令和2年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(工藤勝子君) 無所属の工藤勝子です。
 2月定例会におきまして一般質問の機会を与えていただきましたことに感謝申し上げ、順次質問をしてまいりますので、よろしくお願いいたします。
 初めに、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略についてお伺いいたします。
 2015年度から2019年度を計画期間とする国の第1期まち・ひと・しごと創生総合戦略は、出生率の低下によって引き起こされる人口の減少に歯どめをかけるとともに、東京圏への過度の人口の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持することを目的とする地方創生を実現するための戦略であったと受けとめております。
   〔副議長退席、議長着席〕
 知事は、この国の第1期まち・ひと・しごと創生総合戦略をどのように評価されているのかお伺いいたします。
 また、国は地方に対して何を期待し、地方、つまり県は国に対して何を期待してきたのか、知事のお考えをお伺いいたします。
 国の総合戦略を踏まえ、県では、岩手県ふるさと振興総合戦略を策定し、戦略に掲げる岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの3本柱に基づき、各施策に取り組んでおられます。戦略では、施策推進目標などの目標値を設定し、その結果についても公表されていますが、KPIの達成状況について見ると、181指標中、おおむね達成以上の割合が80%となっており、おおむね順調に推移してきたようにも見受けられます。
 希望郷いわて国体・いわて大会の開催やラグビーワールドカップ2019岩手・釜石開催の盛り上がり、スポーツや文化などにおける児童生徒の大活躍などもある一方、人口の社会減の拡大や少子化、医師不足、各産業分野における人材不足などの課題も見受けられる状況ですが、県の現行戦略に係る成果と課題についてお伺いいたします。
 この後は質問席から行いますので、よろしくお願いいたします。
 以下、質問席にて質問いたします。
   〔38番工藤勝子君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 工藤勝子議員の御質問にお答え申し上げます。
 国のまち・ひと・しごと創生総合戦略についてでありますが、国の総合戦略に基づく施策の展開により、人口減少が危機的な課題であることが広く国民の間で共有されるとともに、地方創生推進交付金の創設や、地方財政計画におけるまち・ひと・しごと創生事業費の確保などの財政支援、ソサエティー5.0や移住、定住への支援など新たな施策の追加などにより、各自治体において地方創生の施策が進展してきたものと考えております。また、国は地方に対して、国の総合戦略を勘案した地方版総合戦略を策定し、地域の強みや魅力を生かした施策を自主的、主体的に行うよう期待しているものと認識しております。
 一方、県は国に対して、地域ごとに実情や課題等が異なることから、地方創生推進交付金等について、制度の柔軟化や自治体の財政力を考慮した配分とすること、また、地方の社会減の大きな要因となっている東京一極集中の是正に向けて、抜本的な対策の一層の推進や、地方重視の経済財政政策の実施を強く訴えてまいりました。
 このように、国と地方は連携して地方創生、ふるさと振興に取り組んできましたが、地方から東京圏への転入超過数は約15万人に拡大するなど、全国的な課題も依然としてあることから、国と地方の第2期総合戦略に基づき、引き続き、適切な役割分担と緊密な連携のもと、人口減少対策に総合的に取り組んでまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔政策地域部長白水伸英君登壇〕
〇政策地域部長(白水伸英君) 岩手県ふるさと振興総合戦略の成果と課題についてでありますが、現行の総合戦略に基づく施策の展開によりまして、岩手で働くでは、自動車、半導体関連産業の集積による雇用の創出や、県全域における高校生の県内就職率の上昇、移住、定住者の増加、岩手で育てるでは、地域で妊産婦を支える体制の構築、保育所整備や保育人材の確保、子育てしながら働きやすい労働環境の整備、岩手で暮らすでは、人口10万人当たりの病院勤務医師数の増加や、ものづくり産業人材の育成など、各分野において一定の成果があらわれてきております。
 一方で、人口の自然増減につきましては、日本全体の傾向と同様に減少傾向が続くとともに、社会増減については、令和元年にマイナス4、370人と3年ぶりに縮小したものの、依然としてその減少数は大きい状況にある等の課題があるものと認識しております。
 こうした課題や、これまでの成果等を踏まえ、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略に基づき、国や市町村と連携を図りながら引き続き人口減少対策に戦略的に取り組んでまいります。
〇38番(工藤勝子君) それなりの成果があらわれたという話でございましたが、県民にしますと、この地方創生、国のまち・ひと・しごと創生総合戦略に関してはそんなに実感を持っていないのではないかと思っているところであります。知事にもう一度その評価を伺いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 県、また国と市町村は、例えば、県では、平成28年度以降の4年間で国の地方創生推進交付金や地方創生拠点整備交付金など29億7、000万円を活用し、全部で145事業を実施してまいりました。その中には、岩手県工業技術センターに次世代ものづくりラボ等を整備する事業や、また、県営運動公園にスポーツクライミングスピード競技施設を整備するなどの事業が含まれております。
 市町村においても、同じく4年間で総額28億4、000万円を活用し、全部で169事業を実施してきました。その中には、例えば、二戸市ではいわて型テロワールによる地方創生プロジェクト、遠野市であれば遠野みらい創りカレッジ拠点化推進計画、廃校を利用したみらい創りカレッジの整備、そういったことを県、市町村が進めてきて、それぞれ総合戦略に沿った一定の進捗があったと考えております。
〇38番(工藤勝子君) 国は、昨年12月に第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定いたしました。国は、第1期戦略の成果として、地方の若者の就業率の上昇、インバウンドや農林水産物、食品の輸出額の拡大などを示す一方、人口減少、少子高齢化、東京圏への一極集中などを課題としております。
 我が国の総人口は2008年をピークに減少局面を迎え、減少は今後加速していくものと見込まれており、2019年の出生数が90万人を割り込んで86万4、000人となったことは報道等でも大きく報じられたところです。東京圏への一極集中では、特に震災後、女性の転入超過が大きくなっており、2018年は男性より2万人も多い状況となっております。こうした女性の東京圏への転入超過は、地方の少子化に一層拍車をかけるものであると思っております。
 本県における現状をどのように認識しているのかお伺いいたします。
〇政策地域部長(白水伸英君) 本県における人口減少の現状についてでございますが、直近の岩手県人口移動報告年報によりますと、本県の社会減は、男性1、429人、女性2、937人となっております。このうち、特に20歳から24歳の社会減についてですけれども、男性873人に対しまして、女性が1、462人となっております。このように、本県の状況は、進学や就職期における女性の社会減が顕著となっておりまして、その背景には、企業等が集積する東京圏において多様な職種の求人があること、あるいは初任給の差が見られること等の状況があるものと考えております。
 このため、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略に基づきまして、産業の集積と裾野拡大、あるいは若者、女性の創業支援の充実等を通じた新たな雇用の創出、また、安定した雇用形態の確保、若者、女性がやりがいを持って働ける職場づくりなど、雇用の質の向上を図ること等によりまして、女性が活躍でき、魅力的な岩手の創造を目指してまいります。
〇38番(工藤勝子君) 県内では自動車産業やものづくり産業の企業が多いわけであります。私もよく決算特別委員会などで質問しておりましたけれども、やはり女性の職場が少ないのではないかということです。そういうために、大学に進学するために岩手を離れた女学生の皆さんはふるさとに戻ってこない、そういう状況ではないかと思っているところであります。
