平成19年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成19年10月18日(木)
1開会    午前10時3分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課長 切 金   精
  議事担当課長 保 原 良 和
  主任主査   菊 池 達 也
  主査     鈴 木 文 彦
  主査     石木田 浩 美
  主査     佐々木 ユ カ
  主査     菊 池 芳 彦
  主査     渡 辺 謙 一
1説明員
  保健福祉部長   赤 羽 卓 朗
  保健福祉企画室長 古 内 保 之
  医師確保対策室長 尾 形 盛 幸
  保健福祉企画室
  企画担当課長兼
  医師確保対策監  野 原   勝
  保健福祉企画室
  管理担当課長   花 山 智 行
  医療国保課
  総括課長兼
  医師確保対策監  柳 原 博 樹
  保健衛生課
  総括課長     高 田 清 己
  地域福祉課
  総括課長     下屋敷 正 樹
  長寿社会課
  総括課長     及 川 伸 一
  障害保健福祉課
  総括課長     小 林 繁 春
  児童家庭課
  総括課長     川 上 裕 二
  医療局長     法 貴   敬
  医療局次長兼
  病院改革室長   細 川 孝 夫
  参事兼職員課
  総括課長     佐々木   茂
  管理課総括課長  熊 谷 俊 巳
  業務課総括課長  岡 山   卓
  システム管理室長 三 田 崇 雄
  経営改革監    根 子 忠 美
  医師対策監    相 馬 敏 克

  出納長      上 村 俊 一
  副出納長兼
  出納局長     平 澤 石 郎
  監査委員     菊 池 武 利
  監査委員     谷 地 信 子
  監査委員事務局長 小 川 明 彦
  総括監査監    門 口 正 雄
  予算調製課
  総括課長     中 村 一 郎
〇新居田弘文委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成18年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第14号平成18年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算まで、決算14件を一括議題といたします。
 本日は、保健福祉部、医療局関係を終わるよう進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 最初に、保健福祉部長に保健福祉部関係の説明を求めます。
〇赤羽保健福祉部長 平成18年度保健福祉部関係の決算について御説明申し上げます前に、当部所管の事務事業に係る総括的な評価と、これを踏まえた来年度以降の取り組み方針について御説明させていただきたいと思います。
 まず、保健福祉部所管の事務事業に係る総括的な評価についてでございますが、当部では、平成11年に策定いたしました岩手県総合計画及び岩手県保健福祉計画を基本といたしまして、県民が安心して豊かな生活を送ることができるよう、健康安心・福祉社会づくりに向けた取り組みを進めてきたところでございます。
 しかしながら、医師の養成・確保に関しましては、即戦力となる医師の確保などに一定の成果が見られると考えておりますが、特定診療科や特定地域における医師不足が依然として続いていること、保育所待機児童を解消するための定員拡充や介護保険制度の見直しに対応した介護予防体制整備の支援、生活習慣病予防などに取り組む体制づくりを進めてきておりますが、必ずしも目標を達したとは言えない状況にございます。
 また、県民意識調査、これは本年の1月から2月に実施されたものでございますが、この調査におきましては、保健・医療・福祉を担う人材の確保でありますとか、子どもを生み育てられる環境、身のまわりがバリアフリーといった項目で県民の満足度が低い状態にございます。
 今後は、医師確保を初めとする地域医療の確保、子育て環境の整備、地域力を生かした高齢者や障害者の地域生活支援、生活習慣病予防や自殺予防対策などの総合的な健康づくりといった取り組みを強化する必要があると認識しております。
 次に、これらの評価を踏まえた来年度以降の取り組み方針についてでございますが、現在策定を進めております新しい地域経営の計画の方向性にも配慮しつつ、次のような点について選択と集中を図ってまいりたいと考えております。
 4点ございます。
 まず、1点目でございますが、医師確保を初めとした地域医療の確保についてでございます。この分野におきましては、岩手医科大学の定員増への対応を初めとし、中長期的な医師養成を着実に進めるほか、即戦力となる医師の招聘を推進することにより、医師の絶対数の確保を図りつつ、計画的な配置・派遣調整を進めてまいりたいと考えております。また、医療機関の機能分担と連携や患者の立場に立った医療サービスの向上など、質の高い医療の提供に努めてまいりたいと考えております。
 2点目でございますが、子育て環境の整備についてでございます。仕事と子育てが両立できる雇用環境の構築に向け、産業団体と連携しながら企業に働きかけるとともに、男性の積極的な育児参加を推進するための環境整備、また、地域の育児力の向上を図り、地域で子育て世帯が安心して子育てできるようにサポートしていく仕組みの構築を進めてまいります。
 3点目でございますが、高齢者や障害者の地域生活支援についてでございます。多様な社会資源を活用しながら、地域力を生かして、相談から保健・医療・福祉サービスの利用を初め、住まいや就労の場の確保など、一人一人の状態に応じた地域生活を支援する仕組みづくりや、いつでも、だれでも、どこでも利用できるユニバーサルなサービス提供体制の整備に向けた取り組みを推進してまいりたいと考えております。
 4点目が、総合的な健康づくりについてでございます。年少期からの食育の展開による健康づくりや働き盛り世代に対するメタボリック症候群対策に重点を置いた個別支援体制の確立などの取り組みを推進するとともに、全国でも高位にございます自殺死亡率につきましては、関係機関や関係団体が広く連携・協力し、うつについての正しい知識の普及啓発や相談体制の整備など、自殺予防に向けた取り組みを推進してまいりたいと考えております。
 以上が保健福祉部所管の事務事業に係る総括的な評価と、これを踏まえました来年度以降の取り組みの基本的な考え方でございます。
 引き続きまして、平成18年度保健福祉部関係の決算について御説明申し上げます。
 恐縮ですが、お手元の平成18年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開き願います。当部関係の一般会計歳出決算は、3款民生費のうち、2項県民生活費を除くものと、4款衛生費のうち、1項公衆衛生費、3項保健所費、4項医薬費と2項環境衛生費の一部、次に、16ページに参りまして、12款公債費の一部、13款諸支出金のうち、1項公営企業貸付金と2項公営企業出資金及び3項公営企業負担金の一部でございまして、予算総額は1、011億6、659万円余、支出済額で999億3、550万円余となるものでございます。また、平成19年度への繰越額は、2事業で2億6、853万円余となっております。
 以下、順次、各項目ごとに、その主なものにつきまして、便宜、お手元の歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、事業ごとの金額の読み上げは省略させていただき、主な事業の内容を中心に御説明申し上げますので、了承をいただきたいと思います。
 お手元の歳入歳出決算事項別明細書の180ページをお開きいただきたいと思います。3款民生費1項1目社会福祉総務費は、職員の人件費等の管理運営費、県立の入所型社会福祉施設8施設の岩手県社会福祉事業団への移管に伴い、施設利用者処遇維持の観点から支援を行いました岩手県社会福祉事業団自立化支援事業費及び障害者自立支援法に基づく各種施策を実施するための基金の造成に要した障害者自立支援対策臨時特例事業費がその主なものであります。
 なお、19節負担金、補助及び交付金の不用額が1億1、874万円余となっておりますが、その主な理由は、岩手県社会福祉事業団自立化支援事業費につきまして、退職者の増等による人件費の減や経費削減及び暖冬による光熱水費の減等に伴う補助対象事業費の減によるものであります。また、25節積立金の不用額1億7、931万円余の理由は、障害者自立支援対策臨時特例事業費につきまして、国庫補助金の交付決定額が交付申請額を下回ったこと、及び交付決定時期のおくれ、これは3月上旬になったわけでございますが、こうしたことによりまして、補正予算への計上が間に合わなかったことによるものでございます。
 2目身体障害者福祉費は、183ページに参りまして、重度心身障害者(児)医療費給付を行う市町村に対する医療費助成がその主なものでございます。3目知的障害者福祉費は、市町村に対する障害者自立支援法に基づく障害者介護給付費等負担金がその主なものであります。4目老人福祉費は、185ページに参りまして、市町村に対する介護保険法に基づく介護給付費等負担金がその主なものであります。
 なお、翌年度繰越額の繰越明許費2億6、122万円余は、老人福祉施設整備費におきまして、設計、工法検討に不測の日数を要したため、繰り越したものでございます。
 5目遺家族等援護費は、187ページに参りまして、戦傷病者戦没者の御遺族及び家庭等への援護費がその主なものでございます。6目国民健康保険指導費は、市町村間の財政調整を行う調整交付金や低所得者に対する保険料軽減等の一定割合を負担するなど、市町村の国民健康保険財政基盤の安定化に資するために要した経費がその主なものでございます。7目婦人保護費は、婦人保護施設への入所保護委託費がその主なものでございます。次に、188ページに参りまして、8目社会福祉施設費は、県立の社会福祉施設の管理運営に要した経費がその主なものであります。9目老人福祉施設費は、養護老人ホームの管理運営に要した経費であります。
 次に、192ページに参りまして、3項1目児童福祉総務費は、乳幼児、妊産婦医療費給付を行う市町村に対する医療費助成がその主なものであります。2目児童措置費は、195ページでございますが、児童福祉施設への児童等の措置に要した経費がその主なものであります。3目母子福祉費は、児童扶養手当支給事業費がその主なものであります。4目児童福祉施設費は、県立児童福祉施設の管理運営等に要した経費であります。
 なお、翌年度繰越額欄の繰越明許費730万円余は、都南の園管理運営費におきまして、設計、工法検討に不測の日数を要したため繰り越したものでございます。
 196ページに参りまして、4項1目生活保護総務費は、生活保護指導職員の人件費と事務費がその主なものでございます。2目扶助費は、生活保護世帯に対する扶助等に要した経費がその主なものでございます。198ページに参りまして、3目生活保護施設費は、県立救護施設の管理運営及び施設整備等に要した経費であります。
 5項1目救助費は、自然災害により死亡した方の御遺族に対して支給する災害弔慰金の負担金がその主なものであります。
 次に、200ページに参りまして、4款衛生費1項1目公衆衛生総務費は、人件費等の管理運営費と、小児慢性特定疾患治療研究事業、未熟児に対する養育医療給付及び周産期医療対策等を実施する母子保健対策費がその主なものであります。2目結核対策費は、結核医療費の負担や結核予防対策等に要した経費がその主なものであります。202ページに参りまして、3目予防費は、難病のうち、パーキンソン病等の特定疾患に係る医療費給付等を行う特定疾患対策費がその主なものであります。4目精神保健費は、精神障害者の通院に係る医療費の一部を補助する障害者自立支援医療費がその主なものであります。204ページに参りまして、5目老人保健費は、市町村に対する老人保健法による医療給付及びその他保健事業に係る負担等を行う老人保健対策費が主なものであります。6目環境保健研究センター費は、施設の管理運営と試験研究に要した経費であります。
 206ページに参りまして、2項環境衛生費のうち、当部の所管は、次の208ページに参りまして、2目食品衛生指導費であり、食肉衛生検査所の人件費等の管理運営費がその主なものでございます。
 次に、少し飛びまして、214ページをお開き願います。3項1目保健所費は、保健所の人件費等の管理運営費がその主なものでございます。
 4項1目医薬総務費は、人件費等の管理運営費がその主なものでございます。216ページに参りまして、2目医務費は、救急医療の確保充実を図るための救急医療対策費と岩手医科大学の薬学部新設等の移転整備に対する医療人材育成支援事業費補助がその主なものでございます。
 医療人材育成支援事業費補助につきましては、既に監査委員から御指摘を受け、講評をいただいているところでございますが、本年4月に行われました監査委員による現場監査の結果、岩手医科大学総合移転整備計画第一次事業新規工事に係る補助金の執行に当たり、補助対象外の経費を含めて算定したため、補助金が500万5、953円多く交付されていたことなどの不適切な事務処理について監査委員から御指摘をいただいたところでございます。これは、補助対象経費が岩手医科大学移転に係る建設工事費であるものに対し、建物に固定されていない設備、備品が含まれていたというものでございまして、この指摘を受けまして、過大に交付いたしました500万円余につきましては、岩手医科大学と相互に確認の上、5月31日までに返納いただいたところでございまして、この返納額は、不用額の一部として記載させていただいております。
 このように、既に返納いただいたとはいえ、一たんは補助金を過大に交付しているという結果となったものでございまして、県民及び関係者に御迷惑をおかけする結果となりました。極めて遺憾なことと考えているところでございます。
 今後かかるような事態が二度と起こらないよう、事案の内容やその原因について職員間で情報共有するとともに、補助金のチェック体制を強化するなど、再発防止に努めてまいりたいと考えております。
 また、19節負担金、補助及び交付金の不用額1億1、845万円余でございますが、ただいま申し上げました医療人材育成支援事業費補助以外の主な理由は、医療施設近代化施設整備費補助について、3月中旬になりまして補助予定医療機関から補助申請の取り下げがあったことにより、事業費全体が不用となったことなどによるものでございます。
 3目保健師等指導管理費は、看護師等養成所の運営費補助等を行う保健師等指導費がその主なものであります。218ページに参りまして、4目薬務費は、献血推進事業の一部を日本赤十字社岩手県支部に業務委託する献血者確保対策事業費がその主なものであります。
 次に、ページを飛んでいただきまして、352ページをお開き願います。12款公債費1項1目元金のうち当部の所管は、災害援護資金の国への償還金であります。
 354ページに参りまして、13款諸支出金1項1目公営企業貸付金は、県立病院等事業会計への運営資金貸付金であります。
 次の2項1目公営企業出資金のうち当部の所管は、県立病院等事業会計への出資金であります。
 同じく、3項1目公営企業負担金のうち当部の所管は、県立病院等事業会計への負担金であります。
 以上で一般会計の説明を終わります。
 引き続きまして、特別会計について御説明申し上げます。
 374ページをお開き願います。母子寡婦福祉資金特別会計の決算状況でございますが、377ページに参りまして、歳入の収入済額は5億86万円余でありまして、その主なものは、貸付金元利収入、前年度からの繰越金及び一般会計からの繰入金等でございます。
 次に、378ページに参りまして、歳出の支出済額3億5、744万円余は、母子世帯及び寡婦に対する修学資金、就業資金及び技能習得資金等の貸し付けに要した経費でございます。
 以上で保健福祉部関係の説明を終わらせていただきます。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇新居田弘文委員長 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。
〇佐々木順一委員 それでは、まず、本県の自殺の実態につきましてお伺いいたします。できれば、全国との比較、あるいは本県の位置、あるいは年齢別、職種別、それから参考までに、最も自殺の少ない県はどこなのか、こういったデータをとりあえずお伺いしたいと思います。
〇赤羽保健福祉部長 厚生労働省の人口動態統計によりますと、平成18年度の本県の自殺死亡者数は467人となっておりまして、人口10万人対で─自殺死亡率と呼んでおりますが─34.1人となっております。全国平均が23.7人でございますので、約1.5倍ということになっております。自殺死亡率が最も低い県は、奈良県でございまして18.0人。ちなみに最も高い県は42.7人の秋田県ということで、北東北3県は、全国的にも非常に高い県となっております。本県は秋田県に次いで2位、自殺高率県ということで、極めて深刻な事態と考えております。
 年齢別、性別等を申し上げますと、男性は50歳代が92人で最も多くなっております。次いで40歳代が61人、60歳代が58人、それから、女性は60歳代31人、70歳代28人、80歳代23人となっております。男性は働き盛りの世代、女性は高齢者になると多いといったような傾向になっております。
 なお、10代、20代、これは男女合わせてですが48人の自殺者がありまして、若者の自殺もあるということで、こうした面からも自殺の問題というのは非常に深刻ではないかと思っております。
 ちなみに職業別でございますが、これは警察の統計ですが、人口動態の数とは必ずしも一致しません。それは、岩手県で警察が認知した自殺ということで、県外の方も含まれているかもしれませんが、総数で506人ございまして、無職の方が229人と最も多くなっているところでございます。
〇佐々木順一委員 もう一つ、部長、地域別で、県内の、例えば花巻地方とか、そういったところまで具体的にお伺いしたいと思います。
 それから、今、深刻な状態でありますよね。政治と行政のまず要諦は、県民と国民の生命と身体と財産、これを保護することが最も一番の役割だ、こう思っております。よって、これからそういった方向で取り組まなければならないと思っていますが、先ほどの岩手県の置かれている、ワーストスリーに入っていますよね。ワーストツーですか。これ、どういった要因で本県はそういった不名誉な状況にあるのか、その分析をお聞かせいただきたいと思っていますが、加えて、先ほどお伺いしましたが、地域別にもやはりいろいろな変化があると思います。高いところと低いところですね。この辺の分析もあわせてお聞かせいただきたいと思います。
〇赤羽保健福祉部長 まず、県内の状況でございますが、岩手県は九つの保健医療圏を設定しているところでございますが、すべての圏域で全国平均を上回っているということになります。ですから、特定の地域が高くて特定の地域が極端に低くて、全体として岩手県が高くなっているということではなくて、県内各地域が高い。その中でも、久慈地域、二戸地域が高いといった状況にございます。
 それから、細かく分析してまいりますと、例えば働く世代が多い地域とか、いろいろな地域ごとの特徴があるところでございまして、そうした地域ごとの特徴に対応した対応もしていかなければならないと考えております。
 それから、要因分析等でございますが、警察統計の原因とか動機別の要因を見ますと、健康問題が約3割、それから経済生活問題が4分の1といったような順になってございまして、男性の働き盛り世代に自殺が多いということもございまして、経済動向、いわゆる生活苦等も含めたもの、そういったものとは無縁ではないと考えております。
 また、厚生労働省が行いました研究事業の結果を見ますと、多くの場合、そういった経済的な問題、あるいは健康の問題とあわせて、うつの問題が背景にあって、うつが自殺の引き金となっているのではないかということも言われておりまして、うつの方が、必要な治療を受けていない場合も非常に多いといったことも指摘されているところでございます。
 こうした健康問題とか経済問題とか精神医療の問題とか、そういったものが複雑に絡み合って、本県の自殺が多くなっているのではないかと考えております。
〇佐々木順一委員 それで、去年6月ですか、国のほうでは自殺対策基本法が制定されました。この中には地方公共団体の責務も明確に明記されております。あるいは国民の役割もたしか明記されていると思いますが、そう記憶しておりますけれども、ついては、この法律にのっとって、県のほうではこれまでどのような対策をとられてきたのかお伺いしたいと思いますし、なお、その対策にのっとって当面どういう効果を期待しているのか、その辺もあわせてお伺いします。
〇赤羽保健福祉部長 国では、自殺対策を総合的に推進するということで、先ほどお話がございました自殺対策基本法がつくられてございまして、自治体にも、地域の実情に応じた施策を推進するように、責務を明記しているところでございます。
 岩手県では、これは法が施行される前からの取り組みもございますが、平成18年度当初予算に自殺予防対策事業を計上させていただいておるところでございます。そうした事業をもとにいたしましていろいろな取り組みをしておりますが、そうした取り組みは、この基本法の求めるものと合致しているものと考えておりますが、一つには、県内の関係機関、これは48の機関・団体から構成しておりますが、岩手県自殺予防対策推進協議会というものを設置いたしまして、そこで自殺対策アクションプランというものを、みんなで話し合いながら、各団体・機関がどういうことができるかということを明示して取り組んでいこうという自殺対策アクションプランを策定しております。それは、官民協働という視点で、役所だけが取り組むのではない、民間だけが取り組むのではない、お互いにやれるところを明示しながら、そしてしっかり取り組んでいこうということで、こうしたアクションプランをつくっております。
 そのほか、リーフレットの作成、配布やシンポジウムを開催させていただきまして、うつや自殺予防の普及啓発をしているところでございます。
 それから、自殺が県内でも多いと言われております久慈、二戸等の4保健所を指定しまして、うつのスクリーニングでありますとか支援ネットワークの設置等を行う早期発見、早期対応の体制整備も図ってきているところでございます。
 そのほか、いわゆる自殺で御家族を亡くされた方たちへの支援ということも非常に大事でございます。自殺で御家族を亡くされた方たちは、やはりハイリスクの方だと言われております。そうしたこともございまして、岩手医科大学に委託して行う自死遺族支援体制構築のための調査研究や精神保健福祉センターによる遺族相談、遺族会活動の援助などの取り組みを進めてきたところでございます。
 今年度は、こうした取り組みに加えまして、全保健所に自殺総合相談窓口をつくったり、支援ネットワークの組織化をしてもらおうということで、今取り組みが進んでおります。
 それから、同じく全保健所管内で、かかりつけ医等の医療関係者の研修会を実施して、地域の精神科医とかかりつけ医の先生方が相互に連携していただくような取り組みができないかということを考えております。
 あと、自殺防止キャラバン隊というものを組織いたしまして、県内の全市町村を訪問して、市町村に対し、自殺防止活動に市町村としても取り組んでいただけないかということを訴えさせていただいております。
 こうした取り組みを通じまして、県といたしましては、ここ数年以内に大体全国平均まで自殺率を下げていきたいと平成23年ぐらいまでの目標として掲げておりますが、非常に困難な目標ではございますけれども、事実、先行して取り組みを始めております久慈保健所管内では、ここ二、三年、はっきりとした自殺者数減少の傾向が出てきております。それは、久慈地区の方々の熱心な取り組みの成果、あるいは岩手医科大学、あるいは県立久慈病院が取り組んでいることの成果ではないかと考えております。こうした成果が全県的に広がりつつあるところでもございまして、それぞれの地域が、地域課題として自殺問題を意識しつつあるというふうにも認識しております。
 なお、これは御参考までということになるかもしれませんが、先般、東京にございますNPOの自殺対策支援センターライフリンクが行った調査では、本県の自殺対策が、全国の都道府県、政令指定市の中で2位と位置づけられた新聞報道があったところでございます。こうした取り組みが一定の評価を受けていると考えておりますが、なお取り組みの強化に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
〇佐々木順一委員 まず、県は基本法の前に取り組んでこられたということは、これは敬意を表したいと思っていますし、また、久慈、県北地方中心でいろいろな取り組みが功を奏している、これもまた評価したいと思っております。
 そして、今部長は、平成23年までに全国平均値に目標設定したい、こういう御答弁がありました。なかなか、自殺でありますから、いろいろな要因が絡み合っていると思います。一概に目標設定するのは、人間の尊厳をある意味では軽視といいますか無視することになるわけでもありますから、軽々に目標設定などというのは、本来は立てづらいものだと思っております。そうであれば、いつ達成するか、これはなかなかだれも保障できないといいますか確信を持てない目標だろうと思いますが、せめて表現的には、奈良県が一番少ないというわけでありますから、しかも岩手県は46位となれば、やはり奈良を目指してとか、そういった表現がこれから必要ではないかと思っております。
 また、今、地域経営計画ですか、これも四つのところで計画が固められているわけでありますが、どうしても所得の向上というほうに目が向きがちでありますけれども、私は、こういった自殺の数を少なくするような内々の目標、これは余り大きく県内外に訴えるべきものでもないと思いますが、腹づもりとすれば、やはりそういった地域経営計画の何らかの目標設定に置くべきではないかと思っておりますが、部長の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
〇赤羽保健福祉部長 自殺の目標については、今、委員からお話がございましたように、非常にいろいろな考え方があって難しい面があると思っておりますが、私ども、自殺予防につきましては、本来、多いからやるということではないのではないかと思っております。本来、望まれない死であります。それは、家族だけではなくて、本人も本来望んでいないはずでございます。そうした望まれない死をなくするという考え方が一番大事だと思っておりまして、そうしたことからすると、自殺死亡率はゼロにするべきだというお考えもあるわけでございます。
 そうした中で、せめて自分たちの取り組みの目標として、みんなでこういったところに向かっていこうということで、先ほど申し上げたような考え方の設定をしたところでございます。そういう目標の設定をバックにして、一層お互いが連携、協働していければという考え方になっているわけでございます。
 新しい地域経営の計画の中にも、これから最終的に詰めていくわけですけれども、自殺対策といったことにつきましては、案の段階でも一部書き込みをさせていただいておりますので、今いただいた御意見なんかもちょうだいして、自殺対策についてもしっかりと書き込みをさせていただきたいと考えております。
