平成19年9月定例会 決算特別委員会会議録

前へ 次へ

平成19年10月22日(月)
1開会     午前10時1分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課長 切 金   精
  議事担当課長 保 原 良 和
  主任主査   菊 池 達 也
  主査     鈴 木 文 彦
  主査     石木田 浩 美
  主査     佐々木 ユ カ
  主査     菊 池 芳 彦
  主査     渡 辺 謙 一
1説明員
  農林水産部長    高前田 寿 幸
  理事        千 葉 英 寛
  農林水産企画室長  東大野 潤 一
  農政担当技監    齋 藤   恭
  農村整備担当技監兼
  農村計画課総括課長 佐々木 雄 康
  林務担当技監    西 村 和 明
  水産担当技監兼
  水産振興課総括課長 大 森 正 明
  技術参事兼
  畜産課総括課長   樋 澤 正 志
  農林水産企画室
  特命参事      宮   一 夫
  農林水産企画室
  特命参事      中 里 英 敏
  農林水産企画室
  特命参事      沢 田   修
  農林水産企画室
  特命参事      浅 沼   浩
  農林水産企画室
  企画担当課長    古 川   勉
  団体指導課
  総括課長      松 岡   博
  指導検査担当課長  大 澤 宣 典
  流通課総括課長   佐々木 和 延
  農業振興課
  総括課長      徳 山 順 一
  担い手対策
  担当課長      平 賀 勇 志
  農業普及技術課
  総括課長      宮 下 慶一郎
  農村建設課
  総括課長      須 藤 勝 夫
  農産園芸課
  総括課長      小 原 利 勝
  水田農業担当課長  工 藤 昌 男
  振興・衛生
  担当課長      高 橋 喜和夫
  林業振興課
  総括課長      村 山   巧
  森林整備課
  総括課長      竹 田 光 一
  整備担当課長    藤 川 敏 彦
  森林保全課
  総括課長      藤 原   繁
  森林保全課
  特命参事      藤 沼 豊 頼
  漁業調整担当課長  佐久間   修
  漁港漁村課
  総括課長      佐々木   敦
  出納長       上 村 俊 一
  副出納長兼
  出納局長      平 澤 石 郎
  監査委員      菊 池 武 利
  監査委員      谷 地 信 子
  監査委員事務局長  小 川 明 彦
  総括監査監     門 口 正 雄
  予算調製課
  総括課長      中 村 一 郎
〇新居田弘文委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成18年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第14号平成18年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算まで、決算14件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部関係を終わるように進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 なお、委員各位御承知のとおり、本日の農林水産部の審査につきましては、議会運営委員会の決定に基づき、第1部、第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について審査することとなっております。
 また、執行部の出席者については、部長、農林水産企画室長、企画室、団体指導課及び流通課には第1部、第2部ともに出席を求め、このほか、第1部については、理事、農政担当技監、農村整備担当技監及び農業振興課、農業普及技術課、農村計画課、農村建設課、農産園芸課、畜産課の出席を、第2部については、林務担当技監、水産担当技監及び林業振興課、森林整備課、森林保全課、水産振興課、漁港漁村課の出席を求めておりますので、御了承願います。
 なお、農林水産部長から農林水産部関係の説明の際、岩手県競馬組合の運営状況についてあわせて説明するため、資料を提出したい旨、申し出があり、これを許可いたしました。お手元に配付してありますので、御了承願います。
[参照]
  岩手県競馬組合の運営状況について
〇新居田弘文委員長 最初に、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇高前田農林水産部長 農林水産部関係の平成18年度の決算について御説明を申し上げます前に、農林水産部所管の事務事業に係る総括的な成果・評価と、これを踏まえた今後の取り組み方針について御説明を申し上げます。
 なお、この説明につきましては、今議会に報告いたしました平成18年度主要施策の成果に関する説明書・岩手県総合計画実施状況報告書の31ページから34ページの主な内容を説明させていただきます。
 当部では、豊かな環境と調和した農林水産業の振興を基本に掲げ、各種施策に取り組んできたところでございますが、岩手県総合計画の分野ごとに申し上げますと、まず、安全で健康な国民の食生活を支える農業の振興の分野につきましては、米の新品種導入、冬春野菜の生産拡大や肉用牛増頭運動の展開、エコファーマーの認定推進、学校給食での県産食材の利用拡大や、有機農産物等の認証促進などに取り組んだところでございます。
 しかしながら、農業産出額が減少したことにより、国内農業生産に占める本県シェアが低下いたしておりまして、生産力の向上が課題となっております。このため、今後は、担い手の確保・育成とさらなる産地づくりの促進や、単収向上技術の確立などによる収益性の向上を促進してまいりたいと考えております。
 また、エコファーマー認定者数や、学校給食への県産農林水産物の使用割合は増加いたしておりますものの、有機農産物等の認証数量が減少しており、安全・安心な食を求める消費者ニーズへの対応が課題となっております。このため、今後は、特別栽培の拡大や農業生産工程管理手法の導入を進めてまいりたいと考えております。
 次に、森林の持つ公益的機能と調和した林業の振興の分野につきましては、県産材の安定供給体制の整備、特用林産物の生産技術の向上や、間伐の促進による森林整備などに取り組んだところでございます。しかしながら、製材品等の生産量に占める県産材の割合や、シイタケ等の林産物の生産量が減少しているほか、木材価格の長期低迷などにより森林所有者の林業経営意欲が低下し、間伐がおくれており、森林整備の促進が課題となっております。このため、今後は、シイタケ等の特用林産物の生産技術の向上を図るとともに、地域牽引型経営体等による施業集約化や森林カルテの提示等を通じ、森林所有者の間伐実施への意欲醸成を促進してまいりたいと考えております。
 次に、新鮮で安全な水産物を供給する水産業の振興の分野につきましては、産地市場での県のHACCP対応指針の適合指導や、サケ、アワビ等の種苗生産体制の整備、ワカメ養殖業の安定生産の支援などに取り組んだところでございます。この結果、産地市場の衛生管理体制の整備が進展したものの、アワビなどの漁獲金額の減少により、国内のつくり育てる漁業の生産額に占める本県シェアが低下しており、生産力の向上が課題となっております。このため、今後は、秋サケの回帰率や放流アワビの回収率の向上等を進めてまいりたいと考えております。
 次に、生産と地域を支える担い手の育成・確保の分野につきましては、まず、農業の担い手の育成に向けて、品目横断的経営安定対策を契機といたしまして、個別経営体や小規模・兼業農家を含めた集落営農組織の育成に取り組んだところでございます。この結果、集落営農の組織化が進み、認定農業者数もおおむね順調に増加しております。今後は、品目横断的経営安定対策へ加入した集落営農組織等の経営力強化や法人化に向けた支援、さらには産地づくり交付金等を活用した園芸作物の導入などにより、小規模農家等の所得向上に向けた取り組みを一層支援してまいりたいと考えております。
 また、林業の担い手の育成につきましては、森林所有者に対して積極的に施業提案を行い、所有者にかわって地域単位の森林経営を担っていく地域牽引型経営体の育成等に取り組んだところでございます。今後は、地域森林経営プランの実践を通じ、経営能力の向上に向けた支援を進めてまいりたいと考えております。
 また、水産業の担い手の育成につきましては、担い手への養殖漁場の集積や、零細経営体の協業化等を内容とした漁協の地域営漁計画の策定支援等に取り組んだところでございます。今後は、漁協が取り組む地域営漁計画の策定・実行を支援することによりまして、担い手への漁場集積を進めてまいりたいと考えております。
 次に、自然環境と調和した産業基盤の整備の分野につきましては、公共事業予算の削減等の中で、営農の効率化や担い手育成のための圃場の整備、森林整備や林業生産活動のための林道の整備、漁業生産活動の効率化のための漁港の整備等に取り組んだところでございます。この結果、生産基盤の整備が進み、生産性の向上に寄与しているところでございますが、今後は、農地、農業用水などの保全を図るための地域協働の取り組み、生産コストを低減させるための低コスト作業道の開設、安全で使いやすい漁港の整備を計画的に進めてまいりたいと考えております。
 最後に、技術の開発・普及とマーケティングの展開の分野につきましては、まず、技術の開発・普及に向けて、農業研究センターなど各研究機関において、新技術の開発等に取り組んだところでございます。この結果、アスパラガスの促成栽培方法の確立や、ナンブコムギの冬期播種栽培法の確立など、新技術等の開発件数が着実に増加しております。今後は、顧客ニーズを踏まえた研究開発、最新の情報・研究成果の普及と技術指導を進めてまいりたいと考えております。
 また、マーケティングの展開につきましては、新鮮・安全等の消費者ニーズへの対応や、販路の拡大に向けて多様な販売戦略を展開したところでございます。この結果、トレーサビリティーシステムの導入品目が増加するとともに、国内の販路拡大や輸出額の増加が図られております。今後は、商談機会を拡充するとともに、民間ノウハウを活用した市場調査や商品づくり、輸出ビジネスの自立支援や、輸出品目、対象地域の掘り起こしを進めてまいりたいと考えております。
 続きまして、農林水産部関係の平成18年度の決算について御説明申し上げます。
 まず、一般会計についてでありますが、平成18年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。予算の現額は、6款農林水産業費1、086億762万円余のうち、県土整備部の所管分を除いた979億8、445万円余及び16ページの11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費14億9、246万円余のうち、県土整備部の所管分を除いた12億9、534万円余を合わせて992億7、979万円余でございます。
 これに対する決算額は、6款農林水産業費937億9、790万円余及び11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費3億5、212万円余を合わせて941億5、002万円余となり、前年度に比較して、金額で172億6、201万円余、率にして22.5%の増となっております。また、執行率は94.8%であります。
 なお、繰越額の状況につきましては、お手元の歳入歳出決算説明書の60ページから63ページ、66ページから67ページに記載してございますが、このうち、農林水産部関係は、23事業で49億1、486万円余となっており、前年度に比較して、金額で12億288万円余、32.4%の増となっております。これは、平成18年9月及び10月の低気圧等により被災した防潮堤などの災害復旧事業が前年度に比べ増加し、その事業実施に際し、計画調整に不測の日数を要したことなどにより、繰り越したものでございます。
 次に、一般会計決算の内容につきまして、平成18年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に簡潔に御説明申し上げますので、御了承願います。
 歳入歳出決算事項別明細書の228ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費であります。農業総務費の主なものは、農政関係職員の人件費などの管理運営や国土調査に要した経費等のほか、右側の備考欄二つ目の庁舎施設整備費は、岩手県環境保健研究センターの用地との交換に供するため、土地開発基金により取得した旧盛岡競馬場跡地の再取得に要した経費であります。農業金融対策費は、農業近代化資金等の貸し付けを行う融資機関に対し、利子補給等を行ったものでございます。230ページをお開き願います。農業構造改善対策費の主なものでありますが、備考欄四つ目のいわてグリーン・ツーリズム総合強化事業費は、都市と農山漁村の交流を拡大するため、北東北3県の連携による情報発信、アドバイザーの地域診断による地域の魅力・価値の向上の支援等に要した経費であります。次の強い農業づくり交付金は、認定農業者の育成促進等、地域の実情に即した経営体の育成を図るため、生産・流通・加工施設等の農業近代化施設の整備に対して交付金を交付したものであります。232ページをお開き願います。農業改良普及費の主なものは、農業改良普及センターの管理運営に要した経費のほか、備考欄二つ目の新規就農総合対策事業費は、次代の本県農業を担う意欲と能力のある新規就農者の育成確保のため、就農相談活動や技術研修等に要した経費であります。また、備考欄四つ目の経営力強化支援事業費は、農業者の経営力を強化するため、新技術の普及定着等の普及指導活動に要した経費であります。
 次に、農業振興費の主なものでありますが、235ページに参りまして、備考欄中段の中山間地域等直接支払事業費は、農業生産活動等を通じて、中山間地域等における耕作放棄地の発生を防止し、国土の保全、水源涵養等の多面的機能を確保するため、担い手育成や自律的かつ継続的な農業生産活動等を行う農業者等に対して、平地地域との農業生産条件等の格差の範囲で直接支払交付金を交付したものであります。次の新いわて農業担い手支援総合対策事業費は、従前のいわて農業担い手支援総合対策事業を組みかえいたしまして、認定農業者など地域農業の担い手育成や地域ぐるみ農業の推進によって、収益性が高く、個性豊かな農業を構築するため、生産から流通に至る各種の条件整備に要する経費に対して補助したものであります。備考欄、下から二つ目の元気な地域づくり交付金は、山村地域における農林漁業の振興、就業機会の拡大、定住環境の整備などの地域産業の振興のための施設整備等に対して交付金を交付したものであります。次に、農作物対策費の主なものでありますが、237ページ、備考欄三つ目の強い農業づくり交付金は、多様なニーズに対応した特徴ある米づくりと生産コストの低減を促進するため、生産性の高い営農システムの確立の核となる共同利用施設の整備に対して交付金を交付したものであります。236ページにお戻り願います。畑作振興費の主なものでありますが、備考欄五つ目の強い農業づくり交付金は、本県野菜産地の国際競争力を強化するため、野菜生産の省力・低コスト化等を図る共同利用機械や施設の整備等に対して交付金を交付したものであります。北上奥羽山系開発費は、北上奥羽山系地域で実施した広域農業開発事業における地元負担金の償還等に要した経費であります。植物防疫費は、病害虫の防除指導のほか、農産物生産者や農薬販売者に対する農薬の適正使用、適正販売の検査・指導等に要した経費であります。238ページをお開き願います。農業協同組合指導費は、農業協同組合の指導監督に要した経費であります。農業共済団体指導費の主なものは、農業共済組合の運営費に対して補助したものであります。農業研究センター費は、同センターの管理運営や試験研究に要した経費であります。240ページをお開き願います。農業大学校費は、同校の管理運営に要した経費であります。蚕業費は、養蚕農家の経営安定と産地の活性化を図るため、飼育技術の普及指導等に要した経費であります。
 次に、242ページをお開き願います。2項畜産業費であります。畜産総務費の主なものは、畜産関係職員の人件費等のほか、備考欄二つ目の畜産団体育成対策費のうち、岩手県競馬組合経営改善対策費は、岩手県競馬組合の経営改善のために必要な資金を平成18年度当初に貸し付けしたものであります。備考欄三つ目の岩手競馬再生推進基金繰出金は、平成18年度末に、岩手県競馬組合の経営改善及び県を除く岩手県競馬組合を構成する地方公共団体が、同組合の経営改善のために貸し付けを行う場合における各地方公共団体の健全な財政運営に必要な資金を貸し付けるため、一般会計から岩手競馬再生推進基金へ繰り出したものでございます。なお、この基金からの岩手県競馬組合の貸し付けに伴い、平成18年度当初に貸し付けしました岩手県競馬組合経営改善対策費としての短期の貸付金については、償還されているものであります。畜産振興費の主なものでありますが、備考欄一つ目の畜産振興総合対策事業費は、生産性の高い経営体の育成を図るため、生産から流通・消費に至る総合的な地域畜産振興対策に要した経費であります。次の家畜改良増殖対策事業費の主なものは、肉質、肉量ともに優良な黒毛和種・種雄牛の作出及びその有効利用を図るため、優良雌牛の選抜保留を行うとともに、受精卵移植技術等を活用しながら、産肉能力、肉質等に係る斉一性の向上等、黒毛和種の改良に要した経費であります。245ページに参りまして、備考欄、下から一つ目のバイオマスの環づくり交付金は、家畜排せつ物の有効活用を促進するため、畜産バイオマスエネルギー利用等の施設の整備に対して交付金を交付したものであります。
 244ページにお戻り願います。草地対策費の主なものでありますが、備考欄一つ目の畜産基盤再編総合整備事業費は、飼料基盤に立脚した効率的な経営体の重点的な育成及びこれを核とした畜産主産地の整備を行うため、草地の整備改良や畜舎等の整備に要した経費であります。家畜保健衛生費の主なものでありますが、備考欄三つ目の牛海綿状脳症防疫対策事業費は、24カ月齢以上の死亡牛のBSE検査等に要した経費であります。246ページをお開き願います。農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営や試験研究に要した経費であります。
 次に、3項農地費であります。農地総務費は、農地関係職員の人件費等であります。248ページをお開き願います。土地改良費のうち、農林水産部関係は、農地等の区画形質の改善や用排水路等の整備、農業集落排水施設の整備など、農村の生産基盤や生活環境の総合的な整備等に要した経費であります。250ページをお開き願います。農地防災事業費のうち、農林水産部関係は、農地・農業用施設の洪水被害等を防止するための防災ダムやため池等の整備及び老朽化した水利施設の整備等に要した経費であります。252ページをお開き願います。開墾建設事業費は、中山間地域における優良農地の保全を図るための区画整理及び用排水施設等の整備に要した経費であります。農地調整費の主なものでありますが、備考欄二つ目の農地保有合理化促進費は、担い手の経営規模拡大、農地の利用集積を促進するため、岩手県農業公社が行う農用地の買い入れ、借り入れ等に要する資金への利子補給及び事業実施に要した経費に対して補助したものであります。
 254ページをお開き願います。次に、4項林業費であります。林業総務費は、林政関係職員の人件費等や県有林事業特別会計等への繰出金であります。林業構造改善対策費は、林業構造改善対策事業関係職員の人件費や、林業構造改善対策事業で施設を導入した事業体への経営指導等に対する補助等であります。256ページをお開き願います。林業振興指導費の主なものでありますが、備考欄下段の間伐等森林整備推進事業費は、259ページの備考欄下段の森林づくり交付金と合わせて、森林づくり交付金事業計画に基づき間伐等の森林整備を効率的、効果的に実施するための条件整備を図るとともに、県産間伐材の利用促進の普及啓発を目的とする施設を整備するとともに、間伐等の森林整備を実施するために必要な作業道や林業機械の整備に要した経費であります。同じページの備考欄下段のいわての森林づくり推進事業費は、すべての県民が享受している水源の涵養、県土保全等の森林の公益的機能を維持増進し、良好な状態で次の世代に引き継ぐため、いわての森林づくり県民税の税収を財源として、公益上重要で緊急に整備する必要のある森林について混交林誘導伐を実施するほか、地域の特色を生かした森林整備を公募し、その活動を支援するために要した経費等であります。258ページにお戻り願います。森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大の防止のほか、五葉山周辺のシカ被害の防止に要した経費等であります。造林費は、森林の公益的機能の維持増進と森林資源の充実を図るため、森林の育成管理や広葉樹林の整備に対し補助等を行ったものであります。260ページをお開き願います。林道費は、公共事業の一元化に伴い、県土整備部に移管となっているものであります。治山費は、山地災害を未然に防止し、県土の保全を図るため、治山や地すべり防止、保安林の管理、整備などに要した経費であります。262ページをお開き願います。林業技術センター費は、同センターの管理運営や試験研究などに要した経費であります。
 264ページをお開き願います。次に、5項水産業費であります。水産業総務費は、水産関係職員の人件費や水産科学館の管理運営などに要した経費であります。漁業構造改善対策費は、効率的かつ安定的な漁業経営を支援し、水産物の安定的な供給を図るため、養殖施設や共同利用施設等の整備に要した経費に対して助成等を行ったものであります。266ページをお開き願います。水産業振興費の主なものでございますが、備考欄五つ目のいわてブランド水産加工品創造事業費は、水産物の高付加価値化を図るため、加工関連設備の省力化・合理化や、低利用・未利用水産資源の有効活用に向けた技術開発や水産加工業者への資金貸し付けに要した経費であります。備考欄中段のさけ、ます増殖費は、備考欄下段の強い水産業づくり交付金と合わせて、サケ・マス資源の維持安定を図るため、サケ稚魚の放流、調査研究及び増殖施設の整備に要した経費であります。備考欄下段の定置網復旧支援資金貸付金は、平成18年9月及び10月の低気圧等により、定置網に被害を受けた漁業者等の経営の早期安定化を図るため、漁業者等に資金の貸し付けを行う岩手県信用漁業協同組合連合会に対し、その原資の一部を預託したものであります。水産業協同組合指導費は、漁業協同組合の指導監督に要した経費及び漁業近代化資金等の貸し付けを行う融資機関に対し、利子補給等を行ったものであります。268ページをお開き願います。漁業調整委員会費と漁業調整費は、海区漁業調整委員会等の開催及び漁業調整などに要した経費であります。270ページをお開き願います。漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営や漁業取締船の運航などに要した経費であります。水産技術センター費と内水面水産技術センター費は、両センターの管理運営や試験研究に要した経費であります。272ページをお開き願います。漁港管理費は、県管理漁港施設の維持管理等に要した経費であります。次に、漁港漁場整備費のうち、農林水産部関係は、水産業の振興のため、漁港・漁場・漁村の総合的な整備や水産基盤施設の整備等に要した経費であります。
 大きく飛びまして、346ページをお開き願います。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費であります。1目農地及び農業用施設災害復旧費、3目治山災害復旧費、348ページの5目漁港災害復旧費は、過年災害及び現年災害の災害復旧事業に要した経費であります。
 以上、一般会計の決算について申し上げました。
 次に、特別会計の決算について御説明申し上げます。恐れ入りますが、お手元の平成18年度岩手県歳入歳出決算書にお戻りいただきます。
 歳入歳出決算書の30ページをお開き願います。農業改良資金特別会計についてでありますが、予算現額は4億7、806万円余であります。これに対する決算額でありますが、収入済額は4億8、095万円余で、その主なものは、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金であります。次に、支出済額は7、368万円余で、その主なものは、新たな農業部門の経営開始に必要な施設機械等を購入するための資金を貸し付けたものであります。
 32ページをお開き願います。県有林事業特別会計についてでありますが、予算現額は25億837万円余であります。これに対する決算額でありますが、収入済額は25億1、714万円余で、その主なものは、一般会計及び県有林造成基金からの繰入金であります。次に、支出済額は24億8、648万円余で、県行造林造成事業等に係る除伐や間伐等に要した経費であります。
 34ページをお開き願います。林業改善資金特別会計についてでありますが、予算現額は11億1、554万円余であります。これに対する決算額でありますが、収入済額は11億2、046万円余で、その主なものは、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金であります。次に、支出済額は6億1、210万円余で、林業経営の改善を図るため、林業従事者等に対し林業・木材産業改善資金を貸し付けたもの、及び森林組合等に低利の運転資金を融通するため、その原資を金融機関に対し預託したものであります。
 36ページをお開き願います。沿岸漁業改善資金特別会計についてでありますが、予算現額は9億4、071万円であります。これに対する決算額でありますが、収入済額は9億5、369万円余で、その主なものは、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金であります。次に、支出済額は1億1、982万円余で、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従事者等に対し、経営改善資金等を無利子で貸し付けたものであります。
 以上で農林水産部所管に係る平成18年度決算の全般についての御説明を終わらせていただきます。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
 なお、引き続き、平成18年度末に、岩手県競馬組合に対する融資のため岩手競馬再生推進基金を造成いたしましたが、その後の同組合の運営状況につきまして、千葉理事から御説明させていただきます。
〇千葉理事 岩手県競馬組合の運営状況について御報告いたします。お手元に配付させていただいております岩手県競馬組合の運営状況についてをごらん願います。
 1ページ目でございます。まず、1岩手県競馬組合に対する構成団体の融資についてであります。1ページ目の中ほどに、構成団体ごとの融資割合・融資額、また、構成団体融資の概要を表とイメージ図で掲載させていただきましたが、競馬組合に対する構成団体融資のため、構成団体である県、奥州市及び盛岡市は、平成19年3月に、それぞれ基金を造成いたしました。県におきましては、平成19年3月20日に277億5、000万円の岩手競馬再生推進基金を設置し、同基金から、競馬組合に181億5、000万円を、奥州市に57億5、000万円を、盛岡市に38億5、000万円をそれぞれ貸し付けております。
 次に、2岩手競馬の発売状況・収支実績と売上に応じたコスト調整についてであります。
 まず、(1)売上に応じたコスト調整の仕組みについてでありますが、競馬組合の平成19年度以降の事業運営に当たっては、新しい岩手県競馬組合改革計画、いわゆる新計画に基づき、年度を通じて経常損益で黒字または収支均衡が事業継続の条件となることから、売り上げが計画額を下回った場合、または下回ることが見通される場合には、売り上げに応じたコスト調整が必要になるものであります。このコスト調整は、本年4月に、競馬組合、競馬関係者及び構成団体を構成員として、競馬組合が設置いたしました岩手県競馬組合運営協議会で実施することとしており、協議会には、関係企業も構成員に含めてコスト調整に当たるコスト調整部会、有識者を構成員に含めて競馬組合の経営改善のための調査検討に当たる経営改善部会及び幹事会が付置されております。同協議会では、本年度、6月、8月の2回のコスト調整を実施しておりますが、コスト調整の状況については後ほど説明させていただきます。
 2ページ目でございます。2ページ目には、ただいま御説明申し上げた新計画で定める競馬事業存廃の基準とコスト調整のための仕組み、さらに、コスト調整の経費の基本的な枠組みとしている経営指標、また、コスト調整のための具体的な仕組みである競馬組合運営協議会の体制、そして、4月19日開催の運営協議会で決定いたしました年間を5期に分けて収支状況を検証し、必要に応じてコスト調整をしていくという平成19年度のコスト調整スケジュールの基本パターンを掲げております。
 3ページ目をお開き願います。次に、(2)発売状況、収支実績と売上に応じたコスト調整の実施状況についてでございます。
 まず、①の4月1日から5月28日までの第1期についてでございますけれども、第1期の発売実績は、第1期の発売額の計画達成状況の表のとおり、岩手競馬商圏内の景気回復のおくれ、開幕準備不足の影響や、広域受託発売におけるナイター競馬の周知不足から、自場発売、広域受託発売ともに低調に推移し、計画達成率は、自場発売は93.9%、広域受託発売は83.8%となったところでございます。また、第1期の収支実績は、第1期の収支実績と売上に応じたコスト調整の表のとおりですけれども、発売が低調に推移したことなどから、経常損益段階で、計画した5、200万円の利益に対して実績は7、200万円の損失となり、競馬組合は、このような第1期の発売実績、収支状況を踏まえて、6月23日開催の競馬組合運営協議会において売り上げ見通しを下方修正し、新計画の経営指標の枠組みを基本として、年間を通じた収支均衡を図るため4億8、100万円のコスト調整を実施した一方で、6月2日の盛岡開幕にあわせて、岩手競馬のイメージアップを図る岩手競馬ルネッサンスプランを展開するなど、売り上げの確保・拡大策も講じております。
 次に、②の7月23日までの第2期までについてでありますが、第2期までの発売実績は、6月9日に盛岡市大通りに開設いたしました街中場外発売所の発売は順調に推移したものの、全体では、台風の影響によりJRAが日程変更し、開催日程が重複したことや、広域委託先のシステム障害などから、自場発売、広域受託発売ともに計画をやや下回って推移し、計画達成率は、自場発売は98%、広域受託発売は98.3%となりました。
 4ページ目をお開き願います。また、第2期までの収支実績は、発売が計画を下回ったことなどから、経常損益段階で、計画した1億2、900万円の損失に対して実績は1億7、500万円の損失となり、競馬組合は、このような第2期までの発売実績及び収支状況を踏まえて、8月10日開催の競馬組合運営協議会において、再度、売り上げ見通しを下方修正いたしましたが、年間を通じた収支均衡を図るためのコスト調整は、一部受託発売の料率アップによる収入確保ができたこともあり、主に競馬組合の内部経費の圧縮により対応することとし、1、400万円の競馬組合の内部経費削減で対応いたしました。
 次に、(3)第3期のコスト調整の取組みについてでありますが、第3期の途中となりますが、10月15日までの発売実績は、街中場外発売所での発売は順調に推移しているものの、全体では、8月中旬に発生した馬インフルエンザの影響で競走馬の移動が制限されたため、全国交流競争を岩手競馬在厩馬による重賞競争に変更したことや、他主催者の開催中止により、一部の広域委託・受託発売を取りやめたことなどから、自場発売、広域受託発売とも計画を下回って推移しており、計画達成率は、自場発売92.5%、広域受託発売は95.1%となっております。
 競馬組合では、当初、第3期末、10月29日まででございますけれども、そこまでの実績を踏まえたコスト調整を11月に実施する予定でございましたけれども、先ほど申し上げました8月から9月にかけて、馬インフルエンザの影響などもあり、発売額が低調に推移していることから、競馬関係者の了解を得た上で、コスト調整時期を1カ月前倒しし、競馬関係者、取引先とのコスト調整に着手しておりますけれども、最終的な調整額、その内容等につきましては、11月初めに開催を予定している競馬組合運営協議会で了承を得ることとしております。
 なお、10月15日までの発売の計画達成状況から見ますと、年間を通じた収支均衡を図るための追加的なコスト調整の見込み額は2億円台後半と見込まれているところでございます。この第3期までの実績を踏まえたコスト調整については、新計画の経営指標である競走関係費はおおむね8%以内の額、事業運営費はおおむね16%以内の額、財務経費はおおむね1%以内の額の枠組みを基本として調整する方向で取り組んでいるところでございます。
 次に、5ページ目をお開き願います。3岩手県競馬組合に関係するその他の動きでございますけれども、岩手県競馬組合事業運営監視委員会の報告とプロジェクトチームの設置についてでありますが、構成団体である県、奥州市及び盛岡市は、監視委員会の、岩手競馬の将来にとってどのような経営のあり方が望ましいのか、中長期的視点に立った抜本的な改革が必要との意見を踏まえまして、持続可能な岩手競馬のあり方をテーマに検討を進めるため、職員によるプロジェクトチームを設置しており、このプロジェクトチームでは、平成19年度内にプロジェクトチームとしての改革の方向性を取りまとめる予定でございます。
 以上で岩手県競馬組合の運営状況の御報告を終わらせていただきます。
〇新居田弘文委員長 ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇及川幸子委員 私からは岩手競馬についてお伺いいたします。
 競馬組合議会からも、今まではないような中間報告ということで、身近な組合議会になったのではないかと思われます。伊藤議長を初め競馬組合議会の皆さんには大変努力をしていただいております。そしてまた、今、報告がありました。そのことによりまして、るる質問いたしたいと思います。
 まず1点目です。第2期レース終了時までに賞金や事務経費など約4億8、100万円のコスト削減がなされたとお聞きしました。これは一定の評価をいたしますが、しかし、関係者からは、賞金の削減はこれ以上無理であるという声が寄せられております。10月末の第3期レースの終了時に見込まれるコスト削減について、さらに2億円とただいまも報告がありましたが、本当に2億円で大丈夫なのでしょうか。収支均衡を図るための調整額として、あと2億円で岩手競馬は守られるのか、お伺いいたします。
