令和2年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇45番(岩崎友一君) 自由民主党の岩崎友一です。
 会派を代表して質問いたします。よろしくお願いいたします。
 初めに、世界的に猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症でありますが、国内でも日々感染者が増加しており、感染の広がりが懸念されます。本県においてはまだ感染者は出ておりませんが、感染者が出た場合を想定し、万全の態勢整備をお願いいたします。また、感染ルートもわかっていないなど、不安に思っている県民の方々が多くいることから、正確な情報提供をお願いいたします。
 さて、本県は東日本大震災津波や平成28年台風第10号災害、そして、令和元年台風第19号災害からの早期復旧、復興を進めるとともに、人口減少という大きな社会構造の変化に迅速に対応しながら、これまでの発想や常識にとらわれることなく、新たな視点で令和という新時代を切り開いていかなければなりません。
 そのような中で、本定例会初日の知事演述で感じたことは、本県の置かれている現状認識が非常に甘いのではないかということ、そして、課題解決や政策推進に当たり、知事の思いや具体的な方策がほとんど示されなかったということであり、非常に残念でありました。本日は限られた時間でありますが、提案も含めて質問いたしますので、前向きな答弁をお願いいたします。
 東日本大震災津波からの復興について伺います。
 3月11日で発災から9年を迎えます。この間、まちづくりは進展し、被害が甚大であった沿岸南部地域においても、やっとまちの形が見え始めてまいりました。一方、被災地では、復興需要が終息に向かっていること、基幹産業である水産業が記録的な不漁となっていること、そして、震災前と比較し、人口が3万7、000人余り減少した影響が地域経済に暗い影を落としており、グループ補助金などを活用して再建を果たした事業者も、その継続すら危ぶまれている状況にあります。
 私は、震災前よりも強い地域経済をつくること、そして、一人一人の心の復興を掲げ活動してまいりましたが、この間、県主体で行われてきた事業は、そのほとんどが一過性のイベントで、大幅な人口減少、高齢化が進展する中で、被災地の将来を見据えた産業政策が不十分であったと言わざるを得ません。
 県の新年度予算の歳入を見ると、今年度よりも法人事業税や法人県民税が減少すると見込んでおり、被災地の実態が顕著にあらわれていると思いますが、知事は被災地の経済状況をどのように捉えているのか、また、今後どのような政策や事業を通して地域経済の好循環を生み出していこうとしているのか、具体的にお答えください。
 東日本大震災津波では、県内で5、143人が犠牲となりました。そして、今なお1、112人が行方不明の状況であります。そのような背景や震災前との生活環境の変化から9年がたとうとする今も、多くの方々が癒えない心の傷や不安を抱えています。
 昨年12月、国において、2020年度までの国の復興・創生期間終了後の取り組みについて、引き続き5年間の財政支援と事業の継続が示されました。その内容は、閉伊川水門の整備などハード面はもちろんのこと、特にも心のケアやコミュニティー形成支援等のソフト面に配慮されたものと認識しております。
 一方、被災地における実情を見ると、年々生活相談支援やコミュニティー形成支援の活動が希薄になってきていると感じますが、知事はこの実態をどのように把握しているのか。また、継続して充実した支援を行うため、今後何が必要でどのように進めていくのか、具体的にお答えください。
 2月4日、大手商社丸紅が、秋田県の秋田港と能代港で計画していた洋上風力発電の事業化を正式決定し、月内の着工、2022年の運転開始予定という報道がありました。本県では、東日本大震災津波発災後の平成27年4月、釜石市沖が内閣府の海洋再生可能エネルギーの実証フィールドに選定されたものの、その後、環境省の事業が不採択になるなど、現在も事業化に至っておりません。
 波力発電は、当時、実証フィールドに選定された八つの海域でもいまだ事業化されておらず、釜石市沖がパイオニアとなることで今後の産業の大きな柱として期待していますが、事業化に向けた現在の進捗状況と課題、また、県としてよりかかわりを深めていく必要があると思いますが、見解を伺います。
 あわせて、洋野町沖では、洋上風力発電の実現に向けた取り組みが進められておりますが、県の洋上風力発電への取り組みの方向性についてお示しください。
 次に、災害対策について質問いたします。
