学と協働してサクラマスの陸上養殖試験に取り組んでいるところです。陸上養殖試験は一方ではコストもありますので、費用対効果を見ながら、どのようなマーケットにどう訴求していくかも含めて、採算性を見ながら進めていきたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 いろいろなところの先進地の取り組み等を見ますと、今おっしゃったように費用対効果、特に餌代がかなりかかるのではないかと。あるいは一つの生けすみたいなところでやるから病気などに対する取り組みをしっかりやらないといけないとか、いろいろな問題、課題もありますけれども、沿岸の人たちで自然に左右されない一定規模の養殖ができれば、水産加工業の方々も一定の原材料の確保ができるわけです。
 今回、なりわいの再生、グループ補助金を利用して加工業の方々がさまざまな設備投資をしても、肝心かなめの魚がとれなければその工場が動かない。動かすためには相当遠くから購入してこなければならないという大変な状況にあります。これをサポートしていくためには養殖にもっと大きな力を入れていかなければだめなのではないかという思いをしておりましたので、ぜひ今後とも、その辺を含めて研究、それから力を入れて進めていただければと思っております。
 2点目ですが、漁港施設機能強化事業ということで、こちらのほうは予算額17億5、750万円の計上でありました。大体のところを新年度で終わるのではないかというお話も伺っておりましたが、この予算でどのような事業をやられるのか。それから、この予算で全て完了と捉えているのかどうか。
 あわせて、震災のときは、岸壁が沈降して荷おろしが難しい、大変だということでかさ上げをしましたが、震災後9年がたちまして、どんどんかさ上げしたところも上がってきていると。そういうことについてはどういう状況にあるのか。せっかくかさ上げしたけれども、戻ってくれば今度は低くしなければならない。そうしないと荷おろしもなかなか難しい、大変だということにもなるのではないかと思いますが、その辺をあわせてお尋ねしたいと思います。
〇鎌田漁港漁村課総括課長 漁港施設機能強化事業の令和2年度の内容でございますが、普代村の太田名部漁港など10の漁港において防波堤等のかさ上げや消波ブロック設置などの工事を行うこととしております。また、このほか、田老漁港、大槌漁港におきまして避難誘導デッキの建設を行い、令和2年度内の完成を目指しているところであります。そのほかに、前に申し上げました護岸等につきましては、令和3年度以降も継続する予定となっております。
 次に、岸壁のかさ上げについてでありますけれども、平成29年2月に公表された国土地理院の測量成果をもとに県が測量した漁港の岸壁等の高さは、平成23年10月と比べ、陸前高田市で最大22センチメートルの隆起が確認されているところでございます。国土地理院の公表資料によりますと、その後はおおむね年間2センチメートル程度の隆起が確認されていることから、今後も同程度の隆起があるものと想定しております。
 引き続き、国土地理院の観測結果を注視しながら、地元漁業者と連絡を密にし、水産物の陸揚げなど漁業活動に支障が生じないよう、岸壁へのはしごの設置などについて検討してまいりたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 漁業者はもう高齢化してきておりますので、クレーンを使っておろせるところはいいのでしょうけれども、人力で作業をやるときにはさまざまな支障が出るのではないかと思って心配しておりました。ぜひ細かな点検をして対応していただければと思っております。
 次に、水産環境整備事業費についてですが、予算額は10億9、500万円組まれておりました。説明欄には、水産動植物の生息の場となる藻場等の復旧、整備を実施するということでございました。いろいろな瓦れき等が、いまだに親潮、黒潮、あるいは台風、高潮等々によって海底で動いている。ある程度軽いものは取ったのでしょうけれども、重いものは動いている。それで漁業にもいろいろ影響が出ていると思ってこの事業を見ておりましたが、この事業の内容について。
 それから、漁場の瓦れきはある程度取ったと思いますけれども、私が一番心配しているのは、例えば流されたいろいろなものが海に沈んで、それに何らかの影響があって、魚が嫌うようなものが海に溶け流れて沿岸に魚が寄ってこないのではないかと。そういうことも想定されるので、できれば適宜瓦れきも解消していければいいのではないかと思いますが、今の海の状態とか、その辺はどうなっているのでしょうか。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 漁場の瓦れきでございますけれども、震災発災の平成23年から県事業で進めております。まず、漁業者が取れる瓦れきは漁業者が取るということで、平成23年、24年に集中的に漁業者による瓦れきの回収作業を進めたところです。これは、沿岸漁業者と底びき網漁船による瓦れきの回収という二つの系統で集中的にやりましたので、それによって取れるものはほぼ取れたという認識でございます。
 一方で漁業者が取り切れない大きな瓦れきもまだ一部あるということで、公共事業での瓦れきの撤去も進めておりますが、その方面については漁港担当からお答えさせていただきます。
〇内藤漁港課長 水産環境整備事業についての内容でございますけれども、令和2年度当初予算案においては、田野畑村の島の越漁場や大船渡市の丸森漁場などでコンクリートブロックの設置等を行うこととしております。全56漁場が被災しましたが、令和2年度末までにそれらの完成を目指しているところでございます。
 なお、令和3年度以降については、地域のニーズを踏まえつつ、漁協等関係団体や市町村と連携しながら、水産資源量の増加に向けた新たな漁場整備の検討を進めてまいりたいと思っております。
〇高橋はじめ委員 さまざまな努力をされていることは理解いたします。まだまだなりわいの再生については緒についたばかりでございますので、今後とも皆様方の力を発揮して、沿岸漁民の皆さんの期待にぜひ応えていただきたいと思っております。
〇柳村一委員長 おおむね再開後2時間が経過いたしておりますので、この際、世話人会の申し合わせにより暫時休憩いたします。
   午後5時11分 休 憩
午後5時33分再開
〇吉田敬子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇城内よしひこ委員 それでは質問させていただきます。令和元年台風第19号被害の復旧状況についてお伺いしたいと思います。
 これまで、東日本大震災津波、平成28年台風第10号、そして昨年の台風第19号の被害に見舞われました。この間、皆様の復旧のお仕事には大変敬意を表する次第であります。つきましては、その復旧状況について、まずお伺いしたいと思います。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 令和元年台風第19号による水産関係の被害額は全体で約27億円で、このうち漁協の共同利用施設やサケ、マスふ化場等の水産関係施設の被害は13億円となっています。
 県では、令和元年度9月補正予算で措置した国庫補助事業の水産業被災施設復旧整備事業と県単独補助事業の水産業復旧緊急支援対策事業によりまして、被災した水産関係施設の早期復旧を支援しているところでございます。
〇城内よしひこ委員 そこで、この間たびたび台風災害、暴風災害、高潮災害で傷む場所が特定、同じ場所であったりするわけでありますけれども、今回も令和元年台風第19号に関して、同じ場所あるいは傷む場所が特定されているわけであります。その中で、改良復旧の取り組みの状況はどのようになっているかお伺いします。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 いわゆる非公共施設、漁協の共同利用施設の改良復旧の考えですけれども、共同利用施設の災害復旧は、原則、原形復旧とされているため、県では、機能強化も可能となるように国と調整してきたところでございます。
 このうち、大きな被害を受けました宮古市重茂のさけ・ますふ化場の復旧でございますが、給水配管のレイアウトの変更やふ化水槽の配置の変更が可能となりまして、これにより、水流の安定や作業性の向上が図られるなど、従前に比べて機能が向上するような整備とすることが可能となりました。
〇城内よしひこ委員 これは県内各地に行っても見られる部分でありますので、ぜひ、国でも改良復旧というフレーズがひとり歩きしないように、皆さんのほうでも、現地、現場に耳を傾けて、声を聞いて対応していただきたいと思います。
 そこで、今お話にありましたふ化場の復旧ですが、この見通しはどのようになっていますか。今シーズンにはもちろん間に合わなかったわけでありますけれども、どのようになっているかお伺いしたいと思います。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 今回の令和元年台風第19号で県内では7カ所のサケ、マスふ化場の生産施設本体が被災しておりますけれども、このうち6カ所は復旧済みでございます。被害が大きかった宮古市重茂のさけ・ますふ化場はまだ完成しておりませんので、これは来年度、令和2年12月の完成予定としているところでございます。
〇城内よしひこ委員 ふ化放流事業は本県漁業の根幹であります。そういった中にあって4年後を見据えた事業でもあるわけでありまして、これまで、東日本大震災津波の際にも、皆さんの尽力のもと頑張ってもらってふ化放流をしてもらった。ただ、海の環境のためなのだろうと思うのですけれども、なかなか実績が上がってこないという大変な状況であります。
 まず、ことしも、そういう意味で言うと、種卵がなかなか確保できなかったとお伺いしていますけれども、ふ化放流の状況、見通しはどのようになっているかお伺いしたいと思います。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 今年度確保していますサケの種卵の数は、1月末現在で約2億粒と計画の44%にとどまっておりまして、サケ稚魚の放流尾数の目標を4億尾としておりますが、半数程度にとどまる見通しとなっております。
