令和2年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和2年3月6日(金)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
議事管理担当課長 安 齊 和 男
主任主査 藤 枝   修
主任主査 千 葉 絵 理
主査 上 野 公一郎
主査 鈴 木   忍
主査 赤 坂 宏 紀
主査 鈴 木 貴 博
1説明員
秘書広報室長 高 橋 勝 重
理事兼副室長兼
首席調査監 上和野 里 美
参事兼広聴広報課総括課長 中 里 裕 美
総括調査監 小 國 大 作
総括調査監 照 井 富 也
調査監 加 藤 勝 章
秘書課総括課長 安 藤 知 行
秘書課管理課長 藤 原 由喜江
報道監 平 野 信 二

政策地域部長 白 水 伸 英
副部長兼政策
推進室長兼首席
ふるさと振興監 小 野   博
地域振興室長兼
三陸防災復興
プロジェクト2019
推進室長兼
台風災害復旧復興
推進室長 小野寺 宏 和
国際室長 佐々木 真 一
交通政策室長 箱 石 知 義
科学・情報
政策室長 古 舘 慶 之
参事兼市町村課
総括課長 小 原 由 香
参事兼調査統計課
総括課長 千 葉 達 也
政策監 村 上 宏 治
評価課長 北 島 太 郎
調整監 鈴 木 俊 昭
ふるさと振興監 和 田 英 樹
政策推進室
管理課長 浅 沼 玉 樹
学事振興課
総括課長 工 藤 直 樹
地域振興監 畠 山   剛
県北沿岸振興課長 大 釜 範 之
地域連携推進監 高 橋 則 仁
国際監 澤 田 彰 弘
特命参事兼
地域交通課長 渡 辺 謙 一
空港振興課長 小笠原   徳
科学技術課長 阿 部   博
総括プロジェクト
推進監 酒 井   淳
特命参事兼
台風災害復旧復興
推進課長 千 葉   実

ILC推進局長 佐々木   淳
副局長兼事業
推進課総括課長 高 橋   毅
企画総務課
総括課長 鈴 木 俊 昭
企画総務課
管理課長 浅 沼 玉 樹
計画調査課長 澤 田   仁

復興局長 大 槻 英 毅
副局長 森   達 也
副局長 遠 藤 昭 人
副局長兼震災津波伝承課総括課長 熊 谷 正 則
復興推進課
総括課長 佐々木   亨
まちづくり・産業
再生課総括課長 山 田 壮 史
生活再建課
総括課長 佐 藤 朝 則

財政課総括課長 小 原 重 幸
〇柳村一委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 千葉絢子委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第26号から議案第31号まで、議案第39号及び議案第41号から議案第44号までの以上31件を一括議題といたします。
 本日は、秘書広報室、政策地域部、ILC推進局及び復興局関係について、延べ27人の質問者を予定しておりますが、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
 初めに、秘書広報室長に秘書広報室関係の説明を求めます。
〇高橋秘書広報室長 令和2年度の政策企画部関係予算について説明申し上げます。
 なお、現行の秘書広報室及び政策地域部の組織再編を伴うことから、来年度、政策地域部から政策企画部に移管予定の事業については、政策地域部からの説明となりますので、あらかじめ御了承願います。
 初めに、政策企画部における秘書広報室関係予算の編成に当たっての考え方について説明いたします。
 これまで、秘書広報室は、知事、副知事の職務遂行と直接にかかわる秘書、調査と、県民とのコミュニケーションを重視した県政推進のために重要な広聴広報を担当しており、新組織に移行することとなります。
 広聴広報では、まず、県政懇談会などを通じて県政に関する意見、提言を把握し、県施策への反映に努めます。また、県政番組などを通じて、東日本大震災津波からの復興を初め、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げた県の主要施策を県民の皆様に適時的確に伝え、県外に向けては、震災を風化させず、復興への継続的な支援と岩手ファンの拡大につなげるよう、復興に取り組む岩手の姿や岩手の魅力を発信してまいります。
 なお、現在、岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し、全庁を挙げて対策に取り組んでいるところでありますが、対策本部秘書広報部として、県公式ホームページを初め、テレビ、ラジオ、SNS等を通じて、県民への適時的確な情報発信に努めてまいります。
 それでは、歳出予算について説明いたします。
 議案その1の6ページをお開き願います。政策企画部所管の歳出予算は、2款総務費2項企画費19億7、300万円余のうち7億9、500万円余です。新設部局のため対前年度比では皆増となるものですが、うち秘書広報関係では5億7、500万円余、対前年度比600万円余の増となっております。
 内容については、予算に関する説明書により主な事業を中心に説明いたします。
 なお、金額の読み上げは省略させていただきます。
 予算に関する説明書の95ページをお開き願います。2款総務費2項企画費1目企画総務費の説明欄の政策企画部管理運営費は、人件費及び一般管理事務費です。次のページにお進みいただき、3目広聴広報費について、まず広聴活動費は、県政に関する県民の意見、提言等を把握するための広聴活動全般に要する経費です。次の県政広報事業費は、県の重要な施策や取り組みを県政広報誌いわてグラフやテレビ、ラジオ、新聞などにより適時的確に、わかりやすく県民にお知らせし、県政への理解や参画、協働を促進しようとするものです。次の、いわて情報発信強化事業費は、県外に向けて、被災地の復興状況など復興に取り組む岩手の姿や、自然や文化、食などの岩手の魅力を発信し、震災を風化させず、復興への継続的な支援につなげるとともに、岩手への関心をさらに高め、岩手のイメージアップを図ろうとするものです。次の岩手ファン情報拡散促進事業費は、岩手ファンの一層の拡大につなげるため、岩手ファン自身によるSNSを活用した情報発信を促すことにより、SNS利用者のつながりを通じて岩手の魅力を広めようとするものであります。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇柳村一委員長 これより質疑を行いますが、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力を願います。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇工藤勝博委員 初めての一番バッターです。よろしくお願いいたします。
 きょうはたくさんの皆さんの質疑がありますので簡単に質問させていただきますけれども、2点お伺いいたします。
 まず、秘書広報室が次年度から政策企画部にかわるということでありますけれども、知事の県政懇談会について、いろいろ今までもやってこられておりますが、開催の目的、場所、それから出席者の選定について、どのような形で取り進めているのかお伺いいたします。
〇中里参事兼広聴広報課総括課長 初めに、県政懇談会の開催目的についてでございますが、知事が直接、県民から意見、提言を聴取し、県政に反映させるとともに、県民の県政への参画と協働を推進することを目的として開催しているものでございます。
 開催場所につきましては、幅広い県民の意見を伺うため、本年度は、沿岸地域で5回、内陸地域で5回の計10回開催したところでございます。
 出席者の選定に当たりましては、各地域での懇談テーマに沿った活動を行っている方々から、開催地域を所管する広域振興局と広聴広報課において協議の上、各回おおむね5名を選定いたしまして出席いただいているところでございます。
〇工藤勝博委員 それぞれ今年度は10会場で会議がなされていると答弁がありましたが、開催場所は沿岸、県北で6カ所、そして県南では3カ所、盛岡広域では1カ所ですが。これについて、やはりいわて県民計画(2019〜2028)において、特に沿岸、県北を重点的にということがありますけれども、そういう中で、私は出席者によって会議の内容が一番大きく左右されるのではないかと思っております。その辺の具体的な人選については、どのような形で出席者を選んでいるのかお伺いしたいと思います。
〇中里参事兼広聴広報課総括課長 出席者の選定でございますが、まず、例えば復興に関するテーマの場合は、沿岸広域振興局から御推薦いただきまして、復興についてさまざまな取り組みを行っている方々の中から選定しているところでございます。
 また、例えばILCなどの特定のテーマを掲げて県政懇談会を開催する場合には、担当部局からの推薦をいただき、広聴広報課と協議いたしまして、それまでの県政懇談会での御意見の状況なども見ながら、効果的な御意見がいただけそうな方を選定しているというようなことでございます。
〇工藤勝博委員 去年1年分の会議録を見せていただきました。大変貴重な意見も出ていると思いますが、それらを含めて、政策にどのように反映させているのか、あるいはまた、ただの懇談会なのか。知事は、皆さんから聞いた意見を何となく通り一遍に答弁しているような感じを受けました。やっぱり貴重な意見は当然政策に反映させるべきと思いますけれども、それらに関してはどのようになっているかお伺いしたいと思います。
〇中里参事兼広聴広報課総括課長 県政懇談会で寄せられた御意見についてでございますが、取りまとめが終わっている12月末現在、県政提言ということでは26件でございまして、全て提言に沿って措置または実現に向けて努力しておりまして、関係部局において、県政への反映に努めているところでございます。
 提言に沿って措置したものとして、例えば、具体的には、キャッシュレス決済の導入促進を進めてほしいという御提言に対しまして、県では、総務省の統一QR普及事業への取り組みを進めるなど、訪日外国人旅行者などの利便性の向上や事業者の生産性の向上などのメリットを踏まえ、より一層キャッシュレス決済の普及に取り組んでいくこととしたところでございます。
 また、ILCの推進に向けましては、外国人旅行者の受け入れ可能な医療機関が他県に比べて少なく、医療環境を整備していく必要があるのではないかという提言に対しまして、県では、国の外国人患者を受け入れる拠点的な医療機関のリストに多くの医療機関を掲載できるよう、医療機関や関係団体への働きかけを進めているところでございます。
 また、県政懇談会では、先ほど委員からもお話しいただきましたとおり、提言のほか、参加者の活動内容や課題など幅広い貴重な発言をいただいているところでございます。これらの意見の概要につきましては、庁議において報告いたしまして、全部局で共有して業務の参考としているところでございます。
 なお、参加者アンケートにおきまして、県政懇談会がきっかけになり、地域内での新たな連携につながったなどの評価もいただいているところでございます。
〇工藤勝博委員 私も議事録を見せてもらった中で、特に、今新型コロナウイルスで大変な状況ですけれども、インバウンドでかなりの人数が来ているのに、外国人を診られる医療機関の数が余りにも少ないと言われている方がおりましたね。それらも含めて今後のことを考えますと、ILCも、再来年度ですか、インターナショナルスクールもできるということになれば、こういう施設、場所で対応できるということは当然オープンにしていかなければならないだろうと思います。それが、外国から来るお客様にとっては、安心して岩手に行けるという状況になると思いますので、それらを十分考慮しながら進めていただければという思いがしております。
 次に、2点目ですけれども、県政モニターとかアンケートというのは所轄の部分もあるだろうと思いますからお聞きしますが、今、民間の会社で大変そういう意識調査が行われております。昨年の2月定例会の一般質問の中で質問しましたが、そういう岩手県を客観的に外部から見たいろいろな調査があるわけですけれども、その中でどうしても腑に落ちない点が何点かあるのですね。というのは、いわて県民計画(2019〜2028)で幸福度を上げるという中で、岩手の幸福度あるいは満足度が、民間会社が調査した結果と、岩手県が調査している結果とでかなり開きがあるなという思いがあります。
 その辺のモニターあるいはアンケートのとり方は今後どういう形でなされるのか、まずお伺いしたいと思います。
〇中里参事兼広聴広報課総括課長 県政モニター制度についてでございます。県政モニター制度は、県政に関し、広く県民の意見を聞き、県政運営上の参考とすることを目的に昭和39年に創設しまして、現在のモニター制度につきましては、平成21年度から実施しているところでございます。
 モニターアンケートにつきましては、県の個々の政策課題について、県民の意識ですとか生活実態の現況についてアンケート形式で伺っているものでございまして、今年度は、例えば、文化芸術に関する意識調査、ひとにやさしいまちづくりに関する意識調査、岩手県議会の広報について、インターネット空間における治安等の実態調査など、計9回のアンケート調査を実施いたしまして、79%の方々から回答をいただいているところでございます。
 今申し上げましたとおり、この県政モニターアンケートは、県政運営に対する県民の意向を把握する手段として実施しているものでございます。その結果につきましては、各種計画の策定や見直しの参考として活用しているほか、報告書として取りまとめて公表するとともに、モニターの皆様にも送付しているものでございます。
 個々の政策立案あるいは計画策定などにモニターの御意見が反映されるということで、それぞれの施策が幸福度の向上につながるように、各部局において取り組んでいるものと認識しております。
〇工藤勝博委員 それぞれ機会あるごとに調査は当然進むだろうと思いますけれども、やはりいわて県民計画(2019〜2028)もそうですが、次の第2期岩手県ふるさと振興総合戦略を進めるに当たっても、それぞれの地域ごとに県民の感覚と違ってくる部分が当然あると思うのです。それらも含めて、このモニターあるいはアンケート調査は相当大事になってくるのだろうと思います。
 いろいろな指標の中では満足度が80とかとあるのですけれども、果たして本当にそうなのだろうかという実感を受けているわけです。というのも、やっぱり経済も盛んにいいとき、過去に総中流の意識があった時代と違って、それぞれの格差が広がっている中ではいろいろな捉え方があると思うので、それらも含めてこのアンケートなり、あるいはモニターの重要性が高まると思うのですけれども、その辺をもう少し吟味していただきたいと思います。
 私は一般質問でも知事に質問しましたが、岩手県の幸福度が、民間の調査会社の調査結果では非常に低いのですね。幸福度が全国で下から2番目。そして、悩みが多いのは、逆に岩手県が全国第4位という数字も出ています。
 やっぱり国民が全てそういう情報をキャッチしているわけですよ。これでは、岩手県に定住しようという思いは、当然生まれてこないだろうと私は思います。北陸3県のように、常に暮らしの満足度でも教育でも上位にあれば、やっぱりそういう場所に住みたいなと思うのは、当然誰しもが考えることだろうと思いますので、その辺も含めて、どういう形で調査を行うか、幸福度なり満足度を上げていくかというのが大事だろうと思います。
 知事も、2019年は17%の満足度だ。今は35%まで上がっているのだと言っていますけれども、私が考えるには、それは自己満足ではないかという感じがしますので、それらも含めて、県民にどれだけその思いを伝えるか、そしてまた、それらの調査もしっかりやっていただきたいと思いますので、室長に聞いて、終わりたいと思います。
〇高橋秘書広報室長 委員からお話のありました民間調査での結果などについて、必ずしも本県が上位に位置していないといったような結果があることは承知しております。そういった中で、客観的な統計調査、統計数値といったものが、どのように生活満足度に結びついているのかとか、あるいは統計上は他県と同じような水準に岩手県があるのだけれども、それがやっぱり実感としてはもっと低く出るような傾向があるのかとか、そういった客観的な指標の動きと実際の定性的な県民感情とをどうつないで分析していくかということが重要になるかと思います。私ども、例えば県政提言での県民の意見ですとか、先ほど御質問のありました懇談会での意見といった、直接県民から意見を聞く場できちんと丁寧に意見を拾いまして、そういった分析につなげて、政策の推進に役立てていけるよう取り組んでまいりたいと考えます。
〇斉藤信委員 それでは最初に、副知事2人体制で、知事のトップマネジメントが具体的にどう発揮されてきたかを示してください。
〇高橋秘書広報室長 今年度は、新たにスタートしたいわて県民計画(2019〜2028)に基づいて、東日本大震災津波からの復興に最優先で取り組むとともに、県民の幸福度の向上を図る10の政策分野に基づく施策、また、ILCプロジェクトや三つのゾーンプロジェクトなどの計画を軌道に乗せるべく、知事を先頭に取り組んできたところであります。こうした中、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の策定にも取り組んでおりました。
 多岐にわたる県政課題への対応に当たっては、副知事2人が、きめ細かく全庁に目配りし、また、国、市町村や関係団体、企業等との意見交換等を行いながら、知事の意思決定がなされてきたものと受けとめております。
 具体的には、復興事業の着実な推進、東日本大震災津波伝承館開館による復興情報の発信、関係市町村と連携したラグビーワールドカップ2019岩手・釜石や三陸防災復興プロジェクト2019の開催、ものづくり産業の一層の集積、高度化ですとかトップセールスの充実、また、国による医師偏在指標を契機とした地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会の発足などに取り組んでまいりました。
 昨年の台風第19号災害においては、発災直後から知事、副知事が分担して現地に赴きまして、市町村長への面会等を通じ、いち早く被害状況を把握するとともに、これらを踏まえた庁内への対応指示、早期の国への要望など迅速に進められたところであります。
〇斉藤信委員 今、最後に、昨年の台風19号災害のときにも知事がいち早く現地に行くと。その後、副知事もしっかりと被災地を回って現状把握ということは、私も実感しておりました。この副知事2人体制、再び来年度も2人体制でいくということですので、この体制をますます強化していただきたい。
 次に、今年度の県政懇談会は、今も質問がありました。10回の県政懇談会を見ますと、若者、女性との懇談が4回、大学生との懇談が1回と、若者、女性で半分を占めるのですね。私は、これは大変いいことだと思います。これからの岩手を担う若者、女性との懇談が5回行われてきたということですけれども、その懇談の特徴、若者、女性からの提言の内容、その具体化を示してください。
〇中里参事兼広聴広報課総括課長 県政懇談会は、今、委員からもお話しいただきましたとおり、10回のうち5回は、若者、女性、大学生等を対象とした懇談会としまして、全体を通して若者、女性の積極的な参画が図られるように取り組んでまいりました。
 参加した若者、女性からは、地元での就職や起業、子育て、地域の活性化など、さまざまな視点での御意見がありましたが、直ちに取り組みが進んだものとしましては、ウニのブランド化についての提言がございまして、県では、新たな観光資源として、観光パンフレットでのウニの紹介ですとか、首都圏飲食店等に対してPRをするなどの取り組みを進めていくこととしております。
 また、県立の特別支援学校の通学に対する支援についての御提言がございまして、県では、児童生徒の状況を勘案したルートの選定や時間設定等を検討いたしまして、通学バスの運行に向けた環境整備を進めていくこととしたところでございます。
 大学生等を対象とした懇談会では、今年度は一関工業高等専門学校で行いましたが、県内で就職するメリットの情報発信についての御提言がございまして、県では、高校生や保護者向けのガイダンス、県内企業を紹介する企業キャラバン、ふるさと発見!大交流会などの取り組みを進め、より一層、県内就職への取り組みを強化していくこととしたところでございます。
 このように、県政懇談会で出された意見、提言の実現に向けて、全庁挙げて取り組んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 若者、女性、大学生等に知事がみずから直接話を聞く、意見交換をするのは大変大事なことだと思っておりますので、引き続き重視をしていただきたい。
 県政懇談会のもう一つの特徴は、沿岸5カ所で復興をテーマにして行われていると。これは復興重視の達増県政の姿が示されているなと私は思いますが、復興をテーマにした懇談での意見、提言の特徴、その具体化についてはいかがでしょうか。
〇中里参事兼広聴広報課総括課長 復興をテーマにした県政懇談会におきましては、例えば、三陸鉄道につきまして、もっとPRをしたほうがいいのではないかですとか、あとは、商工会でも地元に来てもらう工夫をしているのだけれども、道路や鉄道の開通がそれを後押しするので、ぜひ道路、鉄道の開通を進めてほしいといった御意見を頂戴いたしまして、それを踏まえて県政を推進しているところでございます。
〇斉藤信委員 今年度は知事選挙もあり、台風第19号災害もあり、回数が限られたと思いますけれども、知事が直接、復興の課題、若者、女性とのこうした懇談を行うことについて、ぜひこれまで以上に強化していただきたい。
 最後の質問ですけれども、知事、副知事の市町村長との懇談の状況、懇談時間はどうなっていますか。
〇安藤秘書課総括課長 まず、知事と市町村長との懇談の実績についてでございます。
 平成30年度は、秘書課として把握しております分で20回、延べ33市町村長との懇談を行っておりまして、そのうち、例えば30分以上の懇談は11回でございます。今年度は、これまでに11回、延べ19市町村長との懇談を行っておりまして、そのうち30分以上の懇談は7回でございます。
 次に、副知事ですが、平成30年度は、両副知事合わせて76回、延べ82市町村長との懇談を行っており、そのうち30分以上の懇談は20回でございます。今年度は、両副知事合わせて2月末現在で34回、延べ34市町村長との懇談を行っておりまして、そのうち30分以上の懇談は18回でございます。
 また、今年度の特徴でございますけれども、特に、知事につきましては、知事の選挙期間があったこともございまして、回数こそ減少しておりますけれども、全体に占める沿岸市町村長との懇談の割合が増加いたしましたほか、令和元年台風第19号災害の際は、副知事と分担いたしまして現地視察を行い、市町村長等との意見交換を行うなど、必要に応じて臨機応変に対応してきたものと考えております。
〇斉藤信委員 知事と市町村長との懇談は、回数はちょっと少なかったのですが、資料を見ますと45分とか50分とか40分とかとなっていますので、私は、今までは懇談の時間が大変短いのではないかと指摘してきたけれども、若干改善はされているなと思います。ただ、率直に言いますと、私も令和元年台風第19号災害などでは、宮古市、山田町に3回行きました。陸前高田市には、この間、復興の調査で行きましたけれども、私たちの調査は最低1時間。1時間でも時間が足りないぐらいなのですね。だから私は、回数、時間については、やっぱりもっとじっくり聞くという改善が引き続き必要だと思います。本当に30分程度では挨拶に毛の生えた程度ですよ。だから、やっぱり聞きたいことを聞くし、きちんと知事に訴えたいことをしっかり受けとめるという、この改善はぜひやっていただきたい。
 あと、あわせて、私は、副知事は2人体制でいくわけだから、副知事の場合はもっとじっくり、市町村長や副市町村長などともっとじっくり、現場も見るし話も聞くという改善に引き続き努めていただきたい。
 ぜひそういう方向で、岩手県は、何でも市町村と協力してやるというのが、ほかの県にない特徴なのですよ。どんな事業でも。だから、そういう意味でいくと市町村との関係は濃密だと。ただ、その中身も大事で、やっぱり市町村長というのは、その地域で全責任を持って苦労されている方ですので、知事、副知事が一層、そういう方々にしっかり話を聞く、そして対応もするという姿を示すことがすごく大事だと思うので、最後に室長の答弁を求めて、終わります。
〇高橋秘書広報室長 先ほど答弁の中で申しましたが、ラグビーワールドカップ2019岩手・釜石の開催ですとか、三陸防災復興プロジェクト2019の開催に当たっては、本当に関係市町村長と知事、副知事が濃密に意見交換を重ねて、成功に結びついたと受けとめております。
 知事からは、かねてより市町村長との個別の意見交換の場は、タイミングを見て設定するよう指示を受けておりまして、そういったことについて、新体制においても、そういった機会の確保に事務方としても努めてまいります。
〇柳村一委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇柳村一委員長 質疑がないようでありますので、これで秘書広報室関係の質疑を終わります。
 秘書広報室の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。
 次に、政策地域部長に政策地域部関係の説明を求めます。
〇白水政策地域部長 それでは、令和2年度のふるさと振興部関係の歳出予算につきまして御説明申し上げます。
 なお、組織再編によりまして、来年度、当部から政策企画部及び商工労働観光部に移管予定の事業につきましては、当部において御説明させていただきますが、他部局からふるさと振興部に移管予定の事業につきましては、現在、所管しております部局からの説明となりますので、あらかじめ御了承願います。
 まず、当部の予算編成に当たっての基本的な考え方でございますが、令和2年度は、東日本大震災津波及び台風災害からの復旧、復興に最優先で取り組むとともに、いわて県民計画(2019〜2028)のもと、ふるさと振興や社会基盤の整備など、県民の幸福度向上を図る10の政策分野に基づく施策を推進してまいります。
 また、三陸や北いわてを初めとする新しい時代を切り拓くプロジェクトの関連事業のほか、ソサエティー5.0の実現に向けた情報通信技術の活用による地域課題解決の取り組みなどを積極的に推進してまいります。
 それでは、歳出予算につきまして御説明申し上げます。恐縮でございます、お手元の議案その1の6ページをお開きいただけますでしょうか。
 ふるさと振興部関係の予算は、2款総務費のうち、1項総務管理費の一部9億6、200万円余、2項企画費の一部3億4、500万円余、続きまして4項地域振興費の一部77億9、700万円余、5項選挙費の5、400万円余、7項統計調査費の9億6、200万円余、続きまして8ページに参りまして、10款教育費のうち、1項教育総務費の一部160万円余、続きまして9ページでございますが、8項大学費の43億2、600万円余、9項私立学校費の69億3、900万円余、これらを合わせまして、総額で213億9、000万円余となっております。これを政策地域部の前年度当初予算額と比較いたしますと3億5、400万円余、約1.7%の増となっておりますが、これは、選挙費が大幅に減額となりました一方で、地域総合整備資金貸付金及び三陸鉄道運営支援事業費等が増額となったことに伴うものでございます。
 また、このほか2款総務費2項企画費の一部4、300万円余につきましては、当部から政策企画部へ移管、7款商工費1項商工業費の一部5、300万円余につきましては、当部から商工労働観光部へ移管する予算となっております。
 それでは、予算の内容につきまして、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
 なお、重点事項等、主な事業の内容について御説明し、事業ごとの金額の読み上げは省略させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、予算に関する説明書の93ページをお願いいたします。2款総務費1項総務管理費7目情報システム管理費9億6、200万円余でございますが、行政情報ネットワークや庁内情報システム等の管理運営に要する経費でございます。
 続きまして、95ページをお願いいたします。2項企画費1目企画総務費でございますが、まず、説明欄の政策企画部のうち、当部から移管する事業は、二つ目の全国知事会負担金でございます。次に、ふるさと振興部所管2億5、000万円余のうち、主なものでございますが、説明欄のふるさと振興部の一番下の産学官連携地域産業創生推進費につきましては、高等教育機関と連携し、自動車等のものづくり産業における最先端ものづくり産業拠点を創生する取り組みを行うものでございます。続きまして、96ページをお開きいただけますでしょうか。2目計画調査費につきましては、当部から政策企画部へ移管する予算が3、400万円余、ふるさと振興部所管が770万円余となっておりまして、その主なものでございますが、まず、説明欄の政策企画部の一番上でございますが、総合計画推進費につきましては、岩手県総合計画審議会の開催や県の施策の取り組み状況等を紹介する冊子を作成するなど、いわて県民計画(2019〜2028)を総合的かつ効果的に推進しようとするものでございます。一番下の次期国土強靱化地域計画策定費につきましては、令和3年度以降の国土強靱化推進のため、次期計画策定に向けた外部連絡会議を開催しようとするものでございます。続きまして、97ページをお願いいたします。4目科学技術振興費8、700万円余のうち、主なものでございますが、説明欄のふるさと振興部の上から四つ目でございますが、科学技術イノベーション活用推進費につきましては、先端技術の実証実験の実施など、科学技術を活用した地域社会課題解決の取り組みを実施するものでございます。
 少し飛びまして、恐縮でございますが、100ページをよろしくお願いいたします。4項地域振興費1目地域振興総務費のふるさと振興部所管の48億3、500万円余のうち、主なものでございますが、まず、説明欄の上から五つ目の地域経営推進費につきましては、広域振興局による各地域の地域振興や復興状況に応じた事業の実施、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の機運醸成等に向けた市町村の取り組みを支援するものでございます。三つ飛びまして、5G等による地域課題解決モデル構築推進費につきましては、ローカル5G等を活用した地域課題解決モデルの構築に向けた取り組みを行うものでございます。その次の携帯電話等エリア整備事業費補助につきましては、携帯電話の利用可能地域の拡大を図るため、市町村が行う整備事業に要する経費を補助するものでございます。一つ飛びまして、新しい三陸振興推進費につきましては、産学官連携による体制を構築し、震災の教訓や三陸の多様な魅力を発信する取り組みを実施するものでございます。その次の三陸・北いわて地域活性化推進積立金につきましては、三陸及び北いわてのゾーンプロジェクトの取り組みの効果を促進する事業を実施するため、地域振興基金に積み立てるものでございます。その次のいわて復興応援隊活動推進事業費につきましては、いわて復興応援隊を配置し、地域の活性化を図るとともに、将来の人材定着につなげる取り組みを行うものでございます。一つ飛びまして、活力ある小集落構築支援事業費につきましては、将来にわたり、持続可能で活力のある地域コミュニティーの実現に向けた取り組みを行うものでございます。その次の地域おこし協力隊起業化支援事業費につきましては、起業セミナーや隊員の受け入れ拡大に向けた研修会等を開催するものでございます。その次の人交密度向上推進事業費につきましては、地域と多様にかかわる関係人口の創出、拡大を図るため、複業を通じた関係人口の創出や、情報発信を行う基盤構築に向けた取り組み等を行うものでございます。二つ飛びまして、地域総合整備資金貸付金につきましては、地域の振興、地域経済の活性化と魅力あるふるさとづくりに資するため、民間事業活動を支援するための資金を貸し付けるものでございます。次に、101ページをお願いいたします。2目市町村振興費8億3、200万円余のうち、主なものでございますが、まず、説明欄の一番上でございますが、市町村行財政事務調査費につきましては、応援職員のメンタルヘルスケア対策を実施するとともに、応援職員確保に係る取り組みや課題をまとめた情報誌の発行等を行うものでございます。一番下の市町村振興宝くじ交付金につきましては、市町村への貸し付けの原資や交付資金として活用するため、公益財団法人岩手県市町村振興協会に対しまして、市町村振興宝くじの発売収益金を交付するものでございます。次に、3目交通対策費19億1、300万円余のうち、主なものでございますが、まず、説明欄の三つ目でございますが、三陸鉄道運営支援事業費のうち、三つ目の三陸鉄道運営費補助につきましては、関係市町村と連携して設備の維持管理等に要する経費を補助するものでございます。五つ目の三陸鉄道運転資金貸付金につきましては、令和元年台風第19号の被災に伴い必要となる資金を貸し付けるものでございます。その次の三陸鉄道安全輸送設備等整備事業費補助につきましては、三陸鉄道の安全性向上に資する設備投資経費に対しまして、県と市町村が連携して補助するものでございます。その次の並行在来線対策事業費につきましては、次の102ページに参りまして、一番上のいわて銀河鉄道経営安定化基金積立金でございますが、県と沿線市町が連携し、車両更新に要する経費等について、いわて銀河鉄道経営安定化基金に積み立てるものでございます。その次のバス運行対策費につきましては、国庫補助制度に基づき、バス事業者に対して、運行欠損額及び車両購入費を補助するものでございます。三つ飛びまして、いわて花巻空港利用促進事業費につきましては、国内路線の維持、拡充や国際定期便の持続、安定的な運航、国際線のさらなる運航拡大に向けたエアポートセールスの展開を行うものでございます。その次の被災地通学支援事業費補助につきましては、被災地において、公共交通機関が実施する高校生等への通学費用の負担軽減支援に要する経費を補助するものでございます。次に、4目国際交流推進費2億1、600万円余のうち、主なものでございますが、まず、説明欄の二つ目の国際交流推進費につきましては、語学指導等を行う外国青年招致事業による国際交流員の招致や、多文化共生社会の実現を目指した取り組みを行うものでございます。三つ飛びまして、世界と岩手をつなぐ地域の国際人材育成推進事業費につきましては、地域を支える国際人材を育成するため、世界と岩手をつなぐ強い意欲を持つ高校生を対象とした海外派遣研修を行うものでございます。その次の雲南省友好交流推進事業費につきましては、本県と雲南省とのネットワークの強化を図るため、青少年の相互交流を実施するほか、交流状況を県民向けに情報発信するものでございます。一つ飛びまして、地域多文化共生推進費につきましては、国際交流、多文化共生の推進を図るため、災害時の在住外国人支援体制構築の取り組み等を行うものでございます。
 続きまして、104ページをお開きいただけますでしょうか。5項選挙費につきましては、1目は選挙管理委員会費といたしまして5、100万円余、2目は選挙啓発費といたしまして240万円余をそれぞれ計上しております。
 少し飛びまして、108ページをお開きいただけますでしょうか。7項統計調査費1目統計調査総務費2億3、800万円余につきましては、統計調査業務に係る人件費及び一般管理事務費でございます。2目地方統計調査費570万円余につきましては、県単独で実施する統計調査に要する経費でございます。次の109ページですが、3目委託統計調査費7億1、800万円余につきましては、国の委託により実施する統計調査に要する経費でございます。
 次に、ページをちょっと大きく飛んでいただいて恐縮ですが、216ページをお開きいただけますでしょうか。10款教育費1項教育総務費4目教育指導費のうち、ふるさと振興部関係は、説明欄の一番上のいじめ防止対策推進費160万円余でございます。
 次に、また飛んでもらって恐縮ですが、232ページをよろしくお願いいたします。8項大学費1目大学費43億2、600万円余につきましては、公立大学法人岩手県立大学に対し、運営費交付金等を交付しようとするものでございます。
 次の233ページをお開きいただけますでしょうか。9項私立学校費1目私立学校費69億3、900万円余のうち、主なものでございますが、まず、説明欄の上から四つ目の私立高等学校等就学支援金交付金につきましては、私立高等学校における教育費の負担軽減を図るため、就学支援金を交付するものでございます。その次の私立学校運営費補助につきましては、私立学校の安定的な教育環境の確保を図るため、学校運営等に要する経費の一部を補助するものでございます。
 続きまして、商工労働観光部へ移管いたします事業につきまして御説明させていただきます。
 恐縮でございますが、少し戻っていただきまして、184ページをお開きいただけますでしょうか。7款商工費1項商工業費1目商工業総務費の下から四つ目のいわてまるごと売込み推進事業費につきましては、県産品の販路拡大や観光客の誘客拡大等に向けて、戦略的に対外的売り込み活動等の取り組みを行うものでございます。その次の東京2020オリンピック・パラリンピック情報発信事業費につきましては、オリンピック及びパラリンピックの開催時期に合わせ、東京都において情報発信を行うものでございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。御審議のほどどうぞよろしくお願い申し上げます。
〇柳村一委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇五日市王委員 私からは、県北・沿岸振興の体制についてお伺いいたします。
 思い起こせば、平成18年1月に副知事を本部長とする県北・沿岸振興本部が設置されまして、時を同じくして、県議会の中にも伊藤勢至委員を初代会長といたします県北・沿岸振興議員連盟が立ち上がりました。平成19年には達増知事が県政を引き継がれたわけですが、そのときに県政の最重要課題と位置づけられて、さあやるぞといった矢先に、御案内のとおり、東日本大震災津波が発生いたしました。
 この東日本大震災津波が発生して、県政の最重要課題は、当然ながら震災復興優先という形で来た9年間ではあったわけですが、このたび、4月から、いよいよ県北・沿岸振興室を設置していただいて、これに全庁挙げて取り組む体制が組まれたことに関しましては、我々県北住民にとりましては、悲願でもあり、大変期待しているところでございます。
 そういうことを踏まえまして、まず最初に、県北・沿岸振興本部は、副知事を本部長としておりまして、これまでは千葉副知事が本部長として担ってきたわけでございますが、保副知事との2人体制になってからは、保副知事が本部長ということで今も続いているわけです。この体制は維持、継続されていくのか、まずはお伺いいたします。
〇大釜県北沿岸振興課長 お尋ねのありました県北・沿岸振興本部についてでございますが、これまで県北・沿岸振興体制につきましては、委員から御説明のありましたとおり、副知事を本部長といたします県北・沿岸振興本部、これは県の各部局が参加して構成する組織となっておりますが、この県北・沿岸振興本部のもと、アパレルなどの地域資源を活用した産業の振興や三陸地域における交流人口の拡大などについて、全庁挙げて取り組んできたところでございます。
 一方で、復興需要の減少や人口減少と高齢化が進行している地域でもあり、持続的に発展する地域づくりに引き続き取り組んでいく必要がありますことから、今回新設する県北・沿岸振興室が中心となりまして、先端技術を生かした産業振興や新たな交通ネットワークを生かした交流人口の拡大など、この県北・沿岸振興本部のもと、全庁挙げた体制によって、これまで以上に力強く県北・沿岸振興に取り組んでまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 県北・沿岸振興室の体制についてちょっとお伺いいたします。
 13人体制ということで、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトの推進を担う県北振興課長と三陸防災復興ゾーンプロジェクト推進等を担う沿岸振興課長及び特命課長(三陸総合振興)を配置ということでございますが、13人体制。これまでは大釜県北沿岸振興課長のもとに、課長プラス1人、2人、3人ぐらいの体制で来たのだと思います。それに比べれば、まさに3倍、4倍の体制強化ということになると思います。ですから、予算も事業も財源も3倍、4倍にしていただければ本当は一番いいわけでございますが、なかなかそれも難しいかと思います。
 いずれ、そういった体制の中で、恐らく13人、室長がいて、県北6人、沿岸6人というような感じなのかなと思うのですが、これは、今まさに人事が大詰めの作業中だということなので、そこには触れません。いずれ知事の演述の中でも、こういった体制で市町村や関係団体との連携、協働といったことがしきりにうたわれているわけでございますが、この具体策をどう考えているのかお伺いいたします。
〇大釜県北沿岸振興課長 市町村等との連携、協働でございますが、県北・沿岸振興の着実な推進のためには、今回新設する県北・沿岸振興室が中心となりましてさまざまな施策を進めていくことに加えまして、委員御指摘のとおり、市町村を初めとした関係団体と連携、協働して取り組むことが重要であると認識しております。
 このため県では、県政に関する県と市町村との意見交換会を開催し、施策の推進に向けて市町村との連携の強化を図っておりますが、地域の意見交換などをこれ以外にも行っておりまして、県北地域におきましては、昨年8月に県と北岩手の13市町村で構成します北いわて未来戦略推進連絡会議を設置いたしまして、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトの取り組み内容について、意見交換の機会を設けているところでございます。
 また、沿岸地域におきましては、本年2月に、県、沿岸市町村、関係団体等を構成員とします三陸振興協議会を設置いたしまして、第1回協議会では、県、市町村、関係団体等が、それぞれ主体となって行う事業を持ち寄り、三陸防災復興プロジェクトとして三陸一体で継続して取り組むことを共有したところでございます。
 今後も引き続き、市町村や地域の団体、企業など多様な主体と連携しながら、地域の特性や資源を生かした施策を展開し、持続的に発展する地域の創造に取り組んでまいります。
〇五日市王委員 ぜひ、濃密な関係を築いていただければと思います。
 あともう一つは、事業を進める上で、広域振興局との連携は大変大事になってくると思います。これまでは、本庁の体制が2人、3人体制だったものですから、当然、広域振興局でいろんなケアがあったと思うのですが、まず最初に、県庁の体制がパワーアップすることによって広域振興局の体制に変化はあるのか。釜石、久慈の本局、あと二戸、宮古、大船渡の地域振興センターには何か変化があるのかどうか、そこをまずお聞きします。
〇大釜県北沿岸振興課長 広域振興局との連携、役割分担についてでございますが、現在の広域振興局は、産業振興による地域経済の活性化を主眼といたしまして、一層の地域ニーズに即した施策展開が可能となるよう、市町村優先の行政システムのもとで、市町村への支援や広域的、専門的なサービスの提供などを行うことを目的に設置しているものでございます。
 今回、県北・沿岸振興室の設置によりまして、県北・沿岸振興の体制が拡充されることから、北いわて未来づくりネットワークなど、県北広域振興局が主体となって取り組む事業とも緊密な連携を図ることによりまして、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる、北いわてあるいは三陸のゾーンプロジェクトを推進してまいります。
 引き続き、県北・沿岸振興本部を初めとしまして、県北・沿岸振興の施策を検討する各種会議を通じまして、広域振興局が把握する地域ニーズの施策への反映をこれまで以上に丁寧に進めながら、県北・沿岸振興の取り組みを強力に推進してまいりたいと考えております。
