平成16年9月定例会 第9回岩手県議会定例会 会議録

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〇5番(関根敏伸君) 民主・県民会議の関根敏伸です。
 2度目の一般質問の機会を得ましたことに心から感謝を申し上げ、一生懸命質問をさせていただきます。
 さて、先日、地元における知事懇談会に出席する機会を得た私は、参加者の方々の行政に対する意識の高さに大きな刺激を受けました。県財政に対する大きな危機感、よりよい政策実現への要求と具体的提言、効率的行政運営の実現並びに行政と議会に対する能力向上への強い要求でありました。この厳しい時代に議席を預かる者の一人として大きな責任を感じた次第です。
 これからの県政運営は、政策本位の視点がますます求められます。そこで最初に、政策評価制度についてお伺いいたします。
 先ごろ県の総合計画の15年度政策評価結果が公表され、分野ごとの進捗状況などが明らかになりました。県の評価制度は平成9年度より逐次導入され、今年1月の条例化をもって本格的にその仕組みが整ったところであります。その目的は、厳しい財政下に政策を客観的に評価し、それをよりよい政策に反映させ、あわせて県民視点の行政運営を図ることにあったと思いますが、15年度の評価に当たっては、目的とするところがどの程度果たされたとお考えでしょうか。政策そのものへの評価が第1ステップであるとすると、第2、第3のステップがあると思うのでありますが、現状はどの段階にあると認識されておられますでしょうか。
 また、わかりやすい評価過程と評価結果の公表があり、それを受けての県民からの再評価を受ける、このサイクルがあって初めて県民視点の政策立案が可能になると思われるのですが、現状認識と今後の方向性はいかがでしょうか、総合政策室長より御答弁をお願いいたします。
 次に、行政の効率化という観点から質問いたします。
 今まで政府、地方自治体が独占してきた行政サービスを民間に開放する動きが加速してまいりました。民営化は手段であって目的ではありません。民営化すればすべてがうまくいくとの風潮には決して同感はいたしませんが、同じサービスなら少ない負担で、同じ負担ならよりよいサービスをと願うのは当然の住民感情であります。
 政府は、官と民が対等の立場で行政サービスへの競争入札を行う、いわゆる市場化テストの検討を行うよう提言をいたしました。前後して、経済産業省の行政サービスの外部委託に関するビジネスプラン研究会が報告書を発表いたしましたが、これによりますと、現在、行政が担っている具体的な11の業務について仮想入札を実施したところ、ほとんどの業務で大幅なコストダウンが可能であるとの結果が判明しております。本当に実施した場合、今のサービス水準が維持できるのか、委託が進んだ場合の職員配置はどうするのか、何より住民の理解が得られるのかなど問題はあるとは思いますが、業務によっては80%のコストダウンが可能との結果には本格的検討も必要かと考えます。地方自治体の代表の一人として岩手県からもこの研究会にメンバー派遣が行われていたと聞いておりますので、詳しい報告も受けているかと思います。
 また一方、公益的なサービスの提供主体となり得るNPOなどをめぐる動きといたしましては、支援・援助という段階から一歩進んだ動きが見られております。協働・対等という言葉が定着し、具体的な取り組みが県内でもなされておりますが、長野や千葉で検討されている県民税、市民税の一部を指定するNPOなどへの支援金とするといったような動きは、住民による行政主体の選別の時代の到来を感じさせるものがあります。こういった動きの中で、早くも官僚の天下り先としてNPOを利用する動きも出ていると聞いておりますが、逆から見ると、その存在価値と力量が官に認められつつある結果とも言えるのではないでしょうか。現に、若年者への雇用支援のためのジョブカフェ事業では、NPOが官をリードした形で運営が進んでいるようでもあります。もしかすると今の時代、行政並びに議会は、将来の自分たちのライバルを一生懸命育成しているときなのかもしれません。
 以上、行政の効率化に向ける民間開放の動き、NPO等をめぐる各地のより進んだ動きに対して知事はどのような所感をお持ちでしょうか。また、県政運営に当たり、これらの動きに対しどのような姿勢で臨まれようとしているのか、また、既に具体的な取り組み策などをお持ちであればお聞かせください。
 続きまして、地域産業の振興という観点から質問いたします。
 大型店の立地につきましては、大規模小売店舗立地法などのいわゆるまちづくり3法に基づいて、各市町村のまちづくりを基本としたゾーニングによって調整がなされることになっています。しかし現実には、郊外での土地利用規制の緩やかさ、投下資本の効率化などから全国津々浦々大型チェーン店の郊外立地が相次いでおり、各地の郊外ロードサイドは金太郎あめ的な様相を呈しています。法整備のねらうところの地域の特性を生かしたまちづくりとは言いがたい現象が起きているのが実情です。中心商店街の衰退、地場の小売業の廃業増加などは今さら言うべきこともない状況であります。楽しみながら1カ所において良質なものがより安く手に入るという消費者にとって大きな魅力を持つ大型店は、同時に、行政にすれば税収のアップとなかなか進まない工場誘致にかわる雇用の受け皿として大変な期待を持って迎えられております。現に、間もなく県南の金ケ崎、北上に相次いでオープンするイオン系大型店ではそれぞれ320名と100名の雇用が見込まれ、地域の有効求人倍率のアップに大いに寄与しているところでもあります。
 しかしながら、今こそ、大型店の持つそのような地域貢献度を認めつつ、さらに一歩進んで、地域との共存、新しいこれからの地域づくりという観点から、立地調整の必要性を模索する時代に入っているのではないでしょうか。地方都市の郊外に広がる豊かな田園風景は後世に残すべき大切な景観であり、そこに存在する優良な農地は、地域を支える第1次産業の柱となるべき資源であります。中心市街地から人や施設が流出することは、今後ますます進む高齢化社会にとっても望ましい方向ではないと思われます。さらに、この厳しい財政環境の中で、郊外へ郊外へと広がるまちづくりのために費やさなければならない社会資本整備のための財源は枯渇しています。国土交通省では、社会資本の効率的整備の観点から、中心市街地にある優良な資産を有効に活用するコンパクトなまちづくりへの取り組みを開始するとともに、まちに人口の呼び戻しを図る街なか居住再生策なども打ち出しております。また、大型店と地域の共生を促進するため、具体的な地域貢献策の届け出義務を出店条件に加えるべきとの提言をしている研究会もあります。大型店の立地の影響は一市町村にとどまらず、広域的なまちづくりと大きくかかわっているという現実を考えた場合、県の果たす役割はまことに大きなものがあります。
 以上、出店を規制するという観点からではなく、これからの地域再生、地方ならではのまちづくり、そして大型店の地域貢献と地域共生、以上の実現のために、大胆な仕組みと政策の構築に向け、県が主体となってビジョンをつくっていくことが求められます。部局横断的な研究会などを立ち上げ、具体的な検討課題に取り上げて法整備なども含めた国への働きかけなども検討すべきと考えますが、担当部長のそれぞれの御所見をお伺いいたします。
 次に、雇用拡大に向けた具体策についてお尋ねいたします。
 先週、金ケ崎にある関東自動車の増産体制に伴う1、500名の新規雇用のニュースが飛び込んでまいりました。県南、県央にとどまらず、県全体の雇用環境に大きな改善が期待できるところであります。先ごろの視察におきまして、トヨタ系車種のハンドルを生産する四国の工場を訪れ、絶え間ない生産性の追求により劇的な納期の短縮を実現している実態を目の当たりにし、自動車産業の現場とはこのように厳しいものなのかと認識を新たにしたところでありますが、これを機に、ぜひ県内地場企業の取引参入にも結びつけてもらいたいものと強く願うところであります。
 さて、知事並びに雇用対策局長は、昨年の議会答弁において、再三にわたり雇用におけるコールセンターの有効性を発言されておられます。この秋にも新たなコールセンター誘致が決定し、県内での操業は4社目となり、地域雇用の受け皿として着実な実績を上げているようであります。
 実は先日、ある企業から県内へのコールセンターの設置についての相談を受ける機会がありました。50名規模からスタートして、最終的には70名から100名程度で営業していきたいという希望でありましたが、岩手県と同時に北東北3県への進出をにらんでの検討でありました。結果、最終的には秋田県での設置を決定したとの連絡を受けたのでありますが、ポイントとなったものは、各県の助成制度の使い勝手の差であったようです。大変残念な思いで東北6県のコールセンターの支援状況を調べてみたわけですが、岩手に特徴的な部分として挙げられるのが固定資産投資額5、000万円以上の要件の存在であります。岩手には人材養成に対する支援など他県には見られない点があるものの、やはりこの初期投資の部分が進出においてのネックとなっているようであります。県政の最重要課題である若年層の雇用と沿岸・県北など雇用環境の厳しい地域への立地が期待できる点などを考えるとき、支援策の練り直しも必要と考えますが、今後のサービス業とコールセンターの誘致見通しなどとあわせて担当部長の御見解をお聞かせください。
 次に、教育政策全般についての質問に移ります。
 まず、義務教育費国庫負担金ですが、昨日も何度か質問に取り上げられ、知事の決意を持った答弁もお聞きしているわけでありますが、今議会の大きな論点にもなるものと考え、あえて質問いたします。
 この中には、地方分権論と義務教育論、そして国と地方の財源論、さらには国の各省庁間の省益と、いろいろな問題が複雑に存在しております。私は、増田知事の判断と知事会の決定に必ずしも反対の立場をとるものではありませんが、一部に指摘のあるように、義務教育の本質に触れられていないということと財源確保の確固たる道筋が描き切れていないということがやはり大きな問題だと感じます。
 そこで、私からも知事にお伺いいたしますが、義務教育とはどうあるべきか、そして、その義務教育を確実に推進するための国と地方の関係についてはどのような形が望ましいか、さらに、義務教育の機会均等とシビルミニマムを維持しつつ地方分権型の義務教育を実現していくとはどのようなことなのか、明確なお考えをお聞かせください。
