平成19年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成19年10月19日(金)
1開会    午前10時2分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課長 切 金   精
  議事担当課長 保 原 良 和
  主任主査   菊 池 達 也
  主査     鈴 木 文 彦
  主査     石木田 浩 美
  主査     佐々木 ユ カ
  主査     菊 池 芳 彦
  主査     渡 辺 謙 一
1説明員
  教育長      相 澤   徹
  教育企画室長   菅 野 洋 樹
  学校教育室長   佐々木 義 孝
  教育企画室
  企画担当課長   大 友 宏 司
  予算財務担当課長 鈴 木 清 也
  学校施設担当課長 佐 野   淳
  教育企画室
  特命参事     堀 江   淳
  学校企画担当課長 藤 原 忠 雄
  高校改革担当課長 鷹 觜 文 昭
  学校教育室
  特命参事     田 村 幸 義
  首席指導主事兼
  義務教育担当課長 小 岩 和 彦
  主任指導主事兼
  高校教育担当課長 熊 谷 英 範
  主任指導主事兼
  特別支援教育
  担当課長     及 川   求
  首席指導主事兼
  産業教育担当課長 西 村   豊
  生涯学習文化課
  総括課長
  兼県立埋蔵文化財
  センター所長   齋 藤 憲一郎
  文化財・世界遺産
  担当課長兼県立埋蔵
  文化財センター副所長 中 村 英 俊
  スポーツ健康課
  総括課長     川 口 仁 志
  教職員課総括課長 小 原 敏 文
  小中学校人事
  担当課長     侘 美   淳
  県立学校人事
  担当課長     酒 井 長 治

  警察本部長    三 枝   守
  警務部長     瀬 戸 隆 一
  生活安全部長   齋 藤 忠 利
  刑事部長     細 田 敬 一
  交通部長     菊 地 啓 一
  警務部参事官兼
  首席監察官    小 方 政 司
  警務部参事官兼
  警務課長     佐 藤 英 憲
  生活安全部
  参事官兼
  生活安全企画課長 高 橋 俊 明
  生活安全部
  参事官兼
  地域課長     菊 池 義 憲
  刑事部参事官兼
  刑事企画課長   遠 藤 貞 造
  交通部参事官兼
  交通企画課長   中 村 照 美
  警備部参事官兼
  公安課長     及 川   弘
  総務課長     菊 池 昭 一
  会計課長     内 山 新 次
  交通規制課長   佐 藤 哲 夫
  警備課長     今 野 秀 人

  出納長      上 村 俊 一
  副出納長兼
  出納局長     平 澤 石 郎

  監査委員     菊 池 武 利
  監査委員     谷 地 信 子
  監査委員事務局長 小 川 明 彦
  総括監査監    門 口 正 雄

  予算調製課
  総括課長     中 村 一 郎
〇新居田弘文委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成18年度岩手県立病院等事業会計決算から、認定第14号平成18年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算まで、決算14件を一括議題といたします。
 本日は、教育委員会、警察本部関係を終わるよう進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 最初に、教育長に教育委員会関係の説明を求めます。
〇相澤教育長 教育委員会関係の平成18年度の決算について御説明申し上げます。
 平成18年度の教育委員会における重点化は、心豊かでたくましい人づくりを目指して、すべての子供に豊かな教育をということをテーマに、学校教育の充実と文化・スポーツの振興、この二つの項目を主要な柱に据えて、これらの施策の着実な実施に努めてまいったところであります。
 学校教育の充実についてでありますが、少人数教育の充実と学力向上の推進、キャリア教育の充実、学校不適応対策の推進、特別支援教育の推進、児童生徒の体力向上、この五つを中心に取り組んでまいりましたが、学習意欲の減退、学力・体力の低下、いじめ・不登校問題、家庭の教育力の低下などさまざまな課題に直面をしており、今後、いわて型コミュニティ・スクールの推進など、学校経営の改革を中心とした取り組みを着実に進めていく必要があると考えております。
 二つ目の大きな柱は、文化・スポーツを通じた人づくり、文化・スポーツの振興でありますが、平泉の文化遺産の世界遺産の登録推進、競技スポーツの強化、この二つを中心に取り組んでまいりました。
 平泉の文化遺産の世界遺産登録については、平成19年8月に、イコモスの現地調査を終了し、今後は、平成20年、来年7月に開催される世界遺産委員会における登録の決定がなされるよう、全力を挙げて取り組んでまいります。
 スポーツの振興につきましては、特に競技スポーツの強化策として、ジュニア層の強化に重点的に取り組んでまいりましたが、平成28年度岩手国体を目標に、指導者の養成や競技力の向上等の取り組みを計画的に強化してまいりたいと考えております。
 以上で、重点項目の状況の説明を終わらせていただき、決算額等の説明に入らせていただきます。
 お手元の平成18年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。教育委員会所管に係る一般会計予算現額は、10款教育費のうち、1項教育総務費から7項保健体育費まで1、506億7、121万円余で、これに対する支出済額は1、503億4、637万円余、執行率は99.8%であります。支出済額は、前年度に比べますと18億8、197万円余、1.2%の減となっております。
 なお、翌年度への繰越額は、校舎建設事業、柳之御所遺跡土地公有化事業、体育施設設備整備事業の8、648万円余となっております。この結果、県の一般会計決算額に占める教育委員会関係の決算額の割合は、19.6%となるものであります。
 以下、個々の内容につきまして、便宜、平成18年度歳入歳出決算事項別明細書により、その主なものについて御説明申し上げます。
 なお、事業ごとの金額の読み上げは省略をいたしますので御了承願います。
 決算事項別明細書の320ページをお開きいただきたいと思います。10款教育費の1項教育総務費1目教育委員会費は、教育委員会の運営に要した経費、2目事務局費は、教育委員会事務局の管理運営に要した経費のほか、保護者向けの広報紙の発行、日本の次世代リーダー養成塾への高校生の派遣、語学やスポーツの指導支援を行うための外国青年の招致、いわて教育の日推進事業等に要した経費であります。3目教職員人事費は、教職員の人事管理や退職手当等に要した経費であります。次に、322ページをお開き願います。4目教育指導費は、児童生徒の学力向上を図るため、学習定着度状況調査や3県共同による統一学力テストの実施、中学校の英語指導のためのすぐれたカリキュラムの作成、教材開発等に要した経費のほか、心の教室相談員やスクールカウンセラーの配置、いわて教育情報ネットワークの運営、特別支援教育の充実、高等学校における県政課題貢献・県北沿岸地域人材育成事業など、進学、就職の支援事業などに要した経費であります。次に、324ページをお開き願います。5目教育センター費は、教職員の各種研修等に要した経費、6目幼稚園費は、こまくさ幼稚園の管理運営に要した経費であります。次に、326ページをお開き願います。7目恩給及び退職年金費は、恩給及び扶助料等の支給に要した経費であります。
 2項小学校費1目教職員費は、小学校の教職員の人件費のほか、小学校入門期におけるきめ細かな指導を行うため、小学校1、2年生の多人数学級及び複式学級への非常勤講師の配置等に要した経費であります。
 3項中学校費1目教職員費は、中学校の教職員の人件費や初任者研修に要した経費であります。
 次に、328ページをお開き願います。4項高等学校費1目高等学校総務費は、県立学校の教職員の人件費や初任者研修、高等学校教育改革の推進、ものづくり専攻科整備検討に要した経費であります。2目全日制高等学校管理費と330ページの3目定時制高等学校管理費は、各高校の管理運営や教育設備の整備等に要した経費であります。4目教育振興費は、県立学校の産業教育設備、部活動設備、情報処理教育設備及び教育実験実習等に要した経費であります。5目学校建設費は、県立高校の施設整備及び維持補修等に要した経費でありますが、校舎建設は、高校再編計画に伴い、一戸高校、釜石南高校の建築、気仙地区、釜石地区、江刺地区の総合高校の設計、耐震性を確保するため、一関第一高校、大船渡高校の建築、産業教育施設建設は、大東高校の産振棟の新築、体育館建設は、遠野高校の改築、校地整備は、盛岡第二高校、紫波総合高校、大規模改造は、水沢工業高校ほか2校の整備と8校の体育館の耐震診断に要した経費であります。332ページをお開き願います。6目通信教育費は、通信教育のための管理運営に要した経費であります。
 次に、5項特殊学校費でありますが、1目盲聾学校費、334ページをお開きいただきまして、2目養護学校費は、盲学校、聾学校及び養護学校の管理運営に要した経費であります。
 次に、336ページにかけての6項社会教育費1目社会教育総務費は、多様化・高度化する県民の学習ニーズ等に対応する広域学習サービス体制整備に要した経費、子供の読書活動の充実を図るために要した経費のほか、生涯学習推進センター及び青少年の家の管理運営等に要した経費であります。2目視聴覚教育費は、視聴覚教育の指導者養成等に要した経費であります。3目文化財保護費は、指定文化財の保存・修理等への補助、柳之御所遺跡の発掘調査と史跡整備のために要した経費、平泉の文化遺産の世界遺産への登録に向けた普及啓発に要した経費のほか、埋蔵文化財センターの管理運営等に要した経費であります。338ページをお開き願います。4目芸術文化振興費は、芸術文化の振興を図るため、岩手芸術祭や青少年劇場等の開催、全国高等学校総合文化祭や国民文化祭への派遣、高校生の文化部活動の育成、中学校総合文化祭の開催補助、県民会館の管理運営等に要した経費であります。5目図書館費は、県立図書館の管理運営に要した経費であります。次に、340ページをお開き願います。6目博物館費は、県立博物館の管理運営及び資料収集等に要した経費のほか、博物館内のトイレ改修に要した経費であります。7目美術館費は、県立美術館の管理運営に要した経費であります。
 7項保健体育費1目保健体育総務費は、児童生徒の保健管理に要した経費であります。次に342ページをお開き願います。2目体育振興費は、ジュニア選手強化対策を初め、国体選手強化事業など、競技力向上を図るために実施した事業に要した経費であります。3目体育施設費は、県営運動公園、県営体育館等体育施設の管理運営及び施設改修等に要した経費であります。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願いを申し上げます。
〇新居田弘文委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇及川幸子委員 大変教育委員会の皆様方には、いろいろ問題が種々ある中でのお取り組み、御苦労さまでございます。
 けさほども、大変心を痛ませるニュースが報道されました。30歳のお母さんが、我が子、1歳半ですか、コンクリート詰めにしたという、そういう事件。後から後から、そういう心を痛める事件が起きております。いかに教育というのが大事かということを、改めて痛感させられております。
 そこで、まず1点お伺いいたします。
 夢と活力あふれる学校づくり支援事業費と、豊かな体験活動推進事業費の取り組み状況をお示しください。
〇熊谷主任指導主事兼高校教育担当課長 夢と活力あふれる学校づくり支援事業の取り組み状況について御説明いたします。
 事業の目的は、学校、保護者、地域が連携し、一貫性を持った取り組みの中で、特色ある学校づくりを推進することにより、生徒一人一人の自己実現を可能とし、生きる力をはぐくむ教育の実現を支援することであります。この事業は、平成17年度から実施いたしまして、本年度で3年目を迎える事業でございます。
 事業の内容は4点ございまして、開かれた学校づくりに関すること、総合的な学習の時間や教科に関すること、3点目が特別活動に関すること、そして4点目が進路に関することのいずれかとし、学校や地域の特色を生かし、生徒が体験的に学習できる内容になっております。平成18年度は、県立学校82校で取り組んでおります。
 事業の具体例といたしまして、岩谷堂農林高校におきましては、地域を支える人材育成を目指すための鹿踊り伝承活動への取り組み、宮古養護学校における作業学習のレベルアップを図る目的で実施している、陶芸教室や木工教室の開催などが挙げられます。
〇小岩首席指導主事兼義務教育担当課長 豊かな体験活動推進事業について御説明申し上げます。
 この事業では、子供たちが豊かな人間性や社会性などをはぐくむために、学校教育においてさまざまな体験活動に取り組んでおります。そのような教育活動を充実させるための事業でございます。平成18年度は、四つの取り組みが行われました。
 一つは、花巻市及び大船渡市の小・中・高等学校を対象にしまして、海と山の大自然に恵まれた環境と人々との触れ合いを中心に、それぞれの発達段階を踏まえた地域にかかわる体験活動を行っております。
 二つ目といたしまして、地域間の交流を行うものであります。山間部にある一戸町の小学校が、都市部及び沿岸部の小学校と交流を行ったり、あるいは沿岸部にある大槌町の小学校が、山間部にある小学校と地域伝承芸術の活動あるいは酪農体験等の交流を行いました。
 3点目でございますが、長期宿泊体験を行うものであります。一関市の小学校が5日間程度の宿泊を通して、さまざまな体験活動や交流活動を行いました。
 四つ目でございます。命の大切さを学ばせる体験活動にかかわるものであります。八幡平市において、小・中・高等学校が連携をしながら、かけがえのない命の大切さを学ぶことができる学習内容、あるいは体験活動を工夫しながら実施いたしました。
 なお、平成19年度においては、同様の四つの事業を県内小学校22校、それから中学校8校、高校3校、合わせて33校でございますが、また、それぞれ工夫をしながら展開しているところでございます。
〇及川幸子委員 それぞれの取り組みをお示しいただきましたが、これが限られた学校ではなく、全県下で子供たちの育成が図られればいいなと思っております。特にも、海と山の大自然とか、そういう部分、それから、一関で行われた長期宿泊のものとか、それから命の大切さ、これはどちらも命の部分についてはいろいろと取り組みをされているので安心しましたが、今後とも、これは全県下においても取り組みができるように施策をしていただきたいと思います。
 そこで、命の大切さに関連してきますが、一体、県内小・中学校のいじめというのはどういう実態でとらえているのでしょうか。そして、そのいじめの実態によって皆様方の指導の状況はどうなのか、指導した結果はどうだったのかをお示しください。
〇田村学校教育室特命参事 まず、いじめの実態についてでございますが、平成18年度にいじめによる自殺が全国で相次ぎ、大きく社会問題化したことを受けまして、本県におきましても、18年度、各学校がきめ細かくいじめの実態を把握し、その解決に向け緊急に対応するということで、全市町村の教育委員会の担当者を急遽招集して、いじめに対する取り組みの徹底の指示、あるいは児童生徒、保護者へのアンケートなどによるいじめの実態把握とその対応について指示を行ったところでございます。
 それらの結果、実態調査におきましては、いずれもいじめではないかという事案に対しまして、各学校等が対応した件数は1、871件でございました。この実態調査と平成17年度の問題行動等調査を比較いたしますと、問題行動等調査におけるいじめの件数は69件でございまして、いじめの定義や調査方法などの違いからは一概に比較はできないわけではございますが、いじめの問題は大変憂慮される状況にあると認識をしております。なお一層、きめの細かな実態把握、そして速やかな対応をしていかなければならないと考えておるところでございます。
 実態調査の結果を見ますと、いじめの態様で最も多いのが、冷やかしやからかいなどで40.3%、仲間外れや無視が26.2%、そして暴力を伴うものが12.4%となっております。また、問題行動調査からは、発見のきっかけにつきましては、児童からの訴えや保護者からの訴えが多く、いじめは許されないものという認識が次第に浸透してきたことをうかがわせる結果になっております。
 また、最近、いじめの新しい態様としてインターネット社会を反映し、パソコンや携帯電話を使った掲示板への誹謗中傷の書き込み、あるいはメールでの攻撃など、24時間、執拗に被害者に攻撃を加えるなど、ネットいじめと呼ばれる深刻なケースが見られるようになってきており、新たな問題と把握しております。
〇及川幸子委員 ネットいじめでは、本当に痛ましいことだったと思います。自殺者が出ました。やっぱり県内でも1、871件、いじめではないかと思われる部分があった中での問題行動が69件、本当にやみに葬られているというか、自分がいじめられているというのを親にも言えない、友達にも言えないで、悶々としてしまうケースが大変多いと思います。そういうところの部分を1、871件という数で出されておりますが、もっともっと徹底して子供たちの心を開く部分を指導なさらなければならないと思うんですが、いかがでしょうか。
〇田村学校教育室特命参事 いじめへの指導の状況についてでございますが、指導に当たりましては、私ども、いじめはあってはならないものではあるが、どの子供にも、どの学校でも起こり得ると、こういうことを改めて認識をいたし、いじめの兆候をいち早く把握して迅速に対応するとともに、特にいじめられている児童生徒を徹底して守ること、教職員はもとより、すべての児童生徒に対し、いじめは絶対に許されないということを徹底させていくという考え方に基づいて指導をしているところでございます。
 いじめについては、さまざまな要因が複雑に絡み合い発生すると考えられておりますが、こうしたいじめの要因を取り除いていくためには、児童生徒のストレスを和らげるとともに、心の教育を充実させ、児童生徒に適切な行動についての学習を充実させていく必要があるものと考えております。そのために、県教育委員会では、社会参加活動などの体験学習を通じ、思いやりの心、あるいは社会性を育成するとともに、学校や教育委員会における相談体制の整備、教員の指導力の向上が重要と考えています。今年度、相談員などの配置による学校の相談体制の整備や、県教委としての相談体制の整備として、例えば24時間受け付けをしておりますいじめ相談電話でございますとか、あるいは同じくメールによる相談への対応、それから、日々児童生徒と向かい合っている教職員の資質の向上として教育相談リーダー養成研修会や、教育事務所における教育相談会の実施、あるいはいじめの問題に対応するため、各学校がこれまで取り組んでまいりました実践事例集の作成とその活用を進めるとか、あるいはまた初任者研修、こういった研修等における場での実施などを行っているところでございます。
 また、児童会や生徒会活動あるいはホームルームでの活動、こういったものを通しまして、児童生徒による自主的ないじめを許さない学級づくりあるいは学校づくり、こういったものを一丸となって推進するなど、学校がいじめの問題やその指導指針などを積極的に発信いたしまして、地域と情報を共有しながら、一体となって取り組むための体制づくりなどが重要と考えております。保護者や地域の御理解、御協力をいただきながら、取り組んでいるところでございます。
〇及川幸子委員 いろいろな取り組みでございますが、やっぱりこれは担任の先生が授業時間では見られない、休み時間に入ったときに一人でぽつんとしている子供がいるか、そういう状態、先生も大変お忙しいとは思いますが、休み時間とかお昼の時間とか、そういうところでも目を配って、家庭でも変化には気づかなければだめなんですが、今後においても、どうぞ、先生方もいろいろと御努力をなさって、いじめのない学校、明るい学校を目指してやっていただきたいと思います。
 そして、いじめの要因をいろいろ話されましたが、このことによって不登校が始まると思います。県内小中学校の不登校の状況はどうなのでしょうか。また、いろいろと指導、取り組みによって学校にまた元気に行けたという、そういう状況をお示しください。
〇田村学校教育室特命参事 不登校の状況等についてでございますが、平成18年度に不登校で30日以上欠席した児童生徒は、小学校が158人、中学校が1、038人、(及川幸子委員「小学校、何人って言いましたか」と呼ぶ)小学校が158人でございます。そして中学校が1、038人でございまして、小・中学校全体で1、196人、昨年度と比較して56人の増加になってございます。
 全国との比較でございますが、国立、公立、私立の小・中学校1、000人当たりの不登校児童生徒の数を比較してみますと、本県は10.1人でございまして、全国は11.7人でございます。低い方から数えまして、本県は9番目に位置づけられてございます。
 次に、指導によって登校できるようになった状況についてでありますが、各学校におきましては、不登校の児童生徒及びその保護者、家庭に対し家庭訪問を行う。あるいは、学業や生活面での相談に乗るなどさまざまな指導援助を行うこと。あるいは、登校を促すために、朝、電話をかけて実際に迎えに行くなどをすること。あるいは、不登校の問題について研修会や事例の研究会、こういったものを通しまして全教師の共通理解を図ること。あるいは、保健室や教室以外の場所に登校させて指導に当たること。そして、スクールカウンセラーなど、専門的な相談員などが相談に当たること。このような対応によりまして、指導の結果、好ましい変化が見られた児童生徒の割合は、小学校で61%、中学校で52%となっております。
〇及川幸子委員 指導によって小学校61%、中学校52%の子供がまた元気に通えたということで、今後の取り組みにも大変期待しているところです。
 最後になりますが、両事業の取り組みをお話しいただきました。どちらも心をはぐくむ教育として、とても大事な取り組みだと思っております。
 昨今の青少年の犯罪には心が痛み、社会秩序の乱れを嘆かずにいられません。教育の重要性から、家庭、学校、地域と一丸となり、子供たちの健全育成のために、また、将来、社会の一員としてたくましく、かつ、善悪の判断ができるように、人に対して思いやりの心を持てるような大人になってもらうように、私たちは大変願っているものです。
 そこで伺います。
 小・中学校の道徳教育の重要性をどのように受けとめておられるのでしょうか。また、文部科学省からの指導であるとは言いますが、小・中学校の道徳教育の時間単位、それが適当な時間だと思われるでしょうか、教育長にお伺いいたします。
〇相澤教育長 道徳教育につきましては、いわゆる知、徳、体と言われている中で徳の部分、豊かな人間性、これをしっかりはぐくんでいくと、こういう意味で非常に重要なものだと認識をしております。
 各学校におきまして、道徳の時間ももちろんございますし、各教科の学習の中、あるいは総合的な学習の時間において生命を尊重する教育、あるいは他者への思いやりなどに関する学習、こういったものに取り組んでおります。
 道徳の時間につきましては、学習指導要領によりまして年間35時間、小学校の1年生では34時間でありますが、こういう授業時間を確保し、内容をさまざまな形で展開をしているといったようなところでございまして、こういう形で計画的に取り組んでいくといったことが大切だと思いまして、現在の35時間体制で継続をしていくと、こういう形ではないかと考えているところでございます。
〇及川幸子委員 小学1、2年では、週を見ますと、大体道徳はこれは1時間単位というんですか、学校では1授業時数といいますね。1年生、2年生、3年生もそうでした。小学校の学年においては、全部道徳は1時間ずつとられていました。中学校はどうなったのかと調べてみましたら、やっぱり道徳は中学校も1週に1単位なんですね。そういう中で、1年生、2年生においては生活という授業科目があります。それから、3年生では社会、これも道徳の中で学べるものではないかと思うんですが、道徳に関して先生方が関連して教えられているのかどうかをお示しいただきたいと思います。
〇小岩首席指導主事兼義務教育担当課長 小学校の生活科あるいは社会科の授業等の関連でございますけれども、各教科のねらいや学習活動は、一応、必ず道徳教育にかかわる内容が含まれるということになっております。各教科の目標に基づいて、それぞれの教科の授業内容を学習するわけですけれども、その中に指導発展、あるいは充実する過程の中で道徳教育があわせて行われているということになっております。
 例えば、1年生、2年生の生活科の学習においては、具体的な活動や体験を通して、人とかあるいは物、自然と触れ合うことによって基本的な生活習慣とか、あるいは善悪の判断、あるいは決まりを守るということを身につけさせるということで、自立の基礎を養うような指導という形で行っております。
 それから、3年生から6年生の社会科の学習においてですけれども、日本の国土や歴史、公民の学習を通して集団の決まりを守ることとか、あるいは他と協力し合うこととか、集団の一員としての責任を果たすということなどの大切さを学ばせるという中で、道徳的な気持ちあるいは判断力、そういうものを培っていくという関連で教科等においても指導をしております。
〇及川幸子委員 成績向上はもちろん大切なことですが、社会それから生活とか道徳は、本当に重点を置いていかなければならない教育だと思っております。
 世の中では、競争心が大変問われておりまして、勝ち組、負け組の世界がつくられております。子供たちは勝つこと、負けること、負ける部分についても、やっぱり学んでいくのだと思っております。
 このたびのボクシング界の亀田家の教育、私も大変考えさせられました。子供が大変気の毒だったとお父さんは言いますが、その周りがどれほど気の毒だったのかなと、私は逆に思います。これも家庭教育の一端なのではないかなと、本当に考えさせられました。
 そこで、私はよく台所で夕食をつくりながら、小学1年、2年、3年の音読、毎日宿題で持ってくるものですから、その読む国語の文の内容を聞いております。その中には、道徳に触れている文がうんと多いんです。しかし、子供たちはすらすら読んで丸をもらう。一々、一語一語かみしめながら、わかっているのかなと今度は思うわけです。先生方も大分努力されていると思いますが、子供たちにすらすら読めるだけではないんだよ、ここの文章はこういうことが書かれているんだよと、そういうふうに1年生、2年生、3年生の低学年の先生方に努力していただかないとだめだと思うんです。努力はしていると思いますが、その辺のところ、教育長、どうなんでしょうか。
〇相澤教育長 小学校の低学年につきましては、物事の善悪の判断、あるいは社会生活上の基本的なルール、こういったものはしっかり身につけさせなければいけないと考えておりまして、その場合、単に文章を読んで通り一遍といいますか、そういう形ではなく、先生が自分の気持ちを伝えていくということが大切だと思っておりまして、あるいは物を読ませるだけではなく、考えさせる、自分の気持ちを伝える、場合によってはいろんな事例を引き出して体験をさせながら、場合によってはロールプレイングといいますか、役割を与えながらいろんな授業を組み立てていく、そんな形で子供たちの気持ちを揺すぶっていくような取り組みをぜひ進めてまいりたいと思っております。
〇及川幸子委員 今後においても、どうぞ心をはぐくむ教育に全面的に力を入れていただきたいと思います。
 これで質問を終わります。ありがとうございます。
〇平沼健委員 高校再編について伺います。
 この件につきましては、常任委員会でも大変な議論があったようでございますが、私からも質問させていただきます。
 今回、川井村それから旧山形村、旧宮守村、この三つの高校が廃校という方向に今あるようでございます。県教委が示しております現代の少子化ということを考えれば、やっぱり人数が減っていく、そういうことで合併したり、あるいはこういう再編をするということは、私は理解できないということでもないんです。そういうような前提のもとで、数字というか人数だけで判断をして、それで学校を閉鎖していくということに対して、ある一方では、地域要件というか、地域条件というか、そういう地域の将来を考えたときというか、そういうことをどの程度それに加味してそういう判断をしているのか、それをまずもってお尋ねいたします。
〇鷹觜高校改革担当課長 分校に関してでございますけれども、平成17年7月に策定いたしました県立高等学校新整備計画後期計画において、分校の取り扱いについて定めたものがございます。入学者が募集定員の半数を下回る状況、または当該分校に進学した者のうち、分校所在地の中学校からの進学者の割合が半数以下となる状況が2年続いた場合には、原則として翌年度から募集停止とし、統合することとしており、この方針に基づいて計画を進めているところでございます。
 宮古高校川井校につきましては、40名の定員のうち、昨年度は入学者が14名、うち地元からの入学者が3名、本年度は入学者26名、うち地元からの入学者が11名ということであり、2年連続、地元出身者の割合が半数以下となったということから、宮古ブロックの中学校卒業予定者数の状況、それから県全体の状況を考慮して、計画に従い、来年度から募集停止をしようとしているものでございます。
 また、県内4分校のうち、岩泉高校田野畑校を除く3分校は同様な状況であり、それぞれの地域において今後も中学校卒業予定者が減少することが見込まれ、すべて公正にこの基準を適用して募集停止にする予定としているものでございます。
 なお、地域の実情その他、その辺について配慮がないのかということではございますが、まずもって、後期計画の一つの視点ということで、生徒の多様化、個性化への対応、それから少子化による生徒減少への対応ということを挙げまして、基本的な考え方といたしましては、自立した個の確立と学びの環境の整備、望ましい学校の配置、特色ある学校・学科の設置、地域社会との連携、家庭への期待という部分を盛り込みまして、生徒にとってどういう環境が一番いい学びの環境になるかという視点から、そういう形で地域の実情等も踏まえながら、いろいろと話し合いをしながら進めているところでございます。
〇平沼健委員 そういう決まっていることは十分私も理解はしています。今のお話で、川井高校という話が出てきましたからあえて申し上げますけれども、定数に対して地元から半分にいかないというお話もありましたですね。ところが、第1次募集では半分は超えているわけですね。それを宮古市から受けたものだから比率が半分より下がったというだけの話でして、だから、そういうようなとらえ方もこれはあるんでしょうけれども、川井というのは知っているとおり、全国でも村としては面積の大きな地域ですよね。そこに1個しかないわけでして、こういう形で大きな村の隅々から子供さんたちがやっと通ってくるというか、そういうようなこともあるわけだし、今、川井で存続ということで─あそこは村の人口が3、000名ちょっと、3、300人ぐらいでしょうか、それが6、000人弱の署名が短時間で集まって、何とか存続してもらいたいと。この思いというのは、やっぱり宮古を含めて地域の将来というか、村づくりというか、そういうようなことが根底にあるわけでして、だから単純に数字から追っていって、減ったから廃止だというようなことで押し通していくんであれば、中心部というか都市部というか、そういうところにみんな集中していくわけでして、だからそういう考え方で本当にいいのかどうかということを考えてもらわなければいけないと私は思うんですよ。
 だから、例えば川井高校の場合には、今地域住民がみんなで何か特徴がある高校づくりということでやってきて、あそこは林業が盛んな地域ですから、林業に特化したような高校にしたいという思いが村の方々みんなにあるようでございまして、そのために1年ぐらい時間が欲しいんだということを皆さん方は今訴えておるわけでして、この林業に限らず、これからの高齢化で、福祉関係でもって働く方々がどうしても必要だと、ふえていくと。ですから、ヘルパーさんの資格を取れるような、そういう特化した、そういう特徴のある高校というか、そういうような形がこれからもあちこちで考えがあって出てくると思うんですよ。
 だから、ただ単純に人数割りというのは、これは確かにある意味では理解はしますけれども、地域づくりというか、その地域のためというか、その地域を生かすんだという根底の考え方に立って判断をしていかないと、本当に今いろんな形で限界集落とかいろんな話が出てきていますが、そういうことではいけないわけでして、このような思いについて、もう一度御答弁をお願いいたします。
〇鷹觜高校改革担当課長 この後期計画を策定した経緯は、2年前になりますけれども、教育委員会といたしましては、分校についてはさまざまな教育環境等を考えて、問題があるといいますか、生徒にとって余りいい環境ではないという観点から、廃止するという一応の案をお示ししたところでございます。ただ、各地域等からいろんな声がございまして、それではどういう形で学校のあり方を決めていけばいいかということで、2度ほど調整をして、現在の、一回に募集停止とかいろんなことにならない形にするために、また、たった1年こっきりの実績で評価するということのないように、2年間のスパンで、先ほど言ったルールにのっとって、継続できるかどうかということの観点から、地元それから県議会の先生方とも十分お話し合いをしながら、このルールをつくってきた経緯がございます。
 確かに、今おっしゃるように、いろんなそれぞれの地域の実情、久慈の山形地区にしても遠野の宮守地区にいたしましても、いろんな状況は抱えております。ただ、先ほど来お話ししておりますが、後期計画の目標というか骨格となっている学びの環境、よりよい学びの環境をきちっとつくっていくという観点から、今回そういう形で進めるということでございます。
 それから、先般の議会におきまして知事が答弁しておりますけれども、いずれ、来年度には22年度以降のポスト再編計画の検討に入る予定になっております。そこには、従来の教育的な観点のほかに地域振興の観点も加味しながら、いろんなそれぞれの実情をきちっと分析して検討していくということで述べられておりますので、いずれ、そういう形で今後は進めていく部分が出てくるであろうと考えております。
 ただ、現時点におきましては、いろいろ事情はわかりますけれども、県全体の計画ということで決めた後期計画にのっとった形で推進させていただきたいと考えているところでございます。
〇平沼健委員 おっしゃるルールというのは、確かにそれは私も理解はしています。もう一つは、今、地域事情というか地域振興というか、まちづくりとか村づくりとか、知事もそういう面から加味していくんだというお話もしていました。そういうことであれば、なおさら、今からそういう形をなぜとっていけないのかということであるわけでして、川井高校に限って申し上げれば、御存じかもしれませんが、宮古からも結構な人数の子供さんが来ていますね。その子供さんたちの中に、中学校のときに不登校だった子供さんが、川井のああいう川とか森林があるゆったりしたところに来て、今もずっと通学しているわけですね。治って回復して、そういうようないいところもあるわけで、何も規模が小さいから云々ということじゃないはずでして、特徴がある高校というのは、これはこれからもずっと考えていかざるを得ないと思うんですよ。そうあるべきだと思うんですが、そういうような住民の熱い思いを教育長、どのようにお考えですか。
〇相澤教育長 地域の中で、特に中山間地域、過疎化が進んでいくという地域の中で、若者を育てていく県立学校が閉校していくということは、大変その地域の方々にとっては、何か将来の明るい火が縮んでいくような、そういう気持ちになると思います。そういうことがあって、子供の教育環境のことはわかるけれども、何とか学校を残せないのかといったことが大変強い思いとして各地域で議論されてきたということであります。ただ、そういう議論の中で判断をしていくためには、何らかの客観的な数字に基づいたものでやっていくしかないんだろうといったことで、いわば冷たいものではあるんですが、こういうルールといったものを定めて、そこを守っていきましょうといったような形で県内全域の方々がコンセンサスを得てやってきていると、こういうことであります。ぜひその点を御理解賜りたいと思っております。
 また、お話がありました地域の特徴をこれからどう生かしていくのかということは、先ほど課長から申し上げました。知事もその点は申し上げているとおりであります。22年度以降の再編のあり方の検討については、ぜひそういう視点をしっかり踏まえた形で検討を進めていく取り組みを行ってまいりたいと思います。
 いろんな意味で、そういう形で御理解を賜れればとお願いを申し上げる次第であります。
〇平沼健委員 最後に、今教育長のお話、理解は多少はしますけれども、立場からいけばそうでしょう。でも、やっぱり私たちの考えと違うところがあるわけでして、22年度から云々ということであれば、なおさら今からそういうような方向づけがあっても私はいいと思っておるんですよ。しかも、同じ市とか町に複数校あれば、これは合併したりなんかすることもあるかもしれません。先ほど話したとおり、川井村というああいう全国でも一番大きな村に1個しかない高校を廃止するということですから、それによって村が受けるいろんな産業を含めた地域の活性化といいましょうか、大変な被害というか、そういうような考え方でずんずん数の原理で押していけば、最後は町とか村は死んでいくと思うんですよ。そういうような方向づけで本当にいいのかどうかということを、再度改めて教育長に伺って私は終わります。
〇相澤教育長 21年度までの再編計画につきましては、やはりいろんな議論を、相当な議論を行った上でこういうルールを定めてきたということでありますので、私どもとしては、それをやはり守らなければいけないという立場にあるといったことを御理解賜りたいと思います。
 また、地域振興の問題につきましては、とりわけ、ずっとこの間、県北・沿岸振興についても、いろんな議論を行った上で県北・沿岸振興本部も立ち上げ、全力を挙げて取り組んでいると。そういう中で、ぜひ川井村の地域振興についてもしっかりとした取り組みを行ってまいりたいと思っております。御了解をいただきたいと思います。
〇佐々木大和委員 今の川井村の問題について関連をさせていただきます。
 先ほどお話があったように、今回のこの分校の関係につきましては、さっきの説明のとおり、学びの環境を大前提に、まさに高校教育のあり方論で示してきたんだろうと思うんですが、途中から変わって、実際には、存続決定の要因を地域の努力によって決まるんだというような形に変わったんではないかと、それが今の問題につながっていると思うんです。実際に示された数字のとおり、川井村で1次募集では20のうち11名が村で条件を満たしていたと。ただ、2次募集になったら、そこにさらに6名加わったためにその条件から外れていったという経過があります。同じように、田野畑校は20名で、その要因をクリアしたんですね。前年はどっちもだめですけれども、そういう形で最終の決定すべきものを、先ほどのお話のとおり、数字で示したということが地域にそういう活動を引き起こす原因になっていると。そのことによって、二つの村では、その分校を存続するための努力をした結果が、どちらもそれはクリアしたんですよ。ただ、2次募集のあった川井校はこれで消えることになった。これではやはり問題が大き過ぎるんじゃないかと。ここにやっぱり今回の川井村での住民が納得しない一番の要因があるんだろうと思います。そういう意味で、本来の高校のあり方論、学びの環境で地域の人たちが納得するような運びをするべきことが、数字だけで示されたことになっていますが、そういう点で今回のことは考え直す必要があると、そのように思うんですが、教育長、その点で御答弁をいただきたいと思います。
〇相澤教育長 まず、2次募集について少し説明をさせていただきたいと存じますけれども、川井校の場合、定員に満たなかったということで、なおかつ、広域で公立高校に行けなかった、受験で落ちてしまった子供たちがいたわけでありますので、やはり公教育の立場として、定員に満たない中で再募集をして子供たちの受け皿をつくりたいといったことで行った判断でございまして、その点は御了解をいただきたいと思っております。