〇佐々木順一委員 終わりますが、基本法には、たしかこれは議員立法か何かだと思いますから、国会への年次報告の義務づけを政府に求めているんですよ。これは、やはり県民の生命にかかわる問題でありますし、ある意味では、行政としても政治としても、一番優先的に取り組まなければならないテーマだと私は思っております。つきましては、行政のほうで毎年予算を組んでそれなりの対策を推進していくわけでありますが、まず、事柄の重要性と、こういった性質のテーマでもありますので、ぜひ県議会にも県として年次報告のようなものをやっていただければと思いますが、この点につきましては、部長はいかがでしょうか。
〇赤羽保健福祉部長 ありがとうございます。先ほど申し上げました自殺予防対策推進協議会で、年に2回ぐらいは協議をしていきたいと思っております。その中で、アクションプランに掲げたことがどう進められているかということを取りまとめて、お互いに次に何をやろうかということを考えることにしております。こうしたアクションプランの推進状況を中心にしまして、議会に御報告する、あるいは県民の方々に御報告するということは必要と考えております。そうした方向で対応を進めさせていただければと思っております。よろしくお願いいたします。
〇高橋雪文委員 私からは、185ページいわてシルバーカレッジ運営事業費について質問させていただきたいと思います。
 この事業は、平成14年スタートということで、広域のほうで4キャンパスで事業を行っているということですけれども、まず最初に、その実績とこの事業の効果についてお知らせいただきたいと思います。
〇及川長寿社会課総括課長 いわてシルバーカレッジの実績と効果でございますが、これまで、平成14年の開設以来、6年間で延べ1、700人余りが受講してございます。その結果、昨年度ですが、この受講者に対してアンケート等を実施いたしましたところ、その回答の中に、入学によって積極的に地域活動に参加するようになった、地域活動に意欲がわいてきたと。これは、シルバーカレッジが、当初から高齢者を対象に長寿社会を担う地域活動のリーダー養成を目的として実施しているという観点から、一定の効果が上がったのではないかと考えております。
〇高橋雪文委員 増田前知事が、地域の地域力を育成していきたい、こういう思いから、地域の高齢者パワーを地域還元し、地域力の担い手としてぜひとも高齢者に活躍してもらいたいということを設立当初述べたということで、私も非常にこのシルバーカレッジ事業について、その意義と、そして高齢者の育成という意味で非常にいい事業だったなと思っているところでございます。
 今回、新しい知事になりまして、地域コミュニティの育成とか、先ほどの増田前知事も言っていたように、地域力の強化ということを高らかにうたっているわけでございますが、今後の話を聞くと非常に後ろ向きなお話を聞いているわけでございますが、この事業をどのように活用して、そして、今後どのように地域のリーダー、特に高齢者でございますけれども、育成・強化しようとしているのか、お聞かせいただきたいと思います。
〇及川長寿社会課総括課長 シルバーカレッジにつきましては、大変評価いただきましてありがとうございます。しかしながら、近年、このシルバーカレッジの受講者というのが激減状況にございまして、一方で、市町村のほうで高齢者を対象とした講座がいろいろ開設されてございますが、調べましたところ、平成17年度実績でございますが、29市町村で延べ8万3、000人余りの方がこれに参加しておられるということで、同様の内容もございまして、県が行っているいわてシルバーカレッジといたしましては、一定の役割を果たしたのかなと考えておりまして、シルバーカレッジについては、今年度限りにさせていただきたいと考えております。
 ちなみに、もちろん高齢化社会、これが活力があって安心できるものとしていくためには、生きがい、健康づくりというのがさらに推進されなければいけないわけですが、さらに、高齢者の方は積極的に高齢社会を支えていただける貴重なマンパワーであると考えてございますので、地域コミュニティを育成していく力となっていただくことは、極めて重要なことだと考えております。
 シルバーカレッジが閉校した後につきましては、ただいま有識者の意見などを聞いておりまして、市町村の生涯学習などへの支援、それから、現在、いわて県民情報交流センター、アイーナでございますが、ここに高齢者社会貢献活動サポートセンターというのを今年度設置しておりますので、これを中核として新たな仕組みをつくっていきまして、高齢者の方々の人材養成と社会貢献活動を支援していきたいと考えております。
 また、これは地域振興部所管事業でございますが、草の根コミュニティ再生支援事業というのもございますので、これとも連携しながら、高齢者の社会参加活動による地域コミュニティの育成、地域力の強化に努めてまいりたいと考えております。
〇高橋雪文委員 存在意義については認めるけれども、県については撤退する、そういうふうに聞こえるわけでございますが、話を聞くと、財団法人岩手県長寿社会振興財団、こちらのほうに業務委託をして、要は、言葉はちょっと悪いかもしれませんけれども、丸投げをして運営していたというような話も聞いております。とするならば、570万円余りの予算額というのは、どちらかというとその長寿社会振興財団の補助金のような形で使われて、実際、シルバーカレッジの運営にはどれだけ使っているのか、私はちょっと疑問を呈するところであります。予算的に削減しても、やり方次第でもう少し効率よくこういう事業は運営できるのではないかと思いますし、生涯教育のこれからのあり方を県は問われているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇及川長寿社会課総括課長 先ほど申し上げました新たな仕組みを考えていくという中で、どういう形でやっていくかということは現在検討中でございますが、いわてシルバーカレッジの運営の方法につきまして、いい面は踏襲した格好で取り入れながら、今後の事業の展開も図っていく必要があろうかと考えております。そういう意味で、シルバーカレッジのやり方、もしこれにうまくないところがございましたら、それの反省も踏まえて、新たな展開の参考にしながらやっていきたいと考えております。
〇高橋雪文委員 高齢者のパワーを地域還元して、地域力の担い手としてぜひとも活用してもらいたい、私は、非常にすばらしい理念だと思うわけでございますけれども、それに対して、やはり岩手県のとらえ方というのが、理念的にはよくわかっているけれども、財政とか制度的なものについては、今、後退せざるを得ないような状況にある。
 私は、部長にお伺いしたいわけでございますけれども、今後、高齢者の皆さん方の生きがいとかやりがいとか地域貢献、高齢者の出会いの場とか、あとは、それこそ地域の高齢者のリーダーを育成する、県として率先してかかわるべきだと思うわけでございますけれども、そういうものをどのように転換して、そして、これからの本当の意味での高齢化社会を活力あるものにしようとするのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
〇赤羽保健福祉部長 ちょっと前置き的なお話になるかもしれませんが、シルバーカレッジは、県教育委員会が設置しております少年の家と財団と共同で、県教育委員会と保健福祉部が共同でやっているような事業でございまして、宿泊研修を中心にしてやっていただいておりました。そうした中で、講師の費用でありますとか、四つの校を置いていたんですが、各校で運営に当たる方の非常勤の方などを置いた場合の経費を県として支出していたものでございまして、財団に丸投げしたという形ではございません。そのことは、御了承いただきたいと思います。
 そうした中にあって、やはり宿泊という形の研修が、次第に人気がなくなってきたということではないかと考えております。逆に、市町村でいろいろ取り組んでいることの講座なり何なりが充実してきて、相対的に魅力が薄れてきたのではないか。それから、高齢者の活動といったことにつきましても、やはりコミュニティの形成ということからすると、市町村ベースで取り組んできている部分が相当出てきているのではないか。地域力ということ、あるいは高齢者の活用というのは、県だけの課題ではなくて市町村の課題でもございますので、そうしたことも背景としてあるのではないかと思っております。
 県、市町村、両者の共通の課題として、やはり高齢化社会の中で、高齢者の方たちにどういう役割を果たしていただかなければならないかということは、それぞれの自治体の機能なり分担を考えながら組み立てをしていかなければならないと考えております。
 そうした中で、岩手県とすれば、アイーナに設置した高齢者社会貢献活動サポートセンターを中核として、県としてさまざまな情報とか、あるいは人材育成とかをセンター的なものとしてやっていく方向に切りかえていきたいと思っております。そして、市町村が行っておりますさまざまな講座等とも連携しながら、県として高齢者の地域活動を盛んにしていくような取り組みをしていきたいと思っております。
 なお、県では、長寿社会振興財団の中に基金を置いております。28億円の高齢者保健福祉基金というものを置いておりまして、そうした基金を活用しながら、高齢者みずからが行う社会貢献活動なんかにも助成しているところでございます。そうした資金面からの助成も県として行い、先ほど委員から御指摘がありましたような、高齢社会を支える、あるいは高齢社会の地域コミュニティを支える高齢者のあり方といったものを築いていきたいと考えております。
〇高橋雪文委員 達増知事になって、2大戦略としてソフトパワーと地域力というキーワードを高らかに掲げている。そういう中で、やはり地域力という部分で、高齢者の担い手、リーダーというのは非常に大きいものがあるのではないか、私はそのように感じるわけでございますけれども、財政難ということで、そういう予算はつけられないというのが本音だろうと思うわけでございますが、やはりシルバーカレッジに参加されている方々からすると、こういう事業を継続してもらいたい、そういう要望が非常に強くあるようでございます。そういう声にどうやって耳を傾けて、そしてその事業のもともとの趣旨を広げていって地域の人材を育成していくか、そういう視点がやはり必要なのではないかと思います。
 私は、部長の答弁ではまだまだ納得できないところもございまして、ぜひその点で、もう少し内部検討もしていただければと思うところでございます。ぜひよろしくお願いいたします。
〇工藤大輔委員 まず最初に、特定高齢者についてお伺いしたいと思います。
 これは、昨年度から始まった事業で、要は、市町村が特定高齢者を認定し介護予防等に当たるという事業なわけですけれども、これの昨年度の実績がどのようになっているのか、そして、岩手の認定実績が全国と比べてどのような位置づけになっているのか、お伺いしたいと思います。
 あわせて、これが認定された方々は地域支援事業を受けられるわけですが、市町村の地域支援事業の内容について、十分準備されてきたのかどうか、お伺いします。
〇及川長寿社会課総括課長 まず、特定高齢者施策の実績でございますが、実は昨年、特定高齢者─特定高齢者というのは65歳以上の高齢者─のうち、昨年度の目標は、3%を抽出して、その後、要介護、要支援にならないようにいろいろな支援をしていこうという事業でございますが、昨年度、全国でそうなんですが、3%の目標を立てたわけですが、そのもと数字は、65歳以上の人口34万5、000人に対しての3%ですが、実際には特定高齢者として抽出できた人数というのが2、400人ほどで、率といたしまして高齢者の0.7%という結果でございました。
 ちなみに、全国の実績を申し上げますと、昨年、全国の実績は、高齢者に対しまして0.43%と、岩手県は全国平均よりは上回っておったんですが、当初目標を下回った結果でございました。
 この原因につきましては、制度がまだよく浸透していなかったということもございますし、そのほかに、この特定高齢者として、この方が特定高齢者だと、一応認定する際にいろいろなチェック項目、外出の際、うまく1人で外出できるかとか、日常生活がうまくいくかとか、そういうチェック項目がございます。その中で、この方はこのまま放っておくと要支援、要介護になるぞという方を選ぶことになるわけですが、変な言い方ですが、そのハードルが高かったと申しますか、そのチェック項目では、なかなか目標の0.3%まで行かないチェック項目だったということで、こういう反省もございまして、そのチェック項目の基準の緩和がございまして、その基準を緩和して、それから制度の趣旨を浸透することによって目標を掲げていこう、目標を高く設定していこう、昨年度までの低い目標を達成していこうという考えで取り組んでございます。
 市町村の取り組み状況でございますが、全市町村で、この特定高齢者施策も含めまして地域支援事業に取り組んでございます。地域支援事業の内容につきましては、総合的な相談事業とか、あるいは権利擁護のための事業とか、そういう地域支援事業の内容になっておりますが、これにつきましては全市町村で取り組んでおります。
〇工藤大輔委員 私も高齢者というか65歳以上の方からちょっと聞いたりしたんですけれども、理由として、いやまだまだ自分は大丈夫だという認識を持っていたり、それが果たして個人の認識と社会的な実態とどう合致するのかというものも出てくると思いますが、そういった問題、あとは健診を受けに行ける人であればまだいいんだ、健診を実際に受けられない方がどうだったのかとか、いずれこれから取り組むべき課題というのがいろいろ見えてきているのではないかと思います。
 そしてまた、確かにチェック項目の件もございました。そういった点も踏まえて、これは、より地域において健康増進に資する事業だと思いますし、一人でも多くの介護者を出さないという大切な事業になっていくんだと私は思います。ですから、そういった意味で、地域支援事業を受けながら、より地域で、また健康な状況を維持し続けられるような対策というものが求められておりますので、市町村のほうにも積極的にこの事業に取り組まれるように、また地域支援事業をより充実してもらえますように、改めてその辺について取り組まれるようお願いしたいと思いますが、それについて部長の答弁をいただきたいと思います。
 次に入りますが、身体障害者補助犬法が制定されて5年を経過しようとしています。これについては、利用者の方々から、さまざまな場面で受け入れを拒否されたりするケースがあり、たしかその翌年度、不特定多数が利用する施設においても受け入れるという、入館であったり、あとはそこに入ることを受け入れられるような義務づけがされたものであったと思います。
 その後、県内においてこの法律の浸透ぐあいはどのような状況になっていると理解しているのかお伺いしますし、また、あわせて補助犬の利用のニーズと毎年の提供というか、ニーズに対する利用者がどのような形でふえているのか、ニーズにかなっているのかどうかお伺いしたいと思います。
〇赤羽保健福祉部長 特定高齢者の関係は私のほうから、補助犬の関係につきましては、障害保健福祉課総括課長から答弁させます。
 今、委員から御指摘がございましたように、この制度の趣旨なり目的というのはきちんとありまして、その理念、考え方につきましては、県としても非常に大事なものだと考えております。
 私どもの保健・医療・福祉の取り組みの中で一番大事なものとして考えておりますのは、予防という考え方でございます。重症化を防止するとか、あるいは事前対応をきちんとやっていこう、そして、できるだけ自分の力を維持しながら生活していこうということを考えておりますので、そうした理念に基づいて、各市町村あるいは第一線で活躍されている方たちもいらっしゃいますので、そうした人たちともよく議論を進めながら、本県として事前対応、それから重症化防止、予防中心のさまざまな取り組みを進められるように、一層の努力をしてまいりたいと考えております。
〇小林障害保健福祉課総括課長 身体障害者補助犬法の浸透状況でございますが、どの程度浸透しているかということについてでございますが、委員がおっしゃられたような苦情等につきましては、現在のところは伺っておらないところでございまして、理解は徐々に浸透しているのではないかとは思っております。
 なお、県におきましては、11月21日にアイーナで開催されます身体障害者補助犬法セミナーの後援でございますとか、あるいは日本盲導犬協会が主催いたします7月20日、21日、県庁等で行われました盲導犬の普及キャラバン等に後援いたしまして普及啓発を図っているほか、県が実施してございますユニバーサルデザインの取り組みを通じまして、実際にみずから盲導犬を使って動いていただく、そういうことを周知していただきながら、こうした取り組みを通じまして普及啓発を進めているところでございまして、今後とも引き続き、こうした取り組みを通じまして、御利用者の御協力もいただきながら、県民の理解の一層の普及啓発を図ってまいりたいと考えている次第でございます。
 それから、ニーズにどうなっているのかということでございますが、本年度におきましては、4人の方から申請がございまして2人に対して給付させていただいているところでございまして、本県におきましては、現在、合わせて16頭の補助犬─全部盲導犬でございますけれども─がおるということで、障害者の活動を支えている。法律が制定されました平成14年当時は、県内10頭程度でございましたので、これも徐々に伸びてきているというような状況にあると考えている次第でございます。
〇工藤大輔委員 以前、この件についても質問させていただいたんですが、現状でニーズに対して、それの給付がふえてきているということは大変ありがたいことだと思いますが、ただ、いずれまだまだ障害者自体が、この補助犬について接したことのない方がまだ多いというのも実態であると思います。どういったものなのか、どういった形でともに生活をした場合によいのかどうかということを知らない方が多い。やはりこれは、利用者の方々からの言葉を聞いてみたり、また、実際に補助犬に接する機会を多く持つということが大切だと思いますし、その結果、さらに障害者の方々がより自立ができる生活等が今後進んでいくと思いますので、それについても取り組んでいただきたい。また、国に対してもしっかりと要望していただきたいと思います。
 これについては、近くであれば仙台とか北海道で、たしか補助犬を養成していると思います。ただ、これも、そういった特殊な能力を持つ犬をつくるにしても、時間もかかりますし経費もかかる、予算もないといったような状況もあったり、また、せっかくつくった犬が、その障害者と相性がいいかどうか、これも本当に一つの課題にもなっていると思います。ですから、私はもっともっとこれについては積極的に取り組んで、障害者のより自立を高める制度に持っていってもらいたいと思いますし、何よりも、広く県民の方々が、障害者と対等に、同じように生活をでき、より理解を深めることが何よりも大切なことだと思いますので、利用者が少なくてなかなか浸透というものは深くまでは進んでいないと私は認識しておりますが、それにかわるというか、それ以上のこれからまた県の取り組みによって、広くこの法の趣旨が浸透していくように努力をされますよう期待を申し上げまして質問を終わりたいと思います。
〇高橋比奈子委員 大きい項目で2点質問させていただきます。
 まず初めに、ひとにやさしいまちづくりの推進事業費が計上されて条例の見直しも行われております。パブリックコメントの状況を含めての現状をお知らせいただきたいと思います。
〇下屋敷地域福祉課総括課長 ひとにやさしいまちづくりの見直しでございますけれども、ひとにやさしいまちづくりについては条例がございまして、これは平成8年4月に施行しておりまして、制定から10年を経過しております。まずもって、この条例につきまして、県の今までの取り組み状況を踏まえながら見直しを今行っているところでございます。
 条例の主な見直し点でございますけれども、障害者、高齢者の方々だけではなく、だれもが安全、円滑に建物あるいは施設を利用できる生活環境の整備を主体に考えております。その観点からユニバーサルデザインの考え方を明確に打ち出しまして、これをもとに、県民の一層の意識啓発あるいは県民意見の反映、また、ユニバーサルデザインに対応した公共的施設の整備促進を図っていきたいと思っております。
 その推進の状況でございますけれども、知事をトップといたしますひとにやさしいまちづくり推進会議や庁内の実務者で構成されておりますワーキングチームで検討を進めておりますが、5月には県民の意識調査、それから各種団体の方々との意見交換会を2回ほど開催しておりまして、素案を取りまとめ、9月にパブリックコメントと地域説明会を行ったという状況になっております。
 今後は、来る12月定例会にいろいろ具体案を固めまして条例改正案を提案したい、そのように考えておるところでございます。
〇高橋比奈子委員 今、意識啓発というお話が出ましたけれども、これに対しては、自治体の職員の方が一丸となって市町村と連携をされたり、それから、生活者の視点で見た公共インフラなども重要ではないかと思うんですけれども、どういうふうな形で連携とか自治体職員の人たちが一丸となっていくのか。あわせて、今いろいろと進めようということでお話を伺いましたが、これに対する検証はどういうふうにされていくのかをお知らせいただきたいと思います。
〇下屋敷地域福祉課総括課長 生活者の視点に立って自治体職員がどのように頑張っていくかという御質問かと思いましたけれども、まずもって、県庁職員─私どももそうでございますけれども、ユニバーサルデザインというだれもが人に優しいものを考えていくという意識啓発は必要ではないかと思っております。また、県でも研修といった形で過去にはやったことがございますけれども、これについて今後やっていかなくてはいけない、そのように思っています。また、市町村職員の方々に対しての説明といいますか、そういう啓発も単発ではなくて継続してやっていく必要性があると認識しております。
 それから、この条例の見直しが終わりますと、県の施策の基本方針であるところの推進方針をつくっていこうと今考えておりまして、その中で各部局のいろいろな施策の考え方を取り込んでいきたい、そのように考えているところでございます。
〇高橋比奈子委員 条例の中に検証というようなこともありましたので、協議会をつくられるのでしょうか、そういう形でしっかりとした検証をぜひしていただきたいということと、それから、非常にすばらしい考え方で、全庁一丸となってやりたいというお話でしたので、これは担当の保健福祉部だけではなく、全庁の職員の方に一丸となってお進めいただきたいと思いますので、ぜひ今のようなお気持ちでよろしくお願いします。これは御答弁はいいです。
 次に、部長が冒頭でお話をされていました、今のにも関係するんですが、ユニバーサルな地域づくりに関係してもう一つ伺いたいと思います。
 県では、平成12年か13年に、例えば車いすのトイレとか、それからオストメイトのトイレとか盲導犬が使える施設はどういうところか、また、病院、観光地なども一部掲載をして、どういうトイレがありますよとか、そういう形での冊子を出しておりますが、平成12年、13年ですから、大変情報が古くなっていると思うんです。これに対して、新しくできている施設などもありますので、施設、ユニバーサルデザインというのは片仮名語だと言われてしまうかもしれないので、障害を持っている方とか高齢者とか、どんな人でもすべての方々が使えるトイレがありますよとか、そういうものの情報を刷新して県民の方々に周知していただければと思うんですが、この件は今後どのように進められるのかお知らせいただきたいと思います。
〇下屋敷地域福祉課総括課長 ユニバーサルデザイン対応施設の情報提供という御質問でございますけれども、県では、お話がございましたとおり、平成13年にいわてはーとふるマップという冊子をつくりまして、この中に障害者の方々のトイレとか駐車場とか、あるいはまたエレベーターの情報などを盛り込み、市町村とか関係団体にお配りして周知を図っているところでございます。何せそれ以来つくっていなかったということもございまして、やはり迅速な情報を常にリアルタイムで提供することは非常に重要でございますので、現在、県の持っているGISシステムと連動いたしました電子マップを早急に整備したい、そのように考えて、現在それの構築について進めている状況になっております。
 いずれにいたしましても、利用する方々がアクセスしやすい、あるいは利用しやすいということが重要な観点でございますので、それに向かって構築を検討してまいりたいと思っております。
〇高橋比奈子委員 今、マップでお知らせしてくださるということなので大変うれしくお伺いしているんですが、はーとふるマップの中に医療的なものが非常に少なかったんですね。ことし、盛岡市で開催されたいきいきライフ展に車いすで参加された方から、自分たちが行ける歯医者、それから病院の情報がないので、どこだったら車いすでも行けるのか情報提供してほしいという要望が出たんですね。歯科医師会の方が、そういうことも必要だし、ぜひ検討していきたいというお話をされまして、先日、医療局にお話をしたら、医療局では、うーんと、きちんとしたお返事がなかったようなお話を内々にお聞きしたんです。医療局はどうしても県立病院のことだと思うので、医療局、それから歯科医師会、医師会などとも連携をしながら、県立病院、病院、歯科医院、こういう医療関係の行ける、行けない。それから、歯科医師会では、実際予約があったところは車いすの方々を自分たちでお迎えに行って治療ができるような形にしたりという対応もしているので、そういうこともきちんとお知らせしていきたいと話していましたので、連携をしてそういうこともその中に盛り込んで、車いす、高齢者の方々がどこだったら対応してもらえる、それから、予約をすれば自分たちも対応してもらえるということを住民の方々にしっかり周知をしていただきたいと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
〇下屋敷地域福祉課総括課長 医療施設につきましては、その性質上、使いやすい、だれもが利用しやすいというユニバーサルデザインのニーズが非常に強い施設だと。基本的には、医療施設につきましては、ユニバーサルデザイン化といいますか、バリアフリー化をすべきものと県としては認識しているわけでございます。そういう対応に医療機関のほうでもぜひ取り組んでいただきたい、そのように切に願っているところでございます。
 先ほど来から出ている情報提供のあり方についてですけれども、これは先ほど申し上げました電子マップの件もございますので、そのあり方等につきましては、医師会あるいは歯科医師会の方々とも十分にお話し合いをさせていただかなければいけない、そのように思っております。
 また、条例の中では、先ほど委員からお話がございましたけれども、推進協議会というものをぜひ官民連携、協働して進める組織を起こすつもりでおりますので、その中でも十分こういう点につきましてはお話を進めさせていただきたい、そのように思っております。
〇高橋比奈子委員 最後にします。
 大変前向きなお話でうれしく思っております。ぜひ医療情報なども、それから車いすの方々は、進めていただいて、予算がなくてだめだというのであれば、こっちは行ける、こっちは行けないという情報さえわかれば、自分たちは、例えばひなびた温泉に入りたくて、ここはバリアフリーができていないと思えば担いでくれる人と一緒に行くし、それから、きちんと施設があるという情報があれば、そちらのほうには自分たちだけで行くとか、そういうことをするので、情報の提供を徹底していただきたいということを願っております。