 文部科学大臣の諮問機関これからの教育を語る懇談会が義務教育の改革案をまとめましたが、個々の中身はさておき、個人的には全体として大変説得力のあるものとの印象を受けました。
   〔議長退席、副議長着席〕
 なぜならその中には、義務教育期間の9年間で子供たちに身につけさせるべき資質、能力の最終到達目標が明確に示され、同時に、財源としての国庫負担制度を堅持するという国としての強い責任感と意思が感じられるからであります。多くの国民と県民が知りたいのは、最終的には義務教育がどの方向に向かうのかということと、制度の保障のための財源はどこが責任を持って負担するのか、そして、それが本当に実行できるのかだと思います。知事会としてここをはっきりさせない以上、現時点で義務教育を地方に移譲することに不安を抱えている国民が多数であるのが実態ではないでしょうか。過去の経緯を踏まえつつ、国民と県民に説得力のある答えが必要になると思いますが、いかがでしょうか、御答弁をお願いいたします。
 次に、高校教育について教育長にお伺いいたします。
 高校再編の後期計画は、各地において地域を巻き込んだ激論の末、今回その計画案が示されました。地域にとって高校というものがいかに大きな存在であるかをまざまざと感じさせられた出来事であります。今後は、一層地域住民との対話を進めながら、同時に議会での議論を積み重ねた上で良識ある最終決定を下されますことを切に願います。
 そこでまず、今回の議論の中心であった小規模校のあり方についてお聞きいたします。1学級2クラスで全校240名以下の高校は基本的に統合対象となり、また、後期計画ではその対象から外れたものの、西和賀高校、大迫高校などは3年後には再度の見直しを迫られております。今回のこのことを機会に、小規模校での教育のあり方、学校経営のあり方に一つの方向性をぜひ見出してほしいと思うものであります。定数に満たなくても学校としての活力を維持する方法があるのではないか、多様な人格、教育を目指す上で、小規模校ならではのユニークな少人数教育が可能にならないか、財源も含め、県と市町村、地域が一体になって学校経営をしていくことも可能ではないかなどであります。実験モデル校を選定の上、そこに優秀な職員を配置し、また、長期間にわたる腰を据えた経営に当たらせ、小規模校独自の教員の評価制度をつくり、学生の確保を含め一定の期間で一定の成果を上げさせる、そこに具体的な地域の関与を絡めていく、以上の実現を強く望むものであります。県教委と教職員、そして地元地域の3者の連携と強い学校経営への思いがあれば岩手モデルの小規模校運営が可能になると思います。そしてこれは、学校経営の問題にとどまらず、今後避けられない過疎地域の経営問題そのものとも考えますが、教育長の所感をお聞かせください。
 次に、民間人校長の件についてお伺いいたします。
 昨年、民間人ならではの企画力、経営力を生かし、職員の意識改革によって開かれた学校をつくるとの目的で民間人校長が登用されましたが、導入から半年が経過した段階での評価はいかがでしょうか。
 この試みの成功には、校長の経営能力はもちろん、教職員と地域の協力、理解が不可欠であると考えます。また、校長の経営方針と学校の歴史、伝統との調整など教育委員会としても心を砕きながら今後フォローしていくべき点が多々あると思いますが、これにつきまして教育長のお考え、現状を踏まえての具体策などがありましたらお聞かせください。
 次に、県立病院関連の質問をさせていただきます。
 私は、予算特別委員会におきましても同種の質問をいたしましたが、地域医療の確保には県立病院の健全経営の実現、収支の均衡が絶対条件であるとの観点からお聞きする次第です。
 改革プランによりますと、給与費につきましては、医業収入または勤務成績に応じた手当の支給が検討課題に挙げられておりますが、現状の進展ぐあいはいかがでしょうか。
 同じく、職員配置の適正化によって給与費総額の抑制を図る方向のようでありますが、これは一方で、職員1人当たりへの負担がかなり大きくなっているともとれなくはありません。現に、岩手の超過勤務手当の割合は、他県に比較し、かなり高くなっております。今年に入り、県内で労災事故が激増している実態が報告されておりますが、過度の職員の縮小などは医療事故の発生原因にもつながりかねず、絶対避けなければなりません。職員の適正人員を確保し、かつ総人件費を抑制するという両者の実現のためには、給与レベルそのものに対してかなり抜本的な判断を下さざるを得ないという現実があるのではないでしょうか。患者と地域と、そしてそこで働く職員の3者のために解決しなければならない大問題です。労使における踏み込んだ議論が必要な時期かとも考えますが、医療局長の御答弁をお願いいたします。
 次に、医療機器の購入に関し質問をいたします。
 平成15年度の県立病院の医療機器等への支出は25億4、000万円余りであります。この購入先についてでありますが、予算委員会の御答弁で、一般競争入札実施件数が22件、うち株式会社自治体病院共済会の参加が11件で、そのうち8件を落札、平均落札率は99.6%とのことでありました。県立病院を有する他県でもたびたび議会においてこの共済会の入札に関連した質疑がとり行われているようであります。全国の自治体病院の関係者が役員を占めるこの会社が毎年大きな利益を上げ続けている実態、この会社が落札したときの落札率と一般メーカーの落札率との間に大きな開きがあるという実態、予定価格そのものの設定に際し、この会社の関係者の深い関与実態があるのではないかとうわさされている現実、以上につきまして医療局長の御見解をお聞かせください。
 次に、花巻厚生病院と北上病院の統合による新病院についてお伺いいたします。
 新病院に対する住民の期待は大きく、各地域、各種団体よりさまざまな要望が出され、医療局としても意見の取りまとめに多くの苦労をされておるところかと思います。緩和ケア医療の充実、がんの早期発見に威力を発揮する最新高度の医療機器の導入などに一層の検討と理解をいただければと考えます。
 さて、新病院の医療機能の一つに小児・周産期母子医療の充実に触れておられますが、これに関連しお伺いいたします。
 妊娠後期から新生児の早期までの母親と子供の健康を総合的に守っていく周産期医療は、現在の少子化の現状を考えたとき、一層充実した体制確保が望まれる分野であります。花巻厚生、北上両病院では、それぞれ年間400件以上の分娩を取り扱っておりますが、近隣病院の産婦人科の相次ぐ撤退などを加味すると統合病院での取扱分娩数は1、000件に迫ることが予想され、県立中央病院の倍近い数になることが確実です。一方、医師確保の点から言いますと、不規則勤務や診療業務の負担の大きさ、さらに、医療訴訟の増大によって周産期医療を担う産科医師、小児科医師のなり手の不足が深刻な問題になっております。
 以上のような観点から、設備やスタッフを充実させ、医療事故のリスクをなくし、患者の信頼を獲得し、かつ勤務負担の軽減と医師の集中化による医療技術の向上及び医師確保の実現を目指す上でセンター化に前向きな検討を加えることが必要と考えますが、いかがでしょうか。花巻労災病院の撤退と今後の見通しが不明確な中で、計画策定時に比べて広域医療圏の環境が大きく変化してきております。子供を安心して産み育てる環境は、少子化の歯どめにも大いに貢献するものと思います。医療局長と保健福祉部長の御答弁をお願いいたします。
 次に、北上市で進んでいる農協合併の問題について質問いたします。
 市内にあります北上市農協と和賀中央農協は、平成17年3月の対等合併に向け準備を進めてまいりましたが、今年4月からの3回にわたる常例検査により、和賀中央農協の自己資本比率4%割れが発露し、その展開は大きく変化してまいりました。組合発表の自己資本比率8%を大きく割り込む検査結果に関係者は大変な衝撃を受け、合併は北上市農協による変則の吸収合併へと変わってまいりました。市長を会長とする合併協議会に農協中央会、県信連ら関係者が加わり、支援体制が敷かれ、7月26日、JA系統の二つの支援基金から合計6億円の資金贈与が実現、第1段階として自己資本比率4.5%を回復することができました。今後は、さらに残された来年3月の合併に向け、短期間でクリアしなければならない多数の問題が存在しておりますが、その取り組みと方向性について農林水産部長にお尋ねいたします。
 第1点、合併の前提となる自己資本比率8%の実現にはさらなるJAグループの支援が必要になると思われますが、その必要額と支援見通しについてはどのように把握しておられるか。第2点、支援の前提となる原因の徹底解明と和賀中央農協の経営実態、不良資産の根本的解明が必要であるが、どの程度明らかになっているのか。第3点、合併の実現と新農協の健全経営が今後の地域農業の安定にとって必要不可欠であるが、現状の両農協の実態からそれをどのようにとらえているか。そして最後に、一連の動きの中で、組合の指導・監督の立場にある県の責任及び関与の方法、支援策等はいかなるものをお考えか、以上お聞かせいただきます。この問題は、北上市農協、和賀中央農協合計7、000名の組合員への影響にとどまらず、地域農業の将来に大変大きな影響を及ぼしかねない問題であります。場合によりましては、県並びに行政としての大きなバックアップも必要と考えるものでありますが、前向きな御答弁をお願いいたします。
 さて、最後になりますが、安心・安全の社会の実現に向けて、犯罪の未然防止という立場から、情報管理のあり方とプライバシーの兼ね合いにつきまして担当部の御見解をお聞きしたいと思います。
 内閣府の実施した治安に対する全国世論調査によりますと、治安が悪くなったと感じている国民が87%であるとの結果が公表されております。また、70%近い人々が警察関係機関による犯罪等の積極的情報提供と、自治体、学校、警察などの連携強化を要望しているようであります。
 最近、岩手県でも、事件にはならなかったものの、この点について考えさせられる事例がありました。以前に子供を対象にした刑事事件を起こしたことのある人物が入院先の病院から行方不明になり、学校への影響を心配した警察が教育委員会へその事実を伝え、地域を巻き込んでちょっとした騒ぎになったという事例であります。この記事が発表された数日後、佐賀県で子供の誘拐殺害事件を起こし実刑を受けたことのある男が、出所後2年間の間に女子児童に対し強制わいせつ事件を50件も繰り返していたとの事件が報じられておりました。岩手の事例と比べてみて、ほっとしながらも改めて犯罪者の再犯率、同種の事件へのかかわりの深さを思い知らされたような気がいたしました。