 そういうことから、今は各分野において女性が参画する時代でありますけれども、今後とも自動車関連の企業をある程度県内でも誘致するという働きかけをすべきと思いますが、その辺はどう考えているのかお伺いいたします。
〇政策地域部長(白水伸英君) 議員御指摘の点でございますけれども、質問のほうでも述べていただきましたが、東京圏に流入している男性と女性の差は2万人女性が多いということで、これは全国的な状況でございます。3大都市圏で見ましても、愛知圏、大阪圏もマイナスでございます。要は東京圏ひとり勝ちという状況でございますので、まず、この構造的な問題については、しっかり知事会等を通じて我々も言っていかないといけないと思っております。
 議員から御指摘がありましたとおり、女性にとっても魅力ある職場づくりというのは非常に大事な視点でございますので、さまざまな産業の集積を加速させまして、社会減をできるだけ抑えていくということで取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇38番(工藤勝子君) どうぞよろしくお願いいたします。
 県は、現在策定を進めております第2期岩手県ふるさと振興総合戦略において、新たな柱として岩手とつながるを加え、関係人口の創出、拡大を図っていくなど、現行戦略からの見直しを行っておりますが、国の第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略を踏まえ、何を重点的に推進しようとしているのか、また、予算措置も含め、状況等もお示し願いたいと思います。
〇政策地域部長(白水伸英君) 第2期岩手県ふるさと振興総合戦略における重点施策の内容等についてでございます。
 現行の岩手県ふるさと振興総合戦略に掲げる岩手で働く、育てる、暮らすの3本の柱に、新たに4本目の柱として関係人口の創出等の岩手とつながるを加えましたほか、重視する視点といたしまして、持続可能な開発目標SDGsやソサエティー5.0の実現を盛り込むとともに、岩手の地域性や優位性等を生かした13の戦略と四つの分野横断の戦略から構成することとしております。
 具体的に申し上げますと、岩手で働くでは、県産農林水産物の輸出拡大を図るため、新規有望市場を開拓する事業に2、000万円余、岩手で育てるでは、ハイリスク妊産婦への通院支援等に係る事業ということで1、800万円余、岩手で暮らすでは、ソサエティー5.0の実現に向け、科学技術の活用により地域社会の課題解決を図る事業に700万円余、岩手とつながるでは、複業を通じた関係人口の創出や、情報発信を行う基盤を構築する事業に1、500万円余などを令和2年度当初予算案に盛り込んでおりまして、若い世代や子供、高齢者まであらゆる世代が生きがいを持ち、豊かに暮らす岩手を目指し、ふるさと振興を力強く推進してまいります。
〇38番(工藤勝子君) 人口減少対策の一つとして、移住、定住を促進するために、県として、情報発信や相談窓口の機能強化、首都圏における移住フェアの開催などに取り組み、成果もあらわれてきているものと思っております。各県においても同様に同じ対策を強化していると思っております。また、市町村の受け入れ窓口の拡大と充実が求められていると思いますが、移住コーディネーターを配置しているのは、2018年は9市町村のみとなっております。
 県外からの移住、定住促進をするためには、市町村の受け入れ窓口の設置の促進や人材の配置などに県はもっと積極的に支援すべきと思っておりますが、その点についてお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 議員御指摘のとおり、移住、定住の一層の促進ということを考えますと、住まいや仕事、子育てなど、地域の暮らしを最も把握し、そして移住者を実際に地域で受け入れている市町村の受け入れ態勢の整備というのは非常に重要だと認識しております。
 県では、移住者の受け入れ支援を行う地域団体等に対する助成や、県の広報媒体等を活用した地域情報の発信など、市町村の取り組みを支援してまいりますとともに、今年度、地域おこし協力隊や非常勤職員など、9市町村で移住コーディネーターとして活動している方々、そして移住に関する一元的な受け入れ窓口としての役割を担っている市町村職員の方を岩手県移住コーディネーターとして登録する制度を創設したところでありまして、現時点で、登録した岩手県移住コーディネーターは21市町村35名となっております。
 この登録された岩手県移住コーディネーターにつきましては、そのプロフィール等を公開いたしまして、移住希望者がより相談しやすい環境を整えますとともに、登録した市町村には、東京に設置している県の移住相談窓口で受けた相談をダイレクトにつなぐ、こういった取り組みとしております。
 市町村に対しましては、市町村職員以外の移住コーディネーターを採用した場合には地方財政措置が講じられることも周知しながら登録を働きかけてまいりましたけれども、引き続き全ての市町村への配置を呼びかけますとともに、市町村との連携を一層強化して、県外からの移住、定住を積極的に推進してまいります。
〇38番(工藤勝子君) ぜひ市町村と連携をとりながら、せっかく県で登録した移住コーディネーターの方々もいらっしゃるわけでありますので、この人たちをうまく活動ができるように御支援して、一人でも多くそれぞれの市町村に移住、定住者がふえていくように県の働きかけをお願いしたいと思っております。
 都市の若者等が地方に移り住み、3年間、地域活性化や交流人口の拡大などに取り組んでいる地域おこし協力隊がございます―今もお話にありました。地域おこし協力隊の隊員数は、全国において2018年度は1、061自治体で5、359人となっており、県内においては、2016年度の80人から2018年度には178人と大幅にふえております。
 隊員には、自分とつながりのある都市部の若者に岩手や地域の魅力を情報発信する役割も期待できますし、県も支援することで、交流人口や関係人口の拡大に結びつくものと思います。また、隊員は各市町村で活躍しているわけですが、地域での活動報告会や隊員同士の触れ合い交流会などの開催も有効と考えております。
 さらに、全国において、2019年3月までに任期を終了した4、848人の地域おこし協力隊員のうち、約6割の隊員が活動時と同一市町村または近隣市町村に定住しており、岩手県においても65.8%が定住いたしております。任期を終了した隊員が地域に定住し続けていくためには、住居や収入などの生活基盤の確保が非常に重要と考えております。
 地域おこし協力隊が行っているこれまでの活動を踏まえ、任期終了後の移住、定住支援を含め、県として今後どのように取り組むのかお伺いいたします。
〇政策地域部長(白水伸英君) 地域おこし協力隊の関係でございます。
 岩手県に生活の拠点を移し、地域おこしの支援や住民の生活支援などの地域協力活動を行う地域おこし協力隊の取り組みは、人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、地域力の維持、強化に資するものであると考えております。
 県では、地域おこし協力隊の皆さんが一堂に会し、活動事例の発表により相互の理解を深め、隊員同士の活動の連携を促進するため、地域づくり人材活動事例発表会を開催するとともに、本県への定着を促進するため、任期終了後に県内での起業に資する起業セミナーを開催するなど、地域おこし協力隊の活動の支援や任期後の定着のための取り組みを推進しておりまして、これまで、任期が終了した隊員の―これは議員にも御指摘いただきましたけれども―65.8%が地元に定着しております。
 このように、地域おこし協力隊の活動の支援や任期終了後の支援は地域活性化のために重要と考えておりまして、来年度は、起業支援を含めたこれまでの取り組みを一層強力に推進することに加え、新たに、市町村を対象とし、隊員の受け入れ拡大に向けた研修会を開催することとしております。
 今後においても、市町村と連携をしながら地域おこし協力隊のさらなる定着を図り、持続可能な地域コミュニティーづくりを推進してまいります。
