平成16年9月定例会 第9回岩手県議会定例会 会議録

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〇32番(吉田昭彦君) 自由・県民会議(後刻訂正)の吉田昭彦でございます。
 通告に従い順次質問いたしますので、積極的な答弁をお願いいたします。
 初めに、増田県政10年目を迎えての評価と基本姿勢についてお伺いいたします。
 増田知事が2期目を迎えた平成11年度に、21世紀へ向けたシナリオとしてみんなで創る夢県土いわての岩手県総合計画を策定し、平成11年度を初年度とし、平成22年度を目標年度とする12カ年計画となっております。このうち、前期は平成17年度までの7カ年計画となっています。総合計画では、実施したい岩手の将来像として、五つの社会の実現を目指して、17施策78分野について主要な指標と事業を提起しております。
 また知事は、昨年の統一地方選の知事選挙において、全国に先駆けて、マニフェスト「岩手をこう考えます――私の政策」を発表しました。その内容は、県政のビジョンとして、これからの3期目は自立を進める4年間と位置づけ、北東北3県連携の促進、自立への政策として、環境、雇用、福祉、教育等の事業に重点的に取り組み、財政構造の改革と産業の活性化を図ることを提起しております。
 また、昨年10月には、知事が提起したマニフェストと岩手県総合計画との整合性を重視し、誇れるいわて40の政策を取りまとめ、4年間の任期中に取り組む各種施策の目標値と施策の事業化の工程表を示したところであります。その中では、最優先に取り組む緊急課題として、第1に雇用対策、第2に青森県境産業廃棄物不法投棄事案への取り組みと循環型社会の形成を提起し、七つの重点施策として、21世紀型の新しい産業先進県、環境首都を目指す環境先進県、新しい時代を担う人づくり教育先進県、スローライフを基調とした食と森先進県などを提起しております。また、行財政構造改革プログラムを策定し、行財政構造改革を推進しながら行政システムの進化を図ることにしております。
 知事が提起したマニフェストは、先般、東京で開催されましたマニフェスト検証大会において総合評価で高い評価を受けたことを高く評価し、敬意を表したいと思います。
 そこでお伺いいたします。第1点は、マニフェスト検証大会においては、本県の個性にこだわったオンリーワン型の自立政策を打ち出しており、地方分権時代のローカルマニフェストの先駆的モデルとして評価されているようでありますが、一方で、本県の政策等の評価に関する条例に基づいた内部評価では全体としてややおくれているとなっておりますが、このそれぞれの評価についての知事の御所見を伺いたいと思います。
 第2点は、知事は、改革派知事の代表格の一人として全国的にも注目され、地方分権、道州制などへの取り組み、政治姿勢の評価が高く、対外的にスローライフ、がんばらない宣言、地元学などを地域政策理念として掲げ、県勢の発展と情報発信を積極的に行ってきたと思いますが、岩手県総合計画の目標に照らして、県勢発展の実態をどのように政策評価し、今後の本県のあるべき姿、整備方向をどのように描いておられるのかお伺いいたします。また、生活環境水準、経済水準、教育水準、自然環境等について、全国対比ではどのようになっているのかお伺いいたします。
 第3点は、40の政策を推進するための行財政構造改革プログラムで提起されておる、公共事業費を段階的に30%削減し、決算ベースで国の経済対策が行われる以前の水準に平準化するというが、建設業への影響と本県経済への影響、重要課題である雇用面への影響をどのように考えておられるのかお伺いいたします。
 次に、地方分権推進に係る諸課題についてお伺いいたします。
 まず、市町村合併についてでありますが、地方分権の推進には、基本的には地域住民の自己決定権を拡充し、これまでの中央集権型行政システムを変革し、国と地方公共団体との対等・協力関係を構築することが不可欠であります。そのことから、市町村の規模、能力を拡充し、行財政基盤を強化するための市町村合併が提起されておるところであります。一方で、各市町村は、少子・高齢化社会の到来、財政難、経済の先行き不透明感、価値観の多様化を踏まえて、活路を合併に求めるのか、自立を目指すのか、それぞれの将来像を見据えた決断を迫られております。
 そこでお伺いいたしますが、市町村の自主的判断を重視している現在の本県の市町村合併の進捗度合いを全国、東北各県との対比でどのように評価し、県として残された期間内にどういう姿勢で対処し、支援方途はどのように行っていく考えでしょうかお伺いいたします。
 次に、道州制についてお尋ねいたします。
 知事は、将来の国、都道府県、市町村の役割分担を見据え、平成9年の北東北知事サミットを契機に連携の方途を探り、観光施策を手始めに、アンテナショップ開設や県外合同事務所の設置を進め、さらには産廃対策としての産廃税の創設と共同地方債の発行など着々と実績をつくってこられたことは高く評価されております。市町村合併の進展によって市町村の権限や規模が拡大されることになり、広域的行政需要に対処する都道府県の果たすべき役割や機能も見直されることが必要と考えます。
 そこでお伺いいたします。北東北3県の若手職員で構成する北東北広域政策研究会の報告では、地方分権を実現する広域的自治体のあり方として、国の権限が大幅に移譲される道州制がふさわしく、東北6県が望ましいが、国の法整備や合意形成などに相当の期間が必要であることから、その前段として広域連携の実績のある北東北3県で合体すべきであると提言しております。北東北3県でのこれまでの連携の実績を踏まえて、新たな連携施策、事業についてどのように考えておられるか、また、北東北3県の広域的自治体としての全体構想についてはどのようにお考えになっておられるのかお尋ねいたします。
 次に、三位一体改革への対応についてお尋ねいたします。
 第27次地方制度調査会では、地方分権の推進には自己決定、自己責任のもとに権限と財源の移譲が必要であることから、この三位一体改革は、税源移譲、地方交付税の見直し、国庫補助負担金の廃止・縮減等の改革を同時並行で一体のものとして相互にバランスを図りながら行うことが必要であるとしております。国庫補助負担金の廃止に伴う一般財源化に当たっては、廃止と同時に、確実に所得税と消費税の基幹税で税源移譲が必要であります。また、税源移譲に伴い自治体間の財政力格差の拡大が予想されることから、地方交付税の持つ財源調整と財源保障機能を強化することが必要であります。全国知事会議では、小泉総理の3兆円をめどにした削減案作成をめぐって、知事同士が義務教育費国庫負担金の扱いについて、義務教育の水準を確保するために現行制度の維持を訴える意見と、確実に税源移譲につながるとのことでの義務教育費国庫負担金の廃止に賛成する意見が延々と議論されたと聞いております。
 そこでお伺いいたします。全国知事会と地方6団体は、政府から三位一体改革に関連しておおむね3兆円規模の税源移譲を前提として国庫補助負担金改革の具体策の取りまとめを要請され、去る8月24日に平成17年度及び平成18年度における3兆円規模の税源移譲に見合う国庫補助負担金廃止の具体案を取りまとめ、提出しました。具体案の取りまとめの段階で、義務教育費国庫負担金の取り扱いで全国知事会議で大変な議論が行われ、全会一致が通例なのに最終的には多数決で決することとなり、廃止・一般財源化に反対の意見を付記することも含めて、賛成40、反対7ということになったとのことであります。廃止反対の方々の意見は、教育の機会均等と義務教育の水準の確保は国の責任であり、一般財源化によって地方自治体の財政力によって教育格差が生じるとの懸念、考え方で集約されるようでありますが、国庫負担金は、国の義務負担であることからも当然の考え方と受けとめるものでありますが、廃止に賛成の大方の意見に同調された知事は、地方分権の推進、三位一体改革の具体化のための一つの手段としての選択をされたと理解していますが、改めて知事会の協議経過と知事御自身の御見解を伺いたいのであります。
 また、一般財源化され、税源移譲によって確保されるのは国庫負担金として交付されたものの半分以下と思いますが、どのように試算されており、国が負担していたものが確実に保障されるとの考えに立っておられるのか、また、市町村への財政的影響はどうなると考えておられるのかお尋ねいたします。
 次に、防災対策についてお伺いいたします。
 県においては、平成14年度の岩手県津波避難対策検討委員会の検討結果を踏まえて津波浸水予測図を作成し、これを市町村に配布し、市町村の防災計画に活用されることになっており、本県の沿岸13市町村がすべて津波防災訓練を実施していることとあわせて、避難の迅速化のソフト面の対策としては全国的にもかなり充実されているものと考えております。
 そこでお伺いいたします。波高計、潮位計のネットワーク化は、管内の避難指示・勧告等の迅速化の効果が期待されることから早急な整備が必要と考えますが、情報連絡体制の整備、宮城県との連携などを含め、どのような進捗状況にあるかお伺いいたします。
 また、平成16年3月に、宮城県沖地震を含む日本海溝、千島海溝沿いの大規模地震に対応した地震防災対策の推進に関する特別措置法が成立し、平成17年の秋ごろには特別措置法が施行されると伺っていますが、施行されると推進区域として指定されることになるとのことでありますが、どのような施策が進められることになるかお伺いいたします。
 次に、洪水対策に関連して、治水専用の津付ダムの整備計画等についてお尋ねいたします。
 先般、気仙川流域懇談会の最終の会合が行われ、県では、河川改修とダムによる洪水調節を組み合わせた計画とし、ダムの規模を縮小した計画について種々意見を聴取し、過日の大規模事業評価委員会で事業継続を妥当とする答申があったと伺っております。津付ダムの建設計画は、当初の治水と利水の計画から治水専用のダムとして計画変更され、規模を縮小し、構造についても下流域や海域の環境への影響を限りなく少なくし環境に配慮したことは高く評価するもので、関係者の方々の理解も深まったと考えるものであります。
 そこでお伺いいたします。流域住民の洪水不安解消のためにとの地権者の方々の意も酌み取って、住民の理解を深めながら事業の推進に向け迅速で十分な対処を望むものでありますが、県の意思決定、国との協議、地権者との補償交渉はいつごろ、どういう形態で進められるのかお伺いいたします。
 次に、医療体制の整備についてお伺いいたします。
 少子・高齢化社会において、多様な保健、医療、福祉のサービス需要に対応し、県民がどこに住んでいても適時適切な総合的サービスを受けることができる体制の整備が必要であります。県医療局は、県立病院の経営基盤の確立を目指して県立病院改革基本プラン及び県立病院改革実施計画を取りまとめ、実施しております。その中身は、二次保健医療圏を単位として、県立病院を一体的、効率的に運営するとともに、規模の適正化を図り、効率的な医療提供体制を確立するとし、あわせて経営収支の改善のため、県立病院群の一体的運営や病床規模の適正化などの構造改革及び給与費の抑制や外部委託の拡大などの総合的な経営改善によって施設効率を高めるとともに、単年度経営収支を均衡させるとしております。
 そこでお伺いいたします。改革実施計画で重要なポイントは、二次保健医療圏ごとの病院群の機能分担と一体的運営によってそれぞれの病院の役割が明確化されることで各病院の効率的運営が図られるとありますが、計画の初年度である今年度の取組状況はどうなっておられるかお伺いいたします。
 また、医療に係る最大の課題は、医師の充足率が低いことが慢性化していることであります。自治体病院の医師充足率は、全国103.7%、東北84.3%、北海道76.4%となっていますが、この現状を打開するための対策は何か、自治医大における各県枠の拡大や東北地区の国立大に東北枠を設定するよう国に働きかけをして実現を期すべきものと思いますが、どう考えておられるかお伺いします。
 また昨年来、厚生労働省、総務省、文部科学省が地域医療に関する関係省庁連絡会議を設置し、医師確保対策について具体的な取り組みを始めたというが、どういうことになっておられるのかお伺いいたします。
 次に、産業振興施策の推進についてお伺いいたします。
 まず、農業振興施策についてでありますが、改革を迫られておる日本農業について、食料・農業・農村政策審議会による食料・農業・農村基本計画の中間報告では、中核的な農家に対象を絞った上で、直接経営に助成する日本型直接支払の導入などを提起しております。また、食料自給率が6年連続で40%の横ばいのまま推移しており、先進国では最低水準の食料自給率の向上を図ることが必要とされ、あわせて、国土保全、貯水機能など農業の多面的機能の維持、増進も重要な事項であります。あわせて、農村が持っている地域資源、地域産物を通して都市住民に憩いの場を提供し、都市と農村の交流の活発化によって安全・安心な食材の提供を行い、農村の経済の活性化につなげるグリーン・ツーリズムの推進を図ることも必要であります。
 そこでお伺いいたします。食料供給基地、農業県岩手として、後継者の育成、担い手の育成のためいろいろな施策を行っておりますが、何といっても安定的な農業所得の確保による農家経営の安定化、確立なくして後継者の問題は解決しないと思います。農業経営及び営農指導のマンパワーである農業改良普及員の設置の根拠法である農業改良助長法の改正により普及センター必置規制が廃止となりましたが、現在の12の普及センターは存続させ、強化すべきと思いますが、どのようなお考えかお伺いいたします。
 次に、本県の沿岸部において農業・農地の果たす役割は、安全・安心な食の提供に加えて、農村景観、国土保全、貯水機能など公益面での多面的機能を持っており、さらには、耕作放棄地が他地域より多くなっていることから、後継者・担い手不足に対処し、農地の維持保全とグリーン・ツーリズムの受け皿の整備による農漁村の活性化のためにも、沿岸部の集落営農に取り組む地区については、特にも手厚い支援制度として直接支払制度を岩手型として創設することを提起したいと思いますが、いかがでありましょうか。
 次に、林業振興施策についてお尋ねいたします。
 森林に対する国民の要請は、木材生産機能から水源の涵養、国土や自然環境の保全、地球温暖化の防止、レクリエーションや教育の場としての利用等の多面にわたる機能の発揮へと多様化しており、これにこたえられるよう将来にわたって適正な森林の整備と保全を行うことが求められております。
 そこでお伺いいたします。林野庁は、来年度から森林浴が身体に与えるいやしの効果を医学的に立証し、森林療法として確立させ、同療法を生かして地域振興に結びつける検討を進めることを決めたようでありますが、どのような対策を考えているのか、また、本県としてはどういう姿勢で対処しようとしているのかお伺いいたします。
 また、森林の多面的機能に関連して伺いますが、温室効果ガスの削減対策の一環として、同ガスの排出量売買取引の実験が本県を含む5県で行われたようでありますが、この成果は、来年度から実施予定のCO2排出量取引制度との関連でどのようなかかわりがあり、また、林業振興との関連性はどうかお伺いいたしたいと思います。
 次に、水産業の振興についてお尋ねいたします。
 本県では、いち早くとる漁業からつくり育てる漁業へと技術の展開を図り、サケ、アワビ、ウニ等の栽培漁業やワカメ、カキ、ホタテガイなどの養殖業を積極的に推進し、全国的に先進的な地位を占めております。我が国のワカメの大半は養殖によって生産され、本県の生産量、生産額は全国第一位となっており、カキについては、主要な生産県は広島、宮城、岡山と本県となっており、本県の生産量の割合は小さいが、高品質の生産物を出荷することで他と差別化を図ってきたことから高価格で取引されております。
 そこでお伺いいたします。本県養殖漁業の中枢となっているワカメ、カキ、ホタテ養殖の生産はいずれも品質の高い生産物となって市場の評価が高いが、養殖漁家の就業者の高齢化によって生産体制の維持を不安視する見方がありますが、このことについてどのような対策を考えておられるのか。生産体制の維持のため、協業化とか漁協経営によるものとかを検討することが必要ではないかと思いますが、いかがでありましょうか。
 また、長年の懸案事項である本県と宮城県との県境周辺海域において、双方が主張する知事許可漁業の操業区域については、隣接する両県で合理的で妥当な形での解決のもと操業が行われることが望まれますが、その後どのような協議経過になっているかお伺いいたします。
 次に、国際経済交流についてお尋ねいたします。
 経済のグローバル化の進展に伴って国際的な大競争時代が本格化する中、本県産業の振興を図っていくためには、既存産業の高付加価値化を含め、21世紀における新産業の創出や新規事業の展開をより一層強力に推進し、地域経済の活性化とともに良質な雇用機会を創出していくことが重要になっております。
 そこでお伺いいたします。岩手、宮城両県と岩手県産業貿易振興協会、宮城県国際経済振興協会が中国東北部の大連市において、経済成長の著しい中国での企業のビジネス機会を広げることをねらいとして宮城県との共催で商談会を開催したようでありますが、大連市は中国東北部の玄関口であり、観光都市としても有名であり、2、000以上の日系企業など外資導入が進み、工業や貿易でも急成長を遂げていることから、商業、工業、観光面での交流活発化により、貿易、市場開拓、観光など多面的な経済効果が期待されますが、どのように評価し、今後の推進方途をどのように考えておられるか、また、宮城県との合同で大連事務所の開設を計画しているようでありますが、どのような形態となっておるのかお伺いいたします。