 この情報提供に対して関係者からはおおむね好意的な意見が寄せられたとのことでありますが、一方、人権、プライバシーの観点から疑問視する法学者などの声も寄せられておりました。あのときもう少し情報が与えられていればとか、もう少し思い切った対策を講じていればとかの事例が余りにも多発する現状をかんがみ、今回の事例を機に、情報管理と情報提供、人権、プライバシーと公益、犯罪の未然予防等の兼ね合いを整理し、今後類似の事例が発生した場合に速やかな行動をとれるような体制をつくり上げるべき時期かと考えますが、いかがでしょうか。今回の事例の経過と、警察、教育委員会それぞれの立場での評価と法解釈、そしてそれらを受けての今後の取組状況等についてお聞かせをください。
 犯罪者のプライバシー保護は当然でありますが、悪いものは悪いという断固とした社会風潮を育て、仕組みとしてつくり上げることが求められているとも考えられるものであります。犯罪防止という今日的、国民的な公共利益とプライバシーという問題を県レベルでも大いに議論し整理していくときではないかと思われます。
 以上をもちまして質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 関根敏伸議員の御質問にお答え申し上げます。
 私も、ただいま議員の方から御指摘ございました行政サービスの外部委託に関するビジネスプラン研究会の報告書を読ませていただきました。これはアウトソーシングの方向性と民間委託を進めるに当たっての留意点が示されておりまして、大変示唆に富むものになっていると感じております。行政サービスの外部委託につきましては、民間にできることは、できるだけ民間にゆだねると、こうした原則のもとで、行政サービスの性質に応じて最も効率よく、かつ質の高いサービスを提供することが何よりも重要であると認識をしております。
 本県でも、今年度総務事務センターを設置して、旅費給与など事務の集中化を図っているところでございますが、また、新しい県立図書館におきましてはNPOやボランティアの皆さん方のお力を積極的に活用させていただきたい。こういう考えで今、検討しているところでございます。
 まず、この民間委託につきましては、許認可などの公権力の行使に当たるもの、それから公平性や中立性、また、高度な守秘義務が求められているものなどについては、基本的にはこの対象から除外することが適当であると思うわけです。さらに、委託の対象となる業務についても、サービス水準の低下や情報の遺漏などを防止する観点から、個々の業務についてそれぞれ委託の適否を検討していく必要があると考えておりますが、こうした検討を踏まえた上で、民間委託を進めるに当たっては、今後、次のような点にも十分留意していかなければならないと考えております。例えば、まず一つとして、事業者の選択に当たって適正な評価を行って、その選択に当たっての透明性を確保する。2番目は、サービスの質を確保するため、利用者の満足度が反映されるこの評価を導入する必要がある。3番目に、サービスの仕様やリスク分担、責任の所在を明確にする必要がある。4番目に、サービスの担い手となる民間、NPO等の育成を図る必要がある。それから、5番目には、委託に当たって、当然のことながらコスト分析を十分に行う必要がある。こういう五つの点が特に留意すべき点だと認識をしておりまして、今後はこのような課題を一つ一つ解決しながら、行政サービスの民間委託を進めていく考えでございます。
 次に、NPOなどの育成の問題でございます。この多様な県民ニーズに合わせたきめ細かいサービスの提供を考えた場合には、今の行政体ですべてそうしたサービスを提供するのはやはり不可能でございまして、また、一律平等に対応するという行政の原則そのものが、きめ細かな対応の障害となっている場合が多いということも言えようかと思います。これを克服するために、NPOなどの民間組織の力をかりることが必要でございまして、これからは県民、それからNPOを代表とする民間組織、それから県、市町村という行政、これら三者が対等のパートナーシップのもとで、それぞれ連携しながらサービスを提供していく新たな関係をつくり上げていくことが重要だと考えております。現在、県内で154法人がNPO法人として認証されているわけでございまして、高齢者などへの配食サービスの提供やデマンドタクシーの運行など、地域課題に対応した岩手らしい取り組みもふえてきておりまして、着実に活動が浸透してきていると、こんな実感を持っております。
 今後の方向でございますが、今申し上げましたこうした三者の協力、協調、そして協働、これによりましてそれぞれが機能を発揮して地域の課題に対応していくなど、こうした動きを加速させていくことが自立した地域社会の形成につながると考えております。このような考え方に立ってワークショップを開催して行政みずからが理解を深める必要があるということで、他の地域を見ますと、埼玉県志木市などの先進事例が数多くございますので、ワークショップを開催して行政自身が理解を深めるとともに、NPOのやはり自主性や自立性ということが大事でございますので、そういったものに配慮しながら、中間支援NPOを通じた間接的な支援ということを基本としながら、公募提案方式による公益信託いわてNPO基金による支援、それから予算の中に組み入れていますが協働推進事業、パイロット事業によりまして協働の推進を図るほか、マネジメント力の向上や活動情報の提供などNPOが抱える課題がございますが、そうした課題に対応した支援施策を平成15年度から平成17年度まで集中的に実施することとしておりまして、今後もその効果が発揮されるように努めてまいりたいと考えております。
 次に、義務教育の国庫負担金の関係でございます。
 まず、義務教育については、次世代を担う子供たちに、国民として共通に身につけるべき基礎的資質を培うものであって、極めて重要な政策分野の一つという認識を持っております。この義務教育の教育内容について、教育内容の全国的な一定水準の維持など、いわゆる教育の大枠を法律などで定めることは、これは国の基本的役割だと思いますし、そうした枠の中でどのような教育を行っていくかは地方の役割であって、そこに地域独自の工夫や知恵を生かして多様な教育を行っていくことが必要だ。そのためには、財源面でも地方の自由度を高めて、地方自治体の裁量の範囲を拡大していかなければならないのではないか。もちろんこの地方の財源について国がしっかりとした制度をつくって、その地方の財源というものを保障することが大前提条件になるわけですが、そうした上で財源面での地方の自由度も高める。こんなことが、昨日私が申し上げた主要な考え方でございます。
 こうした考え方に立ってまいりますと、教育の機会均等についても、例えば小学校などの設置基準や学級編制基準は、そういった基本的な指針については国が示して、その指針を踏まえた条件整備について我々地方の方が実施することによって、この教育の機会均等というのは達成できると思いますし、また、教育水準についても、国の学習指導要領等があるわけでございますが、これを踏まえて地方が適切な教育を行うことによりその水準を確保することが可能になるような姿というのを考えております。
 国が本当に今の制度の中で財源を確保することに強い決意を持っているかどうか、このあたりが一番大きなポイントではないかと思うわけです。今、御承知のとおり教職員の給与の2分の1は国が負担をするということですが、文部科学省もそれについての並々ならぬ強い決意を述べているわけですが、本当にそうだろうかどうかということがあると思います。昨年、一昨年来見ておりますと、御承知のとおり共済の長期給付、これは平成15年度に2、350億円ほどありますが、これは一般財源化されましたし、それから退職手当、義務教育の先生方の退職手当ですけれども、これも2、300億円ほどあるのですが、我々本当はこのとき余り、私もその段階では望んでいなかったのですが、これは結局昨年の暮れ、こういったものは国庫負担対象から外してしまうと、これはもうまさしく給与の後払いだと思うのですが、ですから給与の延長線で考えるべきものだと思うのですが、実はこれも財政事情もあっただろうと思いますが、文部科学省の方でさっさと一般財源化をするということが現実にあるわけです。昭和60年ごろから恩給費等が国庫補助から外れるなど、ここずっと一般財源化とか補助率カットの動きが強まっているということがあって、国が急にここに来て先生方の給料を本当に保障する並々ならぬ強い決意を持っているかどうかということがあると思います。一方で、これは義務教育ではないわけですが、高校教員について、これはもう完全に今、一般財源化されております――一般財源化されているのですが、特に不都合は生じていないわけで、我々は完全にそれを措置しているということでございます。
 ですから、私は昨日申し上げましたとおり、地方のこうした一般財源とした方がよりいいのではないか。ただし、それは前提条件としてしっかりとした税源の偏在の是正措置ですとか、それから交付税による調整をしっかりと行うというそういう前提条件を国がしっかりと満たす。あとは、これはもうそうしたことについての国の責任ではないか。こういうことを申し上げたわけでございます。この問題はこれからも大変大きな論点になると思います。知事会でああいう案を出しましたけれども、知事会の中にも、きのうお話しがございましたとおり反対の考え方を持つ知事もいるわけでございますし、大きな論点であるわけで、国と地方の協議機関というものが設置されて、この三位一体改革についてこれから協議をしていくと、きょうは9月の最終日でございまして、10月、あしたから、10月で恐らくこれは開かれると思います。その中でも大きな論点になるのだろうと思うのですが、私は国にまず、この我々が出したものについて国としての全体の対案を示してもらいたい。個別ではなくて全体の対案を示してもらって、その上で間違いなく義務教育の問題についても大きな論点になると思いますから、その中で重要な論点としてお互いにしっかりと議論をしていけばいいのではないか。そして、やはり大事な教育の問題でございますので、全体のそういう議論をしていく中で、私は、我々が申し上げましたとおり、地方がそういった財源をしっかり確保した上で、その教育の内容を充実していくという考え方に落ちついていけばいいと考えているところでございます。
 その他のお尋ねは、関係部局長から答弁させますので、御了承お願い申し上げます。
   〔総合政策室長照井崇君登壇〕