〇城内よしひこ委員 とするならば、4年後はますます大変な状況を迎えるのではないかと心配いたします。その分を、先ほど来お話に出ていますけれども、養殖でのサケ、マスで、しっかりと地元の加工業者が安心して仕事ができるような体制にしてほしいと思います。とれないものはとれないし、ない袖は振れないし、皆さんに振れと言っても、これは酷な話でありますので、次に移ります。
 サケ、サンマ、スルメイカは、先ほど高橋委員のほうでお答えになりましたので、今年度のワカメの状況はどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
〇工藤漁業調整課長 今年度のワカメの生産ですけれども、育成初期の芽落ちなどがありまして、前年の約8割となっております。
〇城内よしひこ委員 なかなかワカメもとれないわけでありますけれども、生産者の方々は漁業補償があるわけでありますが、それを買う方々は大変なわけであります。
 そこで、水揚げ高に対する対応は県ではとられているのか、お伺いしたいと思います。
〇工藤漁業調整課長 水産加工に対する対応ですけれども、サケ、サンマ、スルメイカなど主要魚種の水揚げ量が大きく減少しておりまして、多くの水産加工業者では、原料の確保対策が最も重要な経営課題となっていると認識しております。
 このため、今ある主要魚種の資源の回復や新たな漁業、養殖業に取り組むとともに、近年は、サバ、イワシの水揚げが好調であることから、市町村や漁協と連携してこれらの魚種を漁獲するまき網漁船の地元魚市場への誘致や、昨年から開始しました小型漁船によるマイワシの試験操業を実施し、代替原料の確保に努めているところでございます。
 これらの取り組みに加えまして、代替原料を活用しました商品開発や販売促進など商工労働観光部とも連携しながら、水産加工業を支援していくところでございます。
〇城内よしひこ委員 今、水産加工業の支援という話をしていただいたのでお話をさせていただきますけれども、今回の委員会の総務部の審査でもお話をさせていただきました。税収が上がってきていない中で、沿岸部では、第1次産業、食鳥であったり、金型、コネクターであったり、水産加工業だったりという中で、水産加工業の果たす役割も大変大きなものがあります。これは裾野の広い産業でありますから、そういう中にあって、雇用の確保も含めて、沿岸部で水産加工業が低迷すると、なかなか大変な状況が訪れるという話をさせていただきました。
 皆さんの立場とすれば、第1次産業はしっかりと支援するけれども、加工業になってしまうと商工労働観光部のほうが主になってしまうというお話がありますが、その辺はしっかりと連携して、水産加工業の方々に対する支援策も講じてほしいと思うところであります。
 東日本大震災津波でグループ補助金等を使って復旧、復興した水産加工業も、今や漁獲高の低迷で収入が得られなくて、冷蔵庫も空だし、なおかつ電気代もなかなか払えない、払いにくい状況があるという話をお伺いする機会があります。そういったことに対する支援策もしっかりとってほしいと思っておりますが、この水揚げ高の減少に伴う加工業に対する影響はどのように考えているか、お伺いしたいと思います。
〇工藤漁業調整課長 水揚げ高が減少しているものに対しまして、先ほど申しましたとおり、主要魚種の資源の回復や新たな漁業とか養殖業に取り組んでまいりたいと思っております。
 また、商工労働観光部等におきまして、商工指導団体等に配置している経営支援スタッフによる巡回指導や専門家の派遣による事業計画の策定支援なども行っているところでございます。
 水産分野としましても、今とれているものを使った商品開発や販売促進などに力を入れてまいりたいと思っております。
〇城内よしひこ委員 ぜひ、その辺は商工関係ともしっかりと連携をとって対応してほしいと思うところであります。
 釈迦に説法ではありますけれども、買い支えをしてくれる水産加工業者があるからこそ、港に船が入る、物が揚がるという仕組みですね。そういったときに、背後にある加工業者がしっかりとその加工技術を持って魚を買い支えしていかないと、その仕組みは成り立たなくなってしまいます。ぜひ、そういったことも含めて、港が衰退してしまうと、その背後の町まで大きな影響を及ぼすことが考えられます。これは他の地域においてもあった事実でありますので、ぜひ、そういったことを考えていただいて、今できること、しなければならないことをしっかりと対応してほしいと思っております。
 ことし収穫できるものに対しては、ことしのものもありますけれども、つくり育てる漁業を岩手では推奨してきましたし、つくり育てる漁業とするならば、その育てる時間もかかります。そういうことも含めて、しっかりと裾野の広い産業に連携して対応してほしいと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 水産加工業への支援でございますけれども、我々農林水産部だけではなく、商工労働観光部としっかり連携していきたいと思います。縦の組織でございますが、商工労働観光部は、主に金融支援とか雇用支援という、餅は餅屋という部分もありますし、我々水産加工のほうですと、加工技術とか衛生管理とか、そういうところでしっかりと水産加工の中に入ってやっているところがございます。
 そういうところを見ますと、先月2月に復興シーフードショーを開催させていただきましたが、その中では、今ふえているイワシを使った加工品やブリの加工品も地元加工業者が手がけておりますので、こういう形で、いわゆる原料シフトということで商品づくりが少しずつ始まっているところでございます。そういうところも支えながら、地域の水産加工業がしっかりと経営できるように、我々としても努力していきたいと思います。
〇城内よしひこ委員 原料がシフトすると、パッケージやいろいろなものが変わったりします。そういった際には、商工労働観光部に担当があるわけでありますので、ぜひ、そういう枠組みを少しまたぐような形での支援策を期待いたします。
 今しっかりと沿岸部の水産加工業を支えていただかないと、せっかく皆さんが汗をかいて東日本大震災津波から復旧のお手伝いをしていただいた、それがもう水泡に帰するのではないかと思って心配します。ぜひそこはお願いしたいと思います。
 そこで、次に移りますけれども、新型コロナウイルス感染症が今話題に出ておりますが、その漁業に対する影響、また、あわせてお伺いしますけれども、水産加工業に対する影響はあるのでしょうか、お伺いしたいと思います。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 初めに、漁業に対する影響でございますけれども、私どもが先週末まで県漁連に聞き取りした範囲では、外食等の減少で首都圏向けのホタテガイの影響がちょっと懸念されるというお話を伺いました。また、これから本番を迎えるワカメの生産や、5月から6月、7月と生産されるウニ、こういう主要な水産物への影響をこれから注視していく必要があるというお話でございました。
 次に、水産加工業の関係でございますけれども、岩手県水産加工業協同組合連合会は加工業者の会員でつくる組織でございますが、こちらに聞き取りしましたところ、学校給食向けの冷凍食品などをつくっている業者の中には、注文を解約されるというような影響が生じておりました。
 一方では、缶詰を製造する業者は、家庭内での需要が増しているところもあって、影響の度合いは余り大きくない、むしろ少しふえているというようなお話もありました。それぞれ扱う商品、外食か内食といいますか中食といいますか、そのような消費の場面によって、それぞれ影響が異なっている状況と考えております。
〇城内よしひこ委員 まさに出口が見えない今の新型コロナウイルス感染症であります。そういった中にあって、先、先とこれから対応をお願いするわけでありますけれども、先ほどお話に出た、これからシーズンを迎えるウニであったりが、今でも築地あたりだとなかなか高級食材が売れないという話が聞こえてきています。そういったことが我々の沿岸部にもまさに訪れてしまうと、弱り目にたたり目になってしまいますので、しっかりとその辺、先々を見据えて対応をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 特に、豊洲市場等の業者から聞きますと、高級食材が少し値動きが厳しいと。例えばマグロとか、そういうものが厳しいような状況です。裏を返すと、外食需要が少し落ちているというお話もありますので、本県にとっては、これからウニが本番になりますから、そういうところは注視していく必要があると思いますので、情報を密にとって、実態を把握しながら、必要な施策を考え、国にも要望しながら対応していきたいと思います。
〇伊藤勢至委員 水産漁業振興について関連してお伺いいたします。
 ことしの正月、東京の豊洲市場でマグロの初競りが行われたわけであります。体重200キロ弱ですけれども、2億円で落札された。お正月相場もあったのでしょうけれども。青森県の大間のマグロは、魚体が小さくなったとか減ったとかという話を聞いたことがありません。一方で、この3月3日、盛岡市内の居酒屋で初ガツオをいただきました。例年よりも3週間ぐらい早いかと思っておりますけれども、そういう意味では、三陸の沿岸は、海は正常な面もあるのだと思います。だけれども、なぜサケが帰ってこないのかというのは、ずっとこれは疑問なわけであります。
 そういう中で、北海道大学の水産学部だったと思うのですが、あるいは海洋研究科だったかもしれませんが、小樽のあたりで海中のサケを捕まえて、それにタグをつけて、さらにまた放してやった。つまり、これを追いかけることによって、どういう経路で、どの程度大きくなってくるのかわかる。それを調査したいということのような報道だった気がします。
