平成16年9月定例会 第9回岩手県議会定例会 会議録

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〇47番(工藤篤君) 自由民主クラブの工藤篤でございます。
 質問に先立って、去る9月7日、元内閣総理大臣故鈴木善幸氏追悼式が盛大に挙行されました。実行委員長を務めてくださった増田知事初め、関係各位に対しまして、自由民主党を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 さて、質問に移りますが、三位一体改革に関する国庫補助負担金のあり方について、若干重複しますがお尋ねします。
 平成16年6月4日に閣議決定された経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004において、政府からおおむね3兆円規模の税源移譲を行う前提として、平成17年度及び平成18年度に行う国庫補助負担金改革の具体案を取りまとめるよう要請されたことに対し、平成16年8月24日付で全国知事会と地方6団体名により提示されたところであります。
 その概要においては、今後政府が示す三位一体改革の全体像などに地方の意見が確実に反映されることを担保する前提条件、知事会が示す三位一体改革の全体像、さらに平成17年度及び平成18年度に行う国庫補助負担金改革の具体案として、総額3.2兆円の移譲対象補助金が取りまとめられました。この中において特に今回の取りまとめの中心的役割を果たされた知事に伺いたいのは、全国知事会で議論され附帯意見もある義務教育国庫負担金についてであります。
 具体案では、義務教育国庫負担金を第1期改革において、中学校教職員の給与を第2期改革までに全額を廃止し、税源移譲の対象とすることが提示されたわけでありますが、義務教育の国庫負担については憲法26条に、すべての国民は……ひとしく教育を受ける権利を有すると規定され、また、教育基本法は、その3条で、すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないとしています。また、教育の機会均等等を保証するため、国内のどこでも同じレベルの教育が受けられるよう義務教育費国庫負担法が制定されているところであります。
 この義務教育費国庫負担金が全額廃止となり税源移譲された場合、懸念されることは、財源不足により県あるいは地域によって義務教育の水準にばらつきや地域格差が生ずることはないでしょうか。保護者や関係者に不安を与えることにはならないでしょうか。小規模校における教育水準は確保されるでしょうか。本県では県民の総意すなわち県議会を通じ、これまで数次にわたり国に対し義務教育の国庫負担の堅持を強く求める意見書を提出してきた経緯があること、将来の教育のあり方として教育基本法の改正の必要性が論ぜられており、まだ議論が煮詰まっていない状況にある中、今回の取りまとめは早計ではないでしょうか。知事は今回の取りまとめに当たり、これらにどのような考えを持って対応したのか、お伺いいたします。
 次に、岩手県総合計画と40の政策についてお尋ねします。
 御案内のとおり岩手県総合計画は、平成11年に策定されたものでありまして、計画策定からはや6年を経ております。私は当時の一般質問を初め、機会あるごとにこの計画は具体性に欠けるとして、さまざまな提言を行ってきました。しかし、現在実施されているさまざまな事業の多くは、この総合計画を基本としたものではなく、いわゆる知事のマニフェストと呼ばれるものや、マニフェストを土台とした40の政策と呼ばれるものによって事業が実施されております。いわば今日では、総合計画はお飾りにしか過ぎなくなっているのは自明の理であります。
 私は、特にこの一、二年の国や県の財政状況の厳しさを見ていますと、計画が現実に合わないなということは認めており、それは社会の変化からやむを得ない面があると思っておりますし、また、そのような変化に柔軟に対応できるような計画にしておくべきであるとも考えます。したがって、現行の総合計画が社会の変化に対応できなくなっていると判断されておられたのであれば、計画を改定しながら施策を推進すべきであって、計画を棚に上げてしまって40の政策などの全く県議会や県民が策定に関与しない方法で、計画を事実上変更して事業を進めていくという手法が県民不在ではないかと思うのであります。県民が参加できる形で、きちんと計画を見直して、改革した総合計画に盛り込むべきであると考えますがいかがでしょうか。
 また、最近特に気になりますのは、総合計画の主要な指標についてであります。この主要な指標については、計画を見ていただければわかりますが、設定されている指標が本当にその分野を代表しているのか疑問なものも多々ありますし、分野によっては、指標そのものが設定されていないものもあります。
 知事、私は昨今の厳しい財政状況の中で、知事はよくやっていると評価しております。しかし、このような厳しい状況では、目標を達成できない分野も出てきていると思われますし、廃止・縮小もやむを得ない部分もあると思われますが、そこを、なぜこうするのだときちんと説明するためにも、総合計画本体の見直しを図るべき時期と考えますがいかがですか、お伺いいたします。
 現に、いろいろな地方振興局で話を聞いていますと、これまで総合計画にのっとって一生懸命仕事をしてきてそれなりの成果を上げたのに、40の政策が突然示され、今までやってきた仕事が評価されない、継続事業はやっていられないとの話も聞こえてきます。これでは職員のやる気を奪ってしまいかねないと危惧するものでありますが、いかがお考えですか。
 次に、中高年の自殺について伺います。
 昨年1年間の自殺者は、警察庁のまとめによると、3万4、427人で前年を7.1%も上回って急増しているとの結果が出ております。健康問題を動機とする自殺者は最多を占めておりますが、注目すべき点は、経済・生活問題を動機にしての自殺者が8、897人と急増しているということであります。問題なのは、このうちの60%を中高年が占めているということであります。その原因として、長く続いたデフレ不況による減収、失業や倒産などが考えられております。自殺者対策は、保健福祉分野の精神の面だけでケアできる状況ではなくなってきております。中高年は、戦後の混乱期をがむしゃらに働き日本の経済復興を支えていましたが、その結果が、家族を抱えてだれにも相談できずに1人で思い悩み、自殺の道を選ぶのでは余りにもかわいそうで申しわけないような気がしてなりません。自殺防止対策有識者懇談会が提言しているように、今まさに社会全体が真剣に自殺者対策に具体的に取り組むべきであると思います。
 そこで知事に伺いますが、県内自殺者の増加防止にどのような施策をとっていったらよいとお考えなのでしょうか。繰り返しますが、保健福祉分野だけで解決するような問題ではなく、商工労働や県土整備など総力を結集して対策を講じなければ解決できないと思いますのでお伺いいたします。
 次に、雇用対策についてでありますが、ことしの6月に社員が65歳まで働ける制度の導入を企業に義務づける改正高齢者雇用安定法が成立しました。厚生年金の支給開始年齢を引き上げたために年金が支給されない空白期間ができることの解消を目指すものであり、働く人々にとって非常に有意義な制度であると思います。一方では、厳しい経済状況の中にあって、生き残りを図っている企業にとっては負担増になることも事実であります。また、52万人とも言われる若年無業者との調整もありましょう。県では、この新制度を県内企業にどのようにして普及していくお考えであるかお尋ねします。また、県職員はどう取り扱うのかについてお伺いいたします。
 次に、企業誘致についてであります。
 関東自動車が金ケ崎工場を増強し、1、500人を採用するなどの報道がされておりますとおり、県内陸部は、関東自動車を核とした自動車関連産業の集積に呼応して、製造業の誘致や盛岡市へのコールセンターなどの新しい分野の企業誘致が進んでいるなど、企業誘致の状況は、県北や沿岸部と内陸部との格差がますます広がっております。そのような中でありますが、去る6月議会で酒井商工労働観光部長は、県北地域により多くの企業誘致が実現するよう努めていくと力強く答弁されました。特産品などの特色ある地域資源を活用する企業の誘致を行うと言っておられましたが、どのようなイメージをお持ちなのかお尋ねします。
 久慈や一戸には岩手県出身の熊谷社長さんが人工水晶の加工工場を立地してくださっておりますが、先端産業国の北欧と同じような気象条件を有する県北地域でありますから、県でももう少し力を入れて企業誘致に取り組んでいただきたいと願うのでありますが、いかがでしょうか、あわせてお尋ねします。
 そんなやさきに、酒井商工労働観光部長が沿岸地域には企業誘致は無理だと述べたという情報が私のところに来ております。その方は、このような発言を企業誘致の最高責任者がしているようでは、当地域への企業誘致は県にお願いしても無理であろうと落胆しておられました。その発言の本旨をお尋ねします。
 次に、県境産廃不法投棄事件についてお尋ねします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 最近になって、排出事業者が1万2、000社に上ったということであります。一方、いまだに措置命令をかけた会社は10社程度しかなく、この先本当に責任追及が進むのか大いに不安であります。1万600のうち、法的責任を追及できそうだと考えられる会社の数は大体何社ぐらいになっているのでしょうか伺います。
 また、事件発覚からもう随分たっていますので、恐らく証拠書類も少なくなり、調査不可能な企業が多いのだろうと推測しますが、そうであれば、地元の会合でも意見として出ておりましたが、豊島のように排出事業者を相手取り、公害調停に持ち込むなどの根本的な対策をとる必要があるのではないでしょうか。ほかにも解決方法があるのかもしれませんが、いずれにしてもそろそろ根本的な解決方法を決定すべき時期に来ていると思いますので、知事の考えを伺います。
 また、一刻も早く全量撤去に向けて作業をお願いするものでありますが、本格撤去に向けた今年度の事業内容と見通しをお聞かせ願います。
 また、本格撤去作業や運搬の発注に当たっては、地元産業界から地元業者を優先して採用していただきたい旨の要望が強く出されておりますが、この点についてはいかがでしょうかお伺いいたします。
 次に、地産地消の推進についてであります。
