令和2年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和2年3月4日(水)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
事務局長 泉   裕 之
議事調査課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
議事管理担当課長 安 齊 和 男
主任主査 藤 枝   修
主任主査 千 葉 絵 理
主査 上 野 公一郎
主査 鈴 木   忍
主査 赤 坂 宏 紀
主査 鈴 木 貴 博
1説明員
知事 達 増 拓 也
副知事 保   和 衛

秘書広報室長 高 橋 勝 重
理事兼秘書広報室
副室長兼
首席調査監 上和野 里 美

総務部長 八重樫 幸 治
総務部副部長兼
総務室長 千 葉 幸 也
人事課総括課長 佐 藤 法 之
財政課総括課長 小 原 重 幸
税務課総括課長 奥 寺 敦 哉

政策地域部長 白 水 伸 英
政策地域部副部長
兼政策推進室長
兼首席ふるさと
振興監 小 野   博
参事兼
市町村課総括課長 小 原 由 香
政策監 村 上 宏 治
地域振興室長兼
三陸防災復興
プロジェクト2019
推進室長兼
台風災害復旧復興
推進室長 小野寺 宏 和

文化スポーツ
企画室企画課長 中 村 佳 和

環境生活企画室
企画課長 高 橋 利 典
保健福祉部副部長兼保健福祉
企画室長 高 橋   進
保健福祉企画室
企画課長 阿 部 真 治

商工企画室
企画課長 似 内 憲 一

農林水産企画室
企画課長 米 谷   仁

県土整備企画室
企画課長 菊 地 幸 男

復興局長 大 槻 英 毅
復興局副局長 森   達 也

ILC推進局長 佐々木   淳

教育企画室
教育企画推進監 大 畑 光 宏
〇泉議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うこととなっております。
 出席委員中、工藤勝子委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 工藤勝子委員、どうぞ委員長席にお着き願います。
   〔年長委員工藤勝子君委員長席に着く〕
〇工藤勝子年長委員 ただいま御紹介のありました工藤勝子です。よろしく御協力をお願いいたします。
 それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別委員長に柳村一君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました柳村一君を、予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました柳村一君が、予算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました柳村一君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 柳村委員長、委員長席にお着き願います。
   〔予算特別委員長柳村一君委員長席に着く〕
〇柳村一委員長 ただいま予算特別委員長に選任されました柳村一でございます。
 御推挙いただき、大変光栄に存じておる次第であります。委員各位の御協力をいただきまして職責を全うしたいと考えておりますので、御協力をよろしくお願い申し上げ、挨拶といたします。よろしくお願いします。(拍手)
 引き続き副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇柳村一委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇柳村一委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇柳村一委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別副委員長に吉田敬子さんを指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました吉田敬子さんを予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇柳村一委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました吉田敬子さんが予算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました吉田敬子さんが委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 吉田副委員長、御挨拶をお願いいたします。
〇吉田敬子副委員長 ただいま副委員長に選任いただき、まことにありがとうございます。
 委員長を補佐いたしまして委員会の円滑な運営に努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
〇柳村一委員長 お諮りいたします。当予算特別委員会に付託されました議案31件の審査の方法についてでありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日及び明日は、知事、副知事及び関係部局長等の出席を求め総括質疑を行い、明日の総括質疑終了後から6日まで、9日、10日、12日、13日、16日及び17日は、関係部局長等の出席を求めて部局ごとに質疑を行うこととし、議案31件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、17日の県土整備部関係の質疑が終わった後、世話人会での意見調整を経た上で行いたいと思います。
 なお、8日目の農林水産部の審査につきましては、第1部を農業関係、第2部を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することといたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇柳村一委員長 異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより議事に入ります。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第26号から議案第31号まで、議案第39号及び議案第41号から議案第44号までの以上31件を一括議題といたします。
 総務部長に総括説明を求めます。
〇八重樫総務部長 令和2年度当初予算の概要等につきまして総括的に御説明申し上げます。
 令和2年度当初予算は、東日本大震災津波からの復興と、平成28年台風第10号災害及び令和元年台風第19号災害からの復旧、復興を力強く進めるとともに、県民の幸福度の向上を図るいわて県民計画(2019〜2028)を軌道に乗せ、県民みんなが希望を持てる復興幸福希望予算として編成したものであります。
 いわて県民計画(2019〜2028)のもと、10の政策分野に基づく施策を着実に推進するとともに、ILCの誘致を初め、北上川バレー、三陸、北いわての三つのゾーンプロジェクトを戦略的に推進してまいります。さらに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会関連事業や、ソサエティー5.0の実現につながる事業にも力を入れてまいります。
 また、予算編成に当たっては、中期財政見通しを踏まえ、地方創生推進交付金や有利な地方債などの地方財政措置を最大限活用し、財政健全化にも配慮したところです。
 それでは、予算の概要について御説明申し上げます。
 お手元の議案その1の1ページをお開き願います。議案第1号令和2年度岩手県一般会計予算であります。
 第1条は、歳入歳出予算の総額をそれぞれ9、323億1、336万4、000円と定めるものであります。前年度当初予算と比較しますと0.3%の減となっております。第2条は債務負担行為の限度額等を、第3条は地方債の限度額等をそれぞれ定めるものであり、第4条は、一時借入金の最高額を1、000億円とするものであります。第5条は、職員給与について同一款内での予算流用を定めるものであります。
 次に、歳入について御説明いたします。便宜、予算に関する説明書により説明いたしますので、予算に関する説明書の1ページをお開き願います。
 一般会計歳入歳出予算事項別明細書の1総括、歳入のうち、自主財源は、1県税、2地方消費税清算金、7分担金及び負担金、8使用料及び手数料、さらに10財産収入から14諸収入までであり、その総額は3、729億900万円余で、前年度当初予算と比べると0.1%の増となっております。これは、県税や繰入金等が減少した一方、消費税増税の平年度化に伴い地方消費税清算金が増加したことなどによるものであります。
 また、依存財源は、3地方譲与税、4地方特例交付金、5地方交付税、6交通安全対策特別交付金、9国庫支出金、15県債であり、その総額は5、594億400万円余で、前年度当初予算と比べて0.6%の減となっておりますが、これは主に、復旧、復興事業の進捗に伴い災害復旧事業費が減少したことによる国庫支出金の減などによるものであります。
 この結果、歳入に占める自主財源の割合は40.0%、依存財源の割合は60.0%と、自主財源の割合が昨年度から0.1ポイント増加しております。
 次に、歳入の内容について御説明申し上げます。4ページをお開き願います。
 まず、1款県税1項県民税は411億3、100万円で、前年度比5.2%の減となっておりますが、これは、2目の法人県民税について、税率改正の影響や企業収益の減退などにより減収が見込まれることなどによるものです。
 5ページの2項事業税は262億9、900万円で11.2%の減となっておりますが、これは、2目の法人事業税について、企業収益の減退により減収が見込まれることなどによるものであります。
 6ページの3項地方消費税は255億4、300万円、16.5%の増を見込んでおります。これは、前年10月の税率の引き上げにより増収が見込まれることなどによるものです。
 7ページの4項不動産取得税は25億1、100万円で1.8%の減と見込んでおります。
 8ページの5項県たばこ税は14億700万円で1.7%の増、9ページの6項ゴルフ場利用税は、最近の課税実績等を勘案し、2億6、300万円を計上しております。
 次に、10ページの7項軽油引取税は153億3、400万円で10.2%の減と見込んでおります。これは、引き取り数量の減少により減収が見込まれることなどによるものです。
 11ページの8項自動車税は、前年10月から導入された環境性能割が通年化したことなどにより、188億5、800万円で3.0%の増と見込んでおります。
 次に、12ページの9項鉱区税は、最近の課税実績等を勘案し、1、800万円を計上しております。
 13ページの10項狩猟税は、狩猟者登録の見込み数により1、300万円を見込んでおります。
 次に、14ページの11項産業廃棄物税は、最終処分場の年間埋立量などを勘案して、8、900万円で1.1%の増と見込んでおります。
 15ページの12項旧法による税は、前年9月以前の自動車税に係る分であり、2、900万円を見込んでおります。
 以上、県税の合計額は1、314億9、500万円で、前年度当初予算に比べ41億8、900万円、3.1%の減となるものであります。
 次に、17ページの2款地方消費税清算金は564億7、600万円で12.7%の増となっておりますが、これは、消費税率引き上げに伴う増収によるものであります。
 次に、18ページの3款地方譲与税1項特別法人事業譲与税は207億600万円であり、これは税制改正により創設された譲与税でありますが、同時に廃止されることとなる地方法人特別譲与税の令和元年度予算額とほぼ同額を見込んでおります。
 次に、19ページの2項地方揮発油譲与税は31億5、800万円、20ページの3項石油ガス譲与税は1億3、500万円、21ページの4項自動車重量譲与税は1億1、600万円、22ページの5項地方道路譲与税は100万円、23ページの6項森林環境譲与税は1億8、400万円、24ページの7項航空機燃料譲与税は3、800万円をそれぞれ計上しております。
 次に、26ページの4款地方特例交付金1項地方特例交付金は、住宅借入金等特別税額控除による減収を補填するための特例交付金及び自動車税の減収を補填するための特例交付金であり、6億2、200万円余を見込んでおります。
 次に、28ページの5款地方交付税は、国の地方財政対策の内容や震災からの復旧、復興事業費等を総合的に勘案して推計を行いまして2、973億1、200万円余と、前年度当初予算に比べ153億3、900万円余、5.4%の増で計上しております。
 29ページの6款交通安全対策特別交付金は3億8、300万円を見込んでおります。
 次に、30ページの7款分担金及び負担金でありますが、1項分担金は、そのほとんどが農業農村整備事業等に係るものであり、2億4、500万円余、31ページから32ページまでの2項負担金は、民生費などの受益者負担金、市町村負担金等を計上しており、18億3、900万円余となっております。
 33ページの8款使用料及び手数料でありますが、1項使用料の主なものを申し上げますと、34ページの4目労働使用料では産業技術短期大学校授業料、35ページの7目土木使用料では道路及び河川の占用料、県営住宅使用料、9目教育使用料では県立学校における授業料などであります。これら使用料の総額は、36ページの計欄58億3、300万円余で、前年度に比べ4.8%の減となっております。
 次に、37ページから41ページまでの2項手数料でありますが、その主なものは、3目衛生手数料のうち、38ページの屠畜検査に係る手数料、40ページの7目土木手数料の建設業者許可等に係る手数料、8目警察手数料の運転免許に係る手数料などでありまして、合計は、41ページ計欄の20億9、300万円余で3.2%の減となっております。
 次に、42ページの9款国庫支出金でありますが、1項国庫負担金の主なものを申し上げますと、1目民生費負担金では、生活保護や43ページの災害救助など、44ページの5目教育費負担金では、小中学校教職員の人件費に係るものや県立学校の授業料に充てるための就学支援交付金など、6目災害復旧費負担金では、漁港災害復旧事業、河川等災害復旧事業、港湾災害復旧事業などであります。これら国庫負担金の総額は、45ページの計欄711億6、600万円余で、震災復興事業費の減少などにより、前年度に比べ28.1%の減となっております。
 次に、46ページの2項国庫補助金でありますが、主なものは、55ページの7目土木費補助金で、地域連携道路整備事業や道路環境改善事業に係る国庫補助金などであります。その総額は、59ページまで進んでいただきまして、900億8、500万円余で、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策に係る国庫補助金が増加したことなどにより8.7%の増となっております。
 次に、60ページの3項委託金でありますが、その総額は、62ページまで進んでいただきまして、22億900万円余で、参議院議員選挙に関する国庫委託金の減などにより15.3%の減となっております。
 63ページの10款財産収入でありますが、1項財産運用収入は、土地や家屋の貸付収入など1億6、600万円余を計上、64ページから65ページにかけての2項財産売払収入は、県有未利用地や生産物の売り払いによる収入などでありまして、8億4、300万円余を計上しております。
 66ページの11款寄附金は、ふるさと岩手応援寄付など9、600万円余を見込んでおります。
 67ページの12款繰入金1項特別会計繰入金は、中小企業振興資金特別会計などからの繰入金であり、4億6、500万円余であります。
 68ページの2項基金繰入金は、東日本大震災復興交付金基金などの基金を活用するため、307億7、200万円余を計上しております。
 69ページの13款繰越金は、整理科目であります。
 70ページの14款諸収入1項延滞金、加算金及び過料等は、車両放置違反金など1億6、400万円余を計上しております。
 71ページの2項預金利子は1、200万円余を計上しており、72ページの3項公営企業貸付金元利収入は113億円余を計上しておりますが、県立病院等事業会計への貸し付けの償還金であります。
 73ページの4項貸付金元利収入は、各行政部門における貸付金に係る元利及び利子の収入で、合計額は、74ページの計欄1、167億1、200万円余となっております。
 75ページの5項受託事業収入は、津波危機管理対策緊急事業などの受託事業収入であり、合計額は、次の76ページの計欄のとおり、総額で57億7、200万円余となっております。
 77ページの6項収益事業収入は、宝くじ発売収益32億7、900万円余となっております。
 78ページの7項利子割精算金収入は、整理科目であります。
 79ページの8項雑入は、4目雑入の派遣職員給与費負担金や、81ページの畜産競争力強化整備事業に係る関係基金管理団体からの収入などであり、合計額は、82ページまで進んでいただきまして、53億4、000万円余と見込んでおります。
 次に、83ページの15款県債でありますが、その総額は、86ページの計欄のとおり732億8、700万円余であり、前年度に比較して43億6、500万円余、6.3%の増となっております。
 この結果、県債の現在高見込みでありますが、一旦304ページまで進んでいただきまして、304ページの前年度末現在見込額が令和元年度末残高であり、右端の当該年度末現在高見込額が令和2年度末残高となりますが、305ページの上から5行目の計欄をごらん願います。左から3列目の元年度末残高は1兆2、754億9、100万円余、令和2年度末では、計欄の右端になりますが、1兆2、614億7、000万円余の残高になると見込んでおります。
 また、305ページの中ほどの表に、県債管理基金への積立金を記載しており、これを調整した実質的な県債の現在高見込み額につきましては、一番下の表の計欄の左から3列目の元年度末残高は1兆2、685億7、900万円余、令和2年度末では、計欄の右端になりますが、1兆2、532億8、400万円余の残高になると見込んでおります。
 以上で歳入についての説明を終わります。
 次に、歳出についてでありますが、主要な事業につきましては、それぞれ所管部局の審査の際に担当部局長から詳細に御説明申し上げます。
 款別歳出については説明を省略し、私からは、性質別の主なものについて説明申し上げます。
 お手元の予算に関する資料で御説明いたします。予算に関する資料の3ページをお開き願います。第2表令和2年度一般会計歳出性質別内訳表でございますが、この表の右端の前年度当初予算からの増減率の欄を中心にごらんいただきたいと存じます。
 令和2年度当初予算の特徴的なところを何点か申し上げますと、まず、1人件費は、退職者の減に伴う退職手当の減により1.8%の減となっております。4ページに参りまして、6普通建設事業費につきましては16.7%の増となっておりますが、これは、直轄道路事業費負担金88億5、400万円余の増、応急仮設住宅の解体や土地の原状復旧に要する災害救助費26億7、800万円余の増等によるものであります。7災害復旧事業費は、震災事業に係る漁港災害復旧事業204億9、400万円余の減等により36.4%の減となっております。5ページに参りまして、8公債費は4.7%の減、10出資金は、岩手産業復興機構への出資の減により68.1%の減、12繰出金は、流域下水道事業の公営企業会計移行に伴い、当該事業への繰出額を補助費に計上したことなどにより10.3%の減となっております。
 令和2年度岩手県一般関係予算の概要は、以上のとおりであります。
 なお、特別会計につきましては、所管部局において御説明申し上げますので、私からは省略させていただきます。
 以上で総括説明を終わります。よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇柳村一委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に属さない委員に質疑時間を分配して行うこととなっております。
 質疑時間につきましては、まず、希望いわてが48分、次に、自由民主党が42分、次に、いわて新政会が30分、次に、いわて県民クラブが21分、次に、日本共産党が15分、次に、社民党が12分、次に、会派に所属しない委員は、公明党小林正信委員、無所属工藤勝子委員、無所属山下正勝委員、無所属上原康樹委員の順に、それぞれ9分となっております。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の委員が質疑をすることができること、また、その場合におきましては、会派として続けて行うこととされておりますので、御了承願います。
 なお、総括質疑は本日及び明日に予定されておりますが、明日は、総括質疑終了後、議会、総務部、出納局、人事委員会、監査委員関係の審査も予定されておりますので、議事の進行に御協力をお願いいたします。
 また、本日の総括質疑は、世話人会の申し合わせにより、午後5時前に質疑に入った会派等の質疑が終了するまで議事を継続することといたしたいと思いますので、あらかじめ御了承願います。
 これより総括質疑に入ります。軽石義則委員。
   〔軽石義則委員質問者席に着く〕
〇軽石義則委員 希望いわての軽石義則でございます。
 会派を代表いたしまして総括質疑をさせていただきます。
 初めに、平成23年3月11日に発生した東日本大震災津波、平成28年台風第10号災害、令和元年台風第19号災害と、たび重なる自然災害により犠牲になられた皆様に御冥福をお祈りいたします。そして、被害を受け、今なお生活再建に向けて努力されている皆様にお見舞い申し上げます。
 それでは、質問に入ります。これまでの代表質問、一般質問と重複する部分もございますが、さらに理解を深めるため、県民にも伝わる御答弁をよろしくお願いいたします。
 冒頭、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 連日、24時間相談体制を含めて対応していただいている皆様に敬意を表し、感謝申し上げます。
 先月25日、国の新型コロナウイルス感染症対策本部において、新型コロナウイルス感染症対策の基本方針が策定されたのを初め、翌26日には、全国的な文化、スポーツイベントの自粛、さらに27日には学校の一斉休校について要請がされるなど、事態は日々刻々と動いております。来週には、保護者の所得減少を支援する助成金制度の創設や、学童保育などを整備する自治体への財政支援、中小規模事業者への資金繰り支援など、第2弾の緊急対応策が出されるという報道もなされているところであります。
 我が会派としましても、県内関係者からの意見を踏まえ、昨日、新型コロナウイルス感染症への迅速な対応について知事に要望を行ったところでありますが、県として、新型コロナウイルス感染症についてこれまでどのような対応をとられてきたのか、また、今後どのように対応していこうとされているのか伺います。
〇達増知事 県では、2月18日に知事を本部長とする県新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し、また、新型コロナウイルス感染症対策専門委員会や、県民の安全、安心に密接に関係する各分野の団体による関係機関連絡会議などを開催し、医療体制の整備や社会、経済への影響の抑止に向けた対応などを行ってまいりました。
 本県の相談体制については、本庁医療政策室と県内10カ所の各保健所に帰国者・接触者相談センターを設置しており、本庁では全日24時間体制で、保健所では平日9時から17時の間、県民からの相談に対応し、国が示している基準を参考にして帰国者・接触者外来の受診を調整しております。
 検査体制については、帰国者・接触者相談センターで受け付けた症例について、必要に応じ、新型コロナウイルス感染症対策専門委員会からの助言を得て県環境保健研究センターで実施しており、1日当たり最大で20件の検体の処理が可能となっていますが、本年度内に検査機器1台を増設し、検査の需要の拡大に対応していくこととしております。
 医療体制については、県内9カ所の感染症指定医療機関に38の病床を確保しているほか、県内において患者が発生して拡大する事態への移行も想定し、新型インフルエンザ患者入院医療機関や感染症指定医療機関の感染症病床以外の病床への搬送等の対応を含め、現在、準備を進めているところであります。
〇軽石義則委員 具体的に取り組んでいただいているということであります。それらの取り組みがしっかり県民、また各現場のほうに伝わることが大事だと思いますので、それらも含めて引き続き対応いただくようお願いいたします。
 次に、国内景気の判断について質問いたします。
 国内経済の現状認識について伺います。
 政府は、ことし2月の月例経済報告で、国内景気の判断を、輸出が弱含む中で、製造業を中心に弱さが一段と増した状態が続いているものの、緩やかに回復していると据え置いております。2月17日に公表した2019年10月から12月期の実質成長率は大幅なマイナスとなり、その対応は注目されていましたが、消費や雇用、所得が改善されていることから判断が維持されたとのことです。そして、今後のリスクとして新型コロナウイルス感染症の感染拡大を新たに明記した上で、生産や個人消費、観光業に与える影響に注意が必要であるとも示しております。
 知事は、この判断についてどのような所感をお持ちかお伺いいたします。
〇達増知事 政府が発表したことし2月の月例経済報告では、輸出や生産が弱含んでいることや、設備投資の一部に弱さが見られるものの、個人消費の持ち直しや、雇用情勢が改善していることを踏まえ、景気は、輸出が弱含む中で、製造業を中心に弱さが一段と増した状態が続いているものの、緩やかに回復していると判断しているものと承知しております。
 一方、今後の経済の先行きについては、新型コロナウイルス感染症が内外経済に与える影響等に十分注意しながら、今後、公表される各種経済指標の動向を注視していくことが必要と考えております。
〇軽石義則委員 そのような中で、県内の動向についてお伺いいたしますが、県内においては、一部に弱い動きが見られるものの、緩やかな回復傾向が続いているとされております。
 しかし、消費税増税後の2019年10月から12月期の実質国内総生産がマイナス成長に転じた時期に合わせて、景気が後退しているとの声を聞いております。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響を心配している状況にあるとも思われます。
 沿岸部におきましては、コンビニエンスストアの閉店報道があるように、復興需要の後退により、見通しに不安が広がっていると言われております。そのことは、ことし1月に実施されたいわて復興ウォッチャー調査の結果にもあらわれております。
 地域ごとに条件や環境などに違いがあると考えますが、知事は、県内景気の動向についてどのように受けとめているかお伺いいたします。
〇達増知事 県がことし2月に公表した最近の景況では、個人消費は、消費税引き上げ後の駆け込み需要の反動減などにより、弱い動き、建設投資は、住宅投資が高水準で推移しているものの、公共投資は復興需要の縮小に伴い、減少傾向、生産活動は、総じて回復の動きが続いているものの、一部に弱い動き、雇用環境は、引き続き高い水準を維持しているなどの状況から、県内景気は、一部に弱い動きが見られるものの、緩やかな回復傾向が続いていると判断したところであります。
 一方、県内経済の今後の先行きについては、新型コロナウイルス感染症が本県経済に与える影響等を十分注視していくことが必要と考えます。
〇軽石義則委員 そういう状況の中で、県内の消費や生産額、県民所得などの動向について伺います。
 平成26年4月にプラス3%の消費税増税が行われ、個人消費等に多大な影響がありましたが、今回の令和元年10月の2%増税以降の状況について、当時と比較してどう分析し、受けとめているのか伺います。
〇白水政策地域部長 平成26年に消費税率が8%に引き上げられた際の本県への影響につきまして、同年の県内経済におきましては、物価上昇の動き、百貨店、スーパー販売額、新車登録台数などの個人消費の落ち込み、鉱工業生産指数、新設住宅着工戸数、実質賃金指数の前年割れなど、税率引き上げや駆け込み需要の反動減などの影響が見られたところでございます。
 今回、消費税が10%に引き上げられたことによりまして、昨年10月以降、駆け込み需要の反動などにより、百貨店、スーパー販売額が3カ月連続で、また、乗用車新車登録台数が4カ月連続で前年水準を下回るなど、前回同様、特に個人消費の落ち込みが見られるところでございます。
 また、物価上昇の動き、鉱工業生産指数、新設住宅着工戸数、実質賃金指数につきましては、現時点では、前回増税時と比較いたしますと増税による影響は小さいというような状況であります。
 なお、先ほど知事からも答弁いたしましたけれども、今後も引き続き、新型コロナウイルス感染症が本県経済に与える影響等に十分注意しながら、公表される各種経済指標の動向について注視してまいります。
〇軽石義則委員 既に新型コロナウイルス感染症対策等によりまして深刻な影響が出始めていると実感するところでありますので、それらを踏まえて、今、審議している予算をしっかり執行しなければならないと思います。
次に、令和2年度予算編成について伺います。
 現在、国会において令和2年度の予算案が審議されております。その審議状況や成立時期によって、岩手県の来年度予算に影響を及ぼすことがなければよいと思っておりますけれども、桜を見る会の疑惑究明に関してもなかなか議論が進まず、日本の政治のあり方にかかわることばかりが議論されている状況に、国民の多くは疑問や不満などを高めているのではないかと思われます。
 知事は、このような状況についてどのような所感をお持ちでしょうか。
〇達増知事 日本国憲法第66条第3項に、内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負うとあり、内閣は、説明責任の問題など、国会に対して最大限誠実に対応すべきものと考えます。
 岩手県議会においても、昨年12月定例会において、内閣総理大臣主催「桜を見る会」疑惑の徹底究明を求める意見書が可決されており、内閣にはより一層の努力が求められていると考えます。
〇軽石義則委員 そのような中において、今、本県でも予算審議に入っているわけであります。この厳しい状況の中で我々もしっかりと議論を進めていきたいと思っておりますので、ぜひそのことについても御理解をいただきたいと思います。