 それから、本当に数字を設定して判断をしていくことがいいのかということでありますが、先ほどちょっと申し上げたのでありますけれども、分校を含めて高校再編についてさまざまな議論が行われて、いろいろさまざまな角度から御議論があって、御意見があって、そういう御意見、御議論を集約をしていく中で、やはり何か一つ線を引かないとだめなんだと、こういう考え方で幅広い関係者の方々の御意見を賜った中でこういうルールをつくってきて合意をいただいたと。やはりどこか線を引かないと、やはり自分のところはどうなんだと。それは特別な扱いができないのかといったことがどうしても起きてしまう。であれば、少し冷たいかもしれませんが、こういうルールをしいて考えていこうと、こういうことでありますので、そこのところは私は関係者のいろんな意味の努力、議論があってこういうものがしかれたと理解をしているところであります。
〇佐々木大和委員 結局2次募集の意義は、当然です。沿岸は私立もありませんし、その他の高校に行く機会がないですから、2次募集をやってチャンスを与えるというのはぜひやらなければならないことですから、そこで当然やってもらわなければならないし、そのとおりでいいと思うわけですが、教育委員会で地域に決定要因を示したことによって、その努力、田野畑村はそのとおり努力して20名ですけれどもクリアをしたと。片方は20名までの努力はできたけれども、その先はもう努力の対象はいないということですね、基本的に。20名を超したらそれ以上のところはもう宮古から来る以外に、その他から来る以外には生徒の入る可能性のある人はいないわけですから、そこまでの限界の努力をしたので、原則論はそのとおりですが、判断をする対象としては、やはり1次募集のそこまでの努力を地域の努力として見るべきだと、そういうのが今私が申し上げたことなんです。
 それで、あと、岩手県の場合は先ほども平沼委員から話が出ましたけれども、まさに森林県で四国4県、1万8、000平方キロの8割ぐらいですか、その中でも77%が森林です。そういう自然を持っているわけですが、そこにあって、大学においても岩手大学の林科というのが日本を代表する林業技術をしっかり身につけて、県の林業もその方々がリードしてきて今日をつくっておりますが、たまたま経済環境は整っていませんけれども、まさにすばらしい日本のトップレベルの林業政策、林業活動をしているんだろうと思います。そういう中で、地域においては、この与えられた岩手県の8割に近い森林を守り育てるための高校教育の場も必要なんだというのは、みんなの認識の中にしっかりあるわけです。そういう中で、本当の岩手県の高校教育再編の際に、どういう形で持っていくかというのはもっともっと議論をすべきですし、実際の要求されているものに教育委員会がもっと早く対応してもらいたいというのが、今出てきた川井村からの話の中にあります。
 川井村の村長さん初め関係の皆様方は、やっぱり林業で、岩手県で暮らせるような、8割にも及ぶ山の中で暮らせる環境、そういう後継者をつくりたい、つくってもらいたいというのが高校教育の期待なわけですけれども、そういう中で前からいろんな話をしておりますが、今回学びの環境どうのこうの言っていますが、そこの対応がおくれたのが、今回の住民に対しての説明が納得されない大きな要因にもなっていると思います。
 それで、これまでも例えば公設民営の学校だとか、あるいは多様な学校形態の中で、私もチャータースクールなどの話もこれまでもさせていただきましたけれども、今回をきっかけに、本当に岩手県がやらなければならない高校教育の方向性を議論するきっかけを川井村が提言しているんだということが、今示されている大事なポイントだと思います。そこに対して今受けとめて教育委員会は対応すべきじゃないかと考えておりますけれども、教育長の御所見をいただきたいと思います。
〇相澤教育長 今回の募集停止の問題に絡みまして、川井村の村長さんからも、地域の活性化を進めていく林業といいますか、森林を基礎にして森の博物館構想というのをお持ちになっていて、そういうものをバックボーンにした何らかの教育の拠点づくりといったことを考えておられると私もいろいろお話を伺っております。そういうことを含めて、22年度以降の計画の中で、全県的な視野でどうこれからの高校教育を考えていくべきなのか、知事が申し上げた地域振興の視点といったものをどうとらまえていくべきなのか、具体化をしていくべきなのか、それはまた22年度以降の中でさまざまな観点から検討させていただきたいと、このように考えております。
〇嵯峨壱朗委員 よりよい学びの環境という話、さっきから議論になっていますけれども、それについて詳しく考えるところを教えてもらいたい。
〇鷹觜高校改革担当課長 県立高校の新整備計画の中で作成するときにいろいろと議論をしたところでございますけれども、高校の教科というもの、教科指導を考えた場合にはそれぞれ専門性というのが分かれておりまして、それぞれ専門の先生方がきちっと教えられる環境というのがまず一つ考えられます。
 それから、二つ目といたしましては、学校行事、生徒会行事等いろんな行事を活発にできるような学校が望ましいということで、あるいは部活動、やはり自分の好きな部活動を選択して仲間と一緒に切磋琢磨するような環境、そういうものも必要だと。それらを総合していきますと、大体定員1クラス40名で今考えているわけですけれども、4クラスから8クラス規模の学校が一番、そういう学びの環境としては非常にいろんな意味で求めることができるということで一応うたっているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 一般的にというか、それは教える側の立場というか、学校側の立場としてはそうだと思いますけれども、子供たちは、例えば久慈、先ほどからの川井もそうですけれども、山形校もそうですけれども、いろんな悩みを抱えた子供を含めて、そういう子供もかなり行っているわけですね。環境の悪いところに行くのかなと思って見ているんですね。教育委員会が考える環境じゃないですか、このいい環境というのは。本来は違うんじゃないですか。どうですか、この兼ね合いをどう考えていますか。
〇鷹觜高校改革担当課長 確かに小規模な分校、私も川井なんかは特にことし十何回も行ったりしてつぶさに見ております。大変小さいところではございますけれども、きめ細かに一人一人を大事にして、先生方も精力的にやって、本当にかゆいところに手が届くといいますか、そういう非常にすばらしい面はあるということは私も実感しております。ただ、では、どうかということで聞きますと、例えば生徒なんかに聞いても、本当はこの部をやりたかったけれども、ないからこっちでやっているとか、そういう部分も確かにあるということがあるわけでございまして、その辺それぞれメリットもありますし、すばらしさもあると。しかし、一方ではそういうふうに若干生徒の希望に添えない部分等も出てきているということで、確かにいろいろな意味で、不登校の生徒の受け皿ということでは非常にいい環境にあるのかなという感じはいたします。ただ、宮古ブロック全体で考えますと、川井校にだけ不登校傾向の生徒が行っているわけではございませんで、むしろ宮古水産高校とか宮古北高校さんのほうに多数行っているという実態もあるところでございます。そういうことで、それぞれよさはあるというふうには認識しております。
〇新居田弘文委員長 簡潔にお願いします。
〇嵯峨壱朗委員 結局、よりよい学習、学びの環境というのをどの立場で考えるかということ。教育委員会は、学校側の立場、先生方の立場で考えているように私は理解します。というのは、やはり今、小・中学校でも少人数学級をどうしようかという議論になっています。小学校1年生もやっているわけです。ということは、少人数のほうが明らかに効果が上がっているというのを認めているわけですよ。なぜ高校だけそうなのかと私は思います。教育委員会は、やはりそういうスタンスですべて事を考えているんだなというふうに理解していいんでしょうか。
〇鷹觜高校改革担当課長 例えば、後期計画の中でうたっておりますけれども……(嵯峨壱朗委員「考えていいかどうか」と呼ぶ)、2学級規模の学校とか、それから分校につきましては、ある程度半数ぐらいでも維持できるような形で、一応定員から……(嵯峨壱朗委員「そんなこと聞いているんじゃない、私は、そういうふうに考えていいかどうかを聞いているんですよ」と呼ぶ)
〇新居田弘文委員長 答弁が終わってからお願いします。
〇鷹觜高校改革担当課長(続) したがいまして、それぞれの地域の状況とか学校規模等においていろいろな配慮はしてきているところでございますが、基本的には、高校生という年代を考えますと、やはり人生のいろいろなバックボーンをつくる時期になりますので、そういう意味では、いろいろなタイプの同級生とつき合ったり、自分の好きな部活動とかさまざまな活動できるということ、それから、学力向上ということで専門性の深い教科にどんどん入ってきますので、そういった形で指導を受けられる環境というのはやはり大切にしていかなければならないと考えております。
〇相澤教育長 私どもが高校教育についてどういうふうに考えているかということでありますけれども、基本的に、子供の立場に立って、子供の教育にとってどういうことがいいのか、こういう視点で考えております。
 その第1点は、今、課長が申し上げましたけれども、高校生の場合、もう間近に社会に出て行く、こういう年代であります。お互い切磋琢磨をし合って学力も向上させ、あるいはコミュニケーション能力を高めていく、こういったことがやはり大きな前提としては必要だ、こういうふうに思っています、子供のためにですね。
 ただ同時に、大きな集団になじめない、いろいろな意味でストレスに弱い子供がいることも事実であります。具体的に申し上げますと、多部制の高校というのを久慈と今度奥州市に準備をしておりますけれども、午後から通ってこられる、あるいはかなり自由な時間帯の中で勉強ができる、そういった形の、子供のニーズに合わせた高校教育のあり方といったものを、またきめ細かく考えなければいけないと考えております。
〇斉藤信委員 私は、この宮古高の川井校に対する対応というのは、岩手の教育のあり方が問われる極めて大事な問題だと思っております。
 実は、この県立高校新整備計画後期計画、2年前にも大議論になったのですよ。藤原課長は担当者でした。機械的な県立高校の統廃合とか分校を一方的に廃止するとか、県内各地で大運動が起こって、これは全面的に事実上、撤回、見直しされた、そういうものでありました。県民の運動がある意味で反映された計画であります。
 それで、公平なルールが必要だと言うけれども、そういう運動が反映されたから、この後期計画はどう書いているかというと、前文にこう書いているんですよ。この後期計画に基づき、地元の意向を踏まえながら、生徒が自主的、意欲的に学習に取り組み、一人一人がその個性を十分に伸長できるような教育環境の整備を行っていきますと。地元の意向を踏まえてと、こう書いてある。これが前提の考え方です。
 分校ルールについては、こうなっているのです。広大な県土を有する本県の通学事情等を十分に考慮して、地元で高校教育を受ける機会の確保に努めることとし、地元の意向を踏まえながら、当分の間、次のとおり扱います。それで、具体的ルールはこうなっています。入学者が募集定員の半数を下回る状況、または、当該分校に進学した者のうち、分校所在地の中学校からの進学者の割合が半数以下となる状況が2年続いた場合には原則として翌年度から募集停止とし、統合することとします。
 この分校ルールというのは、極めてあいまいなのです。なぜかというと、一つは、募集定員の半数を下回る状況となっている。または、進学した者のうち分校所在地の中学校からの進学者の割合が半数以下となる状況が2年続いた。または、というのは並列ですよね。さらに、でもないんですよ。そして、いいですか、この後半戦のところが今ひっかかっているんですけれども、当該校に進学した者のうち、分校所在地の中学校からの進学者の割合が半数以下となる状況というのは、例えば田野畑は20名で、16名だから存続になった。ところが、川井校は2次募集26名になってしまった。11名地元から進学したんです。これは過半数を超えているのです。20名の半数を超えているのです。いいですか、20名だったら存続できるが、26名だったら存続できないという、これは極めてあいまいなルールなのですよ。
 私は、そういう意味で、だからこそ最後に、原則としてとなっているんですよ。たまたま2次募集でふえたからこれは半数を割るというような解釈は、極めてこれはルール自身があいまい。だから、地元の意向を踏まえて、原則としてということは、機械的ではありません。私は、本当にこういうのは地元の意向を踏まえて柔軟に対応すべきものではないかと思いますが、これが第1点、考え方。
 第2点は、地元の意向というときに、平沼委員も紹介をしましたけれども、人口3、400人弱で、わずか2週間で5、659人の署名が集まったんですね、川井校存続の願いを込めた。地元の人口を大幅に上回る、ですよ。私、地元の教育長にも聞きましたけれども、バスで通学する子供たちもいて、こういう子供たちが大変立派にあいさつをするのでバス関係の人たちがこぞって署名をしたということも聞きました。同窓生がたくさん署名を集めてくれたということも聞きました。11名進学したということは、地域の熱意です、これは。そして、その高校を守れという周りの方々の5、659人という署名もまた大変な、学校を守れ、教育を守れという熱意ですよ。こういう地元の意向に配慮してこそ本当の教育が成り立つのではないでしょうか。
 三つ目です。実は、こういう分校を廃止する、高校を統廃合してなくすることに、残念ながら県議会のチェック機能が働かないのです。県議会に8月にこういう計画を出されますが、最終的には教育委員会議で決めるのですよ。そして、県議会にいつかかるかというと、生徒がいなくなったときに廃校の設置条例にかかるのです。私、手続的にもこれはおかしいと思いますよ。その地域で、地域の存立にかかわる学校がなくなる、そのときには県議会で判断が問われない、教育委員会議で決まって、生徒がいなくなったときに廃止条例がかかる。これは、私は、県議会のチェック機能はこれでは果たせないと思います。だから……
〇新居田弘文委員長 斉藤委員に申し上げます。簡潔にお願いします。
〇斉藤信委員(続) ここで終わりますから、今、大事なところじゃないですか。
 だから私は、今回、15日の予定の教育委員会議を延ばしたようですけれども、この県議会の議論を踏まえて、この問題は県の教育委員会が対応すべきだと。
 とりあえず3点お聞きします。
〇藤原学校企画担当課長 先ほど、またはという話もまた出てまいりましたので、お答えします。(斉藤信委員「藤原担当課長に聞いているんじゃないぞ。おかしいぞ、権限ないんだから、あなたは。おかしいって、藤原担当課長、何で答えるんだよ。あなたは権限ないでしょう、責任が。教育長、答えてください、藤原担当課長が答えるなら」と呼ぶ)
 まず、平成16年8月に後期計画の案が示されまして、また、翌1月に調整案が出されたところでございます。しかしながら、県民並びに県議会の御理解がいただけないという事態になりまして、平成17年4月に私、この任になったわけでございますけれども、直ちに各地区に行って意見を伺ってまいりました。その中で、小規模校の分校のところからは、1人になっても分校を残してくれとか、そういうむちゃなことは言わないと。いずれ統合になることはやむを得ないけれども、計画的に何年に統合だという示し方は私どもは納得できないと。ある一定のハードルを示して、それを越えられるかどうか、その努力の結果を見てほしいのだというふうな強い要望を得たところでございます。それで私は、持ち帰って十分にその意向を受けて案を練り直してまいります、このように約束したところでございます。そして、案を練って、6月10日でございます、2年前の6月議会の10日前議運の日に、この場でるる説明させていただきました。そのときには、またはがどうなのか、これについても大変多く質問をいただきまして、そのときにしっかり御説明申し上げ、そして理解をいただいたものと私はとらえてございます。
 また、その件につきましてはマスコミでも詳しく解説をいただき、その後、それに対しての県民の皆さんから、けしからぬ、これではだめだという御意見は特になかったととらえております。
 また、これを遂行するに当たって、地元との話し合いという件でございますけれども、これについては、統合形態をどうしようか、例えば一つの案としては、在校生も一斉に統合先に移動するとか、あるいは年次的にやるとか、そういった統合形態等々、地元の思い、そういったものを十分に勘案しながら進めていく、こういったところは今、進めているところでございます。
〇相澤教育長 地元の熱意ということでございますけれども、私ももちろん川井村からいただいております署名の重さといったものは大変その重みを感じているところでありますけれども、私ども、全県的な視点で申し上げますと、地域の中で、県立高校をその地域振興の視点から残してほしいという思いは、実は川井村だけではなくて、ほかの地域でもやはり非常に強いものがございまして、そういう意味では、いろいろ濃淡はあるかもしれませんが、しかし、若者を育てていく県立高校の存在感というのは、やはりどこの地域でも大変重いものがあるのではないか、こういうふうに感じております。ぜひその点もまた御理解を賜りたいと思います。
 教育委員会議につきましては、私もいろいろ先般の商工文教委員会での御意見も踏まえまして、各教育委員の方々とも御相談を申し上げて、まずは県議会でどういう御議論がされるのか、しっかりそれを承った上で教育委員会議で審議をいたしましょうという御同意をいただきまして、県議会終了後に教育委員会議でしっかり議論してまいりたい。また、その場で私のほうから県議会でのさまざまな御意見につきましてしっかり教育委員にお伝え申し上げて審議をしてまいりたい、このように考えております。(斉藤信委員「答弁漏れがあるぞ。都合のいい答弁しかしていないよ、僕が質問したのに。また聞きますか」と呼ぶ)
〇新居田弘文委員長 簡潔にお願いします。
〇斉藤信委員 都合のいいことしか答弁していないのですよ。私は、またはのことも指摘しましたが、当該分校に進学した者のうち、分校所在地の中学生からの進学者の割合が半数以下となる状況ということについて、これは極めてあいまいだと。例えば川井校の場合、11人入学したのですよ、今年度。これは20人の半数を超えたのです。いいですか、田野畑はこれでクリアしたのですよ。20人進学して、そのうち地元が16人だった。ところが、これが20人ではなく26人になったら半分を割ってしまってこの基準にかからない、これはおかしいルールなんです、あいまいなルールなんですよ。20人ぎりぎりだったら、私は、基本的に11人というのは半分を超えていますから、これで救わなければだめだ。地元はそういうことで、地元の高校を守ってほしいということで地元の中学校からの進学率を前の4人から11人に上げたのですよ。だから、このルールというのは、やっぱりあいまいさがあるのです。20人だったらひっかかるが、26人だったひっかからないというのはおかしい話です。だからこそ、ここには原則としてと書いているのですよ。原則というのは機械的ではないんです。
 そして、藤原課長は勝手なことを言いますけれども、この計画は、地元の意向を踏まえながらというのは統合のことなんだと。とんでもない話ですよ。いいですか、前文にも書かれているのですよ。この後期計画に基づき、地元の意向も踏まえながら教育環境の整備を行うというのは。私は、地元の意向というのは、あなた方が決めた後の対策ではないと思います。分校をなくすかなくさないかも含めて、5、600人の熱意、情熱にこたえてこそ、私は、地元の教育、地元の高校を守る岩手の教育になるんだと思いますよ。
 教育長、私は、この原則というところは、機械的ではないと思います。そして、ルールそのものに私はあいまいさも幅もあると思います。何年も残せということを地元は望んでいるわけではないですよ。ことしのこういう努力を、そして5、000名を超えるようなこういう地域住民の熱意にこたえることも教育のあり方ではないのか、この点をお答えいただきたい。
〇相澤教育長 一つは、ルールの中で、考え方でありますが、再募集のお話がございましたけれども、進学した者のうち、分校所在地の中学校からの進学者の割合が半数以下となる状況ということでありますので、高校に入学をした、進学した者を基準にして考えるということは明記されているところでありますので、そういうふうに御理解を賜りたいと思います。
 また、人数の問題でございますけれども、例えば遠野高校の情報ビジネス校で申し上げますと、平成18年度に関しましては、入学総数38名のうち地元出身者が10名、ここで2分の1ということにひっかかっています。同じように、平成19年度に関しては、入学者総数36名で、地元からは13名という形で、同じようにやはり2分の1をクリアしていないというふうに適用されているところであります。川井校に関しましては、平成18年度入学者が、繰り返しになりますけれども、総数14名で、地元からは3名、平成19年度は総数26名で、地元からは11名、こういうふうになっております。数字で申し上げさせていただきましたけれども、こういう形で、しっかりそのとおりルールを適用させていただきたいと考えております。
〇斉藤信委員 教育長、私、やっぱり解釈が問題になるようではだめなんだと思うんです。そして、この規定で、20名だったらクリアするが、26名だったらクリアしないということもおかしいでしょうということを指摘しているんですよ。そして、11名進学したのは、それは20名を超えるのだと。だから、実態論としてこれにはあいまいさがあるということを指摘しているのですよ。そして、地元の意向、地元の子供たちの努力、私は、そういう意味で機械的であってはならないと指摘したんですよ。だから原則と。
 私は、ルールの公平さというのは必要だと思います。それは全然否定しません。しかし、そのルールには、やはりかなりシビアなときには原則的、柔軟的に対応することは、教育の場合は当然あっていいと。これだけの熱意、これに背を向けるようなやり方は教育の条理に反すると。最後の最後に聞きますけれどもね、このことをね。
 そして、延ばしたということは、県議会の意向も聞きながらという、私はそういう趣旨だと思いますので、それで最後に聞きますけれども、川井村というのは面積が幾らで、村民所得が幾らですか。私は、こういうところにこそ本当に地域の存立に県が光を当て、目を当てなければならないと思いますが、このことを聞いて終わります。
〇相澤教育長 教育の条理というお話でありますけれども、繰り返しになりますけれども、やはり県内各地域で、若者を育てる県立高校を残したいという思いはどこの地域でも非常に強くお持ちになっているということを私ども非常に強く感じております。したがって、そういう中で再編をしていく場合、やはりこのルールといったものを公平に適用せざるを得ない。どこかでやはり線を引かざるを得ない、そういうふうに、ある意味では非常に私どもも悩みつつといいますか、苦しみつつそういう判断をしているといったことであります。御理解をいただきたいと思います。
〇菅野教育企画室長 川井村の面積についてでございますが、563平方キロ、それから、1人当たりの市町村民所得でございますが、これは、手元にありますのは平成15年度統計でございますが、1人当たり165万2、000円となってございます。
〇新居田弘文委員長 関連ですので、簡潔にお願いします。
〇伊藤勢至委員 手短に伺いたいと思います。
 まず、委員会でも話をしてまいりましたが、2年前からいろいろなところに説明をしてきたと。そして、この川井分校についてもそうだったと。だけれども、当時と違っている重大な条件があるわけでありまして、今、川井の村長さんがかわったわけです、選挙があって。恐らく前の村長さんは、どっちかというと県から言われたことには反対をするような人ではなく、何でも県の言いなりに聞くような温厚な方だったと思っているんですが、したがって、消極的な賛成だったのかもしれません。しかし、今回選挙がありまして、新しい村長は川井の分校存続という部分もかけていまして、そういうところに川井の村民のある意味での希望を持った力が集まったんだと私は思っております。そういうことが、この約6、000名近い署名に集まっている。よくあなた方がやるようなパブリックコメントというような形でいっても全然無視できない数字になってきたと思うんです。
 したがいまして、今、斉藤委員、それから平沼委員も言いましたように、地域の要望を考えながらというとき、まず、第1点、この条件が違っているということを頭から外してはいけないと思います。
 それから、先般の新聞でも言っておりましたけれども、今、川井村は合併を志向して宮古市に働きかけをしていく、こういう方向のようでありますし、平成の第2の合併と言われますとあと2年半ぐらいの間にやるしかないわけでありますから、今回、この平成19年度の募集をやめてしまうということは、平成19年、20年、21年の3年でもう生徒がいなくなってしまいますから、そうすると、生徒がいなくなってから新しい計画を立てるというのではいかにも遅いわけです。
 したがいまして、もし合併をする方向であれば、遠野も山形も合併がもう終わった状況の中と川井の場合は全然違うというふうに思うのです。特にも、この宮古、下閉伊にありましては、スクラップ、スクラップ、スクラップ。ビルドが全然ないのです。スクラップ、スクラップ、スクラップ、子供がない、お金がない、人が集まらない、スクラップ、スクラップ。これでは、今、頑張ろうとしている川井村をまさに十三階段に乗せてしまうことになるんだと私は思います。したがって、今こそ、1年なり2年なりの激変緩和というか、合併の方向を見る、こういうことで、ごり押しをしないほうがいいと私は思っております。
 そういう中で、川井村の村長さんと何回かお会いになったと言っていますけれども、村長はもちろん川井村を代表する人なわけですけれども、6、000人という署名の重みをあなた方は簡単に扱うべきではない、このように思います。
 このことだけで川井だけを残してしまうと、今までのものが御破算になりますとよく言われますけれども、御破算をやったらまた積み上げればいいんですよ。御明算が出たら、そしてまた御破算で願っていく。民間というのはそういうやり方で、さいの河原の石を積んでいくやり方を何回も何回もやってきて物にしていくのが民間的主法です。あきらめないんです。ですから、2年頑張ったのは評価しますけれども、条件が変わったということ、そして、それだけ地元の熱意が集まってきたということ、こういうことを無視されないようにお願いをしたいというふうに思います。
 平成19年度募集を停止してしまったら、十三階段に乗ることになります。3年後に学校がなくなります。そして、その次の年に何かやりましょうというのでは遅いのです。したがいまして、合併を志向しているという政治的判断というのもあるわけですけれども、そういうものも見ながら、今、酸素を外さないで、何とか2年なら2年の猶予をいただきたい、激変緩和措置といいましょうか、そういうものがあってもいいのではないか。しかも、このルールの中にもそういう文言が書いてある、読み込んでいけば。そういうことだと思うんですが、相澤教育長、疲れたでしょうけれども、やりますとしゃべれば相当気が楽になると思います。答弁をどうぞ。
〇相澤教育長 私も村長さんと何回かお会いいたしまして、つい先日も夕方行って村長室でお会いしてまいりました。そのときに同窓会長さん、PTA会長さん等地域の方々も御一緒でございましたけれども、村長さんの地域振興にかける本当の思いというものも再度またお話を伺ってまいりました。また、地域の方々の思いといったものも伺ってまいりました。そういったものは非常に私どもも重く受けとめますし、また、川井村の地域の方々、村民の方々が、やはり県立高校というのは一つの我々の希望の光だというふうな思いを持たれることも非常によくわかるのであります。
 そのことは、ただ、再三申し上げますけれども、川井村だけではなくて、ほかの地域でもやはり首長さんがおいでになり、同窓会長さんがおいでになり、地域のPTAの方々がおいでになり、やっぱりいろいろな思いを持って県立学校を地域の方々が支え、育ててきたという歴史があるわけであります。そういう中で、どこか一つの線を引いてやらざるを得ない、その線を平成17年度に引かせていただいた。それに私どももまた従ってまいらなければならないのではないかと考えております。よろしくお願いしたいと思います。
〇伊藤勢至委員 もちろんルールを否定しようというつもりではありません。激変緩和といいますか、地元の本当の要望にこたえて、それを1年なり2年なり猶予する、それは十分に考えられることだと思います。それはルールを外すことにはならない、私としてはそのように思います。
 そういうことを勘案して、初めて岩手県の教育ということが官民一緒になって目的を一つにやるんだと。川井村から希望の灯を消さないように、スクラップ、スクラップ、スクラップではなくて、ビルドしていくという部分もぜひ加味をしていただいて、来年度の募集停止、これは十三階段、もう自動的に3年後には酸素吸入器が外れる。それからまた新しいのを考えます、それではいかにも間に合わない、そのように思います。したがいまして、この2年の間、何とか何とか、伏して伏して伏してお願いを奉りまして私の質問にします。終わります。
〇飯澤匡委員 質問要旨の通告は2点でしたけれども、1点、いじめについて追加させていただきます。
 先ほど及川幸子委員への御答弁の中で大変立派な御答弁がありましたけれども、私は一つ御提案を申し上げたいんですが、今は生徒、児童の友達間の関係が大変希薄になっている、いじめがそばにあっても下手なことにはかかわりたくない、そういう風潮であるかというふうに認識しています。
 先ほど御答弁の中に、多面的に多角的にいろいろな方面から施策を展開していくというお話でしたけれども、これは学校教育現場でも、先生方はそういう意味では大変なのではないかなと。私が思うに、やはり全県的にこのいじめ対策については観点を絞って、指針、取り組みというものをしなければならないのではないか。例えば、いじめを制止する勇気を持つ、そのような観点に立った、これは全県的に例えばクラスの中でもリーダーをつくっていくだとか、あちこちに学校教師が、先生方がどこでも目配りするというのはかなり大変だというふうに私も思いますので、その指針のとり方について御提案申し上げますが、御所見があればお願いしたい、それが第1点。
〇田村学校教育室特命参事 ただいま、いじめの指針についてというお尋ねがございました。先ほどの答弁の中でも申し上げたところでございますけれども、県の教育委員会といたしましては、いじめそのものについての基本的な姿勢というのは、先ほど申し上げましたとおり、いじめはあってはならないものと。ただ、これはどこでも起こり得るということを踏まえながらきちんと対応していく、そういうふうな考え方を持っております。したがいまして、これまでもそうでございましたけれども、学校あるいは生徒、そういった対応については、いじめは絶対に許されないという意識を徹底させていくということを基本に据えてこれまで対応させていただいてまいりました。
 ただ、委員から御指摘のありましたとおり、そういう形での総花的なものではなく、もっと中心、的を絞ったものをということも当然あるのではないかと思っております。
 と申しますのは、いじめの対応に当たりましては、要因と考えられるものがかなり複雑多岐にわたってきております。一つは、不満やストレスというものが児童生徒の性格とか気質、こういったものに働きかける。それがいじめという行動に出る前に、それを適切な行動に置きかえる、回避するという学習環境が整っていないような場合、これがストレートに弱いところにいじめという形で圧力がかかっていく。それが向かうところは、自分たちから見たときに、例えば異なるような存在に対して当たってくるとか、その背景には、他人を尊重する、あるいは自分と違う考え方を持つ人間について仲間づくりができないとか、そういった個々の要因があるように聞いております。
 したがいまして、県の教育委員会の施策につきましても、まずはそのストレスを緩和する、削減をする、和らげる、そういうふうな形から、いわゆる教育の見直しとか、そういった方面で、あるいは心の教育、強い心をつくっていただく。そのためには校外でいろいろな形での野外活動に取り組むとか、あるいは自然環境に親しむとか、道徳の教育とか、そういったものがあると思います。またさらに、適切な学習環境を提供するという意味におきましては、悩み事について適切に相談できるような環境の整備とか、あるいは何かあったときにそれを支えてもらえるような、そういった周辺部分の環境整備、こういったものが多面的に必要ではないか、このように考えております。
 したがいまして、県の施策に当たりましては、それぞれの要因についての事務事業の施策の展開を図らせていただいているところでございます。ただ、いかにもトータル的な知見がなかなか見えてこないということも出てまいると思いますので、そういったものにつきましてはこれから十分検討させていただきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 総花的で、的を絞ると言いながらまた同じような答弁が出てきたんですけれども、いずれ検討していただきたいと思います。
 やはり生徒の間で、そこの中で食いとめるというのが一番私は効果があると思うんです。いじめを制止する勇気だとか、そういうことをやったほうが社会教育上、大人になってからも大変それは有効なことだと。昔からいじめはあったわけで、ただ、その状況がかなり複雑になったということがあろうかと思うんですけれども、基本的には同じことだと思っています。
 あと大きく2点、質問いたします。
 地産地消と学校給食についてお伺いします。
 主要施策の成果に関する説明書、40の政策の成果のうち、学校給食への県産農林水産物の使用割合、いわゆる地産地消度が平成14年基準値47.6%から平成18年の実績値55%(後刻「52.6%」と訂正)、これは評価Cと。この高まらない理由は何なのでしょうか。これは供給側に問題があるのか、それとも需要側に問題があるのか、教育委員会ではどのように分析をしているのか、お伺いいたします。
 続けて、この地産地消運動、これは学校教育現場でどのように児童生徒に周知されているでしょうか、その実態についてお知らせ願います。
〇川口スポーツ健康課総括課長 学校給食への県産農林水産物の使用割合についての御質問でございますけれども、学校給食における県産農林水産物の使用割合の目標値は、岩手県食の安全・安心アクションプランにおきまして、平成18年度で55%としておるところでございます。平成18年度の県産食材の使用実績は重量ベースで52.6%となっておりますが、前回─平成16年度の調査から2.1ポイント増加している状況でございます。
 地域ごとの使用割合は、広域振興圏ごとに見ると、最も高いのは県南広域で57.1%、次いで県央地域が51.7%、沿岸広域で49.5%の順となっております。県北圏域にありましては、地元産の生鮮野菜が調達できないことから、圏域内の小売店が青森県産を取り扱っている状況も見受けられまして、パーセンテージで申しますと45.7%となってございます。
 品目別で見ますと、米は100%、畜産物が78.2%と高い数値を示しておりますが、生鮮野菜は33.5%、水産物は29.9%となっております。使用割合が低い原因につきましては、冬期間等、年間を通して野菜などの生産ができないこと、また、限られた予算の中で、学校給食の食材として利用できないものがあること、それから、地域や品目によっては、耕作面積が少ないなど十分な食材供給が難しいことなど、こういうものが主な要因になっていると考えてございます。
 学校給食への県産農林水産物の使用については、食育や食の安全・安心の観点から、その利用促進に努めているところでございます。今後も、学校と農協等の生産者組織、産直組織など地域が一体となった取り組みが展開され、学校給食における県産食材の利用拡大がより一層進むように関係機関との連携を図っていきたいと考えているところでございます。
 次に、地産地消運動は、学校現場でどのように生徒に周知されているかという御質問でございましたが、このことにつきましては、次代を担う子供たちが、学校給食など教育現場において、より多くの県産食材に触れて、本県1次産業と食文化に理解を深めてもらうことが重要であることから、生産者、流通・加工関係者、消費者、学校給食関係者等の一体的な取り組みを行い、いわゆる地産地消の推進を県民運動の一つとして行っているものと理解しているところでございます。
 各学校では、以前より学校給食の献立に県産食材を生かした郷土食や行事食を取り入れてございます。その際に、新鮮で安全な食材のすばらしさや食べ物に対する感謝の気持ち、自分たちの郷土に対する関心を深めることなどについて、学級担任と栄養教諭等が学年に応じて指導を行っております。また、地産地消に関して、社会科や総合的な学習の時間などの授業において、生産や流通の仕組み、つくる人の工夫や苦労などについて指導しておるところでございます。
〇飯澤匡委員 私、ちょっと間違っていましたね。目標値が55%で実績値は52.6%ということでした。
 いずれ課題は多いかと思いますので、連携を進めていただきたいと思います。
 次、県立高等学校の新整備計画について、私の地域では、千厩高校、それから大東高校が既に統合を果たしたわけですが、先ほど来議論があるように、同じ町であっても大変な思いをして統合いたしました。統合して大東高校はたしか3年目になると思うんですが、統合しての意識がようやく芽生えてきたというような状況であります。
 そこで、今、問題となっているのは、旧大原商業高校、そして旧千厩高校の旧校舎、そして旧校舎の跡地、これらの財産譲渡の問題がまだ残っているかと思っております。大原商業の校舎については、今、一関市の大原中学校が入ってやっておりますが、土地の財産譲渡についてはこれからと伺っています。これらの協議、そしてまた、期限というものは実際設定されているのかどうか、それらについてまずお伺いしたいと思います。
〇佐野学校施設担当課長 県立高等学校の新整備計画による統合では、委員御指摘のとおり、旧千厩高校、久慈水産高校の施設が未利用の状態で残っております。これについては、統合先のそれぞれの学校長が施設管理を行っている状況にございます。
 後期計画による統合で大原商業高等学校が大東高等学校と統合されたわけでございますが、一関市が市立大原中学校として活用したいということで、本年4月から大原中学校として入っていただいております。これにつきましては、この4月から1年を限度として無償で貸し付けしている状態にございます。これについて、現在、市と譲渡に向けた協議を進めている段階でございます。この協議が調うまでということで、1年間の無償貸し付けとなっております。
 この大原中学校への大原商業高等学校校舎の転用に当たりまして、文部科学省から1年の無償貸し付けということで財産の処分承認を受けているということですので、また、この協議が調いまして、施設管理者の変更等を行う場合には、改めて文部科学省に対して補助財産の処分承認を受ける必要がある、そういうふうな状態でございます。
〇飯澤匡委員 千厩高校については、まだ今の千厩高校が施設管理をしているということになっているわけですね。これもいち早く地域がこの統合について賛意を示してやったわけですけれども、依然として旧校舎、そしてまた新校舎のグラウンドについてもめどが立っていない。大東高校については、おかげさまで産振校舎を平成18年度予算で措置をしていただきまして、これは大変ありがたいことだと思っておりますけれども、まだまだ課題は多いと思っております。
 やはり統合に向けて、これらと住民との話し合い、それからの後処理の問題についても入念な話し合いというものが必要かと思いますし、それから、ただいま御答弁いただいた大原商業、今、大原中学校が使っているわけですが、これらの譲渡の問題についても、大原商業が設立されるときに、地元の方々が教育の熱心さから進んでかなり思い切った譲渡をしたという経緯も踏まえながら、十分な協議をしていただきたいと思っております。
 最後になりますが、ただいま一関一高が中高一貫校ということで進んでおります。これは、新整備計画が出されたときにはこのような案はございませんでした。両磐の教育の圏域内ということで見ますと、普通高校の配置、そしてまた、生徒の意向というのは大きく変わろう、大きな変化があろうかと思います。ということで、新整備計画の、特に普通高校の廃止というのは、こうしますと一関一高以外は旧東磐井に偏る、そのようなことにもなろうかと思います。これらの配置計画、そしてまた、圏域内の高校の配置、これらの案について教育委員会は、変更といいますか、新たにその設置の状況などについて住民にも説明をしなければならないと思うんですが、その件について御答弁をお願いしたいと思います。