 ことし4月に特別栽培農産物の表示ガイドラインが改正されるなど、生産者が生産技術工程を強化することで価格面や市場性を高めるチャンスと考えられております。しかし一方、学校給食では、価格面から県産農産物の献立は遠のくのではないかと危惧されていることも事実であります。将来の日本を担っていく子供たちに第1次産業への理解と伝統的な食文化を継承してもらうためにも、学校給食に県産農作物を使った献立を提供することが重要であると思いますが、いかがでしょうか。
 そこで、県産食材費支援対策を実施するとともに、農業体験学習を通じて食の大切さを学ぶ食育を推進するための支援も検討するべきであると提言させていただきますが、いかがでしょうか伺います。
 次に、県立大学についてであります。
 総務部長、あなたは、昨年12月の決算特別委員会での私の質問に対する答弁を覚えていますか。あなたは、大学教員の研究費の不正流用の疑いで2次調査をしているものが約700件4、600万円もある、そして、その調査を12月中に終えて公表する、不適正な研究費であれば是正措置を命ずると答弁されました。しかし、その後の調査結果を見ると、調査ができない、わからないことがわかったというようなふまじめな調査結果であり、私が指摘した事項さえちゃんと調査していないではありませんか。到底県民に対する説明責任を果たしていないと思いますが、何か隠したいことでもあるのでしょうかお伺いいたします。公金の個人的流用は、地方公務員であれば懲戒処分の対象になるのではありませんか。知事は、県職員がちょっと違反をしただけですぐに処分したがりますが、どうして県立大学の教員だけは処分しないのですか、その理由をお聞きします。
 一方、県立大学の事務局職員の充足率は岩手大学の約4分の1と言われています。岩手大学は、本部事務局のほかに学部事務局もあって、しっかりした事務局体制をとっているからこのような教職員の不正流用も防げているのではないですか。もっと事務局職員を増員すべきであると思いますが、いかがですか。
 また、1週間に1コマ90分しか授業をしない教員や他の大学の非常勤講師を幾つも兼務している教員、ゼミに学生が1人もいない教員などを指摘しましたが、実態調査はしましたか。調査したのであれば、その結果と今後の対応についてお答え願います。
 このような教員が来年度も居座るようなことがあれば、知事、設置者である知事の責任まで及ぶことも考えられます。県民の税金で運営しているのだということを肝に据えて、しっかりした答弁をしていただきたいと思います。
 次に、高校再編について伺います。
 現在、県教育委員会では、県立高等学校新整備計画(後期)に基づき平成17年度から平成21年度まで5カ年での再編統合を目指しておりますが、私は次のような課題があると考え、お尋ねします。
 まず第1に、県教委の基準の問題です。県教委では、生徒一人一人の学びの環境を整備し、活力ある学校をつくる観点から、1学級40人を基準として4学級から8学級が望ましいとしています。しかしながら、1学年3学級校で募集定員充足率が70%の場合でも本校として継続することになっています。160人が原則で、120人でも70%、84人なら継続となっていますが、これは2クラス分です。160人、4クラスが学びの環境、活力がある学校をつくる観点から望ましいとしながら、3学級でもよい、さらに70%、すなわち84人でもよいとするのはどういうことでしょうかお尋ねします。
 第2に、生徒の希望をもっと尊重した制度設計にする必要があるということでありますし、県の現状の理解を促進する必要もあります。県財政は、危機的状況にあります。その中では、教育といえども聖域ではありません。その中で、できる限り効率的な学校運営を図る必要があります。生徒数が2クラス相当分80数名の学校で、なぜ3クラス分の教室を維持していかなければならないかという点です。これは、適正規模という方針にも合いません。生徒がいないにもかかわらず水膨れさせており、そのため、そのクラス数の維持などに多くのむだが生じていると思われます。一方で、3クラスを維持するために再募集するというのでは、不要な事務がふえます。
 第3に、私立高校との役割分担を考えるべきです。公立高校は、前述したとおり、生徒が集まらないのに無理をして再募集し、そのため学級数などを整理していないむだが出ている一方で、私立高校は生徒の確保が難しくなってきており、県の補助も一層強化を求められております。一方で生徒の確保がままならない私立高校に補助し、一方で公立高校で不要なクラス数維持のために再募集するというのは矛盾です。このような公立高校の現状から発生するむだを見直し、私立高校にゆだねるべきところはゆだねるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 最後に、このように、県教育委員会の再編案は多くの問題を含んでいるように思います。そして、これを17年度から始めるといっても、県民が理解し、納得できると言えるでしょうか。改めて再度の検討をすべきものと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、道路問題について伺います。
 県は、整備がおくれていた県北地方の道路整備を新幹線盛岡以北の開業に目標を定め、集中投資をされました。おかげさまでその成果もあらわれ、県の取り組みに心から感謝申し上げます。
 さて、道路の整備は、交通渋滞の解消、地域間の時間短縮、地域の開発や新しいまちづくり、そして地域の活性化など、その効果ははかり知れないものがあります。しかし近年、財政難から公共事業の抑制などで道路整備のおくれが懸念されます。
 そこで伺いますが、国道4号は、盛岡以南は既に4車線化の整備が進んでおりますが、盛岡以北はその整備が待たれています。茨島跨線橋から滝沢分レ間の4車線化の取組状況と今後の整備の見通しについて伺います。またあわせて、渋民バイパスと小鳥谷バイパスの取組状況と今後の整備の見通しについても伺います。
 次に、主要地方道二戸安代線について伺います。
 この路線は、新幹線アクセス道路として似鳥バイパスなどの整備がなされ、地域住民のみならず、近隣の利用者からも大変喜ばれております。しかし、この路線は、いまだに狭隘な二戸市福田地区や浄法寺町の中心部など、道路の改良やバイパスの整備が待たれております。これまでも県は鋭意取り組んでいることは承知しておりますが、その整備状況と今後の整備の見通しについて伺います。
 次に、主要地方道一戸葛巻線について伺います。
 この路線は、葛巻町民が一戸町の病院への通院や買い物などのために欠かせない生活道路であります。奥通り地区は、一方が急勾配のがけで片側は川で道路幅員が狭く、曲がりくねった道路であります。特にも冬期間は非常に危険な道路として通行人から恐れられていますことから、道路の改良整備が早急に求められておりますことは御承知のとおりであります。道路の改良整備の取組状況と今後の見通しについて伺います。
 最後に、県立社会福祉施設の民営化についてであります。
 この問題は平成12年12月議会で私が取り上げましたが、県は、県立社会福祉施設については整理合理化はしないと答弁されました。しかし最近、事業団の民営化や他の法人への売却などが取りざたされており、保護者から再度強い不安の声が多く寄せられてきております。なぜ保護者や利用者、現場関係者の意向を無視して隠れて民営化を進めようとするのですか、まず伺います。
 また、もし民営化の話を進めているのであれば、県はこれまで利用者等に対しみずから説明したのですか。事業団任せですか。説明内容と利用者等の意見はどうであったのか、民間法人へ身売りする場合は、現在の利用者や職員、土地建物はどうするのか、すべてに答えてください。
 県北の施設の入所者は重度や高齢化しており、保護者自身も高齢で、帰ってこられても困ると言っております。このような重度の方たちを民間の社会福祉施設が受け入れるわけがありません。今入所している県立施設でさえ、民営化されれば利用を断られるケースも出てくるでしょう。県は、今のサービスは低下させないと説明したようですが、事業団職員を削減しておいてどうやって今のサービスを維持するのですか。常識では考えられませんのでお聞きします。
 事業団は、県立であるがゆえに、他の施設で受け入れ拒否された障害者を受け入れたり、児童相談所の求めに応じ、虐待を受けた障害児童を緊急に受け入れることもあると聞いております。しかし、民営化されれば受け入れを拒否することもできます。県社会福祉事業団にもっと自由に運営を任せて、利用者のために柔軟に運営できるようにバックアップしてやるのが県の仕事だと思うのですが、いかがですかお聞きします。
 県立施設が行き場のない障害者の受け皿になっている限り、簡単に民間丸投げなどしては県政に禍根を残します。故鈴木善幸先生は、足らざるを憂える政治よりも等しからざるを憂える政治を心がけていきたいとおっしゃっていましたが、県はまさに、今入所している障害児者の等しくあるべき基本的人権の根本である生存権を脅かそうとしております。知事の英断により県立での存続を利用者にかわってお願いするものでありますが、いかがでしょうかお伺いいたします。
 以上をもちまして私の質問を終わりますが、答弁によっては再質問することになると思います。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 工藤篤議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、三位一体改革の関係で、義務教育国庫負担金の関係につきましてお答え申し上げます。
 この義務教育国庫負担金の考え方でございますが、先ほどと若干ダブるところがございますけれどももう一度申し上げますと、私は、教育の機会均等は大変重要な原則でございますけれども、教育の機会均等のみの理由で国がすべての財源を握ることによって地方をコントロールする方式ではなくて、安定した地方教育行政を背景にして、国がやる役割というのは、学習指導要領に見られるような標準的な教育の部分の指針作成に専念して、地方は、それぞれが独自に知恵を出して、学校教育、教育行政の推進に取り組んでいく、これが県民の教育に対する期待にこたえる道ではないかと考えております。こうした考え方にございます背景は、義務教育の水準の問題、それから教職員給与の負担金の問題は、それぞれに性格、性質に応じて問題の所在を分けて考えるべきではないかと考えているからでございます。
 この義務教育自体は、歴史的に見ますと制度が時々で変わってはございますけれども、現在、法律上自治事務ということで整理されているわけでございまして、国がすべての責任を持つものではなく、我々県や市町村の責任も極めて大きい分野もございます。いわば、それぞれが責任を分かち合いながら取り組んでいくということでございまして、その中で、先ほど私が申し上げましたように、教育内容の全国的な一定水準の維持とその保障など、法律等によって教育の大枠を定める部分は国あるいは中央政府の仕事だろうと思いますし、そうした決められた制度の枠組みの中で具体的にどのような教育を行っていくかについては、地方団体の自由度を最大限尊重する、そのような余地をつくって、そして実際に地域の工夫や知恵を生かすことができるような仕組みとすべきである、このように考えているわけでございます。