 その捕まえたサケが30センチメートルから40センチメートルぐらいだと思いました。ということは、三陸沿岸で7センチメートルで放したサケが、何年魚かちょっと聞き漏らしましたが、あの辺までに30センチメートルか40センチメートルに成長している。さらに、恐らくはオホーツク、それからアリューシャン、千島等を回ってくるのだと思うのですが、そこまで30センチメートルが、どの辺で70センチメートルになって帰ってくるか、これが一番大事なところで、いいところに着手してもらったなと思っております。
 そういう中で、岩手県としては、岩手県の大学であるとかそういうことではなくて、オールジャパンの感覚で、観点で、北海道大学の多分水産学部だと思いましたが、そういうところの研究費に、県のサケ、マスの研究費用を手当てしてあげて、その資料を共有することは必要なのではないでしょうか。どのようにお考えでしょうか。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 岩手県独自の研究でございますけれども、大学等と連携しながらやっている部分もございます。一つは岩手大学、もう一つは北海道大学の一部の調査もございますが、直接の研究費を供給しながらの仕事は、現在行っていないところです。
 私どもも、9月定例会で委員からいろいろ御提示いただいて、それぞれ勉強しながら、シンポジウム等も参加しながら、サケの漁獲が落ちている原因について、北海道から東北海区まで全体で情報共有しながら検討していったところです。現在のところ、昨年の漁模様は、北海道が沿岸漁獲で前年比7割、青森県が4割、岩手県と宮城県が2割強というところで、岩手県のみならず、東北から北海道まで全体で同じ現象が起きているという共通認識を得ているところです。
 サケの稚魚のルートとしますと、先ほど委員からありましたように、5センチメートルから7センチメートルぐらいで岩手の沿岸から出て、北海道の釧路沖になりますと10センチメートル以上の稚魚になっているというところまでわかってきました。そこからオホーツク海に入って1年目成長していくというところまでわかっておりますので、こういう調査を共同でやっていくという考え方を今持っております。
 岩手県はどうするかといいますと、岩手の沖合から東北海区の沖合を船で調査するという計画を今、国と協議しておりますので、それぞれの持ち場、持ち場の海域で調査した結果を集めて、東北の海でどういうことが起きているのかを明らかにしていくような研究を共同で進めようと、今動いているところでございます。
〇伊藤勢至委員 冒頭、やっていないところでありますなんておっしゃっていましたけれども、そういう言い方ではなくて、どんどん新しい研究に取り組んでいるところに、岩手県のお金を入れてもいいから支援をして、情報を共有しましょうというのが大事な考え方ではないかと思いますが、いかがでしょうか、部長。
〇上田農林水産部長 まさしく委員おっしゃるとおりかと存じます。県も主体的に、あるいは関係の国初め、さまざまな研究機関なり団体がございます。そういったところと、それぞれの強みを持ち寄って、研究なりを進めて、ぜひサケの資源回復に取り組んでまいりたいと思います。
〇伊藤勢至委員 では、だめ押しをしておきましょう。北海道かいわいで、特に日本海経由のほうでクジラがとれたという話は余り聞かないのですね。ですから、北洋系のクジラがあの海でどういう動きをしているのかということもあわせて調査をしていかないと、岩手県産のサケは食わないでくださいとクジラに言ったって聞かないわけですから、そういった部分の学問的な情報を共有するのが、私は解決策の一番先頭に立つものだと思います。
 岩手県の縄張りだとかそういうことではなくて、オールジャパンの中のサケ資源ということで、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 部長、ありがとうございました。
〇工藤大輔委員 私も、最初にサケの不漁対策についてお伺いしたいと思います。
 2月20日時点での秋サケ漁獲速報では、全体的に1、288トンと、不漁だった昨シーズンの22.3%にとどまっていたということでありました。令和元年台風第19号や海水温の影響が重なり記録的に厳しい年となりましたが、最終段階、現時点での実績と来年度のふ化放流事業にどのような影響があるのかお伺いしたいと思います。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 今年度のサケでございますけれども、種卵の確保が約2億粒ということで、計画の約4割にとどまっております。これからサケの卵から稚魚までの生産歩どまり等を考えますと、計画の4億尾には到底及ばない、約半減すると見ておりました。
 この今期確保した稚魚をしっかりと健康な稚魚で放流していくところに現在力を入れて、ふ化場等の指導を行っているところでございます。
〇工藤大輔委員 先ほど2億粒の件は聞いたわけですけれども、その漁獲速報での現時点で何トンだったかということはわかりますでしょうか。
 それとあと、全体のとれたサケの雌の何割が市場に回って、何割が種卵用に確保されたのかという、大体の比率のイメージがわかればお知らせください。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 失礼いたしました。今期のサケの漁獲ですけれども、1月末現在で2、284トンと、前年の22%にとどまっております。
 サケがどれだけふ化放流に供されたかということは、まだ集計が全部出ておりませんけれども、ふ化場で使用した川に上ったサケは全量使っているというところでほぼ大丈夫だと思います。それに加えて、卵が足りませんでしたので、いわゆる海産親魚、海から成熟したサケを川に入れて成熟させて卵をとるという作業でございますが、これに使ったサケが、雄も含めますけれども、約3万9、000尾ということで、全体の漁獲尾数の2割強をふ化放流に供しているような状況でございます。
〇工藤大輔委員 今年度は、特に前期群から非常に厳しいというような状況が見受けられました。北のほうから来るサケ、そして南のほうに時期をずれて下がっていく、そして、大体予想どおりか予想以上の厳しさだったかと思っておりますけれども、例えばここ数年間ずっと不漁続きだということで種苗確保が非常に厳しいという中にあって、市場販売用のサケもきちんと確保しなければならないのですが、やはり次につながる種卵確保のためのサケの確保は、また、より重要かとも思っております。
 それに対して県は、漁業団体あるいはそれを買い受ける方々、加工とかも含めて、どのような協議をしながらそのぐらいのサケを確保しようとしているのか。私は、中にはもう少しふやすとか、どうするとか、調整があってもいいかと思うのですが、そういったものは、どこが全体的にトータルで見ながら、この種卵の確保をしっかりやっていこうということになっているのかお示しください。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケの種卵の確保でございますが、県と県のさけ・ます増殖協会で鋭意、逐次協議しまして、今期の生産目標が増殖協会では約4億尾と設定しておりましたので、それに向けて、季節別に、時期別にどう確保していくかということを随時、ほぼ毎日のように協議しながら、各ふ化場の状況を見てやっております。
 その中で、先ほど申しましたように、いわゆる海で、海産親魚としてふ化場に供給する分は、ふ化場側では非常に、早くしてくれ、多く欲しいというお話がある一方、海の水産加工業者、買い受け人の方々は、私どもにも使う分は少し残しておいてくれと、極端な話、全量持っていかれては困るというようなお話もあります。私どもは、ふ化場の意見、それから、さけ・ます増殖協会の計画、そして各魚市場の買い受け人とお話をしながら、今週はどれぐらい海産親魚として使おうかというようなことを随時お話をしながらやってきて、今期に至っております。
 できれば、水産加工業者には余り迷惑をかけたくないところでございますけれども、これは4年後の投資ということでぜひ御理解いただきたいということでお話をしながら、御理解を得て今期の取り組みを進めてきたところですが、結果的には計画の約半分以下ということになりましたので、来期に向けては、もっとしっかり事前にお話をしながら、御協力を得ていきたいと思っております。
〇工藤大輔委員 その辺をよろしくお願いしたいと思います。
 そして、今回は特に被災したふ化場があったということで、生産量にも調整しなければならない分野があったかとも思いますが、いずれ、先ほどの答弁でも、もう来年度には多分全て間に合うでしょうから、その辺の調整をぜひとも進めていただきたいと思います。
 その中で、今回、海産親魚―沖でとったもの、定置網でとったものを、近くのふ化場に移して稚魚をつくるという形をとったと思います。そういった中で、この2億粒をどのような基準を持って各漁協に配分して、これから放流していくのかということの方針がどのようになっているのか。そして、その量は、前年対比、今年度対比でもいいですけれども、大体何割減ぐらいになると予測されているのかお示しください。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 先ほど来申しておりますけれども、約2億の卵で2億尾弱のサケの稚魚になりますので、これは、どこのふ化場に配分するという考え方は、さけ・ます増殖協会で整理することになっています。
 実態面としまして、今期の漁は宮古より北のほうがある程度とれました。それから、釜石、特に大船渡地区の漁が非常に少なかったということで、北の卵を南のほうに少し移動して調整するという仕事もしております。ただ、全部を埋め切れるという状況ではございませんので、余り移動させると、それぞれの河川の特性にも影響しますから、エリア、エリアの範囲を基本としながら調整しているのが現状でございます。