〇総合政策室長(照井崇君) まず、平成15年度政策評価の目的の達成状況と政策評価システムの現状認識でございますが、平成15年度分の政策評価については、本年1月に施行された政策等の評価に関する条例に基づき実施したところですが、第三者委員会である政策評価専門委員会の御意見をいただき、その客観性、透明性の確保に一層努めたところでございます。政策評価に当たっては、総合計画に掲げる221の主要な指標について、中間年次である平成17年度の目標値への到達度がどこまで達成されたのか、また、県民の満足度はどうかをもとに、78の分野別に総合的に評価を行い、おくれているとすればその原因と課題は何かなどについて、成果重視の観点から徹底的に検証したところでございます。
 この結果、例えば障害者が自立して参加できる地域づくりなどのように、指標の到達度や県民満足度が低い分野については、その原因や課題が明らかになったことから、これまでの事業の見直しや新たな事業の構築の必要性が明確になったと考えております。そこで、現在、各部局においては、この評価結果を踏まえまして、平成17年度に取り組む施策について、より効果的なものとなるよう検討しているところであり、今後それらを具体化した政策形成プロジェクトなどの事業を推進して、総合計画の目標の達成に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 このように、本県の政策評価システムは、平成13年度に本格導入して以来、毎年度評価手法の改善を図りながら、評価結果を次の施策に適切に反映させるというその機能が年々有効に発揮されてきておりまして、政策等の企画立案――プラン、実施――ドゥー、評価――シーのこのPDSサイクルが着実に定着しつつあるものと考えております。
 次に、政策評価の今後の方向性についてですが、政策評価に当たっては県民7、000人を対象とした意識調査の結果を評価に反映させるとともに、第三者委員会の御意見をいただきながら、毎年度改善を図ってきており、また、評価手法や評価結果については、県の全世帯配布広報紙やリーフレットなどによりまして、県民の皆様にわかりやすい内容で公表し、御意見を伺っているところです。しかし、現在の評価システムは内部評価にとどまっていることから、今後はこれに加えまして、例えばNPOを初めとする外部の方々がいわば生活者の視点に立って、県の政策や評価結果について自主的、自発的に外部評価を行っていただくことが望ましいと考えております。そこで、県民の方々に県の政策や評価結果について、これまで以上に関心を持っていただき、そして外部評価に取り組んでいただけるよう、よりわかりやすい形で情報を提供するなど、その環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長酒井俊巳君登壇〕