 近年、本県でもこれまでにない豪雨、洪水、土砂崩れなどの被害に見舞われることが多く、これまでの想定外は、想定内として具体的な対策を講じていかなければなりません。国においては、いち早く防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策において、約7兆円の事業規模で対策に乗り出しました。本県においては、国庫の活用も含めた防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策関連予算として、平成31年度当初予算で約2、188億円、令和2年度当初予算案として約2、140億円を計上しており、道路や津波防災施設の整備、港湾や漁港の機能強化、河川改修等の治水対策などの事業を実施しておりますが、まだまだ整備が必要な箇所が多数あります。県では、災害対策として必要な事業箇所をどのように把握しているのか、今後の方針、スケジュールとあわせて伺います。
 次に、いわて県民計画の推進と組織体制について伺います。
 いわて県民計画(2019〜2028)は県の最上位計画として昨年スタートし、2028年度までの10年間の本県の進むべき道しるべであります。計画の策定段階では、県議会においてもさまざまな議論や提案があったわけでありますが、重要なことは、政策を推進するための具体的なアプローチ、いわばアクションプランの指標設定であります。
 指標設定のあり方については、各分野において課題解決や政策推進との因果関係が不明確なものが多く、県の本気度が全く伝わってきません。そのため、決算の附帯意見には、5年連続で、政策等の評価の実施に当たっては、それらの成果をより適切に評価するとともに、評価の実効性を高めるよう取り組まれたい旨を付しておりますが、一向に改善されていないと感じております。
 行政経営プランのアクションプランから具体的に取り上げれば、市町村との連携、協働の推進では、地域経営推進費を活用した市町村が全市町村であり、評価はAとなっておりますが、用意された補助金を市町村が活用するのは当然であります。重要な視点は、実際に市町村との連携による県事業の実施について、各市町村が満足する成果が上がっているかどうか。また、市町村が県とどのような連携を望み、県はどの程度連携できているのかを指標にすべきであると思いますが、いかがでしょうか。
 また、柔軟な働き方ができる勤務環境の推進について、サテライトオフィスの拠点数2カ所を指標とし、結果はA評価です。2カ所設置する前提で予算を組んでいるわけですから、2カ所設置されるのは当然で、逆に言えば、設置できなければ単なる職務怠慢であります。指標にすべきは、設置した拠点の利用者数や満足度ではないでしょうか。これはほんのごく一部でありますが、このような指標ばかりが散見されます。
 いわて県民計画では、政策を推進するため、政策評価制度に基づくマネジメントサイクルによる計画の着実な推進とうたっておりますが、このような指標の設定では政策評価制度自体が既に崩壊しており、推進などもってのほかであります。さきに述べた2点も含めて、指標設定のあり方を早急に見直すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 達増知事のもと進められてきた一昨年までの10年間のいわて県民計画では、医師数、看護師数や観光客の入り込み数、所得など、県央部とその他の地域格差は是正されてきませんでした。これは東京圏と地方との格差が縮小しないことと同じことが、本県でも起きているということでもあります。格差については昨年の代表質問でも取り上げましたが、その深刻な課題に知事は全く言及されないことから、改めて伺います。
 そもそも知事は、本県の格差の現状を理解しているのかどうか、また、格差は是正すべきと考えているのか、すべきではないと考えるのか、明確に答弁をお願いしたいと思います。
 昨年12月定例会に、岩手県部局等設置条例の一部を改正する条例が提案されました。この条例は、いわて県民計画推進のため、現在の秘書広報室と政策地域部を再編し、新たに政策企画部とふるさと振興部を設置するものでありました。我が会派としては、常任委員会等の質疑においても納得できなかったことから、今回の再編が極めて部分的、局所的であり、いわて県民計画を推進するための検討が不十分なまま提案されたことや、ふるさと振興部内に設置しようとしている地域振興室、県北・沿岸振興室と広域振興局体制を含めた検証が全く見えないことなど4点を理由に、本質的、抜本的な組織再編の見直しを求めるとともに、一度議案を差し戻して、改めて再考願いたい旨、討論をいたしました。
 当該議案については約4割の議員が反対していることから、その重みを考えれば、県当局においては当然再検討されたものと思いますが、その可否と結果についてお答えください。
〔議長退席、副議長着席〕
 また、ふるさと振興部内に設置される県北・沿岸振興室は、人員がふえることは承知しておりますが、知事が言うところのすぐれた地域資源や新たな交通ネットワークなどの社会資本を最大限に生かした取り組みとは、具体的にどのような政策、事業を展開するのか、格差の是正という視点も含まれているのかどうかもあわせて伺います。
