令和2年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇3番(小林正信君) 公明党の小林正信です。
 一般質問の機会をいただいたことに感謝申し上げます。通告に従って質問いたしますので御答弁をよろしくお願いいたします。
 まず、東日本大震災津波からの復興についてお伺いします。
 3.11、東日本大震災津波発災から、間もなく9年が経過しようとしております。改めて、亡くなられた皆様の御冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 沿岸被災地では、いまだ多くの方が災害の傷跡に苦しんでおられることと思います。未曽有の災害を経験し、人口減少、少子高齢化に直面している沿岸被災地においてこそ、国連の持続可能な開発目標、SDGsが掲げる誰ひとりとして取り残さないとの理念が最も力強く実践されるべきであり、困難を乗り越える力、レジリエンスの強化が求められるところであると思います。
 現在、被災地においては、インフラの整備、ハード面における復興は着実に進んでおりますが、復興需要の減少と同時に、基幹産業である漁業においては不漁が続き、地域経済の急速な冷え込みが懸念されております。また、沿岸被災市町村の人口減は、現時点で震災前に比べおおよそ4万人、マイナス14.7%となっております。
 2020年度は、東日本大震災津波の国の復興・創生期間の最終年度となる重要な節目となります。政府は昨年、「復興・創生期間」後における東日本大震災からの復興の基本方針を閣議決定し、復興庁の設置期間を10年間延長するとともに、2021年度以降の取り組みや組織などの方針を明らかにしました。岩手県として、この設置期間延長を十分に活用し、震災復興、心の復興を完遂していただきたいと思います。10年間の延長がなされた復興庁について、知事の御見解と、また、今後どのような連携を行っていくお考えなのか、お伺いをします。
 月日の経過とともに、被災者の課題は個別化、多様化し、なりわいの再生や地域コミュニティーの再構築、心のケアなど、きめ細かい支援の重要性が増しております。県では、これまでも被災者の心のケア対策事業、また、総合的被災者相談支援事業を実施してまいりましたが、今後は、被災者の孤立を防ぐため、寄り添う体制をより一層強化する必要があると考えます。
 県内では、4市町で国のモデル事業を活用した地域共生社会の実現に向けた包括的支援体制構築事業を実施し、世帯全体の複合化、複雑化した課題を包括的に受けとめる相談支援体制づくりを行っております。また、現在、国においても、断らない相談支援をキーワードとして、総合的な支援体制についての議論が行われていると伺っております。今後は、被災各自治体において、被災者の困りごとに包括的に対応できる体制、また、被災者に寄り添った伴走型支援の整備が重要であります。各自治体への県によるアドバイスや支援も必要と考えますが、御所見をお伺いします。
 県においては、震災関連施設の整備や、震災の記憶を伝える語り部の皆さんを初めとした自発的な活動など、震災の風化を防ぎ、震災の教訓をこれからの防災、減災に生かす取り組みが各地で行われております。また、県内外への災害の教訓、知見の発信、共有も図っておられ、今後においてもさらなる取り組みに期待するところであります。
 そこで、内閣府の主催で2016年から毎年開催されている防災推進国民大会―ぼうさいこくたいや、国連防災機関の防災グローバル・プラットフォーム会合などのような国内外に情報を発信する機会を活用し、震災からの復興、災害の教訓を、岩手県として、国内はもとより、世界に発信していくことも必要と考えますが、今後の取り組みについてお伺いします。
 次に、防災、減災についてお伺いします。
 昨年10月に日本列島を襲った台風第19号は、本県にも大きな爪跡を残しました。改めて、災害で亡くなられた方の御冥福と被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 近年の異常気象により、災害大国とも言うべき状況にある現在の日本において、防災、減災を政治や社会の主流に押し上げることが、東日本大震災津波や近年の豪雨災害の教訓を未来に生かす方途であると考えます。
 防災、減災において重要なのは、ハード面における整備と同時に、みずからでみずからの命を守る行動であると思います。そうした観点から、台風や大雨等の水害時の状況をイメージできるようなハザードマップの整備やマイ・タイムラインの作成、普及が重要と考えます。マイ・タイムラインは、災害時の行動をあらかじめ時系列で決めておき、自身や家族の逃げおくれを防ぐ取り組みとして、国土交通省が推奨し普及が進んでおります。また、自助、共助を充実させるための地域における啓発活動も重要と考えます。
 岩手県における各自治体の洪水ハザードマップの整備状況と、マイ・タイムラインの今後の普及啓発についてのお考え、また、水害に対する住民の意識啓発の取り組み状況についてお伺いします。
 頻発する自然災害ヘの対応として、県では、現在、国土強靱化地域計画を策定し、防災、減災のためのインフラ整備を進めているところであります。インフラの老朽化は全国的に進んでいる状況ですが、千葉県君津市では、民間会社と覚書を交わし、ドローンを活用しての橋梁点検の実証実験を行っているとのことです。県内での橋梁等インフラの点検におけるドローンの活用について御所見をお伺いします。
 次に、全世代型社会保障についてお伺いします。
 現在、少子高齢化、人口減少が加速度的に進む中において、人口構造の変化、地域におけるつながりの希薄化など、社会の変容や住民の生活実態を踏まえつつ、社会保障の新たな将来像を展望することが求められております。持続可能な社会を築いていくためには、少子高齢化に対応する全世代型の社会保障の充実と、その支え手の確保が重要と考えます。
 元地方創生統括官の山崎史郎氏は、全世代型社会保障の目標として、1、若い世代に対する結婚、子育て支援によって出生率回復を図り、持続可能な社会を目指すこと、2、社会的孤立のリスクを抱えるあらゆる人々を地域で受けとめる地域共生社会の実現、3、高齢になっても意欲と能力を生かして、社会の担い手として活躍する生涯現役社会の実現の3点を挙げられております。日本における少子高齢化の現状を鑑みたとき重要な観点であり、こうした点を踏まえて質問をさせていただければと思います。
 全世代型社会保障の充実においては、いまだ根強く残る子育ては親の責任という考え方を転換し、子育てを社会全体で支えていくという仕組みを充実させることが急務であります。
 子育て支援が日本を救うの著者で、京都大学大学院の柴田悠准教授は、OECD加盟28カ国のさまざまなデータから統計分析を行い、社会保障政策の一部、特に子育て支援は経済成長率を引き上げ、財政を改善する可能性があるという分析結果を示しております。全国、また県内の自治体においても、ゼロ歳児から2歳児までの保育料減免や副食費の補助など、幼児教育、保育の無償化に上積みをするという形で独自の子育て支援策を拡充する動きも出てきております。県においても、出産にリスクを抱える妊婦さんへの支援を行う方針を打ち出すなど、力を入れておられるところでありますが、今後、より一層の施策の推進、子育て予算の拡充を望むところであります。
 昨年10月から幼児教育・保育の無償化がスタートし、全世代型社会保障の構築に向けて、まずは第一歩が踏み出されたものと思います。しかしながら、待機児童の解消や保育の質の問題など、課題は決して少なくない状況であり、こうしたことから、公明党では、昨年の11月から12月にかけて、全国の地方議員がアンケート形式による実態調査を行い、利用者、事業者合わせて約2万7、000名の方から回答をいただくことができました。