〇鷹觜高校改革担当課長 新しく設置する一関一高の中高一貫校についてのお尋ねでございますが、県立高等学校新整備計画におきましては、中高一貫教育校は新しいタイプの学校と位置づけ、生徒のさまざまな進路希望に対応し、より選択の幅が広がるよう、その設置を推進することとしております。その中で、県の新しいタイプの学校に関する検討委員会の検討結果を踏まえ、後期計画期間内に具体的な方向を示すこととしており、この計画に沿って一関第一高等学校を併設型中高一貫校にすることとしたものであります。
 また、一関第一高等学校は、中高一貫校となりましても今までと同様に普通高校として設置するもので、普通科高校の配置は変わりません。その設置形態が併設中学校を附属する学校となるものでございます。
 このように、県といたしましては、一関第一高等学校を中高一貫校とすることにつきましては計画に沿う内容であると考え、計画期間の最終年である平成21年4月に併設中学校の開校に向けて準備を進めているところでございます。
 なお、生徒の意向ということでございますが、これらの計画に先立って、平成15年度に県内の小学校6年生と保護者を対象にして進路希望に関するアンケートを実施しております。小学生のほうでは44%程度、保護者のほうでは54%程度、中高一貫校で学んでみたいという回答がございまして、これらの結果をもとにして検討委員会で検討してまいった経緯がございまして、それを受けて導入することにしたものでございます。
〇飯澤匡委員 計画の想定内ということですが、一貫校にすれば状況は変わるのではないですか。例えば胆江地区からとか、そういうものについても、今度新しく状況が変わると思うんです。現に、やはり中学校の受験のときからかなり狭き門になることが予想されて、そこから中学校に入れないとなったとき、そこの時点で今度新たな普通高校の選択というものも考えざるを得ない場合があるかもしれない。これは、私は想定内といえども、状況が変わるというふうに思うんです。そのところを勘案して考えていかないと、きちんとした説明が必要だというふうに思います。その件について御答弁をお願いします。
 それから、もう一点、藤沢高校が来年から廃止ということになります。恐らく千厩高校に行く比率が非常に高くなると思うんですけれども、千厩方面の登校に向けた支援策、それから地元の協議の状況、これらに関して、その辺、今どうなっているのか、あわせて御答弁願います。
〇鷹觜高校改革担当課長 まず、第1点は、一関一高、大変狭き門になって大変ではないかということでございますが、中高一貫校になりますと、今のところ想定されているのは、2ないし3学級分が併設する中学校のほうに入学して高校に進学するという形になります。高校入試を経ないで進学する。それから、残りが結局一般の今やっているような入試でいくということでございますけれども、まだ生徒の応募状況とか入学状況についてはやってみないとわからない部分があるのですが、各県ではほとんど併設型の中高一貫校を実施しておりまして、参考でございますけれども、先進事例では、併設する県立中学校への地元の進学割合というのは併設する高校とほとんど差異はないと。それで、大体のパーセンテージでいきますと、地元から80%から90%程度入学しているという実態がございます。
 したがいまして、本県におきましても、一関高校に入学を希望する生徒が高校と同じ割合で併設する中学校に入学すると予想されておりますので、中学校の段階で一関一高への進学枠を確保できるという意味では、地元からの一関一高への入学が困難になるものではないと考えておるところでございます。
 それから、藤沢高校についてでございますが、昨年度いろいろと協議をしながら、今年度末で閉校するという形を受けるわけでございます。具体的に通学に関しての部分につきましては、昨年度までは特にはいろいろと細かい部分は詰めていないところでございます。
〇飯澤匡委員 ただいま御説明がありましたけれども、一関一高の中高一貫校については、やはり皆さん大変関心を持っております、いい部分と悪い部分と。ただいまの御答弁では余り環境に変化はないものというふうに考えていると思いますが、私は、そうではない、少なからずあろうというふうに思います。いずれ、これから説明会なり、それから両磐の圏域内での普通高校のあり方についても教育委員会はしっかりと何かの場面でも設定をして、説明する場面を設けていただきたい。これは一関一高の中高一貫だけにはとどまらない問題が私はあろうかと思います。
 考え方がまだ答弁とかみ合わない部分がありますので、今後、その推移を見ながら、これからも私のほうも対応してまいりたいと思っております。
 藤沢高校の廃止に伴う問題は、時間をかけて県教委もやっていただいたと思いますが、これから藤沢高校についても、町の高校が1校なくなるわけですから、さまざまな面で、クラブ活動、それから千厩高校への登校問題、これらも含めて、町のほうから支援策が求められたら真摯に耳を傾けて御対応いただきたいと思います。
〇千葉康一郎委員 今の飯澤委員の質問に関連をするわけですけれども、千厩高校の総合グラウンドの整備、これはこれまで、本会議一般質問あるいは予算あるいは決算委員会でも何回も何度もこのことが話題になっているわけですが、これは一向に方向性が見えないということでございます。特にも、今、藤沢高校の話も出ましたけれども、藤沢高校もこの間統合しました。生徒もふえているわけです。体育の授業等については、特に旧高校に約2キロ弱移動して行っている、こういう状況でございます。ですから、この問題は地域でもかなり大きな話題になって、問題になっているんです。早急にこの方向性を出していただきたい。
 県の財政も大変厳しい中ではありますけれども、先ほど、よりよい環境という話も出ましたが、やっぱり学校の環境の整備も重要な問題ですから、これは直ちに方向性を示していただきたいということです。見解をお伺いします。
〇佐野学校施設担当課長 旧千厩高校グラウンドにつきまして、当時の千厩高等学校及び千厩東高等学校の校長等と協議した結果、現在のような使用形態となっております。現在は、授業の体育及び部活動では、陸上競技は今の校舎のグラウンド、その他については旧校舎のグラウンドを利用しております。
 委員御指摘のとおり、グラウンドまでの距離が約2キロ弱あるということで、生徒が自転車あるいは徒歩で移動している状況にございます。幸いにも今のところ大きな事故もなく来ているわけですけれども、今後の課題として、引き続いて検討を続けているところでございます。
 費用面を申し上げますと、学校敷地内の農場をグラウンドとして造成した場合、約5億円余りの費用がかかるということでありまして、現在の県の厳しい財政のもとではなかなかすぐに手をつけられる状況にはないということでございます。引き続き、農業実習のあり方、さらに財政状況等も勘案しながら検討を続けさせていただきたいと考えております。
〇千葉康一郎委員 今お話を聞きますと整備するのに約5億円もかかるというわけですが、この千厩高校の統合というのは、県内第1号の統合であります。地域の方々は、統合することによって子供の教育の向上が図られるということで、かなり期待をして賛同したわけであります。ですが、そのときは教育環境の整備ということでグラウンド等も入っていたということなんですけれども、いまだに行われないということは、地域の方々は大変裏切られたというふうな気持ちを持っているんです。
 PTAとか同窓会とか幹部の方々にはいろいろと御説明をなさっているということはお聞きしました。ですが、やはりその幹部の方々も、直接会って財政事情とかさまざまな話をされますと、やむを得ないかなというふうなことだということを聞いていますけれども、そうではないのではないかという、要するにPTA会員とか、あるいは同窓会員の方々の意見なんです。ですから、この辺は、財政もさることながら子供の教育ですから、やはりきちっと進めていただかなければならないというふうに思っていますので、このことをひとつ教育長、今後の見通し、考え方をお聞きしたいと思います。
〇相澤教育長 グラウンドの件は、私も地元の方々から何回かお話を伺っております。今申し上げたとおり5億円というかなり多額の金額を要するということで、私ども教育委員会の全体の施設整備関係の予算の中でどう考えるべきかということは絶えず検討課題には上がっているのでありますが、ちょっと今のところ、前向きの方向性を出せずにいるというのが実態でございます。いずれまた、しっかりと今の委員の御意見といったものも受けとめつつ、また、地元の方々の御意見もしっかり受けとめつつ、しっかり検討させていただきたいと思います。
〇新居田弘文委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午後0時1分 休憩
午後1時4分 再開
〇嵯峨壱朗副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 一関一高の併設中学校の問題について、先ほど私、不正確な答弁があったと思うので、関連質問をいたします。
 一つは、学級規模ですけれども、先ほど二、三学級と言ったけれども、検討委員会の中で2学級規模ということで確認されているんですよね。これは、既存の中学校に影響を与えるということでそうなっていると思いますが、これが第1点。
 第2点は、選抜方法と学区の問題ですけれども、地元から8割入っているから大丈夫だというような安易な答弁があったんですけれども、そもそもこれは全県1学区でしょう、併設中学校は。そして、選抜方法も調査票、適性検査、面接、作文ということで既に示されておりまして、私たち県議会の商工文教委員会で、青森の県立三本木高校の中高一貫を調べたときには、80名の定員に対して272人受験して、3.4倍だったんですよ。地元の入学者は、十和田市からは50人で62.5%でした。190人が中学校の受験で落ちているのです。私は、もう極めてこれは深刻だと思って受けとめてきましたけれども、これは小学校まで受験競争を拡大させ、多くの子供たちを、もう中学校の受験の段階から落としてしまうという、こういう結果に結びつくものではないか。
 3点目は、私、中高一貫校の設置目的が変わってきているのではないかと思います。県の教育委員会が決めた中高一貫校設置の方針は、こういうものでした。
 次世代のリーダーとして、将来の岩手県に貢献できる人材の育成を目指す。スーパーエリート養成なんですよ。私、このスーパーエリート養成でなくなっているんじゃないかという感じがいたします。2学級規模だというのと、先ほど安易に地元が8割入るんじゃないかと、それではスーパーエリートにならないわけですね。私はこういう点で、今の段階で中高一貫校、議論すればするほど課題と問題点が出てきたという状況だと思いますが、いかがですか。
〇鷹觜高校改革担当課長 学級規模につきましては、当初、県のほうでは3クラスがいいんじゃないかという話がありました。ただ、現在開催している検討委員会の中では、やはり地元に影響を与えない規模でということで、2クラスという話にまとまりつつあります。それで、検討委員会そのものの最終回は今月下旬に予定されておりまして、実際に県教委に対しての答申の案とかそういうものがある程度固まることになっております。したがいまして、県といたしましては、その最終答申案を受けながら最終的に決定していかなければならないということで、先ほど2ないし3という表現を使わせていただいたところでございます。
 それから、選抜と学区ということで、確かに全県1区の募集ということでやっておりますが、新しいタイプの学校に関する検討委員会の答申におきまして、小学校が終わってすぐの中学校という発育発達段階においては、寄宿舎を準備したり親元から離れるということは余りいい影響を与えないのではないかということで、そういう形を尊重しながらやってきているわけでございます。したがいまして、全県1区ということに変わりはございませんが、親元から通学するということになれば、ある程度の範囲にならざるを得ないかなという部分もございます。
 あと先催県の例ということで、おおむね先ほど言ったように8割から9割ぐらいが地元の学区といいますか、いわゆる市町村ではなくて、その学区でございますのでやや広がりがございますが、そういうところでの実態はそうなっているということでお答えしたつもりでございますので、御理解いただきたいと思います。
 それから、中高一貫校の目的が変わってきたのではないかというお話でございますけれども、いずれ、本県の各界における次世代のリーダーの育成ということについては変わりございません。そういうことで、伝統ある一関一高、進学それから部活動等、文武両道に伝統ある一関一高に併設してつくりながら、そういう次の世代を担うリーダーを育てていくということには変わりございませんので、そういうことで御理解いただければと思います。
〇嵯峨壱朗副委員長 斉藤委員に申し上げます。
 当該委員でもありますので、質疑は簡潔にお願いいたします。
〇斉藤信委員 だから、最後だって言っているでしょう。
 今の答弁に対して。
 中高一貫校、検討委員会がやられて一つ一つ議論が積み重ねられているので、2学級規模というのは確認されているから、それは最終報告でどう書かれるかあれだけれども、ここの場で二、三学級なんという答弁したら、私は今までの討論を全然踏まえていないと指摘しておきますよ。
 それと、スーパーエリートを目標にしながら、ほぼ地元から八、九割入るんだというんだったら、全然、余り変わらないじゃないですか、前の一関一高と。あなた方、議論すればするほど、前の一関一高と変わらない学校になってくるのですよ。
 一関一高は、学区はどうなるんですか、高校の場合は。高校も全県1学区にしたら、これは普通高校でなくなりますよ。そこを答えてください。そういう点で、私はもう、議論をすればするほど、当初、県の教育委員会がつくろうとした中高一貫校とはかけ離れてくるのではないか。それであっても導入されれば、受験競争だけは激しくなるということは、これはもう明らかなことであります。これ最後です。
〇鷹觜高校改革担当課長 地元からの入学比率が多ければ全然変わらないじゃないかという1点目の御指摘でございますけれども、中高一貫校におきましては、6年間のスパンで、基礎基本をじっくり時間をかけながらいろいろとやっていくと。それから、高校の段階に入ったら、そのまま中学校から進学する生徒と一般の入試で入ってくる生徒と、その中でお互いに切磋琢磨をしながらやっていくということで、キャリア教育とかいろんなものをじっくり時間をかけて、6年間の中で高校入試のための受験対策というものをやらない形の子供たちを育てながらそれを波及させるということでは、やはり大きく異なってくる部分があると認識しております。
 それから、学区についてでございますけれども、高校の学区につきましては、一関一高としての学区は変わりございませんので、そのままということになりますので、よろしくお願いしたいと思います。
〇工藤大輔委員 それでは、公立学校の施設の耐震改修状況についてまずお伺いしたいと思います。
 これは、建築基準法の関係により、昭和56年以前の建物について耐震強度がどうかということを国で一斉に調査したと思いますが、岩手県の実績、実態はどのようになっているのでしょうか。耐震強度を診断した結果を踏まえて、状況をお知らせいただきたいと思います。また、それでも耐震強度の診断をしていない学校もあるんだと思いますが、その理由等も含めてお伝え願います。
〇佐野学校施設担当課長 県内の学校の耐震化の状況でございます。
 まず、耐震診断の実施状況でございますが、本年4月1日現在で、文部科学省が調査いたしましたところ、まず、市町村立の小・中学校の耐震診断率は85.2%、高等学校が91.1%、特別支援学校が100%、幼稚園は82.6%となっております。そのうち、耐震強度が確認されたもの及び昭和57年以降の建築に係る建物、あわせました耐震化率でございますが、小・中学校が58.5%、高等学校64.4%、特別支援学校94.3%、幼稚園で57.1%となっております。
 耐震診断がまだ済んでいないところにつきましては、小・中学校で158棟となっております。耐震診断を今後も予定しないというものが、小・中学校で158棟のうち127棟、幼稚園で2棟等となっております。
 どういった理由で耐震診断を今後予定がないとお答えをしたかという調査がありまして、それについては、今後、学校の統廃合や校舎の改築等を予定していることから、現段階において耐震診断の実施予定がないという回答をいただいております。
〇工藤大輔委員 今、全体の耐震化率の数値も示していただきましたが、56年以前のものに限定した場合の耐震化率は、数値はいかがでしょうか。
 また、統廃合を予定している以外の理由で耐震診断をしていないところもあるのではないかと思いますが、その理由について掌握しているとすればお示し願います。
〇佐野学校施設担当課長 小・中学校で申し上げますと、昭和56年以前に建てられた建物が1、067棟でございます。そのうち、耐震診断を行って、その結果、耐震性がある、あるいは補強済みであるといった棟の数が282棟ということで、56年以前に限ってみますと、小・中学校で言いますと26.4%となっております。同様に、高等学校で25.1%、特別支援学校では87.2%、幼稚園では34.8%となっております。
 統廃合の予定以外に診断の予定がないとされているところについては、財政状況等によるものと承知しておりますが、そういったところは年々少なくなってきておりまして、今後、計画的に診断が進むものと聞いております。
〇工藤大輔委員 56年以前に限った場合には、相当、耐震化率が低いという現状が示されたと思います。そこで、今後のことも含めて、おおむねどのぐらいをめどに耐震化というのが各学校で進んでいくのでしょうか、お示し願います。
〇佐野学校施設担当課長 昨年、県の県土整備部を中心に耐震改修促進計画というものを策定してございます。その中で、今後10年、平成27年までに、小・中学校については耐震化率、耐震補強済みの建物の割合を75%に高めると。県立学校については27年までに100%とすると、全体で81%の耐震化率を目指すとされております。
〇工藤大輔委員 4月1日に結果が出た中で、これは学校現場でこの結果というものは果たして知っているのかどうか。また、PTA等も把握しているのかどうか。また、結果の中でも、特にもIs値において0.3以下というものは、震度6強の地震が来た場合に倒壊するおそれがあると危惧をされているわけであって、仮にこの現状を学校現場が知らないとなれば、これは少しまた問題が大きいんだと思いますし、また、学校現場のほうから問い合わせもないので知らせないという地域があるとすれば、これも少し問題ではないのかなと。子供の安全等を守るに当たって、どのような体制を学校現場が準備をしているのかというのは大きい課題でありますので、この現状についてお示し願います。
〇佐野学校施設担当課長 それぞれ小・中学校については、設置者である市町村の判断においてどのような状況であるか、住民あるいはPAT等に周知するか公表するかについて、それぞれ判断されているところと承知しております。
 学校現場が知らないということは恐らくないのではないかと。調査に入りますので、結果について学校長なりが関心を持たないということはあり得ないのではないかと思いますが、いたずらに数字を公表することによって不安をあおったり、混乱をもたらしたりということが危惧されるということもございまして、公表についてはそれぞれの設置者において判断されることかと思っております。
 県といたしましては、市町村教育委員会に対して、この4月1日現在の調査結果を踏まえまして文書による通知を行ったり、市町村の教育長会議の場において直接働きかけを行い、耐震化を今後とも進めていくようにお願いしているところでございます。
〇工藤大輔委員 今、それぞれの判断ということに任せているという答弁であったわけですが、これ0.3以下のところなんかは、それぞれの判断に任せていいのかなと思うんです。例えば、この学校施設というものは、災害が発生した場合には避難場所にもなったり、いわば地域においては防災関係に必要な施設に変わるわけですし、また、学校において地震があった際の避難だとか、さまざまそういったものを準備しているはずです。それを学校現場の判断だけで任せてしまって─私が知っている限りでも、PTAにもまだ報告をされていない、また、学校のほうからも特に問い合わせをしていないケースがあると思います。それについてもう少し深く認識をされるべきだと思いますし、対応を早めていかなければ、子供の学びの場所の安全というものは確保されないと思いますが、改めてお伺いしたいと思います。
 続きまして、学力調査の結果についてお伺いしたいと思いますが、こちらの公表の件も聞きたいわけなんですが、この結果は文部科学省のほうからいつごろ通知が来る予定なのでしょうか。また、通知が来た場合には県に来て、そして文部科学省のほうから直接市町村の教育委員会また学校に行くと聞いておるところですが、同時で来るのかどうか。それとも、タイムラグがありながらいわば県教委のほうでも検証をする期間があるのかどうか。今後の流れについて、またスケジュールを把握していればお伺いしたいと思います。
〇佐野学校施設担当課長 委員からの御指摘も踏まえまして、今後、各市町村において適切に進めていくよう指導してまいりたいと思います。
〇小岩首席指導主事兼義務教育担当課長 全国学力テストそれから学習状況調査の今後のスケジュール等ということでございますが、いつ市町村あるいは県のほうにその調査結果が来るかということについては、まだ連絡はいただいておりません。ただ、この後、市町村それから県という形で詳しいデータ等が恐らく同時に提供されるものではないかなと思っております。県といたしましては、その調査の結果を詳細に分析をしながら、今後に役立ててまいりたいと思っております。
〇工藤大輔委員 以前、マスコミ報道等では、9月ごろに来るのではないかと言われていたと思いますが、それがおくれている理由というのは何だったのでしょうか。また、9月というのは、これは事実なのかどうか。これ、マスコミ報道で私ちょっと見たんですけれども。それと、今後公表をどのような形で行うのか、国のほうでの一定の基準も定めたということでもありますが、岩手県としてはどのような形で公表をしていくのかどうか、改めてお伺いします。
〇小岩首席指導主事兼義務教育担当課長 まず、最初のデータといいますか、調査結果の送付といいますか、その提供につきましてですが、初めは文部科学省のほうでも9月中といいますか、10月に入る前にという形で聞いておりました。ただ、その後、現在まだそのような送付がございませんので、その理由についてということですが、これはもう憶測の段階にしかならないわけですが、さまざま国の政府のことがあったようなこともございまして、それでおくれている部分があるのかなと。あるいは膨大なデータでもありますので、そのデータの処理作業ということもあるのではないかと予測しております。
 それから、公表につきましてですけれども、国の公表に関する規定がございまして、一つは、県の教育委員会は、県全体の公表にとどめて、市町村教育委員会や学校名がわかるような公表をしてはいけないと。それから、市町村教育委員会は、地域内の学校名がわかるような公表をしてはいけないと。また、個々の市町村が、管内、自分の地域内の全体の結果をみずからの判断で公表することは可能であると。それから、各学校がみずからの学校の結果を公表することは可能であると。それから、県がみずからの判断で各教育事務所ごとの結果を公表することも可能であると。また、改善方法などをあわせて明示するなど、序列化につながらないように配慮するということも求められております。
 県教委といたしまして、これらの規定あるいは実施主体が市町村教育委員会ということもございますので、そのあたりを考慮しながら慎重に公表については検討しなければならないと思っておりますが、県がいただく県全体の数値等については、公表してまいりたいと思っております。
 現段階で、国から調査がこういうものについてという項目としてはいただいてはおるんですが、こういうものを公表しますということ。ただ、詳細等については全くまだわかっておりません。そういう部分も含め、あとは教育事務所の中には、二つの市、町という教育事務所もございますので、その辺も勘案をしながら、最終的に市町村の実施主体である市町村教育委員会の意向なども伺いながら、最終的に判断をしてまいりたいと思っております。
〇工藤大輔委員 私は今回の全国の調査の意義というものは、これは小学校6年と中学校3年でやっているということからすれば、やはりそれぞれの小学校なら小学校、中学校なら中学校での学習の定着がどのように進んでいるのかどうか、また、地域において学力の差がないのかどうか、また、一方では、先生方の指導において適切な指導が行われてきたのかどうか等、そういったものがいわば測られるものであるんだなと認識をしているところなんですが、そういった中で、これの結果は結果として出てくるわけなんですが、私はこれからの生かし方ということのほうがより重要になってくると思うんです。そういった中において、小学校6年生であれば来年春にはまた中学校に上がる、中学校3年生であればまた進学をする多くの方々、生徒が進学するといったことからすれば、できるだけ早い時期に結果がわかり、できるだけ早い時期にその生かし方を決めながらやっていかなければ、この時期にやった意味がないのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。それを受けて、今の答弁でいくと、項目は大体わかっているけれども、実際どう来るかわからないというのでは、少し現場とすれば認識が甘いというか、これから来てから検証するということであれば、少し私は対応が後手に回ってしまうのかなと思います。例えば、試験をやった後、学校現場の判断等で生徒の回答を控えて早目にチェックをした学校等があるとか、そういった指導をしたという話は聞いたことがないので、実際にあるかどうかはわかりませんが、私は、より早く生徒のつまずきに気づいて解消するような教育方向に持っていくというのが、よりよい改善点であり、よりよい生かし方だと思いますが、それについての御見解をお伺いします。
〇小岩首席指導主事兼義務教育担当課長 ただいまの調査の趣旨あるいは生かし方等についてお話をいただきましたが、私どももこの調査の結果の生かし方につきましては、提供されたデータをもとにして詳細な分析を行いたいと思っております。何よりも子供たちの学習活動、あるいは教師からすれば授業改善に生かしていくことがこの調査の目的でございますので、そのような形でこれからも取り組んでまいりたいと思っております。その意味で、委員御指摘の例えば今の時期の発表、データの提供では遅いのではないかということは、私もそのとおり同じことを感じております。このことにつきましては、文部科学省の担当者の会議等もございますので、そこで可能な限り改善するように要望しているところでもあります。
〇工藤大輔委員 それでは、実際の公表の仕方においてなんですけれども、先ほど公表の基準ということを御答弁いただきましたが、例えば父兄のほうから、もう少し詳細な状況を把握したいというような望みがあった場合に、それにこたえていくのかどうか、また、現場サイドの判断であればこたえていいのかどうか、それについてお答えをいただきたいと思います。
〇小岩首席指導主事兼義務教育担当課長 今、二つの観点の御質問かと思いますが、まず一つは、県に対しまして御父兄から依頼があった場合、これは県といたしましては、その御父兄に対してこれこれこうですと、地域ではこうですという形では、お答えはできないのではないかと思っております。ただ、例えばその御父兄さんが、御自分の学校あるいは地域の中でどうだったんだろうかということは、可能というよりも各市町村の御判断になろうかと思いますが、その中で考えて判断いただくことになると思います。ただ、生徒個々の自分のデータにつきましては、学校を通して、それぞれ生徒に渡るということにはなっております。
〇工藤大輔委員 今後、それぞれどのような要望が出てくるかを見ながら、できるだけ希望に沿った形で公表されるべきだと私は思いますし、そうすることが、より生かされる方向につながっていくとも思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
〇熊谷泉委員 私のほうから、二つにまとめて質問させていただきます。
 まず、本県の児童生徒の体力についてですが、これは全国的に見てどの辺のレベルにあるのか、お伺いをしたいと思います。
 次に、先ほど行われた秋田国体ですが、本県の成績をどのように評価されているのか、お伺いをいたします。
〇川口スポーツ健康課総括課長 初めに、本県における児童生徒の体力は全国的に見てどのレベルにあるのかということでございますが、まずもって、児童生徒の体力・運動能力は、全国的に低下傾向にございますが、本県でも、平成18年度の50メートル走の記録を親の世代と比べてみた場合、ほとんどの学年で親の世代の記録を下回っておりまして、全国と同様に、体力・運動能力は低下傾向にあると認識しております。
 この本県における児童生徒の体力が全国的なレベルはどうなのかということに対しましては、文部科学省が毎年行う体力・運動能力調査は、本県の児童生徒が何番目なのかということがわかるようなまとめ方にはなってございません。したがいまして、本県の記録と全国平均を比べる形で現状をとらえているところでございます。
 本調査は、握力や反復横跳びなど8項目実施されまして、小学校1年生から高校3年生までの男女別に結果が示されるものでございますけれども、平成18年度の調査では、約3割が全国平均を下回っているという結果でありました。特にも、50メートル走は、小学校から高校までのほとんどの学年で、また、立ち幅跳びは、すべての小学校の学年で全国平均を下回っているという結果でございました。また、全国平均を下回っている項目につきましては本県小学生に多くございまして、中学校、高校生と学年が進むに従って、改善の傾向があらわれているというのが本県の現状でございます。
 次に、第62回秋田わか杉国体における本県の成績についてでございますが、冬季大会からの累計で、昨年より14点ふやし827.5点を獲得しましたが、男女総合成績では、前回と同様の34位であり、目標である30位に達することができず、残念な結果と認識しております。女子総合成績は、得点で昨年より64.5点減らしまして、順位は44位でありました。優勝は、カヌー競技成年で、水本圭治選手が2冠を達成するなど3競技4種目、入賞数としては昨年同数の42種目でございました。
 前大会に比べまして、配点の高い団体・チーム競技の入賞数は7増と大幅に増加いたしましたし、ゴルフ競技が初入賞するなど、全体的には底上げができたとは思っておりますが、依然として天皇杯、皇后杯ともに東北最下位という状況にございます。
 課題といたしましては、一つ目としては、安定した競技力を持っているのは数競技にとどまっているという現状、二つ目は、8位以内の入賞目前に敗れた種目、また、9位と入賞を逃した種目が14種目でございまして、もう一息の力が不足していると。
 三つ目は、成年種別の選手層が薄いということでございます。
 また、四つ目は、雪国として冬季大会の成績が十分とは言えないというところ、五つ目としましては、女子種別の成績が伸びないこと。特にも、少年女子が低迷していることなどが課題と認識しているところでございます。これらのことにつきましては、県体育協会等の関係会議におきまして、対策を検討してまいりたいと考えているところでございます。
〇熊谷泉委員 すべて国体の成績が云々と私はとらえておりませんが、やっぱり青少年の体力低下ということは、やがて我が県の将来にもつながってくることであります。そこで、2点またお伺いします。
 今回、少年女子が特別振るわなかった本県における何か事情があるのか。もう一つは、9年後の国体に向けて選手強化が始まると思うんですが、当面、一番最初に手をつけると考えているところはどこか、その2点だけお伺いします。
〇川口スポーツ健康課総括課長 今大会に低迷しました女子競技のことについてでございますが、競技得点は12点ということでございまして、入賞競技数も3競技にとどまっているという現状でございました。本県の総競技得点に占める少年女子の得点割合は、2.8%でございます。女子競技の指導におきましては、根気強く長期間をかけて育成する必要があるということ、また、指導者が選手との信頼関係を構築して、選手の変化に細かく対応していくことが、より一層必要と言われております。
 本県においては、教員の人事異動の基準から、このような環境がつくりづらい体制ということがございました。このことから、平成18年度よりスポーツ特別強化指定校等の制度を新設して、指導者の長期配置を可能とする仕組みを新たに設けたところでございます。
 今後につきましては、女子種別の強化のあり方、効果的な指導方法等を研究する組織を設置して十分な検討を行うとともに、女子競技に特化した指導者研修等の充実を図っていきたいと考えているところでございます。
 次に、国体に向けた強化対策につきましては、年度内に岩手県体育協会を初めとしたスポーツ体育関係団体で組織する、仮称でございますが、岩手県競技力向上対策本部を設置して、競技力向上のための総合的な計画を策定していきたいと考えているところでございますが、何よりも先に手がけなければならないものは、まず一つは、競技団体の組織体制の整備。特にも、強化に関する体制をどう構築するかということが一番初めに取りかからなければならないものだと認識しております。
 それから、先ほど課題のところでも申し上げましたが、成年選手層が薄いという現実がございますので、企業スポーツやクラブチームを活性化するとともに、企業との支援に御理解をいただきながら、成年選手の受け皿づくりということについて協議をしてまいりたいと考えているところでございます。
〇千葉伝委員 熊谷泉委員の質問に関連してお聞きしたいと思います。
 今回のわか杉国体の成績、先ほどのとおり天皇杯44位ということで、東北の最下位ということであります。ことしに限った話じゃないよと、こういうことだろうと思います。私も過去に、国体も含めた岩手県の競技力向上について何度か質問をさせていただいております。そういった中で、今回特に手を挙げたのは、次期国体に向けて新たに対策本部を設けて頑張るという意気込みはそのとおりで、私もそういった意味ではぜひ頑張っていただきたいと思います。
 そこで、一つ二つですが、一つは、選手層が薄いということで、これからどうするこうするの中で、県の教育のほうでもスーパーキッズですか、そういったことをこれから進めていこうということであります。その部分について今どういう状況になっているのか、ひとつお聞きしたいと思います。
 あわせて、今後組織体制をしっかりとしていく必要があると、こういった中で県教委とそれから県体協、これが一体となってやる必要があると、こういうことのお話を伺いました。そういった中で、県体協の会長は知事ということであります。そうですね。前増田知事のときからたしか知事になったと思っております。その間、毎年毎年強化する、ぜひ頑張りたい、30位を目指す、いろんな意味で頑張っていただいていて、結果は結果で、なかなかそう思うとおりいかないということであります。それで、体協の組織として、私はずっとずっと地域地域の体協を、ちょっと手がけております。いろんなところの話も聞く機会があります。知事がさっぱり会議とかなんかに出てこないと。体協の会長としてそれでいいのかと。たまに出てくるとすれば、国体のトップで旗か何かを持ってと、こういう話を聞くわけです。であれば、それは名誉会長ということじゃないのかなと、私はちょっとそういう感じを受ける部分もあります。したがって、大きな会社とかいろんなところであれば、成績が悪い、なかなか思うようにいかないといった場合は、トップがきちっとそこを理解して、どっかの場面で例えば返上するくらいの気持ちで意気込みを示す必要があるんじゃないかなと、こう思うところであります。したがって、その部分は教育長に、今の知事が体協の会長という立場でどこまで本当にやる気があるかどうか、ここの部分をお聞きしたいと思います。
〇相澤教育長 知事も、知事に就任後、その後の体協の総会で会長に就任をするといったことを、相当、その意義といいますか意味合いの大きさといったものをかなり御自分で考えた上で引き受けたと、こう私も直接聞いております。会議等も含めて、しっかりリーダーシップを発揮していただけるものと考えておりますけれども、また、私もその点、諸般のいろいろのことについて体協ともよく打ち合わせをしておきたいと、このように思います。
〇川口スポーツ健康課総括課長 御質問がございましたいわてスーパーキッズ発掘・育成事業につきましてでございますが、これは、夢や活力を与える競技スポーツの振興のために、ナショナルトップアスリートを本県からも輩出したい、あわせて、国体に向かう競技力向上にも力を注ぎたいというようなことから始めたものでございまして、今年度スタートした事業でございます。
 このスーパーキッズにつきましては、選考を3段階で考えて進めてございます。第1段階は、各学校で行われております新体力テスト、ここで、まず最初に学校における新体力テストに対して子供たちが挑戦すると。ここでAランク、Bランクの力を持った者は、本人の意思と親の意思によって次のステージに応募していただくということでございました。8月の末で締め切りましたが、その段階で1、180名の応募がございました。その1、180名を県内8カ所で次のチャレンジツーという、第2回目の選考会を開催しているところでございます。現在、4会場が終了いたしまして、あすからまた県北、県南地区の4会場でチャレンジツーの選考を行うというような段取りでございます。
 最終的には、最終選考チャレンジスリー、11月24日、県営体育館に約200名を選考した中で、さらにそこから80名に絞るというのが最終選考でございまして、11月24日を予定しているところでございます。
〇千葉伝委員 スーパーキッズの状況、最終的に80名まで絞ってエリート指導ということで競技力を向上させるということだろうと思います。そういう思いで千何百人、これは手を挙げた人でしょう、4年生、5年生でしたか。(「5、6年生」と呼ぶ者あり)5、6年生。そういう人たちのこれから本当に選ばれた人が素直にどんどん向上していくかと。そこを目指して指導者の指導も含めてエリート指導をしていこうと、多分こういうことだと思います。ちょっと気になるのは、その線から漏れた人が、そういう人たちもちょっと手を伸べれば、むしろその中から優秀な選手だって出てくるということも私はあると思います。したがって、80人選んだからこの人たちだけを云々というのは、もう少し考え方を、私はそこはそことして進める必要はあろうと思います。プラスして、そっちのほうにも目を向けていただくような、そして選手層を厚くすると、これが私は必要じゃないかなと思いますので、もう一つそこを。
 それから教育長、私が知事に聞けば一番いいんですけれども、知事をここに呼べとは言いません。教育長、いわゆる次の国体に向けてでもいいです。来年以降、ことしから先頭に立って私は頑張ると、こういう意識をお持ちでいる知事だというふうに聞きました。ぜひそういったことを理事会のときにもっともっとしゃべって、私が先頭に立って頑張るからという、こういう意気込みをぜひ県民にわかるように頑張っていただきたいと、これは要望にしますけれども、よろしくお願いします。
〇川口スポーツ健康課総括課長 委員ただいま御指摘いただきましたことにつきましては、大変重要な点だと我々も認識しております。実は、この事業を進めるに当たりましては、プロジェクトチームを編成しまして検討しながら進めてまいりました。そのプロジェクトチームの中にはJOCから、また、国立科学センターからもメンバーに入っていただきまして、全国的な動向、それからどのような仕組みを持って子供たちを見つけ育てていくのかということについて十分と協議してございます。ただいま御指摘いただいたことについては非常に重要な課題であるということで、最も議論をしたところでございます。
 この事業につきましては、基本的にはエリートの養成というスタンスではなくて、子供たちのリーダー養成であるという観点をまず持っていること、それから二つ目は、チャレンジツーの第2次選考の段階から、その選考から漏れた子供に対しても、その体力・運動能力的なアドバイスを必ず行うと。チャレンジスリーの段階においても個別に、あなたの体力は今どうなっていると、ここをこう頑張れば伸びますよというようなアドバイスを必ずつけているということでございます。さらに、対象は小学校5、6年生でございますが、子供たちが成長過程の中で力を発揮していくということは、これからもどんどん起こってくるわけでございます。したがいまして、競技団体にもタレント発掘のプログラムを今作成してもらっているところでございまして、どの世代からも、どこからもまた改めてチャレンジできるような仕組みということで考えて進めているところでございます。