 次に、医師確保対策について伺います。
 昨年9月定例会において、知事は、政権がかわれば医師不足が解消すると以前言ったとされる発言に関して、政権交代というのは、現状打破には有効な手段であり、特定の政権下でずっと変わらないでいる構造的な問題を、そこに変化を引き起こすには政権交代というのは極めて有効な手段であると述べられました。
 はっきり申し上げますが、県民の代表であるべきはずの知事が政治と政策を混同することは、言語道断であります。この間、医師確保対策に必死になって取り組んできた県職員や医療関係者に大変失礼な話であるとともに、県民の利益や本県の発展を阻害する発言であり、即訂正すべきであります。平成21年からの約3年間の民主党政権時代も医師不足は解消されなかったという事実、現在の政権下においては着実に医師数が増加を続けているという事実を踏まえてお答えください。
 全国の医師数は2年ごとに3%前後の伸びを見せ、伸び率は全国を下回るものの、本県においても着実に増加しております。県では、平成9年度から医師確保のため奨学金制度を導入し、現在104人が義務履行中であります。奨学金の義務履行を終える医師は毎年数名おり、増加する見込みであることから、今後も県内で活躍していただきたいと思いますが、県内の医師数の見通しについて伺います。あわせて、医師配置に当たっては地域偏在解消の観点も含めて検討すべきと思いますが、県の方針について伺います。
 一方、県内の産婦人科医に関しては、平成16年の医師数89人に対し、平成30年が98人と伸び悩んでおります。産婦人科医の確保は、少子化からの脱却を図るための、安心して子供を産み育てられる環境整備という観点から喫緊の課題でありますが、この間、微増にとどまってしまった理由と県の取り組みをどのように評価しているのか、また、これまでの反省も含めて、今後、産婦人科医確保対策をどのように進めていくのか伺います。
 次に、農林水産業の成長戦略化について伺います。
 本県の広大な農地、多様な森林資源、豊富な漁場は、祖先が我々に残してくれた偉大なる財産であります。しかしながら、生産者の高齢化や地球の温暖化の影響等もあり、農林水産業の置かれている現状は厳しい状況であります。
 県では、いわて県民計画(2019〜2028)の中で、情報通信技術やロボットの活用による生産性の向上などを通じ収益性の高い農林水産業の実現を目指すとしておりますが、私は、これまで以上の手厚い財源措置も含め、農林水産関係団体とのかかわりをより深めながら、農林水産業の成長化戦略を大胆に進めるべきと思いますが、知事の見解を伺います。
 成長化戦略を進める上で、輸出は大きなキーワードです。国の農林水産物、食品の輸出額は6年連続で過去最高を記録しており、昨年度は9、000億円を超えております。品目別で輸出額が大きいのは加工食品で、伸び率が大きいのは野菜、果実、林産物であります。
 本県の農林水産物の産出額は年3、000億円を超えており、隣県の青森県と遜色ありません。一方、その輸出額を見ると、青森県が220億円を超えているのに対し、本県は昨年30億円を超えたところであります。県では、青森県との輸出額の差をどのように捉えているのか、また、今後の輸出戦略について知事の見解を伺います。
 漁業の歴史的不漁、それに伴う水産加工場の原材料不足は深刻です。近年、本県の主要魚種であるサケ、サンマ、イカの不漁が続いておりますが、今年度の秋サケ漁獲量は、1月末現在で約2、000トンと昨年同期の22%にとどまり、稚魚生産に必要な種卵を十分に確保することが困難となっていることから、サケの回帰する4年後、5年後にも不安の影を落としております。
 そのような中で、昨年は新たにサケ、マス類の海面養殖試験に乗り出す漁協も出てきており、漁協経営においてもサケ依存型経営からの転換を図り、新しい漁業の形を構築していく必要があると思いますが、県の考えと今後の展開方針について伺います。
 また、地域経済の循環のためにも、サケ、マス類の海面養殖試験で生産された魚の加工に当たっては地元の水産加工会社を活用すべきと考えますが、現在、漁協と連携している大手水産加工業者等の求める衛生基準を満たしている加工業者はどの程度あるのか。輸出も考慮すれば、新たにHACCPの取得も必要になってくると思われますが、県の見解と支援のあり方について伺います。
 平成18年、県では森林環境の保全を目的に、いわての森林づくり県民税を導入し、間伐や松くい虫対策、県民参加の森林づくりなどに取り組んできました。
 国においては、平成31年、温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止対策などを目的に森林環境譲与税が新設され、森林の整備やそれを担う人材の育成、確保、木材利用の促進が進められております。
