平成16年9月定例会 第9回岩手県議会定例会 会議録

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〇29番(佐々木博君) 民主・県民会議の佐々木博です。
 通告に従い、当面する県政課題を中心に順次質問しますので、簡潔で明快な御答弁をよろしくお願いします。
 最初に、7月に行われた第20回参議院選挙の結果について知事はどのように分析されておられるか、岩手と全国のそれぞれについて御所見をお伺いします。
 ところで、今度の参議院議員選挙はいろいろ不手際が目についた選挙だったとの印象を持っております。公示直前には、県選管が投票啓発のために作成したポスター、「どうして岩手の人は不満があるのに何もいわないの?」「投票しなきゃ変わらない!」の文言が公平性を欠くという自民党からの申し入れにより、ポスターは回収、コマーシャルは取りやめという信じられない不手際がありました。ところで、このポスターやコマーシャルの制作費は国の補助金で作成されたものでありますが、補助金は国に返還されたのかお伺いします。
 また、期日前投票が初めて導入された選挙でしたが、県内では6万6、749名、全投票者数の9.3%がこの制度を利用しており、前回の参議院選挙における不在者投票と比較して1万名余ふえております。このことからも、投票しやすくなった期日前投票を高く評価するものでありますが、残念ながらこの期日前投票において不適切な事例があったことが伝えられております。
 その第1は、比例区の投票用紙を交付する際、政党名か個人名のどちらかを書いてくださいと言うべきところを、係員が政党名を書いてくださいと言ったというのであります。参議院比例代表の非拘束式名簿による投票制度は今回が2度目ですが、まだ一般に浸透しているとは言いがたく、その周知徹底方が強く望まれていたのでありますが、投票所の係員の指示の間違いで有権者を混乱させたのでは話になりません。
 その第2は、ある投票所では投票用紙を最初から2枚交付したというのであります。私が直接問い合わせたところ、投票所が狭くて入り口と出口を別々に設置できなかったためそうしたとのことで、用紙を誤って別の投票箱に入れても開票のときに直すから問題ないとのことでしたが、用紙自体を間違えて記入したらどうかと聞くと、それは無効票になるとの回答でした。県選管はこのような事実があったことを把握されているでしょうか。
 また、選挙は民主主義の原点であり、基本的人権の中でも最も尊重されるべきもので、その執行には細心の注意を持って対処すべきと考えますが、今後どのように市町村の選管を指導していく所存か、御所見をお伺いします。
 次に、三位一体の改革と税源確保について伺います。
 地方自治にかかわる者として、国庫補助負担金を削減し自由な裁量で使える自主財源をふやすということは共通の願いであります。その意味で、全国知事会が長時間の議論をし、多数決とはいえ国庫補助負担金改革の具体案をまとめたこと、そしてその中心として増田知事が活躍されたことには敬意を表するものであります。しかしながら、この改革案によって本県が、そして県内の市町村が財政的によくなるかと言えば、私は甚だ疑問に感じております。改革案では、第1期の平成18年度までに国から地方への補助負担金を3兆2、000億円削減し、個人住民税の10%比例化により所得税から住民税に3兆円を税源移譲するとされていますが、これによる本県と県内市町村に与える影響を具体的な金額でお示しください。
 ちなみに、北海道では開催中の道議会において、道への補助負担金の削減額は平成16年度当初予算ベースで道の分が約1、460億円、市町村分が約580億円の合計2、040億円と試算され、一方、国から移譲される税源は約1、200億円で、その結果、約840億円の配分減となることが明らかにされております。北海道と同様に人口が少なく高所得者の少ない本県もかなりの配分減となるのではないかと危惧するものですがいかがでしょうか。
 また、平成21年までの第2期改革において、第1期改革で廃止されない補助負担金3.6兆円を廃止し、その分地方消費税分を1%から2.5%に引き上げて3.6兆円を税源移譲することとしておりますが、このことが本県と県内市町村に与える影響についても、金額で具体的にお示しください。
 また、改革案で地方自治体の裁量により効率的な運営が可能となる事業に係るものについては、8割に相当する額を移譲することとし、その差額については自治体の行財政改革による効率化努力によって対応するとしておりますが、本県においては今年度の突然の地方交付税と臨時財政対策債の大幅削減により、中期財政見通しの見直しを余儀なくされ、その結果、平成17、18年度の2年間で、現時点で可能な限りの対応策をとっても、236億円から524億円の財源が不足することが明らかとなっております。これにさらに行財政改革の上乗せを行い2割の差額を埋め合わせることが現実に可能なのでしょうか。知事の御所見をお伺いします。
 次に、地方交付税について伺います。
 三位一体の改革を進めると現在よりも地域間の財政力格差が顕在化し、豊かなところは一層豊かになる一方で、地方交付税による財源保障が欠かせない自治体が存在し続けることも確かで、改革案が示すとおり交付税の財源保障機能と財源調整機能を欠かすわけにはまいりません。しかしながら、所得税から3兆円を住民税に財源移譲することにより、地方交付税の財源が約1兆円減じること、さらには、破綻の危機に瀕している地方交付税特別会計の現状や、財源保障機能の廃止を含めた見直し論が盛んな状況下にあって、将来にわたって確実な財源保障が維持できるのか疑問に思うのですが、知事の御所見をお伺いします。
 また、三位一体の論議では地方税への税源移譲ばかりが注目されていますが、多くの自治体にとっては財源保障制度をどうするかということの方が大きな問題で、このことについての議論が低調なことに強い危機感を持つものでありますが、あわせて御所見をお伺いします。
 次に、職員互助会について伺います。
 本県には互助会組織として県職員互助会、教職員互助会、医療局職員互助会、警察職員互助会があり、それぞれに対し県では補助金を交付しております。このうち県職員互助会と教職員互助会について見ると、県職員互助会では平成14年度の予算ベースで、本県は1人当たりの補助金が3万4、979円で、東北第2位の福島県は1万6、317円、第3位の山形県で1万2、800円、宮城県はゼロとなっており、教職員互助会では同様に平成14年度の予算ベースで、本県は1人当たりの補助金が3万4、720円、第2位の秋田県が9、075円、第3位の福島県が6、970円、宮城県はゼロとなっております。本県では平成15年度から補助率が1000分の7.5から1000分の6.0に引き下げられたことから、現在はこれを若干下回っていますが、いずれ東北6県の中で突出した金額となっています。なぜ他県と比較して高いのか、その理由をお伺いします。
 ところで、平成15年度に事業の大幅な見直しが行われ、以前のように商品券を配るようなことはなくなったようですが、例えば県職員互助会事業の生きがい対策支援助成金や単身赴任者リフレッシュ交付金などは、退職金の上乗せあるいは単身赴任手当と類似の性格を有するものであり、補助対象事業として適正さを欠くのではないでしょうか。宮城県では財政の厳しさを理由に既に互助会への補助を中止しており、福島県でも包括外部監査で、互助会は相互扶助の精神にのっとり、会員が拠出した会費により運営されるものとの指摘を受けております。本県でも使用者の立場において欠かせない事業については、互助会経由ではなく直接実施することとし、互助会への補助金は廃止するべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 次に、県出資等法人について伺います。
 岩手県出資等法人改革推進プランが策定され、県出資法人等のあり方を継続的に見直していくこととされましたが、県出資法人の問題は、身内意識から厳しいチェックがなされなかったことと、情報開示に消極的だったこと、そして林業公社や住宅供給公社が外部監査で指摘を受けたように財務諸表が理解しにくいという点にあります。財務諸表については比較的理解しやすい企業会計の方式を取り入れ、また、不動産や有価証券については時価会計を導入するなどして、できるだけ実態を正確に反映させるように変える必要があると思われますが、御所見をお伺いします。
 また、県では平成12年度決算で出資等法人を含めた連結のバランスシートを作成し公表しておりますが、それ以後は作成していないのでしょうか。バランスシートは申すまでもなく毎年比較することに意義があります。もし作成していないとすれば、なぜなのか。その理由をお伺いします。
 次に、林業公社についてお伺いします。
 林業公社は平成19年度に県有林事業に一元化されることとなっておりますが、県に一元化するということは、各種事業を民営化しようとする時流に反することにはならないでしょうか。超長期間を要する森林の育成、半永久的に継続の必要が求められる森林整備の効率的実施を考えた場合、県が担うのと林業公社のような専門機関が担うことのメリット、デメリットについて御所見をお伺いします。
 あわせて、企業努力では既に限界に来ている林業事業体の現況を踏まえ、外材の輸入や代替材の増加などにより木材価格が大幅に低落している中で、対抗できる県産材の活用をどのように促進して、森林・林業事業体に活力を見出し、森林県岩手の林業振興政策を図っていくのか、その実現に向けた取り組みについてお伺いします。
 次に、岩手競馬についてお伺いします。
 初めに、今年度も売り上げが計画を下回っているようですが、今年度の収支見通しについてお伺いします。
 また、資金繰りが大変で、管理者である知事と副管理者の盛岡、水沢の両市長が保証人となって金融機関から借り入れしている状況だとも聞いておりますが、事実かどうかお伺いします。
 さて、このような状況下、去る9月22日、岩手県競馬組合改革案の概要が公表されました。具体性に乏しくがっかりしたというのが率直な印象であります。今、我が国は不良債権処理の最終工程に入っており、過剰債務を抱えた企業の再建策が新聞紙上をにぎわすことも少なくありません。
   〔副議長退席、議長着席〕
 上場企業の場合、再建策の評価は投資家が判断し、市場の信任を得られる確実性の高い再建策であれば株価は上がりますし、そうでなければ株価は下がります。もし競馬組合が上場企業であったなら、この改革案では株価は相当に下がっただろうと思われます。以下、この改革案を中心に何点か質問いたします。
 第1に、コストの削減策について伺います。
 この改革案では、平成19年度までに組織の効率化、合理化等で7億円、委託料等の競馬開催経費の削減で14億円、合計21億円を削減することとし、そのうち来年度は開催費、管理費で15億円を削減するとしています。来年一挙に15億円の削減を実行するのは相当ハードと思われますが、この対象として何が想定されているのか、また、相手方との協議は済んでいるのかお伺いします。
 第2に、事業連携について伺います。
 本年度中に事業連携の協議会を設置し、来年度には計画を申請し、承認を受けるスケジュールとなっていることから、意中の相手がほぼ確定していると思われますが、それは佐賀と荒尾でしょうか。今度の競馬法の改正では、連携計画につき農水省の認定を得ると共同場外発売所の設置や発売システムの共通化などに助成金が交付されることになっております。しかしながら、決算が主催者それぞれであることに変わりはなく、開催日の割り当てや開催日数等で協議が難航することが予想されるほか、九州という遠隔地では競走馬の搬送コストも高くつき収益面でどれほどのメリットがあるのか甚だ疑問に思うのですが、見通しにつきお伺いします。
 また、九州との連携を見越して受け皿となる会社が既に設立されているとの話も聞こえてくるのですが、事実かどうかお伺いします。
 第3に、民間委託について伺います。
 今度の競馬法改正の最大の目玉は民間委託で、開催日時の決定などの根幹業務以外は、ほとんど丸投げに近い形での委託が可能となり、水面下でビジネスチャンスをうかがう企業もあると聞いております。しかしながら、岩手競馬においては、既にアール・ナックや東北映像などの関連会社に相当部分の業務委託を進めており、このことが競争原理を働かせ、大幅なコスト削減に導く民間委託の妨げにならないのでしょうか。これら関連会社との契約の主たるものが単年度契約であればよいでしょうが、複数年、それも長期となるとコスト削減のおもしとなると危惧するものでありますが、関連会社との契約内容についてお伺いします。
 第4に、組織の効率化について伺います。
 競馬組合と競馬振興公社を一体化し、経営と執行を明確化するとともに業務の効率化、合理化を推進するとありますが、具体的にどうされるのか。また、このことによるコスト削減の目標をどの程度と想定されているのかお伺いします。
