令和2年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和2年3月13日(金)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
議事管理担当課長 安 齊 和 男
主任主査 藤 枝   修
主任主査 千 葉 絵 理
主査 上 野 公一郎
主査 鈴 木   忍
主査 赤 坂 宏 紀
主査 鈴 木 貴 博
1説明員
労働委員会
事務局長 井 上   馨
参事兼審査調整課
総括課長 蛇 口 秀 人

商工労働観光部長 戸 舘 弘 幸
副部長兼
商工企画室長 小 畑   真
定住推進・雇用
労働室長 菊 池 芳 彦
ものづくり自動車
産業振興室長 瀬 川 浩 昭
参事兼
産業経済交流課
総括課長 高 橋 孝 政
参事兼観光課
総括課長 浅 沼 秀 行
商工企画室
企画課長 似 内 憲 一
商工企画室
管理課長 松 本   哲
経営支援課
総括課長 関 口   等
地域産業課長 竹 花 光 弘
雇用推進課長 西 野 文 香
労働課長 金 野 賢 治
ものづくり産業
振興課長 十良澤 福 志
自動車産業
振興課長 小 野 和 紀
産業集積推進課長 熊 谷 克 行

企業局長 藤 澤 敦 子
次長兼
経営総務室長 菅 原 健 司
技師長 細 川 普 基
経営総務室
管理課長 高 橋 啓 三
経営企画課長 菅 原 克 浩
業務課総括課長 村 上 敏 弘

財政課総括課長 小 原 重 幸
〇柳村一委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 小西和子委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第26号から議案第31号まで、議案第39号及び議案第41号から議案第44号までの以上31件を一括議題といたします。
 本日は、労働委員会、商工労働観光部及び企業局関係について延べ18人の質問者を予定しておりますが、午後5時を目途に審査が終了するよう、議事進行に御協力をお願いいたします。
 初めに、労働委員会事務局長に労働委員会関係の説明を求めます。
〇井上労働委員会事務局長 労働委員会関係の歳出予算につきまして御説明申し上げます。
 便宜、お手元の予算に関する説明書により御説明申し上げますので、説明書の153ページをお開き願います。5款労働費3項労働委員会費のうち、1目委員会費3、182万円余は、労使紛争の解決を図るための労働委員会の運営に要する経費であり、委員15人に対する報酬及び旅費等の事務費であります。次に、2目事務局費9、045万円余は、事務局の管理運営に要する経費であり、事務局職員10人の人件費及び旅費、需用費等の事務費であります。これらを合わせますと、154ページの計欄のとおり1億2、228万円となるものであります。
 以上で労働委員会関係の歳出予算についての説明を終わります。よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇柳村一委員長 これより質疑を行いますが、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇柳村一委員長 質疑がないようでありますので、これで労働委員会関係の質疑を終わります。
 労働委員会事務局の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。
 次に、商工労働観光部長に商工労働観光部関係の説明を求めます。
〇戸舘商工労働観光部長 商工労働観光部関係の令和2年度歳出予算について御説明申し上げます。
 なお、組織再編によりまして、来年度、当部からふるさと振興部に移管予定の北上川バレー産業・生活向上推進事業費につきましては当部において説明をさせていただきますが、政策地域部から当部に移管予定のいわてまるごと売込み推進事業費及び東京2020オリンピック・パラリンピック情報発信事業費につきましては、現在、所管しております政策地域部から既に説明があったとおりでございますので、御了承をお願いいたします。
 初めに、当部の予算編成に当たっての基本的な考え方についてでありますが、令和2年度は、東日本大震災津波からの復興と、その先の地域経済の持続的な発展に向け、暮らしの再建やなりわいの再生の取り組みを着実に推進いたしますとともに、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる活力ある産業のもとで、安定した雇用が確保され、また、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事につくことができる岩手の実現に向けまして、産業の一層の振興と雇用、労働環境の整備を促進するための予算として編成したところでございます。
 まず、復興推進関係の取り組みでありますが、暮らしの再建については、産業振興施策と一体となった安定的な雇用の確保や労働環境の整備に取り組んでまいります。
 また、なりわいの再生については、被災地域の中小企業の事業再開や経営力向上に向けた取り組みを支援いたしますとともに、新たなまちづくりと連動した商店街を核としたにぎわいの創出や、地域の特性を生かした産業の振興を図ってまいります。
 次に、県民一人一人が能力を発揮でき、ライフスタイルに応じた新しい働き方ができる環境の整備に向け、若者や女性の県内就業の一層の促進を図るため、いわてで働こう推進協議会を中心に、働き方改革や人材の育成、定着促進の取り組みを産、学、行政を挙げて推進いたしますほか、訴求力の高い情報発信や市町村と連携した取り組みなどによりまして、移住、定住、U・Iターンを促進してまいります。
 また、地域経済を支える中小企業の振興を図るため、経営力の強化や生産性の向上、急務となっております中小企業者の事業承継の支援のほか、民間の起業化グループ等と連携した起業支援体制の構築による若者、女性等の起業促進などの施策を推進いたします。
 次に、国際競争力が高く、地域の産業、雇用に好循環をもたらすものづくり産業の振興を図るため、自動車、半導体関連産業の一層の集積促進と競争力強化に向けて取り組みますとともに、県内各地域のものづくり企業の成長支援や新産業の創出等を推進いたします。
 また、企業誘致や、県内企業の生産性、付加価値の向上を図るほか、産、学、行政、金融機関が連携し、今後、成長が期待されるものづくり産業及び地域産業を支える産業人材の育成と県内への定着を促進いたします。
 次に、本県ならではの地域資源を生かした産業の振興を図るため、食産業及び地場産業の経営力、生産性の向上に向けた取り組みを推進いたしますとともに、食や伝統的工芸品を初め、特色ある県産品の国内外でのPRや販路の拡大などの取り組みを促進いたします。
 さらに、地域経済に好循環をもたらす総合産業としての観光産業の振興を図るため、観光課の組織体制を強化し、部局を横断した総合的なプロモーションを行うとともに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会、令和3年に開催される東北デスティネーションキャンペーンに向け、観光コンテンツの魅力向上や受け入れ環境の整備、誘客活動の強化に取り組んでまいります。
 最後に、新しい時代を切り拓くプロジェクトとして掲げる北上川バレープロジェクトにつきましては、来年度からふるさと振興部の所管となりますが、当部におきましても、AI人材の育成とAIの社会実証を推進いたしますほか、県内中小企業の生産性の向上や人材確保の支援等に取り組んでまいります。
 以上が予算編成に当たっての基本的な考え方でありますが、施策推進に当たりましては、地域が持つ特性や魅力、人材などの資源が最大限に活用されるよう、関係機関と連携して取り組んでまいります。
 それでは、予算議案について御説明申し上げます。
 まず、議案第1号令和2年度岩手県一般会計予算でありますが、議案その1の6ページをお開き願います。2款総務費4項地域振興費の一部、1億4、005万円、7ページに参りまして、5款労働費のうち、1項労政費及び2項職業訓練費の合計31億133万円と7款商工費の1、223億2、110万7、000円、9ページに参りまして、11款災害復旧費2項商工労働観光施設災害復旧費の62億413万4、000円、合わせまして1、317億6、662万1、000円が商工労働観光部関係の予算の総額であります。これを前年度の当初予算と比較いたしますと16億7、533万4、000円の減、率にいたしまして1.3%の減となっております。減額となった主な内容といたしましては、地域産業活性化企業設備貸与資金貸付金の10億48万円余、中小企業東日本大震災復興資金貸付金の4億5、048万円余の減などによるものでございます。
 このほか、2款総務費4項地域振興費の一部、1、091万1、000円につきましては、当部からふるさと振興部へ移管する予算となっております。
 以下、予算の内容につきましては、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明申し上げますので、御了承をお願いいたします。
 それでは、予算に関する説明書の100ページをお開き願います。まず、2款総務費4項地域振興費1目地域振興総務費でありますが、説明欄の一番下、地方創生移住支援事業費は、東京圏から本県へのU・Iターンによる就業、起業の促進、及び県内の中小企業等の人材確保を図るため、マッチングを支援いたしますとともに、U・Iターン者の移住に伴う経費等を支援しようとするものでございます。前後いたしますが、このページの中ほどより少し下の北上川バレー産業・生活向上推進事業費は、ふるさと振興部へ移管する事業であり、ものづくり企業を初めとする産業分野に加えて、社会生活分野全般への第4次産業革命技術の導入促進を図り、働きやすく、暮らしやすいエリアの創出に向けた取り組みを推進しようとするものであります。
 次に、149ページをお開き願います。5款労働費1項労政費1目労政総務費でありますが、関係職員の給与費や労働情報の把握及び労働組合調査などに要する経費であります。2目労働教育費は、労働環境の整備や労働紛争の未然防止等を図るための雇用・労働フォーラムの開催などに要する経費であります。150ページに参りまして、3目労働福祉費は、離職者や、育児、介護休業を取得した方に対する休業期間の生活資金の貸し付けなどに要する経費であります。4目雇用促進費でありますが、この目の中ほど、いわて就業促進事業費は、県内就業の促進及びU・Iターンによる人材確保を推進するため、求職者及び企業に対する支援を行いますとともに、岩手で働き、暮らすことの魅力を一体的に発信しようとするものであります。次のいわて働き方改革加速化推進事業費は、県内企業における働き方改革の促進と生産性向上を両輪とした取り組みを推進していくため、労働環境の整備と処遇改善に向けた取り組みを支援しようとするものであります。次の事業復興型雇用支援事業費は、東日本大震災津波の被災地の事業所が被災求職者を雇用する場合に、雇い入れに要する経費等を補助しようとするものであります。
 151ページに参りまして、2項職業訓練費1目職業訓練総務費でありますが、一番下の北いわて産業技術人材育成調査費は、北いわての産業を担う人材の育成に向け、地域が求める人材のニーズ等調査、分析、事業者や関係機関、有識者等からの意見聴取を実施しようとするものであります。2目職業訓練校費でありますが、下から二つ目の就職支援能力開発費は、離職者及び母子家庭の母等の就職を支援するため、各種職業能力開発のための訓練を実施しようとするものであります。
 次に、184ページをお開き願います。7款商工費1項商工業費1目商工業総務費でありますが、このページの下のほう、中国ビジネス拡大・定着促進事業費は、中国への県産品の輸出拡大のため、これまで開拓した販路の定着と一層の拡大を図りながら、県内企業のビジネス展開を支援しようとするものであります。その三つ下の世界の市場を切り拓く事業者海外展開加速化促進事業費は、EU市場等への輸出に挑む県内事業者に対し、戦略策定から輸出体制構築までの一貫した支援を実施しようとするものであります。185ページに参りまして、2目中小企業振興費でありますが、上から二つ目、AI人材育成・社会実証推進事業費は、北上川バレープロジェクトの実現に向け、産学官が連携し、AI専門人材の育成やAI技術の社会実証に向けた取り組みを促進しようとするものであります。五つ下のいわて事業承継促進資金貸付金は、円滑な事業承継を促進するため、事業承継時の経営者保証を不要とする資金の貸し付けをしようとするものであります。三つ下の中小企業東日本大震災復興資金貸付金は、被災事業者に対して、事業の再建や経営の安定に必要な資金の貸し付けをしようとするものであります。その八つ下の商工業小規模事業経営支援事業費補助は、商工会、商工会議所及び岩手県商工会連合会が行う商工業小規模事業者の経営改善普及事業等の実施に要する経費に対し補助しようとするものであります。その四つ下の岩手産業復興機構出資金は、東日本大震災津波の被災事業者の二重債務問題の解決を図るため、債権買い取り支援を行う岩手産業復興機構に対して出資するものであります。次の中小企業被災資産復旧事業費補助は、沿岸市町村の産業復興を促進するため、市町村が行う被災事業者の施設等の復旧に対する補助事業に要する経費を補助しようとするものであります。次の被災商店街にぎわい支援事業費は、被災地域の商業機能の回復と、復旧した商店街等の持続的な発展を図るため、専門家派遣により、被災商業者の本設店舗による事業再開や商店街構築を支援しようとするものであります。次の被災中小企業重層的支援事業費は、被災事業者の事業の再建や経営の安定、経営力向上等の支援策を効果的に進めるため、産業支援機関が行う補助などを通じて被災事業者の復旧、復興を支援しようとするものであります。186ページに参りまして、上から三つ目の起業支援推進事業費は、民間の起業グループや金融機関等の関係機関と連携した起業支援体制を構築し、実践的な起業家教育を実施するなど、若者や女性等の起業を促進しようとするものであります。このページの中ほどより少し下の中小企業総合的成長支援事業費は、県内中小企業に対するIoTやAI等を活用した生産技術の高度化支援、人材育成等を実施しようとするものであります。このページの下から三つ目のいわて美味しい食の振興事業費は、沿岸地区の食産業事業者の商品開発を支援いたしますとともに、本県の食の魅力拡大を図るためのイベント等を開催しようとするものであります。次の北いわて産業デザイン力向上プロジェクト事業費は、北いわての地場産業の競争力強化を図るため、デザイン力などに着目した取り組みを牽引する中核人材の育成や、食、日本酒、漆等の地域資源を組み合わせた商品開発などを支援しようとするものであります。187ページに参りまして、3目企業立地対策費でありますが、上から三つ目の企業立地促進奨励事業費補助は、工場等の立地を促進するため、市町村が行う企業立地促進奨励事業に対し、その経費の一部を補助しようとするものであります。4目中小企業経営指導費でありますが、二つ目の中小企業ベンチャー支援事業費は、中小企業の事業活動を総合的に支援するため、公益財団法人いわて産業振興センターが行う経営相談、市場開拓のほか、経営人材の育成に要する経費を補助しようとするものであります。5目貿易振興費は、日本貿易振興機構盛岡貿易情報センターの事業運営経費に対する負担金であります。188ページに参りまして、6目工業技術センター費は、地方独立行政法人岩手県工業技術センターに対する運営費交付金及び施設設備の整備に要する経費の補助であります。
 次に、189ページに参りまして、2項観光費1目観光総務費でありますが、上から八つ目のいわて観光キャンペーン推進協議会負担金は、県内全域への一層の誘客拡大を図るため、いわて観光キャンペーン推進協議会が行う宣伝、誘客事業及び観光地づくりの推進に要する経費の一部を負担しようとするものであります。次のいわてインバウンド新時代戦略事業費は、外国人観光客のさらなる誘客拡大を図るため、個人旅行者の増加に対応する観光事業者の受け入れ態勢の整備を支援するとともに、県北、沿岸地域への誘客を強化するなどの戦略的、効果的なプロモーション等を実施しようとするものであります。その二つ下のいわて三陸に行こう誘客促進事業費は、三陸地域への誘客拡大を図るため、三陸の地域資源を活用したプロモーション等を実施しようとするものであります。次の三陸周遊・滞在型観光推進事業費は、震災学習を中心とした教育旅行や企業研修旅行などの復興ツーリズムの誘致や、三陸の地域資源を活用した旅行商品の造成を支援しようとするものであります。次の東北デスティネーションキャンペーン事業費は、令和3年4月から9月に開催されます東北デスティネーションキャンペーンに向けて、旅行商品造成の促進や情報発信等を実施しようとするものであります。2目観光施設費は、東日本大震災津波により被災した船越家族旅行村の水辺公園等の再整備や、その他県有観光施設の修繕等に要する経費であります。
 次に、238ページをお開き願います。11款災害復旧費2項商工労働観光施設災害復旧費1目商工観光施設災害復旧費でありますが、中小企業等復旧・復興支援事業費、いわゆるグループ補助は、東日本大震災津波の被災事業者が一体となって復旧、復興を図る事業を行う場合に、当該事業に不可欠な施設等の復旧、整備に要する経費に対し補助しようとするものであります。
 以上で一般会計歳出予算の説明を終わります。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 議案その1にお戻りいただきまして、11ページをお開き願います。第2表債務負担行為のうち、当部関係のものは、事項欄6から10までの5件であります。内訳は、損失補償に係るもの3件、保証料補給に係るもの1件、離職者等再就職訓練に係るもの1件でありまして、これらについて、それぞれの期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
 次に、特別会計について御説明申し上げます。
 31ページをお開き願います。議案第6号令和2年度岩手県中小企業振興資金特別会計予算でありますが、これは、歳入歳出予算の総額をそれぞれ39億3、650万1、000円とするものであります。
 次に、32ページに参りまして、第1表歳入歳出予算の歳入でありますが、1款繰入金1項一般会計繰入金は、中小企業高度化資金の貸付原資及び貸付事務費に充てるため、一般会計から繰り入れするものであります。
 2款繰越金1項繰越金は、前年度からの繰越金を予定するものであります。
 3款諸収入1項貸付金元利収入は、設備資金貸付等の貸付償還金であり、2項預金利子は、歳計現金の利子、3項雑入は、中小企業高度化資金の延滞違約金収入等であります。
 4款県債1項県債は、東日本大震災津波の被災中小企業施設・設備整備支援事業貸付金の貸付原資として、独立行政法人中小企業基盤整備機構から借り入れしようとするものであります。
 次に、33ページに参りまして、歳出でありますが、1款小規模企業者等設備導入資金貸付費1項貸付費は、公益財団法人いわて産業振興センターが行う被災中小企業施設・設備整備支援事業貸付に要する資金の貸し付けのほか、国、独立行政法人中小企業基盤整備機構及び一般会計に対する償還金等であります。
 2項貸付事務費は、貸付事務及び資金の回収などに要する事務経費のほか、公益財団法人いわて産業振興センターが行う被災中小企業施設・設備整備支援事業貸付等に要する事務経費に対する補助であります。
 以上で商工労働観光部関係の議案の説明を終わります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇柳村一委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇名須川晋委員 それでは、何点か質問させていただきます。
 いずれも新型コロナウイルス感染症対策関係になると思いますけれども、一連の新型コロナウイルス禍によりまして、中国における工場の稼働停止によってサプライチェーンが停滞しており、特に自動車関連では、日産、ホンダ―本県は日産、ホンダの工場は余りないかもしれませんけれども―さまざまな工場等で資材や部品確保が困難となり、生産性の低下が現実のものとなっております。本県の現状を今どのように把握されておりますでしょうか。
〇十良澤ものづくり産業振興課長 新型コロナウイルス感染症による本県のものづくり産業への影響についてという御質問でございますけれども、県では、新型コロナウイルス感染症を起因とした本県ものづくり産業への影響について、継続的に企業へのヒアリングを通じ、その実態の把握に努めているところでございます。
 このヒアリングでは、一部企業におきまして、中国からの部品供給の停滞による生産のおくれ、あるいは中国での生産活動の停滞による受注の減少が生じていると聞いているところでございます。
 県といたしましては、引き続き企業へのヒアリングを行い、本県ものづくり産業への影響を注視してまいります。
〇名須川晋委員 そのような答弁ですとまだ余り影響は感じられないようでございますけれども、実際、そのヒアリングはどの程度の規模でされているものでしょうか。それぞれの業界団体等々もあるでしょうし商工会議所、商工会単位ということもあると思いますが、その辺についてお知らせください。
〇十良澤ものづくり産業振興課長 私どもものづくり自動車産業振興室といたしましては、ものづくり産業を中心に約70社から聞き取りを行っているところでございます。
〇名須川晋委員 ものづくり産業以外の経済団体については、特にヒアリングで現状を把握する機会はなくていいということでございましょうか。
〇似内商工企画室企画課長 その他の関係団体のヒアリングでございますけれども、商工指導団体あるいは業界団体への調査や聞き取りなどを行い、現状把握を行っておるところでございます。
〇名須川晋委員 どの程度されているのか、もう少し詳細を教えてください。
〇似内商工企画室企画課長 大変失礼いたしました。
 まずは3月11日に、新型コロナウイルス感染症による県内企業への影響や各機関等における対応状況等を把握するため、新型コロナウイルス感染症に係る経済金融連絡会議を開催しております。その中で、県あるいは商工指導団体、金融機関等に設置しております相談窓口に寄せられた相談内容について情報共有しております。
 その中でも、例えば宿泊業においてキャンセルが発生しており、貸し切りバスのキャンセル、あるいは中国と取引のある企業における部品調達のおくれ、ホテル、飲食店における謝恩会、送別会、卒業パーティーなど各種会合のキャンセルなど、幅広い業種におきまして影響が生じていると確認しております。
〇名須川晋委員 常にそういう窮状を把握していかなければいけないと思いますが、今後はどのように対応していくものでございましょうか。
〇似内商工企画室企画課長 商工指導団体、業界団体の調査、聞き取りは定期的に行っておりますし、先ほど申し上げた新型コロナウイルス感染症に係る経済金融連絡会議も適宜開催して現状を把握していくこととしております。
〇名須川晋委員 わかりました。
 新卒者の内定取り消しについて報道されておりますけれども、本県の現状はどのようになっているか伺います。
〇西野雇用推進課長 県内の新卒者の内定取り消し状況ですけれども、県内の大学、または県教育委員会、そして当部で持っておりますジョブカフェいわてに確認しましたところ、今のところ内定が取り消されたという形での相談は寄せられていないということでしたが、大学の一部においては、まだ配属先が決まらないというような学生からの相談が寄せられているということでございました。
〇名須川晋委員 そうしますと、これから本県でもそういう事例が発生した場合の対応についてどのように考えているか。
 また、外国人材もふえてきている状況で、そういう方々が真っ先に解雇になる可能性もあろうかと思います。その辺の状況も把握していただきたいと思いますが、その対応について伺います。
〇西野雇用推進課長 今後、新卒者の取り消しなどがあった場合、今回、国の雇用調整助成金の特例措置が講じられており、それは新卒者にも対応できるよう要件緩和がされていますので、事業者には、雇用調整助成金を活用して取り消さないようお願いしていきたいと思っております。万一内定が取り消された学生につきましては、それぞれの学校のキャリア支援センターやジョブカフェいわてのようなところでしっかりとフォローして就職活動を支援してまいりたいと思っております。
 また、外国人に関しましては、先ほど商工企画室から御答弁させていただいたとおり、経済団体、関係団体などのヒアリングから雇いどめの状況なども把握いたしまして、しっかりとした対応ができるよう取り組んでまいりたいと思っております。
〇名須川晋委員 雇用調整助成金といいましても、恐らく企業に3分の1の負担がある。企業の規模によりますけれども、大きな企業だと2分の1でございましょうか。恐らくこれから仕事が激減あるいは皆無になっていく状況がある。見通しが立たない中では―もちろん新卒者を受け入れていただければいいのですが―内定取り消しということが十分に考えられる状況かと思いますので、しっかりとその辺については御対応いただきたいです。雇用調整助成金の要件が緩和になったとはいえ、非常に厳しい状況が企業にはこれから先続いていくだろうということを御認識いただいて、県としてもフレキシブルな対応をお願いしたいと思います。
 航空便の減便などにより人の往来が停滞します。この前中国や韓国等の入国制限がされましたし、アメリカではいよいよイギリスを除いたEUからの入国が制限されるという状況が始まりました。岩手県の新年度予算を見ますと、果たして遂行できるのか懸念される各種政策が特に商工関係に見受けられるところでございます。これから停滞する懸念があるので、既に現時点で遂行できかねる状況の施策があるのではないかと思われます。
 まずは、いわてインバウンド新時代戦略推進事業が5億円ほどの予算でございますが、この中身についてお知らせいただきたいと思います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 いわてインバウンド新時代戦略推進事業費でございますが、国際的な観光の外国人誘客を図るための各種の情報発信やプロモーション活動、あるいは県内の観光施設等での受け入れ環境の充実、整備に係る予算を総合して計上させていただいているものでございます。
〇名須川晋委員 もう少し詳細に伺いたいところですが、まず、質問の答えをもらえたと思います。停滞する懸念があると。既に現時点で遂行できかねる状況の施策があるのではないかと推測するわけでございますが、いかがでしょうか。
〇似内商工企画室企画課長 現時点で遂行できかねる状況の施策ですが、現在、新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない中、まだ判断できかねる部分もございますけれども、県といたしましては、これまで培ってきた台湾や中国など海外とのネットワークをしっかり維持することが重要と認識しております。
 現時点では、情報発信など今できることをまず継続するとともに、事態の収束の際には積極的な事業展開ができるようしっかり準備を進めていきたいと思っております。
〇名須川晋委員 了解しましたが、残念ながら政策がそのまま100%効果が見られるような状況ではないということでございます。来年度は種まきのような形で、もちろんさまざまな形でできる範囲での交流は続けるべきでありましょうが、実際にその効果が発揮されない環境であるとするならば、全額この予算を使わなくてもよろしいのではないかという考えもできますので、その点は機動的に、十分に御検討された中で予算の執行をしていただきたいと私は思います。
 最後でございますけれども、5Gの動きも相まって、人が移動するのではなくテレワークが推奨される時代でございます。かといってテレワークができる環境かといえば、業種や地域によっても違うと思いますけれども、働き方や生活のあり方が変わっていく機会になると予想されます。
 これは総務部の分野にもかかわると思われますが、事業所の働き方を変化させるきっかけとなり、あわせて地方創生の一策となることも期待できるのではないかと思います。これを背景とした雇用、労働環境の整備促進についてどう取り組むか伺います。
〇金野労働課長 テレワークについてでございますが、
 今般、新型コロナウイルスの感染防止対策といたしまして、県内企業におかれましても、学校の一斉休校等の影響などによって勤務時間の変更や在宅勤務、特別休暇など、従業員に配慮した労働環境の整備が必要になってきていると存じております。また、この中で、テレワークも有効な方策の一つではないかと存じているところでございます。
 厚生労働省におきましては、今般、時間外労働等改善助成金のテレワークコースに特例を設けまして、新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新たに導入する中小企業に対して助成することとし、申請の受け付けを開始したと承知しております。
 県といたしましては、岩手労働局等と連携いたしまして、企業の方々にこういった助成金の活用等について周知を図ってまいりたいと考えております。
 あわせて、働き方改革の一環でございますが、県では、いわて働き方改革等推進事業費補助金によりまして在宅勤務やテレワーク導入に向けた取り組みに対しても支援しているところでございまして、引き続きいわて働き方改革推進運動を展開する中で、こうした補助金制度の活用などもしていただきながら、在宅勤務やテレワークに向けた取り組みを行う企業を応援してまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 了解しました。
 通告はしていなかったのですが、1点伺います。
 今回の新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の一つとしてフリーランスへの休業補償が1日4、100円ということで、何かフリーランスをばかにしているのではないかという受けとめ方ができますけれども、このフリーランスの定義について、もしおわかりであれば伺います。
〇柳村一委員長 後ほどでもよろしいですか。
〇名須川晋委員 後ほどでよろしいですが、こちらの対応はどこになりますでしょうか。
〇金野労働課長 国の所管は厚生労働省です。
〇名須川晋委員 具体はこれから出てくるのかもしれませんが、例えばどういう申請がなされて、どの範囲で認められるものかを伺います。どこに相談してそういう申請手続をすればいいのか、そういう道筋をお聞かせください。
〇金野労働課長 いわゆるフリーランスの方々への休業補償の関係につきましては、詳細につきましてはこれから検討した上で追って公表するということで3月10日付で厚生労働省からプレスリリース等が行われたところでございます。
 私どもといたしましても、引き続き岩手労働局等と連携しながら情報収集に努め情報提供をしてまいりたいと思いますが、今、新型コロナウイルス感染症による小学校等の休業対応の助成金につきましては、岩手労働局の雇用環境・均等室で問い合わせを受け付けていると承知しております。
〇名須川晋委員 では、これから出てくるということでございます。
 フリーランスは1日当たり4、100円、お小遣いではないのですから、この辺はいかがなのでしょうか。あえて最後に戸舘部長にその御感想を伺いたいと思います。
〇戸舘商工労働観光部長 フリーランスの休業補償ということで4、100円という単価が示されて、さまざま御意見、御批判が報道されておりますけれども、私どもの立場でこれをどう評価するかについて、現時点でコメントするものは持ち合わせておりませんので、御容赦いただきたいと思います。
〇城内よしひこ委員 今の新型コロナウイルス感染症対策に関連しますけれども、新年度に向けた予算立ての中で県税が減っていると総務部の審査で取り上げさせていただきました。具体のものを調べましたら、県北においては、食鳥関係が東日本大震災津波以降、大変苦慮していて、なかなか税収が上がってきていない。また、沿岸部においては水産加工業等がそのような状況であるということですし、アメリカ、中国のファーウエイ関係で、金型コネクター関係も大変だということでありました。これまで税収が伸びていたのは、多分復興工事関連の影響だったのだろうということでありました。
 沿岸部は、東日本大震災津波、そして平成28年台風第10号、昨年の台風第19号、今回の新型コロナウイルス感染症等で大変大きな影響、動揺があります。そこで、県内の水産加工業等の業績はどのようになっているかお伺いします。
〇高橋参事兼産業経済交流課総括課長 新型コロナウイルス感染症による水産加工業への影響についてでございます。
 私どもで沿岸の水産加工業者に聞き取りを行ったところであります。直近の影響ですが、事例として、学校給食や飲食店向けなどの業務用商品を生産している事業者は、休校や外食の自粛等により売り上げが減少しているという状況がございました。一方では、休校や外出自粛により、いわゆる中食と言われている総菜やテークアウトなどの需要の高まりを受け、増産傾向にある事業者もあります。さらに、今まで中国で製造していた商品がなかなか入ってこないということで、三陸で製造できないかという問い合わせが入っているという状況を伺っております。どのような商品を製造しているかによって影響が異なっていると認識しております。
