令和2年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和2年3月5日(木)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
議事管理担当課長 安 齊 和 男
主任主査 藤 枝   修
主任主査 千 葉 絵 理
主査 上 野 公一郎
主査 鈴 木   忍
主査 赤 坂 宏 紀
主査 鈴 木 貴 博
1説明員
知事 達 増 拓 也
副知事 保   和 衛

秘書広報室長 高 橋 勝 重
理事兼秘書広報室
副室長兼
首席調査監 上和野 里 美

政策地域部長 白 水 伸 英
政策地域部副部長
兼政策推進室長
兼首席ふるさと
振興監 小 野   博
参事兼
市町村課総括課長 小 原 由 香
政策監 村 上 宏 治
地域振興室長兼
三陸防災復興
プロジェクト2019
推進室長兼
台風災害復旧復興
推進室長 小野寺 宏 和

文化スポーツ
企画室企画課長 中 村 佳 和

環境生活企画室
企画課長 高 橋 利 典
保健福祉部副部長兼保健福祉
企画室長 高 橋   進
保健福祉企画室
企画課長 阿 部 真 治

商工企画室
企画課長 似 内 憲 一
県土整備企画室
企画課長 菊 地 幸 男

復興局長 大 槻 英 毅
復興局副局長 森   達 也

ILC推進局長 佐々木   淳

教育企画室
教育企画推進監 大 畑 光 宏

議会事務局長 泉   裕 之
次長 八重樫 浩 文
参事兼総務課
総括課長 伊 勢   貴
政策調査課長 佐々木 ユ カ

総務部長 八重樫 幸 治
副部長兼総務室長 千 葉 幸 也
総合防災室長 佐々木   隆
参事兼管財課
総括課長 山 崎   隆
特命参事兼
管理課長 橋 場 友 司
法務・情報
公開課長 戸 田   新
人事課総括課長 佐 藤 法 之
職員育成監 村 上   聡
財政課総括課長 小 原 重 幸
行政経営推進課
総括課長 松 村   達
税務課総括課長 奥 寺 敦 哉
防災危機管理監 西 島   敦
防災消防課長 栗 澤 孝 信
総務事務
センター所長 佐 藤 益 子

会計管理者兼
出納局長 菊 池   満
副局長兼総務課
総括課長 永 井 榮 一
入札課長 今   俊 晴
会計課総括課長兼会計指導監 山 梨 康 紀
審査課長 佐々木 昭 司

人事委員会
事務局長 菊 池   透
職員課総括課長 中 里 武 司
監査委員事務局長 鈴 木   敦
参事兼監査第一課
総括課長 安 部 光 一
監査第二課
総括課長 小 守 健 一
〇柳村一委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 工藤勝博委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。また、米谷農林水産企画室企画課長は忌引のため欠席となりますので、御了承願います。
議案第1号から議案第20号まで、議案第26号から議案第31号まで、議案第39号及び議案第41号から議案第44号までの以上31件を一括議題といたします。
 本日は、昨日に引き続き、総括質疑を行った後、議会、総務部、出納局、人事委員会及び監査委員関係の質疑を終わるように進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 これより、昨日に引き続き、総括説明に対する総括質疑を行います。斉藤信委員。
   〔斉藤信委員質問者席に着く〕(拍手)
〇斉藤信委員 日本共産党の斉藤信でございます。県政の緊急課題について、知事に質問いたします。
 第1に、新型コロナウイルス感染症対策についてであります。
 クルーズ船での大量感染に見られるなど、この間の政府の対応は後手後手で、こうした問題を検証して対策を抜本的に強化すべきであります。県の医療体制の強化が、県としては最大の課題であります。重症患者の入院治療のための指定感染症病床は、医師、看護師の確保や区別された動線、減圧室など、直ちに機能するようになっているでしょうか。
〇達増知事 感染症病床については、現在、県内九つの感染症指定医療機関に合計で38床が配置されております。それぞれの施設は、厚生労働省が定める基準等に準じて整備されているほか、新型インフルエンザ等対策訓練など、定期的な研修、訓練等を受けた医療従事者が対応することとなっています。
〇斉藤信委員 私が奥州市総合水沢病院に行ったときに、院長が、重症患者には対応できないと、岩手県立遠野病院でも対応できないという話でした。本当に大丈夫ですか。
〇達増知事 重症という言葉の意味かもしれませんけれども、基本的には、厚生労働省が定める、基準等に準じて整備されている九つの感染症指定医療機関において診療するということでございます。
〇斉藤信委員 今までは、平常時の保健所の点検だと思うのです。今、全国的に感染が広がっている中で、本当に機能するのかどうか、私は総点検していただきたい。
 次に、外来診療についてでありますが、帰国者・接触者外来を設置している医療機関のみで受け入れることになっています。その体制、設備、資材などは確立しているのでしょうか。
〇達増知事 帰国者・接触者外来に指定されている医療機関は、新型インフルエンザへの対応を想定した感染対策資機材や医薬品を整備してきており、今般の対応に当たっては、あらかじめ感染防止対策を講じ、一般の患者と動線や診察室を分離するなどした上で診療を行っています。
〇斉藤信委員 帰国者・接触者外来の受診検査はどうなっていますか。
〇達増知事 ちょっと手元に資料がございませんので、今調べさせます。
〇斉藤信委員 あわせて、帰国者・接触者外来の受診件数と、そこから検査で陽性がどれくらい出ているかも示していただきたい。
〇達増知事 検査の陽性結果については、きょうの時点で15件検査が行われて、全て陰性でございます。
〇斉藤信委員 先ほどの受診件数について、私は17件と聞いていますが、ちゃんと知事に伝えないとだめですよ。これは二、三日前の話ですから、恐らくもう少しふえていると思いますので、最新のデータを後で示してください。
 それで、新型コロナウイルスは感染力が高い一方で、症状があらわれない場合、軽症のケースがあると指摘されています。一般医療機関での感染が心配されますが、対策はどうなっていますか。
〇達増知事 一般医療機関の院内感染対策については、県内の医療機関に対し、感染対策を徹底するよう、各関係機関を通じて繰り返し周知を図っております。また、県民の皆様に対して、丁寧な手洗い、せきエチケットなど、通常の感染防止対策の重要性について周知しているほか、感染が疑われる場合は、まず帰国者・接触者相談センターに相談するよう呼びかけているところであります。
〇斉藤信委員 軽症が多いということで、最初に一般医療機関にかかるケースがあるのだと思うのです。ここの安全対策をしっかりやっていただきたい。特に一般医療機関の場合に、きのう、きょうのニュースでも取り上げられましたが、岩手医科大学でマスクが不足して、2週間で在庫が底をつくと。
 私にもきのう、盛岡市内の病院から訴えがありました。もうマスクと消毒液が3月ももたないと。これは大変ですよ。これからしっかり対応しなくちゃならないときに、医療機関でマスク、消毒液が足りないということが絶対あってはならない。きちんと対応していただきたいが、いかがですか。
〇達増知事 岩手医科大学からは、社会的影響による衛生資材の供給の不安定化に伴い、今後の確保が困難な状況になっているとして、昨日、県に対して、医療用マスク及び手、指消毒薬の供給について要望がございました。
 医療用マスクや消毒薬については、令和2年2月21日に全国知事会を通じて緊急提言を行い、同日、国がマスクの月産6億枚を目指して業界団体への増産要請を表明し、県では、同月27日、県医薬品卸業協会に対して、医療機関への安定供給確保に向けた要請を行ったほか、3月に入り、国の都道府県指定都市とのホットラインを通じて、医療機関への安定的な供給を求めております。
 岩手医科大学を初め、県といたしましては、当面の県内各医療機関への十分な供給を確保すべく、国に対して引き続き対応を求めるほか、当面の必要数量の供給確保、県、市町村の有する在庫からの緊急供給など、あらゆる手段を直ちに講じてまいります。
〇斉藤信委員 岩手医科大学でさえ、マスク、消毒液が不足するというのは、私は緊急、異常な事態だと思います。こういうことにこそ、国は直ちに対応すべきだと。北海道だけにマスクを配りますという話ではだめですよ。厳しくやっていただきたい。
 次に、県の検査体制についてですが、国のPCR検査は、隣国韓国と比べても極端に少なく、全国的には、医師が必要と認めても検査が受けられないケースが少なくないと指摘されています。
 県内での検査の状況、また、検査を断ったケースはあるのでしょうか。
〇達増知事 今回の新型コロナウイルス感染症の対応においては、帰国者・接触者外来を置く医療機関から検査の実施について相談があった場合、感染症対策に精通した医療関係者により構成する、岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会の各委員に対して、電子メール等により医学的観点からの意見を求め、検査の要否を慎重かつ迅速に判断しております。
 検査は、県の環境保健研究センターで実施しており、現段階では、大きな支障はなく検査が行われております。
   〔斉藤信委員「答弁が足りない。検査件数とその結果を聞いているのです。」と呼ぶ〕
また、受けた相談につきましては、それぞれ検査すべきものについては検査、また、インフルエンザの治療が適当であるケースの場合にはインフルエンザの治療、また、持病が悪化しているけれども熱がないなどという相談もあると聞いておりますが、そのような場合には、かかりつけ医に行くことを指導するなど、相談を受けているケースについてそれぞれが適切な医療につながるように対応がなされていると理解しております。
〇斉藤信委員 きのうまでの検査15件は、全て陰性ということですね。この結果は大変安心できるものだけれども、きょうの岩手日報の記事を見ると、全国で9、000件超の検査が行われていると。岩手県は、きのうのデータでは14件となっていて、全国最低なのです。私は、検査件数が少ない、かなり絞っているのではないかと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 健康に不安を覚える県民の方の適切な医療へのつなぎ役として、検査ということも含めて適切に行われていると理解しております。一方、例えば、全く自覚症状はないけれども、感染しているのかどうかといった不安を一般の方が持たれることがあると聞いておりますし、また、普通の風邪だけれども大丈夫かという不安もあるとも聞いております。こうした不安を解消するには、疫学的調査と申しましょうか、中国や韓国でやっているような、一気に大量の検査を片っ端からやる中で、例えば1、000人検査しても1人も感染者がいなかったとか、1万人検査して、そこに1人か2人いるということが見えてくれば、これは県民というよりも国民全体の安心感、あるいは1万人集まるところには患者がいる可能性を想定しなければならないような―今のはあくまでたとえであって、実際にそうだということではないということは繰り返しておきたいと思いますけれども、そのような、いわゆる疫学的調査、健康に不安を持つ方への対応ということを超えて感染の実態を把握し、それに応じた適切な対応をとるための検査については、国家規模でかつ大々的に行われるべきものと考えます。
〇斉藤信委員 あすから保険適用になるのです。保険適用となったら、一般医療機関での検査が可能になると思いますけれども、これはどうなりますか。
〇達増知事 一般医療機関における適切な検査体制を確保するためには、3月6日からの医療保険適用に向けた具体的な対応については、昨日付で国から示された通知において、当面、帰国者外来及び帰国者・接触者外来と同様の機能を有する医療機関として、都道府県等が認めた医療機関において検査を実施する旨が示されました。検査実施に際しては、検体採取を含めた感染対策を徹底する必要がありますことから、医療保険適用を想定し、早期に各関係機関を通じて周知し、取り組んでまいります。
 なお、先ほど御質問いただいた帰国者・接触者外来受診の件数は18件でございます。
〇斉藤信委員 保険適用になった場合に、県内だと、今は岩手県環境保健研究センターで検査するのですけれども、民間の検査機関も活用することになりますか。
〇保副知事 今のところ、民間の一般病院は想定しておりません。県立病院などのしっかりした、整ったところのみということです。先ほど申し上げましたが、帰国者・接触者外来として指定になっているところ、そこが当面中心になると思っております。
〇斉藤信委員 結局、最終的には岩手県環境保健研究センターだけで検査するということですか。
〇保副知事 本県におきましては、現状では岩手県環境保健研究センターのみで検査ができているということで、民間の検査機関もあるわけですけれども、そちらの体制はまだとれていないということで、当面は環境保健センター一本になると思っております。
〇斉藤信委員 観光業、宿泊業、運送業、製造業等、地域経済への影響がかなり深刻に出ていますが、その実態をどう受けとめていますか。
〇達増知事 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、本県におきましても、宿泊業において、令和2年1月24日から3月1日までの間に、国内4、153人泊、海外7、181人泊の計1万1、334人泊のキャンセルが生じております。また、貸し切りバス輸送のキャンセルやタクシー利用者の減少、荷物の取扱量の減少、中国と取引のある企業における部品調達のおくれなど、観光関連産業を初め、運送業や製造業、卸、小売業など、幅広い業種において経済的な影響が生じており、感染症の長期化による影響の拡大が懸念されるところであります。
〇斉藤信委員 地域経済の影響をしっかり把握して、基本的には国においてしっかりした対策を講じられるように求めていただきたい。
 それで、当面一番重大な問題になっているのは、安倍首相による小学校、中学校、高等学校の休校の全国一律の強制だと思います。法的権限もなく、科学的根拠もない場当たり的な対応ではなかったのか。学校の休校措置は、本来、学校設置者が自主的に判断するものでありますが、県の対応は残念ながら自主性のない対応になったのではないですか。
〇達増知事 2月28日付で文部科学省から発出された事務次官通知には、臨時休業の期間や形態については、地域や学校の実情を踏まえ、各学校の設置者において判断いただくことを妨げるものではないとしつつ、本年3月2日から春季休業の開始日までの間、学校保健安全法第20条に基づく臨時休業を行うようお願いする旨の記載があるところであります。このため、県教育委員会においては、この事務次官通知を重く受けとめ、県立学校については、原則として3月2日から春季休業に入るまでの間、臨時休業としつつ、登校日を設けることや休校の開始時期を延長することを可能とするとともに、市町村教育委員会に対しては、3月2日以降、学校、地域の体制が整い次第、速やかに臨時休業することなどを通知したものと認識しております。
 なお、3月2日に、臨時休業に伴う児童生徒の居場所の確保に向けて、学校において児童生徒を預かること、学校の施設等を活用することなどを内容とする新たな通知が、文部科学省と厚生労働省の連名により発出されました。現在、この通知の内容に基づいて、県教育委員会と保健福祉部等の関係部局が連携し、対応について調整しているところであり、引き続き、児童生徒、保護者等の実情など、丁寧な把握に努めながら柔軟に対応していくところであります。
〇斉藤信委員 実は国会の論戦でも明らかになりましたが、安倍首相は専門家の意見を聞かなかったと。政治的判断だったと。わかりやすく言えば独断ですよ。法律上は学校保健安全法の適用で、これは学校設置者が決めることになっているのです。
 実は文部科学省が、きのう、全国の状況を調査しました。共同通信によると、8府県、439校が休校しないでやっているという話です。さらに、休校をやめたというところも広がっています。今、知事は柔軟に対応すると言いました。この間の知事の記者会見で、知事は、専門家に相談せずに臨時休校を要請したことに対し、信じられないと苦言を提起しました。全国一律に休校するということに科学的根拠はありませんよ。法的根拠もありませんよ。そして、文部科学大臣は、設置者の判断に委ねると国会でもはっきり言っているのですから、この一律の休校措置に拘束されないで、自主的に判断することが必要なのではないですか。
〇達増知事 2月28日付の事務次官通知は、お願いという言葉ではありますけれども、学校の休業のやり方については柔軟にしていいけれども、休業自体についてはお願いするという趣旨であり、それを県教育委員会においては重く受けとめたものと理解しております。
 一方、休業中の過ごし方については、学校が全国一斉休業という事態になったときに直接関係がある人はもちろんですけれども、直接関係がない大人たちといいますか、国民全体がこの事態にどう対応していくか考え、行動していく上に当たっては、なぜ政府としてそのような判断をしたのか、なぜ政府としてそのような通知を発したのかについては科学的根拠を示せば、どういったところにどのくらい気をつけなければならないのかということも見えてくるはずであります。そういった根拠に基づき、かつ、休業に伴うさまざまな問題、特に子供の居場所確保に関する体制というものを整えた上で、あるいは、きちっと整うと見定めた上で、政府が学校休業という決断をするというのがあるべき姿でありますので、記者会見では、まずそういったことがあって政府の決定がなされるべきという趣旨でそう申し上げたものであります。
〇斉藤信委員 3月3日の参議院予算委員会で、萩生田文部科学大臣はこう答えました。設置者が学校を開くという判断をすれば、それは尊重すると。全国一律ではなくなったのです。科学的根拠もないのだから。そして岩手の場合には、先ほど言われたように、15件検査して陰性はゼロだった。だったら、岩手県で一律に休校する根拠は全くないじゃないですか。埼玉県は、特別支援学校は36校全部やっています。島根県は、高校35校、特別支援学校12校、全部授業を続けていますよ。こういう自主的な判断こそ今必要なのではないか。知事、どうですか。
〇達増知事 岩手県のみならず、ダイヤモンド・プリンセス号を下船された方の感染が宮城県仙台市で確認されたこと以外は、広く東北全体で検査しても、まだ全て陰性という状況でございます。一方、東京等首都圏の状況については、岩手県としてわからない部分が多く、そういった首都圏の状況等も含め、国においては全国の状況を踏まえた科学的な判断がなされたものと受けとめておりますし、先ほど委員が引用された文部科学大臣の発言については、2月28日付の通知の趣旨と違う内容の発言でありますので、そのような混乱したことがあってはならないと思います。
〇斉藤信委員 今は、学校こそ安全なのです。養護教諭もいる、学校給食もある。少人数学級だから1学級20人程度なのです。それを学童保育に行ったら狭いところに50人、60人と入っているのです。保育所もそうです。学童保育と保育所をやって、一番安全な学校を休校にするというのはおかしいじゃないですか。特に特別支援学校には、県内で1、521人が入っていますけれども、行き場がないですよ。休校をやめて、しっかりとやるべきだと思いますけれども、いかがですか。
〇達増知事 WHOが日本、韓国、イタリア、イランという4カ国を特に名指しして要注意と発表したのを受け、厚生労働省がいわばそれに反論するような形で、日本はクラスター、集団感染が散発的に起きている状態であって、それが連続するような事態にまではまだ至っていないと。クラスター、集団感染の発生を防ぎ、かつ、それがまた連続することを防いでいくことが大事と、私が見たのはきのうですけれども、発表しております。そのような科学的な根拠に基づいた学校のあり方、また子供の居場所の確保の仕方というものについて、まずは岩手県においては県と市町村が連携しながら、委員御指摘のような、子供たちの安全、集団感染の発生を防ぐようなやり方というものを工夫してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 専門家会議の委員であり感染症の専門家である川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長が、こう言っています。感染者の数も家庭事情も地域ごとに違う。休校は本来一律でなく、地域ごとに決めるものだと。
 私もそうだと思いますよ。岩手県の実態を踏まえて、知事、ぜひ教育長と相談をして、今一番安全な学校を再開させていただきたい。そうすると給食もでますから。ぜひそういうことで対応していただきたい。よろしくお願いしたい。
〇達増知事 首都圏の感染の広がりの実態などが不明な中、岩手県は首都圏との行き来もかなりあります。そういう中で、国が日本全体の状況を踏まえて、2月28日に学校休業に関する文部科学省事務次官通知を出した。その内容を踏まえた対応を県教育委員会がとるということについては理由があるものと考えておりますけれども、委員が繰り返し御指摘のとおり、それでかえって子供の安全のリスクが高まることがあってはなりませんので、子供たちのリスクが高まらないように、また、より低くするにはどのような方法が効果的か。そこは、学校の施設の活用や学校への登校といったことも含めて対応するよう、調整を図りたいと思います。
〇斉藤信委員 専門家会議がこの一、二週間が瀬戸際だと言った2月24日から2週間というのは、3月9日なのです。私は、国会での答弁も変わっているから、そういう状況の変化も踏まえて、しっかり子供の安全を確保する最善の対策をとっていただきたい。
 次に、県立遠野病院の総看護師長のパワハラによる看護師の大量退職問題について質問いたします。
 この2年間に、看護師が17人も大量に退職している事態、今年度も7人の臨時看護師が退職しようとしている事態、そうした事態の要因となっている総看護師長のパワハラの防止と改善を求めて、2人の医師が院長に辞職を申し出た事態を、知事は異常な事態と受けとめているでしょうか。
〇達増知事 県として、医師や看護師の不足が大きな課題である中、看護師や医師が続けて退職する、あるいは退職しようとする事態は好ましくないものと受けとめております。また、職員間の意思疎通が十分に図られていない状態は改善されるべきと考えております。
 県立遠野病院の看護師の退職に対しては、医療局本庁と県立遠野病院が連携しながら職員の確保に努めるとともに、職員が働きやすい環境の整備を通じて職員の離職防止に取り組むこと、辞職の意向を示している医師に対しては、これまで院長が当該医師と面談を重ね慰留に努めているほか、医療局本庁としても、医師支援推進室に加え医療局次長が当該医師と面談し、勤務の継続について要請しているとの報告を受けております。
 病院など組織の運営に当たっては、職員間の意思疎通が十分に図られ、職員が意欲を持って取り組んでいく環境を整えていくことが必要であり、県立遠野病院においても、こうした職場環境を整え、地域において必要とされる医療を提供するよう、医療局において適切な対応を望むところであります。
〇斉藤信委員 私は関連質問でも聞いて、不十分だと思ったのできょう取り上げているのです。何が不十分かというと、職場の意思疎通の問題ではないのです。上司のパワハラによって退職に追い込まれている。このことを解決しなかったら、何も解決されないのです。
 私は本会議でも具体的に指摘をいたしました。総看護師長が県立遠野病院に赴任してから、超過勤務が申請できなくなった。実際に超過勤務の申請は激減した。だからこそ、釜石労働基準監督署に告発されたわけです。障がい者の認定を受けていた複数の看護師が、これまでに配慮されていたにもかかわらず、総看護師長のもとで病棟勤務や夜勤を強いられて、やめざるを得なくなった。これはパワハラじゃないですか。意思疎通の問題じゃないと思うけれども、知事の認識をお聞きしたい。
〇達増知事 釜石労働基準監督署に対する匿名の通報に基づいて、昨年9月26日に、同署の労働基準監督官が県立遠野病院を訪問して調査が行われております。医療局では、県立遠野病院と一体となって超過勤務等の実態把握を進めていますので、その中で事実関係を明らかにしてほしいと考えます。
〇斉藤信委員 超過勤務は認めなかったということで、これは労働基準監督署が入って指導して調査しています。調査は遅いですけれども。これが事実だとしたら、労働基準法違反です。違法行為ですよ。厳しい処分が問われます。
 私が決算特別委員会で取り上げてから、全くそのとおりだという声が何通も寄せられました。助けてくださいという声も寄せられました。
 若干紹介します。妻に先立たれ4人の子供を見ていた男性看護師が配属転換となり、夜勤を強要され、退職に追い込まれた。総看護師長が赴任して早々です。新人や若手の看護師は超過勤務が書けない。勤務前の情報収集は超過勤務時間として書けない。インシデントレポートの入力は超過勤務の対象としない。おかしいでしょう。これは意思疎通の問題じゃないのです。パワハラなのではないですか。知事は、私の話を聞いてどう受けとめますか。
〇達増知事 現在、超過勤務の実態調査を実施しているわけですが、医療局からは、委員御指摘のような職員の声がある一方、それとは異なる職員の声もあるということで、慎重な対応が必要との報告を受けております。
 また、医療局では、病院内の対話の促進や信頼関係の構築を進めるために配置体制の検討も行っていると聞いており、医療局において適切に対応することを望みます。
〇斉藤信委員 意見の違う方もいるというのも事実です。それはなぜかというと、総看護師長が親衛隊をつくっているのです。分断しているのです。単なる意見の違いじゃないのですよ。分断しているのですよ。労働組合の団体交渉にも介入しているのですよ。これは異常なことですよ。基本は、パワハラによってやめざるを得ない職員が大量に出ている。
 例えば、医師について言いますと、今、病棟の回診には、看護師がついていないのです。病棟、外来の一元化により、外来の看護師が毎日かわって、患者に対応できない。医師が一番困っています。私は辞表を出した2人の医師に直接話も聞いてきました。私自身、慰留してきました。遠野市に家を建てて骨を埋めようとしている人たちが残らないでどうするのだと。次長が会ったというのは、私が会った後ですよ。医師は慰留されていないと言っているのだから。
 医師を守るために、達増知事は今まで本当に頑張ってきた。しかし、こんなことで医師をやめさせたら、岩手県として本当に残念な事態になってしまうのではないか。ぜひ、立ち入ってこの問題に対応していただきたい。
〇達増知事 医師不足、医師の偏在で全国の中でも非常に困っている岩手県でありますので、このような事態で医師がやめてしまうようなことは本当にあってはならないと思います。また、さまざまな声があるということで調査をきちっとやることが必要と考えますけれども、同時に、県立遠野病院のいわば正常化は、医療局の責任においてなされなければならないことであります。したがって、さまざま問題点が指摘される部分については、先ほども医療局においては配置体制の検討も行っていると聞いておりますので、適切に対応することを望みます。
〇斉藤信委員 本当に異常な事態にあることは、県立病院の看護師はみんな知っています。みんな危惧しています。この総看護師長が行ったところは超過勤務が激減しているのです。いわば常習犯なのです。そういう意味で、実態をよく見て対応していただきたい。
 次に、会計年度任用職員制度導入の問題について、会計年度任用職員制度導入の目的は何か。知事部局でフルタイムの臨時職員が、フルタイムの会計年度任用職員にどれだけ移行する計画になっているか。パートタイムの場合は、月収が減額されるようなことがあってはならないと思うけれども、実態はどうなっているか。
 私は、消費生活相談員の待遇は余りにも低いと思うけれども、いかがでしょうか。
〇八重樫総務部長 まず、会計年度任用職員制度の導入目的についてでありますが、現在の臨時、非常勤職員について法的な位置づけが不明確であり、また、地方公共団体によって任用、勤務条件に関する取り扱いがまちまちであったことから、統一的な取り扱いを定めることにより、地方行政の重要な任い手となっている臨時、非常勤職員の適正な任用や勤務条件を確保することが目的であると承知しております。
 次に、会計年度任用職員の人数についてでありますが、国が示した事務処理マニュアルによりますと、会計年度任用職員制度の導入に当たり、現に存在する職を漫然と存続するのではなく、それぞれの職の必要性を十分に吟味することとされています。
 県としては、この内容を踏まえ、本県の臨時、非常勤職員の任用状況を考慮しながら、事務補助を行う臨時職員の業務見直しを行うとともに、正規職員の増員を行っていることも踏まえながら、会計年度任用職員の任用数や勤務条件の検討を行ったところであります。
 知事部局における平成31年4月時点のフルタイムの臨時的任用職員の職員数は571人であり、令和2年度当初予算におけるフルタイムの会計年度任用職員の職員数は126人を見込んでおります。
 また、パートタイムの会計年度任用職員の職員数についてでありますが、知事部局における平成31年4月時点のパートタイムの非常勤職員の職員数は1、211人、令和2年度当初予算におけるパートタイムの会計年度任用職員の職員数は、事務補助を行う臨時職員をパートタイムの会計年度任用職員とした約290人を含み、1、937人を見込んでいます。
 また、会計年度任用職員の給与についてでありますが、年齢が40歳で経験年数10年の現在の期限付臨時職員を、週30時間勤務のいわゆるパートタイムの会計年度任用職員として任用した場合、月額の給料については、現在のフルタイムの臨時的任用職員の場合約15万3、000円、週30時間の勤務時間になりますので、このパートタイムの会計年度任用職員の場合、約14万2、000円となり、これらの月額の給与を比較した場合、勤務時間が短くなることにより、約1万1、000円の減少となります。
 年収については、現在のフルタイムの臨時的任用職員の場合は約183万円、週30時間のパートタイムの会計年度任用職員の場合は、報酬及び期末手当の合計で、1年目は約195万円、2年目以降は約208万円となります。これらの年収を比較した場合、1年目で約12万円、2年目以降は約25万円の増額となるものであり、全体として処遇の確保を図ったものであります。
 また、消費生活相談員の処遇についてでありますが、消費生活相談員はその業務量を考慮し、勤務時間を週29時間に設定しているところでありますが、専門的な知識や職務経験を必要とする職であることに鑑み、1時間当たりの報酬額で比較した場合、事務補助を行う職員が1、185円であるのに対し、消費生活相談員が1、207円とするなど、その専門性を踏まえた報酬となっております。
〇斉藤信委員 知事にお聞きしますけれども、フルタイムの臨時職員が会計年度任用職員になったら4分の1以下に減らされることは、異常じゃないですか。今まで、不必要にフルタイムで稼いでないと思うのですよ。そしてパートタイムの場合、皆さん月収が1万1、000円減るとのことですが、正規職員が月収減ったら、生活が困るじゃないですか。これは改悪じゃないですか。
〇達増知事 会計年度任用職員についても、仕事と生活の調和を図り、生き生きと働くことができる職場環境づくりをしていくべきであり、適正な任用や勤務条件の確保を図る必要がございます。こうした認識のもと、県としては、会計年度任用職員に対し、常勤職員との均衡を考慮しながら、先ほど総務部長から答弁があったような、年収についてはふえるような形で処遇の確保を行ったものでございます。
 今後も、今回の法改正の趣旨を踏まえた適正な制度の運用を図り、会計年度任用職員を含む職員全体が意欲を持って業務に取り組むことができるよう努めてまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 時間がないので、詳しくは総務部の部局別審査の時にお聞きします。
 最後です。教育の問題について、知事にお聞きします。
 さきの岩手県知事選挙の政策協定において、国、県、市町村によるテストづけの競争主義的教育のあり方を見直し、一人一人の子どもにゆきとどいた教育を進めることで合意しました。昨年2月に公表された国連子どもの権利委員会の日本政府に対する勧告を踏まえて、私は着実にこの改善に取り組むべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 全国学力・学習状況調査等の諸調査の趣旨は、児童生徒の学習上のつまずきや教員の学習指導上の課題などを明らかにしながら、積極的に授業改善に活用することで、学習状況の改善や学習意欲の向上を含む確かな学力の定着を目指すものと理解しております。
 県教育委員会においては、市町村や学校等の序列化や過度な競争が生じないよう、調査結果については県全体の状況のみを公表するとともに、そうした趣旨を市町村教育委員会や各学校に指導していることや、また、過去の調査問題等による事前対策についても、厳に慎むよう指導しているところであると承知しております。
 現在、県教育委員会においては、他県の実施状況に関する情報収集を進めるとともに、市町村教育委員会が実施する学力調査の内容の分析や、諸調査のあり方についての意見交換を始めたと聞いておりまして、十分に検討を進めることを期待してります。
〇斉藤信委員 国連子どもの権利委員会は、こう指摘しました。ストレスの多い学校環境(過度に競争的なシステムを含む)から子供を解放するための措置を強化すること。これが日本政府に対する勧告なのです。
 県版の学力テストは、小学校で30道府県、中学校で32道府県ですから、17都府県がやっていない。岩手もテスト漬けの教育を改善して、一人一人に行き届いた教育を進める。これこそ、業務削減の一番の力だと思いますけれども、いかがですか。
〇達増知事 業務削減、また学習において子供に過度なストレスが生じないようにする。それぞれの観点から、いわゆる試験、学力調査等のあり方を検討していくことは極めて重要であり、県教育委員会においても検討を進めていくということでありますので、委員が指摘した国連子どもの権利委員会の日本政府に対する勧告の趣旨なども参考にしながら、岩手県として進めるよう期待したいと思います。
〇斉藤信委員 終わります。(拍手)
〇柳村一委員長 次に、小西和子委員。
   〔小西和子委員質問者席に着く〕(拍手)
〇小西和子委員 最初に、岩手県民の幸福度向上のための県の組織体制等についてお伺いいたします。
 2月6日に、来年度の組織体制が公表されました。昨年の県議会2月定例会では、2019年度を初年度とする定数等管理計画では、東日本大震災津波からの復旧、復興以外の通常の行政課題に係る定数に関し、80人から100人程度の増員を予定しているとしました。そのうち、2020年度の定数増は20人程度となっています。しかし、欠員数は2月1日時点で64人であり、欠員解消は相当厳しいと見込まれます。欠員解消とともに、各行政需要に応じた人員確保が実現できるのかが課題と考えます。人員確保策を知事にお伺いいたします。
〇達増知事 県では、東日本大震災津波の発災以降、復興やふるさと振興などの県政課題に対応するため、新規採用職員を大幅にふやし、人員確保に取り組んできたところでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)の着実な推進を図るためには、引き続きマンパワーの確保が重要でありますことから、知事部局では、委員御指摘のとおり、今年度からの4年間で、80人から100人程度の増員を図ることとしております。加えて、任期付職員や再任用職員の確保、応援職員の受け入れなど、多様な方策により必要な人員確保に取り組んでいるところであり、来年度当初の欠員数については、2月1日現在の64人と比較して、十数人程度の減少が見込まれております。
 今後においても、こうした取り組みを継続するとともに、事業の効率化や重点化などにも十分配慮しながら、引き続き職員体制の確保、充実に努めてまいります。
〇小西和子委員 まだまだ欠員が続くということです。公表資料では、新たな需要に対応した増員措置のみ公表していますけれども、総合土木職などを含めて人材確保が困難となっている中で、しっかりと確保できる対策が講じられるのでしょうか。児童相談所、農業改良普及などのあらゆる分野で人材不足となっています。児童福祉司、保健師、農業改良普及員など、新たな行政課題に対応した専門職種の確保策について、知事に伺います。
〇達増知事 専門職の職員については、専門的な知識を必要とするそれぞれの行政分野において欠かせない人材であり、その確保は重要な課題であります。このため、例えば、改正児童福祉法による配置基準の引き上げに応じて児童福祉司等を増員するなど、専門職の職員の計画的な確保に努めているところであり、委員御指摘の児童福祉司、保健師及び農業改良普及員については、おおむね定数に見合う人員を確保できるものと見込んでおります。
 引き続き、資格や免許を有する者を対象とした選考採用の実施、民間等経験者のための採用枠の設定、インターンシップや大学訪問等を通じた採用試験受験者の確保策の強化などにより、専門職確保のための取り組みを進めてまいります。
〇小西和子委員 専門職種の確保に向けた検討会を立ち上げ、検討を進めているとしていますが、獣医師、薬剤師などあらゆる分野で恒常的に不足しており、処遇改善を含めた対策の早期具体化が求められるところです。専門職種をめぐっては、給与面の処遇改善もセットで対応が必要であります。具体的改善策を伺います。
 さらには、育休代替職員のうち、専門職種の確保までには至っていません。専門職種における育休代替職員の確保策を伺います。
〇八重樫総務部長 専門職種の処遇につきましては、地方公務員法が定める給与決定の諸原則を踏まえつつ、継続的かつ安定的な確保の観点からも検討を行ってきたところであり、特に採用が困難となっている獣医師及び薬剤師について、初任給や手当の額の引き上げ等の処遇改善を行ってきたところです。
 具体的には、今年度から、獣医師及び薬剤師の初任給の引き上げを行い、この結果、これらの職種の新採用職員の給与は、年収ベースで約10万円の増額となったところです。
 次に、専門職種の育休代替職員につきましては、各所属の要望に応じて代替職員を配置していますが、現在は事務職の臨時職員等による代替が中心となっており、今後、技術職の代替職員を配置することが課題となっています。そのため、専門職種の職員のうち、総合土木職や獣医師など、採用予定数を確保することが困難な状況にある職種については、まず欠員の解消を図っていくとともに、おおむね採用予定数を充足できている職員については、今後、正規職員を代替職員として配置することも見据えて採用計画を検討してまいります。
 今後においても、専門職種の確保に向けて、所管部局や人事委員会と連携しながら、処遇面と人員確保の取り組みを一体的に進めてまいります。