〇小野副部長兼政策推進室長 委員からもう一点御質問がございました、県北・沿岸振興室が設置されるけれども、広域振興局の体制はどうなのかということについてでございます。
 先ほど課長から広域振興局の役割についてお話しいたしましたけれども、また、復興についても、引き続き、特に沿岸広域振興局、県北広域振興局を中心に、最後までしっかりと進めていかなければいけないという状況がございますので、この県北、沿岸を含めました広域振興局につきましては、引き続き同じ体制で進めていくということでございます。
〇五日市王委員 わかりました。連携体制、役割分担は御答弁いただきましたし、広域振興局も変化はないと、このままの体制でいくということなので、まずは安心をしました。ぜひとも、ここも連携を強化して続けていただきたいと思います。
 県北・沿岸振興議員連盟、今は県北・沿岸復興議員連盟という名前になっていますが、震災前に何度も知事にいろんな提言をしています。例えば、平成20年度の予算編成に向けた提言をしておりまして、これは6項目あります。財源確保と重点配分、社会資本整備促進、産業振興の積極的取り組み、公共交通機関の維持、利用促進、これは三陸鉄道、IGRを含みます。地域医療体制の充実確保、そして教育の充実。これは平成20年に提言した内容でございますが、あれから12年たった今でも全く色あせない要望でございますので、ぜひこういった観点を頭にたたき込んでいただきまして、これからの県北・沿岸振興に取り組んでいただきたいと思います。
 部長、何かありましたらお願いします。
〇白水政策地域部長 今、御指摘をいただきました、平成20年にいただいた提言についてでございますけれども、財源あるいは社会資本の整備、それから産業振興、地域医療の確保等々、非常に重要な課題であると思っております。そういった観点も踏まえまして、昨年度、いわて県民計画(2019〜2028)を策定したところでございますけれども、その中の北いわてのプロジェクト、あるいは三陸沿岸のプロジェクトにも反映させていただいたと考えております。いずれにいたしましても、来年度、ふるさと振興部において体制を強化いたしますし、それから、いわて県民計画(2019〜2028)のプロジェクトもいよいよ2年度目ということで、より施策の具体化あるいは成果が求められる時期になってくるかと思いますので、この点を踏まえてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 次に、広域振興局の枠組みの見直しについてお伺いいたします。
 広域振興局は昭和48年に九つの広域振興圏でスタートいたしまして、その後、平成17年12月に現在の四つに設定されて、平成18年4月に県南広域振興局が先行して実施されて、平成22年4月に現在の4広域振興局体制になったわけでございます。4広域振興局体制になってから10年がたつわけですが、特に県北広域振興局体制の評価的なものはどのように捉えているのかお伺いいたします。
〇大釜県北沿岸振興課長 県北広域振興局の取り組みの評価についてでございますが、県北広域振興局におきましては、目指す姿を、多様かつ豊富な資源、技術、培われた知恵、文化を生かし、北東北、北海道に広がる交流連携を深めながら、新たな地域振興を展開する地域として、隣接する圏域等とのつながりを生かし、一人一人が健康で心豊かに暮らせる地域、自然豊かで再生可能エネルギーを生かした災害に強い地域、誇れる北いわての地域資源を生かした産業が展開し、意欲を持って働ける地域、これらを目指して取り組みを進めているところでございます。
 人口減少や高齢化率が県平均を上回る地域である一方、アパレルや食産業など地域の特色ある産業を生かし、働くなら県北、育てるなら県北、暮らすなら県北として、北岩手圏域における働き方改革の取り組みとして、地域の企業が主体となって、産学官や異業種が参加する北いわて未来づくりネットワークの立ち上げを図ったり、11月の御所野縄文WEEKの開催などによる北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録を目指した事業の展開などを進めてきました。また、昨年2月に、神奈川県横浜市と岩手県北の9市町村が締結した再生可能エネルギーの活用に関する連携協定に関しては、横浜市と各市町村、環境省、関係団体等の協議の場に参加し情報共有を図っているほか、先日、2月18日に開催されました北岩手循環共生圏結成式においては、県北広域振興局が共催として参加するなど、地域の取り組みを支援しております。
 いずれにしましても、限りある地域の資源を有効に活用し、魅力ある地域づくりに積極的に取り組んでいただいているものと承知しております。
〇五日市王委員 10年たって、県北も、久慈地域ともいろんな交流も盛んになってきて、大分、住民同士の交流も深まってきたのはそのとおりだと思いますが、平成22年の4広域振興局体制にするとき、あるいはその前に枠組みを決めるときも、これはさまざまな議論があったわけでございます。特に震災が発生したことで、その後、来年度ですか、三陸沿岸道路が全線開通するという、これは非常に大きな社会的情勢の変化があったのだと私は思っております。そういった中で、沿岸部と内陸部が広域振興局管内に含まれているところは県北だけなのです。それはそれで、当然、連携その他はこれからも進めていくとしても、産業面とか経済面から言ったら、何と言うのでしょうか、沿岸部と内陸部はやっぱり違うわけですね。そういった中であれば、私は、沿岸部は沿岸部一本でやっていただいたほうが、これは久慈地域の皆さんにとっても私はプラスになるのだと思います。我々内陸部は、やはり内陸部の枠組みにしたほうがいいのだというのが持論です。そういったこともあって、そこに道路状況が大きく変わってきていることも含めると、そろそろそういったことの見直しを考えてみてもいいのではないかという思いでおります。そのことに対する見解を聞いて、きょうはそれ以上言いませんので、終わります。
〇大釜県北沿岸振興課長 県北広域振興局が所管する市町村の枠組みの見直しについてでございますが、いわて県民計画(2019〜2028)における、新しい時代を切り拓くプロジェクトの一つとして掲げております北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトでは、これまでの県北・沿岸振興の対象としてきました久慈広域圏、二戸広域圏に加えまして、その隣接市町村である八幡平市、葛巻町、岩手町、岩泉町、田野畑村の5市町村を加えた13市町村を基本として、ゾーンプロジェクトの考え方と一致した地域で運用することとしており、具体の取り組みに応じて適切な枠組みで取り組むこととしております。これらの地域におきましては、地域特性や地域課題の共通点も多く、農業や食産業などを生かした新たな産業の創出や、北海道や北東北との広域連携による交流人口の拡大、豊富な再生可能エネルギーを生かした地域の振興、中山間地域における快適な社会の形成など、取り組みを一体的に推進することが有効であると認識しております。このことから、事業や施策に応じて広く市町村に趣旨を説明し、協働、参画の意向を丁寧に確認しながら、広域振興局間の調整も含め、丁寧に取り組みを進めていきたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 私からは、地域公共交通のあり方について何点かお尋ねしたいと思います。
 我々住民は通勤の足として、バス等の公共交通を利用しているわけでありますが、ますます高齢化が進む本県、地域の暮らしを守っていく上でも、公共交通の充実というものは常に求められているものであります。我々自由民主党としても、市町村要望の聞き取りをしますと、どこの地域に行っても、公共交通のあり方というのはどういう考えで運営されているのか、地域にとっては欠くことのできない意識づけの中で要望が上がっております。そういった意味も含めて、きょう、そのお話をしたいと思っております。
 近年、高齢者を含めて、自主返納、免許を返す人たちがふえてきている傾向があるのですが、その辺の実情、実態を当局で把握しておりますでしょうか。ふえているのは承知しているのですけれども、その辺のことは……。意味、わかりますか。
 例えば去年は1、000件ありましたと。ことしは3、000件になりましたとか、そういう傾向がわかると余計話がしやすいところもあるのですけれども、その報告は後で……待ちます。
 そういった中で、免許を返せる人たちは、ある意味、次の手を準備できたか考えたかということだと思うのです。例えば家族に足の代行をできる人がいる、そういった中で返せる人たちもいれば、まだまだ沿岸部の人たちは、足がなくなるので、高齢な方、90歳を過ぎても免許を離さないで―離さないでというのはちょっとあれですけれども、周りには大分危険な、何だ何だという風景をたまに目にすることもあるのです。そういったところでは公共交通を運行していくことが必要ではないかと思うのですが、まずその辺の考え方はどうでしょうか。現状を踏まえて。そのぐらいはお話しできますか。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 地域公共交通網形成に向けた県の取り組みでございますが、今般のいわて県民計画(2019〜2028)におきまして、広域的な公共交通基盤や地域公共交通の確保、公共交通の利用促進など、地域の暮らしを支える公共交通の取り組みを掲げております。また、昨年度、県で作成いたしました岩手県地域公共交通網形成計画におきまして、持続可能な公共交通ネットワークの構築に向けまして、広域バス路線と地域内公共交通との接続利便性向上に取り組みますとともに、市町村と連携した持続的な公共交通の確保を図っていくことが重要と認識しているところでございます。
 県では、これまで、市町村における地域公共交通網形成計画の策定や、コミュニティーバスあるいはデマンド交通等の実証運行への支援を実施してきたところでございます。
 また、本年度、これらの取り組みに加えまして、地域内公共交通構築検討会を設置いたしまして、市町村とともに地域内公共交通への支援策について検討を行ってきたところでございまして、来年度以降も、持続可能な地域内公共交通の構築に向けたテーマについて検討を行い、地域公共交通の維持に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 確かに県は、いろいろな国の制度を活用しながら地域交通を守るという働きをされていることに対しては、大変我々もありがたく思っているところなのですが、被災地から公共交通のあり方を考えていくと、県がいろいろと計画的なものを積み上げていく段階で、基本的には医療を初め、それから経済的なものを含めて、もともと内陸部と沿岸部との格差がいろんな面であった中での計画の積み上げになっているのか、そこを切り取った形での住民の利便性をどう図っていくかというところに踏み込んで計画なり路網の見直しを図っていただきたいと思っているのが一つです。
 今、これからそういったところの計画の見直しをしながら、第一義的には、その辺をしっかり見定めて計画の中に盛り込んでいただければというのが一つ要望でもあります。
 実際、今、我々被災地の現状は、国庫補助を活用しながら公共交通が運行されておりますけれども、国の補助期間の終了がもう見えてきているところもあったり、そういったところにこれから県がどのように踏み込んでもらえるのか。要は、県単独でできない部分は、地元を含めて、それぞれ経費負担をしながら路網を残してもらう考えが必要ではないのかと。当然、便数も、利用客も少なくなってくれば、路線の変更なり廃止されることが見えてくるので、その辺を踏みとどまるような施策はどういったところにあるのか、その辺を当局でどのように考えられているのかをお示し願えればと思います。
〇渡辺特例参事兼地域交通課長 ただいま委員からお話のありましたとおり、沿岸の被災地におきましてはいまだまちづくりの途上でございますので、そういった状況の中、地域公共交通の維持、確保が重要と考えております。ということで、国が実施しております被災地特例の延長は必要不可欠と考えておりまして、国に対して被災地の公共交通あるいはまちづくりの状況をしっかり丁寧に説明しまして、この被災地特例あるいは激変緩和措置の延長をまずは強く要望していくところでございます。
 仮に被災地特例が終了とされた場合どうやっていくのかにつきましても、今年度設置いたしました地域内公共交通構築検討会におきまして、市町村の意見をお伺いしながら、被災地における公共交通の維持、確保に向け、必要な支援策を検討してきたところでございまして、その被災地特例の延長の有無にかかわらず、もう既に撤退を表明しているバス路線等もありますことから、その代替交通を確保する市町村への支援に要する経費について新たに県単独補助制度を創設することとして、来年度当初予算案に所要額を計上したところでございます。
〇佐々木茂光委員 本当にありがたいと思います。今、免許を返すと足をどうするかという、先が見えないから厳しい状況に置かれている。そうでなくても、時間の経過もそうだが、さっきも言ったように人がどんどん減っていく。そこは何とかして踏みとどまらなければならないし、公共交通の利便性がその中では結構大きく占めているのではないかと思うのです。
 私は、高校生だった当時、通学は汽車、陸前高田駅までは当然自転車で行って、そこから汽車で隣町に行っていました。本来、我々が県に働きかけをしていかなければならないと思うけれども、鉄道関係もなくなって、当時6両だったものが今は1両も走らなくなるぐらい路線が消えてしまっているところもあるわけで、その地域の人たちが、いかにそれを利用するかが一番のベースになっていくと思うのです。
 今だから言うように、マイレール、マイバスの機運の醸成が地元からも上がるような、本当に俺たちは必要なのだ、本当に欲しいということを―よく私は市議会議員のときに、駅舎の問題とか大船渡線の問題でいろいろ要望が上がってJRの盛岡支社に行ったとき、きょうは何で来られましたかと言われて、バスで来ましたと。JR、鉄道のお願いに来るのに、自分たちはバスに乗ってきて、鉄道を何とかお願いしますではないだろうなと。そういった地域の機運というものを醸成させた形で、当局と一体となって要望するという締めくくり方も私は必要ではないかと思うのです。
 確かに、みんなバス、公共交通の利便性がないから、結局、今は子供たちもバスではなく、直接学校まで送り迎えをしてもらったり、私らから見るとどうなのかなと思うことが結構ありますよ。例えば、高田町まで行くのに、今まで車だったのを週1回はバスで行くかとか、そういう機運を醸成させていくことが非常に大事なのではないかと思うのです。
 私は今、大船渡市で会合があったりすると、行くときは車で送ってもらって、帰りはBRTに乗ってくるようにしています。そうすると、どれだけの人たちが利用するのかもわかるし、最終の便になると高校生たちが乗ってきて、お前どこの高校だとちょっと声をかけながら、私は多少アルコールも入っていたりするので、乗ったときは運転手さんに、ここに着いたら起こしてくださいと、いつもそういう形で利用しています。自分たちのバスがどうなのかという意識をしっかりみんな持たないと、当局が地域に取り入れるための相談、協議をするときに、地元のマイレール、マイバスという意識醸成を持って一緒にやっていきたいと私は思います。
 何でもそうだけれども、お願いするだけでなく、お願いするためにはどうしたらいいのですかというものをしっかり預けてやらないと、あなたたちが苦労するだけです。そのために、あなたたちに働きかけてもらいたいと思うし、地元はしっかりとそれに応えていかないと、あればいいな程度のものではないということを、我々はまだまだそういう意識づけもしっかりしなければならないと思っております。
 ちなみに、陸前高田市の横田町で地元の運転手をお願いして、自分たちで民間から車を借りて送迎をしている一つのケースが……(「質問しないと」と呼ぶ者あり)質問しているけれども。
 あとは、国土交通省がMaaSというのですか、モビリティ・アズ・ア・サービス、これは、国土交通省の先行モデル事業に全国から19事業が選定されているのですが、東北では福島県除きで選定された地区はないのです。制度的なもので国土交通省もいろんな事業を出しているそうだが、そういったものに対する岩手県の関心の度合いというか、取り組むことはあるのかないのか、その辺を含めてお尋ねします。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 まず1点目、マイレール、マイバスの機運醸成のお話をいただきました。
 公共交通の維持、確保には、通勤、通学、通院、買い物など日常的な公共交通の利用に向けて、委員からお話のあったとおり、県民一人一人の行動の変化を促す取り組みは重要であると考えております。このため、県では、公共交通機関を積極的に利用し、無理のない範囲内で自動車との使い分けを促す取り組みをこれまでも行ってきておりますが、今年度も9月下旬から1カ月間、公共交通スマートチャレンジ月間として実施したところでございます。また、市町村におきましてもいろいろやっておりまして、例えば公共交通マップの作成、公共交通に関するイベント、バスの日まつりとか機運醸成に向けた取り組みもやっておりますので、それに対しても県として支援をしているところでございます。
 委員から会議の話がありましたが、県でも、例えば三陸鉄道の会議をやる場合には、三陸鉄道の時刻に合わせた会議時間の設定をすることも利用促進の一つとして取り組んでいるところでございます。
 MaaSのお話がございました。本県におけるMaaSの導入につきましては、今年度、19の先行モデル事業ではないのですが、東北運輸局の主導のもとに、三陸・釜石地区におきまして、観光型MaaSの実証実験が行われたところでございます。
 県としては、この事業も含めて、国の19のモデル事業の取り組み結果を踏まえ、MaaSの課題や効果につきまして分析をするとともに、市町村や交通事業者との連携のもと、その導入について検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 新しい公共事業のあり方をしっかりこれから考えていくに当たって、受け手側である地元が大事だと思うのです。そういった意味では、機運醸成をしっかりとたたき込んだほうが私はいいと思います。例えば市の職員も市役所に来るときに、1路線でも何路線でもいいから、とりあえずバスに乗ってくれと。あと、つなぎは自転車でもいいわけだから、そういうことが必要なのかなと思います。
 例えば通勤、通学でもそうだけれども、高校生はもう文句なしに親たちが丁寧に送り迎えをしている。おまえたち、ばかじゃないのかと。ぶん投げておけば、黙っていても子供たちは行くのだから、そういったものも含めてやったほうがいいのではないかと思います。その辺の働きかけをしっかりやっていただきたいと思います。
〇伊藤勢至委員 関連。ただいまの鉄路あるいはバス路線の問題で、三陸沿岸の一人の住民として、東日本大震災津波発災後から、私はずっと仙台市と八戸市を一本のレールで結ぶべき、それを主張してまいりました。被災した陸前高田市、大船渡市は、確かに公共交通がなくなりましたので、そういう面では早くBRTでもいい、あるいは鉄路を使ってもいいという思いもあったかとは思いますが、そのことを考えても、震災が終わった後で、三陸全体の振興というものを考えたときには、ぜひ鉄路で復旧をしてもらいたいと主張してきたところであります。
 陸前高田市の気持ちもわかる、大船渡市もわかる。だけれども、特に三陸鉄道が盛まで一本でようやく復旧することになりましたが、こうなってくると、次の世代に残すものとしては、やっぱり一本のレールで仙台と八戸までが結ばれたほうがよかったと、こういうことに思いが行くのです。
 当時は、あくまでもBRTは仮設でありますと、JRから何回も説明がありましたが、金額的には470億円という数字がひとり歩きしました。だけれども、何言っているのだと。仙台から盛岡まで新幹線を延ばすときに、岩手県も秋田県も青森県も1、000億円ずつ負担をしているのじゃないかと。470億円が何ぼのものだと、そういうやりとりをしろと私はしゃべってきたつもりなのです。ところが、盛岡まで延びてきた新幹線が青森県まで延びて、そして北海道に渡るときに、北海道は1円も出していない。秋田県、岩手県、青森県が1、000億円ずつ負担をして青森県まで行った路線が、北海道まで延びていくのに、北海道の連中は1円も、仁義も義理も挨拶も何もなく持っていく、これはおかしいのではないか。こういう世界の言葉ではありませんが、仁義は通してもらいたいという思いは実はあったのです。そしたら、JRの仙台のクマモトとか何とかいうやつが、大船渡市に来て説明をするということになりましたが、この話が聞こえたのかどうか、来なかったのです。いいのです。来ても来なくてもいいのだけれども、いずれ、今ここまでこうなってきて、大船渡市あるいは陸前高田市の鉄路を新たに復旧して仙台市と八戸市を結ぶという議論は、今から起こせるものでしょうか。なり得るものでしょうか。それは三陸を振興する大きな目でメリットはあると思うのですが、いかがなものでしょうか。
〇白水政策地域部長 今、伊藤勢至委員から御質問をいただきました。これは、実は昨年でしたか、伊藤委員からもお話をいただきまして、岩手県議会の歴史的な議論があるということをお聞きいたしまして、私も過去の議事録を熟読させていただきました。まさに三陸を鉄路で結ぶという構想なりさまざまな議論がされていたとことを私も見させていただいたところでございます。
 三陸鉄道が昨年3月23日に全線開通になってから163キロメートル、これが全国最長の第三セクターということで私も非常に驚きましたけれども、それだけこの三陸沿岸は長いということを改めて実感いたしました。このたび、3月20日の全線再開通に向けて取り組んでいるところでございますけれども、この間、不通になりましてから沿岸のホテルの利用客が落ち込んだり、あるいはさまざま経済的な影響も出ているところでございますので、改めて、この鉄道の地域経済に与える影響の大きさは感じているところでございます。
 三陸鉄道の宮古駅のところに碑がありまして、私は宮古市に行くたびに必ず寄るようにしているのですけれども、たび重なる津波災害などを経てきた三陸地域において、三陸の未来を創建せよという碑がありまして、それは先人の皆さんの思いを我々後進も、後輩たちも、しっかり受け継いでいかないといけないという思いはしております。
 今、委員の御指摘の仙台市から八戸市まで結ぶという構想もあったところでありますけれども、最近の情勢として、御承知のとおり財政状況等もありますが、新たに三陸沿岸道路もできたということで、バスだとか鉄道だとかいろんな最適な組み合わせをして、どういった形が適当なのかを考えていく時期なのかなと思っております。
 いずれにいたしましても、先人のそういった思いをしっかり受け継いで、我々は三陸の振興のために、道路も含めてどういった公共交通ネットワークが必要なのか、しっかり考えて取り組んでまいりたいと思っております。
〇千葉伝委員 関連。佐々木茂光委員の質疑の中で、まずは高齢者の免許返納の話が出ました。それに対応するやり方として、さまざま足の確保ということから、地方の公共交通機関、公共バスも含めての話まで出ました。
 実は以前総務委員会で部長にもお聞きしたことがあるのですが、交通事故を減らすという観点から返納するのはいいけれども、足の確保をどうするのかということから、たしか県は、去年5カ年計画をつくって、これからの地方の足の確保をいろいろ考えるという計画があるわけです。
 言いたいのは、今回、国が新たな運賃プール制を解禁し、バス路線の共同経営ができるようにするということで、3月3日にバス路線の共同経営が可能になる私的独占禁止法の特例法案(地域における一般乗合旅客自動車運送事業及び銀行業に係る基盤的なサービスの提供の維持を図るための私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例に関する法律案)が閣議決定され、国会に提出されました。それができますと、これまで原則認められていなかった運賃プール制が可能になります。先ほどから足の確保をするという意味では、もちろんバス会社のこともあります、それから地方自治体に協力を求めるということも、今もやっているのですが、実際上は赤字路線ということで、私の家の近くを走っているバスも、車ですれ違うとほとんど空気を乗せている状況です。そういったことで、どんどん補填するのはいいですけれども、もっと会社の経営に県も積極的に関与する格好でやっていかないと、いつまでも赤字路線、それから乗客が少ない、そしてまた足の確保ができなくなるのではないかと考えております。したがって、国が新たな法案を出してきた内容を踏まえた上で、まだ話があるのかどうかわかりませんけれども、県がこれまでにつくった計画を見直す考えがあるかどうかの質問です。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 ただいま運賃プール制の話がございました。運賃プール制につきましては、閣議決定はされているということでございますが、まだ国で法案が提出されていない―済みません、先日国会に提出されたという状況でございますが、運賃プール制については、複数のバス事業者が同じ路線を重複して運行している場合などにおいて、事業者間で運行本数等を調整しまして、重複路線の再編で生じる事業者間の運賃収入の影響を軽減、調整できるように、一回運賃をプールして、それを事業者間で分け合う、運賃収益の再配分を認めようとする制度でございます。これによりまして、収益性の高い路線での事業者間での過度の競争を防ぐことや、同一路線の重複運行見直し、それによって生じました人員、運転手とかバスといった資源を他の路線に振り分けるなどして、地域の公共交通の維持、確保につながることを期待し、国で導入を検討しているものと考えております。
 これを本県の状況に当てはめた場合ですが、主要な路線バス事業者であります岩手県交通と岩手県北自動車は盛岡地域の一部で、また、岩手県北自動車とジェイアールバス東北の一部で重複路線はあるものの、おおむね区域運行が実態として分かれている状況がございます。このため、複数の事業者によりまして、重複して運行される路線は少ない状況ではありますが、ただ、仮に複数の事業者間で路線等の調整がなされれば、先ほど申し上げましたとおり、人員とかバス車両の限られた資源の有効活用につながりますことから、引き続きこの制度につきまして情報収集しながら、本県での導入可能性について研究してまいりたいと考えております。
 運賃プール制についてはそうですが、そのほかにも、国におきまして、公共交通の維持、確保に向けて制度改正について検討していることがありますので、それについても研究しながら、県が昨年度末策定した岩手県地域公共交通網計画は、今年度から5年間ということで策定したところでございます。まずは計画を実行して、地域公共交通の維持、確保に向けて取り組んでまいりたいと考えておりますが、国の制度が大きく変わって、それが県の地域公共交通網計画と整合性がとれなくなることがあれば、見直しも検討していかなければならないと考えております。
〇千葉伝委員 地方の足の確保ということから、さまざまな対策を考えた上で県としてどう進めていけばいいか、新たな計画を充実させる意味でもぜひ考えていただければと、これは要望です。
〇柳村一委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 先ほど佐々木茂光委員から御質問がありました免許返納者の状況でございます。
 これは県警察で取りまとめた数字になりますが、平成30年度では3、892人。ちなみに平成25年度ですと647人でございますので、この5年間で五、六倍にふえている状況でございます。
〇小野共委員 海洋再生可能エネルギー、特に洋上風力発電についてお伺いしたいと思います。
 去年の4月でありましたが再エネ海域利用法(海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律)が施行されました。これは、海洋再生可能エネルギーが、6年前の実証段階から、少なくとも波力、潮力は別にしても、洋上風力は実証段階から事業化の段階に入ったという意味を持つ法律でありまして、特に、国が洋上風力発電の事業化に向けて洋上風力発電の促進区域を指定して、それで事業者を公募するところまで設定された法律であります。洋上風力発電の促進区域の指定は、去年の12月に長崎県五島市沖が指定されたわけでありますが、ことしもまた新たに洋上風力発電の促進区域の指定の作業が始まっております。去年の12月からこの2月まで、都道府県に適地、候補地を情報提供するようにという動きが始まっております。去年の12月から2月まで、経済産業省のほうに報告したと。県では、どこの海域、地域を報告したのか。各都道府県が報告した中から、さらに有望な区域が国内で四つもしくは五つ選ばれて、その中から洋上風力発電の促進区域が選ばれると、先ほど申し上げました再エネ海域利用法等の中で定められていると認識しておりますが、まずお聞きしたい1点目。岩手県はどの海域を洋上風力発電の適地として報告したのか。そしてその理由を聞かせてください。
〇阿部科学技術課長 ただいま委員から御紹介がありました再エネ海域利用法は、大規模な洋上風力発電を推進するために制定されたものでございますが、この法律では、国が洋上風力発電の建設を促進する区域を定めまして事業者の公募を行うもので、促進区域の指定に先立ち、都道府県等から有望な区域について情報収集を行うこととしております。この12月から2月にかけて情報収集の期間がありましたことから、岩手県では、洋野町沖及び久慈市沖の沖合2カ所につきまして有望な区域として情報提供を行ったところでございます。
 この背景でございますけれども、洋野町沖につきましては風力発電に適した風速が観測されているほか、平成30年8月に、町が主体となりまして、洋野町洋上風力発電事業推進協議会を設立いたしまして、風力発電導入に係るガイドラインについて検討を行い、昨年4月にガイドラインを制定するなど、受け入れ態勢が整い始めていることをもって有望な区域ということで選んだものでございます。
 また、久慈市沖につきましては、洋上風力発電と環境保全を両立させるため、風力発電を促進すべきエリア、あるいは環境保全を優先するエリアなどを設定するゾーニングマップの作成に向け、環境省事業を導入して、平成30年度から令和2年度までの3年間にわたり現地調査等を実施し検討を行っているところで、検討がある程度進んでいる地域ということで、有望な区域として選定したところでございます。
〇小野共委員 お聞きしたいのは、実際に有望な区域が何海域かもう既に去年の段階で選定されているわけですが、そこに入れる可能性はどんなものなのですか。まず最初にそこに入らないと、洋上風力発電の促進区域に選定されないということなのでしょうから、まず有望な区域に選定される可能性というのはどんなものなのですか。
〇阿部科学技術課長 この有望な区域の選定に当たるプロセスをまず御紹介させていただきたいのですけれども、この区域の指定に当たりましては、有望な区域に設置した協議会において、利害関係者を含め合意形成を図るとともに、国による自然状況等に関する詳細な調査を行いまして、第三者委員会の評価を踏まえ促進区域案を決定し、公告、縦覧を経て区域指定をする流れになっております。
 私ども、2カ所情報提供をさせていただいておりましたが、先ほどの答弁の繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、洋野町沖については洋上風力に適した風速を上回る風が計測されているということで、いい風が吹いているという点、あるいは遠浅かつ岩盤が広く広がっているということで、着床式という、実際岩盤に穴をあけて建てる建て方がありますが、そういった、建て方の風力発電の建設に適しているのではないかということで、可能性はあると私どもは考えているところでございます。
 また、久慈市沖につきましては、着床式がいいのか、あるいは浮かべる浮体式がいいのかというゾーニングをまさに今やっているところでございますが、同じく、県北のほうは風の性質がようございますので、風力の点においては、有望な地域ではなかろうかと考えております。
〇小野共委員 去年の選定の段階で有望な区域に選定されたのが、今の洋上風力発電の促進区域に選定された長崎県の五島市沖のほかに三つでしたね。去年の有望な区域は、長崎県を入れて四つだったと。それが、秋田県の能代市、三種町及び男鹿市沖と由利本荘市沖と千葉県の銚子市沖だったと。秋田県が二つ入っている理由は、どう認識しているのですか。有望な区域に秋田県が二つ入っていると、これはどういうことなのですか。
〇阿部科学技術課長 国での有望な区域の選定の詳細なプロセス及び背景については明らかになっていないところもありますので、一つの推測になることを御了承いただきたいのですけれども、秋田県が二つございます。これについては、風力発電で発電した電気をどのように送るかという、送電の課題がございます。電気をつくっても送る線がなければ送れませんので、その点におきまして、秋田県では送電線に余力があるといいますか、そのあたりで可能性があると判断したのではと、それが一つの要因ではなかろうかと、推測の範囲でございますがそのように考えております。
〇小野共委員 新規の電力事業者にとっての参入の一番大きな障壁と言われているのが、送電網の整備なのだろうと思っております。秋田県のことを課長から言われまして調べてみましたところ、去年まで確かに東北電力の火力発電所が稼働しておったと。それで送電網のあきが多いのだろうというのが、今答弁の中にあったように、有望な区域に入れた大きな要因なのだろうと私も思います。
 それでお伺いしたいのですが、予算のつき方であります。6年前の実証フィールドの選定のときは、追加を含めて6県8海域で内閣府から指定されたわけでありますが、当時、予算のつき方まで、すごく岩手県を含め、釜石市を含め、期待したわけじゃないですか。海底ケーブルから変電所の設置の費用まで出してくれるのではないかみたいな話があって、すごく期待した話なのです。今回の再エネ海域利用法の予算のつき方も、今月から事業者の公募が始まるのですか、海域が長崎県の五島市沖と指定されて、事業者の公募に入るわけですが、事業者にとっても大きな関心事であるのだろうと思います。この再エネ海域利用法における国の予算のつき方はどういうことになっていくのですか。
〇阿部科学技術課長 洋上風力発電に係ります国の予算でありますけれども、先ほど委員から御紹介がありましたとおり、この洋上風力に関しては、事業者がみずからビジネスとして風車を建てる、事業を図っていくことになりますので、その事業そのものに対して国の補助がある状況ではございません。ですので、今、資源エネルギー庁の、令和2年度予算案にこの洋上風力に係る予算が計上されておりますけれども、その内訳を見ますと、先ほど促進区域の指定に際して国が基礎調査を行うと答弁させていただきましたが、その調査に係る経費ですとか、あるいは風車の部品の技術開発などの研究開発に係る部分について約76億5、000万円という予算でありまして、繰り返しになりますが、調査の経費、研究開発のお金が措置されている状況でございます。
〇柳村一委員長 小野共委員の質疑の途中でありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
 小野委員、御了承願います。
   午前11時59分 休 憩
午後1時3分再開
〇吉田敬子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について、延べ23人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行いたします。
〇小野共委員 午前中に引き続き質問いたします。先ほども申し上げましたとおり、実証フィールドにつきましては、国の予算のつき方がちょっと予測できなかったものですから、今回の洋上風力発電の促進区域に関するものに限り、国の予算のつき方はどうなりそうなのかというのと、あわせてお聞きいたしますが、洋上風力発電事業に関する県の取り組みと今回の促進区域選定までの取り組み、2020年度、新年度の取り組みを聞かせていただきたいと思います。
〇阿部科学技術課長 洋上風力発電に係ります国の予算のつき方でございますけれども、午前中の答弁と重なる部分があって恐縮でございますが、改めまして御説明申し上げますと、促進区域の指定に関しまして、国が行う基礎調査等に係る経費あるいは風車部品の技術開発などの研究開発に係る経費ということで、洋上風力の周辺部分に係る経費ということで、資源エネルギー庁において令和2年度76億5、000万円の予算を計上している状況になっております。
 また、一方、県でございますけれども、先ほど洋野町である程度進んでいるということもありましたことから、まず、県といたしましては、さらに町民の方々の理解を深めるためのシンポジウムの開催であったり、あるいはこのような適地があるということに関する幅広い情報発信などについて取り組みを行ってまいりたいと思っております。
 何よりも、実際、洋上風力発電設備が立つ洋野町の方々において、風力発電を軸にどのような地域振興を図っていくのかという思いが大事でございますので、まずは洋野町の御意向を尊重しながら、県としては、情報発信であるとか町民理解の増進などに取り組んでまいりたいと思っております。
 また、その促進区域の指定に向けてに関連しますけれども、岩手にこのような適地があるということに関しまして、幅広く事業者の候補となり得るような方々へ情報発信をしてまいりたいと考えております。
〇小野共委員 了解しました。よろしくお願いしたいと思います。
 洋上風力はここまでといたしまして、続いて波力、潮力に移っていきたいと思うわけでありますが、これほどの大規模事業あるいは国の全体の方向を決める話でありますので、県の方向、方針は、国の方針、方向性と連動しておらなくてはいけないと、当然なのだろうと思います。
 まず、どんな情報をとっているのかということをお伺いしたいのですが、今さんざん洋上風力の話は、さんざんでもないですけれどもやりましたが、潮力と波力については国はどんな意向を持っているのか。そして、それに連動して、県は、波力と潮力については2020年度にどんな方針を持って、どのぐらいの予算をつけて、どんなスタンスでかかわっていくのかといったようなことを少しお伺いしたいと思います。
〇阿部科学技術課長 波力発電あるいは潮力発電に関します国の考え方でございます。
 まず、国におきましては、国の海洋に関する諸施策を総合的かつ計画的に推進するため、海洋基本法に基づきまして5年ごとに海洋基本計画を策定しております。平成30年5月に策定されました最新の第3期海洋基本計画では、波力、潮流、海流等の海洋エネルギーに関し、実証研究に取り組みつつ、離島振興策と連携する旨、位置づけられているところでございます。
 具体的な施策といたしましては、波力発電につきましては、当時、釜石市沖で平成26年度から平成29年度まで、国の研究開発機関でございますNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の事業でリニア式波力発電に関する技術研究開発が行われております。また、潮流発電につきましては、長崎県五島市久賀島沖におきまして、平成26年度から令和元年度まで、環境省事業として潮流発電技術に関する実用化推進事業が行われているところであります。また、平成30年度から令和2年度までの3年間、同じくNEDO事業で、水中浮遊式海流発電に関する研究が鹿児島県口之島沖で実施されているところでございます。
 また、県におきましては、釜石市沖の実証フィールドに係るものも含めまして、海洋エネルギーの産業化ということで、これらの取り組みにつきまして、地元の企業の方々、かねてから御指導いただいております東京大学、あるいは地元の産業育成センターなどといった支援機関と市と連携いたしまして、こういった環境省の研究開発プロジェクトを採択すべく、現在チャレンジしているほか、再生可能エネルギーに関する幅広い理解を深めるということで、地元の方々と一緒に研究者を招いたフォーラムといったものを進めて、研究会活動なども進めながら推進してまいるという形になっております。
〇小野共委員 確かにNEDOの事業に選定されて以来、研究会であるとか勉強会であるとか、有識者の人たちを招いての調査研究活動みたいなものは、釜石市でもよく業界の人たちが参加してやっているようなのですけれども、やはり話を聞く限り、具体的に何ができるのかといったことまで行っていないのですね。県として、具体的な利用方法、63メートルの水深があって、静穏域があって、あれを例えば利用できると、波力のほかに、波力中心にでも構いませんので、何とか利用するとすれば、どんなことが今頭の中にあるのかということを聞きたいと思います。
〇阿部科学技術課長 ただいま委員から御指摘のありました釜石湾の静穏域利活用の一つの考え方でございますけれども、先ほど来、洋上風力発電が今後の海洋再生エネルギーの大きな流れになってくるということを鑑みますと、洋上風力に関しますメンテナンスが一つ大きな仕事になってくるだろうと思われます。
 そして、釜石湾は非常に静かで水深が深い状態でございますので、例えばそこに洋上風力発電設備を1本立てまして、経年でどのように変化していくのか、あるいはその変化に伴ってどういったメンテナンスが必要なのかといったあたりを、例えば潜水技術士の方が実際、穏やかな海に潜って検証していくといったようなアイデアなども考えられます。
 これにつきましては、かねてから私どもと事業を一緒にやらせていただいております日本潜水協会という潜水士の団体がございますが、そちらからもアイデアの一つとして、そのような活用もできるのではないかというような、まだアイデア段階ですけれども、お話も頂戴しておりますことから、我々としましては、幅広い視点で釜石湾の穏やかな広い海を何とか地元に活用できるような形を考えていきたいと思っております。
〇小野共委員 了解いたしました。いずれにいたしましても、地元の人たちは、情報がないということで、県なり国の方向性に、疑心暗鬼とまでは行かないですけれども、本当に大丈夫なのだろうかと思っております。大丈夫なのであれば大丈夫だと、これが、こういったものが課題だといったような情報をできるだけ公開して、今後とも連携してやっていただきたいと思います。
〇佐々木努委員 私は1点しか通告しておりませんでしたが、もう一点、通告しておりませんが質問させていただきます。まず、そちらのほうから入ります。
 きのう移住、定住政策について上原委員から質問があった際に、ふるさと回帰支援センターによる移住希望地ランキングの結果をどのように分析されているかという質問でしたが、副知事は、長野県や山梨県など関東圏に近い県は、東京からの近さや自然あふれる豊かな土地という昔からのイメージがまだ強く、移住先としてどうかということも大事だけれども、人気投票としての側面もあるのではないかと感じておりますという答弁をされましたが、こういう答弁で本当にいいのでしょうか。私は、その答弁を聞いて、この岩手県のやる気のなさがはっきりとわかりました。
 なので、そんな、うそっぱちだろうということを私はきのうしゃべったわけでありますけれども、もう一度お伺いします。どなたがこの答弁書をつくったかわかりませんけれども、そういう認識で間違いないか、もう一度お伺いします。
〇白水政策地域部長 昨日の総括質疑のときに私も同席しておりましたけれども、実は、昨年度まで政策地域部で移住、定住施策も担当しておりました。今年度から商工労働観光部に移管して取り組んでいるところでございます。
 副知事の答弁については、まさに、ふるさと回帰支援センターの相談件数等、事実として、長野県、山梨県、静岡県ということで、いわゆる東京圏に近いところが非常に便利であるし、かつ自然が豊かなのと都市部にも近いという相対的な部分だということの趣旨だったと私は理解しております。