〇千葉伝委員 岩手県、本県ではスーパーキッズという名前、ほかの県、和歌山かどこかですか、ゴールデンキッズというようなことで、金の卵としての子供たちという位置づけだと思います。それはスーパーという意味は、エリートじゃないと、そういうやり方。ぜひそういうことで頑張っていただきたいと思います。
 最後に、実は私、岩手町という地元でホッケーの競技をおかげさまでずっと続けてやっております。そういった中で、施設整備で人工芝の部分も、教委を含めて大変な御努力をいただいて整備されたと、そういった中で、ことし7月に整備を終わらせていただいたということで感謝申し上げるところであり、そしてまた、最初の全国大会が、少年団の全国ホッケー大会がございました。その折、本県あるいはその中で岩手町の久保小学校というところがあるんですが、全校生徒が三十数名のこの小学校です。そういったところが全国優勝を飾らせていただいたと、こういうことであります。私はあの前をしょっちゅう通るんですが、子供たちそれから親、そしてまた指導者を含めて、ほとんど毎日みたいに子供たちが一生懸命頑張っていると、そういった成果だとは思いますが、先ほど言ったスーパーキッズといった中に一つの選手ということとプラスしてそういった団体、地域で頑張っているそういったところを、もっともっと指導者の養成を含めて、そしてそういった指導者を配置すると、こういうことをぜひこれからもいろんな種目に波及させていただきたいなと思っておりますので、そこは要望といたします。
〇高橋博之委員 私のほうからは、2点お尋ねをさせていただきたいと思います。
 まず1点目でありますが、1項4目の教育指導費の中の県政課題貢献人材育成事業について、まずはお尋ねをさせていただきます。
 具体的な事業を見ますと、東大、東北大、医学部等の超難関大学向けの講座、あるいは東北大向けの、難関大学向けの講座ということで取り組みをされているようでありますが、その成果についてお尋ねをいたします。
〇熊谷主任指導主事兼高校教育担当課長 本事業においては、医学部の現役合格数が前年に比べまして13名増の33名、また、東京大学は前年比9名増の16名、東北大学は同じく前年比26名増の136名となるなど、生徒が希望する難関大学への合格者が増加いたしました。生徒のたゆまぬ努力、各学校の日常の進路指導と本事業がうまくマッチして成果を上げたものと思っております。
 また、この事業を通じまして、県内の先生方が講師となり授業を行ったり、参加した生徒も他校の生徒と机を並べることにより、お互いに刺激を受け進学意欲の高揚につながったという報告も受けております。
〇高橋博之委員 実際、具体的に数字もそのように上がっているようですし、成果が出ていると評価をいたしたいと思います。難関大学に入学をする本県の学生が増加をしているという意味で、この本事業の第1ステップはクリアをしているということになるんでしょうけれども、次の第2ステップといいますか、最終的なゴールでありますこの医師や弁護士、あるいは高度先端技術分野の研究者などの県政の課題に貢献をする人材を育成するというのが最終的な目標なわけです。つまり、戻ってこなければいけないわけですね。そこがやや私も不安なわけですが、ここでちょっと考え方を確認したいわけですが、どの時代でも、難関大学出身者で一定割合地元に戻ってくるという考えのもと、難関大学に入学する本県の学生が、母数がふえればそれだけ戻ってくる本県の学生もふえるだろうというような考え方でよろしいんでしょうか。
〇熊谷主任指導主事兼高校教育担当課長 本事業は、生徒一人一人の進路希望の実現を図りながら、同時に、県政課題や県北・沿岸地域の振興に寄与できる人材の育成を目指すものでございます。また、県政課題や県北・沿岸地域の振興に対する貢献の仕方も、地元に戻って直接的に貢献する場合と、国あるいは世界レベルで間接的に貢献する場合もあり、大きな視点で本県における人間づくりに取り組みたいと考えております。しかしながら、現実的には、喫緊の課題である医師や弁護士など、直ちに地域に密着して貢献してもらうことが望ましいものもありますけれども、そもそも、そのような資格を取得できるような大学へ進学している生徒は多くないことから、進学者自体をまずは増加させるという、すそ野の拡大が第一歩と考えておるところでございます。特に、医師につきましては、医師確保に取り組んでいる知事部局と医学部進学者数などの情報を共有するなどの連携を進めてまいりたいと考えております。
〇高橋博之委員 この項目については、最後、教育長にお伺いをしたいわけですが、母数をふやして、まずは入る人をふやしていこうという方向性でいいんだと思うわけですが、一つちょっと思うのが、これまでの教育は、えてして勉強していい学校に行きなさい、つまり、出ていきなさいという、ある意味で追い出し教育の面はなかったのかなと私は感じるわけです。そうではなくて、勉強して地域社会あるいは家族、地域の地場産業に貢献をしなさいという、そういうモードに切りかえていかなければならないんじゃないのかなと思います。学校の教師からあるいは保護者に至るまで、かつての立身出世型の江戸に行って成功する、そういった教育から頭を切りかえて、地域に貢献するということを子供のころからしっかりと教え込むということも、同時にしていかなければならないのではないのかなと思うわけですが、この点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
〇相澤教育長 確かにおっしゃるとおりだと私も感じておりまして、やはり義務教育の段階から学校の中で岩手県の歴史、文化、産業、こういったものをもっとしっかり教えていくべきだろうと思います。ちょうど平泉の世界遺産といったことも一つ大きな契機になるかと思いますが、やはり地域に誇りを持てる教育と、こういったこともぜひ進めてまいりたいと思っております。そういう中で、進学の問題についてはいろいろあるとは思いますけれども、難関大学等もありますが、やはり地元の岩手大学や県立大学なんかもしっかり視野に入れてもらって、そこで勉強して地域の産業あるいはいろんな分野で貢献をしていくと、そういう考え方もぜひ学校教育の中で大きな柱にしていくべきだろうと思っています。
〇高橋博之委員 いずれ、ここは私大きなポイントだろうと思うんですが、今問題になっております地域間格差を中長期的に是正していくと考えたときに、岩手の未来をしょって立つ優秀な人材の流出を防ぐと。一度出ていくのはいいんでしょうけれども、しっかり戻ってきてもらうということを、息が長い作業になると思うんですが、ぜひともそこは腰を据えて取り組んでいただきたいと思います。
 次に、10款5項2目の養護学校費についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 現在、花巻養護学校の高等部で、定員を上回る生徒が入学をしている状況であります。調査に行きましたところ、現場の教員やあるいは親の皆さんから、学級増を求める声が聞かれました。受け入れ態勢が十分ではなかったと思うのですが、どのように総括をしておられますでしょうか。
 また、来年度はさらに入学者が増加をする見込みとのことを聞いておりますが、教室も教員も足りず、満足な教育が受けられないのではないのかといったような不安も広がっております。学級増などの対策が必要ではないでしょうか。また、同じような状況が県内の他の高等部にあったかどうか。あったとすれば、これについての対策についてもお尋ねをいたします。
〇及川主任指導主事兼特別支援教育担当課長 昨年度の特別支援学校高等部の入学選考の状況ということでございますが、特に知的障害の分野で、近年の生徒増に学級の増設がなかなか追いついていかない、それは各学校の物理的な環境等の制約がございまして、学級の増設が、毎年毎年少しずつ学級をふやしていきながら追いついていないというのが現状でございまして、昨年度で言いますと、募集定員の125%を高等部全体で受け入れているという状況にございます。そうした状況を毎年毎年改善を図るということで、現時点で各学校における入学者の教育相談等の状況を見ますと、今年度よりさらに30名程度入学希望がふえるのではないかという状況を把握してございまして、こうしたことを受けまして20年度につきましては、ただいまお話のありました花巻養護、それから同じように生徒増が見込まれる気仙養護のそれぞれに通常学級、定員8名に当たるわけですが、1学級ずつ増設すると。それから、障害の重い、重複障害のある生徒の志願がふえると思われる宮古養護のほうに特別学級、定員3人でございますが、それを1学級増設して対応するということを予定してございます。
〇高橋博之委員 ここ10年の特別支援学校高等部の在籍数の推移をデータで見ますと、平成10年度に416人であったのが、毎年増加の一途をたどり、平成19年度で677人、先ほど定員の125%というお話でありましたが、さらに来年度も30名増加をする見込みということであります。少子化が叫ばれている一方で、この養護学校の高等部の生徒が増加をしている理由はどこにあるのか、また、この増加傾向は今後もトレンドとして続いていくのか、この点について分析をしていればお伺いをしたいと思います。
〇及川主任指導主事兼特別支援教育担当課長 その増加の要因ということにつきましては、これまでの流れで言いますと、特別支援学校、旧来の養護学校の卒業生のほとんどが高等部に進学してくるということになったことのほかに、中学校の特殊学級を卒業した生徒の皆さんも7割から8割の割合で、特別支援学校の高等部のほうに進学をするという状況が続いてきております。それは、どちらかというと、障害の軽いお子さんについても、高等学校あるいは高等部を選択する段階にあって、より個別的なといいますか、きめの細かい教育を求めるという傾向があろうかということもあわせて考えているところでございますし、あるいは、障害の軽いお子さんについても、一般の高等学校についていくのが難しくなっている状況もあろうかなと考えております。
 それから、今後の増加の見通しについてでありますが、これにつきましては、この春に公表いたしました県立の特別支援学校の再編整備計画を検討する際に試算したものがございまして、現状、特別支援学校、養護学校の高等部には、同じ年齢層の子供たち、生徒の1.4%ぐらいが来ているわけですが、このままの状況でふえていきますと、将来的には2%を超してしまう時期が来るのではないかということが予測されるわけでして、今後のことにつきましては、そうしたニーズにすべて特別支援学校という形で対応するのが望ましいのか、あるいは高等学校の中にそうした特別支援教育の体制を整備しながら幅広く受け入れていくのが望ましいのかについて、今年度、着手しております今後の特別支援教育のあり方検討等の中であわせて検討させていただかなければならないのではないかと考えております。
〇高橋博之委員 今後もトレンドとして増加が続いていくということで、今、既存の高校での受け入れ態勢といったお話にも触れられたわけでありますが、今の養護学校ではもう既に定員の125%という状況で、これからさらにふえていくということであれば、やはり既存の県立高校での受け入れについて検討していく必要があるのだろうと思います。今現在、特別支援学校の高等部に通われているお子さんの中でも、随分力があるというか、例えば県立の工業高校で学べばしっかりと就労に結びつくような、手に職をつけられるようなお子さんもいるようであります。そういった面から、ぜひとも考えていっていただきたいと思います。
 次に、新しい地域計画の素案の中で、県は県立学校の支援員などの配置、一方で、市町村が小・中学校における支援員の配置と役割分担をしていくというような記述があります。県はこれまで、小・中学校の通常学級に在籍する障害のある児童生徒に非常勤職員を配置する、いわゆるかがやきプランを実施してきましたが、今後は、その軸足を小・中学校から高等部のほうへ移していくというふうに理解してよろしいんでしょうか。
〇及川主任指導主事兼特別支援教育担当課長 障害等によって特別な支援を必要とする子供たちというのは小・中学校だけではなくて、小・中学校で支援を受けていれば、それが当然高等学校に進学していく子供も多いだろうということで、現在、試算している数では、昨年度の調査を受けて、さまざまな支援を必要とする生徒が毎年500人を超えて高等学校に進学する可能性があると把握しているわけでございます。そうなれば、当然、小学校、中学校だけではなくて、高等学校のほうにもさまざまな、時には個別の支援あるいは配慮を必要とする生徒がふえていくだろうということが予想されるということで、現在、県で実施しておりますかがやきプラン推進事業についても、今のところは小学校、中学校に限定しておりますけれども、こちらのほうが市町村に国から地方財政措置されて支援員の計画的な配置が可能になる土壌が整っておりますので、そちらの進捗状況を見ながら、県としては、県立学校、すなわち高等学校のほうにもそうした支援員の配置が必要であれば配置を検討していく必要があると考えているものでございます。
〇高橋博之委員 県も厳しい財政状況でありますので将来的に市町村と役割を分かち合っていくことになるんでしょうけれども、ただ、今現在の市町村の状況を見ておりますと、やはりまだまだ理念も浸透しておりませんし、あるいは、先ほどの支援員の配置の状況につきましても、なかなかおぼつかない現状だろうと思います。ですから、かがやきプランについても来年度以降引き続き継続していただきたいと思いますし、それと同時に、市町村での支援員の配置がしっかりとなされるように、指導といいますか、促すような取り組みも並行で行っていただきたいと思うわけですが、そのことについていかがでしょうか。
〇及川主任指導主事兼特別支援教育担当課長 先ほどから話題になっております小・中学校における特別支援教育支援員ですが、今年度初めて国から地方財政措置がされたということで、ことし5月の段階では、県が把握しているところでは18の市町村で125の学校に132名にとどまっておりました。その後も、県といたしましても各市町村に対しまして一層の配置の拡充をお願いしているところでございまして、年度途中の配置、新たな配置あるいは増員を含めますと、今年度中には何とか25の市町村で合計160名程度の配置になるのではないかと把握しております。
 ただ、その数字につきましては、教育現場のニーズから見ますとまだ不足しているという言い方もできるわけですので、今後も配置を拡大していただきますように各市町村に働きかけをしてまいりたいと思います。その際には、各学校現場の状況がどうなっているかというあたりを具体的におわかりいただくような形を含めて働きかけをしていく必要があると考えてございます。
〇高橋博之委員 最後に教育長にお伺いしたいと思います。
 昨年、国連で全会一致で採択されました障害者の権利条約に政府が署名をすることが閣議決定され、先日、高村外相がニューヨークで署名をしたという報道がありました。これによって、我が国が早期批准をするために国内法の整備が必要になってくるということでありますが、随分と教育のほうにも影響があると思うわけですが、そのあたりのことについてどういった影響があると考えておられますでしょうか。
〇相澤教育長 障害者の権利条約について政府が署名をしたということでありますので、我が国全体で、いわばインクルーシブ教育に向けてまた一つ大きなステップになっていくのではないかと考えております。そういう中で、外務省や法務省など9省庁で構成されるこの条約にかかわる対応推進チームが発足していると伺っておりまして、このチームを中心にして関係法令の改正について検討していくであろうというふうになっているようでございます。この辺、しっかり私どもとしても注視しながら、何か必要なことがあればしっかり意見も申し述べてまいりたい、このように考えております。
〇高橋博之委員 国のほうでも、今、早期の批准に向けていろいろ準備をしているようでありますが、少し心配なのが、その権利条約を訳するときに、日本語訳ですね、その訳が少し後退するような形で、都合のいい形で訳されているところも散見されているようであります。岩手県におきましては、本来の条約の趣旨に沿った形でこのインクルーシブ教育が着実に実現していけるように、引き続き取り組んでいただけるようお願いいたしまして終わりといたします。
〇三浦陽子委員 私からは、大きく4点お聞きしたいと思います。
 まず、1点目は、一般質問にも取り上げさせていただき、そして、教育長から大変詳しく御説明をいただきました、そして今、高橋博之委員からもありました特別支援教育につきまして、私なりにもうちょっとお聞きしたいところがありますので、よろしくお願いいたします。
 この特別支援教育の推進に当たりまして、先ほど特別支援教育かがやきプランにつきましては御説明がありましたので、そちらはよろしいんですけれども、その特別支援教育校内委員会機能充実事業につきまして、ADHDの児童の対応改善件数というところで、目標値60人が実績値として22人となっております。評価につきましては、とてもよくなっているという評価があるようですけれども、今、軽度発達障害のお子さんたちがふえているのか、その人数とか対応につきましてお伺いしたいと思います。
〇及川主任指導主事兼特別支援教育担当課長 発達障害の児童生徒への対応ということでございますが、昨年度、県では、小学校、中学校145の学校を対象に調査をいたしまして、今の発達障害という診断に限らず、学習面あるいは行動面で学校生活上特別な支援を必要としている児童生徒がどのぐらいいるか、特に通常の学級にどのぐらいいるかという調査を行いました。その結果、約4.5%がそうした子供たちに当たるということでございました。平成14年度に文部科学省が調査したときには、全国調査では6.3%という数字が出ておりますので、それよりは若干低い数字になっているわけですが、これを昨年度の全体の児童生徒に単純に掛けて計算をしますと、県内全体で約5、000名程度がそうした特別な支援を必要としているということでございまして、この中に、今、お話をいただきました学習障害─LDと呼ばれる子供たち、それからADHDと言われる注意欠陥多動性障害といった障害を抱える児童生徒も数多く含まれるというふうに認識しているところでございます。
 先ほどの事業名もございましたが、こうした状況を受けまして、例えば校内の支援体制をきちんとつくり直すということで、今までどちらかといいますと担任任せにされがちであったこうした子供たちへの支援を学校全体で取り組んでいただきたいということで、小・中学校では、昨年度までにほぼすべての学校で特別支援教育のための校内委員会の設置、それから、さまざまな相談の窓口の役割を担っていただきます特別支援教育コーディネーターの指名が完了してございます。
 それから、昨年度からは、学習障害等について、これまでは制度上できなかったんですけれども、通級指導教室ということで、通常の学級に在籍しながら必要な時間だけそうした教室に通って支援を受けることが可能になりましたので、県内で四つの学校に4教室を設置いたしまして、そうした子供たちの支援を行う。それから、従来からあった言葉の指導などを行う通級指導教室にも可能な限りそうした発達障害のお子さんも受け入れて、教室を柔軟に運用しながら必要な子供への支援をふやしていくという取り組みを行っております。
 それから、学校を乗り越えて地域のほうでは、専門性のある教師等を活用しまして、特別支援学校の教員もそれには含まれますけれども、そうした指導に困難を抱えている学校等を巡回して回る巡回指導チームを設置するという取り組みを行いながら対応に努めているところでございます。
〇三浦陽子委員 全国と比べて少ないとはいいながらも、結局学校になかなかなじめなかったり、そういう障害のあるお子さんたちが5、000名もいるということですので、今後、やはりきちっとした対応はお願いしたいと思います。
 それから、盛岡高等養護学校のホームページを見ましたら、多分校長先生の考えだと思いますけれども、特別支援教育が法律によって規定された今、ある意味、本校は難しい立場に立たされていることとなりましたと教育ビジョンの趣旨の説明のところに最初ありまして、今言ったインクルーシブな教育の推進には積極的に取り組んでいかなければいけないと。しかし、現実は高等学校において障害のある生徒が満足して学ぶ環境は十分に整っているとは言えず、毎年本校には募集定員をはるかに超える入学希望者が殺到します。私も、これは非常に難しい問題なんだろうけれども、本当に切実なお言葉だと思いますが、でき得るならば、家から近い学校でみんなと一緒に学びたいと思った生徒もいたはずと。地域の学校環境の不備とか、そういうものがやはりあるのではないかというような懸念も示しているような言葉もありました。
 私は、現場の先生方、校長先生初め本当に一生懸命取り組んでいらっしゃると思うんですけれども、やはりこういう学校の現状というのはなかなか私たちは知ることができない、これをもっともっと県民全体で考えていかなければいけない。先ほどのインクルーシブ教育というところにつながっていくとは思いますけれども、そういう環境を整えるということにつきまして、高等養護学校のみならず、先ほどおっしゃったように、今後のあり方というのをもう一回確認させていただきたいと思っております。
〇及川主任指導主事兼特別支援教育担当課長 まず最初に、盛岡高等養護学校の今後のあり方ということについて申し上げますと、高等養護学校、今お話にありましたように、県内では、高等部を対象とした養護学校としてはただ1校ということ、それから、普通科のほかに農芸、工芸、家政という職業教育に関する学科を持っていることもございまして、これは平成10年4月に開校した学校ですけれども、毎年たくさんの入学希望者が訪れておりまして、今申し上げました職業教育の学科につきましては、残念ながら毎年数十名の生徒が職業学科のほうに合格できなくて、もう一度その後に行われる高等養護の普通科あるいは各地域にある特別支援養護学校の普通科に志願をし直して、それで定員を超えながらほぼ100%の受け入れという状況になっているわけでございます。高等養護学校につきましては、この4月に公表いたしました再編整備計画の中では、平成21年4月に同じ地区のみたけ養護学校に高等部の普通科を設置し、盛岡高等養護学校の今ある普通科を廃止して職業教育の学科を増設することで、なかなかニーズにこたえられずにおりました部分により広く対応していく、そうした学校に転換していくということを検討しているところでございます。
 それから、この学校も含めて、全体の高等部あるいは特別支援学校全体のあり方ということにつきましては、この6月に、インクルーシブ教育ということで、高等部だけではなく、障害のある子供たちができるだけ地域の学校で、それもできるだけ障害のない子供たちとともに学び、育ち合う教育の方向に向かって進むということが方針として確認されましたので、そうした流れの中で、高等部あるいは高等学校の教育、小・中学校も含めてですけれども、障害のある子供の教育のあり方全般について、きちんともう一度根本的なあり方から見直さなければいけないということで、この間の本会議の答弁にもありましたけれども、今、そうした検討委員会を立ち上げながら、検討作業に着手しているところでございます。
〇三浦陽子委員 実は私、自分の子供がお世話になった学校での経験で、あのときは特殊学級という表現だったと思いますけれども、そこに通っているお子さんが地域にいたんですけれども、非常にいじめの対象になっていたのが現実的にあったんです。暴力を受けたりして、本当にかわいそうな思いをさせたなというふうにも思っているんですけれども、受け入れる子供たちの教育というのは本当にすごく大事だなということを当時しみじみ感じましたし、どうも先生方の理解もなかなか得られないような場面もありましたので、ぜひとも教育委員会としましては、この教育全般に力を入れていただきたいと、これは要望で終わらせていただきます。
 特別支援学校と県教委の連携というか、管轄ですからそうなんでしょうけれども、そのほかのいろいろな機関との連携というのがとても大事になると思いますが、その辺について御説明いただけますでしょうか。
〇及川主任指導主事兼特別支援教育担当課長 御指摘がありましたように、障害があり、さまざまな困難を抱えている幼児、児童生徒ですので、その教育あるいは社会における生活すべての面で、さまざまな関係機関が連携し合うことは大切なことと思っております。今回の特別支援教育への転換の中でも、特に生涯にわたって社会が一体となった支援を行う、そうしたことの一環に位置づくような教育に変わっていかなければいけないという方向性が示されたところでございます。
 こうした観点から、現在、各学校では、各学校だけではなく、保護者の方や、あるいは関係する機関と連携するためのツールといいますか、そのための道具ということで、児童生徒全員について個別の教育支援計画を策定するということを進めておりました。また、先ほどの話題にもありましたが、各学校には、保護者や関係機関との連携の窓口ということで特別支援教育のコーディネーターを指名することを進めております。
 具体的な連携の事例としましては、例えば卒業後は本当に学校から離れていくわけですので、学校にいる段階から、労働局あるいは障害者職業センター等の労働関係機関、あるいは障害者就業生活支援センターですとか地域生活支援センターなどの福祉関係機関、あるいはそのほかにも各種の支援サービスを提供していただくNPO法人などと連携を図りながら、地域に戻っての就労、あるいは地域での生活を支援することを在学の段階から計画づけていく、そうしたことにも取り組みを始めているところでございます。
〇三浦陽子委員 やはり障害を持っている子供さんの親とか家族、本当に大変な思いで生活していらっしゃると私は思っておりまして、私の身近にもそういう方々が何人かいらっしゃって、やはりこれは、親をしっかりサポートするシステムというのがとても大事だと思っております。子供たち一人一人に対する手厚いそういう教育はもちろんのこと、やはり家族をしっかりと支えるような仕組みも学校にいるときからつくっていかなければいけないのではないかと思いますけれども、その辺につきまして教育長、何か御見解ありますでしょうか。
〇相澤教育長 社会全体が共生型の社会に変わっていくということでありますけれども、そういう理念をぜひ実現していかなければいけない、そういう意味で、子供たちも早い段階からともに学び合う環境をつくっていく、あるいはそういうものをしっかり理解をしていくように教育界の意識改革も進めていく、また、家庭、地域も含めて、障害のある子供、ない子供も含めて社会全体の理解を進めていくということ、しかし、いろいろ難しい問題が具体的にありますので、しっかり地に足をつけながら進めていく、そういうことでやってまいりたいと思っています。
〇三浦陽子委員 続きまして、先ほどから出ていましたけれども、子供たちの健康づくりにつきまして、運動大好き岩手っ子育成事業というものが行われてきて、これはことしで終わりなのかどうか。それから、スーパーキッズの問題にうまくつながっていくのか、そこら辺、成果と展望をお示しいただきたいと思います。
〇川口スポーツ健康課総括課長 運動大好き岩手っ子育成事業の成果と今後の展望についてという御質問でございますが、運動大好き岩手っ子育成事業は、平成14年度から今年度までの6カ年ということで、運動・スポーツ好きの子供の育成及び児童生徒の体力向上をねらいとして事業を進めてまいりました。
 昨年度までの事業の成果として、実践指定校において、50メートル走のタイムが中学校2年生女子で0.24秒向上、小学校5年生女子は0.2秒向上というふうに、体力、運動能力が向上し、また、実践報告からは、運動・スポーツ好きの子供がふえてきたことが確認できます。
 また、文部科学省が毎年行っております体力・運動能力調査のここ数年の結果の推移を見ますと、全国平均を下回っている項目は、小学校、中学校では年度を追うごとに減少している、改善されてきているということでございまして、特に小学校では、平成15年に全国平均を下回っている項目が68.8%もあったわけでございますが、それが平成16年度は49%に、17年度は43.8%に、昨年の18年度には34.4%に減少しておりまして、運動大好き岩手っ子育成事業の成果があらわれていると考えているところでございます。
 今年度は、各学校が取り組んでおりますまなびフェストの健康、体力にかかわる目標の達成に向けて、各学校の現状、課題に応じた講習会等を開催するなど、指導力の向上や取り組みの支援を図っているところでございます。
 今後についてでございますが、運動大好き岩手っ子育成事業の成果と課題を踏まえまして、個々の学校の課題に応じた取り組みが推進できるように各学校に体力向上担当者を配置し、学校全体として計画的な取り組みを推進する体制を整備したいと考えております。また、家庭や地域との連携を図りながら、食の推進、また、肥満防止等の対策を含めて総合的な体力向上の取り組みを進めていきたいと考えております。
〇三浦陽子委員 今出ました肥満のことなんですけれども、やはり子供の肥満というのは、将来にわたって大人の肥満、メタボリックシンドロームとか慢性疾患にもつながっていくもので、本当にこの肥満を解消しなければ子供たちの未来も非常に心配な部分というのもあるので、岩手の子供に肥満が多い原因と、また、学校教育の中でそれをどのように指導して対応しているのかお伺いしたいと思います。
〇川口スポーツ健康課総括課長 岩手の子供の肥満、それから学校の対応ということでございますが、まず、現状でございます。文部科学省で実施しております平成18年度学校保健統計調査によりますと、本県児童生徒の肥満傾向の割合は、小学校から高等学校まですべての学年において全国平均を上回っているということでございます。今年度、各学校で実施しました健康診断の結果によりますと、肥満傾向と判断される肥満度20%以上の児童生徒は、小学校平均で12.76%、中学校平均で13.32%となっておりまして、特にも小学校6年生は15.45%の児童が肥満傾向であります。昨年度の全国平均が10.81%でございますので、それを大きく上回る結果となっております。
 学校においては、家庭科、保健体育、社会科、総合的な学習の時間などを使いまして、栄養教諭や学校栄養職員が学級担任等と連携しながら食と生活習慣病予防について学習を深めておりますし、健康な体力づくりを目指した保健指導、保健だより等によりまして啓発活動を行っているところでございます。
 原因というところの部分につきましては、いろいろな要因が複合的に絡み合っていると思っているわけですが、不規則な食生活、食事内容、夜更かしなどによる朝食の欠食とか、あるいはスナック菓子、清涼飲料水などのとり過ぎ、体を使った遊びの減少、こういったものが要因というふうにも考えております。
 また、肥満傾向の児童に対しましては、個別の保健指導、それから学校医の指導を受け、専門医の受診を勧めるというようなことも進めているところでございます。
 教育委員会といたしましては、子供の肥満につきましては重点課題と位置づけておりまして、その対策について検討するため、ワーキンググループを設置して現在進めているところでございます。肥満対策は、体力向上対策とあわせ、学校教育のみならず、同時に家庭、地域が連携して取り組みを進めることが必要でありまして、医師会等関係機関との連携をさらに進めながら推進してまいりたいと考えておるところでございます。
〇三浦陽子委員 きょうもいろいろと質問の中にいじめとか不登校の問題が出ておりましたけれども、やはりその原因の一つに、例えば肥満でいじめられるとか、先生からも、先生は指導しているつもりなんだけれども、とても心を痛めてしまって学校に行けなくなるとか、不登校とかいじめの一つの原因にもなっていると思います。ですから、そこは本当に大きくとらえて教育の中でも頑張っていただきたいと思いますし、また、今、子供の中でもうつという病気が出ているというふうに報道もされておりますけれども、その辺の教育委員会の御見解をお示しください。
〇川口スポーツ健康課総括課長 子供の心の病に対する対応が学校でどうなされているかということで回答させていただきたいと思いますが、子供の心の病が多様化しているということから、校内において適切に対応できる組織体制が最も重要でありまして、各校においては、校長先生あるいは教務主任の先生、養護教諭の先生、教育相談担当、学年長などが構成員となります教育相談委員会が組織され、その委員会において子供の実態把握や対応を行っているところでございます。
 また、心の病については、学校のみで解決するのは困難であるため、保護者、学校医、それから医療・専門機関との連携を図りながら、指導助言をいただき、対応しているところでございます。
 日常におきましては、児童生徒の心身の健康状態を把握するため、担任や養護教諭が健康観察、あるいは欠席、遅刻、あるいは保健室利用状況等の情報の集約を行っているほか、定期健康診断実施前の保健調査などを行いまして、児童生徒の心の病の把握に努めているところでございます。
 心身の不調を訴え保健室に来室する児童生徒については、養護教諭が健康相談活動や保健指導等によりまして、早期発見・解決に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、児童生徒の心の病に関する理解を深めるため、研修会等の充実を図るなどしまして、教職員の資質の向上に努めていきたいと考えておるところでございます。
〇田村学校教育室特命参事 学校不適応対策の面から申し上げさせていただきたいと思います。
 平成18年度の高等学校の退学に関する状況調査によりますと、高校の中途退学者の44.9%に当たります249人の退学理由は、人間関係が保てないとか学校になじめない、あるいは雰囲気が合わないという、いわゆる学校生活・学業不適応となっております。また、平成18年度の問題行動調査におきます小学校と中学校の不登校の児童生徒の不登校が継続している理由、これは複数回答の中から出てきたものでありますけれども、最も多く示されましたのは、不安などの情緒的な困難、こういったものが小学校で67.1%、中学校におきましては65.6%を占めるという調査結果が出ております。これら学校不適応のすべてがいわゆる心の病ではないと考えておりますが、昨今の報道等によるものを見ますと、心の中に病的なものを抱えて悩んでいる生徒は決して少なくないのではないか、このように考えております。
 それから、いじめと心の病との関係でございますけれども、この点につきましてはまだ未解明な部分も非常に多い、そのように聞いております。そういった意味でも、さきに北海道で行われました調査は大変重要なものである、このように考えております。
 それから、学校不適応対策といたしましては、総合教育センターに精神科の医師を嘱託医として配置しまして、嘱託として御協力をいただきまして教育相談事業全般にわたっていろいろ御指導をいただく、あるいはまた、学校の中におきましては、日ごろから児童生徒の日常の様子に目を配りながら、その都度声をかけ合うなど、きめ細かな指導に努めているところでございます。さらに、臨床心理士などの心の専門家と言われるスクールカウンセラーの配置に努めさせていただいておりまして、こういった取り組み全般を通じまして、児童生徒の中に症状が疑われるような場合、学校と十分協議をさせていただきながら、児童生徒の状況を注意深く観察をいたしまして指導助言を行うとともに、必要に応じまして保護者に医療機関等の受診を勧めるなど、対応しているところであります。
〇三浦陽子委員 いずれ本当に命にかかわる部分だと思います。特に自殺率が高い岩手県ですけれども、高齢者、働き盛り、どの年代でも自殺はもちろんとどまってほしいと思いますが、特にも若い人たち、子供たちには絶対こういうことがあってはいけないと思いますので、ぜひとも力を入れていただきたいと思います。
 3番目には、生涯学習についてですが、岩手県は参加割合が非常に減少しているというデータが出ておりますが、それにつきましての見解をお示しください。
〇齋藤生涯学習文化課総括課長 生涯学習活動参加者の割合を示す総務省の社会生活基本調査によりますと、委員御指摘のとおり、平成13年度は全国46位と、下から2番目という結果でございます。なお、平成18年度の結果が先般出たところでございまして、42位と若干順位を上げてございますものの、低迷している状況でございます。
 一方、文部科学省で行っております社会教育調査報告書によりますと、平成17年度の各種学級講座への参加者割合について、本県は全国5位というデータも一方でございます。
 いずれにいたしましても、生涯学習につきましては、改正教育基本法におきましてもその理念が新たに規定されたところでございます。本県では、生涯学習振興計画に基づきまして、各種の生涯学習に関する施策を展開しているところでございますけれども、県の調査、これは平成17年度県民生活基本調査でございますが、この調査によりますと、生涯学習活動に特に参加せず、参加をしたいと思わないという理由について、生涯学習づくりに関する情報が不十分だからというものが近年上昇傾向にある、そういうデータもございます。したがいまして、県教育委員会といたしまして、例えば生涯学習に関する県の情報提供ホームページにおきまして、学習者のニーズに即した講座のほか、活動団体、指導者、教材等に関するさまざまな情報提供を行っております。それから、生涯学習に関する学習メニューブックいわて学びランドというものがございますが、この登録講座数あるいは参加者数も年々ふえているところでございまして、昨年度─平成18年度は、約1、600件の講座に対しまして、延べでございますけれども、約193万人の参加者を得たところでございます。
 こういったことを通じまして、これまで以上に市町村あるいは関係機関・団体等との連携を深めまして、県民への情報提供の充実を図ることによりまして本県の生涯学習の振興に努めてまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗副委員長 三浦委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力を、また、当局も答弁は簡潔にお願いしたいと思います。
〇三浦陽子委員 それでは、少し省略しながらやりますが、県立図書館、美術館、博物館、本当にそれぞれすばらしい施設となっていると思いますが、それの利用状況をお知らせ願いたいと思います。
 それから、民俗文化の継承に非常に今、岩手県でも力を入れてきていると思いますけれども、その辺の取り組み状況についてお示しください。
〇齋藤生涯学習文化課総括課長 まず、県立図書館の平成18年度の入館者数でございますけれども、53万3、769人、1日平均利用者が1、712名となっておりまして、古い図書館の約2倍という数字になってございます。
 それから、県立博物館の利用者数、平成18年度3万8、240人、これは平成17年度と比べますと1万5、726人の減ではございますけれども、平成17年度は義経展という特別展を実施したことによりまして特に利用者が多かったことによりまして、昨年度─平成18年度の利用者数は減っているという状況でございます。
 それから、県立美術館の利用者数でございますけれども、7万3、143人、前年対比2、058人の増ということになってございます。
〇中村文化財・世界遺産担当課長 民俗文化の継承ということで、学校現場におきます伝統芸能の継承の取り組みについてお話し申し上げます。
 小・中学校におきます伝統芸能等の取り組みの状況でございますけれども、平成18年度におきましては、小学校で79%、中学校で61%、全体で73.5%の学校で何らかの形で伝統芸能を取り入れている状況でございます。平成16年度が61.4%でございましたので、着実に取り組みの成果が上がってきているのではないかと認識しているところでございます。
 しかしながら、学校によりましては、校長先生がかわられたり担当の先生がかわられたりした折に継続されないような状況も見られるというように聞いておりますので、県といたしましては、郷土への理解を深め、誇りを持つ上で、地域の人々によって長い間伝承されてまいりました伝統芸能を学ぶことは非常に有意義であるという考え方に従いまして、さまざまな場面を通しまして学校にその重要性を周知してまいりたいと考えております。
〇三浦陽子委員 子供たちにとってのそういう環境づくりというのはとても大事だと思いますので、ぜひ力を入れていただきたいと思います。
 最後、一般質問でも再三取り上げさせていただいたこまくさ幼稚園の現況と今後についてお示しいただきます。
〇藤原学校企画担当課長 現在、こまくさ幼稚園に在籍している子供たちは、3歳児の募集が停止になったことを受けまして、4歳、5歳で75名でございます。その3歳児がいないことを埋めるために、自主的に卒園のお母さんのボランティアの協力を得たり、あるいは近隣の城北小学校やみたけ保育園との交流など、工夫をしながら全職員挙げて取り組んでいるところでございます。