〇小西和子委員 公表資料では、児童相談所体制強化の方針が示され、児童福祉司の増員も具体的に示されました。人材確保が困難となっている中で、処遇面の改善が待ったなしの課題です。国では、児童福祉司の処遇改善に向けた方針を示しました、岩手県も迅速な対策を行うべきでありますが、いかがでしょうか。
 農業振興や家畜防疫対策としての処遇改善を含む獣医師確保のための対策強化が求められていますが、いかがでしょうか。
〇八重樫総務部長 まず、児童福祉司の処遇改善についてでありますが、児童相談所に勤務する児童福祉司について、国は、令和2年度の地方交付税において、処遇改善に要する経費として特殊勤務手当の増額を図るなどの措置を講じたと聞いています。現在、県では、児童福祉司に対して、特殊勤務手当または給料の調整額を支給しており、国が増額するとした特殊勤務手当の月額2万円以上の調整額を既に支給している職員もあるところであります。このため、国の地方交付税措置の内容を踏まえつつ、他県における状況も把握しながら、処遇改善に向けた検討を進めてまいります。
 次に、獣医師の確保策についてでありますが、これまで、先ほど申し上げた初任給や手当の引き上げなど処遇改善を図ってきたところでありますが、このほか、免許を有する者の通年募集や都道府県等での職務経験者を対象とした任期付職員の採用選考による幅広い採用の実施、修学資金の貸し付けによる本県の高校生の獣医学部への修学支援などの取り組みと一体的に進め、所管部局や人事委員会と連携しながら獣医師の確保を進めてまいります。
〇小西和子委員 東日本大震災津波の復旧、復興業務のため任期付職員を採用していますが、2020年度以降の方針が示されていません。任期付職員の中には、任用の継続を希望する方も多くいます。今後の募集の方向性について伺います。
〇八重樫総務部長 県では、東日本大震災津波からの復興事業に最優先で取り組む上で必要な人員確保を図るため、平成24年度から継続して任期付職員を採用してきており、今年度も任期付職員採用試験を実施し、令和2年度の採用に向けた準備を進めているところであります。
 令和3年度に向けた対応につきましては、現時点では未定でありますが、引き続きマンパワーの確保が重要であることから、国の復興・創生期間後の財源措置の詳細な内容について注視するとともに、育児休業代替職員の確保を図るための任期付職員や県職員OBの知識、経験の活用を図るための任期付職員の採用も含め、人事委員会とも連携しながら採用の方向性について研究してまいります。
〇小西和子委員 前向きな検討をお願いいたします。
 本年度から超過勤務の上限設定や客観的勤務時間把握などが導入されました。県は、これらの導入や定時退庁の推進などにより、一定の成果があったとしています。しかし、現場の働き方は一向に改善されていません。特に、客観的勤務時間把握手法で得た在庁時間と超過勤務命令との間に乖離が生じていることの点検や是正が必要であり、現場任せの現状では、改善が前に進みません。本来であれば、客観的勤務時間把握で得られた時間をもとに、少なくとも、超過勤務の上限の範囲内におさまるような職場環境整備に向けて要員確保に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇八重樫総務部長 超過勤務の縮減は、職員の健康保持や仕事と生活の両立の観点から重要な課題であり、その一層の縮減に向けては、委員御指摘のとおり、マンパワーの確保を含む職場環境の整備が重要であります。このため、今年度におきましては、育児休業中の職員について、正規職員を含む代替職員を配置して職場の負担軽減を図っているほか、特別募集の実施や任期付職員の採用によるマンパワーの確保、業務量や人員配置の最適化を図るための業務支援の活用、機動的な人員の再配置などにより、必要な人員の確保に取り組んできたところであります。
 また、所属長に対し、業務の見直しや超過勤務の事前命令、事後確認の確実な実施などについて周知徹底を図っているほか、超過勤務が多い所属に対するヒアリングをよりきめ細かに行い、弾力的な事務分担の見直しなどの推進を図っているところであります。
 今後におきましても、超過勤務の一層の縮減に向け、マンパワーの確保を初め、職場環境の整備に努めてまいります。
〇小西和子委員 知事にお伺いいたします。県民の幸福度向上のために日夜奮闘しております県職員の幸福度の向上については、どのようにお考えでしょうか。
〇達増知事 いわて県民計画(2019〜2028)の基本目標の、お互いに幸福を守り育てるというのは、県職員の幸福も守り育てるということでありまして、県としても人員確保や働き方改革の取り組みを進め、職員が意欲を持って業務に取り組むことができるよう職場環境の整備に努め、県が率先して仕事と生活の両立支援に取り組んで、明るく生き生きと働くことができる職場環境づくりを進めているという形を、この岩手において、進めていきたいと思います。
〇小西和子委員 それにつけてもマンパワー確保が一番重要だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、子供の幸福につながる子供の貧困対策についてお伺いいたします。
 県が昨年実施した岩手県子どもの生活実態調査の中間報告の結果から、どのような事業を行うことが重要と考えていらっしゃいますか。さらには、全体のまとめにより、取り組みを強化することがあるのでしょうか。知事の見解を伺います。
〇達増知事 昨年10月に公表した岩手県子どもの生活実態調査報告書中間報告では、特に母子世帯において、厳しい生活実態が浮き彫りとなりました。また、公的支援施策の周知が行き届いていないこと、公的相談窓口が十分に活用されていないことなど、さまざまな課題が明らかになりました。
 また、収入にかかわらず、子供の居場所に対するニーズが高いことも改めて認識されたところであり、ひとり親世帯に対する相談支援の強化、子供の居場所づくりの推進などに重点を置いた対策を講じていくことが重要であると考えております。
 これらを踏まえて、令和2年度当初予算案において、子供の居場所の開設を支援する経費のほか、新たに、ひとり親世帯の多様なニーズに対応する包括的な相談支援体制の構築に要する経費などを盛り込み、具体的に取り組んでいくこととしております。
 本定例会には、いわて子どもプラン中間案を報告議案として提出しているところでありますが、今後、本年度内に取りまとめる実態調査の最終報告を踏まえ、子どもプランの最終案と次期子どもの貧困対策推進計画をあわせて策定する中で、施策の継続や強化を検討し、子供たちが自分の将来に希望を持ち、幸せを感じることができる岩手を実現してまいりたいと思います。
〇小西和子委員 ひとり親家庭の親、それから子が、希望が持てるような施策をよろしくお願いいたします。
 昨年の9月定例会の私の質問に対し、就業率が高く、さまざまな困難を抱えるひとり親家庭等が必要なときに必要なサービスを活用できることが重要であり、県としては、民間団体や関係機関の緊密な連携のもと、ひとり親家庭等のニーズに包括的に対応する相談支援体制を構築し、ワンストップの相談支援、出張、訪問相談、サービスの申請補助を行う同行支援など、利用しやすいサービスを一体的に提供していくことが必要と考えていると、知事から答弁をいただいております。
 そこで、2020年度のひとり親家庭等総合相談支援事業について、その事業内容を、知事にお伺いいたします。
〇達増知事 ひとり親家庭等総合相談支援事業は、民生委員、児童委員などの地域の支援者が必要に応じて訪問するなど、ひとり親家庭等を地域全体で見守り、その悩みや支援ニーズを丁寧に拾い上げ、関係機関が連携して適切な支援を行う、ひとり親家庭等を支える仕組みを構築しようとするものであります。
 このため、本事業では、ひとり親家庭等の支援に取り組む市町村や社会福祉協議会、ハローワーク、NPOなどで構成するネットワークを地域ごとに構築し、訪問相談や同行支援、継続的な見守り支援などを行う仕組みと、専門機関が連携して支援に当たる体制を整備してまいります。
 また、全県レベルのネットワークを構築し、その下にサポートセンターを設置して、課題の共有と支援ガイドラインの策定、支援者の対応力を高める研修や専門的な助言、地域で解決困難な事例に対する直接的な支援などを行い、地域における体制づくりや相談支援の取り組みを支援することとしています。
 県としては、令和2年度において、こうしたひとり親家庭等を包括的に支援する体制を順次構築し、ひとり親家庭等の自立と生活の向上に取り組んでまいります。
〇小西和子委員 さらにこの事業では、相談者が求めているワンストップの相談支援、出張、訪問相談、サービスの申請補助を行う同行支援など、利用しやすいサービスを一体的に提供していくことについて、どのように進めていくのか伺います。
〇保副知事 この事業の眼目は、地域全体でひとり親家庭を見守り、そして支援する仕組みをつくることでございます。身近な民生委員、児童委員などの支援者が、日常的な見守り、あるいは家庭訪問などを通じて悩みやニーズを酌み取り、窓口につなげたり、必要に応じて相談窓口に同行するということも想定しております。
 こうしたことで、悩みを抱えるひとり親家庭の皆さんが、市町村等の窓口に行くことは気持ちの上でも時間的なものでもさまざまあると思いますが、そういう障壁をできるだけ下げて、身近な民生委員、児童委員との間でさまざまなやりとりをし、民生委員、児童委員の方々が必要なところへネットワークをつなぐという形で必要な支援を受けられる。そういったことに結びつけていこうというものでございます。
〇小西和子委員 昨年まで全くできていなかったことが、2020年度にはすぐできるということにはならないと思いますので、ここは、本当に県を挙げて、希望の持てる施策を実現していただきたいと思います。
 厚生労働省が、2020年度予算にひとり親相談体制強化の予算として計156億円を計上したとの報道がありました。具体的に、どのような事業内容となっているのか伺います。
〇保副知事 今、委員から御紹介があった厚生労働省が公表している令和2年度予算の公表資料を見ますと、厚生労働省の母子家庭等対策総合支援事業が132億円、母子父子寡婦福祉資金貸付金が24億円、合計で156億円ということではないかと考えております。
 母子家庭等対策総合支援事業につきましては、都道府県や市町村が行う母子家庭等に対する相談対応や日常生活の支援、就労支援、資格取得の支援などに要する経費に対する補助金でありまして、もう一方の貸付金につきましては、これまでもやっておりますとおり、ひとり親家庭等に対する貸付金の原資を都道府県等に貸し付けるものであります。
 県では、母子家庭等対策総合支援事業による補助を活用して、先ほど申し上げましたひとり親家庭等総合相談支援事業を推進していこうと考えております。
〇小西和子委員 SDGsが掲げる誰ひとりとして取り残さないという基本方針は、岩手県民の幸福度の向上のために構築されたいわて県民計画(2019〜2028)と相通ずるものです。
 SDGsの目標1は、貧困をなくそうです。子供時代の貧困は、将来にわたってその子に不利益な条件を蓄積させてしまうものです。子供の貧困問題は、個別の問題ではなく、社会全体の課題です。貧困の連鎖を断ち切り、貧困状態の改善につなげる必要があります。
 2020年度のひとり親家庭等総合相談支援事業で貧困の連鎖を断ち切り、貧困状態の改善につなげることができるのか、知事の見解を伺います。
〇達増知事 子どもの生活実態調査中間報告では、就学援助世帯の6割を母子世帯が占めるなど、厳しい生活実態にあることが明らかとなりましたことから、子供の貧困対策を進めていく上で、ひとり親家庭等に対する取り組みの一層の充実を図っていくことが重要であると認識しております。
 また、先ほども申し上げたとおり、ひとり親家庭においては、公的支援施策の周知が十分に行き届いていないこと、公的相談窓口が十分に活用されていないことなどが課題となっており、ひとり親家庭の悩みや支援ニーズを丁寧に拾い上げ、適切な支援につなげていくことが必要であります。
 このため、ひとり親家庭等総合相談支援事業において、支援を必要とするひとり親家庭等が確実に相談につながり、適切な支援を受けられるよう、地域全体で見守り、支える仕組みづくりを推進することにより、貧困状態の着実な改善につながっていくものと考えます。
〇小西和子委員 しっかりと取り組むようお願いいたします。
 貧困の中で暮らすひとり親の多くが女性であることから考えて、貧困をなくすことを目標とする全ての政策、計画の主流にジェンダーの視点を取り入れることが重要であり、国際的な目標となっております。一方、子供の権利の観点から、子供の貧困、子供の幸福度を検討して、全ての関連分野でこの問題を中心に据えることも指摘されています。
 ジェンダー平等と子供の貧困対策を車の両輪として、貧困をなくす政策を進める必要があると言われております。2020年度の予算案には、この視点が盛り込まれているのか伺います。
〇保副知事 子どもの生活実態調査中間報告では、ひとり親世帯のうちの8割以上が母子世帯でございます。また、同じくひとり親世帯である父子世帯等と比べ、母子世帯の収入が低いことも明らかになっているところでございます。
 子供の貧困対策を推進する上ではもちろんでありますけれども、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる参画の政策分野で目指す姿を実現するためにも、さまざまな男女の格差や不平等をなくしていくことが重要と考えております。
 このため、県では、女性の活躍支援や母子世帯等の自立と生活の向上に向けての取り組みを推進するため、令和2年度当初予算におきましては、ひとり親家庭等総合相談支援事業もそうでありますが、男女がともに生きやすく、多様な生き方が認められる男女共同参画社会の実現に向けた環境づくりを進める男女共同参画プラン推進事業、女性が活躍できる環境づくりを推進するいわて女性活躍支援強化事業に引き続き取り組むとともに、女性が仕事で得られる収入を上げていく取り組みも大変重要でありますことから、いわてで働こう推進協議会を核としたさまざまな運動の中で、労働環境の整備や働き方改革の推進に取り組んでいるところであります。いずれ、関係機関と一丸となって取り組んでまいりたいと思います。
〇小西和子委員 大変すばらしい答弁をいただきましたが、岩手県は、男女共同参画、ジェンダー平等に対しては予算のつけ方がちょっと足りないのではないかといった声もあります。東北の他県と比べても、ぐんと低くなっておりますので、そのあたりをよろしくお願いいたします。しっかりと取り組んでいただきたいと思います。このことが女性の他県への流出にもつながっておりますので、本腰を入れて取り組んでいただきたいと思っております。
 最後に、持続可能な豊かな教育についてお伺いいたします。
 知事演述で、教育など、豊かなふるさとを支える基盤の強化を進め、地域の魅力を向上させます、教育委員会と知事との連携を深め、地域の教育の課題やあるべき姿の共有を図りますと述べられました。また、教育長演述では、社会を創造する人づくりが教育の目標であると述べられています。そのためには、そのようにできる環境づくりが大切であると考えます。
 2018年6月、県教育委員会は、岩手県教職員働き方改革プラン〜持続可能な教育環境の実現に向けて〜を発表しました。2018年度からの3カ年計画で、目標を、業務に対する充実感、健康に対する安心感の向上とし、月100時間以上の時間外勤務従事者を3年間でゼロに、80時間以上については半数以下にすることを数値目標として掲げています。
 県教育委員会では、教職員のワーキンググループによる業務のスクラップ・アンド・ビルドの検討を行い、市町村教育委員会にも同様の取り組みを促しています。多忙化解消のためには、多忙化解消の制度や仕組みを整えること、人をふやすこと、業務を減らすことが三位一体となって機能することが重要です。
 岩手県教職員働き方改革プランの進捗状況について、知事はどのように捉えているのか伺います。
〇達増知事 岩手県教職員働き方改革プランは、教職員の充実感等の向上や長時間勤務者の削減を目標に掲げており、県教育委員会では、その目標の達成に向け、外部人材の配置促進、業務改善の推進、部活動の適正な運営、勤務時間の適正管理、心と体の健康対策などの取り組みを着実に推進していると承知しております。
 これらの取り組みにより、県立学校では、第3四半期に月80時間以上の時間外勤務を行った教員の割合が、平成30年度の11.2%から今年度は7.5%に3.7ポイント減少するなど、徐々に取り組みの効果があらわれていると聞いております。
 県教育委員会においては、今後も、市町村教育委員会を初めとする関係団体との十分な連携のもと、教職員の負担軽減、健康確保等を柱としたプランの取り組みを着実に推進してほしいと考えております。
〇小西和子委員 県立学校の教員のうち、一月の時間外勤務が80時間以上100時間未満の教員の割合の平均は、2017年度は4.1%、2018年度は4.8%、今年度第3四半期まででは5.7%とふえ続けています。100時間以上の教員の割合も、同様にふえ続けています。全国では、過労死ライン―時間外勤務80時間以上の中学校教員が6割、小学校教員が3割と言われています。先日も現職の死亡がありました。
 文部科学省の言う客観的勤務時間の把握ができているのは、県内33市町村のうち13です。客観的勤務時間を把握しなければ、取り組みの比較はできません。
 2020年4月1日から改正公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法―給特法第7条が施行されます。超過勤務を月45時間以内、年360時間以内とするものです。文部科学省は、大幅な業務削減を進めながら、勤務時間の上限を設定し、超過勤務時間を削減することを目標としています。改正給特法第7条に対する、知事の見解をお聞かせください。
〇達増知事 今般のいわゆる給特法の一部改正は、教員の厳しい勤務実態を踏まえ、教員がこれまでの働き方を見直し、教職人生を豊かにすることで子供たちにより効果的な教育活動を行うという趣旨のもと、教員の時間外勤務の上限に関する指針を新たに規定したものであり、本県の教員の負担軽減に資するものと認識しております。
 県教育委員会においては、今般の国の指針の趣旨を十分に踏まえながら、教員の健康及び福祉を確保し、学校教育の維持向上を図っていくよう、引き続き、岩手県教職員働き方改革プランに掲げる取り組みを着実に推進してほしいと考えております。
〇小西和子委員 大幅な削減が必要です。
 ここ10年間で、小中学校の教職員の約半数が定年を迎えます。厳しい働き方から、教職を目指す方が減っています。教員採用試験では、危険水域と言われる3倍を下回る校種もあります。
 今後、持続可能な岩手県の教育を展望した場合、ここで大幅に業務を縮減すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
〇達増知事 本県の学校現場においては、大量採用した年代の教員の退職等に伴って教員の採用数が増加してきており、新たに採用になる教員を含めた全ての教職員が、心身ともに健康で、やりがいを持って教育活動に専念できる環境を整備していく必要があると考えております。
 県教育委員会においては、これまでも研究指定校の精選や部活動休養日の設定など、業務の縮減に取り組んできたと承知しておりますが、引き続き、教員がその本来業務に集中することができるよう、保護者や地域の理解と協力を得ながら、さらなる働き方改革の取り組みを推進してほしいと考えております。
〇小西和子委員 そのことが子供の思いを受けとめ、子供の能力を伸ばすことにつながり、ひいては子供の幸福につながると思います。よろしくお願いいたします。終わります。(拍手)
〇柳村一委員長 次に、小林正信委員。
   〔小林正信委員質問者席に着く〕(拍手)
〇小林正信委員 初めに、新型コロナウイルス感染症についてお伺いいたします。ただ、これまでも多くの委員から詳しく御質問、御提言がございましたので、何点か質問を割愛させていただきます。
 国においては、経済対策として約5、000億円の緊急貸し付け、保証枠を確保し、中小企業の資金繰りを支援する等の施策をさまざま進めておりますが、先ほどお話があったように、県内経済への影響も出てきているところでございます。
 昨日、居酒屋を経営される方からお電話があり、団体客のキャンセルが相次いでいる、経営が立ち行かない、支払いもあるし、どうしたらいいのかというお声をいただきました。また、料理が出せないということで、市場ではせっかく不漁の中とった魚がだぶついているということも聞きました。今後、居酒屋とか小規模自営業者の皆様に対するスピード感のある支援を、知事が先頭に立って行っていただきたい。これは要望でございます。
 1点だけお伺いします。こうした感染症が拡大する等の有事における、県内の各保健所や県環境保健研究センターなどの組織体制や人員体制は万全なのかという部分をお伺いします。
〇保副知事 現在、一般の県民の皆さんから相談を受け付けております保健所は、県が設置する9カ所の保健所と盛岡市の保健所の計10カ所ございます。75人の保健師を含む354人の職員が、所内で相互に応援体制等を組みながら協力して対応しているところでございます。
 また、ウイルス検査を実施しております県環境保健研究センターでは、センター内での応援体制を組み、24時間体制で受け入れ態勢をとっているところでございます。現在のところ、ここでしっかりやっているところでございますが、今後さまざまな情勢の変化等も考えられますことから、臨機に必要な人員を確保し、万全の体制を構築してまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 本当に最前線で奮闘されている皆様に敬意を表したいと思います。また、今後、いつ新しい感染症等あるかもしれないという部分で、保健所や県環境保健研究センター等の人員もしっかり確保していただくことも大事だと思いますので、その部分をお願いいたします。
 次に、不妊症、不育症についてお伺いします。
 本会議でも岩渕誠議員より、さまざま議論がございましたけれども、子供を授かりたくてもなかなか妊娠できない不妊症や、妊娠できても流産や死産を繰り返してしまう不育症は、晩婚や晩産化が進む近年において非常に深刻な問題であります。
 本県における不妊専門相談センターのここ数年の相談件数と、不妊症、不育症に対する支援の状況についてお伺いします。
〇保副知事 不妊専門相談センターは、県から岩手医科大学に委託しておりますが、過去3年間の相談件数を申し上げますと、平成28年度が62件、平成29年度が87件、平成30年度が92件となっております。
 不妊症、不育症への支援につきましては、この不妊専門相談センターにおける相談支援のほか、不妊治療に関する社会の理解の促進、不妊症、不育症に関する正しい知識の普及啓発に取り組むとともに、体外受精などの特定不妊治療に係る費用に対する助成を行っております。
 このうち、特定不妊治療への助成につきましては、直近3年間の数値を申し上げますと、平成28年度が601件、平成29年度が573件、平成30年度が568件となっております。
〇小林正信委員 相談も年々ふえているということで、不妊症に対する支援は充実して、相談対応件数もあると。
 不育症ですけれども、これもなかなか理解されないという部分もあって、支援をぜひお願いしたいと思います。佐賀県では、不育症に対する経済的支援も行っているということで、ここに対しても、ぜひ御理解をいただいて支援を考えていただきたいと思います。
 次に、ひきこもり支援についてお伺いします。
 県は、ひきこもりに関して、既に実態調査を行っております。ひきこもり支援センターを設置して対応に当たっておられますけれども、今後は、ひきこもり専任の担当職員の増員、また、各振興局にひきこもり担当の部署あるいは人員の配置を行い、アウトリーチや関係機関が連携した包括的な支援の充実を図るべきではないかと考えております。
 本県が今後予定されている、ひきこもりの支援施策についてお伺いします。
〇保副知事 ひきこもり支援につきましては、平成30年の県議会12月定例会において、岩手県全域におけるひきこもり対策の充実を求めるための請願が採択されました。このことを踏まえまして、昨年7月に、医療や保健、福祉、教育、労働等の関係機関で構成いたします岩手県ひきこもり対策連絡協議会を設置し、それぞれの取り組みや課題を共有しながら、今申し上げました請願や県が実施した実態調査に基づき、相談支援体制の強化など、今後取り組むべきことについて議論しているところであります。
 令和2年度におきましては、県精神保健福祉センター内に設けているひきこもり支援センターに配置しているひきこもり相談支援員を、これまでの2名から3名に増員することとしております。
 地域に潜在的にいらっしゃるのではないかというひきこもり状態の方を早期に発見し、適切な支援につなげていく役割を担うひきこもりサポーターの方々の養成も、新たに実施したいと考えており、これに関連する経費につきましては、ひきこもり地域ケアネットワーク推進事業費として令和2年度当初予算案に盛り込んでいるところでございます。
〇小林正信委員 やはり、ひきこもりに関して各地域における対策が重要である思いますので、ひきこもりサポーターの養成や市町村との連携もしっかり行いながら進めていただきたいと思います。
 次に、がん対策についてお伺いします。
 発生を未然に防ぐことができるとされているがんに、胃がんが挙げられています。WHOでは、胃の中にすむピロリ菌を除去すれば、胃がんの発生をほぼ抑えられるという見解を公表しております。特に中学生の時点でのピロリ菌検査は、その後の胃がんリスク、また家族全体の胃がんリスクを減らすことにもつながると考えられます。
 県のピロリ菌検査課題等検討会では、ピロリ菌の除去を行う際の薬剤による副作用は、年齢が若いほど出やすいことから、成長の個人差が大きい中学生を対象とすることについて慎重に考える必要があるという意見が出たとのことですが、ピロリ菌の除菌を行う、行わない以前に、まず、自分の胃の中にピロリ菌がいるのかいないのか、これを早い段階から知っておくことが重要なのではないかと思っております。
 県民を一人でも多く胃がんのリスクから守るという意味から、本県の中学生に対するピロリ菌検査の実施について、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
〇達増知事 県では、学識経験者、県医師会、検査機関等の関係者で構成するピロリ菌検査課題等検討会を設置し、中高生に対するピロリ菌検査及び除菌の必要性や課題等について検討しているところであります。
 ピロリ菌感染者の除菌については、推進すべきとする意見がある一方、委員御紹介のような慎重な意見や、関係学会が除菌を推奨しないとするガイドラインを公表したことなどにより、検討会において結論に至っていない状況にあります。県として除菌を推奨する状況にない中、委員御提言のがん予防の啓発手段として検査のみを行うことにつきましては、陽性となった生徒への対応などの課題も想定されますことから、慎重に検討を行う必要があると考えております。
 県といたしましては、がんの予防は県民の幸福を守り育てる上で重要な取り組みでありますので、岩手県がん対策推進計画に基づく生活習慣の改善やがん検診の受診促進などの取り組みを着実に推進するとともに、効果的な胃がん予防のあり方について、有識者の意見を伺ってまいりたいと思います。
〇小林正信委員 検査は除菌と違って副作用など出ない部分もあるので、何とか検査を進める体制を岩手県でもとっていただきたい。中学生に限らず、お願いします。
 同じく発生を未然に防ぐことができるとされているがんに、子宮頸がんがあります。子宮頸がんは年間約1万人の女性が罹患し、うち約3、000人が亡くなっています。また、命が助かったとしても、年間約1、200人の女性がこの病気のために妊娠できない体となるため、子宮頸がんを予防する子宮頸がん予防―HPVワクチンはWHOも接種を強く推奨していますが、日本では、多様な副反応の報告により、2013年6月から積極的推奨を中止しております。
 そうした中、ことし1月に行われた厚生科学審議会の中で、接種対象者へ情報が十分に行き届き、接種をするかどうかについて検討、判断できるよう、自治体からリーフレットの個別送付を行うこととしてはどうかとの方向性が示されました。対象者に情報提供、周知を行うには個別通知が不可欠であることを国が認めたと言えます。
 2018年に厚生労働省が実施したHPVワクチンに関する国民のアンケートでは、わからないことが多いため接種するかどうか決めかねているという回答が41%に達しており、自治体においては、積極的推奨ではなく、判断材料としての情報提供の必要があると思います。少なくとも定期接種助成の期間が終了する本県の高校1年に相当する女子に対して、助成期間終了の案内も含めた子宮頸がん予防ワクチンの正しい情報提供、個別通知の実施が必要と考えますが、知事の御所見をお伺いします。
〇達増知事 子宮頸がん予防ワクチンの定期接種については、平成25年の導入後、副反応の発生状況等を踏まえ、国において、適切な情報を提供できるまでの間は積極的勧奨を差し控えるべきとの勧告がなされ、現在も分析、評価は継続されているものと承知しております。
 県ではこれまで、県民の皆様にワクチンの意義や効果、接種後起こり得る症状の二つの側面について正しく理解していただき、接種を希望される場合にその機会を逃すことのないようホームページで情報提供していますほか、国のリーフレットの活用等を市町村に働きかけているところであり、今年度は、7市町村が小中学生を含む幅広い対象者に送付している状況であります。
 委員御提案の個別通知のあり方につきましては、国の動向を注視し、予防接種の実施主体である市町村と意見交換をしながら検討してまいりたいと思います。
〇小林正信委員 この個別通知の仕方ですが、やっぱり正しい情報を通知することが大事だと思います。岡山県などでは、A4判で、カラーで優しい感じの、正しい情報判断ができるような個別通知を行い、県知事もメッセージを寄せたりしております。やはり子宮頸がんを撲滅するという点で、こういった正しい情報提供をしっかり行っていただきたいと思います。
 次に、県は、重症心身障がい児及び医療的ケア児について実態調査を行い、さまざまな課題が浮き彫りになってきたと思います。医療的ケア児のお母さん方からの要望では、相談支援専門員の報酬の充実、学校や保育園への看護師の配置、親の付き添い負担の軽減などの要望及び意見をいただいており、障がいの有無にかかわらず、全ての子供の可能性を引き出す支援、さらなるノーマライゼーションの普及が必要であると思います。
 そこで、本県が実施している医療的ケア児等コーディネーターの養成状況、コーディネーターが地域でいち早く医療的ケア児の御家族とつながることのできる体制の整備についてお伺いします。
〇保副知事 医療的ケアが必要なお子さんが、新生児特定集中治療室、いわゆるNICUなどから退院して在宅に移行する際は、居住する地域におきまして、かかりつけ医や訪問看護、障がい福祉サービス等の利用をどうするか、保育所や学校の受け入れをどう調整するか、さまざまな分野でいろいろ調整することがあり、これを継続的に支援していくことが必要であります。お母さん方のニーズ、親の方のニーズがあるわけでございますが、医療的ケア児等コーディネーターがそのような役割を担うと考えております。
 県では、今年度初めて医療的ケア児等コーディネーター養成研修を実施いたしました。障がい福祉サービスを調整する相談支援専門員、あるいは看護師など67名の方に受講していただき、コーディネーターになっていただくべく養成したところでございます。
 これらのコーディネーターは、市町村等の委託を受けて支援の調整に当たることが想定されますが、県内では、平成30年度から地域ごとに医療、福祉、教育等が連携する協議の場が地域ごとに設置されてきてはいるものの、連携をどのように具体的に進めるかというところはまだ協議している段階にあり、具体的にその費用負担をどうするか、どこに配置するのかといったところまで議論が進んでいない状況でございます。
 県としては、早期に家族とコーディネーターがつながることが非常に大事だと思っておりますので、積極的に他県におけるさまざまな具体的な事例の情報提供をしたり、議論を促進するというように、できるだけ現場で動くことが実現できるよう進めていく考えであります。
〇小林正信委員 先ほどおっしゃったように、NICUを出た後に途方に暮れてしまう、どうしたらいいかわからないという保護者の方が多いということで、伴走して支援をしてくれるコーディネーターは本当に重要だと思いますので、NICUを出た後すぐにつながれるような体制づくりを、市町村と協力してやっていただきたいと思います。
 次に、電話で医療相談ができる救急安心センター事業―♯7119事業は、急増する救急出動件数を背景に、119番を補完するサービスとして東京都がモデル的に始め、現在では類似番号で行っている県も含めると、全国の3割の都道府県で稼動しております。
 救急出動件数は全国で増加傾向にあり、2018年は過去最高の661万件と、10年間で3割の増、このうち約半数は緊急性を帯びない軽症者とのことです。東京消防庁によると、救急安心センター事業の導入により、2006年に60.3%だった救急搬送者の軽症率は2013年に51.6%まで減少していると。また、札幌市では診療時間外の外来患者が減少し、神戸市では医療機関への救急相談件数が減少したとの報告があります。さらに横浜市では、年間約1億6、500万円の事業費を差し引いても約5億円の医療費削減の効果があったと試算しております。
 国はこの事業の全国展開を目指しており、運営費に対する財政支援や、実際に運営に携わっている自治体職員や医師、看護師をアドバイザーとして自治体に派遣しております。
 本県でも、より緊急性の高い救命手段の確保のため、また、県民の安全、安心を守る選択肢の拡充のために……。
〇柳村一委員長 小林正信委員に申し上げます。配分された質疑時間を超過しておりますので、議事進行に御協力をお願いいたします。
〇小林正信委員(続) 失礼いたしました、済みません。
 いち早い導入が必要と考えますが、御所見をお伺いします。
〇八重樫総務部長 委員御提言の♯7119事業は、全国的に救急搬送件数が増加している中で、限りある救急隊を緊急性の高い事案に投入するため国が推進している事業であり、令和元年12月末現在で、東京都、大阪府、横浜市など11都府県、5市で導入されているところです。
 消防庁では、この♯7119事業について、救急車の適正利用、救急医療機関の負担軽減及び不安な住民に対する安全、安心の提供など、一定の効果が上がっているとしておりますが、医療関係者からは、電話だけのやりとりで重篤な患者を見落とす危険性がないのかなどの意見も伺っているところであります。
 また、消防庁の救急業務のあり方に関する検討会の今年度の検討項目の中で、当該事業の費用対効果や相談者に対する回答の妥当性などの検証作業を進めておりますほか、埼玉県では、昨年7月からAIを活用した救急相談を本格導入するなど、新たな動きもあると伺っています。
 県といたしましては、今申し上げた検討会の最終的な報告内容や実施団体からの情報収集等を行うとともに、医師の負担軽減と県民に対する医療サービスの向上等の視点も踏まえ、医師会や消防本部等と意見交換を行ってまいります。
〇小林正信委員 終わります。(拍手)
〇柳村一委員長 次に、工藤勝子委員。
   〔工藤勝子委員質問者席に着く〕(拍手)
〇工藤勝子委員 新型コロナウイルス感染症対策について、各委員がいろいろ質問されておりますが、私も通告していたこともありまして、質問させていただきたいと思っております。やはりこのように各委員から質問が出るということは、県にとっても最重要課題ではないかと思っております。日々状況が変わっておりますので私の質問も変わりますが、御理解をいただきたいと思っております。
 政府は、新たに感染者が出ていることから、新型感染肺炎をめぐる特別措置法の改正に向けて動き出しました。これはきょうの報道にもありました。法整備によって緊急事態宣言も出されるかもしれませんが、知事はどのように受けとめていらっしゃるのかお伺いいたします。
〇達増知事 県からもさまざま国に対しては、マスクの供給や検査体制、そして医療体制の充実などを要望しているところであります。また、経済関係への対応、学校休業に伴う子供の居場所確保等々、思い切った国の施策が求められるところが多くなっておりますので、そのようなことを今の法律のもとでもできるなら今の法律のもとで素早くやってほしいところでありますが、今の法律でネック―障害となる部分があるのであれば、法改正が望ましいと考えます。
 ただ一つ、テレビからあらゆる状態に対応できる緊急事態宣言ということが耳に入ってきましたけれども、あらゆる状態に対応できるというのはむちゃくちゃな話であります。想像を絶する最悪の事態はいろいろあると思いますけれども、きちんとこういう事態に対して対処するためだと、具体的に状況を説明して、日本の半分がこうなってしまったときでもこういうことができるようにとか、あるいは、国会議員が全員感染したときでもこういうことができるようにとか、きちんとした根拠を示し、科学的に検証可能な説明のもとでなければ、国民の主権を大きく制限する法律というのはかえって事態を混乱させると思いますので、そういったところを期待いたします。
〇工藤勝子委員 多分これは通っていくのではないかと思っております。緊急事態宣言が発令されますと、外出の自粛や学校休校―もう休校になっていますが、それから公共施設の利用制限とか、こういうものが知事に与えられる権限ではないかと思っています。もしこれが発令された場合、知事として権限でどのようなこと行うのでしょうか。
〇達増知事 感染症対策というのは、知事のもと、県が先頭に立ってやらなければならないということは知事就任時から自覚しておりまして、2009年の新型インフルエンザ流行の際にも、さまざま覚悟して臨んでいたところでございます。
 自然災害については、市町村が第一線に立つわけでありますけれども、感染症対策はまず県が前面に立って行うものであります。県民にとって必要なこと、また、オール日本や国際関係にも配慮しながら、思い切ったことをやっていかなければならないこともある分野でありますので、そうしたことについてはきちんと対応してまいりたいと思います。
〇工藤勝子委員 全国知事会を通じ、国に対して要請活動を行っております。先ほども知事からマスクとかいろいろありましたけれども、私は財政支援が一番大事ではないかと思っていますが、その見通しはいかがでしょうか。
〇達増知事 財政措置については、全国知事会を通じた要請の最初の段階から要望しているところでありまして、手元不如意によって、命を守り、感染拡大を防ぐために必要なことができなくなるのは、公としてあってはならないことでありますので、財政に関する万全な対応を国に求めてまいりたいと思います。