〇工藤大輔委員 北のほうでは、例えばうちのほうでは、被災したふ化場は久慈にあったので、久慈のほうで稚魚をつくってもらったわけですが、恐らく北上して稚魚を放流すると、水温の違い等もあったりしてちょっと厳しいという見方をしていて、なかなか放流できないような箇所も出てくるかとも思います。
 いずれ効率的に、また、より効果が出るような配分等を考えていただきながら、それを進めていくように、県もしっかり見ていただきたいと思います。
 また、3月5日には岩手県さけ・ます増殖協会が支援の要望を行っており、部長も前向きな答えをされていることが報道されていましたが、漁業団体の要望にどのように応えていくのか、具体策をお示しください。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 3月5日にさけ・ます増殖協会から御要望がありましたものは、安定的なサケ資源造成のためのふ化放流事業に対する支援等ということでございました。
 県としましては、国の補助事業を活用しまして、海産親魚の確保や稚魚の購入費を支援する事業をさけ・ます増殖費として盛り込んでおりますので、令和2年度も引き続き支援してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 よろしくお願いしたいと思います。
 それで、今回の不漁は全体的に、主要魚種もそうですし、ワカメもそうですし、かなり今シーズンは厳しかったとも思っています。
 東日本大震災津波以降の漁協経営は累積赤字が解消してきたと思っていますが、ここ数年、また状況が厳しくて、漁協経営にも影響しているかとも思います。現在の経営状況をどのように把握されているのか、お伺いします。
〇佐藤指導検査課長 漁協経営に与える影響についてでございますけれども、沿岸24漁協の多くは、定置網を主体とする漁業自営事業が組合経営の柱となっております。その中で、事業総利益の約4割を占めるということでございますので、収益の主軸となるサケの漁獲は、漁協経営に与える影響が大きゅうございます。
 平成30年度の決算につきましては、24漁協中15漁協が当期剰余金を計上いたしまして、その合計は約3億7、000万円でございました。
 なお、令和元年度の決算につきましては、全ての漁協が3月決算となっております。このため4月以降に決算が確定することとなりますけれども、漁業関係団体からの情報によりますと、平成30年度決算よりも厳しい決算になるということで聞いております。
〇工藤大輔委員 この漁協経営をしっかり支えていただきたいと思いますが、なかなか物がとれないとなると、これも非常に厳しいこととなりますが、国に対してもしっかり要望等もしていただきたいと思います。
 また、物がとれないことを解消するには、やはり養殖事業を強化していく必要があるかと思っております。世界の漁業生産量は2億トンに近づくと言われております。その半分が漁獲であって、その半分が養殖だという統計が出ています。2000年以降、特に養殖が急成長していることもあってこのような状況になっていますが、国も、法律が変わって、漁港の静穏域を十分活用した事業を展開することも可能になってきていますけれども、静穏域を活用した増養殖をどのように進めていくのかお伺いします。
〇鎌田漁港漁村課総括課長 漁港の静穏域を活用した増養殖についてでありますが、県では、重茂漁港において、アワビ、ウニ資源の増大を図るために、平成30年度から、海中に石材やコンクリートブロックを投入するなどの工事を進めているほか、野田漁港等で、貝殻漁礁を用いたナマコの増殖試験に取り組んでいるところでございます。
 また、令和2年度は、水産基盤整備調査費を活用しまして、漁場から身入りの少ないウニを漁港内に移殖し、増養殖試験などを行うこととしております。
 今後とも、地域ニーズに応じて、漁協等関係団体や市町村と緊密に連携しながら、漁港の静穏域を活用した増養殖の取り組みを積極的に進めてまいります。
〇工藤大輔委員 予算の中でもハードに関するようなものはかなり載っていたと思っております。爆弾低気圧等もあって、船を守るだけではなくて、これから増養殖を進める上でも、そういった生産物も守るような形で整備等もぜひ進めていただきたいと思います。
 また、先ほど養殖事業について質問が高橋はじめ委員からもあったわけですけれども、他県の取り組み等を見ると、独自の魚種を研究して一層のブランド化を進めたり独自性を出したりしているような取り組みが見受けられますが、本県は、既存の魚種を活用しての養殖事業を進めようとしております。新たなものということも含めて研究をしていったほうがよいのかと思いますが、県のこれからの取り組みをお伺いします。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 新たな魚種でございますけれども、岩手の地は、全体としまして北方系の魚種ということになりますので、今マーケットが非常に伸びておりますのは、やっぱりサケ、マス類でございます。そういうことで、岩手でも県内3カ所で試験養殖が始まりましたので、これを拡大していく。
 そして、サケ、マス類も、産地産地それぞれ競争が激しくなっておりますので、いわゆる御当地サーモンという形で、それぞれ県の特色あるサケ、マス類をつくっているところがございます。本県でも、成長が早い、大きくなるようなサクラマスとか、今、内水面水産技術センターで遺伝子育種開発をやっているところですので、そういうところで競争力のある魚種の開発をしていきたいと思っています。
 また、もう一方で、海藻でございますけれども、いわゆるアカモクというものの商品開発もしております。全体に海水温が高くなって北方系の昆布が成長しにくい状況も多々見られます。一方では、南方系のそういう海藻も出ていますから、これを事業化していこうということで、漁協青年部の活動を支援しているところもございますので、場面場面で新しい取り組みを入れながら進めていきたいと思っております。
〇工藤大輔委員 よろしくお願いしたいと思います。
 次に、ウニ、アワビの漁場環境の回復ということで、磯焼け対策をどのように進めるかをお伺いしたいわけですが、以前であれば、海中林事業など積極的にその事業を進めていたと思いますが、今の漁場環境は、ウニやアワビにとっても非常に厳しくて、身入りが年々、年によってよかったり悪かったり、あと場所によってひどかったり、品質においても非常に心配されるところです。この磯焼け対策に本腰を入れて取り組まなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 磯焼け対策を初め、磯資源の育成でございますけれども、このような海洋環境が見られるようになりましたので、海藻類の育成をコントロールすることが非常に大事になっています。
 その中では、ウニの密度を管理するところをもう積極的にやっていかないと、ウニに昆布の芽まで全部食べられてしまって磯焼け状態になるというような現象がわかっておりますので、こういう取り組みを支援することを考えています。
 県では、令和2年度当初予算に美しい海環境保全対策事業を盛り込んでおりまして、漁業者のウニの除去やウニの有効活用を支援するような内容になっておりますので、こういう事業を活用して、磯焼け対策あるいは過剰なウニの有効利用を進めていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 計上されている予算で、例えばこれが過密になっていた場合に、幾つもそういった環境が見られた場合、この予算でも十分対応できるものになっていますでしょうか。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 令和2年度当初予算に盛り込ませていただいたものについては、県内で五つの活動組織の活動を支援するような事業予算になっています。
 これが各地で出てきました場合には予算で応じることが難しいかもしれませんので、これは国の事業との関連がございますので、国にも要望しながら、地域地域の活動が出てくる場合には、逐次対応できるように検討していきたいと思います。
〇工藤大輔委員 よろしくお願いします。
 次に、県産木材の利用促進についてお伺いしたいと思いますが、本県の森林面積は117万2、000ヘクタール、県内の木材需要量は、復興需要などによって回復基調となってはいます。県産材の利用割合も、合板工場等の国産材への転換等によって80%の水準にあると理解しております。
 岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画は、今現在5期の計画が実施中であり、今年度が最後かと思いますけれども、計画に対し実績はどのようになる見込みかお知らせください。
〇高橋林業振興課総括課長 県では、森林林業、木材産業の活性化を図る観点から、副知事を本部長といたします岩手県公共施設・公共工事木材利用推進本部におきまして、具体的な推進目標等を掲げました行動計画を策定し、県が実施いたします公共施設整備や公共工事への県産木材利用に率先して取り組んでいるところでございます。
 第5期計画でございますけれども、平成29年から令和元年度までの3年間を計画期間とし、1万5、600立方メートルを目標としたところでございますが、令和元年12月現在で、3年間の進捗の見込みは約1万2、500立方メートル、率にして約80%の見込みとなっております。
〇工藤大輔委員 最終的にこれが達成できるのかどうかということを改めてお伺いしたいと思います。また、この5期の計画は、これまで五つの計画があったわけですが、計画目標とすれば一番少なかったのが今回の5期の計画だということで、それを今の説明で80%ですが、達成すればいいのですけれども、それでも達成できないという要因をお知らせいただきたいのと、あと来期、3年間の6期計画はどのような目標を見込んでいるのかお示しください。