 今後の経過につきまして、今年度の経過も含めてでございますが、8月上旬には、こまくさ幼稚園のPTAの関係者が来庁されまして、今後のことについて、特にも教育環境についての要望がございました。子供たちのことを第一に考えて、共通認識のもとで取り組んでまいりたいということで確認したところでございます。
 また、閉園後の園舎及び園地の活用については、保護者、地域、幼稚園、保育所の各代表をメンバーにしました県立こまくさ幼稚園園舎等利活用検討協議会を8月末に開催いたしまして、そこで話し合いが持たれました。さまざまな意見がございましたけれども、やはり幼稚園や保育所等の就学前教育の場として活用していただきたいという意見が多くございました。
 今後のことでございますが、第2回目の検討委員会を11月上旬に予定しておりまして、各代表委員からの意見をよく聞いて、利活用について方向を検討してまいりたい、このように考えております。
〇小野寺有一委員 歳入歳出事項別明細書、1項4目の教育指導費、特別支援教育推進事業についてお尋ねしたいと思います。
 くしくも今、高橋博之委員、それから三浦陽子委員と2人続けて特別支援教育のあり方についての御質問がありました。本当に特別支援教育については、岩手県に限らず、大変そういうニーズや関心が高まってきているあらわれではないかと思っているわけでございますが、今までのお二方の発言の中に大分私の発言も含まれているところもありますので、私のほうは、少し実態というか、現場に即したことについてお尋ねしたいと思います。
 まず、小・中学校、特に小学校に特別支援学級が開設されております。その中には、大きく分けて知的おくれのための特別支援学級と、あとは情緒障害に対応するための特別支援学級があるわけでございますけれども、例えば特別支援学級が設置されていたとしても、知的障害のクラスが設置されているけれども、対象となる児童が情緒障害を持つために自分の居住する学区の小・中学校に行けない、他学区の学校への通学を余儀なくされている例があると聞いておりますけれども、そういった方々がどういった実態になっているのかを把握されているのか、把握されているとすれば、その実態をお示しいただきたいと思います。
〇及川主任指導主事兼特別支援教育担当課長 小学校、中学校の中の特別支援学級に関するお尋ねでございます。
 現在、小・中学校には、今お話のありましたように、知的障害、情緒障害のほかに、難聴ですとか肢体不自由、病弱など7種の障害に対応して合計385学級が設置されておりまして、児童生徒でいいますと1、074人の子供たちがそうした学級で学んでいる状況にございます。
 お尋ねのありました他学区の学校に通学せざるを得ない状況になっている児童生徒について、大変申しわけありません、具体的にその人数について正確な把握はしてございませんけれども、本県の場合、小規模校が多いことなどの要因から、特別支援学級が設置されている学校は小・中学校全体621校のうち277校という現状でございますので、相当数の障害がある子供たちは学区を離れて近隣の特別支援学校の設置校あるいは対応する学級のほうに通学しているというふうにとらえているものでございます。
〇小野寺有一委員 恐らくそういった他学区への通学を余儀なくされている方は相当数いらっしゃると思います。先ほど三浦陽子委員の質問の中にもありましたが、児童はもちろん、それを支える家族にとっても大変やはり大きな負担になることだろうと思いますので、ぜひそういった実態の把握については努めていただきたいと思います。
 質問を続けさせていただきます。
 障害を抱える児童あるいは生徒、就学前ですと児童生徒になる、そういったお子さんが、入学を希望する学校に先ほど申し上げましたように自分に適した特別支援学級がない、そういった場合、これはもしかしたら市町村の教育委員会ごとの判断になるのかもしれないですけれども、保護者がその設置を求めることが今、可能な仕組みになっているのかどうか。そして、既に、例えば他学区の学校に通学あるいは就学している児童生徒さんが、自分の居住地がある学区内の学校に対してそういった特別支援学級の設置を求めて、そして後からそちらのほうに転校する、そういったことが手続的に可能なのかどうか、その辺のところをお示しいただきたいと思います。
〇及川主任指導主事兼特別支援教育担当課長 公立小・中学校の特別支援学級の設置の手続でございますが、各市町村教育委員会において、就学指導委員会が特別支援学級に入級することが適切であると判定する児童生徒がおった場合に、実際にその子をどこの学校に就学させるか、手続上、学校指定するというふうに申しますが、どこに学校指定するかということを検討した上で、その指定先の学校に新たに特別支援学級の設置が必要であると考えた場合は、県の教育委員会に対して、その学級の設置に必要な教員等もありますので、学級の設置を申請する、そうした手続が踏まれております。保護者の方が学級の設置を御要望されるということであれば、就学指導委員会がお子さんの就学先等についてさまざまな検査をいたしましたり、それからどういった教育内容が必要かといったことで保護者の意向を確認する場面がありますので、そうした機会を利用しまして、市町村の教育委員会に対してぜひ地元の学校の中に学級が欲しいのだということを求めることは可能となってございます。
 それから、そういう形で今までよりも身近な地元の学校に学級が設置されたということであれば、既に他学区に就学している児童生徒は、当然、所定の手続を行って地元の学校にお戻りになるのが最も望ましいスタイルではないかと考えております。
〇小野寺有一委員 就学指導委員会が、名称として就学支援のための委員会と変わるというお話を聞いておりましたが、それが事実かどうかということをまずお尋ねしたいと思います。
 実例といたしまして、就学指導委員会で、発達障害の子供が地元の学校に入学を希望した。ただし、そこにはそのお子さんしか障害児がいない。そして、就学指導委員会では、その学校に2人同じ障害を持つ子供がいた場合にクラスを設置することができる。したがって、1人しかいなかったので他学区への通学を余儀なくされているという例があるわけでございますけれども、これは、ガイドラインというか指針というか、そういったものが存在しているのでありましょうか。それとも、そういったことは市町村ごとに異なっているのでありましょうか、お示しいただきたいと思います。
〇及川主任指導主事兼特別支援教育担当課長 前段の、就学指導委員会が支援委員会になるかどうかということについて私のほうからお答えしたいと思います。
 制度上で申し上げますと就学指導委員会となるわけですが、今般、より本人、保護者の方の意向に沿って就学のあり方を考えましょうというふうな役割、機能上のことからすると、中身的には指導というよりも支援の部分が多くなってきておりますので、各地域地域では支援委員会ということで通称通っているところが幾つか見え始めているというのは私どもとしても把握してございますし、今後、私どもといたしましても、就学指導委員会のあり方の面からすれば、やはり上からの指導ということではなくて、支援するという中身を重視していくことが重要なのではないかと考えているところでございます。
〇侘美小中学校人事担当課長 小・中学校の特殊学級、特別支援学級の開設について、基本的なガイドラインはあります。開設の際、基準は、例えば情緒3名、ほかであれば5名というのはありますが、昨今は、いろいろな事情を勘案して1人でも配置される可能性があります。ただ、学校規模だとか地域の事情によって、例えば学級に行って就学したほうがいいというような専門的な判断もあったりして、昨今は少しずつですが、微増ですが、開設がふえておりますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
〇小野寺有一委員 世話人会の申し合わせによりますとそろそろ休憩時間ということでございますので最後の質問にさせていただきますが、また実例に基づいたお話をさせていただきますけれども、とある小学校の運動会で、リレーに障害児が出たわけでございます。そのときに、本当は半周走らなければならないところを4分の1周走るということでハンディをもらってその子供は走ったわけでございますけれども、その4分の1周を走る間にやっぱりいろいろな形で普通の子供さんたちに追い越されていって途中でリレーを投げ出してしまったためにそのチームが敗れるということがあったわけでございます。本来でしたら、その子供のためにそのチームは負けてしまったわけですから、大変そのチームのメンバーとしてはおもしろくないところもあったのではないかと思うわけですけれども、その後、同じチームだった違う学年の年上の女の子が来て、その児童に対して、何とか君、御飯をあげるから一緒に食べようというように、ある意味なぐさめというか、そういったことをしにこられたという実例があるわけでございます。
 そういう意味では、私は、今、障害を持つ子供の面からのことをお話しいたしましたけれども、その障害を持つ子供と健常児のハンディのない子供が一緒に暮らすことによって、一緒に学ぶことによって、ハンディのない方々、子供さんたちにもプラスの側面を与えることができることが大変多くあると思うわけでございます。
 6月定例会での高橋博之議員の質問に対する答弁で、教育長は大変前向きな御発言をされていらっしゃいます。そして、実際に6月定例会以降、インクルージョンフォーラムといったものも開催していただいて、大変前向きに特別支援教育に対して取り組んでいただいていると思いますが、そういったハンディのない子供たちのプラスの側面をもっと引き出していく、そういった方向性について、教育長から一言お考えをお聞きして質問を終わらせていただきたいと思います。
〇相澤教育長 今の運動会のお話は、共生型社会に向けた、子供たちが自然発生的に取り組んでいこうとする典型的なあらわれだと思います。学校の中で、ともに学び合い、ともに育ち合う中で、障害を持たない子供も、他人に対する思いやりでありますとか心の面の成長といったもの、大変その教育効果は大きいと思いますので、ぜひそういう観点からも、広い意味でインクルーシブ教育が県民の理解を得られるように取り組んでまいりたいと思います。
〇嵯峨壱朗副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後3時5分 休憩
午後3時21分 再開
〇新居田弘文委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇木村幸弘委員 私からは、1点だけ質問させていただきたいと思います。学校現場における新昇給制度についてお伺いいたします。
 平成18年3月に可決されました給与条例に基づきまして、いわゆる新昇給制度の実施に当たり、学校現場における試行が昨年度から行われ、本年度においても、本格実施を見合わせた上で試行が継続しております。現在どのような状況であるのか、また、今後の見通しについてお伺いをいたします。
〇小原教職員課総括課長 教職員の新昇給制度でございますが、これにつきましては、学校現場の実態に沿った運用とするために、今年度につきましても試行を行っているところでございます。これにつきましては、やはり通年で体験する必要があるということ、また、いろいろな作業の見直しとしまして、例えば確認シートと支援シートの一本化を図るといったような簡素化の見直しも行いながら、現在、試行を行っているところでございます。これにつきましては、市町村教育長や校長の代表者などからなります新昇給制度運用のための検討会などで、具体的な運用について検討を進めているところでありまして、今後とも、教職員の理解が得られるよう、関係団体と話し合いを継続しまして、できるだけ早い時期に、本格実施できるように取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
〇木村幸弘委員 今、検討経過と課題等が浮き彫りになっている点についてお示しをいただいたわけでありますが、いずれ私自身、この昇給制度そのものが本当に学校現場になじむのかということについては、やはり感じていたわけであります。そうした中で、本制度を導入することによって、管理強化あるいは競争主義的な方向に環境がつくり出されたり、さらにそうした状況の中で学力点数主義であるとか、部活等の結果などで偏重した教育へと突き進むのではないかという懸念を抱いたところであります。そうなると、いろいろとさまざまな問題が現場では当然発生してくるだろうということで、過剰な成果主義に陥らないように、さまざまな学校の現場における、本来、学校というチームとして子供たちと向き合っていかなければならないシステムをしっかりとつくっていくことが必要だと思っております。
 そこで、教育長は、この間、本制度の導入の中で、いわゆる人材育成が目的だと述べられているわけですけれども、教職員の育成ということから言えば、現場の学校長がその責任を担っているわけでありますけれども、校長の裁量において判断されることについて果たして本当に適切な判断とそして能力があるのかと、あるいは何の根拠を持って行われるのかなど、現場ではやはり不安や不満ということの声が聞かれる状態にあります。そうした意味で、人材育成能力、判断基準など、十分な指導と研修が必要ではないかと考えますけれども、どのように考えておられるのか、お伺いいたします。
 また、昇給決定について、成果だけでなく、プロセスあるいは努力等も含めて勘案するということが述べられているわけであります。先ほど申し上げましたように、教育は、児童生徒一人一人の個性や個人差もあり、成果そのものを短絡的な評価、つまり、一時期の、一部の結果をもって安易に評価することのできない特殊性を持っており、単年度において一部の教員のみに光が当てられたり、あるいは地道な活動を行っている教員に光が当てられないなど、そうしたことのないよう、学校総体、全体としての評価もされなければならないでしょうし、いずれ、意欲を失うような状況にさせてはならないと考えます。教育長の言う人材育成という目的を達成するとともに、現場の教職員が意欲的に安心して教育活動に専念できる、学校現場に即した慎重な運用、あるいは見直しが必要だと考えますが、教育長の見解をお伺いいたします。
〇相澤教育長 新昇給制度につきましては、学校自体が、いわば学校の運営といいますのが、教職員相互のチームワークといったことが基本になっていると考えております。また、そのことは大変重要だと思っておりますので、この新昇給制度の運用につきましても、やはり教職員すべてが学校の目標の達成に向けてしっかり努力をしていくと、そういう風土を学校の中でつくっていくと、そういうことを目指して運用できるようにしてまいりたいと考えております。
 こういう基本的な考え方をしっかり基本に据えた上で、そういう考え方自体が校長の制度の運用に当たってのメルクマールになるように、しっかりとした研修も進め、所期の目的が達成されるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 最後になりますが、県教育委員会あるいは市町村教育委員会、学校長などから意見を聞いて今検討を進めているという、先ほど最初の答弁をいただきましたけれども、肝心の現場の教職員の意見あるいは要望、そうしたものについて十分配慮されているのかという声もあるところであります。
 冒頭申し上げましたように、本条例可決に当たって、職員団体との協議を十分に行うとする附帯決議が上げられております。その議会の意思というものも尊重しながら、職員団体との話し合いなどを通じて、さらに現場の教職員の声を聞くなど、現場が納得できる仕組みや運用で試行を実施すべきだと考えております。かねてより、現場主義を標榜しております教育長として、今後、どのように職員団体との協議を進めるかについてお伺いをして、質問を終わります。
〇相澤教育長 先ほど申し上げましたような学校運営がチームワークで行われていると、そういう中で、教職員の努力というものを十分に呼び起こしていくような運用をしたいと考えております。こういう考え方を踏まえて、職員団体とも十分に話し合い、理解が得られるような取り組みを進めて、実施に向けた準備を進めてまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 私からは、大きく3点についてお伺いをいたします。
 私も以前、二戸市議会にお世話になっておりましたが、教育委員会の答弁が長いというのは市も県も同じなようでございますので、私も論点を短く質問申し上げますので、簡潔にお答えをいただければと思います。
 まずは18年度の政策形成プロジェクト中の、学力向上プロジェクトの中の県北沿岸地域人材育成事業というのがございました。いずれ、県北・沿岸の5校、福岡、久慈、宮古、釜石南、大船渡、ここの人材育成を目指すということで始めた事業ではありますが、この事業の実績と評価についてどのようにとらえているのか、お伺いをいたします。
〇熊谷主任指導主事兼高校教育担当課長 事業対象校で主な合格者の合計は、岩手大学は57名から82名、県立大学への合格は41名から49名、さらに、国公立大学の合格は375名から396名に増加して、成果は上がったと思っております。
〇五日市王委員 確かにかなり成果が出ているということで、大変評価をしたいと思います。いずれ、県北・沿岸は所得も低いですし、教育にかけるお金は、だけれども全県同じなわけでございます。こういった地域地域の声にスピーディーに反応して、学校からどういう悩みがあるのかというのをきちんと聞きながら、こういった事業を今後も引き続き展開をしていただきたいと思います。教育というものは長いスパンでやるものですから、単年度で結果が出るものではないと思いますので、今後の取り組みについてお伺いをいたしたいと思います。
〇熊谷主任指導主事兼高校教育担当課長 今後の取り組みでございますけれども、昨年度から実施いたしましたこの事業で構築されました学校間の進学に関するネットワークをさらに強固なものにするとともに、参加生徒の意識高揚に効果があった対象5校で行う合同講座を、さらに充実させてまいりたいと考えております。
 また、県北・沿岸の場合には、若手の教員が比較的多く配置されておりますので、研修等にも力を入れながら、教員の指導力の向上をも図って、事業効果をさらに高めてまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 ソフトの部分だけでなくて、こういった財政措置、お金がかかることもあると思いますので、それもぜひとも積極的に県北・沿岸のほうにも支援をしていただきたいと思います。
 次に2点目、縄文文化教育についてお伺いをいたします。
 来年度の平泉の世界遺産登録に追いつけ追い越せで、今度、北海道と北東北3県で縄文遺跡群の世界文化遺産を目指すということで、ことしですか、世界文化遺産登録推進連絡協議会というのが発足したようでございます。いずれ、平泉の世界遺産登録に向けて、県でも全県的に平泉文化の教育を指導したいというような答弁もこの間ございましたけれども、それに続く形で、ぜひとも縄文文化の教育、特にも、県北地方においては、これから4道県で連携してやっていくものでございますから、そういった教育も進めていただきたいなという思いがあるんですが、その件について御見解をお伺いいたしたいと思います。
〇中村文化財・世界遺産担当課長 今、委員から御指摘ございましたように、4道県で現在縄文の世界文化遺産暫定リスト登載への動きを進めているところでございますが、本県は、縄文文化の宝庫として知られているところでございまして、平成16年度からでございますが、4道県で連携いたしまして、北の縄文文化回廊事業を展開してきているところでございます。これが発展して4道県での世界遺産への取り組みとなったところでございます。特にも、本県の中でも県北地方におきましては、縄文時代の遺跡が数多く確認されておりまして、とりわけ、国史跡一戸町の御所野遺跡におきましては、県内外から多くの方々が訪れているという状況でございます。このような本県の財産でもあります縄文文化につきましては、今後とも、折を見て県民の方々に周知していくとともに、現在進めております4道県の縄文遺跡群の世界遺産への取り組みの中で、さまざまな価値や意義を情報発信してまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 先ほど教育長からの答弁でもございました、その地域の歴史や文化を知るということ、そしてその地域に誇りを思うということ、いずれ、これが世界遺産に登録される、されないにかかわらず、その地域の誇りでございますので、そういったものはぜひ4道県と、市町村で言うと12市町になるわけですか、その連携も深めながら、そういった教育にも力を入れていっていただきたいと思います。
 それと3点目、教育基本条例についてちょっとお伺いをいたしたいと思います。
 今、杉並区のほうで、全国で初の教育基本条例制定に向けて、先般、懇談会のほうが提言を出したようでございます。その中身なんですが、要は、目的の骨子なんですが、人づくりを地域ぐるみで進めるということが一番の目的になっているようでございます。そして、教育に必要なことを明らかにして教育に支援を惜しまない地域づくりを進めると。大切にしたい考え方として、みんなで育てられる、いわゆるともに育つという意味の共育、これ新しい言葉だと思うんですが、そういったものを提案していきながら、教育の原点は家庭であるということを第一義的にうたっているようでございます。
 きょうのいろんな議論の中でも、いじめの問題あるいは犯罪の問題とかございました。やはり人づくりというのが一番大事だと思います。その中で、恐らくこの条例、国がやらないなら自分たちで条例をつくってやろうということも根底にあるんだと思います。こういったものはぜひ我が岩手県でも、国がやらないならみんなで進めていこうという考えがあってもいいんじゃないかと思うんですが、この教育基本条例に対する教育長の所見といいますか、それをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
〇相澤教育長 私どもも県民を挙げて教育に取り組もうということで、教育立県という基本姿勢を持って進めていこうという、これは知事の方針もございまして、ぜひそういう取り組みを進めていこうということであります。その中で、特にもいわて型コミュニティ・スクールということで、学校と家庭、地域の連携の中で子供たちをしっかり育てていこうと、今日のいろんな教育問題について立ち向かっていこうということを申し上げているわけでありまして、そういう視点で申し上げますと、杉並区の条例をつくろうとしている精神といったものとは非常に共通したものも感じるというふうに思っております。
 そういう中で、先ほどお話がございました郷土に対する愛着をはぐくむと、こういったようなこともあると思いますし、もろもろ学校、家庭、地域との連携、そういったことも含めまして、岩手の教育のあり方自体をもう少しよく議論を深めていく必要もあろうかと思いますが、そういう中で、お話がございましたような教育基本条例といったことも十分検討する価値があるといいますか、重要な視点ではないかと思っておりますので、そんなスタンスで、今後いろいろ議論を進めてまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 道徳教育の問題にしてもそうなんですが、取り組んでいこうということの核となる条例みたいなのがきちんとあれば、もっといろんな取り組みができると思います。今はこうしましょう、ああしましょうというのはあるんですが、何といいますか、精神論的で抽象的に終わっているような部分もあると思うんですね。ですから、私はこういった条例をきちんと設けて、全県で一丸となって人づくりというものに取り組んでいっていただきたいと思います。
 さっき答弁はいただきましたので、以上で終わります。
〇高橋昌造委員 私からは2点についてお伺いをいたします。お手元の平成18年度の歳入歳出決算の事項別明細書の325ページの、まず一つは、高大ネットワーク推進事業、そして総合教育センターの2点について簡潔にお伺いをいたします。
 まず第1点目の、高大ネットワーク推進事業については、平成15年度から学力向上の対策の一環として事業が実施されておるわけでございますが、県教委のこのあらゆる事業の中でも、私はこの事業は小さくてもきらりと光る事業ではないのかなということで、この事業の趣旨と、そして趣旨に従って事業展開がなされているわけでございますが、その現状についてお伺いをいたします。そして、その事業の中核をなすウィンター・セッションの実績と、その成果についてお伺いをいたします。
 それから、第2点目には県の総合教育センター、本県の教育レベルの向上のために大きな貢献をいたしているわけです。まさに本県の教育界のシンクタンク、頭脳集団だと思います。その割合には、本センターが余り知られていないということで、今後、このセンターをどのような形で皆さんに知らしめるか、また、施設を公開していくかということで、県教委の今後の活動状況について、どのように認識して、今後どのように運営をしてまいるかをお伺いいたします。
 そして、本センターの具体的な事業内容、そして、他県に先駆けて先進的に今後取り組む事業があればお示しをしていただきたいと思うところでございます。
 それから、今ちょっと思い出したんですが、実は本センターに勤務なされている方からお聞きしたんですが、教育に対する情熱、思いというのは、そして本センターに勤務したことを非常に誇りに思うというお話をお聞きしたときに、本県の教育行政も捨てたものではないなと、落涙の思いをいたしたことがあります。
 そこで相澤教育長から、大変恐縮ですが、達増知事が、危機を希望に変え、希望王国岩手の実現と。先ほど、各委員から高校再編のいろいろなお話があったんですが、そこで、教育長、県庁広しといえども、達増知事の熱き思いを、先導的な役割を果たしてできるのは、もう教育長以外にないと思うんですよ。そこで、どうか本県の教育界の重鎮として、そしてトップとして、この熱き思い、そして、できれば御高説を賜れればなということでお願いをいたします。
〇熊谷主任指導主事高校教育担当課長 まず、高大ネットワーク推進事業の趣旨と現状について御説明申し上げます。
 事業の趣旨でございますけれども、高校生に、大学における教育を受ける機会を提供し、生徒の学ぶ意欲や関心を高めるとともに、大学に対する理解を深めさせ、生徒の学力向上と進学意識の高揚を図ることでございます。
 県教育委員会は、平成15年、県内五つの大学と高大連携事業に関する協定を調印し、本事業を推進しております。
 その事業の主な内容は、高校生に対する大学の授業科目の公開、これは岩手大学で高校生が放課後、授業を学ぶことができるというものでございます。さらには、大学による公開講座の実施、これがウィンター・セッション等に該当するものでございます。そしてあともう一点が、高等学校教員の大学への派遣。主なものはリメディアル教育と申しまして、岩手大学に進んだけれども、数学とか物理とか化学等が思うように理解できていない、そういった学生に対して、高校の先生方が週1回出向いて講義するというものでございます。こういったものを年々行って充実させております。
 次に、高大ネットワーク推進事業におけるウィンター・セッションの実績と成果でございますけれども、協定を締結した大学が、県内の高校生を対象に、毎年12月に大学の授業を体験するウィンター・セッションを開催しております。平成15年度には3大学が六つの講座を開講し、290名の高校生が参加いたしました。昨年度からは岩手医大も参加いたしまして、3日間の日程で5大学が9講座を開講し、県内から42校、392名の高校生が参加いたしました。そのうち、県北・沿岸地域の高校生は約35%ということで、参加者も年々増加しております。
 さらに、その成果でございますけれども、受講者へのアンケートによりますと、約90%の生徒が、今後学ぶ意欲が高まったとか、大学への理解が深まったとの回答を得て、生徒の学習意欲の喚起や大学への理解が進んでおるところでございます。
 また、過去3年間の受講者のうち、約30%の生徒がウィンター・セッションで学んだ大学に進学しております。さらに、他大学を含めますと、全受講者の55%の生徒が大学に進学していることからも、この事業は大きな成果を上げていると思っております。
〇藤原学校企画担当課長 総合教育センターは、本県における学校教育の課題解決及び教職員の資質向上に向け、研究、研修、支援、この3本の柱を精力的に展開してきているところでございます。本年度は、教員の資質向上と指導力の充実を図るため、各種研修事業として119講座、延べ3、800人が受講予定でございます。また、研究事業といたしましては32テーマで展開してございます。さらに、支援事業としては、児童生徒や保護者、教員の学校生活全般にわたるさまざまな相談や特別な支援を必要とする児童生徒についての来所相談等々に、年間1、500件ほどの支援を行ってきているところでございます。しかしながら、県民に対するPR等は十分とは言えず、これまで以上に、その活動状況がわかるような対応が求められているものと認識してございます。このため、いじめ、不登校、特別支援に関する相談業務等につきましては、これまで以上にPRをし利活用を促すとともに、学校現場に対しましては、例えば理科の観察・実験教材を車に積んで遠隔地の小学校を会場とした出前研修、こういったものなどなど、研修成果の普及などに一層取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、現在教育センターが進めようとしている先進分野の研究等の事業についてでございますが、例えば一つは、フリーターやニートへの適切な対応が現在求められていることから、勤労観や職業観を育てる小・中学校キャリア教育の推進に関する研究、二つ目としましては、小学校に導入が検討されております英語活動のモデルカリキュラムの作成等に関する実践的な研究などに取り組んでございます。また、研修事業としましては、管理職研修の中に学校経営のマネジメントやメンタルヘルスといった研修講座を入れるなど、時代のニーズに即した内容を取り入れてきております。さらに、今年度からは、数学、英語の指導主事による学校訪問指導業務を、本庁から教育センターのほうに移管しまして、中学校と高校の担当指導主事がペアを組んで直接学校を訪問し、教員の指導に当たって授業力の向上を図っているところでございます。
 ちなみに、9月までに127校で実施がされておりまして、参加されている中・高等学校の教員は1、025名というところでございます。
〇相澤教育長 教育に関する私の思いということでございますけれども、私も4月から教育委員会に参りまして一番強く感じておりますことは、学校の現場の教職員には大変志があるといいますか、やはりなりたくて先生になったと、こういう志が大変強いものがあるということを、私自身大変強く感じております。そういう意味で、学校や教員に対するさまざまな御批判があったり不信感があったりするといったことも間々あるわけでありますが、決して私は先生や学校が悪いわけではなくて、むしろそれをどう変えていくかという仕組みをしっかりつくっていくという、そういう仕組みをつくることこそが大切だと思っておりまして、ぜひ、その先生方の志が生きるような仕組みづくりといったものを県教委の最大の役割として取り組んでまいりたいと、そういったことを肝に銘じて仕事を進めてまいりたいと思っております。
〇高橋元委員 先ほど工藤大輔委員から学力の向上に関する質疑がありましたけれども、私は、小・中学校における理数科の学力に絞って質問いたしたいと思っております。
 まず、最初に、決算書では、小・中学校費において、前年度比14億5、400万円余の減額となっておりますけれども、この減額につきまして、学級数の減少などソフト面によるものなのか、あるいは施設設備の終了などハード面によるものなのか、その内容についてお伺いしたいと思います。
〇侘美小中学校人事担当課長 平成18年度決算における小学校費及び中学校費は、前年度決算額に比べて14億5、400万円余りの減額、率にして1.7%の減となっております。これは、教職員の人件費がそのほとんどを占めていることから、児童生徒数の減少に伴う学級減により、教職員数が減少したことによるものであります。
〇高橋元委員 学級数の減少による人件費の減額ということで、私はいろいろな形で教職員の方が退職されてそれで減員になってきたのかなと、そんな心配もしておりましたが、そういう心配はないようでして安心しております。
 午前中の教育長の御報告によりますと、学習意欲の減退あるいは学力の低下があるとのことでありました。教育委員会並びに教育現場の皆さんの熱心な取り組みにもかかわらず、残念でなりません。
 国民の意識が大きく変わってきたのは、バブル期あたりと思うところであります。特に、バブル最盛期に破格の給料待遇であった金融・証券業界へ理数系学生が大挙して就職した時期があり、それ以来、いわば国民の理数離れが叫ばれ、危惧されていると思うところであります。小・中学校教師においても、理数が不得手とかあるいは理数離れが多いとの話も耳にするわけでありますけれども、小・中学校の教育現場におきまして、理数科教師の必要定数とその充足状況など、理数教科に携わる教師の現状についてお伺いをしたいと思います。
〇侘美小中学校人事担当課長 小学校は学級担任が指導しておりますので、中学校の状況をお知らせいたします。
 中学校理数、理科・数学科における授業時間の総数と免許状の取得所有者からその充足率を求めますと、どちらの教科も必要数の1.5倍程度確保されている状況にあります。
 今後とも、少人数指導等により効果的な授業を進めていくため、より一層、理科教員、数学科教員の確保に努めてまいりたいと思っております。
〇高橋元委員 改めて申すまでもないわけでありますけれども、希少鉱物等の資源の少ない我が国にとりまして、人材が大きな資源とも言われておるわけであります。これまで、諸外国から原材料を輸入し、加工、組み立てをして諸外国に販売し、その利益で国民の生活水準が高まり、豊かさを享受できたと思うわけであります。ものづくり産業の発展なくして今日の経済大国としての我が国はなく、今後においても、我が国や県政の発展にものづくり産業が中心となり、重要な役割を果たしていくと思うところでありますが、そのような中にありまして、ものづくり産業を支える知的人材が近年減少していると危惧しているところでありますし、我が国全体が難しい問題を解きほぐし解決することなく先送りし、あるいは問題や課題をとことん追求するというような信念や意思が薄れた社会へと変貌することの不安を抱いているのは、ここにおられる皆さんともども共通するところであるわけであります。そのような観点からも、理数科の授業の重要性を再認識するものでありまして、そこで2点伺いますけれども、まず最初に、小・中学校における本県の理数教科の学力をどのようにとらえておるのか、お伺いをいたします。
 2点目は、平成18年度に実施した小学校5年と中学2年生の宮城、和歌山、福岡との4県統一学力テストの資料をいただいておりましたが、小学校5年次においては、算数、理科とも好成績で他の3県を上回っておりますし、国語や社会の教科とも同成績でありますけれども、中学2年次になりましては、社会、数学、理科が学力ダウンし、特に数学は4県では最下位となっておりますけれども、中学2学年において、国語や英語と比較し学力が低下している原因をどのように分析をされているのか、お伺いをいたします。
〇小岩首席指導主事兼義務教育担当課長 まず初めに、本県の児童生徒の理科、数学の学力の状況についてでございます。
 本県が実施しております学習定着度調査というのがございますが、その結果を見ますと、算数、数学ともに、学年が進行するにつれて正答率が低くなってくるという傾向がございます。同じように、理科におきましても同様の傾向は見られるわけでございますけれども、算数、数学に比べると、その傾向はやや緩やかになっているととらえております。
 具体的には、算数、数学においては、数学的な見方や考え方がしっかり身についていないということが言えるかと思います。それから、理科においても、科学的に思考する力、あるいは先ほどもございましたけれども、実験や観察の部分に若干苦手意識を持っている子供たちが多いという状況ととらえております。このような状況を改善するためにはまず何よりも先生方の授業力の改善、向上ということが第一ではないかなと考えております。
 具体的な取り組みといたしまして、各教育事務所単位でございますけれども、小学校、中学校の先生方で構成するプロジェクトチームをつくりまして、子供たちの学習意欲の向上のためにはどうあればいいか、あるいは、学習内容を確実に定着させるためにはどうあればいいかというようなことにつきまして、その授業プランを作成し、実際に授業を行い、そしてその授業後に、どうであったかということを研究協議をするような、そのような場を設定して授業改善に取り組んでいるという点がございます。
 算数、数学におきましては、特にも指導主事による、教科の専門性を持った指導主事でございますが、中・高の指導主事が例えば中学校に行って、中・高の先生方が一緒に中学校の授業を見るということをやっておりますが、それを小学校の先生方まで拡大をしながら、お互いに授業の研究を繰り返すということを行っております。
 理科におきましては、今年度からでございますけれども、教材の作成やあるいは観察、実験の補助を行う理科支援員をお願いしまして、現在まだ12名、20校の配置でございますけれども、そのような形で実験というものを充実させていこうと。あるいは、中学校におきましては、来年度から大学の先生などを招聘した授業のあり方の勉強会とか、そういうことも努めてまいりたいと思っております。
 それから、小学校から中学校にかけての、どうしてもがくんと正答率が落ちるということについてでございますが、やはり大きな要因の一つは、生活面あるいは学習面で大きな変化が、小学校から中学校に上がる段階で変化があるということが言えるかと思います。つまり、小学校で、学級担任の中で、どちらかというと家庭的な状況の中、学級の中で生活していたものが、中学校に行くことによって学級教科担任制に変わるとか、あるいは小学校に比べますと生活の集団の規模も大きくなります。そういう中で、じっくりと人間関係も築けない状況があったり、あるいは、特にも中学校1年生の1学期の時期にはいろいろな行事が続くということもあったりして、落ちついた学習をできるような状況がなかなかつくることができないということもあろうかと思います。ただ、これにつきましても、小学校、中学校の連携ということを深めることによって、何とか解決していきたいと考えております。
〇高橋元委員 さまざまな取り組みをされているということを聞いて、安心をしたところでございます。
 達増知事は、県民所得の向上あるいは企業の誘致、ものづくり産業の振興、そしてその人材育成ということを大きく取り上げて、それに取り組んでいくということを表明されております。企業進出の大きな柱に、勤勉で優秀な人材が多数いることが挙げられておりまして、また、国際的にも、今、最も注目を浴びております中国におきましては、政府要人の8割が理数系出身者ということもありますし、欧米においても、理数系出身者がかなりのトップの分野で頑張っていると。それに比較して、我が日本は文科系がおよそ7割、8割がトップのほうで頑張っているというところもあるわけであります。前段にお話ししましたが、我が国があるいはこの岩手県がこれから伸びていくためにも、この理数系というものの学力を伸ばしていくことが大変重要だと思っております。なお一層、特段のお取り組みをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
〇岩渕誠委員 通告していた項目のうち、これまで議論があったものについては割愛をしていきたいと思いますので、御容赦いただきたいと思います。
 まず初めに、いわゆるモンスターペアレントの問題についてお尋ねをします。
 日本語に変えますと、これは無理難題要求保護者、あるいは理不尽保護者と言うんだそうでありますが、具体的に言うと、学校に対して自己中心的で理不尽な要求、無理難題の要求を繰り返す保護者のことと、こう規定をされているそうであります。
 報道によりますと、では、一体何なんだと、こういうことになるんですが、例えば組み体操の一番上に自分の子供が乗らなければいけない、でも、下だと。それは許さんというのとか、自分の子供をキャプテンにしろと、正選手に使えと、試合に出せという形で、職員室に行ったり教育委員会に行ったりということをするケースが社会問題化をしていると、こう思っておりますが、岩手県内におけるいわゆるモンスターペアレントの実態について、県教委ではどのように把握をしておられますか。