〇工藤勝子委員 なかなかまだ見通しも示せないのだろうとは思っておりますけれども、そういう中におきまして、今、市町村議会においても議論されていると伺っておりました。市町村議員の方々がどういう議論をされているのか、県として把握する必要があるのか、把握しているのか、その辺を伺いたいと思います。
〇白水政策地域部長 市町村の取り組み状況については、今ちょうど同じ時期に3月議会をやっておりますので、市町村でもさまざまな議論が展開されていると承知しております。
 県におきましては、各広域振興局でも首長などとやりとりをしていろいろ情報収集をしていると承知しておりますし、政策地域部の中にも市町村課がございまして、市町村課も担当職員等を通じてやりとりをさせていただいていると承知しております。それから、政策地域部におきましては、全国知事会との連絡窓口もさせていただいておりますし、総務省のリエゾンということでやりとりもさせていただいております。そういったさまざまな環境をうまく活用しまして、しっかり情報収集あるいは協力体制等を確認してまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 よろしくお願いいたします。
 医療体制につきましてもいろいろな質問がございました。私は、病院等でいろいろな医療現場の人たちの声を聞くことも非常に大事ではないかと思っておりますが、その辺の対応についてはどのようにされていますでしょうか。
〇保副知事 直接私どもが医療機関に赴いてということは現実問題として非常に難しいわけでありますが、県の保健福祉部においては日常のネットワークがございますし、今回は新型コロナウイルス感染症ですけれども、新型インフルエンザのときに構築したさまざまな体制もあります。そうした中で情報のやりとりについては非常に円滑にできていると思っておりますので、日々動くさまざまな情勢に対応しながら、こういったネットワークを生かして取り組んでいきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 中小企業に対する支援についてもさまざま質問がございました。経済活動の停滞によって影響を受ける中小企業、零細事業所などについて、国では借入金の保証制度の対象業種を拡大するなど支援を行っていくとしておりますが、県はどのように対応されるのかお伺いいたします。
〇達増知事 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、本県においても幅広い業種において県内企業等への経済的な影響が生じており、感染症の長期化による影響の拡大が懸念されるところであります。
 こうした状況を踏まえ、商工指導団体や金融機関等が相談窓口を設置しているところであり、県においても、県庁及び各広域振興局に相談窓口を設置したところです。
 また、資金面では、中小企業、小規模事業者の資金繰りを支援するため、国が通常の保証限度額とは別枠で借入債務の100%を保証するセーフティネット保証4号を講じたほか、県においても、県単融資制度である中小企業経営安定資金等により、中小企業者等の資金調達を支援することとしています。
 さらに、全国知事会を通じて、政府の緊急対応策で示された中小企業、小規模事業者に対する資金繰り支援策や雇用対策の弾力的な運用、テレワーク等の柔軟な働き方や、従業員が休みやすい環境整備の取り組み支援など、地域経済への影響を踏まえた対策を求めております。
 国においては、3月10日をめどに、小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための新たな助成金制度を初めとする追加の緊急対策を取りまとめることとしており、県としても、引き続き、この緊急対策も活用しながら、県内経済への影響が最小限にとどまるよう対応していくとともに、市町村、関係団体の要望等も踏まえ、地域の実情に応じた実効性のある対策の実施について、全国知事会などと連携し、国に働きかけてまいります。
〇工藤勝子委員 これからもいろいろな業界に影響を及ぼすことになれば、県としては、例えば補正予算等も考えていらっしゃるのでしょうか。
〇達増知事 県では、新型インフルエンザの流行が県内で発生した場合に備えて、必要な設備や各種資機材の整備を行ってきたところであり、今年度の既存の予算の中で、約3、000万円を確保して早急な整備を進めております。
 国においては、新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策を踏まえ、それに伴う地方負担に対する財政支援を打ち出しているところでありますが、県としても、さまざまな機会を通じ、国に対し必要な支援を求めてまいります。
〇工藤勝子委員 よろしくお願い申し上げたいと思っております。
 次に、企業立地についてお伺いしたいと思っています。
 東日本大震災津波からの復興を初めとして、岩手をもっと元気にしていくためには、1次産業を初め、2次、3次、6次産業まで、産業振興が非常に重要であると私は思っております。特に中山間地域においては、私も含めて小規模農家がなかなか農業収入だけでは生きていけない状況の中で、外に出て仕事を持って働いてお金を得る。そうやって家族の健康と幸福を守り育てるということに対して、やはり所得を上げることが非常に大事だと思っております。
 それには、通勤できる範囲内での企業の立地が求められると思っていますし、地域に若者が定着することにもなると思っております。そういう関係から、今回、半導体を中心に新設21件、増設9件など企業立地が進んでおりますが、業種別、広域圏別の立地件数について、令和元年度の状況をお伺いいたします。
〇保副知事 令和元年度の企業立地件数は、委員からお話がありましたとおり、30件ということで押さえております。
 この内訳として、業種別では、半導体関連が18件、自動車関連が3件、情報通信業が2件、食料品製造業が2件、その他の製造業が5件となっております。広域圏別では、県央広域が3件、県南広域が23件、沿岸広域が1件、県北広域が3件となっております。
〇工藤勝子委員 圧倒的に県央、県南が多いわけであります。沿岸を見ますと、少ないわけです。現在、人口減少が進んでいるから、幾ら企業が入っても人を確保するのが難しいからということもあるかもしれませんけれども、沿岸に人が戻るためには企業がなければならないのです。そういう意味を考えて、沿岸に対する企業立地の考え方、推進をどのようにされているのかお伺いいたします。
〇保副知事 エリア別の注力ということに関しましては、自動車、半導体の立地が非常に関連が旺盛だということから、どうしても県南における件数が多いわけでございますけれども、力の入れ方、あるいは私どもが仕事をする上での意識では、できるだけ沿岸、県北に誘致したいということでございます。特に沿岸エリアにおきましては、国が東日本大震災津波以来、津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金というような形で手厚い助成制度なども設けておりますし、また、県独自に、補助金についても沿岸、県北部においてはかさ上げの取り扱いもしております。
 そういったことで、今後とも引き続き、件数にあらわれるには時間がかかる面もありますけれども、努力を惜しまないで頑張っていきたいと思っております。
〇工藤勝子委員 ぜひよろしくお願い申し上げたいと思っています。
 人材の確保についても質問いたしますけれども、このように県内への企業誘致が進んでいるし、工業団地の造成も行われておりますが、それにはやはり人材がなければならないと思っています。人材不足の課題に、県はどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
〇保副知事 人材確保の問題につきましては、これまでもさまざま御議論いただいているところであります。何といっても、最近の県内における仕事の環境、あるいは企業の実情、すばらしい職場がたくさんあるということを知らないままに進路を選んでしまうことに大きな課題があると考えておりますので、高校生や県内外の大学生向けの企業見学会、インターンシップ、それから、生徒や保護者を対象とした企業ガイダンスも実施しております。これらにつきましては、非常によい取り組みということで関係者からも評価をいただいております。また、岩手で働き、暮らす魅力などを紹介する情報誌として、いわてダ・ヴィンチという名前で先般、雑誌も発行したところであります。これを、県内の高校生に無償で配るというような取り組みをする予定でございます。
 そういったさまざまな県内企業の認知度の向上を図ることを今、最重点にして、取り組みを進めております。
〇柳村一委員長 工藤勝子委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
 工藤委員、御了承願います。
   午前11時59分 休 憩
午後1時3分再開
〇柳村一委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇工藤勝子委員 県内においては企業立地が進んでいる反面、倒産したとか事業を縮小した、あるいは撤退した企業について、業種別また広域圏別の件数をお伺いしたいと思います。
 産業や地域ごとに抱えている課題を把握しているのであれば、その課題について、県はどのように対応されているのかもお伺いいたします。
〇保副知事 大変申しわけありません。撤退の数につきましては今手元に資料がございませんので、早急に取り寄せたいと思います。
 撤退に至る経過はさまざまでございますけれども、リーマンショックのような大きな経済変動があれば、大きな社会現象にもなって、大変数の多い撤退企業が出ることもありますが、近年では、例えば設備が古くなって更新する力が余りないとか、業界が個々に抱える構造的な課題、個々の業界あるいは個々の会社の事情によることが多いと考えております。また、小規模なところになりますと後継者がいないとか、今の時代に特有な、やめざるを得ない事情もあると把握しております。
〇工藤勝子委員 一応通告をしていたつもりだったのですけれども。
 今後、新型コロナウイルス感染症の関係で、いろいろな事業所または中小企業等に大きな影響が出てくるということは、質問でもあったわけであります。そういうことから、続けていけるというか、事業継承というんでしょうか。そういうことに対して、県もしっかり課題を把握していくべきじゃないかという思いがあるわけですけれども、所感があればお伺いいたします。
〇保副知事 先ほど小林正信委員からも、居酒屋を営んでいる方が、今非常に大変だということでございましたが、今のような状況下において、とにかく県としましては、しっかり相談をしながら、必要な対策がどういうものなのか、今、手持ちの駒でできることはやりますが、国にしっかり対策をとってもらうように求めていきたいと思います。
 また、個々の企業がこれから抱えるであろう事業をどう続けるかといった問題については、事業承継のためのフレームがございますので、そういうものを使いながらしっかり務めたいと思います。
〇工藤勝子委員 次に、障がい者スポーツの振興についてお伺いいたします。
 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催にあたり、世界各国から選手団、競技関係者、観光客など、多くの方々が日本を訪れると思います。県内においても、多くの市町村において事前合宿、復興ありがとうホストタウンなど、スポーツ分野を初め、文化的、経済的な分野も含めて、心温まる交流が図られるところであります。
 昨年の2月には、全国14自治体が参加して共生社会ホストタウン連絡協議会が設立されております。その中で、心とまちのバリアフリー化を推進し、共生社会の実現に向けて取り組むこととしております。県では、障がいのある人もない人もともに学び、ともにスポーツに親しみ、ともに生きる共生社会の実現に向けて、どのように推進していこうとしているのか伺います。
〇達増知事 県では、国の障害者差別解消法に先駆け、平成22年度に、障がいのある人もない人も共に学び共に生きる岩手県づくり条例を制定し、障がいに関する理解の促進や、障がいのある人と障がいのない人の交流機会の拡大などに取り組んでおります。
 平成28年に本県で開催した希望郷いわて大会では、障がいのある人もない人も互いに尊重し、ともに支え合う姿を全国に発信し、共生社会の実現に向けて大きく貢献することができました。
 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に当たり、一人一人が互いを認め合うという基本コンセプトのもと、全国で12カ所が認定されている先導的共生社会ホストタウンに遠野市が登録され、共生社会の周知と理解を深める取り組みを先駆的に進めるなど、県内においても共生社会を育む機運が高まっています。
 いわて県民計画(2019〜2028)においては、障がい者が安心して生活できる環境の整備や、社会参加の促進、障がい者スポーツへの参加機会の充実や、障がい者アスリートの競技力の向上などに取り組むこととしており、こうした取り組みを通じて、障がいのある人もない人も共に学び共に生きる岩手県づくりを推進してまいります。
〇工藤勝子委員 知事から遠野市という話もありました。遠野市では、障がい者の5人制サッカー競技のブラジル代表と、いろいろ交流などに取り組んでおります。このブラジルチームは、連続4回、優勝しているチームなのだそうであります。そういう交流をきっかけといたしまして、ホストタウンとして郷土芸能、スポーツも行われましたし、さらには活躍されている選手の姿に多くの児童生徒たちは勇気、そしてまた感動を与えられたと思っております。
 県では、今後、このレガシーを活用して、どのように障がい者スポーツの振興を推進していくのかお伺いいたします。
〇達増知事 本県においては、現在のところ、19市町村がホストタウンに登録されており、このうち共生社会ホストタウンとして、遠野市がブラジルを相手国に登録され、スポーツ交流や共生社会推進フォーラムの開催を通じた文化交流など、積極的に展開されているところです。このような、ふだん触れ合う機会がない海外の障がいのある方々との交流は、特に、次代を担う子供たちにとって貴重な体験であると認識しております。
 さらには、パラリンピック聖火フェスティバルが県内全市町村で実施されることとなっており、県民の障がい者スポーツに対する関心がさらに高まることが期待されます。
 このようなことを踏まえ、県では、当初予算案において、例えば障がいのある子供たちが車椅子バスケットボールや車椅子テニスに身近に楽しく親しむための用具の整備、活用事業などを盛り込んでおり、障がい者スポーツへの参加機会の拡充や理解促進の取り組みを、市町村や県障がい者スポーツ協会、競技団体等と連携し、一層強化してまいります。
〇工藤勝子委員 では、環境整備についてもお伺いいたします。
 政策評価結果等の政策等への反映状況報告書によりますと、障がい者スポーツへの参加機会の充実、スポーツ活動を支える指導者等の養成に取り組むことが記載されております。具体的な取り組みとして、スポーツ教室はどのような場所で行われているのでしょうか。また、障がい者が使用できる体育館や屋外競技場など、スポーツ施設はどの程度提供されているのでしょうか。また、あわせて、現在の指導者数はどの程度で、今後、どれくらいの人数を養成しようとしているのかお伺いいたします。
〇保副知事 まず、スポーツ教室につきましては、今年度、県の委託事業としてボッチャ教室、グラウンドゴルフ教室、登山教室など、障がいのある方が利用できるトイレやスロープなどを有する施設を会場といたしまして、10市で、全部で18回開催してきたところでありまして、来年度におきましても同様の規模で実施するように計画しております。
 次に、障がいのある方々が利用可能な県内のスポーツ施設につきましては、岩手県ユニバーサルデザイン電子マップ―これはホームページなどで公開をしておりますが、この施設の数で申し上げますと、24の市町村に体育館やプール等の屋内の施設が56施設、サッカー場、野球場等の屋外の施設が24施設、合わせて80施設となっております。
 また、障がい者のスポーツの指導者については、公益財団法人日本障がい者スポーツ協会が認定する指導者でカウントすると、令和2年1月末現在で、県内では263名の方が登録されております。いわて県民計画(2019〜2028)の第1期アクションプランにおきましては、この登録者数を、令和4年度までに300人にふやす目標を設定しているところでございます。
〇工藤勝子委員 障がいがあっても生き生きと社会の中で生活していける環境というのは、非常に大事だと思っております。
 通告はしておりません。答弁も求めませんが、私も遠野選挙区でありまして、斉藤信委員が県立遠野病院のいろいろな課題を提起されております。私は、県立遠野病院にもっと医療資源の確保を充実してほしいと思っております。そして、市民から信頼される医療体制になりますよう、県医療局の御指導、御支援を心からお願い申し上げまして総括質疑を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇柳村一委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇保副知事 先ほど県内企業の撤退、縮小が令和元年度にどのくらいの件数があったかということにつきまして、通告が私のところに来なかったということで大変申しわけありませんでした。
 令和元年度に撤退した企業は今のところないということでございます。撤退と言ってもいろんな形態がありますけれども、小規模なもので事業を縮小したりというのはあるかと思いますが、なかなかその辺は県として把握することが難しいので、撤退という明確なものでございますとゼロということでございます。
〇柳村一委員長 次に、山下正勝委員。
   〔山下正勝委員質問者席に着く〕(拍手)
〇山下正勝委員 無所属の山下正勝でございます。
 これから総括質疑をさせていただきます。ほかの委員と質問が重複する部分もあり恐縮ですが、私なりに県政の重要課題と認識しておりますので、御理解いただきたいと思います。
 初めに、中山間地域の圃場整備についてでありますが、本県の中山間地域は、農業生産や耕作面積の8割を占めるとともに、県土の保全、自然環境の維持、水源涵養、伝統文化の継承などの多面的機能を有する重要な地域であります。しかし、平地地域に比べ人口減少の度合いが大きく、農業者の高齢化も進んでいることから、農地等の維持や生産活動の継続が困難になることが懸念されております。このため、県では、いわての農業農村整備の展開方向を平成31年3月に策定し、中長期的な視点で今後の施策の展開方向を明確にしたところであり、本県の最重要施策の一つである圃場整備事業は、これまで、北上川流域を中心に、県内53地区で区画整備や用水のパイプライン化などの整備が実施されるとともに、35地区で計画策定が進められていると伺っております。
 中山間地域という条件不利地において、これらの営農に取り組もうという意欲のある農業者は地域を守る担い手であります。こうした方々からは、早期の着工や事業進捗を待ち望んでいる一方で、厳しい条件や農業従事者の減少に伴う種々の課題を懸念する声も聞こえているところであります。
 令和2年度の当初予算案では、中山間地域の圃場整備を実施する経営体育成基盤整備事業費、中山間地域総合整備事業費が計上されておりますが、県は、中山間地域の圃場整備における課題をどのように捉えているのか、御所見を伺います。また、その課題の解決に向け、今後、どのように取り組みを進めていこうとしているのか、あわせてお伺いします。
〇保副知事 今、委員からお話がありましたとおり、さまざまな課題を抱えております中山間地域において、圃場整備の導入は、担い手の確保あるいは農地の利用集積といった大きな課題を解決するための契機になるものでございます。このため、県では、これまでも国に対して、整備がおくれている本県の中山間地域の実情を強く訴えながら、農業農村整備事業の予算の確保に取り組んできております。
 県内の中山間地域は、急勾配あるいは農地の分散といった中山間地域特有の条件があることから、大区画にこだわらない区画整理や水田の汎用化など、それぞれの地域に応じ、きめ細かな整備が求められていると承知しております。ただ、国の採択要件の関係などによりまして、早期に地域の要望に応えるには国庫補助事業だけではなかなか難しい面があるという実情もございます。
 これまで、県単独で実施してきた活力ある中山間地域基盤整備事業に、新たに耕作放棄防止対策、農業用用排水施設整備のメニューを追加し、事業内容を拡充し、事業名もいきいき農村基盤整備事業に変更いたしまして令和2年度の当初予算案に盛り込んでおります。
 今後とも、さまざま地域のニーズに応じて、それに沿った整備をできるだけ早く進めていきたいと考えております。
〇山下正勝委員 ぜひ、中山間地域に対しても御支援いただきたいと思います。
 次に、県産木材の利用推進についてでありますが、昨年4月に、岩手県県産木材等利用促進条例が施行され、また、本議会において、県産木材等の利用促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、10年間を計画期間とする岩手県県産木材等利用促進基本計画が議決されたところであります。今後、本条例などに基づき、住宅や公共施設、商業施設を初めとした民間非住宅建築物での木造化、内装木質化による県産木材の利用促進や、実際に県産木材を利用する県民等の意識醸成を積極的に進めていく必要があると考えますが、令和2年度以降、どのような取り組みを図っていくのか御所見を伺います。
〇保副知事 県では、これまでも建築士の方々を対象とした木造設計の技術講習会の開催―これは、これまで以上に、一般の住宅のみならず、さまざまな建築物等において木材を利用してもらいたいということから、設計者の技術の研修会を開催するものでございます。そのほか、民間事業者に木造建築に精通したアドバイザーを派遣するなど、民間での県産木材の利用促進に取り組んできており、これは今後とも継続してまいります。
 また、県におきましても、率先して木材を利用していくことで、例えば、今年度着手いたしました県立福岡工業高等学校の校舎の整備に当たりましては、構造を木造といたしまして、一部にCLTと言われる部材を採用するなどの取り組みも進めております。
 こうしたことに加えまして、今委員からお話がありました県民の皆様の意識醸成ということも非常に大事であることから、令和2年度当初予算案にはいわての県産木材利用促進事業費を盛り込み、県産木材等利用推進月間を10月に設定し、この時期を中心といたしましてフォーラムを開催、あるいは子供たちが木のおもちゃなどに触れる機会となるイベントを開催して、機運の醸成、意識の醸成を図っていきたいと考えております。
 先日議決いただきました岩手県県産木材等利用促進基本計画に基づきまして、今後とも取り組みを積極的に進めてまいります。
〇山下正勝委員 林業は宝、財産でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、漆産業の振興についてでありますが、平成27年2月に、文化庁が国宝、重要文化財建造物の保存修理に使用する漆の100%国産化を表明したことに伴い、国産漆の需要が高まってきております。こうした中、国産漆の約7割が生産されている二戸市では、平成30年12月に浄法寺漆の地理的表示保護制度の認証を受け、他産地との差別化が図られたところであります。また、県では、漆の生産拡大のほか、漆産業振興のため関係機関等と情報共有を図るとともに、漆製品の高付加価値化や漆文化の魅力発信に取り組んできたところであります。
 文化庁によると、文化財の修復に必要とされる漆の需要量が年間約2トンとされ、計画的な修復のほか、昨年10月の首里城焼失が記憶に新しいところですが、台風等により被災したものの修復などを含めると、今後ますます漆資源の確保が必要とされ、原木の確保は大きな課題となっております。
 今後の県産漆の生産拡大と安定供給のため、漆原木の確保に向けた取り組みが必要であると考えますが、これまでの取り組み状況と今後の対応について御所見を伺います。
〇保副知事 県産の漆は、おおむね15年生以上の漆の木から約半年間をかけまして樹液を取り尽くして、その後切り倒すという方法で生産されております。このため、持続的な生産を行うためには、伐採後、新たに植栽し、漆の木を育成していくことが必要であります。このため、漆の主産地である二戸市におきましては、昨年5月に、二戸市ウルシ林創生植栽計画を策定いたしまして、年間2トンの漆の生産に向けて漆林の造成に取り組むということでございます。地元の森林組合では、今年度から新たに漆苗木の増産も開始しております。
 県では、国庫補助事業を活用いたしまして漆の植栽への助成、あるいは漆の種子の発芽率向上に向けた試験研究に取り組んでおり、今後とも、二戸市を初め関係機関、団体等と連携して漆の木の生産拡大を図り、国内最大の漆の産地として持続的に発展できるように取り組んでまいります。
〇山下正勝委員 次に、御所野遺跡の世界遺産登録に向けた取り組みについてお伺いします。
 まず、県民の機運醸成についてでありますが、御所野遺跡を含めた北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録については、昨年7月、国の文化審議会世界文化遺産部会においてユネスコへの推薦候補資産として正式に決定し、本年1月には、政府より、ユネスコ世界遺産センターへ登録推薦書が提出されたところであり、今後、イコモスによる現地調査や評価結果の勧告を経て、令和3年の夏には登録の可否が決定される予定と伺っております。登録の実現に向けて国内外へのアピールも必要でありますが、まずは地元一戸町を初め、県民一丸となった機運醸成を図ることが重要であると考えております。
 これまでの取り組みの成果と課題についてどのように認識されているのか、また、今後どのような取り組みが必要であると考えるのか、御所見を伺います。
〇達増知事 一戸町においては、地域住民の皆さんが長年にわたりさまざまな取り組みを展開されてきており、特に地元の小学生たちが、御所野愛護少年団を結成し、ガイド役として活躍している姿は県外からも高く評価されており、大変誇らしいことと受けとめております。
 県では、平成23年度から毎年度、地元一戸町のほか、盛岡市などを会場として、県民を対象としたフォーラムを開催するとともに、縄文時代に触れて学んで楽しむ総合イベント、御所野縄文WEEKや、縄文の夜の暮らしを体験するごしょのJOMONナイトなどを実施し、機運醸成の取り組みを進めてきたところであります。
 今後においては、国内のみならず、海外からの来訪者が増加することなど、世界遺産登録後を見据えた対応を進めることが重要であると考えます。このため、縄文遺跡群の魅力についての情報発信を一層強化していくとともに、しっかりとしたおもてなしなど、次代を担う子供たちや地域住民の皆さんに加え、地元産業界や周辺市町村と連携した広域的な厚みのある取り組みとなるよう、支援を行ってまいります。
〇山下正勝委員 次に、世界遺産を活用した観光振興についてでありますが、今後、御所野遺跡が登録された場合、全国では奈良県に続き、1県で三つの世界遺産を有することとなります。世界遺産という看板は、観光誘致の要素としては最高のブランドでありますが、これまでの登録地域を見ますと、登録の翌年に観光客数が増加するものの、その後、徐々に下降線をたどる傾向が見受けられております。幸いにも、本県では、令和2年度から令和3年度にかけて、橋野鉄鉱山が登録5周年、平泉の文化遺産が登録10周年などの大きな節目を迎えるとともに、東北デスティネーションキャンペーンの開催が予定されるなど、世界遺産県岩手を国内外にアピールする絶好の機会が訪れようとしております。
 世界遺産の観光への活用については、さきの一般質問においても、内外に向けた情報発信や周遊バスツアーの造成支援に取り組むとの答弁がありましたが、改めて、今後見込まれる観光客数の増加を一時的なものとしないための取り組みが必要であると考えますが、御所見を伺います。
〇達増知事 本県は、全国でも数少ない世界遺産を複数有する県であることから、世界遺産と沿岸、県北地域へのバスツアーや、御所野遺跡を含む二つ世界遺産をめぐるバスツアーの造成を支援するなど、世界遺産を核とした全県への広域周遊に取り組んでいるところであります。
 本年は橋野鉄鉱山の世界遺産登録5周年、東北デスティネーションキャンペーンが展開される令和3年は平泉の世界遺産登録10周年、そして、同時に御所野遺跡の世界遺産登録が見込まれるなど、本県が世界遺産の県として国内外から注目される機会となります。
 このため、現在、地域が主体となり、世界遺産とその周辺の観光コンテンツの魅力を高め、磨き上げていく観光地づくりを進めており、東北デスティネーションキャンペーンに向けて、世界遺産を大きなテーマに、青森県や秋田県などとも連携し、広域を周遊するルートの構築、売り込み、情報発信を行うこととしております。
 北海道・北東北の縄文遺跡群の南の玄関口に位置する御所野遺跡は、地元の小学生がガイドをしたり、縄文時代を体感できる特色を持つ遺跡であることから、今後においても、それらの特色を地域が主体となってさらに魅力あるものにしていくとともに、県北の観光コンテンツを磨き上げ、それらをつなぐ広域観光ルートを構築し発信をしていくことで、世界遺産登録を機に、訪れる観光客のリピーター化を図ってまいります。
〇山下正勝委員 私も一戸町出身でございます。町民は期待していますので、県の皆さん方の御協力を得ながら、新しい観光地として頑張っていきたいと思います。
 以上で総括質疑を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇柳村一委員長 次に、上原康樹委員。
   〔上原康樹委員質問者席に着く〕(拍手)
〇上原康樹委員 無所属の上原康樹でございます。きょうは四つ質問がございます。
 初めに、新型コロナウイルス感染症について伺います。
 私ごとですが、バス通勤でございます。朝夕のバスは結構混んでいまして、隣のつり革の方がごく普通にせき込んでいることがあります。岩手では、けさの段階で15件のPCR検査が行われ、皆さん陰性でした。新型コロナウイルス感染症ではなかったと聞いています。よかったというより、私は、これを見て異様に少ない検査件数に驚き、逆に不安になってまいります。
 知事に伺います。県民の懸念、不安は理解されていますでしょうか。
〇達増知事 世界的な新型コロナウイルス感染症の広がり、また、日本のお隣の中国から発生しているということで、武漢での発生の段階から日本でも広く報道され、じわじわと日本国内でも感染者が見つかりました。そしてダイヤモンド・プリンセス号のさまざまなこともあり、また、東北では、ダイヤモンド・プリンセス号を下船された方の感染が宮城県で見つかったという状態であります。首都圏の東京都と神奈川県と千葉県を合わせますと、大体北海道と同じくらいの感染者数となり、そこに挟まれた東北の岩手県でありますので、県民の皆さんの不安、心配が高まってきていると私も感じております。
〇上原康樹委員 それにしても、感染症の問題が、いつの間にかトイレットペーパーの買い占めなど、社会の混乱の中で混沌とした様子に見えてきております。
 そこで、知事に、原点に戻って質問いたします。今回の一連の流れ、大型クルーズ船のこと、進まない検査のこと、学校の休校のことはもう既にお話が出ましたのでこれは結構ですが、こうした政府の初動対応を、知事はどうごらんになりましたでしょうか。知事なら、どう対応されていたかということもあれば、お聞かせください。
〇達増知事 今の段階から過去を振り返りますと、日本は国立感染症研究所を中心とした体系で検査を行い、対策を講じてきたわけでありますが、民間部門の検査機能もフル回転させれば、中国、韓国にまさるとも劣らぬ日本でありますから、早い段階から中国や韓国のように1日数千件の検査ができる体制を構築し、そのもとで、日本における新型コロナウイルス感染症の広がりの状況をより正確に捉えながら、それに応じた適切な対策を講じていればよかったのではないかと。自分が国のしかるべき立場にいたとしたら、そのようにしなければならなかったのではないかと思います。
〇上原康樹委員 岩手という地域性、医療体制に応じた自主的な判断、対応を打ち出されるのかと私は注目していたのですが、思いのほか知事は静かでした。待ちの姿勢であったと感じるのは、私の誤解でしょうか。
〇達増知事 岩手県内でまだ感染者が出ていない状況の中で、県の感染症対策としては、感染者が適切に医療を受け、そして回復されていくこと、そして、その感染者からさらに感染が広がらないようにしていくことが県の感染症対策の事務の中心になりますが、まだ岩手はそこに取り組む段階には至っていないという状況にございます。また、準備状況については、さまざまな機会に県民の皆さんに紹介してきているところであります。
 それから、トイレットペーパーの問題につきましては、典型的なデマといいますか、ガセネタといいますか、そのことに関して責任のあるところから出た情報ではなく、本来、無視すべき情報に基づいて異常なことが起きたわけで、そのような場合には、流通でありますとか国内におけるトイレットペーパーの生産に責任を有する経済産業省が責任を持って情報発信をすることが、この手の情報対策としては王道だろうと考え、県は、経済産業省の情報を県のホームページで引用するなどしていたところであります。
〇上原康樹委員 東北各県は、互いに様子を眺めているだけでしょうか。1県だけ検査に向けて大きく踏み出すのは、何か許されないことでもあるんでしょうか。
〇達増知事 1日20件の検査体制でありますけれども、テレビなどにも出ていますが、40の升があるプレート1枚で検査をすることになりますので、1人、上気道、下気道それぞれから1検体ずつとった2検体で20人を一度に検査できるのですが、例えば1人分の検査だけをそれでスタートさせてしまいますと、5時間前後ぐらいでしょうか、その間、ほかの検査ができなくなります。そのため、一気に20人分来れば、それは一気にできるのですけれども、5時間ぐらいずつ間を置いて検査の依頼がずれてきますと、1日にできる検査の量はかなり限られてまいります。そして、ここ一、二週間が瀬戸際、重大な局面という政府の発表と、全国一律の学校休校という中で、岩手県においては首都圏あるいは全国の情報を入手し切れてはいない状況の中で、1日に集団感染、クラスター感染が複数起きてきますと、今の岩手の体制では足りなくなり、県外に応援を求めなければならない状況になります。県としては、まず検査については一人一人の検査に対応しながらも、クラスター感染、集団感染が出たときの検査にも備えていなければならないという状況であり、他方、検査は多くできるにこしたことはないですので、今年度内に検査の器械をもう一つ買うような増強を図っているところであります。
〇上原康樹委員 いずれにしても、刻々の状況変化に即応して、県民へのメッセージを間断なく出していただけるようお願い申し上げます。
 次の質問です。東日本大震災津波の伝承についてです。
 東日本大震災津波からの復旧、復興が進む一方で、記憶の風化が懸念されています。その中で、昨年、陸前高田市に東日本大震災津波伝承館がオープンしたことは意義深いことだと思います。私もあれから3度訪ね、この9年間という歳月をかみしめました。ただ、伝承館を訪ねるほどに感じることがあるのです。伝承館内部の展示内容が、何か足りないと思うようになりました。それは、津波の恐ろしさです。目の前に迫る津波、皮膚感覚で捉えた津波、想像を絶するあの日がどうも伝わらない、そんな気がしています。とりわけ、動く映像が足りないと思います。津波の記録動画は多く存在するはずです。伝承館の展示はいろいろな配慮の末の選択かもしれませんが、動く映像は一部に限られているようです。
 一方で、発災当時、国は総力を挙げて事態に対応したことなど、頑張ったお役人のことは実に丁寧に描かれているのですが、住民の、被災者の方々のあの日々の記憶が足りない。広島の原爆投下を今に伝える資料館の展示に比べますと、未来永劫、東日本大震災津波を伝え続けるという思いが十分に表現されていないように感じますが、知事の所見を伺います。
〇大槻復興局長 東日本大震災津波におきましては、津波来襲時の様子を初め多くの映像が残されており、これを活用して津波被害の事実として紹介していくことは、東日本大震災津波伝承館の展示構成上、重要な要素であると考えています。
 伝承館で上映する津波映像は、児童生徒から大人まで多様な来館者を想定して、高田松原津波復興祈念公園震災津波伝承施設検討委員会の皆さんの監修のもと、膨大な映像資料の中から使用する映像の選定や編集を行い、制作したところでございます。
 津波映像は、人により強いストレスを感じる可能性もありますことから、検討委員会の委員が映像を個別にチェックをしながら、例えば津波来襲時の悲鳴とか波にのまれてしまう映像などは映像から除かせていただいたところでございます。
 実際の来館者には、津波映像を見て途中退席したり、最初から見ないという方もいらっしゃるところでございますけれども、館内では、シアター入口の注意書き、それから、映像冒頭のテロップによりまして、津波映像についての注意喚起を行っておりますほか、解説員が口頭でも来館者に対し注意を促すなどの対応をしているところでございます。
 委員からお話のありました膨大な映像資料は当然ございますことから、今後、来館者の実際の反応とか、メッセージボードも用意させていただいておりますので、そこでの感想を見させていただいて、そういうものを参考にしながら、委員会も常設しておりますので、その委員会の先生方の意見も聞きながら、展示内容の方針も考えてまいりたいと思います。
 東日本大震災津波の事実と記憶については、今後も展示や解説を通じてしっかりと伝えていくよう、取り組んでまいりたいと思います。
〇上原康樹委員 私としても、現在の展示内容を出発点として受け入れたいと思います。さらに進化させていく計画はどうなっているのか、住民参加の展示内容検討の場についてはどうか、予算の確保も含めて、県としての方針を改めてお聞かせください。
〇大槻復興局長 個別に展示内容が毎年1回とか予定をされているものではございませんが、例えばエントランスの大型マップなどにつきましては、今現在復興途上でございますので、道路とか公共施設のインフラはどんどん変わっております。こういったものについては随時、これらの状況に合わせて更新する予定でございますし、来年度の当初予算案でも、東日本大震災津波伝承館管理費の中に68万円ほど計上しているところでございます。また、電子機器が非常に多い施設でございます。タブレットやモニターなどの電子機器は、ソフトウエアの更新や耐用年数に合わせて更新し、これらについてはその都度予算措置をし対応していきたいと思っております。