〇千葉理事 競馬事業の継続についてでございますけれども、新計画におきます競馬事業存廃の基準では、年度を通じての経常損益が黒字または収支均衡が競馬事業継続の絶対条件となっているところでございます。ただ、今、御報告いたしましたけれども、10月15日までの発売額の計画達成状況は、自場発売が92.5%、広域受託発売が95.1%という状況でございます。したがいまして、年度を通じた収支均衡を図るために、11月に実施を予定しておりました10月29日までの第3期の実績を踏まえたコスト調整を1カ月前倒しして実施するということで、現在作業を進めているところでございます。
 具体的なコスト調整の必要額につきましては、先ほどお話ししたとおりでございますけれども、さらに10月29日までの発売実績を踏まえまして、さらには、その後の発売動向、今年度いっぱいの発売動向を一層厳しく見込む必要もございます。そういうことで、今現在、精査をしているところでございます。いずれにしましても、新計画のルールに沿いまして、競馬関係者あるいは取引先の業者がいっぱいいらっしゃいますけれども、そういった方々の理解と協力をいただきまして、必要なコスト調整を実施するということと、一方、売り上げの確保あるいは拡大といったものにも取り組みながら、競馬事業の継続の条件でございます収支均衡を実現してまいりたいと考えてございます。
 いずれにしましても、最近も、競馬関係者でありますとか取引先の方々ともいろんな意見交換をさせていただいておりますけれども、競馬事業を何とか存続させてほしいという願いは一つでございます。それから、県内だけではなくて、県外、全国からも、岩手競馬を絶対残してくれというたくさんの声が届いてございます。我々は、そういった期待に沿うために、何とか努力しながら、今後も競馬事業存続に向けまして最大限の努力をやってまいりたいと思っております。
〇及川幸子委員 歯を食いしばって、ぎっちりとこの再生に向けて頑張っている競馬関係者を見る上でも、いろいろと意見交換をなされて、この後、2億円以上の削減幅が広がるのではないかと大変危惧しておりますが、さらにいろいろと努力していただきたいと思います。
 2点目です。職員の手当について、職員の手当2、000万円の減額ということですが、競馬組合の管理者・副管理者会議において示され、組合議会に提案されるようですが、民間企業であれば、赤字とか、もうからない状況であれば、その従業員は実際に手当などはもらえないはずです。そして給料も削減されるはずですが、なぜ今この2、000万円─私はもうとっくにその部分は支給されていないと思っておりましたが、その状況をお示しください。
〇宮農林水産企画室特命参事 職員手当のこれまでの状況でございますけれども、競馬組合及び競馬振興公社につきましては、平成14年度から人件費の削減を進めてまいりました。いわゆる管理職手当につきましては、平成14年度から20%の削減をしてございます。また、期末手当につきましては、平成15年度は20%の減額、平成16年度、平成17年度及び平成18年度の6月支給分につきましては30%の減額、平成18年12月支給分からは、部長級については60%、課長級については40%、その他30%の減額をしてきたところでございます。この結果、平成14年度から平成18年度までの間、管理職手当と期末手当につきましては、合わせて約3割の削減をしているところでございます。なお、今月25日の競馬組合議会におきましては、12月支給分の期末手当の全額と勤勉手当の28%を減額する給与条例の改正を提案することとしてございまして、この改正によりまして、競馬組合及び競馬振興公社を合わせまして手当の減額は約2、000万円になるものでございます。
〇及川幸子委員 いろいろ60%とか20%という状況ですが、こういう大変厳しい中で、関係者も本当に血の出るような努力をして毎日暮らしている状況です。やっぱりこれ以上、手当というのはもっともっと見ていかなければならないと思うのですが、いかがですか。
〇宮農林水産企画室特命参事 この手当につきましては、先ほど理事のほうからも説明いたしましたように、第3期のコスト調整ということもございます。そういった中で、その人件費も含めまして今後精査し、調整をさせていただきたいと考えてございます。
〇及川幸子委員 次に移ります。以前に私は、出資法人等調査特別委員会において、委託業者の契約時においては、1社独占ではなく競争入札をさせるべきということをずっと提案してまいりました。平成17年度、平成18年度の状況をお示しください。
〇宮農林水産企画室特命参事 委託契約の入札状況についてでございますけれども、競馬組合では、競馬法上、競馬組合が実施することとされてございます競馬開催業務を補完する業務について、レースの公正を確保する必要から、公益法人であります競馬振興公社に随意契約で委託しているほか、競馬事業の推進のための映像業務あるいは情報処理業務など極めて専門性が高く、必要な機材や設備を所有し、その操作、運用ができる受託者が限定されているなど、競争入札には適さないことから随意契約をしているところでございます。
 このようなことから、平成17年度の委託契約件数は87件、うち入札を行ったものは4件でございます。また、平成18年度の委託契約件数は97件でございまして、うち入札を行ったものが1件となっているところでございます。入札件数が4件から1件に減少しました理由につきましては、競馬場の設備保守業務を統合して入札を行ったことによるものでございます。競馬組合では、今後、競争入札の可否について、十分業務内容を精査し、できる限り競争入札による契約をしていくこととしているところでございます。
〇及川幸子委員 平成17年度が4件、平成18年度が1件というこの数字を見まして驚きました。競馬組合議会から提出されました書類を見まして、平成17年度、平成18年度の契約の内容を見ますと、1件ということは、全く変わっていないんです。改善が全然されておりません。そういう中で、やっぱりこういう見直しをしていかなければコスト調整というのはなされないのではないかと思いますが、もう一度お答えください。
〇宮農林水産企画室特命参事 競馬組合の委託契約につきましては、先ほどもちょっとお話をいたしましたが、その操作の専門性、あるいは機器や設備というものが競馬場の中に設置されているといったようなことがございまして、なかなか単純な一般競争入札という形にはなじまないものがあるというのが実態でございます。しかしながら、今、委員から御指摘がありましたように、そういった競争性の確保というものもコスト削減の中では大きな課題だろうと考えてございますので、できる限り競争入札に付する契約をふやしていきたいと考えてございます。
 また、随意契約ということにしてはございますけれども、先ほど御説明いたしましたように、契約内容あるいは単価等さまざまその内容の見直しを図りながら、コストの削減に努めているところでございます。
〇及川幸子委員 先ほど、競馬組合議会から中間報告がありました。これを見ましても、本当に改善できる部分はいっぱいあると思いますので、この点については今後も取り組んでいただきたいと思います。
 4点目です。こういうふうになっている状況を、やっぱり世論では、なかなか競馬は大変だということが先行してしまいます。そこの原因というのは、一つ大きい点はマスコミの被害であると思います。マスコミの風評被害、だめなんだ、悪いんだというイメージの中で、どんどん報道されております。やっぱり希望を持って再生に向けて頑張っているんだという面ももっともっと報道していかなければならないと思うんですが、水沢競馬場においては、このたび、2歳馬ですけれども、くっきりとハートの模様が額にある馬が報道されておりました。そういう明るい話題も提供して、希望の持てる岩手競馬でありたいなと思うところからお聞きいたします。
 競馬ファンを呼び込むため、いろいろなレースの展開がされていると思いますが、魅力のあるレースづくりが必要であるということから、ファンを沸かせる人気レースの取り組みはどうだったでしょうか。
〇千葉理事 人気レースということでございますけれども、今年度は、グレード競争を中心としまして競争体系を計画しておりまして、ファンのたくさんのいろんな要望がございました。その中で、例えば芝競争を大幅に、30列ほどでございますけれども、そういうふうにふやしたり、あるいは距離区分をふやしたり、例えば日本で最長の3、000メートルレースに今年度取り組んだり、あるいは1着馬による勝ち抜き戦を実施するなど、そういったファンの要望といったものをいただきながら、いろんなレースを展開しているところでございます。
〇及川幸子委員 私も武豊が来たレースを見に行きましたが、本当に大変な人気であるなと。すごい入場者に圧倒されました。やっぱり魅力のあるレース、そういう展開をしていくことで増収を図れるのではないかと思っております。
 再生に向けていろいろ努力をなさっているのはわかりますが、競馬生産団体など、また他場からの応援などを受けているのでしょうか、その点についてお伺いいたします。
〇千葉理事 生産団体からの支援ということでございますけれども、先日も報道されましたけれども、北海道の日高で軽種馬生産を専門に行ってございます日高軽種馬農業協同組合から、その協賛によります冠レースでございますスタリオンシリーズ・アドマイヤボス賞の実施、それから、優勝馬の馬主に対しましての種牡馬のアドマイヤボスの配合権利を副賞として提供したいという申し出があったところでございまして、その報道に接しまして、実はその直後に、国内有数の種牡馬の繋養牧場でございます社台スタリオンステーションからも、JRAのG1を制覇した馬、これが大部分を占めるんですけれども、その13頭の配合権利の提供の申し出がございました。こういった配合権利を副賞としますスタリオンシリーズを、10月20日ですので、おとといから実施しているところでございます。実は、全国からの支援といいますか、そういった申し出は、生産団体だけではなくて他の地方競馬主催者、例えば南関東主催者からも、広域受託発売にかかわります広報宣伝活動といったものについても連携したいとか、あるいは県内の民間企業がたくさんございますけれども、協賛レースの実施でございますとか、あるいは1日スポンサーデーといった申し出もことしたくさん来てございます。そういったことで、県内外からもたくさんの御支援をいただきながら、何とか今後とも競馬事業を継続するように頑張っていきたいと思っております。
〇及川幸子委員 次に、競馬場の広告掲示についてお伺いするんですが、収入源として大変貴重なものであると考えます。広告を確保するには構成団体とも協力すべきなんですが、その辺のところについて、どういう体制でしょうか。
〇東大野農林水産企画室長 競馬場の看板広告についてでございますが、競馬組合の増収策として本年度から取り組むことといたしまして、5月から具体的な募集を開始してございます。この結果、5企業の広告看板が掲示されておりますけれども、広告料の収入としては年間1、500万円ほどの収入を見込んでございます。水沢・盛岡両競馬場には昨年度で74万8、000人という入場者がございまして、広告主にとっても魅力的、効果的な場所だと期待できますことから、県といたしましても、組合のほうで企画が整った段階で、具体的な広告事業について紹介してきているということもございます。今後とも、奥州市、盛岡市とも連携をとりながら、競馬組合の広告事業の推進といったことにも協力していきたいと考えてございます。
〇及川幸子委員 年間1、500万円という数字は大変大きいと思いますので、今後とも取り組んでいただきたいと思います。
 最後になります。いろいろお聞きしまして、大変努力しているのはわかりました。今、2場体制でやっておりますが、この2場体制ではいろいろと支障があるのではないかというところから、1場体制という考えはあるのかという点と、それから、ここまで来ますと、─いろいろプロジェクトチームも職員でつくったと伺っておりますが、限界があると思います。やっぱり民間的な発想、民間の方々を入れて、民間に任せる部分があってもいいのではないかと思います。例えば会社を初代で築いた社長さん方を集めて意見を聞くとか、そういう方々に危機を希望に変えるという部分を何とか─達増知事がいつも言っております危機を希望に変える岩手県としてのそのお考えをどうぞお聞かせください。
〇東大野農林水産企画室長 まず、1場体制の関係でございますけれども、従前から御説明いたしてはおりますが、1場体制とした場合、開催日数とかレース数を縮小せざるを得ない。これを現状どおりとしようとした場合、厩舎の移転等の設備投資がかかるといったような事情もございまして、いずれにせよ、競馬組合の収支に大きな影響が及ぶという点もございますし、そのほかに、組合そのもののあり方にかかわってくるような問題、あるいは雇用の問題、そういった岩手競馬の根幹にかかわるさまざまな課題をはらむ問題でございます。したがいまして、今回設置いたしておりますプロジェクトチームにおいても、この問題を再度検討していくということにしております。
 そのほかに、民間の方々の御意見をいただくということでございますけれども、この点につきましては、プロジェクトチームにおいても、競馬組合職員も含めて、随時、実際に競馬事業に当たっている方々の意見も参考としながら検討は進めていくことにいたしておりますが、先々、あり方を取りまとめていくといったような段階においては、委員から御提案のあったような方法も含めて、民間の方々の御意見をどう伺っていけばいいか、これもあわせてプロジェクトチームの中で検討し、構成団体で議論していきたいと考えてございます。
〇及川幸子委員 プロジェクトチームは7名の職員で構成しますが、その中では民間の意見も十分入れていくということでよろしいのですね。
〇東大野農林水産企画室長 プロジェクトチームのメンバーは7人─構成団体の職員では構成いたしておりますけれども、御指摘がございますように、競馬事業を具体的に知らないのではないかとか、民間の経営感覚の問題も指摘されてございます。したがいまして、検討の中では、そういった機会があれば、もちろんそういった御意見もいただきながら、全体のあり方の方向性を考えていきたいと考えてございます。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇新居田弘文委員長 関連という申し出がありますが、次の質問者も競馬問題に触れて質問する予定になっておりますので、通告の順に進めたいと思いますので、御了承願います。
〇高橋雪文委員 私は競馬組合議員も拝命しているところでございますけれども、組合と県の役割が違うのではないかという視点から質問させていただきたいと思います。
 まず最初にお聞きしたいのは、民間委託がさまざまな部分で提言、そして議論されているところでございますけれども、日本全体の中で民間委託されている地域がある。特に、近くのばんえい競馬のほうと密接した関係をもっておられる本組合でございますけれども、ばんえい競馬の民間委託についてどのように評価されているのか、まずその点をお聞かせいただきたいと思います。
〇東大野農林水産企画室長 ばんえい競馬についての評価でございますけれども、ばんえい競馬につきましては、従前、旭川市、帯広市、北見市、岩見沢市で構成いたします一部事務組合、北海道市営競馬組合が主催者として運営してきたものでございますが、昨年度末でもってこの一部事務組合を解散して、帯広市単独で事業を継承したものでございます。帯広市では、ばんえい競馬を単独で開催することについて経営上の不安がある、あるいは委託によって帯広市の業務が軽減すると見込まれるということもございまして、競馬法の規定で民間会社に委託できるとされている業務のほとんどを1社に委託しております。この委託先では、今年度に入って特別観覧席を新たに整備するなど、サービスの向上に努めているとも聞いてございます。
 県といたしましても、岩手競馬の事業運営の参考とするために、帯広市を訪問いたしましてヒアリングを行いました。そのほかに、競馬組合運営協議会経営改善部会におきましては、委託先の責任者と意見交換を実施したところでございます。
 その委託についての評価でございますけれども、帯広市自体は、運営上の問題は現在のところ特に生じていないとしてございますし、競馬事業の新たな運営形態の一つとは認識してございますけれども、8月時点での前年比で1日当たりの入場者数を見ますと187%ということで一定の効果は見られるのですが、一方で1日当たりの売得金額は98%ということになってございますことや、委託を開始して間もないということもございますので、その評価については、いましばらくその動向を見きわめる必要があるのではないかと考えてございます。
〇高橋雪文委員 私もばんえい競馬のほうを少し勉強させていただくために訪問させていただいたわけでございますけれども、負債の部分を全部市が担うとか、あとは給与面について、民間の方々が本当に安い賃金で働かれているとか、そういう努力を重ねながら、民間の経営努力をして収支均衡を図ろうというところでございますけれども、非常にその運営内容についても厳しいと。入場者数も多くなっているのは事実なんですけれども、運営については非常に厳しいということで、私は、一概に民間委託が即再生につながるという絶対条件ではないということを感じてきたわけであります。
 しかしながら、その中で一番民間委託になってよかったというのは、やはり民間の方々の仕事に対する考え方、例えば10時、11時、12時になっても、民間の方々は再生のために帰らないで努力されている。こういう姿を見て、市から派遣されている職員も、やはりそういう姿勢が民間のあり方なんだということで、我々も改めて気を引き締めた、そういう点が一番大きいということで、一概に民間委託が即、収益の増につながる、サービスの提供になるということではないようなんですが、そんな雰囲気を感じてきたわけてございますが、その点についてはどのようにお考えなんでしょうか。
〇高前田農林水産部長 先ほども企画室長のほうから御答弁申し上げましたように、私どものほうでも、ばんえい競馬のほうをいろいろ調査させていただいております。そういった中で、今委員御指摘のとおり、非常に運営は厳しいということも伺っております。なおかつ、このばんえい競馬は、運営形態を新しくしてスタートするに当たって、賞典費を4割ぐらい削減しているということ、それから帯広競馬場の賃借料についても大幅に削減しているといったような、いわゆる大幅な経費削減をベースとした新しい運営ということでございました。
 そういったようなことからも、やはり民間委託ということについても、しっかりとこれから私どもがいろいろ研究する上でも、こういったような民間委託の前提となるさまざまな条件というものをしっかりと勉強する必要があるかなと思っておりますし、それから、御指摘のように、やはり民間の経営感覚というものが非常に重要だと。特に、先ほどお話をさせていただきました特別観覧席の整備といったようなことも、受託側の企業のほうで実施することによって、非常にサービスのレベルも上がっているというようなことも伺っております。そういったようなことをさまざまいろいろと参考にさせていただきながら、今後の検討に生かしていきたいと思っております。
〇高橋雪文委員 次に、先日奥州市議会のほうで競馬経営支援を要請ということで、岩銀と総務省に、11月になるということでございますけれども、それぞれ要請をしていこうということになったようでございます。この件について、今回、岩手銀行のほうには債務減免とは別な形での、広告掲載や冠レースなどの一般の企業に対する支援のような形でしている。また、総務大臣、縁もありますので、総務大臣から農林水産省などに支援を働きかけてもらう、そういう動きをされているようでございますけれども、まず、その件について、県はどのように考えておられるのか教えていただきたいと思います。
〇東大野農林水産企画室長 奥州市議会から総務大臣への支援要請ということでございますが、これにつきましては、奥州市議会のほうに確認させていただきましたところ、要請内容がまだ具体的に決まっていないとお聞きいたしました。そういったことから、期待するものという、そこら辺が判然といたしませんので、現在の時点でどういったことだという形で申し上げるのが、ちょっと難しいと考えてございます。(「金融機関は」と呼ぶ者あり)
 金融機関につきましては、先ほど委員からお話ございましたとおり、広告料あるいは冠レースの開催など、一般企業に要請しているような要請と奥州市議会から聞いてございます。
〇高橋雪文委員 総務大臣のほうは置いておきまして、少し金融機関のほうの質問をさせていただきたいと思います。
 通常でも、岩手競馬を経営される上で市中の銀行といろいろと取引をされているんだと思っているんですが、今、運営費の削減ということで非常にぎりぎりの運営を強いている。当然、繰り上げ充用という制度が非常に問題であったということで、もうそれ以上の繰り上げ充用は行わないということで、そこら辺、明言されているところでございますけれども、今後、中長期的なビジョンで競馬を再生するに当たって、私は、一定の投資というものが必要になるのではないかと思っているわけであります。
 このときの考え方は非常に難しいわけでございますけれども、こういういわゆる資金を競馬事業にいつかの時点で投資する必要もあるのではないかと思うわけでございますが、現在、金融機関とどのような調整を図っておられて、そして、こういう考え方が現実にできるものなのかどうか、その辺を少しお聞かせいただきたいと思うんです。
〇千葉理事 競馬事業に対しまして、確かに設備等も大分古くなってございますし、それから施設等についても改修が必要なところがこれから出てくるところでございますけれども、今のところまだ、そもそも何とか収支均衡を図ろうという段階でございまして、具体的な施設整備あるいは設備整備等の計画は、まだ具体的には持ち合わせてございません。今の資金の範囲内で何とかやっていこうというスタンスでございます。
 したがいまして、まだ具体的に、例えば岩手銀行といいますか、銀行に、こういったところについて資金を投資してくれというお話はしてございません。
〇高橋雪文委員 それでは、具体的に、組合が金融機関に対して経営支援を要請する、そういうことが可能なのかどうか、その辺はどうなんでしょうか。
〇千葉理事 いずれ、今ございます新計画に基づきます存廃基準に基づきまして、組合の経営をきちんとやっていくというのが我々の使命でございまして、経営支援といいましても、どういう形になるのか、ちょっと今のところまだ検討はしていないところでございます。
〇高橋雪文委員 わかりました。ちょっとこの金融との関係については、もう少し調べさせていただいてからお話もさせていただきたいと思います。
 それでは、最後の質問になりますが、12月には存廃が判断されるということで、達増知事─管理者が明言されているわけでございますけれども、その存続の場合の次年度の計画というのはいつ出されるものなのか、そして、このプロジェクトチームの提言が平成19年度内ということでございますが、その整合性というのはどのように図られるのか教えていただきたいと思います。
 また、廃止の場合─これは、組合は当然存続のための計画を練って、そして、どうにか次年度も継続させる、そういう意思表示を持ってやるべきだと思うんですけれども、一方で、冷静に、やはり県というのは、廃止や縮小についても大いに内部検討するべきだと思うんですが、その廃止の場合のスキームを内部でもんでいるのかどうかということです。もうあと3カ月以内には存続か廃止かという議論になってくる。そのときにあわてて廃止のスキームを立ち上げていく、そんなばかなことはあり得ないと思うんです。前回の3月の議論からしてもですね。その辺をどういうふうに考えているのか。
 あと、毎回、私は競馬事業について、ソフトランディングの方向も模索していくべきだということで提言しているわけでございますけれども、そのソフトランディングのあり方についても内部的に議論されているものかどうか、その辺をお示しいただきたいと思います。
〇千葉理事 私のほうから、平成20年度の事業計画の部分についてお答えさせていただきます。
 いずれ競馬事業の継続につきましては、ことし12月末までに判断しまして、平成20年度の開催日程だけでございますけれども、農林水産大臣へ報告することになってございます。その日程に基づきます具体的な事業計画につきましては、当初予算とあわせまして、平成19年度末ぐらいに開催されます競馬組合議会で御審議いただきながら決定していくということのスケジュールとなっているところでございます。
〇東大野農林水産企画室長 プロジェクトチームの検討日程との整合性でございますけれども、今の競馬組合の事業運営の基本というものは、新計画のスキームに沿って収支均衡を図っていくという、これが基本だと考えてございますので、今、千葉理事が御答弁申し上げた来年度事業についても、同じ基本的なスタンスで調整、検討が進められていくものと考えてございます。これに対して、プロジェクトチームについては、現在の運営とあわせて、新たなあり方について可能性検討をしていくと考えてございますので、そういった意味で、直ちに今の計画のスキームについて、プロジェクトチームの検討のあり方とつなぎ合わせる、切りかわるというような形にはならないかと考えてございます。
 あと、廃止のスキームについてでございますが、廃止のスキームにつきましては、中身が関係者の生活支援、あるいは競馬組合そのもののあり方、資産処分のあり方、こういったことを十分に検討して、具体的なスキームを検討していく必要がございますけれども、廃止の際には、330億円の融資の返済が困難になることに加えて、追加費用も発生するということでございまして、構成団体には極めて重い負担が発生するということでございます。したがいまして、収支均衡または黒字という現在の新計画のスキームのもとで事業継続をしていくことが与えられている命題かと考えます。したがいまして、そのような結果を招かないように、岩手競馬の存続ということで全力を尽くしていきたいと考えてございます。
 あと、ソフトランディングについてでございますけれども、どのような形が将来の岩手競馬にとって望ましいあり方なのかということについて、プロジェクトチームでは検討することになってございます。したがいまして、民間委託の問題、あるいは1場体制の検討、そういったことも含めて検討してまいりますので、将来のあり方について検討していくこととソフトランディングになるかどうか、これは検討の過程ではどのような検討の結果になるかは、今まさに着手したところですので判然としておりませんが、そういった岩手競馬の将来にとってどのようなあり方がいいかといったような観点での検討は進めてまいります。
〇高橋雪文委員 私は冒頭に、競馬組合と県の役割は違うんだということを言ったわけでございますけれども、やはり競馬組合は、これから継続していく、何とかしてつなげていく、そういう意思で推進していくべきだと思うんです。でも、客観的にそれを判断していかなければならない構成団体、その中で、客観性を持って廃止やソフトランディングを考えていく、そういう部署が、やはり県庁内でも必要なのではないかと私は思うんです。
 今の議論を聞いていると、競馬事業は競馬の関係者だけで議論させているような、そんな気がしてならないんです。でも、今回の競馬事業存続の問題は、やはり岩手県にとっても非常に大きな問題であるし、そしてあらゆる産業に大きくかかわってくる問題である。そのことに対して、競馬組合の職員のメンバーに投げているような姿勢は、私は、やはりもう少し改善の余地があるのではないかと思うわけであります。
 部長に聞かなければならないと思うんですけれども、その廃止やソフトランディング、そういうものをやはり全庁的に議論して、そして方向づけて判断する、そんなものが今まさに求められていると思うわけでございますけれども、その点についてはどのようにお考えなのでしょうか。
〇高前田農林水産部長 今後の岩手競馬のあり方についてということになろうかと思いますけれども、委員御指摘のような問題意識の中で、ただいまプロジェクトチームという組織を立ち上げて、持続可能な岩手競馬のあり方であるとか、そういうことを実現していくために中長期的にどう取り組んでいくのかということがやはり重要であろうし、それから、持続可能な岩手競馬のあり方の検討の中で、ソフトランディングということも十分検討していかなければならない、そういう問題意識がございます。
 それを検討していくに当たっては、やはり県として、それから構成団体としてしっかりと議論していかなければならないということでございまして、私ども農林水産部だけではなくて、例えば総務部の予算調製課、それから地域振興部の市町村課といったようなメンバーも加えた形で、今回、プロジェクトチームを組織させていただいておりました。そういったプロジェクトチームの中で、しっかりとそういった中長期的な視点も踏まえた検討というものを行っていこうと考えているところでございます。
〇高橋雪文委員 最後であります。収支均衡もしくは黒字にならなければ廃止という命題を与えられている中で、確かに数値的に、もしかすると継続が可能なところまでいろいろな部分で落としていくという、それは考えておられるのかもしれません。でも、私は、まだ今の状況においては、廃止の可能性も否定できないと思うんです。その否定できないときに、その廃止についてどれだけの社会的な影響があるか、もしくはそれについてどれだけの具体的な金額があるのか、もしくはそれをどれだけ縮小していけるのか、そういう議論をやはり内部ではしっかりと調整するべきであろうと。当然しているのだと思うんですけれども、その辺をぜひ抜かりなく、その部分も抜かりなくやっていただきたいということで、意見だけ申し述べます。
〇佐々木博委員 私も競馬について質問させていただきますけれども、部長以下、何となく元気がないようですから、もう少し元気よく御答弁していただくようにお願いしたいと思います。
 私も前期、競馬組合の議員もさせていただきまして、それからいろいろな委員会でも主張していたわけですけれども、この、売り上げに合わせて経費を削減するやり方というのは、いわば高知方式なわけであります。私らは高知県の競馬組合に行って、競馬組合の管理者といろいろ話をしたときに、このやり方は決していいやり方ではありません、決してお勧めできるやり方ではありませんということを実は言われてきて、そのことを私は何度か委員会等で言ったことがありますけれども、実際、しかしながら、それが最適だということで、こういったやり方で今日までやってきているわけですが、この売り上げに合わせてコスト削減して継続していくというやり方について、今どういう所感をお持ちになっているか、まず、そのことから伺いたいと思います。
〇千葉理事 今、新計画に基づきまして、この存廃基準に基づきましてやっているわけでございまして、いずれ売り上げが下がったときに、それに応じて25%の範囲内でやっているということでございます。いずれ、これは競馬事業を、県民の負担をこれ以上ふやさないというスタンスから、それもございますし、一方、競馬事業を廃止するといろいろな負の影響が出る、その両方を何とか両立させようということで、今このスキームでやっているわけでございますが、そういったところからは、この収支均衡に向けて、売り上げが下がればコストを下げるというこのスキーム、今のところは、これがまず最適なやり方ではないかと思っているところでございます。
〇佐々木博委員 売り上げが皆さん方が想定している範囲ぐらいの下方だったらいいかもしれませんけれども、想定以上の下方になっていますよね。恐らくこのまま行けば本当に先細りになる、このやり方というのは、そういったやり方ではないかと実は私は思っております。
 さきの今定例会の一般質問で、あと幾らぐらい経費の削減が必要かということを質問しましたときには2億円という答弁でありましたけれども、ただいまいただいた資料では2億の後半、2億七、八千万円かどうかわかりませんが、それぐらい削減が必要だと、もう既にあの答弁をしたときと変わってきています。
 だけれども、私は、恐らく2億円の後半でも足りないと思いますよ。土曜日の売り上げが1億3、000万円ぐらいだったでしょうか。きのうは1億8、000万円ぐらいですか。いずれ売り上げが全然伸びていないですよね。毎日のように私も、毎回開催のたびに売り上げが気になって見ていますけれども、恐らく今のこの経済情勢からいくと、よほど下方修正した数字でやらないと、最後つじつまが合わなくなってしまうのではないかと私は思っています。
 そういった観点でまずお伺いしたいのは、この下方修正した計画でも、最終的には5、000万円は利益として残すという計画ですよね。2億円後半という削減の幅というのは、5、000万円残す計画ですか、それとも収支とんとん、プラ・マイ・ゼロという計画ですか。まず、そのことについてお示しいただきたいと思います。
〇千葉理事 当初から、6月の時点ですか、第1期でコスト調整いたしましたときに、5、000万円の経常損益を残していくというスタンスでございます。基本的に、今でも何とかそこを残したいと思ってございますけれども、これから10月29日までございますが、現在精査中でございます。その中で、どうすれば収支均衡を図れるか、少なくとも、特別競馬等を開催いたしますが、そういったところを別にして、何とか経常損益を残す形でやっていきたいと思っております。
〇佐々木博委員 ぜひそうあるべきだと思います。これ、5、000万円の経常利益が出るか出ないかわかりませんけれども、これが一つののり代で、これがこの計画の安全弁になっているんですよね。これがなかったら、本当に赤字になってしまったならば即廃止、そういった話ですから、やはりそういった前提で、最低でも5、000万円ぐらいの経常損益は黒字にするという前提でリストラに取り組まなければ大変だと思います。
 しかしながら、それで本当に理解が得られるかどうかということが、関係者のこれまた私は大変な大問題だと思っているんですね。今ここに1回目の4億8、100万円コスト削減したときの表を持ってまいりましたけれども、このときと違って、あとコスト削減できる余裕って、例えば賞典費なんか第4期分しかないわけですよね。特別競馬を除けば、5期分はもうないわけですから。そうしますと、残った金額が少ない中で大幅な削減をしなければいけない。恐らく3億円近くリストラやるとなれば、賞典費なんか25%ぐらい切らなければ、この比率でやるということになりますと単純に計算しても立ち行かないですよ。
 ですから、まず一つは、この経費の削減に着手したのが遅過ぎるんだよね。もうせっぱ詰まって、もう幾らも切る余裕がないという段階で着手しようとするから物すごく大きな影響が出る。これが本当に関係者の理解が得られるかどうか。あるいは、映像の関係だとかそういったところも、本当に、前の1回目のときよりも金額は小さいですけれども、コストの削減比率はずっと大きいですよ。理解が得られますか。どういう感触を得ていますか。その辺についてお聞きしたいと思います。
〇千葉理事 最初から大きくコストを調整するというのは、具体的に明確な根拠がなければ、コストを削減される側にとってもなかなか納得が得られないだろうと考えてございます。私ども、これまでも売上見通しや、年間5期に区切ってございますけれども、期間を区切って、売上実績に基づいて見直すということと、それから売上見通しに見合うコスト調整、こういったことを関係者に要請してきて、何とか御理解をいただきながら今やっているところでございます。
