平成16年9月定例会 第9回岩手県議会定例会 会議録

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〇23番(柳村岩見君) 自由民主クラブの柳村岩見でございます。
 具体的に通告させていただいておりますので、明快な御答弁をお願いいたします。
 国と地方の税財政を見直す三位一体改革で、政府が全国知事会初め地方6団体に求めていた3兆円規模の税源移譲に見合う国庫補助負担金削減の改革案が、難航の末、先月、地方と国との協議機関設置等を条件として政府に提出されました。増田知事は、三位一体改革の平成17年度、平成18年度の1期改革に対して、早くから地域自立戦略会議のメンバーとして、また、知事有志による連名での緊急アピール等の活動がありました。今回の全国知事会が改革案を取りまとめる過程においても大きな役割を果たされました。一連の流れの中で、国の政策の枠組みに対して全国の知事が意見集約すること、そのプロセスや一定の関与は結果として地方自治体の自由度が向上し地方分権が一層進むことになり、一定の評価をするところであります。今回の一連の流れが意味するものが何なのか、増田知事の御認識についてお尋ねをいたします。
 改革案に義務教育費国庫負担金の一部、中学校教職員給与が盛り込まれましたことは決して小さいことではないと思います。国民的議論がなされていないことはもちろんのこと、県民にとっても県議会でも議論のなかったことであります。今後、国と地方の協議の場が設置されチェック機能が働くとしても、どの程度税源移譲されるか、地方交付税による方法での財政措置の実行等不透明であります。平成19年度、平成20年度の2期目の三位一体改革では現在の消費税率を上げなければ議論にならないと言われ、税率の思案も多く飛び出しております。このことに一歩踏み出した決断でもあると私は受けとめております。このようなことは増田知事のマニフェストにはございません。なかったことへの決断について、知事は相当なエネルギーで県議会、県民に対して機会あるたびに説明をする責任があると思います。その説明なる部分についてお尋ねをいたします。
 県幹部の公社等への役員就任状況について調べました。平成16年4月1日現在で41公社等が対象であります。その結果によりますと、知事は、会長、取締役会長、理事長職で六つの法人に、副知事は、理事長、副理事長職に12の法人に、商工労働観光部長は、取締役、理事長職に加えて、取締役社長も含め13の法人に、農林水産部長が八つの法人、保健福祉部長が五つの法人にというように役員就任をしております。この中には、結果として知事が補助金を出して増田理事長が受ける例、知事が事業・業務委託をして増田理事長が委託を受けるとなっております。事業・業務を外部へ委託しようと考えた人が、組織は違うといえ、その事業・業務をトップとして受けるという構図の健全性について疑問のあるところであります。公社等の発足段階や経緯、定款に定めるところによると思いますが、一人の方の就任件数が余りに多いと考えます。どんな仕事も一人一役でも大変な時代であり、理事長も営業に出なければならない状況の公社もある中で、勤務形態は必然的にすべて非常勤であります。全国で多くの公社等が経営難と言われて久しい今日、県出資等法人改革推進プランとは別に、できる限りの改善がなされてしかるべきと思いますが、御検討の考えがないかについてお尋ねをいたします。
 次に、県の経営改善向上の取り組みについて何点かお尋ねをいたします。
 まず、県の中期財政見通しでありますが、県は今年7月、平成17年度、平成18年度2年間の財政見通しの試算を公表いたしました。それによると、本年度当初予算編成時の2月の推計をベースに歳入の一部を見直し、人件費や公債費などを精査して再算定し直した結果、現時点で可能な対応策をとった場合でも236億円から524億円不足するというものであります。早急な対応が求められるところでありますが、知事の言う自助努力の部分で行財政構造プログラムメニューへの積み上げや、各担当部局の仕事のやり方の抜本的見直し、県と市町村の役割分担、NPOの活用等の検討作業が実際現場である部局においてどのように進められておりますか、その状況についてお尋ねをいたします。
 知事は、自助努力について危機感の共有のしぐあいと取り組みぐあい、これからの我々の努力次第とも定例記者会見で述べておりますが、全庁、地方振興局等、全出先全体での取り組みの決意をお尋ねいたします。
 次に、管理職の中間評定の実施についてでありますが、県は年度末に行う従来の評定に加えて、新たに管理職を対象とした中間評定を実施、管理職のあるべき姿勢を、評価を通じて認識してもらい、マネジメント上の問題を年度途中から見出してもらうのがねらいということであります。民間企業と比較して評価そのものが難しいとされる公務員の実務内容を具体的にどう評価するのか、その実施内容についてお尋ねをいたします。今年度上半期の実施状況と結果についてお尋ねするのは性急でしょうか。お尋ねをいたします。
 また、県はトヨタ生産方式のカイゼン手法であるトヨタ式カイゼンを導入するとのことであります。内部調整や資料作成などに長時間かけるむだを取り除き組織のスリム化につなげるとともに、業務改善に向けた職員の意識を高めるねらいで、外部コンサルタントの支援を得て当初農林水産企画室に導入し、成果が得られれば来年度以降本庁のほかの部局や地方振興局にも導入する方針ということで、その成果を期待するところであります。その内容と実施状況についてお尋ねをいたします。
 職員アンケート調査についてでありますが、二つの職員アンケート調査が実施されました。一つは、本年度から実施している組織のフラット化、グループ制に関するもので、スタートから3カ月経過しての効果について、主任主査、主査級職員69人を対象に行われたものであります。もう一つは、各職場の問題点を把握するため、知事部局、教育委員会事務局などの全職員を対象として行われ、4月から5月にかけて職員186人を対象に聞き取り調査も実施された調査であります。フラット化、グループ制に関する調査では、意思決定が迅速になったとの回答が60%という結果が出ておりますが、以前と変わらないとの回答も38.7%あるところであります。二つの調査結果は、県がうたっている経営品質向上のかけ声とはかけ離れた実態が明らかになったともいえ、調査結果を今後に生かしていかなければならないと考えるところであります。二つの職員アンケート調査結果をどのように受けとめ、今後どのように生かしていくのか、そのお考えをお尋ねいたします。