〇城内よしひこ委員 水産加工業においては、ことし2月には宮古毛ガニまつりが中止になりました。そのことによって、それを取り扱う業者は結構なダメージを受けたという話であります。この宮古毛ガニまつりを期待していた宿泊者の方々からもキャンセルがあったと。3月11日に地元に帰って商工会議所の専務とお話をしてまいりました。今、会頭は東京やいろいろなところに行って、現状大変だということで陳情している状況であるという話がありました。
 そこで、宿泊等の状況は、県内どのようになっているのかお伺いしたいと思います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 県内宿泊数等の状況でございますが、本年3月5日時点の状況につきまして、岩手県旅館ホテル生活衛生同業組合等に加入している309社に照会させていただきました。そのうち、半分程度の158社から御回答をいただきました。その状況ですが、2月から4月までのキャンセル数は約13万8、500人泊、そのうちの75%程度が国内のお客様となってございます。また、キャンセル後の予約状況も確認させていただきましたが、3月、4月ともに例年の5割以下という回答をいただいた事業者が65%程度で、大きな影響を受けているという回答をいただいてございます。
〇城内よしひこ委員 大変な状況であります。先ほど金型コネクターのこともお話しさせていただきましたけれども、リーマンショックのとき、宮古市では当時1、700人ぐらいの雇用があったのですが、その半数が解雇されました。一度解雇された方々は、もう戻ってこないという状況であります。ようやくここに来て少しずつ持ち直してきたところでありますけれども、昨年末ぐらいから先ほど述べましたファーウエイの関係で業績が低迷している。残業もなくなってボーナスも出なかったという話をお伺いしました。
 そういう状況がある中で、新年度の予算案を見せていただきましたけれども、なかなかこれといった打開策が見えてこないのではないか。もう少しタイムリーな予算立てが必要なのではないか。総務部でもお話しさせていただきましたが、税金は、2年ぐらい前に発生した所得が数字として出てくるわけです。タイムラグがあるわけで、そのタイムラグを考えるなら、もう少し連携して早目早目の対策、対応が必要ではないかと思っていますが、そういう対応は考えていらっしゃるでしょうか。
〇戸舘商工労働観光部長 新型コロナウイルス感染症はなかなか終息が見えないですし、また、それがどういう時期になるのかもまだ不透明な状況にありますので、日々その動きは注視していかなければならないと思っています。既に資金繰りの相談に来られている事業者の方もいらっしゃいますが、大勢としては、事態の収束状況がまだ見きわめられないので、資金繰りに動いたらいいのかどうかというあたりを今、見定めているという声が多く聞かれています。
 私どもとしては、国から緊急対応策として打ち出されたものがありますので、それを事業者からの求めがあった際に機動的に実行できるように万全の準備を整えていきたいと思いますし、その辺を見据えて、先般3月11日には国や金融機関等を交えた新型コロナウイルス感染症に係る経済金融連絡会議も設置いたしましたので、随時その情報の把握に努めながら、機動的に対応できるようにしてまいりたいと思います。
〇城内よしひこ委員 何か受け身のような話をしているように聞こえてならないのですけれども、現場は結構大変です。私どもも自由民主党として3月1日に緊急対策本部を立ち上げて、いろいろな業界団体からお話を聞いております。そういった中で、少なくとも連絡会議とか腰が引けた話ではなく、対策本部ぐらいを立ち上げて、各課にわたって連絡調整をしながら手を打っていかないと、いよいよ東日本大震災津波復興の仕上げの段階に入ったこの時期に倒産が軒並み出たらふるさと振興総合戦略どころの話ではなくなってしまうと私は思うのですが、その辺はどうでしょうか。
〇戸舘商工労働観光部長 新型コロナウイルス感染症対策につきましては、庁内横断的な組織として、知事を本部長といたします岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部員会議を既に立ち上げておりまして、きょうも会議を開催いたしました。全庁的に情報共有を図りながら、委員おっしゃるように機動的な対応ができるように対応してまいります。
〇城内よしひこ委員 なりわいの再生、安全の確保、暮らしの再建という三つの柱で、皆さんの力強いバックアップのもと、これまで東日本大震災津波からの復興が進んできたと思っています。特になりわいの再生というのは大事です。一度離れた仕事、あるいは失ってしまった商品は棚になかなか戻らないというのは、皆さんがよくわかっていらっしゃると思っています。
 そういった状況をつくってはいけないし、水産加工場が一つ潰れてしまうと、そこに荷揚げする船の数が減ってしまいます。水産加工業は裾野の広い産業ですから、一つ二つが減っていくと、なかなかそこに物が入ってこないのです。買い支える加工業者があるからこそ物が入ってくるのであって、そういう裾野の広い産業です。もちろん金型コネクターもそうですし、業績のいい産業もあるかもしれませんけれども、特に沿岸部の産業は総じて今は大変です。ぜひ緊張感を持って、皆さんが立てた予算がもし使えないとするなら、組み替えをしてでもやるぐらいの大胆な政策を打ち出すときではないかと思います。
 これは日本中のことですから、国とて、東日本大震災津波のときのような大きなお金で支援はしてくれません。とするなら、できる範囲で大胆な考え方で対応してほしいし、今、皆さんが持っている情報は、正確ではないとは言わないけれども、まだまだ不十分だと思います。もう少し真剣に―真剣にやっているとは思いますけれども―頑張ってもらいたいと思います。それが現場の声であります。特に被災地は、これまた冒頭話したとおり、東日本大震災津波、平成28年台風第10号、令和元年台風第19号、そして今回の新型コロナウイルス感染症と、たび重なるダメージを受けています。それは県内の業者さんすべからくそうかもしれませんけれども、ぜひ緊張感を持って対応してほしいと思いますが、いかがでしょうか。
〇戸舘商工労働観光部長 まさに委員御指摘のとおりだと私どもも思っております。各商工支援団体、商工指導団体、金融機関、そして県も県庁、各広域振興局に相談窓口を設けております。ぜひそこに相談に来ていただけるような働きかけもしていきたいと思いますし、そこでしっかりと現場の実情を捉まえて、機動的に対応できるようにやってまいります。
〇城内よしひこ委員 来ていただきたいと言うところに腰が引けているのを感じてしまうのです。先ほどグループ補助金の説明もしていただきましたけれども、水産加工業者は、もうグループ補助金のお金を返し始めている。リスケジュールも相談していて、なかなか厳しい状況だということをわかっていますか。
 皆さんがもっと積極的に情報収集して、声をかけられるのを待っているのではなく、皆さんのほうから声をかけてほしい。そういう調査を今しなければ、大変な問題が起きると思います。今はそういう積極的な攻めの時期だと思います。どうでしょうか。
〇戸舘商工労働観光部長 相談窓口を設けたのは決して待ちの姿勢ではなくて、そこにかかわる商工指導団体の経営指導員ですとか、そういう方々は既に各事業所に入っていますし、県の担当の職員もそれぞれの事業者のところにみずから足を運んで、ニーズをしっかりと掘り起こすように努めてまいります。
〇城内よしひこ委員 ことしの決算の時期に、あのときにやっておけばよかったのではないかと言われないように、正念場だと思ってしっかりと頑張っていただきたいと思います。
〇小野共委員 私からは、新型コロナウイルス流行に伴う県の海外事務所の対応についてお伺いしたいと思います。
 おとといですか、WHOの事務局長が、現在の世界の新型コロナウイルス感染症の流行状況を、パンデミックとの認識を示したようであります。県の海外事務所は、御存じのとおり、中国に2カ所、韓国に1カ所であります。それぞれ中国、韓国の対応の状況でありますが、3月9日から、中国は日本に対しビザの免除措置の一時停止、そして入国後の移動の制限などの措置をとっておるようでありますし、岩手県大連経済事務所のある遼寧省、そして雲南事務所のある雲南省もそのとおりの対応であります。韓国も、3月9日からビザの免除措置の一時停止、そして発効済みビザの無効ということであります。世界的に危険な状況であるという認識をどこの国も今持っているということが言えるのだろうと思います。
 それで、職員体制でありますが、大連経済事務所に先日お伺いをいたしました。職員5人全員の国籍が中国ということでありました。雲南事務所も職員3人全員が中国の方ということでありました。ソウル事務所は4道県での共同事務所ということで、職員4人中、3人が韓国人で、1人が秋田県からの長期派遣ということになります。去年までが岩手県だったということでありました。今、それぞれ中国及び韓国におきまして、勤務体制が在宅勤務やテレワークでありますとか、ジェトロのホームページを見ても、海外駐在員に対する対応は、一様に在宅勤務あるいはテレワークみたいなことになっていますけれども、中国と韓国の三つの事務所の職員の勤務体制を少しお伺いしたいと思います。
〇高橋参事兼産業経済交流課総括課長 海外事務所の勤務状況についてでございますけれども、私のほうから、中国の大連経済事務所と雲南事務所につきましての御答弁を申し上げます。
 まず、中国における新型コロナウイルス感染症につきましてですが、御承知のとおり、旧正月に当たる春節の時期から急速に拡大してまいりました。当時、中国当局からは、移動の制限ですとか企業活動の停止ということで、さまざまな規制が課せられた状況でございます。こういった状況を踏まえまして、大連経済事務所と雲南事務所におきましては、ちょうど春節明けの2月初め、休暇が延びたという状況でありましたので、その当時、海外事務所の職員については在宅勤務にしております。以降、状況が変わっていきましたので、1週間ごとに勤務形態を検討をしながら、例えば、週1日1名勤務とか、時差出勤とかの対応をしてきたところであります。
 現在のところ、中国における状況を踏まえまして、感染の危険度に応じた勤務体制が図られるようにと危機管理対応方針を策定いたしました。現在、大連と雲南省につきましては、2月中旬以降は、中国においては大分感染症の状況が安定しつつある、減ってきているという報道があり、当初のピークに比べて大分落ちついてきている状況がありますので、3月からは職員1名ないし2名の交代勤務という形で、試行的に在宅勤務から事務所に出てくるような体制にもってきております。
〇柳村一委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔明瞭にお願いします。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 それでは、私のほうからソウルの4道県事務所の勤務状況について御答弁を申し上げます。
 北東北三県・北海道ソウル事務所におきましては、先月の2月28日に、韓国における新型コロナウイルス発生に係るソウル事務所危機管理対応方針というものを定めております。現在、その方針でのレベルはステージ2という位置づけでございます。このステージ2と申しますのは、感染のリスクがある場合については、現地スタッフは在宅勤務等を選べ、所長に関しても、感染リスクがある場合には、在宅勤務あるいは通常の勤務を選べるという状況でございます。
 現在、ソウル市内におきましては、感染による死者は発生していないということ、また、所長自体のお住まいが事務所から徒歩で通える範囲にあって、公共交通機関を使っての感染リスクが高いとは認められないということで、所長とも協議をいたしまして、現在は所長のみが通常勤務をしております。現地スタッフにつきましては、公共交通機関を使用し、感染リスクがあることから、3月3日から在宅勤務となっているところでございます。
〇小野共委員 たしか2月15日の岩手日報に、大連市に職員1人が派遣で、現地に残留という記事がありました。先日お伺いしたところ、5人全員、中国籍の方が働いているということでありました。恐らく、所長は花巻温泉で働いていらっしゃった方だろうと思います。今は日本も3月9日から入国制限、2週間の待機、ビザ云々という話がありますが、今後のこの所長の日本帰国の方向はどうなるのですか。今のところではどういう予定になっているのですか。
〇高橋参事兼産業経済交流課総括課長 大連経済事務所の所長でございますけれども、御指摘のように、中国の国籍を持っておりまして、現在中国に住まわれて、事務所に勤務されているということでございます。
 帰国に際しましての御質問でございますけれども、大連経済事務所の所長につきましては、中国の国籍を有していますが、日本の永住権を取得している方でございます。そのために、来日に当たってはビザは必要としないのですけれども、2週間の隔離が必要になる状況でございます。
〇小野共委員 先ほど質問したのですが、今後の予定はどうなのですか。様子を見ながらということになるのだろうと思いますけれども、所長の今後の予定を聞かせていただきたいと思います。
〇高橋参事兼産業経済交流課総括課長 今後の予定でございますけれども、御指摘のとおり、お互いビザの発給ができなくてそれぞれ期間が拘束されるということがありますので、来日される予定はございません。
〇小野共委員 了解しました。
 次に、ソウル事務所の状況についてお伺いしたいのですが、所長は、去年まで岩手県からの派遣だったのですね。ことしの4月から秋田県からの派遣の所長が行っているということでありました。秋田県派遣の所長の帰国の予定はどうなのですか。韓国の新型コロナウイルス感染症の流行状況も踏まえて、どうなのですか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 現在のところ、ビザ発給停止に伴う帰国というよりは、外国人登録をしているのですが、その期間延長については問題なくできそうだということで、滞在は認められる予定でございます。また、ソウル市内におきまして死者が発生していないこと、あるいは外務省による渡航中止という勧告が強く出されていないということで、これらが発生した場合においては、現地の状況の判断において帰国を選択することもできる、あるいは在宅勤務に切りかえることもできるということで、ほぼ毎日、秋田県とソウル事務所が連絡を取り合っております。また、その協議結果については、本県にも情報提供をいただいて共有しておりますが、今のところは帰国までは検討されていない状況でございます。
〇小野共委員 了解しました。しっかりとした対応をとられているという印象は受けました。今後、状況も刻々と変わっていくのだろうと思いますし、外務省の情報発信にもより気をつけていただきまして、特にソウル事務所はほかの都道府県、北東北、北海道との連携もより密にしていただきまして、事務所の職員との情報も取り入れながらきっちりと対応していただきたいと思います。
 先日の2月15日のマスコミ報道以後のほかの都道府県事務所、今は全国で29都道府県が海外に事務所を置いているということでありました。2月15日の段階で、19事務所が職員を引き揚げたという報道がありました。2月15日段階で、29都道府県のうち10都道府県がまだ職員を滞在させているという話でありました。その後、その10都道府県の帰国もしくは滞在、テレワークだとか在宅勤務だとかの情報は何か入っていますか。
〇高橋参事兼産業経済交流課総括課長 他県の状況でございますけれども、全体につきましてこちらでは把握しかねておりますけれども、中国の状況、特に大連をこちらで調べてみますと、2月中旬以降は中国の新型コロナウイルス感染症が大分落ちついてきている状況がありまして、実は中国でも各県の進出企業の活動も再開されていると。中国でも事業の再開という指示も出てきて、大分戻りつつあるということでありますが、3月中旬以降、一部の自治体では、中国のほうに任務をまた戻すという県がございます。特に大連で言いますと、岩手県と同じくフロアを一緒にしている宮城県は、今閉めたままで在宅勤務となっております。新潟県と神奈川県については、中国のほうに職員を戻して対応すると伺っております。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 他県のソウル事務所の関係でございますが、ソウルには静岡県、沖縄県、宮城県、長崎県、新潟県の事務所がございます。そのうち、沖縄県及び長崎県につきましては、所長は新型コロナウイルス感染症の影響で帰国しております。そのほか、静岡県、新潟県については、所長が各県派遣でございますが通常の出勤。一部異動のために早期帰国という方がいらっしゃいますが、基本的には半々という状況になっております。また、現地のスタッフは全て在宅勤務となっております。
〇小野共委員 了解いたしました。先ほども申し上げましたとおり、常識的な、現実的な判断をよろしくお願いします。
〇飯澤匡委員 それでは数点について伺います。
 最初に、新型コロナウイルス感染症に係る中小企業への無利子融資について。
売り上げが急減した中小、小規模事業者に支援するための特別貸付制度の創設について、本県はどういう要件でこの融資をするのか。
〇関口経営支援課総括課長 国においては、3月10日に公表した第2弾の新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策について、新型コロナウイルス感染症特別貸付制度の創設を盛り込んだところであります。
 この特別貸付制度は、新型コロナウイルス感染症の影響で売り上げが減少している―原則、前年同月比5%減となっております―中小、小規模事業者に対して、日本政策金融公庫が低利で、中小事業と国民事業がございますが、中小事業の場合は0.21%、国民事業の場合は0.46%で、設備、運転資金を融資するものであります。
 また、この特別貸し付けを活用した中小、小規模事業者に対しては、売り上げが一定程度減少している場合、借り入れ時から3年間は利子補給を実施することとしており、実質的な無利子融資となるよう制度化をされております。
〇飯澤匡委員 前年同月比5%減ですね。これはどの中小事業者にも当てはまるのですか。
〇関口経営支援課総括課長 特別貸し付けについては、原則として売上高5%以上の減少と定められております。
〇飯澤匡委員 国際情勢もあって、この要因だけと特定できない場合もあるわけですが、前年同月比5%減ということになれば、その制度は活用できるということでよろしいですか。
〇関口経営支援課総括課長 現在、国から示されている資料においては、そのような記載になっており、特別貸し付けの利用は可能と考えております。
〇飯澤匡委員 わかりました。いろんな場面で今急激な円高になったりして、大変な事業者があると思いますので、これはよく広く頒布していただいて、お願いをしたいと思います。
 2点目ですが、3月10日の産経新聞の知事インタビューに関して、ちょっと目を引く内容がありましたので確認をさせていただきます。
 知事は、このように言っています。被災地の事業の再生について、地域でやるのに条件がよい、やりたい人がいる分野で伸びていくよう―ここがちょっとキーポイントなのですが―被災地の経済構造を変えていければいいと思うと。この経済構造という言葉は、知事演述にも入っていなかったし、いかなる策をもって経済構造を変革させていくのか、大変重い言葉だと思っています。
 まず第1点、庁議の中でも、被災地の産業支援だとか、そういう点について共有されているのかどうか、これをまずお伺いしたいと思いますし、それから、具体的に令和2年度の事業として何を指して、何をどのように変えていくのかについて示していただきたいと思います。
〇戸舘商工労働観光部長 庁議の場等におきましても、復興に関しましてさまざまな議論をする場面がありますけれども、共通認識としては、復興事業、それに伴う建設関係の事業はこれから減っていくのは間違いないことであろうということであります。そういったことを踏まえまして、農林水産業ですとか製造業ですとか、各地域にそれぞれ伸びていく可能性のある産業がありますので、そういう意味では、復興の先を見据えて取り組むべき時期を迎えているのではないかというのが共通の認識であります。
 三陸の多様な資源を生かした産業振興に向けた支援といたしまして、復興まちづくりに合わせて、若者や女性を初めとした起業や第二創業、新事業進出等の新たなビジネスの立ち上げを支援するといったことにも取り組んでまいりますし、また、それぞれの事業者の方々の事業に応じた経営支援を強化していく必要があるものと認識しているところでございます。
〇飯澤匡委員 それは従来やってきた話で、それは復興局が立ち上がってからも、被災地の起業支援であるとか、それから人材育成についてもさまざまな事業を展開されているわけです。私の質問の趣旨をちゃんと捉えていただきたいと思うのですが、経済構造を変えていくと、新たな施策を持ってやるという明らかに知事の意思だと思うわけです。ですから、芽出しとなる事業を示してください。何の事業をもって被災地の経済構造を変えていくのか。今までの事業の横出しではなくて、これをもってやるという考え方がないと、こういう言葉は出てこないと思うのです。お答えください。
〇似内商工企画室企画課長 令和2年度に向けた事業といたしましては、既存のいわて希望応援ファンドによる起業、販路開拓支援のほか、地域未来投資促進法のスキームを活用した、各地域の特性を生かした新たな成長分野に取り組む企業への支援などがございますけれども、新たに起業支援推進事業ということで、起業の取り組みを強く進めていくこととしております。
〇飯澤匡委員 では、その起業の取り組みで、目標の数値はどれぐらいなのですか。経済構造を変えていくというところにちゃんとリンクさせて答えてください。
〇関口経営支援課総括課長 起業支援の取り組みについての目標値でありますが、いわて県民計画(2019〜2028)において、現状3.2%の開業率を3.5%まで上昇するということで設定しているところであります。
〇飯澤匡委員 だからちゃんと趣旨を酌み取って答えてくださいということを何度も申し上げています。これは知事演述にもなかった言葉なのです。経済構造を変えていくというのは非常に重みのある言葉ですよ。
 例えば、グループ補助金などでも今返済の時期になって、先ほど城内委員から、大変苦しんでいる状況も紹介されました。震災から丸9年を経て、再生のエンジンを回す鍵は民間の開発力にある。これはある識者の言葉です。地域に新たな産業や事業をモデル化して、モデルをいかに芽吹かせていくか、こういうことが求められるし、私もそのとおりだと思います。
 ここで出てきた知事の言葉の産業構造を変えていくというのは、もう新たな展開策をやっていくという一つの意思だと思うのです。今までお話になったのは、今まで既存でやってきたことじゃないですか。私は、リーダーの言葉というのは非常に重いものがあって、それを事業にどうやって反映させていくのかというのが、令和2年度の予算審議に求められていると思います。
 あわせて、何度も言いますけれども、この言葉は知事演述に出ていなかったのです。出ていたらいろんな場面で質問するところもあったと思うのですが、3月10日の新聞報道で、もう代表質問も終わって総括質疑も終わっている段階です。審議する場面がないです。
 今、お話を聞いても、なかなか納得する場面が出てこない。委員長、ぜひ知事を呼んでここの場面について御説明を願うように、知事本人の言葉を聞かないとこれは納得できないので、ぜひ御検討をお願いします。
〇柳村一委員長 後刻、世話人会を開催して検討いたします。
〇飯澤匡委員 それでは、さらに具体的に質問を続けさせていただきます。
 昨年の三陸防災復興プロジェクト2019は県民の税金、真水の税金4.8億円を投入して行って、佐々木努委員の質問に、この効果についてはかなり盛況で、大成功だったという評価でした。
 そこで、以下三プロと言いますけれども、私はこの実行に当たっては、被災地の産業の振興や人材の育成、これをしっかりと次につなげるためだったら県民の税金を投入してやる価値はあると思います。ただ、事業等については、私も常任委員会の審査で随分質問しましたけれども、まさにイベントのオンパレードで、これは本当にどうなのかと。ただ、質疑の中で、そういうことはしっかり担保しますという答弁でしたので、かなり消極的でしたけれども賛成をした経緯がございます。
 質問いたしますが、三プロは事業を芽吹かせるために何を残したのか。そして、何を次の展開に生かしていこうとするのか、商工労働観光部の所見を伺います。
〇似内商工企画室企画課長 三陸防災復興プロジェクト2019についての御質問でございますけれども、何を残したかということでございますが、例えば、三陸のすぐれた食材や食文化が、国内外のメディアやSNSを通じて広く情報発信されたことにより、三陸食材のブランド力向上につながったこと、三陸の豊かな地域資源を生かした地場産品をお土産品としてPRすることによる販路拡大や販売促進、三陸DMOセンターが磨き上げた観光コンテンツを生かした旅行商品の造成により、受け入れ態勢の強化とともに人材の育成にも寄与したことなどが挙げられると思います。
 こうしたプロジェクトの成果を生かしながら、引き続き三陸地域の経済活性化に取り組んでいきます。
〇飯澤匡委員 物売りが、非常につつましい岩手県民のあり方を殻を破って、それは一つの効果が出たと私も認めます。今後もそれは展開をさせていただきたいと思います。
 もう一つ大事なのは、物販するというのは非常に大事だと思うし、一部寄与したというのは認めますけれども、実際、本質的な問題は、地域に住む若者がしっかり定着して、地域に貢献できるような企業の体系をつくっていくということが一番大事だと思うのです。水産業しかり、それから新しい産業しかり。
 あらかじめ資料をいただきましたが、ただいま御紹介のあった岩手の美味しい食の振興事業であるとか、それから観光関係、大体こういうことなのですね。今までやってきたことをもう少し膨らませてやりましょうということなのですが、先ほどの話に戻りますけれども、実際、しっかり地域に根がついた若者の人材を新たに育成するような産業を私は三陸防災復興プロジェクト2019に求めてきたわけですが、その点についてはこれからどのような支援策それから育成策を考えているのか、お考えを示していただきたいと思います。
〇似内商工企画室企画課長 三陸防災復興プロジェクト2019のお話でございましたけれども、三陸の地域につきましては、復興の先を見据えて取り組むべき時期という認識のもと、今復興道路とか港湾機能の整備効果を最大に生かしながら、地域の特色を生かした商品やサービスの創出、あるいは高付加価値化や生産性の向上の取り組みの促進、復興まちづくりに合わせて若者や女性を初めとした起業あるいは第二創業、新事業進出などの新たなビジネスの立ち上げを促進するなど、さまざまな取り組みを進めていきたいと思っております。
 三陸防災復興プロジェクト2019で評価の高まりました豊かな食、伝統芸能などを初めとする多彩な観光資源をより魅力のあるものに磨き上げ、発信することにより、交流人口の拡大を図り持続的な地域経済の発展につなげていきたいと思っております。
〇飯澤匡委員 では、具体的に若者や女性の就業支援については、目標値は、被災地の状況というのはどういう設定をされていますか。
〇西野雇用推進課長 被災地での若者などの定着率ということでございますが、済みません、今、手元に資料を持ち合わせておりませんが、全県では高校生の県内就職率84.5という高い目標を掲げておりまして、また沿岸地域におきましても、84.5よりも下回るところでございますが、高い目標を掲げて取り組んでいるところでございます。
 また、女性に関しましては、女性という形での目標値は定めていないところでございます。
〇飯澤匡委員 それでは、なかなか事業としての推進が、目標値もなければ、どれだけ達成されているのか具体的に把握もできないし、政策の達成率もなかなかつかめないと思います。
 少しこの件から外れた質問になりますが、よく、この部局に限らず今の県庁の答弁で、着実に進展しているとか、一定の成果が認められるとか、それは何をもって、どういう物差しで言っているのか。必ず言うわけです、この点についてはどうかと。庁内で一定の成果とか、着実な推進というのはどれくらいの進度をもってそういう答弁をしているのか、部長にお伺いします。
〇戸舘商工労働観光部長 着実に進展あるいは一定の成果というお話でありますけれども、施策、事業によってそれはさまざまだと思いますけれども、私どもとしては、できるだけこれらの統計的なデータに基づいて進展しているものは進展していると言わなければなりませんし、それが伸びていなければそれはそういう言い方はできないということになるのだと思っております。
〇飯澤匡委員 横にそれて済みませんでした。
 いろいろお話を聞いた中でも、食のさまざまな発信については認めますけれども、真に新しい復興という点についてどれだけこれまでやってきたのか、これからやろうとしているのかというのはなかなかつかめないのは残念でありましたし、目標設定についても、もう少し厳しくやっていかなければだめだと思います。
 最後に、先ほど少し触れましたが、女性の就労支援について、千葉絢子委員が総括質疑で聞きましたが、その答弁が、非常に知事の答弁―これは商工労働観光部で答弁書を書いたのですけれども、女性の雇用環境の改善についてもっと本気で取り組むべきだと思うがいかがかという問いに対して、女性の活躍推進本部会議を設置して問題を共有しているであるとか、いわてで働こう推進協議会、いわて女性の活躍促進連携会議、そうした取り組みを進めている結果、女性活躍の場の拡大につながっていると捉えておりますと、これも全く具体的ではないのです。具体性なしなのです。今日まで取り組んできた女性の雇用環境の改善に関して、具体的に数値を示して事業ごとの成果を伺いたいと思います。
〇今野労働課長 これまで取り組んでまいりました女性の雇用環境の改善についてでございます。
 これまで、県では、経済団体等を通じまして、雇用の場の確保や処遇改善等につきまして企業に働きかけを行うほか、働き方改革の推進ですとか、各種助成制度の周知などを通じまして、女性の方々の雇用環境の改善にも取り組んできたところでございます。
 参考までに、この間の本県の女性の決まって支給する現金支給額というものを厚生労働省の賃金構造基本統計調査で見てみますと、平成26年の20万6、000円から平成30年の21万9、600円に上昇していること、また、この間の男女の格差につきましては、平成26年の8万400円から平成30年の7万9、000円と、若干縮小しているところでございます。また、女性の方々に比較的多い非正規雇用労働者の割合につきまして、総務省の就業構造基本調査で見てみますと、平成24年の55.0%から平成29年には52.2%と若干減少傾向となっておりまして、女性の雇用環境は改善傾向にあるのではないかと捉えております。
〇飯澤匡委員 これからさらに人口が減少していく、私の地域でも金融機関の支店の統合があったりして、女性が就業できる県内の状況というのはかなり厳しいものがあります。
 部長にお伺いしますが、今盛んにトヨタ関連の自動車産業については強気で岩手県も推進しているわけですが、今、車業界のITの求人は3年で3倍超となったと。ところが、トヨタ自動車も高度人材をふやすことを盛んにやっているわけですが、あくまでも東京に近い形でやっているわけです。単に自動車産業を支援するということではなくて、こういうIT関連についても、岩手県に実際に何らかの部門を女性の就業場所の確保のために考えていただくとか、そういうことをこれまでやってきた経過があるのか、これからやるつもりがあるのか、それについてお伺いします。
〇戸舘商工労働観光部長 自動車関連に絞ってということでお話を申し上げますが、トヨタ自動車東日本の岩手工場というのは製造部門の工場でありまして、そこで生産体制がふえ、生産車種がふえるという中で、さまざまなサプライチェーンができてきております。その中には、地場の企業も参画しているわけでありまして、生産が拡大されていく中で、いわゆる設計開発部門ですとか、それから委員御指摘のITがかかわるような部門も出てきておりますので、これは女性のための雇用というよりは、雇用全体を拡大する意味もあると思いますし、その中で各企業においては、女性が働きやすい環境づくりにも取り組んでおりますので、そういった中で、女性の雇用が自動車産業業界におきましてもふえていくように今取り組んでいるところでございます。