 やっていただくということとあわせて、できる、できないの情報を周知していただきたいという要望だけ申し上げて、回答はいいです。どうぞよろしくお願い申し上げます。
〇菅原一敏委員 私からは1点だけ、185ページの介護サービス適正実施指導事業費にかかわりまして、介護サービス情報の公開に伴う手数料についてお尋ねさせていただきたいと思います。
 この手数料につきましては、県条例によって、介護サービス情報調査手数料と、それから公表手数料と、それぞれこの二つが定められておるところでございますけれども、地域で介護サービスを担っている特にも小規模な事業所の方々にとりましては、両方で5万9、000円になるわけでございますが、この手数料が大変大きな負担になっていると聞いているところでございます。毎年サービスの内容に変更があってもなくても、あるいは複数のサービスを実施している事業所もあるわけでございますが、そのサービスの一つ一つについてそれぞれ5万9、000円という負担が生じてくるわけでございます。
 そこでお伺いいたしますけれども、県においては、この料金が高いという声があることを承知しておられるかどうか、そしてまた、今後、この料金のあり方について何らかの検討をされるお考えがあるかどうか、お尋ねしたいと思います。
〇及川長寿社会課総括課長 サービス情報公表の手数料料金についてでございますが、昨年─平成18年度に、指定公表センター─情報を公表しているところでございますが─と指定調査機関─実際に事業内容を調査しているところでございますが─に、照会もございますが、29件ほど苦情等の実績がございました。ただし、その内容につきましては、手続の内容とか制度自体の必要性への疑問とか手数料への不満とか、そういう照会、苦情でございましたので、ある程度は制度がまだ定着していなかったということもあってそういうのがあろうかなと思いましたが、今年度になりまして、この辺の事業者等からの声は実績が5件になっております。ということで、数としては減少傾向にあるということもございますので、制度の意義がある程度浸透したと認識しております。
 委員も御案内のとおり、このサービス情報の公表制度は、利用する方あるいはその家族の方がその事業所を選択しやすくするためにという趣旨で設けられた制度でございまして、料金についても、県によって多少違いはございますが、国の定める指針に基づきまして、必要な人件費や旅費、それから入力手数料などで積算しておるものでございます。
 それから、小規模事業所に対する考え方でございますが、小規模な事業所につきましては、例えば介護サービスとして提供した費用が100万円以下の事業所についてはこの公表制度の対象外にするといった配慮もなされております。
 今後、来年度からは介護予防サービスの公表も対象に加わるわけですが、介護予防の場合、従前の居宅サービス事業所があわせて介護予防のサービスも一体的に行っておりますので、両方のサービスを同時に同じところでやるということであれば、その手数料等のあり方についてはやはり検討の余地があろうと思いますので、この辺は、国の制度の動向等をにらみながら検討してまいりたいと考えております。
〇菅原一敏委員 国が定める制度でありますから、県が自由に決定できない部分が多くあるということは、それはそれで承知をしているわけでございますけれども、手数料だけではなくて、さまざまな制度の内容等の見直しによって、100万円以下の事業所は対象外となっているわけでございますが、それ以外の100万円以上の小規模な事業所についてももっと何か、手数料の金額だけではなくて、例えば変更がない場合には調査をしなくてもいいとか、あるいは毎年ではなく隔年調査にするとか、3年に1回にするとか、小規模な事業所に対する配慮がもう少しあってしかるべきだと思うわけです。こういうことについても実態をきちんととらえて、国に対する要望なり提言なりをしていくべきであると思いますけれども、その点のお考えはいかがでしょうか。
〇及川長寿社会課総括課長 制度としては国が定める制度でございます。手数料自体は県の手数料条例で定めておりますが、その積算についてもある程度その単価を入れ込んで積算するという仕組みになっておりますので、今、委員がおっしゃったことにつきましては、制度の運用がどの程度可能なのか研究しながら対応してまいりたいと思います。
〇菅原一敏委員 もう一つだけお尋ねしますけれども、これは昨年1年間実施されたわけですが、対象事業所はどのくらいあったのか、件数とともにお聞かせいただきたいと思います。
〇及川長寿社会課総括課長 平成18年度に公表されましたサービス事業所は、種類にして9種類、箇所にして1、071カ所でございました。
〇菅原一敏委員 そうしますと、その1、071カ所から5万9、000円ずついただいたと考えてよろしいわけですか。
〇及川長寿社会課総括課長 この手数料につきましては、実際に経費がかかったところ、つまり指定公表センターに情報公表手数料として直接収納されます。それから調査機関がございますので、情報調査手数料につきましては、指定された調査機関が直接収入するという仕組みになってございます。
〇菅原一敏委員 その仕組みにつきましては県条例にあるわけですから承知しておりますが、私がお聞きしたいのは、その1、071カ所からすべて指定調査機関が5万9、000円ずつの手数料徴収をしたと考えていいのかとお聞きしたつもりです。
〇及川長寿社会課総括課長 1、071カ所からすべて平成18年度につきましては手数料を徴収させていただいております。
〇菅原一敏委員 概算しますと7、000万円ぐらいになるわけでございますが、これの使い道というのは主にどういうふうになっているんですか、おわかりになりましたら教えていただきたいと思います。
〇及川長寿社会課総括課長 これにつきましては、決められた単価でございますので、単純にこの単価掛ける箇所数ということでそういう金額になるものでございます。
〇新居田弘文委員長 収入後の使途。
〇及川長寿社会課総括課長(続) 失礼いたしました。
 その徴収した金額につきましては、実際に情報を公開するのにかかった経費、それから情報を調査するのにかかった経費に充当されたということでございます。
〇菅原一敏委員 それぞれ公表機関、調査機関があるわけでございますが、そのそれぞれの機関で収納した手数料の総額をどういうふうに使ったのか、そして、収支はどうなのか、そういうことについては県としてお調べになっておりますか。
〇及川長寿社会課総括課長 それにつきましては調査してございません。
〇菅原一敏委員 これは1年間の実績が出ているわけですから、ぜひともこれは調査をしていただきたいと思いますので、お願いをしておきたいと思います。
 それから、法律の中にも書いてあるようでございますけれども、この経理は、ほかの経費と区分して独立採算的に処理しなさいというふうなことも書いてあるわけですから、一覧して、収支がどうなのか、手数料が余ったのか、あるいは要した経費に満たなかったのか、それがわかるようになっているはずですから、ぜひともそれらを精査、検討した上で、今後、この手数料の額がこのままでいいのか。介護事業そのものが非常に採算性の低い事業で、苦労してみんな介護サービスに当たっているわけですから、四つぐらいのサービスを提供しますと24万円毎年取られることになるわけです。本当に大変な負担なわけですから、必要であればこれはそのままでいいと思いますが、各機関の内容を精査して、もし引き下げ、あるいは制度的なその他の措置がとれるようであれば、ぜひとも新年度に向かって前向きに御検討いただけるようにお願いして終わります。
〇赤羽保健福祉部長 今お尋ねのありましたサービス情報の公開について、事業者において実際にどういう会計が行われているか、そして、その会計が適切になされているかどうか、それから、そこから来る手数料が果たして適正かどうかといった御意見ではないかと考えております。
 今、情報公開しているところは財団法人の長寿社会振興財団が県の指定機関になっておりますし、調査を行っているのは社会福祉法人であります県の社会福祉協議会とNPO法人でございまして、県が認証なりをしているところでございます。そうした県としての役割、責任も踏まえて確認をしてまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 私からは大きく2点お尋ねしたいと思いますが、まず初めに、医師確保における奨学金の貸付状況等についてお尋ねしてまいります。
 こうした県の行います奨学金の貸付事業につきましては一部医療局がやっているものもあると承知しておりますが、共管の組織であります医師対策室もありますことから、保健福祉部のほうで質問をさせていただくものであります。
 まずもって、平成18年度の県の医師確保の奨学金事業、この貸付状況と対象人数、貸付者についてお示しいただきたいのと、それから、いわゆる地域枠の対象になっている補助金、岩手医科大学の場合どの程度までの奨学金があって、それがその他の一般的な補助金と比べてどの程度違うものかについてお示しいただきたいと思います。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 まず、医師養成に係る奨学金の貸し付けの状況でございます。
 県におきましては、県と市町村が共同実施いたします市町村医師養成事業、また、医療局が実施する医療局職員奨学金貸付事業及び県立病院医師養成事業の三つがございます。これにつきまして、平成18年度の貸付者合計の人数は、合わせまして19名となってございます。その際、応募された方々は41名となってございます。
 もう一つ、次でございますけれども、岩手医科大学に医療局が地域枠として設定している奨学金の制度と他の事業の奨学金制度の額の違いという点につきましては、医療局の地域枠の奨学金制度につきましては、6年間で全体で4、050万円余という額が奨学金として、本人ではなくて大学側に負担する形になってございます。現行の制度でございますので。市町村医師養成事業につきましては月額20万円が基本になりますけれども、私学に入学された方については一時金として760万円といった額が設定されてございます。また、地域枠でないほうの医療局職員の奨学資金の貸付事業につきましては、月額20万円といった額が設定されているところでございます。
〇岩渕誠委員 確認いたします。いわゆる地域枠で奨学金を受けた場合、私は、個人で3、000万円程度だというふうに認識しておりますが、4、000万円いただけるものなのでしょうか。
 私が事前に調査をした部分でいいますと、地域枠であれば国公立大学並みの負担におさめるようにということでありますから、6年間の岩手医科大学の授業に係る経費、およそ3、400万円だと承知しておりますが、それに対して3、000万円、それ以外の奨学金によるものについては2、200万円と承知しておるんですが、今の答弁とはちょっと違うようですが、どうなんでしょうか。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 医療局のほうで実施してございます地域枠の奨学金の件でございますが、先ほど私、6年間に要する費用として全体で4、050万円ほどとお答え申し上げました。この費用につきましては、先ほど申し上げましたとおり、本人ではなくて大学側に負担する形で支出されております。その中で、さらに細区分を申し上げますと、3、050万円ほどが奨学金として充当されるべきものでございまして、残りの部分については大学の試験研究等の費用というふうに私ども整理いたしてございます。
〇岩渕誠委員 いずれにしましても、岩手県内における岩手医科大学進学者というのは大変貴重な供給源になっていようかと思うのでありますが、実態を見ますと、地域枠で入りますとかなり高い奨学金をいただける。その一方で、そうでないと倍以上の開きになってしまう、こういうことが現状だと思います。
 そうした中で、今回、地域枠が10名に広がるということ、これは大変いいことだとは思いますが、ただ、私は、この中で1点、大変気になることがございますので指摘しておきます。これまでの地域枠に対する応募要綱、応募要件を見ますと、岩手県の住民で、高等学校または中等教育学校を卒業した者という区分での応募資格だったと思います。ところが、新しい地域枠の奨学金、もうセットになった部分でいいますと、岩手県内の高校を卒業した者というふうに受験資格が狭まったと認識しておりますが、どうでしょうか。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 来年度の岩手医科大学の入試におきまして、新たに地域枠を設定する、そして、地域枠の特別推薦入試といったものが大学として設定されることになってございます。これは、本年度までの医療局が実施している地域枠とは制度的に若干異なるところがございます。これまでは医療局が地域枠として応募者を募り、その中で一定の方々を大学側に推薦し、岩手医科大学の一般推薦入試枠の中で合格者の方々を選んでいたというわけでございます。今般の地域枠の設定につきましては、大学側が設定をする仕組みになってございます。これは、今回の定員増の関連で、文部科学省との協議の中で、大学側が自主的に決めるという仕組みになってございます。
 そういった中で、岩手医科大学におきましては、通常の推薦入学試験との整合性もあるということで、入学者の選抜方法につきましては、先ほど委員が御指摘になったように、県内の高等学校を対象にして、各学校長による確実な推薦が得られる方々について推薦いただくということで出願資格を定めております。昨年度は1校当たり2名までと制限がございましたけれども、今般の新しい制度におきましては人数制限を設けずに推薦をいただけるというふうになっているものでございまして、そういった考えで大学側のほうで設定をしたと考えておりますので、私どもとしては、応募する方々の枠としては全体として広がっているのではないかと考えてございます。
〇岩渕誠委員 制度についての御説明もありましたが、制度について広がったというような認識でありますけれども、実際問題として、岩手医大に入りたい、そして岩手県内でお医者さんを目指したいという若者にとって、一番のネックというのは学費の部分なんです。そういう意味で、岩手県内に住んでいても、医師を目指したい、そういう強い意欲を持って、それであればということで青森県あるいは宮城県に通っている生徒さんもいるわけです。そういう子供たちが受けられないということになりますと、これは当然学費の問題も出てきますから、他県に流出するのは目に見えているわけです。そういう状況が果たして県内における医師確保に本当に寄与するのかどうか。これは国の考え、あるいは医大の考えというのもあると思いますが、岩手県内の医師確保における現状にかんがみたとき、こういった制度について、部長、どのようにお考えですか。
〇赤羽保健福祉部長 今般の地域枠の募集対象につきましては、大学側がこれまで行っていた推薦入試の考え方によって行われたということでございます。一方、例えば県北地域でありますと八戸方面の学校に通っている方、あるいは県南地区でありますと気仙沼や、あるいは古川に通っている生徒さんもいるのではないか、そういった方々の機会をどうするのかといったようなお尋ねではないかと思っております。
 私ども県が大学の入試要綱の決定までどう入っていけるかということについて、実際のところ非常に悩んだところでございます。基本的には、大学が文部科学省との協議の中でいろいろと御検討いただいたと考えておりますが、実際上そうした実態もあるということでございまして、どういう形が一番いいのかということについては、今回の入試には実はもう間に合わない形になってしまうわけでございますけれども、いろいろと大学側ともこれから話し合いを進めていきたいと思っております。
 ただ、そうしたときに、どこまでどう広げるかというのが実はございまして、岩手県の住民であってということでも、これまでも自治医科大学なんかでもそうですが、宮城県から逆に岩手県の高校に来ていた方が岩手県の枠で自治医科大学に入って岩手県のお医者さんとして働いているという事例もあります。そうしたいろいろな事例も踏まえながら、どういうことが一番的確なのかということを考えていきたいと思っております。恐らくは相当難しい線引きになってくるのではないかと。今回の場合には、なかなか大学側ともそういったことについてまで微細に検討する時間的な余裕もなかったというのが正直なところでございます。
 なお、市町村医師養成事業で、実際には御負担は多くなるわけですけれども、私立大学に入学される方について、一時金として760万円お貸しするという制度も地域枠のほかにつくっていきたいと考えております。そうしたこともありまして、ぜひ志のある若者に挑戦をしていただいて、これから議会の御承認を得て設定させていただく奨学金制度を活用していただければと思っております。そういうことによって、志のある若者に地域医療に従事していただきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 志ある若者の未来の選択について、その機会の公平性、特に岩手県民でありますし、岩手県のために役に立ちたいという志に報いるような制度設計をぜひ大学側や国に対しても求めていただきますようお願いしたいと思います。
 続きまして、大きく第2点であります。今の医師確保の部分についても関連してくるわけでありますが、これは遠い先の、着地点をどうするかという話とも関連するわけであります。今、本当に医師不足ということで大変な御努力をされて、平成18年度においても新たに医師確保をしてきたわけであります。一方で、今の医師確保のあり方、全国平均に対して何人少ないという言い方を常々保健福祉部、医療局は使っているわけですけれども、一つ見えないのは、では、どこそこの医療圏域でどういう医療体制をするために、今、何人足りないのだ。どこまで医師を連れてくればいいのか、そういう圏域ごとの医療体制のあり方と、それに必要な医療従事者がどれぐらいあればいいのかというのが全く示されていないと思うのです。本当はそういうのを示してやるべきではないかと思うんですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 医師の必要数につきましては、必要な医療技術でございますとか、求められる医療の水準、または地域の疾病構造、または患者さんの受診行動など、いろいろな影響を与える要素がたくさんあろうかと思ってございます。こういった中で、一定の条件を設定いたしまして医師の必要数を算出することにつきましては難しいと考えてございます。国におきましても、平成18年に行われた医師需給見通しの検討会におきまして、診療科別の必要数については、今申し上げたような技術的な事項等も含めて算出が困難ということで、需給見通しは示すことができていない状況でございます。こういった状況におきまして、本県におきましても、残念ながら、医療圏別、診療科別の必要数を現時点におきまして明確にすることは困難であると考えてございます。
 こうしたことから、県といたしましては、これまでのいろいろな取り組みを踏まえまして、県全体としての医師数をふやすことがまず第一だと考えてございます。そういった中で、医師不足地域の拠点病院とか小規模な医療機関への医師の配置とか派遣調整を進めるといったことで、県民の方々に必要な医療を適切に受ける体制を構築してまいりたいと考えてございます。
〇岩渕誠委員 国もやっていません、できません、県もできません、そういう今までの取り組みが、まさにこうした医師不足あるいは偏在化という問題を招いた根本的な原因ではなかったのかと私は思うのであります。
 せっかく医師養成の事業をやっているわけでありますから、県としてはやっぱりその努力はすべきだと思うんですね。将来的な姿形を見据えた上で、それで、今ここが足りないんだ、あるいは機能分担が必要なんだということがなければ、開業医との連携とか、あるいは住民でかかりつけ医をどうしてください、ああしてください、こういう話はなかなか説得力があるものではないんです。ただただ集約をしました、住民は困ります、そういうような議論だけになってしまいますから、ぜひ地域における医療水準と医療従事者の関係については明確にする努力をいただきたいと思うんですが、再度お願いいたします。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 地域において、また、診療科別の医師の必要数についてでございますけれども、私どもにおきましても、地域の医療機関の先生方とのいろいろな意見交換の中で、どういった診療科が今どういう大変な状況なのかといったお話も伺ってございます。そうした個々の取り組みを何とか積み上げながら、委員の御指摘のような姿を描けるように、もう少し現場の先生方とも意見交換をしつつ、また、国に技術的に示していただけるような点も我々として情報収集なり助言も求めまして、地域に必要な医療のあり方、そして必要な医師数がどうなのかといったことについて検討、研究してまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 いずれこの問題は、医療供給の問題もさることながら、地域医療、それを受ける住民にとっても考え方をいろいろと広げていく、みんなで考えていく契機になりますので、ぜひそういった観点からも早急に進めていただきたい。できれば、本当に岩手県がモデルケースになったんだというぐらいのことをお示ししていただきたいという要望で質問を終わらせていただきます。
〇小野寺好委員 ちょっと確認したいんですけれども、これまで医療局の審査のときに、岩手医大への5人枠、多分4年か5年目ぐらいになるのかなと思うんですけれども、この4人枠については、年によっては、医療局で推薦しても、医大のほうでこの生徒さんはだめですよということで、5人の枠が3人とか4人とか、残念ながらそういったこともあったんですが、これまでの医療局の5人枠と全く別個に10人の枠になるのか、それとも医療局の5人枠は5人枠でやっておいて県は別な10人枠を確保することになるのか、その辺ちょっと確認したいと思います。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 医療局のこれまでの地域枠の奨学金制度と来年度からの地域枠の奨学金制度については、これまでの医療局の制度については平成19年度限りと聞いてございます。その中で、来年度から新たに定員増10人に対応した地域枠を県として設定させていただきたいと考えているものでございます。
〇小野寺好委員 その新たな10人枠ですけれども、見込みどうでしょうかねと関係者に聞きましたら、今までの経過からすると、南のほうから来る方が圧倒的に多いと。県内の方はなかなか挑戦する人数が少ない。10人枠をせっかくいただいていながら、仮に、応募者が少ない、あるいは応募はあったけれどもちょっと点数が満たないといった場合に、せっかくの10人枠を満たさないという事態もあり得るんでしょうか。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 岩手医科大学への岩手県の高校生の方の受験の数を見てみますと、ここ数年、100名程度はいらっしゃるというふうに大学から聞いてございます。これまで、一般入試でありますとか推薦枠とか地域枠も含めてだと思いますけれども、100名程度の方が毎年岩手医科大学を受験されているといった状況からいたしますと、新たに設定をさせていただければと思っておりますこの岩手医科大学の地域枠のほうへ応募される方々はそれなりに確保できるのではないかと考えてございます。
〇小野寺好委員 せっかくの枠ですけれども、今までの学力検査の結果、なかなか県内の人が南から応募する人に及ばないと。そういった状況の中でも、仮に点数が低くても、10人枠をとってあるんだから、南のほうの人よりも点数が低くても入るということになるんでしょうか、その辺ちょっとお伺いします。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 説明が舌足らずで大変申しわけございません。
 地域枠の設定につきましては、岩手県の高等学校を卒業した方に今回の募集要項では決められてございますので、岩手県の高校を卒業された方々で10人を競争いただくということになります。
〇新居田弘文委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時51分 休憩
午後1時4分 再開
〇嵯峨壱朗副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
 この際、執行部から、午前中の菅原一敏委員の質疑に対する答弁について、補足したい旨の申し出がありましたので、これを許します。
〇及川長寿社会課総括課長 午前中の菅原一敏委員の質問に対するこちらの答弁にちょっと足らない部分がございましたので、つけ加えさせていただきます。
 介護サービス情報の公表センター、それから検査機関の手数料については、直接その機関がそれぞれ収納しておるわけですが、それに関連して、その収支、その内訳をきちんと把握しているかということで、調査していないという答弁をいたしましたが、調査ということではやっておりませんが、事の性格上、介護サービス情報の公開ということですので、当然その内容についても、それぞれのホームページ等で公表されておりますので、その結果について概略を御報告いたします。
 まず、指定公表センターは長寿社会振興財団でございますが、ここは、収入活動実績額が1、200万円ほどでございまして、330万円ほどの初年度繰越金が出ております。これは、初年度の公表に要する委託料を安く見積もってその額を実績としたということで、実際の額よりかなり安い委託料で済ませていたためにこういう繰越金が生じたんですが、今年度の状況を見ますと、この繰越金というのは、かなり少なくなるのではないかという状況でございます。
 それから、調査機関、まず県の社会福祉協議会でございますが、ここの主な支出事業は、人件費、それから調査に要する旅費、これが主な内容になっております。社会福祉協議会の繰越金については30万円ほどになっております。
 もう一つ、NPOのいわて保健福祉支援研究会の収支につきましても、240万円ほどの次期繰越金が出ております。
 初年度ということで、なかなか当初の計画どおりいかなかった部分もございますが、今後は、実際にどういう経費がどれだけ必要であったかというのを精査いたしまして、その結果に基づきまして、手数料については、必要であれば適正な額に見直してまいりたいと考えております。
〇菅原一敏委員 ありがとうございました。一つお聞きしたいんですが、公表センターで初年度だということですけれども、330万円の繰り越しがあった。そして、その理由として委託料を安く見積もっていたというお話でしたが、これは、公表センターが直営で仕事をするのではなくて、さらにどこかにこの公表事務を委託する、こういう意味なんでしょうか。まず、その点をお聞きいたします。
〇及川長寿社会課総括課長 この公表いたしますスタイルをシステム化して、この電算の、実際にはアイシーエスのほうに委託して公表のシステム化をいたしまして公表しておるということで、恐らく、聞くところによりますと、初年度については、テストランも兼ねて公表の実際の実務をやっていただいた部分があるということで、実際の経費につきましては、昨年度そのシステム入力の委託料が126万円ほどだったんですが、今年度は、他県の実績等を見ましても、やはりシステム入力については400万円を超える金額が必要になっておるようでございまして、このような繰越金というのは、以後生じないのではないかと見込んでおります。