〇商工労働観光部長(酒井俊巳君) まず、大型店の立地調整とまちづくりについてでありますが、中心市街地については、人が住み、働き、交流する地域社会の核として、広く地域全体のまちづくりにおいて重要な役割を果たしていると認識しているところでございます。現在の中心市街地の活性化対策は、いわゆるまちづくり3法を中心に行われているわけでございますが、中でも大型店の出店については、周辺地域の生活環境の保持の観点から、大店立地法や都市の健全な発展と秩序ある整備の観点からの都市計画法などにより調整する仕組みとなっております。一方、大型店の適正立地による地域づくりについては、広範な商圏を持つ大型店の性格から、現行制度においてさまざまな課題があるとの指摘もあるところであります。
 このような中、他県において、大型店に関する立地調整と地域貢献を求める新たな仕組みを検討している例も承知しているところでございますが、県といたしましては、地域の特性を生かしたまちづくり、地域づくりにつきましては、まずもって商業者や地域の住民、NPO、行政などの多様な担い手による主体的な取り組みを支援していくことが大切だと考えているところでございます。現在、他県において検討している新たな仕組み――条例化などでございますが――これにつきましては他法令との関係や具体的な調整手法など課題点もあると聞いておりますことから、県としては、当面、情報収集、研究を行いながら、新たな仕組みの導入の必要性の有無について検討を進め、必要と判断された場合には、御提言いただきましたような部局横断的な研究会等の立ち上げも今後検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、コールセンターに関するお尋ねでございますが、現在の本県でのコールセンターの立地数は、盛岡市に4社であります。この4社での現在の雇用状況は約400名でありますが、最終的な雇用計画では4社で1、200名となっており、現在は計画の3分の1程度にとどまっております。したがいまして、現時点における課題といたしましては、こうした既存のコールセンターにおける人材の確保、雇用の拡大を図ることが急務と考えているところでございます。
 コールセンター事業者が地方進出を検討する際の判断材料としては、御指摘のとおり地方公共団体の各種優遇制度も重要な要件でございます。加えて重要な要件として、安定的な人材の確保のための一定規模以上の人口を有した地域であること、あるいは200坪から300坪程度の空きビルなど確保ができること、さらには、光ファイバー等の高速通信回線網が整備されたオフィス環境が整っていることなどが必要と言われております。
 いずれ今後の取り組みといたしましては、引き続き既存のコールセンターに対する人材の確保及び育成支援などのフォローアップを進めるとともに、こうした立地要件等を踏まえながら、現在、誘致折衝中の企業を初めといたしまして、新たなコールセンターの立地に向けて誘致活動を行い、雇用の拡大を図ってまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長佐藤敏信君登壇〕