 財源負担の問題については、現在の国が教職員の給与の2分の1を負担するという制度を見ておりますと、これが万全のものではございません。これは財政的な事情だと思いますけれども、その内容がどんどん切り下げられているといった状況にございます。昨年も、これはいわゆる給与の後払いのような性格を持つんだと思いますが、教職員の退職手当につきましては今年度から国の負担分も地方が賄うということで、本来であれば文部科学省が全部、そういう責任を感じているのであればそれもそのまま維持するのだろうと思いますが、やはり財政事情等でそういったことを行っております。それから、先ほど申し上げました公立学校の施設整備費負担金も国の財源不足でたびたび地方の超過負担が生じているといったことがございまして、国の制度で財源保障が十分と言えない状況になっているわけでございます。
 総額裁量制もことしから取り入れられて内容も随分自由になったと言われておりますが、しかし、初年度を見ておりますと、いわゆる給与単価が国から示されているんですが、これも査定があったためだと思いますけれども、いわゆる定昇分しかその給与単価の中に反映されていない、特昇分などが反映されていないということで、実際に大幅な負担金の減少が認められているということで、自由度をそれによって発揮させると言っていますが、制度の意図する裁量を発揮することが実際には困難になっているという状況がございます。むしろ、地方税を中心とした地方自治体の一般財源を確実に保障するような仕組みを政府の責任でつくってもらって、そして、予算編成や執行の際に議会の中で十分に議論するといった方が確実に財源が保障される。もちろん知事、市町村長も教育予算を一方的に削減することはできなくなるわけでございますので、住民のチェック機能も働くことからその方がいいのではないか、このように考えたものでございます。
 まだ十分な議論が煮詰まっていない状況で取りまとめを急いだのではないかというお話でございましたけれども、義務教育の問題も含めて、全体について、7月、8月は2日間、深夜にわたって全員の知事が見解を発表するなど知事会としても十分に議論を尽くした、そういう状況の中で一つの改革案を取りまとめたところでございます。この際には、やはり政府から要請されたことに対して何としても知事会として改革案を取りまとめてボールを投げ返さなければならない、これが共通の認識であったわけで、最終的には議論も出尽くしたということで採決をしたわけでございます。多くの知事がその際に漏らしておりましたとおり、最終的には、地方独自の工夫を生かした教育が行われるようにするということと、それから三位一体改革自体も何としても前進させたいという考え方で、多くの知事が苦渋の選択ということを言っておりましたけれども、私も同じ思いでございます。三位一体改革全体を進めるということも総合的に判断をして今回の原案がいいのではないか、このように考えたものでございます。
 なお、今、議員の方から地方6団体の改革案取りまとめの考え方ということでございましたけれども、他の地方5団体についてもそれぞれの団体の中で検討されたと伺っていますが、知事会も今言ったような状況で検討したわけで、最終的には8月19日の夜に6団体として一つの改革案のところで足並みがそろったと聞いております。そのこと自体、大変意義が大きいものととらえております。
 それから、40の政策と総合計画の関係でございますけれども、総合計画については、自立、参画、創造という理念、そして基本目標を掲げているわけで、私は、本県の目指すべき姿として、引き続き県政の基本指針としてこれを守っていくべきものと考えております。マニフェストを昨年の選挙のときにお示しして、それに基づいて40の政策をつくりました。これは選挙の審判という、県民の皆さんからの判断をいただいた内容と考えておりますけれども、これは同じ私が総合計画をつくった立場で、そしてマニフェストをつくっておりますので、総合計画に盛り込まれたさまざまな施策の中で、当面の財政状況を見ながら、特に重点化、優先的に取り組んでいく事項を明らかにしたととらえております。大きく方向性を変えたものは公共投資の事業量でございます。ここの点だけは総合計画のベースとは大きく事業量を変えているわけでございますけれども、それ以外のところはほぼ総合計画の考え方を重点化しているととらえているわけでございます。
 今、議員から御指摘ございましたとおり、必ずしも指標が適切なのかどうかということがございます。それから、指標が設定されていない分野も依然としてございますので、そうした点については検討を要するものがあることは承知をしてございます。今後、より適切な指標の設定に努めていきたいということと、それから今お話しございましたとおりの財政状況の急激な悪化といったような社会経済情勢の大きな変化がございますので、前期計画が平成17年度までになってございますけれども、その後の主な事業の推進プランのあり方を今、中で検討しているところでございます。どのようにするか、その点も十二分に検討いたしたいと思います。
 今後、国、地方を問わず行政のシステムが、先般、私が発表したようなマニフェストといった、選挙ではっきりと4年なら4年内でやるべきと掲げて、そこを実行していくと、そういうサイクルに変換していくということが想定をされるわけで、この総合計画のあり方についても、こうした際にさまざまな角度から十二分に議論して、そして県民の皆様にお示しをしていきたいと考えております。
 それから、職員の間に戸惑いが随分あったのではないかというお話でございまして、マニフェストの中で公共事業費3割削減という方針を掲げましたので、この部分については職員の間にも当然戸惑いが多かったと私も思っております。それに対して私自身が部局長や本庁職員、地方振興局職員といろいろ対話、コミュニケーションを行いまして、今も行っているところでございますが、そうしたことも積み重ねつつ、また、日々の政策の中でそれに沿った政策をみんなで考えるといったようなことを行っておりまして、平成15年度の政策評価の取りまとめなどを通じてさまざまな工夫が出てきておりますし、職員の意識や行動改革が相当進んできていると考えております。今後も、この40の政策を県の政策の柱に据えるといったような、そのことを中心にして一人一人県民満足度を一層高めるために職員が何をすればいいのかということを、ともに真剣に考えていきたいと思っております。
 自殺の関係でございますけれども、平成15年の本県の自殺の状況を見ますと、お話のとおり、とりわけ働き盛りの40歳代、50歳代が37%を占めておりまして、経済、それから生活問題が最も大きくなっている。これは極めて憂慮すべき問題と深刻に受けとめております。メンタルヘルスなど健康面や精神面からの対策だけでは当然十分ではないわけでございまして、これまでも労働相談や再就職までの生活資金貸し付け、中小企業経営安定資金の供給などを通じて、働く場である中小企業の支援、そして、それがひいてはそこを通じて中高年者の自殺の未然防止につながるという思いで、そうしたことを行ってきたわけでございますが、現在そうした試みに加えまして、企業誘致や農林水産業、福祉、環境など幅広い分野での雇用の受け皿づくりによる安定した雇用の場の確保、それから中小企業再生支援制度の創設によるセーフティネットの充実、また、たびたび申し上げておりますが建設業の新分野、新市場への開拓の進出の支援、それから離・転職者の職業訓練など、いわゆる総合雇用対策を全体今、進めているわけでございまして、こうしたことの政策を進めることが、こうした自殺防止対策につながると考えております。まだまだこうした社会情勢の厳しさというのが続くと予想されますので、この問題について県政の重要な課題の一つととらえまして、さらなるこうした安定した雇用の場の創出や、それからやはり地域におけるメンタルヘルス研修会の充実などは当然行わなければいけないものでございますので、そうした自殺防止対策に全庁挙げて、特定の部だけではなくて全庁挙げて取り組んでいく考えでございます。
 それから、県境の産廃の不法投棄事件でございます。これはいろいろ膨大な事業者がおりますので、作業を今、鋭意やっておりますが、今後も徹底的な排出事業者等の責任追及が必要でございまして、また、自主撤去など事業者みずからの責任、自覚による対応もその中にさらに加味をして原状回復がさらに推進されるように取り組んでいきます。今、議員の方からお話しございました公害調停制度の活用といった御提案もございましたが、こうしたことも考える必要があると思いますし、そうした調停制度の活用なども含めて、さまざまな角度からその実行可能性を検討していくこととしているところでございます。
 それから、県立の社会福祉施設の民営化でございますが、これについては近年、民間施設の整備の進展、それから分権改革の流れの中で、こうした社会福祉事業団以外への委託を可能とする指定管理者制度が導入をされるなど、こうした社会福祉施設を取り巻く環境が大きく変化している。こういうとらえ方をしております。平成14年度に包括外部監査を受けて、平成15年度にはこの施設のあり方検討委員会を設置いたしました。特にこのあり方検討委員会の方では、保護者代表の方や外部有識者の皆さん方にも幅広く入っていただきまして、そこで公開で議論していただいたわけですが、いずれも入所型施設については、社会福祉事業団を含む民間への移管を基本とすることが適当との御提言をいただきました。一方で、これら施設の受託運営を行っている事業団については、昨年12月の県出資等法人改革プランで、新たに見直しの対象としたという経緯でございます。
 県では、こうしたあり方検討委員会、今申し上げましたような内容の提言を真摯に受けとめながら、この社会福祉審議会、それから利用者、保護者等の意見を聞きながら、今、引き続き検討を進めているわけでございます。こうした皆様方にも外から入っていただいて検討を進めておりますが、ただ単にこの運営の効率性だけではなくて、利用者の視点に立ったサービスの維持向上、それから障害者の皆さんの地域生活支援などの視点を考慮しながら、今年度内を目途に県立施設改革の具体的なプランをお示ししたいと考えているところでございます。
 その他のお尋ねは、関係部長に答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔商工労働観光部長酒井俊巳君登壇〕