 それで、昨年度まで政策地域部が所管でしたので、私もさまざまな分析をこれまでしてきたところではあるのですけれども、過去見てみますと、やはり震災前、例えば岩手県は、一番いいときは全国で5位まで行ったことがあったりとか、そのときは、やはり東北の福島県とかが相対的に高い位置を占めたこともありますので、かなり潜在力といいますかポテンシャルといいますか、移住、定住先としての可能性はあるのだと思うのです。ですので、それをしっかりと生かすこと。
 きのうも知事以下、答弁をさせていただきましたけれども、食、自然、あるいはさまざまな県土の広さ、多様な魅力がございますので、それをしっかりとアピールしつつ、やはり移住されるときの仕事の確保とか、さまざまな地域のコミュニティーとの交流とかといったことも総合的にやっていく必要があるのではないかと認識しているところでございます。
〇佐々木努委員 この移住政策についての議論は、私もこの8年間何回もやらせていただきました。私も、市役所にいたときはこの担当をしたこともありましたし、そのころは、まさに今、部長が言ったように岩手県は上位に入っていたのです。それだけ注目されていたわけです。震災の影響もあったかもしれませんが、それが、もう上位には姿が全く見えなくなってしまったと。
 この理由が、副知事がおっしゃったような、東京圏に近いからとか人気投票だとかということと、どう理由づけられるのですか。過去に岩手県が注目されていたのは、別に東京から近いわけでもない、自然環境はほかの県と大して変わらない。確かにいいところですけれども、長野県に負けているとは私は全然思っていない。そういう県が、ただ単に東京圏に近いところは有利だよとか、そういう発想で、思いで答弁するということは、まさに白旗を上げていることと一緒なのではないかと私は思います。
 そうではなくて、長野県も以前は上位には入っていなかったのです。入っていなかったのだけれども、移住政策を一生懸命やろうという取り組みを近年は進めていて、例えば、都市部で移住セミナーを何回も何回も開く。そして、市町村と連携して、県と一緒になってさまざまな制度、あるいはホームページもそうですけれども、長野県のホームページを見られたことがあるかどうかわかりませんが、本当に充実しているのですよ。岩手県の移住定住ポータルサイトですか、私も見せてもらっていますけれども、長野県と比べてみれば、どっちが力を入れているかはっきりすると思います。
 去年の6月から岩手県のポータルサイトは、わずか9件しかニュースを更新していないのですよ。去年6月からたった9件です。長野県は、もうきょう3月6日も、既に朝の段階で更新されているということですし、市町村それぞれのページには、プロモーションムービーとかもしっかりと載せられているということです。そういう取り組みをしてきたから、長野県は今、毎年上位に名を連ねているということであるので、ああいう認識は私は改めていただきたいと思う。
 それから、岩手県のホームページ、私は子育て支援のところをちょっと開いてみたのですが、これを見て本当に愕然としました。これはどなたがこのページをつくっていらっしゃるのですか。岩手県のポータルサイト。担当課長にお聞きします。
〇小野副部長兼政策推進室長 確認しておりませんので、申しわけありません。恐らく子供の関係、子育ての関係は保健福祉部でつくっているとは考えますが、いずれ、申しわけございません、ちょっと今確認できません。
〇佐々木努委員 担当の課長がいらっしゃらないということかもしれませんけれども、いずれ子育て支援のところをちょっとお話ししますが、子ども・妊産婦医療費助成の先進地ということで、まず一番上に載っかっているわけでありますが、全然先進地なわけじゃないのですよ。医療費助成を始めたのは確かに岩手県が初めてだけれども、今はもう他県におくれをとっているという、この子供の医療費助成についてはそういう状況にあって、過去に全国に先駆けてやったよみたいなことをまずトップに持ってきている。
 それから、世界で活躍するアスリートがぞくぞく!ということで、名前は入っていませんが、2人のメジャーリーガーとか、ドラフト会議でことしも高校生が2人、ドラフト1位に指名されました、そういう県ですとか、寝る子は育つ!早寝早起き県!とか、それから、食の豊かさがカラダをつくるですか、あと、治安の良さは全国屈指!とか、こういうことが子育て支援のところに入っていますが、県として何を支援しているかということが一つもここに書いていないわけです。これを見て、本当に、ああ、子育てにやさしい県だなと思って岩手県を選ぶかといったら、私は選びません。私は、岩手県はそういう意味では魅力がある県だとは全く思いません。
 この辺の、これが仮に保健福祉部がつくったものだとしても、それを統括する政策地域部として、こういうものはきちんとチェックして、本当に見てもらって、来てもらえるようなホームページにしてもらうとか、そういうことをしっかり考えてもらわなければと思うのですが、いかがでしょうか。
〇白水政策地域部長 非常に重要な御指摘だと思っております。これは委員にも御指摘いただきましたけれども、直近の移住希望の調査を内閣府と国がやっておりますが、それを見てみますと、最近の傾向としては非常に若い層、20代、30代、40代の前半ぐらいが、特に東京圏の中で若い層が移住、定住の希望といいますか、そうは言っても現実は難しい部分があるのでしょうけれども、希望を持っているという調査もございます。
 その中で、じゃ、地方に移住するとなったときに、一番重要なこととしては移住先で仕事があること。まだ若い現役の層ですので、やはりしっかりと所得を得られないといけませんので仕事であると。それから、やはり住宅だそうであります。そして、それ以外にコミュニティーとのいろいろなかかわりとか、地域の自然の豊かさとかということなのでしょうけれども、そうしてきますと、委員御指摘のとおり、まさに彼らは子育て世代の層でもあるわけですから、そういう意味では、子育て関係のさまざまな施策を県としてもしっかりアピールしていかなければいけないというのは、まさにそのとおりだと思います。
 特に、子育て、福祉関係の施策は、市町村が実際やっていることも多いわけで、私も市町村役場でトータル5年勤務しておりましたが、まさに子育て、福祉のところは市町村もしっかり担っておりますので、市町村と県も連携して、これはしっかりPRあるいは施策を充実させていかないといけないと思っております。
 そういった中で、政策地域部も、まさに第2期ふるさと振興総合戦略の取りまとめをしている部局でございますので、関係部局としっかり連携を密にして、今の委員の御指摘も踏まえて取り組んでまいりたいと思っております。
〇佐々木努委員 子育て支援の面だけを私は言ったのではなくて、全体的にこの移住政策、特にホームページを見ていただければ一番手っ取り早くわかっていただけると思うのですが、見ていただいて、全体的に移住者を呼び込もうという取り組みをしてください。何度も言いますが、岩手県はポテンシャルが高いと思うし過去にも移住希望先の上位にいたことがあるのですから、本当に真剣にやっていただきたいと思います。
 では、通告していた分について質問します。県として、新年度から県内の3町村に、地域づくり、地域振興という点から職員を派遣することになっているようですけれども、その目的と役割について改めて教えてください。
〇畠山地域振興監 県内3町村への駐在職員の派遣についてでございますが、ふるさと振興を強力に推進するためには、県と市町村が連携、協働して取り組むことが重要でございます。
 その中で、市町村が単独では困難な課題解決や地域特性を踏まえた施策の推進に向けて、地域の実情に応じたきめ細かな支援を行うことが重要と認識しております。
 県では、台風災害からの復旧、復興に向けて、岩泉町と普代村に県職員を駐在配置しているところでありますが、引き続き駐在させ、復旧、復興と合わせまして地域振興に取り組むものでございます。
 また、西和賀町についてでありますが、町の財政関係の検討会にアドバイザーとして参加してきたところでございますけれども、交付税の合併算定がえによる増額分の縮減への対応という課題や、構成員として研究会に参加いただいている活力ある小集落プロジェクトにおけるモデル事業の実施などに向けました取り組みを支援するために、県職員を駐在させ、駐在職員が県と市町村とのつなぎ役となりまして、地域の実情に応じて市町村のまちづくりを支援し、地域の力を引き出す取り組みの推進を図ろうとするものでございます。
〇佐々木努委員 この取り組みは、私は非常に注目しています。注目していますという理由は、これは皆さんのほうがもしかしたら私よりも詳しいかもしれませんが、高知県で地域支援企画員という制度を平成15年からやっているわけでありまして、私は非常に興味があって、去年行って勉強させていただきました。
 改めて御紹介させていただきたいと思いますが、県と市町村、特に地域とのパイプ役を県職員が担うという目的で平成15年から始まったと。現在は34の市町村のうち31の市町村に職員が駐在している。市町村の仕事をしているのではなくて、それぞれの市町村の特定の地域になるか、そういうところの地域づくりに参画しているということでありまして、人事交流ではないということであります。
 当初は、役所ということじゃなく、純粋に市町村と県とのパイプ役みたいなことで事業が始まっていたそうですが、それだけではだめだろうということで、平成21年からは、地域の産業振興の面で、例えば特産品の開発とかイベントの創設というものに具体的にかかわっていく仕事をされているということで、市町村なり地域からも非常に感謝されているという形で、高く評価されているということでありました。
 私は、県職員がいかに地域に入って、さまざまな地域課題を吸い上げて県全体の振興のために働けるかということが、これからどんどん人口減少が進む岩手にあって大事なことだと思うので、これをぜひ岩手県でも取り上げてほしいと考えておりましたときに、普代村と岩泉町は、そのとおり、災害があったからということですが、西和賀町に新たに派遣することになって、よかったと思います。
 ただ、これを一過性のものにしないで、せっかく活力ある小集落プロジェクトをこれから進めていくということであれば、高知県と同様に、全市町村に職員を派遣して、役所の一角にデスクを設けてもらって、公用車と携帯電話を与えて、地域のさまざまな課題に取り組む事業をこの機会にやったほうがいいのではないかと思います。
 そうでなくても、高知県もそうだそうですが、地域の方が、県職員が何の仕事をしているのか全然わからない、県職員の顔が見えないということがかつてあったそうですが、そういう話は全くなくなったそうです。県と市町村をつなぐ、住民をつなぐ、県民をつなぐという観点と、それから、県職員がそこで1年なり、2年なり、3年なり駐在して培ったものが、県全体の施策に生かされるという人材育成にも役に立っているということでありますから、県庁の中だけにいるよりも、余程、将来有望な人材の育成につながっていくのだと思うのですが、いかがでしょうか。所感があればお伺いします。
〇畠山地域振興監 ただいま高知県の地域支援企画員制度について有意義な御意見をいただき、ありがとうございます。
 この制度につきましては、県職員である地域支援企画員が各地域に駐在いたしまして、地域のニーズや思いを酌みながら、地域の振興や活性化に向けた取り組みを支援するとともに、県の情報を伝え、県民の声を県政に反映させることを目的とした、県と地域をつなげるための制度であると認識しております。
 県と市町村が緊密に連携していくことは重要でございまして、まずは、今回の取り組みが機能していくように取り組んでまいります。
 今後の派遣のあり方につきましては、高知県の取り組みについても参考にしながら、今般の取り組みの効果や課題などを確認するとともに、市町村の意向も踏まえまして対応を検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 いずれ、何回も申し上げますけれども、心の通ったというか、そういう市町村なり県民との交流が、これからの岩手県を本当の意味で支えていくのではないかと思います。そうじゃなくても、県と市町村の関係がいいとは、私は全然思っていないです。この8年間いろいろ思うところがありました。そういう意味でも、そういう制度を積極的に取り上げていただいて、まず、いきなり次年度は無理だと思いますから、西和賀町に駐在させる方にできる限りいろいろな経験をさせてあげて、それで、令和3年度にそれがさらに拡大できるような取り組みをぜひ進めてほしいと思います。これは要望にとどめておきます。
〇高橋はじめ委員 私は、人口減少に伴う自治体の今後のあり方等について何点か質問したいと思っております。
 岩手県ふるさと振興総合戦略推進費は、令和2年度からは政策企画部に移管となりまして、いわて県民計画(2019〜2028)の推進とともに進めていくと。令和2年度当初予算案では、冊子を作成し、計画内容を周知するとともに、県民の理解醸成を図るためのフォーラムを開催するということでございます。
 人口減少の中にあって、ふるさとをしっかりと守っていく、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の策定とともに、それに基づいて進めていくということについては、私は非常に期待を寄せているところでございます。
 そういう中にありまして、ことし新年の懇話会等で記念講話を聞く機会がありまして、河合雅司さんという、未来の年表という本を書いた方です。政策地域部の方々もたくさん見られているということでございますが、2040年、自治体の半数が消滅というショッキングな見出しがあるわけですね。これをもとに、いや、これは大変なことになるということで、私も、現在出されている国立社会保障・人口問題研究所の資料をずっと見て、必要なところをピックアップして、それでどうなるのだということをまとめさせていただきました。その資料をお届けしておりますけれども、これによると、国立社会保障・人口問題研究所の推計値よりも早く人口減少が進んでいるという実態が出てきているわけですね。
 国立社会保障・人口問題研究所の統計資料は、毎年10月1日を基準にして調査をしていると。これは5年に1回の国勢調査に合わせてということですが、岩手県は2015年、総人口127万9、594人、2020年ですと122万4、194人、4.3%減少という推計値が出されているのですね。ところが令和2年1月1日の岩手県の数値を見ると122万3、792人、もう既に10月を待たずして国立社会保障・人口問題研究所の推計値よりも減少が加速しているのですね。
 同じようなことが言えるのは、盛岡市、宮古市、久慈市、遠野市、一関市、釜石市、それから岩泉町、田野畑村、洋野町、一戸町。ややそれに近いところもたくさんありまして、さまざまなふるさと振興総合戦略に取り組んできたこの5年間、その中にあってもこういう人口減少がとどまらないということを考えますと、やはり2040年に半数が消滅するということは、現実味を帯びているのではないかと大変危惧しているわけです。
 もう少し数値をお話ししたいと思いますが、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、本県における2040年は、2015年人口比での減少の割合、1桁台が1市1町、10%台が2市、20%台が4市2町、30%台が6市3町、40%台が1市7町4村、50%台が2町ということになっています。
 また、高齢化率の面で見ると、高齢化率50%以上の市町村が、2市10町4村。推計値では、半数の自治体が人口減少と超高齢化を迎えることになっていくということです。
 例えば八幡平市は、推定人口1万4、680人になる。高齢化率52.8%。65歳以上の人口が7、751人、64歳以下が6、929人。64歳以下の約7、000人で市を運営していかなければいけない。さまざまな産業も行政も含めて中心となってやっていかなければいけない。福祉もやらなければいけない。
 でも、まだ1万人を超えているところはいいのでしょうけれども、例えば、私の選挙区の西和賀町は、推定人口が2、883人、高齢化率57.5%、65歳以上の人口が1、658人、64歳以下が1、225人。葛巻町は、人口3、077人、高齢化率59.7%、65歳以上が1、837人、64歳以下が1、240人、こういう形であるし、田野畑村とか、非常に人口が少ないところは、かなり厳しい数値になってくるわけです。
 これを、こうならないように第2期岩手県ふるさと振興総合戦略でどんどん力をつけて進めていこうとすると。これは私も評価しますけれども、これについて、もし2040年にこの推計のような状態になったら、果たして自治体が運営できるのか。行政運営あるいは福祉等も含めて行政サービスができるのか、その辺はどう捉えておられるか、まず伺いたい。
 あわせて、二つ目には、人口減少に伴い財政規模も大幅に縮小すると言われております。それらを含めて、継続できるのかを含めて所見を伺いたいと思います。
〇小原参事兼市町村課総括課長 今、高橋はじめ委員から御質問のあった点につきまして、国立社会保障・人口問題研究所の推計だと、一番小さい規模の市町村だともう1、500人ちょっとという規模になるということで、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の策定に合わせて人口ビジョン等を改訂しまして、そちらの推計では2、000人規模を維持しようということで施策をこれから頑張っていくところでございます。
 これから人口減少、それから超高齢化社会になりますと、人口減少に伴いまして財政規模等が縮小する中で、ただ、どうしても人件費であるとか、あと公債費については、歳入の減少に応じてそのとおりに削減していくのは難しい状況ですし、コミュニティーが小さくなってくると、これまでコミュニティーでやっていたことについても行政で担わなければならなくなったり、あとは、インフラの維持管理については、引き続き同様のコストがかかっていくということで、財政運営が非常に厳しくなるという認識は持っているところでございます。
 特に小規模町村におきましては、さらに職員数が現在よりも少なくなることで、十分な業務執行体制がとれなくなるおそれがありますので、行政サービスの低下につながる可能性があるところは、問題意識として持っているところでございます。
 このような中で、市町村において、水準を維持しながら行政サービスを提供していくためには、市町村間の連携、協働、それから、県による小規模町村に対する事務の支援等により行政サービスの効率化などを進める必要があることから、現在、町村と意見交換を行いながら、さまざま検討を進めているところでございます。
 今後とも、市町村と方向性について共有しながら、市町村相互、それから、県と市町村の一層の連携について進めていくことで、行政サービスの維持向上に努めてまいりたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 年ごとに大事な時期だと私は思います。本来であれば、日本の人口が減少に転じた、あるいは岩手県はもう毎年毎年、加速度的に1万3、000人とか1万4、000人ぐらいずつ人口が減ってきているわけですね。そうすると、簡単な計算で、もうすぐ行き詰まるということもわかってくるわけですね。それをどのようにしていくのか。それで、県民が安心して生活できるような地域をどうやって維持していくか、保持していくか。そのことに対する取り組みというか対策をしっかりと検討して、今から少しずつやれることをやらないと、この10年ぐらいでほぼやらないと、要するに体力があるうちにやらないと、それを過ぎてから、さあやろうといったって、財政的な問題もあってやれないと私は思っているのですね。ぜひ、そのことを含めて遺漏なきように取り組みを進めていただければと思っています。
 それから、市街地は意外と人口減少の中でも人が集まってくると言われております。要するに、高齢化すると便利なところに移り住むということ。それから、私の住んでいるところみたいに雪が多いところは、冬場の除雪が大変なので町場に引っ越してくると。もうどんどん雪深いところは人がいなくなって、散居の美しいところ、これは胆沢町が昔使ったキャッチフレーズですけれども、散居が美しいのではなくて、そこに人が住んでいないと。数十世帯あるところが、わずか何世帯しか住んでいないところが出てきているわけですね。
 そういうときに果たして同じような行政サービスができるのか、福祉サービスができるのか、見守りができるのかということを考えていくと、やっぱりある程度、1カ所のあたりに移り住んでもらうような取り組みもしていかなければならないのではないか。四国4県分に匹敵するこの広い県土で、同じようなレベルで、同じような取り組みはできない。やっぱり集中して、そこで今までの行政サービスなり、福祉や医療サービスを守っていくという取り組みをしなければならない。そういうことを含めて、今後どうしていくのかということをどのように考えておられるのかお尋ねしたいと思います。
〇畠山地域振興監 ただいま新たな居住区の創設に向けた取り組みについて御質問いただきました。国の第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」におきましては、まずは、中山間地域等の集落生活圏におきまして、安心して暮らしていく上で必要な生活サービスを受け続けられる環境を維持していくために、地域住民が自治体や事業者、各種団体と協力、役割分担をしながら、各種生活支援機能を集約、確保したり、地域資源を活用し、仕事、収入を確保する小さな拠点の取り組みを推進しているところでございます。
 まずは、御指摘いただきました内容につきましては、これに少し近いものがあるのではないかと考えており、この取り組みもまた、地域コミュニティーの維持、機能を果たすのには有効な手段の一つだと思いますので、こちらにつきましても、活力ある小集落プロジェクトを初めとするさまざまな取り組みとあわせて進めてまいりたいと考えております。
 また一方、新たな全世代・全員活躍型の生涯活躍のまちの推進という取り組みもございまして、これは、国の第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の基本目標の中に盛り込まれているものでございます。こちらにつきましては、第1期までは、中高年齢者を中心とした移住の施策、人の流れというような位置づけでございましたけれども、第2期からは、それを誰もが活躍するコミュニティーというコンセプトに移行いたしまして、国でも取り組みを進めるような流れになっております。
 本県におきましても、近いものといたしましては、雫石町で地方創生交付金を使いまして町有地を活用した取り組みを進めているような事例もございますので、今後は、全国的な先進地の取り組みの勉強、研究も進めてまいりたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。今、災害公営住宅に住まれている方が高齢化しておられて、なかなか隣近所とのコミュニケーションを含めて難しいと。そして、自治会組織もなかなかつくれないでいる。引き受け手がいないということで、高齢化がどんどん進むことによって、やりたくても体力的にできない、そういうところがいっぱいあるわけですね。
 2040年となると、あと20年後ですから、私は米寿のあたりになりますし、団塊の世代の人は、もう90歳を超えて95歳近くになる。それから、団塊ジュニアと言われる方々ももう60歳を超えてくる。そういう人数が多い世代の方々がもうどんどん高齢化してしまって、社会全体が活力も何もなくなり、あるいは産業においても、今みたいに社会を維持していけるような産業が成り立つかというと、成り立たないということも想定されるわけです。そうした中でも生活をして生きていかなければならない。生活環境は、やっぱり限られたコストですので、集約化しながら生活できるような環境整備は、ぜひ今から取り組んでいただければと思っています。
 岩手県人口ビジョンの中には、さまざまな課題を指摘されているのですね。先ほどの答弁の中でも触れられておりましたけれども、県や市町村行財政への影響ということで、財政の硬直化とか、さまざまな問題が指摘され、それに向けた市町村との協議を始めておられることは、私は非常にいいことだと思っています。
 この人口減に対する取り組みは、国のまち・ひと・しごと創生長期ビジョンが2014年につくられて、これをもとに各県や市町村が総合戦略を策定しているわけです。今回これも改訂されたわけですけれども、前提となるのが、長期的展望で言うと、2040年に出生率が2.07まで回復すればというような、すればとこう、たらればなのですね。あとは、若い世代の結婚、出産、子育ての希望が実現するならばと、地方の人口減少に歯どめがかかるならばということをいろいろ、そうなればいいのですけれども、この5年間を見ただけでは、そうはなかなかなってこないのではないかということであります。
 そういうことを含めて、私は、この第2期岩手県ふるさと振興総合戦略を強力に進める、その一方で、やっぱり2040年に大変な状況が想定されるならば、それを今の時期から検討していく、そういう取り組みも必要ではないかと思います。
 これは一般質問でも取り上げさせていただきましたが、県ではそういう検討をする組織があるのかということをお尋ねしたら、近いものでは岩手県総合計画審議会だというお話がありました。ここで審議していただくのもいいと思うし、また、別個の組織をつくっても、分科会みたいなものでもいいでしょうし、やっぱりこれはしっかりと2040年問題、自治体問題の検討を開始する、これは2020年度の最大の取り組みではないかと私は思いますが、その辺についての御所見を伺いたいと思います。
〇吉田敬子副委員長 高橋はじめ委員及び執行部に申し上げます。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇村上政策監 2040年を想定した議論ということでございます。委員からお話しがございました、岩手県人口ビジョンに掲げる2040年に100万人の人口を確保という目標に向けて、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略で各施策を展開していくことになるわけですけれども、100万人ということでございますので、減少した社会というのは、委員御指摘のとおりだと思っております。そういった将来を見据えて、長期的な検討は重要であると認識しておりますので、今策定しております第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の進捗状況等も見据えながら、今お話しがありました岩手県総合計画審議会などの外部有識者の意見等も踏まえて、将来的な検討を行っていく必要があるものと我々としても思っているところでございます。
〇高橋はじめ委員 ぜひそのことをお願いしたいと思います。なかなか後ろ向きの話みたいなところは避けて通りたいわけであります。我々政治家というか政治に携わる立場にある者は、余り後ろ向きの取り組みとか発言はしたくないわけですが、でも、これをしっかりやっておかないと、私たちの子供や孫たちに、お父さん議会で何もやってこないのかと言われるわけですよ。ぼうっとやってたのではないかと言われますので、ぜひそのことをお願いしたい。
 今後は、政策地域部がなくなって、担当部署がふるさと振興部になるわけですか。そこでこの議論は継続して進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
〇城内よしひこ委員 さくさくとお伺いします。バス運行対策補助費についてお伺いしたいと思います。
 おかげさまで、国道106号の復興支援道路が来年3月には開通し、宮古―盛岡間が1時間10分ぐらいでつながるということであります。そこで、新しい路線ができるわけでありますけれども、現在の国道106号を走っているバスが、自動車専用道路を多分通っていくのだろうと思いますが、今後、沿線に住む方々の足、先ほど来お話がありますとおり、免許の返納等もあって、地域とすればバスの停留所をたくさんつくってほしいという話があります。ただ、それはかなわないことであるというのもわかっているところでありますけれども、今後そういった高齢の方々等の利便性を図る上でも、バス路線のあり方についてどのように考えて、事業者とどのように打ち合わせをしていくのかお伺いしたいと思います。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 国道106号におけるバス路線のあり方についてでございますが、106急行バスは、盛岡市と宮古市を結ぶ都市間交通の性格を有しているとともに、沿線住民の生活交通も担っている内陸と沿岸を結ぶ重要なバス路線であると認識しております。
 現在、宮古盛岡横断道路の令和2年度末の完成を見据え、106急行バスのあり方について、バス事業者において検討が行われていると承知しております。
 宮古市が現在パブリックコメントを実施しております市の第2期地域公共交通網形成計画案によりますと、道路の完成後、106急行バスが宮古盛岡横断道路を運行することにより、現在の106急行バスの停留所で停車しない箇所が発生する。その一方で、宮古―盛岡を短時間で移動したいとの要望を持っている利用者もいると。市としてはということだと思いますが、106急行バスが都市間交通、生活交通としての役割を果たすよう、バス事業者に十分な検討を求めていくということで、まだ案の段階でございますが、第2期地域公共交通網形成計画の中で記載しているところでございます。
 県といたしましては、バス事業者に、沿線自治体等の意向を十分に踏まえた検討を求めていきますとともに、市において、道路整備や106急行バスの見直しに伴う地域内公共交通の見直しを行う場合には、公共交通活性化支援アドバイザーの派遣などを通じて支援してまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 もう来年のことになりますので、地域の御高齢の方々には、我々のうちの前をバスが通らないのではないかという不安を抱いている方もいらっしゃいます。ぜひ、その不安が払拭できるように、そして、交通弱者と言われる方が、もう今ふえています。免許を返さなければいけないのだと家族に言われているということで、そういった方々が安心・安全を確保できるように、関係各位と連携して、しっかりと新たな道路網に対する準備をしていただきたいと思います。
 次に移ります。三陸鉄道についてであります。
 先ほど来お話がありますとおり、三陸鉄道はことし3月に再々開通をするわけでありますけれども、これもまた、地域の交通弱者と言われる方々には大変喜ばれて、待望久しいわけでありますが、それでも地域の方々は、最寄りの三陸鉄道リアス線の駅まで来るのにバスを利用したりする方がたくさんいらっしゃいます。そして、なお、宮古市で言うならば病院まで、またバスを乗り継いで行かなければならないような状況があります。
 ぜひ、三陸鉄道リアス線と最寄りの運行しているバス路線事業者との連携を図っていただいて、ダイヤもそうですし、例えばスイカのような仕組みというのですか、一つの定期やチケットで全部が乗れるような仕組みを考えてはいかがかと思ったりもします。ことしはそれこそ東京2020オリンピック・パラリンピック協議大会があって、沿岸部にもたくさんの方々がいらっしゃる。その中には観光する方もいらっしゃるとするならば、そういったものを利用してもらう、見てもらう、そういういい機会であろうかと思います。
 今後、一人でも多くの利用者をふやすという意味では、マイレール運動は確かにそのとおりでありますが、それに加えて、ぜひ、そういう付加価値をつけて広がりを持てるような仕組みづくりも必要ではないかと思いますが、その辺の検討をしたかどうかも含めて、今後の方向性も含めてお伺いしたいと思います。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 三陸鉄道と地域バスの運行ダイヤの調整による乗り継ぎ利便性の向上や鉄道駅を基点とした循環バスの運行、あるいは鉄道とバスを組み合わせた企画乗車券のような切符の販売など、それぞれの公共交通機関の特性を組み合わせて利便性の向上を図る取り組みは、地域における公共交通の維持、確保あるいは新たな需要を引き起こすという意味の活性化にもつながる重要なものであると考えております。
 現在、三陸鉄道沿線において、リアス線の開通や復興まちづくりの進捗に合わせたバスの再編等も進めているところでございますが、今後も、さらなる利便性の向上、連携の強化に向けた取り組みができないかどうか、市町村、交通事業者と意見交換を行い、検討を進めてまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 最後にしますけれども、これまで、宮古―盛岡間はJR山田線があったわけでありますし、そこに、後乗りで岩手県北自動車の106急行バスが通るようになりました。お互いにライバル意識を持ってダイヤの改正をしてきて、結果として、地域が疲弊してしまった。人口も減って、JR山田線も106急行バスも乗る人がだんだん少なくなってきた。そういう状況が今後起こらないように、三陸鉄道リアス線と沿線のバス路線事業者がしっかり連携を図って、地域に住む方々の足の確保、そして、観光客の方々にも利用していただけるような対策を今からとってほしいと思います。そういうことが三陸沿岸の振興につながると思いますが、いかがでしょうか。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 まさに委員から御指摘のとおりだと考えております。バス事業者、三陸鉄道ともに民間事業者でありますが、それぞれの状況を確認しながらというか意見交換しながら、できる限り地域が活性化するように、そして、公共交通が活性化するような方向で意見交換等ができればと思っておりますので、そのような方向で進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 私からも大きく2点お聞きをしたいと思います。
 まず地域交通についてであります。今、城内委員、そして午前中には、佐々木茂光委員の質疑で重要な答弁が出たと思っております。
 整理の意味でもお聞きしたいと思いますが、広域バスの国の補助事業の被災地特例、あるいは激変緩和措置のリミットが迫っている中で、県としては、国に被災地特例の継続を訴えてきたと思っております。その方針は変わらないと思っておりますが、今般、私の地元でも大籠線あるいは千厩花泉線において、激変緩和措置あるいは被災地特例の終了を待たずに、運転手不足によって事業者が撤退することが決まったと。そういった場合に、市町村が広域バスの代替措置としてバスを運行するために、県としては補助に踏み切ったという意味でよかったでしょうか。まずは確認させてください。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 今、委員がお話のとおりでございます。
〇佐々木朋和委員 そのとおりということでありましたけれども、県においては市町村をまたぐ広域バスが主幹、そしてまた市町村においては地域のバスが主幹という中にあって、県として、県の地域公共交通網形成計画を推進する意味合いでも、地域の足を守るために地域交通あるいはコミュニティーバスへの補助に踏み切ったことは、本当に評価をさせていただくと言ったら偉そうな言い方ですけれども、大変感謝をしております。ありがとうございます。
 その上で、今回、この路線については市町村マターになったと、市町村の運営のコミュニティーバスになったということでありましたけれども、今後、もちろん、国には被災地特例の延長、あるいは要件を緩和して引き続き支援をいただきたいと訴えていくと思いますが、一方で、その措置が残念ながら切れた場合には、市町村への補助に踏み切ったということは、事業者が行う広域バスの運行にも、補助割れしたものに対しても今後県としては補助を検討していく方向なのか、この点についても伺えればと思います。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 被災地特例あるいは激変緩和措置の延長については、まずはこれまでどおり国で延長の措置をいただきたいということで要望を強化してまいりたいと考えておりますが、委員から、仮にというお話がございました。仮に廃止になってしまうと地域への影響が大きいということもありますので、その影響を勘案しながら検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 答えにくいところ、前向きに答えていただいたと思います。引き続き、また国に対しては我々議員としても要望していきたいと思いますし、県と一緒にお願いをしていきたいと思います。
 午前中の佐々木茂光委員への答弁で、県の地域公共交通網形成計画に従ってやっていくという話がございました。私が見ていると、人口減少の中で、今回、私の地元でも、路線が続けられなくて市町村のコミュニティーバスという形になりました。こうしてどんどん市町村あるいは県の補助がかさんでいくと、これが本当に持続可能な地域公共交通網形成計画の推進と言えるのか、大きな意味合いでは疑問を感じるところであります。
 資料もいただきましたが、先ほどの2路線を含めて、今、国庫補助対象路線の補助要件割れをしているのが44路線中15路線、そして、補助金減額の要件に当たってしまっているのが34路線、そして、県補助対象路線の要件割れが13路線中7路線となっている。このまま流れに沿ってしまえば、こういったものは全て市町村の運営になって、県がそこに補助していくのはなかなか大変な状況だと思っております。そういった中で、また広域バス路線の事業者の撤退も出てしまう、そして、市町村がコミュニティーバスを出すという流れになれば、いずれ、市町村や県の財政を圧迫して、持続可能な措置とは言えないのではないかと思っております。市町村と連携して、今も市町村と連携を密にしておりますが、より密にして、例えば、国で進めておりますコンパクトシティ・プラス・ネットワークなどのモデル事業をやるなど、コンパクトシティについては地方創生推進交付金の事業の対象にもなっていると伺っております。そういった抜本的な改革を、まずは各市町村に見える形で県内どこかでやっていくことも必要なのではないかと思いますが、御所見を伺いたいと思います。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 持続可能な地域公共交通の確保に向けた取り組みについてでございますが、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略におきまして、快適で魅力あるまちづくりの推進を掲げ、市町村との連携により、適正な土地利用を図りながらコンパクトな都市形成を推進するとともに、都市交通の円滑化などにより、魅力あるまちづくりを推進するとしているところでございます。コンパクトなまちづくりと連動した公共交通ネットワークの構築は、地域の実情に応じた検討が必要であますが、持続可能な公共交通を確保していく上で有効な取り組みの一つと認識しております。
 地域公共交通に関する改革につきましては、国におきまして、改正地域公共交通活性化再生法案(持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案)が2月に閣議決定されたところでございます。同法案では、路線バス等の維持が困難な場合に、地域における旅客運送サービスを確保する仕組みの構築を盛り込んだ地域旅客運送サービス継続事業の創設等に取り組むこととしておりまして、こうした国の制度を活用しながら、市町村と連携し、持続可能な地域公共交通の維持、確保に取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今、コンパクトシティ・プラス・ネットワークも含めて県としてやっていきたいというお話でありましたけれども、何か具体的に、来年度動き出すことはあるのでしょうか。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 来年度事業化してということはございませんが、県内でも花巻市とか北上市では、立地適正化計画と地域公共交通網形成計画を策定しながら、こういったコンパクトシティのような考え方に基づいてやっていこうという動きがございますので、他の市町村にも情報提供しながら、そういった取り組みが県内で進むようにしてまいりたいと考えてごおります。
〇佐々木朋和委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に移らせていただきたいと思います。今般、県では、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略において、新しく四つ目の基本目標に岩手とつながるを掲げて、関係人口や交流人口の拡大を図り、岩手と多様な形でつながることができる社会を目指すとしています。一方、関係人口創出・拡大戦略、また、いわてまるごと交流促進戦略の二つを基本目標の中に掲げてありますが、東北デスティネーションキャンペーンの事業費やラグビー県いわて推進事業費が含まれているものの、新規事業が乏しく、具体的に何を行っていくのか見えにくい状況にあると私は感じております。うち人交密度向上推進事業費は一部新規となっておりまして、知事演述の中でもありましたが、複数の複という字を使った複業をキーワードに、複業を通した関係人口の創出や、複合を通じた社会貢献を考えている首都圏人材と、人材を求める県内企業やコミュニティーとのマッチングを掲げております。
 県では、これまでも、首都圏からの人口の流れをつくろうとさまざま事業を展開しております。その中でも、例えば、岩手県プロフェッショナル人材戦略拠点事業等もございます。そういったところから、県としてはどのような知見を得たのでしょうか。また、関係人口の創出には、地域の行事とかあるいは伝統芸能への参加とか、農業体験あるいは趣味など、生活を体験して人との触れ合いから関係を構築して移住につなげるのが私は一般的ではないかと思うのですが、この複業を中心に施策を展開しようとしている着想を伺いたいと思います。
〇畠山地域振興監 岩手とつながるについてでございます。第2期岩手県ふるさと振興総合戦略に掲げます関係人口創出・拡大戦略などに基づきまして、地域課題の解決を目指し、首都圏などの人材と県内企業とのマッチングを図る遠恋複業課の取り組みを推進するほか、地域の郷土芸能の保存、発展を支援する企業等との協働でありますとか、グリーンツーリズムやスポーツアクティビティを行う地域団体の活動支援、県外在住者へのSNSを活用した情報発信の充実など、さまざまな施策を推進することとしております。
 また、委員御指摘のプロフェッショナル人材還流促進事業におきましては、県内企業の求める中核人材の確保を支援する事業でございまして、定住人口の創出にも寄与するものでございます。
 平成30年度の35件のマッチングのうち、県外からの人材確保は13件となっておりまして、新事業展開や販路の開拓につながっております。
 これらの施策の推進によりまして、関係人口の創出、拡大を図り、岩手と多様な形でつながることのできる社会の形成を目指すとともに、定住人口の裾野拡大につなげてまいりたいと存じます。
〇佐々木朋和委員 これまで、この予算特別委員会においても、国の地方創生推進交付金を使った移住、定住事業について、首都圏からの移住というのはなかなか難しいと言われている中にあって、この複業がそれよりもハードルが低いのかと考えたときに、東京で拠点を持ちながら、また、こちらでも拠点を持ちながら働いていただける方のニーズがあって、何か裏づけがあってこういった事業を仕掛けようとしているのか。あるいは県内でもそういった声があって、こういう事業を仕掛けようとなさっているのか、この経緯を少し御説明いただければと思います。