〇田村学校教育室特命参事 モンスターペアレントにつきましては、ただいま委員のほうから御説明をちょうだいいたしました。まさに学校に対して自己中心的で理不尽な要求を繰り返す保護者という理解をしておりますが、ただ、その実態等につきましては統計等がないので、詳しい状況についてはちょっと把握をしておりません。ただ、学校や教育委員会に繰り返し要求を行う保護者と、こういうとらえ方をいたしました場合、本県におきましても、これまで私どもが受けた相談あるいはさまざまな報告、それからマスコミ等の報道から見まして、該当する事案が幾つかあるものと認識をしているところでございます。
 また、近年、保護者や地域住民などから苦情や要望、こういったものが非常に多様化してきているために、県の教育委員会としましては、各学校に苦情等の対応の参考とするために、いわゆる苦情の対応のマニュアルといったものを作成いたしまして、これによって対応するよう努めているところでございます。
〇岩渕誠委員 幾つかあるということで、その内容についてはしゃべれること、しゃべれないことがあるかと思いますけれども、本当に深刻な影響をもたらしているとすれば、これは早急な対応をしていただきたいと思います。
 これは、報道によりますと、東京都のほうでは、公立学校の勤務者のうち3分の1が、訴訟費用保険というのがあるんだそうでありますが、それに加入をしているという報道もありました。これは学校現場もそういうことで大変危惧をしていることなんだと思います。そして実はもっと危惧をしておりますのは、先ほど答弁にありましたけれども、今後岩手県の教育においては、コミュニティ・スクールというのが一つのキーワードになってくると思います。その中で、こうしたモンスターペアレントの問題というのは未然に防ぐ対応というのをすべきだと思います。国もこの8月に、いろいろ本腰を入れるような姿勢を示したと承知をしておりますけれども、改めて、今マニュアルということがありましたけれども、それで十分対応可能かどうかも含めて御答弁いただきたいと思います。
〇田村学校教育室特命参事 このマニュアルというものにつきましては、これまで保護者などからいろんな要求等、そういったものを繰り返し受けるたびに、例えば担任が全部一人で背負ってしまうとか、非常に一人に過重な負担がかかるということが現実にあるようであります。ただ、今回出して周知をしておりますこのマニュアル、つまり、担任が一人で受けるのではなく、まず学校という組織の中でしっかり受けとめてこれに十分対応していこうと、そういう趣旨から作成をさせていただいたものでございます。苦情に対する情報の共有化、そして組織的な対応、こういったものを骨子にしております。ただ、その中身によりましては、単に学校だけの対応という形では十分対処できないものも当然あろうかと思います。その中身によりましては、例えば関係機関との連携あるいは地域、あるいはその他のPTAとか、そういったものとの対応が当然必要になってくると考えております。
 それから、モンスターペアレントの問題につきましては、電話とか相談、直接受ける場合もあると思いますが、まず初めからそういったモンスターペアレントであるということがはっきりわからない場合が大変多いように感じております。したがって、真に困っている相談者あるいは貴重な情報の提供者、こういったスタンスから最初は対応をさせていただくと。その上でモンスターペアレントと、そういうものであると判断された場合には、先ほど申し上げたマニュアルにのっとりまして厳正に対応すると、こういう形で学校等には周知をさせていただいております。
〇岩渕誠委員 念のためお聞きしますが、今モンスターペアレントの問題によって、学校経営に重大な支障を来たしていると県教委が判断しているケースというのはありますか。もし具体例を示せるのであれば、お願いします。
〇田村学校教育室特命参事 いわゆる学校不適応をめぐりましていろいろな御相談をお受けし、それをいろいろ学校に情報としてフィードバックするに当たって、そこで初めて学校がどういう状況で対応しているのかわかるということがるるございます。その中では、学校での受けとめ方が柔軟にかつ機動的に対応できている部分、全くそういう形になっていない部分とございまして、特に後者の場合におきましては、学校の正常な運営に支障が出てくると、そういう状況もあるようには聞いております。ただ、細かな詳しい実態については承知をしておりません。
〇岩渕誠委員 この問題については、ぜひ未然防止の観点でお願いをしたいと思います。
 次の項目が最後になりますが、競技力向上についてお尋ねをいたします。
 現在、日本代表クラスに岩手県の県人選手というのは、ソフトボールそれからホッケーについて代表に選ばれておりまして、日の丸を背負って来年、ぜひ県人が北京の地で活躍をしてほしいと強く願うものでありますけれども、競技力向上の全般で、高校時代、中学、高校、小学校からですけれども、基礎をつくるのはこの岩手県であると、こういうことなんですが、昨年度におきまして強化指定校の制度がありましたけれども、これ今、何競技、何校で行われているか、そして初年度でありますけれどもどの程度の実績があったと評価をしているか、まとめてお尋ねをします。
〇川口スポーツ健康課総括課長 強化指定校についてでございますが、今年度の状況で強化特別指定校は17校、20競技種目、26部でございます。それから、特別強化指定校を目指すものというふうに扱っておりますが、強化推進校というのがございます。こちらのほうは、20校、21競技種目、34部でございます。
 これらの学校の実績ということでございますが、今年度の実績では、佐賀インターハイで岩手県の入賞数が22種目ございましたが、そのうち15種目がこれらの学校でございます。また、秋田で行われましたわか杉国体少年の部入賞数は22種目ございましたが、このうち16種目が該当しております。
 なお、この中に優勝2種目が含まれてございます。
〇岩渕誠委員 極めてそういう意味では効果的な強化につながってきそうだということで大変期待をしたいと思いますが、今後、この強化指定の枠を広げるお考えはあるのかどうかというのを1点お聞きしますし、それから、当然この強化指定は教員の人事配置とも大きく関連をするわけであります。岩手インターハイが行われました年は本当に人員配置がうまくいきまして、各種競技で歓喜の場面を味わったと。私も実は取材者として、ヨットの部門で優勝のシーンを目の当たりにしておりましたが、やはりそういうところは勇気づけてくれるものであります。平成28年度には国体がありますので、それとリンクした形で、当然、人員配置をしてくるものとは思いますけれども、やはり計画的な配置をする上で、次年度の人事異動からしなきゃいけないと思うんですが、その辺の方針についてお聞かせいただきたいと思います。
〇川口スポーツ健康課総括課長 この特別強化指定校等の今後の展開ということでございますが、特別強化指定校につきましては、一定の基準を設けておりまして、その基準をクリアした学校について指定をするという仕組みになっております。さらに、この対象は公立高等学校、これは県が行う長期配置ということが可能なということから、公立高校を対象としております。しかしながら、平成28年それから平成23年度のインターハイを見据えますと、私立高校においても強化すべき学校があるわけでございますし、基準に満たないけれども少してこ入れしなければならない競技というのもございます。これらにつきましては、国体強化の対策という方向でカバーしていきたいと、現在のところ検討しているところでございます。
〇岩渕誠委員 先ほどの質疑の中でも、国体対策の中では成年の部というのが問題であるということであります。そういう意味では、少年の部の強化、インターハイ対策も含めた高校の強化と連動しなければならないということなんですが、実態を見まして、企業が低迷している中で、本県の青年の競技というのは非常に厳しい状況に置かれていると認識をしております。先ほどは企業の受け皿をというような御発言もありましたけれども、一方で、岩手県の全国トップを目指す各種競技について見てみますと、例えばフットサルあるいはJリーグを目指すクラブチーム、そしてラグビー等では地域クラブ方式での運営というのは共通しております。都市対抗に出場した岩手あかべこ野球団についても、今後そういうような方向になると聞いておるんですけれども、地域クラブ方式というのは大変大きな可能性だと思っております。ただ、どうしても岩手の県内の中でも極めて限定的なクラブ運営になっておりますので、資金の調達等においてあるいは職場の確保等において、極めて本当に難しい状況になっていると思っておるんですが、この辺に対しての支援あるいは岩手県としての地域クラブ、総合的なクラブの運営をしていって、それと例えば高校であるとか中学校であるとかのクラブと一緒にやるとか、そういったところで全体の底上げを図る必要があると思うんですが、こういったあたりについてはどのようにお考えでしょうか。
〇川口スポーツ健康課総括課長 委員御指摘のように、成年層の強化につきましては、地域クラブの強化というのは現実的には欠かせないものでございます。年々成績を上げておりますホッケーの成年男子、これも実は岩手クラブでございます。それぞれの職場にいる選手たちが集まってきてチームをつくり、強化をしているという現実でございます。したがって、今後、成年層の競技力向上を図る意味では、地域クラブに対するてこ入れ、これは不可欠なものと考えております。さらに、高校生と社会人との合同練習という観点でございますが、これにつきましては、競技団体ごとにもう既に行われているところもございますし、あるいは規約上制限があるところも、種目もないわけではないということでございます。これは競技団体が計画的に進めていく、そしてその競技団体に対して強化費等の支援をしていくという構図になると考えております。
〇岩渕誠委員 最後にします。地域クラブの運営については、会計の問題とかスポンサーの掘り起こしとかいろんな問題があるわけなんですけれども、体育協会あるいは国体を推進する中でサポート体制というのをきっちりして、それぞれの競技団体のそれぞれの地域クラブを包括的に支援するような取り組みをしていかないと、なかなかこれは難しいのではないかと。そしてまた、国体が終わって以降のことも考えれば、そういった新しい地域クラブ運営方式というのを、ぜひ岩手県で立ち上げていただきたいと思います。
〇及川あつし委員 まずもって、各般にわたる教育施策の推進、まことにありがとうございます。御礼を申し上げたいと思います。
 きょう、質疑でいろいろありましたけれども、ADHD、LD、またアスペルガー症候群の子供さんたちの対応に関しては、平成15年2月に、当時の合田教育長から御答弁をいただいて以来、各般にわたる政策推進をしていただいたことに、この場をお借りして御礼を申し上げたいと存じます。
 ただ、あと1点は、総括質疑でも若干申し上げましたが、所管がどこにあるかは別にいたしまして、幼小関連ですね、幼稚園と小学校の関連。ここの部分、私立がほとんどの幼稚園でありますので、ぜひ進めていっていただきたいと思いますし、特に、ADHDの子供についは障害ではありませんので、アインシュタインもADHDだったということでありますので、周囲の子供にも不利益をこうむるような理解がされないようにお取り組みをお願いしたいと思いますし、モンスターペアレントの方々につきましては、給食費の滞納というのもモンスターペアレントの一種ではないかなと思っております。現実、学校の現場で、職員の方々が、やむなく給料の一部から埋めているという例もあるやに聞いておりますので、現場における対応をお願い申し上げたいと思う次第であります。この点については御答弁は要りません。
 2点お伺いします。
 まず1点目、きょうもいろいろ質問が出ました学力であります。簡潔にお聞きしますので簡潔に御答弁をまずお願い申し上げたいと思います。
 本県の学力についてはさまざまな施策がとられておりますが、結果として、センター試験の結果を見る限り、全国で最下位または最下位レベルであるということが出ておりますし、御答弁があったとおり、学年が上がるにつれて学力が下がっております。
 お尋ね申し上げます。いろいろな原因はあると思いますが、主要な原因は何であると御認識されておりますか。認識している原因と対策、それぞれは何でしょうか。主要なものだけお答えいただければと思います。
 次に、きょうも質疑ありました県政課題貢献人材育成事業。県北・沿岸地域につきましては、先ほど答弁がありましたので結構であります。この事業成果についてはもう調べておりますので、課題は何であると御認識をされているでしょうか。私は何度勉強してもちょっと理解しがたい部分がありますので、答弁を求めた後に御意見申し上げたいと存じます。
 次に、大学進学率。学力向上3カ年プランでは、平成20年までに40%を目指すということであるようでございます。平成14年で31.7%、その次に平成18年に37.2%、進学率が上がっているわけでございますが、この進学率が全国的にも上がっておりますけれども、本県がこれぐらい上がった原因をどのように分析されているかお願いします。
 一括してお尋ねします。
 次に、県立高校の退学者並びに不登校生徒についてであります。平成16年から私が調べたところによれば、退学者は徐々に増加していると伺っております。その人数並びに分析、対策なりをお示しいただきたいと存じます。同様に、不登校生徒、児童の状況、原因分析、対策をお示し願います。
〇小岩首席指導主事兼義務教育担当課長 学力がだんだん下がってくるということについての原因と対策ということでございますが、大きくは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、小学校から中学校になった段階で学校生活における大きな変化が生じるということがまず大きな原因としてくくられると思っております。
 具体的には二つと思っております。一つは、生活面に関する部分になります。先ほどもお話ししましたが、学校の規模が大きくなって、例えば人間関係づくりの部分が一つあろうかと思います。あるいは、部活動や委員会活動など多くの活動が中学校では盛り込まれてくる。特にも中学校1年生に入学した時期にはさまざまな行事が次から次へと来るということで学習になかなか適応できない部分も出てくるのかなというのが第1点であります。
 対策につきましては、小学校と中学校の連携をより一層強めていくことがまず第一に挙げられると思っております。子供たちが中学校生活を見通しながら学んだり生活ができる。中学校において、小学校生活と大きな差が生じないような配慮をしながら生活をさせていき、なれさせていくということを小・中の教員がお互いに協議をするという仕組みづくりも必要であろうかと考えております。
 二つ目の主因といいますか、大きな要因でございますが、学習内容といいますか、そういうことにかかわることがあろうかと思います。御承知のように、学級担任制から教科担任制に変わること、あるいは、中学校になりますと、学習内容の量あるいは質的にも増してくるということもございます。中学校では、特に補充のための時間を確保することが、放課後の部活動もございましてなかなか難しい状況にもあります。そういうことから、学習内容を確実にその学年で身につけられないまま学年が進行していくことが結果的に学習意欲の減退等にもつながっている部分もあろうかと考えております。
 これに関する対策等についてでございますが、中学校1年生段階で生じるギャップを解消する事業─中1ギャップ解消事業というのをやっておるわけですけれども、そこで、学習面でスムーズな連結ができるように、小学校、中学校がまずお互いの授業を見合って、小学校ではどういう授業をしているのだろうかということを中学校教員が知るとか、そういうふうに知り合いながら、お互いに発達段階を考慮した学習指導の共通点などを見出していかなければならない部分があろうかと。これは現在もやっておりますけれども、そういうことをさらに進めていかなければならないと考えております。
〇熊谷主任指導主事兼高校教育担当課長 県政課題貢献人材育成事業の大きな課題といたしまして、合同講座として行っている難関大学対策学習会におきまして、参加希望生徒が非常にふえてきております。そのため、会場の確保を初め、生徒の個々の学力や志望先に対応した指導にやや難しい面が出てきているということでございます。
 次に、大学進学率に関してでございますけれども、今年度、本県の大学進学率は37.5%でありました。全国の大学進学率は51.2%と、13.7ポイントの開きがございます。県内の大学進学率は年々増加はしてきていますけれども、全国と比較しますと、伸びは非常に緩やかになってございます。
 昨年度から実施しております高校入学時の意識調査の結果によりますと、高校1年生の4月の段階で、昨年度、はっきりと大学、短大へ進学を希望している生徒の割合は、昨年度が32.0%、ことしが少しふえまして33.2%と、それほど高い状況ではございません。しかし、その一方で、まだはっきり定まらないという未定者が23.6%ございます。そういうこともありまして、高校に入りながら、担任、さらには進路指導を通じて進学が少しずつふえてきているものだと思っております。
〇田村学校教育室特命参事 公立学校における中途退学者の人数でございますが、平成12年度の862人がピークになっておりまして、その後4年連続して大幅に減少して、平成16年度には477人になっております。その後、平成17年度に521人、平成18年度554人と、やや増加傾向を示している状況でございます。
 次に、分析と対策についてでございます。
 まず、分析についてでありますが、ただいま申し上げましたとおり、2年連続してやや増加傾向を示しているところでございますけれども、岩手県の公立高等学校の中途退学率によって全国との比較をしてみますと、これまで常に全国平均より下回って推移してきたところでございます。
 次に、中途退学の主な理由といたしましては二つほど考えております。一つは、学校生活・学業不適応でございます。2点目は進路変更、こういったものが中途退学の大きな理由ではなかろうかと考えてございます。
 これらを受けまして、対策といたしましては、まず、問題の視点は、中学校と高校の連携のあり方が一つ、2点目は、学校の魅力を高めること、この2点ではなかろうかと考えております。このため、例えば中学校と高校が相互に緊密な連携を図りながら、生徒が高校の特色を理解した上で学校の選択ができるような確かな情報の伝達を行うこと、あるいは、入学目的を持っていない生徒の解消を図るため、キャリア教育などを通じまして将来の自分を見詰めさせ、高校で自分の将来をつくっていく意欲を醸成させるなど、こういった細かな指導を行っていくことが必要と考えております。
 また、1年次における中途退学者が過半数を占めることから、大きな不安を抱える新入生に対するガイダンス機能の充実、あるいは魅力ある学校づくりとしまして、わかる授業あるいは習熟度別学習への取り組み、特色ある教育課程の実施、こういったものを通じまして、学ぶ魅力にあふれた学校づくりに努めているところでございます。
 3点目でございますが、進学校と言われる県内の高校におきましても、これまでの入学早々から多くの課題を生徒に与えて新入生が戸惑うようなやり方を改めるとともに、授業のあり方を見直し、生徒の負担を軽減するなどの工夫を行うことにより、新しい学習環境に早くなじめるよう、こういった学校の改善が現在進められていると伺っております。
 中途退学者を一挙に減らすことは大変難しいのではないかと考えておりますが、高校に入学した者につきましては、私ども、卒業まで責任を持って指導することを基本としまして、生徒が本来持っている力を十分伸ばし、有意義な高校生活が送れますよう、今後とも引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、不登校についての状況、原因の分析、対策の概要ということでございます。
 まず、不登校の状況についてでございますが、平成18年度に不登校で30日以上欠席をしました児童生徒につきましては、小学校、中学校全体で1、196人、これは前年度比較で56人の増になっております。高等学校につきましては、文部科学省において、現在、平成18年度の調査結果については精査中でございますので平成17年度の結果でございますが、高等学校の不登校の生徒は474人でございます。全国との比較で見ますと、1、000人当たりの不登校児童生徒数が岩手県は10.1人、全国は11.7人で、低いほうから数えて9番目、そういう位置づけでございます。
 原因の分析につきましては、大きく3点でございます。一つは、社会的背景並びに子供たちの側にある問題が一つでございます。それから保護者の側、それから学校等における問題、この3点ではなかろうかと考えております。
 まず、社会的背景として、近年の子供たちの社会性をめぐる課題が指摘されているところでございまして、具体的には、自尊感情に乏しいとか、あるいは将来に対する夢あるいは希望が希薄であること、あるいは忍耐力が弱い、社会的に未熟である、それからコミュニケーション能力が身についていない、こういったことが挙げられるかと思います。
 また、保護者の側につきましては、一部ではございますが、無責任な放任や過保護あるいは過干渉、あるいは育児への不安、そういったものからくる家庭の教育力の低下、こういったものがその原因の一つとして考えられると思います。
 それから、学校におきましては、不登校の早期発見・早期対応の指導体制の確立とか、あるいは未然防止のための相談体制の確立、それから児童生徒の多様な能力、適性などに十分対応できない学校のあり方、こういったものが原因と考えられると思っております。
 これらについて、不登校の対策の概要についてでありますが、学校におきましては、こういう原因を抱える一人一人の子供たちをしっかり受けとめ、わかる授業を推進するなど、学校における教育活動を充実させ、子供たちの社会性を育成するなど、こういったことを通じまして不登校児童生徒をなくすようにこれまで全力で取り組んでまいりました。
 また、不登校児童生徒の予防とその改善に当たりましては、学校だけではなかなか困難な部分がございますので、家庭、地域との協力が不可欠であると考えております。こういったことから、いわて型コミュニティスクールの取り組みの推進とか、あるいは保護者や地域と協働する学校経営の実現、こういったものを目指してまいりたいと考えております。
 さらに、学校における教職員の教育相談に関する資質の向上、あるいは生徒指導体制、相談体制の充実、そして、これらに絡むさまざまな研修などによりまして教職員の資質の向上に取り組むとともに、不登校生徒の予防とその対応のためにスクールカウンセラーや相談員などを配置しまして、児童生徒が不登校にならないよう……
〇新居田弘文委員長 簡潔にお願いします。
〇田村学校教育室特命参事(続) 予防的対応の充実を図っていくこととしております。
〇及川あつし委員 中退者、不登校生徒につきましては、個々の事情がいろいろあると思うんですけれども、今、御答弁あったように、ある程度類型化できるのではないかと思っております。その類型化する分析の中で、現場の問題というのが相当数含まれていると思いますので、私も4年たってまたこちらでいろいろ調べさせていただきましたが、大分対応が従前よりも充実してきていると思いますけれども、一人一人の人生がかかっている問題でありますので、御対応方お願い申し上げたいと存じます。
 退学者、不登校生徒については結構でございます。以上、答弁は求めません。
 学力についていろいろ御答弁ありましたが、まず、なぜ学年が上がると学力が下がるかという御質問を申し上げましたら、小学校から中学校において変化があると、教科担任に変わるからだと。これはどこも同じであります。岩手県だけがそういう状況だから全国最下位レベルと言われる学力にあるのではないのではないかと私は思っておりまして、そういう御答弁の認識であれば、大変生意気かもしれませんけれども、ぜひ認識を変えていただいて、しっかりと御対応をさらにお願い申し上げたいと存じます。
 まず、この学力の対策に関していえば、私も端くれにいる一人として、間違っているかもしれませんけれども、私が感じている現場の状況について申し上げますので、所感があればお聞かせいただければと思います。
 まず、本県で学力が低いいろいろな理由があると思いますが、その一つには、学校の教科書を進める進度が非常に遅いのではないかということを感じております。また同時に、反復練習させる機会が著しく少ない。そして、子供に自信をつけさせようとする余り、ふだんのテストの問題が簡単過ぎる、だからちょっとした変化球の問題に対応できないということが私は現実としてあるのではないかと思っております。
 うちの県は、先ほど教育長がすばらしい答弁をされたと思っております。子供が悪いわけではない、能力がないわけではない、先生たちの志もある。仕組みが悪いのであります。ここを共通認識として、今いろいろやられておりますけれども、さらに対応を進めていただきたいと思うわけであります。
 2点目に申し上げたいのは、県政課題貢献人材育成事業であります。
 私は、これをいろいろ勉強させていただきましたが、正直言って、頭が悪いのかもしれませんが、理解ができません。それは、事業目的には、きょうも御答弁でありましたけれども、医師を養成する、弁護士さんを養成する、研究技術者等を養成する、この目的を掲げていながら、事業の指標では、答弁にもありましたけれども、医学部の学生さんが何人ふえたか、ここはわかります。その次の指標は、なぜか難関大学、そして先ほどの答弁では、東北大学が何人、そして国公立大学が何人、一体何の事業目的のこれは事業なのでしょうか。もし緊急の県政課題のためにこういう事業をやるのであれば、きょう御答弁で一部、知事部局とも連携していくということがありましたけれども、医大も本県枠をふやしていくということでありますので、今、大学入試というのは物すごく専門化しておりますので、緊急課題でありますから、岩手大学の入試を受ける子供たちに、これは学校をたった6校に絞ってやっている事業でありますから、全県に広げてしっかりやるとか、また、本県は弁護士さんが2万2、000人に1人ですか、たった62名、これは非常に少ない状況です。弁護士さんを養成するのであれば、これは法学部でありますし、もっと幅広く言えば、岩手大学に法科大学院をつくる動きももっとあってもよかったかなといういろいろな部分もあります。
 事業目的と、そして指標の立て方がばらばらで、しかも最終的にはたった6校の生徒にしかやっていない。多分私がこれを聞くと、御答弁では、対象を広げて14校の子供も参加していると言うと思いますけれども、たった年間2回の授業であります。すそ野を広げるというのであれば、この事業の名前というのは、私はちょっとどうかなと思います。委員会質疑も全部拝見しましたが、おかしいのではないかなと私は素朴に思っておりまして、この事業を、3カ年ということでありますけれども、いろいろな観点からぜひ見直しをお願い申し上げたいと思いますが、御所見があればお願い申し上げます。
〇小岩首席指導主事兼義務教育担当課長 今、委員から三つの点についてお話がございました。
 その中で、授業の進度が遅いのではないかということがございます。これは、各学校、子供たちの実態、状況に合わせながらカリキュラムを編成したり進度を決めますので、確かに、例えば全体的には進度が遅い学校あるいは学級があるということはそのとおりかもしれません。ただ、学級担任あるいは学校としては、自分の子供たちの実態をよくつかみながら、例えば時間をかけるところはかける、そうでない部分もあるとは思いますが、そういう形で各学校ではやっていただいていると思っております。
 それから、反復練習が少ないという部分につきまして、これは確かに、非常に1時間の授業の中では反復練習を確保する時間もなかなか難しい部分がありますので、そのとおりではないかと私も感じております。その分をどこかで回復しながら反復練習あるいは復習、その他をやるような機会をつくっていかなければならない部分もあるだろうなと感じております。
〇熊谷主任指導主事兼高校教育担当課長 県政課題貢献人材育成事業は、生徒一人一人の進路希望の実現を図りながら、同時に県政課題に貢献できる人材を育成することを目指しているものでございます。医師や弁護士の育成は県政の課題ではございますけれども、将来の県勢の発展を考えたとき、さまざまな分野で高度な先進的知識や技能を身につけた人材を育成することも大切な視点であると考えております。そのため、この県政課題貢献人材育成事業は、医師や弁護士など高度で専門的、かつ先進的知識や技能を身につけるため、各界から高い評価を得ている、いわゆる難関大学への進学を志す生徒の進路実現に取り組む学校の取り組みを支援するものでございます。
 また、事業の推進に当たりましては、生徒の進路希望を大切にしなければならないことから、生徒や学校の進路希望の実情等を勘案した総合的な指標といたしまして、難関大学の合格者数を指標と設定したものでございます。
 なお、事業対象校につきましては、医学部と法学部の合格者を含めた難関大学合格者数だけではなく両学部の合格者数についても調査を行っており、本年度につきましては、医学部、法学部とも前年度以上の成果をおさめております。
 もう一点でございますけれども、確かに委員おっしゃるとおり、年2回の合同授業ということで、なかなか成果を上げることが難しいのではないかという御指摘でございました。しかし、昨年度実施いたしまして、多くの高校生たち、互いに他校の生徒と机を並べながらいろいろ進路についての話し合いを深める、そういった中で非常に意識を強めてきていることも確かでございます。例えば、ことし8月に行われました超難関大学講座、これは医学部ですとか東京大学を目指している生徒を対象とした講座でございますけれども、102名中、対象校以外から9校、19名の生徒が参加しております。この中には私立高校の生徒も1名参加してございます。また、県北沿岸地域人材育成事業の5校の合同授業が9月に行われましたけれども、322名中、対象外の高校から2校、25名が参加しております。
 二つの事業以外の支援事業といたしまして、進学目標達成推進事業、さらには、夢と活力あふれる学校づくり支援事業等で支援を行っているところでございます。
〇及川あつし委員 いろいろ御答弁をいただきましたが、であれば、この政策目的にこういう表現を使わなければいいのではないかと思いますし、ぜひ忘れてほしくない視点は、この6校以外にも多くの夢を持った生徒さんたちがいるということであります。この6校以外の子供さんたちがどういう認識でこの事業を見ているのかという視点もぜひ頭に入れながら事業を進めていっていただきたいと思うわけでありますし、先ほどから答弁で難関大学とか超難関大学とかいろいろ言いますが、では、定義は何かとかいろいろ聞きたいわけですが、きょうは聞きません。全体のボトムアップをするということが私は学力の対策だと思いますので、一部の生徒をつまんで上に差し上げることが教育の本来の目的ではないと思っておりますので、非常にこういう違和感がある事業についてはいろいろ改善方をお願いしたいと思いますし、もしこういう政策的な費用があるのであれば、先ほど答弁にもあったと思いますけれども、本当に今、大学受験が専門化しておりますから、ぜひそういう専門的な知識を持った公立学校の先生を特別に養成するとか、そういう方法をぜひ考えていただきたい。首をひねっておりますけれども、いろいろやっていただきたいと思うわけでございます。
 その他につきましては、適宜また提言させていただきますので、よろしくお願いします。
〇伊藤勢至委員 当該委員でありまして、委員会あるいはきょうの委員会で必ずだれかが触れるのかなと思っておりましたが、出なかったので、あえて言わせていただきたいと思います。
 不登校とかうつ病の問題につきまして、重大な視点が欠けているのではないかと思います。といいますのは、小学校高学年から中学校あるいは高校等に移っていく年代は、人生において一番肉体の変化が大きい時期であります。男性は、まず、あちこちにひげが生えてきます。それから、女性も体が丸くなってくる。そういうことによって、我々が小さいころは、家庭にふろがありませんでしたから大体銭湯でしたし、遊ぶ相手はいつも町内の悪餓鬼を先頭に何人かで組んで遊んでいたものでありますが、今は1人、2人で、組んで遊ぶということがなくなりましたので、仲間のそういう体の変化等について見ることが多分なくなったのだろうと思っています。そういう中で、体は栄養がよくなってきてどんどん大きくなってきていますが、心、そういったことを受け入れるという部分について、のみ込めない部分があるのではないか、このように思います。
 しかし、大事な子供たちでありまして、このころに自我が目覚めて、そして自尊心が育ってくる。そういうときに自分の体の変化について口の悪い仲間というか友達とかに言われたような場合、相当傷つくのだと思うんです。したがいまして、学校の授業が難しくなるとか、それについていけないとか、その以前に、そういったことで心を閉ざしてしまうというか、悩んでしまって相談をするところがないということがあるのではないかと思っております。
 これは非常に微妙な問題でありまして、学校だけではないことだと思います。家庭にあってもですけれども、ただ、子供同士の社会をつくっていくという部分が少なくなってきた際に、いろいろな相談やなんかの場合の窓口をそういったところまで気配りをしていただいて、そういうことで投げかけをするということによって、せっかく開きかけた芽が閉じることのないような対応ができるのではないか、このように思います。
 しかも、ちまたにはネットから初め、いろいろな性の情報があふれているわけでありまして、そういう中で、全く純粋に育ってきて体が変わっていく時期にどう理解したらいいのかというのがわからないということがもしあって、そのことで自分の心を閉ざして相談ができなくて、こういうことになっているのであれば、そこにやはり手を差し伸べるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
〇田村学校教育室特命参事 不登校とかいじめとか、そういう現象面だけの理解ではなく、もっと根本には、児童生徒の成長段階、発達段階、よく思春期になりまして、体の成長あるいは心の成長に伴っていろいろ変わってくる。そういったことについて、従前は、異年齢─年齢の異なる子供たちと同時に遊ぶことによりましてそういった体の変化、心の変化をお互いに見る、あるいは体験する、そういうことがあったと思います。ただ、最近は子供が少なくなってくるとか、あるいは外で大きく遊ぶ、そういった経験を積むことが非常に機会として少なくなってきている。委員御指摘の点、大変重要なところだと考えております。
 現に、スクールカウンセラー等々にいろいろな相談をする際に当たりましては、今申し上げたようなことについても確かに御相談をお受けして、それなりにきちんと体の成長段階にあることとか、そういったものを踏まえた上で生活の指導をさせていただいております。
 私ども、生徒指導に当たりましては、屋外での集団活動も取り込みながら、学校においてそういった視点での教育をするように、こういった観点から指導を続けてまいりたい、そのように考えております。ありがとうございました。
〇新居田弘文委員長 当該委員でございますので、御配慮の上、質問してください。
〇斉藤信委員 本当に簡潔に聞きますので。
 一つは、少人数学級の拡充を求める請願がさきの本会議で全会一致で採択されました。子供や父母や教師の大変大きな願いであります。教育長として、この間の取り組みの成果を含めて、どう受けとめているかお聞きします。
 二つ目は、全国学力テストについてです。
 昨年来準備をされて、4月に実施された全国学力テストは、中学校での修学旅行の準備や家庭訪問と重なったり、事前に類似問題の学習が行われたりと、少なからず学校現場に混乱をもたらしました。その報告は、半年たってもまだ報告されていない。私は、これでは全く効果がないのではないかと思います。こうした現場の実態を県の教育委員会としてどう把握して、そして、こういう現場に混乱をもたらすようなものはやっぱり中止を求める、見直しを求めるということが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
〇相澤教育長 少人数学級についてお答え申し上げます。
 昨年度から1年生、今年度から2年生に35人学級を導入しております。それぞれ昨年8月、ことし8月に成果について調査を行っておりますけれども、個別指導のための時間がふえている、集中して授業を受けられるようになってきている、落ち着いた学校生活を送ることができるなどといった形で、学習、生活両面において成果が上がってきているのではないかと現時点では把握しております。
 今後、この取り組みをどう広げていくかということでありますけれども、こういった少人数学級の成果の検証、あるいは少人数指導のあり方の検証など、あるいは今後の財政負担のあり方も十分考慮に入れていかなければいけないと思っておりまして、そういったことを総合的にもう少しよく勉強させていただきたい、検討させていただきたい、このように考えております。
〇小岩首席指導主事兼義務教育担当課長 全国の調査の問題点、課題等についてでございますが、全県的な調査等での把握はしておりませんが、私どものほうで把握しておりますことにつきましては、委員御指摘の、例えば学校の行事との関係の部分、それから、意識調査の項目数がちょっと多いかなという項目数の部分、あるいは、実施に関する問い合わせ、いろいろなことがあるわけですけれども、それとシステムの不備の部分等について課題があったのではないかととらえております。
 これらの件につきましては、文部科学省の担当者の会議等がございますので、そこで改善を求めるように伝えております。
〇斉藤信委員 これで最後にします。
 実は、全国学力テストですけれども、これは、昨年6月20日の事務次官通知でこう指摘しているんです、本調査の結果が学力の特定の一部分であることを明示することと。せいぜいそういうことなんですよ。ところが、結果数値が出ますと、どうしてもこれがひとり歩きしてしまう。私は、全国学力テストというのはほんの特定の一部の評価であって、しかし、それで県レベルで違いが出る、市町村レベルで違いが出たら、結局次の年、それを是正させる競争になってしまう。東京はそれをやって大変今、大混乱に陥っているわけです。東京の大混乱した事態をどう受けとめているか。
 もう一つ、本当の最後ですが、実は、学校現場では、県の学習定着度調査が行われています。NRT、CRTのこういうテストも行われています。さらに、市独自のテストをやっているところもあります。まさに現場は、こういう特定の一部分のテスト漬けになっているのではないでしょうか。そのために授業が削られる、しっかり子供たちの基礎学力をつける努力が中断させられるという大変私は切実な声を聞いていますが、このテスト漬け教育を本当に打開する必要があるのではないでしょうか。
〇小岩首席指導主事兼義務教育担当課長 最初の、この調査の内容が学力の一部分であるということにつきましては、そのとおりであると思っておりますし、また、学力はもっとさまざまなものから成り立っているものですので、そのとおりだろうというふうに感じております。
 それから、県の調査、その他さまざまで調査漬けになっているのではないかということでございますが、県の学習定着度調査も、私どもでは学力定着度の状況の把握等という目的を持ってやっております。それから、あるいは市町村でやられているものもまたそれぞれCRTにはCRTのものがございますので、それぞれ子供たちの実態を調査するために行っているものでありますので、負担になる部分はあるのかもしれませんけれども、所期の目的を達成できるように県の調査等もやってまいりたいと思っております。
〇新居田弘文委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇高橋比奈子委員 特別支援教育に関連して、支援を進める上で付随して心配される可能性のあることを、事例を一つだけ出して1点だけお伺いしたいと思います。
 数年前に、発達障害に該当するお子さんが自分の学区の小学校には通学できずに、隣の学区に行ってくれと言われまして通学をしていました。1年後に子供さんが落ち着いて、非常にいい対応を学校もしてくださったので、隣接する児童館に預かっていただいてパートに出ようと思って行ったところ、その児童館では、学区外なので受け入れられないと。教育委員会に行ったら、それは福祉の問題だと。福祉に行くと、もう決まっているのでお受けできないとたらい回しになったことがありました。
 私がお伺いしたいのは、教育委員会が進めていく上で、必ずいろいろな問題にぶつかると思うんです。そういうことに関してどういう対応を教育委員会が今後してくださるのかということを伺いたいと思います。