〇商工労働観光部長(酒井俊巳君) まず、65歳まで働ける制度の導入に関するお尋ねについてでございますが、この制度の県内企業への普及については、まずもって、制度内容の周知を図るとともに、制度導入に向けました各種支援制度の活用を促進することが効果的であると考えているところであります。このため、県では、10月に高年齢者雇用支援月間におきまして啓発ポスターの掲示やリーフレットの配布、地域雇用相談員の個別企業訪問による制度内容の周知や助成金制度に関する情報提供を行っているところでございます。
 また、岩手労働局におきましては、今年度から新たに、県内商工経済団体による65歳継続雇用の達成に係るアクション計画の策定、及び傘下企業への制度導入に関する啓発、周知を目的とした65歳継続雇用達成事業を実施しているところでございます。また、岩手県雇用開発協会が実施主体となりまして、高齢期雇用就業支援コーナー及び高年齢者雇用アドバイザーの設置を通じまして、制度導入に向けた事業主への相談、アドバイス、さらには各種助成制度の説明を行っております。
 今後とも、岩手労働局及び岩手県雇用開発協会等関係機関と連携しながら、高年齢者の雇用確保制度の円滑な普及に向けまして、事業主及び社会の理解が一層得られるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、企業誘致に関するお尋ねについてでございます。
 まず、特産品など特色ある地域資源を活用した企業誘致のイメージということでございますが、県北地域は、レタスあるいはソバを初めとする雑穀など農産物資源が豊富であり、農産物加工産業が盛んな地域であると認識しております。また、岩手大学あるいは県工業技術センターでは、こうした食品の機能性に関する研究を行っているところであります。さらに、近年、食品の分野では、食の安全・安心や食品の薬効に対する意識が急速に高まってございまして、そうしたニーズにこたえることで商品の付加価値を大幅に高めることが可能となってきてございます。このような状況を踏まえまして、大学が蓄積してまいりました知識の活用あるいは工業技術センターで行ってございます機能性食品の開発研究など、こうした産学官連携というツールも十分に活用しながら、地場、地域の食材を利用した高付加価値な食品などを開発する企業の誘致や、県内に既に立地している企業の二次展開を促進していきたい。そうしたイメージを持っているところでございます。
 次に、県北地域における先端産業の誘致につきましては、御案内のとおり県内に立地してございます東京電波が世界で初めて成功した高純度大型酸化亜鉛単結晶を活用し、次世代の照明として期待される発光ダイオードを初め、各種センサーなど幅広い応用製品の開発を目指しまして、県工業技術センター、岩手大学、東北大学、そして県内の有力企業の連携によりまして酸化亜鉛プロジェクトを実施しているところでございます。県もこのプロジェクトにはかなりの予算を計上しているところでございますが、今後はこの研究開発成果の事業化を促進するため、県内企業の二次展開あるいは関連企業の誘致を県北地域に展開できるように努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、沿岸地域、正確には北部沿岸地域と申したわけでございますが、企業誘致にかかわる私の発言についてでございますが、これは本県の企業誘致を進めるに当たっての基本的な考え方でもございますが、地域、地域の特性に応じた産業振興策、企業誘致の展開を図るべきという趣旨の発言を行ったものでございます。こうした企業誘致に当たっての基本的な考え方のもとに、切削加工、プレス加工あるいは金型技術等のいわゆる基盤的技術を持ったものづくり産業が数多く集積してございます北上川流域や、あるいは沿岸部で言えば釜石、宮古のこうした沿岸地域におきましては、グローバル化の中にありまして十分に戦うことのできる確固としたものづくり基盤を本県に構築することを目指して、今後とも一層ものづくり産業・企業の誘致、育成を進めたいと考えているところでございますが、一方で、こうしたものづくり産業・企業の集積が少ない北部沿岸地域におきましては、こうしたいわゆるものづくり産業の誘致ということにこだわることなく、さきに述べたとおり、農林水産物等地域の特色のある地域資源を生かした高付加価値商品を製造する食品産業などの誘致を進めるべきものと考えているところでございます。こうした考えをお話しした際には、あわせて地域の北部沿岸地域における地域の活性化を図るためには、地域の農林水産業との十分な連携と協働による観光産業を中心とした集客交流サービス産業の振興対策を、今後、県としても積極的に進めていく必要があるというふうなことを、あわせて述べているところでございます。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) まず、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の改正に伴います県職員の取り扱いでございます。
 今回の改正により義務づけられました再雇用制度の導入につきましては、これは地方公務員には適用除外となっておりますので、県職員につきましては地方公務員法及び平成12年度に制定されました職員の再任用に関する条例というものに基づきまして、平成13年度から、県を退職した者で再任用を希望する者の中から再任用を行うということになっているものでございます。この再任用の上限年齢につきましては、年金の支給開始年齢の引き上げスケジュールに合わせまして、3年ごとに1歳ずつ引き上げるということにしておりまして、最終的には、平成25年度に65歳となります。平成16年度――今年度につきましては9名の定年退職者を再任用しておりますが、今年度の再任用者から62歳までの2年間の再任用が可能となっているものでございまして、今後もこの制度の適切な運用を図ってまいるというふうに考えているところでございます。
 続きまして、県立大学の研究費の調査結果及び事務局体制でございます。
 1次調査といたしまして研究費全般を対象とした書類調査、2次調査といたしまして1次の書類調査で確認できなかったものを対象とした教員本人調査を行い、ことし3月に2次調査までの結果を公表いたしました。本来の研究費の趣旨に沿った執行がなされていないことから不適正と判断したものが20件、30万円余ございましたが、これにつきましては関係教員から返還させたところでございます。
 また、第1次、第2次の調査では、復命書等の関係書類の記載内容が不十分であったというような事情によりまして、旅費の部分につきましては十分な調査ができておりません。したがいまして、引き続き第3次調査といたしまして平成10年度から平成14年度までの旅費、約1万5、000件につきまして調査を行っております。現段階では、県立大学から、出張先で自宅等に宿泊したにもかかわらず、宿泊料が減額調整されていなかったものなど、300万円余の不適正な執行が明らかになったという報告を受けております。現在、返還を要する金額等の精査等を行っておりまして、第3次調査の最終報告がまとまり次第、公表することにいたしております。
 この1次から現在実施しております第3次までの調査におきまして、研究費の不適正な執行が意図的に行われた例は確認されていないとの報告を受けております。お尋ねのありました教員の処分につきましては、第3次調査の最終報告を受けてからの判断になるわけでありますが、意図的な不適正執行あるいは関係法令等に抵触するような場合には、教育に携わります職責の重要性、また、処分の公平性にかんがみまして、厳正に対処する方針であります。
 事務局職員の増員につきましては、今般の研究費の不適正執行が発生した要因が、研究費の執行基準あるいは旅費の制度などが十分周知されていなかったということにありまして、その防止策といたしまして、既に研究費の執行マニュアルの再確認と周知徹底、旅費の復命書の改善等の措置を既に講じたところでございます。また、来年度の独立行政法人化を控えまして、独自の仕組みといたしまして、旅費の実費精算方式の導入や物品の検収方法の見直しを進めております。こうした対応策を講じることによりまして、不適正執行の防止を目的といたしました職員の増員を図ることなく、研究費の適正執行を確保してまいりたいと考えております。
 続きまして、教員の勤務実態調査でございます。
 教員1人当たりの週当たり担当コース、いわゆるコマというふうに言われておりますが、これは開設時の大学の認可に必要とされます特定の専門科目を担当している教員、あるいは大学運営上の理由から大学の役職を兼ねているような教員、こういった教員につきましては、事情を考慮して受け持ちコマ数を少なくしている例もあります。この中には、週当たり1コマの担当となっている教員もございますが、今後、教員の人事構成あるいはカリキュラムの見直しによりまして、週当たり担当コマ数の特殊事情については、解消を図ってまいることといたしております。
 非常勤講師につきましては、平成15年度に他大学に非常勤講師として派遣した教員は72人、派遣先は42大学となっております。このうち、教員1人当たりの派遣先の大学数が最も多いのは3校、これに該当している教員は9名となっております。一方、本学におきましても他大学から114人の派遣を受けておりまして、学生に多様な教育の機会の確保を図る上でも、大学間の相互協力によりまして教員を派遣し合うことは必要と考えておりますが、派遣に当たりましては、あくまでも本務に支障がないようにということが大原則でございますので、その本務に支障がないように適切に運用してまいりたいと考えております。
 次に、ゼミ担当教員でございます。学部の専門教育を担当する教員が当たることとなっておりまして、平成15年度は、専門教育を担当する教員162名中159名がゼミを担当して学生を指導いたしており、残りの3名の教員につきましては、これは大学院主担当あるいは大学の役職員を兼務しているため、ゼミを開講しなかったということでございますが、学生の確保あるいは教育の充実を図るという観点から、魅力あるカリキュラムあるいは教員の配置、こういったものに今後さらに努めていきたいと考えているところでございます。
   〔環境生活部長中村世紀君登壇〕