 次に、雇用対策についてお伺いいたします。
 雇用対策は最重要課題として取り組んでおられるが、若年層の雇用効果としてジョブカフェの設置による若年者就業支援の一層の強化を図り、また、サービス関連産業での1万5、000人の雇用創出を図ることとし、さらには構造改革が求められている建設業について新たな分野への進出による雇用の確保を提起しておりましたが、その成果はどうなっておられるでしょうか。また本県では、若年無業者、いわゆるニートの人数はどのくらいと見ているかお伺いいたします。
 次に、シカ、カモシカによる食害対策でありますが、新たな生息区域の拡大を阻止し、農林業への被害を最小限に食いとめるため、適切な保護管理の強化を図る必要がありますが、特別保護管理計画の策定とあわせ県ではどのように取り組んでいこうとされているのか、お伺いいたします。
 次に、教育を取り巻く諸課題についてお伺いいたします。
 ゆとり教育が提起され、完全学校週5日制が実施される中にあって、自然体験や生活体験、地域の伝統文化の継承活動や奉仕活動が活発になり、家庭や地域の教育機能を高めるため諸活動が各地域で取り組まれております。
 そこで、お伺いいたします。まず、学習定着度調査と学力向上対策についてでありますが、この調査結果を踏まえてどのような対策をお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
 学力向上対策には、学ぶ意識や関心を高め、思考力や判断力、表現力等の向上を図るための各種の環境整備が必要と考えられますが、少人数学級によるきめ細かな指導が効果的であることは言うまでもありません。本年度からモデル校を設定して取り組んでいる少人数学級指導の成果をどのように評価し、今後の学力向上対策にどのように生かしていこうとしているのでしょうか、お伺いいたします。
 次に、食育についてでありますが、食育は重要であると認識しておりますが、現在の学校給食において、地元農林水産物の利用割合はどうなっているのでしょうか。供給側の生産体制が整えば何割くらいまで対応可能と考えられるのか、お示し願います。
 次に、高校新整備計画後期計画についてお尋ねいたします。
 県教育委員会は、平成16年1月に県立高校新整備計画のマスタープランを公表し、平成17年度から21年度までの整備の基本的な方針を示し、これについてパブリックコメントを実施したほか、これまで広域生活圏単位や市町村長への意見を聞く会などを開催してきたことに対しまして、敬意を表するものであります。しかしながら、中高一貫教育校については、後期マスタープランでは、岩手県中高一貫教育検討委員会の報告を踏まえて、具体的な計画を策定するとしていたものが、このたびの後期計画では、併設型中高一貫教育も含め他の地域への導入について、地域の実情等に応じ引き続き検討していきますとトーンダウンしており、各ブロック計画には明示されていないのは、どういう経過であったのでしょうか。
 また、パブリックコメントでの意見、意見を聞く会での要望、意見はどのように計画に反映させたものか伺います。
 また、気仙地区の整備方法について、前期計画で提示されていた大船渡工業・農業、広田水産の家庭科の統合と高田高校への水産科の併設は了とするものでありますが、新たに住田高校の高田高校との統合と、高田高校商業科の新たな専門高校への統合について、平成20年度に実施するということについては、どのような基準、考え方で計画されたのか、お伺いいたします。
 以上で私の質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 吉田昭彦議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、ローカル・マニフェスト検証大会についてでございますが、公共事業の3割削減、政策推進枠200億円の確保など大枠で挑戦的な目標を掲げている。マニフェストと総合計画の整合性を重視して、40の政策を策定している。政策評価システムや政策形成・予算編成システムの導入など実効性の高いマネジメントサイクルを実現している。成果を重視して、評価を厳しい姿勢で臨んでいる。職員との対話を積極的に行って、意識改革を進め、業務のスピードアップが図られている。こういったことを評価されて、先般のローカル・マニフェストの大会では先駆モデルとして一定の評価をいただいたと受けとめております。
 一方で、マニフェストを政策化いたしました40の政策につきましては、初年度でございます平成15年度の実績について評価を行って、8月にその結果を公表したところでございますが、これにつきましては15年度の達成状況として、全体としてややおくれているという総合評価をしております。これは当然のことながら県民との約束であり、目標を確実に達成することが、すなわち県民との約束を履行することになるわけでございまして、この初年度の結果については、私はもちろん満足できるものではないと認識をしております。40の政策を確実に実現していくためには、単年度ごとの目標を達成できたかどうか、仮に達成できていないものについては、なぜ達成できなかったのかなどについて徹底的に評価、検証し、結果を翌年度の施策に確実に反映させていくなど、職員全員が目標をしっかりと見据えて、厳しい姿勢で取り組んでいくことが何よりも重要であると考えております。
 それから、今申し上げました平成15年度分の政策評価を総合計画に掲げております221の主要な指標の進捗状況で見ますと、平成17年度――これは中間年次でございますが――その平成17年度の目標値への到達度が1年以上進んでいる指標の割合は2ポイント増加して29%となりましたが、逆に1年以上おくれている指標の割合は依然として40%を超えております。五つの社会別に見ますと、産業経済社会は、低迷が続く経済情勢等を反映して依然として厳しい状況にございます。そのほかの四つの社会はおおむね順調ということでございます。
 今後は、こうした評価結果や県民の皆さん方のニーズ、それから社会経済情勢を十分踏まえながら、県民一人一人が希望する職業につき、誇りを持って働くことができる。それから、美しい岩手のかけがえのない環境の保全に努めながら、地域づくりや社会貢献活動にも積極的に参加をし、また、子供たちの豊かな心がはぐくまれ、持てる能力や適性がいかんなく発揮できる社会、これがそこの評価結果や県民ニーズなどから浮かび上がってきた像でございますので、これを実現するために地域資源や産業技術等を生かした魅力ある産業の振興、ゼロエミッション社会の構築、NPOやボランティア活動支援拠点機能の整備、それから学力向上対策、福祉・医療を初めとした社会保障制度の充実、ここに全力を注いでいく考えでございます。
 それから、本県の生活水準の全国対比についてのお尋ねでございますが、生活環境水準について言えば、例えば持ち家比率では全国18位、それから汚水処理人口普及率では全国36位、こちらは低い水準でございます。それから、経済水準でございますが、県内総生産、平成14年度で4兆5、600億円ほどで、全国シェア0.92%ですが、1人当たり県民所得で242万6、000円と、全国100に対して指標で85.2、10年前の平成4年度と比べると5.4ポイント向上ということになっております。教育水準では、大学進学率が県立大学の開校等もございまして上がってきておりますけれども、しかし、まだ33.7%と、全国の45.3%に比べかなり低い水準になっている。自然環境はおおむね良好な状況でございます。
 このように、今申し上げました汚水処理人口普及率や大学進学率など依然として低い水準にあるものもございますが、これまでの県民のたゆまぬ努力によりまして、県民の生活水準は全体としては着実に向上してきているととらえております。今後はそういった低い分野について、特にその向上を図っていくべきと考えております。
 それから、公共事業費の30%削減の場合の県内経済全般への影響についてのお尋ねがございます。これは、当議会でもこれまでにお話し申し上げておりますけれども、単純なその削減額そのものによる県内経済への影響というのを岩手県の産業連関表を用いて試算をした数値がございます。これは投資削減額の1.66倍に相当するマイナスの経済波及効果があると、県内生産額の減少が見込まれると、こういう産業連関表による結果でございまして、具体的に申し上げますと、それはマイナスの838億円程度の経済波及効果、マイナスの経済波及効果ということになろうかと思います。これはこれまでの議会でも申し上げているところでございます。これは県内の全産業の生産額のおおむね約1%相当ということでございます。
 雇用への影響でございますが、これは公共事業の30%削減で、おおむね4、000人程度が他への労働移動が出てくるのではないかと見ておりますけれども、まだ建設業からの移動の実績の把握は難しいわけでございますが、総合雇用対策で15年度に創出した9、146人という雇用創出がございますが、この中に今申し上げましたような建設業からの労働移動者も含まれていると推定をしております。いずれにしても、この雇用創出については地方振興局を中心に市町村や関係団体とも連携をして、農林水産業を初め、福祉や環境など幅広い分野で受け皿となる仕組みの創出が必要だと思っております。
 建設業については今、県内建設業者の技術力を適切に評価して、入札参加機会の拡大を図るとともに、下請への県内企業の優先活用を県営の工事契約約款に明記をして、受注機会の確保に努めておりますし、さらには、建設業協会が設置をした経営支援センターの中で雇用創出に取り組んでいるわけでございます。こうしたものについて県としても支援をしていく考えでございます。
 北東北3県連携についての実績と新たな連携施策ですけれども、これまで北東北3県で延べ100の合意事項に基づいて、さまざまな連携事業を推進してきています。着実な成果が出てきているととらえておりまして、今後もそうした連携を一層進めていきたいと考えております。先般9月2日のサミットでも試験研究機関相互の人事交流や、国際感覚を持った人材育成など、6項目についての新たな連携施策について合意をして、今後、詳細検討の上、取り組むこととしているわけでございます。その場におきまして北東北のグランドデザインの中間報告を公表したわけでございます。最終報告は来年のサミットにと考えておりますが、このグランドデザインに盛り込まれた施策の着実な実現ということが当面の目標と考えております。
 それから、ただいま議員の方で御質問の中で触れられました北東北広域政策研究会の報告書でございますが、これは、これからの新しい地方自治制度をどうするかということについて、3県のあり方について今後議論を展開していく場合の素材の一つとなると考えているわけでございます。
 これからの新しい地方自治制度のあり方について考えていく場合に、やはり行政サービス――これは県であったり市町村であったりするわけですが――こういう行政サービスの提供主体と住民との距離をできるだけ近づけていくということが大事でございまして、そのためには国と地方の機能とか役割分担をやはりしっかりと見直しをする必要がある。そして、今、三位一体改革と言われておりますが、さらには、人材の配置も含めたいわば四位一体のような形で取り組んでいく必要があると考えております。したがいまして、こうした国と地方の役割とか機能分担について見直さないで、今の制度のままでただ単に3県合体あるいは合併することは意味がないと考えているところでございます。
 それから、三位一体改革についてのお尋ねでございますけれども、これについてはぜひ進めていかなければならない、地方の自立を図っていく上での必要なことと考えているわけで、それについての認識はこれまでも再三申し上げているわけですが、こうした基本認識に立った上で、全国知事会としても7月15日、さらには8月18日、19日の2日間にかけて開催をされた知事会の総会におきまして、知事同士熱心な議論を行いました。義務教育費国庫負担金の取り扱いも含めて熱心に議論を交わしたわけでございます。知事会としては、最後は採決により決したわけでございますが、こうした国と地方のあり方そのものにかかわる重要案件について、さまざまな地域事情を抱える、知事会も含めた地方6団体が一致して一つの改革案を取りまとめたことはやはり画期的なことであって、歴史的意義が大きいと受けとめているところでございます。
 この義務教育についてでございますけれども、これにつきましては、現在の我が国は一定水準の成熟した国家社会となっているわけで、このような状況下では私は教育機会の均等のみの理由から国がコントロールをする方式ではなくて、安定した地方教育行政を背景にして、国は学習指導要領に見られるような標準的な部分の指針作成に専念をして、地方はそれぞれが独自に知恵を出した学校教育、教育行政の推進に取り組んでいくことが県民の教育に対する期待にこたえる道であると考えておりまして、知事会の採決のその際には、この義務教育の負担金を廃止してその全額を地方に移譲するという前提条件、これはもう改革案に書いてございますが、その前提条件のもとに原案に賛成をしたところでございます。
 さらに少し詳しく申し上げますと、この負担金を考える際の基本的な視点としては、私は義務教育のあり方と、もう一方でその財源負担、特に教職員給与の負担の問題は、これは分けて考えるべきであると考えております。まず、義務教育のあり方、それから水準などの議論ですが、これは、私は義務教育が国家の基本的政策の一つであることに異論はございませんが、法的にはこの義務教育は地方の事務としてもう既に整理をされているわけでございまして、これは国だけの責任ではなくて、県や市町村の責任も極めて大きいものがあり、それぞれが責任を分かち合いながら進めていかなければならないものであると考えております。
 この場合、先ほど申し上げましたように、国は、教育の機会均等と教育水準の維持向上が図られるよう、大局的見地から法律や基本指針などを定めて、現場の我々地方自治体は、それを基本に据えながら、地方独自の工夫や地域住民の声を反映させるなど地域に根差した多様な教育を展開できるような仕組みにすべきと考えております。
 この財源の負担の問題については、私は教職員の給与がしっかりと確保できる仕組みであれば、地方が全額を負担することでよいと考えておりまして、また、現行のように、一方、国が教職員給与の2分の1を負担するということが、この義務教育についての財源保障に確実につながっているわけでは必ずしもないという実態がございます。現に、文部科学省所管の他の負担金を見ましても、公立学校施設整備費負担金については国の財源不足の拡大に伴いまして、自治体に多くの超過負担が生じているといったようなこともございまして、これはやはり国のそういった制度、これは必ず財務省の査定が入りますので、財源保障がそのことによって万全だとは言えないという状況もございます。むしろ地方税を中心とした地方自治体の一般財源を確実に保障していくという仕組みをつくり上げることによって、予算の編成や執行の際に議会はもちろんのこと、地元住民のチェック機能も働くということから、これは知事あるいは市町村長が教育予算を一方的に削減することはできなくなると考えているものでございます。
 以上、申し上げましたように、この教職員給与についての財源をきちんと確保した上で、地方独自の特色や創意工夫を取り入れた教育が行われる仕組みにすることが、最も大切であると考えているところでございます。
 最後に、この負担金の廃止に伴う影響についてのお尋ねがございますが、地方6団体の改革の考え方は、今申し上げましたように、その中で必要な地方財源をきちんと確保できることが改革実現の大前提になっておりまして、それはこの改革案の中にも前提条件として、移譲額が国庫補助負担金廃止に伴い財源措置すべき額に満たない地方公共団体については、地方交付税の算定等を通じて確実に財源措置を行うことと強く主張していることからもおわかりのとおり、そのようなことが前提条件となっているものでございます。
 したがいまして、この負担金の一般財源化に伴う本県への税源移譲額や、また、影響ということのお尋ねでございますけれども、この税源移譲の方法が6団体、あの改革案のとおりに実現をされれば、仮に所得税から個人住民税の10%を比例税率化、フラット化での移譲となった場合でも、この税源移譲額のほかに地域間の税源偏在の是正措置が講じられ、さらには、それでも調整し切れないところがあれば、さらに地方交付税による財源措置により調整をされるわけでございますので、義務教育に必要な財源については全額措置されると、そういうふうに前提条件を踏まえて政府が改革案を取りまとめれば、全額措置されなければならないものと考えているわけでございます。そうした場合には、当然市町村への財政的影響は全く出てこないと考えているところでございます。
 なお、万一、地方交付税等による確実な財源措置がなされない場合は、改革案における前提条件が満たされないものとなるわけでございますので、地方6団体――これは会長さん同士で話をしていると聞いておりますが――としてはこの改革案の撤回も辞さない強い姿勢で、今後、国との協議に臨んでいくと、このような方針であるとお聞きしております。
 その他のお尋ねは、関係部局長に答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕

〇地域振興部長(山口和彦君) 市町村合併についてのお尋ねでございます。
 9月22日現在の本県の法定協議会の設置状況につきましては、10協議会、28市町村、48.3%でございます。全国の合計では、610協議会、1、984市町村、64.4%でございます。東北6県の合計では、67協議会、243市町村、61.4%となっております。法定協議会を設置している市町村数の割合は、全国及び東北6県の数値よりも低くなっているものの、各地域において、自立できる市町村を目指した真摯な論議が活発に深められているところでございます。
 なお、合併の協議に当たりましては、さまざまな地域特性などもあることから、単に協議会設置市町村数の数値のみをもって他県と比較して評価することはなかなか困難でございます。
 いずれ合併特例法の期限まで残り6カ月となりました。いまだ法定協に移行していない地域に対しましては、早急に移行できるよう論議を深めることを要請するとともに、今後は協議会での協議が大詰めを迎え建設計画の県との協議が集中してくることが予想されることから、県としましては、これらを踏まえまして新たに市町村課に市町村合併担当課長を設置するとともに、広域行政担当に主査1名を増員し、支援体制の強化を図り、特例法期限内に合併、もしくは合併申請を目指す市町村が、確実にその成果に結びつけられるよう全庁挙げて支援していくこととしております。
 なお、協議会で意見の合意が図られない事項については、関係市町村からの要請やタイミングを考慮した上で、場合によっては調整に入っていくことも視野に入れて進めたいと考えております。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 防災対策についてであります。
 本年度取り組んでおります津波観測システム広域ネットワークのうち、津波監視カメラのネットワーク化につきましては、現在、国土交通省も含めまして関係機関と、国道に敷設しております光ファイバーを活用した接続方法について具体的な協議を進めております。協議終了後、速やかに沿岸市町村が設置した津波監視カメラと接続する予定でございます。
 波高計・津波計のネットワーク化につきましては、ネットワークの構成や波高データの取り扱いなどを含めました基本計画の作成を、東北大学に委託研究として依頼をしておりまして、現在、沿岸に設置してあります波高計・潮位計の調査を終えまして、ネットワークの基本設計を行っている段階であります。また、防災情報を広域的に共有するために県境を越えた波高計・潮位計ネットワークの構築につきまして、宮城県と意見交換を行っております。
 これらの検討結果を踏まえまして、宮城県など隣県も含めた広域的な津波観測システムのネットワーク化を推進していくということで進めているものでございます。
 次に、特別措置法の推進地域として指定された場合の施策についてでありますが、国では、海溝型地震として広範囲に及ぶ地域の防災対策としまして、推進地域における基本的な方針、国・自治体の定めます推進計画の内容、事業者が策定します対策計画の基本となるべき事項、こういったものについての基本計画を定めるとなっております。基本計画は法施行後となる予定でありますけれども、その中身といたしましては、津波防災体制の確立といたしまして、避難地の計画的な整備、安全な避難路の整備、重要な水門等の自動化や遠隔操作の推進、こういったものが盛り込まれるのではないかと考えております。
 また、広域防災体制の確立といたしまして、自主防災組織等を生かしました自立対応体制の整備、地域住民や企業に対しまして、地震に関する正確な知識や日ごろの備え等についての重点的な普及啓発の実施、また、計画的かつ早急な予防対策の推進といたしまして、災害時の拠点となります建物や施設の耐震改修等の耐震化対策の推進、こういったものが盛り込まれると想定をしているところでありまして、県、市町村、事業者は、この国の定めます基本計画に即しまして、地震防災対策を一体的に推進していくということになるものでございます。
 県といたしましても、この特別措置法の制定が一つの弾みになると考えておりまして、市町村と協力、また、他県とも連携をいたしまして防災対策を一層充実させたものにしてまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) 治水専用の津付ダムの整備計画についてでありますが、策定に当たりましては気仙川流域懇談会を開催するなど、地域の皆様の意見を伺い、それらを反映した河川整備計画を取りまとめ、現在、国との協議を含め河川法に基づく諸手続を進めているところであります。
 また、計画の変更に伴います事業の再評価につきましては、大規模事業評価専門委員会に諮り、御審議をいただいておりましたが、去る9月24日に5項目の意見を付した上で、県が諮問しました計画を見直して継続する案は、妥当であるとの答申をいただいたところであります。
 今後この答申を踏まえ、県の方針を決定することとしておりまして、附帯意見にあります地元住民に計画の内容をさらに説明し理解を得ることや必要な調査に取り組みますとともに、地権者対策につきましても対応してまいりたいと考えております。
   〔医療局長千葉弘君登壇〕