〇高橋林業振興課総括課長 まず、達成の見込みでございますけれども、12月に当本部会議を開催しまして、3月末までの見込みということで、おおむね事業費と今年度の予算と見合わせて各部局から照会したところでございます。おおむね80%の達成率と見込んでおりますけれども、可能な範囲で各部局には上乗せができるところがないか、再度検討していただくように申し入れをしているところでございまして、これからも引き続き、時間がないところではございますけれども、申し入れをしていきたいと考えております。
 次に、5期の目標がこれまでで一番少なかったということで、この実績がさらに低い理由でございますけれども、工事実績の減少による木材利用量の減少によるものといたしまして、平成28年度の台風第10号災害の復旧工事がこの期間ございまして、迅速な対応が求められる工事内容であったこと、その場合に、木材を積極的に利用することがなかなか困難であったといったことが考えられます。また、工期短縮のため、木材以外の資材を利用したといったケースがあることが報告されております。
 このほか、施設関係では、災害公営住宅の整備戸数でございますけれども、これは最終的に見直しがかかって減となっているということでございますし、その他、設計変更等によります木材利用量の減少などがあったと考えております。
 次期、第6期の目標についての御質問でございます。第6期につきましては、令和2年から4年までの3年間を実質第5期の次期計画ということで第6期に相当させております。現在、策定を進めております岩手県木材等利用促進行動計画の中で、これは3月中に策定することとしておりますけれども、この中では、公共施設整備が2、500立方メートル、公共工事が3、500立方メートルの合計いたしまして6、000立方メートルを目標とすることで、現在調整をしているところでございます。
〇工藤大輔委員 次の6期計画は6、000立方メートルということは、これまで一番少なかった5期のさらに半分以下という計画になるかと思いますけれども、これは余りにも少ないのではないかと思うのです。もう少し公共事業等に利活用できるように各部に要請してやらないと、さすがに、今までで一番少ないですよ。本当に5期の半減というのはないのだと思いますので、改めて検討をしていただきたいと思います。
 また、県の取り組みが、公共事業が減っていってなかなか厳しいということであれば、市町村あるいは民間の取り組みも加速化させなければいけないと思います。協力を求めていかなければならないのではないかと思います。
 県でもことし、岩手県木造建築アドバイザー制度を創設して、市町村や民間にアドバイス、相談に乗るような事業をやっていますけれども、これを有効に、積極的に活用していきながら、理解を求めていくことが必要なのだと思います。その取り組みを聞いて、質問を終えたいと思います。
〇高橋林業振興課総括課長 第6期の目標値がこれまでの半分ということで、これが低いのではないかという御質問でございました。
 背景について御説明させていただきますと、令和元年度までの第5期計画に比べまして、令和2年度以降の次期計画の内容につきましては、まず、公共施設整備につきまして、東日本大震災津波の災害公営住宅等、こちらの災害復旧施設整備が令和元年度で終了することとなっております。このため、令和2年度以降は事業量が大幅に減少するという内容でございます。また、それに伴いまして、工事内容が災害復旧以外の通常の施設整備のみとなっていくということでございます。
 また、公共工事につきましては、東日本大震災津波で被災いたしました海岸防災林の復旧で大きな木材の使用量を占めていたところでございますけれども、この事業も令和元年度でおおむね終了することになっております。
 また、そのほかの東日本大震災津波の災害復旧工事につきましても、令和2年度、計画初年度でございますけれども、こちらでおおむね終了すると伺っておりまして、令和3年度以降は、これらに伴い事業が減少することになっております。
 それにいたしましても、各部に対しましては、今期の末と同様でございますけれども、同じ事業量の中で木材使用量が減少するようなことはぜひないように、あるいは新しい建築でありますれば、技術開発でありますとかCLTでありますとか、難燃材の開発といったことが全国的にされておりますので、こういったものを活用して実施の可能性について検討いただきたいということで申し入れをしているところでございます。
 次に、アドバイザーの制度につきまして、これから市町村、民間への働きかけが必要という御質問でございました。県におきましては、県による率先利用はもちろんのこと、公共施設や民間商業施設等での木材利用の促進が非常に重要だと考えておりまして、働きかけを行っております。
 その一つとしましては、今、委員からお話がありました市町村等への木造建築設計の県産木材調達に係るアドバイザーの派遣でございます。本年度2件、市町村と民間それぞれ1件から御希望がございまして、派遣しまして、さまざま幅広な木材による木造化あるいは木質化に対する疑問にお答えいただいたと考えております。
 また、先ほど申しました利用促進の基本計画に基づきまして、市町村等ときっちり連携をして進めてまいりたいと思っております。
〇吉田敬子副委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇佐々木朋和委員 私から、原木シイタケについてお伺いしたいと思います。
 震災から9年がたちまして、当部担当課の支援によりまして、徐々に生産を再開する生産者の方もふえてきたと思っております。また、来年度は、特用林産施設等体制整備事業費補助1億950万円余でシイタケ原木等の生産資材の導入や簡易ハウスの整備、また、キノコ原木等処理事業費補助によって、廃棄物の処理、また、ほだ場の整備、そして、特用林産物放射性物質調査事業費ということで、放射性物質の調査というところを、10年目もこのように予算をつけていただいて御支援いただいているところでございました。
 また、生産者の皆さんも、新しい生産管理の中で、これまで市場にベクレル数を上回ったシイタケも出さないで頑張ってきているということは、もっと注目されていいと思いますし、本当に褒められるべきところだと思っているところであります。
 そのような形で生産工程、生産モデルもできてきたわけでありますけれども、その実態は、やはり原木の高騰であったり、新たな工法によるかかり増し経費を抱えながら、それを東電の賠償によってペイしている。それで何とか外国から入ってくるキノコ類等と市場で戦っているという現状でありまして、生産者の方からは、この東電の賠償がいつなくなるか、なくなってしまえば生産は難しい、そういった話も聞こえてきます。
 そして、震災から来年は10年になりますが、皆さん10歳年をとっておりまして、ほかの第1次産業と同様に、生産者の方が少なくなれば、規模拡大あるいは新規参入を促していくというところが重要でありますけれども、その規模拡大や新規参入のところには東電の賠償が及ばないところで、せっかく立ち直った産業が、これからまた続けていけるのか、産業として次代につないでいけるのかと、今、大変な岐路に立っているところであります。
 その中で、やはり今進めなければいけないのは、原木シイタケの原木林の再生に県としても注力していただきたいという思いで、これから質問させていただきたいと思います。
 今、県では広葉樹林の更新の実証事業ということで、更新をして、また萌芽更新したところをはかるということをやっていただいておりますが、現在の実績と令和2年度の予定はどのようになっているのか伺いたいと思います。
〇工藤森林整備課総括課長 原木シイタケ等の原木林の更新に向けた取り組みについてでございますが、現在の実績につきましては、平成26年度から令和元年度までに422ヘクタールの実施をしているところでございます。また、令和2年度には37ヘクタールを実施する予算を計上しているところでございます。
〇佐々木朋和委員 今ヘクタール数を言っていただきましたけれども、私は、全体の中で、今まで原木林がどのぐらいあって、その中の422ヘクタールなのかという割合はわからないところですが、全体像についてはなかなか把握できないというところでありました。
 通告しておりませんけれども、はかった実証実験の結果、どのぐらい低減されるのかはまだまだ明らかになっていないところでありましたが、県としては、萌芽更新がベクレル数を下げるので有効だということが明らかになった場合には、このデータを使ってどういった取り組みをしていこうということが今の時点ではあるのですか。
〇高橋林業振興課総括課長 現在、原木林の再生実証事業等を加えまして、県南の11市町、18カ所におきましてモニタリングの検査で原木林の数値の検査を実施しております。こういった検査におきましては、放射性物質濃度がやや低下傾向にあることは認められますものの、まだ十分に使用できる段階までは来ていないものと考えております。
 こちらの低下傾向が徐々に低下してきた段階で、専門家の意見を聞くなどして、原木林の拡大に向けて活用する方法がないかどうかということで、次には検討してまいりたいと考えて実施しております。
〇佐々木朋和委員 通告しておりませんでしたが、ありがとうございます。
 これからまだ時間がかかるかもしれませんし、また、専門家の意見を聞いて活用の仕方を考えていくということでありましたけれども、やはり全体像を、来年、震災から10年になって、皆さん10年前はどう活用されていたのかというところも今のうちに聞き取り調査をして、来るべきときに活用できるような姿勢を見せていただきたいと思います。
 そんな中でまた、県で進めていただくと同時に、民間でも更新していくことが重要だと思うのですが、本県においては、原木林そのものについて東電の賠償の対象になっていないということであります。それがまた、民間での更新の足かせになっているということはそのとおりだと思うのですけれども、なぜ本県の立ち木については賠償の対象となっていないのか、また、他県で賠償になっている例があれば、教えていただきたいと思います。
〇高橋林業振興課総括課長 東京電力におけるシイタケ原木用の立木の賠償につきましては、現在、福島県内の立木が対象とされているところでございます。