 本県の厳しい財政状況の中、令和2年度予算案が編成されております。昨年10月に示された令和元年度から令和4年度における岩手県中期財政見通しを考慮し、いわて県民計画(2019〜2028)のスタートである今年度の実績を踏まえた上で編成されているものと認識いたします。
 知事演述においては、震災からの復興を推し進めてきた取り組みや、台風災害への対応、ラグビーワールドカップ2019日本大会の開催実績、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会による次世代への継承など、これまでの経験を踏まえての訴えであったと感じました。
 来年度予算案において、知事として県民の皆様にアピールする特徴点についてお伺いいたします。
〇達増知事 令和2年度当初予算は、東日本大震災津波などの災害からの復旧、復興を力強く進めるとともに、県民の幸福度の向上を図るいわて県民計画(2019〜2028)を軌道に乗せ、県民の皆様が希望を持てる予算として編成したものであります。
 具体的には、いわて県民計画(2019〜2028)のもと、10の政策分野に基づく施策を着実に推進するとともに、ILCや、北上川バレー、三陸、北いわての三つのゾーンなどのプロジェクトを展開してまいります。また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会への県民の参画を図る事業や、ソサエティー5.0の実現に向け、科学技術の活用を図る事業などに取り組むこととしております。
 このような施策、事業により、いわて県民計画(2019〜2028)を推進し、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわての実現を目指してまいります。
〇軽石義則委員 それらを着実に進めるためには、やはり財源が必要になってくるわけでありますが、県税の現状と課題についてお伺いいたします。
 令和2年度の予算編成の基本的な方針の中に、現下の厳しい財政環境を踏まえ、あらゆる手段により歳入確保の取り組みを進めるとあります。県税額の中で法人二税の推移を見ますと、平成30年度決算額が326億2、600万円、令和元年度決算見込みが305億7、800万円、令和2年度当初予算が287億9、500万円と減少傾向にあります。
 現状をどのように分析し、課題を把握されているのかお伺いいたします。
〇八重樫総務部長 令和元年12月末現在の申告状況を見ますと、復興需要の縮小等により建設業や製造業で大きな落ち込みが見られることから、令和元年度の法人二税の税収見込み額を36億900万円減額したところであります。令和2年度も企業収益の減退傾向は続くものと見込んでおりまして、あわせて交付税原資化に伴う法人税割の税率の引き下げの影響等も減要因となっています。
 税収の確保のためには、産業振興等を通じた税源涵養を図るとともに、国に対し、偏在性が小さい安定的な地方税体系の構築を求めていきたいと考えております。
〇軽石義則委員 企業の誘致や拡張が今、進められているわけでありますが、企業収益を上げて税収を確保することはやはり大事だと思います。これは民間がそれぞれ努力しなければならないと思いますが、今後、具体的に企業税収を確保するためにどのように取り組むのかお伺いいたします。
〇白水政策地域部長 県内では、今年度の企業立地件数が新設21件、増設9件に上るなど、委員御指摘のとおり、ものづくり産業を中心に企業立地や業容の拡大が進んでいるところでございます。税源の涵養のためには、こうした企業誘致に加えまして、県内企業の経営力強化を促進することにより、産業全体を底上げし、地域経済の持続的な成長を図っていくことが重要と認識しております。
 こうした考えのもと、いわて県民計画(2019〜2028)に基づく施策を展開し、ものづくり産業を初め、地域の特性と資源を最大限生かした食産業、観光業、農林水産業など、いわゆる域外市場産業について、地元調達や付加価値を高めながら強化することに加え、商業やサービス業の振興により、地域内経済循環の拡大を図る総合的な産業政策を推進し、企業税収の確保に努めてまいります。
〇軽石義則委員 計画はきちっとできたとしても、現場がそのことをしっかり理解しなければ、結果が出てこないと思います。現場との連携も、さらに深めていただくようお願いいたします。
 令和2年度の予算編成に当たっては、歳入確保の取り組みとして収入未済額の解消も示されておりますが、県全体で収入未済額はどの程度になっているのかお示し願います。
 また、収入未済額解消に向け、これまでどのように取り組んできたのか、また、来年度以降、どのように解消を図っていくのか伺います。
〇八重樫総務部長 平成30年度決算における県全体での収入未済額は274億9、000万円余であり、平成29年度決算と比較して2億4、000万円余の増となったところであります。
 県としては、収入未済額解消に向け、県税及び専担組織により取り組んでいる県境産廃等以外の16債権について、平成20年5月以降、3カ年を取り組み期間とする滞納債権対策基本方針を策定し、関係課で連携した取り組みを進めてきていますが、平成30年度決算における収入未済額は28億9、300万円余であり、平成29年度決算と比較して6、300万円の減となったところであります。
 来年度以降も、今年度策定いたしました第5次岩手県滞納債権対策基本方針に基づき、債権管理の徹底に努めるとともに、収入未済額の9割を占める過年度分の回収を強化するなど、債権回収を促進し、新規発生の抑制などに取り組むこととしています。
〇軽石義則委員 この状況で景気がかなり衰退していく可能性もありますし、債権回収等が非常に厳しくなることも予想されますので、今後の対応をしっかりとしていただきたいと思います。
 次に、歳出における特徴的な考え方についてお伺いいたします。
 基本的な方針として、政策の優先度に応じた財源の最適配分を図り、一層の選択と集中を進め、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努めるとされております。この考え方については理解いたします。
 しかし、県民に対して、この方針に基づいた予算の内容を具体的に伝えていくことが必要であると考えますが、その内容をお示し願います。
〇八重樫総務部長 まず、東日本大震災津波からの復興は県政の最重要課題であり、台風災害からの復旧、復興もあわせ、必要な事業を着実に実施してまいります。
 通常分の事業については、ゼロベースでの見直しとスクラップ・アンド・ビルドなどにより、県単独補助金の13事業、4億7、000万円余の縮減を行うなどの選択を図る一方で、いわて県民計画(2019〜2028)推進のための政策、プロジェクト推進費や、防災、減災対策を初めとした社会資本整備を計画的に進めていくための公共事業費などについては、令和元年度を上回る予算を措置するなど、財源の最適配分を図ったところであります。これに加えまして、復興五輪を契機とした本県の魅力発信や、ソサエティー5.0の実現に向けた科学技術の活用等、令和2年度に必要な事業を実施するための予算を計上するなど、限られた財源の重点的かつ効率的な活用に努めたところであります。
〇軽石義則委員 部局再編による特徴的な予算措置について伺います。
 いわて県民計画(2019〜2028)の機動的な政策形成や分野横断的な取り組みをより一層図り、ふるさと岩手をつくるために本庁部局の再編をしますが、予算措置においてそのことが県民に伝わる特徴的なものについてお示し願います。
〇白水政策地域部長 今回の部局再編におきましては、機動的な政策立案や部局横断的な施策展開を図る政策企画部、三つのゾーンプロジェクト等の地域振興施策を推進するふるさと振興部を新設することとしております。
 両部の新設に伴い、幾つか具体例を申し上げますと、北上川バレープロジェクトでは、第4次産業革命技術の導入促進を図り、働きやすく、暮らしやすいエリアの創出に向けた事業として1、000万円余。三陸防災復興ゾーンプロジェクトでは、三陸振興協議会により市町村等と連携した取り組みを進めるほか、震災の教訓や三陸の多様な魅力を発信する事業として2、600万円余。そして、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトでは、新たな産学官連携体制を構築し、地域課題に対応する産業振興と社会づくりを一体的に推進する事業として800万円余などを令和2年度当初予算案に盛り込んだところでありまして、新たな組織体制のもと、いわて県民計画(2019〜2028)に基づく施策を強力に推進してまいります。
〇軽石義則委員 それらをしっかりと進める上でも、人材確保がやはり大事だと思っております。職員数の現状認識と課題について、お伺いいたします。
 いわて県民計画(2019〜2028)に基づいた計画を遂行するためには、県職員の皆さんが有効に力を発揮できる環境が必要です。近年の知事部局の県職員の人数を見ますと、平成29年度は4、345人、平成30年度は4、355人、令和元年度は4、366人と、平成23年度の3、949人から確実に増加しております。
 しかし、欠員数についても、平成29年度は123人、平成30年度は93人、令和元年度は81人となっており、いまだ必要数を満たしておりません。新年度に向けて新たに部局の再編や施策の推進等を控えておりますが、現状における職員数についての認識と課題についてお伺いいたします。
〇八重樫総務部長 県ではこれまで、震災復興や台風災害、ふるさと振興などの県政課題に対応するため、必要な人員の確保に取り組んできたところであります。平成23年4月と平成31年4月の職員数を比較しますと、400人を上回る増員を行ってまいりました。
 いわて県民計画(2019〜2028)を着実に推進していくためには引き続き欠員解消に取り組んでいく必要があるほか、知事部局では、新たな行政需要への対応等のため、今年度からの4年間で80人から100人程度の増員を図ることとしており、マンパワーの確保が重要な課題であります。
 このため、今後とも、新規採用職員の大幅な拡大、任期付職員や再任用職員の採用、応援職員の受け入れなど多様な方策により必要な職員数の確保に努めてまいります。
〇軽石義則委員 会計年度任用職員のお話もありましたので、欠員補充や業務のピークカットなどのための事務補助などによる臨時、非常勤職員の現状について伺います。
 平成31年4月時点における臨時、非常勤職員の人数は、知事部局で1、782人、県教育委員会で1、622人、県警察本部で150人、その他で13人の合計3、567人となっております。新年度からは、会計年度任用職員として新しい制度を導入することになります。本来であれば職員を補充するべきところへの対応であり、同一労働同一賃金の考え方による制度導入であるとすれば、個々人において労働条件が向上しなければなりません。
 例えば、現在の臨時職員が会計年度任用職員として任用された場合、処遇はどのように改善されるのか、臨時職員の年齢、経験年数などの代表的なケースで具体的にお示しください。また、この制度により、任命権者ごとの人数や予算はどのようになるのか伺います。
〇八重樫総務部長 会計年度任用職員についてでありますが、年齢が40歳で経験年数10年の現在の期限付臨時職員を、週30時間勤務のいわゆるパートタイムの会計年度任用職員として任用した場合、月額の給与については、現在のフルタイムの臨時的任用職員の場合は、約15万3、000円、週30時間のパートタイムの会計年度任用職員の場合は、約14万2、000円となり、これらの月額の給与を比較した場合、勤務時間が短くなることによりまして約1万1、000円の減少となります。
 年収については、現在のフルタイムの臨時的任用職員の場合は約183万円、週30時間のパートタイムの会計年度任用職員の場合は、報酬及び期末手当の合計で、1年目は約195万円、2年目以降は約208万円となります。これらの年収を比較した場合、1年目で約12万円、2年目以降は約25万円の増額となるものでありまして、全体として処遇の確保が図られるものと考えています。
 次に、任命権者ごとの会計年度任用職員の職員数及び予算額は、知事部局では職員数は2、063人、予算額は35億7、000万円、県教育委員会では職員数は1、419人、予算額は22億8、000万円、県警察本部では職員数は163人、予算額は3億9、000万円、各行政委員会等の事務局で職員数は19人、予算額は3、000万円、これらの合計で職員数は3、664人、予算額は62億7、000万円となっています。
 これらの中に、会計年度任用職員に新たに期末手当を支給するための経費など、処遇改善に必要な経費を盛り込んでいるところであり、今年度の臨時、非常勤職員の任用に係る予算と比較すると約6億円の増加となっております。
〇軽石義則委員 人数的にはプラスになっていくことも含めて、これらの皆さんがしっかり働きがいのある体制にしていただくことも大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、働き方改革の取り組みについて伺います。
 各職場では、限られた人数により、しなければならない業務とのバランスを考えながら、超過勤務の減少や休暇の計画的取得など、総実労働時間の短縮のために努力されていると認識しております。
 これらの取り組みによるこれまでの成果を、お示し願いたいと思います。また、今後のさらなる働き方改革の取り組みについては、どのように進められるのかお考えを伺います。
〇八重樫総務部長 職員が仕事と生活の調和を図りながら充実した生活を送ることができるよう、働き方改革を推進することが重要であると認識しており、これまでも、業務の平準化、事前命令、事後確認の徹底などによる超過勤務の縮減や、連続休暇の取得促進など、職員が休暇を取得しやすい環境づくりに取り組んできたところであります。
 こうした取り組みにより、例えば、今年度7月から9月にかけて実施いたしました働き方改革推進強化月間の期間中、8割を超える所属で業務見直しを実施するなど、ワーク・ライフ・バランスに取り組む職場風土の醸成、定着が図られているところであります。
 また、今年度、出張中の職員や、育児、介護などを行う職員の多様な働き方を支援するため、新たにサテライトオフィスを設置したほか、庁内保育施設の整備など、柔軟な働き方ができる職場環境づくりに取り組んでいるところです。
 今後におきましても、これらの取り組みとともに、情報通信技術を活用した業務の効率化も進めながら、出産、育児、介護など、職員の生活の状況に適切に対応し、職員が生き生きと働くことができる職場環境の実現に取り組んでまいります。
〇軽石義則委員 やはり人材確保において、働き方改革は非常に重要な取り組みの一つだと思います。
次に、県職員試験の受験者数等について質問いたします。
 県職員の試験の受験者数は、平成26年の1、258名をピークに、平成29年度は1、035名、平成30年度は1、016名、令和元年度は869名と年々減少傾向にあります。合格者数は、平成29年度は256名、平成30年度は268名、令和元年度は277名と増加しています。採用者数は、平成29年度は183名、平成30年度は202名、令和元年度は196名となっております。
 このような受験者数減少の要因を、どのように分析しているのかお伺いいたします。また、課題を整理した上で対応しなければならないと考えておりますが、今後の対策についてもお示し願います。
〇八重樫総務部長 昨年10月に行われた職員の給与等に関する報告及び勧告によると、職員採用試験における受験者数の減少は、進学等による県外への転出や、民間企業、国、他の地方公共団体の高い採用意欲などが要因として挙げられており、県としては、受験者の確保に向けて県職員のやりがいや魅力を発信し、県職員志望者の掘り起こしを行っていくとともに、受験に当たっての負担軽減を図る必要があると考えています。
 このため、県内外の大学生や保護者に対する説明会の開催、インターンシップや大学訪問の実施などにより、採用試験受験者の確保策の強化を図っているところであり、近年、インターンシップで受け入れた者が採用に結びつくケースが多いことから、引き続き受け入れの拡大に力を入れていきます。
 また、受験者の負担軽減に向けては、試験方法の見直しについても検討してまいります。
 こうした取り組みを通じて、引き続き、人事委員会と連携しながら、採用試験受験者の確保に努めてまいります。
〇軽石義則委員 やっぱり人材を確保する上では、県の職員になりたいという意識を向上させていくこと、魅力を発信していくことが大事だと思いますので、引き続きお願いいたします。
 次に、コンプライアンスの取り組み状況についてお伺いいたします。
 最近、職員における不祥事が続発しております。職場においては、所属長を中心にコンプライアンスに対する研修や啓発に取り組んでいると承知しております。しかし、繰り返される事象があるということは、どこかに徹底できない原因があるのではないかと考えますが、そのことについてどのように受けとめているのかお伺いいたします。加えて、今後の対策についてもお示し願います。
〇達増知事 職員の法令遵守については、所属長から職員に継続的に注意喚起するなどの取り組みを行ってまいりましたが、県民の皆様の信頼を損なうような職員の不祥事がたび重なり発生していることは、まことに遺憾であります。
 今回の職員の飲酒運転による死亡事故という重大事故の発生を受け、令和2年2月21日付で、職員の綱紀の保持に関する通知を発出し、全ての所属において、直ちに部下職員に対し、強く注意喚起を行ったところであります。
 不祥事の再発防止については、それぞれの職場において管理職と各職員が日ごろから対話を重ね、職員一人一人がコンプライアンスを確立していくように繰り返し働きかけていくとともに、知事を初めとする幹部職員が職員と直接懇談するなど、意識の共有を図り、職員の士気高揚に努めることが重要であると考えております。
 このような不断の取り組みを一つ一つ重ね、飲酒運転の撲滅を初め、コンプライアンスの確立に全庁を挙げて取り組んでまいります。
〇軽石義則委員 これまでも、たび重なる事態に同じような対応を繰り返してきたのではないかと思いますけれども、やはり徹底する意味において、まさに震災後、いろいろなストレスや負担が多くなってきている職場環境の中で、いろいろ動揺している職員もいるのではないかと思います。そこが何となく徹底できていないところにつながっているのかもしれませんので、職場環境も含め、再度しっかりとチェックをしていただくようにお願いいたします。
 次に、非常時における危機管理体制について伺います。
 岩手県は東日本大震災津波以降も、平成28年台風第10号、そして、昨年の台風第19号と立て続けに災害に見舞われております。その都度、県職員の皆さんにおかれましては、日夜を問わず、初動の段階から災害状況の把握や人命救助に当たっておられますが、こうした非常事態は今後も頻発することが予測されます。こうした事態への対応体制はどのようになっているのか伺います。
 また、直近の給与改定では通勤手当の増額が行われ、また、交通アクセスも改善が図られてきているため、県職員においても遠距離からの通勤が比較的しやすくなってきていると思われます。職場への通勤範囲の拡大が可能となっている中で、非常事態への危機管理体制はどのように整備されているのか伺います。職場によっては、少人数での対応を迫られる部署もありますが、職員配置にはどのような配慮がなされているのか、あわせて伺います。
〇八重樫総務部長 県では、地震、津波、風水害等の自然災害を初め、林野火災等の大規模火災、感染症及び鳥インフルエンザなどから県民の生命、身体及び財産が守られるよう、さまざまな事案に対応する体制を整備しています。
 具体的には、夜間、休日等を含めて職員による24時間危機管理体制を敷き、危機管理事案の発生に備えているほか、危機管理事案ごとの対応マニュアル等を定め、役割分担と行動内容を明確にし、訓練や研修を行っているところであります。
 また、気象警報等の発表時に被害情報の収集や災害時に初動対応を行う職員には、庁舎の近くに居住する職員を充てるなど、迅速に対応できる体制を整備しているほか、少人数での対応が必要となる公所については、業務支援の活用や必要に応じた機動的な人員の再配置などにより人員の確保を行っているところであります。
〇軽石義則委員 それでは、関連して、職員公舎の現状についてお伺いいたします。
 広い県土において勤務するに当たり、まさに危機管理も含めて、職員公舎の存在は重要であります。しかし、任命権者ごとに管理していることにより、築年数が古くなり、建てかえもできず、修繕も滞り、入居が制限されているものがあります。入居率にもばらつきがあると考えます。
 予算運営上の課題はあるとしても、一括して使用できる職員公舎にすることで、任命権者ごとに職員公舎を維持管理することによる無駄を排除して、経費削減することにより、安心して暮らしながら勤務できる環境整備につなげていくことができるのではないかと考えております。民間からの借り上げも厳しい環境にあるところは、特にこの対応が必要ではないかと考えますが、御所見を伺います。
〇八重樫総務部長 県の職員公舎につきましては、任命権者ごとに維持管理をしておりますが、入居率については、おおむね内陸部より沿岸部が高い傾向にあり、各任命権者の職員公舎の地域ごとの入居率にはばらつきが見られるところであります。
 こうした中で、職員公舎の有効活用の観点から、知事部局の職員公舎に教職員の居住を認める事例や、警察本部所管の職員公舎を知事部局で借りるなどの取り組みも行っているところでありまして、引き続き、他の任命権者の状況についても情報共有しながら、県有資産の有効活用を図ってまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 所管によっては非常に古い建物も多く、住むことができないところもあるというのが現状ですので、対応をお願いしたいと思います。
 次に、県有資産の有効活用について伺います。
 未利用資産の維持管理についてでありますが、現在、本県での未利用資産の土地は102件で117万3、295.99平方メートル、建物は38件で6万9、630.14平方メートルとなっております。
 県有未利用資産の有効活用については、これまでも提案してまいりました。現状では、県による活用や市町村での活用、それらがない場合に民間での活用など、段階的に検討し、売却してきております。
 未利用の土地や建物については、管理経費が発生しております。その経費は全く生産性のないものであり、資産を有効に活用することにより、生産性を生み出すことができるのではないかと考えております。
 所管部局ごとに管理していることにより管理経費は小さく見えておりますけれども、全てを一括すれば大きなものとなり、継続的に積み重なることで、さらに負担は増大すると考えております。
 現状をどのように把握しているのでしょうか。これまでの管理経費の総額とあわせ、お示し願います。
〇八重樫総務部長 未利用資産の維持管理についてでありますが、生活環境や景観、防犯上の観点から、所管部局ごとに維持管理を行っていますが、具体的には、敷地内の草刈り委託業務や建物の機械警備費など、県有財産の保全のための必要最小限のものでありまして、全体の経費は、最近3年間では、毎年約800万円から900万円程度となっています。
〇軽石義則委員 単年度で見ると少なくても、積み重なっていくことによって、今後の本県における歳入の見通しは厳しいという状況の中におきましては、マイナスをプラスにすれば、倍増する効果が出てくると思います。例えば、売却が困難でも利用価値のある土地は、貸し付けなどの手法も考えられますし、未利用資産を継続的な収入にして、安定した財源を確保するために活用できるかどうかという取り組みも大事ではないかと思いますが、これまでどのような検討をされたのかお伺いいたします。
〇八重樫総務部長 未利用資産の活用、売却処分に当たりましては、平成23年2月に策定した県未利用資産等活用・処分方針を基本としまして、未利用資産のうち県が利用する予定のない資産については、地域振興の観点から地元市町村への譲渡を優先し、地元市町村において取得の意向がない場合は、民間への売却処分を進めていますほか、一時的利用について、先ほど委員から貸し付けについての御提案がございましたが、民間からの貸し付けの要望があったものについては、積極的に貸し付けを行っているところであります。
 今後におきましても、個々の未利用資産の現状を把握し、売却処分に向けた諸条件の整備を進めるとともに、他県の取り組み状況も参考にしながら、県の財源確保に向けて未利用資産の利活用に取り組んでいきたいと考えています。
〇軽石義則委員 財源確保にはあらゆる手段を使って、ぜひ、さらに検討を深めていただきたいと思います。
 次に、県民の安全確保についてお伺いいたします。
 平成30年度の児童や女性に関する相談件数は、県内全体で、家庭での養育や障がいに関する相談など児童にかかわる全ての相談が2、965件、売春を行うおそれのある要保護女子やDV相談のほか、離婚や経済問題など女性からのさまざまな相談が3、560件となっております。
 これら多くの相談を受けているのは、児童については中央児童相談所、一関児童相談所、宮古児童相談所の3カ所となっております。相談員は64名配置されております。女性については、県福祉総合相談センターに13名が配置されております。
 先日、兵庫県で深夜3時に小学6年生の女の子が児童相談所を訪れたところ、当直の職員に、警察に相談するようにと追い返されてしまったという事案が発生し、ニュースになりました。あってはならない事件と思いますが、深夜の対応も含め、県の一時保護体制の現状はどのようになっているのか伺います。
 平成30年度に県内で一時保護した入所者は356人でありますが、そのうち147人が、児童相談所ではなく児童養護施設などへの保護委託となっています。一時保護の定員は、全県でも40人と少ないように感じますが、こうした現状に課題はないのか、あわせて伺います。
〇保副知事 児童相談所の関係ですけれども、本県の児童相談所は3カ所ありますが、全てで、夜間においても正規の職員と非常勤の当直専門員の2人体制で対応しております。緊急時には、確実に担当の児童福祉司等に連絡をとって、児童の安全を確保できる体制をとっております。
 今、委員から神戸市における事件のお話がありましたが、この事件につきましては、夜間や休日の対応を外部に委託している状況で発生したと聞いております。本県においては、そういう点で同様の事態が発生することは余り考えられないとは思いますけれども、他山の石としてしっかり対応していきたいと考えております。
 それから、児童養護施設等への保護委託についてでありますが、国の示した一時保護ガイドラインによれば、子供にとって適切な環境を確保するため、地域の実情に合わせて委託を活用することが望ましいと言われております。
 本県においては、入所が必要な子供の実態に応じて、家庭的な環境等で適切な保護が受けられることが大変重要であることから、里親や乳児院あるいは児童養護施設等への委託を活用して一時保護を行っております。
 こうした子供本位の取り組みを第一に進めており、平成30年度の児童相談所内の一時保護所で保護した児童数については、1日平均で9.8人ということで、三つの児童相談所全体の定員が委員お話しのとおり40人ということですので、現状では対応できているものと考えております。
〇軽石義則委員 現状では定員に対しては対応できているということですが、施設の内容を見ますと、定員どおりに収容、いわゆる保護できるかどうかという課題もあると思っておりますので、しっかりと対応していただければと思います。
 先ほど言いましたけれども、年間3、000件を超える相談件数を64名で対応しているわけですが、広い県内に3カ所で対応するとなれば、移動時間も含めると1件当たりの相談の対応時間はかなりふえてきていると思います。また、職員の配置について、岩手県の児童相談所が3カ所というのは限界があるようにも感じますけれども、深夜の相談や緊急時も含めると、これが十分な体制なのかという声もあります。その部分について、どのようにお考えか伺います。
〇保副知事 委員からお話があったとおり、相談件数は年々ふえております。それらの相談に対応するため、県では、昨年度から児童相談に当たる職員を10人増員し、今年度は、児童福祉司が44人、児童心理司が20人の64人体制としています。
 さらに、来年度におきましては、児童福祉司が6人、児童心理司が3人の合わせて9人の専門職員を増員する予定であります。
 これは、平成30年度に対応した児童相談の件数2、965件を相談対応の職員1人当たりに割り返しますと、54.9件ということであります。件数だけ見れば、10年前の平成20年度と比較いたしますと14.9件減少ということであります。中身は大変複雑化しているわけですけれども、今のところは何とか対応しているという状況です。
 一方、児童相談所の職員が、きちんとした相談対応スキルを獲得して、その児童相談の専門性を発揮できるようにするためには、比較的長い時間の教育訓練が必要であります。また、若手職員に知識や相談援助技術をきちんと指導する豊富な経験を持つベテラン職員、あるいはより高度な視点からケースごとに対応を考え専門的助言を行うスーパーバイザーなど、一定規模の職員が必要であることから、現状におきましては、まずは現在の三つの児童相談所の体制で専門職員の増員と育成を図るという方針でございます。
 なお、広大な県土をカバーする観点から、盛岡市にある中央児童相談所の所管区域の中で、児童相談所から最も離れている県北地域に対しては、従前から県北広域振興局に児童福祉司を駐在させておりますが、今年度からは、駐在する児童福祉司を1人増員して4人体制としております。県北地域におきまして、夜間や休日に緊急を要する事案が発生した際には、先ほどのような駐在体制を敷いておりますので、駐在する児童福祉司が、中央児童相談所のスーパーバイザーである管理職等と速やかに連絡をとり、対応方針を確認し、その上で進めるという体制をとっているところでございます。
〇軽石義則委員 強化はしていただいておりますが、まだまだ今の状況を見ますと不足の部分もあると思いますし、先輩が後輩を指導する時間等もとれないということも聞いております。そういう意味では業務も軽減していかなければならないと思いますけれども、児童相談の件数は年々増加し、その内容も複雑になり、そして相談員の負担もかなり大きくなってきております。
 県として、児童相談所の職員が本来業務に集中できるようにしていくこと。それはまさに子供のためということになるわけですけれども、その環境も整えなければならないと考えております。そのためには、児童保護委託措置費の未収金回収のように、民間委託できるような業務は委託するなど、効率的な業務運営を図ることも必要ではないかと思います。