〇環境生活部長(中村世紀君) 青森県境の産業廃棄物不法投棄事案に係ります法的責任追及につきましてですが、既に報告徴収を行った約1万600の排出事業者等の調査分析をただいま青森県と共同で行っているところでございまして、両県でその違法性の有無について逐一検討しているところでございます。本県が主として調査を担当しております分が約5、000社でございますが、現在、原因者への委託実績がある約3、000社の事業者につきまして、特に重点的に調査分析を行っております。また、約1、000社の事業者に対しましては、その委託の状況の詳細につきまして、今後さらに改めて調査を行う必要があるものと把握をしてございます。
 次に、撤去に向けまして今年度の事業内容と見通しはどうかということでございますけれども、まず鶏ふんなど選別が不要で、しかも有害でない野積みの廃棄物、約1万3、000トンを撤去する予定ということにしてございまして、これにつきましては8月5日から撤去作業を開始したところでございます。これと並行いたしまして、選別施設、それから汚染水の処理施設、作業用通路など必要な施設を現地に整備することとしてございまして、この施設が完成され次第、選別を必要とする廃棄物の本格撤去に着手をしたいと考えてございます。
 また、有害物質を含みます廃棄物の撤去につきましては、特に安全で適正な事業の実施が必要でございます。このような廃棄物の撤去を行う際には、廃棄物処理法の規定を受けまして、掘削あるいは収集運搬、あるいは焼成、溶融処分など、それぞれの業務ごとに県と事業者が契約をして実施をしていただくということにしてございますけれども、できるだけ県内の事業者の方にも事業への御理解と御協力をいただけるような形で進めていきたいものだと考えているところでございます。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 地産地消の推進についてでありますが、学校給食における地産地消につきましては、地域でとれた食材を用いた食生活の実践を通じて、伝統的な食文化への関心が高まり、それによって地域への愛着が生まれ、そこから地域でとれる農林水産物を大切にする子供たちがふえてくるという意味で極めて重要な取り組みでありまして、学校はもとより地域の理解と協力のもと、県下全域に着実に浸透するよう努めてきているところであります。
 御提言のありました学校給食への県産食材費支援につきましては、例えば地域の旬の食材は、比較的安価で、かつ安定的に供給することも可能であります。したがいまして、今後、学校関係者と生産者との緊密な連携のもとに、県産食材の購入が学校給食費の範囲内で賄えるような地場品供給の仕組みづくりを促進してまいりたいと考えております。
 また、食の大切さを学ぶ食育推進の支援につきましては、これまで農林水産業体験学習メニューをまるごと体験学習ガイドブックとして取りまとめ、県内の市町村教育委員会、全小・中学校に配布するとともに、生産者の学校訪問による出前授業や農産物栽培体験などの取り組みを支援してきたところであります。
 今後におきましても、各地域における創意と工夫を凝らした食育への取り組みの支援を通じまして、学校給食における地産地消を推進してまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) 道路問題についてでありますが、まず国道4号茨島跨線橋から滝沢分れ間の整備についてでありますが、国においては、この区間の道路整備のあり方について検討を重ねてまいりました国道4号盛岡滝沢道路懇話会からの提言を踏まえ、現在、環境調査等とともに計画路線の都市計画決定に向けた詳細な検討を進めていると伺っております。県としましては、この区間の拡幅整備が盛岡都市圏の交通渋滞の緩和に大きな効果を発揮するものと認識しておりまして、今後とも早期事業着手について強く国に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、国道4号渋民バイパスと小鳥谷バイパスについてでありますが、渋民バイパスは昭和61年度に事業着手し、今年度、計画延長約5.6キロメートルのうち起点である盛岡側から北へ約2.5キロメートルの区間について、暫定2車線で供用する予定と伺っております。小鳥谷バイパスは昭和63年度に事業着手しまして、計画延長4.3キロメートルのうち南側約2.6キロメートルの区間について用地買収を進めてきたところでありまして、来月には起工式を行う予定と伺っております。県としましては、両バイパスともに交通混雑の解消と交通安全の向上に大きな効果が期待できますことから、計画の全体区間が早期に完成するように、引き続き国に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、主要地方道二戸安代線の福田地区及び浄法寺バイパスについてでありますが、福田地区につきましては、今年度は主に家屋移転等を進めているところでありまして、平成17年度にはこれらの用地補償の完了に努めるとともに、工事に着手しまして、早期完成を目指してまいりたいと考えております。浄法寺バイパスにつきましては、現在、用地補償や埋蔵文化財調査などを行うとともに、橋梁等の工事を進めているところでありまして、引き続き事業の推進に努めてまいります。
 次に、主要地方道一戸葛巻線の奥通り地区の改良整備についてでありますが、本路線は一戸町と葛巻町を結ぶ主要な路線であると認識しておりまして、日ごろから適正な維持管理に努めているところでありますが、特にも冬期には雪崩による通行どめが発生しましたことから、今年度から2カ年の予定で雪崩防止さく等の増設や強化を図りまして、雪崩対策の強化を図りながら交通安全の向上を図ることとしております。
 なお、抜本的な改良計画につきましては、地形条件が極めて厳しく、大規模な事業になることが見込まれますことから、県全体の道路整備計画の中で、公共事業予算の動向等も見きわめながら検討してまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長佐藤敏信君登壇〕