 県内の立木が賠償の対象となっていないということでございますが、東京電力では、賠償の範囲につきましては、各県の賠償対策協議会との協議により決めているということでございまして、県を単位にして賠償方法を決めている理由など詳細につきましては、残念ながら把握しかねているところでございます。
 なお、県内におきまして、原木林につきまして全く補償がされていないことにつきましては、立木の状態では対象となっていないのでございますけれども、立木を伐採し、例えば、これをパルプ材として売却した場合には、本来シイタケ原木として売却した場合との価格差につきましては、賠償するということでお話をいただいているところでございます。
〇佐々木朋和委員 福島県では賠償になっていて岩手県では賠償になっていない理由を把握していないということでありましたけれども、そうかと。
 使えないのは一緒であります。また、立ち木をほだ木に仕立てて、あるいはパルプ材として売却した場合その差額は出るということでありましたけれども、なかなかそこまでやるところまで至っていないのが本県の現状ではないか。県南ではやっていることも認識しておりますけれども、このままであれば、民間の更新も進まないのではないかと思っております。
 県としては、これは賠償対象とするべきだとお考えなのでしょうか。私も今、記憶が曖昧ですけれども、市町村からの要望の中には数件入っていたと思うのです。そういった中で、県として、東電あるいは国にそういった要望をしたことはあるのでしょうか。
〇高橋林業振興課総括課長 シイタケ原木用の立木の賠償についての要望でございますが、委員お話しのとおり、県内の市議会議長会などから要望をいただいているところでございまして、県といたしましても、東京電力との協議の場で直接働きかけを行っておりますし、国に対しましても、こういった賠償について東京電力を指導いただくように要望を行っているところでございます。
〇佐々木朋和委員 課長、直接要望もしているということであれば、なぜ福島でよくて岩手でだめなのか、そういったところの理由もわかっているのではないかと思いますけれども、いかがですか。
〇高橋林業振興課総括課長 福島県での立木補償を行う理由といたしまして、私のほうでいろいろ調べさせていただきました。東京電力の資料によりますと、原発事故に伴う避難等に伴い商品出荷が困難となることから、土地に定着しているままの立木の状態で伐採後の市場価値を賠償するという説明がございました。本県におきましては、避難等に伴って商品出荷が困難という部分が福島県と比べると状況が違うのかなという印象は持っております。福島県におきましても全域がそういう形ではなく、本県と類似した地域もあるものと考えておりますので、今後、そういった点につきましても確認しながらこういったことにつきまして国への要望をいたしますとともに、東京電力にも引き続き要請をしていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。我々議員の立場からも応援していきたいと思います。
 やはり今やらなければいけないというのは……。来年、消滅時効の10年を迎えるわけですが、東電はこれを使わないと言っていただいております。これは真摯な対応だと思っております。なぜ消滅時効があるかというと、10年前の出来事あるいは書類は、確認するのが大変だからなのですね。これから岩手県の立木が賠償対象になった場合、そのまま無条件であればいいのですけれども、例えば、10年前にそれを自伐で使っていた証拠や売っていた証拠が必要だとなれば、それをそろえるのが今の状況で大丈夫なのかと。であれば、今のうちから県からそういった書類はとっておいてくださいといったメッセージも―今、一所懸命交渉すると言っていただきましたから―必要だと思います。福島では賠償の対象になっていますから、今後、賠償になった場合、必要な書類はどういったものなのかわかりますか。
〇高橋林業振興課総括課長 立木が賠償の対象となっております福島県におきましては、対象立木に係ります固定資産課税明細書、御本人を確認できる書類として住民票、立木の樹種や林齢などの現況を証明する森林簿のほか、委員から今、お話ありました、被災前の広葉樹の取引状況が実際にあるかどうか確認できる書類を提出することとされていると伺っております。
〇佐々木朋和委員 ぜひそういったメッセージも生産者の皆さんに発していただきながら、また、本県の中で、これから生産者の方々が必要としている原木林がどこにあって、またどこを更新していけばいいのか、そういったところをしっかりと、まだ実証の結果は出ておりませんが、そういったところも準備をしていただきながら、ぜひとも自伐による生産を再開できるようにお力をいただきたいと思います。
 最後に、今後の原木林―広葉樹林の更新をどのように進めていくのか総括的に質問させていただいて終わりたいと思います。
〇高橋林業振興課総括課長 先ほど申しましたように、県では地元の原木が利用できることが必要と考えておまして、原木林の放射性物質濃度の推移を確認するためのモニタリング調査を実施いたしますとともに、放射性物質の影響を受けた広葉樹林を伐採し、再生させる実証等に取り組んできたところでございます。
 今後も引き続きこれらの取り組みを進めていくほか、放射性物質検査によって安全性を確認しながら、地元での原木利用が進むように、市町村を支援しながら取り組んでまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 私も、危機的な不漁の現状と対策について、これまでも論戦がありましたが、お聞きしたいと思います。
 サケは前年比22%、震災前比で9%、サンマは前年比33%、震災前比15%、スルメイカは前年比73%、震災前比11%という答弁でありました。不漁の要因と今後の対策について、これまでの研究成果を含めて示してください。
〇工藤漁業調整課長 不漁要因と今後の対策についてでございますが、秋サケの不漁につきましては、震災による稚魚放流数の減少や採卵時期のおくれ、放流時期である春先の海水温の上昇等が要因と考えられております。
 また、スルメイカやサンマの不漁につきましては、国の研究機関によりますと、産卵場所である東シナ海の環境変化や海流の変動による稚魚の減少が要因とされているほか、国が参加する国際会議では外国船による乱獲なども指摘されております。
 このため、県では、資源量の回復に向け、サケについては、計画的な種卵の確保や健康的な稚魚の育成、適切な海水温での放流など、また、スルメイカやサンマにつきましては、漁海況情報等の迅速な提供や資源管理の推進などに取り組んでいるところでございます。
 また、近年、資源量が増加しておりますマイワシの小型漁船を活用した試験操業や、波浪の影響が少ない静穏な海域を生かしたサケ、マス類の海面養殖を推進しているところでございます。
〇斉藤信委員 私も、研究者のさまざまな報告会、シンポジウムなどに参加してまいりました。湾内でかなり減耗しているのではないか、オホーツク海まで行っていないのではないか、こういう指摘もありました。
 もう一つは、岩手県は、北上川のサケは比較的海水温が高いところに戻ってきているというのでこれを研究テーマにしていますけれども、先ほどの答弁を聞くと、岩手県も宮城県も前年比2割前後だったと。北上川だけが帰ってきているのか、北上川も帰ってきていないのか、その点も含めて示してください。
〇工藤漁業調整課長 北上川の遡上状況につきましては、今年度の北上川のサケ捕獲尾数は前年比21%にとどまっているところでございます。
 湾内の減耗につきましては、近年、放流時期に海水温が急激に上がって、成長できる期間が短くなって生残率が減少していると考えられております。現在、どの程度そこで減耗が起きたのかについて調査しているところでございます。
〇斉藤信委員 北上川のサケも前年比21%ということになると、単純に海水温の変化に対応できるということは簡単には言えなくなるのではないかと危惧しています。
 このサケの問題はずっと議論しているのですけれども、以前、耳石解析をして、サケがどのように流れて戻ってくるかという研究もあったと記憶していますけれども、この耳石解析はどうなっていますか。
〇工藤漁業調整課長 サケの耳石温度標識調査は、平成26年、平成27年ぐらいから、放流する一部のものに卵の時期に水温を変えることによってバーコードのような模様を入れて標識をつけるという方法ですけれども、それが帰ってき始めておりまして、帰ってきた個体から耳石を取って調べ始めたところでございます。その結果につきましては、もう少しデータを集めなければ解析はまだ不十分な状況と聞いております。
〇斉藤信委員 いずれ、海水温の上昇や海洋環境の変化とか、今のいわゆる気候変動の影響が背景にあるとすると、これは簡単にすぐ打開できる課題ではないという感じがします。
 そういう点で、先ほども議論がありましたけれども、大学、県の機関が協力、協働してさまざまな研究をされていることは承知していますが、そういう対策は、本来なら国が音頭を取って本気でやっていく必要があると思います。
 危機的不漁というのは先ほど部長もお話しになりました。漁業共済による補償、漁民の経営状況をどのように把握されているでしょうか。
〇工藤漁業調整課長 漁業共済による補償等についてでございますが、漁獲金額が不漁等で減少した場合、損失を補償する漁獲共済は、直近5カ年の漁獲実績をもとに基準額が設定され、漁獲金額が基準額を下回った場合、その8割までを上限に共済金が支払われる仕組みとなっております。
 不漁年が続いた場合、基準額が下がり、支払われる共済金が減少することから、県では、漁業共済の支払い額が減少しないよう、共済制度の柔軟な運用を国に対し求めていく考えでございます。
〇斉藤信委員 具体的に、この間、多額の漁業共済金が支払われていると思うのです。そのことも聞いたので。
〇工藤漁業調整課長 失礼しました。