 今回も、確かに調整が必要になりますけれども─11月以降の部分についてコストを削減する必要がございますが、今のところまだ具体的に交渉といいますか、まだ精査している段階なものですから、具体的な御回答などはいただいてございませんが、いずれ関係者、民間企業も含めまして、競馬事業を何とか残していく、何とか今頑張って、血のにじむような努力を重ねても何とか残すという考え方は同じだと聞いてございます。
 何とか我々、厩舎関係者も含めまして、取引先も含めまして、競馬事業を残すということで頑張ってまいりたいということで、その部分については一致しているというところでございます。
〇佐々木博委員 確かに競馬関係者は、できれば存続させたいと多分みんな思っているだろうと思います。それはそのとおりだと思います。しかしながら、例えば第4期の賞典費って幾らですか。4億5、000万円ぐらいですよね。それで、例えば3億円ぐらい削減するとなれば、大体削減の3分の1が賞典費になるわけですから、1億円近く削減しなければいけなくなってしまうわけでしょう。単純な計算ではそうですよ、この比率でやっていくということになると。
 そうすると、幾ら存続したいとはいっても、馬主の皆さんだって採算もあるわけですから、私は、そんなに簡単に理解が得られないのではないか。あるいは映像だとかコンピューターの部分だって、ことしの6月にコスト削減しただけではない、その前の年からかなり大幅な削減をしていますから、恐らく普通の企業の感覚からいったら、もう完全にコスト割れするぐらいの削減率でやってきているわけですよね。果たして本当に理解が得られるのかどうか、私は非常に心配なわけですけれども、実際その辺の感触、ある程度詰めた話というのは現在行っているんですか、それともまだ白紙ですか、いかがですか。
〇千葉理事 まだ数字につきまして精査中というところもございまして、確定的なお話はさせていただいておりません。ただ、さまざまな意見交換といいますか、随時行ってございますけれども、その中でお伺いしているところでは、削減しても何とか努力していきたいというお話はいただいているところでございます。
〇佐々木博委員 12月中に存廃の決定をするというのが知事の明言していることなわけでありますから、12月中には決定しなければいけないわけでありますが、存廃が、均衡を保つか、あるいは黒字ということが存続の条件ですけれども、もしそれができなければ年内でもやめるということになっているわけですが、来年度も存廃、均衡でいくか、あるいは黒字の見通しが立たなければ、当然、来年度の開催もやらないということになるだろうと私は思うわけです。
 そういった観点からいきますと、今の経済情勢からいけば、来年だって、ことしより売り上げが伸びる要素はほとんどないと私は思う。競馬組合の皆さんが今まで何も努力していないというなら、これは伸びるかもしれませんよ。私が知っている限りでは、かなり、売り上げを伸ばすための本当にぎりぎりの努力をして今日に来ているわけですから、この上いろいろなことをやったにしても今の経済情勢に負けてしまうと思うんですね。
 そういったこの厳しい中で今のやり方をやっていたら、本当に私は、来年収支均衡でやっていけるなんていう保証は全然ないし、計画をつくったって全然県民に理解なんか得られないと思います。それを理解を得られるようなやり方に変えていくということをやるためには、さっきもお話が出ましたけれども、例えば施設を持っているところであっても、やはりそれを切って、そして競争入札でやっていくとか、もっともっと本当にコストの競争が働くような発注の仕方をやっていかなければならない。あるいはどこか大きいところに、しっかりしたところに主催者の権能以外のほとんどの部分を一括して民間委託でやってしまうとか、そういったことであれば、あるいは黒字でやれるという、あるいは県民の皆さん方の理解も得られるかもしれません。いずれ、そういった抜本的なことをやらなければ、私は、今のやり方のままでは、来年はこのぐらい売って、こういったあれを出しますなんて言ったって、ほとんど理解なんか得られないと思うんです。
 そして、問題は、しからば、今施設があるから随意契約で発注しているというわけでしょう。だけど、もしそこを外して別なところに発注するとなったら、何か問題が出てきませんか。例えば、東北映像と覚書を交わしていますよね。27億円でしたか、要するに借り入れについて責めがあることを認識しているという覚書がある。私は再三、これは保証だと言ったけれども、前の管理者は保証ではないと抗弁していましたが、いずれ、しかし仕事から外されるというようなことになれば、民間企業として当然、私は、これは保証債務の履行請求が出てきてもおかしくないと思いますけれども、そういったことも考慮に入れながら、これからの本当に短い期間の中でこの競馬の再建策というものを真剣にやっていかなければいけないと思うんですが、その辺についてはどのようにお考えですか。
〇東大野農林水産企画室長 民間委託の拡大についてでございますけれども、岩手競馬の中長期的な視点に立った抜本的な改革というものの検討を進めるためにプロジェクトチームを設置してございます。その選択肢の一つとして、民間委託の拡大について検討してございます。
 仮に大幅な民間委託を行う場合であっても、まずもって、その民間委託の相手方の意向が尊重されるものと考えてございますが、今後の検討におきましては、現在の委託契約について、随意契約としている理由、また契約相手方を変更する場合の課題、これにつきましても十分に検討する必要があると考えてございます。
〇佐々木博委員 そのとおりの答弁だと思うんですね。だから、こうやれば本当はもう少しうまくいくと思いながらも、実際踏み込めないというのが、私は、今の岩手競馬が抱えている大きな問題だと思います。だけれども、それをやらなければ、私はもう来年だって、来年度みんなが、これならば大丈夫収支均衡で行けるというような事業計画、信頼できるような事業計画は作成できないのではないかと思っているんですね。そういった点では、本当にプロジェクトチームでも何でも結構ですけれども、そういった思い切った大幅なことに着手せざるを得ない、今、本当にそういう状況だと思いますよ。
 ですから、そういった点を見ていますと、正直言って、やはりちょっと進め方に不足の思いはあるわけです。もっともっと切り込んだらいいのではないかと。私なんかは本当にそう思っているんですけれども、その決意を、管理者ではないからあれだけれども、ちょっと伺って、私の質問を終わりたいと思います。
〇高前田農林水産部長 今、御指摘いただきました、現在取り組んでおりますプロジェクトチームの検討といったようなことも含めまして、しっかりと危機感を持って取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋比奈子委員 競馬の赤字というのは、本来、競馬の資産を活用して負債の解消に充てる、つまり構成団体に迷惑をかけないようにという手法をとるべきというのがだれもの考えだと思うんですが、これまで2度、競馬をよくわかっている方々が再生のための手法を平成13年から提案してきたと私は認識しておりますが、さまざまな誤解などで公の場で報告されることはなかったと思っております。
 平成13年に初めて出た赤字、その後の大切な再建時期に、目まぐるしい混迷人事が行われながら、さまざまなこれまでの経過を見ると、その任命責任を初め、赤字になった責任は一体、本当にだれがとるんでしょうか。県民の税金にだけ押しつけているというのが事実だと思います。
 私は、そこで、これまで2度手法を提案した方々や競馬を再生しようと考え応援している方々が、今回はラストチャンスで、ピンチをチャンスにできる可能性がまだあると。これは、ただいまの佐々木委員のほうからも、抜本的なことをやらなければいけないとか、それから千葉理事のほうからは、残すために何とか全力を尽くしたいということと合致していると思うんですが、再生するためには、まず仕組みを変えなければいけないと思うんですね。計画の仕組みですね。これに関してどう思われるか。
 これはどういうことかといいますと、今までの売り上げに合う、今本当に可能な売り上げに合う計画にきちんと変えるということです。どういうことかというと、コストカットがほとんど主で、縮小均衡で再生した会社というのは、私は余りないと思うんですね。厩舎とかはもうコストカットで生活できないというようなこともお聞きしているので、その仕組みを変える、これまでの考えのコストカットだけではない、そういう手法をとるべきだと思いますが、この点はどうでしょうか。
 抜本的なことをやらなければいけないという、佐々木博委員からもそういうお話がありましたので、私は今、抜本的なことをやるべきだ、そういうふうに考えております。その点。
 それから、改正競馬法は岩手のために行ったと私は認識しておりますが、それが生かれされるよう、これにのっとって民間委託をするべきだと思うんです。先ほど高橋委員のほうからは民間委託という一つの例がありましたが、私は、岩手競馬の赤字前からのさまざまなことをわかっている人の知恵と提案をかりて民間委託をするということ、そういう計画が非常に大事ではないかと思っております。
 民間委託をするというのであれば、いつまでにその検討をすればそれができるのかという期限があるとすれば、それをお聞きしたい。
 それから、民間委託についてはどのようにお考えか。
 それから、もう一つ、もし今廃止をすれば、一体私たちの税金を幾ら投入しなければいけないと試算しているのか。3点お伺いします。
〇千葉理事 最初の御質問でございますけれども、今の新計画でございますが、確かにコストカットといいますか、売り上げに応じてコストを調整していくという機能が一つございます。ただ、もう一つの面としまして、売り上げを上げるために、例えば競争の番組の改編でありますとか、あるいは岩手競馬は中央にない芝コースを持ってございますけれども、そういった岩手の特色を生かしたレース編成でありますとか、いろいろな中で売り上げを拡大するような施策についても触れてございます。
 我々そういったところにも、先ほどからコストの調整の話はさせていただいてございますけれども、一方で、売り上げをいかにして伸ばしていくか、そういったところに必死になって今取り組んでいるところでございます。
 例えば、これまでのように、3、000メートルのレースなんかをことし7月に実施してございましたけれども、ことし初めてやったんですが、あれは賞金が37万円という大変小さいレースだったんですが、売り上げが、その1レースだけでも三千数百万円行くんですね。そういったお客さんに支持されるレースもございました。そういった中で、特色をつけたレース編成でありますとか、お客様の視点に立った形での運営、そういったことにも取り組んでいるところでございます。
〇東大野農林水産企画室長 民間委託についてでございますけれども、今、競馬組合は、新計画に掲げてございますコスト管理を徹底することで収支均衡を実現していくということを基本といたしまして、岩手競馬の再生に取り組んでいるところでございまして、売り上げの動向に対応して、年度を通じての収支均衡を図るようにコスト削減に取り組んでいく、これによって、まず経営の安定化を実現していくということが必要と考えてございます。
 これとあわせまして、さらに厳しさを増していくような経営環境を踏まえまして、プロジェクトチームを設置して、岩手競馬の将来にとってどのような経営のあり方が望ましいのかという中長期的な視点で抜本的な改革についても検討してございまして、民間委託につきましても、どのような方法が岩手競馬に適しているのか、さまざまな可能性について論点整理を行っているところでございます。
 プロジェクトチームでは、考えられる改革の選択肢を幅広く検討していくこととしておりますので、その検討には一定の期間が必要と考えてございまして、平成19年度内の取りまとめということを予定してございますが、検討の途中で状況の変化等ございますれば、その状況に応じて弾力的に作業を進めていくことも想定してございます。
 それから、廃止の場合のコストでございますけれども、スタンドの撤去、それから競馬関係者への見舞金等が出されるのが先例の廃止の場合の例でございますので、現在330億円融資してございますけれども、それも含めて、総額で372億円というところで見込んでございます。
〇高橋比奈子委員 確認ですが、ということは、今330億円プラス42億円、これから42億円さらに多くなるということなんですか。
〇東大野農林水産企画室長 廃止の形態にもよりますけれども、42億円追加費用として必要ではないかと試算してございます。
〇高橋比奈子委員 それでは、実際にまたこれだけのお金がかかり、しかも330億円融資、実際には構成団体への融資がありますので、これだけの、貸付金という説明がずっとありますので、それも返ってこないと本当に大変な事態になると思うんですね。ですから、競馬を存続させるという中で、さまざまな固定資産を流動資産に変えるとか、資産を売却するとか、発売権の問題とか、本当にたくさんのことを検討できると思うんですね。
 今、3月をめどとおっしゃいましたが、3月では12月の来年度開催のための国への申請に間に合わないのではないですか。ですから12月中に、例えばどういう計画で行くんだとか、民間委託にして必ず再生できる道を探るんだというのを決めるのは、12月中ではないかと私は思うんです。
 実際には、12月中に競馬開催の申請をしなければいけないということになっていると思うんですが、その12月中という限度はいつまでなんでしょうか。
〇千葉理事 農林水産省に来年度の開催日程を報告するのが12月いっぱいと言われております。
〇高橋比奈子委員 それでは、それを決めるのは、やはり管理者の知事だと思うんですね。ということは、知事に実際に、これまで知事になって本当に日が浅いですので、いろいろ経験もされていますし、たくさんの知恵がある知事だとは認識しておりますが、存廃を考える判断基準をしっかりと示していかなければいけないと思うんですね。ですから、本当に12月の初めぐらいには、また12月中旬には、その判断基準、存廃を決める判断基準をきちんと示さなければいけないと思うんです。ですから、やっとこういう競馬に関するプロジェクトチームとか、先ほど前議長からもお話がありましたけれども、やっとここまで来たなと私は思っている一人で、3月に検討するのは遅い。状況が変われば変更もあり得ると言いましたが、12月中旬までにきちんとした指針を示さなければ、存廃の基準も決められないと思いますが、いかがですか。
〇千葉理事 新計画に基づきます存廃基準でございますけれども、競馬事業存廃基準では、今年度の経常損益が黒字または収支均衡であること、それから、来年度の経常損益の収支均衡を達成する見通しがあること、これが存廃基準となってございまして、この両方をクリアすることが、競馬事業継続の判断基準となっているところでございます。
〇高橋比奈子委員 12月中ではないかということ、中旬までというのは、何もおっしゃらないんですか。
〇千葉理事 先ほどお話ししましたけれども、国に対して報告いたしますのが12月いっぱいでございますが、当然、そのときまでに大体もう、岩手競馬が1月の半ばまでございますけれども、大体のめどは立つということでございます。その中で、12月末までに農林水産省に事業継続ということで報告したいと考えております。
〇高橋比奈子委員 それでは、12月いっぱいまでに決めるということは、民間委託を含めたさまざまな方向性が、やはりきちんとしなければ、存廃するかどうかというか再生するかどうかも決められないですよね。漠然と、ただ継続しますとか、やめますということはないと思うんですね。ですから、12月のそのきちんと申請するまでに、民間委託をするとか、こういう手法でするとか、そういうことをしっかりと決めるべきと思うんです。その点を私は質問しております。
 その上では、実際に経営をするときのいろいろな指針は、県庁から行った関係者が決めますよね。本当に寝ないで一生懸命やっていらっしゃると思うんですが、実際に赤字になったときは、プロパーの職員の人たちだけが給料カットになったり関係者が給料カットになっていて、これまで経営権を握ってきた方々は、何も、お金をもらっているだけで、給料をもらっているだけで、どこも懐は痛んでいないですよね。こういうままでは、私は、競馬関係者と実際に計画をつくろうとしている県との間に溝ができると思うんです。
 ですから、その点も踏まえて、本気で再生に、自立再建可能かどうか、それには、改正競馬法を生かして民間委託をするということを12月のそれこそ31日までであれば、県庁がお休みになる前、しかも知事が判断を決める前にしっかりとした計画を出すべきと思うんですが、これに関してお伺いして、終わりにします。
〇千葉理事 先ほどもお話し申し上げましたけれども、国に対して報告するという前提では、前提になりますが、当然、来年度も何とか今の計画の枠組みで継続できるというのが前提になります。それを、その判断の上で、農林水産省には、競馬組合議会とも当然御協議申し上げるのが前提ですけれども、その中で、国に対して報告申し上げるということでございます。
 民間委託につきましては、必ずしも民間委託でなければ来年度もできないということでもございませんので、いずれにしても私ども考えてございますのは、今のスキームの中で事業存廃が、来年度収支均衡がやれるかどうか、そういった判断をしながら、国に対して来年度の開催日程を報告するということを考えてございます。
〇高橋比奈子委員 最後にしますと言いましたが、今までの枠組みの中でというのでは難しいし、皆さんもそう思っているというのを、これまでの方々もお話をされていると思うんですね。ですから、今の答弁には納得できません。今までの枠組みの中でというのは、これまでもそういう考えでやってきたからここまで来たのであって、私は、仕組みを変えるとか、民間へ委託をするとか、さまざまなことを、本当にありとあらゆる考えを、競馬関係者が知恵を出し合って再建のために最大限に努力をしますという答弁がいただきたいです。
〇高前田農林水産部長 12月末までの判断についていろいろ御議論いただいておりますけれども、12月末の判断というのは、一つは、今のスキーム、これがまず前提と考えておりまして、今の売上高に応じたコストの削減ということで、収支均衡を達成して赤字を出さないというこのスキームで、まずは、とにかく関係者の御理解をいただいて競馬を継続していくということでございます。
 それとあわせて、将来的な話、中長期的なこともしっかりと議論していかなければならないということでございまして、今まさにプロジェクトチームでの議論を鋭意やっているところでございます。そういったような、まずは、とにかく今年度の収支均衡の実現、そして、今のスキームの中で、来年度以降も取り組めるような検討と、あわせて中長期的な検討をしっかりやっていくということでございます。
〇新居田弘文委員長 この際、昼食のため、午後1時まで休憩いたします。
   午前11時50分 休憩
午後1時4分 再開
〇嵯峨壱朗副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇佐々木順一委員 競馬問題についてお伺いします。
 岩手県競馬組合事業運営監視委員会につきまして若干お聞きしたいと思います。
 まず、この委員会はどういう目的で、どなたの指示で設置されたのでしょうか。
 それから、執行機関の監視に当たるということで監視委員会ということになったと思いますが、一方において、競馬組合議会が議事機関としてあります。これは、紛れもなく執行機関の監視に当たる任務が第一だと思います。よって、議会がある一方において監視委員会をつくるということは、ある意味では、見方によれば議会を軽視したという指摘も当たるわけでありますが、この点については、設置の協議の過程の中で、そういった疑問点やら指摘がどなたかから出なかったのかどうかということ。
 それから、本年8月に報告書が出ておりますが、どのようなことが明らかになったか。そして、この報告書の内容が今後の競馬事業にどのような影響といいますか、効果をもたらすのか。
 以上、とりあえずよろしくお願いしたいと思います。
〇東大野農林水産企画室長 競馬事業の監視委員会のことでございますが、最初に、監視委員会の目的でございます。構成団体が設置した監視委員会でございますが、法律、経営等の専門家によって構成する任意の組織ということで、利害関係のない第三者が専門的な立場から、過去の経営悪化や累積債務の拡大、現在の競馬組合の事業運営について検証、調査していただいて、助言を得るということで設置したものでございます。この助言は、構成団体の長に助言するということで、それを主たる目的としているものでございまして、構成団体の長の合意で4月に設置したものでございます。
 次に、競馬組合議会との兼ね合いでございますが、競馬組合議会は、委員が御発言のとおり、あくまで公共団体である競馬組合の議決機関としての権能を有する機関でございます。それに対しまして、監視委員会はあくまで構成団体の長に対する助言を目的とする任意の機関ということで、性格が違うと認識してございます。
 3点目でございますが、監視委員会の成果でございます。これにつきましては、去る8月、検証結果を報告書に取りまとめていただいたところでございまして、その報告書の中には、競馬組合のこれまでの経営が、その時々の情勢変化に適切に対応できておらず反省すべきといった指摘、それから、岩手競馬の将来にとってどのような経営のあり方が望ましいのか、中長期的な視点に立って抜本的な改革についても検討を進めることが必要といった御意見もいただいたところでございまして、構成団体としては、まず、この指摘については十分に反省し、再び経営悪化や累積債務が拡大することがないよう、速やかに競馬組合と連携をとりながら事業運営をしていきたいと考えてございますし、抜本的な改革の検討についての御意見につきましては、先般、構成団体にプロジェクトチームを設置し、持続可能な岩手競馬の構築を目指しまして具体的な検討を進めているところでございます。
〇佐々木順一委員 委員会の所掌事務に、たしか、第1番目に組合の経営悪化及び累積債務の拡大についての検証に関することが掲げられております。このことの徹底調査のためには、過去の資料とか記録といったもので調査するのは、私は限界があると思っております。よって、恐らく当時の組合の中枢にかかわった方々から意見の聴取もされたと思いますが、どのような方々が意見聴取の対象になったのでしょうか、お聞きいたします。
〇東大野農林水産企画室長 聴取の対象になった者は、盛岡競馬場の整備を開始する時期から改訂実行計画を策定する前までに、常勤の副管理者あるいは事務局長として在籍なさった方でございます。
〇佐々木順一委員 副管理者、事務局長ですか。副管理者といえども、今の位置づけは、広い意味で事務方的な方だろうと思います。これでは、ある意味では通常の徹底検証にしかならないのではないかと思うんです。競馬は、繰り上げ充用以来、今日までさまざまな問題に直面してまいりました。その都度、政策判断なり、あるいは意思決定が行われたわけでありますが、これは最終的には歴代の管理者にまず監督責任、管理責任がありますから、ある意味では、そういった方の意思が多分に政策判断なり変更なりに影響を与えるものと思います。したがって、こういう方々から聞き取り調査をしなければ、さっき申し上げましたが、委員会の所掌事務の経営悪化及び累積債務の拡大についての検証ができないのではないかと思います。私は、前の管理者から、委員会が本当に徹底的に調査するのであれば、また、真相の解明を含めて、行政上の責任は果たしたものと思っておりますが、政治的な責任なり、あるいは道義的な責任などについては、この委員会の調査では全然不明確なところがあると思います。よって、歴代の管理者─管理者といっても1人しかいないわけですから、出張聞き取り調査なりをやるべきではないかと思います。これは委員会の使命達成のためにです。(「具体的に」と呼ぶ者あり)具体的にということですが、そういう御意思があるかどうか、お聞きしたいと思います。
〇高前田農林水産部長 監視委員会におきましては、ことしの4月に設置して以来、組合の経営悪化と累積債務の拡大について精力的に検証に取り組んでいただいたところでございまして、その結果、去る8月に報告書として取りまとめをしていただいたところでございます。この検証に当たりましては、保存されているさまざまな文書を詳細に確認しながら作業が進められたということでございますが、現存する文書の調査だけでは、当時の情勢等、経緯も含めて、十分確認できないといったようなことにつきましては、監視委員会が必要と判断した関係者から直接聞き取りをさせていただきまして、当時の状況とか経過等を確認したものと承知いたしております。
 このような検討を経まして、監視委員会では去る8月に報告書を取りまとめていただいたということでございます。
〇佐々木順一委員 それは経緯ですよ。だから、さっき言ったとおり、前管理者から意見聴取をする用意があるかどうかと、これだけ聞けばいいんですよ。ないなら、ないでいいんです。私は、本当に徹底調査するのならば、やる必要があるのではないかと言っているわけでありますから、その点について、農林水産部として監視委員会に対して働きかけをするのか、しないのか、ここだけ聞けばいいわけです。
〇高前田農林水産部長 先ほどお答え申し上げましたとおり、監視委員会が必要と考えて認めた関係者からは聞き取りは既に終了いたしておりまして、8月には監視委員会としての報告書をまとめていただいたということでございますので、現時点におきましてはそういったような予定はございません。
〇佐々木順一委員 では、徹底解明にならないですよね。監視にもならないと思います。これ以上やると、議論は平行線になると思いますから、次に移りますが、ただし、本当に徹底的に今までの何が問題であったのかということを県民の皆さんに明らかにする必要があるとすれば、やっぱりやるべきことはやらなければならないと思っております。そういうことを指摘させていただきまして、次に入ります。
 午前中、佐々木博委員のほうからも存廃基準の関係でお話がありました。私は、部長の認識をただ1点お伺いしたいと思います。
 この存廃基準は非常に耳ざわりはいいんです。これは、ある意味では究極の自己責任だと私は思います。しかしながら、これは耳ざわりはいいんですが、例えて私は言います。管理者イコール誉れの高い名医だと思ってください。それから、競馬組合関係者はある意味では患者だと思っていただければいいと思いますが、誉れの高い名医が患者に対して医療行為をしないで、ただ一つ、この器械を死ぬまで握り締めていればあなたは生きられるから、死ぬまでそれを握っていなさいと言っているようなものですよ。こういうものを果たして見識ある政策と言えるのかどうか。導入した限りはやらざるを得ないわけでありますが、この点について部長の認識を1点問いたいと思います。
 もしこれが社会的に、今後、県民の方からの評価が高まる─評価が高まるという話はおかしいんですが、認知が深まっていって、やっぱりそういうものはあらゆる問題に導入すべきだとなれば、今、第三セクターである三鉄にしろ、あるいはIGRにしろ、極端な話、医療局あるいは県庁は赤字が出ているわけですけれども、それはそこにいる方々が自己責任でやれというようなことにもなりかねないわけなんです。こういうものはやっぱり軽々に導入してはいけないと思うし、ある程度めどがついたならば、やっぱり外してあげないと物事は進まないし、変な価値観を与えることになると思います。そういうことで、この存廃基準について、今、例え話を申し上げましたが、部長はどういう認識を持っているのか、お伺いいたします。
〇高前田農林水産部長 ただいま、存廃基準につきまして医療行為に例えたお話がございました。この問題につきましては、御承知のとおり、この3月に大変な議論の末に330億円の融資をお認めいただいたということでございまして、まず、こういった背景については十分留意する必要があると考えております。そういった意味におきまして、やはり新計画においては、競馬事業を継続する場合であっても、新たな赤字を発生させないような仕組みとして、収支均衡を基本とする競馬事業存廃の基準を設定したものでございます。したがいまして、新計画の枠組みの中で岩手競馬の再生に取り組んでいるという以上におきましては、競馬事業存廃の基準は必要なものと認識いたしております。
〇佐々木順一委員 導入した限りは、やっぱり必要だと思います。ただ、黒字になればいいわけでありますが、いつまでも未来永劫にこういうものに頼ってはいけないと私は思うんです。もっともっといろんな知恵を出して、午前中から民間の話もありましたし、いろんな話がありましたけれども、ここだけに頼って競馬を健全化させるということは、ある意味では、本当にその方々に地獄の苦しみを与えることになるわけですから、どうぞ、そういう点を頭の中に置いて、できるだけこういったものに頼らない健全策をさらに考えていくべきではないかと思います。
 それで、今の状況はまさに負のスパイラル、八方ふさがり、打つ手なし、座して死を待つのかということになるわけでありますが、過去においても、ことしの6月ですか、我が同僚の工藤大輔委員も制度の改革について一般質問をされておりました。工藤大輔委員は払戻金の規制緩和についてお尋ねをした経緯があります。これは、一口に言いますと、制度の改正を求めたということになるわけでありますが、ついては、これまで制度改正について県としても何回か国に要請されたものと思っておりますが、どういった内容のものをどなたが先頭になって国に対して要請されたのか、そのときの国の見解はどうであったのか、これをお尋ねいたします。
〇東大野農林水産企画室長 競馬事業に関する国に対する要望の関係でございますけれども、県といたしましては、これまで他の競馬事業を実施している県・道と連携いたしまして、例えば地方競馬全国協会の交付金について軽減を図ることや、競馬主催者間で連携した場合に連携補助金がございますけれども、これに対して施設整備事業が現在中心になっているということで、ソフト関係事業についても連携補助の対象にしてほしいといったような要望をいたしておりますが、この交付金の還付、減免に関しましてはなかなか難しいといったような状況にはございますけれども、先般、競馬法が改正され、ソフト事業に対する連携補助につきましては多少弾力的な運用ができるような条項になっておりまして、今後、具体的にどのようなソフト事業を連携補助金の対象にするかというのが明らかになってくると聞いてございます。
〇佐々木順一委員 管理者も先頭に立って陳情要請のときは行ったわけですよね。行かないんですか。新聞に出ていましたよ。たしか、地方競馬組合を持っている知事の方々が国に対して要請したと。どういうことか、私は忘れましたが、いずれやった経緯はあったと私は記憶しておりますので、もし、わかればお願いします。
〇東大野農林水産企画室長 各県で連携して、知事あるいは副知事、副知事の都合がつかない場合は部長といった、各県の事情はさまざまでございまして、本県の知事が最近でこの要望で省庁に……(佐々木順一委員「今のではなく、前の知事」と呼ぶ)
 前知事がこの関係の要望で省庁を訪問したということについては、私が着任以降ではございません。
〇佐々木順一委員 だれが行ってもいいんですが、いずれ、前管理者は、先ほど高橋雪文委員のほうからもありましたが、総務大臣になっております。前管理者は岩手競馬のすべてを知り尽くした方でもあります。よって、どういうところが問題で、岩手県が制度改正に関してどういうことを望んでいるかということもわかっているわけであります。今度は、要請をする立場ではなく、受ける立場にあるわけでありますから、総務大臣に就任されたのは、ある意味では岩手県の競馬問題に関して、あるいは岩手県の県政をさらに推進する上においても非常に幸いなことかな、朗報かなと思っております。
 よって、先週、我が岩手県議会の先輩でもありますが、仏の黄川田代議士が─岩手県は仏の方もおりますし、伊藤委員のような菩薩さんもおりますから、まさに悟りの道に濃い岩手県議会でありますから─競馬問題についてお尋ねを総務大臣にしておりました。ここに簡易議事録があります。要点をかいつまんで申し上げますと、全国一、基金を取り崩したことや、繰り上げ充用をやったことなどを中心に総務大臣にただしております。総務大臣はその質問に対して、競馬問題は大変な問題であったと振り返りながら、未解決ないし非常に困難な問題を残しているとの認識を示すとともに、主務省庁でいろいろ考える部分はあるが、地方財政全般の問題として、それぞれの団体が抱えている問題について、丁寧に地域の皆さんの思いを受けて解決に努力するのは当然である。総務省の立場で解決に努力していきたいと。これは財政全般を含めての話でありますから、しかしながら、切り口は競馬問題でお尋ねしたわけであります。こういった答弁をしております。よって、これまで国に要請した状況と変わっているわけであります。要するに、前管理者が今度は総務大臣として国政全般に責任を持つ国務大臣になっているわけであります。しかも、地方競馬についての問題点などには一番精通してすべてを知り尽くしているわけでありますので、私は、岩手県の競馬問題の責任の一端を今後とも果たしていただくためにも、事務方として競馬問題に一番取り組んできた部長は、もう一度、黄川田代議士の質問も踏まえながら、総務大臣に、これまでの制度改正をさらに要請すべきではないかと思いますが、部長の御見解をお聞きいたします。
〇高前田農林水産部長 ただいま、岩手競馬の再建ということで総務大臣に要請を検討してはというようなお話をいただきました。これまで、岩手競馬の経営改善ということで、先ほど企画室長から御答弁申し上げましたように、共同利用施設等の経費等々の要請・要望をさせていただいたところでございますが、御案内のとおり、現在要望している内容につきましては、これは所管が農林水産省ということでございまして、直接の所管大臣ではないということでございますので、ただ、今、委員からお話がございましたような国会での議論ということも踏まえまして、総務省にお願いするとした場合に、どのようなことがあるのかということは少し勉強させていただきたいと考えております。
〇佐々木順一委員 勉強ということは、研究してみるが、だめな場合はやらないという理解でもよろしいんですか。
〇高前田農林水産部長 先ほど申し上げましたように、どういったことが総務省の関係で、制度的な面を含めて要望事項としてあるのかということをまず研究させていただきたいということでございますので、その結果を見ないと、この場で、その要望をやる、やらないのお話はお答えできないと考えます。
〇佐々木順一委員 いずれ、期待は申し上げたいと思っております。せっかくの3期12年務められた前知事でありますから、議事録を見ると、ふるさとに対しても何らかの心配をしている、そういう配慮もにじませておりましたものですから、いろんな角度から当たってみる価値はあるものと思っております。