 県議会出資法人等調査特別委員会は、この8月に岩手競馬の振興に関する提言を行っておりますが、その中で、岩手競馬にこのような現状をもたらした歴代の管理者、副管理者、競馬議会の議員の責任とともに、競馬組合事務局の経営責任が重大であることを指摘しております。競馬振興公社には競馬組合のOBもいるわけですが、業務の一体化によって本来責任を負うべき立場の人が復活するのではないか。体質がもとに戻るだけで改革に結びつかないと思うのですが、御所見をお伺いします。
 競馬問題の最後ですが、競馬関係者の中には、今まで通算で407億円の収益配分金を構成団体に支払ってきたのだから、逆に構成団体の負担で赤字の埋め合わせをしてもらいたいとの意見もあると伺っております。高知県では高知県競馬組合が有する平成14年度末の累積債務約87億円と、これに係る利息を県、市で負担するとともに、開催ごとの収支を検証し計画を下回る場合はその分だけ賞金を随時削減する仕組みで運営しているとお聞きしました。岩手競馬も一度累積赤字を解消して身軽にしてやらないと赤字体質から脱却できず、累積赤字がさらに膨らんで最終的に県民負担がふえるということにはならないでしょうか。今度の改革案の中身は、端的に言うと経常収支の赤字はリストラで対応し、元利償還分は売上増で対応する計画と言えます。しかしながら、リストラによるコスト削減は可能と思いますが、全国公営競馬の実態やレジャーの多様化等を考えると、売上増による元利償還は期待薄ではないでしょうか。知事は一般財源の投入は一切あり得ないとのお考えなのか、高知の取り組みに対する感想とあわせて御所見をお伺いします。
 また、知事の任期中に期間収支が均衡に届かないことが明らかになった場合、その時点で廃止を決断するのか、御所見をお伺いします。
 次に、森のトレー問題について伺います。
 いわて森のトレー生産協同組合がトリニティ工業を訴えた損害賠償請求事件に県が補助参加する申し立ては、仙台高裁によって却下されました。県が損害賠償請求事件の訴訟の結果については、法律上の利害関係を有するとは認めがたいというのが却下の理由であります。この決定に対して知事は、久慈市の補助参加は認められているから、県職員を市の職員と併任させるなどすれば、訴訟体制上は特には問題ないとの趣旨の発言をされ、先日2名の県職員の併任発令がありました。しかしながら、県として訴訟上の一切の行為ができないのですから事はそう簡単ではないと思うのであります。3月議会で国庫補助金返還額の3分の1相当額の予算4億2、600万円余を議決した際、県が補助金の一部返還及び補助金の回収に最大限の努力をすれば、林野庁としても延滞金の免除についてできる限りの対応を行うとの前提がありました。しかしながら、補助参加が却下され県として訴訟行為ができないということは、客観的に見て回収に最大限の努力をしたと評価されないこととなり、延滞金免除の道を閉ざすことにならないのでしょうか。知事の御所見をお伺いします。
 また、補助金の一部返還を議決したとき、これがこの問題のスタートで、国にも責任の一端があることを明らかにしたいと発言されております。その後、林野庁と責任問題について協議されているのか。あわせて、今後どのように責任追及をしていくお考えか、知事の御所見をお伺いします。
 次に、医療と介護につき伺います。
 県内の介護老人福祉施設、すなわち特養への待機者は平成16年3月末で1、973名となっていますが、これは在宅者の数であり、在宅以外の待機者も調査している盛岡市の例によりますと、同じ平成16年3月末で在宅が238名、特養以外の介護保健施設に入所中の人が384名、病院等に入院中の人が219名で、合計841名、在宅待機者の3.5倍となっております。これから推計しますと、全県で少なく見積もっても5、000名を超える特養の待機者がいるのではないでしょうか。介護保険の被保険者としてサービスを受ける権利を有しながら、それにこたえることのできない現状をどう認識されているかお伺いします。
 いきいきプラン2008では、平成19年度までに特養を6、201床、老健施設を5、405床整備することとしていますが、特養の待機者が圧倒的に多く老健の待機者が少ない現状を考慮して、老健の整備予定分を減らして特養分をふやすことは不可能なのでしょうか。御所見をお伺いします。
 また、待機者と同様に行き場がないのが高齢者の入院であります。一般病院の場合、3カ月以上入院すると病院に入る診療報酬が激減するため退院を迫られるのですが、転院先もなかなか見つからず行き場がないという困った境遇の方が相当数いると思われます。患者や家族にとってのみでなく人道上も大きな問題ですが、県はその実態を把握されているか、また、どう対処されようとしているのかお伺いします。
 医療と介護、病院と特養はもちろん性格が異なるわけですが、少子・高齢化や核家族化の進展と特養の入居者の高齢化や重度化により垣根がますます低くなり、今後は特養におけるターミナルケアが重要になってくると思われます。そのためには、介護職でもできる医療行為の認定やターミナルケアに係る費用を介護報酬に含めることなどが今後の課題として検討されるべきと思うのですが、国の動向はどうなっているか、御所見をあわせてお伺いします。
 次に、いわて教育の日の条例化について伺います。
 1年前の9月定例県議会において、いわて教育の日制定についての請願が全会一致で可決されました。その後、本年3月の予算特別委員会で条例化の進捗状況についての私の質問に対し、庁内の政策推進ワーキンググループでいろいろ研究しながら進めているほか、市町村へのアンケート調査とか先進地事例の調査研究を進めているとの御答弁でした。調査研究も相当進んだことと思われますが、現在の進捗状況についてお伺いします。
 教育は国家百年の大計と言われておりますが、残念ながら子供たちは恵まれた環境にあるとは言えず、全国的に青少年を含む凶悪犯罪を初め、児童の虐待、殺傷、誘拐等の痛ましい事件が相次ぎ、さらには、学校においてもいじめ、不登校や学級崩壊、校内暴力等に加え教職員による不祥事まで発生する状況にあります。そこで、改めて教育の重要性を認識し、学校、家庭、地域、行政が連携して教育について考える教育の日を制定しようとの機運が全国的に盛り上がり、現在17都県で教育の日が制定されており、うち6県が条例化されております。
 本県では、昭和40年から教育振興運動に取り組み、本年40周年を迎えるなど県民挙げて教育に取り組んできた歴史があります。県教委の中には条例化に消極的な意見もあるやに伺っておりますが、今、教育に求められているものは、家庭も学校も、地域も企業も行政もみんな一緒に考え行動しようとする自主性への期待であり、広く県民の間に教育尊重、教育振興の世論を喚起し、みずからの自己充実、自己実現を図りながら、心豊かに生き抜く子供が育つ教育風土の機運を盛り上げるためにも、教育立県・岩手の指針として条例化することに意義あると考えるものですが、教育長の御所見をお伺いします。
 最後に、交通渋滞対策について伺います。
 これから冬に向かって盛岡市内の渋滞は一層の激しさを増してきますが、特にも大きな住宅団地のある松園方面からの渋滞はひどく、雪が降ると市内まで1時間以上かかる日も珍しくありません。先日、地価の公示価格が公表されましたが、盛岡市内でも松園地区の地価の下がり方が大きく、その要因の一つに交通渋滞が挙げられるほどであります。盛岡市ではオムニバスタウン構想によりバスの利便性を向上させて、定時性の確保と渋滞対策に取り組んでいますが、バス優先道路に割り込むなど交通マナーの悪さにより、期待したほどの成果が上がらない状況にあります。これから冬に向けて優先道路や時間帯進入禁止等の交通規制が徹底されるよう、県警察に指導の強化を求めるものですが、県警本部長の御所見をお伺いします。
 次に、鉄道の利活用について伺います。
 渋滞の緩和対策として道路整備が有効であることはもちろんですが、国道455号北山トンネルの例でもわかるとおり、道路整備には膨大な費用と時間を要することから即効性がありません。そこで、今あるインフラ、鉄道網の利活用にもっと積極的に取り組むべきと思うのであります。いわて銀河鉄道の青山新駅や巣子新駅の新設による渋滞の緩和が期待されるところでありますが、山田線の利活用につき、県はどのように考えておられるでしょうか。上米内駅周辺の駐車場整備や盛岡-上米内間のダイヤ編成、新駅の設置、バスとのアクセスの整備等により渋滞緩和の効果が高まると期待するものであり、JR、盛岡市と一体となって山田線の利活用につき検討されることを望むものですが、御所見をお伺いします。
 以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 佐々木博議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、参議院議員選挙の結果でございますけれども、今回の参議院議員選挙は21世紀に入って2回目の国政選挙ということですが、民主党が大幅に議席を伸ばしたということで、2大政党に向かっての流れがさらに加速されたもの、このように見られると思っております。参議院議員選挙は、衆議院議員選挙の場合と異なりまして直接政権交代に結びつかないということはございますけれども、今回の選挙結果を見ますと、年金問題やイラク多国籍軍への自衛隊参加問題などを中心にして、小泉政権とは異なる意見を持っている人たちが多いということのあらわれではないかと考えております。
 また、岩手選挙区の方は御案内のとおり4人の方が立候補されて、結果は民主党の主浜氏が当選されたわけでございますが、こちらの選挙は、いずれにしても各候補者がそれぞれ精いっぱい政策を訴えられ、力を尽くしたさわやかな選挙戦だったとの印象を持っております。
 三位一体改革と財源確保の関係でございますが、税源移譲額の試算はどのようになっているかというお話でございます。これにつきましては、本県のリストに上がっております対象となる補助金を16年度当初予算ベースで拾い出してみますと、県分で350億円ほど、市町村分――これは完全に十二分な悉皆調査になっているかどうかは若干ございますけれども――で110億円ほど、あわせて460億円ほどになっております。
 それから、税源の移譲を地方6団体の提案による個人住民税の10%比例税率化による場合の額については、税源の偏在の是正措置などが決まっていないものですから、そういう意味では正確な試算ができないんですけれども、一応目安として単純に現行の制度だけでそこを当てはめてみますと、県、市町村分あわせて260億円ほど増加するという試算になっております。これは、県と市町村分を分ける配分割合が不明のためにそれ以上は分けられないということになっておりますけれども、260億円ほど増加となっております。
 繰り返しになりますが、地域間の税源偏在の是正措置をこれに入れておりません。生の数字になっておりますので、これに地域間の税源偏在の是正措置を入れ、さらにそれでも調整し切れないところは地方交付税での財源調整という形になっていくことでございます。6団体として改革案を提出した際に、必要な財源については全額措置されなければならない、これを強い前提条件として書いてございますので、こういう生の数字の税源偏在を確実に埋めて、そしてきちっと財源全部を措置する、これが逆に言うと提案を受けた政府の責任になるととらえております。
 また、昨年は公共事業などについて具体的な税源移譲はなされませんでしたので、そういったことのないように、これから我々6団体が力を合わせて、むしろ追い込んでいくことになるかと思っております。
 効率化努力ということで、裁量的事業は8割相当額ということですが、県としても本当にそういうことで大丈夫かどうかという趣旨の御質問かと思います。これは私も、それから改革案の中でも義務的なものなどは当然10割の税源移譲を求めているんですが、いわゆる奨励的補助金は8割ということにしております。これは、実態の事業を見ますと、補助事業という一律の基準などを取り外して地方に一般財源化すれば国から義務づけられているさまざまな規制がなくなるわけで、例えば幼稚園と保育園との一体的整備運営ができるなど、そういったことでのコスト縮減もやり方で可能になる。それから、公共事業でも、いわゆる地域の実情に応じた基準、ローカルスタンダードによる事業展開が可能でございますし、手続面で、国庫補助申請や実績報告、それに伴う出張などの経費、それから人員も相当削減できるといったこともございます。2割相当分の差額については、むしろ地方側の創意工夫を生かして、我々の方で効率的事業執行に努めるんだというプライドを持って対応していかなければならないものではないかと思っております。全体の3兆2、000億円のうち、かなりの部分が確実に10割の税源移譲ということでやっておりますので、この奨励的補助金にかかわる部分は余り多くはないんでございますが、そこは、今言ったような工夫を凝らすことによって対応可能と考えております。