 調査結果では、利用者の皆様においては、87.7%が無償化を評価すると答えた一方、事業者の皆様からは、先ほど述べたような課題のほか、人材の育成、確保策の充実など多くの声が寄せられました。
 自治体によって取り組みに差があるとは思いますが、岩手県における幼児教育、保育の質の確保のための保育士、幼稚園教諭のスキルアップ、また、人材確保策について現状をお伺いします。
 事業者または現場で働かれている皆様からは、事務負担、仕事量が増加したとの意見が多く、今回の調査でも、無償化の前後で事務負担がふえたとの回答は全体の61.1%となっております。他県では、事務負担軽減の取り組みとして、保育所の入所選考作業におけるAIの活用や子供施設向けICTシステムの導入などを行っており、システムを開発している株式会社コドモンによると、業務の電子化により、書類の作成などにかかる時間がおよそ3分の1に短縮されたとのことであります。岩手県内における保育園、幼稚園事業者のAI、またICTシステムを活用した業務負担軽減についてのお考えをお伺いします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 国においては、昨年11月、母子保健法の一部を改正する法律、いわゆる産後ケア法を成立させ、これにより産後ケア事業の実施が自治体の努力義務となり、身近な場所で助産師、看護師などによる質の高い産後ケアを受けられる体制が全国的に推進されることが期待されております。県内でも、盛岡市では、保健師による産後ママの全戸家庭訪問事業を展開しており、また、熊本県では、SNSを活用した子育て相談システム聞きなっせAIくまもとの子育てを導入、群馬県高崎市では、産後ママヘルプサービスの一環として、電話一本でヘルパーさんが駆けつける子育てSOSサービスを実施し、いずれも好評を博しているとのことです。県内の子育て環境充実のため、産前産後のお母さん、また、子育てに不安を抱える方たちに対するアクセスしやすい相談体制の充実、寄り添った支援が今後さらに必要と考えますが、御所見をお伺いします。
 社会保障の支え手である現役世代が減少し、高齢者の人口がピークを迎えるいわゆる2040年問題を見据えたとき、社会保障を持続可能なものにするための取り組みについて、さまざまな角度から検討が必要と考えます。特に、お年寄りの皆様にいつまでもお元気で活躍していただくためにも、介護予防と健康寿命の延伸は重要であります。
 厚生労働省は、来年度から、75歳以上の方を対象にフレイル健診を開始することを決定しました。いわて県民計画(2019〜2028)においては、フレイルについて、加齢に伴って筋力や認知機能など、心身の活力が低下してきた状態と説明しております。このフレイルを予防する取り組みとして、地域におけるフレイル予防教室やサロンの開催が全国各地で既に行われているところであります。また、東京都豊島区のフレイル対策センターでは、お年寄りの孤食を防ぐ目的で、子ども食堂からヒントを得たおとな食堂を開設し、地域における多世代の交流、孤立の防止、支え合いのまちづくりにも貢献しているとのことです。
 本県においても、今後、高齢者の介護予防、孤立防止の観点から、市町村、地域で行われるフレイル予防の取り組みを広げ支援していく必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いします。
 さて、県内においては、健康ポイントや健康マイレージなど、自身の健康に資する活動に対し、インセンティブを提供する取り組みが実施されております。全国においても、400近くの自治体がこうした取り組みを行っていると伺っております。例えば、遠野市の健幸ポイント制度は、市が貸与する活動量計を常時携行することでポイントがたまり、さらに自身の活動状況を随時把握できるという、二重のインセンティブが提供される取り組みであります。
 これまで、県として、各自治体の健康増進の取り組みに対し、どのような支援を行ってきたのか。また、今後の県の健康増進施策についてお考えをお伺いします。
 さて、データをもとにした医療、介護のネットワーク構築の取り組みとして、県内では、気仙医療圏の未来かなえネット、いわて中部ネット、釜石医療圏のOKはまゆりネット、みやこサーモンケアネット、北三陸ネットが地域医療介護情報連携システムを構築、運営しているところであります。このシステムは、地域内の医療、介護施設などにおける診療情報や介護情報等の相互共有、連携の緊密化などを目的としたネットワークシステムであり、地域における医療、介護の持続性を支えるために必要な事業であると考えます。
 このネットワーク事業は、加入者の医療情報、介護情報を蓄積、活用する以外にも、例えば未来かなえネットにおいては、タブレット端末を活用した救急車と病院の迅速な情報共有や、小児科、産婦人科オンラインにおけるLINEを活用した相談体制など、ICTを活用した取り組みの推進、また、共有も図られていると伺っております。
 医療、介護の質の維持、また、現場におけるICT活用推進の観点から、地域医療介護情報連携システムの構築がなされていない地域への対応と、それに続く岩手県全県におけるシステムの構築を早急に図るべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 次に、人口減少対策についてお伺いします。
 人口減少は、現在また将来にわたって、国、地域を挙げて第一に取り組まなければならない課題であります。社会保障制度の充実も人口減少に対応するという側面があり、子育て支援を社会保障制度に組み込むこともその効果を狙ったものであると考えます。
 一昨年に発刊された元横浜市副市長前田正子さんの著書、無子高齢化:出生数ゼロの恐怖を私も読ませていただきました。人口減少により何が起こるか、また、起きているのか、なぜ人口減少が進んでしまったのかが丹念に描かれており、本書では、人口減少、少子化の処方箋は、若者への就労支援、貧困対策であると結論づけております。特に就職氷河期世代については、大学卒業時の就職難が、その後も年収格差やあらゆるハンデとしてその生活に反映されているとし、これを解けない氷河と表現しております。国では、就職氷河期世代に対する支援を、3年間の集中期間を設けて行うとしております。県として、現時点で考えておられる取り組みについてお伺いをします。
 県においては、これまで、結婚の支援に対し充実した取り組みを行っておられるところでありますが、一方で、結婚したくても経済的な不安から躊躇しておられる方も多く、若い世代に対する経済的支援、就労支援の充実が、結婚サポート事業の効果をより一層高いものにすると考えます。
 国の就職氷河期世代に対する支援策の一例に、奨学金返還支援が挙げられております。県においても、ものづくり産業に従事する若者を対象に返還支援を行っており、各市町村においても、独自の支援策を実施しているところであります。就職氷河期世代への経済的支援を充実させることについて、国の就職氷河期世代に対する支援策を踏まえた上で、市町村に対する支援なども含め検討すべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 若者や就職氷河期世代に対する就労支援、また、包括的な支援を実施するに当たって、子ども・若者総合相談センター、また、地域若者サポートステーションの充実が必要と考えます。佐賀県において、子ども・若者総合相談センターを受託しているNPO法人スチューデント・サポート・フェイスでは、アウトリーチを基本とした相談者の包括的支援を行っており、ここ数年の相談件数は、アウトリーチに関するものだけでも年間4、000件を超えているとのことです。岩手県においても、子ども・若者総合相談センターが設置されております。今後、さらに、民間、NPO、サポートステーションとの連携やアウトリーチの強化など、取り組みの充実が必要と考えますが、御所見をお伺いいたします。