〇保健福祉部長(佐藤敏信君) まず、まちづくりにおいて部局横断的研究会等を立ち上げてはどうか、それから保健福祉部のその場合の役割についてどうかという御質問でございます。
 県では、まちづくりを含めました県のすべての政策におきまして、ユニバーサルデザインの考え方に立って施策を推進していこうという方針を掲げまして、早くも平成5年には県庁内に部局横断的な協議の場を設けまして――これはひとにやさしいまちづくり推進会議と申しますが――総合的、計画的に取り組みを進めてきたところでございます。同時に、市民参加のまちづくりということを推進するために、平成7年には県民や民間事業者、それに有識者などで構成いたします、ひとにやさしいまちづくり推進協議会というものを設けました。さらに、この協議会の提言から生まれました公共的施設の点検を行うユニバーサルデザイン推進隊という活動をやっているわけですけれども、この活動におきましては、障害のある方御自身や市民ボランティア等の参画もいただきながら実施をしているところでございます。
 今後は、これまで蓄積してきたノウハウを生かしながら、新たに民間主導のより幅の広い推進体制を構築して進めていきたいと考えております。
 次に、周産期医療体制の充実についての御質問でございますが、県では、平成13年4月に総合周産期母子医療センター――これは岩手医大でございますけれども――地域周産期母子医療センター、それから協力病院、この三つから構成されます13医療機関というものを確保いたしまして、これ以外のすべての医療機関を含めた大きなネットワークというものを構築しております。これによりまして母体とか、あるいは新生児という方のリスクに応じて搬送など、あるいは医療などが的確に行われる体制が整備できたところでございます。これまでも県立病院におきましては、3カ所で地域周産期母子医療センターをお引き受けいただいておりますし、6カ所で協力病院をお引き受けいただいております。そういう意味でこのネットワーク体制の中で大変重要な役割を果たしていただいております。
 そういうことですので、今後新たに統合整備される病院におきましても、こうしたネットワーク体制の一翼を担っていただけるものと期待するものであります。いずれにいたしましても、周産期医療の充実というものは、安心して子供を産み育てられる環境づくりという点において最も重要な施策であると考えておりまして、今後も医療局ともども協力をしながら推進に努めてまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) 大型店の立地とまちづくりにおける県土整備部の役割についてでありますが、当部では、市街地の拡大を前提としたまちづくりから、既成市街地の優良な資産を有効に活用した、いわゆるコンパクトなまちづくりを基本理念の一つといたしました岩手県都市計画マスタープランを本年5月に策定したところでございます。今後は、このマスタープランの基本理念等を踏まえて、関係市町村が市町村マスタープランの見直しやその策定に取り組むこととしているところでございます。大型店の立地とまちづくりについては、具体的な出店計画が示された時点において、これらマスタープランを踏まえつつ、市町村が地域の将来の土地利用等の視点から検討することになりますが、当部としましては、関係部局と連携を図りながら、市町村に対して適切な助言等を行ってまいりたいと考えております。
   〔医療局長千葉弘君登壇〕

〇医療局長(千葉弘君) まず、県立病院事業における総人件費の縮減についてでありますが、県立病院改革実施計画におきましては、入院患者数の減少に対応しまして病棟の休止など、あるいは事務・検査等の基幹病院等への集約化、また、医事・調理業務等の外部委託の拡大などによりまして、業務量に見合う適正な体制に職員数を縮減することといたしております。しかし、一方では、必要な部門について実態に応じまして強化することが必要でありますので、例えば今年度の場合、大船渡病院、胆沢病院、磐井病院などにおきまして患者数や患者の重症度に応じて看護の夜勤人員の増員を図っております。また、育児休業取得者等の代替職員を増員するなど看護体制を充実したところでございます。この数が37名ございます。また、大東病院、二戸病院、宮古病院のリハビリ専門職員を増員したといったようなこともございます。これら全体を通じまして増減あわせて平成16年度は、看護、医療技術、事務職員等で職員118名を縮減したところでございます。
 なお、医療局職員の給与レベルのお話でございますけれども、地方公営企業法の趣旨を踏まえた県の条例におきましては、職員の給与は知事部局等の職員の給与の額を基準とし、企業の特殊性等を考慮して定めることとされておりまして、給料や扶養手当などの基本的な給与は知事部局等に準ずることが適当であると考えております。しかしながら、病院事業の特殊性から定められている特殊勤務手当につきましては、手当の趣旨や諸情勢の変化あるいは他県の支給状況などを踏まえまして、その諸手当の支給額などを抜本的に見直すとともに、超過勤務手当等につきましては、時差出勤の拡大など業務の効率化等により縮減することとしているところでございます。
 また、業績を反映した手当の支給についてのお尋ねでございます。これは現在、医師について検討を進めているものでございますけれども、これは必ずしも給与費の縮減のみを目指すものではなく、医師の勤務意欲あるいはモチベーションの高揚といったものをねらいとするものでございますが、この検討に当たりましては、医業収益などそれぞれの医師の業績を評価する上で、規模、機能の違いによる病院ごとの収益の格差あるいは診療報酬の違いからくる診療科ごとの収益の差をどのように評価するか、あるいは外科などのように診療材料を多く使う診療科があるわけですが、その費用をどのように反映させるかといったような課題が多くございます。そういったことで、他県の先進事例等も参考にしながら引き続き検討してまいりたいと考えております。
 次に、医療器械の購入と株式会社自治体病院共済会についてでございますが、自治体病院共済会は、自治体病院へ医療器械、医薬品等を適正な価格で提供することを目的としまして昭和46年に設立された株式会社でございます。医療用具の販売業あるいは賃貸業の資格を有している企業でございます。県が医療器械等の購入に際しまして、予定価格が2、900万円以上――これは15年度の場合ですが――につきましては、WTO、いわゆる政府調達に関する協定に基づきまして一般競争入札に付するとされております。当該企業についてもこの入札に参加できるものでございます。
 落札率が高いという御指摘でございますが、平成15年度に実施しました一般競争入札は御質問の中にもありましたように22件ございますけれども、この株式会社自治体病院共済会が参加したものは全部で12件でございます。いずれも複数の業者による競争、また、入札も複数回行われておりまして、適正な手順を経た競争の結果であると認識いたしております。
 また、予定価格の設定に当たりましては、県立病院での過去の購入実績、この実績がない場合あるいは少ない場合については他県の購入実績をも独自に調査し、それに基づき予定価格を設定しているところでございまして、機密保持につきましては細心の注意を払い、厳正に行っていると考えてございます。
 次に、花巻厚生、北上病院の統合病院の小児・周産期母子医療についてでございますが、現在、県立北上病院は、岩手中部医療圏における周産期母子医療センター協力病院に指定されておりまして、同じく協力病院であります北上済生会病院や他の医療機関との連携のもとに、正常分娩のほか、ハイリスク妊婦や異常分娩、異常新生児など小児・周産期母子医療に対応しているところでございます。
 今後、統合病院の整備に当たりましては、産科及び小児科の医師体制の充実と専用の医療機器の整備を行うなど、圏域の新たな広域基幹病院としてふさわしい体制の強化に努めまして、あわせて、他の医療機関との機能分担と連携を図りながら、一層の小児・周産期医療の充実に努めてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 北上地区の農協合併についてでありますが、まず、支援必要額とその見通しについてでありますが、和賀中央農協におきましては、現在、来年3月の合併に向け、今後の経費の節減や役員負担等の自助努力も含めた組合の財務状況を明らかにする作業を行っているところであり、今後さらに北上市農協及び農協系統組織がこの財務状況の精査を行い、自己資本比率8%の確保に必要な支援額を確定すると伺っており、この支援必要額がはっきりするまでにはもうしばらく時間を要するのではないかと考えております。
 また、県域の農協系統組織におきましては、この所要額が確定した段階で支援額の規模等を勘案し、県域あるいは全国からの支援を行うこととしていると承知しております。
 次に、原因の徹底究明と和賀中央農協の経営実態等についてでありますが、今回の常例検査におきましては、融資実態等を踏まえ、農協法等の法令等遵守態勢の確立等46項目について強く改善を求めたところであります。現在、和賀中央農協におきましては、この常例検査の結果も踏まえ、今回の事態に至った原因と責任の所在を明らかにするため、弁護士等で構成する調査委員会を設置し、鋭意調査に取り組んでいるところであり、県といたしましてもこの調査結果を注視しているところであります。
 合併実現のための手順と見通しについてでありますが、今後、和賀中央農協の財務状況を確定する作業や調査委員会の報告を踏まえ、両農協で組合員座談会を開催し、その後、両農協の合併総会等において最終的な合併の意思決定がなされるものと承知しております。合併につきましては、両農協間に財務問題等さらに調整を要する困難な問題があるものの、来年3月の合併を目指し、限られた時間の中でこれらの課題の解決を図るべく、両農協及び農協系統組織において最大限の努力が行われているところであります。
 次に、合併後の新農協の健全運営についてでありますが、北上市農協においては多額の繰越欠損金を抱えており、合併後の経営も厳しい状況となることが見込まれますが、今後は、健全な農協経営を目指し、事業の合理化や事業体制の改善に努め、合併のメリットを最大限に生かした組合運営を図ることが重要と考えております。
 最後に、こうした一連の動きの中での県の責任及び関与の方法、支援策についてでありますが、農協の経営改善につきましては、当該農協の徹底した自助努力を基本としつつ、農協系統組織の最大限の支援が必要と考えております。他方、農協は地域農業振興の中核的な役割を担う事業体でもあることから、県といたしましては、農協系統組織の主体的な取り組みを支援し、来年4月のペイオフの全面解禁等農協をめぐる厳しい経営環境のもとで自立できる農協として再構築することが重要であると考えております。このような考え方のもと、県といたしましては、合併に向けた取り組みが着実に推進されるよう、経営改善のための県の組織を挙げた濃密な指導、合併協議会等における指導・助言などを通じて、地元の北上市と連携を図りながら農協系統組織の主体的な取り組みを促進するとともに、農協の経営改善のかぎとなる農業生産の振興に向けた新農協の取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えているところであります。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 小規模校の実験モデル校選定の御提言に対する所感についてでありますが、本県の中学校卒業予定者数は、引き続く少子化により今後とも大きく減少することが見込まれます。このことは、現在の学校数を維持したまま中学校卒業予定者数に応じた学級減を行っていけば、全県的に学校規模の縮小が一層進み、生徒にとって魅力と活力のある教育環境を維持することが非常に困難になると考えられます。
 このたびの県立高等学校新整備計画後期計画(案)は、こうした現状を踏まえ、社会の変化や生徒のニーズに対応し、広域的な視点に立ち、特色のある学校、学科の適正な配置など、生徒にとって活力のある望ましい学びの環境を整備する方向で広く県民の方々の意見を伺い、十分に検討を重ね、策定したものであります。このように、望ましい学校規模の確保、教員の配置も含めた全県的な視野に立った適切な学校、学科の配置などを基本とする後期計画の案をお示ししたわけでありますが、今回、議員から御提案のあった小規模校の実験モデル校選定につきましては、大変示唆に富む貴重な御提言と受けとめさせていただきたいと思います。
 次に、民間人校長についてでありますが、既に御承知のとおり、民間での経験を生かした組織的、機動的な学校運営と学校職員の意識改革により、特色ある開かれた学校づくりを一層推進することや、実社会の動きに即した学校経営などを期待して2人の民間人校長を任用したところであります。配置してからまだ半年ということもあってその成果等についてはまだ申し上げる段階ではないわけでございますが、生徒や保護者のニーズにこたえるために、あるいは実社会が欲している人材の育成を図るために、民間企業での経験を生かした経営方針を掲げ、教職員とともにさまざまな改革に積極的に取り組んでいるものと認識いたしております。
 また、教育委員会としてのフォロー等についてでありますが、学校運営に当たっては、御指摘のとおり、学校の歴史、伝統などを念頭に置きながら、教職員と地域からの理解と協力のもとに進めるべきものであります。このことについては、着任前の事前の研修において十分意を用いたところであります。また、民間から任用した校長の学校に対しましては教頭2人を配置したほか、校長には、教職員と地域の方々と議論を重ねながら学校運営に当たるよう折に触れて助言をしているところであります。今後とも、これらの取り組みを通じて、適切な指導・助言をしていきたいと考えております。
 次に、安全・安心な社会の実現に向けての情報管理のあり方についてでありますが、まず、その経過について触れてみますと、盛岡東警察署の情報として盛岡市教育委員会から情報提供があり、それに基づいて県教育委員会では、市内の県立学校20校、それから盛岡教育事務所を通じまして管内市町村教育委員会に緊急連絡をしたところであります。県の教育委員会といたしましては、児童生徒の下校時間が迫っている状況にもありましたことから、児童生徒の安全確保を第一に考え、各学校等に情報提供したものであります。この提供については適切な判断だったととらえております。
 児童生徒が被害者となる事件が相次いでいる中、犯罪被害から児童生徒を守る上では、関係する機関同士が相互に連絡をとり合うことによって情報を共有し、防犯対策に努めることが大変重要であります。しかしながら、この場合にありましても、各市町村教育委員会や各学校などに情報提供するに当たりましては、個人のプライバシー等に十分配慮しながら、情報内容の緊急性、危険性について判断の上、速やかな対応に努めていくべきものと考えております。
   〔警察本部長山内正和君登壇〕