〇及川主任指導主事兼特別支援教育担当課長 先ほど途中の御答弁でも申し上げましたけれども、障害のある子供たちの学校生活、それから社会での生活、さまざまな困難がまだまだあり、それから、社会全体が一致して理解して進めていかなければならないところがたくさんあろうかと存じております。ただいまの問題のようなことにつきまして、私どもからすれば、学校の側から申し上げれば、同じ学校の中に在学をさせたのであれば、その学校の子供たちと同じような扱いになってほしいと願うわけですけれども、例えば、今の例でいえば児童館の側、市町村においてどのような規則なりどのようなルールがあってその児童館が運営されているのかといった具体のことが今のお話ではわからないのでこの場でのお答えはできないんですけれども、いずれにしても、そうした形で福祉と切り離せない課題を抱えた分野だということについては重々認識しておりますので、そうした具体の事例がございましたら、さまざま情報をお寄せいただきながら、関係機関と情報交換しながら、あるいは関係する市町村等のほうにも、部局を超えて連携をし合えるような体制を整えることを働きかけることをしながら課題解決を進めてまいりたいと思っております。
〇高橋比奈子委員 今、大変いい御答弁をしていただいたと思うんですが、働きかけるというのではなくて、教育委員会が中心になって、各市町村とか福祉の窓口とか、そういうところにお話をしていただかないと、学区外に行ったので、福祉部門では関係ないから私たちは受けられないとはっきりと福祉部が言ったんですね、この場合は。教育委員会に行くと、福祉の問題だとたらい回し。今、関係団体と調整したいとおっしゃいましたが、調整するところをちゃんと決めていただいて、そしてきちんと対応をしていただき、放課後の子供たちのこと、家庭との連携なども含めたところまで支援をしていただかないと、これは本当に教育の支援ということにはつながらないと思うので、そこをしっかり意識的に持って、連携をするときにどこがきちんと指導していくかということを決めていただいて対応していただきたいと思います。その点だけお願いします。
〇及川主任指導主事兼特別支援教育担当課長 当然、在学期間中のことであれば、その支援の中心の役を担うのは学校でございますし、それを支援するのは教育委員会の仕事でございますので、そうした点で、今、御指摘があったように努力をさせていただきたいと思います。
〇新居田弘文委員長 ほかにございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇新居田弘文委員長 質疑がないようでありますので、教育委員会関係の質疑をこれで終わります。
 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後4時57分 休憩
午後5時14分 再開
〇嵯峨壱朗副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、警察本部長に警察本部関係の説明を求めます。
〇三枝警察本部長 平成18年度の警察本部関係の決算について御審議をいただくに当たり、まず、警察業務の推進状況について御説明を申し上げます。
 県警察では、県民の安全と平穏な生活を守るため、昨年の運営重点の基本姿勢を県民のための力強い警察と設定し、地域社会との連携を図りながら、活動重点として掲げた身近な犯罪の抑止、交通死亡事故の抑止、少年非行の防止、悪質・重要犯罪の徹底検挙、テロ、災害等突発重大事案対策の推進の5項目に取り組んできたところでございます。
 県内の治安情勢を見ますと、昨年は刑法犯認知件数が1万90件と平成14年以降5年連続して減少している一方で、刑法犯検挙率は、前年比3.5ポイント増の41.6%と、数値的には一定の改善傾向が見られます。しかしながら、昨年は、洋野町で発生した強盗殺人・死体遺棄事件や一関市で発生いたしました強盗殺人事件が相次いで発生したほか、本年に入ってからも、一関市東山における強盗殺人事件が発生するなど、極めて憂慮すべき状況にあります。
 また、昨年は、交通事故による死者数、負傷者数とも減少し、特に死者数にあっては76人と46年ぶりに2けた台に減少したところでありますが、本年に入り、発生件数、死傷者数とも増加しており、特に死者数は昨日現在で81人と、増加数、増加率とも青森県に次いで全国ワースト第2位となっております。
 こうした中、平成19年における県の施策に対する県民意識調査においても、犯罪への不安が少ない地域社会や交通事故の少ない社会に対する重要度、ニーズ度がともに上位になっているなど、県民は、良好な治安回復を強く望んでいる状況にあります。
 県警といたしましては、こうした諸情勢を踏まえ、昨年12月に策定いたしました岩手県警察総合治安対策プログラムに掲げる7項目を柱に、自治体、関係機関を初め、県民の皆様と連携した総合的な治安対策を推進し、県民の安全・安心な暮らしの確保に今後とも組織の総力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
 それでは、決算について御説明申し上げます。
 お手元の平成18年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをごらんください。第9款警察費の歳出予算現額は294億5、529万円余で、これに対する支出済額は292億5、046万円余で、執行率は99.3%であります。支出済額は、前年に比べますと1億1、319万円余、0.4%の減となっております。
 なお、翌年度繰越額は、警察情報管理システム整備事業の4、895万円余となっております。
 不用額は1億5、588万円余で、退職手当等の人件費が主なものであります。
 次に、平成18年度歳入歳出決算事項別明細書により、各項目ごとに御説明申し上げます。
 なお、項目ごとの金額の読み上げは省略させていただきますので、御了承をお願いいたします。
 312ページをお開き願います。第1項警察管理費第1目公安委員会費は、公安委員3名の委員報酬及び活動経費であります。第2目警察本部費は、警察職員の給料、職員手当などの人件費が主なもので、この中には、交番相談員、警察安全相談員などの非常勤職員経費、警察情報管理システム経費などが含まれております。
 なお、平成18年度における警察官は20人増の2、101人に、交番相談員は5人増の24人に、警察安全相談員は1人増の13人にそれぞれ増員されております。
 第3目装備費は、犯罪捜査や災害対策などに対応するための警察装備の経費で、警察車両の購入や車両、警備船、航空機などの維持管理に要した経費であります。次に、314ページをお開き願います。第4目警察施設費は、治安の基盤をなす警察署、交番、駐在所などの警察施設の整備や維持管理などに要した経費であります。この中には、機動隊庁舎の移転新築のための用地造成工事費9、876万円余が含まれております。第5目運転免許費は、自動車運転免許試験、免許更新、行政処分などに要した経費でありますが、この中には、道路交通法の一部改正による中型免許の新設に伴う試験車両の整備経費1、967万円余が含まれております。次に、316ページをお開き願います。第6目は、恩給及び退職年金費の経費であります。
 第2項警察活動費第1目一般警察活動費は、110番通報を処理する新通信指令システムなどの警察通信施設の維持管理経費、犯罪被疑者の警察留置のための食糧費等の経費が主なものであります。第2目刑事警察費は、少年非行防止や子供の安全対策などの安全・安心のまちづくり事業に要した経費、犯罪捜査に要した旅費等の活動経費、捜査機器の設置、リース等の経費であります。次に、318ページをお開き願います。第3目交通指導取締費は、交通安全活動や交通指導取締活動に要した経費、交通事故の防止と交通の円滑化を図るための交通安全施設の整備、維持管理に要した経費のほか、道路交通法の一部改正に伴う違法駐車対策事業に要した経費であります。
 以上のとおりでありますので、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇嵯峨壱朗副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇佐々木博委員 私から、自転車の交通安全について伺いたいと思います。
 今、自転車は非常に環境負荷の少ない乗り物だということで、温暖化対策にも寄与するということ、それから健康志向などもありまして、大変利用している人が多いわけであります。特にも、朝晩の通勤・通学時間帯には大変自転車を利用している方が多いわけであります。非常に便利な乗り物ではありますけれども、最近、自転車が危ない、危険だといった声も実は随分寄せられております。
 どういうことかといいますと、歩道を自転車が走るわけなんですけれども、特にも、今ですと夕方大分暗くなってきますが、歩道を並列で、並んで自転車で、しかも無灯火だったり、あるいは携帯電話をかけながら自転車で来たりしまして、本来、歩道を歩いている方々が非常に身の危険を感じるというお話がいろいろなところでよくされるわけであります。実際思いますけれども、そういった歩道を走ることによって、最近、自転車の事故がふえているのではないかと思うんですが、現状どのようになっているのか、まずそのことについてお伺いしたいと思います。
〇菊地交通部長 県内の自転車の関連する交通事故の発生状況につきまして、9月末現在でありますが、発生件数が493件、昨年同期比プラス33件、死者数が4人で、これは同期比マイナス1人。それから、傷者数が492人で、これも同期比プラス29人ということで、死者を除いて、発生件数及び傷者数が増加しております。
 これら自転車の関連する事故の大半は対自動車でございまして、自転車対歩行者の事故は4件となっております。
〇佐々木博委員 歩行者との関係の事故は県内は少ないようですけれども、統計を見ますと、全国的にはふえていると伺っております。
 ことし6月に道交法の一部が改正になりました。要するに、歩道を自転車で走れるところが一部ふえるというような改正だと伺っておりますけれども、実は、自転車にかかわるいろいろな団体は、むしろ歩道と自転車は分離したほうがいいということで署名運動をして国会に陳情した経過もあったわけでありますが、道交法の改正はそのようにはならなかったようであります。
 いずれ今度のこの道交法の改正で、自転車の走行についてどういった部分が変わったのか、その内容についてお示しいただきたいと思います。
〇菊地交通部長 自転車に関連する道交法の改正についてでございますけれども、これは、御案内のとおり、本年6月に一部の改正が公布になりました。歩道通行に関する規定が整備され、平成20年6月19日までに施行される予定となっております。
 その概要につきましては、自転車の車道通行の原則を維持しつつ、歩道通行することが可能な場合として、これまでの道路標識等で指定された場合に加えまして、自転車の運転者が児童、幼児などの場合、それから、車道または交通の状況から見てやむを得ない場合も歩道通行ができることにされております。
〇佐々木博委員 自転車が歩道を走れる範囲が拡大することのようでありますし、実際、児童なんか、車道を走れというとやっぱり危険を感じますから、その辺はよく理解もできるわけでありますが、ただ、一般に走っているのを見ますと、ほとんどの方が自転車通行可でない場所であっても歩道を走っている方が随分多いんですね。そういった点では、自転車のマナーというものがよく守られていないのではないか。やはり、それは身軽にだれでも乗れるというところに一つの問題点もあると思いますけれども、そういった点で、交通事故、自転車とはいえ人とぶつかりますと場合によっては本当に大きな事故を起こすこともありますし、そういった点では、やはり一つには交通安全教育の徹底というものが求められるのではないかと思うわけであります。今現在、交通安全教育の現況はどのようになっているのか、また、今後、道路交通法の一部改正によると、取り締まりの強化などもうたっているというふうに聞いておりますけれども、今後、交通安全教育のあり方についてどのようなお考えを持っておられるのか、その辺について見解を伺いたいと思います。
〇菊地交通部長 自転車利用者に対する交通安全教育の実施状況でございますが、これも9月末現在でございます。小・中・高校における自転車マナーアップモデル校として指定しての教育も実施しておりますし、それから、一般的な交通安全教室などを含めまして、小・中・高校生に加えて、成人、高齢者に対する教育が332回、3万7、000人余の方に対して実施しているところでございます。
 自転車の安全教育のあり方につきましては、警察だけでは限界がありますことから、市町村、学校、交通安全協会などの関係機関・団体と連携しながら、交通安全教室の開催など、あらゆる機会を通じまして自転車通行ルールの周知徹底を図ってまいりたいと思っているところでございます。
 それから、取り締まりの関係でございますが、強化しているところでございます。これも9月末現在、非常に悪質な自転車の飲酒運転を2件検挙しているところでございますし、それから、無灯火とか2人乗りについて7、880件警告しておりまして、引き続き街頭における指導取り締まりを強化していくこととしているところでございます。
〇佐々木博委員 盛岡市ですけれども、盛岡市自転車の安全等利用促進に関する計画というのを策定しまして、盛岡市自転車の安全等利用促進に関する条例もまた制定するということで、今、パブリックコメントをやっているようであります。大変いいことだと思っておりますけれども、ただ、自転車の安全というのは、基本的には、警察以上に道路管理者が、自転車の安全対策でどういった道路空間をつくっていくかということが本当は一番問われる問題だろうと思っております。
 そこでお伺いしたいわけでありますが、多分ことし2月だと思うんですけれども、警察では、自転車で走行する場合、危険が考えられる場所について、箇所を限定して、そして道路管理者と連携して対策をとってほしい、そういった要請が出ていたはずですけれども、本県の場合、何カ所ぐらいそういった箇所があるのか、そのことについてお伺いしたいと思います。
〇菊地交通部長 ただいまの件につきましては、本年4月に県内全域で自転車走行に係る危険箇所の調査を行っております。例えば、106号の市役所からバスセンターまでの300メートルの間とか、これは交通量が多いとか、それから環状線の関係で川久保から旧仙北交番までの間350メートルとか、こういったところを県内343区間、危険箇所として抽出しておるところでございます。
 これに基づきまして、道路管理者などと協働してさまざまな対策等をとっていくこととしているところでございます。
〇佐々木博委員 これで最後にしますけれども、今、東大通とか下ノ橋の通り、一方通行の通りですけれども、車線を少し狭くして色を塗って自転車道をつくっているんですね。それから、館坂橋なんかも自転車道をカラーで塗って、大変自転車の走行上、非常によくなっています、盛岡市だけの例ですけれども。盛岡市内の自転車専用道路というのは実は2.8キロしかなくて、市内の道路延長の約0.2%しかないんですね。それから、自転車走行可としている歩道の延長が43.9キロ、これは市内の歩道延長の約20%になっているようであります。
 いずれ、大変環境にもいいということですし、それから、盛岡市内は割と平たんだということで、ほかの都市と比べても自転車の利用者が多いと言われているわけでありますけれども、そのためには道路空間の整備がこれからますます私は必要になってくるだろうと思います。そういった点では、道路管理者と警察との連携が今まで以上に大切ではないかと思うんですが、その取り組みについて、お考えがあればお伺いしまして私の質問を終わります。
〇菊地交通部長 道路管理者等との連携につきまして、本年10月1日付で、警察本部ほか国土交通省の東北地方建設局とか、それから県の県土整備部とか、盛岡市の建設部とか、こういったようなところで岩手県自転車通行環境整備推進連絡会議を設置しているところでございまして、こういった会議を通じまして、以後、自転車対策を強化してまいりたいということで考えておるところでございます。
〇熊谷泉委員 冒頭、本部長のほうからもことしの交通事故死亡者のお話が出ましたが、それに関連して質問させていただきます。
 交通事故、それから交通死亡の発生状況でございますが、二つほどまとめてお伺いします。
 昨年同期に比較してどうかということと、先ほど青森の話が出ましたが、東北6県の状況と、特にことしの発生要因で特徴は何か、お知らせ願いたいと思います。
〇菊地交通部長 県内の交通事故の発生状況につきましては、これも9月末現在でございますが、発生件数が3、927件で、昨年同期比プラス106件、それから死者数が76人でプラス26人でございます。それから、傷者数が4、928人で、これもプラス135人となっております。いずれ増加しているところでございます。
 東北6県の交通事故の死者数につきましては、福島のみが減少でございまして、他は軒並み増加している状況でございます。
 それから、県内の交通死亡事故の増加の主な要因といたしましては、著しい高齢化の進行によりまして高齢者の関係する事故が増加しているということでございます。それから、都市間の距離の長さに加えまして比較的郊外の交通量が閑散だということから、車両の走行速度、事故直前における速度が高いということで考えているところでございます。
〇熊谷泉委員 非常に昨年に比べて多いわけですが、もう、ことし下期を残すところになっていますが、これらは具体的にどういう方法で防いでいくのか、お知らせを願いたいと思います。
〇菊地交通部長 交通死亡事故の抑止に向けましては、引き続き高齢者宅を訪問しての事故防止指導や参加・体験型の交通安全教室など、高齢者に重点を置いた事故防止活動を進めているところでございますし、それから、やはり速度が高いということで、速度違反取り締まりの強化からの速度抑制対策、それからシートベルト等、違反取り締まりや着用啓発等の被害軽減対策を推進してまいりますとともに、これからの時期、薄暮時間帯の死亡事故が増加するという傾向にございますので、関係機関・団体と連携いたしまして、ライトの早目点灯の街頭指導、それから、歩行者への反射材着用の呼びかけなどの活動を強化いたしまして、交通事故を抑止してまいりたいと考えておるところでございます。
〇熊谷泉委員 それでは、その件についてはよろしくお願いいたします。
 それでは、次に飲酒運転についてお伺いをいたします。
 昨年と比較して検挙率はどうなっているか。それから、今、特に問題になっている公務員の検挙についてどうなっているか、2点お伺いいたします。
〇菊地交通部長 飲酒運転の検挙状況につきましては、これも9月末現在でございますが、総数で502件を検挙しておりまして、前年比マイナス561件となっております。
 内訳につきましては、酒酔い運転が14件で、これも前年比マイナス7件、酒気帯び運転が488件で、前年比マイナス554件ということになっております。それから、公務員の飲酒運転の検挙状況につきましては、9月末現在で8人となっておりまして、昨年と比較しまして11人減少しているということでございます。
〇熊谷泉委員 数そのものは少なくなっているようですが、特に公務員の中では私ちょっと資料を取り寄せましたら、知事部局におきましては、去年は免職になった方がなかったんですが、ことしは2人既にもう免職が出ている。それから、教育委員会のほうに関しては、去年免職3人だったんですが、小・中学校がもう3人、それから県立高校が1人ということで4人、まず全県を挙げてこれに対処しなければならないわけですが、今後の飲酒運転の撲滅とキャンペーンをどう対処していくか、お伺いをしたいと思います。
〇菊地交通部長 飲酒運転根絶に向けた今後の対策につきましては、飲酒運転に対する取り締まりを強化してまいりますとともに、交通安全関係機関・団体、飲食店、酒類販売店等と連携いたしまして、飲酒運転の危険、罰則強化等の周知広報、それから飲食店を訪問しての協力依頼、飲食店、酒類販売店等による来店時におけるかぎの預かりやハンドルキーパー運動などの対策を強力に推進し、飲酒運転の撲滅を図ってまいりたいと考えているところでございます。
〇熊谷泉委員 これから年末にかかるわけですので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、県内における暴力団の状況は今どうなっているか、最近、全国的に銃撃事件が起きているわけですが、その動向についてお知らせを願いたいと思います。
〇細田刑事部長 最初に、暴力団の情勢についてですけれども、全国的には、昨年末で21団体、約8万4、000人の暴力団員が把握されておりますが、県内では、本年9月末現在で15団体、385人を把握しております。このうち、山口組系、住吉会系、稲川会系の主要3団体で全勢力の95%を占めております。これは全国傾向と同様でございます。
 県内の暴力団犯罪の検挙状況につきましては、本年は、9月末現在で覚せい剤取締法違反、傷害など59人、110件の検挙となっております。また、拳銃発砲事件につきましては、全国では本年6月末現在で33件発生しておりますが、県内では平成12年の10月に、盛岡市内の国道で元暴力団員による発砲事件が発生した以降、発生がございません。
 県警察といたしましては、昨年3月に刑事部内に組織犯罪対策課を設置しております。各種法令を駆使した暴力団犯罪の徹底検挙、関係機関・団体と連携した暴力団排除活動などを強力に推進しているところでございます。
〇熊谷泉委員 県営住宅の入居条件にもいろいろ条例がつくられているところでありますが、その点もよろしくお願いしたいと思います。
 最後になりますが、今、全国的に問題になっています犯罪の広域化あるいは外国人による犯罪、そしてIT関連の犯罪、それらの防止等について、今、県でとられている対策をお知らせ願いたいと思います。
〇齋藤生活安全部長 まず、一般的な犯罪防止への取り組みについてお話しいたします。
 当県におきましては、刑法犯の認知件数が5年連続して減少しておりまして、指数的には治安の改善が見られますが、他方で、殺人事件など凶悪事件や子供に対する声かけ事案が依然として高い水準で発生しており、また、無施錠による被害が全国平均と比べて高い割合で発生している特徴が見られます。この抑止対策として、安全・安心マップによる情報を提供しているとともに、全県的なかぎかけ運動の展開とか、女性、子供が被害者となる性犯罪等の被害防止、防犯ボランティアとの連携によるパトロール活動など、行政、県民、事業者等と一体となった安全・安心まちづくりを推進し、県民の防犯意識の高揚や自主防犯活動の促進を図っているところでございます。
 委員御指摘の広域犯罪あるいは来日外国人犯罪の防止対策につきましては、一般的には、今申し上げました犯罪防止の取り組みの中で実施しておりますが、加えて、広域犯対策につきましては、都道府県警察間での捜査共助とか、あるいは共同・合同捜査並びに隣県警察間での協定とか、あるいは共助等により対応しております。
 また、来日外国人犯罪対策につきましては、入国管理局とかあるいは税関等の関係機関と連携して対応しております。また、インターネット犯罪防止対策につきましては、サイバーパトロールとかメールマガジン等の配信、あるいは防犯教室の開催、相談への対応等を実施しているほかに、10月3日に設立されました岩手県インターネット防犯連絡協議会との連携によりまして、違法有害情報への対応を行っているところでございます。
〇熊谷泉委員 時間もあれですので、おおむねそれらについては、県内では全国に比べてある意味安全ととられますが、県内で起きている凶悪事件についてまだ未解決のものがありますので、全力を挙げて解決するようお願いして終わります。
〇高橋博之委員 私のほうからは1点、交通指導取締費についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 先ほども熊谷委員の冒頭の質問でもありましたが、本格的な高齢社会の到来に伴いまして、高齢者ドライバーが引き起こす交通事故が増加をしております。交通死亡事故の全体に占める割合、65歳以上で半分以上ということであります。今後、中でも懸念をされるのは認知症ドライバーが引き起こす事故であります。結果として、残念ながら御本人の意思とは別に、走る凶器と化してしまうといったような事態も想定をされるところであります。ただ、この認知症、なかなか自覚症状がないなど、把握するのが大変難しい要素もあるんだと思いますが、未然にこうした事故を防ぐには認知症ドライバーを早期に把握をし、適切に対応することが求められると思います。県警として、認知症ドライバーの把握をする方法として、例えば交通取り締まりあるいは徘回保護、交通事故、運転適性相談といった手段があろうかと思いますが、18年度はこれらをどのように把握をしておりますでしょうか、お尋ねをいたします。
〇菊地交通部長 認知症ドライバーの事故件数等につきまして申し上げます。
 御承知のとおり、認知症と判断することは非常に困難でございまして、交通事故現場等で警察職員が判断を行える病気ではないということから、認知症ドライバーの違反件数や事故件数、それから、徘回保護の件数につきましては現在把握しておりません。
〇高橋博之委員 運転適性相談についても今聞いたんでありますが、そこで把握した件は何件かありますでしょうか。
〇菊地交通部長 済みません。認知症に関する運転適性相談につきましては、平成18年は取り扱いはございませんでした。それから、本年は9月末まで5件を受理しているところでございます。
〇高橋博之委員 本年は5件ということでありますが、認知症と判断した場合の対応といたしまして、免許の取り消し、家族が本人を説得して免許を返納させる、また、免許を更新せずに失効させるという三つの対応が想定をされますが、その5件について、それぞれどのような対応をなされたのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
〇菊地交通部長 認知症にかかわる免許の取り消し等につきましてでございますが、平成18年から19年9月末までに、本人が自主的に更新せず失効したもの4件でございます。それから、運転適性相談によるものではございませんが、医師の診断書により認知症と認めて取り消し処分を行ったもの4件の合計8件がございます。自主返納等につきましては、把握をしていないところでございます。
〇高橋博之委員 昨日の報道によりますと、認知症の専門医らで構成する日本老年精神医学会が初の全国調査に乗り出し、調査結果を踏まえて、来春、国のほうに総合的な認知症ドライバー対策を提言するとのことでありますが、本格的な高齢化社会、本県も迎えまして、県警として今後どのような取り組みを行っていくのか、お聞かせをいただきたいと思います。
〇菊地交通部長 認知症ドライバーに対する取り組みでございますけれども、本年6月20日に道路交通法の一部改正で、75歳以上の高齢者が運転免許証を更新する際に、認知機能検査が義務づけられております。これにつきましては、2年以内に施行されることとなっておりますことから、平成21年6月までの導入に向けまして、対応をいろいろしていきたいと思っているところでございます。
〇高橋博之委員 2年後に道交法の改正によりまして、そのような検査の義務化が行われるということでありますが、問題は、75歳以上ということでありますが、75歳以下でもそういった方がいないわけでもないと思うんですね。調べましたら、70歳以上につきましては高齢者講習というものがあるようで、ここでいろいろ機材による運転操作の検査あるいは自動車等の運転実習ということがあるようなので、ここで把握をできると思うわけですが、70歳以下についてはなかなかふるいにかけるような仕組みが、道交法の改正によってもなされないと懸念をされるわけでありますが、いずれ、そうした際に、先ほど冒頭、交通事故の処理あるいは徘回保護のところで、認知症という把握がなかなか難しいというお話ではあったんですが、ここでふるいにかけるしかなくなると思うんです。いずれ、本県は、きのうの保健福祉部だったか医療局だったかの答弁でもありましたが、認知症の方が今3万9、000人、20年には4万2、000人になるというような数字も出ております。高齢化率も高いですし、また、本県の場合は車の運転率、高齢者の運転率も高いので、ぜひとも来年度以降、これまで不十分であったこの交通取り締まりあるいは徘回保護、交通事故の時点で認知症を判断できるような対応をぜひともとっていただきたいと、この点についての御所感をいただきまして終わりといたします。
〇菊地交通部長 いずれにしろ、認知症もこれからの問題だと思っておりますので、いろいろ道路交通法の改正を機に、うちのほうも適正な高齢者講習を初めといたしまして、検査そのものもそうでございますが、いろいろ対応していきたいと思っております。
〇千葉康一郎委員 私からもたった1点だけ質問しますので、どうか簡潔で明瞭なお答えをいただきたいと思います。
 まず、けさの朝日新聞に載っていたことなんですが、自家用車の保管場所標章に張りつける偽造防止用ホログラムシールの販売で、警察庁所管の財団法人日本交通管理技術協会が、年間約4、000万円の差益を得ていたということが報道されました。このことに関連して伺うのでありますけれども、もちろんこの新聞報道は、日本交通管理技術協会と印刷業者との関係であって、直接には県警とは関係ないわけでありますが、偽造防止シールに係ることでありますのでお聞きするものでございます。
 本県においても、自家用自動車の保管場所標章を交付しているわけでありますけれども、この標章の作成はどうなっているか。それから、これに張る偽造防止シール、これは購入しているのかどうかということ、これはどうなっているかということをまずお伺いしたいと思います。
〇菊地交通部長 まず、標章と偽造防止シールにつきましては一体のものでございまして、一体で購入しているということでございます。
 それから、保管場所の標章の購入云々につきましては、全国で保管場所標章を製造している業者が国立印刷局と凸版印刷の2社しかありませんので、2社との見積もり合わせによる随意契約によりまして、18年度につきましては凸版印刷と契約をしているところでございます。
〇千葉康一郎委員 そうしますと、最初から防止シールが張られた標章、これを購入すると。しかもそれは随契でやっていると、こういうことですね。
 これは監査を受けておりまして特に問題はないと思いますけれども、警察庁の所管法人である、今言った日本交通管理技術協会のほうでつくったシールと、こういうことでございますので、これに関係しているんじゃないかと思いまして質問したわけですけれども、そういう内容でございましたので安心しておりますが、いずれ、この標章シール、これは入札等々、正規の方法をもってひとつできればお願いしたいということを申し上げて終わります。
〇五日市王委員 私のほうからも1点だけお伺いをいたします。先ほど来、交通死亡事故、高齢者が大変多いということでございました。高齢者ドライバーの安全対策についてお伺いをいたします。
 先ほど来から数字でいろいろ示していただいていますが、9月末現在で、死者の年代別で見ましても65歳以上が39人で、全体の76人に対して51%。主たる原因者も65歳以上が19人、全体が74人ですから、25%ということでふえているんだと思います。
 以前テレビか何かで見たんですが、全国的にも、10年前と比べれば倍ぐらいに高齢者の事故が多くなっているという報道もあったわけでございますけれども、本県においてその高齢者の事故の推移と、10年ぐらい前と比べて今どのぐらいになっているのかというのがまず1点。
 それと、70歳以上の方でもみじマークをつけますよね。あのもみじマークをつけなければいけない該当者がどのぐらいいて、実際に何人ぐらいつけているものなのかというのをまずはお伺いをいたしたいと思います。
〇菊地交通部長 まず初めに、高齢運転者に関する交通事故につきましてお答え申し上げます。
 10年前である平成9年は、発生件数が489件でございました。昨年、平成18年は発生件数が775件でございまして、10年前の約1.6倍となっておりまして、大幅に増加しているところでございます。本年9月末の高齢運転者の関係する死亡事故につきましては20件ということで、全交通死者数の25.3%ということでございます。
 それから、いわゆるもみじマークの関係でございますが、これにつきましては、これも本年9月末現在ですが、該当者につきましては7万6、889人で、全運転者の9.1%となっております。
 どのぐらいつけているかというような追求は、実はまだ調査しておりませんので、その辺につきましてはよろしくお願いします。
〇五日市王委員 県北地方においては問題点といいますか、先ほど佐々木委員から自転車のお話がありました。県北は自転車のそういう問題というのはほとんどまずないんでございます。県北地方は、実は高齢者の運転が、ちょっと言いづらいんですが、遅いんですね。国道でも県道でも、まず大体20キロとか30キロぐらいで走っているんです。下手すると、トラクターにも追い越されるような状況も実はあったりなんかするんです。佐藤警務課長、二戸でしたから御存じかもわかりませんけれども、そういった状況があって、ある意味危険なわけですね。そこで、きちんともみじマークというものをつけていたりつけていなかったり、あるいは前だけにつけていたり、後ろだけにつけていたりというようなことで、なかなか運転していてそれが認識できないとさらにまた危険だと思うんです。ですから、そういったことに対応するためには、ぜひとももみじマークをつけるのを、しかも前と後ろ、きちんと徹底をしていただけないものかということでございます。特にこれから冬場を迎えますと、さらに速度が落ちるのではないかという懸念もございまして、安全協会なんかでも、例えば蛍光のジャンパーなんかにもいろいろ補助を出して促進したりとかしていますよね。もみじマークもどういう形があるかは別として、そういったものをぜひ徹底してほしいということでございますが、その件に関してお伺いいたします。
〇菊地交通部長 まずもって、先ほど高齢者マークの着用ということでお尋ねがありました。昨年調査したものがございまして、大体30%から47%ぐらいの着用率でございます。これも調査対象が決まっておりまして、そういった着用率になっております。
 それから、普及対策につきましては、関係機関・団体と連携した広報活動や街頭における指導を徹底しているところでございます。このほか、大型量販店、パチンコ店、公共施設等に働きかけまして、施設駐車場に高齢者が優先して駐車できるように、もみじマークを標示した駐車スペースを奨励しているところでございまして、これは県内の47施設、83カ所に設置してございまして、こういったものを通じながら、普及というか着用率を高めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
〇高橋元委員 高橋元でございます。初めてお会いする方がほとんどでありますが、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 まずもって、県民生活の安心・安全のために身を呈して、昼夜、365日、一生懸命精励されておりますことに敬意と感謝と御礼を申し上げます。ありがとうございます。
 近年、全国や本県におきまして凶悪犯罪が多発しており、犯罪の防止と発生した事件の早期解決に向けた体制の整備が重要になってきているところでございます。盛南開発等に見られる新たな市街地形成への対応や、四国4県に匹敵する広大な県土をカバーする体制、あるいは機動性を考慮する上で交番や派出所の設置が多数望まれるところでありますけれども、どのような基準のもと、交番や派出所の設置が進められておられるのか、重要視しているような点についてお伺いしたいと思います。
〇佐藤警務部参事官兼警務課長 本県における交番、駐在所の設置に関しましてお答えいたします。
 本県交番、駐在所の設置につきましては、警察法第53条第5項、地域警察運営規則第15条などに定める交番、駐在所設置に係る基準を参考といたしまして、住民の利便性、当該地域の人口、世帯数及び事件、事故の発生状況等を勘案いたしまして、全県的な見地から総合的に判断することとしております。
〇高橋元委員 そこでお伺いするわけでありますが、これまで各市町村から交番や駐在所の設置についていろいろ要望なされていると思われますけれども、現在どのくらいあるのかお伺いをいたしたい。また、あわせまして、現在、話のありました基準に照らして設置をしなければならないと思われるものは幾つになるのか、そしてまた、警察官の増員等の体制整備、そういったものもあると思いますけれども、今後の設置計画についてお伺いしたいと思います。
〇佐藤警務部参事官兼警務課長 設置要望数と今後の設置計画についてでありますが、平成10年以降、交番につきましては3件、駐在所につきましては6件の設置に係る要望、陳情を受けておりまして、これまでに平成13年4月、水沢警察署管内に常盤交番を新設しております。また、具体的な交番、駐在所の設置計画につきましては、幾つという御質問でございましたが、現在のところお答えできる段階ではございませんが、今後とも、警察施設等の適正な配置、警察力の効率的な運用等の見地から検討を加えまして、交番、駐在所の体制整備に十分配意してまいりたいと考えております。
 なお、増員についての御質問がございましたが、これについては国のほうが関係しておりますので、現在のところ、予定がないとだけお答えさせていただきたいと思います。
〇高橋元委員 決算書を見ますと、交番を設置するには予算が1億円かかるとかあるのでしょうが、多額の予算が必要であるわけですが、近年の凶悪犯罪とか犯罪防止上、順次計画を進めて、計画を立てて設置をお願いしたいと思っているところでございます。
 今、具体的に次の計画はどこになるのかという話もなかったんですが、もし検討されているところがありましたら、ひとつお伺いしたいと思います。
 続きまして、駐在の警察官の活動内容についてでありますが、私もちょっと古い人間でありますけれども、かつては警察官の方が巡回をされて、それぞれの世帯ごとに住まれている家族の確認とかされておりまして、地域の方と顔見知りになっていろいろな情報交換とか提供とかできるような、そういう体制があったように記憶するんですけれども、最近そういうことが活動の一つとしてされているのかどうか。
 特にも、私の住む北上市は、短期滞在型のアパートとか、そういったものがたくさんできておりまして、そこに派遣社員が住んでいるわけです。住民登録もしていればいいんですが、住民登録をしていない方もたくさんいるということがありまして、地域の住民とのトラブル、特にごみの問題とか自治会活動とかそれらも含めて、そういったのも懸念をされますし、また、見知らぬ人が出てきて、犯罪というのも心配されるという声を聞くわけであります。それらも含めてどのような活動になっておられるのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
〇佐藤警務部参事官兼警務課長 先ほども申し上げましたが、今後の交番、駐在所の整備計画についてでございますが、警察施設等の適正な配置、警察力の効率的な運用等の見地から、全県的な視野で部内検討を現在進めておりますが、具体的な整備計画につきましては、現在のところお答えできる段階ではございません。申しわけございませんが、そういうことで御了承をお願いしたいと思います。
〇齋藤生活安全部長 交番、駐在所の勤務者の活動内容についてでございますが、交番、駐在所の地域警察官は、巡回連絡やパトロール等のさまざまな活動を通じて、管轄する地域の実態や地域住民の要望を把握し、地域住民の要望にこたえる活動を行っております。
 主な活動といたしましては、巡回連絡、パトロール、立番等があります。巡回連絡は、家庭、事業所等を訪問いたしまして、犯罪予防、交通事故防止に必要な事項の指導、連絡や住民からの意見、要望等の聴取を行います。パトロールは、事件、事故の発生を未然に防ぐとともに、犯罪を検挙するために行います。立番は、交番等の施設の外に立って警戒を行います。そのほかにも、事件、事故等の発生には初動措置に当たっております。
 今後とも、昼夜を分かたず常に警戒態勢を保ち、さまざまな警察事項に即応する活動を行うことにより、地域住民の安全と安心のよりどころとなり、県民の身近な不安を解消する活動を推進してまいるところでございます。
〇高橋元委員 大変心強い思いをいたして回答を伺いました。ありがとうございます。
 もう一点だけお伺いしたいと思いますが、警察官が増員をされて隅々まで配置をされるというのが一番望ましいわけでありますが、それは難しいということで理解をしております。今、地域にはそれぞれ防犯隊が組織されておりますので、この防犯隊との連携というのが非常に大事ではないかと思っております。そういう中にありまして、青色回転灯を装着できるパトロール車、これが109団体で310台という説明を受けておりますけれども、今後、防犯隊のさらなる組織化を含めてパトロール車というんですか、これも順次増大していく、そのような取り組みを検討されているのかどうか、1点。
