令和元年12月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇45番(岩崎友一君) 自由民主党の岩崎友一でございます。
 会派を代表して、議案第4号について、委員長報告に対し、反対の討論を行います。
 議案第4号岩手県部局等設置条例の一部を改正する条例は、現在の秘書広報室と政策地域部を再編し、新たに政策企画部とふるさと振興部を設置しようとするものであります。
 再編の最大の趣旨とされているいわて県民計画の着実な推進という観点から、以下、反対の理由を述べます。
 反対する第1の理由は、秘書広報室と政策地域部の再編が極めて部分的、局所的であり、新たないわて県民計画(2019〜2028)を推進するための検討が不十分なまま提案されたことであります。
 本来、組織は政策を実現するための手段であり、政策の変更が生じれば、その手段である組織も変更されるべきであります。新たないわて県民計画(2019〜2028)に基づく10の政策分野を推進するのであれば、政策の転換に応じて、その推進体制を機能的に変える県政の経営理念に基づき、政策評価システム、PDCAサイクルを回しながら組織改革を図るのが当然であります。
 船頭多くして船山に上る。まさに、今の県庁の組織体制をあらわしている言葉であります。政策立案ばかりに重きが置かれ、具体的な実行部隊との乖離が進んでいるのです。その結果、PDCAサイクルがうまく回らず、政策評価システムが機能不全を起こし、政策目標、政策指標ばかりが乱立している現状であることは、今期定例会の米内紘正議員の質疑の中で明らかになったところであります。
 結果的に二つの部局の定数内での再編となっていることが、組織体制の硬直化を招く原因となります。計画の見直しと組織体制、人員配置までを含めた再編に対する総体的な考えがないと、虫食い的な再編に終わり、その後の行政運営の効率性を阻害することにつながりかねません。
 第2の理由は、今回の部局を再編する具体的な理由が乏しいことであります。
 現在の秘書広報室と政策地域部は、平成22年に当時の総合政策部と地域振興部を再編し、設置されました。その改正内容は、知事のトップマネジメントをより機動的に支援し、情報発信ができる体制を進めるために秘書広報室を設置し、政策立案機能の一元化や政策部門と実行部門を一体化させた政策地域部を設置するものでありました。これは知事が就任してから初めての組織改革でありましたが、10年間の組織体制の総括や検証をどのように行い、どう捉えているのでしょうか。これまでどのような弊害があったのでしょうか。政策部門と実行部門を一体化させた10年間の評価と検証が不十分なままでは、同じことの繰り返しになりかねません。県のシンクタンク機能やガバナンス機能が機能不全に陥っている本質的な問題を整理しないまま、知事就任当初の総合政策部と地域振興部に類似した組織に看板を書きかえても、新たないわて県民計画(2019〜2028)の着実な推進を図ることはできません。
 今やるべきは、社会減、自然減といった本県が直面する危機的課題、人口減少対策に対し真正面から向き合い、機動的、戦略的に機能する組織の再編、強化であります。政策立案、調整機能を強化するだけでは、人口減少、少子高齢化の進行に歯どめをかけることは不可能であります。
 第3に、地域振興室、県北・沿岸振興室の設置と広域振興局体制を含めた検証が全く見えない点であります。
 地域振興室内にある県北・沿岸振興担当部門を室に格上げし、取り組みを強化しようとする意気込みについては一定の評価はいたします。
 一方で、広域振興局体制になって13年が経過し、復興事業、特に道路や港湾機能といった社会資本の整備が大きく進展するなど、各圏域の経済環境は大きく変化してきております。新たな広域課題も明らかになっている中、改めて広域振興局体制の検証を行い、今後の方向性を示した上で、県北・沿岸振興室をあわせて位置づけるべきであります。
 広域振興局がより機動的、一体的な施策を展開し、実効性の高い施策に対応できる組織再編を行わなければ、本庁組織だけに手を加えても、具体的な人口減や産業振興、社会福祉施策に結びつくことはありません。小手先の組織再編という評価のそしりを受けざるを得ません。
 第4に、本庁と広域振興局、出先機関を含めた組織全体の再編の哲学が曖昧な点であります。
 県行政は専門的な行動力が求められます。本庁の機能、特に政策立案部門の強化に特化する余り、現場主義、解決志向型の組織のあるべき姿の実現にどう向き合い、取り組んでいくのかといったメッセージが伝わってこない点は極めて残念でなりません。
 課題は現場にあり、全ては現場に宿ります。知事の発言からは、現場主義といったかけ声だけは聞かれますが、組織体制と機能が現場主義、解決志向型として強化されてこそ、県政全体の発展と県職員の専門性が発揮され、持続性も維持できると考えます。
 最後に、達増知事には、今後10年の本県の政策推進の方向性を示すいわて県民計画(2019〜2028)を着実に推進するためにも、本庁だけで79の室課、職員数約4、400人のリーダーとして、職員一人一人の能力を引き出し、闊達に動く組織を構築する責任があります。
 我が会派といたしましては、いわて県民計画(2019〜2028)の着実な推進に向け、本質的、抜本的な組織再編の見直しを求めるとともに、一度議案を差し戻して、県当局において再考願いたいとの思いから、当議案に対しては反対をするものであります。
 御賛同賜りますようお願いを申し上げ、反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(関根敏伸君) 次に、名須川晋君。
   〔20番名須川晋君登壇〕

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