 次に、避難指示・勧告の出し方の課題と対策についてお尋ねをいたします。
 今年は太平洋気圧の北上、日本近海の水温上昇、フィリピン沖の対流活発化等が原因と見られる日本への台風上陸が史上最多の八つの台風が数えられております。これらの台風は上陸各地において大きな被害をもたらし、多くの人命が失われました。梅雨前線停滞による新潟、福井各県の集中豪雨による甚大な被害も記憶に新しいところであります。これらの災害では避難指示・勧告がおくれたとの指摘もあり、教訓とされなければなりません。これらの災害を受け、国では有効な避難指示・勧告の出し方などの課題や対策を検討する会議を先月18日に開催しております。国において潮位や河川の情報などを指標にした指示・勧告の基準づくりが検討されており、都道府県においても基準の具体化に取り組んでほしいと要請されております。基準の具体化への取り組みについてお尋ねをいたします。
 都道府県の防災力についての自己評価が発表されました。本県では結果として全国中40位であります。こうした結果からも防災力の向上が求められるところでありますが、その具体的対策についてお尋ねをいたします。
 次に、雇用対策の現状と今後についてお尋ねをいたします。
 県は、平成18年度までに約3万人の雇用目標を立て、今年度は7、600人の目標に取り組んでおります。平成15年度は7、800人の目標に対して、最終的には9、146人の雇用が創出され、目標を大きく超えたとのことであります。目標が達成されたとはいえ、さらなる雇用対策の充実と県内の地域格差是正策が求められると思います。その対策についてお尋ねをいたします。
 総合雇用対策局は、昨年6月に雇用対策の企画調整、事業の推進、事業の進行管理などを総合的に行うため、ほかの部局に属さない組織として設置されました。期限を切って集中的な対策として、対策局設置期限を平成17年3月末までとされております。雇用状況は現在では地域振興の一つの指標となっておりますし、増田知事も掲げる重要施策に位置づけており、本県にとって雇用対策は重要な施策と考えます。部局横断的に取り組んだ総合雇用対策局の蓄積された膨大な資料やデータは貴重な財産であるなどの観点から、対策局の今後の位置づけは早い段階で示されるべきと考えますが、お考えについてお尋ねをいたします。
 次に、いわてインキュベーションファンドの状況についてお尋ねをいたします。
 いわてインキュベーションファンドは、平成14年度に創設され、現在2年半を経過した段階にあります。今月上旬に第1号投資を受けた福祉医療機関向けコンピューターソフト製作販売の会社であるワイズマンが10月18日、ジャスダック市場に株式を上場公開することが日本証券業協会により承認されたという報道がありました。ファンドの目指すプロセスの上からも大変な朗報でありました。公開で同社の株式が市場で流通し資金調達力や社会的な知名度、信用度が向上することになります。このことがよき刺激となってワイズマンに続く企業の誕生が望まれるところであります。
 そこで、お尋ねをいたしますが、いわてインキュベーションファンドの現状と今後の見通し、ファンドの資金循環プロセスの考え方についてお尋ねをいたします。
 次に、県の国際経済交流と県産品の販路拡大についてお尋ねをいたします。
 9月15日より大連市のある遼寧省を初め、浙江省など幾つかの省で短期ビザが解禁となることで観光客の来訪が期待されております。大連とは今日までも何度かチャーター便による交流がなされ、大連・岩手の友好協会も設立されているところであります。8月25日に宮城県との合同で商談会が開催され、本県からは19社・団体が参加し、酒類輸出、食品輸入、水産物の養殖技術提携の3件、約5、500万円の商談が成立見込みとなり、22件の商談が継続中ということであります。これらのことから成長著しい中国市場への県内企業の関心も高く、ビジネス展開の支援機関として県事務所の開設が望まれ、来春、宮城県と共同で開設する準備が進められております。これらの取り組みの考えについてお尋ねをいたします。
 一方、ジェトロによる本県を含む果物の中国・上海市百貨店への日本の果物コーナーが設置され試験販売が開始されましたし、いわてリンドウのニュージーランドでの契約栽培、オランダ市場での販売等、農林水産物の販路拡大の取り組みがありますが、その取り組みの現状と展望についてお尋ねをいたします。
 次に、IGRいわて銀河鉄道の経営状況と新駅設置に対する支援についてお尋ねをいたします。
 平成14年12月1日に開業したIGRいわて銀河鉄道は、約2カ月で丸2年となります。この間の順調な運行状況とともに、平成15年4月より平成16年3月の第3期決算においても、当期損益は4、188万円の赤字となったものの、営業収益が伸びて年度当初の経営計画より約7、300万円圧縮されており、経営努力に対して敬意を表しておきたいと思います。
   〔副議長退席、議長着席〕
 こうした中、本年度までとなっておりましたJR運賃対比1.35倍と抑制していた通学定期運賃の激変緩和措置が、さきのいわて銀河鉄道利用促進協議会の第3回総会において1.65倍まで引き上げ、この率での緩和措置期間を2年間とすることに合意したようであります。新たな措置にも財源の基金が5、400万円不足する予想から、県の62.5%、沿線市町村37.5%それぞれ負担をして基金造成するとのことであります。沿線市町村の中では今日までも、また、今度の値上げにおいても、利用者のJR当時に比べて大幅負担である通学定期に対する単独の補助を検討に入っております。県と比べて率は低いとはいえ、基金に対する負担のほかに単独で補助を考えなければならないという、まことに苦渋の選択であります。この路線がJRより分離される過程を顧みるまでもなく、沿線自治体が補助せざるを得ないという部分を県が担うべきと考えるのでありますが、県の考え方についてお尋ねをいたします。
 将来、経営が好転した場合の運賃の引き上げを柔軟に対応するように申し入れられたとのことであります。これに対し県もこれに応じたと言われておりますが、余りに物事の先送りではないでしょうか。県のお考えをお尋ねする次第であります。
 IGRいわて銀河鉄道開業3年以内に最も利用が見込める二つの新駅設置については、それぞれ(仮称)巣子駅、青山駅が既に国土交通省に認可され、平成17年12月1日開業を目指して準備が進められております。(仮称)巣子駅設置に伴う周辺整備において、当初計画の事業費が14億円から20億円に増額されました。従来導入していた国のまちづくり総合支援事業からはまちづくり交付金事業へ移行しております。一方、(仮称)青山駅設置に関して、市民グループ、みんなでつくる青山銀河ステーションの会が夢のある駅舎にしたいと活動を始めております。これらの動きに対する御認識と新駅設置に対する周辺整備の状況や県の支援についてお尋ねをいたします。