〇38番(工藤勝子君) 県内1本でもよろしいのですけれども、例えば近場、各広域振興局単位で地域おこし協力隊の交流会なりそういう集まり、いろいろなつながりを持つことが私は大事ではないかと思っておりますので、その辺も御検討いただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 国では、総合戦略の一つとして、小さな拠点、地域運営組織の形成を推進し、2019年度までに全国で1、181カ所、2024年度までには1、800カ所を目指しております。これは各市町村での取り組みであると思いますが、遠野市においては、多くの地域座談会を開催し、現在、各町にある地区センターを中心として、地域住民の自主的な運営によって新しい地域をつくり出す小さな拠点づくりを推進しているところであります。
 課題といたしまして、住民からは、中山間地域の農林水産業における活性化を初め、環境、福祉、共生社会、文化芸術、スポーツなど、総合的に県本局や広域振興局、行政センターなどの大きな支援と指導も求められるというお話もございます。小さな拠点づくりに対する所感をお伺いいたします。
〇政策地域部長(白水伸英君) 小さな拠点づくりの関係でございます。
 国のまち・ひと・しごと創生総合戦略におきましては小さな拠点の形成を推進することとされておりまして、この取り組みは、将来にわたって地域コミュニティー機能を維持していくための有効な手段の一つであると認識しております。
 県としても、地域コミュニティーの活性化に向けて、地域課題に主体的に取り組む団体を元気なコミュニティ特選団体に認定し優良事例の普及啓発を行うとともに、小さな拠点づくりを促進するため、地域づくりフォーラムや地域コミュニティ活性化セミナーの開催によりまして、県内外の先進取り組み事例の紹介など、さまざまな取り組みを行ってきたところでございます。
 また、小さな拠点形成の取り組みは、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げます活力ある小集落実現プロジェクトを進める上でも重要でございまして、来年度、新たにふるさと振興部を設置し組織体制を強化いたしますとともに、市町村と連携しながら、将来にわたって地域住民がふるさとで暮らし続けることができるよう積極的に取り組んでまいります。
〇議長(関根敏伸君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇38番(工藤勝子君) では、県内で、遠野市のようにこのような小さな拠点づくりの計画を立てていらっしゃるところがありますでしょうか。
〇政策地域部長(白水伸英君) 議員から御紹介いただきました遠野市は、まさに市内11の地区センターを小さな拠点と位置づけて取り組んでいると承知しておりますし、県全体で申し上げますと、15市町村において55の小さな拠点が形成されているという状況でございます。
〇38番(工藤勝子君) 先ほども申し上げましたけれども、県としても広域振興局としてもこういう小さな拠点づくりにいろいろな支援や御指導をとお願いいたしましたが、その点についてもう一度お伺いいたします。
〇政策地域部長(白水伸英君) 議員御指摘のとおり、広域振興局あるいは市町村としっかりと連携して取り組んでいく必要があると考えております。
 先ほども御答弁いたしましたけれども、来年度からは新たにふるさと振興部ということで非常に体制も強化されますので、今、議員の御指摘の点も含めて、しっかりと地域を支援していく体制で取り組んでまいりたいと考えております。
〇38番(工藤勝子君) 次に、岩手競馬の現状と今後の方向性についてお伺いいたします。
 思い出しますと、平成19年2月定例会及び3月の臨時会において、岩手競馬の約330億円の負債から存廃問題をめぐって議員が二分し、人、物、金、地域振興などで深夜まで議論を続け、ここで生まれた言葉は、進むも地獄、やめるも地獄という言葉でした。2度の採決を経て、構成団体からの巨額の融資によって存続が決まりました。単年度での収支均衡を存続の条件として、1票差でした。1票差の存続、つまり、私が賛成と言えば存続が決まり、私が反対のほうに入れれば廃止になる、こんな厳しい採決でありました。
 今は、この中にその採決に加わった議員は9人と聞いております。その9人の中にも賛否があったと思っておりますが、こういう思いを持って非常につらい判断をして1票を投じ、今の競馬が存続していることをここにいる議員の皆さんにわかってほしいと思ってこういう話をいたしました。岩手競馬を存続させるために岩手県競馬組合も現場関係者も心を一つにして結束したあのときの思いを忘れないでほしい、私はそのように思っております。
 その後、東日本大震災津波が発生し、厳しい状況の中でも復興に向けて努力し、競馬ファンも戻り、インターネット発売が好調に推移し、構成団体の県に返済するなど新たな目標に向かおうとしている中において、平成30年7月、9月、10月、12月、さらには昨年11月に競走馬から禁止薬物ボルデノンが検出されるという事件が発生いたしました。原因不明のまま再発防止に全力で取り組んできた組合や現場関係者に与えたショックははかり知れない大きなものがあると私は思っております。
 岩手県競馬組合はこれまで、防犯カメラや警備員の費用、検査料など、総額でどれだけの影響を受けたのかお伺いいたします。
〇農林水産部長(上田幹也君) 一昨年、禁止薬物陽性馬が発生して以降、岩手県競馬組合では、再発防止対策チームの意見を聞きながら、鋭意再発防止に取り組んでおりまして、平成30年度は、監視カメラの設置、警備体制の強化等の措置を講じたほか、2度にわたり全頭検査を行うなど、およそ9、800万円を要したものと聞いております。
 また、本年度は、これら再発防止策を継続しておりましたが、昨年11月に5頭目の禁止薬物陽性馬が発生いたしまして、これに対し、再発防止策を再度点検し、監視カメラの増設や全頭検査を行っておりまして、さらに春競馬の開催前にまた全頭検査を行う予定であるなど、計でおよそ1、400万円の費用を要するものと聞いております。
〇38番(工藤勝子君) 私が言いたいのは、このような事件が発生しなければ構成団体、つまり、県民に対して少しでも返済ができたのではないかという思いがあるわけであります。少しでも返済することによって、県民の公営競馬に関する理解と盛り上がりが出てくるのではないかと思ったわけであります。これについては知事の所感もお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 岩手県競馬組合の管理者といたしましては、それぞれの年度において、岩手県、奥州市、盛岡市への借金の返済というものを含まない予算を作成して、そして岩手県競馬組合議会の承認を得たところですので、競馬管理者としては、まずそういうことであります。
 今御質問をいただきました、知事としてどうかと問われれば、これは当然、借金は返してもらうものであることが借金の本質でありますから、返済を期待します。
〇38番(工藤勝子君) なかなか私の頭では理解できない部分もありますけれども、県民の声を聞いてみますと、実際に、なぜ競馬をやるのかという声もあるわけです。また、競馬ファンの方々も県民の中にいっぱいいらっしゃるわけです。若い人たちがネットで買っているわけでもあります。そういう中で、なぜこういうギャンブルみたいなものを県がやらなければならないのですかと、私に向かって声をかけてくる人もいるわけです。確かに私も岩手県競馬組合議会議員も務めましたので、競馬のことに関してはある程度理解をしながら進んできたと思っているところであります。それでもやっているわけですから続けていかなければならないと思っています。
 知事は、今回の事件において、岩手県競馬組合の管理者として告発をしています。原因の究明や再発防止に当たり、岩手県競馬組合と現場関係者が情報を共有しながら、3月の春競馬に向けて対策を強化してほしいと思っています。
 禁止薬物陽性馬の発生以来、原因がわからないままそれぞれ疑心暗鬼の中で頑張っている現場関係者に対して、知事はどのような激励をされているのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 岩手競馬では、昨年度、本年度と、相次いで禁止薬物陽性馬が発生し競馬の開催を取りやめるなど、調教師、騎手等の厩舎関係者の皆さんに多大な御心配をおかけしたところであります。
 本年度の岩手競馬開幕に当たっては、岩手県競馬組合の管理者として、調教師、騎手等の皆さんに対し、競馬の公正確保を第一に、組合、厩舎関係者が禁止薬物陽性馬の再発防止に全力で取り組み、信頼回復に努めていこうと、また、岩手競馬にかかわる全ての人が心を一つにして、熱気あふれる岩手競馬をつくっていこうと呼びかけたところであります。