〇菅原一敏委員 いろいろ事情はあるんでしょうけれども、いずれ3分の1ぐらいの繰り越しになるわけですから、本当にかかっているとすれば、アイシーエスのほうでこの分を負担しているということになるでしょうし、いずれ、もう少し精査をして発注されるように御指導いただければと思います。
 それから、NPOのほうですが、幾らの収入に対して240万円の繰り越しがあったのか、それをお知らせいただきたいと思います。
〇及川長寿社会課総括課長 NPOの調査機関、ここは、収入は、決算額にいたしまして2、700万円余でございます。2、700万4、000円でございます。
〇菅原一敏委員 わかりました。いずれ、岩手県の手数料条例で定める手数料収入なわけですから、これは特定財源なわけですから、本当に恒常的に繰り越しが出るということであれば、その分をぜひ手数料の引き下げという形で、事業者にきちんと還元されるようにお願いしたいと思います。
〇斉藤信委員 最初に、私は介護保険の問題についてお聞きします。
 昨年度は介護保険法が改悪された初年度ということになります。この改悪によってどういう事態が引き起こされているのか。
 一つは、軽度要介護者からの介護サービスの取り上げについて。要支援と認定された介護予防対象者はどうなっているでしょうか。新予防給付の訪問介護、デイサービス、デイケアなどの居宅給付費はどうなっているでしょうか。介護度1を含めた軽度者の福祉用具の利用、取り上げ状況、これは、その後若干の緩和措置もありましたが、実態をどう把握されているでしょうか。
〇及川長寿社会課総括課長 まず、要支援と認定された介護予防対象者についてでございますが、平成19年3月の介護予防対象者は、要支援1、要支援2該当者合わせて1万1、177名となっております。
 それから、同じく平成19年3月の新予防給付の訪問介護、デイサービス、デイケアなどの在宅給付費につきましては、県内で2億6、300万円の実績になっております。
 それから、要介護1を含めた軽度者の福祉用具の利用の状況についてでございますが、平成18年度の制度改正に伴いまして、要介護1、要支援1、2の軽度者のうち、車いす貸与の対象者は、改正前は383名おられたんですが、そのうち158名が利用の対象外になっております。それから、特殊寝台の貸与対象者につきましては1、404人が対象になっておりましたが、制度改正後は1、179名が利用から外れたということになっております。
 本年4月にまた貸与の基準の見直しがございまして、医療的な理由がある場合は福祉用具の利用が必要だということで、そういう方には給付制限が緩和されまして給付可能となったわけですが、本年4月改正の、その前の3月分とその後の、調査は5月にしておりますが、その比較をいたしましたところ、3月に車いすについては130名の方が貸与対象になっておったんですが、制度見直し後は168名ということで、38名の方が利用対象に追加されております。特殊寝台については、同じく92名から110名に増加している状況でございます。
 今後も、例えば医療的な理由等、必要な方への給付については、適正に支援が行われるよう、市町村─保険者─それから事業者に対して指導してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 ちょっと聞き方が悪かったですかね。要支援と認定された介護予防対象者は、前年の要支援と比べればどのぐらいふえているか、こういう趣旨で聞いたんです。改悪された変化だから。質問原稿も渡しているので、趣旨を踏まえて答えてほしかった。今のはもう一回答えてくださいよ。要支援がどのぐらいふえたか。
 実は、この要支援というのは、新予防給付なんですよ。今までのように介護サービスが受けられない人たちです。私は、そのかかわりで介護予防給付費がどう変わったのかを聞いたので、よく質問を受けとめて答えてくれませんか。
〇及川長寿社会課総括課長 新予防給付が始まりましてからの要支援1、2とそれ以前の要支援につきましては、多少対象が違うという、そういう前提もございますが、数字を申し上げますと、平成18年3月、つまり制度の改正前でございますが、3月の要支援者は6、898人、それから、先ほど申し上げました1年後の3月、平成19年3月の予防対象者につきましては、要支援1、2合わせまして1万1、177名、先ほども申し上げましたが、単純にこの数字を比較いたしますと4、279名の増でございます。
 それから、給付費の関係でございますが、同じく平成18年3月と19年3月の比較をいたしますと、平成18年3月のこの訪問介護、デイサービス、デイケアの在宅給付費は1億3、400万円でございます。それが、平成19年3月の実績は2億6、300万円でございまして、1億3、000万円ほどの増額になっております。
〇斉藤信委員 私は、平成17年度と18年度の比較を聞いたんですけれども、いわば介護予防対象者は1.6倍にふえたということです。そして、この1.6倍にふえた方々は、予防介護という形で、これは訪問介護もデイサービスもかなり制限をされました。そのために必要な介護サービスが受けられなかった。
 具体的に聞きますけれども、盛岡市の場合、介護予防サービスは、計画したうちの18.2%しか訪問介護は受けていないのです。通所介護の場合は29.8%です。全県的にどうなっていますか。計画値に対してね。私は、要支援と低く認定されたために、必要なサービスが受けられなくなっていたのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
 それと、そうすれば、では在宅サービスはどうなるのかということで聞きますが、平成18年度の施設介護もまた大幅に費用額が減っているようですが、施設で減るという要因は何なのか。
〇及川長寿社会課総括課長 まず、要支援者のサービスの利用状況については、ただいま資料を持ち合わせておりませんので、即答はちょっと、後ほどお知らせしたいと思います。
 それから、施設給付費が減額になっておるということにつきましては、まず、一つは食費の負担、それから住居費の負担分が自己負担になったという内容でございます。
〇斉藤信委員 いわば居宅サービスも介護認定も、現状は変わらないのだけれども、認定が変わって介護サービスが受けられなくなった。これはかなり深刻です。施設のほうも、今答えがあったように、施設の給付費も減った。その理由は、平成17年10月から食事代、居住費代が全額負担になって、これは通年ベースではないですね。半年分ぐらいなんですけれども減ったと。
 私は、ことしの3月にも聞きましたけれども、この居住費代、食事代の負担増で介護施設から退所せざるを得なくなった、この時点で64人という回答をいただきましたが、その後のいわば退所せざるを得ない実態というのは把握されていますか。
〇及川長寿社会課総括課長 現在、その数については把握しておりません。
〇斉藤信委員 先ほど私は、特殊寝台、いわゆる介護ベッド、車いすも聞きました。84%が介護ベッドをはぎ取られたのです、昨年10月に。84%ですよ。緩和措置されたけれども、ほとんど変わっていませんね。対象になったのが、わずか92人が110人に、若干、微調整程度しか変わらなかった。
 それで、私は盛岡の実態を聞いてきました。盛岡の場合は246名という方々が特殊寝台を利用して対象外になった方です。このうち、やむを得ない事由により継続になったのがわずか3名、自費レンタルが89人、特殊寝台を自費購入したのが70人。これ、全体で159人で、取り上げられた方々の64.6%はレンタルするか買ったんです。そのほかに、買えない方々は、社協の無料レンタル、一般のベッドを使用したというので、これを含めると78.8%、8割の方々は、やはりベッドが必要だった、こういう結果が盛岡の場合あるんですね。全体としてこういう状況を把握されていますか。取り上げられた実態というのを把握されていますか。
〇及川長寿社会課総括課長 詳細については把握しておりません。
〇斉藤信委員 介護サービスは受けられなくなった、福祉用具は取られた。施設に入っていれば、食事代、居住費代が取られた。これが介護保険法改悪の実態なんですよ。こういう方々がその後どうなったのかということをしっかりつかんで対策をとらなかったら、福祉の充実なんか語る資格はありませんよ。ぜひこれは、今後実態を調査していただきたい。これは答えてください。
 二つ目に、特養ホームの待機者について。これは今までも議論になりました。在宅で2、172人、そのうち重度は1、302人です。施設、病院等の待機者を含めると実に6、492人、そのうち重度は4、638人で71.4%を占めます。いわば、特養待機者はどんどんふえ続けている。私は、この解決策を伺いたい。そして、この間の特養ホームの整備状況、今後の計画、個室だけではない、低所得者も入所できる施設の整備も必要だと思いますけれども、どうなっているのかお聞きしたい。
〇赤羽保健福祉部長 介護保険制度の運用の実態については、制度改正後の状況も含めまして、私どもとしても的確に把握していかなければならないと考えております。市町村といろいろお話をしたり、それから民間の方たちも含んだ介護保険事業の推進についての協議会なども開いて、いろいろ協議はしているところでございます。
 また、今お尋ねにならなかった認知症の方の課題でありますとか、新たな課題もたくさんあるわけでございますので、そういうことも含めまして、国が設定した制度の枠というものはあるわけでございますけれども、県として実態をよく把握し、必要とされる方に必要なサービスが提供されるように努めてまいりたいと思います。
 待機者の関係については、及川総括課長から答弁させます。
〇及川長寿社会課総括課長 特養ホームの整備につきましては、介護保険事業支援計画にのっとって整備しておるところでございます。平成18年度から20年度までの第3期計画期間中に、特養ホーム等介護保険施設については469床の整備を計画しております。それから、認知症グループホームなど、介護保険施設以外の居住系の施設についても559床、計、計画期間に1、028床を整備する計画となっております。
 うち、本年9月までの実績といたしましては、特養ホームについては、420床を計画しているうち284床を整備してございます。
 それから、入居費用の低い特養の整備の関係でございますが、これについては、地域の事情等もございますので、市町村の意見を聞きながら、ユニットケア型施設のみならず、多床室等も取り入れることについても対応は検討してまいりたいと考えてございます。
〇斉藤信委員 私が聞いたのは、待機者がふえていて、その打開策は持っているのかと聞いたんです。今、特養ホームを469床3年間でやりますよと。6、492人待機しているときに469床整備したって、待機者はふえるだけじゃないですか。実は、この4年間で960床整備したとあなた方は3月に答えているんですよ。特養の整備はどんどん減っているのです。待機者はどんどんふえている。やはりここの考え方が県はずれているのではないのか。
 盛岡市の調査もあるんですけれども、例えば盛岡市は、在宅の待機者が262人で、全体では1、068人です。盛岡の今の特養は12施設で804人です。いわば、今の特養ベッド全体の数より待機者が多いのです。それで待機者の実態を調べたら、85%は特養に入りたいと。いろいろな介護施設があるけれども、圧倒的に特養に入りたいということなんです。
 待機者が急増している、特養に入りたい、なのになぜ特養の整備はどんどん減り続けるのか。これでは、保険料を払ったらどういう介護サービスを受けるか選択できるという介護保険の当初の精神というのが、全くなくなってしまうのではないですか。
〇及川長寿社会課総括課長 特養の入所待機者の解消の関係でございますが、委員おっしゃるとおり、数としては相当な数に及んでいることは認識しております。ただ、これは市町村等も介護保険料の実態等を勘案して計画をつくっておりまして、我々としても、それに対する支援計画に基づきまして着実な整備を進めるという以外にはないわけでございます。そのほかにも、特養のみならず多様な受け皿、例えば有料の老人ホームとか高齢者専用の賃貸住宅等、いろいろな手だてというものを利用していただきまして、それから在宅サービスの充実というものも必要になってございますので、それらも合わせて総合的な施策として展開してまいるしかないのかなと考えております。
〇斉藤信委員 私は、極めて後ろ向きの答えだと思うんですよ。前の知事は、いいことはやらなかったけれども、4年前の公約のときには、重度の介護待機者は半分に減らすという公約、目標を掲げたんです。できませんでしたよ。できませんでしたけれども、そういう公約を掲げたんです。
 今回は、そういうものを全部投げ捨ててしまっている。一番切実で深刻な課題ですよ。いいですか、有料老人ホームがありますと言ったって、6、492人のうち重度が71.4%、4、638人なんですよ。こういう方々が有料老人ホームに入れますか。グループホームに入れますか。実態として入れないのですよ。居宅サービスが貧困だから、こういう入所希望がふえているのです。
 部長、確かに財源問題はありますよ。介護保険法改悪で、高齢者がふえれば自動的に保険料が上がる、給付が上がるという仕組みを、やはり今、抜本的に見直して、国が、福祉制度のときには2分の1持っていた。今は4分の1ですよね。こういう仕組みの改善も含めてやらなかったら、介護保険制度というのは全く変質してしまう。必要な介護サービスが受けられない、こういう実態になってしまうのではないでしょうか。
〇赤羽保健福祉部長 特養の待機者がふえてきていることは事実でございます。また、県として、かつては在宅の方しか待機者として把握していなかったわけですけれども、病院に入院されている方とか、あるいは老健施設に入られている方、そういう方も含めて把握してこういう数になってきているわけでございます。
 この背景には、例えば、言葉として適当かどうかということがございますが、老老介護の問題でありますとか、それから、ひとり暮らしの方が増加している、いわゆる家庭での介護機能の低下ということもあるのだろうと思っております。
 そうした中で、どういうサービスを充実していくかということについて、委員から御指摘あるように、確かに国レベルでどうするかということももっともっと考えていただかなければならないと私どもも考えております。
 現在要介護者の37%という形で参酌標準が決められておりまして、財政のフレームもそうした形でつくらざるを得ない状況にあるわけでございます。そうしたことも含めまして、必要に応じて国にも地域の実情も伝えていくといったことはしなければならないと考えております。
 さはさりながら、実際に今、1人で暮らしていけない方たちもいらっしゃるという状況もあるわけですので、そういう方たちにどう対応していくかということもよく考えていかなければならないと思います。そうした中で、現在、施設を直ちにつくるわけにはいかないわけですので、やはり在宅サービスの充実でありますとか、特養以外の、その方にとってより適切なと申しますか、そういう生活の場がないかということも含めて、私どもとしては取り組みをしていかなければならないのではないか、そういう意味で、及川総括課長のほうから総合的と申し上げたわけでございます。
 県としましても、例えばモデル介護支援ハウスといったような、民家改修型で介護サービスを利用しながら生活するようなモデルを提案させていただいたりしておりまして、特養をなかなかふやせない中で、どうやって質のいい介護サービス、それから安心の介護サービスを提供することができるかということを市町村の人たちも含めてもっと考えてまいりたいと思います。
 確かに、御指摘のとおり、待機者が多いということは非常に深刻な問題でありますし、今後、地域社会が変化していって、地域力を生かすということが今の県政の重要なテーマでありますけれども、そうしたことが弱まっていく中で、非常に大きな問題になってくるのではないかと危惧していることは事実でございます。
〇斉藤信委員 今の待機者というのは、数がふえているだけではなくて重度者がふえているということなんです。やはりこういう実態にふさわしく、例えば特養だったら、新型特養、個室型の高いものじゃなく、今までのような4人部屋も含めて整備しないと、低所得者はますます入れません。
 盛岡の実態を言いますと、300人以上待機しているのは旧型の特養です。新型は、もう最初から所得がなければ入れないのですよ。だから私は、こういう低所得者が入れる特養ホームの整備というものに、改めて真剣に取り組むべきだと思いますよ。
 それと、もう一つの県の計画の問題、これは新地域経営計画にかかわりますが、特養よりその他の施設の整備のほうが目標が大きいのです。ここでもずれが出てくるのです。いわば、高齢者は重度化しているから特養を希望しているのです。ところが計画は、グループホームとか、その他の施設の整備を比率的にはふやすという、ここでもミスマッチになってしまっているんです。だから、特養としては低所得者が入れるもの、そして私は、介護施設を整備するというのなら、やはり特養ホームの比率を高めて、今の待機者の重度化に対応するものにしていく必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。
〇赤羽保健福祉部長 先ほど及川総括課長からも申し上げましたけれども、かつては国の補助制度でありまして、特養の整備については、ユニット型しか認めてもらえなかったということがございました。私ども、実は内々に施設補助の協議等の段階で、新型の特養だけでなくて、多床室の必要性について県としても訴えてきたところでございます。それは事務レベルでございますけれども。そうした過程の中で、国としてもユニットだけにはこだわらないという考え方が示されましたし、それから、特養の整備自体が、一般財源化されて県の判断でやれるということになっております。及川総括課長が申し上げましたとおり、新型特養だけではなくて、多床室といったことにつきましても、地域の実態に合わせて整備していく方向で進めてまいりたいと考えております。
 それから、2点目の重度の方の増加ということにつきましては、これは、よくよく考えてみなければならないと思っております。と申しますのは、現在病院に入っている方で特養を希望されている方がいらっしゃるわけでございます。医療的な介護が非常に重い方もいらっしゃるのではないかと思っております。
 平成14年度に、特養の入所について、どういう方を優先するかということを特養の施設の協議会でつくっていただいた経過がございます。その中で、できるだけ優先度が高い方に入っていただこうという取り組みもしたこともございます。あれからもう5年ほどたっておりますので、再度そうしたことを見直しながら、真に特養を利用していただく必要がある方にできる限り利用していただこう。現在の社会資源として、御指摘のとおり、待機者に比べて足りないということはあると思いますけれども、ただ、現在の社会資源をどう使うかという視点でそうしたことも工夫していかなければならないと思います。
 それから、次の計画で特養の整備の枠がどうなってくるかということ、国の財政フレームの中でですね、そうしたこともありますので、今の計画を着実に推進しながら次の計画にどう向けて、国に対してどう要望していくかということも、私たちとしても考えてまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 介護の最後に、これはこの委員会でも取り上げられましたが、介護従事者の深刻な労働実態、平均年齢40.3歳で、平均賃金月18万円、平均労働時間は39.9時間ですから、まず40時間です。フルタイムです。フルタイムで月18万円。これは平均で、パートになりますと本当に数万円で働いている。そして今、特養ホームなんかが人を募集しても来ない。トヨタの期間工に行ってしまう。私は、介護保険を支える人的な資源が今崩壊しつつあるのではないかと。事業者も訪問してきて聞いていますけれども、もう今の状況ではとてももたないと。若い人はそれで生活が立てられない、こういう深刻な実態を聞いていますが、これも介護報酬を上げないと改善されないんです。ただ、介護報酬を上げれば、また利用者負担ということでは、これまた悪循環になってしまう。この点でも国の制度の改善が緊急に必要だと思いますけれども、この点についてどういう取り組みをされているか。
 あと、先ほど菅原委員が指摘した問題、私も質問項目に入れていましたが、これは指摘だけにとどめておきます。私も事業所をずっと調査してきました。これについての不満、苦情は大変なものがありました。情報公表制度というのは廃止にしてほしいと。実態をわかっていない人が調査に来て、書類だけで判断する。だから、どういうことになるかというと、コムスンは優良の評価になると言うんですよ。書類だけきれいにやっておけば優良なんです。コムスンのように書類づくりが上手だとうまくいってしまう。これは指摘だけにしておきますけれども、実態はそうなんです。だから、それで5万5、000円とか5万9、000円というのはとんでもないというのが実態なのです。
 先ほど調査すると言ったので、これは指摘だけにとどめておきますが、介護労働者の労働条件の改善、これにどう取り組むのかお聞きしたい。
〇赤羽保健福祉部長 介護労働者の労働条件については、委員御指摘のとおり、介護報酬との密接な連動があると思います。現在、介護報酬につきましては国の告示によっているわけでございます。また、これも御指摘あったとおりでございますが、介護報酬を上げていくと総給付費が上がり、負担する方の介護保険料が上がってくる、あるいは負担額が上がってくるということになるわけでございます。そうしたことを制度全体としてどう考えるかということは、やはり国に十分検討してもらわなければならないことになってくると思います。
 やはり介護というサービスがどういう性質があるかということをよく考えていただかなければならないと思っております。人に対してさまざまな援助をするということは、ただ単におふろに入れてあげるとか、あるいは食事を提供するというだけではなくて、そこでさまざまな人間関係をつくったり、介護されている人たちの尊厳を守ったり、次の期に向けた意欲を持ち出していくという専門性も求められる職種だと考えております。そうしたことも評価しながら、先ほど医師のところでもお話がございましたけれども、志のある若者が、あるいは志のある方が、介護労働に入ってきていただけるような制度設計ということを考えていただかなければならないと思っております。そうしたことにつきましては、東北各県などとも意見交換をし、必要に応じて国にも要望してまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗副委員長 斉藤信委員に申し上げます。
 世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力をお願いいたします。
〇斉藤信委員 議事進行に協力します。スムーズに。どうも質問した割にはかみ合わない答弁で、時間がかかりました。
 次に、療養病床の削減問題について。実は、これは地域ケア体制整備構想というのが、今パブリックコメントにかかっていまして、そことのかかわりで私はお聞きしたいんですが、現在、県内の療養病床は3、090床、ところが、国の計画に基づきますと1、300床に減らさなければならない。これ、介護保険で待機者がふえているときに、今度は病院からこういう方々を追い出したら本当にどういうことになるのだろうかと。この点で本当に、さらに介護難民から医療難民をふやすことにならないか。今の療養病床の実態、転換の意向、その他含めて示していただきたい。
〇及川長寿社会課総括課長 療養病床の転換意向につきましては、なかなか医療機関の今後の運営等という事情もございまして、その後の診療報酬なり介護報酬がどうなるか見通しが立っていない、いろいろ事情がございまして、なかなか療養病床の転換については進んでいないというのが実態でございます。
 それで、例えば今約3、000床ある療養病床を国の基準に合わせますと1、300位に減っていく。これも国の参酌標準というものに合わせますとこういう数字になるということでございますが、いろいろ地域の事情、あるいはその地域での医療機関の事情、そういうものもございますし、実際に、例えば介護のほうの療養病床に入院されている方々が、要介護度は高いわけですが、じゃ、医療が常に必要な方々なのかということについても、実際の実情を把握した上で対応する必要があると思われますので、いずれ地域の実情、医療機関等の意向、それから実際に入院されている患者さん方の状況を勘案しながら、やはり全くのそのとおりの数字になるかどうかは今後の検討でございますが、いろいろな事情を加味していく必要があろうかと考えてございます。
〇斉藤信委員 今、地域ケア整備構想のパブリックコメントをやっていますけれども、県の素案を見ても、何を目指しているのか全然わからないんです。これでは声の出しようがありませんよ。国の方針どおりやれば1、600に減らさなければだめだと書いていて、実態についてはこう書いているんです。ゼロになってしまう介護療養病床は、要介護5が62.3%を占める。要介護4と5の方は88.3%ですよ。これが全部なくなったら待機者に足ささるだけですよ。医療病床、これは2、300床ほどあるんですけれども、日中、夜間とも介護ができる人がいない方の割合は51.4%。医療病床だって本当に減らせないというので、恐らく医療機関は計画を出せないでいるわけです。実態が実態だから。
 だから私は、国の方針どおりやれば減らさなければだめだが、実態はそういうふうに行かない、医療機関もそういう方向を出せない。そういう中で県民にどういう声を上げろと言うのか、これは大変矛盾に満ちたものではないかと。ここは、これ以上答えられないでしょうから指摘だけにとどめて、この点でも私は、一方的な上からの国の療養病床削減というのは、医療難民、介護難民を新たにつくり出すだけだということを指摘だけしておきます。
 次に、障害者自立支援法の実態と見直し、改善についてお聞きします。
 自立支援法、特別対策を含めて障害者と事業者の負担増、収入減の実態をどう把握されているでしょうか。
〇小林障害保健福祉課総括課長 障害者の負担についてでございますけれども、知的障害者授産施設通所者の場合、低所得2という場合を例にとってみますと、支援費制度のもとでは負担がゼロということでありましたが、昨年4月からの自立支援法の施行によりまして、定率1割負担ということと食費負担というものが加わりまして、計1万2、560円の負担となったところでございますが、今年度から、国の特別対策によりまして負担軽減が図られましたので、月額8、810円ということになっているところでございます。
 また、事業者のほうでございますが、事業者の収入につきましては、本年6月に88施設を対象に県のほうで調査を行ったわけでございますが、それによりますと、収入が減ったという回答をいただいた施設は53施設でございまして60.2%、変化なしというのが20施設で22.7%。逆に、収入が増加したという施設が15施設、17.1%ということになっております。
〇斉藤信委員 この障害者自立支援法というのは参議院選挙でも大きな争点になって、今の福田内閣も、自公政権も見直しせざるを得ないと。この見直しの中身は今、極めて不確定。半年、1年と凍結というんですから、半年、1年たったらもとに戻るごまかしになりかねないと、私は大変心配しています。