 県では、県営住宅家賃や母子寡婦福祉資金貸付金など、一部の未収債権について民間委託を行っていますが、児童相談所が抱える未収金についても、民間委託を図り、職員負担の軽減を図るべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
〇保副知事 児童保護委託措置費についてですが、これは、児童養護施設等に児童が入所することになった場合に、その世帯の収入に応じて保護者からその入所費用の一部を徴収する制度であります。入所決定いたしました児童相談所の事務担当職員が、その徴収に関する事務を現在担っているところであります。
 具体的には、事務担当職員が督促や催告などの納入指導を行っており、児童福祉司等の相談に対応する専門職員は、例えば、家庭訪問等の際に、あわせて滞納者に納入を呼びかけるというようなことはありますけれども、基本的に回収業務に当たることはないという体制をとっております。
 今、未収金の回収業務の民間委託という御提案もございましたけれども、児童相談の場合は、保護者が児童を施設に入所させることに対して非常に消極的な場合であったり、児童相談所とのかかわりを拒否する態度をとったり、さまざま事情を抱えている現状がありますことから、納入を指導することが、保護者との関係や入所児童への支援に影響を与えることも心配されますので、その件につきましては慎重に検討していきたいと考えております。
〇軽石義則委員 事務職員が対応しているということですけれども、家庭の事情等を把握しながらしているとすれば、相談員もそこにかかわる時間がどうしても発生しているのが現状のようです。そのことによって負担がふえて、本来やるべきところに手が届かないのは本末転倒になっていく可能性もありますので、できるだけ早急に対応していただきたいと思います。
 次に、DVの現状と課題について伺います。
 昨年度、県内でのDV相談の件数は1、762件、県福祉総合相談センターを初め、県内12カ所での相談体制となっております。児童相談とは違い、特に、DVの場合は夜間の相談などもかなり多いのではないかと思われますが、県内の24時間相談の実態をどのように把握されているのかお伺いいたします。
〇保副知事 DV相談の24時間対応についてですが、県では、県総合福祉相談センターが中心的な施設となっているほか、最寄りの警察で対応しており、DVから逃れてきた被害者、あるいはその同伴するお子さんを安全に援助するため、担当職員が交代しながら、24時間体制で相談や一時保護に当たっております。
 夜間に限ったデータはありませんが、24時間対応での相談は、平成30年度では366件となっております。
〇軽石義則委員 まさに1カ所で県内全域ということになると、それぞれ広域振興局も含めて対応しているとは思いますが、夜間になると限られた人員になってくると思いますので、それらについてはまた、しっかりと対応いただくようにお願いいたします。
 次に、産業振興について伺います。
 企業へのアプローチについてでありますが、人口の社会減に対応するためには、まずは働く場の確保が必要であり、大規模雇用が期待される企業立地は非常に重要な取り組みであります。
 県ではこれまでも、補助金や貸付金の創設、優秀な人材の育成を初め、企業誘致に必要な施策に力を入れてきましたが、第4次産業革命や労働力人口の減少など企業を取り巻く環境は大きく変化しており、企業側が立地自治体に求めるニーズも変わってきているのではないでしょうか。
 全国競争の中、県はどのような強みを持って企業にアプローチをしていくのか伺います。
〇保副知事 近年、企業が進出先を検討するに当たりましては、その進出した先でどのような事業が展開できるかという観点から、そのエリアにおける地元企業の集積を重視する傾向が強まっていると認識しております。
 近年、世界最先端の半導体企業あるいは電子デバイス等を生産する新たな工場が本県に立地しているわけでありますが、そういった地場企業群とともに大きな企業があるという、その一かたまりの集積自体が急速に進んでいることから、企業の集積自体が、さらに次の企業を呼び込むというプラスのスパイラルが本県の大きな強みになっていると考えております。
 また、従来、誘致企業からは、本県のものづくりの人材は非常に優秀でまじめであると、人材のすばらしさについて高い評価を受けているところであり、これがもう一つの大きな強みでございます。
 県といたしましては、地場企業の生産性、技術力の向上を支援することで、立地、進出した企業との取引拡大等を進めながら、厚みのある企業集積を図っていきたいと考えております。
〇軽石義則委員 そういう取り組みをする中で、さきの一般質問でも、旺盛な投資動向を踏まえ、工業団地のニーズが今後も高まっていくことについて言及されておりますが、新たな工業団地の造成には、都市計画区域や農業振興地域との調整も必要になってくると思われます。
 企業誘致が進めば、工場用地ばかりではなくて、社員の駐車場の確保なども必要となり、さらなる土地の確保が求められますが、土地の開発規制と有効利用について、県はどのように調整していくのか、その方針、考えをお示し願います。
〇保副知事 今、駐車場というお話もありましたけれども、一般的に工場の新設等に伴い、当初予定していた工場の敷地以外に、新たにさまざまな用地の確保が必要なケースがあります。
 県としましては、地元の市町村と常に連携して、そういった場合でも、用地の提案を行いスムーズに用地の取得ができるよう、必要な手続のさまざまな紹介あるいはお手伝いということも含め進めております。
 県におきまして許認可の権限を持っていることもありますので、庁内の関係部局等が連携して、国など関係機関との調整を図るなど、できるだけ企業の意向に沿って、速やかに用地をつくることができますように支援していきたいと考えております。
〇軽石義則委員 県が調整をしていただいているということですが、現場、現地に行きますと、まだまだ不足感があったり、対応についても、なかなか市町村だけではできないところも多くあると聞いております。そういうところをしっかり酌み取っていくことによって、対応がさらに前進することも多くあると思いますので、引き続き、それらも含めて対応をお願いしたいと思います。
 県内企業の育成について伺います。
 企業を誘致することによって、立地企業ばかりではなく、周辺企業も巻き込んだ産業集積ができております。特に半導体、自動車産業は、その裾野が大きく、誘致企業と県内企業が一体となり成長していくことで、一層の産業振興や、人口増加につながるものと認識しております。
 かつて、県では自動車産業の集積を図るべく、ティア2、ティア3といった関連企業の育成を図ってきましたけれども、キオクシア岩手株式会社が本格稼働する今後数年間は、新たな企業集積を進めるためのまたとない機会と考えますけれども、どのようにして県内企業を育成していくのか、お考えをお伺いします。
〇保副知事 今、委員からまたとないチャンスというお話があったとおり、まさにそうであると認識しております。
 例えば、キオクシア岩手株式会社のような大規模な工場が立地いたしますと、それにかかわって、例えば製造装置のメンテナンスですとか、さまざまなサービスが発生いたしまして、それを地元県内の企業とタッグを組んでやるようなことがふえております。先ほど申し上げましたとおり、集積がさらに集積を呼ぶといったようなことでございます。
 県といたしましては、産学行政、金融機関が一体となって組織しておりますいわて半導体関連産業集積促進協議会がありますが、この取り組み方針の中に、協議会の会員企業間の取引拡大を図ることを掲げております。この協議会には、もちろん立地してきました大手の企業と地場の企業が一緒に入っているわけでありまして、受注機会拡大のためのビジネスマッチングといったようなこともこの協議会の事業として進めております。
 県内企業の技術者の育成や確保による技術力の向上も大事ですので、専門的な知識、技術の習得を目的といたしまして、半導体関連でありますと、いわて半導体アカデミーといった研修事業の実施とか、そういったさまざまなことにより人材育成を図り、地元企業の技術力の向上を支援してまいります。
〇軽石義則委員 どんどん集積されていけば、そこに人材が必要になってくるのは当然であります。人材育成は非常に大事なことでありますから、その労働力と人材の確保においては、県では、特に県立産業技術短期大学校を持っておりますので、その役割はさらに重要になってくると思います。
 そういう意味で、県立産業技術短期大学校が平成9年に開校して以来、いろいろな事業に取り組んで、多くの人材を輩出してきておりますが、それらをどのように把握されているのか。また、今は、企業も高度な技術を持ち、そして技術進歩も速いので、それに対応するものが求められていると思いますが、現在のカリキュラムと企業が求めるニーズが合致しているのかどうか、あわせてお伺いいたします。
〇保副知事 まず、県立産業技術短期大学校の就職状況について申し上げますが、平成27年度以降、平成30年度までの就職率は100%であり、平成30年度修了生の県内に本社のある企業への就職率は、全体で50.6%というところでございます。
 また、本年度の修了予定者の1月末現在での就職内定率につきましては、92.2%となっており、県内就職率は55.4%という状況でございます。
 県内企業への就職率を訓練科別に申し上げますと、例年、建築系の学科である建築科、建築設備科のほか産業デザイン科が高い傾向にあります。一方、県外からの求人の多い電気、情報系の学科である電気技術科、電子技術科、情報技術科は低い傾向にあります。
 時代の変化に応じたカリキュラムの工夫、対応についてでありますが、本科のほかに、さらに具体的な企業の課題解決を一緒になってやるという趣旨で産業技術専攻科を平成19年度から設置しており、それぞれ企業が毎年毎年さまざまなニーズを持ち込むことで、これに対応した人材の育成を進める仕組みを進めております。
 また、最近のAIあるいはIoTといった新しい技術に関しても、現在、AI・IoT等先端技術検討ワーキンググループを校内に設置いたしまして、新たなカリキュラムの見直しも検討中であり、できるだけ新しい技術あるいは企業のニーズに対応していこうということで取り組んでおります。
〇軽石義則委員 県立産業技術短期大学校に行く前段には県立の専門高校もあるわけですけれども、産業人材輩出には専門高校の役割も大きなものとなっております。その専門高校の専門教科の教員の確保が非常に課題になっておりまして、専門高校に必要な教育を行っていく上で、専門教科の教員確保をどのようにしていくかが、今、現場で抱えている課題の一つであります。
 今は専門教師のなり手が難しくて、再任用の人材がいまだに第一線で活躍している。ベテラン教師の技術継承は大事ですけれども、いつまでもそこに頼っているわけにはいかないと思います。人材を確保することは急務でありまして、例えば、医師や看護師のように専門的な人材には修学用の奨学金が準備されております。同じく専門教科の教員の確保についても、どうしても工学系は人材が民間に流れるという課題もあって、人材を確保する上では奨学金を用意するという独自策も有効と考えます。専門教科の職員の確保にどのように取り組んでいこうとしているのか、見解を伺います。
〇保副知事 ここ数年、教員採用試験における専門教科の教員志望者は減少しております。これには、委員からお話があったとおり、さまざまな要因がございます。特に若手教員の確保が困難という状況は、お話のとおりであります。
 県教育委員会では、工業系、農業系、水産系の大学の訪問あるいは大学1、2年生を対象としたガイダンスの実施といったようなことにより、本県の教員採用試験の受験を働きかけているところであります。
 教員採用試験においては、一般選考のほかに社会人特別選考、特定教科特別選考といった形で、高度な専門性を有する人材の確保に努めていると聞いておりますが、やはり専門高校で学んだ生徒が、そこで出会った校長先生や教員に憧れて、自分もこうなりたいと思うようなところも大きいと聞いております。そういう意味では、学校の運営においても、そういった工夫が必要であると思っております。
 そのほか、昨年11月には盛岡市で令和3年度の採用に向けた早期のガイダンスを新たに実施したことに加え、今後、仙台や東京で説明会を実施することを検討中と聞いております。
 現状において専門教科を担当する教員は、自分自身が専門高校の出身者が多いということであり、先ほども申し上げましたけれども、各校の進路指導の中で、教員が自分自身で仕事の魅力を伝えて、その生徒がそういう方向に進むようにということにも取り組んでいるということでございます。
 今、奨学金制度についてもお話がありました。現状ではそこまで検討はしていないということでありますが、今後、さらなる受験希望者の掘り起こしに努める中で、あわせて研究していきたいと考えております。
〇軽石義則委員 やはり学生のころからしっかり進路を確実にするためには、奨学金制度も必要ではないでしょうか。ましてや専門高校については、これから高校再編によって地域が限定されて学生がこないとも限りません。全域で対応できる、行きたい道に進めるように、それは制度においてもプラスになると思いますので、ぜひ早急に検討していただきたいと思います。
 次に、市町村と連携したまちづくりについて伺います。
 再開発事業についてでありますが、人口流出における社会減を食いとめるための対策が急務であります。これまで県内において、雇用の創出の対策を進めることに取り組んでおりますけれども、生活をする上で、まちのにぎわい創出も大切な取り組みであると考えます。
 若者との対話の中で、岩手県には楽しむ場所がないとの声があり、都市部にはその場所があるとの考えから、県外への流出に歯どめがかからない現状にあると思っております。
 また、郊外への商業地拡大により中心街の商店街は縮小傾向にあり、交通弱者と言われる高齢者などにおいては、買い物や通院などに不便を感じている県民の声は高まっております。東京一極集中を解消し、岩手県でも魅力あるまちづくりに取り組む時期に来ているのではないかと考えます。
 国においては、市街地再開発事業などにより、地方都市の定住基盤整備などの発展に資する優良な市街地の整備についても支援が行われております。これまでは盛岡市、北上市、奥州市において再開発事業などが行われておりますが、岩手県として、これらにどのようにかかわっているのかお伺いいたします。
〇保副知事 今お話がありましたとおり、本県では盛岡市など3市の4地区で再開発事業が実施された経過があります。
 県は、これらの市街地再開発事業に関しましては、主体が民間であることで、事業主となる組合の設立の認可、それから国からの補助がありますので、これらに関する事務手続を通じて必要な指導等を行ってきたところであります。
〇軽石義則委員 指導等を行ってきたということですけれども、これからは、まさにかかわっていくことが大事ではないかと思います。現在、県都である盛岡市が事業主体となり、県内公共交通の拠点ともなり得る新バスセンター建設の動きにあわせて、民間が事業主体となり、周辺市街地再開発の話が出ております。このエリア周辺は、既存の歴史ある商店街や盛岡城跡公園や中津川のせせらぎある景観を初め、文化施設など観光スポットとしても価値がある地域であり、活性化することにより交流人口の拡大にもつながるものと期待されております。
 また、今後の人口動向を考えると、コンパクトなまちづくりのモデルケースにもなるのではないかと考えております。それらを踏まえると、岩手県としても、これらは将来をつくる大事な事業と捉えるべきではないかと思われますけれども、このことに対する認識を伺います。
〇保副知事 現在、盛岡バスセンターの跡地の(仮称)新盛岡バスセンターの整備については、既に計画ができております。それから、その周辺におきまして市街地再開発をしたいということで、現在は利用されていない既存の商業ビルを、隣接の店舗等も含め一体的に整備する構想があることについては承知しているところでございます。
 この地区は、中核都市である盛岡市において旧来から公共交通の結節点であるとともに、肴町商店街などを含む中心的な商業エリアで、にぎわいの拠点になっているということは、そのとおりでございます。新たな市街地再開発の構想については、こうした盛岡市の中心市街地の再生や活性化にもつながるものではないかと考えております。
〇軽石義則委員 そういう認識のもとに、今後のまちづくりにおいては、防災や子育て、医療、福祉などの機能を兼ね備えた公共公益的な観点も備えていくことが必要であると思います。こうした観点によるまちづくりの具体的な事業展開がされる場合、他県においては、再開発事業に対しての補助による支援などの例が見受けられますけれども、今後、岩手県として対応していくお考えはあるのか、お伺いいたします。
〇保副知事 これまで、(仮称)新盛岡バスセンター整備基本計画を策定している盛岡市からは、民間の市街地再開発事業について、今後、開発主体から具体的な再開発に係る相談を受け、国の補助制度の活用を踏まえた国、県との協議を行うとともに、国の補助制度に沿った支援を検討していくといったような見解が示されているところであります。
 県といたしましては、周辺のまちづくりの具体的な計画が今後策定されると思いますけれども、そういった計画が明らかになる中で、どのような対応が考えられるかについて検討していきたいと考えております。
〇軽石義則委員 具体的なところが見えない中での話はなかなかしづらいと思います。これからのまちづくりはやはり大事ですし、これまでも議論されてきているところでありますので、直接かかわることによって、さらにそれがモデルケースとして広がっていくこと、また、地域に対しても非常に有意義になっていくと考えられますので、ぜひお願いしたいと思います。
 次に、スポーツ振興について伺います。
 岩手・釜石開催のラグビーワールドカップ2019の経済波及効果について伺います。
 昨年開催されたラグビーワールドカップ2019日本大会は、国内外に大きな感動と勇気を与えていただきました。そのことは、知事演述における令和元年の振り返りの中でも、その内容について詳しく述べております。
 先日、ラグビーワールドカップ2019岩手・釜石開催に伴う岩手県内への経済波及効果が公表されました。その結果は113億4、500万円であり、釜石鵜住居復興スタジアムの建設による効果が62%で、そのほかが大会運営費と来場者消費支出であります。当初、平成28年8月の試算は83億2、000万円でしたけれども、このことに対する評価について伺います。
〇保副知事 今、委員からお話があったとおり、県内への経済波及効果が算出されているところでございます。113億円余ということでありますが、御指摘のとおり、釜石鵜住居復興スタジアムの建設費が大きなウエートを占めているということではありますけれども、来場者の宿泊、交通、飲食、土産品の購入費などの消費支出について、これは、本当は2試合できればもっと大きかったとは思いますが、1試合だけの実施となったものの7億7、000万円余に上ったということであります。
 また、組織委員会や実行委員会等によるイベントの運営、警備のほか、観客や資機材等の輸送などの業務委託により、県内産業にも幅広く波及効果があったものと考えております。
 単純に比較はできませんけれども、前回の試算を1試合であったにもかかわらず上回ったということで、大きな経済効果があったと考えております。
〇軽石義則委員 昨年の本会議の一般質問でも、私は岩手・釜石開催の意義、成果について質問させていただきました。その際も、ラグビーを通じての復興支援に感謝、そして、世界にその姿を発信できた、子供たちにも貴重な体験ができたということで、スポーツが県民の力になっていくという実感を得たという答弁をいただいております。
 この大会は、ワールドラグビーの会長も絶賛しているように、すばらしい成果があったと考えておりますけれども、これらの成果は、先ほど経済効果のお話もありましたが、これはあくまでも起爆剤で、今後それをどう岩手県の地域振興に生かしていくかが大事な取り組みだと考えております。今後の地域振興につながる具体的な取り組みについてお伺いいたします。
〇保副知事 まず、来年度につきましては、ラグビーワールドカップ2019岩手・釜石開催を記念いたしましたメモリアルイベントの開催、海外の高校生とのラグビー、文化交流といった取り組みを行う予定であり、新たなきずなをより確かなものにしていきたいと考えております。
 また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、東京都に次ぐ全国第2位の登録数となっております19市町村が、ホストタウンとして相手国等との交流事業などを進めているということもあわせて、県としては、引き続き各市町村の取り組みを支援いたしまして、世界各国との交流を広げていくこととしております。
 こうした取り組みのもと、県内全市町村、観光、スポーツ関係団体で構成しております、いわてスポーツコミッションを中心といたしまして、国内外の各種スポーツ大会、イベントや合宿の誘致を一層進めていきたいと考えております。
 釜石市ということで、三陸防災復興ゾーンプロジェクトも進めるということで、こういった世界各国との交流を一層深めることとあわせて、本県のすぐれた食、自然、世界遺産や郷土芸能といった資源を生かしていくという観点で、さまざまな交流の拡大に努めていきたいと考えております。
〇軽石義則委員 先ほど2試合やればさらに効果があったのではないかというお話もありました。令和元年台風第19号の影響で中止になりましたナミビア対カナダ戦の再試合については、県民の皆さんも日増しに期待が高まっております。県民の皆さんが機運醸成するための取り組みであったパスリレーなどの最終目的として、釜石の地に知事がトライをすることはやっぱり欠かせないと思っております。
 ことし2月6日にラグビーワールドカップ2019釜石開催実行委員会主催の感謝の集いが開催されました。その際、嶋津事務総長から、ラグビーワールドカップ2019組織委員会は解散するが、再試合の気持ちは日本ラグビーフットボール協会に引き継ぐとの意向が示され、森会長からも釜石に対する思いが挨拶としてありました。その場に知事も同席しておりましたが、このことをどのように受けとめたのかお伺いいたします。
〇達増知事 委員御指摘のお二人の発言については、私としても大変ありがたく、心強く受けとめております。
 ナミビア対カナダ戦の実施に当たっては、国際試合を主宰するワールドラグビーからワールドカップに準じた試合、運営体制が求められるものと考えているところでありまして、そのため、釜石市を初め、日本ラグビーフットボール協会及びラグビーワールドカップ2019組織委員会と密接に連携して、ことしの秋に予定するメモリアルイベントにおいて、パスリレーの最終トライとあわせて実現できるよう取り組んでいきたいと考えます。
〇軽石義則委員 ぜひとも実現されるようにお願いしたいと思いますし、県内の県民の皆さんも、できる協力はしたいという方も多くおりますので、その方々にも、ぜひ御協力いただくようにお願いしていきたいと思います。
 ラグビー県岩手についてお伺いいたします。
 来年度予算の中にラグビー県いわて推進事業費が新規に盛り込まれております。これまでの歴史を顧みますと、新日鉄釜石製鉄所ラグビー部の7連覇や、国体や各種全国大会において岩手県のラグビーは全国に知られておりました。そして、本県関係者がオールジャパンのメンバーに入り、ワールドカップを初め国際試合でも活躍しておりました。しかし、残念ながら、今回の日本大会には本県関係者の姿はなく、寂しいところでもあります。
 今後は、ラグビー県岩手を目指していくために、関係団体などとの連携を図り、次の大会に向けた取り組みが必要ではないかと考えます。このことに対する所感をお伺いいたします。加えて、釜石シーウェイブスラグビーフットボールクラブが、新たなリーグに参入を検討しているとの報道がありました。このことに対して、岩手県としても支援することによりラグビーワールドカップのレガシーにつながると考えますが、どのように受けとめているのか伺います。
〇保副知事 今、委員からのお話でありましたが、やはり岩手県出身の選手を全日本あるいは世界にというお話だろうと受けとめております。
 これまで県では、スーパーキッズ発掘・育成事業を進めてまいりましたけれども、この実施に当たりまして、全てのその事業に参加する子供たちを対象としてラグビー競技の体験をしてもらう。そして、そこでラグビーに適性があるような子供たちに対して、専門的なトレーニングを始めるといったようなことを進めております。
 また、県ラグビーフットボール協会が実施する強化練習会あるいは遠征合宿等への経費に対する補助も行いながら、ラグビー選手の育成と競技力向上に努めてまいりたいと考えております。
 また、釜石シーウェイブスについてでありますが、釜石シーウェイブスでは、日本ラグビーフットボール協会が示しているさまざまな参入要件を踏まえ、新リーグへ参入する方向で検討を始めていると承知しております。
 県といたしましても、引き続き日本ラグビーフットボール協会から情報収集に努めるとともに、釜石市や県のラグビーフットボール協会など関係の方々と連携して、今後の方向性等について考えていきたいと思います。
〇柳村一委員長 軽石義則委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
 軽石委員、御了承願います。
   午後0時0分 休 憩
午後1時2分再開
〇柳村一委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇軽石義則委員 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会についてお伺いいたします。
 初めに、市町村の負担軽減についてでありますが、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は、復興五輪を理念として東日本大震災津波の被災地がもう一つの主役になることが期待されております。6月に行われる県内における聖火リレーの具体的な計画が決まり、復興五輪開催への期待はますます高まっていますが、一方で、聖火リレーの警備費が高額となっていることが問題であるとして、市町村から負担軽減の強い要望が出されております。
 昨年12月の本会議での一般質問では、市町村経費負担の軽減に向けて努めていくという考えが示されておりますが、令和2年度当初予算においてはどのように経費負担の軽減を図ったのか、市町村との連携はどのように行っていくのか伺います。
〇保副知事 聖火リレーの実施に当たりましては、県内全市町村及び関係団体等で構成いたします東京2020オリンピック・パラリンピック聖火事業等岩手県実行委員会において、県はリレー運営の計画策定や全県的な調整及び公式セレモニーの運営などを担い、市町村におきましては各区間の交通規制及び沿道警備などを担うという役割分担で準備を進めております。委員お話しのとおり、市町村が行うことになっております交通規制、沿道警備に要する経費については、民間委託を想定しますと非常に経費がかかるということから、可能な範囲で市町村の職員や交通指導員、ボランティア等で対応するということで縮減を図ってきたところでございます。
 ただ、そうは申しましてもどうしても民間委託が必要となる経費もございますので、これについては県で負担することにいたしまして、この経費につきましては、復興五輪ムーブメント推進事業費の中に計上させていただいております。したがいまして、市町村の負担は、基本的に、人はお願いしますけれども経費は生じないことにして進めることとしております。
〇軽石義則委員 県が負担するということで、市町村も大分、経費負担が軽減されると。そういう意味では、その分、多くの皆さんがより確実に五輪に参加できる機会を確保していくことが大事だと思います。
 これは12月定例会でも取り組み方針をお聞きしておりますけれども、郷土芸能、ブラスバンド、聖火リレーイベント、中高生がそれぞれメッセージを刻んだ復興モニュメントの展示などを計画中ということでありますけれども、当初予算の中に具体的にこれらがどのように反映されているのか伺います。
〇保副知事 先ほど申し上げました復興五輪ムーブメント推進事業費を令和2年度当初予算に計上させていただいておりますが、この中身には、県内全市町村の中高生のメッセージを刻んだ復興のモニュメントを東京都内に展示したり、300人を超える県内の小中学生、高校生の東京での無料観戦招待、サッカー競技へのエスコートキッズの派遣といったものが盛り込まれております。また、東北復興文化プログラム推進事業費もありまして、高田松原津波復興祈念公園で実施いたします、復興をテーマとした大規模な公式文化プログラムの開催に要する経費を計上しております。
 これに加えまして、市町村がオリンピック聖火リレーに際して実施いたします、聖火の出発や到着を祝うセレモニーの際の児童生徒による地元の郷土芸能、吹奏楽の披露など、そういった事業を行うものに対して補助をする経費も計上しております。
 こうした取り組みを市町村、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会等と連携して実施いたしまして、一人でも多くの県民の皆さんが世界最大のスポーツの祭典を身近に感じ、経験できるように進めてまいります。
〇軽石義則委員 ぜひ次の世代の皆さんがそれをしっかりと次につなぐ取り組みにしていただくようにお願いしたいと思います。
 次に、自然災害への対応についてお伺いいたします。
 近年、地球温暖化の影響があると思われる自然災害が多発しております。岩手県においては、東日本大震災津波という未曾有の災害以降、台風、集中豪雨などたび重なる災害が発生しており、想定を超える気象異常により、いつどこで災害が発生するか予測することは困難となっております。
 昨年12月の本会議での一般質問の際、私も土砂災害危険箇所について質疑を交わしておりますが、その際、県民に対する土砂災害危険箇所の周知と、命を守る観点からの意識喚起を訴えたところですけれども、これまでの取り組み状況について伺います。
〇保副知事 土砂災害危険箇所の周知に関してですが、これまで、県のホームページでの公表を初め、土砂災害警戒区域等の指定に向けた基礎調査を実施し、その結果については順次県のホームページで公表しております。また、住民説明会や、市町村がつくる土砂災害ハザードマップを各戸に配布するなど、市町村と連携して土砂災害危険箇所の周知に取り組んできたところであります。
 また、6月の土砂災害防止月間を中心に、市町村と合同での土砂災害危険箇所のパトロール、住民の避難訓練、あるいは建設が進む砂防堰堤の現場見学会も実施しております。
 また、今年度は、県の広報誌いわてグラフの令和元年10月号に日頃の備えがいのちを守るという特集を組んだところであります。市町村の広報誌等も通じて土砂災害の危険性や避難の大切さについて注意を喚起するなど、さまざま取り組んできたところであります。