〇飯澤匡委員 最後にしますが、もっと具体的に窓口をきちっと絞って、フォーカスして、女性の就業場所の確保については将来構造を持ってやっていかないと、これは目に見えた成果が上がっていかないと。この件については、引き続き千葉絢子委員が質問すると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 最後の質問になりますが、いわてで働こう推進協議会の管理運営費についても前年比より減になっていますし、いわて就業促進事業費についても前年比より減になっているわけです。こういう状況で、予算がすべからく反映するとは思わないですけれども、なかなか新しい部門に着手するというマインドが出てこないのではないかと、私なりの判断です。
 ことしは、そういう予算減の中で、この二つの事業についてどういう新しい展開を考えているのか、それについてお伺いして終わります。
〇西野雇用推進課長 今年度の県内就業に係る取り組みでございますが、予算は減になっているものの、平成28年2月に、いわてで働こう推進協議会を創設いたしまして、岩手で働こうという県民運動的な啓発普及と合わせまして、それぞれの構成団体、また、市町村なども県内就業に向けた意識が高まり、それぞれでもかなり積極的な取り組みが行われるようになっております。
 そこで、今年度におきまして特徴的なものを申しますと、大学進学後の就職を見据えまして、例えば高校生のうちから、また、それ以前の段階から、地域を知る取り組みに注力してまいりたいと思っております。ですので、高校におきましては、何らかの形で県内企業を知る、産業を知るという取り組みをやっていただこうと思っておりまして、それらの学校のニーズを踏まえて、県だけではなく、関係団体、地域の市町村、雇用開発協会などとタッグを組んで取り組みたいと考えております。予算におきましては減少となっているものの、オール岩手の形で取り組んでまいりたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 私からは、東北デスティネーションキャンペーンについて伺います。
 まず、来年度行われる東北デスティネーションキャンペーン事業に向けての現在の取り組み状況の内容を示していただきたいと思います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 東北デスティネーションキャンペーンに向けた現在の取り組み状況でございますが、昨年の7月に、東北6県やJRといった団体で構成いたします東北デスティネーションキャンペーン推進協議会という東北6県の連携組織を立ち上げまして、現在、月に2回、実務者レベルでの会議を開催しながら、6県が一緒に取り組む事業の協議を行っております。その協議におきましては、現在、6月に全国宣伝販売促進会議を開催するために、地域で磨き上げを行っております観光資源の集約、これは売り込みに使う際の情報ということでの集約をさせていただくほか、会議内容の調整といったものを進めております。また、会議終了後、プロモーションを実際にしていくための計画を今検討している状況でございます。
〇千葉秀幸委員 東北での取り組みであると思います。ただ、ここが大事だと思うのですけれども、岩手県の何を強み、魅力としてPRしていくのか、その点についてもお伺いしたいと思います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 今回の東北デスティネーションキャンペーンにおきましては、委員の御指摘のとおり、東北という広域なエリアにおきまして事業を展開いたしますため、6県の連携の中では、復興あるいは桜、城、絶景といった共通するようなテーマを、月がわりで設定して発信するということが一つの特徴でございます。それに加えまして、本県におきましては三つになる可能性が非常に高いわけでございますが世界遺産、あるいは三陸の豊かな食資源など多彩な資源があること、これが強みでございます。これらを見据えながら、御所野遺跡を含めた三つの世界遺産、あるいは本県の非常に豊かな食を黄金食財と言っておりますけれども、それらを活用した美食旅、あるいは全国的にも非常に知名度で優位性を持っております三陸鉄道、こういった独自のテーマをさらに設定いたしまして、情報発信を行いながら、東北にいらした方々から岩手県を選んでいただけるように取り組んでいきたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 順調に成果が出れば、御所野遺跡を含めた北海道・北東北縄文遺跡群がユネスコの世界文化遺産となるので、ぜひとも観光地として視野に入れて取り組んでいただきたいと思っております。
 また、もう一つですけれども、ことし東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。順調にいけば、本県でも19のホストタウンが決まっております。来た選手に何らかの足跡を残してもらって、例えばですが、その選手が練習場所として利用したということをPRしながら来場者をふやすというのも、もしかしたら一つのアイデアでいいかなと考えたりもしております。
 それから、昨年のナショナルジオグラフィックのベストトリップには、東北が世界的に魅力のあるデスティネーションの一つとして選ばれております。これは本当にすばらしいことであり、この評価を受け、東北デスティネーションキャンペーンを通じてインバウンドにも期待できると考えますが、いかがお考えでしょうか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 委員御指摘のとおり、ナショナルジオグラフィックあるいはロンリープラネットでも、東北という地域を取り上げていただきましたので、東北は、今世界的に知名度が上がりつつあるところでございます。本県におきましても、現在の知名度が向上している中でも、観光客が少ないと言われている県北地域あるいは沿岸地域に、インバウンドの方が回っていただけるようなコンテンツの開発を今やっておりますので、来年も引き続き磨き上げをさせていただいて、各市場にSNS等をやっておりますので、東北DCの取り組みなども合わせて発信していくことで、何とかインバウンドの方を誘客していきたいと考えているところでございます。
〇千葉秀幸委員 2019年のデータですけれども、アジアの顧客が3、188人と、過去5年で3倍に増加しております。その中でも岩手においては、台湾人が60%を占めており、中国人が13%、香港、韓国人が11%を占めているというデータがあります。こういった結果から、アジアに焦点を当て魅力を発信していくというのもありなのではないかと考えております。ぜひ、東北DCを通じてインバウンドの効果に期待したいと思っております。
 過去に、岩手県でもDCを行ったことがございます。昨年は新潟県、山形県でも行われ、一定の成果を出されているということから、本県の魅力を伝えて経済効果を出すためには、観光だけではなく宿泊してもらうことが大きな効果を生むと思いますが、ぜひそういったプランを組んでもらいたいと思いますが、いかがお考えでしょうか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 今回の東北デスティネーションキャンペーンでございますが、やはりお泊りをいただくということがテーマとしては非常に重要でございます。今回、東北という広域でキャンペーンを展開いたしますことから、東北を広く回っていただくというのも一つのテーマ、その中で、岩手県にお泊りをいただきたいというのも、県内における地域の経済にとって非常に重要なことでございます。県内に宿泊できるようなモデルコースを東北全体でも示し、県内でも示しという形で、重層的なPRをしていきながら、県内にお泊りをいただけるような取り組みをしたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 ぜひ準備をしていただいて、いい成果が出ることを期待しております。
 次に、いわて就業促進事業費についてお伺いいたします。
 本県に就職してもらい人口をふやそうと県で取り組んでいる中、この事業費が昨年よりも減額した理由を示していただきたいと思います。
〇菊池定住推進・雇用労働室長 若者の県内就職の定着を図るための企業ガイダンスにつきましては、県内の市町村ですとか、先ほど課長から御答弁させていただきましたが、地域の団体のほうで取り組んでいるところもあります。そういったところとの連携を強化するということで、今回の予算が前年度に比べて減額されているという状況でございます。
〇千葉秀幸委員 わかりました。このいわて就業促進事業費について、事業内容で、岩手U・Iターンクラブとして運営している中に、57の大学と連携しているということが示されております。これは岩手県出身者の多い大学を狙って連携しているのか、もしくは東日本を中心に選んでいるのか、この辺を教えていただきたいと思います。
〇菊池定住推進・雇用労働室長 岩手U・Iターンクラブにつきましては平成30年6月に発足したものですけれども、本県出身の学生がいる主に首都圏の大学に声をかけさせていただきまして、49の大学で発足し、現在は57大学に加入していただいています。特に本県出身の学生が多いところとしては、例えば神奈川大学ですとか日本大学ですとか、非常に多くの本県出身者が在学している大学がありますけれども、広くお声がけをさせていただいて、賛同いただいたところからスタートしています。本県出身の在学者数の多いところに特にということではなく、極力、大学との連携を広げてU・Iターンを促進したいという趣旨でお声がけをさせていただいたものです。
〇千葉秀幸委員 わかりました。
 次に、首都圏でU・Iターンイベントを開催されております。本県からのみの発信ではなくて、首都圏に行って開催しているというのは本当にいいことだと思っているところですが、このイベントに参加された方の中で、実際、何人が岩手県に就職されているのか、把握はされていますでしょうか。
〇菊池定住推進・雇用労働室長 首都圏におけるイベントの実施についてですが、首都圏の大学生のU・Iターンを促進するために、公益財団法人ふるさといわて定住財団などと連携しまして、首都圏では、岩手県U・Iターンフェアをことしは2回開催し、126社の企業と、延べ106名の大学生及び社会人に参加いただきました。また、そのほか、首都圏の大学生と岩手県内の企業の若手社員との交流を図るイベントとしまして、ふるさと若者ミーティングというものを今年度は4回開催いたしまして、延べ99名の参加をいただいたところです。これら本年度のイベントの参加者の中で、県内に就職された方はまだ把握はできてはおりませんけれども、昨年度、平成30年度に開催したふるさと若者ミーティングに参加した大学生の中で、進路状況の把握ができた者17名のうち、14名が県内企業に就職が決定しているということでございますが、全てにおいて参加した方の県内就職ですとかほかの就職先とか、そういったところの捕捉は正直できないところがございます。
〇柳村一委員長 千葉秀幸委員の質疑の途中でありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
 千葉委員、御了承願います。
   午前11時59分 休 憩
午後1時3分再開
〇吉田敬子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について延べ14人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行します。
〇千葉秀幸委員 U・Iターンの続きでございます。
 今はさまざまなネットが普及しており、本県においてもLINEアプリ等を作成されているとのことですが、今現在の登録人数、また、就職先についても把握されているのか伺います。
〇菊池定住推進・雇用労働室長 LINEアプリいわてとつながろうについてですが、このアプリは、高校3年生とその保護者を対象といたしまして、就職や大学進学に当たって、その前に登録を呼びかけ、引き続き岩手の企業の情報などをお知らせするものでございまして、平成30年12月の運用開始から本年2月末の時点で登録者数が985名となっております。
 このLINE登録者についてはいわてU・Iターンサポートデスクへの登録もあわせて呼びかけまして、そちらへの登録をした方には、相談対応やキャリアカウンセリングといった個別の支援も行っているところです。
 このアプリを通じて県内に就職した方については把握できておりません。
〇千葉秀幸委員 先ほどもお話しさせてもらったとおり、ぜひともそこの把握までしていただいて、それによって成果が出ているか現在の状況を明確に見られると思うので、よろしくお願いしたいと思います。
 ある資料を見ると、岩手県出身者は地元への志向はすごく強い。しかし、岩手県企業の知名度はすごく低い状況となっております。岩手県で働きたいと回答している大学生は、約7割にも上っている状況です。7割いますが、実際に戻ってきて働いている人は少ないのが現状です。
 そこに本県の取り組み課題があると私は思っています。就労形態の内訳は、企業への就職が61.4%、次いで農業、自営業という順番になっております。ぜひこの取り組み、登録者数をふやして企業説明、企業先を示していくだけではなく、就職したいという方が7割もいるのにあと一歩踏み込めないという現状をしっかりと捉えていただいて、その背中を押してあげるような取り組みが必要だと思っております。
 企業を紹介したとき、その人に対して企業の魅力や安心材料まで伝えて、本当に戻ってきても大丈夫なのだというところまで強く推進していっていただきたいと思っておりますが、そこについてはどうお考えでしょうか。
〇菊池定住推進・雇用労働室長 こちらのアプリにつきましては、そのとおり情報発信型のものになります。ただ、先ほど答弁いたしましたように、アプリの登録者にはいわてU・Iターンサポートデスク―盛岡のジョブカフェいわてにデスクがございますが―のほうへの登録を呼びかけておりまして、こちらの登録者数が2月末現在で849名でございます。こちらに登録された方についてはメールなどでこちらから連絡を差し上げてさまざまな就職関係イベントの情報も提供しますし、先ほど言った個別指導などのアクションができる形になりますので、アプリの登録とあわせて、引き続きこのU・Iターンサポートデスクへの登録をしっかりすることで補足情報として把握できますので、そういったことも通じながらU・Iターンの促進に努めてまいりたいと思います。
〇千葉秀幸委員 最後でございます。
 繰り返しになりますが、人数把握すると同時に、ぜひとももう一押し、大丈夫だよ、安心していいのだよと示せる、企業の安心材料をしっかりと伝えていっていい成果を出していただきたいと思います。
〇吉田敬子副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇金野労働課長 午前中の審査の際、名須川委員から、小学校等の臨時休業に対する保護者支援の関係で、いわゆるフリーランスの考え方ということでお尋ねがございました。その部分につきまして御報告させていただきます。
 厚生労働省の公表資料ベースでございますが、契約した仕事ができなくなっている子育て世帯を支援するという趣旨の措置ということで、個人で就業する予定であった場合、それから、業務委託契約等に基づく業務遂行等に対して報酬が支払われている場合ということで、契約等に基づいて個人で仕事を請け負ってやる方を想定しているということでございます。
 なお、制度の詳細につきましては今後追って公表ということでございますので、もう少し詳しい考え方等についてはその際に示されるのではないかと考えるところでございます。
〇臼澤勉委員 私からも新型コロナウイルス感染症対策の関連でお伺いしたいのですが、午前中、観光客のキャンセルのお話もございました。キャンセル数が約13万8、500人泊、そして予約が5割以下の宿泊施設の割合が65%ということで、約3分の2の施設が5割以下となっております。本当に大きな影響が出ていると思いますが、観光客のキャンセルに伴う現時点での経済損失をどのくらいの規模として見ているのかお伺いいたします。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 今回の照会ではキャンセルに係る影響額も確認させていただきました。それによりますと、2月から4月までのキャンセル約13万8、500人泊に対しまして13億円余の影響が出ているとお聞きしているところでございます。
〇臼澤勉委員 今、13億円余ということでありますが、これは単純に宿泊キャンセルに伴う分ですよね。観光産業というのは御案内のとおり裾野の広い産業でございまして、宿泊以外にも、飲食や交通事業者、あるいは地域への影響が大きな産業ということで、県も総合産業として位置づけて全県的に取り組んでいると認識しております。
 昨日、東北財務局から東北の1月から3月期の法人企業景気予測調査が発表されました。本県においてもマイナス21.9ポイントということで、東北各県、軒並みマイナス指数が出ている状況にあると。こういう中において今回の新型コロナウイルス感染症の影響が長引けば、いろいろと生産計画や売上高にもこれから……。
 どうなるかはまだ誰もわからないですけれども、私が言いたいのは、危機に対してはある程度予知、予測をしなければいけないし、商工労働観光部は、私の認識では、まさに岩手県の経済あるいは産業を支えるドクターだと思うのです。総合病院としての位置づけで、皆さんは、それぞれ金融、あるいは雇用、人、物を動かしたりということで、まさに総合的な政策を所管しているのが商工労働観光部、私はそういう認識でおります。
 こういった状況においては、予知、予測する上でも、まず状況把握。これは今、いろいろとされていると思います。そして予知、予測をしながら、一方では対策。これから国においてもさまざまな支援策が出てくる中において、ぜひそういったものを県民の皆様にしっかりと伝えていっていただきたい。金融機関でも窓口対策をやっている、あるいは融資の取り組みもしています。ぜひそういった部分で総合的な取り組みを商工労働観光部としてしっかりとやっていただきたいと思いますが、部長、御所見をお伺いいたします。
〇戸舘商工労働観光部長 新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業者の状況については日々刻々と変わっていくと思いますので、常にアンテナを張って状況をつかんでいきたいと思っております。そのための窓口も設置しております。午前中、城内委員の御質問にもお答えいたしましたが、待っているのではなく、出向いて情報を把握することにも努めてまいりたいと思います。
 また、観光、交流面への影響というのは、人の動きが今、とまらざるを得ない状況が発生していますので、これがどんなふうに収束していくのか。これは段階的なのかもしれませんし、ある時点でもう収束という形になるのかもしれませんけれども、その段階段階に応じて直ちに動けるように。
 宿泊施設の方々と意見交換もしておりますけれども、今は準備のときで、収束したら直ちに動き出す、プロモーションに行くということも事業者はおっしゃっておりますので、そこをしっかりと後押しをしていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 東北DCに向けての準備も進めているわけでございますし、今回の影響を受けて、大規模な経済対策が必要になってくるタイミングもあると思います。いずれ、いろいろな意味でも、まず冷静に。冷静の上にも情報を収集しながらしっかりと対応し、情報発信していただきたい。不安な事業者の方々に対しても、資金的な部分や、悩んでいる方への経営アドバイスあるいはマッチングといった部分も含めていろいろとお願いしたいと思います。
 それでは、事業承継支援についてお伺いしたいと思います。
 中小企業庁の中小企業白書で、今後10年間で、70歳を超える中小企業、小規模事業者の経営者の約半数の127万人が後継者未定、廃業の可能性と出ておりました。私がポイントとして見ているのは、このうちの半分の約60万社が黒字でありながらも廃業につながっていく可能性があるということで、そういうレポートも出ているわけであります。
 県内の事業後継者不足に対する対策を、新しいいわて県民計画がスタートしていることし、早目早目にしっかりとやっていかなければいけないという問題認識でお伺いさせていただきます。
 まず一つ、現状の数値的なところをあえてお聞きします。本県は、平均年齢が高い県だと私は認識しておりますが、今の県内の中小企業、小規模事業者の経営者の年齢等は高いのか低いのか、どういう状況なのかお伺いします。
〇関口経営支援課総括課長 県内の経営者の平均年齢に関する調査の統計データは二つあります。一つは商工会連合会が実施した調査で、県内経営者の平均年齢は63歳。もう一つの東京商工リサーチで実施した調査ですと63.4歳となっています。全国との比較では、東京商工リサーチの調査では全国で3番目に高くなっております。
〇臼澤勉委員 本県の場合は経営者の年齢が非常に高く、全国と比べても2歳ぐらい上回っている状況で、県が発行している中小企業の計画にも分析が載っていました。
 そういった中で、3分の1くらいの企業が、後継者を探しているけれどもなかなか適当な方が見つからない、あるいは後継者不足の悩みを抱えて模索している状況にあります。県内の事業承継の現状と課題を商工労働観光部としてどのように捉えているのか。
 それから、被災地産業復興調査によると、商工団体の7団体が余りうまくいっていないという回答もあると伺っております。どのように現状と課題を捉えているのかお伺いします。
〇関口経営支援課総括課長 商工会議所で実施しました被災地産業復興調査については、委員御指摘のとおりであります。
 また、県内中小企業経営者の高齢化が進む中、平成30年度に岩手県商工会連合会が約1、500社を対象に実施した調査では、その事業者のおよそ半数が事業承継の意向を示しているものの、そのうちの約1割は後継者が不在となっております。約6割は、後継者や候補者がいても具体的な準備を進めていないという結果となっており、これらの方々に事業承継に向けた準備の必要性を認識してもらうことや、早い段階からの後継者教育、各種支援策の周知などが必要、こういった点が課題と捉えているところであります。
〇臼澤勉委員 そういった課題に対しても、商工会、商工会連合会あるいは盛岡商工会議所等々が窓口になって対策をとっていると思います。そういった中で、特に事業承継においては、親族への承継、あるいは社内で見つける場合もあると思いますが、私は、第三者承継というものもしっかりと進めていくことが重要な課題と思っていますけれども、どういったところにボトルネックがあると捉えているのか、県の御認識をお伺いしたいと思います。
〇関口経営支援課総括課長 東京商工リサーチが実施した県内企業約2、600社からの調査によりますと、県内で後継者を有する約1、600社のうち、約9割が親族内や従業員への承継を予定しておりますが、第三者への承継予定は約1割にとどまっております。
 後継者不在の約1、000社のうち、外部からの人材招聘や会社の売却、譲渡を予定している企業はほとんどないことから、第三者への事業承継の理解が進んでいないことがボトルネックの一つと考えております。さらに、中小企業基盤整備機構の調査では、国内の中小企業で後継者候補とされる方々に承継を拒否している理由を聞いたところ、約6割が借入金の経営者保証となっております。借入金に係る経営者保証もボトルネックの一つと認識しております。
〇臼澤勉委員 今、ボトルネックになっているさまざまな理由を御紹介いただきました。私もこの前、県の信用保証協会等々にお邪魔して意見交換させていただきました。そういった中でも、今お話ありましたとおり、借入金の経営者保証の部分がボトルネックになっていると聞いております。
 このボトルネックの解消に向けて、県としてどのような対策を講じていこうとしているのかお伺いします。
〇関口経営支援課総括課長 第三者への事業承継について認識していただくため、県、商工指導団体、金融機関などで構成する岩手県事業承継ネットワークにおいて、後継者の有無や事業者の準備状況を対面で調査する事業承継診断を実施しているところであります。診断先には、第三者の承継を含めたさまざまな選択肢や税制などの支援策を示しているところであります。
 また、後継者不在の企業などには、委員から御紹介がありましたけれども、盛岡商工会議所が平成27年に開設した岩手県事業引継ぎ支援センターにおいて、相談対応あるいはマッチング支援を行っているところであります。
 今般、先ほど申しましたが、事業承継時の経営者保証がボトルネックということで、国において、経営者保証を不要とする事業承継特別保証制度を創設することとしております。県では、同保証制度を活用したいわて事業承継促進資金を創設し、事業承継に取り組む事業者を金融面から支援することとし、来年度予算に計上したところであります。
〇臼澤勉委員 今、新しい貸付金も準備するということでありました。どの程度の利用見込みを持って今回予算を組んでいるのか。あるいは、事業承継に向けての目標といったものを持っているのかお聞きしたいと思います。
 これまで、盛岡商工会議所等を窓口とする引継ぎ支援センターで相談対応なども進めてきております。相談件数を数字で見ると、最初の平成27年の34件から平成30年には96件と3倍ぐらいに伸びております。一方で、成約件数については平成27年は1件のみでしたけれども、平成30年には8件になっています。これが多いかどうかはいろいろありますけれども、確実に成約件数についても伸ばしてきていると見ております。
 この資金をどのようにうまく活用しながら、事業承継、引き継ぎ支援に取り組んでいくのかお伺いいたします。
〇関口経営支援課総括課長 まず、事業承継促進資金の利用見込みあるいは目標という御質問をいただきました。この点について答えさせていただきます。
 この事業承継特別保証制度を活用して創設するいわて事業承継促進資金では、令和2年度当初予算において融資枠20億円とし、貸し付けに必要な預託額を盛り込んだところであり、金融機関からのヒアリングをもとに25件程度の貸し付けを見込んでいるところであります。この融資制度については、新規融資に加えて、既往債務についても借りかえする際、経営者保証が不要となることから、後継者の負担や不安を軽減するなどの効果を期待しているところであります。
 資金を含めてどのように事業承継を進めていくかについてでありますが、先ほど御答弁申し上げましたとおり、事業を承継するときに借入金を個人保証することに抵抗を感じられる後継者の方々が少なからずあると思っております。こういった今までにない個人保証、経営者保証を必要としない制度を推進していくことで、親族内、第三者―外部の方が事業承継するときでも少しハードルを下げるような取り組みをしていきたいと思っています。
 もちろん資金、金融面ですので、金融機関あるいは信用保証協会、事業承継ネットワークの中に入っている身近な商工団体との連携の中で、例えば後継者の方々が心配なさる場合には、ぜひともそういう制度の利用促進を図りながら承継を進めていきたいと思っております。
〇臼澤勉委員 融資の話もさることながら、私は、そういった準備、対策を進めたくても、どこに相談したらいいかわからず、専門家に相談する割合が低いというのも実態と思っております。中小企業庁の資料によると、商工会、商工会議所など事業引継ぎ支援センターの利用、相談相手としての認識は意外と低いのです。役割が違うと思うのです。金融機関、公認会計士や税理士、あるいは日ごろ事業者間の信頼関係を築いていたネットワークといった部分を使う割合が強い傾向があると思いますし、事業承継といっても、当然そう簡単にいくものでもありません。
 私が言いたいのは、商工団体の窓口であったり、それはそれの役割があると思いますが、全体のネットワークの中で、今回、信用保証協会もさらに金融機関が持っている信用保証のデータなどもいただいて踏み込んで対策を進めようとしております。その辺は商工労働観光部としても大きな役割を持っていると私は思いますので、取り組みをしっかり進めていただきたいと思って取り上げさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
〇田村勝則委員 私から何点か質問させていただきます。新型コロナウイルス感染症対策も本当に喫緊の課題でありますけれども、予算に従って、東北DCについて質問させていただきます。時間の関係がありますので、通告しておりました4点を最初にお聞きいたします。
 まず1点目、いわて観光キャンペーン推進協議会負担金の使途について、経費の一部を負担となっておりますが、その中身についてお伺いいたします。
 2点目、東北DCの具体的事業と予算設定について。
 3点目、民俗芸能を生かし、観光分野への活用を図る上で、市町村や民俗芸能団体との連携は大切だと思いますが、どのようなことをお考えかお伺いいたします。
 4点目、東北DCを踏まえた県産品販売拡大に向けた取り組みについてお伺いいたします。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 私のほうからは3点、御答弁をさせていただきたいと思います。
 まず、いわて観光キャンペーン推進協議会負担金の使途でございますが、このキャンペーン推進協議会は、県、市町村、観光関係団体、商工関係団体などで構成しておりまして、それぞれの構成団体がその経費の一部を負担して運営しているものでございます。
 当該協議会の令和2年度の事業につきましては、県内外の誘客イベントでの情報発信、あるいは秋季、冬季誘客に向けたモデルコースの構築、観光ガイドブックの制作を行う宣伝、誘客事業、また、地域による主体的な観光地づくりに向けた観光コーディネーターの派遣、あるいは広域周遊するバスツアー等の支援を行う受け入れ態勢整備事業、また、インバウンド誘客拡大に向けて、観光関係者が実施するセールス活動を支援するインバウンドセールス支援事業の3点の事業で構成されております。この負担金につきましてはこれらの事業に充てられるものでございます。
 2点目の東北デスティネーションキャンペーンの具体的な事業と予算でございます。
 東北デスティネーションキャンペーン事業は二つの柱で構成させていただいております。一つは、本年6月の全国宣伝販売促進会議の開催、あるいは東北デスティネーションキャンペーン専用サイトの内容充実、あるいはテレビ、雑誌等のメディアを活用した情報発信などに取り組んでいく東北6県の連携事業。また、プレキャンペーン、あるいは全国宣伝販売促進会議後に行うフォローアップとしての旅行会社等への売り込みといった県の独自事業の二つの柱で展開することにしておりまして、これに係る予算は、東北デスティネーションキャンペーン事業費として9、768万円余計上させていただいております。東北6県事業が5、974万円余、県独自事業3、794万円余となっております。
 3点目の市町村や民俗芸能団体との連携でございますが、東北デスティネーションキャンペーンに向けた取り組みを効果的に進めるため、今現在、県あるいは市町村、民間事業者が役割分担をしながら一緒に準備を進めているところでございます。特に民俗芸能は本県では非常に豊かでございますが、観光資源の発掘、磨き上げの中にはその民俗芸能も含まれておりまして、主にその役割を市町村に担っていただいているところでございます。
 現在、市町村と連携して全国宣伝販売促進会議に向けて、各地域の観光素材の情報集約を進めているところでございます。今後、これらの集めた情報をもとに、例えば民俗芸能の定期公演の情報やその周辺の観光情報を組み合わせるなどしながら、SNSなどを活用して発信していきたいと考えおりますし、東北DCに向けましては、民俗芸能の公演なども含めたモデルコースの構築あるいは提案も検討していきたいと考えているところでございます。
〇竹花地域産業課長 東北DCを踏まえた県産品販売拡大に向けた取り組みについてでありますが、今回の東北DCは広域で長期間にわたるキャンペーンであることから、地域において食や伝統工芸などの魅力を体感できるコンテンツを充実させ、県産品の販売拡大につなげていくことが重要と考えています。
 近年、県南地域では、伝統工芸と食産業など異業種の企業が連携し、来場者にものづくりの現場を公開し体験してもらう五感市の取り組みが人気を集めております。また二戸市では、漆や日本酒を核に、産業体験観光を推進するにのへ型テロワールの取り組みも始まったところです。こうした取り組みは、観光誘客はもとより、県産品の販売拡大にも有効な手段であることから、市町村と連携しながら、県内各地に取り組みを拡大していきたいと考えております。
 具体的には、昨年11月に開催いたしましたKOUGEI EXPO IN IWATEで構築した市町村や事業者との連携関係を生かし、県内各地において企業への専門家派遣による商品や体験コンテンツの開発支援などに取り組み、県産品の販売拡大につなげてまいります。