 人口減少対策に必要な視点として、次代を担う子供や若者に対して、その可能性を十分に引き出す支援、エンパワーメントが重要と考えます。そうした意味で、子供の貧困対策に重点的に取り組まれる県の姿勢、子ども食堂に対する支援を評価いたします。子ども食堂に関しては、継続的な運営に対する経済的支援が必要と考えますが、民間の皆様の御努力もあり、一定の広がりがある状況と感じております。その上で、経済的な理由から、学習に不安を抱える世帯に対する学習支援事業については、貧困の連鎖を断つ取り組みとしてさらなる拡充が必要と考えます。学習支援は、子供たちの学習意欲の向上という効果と同時に、家庭、学校以外のつながりを持つこと、いわゆるナナメの関係―これは文部科学省の定義では、親でも教師でもない第三者と子供との新しい関係とのことですけれども―このナナメの関係の構築に資することから、小学校高学年、また中学生、高校生にとっての子ども食堂の役割を持つ事業であると思います。教える側の確保等課題もあるかと思いますが、学習支援については、岩手県の全市町村における取り組みが必要と考えます。御所見をお伺いします。
 次に、産業振興についてお伺いします。
 現在、少子化が加速している一因として、合計特殊出生率の低い東京都に若い世代が多く流入また集中しているという点が挙げられています。政府も国を挙げて東京一極集中の是正に取り組んでおりますが、目立った効果が得られていない現状であり、こうした状況を打破するためには、若い世代の雇用を確保しつつ、若い世代が魅力を感じる地域の形成、魅力ある産業の振興が地方にとって必要と考えます。本県においては、ものづくり産業、特に自動車関連産業が中核産業として県内経済を牽引しており、半導体関連産業の大型誘致、集積も進んでいるところであります。多くの雇用が生み出された後には、多くの人的交流が生まれ、新たな産業創出の可能性が期待されます。
 産業振興・雇用対策調査特別委員会において、中国の深圳市では、今、10人に1人が社長という状況を伺い驚きました。産業が集積し、そこに新たなチャレンジを後押しする環境が整うことで、自然と起業家やベンチャーが集まり、日々新しい発想が生まれている先進的な事例であると思います。
 今後、企業誘致と並行して、岩手県における起業、創業、またベンチャー企業に対する支援を手厚く行うことで、新たな産業振興、人口減対策につながると考えますが、これまでの支援の取り組みと今後の予定についてお知らせください。
 また、企業家の支援については、お隣秋田県の土着のベンチャー、略してドチャベンと言われておりますけれども、こうしたベンチャー支援の取り組みのように地域ならではの起業、また、ベンチャーをつくっていくことが、岩手の産業の力を増すことにつながると考えます。ビジネスプラン発表の場の提供、また、交流会の開催、クラウドファンディングを活用した支援など、さまざまな支援策が考えられますが、今後予定している事業の方向性についてお伺いします。
 岩手県においては、これまでも産学官の連携を推進し、新たなベンチャー企業の立ち上げをサポートされてこられました。特に今般、建設が進んでいるヘルステック・イノベーション・ハブは、医療機器関連企業等が入居し、iPS細胞の培養を初め、多くの成果が期待されるところであります。知事におかれましても、先般、医療機器関連産業の一層の集積について言及をされましたが、県として、ヘルステック・イノベーション・ハブを起点とした医療機器関連産業の集積にどのように取り組んでいくのか、また、医療機器関連企業等のクラスター、TOLICが掲げるライフサイエンスパーク構想は、医療機器関連産業の集積において核となる構想であると考えます。ライフサイエンスパーク構想について、県としてどのように支援をしていくお考えなのか、お伺いをします。
 本年の初め、理化学研究所理事小寺秀俊さんの講演を聞く機会があり、神戸医療産業都市のけいはんなリサーチセンターなどを事例に、研究拠点があることによって企業が集まる、産業をつくるにはベンチャーが必要であるなど、示唆に富んだお話を伺うことができました。また、シリコンバレーでは、カフェやレストラン、バーなどで自然発生的に企業、業種間のコーディネートが行われたとのことで、産業振興に適したまちづくりの重要性について認識を新たにした次第であります。
 また、小寺先生のお話を伺いながら思い出されたのは、会津若松市の事例であります。会津若松市は、産学官連携によるスマートシティの構築に取り組み、地方創生のモデルケースとして注目を浴びており、産業振興による震災からの復興の好事例となっていると思います。県内においても、多くの研究拠点、産学官連携拠点がございますが、これらの拠点を活用しての産業集積、また、スマートシティの整備などの新たなまちづくりについてお考えをお聞かせください。
 次に、ラグビーワールドカップ2019についてお伺いします。
 昨年、台風の影響によって残念ながら中止となったラグビーワールドカップ2019のナミビア対カナダ戦について、さきの議会で軽石義則議員より、釜石開催の御提案がございました。私の地元におきましても、震災復興、被災地支援の観点から、ぜひ開催すべきとのお声をたくさん頂戴したところであります。ラグビーのナミビア対カナダ戦釜石開催の現段階での可能性と、県としてのお考えをお伺いします。
 最後に、県内の交通安全施設についてお伺いします。
 昨年の選挙期間中、街頭演説をしておりましたところ、終了後に、一人の方が近づいてこられチラシをいただきました。チラシの内容は、高齢者、視覚障がい者用のLED付音響装置の紹介であり、県内においても、こうした装置の整備を進めてほしいとの切実な御意見をいただきました。
 平成18年、いわゆるバリアフリー新法の制定から、道路横断支援のためのLED付音響装置の開発が進んでいます。この装置は、弱視の方、また、子供や高齢者、多くの方たちにとって見えやすく、また、聞こえやすいことから、現在各地で整備が進んでおります。岩手県内におけるLED付音響装置の設置状況と今後の設置予定についてお伺いし、登壇しての質問を終わります。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小林正信議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、復興庁の設置期間の延長についてでありますが、昨年12月に閣議決定された「復興・創生期間」後における東日本大震災からの復興の基本方針においては、復興庁の設置期間の10年間延長のほか、復興事業予算の一括要求、地方公共団体からの要望等へのワンストップ対応などの現行の復興庁が持つ総合調整機能が少なくとも5年間は維持されるなど、本県が国に働きかけてきたものがおおむね盛り込まれたものと考えております。
 一方で、被災地においては、国の復興・創生期間後も被災者の心のケアやコミュニティー形成支援、まちづくり後における事業者支援など中長期的な課題があることから、復興の取り組みとして一律に期限を適用することなく、被災地の実態を踏まえた取り組みを継続していく必要があると認識しております。