〇医療局長(千葉弘君) 県立病院改革の取り組みについてでありますが、医療を取り巻く環境が厳しさを増す中、限りある医療資源のもとで県民の皆様に良質な医療を持続的に提供していくため、病院改革実施計画におきましては二次保健医療圏を単位として効率的な医療提供体制を構築するとともに、収入の確保、費用の抑制など経営改善を図りまして、安定した経営基盤を確立すること、これを基本の方針として計画に掲げる諸方策を、平成16年度を初年度とする5カ年間で集中実施することといたしております。
 本年度におきましては、入院患者の減少により空き病床が増加しているため、4月から高田病院、山田病院、一戸病院で3病棟、合計167床を休止したほか、検査業務の効率化を図るため、二次保健医療圏ごとに検体検査業務の集約化を、気仙保健医療圏ほか4圏域において進めているところであります。
 また、民間活力の導入といたしまして、医事業務、調理業務の外部委託を二戸病院ほか4病院で実施したところでございます。これらのことによりまして、看護、医療技術、事務等の部門における常勤職員118人を減員し、給与費の抑制を図ったところでございます。
 このほか、中央病院に本年4月から診療材料等の物品管理システム、いわゆるSPDを導入いたしまして、材料の在庫管理の適正化による材料費の抑制を図っております。また、放射線部門におきましては、一部病院において時差出勤を導入いたしまして、医療器械の有効活用による患者サービスの向上の取り組みにも着手いたしているところでございます。
 今後におきましては、保健医療圏ごとに入院需要に見合う適正な病床数とするため、病棟休止及び有床診療所化を計画的に進めるとともに、医師の地域偏在の緩和のため、広域の人事異動あるいは広域基幹病院等から周辺の病院等への応援の充実に取り組みまして、あわせて病院間の機能分担を明確にしてまいりたいと考えてございます。また、検査業務のほか、物品購入や委託契約などいろいろな業務の集約化あるいは時差出勤の拡大等に全圏域で取り組むことによりまして、二次保健医療圏ごとに一体的、効率的な運営体制を構築し、経営全般にわたってコストの縮減に努めてまいります。さらに、民間からの人材登用などを通じまして経営意識の醸成を図り、職員の意識を高め、一丸となって病院改革を推進してまいる考えであります。
   〔保健福祉部長佐藤敏信君登壇〕