 あとは、一連の競馬問題について、前管理者は乾坤一てきという言葉を使っておりました。ラストチャンスもありました。特にトップのリーダーは、職を賭してと語った方もおります。いずれにしろ、このように言葉は躍るが、最後は言葉だけで終わってしまって、そのしりぬぐいは県民がすべて払わなければならないというのが今の現実だと思っております。今度の競馬の再建案は、委員も御承知のとおり、1回、執行部提案を否決して、議会で修正案を出して、そして通ったものでありますから、ある意味では岩手県議会も重い責任を背負っていることは私も認識しております。よって、いろんな角度からこの再建に取り組まなければならないことはそのとおりでありますが、最も大事なのは、ここまで悪化させた要因は一体何なのか。ここをしっかりと確認しないと、物事は進まないと思います。
 もう一つ、最後に部長の認識だけ聞いてやめますが、先ほども言ったとおり、行政上の責任は、ことしの3月の議会、臨時議会で一応決着がついております。あのときは一応の決着がついていると思いますが、残る政治的な責任なり道義的な責任は、今もって私は前管理者にあると思っております。よって、そういう意味で、先ほど国会の議事録も紹介しました。そういった責任を果たしてもらうためにも、ぜひ努力をしてもらうような働きかけが必要ではないかという視点で申し上げたわけでありますが、部長も答えづらいかもしれませんが、競馬をここまでこじらせた責任は前管理者にあると思うのか、ないと思うのか、言及できないのか、いずれ、この1点だけ聞いて、私は質問をやめますから。
〇高前田農林水産部長 前管理者の責任についてというお尋ねでございます。この点につきましては、先ほど来お話に出ておりますように、監視委員会の場でもいろいろ検証された結果がございます。この結果によりますと、これまでの競馬組合の事業運営に、当時の経済動向や経営状況から見れば、明らかに法令に違反するものや著しく合理性を欠くと認められるような事案はなく、現時点で評価すれば、経営判断に結果的に問題があったとしても、当時の関係者の個人としての法的責任を問うには至らないといったような結論をいただいております。こういったようなことから、私どもとしては、この結論のとおりの認識でございます。
〇熊谷泉委員 私のほうからは、農林関係で持っている試験場あるいは研究施設についてお尋ねいたします。
 まず2点。どのぐらいの人員が配置されているのか。そして、その職員の方々は大体どのぐらいの年数で転勤というか、交代をされているのか、お伺いいたします。
〇宮下農業普及技術課総括課長 それでは、県の試験研究機関についてお答え申し上げます。
 まず、当部が所管いたします農業関係の研究機関であります農業研究センターの職員数についてでありますが、平成19年4月現在、農業研究センター本部には94名、畜産研究所には63名、県北研究所には17名、合計174名が配置されております。このうち研究職員は106名ということになっております。
 次に、農業研究センターに勤務している職員の勤務年数についてでありますが、研究テーマといったようなことで勤務年数が長期になる職員はおりますが、おおむね5年となっております。
〇熊谷泉委員 それらを踏まえて、研究機関はある意味、産学官、大学もあるし、国、民間、そして他県にもいろんな試験の機関があるわけですが、本県では大体どのようなコンセプトで研究テーマを決めておられるのか。
 次は、他県と比べて何か差別化ができるようなテーマが取り上げられて、5年間という期間だとは思いますが、長年にわたって本県の特徴で続けられているテーマがあるのか、その点をお伺いいたします。
〇宮下農業普及技術課総括課長 まず、研究テーマのコンセプトについてでありますが、本県におきましては、本県農政の推進方向や農業者等の現地ニーズを踏まえまして、農業の競争力の強化あるいは担い手の育成などに資する収益性の高い生産技術や飼養技術、また地域資源の高付加価値化技術などの開発を目的として研究テーマを設定しているところであります。
 なお、具体的なテーマにつきましては、普及センターを通じまして、現場の生産者や関係団体などの要望を集めた上で、外部の有識者等による研究会議において、緊急性や重要性も考慮しまして決定しているところであります。
 次に、その研究テーマの具体的な内容についてでありますが、長年の取り組みの中で成果を上げている研究テーマとしては、水稲のどんぴしゃりやリンドウのポラーノブルーなどの農作物優良品種の開発、また、第5夏藤や菊茂勝などの優良種雄牛の作出などがあります。また、本県の特徴的な研究テーマとしては、雑穀の新品種や栽培技術の開発、やませを生かしたホウレンソウやアスパラガスなどの栽培法の確立、日本短角種の粗飼料多給肥育技術の開発などがございます。
〇熊谷泉委員 今、他県と比べても特徴あるものが何点か出ましたが、それらの技術が、今、農業普及所が縮小されている中で、成果が一般の農業者にどのように還元をされているのか。
 もう一点は、第5夏藤とか出ましたけれども、鳥に関して言えば、青森県も秋田県もそれぞれ特徴ある鳥があるわけですが、南部かしわ等、県民でもまだ名前を知らない、あるいはPRされていないものもあります。せっかくつくった品種を事業にのせるだけの手当がなかなかついていかないところがあると思いますが、その辺についてのお考えを伺います。
〇宮下農業普及技術課総括課長 まず、研究成果の農業者への還元についてでありますが、産地間競争がますます激化する中で、県内産地の競争力強化や農業者の経営発展を図っていくためには、研究と普及との密接な連携が必要だと思っております。また、密接な連携によって、農畜産物の高付加価値化や生産性向上技術などの開発と、その速やかな定着が極めて重要であると考えております。
 このようなことから、例えば麦・大豆栽培の単収向上対策として新たに開発した小うね立て播種栽培技術を初め、有利販売が期待されるアスパラガスの促成栽培技術や、リンゴの改植後における収穫までの年数を短縮できる大苗移植栽培技術など、農業者の所得向上に直結する新技術の早期普及を目指して、農業研究センターや農業改良普及センター、JAで編成したチームにより、現地実証試験や濃密な普及指導活動を展開し、産地づくりに顕著な成果が上がっているところであります。
 今後におきましても、農業研究センター、農業改良普及センターはもとより、市町村、JA、さらには地域の先導的な農業者が一体となった取り組みを積極的に進め、研究成果のより迅速な定着、普及拡大を図ってまいりたいと思っております。
〇高橋振興・衛生担当課長 先ほどお話のありました南部かしわについてでございますけれども、こちらのほうは岩手県の畜産研究所で開発させていただいております。そして、生産農場等との意見交換会を定期的に開くなどして、今後の取り組み等についても取り組んでいるところでございます。
〇熊谷泉委員 最後に、この点に関しては、最近、農業において、国内の競争はそのとおりですが、リンドウなど海外に輸出しているものもありますが、本県で開発された新品種あるいは種雄牛等は、県外の流出、あるいは知的財産ということでどのように守られているのか、その点をお伺いいたします。
〇宮下農業普及技術課総括課長 知的所有権の保護についてでございますが、農業研究センターでは、水稲、果樹、花卉など48品種を開発し、これは種苗法に基づいて品種登録を行い、品種育成者としての権利を確保しております。これらの品種利用については、原則として県内栽培を条件に許諾をしておりまして、県外利用は厳しく規制しているところであります。
 また、種雄牛の精液につきましては、県外への流出等を規制する法制度はありませんが、国においては、国内の家畜遺伝資源保護の観点から、本年3月に家畜改良増殖法施行規則を改正しまして、人工授精師等による精液の受け払いなどの記録の徹底を図ったところであります。
 なお、本県で作出された黒毛和種種雄牛精液の県外販売は、県及び生産者団体等で構成する協議会に諮った上で許諾する仕組みとなっており、過去5年間の県外販売は全体の約2%で、この大半は種雄牛の早期能力判定等に使用されているものであります。
 オリジナル品種や種雄牛につきましては、県民の財産であり、今後とも積極的にその開発と保護管理に努めるとともに、産地全体でその権利を守っていくことが重要であるということから、生産者の皆さんを含めまして、岩手県知的所有権センターとも連携して、知的財産の保護や管理についての意識啓発などに努めてまいりたいと考えております。
〇熊谷泉委員 それでは、稲についてあと2点お伺いいたします。
 239ページの新いわてオリジナル水稲品種開発事業についてですが、本県のオリジナル品種について、作付面積とその割合を教えていただきたいと思います。
〇工藤水田農業担当課長 初めに、本県オリジナル水稲品種についてでございますけれども、本県における水稲オリジナル品種の開発は昭和59年から開始しておりまして、沖縄県石垣島で種子増殖しましたかけはしが平成5年に奨励品種に編入されましたのを初めといたしまして、現在までに主食用うるち米を4品種、もち米1品種、酒造好適米2品種の計7品種を開発しております。これらオリジナル品種の県内での作付面積は約6、000ヘクタールで、水稲作付面積の約1割を占めております。
 品種別の作付状況を申し上げますと、うるち米では、まず、県北部で栽培されているいわてっこが約3、300ヘクタールと最も多く、また、一昨年に奨励品種に編入した県中南部向けのどんぴしゃりが約1、100ヘクタールと急速に作付が増加しており、これに次いでかけはしが約1、000ヘクタールとなっております。また、もち米では、もち美人が約400ヘクタールとなっているほか、酒造好適米では吟ぎんがや吟おとめが150ヘクタール作付されている状況でございます。
〇熊谷泉委員 これらの品種も約10%定着しているようですが、今、秋田県はあきたこまち、宮城県はひとめぼれとあるわけです。最近人気を博している北海道のきららも、値ごろ感と品質ということで人気があったわけですが、ここへ来て、それらも大分低迷しているということで、今、岩手県でやっているオリジナル品種を、これからどの辺に改良のコンセプトを持ってやられていくのか、それをお伺いいたします。
〇工藤水田農業担当課長 水稲品種開発のコンセプトについてでございますけれども、本県の主力作物であります米につきましては、本県の気候風土に適合した品種で、消費者や市場ニーズにこたえられる品種を開発し、これを作付拡大することによりまして、厳しい産地間競争の中でも勝ち残れる産地づくりを推進することが重要であると考えております。このようなことから、まずもって冷害を克服できる耐冷性と、消費者ニーズにマッチした食味の向上に重点的に取り組みまして、県北・沿岸向けのかけはし、いわてっこを開発してまいりました。
 また、近年の消費者の安全・安心志向ニーズの高まりに対応しまして、耐冷性、食味という要素に加えまして、減農薬栽培が可能な耐病性の要素も加味し、平成17年にどんぴしゃりを開発したところであります。さらに、最近では無農薬栽培や減農薬栽培に対する消費者ニーズが一段と高まっておりますことから、現在、ひとめぼれと同等の食味を持ち、ひとめぼれ以上に耐病性にすぐれた品種の開発に取り組んでおります。こうした主食用米の開発のほかに加工用需要にも的確に対応するため、酒造好適米として吟ぎんがや吟おとめを開発するとともに、従来の品種にはない白さが際立ったもち美人のような特色のあるもち米を開発してきたところであります。
 また、外食、中食など近年急速に増加している業務用需要に対応しまして、冷めても食味の落ちない低アミロース米の育成にも取り組んでおります。さらに、最近では米の低コスト化や飼料用米、バイオエタノール等の他用途の米の生産ニーズにこたえるため、労力を大幅に軽減できる直播専用品種や、飼料用米やバイオエタノール用原料に適した超多収品種等の育成などにも取り組んでいるところであります。
〇熊谷泉委員 かなり目的が多岐にわたっているようですが、まず、ひとめぼれ以上の食味が得られるような米の開発をお願いしたいと思います。
 米については最後ですが、これは地域的なものかもしれませんが、ことし、平成17年に次いでカメムシの被害が大変発生しております。県央部の岩手町農協管内ですと、私の資料では、10月10日現在で約16万袋の保留がなされていまして、出荷米の40%、きのうちょっと伺ったところによりますと、24万袋が保留になっているということであります。約85%がカメムシの被害ということですが、これについて県ではどのような指導をなされたのか、防除についてお伺いしたいと思います。
〇宮下農業普及技術課総括課長 カメムシの防除指導についてでありますが、県病害虫防除所では定期的な巡回調査を行いまして、この結果に基づきましてカメムシの発生状況や防除に関する情報を随時現場に提供し、普及センターやJAなどと連携して防除指導の徹底に努めておるところであります。本年度は、8月まではほぼ平年並みの発生量で推移いたしました。それで、7月17日には、カメムシの発生抑制に向けた水田畦畔や農道などの草刈りの徹底、7月31日及び8月10日には、穂ぞろい1週間後の薬剤防除、適期防除の徹底について情報を提供し、指導してきたところであります。
 なお、カメムシによる斑点米の発生状況でありますが、病害虫防除所の収穫期調査において、斑点米の発生は全県的には平年よりやや多い傾向にあること、特に県中央部のもち米地帯で多発するなど、被害の発生に地域差があることを確認しております。また、9月末時点での本年産米の検査結果では、1等米比率が93.5%と前年を上回る中で、2等以下の格付理由の第1位がカメムシによる着色米となっております。その原因について、現在調査中ではありますが、今までの治験で見ますと、猛暑の影響により、8月下旬から9月にかけてカメムシが多発したこと、割れもみの発生によりカメムシによる加害が助長されたこと、これらが相互に関連して発生したものと考えられます。今後は、収穫期にカメムシが多発した要因や、カメムシや割れもみの発生と斑点米被害の相互関係、また、被害の地域差が見られた要因などの解析をしっかり行いまして、次年度以降の防除対策をとってまいりたいと考えております。
〇熊谷泉委員 その点をしっかりお願いしておきたいと思います。実は、現場では、ここ何年か、カメムシの問題は、私が思うには、多分、県南のほうでも被害は発生していると思うんですが、カントリーなどに入っている米は直接見えないという面もあると思いますが、温暖化によって虫の被害が北上しているということがあると思います。現場で朝早く4時ごろ起きて2回もかけたのに、指導されているような薬が効かない。非常に大きな声が上がっております。もち米に関してだけとは言えない面があると思います。そこで、県を挙げて、研究機関を挙げて─まずこのカメムシの問題は、ここ何年間、生態がまだよくわかっていない面があるのではないかと思います。前の年に防除する方法もあると思うんですが、その点をお願いして、終わります。
〇千葉康一郎委員 それでは、私からは3点ほど質問をいたしたいと思います。
 まず1点目は、本県の稲作の現状と今後の見通しについて伺います。
 県では、国の品目横断的経営安定対策に呼応しまして、主に稲作を中心とした集落営農の組織化、担い手の確保育成を強力に進めてきたところでありますが、今、日本の稲作は、農業者の高齢化、担い手不足、外国産米の台頭、さらに米価問題などから、実に厳しい岐路に立たされていると思うのであります。
 先日、テレビで放映になりました海外での稲作の実情といいますか、実態とか、あるいは国内の情勢等が報道されましたけれども、大変なショックを受けたところであります。これを見た多くの方々も、今後の稲作に希望を失ったのではないかと思ったところでございます。御承知のとおり、米価は大幅に下落しまして、採算割れが出るようなことになっておりまして、本県の今後の稲作はどう進めていくのかということであります。その見通しについて、まず伺います。
 そこで、水稲以外の作物として、野菜あるいは花卉の園芸作物の導入も必要と考えます。ただ、集落営農組織への導入については、個人の技術や努力によって所得が左右されるということでございますから、これらの園芸作物を営農組織に導入するのは適当なのかと疑問視する意見もあるわけであります。そこで、集落営農組織への園芸作物の導入を県はどのように考えているのか、伺います。また、導入する場合、どのような支援を行うのか、あわせて伺います。
〇小原農産園芸課総括課長 まず最初に、本県の稲作の現状と今後の見通しについてでございますけれども、委員からもお話がございましたが、米を取り巻く情勢は米価の下落等で大変厳しい状況にありまして、そういう中ではございますが、米は本県農業のまさに基幹作物でございまして、その体質強化を図るということは極めて重要な課題であると考えてございます。このため、県では、これまで1等米比率や食味値の向上、さらには減農薬・減化学肥料栽培など特徴のある米づくりを推進してきたところでございます。しかしながら、本県の稲作は、他県産地に比べまして、経営規模が小さいといったようなことから高コストな体質になってございまして、また、価格面におきましても、本県の主力品種であるひとめぼれ、あるいはあきたこまちといったものが、他県産の同一銘柄に比べますと若干低いといったような状況になってございます。
 こうした状況を踏まえまして、県ではこの10月1日に、生産者はもとより学識経験者や実需者、さらには消費者の代表の方々にも参画していただきまして、いわて純情米戦略検討委員会というものを設置いたしまして、本県産稲作の生産性の向上とブランド化による有利販売の方策についての検討を開始したところでございます。
 いずれ、米の情勢は、やはり人口が減少局面に入っているということで、米の消費減退は今後とも引き続くことが予想されます。その一方で、担い手の減少なり、あるいは高齢化の進行は、本県稲作を見通す上で大変厳しい状況が予想されるわけでございますが、先ほど申し上げました検討委員会の検討結果なども踏まえまして、直播栽培などといった革新技術も導入しながら、低コストで大規模な稲作経営を育成するとともに、小規模農家を巻き込んだ集落営農の推進、あるいは岩手ならではのブランド対策を強化いたしまして、産地間競争に勝ち残ることのできる産地体制を確立してまいりたいと考えてございます。
 第2点目の集落営農組織に対する園芸作物の導入ということでございますけれども、やはり米価が低迷する中で、地域農業の振興を図っていくために、園芸作物なり畜産部門の導入・拡大による稲作の減収分を補てんしていくということが重要な課題であると考えてございます。
 特に、集落営農組織につきましては、米や麦、大豆などの土地利用作物の基幹作業を担い手に集約することによりまして、女性や高齢者、さらに小規模農家などの余剰労働力を活用いたしまして、新たな園芸作物等の導入により集落全体の所得の向上が期待されているところでございます。このようなことから、県内では既に東磐井地方の小菊や遠野市宮守地区のブルーベリー、あるいは奥州市江刺区のトマトなど、集落営農組織への園芸品目の導入が進んでいるところでございます。
 県といたしましては、こうした取り組みを県下に波及させるために、産地づくり交付金や県単事業等によりまして機械・施設の導入を支援するとともに、農業改良普及センターや農協等で組織する収益性向上チーム─これは昨年立ち上げてございますが─によりまして、収量・品質向上のための技術指導の強化、さらには有利販売に向けた契約取引の推進などに取り組んでいるところでございます。
 また、今年度からは、新規予算といたしまして、新たに普及員ОB等で構成するNPO法人との協働によりまして、地域のベテラン農家が指南役となって、小規模農家等をきめ細やかに指導する仕組みを導入しているところでございますので、今後とも、こうした施策により集落営農組織への園芸作物等の導入を促進してまいりたいと考えてございます。
〇千葉康一郎委員 先ほど申し上げましたように、今、米につきましては価格が大きく下がりまして、採算割れをするという状況下にあります。したがって、今後はやっぱり米に頼るということだけではなくて、もっと別な方法で所得を上げる方法を考えていかなければならないということなんですが、いずれ、今度、新しい計画をつくるわけですけれども、その中にきちっとその辺を入れて進めていただければと。もちろん、これは、いただければというか、我々実際にやる者がやらなければ進まないわけですけれども、いずれ、小規模農家も成り立つような形で、大規模そのものだけではなかなか自給率が向上することになりませんので、ひとつそういう面で県で御努力をいただきたいと思っているところでございます。
 そこで、2点目でありますけれども、中山間地域における集落営農組織への包括的な支援についてであります。この包括的な支援というのは、農業分野だけではないのでございますけれども、きょうは農林水産部でございますから、農業の立場から、できるだけの支援について伺うものでございます。
 中山間地域における集落営農組織は、農業のみならず地域を支える核となる組織であります。特にも、高齢化率の高い地域にあっては、これらの組織に大きな期待を寄せておるところであります。そこで、農業分野だけでなくて、包括的な集落営農組織への支援が必要と考えますが、この所見を伺いたいと思います。
〇徳山農業振興課総括課長 中山間地域における集落営農への支援についてでございますけれども、集落営農組織は、農業従事者の減少や高齢化が進む中、主業型農家と小規模・兼業農家がそれぞれの役割分担のもと、効率的な農業生産を行う経営体であり、今後、中山間地域における農業の核として重要な役割を果たすものと考えております。このため、県では、本年7月、全組織を対象として実施しましたアンケート調査をもとに、今後の各組織の経営の展開方向や指導方針を内容とする集落カルテを作成することとしており、JAが配置した集落コーディネーターや普及員が、この集落カルテに即しまして、営農の確立に向けたきめ細やかな支援を行っていくこととしております。
 このように、中山間地域の経済社会を支える産業としての農業を確立するため、農林水産部としましては、まずは集落営農組織の育成に全力を尽くすこととしておりますが、その上で、集落営農組織が本県ならではの結いの精神に支えられたものであり、地域の活性化に向けたさまざまな課題の解決に貢献できることも考えております。こうしたことから、具体的にどのような取り組みができるのか、今後、関係各部とも連携して検討してまいりたいと考えております。
〇千葉康一郎委員 これは、農林水産部だけではなくて各部との連携を図りながら、地域が廃れていくというのは、農村は特にこういう組織があって成り立っていきますから、ここを廃れさせないように、ひとつ包括的な支援をいただけますようにお願いを申し上げたいと思います。
 最後の3点目でありますけれども、中山間地域の直接支払制度についてであります。この制度は、農村の活性化に大きく寄与しているのでありますが、この制度の中身は、共同取り組み活動分と個人支払い分とがあるわけですけれども、今、その比率はどうなっているのかということを伺いたいと思います。
 さらに、さらなる農村づくりには、やはり共同取り組み活動分の比率を引き上げて地域で創意工夫をさせる必要があると考えます。実は、一関市大東町の下内野とか、あるいは藤沢町の深萱では、共同取り組み活動分を生産基盤整備の負担に全額充当しているとも聞いておりますけれども、こうやっていかなければ、やっぱり地域の活性化がなかなか進まないということもありますので、そういう取り組みを行っていただきたいと思うんですが、県においては、その取り組みはどのようにやっているか、そこを伺いたいと思います。
〇徳山農業振興課総括課長 中山間地域等直接支払制度についてでございますけれども、まず、共同取り組み活動分と個人支払い分との比率でございますが、この交付金は、農業生産活動等を行う農業者等に対して支払われるものでございます。平成18年度の共同取り組み活動費は、全体の交付金額33億円でございますけれども、このうち18億4、000万円でありまして、その比率は55.5%となっております。
 次に、共同取り組み活動の比率を引き上げるための県の取り組みについてでございますけれども、この制度は平成17年度に改正され、これまでの農地の保全管理だけではなくて、農作業の受委託、担い手の育成など、将来に向けて農業生産活動を継続していくための体制づくりに取り組むことが必要となったところでございます。
 県といたしましては、中山間地域の農業振興を図るためには、地域の創意工夫を生かし、集落ぐるみで農業生産活動に取り組むことが重要と考えていることから、交付金を農業機械の共同購入や担い手の育成活動、研修会の開催など共同取り組み活動に活用するよう助言・指導しているところでございます。この結果、交付金の8割以上を共同取り組み活動費に充てている集落協定は、平成16年度には89協定でございましたが、平成18年度には104協定と増加したところでございます。今後におきましても、交付金を共同取り組み活動費として効果的に活用するよう、市町村等とも連携のもとに指導を強化してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 ただいまの千葉康一郎委員の品目横断的経営安定対策等について、関連して質問をさせていただきたいと思います。
 ただいま質疑、答弁の中で、集落営農等の必要性というものも十分わかったところですが、現在の実績値においてどのような状況になっているのでしょうか。振興局単位で特徴があれば示していただきたいと思いますし、県北・沿岸は大きく認定農業者、また集落営農組織とも申請数が少なかったと聞いています。その理由について、どのように把握されているかお示し願います。
〇平賀担い手対策担当課長 品目横断的経営安定対策の加入の状況でございますけれども、平成19年産の加入の状況ですが、経営体数で見ますと、個別経営体が1、852経営体、そして集落営農組織が326経営体で、合計2、178経営体となっております。
 それで、作目別に見ますと、米が約1万9、019ヘクタール、麦が3、360ヘクタール、大豆が2、286ヘクタールで、合計2万4、664ヘクタールとなっております。
 それと、地域ごとの加入の状況を見ますと、工藤委員御指摘のとおり、北上川流域がほとんどを占めておりまして、大船渡、釜石、宮古、久慈、二戸等のいわゆる県北・沿岸につきましては、御指摘のとおり、少ないといった状況になっております。
 この少ない理由につきつましては、この対策については販売を対象としている米、麦、大豆を対象にしておりますし、特にも県北・沿岸におきましては、米については、飯米農家が多いということと経営規模が少ないといったことから個別経営体での加入も少なかったことと、あとは、いろいろ話し合い等も集落のほうで進めましたけれども、集落の結成には至らなかったといった状況になっております。
〇工藤大輔委員 ありがとうございます。申請数が少ないと、少ないどころではない、圧倒的に少なく、これは比にならないぐらい、1割あるかないかというような状況ではなかったのかと思います。ただ、反面、当初の県の目標はおおむね達成はされていたんだと思いますが、その達成内容は、北上川流域、先ほど答弁でいただいたとおりの、そこがほとんどを占めての達成だったのではないかと思い、この結果が、今後、県北・沿岸地域における農業の振興にどのような影響が出てくるのか心配になってきます。
 この法の制度の目的とする補償の分野等が十分に認識されていないとすれば、また、あるいは制度を導入されないとすれば、やはり何らかこの制度に問題があるんだと思いますし、面積要件等の緩和の基準等もあると思いますが、ただ、そこだけではやはり不十分なのではないかということも指摘ができると思いますが、県としては、現状、これを実施してみてどのような認識にあるのかお示し願いたいと思います。
 また、今後の県北・沿岸農業の振興に当たっても、なかなか農機具等の機械化が進んでいないとすれば、例えばスーパーLだとかのそういった制度、融資の制度、また担い手安定資金等の補助制度等、これらをやはり農業予算が減額する中にあっても、国のほうの予算、また県のほうの予算とどうすみ分けるか等、しっかりとした基準を設けて農業振興に当たっていかなければ、ピーク時と比べて農業の予算も半減しているというような状況にあって、なかなか農業振興が進んでいかないと思いますが、今後の方針についてどのように考えているのかお伺いしたいと思います。
〇徳山農業振興課総括課長 ただいま工藤委員から御指摘がありましたように、今回の品目横断的経営安定対策を見ますと、北上川流域がほとんどを占めております。こうした中で、県北・沿岸地域での加入状況をさらに詳しく見ますと、個別経営体では、一応基準4ヘクタール以上となっておりますけれども、ほとんどの方々が加入していると考えております。対象となる方の面積が少ないことは確かでございますけれども、対象となり得る方は、努力いただいて、かなりの部分が入っていると思っております。
 一方で、集落営農組織が北上川流域と比べまして大変おくれている、全く御指摘のとおりでございますので、こうした中で、幾つかの集落営農の取り組みが出てきておりますので、そういうことも事例として示しながら、できるだけ話し合いを促進いたしまして、集落営農で参加できるように誘導すると考えているところでございます。
 ただ、県北・沿岸地域を考えた場合、やはり水稲に頼るよりは園芸あるいは畜産のほうにシフトしたほうが、農業生産性の向上という面で有効と考えておりまして、国の事業あるいは県単事業を使いまして、これまでも沿岸・県北地域の園芸振興に取り組んでおりますが、さらに支援の面でも、もっと強化していきたいと今考えているところでございます。
〇小田島峰雄委員 午前中から格調の高い競馬の議論の続いた後で大変恐縮でございますけれども、私はただ1点、本県のベコを取り巻く現状なり、将来展望についてお伺いいたしたいと思います。
 本論に入ります前に一つ、第1点、肉牛生産公社がございましたが、この肉牛生産公社をめぐるさまざまな議論もございましたし、多くの異論がある中で、廃止、清算が決まったわけでございますけれども、その後の廃止、清算の状況について、まずお尋ねしたいと思います。
 財産の承継の問題やらさまざまあったかと存じますけれども、この点についてまずお聞きしたいと思います。
〇樋澤技術参事兼畜産課総括課長 岩手県肉牛生産公社の清算状況についてでございますけれども、公社の清算を行うために必要な土地の返還なり、牧場施設の一部解体、それから地権者への施設譲渡、さらには債務の整理はすべて完了したところであります。現在、清算事務の最終となります消費税の納付手続を進めているところでございます。
〇小田島峰雄委員 まだ清算結了に至っていない、こういう話でございますが、一たんこういう結論が出ました以上、粛々とその清算結了に向けて御努力していただきたいと思うわけであります。そうなればなったで、またさまざま懸念材料が出てまいりますけれども、これは、以下、お尋ねしてまいりたいと思います。
 2番目には、本県畜産の現状についてお尋ねしたいと思います。
 さきに第9回全国和牛能力共進会が開催されたわけでございますけれども、まず、この共進会に本県からも相当数がエントリーしたようでございますが、この結果、成績はどうだったのかお聞きしたいと思いますし、また、統計的なことをお尋ねして恐縮でありますけれども、全国的に肉用牛の産出額の上位5団体程度をお聞かせいただきたいと思いますし、本県の順位は一体どの辺に位置しているのかということもお尋ねしたいと思います。
 また、最近における畜産価格の動向等についてもお聞かせいただきたいと思います。肥育、繁殖別にお答えいただければ、大変ありがたいと思います。
〇樋澤技術参事兼畜産課総括課長 まず、第9回全国和牛能力共進会の結果についてでございますけれども、本県は、9部門のうち8部門で優等賞を獲得しました。5年前の前回を上回る成績となっております。これは、全国では第5位、東日本ではトップの成績でありました。ちなみに、本県より肉用牛産出額の多い北海道、熊本、栃木よりは上位に位置しているといったようなことで、本県の和牛能力の高さを十分に発揮したものと考えておりました。
 なお、県内の出品牛で最上位に入賞しましたのは、花巻和牛改良組合から出品されました第5区の繁殖雌牛群で、全国第4位となってございます。
 次に、肉用牛の産出額についてでございますが、平成17年の統計数値で申し上げますと、第1位が鹿児島県の778億円でございまして、以下、2位北海道、3位宮崎県、4位熊本県、5位栃木県、本県は6位ということで201億円という状況になってございます。
 次に、肉牛の子牛及び枝肉価格の動向についてでございますが、県内の家畜市場の黒毛和種子牛価格は、平成18年度に51万5、680円ということで年度平均で過去2番目の高値となりましたが、平成19年度に入りましても高値を維持しておりまして、4月から10月までの平均価格は51万7、578円となってございます。
 それから、黒毛和種の枝肉価格につきましては、本県の主な出荷先であります東京食肉市場では、肉質4等級、5等級の上位等級が高値を維持しておりますが、平成19年に入りまして、3等級以下がやや軟調となってきております。
 なお、本年4月から9月までの本県の平均単価は、キログラム当たり2、190円で、全国平均の2、111円を79円上回っているというような状況でございます。
〇小田島峰雄委員 和牛能力共進会の結果についてのお答えがございました。我が花巻牛が第4位になったということは、大変評価されてしかるべきだと思うのであります。しかしながら、飼養の過程で相当の努力もあったものと思うのであります。
 また、肉用牛産出額のお答えもありましたけれども、本県は第6位、鹿児島、北海道、宮崎、熊本に次いで第6位ということであります。
 また、畜産価格につきましても、私の手元にあります資料を見ましても、特に子牛市場は堅調に推移しているようであります。今お話がありましたように、10月の市場動向を見ましても、押しなべて50万円以上の価格で推移いたしております。繁殖農家にとっては大変喜ばしいことではございますけれども、逆に、肥育農家にとりましてはピンチに立ち至っているということをよく聞くわけであります。素牛が高いということになりますと、必然的に相当の飼養技術がなければ高値で販売できないという、いわゆる農家の手取りが減るということにもなりますから、大変厳しい状況を物語っていると思います。また、御存じのとおり、大型負債を抱えている多頭飼育農家も、この肥育農家に集中しているという背景もあるわけであります。
 そういう中で、畜産県を標榜する我が県が、全国大会で4位だの6位だのと言って喜んでいられる状況ではないのであります。それなりの政策をきちんとやりまして、畜産県にふさわしい成績をおさめることが必要だと思うのであります。そういう観点から、これから順にお聞きいたしてまいりたいと思います。
 繁殖が非常に好調に推移している、これはこれで結構なんでありますけれども、逆に肥育農家の経済が非常に疲弊してきている、それの解決策として、これまで県におきましても、経営内一貫でありますとか地域内一貫を推奨してきました。なかなかそのかけ声どおりにいっていないのが現実であります。飼養体系も全く異なるわけでございまして、そういうところに大きな要因があろうとは思いますけれども、この原因をどう見ておられるのか、ひとつお尋ねいたしたいと思います。