 次に、関連もするところでありますが、新駅設置に伴う県道昇格についてお尋ねをいたします。
 道路法の都道府県道の意義及びその路線の認定にかかわる条項の中に第7条で、県道を地方的な幹線道路網を構成する道路と定義づけた上で、六つの要件のうちいずれか一つに該当するものであることとしております。その要件の一つに、鉄道もしくは軌道の主要の停車場に連絡する道路ということでございます。このことにより国内では全国の駅に連絡する道路は県道と言われております。(仮称)巣子駅、青山駅設置に伴って、巣子駅においては国道4号から新駅へのアクセス道路となる村道第1巣子線、葉の木沢16号線、巣子野沢線、(仮称)巣子駅線、(仮称)青山駅では市道上堂鵜飼線について県道認定し、しかるべき位置づけのもとで維持管理していただきたいとの要望があるところであります。この要望をどう受けとめ対応するお考えか、お尋ねをいたします。
 次に、一級河川北上川水系盛岡西圏域河川整備計画案についてお尋ねをいたします。
 県は先ごろ、北上川水系で盛岡西部地域の管理河川に関する整備計画案を公表いたしました。これは、北上川水系盛岡西圏域九つの河川の岩手県知事管理区間を整備計画し、対象期間等を定めたものであります。また、9河川にそれぞれありました整備計画が平成9年12月に河川法が改正され、河川法の目的の一つに河川環境の整備と保全を進めていくことが位置づけられたことと、地域住民の意見を反映した河川整備計画の制定が導入されたことなどにより、改正河川法をクリアしながら圏域の整備計画として示されたものと理解しております。
 そこで、お尋ねをいたしますが、この整備計画の洪水、高潮等による災害の発生の防止または軽減に関する整備目標がどのように定義づけされているか。計画の対象期間についてもお知らせを願います。
 圏域の木賊川流域では平成14年7月の台風6号に伴う大雨で堤防が決壊し、床上浸水14戸、床下浸水99戸、避難勧告1、253世帯、3、484人の被害が起きており、流域や洪水はんらん区域内の人命や財産を守る早急な治水が求められておりますが、全体計画の中で整備実施されるものと考えます木賊川、諸葛川の洪水を防止する整備、遊水地、分水路、河道掘削等の内容についてお尋ねをいたします。

〇議長(藤原良信君) 発言中でございますが、本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。

〇23番(柳村岩見君)(続) この整備計画案の成案に向けての今後の作業についてお尋ねをいたします。
 今後の作業についての一部分にかかわることでありますが、木賊川改修事業が総事業費50億円を超える事業であることから、大規模事業評価を行うと聞いておりますが、この事業は昭和61年度より広域基幹河川改修事業として着手しており、その公共事業評価は必要性、重要性、緊急性等々総合的に判断される100点満点中96点という非常に高い評価を受けているものであります。再度、大規模事業評価を実施する必要性についてお尋ねをしておきます。
 最後に、警察本部長にお尋ねをいたします。
 岩手県警察が昭和29年に現在の警察法が施行され発足して以来50年の節目を迎えました。半世紀にわたり岩手の治安維持に取り組んでこられましたことに対し、改めて感謝と敬意を表する次第であります。この間、県警が幾多の事件や困難を乗り越えて岩手の治安を守り抜いてきたという自負と、広域化、多様化する犯罪様相の中で今後への課題も多くあることと存じます。この際、山内警察本部長より県警発足50年の節目を迎えた所感についてお聞かせいただければ幸いでございます。
 県警は、空き交番の解消を目指し、交番・駐在所配置の見直しに着手、その内容を発表いたしました。県内51カ所中の22カ所の交番で6人に満たない状況が続き、パトロールなどで一時的に不在になりがちな空き交番を解消するため、交番勤務の警察官を増員し警察官の配置を見直すほか、駐在所や交番の統廃合を進めるというものであります。全国1万人の警察官増員計画があり、それぞれの増員配置方針のもとに平成14年20人、平成16年20人の増員が県警にありました。これらの経過もあり、このほどの、今年度交番・駐在所配置の見直し計画の内容、来年度計画の内容、2カ年で実施した後に残される課題についてお尋ねをいたします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 柳村岩見議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、三位一体改革に伴う一連の流れの意味でございますが、この明治以来連綿と続いてまいりました中央集権型の行政システムを、地方分権型の行政システムに転換しようとするこの分権改革でございますが、これは、私は大きな歴史の流れであって、我が国の構造改革の根幹をなすものと、そしてみずからのことはみずからが決めるというこの自治の原点に立って、地域生活にかかわる政策を住民みずからが決定をして、そして住民の監視のもとで住民のニーズに即応した行政が行われるような仕組みを構築すること、これが分権改革の目指すところであると思っております。今進められております三位一体改革は、これまで遅々として進まなかった分権改革のいわば切り札というものであって、この国のあり方そのものを変革しようとする構造改革そのものだと、これは単に国と地方の税財政の改革だけではなくて、国のあり方そのものを変革しようとする構造改革だととらえております。これを進めることによって地域主権型の社会が構築され、それぞれの地域が特色や資源を競い合って我が国全体の活力につながっていく、このようにとらえているところでございます。
 義務教育の国庫負担金の一般財源化でございますけれども、これは、この議会でも何度か申し上げましたけれども、今の我が国は成熟した国家・社会となっておりまして、このような状況下では、教育機会の均等のみの理由から中央がコントロールするという方式ではなく、やはり中央政府――国は、学習指導要領に見られるような標準的な部分の指針作成などに専念していただいて、地方は、それぞれが独自に知恵を出し、多様性のある学校教育や教育行政の推進に取り組んでいくことが県民の教育に対する期待にこたえる道ではないかと考えております。こうした趣旨から、私は、地方が自由な発想で使途が限定されないような財源、いわゆる地方の一般財源で義務教育が賄われる方がいいのではないかと考えているわけでございますが、これについていろいろ議論のあることは承知しているところでございます。