 2020年代は環境の時代とも言われ、森林の果たすべき公益的な役割は非常に高まっております。一方で、再造林が4割程度しか進んでいない現状を考慮し、50年先を見据え、新たに森林づくり県民税の使途を造林まで拡大すべきと考えますが、県の見解をお示し願います。
 次に、県立高校のあり方について伺います。
 人口減少、少子化の進展に伴い、県立高校では生徒数の減少が顕著であることから、県では10年間の高校再編計画を策定し、現在、令和3年度からの後期計画の策定を進めております。
 高校の有無は地域の経済やコミュニティーに直接影響すること、また、地域を支える人材の育成は将来にわたり影響を及ぼすことから、その策定に当たっては慎重に進めなければなりません。
 本県では、そういった危機感から、平成30年10月、県内全市町村の首長が参画する岩手の高校教育を考える市町村長懇談会が設立され、ことし1月には県に対して提言書が提出されました。県においても、その趣旨を御理解いただき、今後の計画作成に生かしていただきたいと思います。
 そこで2点伺います。1点目は、県立高校の果たすべき役割についてであります。これまでの再編や学科の廃止などにより、特にも過疎地では、地域産業と密接にかかわる実業高校の学科の廃止が大きな影響を及ぼしており、建設業、農林水産業を初め多くの産業で、人手不足はもとより、若手の育成ができない状況にあります。
 私は少子化に伴う県立高校の統合や再編がひとり歩きしているように感じており、地域ごとの産業の実態、産業政策も含めて総合的に検討すべきと考えますが、知事の考えを伺います。
 この4月からスタートする国の第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略では、高校生の地域留学を推進することとしております。この制度は、全国各地の地元の高校に在籍しながら、高校2年生の1年間、他地域の高校へ留学する制度であり、将来的な移住や関係人口の拡大に寄与するものであります。
 本県においては、平成27年度に県外からの生徒受け入れを始めた葛巻高校の令和元年度県外出身入学者は6名となり、年々増加しております。私は、過疎地において欠員が生じている現状を弱みとして捉えるのではなく、強みとして生かしていくべきと考えます。過疎地には、都市部にはない自然や地域資源がたくさんあり、多様な学びを提供することができます。これらを生かすためにも、県外からの生徒の受け入れや地域留学の活用を県全体で推進していくべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、ILC―国際リニアコライダーの誘致実現について伺います。
 復興の象徴として進めてきたILCの誘致実現に当たっては、昨年3月7日に、政府として初めてILC計画に対する前向きな見解が示されたことを受け、アメリカに続き、日本政府とフランス、ドイツ両国とのディスカッショングループが設置されるなど、国際的な動きも活発になってきております。
 また、国会議員で構成されるリニアコライダー国際研究所建設推進議員連盟や各界の著名な方々で構成されるILC100人委員会委員の著作等による情報発信など、民間ベースでの活動も広く活発になってきております。
 自由民主党岩手県支部連合会、県議会自由民主党では、昨年12月には麻生太郎財務大臣、岸田文雄自由民主党政調会長に対し、そしてまた、一昨日19日には大島理森衆議院議長へ要望を行うなど、積極的に活動を行っております。
 このように各団体が総力を挙げているさなか、知事は2月6日の定例記者会見で、政府は誘致をきょう、あすにも決めていい。やろうと思えばできると発言をされておりますが、国の政治的判断が求められるこの重要な時期に、水を差すような発言は慎むべきであります。知事に求められていることは、政府を批判することではなく、政府がきょう、あすにでも決められるだけの取り組みをどう進めていくかであります。知事の見解を伺います。
 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 岩崎友一議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、被災地の経済状況についてでありますが、県では、なりわいの再生に向け強力に施策を推進してきたところであり、被災した漁船や養殖施設の整備が完了したほか、多くの被災事業所が事業を再開し、大型商業施設や共同店舗が開業するなど、復興は着実に進んでいます。
 一方で、水産業では水揚げ量の回復や担い手の確保、商工業では販路の回復や従業員の確保といった課題があり、人口減や復興需要の縮小による地域経済への影響も懸念される状況にあります。