 それから、委員からお話をいただいた展示内容ですが、東日本大震災津波の事実と教訓を発信していく上で、よりよい展示素材の有無についての調査、収集を続けていかなければならないと考えております。来館者や東日本大震災津波伝承館運営協議会の委員の皆さんの意見も聞きながら、写真、動画、それから展示品について随時適切に見直しをしていく考えでございます。
 こういった展示内容の見直しに係る財源につきましては、伝承館の運営についても昨年10月からふるさと岩手応援寄付の対象事業に加えていただいたところでありますので、これらの財源も活用しながら対応させていただきたいと考えております。
〇上原康樹委員 3番目は移住促進についてです。
 特定非営利活動法人100万人のふるさと回帰・循環運動・支援センター―ふるさと回帰支援センターでは、移住相談を行っておりまして、昨年の相談の件数は4万9、401件で過去最多だったそうです。その相談の中で、希望移住地のトップが長野県だったそうです。私はその故郷を振り切って、岩手県での永住を決めたところでございます。
 発表は20位までで、岩手県は20位以内に入っておりませんでした。これだけをもって岩手県がだめだなどとは思いませんが、この状況を県としてどう分析されますか。
〇保副知事 東京都にありますふるさと回帰支援センターに相談をされる方々がどういう都道府県に関心を持っているかということですが、やはり長野県、山梨県といった関東圏に近い県は、東京から見た場合の距離の近さ、それから、昔から東京の方々からみて自然あふれる豊かな土地というイメージがまだまだ強いということで、ある意味、移住の先としてどうかということも大事ですが、ごく普通の人気投票という面もあるのではないかと感じているところでございます。
〇上原康樹委員 私は、岩手県に人を呼び込む、関係人口をふやすという県の根本的なものの考え方についてお尋ねしていきたいと思います。
 岩手県で暮らし、働き、子供を育てる。こういう言葉を幾度も声にしていますと、人口をふやしてもらって、県の形を支えてもらいたい、維持してもらいたいというニュアンスに聞こえてきて仕方ありません。もちろん、地方が消滅しては元も子もありませんから、県が必死になるのはよくわかります。
 ここで達増知事。そもそも移住を思いめぐらす人々の動機、決断の原点は何だと思われますか。
〇達増知事 岩手県として人口問題に取り組むに当たって、さまざま個人が持つ居住、移転、引っ越しの事由、また、職業選択の事由、そしてつくる家族の形をどうするか等々の事由の観点と、県の政策としての人口減少対策を突き詰めて考える中で、いわて県民計画(2019〜2028)の基本目標にあるように、個人の幸福、憲法が定める幸福追求権の保障をベースとし、一人一人の幸福の形として、岩手に住むとこんなふうに幸福度を高められますよ、岩手で働くとこんなふうに幸福度を高められますよというアプローチが有効であるということから政策体系をつくっているところであります。
 移住、定住される方にはいろんな思いがあると思うのですけれども、岩手県に移住、定住することによって幸福度を高めることができる。そういったところに、うまく県の政策が響き合うような形でアプローチしていければと思います。
〇上原康樹委員 本当にそのとおりだと思います。本当により幸せに、より心豊かに生きたいというその一心で、少しぐらい不便でも、少しぐらい収入が減っても、この土地にかけようと思う、その心が原点だと思うのです。仕事だけを考えれば、賃金や仕事の内容などは都会に到底及ばないかもしれない。けれども、それでもあえて、この岩手県で生きる価値に気づく人もいるわけです。岩手県への移住促進、これはもう、人口減少対策という枠組みから離れて考える時期に来ているのではないでしょうか。
 岩手県で生きる値打ちを説き続け、宮沢賢治になり切って語り続け、移住を心に決めてもらう。そこで初めて、仕事、住宅、子育て環境、移住のための資金援助の話になっていくのではないかと思うわけであります。そこへの道のりは極めて文学的であって、哲学的な世界になるかもしれませんが、発信する我々岩手の者にとっても、これは岩手を心の中で再発見する、ときめく活動にもなるはずだと思うのですね。
 岩手県への移住促進、人口の創出へのアプローチの仕方、問い直すことについて、もう一度知事のお考えをお聞かせください。
〇達増知事 岩手のよさにほれ込んで、会社の異動の中で岩手に残り続け、ツイッターなどを利用して岩手のきれいな景色も発信し、そして会社をやめられてからもそのような発信を続けている方もいらっしゃいますし、また、その写真には言葉が伴っていまして、そこには宮沢賢治を育んだ文学の国、岩手県の風土を感じさせてくれるものがあります。若い方では、いわてダ・ヴィンチにもインタビュー記事が載っていますけれども、くどうれいんさんは、中学生、高校生時代に、岩手県で文学の分野で活躍し、一旦県外に大学進学をしたのですけれども、Uターンで戻ってきて、県内の広告代理店に務めながら、銀河鉄道通勤OLという連載をPOPEYEでしたか、全国的なファッション雑誌に連載しております。そのような若い人もいて、そこにもやはり宮沢賢治を育んだ文学の国、岩手県ならではの岩手愛、そして発信があります。やはり、岩手県はそういうところを大事にしながら、移住、定住、Uターン、Iターンというものを働きかけていきたいと思います。
〇上原康樹委員 知事のワールド炸裂のお答え、ありがとうございました。
 最後の質問は明るくします。東北デスティネーションキャンペーンが来年4月1日からです。瞬く間にやってきます。それを前に、ことしの6月2日に、各県の関係者が仙台市に集まって会議が開かれ、各県の観光素材のプレゼンテーションが行われるとのことですが、岩手県の観光素材の中心、柱はどうなりますでしょうか。狙い、思いをお聞かせください。
〇達増知事 東北デスティネーションキャンペーンについてですが、岩手県の魅力は、二つの世界遺産と二つの国立公園、早池峰神楽を代表とする民俗芸能、マツタケやウニ、アワビなどの豊かな山海の幸、八幡平のドラゴンアイや北山崎などの絶景、南部鉄器や漆器を初めとする伝統工芸品、震災遺構や震災伝承施設、各種の体験コンテンツなど、岩手県ならではの多彩な資源を有しているところが魅力でございます。
 今回のこのキャンペーンでは、このような岩手県の多彩ですぐれた観光資源を、復興や桜、城といった東北6県共通テーマを設定して発信していく予定でありますが、ほかに、県独自に平泉の世界遺産登録10周年や世界遺産登録が見込まれる御所野遺跡、いわて牛や三陸の海の幸など、黄金食財を活用した美食旅といった岩手県の豊かな資源に着目したテーマを設定し、強く発信していきたいと考えております。
 キャンペーンに向けては、ことし6月に開催される全国宣伝販売促進会議を初め、国内外に情報を発信していくとともに、期間中には、東北を旅する多くの観光客が岩手を訪れ、岩手の旅を通じて幸せを感じていただけるよう、私も先頭に立ち、市町村、観光関係団体、民間事業者、そして県民の皆様とオール岩手でPRしていきたいと思います。
〇上原康樹委員 東北はいいところです。温泉、地酒、祭り、民謡、古典芸能、豊かな自然、海、山の幸、ゆったりと流れる時間、そして純朴な人情。これらは、東北共通のセールスポイントですが、東北6県横並びで総花的になることを私は心配しています。岩手県としてどのように目立っていくおつもりでしょうか。
〇保副知事 東北6県全体での取り組みにつきましては、共通のテーマを設けて、そこに向けて6県が一丸となってやるというフレームはそのとおりでございますが、今お話がありましたとおり、その中から岩手県を選んでいただくということが必要であります。
 目立つということでありますけれども、岩手県ならではの、今知事から答弁申し上げましたさまざまな人々を引きつける魅力というものがありますので、さまざまな宣伝会議を初め、そういったところで打ち出して取り組んでいきたいと考えております。
〇上原康樹委員 東北に共通の観光素材としてお城がございます。城めぐりです。お城は外国人観光客にも大人気。そこで、厳しい財政状況の中での箱物提案は困難のきわみでありますが、清水の舞台から飛びおりる覚悟で申し上げます。知事、我が岩手の盛岡城天守閣復元はどうでしょうか。観光のみならず、まちづくりの基点になるとも思います。東北デスティネーションキャンペーンに乗じて検討できないものでしょうか。
〇達増知事 不来方城、盛岡城については、基本的には、盛岡市において盛岡城址の史跡としての整備ということで、さまざま周辺の部分でありますとか石垣でありますとか、そういう整備が進む中、建物についてもさまざま議論が行われているところと承知しております。民間からも、盛岡城、不来方城の建物部分の再建への期待の声というのは、私のところにもちらほら聞こえてきますし、また、日本のさまざまな県において、お城の建物の整備が地域振興に大きな役割を果たしていることも見聞きしているところであります。今は、盛岡市が取り組んでいる史跡の整備でありますけれども、県民の中にある盛岡城、不来方城再建の期待に県としてどのように応えていくことができるか、研究していきたいと思います。
〇上原康樹委員 夢を形にする予算、東北デスティネーションキャンペーンに花を添え、弾みをつける工夫に期待したいと思います。
 以上、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇柳村一委員長 以上で総括説明に対する総括質疑を終わります。
 知事を初め、執行部の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。
 これより各部局別の審査に入るわけでありますが、委員席の移動を行いますので、その間、暫時休憩いたします。
   午後2時4分 休 憩
午後2時27分再開
〇吉田敬子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これより各部局別の審査を行います。
 質疑につきましては、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、質疑項目が複数ある場合、関連する事項はできるだけまとめて質疑を行うこと、ほかの委員と重複した内容の質疑は極力避け、どうしても必要な場合には、関連質疑として短時間かつ簡潔に行うことを基本とすること、数値の確認のみの質疑や要望のみの発言は原則として行わないことについて御協力をお願いいたします。
 また、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑及び執行部の答弁は簡潔明瞭に行い、この後、議会、総務部、出納局、人事委員会、監査委員関係について延べ16人の質問者を予定しておりますので、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
 初めに、議会事務局長に議会関係の説明を求めます。
〇泉議会事務局長 令和2年度の議会関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 お手元の議案その1の6ページをお開き願います。議会関係の歳出予算は、第1款議会費の14億4、685万円余であり、これを前年度の当初予算と比較いたしますと9、918万円余の減、率にして6.4%の減となっております。前年度と比較し減となったその主な理由は、令和元年度で本会議場の放送設備の改修が終了したこと、議員会館の空調設備等の改修が終了したこと、及び議員改選に伴う議事堂及び議員会館の環境整備等が終了したことによるものでございます。
 予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げますので、予算に関する説明書の87ページをお開き願います。
 なお、金額の読み上げは省略させていただきます。
 第1款議会費第1項議会費のうち第1目議会費は、議員の報酬、旅費等の議会運営に要する経費であります。第2目事務局費は、議会事務局職員の人件費及び事務費等、事務局の管理運営に要する経費、県議会ホームページをウエブアクセシビリティーに配慮した仕様へリニューアルするための経費、並びにタブレット端末を試行的に導入し運用するための経費であります。次に、第3目議員会館費は、議員会館の管理運営に要する経費であります。
 以上で議会関係の予算について説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇吉田敬子副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇佐々木努委員 私は、議会棟の喫煙室について質問させていただきます。
 先日、議会運営委員会で、議会棟の喫煙室の存廃については意見の一致を見ないということで協議が終了したということでありますが、私は全く納得していません。
 その意味で質問させていただきますが、全都道府県の議会棟の受動喫煙対策についてどのようになっているのか改めてお聞きします。
〇泉議会事務局長 全国の都道府県議会における受動喫煙防止対策の実施状況についてでありますが、令和元年9月1日時点で、敷地内全面禁煙は5府県、敷地内禁煙で敷地内に喫煙専用室ありとするものが7府県、建物内禁煙9都県、建物内禁煙で喫煙専用室ありとするものが16道県、その他が10県となっております。
〇佐々木努委員 去年の4月1日現在で敷地内全面禁煙は秋田県と大阪府でしたが、現在は5府県になっているということで、ほかの都道府県の議会でもこの対策が進んでいることがうかがい知れると思います。
 お伺いしますが、秋田県はいち早く敷地内全面禁煙、敷地内に喫煙室もないという状況になっているわけでありますが、秋田県議会の検討の経緯がもしおわかりでしたらお聞かせいただきたいと思います。
〇泉議会事務局長 秋田県議会事務局からの聞き取りによりますと、平成30年10月から知事部局の県庁舎におきまして敷地内全面禁煙とすることに伴い、執行部から議会への協力要請を受け、秋田県議会において検討を行った結果、全会派一致で議会棟内を全面禁煙とすることが決定されたと聞いております。
〇佐々木努委員 執行部からそのような要請があって会派代表者連絡会でそのように決まったということで、我々県議会の議論のプロセスとはちょっと異なっているわけでありますが、私はすばらしい取り組みだと思います。
 なぜ秋田県議会が率先してそのような取り組みをしたかというと、肺がんの罹患率と死亡率の改善率が全国でワーストワンだったことが大きな理由だったと思います。特に、女性の肺がんの死亡率の改善率、これはがん対策情報センターがん情報サービスのデータをもとに、2007年から2017年の10年間の全国都道府県の肺がんの死亡率の改善率が出されていまして、特に女性は秋田県が突出して悪い。そして、その次に突出して悪いのが実は岩手県でありまして、秋田県と岩手県が女性の肺がんの死亡率の改善率が非常に悪いという状況を受けてのことだったと思います。
 私は喫煙を否定するわけでは全くありませんけれども、たばこが肺がんあるいは脳血管疾患に大きな影響を与えていることは医学的にも証明されていることでありますから、県あるいは県議会としての取り組みは当然だと思うわけであります。
 岩手県議会においては、岩手県がん対策推進条例を議会が発議してつくったというすばらしい取り組みがあるわけであります。そういう議会であるならばこそ、みずからの場所の受動喫煙対策……。これが即、受動喫煙対策につながるのかと思われる方もいらっしゃると思いますが、私は、県議会として、県民の健康問題や受動喫煙対策に一生懸命取り組むという意思表示をすることにつながることだし、何よりも県民の議会に対する信頼を得るためにも大事な取り組みだと思うわけであります。
 これは事務局長に聞いても仕方がないことかもしれませんけれども、そのようなことを申し上げた上で、今、議会に対して県民の方から議会棟の喫煙室の存廃問題についてさまざまな意見が寄せられていると思っておりますが、事務局長として、それらの県民の方々の思いなどについてどのように認識されているのか、個人的な思いで構いませんので、おっしゃっていただければと思います。
〇泉議会事務局長 佐々木努委員のおっしゃるとおり、県民の方々からは、議会に対しまして、フェイスブックあるいは電話等を通じて議会棟の喫煙室の存続についてさまざまな御意見を伺っておりますし、それを逐次情報として皆様に御提供しております。
 私の個人的な考え方といたしましては、やはり議員の皆様方で、十分協議してお決めいただくものと考えでおります。
〇佐々木努委員 無理な質問をして申しわけありませんでした。いずれ、多くの県民の方々は、今回の議会棟の喫煙室の問題については関心を持たれておりますし、少なくとも議会運営委員会で現時点で存続が決まったということに対して非常に不信感を持っておられます。このことについて我々は重く受けとめなければならないと思いますし、そういう意味では、ここに47人の良識ある議員の方々がおそろいですから……。たばこの振興とかたばこ農家の支援とか、そういうことに対していろいろ立場立場はあると思いますが、それとこれとは話が別だと私は思いますので、ぜひそのことについては議員各位の良識ある判断と行動に期待して質問を終わります。
〇斉藤信委員 私も、県議会の受動喫煙対策について質問したいと思います。
 今、質問にあったように、さきの議会運営委員会で、議会棟の喫煙室が、意見が一致しなかったということで存続と。残念な結果になりました。
 全国の都道府県議会の状況については、今、答弁がありましたが、21都府県で昨年の9月1日現在で建物内禁煙以上の措置がとられていると。東北でいいますと、この時点でそういう対策がとられていないのは岩手県と宮城県です。先日、1月末に北海道・東北六県議会議員研究交流大会があって、そのときに聞いたのですけれども、宮城県は、今開かれている議会で対応を協議して、基本的には建物内の禁煙は実施するという方向だと。そうしますと、岩手県議会だけ残ります、東北では。私は、これは本当に異常な事態ではないのかと思います。
 今、佐々木努委員が質問したとおり、二つ問題があると思います。受動喫煙防止対策というのは、本来、議員が率先して取り組むべき課題だと。あわせて、議員発議で岩手県がん対策推進条例を制定した。今、県は、このがん対策推進条例に基づいて計画を立てて、方針を立てて、その最も重要な課題として受動喫煙防止対策に取り組んでいるのです。ところが、県議会は、この議会棟の中に喫煙室を残すと。私はあり得ないと思います。議員が発議してがん対策推進条例を制定して、その中で最も重要な課題の一つとして受動喫煙防止対策に取り組んでいるときに、これはまさに自己矛盾ではないのかと。
 論理的なことだけ議会事務局長にお聞きしますが、是非ではなく、これは論理的に矛盾するのではないですか。
〇泉議会事務局長 議会事務局長といたしましては、こういうさまざまな問題あるいは賛否等ございますので、その件につきましては、やはり議員の皆様がそれぞれに十分議論をしてお決めいただくことと思います。
〇斉藤信委員 私は、是非ではなく論理的に矛盾するのではないかと聞いたのですが、なかなか難しい質問だったように思います。
 東北6県でいいのですけれども、受動喫煙防止条例の制定状況はどうなっていますか。
〇泉議会事務局長 東北6県でありますと、山形県と秋田県が既に条例を制定しております。今、青森県が3月の議会に条例を提案すると聞いております。
〇斉藤信委員 そうすると、東北の半分の県は受動喫煙防止条例を制定して取り組むと。当然これは議会も含めて受動喫煙防止に取り組みますよね。今、東北各県がこういう状況になっているのだということを私たちはしっかりと受けとめなければならないと思います。
 あわせて、県内市町村議会の喫煙室の状況はどうなっているでしょうか。
〇泉議会事務局長 県内市町村議会におけます受動喫煙防止対策の実施状況についてでありますが、令和2年3月1日時点で、敷地内全面禁煙は11市町村、敷地内禁煙で敷地内に喫煙専用室ありとするものが19市町村、建物内禁煙が3市となっております。
〇斉藤信委員 そうすると、県内の33市町村全て建物内禁煙ですよ。県議会と市町村議会を合わせても、岩手県議会だけが議会棟に喫煙室を置くと。これは県内の状況から見ても、本当に異様な状況、客観的に県議会はおかしいのではないかとなるのではないでしょうか。これも事務局長に聞くわけにいかないので、実態だけ率直に私は指摘しておきます。
 おととしから親子県議会教室が開かれていますが、親子県議会教室が開かれたときにはこの議会棟の喫煙室は閉鎖になると思いますけれども、そうなっていますか。
〇泉議会事務局長 昨年とおととし実施いたしました親子県議会教室におきましては、1日だけでございますが、喫煙室は閉じさせていただきました。
〇斉藤信委員 今、小中高校の一律休校によって、議会でも、子供が議会棟に来られると。私は、議会としては積極的な対応をしたと思いますが、子供が来られるときには、この喫煙室は閉鎖になるのですか。
〇泉議会事務局長 親子県議会教室ではございませんので、閉鎖すると決まったとは聞いておりません。
〇斉藤信委員 議会運営委員会の議論では、当然、子供が来る場合には喫煙室は閉鎖という議論になったのではなかったですか。
〇泉議会事務局長 2月28日の議会運営委員会におきまして、岩手県全域における「ダブルケア」支援を求めるための請願に関して傍聴される方がお子様をお連れするということで、会議室を用意していただけないかという御要望がございましたので、3月18日の常任委員会と、恐らく3月24日の本会議の日となりますが、これについては会議室を用意することにいたしました。その際に喫煙室は閉鎖したほうがよいのではないかということで、そのようにするという議会運営委員会での決定だと私は認識しております。
〇斉藤信委員 私は、今度の休校措置、それが大問題だとは思うけれども、しかし、議会棟に子供が来られるときには同じように喫煙室を閉鎖すべきではないですか。一貫性がないですよ、これ。
 親子県議会教室とか、子供が来たときには閉鎖せざるを得ないと。子供にとって危険なのは親にとっても危険なのですよ、リスクの度合いがあったとしても。そして、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約では、分煙というのは受動喫煙防止にならないと、これは明確にそういうふうになっているのです。
 私は、そういう意味で、議会運営委員会では意見の一致が見られなかったということで喫煙室が存続ということになりましたけれども、本当に議会運営委員会は、外では真剣に県民の皆さんと議論しながら、意見を聞きながら、継続的にこの解決のために取り組んでいくことが必要だと思います。これは指摘だけにとどめておきます。
 次に、県議会議員の海外視察の実施状況について、昨年度、今年度の全国の都道府県議会の海外視察の実施状況はどうなっていますか。
〇泉議会事務局長 平成30年度におけます全国の都道府県議会の海外行政視察の実施状況についてでありますが、実施が30府県、実施せずが本県を含め17都道県となっております。
 次に、令和元年度におけます実施状況についてでありますが、3月3日現在、実施が22県、実施せずが18府県、未定が7都道県となっております。
〇斉藤信委員 今年度は実施したのが22県で、今、未定というのはほとんどできないでしょうから、25都道府県が実施しないと。過半数が海外視察を今年度は実施しなかったと。背景には、統一地方選挙があったということがあると思います、有権者に配慮して。選挙があるときにまでとてもではないけれども行けないと。選挙があってもなくても、私は国民の感情、県民の感情は同じだと思います。
 岩手県議会は、昨年度も今年度も実施しませんでした。私は、東日本大震災津波からの復興の途上という点でも、岩手県議会における海外視察は見直しを検討すべき時期にあるのではないかと思います。
 私は、一律海外視察を否定するものではありません。しかし、当選すれば、4年に1回、議員は誰でも90万円上限の海外視察ができるというのは県議会議員の特権なのですね。そうではなくて、県議会が県政を進めるために必要だと思ったら、県議会として判断をして海外視察をするというシステムに変えるべきだと思いますが、事務局長、全国の動向も含めて、どうですか。
〇泉議会事務局長 全国の状況については先ほど申しましたが、議員の海外行政視察につきましては、平成14年6月28日の議会運営委員会において決定された議員派遣の運用についてに基づき実施しているところであり、実施に際しては、議会の議決を経て議員派遣として行っているところであります。
 海外行政視察のあり方等につきましては、議員間で十分御協議の上、お決めいただきたいと考えております。
〇斉藤信委員 今年度、25都道府県が実施せずという全国的な実態を踏まえて、岩手県議会の海外視察についてもあり方を見直すことが必要だということを指摘しておきたいと思います。
 最後の質問です。
 毎回、取り上げているのですが、政務活動費の領収書のホームページでの公開について、全国都道府県議会の実施状況、県内市町村議会の実施状況はどうなっているでしょうか。
〇泉議会事務局長 全国におけます政務活動費の領収書のホームページでの公開状況についてでありますが、岩手県議会事務局調べで、本年2月29日現在、大阪府、兵庫県など18都府県におきまして公開しております。
 また、県内市町村におけます政務活動費の領収書のホームページでの公開状況についてでありますが、これも本事務局で調べましたが、2月29日現在、盛岡市、宮古市など9市町において公開しております。
〇斉藤信委員 全国では、今、18都府県で実施していて、議会事務局の資料では、秋田県、新潟県を含めて2県が今後公開の予定だと。そうすると20都府県ということになります。半分近い都府県がもう既に実施していると。物理的、財政的な障害はほとんどありませんし、ましてや県内の市町村でも9市町が領収書の公開をホームページでやっていると。
 この領収書問題というのは、実は政務活動費―昔は政務調査費となっていましたけれども―全国で最初に領収書添付を実施したのは岩手県議会でした。いわば岩手県議会というのは、議会改革のある意味先頭を走っていた。今はどんどん全国の議会改革におくれて、できるものもやれるものもやらないと。
 これはぜひ、今後、各会派でも、また議会運営委員会や議会改革推進会議でも議論していただいて、透明な、県民に開かれた県議会を実現する上で、私はこれはすぐにでもできる課題だと思うので、こうした改革に取り組まれるように強く期待いたしまして私の質問を終わります。
〇吉田敬子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇吉田敬子副委員長 質疑がないようでありますので、これで議会関係の質疑を終わります。
 議会事務局の皆様は退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、総務部長に総務部関係の説明を求めます。
〇八重樫総務部長 総務部関係の議案について御説明申し上げます。
 議案の説明に入ります前に、令和2年度当初予算の編成に当たりまして、当部の基本的な考え方について御説明いたします。
 令和2年度当初予算は、東日本大震災津波からの復興を力強く進めるとともに、県民の幸福度の向上を図るいわて県民計画(2019〜2028)を軌道に乗せ、県民みんなが希望を持てる予算となるよう、自助、共助、公助による防災体制づくりなどを重点施策とし、予算を編成したところであります。
 自助、共助、公助による防災体制づくりについては、東日本大震災津波や近年の各種災害における経験、教訓を踏まえ、県民一人一人の防災意識の向上や、地域コミュニティーを基盤とした防災体制の強化、国、県、市町村、防災関係機関が連携し、防災、減災体制の強化などの取り組みを推進しようとするものであります。
 また、歳入の確保を図るため、県税につきまして、引き続き滞納整理の強化による収入未済額の縮減や課税対象の適切な捕捉などに努めるとともに、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策の実効性を高めるため、行政経営プランを推進し、将来にわたって安定的な財政構造の構築が図られるよう、中長期的な視点に基づき、歳出の重点化や行政の効率化に取り組んでまいります。
 以上が令和2年度予算編成に当たりましての総務部の基本的な考え方であります。
 続きまして、議案第1号令和2年度岩手県一般会計予算中、総務部関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 なお、説明においては、金額の読み上げ等は省略させていただくとともに、他部局への移管事業も含め、御説明申し上げます。
 お手元の厚い冊子、予算に関する説明書の89ページをお開き願います。令和2年度当初予算一般会計の総務部関係の予算総額は、共通経費、予備費を含み1、695億8、400万円余であり、前年度と比較し、33億円余の増額となっております。これは、税関係交付金など諸支出金の増額等によるものであります。
 それでは、予算の内容について御説明申し上げます。
 第2款総務費第1項総務管理費第1目一般管理費は、当初予算額28億8、926万円余のうち、総務部関係は、説明欄の上段に記載しております20億3、491万円余、説明欄の下段に記載しております共通経費の1億5、780万円を合わせた21億9、271万円余であり、職員の人件費などの管理運営費であります。次の第2目人事管理費は、ページをおめくりいただきまして、職員研修費や退職手当などであり、説明欄の中ほど、庁内保育施設整備費は、当該施設の整備に要する経費について計上しようとするものであります。次の第3目文書費は、法規審査事務や文書事務のほか、情報公開、個人情報保護制度の推進に要する経費であります。91ページに参りまして、第4目財政管理費は、財政管理事務や各種基金への積立金などであります。92ページをお開き願います。第6目財産管理費は、県庁舎や地区合同庁舎、職員公舎及び通信施設設備の更新、整備や維持管理などに要する経費であり、説明欄の下から4行目の財産管理費は、旧盛岡短期大学の校舎等の施設の解体に要する経費等を計上しようとするものであります。93ページに参りまして、第8目県外事務所費は、東京事務所の管理運営に要する経費であり、第9目恩給及び退職年金費は、恩給、退隠料及び扶助料等に関する経費であります。次の第10目諸費は、宗教法人設立認証事務や公益法人関係事務等に要する経費及び共通経費であります。
 少し飛びまして、98ページをお開き願います。第3項徴税費第1目税務総務費は、税務関係職員の人件費などの管理運営費や県税の還付に要する経費であり、第2目賦課徴収費は、個人県民税徴収取扱費交付金など賦課徴収に要する経費であります。
 100ページをお開き願います。第4項地域振興費第1目地域振興総務費のうち、説明欄の中ほど、ふるさと岩手応援寄付募集費は、ふるさと振興部への移管事業であります。
 少し飛びまして、106ページをお開き願います。第6項防災費第1目防災総務費は、地域防災力の強化等に要する経費であり、説明欄の中ほど、地域防災力強化プロジェクト事業費は、自助、共助、公助による防災体制づくりを推進するため、防災士制度を活用した自主防災組織の中核人材の育成を図るとともに、新たに、地域防災計画の策定支援などに取り組もうとするものであります。次の第2目消防指導費は消防に要する経費であり、107ページに参りまして、説明欄の下から4行目の消防団員確保対策費補助は、市町村が行う消防団の団員確保や機能強化の取り組みに対し、新たに補助を行おうとするものであります。
 次に、飛びまして、243ページをお開き願います。第12款公債費第1項公債費第1目元金、第2目利子及び第3目公債諸費は、県債の償還のための公債管理特別会計への繰出金等であり、表の下段の計976億7、386万円余のうち、総務部関係は974億1、052万円余であります。
 次に、飛びまして、246ページをお開き願います。第13款諸支出金第3項地方消費税清算金第1目地方消費税清算金は、都道府県間での地方消費税の清算を行う経費であり、次の247ページ、第4項利子割交付金第1目利子割交付金から第11項環境性能割交付金第1目環境性能割交付金までは、いずれも市町村に交付する交付金であり、250ページに参りまして、第7項法人事業税交付金第1目法人事業税交付金は、平成28年度税制改正に伴い、令和2年度から法人事業税額の一部を市町村に交付しようとするものであります。
 255ページをお開き願います。第12項利子割精算金第1目利子割精算金は、都道府県間での利子割の精算を行う経費であります。
 次に、256ページをお開き願います。14款予備費は、前年度当初予算と同額の3億円を計上しようとするものであります。
 恐れ入りますが、議案その1に移動いたしまして、議案その1の11ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、総務部関係は、1財産管理であります。これは、事業が翌年度にわたるため、期間及び限度額を定め、債務を負担しようとするものであります。
 以上で総務部関係の一般会計歳出予算の説明を終わります。
 続きまして、議案第8号令和2年度岩手県公債管理特別会計予算について御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、予算に関する説明書に移動しまして、379ページをお開き願います。令和2年度の公債管理特別会計の歳入、歳出それぞれの予算総額は1、618億6、214万円余、前年度と比較し、260億6、562万円余の減額であります。
 381ページから384ページは公債管理特別会計の歳入であり、県債管理基金の財産運用収入や、一般会計及び県債管理基金からの繰入金、並びに県債であります。
 次に、385ページをお開き願います。公債管理特別会計の歳出は、県債の元金及び利子の償還、県債管理基金への積立金及び銀行等引受債の発行手数料などであります。
 続きまして、総務部の予算以外の議案につきまして御説明申し上げます。
 重ねて恐縮でありますが、冊子がかわりまして、議案その2の15ページをお開き願います。議案第28号岩手県県税条例の一部を改正する条例について御説明申し上げます。これは、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部改正に伴い、所要の整備をしようとするものであります。
 次に、33ページをお開き願います。議案第31号岩手県手数料条例の一部を改正する条例中、総務部関係について御説明申し上げます。
 表中、別表第1の製造保安責任者試験の手数料についてでありますが、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律の一部改正に伴い、所要の整備を行うものであります。
 次に、44ページをお開き願います。表の中ほど、総務事務関係手数料のうち容器検査手数料等についてでありますが、地方公共団体の手数料の標準に関する政令の一部改正に伴い、政令の改正内容に準じて所要の改正をするものであります。
 次に、その下の別表第2についてでありますが、岩手県部局等設置条例の一部改正に伴い、表の題名を政策地域事務関係手数料からふるさと振興事務関係手数料に改めようとするものであります。
 以上で総務部関係の議案の説明を終わります。何とぞよろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇吉田敬子副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 早いもので、もうすぐ東日本大震災津波から満9年になります。本県ではいろいろな被害があったわけでありますが、特に特徴的だったのは、私は消防団員の被害が大きかったことにあるのではないかと思っているところであります。
 ちなみに、被災3県のうち、岩手県での消防団員の被害状況でありますが、岩手県は、亡くなった方、行方不明者合わせて119人であります。宮城県は108人、そして福島県は27人。岩手県が突出して多いのであります。
 不思議なのは、死者、行方不明者は119人でありますが、うち、殉職者、公務災害認定者が90人となっていまして、あとの29人はどういうことで公務災害認定者にならなかったのか。これは誰が決めたのか、どういうルールで決めたのか、まずここからお伺いしたいと思います。
〇栗澤防災消防課長 消防団の殉職者数についてでありますが、東日本大震災津波では多くの消防団員の方が犠牲となりましたが、このうち、水門閉鎖や避難誘導等の消防団活動中に犠牲となった、いわゆる公務災害で死亡と認定された方90名が殉職者の扱いとなっております。今お話がございましたとおり、その他29名は、消防団員の身分を有していましたが、津波発災時において消防団活動に従事していたことが確認できていない方でございます。
 次に、公務災害認定の手続についてでございます。
 消防団員の公務災害につきましては、消防団員等公務災害補償等共済基金が認定しているものでございますが、水門閉鎖や救助活動、避難誘導等の直接的な活動のみならず、屯所に向かう、いわゆる出勤途上や任務完了後の帰宅、避難途上など、幅広く認定されているようでおります。
 公務災害や弔慰金である賞じゅつ金の事務手続は基本的には市町村の判断で行うものでございまして、その可否については、私がお答えする立場にないと考えております。
〇伊藤勢至委員 そうすると、消防団員としての被服を着ていなかったから認定されなかったということではなく、救助活動あるいは消防活動をしなかったと。消防団員ではあるが、そういう活動をしなかったから認定されない、こういうことでいいのでしょうか。いいのですね。
 公務災害認定者には消防賞じゅつ金というのが出るわけです。ところが、これが16年間も改定になっていない。前にも指摘いたしましたが、この辺は、消防団の待遇の万一の場合の部分について、日本消防協会なりに要望を上げていくべきだと思っております。それもよろしくお願いします。
 しかも、県内の33市町村にそれぞれ消防団があって、これは固有の事務なわけでありまして、その中の消防団を統合するのが岩手県消防協会。そして、47都道府県の消防協会を統合するのが日本消防協会になっているわけでありますが、幸いにも現在、岩手県の消防協会会長が日本消防協会の副会長でありますから、そういう場での発言もあろうかと思いますので、そういう場を通じてぜひ働きかけをしていただいて、万一の場合の消防団の待遇という部分を確保していただきたいと思います。
 それから、消防団員も、地域に戻れば一家の大黒柱、あるいは地域の大黒柱の方々であります。そういう方々が119名も亡くなったということから、消防団員みずから、あるいは地域の皆さんから、消防団員にも避難ルールがあっていいという議論になってまいりました。それは大いに結構なことであります。みんなのために尽くすけれども自分の命も大事にする、こういう観点は当然あっていいと思っていますから、それはいいことだと思います。