〇軽石義則委員 昨年の台風第19号では土砂災害危険箇所以外での土砂災害の発生が2割程度ということでありますし、危険を感じながら生活している県民の皆さんに不安が広がっていると推察しております。
 これまでどのような考え方で土砂災害危険箇所の選定がなされてきているのか伺います。
〇保副知事 土砂災害危険箇所につきましては、国から示された調査要領に基づき、まず、土石流危険渓流、急傾斜地崩壊危険箇所、地すべり危険箇所について2万5、000分の1の地形図を用いて抽出を行い、さらに現地調査を行って、土砂災害が発生する可能性があることを特定した上で抽出しているものでございます。
 具体的に申し上げますと、土石流危険渓流については、谷の地形をしている渓流で、過去に土石流が発生した渓流というものを一つの基準にしております。また、急傾斜地崩壊危険箇所については、傾斜が30度かつ高さ5メートル以上の傾斜地で人家や公共施設に被害を生じるおそれがある箇所となっております。また、地すべり危険箇所につきましては、地すべりが発生するおそれがある箇所のうち、公共施設や人家等に被害を生じるおそれがある箇所という基準であります。
 これらについては、平成9年度からずっと調査を進めておりますが、平成10年度に地すべり危険箇所191カ所、平成14年度に土石流危険渓流7、198カ所、そして急傾斜地崩壊危険箇所6、959カ所を抽出しており、これらを合わせますと1万4、348カ所となり、これを土砂災害危険箇所ということで公表しております。
〇軽石義則委員 かなりの数が把握されておりますけれども、危険箇所は優先順位をつけて対策工事が計画的に進められているということでありますが、優先度の基準、これまでの取り組み状況と今後の予定についてお伺いいたします。
 予算上、全ての対策工事ができないとすれば、いざというときの避難についても対応が必要と考えます。各市町村との連携も必要ですが、どのように取り組んでいるのかお伺いいたします。
〇保副知事 これまで、土砂災害危険箇所におけるハードとしての砂防堰堤等の整備につきましては、やはり優先順位をつけながら、特に、過去に災害があった場所や、避難所、防災拠点、学校、病院などの施設が立地する箇所などを優先して整備を進めております。平成31年3月末現在―昨年度末、要整備箇所ということでピックアップした3、994カ所のうち整備済みは503カ所で、その整備率は12.6%でございます。
 砂防堰堤等のハード対策は、数が膨大で、1カ所当たりの費用も非常に多額に上ることから、ハードばかりではなくソフトを効果的に組み合わせることが必要であり、先ほど申し上げましたような土砂災害警戒区域の指定に必要となる基礎調査を実施しております。今年度内に先ほど申し上げました1万4、000カ所余りの全箇所の調査を一応終え、その箇所を公表する予定で今、進めているところであります。
 そうしたことも踏まえて、市町村とも連携いたしまして、ハザードマップの作成を支援する、住民に十分説明をするなど、住民の適切な避難行動につながっていくような取り組みを進めてまいります。
〇軽石義則委員 避難行動をしても避難先が十分にその避難に耐えられるかどうかということもありますので、その点も含めて一緒に整備をしていただくようにお願いしたいと思います。
 次に、三陸鉄道の復旧についてお伺いいたします。
 東日本大震災津波からの復興の象徴でもあります三陸鉄道は、令和元年台風第19号災害で全線の約7割が不通になりました。その後、社員を初めとした関係者の懸命な復旧作業により、令和元年11月28日には津軽石―宮古間で運行が再開され、同年12月28日には田老―田野畑間での運行が再開されました。全線での運行再開は令和2年3月20日の予定となっておりますが、現在の復旧への取り組み状況について伺います。
〇白水政策地域部長 三陸鉄道でありますが、早期に運行再開が可能と見込まれる区間から順次復旧を進めております。3月14日の普代―久慈間、3月20日の釜石―陸中山田間の運転再開によりまして、全線で運行が再開される予定となっております。
 復旧に当たりましては、早期復旧に加え、災害の再発防止を図る観点から、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の助言も得ながら工法等の検討を行い、将来にわたる安全性の確保に資するよう工事を進めているところであります。
 復旧費用につきましては、国、自治体の全額補助により三陸鉄道に負担のない支援スキームとなっており、また、県、市町村の負担につきましても手厚い財政措置が講じられることとなっております。
 三陸鉄道は沿線地域にとって欠かすことのできない生活の足であり、また、地域の観光など地域振興の牽引役でもありますことから、引き続き国等の支援を得ながら、また、市町村等関係団体との連携を強化しながら、三陸鉄道の確実な復旧に向け全力で取り組んでまいります。
〇軽石義則委員 全線開通は、地域の皆さんにとって、そしてそれを有効に観光資源として活用するためにも重要という認識のようでありますが、再開時には、それを盛り上げるいろいろなイベントなどを開催することも大事ではないかと思いますし、地域の皆さんが復興を実感できるようにすることも必要ではないかと思います。
 今後の三陸鉄道の利用促進に寄与するとも考えますけれども、県としてどのように取り組もうとしているのかお伺いいたします。
〇白水政策地域部長 東日本大震災津波からの復興のシンボルであり、また、令和元年台風第19号でも甚大な被害を受けました三陸鉄道の全線運行再開は、これら災害からの復興に向け大きな前進となるものであり、これを広く情報発信することは、地域における復興の実感を高めますとともに、運行再開後の三陸鉄道の利用促進にもつながる重要な取り組みであると認識しております。
 このため、3月20日の全線運行再開に向けましては、地域が待ち望んだ運行再開を広くPRするテレビCMや新聞広告、マスコミキャラバンの展開、あるいは横断幕やのぼり旗、ポスター等による盛り上げ、また、三陸鉄道ファンや団体観光客への記念品の配布、それから、運行再開に合わせた出発式、記念列車運行、記念式典の開催等によりまして、全線運行再開の周知と利用促進に向けた機運醸成を図ってまいります。
〇軽石義則委員 ぜひ皆さんにしっかりと伝わる取り組みをしていただくようにお願いしたいと思います。
 次に、福祉施策についてお伺いいたします。
 介護の現状について、まず伺います。
 介護分野の相談については、市町村が設置する地域包括支援センターが中心となって対応していますが、今後、高齢化が進行する中で介護はその役割を一層増していくわけですが、施設のあきが十分にないことが大きな課題となっております。
 昨年4月の状況を見ましても、入所申込者4、601人に対して在宅待機者は1、381人と、既に3割の方が入所を待っている状況にあります。農家や漁家の中には、ふだんは在宅介護ができるけれども、せめて繁忙期だけでも施設に介護をお願いしたいと考えている方もいるようです。県は、介護施設の現状についてどのように捉え、対策を図っていこうとしているのかお考えを伺います。
〇保副知事 平成30年度を初年度とする第7期介護保険事業計画では、今年度までの2年間で新たに特別養護老人ホーム19施設536床が整備され、現在、県内の特別養護老人ホームは、181施設8、999床となっております。一方、今、委員からお話がありましたとおり、昨年4月1日時点における県内の特別養護老人ホームの入所待機者のうち在宅での待機者は1、381人であり、このうち、市町村が早期入所が必要と判断しておられる方は890人いらっしゃいます。県としては、この早期入所が必要な方に対応する施設整備を進めるということで、令和2年度当初予算案におきましては、特別養護老人ホーム6施設140床の整備を支援する経費を盛り込んでおります。
 また、農家の繁忙期など一時的な施設入所に対する介護サービスとして、特別養護老人ホームなどが短期入所サービスを行っております。現在、これに対応しておりますのは、県内で285施設3、826床となっております。同じく令和2年度当初予算案においては、これらの短期入所に対応する3施設27床の整備を支援する経費を盛り込んでおります。
 市町村の介護保険事業計画に基づいて、介護支援サービス基盤の整備に対するさまざまな支援を行ってまいります。
〇軽石義則委員 現場は人材不足等を含めて大変な状況もありますけれども、それらも含めてしっかり支援していただくようにお願いしたいと思います。
 次に、バリアフリーについてお伺いいたします。
 定例会に、ひとにやさしいまちづくり推進指針(2020〜2024)の最終案が示されております。県では、前のいわて県民計画の時代からソーシャルインクルージョンの観点を重視し、ともに支え合う社会の実現を目指してきましたが、ユニバーサルデザインやバリアフリーは、それを根底で支えるものではないでしょうか。まちづくりの基本は多様であり、県として実践できることは少ないかもしれませんが、県がこの指針を作成することで、あらゆる分野で、より県民がユニバーサルデザインの普及やバリアフリーを実感できるようになる取り組みが進むことが重要であると考えております。
 公的機関が率先してバリアフリーに取り組む姿勢を見せることで、駅やバス停など民間の公共施設のバリアフリー化が一層推進するものと考えますが、県民が実感できるバリアフリーとしていくことについて、どのようにお考えか見解をお伺いいたします。
〇保副知事 今定例会に御提案申し上げておりますひとにやさしいまちづくり推進指針(2020〜2024)の最終案の中で、施策の進捗状況を明らかにしていくため、駅や商業施設などを含め、バリアフリー化に対応した公共施設の数、ノンステップバスの導入率、ひとにやさしい駐車場の区画数といった主要な指標を盛り込み、その進捗状況を民間事業者等と情報共有いたしまして、目標の達成に向け、理解や協力を得ながら、官民による全県的な取り組みを進めたいと考えております。
 また、県が率先して取り組むべきということは、まさにそのとおりだと思っております。県では、公共的施設を新設する場合におきまして、公共的施設整備基準により、全ての人が安全かつ円滑に利用できるよう配慮すべき事項を定めております。これにしっかり適合させていくことや、実際、整備の段階に当たり、計画段階から障がいのある方や高齢者、子育て中の方々から意見をいただき、できるだけ設計などにも反映させていくという取り組みを行っております。こうした取り組みを今後ともしっかり進めていくことにより、県民が実感できるバリアフリー化を進めていきたいと考えております。
〇軽石義則委員 これから、パラリンピックを含め、皆さんに岩手県に来ていただけるように条件整備をしなければならないというのはこれまでもお話をしてきたところでございますし、それをもって、やっぱり岩手県は住みやすいところだ、また来てみたいという気持ちにつなげていくことや優しい県岩手と印象づけていくことも大事だと思っております。
 きょうは残った項目もありますが、時間の関係もありますので、これまで質疑させていただいたことをしっかりと実践していただくこと。そして復興、新型コロナウイルス感染症対策を含め、現場にそのことがしっかり伝わらないといい施策にはならないというのはこれまでも言われてきたとおりですので、これを全力で進めていただくことをお願いして総括質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
〇柳村一委員長 次に、佐々木茂光委員。
   〔佐々木茂光委員質問者席に着く〕(拍手)
〇佐々木茂光委員 引き続き、自由民主党会派を代表いたしまして、知事に総括質疑を行いたいと思いますので、よろしくお願いします。
 震災から、間もなく丸9年になろうとしております。まだまだ大変厳しい状況に置かれている方もおります。復興そのものも、8割、9割までは届いた中で、被災された方々の中には、復興したという実感をまだつかみかねている方が多くおります。そういったところを捉えながら、知事にはお答えいただきたいと思うところでございます。
 まだ震災復興も半ばであり、行方不明の方々も多くいるわけであります。震災以降、たび重なる甚大な自然災害があって、またそこで犠牲者も出るなど大変厳しい状況の中で、お悔やみを申し上げながら、そしてまたお見舞いを申し上げながら質問に入らせていただきたいと思います。
 まず最初に、令和2年度当初予算案についてでありますが、復興幸福希望予算と名づけられた中で、政策及び主要事業の数をふやし、県民の幸福度向上のための施策をきめ細かく実施する予算として編成したと発表されております。予算の名称に復興という言葉が入るのは、平成29年度当初予算の未来につなげる復興ふるさと振興予算以来であり、3年ぶりとなるわけであります。
 平成28年度の本格復興完遂予算の名称については、完遂という表現が復興事業のおくれなど被災地の実態を無視したような言葉であるという声もあったところでありますが、現在の被災地の状況、復興事業の進捗を踏まえた上で、ここで改めて復興という言葉、名称を再度用いたことに対する知事の思いについてお伺いいたします。
〇達増知事 令和2年度当初予算案は、東日本大震災津波からの復興を力強く進めるとともに、県民の幸福度の向上を図るいわて県民計画(2019〜2028)を軌道に乗せ、県民みんなが希望を持てる予算として編成したところであります。
 沿岸被災地では、復興道路の開通などさまざまなインフラの完成が相次ぎ、着実に復興の歩みが進んでいる一方で、依然として応急仮設住宅等での生活を余儀なくされている方々がいらっしゃいます。そうした方々に対する心のケアなどの支援にますます力を入れ、丁寧に対応していく必要があると受けとめております。
 そのため、引き続き復興にしっかり取り組んでいく、改めて県内外で復興に関心を持っていただきたいといった思いを込めて復興の2文字を予算の名称に用いたところであります。
〇佐々木茂光委員 復興完遂という言葉を知事が発したときから、周りの人たちは、ああ、これはもう復興が終わるのだなと、終わったのだなという気持ちの置きどころがあったわけでありますが、どうも私は、その響きに対して、本当に現場がどういう状態になっているのかわかっているのかなというような思いで、疑問を持った一人であります。
 そういった中で、今、被災地の現状を知事はどのように捉えておられるでしょうか。
〇達増知事 かつて私は、復興をなし遂げた姿とはどういう姿かという質問に対して、被災者一人一人が、みずからの暮らし、学び、仕事を再建して生き生きとした暮らしを実感でき、被災市町村それぞれにおいても、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生において復興に区切りがついたと実感できたときと答弁したことがありました。現在の復興事業の進捗状況を見た場合、社会資本の整備などがおおむね終盤を迎えている沿岸北部の市町村などはこれに近いところまで来ているのではないかと考えられますが、そのような市町村においても、その後、平成28年台風第10号災害や昨年の台風第19号災害があり、大きな被害を受けているところであります。
 また、それ以外の沿岸市町村においては、現在も最重要課題として復興事業に注力しているところであり、被災地全体として復興をなし遂げたと実感できる状況には至っていないと受けとめております。
 令和2年度当初予算においても、岩手県として復興を力強く進めるよう、分野によっては前年度以上の額を予算として確保して復興に当たっていくところであります。
〇佐々木茂光委員 復興は8割、9割まで来ていながらも、次々と重なるようにいろいろな課題が出てくるわけでありまして、それらに対応することも、これはまた執行者とすれば大変な予想し得ないことが出てくるわけで、それらに対する取り組みも、早急に対策を立て、事に当たっていただければと思うところでございます。
 来年度は震災発災から10年目の節目でありまして、改めて知事には、強いリーダーシップと責任のもとで県政に当たってもらうことを強く望むところであります。
 こういった中、先日、我が会派の岩崎友一議員の質問に対し、知事から、医師不足の解消について、よき政権交代が行われればこうした問題の解決が進むのは当然であるとの答弁があったわけでありますが、私は聞いていて、余りにも県政運営の責任者、当事者としての認識に欠ける言葉ではなかろうかと思った一人であります。
 東日本大震災津波からの復興については、当然、国、県、市町村がそれぞれの立場で、それぞれ必要と考える施策について、意見を交換しながら、ともに認識を共有しながら進めてきたものと思います。
 現在、復興事業の一部におくれが見られる中で、この復興事業のおくれ等についても政権交代が行われれば進捗するのかと、似たような考えになるわけでありますけれども、知事としてどのような考えを持っているのかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 今、復興事業の一部におくれが見られているという御質問でありましたけれども、現地での地質調査の結果による工法の変更が一部事業について行われていること、また、令和元年台風第19号により被災した箇所の手直し工事が必要になったところがあるなど、技術的な理由や自然災害の発生によるおくれが生じているのが理由であると受けとめております。
〇佐々木茂光委員 当然、復興も県政課題であるし、医師不足も県政課題であります。ということは、医師不足についての発言というのは、直接、政権に関わるという考えではないと知事は捉えているのでしょうか。
〇達増知事 医師不足につきましては、この前、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会として自由民主党の同趣旨の議員連盟で報告をしたところ、今の政府がとっている政策とは異なる政策論がそこに集まっている議員からも出ましたし、また、医師会からの代表やさまざまな団体の代表からも出たところであり、新しい政権がそういった政策を積極的に取り入れれば、今以上に医師不足解消は進むと考えます。
〇佐々木茂光委員 私は、ちょっと踏み込み過ぎではないのかと思った一人です。いろいろな県政課題を解決していくためには、もちろん現場の方々としっかり調整を図りながら、知事は、市町村から上がってくるいろいろな課題解決をしていくための取り組みをするわけです。それらを取りまとめの上、例えば国のほうに求めるなど一緒になって解決しなければならないのであって、そういうところの足並みをそろえていかなければならない立場にある方がそういった踏み込んだ発言をするのはいかがなものかと思うのですが、今の知事の話からすると、周りにそういう声があったという解釈でいいのですか。私の考えではないですよと。私の考えではないですよというのはどうかわからないですけれども、その辺の状況をお願いします。
〇達増知事 医師不足対策もでありますし、地方創生もそうでありますけれども、今、政府がやっている政策以上の政策、今の政権がやっていない政策を求めていくということは、さまざまな分野において必要なことであります。
〇佐々木茂光委員 政権がかわればということが出てきたことに対しては、我々が置かれている現状もそうだけれども、今々、ともに国と県と市町村が一緒になっていろいろな課題に向かって取り組んでいかなければならない状況の中にありながら、そこに政権を引っ張り出した形で表現が出てくるというのはどうかと思ったものですから、今それを聞いているのです。知事の考え方とすれば、いずれ政権がかわれば、これはどの政権になろうとも、時間はたっていくわけですから、そのときそのときの状況によっていろいろなものが生まれてくるとは思うのですが、あえて政権がかわればという言葉を知事が選んだ本意について聞かせていただければと思います。
〇達増知事 日本国憲法のもとでは、いつ政権交代が起こっても構わない。特に衆議院の解散とか内閣総理大臣の不信任というように、いつでも国会が開かれていればすぐ解散総選挙、そして政権をめぐる選挙はいつ起きてもいいし、いつ政権交代が起きてもいいというのが、日本国憲法の大前提でありますので、政権交代について余り気にし過ぎるというのはかえっておかしいと思います。
〇佐々木茂光委員 ある意味わかりやすいと言えばわかりやすいかもしれませんけれども、やはり知事の立場というものを考えれば……。知事は岩手県のトップですよね。見方、考え方とすれば、周りもそういうふうに見ているわけです。その方が本当に言う言葉なのかなというのは、私は今でも思うところです。
 知事の言いたいことはわかりますけれども、相手があって常にその話のやりとりというのはあるわけです。例えば、いろいろ国のほうにお願いしなければならない、国に手をかけてもらわなければならない、いろいろな事業の課題解決していくためには、やっぱりそういうスタンスの中で立ち回っていくべきではないかと私は思っているのです。
 例えば、我々議員も地域課題を地域から受けて、そして県のほうに届けるという役割があるわけです。知事の言ったことに対して、書いたものは消したりすれば消えるけれども、口で言ったことというのは必ず残りますよね。聞いた人はもちろん、言った人もそうだけれども。我々は今、議員として、地域に帰ればいろいろな課題解決に向けた県の取り組みを伝えていくわけです。そういった中で、簡単にその一言で言われた。まず一つは、その言葉を選んだことについては、知事に問題があるのかなと思うのです。我々が地元に帰って話をするのに、その課題を解決していくための手だてとして、かみ砕いて、これはこういうふうにして説明してくださいとか、そういうものを出してもらわないと、我々は本当に説明ができません。
 その辺の知事の役割、立場というのがやっぱりありますよね。我々議員もそうであり、国会議員には国会議員の役割分担があるわけでありまして、そういったところを含めて、多分知事は、話を聞く分には、自由民主党政権だから云々かんぬんと真っすぐ政権党に踏み込んだ発言だったのかどうか。そこをちょっと聞かせてください。
〇達増知事 まず、岩手県知事が民主主義の基本的な原理原則や日本国憲法の内容について、きちっと理解しているということは折に触れ発信したほうがいいことだと思っております。
 また、中央政府と地方政府―国と県との関係において、どのくらい国の言うことを聞くべきか、また、どのくらい地方としての自己主張をすべきかということについては、ILCのことやあるいは復興のことをテーマに、去年の参議院議員選挙と岩手県知事選挙で、岩手県民の意識については一つの結論が出たと言っていいと思います。岩手県民は、まず復興の現場、そしてILCのある場所、そこの県民がまずどうやればいいかということを組み立て、それを国に求め、国がまだやっていないこと、国がやろうと考えていないことを地方のほうから突きつけて、そうでなければ今の政府にはかわってもらうぞぐらいの迫力を持って国に迫るというのが、選挙という形で岩手県民の総意があらわされたわけです。もちろん当選した人以外に投票した人もいるわけでありまして、それに対して疑問を持ったり、そうではない考え方を持ったりする人もいるのはわかりますので、そうした皆さんにもうまく伝わるような工夫はしていかなければならないと思います。
 なお、今、国の政権、強力な権力を持っている側に連なる側が、政権交代という言葉を地方の知事は余り使ってはならないというように言うのは、非民主主義、絶対主義、独裁主義と言いましょうか、政権交代はあってはならない、今、政権についている人がずっと政権につくのがいいのだと体制側が押しつけてくるように見える嫌いがあるとおそれますので、そうした動きについては、逆に、政権交代はいつあってもいい、今の政権、長く続いた政権だってかわったほうがいいし、かわれば、いろいろな政策について今の政権がやっていないいいことができる可能性はあるということを積極的に主張する理があると考えます。
〇佐々木茂光委員 ただ私は、捉えるに当たって、知事という立場について物を申しているのです。県政運営に携わり、その中心となって、国の行く方向は別にしても、県の行く方向は、当然、県民の暮らし、生活を全て守りながら、いいほう、いいほうに仕向けていくのが知事の役割だと思うのです。そういった意味で、国だって、どの政権だろうと向いている方向は同じだと思います。そういったところで知事は、ちょっと向いているところがまた違うのかなと。かえようとする気持ちはわかりますよ。けれども、今、現政権の中でいかに我々の置かれている立場をいい方向に向けていくかというのは、それは知事に与えられている役割だと思うのです。
 確かに知事の思うように進まない部分は、ほかの野党の人たちから見ると今の政権ではだめなのだというふうに当然見えてくるのですけれども、本来、知事の役割は、私はそういうところにあるのではないかと思います。
 とにかく今は、知事は皆さんに選ばれた。私は票を入れなかったかもしれないけれども。そういう中で、知事の役割というのは、まず相手の話を取り入れることと、聞くこと。それから、我々はこういうふうにしたいと、そういう立ち回りが知事の役割だと思うのです。当然、知事を選ぶにしても両極あるわけだから。なった以上は、やっぱり両方の意見を聞くという考えの中で立ち回って課題を見出す。国に対して訴えることは訴えるというくくりでないと。今の考え方は、知事の話を聞くと、最初から自分の考えがあって、それをこういうふうにしましょう、ああいうふうにしましょうと同じような同志の方々を集めた形で県民党だと言ってやっているから、私はちょっとそれは知事、違うのではないですかということなのです。その辺、どうですか。
〇達増知事 当たり前のことですけれども、日本国憲法のもとで憲法尊重擁護義務もあり、知事として、今、内閣総理大臣の職についている人を内閣総理大臣として、内閣総理大臣の権限に対してはそれを尊重してやりとりをしておりますし、内閣全体に対してもそのとおりであります。そのような形で、今の政権は比較的長く続いているわけでありますけれども、復興の進捗やラグビーワールドカップ2019の成功、東京2020オリンピック、パラリンピック競技大会の準備もそうですけれども、粛々と進めてきたところであります。
 一方、地方創生、人口減少対策に関し、東京一極集中が加速していることについては、今、満足していないところがあります。ただ、満足していないからといって政府を今この瞬間、否定するつもりは全くありませんし、否定しないで、今も国の来年度からのまち・ひと・しごと創生総合戦略の5年計画に対応した県のまち・ひと・しごと創生総合戦略をつくっているところであります。
 ただ、将来のあるべき政策、そしてその政策をどういう内閣、どういう政権が実現していけばいいかということについては、これはもう知事も含め、あらゆる日本国民が自由に議論することができなければだめだと思います。
〇佐々木茂光委員 知事が言うような、そういうステージは開かれているのではないですか。何か自分の思っていることが思うように、例えば、国のほうに届かない。やっても上から潰されるみたいな意識が知事にあって、なかなかそういった意味で国には届きかねているのではないかと思うのです。例えば国に出向く、いろいろな要望を持っていくということについて、最初から相手をみずから閉ざした形で県政運営に当たっているがゆえに国とのかかわりというものがかなり手薄になってきたかと思うのですが、その辺の意識はないですか、知事の中に。自分がやっていることに思いがなければそういう立ち回りもできないのですけれども。そういうところが見受けられるのでありますが、知事はそういったところはありませんか。
〇達増知事 安倍首相の施政方針演説ですか、来し方を振り返り、これから1年の政府の話をする中で、復興の成果で引用された中では、岩手県の例が一番多かったと記憶しております。それだけ岩手県では復興が進捗しているということは今の内閣と県の連携の中でなし遂げているということでありまして、全然国との関係がうまくいっていないということとは違うと思います。
〇佐々木茂光委員 これからもしっかりとその辺は連携というか、お互いを理解するということをしないと、当然事は進みません。だから、そういった立ち回りをしっかりとしていただきたいと思います。
 復興状況についての知事の認識についてですが、これは今いろいろと知事からも発言がありましたが、引き続きいろいろな課題が出てくるわけでありますので、そういったところを含めてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 また、今ちょっとお話ししたところでありますけれども、新しい時代が刻まれ、1年間の事業進捗の実感を深めることとなったと思う部分は、これまでの復興に対する取り組みの中で、うまくそれがかみ合ってきたところなのかなと思います。
 ただ、事業が進むにつれて、また新たにいろいろな課題が散見されてくるわけであります。そのときにつかんだ実感というものは、目に見える大型の復興事業が7割進んだときには復興感も大分これに近いところまで伸びていく。でも、その復興の実感との乖離が生じてきているわけであります。令和2年度当初予算案においては、その実感を深めるためにどのような効果を発揮することを期待しているのでしょうか。知事の御認識をお聞かせ願います。
〇達増知事 復興の実感については、いわて復興ウォッチャー調査という形で定点観測を行っております。復興の実感に関する数字は基本的に上昇しているところでありますが、復興の進展に伴って、被災者の生活再建の課題や、沿岸地域の主要産業である水産業における水揚げ量の回復の問題、そして担い手の確保の問題、また商工業の販路の回復、そして従業員の確保など、被災地の課題は多様化、複雑化しているところであり、いわて復興ウォッチャー調査では、人口減少による地域経済への影響を懸念する声も聞かれているところであります。
 復興をしっかりと実感いただくためには、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げているとおり、三陸地域が、一人一人にとって生き生きと暮らすことのできるふるさとであり続けるように、三陸地域の持続的な成長に向けた取り組みを進めていく必要があり、復興推進プランに掲げる復興事業に加え、政策推進プランや地域振興プランに掲げる関連施策と連動しながら、三陸のよりよい復興、ビルド・バック・ベターを進めていきたいと思います。
〇佐々木茂光委員 今度はいわて県民計画(2019〜2028)の中に幸福度という言葉が標榜する目標の中に出てきたわけでありまして、実際に被災者の実感としての幸福ということについてお尋ねしたいと思います。
 県はこれまで、被災者一人一人の幸福追求権を保障することを原則の一つとして取り組んでおります。これは、今年度からスタートしているいわて県民計画(2019〜2028)にも引き継がれているものと認識しております。