〇田村勝則委員 そこでお聞きしますけれども、東北DC、キャッチコピーは巡るたび、出会う旅。東北ということで、ロゴもこのように決まったようでございます。この中で、目指すことのうち、私が非常に大事な観点ではないかと思うのは、観光コンテンツを磨き上げるということでございます。恐らくこの東北DCに向けては、みちのく岩手観光立県第3期計画が基本になってくると思います。そこで、岩手の強み、弱み。ここに強みは11点、弱みは6点書いてありますけれども、観光コンテンツとして、岩手のイベント等でベストスリーを挙げるとしたら今時点で何があるのかお聞きしたいと思いますが、どうでしょうか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 なかなか難しい質問をいただきました。イベント等でとお聞きしましたけれども、まず、やはり東北を代表するお祭りとしては盛岡さんさ踊りがあると考えております。また、長い歴史を持つという意味では、北上みちのく芸能まつりが大きなお祭りだと。お祭りに特化してしまいますが、県北であると久慈秋まつりも非常に長い歴史を持っていると存じておりますし、民俗芸能の中では、例えば早池峰神楽。県内各所に非常に多くの神楽がある中で、やはりユネスコ無形文化遺産に登録されていると。そういった意味では、有形、無形の資源が岩手には非常に多くあると認識しております。
〇田村勝則委員 私も同じ認識でございます。
 この中にも書いていますけれども、観光客の満足度ベストスリーとあります。それは、先ほどイベントと言いましたけれども、1位は体験プログラム、イベント等へ参加する、二つ目は、三陸も含めた、人と交流する、触れ合う、三つ目は、温泉に入る、これがベストスリーになっております。
 いろいろなつながりは大事ですけれども、核となるイベントとして月ごとにという話がございました。東北DCは4月から9月までの開催ですので、先ほどおっしゃったように、盛岡さんさ踊り、みちのく芸能まつり、あるいは平泉の藤原まつり、最初は奥州市の日高火防祭も当然入ってくるだろうと思います。そういうイベントをしっかりとそこの中に取り込んで観光キャンペーンを進めていく必要性があるのではないかと思っておりますけれども、いかがでしょうか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 先ほど、6カ月で月がわりで東北6県の共通テーマを定めると御答弁しましたけれども、確かにその中に祭りや歴史、文化といったテーマも含まれてまいります。各お祭りが何月にというのは……。どういった形でテーマ設定をどこにというのはこれから決定していくと認識しておりますけれども、各地でいろいろな文化的な体験イベントが開催されているのは我々も認識しております。それをキャンペーンの中にどうやって取り込もうかというのは、我々内部でかんかんがくがくやりながら、地域の中にDCキャンペーン協賛といった冠を付していただくことができないかとか、まだブレストレベルで、今、これから具体化するための検討を始めたところでございます。
〇田村勝則委員 内部でかんかんがくがくという話がございましたけれども、例えばいわて観光立県推進会議もございます。推進会議では、県内の専門性を持った方々で協議しておられると思いますけれども、各市町村、芸能団体も含めて、いろいろな方々が入った中でしっかりと煮詰めていくことも、過去のいろいろな前例も踏まえると大切であると思います。今そこに市町村がどのようなかかわりを持っているのかお尋ねします。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 東北デスティネーションキャンペーンの岩手県の推進母体はいわて観光キャンペーン推進協議会で、その構成員には市町村、観光の各団体、事業者が含まれております。キャンペーンの具体的な取り組み内容につきましては、最終的には協議会の皆さんに御審議いただいて決定していくというふうに考えております。当然、我々が提案させていただく中で御協議をしていただくということを考えていますので、出された意見などにもしっかり取り組めるような準備をしていきたいと考えております。
〇田村勝則委員 先ほど物産の件もお聞きしました。私、東北6県の東北DCの予算等も全部調べてありますが、他県を見ますと、地元はもちろん、例えば東京でもそういう事業をしているようですけれども、そういう点をどのように岩手県ではお考えでしょうか。また、ここに東北DCの業務委託仕様書がございます。先ほど6月の話がございました。6月2日の事業について、この中身はどのようなものになるのでしょうか、お聞きして終わりたいと思います。
〇竹花地域産業課長 東北DCの東京での展開ですけれども、現在、岩手県でも、いわて銀河プラザ、東京都内でも各種物産展等を開催しております。さらに、上野駅でもJR東日本と一緒に企画して物産フェア等も開催しておりますので、そういった企画を東北DC向けに形を変えるなど、さらに必要があれば追加するなど考えながら東北デスティネーションキャンペーンが成功するように進めていきたいと思います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 全国宣伝販売促進会議の具体的な中身でございますけれども、6月2日、仙台国際センターで、国内外の旅行会社、マスメディア、あるいはJRグループ各社、自治体、観光関係者を集めまして、まず観光商談会ということで、旅行会社あるいは観光事業者等のマッチングをやらせていただきます。また、全体会議といたしまして、一堂に会して観光素材PRをプレゼンテーションでやるのが一つ。最終的に、歓迎レセプションという形で懇親の場を持って、地元の食をPRする場をつくりながらレセプションを行います。その会議の翌日以降は、現地視察ということで、東北各地に1泊2日で旅行会社と実際にそのコースを訪れていただくという計画になっております。
〇工藤勝博委員 私も観光振興にかかわって2点お伺いいたします。
 一つ目ですけれども、いわてインバウンド新時代戦略事業費ということで5億1、700万円余計上されております。予期せぬ新型コロナウイルス感染症ということで、インバウンドは今まで右肩上がりで伸びてきたわけですが、ここで急ブレーキがかかったという状況であります。世界中パンデミックで移動制限もかかるということで、この状況をどのように克服していけばいいのか。また、日々状況が変わっておりますけれども、大変な被害をこうむっている状況でもあります。その辺の被害と、今後、想定される事態についてまずお伺いしたいと思います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 先ほど答弁しました宿泊施設に対する調査で、キャンセル数13万8、500人泊と申し上げましたが、そのうち25%程度がインバウンドのお客様と見ております。また、感染拡大によっていわて花巻空港を活用した国際定期便の休止がありまして、県内へ3月以降の新たなインバウンドの予約が入ってこないということで、非常に厳しいという状況は聞いているところでございます。
 現在、パンデミックの状態になったことで、感染の終息がなかなか見通せない状況になっております。そうした中で、これまで我々が培ってまいりました、台湾あるいは中国、香港とのネットワークはまだしっかりと維持しております。現地の情報なども逐次上げていただくなどしながら、それを維持することを今しっかり取り組んでいるところでございます。
 今後においても、現地のSNSなどを活用しながら、今も岩手県の観光情報は発信を続けていただいておりますので、終息が見えてきた場合には、先駆けて積極的にこれまでのネットワークを活用したプロモーションをしっかり展開して、何とか需要回復できるように取り組みたいと考えておりまして、それまでの間は準備をしっかりやっていきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 岩手県の場合、台湾からのインバウンドが大分多いわけですが、北海道の例で見ますと、中国が大変多い中で中国からのインバウンドがゼロに近いくらいに減少しているということで、その被害額が3月2日の時点で公表されていました。3月末まで続くと200億円からそれ以上の被害が出るだろうと。そしてまた、北海道の大きな産業でもあります乳製品、お土産の部分で製造を休止する会社も出てきたと。それだけ深刻な状況でもあります。
 そういうことも含めて、岩手県では、キャンセルは当然ありますが、幸いにも今のところ大きな被害はないと思っておりましたけれども、これ以上続くとどうなるかわからないので、被害額も含めてしっかりと調査しながら事業者に向けての支援をやっていかなければならないと思います。
 県内でも、岩手銀行ではそういう部分の相談窓口を開設して対策をやっています。観光ばかりではなく、農業関係では、高級和牛の生産者が、価格が安くなりどうしても資金繰りが大変だということも含めて支援に乗り出しています。それらも含めて、今後の対策の予定はどうなっているかお聞きしたいと思います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 確かに観光産業は非常に裾野が広い状況でございまして、関係の飲食業やバス事業者からも、非常に収入が減っているという状況はお聞きしているところでございます。
 数値的なところは、こういった厳しい状況の中でどういった被害になっているかというのは聞きづらい部分もございますが、聞こえてくる声につきましては真摯に受けとめております。現在、先行きが見えない中で、やはり多く聞かれる声は資金繰りと雇用の維持でございます。我々も御相談をいただければ、商工会議所や金融機関、あるいは宿泊施設組合など相談窓口を幾つか持っておりますので、そちらのほうを御案内しつつ、収束が見えた暁には、積極的に打って出て、プロモーションを繰り返すことで何とか最小限の影響にとどめたいと考えております。
〇工藤勝博委員 そういう実態を調査、聞き取りする部分では、商工労働観光部だけでは当然無理だろうと思います。一般のいろいろな調査会社―調査会社と言えば変ですけれども―に委託するなり、現状を的確に早急に調べる必要があるのではないかと思いますが、そういう状況の中ではどういう対策がとられるのでしょうか。
〇戸舘商工労働観光部長 さきにも御答弁申し上げたところでありますけれども、経営相談窓口は県内各地に商工指導団体、金融機関が設けておりますので、そこの窓口でしっかりと状況を把握しながら、一人一人事業者の抱えている課題は違うと思いますので、そこに応じた対策をしっかり助言をしながら機動的に対応してまいりたいと思います。
〇工藤勝博委員 先ほど来話があります観光は、裾野の広い、いろいろかかわりが多い皆さんがおりますので、それらも漏れなく、ぜひとも吸い上げていただければと思います。
 いわてインバウンド新時代戦略事業ですけれども、戦略的あるいは効果的なプロモーションをすると。観光・プロモーション推進室という組織を強化したことも含めて評価したいと思いますけれども、それらが令和2年度は試されるだろうと思います。どういう形で戦略的あるいは効果的なプロモーションに取り組んでいくのかお伺いしたいと思います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 戦略的かつ効果的なプロモーションでございますが、まず、県におきましては、インバウンドを含め国際的な施策を打つ場合、基づいているのがいわて国際戦略ビジョンでございます。観光分野におきましては、それぞれの国の市場に合わせ、市場の持つニーズあるいは岩手、東北の知名度に合わせてプロモーションの展開の仕方を変えるという取り組みをしております。
 令和2年度におきましては、新型コロナウイルス感染症が広がる前までは外国人観光客は一定数増加しておりましたが、入り込みの少ない県北、沿岸地域への誘客強化、あるいは団体から個人旅行客への流れが非常に強くなっているので、個人旅行者の増加に対応するための受け入れ環境を整えることを重点的に行うことを方針として決めております。
 具体的には、県北、沿岸地域のプロモーション、あるいは今年度、コンテンツ発掘をスタートさせておりますので、その観光コンテンツの整備促進。また、急激に個人旅行化が進んでおります台湾、中国あるいはヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアといった市場から魅力を感じてもらえる観光資源、これは各市場ごとに捉える魅力が違っておりますので、そういった市場のニーズに合わせた観光資源を磨き上げる。あるいは、しっかりとSNS等、世界に情報発信をしていくこと。また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会観戦に訪れる外国の方に向けてウエブ広告を配信する。あるいは、東北の広域連携によって映像を作成しておりますので、それらの映像を活用したプロモーションを展開していくことにしております。
〇工藤勝博委員 今までのインバウンドですと、関西―京都、大阪のほうでは逆にオーバーツーリズムだと言うくらい来ていたわけですが、これからは東北が逆に見直され、そしてまた、その魅力が発信される時期になったのだと思います。個人旅行者もふえていることも含めて、日本に何回も来た方は、ゴールデンルートではなく東北、北海道という形になると思います。
 私は2月の初め、台湾のエージェントと会いました。そうしたら、あの寒さの中で、岩洞湖に行って釣りをしてきたと。釣れた、楽しかったと。そういう資源がまだまだ岩手にはあると思います。岩洞湖なり、一戸町の菜魚湖など隠れた観光資源があると思いますので、それらをぜひエージェントに伝えるように取り組んでいただければと思います。
 今までのインバウンドは、台湾を中心にタイ、中国ということで、やはり定期便があったことでかなり誘客に結びついたと思います。これから戦略的にやるとすれば、定期便の確保も必要ではないかと思います。次の定期便、台湾、中国につづきやはりタイですか。去年、仙台からバンコクまでの定期便が復活しましたけれども、足の確保がないとなかなか難しいだろうと思います。その辺の計画はどのようになっているのでしょうか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 国際定期便の確保につきましては交通政策室が所管しておりますが、我々も連携している中で、現在のところは台湾、中国に定期便を確保しております。その次につきましては、まず、岩手に飛ばすという興味を持っていただける国あるいは航空会社を探していくところからのスタートになります。あるいはツアー商品とある程度の旅客の確保が非常に重要になってまいりますので、機材あるいは旅客の確保を含めて、いろいろな国において、情報を収集しながら広報宣伝していきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 現下の新型コロナウイルス感染症対策も含めて、いずれいつまでも続くとは思わないので早く終息することを願っているわけですけれども、あわせて、戦略的なプロモーションをぜひとも怠りなく続けていってほしいと思います。
 2点目ですけれども、先ほど来東北DCのお話がありました。これは、東北各県とJR旅客6社との連携事業だろうと思います。その辺のJR旅客6社とのかかわりはどのようになっているのでしょうか、お聞きしたいと思います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 この東北デスティネーションキャンペーンは、もともとはJR各社と各自治体との共同キャンペーンでございます。今回の東北デスティネーションキャンペーンにおきましても、JR東日本の仙台支社、盛岡支社、秋田支社、そのほか近隣の新潟支社、水戸支社といった関連する各支社もこの協議会の構成員となっております。
 また、キャンペーン期間中の誘客につきましては、JR各社が商品を造成して送客するということで、取り組むのは従来のデスティネーションキャンペーンと変わらないことで、今もいろいろな会議、協議会の場では一緒に議論させていただいて、ともに取り組むという形で進めさせていただいております。
〇工藤勝博委員 先ほど来、各県のそれぞれの目玉といいますか季節の話がありましたけれども、岩手県の4月から9月の間の目玉は何でしょうか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 先ほども御答弁申し上げましたが、6県が共通で月がわりで設定するテーマのほか、本県も独自で設定するということで、まさに今検討しているところでございます。
 一つは、知名度がしっかりある三陸鉄道ですとか、岩手県には今世界遺産が二つあって、この期間中に登録が見込まれている御所野遺跡を含めると三つになります。三つの世界遺産を持つのは東北では岩手県のみでございますので、こういったものは当然入ってくるかなと思っています。そのほかについては非常に多彩で、ほかにどういった優位性があるだろうかとまさに議論をしております。先ほど来、田村委員からも御指摘をいただきましたけれども、いろいろな御意見を賜りながら、しっかりと誘客ができるコンテンツをテーマにしていきたいと思っております。
〇工藤勝博委員 私は一つ提案があります。デスティネーションキャンペーンはもともと鉄道の旅ということが基本だろうと思います。それで、誘客の柱となるのであれば、鉄道、ローカル線も含めて、それをいかに走らせるかが大事かなと思います。東北新幹線ばかりではない、釜石線あるいは三陸鉄道は今月の20日には全線また開通すると。ローカル線をいかに使って、全国あるいはインバウンドに魅力を伝えるか。その中で、JRの豪華寝台列車の四季島というのがありますが。あれをぜひローカル線で走らせることができないのか。あれが走ったら、三陸海岸から青森、秋田を回って、東北を一巡できるくらいの線路は当然ローカル線はあるわけですから、ぜひ花輪線も通してもらわなければならないですけれども、そういう企画を持ってやってほしいなと。四季島に料理を提供している料亭が盛岡市内にもあるのだと、それら食材も含めて豪華寝台列車を、岩手県あるいは東北の津々浦々に走らせることをぜひ提案してほしいと思いますけれども、それらも含めてお聞きします。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 頂戴いたしました四季島の提案につきましては、会議の中で、JRにはしっかりと御要望として伝えさせていただきたいと思います。
 東北6県といたしましても、ローカル線というテーマを設けるという協議をしております。各県に第三セクターの鉄道、非常に個性的な鉄道が数多くございます。そういったものも活用しようと今まさに計画はされておりますので、そういった提案の中で、四季島に限らず観光列車というものを走らせられるのかというところについては、議論の俎上にのせたいと考えております。
〇工藤勝博委員 そういうことができるのであれば、多分、県議会の議員の皆さんも、全員乗ってみたいという思いがあるだろうと思います。それらも含めて、ぜひとも実現のために頑張ってほしいと思います。
〇佐々木宣和委員 私も観光に関して伺っていきたいと思います。
 城内委員、臼澤委員からも、新型コロナウイルス感染症以外による宿泊のキャンセルということで13万8、450人、13億円の被害があることを伺っております。本当に全国的に旅行客のキャンセルが相次いでいること、そしてまた、令和元年台風第19号で国が政策として打ち出しましたふっこう割、これに関しても延長するけれども、これを使った方もキャンセルが出ているという話とか、修学旅行のキャンセルとかが相次いでおります。各地の声といたしましては、事が事だけに、宿泊業者もキャンセル料を取りづらいとか、こういった事態なので団体より個人客を探していくと、遠くより近くのお客様を拾っていくというような意見も出ているといったことだったと思います。
 通告を出していた中で、旅行代理店からのお話を県当局で把握している部分があれば伺いたいと思います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 旅行代理店の状況でございますが、主に県内の旅行代理店と言われるものにつきましては、岩手県を出発する旅行を取り仕切っているということでございます。その協会であります岩手県の旅行業協会あるいは大手の旅行会社から幾つかお話を聞かせていただきましたけれども、具体的なデータにつきましてはお話しできないという御回答をいただいております。
 まず、イベント等の自粛要請が発生した2月末以降、3月は特に、本県から出発する旅行商品はほぼキャンセルになったと聞いております。また、4月はお花見のシーズンですが、これらのツアーなども、現在の時点では、先が見通せない中では募集などもできないという状況になっていると聞いております。
〇佐々木宣和委員 本当に苦しい状況で、他県から来ていただく方も少ないですし、岩手県から外に旅行に行かれる方も少ないと、本当に自粛しているような雰囲気が広がっているのかなというところでございます。
 二つ目の質問ですけれども、前段でも触れましたけれども、令和元年台風第19号におけるふっこう割の状況と課題について伺いたいと思います。
 日本全体で予算額24億5、000万円、特に被害が大きかった千葉県、長野県では4億円超の予算が組まれていると。岩手県においては4、500万円の予算が組まれたところですけれども、このふっこう割の状況、課題について伺いたいと思います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 ふっこう割のキャンセルの状況でございますが、一部の施設におきましては、インバウンドの旅行団体の予約のキャンセルが発生したと聞いております。全体として、本県の場合は4、500万円程度の予算で、約1カ月程度の期間で実施したこともありまして、最終配分予定額の95%程度は執行するという見込みとなっております。
〇佐々木宣和委員 まず95%というところですけれども、このふっこう割に関して、この制度設計と被害を受けた事業者とのバランスということを聞きたいのですが、4、500万円という予算を旅行事業者と宿泊事業者とOTA(オンライン・トラベル・エージェント)、それぞれに配分できるかと思いますけれども、岩手県ではどうされたのか伺います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 今回のふっこう割の制度設計につきましては、先ほど委員からも御指摘がありましたとおり、旅行会社や宿泊施設、OTAといった形に配分することは可能となっておりますが、その配分につきましては、各県の事業の方式に委ねられているところでございます。本県におきましては、交付額が4、500万円と非常に少額であったことから、大手の旅行代理店やOTAのネットで予約するような旅行会社には配分せず、県内の宿泊施設に直接配分する方式を採択させていただきました。
〇佐々木宣和委員 どうなるかわからないですけれども、新型コロナウイルス感染症においても非常に観光事業者が苦しいということで、ふっこう割等の状況も考えながら対応するやもという話も出ているので、この取り組みを生かしていただければと思っております。
 次に、三陸沿岸の観光振興に関して伺いたいと思います。
 令和元年台風第19号もあり、新型コロナウイルス感染症でも今非常に苦しいところでありますけれども、具体的に予算を立てられているものを三つ聞いていきたいと思います。
 一つ目が、三陸周遊・滞在型観光推進事業費でございます。教育旅行や企業研修などの復興ツーリズムを推進していくものと思いますけれども、現状と来年度の見込みを伺いたいと思います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 三陸周遊・滞在型観光推進事業費についてですが、現状でございますが、昨年1月から9月までの教育旅行の入り込みにつきましては、学校数が延べ2、766校、児童生徒数で17万9、415人回、前年比におきまして、学校数では86校増加しております。児童生徒数につきましては、4、436人回の減となっております。
 来年度におきましては、本県への修学旅行が多く企画されます北海道あるいは首都圏を中心に誘致に関する説明会を引き続き実施し、その説明会において復興道路等の沿岸の交通ネットワークの整備、三陸鉄道の全線再開といった利便性が非常に高まったことをPRしながら、重点的な誘致に取り組んでまいりたいと思っております。あわせて、修学旅行の方面決定に影響力を待ちます担当の教員を実際に沿岸の現場にお連れするような事業を展開することとしております。
 また、企業研修旅行の現状につきましては、いわて復興ツーリズム推進協議会、そして三陸鉄道の受け入れ実績でございますが、これは大変恐縮ですが、平成30年度の実績で630人となっており、平成29年度の比較では448人の減となっております。令和2年度におきましては、首都圏、中部圏そして北海道等の企業を対象にいたしまして、これも企業研修に特化しました誘致の説明会、また、実際の企業の研修の担当者を沿岸にお連れする招請事業に取り組みたいと考えています。また、震災の防災学習の中に避難体験やワークショップといったものをアクティブラーニングとして取り入れているプログラム、あるいは職種やニーズに合わせた研修プログラムをこれから集約して、プログラムを複数提示するようなPRに取り組んでいきたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 教育旅行に関してはプラス86校、企業研修は少し人数が減っているところですけれども、東日本大震災津波から9年過ぎまして、現状をしっかりと伝えるためにもより多くの方に来ていただきたいことと、三陸道路はいよいよつながっていきますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次が、三陸観光地域づくり推進事業費に関して伺いたいと思います。
 観光地域づくり関係者の連携の促進と書いてありますけれども、具体的にどういったことをやっていくのかと、旅行商品化への流れというものを伺いたいと思います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 三陸観光地域づくり推進事業費の観光地域づくり関係者の連携の促進ということでございますが、この事業全体の御説明になってしまうかと思いますが、まず県といたしましては、三陸DMOセンターと連携をいたしまして、売れる旅行商品づくりを行うために、三陸観光プランナー養成塾というものを開催し、地域の資源を活用した観光コンテンツ化を行うためのプランナーをこれまで51名養成してきました。また、このプランナーが企画あるいは開発した観光コンテンツの磨き上げを行うモニターツアーを開催いたしまして、参加者から、このコンテンツの感想あるいはツアーコースの感想などを求めるなどして磨き上げを行う形を進めております。また、さらに、沿岸広域振興局本局あるいは宮古地域振興センター、大船渡地域振興センター、県北広域振興局本局に観光地域づくりコーディネーターを配置しており、各地の観光プランナーあるいは観光団体への助言、あるいはコンテンツ間の連携などの助言を行っているところでございます。
 県といたしましては、この三陸DMOセンターと一体となりまして、でき上がりましたこういったコンテンツの情報発信をして売り込みをするという役割を担っておりまして、これをやることで各観光地づくりあるいは観光関係団体が連携した形で商品化につなげていく取り組みをしております。
〇佐々木宣和委員 つくった旅行ルートを売り込んで、新しくつくった旅行商品に対してどのくらいの方が来たのかはわかるものなのでしょうか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 済みません、手元に資料がございませんので、後ほど御回答させていただきます。
〇佐々木宣和委員 通告していなくて申しわけなかったです。
 滞在時間を長くして、そしてまたよりお金を多く落としていただくというのがキーワードで、つくったものをしっかり売らないと余り意味はないところでありますので、しっかりと取り組んでいただきたいです。DMOセンターがやられている事業ですので、このルートづくり等、プランナーの育成は平成28年からやっていると思いますけれども、3年間やっていますので、しっかりと成果につなげていただきたいということでございます。
 最後に、いわて三陸に行こう誘客促進事業費に関して伺いたいと思います。
 一般質問でも答弁いただいていますけれども、具体的に、宮城県に営業するということをおっしゃっていますけれども、宮城県への営業について、具体的にどういったことをするのか伺いたいと思います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 宮城県の営業でございますが、これまで首都圏が中心でございましたが、来年度、三陸沿岸道路の整備がほぼ完了するということで、この三陸沿岸道路を活用して誘客が期待できる仙台市におきまして、まずは旅行会社との商談会、あるいは商品造成担当者である旅行会社の直接の担当者を三陸沿岸にお招きしまして、まずはバスツアーといったところから旅行商品造成を行い、営業させていただくことにしております。
〇佐々木宣和委員 仙台市で取り組みをすることは非常にいいことだと思っておりますし、三陸沿岸道路ができて、南側から北側に多くの人に上がってきてもらうというのはすごく重要だと思っておりますので、しっかりとした取り組みを期待いたしまして終わります。
〇佐々木努委員 私は新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 先ほど来、さまざまな県内の観光産業あるいは飲食産業等の影響について、数字も交えて御説明をいただきました。私も非常に県内経済の影響を心配しているわけでありますが、そのような中で、今月6日から買うなら岩手のもの運動ということで、岩手県産品をみんなで買って応援しようという取り組みが始まりまして、きのうは県庁前で、たくさんの職員の方々が牛乳の一気飲みで一気に気勢を上げたという姿も見られました。これは非常にいいことだなと、直接的な新型コロナウイルス感染症対策ではないとしても、間接的にいい取り組みだなと理解をいたしますが、これは県がやりましょうということで始めたのか、それとも業界からこういうことをやってほしいと要請があってやったのか、どちらなのでしょうか。
〇竹花地域産業課長 今回の買うなら岩手のもの運動につきましては、今現状の牛乳の状況とか、きのうはお花のお話もありましたが、そういった県産品の販売が非常に厳しいということで、県のほうで企画をさせ、業界団体にお声をかけまして開催したものでございます。
〇佐々木努委員 そのことに対しては敬意を表します。きのうお聞きしたときは、18企業が手を挙げたということですが、今のところ参加事業者はどのぐらいまでふえていますでしょうか。
〇竹花地域産業課長 参画事業者につきましては、キャンペーンを3月6日に開始した段階から募集を開始しております。昨日、佐々木努委員に御報告しましたが、その18社が今のところの数字となっております。今、小売店の皆様から申込等さまざま調整を進めている状況でございます。
〇佐々木努委員 これはやる以上、全県的な取り組みにしていかなければならないと思いますが、参加企業を見ると、どちらかというと大きいところ、それから県とかかわりが少し強いところと思うわけであります。この趣旨にあるように県内小売業者、小売業者というのは小さいところもあれば中規模、大規模とあるのですが、小さいところも含めた県内全体で取り組みを進めていかないとやる意味がないと思いますので、PRも含めて、どのような形でこの事業を推進していかれるおつもりなのか、お伺いします。
〇竹花地域産業課長 今後の取り組みにつきましては、まずは第1弾としては、緊急的に牛乳等の課題もございますので、そういったあたりに対応していくということで小売店を中心に御協力をいただきました。今後、このキャンペーンは、さまざまな業種の皆様に御参画をいただきたいと思っております。少し時期的な問題もありますが、飲食店の皆様であるとか、観光事業者の皆様であるとか、そういったところにも今後広げていく、また、ものづくりの関係の事業者等にも広げていく必要があると思いますので、そういった視点でしっかりと取り組んでまいります。
〇佐々木努委員 周知が大事かなと思います。ホームページを見てくださいとかだとなかなか参加する事業者もふえてこないと思いますし、6日、7日でしたか、県がやると新聞には載りました。きのうはテレビでも放映されましたけれども、あとはきょう以降、多分マスコミで大きく取り上げられることはないと私は思います。何か特別なイベント等をやれば別ですけれども、これからの周知が大事だと思いますので、これは市町村に対する周知、市町村も周知してくださいということと、それから、商工団体は、小さい商工団体に加入しているお店まで含めて周知をしてくださいということを強力にお願いをしてほしいです。そこまでしないと、いつ始まっていつ終わったのか、何の効果があったのかわからなくなると思いますので、それはよろしくお願いいたします。
 それから、先ほど観光業それから飲食業も含めてこれから巻き込んでいくという話がありましたが、今新型コロナウイルス感染症で一番打撃を受けているのは、買うそれから食べる、泊まる、この三つの産業の方々だと思います。今回の買うというところではこういう支援もあるかと思いますが、飲食店それから宿泊業、ここの取り組みがこれから必要になってくるのですが、時期も時期なので厳しいということは重々承知ですが、これから、大きな被害を受けている飲食業それから観光業、これらに対する支援をどのようにしていくか。先ほどもお話がありましたが、もう一度お伺いします。