 ただ、私が気になりますのは、それぞれの消防団ごとに対応が微妙に違うと思う点があります。例えば、津波の場合は沿岸地域に限られるわけでありますけれども、津波到達予想時刻の15分前に高台への退避を完了。そして、同じく10分前に高台への退避を完了。さらに、15分前まで活動、その後、高台へ退避。20分前まで活動、その後、高台へ退避。これがそれぞれ四つに分かれています。福島県でも宮城県でも、微妙にこれが分かれております。
 しかし、こういう生命にかかわるルールが、それぞれの市町村の統括の事務であるとはいえ、微妙に時間が違うというのは非常にまずいのではないか。シンプル・イズ・ベストと言いまして、命にかかわるルールというのは、日本の消防団、沿岸の消防団、全部統一して、例えば20分前まで活動し、その後、退避とか、そういうふうにしないと、早いところで10分、遅いところで20分なり30分なり。この時間帯に退避して助かった消防団員と、そのまま現場にいて救助活動に当たって流された消防団員の差が出てくるわけですので、これはやっぱり……。
 ここでそれっということにもいかないでしょうけれども、ぜひ消防協会を通じて、全国の消防では20分、30分というふうにシンプルに決めておくほうがいざ鎌倉のときに非常にいいと思うのですけれども、それについてはいかがでしょうか。
〇栗澤消防防災課長 消防団員の安全確保、避難ルールについてでありますが、沿岸12市町村においては、平成26年度までに、それぞれの地域の実情等を踏まえながら消防団活動・安全マニュアルを策定し、津波到達予想時刻までに団員が安全に活動や避難ができるよう、情報伝達の確立やルールを定めているところでございます。このマニュアル策定から5年以上経過していることから、道路整備等周辺環境の変化に応じながら、安全確保の視点でマニュアルの見直しを行うよう市町村に要請してまいりたいと考えております。
 それとあわせ、全県で共通した避難ルールの策定については、委員からお話がございましたとおり、ルールはシンプルなほうが間違いなく統一した行動ができると思料されますので、岩手県消防協会に要請し、見直しについての議論、取りまとめをお願いしたいと考えているところでございます。
〇伊藤勢至委員 これはそれぞれの市町村が必死になって一生懸命まとめたものだと思うのですが、ただ、自分のところの市町村のことだけでやっているのだとすると、やはり全消防団的な対応というのは時間差があって、それによって命を落とす、あるいは助かる、そういうことがあってはいけないと思いますので、ぜひひとつその辺をお願いしたいと思います。
 それから、北海道南西沖地震の奥尻島の場合は、地震が起こって5分で津波が来ています。それから、秋田県の男鹿水族館でしたか、あそこに子供たちが遠足に行って、お弁当を広げているときに地震が起きて、5分後にやっぱり津波が来て、十数人の子供たちがさらわれています。日本海の場合と太平洋は条件が違うかもしれませんが、津波到達予想時刻というものも慎重に考えていただいて、最大公約数といいますか、ぜひ消防団員も助かるように、そして住民の救助もスムーズにいくように。
 それから、一つ確認ですが、岩手県は今防潮堤を自動的にシャットアウトする方向になっています。震度何ぼかが来て、水門を閉めたと。そのとき、海側から水門を越えて退避していなかった人たちは、当然階段を上がって逃げなければならない。そういうとき、消防団がどこまで関与できるものか、その辺も含めた時間のセッティングがなければもったいないことになりはしないかと思いますので、佐々木総合防災室長、あなたからも一言聞いておきたいのですが、その辺も含めてお答えをいただいて終わります。
〇佐々木総合防災室長 消防団の皆様には、常日ごろから地域防災力の強化に御尽力いただいているところでございますし、また、一たび災害が起きれば、いち早く現場に駆けつけ避難する方の誘導に当たるという形で御活躍をいただいておりますので、消防団の皆様が安心して活動できるように、県としても必要な対応をとってまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 私からは、1点お伺いしたいと思います。
 今定例会では多くの議員の方々が県税収入の落ち込みについて話をしているところであります。東日本大震災津波から9年が過ぎようとしていますし、そういった中でいろいろな復旧工事等が整って、そろそろもうという話がなされました。そういったことも含めて、県税収入の落ち込みの要因を再度確認したいと思いますが、どのようになっているかお伺いしたいと思います。
〇奥寺税務課総括課長 県税収入についてでございますけれども、令和元年12月末現在の法人事業税の申告状況などを見ますと、復興需要の縮小や企業収益の減退等によりまして、建設業や食料品製造、電気機械製造を中心とした製造業で大きな落ち込みが見られましたところ、令和元年度の今般の補正におきましては、法人二税の税収見込み額を36億900万円減額するなど、県税全体では64億4、400万円の減額をしたところでございます。
 令和2年度当初予算におきましては、県税収入は、地方消費税が税率引き上げに伴い増収が見込まれますものの、法人県民税、法人事業税、あるいは軽油引取税につきましては今年度に引き続き減収が見込まれ、令和元年度当初予算に対しましては41億8、900万円の減でございますけれども、令和元年度の決算見込み額に対しましては22億5、500万円の増を見込んだところでございます。
〇城内よしひこ委員 今のお話の時系列でいうならば、昨年の多分盆過ぎぐらいから新たな年度に向けての予算づくりをしてきていると思いますし、そういう見込みの中で進めてきたものと思っております。
 今般、新型コロナウイルスの関係で、またいろいろなところで減収が見込まれると思います。国ではいろいろな対策をとるとは言っていますけれども、ただ、それが困っている方々に届くまでに大分時間がかかるのではないかと思っています。そういったことをまさにスピード感を持って対応してほしいと思うところであります。
 先ほど食品関係という話をされましたが、過日、エネルギーを考える議員連盟で二戸市の食鳥関係の会社を訪問する機会がありました。そこでも大分食鳥の単価が落ちて、ちょっと大変だという話をされてきました。そういったことに早目早目に対応していただかないと、特に県北においての大きな産業でありますし、働き盛りの女性の方々がたくさん雇用されているところでもあります。
 一方で沿岸部は、東日本大震災津波からもう9年たった中にあって、前浜の水産加工関係の方々が、原材料がないということで大変きゅうきゅうとしております。
 そういう中にあって、そういう方々に対応することも含めて、多分皆さん、税収というのを―数字は生ですから―見ていらっしゃって、入るを量りて出ずるを制す、どういうところが弱いのかと。とするならばどういうところに手だてをするか、対応を早目に考えてほしいと思います。その辺の準備も含めて、各課に任せるのではなく、製造業だったら商工関係という話ではなく、しっかりと対応を考えてほしいと思うのですが、その辺の腹づもりといいますか、スピード感を持った対応を今後考えていくつもりがあるのかお伺いしたいと思います。
〇八重樫総務部長 県税収入、特に企業の業績等をあらわしているものはやはり法人事業税、法人県民税の法人二税でありますし、あるいは物流関係の状況をあらわす軽油引取税、さまざまなものがございます。我々としては、昨年12月末時点での申告の状況等を見込みながら、あるいは県内の景気動向も見込みながら当初予算の編成をしたところであります。昨今の社会経済情勢等々の変化にも十分留意しながら、さらには、県税もそうですが市町村税もありますので、そうした市町村に対するさまざまなケアや、あるいは法人事業税においても業種別の状況等々出てまいりますので、今、委員から御指摘のあったとおり、それらの情報については、庁内あるいは市町村とも共有しながら、必要な予算措置を随時検討していくことで対応したいと考えております。
〇城内よしひこ委員 リーマンショックのとき、私は宮古市にいましたけれども、その際には金型コネクター産業の職員を半分ぐらいリストラしました。大変な状況でありましたし、そういう貴重な労働力が県外に流出してしまって、人口ががたっと減ってしまうということが起きます。東日本大震災津波を経験した沿岸部ではようやく立ち直り始めた中で、水産業だけではなく、今はアメリカと中国との関係でそういう金型コネクター産業の方々も大変きゅうきゅうとしています。
 そういった状況というのは、多分生の数字として皆さんのほうが持っていらっしゃると思います。とするならば、その情報を担当課に早目に言って、この辺がちょっと弱いぞ、大丈夫なのかというぐらいの注意をして、県内の業界あるいは産業を見守ってほしいと思います。利子補給だけではもう間に合わなくなるかもしれません。そういう状況になってはいけないということで私は今お話をさせてもらっていますけれども、そういう情報をスピード感を持ってというのが大事だと思います。
 去年上がってきた数字でこれぐらいでというのは、今の時代では間に合わないのではないかと思っています。そういう危機感を持っていらっしゃるとは思いますが、再度その思いをお伺いしたいと思います。
〇八重樫総務部長 税収といいますか、県税の動向というのは、法人事業税をとってみますと、これは前年度の企業の業績によって申告がなされるわけですので、実は経済の状況等がおくれてあらわれてくるものであります。ですから、我々、税収の動向もそうではありますけれども、一致した景気の動向を示す指標として鉱工業生産指数等々も見ておりますが、例えば県内の鉱工業生産指数を見てみますと、昨年12月の季節調整値が4カ月ぶりに前年同月を下回るというようなところもありますので、県税だけではなく、さまざまなそうした景況の状況、あるいは委員からお話のありました、まさに現場といいますか地域でどういう状況になっているかしっかり情報をキャッチしながら、農林水産もそうですし、あるいは産業振興、それぞれの課と情報共有を図って、産業振興のための政策等につなげていく考えでございます。
〇城内よしひこ委員 いずれ、今、沿岸部は震災から立ち上がってきて、どの歯車が一つ欠けても、がたがたと下り落ちてしまう可能性があります。今だからこそ、踏ん張れるところをしっかりと支えてもらえるような、スピード感を持った政策を各課と連携しながら、ぜひ先々と取り組んでほしいと思います。
〇佐々木朋和委員 防災費に関連して伺いたいと思います。
 決算特別委員会でも令和元年台風第19号災害の避難について質問させていただいたところでありますが、そのときはまだデータがしっかりできていないということでしたので、できたところでもう一度、質問させていただきたいと思います。
 県は令和元年台風第19号に関して、日中に避難を完了するように市町村に助言をされました。日を分けて2回ほどしていただいたと思いますが、その避難状況を見ると、10月12日の17時、夕方ですが、対象者が86万7、241人中、避難者数は839人。次の日の朝です。10月13日の6時、対象者が91万9、234人のうち、避難者数は9、930人ということでございました。結果として、危ないとされている夜間の移動を9、000人近くが行ったと思いますし、また、避難勧告、指示の対象者の1割強しか移動しなかったということだと思っております。まずはこの結果をどのように認識し、総括をしているか伺いたいと思います。
〇佐々木総合防災室長 今お話がございましたとおり、大雨特別警報が発表されたほとんどの市町村では、夕方までに全員避難を意味します避難勧告を発令したものの、自宅付近における雨の状況などから、安全と判断するなどによりまして、夜間に避難する方がいらしたところでございます。私どもとしても非常に重く受けとめたところでございまして、県といたしましては、市町村に対して、防災気象情報等に基づき、早期に避難指示(緊急)を発令すること、それから県民に対しましては、いち早く避難することなどをしっかり働きかけていくことが重要と考えているところでございます。
〇佐々木朋和委員 通告しておりませんが、わからないので教えてほしいのですが、先ほどおっしゃっていた防災気象情報の5段階、これと、市町村が発する避難指示あるいは勧告というのが対比をしているわけでありますけれども、例えば防災気象情報において警戒レベル4が出る前であっても、そのように夜間移動しなければならないという場合には、早目に市町村としても警戒レベル4に当たる避難勧告や指示を出すことはできるのですか。
〇佐々木総合防災室長 まさしく、その部分が非常に重要になってくるかと思っております。それで、お話が出ましたとおり岩手県風水害対策支援チームも、2日にわたって2回会議を開催いたしまして、1回目のときには、翌日の明るいうちに避難を完了することが望ましいといったこと、それから2日目には、日中に避難が完了することを市町村長に助言をしたということでございまして、それを受けて、一つには、早く発令をしていただくということがございますし、あとは、発令を受けて、住民の方がこれは危険だということで、すぐ避難しようと思っていただくことが重要と考えているところでございます。
〇佐々木朋和委員 今、2段階の注意点を言っていただいたと思っております。今、国でも4月以降、同じ警戒レベル4の避難勧告と避難指示のあり方について統合するか否かという議論も進んでいることは承知しておりますが、一方で、今の御説明からすれば、市町村としては日中に避難勧告ではなくて避難指示を出す決断をすることもできたということだと思います。そういった中では、1点には、風水害対策支援チームを持っている県として、どうやってこれから市町村と連携をとっていくか、あるいは信頼関係を結んでダイレクトに―前回はペーパーで伝えていただいたということでありましたが―これはやらなければだめだぞという、人と人とのつながりでの連携も必要だと思っているところであります。
 あと、陸前高田市にある県の東日本大震災津波伝承館の展示には、災害時の教訓として、正常化の偏見ということが書かれております。非常事態などに遭遇すると、人は特殊な心理状態になりやすいと言われておりまして、正常化の偏見というのは、いつもと変わらず正常であると、自分は大丈夫だと思い込もうとする人間の特性であると書かれております。
 県では、発災以来防災教育に努めてきましたが、今般の令和元年台風第19号の避難状況を見ますと、この正常化の偏見について全圏域に広まっておらず、東日本大震災津波の教訓が生かされていないのではないかと思われます。
 県は、今後、市町村との連携強化、そして県民の避難意識の向上に向けて、どのような対策をとっていくのか伺いたいと思います。
〇佐々木総合防災室長 まず、市町村におきまして、早期に避難情報を発令するためには、防災気象情報の理解を深めることが重要であると考えておりまして、県といたしましては、来年度、新たに盛岡地方気象台とも連携いたしまして、全市町村に呼びかけて、風水害を想定した図上訓練等の研修会を実施することとしております。また、来年度一関地域において実施する風水害や土砂災害を想定した総合防災訓練がございますので、そういったことを通じて、市町村との一層の連携の強化を図ってまいります。
 それから、今、正常化の偏見という話が出ました。これにつきましては、住民の早期避難には、日ごろからの住民同士の結びつきや取り組みが重要であると考えておりまして、県では、自主防災組織の組織化と活動の活性化を図るために、今、地域の要望に応じて地域防災サポーターを派遣しております。そして今年度は、市町村と連携して防災士養成研修を実施しておりまして、自主防災組織の中核人材の育成を図っているところでございます。また、来年度当初予算におきましては、防災士を活用して地区防災計画の策定促進を図るための経費も盛り込んでいるところでございます。
 県といたしましては、市町村の災害対応力の向上を支援するとともに、県民の皆さんの防災意識の向上、住民同士が助け合える体制の強化ということで、今お話が出ました正常化の偏見、個々の皆さんがそういう思いに捉われているとしても、例えば自主防災組織の中核になる方がこれは危ないと、そうじゃないと、みんなで声をかけ合って逃げようと、そうしていただくことを期待しているところでございます。
〇佐々木朋和委員 ぜひ進めていただきたいと思います。私も今までさまざま避難訓練等に参加してまいりました。夜間の訓練はやったことがないと思います。今、国でも夜間の避難について、垂直避難についてもどのように位置づけるか検討されているとお聞きしておりますが、夜間も想定した訓練―訓練は難しいかもしれませんが、地域での取り組みであるとか学習もあわせて進めていただきたいと思います。
 次に移りたいと思います。
 先ほど城内委員からも御質問がありましたが、県税について、私も通告しておりましたので少しお聞きしたいと思います。
 具体に先ほども出ておりましたが、令和元年度の法人事業税の業種別調定実績調を見ると、食料品が50.8%の減、また、建設が33.6%の減。また県が推進しているものづくり産業についても、機械、電気機械でそれぞれ12.6%、31.2%の減になっているということでございました。建設については、先ほども復興需要の減少ということが述べられておりましたけれども、この食品あるいは機械、電気機械はどういった要因になっているのか。城内委員からはブロイラーの紹介もございましたけれども、県としてはこの状況をどのように分析しているのか、また、今後の見通しを含めてお示しをいただきたいと思います。
〇奥寺税務課総括課長 法人二税の減収の要因でございますけれども、先ほど城内委員からも御指摘がございましたが、食料品製造につきましては、いわゆる食鳥の市場がダブついていると伺っております。その関係で、出荷調整とか値崩れ等が発生したことによる減収と伺っております。
 あと、製造業につきましては、電気機械の製造業で、一部内陸部の企業におきまして大きく落ち込みがあったということでございます。
〇佐々木朋和委員 私も水害なのかと思ったら、年度が違いますから、そういうことなのですね。わかりました。
 これまでは、県税の減収分あるいは地方の弱含みの分は地方交付税においてカバーされて、全国的にはそんなに歳入が上下しないように調整をされてきたと認識しているのですけれども、今回は県税の減分を地方交付税で補われていないと感じております。
 国は、地方財政対策の中で、地域社会再生事業費4、200億円を創設して地域間の格差是正を図っており、また、地方増税分の社会保障費の拡充等、地方交付税においてはふえる要素があったと考えているのですが、それでもなお県税の減分を補えなかったと。このような状況になっていることを県はどのように分析しているのか、お伺いしたいと思います。
〇小原財政課総括課長 令和2年度当初予算案におきましては、地方財政対策等を踏まえて地方交付税の増を見込んだところでございますが、委員御指摘のとおり、市町村への交付金等を除いた実質的な県税収入の減少分を補うまでの増にはなっていない状況でございます。これは、地方財政対策における地方税及び地方譲与税の伸び率がプラス1.6%であるのに対しまして、本県では実質的な県税収入を3.9%の減と見込むなど、地方全体の一般財源総額は確保される一方で、個別の団体ごとの財源保障が十分に図られていないことが要因ではないかと捉えているところでございます。
 県といたしましては、これまでも、国に対しまして、地方の経済情勢を踏まえて税収を的確に見込むとともに、地方交付税の総額を確保し、財源保障、財源調整機能の維持、充実を図るよう求めてきたところでございますが、引き続き、全国知事会等とも連携して、強く訴えていきたいと考えているところでございます。
〇佐々木朋和委員 地方創生交付金であるとか地方財政対策の中の新規事業、あるいは消費税を社会保障に回すという看板の裏で、そうやってちょこちょこと減らされるという現状なのかというところであります。我が県においては復興によってさまざまなインフラもできており、例えば水門、陸閘の自動閉鎖システム、あるいは震災遺構のメモリアル施設の維持費、こういったものは交付金でつくられて維持費は出ないということもあって、なかなかこの先厳しい状況でありますので、ぜひとも要望を続けながら、国にもそうしていただきたいと強く思っているところでございます。
 では、最後にお聞きしたいと思いますが、望まない受動喫煙の防止を目的とした健康増進法の一部改正への対応についてお伺いしたいと思います。
 先ほど議会の中でも議論がありまして、大変言いづらいところもあるのですが、望まない受動喫煙の防止を目的とした健康増進法の一部改正が行われまして、施設類型ごとの喫煙ルールが定められました。県庁は第1種施設として、原則、敷地内禁煙、屋外で必要な措置がとられた喫煙所は設置可とされておりましたが、昨年7月より、法の規定よりもさらに厳しく敷地内喫煙所も撤去されました。内丸近辺の行政機関や企業の多くも敷地内禁煙を行っており、敷地内での受動喫煙対策は進んだ一方で、内丸からは公共の場での喫煙所が消え、通りを歩く人や店舗の前などで路上喫煙リスクはかえって高まったのではと、一部報道にも載せられました。県が法の規定より厳しく敷地内禁煙に踏み切った意図をお示しください。
 また、あわせて、ある報道では、県職員が県庁周辺で喫煙するようになり、受動喫煙が心配だという意見が寄せられたとのことですが、このことについてどのように認識しているのか伺います。
〇佐藤人事課総括課長 改正後の健康増進法では、何人も、喫煙をする際、望まない受動喫煙を生じさせることがないよう周辺の状況に配慮しなければならないという旨が規定されております。敷地内禁煙とされた施設においても、特定屋外喫煙場所を設置できることにはなっていますものの、基本的には、設置しないことが法の趣旨だと考えております。
 それからもう一点、受動喫煙に関する認識についてでございますが、職員が喫煙をする際は、マナーの問題にとどまらずに、先ほども申し上げましたとおり、法令上、受動喫煙の防止に配慮する義務がありますことをしっかりと認識して、県民や近隣の店舗等への迷惑となるような行為は慎むことが必要であると考えております。
 県としましては、このことを職員に周知し、注意喚起を行ってきたところでございまして、今後も、受動喫煙の防止に向けて周知徹底を図ってまいります。
〇佐々木朋和委員 法の趣旨としては、敷地内での喫煙所は設けないのが原則であるから、そのような対応をとったということでありましたけれども、一方で、周辺においては受動喫煙の心配の声が出されているところであります。モラルを守ってということでありますけれども、そういった中で、喫煙所があって、そこが屋内、屋外で何も囲われていないところでありますと、そこのマナーを守っても、なかなかそれには限界があるのではないかと認識をしているところであります。
 そういった中で、内丸全体のことを考えたときに、県庁だけではありませんし、県の中心となる行政機関も集まっている、金融機関も集まっている、企業も集まっているこの内丸の中において、公共のたばこを吸うところ、しっかりと分煙の設備が整ったところがないことがいかがなものかという思いもあるわけですけれども、県は、敷地外の受動喫煙の状況をしっかりと調べた上で、状況によっては、内丸緑地公園に煙を外に出さないような安全な基準の喫煙所を設けることも受動喫煙対策としては重要ではないかと思いますが、御所見を伺いたいと思います。
〇山崎参事兼管財課総括課長 喫煙所の設置についてでございますけれども、県では、県立の施設における受動喫煙防止対策は、原則、敷地内禁煙としておりまして、岩手県消防学校など宿泊施設を有する施設、平庭高原体験学習館森のこだま館など指定管理施設のうち利用料金制を採用する施設、岩手県営体育館など興行者等への配慮を要する施設など、原則によりがたい17施設についてのみ、特定屋外喫煙場所の設置を基本とした例外的取り扱いを認めているところでございます。
 内丸緑地公園に喫煙所を新たに設置することは、例外的な取り扱いを拡大していく方向となることから、改正健康増進法の趣旨に鑑み、慎重に対応することが必要と考えているところでございます。
 なお、敷地外の受動喫煙の状況調査に関しましては、先ほど人事課総括課長からも話がありましたけれども、引き続き、職員に対して、受動喫煙の防止に向け周知徹底を図っているほか、職員への禁煙指導等にも取り組むなど、まずは職員の自主的な対応が促進されるよう努めているところでございます。
〇佐々木朋和委員 最後にしたいと思います。今お話をいただきました例外的な措置を拡大する方向ということでありますけれども、一方で、今の状況が望ましいのかというのも私は疑問が残るところであります。議会運営委員会でもさまざま議論がありましたけれども、そういったところも課題として出ておりまして、内側はよくなったけれども、外側は今よりも悪化しているのはそれでいいのかという話もございました。しっかりと調査もしていただきたいと思いますし、また、モラルの問題で、店舗の外にたばこの吸い殻があって、喫煙をする方がそこしかないので行くと。受動喫煙防止ということで、モラルをそれぞれの人のせいにしていいのかということもあります。
 最後に、部長に現状をどのように考えていらっしゃるのか。また、どういう方向で今後進めていけばいいのか、所感をお聞きして終わりにしたいと思います。
〇八重樫総務部長 県立の施設について、敷地内禁煙ということでございまして、先ほど管財課総括課長から説明いたしましたとおり、宿泊施設であるとか興行者等への配慮を要する施設等について、特定屋外喫煙場所の設置を例外的に認めたということ。検討の過程では、県庁を敷地内禁煙にするという中で、特定屋外喫煙場所を設置できるところがあるか検討しました。ただ、公道に接している等々の理由でそういう場所はありませんでしたし、県として受動喫煙防止をしっかり行っていくという意味で敷地内禁煙としたところであります。一方で、委員御指摘のとおり、内丸の周辺で、例えば県職員が県庁の外でたばこを吸うことで、受動喫煙あるいはモラルがどうなのだという問題はもちろんありまして、喫煙者も受動喫煙防止に配慮する義務がありますので、まずは改正健康増進法の趣旨を踏まえて、県職員については自主的な対応が期待されるところであります。ぜひそういったところを我々としてもしっかり職員に周知していきたいと思っております。
 新たな喫煙所については、県として設置することは考えておりませんけれども、モラルの点等々についてどういう対策ができるか、これからもしっかり検討してまいりたいと考えているところでございます。
〇佐々木朋和委員 なかなか難しい御答弁、済みません、ありがとうございます。
 今健康増進法のお話をいただきました。吸う方も受動喫煙に配慮して喫煙をしなければいけない。まさにそのとおりだと思います。一方で、これはたばこを吸う人を排除するとか、たばこを吸うなということを強いるという法律でもないはずであります。ということは、モラルを守った上で吸える環境ということも考えないと、今の状況で受動喫煙に配慮しながら、しっかりとモラルを持って吸える場所があるのかというところでも―私は、たばこは吸いませんし、受動喫煙防止のほうの考えでありますけれども、人として排除するようなことは岩手県に合わないと思うということを申し上げて終わります。
〇ハクセル美穂子委員 私からは、職員の育成とか、職員研修の一環として行われていることについてお聞きしたいと思います。
 総務部では、何年か前からメンター制度を実施して職員の育成に活用されているのですけれども、このメンター制度は、令和元年度では、メンティという指導を受けるほうの女性の割合が多くなり、実施効果というか、粛々と進められているようですが、これまでの実施状況を踏まえて、令和2年度は改善される点をお考えなのか、お聞きしたいと思います。
 あわせて、メンターは指導するほうで、メンティが受けるほうなのですが、どちらも研修しながら、多分、受ける心構えとか、指導する心構えも踏まえて講義が進められていると思いますが、どのようなことを具体的にやられているのかについてもお聞きしたいと思います。
〇村上職員育成監 メンター制度についてでございますが、今年度のメンター、メンティの意見では、メンターが理想のロールモデルとなった、あるいは仕事の悩みをしっかり聞いてもらえる方がいることで安心感があったという意見や、後輩指導のスキルアップにつながった、マネジメントを学ぶよい機会だったという意見があったところでございます。また、所属長に実施したアンケートによりますと、組織全体の業務等への目配りができるようになった、あるいはメンティへのアドバイスを通じて、メンター自身の意識が変わったという意見が寄せられておりまして、職員の育成に成果があったと考えておりますことから、次年度は、マッチング数を本年度の42組から拡大して取り組むこととしております。
 一方で、メンティ等から、メンターに一定の業務経験を求める意見などが寄せられておりますことから、次年度に向けて、マッチングの仕方を工夫するなどしながら、引き続き、若手職員や女性職員のキャリア形成支援等につながるよう取り組んでまいります。
 また、研修の関係でございます。先ほど委員からお話のありましたとおり、毎年度このメンター制度を実施するに当たりまして、メンター、メンティそれぞれ研修を実施しております。おおむね、年度当初の6月とか7月に際しまして、まずスタート研修ということで、それぞれ指導といいますか助言を受ける立場、助言をする立場として配慮すべき事項は何かということとか、プライベートに過度に踏み込むようなことをしないながらも、私的な相談についてもしっかりお互い秘密を守る中で相談していきましょうというような、ある程度の約束ごとといいますか、そういったことを年度当初に研修で周知をしているところでございます。
 その後は、人事当局は基本的にかかわりませんで、1対1の対面ですとか、本年度からは対面にかかわらず、メールや電話等でもメンタリングを行ってもいいという取り扱いにしております。時間、方法も柔軟性を持たせる形で、それぞれが個々に面談等を行っているところでございます。そうした中で、最終的に11月ですとか2月に、それぞれが意見交換をするため一堂に会しまして、それぞれメンター同士でどのようなことを行っているか、よい点、悪い点、メンティ同士が集まりまして、メンティとしてこういうことに気をつけた、こういうことがよかったという情報を共有しながら、お互いがよい制度になるように努めているところでございます。
〇ハクセル美穂子委員 令和2年度の改善点はあるのでしょうか。そこもお聞きしたいと思います。
〇村上職員育成監 先ほど御答弁を申し上げました、メンターに一定の業務経験を求める意見等が寄せられているということでございまして、この制度につきましては、助言を受けるメンティにあらかじめ希望事項を申し出ていただきまして、極力それに応える形で先輩職員、メンターを調整することにしておりますが、そのメンターの調整の際には、メンティから希望されて―明確には希望されておりませんが、より有益なメンタリングになると思われる経験を有するメンターの選定に意を用いてまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 このメンター制度はいろんな民間の企業でも導入されていまして、目的としては、おっしゃったとおり、若手の育成とか定着、あと、企業文化の継承というものもあるそうですし、社内コミュニケーションの活発化もあるのですけれども、企業文化の継承という点で、私は、公務員ですからコンプライアンスという点、公務員として何をしていくべきかをしっかり伝えられる制度であればさらにいいのだろうなと思います。先ほどの効果のところで、理想のロールモデルができたという、ロールモデルの方がしっかりとそういったところを後輩にも目配りをしていくことも教えていただいているのじゃないかと推察します。ただ、メンター制度はことしで42組ですので、2、000人、3、000人いる県庁の中で42組で、実数で言うと八十何名ということになると思うのですが、これを何とか、メンター制度をもっと活用しながら、公務員としての心構えが伝わっていくと私はありがたいと思っています。
 実際にメンター制度を活用された中で、法令遵守とかコンプライアンスに対する心構えのようなもの、しっかり自分が考えていかなければならないことまで学ぶことができたという声はあるのでしょうか。その点をお聞かせください。
〇村上職員育成監 個別のメンタリングの状況についてはアンケート等をとっているところでございますが、コンプライアンスという観点について、ストレートにそういうやりとりをしたという報告は頂戴しておりません。実際にやっているかもしれませんけれども、いざ報告となりますと、そういったことを記載すること自体にもしかしたらためらっているメンター、メンティがいらっしゃるかもしれません。ただ、いろいろ報告を受けている中では、人脈が広がったとか、ほかの職場のイメージができた、いろんな仕事を進めるに当たって、ほかの職員とどう進めていけばいいのか、そういうやり方が見えてきたということで、人脈の広がりをよい点として報告をしているメンティが多ございますので、そういった中で、さまざまな人脈と合わせて、職場風土についても共有しながら理解が進んでいるのではないかと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 おっしゃるとおり、そういう風土が伝わっていくのが本当にいいことだと思うのですけれども、残念ながら、最近は私にもメールで県職員の不祥事の案件の報告がいっぱいあって、本当に残念だと思っております。総括質疑の中でも軽石委員が質問されて、所属長とか管理職とか、繰り返しコンプライアンスに関して通知して働きかけているという御答弁がありました。でも、実際は、不祥事はなかなか減らないと。今後、同じやり方をしていったとしても、私は減らないのではないかと。やっている上でこれだけの不祥事があると。であれば、新たに改善していかなくてはいけない点をしっかりと捉えて、職員に対する研修とか育成に組み込んでいかなくてはいけないのではないかと思うのですが、その点については令和2年度はどんな工夫をされる予定なのか、お聞かせ願いたいと思います。
〇佐藤人事課総括課長 職員のコンプライアンスの確立についてでございますが、委員からも御指摘ございましたが、これまで、所属長から職員に継続的に注意喚起を図るなどの取り組みを行ってきましたが、職員によるこうした不祥事が続いておりますことについて、深くおわびを申し上げたいと思います。
 今回の職員の飲酒運転による死亡事故という重大な事案の発生を受けまして、これは既に御答弁しているところですが、所属ごとに部下職員に対して強く注意喚起をするように指示を行ったところでございます。そして注意喚起を、今回の場合、指示するだけではなくて、各所属の取り組み状況について報告を求めることとしたところでございます。報告のあった取り組みの中から、今後、効果的と考えられるものにつきましては、全庁に周知をしっかり図っていきたいと考えております。
 こういった事態が起きていることをしっかりと危機感を持って受けとめて、そして職員それぞれがいろいろな対話の場とか意見交換ができる、風通しのよい職場をつくっていく必要があると思っております。こういった取り組みを積み重ねることによりまして、コンプライアンスの確立に向けまして全庁挙げて取り組んでいきたいと思います。
〇ハクセル美穂子委員 私は、総括質疑の答弁で、所属長、管理職が繰り返し通知したりしている、働きかけているところにちょっと問題があるのではないかと感じました。私も子供が4人いますけれども、子供に宿題をやりなさい、やりなさいと言っても、宿題をやりません。主体的に子供が考えるように促すと改善されていくのですけれども、大人といえども、子供といえども、本当にコンプライアンスという意識が同じレベルで考えられているのか。管理職の人が考えている法令遵守と、若手、中堅で考えられている、そして一人一人も違いますので、その一人一人の法令遵守のあり方が違うのではないかと思うのです。そこをなるべくきちんと統一的に、このレベルまでは考えてもらいたいということをやらないと、飲酒運転で死亡事故を起こしたから重大ではなくて、飲酒してしまった時点で本当に重大だと思うのです。その事件はずっと繰り返し不祥事案件として何度も報告されていますので、まず、飲んで運転するのは世間一般的にいけないことなので、そこをきちんと踏まえているのかを対話の中で―本当に対話だと思います。コミュニケーションです。何を考えているのか、なかなか言えない風土であれば、若手が発言できないような風土であれば、どのぐらいまで考えているのかわからないのではないかと思います。
 実際に私も企業を経営していますので、労働者の皆さんが何を考えているのか、こっちから言わせないと、皆さんが考えているような悩みとかはなかなか出てきませんので、所属長はもちろんそうなのですけれども、管理職の皆さんも、どう意見を吸い上げるのか、風通しのいい風土、職場環境というのは一体どういうことなのかをぜひ研究していただいて、本当に風通しのいい職場環境をつくっていただきたいと思います。これは不祥事がなくなるだけでなくて、多分、新しいアイデアとか政策とかが湧き上がってくるような職場環境にもつながっていくと思いますので、ぜひとも、その点については工夫をしなければならないので大変だと思うのですが、工夫して取り組んでいただきたいと思っております。その点について、部長の思いをお聞かせください。
〇八重樫総務部長 岩手県職員憲章の中に、法令遵守というものももちろんあるのですけれども、明朗快活ということで、まさに職員がコミュニケーションをとって、風通しのよい職場で、明るく、生き生き、楽しく働くというところがあります。委員からお話のあったように、まさにコミュニケーションということで、昨今、県庁においても、1人1台パソコンですので、昔よりははるかに職員同士の対話が少ないという職場環境です。さらには飲みニケーションというか、そういったものも昔よりは少ないと思いますが、職員同士が、お酒の飲み方なども含めてよく話し合うことで風通しのよい職場づくりを進めて、職員が明るく、楽しく、生き生きと働くことができる職場環境の整備が大変重要だと思っていますので、それはもう、それぞれの職場でさまざまな取り組みをしたりしています。例えば記念日等、誕生日とかいろいろありますから、そういう人がいればみんなでお祝いするとか、さまざまな取り組みをしているところがあると思いますが、まさにコミュニケーションのいい、風通しのよい職場環境の整備に努めていきたいと思っております。
〇ハクセル美穂子委員 上からだけではなくて、下からも、誕生日ですねと言われるような職場になるとさらにいいのではないかと思いますので、ぜひ取り組みをお願いいたします。
 もう一つ、庁内保育施設整備の進捗状況についてお聞きしたいと思います。
 令和2年度で施設の整備は終わるのではないかと思っていますが、状況についてお示しください。
〇佐藤総務事務センター所長 庁内保育施設整備の進捗状況についてでございますが、設置場所である盛岡地区合同庁舎医療局棟1階の改修については設計業務が完了し、現在、改修工事が行われているところでございます。また、施設の運営については、岩手県庁内保育施設運営事業者選定委員会を設置し、公募により運営候補事業者を選定いたしました。