 いわて県民計画(2019〜2028)の長期ビジョンの第1期アクションプランでもある復興推進プランにおいては、復興に必要なハード整備や今後重要性が増す心のケア等の事業について、具体的な指標や実施計画が盛り込まれておりますが、施策の体系としては、やはり被災地、内陸を問わず、県民意識調査で県民一人一人がどれだけ幸福を実感しているかが成果をはかる大きな指標となるものと考えます。
 幸福度は主観的な面が大きく影響することから、研究会における検討等を踏まえ、成果として測定可能ないわて幸福関連指標に基づいて施策を展開していくという構成については一定程度理解できますが、被災地の住民として、その指標と実感には大きな乖離があると思わざるを得ません。
 住まいを失った方が、さまざまな支援を受けて自力で自宅を再建する、応急仮設住宅から災害公営住宅へ転居する、なりわいの基盤を失った自営業者が、グループ補助金等の支援を受けて営業再開に向けて力強く立ち上がる、この場面で実感する幸福と、その後のステージで新たな課題に直面した場面で実感する幸福は大きく異なるのではないでしょうか。
 被災地では、長引く復旧、復興事業の影響もあり、人口減少が加速し、水産業の不況も相まって地域の活力が失われる事態に直面しております。自宅を再建した方々には住宅ローンの返済、商業を再開した方々にも販路、人材の確保や債務の返済など、地域の活力と密接に関連する今後の生活の不安が幸福の実感を押し下げてはいないでしょうか。
 本来は広域的な観点で行政を進めていく立場にある県が、この実感の変化に対応して機動的に政策を展開していくことができるのでしょうか。復興のステージの進展に伴う被災者の幸福の実感の変化と今後の復興関連施策の展開について、知事の見解をお尋ねいたします。
〇達増知事 先ほど申し上げましたように、いわて復興ウォッチャー調査での復興の実感は上昇傾向にあり、また、県が以前から行っています県民意識調査での生活満足度の数字も基本的に上昇しているところではありますが、いわて復興ウォッチャー調査の結果をよく見ますと、被災者の生活回復度、地域経済回復度、災害に強いまちづくり達成度と分けたとき、生活回復度やまちづくり達成度については上昇傾向が見られる中、地域経済回復度については、近年、横ばい、あるいは下降する年もあるという格好になっております。
 人口減少の加速、水産業の不況というような地域の活力が失われると委員が御指摘した問題など、経済をめぐる状況についてのさまざまな困難や不安はあると考えます。
 復興に直接かかわる計画や復興事業をしっかり進めるとともに、県内経済全体を底上げし、三陸地域の経済の底上げが図られるような施策にさらに力を入れてまいりたいと思います。
〇佐々木茂光委員 その方向性だけでも、具体的に今ここで聞いて答弁できますかね。
 こういったところに力を入れることによってその辺の実感度を高めていく考えであるというようなところまでで結構ですので、お願いします。
〇達増知事 令和2年度予算における取り組みについては、本委員会冒頭、総務部長から述べましたように、後ほどそれぞれの部局から部局関連予算の説明が詳しくあるところでありますけれども、大ざっぱに申し上げれば、特に岩手県沿岸地域にかかわるものとすれば、今年度の三陸防災復興プロジェクト2019で成果が見られた食産業の分野、観光関係、また、ジオパークを活用した事業や三陸復興国立公園を活用した事業、そして合唱、オーケストラ、郷土芸能など、そうしたつながりを生かした関係人口の創出といったことが一つ方向性としては挙げられます。また、北上川流域で大きく進んでいる企業関連の施策につきましても、復興道路で沿岸部と内陸部の結びつきも一層強まりますので、沿岸におけるものづくり産業の進展にも力を入れてまいりたいと思います。
 何より水産業に関しましては、サケ、マスの増殖、また、同時に養殖業の振興についても力を入れるべき局面にありますので、こういったことも令和2年度にしっかり取り組んでまいりたいと思います。
〇佐々木茂光委員 いろいろと今新しい取り組みを含めた事業が紹介されたわけでありますが、この1年間にどこまでそれを詰められるかということを常に思うのであります。復興事業を捉えていくと、いろいろと事業に取り組むに当たって半ば計画が固まると、そこでみんなちょっと一息入れているのではないかと思うときがあるのですね。そうやっているうちに、また新たな課題が出てくる。そういったところを見ると、本当に気を許さずでいろいろな施策、対策に当たっていかなければならないと思うのです。
 すぐ成果が出てくるというか、結果がわかるものもあれば、当然わからないものもあるわけですが、今ちょうど復興も10年になるという中で、意識的にしっかりとそれぞれ踏み込んだ形で取り組む姿勢を示していかなければならないと思うのですが、その辺に対する意識というものを知事からお聞かせ願いたいと思います。
〇達増知事 予算というものは、来年度分の予算を今年度中に議決いただくわけでありますけれども、4月1日から年度がスタートし、予算の執行、事務の執行を行う中で、さまざまな状況の変化、あるいはこうしたほうがいい、ああしたほうがいいという事業の現場からの県民の皆さんからの声といったものを随時取り入れながら、議決いただいた趣旨の中で臨機応変に対応し、そして、議決をいただいた趣旨を超えてさらなる対応が求められれば、その場合には、災害のときなどは典型的ですけれども、補正予算も議会に提案しながら、そのとき、そのときやらなければならないことをしっかりやっていきたいと思います。
〇佐々木茂光委員 次に、SDGsの基本方針と復興施策の整合についてお尋ねいたします。
 いわて県民計画(2019〜2028)において、SDGs―持続可能な開発目標の挙げる誰ひとりとして取り残さないという基本方針が、理念的な大きな柱となっております。知事がたびたび、誰ひとりとして取り残さない理念のもとの復興について発言されております。取り残さないという理念のもと実施している事業が、結果として取り残されたと感じる被災者を多く生んでしまったのでは、本末転倒であります。
 ハード整備が着実に進む中、みずからの努力だけでは解決できない問題を抱える被災地の方々に対し、事業の執行者としてどのような必要な事業を実施していくのか。執行者としてひとりよがりにならないためには、真に支援が必要な方々に対して、必要な事業を適時に実施していくことが求められております。
 誰ひとりとして取り残さないという理念をまさに今、被災地で真に求められている支援にどのように結びつけていくのかお伺いいたします。
〇大槻復興局長 県では、東日本大震災津波からの復旧、復興に向けまして、被災者一人一人の幸福追求権を保障することを基本方針を貫く原則の一つとして位置づけ、復興に県民一丸となって取り組んできたところでございます。
 こうした復興の実践の過程で学び、培ってきた幸福を守り育てる姿勢は、持続可能な開発目標、いわゆるSDGsの誰ひとりとして取り残さないとする理念に相通ずるものでありまして、今後の復興を進めるに当たっても重視していく必要があると考えております。
 このため、いわて県民計画(2019〜2028)の復興推進の基本方針におきましても、個人の尊厳を基本価値とし、誰ひとりとして取り残さないという理念のもと、県民一人一人がお互いに支え合いながら、幸福を守り育てるための取り組みを進めていくこととしております。
 復興推進プランの推進に当たりましては、こうした理念のもと、事業の進捗管理や意識調査の結果のみならず、現地の復興状況を丁寧に把握しながら、変化する復興のステージにおける被災者の課題をよく見きわめ、適時、適切に事業見直しを行い、被災者一人一人の復興をなし遂げられるよう一生懸命取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 それでは、来年度の予算ということで、復興事業の進捗の見込みと今後の見通しについてお尋ねいたします。
 昨年12月20日に復興・創生期間後における東日本大震災津波からの復興の基本方針が閣議決定されました。本県は地震津波被災地域として、復興・創生期間後5年間、すなわち令和7年度まで、国、県、市町村が協力して残された事業に全力を挙げて取り組むことにより、復興事業がその役割を全うすることを目指すとされております。
 心の復興に必要なコミュニティー形成や心身のケア、見守り、生活相談等の事業への支援が継続されることとされている一方、ハード事業については、令和2年度内の完了を目指し、未完了となる事業への支援は期間内に計上された予算の範囲内でのみ支援を継続することとされています。
 県では、現状において、令和2年度内に完了できない事業がどの程度の割合となると把握しているのでしょうか。また、国の基本方針である予算の範囲内での支援で完了に至らない事業がどの程度残ると認識しているのでしょうか。また、その対応方策についてもあわせて伺いたいと思います。
〇大槻復興局長 県の社会資本の復旧・復興ロードマップに掲載しています事業は、完成目標が令和10年度となっている国直轄の久慈湾の湾口防波堤、それから、令和8年度までの工期としている県の閉伊川水門災害復旧事業を除き、令和2年度までの整備スケジュールとなっております。
 これらの事業につきましては、復興・創生期間内の完成を目指して整備を進めてきたところであり、幾つかの事業におきましては、現地の地質や施工条件の変化等により工程への影響が考えられる箇所もございますが、工程の見直しや工法の工夫等さまざまな観点から精査を行いながら、令和2年度内の工事完成に向け最大限努力しているところでございます。
 昨年12月に閣議決定された復興・創生期間後における東日本大震災からの復興の基本方針におきましては、ハード事業について、やむを得ない事情により期間内に未完了となる一部の事業については、期間内に計上された予算の範囲内で支援を継続するとされたところであり、今後、令和2年度内の完了が難しくなった事業が生じた場合には、確保された予算の執行について関係省庁との間で必要な調整を行い、最後まで確実に事業が完了するように取り組んでまいる考えでございます。
〇佐々木茂光委員 工事ですから、本当にくいを打ってみなければわからない、中をのぞいてみなければわからないということがあり、事業を進めていく中で変更していくのが一つのやり方になっておりますけれども、いずれ、そういったところも的確に、早目早目に対応しながら、一日でも早く、そのおくれを一日でも取り戻すぐらいの意気込みで取り組んでいただければと思います。
 次は、地域医療と地域包括ケアについて、あわせてお聞きします。
 まず、医師数の地域間格差の是正についてでありますが、先日、岩崎友一議員が、本県県央部とその他の地域の格差の是正について質問したところでありますが、その際、知事からは、医師数について、地域間の差は縮小傾向にあるとの答弁があったところであります。
 しかし、保健医療圏ごとの人口10万人対医師総数で見ると、平成20年は圏域間の格差が最大で2.41倍であったのが、平成28年は、盛岡医療圏299.4人に対し、最も少ない宮古医療圏が117.6人で、格差2.55倍となっております。沿岸部における医師数の格差縮小は進んではいないのではないのでしょうか。
 地域医療は、いわて県民計画(2019〜2028)の理念である幸福の根幹であり、これを維持していくためには、医師がそれぞれ二次医療圏で十分に確保されることが必要であります。盛岡地域とその他の地域の医師数に係る格差の是正に対する知事の認識をお伺いいたします。
〇達増知事 県では、いわて県民計画(2019〜2028)において、奨学金養成医師や県外から招聘した即戦力医師を公的病院等に配置することなどにより、病院勤務医師数の増加を図ることを具体的推進方策指標としております。
 二次医療圏における病院勤務医師数については、最近は差が縮小してきているところであり、こうした取り組みを着実に進めることにより、県全体の医師数の増加が図られるものと考えております。
 平成28年度から奨学金養成医師の計画的な配置を進めてきており、令和2年度の配置人数については、県全体では今年度の53名から76名まで拡大する見通しで、そのうち沿岸・県北地域には、現時点で6名増の26名の配置が見込まれるところであります。
 また、養成医師については、令和3年度に義務履行を開始する医師から沿岸地域等への配置を必須化することとしており、今後さらに沿岸地域等への配置人数の拡大が見込まれることから、県内の地域偏在の状況は解消に向かうものと考えております。
〇佐々木茂光委員 今の話を聞くと、政権がかわらなくても医師不足は半ば前進するのではないかと思ったところであります。それで解決するものではないのです。いずれ医師のみならず、看護師、それから福祉関係の介護士含めて医療人材が足りないので、そういったところにも気を置いてしっかりと施策に当たっていただきたいと思うところであります。
 それでは、包括ケアの推進についてお伺いいたします。
 団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、高齢者が、可能な限り、住みなれた地域で、自分らしい生活を人生の最後まで続けることができるような支援体制を整備する地域包括ケアシステムの構築については、これまでも質問してきたところでありますが、沿岸部においては、そもそも医療や介護などの資源が不足している中で、それぞれの実施主体が最低限なすべきことをするので精いっぱいであり、互いに連携した体制を構築できかねているのが実情ではないでしょうか。
 沿岸地域では既に高齢化率が高くなっている中で、復興後の地域のあり方を考える上でも、地域包括ケアシステムの早急な構築は重要な課題であり、県としてどのように沿岸地域における地域包括ケアシステムの構築へかかわり、支援していくのか、知事の考えをお伺いいたします。
〇達増知事 県では、市町村が行う介護予防や介護基盤の整備などを支援し、地域包括ケアのまちづくりを推進していますが、特に、被災地においては、生活支援相談員の配置による見守り、応急仮設住宅等における高齢者等サポート拠点の設置、地域の医療・介護情報連携システムの整備などに取り組んでまいりました。
 しかしながら、被災地において人口減少が進む中、高齢者が、住みなれた地域で、医療や介護、生活支援などのサービスを一体的に受けられる地域包括ケアを一層推進していく上では、医師、介護職員、リハビリテーション専門職などの地域包括ケアにかかわる人材のさらなる確保を図り、多職種による連携を強化していく必要があると考えております。
 県では、医師、看護師等の医療従事者や介護人材の育成、確保に継続的に取り組みながら、研修の実施による多職種連携や在宅医療の充実強化、介護予防への医療従事者の参画の調整など、市町村単独では対応が難しい課題に取り組み、地域の実情に応じた地域包括ケアを推進してまいります。
〇佐々木茂光委員 今、知事の話の中にもあったように、沿岸部、被災地は、まだまだ本当に厳しい状況にあるわけであります。当然地元の方々は、何とか地域包括ケアシステムを構築し、そしてそれをスムーズに滞りなく運営できるような方向に向かって今一生懸命取り組んでおりますので、内陸のほうから県も、そういった不足するものは補って手を伸べてやるぐらいの意気込みで、しっかりと取り組んでいただきたいと思うところでございます。
 それでは、令和2年度予算案における歳入について質問いたします。
 令和2年度当初予算のうち、私が最も懸念するのが歳入予算の、特に税収であります。令和元年度と比較して41億8、900万円、3.1%の減少であり、特に、企業活動の好不調の指標でもある法人関係税において、その減少が顕著となっております。
 法人県民税は21億3、600万円、37%の減少、法人事業税では32億5、600万円、11.5%の減少と、いわゆる法人二税で約54億円の大幅減となっております。
 消費税率の改正による増加分によりこの減少を補う形にはなっていますが、法人二税のこれほどの減収を見込んだ理由についてお答え願います。
〇八重樫総務部長 令和元年12月末現在の申告状況を見ますと、復興需要の縮小等により建設業や製造業で大きな落ち込みが見られますことから、令和元年度の法人二税の税収見込み額を36億9、000万円減額補正したところであります。
 企業収益の減退傾向は令和2年度も続くものと見込んでおりまして、あわせまして交付税の原資化に伴う法人税割の税率の引き下げの影響等によりまして、令和元年度決算見込み額に対して法人県民税が26.5%、13億1、500万円の減、法人事業税が1.8%、4億6、800万円の減、二税合わせまして17億8、300万円の減を見込んでいるものであります。
〇佐々木茂光委員 また、法人二税と同様に大幅な減少を見込んでいる税目として軽油引取税があります。引取数量の減少により17億4、800万円、10.2%もの減少が見込まれております。法人二税と軽油引取税は、いずれも県内法人の活動、とりわけ建設業の業績と深い関係がある税目であると考えます。
 軽油引取税の減収も踏まえ、県内建設業の業況と令和2年度の税収について、どのように分析されているのかお伺いいたします。
〇八重樫総務部長 まず、県内の建設業の業況につきましては、国の建設総合統計年度報から建設投資額の推移を見ますと、県内の建設投資額は震災以降、復旧、復興事業に伴い増加を続けていましたが、平成27年度を境に前年度を下回る状況が続いています。
 一方、軽油引取税の税収につきましては、東日本大震災津波以降、毎年度増収となっていたものが、平成27年度をピークに減収に転じているところであります。
 令和2年度当初予算におきましては、復興需要の縮小等から軽油引取税は引き続き減収となるものと見込んでおります。
〇佐々木茂光委員 震災による公共事業や復興事業で建設業が県の税収にも大きく貢献したものと思います。そういった中で、例えば、もう復興事業が落ちついてきたというか、どんどん減ってきているわけですから、将来的な、その先のほうまで税収の見込みがもう見えているのではないかと思うのです。ということは、それなりの手だてをどこかでしていかなければならない、落ち込んだ分をどこかで取り戻さなければならないという部分がこれからの取り組みの中に必要だと思うのです。その辺の落ち込み等に対する対策というか、そういう見込みはもう既に財政計画の中に盛り込まれているのでしょうか。
〇八重樫総務部長 平成27年度をピークに建設投資等が減少しているのにあわせて軽油引取税も、特に沿岸部で復興需要の減に伴い、軽油引取税の納入数量の落ち込みが顕著であります。これは、建設現場等工事の現場で、資材運搬用ダンプ等が走っており、これが軽油引取税の税収にはね返っているのですが、これが減っているというようなところがあると思います。
 県では、復興の進捗に伴う震災対応予算の減少や国の復興・創生期間の終了も見据えて、計画的に公共投資を進めていくために、令和2年度の当初予算では、平成28年台風第10号対応分を除く通常分の公共事業費につきまして、前年に続き5%のプラスシーリングを設定し、令和元年度当初予算比約37億円増の535億円余を計上したところであります。
〇佐々木茂光委員 それは、一時的なものではなく、やはりそういったものが先、先と見えてくるわけでありますので、それらに対する対応なり対策は引き続き行っていただきたいと思うところであります。
 次は、第1次産業の振興についてお尋ねいたします。
 特に、漁業の状況が震災以降大きく変わって、担い手のこともそうですし、高齢化もそうだし、そういった課題を抱えている中での漁業生産に、私は沿岸部にいる関係で、今いろいろ取り組んでいるわけであります。
 やはり第1次産業の復興、振興は、本県の経済にとっては大変大きな役割を担っていると思うのであります。本県の第1次産業は、農林水産物を含めて、ともに高い食料自給率を示しながら、他の地域からの外貨獲得の手段として域外市場型の産業となっていることから、地域経済を安定的に、持続的に成長させる好循環をもたらし得る基幹産業であると認識しているのでありますが、震災から復興後の未来を描くときに、本県の稼ぐ力の筆頭である農林水産業のポテンシャルを十二分に発揮させるための大きなビジョンが必要ではないかと考えますが、改めて知事の考えをお伺いいたします。
〇達増知事 本県の農林水産業は、食品産業や観光業など他産業への波及が大きい裾野の広い産業であり、地域経済を支える基幹産業の一つとして、将来にわたり持続的に発展していくことが重要であります。
 いわて県民計画(2019〜2028)では、意欲と能力のある経営体の育成、収益力の高い食料・木材供給基地づくり、農林水産物の高付加価値化と販路の開拓、拡大、一人ひとりに合った暮らし方ができる農山漁村づくりを政策推進の基本方向として掲げているところであります。
 また、農林水産業高度化推進プロジェクトを掲げ、ICT等の最先端技術を活用した生産現場のイノベーションによる農林水産業の高度化や、農林水産物の新たな価値の創出等による収益力の向上に取り組んでいるところであります。
 令和2年度においては、当初予算案に北いわてスマート農業プラットフォーム創造事業費を盛り込むなど、スマート農林水産業の推進を初め、将来を見据えた取り組みを幅広く展開することとしており、今後とも、本県農林水産業のさらなる発展に向けて力強く取り組んでまいります。
〇佐々木茂光委員 今、いろいろ政策を後押ししていくための事業のお話が知事からあったわけですが、それを本当に現場の中に落とし込んでいくというのですか、そういったところが、今は求められているのではないかと思います。常々知事は、答えは何事も現場にあるのだということを口にしているわけでありまして、やっぱり現状をどのような形で受けとめているのか、すごく疑問に思うことがあります。
 確かに、県とすれば対策、施策としていろいろな事業を打ち出していくのだけれども、それを最後まで追いかけていかないというのか、とにかく事業を出しました、こういう考え方の中でそういった事業も出しましたといろいろ展開はされていくのだけれども、それを後押しするというのか。もっと強い押しが県には必要なのではないかと、押しが弱いのではないかと思うところがあるのです。
 要するに、こうすればこうなるのだというしっかりとしたビジョンというか、目標はこういうところにあるのだぞというものをしっかりその事業の中に詰め込んで、取り組んでもらえるような環境をつくっていくべきではないかと思うのでありますが、その辺に対する取り組みについての御所見をお伺いしたいと思います。
〇達増知事 このビジョンを一言で言うと、先ほど申し上げたことをまとめれば、これはもう人と産地と高付加価値化ということで、岩手県の場合は、農林水産業では、それぞれに日本を代表するようなものがありますし、世界に通用するようなものがあります。また、その生産の様式についても、家族形態でやっているところもあれば、陸前高田市では、全国チェーンの飲食店が農業のテーマパークをつくるといったような企業の進出もあります。
 ただ、それはそれぞれ、家族経営には家族経営、企業進出には企業進出と、それなりの対応をきちんと現場でやっていくことが大事ですし、お米、野菜、畜産、酪農、果樹、園芸、農業それぞれに対して、現場とともに進めていくような事業を令和2年度予算の中にも盛り込んでいるところであります。
 それによってどうなっていくのかについては、それぞれの事業を見ていただく必要がありますけれども、例えば、お米のブランド力向上については、金色の風、銀河のしずくを立てながら、岩手県の米全体のブランド力アップを図っていくということであります。それぞれの違うお米の生産者を誰ひとり取り残さないという形で、東京のデパートの地下で売るようなお米から、あるいは業務用米として外食産業にたくさん卸せるようなお米まで、それらを統一するビジョンと言われれば、さっきのような人と産地と高付加価値化ということになるわけであります。それが空理空論、ただのかけ声に終わらないように、それぞれの分野、それぞれの人と産地について、県の事業を令和2年度予算として提案しているところです。
〇佐々木茂光委員 ですから、私はその後の後押しというものを、県も中に踏み込んで、自分たちの思っていること、目指す方向をしっかりと伝えた形で、地元と事業者の方々とそれぞれ意見を共有しながら、しっかりと取り組んでいただきたい。それを希望するところでございます。
 今、農業のお話でもありましたが、第1次産業の中で、水産業のことについて特にお話をしたいと思います。
 これまで何度となく取り上げてまいりましたが、本県の水産業を取り巻く環境は厳しさが増しております。これは今、ちょっとはかり知れないぐらいの厳しい状況に置かれていることは、御案内のとおりであります。
 担い手の減少、高齢化は全国共通の課題でありますが、本県の今年度の漁獲量は、県の基幹魚種でもある秋サケについては、平成30年度比80%減少の約2、300トン、イカ類、サンマ類についても、それぞれ平成30年比30%減少の約2、100トン、同じく70%減少の約7、800トンとなっております。これらは、被災前と比較して一、二割程度の水準であり、とても浜の活力の再生が果たされたとは言いがたい記録的な不漁であります。漁業者の幸福、水産加工業者の幸福、ひいては浜で生活する全ての方々の幸福の実感に、大きな悪影響を与えております。
 この記録的な不漁を踏まえた県の対応方針についてお伺いいたします。
〇保副知事 近年の不漁については非常に深刻に受けとめております。県は、三つの大きな方向として、まず一つは主要魚種、これは今不漁になっている主要魚種ですけれども、何としてもこれらの資源回復を図りたいということ。一方、それ以外の増加している魚種もあるということで、そういったものをできるだけ有効活用すること。そして、新たな漁業、いわゆるこれは海面養殖ということでございますけれども、その新たな漁業の導入を進めること。これらが大きな方向でございます。
 秋サケ資源の回復につきましては、高い水温でも回帰する北上川水系のサケの遺伝子情報等を活用した種苗の開発、早期の収穫が可能なワカメの大型種苗の普及、拡大、市場性の高いサクラマスの資源造成に取り組んでいるところでございます。
 また、資源量が増加しているもののうち、マイワシの小型漁船を活用した試験操業についてですが、これも来年度に向けてもう一歩踏み込んで進めていきたいと思っております。それから、サケ、マスの海面養殖を主な柱といたしまして、令和2年度当初予算案には、質の高い水産物の安定確保対策事業費、新しい増養殖モデル創出事業費を盛り込んでおります。
 県としても、とにかくできる限り全力でやりたいと思っております。
〇佐々木茂光委員 大変新しいお話も聞いたわけでありますけれども、今は、サケ、マス、特にサケについては待ち受けの状態で、魚が来るのを待っている漁業であります。先ほどお話に出た、小型船がそういった許可を取って沖に出ていくことは、私は非常にいいことだと思うし、そういったところで少し、つなぎではないですけれども、お金が取れるものについては、幾らかでも市場のにぎわいを取り戻していく上では非常に大切な取り組みだと思いますので、そういったところもしっかりと対応して支援いただきたいと思います。
 やっぱりとれるものを、いかに価値のあるものにして、水揚げをし、つないでいくかということについて危機感が生じているのだろうとと思っておりますので、しっかりと応援していただきたいと思います。
 そういった基幹魚種のサケなど、もろもろの不漁について、これは恐らく岩手県だけではないと思うのです。例えば宮城県であったり、青森県であったり、北海道であったり、その辺の相共通するものについては、我々が調査をする、お願いするというのではなく、同じような環境に置かれている、境遇に置かれている方や他県と情報を交換しながら、国にしっかりとお願いするべきであると思うのですが、そういったところはもう実践されているんでしょうか。
〇保副知事 秋サケですとか、スルメイカ、サンマなど本県がこれまで主力としてきたものは、ことごとく今不漁になっているわけでありますが、これは、国と協力しなければ、なぜそうなっているのか、あるいはこれからどうすればいいかということについては、県だけでは何ともしがたいというのは、おっしゃるとおりでございます。
 既に、国と共同でさまざまな調査、検討なども行っておりますけれども、これまでも、特にオホーツク海、ベーリング海といった広域的なサケの資源調査、それから、国際的な資源管理の強化といったところは国でなければできないことから、そういうものを何とかということで、ずっと強力に国にお願いしているところであります。
 北海道東北地方知事会議とか、いろいろな枠組みを使って要望していくといったことは、既に行ってはいるのですけれども、今後も強力に要望していきます。もう一点、漁業共済の支払い額の問題についても、これは共済の仕組み上、不漁が続いていけば続いていくほど不利になるという仕組みになっています。そういったことも改善しない限りは、なかなか漁業者の皆さんの経済状態も回復しないということもありまして、そういったことにも少し気をつけて進めていきたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 今、当たりどころがないというか、サケも来ない、何もだめだ、かにもだめだという状況ですので、やっぱり新しいものでも何でもいいですが、とにかく漁業者の人たちが、前を向いて歩けるような後押しをし、しっかりと支えていただきたいと思うところでございます。
 それでは、磯焼けという言葉のほうが皆さんわかりやすいかと思うのですが、浜の地先が非常に荒れている状態にあり、そこに育つべきアワビやウニ、そのウニが逆に磯焼けのもとではないかという声もあるのであります。いずれ今、基幹魚種の大きな魚というか、沖から来るものがほとんど届かない状態にあります。恐らく昔、歴史をさかのぼっていくと、地先のものをとっていたのが、どんどん船で魚をとりに沖に行くようになった。つまり、本家本元は地先の資源だったのではないかと思うのですね。
 もう遅いと言えば遅いのですが、このごろ連日テレビでもよく報道されているようでありますけれども、あそこまで、もう何もすがるものがないぐらい磯が焼けてしまっている状態なのです。やっぱりその復元というか、藻場の再生を含めて、もっと本腰を入れて、すぐに取り組んでいかなければならないと思うのでありますが、その辺に対する現状をどのように認識され、また、対策をどのように考えているのかお願いいたします。
〇保副知事 今、磯焼けというお話がありました。いわゆる昆布、ワカメなどの海藻がもう育たなくなっている状態の海ということで、こうしたいわゆる藻場の減少は、県もさまざま原因究明に努めておりますが、県水産技術センターの分析によりますと、近年の冬場の海水温が高いことから、例年であれば冷たい海の中ではウニもそれほど育たないのですが、水温が高いためにウニなどの生物が活発に活動し、発芽時期にある昆布やワカメなどの芽を盛んに食べてしまう。そのため十分に海藻類が成長できないことが要因の一つと分析しているところであります。
 そういった観点からのアプローチで再生を図ることにつきましては、昆布の養殖技術を応用いたしまして、海中林と呼ばれるような昆布の森づくり、あるいは物理的な手段ですけれども、ウニを、食害を防ぐという観点から漁場から間引くといったようなことが有効と考えております。