〇畠山地域振興監 複業をテーマといたしました取り組みにつきましては、昨年度からモデル的に実施しておりまして、昨年度におきましては、東京の複業を希望なさるスキルをお持ちの方と、それから地元の受け入れたい企業とで、5件のマッチングの実績が出ております。この事業を一緒にやらせていただいている中で、複業はもちろんビジネスでございますけれども、首都圏の複業を目指してこちらにお力を貸していただけるという方は、何といいますか、必ずしも収入だけが目的ではない方、非常に熱い方が多くいらっしゃいます。私どもも、そういうことで、最初から移住とか定住とか、重いところからはなかなか難しい部分もございますので、まずは無理なくそして緩やかに、そして末永く関係を築いていただけるということで、一つの切り口としての複業ということです。これにつきましては、いらしていただける方々は、例えば自己実現であるとか、何かボランティア的なお気持ちもあって―プラス実費がかかる場合がございますので、お小遣いではございませんけれども、そのようなレベルでのという、ここはお話し合いになります。あと、受け入れる側も、もちろん地元企業、常駐はしていただけないまでも、何かビジネスを新しく展開したいと、お力を貸していただきたいというニーズがございますので、そこら辺はウイン・ウインの関係で、まずはおつき合いから進めて、そしてゆくゆくは定住につながっていけるようなことがあれば、これはまた幸せなことであると考えております。
〇佐々木朋和委員 この戦略全体を見せていただいたときに、岩手とつながるという柱を設けた理由として、なかなか首都圏からの人材の流れを起こすことができないと。そういった中にあって、岩手県を知っていただく方をふやす、あるいはファンをふやすことによって、岩手県のよさを広げていこうという趣旨だと書いておりましたので、まさにその説明をお聞きすれば、なるほどということもございます。
 また、今、関係人口という言葉がいろんな本でも出ておりますけれども、そういった中にあっては、一方で、地域のコミュニティーがだんだん少なくなって、その人たちだけでは運営ができない中で、外からかかわっていただくことによって運営できる、そこがまた移住につながっていくという意味合いでの関係人口ということもあると認識しているところですが。そういったことを考えれば、例えばKPIには、今回新しいいわて県民計画(2019〜2028)の中にも、移住、コミュニティというのがあって、元気なコミュニティ100選に、例えば交流というキーワードを加えた活動をしていただくこともKPIとしては考えられるかと思うところでありますが、この岩手とつながるの関係人口創出・拡大戦略あるいはいわてまるごと交流促進戦略のKPIが私はちょっといかがなものかと思っております。
 例えば、関係人口創出・拡大戦略は、そういった意味では、先ほど説明していただいたように、移住、定住の一歩前のつながりということを重視するのだろうと思うのですが、移住相談件数がKPIになっている。あるいは関係人口創出、拡大に向けた施策数そのものがKPIになっているというのは、これはどうなのかなと。例えば、移住相談件数は、岩手で働くの、ふるさと移住・定住促進戦略のKPIそのものでありますし、また、いわてまるごと交流促進戦略、この趣旨から言えば、既存の観光の流れとはまた別のグリーンツーリズムとか、人と人とのもっと深いつながりのところでの交流をKPIにすべきなのですが、この岩手で働くの、観光産業振興戦略のKPI七つそのもの、丸々同じKPIなのです。これだと、戦略としてやる意味があるのかと。趣旨は違うとしても、KPIが同じだと、同じ戦略のKPIが二つあるということになりますから、これはどうなのかと感じました。この件について、岩手とつながるのKPIの立て方については、どういった議論がなされたのかお伺いしたいと思います。
〇村上政策監 ただいま第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の四つ目の柱、岩手とつながるのKPIについて御指摘を頂戴しました。
 この岩手とつながる、いわゆる関係人口、交流人口の部分につきましては、今回、国の新しい第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を検討する中で出てきた言葉の概念ということもありまして、我々も骨子案をつくる段階から、それを加えて検討してまいりましたけれども、例えば、関係人口という言葉自体の定義がきちっと定まらない中で我々も使ってきたところもございまして、この部分は非常に迷いながら施策を検討し、KPI等も検討してきたところがございます。
 これは最終案ということでお示しをしておりますけれども、今、そういった御指摘もございましたので、最終決定までに必要な部分、再検討できる部分があれば、改めて検討させていただきたいと思っております。
〇佐々木朋和委員 最後にします。今、正直に言っていただいてありがたいなと思うのですけれども、関係人口という言葉の定義がまさに新しくできた言葉ですから、どういうものかというのは定まりきらないのはそのとおりかもしれませんが、岩手県としてやっぱり定めるべきだと思います。そして私は、関係人口という言葉が出てきたときにこれはいいものだなと思いましたので、今議論をさせていただいた関係人口の意味合いが二つあると思うのですけれども、岩手ファンを広げるということ、そしてまた、地域でコミュニティーが弱ってきた部分を補完していただけるようなつながりをつくる、この二面から、このKPI、そして事業を4から30にこれからふやしていくということですから、そこにぜひとも注意して取り組んでいただきたいということをお願いして終わりたいと思います。
〇軽石義則委員 1点お伺いいたします。
 私はこれまでも岩手医科大学附属病院の移転にかかわっての交通機関の状況や利用者の状況などについて質問しておりますけれども、ことしの冬は、本格的な冬と言っても雪がなくて、通常の冬とは比較にはならないかもしれませんが、ある程度の月日がたって、通院する皆さん方の状況も変化してきているのではないかと思いますので、その現状どのように把握されているのかお伺いいたします。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 岩手医科大学附属病院の矢巾町への移転後の公共交通機関の現状についてでございますが、JR東日本では、岩手医科大学附属病院の移転に合わせまして、通院、通勤の足の確保に対応するため、平日、朝1本の増便を行ったほか、土日、祝日に運休していた便を毎日の運行に変更したところでございます。また、バスでございますが、路線バスが平日39本、土日、祝日で19本、そのほか矢巾町の市街地循環バスが平日8本、それぞれ運行されているところでございます。また、タクシーについても、矢幅駅及び岩手医科大学附属病院で事業者が待機して運行されているところでございます。
 岩手医科大学附属病院移転後の公共交通機関の利用状況について、公共交通事業者、岩手医科大学附属病院、矢巾町から現状を確認したところ、鉄道、バスが混雑し、乗車できないなどの支障はないと聞いております。
 また、ことしの冬につきましても、先ほど軽石委員からお話のあったとおり、雪が少なかったこともありまして、それについても確認をしたところ、特に季節的な変化による大きな影響はなかったことを確認しております。
〇軽石義則委員 大分問題なく進んでいると。それぞれの事業者も配慮した上で取り組みを進めていただいているのだろうと思います。
 IGRのJRへの乗り入れ等を含めて、連携がとれているのかどうかはどうなのでしょうか。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 IGRのJRへの乗り入れにつきましては、現在において、3本既に乗り入れの運行をしておりまして、それをふやすことにつきましては、IGRの車両が限られていまして、どこかをふやすとどこかを減らさなければならないという状況もございます。また、IGRは、盛岡駅に着くと、階段を乗りおりすることなくバス乗り場あるいはタクシープールに行ける状況がございますが、それがJRのおり口に行くと、階段あるいはエスカレーター、エレベーターを利用しなければならない状況もございまして、メリット、デメリットを確認しながら、IGRでも慎重に検討していると聞いております。
〇軽石義則委員 検討中ということでございますけれども、病院に行く皆さんはそれなりに事情を抱えている、通常の通勤、通学とは条件も違ってくると思いますので、利便性をしっかり高めていくことが大事だというのはこれまでもお願いしてきているところです。また、利用者の声や、まさに事業者の皆さんにもいろいろな会社の事情等があって、その連携を図る意味では、病院と矢巾町からのお話は聞いたと先ほどありましたが、岩手医科大学附属病院の場合は、県内全域から通院または病院に来る方々が多いわけですので、それらの連携も必要ではないかと思います。各事業者と病院や利用者、また、関係する市町村から意見を聞く場などを含めて、今後検討していこうということはないのでしょうか。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 各交通事業者との意見交換というのは先ほどお話をさせていただきましたとおり、JR、IGR、バス事業者、タクシー事業者とは意見交換をしていると。あと、市町村につきましては、今のところ、盛岡市とか矢巾町を中心に意見交換をさせていただいておりますが、その他の市町村につきましては、今後、いろいろな研修会あるいは会議の場がございますので、そういったところで意見をお伺いしながら、必要かどうかも含めながら取り組んでまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 タクシー事業者などにつきましては、内丸と矢巾の往復割引制度なども実施して工夫してやっていただいていますので、バスとJR、IGRが乗り継ぎ時間が連動するとか、病院の時間もあると思うので、それぞれつなぎがうまく流れるように。岩手医科大学附属病院に来て、遠いところだと、帰る時間を含めて、利便性があるかないかで利用するかしないかという判断も出てくると思うので、その部分もしっかり聞いた上で―全てやってくれということではなくて、利便性を高めることによって利用率も高まる。そうすると、事業者としても運営することがプラスになっていくようなつなぎが大事ではないかと思うのですが、その辺をしっかりやっていただきたいという思いで聞きましたけれども、もう一度お伺いします。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 委員からお話のあったとおりと考えておりますが、県でも、JRのダイヤの改正に伴いまして各市町村から意見を集約して、一括してJRに、年1回ではありますが要望させていただいております。その要望とともに、JRでは、IGRとも調整をしながら、乗り継ぎの時間とかを考慮して、毎年ダイヤ改正をして利便性の向上を図っていることもございますので、そういった場を活用しながら、利便性の向上につながるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 それでは、私からは大きく2点お伺いいたします。
 まず、ソサエティー5.0を目指す我が県、最近では知事も、岩手でこそ実現可能性が大きいという答弁、あるいは、今いわて県民計画(2019〜2028)の中でもそういう表現があるのですけれども、この推進に向けての前提となるべき環境整備、情報通信基盤の整備、これなくしてはソサエティー5.0の目指す未来の社会は実現不可能だと私は思っております。
 その上でお伺いいたしますが、情報通信基盤の整備の現状と課題をどのように考えているのか。そして、新年度、県として、この情報通信基盤の環境整備はどの程度推進する予定なのか、お伺いいたします。
〇古舘科学・情報政策室長 情報通信基盤の環境整備の現状と課題についてでありますけれども、平成31年3月末時点で、光ファイバーの利用可能な世帯率は96.4%まで上昇しております。それから、携帯電話の不感エリアの人口は3、032人まで減少している状況でございまして、着実に整備が進んでいるものと考えております。
 一方で、中山間地域の条件不利地域におきましては、光ファイバーそれから携帯電話とも共通いたしまして、採算面から通信事業者による整備が進みにくい状況になっておりますことが課題と考えております。このため、県としましては、光ファイバーや携帯電話などの情報通信基盤の整備を図るために、市町村における国庫補助事業の導入に向けました国との調整や事業者への働きかけを、官民連携で行えるように支援を行ってきたところでございます。
 このような取り組みの結果、携帯電話の基地局整備につきましては、本年度2市町2地区でありましたものが、来年度は4市町6地区で携帯電話事業者の参画が得られ、令和2年度当初予算案に基地局の整備事業補助として約1億2、000万円を計上しているところでございます。
 県としましても、今後とも市町村の要望を把握した上で、国に対する支援制度の拡充を要望していくとともに、通信事業者みずからによる整備や、国の支援制度の活用による市町村の取り組みの支援など、官民が連携して情報通信基盤の整備をしていけるように取り組んでまいりたいと思います。
〇臼澤勉委員 本県は本当に中山間地域が多いところで、着実に進んでいるという答弁でございましたけれども、まだまだ基盤が整っていないところもあります。そして県では、岩手県ICT利活用推進計画を定めて、2022年度までさまざまな取り組みをまとめておりますけれども、今後どのように取り組みを進めていくのか、あるいは前倒しで整備促進を図っていくお考えはあるのかお伺いします。
〇古舘科学・情報政策室長 岩手県情報通信基盤の今後の取り組みでございますけれども、岩手県ICT利活用推進計画におきましても、携帯電話、それから超高速ブロードバンドの情報通信基盤の整備を促進することとしております。
 それに加えまして、昨年の6月に国が策定しましたICTインフラ地域展開マスタープランにおきましては、2023年度末までに携帯電話のエリア外人口を全て解消する、それから、光ファイバーの未整備世帯を18万世帯まで減少させることを目指すとされております。その具体的な支援策としまして、携帯電話等のエリア整備事業や高度無線環境整備推進事業の活用が想定されているところでございます。
 このような国の動向も踏まえまして、今後も官民が連携して、携帯電話、光ファイバーの整備を進めていくことが重要だと考えておりますので、県といたしましても、引き続き、国に対して支援制度の拡充や通信事業者みずからによる整備について要望していくとともに、例えば、県内では紫波町が、光ファイバーの整備に関し関連費用を町が一部補助して官民連携で整備したという事例もあると聞いておりましたので、市町村、事業者が連携して、取り組みが実施できるよう支援してまいりたいと思います。
〇臼澤勉委員 今まではインフラ整備と言ったときには、道路とかを重点的に進めてきた時代がございました。昔は90分構想とか、沿岸全地域から盛岡市まで90分くらいでアクセスしましょうという大きな県政課題のもとに進めてきたと。私は、未来の岩手の社会を、今回さまざまな計画の中で課題を解決して住みやすいまちにするのだと、ふるさと岩手にするのだという思いでいるならば、本気で思うならば、この情報通信基盤の環境整備は、道路と同じようにしっかりと前向きに、事業者のみならず、県としても一緒に取り組みを進めなければいけないと思っております。
 先般、情報技術研究議員連盟で県立大学の先生の講義がありました。その中で、LPWA―LOW POWER WIDE AREA、省電力そして長距離通信という特徴を持った通信技術、それから5Gであるとか次世代Wi−Fiの技術の開発がますます重要になってくるというお話がありました。そして、事例で、福岡県の話とか徳島県でのネットワークの応用事例のお話もあったのですけれども、今後、県として、5G基地局の整備などをどのような方針で推進していくお考えかお伺いします。
〇古舘科学・情報政策室長 LPWA、5G、次世代Wi−Fi等、さまざまな新しい情報通信技術につきましては、本県にとっては非常に有用なものと考えております。特にことしの春から商用化されます5Gは、革新的な通信インフラと呼ばれております。この展開に当たりましては、免許付与から2年以内に、全都道府県でのサービスの開始が義務づけられると。それからもう一つ、5Gの技術を使いましたローカル5Gが制度化され、全国における早期の展開がなされるような制度設計が国においてされているものと承知しております。
 県としましては、これらのことを踏まえまして、5Gの整備促進に向けては、都市部と地方の格差が生じないように通信事業者に働きかけを行っていきたいと考えておりますし、それから利活用をしっかり掘り起こしていくことが大切だと考えておりますので、5Gによる産学官の枠組みを施策といたしまして、着実に推進していくことで情報通信技術の活用、その実装の場を広げていき、5Gを初めとする通信基盤の整備を促進していきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 けさの日本経済新聞でも、5Gの利用推進に水を差すというか、今回の新型コロナウイルス感染症の関連で、中国からの機器等がなかなか調達できない状況になっているという記事も出ておりました。今回、県の新規事業で5Gを活用した地域課題解決モデル構築推進事業の予算が計上されておりますけれども、事業成果はどのようなものを目指しているのか、改めてお伺いしたいと思います。
 そして、この5G等の次世代通信技術は、中山間地域が多い本県の特徴を踏まえて、私は戦略的に進めていくべきだと思っております。そのためにも、国の地方創生推進交付金とかの財源を活用し、しっかりと国とも連携をとりながら展開していくべきだと思うのですけれども、御所見をお伺いいたします。
〇古舘科学・情報政策室長 5G等による地域課題解決モデル構築推進事業についてでございますが、本事業は、超高速、超低遅延、多数同時接続といった5Gの特徴を生かしまして、本県の中山間地域が抱える地域課題の解決を図るモデルをつくっていこうというものでございます。
 具体的には、国の開発実証を念頭に置いておりまして、本県の中山間地域が抱える地域課題の一つだと考えております教育環境につきまして、通信事業者それから県内外の大学など関係機関とともに、共同事業体を形成いたしまして、国の実証事業の獲得に向けて取り組んでいきたいと考えており、それがローカル5Gの事業でございます。その中で、遠隔による学習や交流といった学びの場を創造していくことを進めようと今検討しているところでございます。
 あわせまして、これは戦略的な進め方で考えておりますけれども、5Gの整備の促進を図る面から、キャリアでありますNTTドコモ、それから岩手大学と連携いたしまして、同じ教育ですが、これは中山間地というわけではありませんけれども、総合実証についても来年度から中長期的に取り組んでいきたいと考えております。
 さらに、今後の展開に当たりましては、今回の技術的な実証の成果を見ながら、教育分野に限らず、医療、福祉や農林水産業など、本県が抱えるさまざまな課題につきまして、庁内に設置いたしました部局横断の連携チームがございますので、その中でさまざま議論をしながら事業を固め、地域創生推進交付金の活用を含めて積極的に取り組んでいきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひ進めていただきたいと思いますし、県内の自治体には、スーパーシティ構想の要望というか、手を挙げている自治体もあります。今後、県として積極的に支援すべきだと思いますし、ともに県として目指す姿を実現するならば、一歩踏み込んで積極的な取り組みが必要だと思うのですけれども、部長はどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。
〇白水政策地域部長 スーパーシティ構想の関係でございますが、これは一般質問でも質問いただいたところでございます。国のスーパーシティ構想におきましては、AIやビックデータなど、第4次産業革命における最先端の技術を活用し、未来の暮らしを先行実現するまるごと未来都市を実現することとされております。具体的には、スーパーシティの実現には、自動走行それからキャッシュレス、遠隔医療など、さまざまな分野において高度な情報、科学技術の活用が見込まれているところでございます。
 本県におきましても、矢巾町において、スーパーシティ構想の実現に向け、国家戦略特区の指定を目指して準備を始めていると承知しております。本県といたしましては、矢巾町におけるスーパーシティ構想の実現に向けて、科学技術や情報通信技術の活用方策の検討、それから国や産学官の連携といった面から、支援をしてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 今回の新型コロナウイルス感染症の関連で、こういう危機的な状況の中でも、子供たちが家で、そして学校の先生と離れて学習するような環境整備を進めていく必要が迫られている中においても、情報通信、5Gとか余り大きな話でなくても、Wi−Fi環境とか、これからのLPWAのような環境整備を、低コストでも着実に進められるような取り組みを、ぜひ県として進めていただきたいと思います。
 次に移ります。先ほど来、免許返納者、高齢者の足の確保対策等の話がありました。そして、軽石委員からも、岩手医科大学関連の交通対策についてお話がありました。私も朝の通勤状況を道路に立って見ていますと、矢幅駅から岩手医科大学に向かって、医療関係者あるいは学校の先生、県立療育センターに通う先生がおられますし、岩手県対がん協会の建築も今進んでおりまして、あの周辺はさまざまな機関が集中してきており、朝の通勤の方々が本当にふえております。そして、1年前と比較してみても、車の滞留延長、渋滞が非常に延びてきている状況でございます。一方で、矢巾町でバスを回しているとは言っても、お昼の時間は運行していない部分もありまして、日中の足の確保対策が少し弱くなっている部分もありますし、朝はタクシーが矢巾町から消えてなくなるわけです。タクシーのない実態を踏まえると、改めて地域交通対策をしっかりと進めていただきたいと思います。
 質問に移りますが、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の改正、自家用有償旅客運送手続の円滑化の動きを踏まえて、市町村や交通事業者との連携がこれからますます重要になると思いますが、新年度の取り組みと今後の展開についてお伺いいたします。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 市町村や交通事業者との連携についてでありますが、委員御指摘のとおり、国では、人口減少の本格化、運転手不足の深刻化に伴って、公共交通の維持、確保が厳しさを増している状況を踏まえ、持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案を閣議決定し、今国会へ提出する予定としております。その中で、地域みずからがデザインする地域の交通や、地域の移動ニーズにきめ細かく対応できるメニューの充実などを掲げ、地域公共交通計画―マスタープランの作成や、路線バスの維持が困難な場合等に、地域における旅館運送サービスを確保する仕組みの構築などに取り組むこととしております。
 県といたしましては、今後、こうした国の制度を活用していくとともに、来年度は、維持が難しくなった補助路線について、先ほども御答弁申し上げましたが、市町村が代替交通を確保する場合の経費への支援制度を令和2年度当初予算案に計上したところでございまして、市町村や交通事業者と連携しながら、地域公共交通の維持、確保に取り組んでまいります。
〇臼澤勉委員 交通政策は、これからの時代は、ある意味福祉政策的な要素が非常に強まっていくのかと思っております。県営住宅は県土整備部で所管していますけれども、福祉政策の部分であります。そういった意味からも、交通担当ではありますけれども、今後高齢化が進んでいく中で、もっと地域振興を所管する部としても踏み込んで、連携しながら進めていただきたいと思っております。
 ノンステップバスの導入率を北海道、東北地域で見ると、山形県が64%で1位なのですけれども、岩手県は半分以下です。私も見ていて、非常にいいバスもあるけれども、ちょっと苦しいなという部分もありますので、この辺の導入の見通し等はどのようにお考えか、お伺いします。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 ノンステップバスの導入の見通しについてでございますが、本県でのノンステップバスの導入率は、平成30年度で26.2%となっておりまして、前年度の20.5%と比べて5.7ポイントの増となっております。バス事業者では、毎年度、ノンステップバスの購入を進めておりまして、今年度から令和3年度まで、主要なバス事業者である岩手県交通と岩手県北自動車を合わせて70台程度導入する予定と聞いておりまして、今後も目標達成に向け、導入が進んでいくものと考えております。
 一方、県といたしましても、バス運行対策費補助によりノンステップバスの購入に対する支援を行うなどにより、引き続き導入が進むよう取り組んでまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 最後にいたします。高齢者が利用しやすい環境づくりを整えていただきたい趣旨で聞いておりますが、けさの新聞でも、盛岡市で行っていた高齢者のバスの乗り放題、これは先駆的な取り組みをしておりましたが、回数負担にするような見直しの動きがあるという記事が載っておりました。私は県として、市町村任せではなく、こういうすばらしい取り組みを全県に普及させるような対策に取り組むべきだと思います。免許返納者もこの5年間で6倍ぐらいにふえている状況の中で、県として生活の足を確保する対策に少し私は踏み込むべきだと思いますが、御所見をお伺いして終わります。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 高齢者や通学生等が利用しやすい環境づくりの取り組みでございますが、委員から御紹介のありました盛岡市のまちなか・おでかけパス、これは本日の一部新聞でも見直すということでありますが、継続はする方向のようでございますので、利用促進につながるサービス券の配布とか、このほか、運転免許自主返納者に対する公共交通で利用可能なサービス券の配布、通学生に対する定期券購入費への助成など、市町村や交通事業者において、さまざまな地域の特性や移動ニーズを踏まえた取り組みを実施している状況でございます。
 県が一歩踏み込んでということでございますが、例えば、バスがメーンのところ、鉄道がメーンのところと、地域の特性もあると思います。まずは市町村の取り組みを全県に広まるように県としても働きかけをして、利用者の増加につながるよう取り組んでまいりたいと思います。
〇臼澤勉委員 今、県の財源も限られているのは十分わかります。ならば、仕組みを変える。例えば私も前から言っていますけれども、ライドシェアとか、シェアリングエコノミー的な共助の仕組みのようなものも考えてみてはいかがかと思っております。
〇吉田敬子副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時56分 休 憩
午後3時14分再開
〇柳村一委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について、延べ17人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行いたします。
〇岩渕誠委員 私は、第10款教育費第8項大学費についてお尋ねします。これは文教委員会の所管でありますので、ここで質疑をさせていただきます。
 まず、県立大学についての問題でありますけれども、県立大学は、御承知のとおり、平成10年に開学いたしました。開学の経費は540億円であります。そして、新年度の予算案でも37億円余りが計上されております。大変巨額の予算を投入しているわけであります。
 実学実践と地域協働が大きな県立大学の使命と思っておりますけれども、この県立大学の開設を進めた工藤巌知事の思いは、当時、大学進学率が非常に低かった岩手県において、学びたい人たちにそういう場所をつくるのだという強い思いがあってこれを開学したと思っております。
 現状を見ますと、県立大学の入学者のうち、4学部平均で6割が県内出身者によって占められているということでありますけれども、こうした現状に鑑みて、開学の目的はある程度達成していると考えているかどうか、まずお示しいただきたいと思います。
〇工藤学事振興課総括課長 県立大学の建学の目的の達成についてということでございますけれども、直近で出ております平成31年度の入学者に占める県内出身者の割合で言いますと、大学、短期大学部合わせて約68%となっております。それから、卒業生の県内就職率についてみますと、平成29年度、平成30年度の2カ年平均で約45%という状況でございます。
 委員おっしゃるとおり、県立大学は、建学の理念において、豊かな教養の修得とか、実学実践重視の教育研究、地域社会への貢献など五つの基本的方向を掲げて、地域の中核人材の育成に取り組んできたところでございます。
 県立大学は、現在、地方独立行政法人ということで、県としましては、県立大学の運営について、これまで6年ごとの中期目標、中期計画の達成状況について岩手県地方独立行政法人評価委員会による評価を行ってきたところでありますが、状況を踏まえまして、その評価では、地域の中核人材を育成する教育、地域のニーズを踏まえた研究、知の拠点としての地域貢献の取り組みは順調に進んでおり、目標をおおむね達成しているとの評価を受けているところでありますし、県としましても、県立大学は、これまで地域の中核人材の育成や復興支援に大きく貢献してきたものと認識しております。
〇岩渕誠委員 端的に言って、工藤知事が目指した県内の高校生の大学進学率の受け皿となるということ、これは達成できていると思いますか。
〇工藤学事振興課総括課長 受け皿というところからしますと、先ほど答弁いたしました県内出身者の割合が約68%というところで、その評価ということになりますけれども、おおむね達成していると認識しているところでございます。
〇岩渕誠委員 68%というのは短大と合わせた部分でありまして、4年制大学で言いますと60%ということになりますので、これは正確に把握をして、正確に答えていただきたいと思います。
 ちなみに県内の高校生の大学等進学率は、開学前の平成7年は28.2%、これが平成31年では43.7%まで上がっております。これは必ずしも県立大学のみではありませんけれども、私は、県立大学の開学が与えた影響はあったのだろうと思っております。
 ただ問題は、あの当時もですが、受け皿としての機能については、大変しっかりとした目的意識もありましたし施策の展開ができていたと思うのですが、就職率に関してはやはり課題が残っている。今、課長から約45%が県内だという話がありましたが、半分以上は県外に行っているわけです。特に、大きくこの数字を押し下げているのはソフトウェア情報学部であります。平成30年度の県外就職率は実に80%であります。県内就職率は2割を切りました。もともと4分の1程度、頑張って3割というところだったのですが、これが急速に減っております。
 これの深刻な点は、やはり相対で言っても社会減につながっていることと、それから、ソフトウエアですから、今後の岩手県におけるAI人材の担い手も減っている、流出しているということになると思うわけであります。
 このソフトウェア情報学部の県内就職率が非常に低い理由について、どう分析されていますか。
〇工藤学事振興課総括課長 ソフトウェア情報学部の県内就職率についてでありますけれども、委員御指摘のとおり、県立大学の卒業生の県内就職率は、4学部合計ですと平成30年度で40%台中盤となっておりますが、ソフトウェア情報学部につきましては、平成29年度は26.2%、平成30年度は19.3%となっているところであります。その要因としましては、全国的なIT人材の不足を背景に、県外企業から多くの求人が寄せられていまして、給与、休暇等の待遇とか研修制度でまさる首都圏の大手企業等に人気が集まっていることなどによるものと考えております。
 県としましても、県立大学としましても、この県内就職率を上げることは大きな課題として考えておりまして、これまでも、学内合同企業説明会、企業見学会とか、他の大学との連携によるインターンシップ等を実施してきたところですけれども、依然としてなかなか上がらないということで、県立大学とよく意見交換をしながら、今後の対策について検討しているところでございます。来年度からも、さらにそういった県内就職率を引き上げる取り組みを充実させていくこととしているところでございます。
〇岩渕誠委員 これは給与面とか待遇面に理由を求めるのであれば、ほかだって一緒なのですよ。看護学部だって45%は県内です。社会福祉学部は6割が県内に就職しています。そうではなくて、私は、ソフトウェア情報学部の受け皿をどうするかという県の政策の部分に問題があると思っています。
 私は一つ、その証左としてあるのは、県立大学で受託研究等の事業収入ということをやっています。つまり、これは大学以外の、民間であったり、あるいは自治体であったり、NPOであったり、そことの共同研究がどうなっているかというところにもよると思います。
 平成30年度の資料を見ますと、受託研究、共同研究、受託事業といろいろあるわけでありますが、1億円の収入になっていますけれども、官民で言うと、官は8、500万円なのですね。つまり官との結びつきが強い大学なのだけれども、民間は、この1億円のうち1、500万円分なわけです。これは、収入で見ますと、やはり大学の知の部分を県内企業としっかり協働していない、あるいはそこにアプローチが弱い、その辺が問題ではないかと思っているのですが、これは部長に聞きましょう。
〇白水政策地域部長 委員おっしゃるとおりでございまして、まさにこれから、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略でも、ソサエティー5.0ということで新たな科学技術を活用した地域振興を進めていくわけですけれども、その点で、どんどん技術が進展する中で、対応できる民間事業者との連携、あるいはその分野の研究の推進は非常に必要不可欠になっておりますので、今後も県立大学と地域のいろいろな協働、連携のあり方として、今、委員の御指摘ありましたようなこともしっかりと念頭に置いて取り組んでいく必要があると考えております。
〇岩渕誠委員 これ、開学の当初は地元の企業、民間との連携というものがかなり語られてきたと思います。ところが、やはりここに来て、実績を見ると、収入ベースでありますけれども、かなり低いところにおさまっている。官の部分に関しての押し出しはいいし連携はいいのだけれども、やはり民間との部分、特に、今後の人材を確保しなければならない部分で県外に流出しているのは、これは、やはり総合戦略上も非常に憂慮すべきものだと思っておりますので、その部分をしっかりとお願いしたいと思います。
 もう一つ、県立大学については、教育改革の分野で、果たしてどういうところになっているかということでございます。
 新年度から始まります学習指導要領の改訂も、出発点は、高等教育に対する疑問から出発して、これは2013年だったと思いますけれども、教育再生実行会議の第4次提言の中でも、大学教育をしっかりしないと大変だということが出てきました。要は、社会に出ても使えないではないかという中で、大学教育を変えて、高大接続をやって、小中学校、高校のカリキュラムを見直しましょうという原点が高等教育、大学教育にあったわけですけれども、県立大学は、この教育改革をどのように捉えて、どのような対応策をとっているでしょうか。
〇工藤学事振興課総括課長 県立大学における教育改革への対応の状況ですけれども、県立大学では、まず、大学教育に対応するとともに、県が定めております公立大学法人岩手県立大学中期目標に沿いまして、まず、入学者受け入れの方針―アドミッションポリシー、それから教育課程編成・実施の方針―カリキュラムポリシー、それから、卒業認定・学位授与の方針―ディプロマポリシー、この三つの方針を平成29年度に策定して、求める入学者ですとか教育内容、評価方法、学生が身につけるべき資質、能力などについて明確化を図り、それから、必要に応じ見直しを図ってきているところでございます。
 また、令和3年度からの大学入学者選抜につきまして、一般選抜において、主体性を持ったさまざまな人々と協働して学ぶ態度をより評価する方法に変更するなどの入学者選抜の改革を行うこととしているところでございます。
〇岩渕誠委員 ただ、この三つのポリシーというのは、文部科学省の方針に沿って各大学がつくっているわけであります。だから、そこの中で県立大学の特色って何だと言ったときに、非常に見えないところがある。目立ったのは、早い段階で大学入試の英語の聞き取りの分をやめますというぐらいの話で、どういう人材が欲しくて、どういう人材をつくっていくのかというところが見えないのが実態だと思います。そこはもう少し、実学実践というものもありますから、一般的な首都圏にあるような大学と違うポリシーで構わないと私は思うので、もう少しとんがったところがあってもいいかと思っています。
 実は、どういう人材をつくるかということについて、今お話がありましたけれども、第3期中期目標、これは県議会にも平成28年12月に提出されているようでありますが、その前段に評価委員会がつくられて、県立大学についての評価は一応企業からなされています。大きく言うと、基盤教育について、つまり教養教育ですね。これについては非常に肯定的な評価になっていない。達成度で言うとCのレベルになっています。これは大変問題があると思っておりますし、それから、ソフトウェア情報学部、総合政策学部についても、専門知識を身につけている、あるいは顧客や相手の立場に立って考えたり行動することができるというような部分については、肯定的な評価である平均点3.0に達していないというような極めて厳しい評価が企業側、就職先からされているわけであります。これをどう改善していくかは大きな教育改革にもつながる問題だと思いますけれども、どのようにお考えですか。
〇工藤学事振興課総括課長 県立大学に関する企業からの評価についてということでございますけれども、県立大学では、先ほどお話しいただきました第3期中期目標策定の際を含めまして、卒業生や修了生の就職先企業、団体を対象に企業アンケートを実施しておりまして、平成28年度の調査結果では、卒業生に対する企業の満足度では、期待に十分応えている、どちらかといえば応えているの合計が88.5%、それから、能力水準についても、全体として高い、どちらかといえば高いの合計が78.2%と、結構高い評価とはなっております。
 特に、卒業生の意識や身につけている能力として、責任感、倫理観を持って取り組む姿勢、円滑なチームワークや健全な人間関係を築く能力を挙げる企業が多い状況となっております。ただ、その一方で、委員御指摘のように、国際感覚ですとか国際的コミュニケーション能力とかといったところについては低い、おっしゃるとおり、3に満たないというような評価も一部あったところでございます。
 そうした評価も踏まえまして、大学での第3期中期計画で国際的視野の涵養に関する目標を掲げまして、グローバルな視点を持った人材に求められる語学力などの基盤教育の充実を図ることとして実施したところでございます。
 今後とも、そうした企業アンケートなども踏まえた教育研究活動の見直しなど、企業ニーズに応える人材育成の取り組みが進むように対応していきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 名誉のために言っておきますけれども、特にすぐれた成果ということで言えば、看護師、社会福祉士等の国家試験の合格率は全国平均を上回っているということで、大変優秀な人材も輩出しているというのは一方であると思います。ただ、やはり全体のイメージからすると、まだもうちょっとというところであると思います。
 これは大学自治にもかかわる部分でありますから、開設者としての責任がどこまであるのかという議論もあるかと思うのですが、やはり県立大学は、今のままでは、県内からの進学を受けとめる受け皿にはなっているけれども、その後、県外への流出が続く、あるいはもうちょっとこういうところを頑張ってほしいという評価になりつつあるわけです。今、新年度からちょうど中期計画の折り返しに入るところであります。やはり県立大学の問題が広範なところに響くということを踏まえて、最後、どう取り組んでいくか部長にお伺いして、終わります。
〇白水政策地域部長 御指摘ありがとうございました。やはり県立大学の運営に当たりましては、ある意味、原点に立ち返りまして、大きく教育、特に基盤教育と今おっしゃっていただきましたけれども、教育、それから研究の面、そして地域貢献といいますか地域協働の面という大きな視点があると思いますので、その観点でしっかり役割あるいは意義を果たせるように取り組んでいく必要があると考えております。
 それから、大きな流れとしては、文部科学省から、地域連携プラットフォームの構築という話も来ております。これは県立大学単体ではなくて、岩手大学を含め県内の大学、それから産業界もそうですし、もちろん県等の自治体も入ります。そういった関係機関が集まって地域課題、特に人口減、社会減を含めた地域課題をしっかりとこの場で検討するようにという方向性も出てきております。そういった観点も合わせますと、ほかの大学あるいは産業界との連携、役割分担という視点も重要になってくるかと思いますので、そういった方向性も踏まえつつ、しっかりと検討あるいは対応してまいりたいと考えております。
〇高橋穏至委員 私からは、産学官連携地域産業創生推進費についてお伺いします。
 冒頭に当局から事業内容の説明があったのですが、高等教育機関と連携し、ものづくりの産業拠点を創生するという内容なのですが、いまいちぴんと来ないのですね。何を目指して、具体的に何をするのかがよくわからないので、改めてこの事業の目的、それから具体的な内容、そしてもう一つ、高等教育機関等との連携といいますけれども、この教育機関とはどこを指しているのかお伺いします。
〇村上政策監 産学官連携地域産業創生推進費についてのお尋ねでございました。この事業は、国の地方創生関係の交付金であります地方大学・地域産業創生交付金を活用しまして、産学官連携により、大学など地域の高等教育機関の強みを生かした地域の産業振興、それから、専門人材育成等の取り組みの推進により、地域の産業の創生、そして若者の定着の促進を図っていこうとするものでございます。
 具体的にはということでございますけれども、世界最先端のものづくり産業の拠点ということを御説明でも申し上げましたが、本県の強みでありますものづくり産業の振興を一つのテーマとしまして、生産技術開発の機能強化ですとか、次世代モビリティ技術・サービスの創造といったテーマを想定して、産学官連携により地域の産業を創生していこうという事業でございます。
 具体的な連携先ということでございますが、岩手大学を初め、県内の複数の大学等の高等教育機関との連携を想定しているところでございますが、事業を推進する組織体について今検討、調整中でございますので、これからさらに検討を進めまして、事業がうまく進められるように取り組んでいきたいと思っております。
〇高橋穏至委員 人材育成とかものづくりの支援といいますと、後日審査がある商工労働観光部でも似たような事業がたくさんございまして、あえてこの地域振興室でやった意味がどうだったのかということがありましてお伺いしたのです。多分、今の説明ですと、交付金絡みでこっちの担当になったのかなと承ったのですが、いずれ目的とするところの人材育成ですとか技術支援については、商工労働観光部の事業にもあるわけで、特にこの地域振興室でやろうとした目標みたいなものがあるのかということ。もう一つは、自動車関連産業等となっていますので、後の北上川バレーですとかといった県南の拠点をつくっていくのかなというイメージを実は持っていたのですが、そこら辺の地域的な絡みはどうなのかをお伺いします。