 このような状況を踏まえ、被災地、三陸地域の持続的な成長に向け、いわて県民計画(2019〜2028)に基づき、水産資源の回復に向けた支援、いわて水産アカデミーによる漁業者等の人材の育成、復興道路や港湾などを活用した農林水産物の販路拡大、新たなまちづくりと連動した商業機能の再生、三陸の魅力あふれる観光地づくり等を推進することにより、地域経済の好循環を生み出してまいります。
 次に、被災者支援の取り組みについてでありますが、本県においては、これまで、NPO団体等が被災地の状況に応じて、応急仮設住宅での見守り活動や相談会の開催、サロンの開催等を行ってきており、生活相談やコミュニティーの形成など、被災地の復旧、復興に大きな役割を果たしてきました。
 被災地においては、応急仮設住宅から恒久的住宅への移行が進む中、生活環境の変化や経済問題、今後の生活への不安など被災者の抱える問題が複雑化、多様化しているほか、生活再建先における新たなコミュニティー形成支援にも引き続き取り組む必要があります。
 このため、民間団体等による災害公営住宅における交流機会を創出するイベント等のコミュニティー形成につながる取り組みについて、被災者の参画による心の復興事業やNPO等による復興支援事業により支援を行っています。
 さらに、再建先における自治会運営のサポートを行う支援員等の配置や被災者相談支援センターやいわて内陸避難者支援センターにおいて、市町村と連携して、自立再建に向けた相談支援を継続することとしております。
 加えて、来年度においては、市町村の関係部局と連携しながら、健康づくりの取り組みを通じたコミュニティー形成支援や、三陸防災復興プロジェクト2019の活動と成果を継承し、地域の郷土芸能を活用した災害公営住宅等の入居者の交流を図るためのイベントの実施等をすることとしております。
 次に、海洋再生可能エネルギーについてでありますが、釜石市沖の再生可能エネルギー実証フィールドについては、平成27年に国から選定を受け、これまで東京大学や地元の関係機関と連携し、波力発電に関する研究開発を推進してきたところです。
 波力発電の事業化に向けては、実際の海域において、地元企業の参画を得て発電技術を確立することが課題であることから、県としては、大学や地元の企業、関係機関との連携をより強化して、新たな国の研究開発プロジェクトの採択を目指しているところです。
 また、洋上風力発電の今後の方向性については、大規模な洋上風力発電の推進に関する海域利用促進法に基づき、国に対し、現在調査中の洋野町及び久慈市の沖合について、洋上風力発電の有望な区域として情報提供を行っています。
 波力発電や洋上風力発電は、地域のエネルギー供給源の確保や関連産業の振興などその効果は大きいことから、事業化に向け、今後も地元の市町や関係機関と連携し力強く推進してまいります。
 次に、災害対策についてでありますが、県では、平成30年7月豪雨等を契機として、昨年度、全国で実施された重要インフラの緊急点検などにより、災害対策が必要な箇所の把握を行ってきました。これらの箇所については、国の防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策予算も活用しながら、近年の被災箇所や要配慮者利用施設がある箇所などを優先し、河川や砂防、農業水利、治山などの施設整備を進めています。
 この災害対策については、緊急対策期間終了後も継続していく必要があることから、今後策定する次期岩手県国土強靱化地域計画に位置づけるとともに、国に対し必要な予算の確保を強く働きかけながら、計画的に取り組んでまいります。
 次に、アクションプランの指標設定についてでありますが、行政経営プランの指標のうち、市町村との連携・協働の推進については、地域課題の解決に取り組む市町村を支援するため、地域経営推進費が県内の市町村において継続して活用されることを目標としたものです。
 また、県庁における柔軟な働き方ができる勤務環境の推進については、出張先で効率的に業務を行う体制を整備するため、サテライトオフィス設置の順次拡大を目標としたものです。
 これら行政経営プランの指標については、政策評価の対象ではなく、実績測定による進行管理の視点から設定したものです。
 一方、政策推進プランのいわて幸福関連指標については、県民にとってわかりやすく、毎年把握でき、可能な限り全国比較ができることなどを考慮して設定したものであり、指標の達成状況に加え、県の施策に関する県民意識調査で把握した県民の実感や社会経済情勢などを勘案した総合評価を行い、いわて県民計画(2019〜2028)の実効性を高めてまいります。
 次に、各圏域間の格差についてでありますが、直近の平成28年度の1人当たり市町村民所得を平成22年度と比較すると、各年度の市町村平均を100とした水準では、平成22年度には沿岸で88.1、県北で89.8であったものが、平成28年度には沿岸で103.3、県北で95.1となっており、それぞれその差は縮小しています。
