令和元年12月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇48番(飯澤匡君) いわて県民クラブの飯澤匡でございます。
 ただいま上程されております議案第4号岩手県部局等設置条例の一部を改正する条例に反対する立場で、会派を代表して討論いたします。
 この条例案の内容は、1、秘書広報室及び政策地域部を再編し、政策企画部及びふるさと振興部を設置すること、2、政策企画部及びふるさと振興部の分掌事務について定めることとなっております。私たちいわて県民クラブは、岩手県議会基本条例に定められた第9条の第2項、議会は、知事等と異なる立場及び権能を生かし、活動しなければならない。第10条、知事等の事務の執行が、適正かつ公平に、及び県民の意向を的確に把握しつつ能率的に行われているかどうかを監視するとともに、これが所期の効果及び成果を上げたかどうかを評価し、知事等に対し必要な是正措置又は対応を促すものとする。この条例の趣旨を酌んで、以下、反対する理由を申し上げます。
 討論に入る前に、私たちいわて県民クラブは、9月定例会後に33全ての県内市町村に出向き、県への予算要望と県政課題について意見交換をしてまいりました。どの自治体も必死になって諸施策を駆使し、将来に向けて奮闘している姿を拝見してまいりました。
 意見交換の中で、共通して広域振興局の機能についての話題が出ました。今や革新的な問題は本庁に行かねば解決できない、したがって広域振興局に足を向ける機会も激減したなど、機能劣化は深刻になっていると認識したところです。
 さて、時計の針を10年前に戻します。10年前も達増県政であります。10年前、いわて県民計画の着実な推進及び広域振興局支援機能の充実を前提とし、総合政策部、地域振興部及び総務部のあり方について見直す部局等の設置案が提案され、1、直接補助部門の純化を図るため秘書広報室を設置。2、政策立案機能の一元化、強化のために、総合政策部と地域振興部を統合して政策地域部を設置しました。今回提案されている政策企画部は、10年前解体された総合政策部とほぼ同様の機能を持たせるものになっています。いわば10年前の組織再編は何だったのかということになります。
 10年前も私は総務委員会に所属し、質問いたしました。再編の理由について、当時の菅野総務部長及び高前田総合政策部長の答弁は次のようになっています。菅野総務部長、県民計画の推進において、政策決定過程として二つの部がかかわっている。広域振興局に移行したことに伴っての地域の政策については、より地域でいろいろと考えていただき、それを県に反映することからすると、やはり県全体で政策機能と地域政策を担う機能が集中化したほうがいいだろうということで政策地域部に集約化させた。高前田総合政策部長、まず一つは、広域振興局体制をしっかり支えていくことからすると、今の総合政策部、それから地域振興部が一体となって、政策の立案、そこから広域振興局をしっかりバックアップしていく体制が必要である。
 また、秘書広報室に政策的な機能を持たせることについて、いわゆる今回の政策企画部にほぼ相当するものですが、そのことについても答弁で触れています。高橋参事兼人事課総括課長の答弁です。知事直轄的な知事公室等を設けるという議論もあったが、ただ一方、直轄組織としての庁内の政策的なリードをするというような機能を設けますと、今度は政策地域部との役割分担、そこから調整等が多く出てくる。ここで機能的ではないと庁内で結論づけておるのであります。
 このたびの提案は、10年前の提案根拠と、現状はどうなったのかという疑問にぶつかります。10年前の議事録との整合性はどのように説明するのかが大きな論点です。時代の要請は刻々と変化していきますから、県が時代の変化に対応した組織改編を行うことはやぶさかではありません。ならば、10年前の改編がどのように県施策の推進に生かされたのか生かされなかったのか。検証作業を通じて問題点を明確にして議会に提案するのは当然の責務でありますから、そのことを示すよう委員会で求めましたが、その点については全く言及がなく、ただただ期待されるメリットを強調され、反省に立つこともなく、現状における必要な具体的な改善の手だても示されませんでした。
 冒頭申し上げましたように、期待された広域振興局の機能は多くの市町村の期待に応えられていません。知事は、市町村要望について、広域振興局長から市町村の要望を受け取るシステムが機能していると答弁されていますが、今回の案では、市町村から広域振興局、広域振興局からふるさと振興部、ふるさと振興部から政策企画部と、さらに屋上屋を重ねることになります。県は、新しいいわて県民計画(2019〜2028)において市町村との連携強化を叫んでいますが、これで市町村は納得するでしょうか。さらに、10年前に庁内で検討された結果、役割分担、調整等が多く出てくることを克服する具体案も示されていません。
 また、私はこの10年間、秘書広報室の機能について監視に努めてきましたが、さきの総務委員会で、ILC実現に係る国への要望相手も把握していない秘書広報室長の答弁には驚かされました。各部局長との十分な調整を行うことを担うとされた室長が、岩手の将来を左右する大プロジェクトに関してこの程度の認識では、この組織が純化とは名ばかりで、糸へんと金へんが間違っているのではないかというふうに感じた次第であります。このままの組織を温存し、政策立案機能を付する危険性を私は強く感じます。まずは、組織改編以前に広域振興局のあり方、特に市町村との関係強化をどのように具体的にすべきか、足元を見詰めることが必要ではないでしょうか。
 県庁内の人事、人材育成についても全く触れていないのは組織論として片手落ちです。組織のフラット化、職員のモチベーションを高める組織のあり方、民間では基本的なトレンドとなっているものが全く見当たりません。看板をすげかえても、魂が入っていなければ意味がないのです。
 私は、先日の総務委員会における質疑を通じて、関係部局内でどれほど深く議論されたのか疑義を持ちました。なぜなら、答弁内容は一面的で、納得できるものは残念ながらほとんどありませんでした。少なくとも、10年前はさまざまな角度で議論したプロセスがあったことを、今回、議事録で改めて確認をさせていただきました。私は、もう一度庁内で熟議を尽くすべきだと思います。見切り発車では、決して職員の人心はついていきません。
 議会の議決権の行使は、議会に与えられた最高の権能であり、それを行使するには、責任ある対応をするのが議員としての務めです。我々が指摘した点を当局が明らかにせず、これから議員の指摘を十分に酌んで施策に反映させていただきます程度では、私たち議員は県民に対して責任が果たせません。
 以上の理由を述べて反対討論とさせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〇議長(関根敏伸君) 次に、工藤大輔君。
   〔40番工藤大輔君登壇〕

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