〇村上政策監 まず、現政策地域部、新ふるさと振興部の所管についてでございますが、先ほどの御説明でも申し上げましたとおり、これは高等教育機関と連携した地方創生に資する事業の枠組み、交付金もそういう目的になっておりまして、地方創生あるいは高等教育機関との連携といった部分は、組織再編後のふるさと振興部の所管になっているといったこともありまして、こちらをふるさと振興部で所管する予算ということで整理させていただいたものでございます。
 それから、地域的なお話というところがございました。今、ものづくり産業を中心に想定してということでございますので、委員おっしゃったとおり、具体的にはこれから検討を進めてまいりますけれども、県南広域というのは一つのエリアになるかと今思っているところでございます。
〇高橋穏至委員 そこでちょっと思い出したのが、工業技術拠点として、工業技術センターのような文化が県南地区に欲しいという話を以前北上市からもしていました。地方創生交付金という限られた時間の中での事業になるわけですけれども、いずれ、これから施策として県南地区のものづくりをやっていく上では、そういった研究とか開発部門、要は高度な研究、大学で学んだことを生かす場がないのも、一つこの岩手県の弱みであります。高等教育をしても、どうしても、工場はあるけれども、さらに上の研究機関がないというのが一つの弱みになっているわけです。そういった展望はいかがでしょうか。
〇村上政策監 まさに今、委員おっしゃいましたとおり、例えば誘致企業であっても、なかなか研究の機能がない、あるいは地場の企業であっても、なかなかそういう機能がないといったところを課題として我々としても受けとめているところでございます。
 この交付金事業でございますけれども、当然、産業振興ということで、大学のシーズをもとに産業化を目指していくということでございます。大学も、そういった地域の産業に合わせた大学のカリキュラムの見直しですとか、あるいは拠点を整えるといった大学側の体制、組織の見直しも求められる対応でございますので、委員からお話のありました研究機能といった部分も、こういう事業をやる中で、何とかうまく今のものづくり産業の振興の中に、付加価値として加えられていくような取り組みにつながっていけばいいと思っております。
〇高橋穏至委員 ぜひ、そのような形になるよう期待いたしたいと思います。
 それからもう一点は、三陸・北いわて地域活性化推進積立金ですけれども、基金をつくるというだけの中身だったものですから、この基金の全容がよくわからないなと思ったのですが、午前中の五日市委員の質問とやりとりの中で、何となくやりたいことがあるので、それの財源かなというイメージを持ったのですが、この基金のスキームをちょっと説明いただければと思います。
〇大釜県北沿岸振興課長 三陸・北いわて地域活性化推進積立金でございますが、この積立金は、三陸防災復興ゾーンプロジェクト及び北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトの取り組みの効果を促進するために、三陸地域または北岩手地域において、地域課題を解決する先導的な事業を採択するための予算枠ということで、今回、地域振興基金に積み立てを行いまして、地域の活性化の推進を図ろうとするものでございます。
 現時点では、基本的には県の各部局または広域振興局が実施主体となる事業で、当該地域での先導性、先駆性が評価できる事業などを対象とする考え方としております。
 具体の事業につきましては、今後、この基金を活用した、実際に採択された事業の予算化、事業化の段階で、来年度の議会にお諮りした上で決定していくこととしておりますので、その際に改めて御審議賜りたいと考えております。
〇高橋穏至委員 そうしますと、まず、今年度は1億円という形なのですが、全体像として、スパン何カ年かで、ボリューム的にはどれぐらいの規模でという想定はございますでしょうか。
〇大釜県北沿岸振興課長 現時点では、まずは1億円という金額を積み立てまして、年が明けました令和2年度、各部局あるいは広域振興局からの事業提案をいただいて、実際、両プロジェクトの事業を推進していくということでございます。この基金の利用状況あるいはプロジェクトの推進状況を見まして、今後のところは検討していきたいと考えております。
〇高橋穏至委員 わかりました。
 これを見まして、かつて、各地域振興局単位にあった地域活性化調整費を思い出しました。やはりアイデアを募集して、いいものに予算をつけるという意味では使い勝手のいいような事業で、私は議員になる前にもいろいろな活動をさせていただきました。そういった意味では、市町村なり地域の人たちの主体性がないと、行政が考えてやっていただくという事業では活力にはならないのでないかと思いますので、ぜひそういった地域の力を生かすような、そして振興に結びつけるような事業が生まれてくればいいなと期待いたしまして、私の質問を終わります。
〇佐藤ケイ子委員 まず、応援職員の状況についてお伺いいたします。
 今年度、令和元年度の応援職員は400名を超える方々に御協力いただいているわけですけれども、台風被害などもあって、さらに増員をお願いしたり、また、被災されたところに戻るというような方もいらっしゃるわけですが、今年度の状況はどうだったのでしょうか。必要要請数、そして確保状況について伺います。
 それから、続いて、新年度の必要要請数とその確保の見込みはどうでしょうか。県外、県内、それから任期付の職員などの内訳でお知らせいただきたいと思います。
〇小原参事兼市町村課総括課長 応援職員について、令和元年度の応援職員の必要要請数と確保状況についてでございますが、2月1日現在で、東日本大震災津波については、必要数423人に対し、確保数が400人、充足率が94.6%。
 それから、平成28年台風第10号災害につきましては、必要数21人に対し、確保数が21人で、100%。
 それから、令和元年台風第19号災害につきましては、こちらは要請数が、今はもう災害査定等が終わってお帰りになった方もいるので、ピークの数でございますが、ピークの要請数が27人に対しまして、確保数が21人、充足率は77.8%となっております。
 次に、令和2年度の応援職員の必要要請数と確保見込みについてでございますが、現在調整中のものもございますため今後変動の可能性もありますけれども、3月1日現在で取りまとめたところ、東日本大震災津波につきましては、必要数319人に対し、確保見込み313人、充足率が98.1%。この内訳ですが、県外からの派遣が85人、これは主に県外自治体です。それから、県内内陸市町村、県職員派遣、県の任期付職員の派遣が110人、被災市町村による任期付職員の採用等が118人となっております。
 それから、平成28年台風第10号につきましては、必要数12人に対し、確保見込み12人、充足率は100%となっておりまして、この内訳は、県内が内陸市町村1人、県任期付職員が9人の合わせて10人、被災市町村による任期付職員の採用が2人となっております。
 それから、令和元年台風第19号災害につきましては、必要数33人に対し、現時点での確保見込みが18人、充足率が54.5%で、県外からの派遣が5人、県内内陸市町村からが9人、被災市町村による任期付職員の採用等が4人となっております。
〇佐藤ケイ子委員 県外、全国からも応援をいただいて本当にありがたいものだなと思っております。今後、復興がいつまでかかるのかということで、県もそうですし、市町村も任期付職員の採用予定が悩ましいところなわけです。国の復興・創生期間後の財源も心配なところでありまして、これからも、全国にも県内にも応援をいただかなければならないとは思いますけれども、ぜひ市町村にも、今後も必要数などの依頼を早目にしていただければと思うところです。
 あともう一つは、やはり土木建築系の職員が不足しているのだろうと思いますし、震災のときの活動の経験を継承することがだんだん難しくなってくる、応援職員も離任してしまうということで、ノウハウが途切れてしまうのではないかというさまざまな課題もあろうかと思います。とにかく多忙な中で頑張っていただいておりますけれども、これからもこの応援職員のケアも含めて取り組みをお願いしたいと思っております。
 次の項目に行きます。マイナンバーカードについてです。
 マイナンバーカードの交付状況について、カードの普及率は全国で15%程度と言われておりまして、特に、多くの国民は余り必要性を感じていないわけですが、国ではこれを強く進めたいということであります。この交付状況はどうなっているのか、まずお伺いいたします。
〇小原参事兼市町村課総括課長 県内におけるマイナンバーカードの交付状況でございますが、本年1月20日時点での県内の交付率は13.2%、交付枚数が約16万5、000枚となっておりまして、全国平均の交付率15%を1.8ポイント下回っている状況でございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。それで、このマイナンバーカード導入については、国からも補助金をたくさんいただいて、市町村、県も財源を投入して進めてきたわけですけれども、なかなか実績が上がっていないということでありますし、このマイナンバーカード自体の問題もたくさんあるわけですね。個人情報が漏えいするのではないか、それから、カードの紛失とか盗難とか、さまざまな不安材料があります。
 その中で公務員に対してマイナンバーカードを取得するように国が呼びかけておりまして、2019年6月に中央省庁とか自治体に対して、マイナンバーカードを取得させること、それから、その取得状況を報告するようにという通知があったと新聞報道されているのですけれども、本県ではどのように対応してきたのでしょうか。
〇小原参事兼市町村課総括課長 市町村職員のマイナンバーカード取得勧奨についてでございますが、令和3年3月から本格実施されるマイナンバーカードの保険証利用を着実に進めるため、地方公共団体及び地方公務員共済組合の取り組みについて、地方公務員等による本年度中のマイナンバーカードの取得を推進することとして、昨年6月に総務省から通知が発出されたところでございます。
 これは、今後取得を促進していく中で交付申請件数が増加していくことも予想されることから、市町村の交付事務を平準化させて、マイナンバーカードの円滑な交付を図るためには、まず、公務員は先に取ってくださいという趣旨で通知が出されたものでございます。
 この総務省の通知を受けまして、県としては、会議の場におきまして、各市町村長、それから副市町村長に対しまして、市町村職員及びその家族等に対して、本年度中のマイナンバーカードの取得を勧奨するよう、直接お願いしたところでございます。
 また、市町村職員及びその家族等のカードの申請、取得状況については、定期的に総務省に報告をしております。
〇佐藤ケイ子委員 これはかなり問題があろうかと思います。マイナンバーカードを使おうが使うまいが、生活には大して影響ないですし、それよりも情報漏えいとか、本当にさまざまな問題がありますので、これをそんなに進めるべきなのかと私は思っております。
 公務員は、今度は健康保険なんかもそういうことで進められるわけですけれども、さまざまな問題があるということを認識していただきたいと思っているところでございます。押しつけるやり方はやめるべきだと思います。何も市町村に積極的に進めるべきではないと考えますが、どうでしょうか。
〇小原参事兼市町村課総括課長 まず、マイナンバーカードにつきまして、現時点ですごくメリットがあるかというと、住民票等のコンビニ交付をやっているのも県内9市町村とまだまだ少ないということで、日々、日常的にマイナンバーカードを使って住民票とか戸籍謄本を取るかというと、そうでもないというところで、なかなかメリットが伝わりにくいと。
 ただ、来年度9月からマイナポイントによる消費活性化策が始まるということ、それから、健康保険証利用が始まるということもございます。あとは、これからの手続等についても、マイナンバーカードがあったほうが便利になることもふえてくると思います。そのあたりのメリットは伝えるとともに、あとは、どうしても情報漏えい等について非常に危惧されている方が多いということですけれども、実は、マイナンバーカードは、情報、データを利用するときは、それぞれ符号で連結しているので、マイナンバーカード1枚から芋づる式に全ての情報がだあっと漏れるということではないので、カードを紛失した場合でも、即悪用できることはない、そこら辺のセキュリティーは高い仕組みになっております。
 そのあたりの不安を解消するような周知等は丁寧に行いながら、それから、市町村におきましては、今、マイナンバーカード交付円滑化計画を各市町村がつくって取得促進に取り組んでいただいているところですが、例えば土日、休日の夜間開庁とか、そのあたりについては、市町村の実態に応じて、できる範囲、それから費用対効果が見込まれるところを各自治体で判断していただきながら、取り組んでいただいているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 かなり巨額の費用を投じてもほとんど効果がないというこの事業でありますし、さらに、監視社会ということなど、さまざまな課題のある事業でございます。認識していただければと思います。
 次は、地域総合整備資金貸付金のことも通告しておりましたけれども、これについては省略させていただきたいと思います。北上済生会病院への貸し付けの関係で、平成30年度も5億円、今回も15億円ということで、トータルで20億円の貸し付けに県がかかわっていただいているということであります。ありがとうございます。
 その次に行きます。ふるさと岩手応援寄付募集のことについてでございます。
 ふるさと岩手応援寄付の新年度予算案は、歳出で2、300万円余、前年度は300万円余ということで大幅に増額したわけであります。歳入のほうで言うとそんなに大幅に増額されている状況ではないのですけれども、令和元年度の、新しくシステムをかえたとか、そういうことだったようですが、その状況はどうなっているか。そして、新年度大幅に増額した予算はどのように使われていくのかお伺いいたします。
〇和田ふるさと振興監 ふるさと岩手応援寄付の令和元年度の状況でございますけれども、委員、今お話しいただいたとおり、今年度から、いわて県民計画(2019〜2028)がスタートし、政策的枠組みが新たに構築されたことから、ふるさと岩手応援寄付についても、多くの方々から、県の施策や事業に共感され切れ目なく御支援をいただけるように、具体的な使い道をイメージする事業応援型寄附の充実、そして、県産品の普及拡大を図る観点からの共通返礼品の設定、そして、より応援しやすくするための民間ポータルサイトによる寄附募集といったリニューアルを昨年10月に行ったところでございます。
 令和元年度の受け入れ状況について申し上げますと、令和2年1月31日現在で1、254件、6、572万円余を受け入れておりまして、昨年同期と比較いたしますと、寄附の件数で489件、金額で2、515万円余の増、それぞれ約1.6倍の伸び、リニューアル後の10月からで比較いたしますと約2倍の伸びとなっております。
 受け入れの内訳を見ますと、対象事業が全部で20事業ほどございますけれども、いわての学び希望基金あるいは三陸鉄道への支援、災害復旧等対策など復興、そして令和元年台風第19号災害関連の事業が上位を占めているというような状況でございます。
 そして、歳出のほうにつきましても、同様に、共通返礼品の業務委託、あるいは先ほど申し上げましたとおり、民間ポータルサイトの募集に要する経費といったものを本年度予算で増額しているところでございます。
 それから、新年度の取り組みというところでございますけれども、今回のリニューアルで寄附件数、寄附金額が大幅に伸びたことを踏まえると、やはりこの事業とか施策の訴求力が非常に影響していると考えられます。したがいまして、定期的にこういった寄附事業とか返礼品とかといったものを見直していくこと、そしてまた、訴求力の高い情報発信を行っていくことが必要であると考えております。
 そしてまた、ふるさと岩手応援寄付については、岩手県を応援する手段の一つでございますので、岩手県のファンとなっていただいて、継続して岩手県とかかわりを持っていただくための契機にもなるものと考えております。
 そういった制度の趣旨を踏まえながら、例えば人的交流に資する体験型返礼品を検討するなど訴求力の高い情報発信といったものに取り組むほか、先ほど申し上げましたとおり、寄附項目の見直し、あるいはそういった寄附の使われ方がわかるように、県のホームページ上で活用事業の状況をお知らせするとかといった展開をいたしまして、寄附を通じて岩手県に末永く関心を持ち続けていただいて、関係人口の拡大につながるよう取り組んでいきたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 これで終わりますけれども、このふるさと納税も、本当はいろいろな地方財源からすると問題もあるのですが、どこでもやっているので乗りおくれるわけにもいかないので、自治体同士の競争になっているわけですけれども、東北で見ると、断トツで多いのは山形県なのですね。件数も金額も本県と1桁違うぐらいの件数、それから金額ということになっております。やはり地域特産品をどうやってアピールしていくかという返礼品の魅力ということもあるようです。
 本県の返礼品は、かなり絞っているのですね。それは、各市町村でもやっておりますので、その枠を乱してはならないというか、市町村それぞれの取り組みを尊重することもそうなのでしょうけれども、どうもその返礼品の魅力に少し欠けるのではないかと私は思ったりするところです。
 この返礼品の選考はどうするのかと思っているわけですけれども、例えば市町村バランスもあるでしょうし、それから、県の特産品と言ったときに、どれも特産品なわけですが、もう少し県内各市町村のバランスを考えるとか、人気商品のようなものがやっぱりあるのですね。肉とか野菜とか、それから、特に人気のあるのはトイレットペーパーなのですね。三菱製紙のトイレットペーパー、ティッシュなのですけれども。本当にさまざまな返礼品のやり方があると思うのですけれども、そうした地域特産品を売り込むということで考えていただけないかと思っております。
 あと、特にいわての学び希望基金に多く寄附されているというのは本当にうれしいことでありまして、こういうふうに本県を応援する方々が全国にたくさんいらっしゃると思っております。こうしたアピールのあり方をもう少し検討いただけないかと思っております。いかがでしょうか。
〇和田ふるさと振興監 先ほど委員お話しありました返礼品の選定の考え方でございますけれども、本県の場合、県産品の販路拡大につなげていくという観点で、今までいろいろ事業に付随するもの、三陸鉄道とかというものは設定しておったのですが、今回そういう考え方のもと、岩手県のアンテナショップでの売れ筋商品とか、あるいは県の商工労働観光部や農林水産部で実施しております特産品コンクールで入賞した商品を使おうということで、今回、共通返礼品として設定したところでございます。
 御指摘のように、寄附者からの申し込み状況といったものも見つつ、先ほど申し上げましたとおり、年度年度でちょっと入れかえというのですか、そういったことも引き続き検討しながら、返礼品について、うまく岩手ブランドの情報発信につながるように取り組んでいきたいと考えております。
 そしてまた、ふるさと納税についてでございますけれども、いずれ仕組み的に、生まれ、ふるさととか、お世話になった地域、これから応援したい地域などの力になりたいという思いに基づく制度でございますから、しっかりそういった制度の趣旨を踏まえながら、多くの方々からいろいろ共感をいただき、そして応援いただけるよう、今後ともさまざま工夫をして取り組んでまいりたいと考えております。
〇柳村一委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇米内紘正委員 私は、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略についてお聞きいたします。
 まず、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の位置づけとして、人口減少に立ち向かうための基本目標とありますので、最も重要視する成果、アウトカムは人口の増減だと思っております。その中で、第1期の計画最終年、令和元年において、社会減が4、300人と、前年より減少数が大幅に縮小いたしました。平成30年においては5、200人、その前、直近3年間においても毎年800人ぐらいずつ社会減がふえていた状況であります。その中でこのように4、300人と約900人社会減が減少したわけであります。これは大きな成果だと考えられますが、この原因について、詳細な分析結果とそれに寄与した政策についてお聞かせください。
〇千葉参事兼調査統計課総括課長 それでは、私から分析結果の御説明を申し上げたいと思います。
 まず、本県の社会減の大部分は進学あるいは就職期の若年層が占めておりまして、例年、この層が社会減の動向に大きく影響しているところでございます。
 令和元年の社会減は、先ほど委員から御説明ございましたが4、370人ということで、前年の平成30年と比較しますと845人縮小しております。
 この主な要因でございますけれども、まず、年齢別、男女別で申し上げますと、実は若年層の動向に大きな変化は見られないところでございますが、30代の男性につきまして、社会減から社会増に転換したというところが一つの特徴であります。あと、エリアの話になりますけれども、広域振興圏別で見ますと、県南広域振興圏の社会減が828人ほど縮小したということがありまして、これらが最も大きく寄与したと分析いたしております。
〇村上政策監 社会減の縮小に寄与した政策といったお話でございますが、ただいま調査統計課総括課長から御答弁申し上げましたとおり、令和元年と平成30年の社会増減を比較しますと、主に北上市を初め、金ケ崎町、花巻市、紫波町などにおいて社会増となっておりまして、県南広域振興局全体で見ても、社会減が大幅に減少していることから、県南地域を中心とした自動車、半導体産業の産業集積の促進を図る施策が寄与しているのではないかと考えているところでございます。
〇米内紘正委員 私も、寄与した政策に関してはそのように思っております。
 もう少し細かく言いますと、結局、社会減というのは県外からの転入と転出の差でございますけれども、県外への転出については、震災以降、約2万2、000人前後でずっと変わっていない。転出に関しては、政策は何ら寄与していないといいますか、それを抑えることはできていない。そして、県内に来る、転入ですね。転入に関しても、震災以降、平成24年で2万人の県内への転入があったのが、ずっと転入が少なくなって、平成30年の時点で1万6、777人となっていたのですね。そこで令和元年、1万7、400人ですか、10年ぶりにといいますか県内への転入が増加に転じたと。
 これも男女別、年齢別で見てみますと、その転入のところ、実は0歳から19歳、あと25歳から79歳までは、転入者数が平成30年よりふえております。つまりこれで考えられるのは、大人の世代、25歳から79歳の世代が入ってきたことによって、0歳から19歳、お子さんも一緒に連れてこられて転入が平成30年より増加したというところであると思うのですけれども、もっと細かく見ると、実は25歳から39歳、ここは転入が増加した世代なのですが、男性は300人近く転入者がふえているのですが、女性になると100人減っているのですね。
 つまり、何がここで考えられるかというと、25歳から39歳の男性のひとり世帯が県内に来た。県内に来て、どういうことが起きているかというと、先ほどの地域別、広域振興圏別の分析で見られるとおり、北上川バレープロジェクトにかかわる県南のところで740人ふえておりますので、主に本当にこの1点、北上川バレープロジェクトによる転入増が寄与した。そこが約700人。そして、外国人の転入者が200人ぐらいふえているので、合わせてこの900人が社会減の大幅な縮小に寄与したと見られるのです。
 これは、北上川バレープロジェクトで永遠に人が来続けるわけではありません。一過性のものでございます。ことし、来年、そこに産業が集積すれば県南地域に関してはずっとふえ続けるかもしれませんけれども、それ以外の地域では、全くこの10年間変化が見られていないという状況でございます。
 今この分析は、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略を策定する前に分析をしたのかどうか。あと、その分析結果をどのように第2期岩手県ふるさと振興総合戦略に反映させたのか。そして、反映させた結果、どういう政策をして、どういうKPIを設定したのかお聞かせください。
〇村上政策監 今の委員からの詳細な人口分析についてでございます。今回、公表されました令和元年の社会減約4、300人という部分でございますけれども、冒頭、今年度、次期岩手県ふるさと振興総合戦略の骨子案等を公表した際には、この数字は5、200人でございました。それは1年前の数字ということで、それをベースに我々いろいろ現状分析をして戦略の策定をしてきたところですが、その後、社会減縮小といった変容もありましたので、戦略を仕上げるに当たって、今、委員おっしゃられたようなことも踏まえながら検討してきたわけでございます。
 今お話がありましたとおり、ものづくり産業の振興が一つ大きく寄与したところはあるのだろうということもございましたので、ものづくり産業の振興は、次期戦略においても一層の充実を図っていくとともに、今、北上川バレープロジェクトというお話がありましたけれども、新たな分野横断の戦略を加えて、ソサエティー5.0の関連事業等と一体的に推進しようとしたところでございます。
 それから、KPIの設定というところでございます。こちらは今の人口の現状分析と直接関係があるかどうかわかりませんが、現行戦略のKPIという部分、前のいわて県民計画の目指す姿指標、具体的推進方策指標、それから事務事業評価の活動内容指標、成果指標といったものを踏まえながら選定していたため、一部の指標で把握するべき対象が必ずしも統一されていないといった課題があったかと受けとめております。こうしたことを踏まえまして、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略のKPIの設定に当たりましては、いわて県民計画(2019〜2028)の幸福関連指標、それから具体的な推進方策指標を踏まえて施策の関連性を考慮して設定いたしました。
 さらに、現行戦略から継続するKPIについては、近年の実績値の推移等も踏まえながら、可能な限り、より高い伸びの目標値を設定させていただきました。
〇米内紘正委員 KPIに関しましては、私も12月の一般質問で取り上げさせていただき、また、各会派の議員の皆さんも、今の岩手県ふるさと振興総合戦略の中で、達成度がおおむね80%以上なのに結果が伴っていないのはどういうことかと、たくさん質問されておりましたけれども、事業がKPIにひもづいている以上、先ほどのように、ものづくり産業に関しては結果が出ている。ただ、それ以外の政策に関しては、戦略的な政策に関してどこにどう反映されているのか、数字上見えてこない。令和2年度の予算編成の方針の中でも選択と集中と言っておりますので、とにかく効果のある事業をやってもらいたいと思っております。ただ、2月の知事の会見の中で、どういった事業でどう稼ぐ仕組みをつくるのかという質問に対して、ほかにやれることはないか、やれることは何でもやるという発想でいくと話されているのですけれども、私は、これはどうかと思うのです。やれることを何でもやるとなった結果、事業が乱立して、一つ一つ、これは300万円、これは50万円でやりましょうといった結果、何の効果も出なくなっている。今必要なのは効果のある政策をすること。
 ここで1点、提案をいたします。EBPM―エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングという考え方に関して、近年、内閣府でも進めておりまして、アメリカとかイギリスでは、もう当然のものとして導入されていますけれども、その場限りのエピソードで政策を立案するのではなく、客観的な証拠に基づく政策立案をしていくという姿勢でございます。
 例えば、話にも出ておりますけれども、地域懇談会でこんなことが出たから、あるいは議会の中でこれをしたほうがいいと言われたから、これは一つの仮説を組み立てるということでとても大切なことですけれども、その仮説が正しいのかどうかを客観的な証拠をもって政策立案をしてほしい。
 例えば、いわて県民計画(2019〜2028)の中でも、基本的には専門家の意見を聞いてつくっていますと言っておりますけれども、基本的に、エビデンスレベルの中で専門家の意見というのは一番最下位の根拠、証拠になっているわけでございます。
 2019年のノーベル経済学賞で、ランダム化比較実験において、世界の貧困をなくそうという実験的アプローチをとった人たちが、客観的な根拠に基づいて貧困をなくす取り組みをしたことでノーベル経済学賞をとりましたけれども、客観的な証拠というところを政策の、PDCAとはおっしゃいますけれども、チェックのところで、そもそもKPI、指標が正しいのか検証してほしいところでございます。
 例えばどういうことかと言いますと、わかりやすく一つ例を挙げると、地域おこし協力隊に関して、企業セミナーをしますというKPIがあります。これは最終のKPIではなくて、そもそもこれが本当に正しいかどうか検証するとしたら、企業セミナーをした人と、企業セミナーを受けていない人の差を出さなければいけない。そして、全国的に60%の方がそこの地域に移住、定住するというのがデータで出ておりますので、そこに対して、実はこのセミナーをしたら70%になった、80%に上がったという客観的な証拠がもし出なければ、そこにかけられた予算は全く無意味だった。だったらやめたほうがいいということになりますので、戦略的投資に関して、このEBPMの考え方を取り入れることについてお考えをお聞かせください。
〇村上政策監 委員から、エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングについてお話をいただきました。委員もお話しなさっておりましたけれども、特に今年度になりましてさまざまな場面で使われていて、これを重視した政策推進あるいは政策検証の仕組みをとっていくべきだという声がさまざまなところで出ておりまして、国においても取り組みを進めていると受けとめておりますし、こうした考え方は県の施策の推進においても重要であると我々も思っております。
 今、委員からお話をいただきましたようなチェックの仕組み、評価の仕組みづくりも、我々第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の政策評価と一体的にやっていくことにしておりますけれども、そんな中で、きちんと取り入れていくことが一つあろうかと思います。
 また、EBPMの実践という部分、まだ言葉によって黎明期のように言われているところがあって、国レベルで事例を収集したり、今まさに制度の積み上げをやっているところがあると我々受けとめておりまして、ぜひそういった国の取り組み事例、他の自治体の取り組み事例等も積極的に取り入れながら、エビデンスに基づく施策の推進というものを取り入れていきたいと思っております。
〇米内紘正委員 ぜひ国に先んじてEBPMを取り入れて、客観的証拠に基づいて政策立案をしていただけたらと思います。
 私がここまで言うのは、今回四つ目の柱として出てきている関係人口、まさにこの関係人口のところが成功するかしないかが、岩手県の浮沈にかかわるといってもいいと思っているのですが。ただ、この関係人口は余りにも抽象的な概念であって、先ほども定まってはいないとおっしゃっていましたけれども、この定まってはいないところでそれを大きな柱に掲げたときに、定義は先ほどお聞きしましたが、この関係人口が、どれぐらいの人口を創出して、そしてそれがどの目標値にどれぐらいの社会的インパクトを与え、移住、定住につながるのか、今県ではどう考えているのかお聞かせください。
〇畠山地域振興監 関係人口の目標値の設定ということでございましたけれども、本県の第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の4本の柱につきましては、それぞれ施策推進目標を定めておりまして、4本目の柱であります岩手とつながるにつきましては、関係人口及び交流人口に関連する指標の向上を掲げております。
 具体的には、2024年までに観光入り込み客数、グリーンツーリズム、交流人口、ふるさといわて応援寄付件数、そして、関係人口や交流人口に関連いたしますホームページの閲覧数、SNSフォロワー数の五つの指標について、現状値を上回る数となるよう政策を推進することとしております。
 また、移住がどの程度見込めるかにつきましては、まずは関係人口の取り組みの目指す姿といたしまして、情報通信技術を積極的に活用いたしまして、いつでも、どこでも、岩手につながる環境をつくることで地域の内外で人々の新たな関係が創出されるとともに、例えば地域の祭りや特産品開発など、地域活性化に関する取り組みに地域外から貢献したい人が積極的に参加することで、地域づくりの担い手となることも期待されます。
 また、全国的に移住、定住の取り組みが強化されている中で、本県の認知度を高めていく必要があると考えておりまして、こうした地域外の方とのつながりの創出、強化を図ることで、長期的な人口減少の抑止にもつなげていきたいと考えているところでございます。
 このように、将来的な移住につなげていくことは狙いの一つでございますけれども、直接的に移住に直結するというよりは、岩手と多様な形でつながってもらい、関心を高めていただくことを目指しているものでございます。
〇米内紘正委員 最後に部長にお聞きいたします。
 今、関係人口の御説明をいただきましたけれども、その方針で行くと、1年後、2年後、多分、結果は出ないと。例えば、SNS、ユーチューブの動画が3万回再生されました、SNSのフォロワー数が5、000人になりました。果たしてそれがどうなのか。
 東京と戦うということを考えると、東京都1、400万人の人口で攻めてくるわけです。テレビをつけたら毎日東京のことをやっている。関係人口ということで言うと、オリンピックもありますけれども、東京は、何億人、何十億人という関係人口を創出している。その中で約250万人の転入者数がいると。そことどう戦っていくのかと考えたときにもっと具体的な―この前、国土交通省のデータも出ておりましたけれども、潜在的には移住したい方が1、000万人、特定の地域とかかわっている方が1、000万人いると。その1、000万人の中から何人に来てもらう、何人に来てもらうために何歳の、どの人をターゲットにして広告を打っていくかと。そういう細かいターゲッティングをしていかないと、県の限られた予算の中では、名だたる大きな企業が広告宣伝に必死になっている中で太刀打ちができない。300万円という予算の中で何をするか。必殺わざですね。ポスター、リーフレット、タブロイド紙、これが出てくるわけでございます。そうじゃなくて、もう少し大きな予算の中で、限られたニッチなところでもやっていかないと、多分、何となく5年後、結果は出ませんでしたとなってしまうのかなと。
 きょういただいた情報の中でも、鳥取県も関係人口の動向分析のためにビックデータを活用すると。岡山県も先ほど申しましたEBPMを試行的に取り入れる。横浜市では既にやっている。ニューヨークでは15年前からやっているという中で、知事は日々、岩手から日本を変えるとお話しされておりますし、ビックデータ、AIという言葉が何回も出てきます。その基本である統計解析のところからどのように―先ほどお聞きしましたけれども、部長はEBPM、ちゃんと効果のある政策の立案についてどのようにお考えか、お知らせください。
〇白水政策地域部長 これも大変重要な御指摘をいただいたと思っております。まさにEBPMということで、データそれから客観的な統計に基づいてしっかり分析していく。これは本当に重要なことだと思っておりますし、それから行政の中でも、もちろん委員もおっしゃいましたように、AIだとかビックデータだとか、先ほど5Gの話もありましたけれども、さまざまな科学技術、情報通信技術は飛躍的に高まっておりますので、そういったものをしっかり行政も理解をして、施策立案に生かしていくことが求められるのだと思います。
 ですので、この関係人口については先ほど担当課長からも答弁させていただきましたけれども、なかなか我々も本音で言いますと悩みながらやっているところでございますので、ぜひ提言あるいはこうしたらいいのではないかという御意見をいただきまして、我々もしっかり検討をしていきたいと思っております。
 委員から12月の一般質問のときに統計的な手法ということで御紹介いただきましたけれども、我々が大学等で学んだ、いわゆる重回帰分析的な、YはX1かX2かX3かと要素分解をして、決定係数を見てどれだけ相関度があるかということで数式をつくれれば非常に美しいのは確かです。ただ、一番悩ましいのが、Yに人口増、あるいは定住人口の増と置いたときに、いろいろ要素分解してX1、X2、X3、これでそれぞれやって相関係数を出して、では、この政策が相関係数が高いのでやりましょうということできれいに出てくればいいのですけれども、なかなかそれがうまくいかないのがこの社会の現実ということで、私も役所に入ってまだ20年ちょっとしかたっておりませんけれども、そこが悩んでいるところでございます。
 いずれにいたしましても、関係人口については、委員からも御紹介いただきましたけれども、他県でも先進的にいろいろ取り組みを始めているようでございますで、その手法もしっかり学びながら、一方で、国でもどんな指標を設定しているのかと見てみますと、全国の自治体で取り組まれている数が伸びれば彼らも成果が出ていると、そういう指標の設定をしているようですが、それもどうかと思います。いずれにいたしましても、我々悩みながら、ただ、結論としてはいい方向に成果がきちっと出るように政策は進めていきたいと思いますので、今後とも、米内委員初め委員の皆様方の御提言あるいはお知恵もお借りして、いいものをつくっていければと思っております。よろしくお願いします。
〇菅野ひろのり委員 私は難しい話はできませんので、よろしくお願いします。
 さっき臼澤委員が質問しましたが、5G等による地域課題解決モデル構築推進費、かなりかぶっているところがありますので端的にいきたいと思います。
 事前に事業概要の資料をいただきました。その中で、ポイントとしてローカル5G、そして中山間地域での教育ということがあります。先ほどの繰り返しになりますが、臼澤委員からも、やはり距離であるとか緩衝地帯での弱みがあるという中にあって、新規の取り組みはすばらしいことだと思うし、これからやっていかなければいけないという中で、あえて中山間地域の教育に特化した事業を選んだ、構築した理由をお伺いしたいと思います。
〇古舘科学・情報政策室長 この5Gによる地域課題解決モデル構築推進費でございますけれども、ローカル5Gという制度を活用させていただくことにしております。通常の携帯電話の事業者が提供いたします多元による5Gは、恐らく人口密集地を中心に展開されると考えております。このローカル5Gの制度につきましては、通信事業者がカバーしづらい地域で、柔軟に5Gのシステムを構築できる免許でございますので、本県においても、中山間地域の整備促進は、この制度の趣旨にかなうものではないかというのが1点でございます。
 それからもう一つは、いわて県民計画(2019〜2028)におきましても学びの場の充実をさせるということで、例えば学びの改革プロジェクトもありますので、それに連携させるような形で教育をテーマとして選んだものでございます。
〇菅野ひろのり委員 高橋但馬委員の一般質問の中で、テレビ通話で都市部の学校とつなぐ学習教育、または大学の授業の受講などということで、その先の想定としては都市部との連携も視野に入ってくるのだろうと思っています。先ほどいただいた答弁で、ローカル5Gということではありましたが、都市部との連携も重要になってくるのだと。
 ちなみに、けさの新聞で、ソフトバンクが先駆けて3月27日、プラス1、000円で5Gをスタートしていくと。基地局はどうなのかと思うと、3年かけて1万の基地局を整備していく。この1万というのはどうなのかというと、昨年4月に、ソフトバンクの宮川副社長は、5Gの基地局について、数千、数万では5Gはできないと。1社で10万を軽く超えるとおっしゃっているのです。今のところ3年で1万、さらに10万を軽く超えるとなると、我々の地域にとっては、5Gの具体的な活用は少し先のステージなのかと感じるところがありました。
 何を言いたいかというと、その中で、当然中山間地域の教育もお願いしたいところではあるのですが、例えば、今具体的に困るというか、5Gの活用、特に必要としている人、障がいを持った方、VRであるとかそういうサービスを使いながら活用できる方、こういった実証実験も私は必要だったのではないかと考えています。
 少し長くなりますが、その上で、一般質問で岩渕議員からも、岩手県ICT利活用推進計画と、新たにソサエティー5.0を加えながら戦略をつくっていったらどうかと、提案があったわけですが、私も、あわせて、基地局の整備も加えながら、具体的に岩手県でどんなサービスが普及できるのかという前提で整備計画、あるいは事業を形成していかなければいけないのではないかと考えておりますが、その点はいかがでしょうか。
〇古舘科学・情報政策室長 5Gの基地局の整備をほかの利活用も含めて計画的に進めていったらいいのではないかという御質問と受けとめましたが、5Gそのものは、先ほども御答弁申し上げましたとおり、免許の付与から2年以内には全都道府県でサービスを開始するということを義務づけられていること、それから、10キロメートルメッシュを全国につくりまして、そこに、それぞれ特定基地局という大きな基地局をつくりなさいという免許の制度になっております。さらに、なかなかキャリアの方々の投資が追いつかないときには、柔軟に5Gシステムを構築できるローカル5Gが制度化されていますので、その活用も高速の通信という意味ではあるのかと。
 それをどうやって活用していくかという話になると思っておりますけれども、この整備については、県が単独で整備を決めたとしても、なかなかそれについてくるものではないと考えておりまして、まさに通信事業者の皆様とか、このローカル5Gの免許を取ろうとしている皆様と連携しながら進めていく必要があると思いますし、さらに、その利活用を考えていく場合には、まさに産の方々だけではなくて、学の方々とも連携していく必要があるのではないかと思っております。
 そういうこともございますので、もちろん通信事業者には働きかけという形で整備を進めていただくこともやっていきますが、今回の事業とか、あとは先ほど申しましたキャリアのNTTドコモと、岩手大学との総合実証のような形で、さまざま利活用の方法について共同で探りながら設備投資を促していくという取り組みをしていきたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 いただいた資料の中にも、全国展開の過去のイメージという図がありますが、その中で、3に、できるだけ多くの特定基地局ということだったので、現実的な整備に照らし合わせながら、これはすぐできるものではありませんから、やはり岩手大学や、今回で言うとNTTドコモ等と協力しながら、より、この地域に合った活用方法を県として模索いただきたいと思います。
 その中で、組織のことについて最後にお伺いしたいのですが、今回、知事もソサエティー5.0を前面に押し出して新しい時代を切り拓くプロジェクト、これはさまざまな部局、ほとんどのプロジェクト、あとは政策分野においてICTの活用が入っています。例えば、活力ある小集落実現プロジェクトだと高齢者の見守り、農林水産業高度化推進プロジェクトだと生産技術の高度化、スマート農業、これはドローンの活用とか、学びの改革プロジェクトだと、タブレットによる教育等かなりあるわけですね。そうなると、不安になってくるのがICTのノウハウの蓄積と活用、あるいは県の場合職員が3年ぐらいで異動するのでしょうか、そういった状況において、いかに高度なICTの習熟度を高めながら活用していくのか。やはりツールですから、使う人が育っていかないと、なかなか庁内でもうまく活用できないという不安もあります。