〇保健福祉部長(佐藤敏信君) 本県における医師確保対策についてでございますけれども、本県では、これまで全国に先駆けて奨学金制度を創設するなど、もっぱら医学部の学生さんの経済的支援を中心に対策を進めてまいりました。また、本年からの臨床研修の必修化を見越しまして、昨年、本県出身の医学部学生、6年生が中心ですが、こうした方を中心にきめ細かく情報提供を行いまして、例年を大きく上回る研修医師を受け入れたところでございます。
 しかし、これだけでは十分ではないことから、今後は、今から申し上げます5点のようなさまざまな角度から医師確保をしていかなければならないと考えております。
 まず1点は、医学を目指す道を知ってもらうということで、高校生等に医学や医療の道を知ってもらうことが必要だろうと思っています。二つ目は、将来の医師を育てるということで、先ほど申し上げました奨学金制度のような経済的支援が中心になろうかと思います。それから、せっかく臨床研修医が我が県に来ていただきましても、これが帰ってしまっては意味がありませんので、3点目としては、残ってもらうということで、受け入れ態勢を整備するということで考えております。4点目は、これと並行することでございますが、県内に住んでいただくことが重要でございますので、住環境あるいは周辺医療機関のバックアップの体制も含めた体制が必要だと思っております。いずれにしても、このような医師のライフサイクルに合わせた取り組みが必要でありまして、一部については既に着手済みでございます。また、議員からお話のありました国に働きかけるという点につきましては、大学医学部の入学定員の増あるいは地元出身者枠の創設という問題につきまして、県としても、機会あるごとに国に対して要望を行ってきているところでございます。
 また、これに関連します国の動向でございますけれども、厚生労働省を含む3省による地域医療に関する関係省庁連絡会議の中では、去る2月に先ほど御指摘の地域枠の設定など入学定員のあり方を含めた幾つかの提言がなされております。ただ、現実に施策として実施されたのは、このうちの医療法における医師配置標準の緩和のみと承知しております。なお、この関係省庁連絡会議で各都道府県に設置することとされました地域医療対策協議会につきましては、本県においても早急に設置することとしております。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 農業振興施策の推進についてでありますが、まず、農業改良普及センターの設置について、現在の農業改良普及事業に関しましては、国が設置した農業代表者や学識経験者等から成る農業改良普及事業の在り方に関する検討会などで、普及活動の領域が広範囲になり過ぎて成果が見えにくい、担い手が求める高度な技術指導が不十分であるなどの指摘がなされております。今回の農業改良助長法の改正は、このような農業改良普及事業への指摘に対応するとともに、規制緩和の流れの中で、都道府県の自主性を尊重するという地方分権改革推進会議等からの意見に沿ったものであるとされております。
 県といたしましては、こうした法改正の背景を踏まえ、現在、農業改良普及センターのあり方について、それぞれの地域において、市町村や農業団体等と新しい時代にふさわしい農業改良普及センターはどうあるべきか、どのような役割を果たしていくべきか、現場に密着して地域の重点課題に対応するための仕組みはどうあるべきかなどについて意見交換を行いながら検討を進めているところであります。いずれにいたしましても、本県の基幹産業としての農業を核とした地域の振興を図っていく上で、農業改良普及センターの果たす役割は極めて重要であると考えており、こうした関係者との議論を十分に踏まえ、これからの新しい農業改良普及センターのあり方を考えていくこととしております。
 次に、岩手型直接支払制度の創設についてであります。
 狭隘な農地条件を持つ沿岸部において農業・農村の活性化を図るためには、夏季冷涼な気象条件などの地域特性を生かし、収益性の高い農業を確立することが重要であります。大船渡市や陸前高田市、久慈地方では、こうした地域特性を生かし、花卉やホウレンソウなどの産地化に既に成功しております。また、県におきましては、このような主体的な取り組みに対しまして、いわて農業担い手支援総合対策事業により、生産用機械施設、産地直売施設に対する助成を行ってきているところであり、今後とも、こうしたモデル的な事例を沿岸地域に波及させるため積極的に支援していきたいと考えております。したがいまして、御提言のありました直接支払制度については、こうした既存の支援施策との関係を踏まえ、慎重に議論されるべきものと考えております。
 次に、森林療法確立に向けた国の動向と県の姿勢についてでありますが、林野庁では、森林のいやし効果について医学的な解明を進めるため、産学官連携による森林セラピー研究会の立ち上げや医学的効果についての客観的、科学的な解明に着手しております。さらに、17年度概算要求においてモデル地域を設定し、モデル地域における森林療法の実証調査や経済効果等の検討のための予算を盛り込んでおると聞いております。
 県といたしましては、森林療法の調査研究は緒についたところでありますが、森林セラピー効果を生かした保養基地の創出は、森林の保全や林業振興に寄与し、さらには地域振興にも資するものと期待されることから、国の動向を注視しつつ、モデル地域への本県選定を働きかけるとともに、積極的に調査研究に取り組み、体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
 次に、養殖漁家の生産体制維持対策についてでありますが、養殖漁家の生産体制維持対策につきましては、現在、広田湾漁協が取り組んでいるワカメ養殖の協業化や、漁協が養殖施設を所有し、従業員を雇用してみずからが養殖を行う自営養殖の推進が就業者の高齢化と減少が進む中で有効な対策の一つと考えております。このため、平成15年9月の区画漁業権の切りかえに際し、漁協が自営養殖を行えるよう県の免許方針にその取り扱いを定め、漁協の自営養殖が促進されるための必要な環境を整えたところであります。一方、協業化や漁協の自営養殖推進のためには地域の合意形成が何よりも必要でありますことから、取り組みの意向を示している漁協に対しましては、例えば広田湾漁協の事例を示しながら合意形成が促進されるよう支援してまいりたいと考えております。
 次に、宮城県との県境周辺海域における操業区域の協議経過についてでありますが、宮城県との県境周辺海域における操業区域につきましては平成5年度以降引き続き協議を続けているところでありますが、16年2月には、宮城県、岩手県水産局長、次長間におきまして、入会漁業の促進のためには両県漁業者間の理解が重要であることから、新たに漁業者間の話し合いを行うことなど3項目について合意いたしました。その後、本年6月及び7月に両県で今後の進め方を協議し、漁連を初めとする業界、漁業者同士の話し合いの下地づくりを進めていくこととしたところであり、これを受けまして、これまでに本県業界代表者への説明を終え、今後は漁業者の意向を調査することとしております。いずれ、年度内をめどに漁業者間の話し合いが実現するよう、両県と連携しながら努めてまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長中村世紀君登壇〕