 これらの対策については、美しい海環境保全対策事業費として令和2年度の当初予算に盛り込みまして、昆布の胞子を放流することで藻場の再生活動を支援する経費ですとか、水産基盤整備調査費というまた別の事業でございますけれども、これによりまして、ウニがいるところから、ウニ自身も、そこにいる限りは、海藻が少ないものですから結局痩せたウニしかとれないことにもなりますので、そういった痩せウニを間引きして、これを漁港内に持ってきて養殖試験を行うといった取り組みも進め、ウニの価値を高めることにもつなげていきたいと考えております。
 こういったことが、漁業者の皆さんの所得向上に少しでもつながればと考えております。
〇佐々木茂光委員 ウニの駆除については、とにかく開口する日を長くあけたりはしているのだけれども、結局そういったところで育ったものだから、ウニに全然身が入っていないのが現状なのです。そのために、潜りを入れたりして、とにかく上げて駆除してしまうか、あるいは、今私たちの近くで行われているのは、海中でつぶしてしまう。けれども、あれだけの面積の中を、カギで一つ一つつぶしたって、たかが知れているわけです。本当にもっと、バキュームカーでも入れてガーガーと全部吸い取って上げてしまうとか、例えば漁場もそうやった形で確保しながら、藻場も定着させるまでしっかりと取り組んでいただきたい。
 もっともっと研究すれば、ほかでの取り組みも参考になる例がいっぱいあると思いますので、その辺のことを含めての対策もあわせてお願いしたいと思います。
 時間になりましたので、これで終わりたいと思います。いずれ、今までお話をしましたけれども、復興もそのとおりでございますので、しっかりと腰を入れ直して取り組んでいただきたいと思います。終わります。(拍手)
〇柳村一委員長 午後3時までには若干時間がありますが、この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時46分 休 憩
午後3時3分再開
〇柳村一委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
 次に、佐々木朋和委員
   〔佐々木朋和委員質問者席に着く〕(拍手)
〇佐々木朋和委員 いわて新政会の佐々木朋和でございます。
 会派を代表して、令和2年度予算に対して総括的な質問をさせていただきます。これまでの議論の中で重複する部分は割愛させていただき、また、時間によっては部局審査に回す部分もあるかと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
 まず、ことしの2月16日に、釜石警察署管内で県職員の酒気帯び運転による死亡事故が発生しました。県職員の飲酒運転による検挙は今年度だけで9件と、この5年間で突出して多く、酒気帯び運転は原則として懲戒免職とされており、職を失う状況になると日ごろから職員にも周知しているのになぜそういうことをするのかと、謝罪会見に臨んだ幹部職員のコメントが新聞に掲載されておりました。震災から9年で、ハード面の復興は進みましたが、水産業を初めとするなりわいの再生や心のケアなどは道半ばですし、あわせて、迫りくる人口減少問題は誰も経験したことのない危機であり、これから県民一丸となって取り組まなければならないときに、緊張感の欠如という言いわけは通じません。
 そして、今般の新型コロナウイルス感染症対策です。これこそ県民一丸で乗り越えなければならないというやさきに、県立二戸病院の臨時職員によるマスクの転売が発覚しました。このような状態で、震災復興、人口減少対策、新型コロナウイルス感染症対策に対して県職員の協力を求める声に県民は耳を傾けるでしょうか。
 県の重要施策を進めていく予算審議の前提として、県職員各位に今、岩手県が置かれている現状をもう一度自覚してもらい、県民に頼りにされる県職員像を取り戻してもらわなければなりません。
 知事は、一連の不祥事をどのように受けとめ、県職員をどのように導いていくのか伺います。
〇達増知事 職員の法令遵守については、所属長から職員に継続的に注意喚起するなどの取り組みを行ってまいりましたが、県民の皆様の信頼を損なうような職員の不祥事がたび重なり発生していることについては、まことに遺憾でございます。
 今回の職員の飲酒運転による死亡事故につきましては、重大事案の発生ということで、令和2年2月21日付で職員の綱紀の保持に関する通知を発出し、全ての所属において、直ちに部下職員に対して強く注意喚起を行ったところであります。
 不祥事の再発防止については、知事も含め管理職と各職員が日ごろから対話を重ね、岩手県職員憲章に掲げる職員のあるべき姿を共有しながら、職員の士気高揚に努めることが重要であると考えております。このような不断の取り組みを一つ一つ積み重ね、飲酒運転の撲滅を初め、コンプライアンスの確立に全庁挙げて取り組んでまいります。
〇佐々木朋和委員 マスクの転売事案については、今まさに県民が本当に困っている状況の中で、よもやほかの県立病院では、ないと思いますが、そのチェック、また再発防止について何か指示をしたことがあれば、お示しいただきたいと思います。
〇達増知事 マスク転売の件については、日本全体として、あるいはまた国際社会として新型コロナウイルス感染症対策を進めていこうという中、岩手の県立病院においてそのような不祥事が起きたことについては私も申しわけなく思います。
 当該病院においては警察に被害届を出し、捜査の形でなぜそのようなことをしたのか、動機の究明から行われるものと考えております。そうした中から明らかになる背景等を踏まえ、当該組織、また医療局において、これはもう再発防止という次元のことではないので、そのような危機的状況において、県民の皆さんとともに進んでいくのとは正反対の方向に暴走してしまうということが起きないようにするのはもちろん、県民の命と健康を守り、そして地域医療を守るという崇高な使命を帯びている岩手県立病院で働く者としての自覚を持って、県民の期待に応えられるよう努めてほしいと思います。
〇佐々木朋和委員 もちろん多くの県職員の皆さんは、県民のために日々努力をされているところであります。その皆さんのためにも、知事にはぜひ気を引き締めて取り組んでいただきたいと思いますし、マスクについては、警察の捜査もあるでしょうが、早急にチェックと再発防止をやっていただきたいと思います。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺いたいと思います。
 政府は、ことし2月25日に、今後の感染拡大も見据えた新型コロナウイルス感染症対策の基本方針を打ち出しました。その内容の中には、患者数が増大した際には重症患者に優先的に検査を受けさせ、軽症者は自宅待機させる。または、患者がふえたら一般の病院で対応する体制に移行するなど、必ずしも本県の現状に合致するものばかりではなく、混乱が予想されます。
 まず、岩手県として現在どのような状況にあり、どのような対応を行っているのか伺います。県内での相談窓口の体制、検査能力、治療ベッドは軽石義則委員の質疑において明らかになりました。検査実績だけ、お答えいただければと思います。
〇達増知事 現時点におきましては、県内で14件の検査を行ってまいりましたが、感染例は確認されていないところであります。
〇佐々木朋和委員 具体的にはそこだけでよかったのですけれども、現在どのような状況にあり、どのような対応をとっているか御答弁いただければと思います。
〇達増知事 県では、ことし2月18日に知事を本部長とする岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し、また、新型コロナウイルス感染症対策専門委員会や県民の安全、安心に密接に関係する各分野の団体による関係機関連絡会議などを開催し、医療体制の整備や社会、経済への影響の抑止に向けた対応などを行ってまいりました。
 本県の相談体制については、本庁医療政策室と県内10カ所の各保健所に帰国者・接触者相談センターを設置し、本庁では全日24時間体制、保健所では平日9時から17時の間、県民からの相談に対応し、国が示している基準を参考にして帰国者・接触者外来の受診を調整しております。
 検査は県環境保健研究センターで実施しており、1日当たり最大20件の検体の処理が可能となっておりますけれども、本年度内に検査機器1台を増設して、検査の需要の拡大に対応していくこととしております。
 診療に対応する病床については、9カ所の感染症指定医療機関に38床の病床を確保しているほか、県内において患者が発生し、拡大する事態への移行も想定し、新型インフルエンザ患者入院医療機関や感染症指定医療機関の感染症病床以外の病床への搬送等の対応を含め、準備を進めているところであります。
〇佐々木朋和委員 今、我が県においてはそのような状況ということですけれども、クラスター感染等が広がっていない本県においては、感染を広げないため、感染の疑いのある方には、一般外来へ行く前に、今、説明をしていただきました帰国者・接触者相談センターへ電話してもらって、そこから専門の病院へつなぐことが重要と考えますが、この周知についてはどのように行っているのか伺います。
〇保副知事 帰国者・接触者相談センターにつきましては、もちろん県から、ホームページあるいはSNS等さまざまな手段で広報しているわけですけれども、これは県だけではなく、関係する全ての市町村、あるいは県医師会など、私どもが持っているありとあらゆるルートを通じて県民の皆さんにきちんと御理解いただけるように努めております。
 特に感染症の場合は、なぜそのような相談センターをつくってやるのか御理解いただくことが非常に大事ですので、具体的にこういう流れでやりますということも含めて周知するように気をつけて進めているところでございます。
〇佐々木朋和委員 各市町村でも、私の地域でも街宣車を出したりして徹底しておりますが、県においても万全な体制で情報発信をしていただきたいと思います。
 2月29日の首相会見のポイントの中に、ウイルス検査を拡大すること、また、5、000超の病床を確保することとありました。
 まず、新型コロナウイルス感染症予防、治療についてお聞きしたいのですが、首相の会見を受け、先ほども少しおっしゃっておりましたが、今後、県は新型コロナウイルス感染症の検査体制、そしてベッド数をどの程度ふやしていくのか。
 また、国の方針だと、医療保険適用にして民間でも検査ができるようにするということでしたが、そのように広げていくと一般の病院での院内感染の危険性についても心配されますが、どのように防いでいくのか。
 また、先ほども答弁がございましたが、検査機器の購入など、また新型コロナウイルス感染症対策について別途予算が必要になったときにはどのように対応するのか、国からの支援はあるのか伺いたいと思います。
〇保副知事 首相の会見では、今お話のあったように一般病床などに広げるということですけれども、具体的には、どういう形で検査体制を広げるのか、またベッドをふやすのかについては、十分国とやりとりをしながら、今後しかるべき体制を整えていきたいと考えております。現状では、先ほど知事から御答弁申し上げましたが、新型インフルエンザ患者入院医療機関の病床―新型インフルエンザ対策で用意しているものがありますので―、そちらを活用することを基本的な考えとしているところでございます。
 また、一般医療機関で保険を適用させて検査体制を敷くということについても、果たしてどこまでできるのか。今お話のあったように、普通の診療所等において、患者が来たときの二次感染や院内感染の懸念も多々ありますので、これも具体的に国とさまざま協議しながら、今後、具体的な方針も出ると思いますので、それに従って進めていく考えであります。
 それから、必要な資機材等の整備に関連してですが、知事から答弁申し上げましたとおり、検査機器の増設なども含め、患者を搬送するための用具や感染を防止する防護具といったもろもろの経費が必要でございます。これらにつきましては、当面、今年度の既存の予算の中で約3、000万円を確保し、その中で早急な整備を進めているところでございます。
 また、仮に感染者が発生して入院が必要となった場合等さまざまなケースを想定いたしまして、現在、各医療機関等に対し、資機材等の具体的なニーズを照会しているところでございます。
〇佐々木朋和委員 では、予算は今年度予算分で確保して進めていくということですね。
 次に、雇用対策と経済対策について伺いたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例については、政府の全国的な休校、自粛要請によりまして、キャンセル等の被害が日本人客を相手とする観光業者、宿泊業者、飲食業者にも広がっていることから、その後、前月の売り上げが10%減の事業者に要件が拡大されましたが、3月からキャンセルが予想される事業者にとっては、すぐに要件を満たさない場合もあります。また、かえの人材に乏しい中小企業が多い本県においては、保護者の休職による影響も心配されます。
 その被害はまた、新しい公共として被災地や過疎地域で活動する特定非営利活動法人にも及びます。陸前高田市で活動する特定非営利活動法人SETは、都会から大学生130人を集めてのプログラムを中止しました。学生が地域の皆さんと交流するとなると、相手が高齢者であるので、重症化を危惧しての苦渋の決断とのことでした。利益を追求しない特定非営利活動法人にとって、セーフティネット保証4号で資金を融資されたとしても、借り入れを返済していくことは容易ではありません。
 この状態が長引けば、震災復興やふるさと振興に資する取り組みが本県各地から消える可能性があります。国は現在、予備費を使った緊急対応策を10日以内に出すとしておりますが、企業や特定非営利活動法人へのつなぎ融資や、また、雇用対策、全体としての経済対策等について、県は国にどのような対策を求めるのでしょうか。また、本県として独自の対策も考えているのか、所見を伺います。
〇保副知事 各種イベントの中止など観光客が動かないというさまざまなことが相次いでおりまして、県内におきましても、観光関連産業を初め、経済的に大きな影響が生じております。これが長期化すれば、さらなる拡大も懸念されております。
 県におきましては、全国知事会を通じて、既に政府の緊急対応策で示されました中小企業、小規模事業者に対する資金繰り支援策、あるいは雇用対策の弾力的な運用、テレワーク等の柔軟な働き方や従業員が休みやすい環境整備の取り組み支援など、地域経済への影響を踏まえ、十分な対策を求めたところであります。商工指導団体や金融機関等がそれぞれ相談窓口などを設けておりますが、県としても、県庁と各広域振興局に相談窓口を設置して対応しているところでございます。
 また、委員からお話がありましたとおり、セーフティネット保証を行うということが国から出されているわけですけれども、県におきましても、県単独融資制度の中小企業経営安定資金等による支援を既に進めているところであります。
 国における新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策第2弾という話もございましたが、3月10日を目途に出されるという情報を得ております。そこでまた総合的な対策が出されるのではないかと考えておりますけれども、これらを注視しながら、3月10日にさまざまな対策が出たら、県としても速やかに対策を行っていく構えでおります。
 いずれにしましても、県内経済への影響が最小限にとどまるよう、今後とも全国知事会などとも連携しながら国にさまざま働きかけてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 よろしくお願いいたします。
 次に、令和元年台風第19号対策等について伺いますが、避難勧告あるいは避難意識向上については部局別審査にてお聞きいたします。
 ここでは、河道掘削等の事業計画について伺いたいと思います。
 国は、頻発する豪雨災害を受けて、2年前に防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策を予算化し、続いて令和2年度地方財政対策において防災、減災対策の推進を掲げ、地方自治体が単独事業として実施する河川等のしゅんせつを推進するための緊急浚渫推進事業費を1、000億円計上するとのことですが、本県における令和2年度の河川の河道掘削、立ち木伐採の事業計画をお示しください。
〇保副知事 まず、令和2年度当初予算におきましては、基幹河川改修事業費―これは県の事業でございますが―7億9、000万円余を計上しておりまして、一関市の二股川など33河川において河道掘削や立ち木伐採を実施いたします。
 また、今年度の国の補正予算も活用、昨日、議決をいただきました令和元年度2月補正予算におきましても同じ基幹河川改修事業費に15億3、000万円を計上しております。この補正予算で対応する分につきましては、国の防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策に該当していない一関市の大川など、必要と考えられる63河川において実施することにしております。
 そのほか、これはまだ今後どういう形でやるかということもありますけれども、令和2年度当初予算案においては、一般的な維持修繕の経費である河川海岸等維持修繕費の中にも河道掘削、立ち木伐採の経費として9億5、000万円を計上しております。こちらのほうは、国庫補助での取り組みに加えて、さらに柔軟に緊急的な対応もできるようにということで進めております。
〇佐々木朋和委員 合わせて32億円ほど予算が計上されているということで、頻発する豪雨災害に対して一定の効果があるものと評価させていただきたいと思います。
 その上で、令和元年台風第19号災害のような昨今の異常気象を踏まえた新たな降雨量の基準を示して、計画的に河川の整備をすべきと思いますが、県の所見と国への要望の状況をお示しいただきたいと思います。
 また、山田町の田の浜地区のように、堤防が排水のあだになったケースもありましたが、県ではほかにこのような危険地域がないか調査すべきと思いますが、御所見を伺いたいと思います。
〇保副知事 今、委員からお話がありましたとおり、近年、気候変動に伴う降雨量の増加等による水災害の頻発化、激甚化が懸念されていることから、国におきましては、社会資本整備審議会河川分科会におきまして、気候変動を踏まえた新たな水災害対策について検討を進めております。
 これはまだ検討中でございまして、県といたしましては、この状況を注視しているところでありますけれども、あわせて、水害に対する防災、減災対策についてはそういった結論を待たずに必要な財政措置をとるように機会あるごとに国に働きかけております。
 また、委員からお話ありました、低地などで内水被害が生じるといったケースについてでありますが、現状では、内水被害がどこで発生するかを技術的に特定したり予測するのは非常に困難な面があることから、これについては、地元市町村のさまざまな意見、また国の考え方の確認等をしながら、ポンプ場の整備など、効果的な内水対策をできるだけ実情に即して進めていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 私が議員になってすぐに、私の地元の砂鉄川でも水害がありました。そのときに被災された方の言葉が今も胸に刺さっています。命が助かったとしても、10年に2度も水が漬いたら生きていけない。こういう言葉をいただきました。まさに今、被災地はそういう状態だろうと思っております。
 県内にはたくさんの河川があり、無堤防地帯もあって、先にしなければいけないところも多くありますけれども、計画を見せるだけでそこで生きていこうと決断をする方もいらっしゃると思います。ぜひともこの計画化をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、東日本大震災津波からの復興についてお伺いしたいと思います。
 東日本大震災津波からの復旧、復興についてですが、政府は12月に出した基本方針の中で、令和3年度以降も東日本大震災復興特別会計と震災復興特別交付税の継続を明記し、反面、東日本大震災復興交付金は廃止する旨も明記いたしました。
 県は、ハード面を主にする東日本大震災復興交付金を財源とする予算が138億4、100万円余、東日本大震災復興基金を活用した安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生、未来のための伝承、発信に資する予算21億7、500万円余を令和2年度予算に計上しておりますが、令和3年度以降は、どの程度の予算規模の復興事業を想定しているのか、事業の方向性とともに伺います。
 また、一般財源からの支出はどの程度になると見込んでいるのか。夏ごろに復興庁は復興財源フレームを示すと言っておりますが、今後どのような要望を行っていくのかもあわせて伺います。
〇大槻復興局長 令和3年度以降の復興事業についてでありますが、基本方針におきましては、現時点で令和3年度から5年間の復旧、復興事業の規模は全体で1兆円台半ばと見込んでいるところでございますが、これは、各省庁が復興事業の進捗状況を踏まえて、今後見込まれる事業費を積み上げたおおむねの事業規模として示したものでございまして、各県ごとの内訳はこの中では明らかにされておりません。
 今後、政府において引き続き事業規模等について精査し、ことしの夏ごろをめどに、復興・創生期間後の当面5年間の復旧、復興事業の実施に必要な事業規模及び財源を示すこととされておりまして、現時点で今後の事業費の見込みを示すことは非常に困難と考えております。
 被災地においては、心のケアやコミュニティーの形成支援、まちづくり後における住宅再建や事業者への支援などの中長期的な課題がございまして、今後、重点的にこれらに取り組んでいく必要があると考えております。
 県としては、今後の個別の事業に係る国との調整の中で、本県の復興に必要な財源がしっかりと確保できるように引き続き国に働きかけていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 報道では、被災3県42市町村の首長に対するアンケートによると、2020年度までに復興が完了すると考えている首長は3割であるとのことでした。また、復興・創生期間後に必要な事業として、商工業の振興、コミュニティーの再生、農林水産業の振興、心のケアが挙げられておりました。こういったものが復興財源になるのか、また、そこに裏づけがあるのか。あるいは地方創生推進交付金で対応しろと言われるのか、また、各自治体では一般財源で行わなければいけないのか。これによって各自治体の今後の運命が決まってくると思います。県には県の事業もありますが、ぜひとも市町村のそういった状況も一緒に要望していただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 ゲートウエー機能の取り組みと予算全般については、部局別審査にてお聞きしたいと思います。
 続いて、いわて県民計画(2019〜2028)及び岩手県ふるさと振興総合戦略について伺いたいと思います。
 まず、第1期岩手県ふるさと振興総合戦略の振り返りですが、令和元年度、人口の社会減、自然減対策がともにKPIおおむね達成以上が80%超でありましたが、社会減、自然減の結果につながりませんでした。県はこの点をどのように分析しているのか伺います。
 また、県は、厳しい財政状況の中、歳出について選択と集中を一層進めるとしておりますが、KPIの結果が出ていても、人口減少の改善につながらないものは思い切って政策の転換を図ることも重要と考えますが、県の事業廃止の考え方をお示しください。
〇白水政策地域部長 人口の社会減、自然減につきましては、現行の岩手県ふるさと振興総合戦略に基づきましてさまざまな施策を展開してきたところでありますが、近年の景気や雇用情勢等により、特に若年層を中心に東京圏への転入超過数が拡大いたしますとともに、未婚化、晩婚化の進行等によりまして少子化が進んだこと等が背景にあると考えております。
 国では、第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」におきまして、継続は力なりという姿勢を基本としており、県としても、同様の認識に立ちまして、引き続き第2期ふるさと振興総合戦略に基づく施策をしっかりと展開してまいります。
 また、令和2年度当初予算の編成におきましては、事業の選択と集中を進め、限られた財源を効果的、戦略的に活用する観点から事務事業評価等を実施しており、縮減または廃止、休止した事業数は45事業、一般財源等で20億4、000万円を縮減したところであります。
〇佐々木朋和委員 継続は力なりと格言を使われますとなかなか抗えないところでありますけれども、45事業、20億円を縮減されたということでありました。そのデータも見せていただきましたが、どのような理由でやめたのかが、わかりにくいと思ったところであります。
 次に、地方創生推進交付金の活用等について伺いたいと思います。
 地方創生推進交付金を初めとする地方創生関係交付金の活用事業については、人口減少対策に資する事業となっていたのでしょうか。
 他県を見れば、島根県では市町村と連携して全県下で工業高校の学生に大規模なインターンシップを敢行したり、北海道などでは市町村と連携してDMOを立ち上げたり、また、宮城県、山形県では連携して輸出の拡大に動いたり、県や市町村、地域間と連携をしながら人口減少の主眼である社会減の解消や交流人口の増加、外貨獲得等に資する事業を展開しておりますが、本県あるいは本県市町村では、県と市町村、または市町村間といった、地域間連携の事例は少なく、規模も小さいように感じます。それが悪いわけではありませんが、地方創生推進交付金事業には、人口減少問題を解決するエンジンとなり得る事業が求められるのではないでしょうか。
 また、これまでも本県議会において、県境をまたいだ連携や市町村との連携強化が指摘されてきました。この交付金を使っての事業はまさにうってつけとも思えるのですが、県はこれまでの地方創生推進交付金を初めとする地方創生関係交付金の活用事業をどのように総括しているのか、事業決定のプロセスはどうであったのか、また、今後どのような事業に取り組んでいく所存か伺います。
〇白水政策地域部長 地方創生関係交付金の活用に関する事業選定のプロセスについてでありますが、岩手県ふるさと振興総合戦略に掲げた事業のうち、政策間連携等の要件を含む先導的、効果的な事業について、庁内の関係部局間の調整はもとより、他の自治体とも調整を行ってきたところであります。
 その結果、これまでに、事例を幾つか申し上げますと、県と花巻市が連携して醸造用ブドウの生産、消費拡大を図るいわてワインヒルズ推進プロジェクトや、本県と宮城県、山形県との連携により、ものづくり産業の人材育成等を図る広域連携事業なども含め、平成28年度以降の4年間で総額29億7、000万円を活用し、全部で145事業を実施することによりまして、本県における働きやすさ、育てやすさ、暮らしやすさは着実に高まってきているものと考えております。
 また、委員御指摘のとおり、連携による相乗効果を生かした広域連携事業はますます重要になるものと認識しておりまして、引き続き、市町村や他県との連携策も積極的に取り入れて、地方創生関係交付金を活用しながら、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略に基づく施策を効果的に展開してまいります。
〇佐々木朋和委員 我が県のふるさと振興総合戦略を見ますと、ほとんど各分野が入っております。それには人口減少に直結する部分から、例えば、岩手で暮らすの中に再生可能エネルギーによる電力自給率の向上が主な成果に挙がっていたりして、これがどうやって人口減少と結びつくのかがすぐには思いつかない。そういったものもあります。
 そういう意味では、ややもすると、地方創生復興交付金を使って各部局が自分たちがやりたいものをやる。その結果岩手県の魅力をアップするのはいいのですけれども、それが人口減少対策に直結するのか。こういった視点で今後は見ていく、また、市町村と連携してそういった取り組みを加速させていくといった取り組みが必要だと私は認識しております。
 その中で、今後、新たにふるさと振興部と、政策企画部を新設いたしますが、ふるさと振興については、政策立案のアプローチが違ってくるのか。また、知事と副知事のリーダーシップを発揮してのふるさと振興の推進が期待されますが、所見を伺いたいと思います。
〇達増知事 ふるさと振興の推進に当たっては、急激な人口減少等の環境の変化を捉えた的確、迅速な政策形成や、分野横断的な施策の展開、市町村と連携した着実な施策の推進がこれまで以上に重要であると考えております。
 このため、新設する政策企画部では、機動的な政策立案や部局横断的な施策の展開など、政策立案、調整機能の充実強化を図るとともに、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の進捗管理を政策評価と一体的に行ってまいります。
 また、新設するふるさと振興部では、市町村を初めとした多様な主体と連携、協働しながら、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の4本の柱に基づく13の戦略と分野横断の四つの戦略の効果的な展開を図ってまいります。
 これらの新たな組織体制のもと、私と副知事が先頭に立ち、県の総力を挙げて、より一層力強くふるさと振興を推進してまいります。
〇佐々木朋和委員 厳しい財政の中、予算の事業化に当たっては、これは県がやるべきことなのかどうかというシーリングをかける分野があります。市町村がやるべきことなのか、民間がやるべきことなのか、県がやるべきことなのか。それはある意味では正しいかもしれませんが、やっぱり連携をしてみんなで取り組んでいくということにおいて、県はどうやってかかわっていくべきか。そういった視点で私は予算化、また事業化をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 続いて、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略についてお伺いしていきますが、新たに、戦略全体の施策推進目標として、住みにくさ、学びにくさ、働きにくさ、結婚しにくさなどあらゆる生きにくさを、住みやすさ、学びやすさ、働きやすさ、結婚しやすさに転換し、生活満足度の向上を目指すとしております。これまで人口減少対策に5年間取り組んできたわけでありますが、岩手県民を取り巻く環境として、住みにくさ、学びにくさ、働きにくさ、結婚しにくさの正体は何であったと認識しているかお伺いしたいと思います。