 それで、私どもは全国的にも、盛岡市内でも障害者施設の実態調査を行いました。私は、その実態を示しながらお聞きしたいんだけれども、私たちが調査した中で、利用者負担増の実態は75.2%が1万円以上の負担増になった、こういう答えでした。特に1万円から2万円未満というのが60%を占めて、変わらないというのが数%でございました。だから、全体としてやはり1万円、2万円の負担増になった、これは大変深刻なことですね。
 それと、事業者の負担増、私は、今の県の把握はちょっと甘過ぎるのではないかと思うけれども、圧倒的に日割り計算になって1割から2割減収になったというのが私たちの調査の結果ですよ。
 それで強く求められているのは、やはり1割の応益負担、特別対策があっても若干軽減されただけで、1割の応益負担をなくしてほしい、こういう声がありました。1割を負担しなければサービスを受けることができないのは、障害者に対するいじめではないか。支援とは名ばかりで、負担だけが先行して先が見えない、こういう切実な声がありました。
 それで私は、県としてもこうした生の実態、声をよくつかんで、国も今見直すと言っているんですから、一時的な凍結ではなくて抜本的な改革改善にしていく必要があるのではないかと。私は、今が時期だと思いますけれども、いかがですか。
〇小林障害保健福祉課総括課長 障害者あるいは事業者の方々から、障害者の応益負担の問題でありますとか、あるいは事業者の日割り方式の導入につきましては、影響が出ているというようなことにつきましては、うちのほうでも障害者あるいは事業所等からお話を伺いながら、実態の把握に努めているところでございます。
 なお、障害者自立支援法につきましては、委員おっしゃいましたとおり、国が制度設計しているものでございまして、県の基本的な考えとしては、必要な見直しにつきましても、国の責任においてなされるべきものと認識しているところでございます。
 なお、法の附則によりましても、施行後3年を目途として見直しを行い、その結果に基づき必要な措置を講ずると規定されておりますし、県といたしましては、東北各県と連携しながら、障害者の所得保障の早急な検討でありますとか、あるいは一層の負担軽減等につきまして国に要望しているところでございますし、今後とも、障害者の生活実態に合った制度内容となるように要望を継続してまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗副委員長 1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、また、質疑、答弁は簡潔明瞭に、議事の進行に御協力をお願いいたします。
〇斉藤信委員 障害者自立支援法は、1年を待たずに特別対策を実施すると。参議院選挙を踏まえてまた見直しだと。私は、制度が完全に今、行き詰まって破綻しているんだと思うんです。ある意味でいけば、最悪の福祉切り捨て。そういう意味で、私は、やはり今の見直しを抜本的な改善改革に結びつけていくということで、行政としても頑張っていただきたい。
 児童デイサービスは、岩手県で特に取り組まれているサービスですが、平成20年にはなくなってしまうのではないか。子供たちの放課後タイプの児童デイサービス、これをどういうふうに継続、守っていくのか。
 市町村が行っている地域生活支援事業の実施状況。盛岡市では、これは基本的に利用料無料となっておりますけれども、実施状況について把握されている状況を示していただきたい。
〇小林障害保健福祉課総括課長 児童デイサービスについてでございますが、日中の障害児を対象とした支援ということになりますと、一つは、集団療育あるいは個別療育が必要な児童を対象とする児童デイサービス、それからもう一つは、放課後支援でありますとか、あるいは一時預かりが必要な児童を対象とする日中一時支援事業、これは市町村事業でございますけれども、こういうように制度化されているところでございます。
 いわゆる放課後タイプの児童デイサービスについてでございますが、就学している児童のうち、経過的な措置といたしまして集団療育の対象となる児童にサービスを行っているものでございまして、経過措置終了後は、個別指導が必要な児童についてのみ、引き続き法による児童デイサービスの対象となるものとなっておるところでございます。
 集団療育のみが必要な児童や、あるいは放課後支援としてのサービスが必要な児童などにつきましては、児童デイサービスの対象外となりまして、これらの児童につきましては、日中一時支援事業の対象として、引き続き市町村が事業を展開する、支援するということになるものでございます。
 放課後支援でございますとか日中一時預かりといったようなサービスにつきましては、児童の成長発達を支援する観点からも、共働き世帯の子育ての安心といった視点からも重要と考えておりますので、市町村に対しまして取り組みを今後とも促してまいりたいと考えております。
 それから、市町村の地域生活支援事業の実施状況についてということでございますが、地域生活支援事業につきましては、必須事業でございます相談支援事業、あるいはコミュニケーション支援事業、日常生活用具給付事業、移動支援事業、地域活動支援センター機能強化事業、それからその他事業という、必須事業とその他事業から構成されておりまして、各市町村におきまして、障害者ニーズなどの地域の実情に応じて、それぞれ必要な事業が実施されているところでございます。
 利用料につきましてでございますけれども、事業の利用料につきましては、各市町村の御判断で徴収しているところでございまして、相談支援事業、コミュニケーション支援事業につきましては、いずれの市町村でも利用料は徴しておらないところでございますけれども、日常生活用具給付事業でございますとか移動支援事業等につきましては、盛岡市も含めまして、すべての市町村でサービスに要した費用の1割相当程度を徴しているということになっておるところでございます。
〇斉藤信委員 それでは、たくさん準備したんですが、あと、これだけに絞って最後お聞きします。後期高齢者医療制度についてであります。
 保険料の設定が昨日試案として発表されていましたが、月額、年額はどうなるでしょうか。所得段階では、例えば100万円ぐらいの所得の場合にはどういう保険料設定になるのか。これは試案の試案で結構ですので示していただきたい。
 全国的には、市町村独自の減免実施も可能だという広域連合も出ていますが、私は、そういう減免制度を岩手の場合も実施できるようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 二つ目に、後期高齢者医療制度の対象者なんですけれども、滞納した場合には保険証を取り上げるというのが初めて盛り込まれました。今までの医療保険では、高齢者から保険証を取り上げてはならないになっていた。介護保険料でも滞納者が出ています。盛岡市でも一千数百人滞納ですよね。私は、同じ高齢者が高齢者医療保険で滞納になると思いますけれども、全県的に介護保険料の滞納者はどういうふうになっているか。後期高齢者の場合、保険料滞納に保険証を取り上げることは行うべきではないと思いますが、いかがでしょうか。
 三つ目に、広域連合議会について。35市町村すべてで構成されていますけれども、この広域連合議会というのは議員が20人です。構成団体から議員を出せない自治体が15もあるわけです。県の市議会議長会、町村議会議長会から、構成団体すべてから議員が出せるように議会の構成を改善すべきという要望が既に出ておりますけれども、私は、この広域連合議会の構成というのは、すべての構成団体から選出できるように改善すべきだと、こういうところこそ岩手県が指導・助言をすべきではないかと思いますが、全国の状況を含めて示していただきたい。
 最後ですが、全国唯一、岩手県は広域連合に人を派遣しておりません。全国は、県が人を派遣して、人件費も支給して、そして広域連合一体となって取り組んでいますが、岩手県の場合、なぜそういう取り組みをしていないのか、どういう役割を果たしているのか、いかがでしょうか。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 まず、後期高齢者の保険料の関係でございますけれども、昨日開催されました岩手県後期高齢者医療広域連合の運営協議会におきまして、広域連合がお示ししました現段階での保険料額の試算でございますが、月額、被保険者1人当たり5、465円、年額で6万5、580円となっております。
 そして、所得段階別の保険料額の試算につきましては、現在示されておりません。今後の作業になるものと理解してございます。
 次に、保険料の減免制度につきましては、高齢者医療確保法に基づきまして、広域連合が条例で定めるものとされているものでございます。後期高齢者医療制度の保険者ではない市町村が、独自に保険料の減免を行うことについては、制度としては想定されていないものでございます。
 なお、保険料の減免制度につきましては、現在、広域連合におきまして、市町村と協議を行いながら、現行の国民健康保険制度と同様の減免制度の実施に向けて検討中であると聞いてございます。
 続きまして、介護保険料滞納者の状況でございます。介護保険料における滞納者の状況を見てみますと、65歳以上の第1号被保険者34万3、515人のうち、滞納者の方は4、146人、全体の1.2%となってございます。
 この後期高齢者医療制度におきまして、保険料を滞納した場合の保険証の取り上げについてでございますけれども、新しい制度のこの後期高齢者医療制度におきましては、後期高齢者の方々は、これまでの老人保健制度とは違いまして被保険者となるわけでございます。その被保険者の義務といたしまして、保険料を御負担いただきまして、被保険者証についてもお一人お一人交付させていただくことになるものでございます。その際、災害でございますとか病気など特別の事情がなく1年以上の滞納をしてしまった場合につきましては、被保険者証のかわりに資格証明書を交付するという制度になってございます。
 現在、広域連合及び市町村におきまして、資格証明書の交付に関する対応、いろいろな仕組みについて詳細を検討しております。私ども県といたしましては、これまでの国保制度と同様、資格証明書の交付につきましては、一律に行うのではなく、個々の方々の事情に十分配慮していただき、資格証明書受給の方につきましては、分納指導などの相談対応とかを十分するよう、そして短期被保険者証への移行についても相談するよう、きめ細かな対応を市町村にとるよう指導・助言してまいりたいと考えております。
 そして、広域連合議会の議員定数についてでございます。現在、広域連合議会の議員定数は20人でございます。
 それで、全国の状況でございますけれども、平成19年7月5日の状況でございます。全国の広域連合議会の議員数は平均24.5人でございます。加入するすべての市町村から1名以上の議員を選出している広域連合は21団体となってございます。全体の44.7%でございます。
 なお、今後、広域連合議会の議員定数につきましては、私ども、広域連合の事務局のほうからもお話を聞きますと、先ほど委員の御指摘にあったような御意見もあると聞いてございます。今後、広域連合の市町村が、場合によっては必要な見直しを行うものと考えております。その場合、県におきましては、必要に応じまして適切な助言、情報提供等をさせていただきたいと考えております。
 後期高齢者医療制度の施行準備に係る県の役割についてでございます。
 広域連合への都道府県職員の派遣についてであります。私どもの平成19年7月5日現在の調査によりますと、県職員を広域連合に派遣していない県は12県でございます。全体の25.5%になります。
 これまで、私どもどういった取り組みをして広域連合の設立までに支援をさせていただいてきたかにつきましては、県では平成18年当初、市町村並びに市長会、町村会、国保連等の職員等から成るワーキンググループなるものを独自に設置いたしまして、広域連合設立に向けた具体的な検討をさせていただき、市町村長さん方々への説明でございますとか会議等における情報提供を通じまして、広域連合設立に向けて市町村との合意形成に努めてきたところでございます。
 さらに、その設立準備のための広域連合としての事務局の立ち上げでございますとか、設立準備委員会の設置、運営、さらに、広域連合設立に向けまして、私どもとして、今申し上げた活動を通じまして積極的に支援をさせていただいたところでございます。
 また、制度施行に向けまして、75歳以上の高齢者の方々の意見を広域連合の運営に反映させる必要があると考え、こうした助言を広域連合にさせていただきまして、この広域連合には全国に先駆けて後期高齢者医療広域連合運営協議会を設置させていただいたところでございます。
 県といたしましては、このように、運営協議会でございますとか、今後の制度施行に向けた重要事項の検討を行う広域連合内の業務検討委員会等への職員の参画を通じまして、引き続き必要な助言指導をさせていただきまして、平成20年4月からの制度施行に向けまして、これまで同様、広域連合市町村への支援を行ってまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗副委員長 斉藤信委員に申し上げます。もう55分過ぎております。最後にしていただきたいと思います。
〇斉藤信委員 この項目で終わりますから。
 今の答弁の中で、私、後期高齢者医療制度というのは、75歳の年齢で特別の医療保険をつくる、すべての高齢者から保険料を取って、高齢者だけの特別な、いわば包括的、定額制の医療を導入するという点でも世界に例のない悪政中の悪政だと思うんです。これも見直しをするというふうに今、国のレベルでなっていますので、本当の抜本的な凍結、中止を求めていく必要があるのではないか。
 その上で私は聞きますが、年額6万5、580円という保険料の試算が出されました。過酷な保険料です。国保だったら市町村独自の減免があるんですね。だから、広域連合が決めれば、市町村独自の減免制度というのは、地方分権の立場からこれは可能なことではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 保険料の滞納の問題なんですが、年金天引きですから、保険料を滞納するのは月額1万5、000円以下の年金の方々ですよ。介護保険料もそうなんです。先ほど、介護保険料は65歳以上で4、146人、75歳以上ですからこの半分だとしても、私は、介護保険料を滞納している人は後期高齢者医療制度も滞納になると思うんです。だったら、こういう方々は、いいですか、年額1万5、000円の以下の方々ですよ、払えなかったら資格証明書で保険証を取り上げるんですか。私は、こんなことは絶対やってはならないと思いますが、そういう年額1万5、000円以下の低額所得者からも滞納だったら保険証を取り上げる、そういうむごい仕組みなのかどうか、そのことをお聞きして終わります。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 資格証明書の関係でございますけれども、先ほど御説明申し上げたとおり、私どもとしては、市町村に対しまして、一律に機械的に資格証明書の交付をするのではなく、利用される方、対象者の方々の状況に応じたきめ細かな対応をするように改めて助言指導してまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗副委員長 先ほど、要支援の……(斉藤信委員「減免、減免、広域連合が決めたらできるでしょう」と呼ぶ)
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 失礼いたしました。
 保険料の減免制度につきましては、高齢者医療確保法の規定に基づきまして、広域連合が定めるものとなってございます。これに加えて市町村が独自に保険料の減免を行うことができるのかとなりますと、この制度上は想定されていないということでございます。
〇嵯峨壱朗副委員長 先ほど保留した斉藤委員に対する答弁、要支援の……。
〇及川長寿社会課総括課長 先ほど斉藤委員の質問に対しまして、介護予防の計画値に対する実績について資料を持ち合わせていないというお話を申し上げましたが、大変申しわけございませんが、ただいまこの実績については市町村等に照会いたしまして取りまとめ中で、今しばらく時間がかかる見込みでございますので、御了承いただきたいと思います。
〇小野寺好委員 救急救命医療に抜群の効果を発揮することのできるドクターヘリについて伺います。
 昨年3月の一般質問で本県におけるドクターヘリ導入の見通しを尋ねましたところ、結論は、現状の防災ヘリの活用で対応していくから当面の導入は考えていないとの答弁でした。後日、当時の増田知事から、次の医療・保健計画を見直す際にはドクターヘリの導入を入れますからと非公式にお話がありましたが、議事録に残る本会議でのお答えをいただければと残念に思いました。ことし、さきの通常国会で全国配備を目指すドクターヘリ法が成立しておりますが、現在、県はどのような方針でしょうか、お伺いいたします。
 次に、小児救急電話相談事業について伺います。
 子供の体調が急変した場合、じいちゃん、ばあちゃんと同居していればある程度のアドバイスを得ることができますが、現下の核家族では困難であります。救急車を呼ぶ前に、あるいは病院に駆け込む前の重要な役割を果たしているこの事業かと思いますが、近年のその成果を伺います。
 最後に、認知症について伺います。
 脳血管疾患以外にも、高齢化とともに、原因を特定できないような認知症の方がふえているのではないかと思いますが、その実数と予防、家庭や施設でのケアの状況はいかがでしょうか。相談できずに事件等になった例はないか、また、任意団体と思いますが、家族の会があると聞いていますが、その活動状況や、行政としての支援があるかどうか、以上3点伺います。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 ドクターヘリの導入についてでございます。
 本県におきましては、ドクターヘリにつきまして、これまでヘリポートをどこに設置するかといった物理的な課題でございますとか、実際、ドクターヘリを運用する際に医療スタッフをどう確保するのかなどの点からいろいろと課題があるということで検討させていただいたところでございます。その検討とあわせまして、先に導入されております先進地についても視察をさせていただきまして、本年におきましても、札幌の手稲に導入されておりますドクターヘリを関係職員が視察をして、本県にドクターヘリを導入する際のいろいろな物理的な条件等、また、運営の仕方等について視察、または関係職員の方から御意見をちょうだいしてきたところでございます。
 このドクターヘリについては、委員御指摘のとおり、本県の広大な県土の中で、救急医療を適切に確保するという点から必要であると私どもも認識しているところでございます。しかしながら、導入に当たりまして、やはり高次救急センターの機能を活用してこのドクターヘリを運用することがまず基本になるんだろうと考えております。その際、冒頭申し上げましたとおり、ヘリコプターが離着陸するヘリポートをどうするのか、これが最大の課題でございます。そういった点をまずどうやってクリアしていけるのかといったことを考えつつ、へリポートの設置をいろいろなシミュレーションをした上で、関係の方からいろいろな知恵をいただきながら、早急にどういった形で導入が可能なのか検討していく必要があると考えております。
 今般の新しい地域の経営計画におきましても、地域医療の確保においてドクターヘリの導入を検討する方向性について位置づけをさせていただければと考えておりますので、引き続き私どもとして鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。
 続きまして、小児救急医療の電話相談事業についてでございます。
 これにつきましては、平成16年10月から運用してございますけれども、平成17年、そして平成18年の状況を見ていきますと、平成17年度は2、213件、平成18年度は2、608件ということで、この制度については県民の方々の利用が進んでいると考えてございます。
〇及川長寿社会課総括課長 認知症の関係でございますが、認知症の方の実数を押さえたものというのは特にございません。ただ、国のほうでも使っております高齢者の年齢に応じた認知症の発現率というのがございまして、これによって県内の高齢者について推定しますと、今年度は3万9、000人ほど認知症の方が県内にいらっしゃるのではないかと推定しております。
 今後とも高齢者人口はふえてまいります。やはり年齢とともに認知症の方がふえるというのが実情でございますので、我々がつくっておりますいきいきプラン─高齢者保健福祉計画・介護保険事業支援計画の中で、平成20年度には大体4万2、000人ぐらいに達するのではないかと予測しておるところでございます。しかし、今後は実際の数をやはり把握していきたいと思いますので、市町村の協力も得まして、その実数の把握方法について検討してまいりたいと思います。
 それから、認知症の方の受け入れ態勢等でございますが、認知症サポート医ということでお手伝いいただいているお医者さんもいらっしゃいますし、それから、家におられても、介護保険を使ってデイサービスに通ったり、あるいは認知症対応型のグループホームもございますので、こういうもので公的なサービスというのも可能と思われます。
 それから、相談体制につきましても、平成18年度から地域包括支援センターが全市町村にございますし、また、そこのブランチと位置づけられるものも100カ所ほどございますので、そういうところで相談体制をとっていきたいと思います。
 それから、ボランティアといたしまして、県民の皆さんにキャラバンメートあるいは認知症サポーターということで、約8、000人を超える方々に、認知症とは何か、どういうものなのかを知っていただくということで、身近な認知症の方、あるいはもしかしたら認知症かもしれないという人たちに対する対応というのを県民の皆さんにやっていただきたいということで、そういう啓発事業もやっております。
 それから、岩手医大さんの協力を得まして、孫による認知症講座ということで、お年寄りはお孫さんと接することによって認知症を予防できる部分があるのではないかということで、中学生の皆さんにその辺の啓発活動もやっておりまして、今年度、中学校、全県下30校ほどを回りましてそういう啓発事業をやっておるところでございます。
 それから、県といたしましても……
〇嵯峨壱朗副委員長 簡潔にお願いいたします。
〇及川長寿社会課総括課長(続) 認知症のいろいろな対応を県民総ぐるみでするためにアクションプランの策定も現在やっておりまして、この中で、家族会の皆さんの意見等も聞きながら仕上げていきたいと考えております。
〇赤羽保健福祉部長 認知症の方が相談できずにいろいろな被害に遭った事例はないかということでございますが、相談できなかった方がどうだったかということについて県として把握していないわけですけれども、新聞報道等で、実際に認知症の方が元ヘルパーであった方の詐欺にあったのではないかと思われる事件があって、裁判になっている事案がある、あるいは、そうした類似の事案が発生しているということについては認知しております。
 そうしたことにつきましても、先ほど及川総括課長から申し上げましたように、地域で支えるさまざまな仕組みをつくっていかなければならないのではないかと思っております。また、成年後見制度でありますとか地域福祉権利擁護事業の活用も必要になってくるのではないかと考えております。
〇嵯峨壱朗副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇五日市王委員 通告はしていないんですが、今のドクターヘリに関連した質問をさせていただきたいと思います。
 他県─青森県のお話ではあるんですが、実は、八戸市と青森市でドクターヘリをどっちに配備するかということで、この間、結論としては青森市のほうに配備する方向でということが決まったようでございます。八戸になぜ配備かといいますと、今、県北地方、八戸、二戸、久慈、この三つで広域圏をつくっていまして、その中でも、何とか八戸に配備をしてもらおうという機運がすごく高まっておりました。ことしだか去年だかちょっと忘れましたが、防災訓練の関係のときも、デモンストレーションで八戸、二戸、久慈を回ってそういった機運が非常に高まってきたやさきに青森のほうに決まったという経緯がございます。
 そういった問題の中で、やはり二戸、久慈としてみれば、県境を越えてそこの部分をきちんとカバーしてもらえるという期待もあって一緒に取り組んできた中身でもあるわけですけれども、こういったことに関して、他県のことなのでコメントしづらいかもわかりませんが、県として、例えば応援体制といいますか、この後どういった対策をとられるのかということについてお伺いいたします。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 ドクターヘリ導入に係る青森県の動向ということに関連してお答えいたしますと、私どもも、青森県、または新聞報道等によりまして、青森県が青森市の青森県立中央病院のほうにドクターヘリを設置する方向で検討を進めるというような情報を聞いたところでございます。
 さらに青森県のその動きについて細かいことをここで申し上げていいかどうかということがあると思いますが、青森県立中央病院にドクターヘリを設置すると方向が決まったやに聞いておりますが、しかしながら、本県と同じように、ヘリポートをどう確保するのかといったことは今後の課題だというふうに聞いてございます。また、青森県立中央病院のほうで、救急に専従の医療の体制がどうかということについても、専従の医師はたしか1名か2名というふうにお聞きしてございます。そうした中で、すぐにドクターヘリが導入できるのかどうかについては、私どもとしては、それはどうなのかなと疑問を抱かざるを得ない段階ではないかと思っております。
 それに関連いたしまして、八戸、久慈、二戸地区のこれまでの動きも含めて、今後の県のドクターヘリ導入についての考え方はどうかということでございますが、仮に盛岡地区にドクターヘリを導入できたといたしますと、盛岡から30分以内で全県をカバーすることができます。一方で、八戸、久慈、二戸に1機、仮に置いたといたしますと、それでは全県を30分以内でカバーすることはできません。本県の面積の3分の1しかカバーできません。そうしますと、別にドクターヘリがまた複数機以上必要になってくるという状況が想定されるわけでございます。
 そういったことからいたしますと、私どもは、本県にドクターヘリを導入する場合については、多額の経費を要するということもありますけれども、やはりできるだけ効率的に運用するとなれば、1機で全県をカバーできるとなるならば、やはり盛岡地区を中心にした設置の方向を検討していく必要があるのではないかというふうに考えております。