〇環境生活部長(中村世紀君) まず、温室効果ガスの排出量取引制度についてでございますけれども、環境省におきましては、平成17年度から産業・業務部門におきまして、設備整備により一定量の温室効果ガスの削減を約束した事業者に対しまして、他の事業者と取引できる排出枠を交付する国内排出量取引制度の創設を検討しているところでございます。一方、本県などで実施しております排出量模擬取引事業は、排出量の取引に加えまして、森林による二酸化炭素吸収量をクレジット化して市場で売却することの妥当性を検証するものでありまして、今後、検証結果を取りまとめの上、森林による吸収量のクレジットを含む排出量取引制度の創設につきまして国に働きかける予定にしておるところでございます。この制度が実現し、森林による吸収量を排出権として売却できるようになれば、売却による資金を活用した森林所有者による森林整備の促進が期待されるものと考えてございます。
 次に、シカ、カモシカによる食害対策についてでございますけれども、まず、シカにつきましては、五葉山地域におけるシカ保護管理計画に基づきまして、シカの個体数調整や農林業被害防除対策などを実施中でございますけれども、農業被害の防止のためには里ジカの捕獲が有効でありますことから、今年度は、五葉山地域周辺に生息する里ジカの有害捕獲を重点実施するよう関係市町村に要請しているところでございます。
 また、国の特別天然記念物に指定されておりますカモシカにつきましては、地域個体群を安定的に維持しつつ、農林業被害の軽減を図ることを目的としたカモシカ保護管理計画の作成作業中でございまして、年内にはこの保護管理計画を作成したいと考えてございます。計画の作成後は、個体数調整を実施しようとする市町村におきまして個別に個体数調整実施計画を作成していただくことを想定しているものでございます。
   〔商工労働観光部長酒井俊巳君登壇〕

〇商工労働観光部長(酒井俊巳君) まず、去る8月25日に開催いたしました大連商談会に関してでありますが、この商談会には、食品製造事業者など本県19社、宮城県16社の35社が参加し、延べ351社の中国側企業と輸出入や技術提携などの商談を行いました。商談会終了時点の成約は、本県分については3件、継続中の商談が22件となっておりますが、参加企業からは、中国市場の広さ、可能性の大きさを実感できた、中国市場・企業に対するビジネス機会として有意義な機会であったと評価を得ているところであり、期待どおりの成果があったものと考えております。
 今後の推進方策につきましては、本年度既に設置してございます本県産業経済団体などによる貿易促進連絡会議を活用しつつ、本県企業の海外ビジネスネットワーク形成や、設置を予定してございます大連事務所を軸として、中国全土における市場開拓、経済交流の拡大を図ってまいりたいと考えております。また、観光につきましては、本年5月、中国に観光ミッション団を派遣し、大連市及び北京市において誘客活動を行いましたが、本年9月15日から訪日団体観光旅行ビザの発給地域が大連市が所在する遼寧省などに拡大されましたことから、今後、本県に中国からの旅行エージェントを招聘するなどして観光客の誘致に努めてまいります。
 次に、大連事務所の開設についてでございますが、中国との経済交流は、県内企業の対中ビジネスの支援や県産品の輸出、観光客誘致といった、本県に実利をもたらす経済交流を中心に進めたいと考えております。したがいまして、宮城県との合同の基本方針は、緩やかな連携をと考えてございます。具体的には、事務所は同一物件に共同入居するわけでございますが、組織はそれぞれ持ち、自県のための主体的な活動ができるよう配慮してまいりたいと考えております。連携につきましては、商談会事業や観光プロモーション、事務所の一部共同運営といった連携から始めまして、必要に応じまして連携を徐々に拡大していきたいと考えているところでございます。
   〔総合雇用対策局長上村俊一君登壇〕

〇総合雇用対策局長(上村俊一君) 雇用対策についてであります。
 サービス関連産業での1万5、000人を含む3万600人の雇用創出を目的に、さまざまな分野で年度ごとの雇用創出目標を設定して取り組んでいるところであります。その結果、15年度においては、サービス関連産業を含めて目標値を上回る雇用を創出したほか、建設業の新分野進出モデル事業の実施を踏まえ、県内各地で雇用創出に向けた動きが出てきております。
 若年者の就業支援については、この7月1日にジョブカフェいわてをオープンしてから約3カ月たちますが、昨日まで延べ2、749人の若者が訪れ、適性診断やカウンセリングを受けるなど多くの若者に利用されており、今後とも利用者の視点に立ってその運営に努めてまいります。
 いわゆるニートと言われる若年無業者ですが、これは、仕事をしていない、学校にも通っていない、訓練も受けていないという無業の若者を言っております。ニートの数については本年の労働経済白書で初めて明らかにされ、平成15年で全国で52万人とされております。しかし、その算出方法は示されておりませんので、本県のニートの人数については現在のところつかんでおりません。ただ、ジョブカフェなどで若年者の就職相談に当たっているカウンセラーや高校の就職相談員などからの話によれば、県内においてもニートの区分に入る若者が相当いるものと認識しております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 学習定着度状況調査についてでありますが、昨年行いました学習定着度状況調査の結果を見てみますと、小学校第3学年から第6学年までのすべての教科の平均正答率は75%、中学校第1学年から第3学年までのすべての教科の平均正答率は64%であります。基礎・基本が十分身についているとは言い切れない状況にあると認識いたしております。
 これを地域別に見た場合、各教科の学年別の正答率を教育事務所ごとに県平均と比べてみますと、特に大きな差はないと考えております。一方、学年別に見た場合、学年が上がるにつれて正答率が下がってきておりますが、これは、前の学年までのつまずきが徐々に蓄積し、学年進行とともに顕在化してきたためと考えております。
 県教育委員会におきましては、学力向上を最重要課題の一つと位置づけ、基礎・基本を確かなものとするための学力向上プロジェクトを鋭意推進しているところであります。今後とも、このプロジェクトを着実に推進し、本県における学力向上に努めてまいりたいと考えております。
 次に、少人数学級の成果とその評価についてでありますが、1学期を終えたばかりの段階でありますけれども、担任に余裕ができ児童生徒と接する時間がふえた、一人一人の発言回数がふえたなどの研究指定校からの声が聞こえてきております。現在、県立総合教育センターにおきまして少人数学級と少人数指導それぞれの効果等について上半期分を集約し、具体的な分析を進めているところであります。
 少人数学級と学力向上とのかかわりについては、今後、これらの教育センターの調査や本県の学習定着度状況調査の結果などとあわせて分析していきたいと考えております。
 次に、学校給食における地元農林水産物の利用割合と今後の見通しについてでありますが、学校給食での県産食材利用率は、平成14年度の調査によりますと47.6%、これは、平成11年度の30%から大きく伸びております。これは、県が勧めている地産地消運動が浸透してきたこと、また、学校給食を通して食育に力を入れてきたその成果であると考えております。
 県におきましては、県産食材利用率の目標を平成18年度までに55%まで高めることといたしております。今後におきましても、農協などとの連携、協力体制の強化を図りながら一層推進してまいりたいと考えております。
 次に、高校新整備計画後期計画についてでありますが、まず、中高一貫教育校についてであります。
 昨年12月に、外部識者による検討委員会から本県の中高一貫教育のあり方について報告をいただきました。この中で、中高一貫校の導入に当たっては、導入する通学区域内の高校の配置状況や導入する中高一貫校のタイプ、既存の中学校への影響など多くの課題があり、これらを吟味した上で導入を検討すべきであると提言いただいたところであります。
 そこで、県教育委員会といたしましては、現在、導入する地域、学校の規模、入学選抜の方法、施設整備、教育課程、通学の方法、既存の中学校に及ぼす影響など、本県にとってどのような中高一貫教育校が最もふさわしいのか、県全体の中での地域バランスも考慮しながら、さまざまな課題について検討を加えているところであります。あわせて、県民の中高一貫教育に対する一層の理解と十分な周知が大切であり、その導入に向けた準備の期間の確保も必要と考えております。今後とも、総合的に検討を加え、後期計画とは別に具体案を示してまいりたいと考えております。
 次に、後期マスタープランに対する主な要望、意見でございます。
 整備の時期について中学生や保護者に周知を図る十分な期間が必要であること、画一的な判断をせず、個別の高校の状況に十分配慮すること、後期計画以降も整備の方向を示すべきであるなどであって、これらを勘案しながら整備計画案を策定したものであります。
 気仙地域の計画について平成20年度に実施することについてでありますが、生徒の進路希望や中学校卒業予定者数の減少に対応し、広域的視点から、普通科高校の充実や地域の産業振興に資する総合的な専門高校の整備など、地域全体を視野に入れながら一体的に整備することにより、当地区の一層の学校、学科の適正配置とよりよい学習環境の整備を行おうとするものであります。