 平成30年度の漁業共済の支払い実績は総額で10億5、000万円となっておりまして、支払い額の多い種目は、アワビをとる漁業が6億2、000万円、ホタテ養殖業で2億3、000万円となっております。
〇斉藤信委員 次に、ワカメ、アワビの生産量の実態と対策をお聞きしたいのですけれども、日本一と言われるワカメも前年比で76%、震災前比で48%と大変低迷したことは残念であります。あわせて、アワビも前年比85%、震災前比35%と。先ほども答弁ありましたけれども、ここまで落ち込んでいる要因について。特にワカメの価格はかなり高値安定していて、本当にここを打開する一つのきっかけになるのではないかと期待しているのですが、今後の対応策を含めて示してください。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 ワカメの生産でございますけれども、これだけ生産が減ってきたのは、震災以降、生産者の減少、それに伴う養殖施設数の減少で、養殖施設は震災前に比べて復旧率が7割程度という状況でございます。これが直接的なワカメの減少要因となっている状況でございます。
 この回復のために、現在、地域再生営漁計画―漁協と漁場の復旧について協議する計画―を漁協につくっていただいておりますけれども、その漁場利用、あとは規模の拡大、意欲ある生産者に対しての規模の拡大と漁協自営養殖の推進、省力化機器の整備を進め、家族経営体であっても1経営体が生産規模を拡大して生産を上げるよう、今、取り組んでいるところでございます。(斉藤信委員「アワビは」と呼ぶ)
 アワビにつきましては、先ほど来お話ししておりますけれども、冬場の水温が高まって磯焼け状態になっているところですので、先ほど工藤委員への答弁でも申し上げましたように、美しい海環境保全対策事業でまずはウニの密度管理―ウニを駆除することと、海中林を造成して漁業者の活動を支援していくということで藻場を再生してアワビ資源の増大に結びつける。さらに、栽培漁業推進事業によってアワビの種苗放流経費の支援に取り組んでいく考えでございます。
〇斉藤信委員 生産者が減少しているという話がありましたので、私、追加してお聞きしたいのですけれども、水産アカデミーを担い手育成でやって、今、2年目を迎えます。この成果はどうですか。今年度のアカデミーの受講者の就職先といいますか。そして、来年度はまた人数がふえたようですけれども、そこの状況も含めて示してください。
〇工藤漁業調整課長 いわて水産アカデミーの成果についてですけれども、まず、1期生は7名が研修しておりまして、この3月で1年間の研修を終える予定となっております。研修修了後の就業先ですけれども、今現在、ことし実践研修としてそれぞれ大船渡市や洋野町、陸前高田市等で研修を積んでいる先にそのまま就業する予定となっております。
 来年の研修生につきましては、今、定員の10名が入校する予定となっております。
〇斉藤信委員 最後に、新漁業法への県の対応についてお聞きします。
 新漁業法は、企業の参入を目的に、知事の権限も強化されました。その内容と県の対応を示してください。
〇工藤漁業調整課長 新漁業法の内容と県の対応についてでありますが、平成30年12月、水産資源の適切な管理と水産業の成長産業化を目的として、漁業法等の一部を改正する等の法律が公布されております。
 改正の内容を項目別に整理しますと、新たな資源管理システムの導入、漁獲割り当ての導入、漁業許可制度の見直し、漁業権制度の見直し、沿岸漁場制度、密漁のための罰則強化、海区漁業調整委員会の委員選出方法等の見直しとなっております。このうち、都道府県知事の所管する主なものは、漁業権、漁業許可制度、沿岸漁場制度、海区漁業調整委員の選出となっており、県では、国の政省令や技術的助言の内容が示されるのを待って必要な手続を進めたいと考えております。
〇斉藤信委員 私、冒頭で言いましたように、新漁業法というのは漁民の要求から出たのではなく、規制委員会から提起されたものをまともに審議しないで通してしまったという歴代の悪法だと思うけれども、漁業権の免許で漁協の優先順位が廃止され、企業が参入できるようになった。戦後、漁業が民主化されたとき、企業が勝手にやっていたものが変わって漁民共同の管理になったと。それで今まで漁場、漁業の民主的管理がされてきたと思うのです。私は、こうした漁協、漁民の優先順位というのは守られるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
 それと、資源管理と言われていますけれども、新漁業法では漁船のトン数規制が撤廃されて、大型船がどんどんつくられます。そうしますと、大型船優遇で漁獲制度が割り当てられるのですよ。そうすると、沿岸漁民がますます虐げられる危険性が高いのではないか。特に魚種がどんどん広げられますと、多魚種を漁獲している中小、零細の漁船に一番影響があると私は思っております。
 そして、海区漁業調整委員会の公選制をなくすということは全くの改悪であって、前回の海区漁業調整委員会の選挙で、漁協に属さない漁民の代表が2人も当選したと。私は、こういう前回の選挙結果をしっかりと尊重し、踏まえた海区漁業調整委員会の任命にならないと、知事が都合のいいところを任命してしまうことになりかねないのではないか。この懸念にどう応えるか示してください。
〇工藤漁業調整課長 お尋ねの一つ目の漁業権免許の優先順位についてでございますが、新漁業法では、漁業権を免許する際の優先順位を廃止し、漁場を適切かつ有効に活用している既存の漁業権者を優先して免許することとしております。漁業権免許の手続や運用につきましては、政省令や国の技術的助言で示されることとなっておりまして、現在のところ、企業を優先するとか、そういう意図は明らかになっていないところでございます。
 続きまして、二つ目の漁船のトン数規制の撤廃についてでございますが、新漁業法において、漁船のトン数規制の撤廃については、資源管理の取り組みが進んでいる漁業のうち、個別の漁獲割り当ての導入が進んだものについては船舶が大きくなっても漁獲量はふえないことから、船舶の規模に関する制限を定めないこととしております。
 また、これまでの国の説明では、漁船を大型化しても漁獲量がふえないことが前提であり、沿岸漁業者との調整については、国が責任を持って資源管理の実施や紛争の防止を行い、他の漁業に支障がないことを確認した上で大型化を認めるとしております。
 3番目の海区漁業調整委員会の公選制の廃止についてでございますが、海区漁業調整委員会の委員につきまして、漁業者または漁業従事者の公選制が廃止され、知事が議会の同意を経た上で委員を任命することとされております。
 委員の任命に当たりましては、過半数が漁業者または漁業従事者であることのほか、地区や漁業の種類等に著しい偏りが生じないよう配慮することなどが法で規定されているところでございます。
〇斉藤信委員 最後に、水産担当技監にお聞きしたい。
 新漁業法というのは、漁民に相談されず、説明もされず、本当に数時間の審議で強行してしまった歴代の悪法です。その目的は、よくわからないと言っているけれども、企業の参入なのです。今、実際に企業は参入できるけれども、漁協と協力したり漁協の許可を踏まえてやっているのですね。これが今度、要らなくなるのですよ。そして、企業が勝手に、漁協にお金を払うこともなく、相談することもなく、そこで漁業権を獲得すればいつでもできるというのがこの漁業法です。
 私は、このことを聞きたいのだけれども、今までの方式で漁場の管理に何か不都合があったのか。なかったと思います。しっかり漁民が共同で管理をしてきているのではないか。これが第1点。
 第2点に、漁船のトン数規制が撤廃されて大型船ができたらどうなるか。今までよりとりたくなるのですよ。諸外国は、大型船で、割り当てを超えてとっているというのが実態です。そうでなかったら大型船をつくる必要はないのだから。そして、そういう大型船に結局は漁獲割り当てが優先される。これも目に見えていることではないのか。
 そして、海区漁業調整委員会の公選制廃止ですけれども、今までなぜ海の県議会議員選挙と言われてきたのか。これは、漁業権のいわば管理です。これが海区漁業調整委員会の重大な権能だった。それが知事の任命になったとき、本当に漁民の声が反映されるのか。私は、少なくとも直近の選挙の漁民の審判を最大限考慮してやられるべきだと思います。改めて技監の答弁を求めたい。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 まず初めに、漁業権の関係でございますけれども、漁場利用については、漁業協同組合が実質の漁業権管理者でありますので、そこでしっかり漁業者と協議しながらワカメやカキなどを生産してきているのがこれまでの漁業法です。国が改正漁業法でうたっているところは、先ほど委員もおっしゃいましたように、免許の優先順位はつけないと。その運用の中で国は既存の漁業者をしっかり優先すると言っておりますので、これから政省令の中で具体的な事務手続が進められますけれども、我々はそれにしっかり基づいてやっていくという考えでございます。
 もう一つは漁船の大型化でございますけれども、国はなぜ漁船を大型化するかといいますと、やっぱり漁業界全体に人材の確保が非常に厳しいという現状も一つはございます。船が大型化すると、力でいっぱい魚をとるではないかということを懸念されますが、国は、漁獲枠ということで、船が大きくなってもしっかり一定程度の漁獲におさめるように管理していくとうたっています。まず国が法制度で漁業法に取り入れて管理していくと言っていますので、我々はそれを遵守していく。
 もう一つ、国はなぜ船を大型化していくかといいますと、漁船に乗る方々の居住空間や、若い人が乗りやすいような船に改革していくという視点も重要だと考えています。居住スペースや鮮度管理、それから最新の漁具、漁法も含めて改革船という形で漁業の担い手をつくっていくという視点もあわせて考えているようですので、しっかりとそこは監視しながら、沿岸漁業者が不利にならないような形で考えていきたいと思います。