〇保健福祉部長(佐藤敏信君) 県立社会福祉施設の民営化に係ります利用者への説明等についてでございますが、県立社会福祉施設等あり方検討委員会というのが去る3月に報告書を提出したわけですが、その提言の内容やこれまでの検討の経緯につきまして、本年6月以降、県立中山の園を含む各施設の利用者、保護者に対し説明してまいりましたし、引き続き岩手県社会福祉審議会の皆さん方や、あるいは障害者団体などの関係団体、さらには事業団職員とも意見交換会を開催しまして、今後のあり方について率直な御意見を伺ってまいったところでございます。これらの意見交換においては、地域生活へ移行していくための条件整備が必要であるということや、仮に民間に移管するという場合にあっても、利用者処遇の維持や職員の雇用等について十分配慮してほしいなどの御意見や要望をいただいております。
 続きまして、サービスの維持と事業団の柔軟な運営に向けた支援についてでございますが、県としても、利用者の視点に立ったサービスの維持・向上が非常に重要と考えておりまして、例えば重度の障害者につきましては、個々の利用者の状態に応じまして、人員を十分に確保するとか体制を整備することが必要であると認識しております。また、個々の施設の運営形態についても、10を超えるさまざまな施設があるわけでございまして、一律に民営化というわけにはいかないと考えております。ですから、例えばあるものは指定管理者制度の導入、あるものは社会福祉事業団を含む民間への移管など、さまざまな手法が考えられるところでございます。仮に事業団に移管する場合にあっても、議員から御意見がありましたように、より自主的、自立的な組織とすることが大変重要であると考えております。
 いずれにいたしましても、今後できるだけ早急にこうした社会福祉事業団のあり方を含めまして、施設ごとの方向をお示ししたいと考えております。また、仮に民営移管となる場合にあっても、職員の処遇や土地建物の取り扱いについても並行して議論を進めていき、また、これもできる限り早急に方向を示したいと考えているところでございます。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 県立高等学校新整備計画についてでありますが、生徒の多様な教育ニーズにこたえるための教員配置や生徒の相互啓発や切磋琢磨を促進するなどの観点から望ましい学校規模が必要と考えており、ことし1月に公表いたしましたマスタープランの中にも示したところであります。
 このように望ましい規模の高校の配置を基本としているところですが、後期計画案においては、1学年3学級以下の高校であっても、地域の地理的条件や産業構造などの実態を勘案し、一部の高校については、後期計画期間中は本校として維持することとしたものであります。現在、3学級校は16校あります。議員の御指摘のように、今年度の入学者が定員の70%程度であった高校は2校あります。それらの高校を設置している市町村の中学校卒業者数が高校の募集定員を相当数上回って推移し、今後とも定員を相当程度充足する見込みがあると考えられることから、後期計画期間中は本校として維持することとしたものであります。
 ただし、これらの高校を含む3学級以下の高校40校について、後期計画期間中に統合や学科改編を行う高校のほか、後期計画期間中は維持することとした高校にあっても、後期計画の中間年度である19年度、さらには完成年度である21年度にそれまでの定員充足率等を勘案し、統合や学科改編などを検討することとしております。また、すべての高校の学級数について、中学校卒業予定者数や高校進学者の志望動向、各高校の定員充足状況等を勘案し、これまでと同様に毎年度見直すこととしております。
 御指摘の財政的見地からの見直しについてでありますが、本新整備計画の策定に当たっては、広域的な視点でよりよい教育環境を整備することを主眼にしつつ、一方では、現下の厳しい本県の財政状況をも踏まえ取り進めてまいりたいと考えております。
 県立高校と私立高校のあり方についてでありますが、それぞれ機能を分担し、補完し合いながら各学校が特色ある教育を実践するとともに、相互に切磋琢磨することによって本県高校教育の充実・発展に資するものと考えます。
 また、後期計画の策定についてでありますが、8月に計画案を公表後、既に県内全域の11会場で説明会を開催しております。今後も、要請のある地域や団体等に対して個別に説明に伺う予定であります。これらの機会を通じて計画案に対する県民の理解を深め、寄せられた意見などを勘案しながら、予定どおり年内には後期計画として策定してまいりたいと考えております。