 昭和60年ごろから義務教育費の国庫負担金についても一般財源化あるいは補助率カットの傾向が強まってきておりまして、地方税財政の充実を十分に図った上で地方の一般財源とした方がより確実であると申し上げているわけでございますけれども、こうしたことのみならず、そのほかいろいろ公共事業ですとか奨励的補助金も含めた三位一体改革全体の問題がございますので、そうした三位一体改革全体に対する私の考え方、あるいは知事会、そして地方6団体の考え方については、こうした県議会の場を初め、あらゆる機会を通じて県民の皆さんに十分説明して理解を得ていきたいと考えております。
 それから、県幹部職員の公社等の役員就任の問題でございます。これにつきましては、県出資法人等の整理合理化に伴いまして県幹部職員の役員就任法人数は年々減少してきておりまして、近年90人前後で推移しているわけでございます。これにつきましては、今、議員の方からもいろいろ御指摘をいただきました。結論から申し上げますと、今後、法人の自立の視点から、やはり生え抜き職員や民間経験者等の登用を極力図っていきたいと考えているところでございます。従来、公社等によりましては、役員に内部登用する職員の養成がいまだ十分でなかったことや、公社等の業務と県の施策との一体性、整合性のため、必要と認められる範囲内で、本来業務に支障を来さない限度で公社等の非常勤の役員に県幹部職員が就任するというのが今までの姿だったと言えようかと思います。これは、今、申し上げましたような形でこれから変えていく必要があるだろうと。もちろん、職員の養成状況やそれぞれの公社等個々の事情にも配慮しなければなりませんので、ある時期全部一遍にというわけにはなかなかいかない部分がございますけれども、今、議員からございましたような御指摘は当然のことながらあるわけでございますので、今後、極力生え抜きの職員や民間経験者等の登用を図っていきたいと考えております。
 それから、県の経営改善向上への取り組みについてでございます。ことしの7月に庁内の関係部局の財政見通しの試算を示しました。そして今、中期財政見通しによる財源不足への対応を各部局で検討させております。各部局長からも直接説明を受けまして、取り組みがおくれている部局長にはさらなる組織体制や事務事業などの徹底的な見直しを個別に指示しているところでございます。
 今、各部局では、そうしたことを受けて、行革プログラムに盛り込まれた取組内容の前倒し実施や新たな取組項目の洗い出しを行っているほか、各種補助金や負担金の徹底した見直し、それから公の施設の統合や、指定管理者制度が導入されましたので、民間やNPO法人などの積極的活用、さらには評価制度を活用した徹底した事務事業の見直しに取り組んでもらっております。その結果につきましては、年明けを目途に最終的な取りまとめを行って、平成17年度の当初予算案とあわせて公表したいと考えておりますが、これについては当然私のリーダーシップも必要になるわけでございます。職員一人一人が強い危機意識を持ってこの難問に立ち向かっていただく必要がございますので、今、職員と直接対話を重ねているところでございますが、やはり全職員で危機意識を共有しながら、一丸となってこの状況に立ち向かっていく、そしてその先頭に私が立つ、こういう決意でございます。
 管理職の中間評定でございますけれども、現在、県が取り組んでおります行政品質向上運動の一環として、各部局、そして各課等がそれぞれ業務方針や業務目標を掲げてその進捗状況をチェックしていく、いわゆるPDCAサイクル、プラン・ドゥー・チェック・アクションですが、PDCAサイクルを回そうという観点から始めたものでございました。従前はこの評価を年1回、定期人事異動に合わせて行っていたわけですが、1年後にやったかやらなかったかを判断するのはどうしても遅いわけでございまして、年1回の評価でございますと、どうしても業務推進の視点よりも人物評価の視点が強くなって、それを材料に異動させる云々、こういうことにつながってまいりました。そうではなくて業務推進の視点をより強くしようと思いまして、今回始めた管理職の中間評定は、4カ月ごとに業務目標の進捗状況を管理監督者とその上司が共通認識のもとに確認し合うことによって適切な業務を着実に推進しようというものでございます。単に結果のみを評価する業績評価というよりも、業務推進のプロセスであるPDCAサイクルを確実に回すことに主眼を置いております。
 今年度上期の実施状況でございますが、新年度になりましてからの最初の部分でございますが、8月にことし4月から7月部分を評価期間として、所属長である総括課長級以上の職員255名を対象に実施いたしました。うち、部局長などの29名については副知事が、それから所属長226名については各部局長等が面接を行いました。全体の傾向としては、顧客の特定や、その顧客ニーズの把握が弱かったり、目標やタイムスケジュールが具体的でなかったり、あるいは行政品質向上運動に対する理解が不十分であったり、業務改善の取り組みに継続性が欠けているといった問題点が見られた部分もございます。これらの問題点について認識を共有して早急な改善に取り組み、それぞれの組織の業務目標等の着実な達成に努めてまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねは関係部局長より答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) まず、トヨタ式カイゼンの内容と実施状況でございます。
 職場における改善活動につきましては、平成12年度から展開しております行政品質向上運動の一環としてこれまで取り組んできたところでございます。物の配置、動線の改善、決裁などの仕組みの改善、むだ取りなどの改善といったものは、民間でも、一部の自治体でも当然のこととして行われているものでありまして、職員のやる気次第である程度まではやれると考えております。しかしながら、県の組織は工場などと異なりまして、企画などの事務部門、ソフト部門も多く、こうした事務部門、ソフト部門の改善には十分なノウハウがないのが実情でございます。そこで、民間の改善手法をそのまま導入するのではなく、民間企業でも難しいと言われております事務部門の改善にノウハウを持つ方々の指導・助言を受けながら、むだの見つけ方、改善の考え方を職員が学びまして、行政の仕事の仕組みに合うように手直しを加えながら本県独自の改善の仕組みを構築いたしまして、すべての職員が絶えず改善を求め続ける組織風土づくりを目指していこうとしているところでございます。