〇竹花地域産業課長 飲食店や観光業への支援ということですが、このキャンペーンにつきましても、確かに新型コロナウイルス感染症の関係がございますので、実施時期や実施方法に相当工夫が必要だと思っています。例えば、今県でも「黄金の國、いわて。」おもてなし店ということで、飲食店の皆さん106店舗ぐらいとおつき合いをさせていただいている関係等がございます。そういった関係を生かしたり、あと県産食材を使ったメニューを出すという切り口でPRをするとか、さまざま工夫が必要だと思いますので、そういったところを関係部局とも連携しながら考えて実行していきたいと思います。
〇佐々木努委員 先ほど観光産業の方々とさまざま意見交換をして今後の要望についてお聞きしたということで、今は我慢の時期で、終息したら一気に攻勢をかけるのだという話がありました。この新型コロナウイルス感染症についてはいつ終息するか、岩手県1件も出ないで終わるならいいのですけれども、出始めたら、もしかしたらどんどん広がってしまって、今よりも大変な状況になるかもしれません。先が見えないというのはそのとおりでありますから、そういうときにこそ、今感染者が出ていないこの岩手において何ができるのか、何をしておかなければならないのかということを、私は積極的に県が動くべきではないかと思います。しっかりと準備は進めていただいていいのですが、今々どういう支援ができるのか。それは融資だけではなく、融資は一時しのぎですし、最終的にはお金を返さなければなりませんので、今経営が大変な業者さんは、お金を借りることにも二の足を踏むという状況も実はあると聞いております。今支援をする、例えばお客さんを何としても呼ぶ方法、これは積極的でなくてもいいですから何らかの形でお客さんを呼ぶ、県外から連れてこいとは言いません。県内でどうやってお客さんを回していくか、来てもらえるかということを、消極的でもいいのでそういうプランとかを業者さんと一緒になって考えるべきではないかと思うのですが、そういう協議はされてないのでしょうか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 委員からの御指摘がありました現在に手当てをというところでございますが、我々のネットワークの中でも、宿泊事業者とお話をさせていただく中では、何か前向きに今やれることはないか意見交換をしておりますが、特定の宿泊施設だけがやるというのも余り意味がないと言われておりました。全県に波及するためには相当のアイデアが必要になりますが、今のところは、大変恐縮ですがアイデアがない状況です。意見交換の中ではいろいろ提案は聞いておりますけれども、非常に厳しい、我々のお話をする中では、今中途半端に施策を打たれるのもなという御意見もいただいております。小さいエリアで市内の方を泊めるようなキャンペーンみたいなものをエリアごとにやったらいいのではないかという、地域でのアイデアも出てきているという情報はいただいております。もしそういったことが全県に広がっていくようであれば、県としてはしっかりと支援していくことも考えていきたいと思います。
〇佐々木努委員 私も何かいいアイデアを提案できればいいのですけれども、本当にただ聞くだけで申しわけないなと思います。
 インターネットで県内の宿泊施設の状況を調べると、ほとんどの宿が週末でもあいています。あした、あさってもあいています。よほど大変なのだろうなと。ある温泉宿泊施設では、料金を安くして部屋を埋めようと努力しているところもあるようですけれども、大きいところでさえそういう状況なのです。何とか県内の方々に、県外に行かないで県内の宿泊施設あるいは県内の観光施設を、こういう時期だからマスクをして手洗いをして回りましょうということを、宿泊施設も感染症予防対策はしっかりやっているということをPRしながら、県が積極的にやっていただきたい。もしかしたら国からおしかりを受けるかもしれませんけれども、そうであれば、観光事業者さんにしっかりと対策を考えてもらって、さっき課長がおっしゃったように、そういう方々に対して積極的に支援をすることを考えていただきたい。
 あわせて、飲食業も大変だと私は聞いています。もしかしたら観光業より対策が難しいかもしれませんけれども、少人数であれば別に問題ないとか話もされたりしていますから、少人数で利用してもらうにはどういう方策がいいのか、そういうものも含めて県の方々には事業者さんと一緒になって考えていただきたい。ただ融資だけでなく、今々どうしていくかということについて頑張って考えていただきたいと思うのですが、部長に最後聞いて終わりにします。
〇戸舘商工労働観光部長 買うなら岩手のもの運動は、現下の情勢の中で、県内でできることはどういうことがあるのかを考えて県から提案を申し上げて、観光で外に出ていく、あるいは外のお客さんをどんどん呼び込むということがなかなかやりにくい環境にありますので、ふだんの生活の中でできるだけ岩手県のものを買い、そして消費をして、そしてみんなで元気になっていきましょうということで始めた運動であります。
 飲食はこういう状況であっても皆さんされるわけでありますので、個人的にはどんどん飲食店を御利用いただきたいという思いもありますし、私もむしろここ数週間は、外で食べる機会が多くなっている状況ではありますけれども、これも少人数だったら大丈夫だから行きましょうというエビデンスもありませんので、これは公的に呼びかけることはなかなか難しいと思っております。
 それぞれ皆さんの思いの中で消費活動をしていただければいいなと思いますし、飲食店に関しては、買うなら岩手のもの運動の中でもできるだけ協力店みたいな形で広げていって、そこで消費をしてもらえるように働きかけていきたいと思っております。
〇高橋穏至委員 それでは、私からは3項目ありますけれども、基本的には、県内の高校生あるいは大学生が地域で就職するという観点からの質問、要は転出防止といいますか、岩手県の中で就職してほしいという観点から質問したいと思います。
 この質問に関しては、9月の一般質問でも取り上げた内容ではございますが、改めて令和2年度にわたっての事業ということでお聞きしたいと思います。
 まず最初に大学のほうからですが、県内の大学あるいは県外に出た大学生に対して県内に就職してもらうという活動。主要な事業の中では、県外の理系大学、ものづくり人材確保推進事業という形で載っていましたが、それ以外にも大学にかかわらず、U・Iターンにかかわる施策も関連してくるかと思うのですが、県外、特に首都圏に向けた大学生、卒業生へのアプローチの事業についてどのような取り組みを行っているかについてお伺いします。
〇菊池定住推進・雇用労働室長 特に県外大学に対するU・Iターン促進のアプローチについてでございますが、先ほど千葉秀幸委員にお答えした部分と内容が重複するところがあり恐縮ですけれども、昨年度設立しました岩手U・Iターンクラブと加盟大学等を中心としまして、首都圏の大学が主催する就職説明会ですとか保護者会の機会を通じまして、岩手へのインターンシップや東京における就職イベントなど、本県のU・Iターンを支援する取り組みの周知ですとか相談対応を行っておりますほか、U・Iターンマッチングコーディネーターが首都圏大学の理工系学部を個別に訪問いたしまして、技術系人材の県内就職に向けた情報収集ですとか企業情報の発信に努めております。また、東京におきましては、U・Iターン就職フェアの開催ですとか、首都圏の大学生と県内企業の若手社員との交流イベントといったものを開催しながら、学生に対して本県の企業の魅力と情報を伝えているところです。
 こちらも先ほど答弁した内容と重複いたしますが、大学に進学する前の高校3年生の段階で、LINEアプリのいわてとつながろうへの登録を呼びかけまして、LINEの登録とあわせて、いわてU・Iターンサポートデスクへの登録を促進し、定期的に岩手からの企業情報ですとか就職イベントを発信しているところです。
〇高橋穏至委員 最初に大学を聞いたのは、実は私の息子も今首都圏の大学4年生でございまして、たまたま先週帰ってきたのです。うちの場合は大学院に行くのでまだ就職は考えていないのですが、お父さん、大学で就職を考えるとき、大学の先生方の情報だとどうしても地方の情報は入ってこないし、就職先としてどこがあるか全然わからないのが普通だよと。お父さん、今どういうことをしているのというから、事業の説明をしたら、それはどういうふうに検証しているのですかと聞かれました。先ほど、この事業の成果がまだしっかりととれていないという回答もあったわけですが、やった事業が成果に結びつくかという検証をしなければならないという話を先週したばかりでございます。そんな中で、そういった事業をやるにしても、当の本人が県内に関心を持たなければそこにはたどり着かないという話もありました。そこで、特に高校段階、中学校の段階で、地域に残りたいという情報を幾ら持っているかによって、大学を卒業するときに探そうかということになると。先ほどの答弁の中にも実はあったわけですけれども、中学校、高校生に向けた県内就職にかかわる施策というものをしっかりやっていかないといけないと思っております。
 その事業に関しては午前中の議論でもありましたので重なりますけれども、その答弁の中で私が気になったのが、学校のニーズをしっかり捉えて学校にアプローチしていくとあったのですけれども、学校のニーズというのはどうなのだろうなと思いながら私は聞いたのです。特に高校の中で、直接生徒にアプローチしながら情報を流すというのは大事だと思うのですけれども、一番影響力のある学校の先生はどう考えているのだろうか。県内に子供たちを就職させたいと思っているのか、あるいは大きい企業に出してあげるのがいいと思っているのか、そこの部分もしっかりと学校に働きかけないといけないのかなと思います。そういう意味では、学校のニーズというものは、要は種をしっかりつくる、シーズも大事ではないかと思っているのですが、そういった観点から今やっている事業を見たとき、どう捉えているかお伺いしたいなと思います。
〇西野雇用推進課長 先ほど午前中の答弁で、学校のニーズを捉えながらと答弁させていただきました。それというのも、学校の先生方はお忙しくて、例えば今私どもがやっているのは、学校にできるだけいろんな形、講演会でもいい、実際の企業見学でもいい、インターンシップでもいい、さまざまな形で、1回だけではなく、そういう機会を持っていただきたいということをお願いしています。ただ、先生から講師選定がちょっと難しいのだよとか、インターシップ先の確保が大変なのだよというお話があれば、そういうところをお手伝いしながら、学校の中でどんどん取り組みを定着できればと考えて、今そういうところを教育委員会とまた私学協会、私立学校のほうにも紹介などをかけて、どういう形で進めたらいいかというのをやっているところでございます。
 そして、まさに学校の先生方のお考えというところが肝になってくると私どもも痛感しておりまして、昨年度は県の教育委員会におきましても、就職に当たっての教育長メッセージということで、学校の先生方に、人口減少とか岩手の将来の担い手という観点での就職指導みたいなものでもメッセージを出していただいたところでございました。また、それ以外、進路指導の先生方と企業の接点を設ける取り組みが、県またはハローワークの主催でもございまして、徐々にそういうところで先生方の理解を深めていただきまして、学校また生徒への働きかけを学校内で定着させていきたいと思っておりまして、そういう先生方との話し合いの場を随時設けるようなことを心がけていきたいと考えております。
〇高橋穏至委員 ぜひ進めていただきたいと思います。それぞれの市町村、特に北上市の場合ですと大きな企業誘致ができましたけれども、それによって人手不足、特に地場の企業は地元の高校生をとりたいと思っても、なかなか応募してもらえないという悩みを抱えております。そういった意味では、県単独でできることではないと思いますので、市町村としっかりと連携をとった施策をつくってもらいたいと思います。市町村を通した事業費を確保するですとか、そういった方向で市町村を巻き込んで、そして中学校も小学校も県費の職員ですので、教育という観点と人材を育成するという観点、要は社会を切り開く人をつくっていくのだとう観点から、しっかりとそこは県としてやれることということで連携をとって進めてもらいたいと思います。
 それから3点目に、女性の県内就職の促進を図る事業ということで、きのうからいわてで働こう推進協議会ですとかさまざまな施策が出ているのですが、これからの人口減少に対して肝になってくるのが、いかに岩手県内でしっかりと女性が働いて地元に残っていただけるかどうかということだと思っておりまして、これは9月の定例会でも質問させていただきました。その中で、女性が県内にしっかりと就職できるために、特に、一回、高校を卒業して専門学校あるいは大学で都会に出てしまうと、ほとんどは帰ってこないという状況の中で、それをどのように呼び戻す施策をしているのか。前にも出ましたけれども、改めてお伺いしたいと思います。
〇西野雇用推進課長 女性の定着、特に県外からのというお話でございます。まず、女性の県内就職に向けましては、経済団体などを通じまして、まずは働く意欲のある方が働くことのできる雇用の場の確保と処遇改善を企業に働きかけているところでございますし、きのう千葉絢子委員からも御指摘があった各種認証制度、さまざまな課題があるというところではありますが、そのようものを通じまして、女性が働きやすい職場環境づくりの企業の取り組みを推進しており、また、働き方アワードという表彰制度でもって優良事例を普及しているところでございます。
 また、学生に対しては、そのように岩手の企業が徐々に変わりつつあるということ、そしてまた、女性もその中で活躍できる場面がふえてきているということをしっかり届けることが必要だと考えておりまして、例えばU・Iターンなど県外におきましても、県内の企業の若手社員、特に女性なども連れていきまして、一緒にインターンシップの説明会でありますとか、企業ガイダンスの前の情報交換みたいな形で、岩手で働くということはどういう感じなのかをリアルに、自分のキャリアモデルになるような人と話をしてもらう機会を設けているところでございます。また、そういう機会を、先ほど菊池室長から御答弁させていただきましたLINEまたはさまざまなメールなどでも、そういうイベントの周知をしているところでございます。
〇吉田敬子副委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇高橋穏至委員 これも昨日の議論から出ている処遇の改善制度を周知するということも大事ですけれども、それにプラスして、企業としても人材不足で今外国人労働者の導入とか、いろいろ工夫をしなければいけないというような気配がある中で、今岩手ではどちらかというとものづくり、男子系の職場が多いと思うのですが、そんな中でも女性が活躍できる環境をつくることが、人手不足の企業にとっても人手を確保する対策になるとしっかりPRしていくことが大事ではないかと思うのです。
 昨年の末に、女性と県議会との意見交換の場がありまして、ものづくりの会社に勤めている女性の方ですけれども、女性であってもそういった企業の中で輝けるためには、処遇もそうですし、労働環境がしっかり整っていることが必要だというお話を直接いただいております。そういったものを直接企業にお話しする。それは何も県が全部やれということではなくて、北上市でも企業立地では市長みずからが誘致企業を必ず毎年回ってお話をしているようです。そういった取り組みを市町村と一緒になって、女性の働く場を確保するような働きかけをしていくべきだと思うのですが、その所見を伺って終わりたいと思います。
〇西野雇用推進課長 まさに委員御指摘のとおり、企業にそういう視点を持って職場環境づくりに取り組んでいただくことがまず第一歩、一番のスタートだと思っております。今、委員から御指摘いただきました地域の企業をよく知る市町村と連携してということを参考にさせていただきたいと思います。
〇高橋穏至委員 その中で、ただ単にお願いするのではなくて、そうやって回った中から、企業にはどういう制度が欲しいかというヒアリングをして、それを政策に結びつけていただきたいと思いますので、最後に部長からコメントをいただきたいと思います。
〇戸舘商工労働観光部長 委員御指摘のとおりだと思いますし、また、市町村では、地場の企業も含めて管内企業を回ってコミュニケーションをとる場面というのはたくさんあると思いますので、そういった場を使いながら、市町村からも情報はどんどん得ていきたいと思いますし、また、県が取り組んでいるさまざまな認証制度なども市町村と連携しながら、企業にもお伝えしていくこともあわせてやっていきたいと思います。
〇吉田敬子副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、暫時休憩いたします。
   午後2時53分 休 憩
午後3時45分再開
〇柳村一委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について延べ7人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行します。
〇千葉絢子委員 私は、きょうは2点お伺いしたいと思います。
 初めに、私自身は、東京に進学した後、Uターン就職で民間企業に就職、結婚し、3人子供を産んで3世代同居をしております。まさに県が求めている人材像を私自身は体現しているのではないかという自負、そして鼓舞しながら質問したいと思います。
 そして私、今、富士大学で女性のためのキャリア形成論という経済学の講義を持っておりまして、5年になります。ですので、女性の就業策につきましては私も興味、関心もあり、自分の中で政策の専門分野としておりますので、先ほど飯澤委員から予告があったように、女性の就業促進策について特化して詳しくお伺いしたいと思います。
 昨年3月20日のいわて女性の活躍促進連携会議において、岩手労働局からいわてで働こう推進協議会は高卒を対象としたもので、大卒女性の方が働きたくても働けないという現象がまだ続いているように見えるし、県の施策にそこを意識したようなものが見られませんと指摘されているのはこれまでの質疑でも取り上げてきたとおりです。
 女性の就業促進のために、いわてで働こう推進協議会はどのような事業を展開し、これまでに効果を上げているか改めてお示しください。
〇西野雇用推進課長 今までの取り組みでございますが、先ほどの高橋穏至委員への答弁と重なる部分がございますが、御容赦願います。
 県としましては、これまで、経済団体を通じて、雇用の場の確保、処遇改善策等を企業に働きかけ、各種認定制度などにおけるインセンティブの付与などを通じて女性の雇用環境の改善に取り組んできたところでございます。
 それらの取り組みは、いわて働き方改革推進運動宣言企業が309社となるなど徐々にではありますが広がりつつあると認識しており、また、大学生や高校生につきましても、例えば自分の年齢と近い若い女性の職員から実際に働いている状況や暮らしの状況を聞く取り組みを行いながら、岩手で働くことを考える学生と社会人の交流の機会を設けてきたところでございます。
 このような取り組みもございまして、総務省の就業構造基本調査によりますと、本県の生産年齢人口の女性就業率は、平成24年は67%でございましたが、平成29年には71.6%と上昇いたしまして、また、育児をしている女性の就業率においても、平成24年の64.1%から平成29年には76.1%と伸びて全国10位となるなど、女性の就業が進みつつあると考えております。
〇千葉絢子委員 先ほどもいろいろと賃金については伸びているというお話もいただきましたが、それは後ほど確認させていただきたいと思います。
 いわてで働こう推進協議会の目的が若い学生―高卒中心という印象を国が持っているのはやはり紛れもない事実だと思います。機運醸成と言うだけではなく、ただ声を上げるだけでは、イクボスのように県庁でも普及しないわけです―読売新聞が取り上げていましたけれども。
 あと、企業認証についても、知らないと答えた企業がおよそ半数というのはきのう私も指摘したところですけれども、いわてで働こう推進協議会でも随分具体的な指摘が出ています。女子学生や企業のマインドを高めるためにインセンティブをもっと見直したほうがいいとか、企業の自己分析などを進めるような意見も出されているようですけれども、こういった会議での指摘事項を来年度の取り組み方針にはどのように生かされているのかお知らせください。
〇西野雇用推進課長 今、委員から御紹介があった意見とあわせて、協議会の中で最近は若者の県内就業に向けての議論が多くありまして、特に進学者の多い普通高校の生徒への働きかけも必要ではないかと言われているところでございます。先ほど来、私からの答弁でも申し上げさせていただいておりますが、大学卒業後のU・Iターンを考えても、岩手にいる間に地域に愛着を持つ、企業を知ることが必要ではないかという意見で、普通高校の生徒に対する働きかけの重要性などのお話も出ていることから、来年は、普通高校の生徒も県内企業と接する取り組みを設けていきたいと考えているところでございます。
〇千葉絢子委員 私、女性の就業促進策について特化してお聞きしているので、その分野でのお答えをいただきたいと思いますが、会議では随分具体的な指摘が出ています。例えば、女子学生の県内就職を促進するため、子育て支援の環境が整った企業などに特化したインターンシップを県が後押しして、優先的にそういった企業に人材をあっせんする仕組みをつくるとか。昨年の採用予定人数を満たせなかった企業が県内の80%に上っているとジョブカフェいわてからいただいた資料にも出ていますので、その80%の企業に対して、先進的な取り組みをしていればあっせんしますというような、具体的な人手不足を補っていくようなインセンティブを与えるというのも提案されているところです。
 それから、これは米内議員の一般質問でも指摘があったと思いますが、北陸3県の県内就職率は非常に高いのです。その分析が必要ではないかとか、あとは首都圏の企業との差別化を図るため、どのような観点で県内企業はPRすべきか県内企業自身に考えさせるべきという意見が出ています。早速これは施策化するために検討すべきだと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
〇西野雇用推進課長 今いただいたインセンティブですけれども、確かに各種認証制度をとってもインセンティブが企業にとってなかなか実感として湧かないところがあろうかと思います。今回、ある県内の大学では、働き方改革を積極的にやっているところに特化したインターンシップのコースを設け、男子学生も含めて参加したという取り組みも始まっておりますし、今般、県はウエブでの合同企業説明会を開催することにしましたが、その選考におきましても、そのような意見を踏まえて、県内の業種バランスや地域バランスに加え、県の認証制度、国のくるみんやユースエール等、各種認証制度の取り組みに積極的に参加していることも判断材料にして企業を選んだところでございます。そのような形で生かしていきたいと思っております。
 また、北陸3県につきましても、かつて協議会の構成メンバーで視察に行きまして、保護者への働きかけでありますとか3世代ということで、もともと地域で働くという意識が高いという分析結果などもいただいているところでございます。そのようなことを受けて、高校での保護者を対象としたガイダンスなどにも取り組み始めているところでございまして、そのような形でいわてで働こう推進協議会での意見を捉まえて翌年の事業に生かしているところでございます。
〇千葉絢子委員 次のテーマをお伺いしたいと思います。女性の職業生活における活躍の推進に関する法律―女性活躍推進法について伺います。
 これは平成29年4月1日から施行されていますけれども、10年の時限がある理念法でありまして、地方公共団体に求められているのは、相談や助言に努めること、また、女性の職業生活における活躍の推進計画策定は努力義務となっておりまして、協議会の設置は任意となっています。この法律は、国が女性の職業生活における活躍の推進に関する基本方針を策定することになっていますが、都道府県を含め市町村―公共団体は、国の基本計画を勘案して、その区域内における推進計画を策定することが求められている、けれども努力義務でいいですよという書き方なのです。
 本当にやる気があるかどうか、女性としては非常に疑わしいと言わざるを得ない法律と、努力義務だから別にいいよねという県のスタンスが、先ほどの戸舘部長の、女性というよりも全体の雇用状況を考えるべきという答弁に如実にあらわれていると私は感じた次第です。
 先ほどの答弁を中学生の私の長女が会派の控室のモニターで聞いておりました。彼女は、私の予算総括質疑も聞いておりました。中学生とはいえ、あなどるなかれです。彼女が日常の学校生活で耳にしているのは、同級生―ひとり親、母子家庭―の家庭内や職業生活における親の悩み、それから、それが子供たちにどのような影響を及ぼしているか、その生活のリアルです。あと4年でうちの中学2年生の娘は高校を卒業します。県外への転出が今、彼女の希望になっているのです。この数日間の答弁を聞いて、余計に岩手で働きたくなくなったわと言って、さっき迎えに来たおじいちゃんと一緒に帰っていきました。これから岩手で就職をしようと私たちが働きかけていかなければいけない年代に、そういう誤ったメッセージを与えてしまって本当にいいのでしょうか。
 職業生活における女性の活躍について、岩手県は今のところ無策であるという解釈でよろしいでしょうか。これは、今後の岩手県において大事な論点であると思いますので、部長にお伺いいたします。
〇戸舘商工労働観光部長 答弁が少し舌足らずだったかもしれませんけれども、私が申し上げたかったのは、一つは、雇用のあり方として、女性がしっかりとその能力を生かせる場をつくっていくのは大事なことだと思っておりますし、今まさに喫緊の課題だと思っております。もう一つは、企業経営の立場からしても、女性の能力を十分に生かしてもらうのは人材確保の上からも必要なことでありますし、ダイバーシティーの入り口という思いも私は持っています。
 したがって、あらゆる企業体において女性が働きやすい環境をつくっていくのは大事なことでありますし、まさにそういう方向に行くべきだという意味で私は従来から答弁を申し上げているところであります。これは、いわてで働こう推進協議会を通じて企業への働きかけもこれからやっていきたいと思っているところでございます。
〇千葉絢子委員 私、ジョブカフェいわてとも毎年意見交換をして現状を聞いてくるわけです。その際に、ぜひ若い人たちが岩手で働きたくなるような、また、私、女子学生の教え子が毎年30人ぐらいいますので、その子たちにも、岩手で働くことに夢を持ってもらえるようなキャリア教育をしてくださいと言われるのです。ただ、実際のところを見てみると、賃金構造や県の労働施策、女子大生の就職に寄与する施策を県のものとして紹介するときに、材料がなくて本当に困っているのです。
 私は一人の親としても子供のキャリア教育にかかわっておりますので、去年は、娘の中学校の学年行事にキャリア教育講演会を提案しまして、ジョブカフェいわての牛崎さんを招いて150人ぐらいの中学生の前で講演していただきました。また、今回、キャリア教育の一翼を担っている学校での教育者という立場からも質問させていただいております。
 先ほど申し上げたキャリア形成論の中での県の資料ですけれども、今年度の授業で出さざるを得ないと思っているデータは、先ほど西野課長からもお話がありました各種のアンケート調査の結果、それから所得格差、そして岩手の人口減の状況、制度の認知度、そして女性活躍推進法による県の取り組みの実態もしっかり話さなければいけないと思っています。この数字や統計で、どのように女子学生に岩手の会社に勤めてくれと言ったものか、本当に頭を悩ませているところです。
 先ほど金野労働課長は、女性の賃金についての飯澤委員の質疑に、平成26年は20万6、000円であったのが21万9、600円に、また、男女格差は8万400円から7万9、000円になったから改善しているとおっしゃっていましたが、これは何をもとにした数字でしたか。出典を教えていただいていいですか。
〇金野労働課長 まず、先ほどの、決まって支給する現金給与額の部分でございますが、こちらにつきましては厚生労働省の賃金構造基本統計調査を見たものであります。また、男女格差につきましても、この賃金の差をとったものでございます。非正規雇用労働者の割合との比較をしたときの調査につきましては、総務省の就業構造基本調査からデータをとったものでございます。
〇千葉絢子委員 私の周りには、正社員でも21万9、600円もらっている女性労働者なんてほとんどいません。
 人口ビジョンをごらんになっていますか。平成27年のではなく、2月の新しいふるさと振興総合計画の最終案と一緒に出された改訂版の人口ビジョンですけれども、商工労働観光部が取り組んでいるのなら、どうして未婚率が上昇し、出生率が下がり、大卒女性の就職に関する取り組みが弱いと労働局に指摘され、20代より30代女性のほうが所得が50万円も低く、所得の男女の差が20代では50万円、30代になると200万円にまで広がっているのか、これを説明していただいてよろしいでしょうか。
 県の計画を立てる上でのもとになる数字の基準が統一されていない中で、どうやってこの施策の整合性をとっていくのでしょうか。どの数字を基準にしていますか。
〇西野雇用推進課長 その点、詳細な資料を持ち合わせておりませんので、すぐお答えできません。申しわけありません。後で答弁させていただきます。
〇千葉絢子委員 やはり数字の整合性をとっていかないと、政策の効果は検証できないのです。プラン・ドゥー・エンドなのです。プラン・ドゥー、プラン・ドゥーを一生懸命続けていくのか、しっかりチェックしていくのか、それは商工労働観光部が求められている施策の一番大事な観点だと私は思っております。
 きょうまでの予算特別委員会の質疑におきまして、子供の貧困の解消や必要とされている親の支援について、経済的な問題、親の所得や就労環境による理由が大きいことから、福祉や男女共同参画の観点のみならず、何よりも商工労働観光部からの働きかけを強くしていかなくてはいけないのではないかという議論が交わされてきたのはお聞きになっていますよね。
 商工労働観光部が本腰を入れなければ、女性の県内定着や就労環境、所得の改善は前進しないということが今日までの長い時間をかけて指摘されてきているわけです。現在の商工労働観光部は、御自身に都合のいい統計を利用して盾にするだけで、本当の県民の問題解決には寄与してくれないのだなというメッセージをいわてで働こう推進協議会に入っている保健福祉部や環境生活部の各課に与えてしまっているのではないかと私は思っております。関係の職員に聞きますと、やっぱり商工労働観光部にちゃんと取り組んでもらわないと根本的な解決はありませんと皆さんおっしゃいます。私は、これまでの議論が水泡に帰したようなやり切れなさを非常に感じているところです。
 いわてで働こう推進協議会の今年度から始まった取り組みですが、女性は、今度は高齢者を対象としたものにひっくるめられて新規就業支援事業が項目として立てられていますけれども、中身を見てみたら、何ですか、このからだ測定会というのは。
〇西野雇用推進課長 今年度の推進方針にも入っております新規就業促進事業は、高齢者や無業の女性などを掘り起こして就業意欲を喚起するのとあわせ、企業には、短時間勤務のより短いもの―プチ勤務をあわせて導入して就業促進を図ろうとするものでございます。委員お尋ねのからだ測定会は、主に高齢者等の方々に参画していただきたく、イベント的に腕力の測定やバランスの測定、あとは記憶力、認知機能のテストみたいなものをショッピングセンターで行って、そこで自分の今の状態を知った上でシルバー人材センターへの登録とか、そういう形を促すような測定会となっております。
〇千葉絢子委員 でも、これは女性というのが頭に来ているのですよね。女性、高齢者の新規就業促進支援事業として、ショッピングセンターで通りがかりの人に声をかけるものが就業支援に数えていいのかと私は思います。無職の女性をつかまえて、筋力測定や体のバランスの測定、記憶力や判断力のテストというのが本当に女性の就業支援策のトップ項目でいいのかと私は思っています。
 西野課長が頑張ってくださっているのは本当にわかっていますし、いろいろこれまでも意見交換を重ねて、本当に頑張っていただきたいと私は思っています。
 ただ、女性というものをすっ飛ばして高齢者、障がい者と言う前に、まずは子供を育てている女性たちをいかに労働環境なり所得なりで楽にさせてやるか、そして子供を産みたい、育てられるという実感を持たせるかというところを考えていただきたいと思います。そのために高齢者に出番を回していただいて子育てを支援する取り組みに参画していただき、地域全体で3世代同居のようなうまい形で世代を回して相互理解を図って支援していく、それで年金制度や子育て支援に双方の世代の理解を賜るような施策展開をしていくのが私は理想的だと思っています。これは商工労働観光部だけで取り組むものではありませんので、これまでの質疑でも申し上げてきていますが、とにかく関係部局と連携して、しっかりと対話をしていただきたいと思っています。