 また、毎年シーズンを通じて活躍した騎手等を表彰し交流を行う岩手競馬アワードに出席しており、昨年度は、禁止薬物陽性馬の発生等にも触れながら、岩手競馬を守り、継続していこうとする関係者の御尽力に対し感謝の思いをお伝えするとともに、交流会において多くの方々と懇談したところであります。
 今後におきましても、このように、開幕から岩手競馬アワードまでの1年間のサイクルを通じ、厩舎関係者との信頼関係を培ってまいりたいと思います。
〇38番(工藤勝子君) 今は岩手県競馬組合と現場関係者との信頼関係が一番大事ではないかと思っております。お互いの思いがばらばらで、それぞれ疑心暗鬼になっていれば、万が一犯人がいたとするならば、思うつぼじゃないかと私は思っているのです。一日も早く原因を究明してほしいと願っているわけですが、こういう点については、知事はどのように考えていますか。
〇知事(達増拓也君) 今、原因の究明というお言葉を使われましたけれども、それが捜査の内容を問うものであれば、それに対してはお答えをしかねます。
〇38番(工藤勝子君) わかりました。何かわかっていればと思って聞いてみたところでございました。
 禁止薬物陽性馬の原因究明や再発防止に取り組みながら、安全で安心して競争できる環境整備、厩務員、騎手などの人材確保、手当の増額や今日の働き方改革など、多くの課題が山積する状況にあると思っております。これらのことも発売状況を見きわめながらでありますが、岩手県競馬組合では、来年度どのような取り組みを行おうとしているのか、お伺いしたいと思います。また、発売額を伸ばすために、どのような情報発信を行おうとしているのか、あわせてお伺いいたします。
〇農林水産部長(上田幹也君) 岩手競馬での課題等についてでありますが、まず施設の老朽化がございます。それから厩舎関係者の手当等の課題があると聞いております。
 来年度においては、安全な競走を実施するための芝走路の整備や、厩舎関係者の諸手当の増額等を行う予定と聞いております。
 また、発売額を伸ばすための情報発信についてでありますが、全国スポーツ紙へのレース情報の提供や、衛星放送でのテレビ番組の放映をふやすほか、県内はもとより、隣県も含めまして、多くの方々が競馬場に御来場いただいておりますので、テレビCMや地元紙への広告を拡充するなど、多様な媒体によりまして、県内外へ情報発信を展開する予定であると聞いております。
〇38番(工藤勝子君) 毎年御来場された方々、150人ぐらいでありますけれども、どこからいらっしゃったのかアンケートをとられております。そういう中で、水沢競馬場の来場者は、県内が63.8%、県外は25.5%、盛岡競馬場は、県内が82.6%、県外は7.4%という資料をいただきました。見ると宮城県が多いわけでありまして、特に宮城県に向けてさらなる強い情報発信をすべきと思いますが、部長はどのように考えていますか。
〇農林水産部長(上田幹也君) 宮城県への情報発信でございますが、先ほど申し上げました隣県へのテレビCM、それから隣県の地元紙への広告、これは宮城県をターゲットの一つとしております。
〇38番(工藤勝子君) 飯澤会長を中心とする岩手競馬振興議員クラブでは、2度にわたる現場関係者の皆さんとの意見交換会をし、岩手県競馬組合に対して提言書を提出しております。岩手県競馬組合の管理者でもある知事の所感をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 先般、岩手競馬振興議員クラブから岩手県競馬組合に対し岩手競馬の振興のための提言が行われ、提言には、禁止薬物陽性馬の発生にかかわる適切な対応、厩舎関係者の諸手当の改善などの項目が盛り込まれており、岩手県競馬組合では、それらも踏まえて策定した令和2年度の事業計画を岩手県競馬組合議会議員に説明し、岩手県競馬組合議会において当初予算が議決されたところであります。
 岩手県競馬組合では、これはまた管理者としてでもありますが、議決を踏まえた来年度の事業を計画どおり行い、ファンの期待に応えてまいりたいと思います。
〇38番(工藤勝子君) なかなか見えない御答弁でありますけれども、もう一度伺いたいと思います。
 将来の岩手競馬については、中期的に現状の盛岡と水沢の二場体制で運営されると思っております。その中でも競馬場に足を運ぶファンの高齢化や、若い世代のインターネットでの購入状況を見ると、長期的に存続していくことができる競馬を考えると一場体制もありかなと。私は岩手県競馬組合議会議員として、早くからこういうことを考えてこなければならなかったのではないかと思っています。どちらも競馬場が老朽化してくるわけであります。
 知事は、岩手競馬の将来を見据え、どのような希望を描いているのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 岩手競馬の将来を見据え、どのような希望を描いているかという御質問でございましたが、岩手競馬は、収支均衡を条件に、県議会での議論も経て、構成団体からの融資を受け事業継続が認められたものであり、昨年度の禁止薬物陽性馬の発生以降、開催の取りやめを余儀なくされた時期もありましたが、今年度も含め、13年連続の黒字決算が見込まれています。これもひとえに、県民の皆さんや、また、全国の競馬ファンの皆さんの力強い御支援のおかげであり、また、全ての関係者が、岩手競馬を守り、継続していこうとする思いを一つにして取り組んできた成果であると考えております。
 今後の岩手競馬につきましては、まずは毎年度、計画どおり競馬を実施し、そして将来にわたり競馬関係者の雇用を確保し地域経済に貢献するとともに、構成団体の融資を返済するという岩手県競馬組合の使命を果たしながら、県民への信頼やファンの思いに支えられ、岩手競馬が力強く走り続けている姿を思い描いております。
〇38番(工藤勝子君) 赤字になれば廃止という条件がついておりますので、そういうことにつきましても、しっかりと競馬ファンの皆さんが楽しめるような競馬を今後も続けていってほしいと思っております。
 次に、農業振興対策についてお伺いいたします。
 2014年度に農地中間管理事業が始まって6年目に入りました。2014年度から2018年度までの農地中間管理機構としての借入面積は1万4、076ヘクタール、貸付面積は1万3、635ヘクタールとなり、全国第3位という実績を上げられております。
 農地中間管理機構が、農地の出し手と受け手の調整機能を十分に発揮するには、専門的な人材の確保とともに、地域への支援体制の充実が必要ではないかと思いますが、県の対応状況をお伺いいたします。
〇農林水産部長(上田幹也君) 担い手への農地集積等が進んでおりまして、現在、平場地域では出し手の確保、そして中山間地域では、逆に受け手の確保が課題となっております。このため、県では、市町村を単位に、関係機関、団体とともに推進チームを組織いたしまして、地域農業マスタープランの実質化の取り組みの中で、農地の出し手や受け手を集落ごとに明らかにする農地の利用方式の作成を支援しております。
 また、農地中間管理機構の農地コーディネーターや、市町村農業委員会に新設されました農地利用最適化推進委員等を対象といたしまして、地域での話し合いやマッチングスキルの向上に向けた研修会を開催するなど、農地の出し手、受け手の掘り起こしによるマッチング活動を支援しております。
 県としては、今後とも、関係機関、団体と緊密に連携しながら、地域における担い手への農地集積等の取り組みを積極的に進めてまいります。
〇38番(工藤勝子君) 中山間地域においては、出し手が多くなってきて受け手が少ない。ということは、そういうところにもしっかりとした基盤整備を入れていかないと、多分担い手、受け手がいないまま耕作放棄地になっていく可能性が大きいのではないかと、私はそのように思っております。
 国は、2023年度までの目標値として、担い手への農地集積の面積割合を8割としております。本県では、現在、何割まで集積されているのか。また、目標を達成できる年度はいつごろと捉えているのかお聞きいたします。
〇農林水産部長(上田幹也君) 農地集積の見通し等についてでありますが、本県では、平成26年3月に農地中間管理事業の推進に関する基本方針を策定いたしました。令和元年度での担い手への農地集積の目標を80%と定め、これまで関係機関、団体が一丸となって―恐縮でございます。令和5年度でございます。目標年次令和5年度で、農地集積率の目標を80%と定めまして、農地集積への取り組みを関係団体と一体となって進めてまいりました。
 これまでの取り組みによりまして、農地の貸付面積や新規集積面積では、議員御指摘のとおり全国トップクラスとなるなど、一定の成果をおさめております。中間年度となります平成30年度でございますが、その時点での担い手への農地集積率は、目標が62%に対し、国の定義に基づけば53%ということになっております。