〇警察本部長(山内正和君) 御質問のあった事案は、ことし8月に盛岡市内で入院中の男性が外出中に行方不明になり家族などから捜索願が出されたもので、この男性は、過去に児童を対象とした凶悪事件を起こしていることなどから、そのプライバシーにも配慮しつつ、下校時の児童生徒の安全確保のため、教育委員会に情報提供したものであります。
 県警察としては、今後とも関係機関などと連携を密にするとともに、関係者の人権やプライバシーに配慮しつつ、具体的な事案ごとにその必要性、緊急性等を総合的に判断し、県民の皆様の安全のために必要な情報は積極的に提供してまいりたいと考えております。
 公共の安全と秩序の維持に当たる警察といたしましては、今後とも、社会悪、違法行為者に対してはこれを看過することなく安全・安心な社会の確立のため努力してまいる所存でありますが、他方、地域社会の安全・安心の確保は警察のみでできるものではなく、このためには規範意識の涵養が必要であることは言うまでもなく、また、地域社会の安全は自分たちみんなで守るという意識を高める上でも県民の皆様の間で議論が深められることが不可欠と考えております。

〇5番(関根敏伸君) どうも御答弁ありがとうございました。何点か再質問させていただきます。
 まず、知事にお伺いいたします。義務教育のことでございます。
 再三にわたるお話で恐縮な部分もあるんですが、私の印象といたしましては、質問でも述べましたとおり、今回のことは、地方分権の見地、それから財源確保の見地、義務教育そのものの見地、大きく分けて三つの本質があると思うんですが、今回の知事会の決定は、やっぱり地方分権が先にありきということが一つ、財源論が不明確、本質論については深まった議論がされていない、私はこのような認識を持っているわけであります。そうして見たときに、知事として、こういった今の知事会の決定が県民並びに国民に受け入れられているとお考えかどうかをまず1点お聞かせいただきたいと考えております。
 御存じのとおり、この件につきましては、昭和25年に一度国から地方に移譲したものが3年間でもとに戻ったという経緯があるんですが、その当時の経緯と比べて、今は大きく環境等も変わっていると思います。知事そのものの力量等も大きくアップしている部分だとは思うんですが、25年当時と比べまして、今回はこういった形であるから将来にわたってきちっとした対応ができるといったお考えをきちっとお示しいただければと思っております
 第2点目でございますが、これは知事の発言ではないんですが、宮城の浅野知事がこの件で述べたときに9番バッターだという言い方をされていました。意味するところがよくわからなかったんですが、要は、この義務教育の国庫負担金は地方への縛りの部分が非常に少ないお金である。確かにそのとおりですね、教育費の2分の1ですから。人件費の2分の1ということであれば、ある意味使途というのは明確に決まっているわけでありますから、そういった意味で国から地方への関与の仕方というのは非常に少ないお金だと思うんです。とした場合、きのう吉田議員も触れておりましたけれども、これを一般財源化した場合、果たしてそんなに大きく地方の自由度というか、地方の側でも義務教育が推進できる部分になってくるのか若干見えづらい部分があるものですから、この件に関しましてしっかりとしたお答えをちょうだいしたい、このように思っております。
 それから財源の部分でございますが、再三にわたりまして、知事としては責任を持って措置をする、国からの財源確保につきましてもきっちりとした道筋をつけるという御答弁をいただいているわけでございます。それはそれで責任を持ってやられるということでありますからいいと思うんですが、現状、例えば岩手県の場合、小学校と中学校あわせて1万人の教職員がいるわけですが、約850億円の教職員費がかかっているわけです。これがそのまま2分の1かどうかわかりませんが、約400億円程度が国からこのような形で財源が確保されているということになるわけでございますね。今後、何らかの事情で財源の確保が当初もくろんだものと大きく変わってきた場合、この400億円はきっちりと保持するとした場合、逆に言うと県全体のいろいろな予算にやはり大きな影響が出てくる可能性があると考えるんですが、その件に関してはどのようにお考えであるかまずお聞かせいただきたいと思っております。
 それから、医療局長にお伺いさせていただきます。人件費のことでございますが、かなり踏み込んだ議論になると思いますので余り深くは言いませんが、手当の部分ですね。医師等に対して経営意識の高揚等を踏まえて手当の検討をしているということでございますが、これはいつごろをもくろんで実現化に向けた動きをしているのかといったことをまずお聞きかせいただきたい。それが各病院の経営にどの程度反映されてくるともくろんでいらっしゃるか、その医師の意欲がどの程度改善に結びついてこられるか、どのようにお考えであるかをお聞かせいただきたい、このように思っております。
 それから、医療機器の部分でございます。適正な形で入札が行われて落札されているという御答弁でございましたが、これはさっきも言いましたが、公立病院を有しているいろいろな自治体でこの問題が取り上げられておる実態があります。どこにおいても自治体病院共済会の落札率と一般メーカーとの落札率との間に10%近い開きがある、このような実態が指摘されておるわけであります。ここにありますが、先ほど言いました自治体病院共済会の落札が8件、落札率が99.6%でございます。中には100%という落札率が3件ほどあります。総体として99.6%。片や自治体病院共済会以外のいわゆるメーカーが落札した場合でございますが、14件で92.57%、県の場合ですと約7%近い開きが現実としてあるわけでございます。この一般メーカーの落札状況を見てみますと、これは全部が全部ではありませんが、70%台ですとか60%台といったものがぽちぽちと見受けられるわけでございます。これが自治体病院共済会でいえば100%、低いところでも九十六、七%という落札状況になっているということであれば、これはどうしてこういう状況になるのかある意味不思議なわけです。病院共済会というところはメーカーそのものではないでしょうから、メーカーから医療機器を仕入れてペーパーマージンか何かで所得を得ているところだと思うんですが、とすれば、本質的に考えると、メーカーから落札するよりそもそも高い価格で買わざるを得ない状況になると思うんですが、自治体病院共済会を使うメリットというのはどのような部分があるのかということと、より一層競争原理を働かせた入札の方法が検討できるのではないか、このようなことでもしお考えがありましたらお聞かせいただきたい、このように思っております。
 それから、教育長にお伺いいたします。小規模校につきましては、私が一方的に希望しますという言い方をしておりましたが、本当にいろいろな意味で小規模校というのはどんどんふえてくるわけです。これは小規模校だけではなくて、中規模校も大規模校も今後少子化の流れが加速するとどうなっていくかわからない。ですから、いろいろな意味で学校そのものの経営能力をどんどん高めていかなくてはならないと思っているわけですが、そこで基本になるのは、教育委員会側の学校経営に向けた職員体制をどう構築していくかということと、今後地域の力をどうかりていくか、こういった視点が本当にますます重要になると思います。学校評議員制度ですとかいろいろな形は、いわゆる地域の考えをどんどん経営に反映していこうというあらわれの一つだと思うんですが、今まさに地域は、学校が欲しいとどこでも言っているわけです。何とかなくしてほしくない。学校を置いてほしい。地域としてもやれるところはやっていこうということで住田高校なんかも声を上げているわけでありますから、その地域の声をもっと吸い上げる観点があって、地域と一緒に経営をしていくという観点があってもいいのではないかという気がしております。
 この問題は、いわゆる生徒の活力ある教育環境の保持がまず挙げられておりまして、その目安となるものが全校240名という形になっているわけですが、裏返して言いますと、これは学校経営の財源の問題、財政の問題という部分も当然あろうかと思います。ですから私は、今後この小規模校を考えていくときに、まあ、隠しているわけではないと思うんですけれども、財政の問題もある意味オープンにして、小規模校の経営実態というのはこうなんだ、こういったことを踏まえて、なおかつ子供たちの教育環境を育てながら何とかして経営をしていくにはどうすればいいのかということをオープンにして、地域と一緒になって考えていくともっと解決策が出てくるのではないか、そんな気がするわけです。一方的に教育環境はこれだということだけで、その根拠がはっきり示されないままに今の方向性が決められておりますが、裏の経営、学校の財政状況ということも大っぴらにした上で地域と一体となった経営を模索していけば、恐らく地域としても、具体的ないろいろな地域としての取り組みですとか協力態勢にかなり積極的な案が出てくるのではないか、このように考えているわけでございますけれども、その辺の観点についてはどのようにお考えかお聞かせいただきたいと思っております。

〇知事(増田寛也君) 順次お答え申し上げますが、まず義務教育の関係で、国民あるいは県民の皆さんの理解が大分進んでいるかどうかという第1点のお話があったんですが、これは、国民あるいは県民の中にも随分さまざまなお考えを持っている方がおられるだろう、だからこそこの問題については随分各地域で大きな問題になっている、こういう認識をしております。これは教育の大事な問題でございますので、それぞれで考えていただく必要があると思いますし、それから、三位一体改革も地方自治に携わる者にとっては大事な話ですから、例えば義務教育を対象にしないというのであれば、では、三位一体改革の3兆円――まあ、とりあえず3兆円と政府から言われているわけですが――は何を対象として積み上げていったらいいか対案を出すとか、それから教育については、ここは共通点だろうと思いますが、やはり教育の水準、充実・確保、中身の向上といったところは皆が望んでいることだろうと思うので、それについて地方のさまざまな工夫をどういうふうにその中に入れる方途があるのか、そのあたりを建設的な案を持ち寄ってやっていくことが必要ではないかと認識しております。
 それから、シャウプ勧告を受けた義務教育費の一般財源化がございました。これは、たしか私の記憶だと昭和25年から27年にかけてのときだったかと思います。平衡交付金の中にそれが入れられて実施されたわけですが、その当時は敗戦直後でございましたので、その後もそうですが、まだ全国各地域で大変地方財政が疲弊していた時期でございまして、その疲弊度合いは今の地方財政の比では到底なかったわけでございます。そうした中での平衡交付金での制度ということでございますが、これは明らかに今と置かれている状況が違いますし、地方自治の人的な体制も含めた能力が非常に高まってきて、成熟化しております。そうしたこともあるので、直接的な50年前との比較はできないと考えております。
 それから9番バッター、これは宮城の浅野知事だけではなくてほかの方も言っているんですが、これはこういう意味だと思います。義務教育をねらい撃ちで4番バッターに据えたり、それから1番バッター、2番バッターというより、むしろ奨励的補助金あるいは公共事業、それから公共事業ではないんですが、ごみ焼却炉のようないわゆる箱物施設とかをリストの対象に入れて、地方の自由度あるいは裁量権をもっと発揮させる余地、そういうグループがもっとほかにあるのではないか。その上で義務教育というのは一番最後のグループ、ただし、対象にはすべきだと。そのメンバーとして一軍の9人の中には入るけれども9番バッターという趣旨で、私もかなりそれに近いものは持っています。今回、特に大きな議論になっていますが、公共事業などは税源移譲されないんですが、これは明らかにおかしいので、そういったものも地方の工夫が一番発揮しやすい分野ですから、奨励的補助金ですとか公共事業とかもしっかりと入れる。ただ、今回のリストの中に2期改革も含めて全体を入れてありますので、そういう意味では配慮されていますが、そういう意味で言っているんだと思います。
 それにしても、今の義務教育を入れることによって、今、総額裁量制という形になっていますけれども、これはきのうも申し上げましたが、大分昔よりは使い勝手がよくなったと言われていますけれども、ことしの初年度を見る限りは特に変わったところはなくて、給与単価が大蔵の査定が入っていますから現実には不足分が生じていて、特昇分などがその中で見られていないということもあって、特に裁量を発揮させるぐあいにはなっていないということがございます。一般財源化すれば、それを我々の判断で教育の中でさまざまなものに使えますから、私はその方が比較の上では自由度が高まるんだろうと思いますが、その比較する相手の総額裁量制がことし初年度ということもあるので、まずそちらの方の対応をもう少し見ていく必要があるかもしれません。
 それから、県全体の予算の中で完全に措置をしなければならない、そういう優先度の高いものだと思っていますので、私は、これが一般財源化された場合には、当然のことながら県予算の中で優先して措置をしていかなければならないという判断をしています。これは、ほかのものが仮に犠牲になっても、幾つかいろいろな優先度があると思うので、それだけやらなければいけないものはやっぱり義務教育だろうと思っています。
 ただ、そういう事態にもし追い込むような政府の対応があれば大変問題だと思います。というのは、一方で国庫補助負担金を廃止しておきながら地方に必要な財源を渡さないということは国がどこか別に使うということですから、これは小泉政権あるいは政府の大変な責任問題が生ずるし、そういうことがあれば、私は多くの地方自治体が黙っていないだろうと思いますし、国民もやはり黙っていない。我々は向こうが嫌だと言っているものを出したのではなくて、求められて出したもので、大変議論がある中でもああいうリストを出したわけですから、そういうリストを十二分に尊重してしっかりとした措置をとるべきだ。その中には全部の解決方策が書いてありますので、それをぜひ実現していただきたい。そのことに地方団体が力を合わせて行動していくべきではないかと考えているところでございます。