〇工藤大輔委員 今の答弁で少し気になる点がございました。盛岡に置けば全県を30分でカバーできるという答弁でございましたが、防災ヘリ等にしても、久慈広域の場合、やませ等の関係もあって行けないと。そして、行こうと思ったが引き返したというケースが幾度となくあるというふうに聞いています。そういう認識であると、今後、導入を進めるに当たって、そういった議論をするに当たって認識が若干異なってくると。広い県土ですから数カ所は必要になってくると私も思いますし、また、できれば隣県との連携というのを強力に進めていくべきだと私は思いますので、そういった観点で今後検討を続けていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇赤羽保健福祉部長 ドクターヘリについては、我が国では、まだたしか11県ぐらいしか導入されておりません。それに対しまして、例えばドイツでありますとか、ヨーロッパ地方では、それこそメッシュになるような形で配置されているわけでございます。委員御指摘のとおり、例えば峠を越えなければならないこととか、やませによる影響とか、さまざまなことをやはり検討の材料に入れながら、どういう形がいいのかということはいろいろ考えていかなければならないと思います。ただ、現段階で、やはりまず1機を入れるということが非常に重要だと考えております。やませの影響ということも当然考えていかなければならないことですけれども、まず、県に1機入れるとすればどうなのかということを私どもとすれば考えていきたい。
 その際に、具体的な運用の中で、青森県が青森の中央病院に置いたとすれば、その航続距離なり守備範囲との関係で、お互いにどう連携できるか。それは秋田とのことでも出てくるかもしれませんし、宮城県とのことでも出てくるかもしれません。そうしたことについては、それぞれの県が導入を進めていく過程において十分に連携しながら進めていかなければならないと考えております。各県においても、例えば青森から田子町に飛んでくる場合には八甲田を越えるのが一番近いわけでしょうけれども、1、500メートルの山を越えてくるのはどうなのか。それよりは岩手県から出したほうがいいのではないかというようなこともあるのかもしれません。そうしたことも幅広く検討の中に入れていかなければならないと考えております。
 将来的には、委員からお話がありましたように、命を守るという観点から、国の対策も含めてきめ細かなそうした配置がなされ、それに対応した救急医療体制ができることが望ましいというふうに私も考えております。
〇佐々木一榮委員 午前中の岩渕誠委員の医師確保の観点の、岩手医大の受験資格といいますか、岩手枠の件でお尋ねしたいと思います。
 親が岩手県在住で子供も県内在住、そして、県南ですと、例えば旧古川市、大崎、また仙台、県北でしたら八戸等に通学している生徒もいるかと思いますが、こういう子供が岩手医大を受験する際には対象となるんでしょうか。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 今般の地域枠の特別推薦入学枠制度、岩手医大の制度につきましては、県内の高等学校を卒業した方が対象となっておりますので、今お尋ねになった方については、その地域枠の特別推薦枠の対象にはならないのではないかと考えます。
〇佐々木一榮委員 その理由をお聞かせいただきたいと思います。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 岩手医科大学の地域枠の特別推薦入学枠制度につきましては、大学が今回の地域枠定員増10人に対応いたしまして、地域枠として関連して設定したものでございます。その中で大学といたしまして、これまでの推薦入学制度との関係と、今回、地域枠の特別推薦入学と並列して設定いたします一般推薦入学枠制度との関係で今回このような対象者の設定をしたというふうに私どもは理解してございます。
〇佐々木一榮委員 そうしますと、確認ですが、これは岩手医大側の決め方ということで、県のほうは余りその分については関与しないということでよろしいですか。
〇赤羽保健福祉部長 午前中も岩渕委員にお答えいたしましたけれども、岩手医大との協議の過程の中で、そのあたりを私どもとして十分に詰めなかったところはあったのではないかと思っております。県内の高校出身者に限定するという考え方について、もう少し詰めた議論をするべきであったと思っております。午前中の御指摘もありました。
 今後、医大とどういうふうにして協議していくかということになると思いますけれども、現時点で既に募集要項ができ上がっておりますので、今年度は、大変申しわけございませんが、拡大することは無理という状況になっております。来年度以降どうするかということにつきましても、基本的には大学が入試の募集要項を決定する権限があるわけでございますので、ただし、地域枠で地域に定着し、意欲のある学生さんに入学してもらうという趣旨からすれば検討する余地はあるのではないかと考えております。
 そうしていくと、いろいろと場合の数を考えていくと非常に複雑になってくる可能性があると思います。例えば、県内の中学校を卒業する、あるいは中学校を卒業する時点で県にいらしたということで、通勤族で1年だけいた人が他県の高校に行った場合に地域枠として対象になってくる。実際の生活の根拠地はもう全く他県になっていて、実は岩手県に戻ってくる気はさらさらなくて、後で返してしまって、そして奨学金の本来の趣旨が生かされなかったといったことがあるのではないかというような危惧も実際にはあるわけでございまして、そのあたりもよくよく考えて決めていかなければならないと思います。実際には、相当いろいろな場合をよく考えて判断をしていかなければならない難しい課題だと思います。
 ただ、基本は、志のある若者に医師になっていただくように県として支援するということではないかと思っております。その辺はよく医大側とも話をしていきたいと考えております。
〇佐々木一榮委員 その辺、個別のいろいろ問題はあるかと思いますが、そういった問題があれば保護者と協議をしながら、やはり柔軟に、せっかくの枠があるわけですから、それを満たすことが最大の課題だと思っておりますので、ぜひ検討をお願いしたいと思いますし、特にも県の重要課題ということで、医師確保ですとか弁護士の育成ということで、今度、一関一高が中高一貫で、特にお医者さん、医大に入れるという専門の教育をするようでありますから、ぜひその辺も教育委員会とも連携をとっていただきまして、強力にお願いしたいと思います。
 あと2点ほどあります。
 母子福祉費についてお尋ねします。
 事項別明細書195ページ、母子家庭医療助成費、それから児童扶養手当支給事業費、これらの近年の推移と、これらをどのように分析しておられ、今後の見通しをどう見ておられるのか、お伺いしたいと思います。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 まず、母子家庭医療費の助成事業についてでございます。
 この事業につきましては、平成18年度、対象となられた方が2万8、701人となってございます。5年前の平成14年度のときの対象者が2万3、634人となっておりますので、対象者の方は増加している状況でございます。利用されている件数というか状況でございますけれども、これはレセプトといった診療報酬明細書の件数でございますけれども、平成14年度が17万6、811件、平成18年度が19万4、600件となってございます。
 この制度につきましては、引き続き、母子家庭の経済的負担を軽減するという趣旨から、継続していく必要があるのではないかと考えてございます。
〇佐々木一榮委員 今、御答弁のように、この5年間で非常にふえているということでありまして、今後の見通しをお伺いしてもこれはなかなか推計できないかと思いますが、この件については十分に留意していただきたいと思っております。
 関連いたしまして、特別会計母子寡婦福祉資金でありますが、平成18年度決算の中での状況をどのように分析され、利用促進策についてはどのようにお考えでしょうか。
 今議会で、達増知事の大きな目標であります県民所得についても議論がありましたし、また、商工労働観光部では、正規雇用、パート雇用の問題もありました。それから、岩手県の教育低下の問題もありましたし、さまざまな問題が大きく絡んでいると思っております。
 もう一つ、貸付金が収入未済額ということで約1億6、700万円ありますけれども、貸倒金、不納欠損額、これらの推移がどうなっていて、また、その違約金、延滞利息等もあるわけですが、その辺の推移についてもあわせてお尋ねしたいと思います。
〇川上児童家庭課総括課長 まず最初に、平成18年度の母子寡婦福祉資金をどう分析しているかという点でございます。
 この資金にありましては、経済的な状況等々ございまして、総額の貸付額自体が過去から徐々に年々若干ずつ減少してきてございました。しかしながら、平成18年度にあっては、これまでだんだん下がってきた額が何年かぶりにまた上昇に転じたという中身でございます。
 また、この資金の中身、前は事業の創業とか、いわば苦境にある母子のお母様が収入を得るという部分での経費の使い方が多かったんですが、昨今は、お子様の就学のための経費に集中してきている状況がございます。額的な部分でいきますと、年々減少してきたものが少し上向いてきているという状況でございます。
 それと、この資金の促進、推進の関係でございますが、この促進自体、一つは、各振興局、あと市役所さん等に配置してございます母子自立支援員さんとか家庭相談員さん、そういう方々が、母子家庭のお母様方等の各種相談の中で、個々具体的な支援の一つのありようとして御提示する場合が多うございます。そのほか、岩手県母子家庭就業自立支援センター等々への相談事業、そういった中での拡張が図られてございます。また、県におきましても、県とか、あと市町村の広報等の中で啓発をさせていただいているところでございます。
 続きまして、違約金、延滞利息の回収の状況、貸し倒れ等々あわせてお尋ねがございました。この額につきましては、まず最初に、貸付金の元利収入の部分につきましては、平成18年度決算書に記載してございますとおり1億6、730万2、217円でございます。この額は、その下にございます違約金、延滞利息の1、507万7、242円と同様に、平成16年、17年、18年という形で徐々に大きくなってございます。いわば元利収入、違約金、延滞利息とも回収率が徐々に下がっているという状況にございます。
 過去の不納欠損でございますが、この資金といたしましては、過去に2回、昭和42年と昭和46年に消滅時効の完成を理由とする3名の方に係る不納欠損処理がございました。昭和46年以降、現在まで時効完成の債権はございません。その意味では、不納欠損を昭和46年以降していない、いわば借受人に債務の確認等々を求めて時効完成を中断させ、債権管理を継続しているものがあるという状況でございます。
〇佐々木一榮委員 これ以上細かくお聞きしてもあれかと思いますので次に入りたいと思います。
 まず1点、この間、地元の民生委員の方との懇談がありまして、その際、学校の先生方との懇談会の際に、母子家庭なり父子家庭のことを欠損家庭という表現をしておられたそうでありますが、保健福祉部においても欠損家庭という言葉は通常使われる言葉でしょうか。私は、その方とお話ししたとき、いやあ、議員を12年やっていますけれども、欠損家庭という言葉は実は聞いたことがないんです、そういう言い方をするんですねということでちょっとびっくりしたんですけれども、いかがなものでしょうか、まず、お尋ねしておきます。
〇赤羽保健福祉部長 私どもの部では、いわゆる立場の弱い方を対象とした仕事をたくさんしております。そうした中で、その方々をお呼びするのに、あるいは概念として一定の定義をする場合に不適切な言葉は使うべきではないと考えておりまして、その方たちの立場あるいは状況に合わせた、そして、その人たちがみずからさまざまな主張をしたりするときに、主張しやすいような表現をできるだけ使うべきではないかと考えております。したがいまして、今の言葉は使用しておりません。
〇佐々木一榮委員 実は、そういうような経験をいたしまして、私もびっくりいたしました。相手のあることでもありますし、この辺は地域によって差があっても困ると思いますし、特に民生委員の方々は半分ボランティアのような形で一生懸命地域のために尽くされておりますので、ぜひその辺を周知いただければと思っております。
 市内のある中学校では、母子家庭の率が5人に1人、20%がそういう家庭であるということでありますけれども、県として、県内の小・中学校でのこのような状況をどのようにとらえていらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。
 それから、先ほどの資金の補助金の関係でも聞きましたけれども、今、県内の離婚率はどのようになっていて、また、これは行政がかかわる問題ではないと思いますが、この離婚対策についてはどのようなことが行われているか、あわせてお尋ねします。
 あわせまして、私も及川幸子男女共同参画社会を目指す議員連盟会長のもとで微力ながら副会長をやっておりますが、ドメスティック・バイオレンスは最近減っているのかと思いますけれども、現在の状況、そして、補助しております婦人保護施設の入居状況と、また、この分析をどうしていらっしゃるか、お尋ねしたいと思います。
 最後に、逆DVでありますが、逆に奥さんからだんなが虐待を受けるということも最近言われているようでありますが、これは、女性であれば相談所云々ということである程度周知できているかもしれませんが、この逆DVの場合は男性はどこに駆け込めばいいのか、現在の県の状況について最後にお尋ねします。
〇赤羽保健福祉部長 逆DVということにつきまして、実は私、初見でございまして、初めてお聞きしました、勉強不足で大変申しわけございません。県の行政分野として現在のところ明確に確立したものはないと思いますが、心配事相談については一般的に振興局の福祉担当部あるいは市町村でもお受けしていると思いますし、人権に係る問題でありますと、国が設置しております人権擁護委員会等で相談に応じていただけるのではないかと思います。当然のことながら、家庭裁判所でもそうした夫婦間のことなどについては相談いただけるのではないかと考えております。
 その他のお尋ねについては児童家庭課総括課長から答弁させます。
〇川上児童家庭課総括課長 母子家庭、ひとり親家庭での小・中学校のお子さんの入校の状況でございます。母子家庭、父子家庭とも、ひとり親家庭の調査につきましては、全国的に5年に1回ということで、現在、一番新しいデータと申しますと平成15年のデータになります。平成15年では、母子家庭、父子家庭の中で小学校にお通いになっているお子さんが459人、中学校が274人ということで、これをその5年前のデータと比べてまいりますと、中学校のお子さんが減り、小学校のお子さんがふえている。離婚なさってひとり親になる今の資料のお母さん方は若くなっているといいますか、若年化している。結果、お子さんの状況も、高校生、中学生よりは小学生が多い状況にシフトしてきてございます。
 それと、本県の離婚の状況でございますが、人口動態統計、平成17年度のデータでございますが、平成17年度が2、506件、平成16年度が2、655件ということで、本県の離婚件数にありましては、平成16年度に比べて17年度は若干減少してきているという状況にございます。
 それと、離婚対策と申しますか、防止の関係でございます。これは、委員からお話ありましたとおり、行政としてはなかなか絡みづらいといいますか、関与しづらい部分、どうしても離婚の主な原因というのは、データを見ますと、性格の不一致とか異性関係となってございまして、俗に言う夫婦間の機微の部分でございますので、行政的な対応がなかなか難しいものと理解してございます。
 しかしながら、家庭内における児童養育の問題とか、夫婦間の不和の問題、あとDVの相談にも、現在、各振興局の家庭相談員さん─これは市のほうにも18名ぐらいいらっしゃいますが─の方々がそれぞれ対応してございまして、そういう意味では、家庭内の関係ができるだけ良好に保てるよう支援をしている状況でございます。
 続きまして、DVの状況でございますが、DV防止の対策の中での暴力の相談という面で見ますと、電話相談、来所相談とも、平成16年、17年、18年と件数を見てまいりますと徐々に増加してございます。特に来所は4割以上ふえてございますし、そういう意味では、DVの相談がふえている状況でございます。
 DVの状況と、あと施設の部分でございます。配偶者からのDV被害に遭われた女性の保護を目的とした県内の婦人保護施設の入居の状況を見てまいりますと、平成14年、15年、16年、17年ということで、多少のでこぼこはございますが、ほぼ横ばい傾向。平成14年、15年と見てまいりますと横ばい傾向でございます。ちなみに、平成17年は14名、18年は若干ふえるんですが、17名でございました。平成16年が19名ということですので、少しでこぼこはございますが、ほぼ横ばい傾向でございます。
 こういったDVの相談の状況、それと、婦人保護施設、DVの被害を受けられた方が入っている部分についてどう分析するかにつきましては、委員御承知のとおり、前は婦人保護施設というのは売春防止法の関係の施設でございました。これがきっかけでございます。しかしながら、委員から御紹介ございましたとおり、昨今は、そういう施設を含めまして、DVの施設、DV被害に遭われる女性の方の施設のほうに転換、施設に入る方が変わるわけではないんですが、そういうふうに性格を変えてきてございます。
 県内にあっては、婦人保護施設は1カ所でございます。県外の施設にも何名か委託しているところでございます。
 ただ、今後、DVの相談件数の伸びを見てまいりますと、核家族化とか、家族のありようが大分変わってきてございます。そういったような状況を見ますとき、即断はできないのでございますが、今、対応しているDVの部分につきましては増嵩が見通されるのではないかというふうに考えてございます。
〇佐々木一榮委員 今、3点ほど御説明いただきましたけれども、そういった意味では、大変予算もこれから増嵩が余儀なくされるだろう、そしてまた、なかなかこういう問題は、表といいますか、正面から議論できるような問題ではなく、大変デリカシーな微妙な問題とも理解しております。担当部におかれましては、先ほど老人福祉の話も、また障害福祉もさまざまありましたけれども、やはりこういった分野も根底の中には将来の子供のために非常に大事だと私は思っておりますので、ぜひよろしくお願いして質問を終わります。
〇熊谷泉委員 周産期医療に関してだと思いますが、1点お伺いいたします。
 近年、妊婦健診を受けない女性がふえていると聞いておりますが、岩手県の実情をどのように把握しておられるかお聞きしたいと思います。
〇川上児童家庭課総括課長 県内の妊婦健診未受診者の状況についてでございますが、県といたしましては、全県の妊婦健診の未受診者の状況については把握していないところでございます。県内の傾向を代表していると考えられる盛岡市さんのデータによりますと、妊婦健診を1回も受診されていないと思われる─出産後に母子手帳の交付を受けている─方の数は、全体の約0.1から0.3%程度、人数でいうと3人から9人程度という状況でございます。
 また、この数自体については、平成12年からデータを見ていますと、過去7年間の推移で見ますと、特に顕著な増加傾向ということではない、毎年若干のでこぼこがある状況でございます。
〇熊谷泉委員 今、0.1%ということで、ある意味私も安心しましたが、この間、奈良県で緊急に陣痛が始まってということでたらい回しという件がありましたが、一つは、その後いろいろな報道では、なぜ受けないかというと、若い女性なのかとは思いますが、お金がないから行かないという理由がありまして、今の0.1%の中にそれがどういうふうに適用するかわかりませんが、そういうものに県では何かお金を出しているものがあれば伺いたいと思います。
 追加でもう1点お伺いします。
 勤めている女性においては、平日、そういう受診をするのはなかなか大変ではないかと思うわけであります。そこで、やはりこれから少子化対策のためにも、事業所、会社にも、お産をするためには、事前に受診するかかりつけのお医者さんが必要だということを周知、啓蒙する必要があると思いますが、その点についてお伺いいたします。
〇川上児童家庭課総括課長 最初に、妊婦健診に対する県の補助といいますか、その関係についてです。
 現在、妊婦健診につきましては、実施市町村に対して国から交付税措置がなされているところでございまして、各市町村において、現在のところ押しなべて平均しますと、大体2回分の妊婦健診の費用の公的負担が行われている状況でございます。
 なお、この2回の公費負担の部分につきましては、平成19年度─今年度から国の財政措置が拡大されまして、市町村が5回程度の公費負担をすることが原則だという通知がございました。県といたしましては、各市町村に対しまして、この旨周知徹底を文書、会議等で図っているところでございます。
 それと、民間の会社の事業主への啓蒙、周知の関係についてでございますが、男女雇用機会均等法において、女性労働者が妊産婦のための保健指導とか健康診査を受診するために必要な時間を確保することを事業主に義務づけております。基本的には、男女雇用機会均等法を所管している労働局において、現在、事業主に対して周知とか助言指導が行われているところでございます。
 また、県におきましても、商工労働観光部等の企業訪問を通じまして、周知を含め、働きかけを行っているところでございます。
〇嵯峨壱朗副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇高橋昌造委員 委員長のお許しをいただきましたので、私からは2点お伺いいたします。
 まず、第1点目につきましては、県の総合計画のうち、保健・医療・福祉行政分野の平成18年度の総合評価の結果が出たわけでございますが、まずその一つは、生涯を通じた総合的な健康づくり、そしてもう一つは、高齢者が安心して生活できる仕組みづくりということで、県民満足度の進展が見られないということでございます。そういったことで、この二つの項目は、非常に私は保健・医療・福祉サービスの根幹をなすものではないのかということで、この両項目の県民満足度を高めるために、県として今後具体的にどのような取り組みをなされていくかということをお伺いいたします。
 それから、第2点目につきましては、平成18年度の歳入歳出決算事項別明細書の185ページの中に介護保険施設等身体拘束適正化推進事業というものがあるわけでございますが、県内の身体拘束を含めた介護虐待の実態がどのようになっているのか、もし過去3年ぐらいの実態件数等がわかれば数字をお示ししていただきたい。それから、県は、そのことに対しまして、それを解決するために具体的にどのような対策を講じられているのか。
 二つ目に、同じページの地域包括支援センターの関連事業につきまして、県内には50カ所整備されておるということでございますが、その地域包括支援センターに相談された、または支援された件数がわかれば全体の数字を教えていただくとともに、その中で、介護虐待の実態等の相談なり支援件数がわかればひとつ教えていただきたいということで、この2点についてお伺いいたします。よろしくお願いいたします。
〇赤羽保健福祉部長 平成18年度の政策の総括については私から、身体拘束あるいは虐待の関係については及川総括課長から答弁させます。
 冒頭の総括的なところでも申し上げましたとおり、実際上、医療でありますとか介護でありますとか、それから健康づくりでありますとか、そうした分野について県民の満足度が高くないといった実態にございます。その背景につきましてはいろいろと分析をしていかなければならないと考えておりますが、先ほど申し上げましたけれども、新しい地域計画の中で、やはりそうした部分について具体的に書き込みをし、できるだけ強化をしていかなければならないと考えています。
 それにあわせまして、今年度末までに医療計画や、あるいは健康づくりの計画といったものの策定を今進めているところでございます。医療計画におきましては、医師の確保を初め、地域における医療提供体制をどうするかということが非常に大きなテーマになってきております。また、健康づくりにつきましては、冒頭でも申し上げましたけれども、肥満の対策をどうするか、メタボリック症候群対策でありますとか、そうしたことをどうするか、それから、自殺対策といったことが中心の課題になってくるのではないかと思います。それから、健康づくりにつきましては、食事、運動、喫煙対策といった3本柱でしっかり進めていかなければならないと考えております。
 こうしたことを通しまして県民の満足度を向上させるための計画づくりを進めていきたいと考えておりますが、例えば健康づくりをとってみましても、健康づくりの主体は県ではないと思っております。一人一人の県民が主体となって動けるような支援の仕組みを県と市町村がどうつくるか、その支援の仕組みづくりの主体は県だと思います。一人一人の県民の方が、先ほど申し上げましたような食事とか、あるいは運動とか禁煙でありますとか、そうしたことにしっかりと取り組めるような支援の仕組みを県としてどう考えるか。それから、医療の関係でも、受診行動されるのは主役である県民でございます。そうした県民がよりよい医療サービスをどう受けられるかということを基本的なテーマとして計画づくりに努めてまいりたいと考えております。
〇及川長寿社会課総括課長 県内の高齢者の虐待の実態についてでございますが、平成18年度の実績で申し上げますと、介護施設等の従事者による高齢者への虐待というのが3件あったと。それから、擁護者─家族等による虐待というのが実は多うございまして、136件ほど報告されております。家族による虐待については、例えば息子からの虐待が一番多いとか、そういう状況が報告されております。
 地域包括支援センターにはこういった報告等も上がっておりまして、こういう実態を把握していただいていろいろな相談に乗っていただいておるという状況でございます。
〇嵯峨壱朗副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇嵯峨壱朗副委員長 質疑がないようでありますので、保健福祉部関係の質疑をこれで終わります。
 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後3時3分 休憩
午後3時19分 再開
〇新居田弘文委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、医療局長に医療局関係の説明を求めます。
〇法貴医療局長 認定第1号平成18年度岩手県立病院等事業会計決算につきまして御説明申し上げます。
 県立病院等事業の運営に当たりましては、地方公営企業法第3条に規定する経営の基本原則並びに県立病院等の設置の本旨、県議会の審議を通じての御意見及び監査委員の御意見の趣旨を踏まえまして、まことに厳しい医療環境ではございますが、事業の効率的な運営と経営の健全性に配意しながら、公的医療機関としての使命である地域医療の確保と保健衛生の向上に努めてきたところでございます。
 平成18年度におきましても、良質で効率的な医療供給体制と、これを支える安定した経営基盤の確立のため、県立病院改革基本プラン及びこれに基づく改革実施計画の実行により、多様な取り組みを展開してきたところでございます。
 まず、病床規模の適正化につきましては、圏域ごとに入院需要に見合った適正な病床数を確保しながら施設効率を高めるため、花泉病院及び紫波病院を診療所化するとともに、移転新築を機に山田病院の病床数を見直し、147床を削減したところであります。
 次に、医師確保につきましては、保健福祉部との共管組織として医師確保対策室を設置し、本県出身医師等の協力を得て個別訪問を行い、また、引き続き関係大学への要請や奨学資金貸付及び医師養成事業等を実施するとともに、臨床研修医の積極的な受け入れに取り組んだ結果、平成18年度は、初期臨床研修医が101人となり、後期研修医は22人を勤務医として確保したほか、現在勤務している医師の定着を図るための勤務環境の改善に努めたところでございます。