 また、基本方針においては、復興庁岩手復興局についても存続するとされており、今後も、地方公共団体が行う復興事業への支援や、一体的な復興施策の推進と総合調整を担っていくことに期待しています。
 そうした中で、例えば、これまで復興庁が被災地域で行ってきた官民連携による販路開拓支援などの取り組みと復興推進プランの事業者支援の取り組みを連動させながらなりわいの再生に取り組んでいくほか、被災者の心のケアやコミュニティー形成支援などの暮らしの再建についても、複雑化する被災地の課題に対し、これまで以上に復興庁岩手復興局と連携しながら、被災者一人一人に寄り添ったきめ細かな支援に取り組んでまいります。
 次に、フレイル予防の取り組みについてでありますが、健康寿命の延伸に向けて、高齢者のフレイル予防は重要な取り組みであることから、いわて県民計画(2019〜2028)政策推進プランにおいて、高齢者のフレイル等の虚弱な状況の早期発見及びそのサポート体制の整備など、介護予防の充実を進めることとしております。
 フレイル予防につながる介護予防の取り組みとしては、県内においても、例えば、岩手町で町内の高齢者が週1回程度公民館に集まり、ボランティア指導者のもと、筋力の強化や体力の維持を目的とした体操を実施するなどの取り組みが進められているところであり、県としても、ボランティアの養成などにより、市町村のこうした取り組みを支援しています。
 先般、議員御紹介のとおり、法令の見直しが行われ、介護予防の取り組みとフレイルの状態の把握や保健指導などの取り組みを一体的に実施することとされたところであり、県としては、令和2年度に策定する次期いわていきいきプランに介護予防や孤立化防止に加え高齢者保健事業を盛り込み、総合的にフレイル予防を推進してまいります。
 次に、県の健康増進施策についてでありますが、県では、岩手県脳卒中予防県民会議など関係機関や団体と一体となり、生活習慣病予防や健康づくりに関する普及啓発などを県民運動として推進し、県民の意識啓発や自発的な健康づくりの促進を通じて市町村の健康増進の取り組みを側面的に支援しています。
 また、議員御紹介のような市町村が行うさまざまな取り組みがより効果的なものとなるよう、特定健診等の受診を促すための研修会の開催や、糖尿病患者の重症化を予防する取り組みに係る関係団体との調整などにより、専門的、広域的な観点で支援を行っているところであります。
 いわて県民計画(2019〜2028)においては、健康を県民の幸福に大きくかかわるものとして政策分野の一つに位置づけ、フレイル対策や健康経営の促進など、ライフステージに応じたさまざまな取り組みによって生涯を通じた健康づくりを推進することとしています。
 今後は、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる健幸づくりプロジェクトの取り組みとして、保健医療データの集積、分析による地域の健康課題の見える化などを進め、市町村の健康づくりへの支援を強化しながら、健康寿命が長く、生き生きと暮らすことができる社会の実現に努めてまいります。
 次に、医療機器関連産業の集積についてでありますが、近年、本県においては、医療機器関連企業の新規立地や業容拡大の動きが見られ、また、企業間連携による医療機器関連クラスターが世界市場へ進出するなど、本県医療機器関連産業は大きく成長する局面を迎えています。
 このため、県では、医療機器関連産業のさらなる集積を促進するため、岩手県工業技術センターの敷地内に貸し研究施設の整備を進めており、入居企業を中心に共同研究開発や製品化を促進してまいります。さらには、この施設を中核として、盛岡市、ひいては県内全域において、産業支援機関等との連携により医療機器関連産業の一層の集積や県内企業の取引拡大を促進してまいります。
 また、TOLICのライフサイエンスパーク構想は、まずは企業間連携や企業の成長を強化しつつ、大手企業の開発拠点誘致などによる関連企業の集積を目指し、将来的には周辺のまちづくりにまで及ぶ構想であり、県としては、今後の動向を踏まえ、盛岡市等と連携して対応してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、被災者の相談支援体制についてでありますが、本県では、市町村社会福祉協議会に配置した生活支援相談員が、保健師や地域包括支援センター等の専門機関と連携しながら被災者のさまざまな相談に対応し、被災者に寄り添った支援を行っています。
 被災地においては、被災者の抱える課題が複雑化、多様化していることから、引き続き生活相談支援員を配置し、丁寧にニーズを把握しながら見守り活動を行う一方で、議員御紹介の、国が進める市町村における多機関協働の包括的、総合的な相談支援体制づくりを推進していく必要があると考えています。
 県では、沿岸市町村等との意見交換会や戸別訪問により国のモデル事業の活用などについて助言等を行っているところであり、今後、県内外の先進事例を紹介するなどしながら、被災地の実情に即した相談支援体制の構築を支援してまいります。
 次に、保育士等のスキルアップと人材確保についてでありますが、幼児教育、保育の無償化に対応し、適切な量的拡充とサービスの質の向上を図ることが必要であり、保育士等のスキルアップや人材確保の取り組みが重要であると認識しています。
 保育士等のスキルアップについては、県と教育委員会が連携しながら、例年、年間を通じて、職務内容に応じた専門性や指導技術、保育技術の向上を図る研修を実施しており、今年度は、25回で延べ3、000人以上の方が受講する見込みとなっています。
 人材確保策については、修学資金の貸し付けによる保育士の養成や、保育士・保育所支援センターによる潜在保育士と保育施設とのマッチング支援を行っているほか、処遇改善等加算の活用を促進して給与等の改善を図り、就業と定着を支援しているところであり、今年度は、保育士24人が養成施設を卒業し、マッチングにより75人以上が再就職する見込みとなっているほか、保育士等の処遇改善は、平成30年度において7割以上の施設で行われている状況にあります。
 また、私学助成の対象となる私立幼稚園に対しては、幼稚園教諭の給与改善に係る経費の一部を補助しており、今年度は約2割の施設において取り組んでおります。
 次に、保育所等における業務のAI、ICTの活用についてでありますが、幼児教育、保育分野において人材確保が課題となる中、AIやICTを導入することは、業務負担の軽減につながる有効な取り組みであると考えています。
 AIについては、保育現場での活用事例は把握していないところでありますが、本県においても入所選考作業等に導入している市町村があり、職員の業務負担軽減につながっていると聞いています。ICTについては、県内全体の状況は把握していないところでありますが、平成30年度までに、国庫補助事業を活用し、132カ所の保育所等において、これまで手作業で行っていた業務の自動化などが導入されておりまして、保育士の業務負担の軽減や、保育に専念できる環境が整備され、教育、保育の質の向上にもつながっていると認識しています。
 県としては、こうした先進事例の紹介等を通じて、市町村や保育所等におけるAI、ICTの活用による効果を周知するなど、その取り組みを支援してまいります。