〇32番(吉田昭彦君) 時間があれですけれども、答弁ありがとうございました。知事初め、関係部局長の答弁について感謝申し上げます。
 答弁を伺って何点か再質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 その前に、先ほど私、冒頭で自由・県民会議と申し上げたようでありますが、民主・県民会議でございますので、訂正させていただきます。
 再質問させていただきますが、先ほど知事から御答弁いただきました三位一体改革への対応、国庫補助負担金改革に関連しましてお伺いいたします。
 知事の御答弁によりますと、廃止分については全額移譲される、それでもなおかつ不足が生じた場合は交付税でもって調整されるということで、そのことが担保されているということで御答弁をいただきました。それが確実でない場合は撤回もあり得るという答弁でありました。これまでの国からの補助負担金等については、一般財源化されると国庫補助負担金として交付されておったときよりも少なくなっていくのが通例であります。そういうふうに私感じておりましたが、今回の国庫補助負担金にかかわってはそういうことはあり得ないんだという力強い答弁に聞きました。しかも撤回もあり得るということでしたが、知事がそういう御答弁をなさったことを私も信じたいと思います。
 そこで、協議経過で伺っておきたいわけでありますが、地方分権、三位一体改革を進める場合は、知事も答弁の中でおっしゃっていましたが、国と地方の役割分担を明確にすることが非常に大切であり、大前提だと思います。ついては、外交、防衛、司法、教育、それから社会保障の基本的な部分について国は指針を示し、また分担するのであろうと大まかに思うわけでありますが、そのようなことが今回の知事会で議論された上で選定されたものなのかどうか、このことについて改めてお伺いしたいと思います。
 それとあわせて、知事の御見解を改めてお伺いしたいと思います。
 それから、義務教育費国庫負担金に関連しまして教育長にお伺いいたしますが、これまでは義務教育費国庫負担金の2分の1を国が負担して県が2分の1を負担するという形になっておったわけですが、国が2分の1を負担するということで国からの制約がどういうことであったのか、そういうことについて例を示してお示しいただきたい。
 あわせて、今年度から総額裁量制が導入されまして、いろいろ教員の給料、諸手当の額並びに教職員の配置については県の裁量が大幅に認められるとなっていると伺っておりますが、そういう形であれば現在の国庫補助負担金の制度を堅持したままでも地方の自主性、自立性というのは確保できるのではないかと思うわけでありますが、このことについて教育長の見解をお伺いしたいと思います。
 それから、医師充足率拡大に関連しまして保健福祉部長から御答弁いただきました。国の方でも平成16年2月に3省庁の連絡会議を設置していろいろ対策を講じているという答弁をいただきましたが、その中で、国もいろいろ関心を示してきているというふうにはそれで理解できるわけでありますが、本当に北海道、東北、この医師の不足状態を真剣に国は感じ取っているのかどうか、この国の認識を県はどのように受けとめておるか、改めて部長のお答えをいただきたいと思います。
 それから、農業改良普及センター並びに普及員のあり方、農林水産部長から御答弁いただきましたが、普及員、それから普及センターの必要性にかんがみて、さらにあり方を検討しているというふうにお答えなさったと理解をいたしました。農業改良普及員、何か聞きますと昭和40年代の普及員の数と現在の普及員の数では半分になっているという話を伺いました。それが果たして本県・農業県の実態でいいのだろうかと、農業改良普及員はまさに農業者、農家のいわゆる先頭に立っていろんな営農指導、それから農家経営、それのいろんな指針を示しながら直接身近なところで指導している、そういうところに普及員、それから普及センターの意味合いがあると思います。
 そういうことで、私は実は前から、今の地方振興局に普及センターを設置して、普及員をその普及センターに集約されていては農家の実際の指導がおろそかになるのではないか――おろそかになると言っては語弊がありますが、いわゆる農家、農業者の方と遠くなっている。知事が前々おっしゃっている現場主義、そういうことからいくと普及員は少し農家、農業者から遠くなっている。むしろ以前の駐在員制度を復活してさらに強化を図っていくというのであればわかるけれども、今の行財政改革とあわせて、よしんばその統合などを考えておるのではないだろうと思いますが、統廃合などをしないで今の12普及センターを必置すると、農業改良助長法の改正によりまして普及センターは、必置規制はなくなった。それは皆さんもおわかりなわけでありますが、そのことを受けて、まさか岩手県・農業県としてはそういうことは、統廃合など考えてはいないだろうと思うわけでありますが、もう一度農林水産部長の力強い、存続強化していくというお考えを披瀝していただきたい。そのようにお願いします。
 次に、高校新整備計画に関しまして教育長にお伺いいたします。
 これは私がここでとうとうと申し上げるまでもないわけでありますが、住田高校、住田町においては、中山間地域の特性を生かした中等教育の構築のための中高一貫教育校の設置を提言し要望していたことは御承知のとおりであります。これは、県の中高一貫教育校の検討とあわせて町独自で中高一貫、中山間地の中高一貫のあり方をいろいろいろんな角度から検討し、県に対して提言、要望したところであります。そのことがあるのにもかかわらず、平成20年度に住田高校の廃校・統合ということが示されたというのは、住田町との関係で大変信頼関係を損なうものではないかと思うわけでありますが、そういうことのないようにこの場をおかりして要望するわけでありますが、特にも生徒数の減少、それから効率性を重視する教育委員会としての考え、これとあわせて地域は地域としての事情があって、それらの地域事情を踏まえての特徴ある高校教育をどうしたらいいかということを地域は地域で考えておるわけでありますから、それらの地域の要望を受けとめて、今までパブリックコメントとか、それからいろんな意見を聞く会でいろいろ意見を聞かれておるわけでありますが、この際、例えば気仙広域としての高校配置のあり方、あるいは高校教育のあり方、そういうことを気仙地域の中で考えさせて、それで県の教育委員会としての考え方とどうやって接点を見つけて理解を深め合意を図れるか、そういうことも必要ではないかと思うわけでありますが、そのことについての教育長の御見解をお伺いしたいと思います。
 以上について再質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

〇知事(増田寛也君) 三位一体改革の関係で今、議員からお尋ねがありました件についてお答え申し上げます。
 国と地方の役割分担について十二分な検討を行ったのかどうかという御趣旨と受けとめましたが、これについては知事会でもたびたび議論をしておりまして、地方分権一括法の制定に至る過程でもこのことが議論されて、現在の地方自治法の1条の2に定められているわけです。今回ももう一度そうした原則に立ち返って例の改革案をまとめるということで、いわば近接性、そして補完性の原理ということを踏まえることになるわけですが、この改革案でも国は国としての本来の事務事業である外交、防衛、安全保障、司法、金融等、そうしたものに専念をすべきということで、国民生活に身近な事務事業を原則として地方が担うという考え方に立っています。ただし、その中でやはり幾つか例外として考えなければいけないものがあるだろうということで、国家保障的性格を有するものや、それから特定地域の特別の事情で考えていかなければならないもの、それから災害復旧のようなもの、そういったようなもの、幾つか例示しておりますが、それを取り除きまして、それ以外のものについては地方が担うという役割分担で整理をしたものでございます。
 今、義務教育のことなどについてもお話しございましたけれども、こうした役割分担の中で義務教育についても議論されたものでございまして、今、税源移譲が確実かどうかというところの不安をお話しになりましたが、私としては、確かに公共事業などについて昨年全く1銭も税源移譲されなかったという反省もあるので、今回、公共事業全額を入れる対象にしてはおりませんけれども、やはり対象になるべきだという意思を表示することと、そうした経験を踏まえて6団体でまとめたものでございますので、最終的に全額税源移譲するかどうか、これは最終的には政府の責任であるわけですけれども、私どもはそういう改革が全部これは地方にそのまま渡すべきだという考え方をしっかり6団体でまとめたものでありますので、これを具体的に実現することで一致団結して力を合わせていくべきではないか、このように考えているものでございます。