 なお、税源移譲の問題でございますけれども、財源保障について、やはり地方間の差を埋める必要があると思っております。お尋ねにもございましたけれども、ここにつきましては、まず、できるだけ税制度の中で地域間格差を縮小していくことが大切でございまして、県税収入の相当部分を占めてございます現在の法人事業税は都道府県に配分する際に従業員数等で割り振っているわけですが、本社とか工場の従業員数をどうカウントするかはございますが、この法人事業税の分割基準の見直しをして地域間の偏在を解消する。それから、地方譲与税の配分調整を実現させて、より地方圏に配分が多くなるように見直しをすべきであると考えております。そうした税制度の中での地域間格差の縮小は三位一体改革とは別に当然行わなければならない問題であって、そういうこととあわせて、それでも解消できない財政力格差について地方交付税の財政調整制度をうまく使うことが必要かと思っております。
 こうした地方交付税については、改革案の中でも当然必要な額は全額国が責任を持って確保する必要があると申し上げているところでございまして、財源調整制度、それから、国などで義務づけている仕事の財源を保障する財源保障機能の両機能をこの交付税制度の中で適切に発揮できる仕組みについては引き続き必要であり、改革案の中でもその旨を述べておりますが、これを縮小することは断じて許されないと考えております。
 それから、交付税制度についてはもちろん大胆な見直しも必要でございまして、今後は、交付税対象税目を見直して、できるだけ偏在の少ないものに今言ったように税制で解決すると同時に、むしろ交付税の原資の方には偏在の大きなものを入れて、それを交付税で均等に割り振るといった措置ですとか、あるいは交付税率の引き上げなども検討していく必要があるのではないかと考えているところでございます。
 財源保障の制度でございますが、三位一体改革自身は、地方の歳出はできるだけ自主財源である地方税によって賄われるべきであるという自立の原則にのっとって考えているものですから税源移譲を中心にとらえて進めていくべきと思っておりますが、今申し上げましたように、交付税の確実な財政措置、その中には財源保障という観点も大変重要なものでございます。今回の改革案にもそのことを前提に掲げているわけでございますが、強くそれを我々全体として主張していくべきと考えております。
 また、議論がこの点について低調だという御指摘がございましたけれども、これについては、今後国民皆に訴えかけるように、新聞社の皆さん方や雑誌やテレビなどのいわゆるマスメディアに関係している皆さん方にも御理解いただくようにして、国民世論全体を盛り上げながらこの改革案の実現に向けて全力で取り組んでいきたいと考えております。
 それから、岩手競馬についてでございますけれども、順次お答え申し上げますが、まず、今年度の収支予測でございますけれども、発売額は現時点では1日当たり平均で前年対比86%という状況でございます。この売上動向から今年度の収支見通しを試算いたしますと、今年度単年度で40億円の歳入不足額が生ずる見通しでございます。
 銀行からの借り入れについてでございますけれども、組合では銀行から一時借入金の融資を受けているわけですが、この借り入れに当たり、管理者である私知事あるいは副管理者である水沢、盛岡両市長が保証しているという事実はございません。
 それから、今般の改革案でございますけれども、競馬法の改正の趣旨を取り入れて、事業連携や民間委託など抜本的な構造改革を基本として、さらにコスト削減、そして増収・振興策で18年度末までに期間収支の均衡が図られる体質にする、16年度から黒字を目指す、こういうことになっております。
 17年度における15億円のコスト削減ですが、ここが改革案の骨格でございまして、これが改革の成否のかぎになっていると言えるかと思います。内訳は、組織の合理化等による削減が3億円、競馬開催費の削減が12億円、あわせて15億円となってございますが、これについては、実態を把握した上で、どこまで削減可能なものなのかどうか精緻に積み上げてございます。すべて精緻に積み上げてございますが、今後の相手方との交渉もあるということで、これ以上の詳細は現段階では明らかにできないものでございます。
 それから、今後関係する団体とは具体の交渉に入っていくわけでございますが、痛みも当然相当あるわけですが、理解と協力をいただいて、11月半ばまでにアクションプランを取りまとめるということで進めてまいりたいと思います。
 事業連携の相手先でございますが、これは、競馬開催の目玉であり、ぜひ実現させたいと思うわけですが、九州の佐賀県競馬組合、それから荒尾競馬組合とは従来からの連携の実績がございますので、連携事業の有力な相手方と考えております。ただ、これは佐賀、荒尾に限るものではなく、他の主催者とも条件が折り合えれば積極的に協議を進めていく考えでございます。
 このメリットでございますが、他の競馬主催者との場外発売所の共同設置による増収、それから、既に更新時期に来ている岩手競馬の勝馬投票券の発売システムを他の主催者と共同化することによって大幅にコスト削減を図る、そういったことが考えられます。このように他の主催者との連携により、お互いのメリットが引き出せるような事業連携を今後も積極的に進めていく考えでございます。
 それから、受け皿会社が九州との連携を見越してもう既に設立されているという話もあるという御指摘でございますが、そのような事実は承知していないところでございます。
 民間委託でございますが、当然民間委託を進めるについては、現在の委託先についても競争相手の一人にすぎない、こういうとらえ方をしております。現在の委託業務についての関連企業との契約は、基本的にはほとんどが単年度契約でございます。したがって、今後、民間委託を進めるに当たって、現在の委託先との関係が大きな阻害要因になるとは考えていないところでございます。
 それから、競馬振興公社には現在競馬開催の補完業務を委託しているわけですが、今回の改革では、組合本体は経営のみを行う機関として位置づけてスリム化する、それから、競馬開催の実務は公社に集約するといった形で、業務の効率化、合理化を推進することを考えているわけでございます。組織としては組合と公社が並存するような形になるわけですが、その運営は、経営を行う組合のもとで行われるような形にしたい、それが一体化の趣旨でございます。この取り組みによるコスト削減の目標は組織の合理化による削減目標として設定して、改革案に約7億円という数字が書いてございますが、その約7億円の一部として積み上げているところでございます。
 この競馬組合の改革にあわせて、当然のことながら振興公社にも改革をしてもらわなければいけないわけですが、そのときに公社経営のトップに立つ人は、その後の公社の役割、そして新しい公社を担うにふさわしい人かどうかという観点から判断されるべきものと考えております。
 高知県では、組合が抱える累積債務の元金、利子について構成団体が負担金として支出している実態にあるわけですが、これは、構成団体としてのそれぞれのお考えがあって行われているものと理解しております。当競馬組合としては、外部のコンサルを入れて、そこで客観的、専門的な見方も入れてコスト削減を含むあらゆる経営改善の可能性を調査・分析したわけですが、まだそうした経営改善に取り組む余地があることが明らかになっております。また、増収策についても、従前の設備拡充によるものではなく、顧客の視点に立って、来場頻度別の特性に合わせた満足度の向上や競馬ファン層の拡大、掘り起しなど新たな売り上げに結びつく振興策がまだ残されているということでございます。こうしたことをもとに改革案の基本方針を策定したものでございまして、この基本方針に沿って着実に取り組んでいけば平成19年度には赤字体質から脱却し、そして29年3月まで――28年度中には累積損失を解消できると考えておりまして、一般財源の投入は考えていないものでございます。
 また、この改革案では、11月に策定されるアクションプランの実行に着実に取り組むことにより、18年度末に期間収支均衡が可能な体制を構築する、そして、19年度に黒字に転換することを目指すことになっています。これを確実に今後実行していく。競馬のあり方については、こうした取り組みの結果として、平成18年度中における開催成績と、それに伴っての期間収支見通しが明らかになった時点、これは18年度中である時点になるとその期間収支見通しが明らかになるわけでありますので、その期間収支見通しが明らかになった時点で、水沢、盛岡両市とも協議をして最終的な判断を下してまいりたいと考えております。
 森のトレーのお尋ねでございますけれども、県は訴訟支援に万全を期すために補助参加の申し出を行ったんですが、高裁まで争いましたけれども、直接の法律上の利害関係がないのではないかということで認められなかったわけで、これは大変遺憾なことであると思っております。訴訟の遂行上、本県の職員を市の訴訟事務を一部担当するために久慈市に併任発令をしておきました。これは、今、議員から御指摘いただいたとおりでございます。そして、久慈市の訴訟遂行体制への支援を通じて県としての主張を裁判上反映させていくことができるようにしたわけでございまして、こうした取り組み自体が回収に向けた県としての最大限の努力であると考えております。
 それから、本事案の補助金でございますが、これは本来トレー組合から回収して国に返還すべきものである。先般、県議会の方に県としての負担をお願いしたわけでございますが、これは、県としての返還努力の一つとしてぎりぎりの判断で行ったものでございまして、これは本来、トレー組合から回収して国に返還すべきということでございます。したがって、それを実現すべく今後は訴訟に全力で対応するということでございまして、国の責任についてはトレー組合からの補助金の回収が具体的になって初めて協議することが可能となりますので、訴訟が終了した後、県として国の責任について具体的に協議していくことになると考えているところでございます。
 その他のお尋ねは関係部長に答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 職員互助会についてであります。
 職員互助会に対します県の支援でありますが、平成14年度までは補助金は会員の掛金の総額と同額を補助してきたということがございまして、他県に比べても高い状況となっていたものでございます。この職員互助会の事業の財源には県からの補助金が含まれておりますので、その事業内容は県民の理解が得られるものでなければならないと考えております。このことから、平成15年度からは条例を改正いたしまして会員の掛金の総額の8割に相当する額への補助に引き下げたところでありますが、今後も経営状況等を踏まえながら検討していくこととしているものでございます。
 対象事業につきましては、平成15年度には各種事業の見直しを行っておりまして、単身用公舎備品助成の廃止あるいは眼鏡補助、結婚祝い金等のカフェテリアプラン事業への統合を行いまして、給付水準の引き下げあるいは各種事業の改廃等を行ったところでございます。また、その際の見直しによりまして、平成17年度以降、単身赴任者リフレッシュ交付金を廃止すること、あるいはカフェテリアプラン事業の見直しを行うことを予定しておりまして、今後さらに具体の事業の検討を行っていきたいと考えております。
 それから、県が使用者として直接実行してはどうかということでございます。平成15年度からは従来職員互助会が行っておりました健康管理事業を県の事業に組みかえておりまして、県、共済組合や互助会それぞれが職員の福利厚生に果たす役割分担については絶えず見直しを行ってきているつもりでございます。提案のありました直接執行でございますが、職員互助会は主に県や共済組合の行う福利厚生事業の補完的な事業を行うことを目的としておりますので、すべての事業を県が行うことは、それはそれで問題があるのではないか。また、この補助は互助会の運営を健全ならしめるためのものであります。また、職員互助会が事業を実施した方が県としての支出を抑えることができるものもございます。したがいまして、今後県と職員互助会の役割分担をさらにきちんと整理する必要があるのではないかと思っておりますし、職員互助会が行うことが適当な事業でありましても、それが補助として適当かどうかということもきちんと整理する必要があるのではないかと考えておりまして、そういった方向での見直しを考え、より一層県民の理解を得られるものにしていきたいと考えております。
   〔総合政策室長照井崇君登壇〕