 一方、担い手が主に利用する公共牧場等の面積を加えた本県の担い手への農地集積率といたしますと、65%となっております。
 また、この基本方針でございますが、おおむね5年ごとに、その後の10年間につき定めるものとされておりまして、これを受け、県では、現在、新たな目標年次である令和10年度の目標値を80%とする方向で、基本方針の見直しに向けた検討を進めているところであります。
〇38番(工藤勝子君) 農地の集積を進めていくに当たって、中山間地域は高齢化率が非常に高くなっております。そういう中で、受け手とのマッチングが進まないという大きな課題を持っていると思っております。国では、農地の集積、集約化の前提となる地域の話し合いを進めるため、2019年5月に、農地中間管理事業の推進に関する法律を改正し、一つとして、農地利用に関するアンケートの実施、二つ目、地図を用いた現状の把握、三つ目、地域の話し合いによる農地の集約化に関する将来方針の作成を2020年度までに国内全地域で行う方針を示しております。この方針を受けて、県では、地域農業マスタープランの実質化を進めておられますが、その取り組み状況をお伺いしたいと思います。
〇農林水産部長(上田幹也君) 地域農業マスタープランでございますが、本県では、全部で447のプランがございます。その中で、306プランにつきまして、各市町村におきまして、県や農業委員などで構成いたします推進チームが中心となって、先ほど議員からお話がございましたが、まず工程表の作成、それから農業者へのアンケート調査、そして農地利用図を活用した地域での話し合いなど、実質化に向けた取り組みを進めております。
 また、県では、県内の取り組み機運を高めるため、昨年夏に、農業委員会ネットワーク機構であります県の農業会議、それから農地中間管理機構でございます県の農業公社と一緒に市町村を訪問いたしまして、地域での農地集積の取り組み強化を促す農地集積・集約化キャラバンを実施いたしました。また、11月には、全ての関係機関、団体が参加いたします地域農業マスタープラン実質化・実践推進大会を開催したところであります。
 県としては、今後とも、関係機関、団体と連携を密にしながら、プランの実質化が着実に進むよう積極的に取り組みを進めてまいります。
〇38番(工藤勝子君) この件につきまして私も農業会議に行ってまいりました。そういう中で、何と言われたかというと、農地のアンケート調査において、農業委員、また農地利用最適化推進委員という方がいらっしゃるわけですけれども、1軒1軒訪問してアンケートをとられたと。こういう活動をしたと農業委員の方々が言われましたので、部長は、これから農業委員の活動にどんなことを期待しているのかを伺いたいと思います。
〇農林水産部長(上田幹也君) 今回マスタープランの実質化という取り組みを進めてまいりますが、推進チームをつくりまして、そこが中心となって取り組みを進めていると御説明をいたしました。その中には、先ほど議員からお話がございました農業委員、それから最適化推進委員がメンバーに入っております。実際に活動するに当たりましては、こういった地域の事情あるいは土地の状況を非常に詳しくお知りになっている、まさにこういった方々が中心となってこの取り組みをリードしていると聞いております。いろいろと細かなところにまで目配りをしながらのきめ細かな活動は、農業委員あるいは最適化推進委員の方々のお力が非常に大きく、それぞれ取り組みを進められていると認識しております。こういった取り組みについては、本県では重点期間を定めております。ことしと令和2年度の2年間進めまして、これからそういった取り組みを本格化していきますので、そういった中でますます農業委員会の関係の委員が大きな力を発揮して取り組みを進められますよう、大いに期待をしておるところでございます。
〇38番(工藤勝子君) 農業の活性化に向けた今後の取り組みでございますけれども、この件につきましては第1種、第2種兼業農家で、農地、家族農業で集落を守っている人たちも多いわけですけれども、武田議員を初めいろんな方々が小規模農家に対する今後の支援について伺っておりますので、この点については省かせていただきたいと思っております。
 次に、少子化対策についてお伺いいたします。
 全国での2016年出生数が97万7、000人で100万人を割り、2019年は86万4、000人と、3年間で11万3、000人も減少しているから、少子化における人口減少問題は根本から政策を見直す必要があると言われ始めております。県においても、2016年には1万人を割って、2018年には7、615人となり、1年間で560人が減少し、小学校35人学級とすると、16学級が減少していることとなります。
 国は、20年以上も前から少子化対策に取り組んできているものの、成果は上がっていないと思っております。今日までの子育て支援に重点を置いた取り組みだけではさらに少子化が進み、人口増加につながらないのではないかと思っておりますが、知事の所感をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 少子化の要因としては、未婚化、晩婚化の進行や、子育てや教育に係る経済的な負担、育児に対する心理的、肉体的負担などにより、子供を持つことをちゅうちょしていることや、個人の価値観の変化などさまざまな要素が影響しているものと考えられます。このため、結婚や出産は個人の決定に基づくものであることを基本としながら、少子化につながるさまざまな生きにくさを生きやすさに転換し、県民の結婚したい、子供を産みたい、育てたいという希望に応えていくことが重要であると考えております。
 現在、次期岩手県ふるさと振興総合戦略を策定しているところでありますが、令和2年度当初予算案におきましては、出会いの機会の創出、拡大や、結婚サポートセンターの機能の拡充、妊産婦の移動等に係る支援、現物給付による子供の医療費助成の対象拡大などを盛り込んだところであり、狭い意味での少子化対策ということではなく、出会い、結婚、妊娠、出産、子育てのライフステージに応じた切れ目のない取り組みを総合的に推進してまいります。
〇38番(工藤勝子君) 少子化の原因にはいろいろあると思っております。若者の未婚化や晩婚化とも言われておりますが、やはりこれは結婚や出産に関しては自己決定であるわけでありまして、ジェンダーやライフ・ワーク・バランスなど、自分の生き方を自分で自由に選択するという声が非常に私は強いと思っています。そういう中で、国は、若者の未婚化に対して本格的に踏み込めない状況が出ていると私は思っております。少子化が進む県にとって、知事として、若者の未婚化対策に対して、国に何を求めたいと思っているのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 県では、国に対して、雇用、労働環境の改善に資する制度の推進、結婚支援拠点への財政支援の拡大、ライフステージに応じた切れ目ない支援の充実などについて要望してきたところであります。加えて、令和2年度当初予算案において、出会いの機会の創出、拡大や、結婚サポートセンターの機能の拡充などの取り組みについて盛り込んだところであり、こうした取り組みを初め、地域の実情に応じて行う若者の結婚支援に対する自由度の高い財政支援等を国に求めていきたいと考えております。
〇38番(工藤勝子君) やはり国自体がこういうことに積極的に取り組んでいかないと、子供支援にだけ予算を拡充していっても、なかなか人口減少という歯どめがかからないのではないかと思っているところであります。そういう中において、県は、“いきいき岩手”結婚サポートセンター―i−サポを立ち上げております。これを立ち上げるに当たっては、行政で結婚相談をするのかということもある中で、さきに質問いたしました佐々木努議員が何年も前から、何回も提言して、私は“いきいき岩手”結婚サポートセンター―i−サポが立ち上がったのではないかと思っているところであります。出会いの場のマッチングに取り組み成果も上げております。きょうのお話の中で77組が誕生していたと。もしこういうことをしなければ、多分77組のカップルが誕生しなかったということにもなるのではないかと思っております。今後は、センターを盛岡、宮古、奥州から各広域振興局に広げるべきではないかと、拠点をもう少し広げて近場で出会いの場を設定すべきではないかと思っております。