〇47番(工藤篤君) 答弁ありがとうございました。
 時間も大分押しておりますが、簡単に一、二お尋ねしたいと思います。
 まず、県境産廃についてでありますが、最近の報道では、青森県はいまだに県境に遮水壁のようなものを岩手県につくらせようとしているようですが、地域住民からは、加害県の青森県が被害県である岩手県にいろいろ要求してくることに対し強い怒りを覚えるとの意見が多く寄せられております。もともと水は高い方から流れるのが自然でありまして、その高い方の岩手県側に不法投棄を許したのは青森県であります。その青森県側に水が流れても、仏教の言葉で言えば自業自得というものでありましょう。幸い、工事の関係上も県境側の土どめは必要ないようでありますから、中村部長、これからも環境省や青森県から横やりがあるでしょうが、これに屈して遮水壁や、それにかわる必要のない土どめなどの工事をすることがないようにお願いします。厳しい財政状況の中で、他の福祉事業や公共事業を削ってまで岩手県民の税金で撤去をするものでありますから、その工事が岩手県民の役に立つのかを考えていろいろな工事を実施していただきたいと思います。青森県の責任追及はしない、工事は青森県や青森県の意向を受けた環境省の言いなりでは岩手県民に申しわけが立ちますか、お答え願います。
 また、責任追及ですが、これは前環境生活部長でもあった時澤総務部長にお聞きしますが、本気になって責任追及や自主撤去などを進めるのであれば、相手は首都圏でありますから、東京事務所に責任追及担当を置くとか、対策室の責任追及の担当課は東京に置くとかの必要があるのではありませんか。現状では、立入検査に行くにも機動性に劣っております。責任追及がおくれている要因の一つでもあると思うのです。東京事務所を中心にして、もっとしっかり責任追及をするための体制の整備を検討するべきであると思いますが、いかがでしょうか。
 次に、事業団の民営化についてでありますが、当時の答弁では――平成12年当時でありますが、庁議決定した県出資法人の整理合理化の基本方針には保健福祉部所管の法人は見直しの対象になっていないと答弁しております。それが、民営化を考えているという県の文書を見たという保護者の方が多くいます。民営化しないと言った当時の答弁を覆すようなことを、当時の質問者がまだ議員でいるにもかかわらず、全く説明しないで事を進めようとする姿勢は県の方針であるのか、今後もそのような方針でいくのか、まず伺います。
 いいですか。民営化を考えるより、事業団上層部への県からの天下りをやめればいい運営ができるのですよ。保護者から聞きますと、確かに事業団にも利用者のことを考えない、働かない職員もおりますが、これは人事評価の問題であります。事業団でできないからでしょうから、そうであれば、しっかりした人事評価システムをつくってやって優秀な職員を育成し、運営は柔軟に任せることが県営施設の運営を委託する側の責務でもあり、県民への義務であると思いますが、いかがでしょうかお答え願います。