 さらには、地域偏在の緩和に向けた取り組みでは、広域基幹病院などから地域病院などへ延べ5、834人の診療応援を実施したところでございます。
 次に、安全・安心な医療の提供につきましては、医療安全管理専門員を広域基幹病院など11病院に新たに配置し、医療安全管理体制の充実を図ったところでございます。
 また、職員の資質の向上などにつきましては、新たな人事考課制度の構築に取り組み、今年度、医師において実施するとともに、意識改革の取り組みとして、バランススコアカードによる目標管理やISO14001の認証取得に取り組んだところでございます。
 このほか、収入確保の取り組みとして、診療報酬のマイナス改定の影響縮減のため、改定内容の分析と対応方法を策定し、施設基準の上位への届け出や新規の基準取得を進めたところでございます。
 また、費用面では、職員の適正配置、超過勤務手当の縮減、磐井病院などの医事業務及び山田病院などの調理業務など外部委託の拡大、薬品等材料の在庫管理の適正化と整理統一、後発医薬品の使用拡大などにより費用の抑制を図るなど、総合的な経営改善の実施により、良質で効率的な医療供給体制を確保しながら、安定した経営基盤の確立に努めたところでございます。
 施設の整備につきましては、増大かつ複雑・多様化する医療需要と医学・医術の進歩等に的確に対応するため、平成18年6月に中央病院増改築工事の設計に着手し、花巻厚生・北上統合病院新築工事を平成18年9月に着工するとともに、山田病院新築工事を平成18年10月に完了したところでございます。
 以上、事業の概要を申し上げましたが、国民医療費が総額抑制され、患者負担の引き上げや健康保険組合の再編等を柱とする医療制度改革が進められる中、病院事業収益の大宗をなす診療報酬は過去3回いずれもマイナス改定となるなど、事業を取り巻く環境はますます厳しさを増しております。
 こうした状況のもと、今後の事業運営に当たりましては、引き続き県立病院改革実施計画に定める電子カルテなどの情報化の推進による患者サービスの向上や、PET-CTの整備による高度医療の提供及び診療報酬の適正算定、広域基幹病院へのDPCの拡大などによる収入の確保、給与費の縮減や材料費の抑制、医事・調理業務の外部委託の拡大などによる費用の抑制に努めることを念頭に、全職員が一丸となって県立病院改革を着実に実行していく必要があると考えております。
 それでは、お手元の決算書に基づきましてその概要を御説明いたしますが、決算報告書は、予算に対する決算という性格上、消費税及び地方消費税相当額を含めた金額で作成するものであるのに対し、損益計算書及びその他の財務諸表は、消費税及び地方消費税相当額を除いた金額で作成することとなっており、金額に相違がございますので、あらかじめ御了承願います。
 決算書の1ページをお開き願います。まず、決算報告書の収益的収入及び支出でございますが、収入の第1款病院事業収益は、予算額946億9、100余万円に対し、決算額は935億9、500余万円でございます。
 次に、支出でございますが、第1款病院事業費用は、予算額955億9、400余万円に対し、決算額は945億6、400余万円でございます。
 2ページに参りまして、資本的収入及び支出でございますが、収入の第1款資本的収入は、予算額117億2、800余万円に対し、決算額は103億7、600余万円で、その主なものといたしましては、第1項企業債62億2、700万円、第3項負担金38億5、900余万円などでございます。
 3ページに参りまして、支出の第1款資本的支出は、予算額167億余万円に対し、決算額は157億8、200余万円で、その主なものといたしましては、第1項建設改良費は59億1、400余万円で、山田病院新築工事、花巻厚生・北上統合病院新築工事及び胆沢病院への超伝導式磁気共鳴画像診断装置、中央病院等への全身用エックス線CT装置などの医療器械等の整備に要した費用でございます。
 第2項企業債償還金は76億9、100余万円で、施設などの整備のために借り入れた企業債の償還金でございます。
 なお、資本的収入が資本的支出に不足する額62億8、400余万円につきましては、過年度分損益勘定留保資金等46億6、700余万円で補てんし、残りの16億1、600余万円は、当年度同意等済未発行企業債で措置するものでございます。
 次に、損益計算書について御説明申し上げます。
 4ページをお開き願います。医業収益は809億8、500余万円で、前年度に比較いたしまして32億5、000余万円、3.9%の減少でございます。その主なものといたしましては、入院収益516億3、200余万円と外来収益234億6、700余万円でございます。
 次に、医業費用は877億6、500余万円で、前年度に比較いたしまして19億5、400余万円、2.2%の減少でございます。その主なものといたしましては、給与費510億4、500余万円、薬品費を主な内容とする材料費222億8、800余万円、光熱水費、修繕費及び委託料などの経費104億1、100余万円、減価償却費35億7、600余万円などでございます。
 また、医業外収益は124億4、200余万円で、前年度に比較いたしまして1億2、400余万円、1.0%の減少でございます。その主なものといたしましては、一般会計繰入金のうち、医業外収益として繰り入れました負担金交付金108億600余万円などでございます。
 5ページに参りまして、医業外費用は66億9、500余万円で、前年度に比較いたしまして1億9、400余万円、3.0%の増加でございます。その主なものといたしましては、支払利息及び企業債取扱諸費41億200余万円、仕入れ控除できない消費税及び地方消費税15億2、100余万円を含む雑損失16億4、400余万円などでございます。
 また、特別利益6、200余万円は、旧久慈病院跡地の売却に係る固定資産売却益でございます。
 この結果、平成18年度岩手県立病院等事業会計の損益は、医師の退職等による診療体制の脆弱化などによる入院・外来患者の減少や診療報酬のマイナス改定により9億7、000余万円の純損失が生じ、赤字決算となったものでございます。このことにより、当年度末累積欠損金は127億5、600余万円となるものでございます。
 以上、決算報告書及び損益計算書について御説明申し上げましたが、剰余金計算書及び貸借対照表、その他の事項につきましては、説明を省略させていただきたいと存じます。
 よろしく御審議くださいますよう、お願い申し上げます。
〇新居田弘文委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇佐々木一榮委員 2点、お尋ねします。監査委員にお尋ねいたします。
 審査意見書1ページの後段でありますが、今後の経営に当たってはというところからでありますが、その下から4行目、また、依然として散見される不適正・不適切な事務処理の根絶を図るなど、というようにありますが、これは具体的にどのような内容をあえてこの審査意見の中に今回書かれているのか、お尋ねしたいと思います。
 あわせまして、正規職員と臨時職員の関係についてお尋ねしたいと思います。
 医師も234人の臨時の職員の方、放射線部門、それから検査部門、看護部門に至っては530人の臨時の方がいらっしゃいますが、平均の勤務日数また勤務体制についてお伺いします。
〇門口総括監査監 審査意見書にございます不適正・不適切な事務処理でございますけれども、平成18年度の指摘といたしまして、まず、これは新聞にも報道されたところでございますが、釜石病院におきまして、医師公舎の改修に当たりまして6件の工事を分割して発注していた、随意契約で発注していたというようなものがございます。そのほかに、事務事業の執行の不適当、支出命令の不適当、調定の不適当、財産管理の不適当等の事例があったものでございます。
〇佐々木参事兼職員課総括課長 臨時職員につきましては、常勤の臨時職員及び非常勤の臨時職員に分かれてございまして、各職域とも、臨時職員については、通常の常勤の職員と同じ勤務日数になってございますし、非常勤の職員につきましては週30時間、もしくは先生方ですと週1回とか週2回の勤務となってございます。
〇相馬医師対策監 医師の臨時職員でございますけれども、先ほどのお答えと同じように、医師の場合にも常勤臨時職員が主なものでございます。そのほかに、大学等からの非常勤の応援もございますけれども、こちらのほうは週数回とかということが多うございます。大多数は常勤臨時職員と御理解いただいていいと思います。
〇佐々木一榮委員 再度お尋ねします。そうしますと、正規職員の方、臨時職員の方の勤務日数に大きな隔たりがないとすれば、この処遇といいますか待遇の差というのはどういう部分で出ているか、それについて再度お尋ねします。
 それから、あわせまして、2点と言いましたが、最後ですけれども、平成18年度及び現在までの県医療局における医療事故の件数、また和解されたもの、また訴訟中のものについてあれば、お尋ねしたいと思います。
〇佐々木参事兼職員課総括課長 臨時職員の処遇につきましては、医師もそれ以外の職種も同じでございますけれども、正規職員の給与を原則的に日数に応じてといいますか、日額でございますので、それに応じた格好の給与を算定してございます。若干、ボーナス等の差がついている部分はございますが、原則的には、正規職員の給与の額を参考にといいますか、それをもとに計算しているものでございます。
〇岡山業務課総括課長 医療事故の平成18年度の件数ということで、あと、その解決した内容という中身でございますけれども、平成18年度におきましては医療事故が8件発生してございます。そのうち示談等で解決したものが3件、動きがないといいますか、そのまま説明によりまして納得されたものが2件、治療の交渉予定なのが1件、それから説明後の連絡がないものが2件という状況になっております。
 平成19年度は、現在までのところ、先日の久慈病院を含めますと11件という状況になってございます。示談等で解決したものは11件のうち1件ほどございます。その他につきましては、治療後、交渉予定という状況になっております。
〇熊谷泉委員 最近、長期入院の制限みたいなものと、あとは療養型ベッドを減らされる傾向にありますが、県立病院においては、大体そういういわゆる療養ベッドがどのくらい現実減らされているのか、お伺いいたします。
〇岡山業務課総括課長 療養ベッドの減ということですが、療養ベッドの減というものは、県立病院ではございません。3病院に134床ということで、療養ベッドがそのままの状態でございます。
〇熊谷泉委員 それでは、次にお伺いしますが、現実、盛岡の中央病院で高度医療を受けて、大体、3カ月ぐらいで転院する例が多いわけですが、現実、地方の県立病院でもうベッドが減らされているときに、地元に転院できない例が多くありますが、県立病院の場合は、その辺の転院がどういうふうにスムーズにいっているのか、あるいは全く県立病院から民間の病院に移さざるを得ない状態なのか、その辺をお伺いいたします。
〇岡山業務課総括課長 広域基幹病院等で急性期を脱しました患者の経過観察あるいはリハビリにつきましては、患者や家族の意向等を確認しまして、紹介する医療機関と連携を図っているところでございます。
 また、診療所となりました県立病院につきましても、同様の連携を図っているというような状況でございます。
〇熊谷泉委員 最後に1点だけお願いします。
 実はいろいろなケースがあると思うんですが、先ほど、保健福祉部のほうでもありましたが、実際、特養ホームとかそういう老人施設も満杯で入れないという例がほとんどなわけです。実際、病院を出ても行くところがない、あるいは在宅の支援も難しいというのが現実でありますので、その辺の転院をスムーズに図れるようお願いします。
〇岩渕誠委員 まず、県立病院における医師の退職の状況についてお尋ねいたしてまいりたいと思います。
 医師確保ということで随分一生懸命やっていらっしゃるということについては、敬意を表することでありまして、その成果ということにつきますと、何人連れてきたかということが大体公表されるわけでありますけれども、翻って、この県立病院におきましては、お医者さんの流出というものも片方であると認識しております。
 そこで伺いますが、平成18年度における県立病院の医師の退職の状況について、まずお示しいただきたいと思います。
〇相馬医師対策監 医師の退職の状況でございますが、平成18年度、全体で92名の医師が退職という形になってございます。ただ、この中には、大学のほうに戻られるといいますか交代されるということもございますので、そういう方々が62名、それから定年退職の方がお2人、それから開業される方が12名でした。あと、民間病院にいらっしゃるという方が7名おります。あとそのほかに、その時点ではまだ行き先を決めていないということとか、そのほかの方々が9名という状況でございます。
〇岩渕誠委員 ありがとうございました。過去のデータ、平成18年度においても、医局人事による退職は3分の2である。定年退職はわずか2名、そして退職者に占める3分の1が、何らかの理由で退職しているということでございます。
 過去のデータもちょうだいしておりますけれども、これを見ましても、大体中途退職者がほとんどであります。定年退職者がほとんどいないということですが、中途退職者のうち3分1は、やはり医局人事以外でやめている、あるいは多い年には半分近くがやめておるわけであります。確かに開業退職あるいは民間病院へというのがあるんですが、これ、年代別に見ますと40代とか50代で退職をしている、あるいは開業しているケースが多く見受けられます。これは、現場の医師等に聞きますと、開業リスクを考えれば、通常はこういう年齢では開業しないのではないかと。しかるに、それでもなおかつ開業せざるを得ない理由が、やはり県立病院の体制の中にあるのではないかという言い方をしておるんですが、この退職者に占める3分の1がいわゆる医局人事以外であるということについて、その原因をどのようにお考えでしょうか。
〇相馬医師対策監 医師の退職の理由の状況でございますけれども、委員御指摘のように、中堅どころといいますか、そういう方々の退職も多うございます。私どもがいろいろな場で伺っている中では、理由としては、例えば当局あるいは救急患者さんへの対応が病院勤務医の場合はございます。それから、入院患者さんの急変等によりまして夜間の呼び出しとかそういうことがございまして、拘束される時間が長くて勤務が結構厳しいということがまず一つはございます。また、医師の場合には、将来設計ということを持っていると思われますけれども、独立して開業するという生活設計を立てていらっしゃって、それがこのあたりに出てくるという傾向があるのではないか。それから、昨今言われてございますけれども、勤務医よりも開業されたほうが、収入的に恵まれているということなどが挙げられてございます。
 個々の先生方の状況によりますけれども、そのほかさまざまな要因がまた複合的に絡み合ってという状況が見受けられると考えてございます。
〇岩渕誠委員 ありがとうございます。いずれにせよ、県立病院の医療を担う医師が、形はともあれ退職している、その大きな要因というのは、まさに今御答弁ありましたように、過酷な労働条件に起因するものであるということは、これは否定できないものだと思います。
 そこでお伺いいたしますけれども、県立病院における医師の労働状況をどのように把握されているか。全国平均で、例えば残業時間とか呼び出しの回数、それから休日数等について、比較できるデータがあればお示しいただきたい。いつも医師不足に対して岩手はこうだというのがあるんですが、この労働条件に対して、岩手は一体どういう状況でやっているのかという比較を、なかなか承知していないものですから、これが明確に示せるものがあれば示していただきたいと思います。
〇佐々木参事兼職員課総括課長 医師の超過勤務や当直などの勤務実態と全国との比較でございますけれども、超過勤務に関する全国の比較は、大変申しわけないんですけれども、詳細なデータがないために比較することは困難であります。ちなみに、昨年度報告されました国の医師の需給に関する検討委員会報告書で示されました週平均の勤務時間数であります63.3時間という数値から、通常の週当たりの勤務時間であります40時間を差し引いた数値から、月平均の超過勤務時間数を算出しますと93.2時間となるものと推計してございます。国の平均でございます。
 国の算定内容が明らかになっていないために単純に比較することはできませんけれども、当県立病院に勤務する医師の超過勤務時間数は、例えば医師充足率が比較的高い中央病院の勤務状況を見ますと、押しなべて、ほぼ帰宅が夜の10時ごろであると伺っておりますので、国の報告書とほぼ同じ程度の超過勤務があると考えてございます。
 なお、病院別、診療科別などによって個人ごとのばらつきが見られるということもございまして、医師の勤務状況の改善を図るために、現在、その詳細について医師の協力を得ながら調査を進めているところでございます。
 それから、当直に関しましては、本県立病院の1人当たりの月平均回数は約2.68回となってございます。全国との比較に関しましては、これにつきましても、詳細なデータを持っていないために比較することは大変困難であると考えてございます。
 なお、当直につきましても、超過勤務同様に、病院別、診療科別などによりまして個人ごとにばらつきが見られるところでございます。
 なお、呼び出しの回数等については、データを持ち合わせてございませんので、大変恐縮ですけれども、よろしくお願いします。
〇岩渕誠委員 まさに医師の労働条件というのは年々、岩手県においては、特に周辺部においては過酷さを増しているというのは、言葉としては伝わってくるのでありますけれども、こうしてデータをということになりますと、なかなか示せないということは、これは、物事を考える上でこういう数字をきちんと把握するということは出発点であります。やはりそういった御努力をいただかないと、どういう形で医療資源を守っていくのか、今いる人たちをどうやって守るかという観点に立った場合、どんどん医療資源の流出につながると思いますので、これは早急に、可及的速やかにといいますか、ぜひお示しいただきたいと思います。
 あわせて、その中で、やはり今、連続勤務の問題が出ておると思います。連続勤務の問題、県のほうでは宿直、当直という言葉を使っておると思います。現場の医師に言わせると、これは夜間勤務であって、本来そういう区分けをするべきではないという声も一部にあるんですが、連続勤務の実態については、これはどのように把握しておられるのでしょうか。もしあればお願いします。
〇法貴医療局長 医師の超過勤務の実態というのはなかなか把握できなかったわけですけれども、ついせんだって、医師の代表とよく話し、院長会もそうですが、医師の勤務実態をもう一回みんなで見直そうじゃないかという話が出まして、医師の協力がなくてはなかなか詳細なデータがとれないと、またまた事務的な作業をさせるのかということもあるんですけれども、ようやく協力を得られることになりまして、閑散期とか繁忙期とか、いろいろな期を分けて一応データをとってみようということで、今データをとり始めていますので、そういう詳細なデータがまとまり次第、皆さんにお知らせしていきたいと思っています。
 それから、勤務実態もいろいろあるんですけれども、我々は、お医者さん、現場とやはり話し合っていかなければいけないということもあるので、幹部職員懇談というか、現場に出かけていって、どういうことで、どういう問題があるのかということを今、現地に出かけていって聞く機会をかなり設けていますので、そういうところで声を吸い上げて、そういう勤務実態を把握して、幾らかでもやめない対策、やめていかれない対策をぜひ進めたいと考えております。
〇岩渕誠委員 ぜひお願いしたいと思います。いずれにしましても、明確な数字を県民に提示していくことが、こうした医療の問題を考える上で大変重要なことでございます。これが単なる医師の労働条件の改善のみならず、医療体制をどうしていくか、そのために開業医ができることは何なんだ、住民ができることは何なんだ、こういうことになりますので、ぜひそういった観点でお進めいただきたい、このように思っております。
 それから、離職数の中でもう1点指摘しておきますけれども、一つには、確かに労働条件の過酷さというものもあるわけでありますが、一方で、現場の医師にしてみますとリスクがあると。何のリスクかというと、訴訟リスクだという声が大変多うございます。この訴訟リスクについて、今、医師の保険というのもあるようでありますけれども、県として訴訟リスクに対してどのような対応をしているのか、お聞かせいただきたいと思います。
〇法貴医療局長 先ほど答弁漏れしたと思いますけれども、当直明けの勤務については、本来は職専免をとれることになってはいるんですけれども、ほとんどの病院で職専免がとれない状況になっております。
 それから、訴訟リスクに関しては、民事の場合は、すべて弁護士を立てて、こちらですべて責任を持ってやれるんですけれども、刑事罰になりますと、やはり福島県の大野病院であったように、いきなり警察に逮捕されるということもありました。そういう事故の場合に、警察に届け出義務があるためにそうなってはいるんですが、国を挙げてやってくれということで、去年から、全国自治体病院協議会とか開設者協議会を通じまして、全国で事故調査委員会みたいなものをつくってくれということで働きかけましたところ、やはりそういうことだろうということで、国のほうでも、自動車とか鉄道の事故なんかによく出てくる事故調査委みたいなものをつくってみようということで、そういう検討が進められているということです。そういうものが早くできまして、ぜひ、いきなり刑事罰ということにならないよう、私たちも責任を持って医師を守っていくという体制を整えていきたいと思っています。
〇岩渕誠委員 今の局長の御答弁にもありましたけれども、私が話を聞かされた限りでは、連続勤務が40時間になるという医師もいるわけです。そういう医師は、本当に怖くてメスを握れない、診療できない。その上、そういうリスクがあった場合に刑事罰になる、こういうことが大変不安だということを申しておりました。やはり過剰労働と医療リスク、これは本当に背中合わせのものでございますので、ぜひ現場の声を聞いてあげていただきたいと思います。
 もう1点、これはちょっと通告しておりませんでしたけれども、平成18年度に診療所化となった病院が幾つかあるわけでありますが、これの収支について、先般の一般質問でも議論がありましたが、改めてお示しいただいて、その原因について、まず評価をどのようにしていらっしゃって、もし赤字が拡大しているとすれば、その原因はどこにあるとお考えなのか、お示しいただきたい。
〇根子経営改革監 平成18年度に診療所化したところの収支の状況というお尋ねでございますけれども、収支について、平成17年度決算と18年度決算、純損益で比較しますと、紫波地域診療センターが約4、100万円改善しております。それから、花泉地域診療センターが約5、500万円悪化しているという状況でございます。それぞれ、やはりその地域診療センターの事情がございますけれども、花泉のほうは、年度当初診療体制が安定しなかったということもあるのかなと考えています。
 あと、個別の診療センターの収支ということもございますけれども、全体としてのいわゆる県立病院改革の効果ということを考えれば、診療所化により職員体制を見直すということができましたものですから、その見直しの結果、看護師を他の病院のほうに振り向けることによって、全体の職員数をふやすことなく上位の看護基準を取得するとか、あるいは医療安全管理体制の充実を図っていくといったようなことが図れたと考えております。
〇岩渕誠委員 ありがとうございました。全体にはそれなりの評価をなさっているようでありますけれども、花泉診療センターでは5、500万円の収支の悪化を見ているということでございます。本来収支を改善するという目的のもとに診療センター化をして、住民にとってみれば、大変寝耳に水の出来事でありまして、結果、療養難民、それから遠くの病院に通わなければならないということの負担を強いられているわけであります。
 そういった状況にかんがみて、やはりこの5、500万円の悪化というのは、地域の住民感情からすれば、なかなか納得できるものではないということを一つ指摘しておきます。
 その上で、やはり診療センター化、診療所化を今後検討している、あるいは検討されるところもあるかと思いますけれども、地域住民との懇談、それから地域の診療ニーズ、医療ニーズ、福祉も含めたニーズを的確に把握して、その、例えば入院病棟の後対策ですとかを十分にしっかりと事前に話し合った上でお進めいただかないと、一体何のための診療所化なのかということにもなりかねませんので、ぜひこの点は反省していただいて、地域のニーズに合った進め方というものをしていただきたいと思います。
〇伊藤勢至委員 県立宮古病院についてちょっと関連してお伺いいたしたいと思います。
 県立宮古病院は、平成4年の開業でありましたので15年目になりました。この間、8人目か9人目ですが今度あるお医者さんが、また開業する方向で動いているようでありまして、そうなると15年の間に県立病院から地元で開業していただいたお医者さんが10人近くということになります。これはこれで地域の医療、かかりつけ医を持つということについては、医療面の貢献が大なるものがあるとは思うんですが、一方、県立病院の運営ということを考えました場合に、そういうかかりつけ医がどんどん出て、そして、例えばMRIでありますとか、あるいはまだありませんがPETでありますとか、そういう高額な、なかなか個人ではそろえられないような機械器具、そういったものをそろえた県立病院には、本当に限られた人しか行かなくなる、こういうことが惹起するおそれがあるのではないかと思います。
 そういう観点からとらえますと、なぜ宮古病院のお医者さんたちが地元で開業するのか、それなりの理由はあるんだと思いますが、住めばみやこと言うぐらいですから、宮古に住んでもらうのは大いにありがたいわけでありますけれども、基本的には県立病院の経営が危なくなるのではないかという一面の危惧もあっていいんだと思います。今の人員体制あるいは規模、そういったものがそぐわなくなってきた場合にどうなるんだろうか。したがって、この根本的なところを角度を変えて研究してみる必要があるのではないか、私はそのように思っておりますが、どうお考えでしょうか。
〇法貴医療局長 開業なされて、その地域に住んでいただきますと、その地域としては、やはりプライマリーケアから連係プレーができるということで、そこから出ていかれるよりは地域に残ってもらったほうが非常にいい。
 ただ、今後、県立病院は何をすべきなのか、開業医は何をすべきなのかというふうに、やはり役割分担とか機能連携というものをもう少しきちんとしていかないと、今、委員御指摘のように、県立病院は何をやるのだろうかという話になりますので、保健福祉部のほうで所管しておりますけれども、医療計画の策定の中で、地域の医療行動とか受療行動とか、さまざまなところを今話し合いを進めていまして、その中で開業医と県立病院あるいは県全体の医療の中で、だれが何をしていくべきなのかというところをもう少しみんなと議論していきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 伊藤委員に大分私の質問も包含されたんですけれども、先ほどの局長の答弁のとおり、私の地元でも、県立病院を退職なされて、地元で開業する方がたくさんおるわけです。これは私のアイデアですけれども、県立病院出身の方ですから、私は、やはり地元の県立病院に幾ばくか協力をしていただくというような関係、関連を持ち続けるようなことも仕掛けていかなければならんのではないかと思います。