〇総合政策室長(照井崇君) まず、県出資等法人の財務諸表についてでございますが、出資等法人には、土地開発公社などの特別法法人と、いわゆる公益法人と言われる社団や財団である民法法人、さらには株式会社である商法法人がございまして、各法人は、それぞれ所定の会計基準に基づいて財務諸表を作成しているところです。特別法法人及び公益法人の会計基準はそれぞれの法人の特性に応じて定められていることから、直ちに企業会計方式に移行することは難しいものがございますが、特別法法人等の会計基準も、近年、月次決算の励行など企業会計方式の長所を取り入れながら財務情報の透明化を図ってきているところでございます。今後、県出資等法人に対しましては、このような会計基準をしっかり遵守するとともに、県民に対して財務状況を積極的に開示するよう指導してまいります。
 また、時価主義会計の導入についてですが、公益法人等の場合、一般に移転目的の資産を保有することが少ないことなどから広く取得原価主義が採用されておりますが、包括外部監査における指摘のように、例えば移転を目的とした資産を多く保有している法人については時価評価による資産の状況を財務諸表に参考として注記するなど、県民に対してできるだけ財務の実態を明らかにするよう指導してまいります。
 次に、バランスシートの作成についてですが、県が保有する資産や負債の状況を県民に明らかにするため、平成10年度の一般会計決算からバランスシート及び行政コスト計算書を試作し、翌11年度には特別会計や公営企業会計にも対象を広げ、さらに12年度には出資法人にも連結の範囲を拡大するなど、平成12年度決算まで本県独自の方式による試作を行ってきたところです。一方、旧自治省――現総務省は、平成12年に地方公共団体の総合的な財務分析に関する調査研究報告書において、いわゆる総務省方式による作成手法を明らかにしたことから、平成13年度決算以降分のバランスシートにつきましてはその試作を見合わせ、本県の独自方式と総務省方式のいずれがすぐれているか、さまざまな面から比較検討を行ってきたところでございます。その結果、他の自治体との比較や経年比較、さらには作成コストの面などで総務省方式によって作成する方がよりメリットがあると認められたことから、現在、総務省方式により今年度内の公表を目指して平成13年度以降分を作成しているところでございます。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 林業公社の県事業への一元化についてでありますが、森林整備の効率的な実施という観点では、森林の整備は長期間にわたって保育、間伐等の適時適切な作業を要することから、これを各地域の森林に精通した専門的な機関が実施する方がより効率的な作業を行うことができるなどのメリットが考えられます。したがいまして、県に一元化された後におきましても、効率的な森林整備を行っていく上で民間が持つメリットを生かすことが必要であると考えており、民間が行うことが適当とされる業務につきましては林業関係団体に委託して実施する方向で検討することとしております。
 次に、森林県岩手の林業振興政策についてでありますが、県産材の活用を図るため、県営の公共施設整備や公共事業工事における県産材利用の促進、木造公共施設等整備促進事業による、市町村等が実施する公共施設や学童用机、いす等への県産材利用の促進、さらに、木の香る環境共生住宅促進事業や顔の見える木の家づくり推進事業による、個人が住宅を建築する際における県産材活用の促進に取り組んでおります。
 このような取り組みを通じて県産材の需要拡大に取り組んでおるわけでございますが、さらに県産材の輸出についてもその可能性の調査・検討を行うこととしており、このような取り組みを通じて本県の林業振興を図ってまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長佐藤敏信君登壇〕