 そこでお伺いしたいのですが、しっかりと政策地域部が取りまとめるような形で推進していく必要性が、漠然としていますが私はあるのではないかと考えておりますが、その点いかがでしょうか。
〇古舘科学・情報政策室長 このソサエティー5.0を進めるに当たっての庁内の取り組みでございますけれども、本県の科学情報関連施策を一体的に推進することを目的といたしまして、各部局の企画課長等を構成員といたします科学情報政策推進連携チームを今年度新たに設置いたしました。今年度は、計3回、チーム会議を開催しておりまして、その中で科学情報関連施策に関する国の動向とか、それから、通信事業者の動向等について情報共有を図ってまいったところでございます。さらには、今回の令和2年度予算案につきましても、最終的に各部がどういう予算をつくっているかということも情報共有しているところでございます。
 引き続き、この本連携チームでの検討を通じまして、最先端の技術を導入する作業の発展とか、生活の向上を図るための社会像でありますソサエティー5.0の実現に向けまして連携を強化していきたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 連携チームをつくったということで、非常に攻めというか各部局で連携していこうと、共有していこうという気持ちが伝わり、非常にすばらしいと思っています。
 私はこの後、茨城県の事例を御紹介しようと思っていました。ここも政策企画部に、2018年4月にICT戦略チームをつくられまして、これはもう一つ上のレベルですか、入力作業の軽減、要は労働時間を80%以上減らすと、効果として1年間8、600万、業務改善にICTを活用していくと。県にもぜひ勧めたいと思ったのですが、既にこれから連携チームで一歩進んでいくということで、皆様方の来年度のソサエティー5.0に対する取り組みに期待をいたしまして、質問を終わらせていただきます。
〇高田一郎委員 それでは私から、一つは岩手県立大学の授業料、また、県内就職にかかわって幾つか質問をいたします。
 まず、県立大学の授業料問題ですけれども、この4月から高等教育の無償化に伴う授業料の新たな制度が始まる予定です。既に県立大学では、低所得世帯に対するさまざまな支援制度がありますけれども、4月から新しい制度がつくられてどのような状況になるのか、具体的に示していただきたいと思います。
 それから、まとめて質問いたします。県内就職については、先ほど岩渕委員の質疑の中でいろいろな問題点、課題も浮き彫りになったと思います。それで、具体的に今年度の県内就職率について、学部ごとに直近の数字がわかれば、前年度と対比してどのようになっているのか。岩手県立大学の中期計画を見ても、県内就職率について毎年計画をつくってやっているのですけれども、いろいろ調べてみますと、毎年中身がほとんど同じだと私は見ました。改めて新年度はどのように努力をしていくのか、新たな政策があれば示していただきたいと思います。
〇工藤学事振興課総括課長 岩手県立大学に関します高等教育の無償化に伴う授業料免除の関係でありますけれども、まず、県立大学では、現在、大学独自に、経済的理由によって授業料の納付が困難な学生、年収約460万円未満世帯の学業が優秀と認められる学生を対象に授業料を全額免除しているところでありまして、これは国の地方交付税措置によりまして、県の運営交付金を財源としているものであります。
 一方、来年から、国の高等教育無償化による授業料等減免制度が始まりますけれども、これは、真に支援が必要な住民税非課税世帯とこれに準ずる世帯、年収約380万円未満ということで、県立大学の460万円未満よりも低い380万円未満の世帯の学生を対象として、さらに3段階に減免することになっております。
 国の制度では、そういうことで、県立大学の今の減免制度よりも対象が狭くなるものでございますが、国の制度については、全額地方交付税措置する方針が早くから示されておりましたけれども、大学独自の減免を継続した場合に国の地方交付税措置がどうなるか示されていなかったから、こうしたことを踏まえ、県としましては、県立大学とも連携しながら、国に対して、現在、減免を受けている学生が不利益にならないように、地方交付税措置の継続を要望してきたところであります。
 今、在学生に対して、現行の授業料減免を大学が継続する場合の経過措置については、地方交付税が措置される見通しとなったところでありまして、それを踏まえ、県では、国の高等教育無償化による授業料減免、それから今の県立大学の在学生の授業料減免を継続する場合の経過措置の分に必要な経費について、来年度当初予算案に計上したところであります。
 それから、来年度以降の新入生に対する大学独自の授業料減免につきましても、先日、文部科学省から、引き続き所要の地方交付税措置が講じられる方向が示されたところであります。ただ、具体的な地方交付税措置の詳細については今後詰めるということでありますので、県としては、引き続き地方交付税が十分措置されるように国に働きかけるとともに、学生が安心して修学できるように、県立大学と連携を図りながら対応していきたいと考えております。
 それから、二つ目の県立大学の県内就職率について、1月末現在の数値が出ておりまして、4学部それぞれでありますと、まず、看護学部は、前年度45.7%に対して44.4%、社会福祉学部は、前年度59.1%に対して59.6%、ほぼ同じであります。ソフトウェア情報学部は、前年度19.3%に対し25%、やや上がっております。総合政策学部は、前年度60.2%に対し59.1%で、1月末現在で4学部合計ですと45.4%で、前年度の44.5%をやや上回る状況となっております。
 県立大学では、これまでも県内就職率の向上に向けて、先ほども答弁申し上げましたが、学内合同企業説明会ですとか企業見学会、それからインターンシップ等を実施してきたところですし、平成30年度からは、学生が早い段階から県内企業の理解を深められるように、低学年向けの業界研究セミナーも始めたところであります。
 また、来年度は、これまでの取り組みに加えて、県内企業での就業体験を含みます低学年向けの地域学習科目を新たに開講して、一層、学生が早い時期から県内企業に理解を深める取り組みを強化していくこととしているところであります。
〇柳村一委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇高田一郎委員 大学の授業料減免については、先ほど説明があったように、対象となる世帯の年収が今まで460万円だったものが今度は380万円に下がるわけですね。それに対する具体的な影響、生徒数がどうなるのか、このことをお聞きしたつもりですけれども、それがなかったので。
 それで、これは地方交付税で影響を受ける部分は全額措置されるということなのですか。そのことも含めて答弁いただきたい。
〇工藤学事振興課総括課長 今、県立大学の独自減免をやっていまして、その対象となる世帯の年収が460万円未満ですけれども、それが国の支援制度で380万円未満だけと仮になった場合について試算したところでは、今年度よりも減免対象が延べで99名減り、減免額が総額5、400万円減少する見通しとなっております。こうならないように、在学生については経過措置で今と同じように減免をすることにしたいということでございますし、それから、新入生についても、つい先日、国で大学が独自の減免を継続する場合は、これまでに引き続いて地方交付税措置を講ずるという連絡があったところですので、それを踏まえてしっかりと地方交付税措置がされるように働きかけたいと思います。
〇高田一郎委員 国の方針を今お聞きしましたけれども、そうすると、対象となる世帯の年収が減額になる新しい制度で対象にならない生徒は、地方交付税で満額措置するという明確な方針が国から示されたということですか。それで、今在籍している学生を暫定的に支援するのであって、新たに入学する生徒は対象になるのですか。その点についてお伺いしたい。
〇工藤学事振興課総括課長 今在学されている学生については地方交付税措置もされるし、これまでどおり、県立大学でも減免、免除をするということであります。残るは新年度の新入生ですけれども、新入生についての地方交付税措置は、国から引き続き措置するという連絡があったばかりですので、今、大学と対応について相談をしているところであります。かつ、国にしっかりした詳細な方針を出すように求めているところでありますので、国の方針がしっかりと固まりましたら、私どもとしては、いずれ新入生についても学生の立場に立った対応ができるように、財政当局と相談していきたいと考えております。
〇高田一郎委員 そうすると、新たな制度を導入することによって、先ほど99人の学生が新たに全額負担になるということでしたけれども、これは地方財政措置、交付税措置されるので、心配なく、新たな修学支援制度が導入されても、今までと変わりなく、授業料が減免されるということで理解していいのですか。
〇工藤学事振興課総括課長 99人の方々について全く同じかというと、そうではなくて、今の在学生、今度2年生、3年生、4年生になられる方々については、これまでどおり減免されます。それから、問題は、新入生についてまだ宙ぶらりんというか、未確定な状況でありますので、それはしっかりと国に方針を固めるように求めながら、かつ、大学それから財政当局と相談していきたいということであります。
〇高田一郎委員 ですから、今在学している生徒については支援措置があるけれども、新しくこれから入学する生徒については、大幅な負担増になってしまうということですよね。そういうことで理解していいのですか。
〇工藤学事振興課総括課長 はっきり言えない段階なので大変恐縮なのですが、新入生について減免しないということが固まっているわけでもなく、かつ、できるということが固まっているわけではないので、国から連絡が来たばかりなので、そこについては未定ということであります。新入生については未定です。今段階で、どちらかと聞かれれば未定と。それから今の在学生については、減免が継続になるということであります。
〇高田一郎委員 事前に担当課から資料をいただきましたけれども、それによりますと、今年度は581人の全額免除があったのですけれども、いただいた資料では、全額免除になるのは246人、3分の2免除になるのが136人、3分の1免除になるのが100人と。全く対象にならないのは先ほど言った99人になるのですけれども、これに対する支援の見通しがないことになりますと、消費税を財源とした高等教育無償化が言われていますけれども、これは明らかに改悪なるのではないかと思うのですけれども、その辺はいかがですか。どのように評価をしていますでしょうか。
〇工藤学事振興課総括課長 新制度で単純に比較すると99人が減免がされないことになってしまうということでありますが、現時点では、大まかに言いますと、99人のうち在学生が半分以上ですので、その方々は減免が可能になるということであります。それから、99人のうち、半分以下ですけれども、新入生については先ほどお話をした未定の段階であります。いずれ、私ども県立大学と連携して国の高等教育の無償化によって、かえって、これまで減免を受けていた生徒が減免が受けられなくなるのはおかしいということで、継続するように要望してきたところであります。そのうち、在学生については、これまでどおり減免できるという国の対応になったと、変わったということでありますし、それから、新入生についても、大学が免除した場合には、これまでどおり免除できる方向になったと。ただ、まだ確定していないので、きょう段階では申し上げにくいのですけれども、そういう方向になったので、それがちゃんと実現するように引き続き働きかけをしていきたいということであります。
〇高田一郎委員 今の段階で国の方針がまだ明らかになっていないということで、大変なことになるのかと予測をします。引き続き、しっかりと国に働きかけて、制度が後退しないように取り組んでいただきたいと思います。
 もう一つは、普代村、西和賀町、岩泉町への職員派遣について私も通告していました。佐々木努委員からも質問がありまして、その中身は了解いたしました。普代村、西和賀町、岩泉町に職員を派遣して基礎的な自治体、小さな自治体を側面から応援することは大変いいことだと思いますし、これまで令和元年台風第19号災害、平成28年台風第10号災害でも、特別の交付金、自由度のある交付金を交付するなど、県の役割をしっかりと果たしてもらっていることに感謝申し上げたいと思います。
 それで、市町村が抱える課題の中に、きのうも議論がありましたけれども、技術職員が不足していることがあります。今度の新しい国の政策の中で、地域社会再生事業費、平時は技術職員が不足する市町村を支援して、大規模災害に備えて、中長期派遣の要員を確保する新しい国の地方財政措置が示されました。きのうの総務部の議論では検討していきたいと答弁がありましたけれども、これを積極的に活用していくべきではないかと思います。先ほどの議論にあった、令和元年台風第19号災害での、応援職員の充足率が54.5%になっていることにもあらわれているのですけれども、技術職員の確保は、市町村、とりわけ小さな自治体の悩みではないかと思いますけれども、これへの対応について、政策地域部市町村課としてはどのような考えを持っているのかについてお聞きしたいと思います。
〇小原参事兼市町村課総括課長 今度の技術職員の充実等に係る国の新たな財政支援措置についてでございますが、近年、多発する自然災害への対応、それから公共施設の適正管理等が求められる中で、市町村における土木職それから建築職等の技術職員の役割は非常に重要でございますが、特に小規模市町村におきましては技術職員が少なく、また、募集しても確保できない状況が見受けられるほか、大規模災害が発生した場合は、今回の台風のように、他の自治体から職員の派遣を受けなければならない状況にございます。
 今回、総務省から示された技術職員の充実等に係る新たな支援制度は、県が技術職員を増員し、平時には、技術職員が不足する小規模市町村の支援に資する内容となっていることから、市町村にとっては極めて有効な制度であると考えております。
 小規模市町村における技術職員の確保を支援することは重要でございますので、市町村のニーズを踏まえながら、総務部とともに制度の効果的な活用について研究してまいりたいと思います。
 この職員については、県で採用した場合に、平時においては業務の半分以上は市町村支援をすると。それから、非常時になったら大規模災害対応に半分は出してくださいという制度になっておりますので、県で職員を抱えた場合に、平時にどういう仕事のやり方をしていただくかについてもさまざま整理が必要になると思いますので、今後の県の業務のあり方等についても、あわせまして総務部と検討してまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 人材を確保するということで、政策地域部だけでは対応できないと思いますので、今言ったように総務部としっかり連携して、この事業を活用して、職員の採用そして小さな市町村の支援に取り組んでいただきたいと思います。
 時間がないので、2020年の三陸防災復興プロジェクトについてお伺いいたします。
 昨年の三陸防災復興プロジェクト2019については、大きな成果を上げたのではないかと私は評価しております。新しく今年度からこの事業を行うわけですけれども、現時点でどのような検討がされているのか、開催の意義と主な事業概要についてお聞きしたいと思います。
 あわせて、2019年の三陸防災復興プロジェクト2019でもいろいろ議論がありましたけれども、被災市町村の全面的な協力が非常に大事だと思います。新年度から始まる三陸防災復興プロジェクトの市町村の受けとめと、そして、具体的な財政支援にも対応していくべきだと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
〇高橋地域連携推進監 まず、2020年三陸防災復興プロジェクトの検討状況、開催意義、事業概要についてですけれども、県におきましては、三陸防災復興プロジェクト2019の成果を踏まえ、本年2月に、県、沿岸市町村、関係団体等を構成員とする三陸振興協議会を設置し、第1回協議会におきまして、県、市町村、関係団体等がそれぞれ主体となって行う事業を持ち寄り、三陸防災復興プロジェクトとして、三陸一体で継続して取り組むことを共有したところでございます。
 県、沿岸市町村、関係団体等が連携して、三陸防災復興プロジェクト2019の目指す姿を継承し、三陸一体となって交流人口の拡大に取り組んでいくことは、持続的な三陸地域の振興にとって大きな意義があることと考えております。
 また、主な事業でございますけれども、津波伝承館と海外津波博物館との連携による国際会議、三陸の食や震災学習と連動した三陸鉄道企画列車の造成支援、美味ぇがすと三陸構想による三陸の食を基軸とした事業など、三陸防災復興プロジェクト2019を継承する県事業のほか、ラグビーワールドカップ2019岩手・釜石開催のレガシー事業や東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会関連事業、また、現在取りまとめているところでございますが、市町村や関係団体等の事業も一体となって展開することとしております。
 次に、市町村の受けとめと財政支援についてですが、三陸防災復興プロジェクト2019の成果によって、全ての沿岸市町村から継続実施を求めることがあったことを踏まえ、本年2月、全市町村や関係団体で構成される三陸防災復興プロジェクト2019実行委員会総会において、三陸防災復興プロジェクトとして継続して推進することに関する決議がなされたところでございます。このことも踏まえ、三陸振興協議会において、三陸防災復興プロジェクトとして、三陸一体で継続して取り組むことを共有したところでございます。
 財政支援でございますが、市町村に対しましては、地域経営推進費に三陸防災復興プロジェクト枠を設け市町村補助を行う予定としておりますほか、民間団体に対しましては、さんりく基金のイベント開催事業やコミュニティ活動・人材育成事業に対する助成金の活用を促していきたいと考えているところでございます。
 こうした資金を活用いただき、県、市町村、関係団体が一体となって三陸防災復興プロジェクトを推進し、交流人口の拡大を図ってまいります。
〇小林正信委員 ことしの4月1日から高等学校への就学支援新制度が実施され、私立高校の授業料については、年収590万円未満の世帯について実質的に無償化になります。これは都道府県が行う事業に対し国が補助を行うということですが、岩手県としても、これまで私立高校に対し就学支援金を助成してきたところであります。今回、国から補助があるということで、今まで県が助成してきた支援金がいわば浮いた状態になるのかと思っておりまして、この浮いた分の私学に対する就学支援金についてどのような扱いになるのか。私立高校のための支援金ですので、可能であれば、私学振興の部分に使っていただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇工藤学事振興課総括課長 私立学校の就学支援金についてでありますけれども、来年度から国の就学支援制度の改正によりまして、私立高等学校等に通われている年収590万円未満の世帯の生徒を対象にして、全国の私立高校全日制の平均授業料を勘案した年39万6、000円まで支給上限額が引き上げられると、いわゆる私立高校の授業料の実質無償化が実施されるということであります。
 委員御指摘のとおり、県で現在、低所得者向けの補助制度を行っておりますけれども、そういった方々も国の無償化制度によって上限が39万6、000円まで引き上げられて実質無償化になるので、実のところ、県の持ち出し分が財政的には不要になることもありまして、それを活用させていただき、今般の国の実質無償化の対象外となります年収590万円以上の世帯のうち、620万円未満世帯の生徒を対象にして、県独自の上乗せ補助を実施することとさせていただきたいということで、そのための経費を令和2年度当初予算案に計上させていただいたところであります。
〇小林正信委員 国では年収590万円未満ですけれども、岩手県として、年収620万円未満の世帯の方に対して上乗せしていただいて本当にありがとうございます。私も私立岩手高校の出身でございますので、非常にありがたいと思う次第でございます。
 この制度はしっかりとアピールしていただいて、岩手の私立高校の振興に取り組んでいただければと思う次第です。
 もう一点は、高等教育の修学支援新制度についてです。
 これは先ほど高田一郎委員からもお話がありましたけれども、大学、短大、高専、専門学校を対象として授業料が減免されて、給付型奨学金も拡充されると。これが4月1日から実施されます。この制度は家庭の経済状況にかかわらず、生徒に学びの門戸を広げることを狙いとしており、家庭の事情で大学に行けない、学ぶことができない学生の皆さんを応援する制度であります。特に授業料の減免については、これまで交付税措置であったものがしっかりと制度化されたという点が重要ではないかと考えております。
 先ほどの高田一郎委員の議論では、在校生には影響はないと。そして新入生においても、国から前向きな回答があったということで、この制度が改悪じゃなくて安心したと思うところであります。
 私も大学の学費ローンを返すのが大変だったので、こうした制度がさらに拡充されればと思っております。先ほどの私学の授業料無償化、また、給付型奨学金等の制度を、家計が大変でも、希望を持って生徒の皆さんに学んでいただけるような周知とかアピールを、教育委員会とも連携してしっかり行っていただきたいと思いますけれども、そのお考えをお伺いして終わりたいと思います。
〇工藤学事振興課総括課長 高校の就学支援制度もそうですし、この高等教育の無償化の制度についても教育委員会と連携することはもちろん、いろいろな関係機関とも連携しながら、しっかりと周知を図っていきたいと考えております。
〇柳村一委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇柳村一委員長 質疑がないようでありますので、これで政策地域部関係の質疑を終わります。
 政策地域部の皆さんは御苦労さまでした。
 おおむね再開後2時間が経過いたしますので、この際、世話人会の申し合わせにより、暫時休憩いたします。
   午後5時12分 休 憩
午後5時38分再開
〇吉田敬子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について、延べ10人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 次に、ILC推進局長にILC推進局関係の説明を求めます。
〇佐々木ILC推進局長 それでは、令和2年度のILC推進局関係の歳出予算につきまして御説明申し上げます。
 最初に、当局の予算編成に当たっての基本的な考え方でございますが、平成31年、昨年3月の政府による関心表明以降、国内外の活動がより具体的になり、ILC実現に向けた議論が着実に進展している状況にあります。
 県といたしましては、いわて県民計画(2019〜2028)に新しい時代を切り拓くプロジェクトとしてILCを掲げ、加速器関連産業の振興や受け入れ環境の整備、国民理解の増進等、各種の取り組みを推進してまいります。
 また、国際研究都市の形成支援やイノベーションの創出など5本の柱ごとに施策体系を示したILCによる地域振興ビジョンに基づき、ILCプロジェクトを推進するとともに、知事を本部長とするILC推進本部のもと、全庁を挙げてILCの実現に取り組みます。
 それでは、歳出予算につきまして御説明申し上げます。
 お手元の議案その1の6ページをお開き願います。ILC推進局関係の予算は、2款総務費のうち、2項企画費の一部2億7、300万円余でございます。これを令和元年度の組織改編後の予算額と比較いたしますと9、900万円余、約56.9%の増となっております。これは、人件費及び事務費等が通年分となることに伴う増額であります。
 それでは、予算の内容につきまして、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
 予算に関する説明書の95ページをお開き願います。2款総務費2項企画費1目企画総務費でございますが、ILC推進局所管の予算につきましては、次の96ページに参りまして、右側の説明欄のILC推進局の管理運営費1億5、400万円余でございます。これは、職員の人件費等の管理運営に要する経費でございます。次に、97ページに参りまして、4目科学技術振興費でございますが、説明欄のILC推進事業費1億1、800万円余でございます。本事業費により世界最先端の技術、高度な人材が集積されることから、イノベーション創出の拠点形成を進めるとともに、加速器関連産業の参入支援など産業振興に取り組むこととしています。また、受け入れ環境の整備に向け、まちづくり、インフラ整備、居住環境、医療、教育、地域資源の活用など分野ごとに、ILC実現の準備期間を見据えた取り組みを進めます。国民理解の増進につきましては、漫画家の弘兼憲史さんや映画監督の押井守さんなど、ILC100人委員会やILCサポーターズと協力しながら、全国的な普及啓発に取り組むとともに、継続的に地域との対話の機会を設けるなど、住民と研究者、地元自治体など関係者間の情報共有を図ります。
 以上でILC推進局関係の歳出予算につきまして説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
〇吉田敬子副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇菅野ひろのり委員 ILC推進事業費についてお伺いいたします。
 この間、代表質問に始まり、さまざまな面でILCの推進、そしてマスタープランについて質問があったところだと思います。ロードマップに申請する権利は確保したけれども、重点大型研究計画に盛り込まれなかったということで、知事の答弁を見ますと、学術的意義、また科学コミュニティーの深まりがあったという前向きな答弁でございました。ただ、やっぱりこの間、私どもマスタープランに何とか入ってその次に進まなければいけないという思いの中で、多くの県民の皆さんの期待もあったのだと思っています。
 そこで伺いますが、今回、重点大型研究計画に選定されなかった。これは、例えば過去に重点大型研究計画に選定されずにロードマップに採用されたケースはどの程度あるのか、また、今後、そういった事例をどう学び取り組みに生かしていくのか伺いたいと思います。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 今お話があった文部科学省のロードマップについてですけれども、日本学術会議のマスタープランの重点大型研究計画に選定されずに、文部科学省のロードマップに選定された計画として、ロードマップ2017における高輝度大型ハドロン衝突型加速器による素粒子実験というものがございます。
 また、予算化され実施されている大型プロジェクトの中には、国際宇宙ステーション―ISSのように、ロードマップに掲載されないプロジェクトもあるところです。
 ILCはロードマップの申請対象にもなっておりますが、日本として初めてホスト国となる国際プロジェクトであることなどから、国として総合的に判断するものと考えており、超党派国会議員連盟等関係者と連携して、ILCの多様な意義について引き続き強く政府に訴えていきます。
〇菅野ひろのり委員 今、御答弁の中に、ロードマップに載らなくても採用されたケースがあると。例えばさっきの宇宙の開発のものですか、そういうような答弁もありましたが、そこで確認ですけれども、私は、やっぱりマスタープランに載って、ロードマップに掲載され、そして、ILCの実現というのが道筋だと思っていましたが、県は、ILC実現の道筋を、今の御答弁だとどういうふうに考えられていますでしょうか。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 基本的に、ILCにつきましても、昨年3月に文部科学省がマスタープランでの議論というような話をしていますので、そういった流れがまずあるものだとは考えていますけれども、一方で、先ほど申し上げたとおり、大型プロジェクトにつきましては、マスタープランとロードマップ以外のものもありますので、ILCの意義等を踏まえて、いろいろな形で政府として検討してもらって、実現につなげてもらいたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 マスタープラン以外にも道があるという受けとめでいいのかあれですが、可能性としてあるのはいいことなのだろうと思いますが、まずは、やっぱり今、マスタープランから次のロードマップにしっかりと選定されていくというプロセスを我々は求めていかなければいけないし、そのためにどうできるかということなのだろうと思っています。
 また、先ほどの答弁では、重点大型研究計画に選ばれずロードマップに選定された例は過去に1件、非常にハードルが高いものなのかなと感じました。
 ちなみにお伺いしますが、今後のロードマップ策定におけるスケジュールはどうなっていますでしょうか。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 ロードマップ2020につきましては、2月28日までが審査の申請ということになっていまして、これからヒアリング等が行われるものと思います。
 その後のスケジュールにつきまして、いつ策定するというのは公表されていないのですけれども、ロードマップ2017のときには7月ごろに策定されていますので、そういった形かと思います。
〇菅野ひろのり委員 過去の例を見ると夏までに決まるだろうと。そして、これからヒアリングが始まっていくということでありますが、地元の奥州市の胆江日日新聞に非常に厳しい記事があって、前向きに進めつつも、そういった現実を受けとめるというか、そういった報道を受け、住民の間にも、今後どうなるのだというような不安の声が広まっているのも事実かと思います。
 そこで、新聞に載っていたところを少し紹介しますが、ロードマップへの審査は、まず書類審査がある。新聞では、特段にすぐれているかどうかがポイントである。また、総合評価の、これはABCとかランクづけしてやっていくわけですが、その総合評価の委員の割合が50%以上で、ほかの計画と比べ顕著に割合が高いこととされています。
 これが本当だとするとというとあれですが、非常に厳しい現実あるいは意見だなと私は読ませていただきましたが、県はどのような受けとめをしていますでしょうか。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 ILCのマスタープランでの審査では、学術的な意義が認められましてヒアリング対象になったけれども、速やかに実施すべきということでの重点大型研究計画には載らなかったということです。
 ロードマップの審査につきましても、専門家の方々が学術的な見地からいろいろ検討されるものと思います。県としては、ILCは非常に可能性がある科学実験だと思っておりますが、その専門家の方々がしっかり審査されるとは思っておりますけれども、いずれ、マスタープランの審査の中で学術的意義はきちんと認められているものと思っております。
〇菅野ひろのり委員 その審査は、先ほど御答弁いただきましたが、学術的意義や妥当性、戦略性、そういった八つのところから評価していく。特に学術的意義は大きいということでありますから、やはりこれからも、最後の最後までしっかりと可能性を持って、あるいは本当に必要なのだという確信を改めて持って我々もやっていかなければいけないと思っております。
 そこで、もう一個懸念事項が、やはり資金のところでございます。まずこれも受けとめをお伺いしますが、ICFA(国際将来加速器委員会)の会議で、英独仏から資金的余力はないというようなことが明らかにされたという報告がされておりますが、この受けとめ、県はどのように思っておりますでしょうか。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 欧州各国の資金的なお話のことかと思います。ICFAの会議があって、その後に国会でも質疑がありまして、その中で文部科学省からは、欧州各国とは初めて意見交換を行ったということで、まず、最初からいきなり貢献します、幾ら出しますという話はなかなかないだろうといったような答弁がされておりまして、まずはヨーロッパの各国と意見交換が始まったということが重要で、これからの議論が大事だろうと考えております。
〇菅野ひろのり委員 衆議院予算委員会の分科会でも、その予算に村田研究振興局長が答弁していまして、資金提供を含め具体的に確認するという答弁があるのですが、前提として、ロードマップの審査についてはという言葉があったので、私は、やはりロードマップにいかに載っていくかが、今力をかけなければいけないポイントだと思っています。
 少し戻りますが、先ほどのマスタープランの審査の報告文書というのですか、学術大型研究計画に選定された計画の一覧を見せていただくと、ILC建設費7、700億円というのは突出して高く見えるのですね。例えば、前回のマスタープランで重点大型研究計画に選ばれたハイパーカミオカンデは1、391億円、それより高いのは3、000億円のものがありました。それ以外はずっと下ということで、見え方としては非常に高く見えるなというのがあります。当然、他国の費用分担もありますから丸々それを出すわけではありませんが、これは、しっかりとその辺の理解がないとやっぱり伝わらないのではないかと思っています。といいますのも、1月31日の読売新聞では、県などは一度立ちどまって費用対効果を考え直すことも必要だろうという指摘もあるのです。
 だから、私が何を言いたいかというと、こういった建設費の予算がしっかりと国民に伝わっていない状況があるのではないでしょうか。やはりこういったところの費用分担があって経済効果があるのだということが伝わっていかないと、私は実現に一歩近づいていかないのではないかと思います。特に、ILCの経済効果が例えば2兆円あったり、学術的な意義があったり、何よりも岩手の復興の将来といいますか次のステージを見据えている、そういった希望の光もあるわけであります。さまざまな効果をしっかりと捉えていただかないといけないと思っています。
 その中で具体的な質問でございますが、今回の予算案に、ILC推進事業費1億1、800万円ということで計上されておりますが、こういった状況も踏まえて、いま一度このILCの意義であったり必要性、効果をしっかりと言っていかないと、まだまだ不十分なところがあるのではないかと私は懸念しています。
 今年度の取り組みは、どういうところに力を置いて工夫していくのか伺いたいと思います。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 国民的理解ということのお話がありました。それで、ILC計画は、日本ではKEK―高エネルギー加速器研究機構が中心の事業主体となって、世界の研究者と連携しながら事業を進めていくものですので、県としては、これまでも、そういう研究者の皆さんが事業計画の具体化をする際に、地元の状況をお伝えするとかということで協力等を行ってきたわけです。また、県としても、県民の方々に対して、ILCの重要性とか意義といったものの普及啓発に取り組んできております。
 全国的な普及啓発につきましては、先ほどもILC100人委員会ですとかILCサポーターズ等のお話もしましたが、やはりKEKですとか研究者の方々、あるいはいろいろな各地の推進団体の皆さんと連携してやることが重要だと思っておりますので、来年度につきましても、そういった事業を盛り込みながら展開を図っていきたいと思います。
〇菅野ひろのり委員 本当に山場が続くと思いますけれども、ぜひ来年度も、このILCの実現がかち取れるというか、そういった状況になれますように、今後とも注力いただきたいと思います。
〇佐々木朋和委員 私からもILC推進事業費に関連してお伺いしたいと思います。現状については菅野委員からもありましたけれども、私の視点で御質問させていただきたいと思います。
 先日の総括質疑で知事から、ICFAはILC研究所設立等の準備段階に移行するための国際推進チームを設立し、約1年の活動の後、日本の意思表示と各国の同意により準備段階が開始できるとしており、研究者の具体の準備を進めていくものと思われるというような御答弁がありました。まさに、1年後に国の意思表明につながる環境整備をしていくことが重要だと思うのですけれども、その中で、国会の質疑で階猛衆議院議員の質問に対して文部科学大臣は、海外からの協力が見えない中でやるとはいかないとコメントをしております。
 そういった中で、まず、アメリカは、日本がホスト国になることを支持し、現物貢献が可能との姿勢を示しておりますけれども、この現物貢献というのがどういったことなのかを含めて、これを県としてどのように評価しているのか伺いたいと思います。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 ILCの建設費は、一口で言うと7、700億円というような言い方をしておりますけれども、実際には各国が負担するわけですが、みんながお金だけを出すということではなくて、各国で分担して加速器ですとか計測器ですとか、それぞれで得意な技術を生かしたりしながら物を持ち寄って、現地に運んできて組み立てるものもあります。
 現物貢献というのは、そういう意味で、お金を出して日本でつくるということ以外に、例えばアメリカならアメリカで、アメリカにも加速器の研究所がありますから、そういったところでつくったものを持ち込むと。それにより港湾の利用とかといったところにもつながるわけです。
 そういう意味で、現物貢献というお話があるのは、かなり前向きに発言をされているのだと、日米の議論は一定程度進んでいる結果と受けとめております。
〇佐々木朋和委員 よくわかりました。その中で、先ほど菅野委員からお話がありました英仏独については、さまざまなプロジェクトを抱えており、現時点での参加する資金的余力がないというような文部科学省からのお話があったわけでありますけれども、一方、国会の質疑において、増子大臣官房審議官は、5月の策定が見込まれる次期欧州素粒子物理戦略でILCに踏み込めば、各国の考えが変わる可能性はあるというようなコメントもされております。
 また、先ほど来議論があります、国内では学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想ロードマップへの申請が行われて、先ほどの話だと7月ごろに結果が出るのではないかということがありました。この二つの大きな計画への認定も含めて、国の意思表示にこういったものがどのようにかかわるのか、県としてこの道程、国の意思表示に向けてのハードルをどのように考えているのか伺いたいと思います。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 今お話がありました今後の想定されるスケジュールにつきまして、今の流れが、昨年3月の政府のILC計画に対する関心表明、これは、一つ目が、日本学術会議が策定するマスタープランなど正式な学術プロセスでの議論が必要ということ、それから二つ目として、お話のありました欧州素粒子物理戦略等における議論の進捗を注視するということでが示されて、これに沿って動いてきているものと認識しております。そういうことでは、当面、5月に策定予定とされています欧州素粒子物理戦略というものが、一つの節目と考えられます。
 また、お話がありましたICFAの会議でも、日本にILCがタイムリーに建設されることを望むとする期待の表明とともに、ILC建設に向けた準備の必要性やKEKを主体とする国際推進チームの設立、同チームの約1年の活動後、日本の意思表示など、そういう具体的な提言がされていますので、研究者サイドではこうした準備を進めていくものと考えております。
 ILCは、日本が初めてホスト国として取り組む国際プロジェクトでありまして、関係各国ですとか研究機関等と協議しながら進めていく、段階を踏んで進めていくものと考えておりますので、そういういろいろなところとの調整をしながら進んでいくものと考えております。
〇佐々木朋和委員 そういった意味では、国の意思表示に向けて、5月の欧州素粒子物理戦略へ載ること、あるいはまた、ロードマップについては、それをすっ飛ばす可能性もあるという話でしたけれども、そういった国の意思表示に向けての山場を迎えるわけですが、それに対して、通告しておりませんが、県としてはどのような取り組みをしていかれるのでしょうか。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 お話は先ほども申し上げましたけれども、やはり国民理解の増進ということが一つポイントかと考えておりますので、研究機関や推進団体等と連携した広報活動には取り組んでいきたいと思います。また、地元での受け入れ体制の準備が国の判断の後押しになるとも考えておりますので、そういった取り組みも進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 そこで、1億1、890万円余のILC推進事業費についてお聞きしたいと思うのですけれども、これは地方創生推進交付金事業であります。大きな意味でILC誘致実現は、ふるさと振興、人口減少対策に大いに寄与することは認識した上で、しかしながら、やっぱり実質的に地域振興やまちづくりにも資するものでなければならないと思っております。その点の認識はどのようにお考えでしょうか。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 地域振興やまちづくりというお話でした。ILCの実現により、世界中の多様な分野の研究者や技術者、その家族を初め、最先端の技術などが集積することから、まちづくりや交流人口の増加、雇用の確保など、さまざまな効果が期待されています。
 このため県では、地域への効果を最大限発揮できるよう、昨年7月にILCによる地域振興ビジョンを策定し、この中で掲げた国際研究都市の形成支援、イノベーションの創出、ILCによるエコ社会の実現、海外研究者の受入環境整備、交流人口の拡大と地域の科学技術教育水準の向上といった取り組みを進めております。
 お話のありました地方創生推進交付金につきましては、地方創生の基盤ともなるILCにかかわる幅広い分野で活躍できる次代の人材育成を目的とした事業、具体的には、全県で進めておりますILC推進モデル校事業に充てたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 では、この1億1、890万円の内訳としては、ILC事業費の中に、まちづくりから、誘致から、今言っていただいた教育分野から、それらが全部含まれるというような意味合いですか、それとも、1億1、000万円を教育のその事業に使うということですか。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 まちづくりですとか産業振興とかも含めての1億1、890万円ということでございます。
〇佐々木朋和委員 ILC誘致実現には、先ほど来話のあった誘致活動あるいは機運の醸成も重要でありますけれども、やはりこれまでずっと誘致活動を続けてきた、地域も一丸となってやってきたという中にあっては、なかなか地域にそういった成果が見えない中で頑張っているというところがあり、またその中であと1年、決定まではということを言われながらこれまで1年1年来ているわけであります。そういった意味では、私は、決定を待つのではなくて、やはりこれから国際化に向けたまちづくりは、観光にとってもそうですし、また、あるいは外国人労働者の受け入れにとってもそうですし、岩手にとって、これはもうなくてはならない整備だと思っております。