 地元で開業されるということは、医療資源はそのまま残されるわけですから、それは地元にとって大変ありがたいんですが、なぜ開業するかというと、そこに県立病院のベッドがあるからなんですよ。こういうような皮肉な状況になってきているわけです。県立病院自体が倒れてしまうと、開業医自体も、これは沈んでしまうという相関関係になるわけですから、千厩病院においては、空き病室を利用した新しい試みもなさっているんですが、環境福祉委員会で前期視察をした公立みつぎ病院であるとか、そういう包括経営をしているところは、やはりお医者さんが、これは直接的には関係ないですけれども、地域の福祉までやはり見なければならないんだというような気持ちになっていかないと、福祉ではないですけれども、医療の場面でもそういうような院長先生に対する、これはかなりの負担がかかりますが、そのような医療局としての指針というものもやはり立てていかなければならないと思うんですが、その辺についての御所感があればお願いいたします。
〇法貴医療局長 過酷な勤務から逃れるというか、開業なされていくということもあるんですけれども、やはり地域で医療を支えていくためには、今まではもう県立病院だけが中核となって、県立病院が何でもかんでも担っていくんだという気持ちでやってきた場合と、今これだけ開業なされる方たちが地域に残ってくれるということになると、やはり連係プレーというのが大事なんだと思います。
 それで、おやめになったとき、山形県の新庄病院というのは、おやめになれば、1年間は連係プレーしましょうねという取り決めなんかもあるんだそうですけれども、そういう他県の事例なんかもちょっと研究材料にして、そういう連係プレーがきちんとやれるかどうかということについても、少し検討、研究していきたいと考えています。
〇飯澤匡委員 医療現場の労働環境が悪化する、私もそれが一番だと思います。ただ、やはりそこだけではないものが、この社会が成熟化していく中で、御子息の教育問題であったり、それから今の医局のいわゆる力関係が低下してきたり、いろいろな問題が複雑に絡み合って退職なさる、そういう理由ができてきていると思うんです。したがって、これからは大変難しい時代を迎えて、局長は連係プレーというお話をされましたけれども、ぜひとも、特に保健福祉部との何か、医師確保だけではなくて、本当に真剣に考えていかなければならない、そういう時期に来ているのではないか。このまま行けば、やはり医師不足から、ますますそれが引き金となって、やむを得ずまた病院の統合というものができてくると、これは地域にとっても大変悲しい結末になりますので、ぜひともそういう包括的な考えの中でいろいろ事を進めていただきたい、そのように要望して、終わります。
〇斉藤信委員 それでは最初に、県立病院の医師確保・不足の状況についてお聞きしたいと思います。
 私は、医師の問題というのは、絶対的な不足というのが根本にあって、同時に医療の進歩、それに追いつかない医師不足というものもあると思うんですが、一つは、県立病院全体で医師数はどう推移しているか。その中で、特に小児科や産婦人科のように、医師数が絶対数として不足しているのがどういう状況になっているのか、これをひとつ示してください。
 二つ目に、緊急課題で宮古と大船渡の県立病院は国からの緊急支援を受けていたわけですけれども、宮古は今月5日で引き揚げたと。役に立ったと言えば立ったのか、立たなかったのか、なかなか国の支援策というのが、私は、本当に一時しのぎという気がするんですけれども、しかし、現実は極めて深刻です。この宮古、大船渡の循環器の体制をどうするのか、最初にこのことをお聞きします。
〇相馬医師対策監 県立病院全体の医師数の推移ということでございますが、昨年度との比較で申し上げたいと思います。
 医師につきましては、関係大学への医師の派遣の要請あるいは即戦力となる医師の招聘、それから研修医の先生方の確保ということが中心でございますが、そういうことをいたしまして確保に努めているところでございまして、その結果、年度末でございますが、平成19年3月31日現在におけます県立病院の常勤医師数は511名─これは研修医101名を除いてございますが─という状況でございまして、昨年度と比べまして10名の減という状態になってございます。
 この数は、医療法上の基準によりますと、県立病院全体では112.8%という充足数の基準を満たす状態になってございますけれども、医療の現場のほうでは、先ほど、小児科、産婦人科等のお話がございましたが、過重労働と申しますか、そういう状況にありまして疲弊感が増しているということも言われております。また、産婦人科、小児科はもちろんでございますけれども、内科系の医師も不足しているという状況にあるものと考えてございます。
 それから、宮古と大船渡の循環器科医師の確保の件でございますけれども、委員御指摘のように、両病院では、国の緊急・臨時的医師派遣制度によりまして派遣を受けておりますが、そして、その中ででき得る限りの診療機能の充実に努めておりますけれども、さらに関係大学のほうに強く派遣を要請するなどいたしまして、一日でも早く本来の診療体制がとれるように鋭意努力しているところでございますので、もう少し時間をいただきたいと思ってございます。
〇斉藤信委員 私は簡潔に聞いているんだけれども、ちょっと答えがかみ合わないんですよ。小児科とか産婦人科とか、絶対数が不足している診療科の医師数はどうなっていますかと聞いたんですよ。時間の節約をしてください。
〇新居田弘文委員長 簡潔に、具体的に答弁お願いします。
〇相馬医師対策監 小児科の医師数は、平成19年3月31日現在で28名でございます。産婦人科の医師数は、同じく平成19年3月31日現在で23名でございます。
〇法貴医療局長 今、お話しした産婦人科と小児科だけに限りますけれども、かなり古い話ですが、平成4年当時も、小児科は29人でありましたので、ほとんど増減はないんですね。ただ、産婦人科については、29名いたものが、平成19年8月現在ではもう21名ぐらいに減ってきておりますので、産婦人科の減少の度合いはかなり多いなと考えています。
〇斉藤信委員 恐らく、小児科、産婦人科だけでなくて、全体で10名減っているので、私はもう少しリアルな、全部を聞いているのではない、減った診療科の医師数を聞いたので正確に答えていただきたい。そのために質問を教えているんだからね。
 それで、産婦人科の問題が今、局長からお話があったように極めて深刻で、県立病院も緊急避難的な集約化を行いました。私たちも委員会で釜石病院を訪問して、実情も聞いてきました。その際、釜石病院の場合は、助産師外来や院内助産院に取り組んでいて、大船渡に集約しても、大船渡から通う1週間交代の医師以下、それに対応すると。正常分娩は県立釜石病院でもやりますという話を聞いて、私は大変、半ば感激をして、そこまでやってくれるのか、こういう感じで来ました。
 これは、産婦人科医師の努力に負うところが多いけれども、私はぜひ、胆沢病院も集約化されたんですが、助産師外来、そして助産院、当面10年、簡単に医師はふえないわけだから、そういう今持っているマンパワーで最も効率的に対応する必要があるのではないかと考えますが、この助産師外来、助産院の取り組みはどうでしょうか。
 また、臨床研修医の実績を先ほど聞きましたら、101人と後期研修が22人と、私は、すばらしい成果を上げているんだと思うんです。この点でただちょっと心配するのは、ベテランの医師がその分減っているんだとすれば、それは県立病院の機能としてどうなのかと。このバランスはどう見ればいいですか。臨床研修で来ている数は、これが丸々プラスになっているのか、それとも今までのベテランの医師がそれに置きかわっているのか。私は、県立病院は大変努力をされていると、ここは評価をしますが、全体として医師不足のかかわりでそこをどういうふうにプラス・マイナス見ればいいのか。
 あと、医師確保で、最後なんですけれども、今、全体の医師確保対策というのが問われています。保健福祉部でも議論になりましたが、まだまだこの岩手医大の10人、全体の45人の確保というのは、もう来年からこれを確保する割には、奨学金の制度も何も不明確で、私は、受験生もこれでは対応できないんだと思うんです。
 今まで医療局は5人の枠、さらに10人の枠を持っていました。これは、恐らく医療局ストレートだと思うんです。今度45人になったときに、医療局は金を出すけれども、その分ストレートに県立病院の義務年限になるのかならないのか。今度の45人枠とのかかわりで、医療局はどういう形で役割を果たし、どういう形で医師を確保できる見通しなのか示していただきたい。
〇根子経営改革監 助産師外来と院内助産のお尋ねでございますけれども、現在の状況ですが、助産師外来は、釜石、宮古、久慈、千厩、二戸の各病院で実施しております。それから、院内助産ですけれども、委員御指摘のとおり、本年9月から釜石病院のほうで本格実施ということで運用している状況でございます。
 今後でございますけれども、その拡充に当たりましては、医師、それから助産師、それから妊産婦の間での共通の理解が必要だと思っておりますので、こういったことを進めながら、条件が整った病院において実施に向けた検討を進めたいと考えております。
〇法貴医療局長 奨学金の制度でございますけれども、45人に拡大された場合、地域枠のものは保健福祉部のほうに10人枠ということでそのまま行きますが、まだ予算が絡むもので、恐らく保健福祉部はなかなか言いづらかったんだと思うんですけれども、我々のところも、10人今現在持っているところを少し拡充してふやしていこう。そして、こちらはまだ予算が通っているわけではございませんけれども、今、月々20万円の制度なんですが、いずれもう少し、国立系と私立大学系を分けた形の金額提示をしていければいいなと内々今検討しているところでございます。
〇相馬医師対策監 臨床研修医と正規の医師の人数のバランスのことでございますけれども、平成19年3月31日現在でございますが、正規、臨時を合わせました常勤の医師は511名でございます。対しまして、1年前の平成18年3月31日は同じく521名ということで、ここでは、先ほど申しました10名の減となってございます。対しまして研修医は、平成19年3月31日が101名、平成18年3月31日が79名でございましたので、こちらのほうは22名の増。合計しますと全体では12名の増となってございます。プラス・マイナスは、臨時の職員が減っているんですけれども、臨時の医師が減少し、その分研修医がふえて、医師全体では12名の増という形になってございます。
〇斉藤信委員 わかりました。ちょっと医療局長の答弁で、45人のうち医療局の分は20名ということになりますね。これは、医療局の奨学生ということで、義務年限は県立病院、こういうことでいいですね。
 そして、岩手県が直接医大に10名枠、この配分は、例えば、これは半分は県立病院とか、そこらはどういう考え方なんですか。
〇法貴医療局長 その義務年限は、恐らく9年ぐらいの義務年限になると思いますけれども、まだ、保健福祉部とか大学ともしっかり話しているわけではございませんが、自治医科大学の学生さん、毎年2名から3名卒業なされるわけですが、ああいう方たちは、ローテーション方式でA病院、B病院とか、大きな病院、小さな病院、中規模病院というふうに9年間ローテーションを組んでになりますので、恐らくそういう、修了というか、6年後には、そういうローテーションをきっちりとした中で、県立病院あるいは市町村立病院という形のローテーションでいくのではないかとは考えています。
〇斉藤信委員 わかりました。そうすると、医療局の奨学生が10名から20名にふえて、医大の枠の分は、そういうローテーションの形でさらにまたプラスになる、こういうふうに理解したいと思います。
 次に、中央病院の実績と充実についてお聞きしたいのですが、平成18年度、13億3、000万円の黒字といいますか収益を上げています。私はすばらしい成果だと。その収益を上げている要因は何なのか。
 二つ目に、中央病院が地域病院への診療応援をやっていますけれども、この診療応援の実績。
 そして三つ目に、これだけ立派に頑張っている中央病院だからこそ、私は7対1の看護師の増員に取り組むべきだと。そうしないと、医大も7対1、日赤も7対1なんですよね。やはり県立病院のセンター病院としての機能と役割を果たすためには、中央病院も7対1に移行すべきだし、今、5階西病棟一つだけ2人夜勤という過酷な状況が残されていますが、この2人夜勤の解消というのは、もう待ったなしでやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 あわせて、年次休暇の取得状況、そして年次休暇がとれるような職場環境をどうつくっていくのか。
 中央病院の最後ですが、施設の改築・改修が始まりました。これによって中央病院自身の機能強化がどう図られるのか示していただきたい。
〇熊谷管理課総括課長 中央病院の収支の改善の要因でございますけれども、平成13年に設置いたしました地域医療連携室、これを窓口に、他の医療機関からの患者さんを紹介していただいたり、逆に他の医療機関へ患者さんを紹介するということで、他の医療機関との連携を強化いたしまして、新入院患者さんをふやしてきたという事情があります。
 それから、救急車は断らないという考えのもとに、救急医療の充実を図っているということ。
 それから、先ほどもお話が出てまいりましたけれども、臨床研修体制、これも充実強化いたしまして、臨床研修を終えられた、初期研修を終えられた後期研修医、この方々の定着を図りまして、結果として医療体制の強化につながったということがございます。
 それから、がん治療のための化学療法科を新設したということがございまして、いずれ患者サービスの充実に努めているということがございます。
 それから、DPCの導入、これは医療費の包括払い制度でございますが、これをいち早く導入いたしまして、入院収益の確保を図っているということ。
 それから、薬品、診療材料等の在庫管理を徹底いたしまして経費の節減に努めたということがございます。
 いずれにいたしましても、中央病院の収支の改善は、これは病院長を先頭に病院職員が一丸となりまして、具体的な目標を設定いたしまして経営改善に努めた結果であろうと考えております。
 それから、今現在進めております中央病院の改修関係でどういう機能強化が図られるのかというお尋ねでございますけれども、一つは、陽電子放射断層撮影装置、いわゆるPET-CTを入れるということ、それから、放射線治療装置でございますリニアックを増設したいと考えております。それから、化学療法室の増床によりまして、がん診断、それからがん治療の機能強化を図っていきたいと考えております。それから、本館1階に救急センターがございますけれども、今ちょっと手狭だということがございますので、これを拡張したいと考えております。あわせまして、各病棟に散在しております救急病棟でございますが、4カ所に散在してございますけれども、これを3階に集約化いたしまして、ICUと一体的に運用することによりまして救急医療の充実強化を図っていきたいと考えております。
〇岡山業務課総括課長 中央病院の地域医療の支援ということで、診療応援の回数等の中身でございますけれども、中央病院は、県立病院のセンター病院といたしまして、県立病院あるいはその他の医療機関との連携のもとに、高度・救急・急性期医療などの各種の機能を担っているほか、地域医療の支援についても取り組んでいるところでございます。
 中央病院の平成18年度の診療応援、1カ月以上の長期応援を除きますと、延べ2、233回応援している状況でございます。このうち、県立病院以外の市町村立診療所等の医療機関へは延べ513回応援している状況でございます。
 次に、7対1看護の看護師の増員の見通しでございますけれども、7対1看護配置基準取得につきましては、来年4月に見込まれております診療報酬改定で基準要件等の見直しが国におきまして検討されておりまして、これらの動向を見きわめる必要があると考えております。
 また、中央病院の7対1看護配置基準の取得には看護師の大幅な増員が必要となることから、費用対効果あるいは現看護体制のあり方、あるいは現在の県立病院全体の経営状況等を十分にしんしゃくしながら対応していかなければならないものと考えております。
〇佐々木参事兼職員課総括課長 中央病院の2人夜勤の解消についてでございますけれども、夜勤体制につきましては、患者数の動向や重症度などを勘案しながら適正な配置に努めているところでございまして、現在、2人夜勤体制をとっている病棟につきましては、業務の実態等から見ましても、現在の体制が適正であると認識しているところでございます。
 今後とも、業務量の実態あるいは全体の経営状況等にも配慮しながら、業務に見合った適正な配置に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、中央病院の年次休暇を取得できる体制をどうとるかということでございますけれども、中央病院職員の年次休暇の取得状況につきましては、職員の大宗を占めます看護職員の平成18年の1人当たり年次休暇の平均取得日数が8.6日でございます。日本看護協会が平成17年に実施しました全国調査の結果でございます7.8日を若干上回ってございます。ただ、現在の年次休暇の取得状況が必ずしも十分であるとは考えておりませんので、どうすれば職員が休暇を取得しやすく、ゆとりのある職場環境となるのか業務の改善を進めるとともに、経営状況を勘案しながら病院現場と話し合ってまいりたいと考えてございます。
〇斉藤信委員 最後、私、驚くべき答弁を今聞きましたよ。年次休暇を8.6日しかとっていないのに、全国よりいいなんていう、こういう管理者の認識はとんでもありませんよ。
 これは、おととい新聞に載った前の院長の樋口先生の記事なんですが、樋口先生はこう言っています。県立中央病院が12億円の黒字になったとき、それは、重症患者が多く、医師初めスタッフが使命感を持って休日も夜間もへとへとになって生み出した黒字であったことに今でも胸を痛めている。14億円の黒字は、こういう医師、看護師の努力の結実ですよ。中央病院は、毎日40人から44人、入退院するんですよ。合計80人ですよ。それを全部看護師さんは記録しなければだめなのですよ、入院した、退院した、全部。重症患者が多くて入退院が激しいという中で、根本的には、7対1を医大だって日赤だって実施しているときに、中央病院こそやるべきだと。恐らく労働の過密度、岩手県で一番激しいのは中央病院だと思います、救急患者の数からいっても入退院からいっても。
 私は、佐々木院長さんからもお話を聞いて、佐々木院長先生もそれはやりたいと。去年もことしも聞いてきました。中央病院自身がやっぱり試算しているんですよ。採用10年目ぐらいの若手の看護職員を確保すれば、正規看護師が80%で、102人が損益分起点だと。できるということですよ、やる気になれば。だからそういう点では、やっぱり現場もそういうふうに知恵を出して、改善をしたいと思っている。具体的な指標も出していますよ。私は、そこにやっぱり正面からこたえるべきではないのかと思います。
 私は、現場の看護師さんからも話を聞いてきました。どういう声を上げているかというと、こういう声です。せめて子供の病気のときぐらい休みたい。子供が病気のときほど一緒にいてあげたいと思う、それもできない状態だ。休みを申し出れば、病児保育に預けろなどと平気で言われる。休めないからです。年休もとれない、そして、こういうときも休めない。4人体制になった病棟の看護師さんは言っていました、全然違ったと。3人体制から4人体制になった病棟、体制がたった一つふえるだけで全然違ってくるんですよ。
 私はそういう意味で、14億円も黒字を出してへとへとで頑張っている医師や看護師に本当に報いる、そうしてこそ新たな意欲が出てくるのではないかと思いますが、局長、いかがでしょうか。
〇法貴医療局長 先ほど佐々木参事のほうからお答え申し上げましたけれども、決して上回っているからそれが十分であるというふうに認識しているわけではないんですね。お答え申し上げたとおり、なぜもう少しとれないのかということについて現場と十分話し合っていきたいというふうに御答弁申し上げたと思います。
 それから、7対1看護は、やはり急性期病院であれば、とらせてあげたいというのもやまやまなんですけれども、やはり今、全病棟7対1で、1.4対1人の看護師さんをやるということについて、いろいろ制度的にふらふらしているところがあって見きわめていきたいということが1点と、先ほど3人から4人に変わって全然違うというふうな御質問もありましたけれども、そういう重症度のある病棟については、3-3を4-3に変えてあげたいとか、4-3を4-4にしてあげたいというところは、やはり業務の状況を十分見きわめながら、7対1は無理でも、いずれそういうところを少しやってあげたいということで順次改善してまいっておりますので、そういうことも組み合わせながら、あるいは現看護体制で本当に看護師さんでなければならないのかというところもあるので、そういうところも見きわめて全体の改善をしていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 気持ちが伝わる医療行政をやってくださいよ。現場は本当に頑張っているんだから、へとへとになって。
 私は、医師について一言言いたいのは、本当に勤務医の過酷な実態は深刻で、二戸の院長先生はこう言っていましたよ。医療で苦労するのはいとわないんだと。しかし、理解のない患者さんから、例えば夜、救急対応をしていて、専門の小児科の医師がいないのに小児科を出せなんて言われたら頭にくると。結構、今こういうことがあるんですよね。日中は外来をやって午後は手術をやって夜はと、こういう体制で本当に頑張っているときに、県立病院の医師を守っていかなければならない、こういう県民の意識もまた変えていかなければならないと感じています。
 最後、二つまとめて聞きます。
 診療所化の状況と対策について、先ほど、花泉病院については5、500万円の赤字がふえたという私が懸念したとおりのことになってしまった。この理由は、3人の医師を確保したけれども、1人は病気だったということですよ。だから、3人の常勤医師確保がやっぱり不十分だった。大迫もそうだと思います。そういう点で、約束した3人の常勤医師をしっかり確保するということはぜひやっていただきたい。
 診療所化の入院、外来の患者数の推移を簡潔に示していただきたい。
 もう一つ、私は、住田病院の診療所化には反対だけれども、強行する場合に、一言言っておきたい。
 実は、この住田病院は、訪問診療、訪問看護にかなり意欲的に取り組んでいます。平成18年度、例えば訪問診療は延べ人数で476人、訪問看護は88人、これは県立病院の中でも有数なんですよ。これが診療所化になって17人の看護師体制だったら、私は絶対できなくなると思うんです。だから私は、こういう実績を上げている訪問診療や訪問看護が継続できるように、医師の確保や看護師の確保もきちんと対応すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
 新昇給制度─成果主義賃金の問題なんですけれども、医師の段階でこれが今年度から試行が始まっております。これも私、中央病院の院長に聞いたら、とても評価しにくいんだと。過労死水準で働かせている医師をA、B、C、D、Eで評価するということは、私は事実上難しいと思いますよ。そういう点で、本当に今の医師の苦労に報えるようなことになっているのかどうか。
 それと、医師以外の職員の成果主義賃金制度というのは、どういうふうに今、取り組まれているのか示していただきたい。
〇根子経営改革監 平成18年度に診療所に移行した患者数の推移でございますけれども、紫波地域診療センターの1日平均患者数は、入院が平成17年度が31人から18年度は12人、外来が117人から103人、花泉地域診療センターにつきましては、入院が33人から11人、外来が125人から89人となっております。
 住田病院の診療所化に伴う訪問診療、訪問看護の話でございますけれども、委員お話しのとおり、訪問診療、訪問看護は住田病院の特徴にもなっております。ここについては、住田町に訪問看護ステーションもないという状況もあるものですから、私どもとしても、訪問診療、訪問看護を継続する方向で検討したいと思っています。
 それから、職員の体制につきましては、病院のほうといろいろ相談しながら体制を考えていきたいと思っています。
〇佐々木参事兼職員課総括課長 新しい昇給制度が多忙な医師にはなじまないのではないかとのお尋ねでございますけれども、医師に係る人事考課制度の実施及び新しい昇給制度への反映につきましては、その制度の構築に当たりまして、医師になじむような制度とするために、これまでに先生方と十分な話し合いを経まして、現在、実施しているところでございます。
 それから、医師以外の職員の新しい昇給制度についてでございますけれども、医師以外の職員に係る人事考課制度については、現在、練習を実施しているところでございまして、新しい給与制度への反映は現在のところ実施していない状況でございます。
 今後、現在実施している練習の成果、結果等も踏まえまして、人事考課制度に必要な修正を加えながら本格的な実施に向けて進めていきたいと考えてございます。
〇斉藤信委員 これで終わりますけれども、私は、医師の新昇給制度─成果主義賃金、院長先生からも聞いてきました。とても評価しにくい、やりづらいというのが私は率直な声だと思いますよ。これだけ頑張っている医師をね。そして、十数万円以上差がつくでしょう、AとCで。そして、Aというのはパーセンテージが決まっていますから、何ぼ頑張っていても、みんなが評価される制度ではないというところに欠陥があるんですよ。私は、ぜひそういう評価する側、される側からもしっかり聞いてやっていただきたいし、その他の職員については、こういう成果主義賃金に反対という立場で対応しているようですから、職員組合との合意を大前提にして進めていただきたい。
〇法貴医療局長 新しい人事考課制度については、昨年来ずっと評価される側の医師、評価する側の院長さんたちと制度構築について十分意見交換してきて、なおかつ、まずやってみよう、もしそれで制度的にまたおかしいところがあるのならぜひ手直ししながら進めようというふうな話し合いを続けて、一応やることにしたものです。
 それから、その他の職員についても、本来は組合との団交などにおいて、反対のための反対はしない、いい制度ならばというふうな話もあったので、御意見を十分伺って一応つくったことはつくったんですけれども、なおかつまださまざまなお気持ちがあるようですので、組合側ともいろいろな点で話し合う、制度はこれで終わりということではないので、直しながらでも進めたいというふうに考えております。
 もう一つ、先ほどの奨学金制度で、まだ予算も通っていませんので、決まっていない話で、医療局側の気持ちということで受けとめていただければいいなというふうに思います。
〇新居田弘文委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇新居田弘文委員長 質疑がないようでありますので、医療局関係の質疑をこれで終わります。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時36分 散会

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