 観光入り込み客数については、各圏域間で差があるものの、医師数及び看護師数については、地域間の差は縮小傾向にあります。
 このような状況を踏まえつつ、地域の強みを伸ばし、弱みを克服することが重要でありますことから、いわて県民計画(2019〜2028)に基づき、4広域振興圏ごとの特性や資源を生かした施策や北上川バレー、三陸、北いわての三つのゾーンプロジェクトを推進することで、個性あふれる地域が自立的に発展し、県全体の発展につながるようにしていきたいと考えています。
 次に、本庁部局の再編についてでありますが、今回の本庁再編は、昨年度策定したいわて県民計画(2019〜2028)に掲げる各政策の実効性を高めるという視点から検討を進めたものであり、国内外の環境変化等を踏まえた機動的な政策形成や分野横断的な取り組みの一層の展開を図るとともに、持続可能な地域社会の構築に向け、県民、市町村、関係団体など多様な主体との連携、協働により地域振興施策を強力に推進していくため、新たに政策企画部とふるさと振興部を設置することとし、さきの12月県議会定例会で議決いただいたところであります。
 組織、職員体制の整備については、直面する県政課題や社会経済情勢の変化に適切に対応していくため不断に見直しを図ってきたところであり、今後におきましても、さまざまな御意見も参考にしながら、限られたマンパワーを最大限に生かし、いわて県民計画(2019〜2028)の着実な推進に向け、最適な組織、人員体制の構築に努めてまいります。
 次に、県北、沿岸振興についてでありますが、県北、沿岸圏域の振興は、引き続き重要課題であり、新設する県北・沿岸振興室が中心となって施策を進めます。
 具体的には、アパレル産業や食産業など地域特性を生かした産業の振興、風力やバイオマスなどの再生可能エネルギーを生かした地域活性化、御所野遺跡や三陸ジオパークなど特徴的な地域資源を生かした交流人口の拡大を図ってまいります。
 また、三陸沿岸道路などの新たな交通ネットワークの進展による経済圏の拡大を好機と捉え、国内外の販路の拡大や企業誘致などによる産業の振興、復興の象徴である三陸鉄道を活用した誘客促進に取り組みます。
 こうした施策を市町村や団体、企業など多様な主体と連携して展開し、地域の特性や資源を生かした地域経済の拡大につなげてまいります。
 次に、医師確保対策についてでありますが、岩手県の医師数は、平成16年には2、342人、平成24年には2、471人となり、東日本大震災津波の時期に増加しましたが、その後は横ばいで推移し、平成30年には2、503人となったところであります。
 国の新たな医師不足、偏在対策は、都道府県が策定する医師確保計画に基づく都道府県を主体とした取り組みが中心であり、国は、都道府県を越えた医師の派遣調整について、都道府県に対して必要な支援を行うこととしていますが、具体的な方法については示していません。
 また、医師の養成、確保のための財政的支援や医師不足地域における医学部定員増の恒久化など課題が山積していることから、医師不足や地域間の偏在を根本的に解消する必要があり、岩手県では、地域医療基本法の制定の提言に加え、医師不足県で構成する地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会を通じて、国に強く働きかけを行っております。よき政権交代が行われれば、こうした問題の解決がより進むのは当然と考えます。
 次に、奨学金養成医師の今後の見通しについてでありますが、県では、平成20年度から、岩手医科大学の臨時定員増に対応して、三つの奨学金制度により最大55名まで貸付枠を拡充し、これまでに537名に奨学金の貸し付けを行ってきました。養成した医師は211名に上っており、今後、毎年40名程度の養成が進むことから、県内の医師数は着実に増加していくものと考えています。
 また、医師の地域偏在の解消に向けては、現在、県が策定を進めている医師確保計画において、二次医療圏域ごとの目標医師数を定めて医師の確保に取り組むこととしており、特に、医師の絶対数が少ない沿岸、県北地域への養成医師の配置を推進することにより、県全体の医師数の確保とあわせ県内の医師偏在対策に取り組んでまいります。
 次に、産科医の確保対策についてでありますが、近年は、分娩取扱医療機関数が減少し、産科医師数は横ばいの状況が続いています。
 県では、即戦力医師の招聘や奨学金による医師養成に取り組んできたところですが、産科医のさらなる確保が必要であると認識しています。現在策定中の医師確保計画では、産科医の確保を推進するため、目標医師数を掲げて、具体的な施策を講じていくこととしております。