 三つ目の海区漁業調整委員会の公選制でございますけれども、国は公選制をやめると言ってはおりますけれども、知事が任命して議会の承認を得るという手続をしっかり入れております。我々も議会の方々に、知事としてどういう方々が適任だと考えて選任していったかを説明して、議会の御理解を得て委員会の人選をしていければと考えております。まだ具体的な内容を国から示されておりませんから、そこをしっかり見きわめた上で議論していきたいと考えております。
〇上原康樹委員 私は、現状や課題をきちんと総括して新年度に向かっていくということで、去年の調査について伺います。
 岩手県は、2016年度から2019年度までを期間とした全県的な取り組み指針として岩手県漁業担い手育成ビジョンを示しました。その一環として、漁業担い手満足度調査が行われてきました。令和元年度の調査は去年の夏に行われたかと思いますけれども、その取りまとめの作業は終わりましたでしょうか。内容は整っておりますでしょうか。発表はいつになりますでしょうか。
〇工藤漁業調整課長 令和元年度の調査につきましては、夏から調査をやっておりまして、現在、調査結果を取りまとめ中でございます。年度内での取りまとめを目指しているところでございます。
〇上原康樹委員 もうほとんど取りまとめが終わりかけているということですね。ということは、もう間もなく新年度ですから、内容はほぼ見えているということでよろしいでしょうか。
〇工藤漁業調整課長 まだ内容について細かく議論できているところではない状況でございます。
〇上原康樹委員 内容についてやっぱり議論するのですか。どういうことを議論するのですか。
〇工藤漁業調整課長 アンケート調査の結果を担当とラインの中でもみまして、また、ほかの普及担当の者とも内容を吟味してその内容を分析していくという手法をとりますので、まだそこの分析が十分にできていないという状況でございます。
〇上原康樹委員 そのデータがどういう意味を持つのかという解析についてのさまざまな意見の交換はあると思います。けれど、アンケートをとった。そして満足だ、満足ではない、そういうデータ、数字はもう出ていると思うのです。そういうものを伺いたいと思ってきたのですけれども。
 なぜこんな話を聞くのかといいますと、もう満足度などとは言っていられない。漁業は修羅場を迎えていると思います。空前の苦境に立たされている岩手の水産業の現場の声を一刻も早く聞きたい。去年の夏の調査ですよ。それが今度の4月、5月の発表だなんて、周回おくれもいいところですよ。
 では、平成30年の前回発表された調査の内容をきっかけにしながらお話を伺っていきます。もし答えていただける数字などがありましたらお答えください。
 漁業担い手満足度調査、調査の対象は岩手県漁業士の方々です。地域漁業の中核的な役割を担う者として知事の認定を受けた方々です。前回の調査の対象は、90人の岩手県漁業士の皆さんでした。有効回収数63人でした。この対象となった漁業士の令和元年度の数と有効回収数はいかがだったでしょうか。
〇工藤漁業調整課長 まず、対象となった漁業士の人数ですけれども、平成31年4月1日時点での漁業士の人数は、県内85名となっております。その85名を対象としておりまして、令和元年度の有効回収数につきましては今、数字が把握できておりませんでした。
〇上原康樹委員 ちょっとがっかりです。
 漁業士という方々は、漁業に携わる方々の中でも相当有能な方だと拝察します。一番わかりやすい調査結果、年収。まだ令和元年度の調査が出ていないから、平成30年度の調査でお話しします。
 どんな仕事の人が高収入で、またどんな仕事の人が低収入となっていたのか、これを知りたかったのです。平成30年度の結果は、1、000万円以上の年収が全体の26人、41.3%で、さすが力のある皆さんだなと思った一方で、心配になったのは、年収200万円未満の方が6人、9.5%。10人に1人、苦しい経営でございます。その後も漁業に従事しているのか、本当に心配になります。
 もちろん今の答弁を聞いていますと、令和元年度の調査結果、年収階層別の結果というのは出ていないのですね。
〇工藤漁業調整課長 大変申しわけございません。令和元年度の調査結果についてはまだ取りまとめになっていないところでございます。
〇上原康樹委員 たっぷり時間はあったと思うのですよ。ここではそういう結果は発表してはいけないのでしょうか。それとも純粋にまだわからないのでしょうか、お答えください。
〇工藤漁業調整課長 令和元年度の調査につきましては、現在、担当のほうで取りまとめ中でございまして、まだきちんと議論できていない状況となっております。
〇上原康樹委員 では、私が一方的にやります。
 重要だと思ったのは、平成29年度、満足と答えた方が27.8%だったのに対し、平成30年度、一番新しく発表されているアンケート結果では、半減の14.3%でした。今、漁業の現状はこうなっております。
 アンケート調査を一枚一枚今まで吟味されているわけですよね。そういう作業の中で、満足という数値、ざっくりとおっしゃっていただけるのではないかと思うのですが、いかがですか。
〇工藤漁業調整課長 まだきちんとした数字は把握できておりませんけれども、全体的に平成30年度よりも満足度は低い状況になっております。
〇上原康樹委員 満足度は低いと今おっしゃいましたけれども、その根拠はどういう調査でわかったのですか。
〇工藤漁業調整課長 元年度の調査の結果で、全体的に満足とか、やや満足という回答が平成30年度よりも少ない状態だと聞いております。
〇上原康樹委員 ようやく取りまとめの現場の作業の空気が伝わってきて、ほっとしました。そういう回答に対しての農林水産部の皆さんの受けとめ方というものが、既に空気でわかってきました。かなり厳しいのだなと私なりに受けとめました。
 もう時間がありませんので、どんどん先に進めます。
 県が重要視している項目、これは重要項目。継続意欲、それから課題となる項目、将来への希望。継続意欲、将来への希望。今回の調査の結果を眺めていて、どうでしょうか。
〇工藤漁業調整課長 満足度調査の中で、各項目の重要項目や課題項目については、まだ分析できていないところでございます。
〇上原康樹委員 そうですか。
 平成30年度は35の調査項目でした。調査項目の中のワースト5項目というのがあって、中でも満足度が低下していたのが共同生産への興味、それから消費者とのつながりです。どういうことなのか、これを解説していただけますか。これがその後、どういう傾向になっているのか、お願いします。
〇工藤漁業調整課長 平成30年度のワースト項目で挙げられている共同生産への興味、消費者とのつながりに関してでございます。共同生産については、今の漁業就業者の減少に合わせて、作業のシェアをする共同生産の仕組みを導入していこうということで進めているところでございますが、漁業者の方は共同生産に対して非常にマイナス意識を持っておりまして、一人一人は個々の経営体として競争していく立場で今までやってきておりますので、ほかの方と共同でやっていくことに対してはマイナスの考えを持っていらっしゃると考えているところでございます。
 消費者とのつながりに関しましては、つくってしまって、それで後は終わりと考えている漁業者の方もまだ多くいらっしゃるというところが反映されているものと考えております。
〇上原康樹委員 よくわかるお話、ありがとうございました。
 では、少し前向きに、こうした満足度調査を反映させたカリキュラムなどを用意しての新規漁業就業者の確保、育成のために去年4月にスタートしたいわて水産アカデミー、新年度はどういう学習の場になりましょうか。その内容など、主なものを教えてください。
〇工藤漁業調整課長 いわて水産アカデミーの第2期生の研修についてでございますが、まず、基本的な漁業制度を理解していただくため、漁業法など関係法令の研修や、基本的な技術的なところとしてロープワークや網の修繕などの研修を行っております。また、そのような基本的なところだけではなく、6次産業化の取り組みや、ICT等を使った経営などの少し高度な研修なども行っております。そのほか、2級の小型船舶免許の資格を取ったりということもやっております。そのほか、それぞれの研修生が就業を希望している生産現場での実践的な研修を実施しているところでございます。
〇上原康樹委員 詳しくありがとうございました。
 こうした調査は、私、思うのですが、漁業士という一部の選ばれた方々に限らず、より多くの漁業従事者に広げていっていただきたいと思います。アンケートのみならず、聞き取り調査など現場の声に潮風の中で耳を傾けてほしいと思います。
 部長の所感を伺って終わります。
〇上田農林水産部長 今の状況から御質問がございました。今まで経験がなかったほどの大不漁という状況がございます。その中で、漁業者それぞれの立場立場で頑張っていらっしゃいます。そういった状況をきちんと私どものほうで把握して、それで私どもができること、それを漁業者のために、あるいは岩手の水産業のために考えて、そして関係の団体、それから漁業者の皆さんが一緒になって取り組んでいく、これが必要だと思っています。
 今回、質問の中で取り上げていただきました調査ですが、そのために非常に必要なものだと考えております。これからも漁業者の方の御協力を得ながら、そして後につながるように、その結果が生かせるような取り組みを進めていき、そして調査についてもきちんと皆さんから御意見を頂戴したいと思います。
〇上原康樹委員 どうもありがとうございました。終わります。
〇吉田敬子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇吉田敬子副委員長 質疑がないようでありますので、これで第2部林業、水産業関係の質疑を終わります。
 農林水産部の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後7時22分 散 会

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