 また、飼養技術を高めるための手だてについて、県にお聞きするのは、あるいは筋違いかもしれませんけれども、総体的に、やはりそういった良質な牛を生産するという観点から、もしお考えがあればお聞きしたいと思います。
〇樋澤技術参事兼畜産課総括課長 肉用牛の経営内一貫あるいは地域内一貫の現状でありますけれども、経営内一貫なり地域内一貫生産は、現在のように子牛価格が高値で推移している場合にあっては、肥育素牛を安定的に確保するといったような観点からは、本県の肉用牛振興に効果的な取り組みであるとは考えておりますけれども、委員御指摘のように、経営内一貫にありましては、繁殖と肥育では、牛の飼養管理技術が異なるといったようなこと、あるいは繁殖牛の増頭のために多額の資金を要するといったようなことなどが課題となっております。
 また、地域内一貫にありましては、繁殖経営と肥育経営との収益分配の調整といったようなことが課題となっているところであります。
 そういったようなことでなかなか進みがたい状況にあると考えておりますが、こうした取り組みに対しまして、県としまして、経営内一貫を志向する農家に対する各種補助事業の活用による畜舎整備なり素牛導入の支援、また地域内一貫を目指す取り組みに対しては、キャトルセンター等の整備を通じて、地域の素牛需要に見合った繁殖牛の増頭支援などを行ってきておりますけれども、今後とも、地域の実情に即した経営内一貫や地域内一貫の取り組みを支援してまいりたいと思っておりますし、これまで、肥育の指導につきましては農協の指導が中心になってきたところでありまして、それを私どものそれぞれの振興局なり、あるいは普及センターが支援してきているといったような状況でございますが、今後とも、こういったような取り組みは強化してまいりたいと考えております。
〇小田島峰雄委員 ただいまありましたように、さまざまな補助事業を準備して支援をしていく、こういうお答えがあったところでございますけれども、いずれ、現在極めてピンチに立っている肥育農家の対策等は、別途講じる必要があろうかと考える次第でございます。
 次に移ります。決算書の中に家畜改良増殖対策事業費が畜産振興費の中にございますけれども、おおよそ1億600万円余でございますが、うち、短角も黒毛もあるのでありますが、その黒毛の部分に限ったいわゆる優良牛の改良増殖に要する決算は7、600万円余と理解いたしておりますが、この理解で正しいかどうか、まずお聞きしたいと思いますし、これが正しいとなれば、この7、600万円余が、先ほどお答えのありました畜産先進県、鹿児島でありますとか、宮崎でありますとか、熊本でありますとか、そういった他県に比べてこの投資水準がどういう状況になっているのか、十分なのか足りないのか、その辺についてもお答えいただければと思います。
〇樋澤技術参事兼畜産課総括課長 決算額の7、680万1、000円余は、黒毛和種の改良増殖を推進するための事業でございます。そのとおりでございます。
 それから、九州の主産県であります鹿児島、宮崎の予算の状況につきましては、なかなかその仕組みが異なるといったような状況もありますので、一概に単純比較はできないわけでありますけれども、私どもの手持ちの資料の中で、この本県のいわて和牛改良増殖対策事業に見合うと見られる予算につきましては、鹿児島県が1億150万円余でございますし、宮崎県が2億820万円余であります。先ほど申し上げましたように、なかなか単純比較はできないと思いますが、こういったような状況でございます。
 参考までに、この種雄牛造成のための後代検定、いわゆる種雄牛の候補牛の産肉能力検定のセット数でありますけれども、鹿児島県が9セット、それから宮崎県が10セット、本県は6セットといったような状況でございます。
〇小田島峰雄委員 ありがとうございました。
 本県に限らないと思いますけれども、他県におきましても、飼養頭数が年々減少しているやにお聞きいたしております。その背景には、畜産農家の高齢化の問題、あるいは後継者難の問題、これが色濃く反映されているものと存じますけれども、本県にあっては、この畜産農家も、今でこそ多少はいいのでありますけれども、累積で大きな負債を抱えている農家がたくさんあるという観点から申し上げれば、この畜産先進県並みの投資を行いまして、しっかりとした対策を立てていく必要があるのではないかと思います。繰り返しになりますけれども、いつも4着や5着に甘んじているようでは、非常に将来が不安になるわけであります。
 次に移ります。県はこれまでも、特に、肉牛生産公社を中心に優良種雄牛の開発等を積極的に行ってこられたと思っておりまして、その点では高く評価するわけでございますけれども、この際、これまでに開発、育成した種雄牛について、何種類かお聞かせいただきたいと思いますし、これが、現在も流通しているものは幾つぐらいあって、在庫がどうなって、平均上物率なんかもわかりましたならばお知らせいただきたいと思います。
〇樋澤技術参事兼畜産課総括課長 これまでに作出しました種雄牛についてでございますけれども、県産種雄牛の造成に着手した昭和62年度から本年度まで、計36頭の種雄牛が作出されております。このうち、現在も飼養している種雄牛は13頭となっております。
 次に、現在も流通している種雄牛精液の在庫でございますけれども、平成19年8月末で15頭の種雄牛の約6万7、000本となってございます。
 また、現在流通している県有種雄牛精液を使用した産子の上物率は、平成17年度で約60%で、これは全国平均を6ポイント上回っております。中でも上物率が70%を超える全国トップクラスの種雄牛もいるところであります。
〇小田島峰雄委員 ありがとうございました。今流通しているのが、まだまだ在庫があるんだ、こういうお話で、若干は安心したわけでございますけれども、何と申しましても、行く行くは後継牛の開発というのが大きな課題になってくるものと思うのであります。肉牛公社の廃止、清算に伴いまして、その部門につきましては全農に引き継がれた、こういうふうにお聞きいたしておりますけれども、しからば、全農で今現在どういった開発、育成が行われているか、それについてお伺いいたしたいと思うのであります。
 釈迦に説法でございますけれども、このベコの世界と申しますのは、人間の世界と全く違うわけであります。人間の世界でありますと、出自はともかく、一生懸命その後勉強したり努力をしたりして世に名をなした方々がたくさんいるんでありますけれども、ベコの世界はそうはまいりません。出自が卑しければどこまでも卑しい、いわば良家の子女でなければ世に出られない、こういう側面を持っているわけでありまして、だからこそ、優良種雄牛の開発、育成というのは大事なのであります。これが、この部分については、おのおのの農家単独では決してできないこと。やはり県が、あるいは全農が、この部門を担当しなければならないという観点からお聞きするのでありまして、先ほど言いましたように、今、引き継がれた全農でどういった状況になっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
〇樋澤技術参事兼畜産課総括課長 後継牛の開発・育成の状況につきましては、本年度新たに3頭の種雄牛を作出しまして、利用が開始されているところでありますが、今後とも、毎年2頭ないし3頭の種雄牛の造成を予定しているところであります。
 次に、種雄牛造成にかかわる全農県本部の実績についてでありますけれども、全農県本部には、委員が御指摘のとおり、肉牛生産公社が実施しておりました改良事業を引き継ぎまして、種雄牛候補の産肉能力検定頭数120頭でございますが、このうちの約3分の1を担っていただいているところであります。
 委員御指摘のとおり、こうした取り組みによりまして、県産種雄牛の利用は年々増加しておりますけれども、5年前に比べて、平成14年度には県内の精液利用量に占める割合が約1割だったものが、平成18年度には約3割まで上昇してございます。今後とも、生産者の期待にこたえる優良な種雄牛造成に取り組んでまいりたいと考えております。
〇小田島峰雄委員 ありがとうございました。これまで3頭開発し、これからも毎年二、三頭開発していくんだ、こういうことをお聞きいたしました。この世界、何とかしてヒット作品を─ヒット作品というのはちょっと表現が悪いのでありますけれども、最高の優良種雄牛をぜひとも開発していただきたいと思いますし、ザーメンを安価に農家に提供する仕組みをつくっていただきたいと思うのでありますが、最後に、高前田部長の発言は非常に重いものがあります。そこで、農家の皆さん方にひとつ部長からメッセージを出していただきたいと思います。部長の答え一つによって、農家が、元気が出たり、意気消沈したり、こういう状況でございます。ひとつ決意のほどをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
〇高前田農林水産部長 肉用牛の振興ということでございまして、本県の農業産出額の中で肉用牛は約1割を占めております。非常に重要な基幹部門であると認識いたしておりまして、これまで数々の県を代表するようなブランドも出てきております。
 私どもといたしましては、今いろいろ御議論いただきましたような、まず一つは優良種雄牛、遺伝子源といったようなことで、他に秀でるような種雄牛をしっかりと開発していくということ。それから粗飼料基盤の整備・確保、そういったようなこともしっかりと取り組む。それから、三つ目は飼養管理技術を向上させること。それによって生産性を高めていくということが重要なテーマであると認識いたしております。そういったような大きく三つの取り組みというものを重点的にやっていく必要があると思いますが、とりわけ、その中でも種雄牛というのは重要な柱だと考えております。
 先ほど、他県と比べて投資額の点がございましたけれども、7、600万円余ではございますが、他県に負けないような取り組みをこれからも頑張っていきたいと考えております。
〇高橋昌造委員 私からは2点についてお伺いいたします。まず、1点目につきましては、特別会計及び基金への繰り出しの内容についてお伺いいたします。
 まず一つは、農業費から農業改良資金特別会計に繰り出しをなされておるわけですが、その繰り出しの根拠、それから、もし繰り出しが法律に定められた繰り出し基準であれば、その繰り出し基準の内容について、そして、先ほどの高前田部長の説明で、そのときちょっと思い出したんですが、この農業改良の特別会計、資金の特別会計、4億7、800万円余の予算現額に対して不用額が4億400万円ということで、ここのところに繰り出しをする意味があるのかどうか。先ほどの説明で不用額が非常に大きいものですから、そこのところをひとつお伺いいたしたい。
 それから、二つ目には、この畜産業費から岩手競馬再生推進基金に繰り出しをいたしておるわけですが、先ほど千葉理事からも御説明をいただいたわけでございますが、もう一度、繰り出しの根拠、それから管理の運営状況、そして繰り出しされた後の岩手競馬の再生事業のために、一生懸命血のにじむような努力をなされておるわけでございますが、そこで、事務方のトップでございます宮特命参事から、いわゆる今までは後手後手に回っておるんですが、これをひとつ前向きに計画性を持って、事務方のトップとして、今後12月までの存続するか廃止するか、もう堂々と存続ができるんだというような、ぜひまた存続していただきたいと思いますので、宮特命参事の決意のほどをお聞きいたしたい。
 それから、第2点目につきましては、水稲の品種の開発戦略についてお伺いいたします。
 まず一つは、今、バイオエタノールの生産に向けて、水稲も今注目されておるわけでございますが、何といいましても、これは採算性の問題だと思うんです。
 そこで、まず一つは生産コストの削減、いわゆる超低コストの栽培技術の導入ができるかどうか、いわゆる確立ができるか。それから、二つ目には、やはり10アール当たり1トン以上の超多収の品種の育成ができれば、これがもし実現できるとすれば、地球環境のいわゆる温暖化の問題の解決、または耕作放棄地の解消にもつながるのではないのかと。この間、マスコミの報道で感心したのは、いわゆるこの水田を緑豊かな油田にすると。まさにこのとおりだと思うんですね。
 そこで、今後このバイオエタノールの生産に向けた水稲品種の開発戦略についてお伺いいたします。
 それから、二つ目には、先ほど熊谷泉委員からもお話があったんですが、私は、ちょっと視点を変えて、これから売れる米づくり、いわゆる産地間競争、そして減農薬・減化学、こういったものに対応できるオリジナル品種の開発をしていかなければならないと思うんです。
 そこで、それに対応できる開発戦略があるのかどうか、あるのであればどのような状況下にあるのかお伺いいたします。
 そして、もし資料等がなければあれですが、平成13年度に策定されました水稲の品種開発育成推進計画、この計画に対して今どのような進捗度であるのか、それもひとつお伺いいたします。
 最後に、高前田部長は、岩手競馬の再生、森のトレーの問題とか、いろいろ課題が山積して非常に苦しまれていらっしゃるのではないかと、お立場を察すると心が痛むところであります。どうか、この水稲の品種の開発戦略、夢のかけ橋ですね、その部長の思いをもしお聞かせ願えるのであれば、これで終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
〇古川農林水産企画室企画担当課長 まず、お尋ねの農林水産業費、一般会計から特別会計への繰出金の件についてでございますけれども、農業関係では、委員おっしゃったように農業改良資金がございますが、この特別会計の経理は、農業改良資金助成法及び同施行令に基づきまして、貸付事業に係る貸付費と事務的経費の業務費に区分されてございまして、この業務費については、一般会計からの繰出金を充てることとされてございます。
 業務費の内容でございますけれども、貸付金の電算管理及び償還事務に要する委託料、それから債権回収や会議出席等に要する旅費などの事務的経費でございまして、それぞれ必要額を積算して計上しているところでございます。
〇宮農林水産企画室特命参事 岩手競馬を前向きに存続する決意ということでございます。
 先ほど、午前中、千葉理事のほうから説明いたしましたように、今、岩手競馬、県内の地元企業の皆さんを初め、県外の生産会、北海道の生産牧場の皆さん、あるいは全国的な組織、それから全国的な企業のほうからも協賛レース等々でさまざまな支援、連携を図っていただいております。そういったものを糧にしながら、先般、南部杯という大きなレースを終わったところでございますけれども、通常であれば冬場のほうに入ってまいりますと余り大きなレースがないわけでありますが、今年度におきましては、11月5日から、全国のレディースジョッキーシリーズというのが水沢で第1回目が始まります。それから、11月12日の月曜日でございますけれども、これは、オッズパークグランプリという、今年度新しく、初めて企業協賛の大きなレースを全国の選抜された馬が水沢に集まって行うといったような取り組みも進めているところでございます。
 先ほどいろいろコスト調整の議論をいただいたところでございますが、今年度におきましては、馬インフルエンザ等々のさまざまな影響がございまして、現実なかなか計画を達成できないでいるわけでありますけれども、先ほど話しましたように、今月末の3期の実績を踏まえながら、収支均衡を図って、今の新しい計画のルールにのっとった収支均衡をきちんと図っていくように、今関係者と協議をしているところでございますので、県内あるいは県外のさまざまな御支援を糧にしながら、関係者一同、今の計画を達成していきたい、そういう決意でおります。
〇東大野農林水産企画室長 先ほど競馬組合に対する融資の根拠という御質問がございましたが、これは、最初、千葉理事御説明申し上げましたとおり、岩手県競馬組合再生推進基金条例、これを設置いたしまして、ここに基金の額277億5、000万円で、貸付先は競馬組合、それから県を除く構成団体と規定してございまして、これが根拠となります。
 それから、その使途でございますけれども、最初に説明させていただいた資料1ページ目にございますとおり、起債に153億円、それから一時借入金142億円、それぞれ返済してございますし、あと35億円については、平成18年度の純損失、それから、その他の債務の返済といったような使途に使用してございます。
〇松岡団体指導課総括課長 農業改良資金、繰越金が多額だということで、繰り出す必要はないのではないかというお話でございます。
 先ほどもありましたけれども、一応、貸付費と業務費とに分かれておりまして、貸付費につきましては、法令等に基づいて、ほかのほうに使ってはいけないということになっておりますので、事務的な経費、いわゆる委託の関係ですとか旅費等については、一般会計のほうから繰り出しをいただきまして、そしてやっているという形でございます。
 あと、実際にこの繰越金が大きいわけですけれども、平成16年度ぐらいまで、毎年その所要額を調整しながら、特別会計から一般会計のほうに貸付原資をまた繰り戻す、そういう形をしながら、実際の貸し付けに見合うような形でのものを調整しているところでございます。
〇工藤水田農業担当課長 水稲品種開発について3点ほど御質問がありましたけれども、まず、一つ目の水稲品種の開発についてでございますが、水稲品種の開発に当たりましては、まずもって、本県の気候あるいは風土に適し、しかも消費者や市場ニーズに的確にこたえることができ、さらには低コスト生産が可能な品種などを開発しまして、作付を拡大することによって、産地間競争に勝ち残れる産地づくりを行うことが重要であると考えてございます。
 また、これとあわせまして、委員御指摘の近年のバイオエタノールへの利活用や飼料用など、主食用以外の新たな需要にもこたえることができる品種開発も必要であると考えております。
 このような考え方のもとに、耐冷性や食味にすぐれ、さらには消費者の安全・安心ニーズに対応した農薬を大幅に削減できる耐病性品種の開発や、大幅な省力化あるいは低コスト化が図られる直播専用品種などの開発を進めるとともに、新たな需要としてのバイオエタノール用や飼料用米のための超多収品種の開発にも取り組んでいるところであります。特に、バイオエタノールや飼料用の品種につきましては、現在、主食用米の1.5倍の10アール当たり約800キロの収量が見込める品種開発のめども立ったところでございます。
 二つ目の減農薬・減化学肥料栽培にも対応できる、あるいは売れる米づくりに対応した品種開発の件でございますけれども、近年、消費者の安全・安心志向が高まりまして、耐冷性、食味という要素に加えまして、耐病性を加味した品種開発も進めているところでございます。先ほどお話ししましたとおり、平成17年にはどんぴしゃりを開発したところでございます。現在、さらに減農薬・減化学肥料栽培ニーズに対応しまして、ひとめぼれと同等の食味を持ちながら、ひとめぼれ以上の耐病性にすぐれた品種の開発に取り組んでいるところでございます。
 それから、平成13年に策定しました計画ということでございますが、平成13年に品種開発の今後の方向ということで、ライスフロンティア計画というものを策定しております。これは、平成22年までの目標ということを掲げながら推進して、五つの育成目標を掲げながらやってございます。
 その一つ目の、環境に負荷の少ない栽培に適した品種という目標につきましては、先ほど申し上げましたとおり、どんぴしゃりを開発したところでございますし、今現在、減農薬・減化学肥料栽培にも対応できる品種の開発にも、おおむねのめどを立てているところでございます。
 それから、気象変動に対応した安定生産品種という点でございますが、これにつきましては、耐冷性が極めて強い品種ということで今開発している段階で、現地試験をやっているところでございます。
 それから、3点目の省力・低コストに向けた直播専用種ということでございますが、これは、現在開発しましたどんぴしゃりもこの性質を持ってございますが、さらに、現在系統段階でございますが、選抜している途中でございます。
 それから、4点目の新規需要に対応した品種ということで、例えばモチ米、低アミロース米、酒造好適米ということがございますが、それぞれにつきまして開発試験を進め、一部現地試験をしているところでございます。
 なお、酒造好適米につきましては、冒頭申し上げましたとおり、吟ぎんが、吟おとめ、これにつきましては開発し、現地で普及されているところでございます。
 それから、五つ目の新形質米、言うなれば有色色素が入っている米、あるいは低たんぱくという性格を持った米でございますが、これにつきましても、現地試験の段階に入っているものもございますし、まだ試験場で生産検定のレベルのものもございますが、いずれ紫のもの、あるいは低グルテリンのもの、香り米、あるいは巨大胚芽─胚芽が大きい米というものにつきましても開発し、現地試験に一部入っておりますし、あるいは試験研究の、試験場の中で試験途上のものがございます。そういうふうな今の進捗状況でございます。
〇高前田農林水産部長 品種開発の今後の戦略についてでございます。具体的なことは、今、御答弁申し上げたようなことでございます。
 私のほうからは、今後の大きな取り組みの方向ということでお話をさせていただきますが、この品種開発につきましては、非常に重要な課題だという認識を持っております。各県におきましても、非常に膨大なコスト、そして人材、時間をかけてこの品種開発に取り組んでおるところでございまして、いわゆる開発競争にしのぎを削っているというのが現状ではないかと認識いたしております。
 そういった中で、私ども岩手県といたしましては、今申し上げましたけれども、基本的には、やはりマーケットニーズにこたえていくような米をしっかりと開発していくということだろうと思います。消費者であり、それから外食、中食等の業務用であり、それから加工用であり、そういったニーズにきめ細かにこたえられていくような、そういうニーズにこたえていくような米を開発していくというのが、一つ目の柱だろうと思います。
 もう一つは、やはり他県と同じようなことでは、なかなか開発競争には打ち勝てないということもございます。できる限り最新の技術を導入したいということでございます。
 本県におきましては、生物工学研究センターという他県に類を見ないようなセンターがございまして、そこでDNA等を利用した水稲の効率的な育種技術というものも開発がなされております。そういったものを活用しながら、これからも他県との産地間競争に勝てるような品種開発に努めていきたいと考えております。
〇喜多正敏委員 私からは、3点お伺いしたいと思います。一つは、先ほどもお話がるる出ておりました米価問題、二つ目は産直施設、三つ目は飼料価格についてであります。
 先ほど千葉委員からお話ししたとおり、私も、米だけには頼らない、多様な品目の農業経営が必要であると思っておるわけでありますけれども、米価は、農業経営に直結しておりますことから、まず、米価の推移はどうなっているかお伺いしたいと思います。
〇小原農産園芸課総括課長 まず、最近の米価の動向についてでございますけれども、最近の米価は、代表的な銘柄である新潟県産のコシヒカリが前年に比べて約2、000円低下するなど、大幅な生産過剰を背景に下落してきておりまして、本県産のひとめぼれも約1、200円ほど低下しておりまして、米の価格情勢は大変厳しい状況にあると認識してございます。
〇喜多正敏委員 ありがとうございました。1人当たりの米消費がこの40年間で半減し、高齢化や人口減少で厳しい局面が続いていくと思っておるわけでありますが、この米価の低下について、農家や、あるいは農業団体、さらには、今進めております集落営農や担い手育成にどのような影響があると認識されておりますか、お伺いしたいと思います。
 また、本県生産額の全体の減少額はどの程度であるか、また、わかれば県内の米消費量の県産米のシェアについてお示しいただきたいと思います。
〇小原農産園芸課総括課長 まず、今回の米価の下落の農家に対する影響でございますけれども、この米価、最近のこの入札の米価でございますが、農薬等の生産資材費のコストは賄えると思ってございますが、家族労働費が十分に確保できるといったような水準にはなっておらないだろうと見ておりまして、県内の稲作農家の経営には、大変影響を及ぼすのではないかと思っているわけでございます。
 また、県全体の平均的な稲作農家は、県内で大体1.1ヘクタールぐらいでございますけれども、こういった階層の農家で、仮に今回の米価の下落でどれほどの影響が出るのかということについて試算いたしますと、大体去年の稲作所得と比較いたしますと、10アール当たりで8、000円ぐらい、経営体全体では約9万円弱の減少になるのではないかと思ってございます。
 それから、稲作の産出額のトータルでございますけれども、仮に平成18年産の米の収穫量をベースに、昨年の平均価格と今回下落した価格とで米の産出額を比較試算いたしますと、今回の米価の下落で、県全体で57億円ほどの─これは今の米価水準がずっと続いたということが前提でありますが─減になるのではないかということで試算してございます。
 また、全農等で米の販売が行われるわけでございますけれども、仮に販売仕向けとなる、これは、平成19年産の数量はまだ出荷途中でございますので、18年産の検査数量をベースにいたしまして、昨年の平均価格と今回下落した価格とで米の販売額を比較試算いたしますと、今回の米価の下落で、いわゆる米の売り渡しにつきましては36億円ほど減になるのではないかと試算してございます。
 なお、集落営農組織への影響、先ほど個人経営のことを申し上げましたが、やはり集落営農組織につきましても、こういった一般の農家の方々同様に、米価の下落によりまして経営的な影響が懸念されるわけでございます。特に、集落営農組織の多くが品目横断的な経営対策の参加を契機に設立されたということが大分なわけでございますので、出資金の積み立てが不十分など経営基盤が脆弱であることが多い状況になってございますので、特に資金繰りについて大変影響が及ぶのではないのかということを懸念しているところでございます。
〇松岡団体指導課総括課長 米価下落の農業団体、農協への影響についてでございますけれども、農業協同組合のほうでは、組合員から委託を受けまして農産物を共同で販売しているということで、そして手数料をいただいているわけでございます。平成18年度における米の販売手数料の総額、これは、県内の農協全体で約16億500万円ほどでございます。事業収益は全部で1、084億円ございますので、これに占める割合は約1.5%という状況になってございます。
 米価が下落いたしまして、この手数料が減少するわけでございますけれども、最近の県産米の下落が昨年対比で約9%と、この数字を米価の下落率を9%と仮定いたしまして、平成18年度の取扱量を基準にその影響額を試算してみますと、農協全体では約1億4、000万円の手数料の収入減ということになります。
 この減収額は、各農協の米の取り扱いによりましてその影響の度合いは異なりますけれども、農協全体で見ますと、事業収益の約0.1%に相当いたします。
 したがって、このことによりまして直ちに農協経営に大きな影響を及ぼすということは余り考えられないわけでございますけれども、こういう状況が引き続き起こるような事態になりますと、組合員の営農活動等を通じまして、農協が行っております販売活動を初めとしまして、信用とか共済とか購買事業、こういう各事業全般にわたって、さまざまな影響が出てくるものかと懸念しているところでございます。
 県といたしましては、農協巡回によりますヒアリング等を通じまして、米価下落に伴います財務内容の的確な把握を行いまして、事業収益の向上ですとか管理費の圧縮などによる事業利益の確保、これらに向けた取り組みについて、指導・助言してまいりたいと考えているところでございます。
〇佐々木流通課総括課長 先ほど、県産米のシェアについてのお尋ねがございましたが、約80%県産米のシェアがございます。
〇嵯峨壱朗副委員長 喜多正敏委員の質疑の途中でありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時57分 休憩
午後3時14分 再開
〇新居田弘文委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇喜多正敏委員 先ほどの影響は、単に去年、おととしあたりの話ではなくて、積み重なってきた話でありまして、例えば岩手県の生産額は平成10年には約794億円で、平成18年は六百四、五十億円になるのかなということです。2割減少しているということで、農業経営にとっては大変厳しい状況であると思われます。しかも、農家の購買力の低下に伴いまして、地域の経済についても大きな影響があると考えられます。こうした米価の下落は、コストの削減努力をはぎ取り、農業経営を困難にしているわけでありますけれども、非常に長期的な対策とともに緊急的な対策も必要ではないかと考えられるわけであります。特にこうした価格の下落に対して、米の消費拡大を初めとして、県におかれましては、短期、長期についてどのような対策をとられようとしているか、お伺いいたします。
〇佐々木流通課総括課長 米の消費拡大についてでありますが、米の1人当たりの消費量は、昭和37年の118キロをピークに、平成17年には約半分の61キロまで減少しており、今後ともこうした傾向が見込まれますとともに、本格的な人口減少社会の到来により、米の需要量の減少が懸念されているところでございます。このようなことから、将来にわたり安定した米の需要を確保し、その需給均衡を図るためにも消費拡大が重要な課題と考えております。
 このため、県や生産者団体などで組織するいわて純情米需要拡大推進協議会が中心となって、親子おにぎり教室や、高校生や大学生を対象とした料理教室などの開催によりまして、幼児期から青年期までを対象とした啓発活動に取り組んできたところでございます。また、一般消費者向けには、フォーラム等の開催によりまして、米を中心とした日本型食生活の普及啓発に取り組んでいるところでございます。このほか、首都圏の小学校を対象とした食育の出前授業の実施や、県内の学校及び病院の給食への県産米の使用要請などに取り組んでいるところでありまして、県内の米飯食の回数は、全国平均の週2.9回に対しまして、岩手県は3.3回と全国平均を上回ってございます。さらに、こうした主食としての需要拡大に加えまして、農業研究センターが開発した米の加工利用技術を活用した米粉パンへの取り組み支援など、加工部門での需要拡大にも努めているところでございます。今後とも、国の施策や生産者団体の取り組みと連携を図りながら、積極的に米の消費拡大を推進してまいりたいと考えてございます。
〇喜多正敏委員 一般の消費者向けのほかにホテル、レストランや料飲店、さらには職域食堂について積極的に県産米の推奨を行うとともに、観光客を初めとして来たお客さんには、この銘柄は地元のこういうお米であるといったようなことも含めて、せっかく岩手県に来られた方々を通じて県外にも岩手県の米が流通していくよう、いずれ、マーケティング強化をして大いに米の消費拡大と流通促進に努めていただきたいと思います。
 次に、産直施設についてお伺いいたします。
 最近、各地でいろいろな主体による産直や産直施設があるわけでありますけれども、県内の産直施設について、県では、その施設数や販売金額、採算状況についてどのように把握されているか、お伺いいたします。
〇佐々木流通課総括課長 産直施設の運営組織別の施設数、販売額、店舗の採算状況についてでございますが、平成18年度の県内の産直施設は244施設であり、平成16年度の291施設をピークに減少傾向で推移しております。この244施設を運営組織別に見ますと、個人、グループや任意団体での運営が約7割、株式会社、有限会社や農事組合法人が約2割、農協直営施設が6施設となってございます。また、県内全体の販売額は、平成17年度で90億円程度と見込まれ、これを売り上げ規模別に見ますと、500万円未満の施設が35%、5、000万円以上の施設が22%となっておりまして、とりわけ、最近は1億円以上の売り上げの施設が増加しており、平成17年度の10施設に対しまして、平成17年度は23施設と倍以上になってございます。
 施設の採算性に関する調査は行っておりませんけれども、近年、産直施設の数が減少傾向で推移していることから、産直施設の経営は厳しい状況に置かれているものと考えております。
〇喜多正敏委員 産直施設は、御案内のとおり、農家と消費者が直接接することによるメリット、一方では、今お話がありましたとおり、減少傾向にあるということは、立地条件や品ぞろえ、管理運営方法などについてさまざまな問題、あるいは競合条件があるのかと思います。県では、こうしたことについて、開設や運営についてどのような支援を行っているか、お伺いいたしたいと思います。
〇佐々木流通課総括課長 産直施設は、生産者の所得確保に加えまして、消費者との交流を通じた本県農林水産業に対する理解の促進、生産者の販売意識の向上や、女性・高齢者パワーを生かした農村の活性化等のメリットがあるものと考えております。しかし、近年は、産直施設間の販売競争が激化し、産直施設全体の販売額も伸び悩んでいることから、今後は、学校給食等への食材提供や配食サービスに加えまして、通信販売など販売チャンネルの多様化や新商品の開発に取り組むことが課題であると考えてございます。
 これまで、国や県の助成事業を活用しまして産直施設の開設を支援したところでありますが、本年度からは、新たに量販店バイヤーОB等で構成いたします食のプロフェッショナルチームを設置いたしまして、販路の拡大や新商品開発の取り組みを支援するとともに、産直施設間の連携による県内のホテル、旅館への食材供給システムの構築などに取り組み、今後とも地産地消の核となる産地直売所の充実強化を図ってまいりたいと考えてございます。
〇喜多正敏委員 私は、この産直施設については、現金収入を得るということも大変重要なメリットと思いますが、従来、生産者がいいものをつくって、量をまとめて農協等へ出荷し、そして流れていくという流通経路から一歩踏み出して、お客様と直接向き合うことによって、品種であるとか、あるいは品質、価格、それから時間に応じて出していくというようなことで、なりわいの経営から、どちらかというとお客様と直接向き合ったような、いわゆる事業というような経営感覚を農家の奥さんの方々が肌で接するいい機会であると思っております。さらには、消費者にとっても新鮮で安心な農産物が入るということで、身土不二の精神にもつながってくるということで、こうした意味からすると、従来型の中央卸売市場を通じた、あるいは量販店を通じた流通経路とはまた別の、地域内の経済循環を図るような仕組みにもつながっていくのかと期待をしているところでありますし、当然、観光客も朝市を見にくるといったようなことで、町のにぎわい、村のにぎわいにもなると思っております。ぜひとも、県におかれましては、IT技術の活用や先進産直施設の動向なども情報提供いただいて、よりよい産直施設の形成を通じながら、地域農業の確立・振興をしていただきたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。
 最近、飼料価格の上昇について報道されておるわけでありますけれども、バイオエタノールの生産価格等から飼料価格が上昇しているわけでありますけれども、県のほうでは飼料価格の上昇についてどのように把握されておられるのでしょうか、お伺いいたします。