 今年度は、農林水産部農林水産企画室をモデル組織といたしまして、モデル組織内の職員で構成する改善チームが中心となって、現状の業務を分析しながら手法を学んでいるところであります。この業務の分析におきまして、職員の勤務時間中の行動を10分単位で約1カ月間記録したところ、全体の業務の中で、会議出席やその資料作成に32%、部内外の調整業務に36%ということで、県民のサービスに直結しない仕事、つまり付加価値を生まない仕事に相当の時間を費やしている実態も明らかになっておりますので、これらの分析をもとに、会議出席あるいは資料作成のあり方を検証いたしまして、また、参加しております各部局の改善担当者を通じて各部局の取り組みを推進してまいりたいと考えております。
 次に、フラット化、グループ制に関しますアンケート調査結果でございます。
 今回のアンケート調査は、フラット化、グループ制の導入に伴いまして、情報共有が希薄化するのではないか、業務チェックが弱体化するのではないか、若手職員への指導が弱体化するのではないか、こういったことが一般的に懸念材料として指摘されているところでございますので、今回は、そうした懸念される問題について調査を行ったものであります。
 アンケート結果によりますと、情報の共有に関しましては、以前よりも共有されているが23%、以前と変わらずに共有されているが69%でありまして、およそ9割の職員がフラット化、グループ制の導入後も情報共有が十分に行われていると評価しているものでございます。業務チェックあるいは若手職員への指導に関しましても同様な評価がなされたところでございます。
 また、アンケート調査では、意思決定の迅速化を図るため、決裁あるいは協議の際にメールを積極的に活用している、担当ごとに電子掲示板を設置し、情報共有を効率化している、事務のチェックリストを作成し、適切な業務執行を図っている、こういった効率的な取り組みが報告されておりますので、こうした優良事例を各職場に積極的に取り入れるなどいたしまして、意思決定や業務執行のさらなる迅速化、業務の繁閑など優先度に応じた柔軟な人員配置を推進いたしまして県としての組織的な能力向上を図ってまいりたいと考えております。
 次に、避難勧告・指示の基準、具体的な取り組みについてでございます。
 避難勧告・指示は、市町村長が一定の地域の居住者に対して行うものでございまして、人命を第一に、気象条件や河川水位などによりまして的確なおかつ迅速な判断が求められるものであります。地域の実情に即した判断の目安ともいうべき基準を具体化していくことが緊急時の判断には必要と考えております。
 本県のほとんどの市町村は、洪水警報等の発表などによります避難勧告・指示の基準は定めておりますが、雨量あるいは川の水位など客観的な数値に基づく具体的な基準を定めております市町村は少ないのが現状でございます。こうした状況を踏まえまして9月中旬に主管担当課長会議を開催いたしまして、避難勧告・指示を行う際の基準につきまして、河川管理者が定めている危険水位あるいは警戒水位などをもとにしまして、地形など地域の実情に応じた客観的基準の具体化と住民に対する情報の伝達方法の再点検を要請いたしました。国では、市町村が避難勧告・指示を出す際の判断基準を明確化するマニュアルを整備するということでございます。今後、県に対して詳細に示されることとなると思いますので、これらを参考に地域防災計画あるいはマニュアルの点検など所要の見直しを進めていきたいと思っております。情報伝達のあり方などにつきましても、現在のシステムをチェックし改善を加えまして、弱い部分を強化できるように市町村を支援してまいりたいと考えております。
 次に、防災の自己評価についてのお尋ねでございます。
 この評価は、あくまで自己評価として結果を今後に生かすことが目的でなされたものでございまして、順位をつけるものではないと聞いたところでございます。したがいまして、本県では、選択項目の中に該当する項目がないもの、あるいは一部の地域にしか当てはまらない項目につきましては、該当がない、つまりかために判断をして、本県の実情が過大にならないような評価をしたところでございます。
 特に評価が低かった主な理由といたしましては、地震災害被害調査を踏まえた耐震化等の防災対策が講じられていない、また、地震・津波及び水害に係る防災マップが整備されていないことを該当項目として挙げました。これは、取り組んでいないというものではなくて、取り組みを進めておりますが、まだ整備途上ということで評価を低くしたものでございます。したがいまして、こういった評価の低いものを今後伸ばしていくことに力を入れていきたいと思っています。
 具体的には、現在、県におきまして地震・津波を想定した被害想定調査を実施しておりまして、調査結果は市町村初め関係機関に提供することとしておりますので、それぞれの市町村、関係機関におきまして耐震化等の被害軽減対策が実施されるように支援してまいりたいと考えております。また、防災マップに関しましては、津波対策におきまして、今年度完成いたします津波浸水予測図の成果に基づきまして、市町村版あるいは地域版の津波防災マップを作成することになっておりますので、水害対策におきましても、洪水ハザードマップを策定していない市町村に対して、早期策定に向けて連携を図りながら取り組んでいきたいと考えております。
 本県全体の防災力の向上に当たりましては、地域の災害リスクを十分に想定いたしまして、実情に合わせまして、公助、共助、自助、こういったもののそれぞれの分担で総合的に向上させていきたいと考えております。
   〔総合政策室長照井崇君登壇〕

〇総合政策室長(照井崇君) 私からは、組織活動に関する職員意識調査結果につきましてお答えいたします。
