平成16年9月定例会 第9回岩手県議会定例会 会議録

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〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第9号から13号、第15号、第19号、第20号、第22号、第29号に反対の討論を行います。
 議案第9号から13号は、県が実施する建設事業の経費の一部を関係市町村に負担させるもの、または事業費の変更に伴い負担額をさらに増加させるものであり、反対するものであります。
 議案第15号、第20号、第29号は、岩手県立大学を廃止し、地方独立行政法人化させることに伴う議案であります。県立大学の法人化は、昨年10月の県の行財政構造改革プログラムで唐突に打ち出されたものであります。県立大学は、発足以来まだ7年しかたっておりません。県立大学のあり方は、学問の自由と大学の自治にかかわる問題であり、教授会はもとより、大学の構成員によって十分な議論を踏まえて検討されるべき問題であります。しかしながら、そうした経過もなく法人化が提起されたことは重大であります。
 法人化の具体的な問題点は、第1に、大学法人の最高責任者となる理事長を学長とは別に知事が任命するとしていることであります。学外者が知事の任命によって強大な権限を持つ理事長となることは、大学の自治の根幹である教育・研究にも関与できることとなり、大学の自主性をゆがめかねません。理事長を任命する選考基準も選考経過も明らかにされず、知事、行政の関与、圧力、干渉を強化することになりかねないものであります。
 第2の問題は、大学法人の最高決議機関として経営会議が設置されますが、学長である副理事長以外は理事長の指名であり、半分以上を占める学外者も理事長の任命となっています。理事長と理事長が任命した学外者によって大学の運営が左右されかねない仕組みとなっていることも重大であります。
 第3の問題は、教育・研究に関する重要事項を審議する教育研究会議は各大学ごとに7人から15人程度の構成となっており、少数の人による審議によって教授会は全く有名無実となってしまいます。また、ここにも学長の指名による学外者が参加することになっています。全学的な課題を審議する教育研究会議はなく、機能もありません。
 第4の問題は、学長の選出がこれまでは大学構成員による学長選挙となっていましたが、大学法人では、学外者3人を加えた6人による学長選考会議で選考するとなっています。大学の機構のすべてに学外者を参加させる異常なものであります。これでは、学問の自由とそのための大学の自治、大学の自主性が大きく脅かされることは明らかであります。
 第5の問題は、法人化となって教職員には労働三権が保障されますが、労働組合がありません。教職員の労働条件、研究・教育の条件を改善する保証のない法人化となりかねません。この点でも拙速と言わなければなりません。
 独立行政法人化は、県立大学の変質になりかねません。大学を評価する評価委員会も知事の任命となっており、わずか5人以内で任期2年では、まともな専門的、科学的で公正な評価ができるか全く信頼できないものであります。
 議案第19号は、県立高校と学科の廃止と改編を行うものであります。これは県立高校新整備計画に基づくものでありますが、現在、示されている後期計画にもかかわるものとなっています。その最大の問題は、生徒減少を理由に、地域に必要な、生徒も求めている小規模校を廃止するものとなっていることであります。
 第2に、統廃合計画のために、歴史も伝統も実績もある専門高校をなくす無謀なものとなっていることであります。位置づけのあいまいな併設校も見直すべきであります。
 第3に、総合学科高校の上からの押しつけと拡大は行うべきではありません。県内では総合学科の成果は示されておらず、慎重に検証すべきであります。高校改革というなら、受験競争の中でつくられた高校間格差と輪切りの教育こそ是正をすべきであります。
 教育長からは、地域の合意がなければごり押しするつもりはないという言明を確認しましたが、県教育委員会は、生徒と地域の切実な声をよく聞いて、尊重して後期計画を作成すべきであります。
 養護学校の高等部が一関と釜石に新たに設置されますが、入学希望者が急増しており、さらに対応を強化すべきであります。
 議案第22号は、簗川ダム建設トンネル築造工事の請負契約であります。簗川ダムは現在、全く必要のない盛岡市の利水問題の見直しが検討されています。農業用水も見直しの検討がなされています。見直しによっては治水だけのダムとなりかねません。簗川ダムは、ダム建設が本当に必要なのか根本から問われているのであります。建設事業を進める前に、簗川ダム事業の見直しを行うべきであります。既にダム問題の専門家による調査では、簗川はダムに頼らない河川改修によってこそ効果的な治水対策ができると提言されています。数百億円のむだ遣いを見直すことも可能であります。
 次に、請願陳情受理番号第12号教育基本法の早期改正を求める請願の不採択に賛成の討論を行います。
 教育基本法は、教育の目的に人格の完成を置き、平和的な国家及び社会の形成者の育成を掲げ、子供の成長と発達を何よりも大事にする教育の実現を目指したものであります。中教審答申でも、現行法を貫く理念は憲法の精神にのっとった普遍的なものとして今後とも大切にしていくとせざるを得なかったものであります。教育基本法を改正しようとしている内容は、教育の目的に国を愛する心、いわゆる愛国心を据え、政府が勝手に教育目標を決めて教育現場に指示、強制する教育振興基本計画を盛り込もうとするものであります。教育基本法は、国による教育への不当な支配を禁じ、教育行政の任務を教育条件の整備に限定しています。教育振興基本計画を基本法に盛り込み改悪すれば、政府が教育内容を勝手に決め、失敗済みの教育の不当な支配を正当化することになってしまうのであります。
 商工文教委員会の審査では、教育基本法にかかわる二つの請願が提出され、1年間にわたって慎重に審査してきました。結論としてどちらも採択に至らず、両方とも請願者に取り下げを求めることで一致したものであります。しかし、一方の請願者は取り下げに至らず、自民党だけの賛成で不採択としたものであります。委員会の合意事項に対する政党・会派のあり方が問われた問題でありました。
 以上述べまして私の討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)

〇議長(藤原良信君) 次に、小野寺好君。
   〔35番小野寺好君登壇〕


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