〇樋澤技術参事兼畜産課総括課長 配合飼料価格につきましては、委員御指摘のように、トウモロコシのエタノール需要の急増等による飼料穀物の国際相場の高騰や海上運賃の上昇などによりまして、平成18年10~12月期から4期連続で値上がりしておりまして、平成19年7~9月期にはトン当たり5万4、400円まで上昇しましたが、平成19年10~12月期は若干値下がりしまして、トン当たり5万4、000円となっております。
〇喜多正敏委員 最近は、飼料価格の上昇のほかに枝肉価格が低迷しているということで、畜産農家の経営は余りいいとは言えないという状況になっており、本県の畜産農家においても、その影響が出ていると思うわけであります。本県の重要な基幹産業である畜産の支援のために、こうした飼料価格の上昇について、県はどのような指導と支援を行われているか、お伺いいたします。
〇樋澤技術参事兼畜産課総括課長 こうした飼料価格の値上がりに対応するため、県といたしましては、自給飼料の生産・利用拡大なり家畜の生産性向上の取り組みを強化していくことが重要と考えておりまして、自給飼料の生産・利用拡大を図るために、公共牧場の利用促進、草地の更新等による単収向上、水田を活用した飼料作物の生産拡大などを推進しているところでありますし、さらに、家畜の生産性向上を図るため、早期離乳による分娩間隔の短縮、酪農における個別経営の分析に基づく乳量・乳質の向上指導等を推進しているところでございます。
〇喜多正敏委員 聞くところによりますと、郡山市議会におきましては、今回の飼料価格の上昇に伴いまして、国の配合飼料価格安定制度の基金に国の積み増し、あるいは加工原料乳補給金や食肉・子牛の基準価格を引き上げること、国産飼料を増産し、輸入飼料依存の脱却への取り組み、この支援を抜本的に強めることといったような意見書を国に提出するということで、全会一致で可決したという話をお伺いいたしております。非常に厳しい状況ではないかと考えているわけでありますけれども、もちろん、これは本県だけの問題ではないわけでありますが、さらに現場の声を聞きながら、食料基地としての畜産・酪農について振興を図っていただきたいと思っております。
 以上で質問を終わります。
〇岩渕誠委員 通告をいたしておりましたうち、質問の趣旨が重複したものについては割愛させていただいて、2項目についてお尋ねしてまいりたいと思います。
 まず初めに、農業公社の運営の問題、経営の問題についてお尋ねしてまいりたいと思います。
 農業公社をめぐっては、平成18年度に大変大きな経営上の課題が浮き彫りになって、その処理が行われたところであります。これは、いわゆる南畑の土地問題でございまして、これについては多額の含み損処理が平成18年度に行われていると思います。まず、この含み損処理による経営への影響、それから、現在の南畑の状況についてお示しいただきたいと思います。
〇徳山農業振興課総括課長 まず、南畑事業用地の再評価に伴う評価損が農業公社の経営に及ぼす影響についてでございますけれども、県は、平成16年、県出資等法人指導監督要綱に基づきまして、農業公社に対して民間の監査法人による外部経営調査を行いました。この中で、南畑事業用地に含み損があることの指摘を受けております。これを受けまして、農業公社では、南畑事業用地について再評価を行ったものでございます。再評価は、民間の不動産鑑定士による南畑地区の農地の評価額を用いまして農業公社が算定を行ったものでございます。その結果、南畑事業用地の現況価格は7億2、700万円で、評価損は9億2、800万円となり、これを平成17年度決算において計上したところでございます。
 この再評価が農業公社の経営に及ぼす影響についてでありますけれども、農業公社の平成17年度経常利益は3、400万円となり、単年度黒字を確保したものの、南畑事業用地に加え隣接山林の評価損などによりまして9億6、000万円の特別損失が発生したことから、平成17年度の繰越損失は7億9、200万円となってございます。その後、農業公社は事業量の確保や人件費の抑制などに努め、平成18年度決算では、経常利益5、500万円、当期純利益6、900万円を確保し、繰越損失も7億2、400万円に減少したところでございます。農業公社は再評価による特別欠損が発生しましても債務超過とはならず、当面の公社運営に大きな支障はないものとしておりますけれども、県といたしましては、今後とも、繰越損失を解消するため、平成17年度に策定した毎年度の事業収支の黒字を目標とする経営改善実行計画を着実に実施するよう、指導監督を強化してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、南畑地区におけます現在の取り組み状況と今後の方向についてでございますけれども、南畑地区の活性化につきましては、県、雫石町、農業公社、それに地元のNPOの4者で構成するいわて銀河ファームプロジェクト連絡協議会を設置しておりまして、ここにおきまして、平成18年6月に最終合意いたしました都市との交流や農的暮らしの希望者の定住促進等を内容とする活性化方策に沿いまして、4者がそれぞれの役割に応じまして段階的に取り組みを進めているところでございます。
 具体的には、県では、農業体験塾を開設し、盛岡圏の住民への農業技術の実践研修や土づくりの実証を行うとともに、地域住民の協働によるビオトープの整備、また、交流フェスタの開催等の交流拡大の取り組みを支援しているところでございます。また、雫石町では、南畑地区に設置した農産物加工施設や堆肥センターの活用を促進しますとともに、市民農園の開設や、このほかヒマワリや菜の花等の景観作物の栽培による交流拠点づくりと土壌改良を行っているところでございます。
 また、農業公社では、平成18年8月から10区画の宅地つき農地の販売を再開し、これまで首都圏から2名、体験塾に参加した県内の方1名、計3名の方に販売したところでございます。このうち1人は既にこの秋から定住しているほか、もう1名は住宅の建築に着手したというところでございます。この結果、既存施設の活用やイベントの開催等を通じまして交流人口は拡大し、南畑地区の知名度は着実に高まってきているところでございます。徐々にではありますけれども、交流から定住への流れが形成されつつあるものと考えているところでございます。
 今後の方向でございますけれども、現在、4者協議会においてこれまでの取り組みを検証するとともに、平成20年以降の具体的な取り組みを検討しているところでありまして、年度内に新たな活性化方策を取りまとめることとしておりますが、引き続き、いわて銀河ファーム戦略をベースといたしまして、交流の対象を盛岡圏から県内、県外に拡大しますとともに、都市住民から需要の多い市民農園、農業体験塾等の取り組みを強化し、さらなるこの地域の魅力の向上と交流人口の拡大を図りたいと考えております。
〇岩渕誠委員 懇切丁寧な御説明をありがとうございました。
 今お話をいただきましたけれども、当面の経営に問題はないという認識のようでありますが、私はちょっと見方が違っております。農業公社の大きな役割の一つは農地保有合理化事業だと思います。当然、大規模農家の育成等、効率的な農地の活用という部分について大きな役割を持っているわけでありますけれども、現状の農業政策、品目横断的農業対策とか新農政の中では、ことしの米価の下落も相まって、大規模農家ほど大変大きな影響を受けるというのが実態だと思います。そうした中で、農地保有合理化事業というのは今後大きな影響を受けるのではないかと危惧しております。
 そうした中で、9億円の含み損を出したということは、やはり後年度において大きなことにつながりはしないかと危惧するものでありまして、まずもって、現状の農業対策を進めていった場合の今後の影響についてもお尋ねしたいと思います。
 もう一点、これはどうしても指摘しておかなければなりませんが、今、10区画の販売について3名ほどが手を挙げたということがありましたけれども、皮肉なことに、頼りに頼っていたコンサルタントを外した段階で人が入るという現状であります。この含み損の中身を見ますと、御承知のとおり、コンサルタントが本当に多く入っていたわけです。当初のプランを立てたコンサルタントがいる。ところが、県はこのコンサルタントではだめだということで、また人を連れてきて別のコンサルタントに今度は預ける。ところが、このコンサルタントがうまくいかないということになると、名前をかえて実は同じ経営母体にあるコンサルタントを呼んできてやっている。そういうコンサルタントへの委託料もこの含み損の中には入っているということです。かなり大きなことですから、この辺は大いに反省をしていただきたいですし、この点は監査委員にお聞きを申し上げますが、実態として、会計上の問題あるいは事業の処理の問題、いろいろあると思いますけれども、余りに県政におけるコンサルタントへの不要な支出、あるいは成果が見えないということがあります。確かに必要最低限で役に立つコンサルタントというのもあるとは思いますけれども、本当に極めて厳しい財政状況あるいは農業経営の中で、こういったところもしっかりと監査をしていただく必要が今後大いにあると思うんですが、この2点についてお伺いいたします。
〇徳山農業振興課総括課長 農業公社の大きな使命といたしまして、三つほど、私どもはとらえております。
 一つは、今、委員が御指摘のような規模縮小農家から農地を買い入れあるいは借り入れまして、規模拡大の農家に売り渡す、貸し付けるというような合理化事業でございます。また、新規就農者の育成に関する事業、あとは公共事業等畜産の基盤整備事業を行っております。この三つの役割を今後とも維持するために、含み損の影響が非常に大きいのではないかということでございます。現在、約9億円ほどの含み損がありまして、約7億円余の繰越欠損を生じておりますけれども、合理化事業と南畑用地につきましては、経理上きっちりと分けておりまして、合理化事業につきましては国の事業でございますし、それに県が応分の負担を行う事業でございますので、完全にそこは区分して、合理化法人としての機能が衰えることがないように指導を強化しているところでございます。ただ、現実として繰越欠損が約7億円余ございます。これについては、毎年度の収支を黒字に確保するよう、現在の経営改善実行計画を着実に実行することが何よりも必要と考えておりますので、なお一層、その指導に努めていきたいと思っております。
〇菊池監査委員 コンサルタント依存行政は最近特に目立っていまして、コンサルタントが業者から情報をとって報告するというケースもありましたので、なるべくコンサルタントを通さないで、県庁には頭脳集団がいっぱいいますので、みんなで考えようということを監査のたびに指導してまいりました。
〇岩渕誠委員 まず、農業公社の経営については、全体的な経営の足を引っ張らないように、ぜひ、そうしたことでやっていただきたいと思います。
 それから、監査委員の御指摘、そのとおりでございますが、なかなかこれが徹底されていないという状況も散見されますので、ぜひ、その辺は強く御指導いただきたいと思います。
 次の事項に参ります。岩手県競馬組合に対する融資の問題についてお聞きいたします。この問題については、午前中の審議の中でもありましたし、前任期の議員の皆様で真摯な議論が交わされたと承知しておりますが、あえて、私も新人でございまして、不勉強なところがございますので、幾つか確認をするためにお聞きしてまいりたいと思います。
 まず、パルソビルの信託解除の問題についてお尋ねをしてまいります。くしくも午前中に構成団体融資の概要について御説明がありまして、起債、一時借入金、その他債務、平成18年度損失を、それぞれこのようにお金が使われたんだよということになっておりますけれども、この中にパルソビルの信託解除、いわゆる違約金の類に当たるかと思いますけれども、これが入っていたと思います。パルソビルの信託解除を招いたのは契約の問題だったと思います。当時の事務局のほうで、信託解除につながるような重大な契約であったにもかかわらず、この存在が、当時の管理者あるいは議会にも報告されないまま積み残しになって、最終的に違約金を払わざるを得なかったということでありますが、今までの答弁ですと、管理者はその内容について承知していないということでしたが、県としては、いつ、どの時点でこの問題を承知したのでしょうか。
〇東大野農林水産企画室長 パルソビルの信託契約の関係でございますけれども、今、委員御指摘の事項について県が承知したのは、既にその協議に回答があった後でございます。当時は承知してございませんでした。
〇岩渕誠委員 そうしますと、この問題の承知は管理者と同時であったととらえてよろしいですか。
〇東大野農林水産企画室長 管理者に対して競馬組合から直接報告があったかどうか、そこは承知してございませんので、同時であったかどうかというお尋ねに対して、ちょっと答弁いたしかねます。
〇岩渕誠委員 この信託解除については、十数億円でしたか、相当なお金が違約金として支払われたはずでありますが、今、その経緯をお尋ねしますと、管理者も知らない、議会も知らない。だれが決めたのか。しかし、契約書にはきちんと管理者の判が押してある。これは行政執行上重大な過失に当たるのではないかと私は思うのですが、どのようにお考えですか。
〇東大野農林水産企画室長 平成16年3月と承知しておりますけれども、この協議について、当時の副管理者は、代決権の範囲で対応できる内容と判断して、当時回答したものと聞いてございます。
〇岩渕誠委員 問題はないということでありますが、一般に見ていますと、本来多額の経費がこういう結果として出てきたところに対して、責任のある人はだれも知らされていなかった。なおかつ、そういう決定をした職員に対して、私が承知している範囲では、何ら、その処分等のようなものはなかったと思うんですが、果たしてこれは適切な行政執行、あるいは責任のとり方ということであり得るのでしょうか。民間だとちょっと考えられないと思うんです。これは、結果として融資の枠組みの中で処理されたわけでありますけれども、私が思うに、これは重大な過失であるという認識は変わらないのでありますが、少なくとも当時の聞き取り、あるいは瑕疵があったと考えるのであれば、処分あるいは法的措置というのがとられてもいたし方ないと思うんですが、県の見解をお聞かせください。
〇東大野農林水産企画室長 当時、副管理者は競馬組合の身分でございますので、県として、その処分等について意見を申し述べるといったようなことについては、差し控えるべきかと考えます。
〇岩渕誠委員 立場はわかりますが、県税を多額に投入しているという実態にかんがみて、その辺はもう一度再考願えないものかと思います。これは指摘にとどめます。
 次に、コスト削減の経過についてちょっとお尋ねしてまいりたいと思います。
 コスト削減は、午前中の審査の中でもいろいろと大きな議論になった一つだと思います。ただ、私は、このコスト削減の実態は、去年はどうした、おととしはどうしたということも大事なことなんですが、経営の変化があったときからたどってみないと、ちょっと全体像がわからないのではないかという視点でお伺いいたしますが、競馬組合が赤字に転落してもう既に七、八年になるわけですけれども、その間のコスト削減の額の経緯というものをまずお示しいただきたいと思います。
〇宮農林水産企画室特命参事 コスト削減の取り組みにつきましては、平成12年度に赤字が発生した以降、開催経費全体の推移ということで見てまいりますと、平成13年度、平成14年度という年は、売り上げ拡大のためにそれぞれテレトラックを、平成13年度に1カ所、平成14年度に1カ所新設した関係がございまして、この2年間については経費がその分ふえているという状況でございます。平成15年度以降につきましては開催経費の削減が進みまして、前年度に比べまして平成15年度では約14億8、800万円、平成16年度では約15億8、100万円、平成17年度では約18億5、400万円、平成18年度の見込みでは約1億900万円の削減になってきているものでございます。
〇岩渕誠委員 テレトラックの増設があったのでふえたということでありますが、そのテレトラックの経費以外で顕著に減らした部分というのはなかったのでしょうか。
〇宮農林水産企画室特命参事 平成13年度、平成14年度とも、開催経費トータルではふえているわけでありますけれども、例えば平成13年度で申し上げますと、競馬場の施設の運転監視業務の運用体制の見直しでありますとか、開催人件費の見直しでありますとか、さまざま開催事務経費については、継続している経費については見直しを図ってきてございます。平成14年度につきましても、同じように継続的に実施している経費につきましては見直しをしてきてございますが、先ほど申し上げましたのは、各年度ごとの開催経費全体で見ますと、テレトラックが増設されたことによる経費のほうがそれを上回っているということで、平成13年度、平成14年度については増額になっているものでございます。
〇岩渕誠委員 コスト削減については、ここのところいろいろ切羽詰ってから行われる、あるいは部局横断的ないわゆるクロス・ファンクショナル・チームによる財務分析を行うようになってから相当表に出てくるようにはなったんですけれども、それ以前というのはほとんど議論にならなかったという認識を持っています。例えば赤字転落後、競馬組合における初めての経営改善のための提言というのは、これは川勝平太さんが座長になって取りまとめた提言書があったと思います。この中でコスト削減というのが触れられたと私は思っているんですが、やはり前段階においてコスト削減の必要性を指摘されていたにもかかわらず、それが果たして十分に機能したかということを少し思っているんです。きちんとこれに対応して、川勝さんもコンサルタントだと思いますけれども、大学の教授ですけれども、そこでしっかりと反応してこなかったのではないかという思いがあります。これは行政的に言うと不作為に当たるのではないかという気も少ししております。つまり、放置してきたという部分が二、三年あったのではないかと。そこのところで決定的なものになったのではないかという思いがあります。その辺、いかがお考えでしょうか。
〇宮農林水産企画室特命参事 平成12年度以降の経営改善の取り組みについてでございますが、競馬組合におきましては、平成12年12月にみちのくレース岩手競馬改善計画というものを策定いたしました。この改善計画につきましては、場外発売所を新たに開設する、あるいは施設整備を中心とした売り上げ拡大に取り組むことによって、売り上げの減少に歯どめをかけようといった対応でございました。しかしながら、運営状況は、御存じのとおり、回復しなかったということから、コスト削減あるいは新しい発売方法の導入等の自助努力での債務解消を目指すということで、平成17年2月に岩手県競馬組合改革改訂実行計画を策定したところでございます。設備投資を伴わないインターネット発売による売り上げ拡大に取り組んだところでございますが、新しい発売方法を導入した平成18年度につきましても自場発売を中心に発売額が減少し、経営が悪化してきたものでございます。こういった状況を踏まえまして、昨年11月に今の新計画、新しい岩手県競馬組合改革計画を策定いたしまして、現実的な見通しのもとで、新たな赤字を出さない競馬事業の継続に取り組んできているものでございます。
〇岩渕誠委員 いずれ、県民サイドから見ると、融資がどうだという前に、どうしてこういう経営になってしまったのかという疑問はいまだ解消されておりませんし、一体だれがこの責任をとったんだという思いは、県民世論の中では根強く残っていると思っております。そういう意味で、やはり自分のいる間だけはとりあえず帳じりを合わせて、その任が終わればあとはというような感覚では大変困るのでありまして、今そうだということではありませんけれども、過去において、この取り組みを見ておりますと、やはり不作為と─言い過ぎかもしれませんけれども、そういう部分というのはやっぱりあったのではないかという思いがあります。午前中の審議の中にもありましたけれども、監視委員会の報告をよしとしている県民はそんなにいないと思います。法令違反がなかったとかですね。あの報告書を読んでも、何でこうなってしまったんだというのはほとんどわからないんですよ。これはやっぱり県民は多く思っていると思います。したがいまして、そういう第三者機関ではなくて、しっかり自分たちで検証して、改めて、こうした不作為な部分もなかったかということも含めて、改革の中でしっかりと検証していただきたいと思いますが、最後に、部長、この辺のことについてどうお考えでしょうか。
〇高前田農林水産部長 岩手競馬の現在の状況に至ったその分析をしっかりして、今後の取り組みに生かしていくということは極めて重要なことだろうということで、監視委員会という組織を立ち上げさせていただきまして、それで検討していただきました。その結果、四つの指摘ということで、今、委員から御指摘いただいたようなことも含めて、四つの指摘の中にはございます。具体的に申し上げますと、経営環境に応じた機動的な事業運営ということがしっかりできていなかった。それから、厳しい事業環境の把握と危機意識に基づく経営改善計画がしっかりと策定できていなかった。売り上げ減少に即応した徹底したコスト削減の取り組みがやっぱり不十分だったと。最後に、後年度負担を伴う施設整備の長期的展望に立った慎重な検討が必要だったといったようなことを御指摘いただいておりまして、こういうことはしっかりと反省して、今後の事業運営に生かしていかなければならないと考えております。
〇岩渕誠委員 いずれ、この問題については、聖域を設けず、コスト削減においても、その他の全般的な経営の見直しについても果敢に抜本的な見直しをしていただきたいと要望して、終わります。
〇斉藤信委員 まず最初に米価の暴落、その影響について。
 今年度産米の米価の暴落は、農家の存亡にかかわる、農業・農村の存亡にかかわる大問題だと私は受けとめております。県内産の米価の水準と生産費の比較はどうなるのか、示していただきたい。
 大型農家にこそ深刻な影響が出ているのでないか、集落営農組織への影響はどうなっているか、最初にお聞きします。
〇小原農産園芸課総括課長 まず、県産米の最近の米価の状況と生産費の比較、影響についてでございますけれども、本県産米の価格でございますが、先般、10月3日に行われました入札では、本県のひとめぼれが60キロ当たり1万3、412円となってございまして、これは、昨年対比で9%の減、価格で1、200円ほど安くなってございます。
 これに対しまして経費でございますが、国の生産費調査によりますと、平成18年産の生産費が60キログラム当たり1万3、195円になっておりまして、これに流通経費を加えると1万4、109円となりまして、先般の入札価格では、生産資材費等のコストは賄えるものの、家族労働費を含めた再生産に必要な経費のすべてを賄える水準とはなっておらず、県内の稲作農家の経営に影響を及ぼすということを懸念しているところでございます。
 なお、国の生産費調査は、県内の調査件数が32経営体と少なく、また、単収も県平均に比べて502キロと低い設定がなされてございまして、仮にこの単収を、岩手県の平成19年産の平均単収は530キロでございますが、これで試算いたしますと、生産費に流通経費を加えた経費は60キログラム当たり1万3、446円となりまして、先般の入札価格1万3、412円でもほぼ再生産が可能な価格になると思ってございます。
 それから、米価の暴落の大規模農家や集落営農組織に与える影響についてでございますが、まず、大型農家への影響についてでございます。5ヘクタール規模の稲作経営体につきまして、国の生産費調査をもとに試算いたしますと、今回の米価下落に伴いまして、米の販売額は前年より46万円ほど少ない600万円ほどと見込まれてございます。なお、品目横断的な経営安定対策に加入している場合には、こうした米価の下落に対して、下落率の10%の範囲内でその補てんが行われますから、この影響について幾分緩和されると思っておりますけれども、他方、こうした大規模な経営体というのは、その規模に見合う大型機械や施設を装備しておりまして、小規模の経営体に比べますと、減価償却費やあるいは年間の運転資金も非常に大きいわけですので、実態とすれば、今後に影響が及ぶということも懸念しておるところでございます。
〇斉藤信委員 県の危機感のなさというのに、私は今、本当に驚いたんだけれども、NHKがライスショックという番組を2回特集しました。その中で、いわば40年前から大規模化をやっている秋田県の大潟村は1戸平均15ヘクタールですよ。この日本で一番大規模化をやっているところで、もう成り立たないと。1割の農家は資金づくりで行き詰まって経営危機だという報道でした。大潟村でやっていけなかったら、全国でやっていけるのかという問題提起もありました。私は、大規模化したところほど米価下落の一番大きな打撃を受けているんだと思うんですよ。
 もう一つ、今、県が推進している、国が推進している集落営農が、また米価下落の直撃を受けているのです。10月18日の日本農業新聞の一面は、東北─米価下落、主産地を直撃と。ここで紹介されているのは、水稲作付880ヘクタールの盛岡市の都南地域営農組織で、当初予定していた概算金の単価を大きく下回った。赤字になってしまう。1年目から集落営農が赤字だと。私は、本当にこれは農家の存亡、集落営農の存亡、大規模農家の存亡がかかっていると思いますけれども、何とかやっていけると受けとめているんですか。
〇小原農産園芸課総括課長 集落営農組織への影響についてでございますけれども、先ほど喜多委員にもお答えいたしましたが、集落営農組織につきまして、特に経営規模が個別経営に比べますと非常に大きいということで、米価下落の影響が特に心配されるわけでございます。加えまして、やはり品目横断的な経営安定対策への参加を契機に設立されたものが大部分であり、出資金の積み立てが十分でないといったようなことで、資金繰りが大変心配されるわけでございます。
 さらには、品目横断的な経営安定対策のいわゆる国からの交付金が来年の7月まで交付されないといったようなこともございますので、いずれ、資金繰りが大変心配されるわけでございますけれども、政府・与党のほうで、今回の米価下落に対する緊急融資といったようなことも、政府米の買い入れとあわせて検討がなされると伺っておりますので、今、その内容がどうなるか、注視しているところでございます。
〇斉藤信委員 今、アメリカでも、中国でも、台湾でもこしひかりを生産している。だから、単純に岩手の米を中国に輸出すればうまくいくという話ではないんだと私は思うんだけれども、今の米価下落の要因は何か、ここにはっきりとメスを入れなかったら、これ以上、絶対よくなりませんよ。米価は暴落している。毎年下がっているんですから。最大の理由は価格支持を放棄した。もう一つは生産調整を放棄した。国の責任放棄ですよ。そのために、市場原理で米が余るということで流通業界がどんどん米価下落競争をやる。だから、価格支持政策と生産調整機能をやっぱり国がきちんと役割を果たさないと、この暴落ということはとどまらないんじゃないか。いかがですか。
〇小原農産園芸課総括課長 今回の米価下落の原因ということでございますけれども、まず、消費面では、1人当たりの米の消費量がピーク時の、これは昭和37年でございますが、約半分ということで、米の消費減退に歯どめがかかっておらない。こうしたことに加えまして、生産面では、やはり御指摘のような米の生産調整が十分に機能していないといったようなことから、全体として生産が過剰となっておりまして、需給全体としては均衡が図られておらないと考えているわけでございます。
 その背景につきまして、米の需給調整につきましては平成19年産米から、農業者、農業団体が主体の需給システムに移行しているわけでございます。現行の需給調整システムでございますが、第1点が、米価下落の際の補てん財源が限られてございまして、また、その補てん財源も低下してきているなど、生産調整のメリット感が少なくなってきていることや、あるいは生産が過剰となった場合、その過剰分を生産調整に取り組んでいる農家が負担しなければならないといったことなど、いわゆる生産調整への参加を促進するといった観点から、必ずしも十分とは言えない面があると考えてございまして、このようなことから、本年8月に国に対しまして、稲作経営の安定化を図るために、生産調整のメリット措置の拡充など現行制度の見直しについて提案したところでございます。
〇斉藤信委員 農協や農家に生産調整を任せるということが間違っているんですよ。農協、全農でもいいんですけれども、どのぐらい販売数量を確保しているんですか。これは県内もわかったら示していただきたい。私は、今、そういう資格も能力もないんだと思いますよ。それが一つです。
 もう一つ、米の消費は確かに減少していますけれども、それだけではないんです。これはきょうの岩手日報に生源寺真一さんという東京大学教授が載せているんですけれども、こう言っているんです。実は昭和の時代には、自給率低下は主として食生活の変化によって生じた。平成に入るころから、食料の消費は落ちつき始める。人口も微増から減少局面に入った。消費面の推移とは対照的に、今度は農業生産の縮小傾向がはっきりしてきたと。いわば農業生産の縮小傾向によって自給率は落ちているという、これは自給率の話ですけれども、私は、今は本当に深刻な事態なんだと思うんです。その点で、今、価格支持と生産調整を国が責任を持つという体制に転換しなければ、どんな大規模化をやっても、どんな集落営農をやっても、そういうところほど打撃を受ける、私はそういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
 その上で、緊急対策としては、今、自民党も検討しているようですけれども、政府備蓄米の買い入れは、政府の発表では、今、100万トンの計画に77万トン、私たちは68万トンしかないんじゃないかと思っていますが、これは緊急の100万トンの計画まで確保すると。ただ、その際、古米を超低価格で放出したら意味ないんですよ。だから、古米の放出というのは同時にやってはならないという対策が必要ではないか。米が余っているときに、ミニマムアクセス米が毎年77万トン入っているんです。これが在庫になって、在庫の管理料が膨大になっているんです。私は、こういうところにきちんとメスを入れないと、この米価暴落対策は功を奏さないと思うけれども、単に生産調整のメリットを上げてほしいというような対策では、全然対策にならないと思いますが、いかがですか。
〇小原農産園芸課総括課長 まず最初に、全農県本部の米の扱いのシェアでございますけれども、県内の米の生産量は大体30万トンということになってございまして、これに対しまして全農県本部が売り渡しを行っている米は大体18万トンというのが現在の実態でございます。
 それから、こうした需給システムが破綻したのではないかといったようなお話があるわけでございますけれども、こうした米価の下落対策につきましては、まずもって国に需給システムをきちんと検証していただきまして、それに基づく見直しを行い、需給バランスの均衡を図るということが大変重要と考えてございます。こうした中で、現行制度には、先ほども申し上げましたが、幾つかの問題点があるわけでございまして、これにつきましては国に提案したところでございます。さらには、今現在、政府・与党あるいは農林水産省が検討してございます生産調整のメリット措置なり過剰米の処理対策といったところの動向を、現在注視しているところでございます。
 なお、いわゆる緊急対策としてミニマムアクセス米あるいは古米の処理の扱いでございますけれども、いずれ、ミニマムアクセス米は国際ルールの中で我が国に輸入されているものと思ってございます。ただ、その一方で、主食用米の需給には影響しないように、国のほうに対してきちんと申し入れていきたいと思ってございます。また、古米につきましても、これは国の回転備蓄の考え方のもとに一定量が買い上げられまして、その備蓄の役割を終わった段階で放出されているわけでございまして、価格的には、やはり御指摘のとおり、通常の米よりも安く放出されてございますが、いずれ、こういった国の米の放出につきましても、やはり国産米の需給に影響しないように配慮していただくように国に申し入れていきたいと思ってございます。
〇斉藤信委員 米価の暴落は、まさに国の農政の破綻のあらわれです。自民党、公明党が参議院選挙で敗北した重大な理由の一つで、私は、この対策なしに自民党に未来はないと指摘しておかなければならないと思います。
 次に、品目横断的な経営安定対策についてお聞きいたします。加入農家、集落営農組織はどうなったか。全農家数、全農地面積に対する比率はどうなっているか。
〇平賀担い手対策担当課長 品目横断的経営安定対策の加入の状況でございますけれども、経営体数では、個別経営体が1、852経営体、集落営農組織が326組織となっておりまして、加入農家戸数は約2万2、200戸となっております。
 加入率についてですけれども、農家戸数では、総農家戸数8万6、000戸に対しまして26%でありますけれども、米と麦と大豆の販売農家戸数6万1、500戸に対しましては36%となっております。加入面積では、米、麦、大豆の全作付面積6、380ヘクタールに対しまして39%で、販売仕向け面積4万1、000ヘクタールに対しては60%の加入となっております。
〇斉藤信委員 集落営農組織は、今の米価の下落で1年目から赤字だと。大変な局面にあるわけですけれども、実際に今お聞きしても、販売農家と比べても加入戸数が36%、加入面積は全体から見ると39%で、4割ぐらいの農地しか対象にならない。ここだけを対象にした農政だったら、農業生産、米生産は減退減少ということになってしまうのではないでしょうか。
〇平賀担い手対策担当課長 委員御指摘のとおり、面積あるいは農家戸数を見ますと、先ほど申し上げたような比率でございますけれども、いずれ、加入していない農家に対して、関係機関、団体等と連携を図りながら、平成20年産の品目横断的経営安定対策への加入を促進するということと、担い手以外の農家を対象に、米の価格下落時の価格を補てんする稲作構造改革促進交付金、あるいは転作作物の産地づくりを促進します産地づくり交付金、さらには平場と中山間地域との農業生産条件の不利を補正する中山間地域等直接支払交付金などによりまして、いわゆる未加入農家に対する支援に努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 加入促進だけではこの問題は解決しないのですよ。なぜこの程度にとどまっているかという問題があるわけです。集落営農というのは一般的にはいいんですよ。しかし、国の集落営農には五つの要件があって、経理を一元化しなければならない、3分の2の面積を集積しなければならない、法人化しなければならない、担い手に所得目標を設定して、いわば作業を集中しなければならない。そんなことをやったら、個別の農家がもたない、農村がもたないというので、みんなじだんだを踏んでいるんですよ。今、集落営農が、先ほど言われたように326経営体つくられた。皆さん、アンケート調査をやったね。この実態はどうなっていますか。ほとんど今までの経営実態と変わらない集落営農になっているんじゃないですか。1、852戸の担い手農家が個別経営体で加入しましたが、この平均面積、所得目標はどうなっていますか。