〇医療局長(千葉弘君) 2点お尋ねがありました。
 1点目は、医師の業績を反映した手当についてでございまして、ねらいなり期待するものは何か、それから時期をいつごろをめどにするかということですが、まず、そのねらいというのは、やはり病院というのは医師がいなければ何ともなりませんし、やはり医師の意欲なり技術に非常に左右されると私は認識しております。現実に医師は大変不足ぎみでございまして、診療科によるアンバランスもありますし地域差もございますけれども、夜勤をした翌日も外来をやるとか、そういった条件もさることながら、その意欲をどうやって維持するかということ。働けど働けどいつも同じ金額しかもらえないといった不満もあちこちから聞かれるということがございます。そういった意味で、医師の実際の業績をできるだけ反映させる仕組みをつくってやりたいということでこういったことを課題として掲げ、今、検討しているところでございます。
 その時期につきましては、先ほど申し上げましたとおり、いろいろな問題がございます。どうしても必然的に診療科で違うということもございますし、同じ診療科でも地域によって違うとか、他の診療科との関係でも違うとか、いろいろな難しい問題がございます。例えば手当のすべてを業績に応じたものにすることは無理だろうと思いますので、限定的にそういった業績をある程度反映したものにしていくというのは一部の他県でやられているところでありますけれども、そういったものを参考としながら、今、鋭意検討しているところでございます。時期なり、実際に具体化する場合には、労働組合ではございませんが医師の県立病院の団体がございまして、この団体と話し合って決めていくのがルールでございます。そういった協議の場をこれから近々設定する予定でございますけれども、それらを通じまして、できるだけ早く合意のもとに実現したいと考えております。
 二つ目の自治体病院共済会の関係でございまして、おっしゃるとおり、非常に予定価格と近似した率で落札している事実がございます。まず、より競争性を高める方法はないかというお尋ねですが、先ほどお答えしましたようにWTO案件でございまして、特定業者を排除できない、一定の資格があればすべて受け入れてそこで競争させざるを得ないということで、なかなか思い当たらないのが現実でございます。
 共済会の参入するメリット、これは今申し上げたとおりでございまして、逆に拒否できないということで、競争の結果で何ともやむを得ないのかなと。ただ、2、900万円以上、いわゆる高額な器械の入札でございますので、例えば建築とか土木のように予定価格を設定する際に人夫賃だとか資材費だとかを積み上げてやるものではなくて、器械の購入ですので、実勢価格をどう把握して予定価格を設定するかだと思います。前の委員会で私申し上げてございますが、医療器械は定価というのは一応あるんですが、あってないようなもので、30%とか40%、下手すると30%を切る実勢価格というのがありますので、やはりその実勢価格の調査が予定価格を設定する際の決め手になります。そういう意味で、自治体病院共済会は過去の実績の情報収集にたけているのかなという気もしますし、質問の中にございましたが、共済会に予定価格に関しての情報が漏れているということは、うわさとしても承知しておりませんし、事実関係としても一切承知していないところでございます。
 さらに、直接メーカーから購入してはいかがかというお話もありましたが、現実問題として、例えば地元の業者もそうですが、医療器械の場合必ず間に卸売業者が入っております。自治体病院共済会もその卸売業者の一つという位置づけでございますので、その辺で御理解をいただきたいと思います。

〇教育長(佐藤勝君) 小規模校についてでありますが、御案内のとおり、岩手県には77の大小さまざまな高校がちりばめられて、その学校それぞれがその地域に支えられて運営されております。それだけに、地域と大変密接な関係にあるものと私は思っております。
 今回の計画を策定するに当たりまして一番腐心したことは、各学校それぞれ小さい学校もあれば大きい学校もあれば、あるいはさまざまな学科を持って特色を出している学校もあれば、いろいろあります。その学校がいずれもその地域に根差して、地域の方々に支持を受けて頑張っている中にあって、今回少子化であるとか、そういう中で果たして統合というのはどうだろうか、これは計画策定に当たりましては大いに我々検討したところであります。しかし、一方もっと大事なことは、子供たちのニーズあるいは本当に今そのまま小規模校として――これは先ほど本質問でも御答弁申し上げたようにますます小規模化するわけですから――そのまま放置しておいて本当に子供が幸せなのか、子供にとってどうだということを考えながら、やはりここは、本当の学校の活力あるいは子供たちが本当に望む方向、その望みを現実に引き出してやる教育、つまり、教育の環境をよりよく、今も一生懸命頑張っているわけですが、さらにいい環境をつくり上げるにはどうしたらいいかということで、いろいろ地域に入ってお話を伺いながら策定したわけであります。私も各地区にかなり足を運んだつもりでありますが、今、議員から、学校と地域は切っても切れない、あるいは大変密接な関係にあるということをもう一度改めてお示しいただきました。そういうことで、もっと深く議論しなければならないのかなとも思っております。
 しかし、財政の話なんですが、私は、よりよい教育環境をつくることによって、やはりある程度の集団がなければ本来の教育の目的を達成できないのではないか、それを子供が本当に望んでいるのではないか、そういうことから、今回ある程度の広域的な視点から統合できるものは統合してやろう、同時に、今の時代に合った学科編成というものを考えていこうということから今回の計画をつくり上げたものでありますが、財政的なものは、その結果として効率的な高校運営に結びつくのではないかと思っております。
 いずれ、私どもさらに地域の声を聞きながら、それから開かれた学校、評議員制度も県立高校の場合は特定の学校を除きましてはほぼ100%つくり上げましたので、真に生きた評議員制度というものを活用しながら、地域にいかに貢献するか、あるいは地域からどういう期待をされているか、それに十分こたえるような学校運営を目指したいし、また、今回の計画もそのような趣旨に沿って私どもは進めているつもりですので、何とか理解いただきたいと思っております。

〇副議長(菊池勲君) この際、暫時休憩いたします。
   午後4時14分 休 憩

出席議員(48名)
1  番 亀卦川 富 夫 君
2  番 中 平   均 君
3  番 ザ・グレート・サスケ 君
4  番 木戸口 英 司 君
5  番 関 根 敏 伸 君
6  番 野 田 武 則 君
7  番 平 野 ユキ子 君
8  番 高 橋 雪 文 君
9  番 嵯 峨 壱 朗 君
10  番 平   澄 芳 君
11  番 工 藤 勝 子 君
12  番 平 沼   健 君
13  番 柳 村 典 秀 君
14  番 飯 澤   匡 君
15  番 田 村   誠 君
16  番 大 宮 惇 幸 君
17  番 千 葉 康一郎 君
18  番 新居田 弘 文 君
19  番 工 藤 大 輔 君
20  番 川 村 農 夫 君
21  番 樋 下 正 信 君
22  番 照 井 昭 二 君
23  番 柳 村 岩 見 君
24  番 阿 部 静 子 君
25  番 阿 部 富 雄 君
26  番 斉 藤   信 君
27  番 田 村 正 彦 君
28  番 佐々木 順 一 君
29  番 佐々木   博 君
30  番 及 川 幸 子 君
31  番 阿 部 敏 雄 君
32  番 吉 田 昭 彦 君
33  番 小野寺 研 一 君
34  番 千 葉   伝 君
35  番 小野寺   好 君
36  番 伊 沢 昌 弘 君
38  番 吉 田 洋 治 君
39  番 佐々木 一 榮 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 渡 辺 幸 貫 君
42  番 高 橋 賢 輔 君
43  番 藤 原 良 信 君
44  番 佐々木 大 和 君
45  番 藤 原 泰次郎 君
46  番 菊 池   勲 君
47  番 工 藤   篤 君
48  番 小 原 宣 良 君
51  番 佐々木 俊 夫 君

欠席議員(1名)
50  番 佐 藤 正 春 君
   

説明のため出席した者
休憩前に同じ
    

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ

午後4時34分 再 開

〇副議長(菊池勲君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。柳村岩見君。
   〔23番柳村岩見君登壇〕(拍手)


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