 次に、子育て環境の充実についてでありますが、核家族化や地域のつながりの希薄化などによりまして妊産婦等の孤立感や負担感が高まっている中、子育て家庭が不安や悩みを抱え込むことがないよう、身近な地域においてきめ細かなケアを受けられる環境を整備することが重要と考えています。
 県では、いわて県民計画(2019〜2028)政策推進プランにおいて、妊娠、出産、子育て期にわたる切れ目のない支援体制を構築することとしており、妊娠から育児まで総合的な相談支援を行う子育て世代包括支援センターの設置、地域子育て支援拠点事業による子育て中の親子の相互交流や、一時預かり事業による保護者の心理的、身体的負担の軽減などの市町村が行う取り組みに対し、人材の養成、確保や事業費の補助などにより支援をしているところでございます。
 また、県内の市町村においては、スマートフォンを活用したオンラインでの相談事業やヘルパーを派遣する事業などが実施されている例もあり、県としては、こうした取り組みも後押ししながら子育て環境の充実を図ってまいります。
 次に、医療介護情報連携システムについてでありますが、県では、地域における医療介護情報連携システムの構築を推進しており、地域医療介護総合確保基金を活用してその導入経費の補助を行い、支援することとしております。
 また、システムを構築するに当たっては、将来にわたって持続的に活用されるよう、地域において、関係機関が情報連携の有効性や必要性について合意形成を図り、運営主体のあり方やランニングコスト等の課題を共有した上で、丁寧な議論が必要であることから、県としては、地域における協議の場に参画し、先行事例を紹介するなど、助言を行いながら各地域での主体的な取り組みを支援しているところであります。
 全県的なシステムの構築については、開設者が異なる連携施設間における患者同意の取得方法など、統一的な運用ルールの整備が課題となっております。
 国において、患者の診療情報や服薬情報などのデータ共有が可能となる全国的な保健医療情報ネットワークの整備について2020年夏までに工程表を示すこととされており、県としては、この国の動向を注視しつつ、全県的な医療情報連携体制のあり方について検討していく考えであります。
 次に、学習支援についてでありますが、貧困の連鎖を防止する観点からも学習支援は重要な取り組みであり、県では、いわて県民計画(2019〜2028)において、令和4年度までに全市町村が学習支援事業に取り組むことを目標としているところです。
 本年1月末現在、生活困窮世帯の子供を対象とした学習・生活支援事業が16市町村、公営の学習塾が8市町村、子ども食堂など子供の居場所における学習支援が12市町、こうした重複を除いた22市町村で地域の実情に応じた学習支援の取り組みが行われています。
 学習支援の実施には、支援対象となる子供の把握や、学習支援のノウハウを有する人材や団体の確保などに課題があることから、関係機関の連携による情報共有を進めるとともに、研修会を通じた人材養成、学習支援をあわせて実施する子供の居場所の立ち上げ等に対する助成などにより、全市町村での実施に向けて取り組みを推進してまいります。
   〔復興局長大槻英毅君登壇〕
〇復興局長(大槻英毅君) 復興情報の発信についてでございますが、県ではこれまで、復興の取り組みや現状を国内外に積極的に発信してきておりまして、平成27年に仙台市で開催された第3回国連防災世界会議においても、防災や復興の取り組み事例とそれらを踏まえた提言を取りまとめ、発信してきたところでございます。
 また、震災津波関連資料を収録しているいわて震災津波アーカイブにつきまして、国立国会図書館の震災関連アーカイブとの連携によりまして国内での活用を促進してきたことに加えまして、ことし2月にはハーバード大学のアーカイブと連携し、海外への発信も強化したところでございます。
 さらに来年度は、沿岸市町村にある津波伝承施設のみならず、県外でただいま整備が進められている震災伝承施設とも震災伝承ネットワーク協議会を通じて十分な連携を図りますほか、海外の津波博物館との連携によります三陸TSUNAMI会議を開催するなど、あらゆる機会を通じて、東日本大震災津波からの復興の姿や教訓をこれまで以上に広く発信していく考えでございます。
   〔県土整備部長八重樫弘明君登壇〕
〇県土整備部長(八重樫弘明君) まず、防災意識の啓発についてでございますが、洪水ハザードマップについては、本年1月末時点で28市町村が作成済みであり、各市町村において、ホームページへの掲載や広報誌の活用、地域説明会などにより住民への周知や理解の促進に取り組んでいると承知しております。
 また、マイ・タイムラインは、水害などを想定し、住民がみずからの行動を時系列的に整理したものでありまして、一人一人が作成することにより迅速な避難行動に結びつくものであるとされております。県内市町村においても住民向け講習会などの取り組みが始められておりまして、県においても、本年1月、防災士や市町村職員を対象に作成研修を実施したところでございます。
 県では、国、県、市町村で構成する大規模氾濫減災協議会を通じて、地域防災組織のリーダー育成や、ワークショップ形式でのハザードマップの作成などの効果的な市町村の取り組み事例の共有を図っていますほか、国、市町村等と連携しながら、要配慮者利用施設における避難計画作成のための講習会や小学校等での出前講座を実施するなど、社会全体で洪水などに備える水防災意識社会の構築に向けて取り組んでまいります。
 次に、ドローンの活用についてでありますが、県では、効率的で安全な作業が可能となることから、災害を受けた峠部の道路や広範囲に被災した河川、急傾斜地における土砂災害発生箇所などにおいて、状況確認のため、ドローンを活用して写真や映像の撮影を行った実績がございます。
 議員から紹介のありました橋梁等の道路施設につきましては、従来のマニュアルでは5年に1度の定期点検が義務づけられているものでありますが、その手法については近接での目視や打撃音の確認など人員が直接検査を行うものとされております。点検施設数が膨大であることなどから、現在、国においては、ドローンの活用を初めとしたさまざまな点検支援技術の実用化の検討が進められております。
 県におきましては、国の検討状況を注視するとともに、他の自治体の取り組みも参考としながら、より効果的で経済的な道路施設の点検手法について柔軟に検討していく考えでございます。
   〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) まず、就職氷河期世代への就労支援についてでありますが、国の就職氷河期世代支援プログラムでは、きめ細かな伴走支援型の就職相談体制の確立や、受けやすく、即効性のあるリカレント教育の確立、採用企業側の受け入れ機会の増加につながる環境整備などの支援の方向性が示されたところであります。
 この支援プログラムの実施に当たりましては、各都道府県に行政、経済団体、就労、福祉等の関係機関から成るプラットフォームを構築し、支援対象者の把握や具体の支援策の検討など官民一体となった取り組みを進めることとされており、本県におきましても、現在、岩手労働局が中心となり、プラットフォームの構築に向けた調整を進めているところであります。
 県では、これまでも企業に対し、国の助成金制度の活用や経済団体への要請活動を通じまして、非正規雇用労働者の正社員転換や処遇改善を働きかけてきたところでありまして、本年4月からは、若年者の就業支援施設でありますジョブカフェいわての支援対象を就職氷河期世代まで拡大し、就職支援や就職後の定着支援等にも取り組むこととしております。