〇保健福祉部長(佐藤敏信君) まず、医療と介護についての待機者の現状認識でございますが、議員の御質問にもありましたとおり、現在、県では在宅で入所を希望している方を対象として調査をしております。これは一般的に申し上げまして、入院されている方や施設に入所されている方というのは在宅の方に比べて手厚くサービスを受けている傾向があるだろうということでございまして、したがって、まずは在宅で生活が困難な方について、重点を置いて特養に入所できるように配慮していこうと考えているからでございます。そういうことから、これまで県では1、904人という数字を用いているところでございます。御理解をいただきたいと存じます。
 それから、いきいきプラン2008の見直しに関して介護保険施設の整備でございますが、そもそも、まず保険者でございます市町村が施設種別ごとの必要量とか保険料などへの影響を判断しまして、さらに、これに国の参酌標準というものを参考にして計画を策定しているところでございます。これまでのところ、県全体を見回しますと老健施設、それから特養の整備というのは、ほぼ入所定員の目標どおりに推移しておりまして、議員の御提案にありましたように、現時点で老健整備分を特養に振りかえるということは、この現計画上ではなかなか困難な状況ではないかと考えております。
 しかしながら、制度施行後約5年経過しましたし、国においても参酌標準を含めた大幅な見直しが行われているようでございますので、これと並行して県や市町村においても、平成17年度には改めて介護サービスの需要等を推計した上で計画を策定することになりますので、この中で御指摘の点についても検討されることになるだろうと考えております。
 いずれにいたしましても、先ほどの特養の待機者の現状認識とあわせまして、特養の入所希望者が多いということは承知しておりますので、本県では、従来型の施設サービスももちろんでございますけれども、今年度からは身近なサービスの拠点となります、ご近所介護ステーション設置支援事業、あるいは共同住宅を提供するモデル介護支援ハウス整備事業を実施しておりまして、この状況を見ながら県内各地にも展開してまいりたいと考えております。なお、国においても同様の考え方による小規模多機能型サービスの創設が検討されていると聞いておりまして、こうした動向も踏まえながら、県で取り入れられるところがあれば取り入れてまいりたいと考えております。
 それから、次は高齢者の入院についてでございます。議員の御質問の中にありましたように、一般病院においては入院期間が3カ月以上経過すると低い診療報酬点数になるということでございまして、これは平成12年度の診療報酬改定の際に講じられた措置でございますが、人道上も問題があるのではないかということでございましたけれども、この制度の中では難病であるとか、あるいは重度の肢体不自由者、それからリハビリテーションや頻回の喀たん吸引――たんの詰まったのを取るわけですけれども――そういったようなさまざまな医療の必要度が高いと判断される状態にある高齢者の方については、その適用が除外されておりますので、個別には救われているという状況にあろうかと思います。
 それから、実態把握でございますが、私ども実は昨年の6月に県民医療相談と申しまして、医療にかかわる何でも相談のようなものを設置したわけですが、ここの実績が出てきておりまして、平成16年3月までの約10カ月間で御相談をいただいた延べ件数が681件に達しておりますが、議員の御指摘のありました制度に関連するものは13件でございました。その結果は、相談員が個々に対応いたしまして、おおむね御理解をいただいたという形のようでございます。
 いずれにいたしましても、今後とも、今申し上げました県民医療相談センターにおける相談しやすい環境づくりとあわせまして、医療の施設それぞれの持っております機能の分化、それから連携の推進等含めまして、適切な入院医療の確保に努めたいと考えているところでございます。
 それから、医療と介護の四つ目でございますけれども、介護職員の医療行為の認定と、それから費用の報酬化ということで御質問いただきましたが、現在、国において介護保険制度の見直しが行われているわけですけれども、この中で入所者の重症化、重度化ということへの対応という観点から、ターミナルケアも含めました医療との連携強化を図っていくことが重要ということで議論が行われているようです。ただし、その介護報酬というものにつきましては、まだ具体的に示されていないようです。
 それから、介護職による医療行為ということですが、国においても各自治体からいろんな意見が寄せられているということについては、承知はしているようでございますけれども、実際に国において具体的な検討をしている、あるいは具体的にこういうふうに検討したという状況は、今の段階では聞いていない状況です。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕

〇地域振興部長(山口和彦君) 交通渋滞対策としての鉄道の有効活用についてでございます。
 御質問のJR山田線の上米内の駐車場確保につきましては、同駅には無料駐車場が整備されております。現在のところ、その駐車台数には余裕のある状況と聞いております。
 次に、盛岡-上米内間の新駅設置についてでございますが、盛岡市では、昨年度、山田線の活性化を図るため、この区間への新駅設置の検討を行いましたが、新駅設置に伴う交通環境への影響とか、あるいは市の財政負担等を勘案しまして、市内の新駅設置につきましては、IGR青山新駅の開設を優先的にしたいということで聞いております。
 次に、JRダイヤの改善とバスとのアクセス等についてでございますが、盛岡市オムニバスタウン計画におけるレール・アンド・バスライドの取り組みとしまして、平成14年9月から松園営業所-桜台団地-上米内駅間において、通学通勤時間帯のJRダイヤに合わせた路線バスの運行を実施し、現在1日平均20人前後の利用があると聞いております。そのほかにJR東日本に対しましては、盛岡-上米内間の通勤時間帯、これはちょっと本数が少ないものですから、その通勤時間帯における列車の増発の要望を行ってきているところでございます。
 県としましては、マイカーへの過度の依存に起因する交通渋滞、環境の悪化等改善すべき課題は多いと認識しているところでございます。御提言のありました駅周辺の駐車場の確保等各種取り組みにつきましては、鉄道利用の増加や交通渋滞緩和に有効な対策であると考えていますことから、今後とも、地元盛岡市とともに、JR東日本やバス事業者と連携し、公共交通機関の利便性の向上に努めてまいりたいと考えております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) いわて教育の日の条例による制定についてでありますが、今日の教育の現状を見ますと、主要課題である学力向上のほか、いじめ、不登校あるいは暴力事件の発生などさまざまな課題があり、その対応を図る上で、教育は学校のみで完結するものではなく、家庭や地域社会などと深くかかわり、協力関係の中で成果が得られるものと考えているところであります。
 こうしたことから、教育の日を制度化しようとする請願の趣旨に賛同しこれを踏まえて、県におきましても庁内の部局横断的連携によるワーキンググループにより、鋭意検討を続けてきたところでありますが、これらの検討の中で、市町村の意向を調査した結果、行政主導でのいわば押しつけ的なものであっては限界があるのではないかなどの意見もあり、また、条例による教育の日制定について、その目的、趣旨に賛同すると言いながらも、一方、条例で定めることについてはどうかという意見もあります。また、他県におきましても、必ずしもすべてが条例で制定されているものではないといった状況にあります。
 一方、本県におきましては、学校、家庭、地域の連携と協働を柱とする岩手県独自の教育振興運動を展開してきたところでありますが、ことしは運動を始めて40年の節目に当たりますことから、これを契機に教育振興運動のあり方について見直すこととしております。したがいまして、多くの課題を抱える本県の教育の現状を踏まえ、本県独自のこの教育振興運動の見直しとともに、あわせて岩手らしい、県民の賛同を得られるような教育の日のあり方などについて、今後さらに詰めてまいりたいと考えているところであります。
   〔選挙管理委員会委員長岩崎康彌君登壇〕

〇選挙管理委員会委員長(岩崎康彌君) まず、掲出を中止して回収した啓発用ポスターの作成費等についてでありますが、現在、参議院選挙に係るさまざまな報告を国に対して行っているところであり、これとあわせてポスター掲出中止に係る経費の説明をしており、作成費等の取り扱いを協議していくものであります。
 次に、期日前投票の投票用紙の交付についてでありますが、比例代表の投票用紙の交付時に、政党名を書くものだとする説明、またはそのように受け取られる不確かな説明を行うのは不適切ではないかとの電話を県選管にいただいた事案につきましては、当該団体に具体的に抗議の内容を伝え、だれから説明しても正しい説明が徹底されるよう注意を促したところであります。
 また、投票用紙についてでありますが、これの交付の際には、選挙区と比例代表の投票用紙の実物を見せて、それぞれの選挙の投票方法を説明した上で、有権者に選挙区と比例代表の投票用紙を各1枚ずつ示して、計2枚を交付しているものと認識しております。
 次に、市町村選管の指導についてでありますが、議員の御指摘のとおり、選挙は、国民の重要な権利であることにかんがみ、その確実な執行に資するために、事前に、期日前投票などの改正事項の説明や投開票の具体的な注意喚起のために、市町村の選管委員長及び選挙事務担当者を対象とした会議をそれぞれ開催し、これを受けて各市町村も選挙事務の支援職員等を対象として会議や研修を行って選挙に臨んでおり、今後とも正確な情報の提供や助言に努めてまいる所存であります。
   〔警察本部長山内正和君登壇〕

〇警察本部長(山内正和君) 交通渋滞対策についてお答えいたします。
 議員御質問の松園ニュータウンから市内に向かうバス路線につきましては、朝の混雑時間帯におけるバス専用レーン規制や、路線バスが信号交差点に近づいた際に前方の信号が青に変わる公共車両優先システムなどの対策を実施するなど、バスの定時運行について支援しているところでありますが、バス専用レーンの効果を発揮するためには、議員御指摘のとおりバス等指定車両以外の通行を排除していくことが必要であります。
 このため、県警察といたしましては、これまでもバス専用レーンの正しい通行方法についての広報啓発活動や、街頭における指導活動を実施しているところでありますが、特にこれから冬期に向けて交通渋滞が激しくなることが予想されますことから、これら対策の一層の徹底を図ってまいりたいと考えております。

〇29番(佐々木博君) 御答弁をいただきましてありがとうございました。答弁が早口だったのでちょっと確認をさせていただきたいところがあるのですが、その増減分ですけれども、減少が、県分が350億円、市町村分110億円の、あわせて460億円、移譲分が、あわせて県と市町村で260億円ということで間違いございませんか。住民税と……。