 令和2年度につきましては、令和3年4月の開所に向け、引き続き改修工事を進めるとともに、入所者の募集、決定方法を調整するほか、盛岡市への認可申請事務手続を円滑に進められるよう、市担当課及び運営候補事業者との調整を進めることとしております。
〇ハクセル美穂子委員 庁内保育施設の整備も着実に進めていただいているようで、本当に感謝しております。
 近隣の保育施設との意見交換もしっかりと行いながら、ほかの園のほうに保育士さんの不足の影響がないかも配慮しながらやってくださっているとお聞きしております。そういった配慮も感謝しております。
 もう一つ、これは今後に向けての提案になるのですけれども、今回新型コロナウイルスの感染拡大によって休校措置がされました。私の子供たちも休校になりますが、今はまだ定員18人の小さい子供向けの保育施設ですけれども、緊急事態のときに、一時的に児童を預けられるような機能も今後考えていく必要があるのではないかと、今回強く感じました。
 それから、県のいろんな審議会とか委員会の中に、今後、ダブルケアの方とか、子育て中の女性がどんどん参画してくるようになったときに、そのお子さんを会議の時間内だけでも預けられるような、女性参画を支援できる施設にも展開していく必要性があるのではないかと私は思っているのですけれども、その点について、今後の方向性等があればお示しいただきたいと思います。
〇佐藤総務事務センター所長 緊急時の臨時保育のあり方についてでございますが、庁内保育施設の設置については、子育て中の若手職員からも意見を聞きながら検討を進めてきたところでございますが、その中で、開所時の保育事業者の負担を懸念する意見が寄せられたことなどから、当初からの一時保育や病児保育の実施は見送り、まずは通常保育を順調に進めることを優先して計画しているものでございます。
 お話のあった緊急時の臨時保育の実施については、今後、他県の状況も見ながら研究してまいりたいと存じます。
〇ハクセル美穂子委員 他県でも余りやっていない事例かもしれません。ただ、今定例会では議会に、ダブルケアをされている方が子供さんを連れて傍聴に来たいということで、議会運営委員会でも議論して、会議室の開放を決めていただいたところがあります。
 女性の活躍推進とか参画ということで、都市計画でも何でも、女性の視点を入れましょうとなると、今、子供を持っている方の視点というのも非常に必要なところだと思います。そういった方々が委員会にも出席できるように、ぜひ前向きにこれから研究、取り組んでいただきたいと思います。これは要望で終わります。
〇吉田敬子副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後4時13分 休 憩
午後4時32分再開
〇吉田敬子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について延べ9人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行いたします。
〇佐藤ケイ子委員 私からは、職員体制についてお伺いしたいと思います。この件については、軽石委員、斉藤委員、小西委員も質疑しておりますが、私なりの観点から質疑したいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず、人件費の減額の要因についてでございます。
 新年度の人件費1、792億円余、前年度1、825億円余、32億6、000万円余の減であります。私の感覚からすると、会計年度任用職員制度が始まるということで、賃金、物件費から人件費に移行していく、当然増額になるだろうと単純に思っておりました。ですが、減額幅が大きい。
 東北6県の状況の資料を見ますと、青森県、秋田県、宮城県は増加、山形県、福島県は微減です。なぜ本県だけが大きく減少するのか、その要因についてお伺いいたします。
〇小原財政課総括課長 人件費の減額の要因についてでございますが、令和2年度におきましては、令和元年度と比較いたしまして教職員等の減少を見込んでおり、これにより会計年度任用職員以外の給与費等の減少を見込んでいるものでございます。加えて、令和2年度は警察職員や正規教員の退職者数が減少する見込みであることから、退職手当につきましても19億円程度減額して計上しているところでございます。これらの減が会計年度任用職員制度導入に伴う増を上回るため、人件費全体といたしましては減少となるものでございます。
〇佐藤ケイ子委員 教職員の減少が非常に大きく、百数十人の減少というのが資料を見てわかってきましたけれども、教職員の減少については、県教育委員会の部局別審査の中でやりとりをしたいと思っております。教職員の働き方改革や長時間労働の問題など大変大きな社会問題になっておりますので、なぜこういうことになるのか疑問に思っているところです。
 退職手当減少、それはそのとおりですけれども、今まで県の手当の関係など、十分に対応してきたのか少し疑問なところがあります。今回、知事部局で約290人が現給保障期間満了ですね。高齢職員の方々の給与が下がることが出てくるようであります。そうすると、勤務意欲の確保にどうやって取り組むのかとか、各種の手当、専門職種の一層の処遇改善をするとか、本当に超過勤務手当が全額反映されている予算なのか。超過勤務は抑えていきましょう、削減していきましょうというのは当然でありますけれども、実態に即した超過勤務手当を払える予算組みになっているのか。職員が人事異動なのときに自己負担をして転勤したりしていますが、そういったさまざまな手当の改善が求められているわけですけれども、それに対してどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。
〇佐藤人事課総括課長 手当関係ということで、細かくいくと3点ほどお話をいただいたと思っております。
 まず1点目が、高齢層職員の勤務意欲の確保という観点でございます。
 高齢層職員の皆様については、昇給の停止の部分があったり、給与面でなかなか厳しい状況があることは認識しております。これまで、県といたしましても主幹という任用の発令の工夫を行ったり、あるいは、震災以降、若手の職員がふえる中で、高齢層の職員の方々の知見といったものが各職場で生きておりますので、こういったところを十分に捉えた上での評価にも取り組んできております。そういったことを今後、継続して行っていくことによりまして、高齢層職員の勤務意欲の確保に努めていきたいと考えております。
 それから、専門職の処遇という御質問も頂戴しました。
 やはり、今、マンパワー、人員確保という観点で、さまざまな人員確保の取り組みとあわせて処遇の改善が必要と考えております。
 昨年4月から、特に確保が困難と言われております獣医師、薬剤師といった部分につきまして初任給をふやす対応もとってきております。今後も、他県の状況等も踏まえ、そういった処遇の確保にも努めてまいりたいと思います。
 最後に、超勤の観点でございます。
 超過勤務につきましては、きちっと所属長から命令を受けたものは適正に払うことが基本だと思っております。昨年4月から超過勤務の上限規制という取り組みもありまして、また、知事部局の場合ですと、勤務時間の管理システムの中で出勤と退勤の記録をとり、その記録を参考に超過勤務の支給をきちっと見ていくという対応もとってきているところでございます。各職場でそうした勤務時間の確認がしっかり行われるように、総務部人事課としても対応していきたいと思います。
〇佐藤ケイ子委員 ぜひ改善されるようにお願いしたいと思います。
 そういう中で、最終的には人員確保がどうなのだろうということになるわけです。知事部局定数等管理計画(2019年度〜2022年度)では、4年間で80人から100人程度の増員を図ることになっているということで、これも今まで各委員から質疑がありました。軽石委員の質疑に対する答弁の中で、平成23年4月から平成31年4月までで400人を上回る増員を図って欠員解消に努めてきたということに対しては敬意を表したいと思います。ですが、小西委員の質疑の中で、2月1日現在で64人の欠員があったということでありますから、さらなる欠員解消、人員確保を本当に実現してほしいと思っております。
 実際は、合格通知を出しても採用辞退者が出たりするわけです。そういう傾向があるのではないかと思いますけれども、人員確保の状況。
 それから、今、新型コロナウイルス感染症関係で就職説明会があちこちで中止されている状況であります。県でも就職説明会を何カ所かで行うわけですけれども、それも中止となっております。そういったものの影響はあるのかないのかお伺いいたします。
〇佐藤人事課総括課長 まず、人員確保の取り組みでございますが、県ではこれまで、震災復興、台風災害、あるいはふるさと振興などの県政課題に対応していくため、新規採用職員の大幅な拡大、任期付職員、再任用職員の確保、応援職員の受け入れなど多様な方策で必要な人員の確保に取り組んでまいりました。先ほど委員からも御指摘がございましたけれども、こういった取り組みで、来年度当初の欠員につきましては、ことし2月1日現在の64人と比較しまして十数人程度減少が見込まれているところでございます。
 引き続き、そういった形で欠員解消、人員確保に取り組んでいきたいわけですが、先ほどお話ございましたとおり、辞退者への対応と、受験者の確保といった取り組みも重要と考えております。
 これまでも県職員の仕事の魅力ややりがいのPRに取り組んでまいりましたが、来年度は、人事委員会とも連携しまして、採用試験の受験者の負担軽減といった取り組みも検討していきたいと思っております。こういった対策を引き続き強化しながら取り組んでいければと思っております。
 最後に、就職説明会への影響ということでございました。
 本県におきましても、人事委員会が今月開催の予定でございました岩手県職員・警察官業務説明会の中止を決定したほか、県が参加を予定しておりました大学等が主催いたします就職説明会も多くが中止となったところでございます。
 今後は、新型コロナウイルスの感染の拡大の状況も見ながら、ホームページでの採用関係の丁寧な情報提供、あるいは高校、大学等への直接訪問による業務説明も検討していって、人事委員会と連携を図りながら受験者の確保に努めていきたいと思っております。
〇佐藤ケイ子委員 努力していらっしゃるのはそのとおりだと思いますけれども、採用を辞退する方はこの数年出てきておりまして、またことしも民間への就職を希望する傾向が強まるということであれば、ますます公務員のほうは厳しいのではないかと思うところです。
 最近は毎年春に特別募集を行って欠員の解消に努めていらっしゃるわけですけれども、新年度もそのようなことを考えていくのかどうか。やるべきではないかと思いますけれども、その計画についてはどうでしょうか。
 各部署から人員が少ないのでふやしてほしいという要望が出されていると思います。各部局ごとに職員の皆さんから要望が出されて現場の状況は理解していらっしゃると思います。予算の関係などで実現しないのもわかりますけれども、一つ一つ取り組みを進めていただきたいと思います。
 まず、新年度の特別募集の件、答弁をお願いいたします。
〇佐藤人事課総括課長 特別募集の実施について、委員からお話をいただきましたとおり、ここ2年、3年、特別募集という形で―欠員数が3桁あったり九十何人あったという時期がございましたので―実施してきたところでございます。欠員もなかなか解消というところまでは至っておりませんが、今申し上げましたとおり、3桁から90人、80人、そしてことし2月1日時点で64人、来年度当初ではさらに数十人程度減少という状況でございます。
 ただ、4月1日時点での人数が、他県からの応援職員も含めてまだ確定しておりません。また、職種ごとの欠員の状況もよく見なければなりませんので、この点は、そういった状況を見た上で検討していきたいと考えております。
 いずれ、マンパワーの確保が職場環境の整備につながっていくと思いますので、引き続き力を入れて取り組んでいきます。
〇佐藤ケイ子委員 次に、専門職の確保についてでございます。
 児童相談所の体制強化が示されているところであります。ですが、現場から望まれていた要員数からは若干少ないと思って見ていました。まず前進するということでありますが、資格者の確保の見込みはどうでしょうか。児童心理司、社会福祉士とか児童福祉司ですね。その資格要件を満たしている方が本当に採用になるのかといったこと。
 それから、児童福祉司の処遇改善の方針を示しておりますけれども、本県での対応はどのようになるでしょうか。
 獣医師、保健師、農業改良普及員について、保健師は、今、感染症対策や精神障がい者関係の仕事が非常に増大していること、農業関係は、GAPの対応、建設に関してずっと前から恒常的に不足していることなど、たくさんの課題があると伺っております。栄養士の人材確保も大変だということであります。こういった専門職の確保の状況はどうでしょうか。
〇佐藤人事課総括課長 3点御質問を頂戴しました。
 まず、児童相談所の体制でございますが、改正児童福祉法に対応した児童福祉司及び児童心理司の増員を図ることとしておりまして、委員から御指摘をいただきましたとおりの必要な職員を確保できる見込みとなっております。
 次に、児童福祉司の処遇改善でございます。
 児童相談所に勤務する児童福祉司につきましては、国は、令和2年度の地方交付税におきまして、処遇改善に要する経費として特殊勤務手当の増額を図る等の措置を講じたと聞いております。
 現在、県では、児童福祉司に対しまして特殊勤務手当または給料の調整額を支給しておりまして、国が増額するとした特殊勤務手当月額2万円以上の調整額を既に支給している職員もあるところでございます。このため、国の地方交付税措置の内容も踏まえつつ、他県における状況も見ながら処遇改善の検討をしていきたいと思います。
 最後に、3点目でございます。
 専門職の職員は、それぞれの行政分野、職場で欠かせない人材で、その確保は重要な課題と思っております。
 計画的な採用に努めてきたところではございますが、その中で、保健師や農業改良普及員につきましてはおおむね定数に見合う人員を確保できるものと見込んでおります。一方で、総合土木、あるいは、先ほどお話のあった獣医師などの職種につきましては、業務量の増大や民間企業との競合もあって、確保がなかなか難しい状況でございます。
 これも先ほどお話ししたところでございますが、採用試験受験者の確保策の強化や、あるいは職務経験者の採用といったところで引き続きマンパワー確保に努めていきたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 努力していただいているということですが、児童相談所の体制ですけれども、兼務発令が課題ではないでしょうか。本当に専任配置ができるような努力をいただきたいと思いますし、宿直勤務で生活指導や虐待通報事案に対応した後、宿直明けも通常業務をしているという深刻な状態だということもお聞きしているところでございます。ぜひこうした現場の声を聞いて対応をいただきたいと思っております。
 次は、会計年度任用職員の関係でございます。
 これも軽石委員の質疑の中で、新年度の会計年度任用職員は、知事部局、県教育委員会、県警察本部、その他合わせて3、664人、62億円の予算を措置すると。会計年度任用職員に移行するに当たって、約6億円の予算が必要になってくるわけでありますが、実際は、会計年度任用職員の月給は下がると。年収でいうと、1年目は12万円、2年目は25万円上がるという答弁をずっとされておりますけれども、この中でどういう声が上がっているかというと、賃金、月例給が低くなる、募集しても応募者が確保できないと広域振興局の関係者から言われています。これまで経験した方が応募してこないということも言われています。それから、フルタイムからパートタイムに転換したため、周りの正職員の業務量が増大する。要望していた任用数が確保できない。職場が回らないと。
 新年度の職場の体制は本当に厳しいものになるのではないかという声があるわけですけれども、会計年度任用職員の募集と確保の状況はどうでしょうか。
〇佐藤人事課総括課長 会計年度任用職員の募集と確保の状況につきましては、昨年11月から各所属におきまして会計年度任用職員の募集、選考の事務を実施してきたところでございまして、現在もまだ引き続き募集、選考を行うとともに、採用予定者の報酬の決定等、任用に向けた事務も進めている状況でございます。
 その確保数につきましては、今お話ししたとおり、現在、募集、選考しているところもございますので、具体的な数字としては確定していない状況でございます。
 今、月例給が下がるというお話もございました。これまで答弁したとおり、今回、会計年度任用職員制度の導入に当たりまして、業務の見直しをしっかりと行った上で勤務時間の見直しを図ったところでございます。勤務時間が少なくなることに伴って月例給が1万円ほど安くなるということでございます。ただ、当然、期末手当も出るということで、年収ベースで見ますと委員御指摘のとおりの年収の増がございますので、全体として処遇の確保が図られていると考えております。
 マンパワー確保の点につきましては、まずは常勤職員をふやすということで対応してきておりますし、パートタイムの会計年度任用職員も一定数ふやす方向でございますので、こういった対応によりまして職場が回るように対応していきたいと思います。
〇佐藤ケイ子委員 今回、地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律によって会計年度任用職員の制度が創設されたわけです。この財源問題を心配したわけですけれども、国は、公営企業も合わせて1、738億円を措置したということであります。処遇を改善することが趣旨ということですけれども、どうも給与を抑制しているのではないかと見ております。
 総務省では、制度初年度となる2020年度にまた調査を行って運用の実態を把握するとのことであります。地方財政計画に計上し、その次の対応をしていくということでありまして、地方財政措置されているのに賃金が抑制されているということであれば、次の次の地方財政措置は減額されるというのが全国、全体でのお話になるのでしょうけれども、そうしたことで、適正な処遇、適正な賃金を確立するべきだろうと思います。課題が山積しておりますので、どうぞ是正対応をお願いしたいと思っております。御所見があればお伺いして終わりたいと思います。
〇佐藤人事課総括課長 委員から今お話ございましたとおり、今回の法改正の趣旨は、臨時、非常勤職員の適正な任用と勤務条件の確保でございますので、そういった趣旨に沿って対応できるように、引き続き検討を進めたり、あるいは対応していきたいと考えております。
〇神崎浩之委員 二つ質問いたします。
 何でそんなにおっかない質問をするのかと思われるかもしれませんが、保護観察対象者、少年院仮退院者を県職員として直接雇用すべきということであります。
 岩手県は、来年度、罪を犯した人の再犯防止推進計画を策定するということでありまして、これは地域福祉課が所管であることは重々承知でありますけれども、総務部にあえて質問いたします。
 この計画策定について、総務部としての理解はどういうふうになっているのか。
 二つ目、まとめて聞きますけれども、なぜ犯罪を犯した人を支援するのか、総務部の皆さんの認識をお聞きしたいと思います。
 それから、再犯防止でありますけれども、立ち直ることを難しくする要因、課題はどういうことであると捉えているのか。また、総務部としてできることは何と考えているのか、まとめて質問いたします。
〇佐藤人事課総括課長 4点ほど御質問をいただきました。
 最初は、保護観察対象者を県職員として任用するかどうかの総務部の認識という点でございますけれども、他県における状況を当部としても把握しておりまして、奈良県では、再犯防止に関する施策を推進する観点から、雇用政策担当課において保護観察対象者を一定期間県が任用して、その後の民間等での就職につながる施策を展開していると承知しているところでございます。
 委員から地域福祉課の所管といったお話もございましたが、今のところそちらのほうと具体的なやりとりをしている状況ではございませんが、こういったところについては、まずは保健福祉部において関係機関の意向や本県の実情も踏まえた検討がなされるものと理解しておりまして、総務部としましては―これは総務部の担当部分ということでのお話の答えにもなりますけれども―保健福祉部におけます検討、整理を見ながら、必要に応じて対応を検討していきたいと考えております。
 それから二つ目の、なぜ犯罪を犯した人を支援するかというお話でございます。
 これについては、本県はいわて県民計画(2019〜2028)におきまして県民の幸福を打ち出しておりまして、県民の幸福を守り育てていく上で犯罪や非行のない明るい社会づくりが極めて重要ということで、たとえ罪を犯した場合でも、誰ひとり取り残さず、地域社会で孤立することなく再び社会を構成する一員となれるように取り組むことが必要という趣旨からの支援ということと考えております。
 3点目の、再犯防止のための課題といった部分でございます。
 再犯の防止等の推進に関する法律におきましては、犯罪を犯した者等の多くが、安定した職業についたり住居を確保することができない等のために円滑な社会復帰をすることが困難な状況にあることを踏まえて、犯罪を犯した者等が社会において孤立することなく、国民の理解と協力を得て再び社会の構成員となることを支援するということでございますので、こういったところをしっかり進めていくことが課題という受けとめをしているところでございます。
〇神崎浩之委員 なぜ犯罪を犯した人を支援するかというのは、犯罪者個人もありますけれども、犯罪者を出さない地域づくりをするという観点もあります。個人もですけれども、地域ですね。再犯しない、安全な地域をつくるということもあります。
 初犯は減っているけれども再犯はなかなか減らないということ。今おっしゃいましたとおり、やはり仕事がないのです。再犯の7割は仕事がない方、それから、再犯の2割の方が住所不定でありまして、仕事、住まいがないことが再犯につながる要因、課題であります。
 奈良県の例、これは一般質問で木村議員が提示されました。実は、10年ぐらい前に、大阪府の吹田市が先んじて保護観察対象者の直接雇用に取り組みました。私は当時市議会議員だったので市議会でも質問したのですけれども、何でそんな怖い質問をするのだみたいな目で見られました。吹田市は平成22年、全国に前例がなかった少年保護観察者の直接雇用を始め、1日7時間45分勤務で、そのうち週1日は民間企業への就職活動のために休暇をとらせたということであります。そして勤勉に任用期間を終了すれば、勤務状況を記した市長名の勤勉証明書を交付したということであります。行政がお墨つきを出すわけです、民間の就職のために。そういうことをやった。
 市役所の総務部人事室によると、受け入れ部署は、最初、不安は大きかったということでした。しかし、実際接してみれば普通の子だったということで、平成29年3月までに延べ9人の対象者を受け入れて、うち3人が6カ月の期間を満了して復学や次の勤務先を見つけたということであります。職員は、勤務開始前は戸惑いもあったが、いざ働きに来てみるとまじめな子だったということであります。これは市長のリーダーシップで行ったということであります。
 市役所という信頼される勤務歴を履歴書に記載できるということで、民間ではなかなか怖くてとてもできない、効率の面を考えてしまいがちでありますけれども、市役所という行政だからこそ保護観察中の少年を雇うことができたと言っておりました。
 そういう例がありますので、4月以降再犯防止推進計画を策定する県でもということで、実際雇用するのは人事課でありますので、総務部長にお聞きいたします。
 先月、法務省の方から話を聞いたとき、その資料の中に法務省のマークの上にSDGsのマークが重ねてあったのです。そのことも含めて、SDGsとのかかわり、それから県としての採用についてお伺いしたいと思います。
〇八重樫総務部長 ただいま、保健福祉部で地域再犯防止推進モデル事業ということで、そうした再犯防止に向けてどのような課題があるかというモデル事業等々をやっております。来年度、岩手県再犯防止推進計画をつくっていく中で、委員からもお話のありました再犯防止に向けたネットワークの構築であったり、あるいは社会復帰支援としてどのようなことをやるか。その場合、やはり雇用や福祉、あるいは住まいの関係の住宅政策等々で、県の各部がそれぞれ担うべき役割があると思います。総務部とすれば県の雇用という意味での役割があると思いますので、再犯防止推進計画をつくる中で、その役割あるいは課題を整理し、本庁の各部がそれぞれしっかり必要な対応を検討してまいりたいと思います。
〇神崎浩之委員 よろしくお願いいたします。知事も再チャレンジできる仕組みをつくると言っておりました。
 次に、二つ目でありますけれども、マスクの関係です。
 マスクというと、それも保健福祉部だろうと言われるのが嫌なわけでありまして、総合防災室として備蓄の状況はということであります。地震や火災等の自然災害に限らず、さまざまな県民の危機に対応しなければならない。特に市中感染となっておりますので、新型コロナウイルス感染症についても県民の危機であります。
 かつて避難所等では、自然災害時でも感染予防のマスクや消毒薬は必需品でありました。そこで、総合防災室としてマスクや消毒薬、トイレットペーパー等の備蓄はどうなっているのか。これもあわせて聞きますけれども、これらの県としての備蓄の品目の設定や、今後の対応はどうしていくのかお伺いいたします。
〇佐々木総合防災室長 マスク等の備蓄についてでございます。
 県では、岩手県地域防災計画の規定に基づきまして、発災直後から食料や生活必需品の流通が確保されるまでの間、市町村の備蓄を補完するという考え方に立ちまして、食料、飲料水、毛布、携帯トイレなどを備蓄しているところでございます。
 マスクや消毒薬につきましては県では災害用の備蓄はないところでございますが、一方、市町村におきましては、災害用あるいは保健、医療用として一定量の備蓄が行われているところでございます。
 それから、今後の対応でございます。県といたしましては、災害発生に備えるためのマスクの取り扱いにつきましては、市町村の備蓄の状況や今後の供給の回復の状況を踏まえて考えてみたいと思っているところでございます。
 市中感染という話が出ました。当室といたしましては、傷病者の救急搬送等を担う県内の各消防本部におけるマスクや感染防止着や消毒薬等の状況が非常に気になるところでございまして、調査を実施しましたところ、当面の消防救急活動に支障はないことを確認できたところでございます。
〇神崎浩之委員 何か災害があれば、皆さんは各部に振り分けて仕事を頼むわけです。今回は新型コロナウイルス感染症ということで、それは保健福祉部だろう、それは感染対策だろうということでほかの部のことだと思わないで、こういうときこそ他の部に温かい声をかけていただくことが必要ではないかと考えております。
 備蓄の中で、個人のストーマの装具について、大腸がんなどで人工肛門の方がいるわけですが、これは武田議員も一般質問で言っておられましたけれども、市町村に事前に自分のストーマ装具を預けておくということを、ぜひ総合防災室のほうから避難所運営をする市町村への指導という立場でお願いしていただきたいと。災害があるといろいろな物資が全国から集まってきますけれども、人工肛門のストーマ装具というのはすごく種類があって誰にでも合うものではないということで、しかもこれは、相手に聞いても、品番とか商品名がなかなかわからないのです、種類が多過ぎて。そういうこともありますので、大槌町など県内からも事前に自分の人工肛門のストーマ装具を行政に預けておく、そういうシステムを要望されております。
 ということなので、これも保健福祉部と言われると困るのですけれども、市町村を集めた防災会議において、さまざまな福祉用具もありますけれども、これらストーマ装具の事前の届け出、預け入れ、そういうことも指導していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇佐々木総合防災室長 ストーマ装具につきましては、お話ございましたとおり、多くの種類や型があると伺っておりまして、東日本大震災津波で支援物資として支給された際に、型が合わずに排せつ物が漏れて皮膚に炎症が生じるなどのふぐあいがあったという報告もあると伺っているところでございます。非常に切実な問題でございまして、備蓄する場合には、装具選定等において難しい面もあると考えているところです。
 一方では、お話ございましたとおり、ストーマ装具の備蓄を希望する方から個別に預かって、市町村役場で保管するという方法で備えている事例もあるということでございます。例年4月に市町村消防防災主管課長会議を開催しておりますので、そういった場面を通じてこういった取り組み事例を紹介するなどいたしまして、福祉部門と防災部門との連携の促進が図られるよう市町村に対しても働きかけを行ってまいります。
〇神崎浩之委員 最後に、災害応援協定の内容と現状はということであります。
 これもマスク絡みですけれども、企業と県、市町村とは災害応援協定を結んでおります。これの相手先、内容について教えていただきたい。
 それから、いざ有事の際は、どういうタイミングでどういう経路で実行されるのか。私は、今もマスクの関係、消毒液については有事だと思っておりますけれども、どういうタイミングで実行されるのか。
 それから、この協定には、品目、応援内容は細かく明記されているのかどうなのかということであります。
 四つ目もあわせてお聞きしますけれども、応援協定に基づいて、マスク、消毒液、衛生用品等は、現在、依頼できるのか、しているのか、これについてお伺いします。
〇佐々木総合防災室長 大きく4点ほどお尋ねがあったところでございます。
 まず、災害時における応援協定でございますが、災害時に迅速な対応を行うためには、市町村や防災関係機関との連携に加えまして、例えば被害状況の情報収集や医療救護、緊急輸送、食料や燃料の確保など、さまざまな分野の団体、企業との連携が重要であると認識しているところでございます。このため、県では、これらの関係する団体や企業等との間で、これまでに175の相互応援協定を締結しているところでございます。
 応援協定の実行のタイミングといった話でございましたけれども、災害が発生して被災した市町村が、災害応急対策として、例えば食料や生活必需品等の確保が必要となった場合には、県は、その近隣の市町村間での調達をあっせんするとともに、県が関係団体、企業との間で締結しております協定等に基づいて調整を行い、物資を確保して被災地にお届けすることにしております。
 また、協定等により必要量を確保できない場合には、国や他の都道府県に対し、物資の調達またはあっせんを要請することとしているところでございます。
 品目等の協定への明記でございますけれども、県が締結しております災害応援協定では、一般的に、物資調達の範囲、要請の方法、物資の運搬、引き渡し、費用の支払い等について規定されておりまして、この中の調達物資の範囲につきましては、例えば生活必需品や日用品といった形で幅広に記載しておりまして、具体的な品名は明記しないのが一般的でございます。
 4点目、マスクなどの応援依頼でございますけれども、現在締結しております物資調達に関する災害応援協定におきましては、対応の範囲が地震、風水害、その他の災害が発生または発生のおそれがある場合と規定されておりまして、新型コロナウイルス感染症対策としての調達につきましては、今申し上げました災害時の応援協定とは別に、感染症対策としての対応を考える必要があると考えているところでございます。
〇神崎浩之委員 全て保健福祉部と言われそうな内容ですけれども、やっぱりある意味、今は有事です。岩手医科大学でもマスクが2週間分しかないという状況でありまして、大変なことになるのではないかと思っております。
 何かあれば保健福祉部、何かあれば県土整備部ということに災害があるとなりますから、ぜひ今のうちに、こういうときに全庁挙げてというか、総務部総合防災室を含めて各部局の支援をしていただきたいと思っております。
 応援協定の相手方の中には、例えば株式会社カワチ薬品もありますし、それから医薬品については岩手県医薬品卸業協会と災害時における医薬品等の確保に関する協定を締結しており、そういうルートもありますので、正式なお願いの仕方も大事ですけれども、それ以外のルートを生かしてこの有事に対応していただきたい。
 最後に部長、保健福祉部を経験されてそういう立場もわかっておられると思いますけれども、部長の所見を聞いて終わりにいたします。
〇八重樫総務部長 現在のマスク等の物資の不足について、市町村等も含めて、どのくらい備蓄があるか等々について保健福祉部を通じて把握しているところでございますし、鳥インフルエンザの関係等々で農林水産部にもマスク、防護服等々ございますので、今の委員の意見も踏まえまして、まさに災害時といいますか、全庁挙げて支援していくことが必要ですので、応援協定を締結している関係団体、企業等を含めて、さまざま連携強化を図って対応していきたいと考えているところでございます。
〇神崎浩之委員 ぜひ市町村も含めた備蓄の状況を再確認していただいて、終わってから、あそこの倉庫にたんまり残っていたとか、そんなことにならないように。去年の台風第15号による水害の際も、千葉県で災害用で備蓄されていた自家発電装置があったけれども、それがなかなか活用されなかったということが後からわかりましたよね。そういうこともあって、過ぎ去った後に、実はどこどこの県の庁舎の倉庫の中にいっぱい余っていたということにならないようにしていただきたい。
〇千葉盛委員 私も、災害用の備蓄についてお伺いします。神崎委員と重複するところもあるかもしれませんけれども、御理解をいただきたいと思います。
 今、マスクの話が出ましたけれども、今回の新型コロナウイルス感染症の対策の中でマスク不足が生じていると。その中で、岩手県には災害用のマスクが備蓄されていない。ただ、他の自治体では、災害用マスクを、例えば医療関係や学童、保育所などに配ったりしているわけです。岩手県災害備蓄指針も読ませていただきましたけれども、このように流通がとまってしまって、実際に医療関係にもマスクが届かないとか、何かが品薄になっているという状況が起きているわけです。
 あくまで災害のときの話をします。その中で、先ほどもありましたけれども、恐らく岩手県は、市町村と分担しているということでしたので、補完するということで、先ほど言ったとおり最低限のものしか備蓄されていないようでありまして、あとは市町村と調整しながら、融通しながらということですけれども、今回は世界中が範囲になっているわけです。そうすると、県内全体も範囲になっているわけです。先ほどマスクは備蓄を考えていないとおっしゃいましたけれども、その中で、大規模災害に備えて、備蓄物資が県内市町村のどこにどのようなものがどの程度備蓄されているのか、関係団体からいざ災害が起きたときにどれほど調達できるのか、この情報共有はどうなっているのかお伺いいたします。
〇佐々木総合防災室長 今お話が出たところと重複する部分があるかもしれませんけれども、県では、岩手県地域防災計画の規定に基づきまして、発災直後から食料、生活必需品の流通が確保されるまでの間、市町村の備蓄を補完するという観点で、食料は2万8、800食、飲料水は10万9、800リットル、毛布は1、500枚、携帯トイレは17万1、000個などを備蓄しているところでございます。
 保管場所につきましては、大規模災害時に県内全域の被災者へ迅速かつ効率的に供給できるよう、県の広域防災拠点として設定しております盛岡、二戸、葛巻、遠野、北上の各エリアの施設に分散し、備蓄しているところでございます。
 また、災害が発生し、備蓄施設から必要な物資の搬出が必要になった場合に備え、対応に当たる職員等をあらかじめ規定しているところでございまして、昨年10月の台風第19号災害におきましても、災害時における救援物資等の緊急輸送に関する協定を締結しております岩手県トラック協会の協力もいただき、県消防学校に備蓄していた毛布を速やかに久慈市の避難所に運搬するといった形で対応しているところでございます。
 今後におきましても、例年実施しております総合防災訓練におきまして備蓄物資の運搬訓練を行うことによりまして、災害発生時に速やかな対応が図られるよう、関係する団体、企業との連携の強化を図ってまいります。
〇千葉盛委員 岩手県災害備蓄指針に全部書いてありますので、そのとおりだと思います。一応県内全体の数は、平成25年時にも書いてあります。ただ、最新のものにも個別の数は書いていないのですね。先ほども言いましたけれども、数が大切なのです。マスクがあとどのくらい残っているのか。1枚なのか、あと1年分残っているのかわからないですけれども、それがわからないから困るという話であって、この状態を見ても災害用マスクが必要だと思わないところが私はよくわからないのです。
 市町村は、確かに災害のときは最前線で対応します。市町村が確かに前に立つのかもしれないですけれども、震災のときも、放射能から始まり、いろいろな感染対策ということで相当マスクは使いました。なのに、どうして岩手県としてそもそも備蓄していないのか。必要だと思うのです、実際に、いろいろな災害のときに。それでもまだこれから検討も含めてマスクの備蓄を考えていかないのか。マスクに限らないですけれども、とりあえずマスクということで答弁をお願いします。
〇佐々木総合防災室長 先ほどの私の申し上げ方がまずかった点があるかと思いますけれども、マスクの備蓄を全く考えないということではございませんで、先ほど神崎委員の質疑のときに申し上げたつもりだったことは、県として災害発生に備えるためのマスクの取り扱いにつきましては、市町村の備蓄状況や、今、市中にマスク自体が全く出回っていない状況だと思いますので、そういった今後の回復状況も踏まえて考えてみたいという考え方でございます。
〇千葉盛委員 私が初めての質問だったら違った観点で質問したかったのですけれども、今、マスクにこだわり過ぎてしまって。
 私が言いたいのは、先ほどの答弁で何万食だ、どうのこうのと言っていましたけれども、その数字を県内全体として共有するべきだと思うのです、いざ何か起きたときに。今回みたいなときに、県内全体がどうなるかわからない状態の中で、物資の融通がきかなくなると思います。なので、全体の把握をして、どこにどれだけの物資を回せばいいのかという情報共有体制、システムのようなものが必要だと思います。それを把握しておくことが大事だと思います。
 実際、市町村によっては、災害用備蓄としてマスクを持っていた自治体が、令和元年台風第19号災害で使ってしまって、ないという話もあります。そういったことも含めて、いつでもわかるようにして連携体制を整えていってほしいのですけれども、それについてお伺いいたします。