 こうした取り組みに加えまして、今後、構築するプラットフォームにおいて、個々人の状況や地域の実情に即した支援方策を検討し、就職氷河期世代の方々が希望する働き方を実現できるように取り組んでまいります。
 次に、就職氷河期世代への経済的支援についてでありますが、就職氷河期世代支援プログラムの実施に向けまして、国では都道府県や市町村に対する交付金事業を創設し、就職氷河期世代に特化した相談対応などの取り組みや、対象者の経済的負担を軽減する取り組みを支援することとしています。
 この交付金事業における経済的支援の具体例といたしましては、就職活動等における広域移動時の交通費の支給や奨学金の返済支援等が示されているところでありまして、本県におきましても、今後、構築するプラットフォームを中心に、就職氷河期世代の方々の状況やニーズを踏まえて具体の支援策を検討してまいります。
 また、地域の実情に応じて実施する市町村の取り組みにつきましては、県全体の取り組みと相まって効果的な支援となるよう、連携を図りながら、交付金の活用を基本に支援してまいります。
 次に、起業、創業支援についてでありますが、地域経済の活性化や若者の地元定着、雇用の創出に結びつけるため、若者や女性を初めとする起業家の育成は重要と考えています。
 県では、起業の準備段階にある方に対して、商工団体や産業支援機関と連携し、起業、創業に関する相談への対応や、事業計画の策定を支援するなどしてきたところであります。
 また、資金面につきましては、岩手県地域課題解決型起業支援金などにより起業に必要な経費を助成いたしますとともに、いわて起業家育成資金により設備、運転資金を融資するなど、支援してまいりました。さらに、来年度は、民間の起業家グループや関係機関と連携して、専任の相談員が常駐し、相談対応や個別指導などを行う起業支援拠点を盛岡市に開設することとし、来年度当初予算案に起業支援推進事業費を盛り込んでいるところであります。
 引き続き、これらの取り組みを通じまして、起業の構想段階から起業後に至るまで、それぞれのステージに応じ、切れ目のない支援をしてまいります。
 次に、今後の支援策等についてでありますが、議員御紹介の、秋田県でローカルベンチャーの創出のため実施しているドチャベンプログラムと同様の取り組みといたしまして、本県でも、大学生等を対象とするいわてキボウスター開拓塾や、沿岸地域の経営人材を対象とするさんりく未来創造塾におきまして、ビジネスプランの作成支援やビジネスプラン発表の場の提供などを行ってきたところであります。
 また、クラウドファンディングにつきましては、事業者がこれを活用するには、その仕組みを理解するとともに、多くの方々から資金提供が得られるよう、事業の魅力を十分に伝えていくことが必要でありまして、これまで、県におきましてもさんりくなりわい創出支援事業におきまして、クラウドファンディングを活用した資金調達に関する助言や指導を行っているところであります。
 今後におきましても、先ほど御答弁申し上げました起業支援拠点におきまして、県内外で活躍する起業家を講師とする個別指導などの支援プログラムを提供いたしますとともに、起業家同士のネットワーク形成のための交流会を実施するなど、起業後の成長を見据えた支援を強化することとしております。これらの取り組みによりまして、岩手で新しいビジネスを生み出し、将来的に大きく成長するような起業家を育成してまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長大友宏司君登壇〕
〇環境生活部長(大友宏司君) 困難を抱える若者に対する取り組みについてでありますが、本県の若年無業者、いわゆるニートの数は、平成29年の総務省就業構造基本調査によると5、800人と推計されています。
 いわて県民計画(2019〜2028)の家族・子育て分野においては、若年無業者等の困難を抱える青少年が自主的で自立した活動ができる環境づくりを進めることとしており、こうした困難を抱える若者への支援は重要と認識しております。
 このため、県では、いわて若者ステップアップ支援事業を実施し、コミュニケーション能力等の向上を目的とした活動、交流機会の提供、本人や家族に対する相談、家庭訪問、就業支援―ジョブトレーニングの実施など、職業的自立に向けた支援を行ってきたところです。
 昨年3月に国から生活困窮者自立支援制度と子ども・若者育成支援施策との連携について通知があり、ニート等困難を抱える若者については、経済問題など複合的な課題を抱えている場合が多いものの、自尊感情の低下等により、支援機関の窓口で相談することが困難な者も少なくないことから、相談に訪れるのを待つのではなく、その者に対し支援が届くようにするアウトリーチの観点が重要であり、自立相談支援機関の相談窓口へ確実につなげていくことが必要とされております。
 こうしたことから、県では、子ども・若者総合相談センターを初めとする青少年育成支援に関係する団体、機関で構成している岩手県子ども・若者自立支援ネットワーク会議に、今年度から生活困窮者自立支援制度を所管する県の担当課をメンバーとして加え、生活困窮に関する情報もしっかりと共有した上でアウトリーチ支援を実施する相談機関へつなげるようネットワークの体制強化を図ったところであり、引き続き、関係者の御意見等を踏まえながら、困難を抱える若者への支援の充実に努めてまいります。
   〔政策地域部長白水伸英君登壇〕
〇政策地域部長(白水伸英君) 産学官連携拠点等を活用したまちづくりについてでありますが、県ではこれまで、科学技術イノベーション指針に基づきまして、大学や研究機関等と連携し、研究開発拠点の整備や研究開発プロジェクトの実施に取り組んできたところでありまして、例えば、分子接合技術など産学官金連携による研究成果の実用化などの成果があらわれているところであります。
 国におきましては、今月、AIやビックデータなどの先端技術を活用した都市であるスーパーシティ構想の実現に向けた国家戦略特別区域法改正案が閣議決定されたところであります。この改正法案は、議員御指摘のスマートシティの実現のための規制緩和等の特例措置や特例に関する区域計画策定等の手続規定が盛り込まれているものでございます。
 県としては、このようなスマートシティやスーパーシティ等の構想は、地域における近未来技術の実装などの観点から、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げました新しい時代を切り拓くプロジェクトの推進に資するものと考えておりまして、こうした国や、それから議員御指摘の会津若松市など他の自治体の動向を踏まえるとともに、県内市町村とも連携しながら、その実現に向け研究をしてまいります。
   〔文化スポーツ部長菊池哲君登壇〕
〇文化スポーツ部長(菊池哲君) ラグビーのナミビア対カナダ戦の現段階での可能性等についてでありますが、釜石での試合開催に向けた期待や機運が高まっている中、県としても、スポーツの力を震災復興、地域振興へと結びつけていく上でも、両チームの対戦は大変意義あるものと考えております。
 一方、国を代表するチームによる国際試合は、国の威信と誇りをかけた試合であり、その結果は世界ランキングに直結することなどから、国際試合を主宰するワールドラグビーからは、例えば、試合中のビデオ判定や、選手の頭部損傷を想定した高度な医療救護体制など、ワールドカップに準じた試合運営体制が求められてくるものと想定しているところでございます。このため、岩手・釜石のみならず、ラグビーワールドカップ2019の開催国であり、ホスト国となる日本としての対応や、開催地としての役割分担などをしっかりと整理し、受け入れ規模や運営体制を初め、相応の環境を整えることが必要であると考えておりまして、釜石市や日本ラグビーフットボール協会及びラグビーワールドカップ2019組織委員会と密接に連携し、引き続き、実現可能性を高めていく取り組みを進めていきたいと考えております。