 また、結婚支援における出会いの場づくりにおきましては、県民の底力の活用や新しい発想のもとでの取り組みをふやすため、民間における取り組みを推進すべきと考えますが、知事の考えをお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) “いきいき岩手”結婚サポートセンター―i−サポについては、広い県土を有する本県において、できるだけ円滑にマッチング支援を進めるという観点から、地域の人口や会員数、交通アクセスなどさまざまな要素を考慮し、3カ所に拠点を設置しているほか、久慈、二戸を初め4カ所で出張サービスを実施し、全県をカバーしているところであります。
 こうした中で、拠点の増設等については、地域の状況や会員数の動向などを見きわめることが必要であり、財源の確保やセンタースタッフの確保、養成などの課題もあることから、構成団体である市町村、関係団体等の意見を踏まえて、結婚を望む県民の利便性に配慮しつつ検討を進めてまいります。
 また、結婚したいと願う県民の希望をかなえるためには、県、市町村はもとより、民間による出会いの場の創出などの取り組みが促進されることが重要であり、県では、これまで、いわて結婚応援の店協賛店の拡充による機運の醸成や、公益財団法人いきいき岩手支援財団と連携した民間の取り組みに対する助成事業に取り組んできたところであります。
 令和2年度当初予算案においては、新たに異業種交流会のモデル的な開催など、企業間連携による結婚支援の促進に関する経費を盛り込んでおり、これらの取り組みにより、民間における結婚支援の取り組みを促進してまいります。
〇38番(工藤勝子君) いろいろな出会いの場があっていいのではないかと思っているのです。私が提案したいのは、ぜひ三陸鉄道の2両なり3両を貸し切って、そして募集をして、男女の方々が電車に乗って、久慈から盛まで交流をするという企画を例えばNPOが考えてみるとか、いろいろ出会いの場をつくっていくべきじゃないかと思っているところでありますが、予算の関係もあるでしょうけれども、ぜひそういう部分に、県は積極的に財源を投じてほしいと思っているところであります。
 また、岩手県だけのi−サポではなくて、岩手で結婚しましょう、岩手で子供を育てましょうと。結婚したいと思っている若者にもっと、県外にもPRしていくべきだと。そういう部分について所感を伺いたいと思います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 全国に向けたi−サポの情報発信についてでありますが、i−サポの会員数を拡大し、成婚数を増加させるためにも、県内外に広く周知を図っていく必要がございますが、県としては、まずは、本県への移住に関心のある方に対してアピールしていくことが効果的であると考えております。
 県では、本県への移住、定住に関する情報を紹介する移住、定住ガイドブックいわてイーハトー部に入ろう!を作成し、岩手での暮らしのイメージや魅力に関する情報発信を行っており、その中でi−サポの取り組みについても紹介しているところです。
 今後も、U・Iターンを希望する県外の若者に対して、今般発行されましたいわてダ・ヴィンチのような、岩手の仕事や暮らしの魅力を発信する情報誌なども活用しまして周知を行うとともに、市町村を含めた移住、定住促進の取り組みとも連携を図りながら、対策の効果的な情報発信に取り組んでまいります。
〇38番(工藤勝子君) ある調査研究所の調査によりますと、20代の男女で、できるだけ早く結婚したい、いずれ結婚したいという割合は過半数を超えているということであります。ですから、結婚したいと思っている年代のときに結婚できれば非常にいいのではないかと思います。その調査の中でも、30代になってくると諦めムードが出てくるという記載もございました。
 そういう中において、やはり若者が結婚するには、ある程度安定的な仕事。結局、派遣や臨時では難しい。でも、今、聞きましたら、今の若者は8割が正規社員だという話もありました。収入など、若者支援に力を入れていかなければ結婚に結びつかないのではないかと思っているところでございます。そういう対策についてもお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 若者が結婚を初め将来の生活設計を考える上では、一人一人が能力を発揮でき、そしてライフスタイルに応じた働き方ができる、そして一定の所得が得られる雇用、労働環境等が重要と考えております。
 そのため、雇用労働者について申し上げますと、仕事面におきましては、盛岡市のジョブカフェを中心といたしまして、個別カウンセリングやセミナーなどによりまして、それぞれの適性に合った仕事探しから就職活動、職場定着まで一貫した支援を行っているところであります。
 また、収入の面では、企業が生産性や収益性を高めて賃金等の労働条件の改善につなげていくことが重要でありますので、県では、商工指導団体や産業支援機関と連携いたしまして、中小企業の経営力強化や生産性向上、業容拡大に向けた取り組みを支援しているところであります。
 また、国の助成金制度の活用や経済団体への要請活動を通じまして、先ほど正規、非正規のお話もございましたが、県内企業に対しましては、非正規雇用労働者の正社員転換や処遇改善を働きかけているところでございます。
 引き続き、これらの取り組みによりまして、若者が安心して働き、将来の生活設計ができる環境の整備に努めてまいります。
〇38番(工藤勝子君) ぜひよろしくお願い申し上げたいと思っております。
 やはり岩手県に若者が住むということは、それぞれある程度安定した仕事、収入に結びついて、そしてまた結婚にも結びついていくのではないかと思っているところであります。
 少子化の要因というのは、夫婦の出生率の低下であるとも言われています。今日、晩婚化も進み、1人しか子供を持たない世帯も多いわけであります。リスクの高い帝王切開で誕生する子供も多いです。県南の帝王切開の状況も見てみました。昔のように自然分娩で誕生するより、やはり帝王切開の人たちが多いと思っております。
 そのような状況の中で、産婦人科医師の不足から病院も集約化されていることもあって、母親の不安と負担ははかり知れないものがあると思っております。つまり、住んでいる近場で出産ができないという状況になっていることであります。今は、核家族化によって家族との同居も非常に少ない、そういう世帯が多くなっておりますし、出産後の負担も大きく、育児とともに体調を悪くしてしまう、また、ケアも受けられずに悩んで鬱状態になっている母親もいるのです。
 妊娠、出産、育児まで切れ目のない相談窓口や、産後ケアセンターの設置も県として検討していただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 子育て相談窓口や産後ケアセンターの設置についてであります。
 核家族化や地域のつながりの希薄化などによりまして子育て家庭の孤立感や負担感が高まっている中、県としては、妊産婦等が不安や悩みを抱え込むことがないよう、身近な地域においてきめ細やかなケアを受けられる環境を整備することが重要と考えています。
 県では、いわて県民計画(2019〜2028)政策推進プランにおいて、妊産婦等の総合的な相談支援を行う子育て世代包括支援センターや産後ケア事業など、市町村の取り組みを促進することとしています。
 今年度は、市町村における妊婦訪問を支援する補助事業を創設し、妊産婦等への相談支援の実施を働きかけているところであり、今年度までに、子育て世代包括支援センターは12市町、産後ケア事業は18市町村で取り組まれるなど、徐々に拡大してきている状況にあります。
 こうした相談支援は、移動の負担が少ない身近な地域で行われることが不可欠であると考えておりまして、県としては、専門人材の確保や市町村間の広域的な調整を行うことにより、市町村が地域の実情に応じて行う取り組みを支援してまいりたいと考えております。
〇38番(工藤勝子君) この間、人口減少対策調査特別委員会が遠野市の子育て支援に対する調査においでになりました。遠野市では、妊娠から定期健診、出産はできませんが、産後のケア、育児指導など、また、わらすっこ条例も制定されてありまして、切れ目のない支援を続けているところであります。しかし、出産する子供の数はふえてこない状況であります。現在のところ90名ぐらいしか産まれていないという状況で、3月末日までに何とか130人産まれるかななどと言っている担当者がいらっしゃいます。
 なぜなのかと。遠野市でこのくらい切れ目のない支援をしているにもかかわらず、子供を持つ世帯が少ないという状況です。でも、いろいろ話を聞いてみますと、令和の時代に入って結婚された方々が多いと。ですから、そこに今、期待しているところだという話も伺ったところでもあります。