〇保健福祉部長(佐藤敏信君) 医師の充足率ということでございました。先ほどの答弁でも申し上げましたが、国も北海道、東北地域におけます医師の不足状況については、ある程度は理解をしているようでございます。と申しますのも、過去1年を振り返りましても、この間いろいろな形で国への働きかけを行ってきたからでございます。例えば、全国自治体病院開設者協議会、これは知事が会長でございますが、平成15年11月に全国大会で働きかけをしております。それから、北海道・東北地方知事会の緊急提言、これが平成16年3月になります。それから、平成17年度の政府予算要望、これは4月でございます。それから、北海道・東北6県の県議会の議長会ということで平成16年7月に要望させていただいた。こういったことがありまして国としても、先ほども申し上げました厚生労働省を含む3省による関係省庁連絡会議で、地域枠の設定など入学定員のあり方を含めた幾つかの提言をしたものだというふうに理解をしております。
 ただ、これも先ほどの答弁の繰り返しになりますが、ここまでの間で現実に施策として実施されたのは、このうちの医療法における医師配置標準の緩和、これはどういうことかと言いますと、本県のように医師が充足していない地域においては、医療法における医師配置標準を少し緩和してもいいよというものなんですが、これが実行に移されたというにとどまっていると思います。ただ、いずれにいたしましても、本県ないし、あるいは東北全体、北海道の状況というものは非常に厳しい状況にあると認識しておりまして、私ども事あるごとにこれからまた機会をとらえて申し入れもしますし、また、県で独自でできることも対応してまいりたいと考えているところでございます。

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 農業普及センターの設置についての御質問でございますが、私自身も含めて今、担当課長、担当者について、現地に行って、まずいろいろな人たちの声を聞くようにということを指示してございまして、私自身もこれまでに2度ほど実際に農業をやっている方々と車座になりながら、普及についてどうだ、普及員はどうだったか、本当に皆さん方のお役に立っているのか、あるいは立っていないとすればそこはどこが問題なのか、あるいはこれからどうあるべきか、いいのかということの意見交換をやってきております。その中で感じますことは、これは地域的な若干過程があるかもしれません。まだ私、全部を回ったわけではございませんので、これは地域的な偏りがある、多少バイアスがかかっているという前提でお話し申し上げたいと思いますけれども、普及に対する期待が以前とはやっぱり違ってきているような地域もございます。あるいはこれまでと同様、やはり今、議員からお話しがございましたように、もっと頻繁に来ていただきたいんだというようなお話が出てくる地域もございます。
 したがいまして、今、普及のあり方、どうあるべきかというところをテーマにいろいろ中で議論しているわけでございますけれども、最終的に目指すところは、やっぱり現場に密着して地域の重点課題に対応するためにはどういった仕組みをとっていけばいいのかというようなあたりを、これからどのような仕組みをつくっていけばいいのかということが一番大事なのかなと思っております。また、それも県内一律に物を考えるのではなくて、やはりもう少しそれぞれの置かれた地域特性、地域条件等も考慮しながら、どういう仕組みをつくっていけばいいのかということを、もう少し地域の皆様と議論しながら考えていく必要があるのかなとは思っております。いずれ、できるだけオープンな形で普及センターなり、また、どうしたらいいだろうかと、どういう形が一番いいのかということはもう少し皆様方と議論した上で、それからまた一つの形をつくり上げていきたいと思っておりますので、これからもひとつよろしくお願い申し上げます。

〇教育長(佐藤勝君) 義務教育費国庫負担金の関係でありますが、御指摘ありましたように、昨年度まではその使途について一定の制限といいますか、例えば教職員の配置に対応しての人件費の計算がされてきた。あるいは給料、手当額についても国の基準を上限としてそれを超えてはならない、あるいは逆に地方が低く抑えて、その余剰分を別途使えるかというと、これもなかなかだめというようなそういう話もありましたが、学校種、それから職種間で流用できる、あるいは非常勤職員等を活用いたしまして安く人件費を抑えて人員増を図るとか、そういうことは弾力的な運用が可能になってきているということで、ただ、具体的には今年度からということでございますけれども、既に平成16年走っておりましたので、明年度これをどういうふうに実際に運用に生かせるかどうか、この制度を生かした教職員の配置等について現在検討を進めているところであります。
 次に、高校の整備計画の関係で、住田町の中高一貫教育の提言についてでありますけれども、大変貴重な研究をされておられる。中山間地域における中高一貫教育のあり方ということで、その地域で教育について大いに議論され、そしてまとめ、提言されたということで私ども貴重なものと受けとめておりますが、これと、また私どもお伺いしたところ、町の意向としても県の高等学校の新整備計画とは連動しないというふうに既に伺っているところでございます。教育委員会といたしましては、先ほど本質問でもお答えいたしましたとおり、私ども外部識者による検討委員会からの報告をもとに、また、同時に、これからさらに詰めながら検討委員会に御議論いただく予定にしておりますけれども、中高一貫教育のあり方について、導入する中高一貫教育校のタイプであるとか、設置する市町村の中学校への影響などなど、具体の課題について鋭意検討していく所存であります。
 また、気仙地区内の整備についてでありますが、これは、その地域の子供たちの志望動向への対応あるいは地域の産業振興、気仙地域におきましては、もちろん漁業あるいは農業、林業、そして工業ということで、それら地域の産業振興への貢献であるとか、あわせまして少子化に対する対応もありますし、また、財政的な観点も踏まえていかなければならないということで、そういうもろもろのことを考慮しながら、適切な学級配置と望ましい学習環境の整備について、各高校の入学者数の状況あるいは生徒の志望動向等を総合的に判断し、平成20年度に実施しようとしたものでございます。
 計画の策定のありようといいますか、あり方でございますが、地域の子供たちの志望にこたえながら、そして学習環境を整備し、と同時に地域の産業振興にも貢献できる人材の育成を目指すということで、少子化にも対応し、そして先ほど言いましたように、少子化の対応であるとか、あるいは大きく変貌する社会の要請にどうやってこたえるかというようなことを踏まえながら、適切な学級配置と望ましい学習環境の整備について、今後とも地域の声を聞くなどさまざまな要望、意見を勘案しながら、年内には成案を策定したいと考えております。

〇32番(吉田昭彦君) 1点だけ再々質問させていただきます。
 今の教育長の答弁につきましては、総論では理解できるわけでありますが、各論についてまたいろいろ教育長の御意向も伺いたいわけでありますが、このことにつきましては商工文教常任委員会でまた改めて御所見を伺いたいと思いますので、高校の設置者である知事から御答弁をいただきたいわけでありますが、今の高校新整備計画は地域で大変大きな話題になっておるわけでありますが、その中で住田町、もう一度申し上げて知事の御所見も伺いたいと思うわけでありますが、今、日本一の森林・林業のまちづくりを目指して、素材生産から住宅販売までの一貫体系の確立、これについて大変大きな成果を上げるとともに、バイオマスエネルギーの開発普及、地球温暖化対策のCO2の削減、これらに積極的に取り組んでおられます。これはまさに今の時代背景を踏まえての21世紀の地域づくりを率先して実施している自治体であると評価していいのではないかと思うわけでありますが、加えて、21世紀の中山間地の高校教育のあり方、これはこれまでいろいろ申し上げてきたとおりでありまして、積極的に町独自で検討されている。このような実態を踏まえまして、高校教育のあり方について地元にも考える時間を与え、地域の理解を深め合意点を見つけるために、もう少し時間をかけて段階的に対処して、それで地域の理解を深めることも必要ではないかなと思うわけでありますが、知事の御所見もお聞かせいただきたいと思います。

〇知事(増田寛也君) ただいまのお話しございました住田町のさまざまな取り組みには、心から敬意を表したいと思います。
 それから、高校の今問題になっております新整備計画の関係でございますが、これはマスタープラン発表以来、随分各地域で、住田町、気仙地域の皆様方も含めて意見を聞いて、今回、案としてまとめたと理解しておりますけれども、今それに対してさらにいろいろな意見や御提案があるということでございます。ぜひ議論のかみ合うようなそういう場をさらに設けて議論を深めていただいて、そして教育委員会にも努力を求めたいと思いますし、住民の皆さん方からも積極的な提案を出していただいて、ぜひ計画をそれぞれの力でまとめ上げていただきたいと思っているところでございます。

〇議長(藤原良信君) 次に、工藤篤君。
   〔47番工藤篤君登壇〕(拍手)


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