   〔警察本部長島村英君登壇〕
〇警察本部長(島村英君) まず、県内におけるLED付音響装置の設置状況についてでありますが、盛岡市内の岩手県立中央病院前の1カ所に設置しているのみであります。しかしながら、高齢者や視覚障がい者の方が安心して横断できますよう、いわゆるピヨピヨ・カッコーと呼ばれる音によって誘導する視覚障がい者用付加装置などを取りつけた信号機を計画的に設置しております。
 次に、LED付音響装置の今後の設置予定についてでありますが、現時点で具体的な予定はありませんが、引き続き、視覚障がい者や関係団体の御要望等を踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
〇3番(小林正信君) 丁寧な御答弁ありがとうございました。
 東日本大震災津波からの復興について、個別的な支援が必要になってくるということで、生活支援相談員を充実されているところでございますが、例えば、今、災害援護資金の返済が始まっておるところでありますけれども、この返済をできている方もいれば、返済が大変で、滞納している方もいらっしゃると伺っております。また、今返済できているけれども、経済的に大変で、なかなか返済が厳しくなってくる方もいらっしゃると考えております。こうした滞納のシグナルというか大変さをしっかりと発見する、見落とさない取り組み、その上で、その方に対する個別の支援が必要になってくるのかと思います。
 今、いわて内陸避難者支援センターが仮設住宅の移行支援を行っていると思うのですけれども、そういった移行支援のような、将来どうしていくか、人生を今後どうしていくか、世帯の方と一緒に考えるような取り組みがもっと今後必要になってくるのかと思います。市町村のマンパワーとかNPO法人の力も限界があると思いますので、県としても何か支援ができないかと思うところでございますけれども、少しお考えをお伺いします。
〇復興局長(大槻英毅君) 今お尋ねがございました災害援護資金の部分でございますけれども、これは令和2年1月末時点で1、158件、29億9、000万円ほどの貸し付けが行われておりまして、6年間の据え置き期間を経て、平成29年から約定償還が始まっているというものでございます。こういった中で、かなりの部分が返済されてはいますけれども、それでも返済されていないものが171件、大体6、300万円ほど今のところはあるということでございます。こういった部分につきましては、通知をさせていただく際に支払いの猶予、それから少額による分割償還ということについて、貸し出し側の市町村から文書等で出しているわけでございますけれども、こういったものに合わせて償還の延期なり、あるいは支払い猶予なり少額償還が実施されているのが、今現在7市町村で29件ほどございます。こういった取り組みをさせていただいて、それぞれの生活に支障のない格好で対応していくことが基本でございますけれども、これに合わせまして、市町村のそれぞれの担当部局とも連携をとりながら、私どものいわて内陸避難者支援センターではファイナンシャルプランナー等への相談も行っておりますので、こういった専門職の方々が、例えば常設といいますか、恒久的な住宅に入った後の生活の再建といったところも踏まえた格好で、全体としてのそこの御家庭の生活再建をコーディネートして、福祉的な施策とか健康的な施策とかいろいろありますけれども、こういったものも組み合わせた格好で御支援をしていくことを今考えているところでございまして、これについては特に来年度しっかりと取り組ませていただきたいと考えております。
〇3番(小林正信君) 今、いわて内陸避難者支援センターは、内陸支援というのがまずメーンだと思うので、沿岸に行くというのも大変な状況もあるかと思うので、できれば沿岸被災地でNPOとか、取り組みが進むような支援も担っていただければと思います。
 産学官連携拠点について、産学官連携拠点は結構、内陸の県南とか県央にはあるのですけれども、県北、沿岸に余りないという感じがして、先ほど質問でも述べさせていただきましたけれども、研究拠点があるところに産業が集積する可能性が高いということを考えますと、県北や沿岸にも産学拠点とか研究拠点があれば産業が振興するのかと、ちょっと単純な考えかもしれませんけれども思っておりました。
 大槌町には東京大学大気海洋研究所の国際沿岸海洋研究センターがありますけれども、何か産業振興にこういったものをつなげるとか、あと、山形県の鶴岡市だと慶應義塾大学が研究所を、キャンパスを持ってバイオテクノロジーの最先端の研究の動きがあるとか、そういった意味で、沿岸、県北に産学官の連携の拠点とか研究拠点をつくっていく可能性があるのかお伺いします。
 あと、今スーパーシティ構想のお話をしていただきましたけれども、これは課題を抱えている地域にデジタル技術が実装されるということが重要だと思っておりまして、報道があったのですけれども、八幡平市だと、これは企業の取り組みですが、高齢者の方にアップルウォッチをつけてもらって、そこからバイタルデータを家庭や医療機関に送る取り組みがあって、こういうアップルウォッチを高齢者の皆様がつければ、これは本当にスマートシティの実現の一例なのではないかと思います。
 こうした日常生活においてのデジタル技術が子供からお年寄りまで活用される社会を、課題を抱えている地域、沿岸被災地に率先して実現をしていくべきではないか。今、矢巾町がスーパーシティを目指していると思うのですけれども、県も支援して、課題を抱えている沿岸被災地に率先してこういう部分もやっていくべきじゃないかと思うのですけれども、御所見をお伺いしたいと思います。
〇政策地域部長(白水伸英君) 今再質問ということで2点いただきました。
 まず1点目につきましては、これは私どもも大槌町の東京大学の国際沿岸海洋研究センターの方と意見交換をいたしました。それから昨年、いわて未来づくり機構の枠組みでありましたけれども、ちょうどこの鶴岡市の先端生命科学研究所の富田所長をお招きして講演会をしていただきまして、県内の産業界の方あるいは大学関係者の方と一緒に話を聞かせていただいたところでございます。
 議員おっしゃるとおり、研究拠点をつくったところを中心に産業が発展していくというのは、全国的な、あるいは世界的傾向でもありますので、これはしっかりと注目をしていかないといけないことに加えて、議員御指摘のとおり、沿岸部におきましては、今まさに御承知のとおり、三陸沿岸道路もできましたし、あるいは三陸鉄道も3月20日に全面復旧ということで、さまざまな道路ネットワークも含めたインフラの整備も進んできておりますので、そういう意味では、今後、可能性がいろいろ広がってきているという状況でございます。
 国の担当者の方からも、例えば大学のサテライトキャンパスを設けることを検討してみないかという話をいただくなど、事務的な話もしております。いずれにいたしましても、そういう可能性をしっかりと生かした取り組みをしていきたいと考えております。