〇平賀担い手対策担当課長 個別経営体の平均面積についてでありますけれども、品目横断的経営安定対策へ加入した1経営体当たりの加入面積は、平均で6.2ヘクタールとなっております。
 また、個別経営体の所得目標については、各経営体の経営規模でありますとか営農類型が異なっておりますので一概には言えませんけれども、農業経営基盤強化促進法に基づいて、市町村基本構想の目標農業所得をもとに定めるということとされておりますので、県内では低いほうで330万円から600万円となっております。
 集落営農組織に対するアンケートでございますけれども、本年7月に実施しております。その結果、集落営農組織の設立の契機といいますか、きっかけとしては、品目横断的経営安定対策への加入が63%、次いで、圃場整備を契機としたというものが14%であります。
 また、水稲の主要機械作業の実施実態については、構成員が所有水田をみずからの機械で作業する組織というのが7割、次いで、特定されたオペレーターが作業を担うというのが続いております。
 また、集落営農の目指す方向についての質問でありますけれども、地域ぐるみで営農を実施し、地域の農地や環境を維持することを目的とする組織が58%、次いで、コストを削減し、赤字の縮小、収支の均衡を目指すとしたところが24%となっております。
 以上を踏まえまして、今後の課題でございますけれども、麦・大豆の収量・品質が低いことを挙げている組織が46%、資金繰りに苦慮しているが43%、法人化など手続が繁雑・難しいが41%という状況になっております。
〇斉藤信委員 私は1、852戸の個別経営体も大変深刻だと思います。というのは、これは農林水産省が、いわば稲作主体の担い手を10年間追跡調査した結果を発表したんです。それによると、これは6ヘクタールから8ヘクタールに規模は拡大しているんだけれども、農業所得は513万円から393万円に減ったと。これ、ことしの暴落前ですよ。本当に個別経営体、さっき平均6.2ヘクタールといったら、本当に300万円の所得も保障できない、それどころか赤字になってしまうという実態ではないか。
 農業集落もそうですよ。結局、国が選別するものだから、無理無理そこに対応して集落営農組織をつくったというのが実態です。これが、法人化とか一部の担い手に所得や生産を集中したら、これは成り立ちませんよ。私は、そういう意味では、やはり今度の暴落のことも含めて、国の選別政策の転換を求める、このことが必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇平賀担い手対策担当課長 品目横断的経営安定対策の見直しについてのお尋ねでございますけれども、本対策につきましては、ことしスタートしたばかりでございまして、この対策の導入を契機として、例えば認定農業者が増加、去年、平成18年3月から比較しますと1、077人ほど増加しておりますし、あとは、小規模・兼業農家も参加した集落営農組織の設立が進み、今後の育成すべき担い手が明確化されてきているものと考えております。
 こうしたことから、県としては、加入した経営体に対しまして、生産技術であるとか、管理能力の向上を支援し、経営のレベルアップを図るとともに、未加入者に対しまして、加入促進や園芸・畜産の導入拡大を図ってまいりたいと考えております。
 一方、ただいま議論されておりますけれども、ことしの米価の下落の中で大幅な米価下落に対するならし交付金の水準が低いこと、あるいは緑とか黄ゲタ交付金の交付時期が遅いことなどの問題も明らかになってきております。
 このため、県では、国が行いました地方キャラバン、これは全国で44都道府県に農林水産省の幹部の方がいらしたわけですが、本県では9月13日に農林水産省の経営安定対策室長が見えた際にも、基準収入の1割以上の下落に対応できるような制度設計の見直し、あるいは米価安定のための米の需給調整の着実な実施などについて提案してきたところであります。
 こうしたことを踏まえまして、国においては、品目横断的経営安定対策など3対策についての農政改革三対策緊急検討本部を10月11日に設置しまして、その中で11月末までに制度の改善・見直しを検討することとしております。
 県としては、現在行われております国の見直しの状況を注視するとともに、市町村や関係団体の意見も聞きながら、必要に応じて国への制度改善提案も考えていきたいと考えております。
〇新居田弘文委員長 斉藤委員にお願いします。
 この後、林業水産関係の質疑も予定されておりますので、1人の方が長時間にわたらないように、御配慮願います。
〇斉藤信委員 品目横断対策は、国も見直すという議論も始まっているようであります。国が上から強制して農業の集団化をやるなんていうのは、破綻したソ連のやり方ですよ。これは絶対に成功しない。私は、もう見直しと言っているときだからこそ、もう抜本的な提言を県としてもすべきだと思います。
 一つだけ指摘しておきますけれども、これはライスショックの中で紹介されて、私は本当に驚いたんだけれども、経済財政諮問会議のいわば農業担当者、これは東大の本間正義教授ですけれども、こう言ったんですよ。米は主食から野菜の一つになっているんだ。だから輸入したっていいんだ。安定供給すればいいんだと。これが財界流の発想ですよ。私は、こんなこと絶対許してはならないと思いますよ。日本の主食、日本の農業・農村を支えてきた米を守るというこの点で、私は、食料供給県を標榜するなら、やはりこういうことについて毅然と対応していくことが必要だと。部長にこのことをお聞きしたい。
 それと、この農政のところで、競馬に入る前に最後にまとめて聞きますが、実は、県の地域経営計画で農業生産額を拡大するという計画に、これはわずかですけれども、しかし、今拡大するどころか、これはことしからもう破綻しているのではないのかと。これをどういうふうに考えるのか。農業生産額をふやすというその根拠はどこにあるのか。
 それと、農林水産決算に見る価格補償費、公共土木事業費の額と比率を示していただきたい。
〇高前田農林水産部長 それでは、私のほうから食料供給についての基本的な考え方ということについてお答え申し上げまして、その他のお尋ねにつきましては、企画担当課長のほうからお答え申し上げます。
 まず、食料供給の基本的な考え方でございますけれども、これは、最近のテレビ等での報道等もございまして、非常に議論はいろいろ盛り上がってきているという印象でございますが、実は、昨年12月に内閣府が、我が国の食料生産・供給のあり方についてということで世論調査を行っております。
 これは、非常に私も興味深く拝見したわけでございますけれども、この結果を見ますと、やはり食料は安い海外に依存すべきであるというお答えをした方は全体の8%にとどまっている。これは、非常に私としても心強く思っているわけでございますが、一方において、残りの約9割の方、この方々については、食料はやはり海外に依存すべきではないとお答えになっているんですが、実はその意見の中には、コストを引き下げながら、生産費を下げながらという条件がついております。
 こういった国民の世論としては、従いまして、食料の国内からの供給というのは支持するんだけれども、あくまでも生産コスト、生産性を上げることが条件ということになっております。つまり、現状の農業をそのまま容認するのではなくて、やはり生産性の向上というものにはしっかり取り組むべきというお答えでございました。
 今後とも、私どもとしても、今回いろいろ御指摘いただいておりますように、品目横断的経営安定対策、ことしスタートしたわけですけれども、いろいろとまだ十分理解されていない部分もありますし、それから制度のいろいろな課題、問題点も見えてきております。こういったようなものについてもしっかりと国のほうで今見直しの検討が行われているようでございますので、そういったようなことも動向を注視する、それから、私どもとしても、地域農業を振興するという観点から、言うべきことはしっかり言っていくことが重要ではないかと考えております。
〇古川農林水産企画室企画担当課長 農業生産額を拡大する具体的な根拠についてでございますけれども、園芸と畜産中心に拡大しているということになってございますが、園芸の花卉につきまして、過去の生産の伸び率をもとに、年平均の伸び率を3%と設定いたしまして10億円増加すると。それから、野菜につきましては、果菜類、ホウレンソウ、レタス、キャベツ等の単収向上、それから県北・沿岸地域を中心に生産拡大を図っております冬春野菜の増加などによりまして19億円増加するということで、園芸全体で36億円の増加を見込んでございます。
 それから、畜産でございますけれども、肉用牛につきまして、県南・県北地域を中心とした増頭、それから乳牛では、沿岸地域を除く地域での増頭によりまして生産拡大を図りまして26億円を増加することとしてございます。それから、養豚につきましては、生産拡大によりまして21億円の増加、畜産全体では47億円の増加を図るということにしてございます。
 これら、園芸と畜産の生産拡大のほかにも、麦、大豆、雑穀の生産拡大を含めまして93億円の増加によりまして、米の生産減少分34億円をカバーした上で、農業全体では59億円の増加を確保しようということで、2、600億円の産出額を達成しようとするものでございます。
 それから、価格補償関係費の決算額及びその比率でございますけれども、農業関係の青果物の価格安定対策及び畜産物の価格安定対策に係る決算額は3億円余りでございました。その比率は0.4%となってございます。
 それから、平成18年度決算に対する公共事業費の額及びその比率でございますけれども、農林水産部全体では、決算額941億円に対しまして、公共事業費は301億円余でございまして、その比率は32%となってございます。これを前年度と比較いたしますと、公共事業費では46億円余りの減ということで、その比率は13ポイントばかりの減ということになってございます。
〇斉藤信委員 先ほどの答弁で、米は今度の暴落で57億円減収になると答えているんですよね。もう30億円減収というのは、何年かのあなた方の見通しでしょう。わずか1年間でこの倍ですよ。園芸だって、この間を見たらずっと伸びているわけではないんですよ。
 私は、これは指摘だけにとどめておきます。やはり減収している要因をはっきりさせて、そこの打開をやらないと、ただ数字だけで伸ばしますというものでは、今までずっと落ち込んでいるんだから。3、500億円から2、000億円にです。私は、余り根拠のない数字なのではないか、案を出す段階からその根拠が崩れているのではないかと思いますが、これは指摘だけにとどめて、競馬に入ります。
 最初に、330億円の融資、税金投入が決められました。この新しい競馬組合改革計画は、完全に行き詰まって破綻したのではないか。当初の計画に対する売上実績、前年度に対する売上実績はどうなっているでしょうか。見直した計画に対してはどうか。金融機関に対する返済額、利子分はどうなっているでしょうか。
〇新居田弘文委員長 けさ、冒頭に説明している部分がありますので、簡潔に答弁願います。
〇宮農林水産企画室特命参事 発売額の動向でございますが、10月15日までの自場発売の計画達成率につきましては、当初計画比では84.2%でございます。それから、前年対比では87.1%でございます。それから、見直した計画、8月10日の運営協議会で了承を得た第2期の見直し後の計画対比では92.5%でございます。
 それから、330億円融資に伴う返済額ということでございますが、金融機関への返済額、一時借入金は141億7、400万円でございます。起債の分については152億7、500万円、合計294億4、900万円が金融機関の借入金の返済に充てられているものでございます。
〇斉藤信委員 金融機関といったって二つぐらいしかないでしょう。利子分、幾ら払ったんですか。利息分。
〇宮農林水産企画室特命参事 ちょっと今、時間をおかしいただければと思います。済みません。
〇斉藤信委員 そのことは聞くと言っているんだから。出ますか。
〇宮農林水産企画室特命参事 平成18年度に民間の金融機関に払いました利息につきましては、長期借入金の分が1億5、500万円、それから一時借入金の分が、民間金融機関には1億9、200万円でございます。
〇斉藤信委員 330億円の中で利息分は2億数千万円、こういうことでいいんですか。
 それと、岩手銀行に対する利息払いの総額は幾らになりますか。
〇宮農林水産企画室特命参事 平成7年度以降、民間の金融機関に支払いました利息については、平成18年度までで36億1、800万円でございます。
〇斉藤信委員 県民が330億円負担して、銀行だけは36億1、800万円の利息をもらったと、私は、本当にこれは理解しがたい。そういう点で、やはり金融機関の責任が問われているんだと思うんです。
 実は、競馬組合がATMの設置を岩手銀行に要請したら、断られたんですよ。いつまで存続するかわからないからですよ。銀行というのはシビアなものですよ。しかし、岩手県の指定金融機関ですからね。36億円も利息をもらって、この程度の協力もできないというのはおかしい話でしょう。私は、本当にもっと対応すべきだと思いますよ。
 次に、年内に2億円台後半のコスト調整が必要になっている、こういうふうにきょう初めて出ました。2億円台後半ではなくて3億円じゃないんですか。もう少しリアルに言ってください。2億円台後半というのはどのレベルなのか。そして、それを第4期計画でやろうとしたら、先ほど佐々木委員も言いましたけれども、これはもうほとんど不可能に近い、限界に近い数字じゃないでしょうか。賞典費にしても、情報関係にしても、運営経費にしてもね。そこの見通しはどうですか。
〇千葉理事 コスト調整でございますけれども、午前中に御説明申し上げましたが2億円台後半ということで、これから、第3期末が10月29日でございますので、それまでの発売実績、それから今後の年度末までの発売動向、そういったものを一層厳しく見込みながら、最終的に幾らになるか、それを今精査しているところでございまして、11月初めに競馬組合の運営協議会で了承を得られるように今取り組んでいるところでございます。
 いずれ、厩舎関係者も、それから取引業者の方々、大変厳しい状況だということは十分認識してございますけれども、基本的に、どの団体といいますかどの分野の方々も、競馬事業を何とか存続したいという意識では一つになってございます。これから詳しい調整をやっていくということで、何とか今回のコスト調整を実現しながら、来年につなげていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 議会の最中の答弁が2億円から2億円台後半に変更するということ自身が、あなた方の不信感を広げるんですよ。まだ2週間もたっていないでしょう。何で2週間の間に2億円から2億円台後半。大体、後半と言うと3億円近いということでしょう。そういうずれが生じたんですね、この2週間の間に。これを聞きたい。
 もう一つ、さっき私は、前年比、計画比を聞きましたが、恐らく売上計画で30億円以上のずれが出ているのではないでしょうか。私は、売上増計画というのは根拠がないと3月に指摘したけれども、全くそのとおりになりましたね。この売上減少の具体的理由は何ですか。あなた方の計画が破綻した具体的理由は何ですか。
〇千葉理事 2億円程度と知事が一般質問で御答弁申し上げましたけれども、これは、9月24日時点で年間を見通した場合、2億円程度ということでございまして、今回、10月15日時点で見ましたときに、年間を含めまして2億円の後半になるのではないかと。その間、例えば南部杯が予想どおり売れなかったとか、予想以下になってしまったとか、いろいろな要素がございまして、そういった要素を含みますと2億円台後半になるのではないかと思っております。
〇宮農林水産企画室特命参事 売上減少の理由ということでございますが、当委員会の冒頭に御説明いたしました岩手県競馬組合の運営状況の3ページ以下のところにその1期、2期、3期の状況を記載しているところでございまして、総括的に申し上げますと、岩手競馬商圏内の景気の回復のおくれというのが一つ大きな底に流れているものだろうと考えてございます。その中で、1期につきましては、開幕の準備不足でありますとか、ナイター競馬の周知の不足、それから、2期に入りまして、夏場につきましては、台風の影響でありますとか、他場のシステム障害の影響、それから御存じのとおり、8月に入りまして馬インフルエンザの影響によるさまざまな障害が出たといったようなことが、大きな要因になっていると考えているところでございます。
〇斉藤信委員 実は、2月定例会でかんかんがくがく議論された新しい改革計画のポイントは何だったかというと、こんなに厳しい情勢の中で何で売り上げをふやす計画になっているのか、こういうことだったんですよ。新しい計画の中にこう書いていた、岩手競馬商圏内がいわば縮小している。こう言いながら、計画は売上計画増だったんです。私の言ったとおりになったじゃないですか。
 具体的には、例えばナイターをやれば、東京のは売れても岩手の競馬は売れなくなるんですよ。種市のテレトラックでJRAをやったら、岩手の競馬は売れなくなったでしょう。広域受託だって、見込みどおり行っていないでしょう。私は、あなた方の計画はこうやって具体的に破綻したんだと思いますよ。違いますか。
〇宮農林水産企画室特命参事 発売状況が落ちた理由につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。
 それから、例えば今お話がございました種市のJRAの関係につきましては、6月から種市にJRAが入りましたけれども、種市につきましては、JRAが入ったことによりまして、土、日につきまして、それまでの土、日より20%ぐらい岩手競馬の発売額が伸びているという状況にございます。したがいまして、これから、さまざまな要因がございましたけれども、それをはね返しながら、発売額を伸ばし、あるいはその発売額に見合った収支の均衡を図るための調整をしていくというのが、今の新しい計画の基本的な考え方でございますので、それに向かって進んでいきたいと考えてございます。
〇斉藤信委員 知事は、12月までに存廃を判断すると、農林水産省に来年のレースを報告するのが存廃の判断の時期だ、こう言いました。しかし、幾ら聞いても、12月までに存廃を真剣に判断する材料、基準がないんですよ。私は、今の計画、この計画の実施状況だったらことし1年で終わりですよ、これ。売り上げが減少して、コスト削減を3回もやって、この仕組みは来年できません。できないでしょう。私が言ったってだめだから、千葉理事、この仕組みは来年もたないでしょう。私は、新しい改革計画は、この1年でもう終わりだと思いますよ。だから、12月の段階で来年のレースを組むと言うけれども、ことしの計画の延長では組めないのではないですか。
〇千葉理事 事業継続の具体的な判断基準についてでございますけれども、新計画にも競馬事業存廃の基準がございますが、今年度の経常損益が黒字または収支均衡であること、それと来年度の経常損益の収支均衡を達成する見通しがあること、この2点になってございます。
 今、第3期目でコスト調整に取り組むところでございますけれども、まず、今年度の収支均衡を達成することが一つ、それから、12月の国に対する報告の時期になりますと、岩手競馬は1月10日前後、半ばまででございますので、大体来年度の見通しがつきます。その中で予算を組みながら、予算といいますか、全体的な事業計画を考えながら、来年度やれるかどうかを判断するということでございますが、基本的には今回の、今やっております存廃基準に基づきます収支の調整といいますかコスト調整といいますか、こういった仕組み、これは、今のところきちんと機能しておりますし、来年度もこれは機能させなければならないと考えております。
〇新居田弘文委員長 斉藤委員にお願いしますが、既に質問時間50分を過ぎようとしておりますので、十分御配慮の上、質問をお願いします。
〇斉藤信委員 330億円かかっているんですよね。それで、今が本当に一番大事なところですよ。
 私は、今の千葉理事の回答は答弁になっていないと思いますよ。これから新たに2億円コスト調整しなくてはならない、まさにもう命を削るような状況ですよ。こういうシステムがことし3回も続いた。売り上げも減少して、見直した計画も未達成だ。これでどうして来年同じ仕組みができるのですか。今までの実績から言ったら、第3期もほとんど終わりに近いけれども、この仕組みは来年は通用しないでしょう。私は、そう言っているんですよ。
 その上で、日本ユニシスによる調査を、だれがどういう議論を踏まえて判断したのか。日本ユニシスの競馬調査の具体的実績をどう把握しているか。日本ユニシスから具体的にどういう調査が行われているか。示していただきたい。
   〔「委員長、議事進行について」と呼ぶ者あり〕
〇伊藤勢至委員 ただいま日本ユニシスという話が出ましたが、この委員会あるいは本会議場では、委員同士がやりとりができないことになっておりますので、議事進行が速やかに、スムーズに行くように、その件について私から報告させていただきたいと思います。
 よろしいですか。
〇新居田弘文委員長 ただいま伊藤委員から発言があった件につきましては、世話人会で相談させていただきますので、この際、暫時休憩いたします。
   午後4時41分 休憩
午後5時17分 再開
〇新居田弘文委員長 再開いたします。
 ただいまの世話人会の協議結果を報告いたします。
 伊藤委員から申し出のありました件について、斉藤委員の執行部に対する質疑でありますので、執行部に答弁を求めることといたしましたので、御了承願います。
〇宮農林水産企画室特命参事 御質問のありました日本ユニシスの調査についてでございますけれども、日本ユニシスの調査研究部門であります産業機構研究所では、地域産業の再生をテーマといたしまして地方競馬再生研究会を設置し、地方競馬の再生を目的とした独自の調査研究に取り組んでいるということでございます。
 今回の調査は、その一環として競馬組合に協力要請があったものでございまして、競馬組合といたしましては、持続可能な岩手競馬のあり方を考えていくために、多くの方々からさまざまな御意見をいただくことは好ましいことと考えてございます。調査結果の提供を受けることを条件に、日本ユニシス側の協力要請に応ずることとしたところでございます。
 2点目の日本ユニシスの競馬調査の実績ということでございますが、これまで他の地方競馬主催者を対象にした調査研究を実施したと聞いているところでございます。
 それから、3点目の調査の状況でございますけれども、日本ユニシスの調査状況につきましては、9月に競馬事業の経費の内容、それから契約内容などに関する財務の調査が行われました。10月に入りまして、競馬場や場外発売所での投票窓口の実態調査、それから組合の中の組織、業務実態の把握のためのヒアリング調査が行われているところでございます。
〇新居田弘文委員長 斉藤委員にお願いします。
 長時間にわたって質疑が続いておりますので、十分御配意の上、お願いいたします。
〇斉藤信委員 私は、日本ユニシスの競馬調査の具体的実績を聞いたんですよ。私は、知事にも総括質疑で聞いたけれども、答えがなかった。地方競馬、どこの地方競馬を調査したんですか。それはどういう形で出ているんですか。そんなわけのわからない形でこういう調査を受け入れるっておかしいですよ。どういう具体的な実績があるのか具体的に示していただきたい。わからないで受けたわけじゃないでしょう。
 それと、どういうレベルで議論して受けることを決めたのかと私は聞いたんですよ。管理者会議で決めたのか、どこで決めたんですか。例えば、ある競馬場では、突然調査に来られてわからなかったと。競馬組合からそういう指示はなかった、こういう混乱も起きているんですよ。そこのところ。
 それと、この日本ユニシスの調査ですけれども、調査期間は9月から平成20年3月になっているんですよ。3月まで調査して提言を出したって、全然間に合わないじゃないですか。ことしで終わってしまうかもしれない、そういう状況の中で、3月までの調査では意味がないのではないですか。今の深刻な危機的状況から見たら、全然かみ合わない。
 それと、民営化がねらいだという指摘もあるんですけれども、実は、奥州市の相原市長が、奥州市議会特別委員会で、民営化について数社からそういう申し入れもあるんだと。これは、新聞報道にもなっていますけれども、民営化についてそういう要請なり問い合わせなりがあるのであれば示していただきたい。どういう規模の民営化なのか、どういう条件の民営化なのか。
 そして、最後まで全部聞きますが、構成団体によるプロジェクトチームの検討課題と検討状況を具体的に示してください。私は、構成団体の実務・財務担当者だけで競馬の専門的な再建の対策なんて出てこないと思いますよ。何で競馬関係者を入れないのか。今、競馬組合の部長級以上はみんな天下りでしょう。今まで競馬を担当してきた専門家が、今、全然競馬組合の運営に携わっていないのではないですか。だから、さっき一時金もなくすと言ったけれども、幹部はなくならないのですよ。私は、これでは競馬組合全体が一致団結してこの難局に取り組もうというふうにはならないと思いますけれども、プロジェクトチームが、何を、いつ、どこまで検討するのかも示していただきたい。
〇宮農林水産企画室特命参事 最初に、受け入れの仕方でございますけれども、日本ユニシスの協力要請につきましては、副管理者が要請を受けまして、管理者とも相談をし、協力要請を受諾することとしたところでございます。
 それから、実績ということでございますが、先ほど申し上げましたように、他の地方競馬主催者を対象といたしました調査研究を実施したと聞いてございますけれども、詳細につきましては、調査対象となっている地方競馬主催者との間に秘密保持契約を締結しているということで、明らかにできないということでございますので、御了承をお願いしたいと思います。
 それから、3点目の12月までに結果が来なければ使えないのではないかというお話でございましたけれども、確かに来年度の開催計画につきましては、12月に農林水産省のほうに出すこととしてございますけれども、今回の調査は、あくまでも日本ユニシスが独自の調査研究活動の一環といたしまして実施するものでございます。調査結果については、多くの方々からいただく意見の一つとして、今後の事業運営に参考にしていきたいと考えているところでございます。
〇千葉理事 奥州市長の御発言の関係でございますけれども、確かに、我々競馬事業の事業運営に当たりながら、つき合いのあるいろいろな会社はたくさんございますけれども、会社といいますか団体もございますが、そういった中で、数社が関心があるというふうな話は聞いたことがございますが、具体的な提案あるいは見通し、そういったものは全くわからないという状況でございます。
〇東大野農林水産企画室長 プロジェクトチームについてでございますけれども、プロジェクトチームは、持続可能な新たな岩手競馬のあり方の可能性の検討ということで、構成団体が9月27日に設置したものでございます。
 プロジェクトチームでは、これまで2回の会議を開きまして、民間委託の拡大や1場体制への移行など、これまで競馬組合議会や構成団体議会等でさまざま御提案、御意見をいただきましたので、それも参考としながら、改革の選択肢の検討とその論点の整理を行っているところでございます。
 この論点整理に当たりましては、先般申し上げているところですけれども、競馬組合議員、競馬組合の職員からも、いろいろ状況等も聞きながら検討を進めているところでございます。
 あと、検討の時期でございますけれども、平成19年度中にプロジェクトチームとしての改革の方向性についての取りまとめを行うこととしてございますが、その検討の途中で状況の変化等があれば、その状況に応じて弾力的に作業を進めるということも想定してございます。
〇斉藤信委員 日本ユニシスの調査依頼は、副管理者が受けて、管理者と相談して決めたと。驚くべき仕組みですね。きちんとしたところで議論したわけではないんですね。
 それで、この9月1日付の協力依頼の文書を見ますと、調査期間は平成20年3月まで、文書の最後にこう書いているんですよ。なお、調査の結果は、貴組合に対し後日報告いたします。いつ報告されるんですか、これ。これは公開されるのですか。
 先ほど実績を聞いたら、秘密協定だと。そんな、例えば、じゃ、ほかの競馬を調査しているんだったら、どういう調査なんですか。それも日本ユニシスが依頼して無料でやっている調査ですか。そこは提言が出ていないのですか。私は、これは極めて不明瞭だと思いますよ。だから、なおさら。大体、民間企業が利益を上げない調査なんかやらないんですよ。平成20年3月まで調査して、いつ提言が来るんですか。それは公開されるのですか。そういう実績は既に出ているのですか。
 あと、プロジェクトチームも、12月までに一定の方向を出さなかったら来年度の見通しは出ませんよ。財政担当者を集めてどういう検討をするんですか。廃止の後始末の検討はするかもしれないけれども、競馬の再建の対策は、あのメンバーでは出てこないでしょう。いかがですか。
〇宮農林水産企画室特命参事 実績の件につきましては、先ほど申し上げましたように、地方競馬主催者との間に秘密保持契約を締結しているということで、明らかにできないということでございますので、改めて御了解をいただきたいと思います。
 それから、調査の結果でございますけれども、当方も秘密保持契約を結んでございますので、調査結果につきましては、その出た段階で対応を検討したいと思います。
〇東大野農林水産企画室長 プロジェクトチームの関係でございますけれども、競馬組合の事業運営は、今、新計画のスキームで取り組まれているというのが基本でございます。今年度、来年度の競馬事業の運営につきましては、新計画のスキームというのが基本となるものでありまして、そうした中で、12月の競馬事業の存廃の判断もなされるものと考えてございます。
 一方で、プロジェクトチームの検討は、将来にわたって持続可能な岩手競馬のあり方ということを考えるものでございますので、今の新計画のスキームとは別に、他の枠組みがないか可能性を検討しているものでございますので、先ほど申し上げました期限を想定しているものでございます。
 あと、やはり競馬組合の担当者もメンバーに入れたらどうかということと理解いたしましたけれども、これにつきましては、作業を検討している途中で意見をそれぞれ聞いてございます。そういった形で進めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 今、秘密保持協定を結んでいると。この協定を出してください。
 それで、平成20年3月までの調査なんだから、この提言はいつ出すという協定になっているのか、どういう条件をつけたのか、それをここに出してくださいよ。まさに今、存廃が問われているときに、そういうわけのわからないことでは、私はとんでもない話だと思いますよ。求めてください、委員長。
〇新居田弘文委員長 答弁お願いします。
〇千葉理事 日本ユニシスの調査でございますけれども、協定の内容につきましては、お互いの合意があれば出すことができる部分がございますので、その結果がいつ出るかまだはっきり日程が確定してございませんけれども、その段階で相手方と協議しながら、出せるところは出したいと思ってございます。
 いずれ、今回日本ユニシスのほうで調査に入られましたときに、我々としても、来年度の事業でありますとか番組編成、ちょうどそういったものを検討する時期になってございます。そういう意味で、先ほど特命参事のほうからも答弁してございますけれども、大変参考になる御意見が聞けるのかなという思いで調査に協力することとしたものでございまして、我々としましても、日本ユニシスのほうには、できるだけ早目に調査結果の報告をいただければと依頼しているところでございます。
〇斉藤信委員 とんでもないですよ。今、本当に存廃が問われているときに、ここの議会に出せないなんて、そんな秘密協定はないでしょう。これ、いつごろまでにこの提言が出されると、報告が出されるという話になっているんですか。いつ協議して答えるんですか。あしたまで答えるんですか。
〇千葉理事 日本ユニシスの調査につきましては、日本ユニシスのほうの調査の日程もございますし、そういうことで、今年度末といいますか、平成20年3月までという調査の時期になってございますので、その前にはいただけるものと思ってございます。
 いずれ、私どもとしましても、外部からのいろいろな意見をいただくというのは大変参考になりますので、できるだけ早くいただきたいということはお願いしているところでございますが、何分私どもでお金を払っているものでもございませんで、相手方の調査の研究活動としてやっておられるものですから、あくまでも日程自体は、日本ユニシスのほうの都合で決められるということになってございます。
 ただ、今聞いているところでは、来年までにはというお話でございますけれども、私どもとしては、できるだけ早くいただきたいというお話は差し上げているところでございます。
〇斉藤信委員 秘密協定について答えてくれと。それはきちんと協議すると言っているんだから。決算特別委員会はあしたまでですから、ぜひ、あしたまでに協議して、答えてください。
 それと、競馬組合の存廃は3月定例会にかけてはだめですよ。12月定例会ですよ。そうしなかったら、もうあすから廃止なんていう議論は、ことしのようにやってはだめですよ。私は、そういう存廃の問題を次の12月定例会にきっちりかけるというふうにしないと、構成団体として責任がとれないと思いますが、最後、これを聞いて終わります。
〇千葉理事 日本ユニシスのほうの調査は、基本的に我々が公表あるいは公開している資料をベースにして、書類等を見ていただいているわけですけれども、基本的に秘密保持契約を結んでございます。その秘密保持契約書自体は、もし委員長の御許可がいただければ、それは提出できるわけでございますけれども、その内容を公表するということは、日本ユニシスのほうとのそういった契約がございますので、その中で、相手方と協議の上で、出せる部分については出していきたいというところでございます。
 それから、競馬事業の存廃につきましては、知事が前に答弁申し上げましたとおり、12月には国に対して来年度の開催日程等を報告したいと考えております。
〇伊藤勢至委員 関連して質問いたしたいと思います。
 本年の3月の定例会に岩手競馬330億円の融資案件がかかってきたわけでありまして、これは議論が相半ばしておりまして、採決した結果、議場では同数であったわけであります。その場合は議長の1票で決まるということで、当時議長でありました私は、否決をいたしました。その4日後に、議員のほうから発議案、修正動議が出てまいりまして、これまた採決をした結果、議長が参加する前に、議場の数で融資決定したという経緯がございます。
 そして、この4月の任期を越えましてまた帰ってまいりましたところ、県議会からの6名派遣の議員の中の1人に加えていただきまして、競馬議会に参りましたところ、競馬の議長をせいということで仰せつかったところであります。