〇佐々木総合防災室長 全国的にも風水害が連続して起きるといったことも踏まえまして、国では、ことしの出水期に向けて全国の自治体に物資調達・輸送調整等支援システムを導入する予定でございます。これは、国と地方自治体が物資の備蓄や払い出しの情報を一元的に管理して共有するものでありまして、まさしくお話ございましたとおり、例えば市町村間で融通し合うといったことも可能と思っております。こういったものの活用も通じまして、国、県、県内の市町村との連携体制の強化を図ってまいりたいと考えております。
〇千葉盛委員 市町村、関係団体との情報共有は大切だと思いますので、いざというときにしっかり調達できるように連携をお願いいたします。
 次に、先ほどもおっしゃっていたので恐らく備蓄していないのだろうと思いますけれども、岩手県災害備蓄指針を改定したのが2019年3月ということで、今の指針に、高齢者、障がい者、難病患者、外国人、乳幼児及び妊産婦等の要配慮者のための介護用品、育児用品、女性用品等の物資については、流通在庫備蓄を活用することを基本とし、災害時に必要量を調達できるよう、民間団体等との協定の締結を進めていくと。男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針の趣旨を踏まえ、一定程度の備蓄についても考慮すると書いてありますけれども、それは考慮されなかったのかお伺いいたします。
〇佐々木総合防災室長 要配慮者に対する備蓄について申し上げますと、先ほど携帯用トイレという話を申し上げましたけれども、例えば被災地で学校が避難所になった場合、洋式トイレがないこともあり得るわけでございます。そういった場合に対応するために組み立て式の洋式トイレの備蓄を始めているところでございまして、今年度は24基導入しているところでございます。こういったものは備蓄として数をふやしていきたいと考えているところでございます。
〇千葉盛委員 例えば、乳幼児、妊産婦のおむつとか粉ミルク、哺乳瓶といったものは県として備蓄されているのかどうなのかお伺いいたします。
〇佐々木総合防災室長 今、お話が出た中で乳幼児用の液体ミルクというものがございまして、手元に資料がございませんので、液体ミルクの備蓄があるかにつきましては急ぎ確認させていただきますので、お許しいただきたいと思います。
〇千葉盛委員 液体ミルクもそうですし、おむつとか哺乳瓶とか、粉ミルクでもいいですけれども、それも含めてお願いします。
 というのも、1年前に吉田敬子議員も同じ質問をされたと思いますけれども、こうやって指針にも出ていますので、それからしっかりと考慮されたのかどうなのか、そこを確認したいと思います。
 内閣府からも災害時における授乳の支援並びに母子に必要となる物資の備蓄及び活用についてということで通達もされておりますので、そこはしっかりと備蓄してほしいと思います。
 備蓄の活用についてお伺いします。
 先ほど、令和元年台風第19号の際に毛布が久慈市に運ばれたと話されていましたけれども、東日本大震災津波が起きてから9年たとうとしておりますが、その中で大きな災害が幾つもありました。そういった際に備蓄物資がどういう使われ方をしているのか。それとも、そこまでのことではなかったのか、その辺の活用のされ方をお伺いします。
〇佐々木総合防災室長 まず、先ほど申し上げました液体ミルクにつきましては、今年度、試行的にではありますが、一部購入手続中でございます。
 それから、活用の仕方でございますが、今回の令和元年台風第19号におきましても、被災地で何を必要としているかは、災害対策本部支援室でも非常に重要な点ということで、力を入れて情報収集したところでございます。必要なものにつきましては、例えば災害応援協定に基づいて調達するとか、そのほかにも国でプッシュ型支援を最近強く行っているところでございまして、給水用のポリ袋を国から被災地にお届けいただくといった形で対応しているところでございます。
〇千葉盛委員 ということは、県の広域防災拠点に備蓄物資があるわけですけれども、これを活用されたということはないわけですか。
〇佐々木総合防災室長 以前の平成28年台風第10号のときには県から被災地に対して物資を供給したことはあったと記憶しておりますし、今回は、お話出ましたが、県消防学校にある毛布を久慈市にお届けしたといったことが活用事例としてございます。
〇千葉盛委員 備蓄物資も期限があるでしょうから、食料にしろ、毛布もどのくらいもつのかわからないですけれども、いろいろなものに期限がある中で、どんどん災害があるときには活用を考えて使っていったほうがいいと思います。それだけの災害が私は起きていると感じていますけれども、その辺もう少し柔軟に対応されるようにこれからしていったほうがいいのではないかと。
 あと、防災訓練等いろいろな機会があると思いますけれども、そういったときにも積極的に使って、さらに学校の防災教育だ何だかんだ、津波の伝承とかありますので、いろいろな機会を通じてどんどん使っていけばいいのではないかと。毛布とかは難しいかもしれないですけれども、食料等、いろんな機会で使ったほうがいいのではないかと思いますけれども、その辺についてお伺いいたします。
〇佐々木総合防災室長 おっしゃるとおり、水とか食料につきましては、賞味期限が来てそのまま廃棄することになると非常にもったいないところがありますので、現在におきましても、例えば、市町村で防災訓練が行われる場合に、住民の方用に、商品名は言えませんが、バランス栄養食というものを県で備蓄している場所から持ち出していただいて、そういう場面で住民の方に、災害時にはこういったものが使えることを改めて周知を図るという形で活用しているところでございます。
 今、いろいろお話を頂戴しましたので、さらにそういった活用が図られるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇千葉盛委員 どうしても使用されないで廃棄されてしまうものがあると思うのですけれども、食料等、その辺どうなっているのかをお聞かせください。更新の時期とかいろいろあるでしょうから、そのまま廃棄されているものも多分あると思うのですけれども、そういった状況をお聞かせください。
〇佐々木総合防災室長 食料関係につきましては、私は総合防災室長となって2年目でございますけれども、今年度末で廃棄が出るけれども処分、捨てていいですかという話は聞いておりません。半年も1年も前に、防災訓練で使ってくださいということは、そのあと災害があるかもしれませんので、そのバランスはなかなか難しいところがあるのですけれども、処分期限が来る前に、訓練といった場面で活用を図るようにしているところでございます。
 あと、申しわけございません。先ほど液体ミルクを購入手続中と申し上げましたが、今年度は240ミリリットルのものを504本、購入手続は終わっているということでございますので、県としても、液体ミルクにつきましては備蓄を一部ですがしているということでございます。申しわけございませんでした。
〇千葉盛委員 どこに備蓄されるのかも含めて―ここですか。ここですね。拠点とかではなくて、県庁にということですね……。はい、わかりました。
 あとは、おむつとかも含めて対応していただければと思います。
 今、全く廃棄がないという話に聞こえたのですけれども、実際、処分されるときに、廃棄処分ということはないということですか。
〇佐々木総合防災室長 繰り返しで恐縮でございますが、ここ2年間ということであれば、食料については期限が来る前の段階で、防災訓練とかで活用していただく形で対応しているところでございます。
〇千葉盛委員 ここ2年ということですね。これまではいろいろあったと。そこで、廃棄しないようにされてきたということですね。わかりました。
 備蓄品の活用の仕方とか、これからさまざま検討していただいて、今回組織が違えど、実際に災害用の備蓄品を活用している自治体もありますので、柔軟に対応していただければと思います。
 次に、消防団員の確保についてお伺いいたします。
 今回、消防団員の確保対策と装備品の購入等の支援のために1、500万円予算がついていますけれども、その辺、関係団体と調整しながら、どの程度、どういった補助を進めていくのか、具体的にお示しいただければと思います。
〇栗澤防災消防課長 消防団員確保対策費補助についてでありますが、消防団が地域住民の安全・安心の確保のために果たす役割はますます大きくなっていることから、県では、新たな補助事業の予算を計上し、団員確保と消防団活動に必要な装備品の整備による機能強化が進むよう、市町村の取り組みを支援していくこととしております。
 補助事業の制度設計に当たりまして、岩手県消防協会からの意見聴取のほか、市町村から要望を聞いたところでございます。
 現場の声としましては、消防団員確保のためのポスター、パンフレット等のPR費用、あるいは女性消防団員の活躍推進経費のほか、具体的に防火衣ですとか安全靴など、安全確保のための装備品を整備したいなどの要望があったところでございます。
 今後、市町村の要望ですとか、議員の皆様の意見等を参考にしながら、国の補助事業を補完し、市町村のニーズに幅広く応えられるような制度設計の検討を進めてまいります。
〇千葉盛委員 しっかりと要望に応えるような制度にしていただきたいと思います。本当に現場の声が届くように、市町村も含めて、しっかりと連携して情報収集していただきたいと思います。実際、消防団の方々はいろいろ足りないと言いますけれども、自分たちのお金で結構買っているものもあります。装備品も大切なのですけれども、有事の際に、では、それを着ていく暇があるかと言えば、そんなのはないですので、実際の、本当にどういうものを必要としているのか、県消防協会もよろしいのですけれども、現場に近いところからしっかりと意見を聞いていただいて、せっかく新しい予算としてでき上がったものですので、充実させていただければと思います。
 最後に、装備品とか確保対策も大事なのですけれども、現在いる消防団員がしっかりと務めていけるように、将来的にできるかどうかわからないですけれども、出動手当とか、そういう形のものにしていただければありがたいと思います。その辺についてお伺いして終わります。
〇栗澤防災消防課長 市町村のニーズに関しましては、これまで聞き取り等をした中では、例えば雨合羽が欲しいという要望も受けております。私どもの装備品の制度設計の考え方は、安全確保に資するもの、あるいは団員の負担軽減に資するものを基本的な考え方としていますけれども、雨合羽も悪天候時の消防団活動の安全確保のために必要なものという判断をしながら市町村のニーズに応えていきたいと思っております。
 あと、団員の報酬等につきましては、毎年開催する市町村の担当課長会議等におきましても、処遇の改善についてお願いしているところでございますので、今後も、改めて、制度設計について市町村に対してもお願いしていく予定でございます。
〇臼澤勉委員 それでは、私から端的に聞いてまいります。
 職員の人件費の話についてはいろいろきょうも出ておりましたが、市町村を回って首長等からも要望の強かった土木技術職員について絞ってお伺いいたします。
 多発する自然災害、そして公共施設の適正管理といった課題がある中で、県の現在の技術職の欠員状況はどのようになっているのかお伺いします。
〇佐藤人事課総括課長 先ほど答弁しましたけれども、令和2年2月1日現在の知事部局の欠員は64名でございますが、このうち、技術職の欠員が39名となっておりまして、中でも総合土木職の欠員が22名と、最も多い状況になっております。
〇臼澤勉委員 約3分の1。そして部局別に見ると、事務職も入るのですけれども、64名のうち3分の2が農林水産部、県土整備部の欠員という状況で、まさに今いろいろと災害対応を現場で頑張っている部局であります。そういった中で、市町村からも強く派遣の要請があると思うのですけれども、どの程度技術職員が派遣できているのかお伺いします。
〇佐藤人事課総括課長 県職員の市町村への派遣、これは任期付職員が中心になりますけれども、県では、被災市町村からの要望を踏まえまして、任期付職員の採用を行ってきておりまして、平成31年度当初でお話を申し上げますと、土木職は要請が12人ございまして、これに対して7人の派遣という状況になっております。今お話しした平成31年度からの新規の派遣7人に、前年度から継続派遣をしている方を含めますと、合計で33人派遣をしている状況です。
〇臼澤勉委員 今後の短期、中期の採用計画はどのようになっておりますでしょうか。
〇佐藤人事課総括課長 今後の採用計画でございます。毎年度、退職者の見込みあるいは行政需要の変化等を踏まえまして採用予定数を定め、計画的な採用に努めてきているところでございます。いわて県民計画(2019〜2028)におきまして、計画の施策を着実に推進していくという観点で、知事部局におきましては、昨年度、知事部局定数等管理計画(2019年度〜2022年度)を策定いたしました。この計画の中で、今年度から4年間で、80人から100人程度の増員を図ることにしております。
 なお、この人数につきましては、事務、技術の別というものはございません。
〇臼澤勉委員 今回、総務省で、全国的にそういう要請が強いこともあって、県が技術職員の増員を図って市町村を支援したり、あるいは中長期派遣をする経費に対して地方財政措置が講じられることになりました。今後の県の対応方針をお伺いいたします。
〇佐藤人事課総括課長 全国的に災害が多発する中におきまして、復旧、復興業務に従事する技術職員の確保は重要な課題と認識しております。県では、これまで、国に対しまして、大規模災害に備えて必要な職員を確実に確保する仕組みの構築について要望してきたところでございます。今回、今委員からお話のございました国の新たな支援制度は、こうした本県の要望に応えたものという受けとめをしておりますし、また、技術職員の確保が難しい小規模市町村の支援にも資する内容となっておりますので、評価できるものと考えております。
 これを本県で活用するかどうかという点でございますが、現時点では、制度の詳細がまだ不明な部分もございます。また、本県においては、東日本大震災津波や台風災害からの復興に向けて、全国の都道府県から応援職員を受け入れている状況にもございますので、今後、他県の状況等も注視しながら活用について研究していきたいと思います。
〇臼澤勉委員 いずれ、総務省の財政課長もお昼も食べずに、法改正だとかに対応しておりました。先ほど来、物資のストックの議論がありますけれども、ストックというかそういった視点でも、土木技術職の前倒しの採用を国の制度も活用しながら検討いただきたい。
 次に、消防防災の充実強化についてお伺いします。
 岩手県公共施設等総合管理計画を定めていろいろやっておりますけれども、個別の話で恐縮ですが、県消防学校の劣化診断が平成29年、3年ぐらい前に行われておりましたが、その中で、校舎5棟は5年以内に改修を要するという調査がありました。5年以内ということであります。早急に対応する必要があると思います。整備手法に加えて具体的な検討はどうなっているのか。財源確保を含めた検討状況を改めてお伺いいたします。
〇栗澤防災消防課長 岩手県消防学校の整備の検討状況についてでありますが、今年度は、平成30年度に研究会で取りまとめた消防学校に必要な機能等に関する研究会報告書をもとに、求められる機能等を実現するための整備手法を事務的に比較検討し整理したところであります。現在の敷地面積で建てかえや長寿命化改修工事での対応は、可能という整理を行ったところでございます。
 令和2年度は、建設地や周辺施設への影響等も含めた総合的な比較検討を進めるため、消防関係者のほか、矢巾町、岩手医科大学、防災及び建築関係有識者等を構成員とした、仮称でございますが、岩手県消防学校整備基本構想策定委員会を設置し、事業費、整備スケジュール等の詳細な検討を行う予定としております。
 また、整備費用の財源確保については、現在、消防学校整備に係る国の補助制度がないことから、PFI等の導入も含めた検討を進めたいと考えております。
〇臼澤勉委員 5年以内というこの報告書、具体的に期限も切っており重要だと思いますので、いろいろと多面的な検討を進めていただければと思います。
 ここは防災ヘリポート拠点にもなっております。今回、消防防災ヘリコプターの運航安全管理者の配置、あるいは2人操縦士体制の導入に伴う経費も地方財政措置の対象となってきておりますが、今後の対応はどのように考えているかお伺いします。
〇栗澤防災消防課長 消防防災ヘリコプターの安全運航についてでありますが、消防防災ヘリコプターの事故等を踏まえ、総務省消防庁は、消防防災ヘリコプターの運航に関する基準を制定し、昨年10月1日から施行しているところでございます。
 基準の主な内容としましては、2人操縦士体制の導入、これは経過措置として令和4年度からの施行とされているところでございます。そのほか、運航安全管理者の配置、操縦士の養成訓練、研修などが掲げられております。
 全国的にヘリコプターパイロットが不足していると言われ、さらに防災ヘリコプターの操縦が可能なパイロットが少ないことも課題となっておりますが、2人操縦士体制の導入あるいは運航安全管理者の配置につきましては、より安全な運航体制の強化に直結するものと考えており、早期の実現が必要と考えております。このため、県では、令和2年度から運航安全管理者を配置するとともに、2人操縦士体制を試行的に実施する予定で委託事業者と調整を進めているところでございます。
〇臼澤勉委員 その辺の対応もしっかりとお願いしたいと思います。
 それからソフト面において、災害とか防災の際に、私は大事な視点として、情報をしっかりと地域住民に伝達する仕組みが大事だと認識しております。それで、大雨とか台風など、野外のスピーカーから流れる情報が聞こえにくいという声がありまして、家の中に置く戸別受信機が私は有効ではないかと思っております。県立大学と連携しながらインターネット放送とかの産学官の動きもありますけれども、新年度はどのような対応方針を考えているのかお伺いいたします。
〇佐々木総合防災室長 防災行政無線の戸別受信機につきましては、平成31年3月末時点で、県内では28市町村が導入しておりまして、このうち、平泉町と住田町では全戸に配備されているところでございます。
 戸別受信機につきましては、台風や豪雨などによりまして、お話がありましたとおり、屋外スピーカーから音声が聞き取りにくいという状況におきまして、住民の情報伝達に極めて重要な手段であると考えられております。
 国におきまして、令和元年度補正予算で、市町村への戸別受信機の無償貸し付けを行う事業を実施することとしておりまして、県内では複数の市町村が要望しているところでございます。
 今後におきましては、戸別受信機の整備を市町村に促すとともに、お話が出ました、県内においてインターネット放送を活用した防災情報の発信について研究している事例もございますことから、県内の先進事例とあわせ、例年開催しております市町村消防防災主管課長会議等を通じて、市町村に対し周知を図ってまいります。
〇臼澤勉委員 防災情報あるいは今回の新型コロナウイルス感染症の対応などの有効な情報伝達手段になると思いますので、ぜひ、いろいろと市町村とも連携して、前に進めていただきたいと思います。
 最後に、岩手県公共施設等総合管理計画の個別施設計画の策定状況、それから、この個別施設計画の内容を反映して、今後の施設管理をどうコントロールしていくのか。そして、優先度の検討をどう行いながら、全庁的に取り組みを推進していこうと考えているのか、まとめてお伺いします。
〇山崎参事兼管財課総括課長 個別施設計画の策定状況についてでございますけれども、岩手県公共施設等総合管理計画に基づく個別施設計画の策定については、庁舎や道路等の22施設類型のうち、今年度末において15類型、68.2%の策定が見込まれるところでございます。
 次に、個別施設計画を踏まえた今後の施設管理についてでございますが、平成28年3月に、岩手県公共施設等総合管理計画を策定した時点では、現在保有している公共施設等を全て維持すると仮定すると、今後30年間で公共施設の維持、更新等に係る経費見込みを年平均で236億円と試算しており、これは、過去5年間の平均投資額の2.6倍に相当するなどの課題を抱えていたところでございます。このため、令和2年度までに各部局で策定することとしております個別施設計画につきましては、岩手県公共施設等総合管理計画に掲げる計画推進の三つの柱であります、コスト縮減、財政負担の平準化、施設規模、配置、機能等の適正化、安全・安心の確保の実現化に向けた全庁的な調整などを進めてまいります。
 次に、全庁的な取り組みの推進についてでありますが、現在、施設所管部局を構成員とする岩手県公共施設等総合管理計画推進会議を設置しており、この会議を通じまして、対象施設の優先度の調整などを図りながら、施設の更新、統廃合や長寿命化などについて検討してまいります。
〇臼澤勉委員 公共施設で、年間、平均236億円、インフラで504億円と、これからいろいろとかかってまいります。この管理更新費の見通しを持ちながら、今後の投資規模を適正にコントロールしていかなければいけません。財源確保をしっかりと図りながら、優先順位あるいは手法も含めて、ぜひその辺の対応をお願いして終わりたいと思います。
〇斉藤信委員 最初に、総括質疑でも取り上げましたが会計年度任用職員の問題について改めて取り上げたいと思います。
 フルタイムの臨時職員がフルタイムの会計年度任用職員になった場合に、待遇、賃金はどう変わりますか。
〇佐藤人事課総括課長 フルタイムの臨時職員がフルタイムの会計年度任用職員に任用される場合の御質問でございます。
 フルタイムの会計年度任用職員、事務補助を行う会計年度任用職員の月収、年収ということでございますけれども、給料月額が18万3、800円、そして1年目の年収は給料と期末手当の合計で252万円、2年目以降の年収は、給料、期末手当の合計で268万円となる見込みでございます。
   〔斉藤信委員「臨時職員は幾らなの。違いを聞いている。」と呼ぶ〕
〇佐藤人事課総括課長 現在の臨時的任用職員でございますが、現行におきましては、給料月額が、給与改定後の数字になりますけれども、月額15万3、930円、年収といたしましては183万150円という状況でございます。
〇斉藤信委員 今の答弁にあったように、本来、会計年度任用職員というのは、臨時職員の劣悪な状況を改善するということが重要な目的だった。本来なら、月収は15万3、930円から18万3、800円に、そして年収は183万円から252万円に改善されると。ところが、あなた方の計画はこうですよ。今、臨時職員は571人ですが、フルタイムの会計年度任用職員は126人に減らされる。4分の1以下です。22%です。これだったら全然改善されないじゃないですか。知事部局だけですよ、こんなにフルタイムの会計年度任用職員をばっさり減らすのは。これは改悪じゃないですか。今までの臨時職員は無駄なフルタイムだったと、こうなりませんか。はっきり答えてください。
〇八重樫総務部長 公務の運営については、任期の定めのない常勤職員を中心とすべきでありまして、まずは常勤職員の増員、今年度からの4年間で80人から100人程度増員をいたしますし、欠員の解消を図った上で、育児休業者や欠員の職員の代替として任用する会計年度任用職員をフルタイムでの雇用としました。そのほか、秘書業務であるとか、除雪などの個別事業の事務補助のうちフルタイムでの任用を要する業務に従事する者もフルタイムでの雇用としたものでございます。その上で、臨時職員の業務を一つずつ吟味いたしまして、事務補助業務を行う会計年度任用職員の勤務時間について、その業務量、業務内容を踏まえて、週30時間のパートタイム勤務とすることが適当と判断したものでございまして、約290名がフルタイムからパートタイムとなるものでございます。
 先ほど委員御指摘の、フルタイムの臨時職員が445名減少しているという中には、事業費の減分が150人ほど含まれているものでございまして、フルタイムからパートタイムへ移行する者は約290名であります。今後も常勤職員の増員に努めていく考えであります。
〇斉藤信委員 正規職員をふやすと、来年度は幾らふやすのですか。
〇佐藤人事課総括課長 来年度の具体的な増員の数につきましては、来年度の組織の公表をしたときに20名程度の増員の見込みというお話はしておりますけれども、詳細につきましては、採用予定数ですとか退職の見込みもまだ動いておりますので、正確な数字としてはまだ確定していない状況でございます。
〇斉藤信委員 総務部長の答弁はごまかしじゃないですか。290人もフルタイムからパートに移行して、今の見込みで正規職員はたった20人増でしょう。全然計算が合いませんよ。
 私はそのことを心配して、去年の決算特別委員会でもこの問題を取り上げたのです。フルタイムの臨時職員を会計年度任用職員にするときにはフルタイムをばっさり減らすようなことがあってはならないと。パートの月収を減らすようなことがあってはならないと。このことについて、私は昨年11月の決算特別委員会であなた方にくぎを刺したつもりだった。ところが、予想以上に、ばっさりとフルタイムを減らしてパートへの移行ですよ。
 パートになるとどうなるか。月収が月1万1、000円減るのですよ。皆さん、正規職員が月収1万1、000円減らされたらどうなりますか。これは生活給なのです。これは改悪なのです。正規職員だったら、月収を減らすなんていうことは絶対できないことですよ。そう思いませんか。正規職員で月収を減らすということができますか。
〇八重樫総務部長 フルタイムの現在の臨時的任用職員がパートタイムの会計年度任用職員になりますと、現在、週38時間45分勤務が週30時間勤務となるわけでありまして、勤務時間が現在の77%になるということでございます。先ほど申し上げたモデルケースの期限付臨時職員の場合、これは、今回の会計年度任用職員の制度設計に当たって、類似する職務に従事する常勤職員の給料月額を基礎としていますから、県職員の行政職の1級25号給に格付をしました。これは大卒の初任給に相当しまして、そのため、先ほど申し上げたとおり、月額給与としては14万2、000円となるものでありますけれども、給与は、臨時職員のときから92%の水準となるものでございます。制度設計に当たり、処遇の確保が図られるよう留意したところでありますが、給与については、現行の年収と制度移行後の年収を一つ一つの職種ごとに吟味し、その水準が保たれるように留意したものでございます。
〇斉藤信委員 今、フルタイムの臨時職員として働いている一人一人のことを考えてほしい。そのうち290人をパートに移行するのです。フルタイムからパートに。これ自身、改悪なのですよ。そして月収も減らされる。いいですか。今働いている人たちの待遇改善になっていないということなのです。
 総務省の通知で、こうあるじゃないですか。期末手当を支給する一方での給料の抑制やフルタイムでの任用の抑制は、改正法の趣旨に沿わないものであると。このようにくぎを刺して、1、700億円の財源を措置したわけでしょう。こんなにフルタイムの会計年度任用職員を減らしたのは、知事部局だけですよ。例えば、教員の場合は、今の臨時職員110人のうち、86人がフルタイムの会計年度任用職員になります。警察本部は、今フルタイムの臨時職員は7人ですが、フルタイムの会計年度任用職員は12人にふやしています。知事部局だけなのですよ、4分の1以下にばさっと減らしたのは。一人一人の労働者にとってみたら、これは改悪なのです。私は本当に、こんなことをよくやったと思いますよ。幸福を追求する県政が、一人一人の労働者の労働条件を改悪していいのですか。私はそのことを本当に訴えたい。そういうことがないように私は決算特別委員会で指摘をしていた。国がせっかく1、700億円も措置しているときに、こういうやり方はないのではないですか。
 もう一つは、総括質疑でも聞きましたけれども、消費生活相談員の待遇です。これは岩手弁護士会との懇談会のときに指摘されたのです。専門職としての消費生活相談員の待遇が悪過ぎると。月収が15万8、700円です。盛岡市は、ちなみに20万4、300円。こんなに違うのですよ。弁護士も、専門的な仕事の内容にしては待遇が悪いということを言っていますけれども、これはどうなのですか。所管は環境生活部ですか、あなた方ですか。
〇佐藤人事課総括課長 非常勤専門職員でございます消費生活相談員につきましても、それぞれ個々の職の業務内容、それから業務量といいますか、勤務時間というものを踏まえた上で、制度移行の検討をしたところでございます。
 盛岡市との比較ということでございますけれども、それぞれの自治体で採用される職員でございますので、盛岡市の消費生活相談員の報酬の算定方法については、県としまして承知はしておりませんけれども、本県が任用する相談員の報酬については、職務内容や責任、必要な知識などのほかに、県の他の相談員の報酬、それから東北各県の消費生活相談員の報酬等を踏まえて今回決定をさせていただいたものでございます。
〇斉藤信委員 これも会計年度任用職員になると、月収が1万8、000円減るのです。生活給がマイナスです。盛岡市と5万円近く違う。弁護士さんも言っていましたよ。これは専門的な仕事ですと。それにしては待遇が悪いということを言っていますから、これ以上ここで議論しても進まないので、盛岡市との大幅な違いも含めて私は改善を検討していただきたい。
 次の問題に移ります。新型コロナウイルス感染症対策によって学校が一律休校になりましたが、職場を休まざるを得ない職員の把握はどうなっていますか。
〇佐藤人事課総括課長 まず、今回の新型コロナウイルス感染症の対策ということで、国家公務員の場合ですけれども、今回の小、中学校、高校それから特別支援学校等の臨時休業によりまして、子の世話を行う職員が、世話を行うため勤務しないことがやむを得ないと認められる場合は、災害時等に出勤が困難である場合に取得できる有給の特別休暇の対象とされたところでございます。これを受けて、国から、地方公務員においても、この措置を参考にして柔軟な勤務体制の確保を図るようにという通知がございました。
 県職員の対応につきましては、国と同様に、学校の臨時休業により、子の世話を行う職員が勤務することができない場合は、この特別休暇の対象とすることとしたところでございます。昨日、3月4日時点におきまして、この特別休暇により休暇を取得した職員及び今後取得予定と把握した職員は、知事部局において47名となっております。
〇斉藤信委員 わかりました。これはきちんと対応していただきたい。私は全国一律の休校は早くやめたほうがいいと思いますけれども。
 次に移ります。令和元年台風第19号災害の検証、課題と教訓について。
 先ほども佐々木朋和委員が取り上げましたが、避難者が、夜の夜中に多数になったと。これは決算特別委員会でも議論になりました。あのときは、県当局は、何時に、どれだけの避難者がいたかということを把握したいと、こう言っておりました。把握しましたか。
〇佐々木総合防災室長 このときの避難の状況につきましては、10月12日の17時時点におきましては、839人と捉えているところでございます。それから、日がかわりまして、翌10月13日の6時の時点では9、930人でございます。この数字につきましては、県で災害情報システムの数値を入力したり、市町村が入力したり、共通で使っているシステムがございまして、こちらで把握した数字でございます。
〇斉藤信委員 そうすると、10月12日の夕方5時時点で8、039人ということでいいのですね……。(「839人」と呼ぶ者あり)839人。たった839人。災害情報システムだと、午後5時57分現在2、039人ですよ。午後10時現在6、686人だったのですよ。何でこんなに違うのですか。誇大な報告になったのですか。
〇佐々木総合防災室長 私どもで把握している数字につきましては、繰り返しでございますが、10月12日の17時の時点では、まだ839人だったと。それが、日がかわって翌日の6時の時点では9、930人だったということでございます。
〇斉藤信委員 だったら災害情報システムで午後5時57分現在2、039人と、なぜなったのですか。午後10時時点では6、686人ですよ。これは全く違っていたと。違い過ぎじゃないですか。当てにならないじゃないですか。それ、本当ですか。
〇佐々木総合防災室長 今申し上げたのは、日中に避難した方と、夜間に避難した方を、時間で押さえていくとこういう数字になりますということを申し上げたものでございまして、繰り返しで恐縮ですが、17時ですので、まだ日が残っていた時間帯ということになると思いますが、この時点では839人の方しか避難所には避難されていなかったと。それから、天候の状況とかを踏まえて、避難をする方がある程度いらして、翌日の6時の時点で締めた数字ということになると、その9、930人ということになっているということでございます。
〇斉藤信委員 例えば、午後5時57分というのはほぼ午後6時ですよね。この時点で2、039人になっているのです。これはそのとおりですか。
〇佐々木総合防災室長 手元にある資料の数字を申し上げますと、繰り返しで恐縮でございますが、17時の時点では839人、翌日の6時では9、930人ということでございます。
〇斉藤信委員 去年の決算特別委員会でもこの問題は一つの焦点で議論になって、私は、今のような時間帯を述べてどうなっているのですかと聞いたら、あなた方は実態を把握したいという答弁だったから今回聞いたのですよ。そんな中途半端な答弁でいいのですか。
 それで、17時の時点では839人だったと。あのときはもう真っ暗な時間帯ですよ。そうすると、真っ暗な夜中、真夜中に、本当にたくさんの方々が避難をした。私はここに令和元年台風第19号災害の重大な課題があるのだと思いますが、この問題をどのように分析、検討していますか。
〇佐々木総合防災室長 まさしく今回の令和元年台風第19号災害で最大のポイントになりましたのが、夜間に県民の方が避難所に避難したことと捉えているところでございます。私も避難者の数について、例えば、市町村が入力する時間にタイムラグがあれば、その数字がおくれて出てくるのではないかということも考えたところでございまして、そのあたりは市町村に確認をしましたが、長時間にわたって入力がおくれていることはないとお話をお聞きしておりますので、先ほど申し上げた数字がある程度実態を反映している数字だと。正確とまではちょっと私の立場で言えるかどうかですけれども、反映された数字だとは考えているところでございます。
 今、県として、そういう実態を踏まえて何をしているかというお尋ねだと思いますけれども、今回の令和元年台風第19号で、夜間に避難した方が、事故に遭って亡くなることがなかったことが本当に不幸中の幸いという捉え方をしております。
 令和元年台風第19号については、振り返りをしっかりやらなければならないという認識を強く持ったところでございます。
 振り返りのポイントとしては、かつての平成28年台風第10号がございましたので、そのときに同じように振り返りをして、これからこういうことをしっかりやっていこうと決めたものがございましたので、それがしっかり実行できたのかということ、それから、やったことの成果がきちっと出たのかということも論点の一つだと捉えております。それからもう一つとしては、今お話が出ております夜間の避難ということが大きな課題と捉えたところでございます。
 これらにつきまして、防災関係機関でありますとか被災市町村の事務レベルの方に集まっていただき、それから有識者の方にも入っていただきまして、現在、振り返りの作業を行っているところでございます。協議を進めまして、3月下旬に、県防災会議を予定しておりますので、その場面において、県地域防災計画に必要な修正を加えるという形で市町村と連携を図りながら、今回の令和元年台風第19号の災害対応を踏まえてきちっとした取り組みをやっていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 私はもう一つ、91万人の方々に避難勧告が出された。しかし、県内の避難所の収用人数は48万人、これは沿岸だけでなくて全県です。指定避難所のあり方も問われたのだと思うのです。そして福祉避難所がほとんど活用されなかったということも、一人では避難できない方々をどのように避難させるかということは、命にかかわる問題ですから、あわせてしっかり検討していただきたい。
〇佐々木総合防災室長 今回の令和元年台風第19号災害におきまして、指定避難所につきましては、浸水想定区域にある施設を避難所として開設したという事例でございますとか、避難所に移動した避難者の方を、再度、別の安全な避難所に移動させた事例があったところでございます。県としては、避難所の指定に当たりましては、ハザードマップ等によりまして、災害発生の危険性などを十分に考慮することなどについて、市町村に助言を行ってまいります。
 それから、福祉避難所の開設に当たりましては、要配慮者以外の避難者が多数避難した場合の受け入れ態勢が課題になったと伺っております。市町村に対しては、住民への福祉避難所の周知について検討を依頼したと聞いておりますので、総務部は防災担当部局でございますが、引き続き、担当部局とも情報共有を図りながらしっかり対応してまいります。
〇斉藤信委員 これで最後です。旧盛岡短期大学跡地の利活用について、今年度の建物解体に向けた設計の結果はどうなったか。先ほど予算説明でもありましたが、来年度の事業計画、予算措置はどうなっているかを示してください。
〇山崎参事兼管財課総括課長 旧盛岡短期大学跡地の利活用に関する今年度の解体設計に向けた設計の結果でありますが、昨年8月に建物解体工事設計業務に係る委託契約を締結し、本年度末までに解体設計を完了する予定でございます。
 次に、来年度の事業計画、予算措置についてでありますが、本年度実施した解体設計をもとに、令和2年度から令和3年度の2カ年で校舎等の解体工事を実施する予定としており、令和2年度当初予算においては、財産管理費3億4、700万円のうち、当該工事に要する費用として2億8、400万円を計上しているところでございます。このほか、令和2年度から令和3年度にわたる債務負担行為、限度額8億7、100万円を提案しているところでございます。
〇吉田敬子副委員長 おおむね再開後2時間が経過いたしますので、この際、世話人会の申し合わせにより、暫時休憩いたします。
   午後6時19分 休 憩
午後6時37分再開
〇吉田敬子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇小西和子委員 私からは、1点のみ、会計年度任用職員についてお伺いいたします。
 処遇面についての一つ目は他の委員の質疑と重複しましたので、割愛いたします。
 二つ目、専門職の非常勤職員から移行する会計年度任用職員の報酬水準に関しては言及されておりません。専門職の中には、人材確保が困難となっているものもあります。さらなる処遇改善が必要と考えますが、いかがでしょうか。