 それから2点目につきましても、先ほど議員からスマートシティのお話をいただきましたので、スーパーシティ構想ということで、国がさらに手続的なことを法律でしっかり位置づけてやっていくということで、かなり実現に向けた熟度といいますか、具体的な仕組みが整備されようとしております。ただ、この法案はずっと廃案になってきた経緯がありますので、本当にしっかり成立がされるのかというのは、今まさに注視をしているところでございます。
 議員から御紹介いただきましたとおり、県内でもさまざまな検討あるいは取り組みがあると思います。八幡平市の事例を御紹介いただきましたけれども、全国的にも、例えば認知症の方がまちを歩かれたときに、買い物に行った先の商店を把握するだとか、あるいは病院に行かれたときに病院を把握する、あるいは公共交通機関のバスに乗ったときにそのデータが把握されて、まちじゅうのみんなで見守っていくといった事例も出てきております。御指摘いただきましたように、県内でも、幾つかそういったことに関心を持たれ始めている市町村もありますので、具体的なことはまだ進んでいないところもありますけれども、市町村と県としっかり連携をして、こういった取り組みについても研究、検討を進めてまいりたいと考えております。
〇3番(小林正信君) 今、被災地のほうに大学のサテライトというお話もありました。ぜひこういった部分を実現していただいて、産業集積を県内全域で行っていただきたいということもお願いします。
 起業家支援についてですけれども、今、盛岡市で起業家の相談支援をやるということですけれども、先ほども秋田県の事例を出させていただきました五城目町で土着のベンチャーの拠点、これは廃校になった小学校をリノベーションして、起業家のシェアオフィスのようなものをつくって重宝してやっていると。こういった起業家というのは盛岡みたいな町なかよりも、各市町村で地域を盛り上げるというか、牽引してくれる可能性があるので、地域おこし協力隊もいらっしゃるのですけれども、そういう方を中心として県内の各市町村でも起業家の支援拠点のような、あと、起業家が交流できる拠点をつくる後押しを県としてもやっていただきたい。
 地域医療介護情報連携システムですけれども、今、未来かなえネットと岩手中部ネットがつながっている。今度、宮城県のネットワーク、医療福祉情報ネットワークともつながるような模索をしているということで、そうなると、県南のネットワーク化というのも今必要という気がしておりますし、また、東北では、全県ネットワーク化がされていないのが岩手県だけですので、国の動向を見るということでしたけれども、早急な全県ネットワーク化、システムの連携も難しいと思うのですけれども、お願いしたいと思います。これは要望です。
 あと、就職氷河期世代に対する支援ですけれども、国ではとりあえず3年をめどにということでやっていますが、こういう取り組みは3年だけで終わらせるというものではないと思っております。県でもプラットフォームをつくってこの取り組みを推進していくということでしたが、このプラットフォームも3年だけで終わらせるのではなくて、これをもとに継続して就職氷河期世代への支援をしっかりやっていただきたい、困難を抱える若者の支援を行っていただきたいと思いますけれども、御所見をお伺いして終わりたいと思います。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) まず1点目、起業支援拠点にかかわる御質問でございますけれども、この起業支援拠点は県内全域を対象として、相談員を1名から2名を常駐させることにしておりまして、さらには県内外、東京圏からも実際に起業して活躍されておられる方々が定期的に集まってきて指導するということも予定しておりますので、全県からアクセスが容易な場所ということで、盛岡市内に設置する予定としているものであります。
 この起業支援拠点につきましては、県内の市町村や商工団体等の創業支援機関からも協力をいただく予定としておりますので、盛岡以外の地域で起業を希望される方々の相談等についても、しっかりと連携してつないでいきたいと考えております。
 また、各地域に起業者が事業活動の拠点として利用できるような場所ということだと思いますが、インキュベート施設などを設置、運営している市も結構ありますので、そういったところに起業支援拠点側からも施設を紹介するといった形の連携も可能だと思いますので、そういったニーズを見きわめながら検討してまいりたいと思います。
 それから、就職氷河期世代への3年目以降の支援というお話でございましたけれども、この世代の方々の置かれている状況というのもさまざまだと思いますので、長期的な支援が必要なケースも当然予想されるわけでありますけれども、今般の国の就職氷河期世代支援プログラムは令和2年度から集中的に3年間ということでありますので、私どもとしては、当面この3年間、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
〇保健福祉部長(野原勝君) 全県的な医療情報ネットワークについて議員から御意見を頂戴いたしました。
 県では、岩手医科大学と県立の中核病院間を結びまして、医師同士が例えば症例の情報共有を行いながら、患者さんの治療を連携して当たるような仕組みをさまざま構築して進めております。議員から御紹介がありましたとおり、各地域でさまざま医療情報連携システム、地域の事情に応じた仕組みが進められております。
 先ほども申しましたけれども、こういった仕組みを連携するには、運用の仕組みなどについて十分協議を重ねていく、それが住民のため、医療機関の勤務環境の向上のために資するものと考えています。有識者からは、こういった広域連携を進めるためには、全国的な基準も必要だという話も伺っておりますので、国が進めている動きもきちっと注視をしながら、この取り組みを進めてまいりたいと思います。
   
〇副議長(中平均君) この際、暫時休憩いたします。
   午後4時8分 休 憩
   
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 千 葉 絢 子 君
12  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 田 村 勝 則 君
15  番 佐々木 朋 和 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 岩 渕   誠 君
20  番 名須川   晋 君
21  番 佐々木 宣 和 君
22  番 臼 澤   勉 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 吉 田 敬 子 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 軽 石 義 則 君
31  番 郷右近   浩 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 工 藤 勝 子 君
39  番 中 平   均 君
40  番 工 藤 大 輔 君
41  番 五日市   王 君
42  番 関 根 敏 伸 君
43  番 佐々木 順 一 君
44  番 伊 藤 勢 至 君
45  番 岩 崎 友 一 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時27分再開
〇副議長(中平均君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。工藤勝子さん。
   〔38番工藤勝子君登壇〕(拍手)

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