 令和2年度からは、産科等を選択した地域枠養成医師を対象に、1年間を限度に岩手医科大学の総合周産期母子医療センターでの勤務を義務履行として認めるほか、医療局医師奨学資金に産婦人科特別枠を設けることとしており、産科医の養成、確保の取り組みを推進してまいります。
 次に、農林水産業の成長産業化についてでありますが、本県農林水産業は地域経済を支える基幹産業であり、人口減少や経済のグローバル化などが進む中にあって、将来にわたって持続的に発展していくことが重要です。
 このため県では、地域の核となる経営体の確保、育成や生産性、市場性の高い産地づくり、高付加価値化などを柱にさまざまな施策を展開してきたところであり、その結果、農林水産業の産出額は着実に増加し、平成29年は3、283億円と、平成16年以降で最高額となったところです。
 今後においては、いわて県民計画(2019〜2028)に基づき、地域を牽引する担い手の育成や大規模園芸産地の形成、県産木材の安定供給体制の構築、サケ資源の回復などの生産性、市場性の高い産地づくり、県産農林水産物の輸出拡大などに戦略的に取り組みます。また、新たに岩手県農業研究センター県北農業研究所を拠点とし、産学官連携による北いわて型スマート農業技術の導入促進など、将来を見据えた先端技術を活用した取り組み等を幅広く展開することとしています。
 今後とも、関係団体等と連携を密にし、本県農林水産業のさらなる発展に向けて、力強く取り組んでまいります。
 次に、輸出戦略についてでありますが、本県の農林水産物は国内における評価が高く、市場ニーズに応えるため、長らく国内市場における取引が中心でありましたが、人口減少が急速に進み、国内市場が縮小する中で、国外における新たな販路の拡大は重要との考えから、平成19年度に、関係機関、団体、企業とで構成するいわて農林水産物輸出促進協議会を設立し、県産農林水産物の販路の開拓、拡大に取り組んでまいりました。その結果、平成30年の輸出額は約32億円となり、震災直後の平成23年と比較し、約6倍に増加しました。
 今後においては、海外の規制や市場から求められる品質等に対応した産地づくりを進めるほか、リンゴの輸入を解禁したカナダ等の新たな有望市場の開拓に重点的に取り組むなど、安全・安心で高品質な県産農林水産物の輸出拡大を戦略的に進めてまいります。
 次に、新しい漁業についてでありますが、本県水産業は沿岸地域の基幹産業であり、水産業が将来にわたり持続的に発展していくためには、近年漁獲量の減少が続くサケ、サンマ、スルメイカなどの主要魚種の資源回復に取り組むとともに、海洋環境の変動に左右されない安定的な魚類の海面養殖など、新しい取り組みを進めていくことが重要です。現在、久慈、宮古、大槌の3地区において、需要が急速に高まっているサケ、マス類の海面養殖試験が行われ、成果も着実にあらわれているところであり、県では、先行するこの3地区に加え、他の地域への普及、拡大を進めることとしています。また、令和2年度当初予算案に、ICT等を活用した餌の自動投与システムの実証実験や、成長の早い種苗の開発を行う新しい増養殖モデル創出事業を盛り込んだところであり、今後とも、サケ、マス類の海面養殖の推進に積極的に取り組んでまいります。
 次に、水産加工業のHACCP取得についてでありますが、県では、これまで、関係機関、団体と連携して衛生品質管理の専門家の派遣や講習会の開催を行うなど、水産加工場の衛生管理の高度化に取り組んできたところであり、この結果、現在、12事業場がアメリカ食品医薬品局の衛生管理基準を満たすHACCP認定を取得し、大手の加工業者や流通業者とも取引できる衛生管理レベルとなっています。また、令和2年度当初予算案に、事業者のHACCP取得など、衛生品質管理の取り組みを支援する質の高い水産物の安定確保対策事業を盛り込んだところであり、今後とも、国内外への販路の開拓、拡大も視野に入れ、本県水産物の衛生品質管理の高度化に取り組んでまいります。
 次に、いわての森林づくり県民税についてでありますが、いわての森林づくり県民税は平成18年度に創設し、令和2年度を終期とする第3期の取り組みを推進しているところです。
 第3期終了後のあり方については、事業評価委員会において、年度末をめどに提言を取りまとめていただくこととしており、現在、県議会における使途拡大などの議論や、県民懇談会や県民アンケートなどを通じて、県民の皆様を初め市町村等からいただいた御意見などを踏まえ、議論を深めていただいているところです。
 県としては、評価委員会の提言を踏まえ、来年度において、令和3年度以降の県民税のあり方について、議員からいただいた造林への使途拡大の御提言も参考に検討を進めてまいります。
 次に、高校再編と地域産業についてでありますが、教育委員会においては、適切な教育環境の整備を図るため、平成28年3月に策定した新たな県立高等学校再編計画に基づき、これまで前期計画の推進に取り組んできたところです。