〇佐藤人事課総括課長 会計年度任用職員制度の導入により、従来の非常勤専門職員が担う職の報酬水準については、類似する職務に従事する常勤職員の給与水準との均衡を考慮して決定することとしたところでございまして、制度移行前と比較いたしまして一定程度処遇の確保が図られるものと考えております。
 さらに特定の資格を有する専門職につきましては、類似する常勤職員に適用される給料表を基礎とすることとしておりまして、その職に必要とする専門性が給与に反映されているものと考えております。
〇小西和子委員 先ほど斉藤委員からもありましたけも、県民生活センターの消費生活相談員と盛岡市消費生活センターの相談員とでは格差がございます。これまで勤務してきた方が応募を拒んでいるという話も聞こえてきます。これでは給与の高いほうに行きますよね。ですから、先ほどお話がありましたけれども、専門職に見合うだけの賃金を準備することをお願いしたいと思います。
 次に、病気休暇は無給であり、感染症発生時のリスクにも対応できていない。常勤職員との均衡を踏まえれば、一定期間の病気休暇の有給化を含めた検討をすべきと考えますが、いかがでしょうか。特別休暇についてもお伺いいたします。
〇佐藤人事課総括課長 会計年度任用職員制度の導入に当たりまして、国が示した事務処理マニュアルでは、会計年度任用職員の休暇制度は国の非常勤職員との権衡―つり合いの観点を踏まえるとされているところでございます。病気休暇につきましては、国の非常勤職員と同じく無給の休暇としたところでございます。
 一方で、本県の場合、人材確保の観点も大変重要でありますので、国の非常勤職員において無給としている一部の特別休暇を本県では有給としたところでございます。
 また、臨時的任用職員からフルタイムの会計年度任用職員になる場合、これまで認められていなかった年次休暇の繰り越しが可能となっておりまして、休暇制度全体として処遇の確保が図られているものと考えております。
〇小西和子委員 国に右倣えではなく、やはり人材を確保するためには、先ほどのお話もありましたけれども、優遇するような策を講じなければならないのではないかと考えますので、よろしくお願いいたします。
 次に、人員配置についての一つ目は他の委員の質疑と重複しましたので、割愛いたします。
 二つ目、フルタイム任用が継続する職種は、具体的にはどういうものがあるのかお示しください。
〇佐藤人事課総括課長 まず、フルタイムの会計年度任用職員は、先ほども申し上げました国のマニュアルによりますと、フルタイム、パートタイムの区分につきましては、任用期間中の標準的な業務量に応じ、フルタイムとすべき量があるかどうかという点で判断することとされておりまして、本県では、具体的には、育児休業代替職員として任用する職員や、各部局長の秘書業務に従事する職についてフルタイムとする予定でございます。
〇小西和子委員 最後でございますけれども、現業職場のうち、各広域振興局土木部の運転技士について、再任用満期者の補充をせずに会計年度任用職員への移行を模索しているという話が伝わってきました。本来、公務運営は常勤職員が基本であると考えますが、いかがでしょうか。
〇佐藤人事課総括課長 ただいま委員からも御指摘がございましたとおり、公務の運営はやはり常勤の職員が中心でございますし、本県もこれまで、公務の運営は任期の定めのない常勤職員が中心となって行うという原則で考えておりまして、制度導入後におきましてもこの原則を前提としまして、今後の行政需要等も把握しながら、会計年度任用職員を含む職員の適正な配置に向けて検討を進めていくこととしております。
 お話のあった広域振興局土木部の運転技士でございますが、これまでもそれぞれの公所の業務内容あるいは業務量等を踏まえて非常勤職員と臨時職員を組み合わせた配置が行われてきたものと捉えております。
 今後におきましても、各職場の業務の状況を踏まえながら、適正な配置がなされるように、総務部といたしましても所管部局と連携して対応してまいります。
〇小西和子委員 財政的制約を理由に会計年度任用職員の処遇や勤務労働条件を改悪することは法の趣旨に反するとされております。私が総括質疑で知事に県職員の幸福度の向上についてただしたところ、あのようにすばらしい回答がございました。会計年度任用職員も県職員でございますので、どうぞ安心して働き続けられる環境整備を進めていっていただきたい。要望して終わります。
〇千田美津子委員 私は、防災関係で何点かお聞きしたいと思います。
 まず一つ目は、先ほど来千葉盛委員等からもお話がありましたが、広域防災拠点等への食料の備蓄の問題であります。
 先ほどのお話では液体ミルクなどが購入されたということで非常によかったと思うのですが、例えば食料については、発災後3日分の食料ということで、米やカロリーメイト等1、600人分が目安となっております。
 確認も含めて質問するわけですが、避難所に避難された方々は、炊き出し等が始まるまでは冷たい食料が提供されるという状況になっているものですから、例えばスープ等温かいものが欲しいと。お湯を注ぐだけのものでもいいのでという要望がたくさんあるわけですが、そういう食料の中にそれらは入っていないのかどうか、それが一つ。
 それから、毛布も1、500人分で1、500枚、1人1枚が目安となっています。県と市町村で十分な備蓄があると書いてありますけれども、現状だと雑魚寝が多いわけです。雑魚寝ではなく、組み立て式の段ボールベッドなどになってほしいわけですが、それにしても毛布1人1枚では足りないと思います。この目安について、私は変えていく必要があるのではないかと思います。
 それから、携帯トイレはいいのですが、組み立て式洋式トイレは100人当たり1基が目安と。これは備蓄が始まったばかりなので少しずつかもしれませんが、ただ、災害はいつ起きるかわからないということもあって、100人に1基ではなく、少なくとも男女別と、もっとこれはふやすべきです。そういった点で、備蓄についてはもっと充実させる必要があるのではないかと考えますが、この点お聞きします。
〇佐々木総合防災室長 幾つかお尋ねがあったところでございます。
 まず、食料につきましては、主食として水を注ぐと食べられるアルファ米、あとは栄養補助食品という形のものを備蓄しているところでございます。
 それから、毛布の数についてお話がございましたけれども―食料も含めてということだと思いますが―想定の人数ということで、東日本大震災津波のときの人数を踏まえて算出しているところでございます。毛布につきましては市町村でもかなりの量の備蓄があるということで、それを補うという意味での1、500枚でございます。
 それから、避難所の雑魚寝とか組み立て式の段ボールベッドという話がございました。これにつきましては、まさしく国内でも大きな災害が続いて避難所の環境改善が大きな課題になっておりますので、県といたしましても、段ボールの組み立て式のベッドについて、関係するところと協定を結びまして、いざというときにはそれを迅速に手配して避難所の環境の改善に努めるということでございます。
 組み立て式のトイレのお話で、100人に1基が目安と考えているわけでございますが、例えば災害が起きて、そこに組み立て式の洋式トイレが必要となったとき、例えば100人避難しているから1基だけということではなく、必要があれば、それは供給して避難所の環境改善につなげていきたいと考えているところでございます。今は24基ですが、これは順次ふやしていって一定数を確保したいと考えているところでございます。
 スープにつきましては、大きな考え方として、県は市町村の備蓄を補完するという考え方を持っています。では県は何もしないのかという話に当然なりますので、そこの部分は、関係する団体や企業などと災害応援協定を結んでおりまして、そちらのほうへ連絡を速やかにすることによっていち早く被災地に温かいものを届ける。また、例えば同じ栄養補助食品だけを食べ続けるのは非常につらいので、そこもバリエーションをうまく調整するなど、協定を活用して対応してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 今、御答弁いただきましたが、いずれ市町村の応援をするという形になるのかもしれませんが、先ほど千葉盛委員も言われたとおり、全体でどうなのかということをしっかり県が把握して、備蓄のレベルを上げることが今、必要だと思います。そういった意味で、ぜひ市町村との話し合いをもっと深めていくということで対応していただきたいと思います。
 次に行きます。
 地域防災力強化プロジェクトがさまざまありますけれども、防災士の養成状況についてです。特に、自主防災組織等からの推薦があった方々で、すぐ地域で活躍してもらう方々を育成することが非常に大事だと思いますが、そういう方々がどの程度防災士になっているか、全体の防災士の養成状況についてお聞きします。
〇佐々木総合防災室長 まず、県内にどのぐらい防災士の方がおられるかでございますけれども、これは、2月末の時点で2、487人となっております。
 県といたしましては、自主防災組織の中核人材の育成を目的として、自主防災組織に所属している方を市町村から推薦していただき、今年度から新たに防災士養成研修を9月に実施したところでございまして、今年度は県内で52名の防災士を養成したところでございます。
〇千田美津子委員 いずれ、そういう方々をどんどんふやしていくことが必要だと思います。
 関連性があるので順番を変えていきますが、自主防災組織の組織化、活性化についてです。
 先ほど言いましたように、防災士の活用も含めて、市町村にある自主防災組織がどのような状況にあるのかお聞きいたします。
〇栗澤防災消防課長 自主防災組織の現状についてでありますが、平成31年4月1日現在、県内の自主防災組織の組織数は2、308組織、組織率は87.7%となっており、全国平均の84.1%を上回っているものの、県北、沿岸部の組織率が低い傾向にあるなど、地域間で組織率に差が生じている状況でございます。
 消防庁が毎年実施しております自主防災組織の現況調査における本県の組織の具体的な活動状況でございますが、平常時には防災訓練の実施や防災知識の普及啓発等の研修事業、地域内の防災巡視、災害発生時には情報の収集、伝達、避難誘導などの活動を行っておりますが、やはり組織によって活動内容にもばらつきがあると認識しているところでございます。
〇千田美津子委員 県全体で87.7%ということで高いように思いますが、しかし、40%台のところが6市町村あるわけです。県北、沿岸がそのような状況だということで、やはりこれは全体を引き上げることが大事だと思います。
 それから、先ほどいろいろ取り組みの状況がありましたが、防災組織はあるけれどもほとんど活動していないところもかなりあるわけです。災害が多発している割には危機意識が足りないところも非常にあって、そういうところをどうやって引き上げるかが重要で、意識調査といいますか、自主防災組織の実態調査等はやられているのでしょうか。
〇栗澤防災消防課長 自主防災組織の実態調査についてでございますが、平成29年度に県内の全自主防災組織に対してアンケート調査等を実施しております。実態としましては、町内会単位で組織している自主防災組織が約9割なので、今ある既存の組織をいかに活性化させるかが課題と捉えております。
 県では、サポーター制度等を活用して自主防災組織の重要性を御理解いただくとともに、具体的な活動ができるように、平成30年度から自主防災組織の活性化モデル事業ということで、特に県北、沿岸等の組織率が低いところを重点的に個別支援しながら、組織率の向上と活動の活性化、具体的には、基本的には要避難者も含めてきちんと避難する仕組みをつくっていただきたいというような活動を今、進めているところでございます。
〇千田美津子委員 ぜひそういうことで組織率を引き上げていただきたいわけですが、その上でも、自主防災組織等で活動して引っ張っていただく防災士をそういう中から生み出していく、むしろ送り出していくことが非常に大事なので、両面で進めていただきたいと思います。
 昨年の台風第19号災害のときも、きょう、佐々木朋和委員の質問にもありましたが、風水害対策支援チームに非常に活躍していただきました。その状況と、要配慮者利用施設の避難確保計画策定の支援もやられているわけですが、それはどのような状況にあるかお聞きします。
〇佐々木総合防災室長 まず、風水害対策支援チームの活動の状況でございますが、昨年10月の台風第19号の接近に際しましては、10月11日と12日の2回にわたってチーム員の皆さんにお集まりいただき、市町村に対して日中の避難完了が望ましい旨の助言を行い、市町村における避難勧告等の発令について支援を行ったところでございます。
 今後におきましても、県民の早期避難に結びつくように、今回の令和元年台風第19号対応を踏まえて、市町村の意見も伺いながら、より効果的な助言のあり方について検討してまいります。
 それから、要配慮者利用施設の避難確保計画についてでございます。
 この策定率につきましては、平成30年4月の時点では16.7%でございましたが、計画未策定施設の管理者、市町村職員を対象に計画策定の具体的なポイントや手順について講習会を開催するとともに、市町村が行う講習会に県から講師を派遣するといった支援に努めまして、本年2月時点では80.6%となったところでございます。
 また、一部の市町村や教育施設で策定のおくれが見られたことから、昨年10月には奥州市で計画未策定施設向けの講習会を実施したところでございますし、12月には、教育委員会と連携して、幼稚園や小中学校など教育施設を対象に講習会を行ったところでございます。
 今後におきましても、計画未策定施設数の多い市町村や計画策定率が上がっていない市町村への個別の働きかけを強めますとともに、他市町村の取り組み事例の紹介や、市町村が開催する講習会に県から講師を派遣するなど、積極的に計画の策定を支援してまいります。
〇千田美津子委員 今の要配慮者施設の避難確保計画の策定率について、平成30年4月には16.7%だったと。それをさまざまな取り組みの中で80.6%まで引き上げたということで、この間の努力に敬意を表したいと思います。
 ただ、施設数は少なくともゼロ%のところが残っているのはなぜなのか。小さい自治体が多いわけですが、そういうところに何とか力をかしていただきたいと思います。
 逆に100%を超える市町村があるのは、これは計画を見直しているからなのか。例えば岩手町では188.9%という策定率ですけれども、これは充実させているからこうなのでしょうか。100%以上のところが何カ所かありますが、その違いを教えていただきたいと思います。
〇佐々木総合防災室長 これは、県でも一生懸命働きかけたということがあります。あと、市町村では、言ってみれば対象施設数は動いていくものです。区域で指定がふえると対象施設数もふえることになりますので、そういったこともありまして、市町村でも一生懸命取り組んでいただいて施設数がふえているところでございます。
〇千田美津子委員 次に、消防団の団員確保、機能強化のための予算が新規に計上されて、先ほど千葉盛委員も指摘されました。
 私、非常に驚いたのは、これまで、例えば発電機とか排水ポンプとかボートとか防じん眼鏡、防じんマスク等は国の補助制度に入っていなかったのですね。それらをこれから補助対象にする事業が始まるということでよろしいのですか。
〇栗澤防災消防課長 国の補助事業は平成30年度からスタートしておりますが、基本は救助用資機材とAED等がメーンでございました。昨年の台風第15号、台風第19号災害を受けまして、新たにボートや発電機、排水ポンプなどが昨年12月に追加になったものでございます。
〇千田美津子委員 そうしますと、これらも対象にしてさらに災害への準備が進むと考えていいと思いますが、その点一つ。
 それから、県の方針として、装備品等の整備事業の中に、国の補助事業の対象になっていない、すき間を埋める事業を想定して市町村のニーズに応えると書いてあるのですが、これは例えばどういうことを指しているのか。
〇栗澤防災消防課長 1点目、国の補助事業のすき間を埋めるという考え方でございますが、具体的に申しますと、県内の市町村からは情報収集用のドローンを整備したいという意向もございます。それに伴いまして、ドローンを操作するための研修の受講料等も補助対象にしてほしいという要望等もございますので、基本的には、できる限り市町村の要望に柔軟に対応していきたいと考えております。
〇千田美津子委員 今お話あったように、市町村、消防団が活動しやすいよう、物資の部分についてはぜひ対応していただきたいと思います。
 実は、地域防災力強化プロジェクト事業の最も最初に書かれているのが消防団員の確保ということです。県のメニューには、市町村が団員確保のためのポスターやパンフレットをつくるときの経費の負担をすると。あるいは研修会や訓練、キャリアアップに要する経費を補助するという、どちらかというと後方支援というような感じですが、市町村で今、苦労しているのは団員確保で、なかなかなり手がいないということで悩んでいるのが実態です。ですから、後方支援も必要ですが、県としても強力に一緒になって団員を確保する、県内全自治体がそういう取り組みができるように積極的な取り組みをぜひやっていただきたいと思いますが、その点。
〇栗澤防災消防課長 今、委員御指摘のとおり、消防団員の確保が喫緊の課題という認識を持っております。現在も県消防協会に委託してラジオ放送等で消防団員募集のPR等もしているところでございますが、十分かと言われればまだ足りない部分もございますので、消防団員確保につきましては、女性消防団員の確保も含めて、重点的に今後とも取り組んでいきたいと思っております。
〇千田美津子委員 最後になりますけれども、女性消防職員活躍支援事業について、いろいろ頑張っていただいて実績もつくっておられるようですが、その状況についてお聞きします。
〇栗澤防災消防課長 女性消防職員活躍支援事業の実績についてでございますが、現在、県内では44名の女性消防職員が在職しております。毎年少しずつではありますが職員は増加している状況でございます。現在、県内の女性職員割合は2.2%でございまして、全国平均の2.9%を下回っている状況でございます。
 課題としましては、女性が消防士になれるという認知度がまだ低いということがございますので、今年度は、県内の女性消防職員を実際のモデルとしてポスターを作成し、中学校や高等学校に提供、PRしたほか、県消防学校で開催している消防体験まつりで女性消防職員活躍のPRブースを設置するなどして取り組みを実施したところでございます。
 また、女性幹部職員がいないことや、同じ職場内に先輩職員が少ない、あるいはいないという状況もございますので、女性職員が職務上の将来のキャリアを描きにくい状況でございます。このため、県では、全国女性消防職員交流会への女性消防職員の派遣や、県消防学校と共催で女性活躍推進研修等を行っているところでございます。
 国では令和8年度までに女性消防職員比率を5%まで引き上げることを目標に掲げておりますので、県としても、各消防本部の女性活躍推進の取り組みを引き続き強力に支援してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 12の消防本部のうち、女性職員がいるのが10消防本部ですね。全部の消防本部に女性職員が在職するようになれば非常にいいと思いますし、国の目標である5%に引き上げるため、頑張ってもらっていますが、参加された女性職員のさまざまな感想等もあるようですから、それらを聞きながらさらに取り組みを進めるようぜひお願いしたいと思います。
 最後の最後ですが、実は、前に女性消防職員からパワハラの問題で相談を受けたことがあります。その当時は女性職員は県内でも10人足らずでしたから、女性職員がふえればいろいろなことが解決されると。今、女性に限らず、消防ではパワハラが全国的にもあるということで問題になっているわけですが、いずれそういったことで、女性に消防職員になってもらうために、ぜひそういう環境をつくっていただく努力をお願いしたいと思いますが、その点、最後に伺って終わります。
〇栗澤防災消防課長 現在、県内には12消防本部がございますけれども、そのうち10の消防本部でハラスメントの窓口を設置したところでございます。私も女性職員の研修会等に参加しているのですが、まだお酒の席上等でパワハラ、セクハラ的な対応があるやに聞いておりますので、岩手県消防長会定例会等におきまして、そういう話を聞いていますよということで消防長にも情報を伝えながら、その点についてはしっかり対応してほしいとお願いしております。引き続き、その問題についても県で対応していきたいと思います。
〇吉田敬子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇吉田敬子副委員長 質疑がないようでありますので、これで総務部関係の質疑を終わります。
 総務部の皆様は退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、出納局長に出納局関係の説明を求めます。
〇菊池会計管理者兼出納局長 出納局関係の予算について御説明申し上げます。
 まず、議案第1号令和2年度岩手県一般会計予算のうち出納局関係でございますが、予算に関する説明書の89ページをお開き願います。2款総務費1項総務管理費1目一般管理費のうち出納局関係の予算でありますが、説明欄の中ほどに記載のとおり6億9、655万円余であり、うち管理運営費6億8、704万円余は、職員の人件費であります。その1段下の県営建設工事請負人選定費から建設工事管理情報システム運営費までは、県営建設工事入札業務に係る経費であります。次に、1枚めくっていただきまして、91ページをお開き願います。下段の5目会計管理費1億8、872万円でありますが、これは、説明欄に記載のとおり、管理運営に要する経費、収入証紙売りさばき手数料及び財務会計システム運営費などであります。
 次に、議案第9号令和2年度岩手県証紙収入整理特別会計予算でありますが、同じく予算に関する説明書の386ページ、387ページをお開き願います。歳入歳出予算額は、それぞれ34億3、795万円余であります。
 まず、歳入でありますが、388ページにお進みいただき、1款証紙収入1項証紙収入は、1目県税12億765万円余、2目使用料及び手数料20億4、324万円余、昨年10月に設けられた3目軽自動車税環境性能割1億8、705万円余であります。
 次に、歳出でありますが、1枚めくっていただきまして、390ページをお開き願います。1款繰出金1項一般会計繰出金は、1目県税、2目使用料及び手数料に係る証紙収入と同額を一般会計に繰り出すものであります。
 次に、391ページをごらん願います。2項歳入歳出外現金繰出金は、1目軽自動車税環境性能割に係る証紙収入を所在市町村に払い込むため、歳入歳出外現金に繰り出すものであります。
 以上で出納局関係の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇吉田敬子副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇郷右近浩委員 当該委員でありますので、なるべく簡潔に質問させていただきたいと思います。
 本定例会におきまして、一般質問やきのうから始まりました当委員会において、県税収入の落ち込みや減少の部分を危惧する質問が多く出ているように思われます。この間、国の予算においても地方交付税等が少しずつ減らされている中で、本来、もっとしっかり計画的に進めていかなくてはならない基盤整備事業等を経済対策で年度後半につけるといった財政運営がなされてきており、その対応を迫られております県の財政運営、そして予算執行についても非常に大変になってきているものと危惧しているところであります。
 言うまでもなく、財政民主主義におきましては、議決された予算が適正に執行されて初めて実を伴うものとなり、予算の議決とその執行は、まさに財政民主主義の両輪であるものと認識しているところであります。
 また、県が、東日本大震災津波、台風災害からの復旧、復興、あるいは県民の幸福度の向上を図る事業を力強く推進していくためには、言うまでもなく適正に予算が執行されていくことが重要であり、県の組織において、縁の下の力持ちとしてこれを支えているのは出納局の皆さんであると認識しております。
 そこで、会計管理者にお伺いいたします。
 令和2年度の当初予算は、震災からの復興を進め、県民の幸福度の向上を図る予算とされておりますが、出納局としては、適正な予算執行を確保し、県財政の推進を支えていくために、これまでの取り組みの成果等も踏まえ、令和2年度は特にどういった点に力を入れて取り組まれるおつもりなのかお伺いしたいと思います。
〇菊池会計管理者兼出納局長 初めに、これまでの出納局における取り組みでございますが、出納局では、会計事務の適正な執行の確保や工事入札制度の適切な運用などに取り組んできたところでございます。
 会計事務の適正な執行の確保につきましては、内部統制制度の導入や会計事務のスキルアップを図るための職員研修の充実などに取り組むとともに、工事入札制度につきましては、制度を取り巻く社会情勢等を的確に把握し、円滑な運用に努めてきたところでございます。
 これまでの取り組みを踏まえ、令和2年度において特に力を入れて取り組む点についてでございますが、まず、会計事務の適正執行の確保につきましては、監査における指摘事項は着実に減少してきているものでございますが、依然として事務のおくれや誤り等の再発などが見られるところでございます。今後、業務進捗状況管理表の作成による事務の見える化などを行いまして、組織的なチェック体制をさらに強化してまいります。
 また、工事入札制度につきましては、今後、震災関連工事等の発注が減少していくことを見据え、関係団体等の意見も伺いながら、震災特例制度等の見直しについても検討してまいりたいと思っております。
〇郷右近浩委員 会計管理者におかれましては、これまで、議会、財政、防災とさまざまな分野で活躍され、この1年間は、県全体の適正な予算執行を支える出納局の責任者としてまさに先頭に立って取り組まれてきたわけでありますが、そういった点も踏まえまして、最後に、今後の出納局が果たしていくべき役割、あるいは期待なども含めてお伺いしたいと思います。
〇菊池会計管理者兼出納局長 今後の出納局が果たすべき役割等についてでございますが、41年間の県職員業務におきまして、委員御指摘のとおり、議会、財政、防災など総務関係分野に多くかかわらせていただきました。その間、議員の方々の県政に対する幅広い視点とバイタリティーに勇気づけられ、今までやってくることができました。本当にありがとうございました。
 携わった業務の中で、特に予算関連と経理関連業務には入庁当時から最も長く携わり、当時の上司から徹底的に基本をたたき込まれ、その経験が後に大きな支えになったと思っております。そのような経験を経て、最後の1年間、出納局の業務を担当させていただき、本当にやりがいを持って取り組むことができた1年だったと思っております。
 この1年間、さまざまな機会を捉えて出納業務に携わる職員に対して話してきたことは、東日本大震災津波、台風災害からの復旧、復興、そしていわて県民計画(2019〜2028)の推進のため、出納組織は、各部局が展開する多種多様な事業を側面から支援し、適正かつスムーズな会計処理という形でサポートすることが使命であり、いつでも相談に応じながら柔軟に対応するよう話してきたところでございます。
 また、今年度から組織全体のチェック体制の構築を図るべく内部統制制度がスタートしましたが、会計事務が不適切に行われますと、県政に対する県民の信頼を損ねることになります。会計事務の適正化を図ることは県政への信頼の礎につながるとの信念のもと、県全体として、適正な執行に関し常に意識を高くしながら業務に取り組んでいくよう、出納局がしっかり牽引していくものと期待しております。
〇郷右近浩委員 会計管理者におかれましては、本当に今の言葉が後輩に残す言葉であるといった思いであると思います。これまで県行政を推進すべくさまざまな活躍をしてきていただいた手腕を、これからも違う形ででも岩手のためにしっかりと発揮していただきますよう御期待申し上げ、質問を終わりたいと思います。どうもお疲れさまでした。
〇吉田敬子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇吉田敬子副委員長 質疑がないようでありますので、これで出納局関係の質疑を終わります。
 出納局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。(拍手)
 次に、人事委員会事務局長に人事委員会関係の説明を求めます。
〇菊池人事委員会事務局長 人事委員会関係の予算につきまして御説明申し上げます。
 便宜、お手元の予算に関する説明書により御説明申し上げます。113ページをお開き願います。2款総務費9項人事委員会費のうち、1目委員会費の698万円余は、委員3人分の報酬、その他、委員会の運営に要する経費でございます。次に、2目事務局費の1億5、020万円余は、事務局18人分の人件費、事務費など事務局の任用関係事務、公平審査事務及び給与関係事務等の管理運営に要する経費でございます。
 以上で人事委員会関係の予算の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇吉田敬子副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 今年度実施された労働基準及び労働安全衛生に関する事業場調査結果の概要、超過勤務の実態、教育職員の時間外勤務の実態はどうなっていますか。
〇中里職員課総括課長 まず、事業場調査結果についてでありますけれども、本委員会では、労働基準監督機関の職権を有しております知事部局、教育委員会など168の事業場に対しまして、超過勤務の状況等に係る調査を書面により毎年度実施しているところでございます。超過勤務時間数が特に多い事業場等につきましては、事務局職員が赴きまして、長時間勤務の状況や要因、それから解消に向けた取り組み等についても実態調査を行っているところであります。
 本年度の調査結果についてでありますけれども、平成30年度の実績が対象となります。まず、超過勤務の状況を事業場別に見ますと、職員1人一月平均の超過勤務時間数につきまして、10時間未満の事業場は109事業場、10時間以上20時間未満については49事業場、20時間以上30時間未満については8事業場、30時間以上40時間未満については1事業場となっております。
 また、県立学校―78事業場ございますけれども―に勤務する教育職員の時間外勤務の状況について同様に見ますと、10時間未満が1事業場、10時間以上20時間未満が11事業場、20時間以上30時間未満が9事業場、30時間以上40時間未満が23事業場、40時間以上が34事業場となっております。
〇斉藤信委員 月平均30時間、年間360時間が基準になっていますけれども、これを超える超過勤務を行う職員がいる事業場の実態、改善への取り組みはどうなっているでしょうか。月100時間を超える職員の実数はどうなっていますか。
〇中里職員課総括課長 月平均30時間、年間にすると360時間になりますけれども、これを超える超過勤務を行う職員がいる事業場の数につきましては、平成30年度では県全体で52事業場で、前年度の47事業場から5事業場増加となりました。
 平成30年度の職員1人当たりの月平均超過勤務時間数が県全体で15.7時間で、平成29年度の16.3時間から0.6時間減となっている中で、年間360時間を超える職員のいる事業場の数は増加した結果となりました。
 本委員会におきましては、労働基準法あるいは職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例に基づく超過勤務命令の上限等に関する措置を踏まえ、超過勤務の縮減を進めるよう、該当する各事業場、各任命権者に対しまして、昨年12月20日になりますけれども、文書により指導を行ったところでございます。
 それから、次に、月100時間を超える超過勤務を行った職員の実数でありますけれども、県全体で106人となっております。
〇斉藤信委員 教育職員の月100時間以上の長時間勤務の状況及び面接指導の実施率を示してください。
〇中里職員課総括課長 教育職員の時間外勤務についてであります。
 県立学校に勤務する教育職員のうち、月100時間を超える時間外勤務を行った職員は3、482人中716人で、全体の21%となっております。前年度につきましては、3、465中668人、19%ですので、増加する結果となっております。
 このことについては、調査対象期間中であります平成30年8月から、県立学校においてタイムカードが導入され、客観的で正確な時間把握が進んだことで、この期間の時間数が前年に比較して増加したことが要因となっていると考えております。
 タイムカードの導入でありますけれども、教育職員の在校等の勤務時間についてよりきめ細かに把握できるようになったことで、これらの実態を踏まえながら、県教育委員会におきましては、岩手県教職員働き方改革プランに基づきまして業務改善等の取り組みを着実に進め、教職員の勤務負担を軽減し、健康の確保を図っていくことが重要と考えております。
 次に、産業医による面接指導についてでございます。
 平成30年度におきまして、月100時間を超える時間外勤務を行った教育職員は716人おりますけれども、面接指導を受けた教育職員は12人となっております。
 県教育委員会におきましては、面接指導の実施要領で、時間外勤務が月80時間以上または複数月の時間外勤務が1カ月当たり80時間以上という要件に該当する者で、本人からの申し出があった者につきまして面接指導の対象としているところでございます。
 面接指導を受けた教育職員が12人、全体の2%にとどまっている理由でございますけれども、事業場調査におきます実態確認の場、あるいは任命権者との意見交換、聞き取りの場におきまして、学校現場においては、対象となる職員に個別に声がけをして面接の希望を確認するなど、面接の周知、推奨に努めていると聞いておりますけれども、一方で、希望する教職員が少ないことにつきましては、余り健康上の不安を感じない方もいるということも聞いております。
〇斉藤信委員 私は、今の認識だったら、とてもじゃないけれども労働基準監督機関の機能を果たせないと思います。過労死ラインというのは超過勤務月80時間と言われていて、今、月100時間の状況を聞いた。それが716人、全体の21%。これは5人に1人以上です。月に5人に1人以上、100時間以上働いていると。過労死ラインを大幅に超えて、そして面接指導はたった12人しか受けていないと。これは異常です。
 先ほどの答弁で、これは知事部局だと思うけれども、月100時間超えが106人ありました。この方々のうち面接指導を受けたのはどのぐらいですか。私は忙しくて面接指導も受けられていないのが実態じゃないかと思います。
 労働基準監督機関の役割がある人事委員会は、まず月100時間を解消することに全力を挙げるべきです。そして、月100時間を超えている方々は、基本的には医師の面接指導を受けるという指導を徹底するべきじゃないでしょうか。
〇中里職員課総括課長 まず、先ほどの月100時間超えの職員数、県全体で106人と答弁申し上げましたけれども、このうち、医師による面接指導を受けた職員については、85人となっております。
 それから、面接を受ける人数の少なさでございますけれども、知事部局においては、当該時間を超えた職員については必ず面接を行うとなっておりますけれども、教育職員につきましては、月80時間を超えた希望する職員について、面接をするかどうかという形でやっておりますので、対応については、知事部局と同じように検討する必要があると考えております。
〇斉藤信委員 最後に事務局長にお聞きします。
 教育職員の月100時間超えというのは、昨年度は668人だった。今年度の調査だと716人にふえているわけです。面接は前回ゼロだった。今回は、わずかに12人は受けたと。しかし、過労死ラインを越えているわけだから、しっかりと面接指導を受けて、健康を確保するということは当然のこととして、人事委員会が指導すべきだと、改善させるべきだと思いますけれども、いかがですか。
〇菊池人事委員会事務局長 委員の御紹介のとおり、平成29年度は面接指導はゼロで、平成30年度は12人、若干の改善はされておりますが、先ほど総括課長が申し上げたとおり、これは教育委員会から聞き取った感じでは、余り健康上の不安を感じない方もあるようだという分析でありました。ここが問題でありまして、働き方改革というのはキーワードであります。法令の整備も進んで任命権者の取り組みも進んでおります。ただし、職員個人の意識が大きく変わっているわけではないと思います。特に県庁のような事務部局と学校現場というのはまた違いまして、いろんな構造的な問題もあるかもしれませんが、なかなか声を上げられない場合もあるのかもしれません。しかし、働き方改革というのは待ったなしの話でありますので、ここはやはり校長先生が、俺が改革の先頭に立つのだと宣言して、ぐいぐいと先生方の意識を変えていくぐらいのことが必要であります。
 人事委員会は人事行政の専門機関でありますので、引き続き教育委員会とも相談しながら、働き方改革がさらに進むように指導、支援してまいります。
〇吉田敬子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇吉田敬子副委員長 質疑がないようでありますので、これで人事委員会関係の質疑を終わります。
 人事委員会の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、監査委員事務局長に監査委員関係の説明を求めます。
〇鈴木監査委員事務局長 それでは、監査委員関係の予算につきまして御説明申し上げます。
 お手元の予算に関する説明書により御説明申し上げますので、115ページをお開き願います。2款総務費10項監査委員費のうち、1目委員費の予算額2、000万1、000円は、監査委員4名の報酬、給与及び監査等に要する経費でございます。次に、2目事務局費の予算額2億1、076万8、000円は、事務局職員22名の人件費等、事務局の運営に要する経費でございます。
 以上で監査委員関係の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇吉田敬子副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇吉田敬子副委員長 質疑がないようでありますので、これで監査委員関係の質疑を終わります。
 監査委員事務局の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後7時38分 散 会

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