 それから、各市町村に交通指導車があるわけであります。これは主に広報に使っているという説明を受けておりますけれども、これをまた活用させていただきながら地域防犯の呼びかけ、こういったものもあわせてできないものかどうか、車の台数をふやすためにも、それらについてお伺いしたいと思います。
〇齋藤生活安全部長 まず、地域の防犯隊を含めた防犯ボランティア団体との連携ということについてお話しいたします。
 防犯ボランティア団体が自主防犯パトロールや子供の見回り活動に資するために、交番、駐在所単位の犯罪発生状況や子供に対して声かけした不審者に対する情報を提供しているほか、警察との合同パトロール、さらに一部ではありますけれども、地域安全安心ステーションモデル地区を指定して活動資器材を提供するなど、防犯ボランティア団体との連携を強化する支援活動を実施しています。その一部でありますボランティア団体につけております青色回転灯、これにつきましては、御指摘のとおりの台数でありますけれども、今後とも、この普及に努力したいと考えております。
 市町村の広報車につきましては、現在、数市町村で実質的に青色回転灯をつけて警戒に当たっております。
 今後とも、許す限り、この市町村に対する青色回転灯の普及にも努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは、最初に捜査報償費についてお聞きをします。
 9月11日に松山地裁で判決がありました。県警の裏金づくりを告発した現職警察官、仙波俊郎氏の報復人事に対する損害賠償訴訟判決、原告勝訴の判決となりました。全国的に問題となった警察による裏金問題が問われた裁判だったわけでありますけれども、県警本部長は、どうこれを受けとめているでしょうか。
 同時に、岩手県警の捜査報償費、国の捜査費、捜査旅費の支出状況、多かった5年前と比べてどうなっているか示してください。
〇三枝警察本部長 委員御指摘の松山地裁における判決につきましては、報道の範囲でしか承知をしておりませんし、同訴訟が現在も係争中であると承知しておりますので、コメントについては差し控えさせていただきたいと思います。
 ただ、一般論として申し上げれば、捜査費を含め予算を適正に執行するということは、警察活動に対する県民の皆様の御理解と御協力を得る上でも大変重要なことであると認識しているところでありまして、予算の不適切な執行があってはならないと考えております。
〇瀬戸警務部長 最初に、捜査用報償費の支出額についてお答えいたします。
 平成18年度は1、782万円余で、多かった平成14年度は3、219万2、000円で、1、437万円余の減少となっております。
 次に、国費による捜査費の支出額につきましては、平成18年度は3、623万2、000円余で、14年度は5、237万円で、1、613万円余の減少となっております。
 続いて、御質問の旅費の支出額についてでありますが、平成18年度の県費旅費の支出額につきましては、18年度が2億1、392万円余で、14年が2億6、489万円余で、差し引き5、096万円の減少となっております。また、国費旅費の支出額につきましては、平成18年が9、774万円余で、平成14年が1億862万円で、差し引き1、088万円余の減少となっております。
〇斉藤信委員 今の県の捜査報償費で言いますと、5年前と比べると55%に激減していると。3、200万円弱から1、780万円ですから、こういう激減というのは特別の理由がない限り私は出てこないと思うんです。それで全国的に警察の裏金問題が問題になって、愛媛の場合は、唯一、現職の警察官がいわば裏金の領収書を書けと言われて、それを拒否したと。拒否した途端に、報復人事で職務を変えられたというので、これは裁判になったケースだったんですね。この松山地裁判決、かかわっているからよく見たらいいんだと思うんですけれども、原判決は、告発内容について真実性を容易に否定できないと。裏金づくりの事実は否定できないと、こういう判決です。私、これをちゃんと受けとめるべきだと思います。
 愛媛県議会は、控訴審の裁判費用を賛成多数で通したそうですけれども、賛成した議員も、愛媛県民はみんな裏金があると思っていると、こういうことが新聞報道に載っておりますから、大変深刻な事件だったと。岩手県警でも、私は客観的にはこういう捜査報償費の激減というところから見ると、問題が多かったのではないか。そこで、少し立ち入ってお聞きをします。
 実は、平成18年度の捜査報償費でも首をかしげるような状況が若干ありますので、お聞きします。
 生活安全企画課、この捜査報償費の支出額が21%に激減をしている理由は何でしょうか。また、少年課、これは65%に減っていますけれども、少年課で捜査報償費はどういうものに使われているのか、これを示していただきたい。警察署のところで言いますと、盛岡東署が、これは2.2倍に捜査報償費がふえておりました。釜石署は1.8倍に捜査報償費が前年度と比べてふえていましたが、この具体的理由は何でしょうか。
〇瀬戸警務部長 平成18年度の生活安全企画課、少年課の捜査用報償費が前年度に比較していずれも減少している理由及び盛岡東警察署、釜石警察署の捜査用報償費が増加している理由についての御質問にお答えいたします。
 捜査活動に要する経費につきましては、それぞれの所属で取り扱う事件の規模、形態、捜査の期間などによって異なることから一概に申し上げることはできないと考えております。平成18年度における捜査用報償費の支出の状況につきましては、ふえている所属もあれば減っている所属もあり、岩手県警察全体で見ますと、前年度に比較して約29%の増加となっているところであります。また、本部内においては、県監査委員による監査も受けており、適正に執行されているとの監査結果を得ております。
 今後も一層、現場に対する適正経理に関する指導教養を徹底してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 例えば生活安全企画課が5分の1に減ったというのは、特別の理由があるからでしょう。交通指導課も半分に減っていますよ。前年と比べてですよ、5年前じゃないですよ。ことしの予算、本会議でも私はこれを質問して、激減している理由は何かと。本部長、ちゃんと答えているでしょう。警察を取り巻く情勢が変化したとか、特別の事案がふえたとか、これ言っているじゃないですか。私は各課ごとに全部聞いているのではない。特別大きく変化があったところを聞いているんですよ。具体的に答えられないということは、やましいことがあるんじゃないかと思われますよ。いいですか。みんな思っているんだから、やましいと思っているんだから。そういうことを私は具体的に聞いているんだから。今の答弁だったら、答弁不能ですよ。答弁不能でいいんですか。
〇瀬戸警務部長 繰り返しになりますが、捜査活動に要する経費につきましては、それぞれの所属で取り扱う事件の規模、形態、捜査の期間などによって異なることから、一概に申し上げることはできません。具体的な事項につきましては、その所属の捜査活動の内容にかかわる事項であることや、公表されていない事件の捜査も含まれることから、その具体的な内容についての答弁は差し控えさせていただきます。
〇斉藤信委員 完全に居直り答弁でありましたね。去年まではまだ素直に答えていましたよ。もう、どうしようも、理由が言えなくなってきた。しかし、もう既成事実で少しずつふやそうかと。私は本当によこしまだと。松山地裁で裏金の事実が認定されるような判決が出ているときに、全然具体的に答えられないというのはとんでもない話ですよ。ますます灰色から黒くなってきたと、これは指摘しておきます。
 それで、こういう裏金問題を放置しているから、重大犯罪の検挙率が落ちているのではないかと、私は本当に心配するのです。刑法犯の数は減っているんですよ。一方で検挙率が落ちているでしょう、長期的に見たら。第一線の警察官は、私は必死で頑張っていると思いますよ。しかし、全体とすればそういう裏金問題を背景にして、本当の意味で警察力が発揮されていないんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
〇瀬戸警務部長 御質問のあった検挙率につきましては、昭和50年代には70%台でありましたが、その後、認知件数の急激な増加によりまして、検挙率は次第に減少して、平成13年には23.6%となりました。ただ、平成14年からは5年連続して増加し、昨年は前年比3.5ポイント増加の41.6%に達しております。
 また、御質問の捜査用報償費と検挙率の関係のお尋ねがあったかと思われますが、必ずしも直接的な関係はないものと考えております。検挙率の低下につきましては、認知件数の増加とそれに伴う現場への臨場、鑑識活動の捜査に追われ、余罪の捜査に手が回らなくなってきたことや、犯罪の広域化、巧妙化等が大きな要因と考えております。いずれにしましても、犯罪捜査活動のための捜査費の執行については、今後とも引き続き適正な執行に努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 いずれ、答弁不能で暗やみ県警になっているのではないかと、本当に残念であります。
 それで、次はちょっと前向きな話を。交通信号機の設置状況について。
 交通信号機の設置要望数、設置数はどう推移しているでしょうか。
 老朽化した交通信号機の状況とその対策について。東京都では、台風などで倒壊の危険がある信号機が5、000基だと報道されておりました。県内ではどういう状況になっているでしょうか。
〇菊地交通部長 平成18年度における交通信号機の設置要望が61カ所ありまして、20カ所に設置しているところでございます。また、設置要望の推移につきましては、平成15年度が要望数68カ所に対して13カ所、19.1%の設置率、それから、16年度が58カ所に対して16カ所の27.6%の設置率、それから、17年度が53カ所に対しての16カ所、30.2%、18年度が61カ所に対しまして20カ所で32%の設置率ということで、増加しているということでございます。
 それから、県内における信号柱の関係でございますが、信号柱は9、421本ございます。そのうち、鉄筋コンクリート柱の耐用年数を参考に、設置後42年を経過している信号柱は、県内で3、150本がございます。信号機の機能保持と倒壊防止等安全管理を目的として、すべての信号柱を対象に年1回の定期点検を実施しているほか、当該職員による随時の点検も実施しているところでございます。
 ひび割れや傾きなどが発生し、緊急に必要なものについては、都度取りかえているところでございます。
 18年度につきましては、75本の信号柱を取りかえたところでございます。
〇斉藤信委員 信号機の設置、あと老朽化した信号機の対策、これは文字どおり県民の命にかかわる問題なので、こういうものは大いに進めていただきたい。
 次に、昨年の自殺の概要について、これ警察発表になっているのですから聞きますが、昨年の自殺件数は506件で前年比3人減ったと。ただ、私、中身を見て、50歳代が123人で一番多いんですね。そして原因別、動機別を見ますと、経済問題というのが135人、26.7%、4人に1人です。勤務問題を含めますと、これはもう一番多くなってしまうと。この一番多い50代の自殺の要因というのを原因別にわかるのでしょうか。それと、職業別で見ますと自営業者というのが81人になっていますが、これはやっぱり廃業その他、経済問題が理由なのか。年代と原因別ということのかかわりというのはわかるのでしょうか。
〇齋藤生活安全部長 当県の統計では、そのような分類はしておりません。
〇斉藤信委員 この分析をしたのは県警なんでしょう。生活安全企画課ですね、原因・動機別というのは。年代別も分けているわけですよ。本当はわかるわけでしょう、あなた方が分析しているんだから。
 あのね、そういう紋切り型ではだめですよ。今、自殺問題は県政の重大課題になって、しかし、第一義的には警察がこの原因を明らかにしているわけです。私は自殺するとき、直前というのはうつ病的な問題で、うつ病的対策が必要だと思うけれども、根本的には、この問題の原因を解決しないと大幅には改善できないと思っているから、とりわけ50代というのは現役ですよ。働く現役世代の自殺が一番多いというのは、私、大変深刻だと思って中身について聞いたのです。県庁各課との連携も含めて─そんな、もう少しまじめな答弁あるんじゃないでしょうか。
〇齋藤生活安全部長 原因、動機につきましてはさまざまな事情が複合しておりますので、一概には申し上げられません。当方では、遺書やらあるいは生前の言動などから判断して数値に挙げておるわけでございます。ただ、委員御指摘の、50歳代がどのような原因で自殺したかと、要はそういう分類はしていないという意味で申し上げたところでございます。
 例えば、経済苦で何名亡くなりましたという分類はしておりますが、50歳代を細分化して経済的に何名、あるいは健康何名という分類はしていないと、こういう意味でございます。
〇斉藤信委員 県政の重大課題ということから言ったら、せっかくこういう年代別、原因・動機別、職業別に分けていて個票がはっきりしているんだから、縦、横、斜めから分析できるはずなんですよ。そして、そういうことをやってこそ、全体的な自殺対策になってくるのではないかと私は思っていますので、ぜひ今、県庁、本庁のほうも自殺対策をやろうというときに、私は県警とそういう意味でいけばもう少し協力連携し合うことが必要だと、これ指摘だけにしておきます。
 最後、県警、警察官の超過勤務、サービス残業の問題についてお聞きをします。
 昨年度の超過勤務の実態、時間数、超過勤務手当の支給実態、時間数、これはどうなっているでしょうか。不払い分があるなら、どう解決しようとしているでしょうか。
〇瀬戸警務部長 平成18年度の超過勤務時間は、職員1人1カ月当たり28.6時間となっており、前年比でマイナス1.6時間となっております。また、手当支給実績につきましては、職員1人1カ月当たりの平均で約17時間となっており、支給率は約58%となっております。
 それから、不払いについてどうするかという御質問だったかと思いますが、まずは超過勤務の縮減が必要であると考えております。そのような観点から、警察署長会議等各種会議におきまして超過勤務の縮減を指示しているほか、本年6月からは、毎週金曜日を定時退庁日とするリフレッシュデーを試行実施するなど、超過勤務の縮減に取り組んでおります。しかしながら、第一線の警察業務につきましては、突発的に発生する事件・事故に直ちに対処し、事件・事故の早期解決を図らなければならず、予算の範囲内で調整して超過勤務を命ずることは困難な場合もございます。
 超過勤務につきましては、今後とも、事務の合理化、効率化による縮減に努めるとともに、突発的な事件、事故が発生した際には、所要の措置を講じるなどして、実績に見合った手当の支給に努めてまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 県警の警察官の超過勤務時間というのは本当に多いんですよ。私はそれだけ頑張っていると思いますよ。1人当たり343時間。ところが支給されていない。支給されている額が58%です。私の試算だと、大体140時間、年間、これがサービス残業です。それを平均の手当で計算しますと、1人当たり34万円不払い。命かけて第一線で頑張っている方々に対して─サービス残業というのは社会的犯罪なんですよ。犯罪を取り締まるべき警察が、みずから頑張っている警察官に対してサービス残業を放置している、私は、重大な矛盾だと思います。この改善を図るべきだと思いますが、本部長、こういう社会的犯罪行為を県警の中に残していていいんですか。
〇三枝警察本部長 斉藤委員の御質問には前回もお答えいたしましたけれども、先ほど警務部長が申し上げましたように、我々としたら、やはり余り過酷にならないように、勤務の状況をしっかり見ていかなければならないと思っています。
 ただ、他方で、今、警務部長も申し上げましたように、第一線は待ってくれませんので、いろいろな事件・事故が深夜とか、そういうところで発生するということは多々あることなのでありまして、その点の御理解もいただきたいと思います。
 ただ、御指摘のように、私も、例えばさっき申し上げましたように、リフレッシュデーとか、それから勤務の合間にいろいろな休暇、代休をとらせるとか、そいうことを通じながら勤務員の環境整備には努めているということでありますが、あわせて、この間も申し上げましたけれども、一方でどうしても予算の範囲というか、予算の限定というのがあるものですから、そういうことを踏まえながら、必要な予算の要求をするなり、そういった措置もあわせてとっていきたいと考えています。
〇斉藤信委員 まず、サービス残業というのは社会的犯罪だと、これはちゃんと認識してくださいよ。突発した仕事が出るのは当然なんです。そういうところにきちんと手当を出すというのもまた当たり前なのですよ。
 それで、財源がないかというと、そうではない。あなた方は、新昇給制度でサービス残業を強いている人たちをA、B、C、D、E5段階で評価して、幹部優遇の評価をしていますね。新昇給制度で、幹部警察官とその他一般の警察官はどういうふうにA、B、評価される方々、賃上げされる方々、評価されているか、そして、それは普通のC評価の方々と比べればどのぐらいの賃金格差が出るか、特別昇給分は総額幾らになるか示してください。
〇瀬戸警務部長 給与構造改革によります勤務成績に基づく昇給制度は、昨年4月に実施された一般職の給与に関する条例の一部を改正する条例に基づき、本年4月1日の昇給から実施しております。
 まず、新昇給制度で加算対象となった職員数についてでありますが、特定職員でAと評価された者は7人で8.4%、Bと評価された者は13人で15.7%、一般職員でAと評価された者は129人で5.7%、Bと評価された者は324人で14.7%(後刻「14.2%」と訂正)でありました。
 この昇給に係る評価につきましては、岩手県警察職員の勤務評定に関する訓令に基づきまして、仕事の実績、仕事の取り組みを主な評価項目とする勤務評定記録書により、指揮統率能力や危機管理能力があるか、迅速、効率的に仕事が処理されているか、自発的かつ積極的に仕事に取り組んでいるかなどの観点から評定された結果をもとに適正に評価を実施しているところであります。(斉藤信委員「答弁漏れ、賃金の格差」と呼ぶ)
 失礼しました。
 A、B、Cと評価されることによって、年間どれくらいの差が生じるかにつきましては、公安職の平均給料月額が35万5、286円であることから、便宜上、警部補である公安職4級の64号俸をベースに、ボーナスも含めてC区分との差を試算しますと、A区分で約10万1、000円、B区分で約5万1、000円となります。(斉藤信委員「まだ一つ残っている、特別昇給分の総額は幾らになっているか」と呼ぶ)
〇瀬戸警務部長 ただいまちょっと手元に資料がございません。
〇斉藤信委員 大事なところを聞けなくて残念です。
 警察官にサービス残業で不払いをやっていて、私、賃金に格差をつけるというのはとんでもない話だと思いますよ。特別昇給分の財源があるなら、まず、不払い労働分をなくすことを優先すべきではないですか。本部長、いかがですか。
〇三枝警察本部長 超過勤務の縮減と同時に今、新昇給制度の定着を図ることが私どもとしては重要であると考えております。
 新昇給制度というのは、努力して実績を上げた職員を正しく評価して、的確に処遇に反映させることによって職員の士気を確保して組織の活性化を図るとともに、適正な人事管理を推進するために必要な制度であります。他方で、超過勤務手当については、先ほども申し上げましたように、その職員の所要の額を支給するというものでありまして、本質的に、それはともに存在することがベターであると私は思っております。
〇斉藤信委員 実は、警察の仕事というのは、私、チームワークの仕事だと思うんですよ。これが警察官一人一人ばらばらに競争されたらどうなるか。捜査のさまざまな手法、教訓を教えない。実は、北海道警で裏金問題が発覚したのは何かというと、ここから発覚したんですよ、成果主義で。事件を自分ででっち上げて、そしてどんどん出世をした。しかし、それはでっち上げだったというのが明らかになった。そこに実は裏金問題の出発点があったんですよ。私は、警察行政に警察官がお互い競い合うような成果主義を持ち込んだら、警察業務は混乱すると思いますよ、これが第1点。
 もう一つ、そもそもそうやって頑張っている第一線の警察官が超過勤務しても手当も出されていないという、このことを優先して解決すべきでしょう。これは社会的犯罪行為なのですよ。そういう裏金を残して、社会的犯罪行為を残して、どうして警察官が団結して頑張ることができますか。やっぱり間違っているところから正していく、こうしてこそ警察官の士気が上がるのではないですか。1人当たり平均34万円の不払いですよ。それを支払ってこそ、みんなやる気になって頑張るのではないですか、本部長。
〇三枝警察本部長 超過勤務の問題は、先ほど来申し上げているとおりでありまして、当然、そういった勤務に見合う支給をするということは我々としても十分心がけていかなければならないことだし、そういうことについても気を払いながらやっていく。それとあわせて、やはり今、委員がおっしゃったけれども、職員の中にも、みんな一生懸命頑張っている人間ばかりかもしれませんが、その中でも特に頑張っている人というのはいるわけでありますので、そういう方たちもやっぱり評価してやらなければ士気は上がらないのではないか、私はそういうふうに思っております。
〇阿部富雄委員 一関市の滝沢地内、それから同東山地内における強盗殺人事件についてでありますけれども、住民の皆さんからは早期解決を望まれているわけでありますが、かなりの時間を経過しているわけであります。
 そこで、捜査の状況というのはどういうふうになっているのかお尋ねいたします。
〇細田刑事部長 この件に関しては、先ほども熊谷委員のほうからお話がありましたけれども、昨年7月に一関市滝沢地内で発生した強盗殺人事件と、ことし6月、一関市東山地内で発生した強盗殺人事件につきましては、いまだ犯人の検挙に至らず、不本意ながら県民の体感治安に悪影響を及ぼしている状況にございます。
 現在、一関警察署下滝沢地内における強盗殺人事件捜査本部につきましては62名、千厩警察署下東山地内における強盗殺人事件捜査本部につきましては108名の捜査体制で、地域住民の協力をいただきながら、引き続き各種捜査の徹底を図っているところでありますが、具体的な捜査の内容につきましては答弁を差し控えさせていただきます。
〇阿部富雄委員 具体的な捜査を私は求めているのではなくて、どういう状況にあるのかということをやっぱり住民の皆さんに情報提供をやっていくということは必要ではないかというふうに思っているんです。今お話ありましたように、住民の皆さんからすれば、体感治安というのは非常に不安でいるわけですよね。不安もさることながら、自分も捜査の対象になっている、いわゆる被疑者として疑われているのではないか、こういう疑心暗鬼になったり、そういうことが地域に行くとぎくしゃくした関係になって、地域のまとまりも全くなくなってしまっているという状況にあるわけでありますから、私は、まず、事件に係る情報についてはできる限り住民に提供すべきだ、このように思っているわけであります。このように情報を提供することによって、住民からの捜査上必要な情報も容易に求めることができるのではないかと思っているわけです。現に、同じ時期に発生した洋野町の場合は、やっぱり住民力といいますか、住民の協力が事件の早期解決につながっていると思っているわけであります。
 特に情報というのは、捜査が行き詰まってから出したって、私は意味がないと思うんです。事件が起きて間もなく、いわゆる記憶に新しいうちに住民の皆さんに情報を出して、そして住民の皆さんからの協力をいただく、こういうことが私は捜査上の基本ではないかと思っているわけでありますけれども、犯罪等に対する情報提供のあり方についてどのようにお考えになっているのかお尋ねします。
〇細田刑事部長 委員お話しのとおり、重要なことは早期解決でありまして、捜査陣営としましては、後方治安に万全を期しながら可能な限りの安全・安心を確保し、その中で情報の提供をお願いしていくといったことで努力してまいりたいと思っております。
〇阿部富雄委員 しつこく言うつもりはありませんけれども、県警察の総力だけで解決できるのであれば私はいいと思うんですが、ただ、今そういう時代ではなくなってきているということですよね、事件そのものが複雑化しているということですから。
 そこで、皆さん方がつくった岩手県総合警察治安対策プログラムというのがあるわけでありますけれども、この中でも、戦略的な広報活動の推進という中で、県民の警察に対する理解と協力を確保するため県民への積極的な情報提供を推進する、こういう言い方をしているわけです。やっぱり時宜を得た情報を提供しないと、住民からは情報に対するあれは出てこないと思うんです。ぜひそういうふうな体制をとっていただければと思うわけであります。
 それからもう一つ、事件解決の有力な方法、手段として、この治安対策プログラムの悪質重要犯罪の検挙対策の推進の中でこういうことを検討すると言っているわけです。それは、謝礼提供による県民からの情報提供を促進するための制度の検討、この中でこう言っています。県民から重要凶悪犯罪の被疑者検挙に資する情報の提供を受けるための公的懸賞金制度の導入を検討する。それからもう一つは、県警ホームページを活用し、重要犯罪に関する情報や謝礼提供について説明した上で情報提供を呼びかける仕組みを構築する。
 そこで、このプログラムで言っている公的懸賞金制度の導入についてはどのように検討なされているのでしょうか。それから、謝礼提供についてはどういうふうな形で体制を構築しようとされているのでしょうか。これら謝礼提供による県民からの情報提供のための具体的な対象となる事案といいますか、事件はどういうものを想定していらっしゃるのか、お尋ねいたします。
〇細田刑事部長 まず最初に、情報提供をいかにして求めるかということにつきましては、委員お話しのとおり、捜査の中身につきましては情報提供あるいはお話しできないわけですけれども、それ以外の点で可能な限り提供できる点は提供しながら情報提供をいただいてまいりたいと思っております。
 謝礼制度の関係ですが、これは、警察庁主導で制度が確立されておりまして、当県の場合は、一関の滝沢事件等を対象に申請しておりますが、全国に凶悪事件が多いものですから、なかなか該当といいますか、線に入ってくる段階にはありません。県レベルではまだそうした具体的な検討に至っていないのが実情でございます。
〇阿部富雄委員 そうしますと、この公的懸賞金制度というのは、いわゆる全国枠の中で対応するものであって、県警察本部独自で取り組む、そういう中身のものではない、こういう理解の仕方をしてよろしいわけですか。
〇細田刑事部長 将来的には県独自でもそうした方向に持っていきたいという考えでございますが、予算の関係がございますので、いつ、どういった時点で具体化するかというと、それはちょっと今お答えしかねる状況にございます。
〇阿部富雄委員 先ほど捜査体制について、一関市の滝沢地内については62名の体制で、それから、東山地内については108名の体制で捜査を行っている、こういうことでございますけれども、実は、こういう事件が起き、捜査体制を敷いて、その結果、交通事故であるとか事件とか、こういうものがこの管内でやっぱり起きているわけですよね。いわゆる抑止力が低下してきているというふうに私は見ているわけでありますけれども、本部としては、この地域における事故あるいは事件の抑止力の低下はあると見ているのでしょうか。
〇瀬戸警務部長 両署に設置されました捜査本部につきましては、警察本部からも多数の捜査員を応援させております。また、両署管内の交通指導取り締まり等の応援に警察本部員を派遣しておるほか、交通機動隊及び自動車警ら隊も派遣するなどの応援体制をとっているところです。両署においても、交番、駐在所の後方治安対策としまして、ミニパトカーの配置見直しによる広範囲な機動力の確保とか、自動車警ら班の交番、駐在所への立ち寄り等に努めておりまして、地域住民のニーズに対応した街頭活動を強化しているところであります。
 このように、県警全体としましてサポート体制を組んでおりまして、一日も早い解決を目指して、県警の総力を挙げて当該地区の治安対策に取り組んでいるところであります。
〇阿部富雄委員 わかりましたけれども、私がお聞きしているのは、事故、事件の抑止力が低下はしていないんですかと。確かに事件がありましたからそれに人をとられているのはわかりますけれども、それに対して全県応援でやっている、こういうことですが、それでもなおかつそういう抑止力が低下しているということを現場の人たちから聞いているわけです、私は。そのことを聞いているんですが、そういう抑止力の低下にはつながっていない、こういうふうに今言い切っているようでありますけれども、本当にそうなんでしょうかということをお聞きしているわけです。
〇三枝警察本部長 当然のこととして、警察活動にいろいろな部門があって、その地区で事件が発生した場合に、いろいろなところでそこに集中するということは、あいたところの抑止力が低下する可能性があるものですから、今、警務部長が言ったように、抑止力が低下したとは認識しておりませんが、そういう抑止力の低下があってはならないので、本部とかほかの部門も集めて、そこの安全・安心を図っていこうということをやっているということでございます。
〇阿部富雄委員 その点についてはちょっと認識が違うのかなというふうに思っていますが、やっぱり現場の人たちは、交通事故も多くなっているし、大変だというのが現実のようであります。これ以上は言いませんけれども、そういう実態もあるということをぜひ踏まえていただいて、両管内の治安対策、治安だけではなくて交通事故防止も含めてなお一層の御努力をいただければと、このように思います。
 もう一点お尋ねいたしますけれども、職員による交通事故の関係でありますが、毎議会、自動車事故による損害賠償事件に対する専決処分というのが出てくるわけであります。この中で警察本部の占める割合も決して少なくはない、こういう状況にあると思っていますが、警察本部における職員の自動車事故の現状というのはどういう状況になっているのか。それとあわせて、警察本部というのは、言うなれば取り締まり、指導する機関でありますから本来あってはならない部分だろうと思うわけでありますけれども、そうした事故防止に向けた対策というのはどのようにとられているのか、お尋ねいたします。
〇小方警務部参事官兼首席監察官 職員による交通事故につきましては、平成18年中、公用車による事故は47件発生しております。うち、加害事故は26件発生しております。加害事故のうち、人身交通事故は3件となっております。本年は9月末現在で34件発生しておりまして、うち加害事故は21件発生しております。加害事故のうち、人身交通事故は2件となっております。
 対策につきましては、公用車の運転は、警察独自の検定試験に合格した職員に限定をして運転させております。緊急走行する機会の多い警察官につきましては、警察学校、それからひたちなか市の安全運転中央研修所に入校させまして、運転技能の向上のため指導教養を行っております。
 また、加害事故を起こした職員につきましては、警察独自の検定試験を再度実施するとともに、あわせて運転適正検査も受講させ、その結果を再発防止の指導に活用などしております。
 また、事故の発生状況に関する情報については全職員で共有するとともに、随時安全運転を指示しております。
 警察活動は、さまざまな環境の中で緊急走行の場面が多い実態にありますので、今後とも、指導教養を徹底して職員による交通事故の防止を図ってまいりたいと考えております。
〇阿部富雄委員 今の御答弁に尽きるんだろうと思いますけれども、ただ、損害賠償事件に係る専決処分の報告を見ますと、相手車両に対する追突、衝突、接触、さっき言いましたように、いわゆる加害の部分も結構あるわけです。これは、警ら中の場合もあるでありましょう、あるいは今お話しされたように、緊急事態のときの事故もあるでありましょう。それはそれぞれの職務をかけて頑張っていらっしゃるから、当然事故はなくすようにしなければならないわけですけれども、人間のやることですから、これは万が一ということもありますから、それはやむを得ないというふうに思いますが、ただ、県民をそういう業務をする中で巻き込むといいますか、それはやっぱり最小限に食いとめていくことは必要だろうと思っているわけです。
 たまたま私、こういう現場に遭遇したんですが、片側2車線の分離帯があるところで、事故か何かあったと思うんですが、パトカー2台が来ました。1台はさっと信号機のところをすり抜けていったんですが、もう1台は、二、三台信号機の手前でとまっていたんですね。そうしたら、後続のパトカーは、中央分離帯の開口部を反対車線に入って通行していったんです。職務に専念するといいますか、一生懸命取り組む余り、ほかのドライバーの皆さんはそういうことは想定していないわけですよね。反対車線にまさか分離帯を割って緊急自動車が来るなんてことはあり得ないわけですから、そういうふうな形で事故というのは県民を巻き込んでいくことになるんだろうなというふうに思うんです。ですから、一分一秒を争うというのはわかるわけですけれども、それを最優先して県民を事故に巻き込むということはやっぱりやるべきでないと思うわけでありますけれども、そういうことも含めて事故対策というのはきちっとやっていただきたいと考えるわけでありますが、いかがでしょうか。
〇小方警務部参事官兼首席監察官 阿部委員のおっしゃるとおりでございまして、具体的な現場の状況というものを把握しておりませんので正確にお答えすることはできませんけれども、いずれにいたしましても、安全運転に最大限の注意を払いまして、今後とも警察活動を展開してまいりたいと思いますので、どうぞ御理解をよろしくお願いいたします。
〇嵯峨壱朗副委員長 先ほどの斉藤委員の質疑、特別昇給額に対しての答弁について、この際、瀬戸警務部長から発言を求められておりますので、これを許します。
〇瀬戸警務部長 先ほどの御質問にありました特別昇給分の金額ということでありますが、総額から試算いたしました期末・勤勉手当等も含めますと、約2、900万円程度であります。
 また、一つ訂正させていただきます。
 新昇給制度で加算となった職員数の割合ですが、一般職員でBと評価された者の割合を14.7%と答えたところですが、14.2%に訂正をお願いします。
〇及川あつし委員 サイバー犯罪対策1点についてお伺いします。
 IT社会であるのはもう皆さん御案内のとおりでありますが、実態とすれば、もう小学生も携帯電話を持っているような状況であります。そうした中で、振り込め詐欺、オークション詐欺、いろいろな犯罪が連日報道されているわけでありますが、青少年に悪影響を及ぼすいろいろな犯罪もありまして、私もPTA連合会の中で、いろいろな勉強会等を通じて対策について案じてきた一人であります。
 そうした中で、まず、基本状況をお伺いしたいわけでありますが、サイバー犯罪の発生状況、相談件数、内容はどのようになっていますでしょうか、この数年の推移をお知らせ願いたいと存じます。
 また、2年半前からですか、サイバー犯罪対策室というのをつくられているようでありますが、具体的な対策をどのようにされているのか。きょう、岩手日報の1面にも若干紹介がありましたが、お知らせいただければと思います。
 三つ目に、県民への情報提供、また、広報・啓発のためのメールマガジンの発行もしているようですが、どのような内容、そしてどのぐらいの方が読まれているのか、まず基本状況をお知らせいただきたいと思います。
〇齋藤生活安全部長 まず、御質問のサイバー犯罪の発生についでございますが、インターネットの特殊性から把握は困難でありますが、過去3年間の検挙状況で見てみますと、平成17年は14事件、平成18年は11事件で、本年は9月末現在11事件を検挙し、昨年同期比3事件の増加となっております。
 その内容は、正規利用者のパスワードを盗用した不正アクセス禁止法違反事件、複製ソフトウエア販売、頒布した著作権法違反事件、出会い系サイトに関連した青少年のための環境浄化に関する条例違反事件などであります。
 相談受理件数については、平成17年は1、752件、平成18年は1、319件、本年9月末現在1、203件で、前年同期比20%の増加を示しております。主な相談内容は、振り込め詐欺、オークション内容等に関するものや、名誉毀損、誹謗中傷に関するものであります。
 次に、県警の具体的なサイバー犯罪対策についてでございますが、主なものを申し上げますと、被害防止を目的とした岩手県警察生活安全情報というメールマガジンの配信、サイバーセキュリティーカレッジの開催、関係事業者等を対象とした岩手県インターネット防犯連絡協議会の設立、これらの運用、メールや電話等による相談への対応、県警ホームページでの情報提供、違法、有害な情報発見のためのサイバーパトロールなどを推進しております。
 次に、メールマガジンについてでありますが、サイバーセキュリティー対策と生活安全情報を提供するために、平成18年10月から月1回の割合で配信して広報・啓発活動を実施しているものであります。購読数につきましては、本年9月号においては281件となっております。
〇及川あつし委員 基本状況を今お知らせいただいたわけですが、新しい形の犯罪に本県警も取り組まれているということで心強く感じた次第であります。
 あと2点お伺いしたいわけですが、きょう、ちょうど読売新聞で、子どもとネットという記事がございまして、中学生は、中2で33%、高校2年生で81%、携帯電話を持っているという中身で、県警の対応内容も書かれております。実感とすると、恐らく子供たちはもっと携帯電話を持って、学校では持つなという指導が基本的にされていますので、こういうアンケートにはまじめに答えていないのだろうというふうに思いますが、いずれ少年の被害防止対策というのは本当に大事な課題で、先ほど申し上げましたけれども、PTA中心にいろいろ悩みが多いところでもあります。
 きょうの報道では、久慈東高校に行った出前講座の内容とか、もう既にことしだけで30回出前講座もやっているというような話も載っておりましたけれども、この少年の犯罪被害対策を学校や地域とどのようにされているのか、お知らせいただきたいと思います。
 あと、プロバイダー業者、携帯電話会社、インターネットカフェなどの事業者との連携はどのようになっていますか、お知らせいただきたいと思います。
〇齋藤生活安全部長 少年の被害防止対策については、本年、フィルタリングに関するリーフレットを作成して、県内の全中学生約4万1、500名に対して配布しております。また、中・高校生を対象に、出会い系サイトへの接続などインターネットの危険性についての非行防止教室等を継続的に開催して安全な利用について訴えております。さらに、子供たちにインターネットの正しい利用を促すためには、保護者や教員、地域住民の理解が必要と考えられますので、これらの方々を対象とした防犯講話、サイバーセキュリティーカレッジなどを通じて広報・啓発活動に努めているところであります。これらは、学校、地域と連携して実施しているものであります。
 次に、インターネット関連事業者との連携状況についてでありますが、ネットサービスを提供する事業者でありますプロバイダーや携帯電話会社、インターネットカフェ、ホテルや旅館等の宿泊施設、公民館や図書館等の公共施設等を対象として、サイバー空間を悪用した犯罪の防止や少年の健全育成を目的に、本年10月3日、岩手県インターネット防犯連絡協議会を設立しております。この協議会と情報を共有しながら、フィルタリングソフトの導入促進、違法・有害情報への対応、ネットカフェへの青少年の深夜における入場禁止等の防犯対策について連携を図っております。
〇及川あつし委員 いろいろ課題もまた出てくると思いますけれども、ぜひ体制を強化しつつ、さらにお願い申し上げたいと思います。
 今、御答弁でありましたけれども、子供だけではなくて、住民、また親にもという話がありましたけれども、子供のほうがいろいろこういう情報の面については早いものですから、親のほうが、ああ、こういう問題があるんだということに気づくのが遅いという面が実はございますので、ぜひそこら辺も含めてさらに強化をお願いして終わります。
〇嵯峨壱朗副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇嵯峨壱朗副委員長 質疑がないようでありますので、警察本部関係の質疑をこれで終わります。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後7時13分 散会

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