〇議長(藤原良信君) 一括して質問してください。

〇29番(佐々木博君)(続) 多分……、そういうことを前提にちょっと話をさせていただきたいと思いますけれども、北海道なども実際配分減が随分多いようでありますけれども、要するに今度の知事会、正確に言いますと地方6団体ですか、財源保障ということはもちろんうたってあるわけですけれども、実際にはこういった制度になっていきますと、どうしても人口が多くて高所得者の多いところが偏在化して、要するに豊かなところはもっと豊かになっていく、厳しいところはいつまでたっても変わらないという、そういった状況がますます激しくなっていくのではないかと私は思います。特にも所得税の住民税化だとか、それから地方消費税ということであれば、そういった傾向がやはり解消できないのではないかと思うのですね。
 今、一番の問題というのは、実は地方交付税の扱いではないかと思っているんですよ。地方交付税に対して、いろいろな識者、構造改革論者、かなり厳しい意見を申し上げる方が多いですし、それから一方ではまた、先ほども申し上げましたが、あの特別会計なども大変厳しくなっています。また、そういった国自体の財源も厳しい中で、基本的に国の財源を地方に移譲しますと交付税全体の枠というものも小さくなってくる。その小さくなってくる枠の奪い合いというものが地方間で激しくなってくるのではないかということが非常に想定されるんですね。知事は先ほども、交付税で財源保障されることと改革は一体であって、もしそれがのめないのであれば撤回することも考えているというお話をされましたけれども、しかし、それが全国知事会で一致してそういった意見になるかと言えば、恐らく、この制度の改変によって今より有利になるところもあるだろうと思いますから、私は足並みがそろわないのではないかといったことを非常に危惧するわけであります。そのことについてどのように知事は対処されようとされるのか、まずそのことについて1点お伺いをしておきたいと思います。
 それから、先ほど競馬組合の借り入れの件で保証の事実はないということを伺いました。間違いはないと思いますけれども、実は競馬組合規約では収益分配と損失の分担で、損失が先に来てその後収益分配になっているんですね。それで、もし保証の事実がないとすれば、この規約どおり間違いないかという確認をさせられた上で、その競馬組合が融資を受けているというような事実はないでしょうか。そして、それについてサインをされているとか、あるいは印鑑を押しているという、そういった事実はございませんでしょうか。
 それから、もう一点ですが、競馬組合、私は売り上げを伸ばすということはかなりやっぱりしんどいと思うのですよ。佐賀競馬だとかいろいろ見ていましたけれども、身の丈に合った要するに経営をやっているところは何とか維持ができています。ただ、岩手競馬が本当に身の丈に合った経営ができるかというと、ネックになっているのが元利償還金の返済分だと思うのですね。元利償還をどうしても自力で返さなければいけないということになると、売上増というものから絶対逃れられない。
 したがって、計画も元利償還を返すということが前提になっていますから、どうしても売り上げを伸ばすということも盛り込まなければいけない。本当に売り上げが伸びればそれはそれでいいのですが、例えばよく言われていることに、1人当たりの売り上げが大分減っているということを言われますけれども、ピーク時が5万2、343円、それが1万2、800円ぐらいまで4分の1まで減ったと言いますけれども、ピーク時の5万2、000円などというのは、私から言わせれば本当のギャンブルであって、1万2、000円ぐらいの売り上げというのはむしろ私は健全な娯楽だと思います。そして、多分健全な娯楽からギャンブルにまた戻るなどということは考えられないと思うのですね。それから、レジャーは非常に多様化している。そういった中で、改善策の中でもいろんな手だてを使って、民間のいろいろな知恵もかりて、そして売り上げを伸ばしたいと言っていますけれども、これはあくまでも期待値であって裏づけがない話だろうと私は思うのですよ。これだけ厳しいその改革案をつくるときに、その期待値だけで、期待だけでそういった計画をつくっていいのかどうかと、そこが非常にこの改革案を検討するときの一つの大きなキーになるのではないかと私自身は考えています。
 高知県では一般財源を投入して一遍身軽にした。これはこれで一つの英断だったと思いますし、それはやらないということは、それはそれで一つの英断だと思いますけれども、それをやらないことによって結局売り上げが伸ばせないで、今のままいったって平成19年度までは累積債務がふえていって190億円ぐらいになるわけでしょう。今のままでいってそれが本当に解消に向かっていければいいのですけれども、その期待値だけでその改革案を推し進めることが果たしていいのかどうか、そのことについて改めて御所見をお伺いしたいと思います。
 それから、森のトレーの問題についてですが、今の知事の答弁で、基本的には裁判が結審に向かって、そして裁判で勝って要するに残った補助金を国に返還する、その時点での話だというお話がありました。本当にそれでいいのかなと思うのですね。と言いますのは、まだ元金3分の2返っていないわけですよ。法律的には結構あれ利息が高かったと思う。延滞金が毎日積み重なっていきます。どこかの時点でその話がもし壊れてしまいますと、県民としては余計な延滞金の分まで支払わなければいけない、そういった事態も想定されるわけですね。ですから、要するに元金、その裁判の結審の時点で云々という話ではなくて、やはりこの問題についてはもっともっと林野庁と私は詰めなければ大変なことになる可能性があると思うのですが、そのことについての御所見を伺いたいと思います。
 それから、総務部長、互助会のことで、確かに1000分の7.5から1000分の6に下がったのですけれども、それでも金額は東北6県の中では大変突出した金額ですよ。それから、もう一つは、私、何がいけないかと言うと、この事業には充当した、この事業には充当しないと言っても、決算上それが明らかではないんですよね。福島県の包括外部監査でも指摘されていることは、補助金が一括でいってそれが何に充当されたかということが明らかではないから、したがってやはりそこはきちんとやった方がいいのではないかというのが、福島県での包括外部監査での指摘事項なんですね。特に増田知事、いつも情報公開、透明性ということを盛んにおっしゃいますけれども、透明性を高めるということであれば、やはりそういった補助金のあり方というのは、私あの事業が全部不必要だとは言っていませんけれども、透明性を高めるという意味ではやはり補助金を廃止して別なやり方を考えた方が、ずっと透明性が高まるのではないか。そういう観点からもやはり検討して見直しが必要ではないかということを申し上げているわけでありますので、ぜひそのことについても御見解を伺いたいと思います。
 それから、ちょっと競馬の関係で、売上増の関係でもう一点言いたいのですが、JRAの馬券の受委託のことをあの改革案の中に載せていますけれども、岩手競馬は今でもJRAの馬券は売っているんですけれども、受委託をしますと、確かにJRAの方が商品性が高いですから馬券は売れるかもしれませんが、みんなそれぞれ別な財布から出すわけではありませんから、その分、私は岩手競馬の売り上げは多分下がるのではないかと思います。ですから、JRAの馬券を例えば売ると言ったって、そうそう何でもかんでも売れるわけではない。それから、もう一つ、JRAの場合、地方競馬にはないんですけれども、第一国庫納付金というもの、売り上げの10%を納付しなければいけないことになっているんですよ。したがいまして、地方競馬の場合ですと受委託の販売手数料というのは大体委託料15%ぐらいもらっているはずですけれども、JRAの場合は5%以下、多分3%ぐらいしか期待できないのではないかと思うのですがね。そういったことでもこういったことが果たして売上増に本当に結びつくのかということを指摘したいわけでありますけれども、あわせて御所見を伺いたいと思います。