〇達増知事 働きにくさについては、県内の有効求人倍率は1倍を超えているものの全国に比べて低いことや、正社員有効求人倍率が1倍に届いていないこと等が挙げられることから、ものづくり産業等の集積による雇用の創出、雇用の質の向上等を推進してきたところであります。
 結婚しにくさについては、経済的理由や出会いの機会が少ないこと等が挙げられることから、若い世代の就労環境の向上や“いきいき岩手”結婚サポートセンター等の出会いの場の提供等に取り組んでまいりました。
 そのほかの生きにくさについては、安心して出産できる体制整備の必要性や、仕事と育児の両立が難しいこと等が挙げられることから、地域で妊産婦を支える体制の構築や、子育てしながら働きやすい労働環境の整備等を展開してまいりました。
 このような課題や政策推進の成果を踏まえて、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の推進に当たっては、新たに生活満足度の向上を政策推進目標の一つとして掲げ、その推移を把握しながら、生きにくさを生きやすさに転換するさまざまな施策を展開し、地域の魅力向上を図っていこうとするものであります。
〇佐々木朋和委員 今、御説明をいただきまして、ありがとうございます。まさにその部分が政策として、事業として落とし込まれているかというところが問われてくるのだろうと思います。
 その中で、岩手で働くについて伺いたいと思います。
 岩手県人口ビジョン(改訂)の本県の年齢別社会増減の、令和元年を見ますと、男性に比して、女性の大学卒業、就職時点での400人の社会減、そして30代、40代での本県への転入のなさが目立ちます。女性の社会減は、将来的な自然減の原因ともなります。
 ここで福井県の実例を挙げさせていただきます。福井県は、我が県同様、幸福度を県民計画の柱に位置づけ、平成16年度から全国に先駆けて人口減少対策に取り組んでおります。
 福井県も現在、第2期の人口減少対策戦略を策定中ですが、2040年の将来推計人口が、平成25年時点推計値63.3万人から平成30年時点で64.7万人に改善、合計特殊出生率は、平成26年1.55が平成30年には1.67に改善、社会減は、平成26年2、246人のマイナスから平成30年2、159人のマイナス、U・Iターン者は、361人から719人に上昇しています。
 話を戻しますが、福井県は我が県と同じくものづくり産業が盛んですが、若者や女性の就職希望が多い事務系の企画開発やデザイン、国際部門、研究部門など、本社機能の移転に対する支援制度を整備し、本社機能の移転に合わせ、従業員の移転費用や住居確保費用、U・Iターン者雇用に対する支援制度を新たに整備し、人と企業の一体的な誘致を促進することにより、5年間で本社機能移転10社を達成しました。
 本県でも、若い女性が希望する業種の県内での充実や、県外に就職した女性のトレースとUターン対策も必要と思いますが、御所見を伺います。
〇保副知事 これまでも働き方改革や、いわてで働こう推進運動といったさまざまなことを展開いたしまして、県内においても、ものづくり産業、農林水産業、建設業など、さまざまな産業分野において女性の活躍の場が徐々にできてきていると考えております。
 就労環境の改善なども企業の努力等によりまして一定程度進んでおりまして、女性が仕事と生活を両立して活躍できる分野は徐々に広がっていると考えておりますが、まだまだという面もありまして、より多くの女性が希望する仕事につくことができるよう、さらに取り組みを推進していかなければならないと考えております。
 この点におきましては、このように県内の仕事を取り巻く環境が変わってきていることについて女性の方に十分に届いていないという面もあるのではないかと問題視しております。多様な分野で女性が活躍している実例、働きやすい環境づくりに取り組んでいる企業の例といったものを確実に女性に向けて発信していくことが重要であります。
 そのため、さまざま若手の女性職員と学生、生徒の交流の機会の創出や、県内企業で生き生きと活躍するものづくり産業で働く女性などを動画で紹介するとか、いろいろな取り組みは進めてきているところであります。
 また、県外に就職した方からは、地元を離れてしまうと、帰りたくてもなかなか情報を入手しづらいという声もあります。今、委員から御紹介があったとおり、一旦大学進学等で県外へ出てしまうとなかなか戻ってこないということもうかがわれますので、新たな取り組みとして、仕事や暮らしに関する情報を発信するLINEアプリいわてとつながろうへの登録を呼びかけ、平成30年12月から運用を始めております。1年ぐらいたって、今のところ登録者数は800人でございます。
 また、このLINE登録者に対しましては、東京に設けているいわてU・Iターンサポートデスクへの登録も呼びかけるなど、徐々にさまざまな活動を進めてきているところでございますが、今後ともこの分野には力を入れていかなければならないと考えておりますので頑張っていきたいと思います。
 トレースという言葉がありましたけれども、なかなかお一人お一人の行方を探ることは難しい状況でございますので、できるだけLINEアプリやSNS的なものを使いながら取り組んでいきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今、御紹介いただきましたLINEアプリは1年で1.6倍にふえたということでありますし、また、高校卒業時中心ということでありましたが、ぜひ大学卒業時等にも広げていっていただきたいと思います。
 また、ものづくり、建設等、今まで女性が活躍していなかった分野で整えていくことも重要でありますし、今、私が言いました、女性が希望する企業についてもっと誘致していくことにもぜひ目を向けていただければと思います。
 次に、商工業振興戦略について伺いたいと思います。
 本県においては、ものづくり産業を雇用の受け皿として社会減に歯どめをかけようとしておりますが、そもそも本県の若年者はものづくり産業への就職を希望しているのでしょうか。ものづくり産業の雇用の創出が社会減への歯どめとなるのでしょうか。
 令和元年第19回都道府県議会議員研究交流大会において、先進国でものづくり―第2次産業が3割なのは日本とドイツのみであり、世界のトレンドである、若者が欲する仕事は第3次産業へ移行している。地方で人口が流出するのは第1次、第2次産業ばかりで、第3次産業はなく、それを求めて若者は地方から流出しているとの手痛い御指摘もございました。また、事業所・企業統計調査において、1991年のバブル崩壊前の製造業の従業員数を100とすると、2016年は全国で63、東北で61という数字もございます。
 本県における製造業従業員数は増加傾向にあるのか、減少傾向にあるのかお示しください。また、本県の製造業への高校生の就職状況はどのようになっているのか伺いたいと思います。
〇保副知事 本県の製造業の従業員数は、工業統計調査によりますと、1991年が12万9、283人であります。以降は全国や東北などの傾向と同様に減少が続きまして、2011年には8万1、154人まで減少しましたが、その後、翌年の2012年からは毎年増加しており、最新の2017年の数字は8万6、662人となっております。今後、まだまだ自動車、半導体関連産業を中心に雇用増が見込まれますので、今後も製造業の従業員数はさらに増加していくものと考えております。
 また、県内の製造業への高校生の就職状況についてでありますが、高卒者の就職者全体に占める県内製造業への就職者割合は、2014年3月の卒業者で実数で709人、割合で19.7%でありました。2014年というのは、最新のデータであります2019年の5年前ということでございます。5年前の比較でございますが、その5年後、2019年の3月の卒業者におきましては968人、占める割合が29.7%と、県内製造業への就職者数が人数、割合とも増加しているところでございます。
〇佐々木朋和委員 高校生にとっても、重要な就職先であることにはもちろん変わりないと思います。一方で、今後、有効求人倍率が高いものづくり産業においては、ものづくり産業に子供たちの目を向かせることも重要であると思っております。
 そういった中で、ものづくり産業のこれからの生産性の向上や研究開発部門の誘致等、産業としても雇用の受け皿としても魅力を向上させるプロジェクトが北上川バレープロジェクトと認識しております。
 エスポワールいわてで行われた第1回の勉強会において、国立大学法人東京大学大学院の松尾教授から一関工業高等専門学校を取り上げていただき、東京大学の学生がAIを学ぶよりも、機械や電気などの技術を持った人材がAIを学ぶことによってAIロボットの開発に直結するとのお話は、北上川バレープロジェクトの骨格になるとの印象を受けました。
 県では、来年度、AI人材育成・社会実証推進事業費を計上しておりますが、その内容をお示しください。
〇保副知事 まず、AI人材の育成につきましては、国立大学法人東京大学及び一関工業高等専門学校と連携しながら、電気や機械の基礎知識を習得している高等専門学校の学生、または企業技術者等を対象といたしまして、参加者の習熟度に応じセミナーを開催するということで、AIに関する基礎的な知識、技能やAIを活用した課題解決の手法等を学んでいただき、これを質の高いAI人材の育成につなげるということで取り組んでまいりたいと思っております。
 また、AIを活用した課題解決につきましては、県も参画している国の産業技術総合研究所AIコンソーシアムの協力をいただきまして、セミナー、ワークショップ、あるいは個々の企業のテーマに応じた実証事業を組み合わせながら、具体的に課題を解決するといった方向で取り組みを進めていこうと考えているところであります。
〇佐々木朋和委員 ぜひ力強く進めていただきたいと思います。
 また、この戦略において、県では、地域を支える中小企業の振興施策として、経営革新計画の策定段階から事業実施、目標達成まで一貫して支援することとし、伴走型支援体制の強化をうたっております。KPIにも経営革新計画の策定を掲げ、2018年実績値592を830まで累計値で引き上げることとしております。中小企業の割合が高く、全国に比して労働生産性が低い本県において、誘致企業だけではなく、その関連企業の能力を高めて人材の集う企業へと導くことが重要と考えます。
 一方、本県における経営革新計画の実績は、平成27年以降、東北でトップクラスであり、岩手県商工会連合会の支援が80%から90%を占めております。裏を返せば、商工会がカバーしていない地域においては低調ということです。
 今後の中小企業支援には、経営革新計画の策定だけではなく、いわて事業承継促進資金貸付金も新規事業化いたしました。商工指導団体は、人手不足の中、企業支援のほか、地域の祭りやイベントへの協力など本業のほかにも大きな役割を担っており、今後、これらの施策を推進していくためには、企業への経営支援という使命を全うできる環境にあるのかどうかのチェックも必要と考えます。
 また、中小企業振興に当たっては、産業支援機関の役割も重要であると考えます。県は、商工指導団体の体制の現状をどのように捉え、今後どのように連携して中小企業振興を行っていくのか伺います。また、産業支援機関と連携した中小企業振興に県としてどのように取り組んでいくのか伺います。
〇保副知事 委員から御紹介がありました岩手県商工会連合会を中心とした商工指導団体の活動によりまして、東北におきましてもトップクラスの実績を上げているところでございまして、これまで、個々の事業者の皆さんに寄り添い、伴走型支援ということで一つ一つの課題を解決していくという姿勢で取り組んできた成果があらわれているものと考えております。
 そうした意味で商工指導団体の果たす役割は非常に重要でありまして、県では今年度から、従来の経営指導員に加えまして、これを補佐する経営支援員を配置するとともに、岩手県商工会連合会には広域的に経営指導に当たる広域経営指導員も配置して、その支援体制の充実強化を図っております。
 商工会だけではなく、会議所におきましても同様の体制をとるということで進めているところでありまして、今後とも、この伴走型支援を積極的に展開することにより、さまざまな課題解決を図っていきたいと考えております。
 それから、主にものづくり産業の支援を行っております公益財団法人いわて産業振興センターほか県内各地にある産業支援機関は、昨今の自動車、半導体関連産業の集積、あるいは技術革新の進展など環境変化を捉え、地域におきましてさまざまな支援活動を行っております。
 引き続きこれらの産業支援機関と連携いたしまして、国のものづくり補助金の活用、あるいは令和2年度当初予算案に計上している中小企業総合的成長支援事業、コーディネーターや専門家の派遣、あるいは三次元設計などの高度技術の養成といったことを進めていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 観光関係は部局別審査でお聞きすることとし、次に、農林水産業の輸出の規模拡大についてお伺いしたいと思います。
 県は、農業、林業、漁業それぞれにアカデミーをつくり、スマート化を推進し、岩手県の魅力である第1次産業によるふるさと振興を推進しようとしております。一方、本年度は、全国的な災害に見舞われながらも、野菜の価格は上がらず、米も米余りの状況にあり、国内の人口減少、高齢化による市場の縮小とTPP11等の外国産品の市場流入の影響を感じざるを得ません。
 そのような状況下において、初期投資をかけてのスマート化や大規模化に不安を感じる若手の第1次産業従事者もいます。販路拡大には輸出力の強化が必須であり、県も、いわての食財戦略的海外輸出展開事業を新たに掲げ、輸出力アップに力を注ぐとのことですが、3、000億円の農業生産額を誇る本県において、令和4年目標が36億円というのはいささか寂しい気もします。青森県では100億円を超える輸出額があり、福島県では船で桃をヨーロッパに輸出しているとの話も聞きます。
 輸出拡大には、セールスだけではなく、本県の港湾を使った輸送や、生産物を集める商社の問題など部局横断的な一大プロジェクトが必要と考えますが、本県農林水産物の輸出の規模拡大に向けてどのような課題があるのか、また、その取り組み方針を伺います。
〇保副知事 これまで、本県で生産される農林水産物は、国内で非常に高い評価を得ながら発展してきたところであります。
 県では、平成29年3月にいわて国際戦略ビジョンを策定し、海外に向け、リンゴの特別栽培など、輸出相手国のニーズを踏まえた産地の取り組みを支援してまいりました。
 これをますます展開していくということについては、今、委員からお話があったとおり、港湾の利用という視点から申し上げますと、現在、県内の食品関係事業者の小口輸出の促進に向け実証実験を行っております。これは幾つかロットの小さいものを集めて、船のコンテナに合うような荷量を確保してやろうという取り組みでございますが、今、実証実験を行っているところでありますので、その結果等を参考にしながらさらに検討してまいりたいと考えております。
 また、商社の活用というお話もありましたけれども、これまでも品目や輸出相手国等に応じて、現地の流通関係者との強いネットワークを持っている、それぞれの国にそれぞれに強い業者がいるという牛肉や米等の専門商社と連携して販路の拡大を図っていきたいと考えております。
 今、委員からお話がありました令和2年度当初予算案に計上いたしましたいわての食財戦略的海外輸出展開事業費でありますが、リンゴと牛肉をまず取り上げ、輸出先国の規制や市場から求められる品質等に対応したグローバル産地計画をつくるなどしながら輸出拡大を進めていきたいと考えております。
 特に、リンゴの輸入が解禁され、また、TPP11の発効により牛肉の関税撤廃が予定されているカナダをターゲットとして、ラグビーワールドカップ2019釜石大会でのつながりも生かしてプロモーションを展開していきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 よろしくお願いしたいと思います。
 次に、ふるさと移住・定住促進戦略については部局別審査でお聞きすることとし、岩手で育てるについて伺いたいと思います。
 まず初めに、岩手の子どもスマイル推進事業、“いきいき岩手”結婚サポートセンターについて、登録者数の自然減などにより成婚者数が伸び悩んだことから、今般、岩手であい・幸せ応援事業へと移行します。戦略では、同センターの機能充実や周知、広報強化による一層の会員確保を掲げておりますが、具体的にはどのような取り組みを行うのか伺います。
〇保副知事 “いきいき岩手”結婚サポートセンターの機能の充実についてでございますが、これまでも、マッチングシステムということで男性の方と女性の方が出会うようなシステムを運用していたわけですけれども、そのマッチングの仕組みを少し変えることによりまして、その機会をふやすという取り組みを通じて出会いの場をもっとたくさんふやしていくというようなことを考えております。
 また、コーディネーターの資質向上による支援体制の強化や、会員に対する婚活等に係るニューズレターの配信による情報提供の機能強化を行うこととしております。
 周知、広報の関係につきましては、いわて結婚応援の店という制度がありますけれども、協賛店舗を持っている企業を通じたPRの強化も考えております。
 また、公益財団法人いきいき岩手支援財団が理容組合及び美容業組合との間で、組合員店舗でセンターの紹介をするといった連携協定も締結しておりますので、これも活用していくということでございます。
 できるだけ会員の確保を進めてまいりたいと思います。
〇佐々木朋和委員 新しいお見合いシステムというのは、秋田県でも採用しているAIによるマッチングシステムのことですか。
〇保副知事 そのとおりでございまして、お互いの希望する条件が全部マッチしないとマッチングしないというものから、AIがそこに介在して判断することにより、趣味、嗜好とかいろいろな条件が多少違っていても、そこを引き合わせるというようなものを取り入れようということでございます。
〇佐々木朋和委員 チャンスがふえると認識しました。他意はございませんが、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 次に、子育て支援戦略について伺いたいと思います。
 県では、平成30年の合計特殊出生率が、前年まで令和元年目標1.45を超える1.47であったことを念頭に、全国水準を下回る1.41となった結果を注視するとしておりますが、これまでの取り組みをどのように評価しているのか伺いたいと思います。
〇保副知事 これまで、現行の岩手県ふるさと振興総合戦略によりまして、子育てしながら働きやすい環境の整備あるいは就業形態の多様化に対応した保育サービスの充実支援といったような観点から、この子育て応援に取り組んでまいりました。
 この岩手県ふるさと振興総合戦略に掲げるKPIの達成状況は、全部で関連する指標が五つございますが、KPIの数字上は四つの指標が達成、一つの指標がおおむね達成という結果にはなっています。
 一方、平成30年の合計特殊出生率が1.41と低い水準となったことに関しては、未婚化、晩婚化の進行あるいは子育てや教育に係る経済的な負担、育児に対する心理的、肉体的負担というものがあり、子供を持つことをちゅうちょしていることや個人の価値観の変化など、さまざまな要素が影響しているあらわれではないかということで、この1.41という数字が一時的なものなのかどうかを注視しているということでございます。
〇佐々木朋和委員 ぜひ、注視している間もなく取り組みを加速させていただきたいと思うのですが、先ほど来取り上げております福井県では、平成30年に、1.67となったわけですけれども、やはり福井県も共働きが多い県だということに着目して、幼稚園、預かり保育、認可外保育園の経済的支援、育児休業を取得した場合の短時間勤務とフルタイム勤務の差額補填、病児保育、病後児保育、放課後児童クラブ利用のひとり親家庭の女性を含む子育て世帯に対する経済的応援や、市町村へ母子保健と子育て支援に係る窓口のワンストップ化を図るなどの市町村と連携した子育て環境の整備、子育てと仕事を両立する職場環境の整備と政策が体系化されておりまして、まさに子育てに困っている場面を想定し、そこをカバーするような施策が並んでおります。
 本県においても、子育て支援戦略を展開しておりますが、こういった場面を想定した、まさに、さきに知事に答えていただきました育てにくさ、生きにくさを転換するようなところへ手を差し伸べるべきだと思いますが、御所見を伺いたいと思います。
〇保副知事 県や市町村、行政が施策を進める際に、受け手であります現実の子育て世代の方々あるいは子供を持ちたいと思っている方々のさまざまな実態に応じて、いろいろなステージでということについては、まさにそのとおりだと思っております。そうした視点から、どのような施策が必要で、どのような施策がこれからもっと県として取り組まなければならないかというようなことを検討しながら、そこに的確に施策を打っていくことが非常に重要であります。
 福井県の具体的な例も御紹介いただきましたが、私どもも、さらに、あちこちベンチマークをしながら努力していきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 また、やっぱり子育て世代にそのようなメニューがあることを、施策を届けなければいけないと思っております。その部分で、どのように情報発信をしていくかもあわせて伺いたいと思います。
〇保副知事 さまざまな形でのいろいろな情報発信は、市町村を通じたり、関係団体を通じたりとかしながら行っているわけでありますが、さらに一層ということで、これは令和2年度の取り組みになりますが、かつて平成22年度に、子育てのさまざまな場面で活用できる支援施策などを紹介する子育て応援マンガをつくったことがあります。これを大幅に刷新して、新たな施策を含め内容を充実させていく取り組みも行うこととしております。
 また、県の子育て支援ポータルサイトいわて子育てiらんどにも、さまざまな県民の方々が具体的に抱える課題や疑問回答する形で提供することとか、できるだけ情報発信の効果が高まるよう工夫して取り組んでいきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 県の子供の実態調査の中では、やはり施策がわからないという親御さんが多かったとのことですので、ぜひとも改善をお願いしたいと思います。
 最後に、ILCの誘致実現について伺いたいと思います。
 ことし1月30日、日本学術会議は2020年以降の大型研究計画のあり方に関する指針、マスタープラン2020を公表し、ILCは大型研究計画に位置づけられましたが、速やかに実施すべき重点大型研究計画には盛り込まれませんでした。ただ、実現に向けた国内手続の一つである、文部科学省の学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想ロードマップに申請する権利は確保いたしました。
 高エネルギー加速器研究機構―KEKの岡田理事は、国内の学術コミュニティーがILCの建設意義を深く理解してくれた結果で、大きな一歩だと強調し、知事を初め県内のリーダーも、前進とのコメントを発表しております。
 また、その後、2月21日、国際将来加速器委員会―ICFAの会議では、文部科学省の政府見解が出ました。そして、その後に国会論戦でも階猛衆議院議員が質問をし、文部科学大臣の発言あるいは増子大臣官房審議官の発言等がございましたが、まず、県は一連の流れをどのように分析しているのか伺います。
〇佐々木ILC推進局長 昨年3月の政府の見解は、ILCについて初めて関心を表明するものであり、国際プロジェクトとして踏んでいくべき国内外のプロセスを明らかにしたものと捉えております。
 先月、国際将来加速器委員会―ICFAにおいて、文部科学省は、その見解に沿って具体の進捗状況を説明したと伺っております。その内容につきましては、日本学術会議のマスタープラン2020の結果と今後の国内の検討について、また、日本がホスト国となることをアメリカが支持していること、イギリス、ドイツ、フランスといったヨーロッパ各国との意見交換を始めたこと、さらに、今後、国際的な分担を含むさまざまな課題解決と国内外の幅広い協力が必要であり、引き続き、米欧との意見交換を実施することなどと聞いております。
 文部科学大臣からは、昨年3月に示したILC計画に関する見解に沿って必要な対応を行ってまいりたいとの発言もあったところであり、政府として具体的に国内外の議論を進めていく状況となっており、ILC計画は着実に進展していると考えております。
〇佐々木朋和委員 それでは、最後に知事にお伺いしたいと思います。
 誘致にかかわる住民からは、今の経緯で希望がつながったという喜びの声とともに、毎年重要局面と言われ、それが続いている。ゴールはいつかと誘致決定過程の複雑さに困惑の声も聞かれております。誘致実現に地域住民、県民一丸となって進んでいくためには、今の位置から前進しているにしても、今の立ち位置とゴールまでの過程をしっかりと説明し、理解を得ることが必要と考えます。
 今後の誘致に向けた過程と誘致活動の現在の状況、それを踏まえて、ILC推進事業費をどのように来年度展開していくのか、知事に御所見を伺います。
〇達増知事 国際的なプロジェクトは、段階的に評価、承認を行い、計画を進めることが一般的とされており、ILCもこうした手順を踏んでいくものと考えております。
 文部科学省は、引き続き米欧との意見交換を実施すると発言しており、今後、国際的な経費分担も含め、国際プロジェクトとして、政府間での国際的な調整を進めるものと考えております。
 また、世界の加速器研究所の所長等で構成される国際将来加速器委員会―ICFAは、ILC研究所設立などの準備段階に移行するための国際推進チームを設立し、約1年の活動の後、日本の意思表示と各国の同意により準備段階が開始できるとしており、研究者サイドではこうした具体の準備を進めていくものと思われます。
 このようにILC計画は、政府間、研究者間で国際的な具体的な検討、調整へと進みつつある段階でありますことから、県といたしましては、ILC推進事業費により、国内外の最新動向を把握しながら臨機の対応を行うとともに、建設候補地として、ILCのさらなる機運醸成を初め、地元の受け入れ環境整備や加速器関連産業の振興、人材育成等、ILCの実現と建設に向け万全を期してまいります。
〇佐々木朋和委員 終わります。(拍手)
〇柳村一委員長 次に、千葉絢子委員。
   〔千葉絢子委員質問者席に着く〕(拍手)
〇千葉絢子委員 いわて県民クラブの千葉絢子です。会派を代表して総括質疑をさせていただきます。
 初めに、通告はしておりませんでしたが、昨今の新型コロナウイルス感染症の混乱を例に、本当に語り継ぐべき震災の教訓について、知事のお考えを伺いたいと思います。
 暮らしに対する不安は、震災のときに非常に似ていると私は感じております。大都市に始まったマスクを初めとする紙製品の買い占め、食料品、水の買い占めが報道されたりSNSを中心に拡散されると、その波は一気に地方まで瞬く間に広がり、県内各地でマスクに続いてトイレットペーパー、ティッシュペーパー、紙おむつや赤ちゃんのお尻拭き、また、アルコール消毒関連製品の売り切れが相次ぎ、一部で落ちついてきてはいますが、多くの地域でいまだに商品の欠乏が起きているのは、皆さん御承知のとおりです。
 今回の件について、知事はどのように感じていらっしゃるか、また、知事もこの混乱で困った経験をされたかどうかをお聞かせください。
〇達増知事 まず、実際に中国からの輸入がストップし不足が顕著になっているマスク、また、それとは全然違って、ほぼ国産品で賄われているトイレットペーパーが、お店で買い求めにくくなっている。不足しているわけではないのですけれども、買い求めにくくなっているというような状況については、まずマスクについては、生産の現場や輸入の担い手に直接働きかけながら、医療や介護の現場を優先させながら確保していかなければならないと考えております。
 また、トイレットペーパー、ティッシュペーパー等の問題については、これは、その流通に責任を持つ経済産業省において、ほとんどが国産である、きちんと生産されているという情報を発信しているわけでありますので、岩手県民の皆さんは、そういった情報を踏まえて適切な消費を行っていただきたいと考えているところであります。
〇千葉絢子委員 9年前の震災のときに、我々含め今生きている人たちは、やはり日々の暮らしに必要な物資を手に入れるために大変な苦労をした思い出があります。また、津波の被害がなかった地域で起きた買い占めのニュースを見て、実際の物資不足にもさいなまれ、時には生命を脅かされるような思いをした方もいたと感じております。
 岩手県は、昨年の三陸防災復興プロジェクト2019を、震災の教訓と支援への感謝を国内外に伝えるという目的を持って開催いたしました。また、陸前高田市や釜石市の震災伝承施設でも、その経験をどう承継していくかということを第一に考えていますが、私たちがあの震災で最も困った物資の不足や買い占めなどのパニックで、中には命を落とした方もおりました。これは忘れてはいけないことだと思っております。
 今回の全国的な買い占め騒動ですけれども、40年以上前のオイルショックとか、また9年前の東日本大震災津波を経験した世代や地域でも発生したことを考えますと、今後予想されている首都直下型地震、また南海トラフ地震では、ますますヒートアップすることが想像にかたくありません。
 ふだん我々は震災の教訓を語るとき、こうした側面を重要視してこなかったのではないか。いかに協力し合うか、情報を取捨選択するかということを伝えていくことが、災害に伴う、その後の人災とも言われるこうした事態を防いでいくためにも必要な観点だと思っていますが、知事はどのようにお考えでしょうか。
〇達増知事 東日本大震災津波のような大規模災害の場合には、被災の現場からは一時全く物がなくなりますし、また、被災の現場を外とつなぐ流通の機能が失われたり低下したりいたします。
 一方で、震災の場合は、東日本大震災津波ぐらいの大きな震災の場合でも、日本のほかの場所には物資はふんだんにあります。ただ、それが無秩序に被災地に送られてくると、かえって被災地の対応を混乱させてしまうということもありますので、いかに適切にあるところからないところに物資を送るかが重要になります。
 岩手県では、市町村に負担が生じないよう、支援物資は県が一律で受け付けるということで、岩手産業文化センターアピオにセンターを開設し、公益財団法人岩手県トラック協会に依頼して、倉庫整理などのノウハウのある民間力を使って物資の整理をしながら、欲しているところにきちんと届いていくようにしました。その際、コンビニ、スーパー、生協、民間の流通関係の皆さんが大きな力を発揮しましたので、県などと協力協定、包括協定などを結んで、平素から、いざというときに備えるという対応をしてきているところであります。