 この調査は、40の政策を着実に推進することができるような、いわば政策指向型の組織への転換を図る上での職場の問題点を明らかにするために行ったものでございます。その結果、県民の期待にこたえたいという職員の思いはおおむね共有されていたものの、中長期的な上位の方針を伝えているはずという管理職と、伝わってこないとする非管理職との間で認識のギャップが見られたこと、部門をまたがる情報共有や業務連携がなされていないこと、業務手順の改善や施策の見直しがなかなか進まないため目の前の仕事をこなすのに精いっぱいであるということ、また、やってもやらなくても同じという、いわばインセンティブの仕組みが働きにくい人事管理が行われていること、こういう課題が指摘され、結果といたしまして、職員の仕事に対する意欲が40の政策の実現にうまくつながっていない組織運営となっていることが明らかとなりました。この調査は、職員へのアンケートやインタビューによる人事組織管理専門コンサルタントによる初めての外部調査でありまして、県の組織活動に関する課題が客観的に示され、今後の改善の取り組みの方向性を明確にすることができたものと考えております。
 そこで現在、全職員にこの調査結果を説明し、課題の共有化を図るとともに、この調査結果をテーマにいたしまして、知事を初め、幹部職員と職員との対話を重ね、各職場単位での改善を促しているほか、政策指向型組織への転換につきましては、40の政策の推進につながる戦略的な政策立案のトレーニングを専門コンサルタントの指導のもとで取り組んでいるところでございます。今後は、このような政策指向型業務スタイルをすべての職場に浸透させるとともに、総括課長などのいわばマネジャー職層の機能強化や貢献度の高い職員が適切に報われる人事管理制度の整備などに取り組みまして、県民の期待にこたえることができる県組織へと変革してまいりたいと考えております。
   〔総合雇用対策局長上村俊一君登壇〕

〇総合雇用対策局長(上村俊一君) 雇用対策の充実と地域格差是正策についてのお尋ねでありますけれども、今議会でも提案しておりますけれども、雇用創出のための必要な対策につきましては年度途中でも立ち上げるなど、雇用対策の充実に努めてまいっております。また、地域地域での取り組みが大事でありますことから、本年度からは、地方振興局においても雇用創出目標を設定してその充実を図っているところであります。
 地域の格差是正についてでありますけれども、取りわけ雇用情勢の厳しい県北・沿岸地域においては、これまで雇用対策関連補助金の要件緩和あるいは国基金事業に係る予算の優先的配分などの対策を講じてきたところでありますけれども、今回新たに就業支援としてジョブカフェサテライトセンターを久慈市と宮古市に設置することで今議会に係る予算を提出しているところであります。サテライト機能が十分に発揮され、新たな雇用の場の創出につながるよう関係者とともに連携して取り組んでまいります。
 次に、総合対策局の今後の位置づけは早い段階で示されるべきとのお尋ねについてでありますけれども、本県は、依然として厳しい雇用環境にあるとの認識を踏まえ、これまでの対策局の取り組みから、今後は、県総合雇用対策の確実な実効を図るため、引き続き部局横断的な視点での進行管理を行う一方、ジョブカフェモデル事業を軸とした若年者雇用対策の推進、さらには、建設業の新分野進出など地域の特色を生かした雇用創出モデルの事業の創出に視点を置いて、雇用対策局がどのような位置づけで取り組むべきか現在検討しているところであります。
   〔商工労働観光部長酒井俊巳君登壇〕

〇商工労働観光部長(酒井俊巳君) まず、いわてインキュベーションファンドについてでございますが、ファンドでは、これまで県内10社、県外25社に投資し、県内に岩手事務所を設置しまして、非常勤取締役の派遣等により株式公開に向けた支援を行っているところであります。ファンドの投資資金については、今年度中に県内の二、三社への投資で完了する見込みでありますが、今回、株式上場承認を果たしました企業のほかにも、近い将来の株式公開に向け、経営体制の整備など準備を開始した企業もあり、引き続き密着した経営面の支援を推進してまいることとしているところであります。
 現在、組成しているファンドは、行政のみならず、中小企業を含む多くの県内企業や金融機関の出資により組成されているものでありますが、将来、このファンドによって成長発展し、株式公開を行う優良企業が次々誕生し、これらの企業を含めた民間活力によって、新たなベンチャー支援の仕組み、資金循環の仕組みがつくられていくことを期待しているところでございます。
 次に、中国との経済交流や事務所設置への取り組みについてでありますが、近年、経済成長の著しい中国は我が国にとって一番近い巨大な海外市場であり、本県経済にとってもその重要性は今後ますます高まるものと考えております。2003年の中国の国内総生産の成長率は9.1%と高い水準を維持しており、さらに、中国東北部の経済、物流の中心都市である大連市においては成長率が15.2%に及ぶなど、急激な成長を遂げております。今後一層の市場拡大が見込まれる中国との経済交流や観光客誘致などを推進することは、本県に大きな経済効果をもたらすものと期待しているところであります。
 そのためには、こうした経済交流の主役である県内の民間企業・団体が中国と円滑な経済活動ができるような環境の整備が必要であり、このことは、県の重要な役割でもあると認識しております。予定してございます大連事務所の設置・運営に当たりましては、現地政府機関や中国企業との信頼関係を築きながら、意欲ある県内企業・団体に対し、中国の商習慣を踏まえたきめ細かなビジネス支援を行うとともに、チャーター便などを利用し、多くの観光客を本県に誘致することに努めてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 農林水産物の輸出についてであります。
 本県では、古くから干鮑、いわゆる干しアワビあるいは干しシイタケなどを中国に輸出していたわけでありますが、最近はこれに加え、台湾へのリンゴ、オランダへのリンドウの輸出、あるいは最近では、韓国への養殖ホヤなどの試験的な輸出が始められております。他県と比較した場合、やはり市場調査力あるいは商品企画力などの面で若干課題があると考えております。県内の生産者団体や流通業者、ジェトロ等で構成するいわて農林水産物輸出促進協議会において、本年度は、中国や台湾からのバイヤー招聘あるいは台湾での県産リンゴ販売促進フェアに取り組むこととしており、その中で情報交換や輸出促進方策の検討を進めていくこととしております。
 今後におきましては、こうした取り組みを踏まえ、安全・安心な県産農林水産物の海外展開の方策を策定していき、海外への販路拡大を図っていきたいと考えております。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕

〇地域振興部長(山口和彦君) IGRいわて銀河鉄道の通学定期運賃の激変緩和措置についてでございます。
 IGRいわて銀河鉄道の運営は、地域交通の確保や利便性の向上など沿線市町村の住民福祉に直結するものでございまして、通学定期運賃の激変緩和措置を含めた開業後の対策につきましては、県と沿線6市町村が一体となった取り組みが重要でございます。こうしたことから、鉄道事業の経営安定化を目的としましたいわて銀河鉄道経営安定化基金――これは平成15年から5カ年で11億円を造成することにしておりますが――を造成してきたところでございまして、鉄道施設・設備の更新、災害応急対策及び通学定期運賃の激変緩和措置の経費を対象としまして、県と沿線の市町村とが協議の上でそれぞれ応分の負担をしてきているものでございます。
 IGRいわて銀河鉄道の通学定期運賃の抑制につきましては、現行の激変緩和措置が来年3月末で期限を迎えることから、その後の取り扱いについて、県と沿線市町村で組織しておりますいわて銀河鉄道利用促進協議会の各レベルにおきまして再三にわたりまして運賃水準や激変緩和の期間について議論したところでございます。それらを踏まえまして、さきのいわて銀河鉄道利用促進協議会の総会におきまして御決定をいただいたところでございます。
 なお、輸送サービスの直接的な受益者の負担と沿線自治体の財政力、すなわち税負担とのバランスが考慮されて議論されたものでございます。
 次に、経営が好転した場合の運賃のあり方についてでございます。
 基本的には、経営が好転した時点での会社の経営判断によるものと認識しておりますが、現時点では、いまだ開業間もなく、また、先ほど議員からお話ありましたように当初計画よりは7、300万円ほど損失を圧縮しておりますけれども、まだ赤字の状況でございます。それから、いわゆる開業ブームによります特別な需要もかなり減少してきておることもございます。それから、新駅の開業に伴う経営への影響は長期収支に既に織り込んでいるが、これに対する新駅の開業後の輸送実績、これなどの推移を的確に見きわめていくことが必要であると考えております。
 いずれにしましても、県としては、経営の健全性を確保し、将来にわたる列車運行を確保することを基本としまして、運賃水準についても検討されるべきものと考えております。
 次に、IGRいわて銀河鉄道の新駅設置に対する県の支援体制についてでございます。
 みんなでつくる青山銀河ステーションの会のような市民活動につきましては、盛岡市においては、市民協働のまちづくりとして歓迎し、協力する考えであると聞いており、県としましても、地域の視点に立ったまちづくりやIGRいわて銀河鉄道に対するマイレール意識の高揚につながる活動であると認識しております。
 また、新駅設置に対する県の支援体制についてでございますが、巣子、青山の両新駅とも、先般、国土交通省から工事計画の認可を受けたところでございまして、条件が整った段階で工事着手を迎えることになっております。県としましては、IGRいわて銀河鉄道株式会社が事業主体となって取り進めているプラットホーム、跨線橋、電力設備、信号通信設備、傾斜路やエレベーターといったバリアフリー設備等の鉄道施設について、滝沢村及び盛岡市との協調を図りながら、今後その建設経費に対する補助等の支援を行っていくこととしております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) まず、IGRいわて銀河鉄道の(仮称)巣子駅周辺の整備についてでございますが、滝沢村が駅舎、道路、公園、駐車場、地域交流センター等を整備することとしておりまして、平成17年度駅開設に向け、道路と駅前広場の整備を先行することといたしまして、今年度から用地買収に着手する予定と聞いております。県としましては、村と連携を図りながら、駅開設のスケジュールに合わせまして必要な事業費の確保について国に要望してまいりたいと考えております。
 また、(仮称)青山駅周辺の整備についてですが、新駅開設に伴いまして、利用者の利便性の向上や歩行者の安全性を確保するため、変則的な形状となっております県道と市道との交差点の改良や歩道の設置などを進めることとしておりまして、県と盛岡市がそれぞれ施行区分を明確にして、今年度から地域住民の皆様の御理解と御協力をいただきながら、用地買収を進めているところでございます。
 次に、IGRいわて銀河鉄道新駅設置に伴う県道昇格についてでありますが、県道の認定に当たりましては、道路法の規定及び都道府県道認定基準等を満たす路線について、県道として早期に整備、管理する必要性等を総合的に判断の上認定することとしております。(仮称)巣子駅及び(仮称)青山駅へのアクセスの道路につきましては、現在、市及び村が整備を計画している区間以外につきましては、当面、現状のままで利用することが可能な状況にあると認識しております。一方、県といたしましては、管理している道路や橋梁等の社会資本のストックの増加あるいは施設の老朽化などに伴いまして、維持管理費の増大が見込まれていることもございまして、現状におきましては新たな県道の認定は難しい状況にあると考えております。
 次に、一級河川北上川水系盛岡西圏域河川整備計画案についてでありますが、盛岡西圏域内の9河川につきましては、それぞれ必要に応じてこれまで河川改修や災害復旧等の工事を行ってきたところであります。本整備計画案ではその中から早急な治水対策が必要となっております木賊川について策定するものであり、洪水はんらん区域内の資産や人口及び流域面積等を総合的に勘案しまして、おおむね50年に1回の確率の降雨による洪水を安全に流下させることを目標としまして、計画の対象期間はおおむね30年間としているところでございます。
 次に、木賊川の河川改修事業の計画概要についてでありますが、木賊川の河川改修計画は、木賊川と巣子川の合流点に設置します遊水地と木賊川から諸葛川へ分流するための分水路、それから分流先となる諸葛川の一部河川改修及び木賊川の河道拡幅工事から成っておりまして、当面は、早期に事業効果が期待できます分水路等を先行して実施しようとしているところでございます。
 また、盛岡西圏域河川整備計画の成案に向けての今後の作業についてでありますが、本年の7月29日に整備計画案について地域住民の意見をお聞きしたところでございまして、その意見等を踏まえて現在、東北地方整備局と本年度末の整備計画の認可に向けて協議を進めているところでございます。