 次に、就職氷河期世代支援プログラムについて伺います。
 国におきましては、都道府県ごとに対象者を把握した上で、具体的な数値目標を立てて3年間で取り組むという方針が去年6月21日に政府より示されていますけれども、岩手県は来月から3カ年でどういった方針で取り組むのか、もう取りまとめているかお聞かせください。
〇西野雇用推進課長 就職氷河期世代支援プログラムに対します県の計画の進捗状況でございますが、この計画に関しましては、都道府県プラットフォームを構築いたしまして、それをベースに議論を進め、官民一体となった取り組みという形で考えているところでございます。
 今、岩手労働局を中心といたしまして、年度初めにプラットフォームが立ち上がるよう調整していることとあわせ、このプラットフォームのモデル実施が本年度、4県―愛知県、大阪府、熊本県等で行われております。今はそちらの取り組み状況などを把握しているところでございまして、例えば企業の採用意向調査や求人開拓などを先にやっている県もございます。そのようなものを勘案して、プラットフォームで早急に議論していきたいと考えているところでございます。
〇千葉絢子委員 たしかこれは、労働局が全国で16カ所、特に取り組みが必要なところを指定して進めるという方針が6月には示されていたと思います。今年度から前倒しで予算措置されているものもあるわけですよね。
 2月のいわてで働こう推進協議会の後に提供された資料を見てみますと、キャリアアップ、就職に向けたリカレント教育などについての項目では、女性の社会参画を促進するため、大学、男女共同参画センター、企業等の関係機関との連携により、キャリアアップ、キャリアチェンジに向けた意識醸成、情報提供、相談体制の整備、学習プログラムの設計、フォロー等を総合的に支援するモデルを構築し、女性の学び直しやキャリア形成等を支援すると書かれています。都道府県に支援策のモデルをきちんとつくってくださいと書かれているのですね。しかも3年で集中的にという国の方針についての理解と、設置主体についてお知らせいただいて私の質問を終わりたいと思います。
〇西野雇用推進課長 このような事業メニューも含めてプラットフォームなどで検討していきたいと思っておりまして、どこが一番適切なのか、県なのか、または教育訓練機関なのか、地域の大学なのかということも含めて検討してまいりたいと思っております。
〇柳村一委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 先ほど佐々木宣和委員から観光地域づくりの商品化の実績について御質問をいただきまして、後ほど御答弁を差し上げると言った件でございます。
 三陸DMOセンターと沿岸広域振興局が連携いたしまして、昨年11月から本年1月までプログラムの販売をさせていただいたところであります。41のプログラムを販売いたしまして、そのうち27のプログラムが催行されております。参加者につきましては1、350名、売上金額は440万5、000円余という実績となっております。
〇武田哲委員 私からは、2点お伺いいたします。
 まず最初に、本日も午前中から多くの委員の皆さんが中小企業に対する新型コロナウイルス感染症対策を聞いております。同じように、県内の中小企業に対する相談窓口と県の支援策について改めてお伺いしたいと思います。
〇関口経営支援課総括課長 県では、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた県内中小企業等を支援するため、3月2日に県庁及び各広域振興局に相談窓口を設置したところであり、これまで33件の相談が寄せられております。相談内容としては、資金繰りから経営に関することまで幅広い内容となっております。
 支援策としては、国の信用保証制度であるセーフティネット保証にも対応し、感染症の影響を受けた中小企業等が利用できる中小企業経営安定資金などがあり、これらの県単融資制度や、国が今般、緊急対応策として示した実質無利子となる日本政策金融公庫の特別貸付制度により事業者の資金調達を支援してまいります。
〇武田哲委員 ただいま、3月2日に相談窓口を開設して、3月11日の国の支援策のときにも説明してきたという話ですけれども、実際、ホームページを見ると、県の支援策はほかにも載っていますよね。小口事業資金、中小企業経営安定資金といったところにも拡大して、今後、県は対応していくということですけれども、この支援策のことは3月11日の新型コロナウイルス感染症に係る経済金融連絡会議のときには説明されたのでしょうか、お伺いいたします。
〇関口経営支援課総括課長 今回の場合は、資金需要とすれば運転資金が中心になるだろうと考えられております。そうした中で、3月11日に開催した連絡会議においては、運転資金として御使用いただけるような小口資金あるいは中小企業経営安定資金、商工観光振興資金など、主なところの県単融資制度については説明しております。
〇武田哲委員 国では無利子のものもあります。しかし、県で用意している各資金は、10年で返すというところで見ると、どれも年率2%を超えていますよね、2%から2.5%。とても大きな金利です。その中で、大体何件ぐらい利用があると思って県の資金、この政策を説明されたのでしょうか。
〇関口経営支援課総括課長 今回の新型コロナウイルス感染症対策に対する運転資金ということで、何件ということについては、多分通常の状況のところでの運転資金の供給と全然違うレベルになるのではないかと思っています。
 例えば中小企業経営安定資金で申しますと、年間、新規の融資枠を150億円ほど確保しております。これまで、1月末現在で約38億円ほど資金を出しています。来年度も同じ水準での融資枠を確保しておりますので、これからどう推移していくかわからないですけれども、当面のところ資金の融資枠などは確保できていると思っています。
〇武田哲委員 今回、東北各県ではどういった事業をやっているのか見てみました。そうしたところ、青森県では、2月14日に相談窓口を開設して、県独自の新型コロナウイルス感染症対策用の融資制度として0.9%、0.8%のものを用意しております。宮城県は、2月18日に相談窓口を開設し、3月4日に県の融資制度1.55%から1.6%のものを用意しています。福島県では、2月14日に相談窓口を開設し、3月5日に県の融資制度1.5%。同じように山形県では、2月25日に県の相談窓口を開設して1.6%の県の融資制度を発表しています。しかし、3月4日に、県と市町村と金融機関でこの利子分を補給しようということで、無利子の融資制度を県単独でつくっております。秋田県では、岩手県とおなじように相談窓口を3月2日に開設し、3月4日に1.35%の県単独のコロナ対策の支援制度をつくっております。
 そうした中で、岩手県では、これまで用意してきた事業、さまざまな企業の支援資金を新型コロナウイルス感染症にも拡大しますよということで2%強のものを用意しておりますけれども、これで本当に支援策は大丈夫だとお考えでしょうか。
〇関口経営支援課総括課長 いろいろな資金ニーズがあるだろうと思います。もちろん企業、事業をつかさどる事業者にとって、借り入れが大きくなればなるほど金利の負担が大きくなることは十分認識しております。
 県の融資制度も当然お使いいただきながら、現時点で、国が3月に示した日本政策公庫の特別貸付制度が国、県、市町村を含めて一番利率が低い制度となっております。この制度を有効に活用していただいて、できる限り事業者の金利負担を軽減していただくとともに、そういうところの補完も含めて、あわせて県の融資制度などもお使いいただきたいと思っている次第です。
〇武田哲委員 山形県の融資制度を見ると、国でさまざまな支援策も打っていますけれども、その前の2月25日に相談窓口を開設したときに県単独で1.6%のものを一度出しているのです。そのときに、ちゃんと経済産業省に対してセーフティネット保証4号の申請をしながらやっているのです。これを申請して国から認められると0.1%金利が下がりますよね。そこまでしっかりやりながら、0.1%でもいいから下げて企業を支援しようという方策が見えています。その後、市町村と金融機関で無利子の支援策を用意すると。県内で事業を展開している企業のために県がそこまでしっかり国にも支援を要請しながら支援策を一生懸命を考えている。この頑張っている姿をすごく感じるのですが、岩手県ではいかがでしょうか。
〇関口経営支援課総括課長 県としても、融資をできる限り進めやすいように、3月11日の会議等でも民間金融機関に融資手続の迅速化や柔軟な融資の要請をしております。一方、確かに委員から御指摘いただいたように、山形県は国が融資策を打ち出す前に金利の低減という施策などを講じていることは承知しております。
 利率を引き下げる部分については我々も金融機関といろいろ調整をしながら検討していきたいと思いますけれども、県の制度融資の仕組み上、県が単独に資金を出して融資するものではなく、資金の原資をそれぞれ出し合いながら金融機関と協調して融資をするものであります。そういうことで金融機関との調整なども必要となりますので、そういうところを含め、今後いろいろ検討していきたいと思っています。
〇武田哲委員 もう既に新型コロナウイルス感染症が国内で発見され、ここまで来るまでにいろいろなことが起こっています。これまで、委員の方々から県内の状況についてさまざま質問がありました。工藤勝博委員からは、実態をどうつかむのかという質問もありましたが、そのときに、なかなか数値を聞きづらいという御答弁もありました。それで本当にこの後、県の支援策を考えられるのだろうかと私は思ってしまったのですけれども、どういった状況があって、どういう支援をすれば県内の企業は助かるのか、または企業で働く従業員の人たちは助かるのか。何をやったらいいのかという手だてを考えなければならないと思うのです。
 相談窓口も、3月2日に開設し、東北の中では一番遅いです。山形県のように相談窓口を開設するときに支援策も一緒に発表している県があることを承知しておりますと言うのであれば、何でそのときに一緒に支援策を出せなかったのでしょうか。何とももったいないです。県内企業のために、これだけ多くの職員の方々が頑張っていろいろ考えているのだと思います。そこのところをどのように感じていらっしゃるのか、もう一度お伺いいたします。
〇関口経営支援課総括課長 山形県は国にセーフティネット保証4号の要請をしていると今、委員から御紹介いただきましたけれども、同じようなタイミングで岩手県も国にセーフティネット保証4号の要請をするとともに、セーフティネット保証4号が発動された場合には、中小企業経営安定資金の例でいいますと、利率を0.1%でありますが引き下げて実施しております。保証料率についても、従来の一般保証と比較して、一般保証の場合は信用区分によって0.4%から1.50%、高いところではそれなりの利率になりますけれども、セーフティネット保証を利用する場合については、年0.6%または0.7%という引き下げも図っております。
 したがいまして、我々自身も今までと全く同じ対応ではなく、まずはすぐできることを最初にやったという事情でございます。
〇武田哲委員 山形県はこれまで、決めるまでに―2月21日ですか―セーフティネット保証4号の申請をしています。国では、本当は2月14日に全国一律にこのセーフティネット保証4号の発令をしますということで、全国各県に出しているのです。もう既に出ているのです。出ているけれども、山形県は自分たちで一生懸命考えて、0.1%でも下げようと思って申請を出しているのです。その努力がうかがわれる支援内容だと思って見ていたのです。
 ここまで工夫している県があることを承知していながら、県独自の支援策をこのまま打たないでいくのでしょうか。どうなのでしょうか、お伺いいたします。
〇関口経営支援課総括課長 これからどのような支援策を講じていくかという部分については、もう手を打たないということではないです。できるいろいろな選択肢を引き続き検討していきたいと思っています。
〇武田哲委員 情報収集がやっぱり一番必要だと思うのです。どういった状況なのか、県内でどれほどの被害が出ているのか。その被害額と向き合う姿勢がすごく大事だと思います。被害額が出てから支援策を打つのでは遅くないですか。企業の経営者もいます、それからその企業で働く従業員もいます。その先には県民の暮らしがあるのです。学校に通う子供たちもいる。その辺のところまで見越してきっちり支援策を打たなければならないのではないですか。
 3月11日の連絡会議に出た方からこんな話を伺いました。今回は国の支援策をただ横並びに説明を受けただけだと。その国の支援策を聞いただけで、我々に何をしろと言うのだとかなり怒っていました。東日本大震災津波のときもそうだった。岩手県は一番最後だった。そして、その支援策は、国から出た支援策を説明するばかり。また今回も同じだったという話でした。そんな評価を受けている中で、新型コロナウイルス感染症対策を本当にしっかりできるのかということを、その日、説明会に出た人たちはおっしゃっていました。
 せめて、県が何をやるか、そして国に支援策を引き継ぐような、資金の提供を県が代行してやるぐらいの気持ちで本当は説明会に出席してほしかったと話していました。その点についてはどのようにお感じになりますか。
〇関口経営支援課総括課長 さきに開催しました連絡会議については、金融機関を含めた関係機関と県、国が情報共有することと、3月10日に国の緊急対応策が打ち出されるという情報もいただいておったので、まずはその支援策を関係団体あるいは事業者の相談に応じるところにいち早くお伝えし、その活用を促進したいということで急遽開催したものであります。
 その政策の説明の部分においては、そういった事情もあって、国の支援策を中心に説明をさせていただいたところであります。
〇武田哲委員 国の支援策の説明もすごく大事だと思います。しかし、連絡会議に出た方々からは、国がどういう動きをしているかは、県から流れてこなくても各関係機関から十分流れてきていると。それをまた横並びに説明されても、本当にやる気があるかどうか感じられないという話だったのです。
 日本政策金融公庫といったところもあります。私も農業をしていて、日本政策金融公庫からお金を借りたことがあります。しかし、この日本政策金融公庫というのは金貸しなのです。自分のところの金融商品を売ればそれでいいという感じしか私は受け取っていません。県で経営しているさまざまな企業のために誰が頑張るのか。各商工会や市町村が頑張るのではない。県が商工会、それから商工会議所と一緒にやっていくという姿勢を見せなければ、この新型コロナウイルス感染症対策はしっかり乗り切れないのではないですか。その辺のところを私は強く指摘したいと思います。
 確かに日本政策金融公庫にも相談窓口は開設されています。本当にどこに相談しに行ったらいいかわからないと言うのです。いつも年末になると、部長と課長で相談窓口という看板を下げたりするのがよくテレビで流れます。一人親方―1人で経営している人たちもいると思うのです。その人たちにどこまで相談窓口が設置されたことが浸透しているか、どんなふうに考えていますか。
〇関口経営支援課総括課長 相談窓口を広く周知していくことは非常に大事なことであると思っております。したがいまして、県が設置した際にも報道機関等の御協力をいただき情報を流して、新聞等でも記事として取り上げていただいたりしております。
 相談窓口については、1カ所あればいいということでは全くないと思っています。要は事業者にとって話をしやすい、行きやすいところにあることが一番いい状況と思っています。相談内容にも、それぞれいろいろな事情、レベルがあると思います。当然、今回の対応については、国も動き、商工指導団体あるいは金融機関、加えて県、広域振興局などにも設置しているところであります。
〇武田哲委員 あと2分ほどしか時間が残っていないので、私は今回二つ通告していましたが、もう一つのほうは諦めます。
 これまで予算特別委員会を開いている中で、部長から今年度の予算などの説明をさまざま受けます。しかし、ここまで日にちを重ねている中で、毎日のように新型コロナウイルス感染症の対策はといろいろな委員が質問しています。そのとき、今年度予算はこうです、こうですと。きょうも言葉尻を少しメモしていたのですが、さまざま支援をしてまいります、強化に取り組んでまいります、振興策に取り組んでまいります、実践してまいります、促進してまいりますとあります。しかし、それよりも大事なことは、これまで毎日やってきたのですよね、新型コロナウイルス感染症のことも。そのことも含めて、別にお金をかけるだけが予算ではないのです。どうやって県民の生活に寄り添うか、そういう言葉が最初の説明のときに欲しいのです。ここまで何回も何回も続けてやってきたのですから、そういった意気込みがもう少し欲しいと思っています。
 買うなら岩手のものをと、すごくいい施策だと思います。そういったものをせっかくやっているのですから、そういったアイデアも盛り込みながら本当は予算説明を受けたかったということです。その所感をお伺いして最後にしたいと思います。
〇戸舘商工労働観光部長 さまざま御指摘をいただきましたので、真摯に受けとめて対応してまいりたいと思います。
 窓口の設置につきましても、私どもは周知を図ってきたつもりですが、これで終わりということはないと思いますので、今後も引き続き、相談窓口が県、広域振興局、そして各商工団体、各金融機関に設置されているということの周知に努めてまいりたいと思います。また、相談窓口におきましても、今、委員御指摘のとおり、前広に各企業において今後どういった需要が出てくると予測されるのかということもこちらからお聞きしながら、状況をしっかりと把握して対応してまいりたいと思います。
〇高橋但馬委員 関連。当該委員ですので、今、武田委員から出た質問に関しては、事前に相談をさせていただいておりました。同じような答弁が返ってきたわけですけれども、正直なところ、私の知っている宿泊施設は既に6、000件を超えるキャンセルが出て、イベントもほぼ全て中止になっています。一つの旅館は施設を閉めて、一つのところに集中してやっていくと、そういう非常に厳しい状況になっている。これから東北デスティネーションキャンペーンが来るわけです。そのときには、もしかしたら宿泊施設は潰れて、ないかもしれないです。
 国からのセーフティネットは十分活用の余地はあると思います。ただ、その中で、県がどのような努力をしているのか、それを業界の方々は見たいと思っているのです。国の施策があるからそれを説明してというのではなく、国ではこういうものがある、ただ、県としても0.1%でも下げる努力をしている、そういう努力を県民に対して見せるのが今必要ではないかと思いますけれども、部長、どうでしょうか。
〇戸舘商工労働観光部長 先ほど来御指摘いただいていることに関しては真摯に受けとめて対応してまいりたいと思いますし、宿泊業はキャンセルによる大きな影響を受けているというのは承知しておりますので、私どもとしてどういった支援ができるのか、そこはしっかりと考えてまいりたいと思います。
〇米内紘正委員 私は30年間、生まれてこの方岩手県に住んだことがなく、お墓参りで来る程度でございまして、2年前に移住したわけでございます。まさにIターン移住のモデルとして県の求める人材像なのではないかということで、移住政策に関して質問させていただきます。
 社会減ゼロに向けては、転入者数を増加させる、つまり移住者数の増加というのは必須事項でございますけれども、まず、手元にある最新の数値で構いませんので、年間の移住者数、そして、その年間の移住者数が前年度との比較でどのように変化したのか。
 まとめて聞きますけれども、その移住者の獲得に関して、最も寄与している政策、そしてその政策に投入した―およそで構いませんので―予算と、その政策における移住者の実績をお知らせください。
〇菊池定住推進・雇用労働室長 移住者の推移ですけれども、最新の数値としましては平成30年度と平成29年度の比較になりますので、そちらのほうで答弁させていただきます。
 まず、前提として、移住者の捉え方については全国的に統一された定まったものがございませんで、本県では、移住施策の効果の傾向を把握するため、ハローワークを通じて、県外から県内の企業に就職された方や、県または市町村の移住施策または移住相談窓口を通じて移住された方などを積み上げた形で把握しております。
 平成30年度の移住者数としては1、233人、平成29年度は1、091人となっておりまして、前年度比で142人増加している状況になっております。
 続きまして、移住の促進に寄与する施策ですけれども、県としては、移住施策の推進におきましては、岩手に関心を持ってもらい、そして来てみてもらう、地域になれる、住んでみる、定住する、そういったプロセスに沿った取り組みを推進しております。
 移住の促進には、移住を希望される方それぞれのニーズに沿った各プロセスでの働きかけが重要と考えておりまして、まずは岩手県に関心を持ってもらうという入り口のところで、岩手県での暮らしや仕事に関する情報発信、さまざまなウエブサイト、情報媒体を活用したり首都圏での移住関連イベントの開催といったものを通じてまずは岩手を知ってもらうことに努めています。岩手県に関心を持っていただいた方には、実際に岩手県に来てみていただいて、地域を知ってもらうという取り組みのため、平成27年度から移住体験ツアーを実施し、5年間で延べ266名の参加を得ているところです。うち31名が移住につながっておりまして、移住の促進を図る上では効果的な取り組みだと考えております。この移住体験ツアーには、5年間で総額4、410万円ほどの予算を投じているところです。
 今年度からは、このツアーに加えまして、さらにより深く岩手県での暮らしや仕事について体験してもらうということで、県内の事業所で1カ月程度就業していただき、地域のイベントや行事に参加して岩手県の魅力を感じてもらう取り組みとしていわてふるさとワーキングホリデーを実施しております。この事業は夏と冬の2期に分けて実施していまして、36名が参加しております。夏に実施した1期の参加19名中、1名ですけれども移住につながっているということで、本年度の移住体験ツアーといわてふるさとワーキングホリデーの予算額として、本年度合わせて約2、520万円を計上しているところです。
〇米内紘正委員 移住体験ということで5年間で266名、そして31名の移住者につながったと。これは10%超えているので、かなり成約率が高い政策になっているかと思いますけれども、5年間なので5で割ると、年間当たり6人なわけでございます。
 移住政策を考えたときに、総括質疑のときも上原委員からお話しされていましたが、ふるさと回帰支援センターが出している移住希望地ランキングで、長野県が3年連続1位になったと。私も興味を持って長野県の人口動態を調べてみました。そうすると、10年前の2009年、社会減が8、600人で人口に対して4%なので、今の岩手県よりもかなり悪い状態でした。それが2018年には942人とで、10年間で8、000人近くの社会減の縮小ですね。転入者数も調べてみたのです。10年前は3万5、000人程度だったのが、2018年で3万8、000人、10年間で3、000人ふえていたのです。岩手県はと見てみますと、震災前は、転入者数が2万人だったのですけれども、それがずっと減り続けて、2018年で1万6、700人ぐらいまで、3、000人落ちている。長野県が3、000人転入者数をふやした一方で、岩手県は3、000人の転入者数が減ってしまった。つまり、移住政策がなかなかうまくいっていない。移住政策はなかなか難しいというのはもちろんわかっております。それで転入者数が、2019年に、10年ぶりにプラスに転じたのですね。1万6、700人から1万7、400人に、700人ふえたと。これは大きい転換点だと思って調べてみました。これを調べてみると、転入者数が680人ふえていたのですけれども、そのうち630人が男性、残りの50人が女性ということで、多くが男性、それも20代から40代の男性。それが北上市に来ているということで、これは移住政策というよりは転勤でふえた人数で、なかなか政策が数字に出てこない。
 移住政策については、予算編成方針のところでも選択と集中という言葉が書かれておりますけれども、県内の政策において、誰ひとり取り残さないということを考えたときに、選択と集中というのは難しいと思うのです。社会的弱者にもちゃんと手を差し伸べるという意味で難しい。ただ、この移住政策に関しては、県外の人に対して行うものでございます。日本の国内1億2、000万人に対して移住を推進するものではなくて、岩手県に移住してくれる人を見つける。そして、岩手県に移住して、UターンにしてもIターンにしてもそうなのですけれども、ひとりの人生を変える、その人の人生が変わっていく。それに対してこちらも相当な熱量を持たないと、そんな簡単には岩手県に行こうと思ってはくれないと私は思っております。その中で、移住政策において選択と集中というのは、大変必要なものだと思っております。
 今までは前期までの戦略と結果を教えていただきましたが、次は来期、令和2年度以降、今現状の日本国内における移住者の傾向、そして移住者のニーズをどのように捉えてターゲットを選定して、そして、そのターゲットに合わせた事業、あるいはマーケティング戦略をどう展開する予定か教えてくさい。
〇菊池定住推進・雇用労働室長 移住者のニーズ把握等についてでございますが、東京都にある県の移住相談窓口となっているふるさと回帰支援センター内のいわて暮らしサポートセンターにおける相談者からの移住に関する相談状況等を見ながら移住希望者のニーズ等を把握しているところです。
 平成30年度における本県の移住相談の状況を見ますと、相談内容としては、移住先での仕事に関することが48%で約半数を占めておりまして、次いで、地域を知るための体験ツアーや地域との交流が18%、住居に関することが9%で続いております。
 岩手県の東京の窓口を訪れる相談者の年代別を見ると、20代から40代の若い世代の方が全体の65%を占める状況になっています。ちなみに、全国的な傾向として、総務省が平成30年3月に公表した調査の報告書があるのですけれども、20代から40代の若い世代が移住に関心を持っており、その際に重視する事項としては、同様に仕事に関することが過半数を占め、県の東京での窓口と同様の傾向を示しております。そうしたことから、県としましても、移住に関心のある20代から40代を主なターゲットとしまして、関心の高い仕事に関する情報を移住の取り組みと一緒に合わせて発信することを強化すると考えておりまして、今年度は、東京で開催した移住イベントにおきまして、岩手労働局などとも連携しながら、岩手県の最新の求人情報を一緒に提供する相談窓口も設置しながら、移住に向けた岩手の魅力発信と岩手の仕事の状況を合わせて発信しているところです。
 来年度は、同様に、全県を挙げて移住イベントを東京都で行いたいと考えておりますが、その際には、加えて、例えば県内企業を何社か一緒に行っていただいて、ガイダンスのような形を併設しながら岩手の企業の魅力も発信すると、そういった仕事と暮らしと一体となった魅力の発信も計画しているところです。
 さらに、移住希望者からニーズが高い移住体験ツアーも、先ほど申しましたように数としては多くないですけれども、効果としてはあるものと考えておりましたので、引き続き、移住体験ツアーやいわてふるさとワーキングホリデーといった体験型の事業も実施していきたいと考えております。
〇米内紘正委員 2点だけ聞かせてください。相談者数の内訳で、Uターンの方とIターンの方の比率と、あとは東京都のイベントなのですけれども、県外でどれぐらいイベントをやっているか、大体でいいのでお聞かせいただければと思います。
〇菊池定住推進・雇用労働室長 相談窓口におけるUターン、Iターンの別につきましては把握できておりません。
 県外でのイベントですが、県が主催するものとしては、東京都では本年度で言うと16件開催しておりまして、参加者としては460人ほどの参加をいただいております。
〇米内紘正委員 移住政策において、ニーズの把握とマーケティングでちょっと足りないかなと、難しいかなということを感じました。
 まず、ニーズなのですけれども、20代から40代の方がどんどんふえているというのはそのとおりだと思います。ふるさと回帰支援センターでも、2019年の移住相談傾向ということで、2008年に30%だったのが2019年に67%、倍以上ですね。
 内閣府が行った地方への定住願望の調査でも、例えば40代だと、2005年に15.9%だったのが2014年に35%と、2倍以上になり、つまり、移住者のマーケットというのは今拡大していると。毎日新聞、NHK、明治大学の共同調査でも、2009年から2014年で地方への移住者が4倍になったということで、移住者に関しては確実にマーケットが拡大している。そして、それが若い世代になっているというところはそのとおりだと思います。ただ、その中身なのですね。
 先ほどUターンとIターンの内訳を聞きましたけれども、U・Iターンと一緒にされるのですけれども、これは全く戦略を練る上では別物です。Uターン者を呼び込むには、まず岩手で生まれ育った方ですから、Uターンをするかどうかの意思決定をしてもらわなければいけない。東京ですか、あるいはほかの都市圏ですか、岩手ですか。もしUターンをするという決定になれば、その人は自然と岩手に来る。ただ、Iターンの場合は、移住をしようと思ってそこからどこに行こうかなと。その中で岩手県が選ばれなければいけないということ。移住というと、漠然と都会から田舎暮らしをしたいみたいな、そういう押しつけ的なところもあるのですけれども、電通の調査とかも見ていると、例えば20歳から34歳の方の移住の一番の理由は、東京での生活のストレスなのです。もう今の生活は余りにもストレスがかかって嫌だ、だから東京から離れたい。あるいは35歳から54歳の方は、親の介護だったりの事情です。そうすると、これは年齢別で、またここも戦略が変わってくるわけでございます。東京にあるストレスからこっちに来ると解放される。あるいは親の事情だったら介護の条件を整えるとか、ここでも戦略が変わってくるわけでございます。あとは、総務省の「田園回帰」に関する調査研究報告書だと、移住に当たって自然環境の豊かさが影響したという調査が、Iターンの方はもちろん影響して44.4%。ただ、Uターンの方は、自然環境が豊かなことはもう知っていますから、これは24.2%で少ないのです。
 こういった形で、UターンとIターンの入り口を分けてやっていかないと、これから成果に結びついていかない。先ほど千葉絢子委員も、プラン・ドウ・終わりということでおっしゃっていましたけれども、最初のプランのところで、マーケティングしてどういう成果を求めるかをやっていかないとなかなか難しいのですね。
 そこで、ちょっと長くなりますけれども、私が移住政策を見たときの課題を羅列しますので、その後、また改めてニーズとターゲットについてお聞かせいただければと思います。
 まず、ポータルサイトのイーハトー部というものをつくられているかと思います。まず、UターンなのかIターンなのか、どちらかわからないです。Uターンの方だったら、イーハトーブを知っておりますけれども、岩手のことを全く知らない方、岩手県内にいたらイーハトーブなんて誰でも知っているだろうと思われるかもしれませんけれども、これは知らないですね。知らないと恥ずかしい日本の地名という本があるのですけれども、その中で、イーハトーブを知っている方というのは50%です。正答率50%。イーハトーブのブは、部活の部ですよね。つまり、入り口の段階でイーハトー部と言われたときに、まず、何だこれと。もう、そこで除外されてしまう。そしてポータルサイトというのはすごい大切だと思うのですけれども、入部の心得のところに、不便を楽しむ、足りない贅沢を愛するとあるのですけれども、先ほどの調査だと、移住者が一番重視する条件というのは、いろんな調査が出ているのですけれども、買い物ができる場所が遠くないと。どこに移住したいか。地方の中でも都市部。つまり、移住はしたいけれども、まあ、便利なところがいいよねというのがニーズなのです。なので、不便さというのを出したときに、ニッチのほうのマーケットに絞っているのであればいいですけれども。不便な人に絞ったそれがマーケティングであれば、それは功を奏するかと思うのですけれども、この後も、例えばトップページに、親身なコーディネーターがこれからの人生を一緒に考えると書いてあるのです。ただ、移住コーディネーターのところをクリックすると制作中なのです。ページができていないのです。
 先ほど熱量と言ったのは、人生を変える決断をしてもらうのに、やっぱりこちらも相当の熱量―長野県のホームページなんて本当にすごいですけれども、熱量を持っていかなければいけない。あとは住まい。とにかく空き家バンクという言葉を出せばいいみたいになっていますけれども、私も調べると210件ほど出てきて、そうすると180件が陸前高田市なのです。あいている土地が出てくるのです。盛岡市は1件しか出てこない。都市部に住みたいというニーズがあるのに、空き家バンクから言っても盛岡だと1件しか出てこない。(「陸前高田だって都市部だ」と呼ぶ者あり)失礼しました。