 今回の新型コロナウイルス感染症対策においては、そういった自然災害型の困難に対応したメカニズムがいかに活用されていくかということについて、私も工夫しながら対応していきたいと思います。
〇千葉絢子委員 震災から9年。今日までは決して美談や希望だけではなかったと、私もこの9年間を振り返って思うところであります。大人の意識づけが今回のような買い占めの際に難しいのは、たとえ岩手県のような被災地でも同じだということが、今回、私は、痛いほど実感したところであります。
 岩手県の子供たちの復興教育では、今後、災害時などの振る舞いについて、かつてどういうことが起こったか、こういう場合どうしなければならないかということもしっかり教育して、次世代の混乱を抑える教育を被災地である岩手県だからこそ始め、全国に波及させていくような、そういった観点での復興教育が必要と思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
〇達増知事 後から振り返れば、いち早く物資が届けられていればそういうことはなかったわけですけれども、一つのおにぎりを分けて食べたとか、整然と列をつくって物資の配給を受けていったというような、諸外国が称賛するような物資不足対応が、東日本大震災津波の際は岩手県でもみられたと思います。そういった心がけ、そして、いざというときの振る舞いは、今、我々が直面している新型コロナウイルス感染症対策にも当てはまるものだと思いますので、県としても、そういった発信すべきことは発信しながら進んでいきたいと思います。
〇千葉絢子委員 知事からも、やはり県民の皆さんに積極的にメッセージを発信していっていただきたいと思います。週1回の知事記者会見以外にも、例えば、テレビやラジオのCMを利用するとか、県民に呼びかけて、そこから国内各地に効果を波及させていくような情報発信を秘書広報室にもお願いしたいと思っております。
 通告していないにもかかわらず、お答えいただきましてありがとうございます。
 では、以下、通告に従って質問いたします。
 ことし2月に内閣府が公表した月例経済報告、また、ことし1月に盛岡財務事務所が発表した岩手県内経済情勢報告のいずれにおいても、景気、県内経済は、消費増税の影響は少なく、緩やかに回復という言葉を使っているのですが、内閣府の統計に基づく景気動向指数による基調判断は、去年12月まで5カ月連続で悪化となっております。
 また、統計的には、緩やかな回復の動きを裏づける数字は雇用と所得の安定のみで、生産と設備投資は悪化しています。また、去年10月から12月までの経済状況について、政府は、実質GDP、年率6.3%減、名目GDPは4.9%減としておりまして、経済再生担当大臣は、想像より大きい数字になったと1年3カ月ぶりのマイナス成長を懸念している一方で、盛岡財務事務所は、ことし1月後半までの3カ月の県内経済については、緩やかに回復しつつあると12期連続で判断を据え置いています。
 岩手経済研究所や盛岡財務事務所の発表について、県内の経営者からは、おかしい、そんなはずはないと一斉に疑問の声が上がっているところであります。現時点で経済統計から機械的に算出する景気の基調判断と国や地方経済に対する総合的な景気判断について、私は、国と地方の見立てが異なっていることについて、どちらを信じたらいいのか正直戸惑っております。
 県は、統計と政府、盛岡財務事務所などの経済状況に対する見立ての違いについては、どのように分析しているでしょうか。また、来年度予算を審議する上で、最新の県内経済の今後の見通しについてもお示しいただきたいと思います。
〇達増知事 国の景気動向指数は、景気の動きに敏感な生産、有効求人倍率などの統計指標から、内閣府が定めた一定の判断基準に基づいて機械的に算出する指標であります。一方、国の月例経済報告や盛岡財務事務所の情勢報告等の景気判断は、景気動向指数を含め、個人消費等のさまざまな指標や経済状況等を総合的に分析したものであります。
 県が2月に公表した最近の景況では、個人消費は、消費税引き上げ後の駆け込み需要の反動減などにより、弱い動き。建設投資は、住宅投資が高水準で推移しているものの、公共投資は復興需要の縮小に伴い減少傾向、生産活動は、総じて回復の動きが続いているものの、一部に弱い動き、雇用環境は、引き続き、高い水準を維持しているなどの状況から、県内景気は、一部に弱い動きが見られるものの、緩やかな回復傾向が続いていると判断したところであります。
 一方、県内経済の今後の見通しについては、現状において景気の先行きを見通すことは困難でありますが、新型コロナウイルス感染症が本県経済に与える影響等に十分注意し、今後公表される各種経済指標の動向を注視していくことが必要と考えております。
〇千葉絢子委員 税収見込みについては、佐々木茂光委員の質問でもお答えいただきましたので、割愛させていただきたいと思います。
 次に、企業収益の減退への対応についてですが、新年度予算では、いろいろな理由から企業収益の減少もちょっと見込んでいるようであります。これを最低限に抑えるために、産業振興に関してはどんな配慮をしているのかお聞かせください。
〇保副知事 令和2年度は、現在、策定を進めております第2期岩手県ふるさと振興総合戦略がスタートする年ということもありまして、岩手県への新たな人の流れを創出することを目指す岩手で働くを推進するため、産業振興には特段に注力していく必要があると考えております。
 このことが企業収益の減退をできるだけ抑えたいということでもありますが、例えば、自動車関連産業創出推進事業費におきましては、県内企業の取引拡大やサプライチェーンの構築、研究開発、人材育成の取り組みの支援を行う予定であります。また、半導体関連産業創出推進事業費におきましては、地場企業の取引拡大や連携による新たな事業の創出、人材育成等の取り組みといったようなことを進めていきます。
 また、地域経済を支える中、小規模事業者の振興にあたりましては、中小企業総合的成長支援事業費を計上しておりますけれども、IoTやAI等を活用した生産技術の高度化、新技術開発を支援する取り組みを、また、いわての地場産品魅力拡大事業費においては、魅力ある商品開発や販路開拓の支援といったことを進める予定であります。
 いずれにしましても、企業の発展を後押しして企業収益の伸び、ひいてはそれを個人の所得向上につなげていきたいということでございます。
〇千葉絢子委員 昨年の予算特別委員会においても、我が会派のハクセル美穂子委員より、産業振興に関しては、投資したお金が歳入として返ってくることによって、次の投資につながっていくというよいスパイラルをしっかりつくっていくことが重要だという指摘をいたしましたが、硬直財政と言われる岩手県の予算の中で、しっかりと施策を吟味し、投資効果を検証し、まさに真の選択と集中によって、法人事業税、法人県民税の減少幅を最低限に抑えるような予防的な施策に予算を投入し、県税収入の維持、または、理想としては増収につなげていくよう、今後の補正予算においては、今後の新型コロナウイルス感染症の影響なども十分に見た上で措置をしてくださるようにお願いしたいと思います。
 次の中期財政見通しにつきましても、先ほど来の議論に関連した部分でありますので、割愛させていただきたいと思います。
 次に、企業誘致、産業集積等、若者や女性の県内定着について、少し踏み込んで質疑いたします。
 人口減少社会の中で、私は、自主財源である県税収入を上げていくこと、つまり法人事業税収入アップのためにもっと取り組まなくてはいけないと考えております。
 知事が、常に企業誘致を初めとした産業振興による税源涵養が大事だと述べているとおり、本県は、自動車と半導体など、国際競争力が高く経済成長の牽引役となるものづくり産業に力を入れています。
 ことしの春から一部でサービスが始まる5Gの今後の普及によって、市場が拡大すると期待されている半導体メモリを製造する北上市のキオクシア岩手株式会社も、本格稼働を始めます。昨年10月の決算特別委員会で保副知事から、粗い試算ではあるが、今般の工場新設において、労働者には総額でおよそ41億円の給与所得が見込まれ、県民所得の向上に相当程度の寄与があるものと考えられるとの答弁がございましたが、個人所得や消費の増加、地場産業との取引拡大などさまざまな効果が期待されるものと思います。今般の誘致も含めた企業誘致によりまして、県税収入に関してはどういった効果を期待しているのでしょうか。
〇保副知事 一般に、新しい企業を誘致することによる県税への効果といたしますと、工場建設に伴う不動産取得税、企業活動に伴う法人事業税、法人県民税、さらには、新規の雇用の発生に伴いますそれぞれの従業員の方々の個人県民税の増加などが、直接的にあるわけであります。
 さらに、その企業から地元の企業への取引拡大というように県内企業の業容拡大、さらには県内企業の雇用の増という波及効果が見込まれることから、非常に幅広い税収面での効果が期待されております。これは、どの案件におきましても、そういったことを期待しながら取り組みを進めているということでございます。
〇千葉絢子委員 ことし1月1日の岩手日日新聞の報道によりますと、北上市では、キオクシア株式会社に対する25億円の補助について、固定資産税や法人税などの税収効果で十分カバーできると見立てています。
 県は、今年度から5年間で過去最大規模の50億円の補助をするわけですけれども、県としては、財政の硬直度を示す経常収支比率が96%を超えている状況の中、さらに、支出には一層の選択と集中が求められている中で、この50億円の県税による補助についても、その支出をどのようにカバーし、あるいは地域づくりや人材育成など、あらゆる分野でどう還元を受け、本県の課題の一つである若者や女性の安定した雇用や所得など、県全体の暮らしの水準を高める施策にどう生かしていくかという観点も大事だと思いますけれども、今回の誘致に当たり、この点について県ではどのように考えているでしょうか。
〇保副知事 今、委員からお話がありました、県が支出することで、将来的には地域のさまざまな場面に効果があらわれることを期待しているという面は、そのとおりでございます。
 キオクシア株式会社の新拠点に伴いまして、ただいま申し上げました税収面での直接効果、それから、従業員の新規の雇用による消費活動とか生活に伴うさまざまな地域経済への波及効果もありますけれども、具体的には、昨今は賃貸住宅等の民間投資の飛躍的な増加、それから、ホテル、飲食店など各種サービス業におきます需要の増加が既にあらわれているところであります。
 まだ本格稼働になっておりませんが、今後、さらに拠点におきましては働く方がふえることもありますし、例えば新しい拠点で使う装置をさらにどんどん入れることに伴うメンテナンスとか部品の整備という形での地元企業への波及も含めて、非常に幅広い効果を期待しているところでございます。
 経済活動もそうですけれども、そういったことで、人口が地域に確実にふえていくことに伴いまして、周辺の都市機能の向上、それに伴う生活環境の充実、そして、BtoB、BtoCなどさまざまなサービス業のニーズが生まれてくることによるサービス業の面での雇用の効果も期待しているところであります。こうした観点で捉えますと、広く県民に還元されていくものと考えております。
〇千葉絢子委員 先ほど、求める産業人材と県内の若者が希望している産業のミスマッチの話について、佐々木朋和委員からも指摘がありました。次はその観点からお伺いしていきたいと思います。
 ところで、企業版ふるさと納税の県内の実績はどうなっていますでしょうか。
〇白水政策地域部長 企業版ふるさと納税の制度導入後でありますが、これまでに、本県及び県内9市町におきまして13の事業が認定されているところでございます。寄附の実績としては、平成28年度は11件で4、130万円、平成29年度は10件で4、100万円、平成30年度は28件で1億343万円となっているところでございます。
 具体的な事例を紹介いたしますと、県では、ものづくり企業等の技術力、開発力の向上等を担う産業人材を確保することを目的とした、いわて産業人材奨学金返還支援計画等が認定されているところでございます。
〇千葉絢子委員 4、000万円台だったものが一気に1億円を突破したということで、順調に伸びてきていると思いますが、この企業版ふるさと納税を活用したものづくり人材の育成について、提案も含めて質疑いたします。
 県では、半導体や自動車関連産業にかかわる新規雇用について、2018年から5年間で5、000人規模の創出が想定されるとしています。県の商工労働観光部からいただいた資料によりますと、2018年8月から去年4月までの間の新規雇用者数はおよそ700人で、今年度の新規雇用は700人を超え、この2年で把握できる範囲で1、400人の雇用が創出される見込みと伺っております。
 キオクシア岩手株式会社に限りますと、採用計画に対し、入社済みと入社予定を合わせた従業員の確保率は、平成30年度は510人の計画に対して404人で79%、今年度は245人の計画に対して171人で69%と、2年連続して計画に満たないことがわかりました。
 キオクシア岩手株式会社の新規雇用計画を満たすためだけでなく、中でも県内出身者の地元雇用につなげていくためには、県が50億円、また北上市が25億円補助したことを考えれば、キオクシア株式会社と今後、計画的な人材育成に取り組んでいくことが非常に重要だと考えております。
 それには、県が内閣府から認定を受けている企業版ふるさと納税によるものづくり人材育成事業や、地方創生のため県内経済や人材育成について効果をもたらす企業からの寄附講座など、ものづくり人材の育成について、県立産業技術短期大学校や県内の高校、また専門学校などを巻き込んで産学官連携の新たな取り組みを働きかけていくことも模索すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。県の考えを伺います。
〇保副知事 いわて産業人材奨学金返還支援制度に企業版ふるさと納税の活用を図っているわけでありますが、この制度は、県内の企業から非常に高く評価されておりますことから、引き続き、充実を図っていきたいと考えております。
 また、ものづくり産業人材の育成に当たりましては、これまでも、地域で産学官の方々が集まっていろいろな取り組みを展開しております地域ものづくりネットワークでは、そこに参画する企業の皆様から、金銭的な支援に加え、出前授業での講師派遣、実習用等の教材、機械設備の寄贈、さらには、工場見学の受け入れといったさまざまな参画をいただいているところでございます。そのようなことに、今後とも引き続き取り組んでいきたいと考えております。
 例えば、これまで御紹介申し上げました、いわてEVアカデミーですとか、いわて半導体アカデミーといった産学官での新たな人材育成にも今後取り組むわけでありますが、委員からお話がありました寄附講座のようなことがどのような形でできるか、これはまだ具体的に検討しているわけではありませんけれども、参考にさせていただいて、研究していきたいと思っております。
 また、キオクシア岩手株式会社に関しましては、これまでも、企業側と一緒に人材確保の取り組みを進めてまいりましたが、同社からは、将来的にも行政や大学との協働で人材育成に取り組みたいというような意向も示されておりますことから、今後とも、どのような形でできるか、同社との連携、協力を進めていきたいと考えております。
〇千葉絢子委員 先日、我が家に遊びに来た中学生の女の子に、将来岩手県で働きたいかと聞いたことがありました。そうしたら、余り興味がないという答えが返ってきたのです。なぜかと聞きました。そうしたら、女性に求められているのはサービス業や事務的な作業というイメージがあり、県内の企業についての情報も少ないし、将来性がないような気がする。名前も内容もよく知らないし、大企業に比べると不安という返答があり、愕然としたところであります。
 20年前の就職氷河期に就職期を迎えた私自身のことを思い出しても、東京の大学から岩手県に戻りたいと思ったけれども、どんな会社があるのかわからない。銀行や公務員ぐらいしか大卒女子の大口雇用はなくて、東京との往復旅費もばかにならないし、情報も入ってきにくいし、非常に県内に戻りにくいなという印象を受けて就職活動をしておりました。
 担当部署に伺ったところ、このごろは県内の進学校においても、県内企業の出前授業などを実施し、たとえ進学で県外に出ても、県内にはこういう企業があるのだよというキャリア教育を実施していると伺いました。これは大変意義深いことだと思っております。
 ただ、人材育成の中心として捉えられているのは、先ほどのものづくり人材育成とか、これまでの企業との協力関係においてのものをお聞きしても、やはり中心として捉えられているのは理系の男性のような気がするのです。5年間で5、000人の雇用創出のうち、先ほど1、400人達成されているというお話をいたしましたけれども、このうち女性の割合を伺ったら、その割合は1割にとどまっているということでした。たった140人なのです。
 県としては、この理由はどんなところにあると認識していらっしゃいますか。
〇保副知事 今、委員から御紹介がありましたさまざまなお話は、まさにそこが問題だというようなところでございます。県としては、自動車あるいは半導体の関連企業の集積を何とか図りたいとこれまで長年も注力してきましたが、そのような努力が現在の企業の集積に結びついていると考えております。
 これらの企業は、近年の技術革新なども背景といたしまして、女性が活躍できる職種がふえ、さらには、企業みずから、働き方改革などによって就労環境も改善しております。これまでの工場の現場は男の職場だというようなことを企業がみずから打破しようと取り組みを進めてきているわけであります。まさにそのことが、県内の高校生やU・Iターンを考えている女性や若者の皆様に、まだ知られていないということだろうと思います。そのために、状況を知らないまま、県外に就職先を求める目が行ってしまうということですとか、あるいはU・Iターンをためらう場合も多いと考えております。
 男性向きのイメージがあるというのは、県内一般に、例えば親御さんとか学校の先生とか、そういうところにもまだ残っているのではないかと思っております。この辺に、県がもっともっと力を入れて理解を進め、あるいは、中学生というお話がありましたけれども、そのころから、岩手県にはいいところがあるというようなことをもっともっと伝えていかなければならないと考えております。
〇千葉絢子委員 今、県内の人口動態で一番の問題になっているのは、やはり進学や就職期を迎えた若い女性の県外流出が、女性全体の7割を占めていること。また、女性の賃金が同一労働に当たっている男性の76%程度に抑えられていることによって、大卒で、例えば奨学金返済を抱えている女性は、よりよい条件を求めて県外へ出ていってしまうということが問題として指摘されています。
 また、生まれ育ったふるさとで所得と雇用が保障されるのであれば、親の近くで就職し、家庭を持ち、両親の協力を得ながら子育てができる環境が、女性にとっても理想的であります。
 以上の観点から、人材育成による若者と女性の県内就職また定着は、非常に大きな、かつ、解決しなければならない喫緊の課題でありまして、大卒の女性や女性のひとり親で低賃金にあえいでいる家庭などの雇用と所得を確保していくことで、生活の基盤を確立し、将来的な貧困の連鎖なども解消していくことが望ましいと私は考えます。
 本県の女性が抱えている困難の解消には、男女共同参画、雇用対策、働き方改革と今は別個に取り組まれていますが、実は、女性の雇用と所得の確保という根っこの部分でつながっていると私は指摘をしたいと思います。
 今まで男性が多く担ってきた自動車、半導体産業人材の育成を女性にまで拡大すること、職業訓練でも重点的に取り組むということは、結果的に企業や業界を潤すだけでなく、男性も女性も岩手で働く、岩手で育てるを実現することにつながりまして、県民の課題解決にもつながると思っております。
 また、県内で進めなければいけない働き方改革、女性の活躍推進につきましても、自動車、半導体関連の大手企業はノウハウも持っていると思いますので、この企業版ふるさと納税制度を利用していただくなど、県内の経営者の意識やノウハウを高めてもらう目的の寄附講座を設けてもらう方法もあるのではないかと私は考えます。そうすれば県の単費で出さなくても済むというか、企業と一緒になって人材育成をすることによって、双方に相乗効果があると私は思うわけです。
 しかも、これは令和2年の税制改正によりまして、税額控除の合計がこれまでの2倍、また税金の軽減効果が最大9割になりますので、これは企業側にもメリットがあります。いわて県民計画(2019〜2028)の新しいテーマである、さまざまな主体に参画をしてもらうという目標達成に合致した働きかけになるのではないかと思います。
 自動車、半導体関連の誘致企業にも、経営者の意識改革も含めた県内の人材育成に寄与してもらい、県民にとっては、女性の雇用と所得の確保など働き方改革による女性活躍の推進、企業にとっては、人材の確保というウイン・ウインの関係をつくりまして、女性の定着に向けた深い関係をこうした企業と築いていく戦略をとるのはいかがでしょうか。
〇保副知事 自動車、半導体関連産業における女性の活躍についてですが、実数とすれば、自動車、半導体の関連産業で仕事をしている女性の割合はまだ少ないということではありますが、周辺の企業や地域住民も利用できるような企業内保育所を設置したり、あるいは更衣室みたいなものや、さまざまな設備面のものを含め女性の就労環境の整備、それから働き方改革などにも取り組み、女性が長く安心して働き続けることができる職場づくりを積極的に進めている企業もたくさんあります。
 そういうところは、これまでも県内の働き方改革ですとか、あるいは自動車、半導体関連産業の協議会のようなところでも、さまざま紹介しながら進めてきております。
 県では、今、企業版ふるさと納税を奨学金の返還支援に使っているわけでありますけれども、この企業版ふるさと納税をどのようにうまく使うかは、私たちの知恵の出しどころと考えておりますので、今後とも考えていきたいと思っております。そういうところを女性の活躍に資するようにということも、一つのアイデアだと思いますので、それも含めて考えていこうと思っております。
 先ほど来申し上げておりますとおり、とにかく県内の企業が変わってきているのだということを、これはできるだけ多くの若い方々、女性の方々に知っていただきたいと思っております。そういうことに努力をしていきたいと思いますし、もちろん女性が安心して働き続けられる環境の整備が、より幅広い企業において進むように、取り組んでいきたいと思っております。
〇千葉絢子委員 私が4年前に初めて議席をいただいたときから訴え続けていることは、女性の就職先の確保、所得の改善、そして、職場における男女共同参画の推進によって、女性のひとり親家庭などが抱える子供の貧困の連鎖を防ぐことなのです。
 子供の貧困対策は親への支援が大事でありまして、それは何よりも、県民がきちんと県内で食べていけること、納税者にする教育をしていくことだと思っています。それが、岩手県ふるさと振興総合戦略の中でも主眼に据えるべきテーマだと思っているわけですけれども、いわてで働こう推進協議会がありますね。発足から今まで、就職先の確保、所得や職場環境の改善といった女性の定着について、どのような検討を重ね、効果を出してきているのか伺います。
〇達増知事 いわてで働こう推進協議会は、若年者雇用動向調査や働き方改革及びワーク・ライフ・バランスに関する調査などの各種調査を通じ、本県の雇用労働環境を取り巻く情勢を把握しながら、関係機関が一体となって女性等の就業促進に取り組んでまいりました。
 就職先の確保や所得の改善に向けては、協議会の構成機関である経済団体を通じ、働く意欲のある方が能力を生かして働くことのできる雇用の場の確保や、女性に多い非正規雇用労働者の正社員化や待遇改善などを企業に働きかけてきたところであります。
 また、職場環境の改善に向けては、協議会を核として、いわて働き方改革推進運動を展開するとともに、官民一体となって女性の活躍などに取り組むいわて女性の活躍促進連携会議と連携して、いわて女性活躍認定制度やいわて子育てにやさしい企業等認証制度等の認証取得を企業に促してきたことにより、認証企業数が順調に増加してきているところであります。
 このように、協議会として、女性が活躍しやすい職場環境づくりに取り組んできたところであり、県の平成30年度企業・事業所行動調査では、意欲や能力のある女性の積極的な採用、登用などに取り組んでいる企業の割合が44.4%と、平成14年度の調査開始以来最高となるなど、女性の活躍の場も広がってきていると認識しております。
〇千葉絢子委員 ところが、女性の活躍促進に関するアンケート結果は、平成30年度に県の環境生活部で実施したものですけれども、10人以上の民間事業所1、000社のうち470社の回答があったわけですが、管理職に占める女性の割合17.9%なのです。これも、労働局では課長級以上を管理職と捉えているわけですが、県の環境生活部では、何らかの役職についている者というくくりではかって17.9%です。
 この女性の管理職や役員に登用されていない理由が、現時点では必要な知識や経験、判断力を有する女性がいないというのが43%を超えて最も多く、平成26年の調査に比べると7ポイント以上悪化しているのです。この理由と結果について、知事は、いわてで働こう推進協議会が本当に機能していると思われますか。
〇達増知事 女性の管理職や役員が登用されていない理由として、現時点では、必要な知識や経験、判断力等を有する女性がいないとする回答が、平成26年の前回調査に比べ7.3ポイント増加し43.1%となっています。
 一方、前回調査に比べて、女性管理職、役員が担う適当な職種、業務がないとする回答が5.0ポイント減少、女性は主として補助的業務を担うことを目的に雇用しているとする回答が10.5ポイント減少しており、女性管理職の登用を想定していないような企業は、確実に減ってきているのではないかと考えております。
 今回のアンケート結果では、管理職のうち女性の割合は前回調査に比べて3.3ポイント増加しており、女性活躍認定企業の数もふえていることから、県内企業における女性登用の機運は高まってきていると認識しております。
〇千葉絢子委員 いわて女性の活躍促進連携会議では、岩手労働局の雇用環境均等室長より、去年3月20日に行われた昨年度2回目の会議でこう指摘がありました。前期と後期1回ずつしか開かれていないわけですけれども、そこで、いわてで働こう推進協議会は、高卒の方を対象とした活動だと考えている。岩手の社会減、人口減は1年に1万人ずつですが、その中で女性大卒世代が多いという数字が出ております。大卒世代の方が働きたくても働けない現象がまだまだ続いている現状が見えているが、県の施策にそこを意識したようなものが見られませんと、これは国の労働局が言っているわけですね。やはりこれは不十分なのだと思います。
 主にその流出の原因になっている大卒女性に向けて、どのようなアプローチが有効と認識しているか、知事のお考えを伺いますとともに、続けて聞きます。やはりこれは、県の姿勢がいつまでも見えないままでは、東京一極集中の流れはおさまらないと思うのです。しっかり部局横断でプロジェクトチームをつくって、子育ては保健福祉部とか、女性活躍推進は環境生活部、労働は商工労働観光部というばらばらな取り組みではなくて、プロジェクトチームをつくって、ともに進捗を確認していただきたいと思いますが、あわせてお考えを伺います。
〇達増知事 平成28年度に実施した岩手県の若年者雇用動向調査によりますと、大学生は高校生に比べ、就職先を決める上で、仕事の内容、職種、自分の技能、能力、専門性が生かせること、自分が成長できる、能力を伸ばすことができることを重視する傾向にあり、県内企業が女性の就職先として選択されるためには、妊娠、出産、子育て期などのライフステージにおいてキャリアを途切れさせることなく、みずからの能力を発揮し成長できる職場環境を整備していくことが重要であります。
 本県においては、ものづくり産業や農林水産業、建設業などさまざまな産業分野において女性の活躍が広がっており、企業においても、女性を貴重な戦力と捉え、女性の活躍推進とともに、その基盤となる職場環境づくりに積極的に取り組む企業がふえてきています。
 こうした環境の変化を知ってもらうことが重要であり、大学生、さらに高校生などが、同性の社員の仕事の状況を知り、みずからのキャリアデザインを描くことが有効であるという考えのもと、県では、県内企業の若手社員と学生や生徒との交流の機会の創出や、ものづくり産業において、県内企業で生き生きと活躍する女性など若手人材を紹介する動画を制作し、授業等で活用しているところであります。
 県としては、引き続き、多くの女性が県内企業に就職し活躍する姿と各種認証制度や働き方改革に取り組む企業等を発信することによって、女性の働きやすい職場環境づくりを進めてまいります。
 そして、女性の雇用環境の改善についてでありますが、県では、知事を本部長、各部局長、広域振興局長等を本部員とした部局横断によるいわてで働こう推進本部会議において、県内就業の促進や雇用、労働環境の整備、女性や若者、高齢者など、あらゆる人材の確保と就業促進に向け、いわてで働こう推進方針を定めて、課題認識や情報の共有を図りながら取り組みを推進しております。
 また、女性活躍に向けては、同様に部局横断による女性の活躍促進本部会議を設置して、女性が活躍できる職場環境づくりや女性のキャリア形成の支援などに取り組んでいるところです。
 これらの取り組みでは、さらに経済団体を初めとする関係団体で構成されたいわてで働こう推進協議会、いわて女性の活躍促進連携会議を設置して、県を挙げた取り組みを進めており、その成果として、先ほども答弁申し上げたような、女性が働きやすい雇用環境の改善や女性活躍の場の拡大につながっていると捉えております。
 県といたしましては、女性が、それぞれのライフステージ、ライフスタイルに応じた働き方ができ、自己実現が図られ、幸福度を高められるよう、いわて県民計画(2019〜2028)のもと、部局間の連携を一層強化し、多様な主体とも一体となって取り組んでまいります。
〇千葉絢子委員 終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇柳村一委員長 お諮りいたします。続く総括質疑はあす行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇柳村一委員長 異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 あす以降は、毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後5時2分 散 会

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