 専門高校や専門学科の再編に当たっては、計画策定時の専門分野の学びを地域に残してほしいとの要望等を踏まえ、地域の産業構造や人材のニーズ、産業振興の方向性、中学生の志望動向等にも十分留意しながら、各地域に、できる限り専門分野の学科や学びの機能を維持することとしてきたものと承知しております。
 今般教育委員会が公表した後期計画案は、県立高校に対する人材育成への期待や、地域の実情等を十分に考慮し、生徒の希望する進路の実現と地域や地域産業を担う人づくりの二つを基本的な考え方とし、地域における学校の役割を重視した魅力ある学校づくりに向けて、検討を進めたものと承知しております。
 県立高校は、地域産業を担う人材育成において大きな役割を果たしていることから、各地域に多様な専門分野の学びを確保することは重要なことと認識しており、計画案には、生徒数の減少等の現状を踏まえながらも、地域の産業教育の拠点となる専門高校等の整備について盛り込まれております。
 教育委員会においては、広く意見を伺いながら、後期計画の策定に取り組んでほしいと考えております。
 次に、県立高校における県外からの生徒受け入れについてでありますが、国の第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略においては、将来的な関係人口の創出、拡大を目指して地域留学を推進することとしており、このような取り組みは、本県とのつながりを持つ人口の増加にも重要であると認識しております。
 本県においては、これまで、葛巻高校、大迫高校、水沢農業高校、種市高校の4校が地元自治体等と連携した特色ある活動を展開し、県外からの生徒受け入れを実施してきております。加えて、地域人材の育成やふるさと振興の観点から、下宿等の居住環境を紹介できることなど一定の条件を満たす平舘高校、住田高校、遠野高校、遠野緑峰高校、大槌高校の5校において、この4月から新たに県外からの生徒受け入れを始めるところです。
 今後、教育委員会では、3年間の高校生活を通した特色ある活動を推進していくとともに、国の地域留学制度の活用にも努めながら、将来を担う人材を育成していくこととしています。
 次に、ILCの誘致実現についてでありますが、ILCは、1990年代から世界中の研究者がかかわり、2012年に技術設計がまとめられ、現在、建設に向けた具体の設計が進められているほか、超党派の国会議員連盟や全国的な産学官の推進組織、地域の協議会等が10年来の活動を行ってきたところであります。県においても、研究者と連携した調査や受け入れ環境の整備等に取り組むなど、ILCの実現に向け万全を期すよう準備を進めています。
 こうした取り組みは、政府の誘致決断の後押しともなるものであり、今般、日本学術会議の議論も終了したところであることから、引き続き、超党派の国会議員連盟等関係団体と一層の連携を図り、ILCの実現を政府に働きかけてまいります。
   
〇副議長(中平均君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時42分 休 憩
   
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 千 葉 絢 子 君
12  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 田 村 勝 則 君
15  番 佐々木 朋 和 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 岩 渕   誠 君
20  番 名須川   晋 君
21  番 佐々木 宣 和 君
22  番 臼 澤   勉 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 吉 田 敬 子 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 軽 石 義 則 君
31  番 郷右近   浩 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 工 藤 勝 子 君
39  番 中 平   均 君
40  番 工 藤 大 輔 君
41  番 五日市   王 君
42  番 関 根 敏 伸 君
43  番 佐々木 順 一 君
44  番 伊 藤 勢 至 君
45  番 岩 崎 友 一 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時2分再開
〇副議長(中平均君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。高橋但馬君。
   〔28番高橋但馬君登壇〕(拍手)

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