 あとは、先ほど一番仕事のところを優先するということでお話しされていましたけれども、仕事のところに行くと、どのページに行っていいかわからないのです。イーハトー部のページがある。いわてU・Iターンサポートデスクがある。ジョブカフェがある。シゴトバクラシバIWATEがある。あと、岩手県U・Iターンシステムですか、とにかくトップページがたくさんあって、初めての人からしたらどこに統一されているのかがわからない。そこでもう迷ってしまう。
 あるいは、岩手県移住・定住ガイドブックがありますね。あれも見ると、なかなかこれもちょっと、岩手の自然な豊かさの暮らしというのを前面に出しているのですよ。自然な暮らしをしましょう。自然な暮らしをしましょうということは、Iターンの方向けにやっているのかなと思ってページをめくっていくと、岩手のいいところで、通勤時間が短いとか、ああ、そっちなのだと。Uターンの方向けなのだとか、そこでどんどんずれが出てしまっているのです。なので、こういうニーズとマーケティングのところがずれてしまっているのですけれども、これは来年からどうするか。私は、頑張りましょう、取り組みますではなく、まずマーケティングをしませんかということでお願いをしたいのですけれども、どうでしょうか。
〇菊池定住推進・雇用労働室長 るる御指摘いただきましてありがとうございます。
 まず最初に、先ほど私、U・Iターンの別を把握しておりませんと回答したのですけれども、申しわけありません、把握しておりまして、これは2018年度のいわて暮らしサポートセンターでの相談の中で、U・I・Jターンの割合として把握していたものがございまして、その中でUターンは39%、Iターンが59%、Jターンが2%ということで、Iターンのほうが相談者としては多いという状況になっております。
 その上で、さまざまサイトの点とか御指摘いただきました。御指摘のとおりで、確かにイーハトーブ、我々岩手に住んでいる者からすると当たり前のように書いているところがあるのですが、外から見た方に対してはそう捉えられているところもあると改めて認識したところです。ポータルサイトで情報発信をしていきますという中で、見づらいというところも御指摘としてはあるものですから、このサイトについても少し改修を加えながら見やすいような形で整理したいと思いますし、あと、検索履歴を分析するような形で、サイトの中でもどの情報が見られているかということも分析しながら、関心を引いている情報のところを厚くするような取り組みも進めていきたいと思っております。
 また、指摘がありました移住コーディネーターのところですが、移住の促進については、もちろん県として岩手県の魅力の発信ですとか、そういったところは大きな役割があって重要なところなのですが、実際に、移住者を受け入れる市町村の相談窓口なりそういう体制が整備されることが非常に重要でありまして、この岩手県の移住コーディネーター制度については、つい最近制度化して、今21市町村、35名の移住コーディネーターを登録したところです。それを御指摘があった今作成中のところに、顔写真とその方のコメントも入れながら、相談する方が、こういう人なのだなというのを見てもらいながら相談してもらうような形で整理しようとしておりましたので、御指摘の点も踏まえながら、よりよい情報発信に努めてまいりたいと考えております。
〇米内紘正委員 最後に部長にお聞きします。
 今のマーケティングのところで、午前中からU・Iターンの首都圏の就職のフェア、マッチングフェアということでもお話しいただいていますけれども、もちろん御存じかと思いますが、大学の進学先はこれは2014年のデータですけれども、宮城県が942人で、東京が540人なのです。そうするとどちらでたくさんフェアを実施するか、それも先ほどのIターンなのかUターンなのかでまた戦略が分かれてくるのですけれども、そこを絞った形で戦略を立てていただければと。移住政策に関しては、多分2番ではだめなのです。移住先として選ばれない限りはふえないので、どんなに惜しくても2番ではふえないと思いますので、先ほどお伺いしましたけれども、頑張ります、取り組みますではなくて、まずマーケティングから始めましょうというところについても御所感をお聞きして終わります。
〇戸舘商工労働観光部長 さまざま御指摘いただきましたが、いろんなU・Iターンのための施策、事業を打っているわけですけれども、今、いろいろやりとりをさせていただく中で、そこに来た方のニーズがどこにあるのかとか、その辺をしっかりとデータとして積み上げて分析をするというところが不足している部分があるということを痛感いたしましたので、まずはそういったところからしっかりと把握をしていきたいと考えます。
〇斉藤信委員 それでは私から、最初に新型コロナウイルス感染症にかかわる地域経済、観光等への影響と対策についてお聞きをいたします。
 観光については答弁がありまして、2月から4月に13万8、500人のキャンセルがあったと。3月、4月は例年の5割以下というのが65%だったということですね。それで、その後、ふっこう割のお話がありましたけれども、4、500万円の予算で95%の執行の見込みと。これは4、500万円だったら、1万円以上のホテルに宿泊した場合9、000件ですね。これは9、000件にも届かなかったということになりますか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 ふっこう割の執行率95%と申し上げましたが、今、宿泊のカウントをしておりますけれども、宿泊者数では9、400人泊程度と今のところは見込んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 プレミアムがついて9、400人泊と、キャンセルが13万8、500人ということで、本当に私は危機的状況だと思います。
 それで、政府の対策を見ると、観光はこうなのです。魅力的な観光コンテンツを造成、多言語表示等観光地の誘客先の多角化等を支援すると。こんなことをしているうちに潰れてしまう。今、私は全く政府の対策はかみ合っていないと思いますよ。例えばこの間、田野畑村議会でも、田野畑村のホテルの羅賀荘は1、400件のキャンセルだったと。これは予約のキャンセルです。新たな予約が入っていないのです。だから、その影響額はこの倍ですよ。13億円のキャンセルで損害が出たけれども、その後の予約が入っていないのだから、私はそういう意味で、潰れない対策を考えていかなければいけないのではないかと思いますけれども、いかがですか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 国の対策につきましては、現在のところ新型コロナウイルス感染症の終息が見えないということで、直接、観光、宿泊業に対する被害額の補填はまだその時期ではないということで、内々には、終息状況を見ながら新たな大きな対策を打つという情報はいただいておりますが、まず、中小企業等の金融支援施策あるいは雇用維持のための雇用調整助成金等で雇用の維持と事業継続を図っていただくということがまずは第一と国では判断しているということでございます。
〇斉藤信委員 国はそうなのですよ。終息の見通しが立たないのに、終息した後の対策をとっているのです。おかしいのではないかと思うのです。
 私は国の方針を改めて見てみました。これは3月10日付の政府の対策本部はこういうことを書いています。大規模感染のリスクを回避するため、令和2年2月26日に、多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベント等については中止等を要請したと。これは、多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベント等について中止要請なのです。ところが、今、どこもかしこも自粛ですよ。小さい集まりまで自粛ですよ。私は完全にこれは行き過ぎだと。その行き過ぎの典型が、岩手県の場合、1人の感染者も出ていないのに学校が全部一律休校すると。卒業式もやめたとか、これは完全に私は行き過ぎだと思いますよ。私はそういう意味では、岩手県の事情に合った、岩手県の対策で、必要な需要を喚起すると、こういう対策が必要なのではないでしょうか。岩手県の実情に全然今合っていない。過度の自粛、規制が行われているのだと思いますけれども、いかがですか。
〇戸舘商工労働観光部長 今、国を挙げて感染拡大防止に取り組んでいるという中で、基本的には、県としてもそこに歩調を合わせていくということで、今取り組んでいるところであると認識しております。
 先ほど、買うなら岩手のもののお話を申し上げましたが、これは、その中でまずはやれるところから最大限、手を尽くしていこうということで始めたものでありますので、今後の新型コロナウイルス感染症の動向をさらに注視をしながら、やれることは素早く手を打っていきたいと思います。
〇斉藤信委員 私は冒頭で紹介したように、政府の方針自身が、多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベント等については中止を要請したということであって、私はこういうのは中止になって当然だと思います。
 例えば、きょう新聞に出ていましたけれども、産業技術短大がきのう卒業式をやりました。これは102名の卒業生。専攻科を入れて104名。父母は入れなかったと。100名以上の集まりは全然おかしくないのですよ。私はこんなに自粛しなくてもいいのだと思います。自粛のし過ぎなのです。岩手県は全然感染者がいないから、岩手県に来てくださいというぐらいの案内をやっていいのではないですか。そうしないと、今、1人も感染者が出ていないのに、1名出たら終わりですよ。何の対策もとれませんよ。これ以上規制を強化するしかできないのですよ。今の実情に合った対策をとって、新たな事態が発生したら必要な規制措置をとると。今、目いっぱい規制しているから、新たな情勢に全然これだと対応できない。ずっとこの規制を続けるしかない。これを今一度見直すことが必要だということを部長に、庁議でもよく議論してください。規制している間に地域経済、中小企業は倒産してしまいます。今、そういう状況です。
 そこで、観光のことはわかったけれども、その他はどうですか。飲食関係は、今、夜にお客がさっぱり来ない。タクシー、観光バス、こうした地域経済全体の動向についてはどう把握していますか。
〇似内商工企画室企画課長 バスあるいは飲食業の関係でございますけれども、例えば貸し切りバスのキャンセルあるいはタクシー利用者の減少、あとホテル、飲食店における謝恩会、送別会、卒業パーティーなど各種会合のキャンセルなど、幅広く影響が出ているということで承知しておるところです。
〇斉藤信委員 余りにもリアリズムが足りないでしょう。今、中小企業は倒産するかもしれないという危機感を持っているときに、その程度の把握だから、私は今本当に困っている方々に響かないのだと思いますよ。
 私は、岩手県商工会連合会の専務にお聞きをしました。そうしましたら、きのう付で商工会関係の調査をやったと。これは177者回答があって、そのうち123者、69.5%が既に影響が出ている。42者、23.7%が今後影響が出る。影響の大きいところは飲食、その次が宿泊。それで売り上げが20%減77%。40%減17.4%。今後影響が出るというのが製造業、小売、運輸。20%減が予想されるのが31.8%。20%から40%が38.7%。40%以上というのが8.5%です。こういう状況になっているのだから、もっと真剣に把握していただきたい。
 そこで、中小零細業者の要望は何か。第1は景気の回復。第2は資金繰り。第3は雇用調整。特に今、中小零細企業は廃業するかどうか悩んでいる。見通しがないから、資金繰りも今借りたらいいのだろうか悩んでいるのです。4月、5月で見通しが立つのだったらそこまで頑張れる。様子の見通しが立たないわけでしょう。小規模事業者ほど影響が大きいと、こう専務さんは言っておられました。まず、県として実態をしっかり把握してやっていただきたい。
 そこで、私はぜひ県に対応してほしいのは、今の経済状況がどうなっているかということです。10月から12月のGDP確定値が発表されました。マイナス7.1%ですよ。これは新型コロナウイルス感染症前です。新型コロナウイルス感染症前で7.1%もマイナスになっている。大変な不況ですよ。そこに今、新型コロナウイルス感染症の影響が出ているのです。だから、もう本気で、今、感染防止に取り組むのと合わせて、中小企業、家計を守る対策が必要なのですよ。様子を見ている間に潰れますよ。
 そこで、日本共産党は政策提言もしました。まず、消費税の増税で景気が悪くなったのだから、消費税は5%にすぐにでも戻すべきだと思います。きのうのBS放送を見ていたら、自由民主党の国会議員がゼロに戻せると言っていました。国民民主党も、消費税の減税が必要だと言っていました。こういう思い切ったインパクトのあることをやらないとだめです。政府の第2次緊急対応策を見て、もうがっかりしました。1桁違う。
 例えば、無利子、無担保の融資だって5、000億円です。リーマンショックのときに20兆円規模でやったのです。そういう規模で今対策をとらなかったらだめなのです。そういう意味で、私は感染防止と合わせて、特に皆さんは今の地域経済、倒産の危機を打開する緊急のメリハリのある対策をぜひ国に求めていただきたい。予備費の枠なんかで今の経済危機を打開できません。そういう状況じゃない。
 私はあわせて、先ほど言ったけれども、感染者が1人もいない岩手県は、岩手県らしい対策を知恵を出してやるべきだと。1人も出ていないのだから。私はそういうところを大いにアピールして、人を呼び込むぐらいのことをやるべきだと思いますよ。部長、いかがですか。
〇戸舘商工労働観光部長 本県のこの実情を通じてのさまざまな国に対する要望は、これまでも全国知事会を通じて2度要望しております。直近では3月11日に、知事会を通じた国への要望というものを上げておりますし、また、総務省からリエゾンが配置されておりまして、随時、必要な情報を上げてくれと言われておりますので、きょう、さまざま議論になったことも踏まえまして、必要な情報、必要な要請は国に対して行ってまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 これもきょうの新聞ですけれども、県別の景況判断指数というのが出ています。岩手県はマイナス21.9%です。これは10月から12月と比べると16.6ポイント悪化して、この悪化率は東北で一番高かったという状況ですから、今の日本経済、あわせて岩手県の経済の実態、中小企業の実態をリアルに見て、この中小企業を断固として守り抜くのだと、そういうことで、国の全く不十分な対策でやり過ごそうなんて思わないで、知恵を出してやっていただきたい。
 次に、東日本大震災津波からの復興の課題についてお聞きいたします。
 商工団体会員事業所の被害状況調査が2月1日付で出ています。営業再開、廃業等はどうなっているか。前年比でどう推移しているか示してください。グループ補助金の実績と倒産の状況、東北3県では75社となっていますが岩手県の状況。そして、その倒産の内訳、要因。高度化資金の返済猶予の対応状況なども示してください。グループ補助金の来年度以降の見通しはいかがでしょうか。
〇関口経営支援課総括課長 まず商工会員事業所の営業再開についてでありますが、令和2年2月1日現在の状況は、被災事業所4、341者のうち、営業継続、再開が3、017者、平成31年2月1日現在との比較ですが、35者の減であります。営業未再開が19者、前年比5者の減です。休業が23者、前年比3者の減です。転出が77者、前年比1者の減です。廃業が1、195者、前年比44者の増であります。
 次に、グループ補助金の実績についてであります。これまで延べ1、548事業者に対し903億円を交付決定しております。グループ補助金を交付した後に倒産した事業者であります。令和2年2月末現在15者となっており、その内訳は、卸売、小売業が5者、水産加工業が5者、運送業が1者、宿泊業が2者、飲食業が1者、産業廃棄物収集運搬業が1者となっており、倒産の要因については、事業再開後の原材料高騰あるいは販売不振等により業績が計画どおり回復せず、赤字決算が続いたことなどとなっております。
 高度化資金の返済猶予等の対応状況であります。
 令和2年2月末現在でありますが、これまでに23者、49件について、償還期限の延長や毎回の返済額の減額などの対応を行ったところであります。
 グループ補助金の来年度以降の見通しについては、市町村、商工指導団体と連携し需要把握に努めており、土地区画整理事業の進捗により、来年度は新規申請が増加すると見込んでおり、37件の申請を予定しております。この中には、復興工事の終了に伴い建設用地が確定し、来年度に着工可能となる商業者、製造業者などを含んでいるところであります。
〇斉藤信委員 この1年間で営業継続・再開が35者減って、廃業が44者ふえたと。再開しても営業継続するのが大変だと。グループ補助を受けた中では15者が倒産、そのうち水産加工会社が5者ということです。再建はしたものの、今の不況、消費税、さらには大不漁ですので、きめ細かい対策、支援策を強化をしていただきたい。
 次に、仮設店舗の本設移行について、これまでの実績と現状、今後の本設移行への支援について示してください。
 あわせて、今5者倒産という、水産加工業への従来の枠を超えた支援策、これについて示してください。
〇関口経営支援課総括課長 令和元年12月末現在となりますが、仮設店舗に入居している商業者は66者となっております。商業者の仮設施設からの入退去状況についてでありますが、これまでの入居実績が731者、退去数は665者となっております。また、退去者のうち、仮設施設の再譲渡を受けた商業者を含めた本設移行した商業者は518者となっております。廃業等その他の理由により退去した商業者は147者であります。
 現在、仮設に入居している66者のうち、本設移行希望者は45者、仮設施設の再譲渡等を希望している方は10者となっており、引き続き、市町村、関係団体と連携し、円滑に本設移行が進むよう支援してまいります。
〇高橋参事兼産業経済交流課総括課長 水産加工業への支援についてでございますけれども、これまで、復興支援ということで、平成24年度から三陸復興商品力向上プロジェクトにより、県と工業技術センター、岩手県産株式会社が共同で商品開発、それから県内外での商談会、いろんなフェアの開催等によりさまざま支援をしてきたところであります。近年は、特にこれまでと違った部分で、不漁による加工原料の確保が課題となっておりまして、魚種の変更やマーケットニーズに対応した付加価値の高い商品づくりを国や関係機関、専門家との連携により支援しているところでございます。
 また、販路拡大につきましては、こういった新しい商品についていろいろ支援していく中で、今年度新たに沿岸部にもバイヤー招聘により、水産加工業者への支援を強化しているところでございます。
 こういった取り組みを今後も充実させていきますとともに、カイゼン導入、生産性の向上ですとか、関係機関と連携した、金融面も含めた取り組みを引き続ききめ細やかに支援してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 最後です。令和元年台風第19号災害からの復旧、復興について、地域企業再建支援事業費補助の活用見込みと取り組みはどうなっているでしょうか。
 地域なりわい再生緊急対策交付金、これは、今回は観光対策で対応するということでしたが、この活用の状況を示してください。
〇関口経営支援課総括課長 地域企業再建支援事業費補助の活用見込みについてでありますが、今後545件を見込んでございます。
 取り組みについてでありますが、この補助金は、市町村を通じて支援するスキームとしていることから、これまで県と市町村が連携し、被災事業者向けの制度説明会、個別相談会を開催し制度の周知を図ってきたところであります。現在、市町村において、事業者の申請意向を確認するとともに、交付申請の手続などを指導しているところであります。
 現時点で申請に至っていない事業者についても、今後交付申請できるよう、今年度の予算を繰り越し、対応することとしており、引き続き市町村と連携し、被災事業者の施設等の復旧を支援してまいります。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 地域なりわい再生緊急対策交付金でございますが、本事業につきましては、市町村が実施する観光施設の復旧、整備への支援であります観光施設復旧緊急対策事業と、市町村が実施する観光イベントの開催費用、特産品のPRイベントの出店費用等への支援となります誘客・販売緊急対策事業というハード、ソフトの二つの事業メニューにより実施をしております。
 まず、ハードでございます観光施設復旧緊急対策事業につきましては、宮古市、久慈市、釜石市、山田町、田野畑村に対しまして、計12件、3、160万4、000円の交付を内示しています。そのうち4件につきましては、工事が来年度に繰り越しとなる予定でございます。
 また、ソフトの誘客・販売緊急対策事業につきましては、釜石市、山田町、田野畑村が今年度実施いたしましたイベント等に対しまして8件、225万円の交付の内示をしておりまして、現在、それぞれ交付決定の手続に入っているところでございます。
〇伊藤勢至委員 東日本大震災復興に関連いたしまして、1点お伺いをしたいと思います。
 まず、今、基本的には三陸の海が全く元気がない。これは過去の地震、津波等による災害とは全く条件が違うからだと思っております。一網打尽あるいは一攫千金という言葉がありますが、これは全て漁業に関する熟語だと思っていますが、それが全くなくなったということであります。したがいまして、9年がたって三陸沿岸の人々も、手当てはしつつも漁業がだめなら、何か別の手で外貨を稼ごうという気に今なってきている状況にあると思っております。岩手県が中心になってやっていただきましたラグビーワールドカップ2019日本大会岩手・釜石開催、これも三陸沿岸のみんなに大きな力を与えるものでありました。そしてまた、三陸防災復興プロジェクト2019につきましても、当初は心配をする声があったわけでありますが、結果的には大勢の皆さんにおいでをいただいて、これも大変大きかったと思っております。そして、今度は東北DCがあるわけでありますので、暗いと不平を言うよりも、まずはみんなで明るくしましょうという観点でここに注力をしていただいて、三陸沿岸の元気がないところにぜひ力を込めていただきたい、こう思います。沿岸振興にとってこの大きなイベントというものが、過去二つのイベントも大変効果があった上に、さらに景気をつける、元気を取り戻す、そういう意味で、ぜひこれを積極的に推し進めていただきたいと思いますが、部長からお伺いをして終わります。
〇戸舘商工労働観光部長 水産加工業者それから漁業者も含めて大変な苦境に今あるというのは承知しておりまして、そういった中で今委員御指摘されたように、例えば養殖漁業者が、それを一つの観光のコンテンツとしてツアーを呼んでみたり、あるいは先ほどテレビで、首都圏からシェフを招いて、そして自分たちの食材を調理してみんなで食べるといったようなこともやっているのも拝見いたしました。東北DCに向けては、そういった地域ならではの観光資源になるもの、あるいは体験になるようなものを磨き上げて、それをしっかりと活用して三陸に誘客していきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
〇上原康樹委員 ここまで重いテーマの連続でしたが、少し明るい未来を見据えて質問をさせていただきます。
 岩手県に生産拠点を持つ企業の中には、世界に通用する文化的な発信をしている企業もあります。そうした企業と県が連携することで、かつてない手法で岩手県の魅力を発信、岩手県の存在感を高められないかという質問というか、提案でございます。
 具体的に二つの企業、キオクシアとトヨタの岩手工場を取り上げます。
 初めにキオクシア。ことし、岩手県の新工場でキオクシア岩手株式会社は3次元フラッシュメモリの量産を開始する予定と発表されていますが、その準備状況は現在どうなっていますでしょうか。県の支援も含めてお尋ねいたします。
〇瀬川ものづくり自動車産業振興室長 まず、キオクシア岩手株式会社の新製造棟における生産準備状況でありますが、人材の採用それから教育、さらには製造装置立ち上げなどについて、おおむね予定どおりに進んでいると聞いております。県では、先般、キオクシアに対して大型補助金については既に議決いただいているところでございます。県の補助金というのは生産が開始されないと出ないものでございますが、一応そういったものも準備しておりますし、人材確保についても、当初の予定をちょっと下回ってはいますが、今の生産の開始に向けては十分に人材の確保はできていると聞いております。
〇上原康樹委員 その生産ラインが動き出すのはいつごろでしょうか。
〇瀬川ものづくり自動車産業振興室長 一時期春ぐらいという報道もございましたが、こういうことについては企業の秘密情報ということもありまして、ちょっとこの場では回答を控えさせていただければと。近いうちだと思っておりますが、市況の状況もございまして、明確な回答は申しわけございませんが控えさせていただきます。
〇上原康樹委員 なるべく間接話法は避けていただきたいと思います。
 それで、実は工場自体は動いていなくても、企業のイメージ活動は動いております。先日も、皆さん御存じかと思いますが、漫画の神様手塚治虫さんの原稿を全てコンピューターに、メモリに記憶させて、人とAIの共同作業でオリジナルの漫画作品、ぱいどんが発表され話題になっているところでございます。どんな思いを持つメーカーかと思っていたのですが、少しずつその輪郭が、イメージが見えてきています。キオクシアは超高速、大容量のメモリで、文化的な活用を盛んに提案しています。実はキオクシアの企業PRの動画、すばらしいのです。そのコメント、コピーというのでしょうか、私の朗読で一部御紹介します。
 記録は、単なる情報だ。記憶は、人を夢中にさせる。過去を蓄積するだけの記録デバイスから、未来に向かって、感動を生み出す記憶デバイスへ。東芝メモリは、キオクシアへ。記憶で世界をおもしろくする会社になる。超高速、大容量メモリの力が未来をどんどん書きかえていく。人工知能とスポーツをしたり、膨大なデータを分析して宇宙の謎を解明したり、思い出のあの一瞬をもう一度体験できたり、人類がまだ知らない胸の高鳴りが次々に生まれていく。そう、私たちが生み出すのは世界新記憶。
 世界新記憶でまとめました。もう、社長は宮沢賢治かというくらいに鮮やかに思いが表現されていると思います。ファンになりました。
 このキオクシアの技術を使って、キオクシア自身が発表していることですが、伝統技術の継承というのが可能になるのですね。熟練のわざをバーチャル体験してもらうことで、短時間にたくみのわざが伝承可能となると。例えば紙すきの技術。あの手加減は、1カ月はかかるのではないかと言われているところを、そのバーチャル体験で、数時間で体得する人もあらわれてきているそうです。そうしますと、これは応用して漆、漆器の制作もできるのではないかとか、神楽などの伝統芸能の伝承にも役に立つのではないかとイメージが膨らみます。
 キオクシアと連携して、最先端の技術で岩手の自然や文化を発信してみてはどうでしょうか。部局横断的なプロジェクトになるはずですが、関係人口の獲得、インバウンド拡大も期待できると思います。部長の所感を伺います。
〇戸舘商工労働観光部長 今、るる御紹介がございましたように、キオクシアのフラッシュメモリを単なる記録媒体ということではなくて、未来に向けての社会、文化、歴史の形成にも貢献できる、新しい価値をもたらす記憶デバイスというふうに捉えて、今御紹介がありましたが世界新記憶と銘打って、AI技術も駆使した手塚治虫作品の復活など、記録から新たな価値を創造していくキャンペーンを展開しているということでございます。
 キオクシアの最先端技術といいますのは、岩手のさまざまな文化、観光等の情報発信、そして魅力の発信についても大いに有用であると考えておりますので、県といたしましては、関係部局とともにどういった取り組みが可能か、キオクシアとも十分に連携をしながら取り組んでまいりたいと思います。
〇上原康樹委員 明確な御答弁をありがとうございました。
 次は、トヨタです。トヨタの新型小型車ヤリスの生産がこの岩手県で始まりました。昨日、県庁前で達増知事が、岩手の産品をトップセールスでPRしていましたが、その場に真っ赤なヤリスが展示されていました。聞きますと、この1カ月間で3万7、000台の受注があったそうです。目標の4.7倍。大ヒットの予感です。こうなりますと、生産体制や雇用の拡大という可能性はあるのでしょうか。県として、何か側面支援のお考えはおありでしょうか。
〇小野自動車産業振興課長 今回、トヨタ自動車東日本岩手工場で生産が開始されました新型ヤリスでございますが、トヨタが新たな世界戦略車としてグローバルモデルと名称を統一する形でモデルチェンジをしたものでございます。さまざまな最新の機能が盛り込まれた魅力あふれる車ということで、1カ月の受注も大変好調だと伺っております。
 現在、岩手工場におきましては、生産台数も増加していると伺っておりまして、今後は、これまでの最高に近い水準になるということも予想されるところでございます。そうしますと、サプライチェーン全体にも効果が及んでくるということですので、県内企業の受注であるとか、雇用が増加するということが大いに期待されるところでございます。
 県といたしましては、こうした動きが円滑かつ安定的に進められるよう、関連企業の業容拡大や人材確保に向けた取り組みを支援してまいりたいと考えております。
〇上原康樹委員 トヨタは、モータースポーツに非常に熱心に打ち込んでいる企業でありまして、私もBSスポーツで世界ラリー選手権を担当しておりました。それでこういう質問になりますけれども、トヨタはヤリスの原型となる車体を使って3年前から世界ラリー選手権―WRCを戦っております。既に優勝を経験するなど、実績を重ねているところでございます。厳しいコースでスピードとテクニックを競う、そこで得られた技術が一般の市販モデルにフィードバックさせる。したがって、WRCは走る実験室として知られているところでございます。モータースポーツ界ではF1と並び称される世界ラリー選手権です。このレースを戦うレース車両とも言えるヤリスが、この岩手で製造されるなんていうことは、実は大変な話題なのですね。そしてさらにすごいことには、とうとうことしの秋、日本で10年ぶりにこの世界ラリー選手権が開催される、大注目のヤリスでございます。もちろん、レース車両は岩手とは別の場所で本格的なモンスターマシンに組み立てられるわけですが、しかし、ヤリスはヤリスです。ものづくりの岩手が世界のひのき舞台とつながる瞬間が間もなくです。県としても、トヨタヤリスと連携し、岩手を発信する値打ちはあると私は考えますが、県の所感を伺います。
〇小野自動車産業振興課長 トヨタ自動車では、東北の産学官連携やものづくりにすぐれた人材等を高く評価いたしまして、平成24年に設立をいたしまたトヨタ自動車東日本のもとで、東北を基盤に、世界一の競争力を持つ魅力あるコンパクト車をつくるということを目指した取り組みを進めてきたところでございます。
 一方、東北地方におきましては、本県を中心に、各県がトヨタ等との自動車関連企業と連携いたしまして、自動車産業の集積に取り組んできたところでございます。こうした双方の取り組みが相乗効果となりまして、今回、新型ヤリスの生産につながったと考えております。世界中が注目をいたします今回の世界ラリー選手権、トヨタのラリーモデルのベースカーである世界戦略車が岩手県で生産されるということでございます。これは本県ものづくり産業の技術力の高さをアピールするとともに、そこまで進化をしてきたということの実績でもありますし、今後の発展の可能性を示したものと認識しております。
 県といたしましては、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げるものづくりのグローバル拠点化を実現するために、今後も、トヨタを初めとした自動車関連企業との連携をさらに強化して取り組んでまいりたいと考えております。
〇上原康樹委員 これは紹介の仕方一つだと思うのです。ヤリスと岩手県、このコラボレーションはすばらしい効果を生むと私は思っております。例えばCM映像で、岩手県の上外川の高原地帯に続く壮大な未舗装路のコースで、ラリー仕様のヤリスのデモンストレーション走行をドローンで撮影してみてはいかがでしょうか。岩手大陸をビジュアルに発信できる企画になると思います。岩手県に生産拠点を置くトップ企業とのコラボレーション、岩手県に人々の気持ちを引き寄せる、世界の人々の気持ちを引き寄せること、商工労働観光部としてのお考え、所感を伺いたいものです。