〇知事(増田寛也君) 何点かございましたので、順次お答え申し上げます。
 まず、数字は先ほど議員お話しになったとおりでございます。
 それから、いわゆる税源の偏在の問題でございますけれども、これは単純な税源移譲ではなくて、やはり税源を偏在するそういった措置を講ずるということ、それと同時に交付税措置を組み合わせるということで考えるべきだと思っています。この交付税について非常に制度として破綻しているというような御趣旨での御懸念だろうと思うのですが、国の言い方は、地方よりももっと国の方が財政が厳しくて国の方が破綻していると、こう逆に財政当局は言っているわけですよね。ですから、では交付税ということではなくて国のそういう形でやっていいのかどうか。むしろ義務教育なども、昭和60年ぐらいからですけれども、ずっと査定が入ってそれで補助金が全部切られてきているという実態もございますので、最後は、そこはどういうふうにするかという信頼感の問題だろうと思うのですが、町村会も今回の6団体の中で名前を連ねて、これは最終的にいろいろ問題があるにしてもやるべしと、こういうことを決断されたわけで、町村会などが一番実は今回の問題について影響を受けるところも多いわけでございますが、全部で力を合わせて今回の3兆円については勝ち取ろう。その中で制度としても税源偏在の問題を解決すると同時に、最後は交付税での調整をやると、3兆円の範囲の中では今の交付税の中でも何とかやり切れると、こういう見通しなどもつけながら決断をされたと思いますので、先ほど言いましたように、十分な税源移譲の措置がとられなければ撤回も覚悟でというのは、その6団体の会長さんの話の中でもそういうことも出ているようですから、ここはそういった財源の問題を確保ということについて、むしろああいう案をベースに力を合わせてやっていくべきではないか、前に進んでいくべきではないか、こう判断をしているものでございます。
 それから、競馬組合の関係ですけれども、先ほどの組合の規約の関係でございますが、これについては組合の方で銀行から一時借入金の融通を受けるに当たりまして、競馬組合規約11条の解釈を求められて、そして組合の解釈案について構成する団体から異存ない旨を回答しているものでございます。
 それから、競馬組合の関係でもう一点ございまして、売上増について期待値をベースにああいう改革案をつくっているのではないかという話ですが、あの改革案は御承知のとおり構造改善の部分と、それからコストカット、コスト削減と、それから売上増と三つを三位一体で行っているものでございまして、この三つについてセットで全体を構成しております。どれが欠けてもだめだと、こういうことになっているわけですが、その中で売り上げに多くを期待するという考え方にはもちろん立っていないわけで、厳しい、もうぎりぎりのコストカットと、それからあと新しい競馬法のその考え方をできるだけ取り入れる。こういう考え方に立っているわけでございます。当然のことながら魅力あるレースにしていくということが全体基本でございますので、そういった魅力あるレースづくりという意味で、この売上増についても期待をするわけですが、ここは全体としてはいろいろな具体的な方策があるかと思っていますけれども、これを安易に前提にしてやるということではなくて、競馬の馬券の1人当たりの販売額を、先ほど言いましたように1人当たり5万何がしというのに戻すのは、これは本当に大変なことだと思いますけれども、ほかに民間の資本を入れて、そこでトータルとして事業をいろいろやっていく中で、また全体の振興策を図ることがあるのではないかとか、新しい工夫をぜひ入れたいということで考えておりますので、ここはこれからアクションプランの中でも十二分な知恵を出していきたいと考えております。
 それから、森のトレーの関係で、林野庁との関係でどうかということですが、先ほど言いましたように訴訟で最終的には、いろいろ訴訟の中でも議論が出てくると思いますが、その上で林野庁とやるということでございますが、毎月のように林野庁とはいろいろなこの森のトレーについての打ち合わせ等も行っているわけでございますので、これは最終的に文言で言えば、県が最大の訴訟努力をして、その上で結果を見てどうするということで初めて県の負担分とか額が確定してくるわけで、相手からどれほど取り戻せるかによってそこは変わってくるわけでございますが、林野庁とももちろん常にそういったことは打ち合わせをしながら、しかしやはり今やるべきは、とにかくああいう機械をつくったトリニティ工業から金を幾らかでも取り戻すということでございますので、それに全力を費やすということかというふうに理解しているところでございます。

〇総務部長(時澤忠君) 互助会につきまして先ほど申し上げました点で、先ほど補助率を引き下げたと申し上げましたけれども、やはり問題は掛金に対してすべてが補助対象になっているということが問題ではないかということで、私が先ほど申し上げましたのは、要するに県と互助会の役割分担がまだきちんと整理されていないのではないか。したがいまして、そこをまずきちんと整理する必要があるということでございます。その中でも、互助会が行う事業であっても県として補助をすることが適当かどうか、そこを考える必要があるということでございまして、議員がおっしゃいますのは、直接的にやる分はすべて県がやればいいということでございます。私が申し上げましたのは、その中でもやはり互助会がやった方が経費的に安くなるものがあるのではないか。そこの部分だけが違っているというふうに認識しておりまして、基本的な方向としては議員と大きく異なっているものではないと考えております。
 したがいまして、先ほども申し上げましたが、やはり県民の理解というのが大前提になります。県民の理解という大前提の中には、やはり透明性が確保されていなければならないということでございますので、そこをきちんと整理して、補助対象もきちんと整理して、そこもわかりやすく整理するということの中で、県民の理解が得られるような制度をつくっていきたいと考えているものでございます。

〇農林水産部長(今泉敏朗君) JRAへの委託を含め増収振興策ということでございます。
 JRAの発売に関しては現に取り組んでいるところで、確かに一部売り上げがふえているという部分もございます。ただ、確かに議員御指摘のように影響も考えられるわけでございまして、これらは今後11月末までにつくる実行計画の中でその辺はじっくり検証してまいりたいと思っております。ただ、全体といたしましては、この基本計画の中の一番のウイークポイントが、コストカットのところはきちんと定量的に示せるわけでありますが、なかなか増収振興策のところは定量的に出せる部分がないということがちょっと弱みではあります。ただ、内部ではやはりセグメントいたしまして、やっぱりお客、これまでのファン、これからもっと開拓できる層がないのか。そういったあたりを一応全部細分化いたしまして、それぞれについてどういった戦略が考えられるのかということは、一応内部では検討してございます。いずれ、これらを含めまして11月のアクションプランの中には、もう少し具体的な形で示してまいりたいと考えております。

〇29番(佐々木博君) 知事にもう一度だけ伺いますけれども、ことし地方交付税と臨時財政対策債12%カットで、本当に恐らく県でも予算編成中の大分押し迫ってからだったので大変だったと思います。多分あれ1兆円ぐらいですかね、全国的には。それの財源というのは実は今度も示されていないですね。切られたままになっています。先ほども知事もお話しがありましたけれども、財務省は、本当に国の財政状況も大変厳しい中にあって、幾らでもコストカットをしたい、あるいは競馬組合以上にコストカットをしたい、そういった気持ちでいるのではないかと思うのですね。あの全国知事会あるいは地方6団体、確かにああいう要望を出していますけれども、だけれどもあれはやはりこちら側からの要望なわけですね。こういうふうにあるべきだという一つの形を提案している。ただ、国が必ずそれにこたえてもらえるかどうかというのは、これはまだわかりませんし、なお心配することは、ことしみたいにカットだけまた先行される。そういった可能性もあるわけであります。ですから、私はそういった点で、やはりこの地方の交付税を含めた財源保障にかかわる議論というものは、今やはり財源の移譲に比べると非常に論議が少ないように見えるんですね。交付分のこの分についてもっともっと活発な議論をぜひともしていただきたいと思います。先ほどもマスコミ等を使ってというお話がありましたけれども、ぜひともそのことをお願いしたいと思いますけれども、もう一度御所見をお伺いしたいと思います。
 それから、教育長、教育の日について、先ほど教育振興運動の話がありましたけれども、ことしめでたくまず40周年を迎えるわけですが、地域によってはこの教育振興運動自体が大分形骸化してきているという話があるということは多分御承知だと思います。このいわて教育の日というのは、そういった教育振興運動も含めて、やはりいろいろな教育の問題についてみんなで考えてみようというそういう日を条例としてつくろうという……。

〇議長(藤原良信君) 佐々木博君に申し上げますけれども、再質問では教育長、今のことは触れていませんので……(29番佐々木博君「失礼しました」と呼ぶ)、よろしゅうございますか。

〇29番(佐々木博君)(続) はい、撤回します。では知事答弁をお願いいたします。

〇知事(増田寛也君) 地方交付税のお話、御心配、趣旨よくわかりました。それで、この関係についてはいずれにしても大変大きな問題でして、我々もことし臨時財政対策債を入れて2兆9、000億円ほどカットされているといったこともございます。そこで、先般、前提条件にもきちっと入れましたが、地方財政計画、地方交付税の前提を決めるその地方財政計画について地方団体が意見を言う場をしっかりつくって、それでちゃんと事前に案を示してくれということで、9月14日だったかと思いますが、国と地方の協議の機関もございましたし、それから9月22日には総務大臣と地方団体がこれについての協議の会合が持たれたと聞いております。ですから、これから地方交付税がああいう形で大幅にカットされることのないように、そういうところなども通じてずっと監視をしていくと同時に、今議員からお話がございましたとおり、やはり世論の喚起ですとか、さまざまな場面で今の問題について常に問題意識を持って議論をしていく、それから訴えていくということが大事だと思いますので、今御指摘いただきましたことを十分踏まえて、しっかりとした対応をとりたいと考えております。


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