〇環境生活部長(中村世紀君) 青森県境産業廃棄物処理の現地におきまして県境に遮水壁を岩手県が設けることでございますけれども、この県境産廃の処理につきましては、特別措置法の規定によりまして、国の基本計画に基づいて実施計画を県がつくって環境大臣の同意を得ることになってございまして、ことしの1月21日に同意を得ました本県の実施計画におきましては、岩手県が県境に遮水壁をつくることにはなってございません。実施計画どおり今、作業を進めているところでございますので、遮水壁をつくるという計画はないものでございます。

〇総務部長(時澤忠君) 法的対策室の体制につきましては、これまでも必要に応じて強化をしてきたところでございます。最終的にどのような手法で首都圏の責任等を追及するかということにつきましては現在検討されているところでございますので、その検討状況を踏まえながら、必要であれば体制ということについても考えていく必要があると考えておりまして、その際、必要であれば東京の体制についても検討するということで環境生活部と十分話をしていきたいと思っております。

〇保健福祉部長(佐藤敏信君) 大きく二つ御質問をいただいたと記憶しております。まず一つ目ですが、確かに議員が御指摘になりましたように、平成12年12月の本会議で議員から御質問いただいておりまして、当時の関山保健福祉部長が次のように答えております。議員御指摘のとおり、本年5月――これは平成12年5月のことですが――庁議決定した県出資等法人の整理合理化の基本方針には保健福祉部所管の法人は今回の見直しの対象には含まれておらず、この方針に沿って対処しているところでありますと答えております。しかしながら、平成15年12月に県庁全体で県出資法人等の改革プランが議論されて、その折には――これは一昨年の12月ですが――事業団についても、県立施設の委託に当たっては、民間法人との競争原理を導入した仕組みを整備し、その結果、役割を終えたとされた場合には適宜順次廃止なり解散なりをするということになっておりまして、当時と現在とでは県庁の中における位置づけが違ってきたということで御理解をいただきたいと思います。
 2点目でございますが、これもやっぱり議員が御指摘になりましたように、今後、県立施設を活性化していく上では、現在の事業団の自主性みたいなものが非常に重要になってくると思います。例えば柔軟な人事であるとか処遇といったことも重要になってくると思いますが、今般、先ほどの知事の答弁にも指定管理者制度のような話が出てまいりましたし、また、これまで事業団の職員の処遇につきましては、昭和46年通知、我々四六通知と言っていますが、国の出した四六通知に従いまして対応していたわけですけれども、今後は、必ずしもこれに縛られることなく柔軟に対応していいということでございますから、今の見直しの中でこの事業団の自主的な運営なりというものも考えているところでございます。また、事実、事業団職員からも多様なアイデアをいただきたいということで投げかけもしているところでございます。

〇副議長(菊池勲君) この際、暫時休憩いたします。
   午後4時21分 休 憩

出席議員(47名)
1  番 亀卦川 富 夫 君
2  番 中 平   均 君
3  番 ザ・グレート・サスケ 君
4  番 木戸口 英 司 君
5  番 関 根 敏 伸 君
6  番 野 田 武 則 君
7  番 平 野 ユキ子 君
8  番 高 橋 雪 文 君
9  番 嵯 峨 壱 朗 君
10  番 平   澄 芳 君
11  番 工 藤 勝 子 君
12  番 平 沼   健 君
13  番 柳 村 典 秀 君
14  番 飯 澤   匡 君
15  番 田 村   誠 君
16  番 大 宮 惇 幸 君
17  番 千 葉 康一郎 君
18  番 新居田 弘 文 君
19  番 工 藤 大 輔 君
20  番 川 村 農 夫 君
21  番 樋 下 正 信 君
22  番 照 井 昭 二 君
23  番 柳 村 岩 見 君
24  番 阿 部 静 子 君
25  番 阿 部 富 雄 君
27  番 田 村 正 彦 君
28  番 佐々木 順 一 君
29  番 佐々木   博 君
30  番 及 川 幸 子 君
31  番 阿 部 敏 雄 君
32  番 吉 田 昭 彦 君
33  番 小野寺 研 一 君
34  番 千 葉   伝 君
35  番 小野寺   好 君
36  番 伊 沢 昌 弘 君
38  番 吉 田 洋 治 君
39  番 佐々木 一 榮 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 渡 辺 幸 貫 君
42  番 高 橋 賢 輔 君
43  番 藤 原 良 信 君
44  番 佐々木 大 和 君
45  番 藤 原 泰次郎 君
46  番 菊 池   勲 君
47  番 工 藤   篤 君
48  番 小 原 宣 良 君
51  番 佐々木 俊 夫 君

欠席議員(2名)
26  番 斉 藤   信 君
50  番 佐 藤 正 春 君

説明のため出席した者
休憩前に同じ

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ

午後4時39分 再 開

〇副議長(菊池勲君) 休憩前に引き続き会議を開きます。

〇副議長(菊池勲君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。

〇副議長(菊池勲君) 日程第3、一般質問を継続いたします。佐々木博君。
   〔29番佐々木博君登壇〕(拍手)


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