〇戸舘商工労働観光部長 トヨタ自動車東日本、本県の自動車関連産業の中核企業でございます。これまでもさまざま連携もいたしておりますし、緊密に情報交換もしております。ただいま委員から御提案のありました件についてもお伝えをいたしまして、どういった形で連携ができるのか、協議してまいりたいと思います。
〇上原康樹委員 ぜひ御対応を期待しております。
 達増知事がこのレーシングカーのヤリスの助手席に乗って、レーシングドライバーでもある豊田社長に思いっきり振り回していただく、そんなシーンを想像しながら質問を終わります。
〇柳村一委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇柳村一委員長 質疑がないようでありますので、これで商工労働観光部関係の質疑を終わります。
 商工労働観光部の皆さんはお疲れさまでした。
 おおむね再開後2時間が経過いたしましたので、この際、世話人会の申し合わせにより、暫時休憩いたします。
   午後5時47分 休 憩
午後6時12分再開
〇吉田敬子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、企業局長に企業局関係の説明を求めます。
〇藤澤企業局長 企業局関係の令和2年度当初予算について御説明申し上げます。
 初めに、事業運営に当たっての基本的な考え方についてでありますが、令和2年度は、長期経営方針(2020〜2029)及び第1期中期経営計画の初年度として、電力システム改革や新たな工業用水需要などの経営環境の変化に的確に対応しながら、引き続き電力と工業用水の安定供給に努めるとともに、簗川発電所の建設、既設発電所の再開発による再生可能エネルギーの維持、拡大に取り組んでまいります。
 電気事業では、県内への電力の安定供給を第一に、運転年数100年を実現するための基盤づくりとして、大規模災害の経験を踏まえつつ、高経年化した施設の強靱化を進めるほか、ICTやドローンなど新技術の活用を図り、安定経営の持続に努めてまいります。また、電力システム改革に対応した新たな売電契約のもと、地域活性化の観点から、県内の地域新電力を含む小売電気事業者と連携し、再生可能エネルギーの地産地消に取り組んでまいります。
 新規開発については、盛岡市に建設中である簗川発電所の令和3年度の運転開始に向けて、水車発電機の据えつけなどを進めるほか、本局業務課に発電所再開発推進担当を新たに設置して、稲庭高原風力発電所や胆沢第二、入畑の二つの水力発電所の再開発を重点的に進めてまいります。
 地域貢献については、大規模災害が頻発している状況を踏まえ、被災した市町村等のクリーンエネルギー設備等の復旧事業を支援するほか、電力会社と連携したいわて復興パワーについては、割安な電力供給を行う県内企業の拡充を図るとともに、震災復興やふるさと振興の関連施策への財政支援を一体的に進めてまいります。
 工業用水道事業では、送配水管の老朽化対策や耐震化、そしてさらなる業務効率化等に取り組み、安定供給と安定経営に努め、県内経済を牽引する企業の生産活動を支えてまいります。また、新たな工業用水需要に対応するための浄水場整備事業についても、関係部局及び関係機関と連携しながら着実に取り組んでまいります。
 それでは、議案について御説明申し上げます。
 議案その1の56ページをお開き願います。議案第13号令和2年度岩手県電気事業会計予算についてであります。
 第2条は、業務の予定量ですが、(1)は年間販売目標電力量であり、その合計を、次の57ページの上から2行目に記載のとおり5億5、887万1、000キロワットアワーと見込むものであり、(2)は、主要建設事業として簗川発電所を建設しようとするものであります。
 第3条は、収益的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款電気事業収益は74億9、500万円余で、その主な内訳ですが、第1項営業収益59億1、800万円余は、水力発電の電力料収入などであり、第2項附帯事業収益13億5、300万円余は、風力発電及び太陽光発電の電力料収入であります。
 次に、支出の第1款電気事業費用は61億1、600万円余で、その主な内訳ですが、第1項営業費用45億3、100万円余は、職員給与費、修繕費及び減価償却費などであり、第2項附帯事業費用12億1、800万円余は、風力発電所及び太陽光発電所の運転管理費用などであります。
 第4条は、資本的収入及び支出の予定額であります。
 58ページにお進み願います。収入の第1款資本的収入は4、900万円余で、その主な内訳ですが、第1項負担金2、300万円余は、仙人発電所共有施設工事負担金であり、第2項長期貸付金償還金2、500万円余は、工業用水道事業会計からの長期貸付金に係る償還金であります。
 支出の第1款資本的支出は24億100万円余で、その主な内訳ですが、第1項建設費8億400万円余は、簗川発電所の建設工事費などであり、第2項改良費9億8、600万円余は、各発電所の設備の改良及び更新に要する経費であり、第4項企業債償還金4億7、600万円余は、企業債元金の償還金であり、第5項繰出金1億2、900万円余は、震災復興・ふるさと振興パワー積立金などを活用し、一般会計に繰り出しを行うものであります。
 第5条は、債務負担行為であります。これは、胆沢第二発電所主要設備更新工事など7事業について、債務負担行為の期間と限度額を定めようとするものであります。
 59ページに参りまして、第6条は、一時借入金の限度額を定めようとするものであり、第7条は、予定支出の各項の経費の金額を流用することができる場合を定めようとするものであり、第8条は、議会の議決を経なければ流用することができない経費とその金額を定めようとするものであります。
 電気事業会計予算の説明は以上でございます。
 次に、60ページをお開き願います。議案第14号令和2年度岩手県工業用水道事業会計予算について御説明申し上げます。
 第2条は、業務の予定量ですが、(1)は、北上工業団地及び岩手中部工業団地内の18事業所に対する給水量について、年間総給水量を1、299万1、810立方メートル、1日平均給水量を3万5、594立方メートルとそれぞれ見込むものであります。(2)は、主要建設事業として、新たな工業用水需要への対応に伴い、浄水場を建設しようとするものです。
 第3条は、収益的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款工業用水道事業収益は11億5、500万円余で、その主な内訳ですが、第1項営業収益8億6、400万円余は、給水収益などであり、第3項事業外収益2億9、100万円余は、消費税等還付金のほか長期前受金戻入などであります。
 61ページに参りまして、次に、支出の第1款工業用水道事業費用は8億5、300万円余で、その主な内訳ですが、第1項営業費用8億900万円余は、職員給与費、委託費及び減価償却費などであり、第2項財務費用4、400万円余は、企業債などの支払い利息であります。
 第4条は、資本的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款資本的収入は35億4、700万円余で、その内訳ですが、第1項企業債は、工業用水道施設の建設費及び改良費に係る資金を借り入れしようとするものであります。
 次に、支出の第1款資本的支出は38億4、400万円余で、その主な内訳ですが、第1項建設費30億5、200万円余は、第一北上中部工業用水道の浄水場建設工事等に要する経費であり、第2項改良費4億9、600万円余は、工業用水道設備の改良及び更新を行うために要する経費であり、第3項企業債償還金2億7、000万円余は、企業債元金の償還金であります。
 第5項は、第一北上中部工業用水道取水口建設工事と汚泥脱水機更新工事について、債務負担行為の期間と限度額を定めようとするものであります。
 62ページにお進み願います。第6条は、建設改良事業に充てる企業債の限度額や起債の方法などを定めようとするものであり、第7条は、一時借入金の限度額を定めようとするものであり、第8条は、予定支出の各項の経費の金額を流用することができる場合を定めようとするものであり、第9条は、議会の議決を経なければ流用することができない経費とその金額を定めようとするものであり、第10条は、重要な資産の取得について定めようとするものであります。
 工業用水道事業会計予算の説明は以上でございます。
 なお、これらの予算に係る実施計画、予定キャッシュ・フロー計算書などにつきましては、予算に関する説明書の479ページから551ページに記載しておりますが、これまで御説明申し上げました予算の明細等でありますので、説明を省略させていただきます。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇吉田敬子副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 それでは、第一北上中部工業用水道の新浄水場整備事業について、整備事業の概要はどうなっているか。事業費、給水開始時期が変わっていると思うが、なぜなのか示してください。
〇村上業務課総括課長 第一北上中部工業用水道で進めている新浄水場整備事業の概要についてでありますが、北上工業団地における今後の工業用水需要の予測に基づき、日量約6万立方メートルの給水能力を有する新たな浄水場の整備を進めているものであります。
 事業費は、設計費や用地取得費、及び浄水場や取水口などの建設工事などに要する費用として、現時点で約176億円を見込んでおります。
 なお、新たな浄水場は、工業用水需要に応じて段階的に整備していくこととしており、第1期整備では、令和5年度の給水開始を目指しております。
 次に、事業費がこれまでの約156億円から約20億円ふえた理由についてでありますが、従来、平成30年度に実施しました基本設計に基づき事業費を約156億円と見込んでいたところでありますが、昨年3月から11月にかけて、現地の地質の状況や施工方法などを踏まえた詳細設計を実施し、その結果、取水口建設工事の掘削数量が増加したことや、配水管の布設距離が延びたことなどにより事業費が増額となったものであります。
 次に、給水開始時期がこれまでの令和4年度から令和5年度になった理由でありますが、新たな工業用水需要に対しては、まずは既設の浄水場の給水余力から給水しながら、需要が能力を上回る時期に合わせて新たな浄水場を整備することとしております。このため、北上工業団地における工業用水需要見通しを適宜スケジュールに反映させながら、段階的に新たな浄水場の整備を進めているところであります。
 今般、北上工業団地において比較的大口のユーザー企業の使用廃止があり、これらを踏まえ、改めて今後の工業用水需要を見通したところ、現時点では、既存施設の給水能力を超える需要が見込まれる時期が令和5年度となったことから、給水開始時期を令和5年度に変更したものであります。
〇斉藤信委員 そうすると、キオクシア岩手株式会社は来年度から操業が始まるので、今、撤退企業もあったということでありますので、給水余力で対応して令和5年度から新浄水場での給水になる、こういうことですね。
 事業費も20億円増加していますけれども、収支計画は、昨年の決算特別委員会のときには2040年度に黒字化という話でありましたが、ここに変化はあるのでしょうか。
 それと、水源の確保です。新聞にも報道されましたけれども、盛岡市の御所ダムの水源を活用するという計画でありますが、盛岡市との協議はどうなっているでしょうか。
〇村上業務課総括課長 まずは収支計画についてでありますが、新浄水場整備は多額の投資が伴いますので事業開始から十数年は厳しい収支が続くと見込まれますが、整備する施設設備の平均的な法定耐用年数である45年間では約2億4、000万円の黒字を見込んでおります。従来、整備事業費を約156億円と見込んでいたことから、45年間で約17億円の黒字を見込んでいたところでありますが、その後、詳細設計の結果を踏まえまして、事業費が約20億円増の約176億円となったことから、収支計画における黒字も減少したところでございます。
 収支については黒字になる見込みですけれども、現時点では令和23年、これは従来の令和22年から約1年延びたところでございます。
 次に、水源確保に関する盛岡市との協議状況でありますが、新浄水場の給水能力は日量約6万立方メートルを予定しており、これに見合う新たな水源を確保する必要があります。この水源として、現在、盛岡市が御所ダムに有する日量6万4、800立方メートルを想定しており、盛岡市に対しましては、この水資源の供与について協力を依頼しているところでございます。
〇斉藤信委員 盛岡市議会でも全員協議会で説明があって、6月定例会に向けてという話のようですが、丁寧に協議を進めて、大規模プロジェクト、これは企業にとっても、そして企業局にとっても大変重要な事業だと思うので、しっかり慎重に進めていただきたい。
 それで、きょうの岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部本部員会議の企業局の報告の文書を見ると、工事及び業務の一時中止措置ということで、一部の工事において、中国からの資材調達が困難となったものがあり、繰り越しの上、工期を延長することにしたという報告があるのですが、これは新浄水場の関係ですか。
〇村上業務課総括課長 新型コロナウイルス感染症の影響としましては、新浄水場のほうは特に今のところ影響はないところでございます。(斉藤信委員「この中身」と呼ぶ)
 具体な影響といいますと、施設総合管理所のトイレの便座が入ってこないということでございます。
〇斉藤信委員 わかりました。そこまで私も目を通していたということで。
 次に、会計年度任用職員制度への移行について、現在の臨時職員の現状、月収、年収と、会計年度任用職員への移行、どれぐらい移行するのか。その際の月収、年収はどうなるのか示してください。
〇高橋管理課長 企業局における会計年度任用職員制度の状況でございますが、現在の職種で申し上げますと、非常勤専門職員が2名、期限付臨時職員のうち事務職が13名、同じく期限付臨時職員のうち運転職が8名、その他日々雇用職員が3名で、計26名おります。この26名の人員規模につきましては、そのまま新制度へ移行する予定でございます。
 それから、月収、年収等の比較でございますが、現在フルタイムの臨時的任用職員と週30時間勤務の会計年度任用職員について、年齢が40歳で経験年数10年の方の例で比較しますと、勤務時間が短くなることによりまして、月額で15万4、000円ほどから約14万3、000円へと1万1、000円ほど減少する状況でございます。
 年収でございますが、新たに期末手当が支給されることになりますので、現行の約185万円から1年目は195万円で約10万円の増額、引き続いて任用された場合の2年目は約208万円で約23万円の増額となる見込みでございまして、全体として処遇の確保が図られるものと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 会計年度任用職員で問題になるのは、今、フルタイムで働いている労働者が、特に企業局の場合には事務部門は30時間のパートタイムに移行させられると。そうすると、年収ベースでは1年目はプラス10万円になるけれども、月収では1万1、000円のマイナスなのですね。月収というのは生活給なので、この場合、生活が悪化する。これは年収でプラスだからいいではないかとはならないのです、生活給がマイナスになるということは。これは残念ながら改悪で、会計年度任用職員の目的というのは、今まで不安定だった臨時職員の生活の安定ですよ。月収が減ったら、私は、これはやっぱり働いている労働者から見れば改悪ということになるのではないかと。これは企業局長にお聞きしますけれども、これは会計年度任用職員制度の趣旨に反するのではないか。
 もう一つお聞きしますが、国会の附帯決議で雇いどめがあってはならないとなっているので、現在、働いている臨時職員の方々が希望した場合、私は基本的に会計年度任用職員に採用されるべきと思うけれども、この点はどうなるのか示してください。
〇藤澤企業局長 フルタイムの臨時的任用職員と比較してパートタイム会計年度任用職員の報酬月額が一定程度減少することにつきましては、業務内容の見直しなどを行い、勤務時間が短くなることによるものでございます。
 会計年度任用職員の給料及び報酬は、類似する職務に従事する常勤職員の給料月額を基礎とし、その職員の勤務時間に応じて調整する形で決定しているところでございますので、給与水準はこれまでよりも引き上げているものでございます。
 また、先ほどお話し申し上げましたとおり、期末手当を新たに支給するほか、通勤に要する経費に対しましても、常勤職員の例により、通勤手当、それからこれに相当する費用弁償を支給するなど、全体として処遇の確保が図られているものと考えております。
 雇いどめについてでございますが、会計年度任用職員につきましては、各年度ごとに公募、選考を行うことが原則となりますが、各年度において人事評価をした上で、2回までは再度の任用ができる扱いとなっております。また、公募、選考の実施の際には、任用の回数制限は設けないこととしているものでございます。
〇斉藤信委員 月収が下がったら、これは本当の意味の改善にはならない、生活給はマイナスになるということです。結局、フルタイムの今の臨時職員が会計年度任用職員になったら、大幅にこれは改善されるのです。ところが、フルタイムをパートにするために、年収ベースで比べても10万円しかふえない、月収は1万1、000円減る、これは家計を支える上ではマイナスで、皆さん正規の職員でこんなことをやったら通用しません。皆さんの月給を1万1、000円減らします、手当で何とかします、こんなの通用しませんよ。私は、だから、これは会計年度任用職員の悪用だと思います。
 私は、雇いどめをしてはならないというのが総務省の通知でもあるし、そういうことでぜひしっかりこれは対応していただきたい。不安定な人たちにきちんと対応しようというのがその趣旨ですので、2年間は採用できると、毎年採用も可能だと、ここがすごく曖昧なのです。下手すれば2年で雇いどめも可能ということにもなるので、その点、しっかり働いている労働者の希望がきちんと評価されるように、最後にまた企業局長に答弁を求めて終わります。
〇藤澤企業局長 まず初めに、雇いどめの件につきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、任用の回数制限は設けないことになっておりますので、職員一人一人の人事評価の上で新たに採用することも可能となるということでございます。
 それから、処遇の確保についてでございますけれども、報酬の算定に当たりましては行政職の9号給をもとに計算しているものでございまして、1時間当たりの単価でいきますと約20%ほど上昇するといった面もございますので、私どもとしては、処遇の確保を基本的な考え方として会計年度任用職員制度を導入しようとしているところでございます。いずれ、職員の処遇については、今後とも意を用いてまいりたいと思います。
〇山下正勝委員 私は、電力事業について質問いたします。
 県では、水力発電所16カ所、風力発電所2カ所、太陽光発電所1カ所を稼動させています。最大出力は17万3、870キロワット、供給電力にすると一般家庭ですと約19万世帯でありますが、再生可能エネルギー導入の動向と企業局の取り組み状況はどのようになっていますか、よろしくお願いします。
〇村上業務課総括課長 再生可能エネルギー導入の動向と企業局の取り組みについてでありますが、企業局では、県内への安定的な電力供給を目指し、昭和32年の胆沢第二発電所を皮切りに水力発電所の設置を進めてきたほか、県内における再生可能エネルギーの導入拡大の先駆けとなるよう、風力、太陽光発電所を設置してきたところでございます。
 現在、新規開発については、送電網の接続容量の課題があるほか、水力は大規模な発電所が開発済みであり、風力、太陽光につきましては民間の開発計画が活発化している状況にあります。
 現在、企業局では、令和3年の運転開始に向け簗川発電所の新規開発に取り組んでおりますが、このような状況を踏まえ、設備の劣化が進行している胆沢第二発電所、入畑発電所、稲庭高原風力発電所の再開発事業について重点的に取り組むことにより、再生可能エネルギーの維持、拡大に努めていくこととしております。
〇山下正勝委員 高森高原風力発電所ですけれども、予算を見ると12億4、100万円ということで、11基ですので、1基で1億円ぐらいの電気料金分を働くのかなということでございますけれども、これに対して計画発電量はどうだったのか。風が吹いたからいっぱい電気ができたわけですけれども、その予想はどうだったのでしょうか。
〇村上業務課総括課長 高森高原風力発電所の運転状況についてでありますが、令和元年度2月末時点の実績としましては、供給電力量が目標の4、479万キロワットアワーに対しまして実績が5、084万キロワットアワー、達成率113.5%となっておりまして、料金収入も目標の9億8、542万円に対しまして実績が11億1、846万円となっております。これは、風速が非常によかったと。ほぼ計画どおりに吹いているということと、大きな故障等による停止がなかったことが非常に好調な要因となっております。
〇山下正勝委員 次に、再生可能エネルギーの固定価格買取制度ですが、平成24年11月に制度ができました。それを活用している発電所は何カ所ありますか。
 また、固定価格買取制度開始前の価格と比較してどの程度の価格差がありましたか。
 来年度、固定価格買取制度による買い取り期間が終了する稲庭高原風力発電所については、再開発事業、いわゆるリニューアルを行うと聞いていますが、現在の取り組み状況と来年度以降のスケジュールはどのようになっているのかお教え願います。
〇村上業務課総括課長 固定価格買取制度、いわゆるFIT制度の活用状況についてでありますが、企業局でFIT制度を活用している運転中の発電所は、稲庭高原風力発電所、胆沢第三発電所、相去太陽光発電所、高森高原風力発電所の4カ所でございます。
 次に、売電価格についてでありますが、FIT制度を活用していない既設水力発電所の売電価格との比較となりますが、FIT制度を活用していない風力発電所の売電価格1キロワットアワー当たり8.46円に対しまして、FIT制度を活用している胆沢第三発電所が22円、稲庭高原風力発電所が18.29円、相去太陽光発電所が36円、高森高原風力発電所が22円となっております。
 次に、稲庭高原風力発電所の再開発事業についてでありますが、平成30年度のFIT制度設備認定を受けているところであり、買い取り価格は1キロワットアワー当たり17円となっております。本年1月に機種選定委員会を開催いたしまして、プロポーザル方式により契約相手方を選定したところであり、令和2年度は、年度当初に新風車設置工事契約を締結しまして、設計機器製作を実施し、令和3年度に現地施工を行い、新風車での運転開始を目指しております。
〇山下正勝委員 稲庭高原風力発電所の再開発事業の実施については、令和元年7月1日の県土整備委員会で報告されたようですけれども、前は3基あったのを、新たに119メートルの大きい……。これは高森高原風力発電所と同じ規模の風車かと思うのですけれども、前の風車の稼働率が悪かったということで、大分故障もあるみたいですけれども、そういうことを考えるとかなりのリスクをしょったのではないかということですが、その辺はどうだったのでしょうか。
〇村上業務課総括課長 稲庭高原風力発電所の再開発で風車を3基から1基にするところでございますが、現在、設置してあります風車は、1基660キロワットアワーということで現時点ではかなり小型の風車の部類になっておりまして、市場に余り出回っていないところでございます。
 我々としましては、今までの稲庭高原風力発電所の運転、故障などの経験を踏まえて高森高原風力発電所を建設しました。高森高原風力発電所につきましては1基2、300キロワットアワーということで、現状のところ、高森高原風力発電所で採用している風車が非常に性能的にすぐれていることもございまして、稲庭高原風力発電所でも同型のものを選定したところでございます。
〇山下正勝委員 これには高森高原風力発電所と同じ蓄電池は設置しないのでしようか。
〇村上業務課総括課長 高森高原風力発電所につきましては出力変動緩和のため蓄電池を設置しておりますが、稲庭高原風力発電所につきましては、現在も蓄電池がついておりませんので、再開発においても蓄電池を設置する予定はございません。
〇山下正勝委員 次に、古い発電所として胆沢第二発電所が昭和32年10月から稼動しています。その後、多くの発電所を稼動されてきましたが、安定的に発電を行うためには日ごろの保守管理が重要と考えます。企業局ではどのような保守管理に取り組んでいますか。また、発電所の高経年化も進んでいますが、今後の保守管理の課題と対応についてどのように考えていますか、よろしくお願いします。
〇村上業務課総括課長 発電所の保守管理についてでありますが、企業局では、発電所の保守管理の方法を定める電気工作物保安規程に沿って日常の維持管理に努めているところであります。
 具体には、電気設備は毎月2回、土木施設は毎月1回の巡視点検を実施しているほか、年に1回の定期点検、十数年に1回の水車発電機の分解点検などを実施しております。点検結果を踏まえまして、今後10年間で行う作業や修繕及び改良計画の見直しなどを毎年実施し、計画的な設備の維持補修を行っております。
 次に、今後の保守管理の課題と対応についてでありますが、岩洞第一発電所や仙人発電所などについては運転開始から50年以上経過しておりますが、これまでも発電機の内部補修や老朽化した設備の更新を行っており、現在、運転に支障を来す著しい劣化は確認されておりません。
 他方、今後、堰堤や取水口など土木施設の高経年化による老朽化の進行が想定されることから、それらに対応するため、工事費の増加が課題となると考えております。このことから、大規模な修繕工事の効率化や費用の平準化を図りつつ、国の支援制度の活用なども検討しながら、必要な再開発や劣化した設備の更新を行い、引き続き電力の安定供給に努めてまいります。
〇山下正勝委員 水力発電所も含め全部ですけれども、技師などを含め、維持管理が大変だと思っております。
 いわて復興パワーについて教えてください。これは平成30年度から令和元年度で見ると、震災復興ということで東北電力株式会社と協定を結んでいるようですが、対象企業等には割安料金で供給すると。これは非常にいいことですけれども、それに引きかえ、たしかこれは企業局も若干の上乗せはあるのではないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
〇菅原経営企画課長 いわて復興パワーにつきましては、平成30年度から取り組んでいるところでございます。平成30年度当初の段階では電気料金の割引は5%でスタートしておりますが、今年度から割引率を6%に上げておりますし、また、企業につきましても対象拡大を図りながらこれまで取り組みをさせていただいたところでございます。
 電力量料金の割引は東北電力株式会社のみが行っているところでございますが、県の取り組みといたしましては、一般会計への繰り出しを行いまして、震災復興、ふるさと振興施策の支援を行っているところでございます。
〇山下正勝委員 各民間団体には5%、6%安くなって、いい話ですけれども、企業局と制度が違うのかちょっとわかりませんけれども、農林水産省ではまた違った形で、地域に貢献する場合は、発電している事業者にもたしか何%かの上乗せはあるはずですけれども、これは民間と企業局の違いなのでしょうか。
 一戸町には大志田ダムがございまして、水力発電が行われてます。そのときに、一戸町では民間だったのですけれども、地域貢献ということで若干土地改良区に上乗せをもらって、そのほかに自治体には支援しましょうということでまた同じぐらいの支援金があるのです。それは企業局にはないでしょうか。初めて聞く話だったのでしょうか。
〇菅原次長兼経営総務室長 地域貢献の仕組みでございますけれども、御質問がありました内容と同じかどうかは承知しておりませんが、企業局の取り組みといたしましては、今回、売電契約に伴い、売電先である東北電力株式会社と連携いたしまして、東北電力株式会社については割安な料金ということで電気料金の割引をしていると。その一方で、県といたしましては、先ほど課長が答弁申し上げましたように、一般会計への繰り出しということで、あわせて一体的に役割分担をしながら震災復興、ふるさと振興への支援を行っているという仕組みでございます。
 そのほか、地域貢献といたしましては、クリーンエネルギーの導入支援ということで、市町村や、またこれも一般会計への繰り出しもしておりますけれども、売電による利益を還元するという形で地域貢献をしております。地域貢献につきましては、どのようなやり方があるのか、常に検討しながら取り組んでいるところでございます。
〇山下正勝委員 いろいろな仕組みがあると思いますが、その辺を勉強しながら、幾らかでも売電単価を高くして県民の皆さんに割安で電気を供給するということも考える必要があると思いますので、よろしくお願いします。
 最後ですけれども、いろいろな部分があると思います。今は5万キロワットとか、そういう大きい設備を持っております。今後、こういう発電所をまだ増設する計画があるものか。計画内容、水素とかそういうものの計画みたいですけれども。
 それと、もう一つは、もうちょっとコンパクトな200キロワットぐらいの小さいもので小さい集落のために貢献するような、技師も要らないような発電所を設けるような考えはないのか。
 それと、一つ私、疑問に思っているのは、東北電力株式会社では送電線が満タンだという話です。もう電力がやれないということで、豊沢土地改良区も山王海土地改良区もそうですけれども、なかなか東北電力株式会社の許可をもらえないということで、ようやく許可が出たという経緯がございます。そういった意味では、県の企業局はそういう問題はなく、計画どおりにいけるものかどうか、その辺をお願いしたいと思います。
〇細川技師長 ただいまお尋ねいただきました送電線の関係でございますけれども、水力あるいは太陽光、風力に限らず、いわゆる発電所を設置する場合には、一般的には東北電力株式会社が所有する送電線あるいは身近の配電線に接続する必要がございます。そういった観点で、現在は、北東北3県は全て送電線、配電線に空き容量がないということで、新たな発電所の計画がなかなか進められない状況にございます。それについては、民間事業者が発電を計画した場合でも企業局が発電を計画した場合でも全く同じでございます。
 再生可能エネルギーには幾つか種類がございますけれども、水力発電所はその中で一番歴史が古いと。本県におきましても最初に手がけたのは水力発電でありますし、最近、はやりの風力、太陽光に比べて発電の出力の変動が少ない。再生可能エネルギーの中では比較的出力が安定していると評価されている水力発電所でございますので、そういったことに企業局として取り組んでいくのも公営企業としての使命の一つと考えているところでございます。
 そういった意味で、簗川発電所の完成後、すぐまた別の地点で水力発電所を開発というのは正直難しい状況にはございますけれども、いずれ送電線の問題も、制度的なもの、あるいは新たな送電線の建設が行われて解決されるときが来ることを信じまして、そういったときにまた新たな水力発電所の建設ができるように、今から長期的な視点に立っていろいろ調査研究を進めてまいりたいと考えております。
 もう一つ、最初に御紹介のありました極めて小さい出力の水力発電所でございますけれども、最近、県内でも、土地改良区が管理しております農業用水路でちょっとした落差があるところを活用して、小さい数十キロワットの発電所を設置している例がございます。
 農業用水路につきましては、農林水産部が主体になりまして、県内でどういったところに設置できるのか可能性調査を実施したりしておりますので、企業局としましては、そういった計画を立てる際に、技術的な支援という観点で、私どもが持っている水力発電所のノウハウを提供することによって側面的な支援をしてまいりたいと考えております。
〇山下正勝委員 固定価格買取制度は20年で終わりますよね。これは再生可能エネルギーということでやっているのですから、国としても20年ではなくてずっとやらないと、最終的には企業局も経営上大変だと思っています。せっかくですので、この辺も国に要望しながら維持管理に努めてもらえれば幸いでございます。
〇吉田敬子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇吉田敬子副委員長 質疑がないようでありますので、これで企業局関係の質疑を終わります。
 企業局の皆様は御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。お疲れさまです。
   午後7時1分 散 会

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