 そういったものを地域の皆さんに、まちづくりあるいは人材育成、産業振興を見せていく。このことが、私は、まさにILC誘致の運動のエンジンになっていくという視点で聞かせていただきたいと思います。誘致活動、機運の醸成と、それ以外のまちづくりや産業振興、また直接的にふるさと振興に資する部分のILC推進事業費の内訳を、具体も含めてお示しいただきたいと思います。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 お話のありました来年度事業の計画ですけれども、機運醸成につきましては、関係団体等と連携した地域説明会や講演会、ILCサポーターズやILC100人委員会と協働した情報発信に約400万円、まちづくりでは、研究拠点整備やまちづくりの基礎となる周辺地域のインフラ調査に約1、500万円、産業振興では、国内の加速器施設に納入実績も出ている加速器関連産業への地元企業の参入支援や企業コンソーシアム構築、ビジネスマッチング等に合わせて約1、500万円などを計画しております。
 このほか、エコ社会の構築に貢献するグリーンILCの取り組みや次世代の人材育成、地域との対話に係る海外研究所との意見交換等を予算案として計上しております。
 また、市町村と連携して外国人ワンストップサービスの試行結果の分析等、ゼロ予算での取り組み等も可能な限り進めたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今1億1、800万円超の予算の中で、数字が出てきたものだと3、000万円かそのぐらい、半分以下の部分しか出てこないのですけれども、この辺はどうなっているのでしょうか。言いにくいところもあるかもしれませんから、局長にお伺いして、終わりたいと思います。
〇佐々木ILC推進局長 いろいろな要望の事務費もありますが、今数字を申し上げなかったもので言いますと、例えばグリーンILCの関係ですと400万円ですとか、それから、人材育成については、理工系のコンテストも含め、推進モデル校も含めて1、000万円強等、五つの柱のビジョンの活動の中でそれらの事業にそれぞれ必要な予算を充てさせていただいて、積み上がっていると、先ほどの説明は重立った、まさに、まちづくり系のところを紹介させていただいたと御理解いただければと思います。
〇佐々木朋和委員 了解しました。ぜひ誘致活動あるいは機運の醸成、私はアドバルーンを上げるというものよりも、そういったまさに五つのプロジェクトが出てきているわけですから、それが県民に見える形で進んでいくと。それを見せることによって、機運醸成が、またILC誘致への熱が高まっていくと私は考えますので、ぜひその辺を注意しながら次年度進めていただきたいということを申し上げまして、終わらせていただきます。
〇斉藤信委員 それでは最初に、私は局長にお聞きしたい。日本学術会議が1月30日に公表したマスタープラン2020でILC計画が重点大型研究計画に盛り込まれなかったと。これは予想外ですか、それとも想定内ですか。
〇佐々木ILC推進局長 そういった予想はしておりませんで、客観的に研究者の皆さんがどう判断するかを注視していたというのが正直なところです。
 一言申し上げたいのが、日本学術会議におけるマスタープランの議論は、昨年3月の日本政府の初めての関心表明において、御承知かと思いますが、国内においては、正式な学術プロセスでの議論が必要とされたことを踏まえたものですので、このプロセスで議論されたことが、まず重要であると捉えております。
〇斉藤信委員 このILCの議論というのは2013年から、日本学術会議に諮問して検討していただいたと。そのときは時期尚早と。そしてその後、有識者会議で4年間議論して、その結果が、また日本学術会議で議論してもらうですよ。そして、その日本学術会議が、2018年12月だと思いますけれども、誘致表明には至らないと。技術的な問題もある、国際的な分担の問題もあるという、去年の関心表明はそういう経過を含めて。だから、日本学術会議では2013年から議論されてきたけれども、そういうこの間の議論の重みで何か行き詰まって、日本学術会議のマスタープランにまた投げかけて、しかし、重点大型研究計画には入らなかったと。私は、これはやっぱり冷静に受けとめる必要があるのではないかと思います。
 ただ、ヒアリングの対象になったので文部科学省のロードマップの審査対象にはなるのだという説明もありますが、先ほども議論がありました、この文部科学省のロードマップの審査というのは、どういう形で、いつまでに行われるのですか。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 文部科学省は作業部会を設けまして、それぞれの専門家の方々に入っていただいて、マスタープランで重点大型研究計画、それからヒアリング対象となった計画の申請書類の提出を2月28日までに受けて、それを審査した上で、専門家の方々がヒアリング等を行ってロードマップを策定していくということになっております。
 今の時点では、いつ策定するということは公表されていませんけれども、前回2017年のロードマップでは、7月に公表されております。
〇斉藤信委員 前回を考えれば7月のロードマップに入る見込みというのは、私は、これはもちろんかなり厳しいと思います。先ほど佐々木朋和委員が言ったように、1年準備をして政府の誘致表明を求めるというのが、知事のある意味、現実的な見解だと思いますけれどもね。
 先ほど、いやロードマップに入らないけれども認められたものがあるのだと。国際宇宙ステーション計画ですね。これはアメリカの計画でしょう。アメリカの計画に日本がかかわっただけではないですか。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 国際プロジェクトをどこがホストするかということはあるのですけれども、アメリカが中心となって進めている事業ではありますが、そこに日本が参画することについて、相当規模の事業ですので、そういう意味では、国としてロードマップに入らない事業に参画しているものもあると考えております。
〇斉藤信委員 アメリカ追随というか、そういう今の政治の姿があったのではないかと私は思います。
 それで、一つは国際的な費用分担、国際的な協力の体制、これが重要なポイントですよ。しかし、これは2月に開かれた国際将来加速器委員会―ICFAの会議で、日本政府の代表がこういう発言をしたのですね。英仏独と今月、初めての4者協議を行ったが、さまざまなプロジェクトを抱えており現時点で参加する資金的余力がないとのことだったと。国際的な費用分担を考えたら、私は、これもまたかなり厳しいものではないのかと思います。これを局長、どう受けとめていますか。
〇佐々木ILC推進局長 先ほど副局長からも少し触れたのですが、先日の国会での質疑で、文部科学省は、初めて意見交換を行ったので、いきなり貢献というのは無理だったと思われます。欧州素粒子物理戦略でILCに関し具体的な踏み込みがあれば各国とも考え方が変わる可能性があるということで、国際プロジェクトとしてアメリカとはディスカッショングループを設置して4年間やっています。昨年から、ヨーロッパともディスカッショングループを設置して、ようやく議論が始まりました。それで、そういった予算といいますか経費についても議論が始まったと。そういう趣旨が大事だと捉えています。
〇斉藤信委員 実は胆江日日新聞に、日本学術会議でこのILCを検討した検討委員長の家泰弘さんのかなり詳しいインタビューが載りました。冒頭こう言っているのですね。予定どおり研究を終えても、見えてくる成果は登山道の入り口というレベル。物理の探究は完結せず、継続には再び巨額投資を伴うと。さらに、安全面については、ビームダンプに対する危機管理対応などにも信用性が欠けると指摘したと。これは日本学術会議の議論の中身ですよ。
 だから私は、やっぱり加速器の研究者の団体が、日本で、北上山地でこういうILCを整備したいと、これは当事者岩手県としては真剣に対応する必要があると。しかし、推進する、そういう人たちのことだけを聞いていては、全体の情勢がよく見えなくなるのではないかという感じがしているのです。
 それで、この家さんのインタビューの中で、ライバルは中国だけではないと、こう言っているのですよ。それこそ欧州素粒子物理戦略について、CERNではコンパクト・リニアコライダーや、FCCという次世代の大型円形衝突型加速器も検討されていると。このFCCというのは、全長20キロメートルのILCで15年かけて集積するデータが3年程度で得られると。
 恐らく欧州の素粒子物理戦略は、皆さんももちろん御承知だけれども、言っていないだけで。だから、欧州の素粒子物理戦略というのは、具体的にはそういうことも検討されていると。これは当然把握されていると思いますが、そういう方向をどう受けとめていますか。
〇佐々木ILC推進局長 今の素粒子物理学の世界ではヒッグス粒子の性質解明が、これからの宇宙だったり生命だったりを解明する最大のテーマとして共通で、その中で何を装置として使うかについては、ILCが最も設計もできて準備ができているものというのは、世界的に共通理解だと伺っております。
 それから、FCCについては相当程度の経費がかかる。大型ですので。それで、CLIC(コンパクト・リニアコライダー)については四、五十年先の将来技術を使う。今研究を始めておりますが。そういったいろいろな事情がある中で、一番準備が整っているのはILCというのは、世界の研究者からの共通の評価だと伺っています。
〇斉藤信委員 欧州の素粒子物理戦略は5月に検討されるということですから、私はそこを冷静に見ていくことが必要だし、そういう動きもあるということもよく見てやっていく必要があると思います。
 そういう意味では、やっぱりILCが全てという話では決してないと私は思うのです。それは、実は日本学術会議の答申がそうなっているのですよ。だからああいう結論になったと。
 そういう意味で、今必要なのは、やっぱり国際的な協力、費用分担の合意、もう一つは、国内でも科学者間の合意ができていない、国民的な理解も広がっていないという、ここの現状をリアルに見て、私は、そういうことにきちんと対応した取り組みが必要ではないのかと思いますよ。
 私は、科学技術の進歩という点では、この誘致に賛成です。ただ、ハードルはさまざまある、課題もあると。私たちは何でも賛成という立場ではないのです。さまざまな課題、今、大きく言えば二つですけれどもね。だから、そういうことをきちっとクリアすることを見定めながら、適切な誘致運動をすることが必要なのではないかと思いますが、最後に、また局長にお聞きして、終わります。
〇佐々木ILC推進局長 やはりILCについては、国自身の科学技術創造立国の実現という大儀があり、そして、我々岩手県にとりましては、震災からの創造的復興であったり地方創生だったり、その意義は大きなものがあると思っています。技術的な課題あるいはいろいろ不安に思われているものは、解決されるべきものだと思っております。
 その上で、我々としても着実に事実を踏まえて対応する必要がありますので、文部科学省からはきちんと情報をとって、我々の取り組みも説明する。KEKとは、定期的に率直な意見交換をする場を設けておりますので、我々の動き、そして中央といいますか東京の動きも同一にするような、そんな形で今取り組みを進めさせていただいております。
 いろいろ御意見もあるところではありますが、ILC実現に向けて、何とぞ御支援と御指導を賜ればと思います。
〇飯澤匡委員 さまざまな観点の捉え方でいろいろな考え方が出るのだなと思って拝聴しておりました。
 まず、国際協力と科学者間の合意というのは大きな観点である、ただいま斉藤信委員が申し上げたとおりだと思いますが、国際協力については、いろいろな御指摘があって、欧州については資金的な余力がないという発表がICFAの会議でされたとありますけれども、私自身は、その前にアメリカとの協議が大分進んでいて、これはアメリカに対する、議論に対する欧州の一つの戦略だと思っています。裏を返せば、それだけヨーロッパも本気になってやり出したのだなと。費用負担の駆け引きというのは、国際間のいろいろな部分でもう動き出していると私は思っています。そもそもアメリカ側が資金的に余裕があるよという話が大分出ていましたので、そこの中でいろいろな費用負担の話にいよいよ入ったのかなと。
 先ほどの国会での答弁も、文部科学省の官僚としてはぎりぎりの答弁だったと思いますし、余り駆け引きという言葉はなかなか言いづらい話だと思うのですけれども、いずれ今後の展開に注目したいと。
 それから、科学者間の合意というのも、日本学術会議というのは、そもそも文部科学省の予算の中でというような話が前提となってやっていますので、やはり素粒子力学とかILCに関係のない、日本の科学の発展にとっては大事な分野もあるわけですが、ILCの建設費が突出して高いので、これをやってしまうと自分たちの予算枠が大分狭まってしまう、そういうことが前提になって進んだものと。これは岩手日報社は、きちんとそこら辺は解説をしていました。そういう点もしっかり捉えて、これから進まなければならない問題ではないかと思います。
 ただいま答弁にもあったように、いずれアジアで初の国際プロジェクトですから、巨額な予算も伴うということ、それからランニングコストも伴う。先ほど申し上げましたように、いわゆる国際協力が本当に大事になるわけでありまして、今後の動向はかなり厳しい場面もあるでしょうけれども、しっかり注視をしていかなければならないと同時に、今から質問しますが、やはり正しい理解の促進を国民に対しても、そしてその情報発信の仕方に対しても、もっともっと頑張らなければいけないと。これは県だけではなくて、国自身もそうです。
 安全対策について質問項目として出させていただきましたが、やはりこの点についても理解がまだまだ足りないというよりも、もう少し一般の人向けにやる必要があるかと思っています。
 今後の情報発信の仕方について、常任委員会でも質問しましたが、大事な局面ですので、その点をしっかり捉えて、ことしの山場に向けて、局長からさらに、ILC推進局の取り組みについて聞かせていただければと思います。
〇佐々木ILC推進局長 まず、先ほど来話が出ている、やはり事実だったり、ILCはどういうものかというものをもっともっと知らせる必要があるということにつきましては、例えば、昨年度を中心にILCの解説セミナーをやらせていただきました。若干そこを紹介させていただきますと、県あるいはKEKが概要を説明し、その後、質疑を行うということでセットしてやらせていただいています。
 一関市、奥州市、大船渡市、盛岡市において、延べ11回、延べ673名の参加があり、いろいろと具体的な説明をする中では、安全対策など住民のさまざまな疑問に答え、安心感の醸成であったり理解を深める機会もあったのですが、やはり一方で、繰り返し同じ質問が行われる等、認識に差が生じるような場合もあって、解説セミナーを行うに当たっても、その対象であったりその開き方といったものは、今年度、我々学んだような気がしております。ですので、小規模でやるか、大きくやるか、あるいはテーマ的にどう考えてやるかといったことも含め、県内の皆様には、しっかりと丁寧な説明をしたいと思っています。
 それから、全国的な普及啓発ですが、これにつきましては、弘兼憲史さんの島耕作シリーズもあったり、押井守監督のILCサポーターズもありますが、そういったものがひとつ連携して、国内で大きなムーブメントといいますか大きな盛り上がりになるように、リアルな世界とSNSの世界でぜひPRをしていきたい、理解を深めていくような活動をしていきたいと思っています。
 地元についてでありますが、やはり、どなたも岩手県で安心して暮らすことができる、そういった環境の整備をきちんとつくることが、また実現に貢献するものと思っております。岩手県では、やはりきちっとしたベースが必要だと思っています。ですので、インフラ、医療、教育といったものが国際的に岩手県の強みになるような、そういった取り組みをさせていただいて、ILCのみならず、県のほかの振興にも貢献するような環境整備をぜひ関係者の皆様と続けていきたいと思っています。
 いずれ、岩手県そのものがILCを通じて、ILCそのものもですが、岩手がクリエーティブでチャレンジする県といった、頑張る県と言ったらいいでしょうか、そういったことも含めて、ぜひ皆さんとともに、ある種、ILCそのものの実現を通じて、ブランドといいますか、いろいろな意味でもILCをてこに、さまざまな活動にも波及していければと思っています。よろしくお願いします。
〇飯澤匡委員 ただいま議論の中で胆江日日新聞の記事が出ましたけれども、そもそも家委員長というのはILCの反対派ですから、そこら辺をよく見てやっていかなければいけない。確かに委員長であったけれども、慎重派と言ったほうがいいかもしれません。反対派というのは取り消します。慎重派だと。そういうことで、ニュースのソースのとり方としても、先ほど菅野委員から話があった読売新聞の話、費用対効果も考えなければいけない。今さら費用対効果を書くのかというような話なのですよ。したがって、とり方として部分だけつまんで書くような状況も、これは嘆かわしい状況ではあるけれども、やっぱり広く情報発信に努める、もっともっと注力をしてやっていくということに心がけていただきたいと思います。
 それから、私も解説セミナーに何回か出席しましたが、どうも慎重派の方々の意見表明みたいな形になってしまって、もっとよく知りたかったというような方々がいっぱいいました。ですから、もう少しやり方自体を考えていただいて、いろいろ工夫をして、県内についても、正しい科学的見地に基づいた情報発信をしていただきたいと思います。
 最後に所感を聞いて、終わります。
〇佐々木ILC推進局長 貴重な意見を賜りました。そういった意見も踏まえて、議員の皆様方のいろいろなアドバイスだったり、さまざまな意見を引き続きいただきながら、ぜひ一体となってILC実現に向かって進んでいければと思います。よろしくお願いいたします。
〇吉田敬子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇吉田敬子副委員長 質疑がないようでありますので、これでILC推進局関係の質疑を終わります。
 ILC推進局の皆様は退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、復興局長に復興局関係の説明を求めます。
〇大槻復興局長 令和2年度の復興局関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 これまで復旧、復興の取り組みによりまして、復興推進プランに掲げる事業は着実に進捗していると考えておりますが、一方で、被災者の心のケアやコミュニティーの形成支援、市町村が行うまちづくり後における住宅再建や事業者への支援などにつきましては、今後も被災地の状況に応じ重点的に対応してまいります。
 特に、令和2年度は国の復興・創生期間の最終年度でありまして、未完成のハード事業の完成を目指すとともに、応急仮設住宅等にお住まいの方々の恒久的住宅への早期の移行を目指してまいります。
 また、昨年12月には、国において「復興・創生期間」後における東日本大震災からの復興の基本方針を閣議決定したところでございますが、被災地におきましては、当該期間後も中長期的な課題もあることから、一律に期限を適用することなく、引き続き被災地の状況等を十分に踏まえながら、被災者一人一人の復興をなし遂げられるよう、他県とも連携しながら、必要な施策の継続を国に強く働きかけてまいります。
 それでは、当局の予算編成に当たっての基本的な考え方について、復興推進プランに掲げる4本の柱に沿って御説明申し上げます。
 第1は、安全の確保でございます。
 防潮堤等の復旧、整備及び復興支援道路などの地域間を結ぶ道路等の整備を促進するとともに、社会資本の復旧・復興ロードマップの更新により被災者へ情報提供を行います。
 第2は、暮らしの再建でございます。
 被災者が安定した生活に戻ることができるよう、引き続き住まいの再建や再建後の安定した生活に向けた支援や相談を実施するとともに、市町村、関係団体、NPO等と連携して、被災者の生活再建先における円滑なコミュニティー形成を支援してまいります。
 第3は、なりわいの再生です。
 被災地での起業、新事業進出等を支援するとともに、起業者等の経営支援や資金調達支援に取り組むほか、水産加工業の宿舎整備や職場環境整備、福祉分野との連携による人材確保に向けた取り組みを支援し、三陸の多様な資源を生かした産業振興を図ります。
 第4は、未来のための伝承・発信です。
 災害の歴史から学び、記憶や経験を語り継ぎ、将来に生かすため、海外の津波博物館との連携のもと、震災伝承に関する国際会議を開催するほか、東日本大震災津波伝承館において、企画展示及び教育普及事業等を実施いたします。
 また、いわて震災津波アーカイブ〜希望〜の活用促進のほか、フォーラムの開催や広報誌の発行など、復興にかかわる重層的な情報発信を実施するとともに、震災発生から10年を契機とし、支援への感謝を伝え、風化防止と復興への理解と参画を促進いたします。
 それでは、続きまして、歳出予算について御説明申し上げます。
 お手元の議案その1の6ページをお開き願います。復興局関係の一般会計歳出予算は、2款総務費のうち、2項企画費の一部5億5、900万円余と、3款民生費のうち、7ページの5項災害救助費の一部77億4、900万円余、及び9ページに参りまして、12款公債費の一部1億4、000万円余であり、合計で84億4、800万円余の予算額となっております。これを令和元年度当初予算額と比較いたしますと、金額にして17億4、900万円余、率にして26.1%の増となっております。
 以下、予算の内容につきましては、予算に関する説明書により御説明申し上げます。お手元の予算に関する説明書の95ページをお開き願います。
 なお、説明欄に記載の主な事業の内容を中心に御説明申し上げ、事業ごとの金額の読み上げは省略させていただきます。
 2款総務費2項企画費1目企画総務費の説明欄の中ほどにございます復興局の二つ目、復興情報発信事業費は、県内外の多様な主体との連携のもとに復興を推進するため、復興フォーラムの開催やいわて復興だよりの発行など、復興に関する重層的な情報発信を行おうとするものでございます。二つ飛びまして、震災津波関連資料収集・活用等推進事業費は、東日本大震災津波の事実を踏まえた教訓を今後の国内外の防災活動等に生かすため、いわて震災津波アーカイブ〜希望〜に記録を蓄積するとともに、その活用を促進しようとするものでございます。次の復興支援感謝発信事業費は、三陸防災復興プロジェクトの目指す姿や取り組みを引き継ぎ、震災発生から10年を契機とし、支援への感謝を伝え、風化防止と復興への理解と参画を促進しようとするものでございます。二つ飛びまして、地域基幹産業人材確保支援事業費は、被災地の基幹産業でございます水産加工業の労働力不足の解消に向けた取り組みといたしまして、地域外からの人材確保のための宿舎整備や女性が働きやすい職場環境の整備に要する経費の一部補助等を行おうとするものでございます。次のさんりくなりわい創出支援事業費は、復興まちづくりに合わせたなりわいの再生を図るため、若者や女性を初め、被災地で起業等を行おうとする方に対して、事業計画策定の支援や新商品等品評会の開催等による商品開発、販路開拓の支援、クラウドファンディングによる資金調達支援など総合的な支援を行おうとするものでございます。次の水産加工・障がい福祉マッチング事業費は、被災地における水産加工業者の人材確保を推進するため、水産加工業と障がい福祉サービス事業所のマッチングを行おうとするものでございます。96ページに参りまして、一つ目、震災伝承ネットワーク構築事業費は、海外の津波博物館との連携のもと、世界の防災力の向上に貢献するため、震災伝承に関する、仮称でございますが、三陸TSUNAMI会議を開催し、東日本大震災津波からの復興の取り組みや教訓等について国内外に発信しようとするものでございます。次に、2目計画調査費の一番下の復興推進費は、復興委員会等の開催に要する経費のほか、復興推進プランに基づく取り組みを着実に推進するため、施策や事業の進捗状況について進行管理を行おうとするものでございます。
 少し飛びまして、132ページをお開き願いたいと思います。3款民生費5項災害救助費1目救助費のうち、説明欄の中ほどにございます復興局の二つ目の救助費は、災害救助法に基づき、引き続き応急仮設住宅の維持管理やみなし仮設住宅の借り上げを行うほか、応急仮設住宅の解体撤去や応急仮設住宅用地の原状復旧、入居者の仮設住宅間の移転費用の一部負担などを行おうとするものでございます。四つ飛びまして、総合的被災者相談支援事業費は、沿岸4地区の被災者相談支援センターにおきまして、被災者からの生活再建に関する相談に総合的に対応するとともに、いわて内陸避難者支援センターにおいて、内陸部及び県外に避難されている方に対し、恒久的な住宅への移行支援等を行おうとするものでございます。
 なお、いわて内陸被災者支援センターは、沿岸4地区の被災者支援センターと協力いたしまして、沿岸部にお住まいの被災者からの個別の御相談にも対応しようとするものでございます。
 一つ飛びまして、被災者住宅再建支援事業費補助は、持ち家による住宅再建を促進するため、住宅が全壊するなどの被害を受けた被災者に対し、住宅の建設、購入に要する経費を市町村と共同で補助しようとするものでございます。次の被災地コミュニティ支援コーディネート事業費は、被災者の生活再建先におけるコミュニティ形成を円滑に進めるため、市町村と被災者支援を行う民間団体等の調整役となるコーディネーターを配置するなど、市町村等の取り組みを支援しようとするものでございます。次の被災者の参画による心の復興事業費は、被災者が参画し、みずから活動する機会の創出を通じまして、被災者の心の復興を支援する民間団体等の取り組みに要する経費を補助しようとするものでございます。
 次に、大きく飛びまして、243ページをお開き願います。12款公債費1項公債費1目元金でございますが、このうち1億4、000万円余が当局の所管でありますが、これは、災害援護資金の借入金に係る償還元金でございます。
 以上で復興局関係の説明を終わらせていただきます。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇吉田敬子副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇名須川晋委員 大きくは2点でございますけれども、3月3日、3日前に閣議決定がされ、2020年度末で設置期限が切れる復興庁について、2031年3月末まで10年間延長するということでございます。したがいまして、岩手復興局が沿岸に移転をすると。盛岡市には支局というのでしょうか、そういう体制を置くようでございます。これの設置場所とか人員、体制等について今後検討がなされると思いますけれども、そのスケジュール感について伺います。
〇佐々木復興推進課総括課長 岩手復興局の移転の関係でございます。委員御案内のとおり、国の「復興・創生期間」後における東日本大震災からの復興の基本方針で、復興局につきましては、現場主義の徹底のために維持するとされておりますが、岩手復興局の本局は沿岸域に移転して、盛岡市には支所を置くとされているところでございます。現在、復興庁設置法など関連法案が国会の審議中でございまして、法案成立後に岩手復興局の設置場所、それから人員、体制につきまして、国で復興の進捗状況及び被災した地方公共団体の意見等も踏まえながら決めていくとされておりまして、現時点では、その辺は明らかにされていないところでございます。
〇名須川晋委員 そうしますと、どこに置くか、岩手復興局では何かしら、どこがいいとか、候補地とかがあるのかどうか。
 あと、5本の法律が改正されると。その中身を分析されておれば、岩手県のこれまでの要望内容が反映されている中身になっているのかどうかお聞かせください。
〇佐々木復興推進課総括課長 まず、復興庁の岩手復興局の本局の場所でございます。国では、復興の進捗状況を踏まえて場所を決定したいということでございます。現在、社会資本の整備でまいりますと、沿岸の北部よりは、南部のほうでまさに今やっている最中でございます。そういう部分も踏まえながら、国で場所をさまざま検討していると伺っているところでございます。
 それから、県としての復興庁についての要望の反映ということでございますけれども、県としましても、国の復興・創生期間後においても、総合的な窓口として各省庁をまとめまして施策を推進していく、また、担当大臣も置いて強力に進めていく組織が必要だということは従来から要望してきたところでございまして、そういうところでおおむね県が要望していたものは盛り込まれたものと評価しているところでございます。
〇名須川晋委員 2点目でございますけれども、昨年は三陸防災復興プロジェクト2019が開催されました。そして、高田松原には国営の追悼・祈念施設が開設されております。そこで、復興庁では、新年度予算について、東日本大震災10周年事業としてシンポジウムや復興発信イベントを政府主催で実施するとしておりますが、その概要についておわかりであれば伺いたいと思います。あわせて、本県のかかわり方についても伺います。
〇佐々木復興推進課総括課長 政府主催の東日本大震災10周年事業への本県のかかわり方でございます。
 まず、政府におきましては、東日本大震災津波から10年を迎える令和2年度に、これまでの復興を総括し、被災地の将来を展望するシンポジウムの開催、それから、国内外から寄せられたさまざまな支援に対する感謝、復興の姿を全世界に向けて発信していく取り組みを行う予定だと聞いております。ただ、国の事業の詳細は明らかになっていないところでございます。国と連携しながら、シンポジウムとか、それから復興情報発信におきまして、これまで本県が取り組んできました復興の取り組みですとか、支援への感謝について発信していきたいと考えているところでございます。
 また、県におきましても、来年度は復興五輪などもございまして、国内外から注目が集まることもございますので、国が行うこの10周年事業と連動いたしまして、被災地から国内外に向けて、復興の取り組みと支援に対する感謝を発信するととともに、さらに復興への協働、参画を促進していくことを目的といたしまして、復興支援感謝発信事業を来年度予算案に計上させていただいているところでございます。
 この事業におけるシンポジウムや防災力向上に向けましたワークショップ、それから三陸地域の復興の姿や魅力を発信するエクスカーションなどを復興庁とも連携しながら実施していきたいと考えているところでございます。
〇名須川晋委員 間もなく10年を迎えるわけでございます。有意義な形での開催にしていただきたいと思います。
 今話題の新型コロナウイルス感染症の関係で、事業が縮小というか中止というか、今ちょっとめどが立たない状況にありますけれども、こういうところも加味しながら検討していかなければいけないのかと思いますが、十分有意義に国内外に発信ができる形にしていただきますよう、御留意しながら取り組んでいただきたいと思います。
〇城内よしひこ委員 東日本大震災津波発災から、あと5日で9年になるわけでありますが、この間、多くの方々に大変な御支援をいただいて今日があるものと思って、支援をくださった方々そして応援をしてくださった職員の方々に、改めて感謝をしたいと思っております。
 そこで、いわての学び希望基金についてお伺いしたいと思います。
 これまで多くの方々が、遺児、孤児のために何とか役に立ててほしいと、たくさんの浄財を送ってくださって、それが基金になっているわけであります。復興局で今管理をしているわけでありますけれども、これまでの実績等についてはあえてここでお伺いするつもりはありませんが、今後、どのようにこの基金が活用されていくのか。そして、先ほど名須川委員からも話がありましたとおり、復興局もいずれ形を変えていくものと思っています。そういった中にあって、基金を利用される方々には、最低でも、あの日あの時に生まれた子供でも、もう20年、大学院まで行っても25年くらいの長い時間の中での管理、応援をしていかなければならない基金だと思っておりますが、そのあり方について、今後どのように考えていくのかお伺いしたいと思います。
〇佐々木復興推進課総括課長 いわての学び希望基金でございます。これまでの寄附ということでは、令和2年1月末現在で、約100億円余の御寄附をいただいているところでございます。そして、活用ということでございますけれども、この基金の本旨でもございます被災した子供たちへの奨学金給付事業等につきまして、教育委員会で、遺児、孤児の方々が大学院を修了するまでの令和17年度、2035年度までの給付を見込んでいまして、あくまで現時点における試算でございますが、
遺児、孤児への奨学金を初めとするこうした部分での活用の見込み額が81.9億円でございます。大体寄附総額の8割強という状況になっているところでございます。こうした状況も踏まえつつ、引き続き、被災地における子供たちを取り巻く環境やニーズの変化を的確に把握しながら、子供たちの健やかな成長が図られるように、基金については設置条例もございますので、この趣旨を十分に踏まえながら、御寄附いただいた方々の意向に沿って必要な事務に取り組んでいきたいと思っております。
〇城内よしひこ委員 間もなく10年たつという話が今出たところでありますけれども、被災地においては、時系列的に考えても、いろんな新しい話題がどんどんこれまで出てきました。その都度、皆さんには丁寧に対応してもらってきたと思っております。そういった中で、沿岸部の中には、震災後に生まれた子供たちも、私は二次的であろうとは思いますが被災者であると思っています。そういった子供たちへの支援策は、教育委員会等を通じて、あるいはいろんな部署を通じて情報が入って対応していただいているものとは思っております。ただ、企画立案をする方々と査定をする方々で、まだまだ温度差があるのではないかと思っております。今後、復興局がどのように形を変えていっても、その基金は当面の間残るとするならば、しっかりとした使い方、あるいはルールづくりを今後していくべきではないかと思います。そして、新たな課題に対してもしっかりと対応できる基金にすべきではないかと思いますが、その辺はどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
〇佐々木復興推進課総括課長 先ほど申し上げました給付事業の部分は、しっかりと確保することが必要だと考えております。それ以外の部分で、先ほど申し上げた程度の事業が可能になってくるかと思いますけれども、これも基金の条例の趣旨を踏まえながら、庁内の各部局による調整、それから意見交換する会議もおととしあたりから設置しておりますので、そういう中で、被災地のさまざまなニーズも捉え、それから子供たちのニーズも捉えながら、よりよい事業に振り分けていけるように検討してまいりたいと思っております。
〇城内よしひこ委員 ぜひお願いしたいと思います。次に移ります。交通安全施設整備についてお伺いします。
 おかげさまで、三陸沿岸自動車道も含めて、復興道路、復興支援道路、復興関連道路も整ってまいりました。まちづくりもされてきたところであります。その中で、いろいろ新たな問題が出てきたということで先日もお話をさせていただきましたけれども、例えば、沿岸部の新たな道路について、信号機あるいは道路標識等が不足をしているのではないか。カーナビにない道路がたくさん出てきた。そういう中で、人の流れも変わってきて交通安全を確保する上で、これは警察、公安委員会とも話はさせていただいていますが、言い方は悪いですけれども、ここで人が何人か死ななければ信号機がつかないという話も出たりするぐらい、信号機の要望というのはあるのです。
 復興に関連して、つくっていただいた道路に関して、一定の責任感のもとで、復興局、復興庁、一連のチームの枠の中で対応は可能なのではないかと思いますが、そろそろ仕上げの段階でありますので、ぜひそういったことも検討をしてほしいし、警察当局との連携もとりながら進めていかなければならないと思うところであります。特に、ことしは復興オリンピックとか、いろんなイベントが沿岸部であるわけです。そういったことも含めて、検討は可能かどうかも含めて調整をしてみてはいかがかと思いますが、どうでしょうか。
〇山田まちづくり・産業再生課総括課長 ただいま委員から、復興事業でありますので復興局も一緒になってというお話をいただきましたけれども、どうしても原則論的なお答えにはなりますが、信号機等交通安全施設に関しましては、都道府県公安委員会の所管ということです。ただ、きちんと公安委員会、警察本部におきましても、地域の事情、地域の住民の皆さんを初め、地元市町村あるいは道路管理者等の要望を受けまして、それぞれ現地の交通事情等を踏まえて、信号機に限らずどういった交通安全対策が必要か、最終的に判断をしていると認識しております。
 復興交付金での交通安全施設の設置も制度上は可能でございますので、国の復興庁等への働きかけが必要な場合には、私どもも可能な限りこういった調整に努めてまいりたいと考えております。
〇大槻復興局長 ただいま総括課長から御答弁申し上げましたけれども、私からも若干補足をさせていただきたいと思います。
 信号機などの交通安全施設は、財源として復興交付金を被災地では使えるということで、これまで新設が5市町村で8、600万円ほどの実績がございます。こういった格好で、使うには非常にいい財源があるということではございます。
 ただいま総括課長が申し上げましたとおり、ルール上は確かに公安委員会が全て設置の権限を持っているわけでございますけれども、当然、復興交付金を使うということで、私どものところも経過した上で復興庁へ行くということがございますし、私どももそれぞれの現地の御要望を承ったり、現地を見る機会もございますので、当該市町村の方々ともよく話をして、こういった部分でこれまでと違ったルートになっているからどうしても必要だという話があれば、その辺は公安委員会と十分協議をさせていただきたいと思っております。
〇城内よしひこ委員 新たなまちづくり団地とか、人の流れも変わりました。以前のまちではない地域がたくさんふえて、そういった中でショッピングセンターもできたり、地域の実情をしっかりと捉えて、最後の仕上げの段階にもう入っていますので、ともに知恵を出し合って、どうやったらみんなに喜ばれて復興のゴールが切れるかしっかり見定めて、ともに頑張っていければと思います。よろしくお願いして終わります。
〇千葉盛委員 それでは、復興事業についてお伺いします。
 あと少しで震災から9年がたちまして、来年で節目の10年であります。その中で復興庁の設置期限も延長され、発災してから走り陣立てでできていったような制度だったので、震災直後、皆さんが困っている中で、この9年間の中でいろんな制度ができて、それを活用して復興が進んできたとは思いますが、なかなか思うように企業関係者が経営できなかったり、防災集団移転だとか災害公営住宅だとかできましたけれども、生活していくのがなかなか大変だったり、さまざまな方々がまだたくさんおります。その中で、一応10年という一つの区切りを来年度迎え、来年度までの予算は出ていますが、令和3年度から延長される10年間の中で、復興予算がどの程度見込まれているものなのか。そして今言ったように、9年間でなかなか将来の見通しも立てられない人たちがたくさんいますけれども、どのような事業が残っていくのか、行われていくのか、まずそれについてお伺いいたします。
〇佐々木復興推進課総括課長 令和3年度以降の復興事業費の見込みでございますが、「復興・創生期間」後における東日本大震災からの復興の基本方針におきましては、現時点で令和3年度からの5年間の復旧、復興事業の規模は、全体で1兆円台半ばと見込んでいるとされております。ただ、これは各省庁が復興事業の進捗状況を踏まえて今後見込まれる事業費を積み上げたもので、おおむねの事業規模を示したものでございまして、各県ごとの内訳は明らかにされていないところでございます。
 今後、政府において引き続き事業規模について精査しながら、ことしの夏ごろを目途に、復興・創生期間後の当面5年間の復旧、復興の実施に必要な事業規模と財源を示すとされております。ということで、現時点で、本県で令和3年度以降の復興事業費の見込みを示すのはなかなか難しいところがございます。
 なお、国それから市町村分も含めた本県における平成28年度以降の復興事業費見込みの総額、復興・創生期間が始まる際に見込みをつくったわけでございますけれども、それについては約2.2兆円と試算しておりまして、平成28年度から平成30年度までの復興事業費につきましては、県それから市町村の決算統計によりますと、約1.5兆円を執行している状況でございます。
 それから、どのような事業が残っていくかというお尋ねでございます。被災地におきましては、社会資本の整備は終盤に差しかかっているところでございます。今後は、心のケア、コミュニティー形成支援、それからまちづくり後におきます事業者への支援などの中長期的な課題がございますので、それに重点的に取り組んでいくと考えているところでございまして、今後、個別の事業に係る国との調整の中で、その辺の財源もしっかりと確保できるように取り組んでいきたいと考えております。
〇千葉盛委員 県の10年間の大体の予算の見込みもわからないのですか。わかるのであれば答弁をお願いします。
〇佐々木復興推進課総括課長 令和3年度以降の見込みは、現時点では、国と個別の事業について調整していくという積み重ねになってまいりますので、額として幾らというのはなかなか示すのは難しいということで、先ほどの、今の期間での見込みの残額までしかお話しできないところでございます。
〇千葉盛委員 失礼しました。それぞれ被災された方々の地域に合わせた事業を展開していただければと思いますので、その件に関しては終わります。
 次に、東日本大震災津波伝承館についてお伺いしたいと思います。
 開館から多くの方がいらっしゃっているようです。今、新型コロナウイルス感染症の関係でどうなっているかわかりませんけれども、先月、来館者数が12万人を超えたということです。開館から多くの方々が来館しておりますけれども、これからリピーターをつくったり、もっともっと多くの方々に伝承館を訪れていただいて、そして施設としてしっかりと継続していくことが必要だと思いますけれども、どういった取り組みをしていくのかお伺いいたします。
〇熊谷副局長兼震災津波伝承課総括課長 伝承館のリピーターをつくり、息の長い施設として継続していくための取り組みについてでございます。
 伝承館における基幹事業としては、常設展示と企画展示がありますが、これについて有識者や来館者の声も聞きながら、展示内容の一層の充実を図っていくほか、来館する団体客の目的、滞在時間などに応じた見学プログラムの作成や、解説員によるわかりやすい展示解説に引き続き努めていきたいと思います。
 また、これまで実施してきました震災語り部ガイドの講話、防災紙芝居の上演、親子向けの防災教室など、多彩なイベントの継続的な企画、実施に加えまして、国が中心となって推進しております3.11伝承ロードの広域的な取り組みとも連携しながら、情報発信をしていきたいと考えております。さらに、伝承館のホームページやSNSを活用しまして、沿岸各地で活動している震災語り部ガイドの震災伝承活動や、さまざまなイベントの紹介などにも力を入れていくこととしております。
 このような情報を発信し続けていくことで、全国の方に伝承館に興味を持っていただき、繰り返し訪れていただくことにつながるものと考えております。
〇千葉盛委員 多くの方々に来館していただいているので、その方々を、また別な県内の震災遺構とか震災伝承施設関係に誘導していただきたいのですけれども、そのゲートウエー機能の役割を果たすために、今、どのような取り組みをしているのか。