 次に、大規模事業評価を行う必要性についてでありますが、木賊川の河川改修事業については、平成15年度に公共事業評価委員会で審議をしていただいております。その時点では、遊水地計画を見直すなど、事業計画の再検討を進めていたため、事業は継続し、見直し計画がまとまった段階で、改めて事業評価を行うこととしていたものでございます。現段階では木賊川の河川改修事業の全体事業費は50億円を超えるものと見込んでおりまして、政策等の評価に関する条例に基づき、大規模事業評価専門委員会に諮る予定としているものでございます。
   〔警察本部長山内正和君登壇〕

〇警察本部長(山内正和君) 初めに、県警察発足50年の節目を迎えた所感についてですが、昭和29年7月1日、現行制度に基づく岩手県警察が発足して以来、これまで50年間、県民の皆様の御理解と御協力を得つつ、先輩諸氏のたゆまぬ努力のもと、幾多の困難な試練を乗り越え、治安の維持という責任を果たしてきたところであります。しかしながら、21世紀という新たな時代の中で、県民の生命、財産の保護をめぐる環境は変化し、また、厳しさを増しており、先輩諸氏がこれまで築かれた岩手県警察の歴史と伝統にただ追従することなく、新たな一歩を積み重ねることが求められているところであり、県警察発足50年という記念すべき年に当たり、警察職員一人一人がこれを契機に思いを新たにし、県民が安心して暮らせる社会を築くため、県民のための力強い警察を基本姿勢とし、積極的に事件、事故の抑止と検挙を通じて敢然と職務を完遂し、県民の期待と負託にこたえてまいりたいと考えております。
 次に、交番・駐在所の配置見直しについてですが、今年度の計画としては、県内の交番勤務員を増員し、勤務員6人に満たない22カ所の交番のうち、新たに6カ所の交番を6名体制に強化するほか、勤務員3人以下で住居施設の併設された、いわゆる駐在型交番11カ所につきましては、その活動実態に合わせ、来年3月までに交番から駐在所に名称を変更することとしております。
 なお、駐在所につきましては、本年度中に3カ所の駐在所を隣接する駐在所に統合し2名勤務とし、体制の強化を図ることとしております。
 また、来年度の計画としましては、都市化が進展する盛岡市内の2駐在所を統合して6人体制の交番を新設するほか、江刺市内の駐在所1カ所を廃止して署所在地に統合することなどを検討しております。
 今後の課題としましては、犯罪の凶悪・多様化や来日外国人犯罪などの増加などにより、パトロールの強化や街頭犯罪の未然防止を求める住民の声が高まることが予想されることから、今後とも治安情勢の変化に応じて交番・駐在所の配置、運用の見直しを随時進めていく必要があるものと考えております。
   日程第2 議案第30号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてから日程第4 議案第32号土地利用審査会の委員の任命に関し同意を求めることについてまで

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第2、議案第30号から日程第4、議案第32号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。竹内副知事。
   〔副知事竹内重徳君登壇〕

〇副知事(竹内重徳君) 本日提案いたしました人事案件について御説明いたします。
 議案第30号は、教育委員会の委員であります小野寺苓、鈴木宏延の両氏の任期が9月30日で満了となりますので、その後任として、新たに藤波洋香、米谷春夫の両氏を任命するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 議案第31号は、公害審査会の委員9人全員の任期が10月31日で満了となりますので、田郷敏昭、伊藤歩の両氏を新たに任命し、八木橋伸之、小野寺正孝、山崎正敏、齊藤恵子、板井一好、鷹觜紅子、生田弘子の各氏を再任するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 議案第32号は、土地利用審査会の委員7人全員の任期が10月31日で満了となりますので、浅井敏博、有原芳枝、竹村祥子の各氏を新たに任命し、野村弘、竹原明秀、岸根ハナ、菅原勉の各氏を再任するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださるようお願いいたします。

〇議長(藤原良信君) お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は人事案件でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し直ちに採決したいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第30号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第30号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立全員であります。よって、議案第30号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
 次に、議案第31号公害審査会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第31号公害審査会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立全員であります。よって、議案第31号公害審査会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
 次に、議案第32号土地利用審査会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第32号土地利用審査会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立全員であります。よって、議案第32号土地利用審査会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。

〇議長(藤原良信君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時49分 散 会


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