 そういう中で、やはりなぜかと。なぜ子供が誕生しないのか。全国では、小さな自治体では、昨年度、1人の子供も誕生しない自治体もあったと聞いております。私の住んでいる地域の中にあっても、一番小さな子供は5歳です。その後、誕生していないのです。
 そういうことを考えてみると、将来的に私の住んでいる地域が持続可能な地域になっていくのかというところを考えるわけであります。こういうなぜかという問題に対して調査をしていく必要があるのではないかと思いますけれども、部長の御所見を伺います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 少子化の要因につきましては、先ほど知事からも御答弁申し上げましたとおり、さまざまな要因がございます。我々も、何がどういうふうにきているのかというのは、永遠のテーマではないのですけれども、本当に真剣に検討しなくてはならない。議員から御紹介があったとおり、市町村にとっても本当に切実な問題として取り組まれていると感じております。
 県としても、この問題、要因への対応については本当に真剣にこれからも検討し、またそれに向かって、課題に対応してまいりたいと考えております。
〇38番(工藤勝子君) いろいろな形で積極的に人口減少対策に取り組んでいかないと、本当に消滅する地域というのが出てくるのではないかという危機感を持っているところでありますので、ぜひよろしく対策をお願い申し上げたいと思っております。要望にしておきたいと思っております。
 次に、新たな県立高等学校再編計画後期計画についてお伺いいたします。
 県教育委員会は、平成28年3月、10カ年計画の新たな県立高等学校再編計画を策定し、今般、前期計画に続く後期計画案が公表されました。前期計画の発表から県内全ての33市町村長の合意のもとに、岩手の高校教育を考える市町村長懇談会が結成されて、私たち県議会議員も参加し、講演会やフォーラム、意見交換会も開催されていることに対して知事の所感をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 岩手の高校教育を考える市町村長懇談会においては、教育委員会による県立高等学校再編計画後期計画の検討を契機に、今後の県立高校のあり方について意見交換等が行われているものと承知しております。各市町村では、国のまち・ひと・しごと創生総合戦略等を踏まえ、それぞれ地方創生の取り組みが進められており、県立高校に対する地元定着や地域の活性化等への大きな期待があるものと認識しております。
 現在策定中の第2期岩手県ふるさと振興総合戦略では、本県の未来を担う人材育成を施策の一つとしており、岩手の将来を担う子供たちを育て、岩手を牽引する人材を育成するために、高校と市町村や地域が連携を深めていくことは重要なことと考えております。
〇38番(工藤勝子君) 県立高等学校再編計画後期計画にかかわって、岩手の高校教育を考える市町村長懇談会は、このたび岩手の高校教育を考える提言書をまとめ、2月5日には知事や教育長に要望し、6日には議長にも要望活動をされました。知事は、この提言書をどのように受けとめて、改めて必要性を認識されたのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 岩手の高校教育を考える市町村長懇談会からは、2月5日に中山間地・沿岸部における小規模校の存続など4項目から成る提言書をいただいたところであり、提言書の内容と、今般、教育委員会が公表した後期計画案の方向性は同様と受けとめております。
 県立高等学校再編計画後期計画案は、県立高校に対する人材育成への期待や地域の実情等を十分に考慮し、新たに、生徒の希望する進路の実現と地域や地域産業を担う人づくりの二つを基本的な考え方とし、地域における学校の役割を重視した魅力ある学校づくりに向けて検討を進めたものと承知しております。
 県立高等学校再編計画後期計画案は中長期的な視点にも立った内容となっており、教育委員会においては、岩手の高校教育を考える市町村長懇談会からいただいた御提言等も参考とし、広く意見を伺いながら県立高等学校再編計画後期計画の策定に取り組んでほしいと考えております。
〇38番(工藤勝子君) 県立高等学校再編計画後期計画案では、小規模校として特例校の葛巻高校、西和賀高校、岩泉高校が令和7年まで存続が決まりましたことは、地域検討会議の意見や岩手の高校教育を考える市町村長懇談会の働きもあったのではないかと思っておりますし、決断をされました県教育委員会に対しましても敬意を表したいと思っているところであります。
 しかし、岩手県独自の少人数学級の運用、つまり岩手モデルのあり方には踏み込んでおりません。今後の生徒の募集が前提となり、今後、魅力ある高校づくりを創造し、新たなカリキュラムを取り込む学科や地域特性を生かした学校づくりがさらに求められるものと考えますが、魅力ある高校づくりをどのように推進されていこうとしているのかお伺いいたします。
〇教育長(佐藤博君) 生徒が社会とのつながりの中で地域課題等に接し、興味や関心を持ちながら体験と実践を伴った学びを進めていくことは、地域理解や地域貢献の意識を高め、地域で活躍する人材育成につながり、高校の魅力づくりにおいても重要なことと考えています。
 このため、県教育委員会におきましては、各地域の豊かな教育資源の活用や、地域の産業界との交流、連携、ICT技術の活用等を進めることとしており、令和2年度当初予算案にICT機器の整備による教育環境の充実や、小規模校が行う地域と連携した魅力ある学校づくりに向けた取り組みへの予算を盛り込んだところです。
 一方、生徒が希望する進路を実現するためには、多様な科目やさまざまな学科を有する学校の整備を行うことも必要と考えております。
 今般、公表した県立高等学校再編計画後期計画案には、小規模校を含む地域の学校の維持や教育内容の充実とともに、地域の拠点となる学校の整備等を盛り込み、地域と連携しながら、生徒の希望する進路の実現と、地域や地域産業を担う人材の育成に対応した魅力ある学校づくりに取り組む内容としたところです。
〇38番(工藤勝子君) よく、魅力ある高校づくりという話をします。では、魅力ある高校とはどういうことを指すのか。子供たちが求める教育なのか、それとも、地域産業に対するさまざまな取り組み、例えば遠野緑峰高校は、地域の課題に向けてプロジェクトを自分たちで立ち上げて研究活動しているわけであります。そういう魅力ある高校づくりという話もされましたけれども、これは、県教育委員会からこういうことでやれということではなく、高校自体、PTAも含めて、また地域の住民も考えて、この高校が将来も存続し、そして生徒が一人でも多く集まってくる高校づくりのために、やはりこれは市町村と一体となって進めていくべきなのか。県教育委員会のほうから例えばIT関係の授業をやってくださいとか、それが魅力なのか。
 やはり子供たちの声というもの、自分たちが3年間基礎として学ぶ高校はどうあればいいのかというところをもっと聞いてみる。子供たちから聞いてみる。どんなことをやりたいか、そういうことを聞き取ることも大事ではないかと思いますけれども、教育長はどう考えますか。
〇教育長(佐藤博君) まさしく高校生活3年間の中で、しっかりと地域に溶け込むというか、地域の事情をしっかり学びながら、地域の将来のことも考え、そして自分の役割といったところがどうあるべきか。自分の将来の人生の設計といったところに、自分の地域で育てられた感謝の心、郷土に愛着を持つ心をしっかりこの3年間で学んでいって、そして自分の将来の夢の実現に向けて努力していくことが非常に大事だと思います。
 そのためにも、生徒本位の、生徒の視点で、そしてどういった形での学びがふさわしいか。今回はいわて地域担い手育成支援事業という形で新たに700万円ほどの予算も措置しました。いわゆる小規模校の魅力化ということでございまして、1校当たりにすれば小規模にならざるを得ませんけれども、学校で主体的に、できれば生徒の意見等も伺いながら取り組んでいただければと思っております。
〇38番(工藤勝子君) 今の教育長の御答弁を聞くと、やはり学校独自で魅力ある高校づくりを、そういうカリキュラムを組んでもいいと受けとめてよろしいでしょうか。
〇教育長(佐藤博君) やはり、それぞれ地域の高校は地域に支えられているわけでございます。そういった意味でどのような形で地域にかかわっていくかということは大事なことでありますので、それは、私どもからこういったことをやってくださいと言うよりは、主体的に取り組んでいただいたほうがより地域との関係性も連携も深まるということで、議員御指摘のとおりと思います。