 今の私の立場といたしましては、県議会が330億円を融資したときの議長だったという思いが強くございまして、今の競馬の議長として、これは、ぜひとも競馬を破綻させてはいけない。何となれば、仮に5、000万円ずつ返してもらっても660年かかる。1億円ずつ返してもらっても330年かかる、こういう状況にある中で、競馬を絶対につぶしてはいけない、そういう思いでずっと当たってきたところであります。
 この間、いろいろな方からの接触がありまして、8月のお盆前だったと思いますけれども、岩手競馬の大変詳しい方からの紹介で、この日本ユニシスのYさんという方とお会いして、岩手競馬の置かれている全国的な地位、位置というものを詳しくお話を伺ったところであります。そういう中で、この岩手競馬が万一破綻をするようなことがあれば、負の連鎖が地方競馬で始まってしまうということを伺いまして、そういうものかな、まだまだ勉強不足だなと思ったところであります。
 早速、私がネットで検索をしまして、この日本ユニシスという会社を調べたわけであります。資本金は54億8、317万円、年商3、074億円、従業員数4、460名、これは信頼に足る会社ではないかと思ったところであります。100%三井物産の子会社でございます。そして、その営業目的の中には、コンサルティングサービス、ITソリューション、アウトソーシングサービス、つまり外部委託のサービス提供あるいは意見の提供ということになると思いますが、ここにこの会社の営業圏域があるのかなと思ったところでありまして、その後、8月の末に東京で別件があって上京した際に、3時間ほど昼食を挟んでお話をいたしました。
 その際に、岩手競馬再生のための提案をする用意があるというお話でありましたので、これはもう、そういうことをしていただければ願ったりかなったり、地獄に仏だと思いましたが、当初、かつて、何年か前に日本総研にその調査、コンサルをかけた経緯がありまして、そのときはたしか2、000万円だったと思っておりますので、そういう調査はいかほどでやってくれるものかと伺いましたところ、この経済構造研究所という名前上、知識、知見が会社に蓄積になるのであれば、私たちはそれでいいと思っていますから、今回の調査については無料で結構です、こういうお話でありました。まさに願ったりかなったり。では、ぜひお願いしたいということで、私としては、この岩手競馬再生のための資料になればと思いましてお願いした経緯がございます。
 その際、日本ユニシスから言われましたのは、公開になっております岩手競馬の数字を見た際に、数字をもうちょっと確認したい点があるので、そういう数字を見せていただけないものか、そういう数字を見せていただければより完成度の高い調査書になると思う、こういう申し出がありましたので、副管理者にどうだろうということで問い合わせをしましたら、岩手競馬再生のためになるのであれば、公開できるものは公開してもいいですよ、こういう話でありまして始まったと思っています。
 ところで……。
〇新居田弘文委員長 質問をお願いします。
〇伊藤勢至委員(続) 質問でありますが、さて、斉藤委員からは、いつ来るんだとか言われておりますが、今、この乗るかそるかの存亡の最中に、来年の3月までの日程、約束であっても、もう戦が終わった後の、幕が閉まった後の調査ではないと思いますから、それなりの時期に来るんだと期待をいたしております。しかも、守秘義務を交わしているということですから、我々に公開ならない部分はあろうかと思いますが、それなりの成果が来るんだろうと思います。問題は、その来た成果をどのように競馬組合が活用していくかということにあろうと思います。
 先般は、県内の温泉旅館を経営している方のお話を伺いまして、そういう資料も我々は、競馬議会の中の特別委員会にもかかわりますので詳しくは言えませんが、そういう機会を持って、何とか岩手競馬再生のための機会をつくっていきたい、このように思っておりますので、もしそのような提案があった場合には、いいとこどりをしないで、かつての日本総研に2、000万円も払って何にも役に立たなかったということがないような、いいところをつかまえて岩手競馬の再生を目指すべきである、私はこのように思うのでありますが、副管理者の意見を伺って、終わります。
〇千葉理事 先ほどもお話し申し上げましたけれども、ちょうど番組企画でありますとか、来年度の事業計画とか、現在検討作業に入っているところでございます。その中で、例えば日本ユニシスもそうですけれども、ほかからもいろいろな意見がございます。そういった中で、日本ユニシスが、実際に我々のほうの現場を見ていただきながら、彼ら自身としての調査結果をいただけるということ、うちのほうとしても大変助かるものではないかと思ってございます。したがいまして、できるだけ早くそういった結果をいただきたいというお話は再三申し上げているところでございますけれども、いずれその結果について、今後、来年以降の競馬事業の運営に生かせるところ、それらについて生かしていきたいと思っております。
〇小野寺好委員 競馬組合のコスト削減で数字がちょっと動いているようなので、確認のためにお聞きしたいと思います。経費なんですけれども、競走関係費、賞典費、これは平成19年度に幾らを予定しているか。事業運営費は幾らか、財務経費は幾らか、この三つの数字をお願いしたいと思います。
〇宮農林水産企画室特命参事 冒頭お配りいたしました岩手県競馬組合の運営状況の4ページに載っている数字でございまして、お手元にあればごらんいただきたいのですが、4ページの最初、上のほうの表の右側のほうにコスト調整・19年度(通年)と書いているところでございます。
 今お尋ねのありました競走関係費、賞典費は、支出の欄の競走関係費(賞典費等)と書いてございます、見直し計画の22億5、700万円というのが、今現在の計画上、年間を通して見込んでいる額でございます。22億5、700万円。それから、事業運営費につきましては43億2、700万円、財務経費については1億2、800万円というのが、現時点での計画の年間額というものでございます。
〇小野寺好委員 そうしますと、きょう10月22日が87日目、7日追加して年間127日、残り40日。1日仮に2億円ずつあったとしても250億円行くか行かないかなと。この後、例年、体育の日の南部杯、この後に来る大波は大晦日、12月31日と1月2日、成人の日、この3回だけで、そのほかはまるきり大変な売り上げなわけですが、そうしたことを例年から見ると、今の段階でもう見えているのではないかと。
 この経費、とてもこの4分の1、25%ルールではこれは賄えない、だれが見てもそうではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。違いますか。
〇宮農林水産企画室特命参事 1月15日まで自場の開催が土、日、月とありますし、先ほどもちょっと御説明させていただきましたが、例えばレディースジョッキーシリーズでありますとかオッズパークグランプリでありますとか、今後におきましてもさまざまなレースを編成しているところでございます。それから、北海道のほうから副賞が提供されますスタリオンシリーズでありますとか、そういったレースを提供しながら、この発売額というものを確保していきたいと思ってございますが、資料でも御説明いたしましたように、第3期のコスト調整を行いながら、年間の収支均衡が果たせるような、発売の額と、それから支出の額、これを見合わせながら調整して、収支均衡を果たしていきたいと考えてございます。
〇小野寺好委員 総括質疑でもやったんですけれども、去年20億円の赤字を出した。今の段階でもう15から20億円の赤字がことし出るのではないか。違いますか。
〇宮農林水産企画室特命参事 今時点では、そのような見込みはありません。
〇新居田弘文委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇新居田弘文委員長 質疑がないようでありますので、第1部、農業関係の質疑をこれで終わります。
 次に、第2部、林業水産関係についての質疑はありませんか。
〇喜多正敏委員 県土の大半を占めて、木材等の生産のほか、治山治水や温暖化防止、保健休養など、重要な役割を果たしている森林でありますが、本県の主な樹種別面積と最近の素材生産量や価格の動向についてお伺いします。
〇村山林業振興課総括課長 県内の主な樹種別面積と生産量の最近の動向についてでありますが、本県民有林の主な樹種別面積は、総面積78万ヘクタールのうち、アカマツが16万ヘクタール、杉が15万ヘクタールと、それぞれ2割を占めております。次いでカラマツが6万ヘクタールとなっております。また、その他の広葉樹等でございますが、41万ヘクタールと全体の半数を占めております。
 最近の素材生産の動向といたしましては、外材価格の高騰等によりまして国産材需要の増加により、素材生産が伸びております。平成18年次は、国有林も含めて前年に対して9%増の115万立方メートルとなっております。
 これを樹種別で見ますと、杉が38万立方メートル、カラマツが22万立方メートルと前年に対しましてそれぞれ10%の伸びを示しております。アカマツは14万立方メートルで約20%の伸びとなってございます。
 また、用途別で見ますと、合板用が16万立方メートルと前年に対しまして約30%と伸び、それから、製材用につきましては、集成材用ラミナの需要が増加したことによりまして、48万立方メートルと4%伸びております。また、チップ用につきましては、50万立方メートルと8%の伸びとなってございます。
〇喜多正敏委員 価格が上昇傾向にあり、生産も伸びているということで、久方ぶりの国産材の需要回復が見られて大変喜ばしい限りでありまして、また、諸外国では輸出規制の動きが出ており、今まさに林業振興にかけるべき時期だと思っておりますが、県産材の活用や流通促進策の実施状況とその成果についてお伺いします。
〇村山林業振興課総括課長 県産材の活用・流通促進対策についてですが、県産材の活用を図るために、素材生産体制の強化による安定供給体制の整備や、木材加工の高度化、効率化を進めるための施設整備が必要でありますことから、岩手県森林組合連合会が中心となりまして進めている原木供給情報の提供や、合板等大口需要者に対する安定供給体制づくりを指導、支援するとともに、振興局等の圏域で行う木材安定提供連絡会議等の活動支援、さらには国の交付金の事業を活用した木材加工施設の整備等への支援、こういったものに取り組んでいるところでございます。
 また、県産材の活用を促進するために、県産材証明制度の普及啓発を図るとともに、県の公共工事等において県産材を率先して利用する体制を進めているところでございます。
 次に、流通促進対策といたしましては、販路開拓や新たな製品開発など、意欲のある木材加工事業体の育成が必要でありますことから、本年度から新たに製材業者と工務店等との間における木材供給ネットワークの構築や県外商談会の開催、さらには県北・沿岸の主要な樹種でありますアカマツの有利販売を目指したブランドづくりなどに取り組んでいるところでございます。
〇喜多正敏委員 林業振興については、従来はどちらかというと山元の整備ということ、素材の供給ということに主眼が置かれてきたわけでありますけれども、やはり活用というと、末流のほうのパイプを太くしない限り、なかなか伸びていかないということだと思います。幸いにも素材の生産は伸びているわけでありますが、製材のほうの伸びがちょっと薄いということでありまして、今後は工務店、製材のほかに、例えば設計とかあるいは建築大手の方を入れるとか、そういうことで実需者との関係により利用促進を図っていくことが非常に必要ではないかと思っております。
 さらに、県の内部におきましても、当然、部局横断的に取り組みがされておられるとは思いますけれども、教育現場での活用や、教育を通じて森林に親しむとか、県土整備部や商工労働観光部などにおいても、県民の目に触れる形で県産材の活用を促していただきたい、そうした形で触れる機会を伸ばしていただきたいと思っております。どうぞ、今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 以上で質問を終わります。
〇小野寺有一委員 ことしの9月に台風・低気圧被害等で本県の第1次産業にも多大な被害が出ました。昨年も、今から振り返ってみますと、たしか9月にやはり大きな災害があったように覚えております。ことしの9月の災害については、特に農業関係の落果、冠水、あるいは農業施設に対する被害というのがクローズアップされておりましたけれども、実は昨年、ことしも水産業についてもいろいろな大きな被害が出ているわけでございます。
 そうした中で、最近特に特徴的な水産被害といたしましては、大雨によって河川が増水し、その河川の増水に伴って河川から大量の流出物が漁港内あるいは湾内に滞留するといった被害が出ているわけでございます。私も、ことしの9月に釜石市内、大槌町内の漁港、産業港のところに実際に行って調査をいたしましたけれども、本当に岸壁から岸壁の間にふたをした、あるいはカーペットが敷いてあるようなぐらい、そのまま水上のごみの上を歩いて向こう岸に着けるのではないかというほどびっしりと流出物が湾内を覆うといったことが頻発しているわけでございます。これによりまして、例えば漁船をそもそも動かすことができない、あるいは漁船を動かして、例えば養殖棚のところに行って、その養殖棚のいろいろな作業をすることができないといった非常に深刻な事態が発生しております。こうした河川からの流出物に伴う水産被害について、実態を把握されているのであれば、昨年、ことし、もしもわかるのであれば、それの前までさかのぼって実態を示していただきたいと思います。
〇佐々木漁港漁村課総括課長 平成18年の流木による漁港施設被害につきましては23カ所で、被害額は1、300万円余となっております。また、本年9月の大雨洪水によります流木の被害につきましては、アシ、カヤ、流木等が漁港の泊地内に流入いたしまして、漁船の航行など漁業活動に支障を来したところでございまして、これまでの埋塞災害に比べまして1カ所あたりの被害額が大きく、釜石漁港など3カ所で被害額は1、700万円余となってございます。それから、平成16年、平成17年につきましては、埋塞の被害はございませんでした。
〇小野寺有一委員 ここ近年、こうした被害が急速に大きくなっているように感じられるわけでありますけれども、原因としては、港湾の中にいろいろな構造物ができてきて港の形が複雑化しているというようなこと、あるいは川上のほうで流出する廃棄物等が放置されているというようなことが考えられると思うんですけれども、私は、実際に海からさらった廃棄物をおかに積み上げているところを見ましたが、高さが10メートル近いサイロが幾つもできるというようなぐらいの大変な規模でありましたが、印象的なのは、実は一般的なごみとか産業廃棄物に類するようなものは大変少のうございまして、本当に植物性のもの、先ほど、アシ、カヤ、流木といったことがありましたが、そういったものが比率として非常に多いというのが印象的でございました。そういった意味では、上流で例えば草刈りをした草をそのまま放置しておくといったような原因が考えられるのではないかと思うわけですけれども、こういった原因についての分析がなされているのかどうか。そして、これは海のことだけではなくて河川の問題でございますので、河川の管理を所管する県土整備部との間に問題意識の共有が図られているか、その点についてお尋ねしたいと思います。
〇佐々木漁港漁村課総括課長 今回の被害箇所につきましては河口から離れておりまして、アシ、カヤ、流木等が河川から一たん流れ出しまして、その後、波浪によりまして漁港内に流入したと考えております。委員御指摘のように、また漁港内の堆積物の大部分が、廃棄されたものではなくて、山林原野からのアシ、カヤ、流木であるということから、今回の災害の原因につきましては、近年にない異常な大雨によるものと考えております。
 河川を所管する部局との連携につきましては、本庁では、森と川と海の保全と創造を目的に、環境生活部、農林水産部、県土整備部などで構成いたします水と緑の保全推進連絡会議を平成16年に設置いたしまして、問題意識を共有するとともに、流域の保全等に係る事業の連携と調整に努めているところでございます。
 また、沿岸地方振興局におきましては、水産関係部局のみならず、土木部を初め市町村、関係団体から構成いたします森・川・海の連絡協議会を設置いたしまして、植樹活動や水質調査などにより流域の保全に取り組んでいるところでございます。
〇小野寺有一委員 海の仕事というのは、御案内のとおり、自然を相手にするものでございますので、災害と常に隣り合わせでございますし、それに対しての備えというのは、漁業者の側で、その工夫についてしなければならないというところはあると思います。そして、実際にある程度何年かに一遍かは大きな災害に遭うものだというのを漁師さんたちはある程度自覚しているというか、覚悟しているところもございます。しかしながら、この件につきましては、漁師さんたちについては、自分たちの仕事とかなりわいには全く関係のないところで起こったものが、川下の海で起きているということでございますので、やっぱりこれについては、今、課長のほうから、近年まれに見る降雨量だったという説明がございましたけれども、何らかの抜本的な対策が講じられなければ、漁師さんたちにとってはちょっと負担が大き過ぎるのではないかと思うわけでございますけれども、先ほどおっしゃっていただいたことに加えて、今後、何か抜本的な対策をお考えになっていらっしゃるのであれば、お示しいただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
〇佐々木漁港漁村課総括課長 今後の抜本的な対策についてでございますが、本庁におきましては、ただいま申し上げました水と緑の保全推進連絡会議を活用いたしまして、流域の保全事業についての緊密な連携を図るとともに、沿岸地方振興局では、漁業者参加の植樹や河川等の清掃活動など、流域の保全に関係者が一体となって取り組んでいくことがまずもって大切であると考えており、今後ともこうした取り組みを一層強化してまいりたいと考えてございます。万一、漁港の埋塞災害が発生したような場合は、市町村、関係団体との連携を図りながら、国庫補助事業を活用いたしまして早期復旧に努めてまいりたいと考えてございます。
〇嵯峨壱朗委員 今のに関連して、埋塞というのはどういう言葉なのか、どういう状態かちょっとわかりませんけれども、平成17年はないという話でしたが、平成17年もあったような気がして見ております。例えば野田村の漁港でしたけれども、流木が湾一帯を埋めてしまったような状態を私は見たんですが、ああいう状態はそれに該当しないのかというのが1点と、あれは恐らく流木が湾内に浮いているのを処理する分には国・県のほうから補助があるとか、ないとか。そして、流木がおかに上がってしまって物すごい状態になっているときには、勝手に漁業者が処理しろと。県・国では一切金は出さないよという違いがあるという話を聞きましたけれども、それは事実か、またどうなっているのか。規模によって違うのか、大規模な災害であれば補助が出るという仕組みになっているか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
〇佐々木漁港漁村課総括課長 平成17年度につきましては、災害そのものは1月にございましたが、埋塞災害いわゆる港にごみがたまっている状態による災害は報告されてございません。
 それから、被害の程度でございますが、県営事業ですと、120万円以上のものにつきましては国庫補助の対象になってございます。それを超えないものにつきましては県単独の事業で実施してございます。
 それから、陸域にあるものにつきましては、海岸の緊急関連の事業で実施できますが、それにつきましては、1、000立米を超える場合、国庫補助の対象になってございます。
〇嵯峨壱朗委員 もちろん課長は知っているかと思うんですが、この間の野田村の下安家の場合なんかでも、1、000立米は超えていないかもしれないんですけれども、海から上がった流木の量というのはすごい規模なんですね。あれは恐らく村の単独と漁業者がやったんじゃないかと思うんですけれども、国庫補助がある、ないとかという問題ではなくて、国庫補助がない場合には、やはり何かしらの、県単独でもいいですが、全額というわけではないけれども、補助が当然─あそこも処理に七、八百万円かかったと思うんです。そういった状態があるわけですから、災害が起きたらどうしようもないですが、国の補助対象外でも、起きた後の処理にどうこうというのは、やはりもう少しきめ細かい対応があっていいのではないかと思うんですけれども、どうでしょうか。
〇佐々木漁港漁村課総括課長 先ほどちょっと説明が不十分だったかと思いますが、陸域の場合は、海岸保全区域が設定されている場合に、災害関連緊急大規模漂着流木等処理対策事業によりまして2分の1の補助がございます。先ほど来お話ししています埋塞災につきましては、海の上にたまっている場合に120万円という国庫補助になる基準がございます。
 去年の下安家漁港につきましては、市町村の管理の漁港でございまして、県の管理の漁港については県がきちんと処理する、市町村の管理する漁港につきましては市町村がきちんと管理するということでございますので、そういうことでやってございます。
〇岩渕誠委員 1点だけ、手短に質問してまいります。県有林事業と林業公社の一本化にかかわる諸問題についてお尋ねします。
 この二つの事業を一本化いたしますと、面積もふえるんですが、残念ながら借金もふえるという状況でありまして、その債務の額については、これまで議論のあった競馬組合への融資額全体の倍以上と承知しております。これに向けて、県は計画を立てて、県行造林の4割については所有者に返すという当初の予定で計画を進めてきたところだと思います。その基礎調査、県有林調査が平成18年度で終了していると思いますが、その実態についてお知らせをいただいた上で、計画に変更がないのかどうか。そして、持ち主に対する説明等がこれから始まると思いますが、今後のスケジュールについてどのようになっているのか、あわせてお示しいただきたいと思います。
〇藤原森林保全課総括課長 県有林事業と公社の一元化に伴う森林管理区分の関係でございますが、まず、平成16年度に県が策定した機関造林の経営改善方針におきましては、今後、県有林を経営する中で、良好な成長が見込まれ、収益が期待できる森林を長伐期施業林、自然災害等で良好な生育が見込めない森林をその他施業林として区分し、その他施業林に区分されたものにつきましては、分収造林契約者の同意のもとに解約し、利息軽減等を図ることとしたところでございます。
 このような方針のもとに、県では、平成16年度から平成18年度にかけまして、森林の生育状況や傾斜、林道、作業道からの距離などの立地条件等を正確に把握するための森林の現況調査を実施したところでございますけれども、その結果、当初想定したほど生育状況や道路条件は悪くなく、その他施業林の割合は、当初、経営改善方針で目標とした4割から2割程度になるものと見込んでいるところでございます。具体的には、11月に外部有識者で構成する検討委員会を立ち上げまして、この委員会での議論を踏まえ、今年度中にその他施業林については確定していきたいと考えております。その後、その他施業林に区分された分収造林契約地につきましては、来年度から土地所有者と協議の上、同意を得たものについては契約を解約し、農林漁業金融公庫元金を繰り上げ償還することよって利息負担や管理費の軽減を図り、経営改善に努めてまいりたいと考えているところでございます。
〇岩渕誠委員 北上山地等を歩きますと、うちの契約した山は返されるのだろうかと。50年も前に契約して、そのころの材価で言うと、50年もたって切るあたりには、地域みんなでハワイに行けるなどということを言っている方もいらっしゃったんですが、そういう意味では、4割程度から2割程度になるということは、地域にとっても、持ち主にとっても安心する部分が多くなっているのかなと思います。
 ただ、一方で、当初の計画からしますと、2割になったことによって、その債務の圧縮がどの程度までいくのかということが懸念されるわけであります。その点についてはどのような形でやっていくおつもりなのでしょうか。
〇藤原森林保全課総括課長 その他施業林の割合が4割から2割になることによりまして、利息の軽減効果は基本的には半分程度になると考えております。一方では、減った2割の森林につきましては、良好な成長が見込まれ、収益が期待できる長伐期施業林として区分されることになりますので、木材販売収入が増加し、むしろ改善効果は増すものと考えております。
〇岩渕誠委員 そのようになるようにお願いしたいと思います。
 計画を策定した当時と現状では、材価も上がっておりますし、木材を取り巻く環境も大きく変わっております。そういった面で、岩手の森林機能の維持、将来的な再造林対策も含めて、この問題に適切に対応していただくようにお願いをして、終わります。
〇斉藤信委員 私は、林業と水産、2回に分けて簡潔に聞きますので。
 一つは、間伐面積の実績と推移、森林税による実績はどうなっているか。間伐材の利活用はどうか。
 二つ目、県産材の県の事業としての活用実績。これは公共施設だとか、学校だとか、県の事業として県産材をどういうふうに活用したか。
〇竹田森林整備課総括課長 まず最初に、県全体の間伐面積の実績と推移でございますけれども、平成18年度の間伐面積は1万2、000ヘクタールとなっており、平成17年度と比較しまして約700ヘクタール、7%の増加となりましたが、ここ5年間では、森林所有者の経営意欲の低下や経営負担の問題等から伸び悩んでいる状況にございます。
 次に、間伐材の利活用についてでございますけれども、平成18年度の県全体の間伐材積は21万6、000立方メメートルでございます。そのうち利用されたものは9万7、000立方メートル、利用率は45%となってございます。ここ5年間、着実に伸びてきてございます。これを用途別に見ますと、製材用が60%、合板等の原材料が35%、くい材等が5%となっております。特に、最近の傾向といたしまして、合板用材としての利用が伸びてきております。
〇村山林業振興課総括課長 森林税による実績についてということでございますが、いわての森林づくり県民税による間伐については、平成18年度は753ヘクタールの対象森林を確保したところでございます。
 それから、県産材の活用実績についてでございます。国の農林水産統計におきましては、直近の林業産出額が公表されております平成17年度で申し上げますと、本県の素材生産量は105万立方メートルとなっておりまして、その活用実績は、製材用が47万立方メートル、合板用が12万立方メートル、木材チップ用が46万立方メートルとなっております。この素材生産量に係る林業産出額は121億円となってございます。また、県におきましては、県産材の活用を促進するために、平成18年度におきまして、小学校や保育園など市町村等が整備する教育施設の木造化、木質化に対しまして助成するとともに、インターネットによる原木市場情報の公開システムの構築など、県産材の利用拡大に向けた取り組みに対し支援を行ったところでございます。これらの事業の平成18年度決算額は1、215万円余となってございます。
 それから、平成18年度に取り組みました事業の中で、いわてやすらぎ施設等整備事業がございまして、平成18年度実績におきましては、五つの実施主体になりますけれども、木材の使用料が34立方メートルとなってございまして、これに対する補助金額が617万9、000円ということになってございます。
〇斉藤信委員 次に、水産についてお聞きします。昨年度のカキノロウイルスによる風評被害ということになるでしょうが、この被害額はどうだったでしょうか。ノロウイルス対策は、この間の研究成果も含めて、どのようになされているか示していただきたい。
 次に、秋サケの実績と、耳石を使った解析の取りまとめが平成18年度から行われていますが、この解析状況はどうでしょうか。
 三つ目は、漁業系廃棄物の再資源化の取り組みですが、ことし3月に水産庁がガイドラインも出したようですけれども、この取り組みと実績はどうなっているでしょうか。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 ノロウイルスの対応でございますが、昨年度のカキの出荷額でありますけれども、合計金額で21億円、前年比約5億円の減少となっておりまして、特に生ガキにつきましては、出荷量、金額とも前年の7割、金額で4億円の減少となっております。
 ノロウイルスの対策につきましては、生食用カキの安全を確保するということで、出荷している漁協が出荷前に自主検査をしておりますけれども、その徹底を引き続き指導していくとともに、風評被害の対策につきましては、県漁連、関係の漁協、市町村と連携しまして、沿岸で4回の検討会を開催したところでございます。今年度の取り組みにつきましては、マスコミに対して適切な報道を文書でお願いするとともに、生食用カキのイメージアップに向けて消費拡大のイベントなどに取り組むこととしているところでございます。県としましては、今後とも関係団体と連携を図りながら、本県の安全管理の取り組みを、消費者や実需者にしっかりと情報を発信していきたいと考えております。
 ノロウイルスの研究の成果でございますが、このノロウイルスは人為的な培養技術がまだ確立していないことから、それが障害となってなかなか進まない状況になっておりまして、本県だけでなく、国、他県においても、水産と環境・保健分野と連携した取り組みを行っているところではありますが、なかなか目に見える成果が得られていない状況となっております。県としましては、関係省庁に対しまして、早期に結果が出るよう、研究技術開発の充実強化を今年度要望したところでございます。
 続きまして、秋サケの状況でございます。秋サケの実績につきましては、昨年度は沿岸漁獲量が2万5、000トン、金額で96億円で、漁獲量は前年を下回りましたが、漁獲金額は、単価が上がりましたために前年度を32%上回っております。また、今年度の沿岸漁獲量は、まだ始まったばかりですが、10月10日現在で漁獲量が12%、金額で18%、それぞれ対前年同期を上回っている状況にあります。
 耳石温度標識の調査についてでありますが、秋サケの回帰率はかつて3%以上あったわけですが、近年、2%に減っております。回帰率低下の原因を究明するために、平成14年から国と連携して取り組んでいるところでございまして、沿岸域での移動、成長について調査を行っているところでございます。これまでの調査結果としまして、沿岸で約2センチほど大きくなってから、5月の下旬から6月中旬に北洋に出ていくということで、沿岸域での成長が重要であるということがわかっております。
 それから、戻ってきた親について、ちょうど昨年度から一部戻ってきているわけですが、その耳石を解析することによって、サケは生まれた、つまり10月に産卵したサケの子供は、また4年後の10月下旬に戻ってきて卵を産んでいるというのがだんだんわかってきております。非常に律儀な魚だと思っております。
 最後に、廃棄物についてでございますが、廃棄物につきましては、一番多いのはやっぱりカキ殻でございます。年間に六、七千トン発生しておりますが、そのうちの半分ぐらい、3、000トンから4、000トンが養鶏用の飼料、果樹園、牧場等の土壌改良材として利用されておりまして、ワカメ、昆布の残渣も六、七千トンあるわけですが、このうち4、000トン以上がアワビやウニのえさとして漁場で利用されております。
 これらの再資源化の取り組みを推進するため、県は、県漁連と連携し、漁業系廃棄物再資源化現地研修会を開催しておりまして、漁業関係者に対して再資源化に関する啓発普及を図るとともに、漁協みずからがカキの殻を堆肥化する取り組みのフォローアップ、産学官連携によるリサイクルの新製品開発などを支援するほか、カキ殻を破砕する機械など処理施設の整備についても推進しているところであります。今後とも、県漁連等関係機関と連絡を密にしながら、このような再資源化の取り組みを強化してまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 これで最後にしますが、漁業系廃棄物の取り組みは着実に進みつつあるのですが、FRP漁船の廃船処理はどうなっているのでしょうか。
 それと、新地域経営計画とかかわって、これは水産だけ聞きますけれども、実は漁業はピーク時と比べると44%まで生産額、産出額が激減しているんですね。ところが、この計画では勇気ある増大計画になっているわけですよ。今まで減少した原因・要因をどうとらえ、さらに産出額をふやすという根拠は何なのか、ポイントだけでいいですから、示していただきたい。
 それと、特にアワビとナマコの養殖、増殖の見通しを聞いて、終わります。
〇佐々木漁港漁村課総括課長 FRP廃船の処理の関係でございますが、廃船の処理につきましては、基本的には所有者が行うということでございまして、漁港管理者といたしましては、漁港の利用に支障が生じないように、漁協等の関係機関と連携しまして、所有者のほうに廃船処理を行うように指導しております。FRPの廃船処理対策でございますFRP船リサイクルシステムが、これは国土交通省の事業でございますが、本年度から東北地区でも展開されると聞いてございまして、関係機関とともに利用を呼びかけていきたいと考えてございます。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 アワビとナマコの増養殖の見通しでございますが、アワビにつきましては、放流をずっと続けてきているわけですが、これからは放流した資源をいかに利用していくかということがキーポイントになります。今、放流した資源の利用度が非常に低いような状況になっていまして、この回収率を高めるような方策をこれからしていきたいと思っております。県内27の漁協にお願いして、13の漁協で、どういうところに放流したものをどのぐらい回収しているかというのを、今、調査しております。ですから、放流して効果の上がっているところを重点に放流することによって、回収率がもっとアップできるのではないかと思っております。
 ナマコにつきましては、今、北部栽培センターに県の水産技術センター職員を駐在させまして、この2年間でぜひとも技術開発ができるよう、最善の努力をしているところでございます。
〇古川農林水産企画室企画担当課長 水産業の生産額増大の根拠でございますけれども、本計画の策定に当たっては、現在の減少傾向に歯どめをかけることに重点的に取り組みまして、その上で増加に転ずることを目標として設定してございます。水産業では、サケの回帰率、アワビの回収率の向上や、ワカメ養殖の省力化システムの開発、ナマコの増養殖などにより生産拡大が見込まれるということから51億円の増加を見込んでございまして、340億円を目標として設定しているところでございます。
〇新居田弘文委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇新居田弘文委員長 質疑がないようでありますので、農林水産部関係の質疑をこれで終わります。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時28分 散会

前へ 次へ