 あわせて、ほかの震災遺構施設も維持管理が大きな課題となっておりまして、その誘導が本当に大切になってくると思います。それが県の役割だと思うのですけれども、津波伝承館自体も入館料を取っていない、維持管理にお金がかかっていくという中で、今後どうしていくのか、その辺をお伺いいたします。
〇熊谷副局長兼震災津波伝承課総括課長 初めに、伝承館のゲートウエー機能の役割についてでございます。
 伝承館は三陸海岸へのゲートウエーとして、訪れた方を県内の震災伝承施設はもとより、沿岸各地の観光地に足を運んでいただくという、三陸沿岸の地域活性化にも寄与する役割を担っていると考えております。このため、道の駅としての情報施設も兼ねる伝承館のエントランスがありますけれども、三陸沿岸にある震災伝承施設や観光地などを紹介する大型マップやタッチパネルを設置し、受付の解説員がこれらの案内を行っているほか、沿岸市町村の観光や物産のパンフレット、イベントのチラシなども収集し、配布しているところでございます。こうした震災、復興に限定しない情報発信にも努めていきたいと思います。
 今後、道の駅高田松原や国営追悼・祈念施設との複合施設という立地の条件も生かしまして、タイアップイベントの開催ですとか、来年の東北デスティネーションキャンペーンに向け、観光関係者とも連携しながら、三陸の自然や食、そして伝承館を初め、震災遺構も組み入れた復興ツーリズムの推進などにも取り組むことで、伝承館をゲートウエーとして、沿岸の各地域への周遊を促す取り組みを進めてまいりたいと思います。
 次に、伝承館の維持管理費の関係でございます。伝承館の維持管理につきましては、来年度当初予算案で東日本大震災津波伝承館管理費におきまして、1億2、500万円余を計上しております。この内訳は、人件費が9、060万円余、管理費が3、490万円余となっております。管理費のうち約700万円につきましては、建物の電気代や施設の保守点検費でございますが、これらは、同居しております国、市と一括契約するなどして、伝承館単体で契約するよりも経費を低く抑えるという取り組みもしております。
 引き続き、維持管理については、国、市町村とも連携しながら、より経済的な方法を検討し、維持管理の節減に努めていきたいと思います。
 また、入館料のお話がありましたが、入館料の考え方については、伝承館が国内外から多くの支援をいただいた被災県として、東日本大震災津波の事実と教訓をより多くの人と共有し伝承することにより、未来の命を守る取り組みを推進しようとするものであり、できるだけ多くの方に訪れていただきたいことから、無料としております。
 維持管理のための財源としましては、昨年10月からふるさと岩手応援寄付におきまして、伝承館の運営についても対象事業に加えられましたし、館内にも寄附の募金箱を設置して、より手軽に来館者から寄附をいただく方法も講じております。これらの取り組みによりまして、財源の確保にも努めてまいりたいと思います。
〇千葉盛委員 寄附がどのくらい集まったのかと、無料でよろしいのですけれども、足を運んでもらって、それが岩手全体に経済効果をもたらすことが非常に大切だと思いますので、ゲートウエーとして、一番にはここに足を運んでもらうということです。
 総括質疑のときに上原委員が、映像コンテンツの話をされていましたけれども、コンテンツの一つとして、私もいろいろ資料を読ませていただいて、本当に多くの方々が議論して、議会でも話し合って、見る方に配慮した映像になっていることは理解します。しかしながら、実際にここで起きたことに加工されている時点で、なかなか伝わりにくくなってしまうのではないかと。ここに来たらこういうことがわかる、地元の方々との触れ合う機会もある、そしてここからまた違う三陸地域の伝承施設に行く、後方支援をしてくれた内陸のほうに行く。あと、いろんな観光地を回るといったこともしっかりと考えていかなければ、なかなか難しいのかと思います。
 そして、学生がイベントをいろいろやっていまして、きょうの新聞記事にもありましたが、防災意識が低いと。津波てんでんこというのは、海がそばにないとなかなか難しいのですが、そういった過程の中でも子供たちが見てわかる、学校の体験みたいなものももうちょっと、常設展示なのかどういったやり方がいいのかわからないですけれども、実際津波が来て、子供たちが逃げて助かったと。釜石の奇跡とか、これは本当に大切な話です。しかしながら、実際学校で被災して、例えば大船渡市であれば、当時はまだこういう防災という感覚がなかなか薄かったので、迎えに来たお母さんが連れて帰って一緒に亡くなってしまったということもありました。だから安全なところに行かなければいけないとか、もう悲惨な目に遭ってほしくないからこうなのだという入口がなかなか伝わらないと、意識というのは生まれていかないと思います。なので、映像がいいか悪いかは別として、みんながわかるような展示なり伝え方、そして地元の方と触れ合うことによって、いろんな話の引き出しが出てくると思いますが、専門家だとか有識者であれば難しいところもあると思いますし、市町村との連携、民間団体との連携、いろんな連携の仕方があると思います。また、各地域に行けばいろんな話が出てくると思いますので、そういったところの連携もしっかりやっていただきたいと思うのですけれども、その辺の考えをお伺いいたします。
〇熊谷副局長兼震災津波伝承課総括課長 まず、これまでの寄附額のお尋ねがありました。開館以来、伝承館への寄附は110万円ほどいただいております。
 次に、映像コンテンツを含めた展示の関係でございます。学校関係につきましては、児童生徒用のガイダンスシアター、10分ほどの映像があります。一般向けの映像と児童生徒用の二つがありまして、それを切りかえながら上映などもできるようにしておりますが、まずは学校の先生方の実際の意見なども聞きながら、児童生徒に応じた解説をどうしていくかというのは引き続き検討していきたいと思います。
 映像コンテンツにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、有識者の方の意見もそうですけれども、来館者の方の実際のお話なども聞きながら、展示内容について一層充実を図っていくことに努めていきたいと考えております。
〇千葉盛委員 何が正しいかというのはなかなか難しいので、表現がちょっと難しいのですけれども、津波が来て流されるという映像で、その後のほうが大変だったわけです。そこの入り口をしっかりと伝えて、こうなってほしくないから、次の、みんなでいろいろ協力してこういった復興ができ上がったのだというところの入り口部分として、誰ひとりとして亡くなってほしくないという気持ちで防災意識を高めたいというところは何とか―表現が難しいのですけれども。
 そしてあと、地域でさまざまな方に、いろいろな経験をされた方々がいらっしゃいますので、なかなか難しいかもしれませんけれども、そういった方々のネットワークをつくっていただいて、沿岸だけではなくて、内陸の方々もさまざまな体験をされた方がいらっしゃると思うので、そのネットワークを市町村とも結びつけて、県として上手に構築していってほしいと思います。そして、しっかりと100年、1000年残るような、伝承させていくような施設にしていただきたいと思います。最後に局長の話を聞いて終わります。
〇大槻復興局長 伝承館に来館される方々は、いわゆるフリーで、観光の中で訪れる方々と学習目的でいらっしゃる方がありますけれども、その中で小中学生、高校生は学習目的でいらっしゃる。この方々については、私どもの伝承館のスタッフの中に、小中学校の教員の方もいらっしゃいますし、それから副館長が高校の教員でございます。教育プログラムは、小中学校あるいは高校の先生方と一緒につくっていくことが必要ですし、それから、私どもの東日本大震災津波伝承館運営協議会には、教育委員会の震災学習の担当部局にも入っていただいています。そういったところと学習プログラムをつくっていった中で、委員のお話のあったいろんなエピソードがありますので、そういうところも加えて、お話とか紙芝居のような格好であればもう少し生々しさも消えてくるのではないかと思っています。
 それから一方、フリーでいらっしゃる方々、フリーと言っても特に土木関係の企業の方々もよくいらっしゃっているようですけれども、こういう方々に対するもの、あるいはフリーの方々については、観光を一つの切り口にした道の駅と連携をとってお知らせをしていくということがあると思います。
 もう一回戻りますけれども、学校関係につきましては、今後、陸前高田市で県立野外活動センターを再開しますので、そういうところを使っての震災学習に力を入れていきたいと思いますし、それから、語り部の方々とか地元の方々とのつき合いといいますか、連携が必要だと思っておりまして、最初から県外の全ての語り部の団体との間で、ホームページを通じたネットワークを組んでみました。それのほかに、今度はそれぞれの語り部の方々が自分の経験をしゃべって、それを文字にして、伝承館のホームページ上で全国に発信することにも取り組んでいますので、これを機会に、それぞれの語り部の方々が経験したことをダイレクトにお知らせするような企画展も来年度いろいろ考えてまいりたいと思っております。
〇千葉盛委員 最後に1点だけ。どこから、誰が来て、どういう行動をされているのか、そういったこともしっかりと反映できるような、入館料を取っていないのでなかなか難しいと思うのですけれども、そこをしっかりしてほしいと思いますので、その辺も情報収集できるような体制を整えていただきたいと思います。
〇臼澤勉委員 今、千葉盛委員から東日本大震災津波伝承館のお話がありました。関連して、防災ツーリズムのほうを先に伺います。
 この震災津波伝承の捉え方、私は決してこの伝承館が震災のあの日、あの時の恐怖とか、そういった恐怖心を伝える施設であってはならないと思います。私はどちらかというとそういう捉えです。そもそものこの施設の狙いは、教訓とか防災文化あるいは避難行動の重要性を学ぶべきところでありまして、おどしの教育とかそういうものでは人は動かない。おどし、そういった恐怖心では人はなかなか動かないというのがいろいろ我々は学ぶところだと思っております。そういったところで、今回、東北デスティネーションキャンペーン、それから全国宣伝販売促進会議が開催されてまいりますけれども、私は県が主体になって、あの東北のど真ん中、北緯39度にあって、東北の中心にある、この陸前高田市にある震災津波伝承館は間違いなく核になりますし、道路も通ってきます。仙台市からのアクセス性も高まるということで、ここの連携、ネットワーク化をさらに図っていただきたい。そして、例えば自治体の職員等を対象にした教育研修プログラムとか、あるいは全国宣伝販売促進会議で、びゅうプラザの窓口で商品を販売するような方々を東北各地から連れてきて、一緒に語り部さんと、実際に確認しながら商品を売っていただくような取り組みが大事になってくると思いますが、新年度の取り組みはどのようになっているでしょうか、お伺いします。
〇熊谷副局長兼震災津波伝承課総括課長 来年度の取り組みということでございました。先ほど委員からお話がありましたとおり、来年の東北DCに向けた取り組みということで、今年度は販売促進会議のエクスカーションも予定されておりますので、ぜひその際には伝承館も立ち寄り先になるように、観光のほうとの連携を図っていきたいと考えております。
 あと、震災伝承施設とのネットワーク化についてでございますけれども、先ほども出ました3.11伝承ロードの関係では、東北地方整備局が中心になりまして、青森県、岩手県、宮城県、福島県の被災4県、大学、産業界が中心となりまして、8月に一般財団法人3.11伝承ロード推進機構が設立されまして、そこで行う広域的な取り組みとも連携しながら取り組んでいきたいと考えております。
 また、3.11伝承ロード推進機構では、防災ツーリズムのモニターツアーを企画、実施するなどの取り組みも進めておりますので、こういった取り組みとも連携しながら、それと、陸前高田市で盛んに行われている民泊修学旅行や企業研修の受け入れ実績のあるNPO団体、あるいは大学等々とも相談しながら、さまざまなニーズに応じた研修プログラムの受け入れ態勢について検討していきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 それぞれの沿岸被災地で、本当に地元の方々は頑張って、あの日、あの時の教訓の語り部として活躍されております。県としてある一定の必要なスキル研修を行うとか、一定の基準を設けて認定するとか、そういう語り部の育成の取り組みも私は大事になってくるかと思いますし、今後、語り部が仕事として雇用を生んで魅力的な産業に成長していくような可能性もあると思うのですが、御所見を端的にお伺いいたします。
〇熊谷副局長兼震災津波伝承課総括課長 語り部ガイド団体との連携につきましては、先ほど局長からもお話があったところですが、現在の取り組みを紹介しますと、ホームページやSNSでの発信をやっておりまし、週末イベントのような形で、語り部ガイドを招いた講座も企画しております。さらに、本年2月、先週ですけれども、語り部の資質向上と連携強化を目的に、沿岸広域振興局主催で、伝承館におきまして震災語り部ガイドセミナーを開催し、県内の震災語り部ガイド団体14団体が出席しまして、県外の先進地の語り部による講演や事例報告、伝承館での実地研修を行ったところでありまして、こういった研修会あるいは情報交換会を引き続き行っていきたいと考えております。
 また、県内では、高校生の震災伝承活動も活発になっておりまして、高校生の震災伝承活動報告会を伝承館で行ったところでありまして、今後も、そうした若い世代の活動についても支援していきたいと考えております。
 委員から、先ほど県の一定の基準設定や研修認定を行うことについてお話がありましたが、これについては、釜石市や陸前高田市で独自に語り部やガイドの養成を行う取り組みも進んでおりますので、実際に語り部の皆さんあるいは市町村の意見も聞きながら、必要性について検討していければと思います。
 また、語り部の起業あるいは産業化ということもありましたけれども、そこまでいくには収入の確保や予約の受け入れといった課題もあると思いますので、まずは語り部の希望者に対しては市町村語り部ガイド団体とも連携しまして、伝承館を研修の場として活用いただくなどの支援を行っていきたいと思います。
〇臼澤勉委員 ぜひよろしくお願いします。最後に、市町村から要望の強い防災集団移転促進事業の移転元地の有効活用についてお伺いいたします。
 知事演述でも、防災集団移転促進事業により買い取った移転元地の利活用に向け、国への要望、市町村に対する情報提供等、助言等を行っていくということで、安全の確保に関する演述がありました。何らかの新規事業または市町村に対する財政的支援措置が必要と考えますが、県の対応をお伺いします。
〇山田まちづくり・産業再生課総括課長 今、委員からお話がありましたように、移転元地の利活用、これは被災市町村のまちづくりという意味でも、あるいは周辺の衛生環境や安全、土地の維持管理の観点からも、被災地域にとっては重要だと私どもも認識しているところでございます。ただ、一方で、移転元地というのは災害危険区域に指定されますので、住宅の建築が制限されるなどの課題もございます。県では、これまで、市町村から利活用の事業化の状況を定期的にお聞きいたしましたし、それから私どもでも、先進的な事例についてまとめた事例集を市町村に提供するなど支援もしてまいりました。国に対しても、東日本大震災復興交付金の柔軟な活用を毎年要望してまいったところでございます。
 国の復興・創生期間も残り1年ということになっておりますので、まずこの期間内に交付金を活用しての事業化が進みますように、私どもも市町村の取り組みを支援してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 市町村が宅地を基本として買い取って虫食い状態になっております。土地利用計画のようなものは立てられていると思うのですけれども、通告はしていませんが、6割近くの活用策が決まっていると聞いてはいるのですけれども、具体的にどういう感じで動いているのでしょうか。
〇山田まちづくり・産業再生課総括課長 今、委員から6割くらいというお話がありましたけれども、そのとおりで、本年1月末現在で、市町村では買い取り対象面積の58%で事業化済みということで、産業系の取り組みの例を挙げますと、農業の分野ではトマトの屋内栽培施設でございますとか、あるいは水産業ですと漁具の置き場、あるいはサケの白子を加工した健康食品の原料の製造工場などの事業化の例があるところでございます。
〇臼澤勉委員 最後にいたしますが、国の復興・創生期間も2020年でまず一区切りして、次の段階に移っていきますけれども、既存事業等を活用せざるを得なかったあのときの枠組みの中で、次のいろんな防災対策を考える上で、国にも、要望だけでなくて、新たな事業化というものを岩手としても提案していくような形を―具体の交換分合であったり、災害危険区域にかかっているような部分でもありますし、土地区画整理事業はなかなかできない地域でありますから、いずれ、基本的な土地の集約化に向けた御提案を一緒にいろいろと研究していきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
〇吉田敬子副委員長 おおむね再開後2時間が経過いたしますが、質疑を表明している委員があと2人となっていることから、質疑を続行したいと思いますので、御了承願います。
〇斉藤信委員 それでは最初に、被災者の住宅再建の状況についてお聞きをします。
 被災者生活再建支援金の基礎支援金受給者の住宅確保の状況はどうなっていますか。
〇佐藤生活再建課総括課長 まず、被災者生活再建支援金受給者の住宅確保の状況でございますけれども、住宅のほうは加算支援金になりますので、本年1月末までの加算支援金の受給者につきましては1万4、567件でございます。そのうち、建設、購入が1万659件、補修が2、989件、それから賃貸が919件となっております。
〇斉藤信委員 災害公営住宅も住宅確保だから、災害公営住宅もちゃんと答えないと。
 災害公営住宅は5、009戸です。合わせると1万9、576戸になりますが、そうすると、残りは3、596件になるのです。この動向はわかりますか。
〇佐藤生活再建課総括課長 失礼いたしました。災害公営住宅に入られた方には加算支援金は支給されないものですから、今省いてしまいまして申しわけございません。意味を取り違えておりました。大変申しわけございません。
 残り3、000件につきましては、これから住宅を再建する見込みの方が1、000件ぐらいございます。それから……(斉藤信委員「後でわかったら答えて。時間がもったいないので。」と呼ぶ)はい、申しわけございません。
〇斉藤信委員 基礎支援金の推計は2万3、645件だったのですね。実際に基礎支援金を受給したのは2万3、172件で、473件がまだ申請していないということですが、これはもう締め切りがあるので、どういう実態か把握していますか。
〇佐藤生活再建課総括課長 正確なところはわからない部分がございますけれども、もともとの数字が推計のところから出ている数字でございます。ですので、残りの数字が全て名簿で突合できるということではないので、考えられるのは、例えば、基礎支援金を受給される見込みのあった海外から研修で来られた方が海外に帰られてしまった場合とか、あとは、住民票の移動なしでこちらで働いていた方が、もとの御住所に戻られてしまったとかといったことが考えられるかとは思っております。
〇斉藤信委員 それで、住宅再建の状況についてお聞きしたいのだけれども、特に自立再建、住宅を建設、購入した方々は、被災地でどのぐらい再建したのか、内陸でどのぐらい再建したのか、県外でどのぐらい再建したのか、わかると思うけれども、示してください。
〇佐藤生活再建課総括課長 被災者生活再建支援金の受給者につきましては、全体の86.4%の方が沿岸地域で住宅再建をしていることになっております。内陸のほうは……。
〇斉藤信委員 私はあなたから資料をもらって聞いているのだから、きちんと答えていただきたい。せっかく資料をつくっていただいて、もらったのに。
 被災地で、地元で住宅再建した方は県の100万円の補助対象なのですよ。それが8、447件で、加算支援金が1万330件なので、81.8%ですよ。内陸が1、322件なのですね。足りない分は恐らく県外ということになるのだと思います。そういう意味でいけば、県の支援金、補助金で見ると81.8%が被災地で再建されたと。そういうことで、ちょっと時間がもったいないので私が答えました。
 それで、これは今から聞こうと思ったものがさっき出ましたけれども、まだ住宅確保に至っていない被災者の状況と今後の見通しで、来年度当初予算案で被災者住宅再建支援事業費補助が3億8、900万円になっています。これは、先ほど言った約1、000件が今後住宅再建の見込みということですか。
〇佐藤生活再建課総括課長 被災者住宅再建支援事業費補助の来年度の想定人数につきましては724件ということで押さえております。
〇斉藤信委員 そうすると、正確には724件を想定して予算化したということですね。じゃ、1、000件というのは正確じゃないですね。正確に答えてください。議会なのだから、会議記録に載るのだから。
 次に、災害公営住宅の入居者の状況、高齢者世帯の状況、孤独死の状況についてお聞きしたい。
〇佐藤生活再建課総括課長 災害公営住宅の入居者等の状況、高齢者世帯の状況、孤独死の状況につきましてですが、令和元年12月末現在で、災害公営住宅に入居しております5、146世帯のうち、65歳以上の高齢者を含む世帯が3、191世帯、約62%でございます。そのうち高齢者のひとり暮らし世帯は1、712世帯で、全体の33.3%となっております。
 また、令和元年12月末現在で、災害公営住宅でひとり暮らしで亡くなられた後に発見された、いわゆる孤独死は、50人となっております。
〇斉藤信委員 ひとり暮らしが33.3%で、災害公営住宅での孤独死が50人なのですね。実は孤独死された方は、昨年1年間で16人、その前の年が18人、つまり34人、全体の68%はこの2年間に亡くなられているのです。だから、災害公営住宅での孤独死、孤立化、孤独化は大変切実な課題になっていると。
 最近、県立大学と岩手大学が災害公営住宅のコミュニティーにかかわる調査をやりましたけれども、把握していますか。
〇佐藤生活再建課総括課長 はい、新聞報道で拝見して、資料については取り寄せさせていただいております。
〇斉藤信委員 一つは、2月11日に宮城県多賀城市で開催された大規模災害公営住宅自治会交流会で報告があったもので、これには岩手県、宮城県の自治会や支援者、沿岸広域振興局からも3人ぐらい復興推進課の職員が参加しておりました。
 これは岩手大学の船戸先生が行った調査で、2県で1、800件、岩手県は1、100件の回答なのですけれども、こういう内容でした。御近所、地域とかかわる機会が減ったというのが39%、集会所の利用が一回もない、42%、年数回が32%で、合わせて74%はほとんど活用していないと。お隣3軒程度の方々の顔と名前がわかる、これは実に23%なのですよ。大体わかるというのが24%、合わせても47%しかない。困っているときに相談できる人がいないというのが29%でした。不安や課題は何か。第1、家賃、生活費、第2、健康、運動、第3が交通の便。
 県立大学の調査は、まさにきのう新聞に載りましたけれども、団地生活の困り事、1位が、誰が入居しているかわからない、69%、相談する相手もいない、47%、集合住宅になじめない、40%。私は、災害公営住宅のコミュニティーの形成というのは大変切実な課題だと思います。
 そこで、今年度は大船渡市みどり町の県営災害公営住宅と大槌町上町の災害公営住宅の集会所に生活支援相談員が2人配置されました。私はみどり町の自治会の会長にお会いしましたけれども、大変助かっていると。集会所が使いやすくなったと。こういう形でコミュニティーの形成がやっぱり支えられているという感じがいたしました。
 ぜひ、これをせめて50戸以上の災害公営住宅には広げる必要があるのではないか。今の状況から見ても、あと5年延長されたこの期間に、やっぱり自治会を支えコミュニティーを形成するというのが、私は緊急の課題になっていると思うけれども、いかがですか。
〇佐藤生活再建課総括課長 災害公営住宅等の見守りやコミュニティー形成支援を重点的に行うため、委員おっしゃるとおり、生活支援相談員がより身近なところを拠点として活動できるよう、県の社会福祉協議会や市町村の社会福祉協議会と連携して、現在3市町で生活支援相談員を災害公営住宅の集会所や地域の空き家に配置しており、ほかの市町村においても、こうした取り組みの実施を働きかけているところでございます。
 コミュニティーにつきましては、よりいろいろな切り口からやっていく必要があると思っておりまして、令和2年度におきましては、コミュニティー形成に係るこれらの取り組みを継続するほか、災害公営住宅の集会所等において、健康づくりの取り組みを通じた入居者等の交流や本県の地域資源であります郷土芸能の発表の場を設定しまして、出演者や入居者の交流を図るような事業を行うことによって、コミュニティー形成の支援を行ってまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 実際に今、県営災害公営住宅の集会所が使われているのは月2回から6回、せいぜい週1回か、1回も使われていないのが実態です。コミュニティーの拠点がそうなっていない。
 県立大学の吉野先生が中心になってやられたアンケートの結果についてこう言っているのですね。孤独死などの団地が抱える問題解決のために自治会などを通じたコミュニティー形成が求められていますが、調査結果からは、互助、共助関係の構築の難しさが続いていることがわかりました。入居者の特性、生活実態に基づいた対策が必要であると考えられますと。
 ぜひ、今本当に困難に直面して、隣3軒までわからない、誰が入居しているかわからないという状況の中で、しっかり生活支援相談員を配置していただきたい。千田美津子議員の本会議での質問に対して、知事は、ことし3市町に配置したけれども、来年度は5市町にさらに広げると答弁しました。さらに広げる。これは生活再建課、地域福祉課、建築住宅課がかかわりますから、やっぱり知恵を出して、私は最低2桁以上にしないと本当に対応できないと思いますので、これは思い切って取り組んでいただきたい。局長、どうですか。
〇大槻復興局長 委員御提言のとおり、市町村営あるいは県営にかかわらず、災害公営住宅の自治会活動といいますかコミュニティーづくりは、これから非常に大事になってくる。いわゆる仮設住宅がなくなってきて、皆さんがそちらのほうに移っていきますので、こちらの活動のほうが大事になってくると認識しております。
 先ほど総括課長から申し上げましたけれども、そのほかに来年度は2市町、山田町と陸前高田市に生活支援相談員を配置する予定になっております。実際にこの開所時間、いわゆる集会所のあいている時間も、今まで釜石市社会福祉協議会とか大船渡市社会福祉協議会、大槌町社会福祉協議会では週4日で、例えば10時から15時とかという結構長い時間あけていますので、そういう時間で皆さんが集まれるようにするのが大事だろうと思っております。
 そのほかに、やっぱりいろいろな地域から集まっている方々が一つのところに住んでおりますので、昔からの御近所というわけではないので、きっかけづくりも必要だろうと思っております。その辺は、市町村で健康づくりの体操みたいなものをお年寄り向けにやっておりますので、こういったものを取り入れたり、あるいは、それぞれの御出身のところにある郷土芸能を見たことによって、話に少し花を咲かせてもらうとかといったいろいろな取り組みを、市町村と協力しながら、直営でといいますか、私どももそういう部分に少し力を入れて取り組んでいきたいと考えています。
〇斉藤信委員 災害公営住宅のコミュニティーが、私は今一つの焦点だと思っているので、しっかりそれを定めてやっていただきたい。
 それと、復興基金の年度末残高はどうなるか。来年度の事業額、いわての学び希望基金の実績と来年度の事業費を示してください。
〇佐々木復興推進課総括課長 まず、復興基金でございます。復興基金につきましては、令和元年度は、現時点で28事業、約18億円の事業に活用する見込みとなっておりまして、これまでの累計では47事業、268億円に活用しております。令和元年度末の基金残高は約35億円と見込んでいるところでございます。
 それから、来年度の事業の活用ということでいきますと、安全の確保につきましては、被災家屋への再生可能エネルギーの導入促進に向けた環境整備、それから、暮らしの再建では、住宅再建費用の一部助成、国民健康保険、後期高齢者医療制度の一部負担金免除経費などとなっているところでございます。
 それから、いわての学び希望基金につきましては、今年度は約7億3、000万円を活用する予定としておりまして、累計では27事業に37億3、000万円余を活用しているところでございます。年度末の基金残高は約70億円と見込んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 これで最後です。実は県の復興局が、復興の取り組みと教訓を踏まえた提言集というものを作成しており、私は未定稿の段階で読ませていただきました。かなりボリュームのある、専門家の意見も踏まえた、本当にこれから県庁で働く人たち、英訳もするということですから、国内外にこれを紹介するということで、力作だと思っております。
 ただ私、ちょっと注文があるのは、一つは、岩手県は国に対してかなり提言して新しい事業を実現させました。そのことは詳しく書かれています。あわせて、私は、そういう新しい提言の背景に、例えば、漁船確保の漁民の取り組みがあったとか、被災者の医療費の一部負担金免除であれば、被災者の実態や毎年の県議会での請願の採択や、そういうことがあったということもまたしっかりと触れられていれば、さらに厚みのあるものになるのではないかと思っていますので、局長、ひとつよろしくお願いします。
〇大槻復興局長 提言集につきましては、できるだけ役所がやった、やったというような成果の集まりではなくて、実際に苦労した話を載せようということをコンセプトにつくらせていただきました。
 委員おっしゃるようなケースもありますし、実は提言集は県の各課が中心になって書きましたけれども、ほかの団体も、これまでにいろいろとお骨折りをいただいているところでございます。そういった団体のページもつくってはおりますけれども、内容まで詳しく入れますと非常に膨大になってしまうということで、さわりのところだけ書かせていただいています。そういったことから考えると、提言集をお出しすると、多分、もっと大変なことがあったとか、いろいろな御意見が出てくるかと思っていました。
 そういった部分も御意見を頂戴いたしまして、ホームページ上では追加してどんどん出していけるのですけれども、冊子になると何年かに1回という話になろうかと思いますが、加除といいますか、そういったことも今後やっていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 何点かお聞きいたします。まず一つは、総合的被災者相談支援事業についてお聞きします。
 この事業については二つありまして、一つは、久慈地区、宮古地区、釜石地区、大船渡地区の沿岸4地区に被災者相談支援センターを設置されて、被災者の皆さんの生活再建に向けたさまざまな相談に当たってこられたということで、非常に大事な事業です。それからもう一つは、内陸、県外への避難者の住宅再建の意向把握、そして、相談対応を目的に設置した、いわて内陸避難者支援センターについての事業でございます。
 この二つの支援センターは本当に大事な役割を果たしたわけですが、この取り組みの現状と、それから、課題をどう捉えておられますか。一緒にお答えいただきたいと思います。
〇佐藤生活再建課総括課長 総合的被災者相談支援事業の現状と課題についてでございますが、被災者相談支援センターにおいては、被災者の生活全般に関する相談に対応しており、相談員による相談対応のほか、弁護士、ファイナンシャルプランナー等の専門家による相談対応を実施しているところでございます。
 相談件数自体は減少しつつあるものの、生活環境の変化や経済問題、今後の生活への不安など、被災者の抱える問題が複雑化、多様化していることから、引き続き、住宅再建や恒久的住宅へ移行後の生活に関する相談に対応していきたいと考えております。
 次に、いわて内陸避難者支援センターにおきましては、主に住宅再建に関する相談に対応しており、沿岸市町村からの依頼を受けて、内陸及び県外への避難者に対し、訪問等による相談支援を行っているほか、沿岸市町の応急仮設住宅入居者の恒久的住宅への移行支援なども行っているところでございます。
 本年1月末現在で、応急仮設住宅等には374世帯が入居中でございますが、多くの方々は恒久的住宅への移行時期を決めているところであり、円滑に移行できるよう再建資金等に関する相談対応を行ってまいります。
 一方、再建計画や退去時期をいまだに決めかねていらっしゃる世帯につきまして、経済的問題や健康問題など複数の問題を抱え、さらに、これらの課題が複雑化している場合もあることから、移行後の安定した生活を見据えた必要な支援が提供できるよう、市町村の保健福祉部門等との連携もより密にしながら、被災者一人一人に丁寧に寄り添った恒久的住宅への移行支援を行ってまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 どちらの相談支援センターも、被災者は恒久的な住宅に移っても、その後もさまざまな悩みを抱えているということで非常に大事な事業だと思うのですが、ただ、震災から10年目を迎えるということで、この事業について、令和3年度以降の相談窓口をどこにするかという協議に入ろうとしているとも聞いております。私は、今答弁があったような状況ですと、10年で一区切りということではなくて、必要な支援を被災者の方々にしていくという立場では、ぜひこれからも継続して対応すべきではないかと思うわけですが、どのようにお考えでしょうか。
〇佐藤生活再建課総括課長 被災者の方が恒久的な住宅に移行した後についても、お互いに支え合いながら、安心して心豊かに暮らせる生活環境が確保されることが大事であると考えております。
 このため、個々の家庭の経済的な事情による再建スケジュールの変更相談や災害公営住宅入居に関する相談など、恒久的な住宅への移行支援を行っていくこともあり、来年度以降におきましても、必要な相談対応体制を維持し、全ての被災者が恒久的な住宅において安定した生活が送れるよう、市町村等と相談しながら検討してまいりたいと思っております。
〇千田美津子委員 実はこの支援センターを設けるときの条件といいますか、結局、市町村の相談体制が整うまでの間ということがあったものですから、10年たつので市町村に対応を任せるというようなことにならなければいいなと。これまで以上に連携を強化して、必要な相談を県もみずからやっていくということで理解してよろしいか、再度お聞きします。
〇佐藤生活再建課総括課長 岩手県民計画(2019〜2028)の復興推進プランでは、計画期間を来年度までというような形で書いてはおりますけれども、中身につきましては、いろいろな、特にいわて内陸避難者支援センターにつきましては、移行者支援のところを今重点的にやっておりますので、その状況も見ながら、それから、相談支援センターにつきましても、市町村も徐々に機能回復はしておりますので、そちらのほうにという話もございますが、相談内容とか相談件数といったものも勘案しながら、市町村ともお話をしながら検討させていただきたいと思っております。
〇千田美津子委員 それでは、ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、震災伝承ネットワーク構築事業費についてお尋ねいたします。
 これは、海外の津波博物館との連携のもと、三陸TSUNAMI会議を開催するということが書かれてありましたけれども、改めて、この事業の目的、期待する効果についてお聞きします。
〇熊谷副局長兼震災津波伝承課総括課長 三陸TSUNAMI会議についてでございます。
 この会議につきましては、東日本大震災津波から10年、そして伝承館の開館1周年の節目に、海外の津波博物館との連携によりまして、東日本大震災津波の事実と教訓、津波てんでんこに代表される三陸の津波防災文化を世界に発信しようとするものでございます。
 会議の開催を契機に、伝承館と海外の津波博物館が連携して震災伝承に取り組み、本県の取り組みや教訓、学術的な研究成果等を共有しながら、津波の教訓や復興の姿を広く発信していくことで、世界の防災力向上に貢献するとともに、伝承館が世界を代表するような津波学習拠点となることを目指して開催したいと思っております。
〇千田美津子委員 その中身というか効果というか、期待するところは非常にわかります。それで具体的に、海外の津波博物館との連携という部分では、大体どういうところを想定しているのか、何カ所ぐらい、もう連絡を取り合っているのでしょうか、その辺。
〇熊谷副局長兼震災津波伝承課総括課長 海外の具体的な津波博物館ということでございます。想定しておりますのは、ハワイの太平洋津波博物館、インドネシアのアチェというところにある津波博物館、どちらも英語のTSUNAMIを使ったミュージアムになります。
 実は、アチェの博物館の館長については、開館前の工事中でしたけれども、昨年6月と開館後の12月の2回、伝承館や釜石市鵜住居町のいのちをつなぐ未来館に来ております。また、ハワイの館長も、この1月に伝承館を訪れまして、館内を見て意見交換を行ったところでありますので、ぜひこの二つの津波博物館と連携して取り組みたいと考えております。
〇千田美津子委員 ぜひ成功を祈っています。
 それでは次に、地域コミュニティーの再生と活性化についてお聞きします。二つまとめて聞きますので、よろしくお願いします。
 一つは、被災者の参画による心の復興事業について、この間の実績と今後の見通しについてお聞きしますし、もう一つは、被災地コミュニティ支援コーディネート事業についても、この間の取り組みと成果についてお聞きします。
〇佐藤生活再建課総括課長 それでは、まず、被災者の参画による心の復興事業の実績と今後の見通しについてでございます。
 本事業につきましては、被災者の積極的な参画のもと、被災者の生きがいづくりや仲間づくり等の心の復興に資する活動を行う民間団体等の取り組みに対して補助をするものでございます。
 平成29年度から事業を開始しまして、平成29年度は、9事業者に1、719万円余を、平成30年度は、9事業者に対して1、779万円余を補助しております。令和元年度におきましては、13事業者に対しまして2、858万円余の補助金の交付決定を行ったところでございます。
 令和2年度におきましては、3、843万円を当初予算案に計上させていただいているところでございます。
 本事業は、国の被災者支援総合交付金を活用して実施しております。同交付金につきましては、国の復興・創生期間後においても、事業の進捗に応じた支援を継続するとの方針が国から示されているところでございますので、県としても、引き続き被災者の心の復興に向けた支援を実施してまいりたいと考えております。
 続きまして、被災地コミュニティ支援コーディネート事業の取り組みと成果についてでございますが、本事業は、平成29年度からコミュニティー支援業務の実績を有するコーディネーターを配置しまして、市町村と協働で取り組みを進めることにより、ノウハウを市町村に提供するとともに、社会福祉協議会や民間団体等との調整役となって連携を強化し、地域全体として効果的な取り組みが進められるよう市町村の支援を行っているところでございます。
 平成30年度につきましては、新たに災害公営住宅が建設される内陸部の市を対象とした概況調査を行い、平成29年度の山田町と陸前高田市に加え、内陸の一関市を選定し重点支援を実施したところでございます。また、事業の成果の活用として、ノウハウ集等のツールの作成や研修会の開催等により、本事業の成果を他市町村が活用できるよう横展開を図ったところでございます。
 令和元年度につきましては、市町村における人材育成やノウハウの蓄積の進展に応じて見直しを行いながら、これまでの支援内容を継続するとともに、ノウハウ集等ツールの充実や実地研修、内陸部や沿岸部での情報共有会議の開催により、本事業の成果を活用できるよう、さらに横展開を継続したところでございます。
 これまでの成果としましては、概況調査を踏まえて重点的に支援いたしました山田町、陸前高田市及び一関市において、コミュニティー形成のノウハウが得られるとともに、地域のキーパーソンの育成が図られ、特に山田町においてはコーディネーターの伴走支援が不要となるなど、当該事業の終了後においても、市町村が主体的にコミュニティーの形成や活性化に取り組む体制の構築が図られたと考えております。
〇千田美津子委員 1点だけ、被災者の参画による心の復興事業の中で、この事業は1事業が上限200万円となっておりますけれども、事業実施の効果が特に高いと見込まれる場合には350万円という規定がありまして、この間の実績の中で特に効果が期待できる事業は何件くらいあったでしょうか。
〇佐藤生活再建課総括課長 申しわけありません。特定の数値を持ち合わせておりませんでしたので、後ほどお答えいたします。
〇千田美津子委員 これらの事業を通じて一番大事なのは、被災者の皆さんが元気になってもらうことですよね。そして、横の広がりを持った取り組みにしていくということですので、ぜひ、これも支援を継続していただきたいと思います。
 最後に、復興支援感謝発信事業。先ほどもいろいろありましたけれども、本当にこれは大事だと思います。教訓の伝承と記憶の風化防止を図るため、県内、県外における復興フォーラムの開催、そして、ありがとう手紙プロジェクトによる手紙の作成などにより、国内外に支援への感謝を伝えようとするということで、本当に大事な事業だと思います。
 それで、実は諸外国から大変な支援をいただいたわけですが、国内外に発信する上で、復興局で把握している分で、大体何カ国くらいからこの間支援をもらったか、把握しておればお知らせいただきたいと思います。
〇大槻復興局長 数限りなくとしか言いようがなくて、その中では、実際に復興に関しては、クウェートを初め、それはいわての学び希望基金とかに入っていますけれども、大口の支援をいただいた国もございます。そのほかに、お気持ちの範囲で出していただいたところもあるものですから、具体的に何カ国というものは出ておりません。
 復興支援感謝発信事業を来年、特に10周年という国の事業とも連携してやろうと思っているのですけれども、実際に節目節目に、例えばいわての学び希望基金の場合も、ことし1月に100億円突破ということがございましたので、これも、ことし被災4県と東京都で合同開催した復興応援・復興フォーラム2020in東京の中で、この感謝のスライドを上映させていただきました。県外の方々にはこういった気持ちはどんどん出していきたいと思いますし、来年度は東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の年でもございますので、こういった部分は力を入れてやらせていただきたいと思っております。
〇吉田敬子副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇佐藤生活再建課総括課長 先ほどの被災者の参画による心の復興事業における特定事業につきまして、200万円を超えているものにつきましては、平成29年度は1件、それから、平成30年度は2件、令和元年度は4件ということになっております。
〇吉田敬子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇吉田敬子副委員長 質疑がないようでありますので、これで復興局関係の質疑を終わります。
 復興局の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後8時16分 散 会

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