〇38番(工藤勝子君) そういう形の中で、各学校でさまざまな取り組み、課題、そしてそれに向けてのカリキュラムなどを積極的に取り入れていく方向で推進していければいいと思っております。
 今後、県教育委員会が中心となって、学校、PTA、市町村が一体となった魅力ある高校づくり検討会議なるものを立ち上げて、県民のみんなが高校生活において幸せづくりができる高校というものを検討してみればいかがでしょうかという提案であります。ちょっと難しい質問で、幸せづくり高校って何ですかと聞かれましたけれども、何か御答弁をお願いしたいと思います。
〇教育長(佐藤博君) 私の演述でも述べさせていただきましたが、さまざまな可能性を持った子供たち一人一人が、生まれ育ったふるさとに愛着と誇りを持って、未来に向かって夢や希望を実現していけるよう、学校と地域や家庭、住民が連携、協働して子供たちの学びを支えていくことが重要と認識しております。
 現在、県立高校におきましては、総合的な探究の時間や課題研究などを活用しまして、地域や産業界と連携しまして、地域課題を解決する探究活動等の取り組みも進められております。
 例えば、遠野市におきましては、地元の高校におきまして、遠野ホップ和紙を育てる会と連携して和紙工房を立ち上げるとか、あるいは、6次産業化の推進による地域活性化や新たな文化の構築を目指す事例、それから、遠野伝統野菜研究会と連携して伝統野菜の生産拡大や食文化の継承に取り組んでいる事例といったこともございます。また、八幡平市においては、高校生が地元の高齢者から指導を受けながら、地元に古くから伝わる染色法の紫根染の保存、伝承活動にも取り組むなどしております。地域のそういった伝統的な技術、伝統伝承といったものを子供たちが引き継いでいく。教える側の方々も、そうやって引き継がれていくことに対して幸せを感じることだろうと思います。
 そういった意味で、今後におきましても、さまざまな観点から高校と地域等が連携、協働して、高校教育の充実、それから学校の魅力づくりに取り組みながら、郷土に誇りと愛着を持つ心を育み、岩手で、そしてさらには世界で活躍する人材の育成に努めていきたいと考えております。
〇38番(工藤勝子君) 幸せづくりって何なのかということを知事にもお聞きします。よろしいでしょうか。
 いわて県民計画(2019〜2028)は、幸福を守り育てる希望郷いわてであります。これが教育にもうちょっと入っていったらどうなのかと私、考えたのです。つまり、幸せをつくるということは、子供たちが、先ほど教育長が話されたように、地域に愛着を持って、自分がこの地域を守り育てていくのだと。そして、児童生徒同士が、いじめなどがない、高校そのものが本当に幸せをどんどん情報発信できるようになってほしいと思っているわけです。せっかく幸福というものをキーワードにしたわけでありますので、高校に対して、知事は幸せをどのように取り入れたらいいか所感を伺いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 行政としては、いわて県民計画(2019〜2028)に書かれているような形で教育について言えば、まさにいじめがない、人権が守られるというところから知、徳、体それぞれの発達、そして生徒が希望する進路に進むことができるといった、それぞれを政策として体系立て、また、幾つかの政策については幸福関連指標でその度合いをはかっていくというやり方で幸福を高めていくような体系になっています。幸福の中身を決めていくに当たっては、やはり学校が主体となって、民主的なプロセスで、そこは校長先生のリーダーシップや経営手腕も問われるでありましょうが、それは暴走になってはならず、ちゃんと教員、広く教職員ときちっと相互理解の上で決めていき、そこにもちろん生徒の声、生徒の考えというものが反映されなければだめですし、そして、そこに保護者が参画し、地域と連携してそれぞれの学校ごとに幸せの形を見つけていくことができればいいのではないかと思います。
〇38番(工藤勝子君) 小学校においても中学校においても高校においても、やはり子供たちは、自分の通っている学校が本当に自分に誇れる学校になってほしいと思っております。一人一人がそういう気持ちになれば、結果として子供たちが充実した教育ができるのではないかと思っておりまして、この幸せをキーワードとする県の取り組みをぜひ教育の中にももっと取り込んでいってほしいという思いがあるわけでありますので、提案をしたところであります。
 文部科学省は、学級定員40名は学級運営上の上限人数であり、40人を下回ることに制限や問題はないとしております。こういうことから、少人数学級、つまり岩手モデル―35人ないし30人学級に対して、教員配置についても文部科学省にもっと踏み込んでいくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇教育長(佐藤博君) 少人数学級の教員配置についてでございますが、1学級の定員は高校標準法(公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律)により学級編制の基準が40人と定められていることから、本県でも40人を1学級の定員としております。
 本県では、小規模校を中心に手厚く教員を配置し、生徒の多様な進路選択の実現を図るため、習熟度別クラスの編成や進路別コース編成等の方策を講じながら、実質的な少人数教育に取り組んでいるところです。
 教職員定数につきましては、これまでも国に対し、新たな教職員定数改善計画を早期に策定するよう、それから教職員体制の一層の充実を図るよう要望してきたところでございますが、本県のような地理的条件を抱えた地域においては、小規模校における教員配置基準の見直しや財政措置等が必要と考えており、国への要望を続けてまいりたいと考えております。
〇38番(工藤勝子君) 岩手の高校教育を考える市町村長懇談会でも岩手モデルというような話を盛んに言われております。少人数学級であっても教員配置をしっかりやっていただきたいという、それが岩手モデル。そして、岩手からそういう情報発信をしてほしいという思いもあるようであります。そういうことから、ぜひ文部科学省に教員配置の部分についてもしっかりと県として要望をやって、進めてほしいと思っております。
 最後の質問になります。
 人づくりは、また教育は、昔から百年の計と言われてきました。地域で活躍できる力を磨く教育で、各分野において活躍できる人づくりのために、今こそ教育に財源を投資することが未来の岩手をつくることになるのではないかという考えでおります。
 知事に、この教育は百年の計ということに対する所感をお伺いいたしまして私の一般質問を終わりたいと思いますので、ぜひ知事の思いをお聞かせいただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 教育に対する財源投資についてという質問を想定していたところ、国家百年の計であるということについてという御質問をいただきました。
 教育ということを考えたとき、それはヨーロッパであれば古代ギリシャにさかのぼり、アジアであれば孔子、孟子にまでさかのぼり、そういう1、000年、2、000年を超える流れの中で教育は行われているわけであります。そういう中で、人類に共通する普遍性を大事にしながらも、自分が生まれ育った地域、そして究極的には自分自身のオリジナリティーを最大限に大事にしてやっていくということで、それを国家が国家百年の計という価値にコミットすること、そして地方自治体がそれは地方自治のかなめだとコミットするということは非常に大事なことだと思います。
〇38番(工藤勝子君) 御清聴ありがとうございました。終わります。(拍手)
〇議長(関根敏伸君) 以上をもって工藤勝子さんの一般質問を終わります。
 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
日程第2 議案第1号令和2年度岩手県一般会計予算から日程第88 議案第87号職員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例まで
〇議長(関根敏伸君) この際、日程第2、議案第1号から日程第88、議案第87号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。高田一郎君。

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